説明

EL表示装置

【課題】動作性能及び信頼性の高い半導体装置を提供する。
【解決手段】少なくともEL素子と、EL素子に電気的に接続する第1のトランジスタと、ソース配線に電気的に接続する第2のトランジスタと、保持容量と、を有する画素を複数有し、前記第1のトランジスタはスイッチング素子としての機能を有し、前記第2のトランジスタは、電流供給線から前記EL素子へ流す電流量を制御する機能を有するEL表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は半導体素子(半導体薄膜を用いた素子)を基板上に作り込んで形成された電
子装置およびその電子装置を表示部として用いた電気器具に関する。特に、本発明は電子
装置としてEL(エレクトロルミネッセンス)表示装置に実施することが有効な技術であ
る。
【背景技術】
【0002】
近年、基板上にTFTを形成する技術が大幅に進歩し、アクティブマトリクス型表示装
置への応用開発が進められている。特に、ポリシリコン膜を用いたTFTは、従来のアモ
ルファスシリコン膜を用いたTFTよりも電界効果移動度(モビリティともいう)が高い
ので、高速動作が可能である。そのため、従来、基板外の駆動回路で行っていた画素の制
御を、画素と同一の基板(絶縁体)上に形成した駆動回路で行うことが可能となっている

【0003】
このようなアクティブマトリクス型表示装置は、同一基板上に様々な回路や素子を作り
込むことで製造コストの低減、表示装置の小型化、歩留まりの上昇、スループットの低減
など、様々な利点が得られるとして注目されている。
【0004】
しかし、アクティブマトリクス型表示装置の基板上には様々な機能を有する回路や素子
部が形成される。従って、回路又は素子をTFTで形成するにあたって、それぞれの回路
又は素子が必要とするTFTの性能も異なってくる。例えば、タイミング信号を形成する
シフトレジスタなどには動作速度の早いTFTが求められ、電荷蓄積のためのスイッチン
グ素子にはオフ電流値(TFTがオフ動作にある時に流れるドレイン電流値)の十分に低
いTFTが求められる。
【0005】
このような場合、同一構造のTFTだけでは全ての回路又は素子が求める性能を確保す
ることが困難となり、アクティブマトリクス型表示装置の性能を向上させる上で大きな弊
害となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は同一の絶縁体上に画素部と駆動回路部とを有するアクティブマトリクス型の電
子装置において、TFTで形成される回路又は素子が求める性能に応じて適切な構造のT
FTを用い、動作性能及び信頼性の高い電子装置を提供することを課題とする。
【0007】
そして、電子装置(特にアクティブマトリクス型EL表示装置)の画質を向上させるこ
とにより、それを表示部(表示用ディスプレイ)として用いた電子機器(電気器具)の品
質を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために本発明では、EL表示装置の各画素に含まれる素子が求め
る機能を鑑みて、最適な構造のTFTを割り当てることを主旨としている。即ち、同一画
素内に異なる構造のTFTが存在することになる。
【0009】
具体的には、オフ電流値を十分に低くさせることを最重要課題とする素子(スイッチン
グ用素子など)は、動作速度よりもオフ電流値を低減させることに重点を置いたTFT構
造が望ましい。また、大電流を流すことを最重要課題とする素子(電流制御用素子など)
は、オフ電流値を低減させることよりも、大電流を流すこと及びそれと同時に顕著な問題
となるホットキャリア注入による劣化を抑制することに重点を置いたTFT構造が望まし
い。
【0010】
本発明は、同一の絶縁体上で上記のようなTFTの使い分けを行うことによって、EL
表示装置の動作性能の向上と信頼性の向上とを可能とする。なお、本発明の思想は、画素
部に限ったものではなく、画素部およびその画素部を駆動する駆動回路部を含めてTFT
構造の最適化を図る点にも特徴がある。
【発明の効果】
【0011】
本発明を用いることで、同一の絶縁体上に、素子の求める仕様に応じて適切な性能のT
FTを配置することが可能となり、EL表示装置の動作性能や信頼性を大幅に向上させる
ことができる。
【0012】
具体的には、動作速度を重視するTFT構造と低オフ電流値であることを重視するTF
T構造とを同一の絶縁体上において、使い分けることができる。それによりEL表示装置
の画素に配置するスイッチング用TFTはオフ電流値を十分に低くさせることができ、電
流制御用TFTはホットキャリア注入による劣化を防ぐと共にオフ電流値を十分に低くさ
せることができる。
【0013】
また、そのようなEL表示装置を表示ディスプレイとして用いることで、画像品質が良
く、耐久性のある(信頼性の高い)応用製品(電気器具)を生産することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】EL表示装置の画素部の断面構造を示す図。
【図2】EL表示装置の画素部の上面構造を示す図。
【図3】アクティブマトリクス型EL表示装置の作製工程を示す図。
