説明

ELパネル

【課題】 樹脂中における系外成分の進行をより遅延化することができるELパネルを提供する。
【解決手段】 本発明に係るELパネル10は、基板12と、基板12上に形成されたEL素子14と、基板12と対面すると共に、基板12上のEL素子14を覆う封止プレート16と、基板12と封止プレート16との間に介在し、フィラー22が添加されている樹脂20とを備え、フィラー22の所定断面が、湾曲部22aを含み、且つ、非環状である。そのため、このELパネル10においては、系外成分が樹脂20中を進行してフィラー22の湾曲部22aまで到達した際に、系外成分はフィラー22を迂回するためにその湾曲部22aに沿うようにして後退する。この系外成分の後退により、系外成分の経路は大幅に延長される。そのため、本発明におけるELパネル10は樹脂20中における系外成分の進行を従来より遅延化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ELパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機EL(Electro Luminescence)や無機EL等のEL素子は、自発光型の発光素子であり、高輝度であるほか、小型・軽量化が容易であるという特徴を有しており、ディスプレイや照明等への応用が期待されている。ところが、これらのEL素子に用いられる発光材料は、水、CO、O等の成分(以下、系外成分と称す。)によって劣化し易い傾向にあり、これが素子の長寿命化を妨げる一つの要因となっていた。このため、従来、EL素子は、外気との接触を少なくするため、当該素子を封止したELパネルの形態で用いられている。
【0003】
かかる封止の形態としては、EL素子を基板と封止板との間に配置し、外周部のみを樹脂等からなるシール剤(接着剤)で塞ぐ中空型の封止が知られている。このような中空型のELパネルは下記特許文献1などに開示されており、この文献に示されたELパネルの接着剤には粒状フィラーや層状フィラーが添加されている。このフィラーは接着剤中における系外成分の進行を妨害し、それにより、系外成分は接着剤中を蛇行するように進行するため、接着剤にフィラーが添加されておらず系外成分が直線的に進行する場合に比べて、系外成分の経路が延長されている。特許文献1におけるELパネルは、このようにして接着剤中における系外成分の進行を遅らせて、EL素子及びELパネルの長寿命化を図っている。
【特許文献1】特開2005−91874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したELパネルに用いる接着剤には、以下に示すような問題があった。すなわち、添加されたフィラーによる系外成分の進行の遅延化が不十分であったため、ELパネルの十分な長寿命化には至っていない。そこで発明者らは、鋭意研究の末、従来よりも系外成分の進行を効果的に遅延させて、ELパネルの十分な長寿命化を実現することができる技術を新たに見出した。
【0005】
すなわち、本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、樹脂中における系外成分の進行をより遅延化することができるELパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るELパネルは、基板と、基板上に形成されたEL素子と、基板と対面すると共に、基板上のEL素子を覆う封止プレートと、基板と封止プレートとの間に介在し、フィラーが添加されている樹脂とを備え、フィラーの所定断面が、湾曲部を含み、且つ、非環状であることを特徴とする。
【0007】
このELパネルにおいては、系外成分が樹脂中を進行してフィラーの湾曲部まで到達した際に、系外成分はフィラーを迂回するためにその湾曲部に沿うようにして後退する。この系外成分の後退により、系外成分の経路は大幅に延長される。そのため、本発明におけるELパネルは、系外成分が後退しない従来技術に比べて、樹脂中における系外成分の進行をより遅延化することができる。
【0008】
また、フィラーが球殻の一部を有する形状であってもよく、さらに、フィラーの湾曲部の少なくとも一部が椀状であっても、フィラーが椀状であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、樹脂中における系外成分の進行をより遅延化することができるELパネルが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するにあたり最良と思われる形態について詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るELパネル10は、基板12と、EL素子14と、封止プレート16と、接着剤18とを備えている。