【図4】アクティブマトリクス型EL表示装置の作製工程を示す図。
【図5】アクティブマトリクス型EL表示装置の作製工程を示す図。
【図6】EL表示装置の画素部の断面構造を示す図。
【図7】EL表示装置の画素部の素子構成を示す図。
【図8】EL表示装置のサンプリング回路の素子構成を示す図。
【図9】EL表示装置の画素部の断面構造を示す図。
【図10】EL表示装置の画素部の断面構造を示す図。
【図11】EL表示装置の上面構造及び断面構造を示す図。
【図12】EL表示装置の画素部の回路構成を示す図。
【図13】EL表示装置の画素部の回路構成を示す図。
【図14】EL表示装置の画素部の回路構成を示す図。
【図15】電気器具の具体例を示す図。
【図16】電気器具の具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について、図1、図2を用いて説明する。図1に示したのは本発明
であるEL表示装置の画素の断面図であり、図2(A)はその上面図、図2(B)はその
回路構成である。実際にはこのような画素がマトリクス状に複数配列されて画素部(画像
表示部)が形成される。
【0016】
なお、図1の断面図は図2(A)に示した上面図においてA−A’で切断した切断面を
示している。ここでは図1及び図2で共通の符号を用いているので、適宜両図面を参照す
ると良い。また、図2の上面図では二つの画素を図示しているが、どちらも同じ構造であ
る。
【0017】
図1において、11は基板、12は下地膜(絶縁体)である。基板11としてはガラス
基板、ガラスセラミックス基板、石英基板、シリコン基板、セラミックス基板、金属基板
若しくはプラスチック基板(プラスチックフィルムも含む)を用いることができる。
【0018】
また、下地膜12は特に可動イオンを含む基板や導電性を有する基板を用いる場合に有
効であるが、石英基板には設けなくても構わない。下地膜12としては、珪素(シリコン
)を含む絶縁膜を設ければ良い。なお、本明細書において「珪素を含む絶縁膜」とは、具
体的には酸化珪素膜、窒化珪素膜若しくは窒化酸化珪素膜(SiOxNyで示される)な
ど珪素、酸素若しくは窒素を所定の割合で含む絶縁膜を指す。
【0019】
ここでは画素内に二つのTFTを形成している。201はスイッチング素子として機能
するTFT(以下、スイッチング用TFTという)、202はEL素子へ流す電流量を制
御するTFT(以下、電流制御用TFTという)であり、どちらもnチャネル型TFTで
形成されている。
【0020】
スイッチング用TFT201は、ソース領域13、ドレイン領域14、LDD領域15
a〜15d、高濃度不純物領域16及びチャネル形成領域17a、17bを含む活性層、ゲー
ト絶縁膜18、ゲート電極19a、ゲート電極19b、第1層間絶縁膜20、ソース配線2
1並びにドレイン配線22を有して形成される。なお、図2に示すようにゲート電極19
a、19bは同一のゲート配線211を幹としたダブルゲート構造となっている。
【0021】
活性層は結晶構造を含む半導体膜で形成される。即ち、単結晶半導体膜でも良いし、多
結晶半導体膜や微結晶半導体膜でも良い。また、ゲート絶縁膜18は珪素を含む絶縁膜で
形成すれば良い。また、ゲート電極、ソース配線若しくはドレイン配線としてはあらゆる
導電膜を用いることができる。
【0022】
また、スイッチング用TFT201には保持容量(ストレーシ゛キャハ゜シタ)203
が接続されている(図2参照)。保持容量203は、ドレイン領域14と電気的に接続さ
れた容量形成用半導体領域23とゲート絶縁膜18(保持容量203を形成する領域では
容量形成用の誘電体として機能する)と容量形成用電極24とで形成される。なお、接続
配線25は、容量形成用電極24に固定電位(ここでは接地電位)を与えるための配線で
あり、ソース配線21やドレイン配線22と同時に形成され、電流供給線212に接続さ
れている。
【0023】
この時、スイッチング用TFT201においては、LDD領域15a〜15dは、ゲート
絶縁膜18を挟んでゲート電極19a、ゲート電極19bに重ならないように設ける。この
ような構造は一般的にLDD構造と呼ばれている。
【0024】
スイッチング用TFT201は、選択時にビデオ信号(画像情報を含む信号)
に対応する電荷を保持容量203へと蓄積する。そして非選択時は常にその電荷を保持し
なければならないので、オフ電流値による電荷漏れは極力防がなければならない。そうい
った意味で、スイッチング用TFT201はオフ電流値を低減することを最重要課題とし
て設計しなければならない。
【0025】
なお、チャネル形成領域とLDD領域との間にオフセット領域(チャネル形成領域と同
一組成の半導体層でなり、ゲート電圧が印加されない領域)を設けることはオフ電流値を
下げる上でさらに好ましい。また、二つ以上のゲート電極を有するマルチゲート構造の場
合、チャネル形成領域の間に設けられた高濃度不純物領域がオフ電流値の低減に効果的で
ある。なお、本実施例のようにマルチゲート構造とすることが望ましいが、シングルゲー
ト構造とすることもできる。
【0026】
次に、電流制御用TFT202は、ソース領域31、ドレイン領域32、LDD領域3
3及びチャネル形成領域34を含む活性層、ゲート絶縁膜18、ゲート電極35、第1層
間絶縁膜20、ソース配線36並びにドレイン配線37を有して形成される。なお、ゲー
ト電極35はシングルゲート構造となっているが、マルチゲート構造であっても良い。
【0027】
図2に示すように、ゲート電極35はスイッチング用TFT201のドレイン領域14
とドレイン配線(接続配線とも言える)22を介して電気的に接続されている。また、ソ
ース配線36は接続配線25と一体化しており、同様にして電流供給線212に接続され
る。
【0028】
この電流制御用TFT202の特徴は、ドレイン領域32とチャネル形成領域34との
間にLDD領域33が設けられ、且つ、LDD領域33がゲート絶縁膜18を挟んでゲー
ト電極35に重なっている領域と重なっていない領域とを有する点である。
【0029】
電流制御用TFT202は、EL素子204を発光させるための電流を供給すると同時
に、その供給量を制御して階調表示を可能とする。そのため、大電流を流しても劣化しな
いようにホットキャリア注入による劣化対策を講じておく必要がある。また、黒色を表示
する際は、電流制御用TFT202をオフ状態にしておくが、その際、オフ電流値が高い
ときれいな黒色表示ができなくなり、コントラストの低下を招く。従って、オフ電流値も
抑える必要がある。
【0030】
ホットキャリア注入による劣化に関しては、ゲート電極に対してLDD領域が重なった
構造が非常に効果的であることが知られている。しかしながら、LDD領域全体をゲート
電極に重ねてしまうとオフ電流値が増加してしまうため、本発明者らはゲート電極に重な
らないLDD領域を設けるという新規な構造によって、ホットキャリア対策とオフ電流値
対策とを同時に解決している。
【0031】
この時、ゲート電極に重なったLDD領域の長さは0.1〜3μm(好ましくは0.3
〜1.5μm)にすれば良い。長すぎては寄生容量を大きくしてしまい、短すぎてはホッ
トキャリアを防止する効果が弱くなってしまう。また、ゲート電極に重ならないLDD領
域の長さは1.0〜3.5μm(好ましくは1.5〜2.0μm)にすれば良い。長すぎ
ると十分な電流を流せなくなり、短すぎるとオフ電流値を低減する効果が弱くなる。
【0032】
また、上記構造においてゲート電極とLDD領域とが重なった領域では寄生容量が形成
されてしまうため、ソース領域31とチャネル形成領域34との間には設けない方が好ま
しい。電流制御用TFTはキャリア(ここでは電子)の流れる方向が常に同一であるので
、ドレイン領域側のみにLDD領域を設けておけば十分である。
【0033】
以上のように、画素内には機能に応じて異なる二種類の構造のTFTが配置されている
。なお、ここで示した例では、スイッチング用TFT201、電流制御用TFT202共
にnチャネル型TFTで形成されている。nチャネル型TFTはTFTサイズがpチャネ
ル型TFTよりも小さくできるので、EL素子の有効発光面積を大きくする上で非常に有
利である。
【0034】
pチャネル型TFTはホットキャリア注入が殆ど問題にならず、オフ電流値が低いとい
った利点があって、スイッチング用TFTとして用いる例や電流制御用TFTとして用い
る例が既に報告されている。しかしながら本願発明では、LDD領域の位置を異ならせた
構造とすることでnチャネル型TFTにおいてもホットキャリア注入の問題とオフ電流値
の問題を解決し、全ての画素内のTFT全てをnチャネル型TFTとしている点にも特徴
がある。
【0035】
また、41はパッシベーション膜であり、窒化珪素膜若しくは窒化酸化珪素膜を用いる
。42はカラーフィルター、43は蛍光体(蛍光色素層ともいう)である。どちらも同色
の組み合わせで、赤(R)、緑(G)若しくは青(B)の色素を含む。カラーフィルター
42は色純度を向上させるために設け、蛍光体42は色変換を行うために設けられる。
【0036】
なお、EL表示装置には大きく分けて四つのカラー化表示方式があり、RGBに対応し
た三種類のEL素子を形成する方式、白色発光のEL素子とカラーフィルターを組み合わ
せた方式、青色発光のEL素子と蛍光体(蛍光性の色変換層:CCM)とを組み合わせた
方式、陰極(対向電極)に透明電極を使用してRGBに対応したEL素子を重ねる方式、
がある。
【0037】
図1の構造は青色発光のEL素子と蛍光体とを組み合わせた方式を用いた場合の例であ
る。ここではEL素子204として青色発光の発光層を用いて紫外光を含む青色領域の波
長をもつ光を形成し、その光によって蛍光体43を励起して赤、緑若しくは青の光を発生
させる。そしてカラーフィルター42で色純度を上げて出力する。
【0038】
但し、本願発明は発光方式に関わらず実施することが可能であり、上記四つの全ての方
式を本願発明に用いることができる。
【0039】
また、カラーフィルター42、蛍光体42を形成した後で、第2層間絶縁膜43で平坦
化を行う。第2層間絶縁膜44としては、有機樹脂膜が好ましく、ポリイミド、アクリル
樹脂もしくはBCB(ベンゾシクロブテン)を用いると良い。
勿論、十分な平坦化が可能であれば、無機膜を用いても良い。
【0040】