【0011】
このELパネル10は、トップエミッション型及びボトムエミッション型のいずれに適用することができる。ELパネル10をボトムエミッション型として用いる場合には、基板12及び封止プレート16のうちの少なくとも基板12を透光性プレートで構成する。一方、ELパネル10をトップエミッション型として用いる場合には、基板12及び封止プレート16のうちの少なくとも封止プレート16を透光性プレートで構成する。透光性プレートは、透光性を有し(若しくは透明であり)、ガラスやプラスチック、その他の透光性を有する材料からなる。
【0012】
EL素子14は、基板12上に形成されており、EL層を一対の電極層で挟んだ積層構造を有している。このEL層の構成材料は、有機EL材料でも無機EL材料でもよい。封止プレート16は、基板12のEL素子14側と平行に対面していると共に、基板12上のEL素子14を覆うように設けられている。
【0013】
接着剤18は、基板12と封止プレート16との間に介在しており、基板12と封止プレート16との間を完全に充たしている。ここで、EL素子14は、封止プレート16の端面16aよりも所定距離だけ内側の位置に設けられているため、ELパネル10の端面10aには、封止プレート16の端面16a、基板12の端面12a及び接着剤18の端面18aが露出しており、EL素子14は露出していない。
【0014】
接着剤18は、樹脂20にフィラー22が添加されて構成されている。この接着剤18は、樹脂20中にミキサー及びロールを用いてフィラー22を分散させることにより得られる。樹脂20には、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等を用いることができる。フィラー22は、図2(a)に示した無機ガラスからなる椀状フィラーであり、図2(b)に示した中空球体(球殻)24を分割(より具体的には粉砕)して作製したものである。そのため、フィラー22は、所定断面(例えば、フィラー22の中心C(曲率中心)を通るI−I線の断面)において、その断面全体が湾曲部22aになっていると共に、断面が非環状となっている。また、フィラー22は、球殻の一部を有する形状となっている。
【0015】
接着剤18中の各フィラー22は、ELパネル10の端面10a側を向いており(すなわち、フィラー22の縁22bがELパネル10の端面10a側にあり)、このフィラー22により、接着剤18中における系外成分の進行が阻害される。以下、フィラー22による系外成分の阻害メカニズムについて、図3を参照しつつ説明する。具体的には、系外成分が、図のX方向(接着剤18の厚さ方向に直交する方向、且つ、端面18aに直交する方向)に沿って、接着剤18中を位置X1から任意位置X2まで進行する場合について説明する。位置X1は、例えば接着剤18の端面18aの位置であり、位置X2は、例えば接着剤18の端面18aから所定距離だけ内側の位置である。なお、本明細書中における系外成分とは、水、CO、O等であり、これらはEL素子14の素子特性に悪影響を与えるものである。
【0016】
系外成分は、位置X1の点PからX方向に進行していくと、フィラー22と接触する点Pに到達する。系外成分は点Pに達すると、フィラー22を迂回するために、その進行方向を、X方向から、フィラー22の内側曲面22cに沿って縁22bに向かう方向に変える。そして、系外成分は、縁22bの点Pまで達すると、その進行方向を再度X方向に変え、位置X2の点Pに向かって進行する。すなわち、系外成分は、フィラー22を迂回するとき(すなわち、フィラー22の内側曲面22cに沿って移動するとき)、X方向に関して後退する向き(若しくは、進行も後退もしない向き)に移動する。そして、X方向に関して点Pと同じ位置にある点Pを通過して、点Pから点Pに向かう。
【0017】
そのため、フィラー22がない場合(すなわち、系外成分が位置X1の点Pから位置X2の点Pまで直進する場合)に比べて、点Pを経由するP−P長さだけ、系外成分の経路が延長されている。延長されるこのP−P長さは、フィラー22に50μmの中空球体24を利用する場合には100μmを超えるため、1μm程度の粒状フィラーやX方向に延びる層状フィラー(厚さ2μm程度)を用いた従来技術に比べて、大幅な経路延長が実現される。また、フィラー22は、従来の粒状フィラーや層状フィラーに比べて、系外成分の進行方向(X方向)に関する投影面積が拡大されているため、各フィラーの系外成分に対する阻害領域が広く、より効果的に系外成分の進行を遅延化する。