45は透明導電膜でなる画素電極(EL素子の陽極)であり、第2層間絶縁膜44及び
パッシベーション膜41にコンタクトホールを開けた後、電流制御用TFT202のドレ
イン配線37に接続されるように形成される。
【0041】
画素電極45の上には、順次EL層(有機材料が好ましい)46、陰極47、保護電極
48が形成される。EL層46は単層又は積層構造で用いることができるが、積層構造で
用いる場合が多い。EL層としては、発光層以外に電子輸送層や正孔輸送層を組み合わせ
て様々な積層構造が提案されているが、本発明はいずれの構造であっても良い。
【0042】
また、陰極47としては、仕事関数の小さいマグネシウム(Mg)、リチウム(Li)
若しくはカルシウム(Ca)を含む材料を用いる。好ましくはMgAg電極を用いれば良
い。また、保護電極48は陰極47を外部の湿気から保護膜するために設けられる電極で
あり、アルミニウム(Al)若しくは銀(Ag)を含む材料が用いられる。
【0043】
なお、EL層46及び陰極47は大気解放せずに連続形成することが望ましい。即ち、
EL層や陰極がどのような積層構造であっても全て連続形成することが望ましい。これは
EL層として有機材料を用いる場合、水分に非常に弱いため、大気解放した時の吸湿を避
けるためである。さらに、EL層46及び陰極47だけでなく、その上の保護電極48ま
で連続形成するとさらに良い。
【0044】
本発明のEL表示装置は以上のような構造の画素からなる画素部を有し、画素内におい
て機能に応じて構造の異なるTFTが配置されている。これによりオフ電流値の十分に低
いスイッチング用TFTと、ホットキャリア注入に強い電流制御用TFTとが同じ画素内
に形成でき、高い信頼性を有し、良好な画像表示が可能なEL表示装置が形成できる。
【0045】
また、本発明はEL表示装置の画素部に限らず、駆動回路部と画素部とを同一基板上に
形成したアクティブマトリクス型EL表示装置の駆動回路部についても同様のことが言え
る。即ち、駆動回路部と画素部すべてにおいて、回路若しくは素子が求める機能に応じて
異なる構造のTFTを配置する点は本発明の主旨の一つである。
【0046】
また、上記駆動回路部若しくは画素部以外に、その他の信号処理回路をも形成する場合
にも本発明は実施しうる。その他の信号処理回路としては、信号分割回路、D/Aコンバ
ータ、γ補正回路、昇圧回路もしくは差動増幅回路が挙げられる。
【0047】
以上の構成でなる本発明について、以下に示す実施例でもってさらに詳細な説明を行う
こととする。
【実施例1】
【0048】
本発明の実施例について図3〜図5を用いて説明する。ここでは、画素部とその周辺に
設けられる駆動回路部のTFTを同時に作製する方法について説明する。但し、説明を簡
単にするために、駆動回路に関しては基本回路であるCMOS回路を図示することとする

【0049】
まず、図3(A)に示すように、ガラス基板300上に下地膜301を300nmの厚
さに形成する。本実施例では下地膜301として窒化酸化珪素膜を積層して用いる。この
時、ガラス基板300に接する方の窒素濃度を10〜25wt%としておくと良い。
【0050】
次に下地膜301の上に50nmの厚さの非晶質珪素膜(図示せず)を公知の成膜法で
形成する。なお、非晶質珪素膜に限定する必要はなく、非晶質構造を含む半導体膜(微結
晶半導体膜を含む)であれば良い。さらに非晶質シリコンゲルマニウム膜などの非晶質構
造を含む化合物半導体膜でも良い。また、膜厚は20〜100nmの厚さであれば良い。
【0051】
そして、公知の技術により非晶質珪素膜を結晶化し、結晶質珪素膜(多結晶シリコン膜
若しくはポリシリコン膜ともいう)302を形成する。公知の結晶化方法としては、電熱
炉を使用した熱結晶化方法、レーザー光を用いたレーザーアニール結晶化法、赤外光を用
いたランプアニール結晶化法がある。本実施例では、XeClガスを用いたエキシマレー
ザー光を用いて結晶化する。
【0052】
なお、本実施例では線状に加工したパルス発振型のエキシマレーザー光を用いるが、矩
形であっても良いし、連続発振型のアルゴンレーザー光や連続発振型のエキシマレーザー
光を用いることもできる。
【0053】
次に、図3(B)に示すように、結晶質珪素膜302上に酸化珪素膜でなる保護膜30
3を130nmの厚さに形成する。この厚さは100〜200nm(好ましくは130〜
170nm)の範囲で選べば良い。また、珪素を含む絶縁膜であれば他の膜でも良い。こ
の保護膜303は不純物を添加する際に結晶質珪素膜が直接プラズマに曝されないように
するためと、微妙な濃度制御を可能にするために設ける。
【0054】
そして、その上にレジストマスク304a〜304cを形成し、保護膜303を介してn
型を付与する不純物元素(以下、n型不純物元素という)を添加する。
なお、n型不純物元素としては、代表的には15族に属する元素、典型的にはリン又は砒
素を用いることができる。なお、本実施例ではフォスフィン(PH3
を質量分離しないでプラズマ励起したプラズマドーピング法を用い、リンを1×1018at
oms/cm3の濃度で添加する。勿論、質量分離を行うイオンインプランテーション法を用い
ても良い。
【0055】
この工程により形成されるn型不純物領域305〜307には、n型不純物元素が2×
1016〜5×1019atoms/cm3(代表的には5×1017〜5×1018atoms/cm3)の濃度で
含まれるようにドーズ量を調節する。なお、n型不純物領域306は図1に示した容量形
成用半導体領域23に相当する。
【0056】
次に、図3(C)に示すように、保護膜303を除去し、添加した15族に属する元素
の活性化を行う。活性化手段は公知の技術を用いれば良いが、本実施例ではエキシマレー
ザー光の照射により活性化する。勿論、パルス発振型でも連続発振型でも良いし、エキシ
マレーザー光に限定する必要はない。但し、添加された不純物元素の活性化が目的である
ので、結晶質珪素膜が溶融しない程度のエネルギーで照射することが好ましい。なお、保
護膜303をつけたままレーザー光を照射しても良い。
【0057】
なお、このレーザー光による不純物元素の活性化に際して、ファーネスアニールまたは
ランプアニールによる活性化を併用しても構わない。ファーネスアニールによる活性化を
行う場合は、基板の耐熱性を考慮して450〜550℃程度の熱処理を行えば良い。また
、ファーネスアニールまたはランプアニールのみで活性化を行っても良い。
【0058】
この工程によりn型不純物領域305〜307の端部、即ち、n型不純物領域305〜
307の周囲に存在するn型不純物元素を添加していない領域との境界部(接合部)が明
確になる。このことは、後にTFTが完成した時点において、LDD領域とチャネル形成
領域とが非常に良好な接合部を形成しうることを意味する。
【0059】
次に、図3(D)に示すように、結晶質珪素膜の不要な部分を除去して、島状の半導体
膜(以下、活性層という)308〜311を形成する。
【0060】
次に、図3(E)に示すように、活性層308〜311を覆ってゲート絶縁膜312を
形成する。ゲート絶縁膜312としては、10〜200nm、好ましくは50〜150n
mの厚さの珪素を含む絶縁膜を用いれば良い。これは単層構造でも積層構造でも良い。本
実施例では110nm厚の窒化酸化珪素膜を用いる。
【0061】
次に、200〜400nm厚の導電膜を形成し、パターニングしてゲート電極313〜
317と容量形成用電極318を形成する。なお、本明細書ではゲート電極とゲート配線
とを区別して説明する場合があるが、電極として機能する部分をゲート電極と呼んでいる
だけであり、ゲート配線にゲート電極は含まれていると考えて良い。このことは容量形成
用電極も同様であり、電極として機能していない部分は容量形成用配線と呼べば良い。
【0062】
また、ゲート電極は単層の導電膜で形成しても良いが、必要に応じて二層、三層といっ
た積層膜とすることが好ましい。ゲート電極の材料としては公知のあらゆる導電膜を用い
ることができる。
【0063】
具体的には、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン
(W)、クロム(Cr)もしくは導電性を有するシリコン(Si)を含む薄膜、またはそ
れらを窒化した薄膜(代表的には窒化タンタル膜、窒化タングステン膜もしくは窒化チタ
ン膜)、または上記元素を組み合わせた合金膜(代表的にはMo−W合金もしくはMo−
Ta合金)、または上記元素を含むシリサイド膜(代表的にはタングステンシリサイド膜
もしくはチタンシリサイド膜)を用いることができる。勿論、これらを単層で用いても積
層して用いても良い。
【0064】
本実施例では、50nm厚の窒化タンタル(TaN)膜と、350nm厚のTa膜とで
なる積層膜を用いる。これはスパッタ法で形成すれば良い。また、スパッタガスとしてX
e、Ne等の不活性ガスを添加すると応力による膜はがれを防止することができる。
【0065】
またこの時、ゲート電極314、317はそれぞれn型不純物領域305、307の一
部とゲート絶縁膜312を挟んで重なるように形成する。この重なった部分が後にゲート
電極に重なったLDD領域となる。なお、ゲート電極315、316は断面では二つに見
えるが、実際は連続的に繋がった一つのパターンから形成されている。
【0066】
また、n型不純物領域306の上にはゲート絶縁膜312を挟んで容量形成用電極31
8が形成される。この時、ゲート絶縁膜312として設けられた絶縁膜は、ここで保持容
量の誘電体として用いられ、n型不純物領域(容量形成用半導体領域)306、ゲート絶
縁膜312及び容量形成用電極318からなる保持容量が形成される。
【0067】
次に、図4(A)に示すように、ゲート電極313〜317及び容量形成用電極318
をマスクとして自己整合的にn型不純物元素(本実施例ではリン)を添加する。こうして
形成される不純物領域319〜325にはn型不純物領域305〜307の1/2〜1/
10(代表的には1/3〜1/4)の濃度でリンが添加されるように調節する。具体的に
は、1×1016〜5×1018atoms/cm3(典型的には3×1017〜3×1018atoms/cm3
の濃度が好ましい。
【0068】
次に、図4(B)に示すように、ゲート電極等を覆う形でレジストマスク326a〜3
26cを形成し、n型不純物元素(本実施例ではリン)を添加して高濃度にリンを含む不