【0018】
なお、系外成分の進行方向に関する投影面積については、中空球体24の投影面積も、フィラー22の投影面積と同等の大きさである。しかしながら、中空球体24をそのまま樹脂20に添加した場合、中空球体24は系外成分の経路延長にあまり寄与しない。
【0019】
つまり、図4に示すように、系外成分は、位置X1の点PからX方向に進行して中空球体24と接触する点P11に到達すると、中空球体24の外側曲面24aに沿って迂回し、上端位置の点P13で進行方向を再度X方向に変えて位置X2の点P14に向かう。すなわち、中空球体24の場合では系外成分はX方向に関して後退せず、中空球体24がない場合(すなわち、系外成分が位置X1の点Pから位置X2の点P22に向かう場合)に比べて、P12−P13長さしか経路が延長されない。ここで、点P12は、中空球体24の外側曲面24aに沿って、点P11から点P21(X方向に関して点P13と同じ位置の点)までの距離だけ点P11から離れた点である。
【0020】
従って、円環状の断面を有する中空球体24をそのままフィラーとして用いても、中空球体24は系外成分の経路をほとんど延長しない。同様の理由により、円環状以外の環状の断面を有するフィラーについても、系外成分の経路をほとんど延長しない。
【0021】
以上で詳細に説明したように、ELパネル10は、断面に湾曲部22aを含み、且つ、断面が非環状であるフィラー22を有する接着剤18を用いているため、従来技術に係るELパネルに比べて、系外成分の経路が大幅に延長されている。そのため、このELパネル10においては、樹脂20中における系外成分の進行をより遅延化することができ、それにより十分な長寿命化が実現されている。
【0022】
また、フィラー22は、接着剤18の厚さ方向の力を緩衝することができる断面形状(接着剤18の厚さ方向に関して湾曲した弓状断面)となっている。そのため、フィラー22は、基板12や封止プレート16に接触した場合に壊れにくく、EL素子14に接触した場合に素子を傷つけにくい。従って、フィラー22のサイズを、基板12と封止プレート16(若しくはEL素子14)との離間距離と同程度にすることも可能であり、この場合には1つのフィラー22当たりの系外成分の遅延効果が大きくなる。
【0023】
なお、フィラー22は、図2(a)に示す中空球体24を二等分した椀状のものに限らず、曲率の小さなより底の浅い椀状や曲率の大きなより底の厚い椀状であってもよい。また、フィラー22として、中空球体24をローラで粉砕したものを用いることができ、この場合には図2(a)のような平坦な縁22bではなくより鋭利な切り口となる。
【0024】
なお、図1では、全てのフィラー22がELパネルの端面10a側に向いているELパネル10を示しているが、接着剤18に含まれるフィラーの一部が端面10aを向いている態様であっても、少なくとも端面10aを向いているフィラー22に関しては上述した経路延長に寄与するため、やはりELパネルの長寿命化が実現される。
【0025】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るELパネル10Aについて、図5及び図6を参照しつつ説明する。
【0026】
図5に示すELパネル10Aは、第1実施形態に係るELパネル10とは、接着剤18Aに含まれるフィラー22Aのみが異なっており、その他の態様は同じである。すなわち、ELパネル10Aに用いられるフィラー22Aは、その断面が、湾曲部22dと平坦部22eとによって構成される非環状の断面であり、断面全体が湾曲部22aであるフィラー22と異なっている。つまり、フィラー22Aでは、その断面の一部が湾曲部22dとなっている。そのため、フィラー22Aは球殻の一部を有する形状となっている。
【0027】
以下、フィラー22Aによる系外成分の阻害メカニズムについて説明する。図6に示すように、系外成分が、位置X1の点PからX方向に進行していくと、フィラー22Aと接触する点Pに到達する。系外成分は点Pに達すると、フィラー22Aを迂回するために、その進行方向を、X方向から、フィラー22Aの湾曲部22dの内側曲面22fに沿って縁22gに向かう方向に変える。そして、系外成分は、縁22gの点Pまで達すると、その進行方向を再度X方向に変え、位置X2の点Pに向かって進行する。すなわち、系外成分は、フィラー22Aを迂回するとき、第1実施形態のフィラー22を迂回するときと同様に、X方向に関して後退する向き(若しくは、進行も後退もしない向き)に移動する。そして、X方向に関してPと同じ位置にある点Pを通過して、点Pから点Pに向かう。