純物領域327〜334を形成する。ここでもフォスフィン(PH3)を用いたイオンド
ープ法で行い、この領域のリンの濃度は1×1020〜1×1021atoms/cm3(代表的には
2×1020〜5×1021atoms/cm3)となるように調節する。
【0069】
この工程によってnチャネル型TFTのソース領域若しくはドレイン領域が形成される
が、スイッチング用TFTは、図4(A)の工程で形成したn型不純物領域322〜32
4の一部を残す。この残された領域が、図1におけるスイッチング用TFTのLDD領域
15a〜15dに対応する。
【0070】
次に、図4(C)に示すように、レジストマスク326a〜326cを除去し、新たにレ
ジストマスク325を形成する。そして、p型不純物元素(本実施例ではボロン)を添加
し、高濃度にボロンを含む不純物領域336、337を形成する。ここではジボラン(B
26)を用いたイオンドープ法により3×1020〜3×1021atoms/cm3(代表的には5
×1020〜1×1021atoms/cm3ノ)濃度となるようにボロンを添加する。
【0071】
なお、不純物領域319、320には既に1×1020〜1×1021atoms/cm3の濃度で
リンが添加されているが、ここで添加されるボロンはその少なくとも3倍以上の濃度で添
加される。そのため、予め形成されていたn型の不純物領域は完全にP型に反転し、P型
の不純物領域として機能する。
【0072】
次に、図4(D)に示すように、レジストマスク335を除去した後、第1層間絶縁膜
338を形成する。第1層間絶縁膜338としては、珪素を含む絶縁膜を単層で用いるか
、珪素を含む絶縁膜を組み合わせた積層膜を用いれば良い。また、膜厚は400nm〜1
.5μmとすれば良い。本実施例では、200nm厚の窒化酸化珪素膜の上に800nm
厚の酸化珪素膜を積層した構造とする。
【0073】
その後、それぞれの濃度で添加されたn型またはp型不純物元素を活性化する。活性化
手段としては、ファーネスアニール法、レーザーアニール法、またはランプアニール法で
行うことができる。本実施例では電熱炉において窒素雰囲気中、550℃、4時間の熱処
理を行う。
【0074】
さらに、3〜100%の水素を含む雰囲気中で、300〜450℃で1〜12時間の熱
処理を行い水素化処理を行う。この工程は熱的に励起された水素により半導体膜の不対結
合手を水素終端する工程である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマに
より励起された水素を用いる)を行っても良い。
【0075】
なお、水素化処理は第1層間絶縁膜338を形成する間に入れても良い。即ち、200
nm厚の窒化酸化珪素膜を形成した後で上記のように水素化処理を行い、その後で残り8
00nm厚の酸化珪素膜を形成しても構わない。
【0076】
次に、図5(A)に示すように、第1層間絶縁膜338に対してコンタクトホールを形
成し、ソース配線339〜342、ドレイン配線343〜345および接続配線346を
形成する。なお、本実施例ではこれらの配線を、Ti膜を100nm、Tiを含むアルミ
ニウム膜を300nm、Ti膜150nmをスパッタ法で連続形成した3層構造の積層膜
とする。勿論、他の導電膜を用いても良い。
【0077】
次に、50〜500nm(代表的には200〜300nm)の厚さでパッシベーション
膜347を形成する。本実施例ではパッシベーション膜347として300nm厚の窒化
酸化珪素膜を用いる。これは窒化珪素膜で代用しても良い。
【0078】
この時、窒化酸化珪素膜の形成に先立ってH2、NH3等水素を含むガスを用いてプラズ
マ処理を行うことは有効である。この前処理により励起された水素が第1層間絶縁膜33
8に供給され、熱処理を行うことで、パッシベーション膜347の膜質が改善される。そ
れと同時に、第1層間絶縁膜338に添加された水素が下層側に拡散するため、効果的に
活性層を水素化することができる。
【0079】
次に、図5(B)に示すように、カラーフィルター348と蛍光体349を形成する。
これらの材料は公知のものを用いれば良い。また、これらは別々にパターニングして形成
しても良いし、連続的に形成して一括でパターニングして形成しても良い。それぞれの膜
厚は0.5〜5μm(典型的には1〜2μm)の範囲で選択する。特に、蛍光体349は用
いる材料によって最適な膜厚が異なる。即ち、薄すぎると色変換効率が悪くなり、厚すぎ
ると段差が大きくなる上に光の透過光量が落ちてしまう。従って、両特性の兼ね合いで最
適な膜厚を決定しなければならない。
【0080】
なお、本実施例ではEL層から発生した光を色変換するカラー化方式を例にとって説明
しているが、RGBに対応するEL層を個別に作製する方式を採用する場合は、カラーフ
ィルターや蛍光体を省略することもできる。
【0081】
次に、有機樹脂からなる第2層間絶縁膜350を形成する。有機樹脂としてはポリイミ
ド、ポリアミド、アクリル樹脂もしくはBCB(ベンゾシクロブテン)
を使用することができる。特に、第2層間絶縁膜は平坦化の意味合いが強いので、平坦性
に優れたアクリル樹脂が好ましい。本実施例ではカラーフィルター348及び蛍光体34
9の段差を平坦化しうる膜厚でアクリル樹脂を形成する。
【0082】
次に、第2層間絶縁膜350、パッシベーション膜347にドレイン配線345に達す
るコンタクトホールを形成し、画素電極351を形成する。本実施例では酸化インジウム
と酸化スズとの化合物からなる導電膜(ITO膜)を110nmの厚さに形成し、パター
ニングを行って画素電極とする。この画素電極がEL素子の陽極となる。
【0083】
次に、図5(C)に示すように、EL層352、陰極(MgAg電極)353、保護電
極354を大気解放しないで連続形成する。但し、EL層352としては公知の材料を用
いることができる。公知の材料としては、有機材料が知られており、駆動電圧を考慮する
と有機材料を用いるのが好ましい。本実施例では正孔注入層、正孔輸送層、発光層及び電
子注入層でなる4層構造をEL層とする。また、本実施例ではEL素子の陰極としてMg
Ag電極を用いるが、公知の他の材料であっても良い。
【0084】
また、保護電極354はMgAg電極353の劣化を防ぐために設けられ、アルミニウ
ム膜(アルミニウムを含む導電膜)が好適である。勿論、他の材料でも良い。また、EL
層352、MgAg電極353は水分に弱いので、保護電極354までを大気解放しない
で連続的に形成し、外気からEL層を保護することが望ましい。
【0085】
なお、EL層352の膜厚は800〜200nm(典型的には100〜120nm)、
MgAg電極の厚さは180〜300nm(典型的には200〜250nm)とすれば良
い。
【0086】
こうして図5(C)に示すような構造のアクティブマトリクス型EL表示装置が完成す
る。なお、実際には、図5(C)まで完成したら、さらに外気に曝されないように気密性
の高い保護フィルム(ラミネートフィルム等)でパッケージすることが好ましい。その際
、保護フィルム内を不活性雰囲気にすることでEL層の信頼性が向上する。
【0087】
また、パッケージング処理により気密性を高めたら、基板上に形成された素子又は回路
から引き回された端子と外部信号端子とを接続するためのコネクター(フレキシブルプリ
ントサーキット:FPC)を取り付けて製品として完成する。
このような状態のEL表示装置を本明細書中ではELモジュールという。
【0088】
ところで、本実施例のアクティブマトリクス型EL表示装置は、駆動回路部及び画素部
に最適な構造のTFTを配置することにより、非常に高い信頼性を示し、動作特性も向上
しうる。
【0089】
まず、ホットキャリア注入を低減させる構造を有するTFTを、駆動回路を形成するC
MOS回路のnチャネル型TFT205として用いる。なお、ここでいう駆動回路として
は、シフトレジスタ、バッファ、レベルシフタ、サンプリング回路(サンプル及びホール
ド回路)などが含まれる。デジタル駆動を行う場合には、D/Aコンバータもしくはラッ
チも含まれうる。
【0090】
本実施例の場合、図5(C)に示すように、nチャネル型205の活性層は、ソース領
域355、ドレイン領域356、LDD領域357及びチャネル形成領域358を含み、
LDD領域357はゲート絶縁膜312を挟んでゲート電極314に重なっている。
【0091】
ドレイン領域側のみにLDD領域を形成しているのは、動作速度を落とさないための配
慮である。また、このnチャネル型TFT205はオフ電流値をあまり気にする必要はな
く、それよりも動作速度を重視した方が良い。従って、LDD領域357は完全にゲート
電極に重ねてしまい、極力抵抗成分を少なくすることが望ましい。即ち、いわゆるオフセ
ットはなくした方がよい。
【0092】
また、CMOS回路のpチャネル型TFT206は、ホットキャリア注入による劣化が
殆ど気にならないので、特にLDD領域を設けなくても良い。従って、活性層はソース領
域359、ドレイン領域360およびチャネル形成領域361を含む。勿論、nチャネル
型TFT205と同様にLDD領域を設け、ホットキャリア対策を講じることも可能であ
る。
【0093】
なお、駆動回路の中でもサンプリング回路は他の回路と比べて少し特殊であり、チャネ
ル形成領域を双方向に大電流が流れる。即ち、ソース領域とドレイン領域の役割が入れ替
わるのである。さらに、オフ電流値を極力低く抑える必要があり、そういった意味でスイ
ッチング用TFTと電流制御用TFTの中間程度の機能を有するTFTを配置することが
望ましい。
【0094】
従って、サンプリング回路を形成するnチャネル型TFTは、図8に示すような構造の
TFTを配置することが望ましい。図8に示すように、LDD領域71a、71bの一部が
ゲート絶縁膜72を挟んでゲート電極73に重なる。この効果は電流制御用TFT202
の説明で述べた通りであり、サンプリング回路の場合はチャネル形成領域74を挟む形で
設ける点が異なる。
【0095】
また、図1に示したような構造の画素を形成して画素部を形成している。画素内に形成
されるスイッチング用TFT及び電流制御用TFTの構造については、図1で既に説明し
たのでここでの説明は省略する。
【実施例2】
【0096】
本実施例では、アクティブマトリクス型EL表示装置の画素部を図1とは異なる構造と
した場合について説明する。
【0097】