【0028】
そのため、フィラー22Aが添加された接着剤18Aは、上記実施形態(接着剤18)と同様に、フィラー22Aがない場合(すなわち、系外成分が位置X1の点Pから位置X2の点Pまで直進する場合)に比べて、点Pを経由するP−P長さだけ、系外成分の経路が延長されており、従来技術に比べて系外成分の経路が大幅に延長されている。そのため、接着剤18Aは、樹脂20中における系外成分の進行をより遅延化することができ、ELパネル10Aの十分な長寿命化が実現される。
【0029】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るELパネル10Bについて、図7及び図8を参照しつつ説明する。
【0030】
図7に示すELパネル10Bは、第1実施形態に係るELパネル10とは、接着剤18Bに含まれるフィラー22Bのみが異なっており、その他の態様は同じである。すなわち、ELパネル10Bに用いられるフィラー22Bは、略椀状の卵殻で構成されており、その断面全体が湾曲部22hになっていると共に、断面が非環状となっている。なお、この接着剤18Bは、卵殻(球殻)をロールで粉砕した後、その粉砕した卵殻(球殻の一部)を樹脂中にミキサー及びロールを用いて分散させることにより得られる。
【0031】
以下、フィラー22Bによる系外成分の阻害メカニズムについて説明する。図8に示すように、系外成分が、位置X1の点PからX方向に進行していくと、フィラー22Bと接触する点Pに到達する。系外成分は点Pに達すると、フィラー22Bを迂回するために、その進行方向を、X方向から、フィラー22Bの内側曲面22iに沿って縁22jに向かう方向に変える。そして、系外成分は、縁22jの点Pまで達すると、その進行方向を再度X方向に変え、位置X2の点Pに向かって進行する。すなわち、系外成分は、フィラー22Bを迂回するとき、第1実施形態のフィラー22を迂回するときと同様に、X方向に関して後退する向き(若しくは、進行も後退もしない向き)に移動する。そして、X方向に関して点Pと同じ位置にある点Pを通過して、点Pから点Pに向かう。
【0032】
そのため、フィラー22Bが添加された接着剤18Bは、上記実施形態(接着剤18,18A)と同様に、フィラー22Bがない場合(すなわち、系外成分が位置X1の点Pから位置X2の点Pまで直進する場合)に比べて、点Pを経由するP−P長さだけ、系外成分の経路が延長されており、従来技術に比べて系外成分の経路が大幅に延長されている。そのため、接着剤18Bは、樹脂20中における系外成分の進行をより遅延化することができ、ELパネル10Bの十分な長寿命化が実現される。
【0033】
なお、上述した第1〜3実施形態は、以下のように変更することも可能である。すなわち、図9に示すELパネル10Cのように、上記接着剤(18,18A,18B)を、樹脂シート18Cで代用してもよい。この樹脂シート18Cは、シート状の樹脂20Cにフィラー(22,22A,22B)が添加されて構成されている。このような樹脂シート18Cも上述した接着剤(18,18A,18B)と同様の効果を奏することができ、それによりELパネル10Cの十分な長寿命化が実現される。
【0034】
また、上述した第1〜3実施形態ではいずれも、基板12と封止プレート16との間を樹脂で充たして接着層とした固体封止型のELパネル構造を示しているが、適宜、基板12と封止プレート16との間のEL素子14を含む領域を中空にした気体封止型(中空型)のELパネル構造にすることもできる。すなわち、図10に示すように、中空型のELパネル10Dの基板12と封止プレート16Dとのそれぞれの外縁同士を接着する接着剤として、上述した接着剤18(若しくは、接着剤18A,18B、樹脂シート18C)を用いてもよい。この場合も、接着剤18の樹脂20中における系外成分の進行が遅延化されるため、系外成分がELパネル10Dの内部空間に進入するまでの時間が延長されて、ELパネル10Dの十分な長寿命化が実現される。
【0035】
なお、湾曲部22a,22d,22hの全部が椀状になっている態様以外に、湾曲部22a,22d,22hの一部が椀状になっている態様であってもよい。
【実施例】
【0036】
以下、本発明の内容を実施例を用いて説明する。
【0037】
発明者らは、実施例として上述したフィラー22と同一のフィラーが添加された接着剤を用いたELパネル(試料#1)を準備した。また、比較例として、フィラーが添加されていない接着剤を用いたELパネル(試料#2)、従来の層状フィラーが添加された接着剤を用いたELパネル(試料#3)及び中空球体24と同一のフィラーが添加された接着剤を用いたELパネル(試料#4)を準備した。
【0038】
各試料#1〜4の接着剤の樹脂にはエポキシ樹脂を用いた。試料#1及び試料#4に利用した中空球体には、無機ガラス(ソーダ石灰硼珪酸ガラス)からなるグラスバブルズ(平均粒径50μm)を用いた。試料1はこのグラスバブルズをロールで粉砕した後、試料#4はこのグラスバブルズをそのまま、エポキシ樹脂中にミキサー及びロールを用いて分散させた。試料#3に利用した層状フィラーは、層状粘土化合物を小片に剥離させて作製し、その平均寸法は長さ5μm×幅3μm×厚さ2μmであった。また、各試料#1〜4においては、それぞれの基板上に同じ有機EL素子を形成し、それぞれの封止プレートには同じガラス板を用いた。
【0039】
そして、各試料#1〜4を同一条件により駆動させて、それぞれのELパネルの輝度の経時変化を測定した。輝度測定の方法は、作製した有機EL素子に駆動電圧5Vを印加し、封止プレート側から射出した光の正面方向の発光輝度を輝度計(大塚電子社製、MCPD−7000)で測定した。
【0040】
その結果、1000時間後における試料#1の輝度低下率は、他の試料#2〜4の輝度低下率よりも低かった。具体的には、各試料#1〜4の輝度低下率はそれぞれ11%、80%、21%、25%であった。この結果から、実施例である試料#1においては、比較例である試料#2〜4に比べて、ELパネルの寿命が長寿命であることが実証された。
【0041】
このように試料#1の寿命が、その他の試料#2〜4の寿命に比べて顕著に延びている理由は、試料#1の接着剤に添加されたフィラーが、効果的に系外成分の経路を延長して、樹脂中における系外成分の進行を大幅に遅らせたためであると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施形態に係るELパネルを示した概略断面図である。
【図2】(a)図1に示した接着剤に添加されるフィラーを示した斜視図であり、 (b)(a)に示したフィラーの作製に利用する中空球体を示した図である。
【図3】図1に示したELパネルの接着剤中における系外成分の進行経路を示した図である。
【図4】樹脂に中空球体を添加した際の系外成分の進行経路を示した図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るELパネルを示した概略断面図である。
【図6】図5に示したELパネルの接着剤中における系外成分の進行経路を示した図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係るELパネルを示した概略断面図である。
【図8】図7に示したELパネルの接着剤中における系外成分の進行経路を示した図である。
【図9】異なる態様のELパネルを示した図である。
【図10】異なる態様のELパネルを示した図である。
【符号の説明】
【0043】
10,10A〜10D…ELパネル、12…基板、14…EL素子、16,16D…封止プレート、18,18A,18B…接着剤、18C…樹脂シート、20,20C…樹脂、22,22A,22B…フィラー、22a,22d,22h…湾曲部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成されたEL素子と、
前記基板と対面すると共に、前記基板上の前記EL素子を覆う封止プレートと、
前記基板と前記封止プレートとの間に介在し、フィラーが添加されている樹脂とを備え、
前記フィラーの所定断面が、湾曲部を含み、且つ、非環状である、ELパネル。
【請求項2】
前記フィラーが球殻の一部を有する形状である、請求項1に記載のELパネル。
【請求項3】
前記フィラーの前記湾曲部の少なくとも一部が椀状である、請求項1に記載のELパネル。
【請求項4】
前記フィラーが椀状である、請求項1又は2に記載のELパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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