まずスイッチング用TFTの構造を図1と異ならせた例を図6(A)に示す。
但し、図6(A)に示した電流制御用TFT202、保持容量203及びEL素子204
は実施例1と全く同じ構造であるので説明は省略する。また、スイッチング用TFTにつ
いても必要箇所のみに新たな符号をつけ、他の部分は図1の説明をそのまま用いることと
する。
【0098】
図1に示したスイッチング用TFT201と図6(A)に示したスイッチング用TFT
207とは、LDD領域の形成位置が異なる。図1のLDD領域15a〜15dはゲート電
極19a、19bに重ならないように形成されているが、本実施例では一部がゲート電極に
重なるように形成する。
【0099】
即ち、図6(A)に示すように、スイッチング用TFT207のLDD領域50a〜5
0dの一部は、ゲート絶縁膜を挟んでゲート電極51a、51bに重なっている。換言すれ
ば、LDD領域50a〜50dはゲート絶縁膜を挟んでゲート電極51a、51bに重なる領
域を有する。
【0100】
これによりオフ電流値を低減できるだけで少なくし、ホットキャリア注入による劣化も
防ぐことができる。但し、ゲート電極とLDD領域との間に寄生容量を形成してしまうの
で、図1の構造に比べて若干動作速度が落ちる場合がある。しかしながら、その点を踏ま
えて設計すれば信頼性の高いスイッチング用TFTを形成することが可能である。
【0101】
次に、電流制御用TFTの構造を図1と異ならせた例を図6(B)に示す。但し、図6
(B)に示したスイッチング用TFT201、保持容量203及びEL素子204は実施
例1と全く同じ構造であるので説明は省略する。また、電流制御用TFTについても必要
箇所のみに新たな符号をつけ、他の部分は図1の説明をそのまま用いることとする。
【0102】
図1に示した電流制御用TFT202と図6(B)に示した電流制御用TFT208と
は、LDD領域の形成位置が異なる。図1のLDD領域33はゲート電極35に一部が重
なるように形成されているが、本実施例では完全にゲート電極に重なるように形成する。
【0103】
即ち、図6(B)に示すように、電流制御用TFT208のLDD領域52は、ゲート
絶縁膜を介して完全にゲート電極53に重なる。換言すれば、LDD領域52はゲート電
極53に重ならない領域を有していない。
【0104】
ビデオ(画像)信号の最低電圧が電流制御用TFTのゲート電圧に印加されたとき、十
分にオフ電流値が低くなければEL素子が発光してしまい、コントラストの低下を招く。
図1の構造はそのときのオフ電流値を下げるために、ゲート電極に重ならないLDD領域
を設けている。
【0105】
しかしながら、ゲート電極に重ならないLDD領域は抵抗成分として働くため、動作速
度やオン電流値をある程度落とすことになってしまう。従って、本実施例のように設けな
い構造としてしまえば、そういった抵抗成分を排除できるので、より大きな電流を流しや
すくなる。但し、前述のように、ビデオ(画像)信号の最低電圧が電流制御用TFTのゲ
ート電圧に印加されたとき、十分にオフ電流値が低いTFTを用いることが前提である。
【0106】
なお、図6(A)のスイッチング用TFT207と図6(B)の電流制御用TFTを組
み合わせて用いることも可能である。また、作製工程は実施例1を参考にすれば良い。
【実施例3】
【0107】
本実施例では、画素の構成を図2(B)に示した構成と異なるものとした例を図7に示
す。
【0108】
本実施例では、図2(B)に示した二つの画素を、接地電位を与えるための電流供給線
212について対称となるように配置する。即ち、図7に示すように、電流供給線213
を隣接する二つの画素間で共通化することで、必要とする配線の本数を低減する。なお、
画素内に配置されるTFT構造等はそのままで良い。
【0109】
このような構成とすれば、より高精細な画素部を作製することが可能となり、画像の品
質が向上する。なお、本実施例の構成は実施例1の作製工程に従って容易に実現可能であ
り、TFT構造に関しては実施例2と組み合わせても良い。
【実施例4】
【0110】
本実施例では、図1と異なる構造の画素部を形成する場合について図9を用いて説明す
る。なお、第2層間絶縁膜44を形成する工程までは実施例1に従えば良い。また、第2
層間絶縁膜44で覆われたスイッチング用TFT201、電流制御用TFT202及び保
持容量203は図1と同じ構造であるので、説明は省略する。
【0111】
本実施例の場合、第2層間絶縁膜44に対してコンタクトホールを形成したら、画素電
極60、陰極61及びEL層62を形成する。これらは、それぞれの材料を大気解放しな
いで連続形成し、一括でエッチングしてパターン形成を行えば良い。
【0112】
本実施例では画素電極60として、150nm厚のアルミニウム合金膜(1wt%のチタ
ンを含有したアルミニウム膜)を設ける。なお、画素電極の材料としては金属材料であれ
ば如何なる材料でも良いが、反射率の高い材料であることが好ましい。
【0113】
また、陰極61として230nm厚のMgAg電極を用い、EL層62の膜厚は120
nmとする。なお、EL層62の形成に関しては、実施例1で説明した材料を用いれば良
い。
【0114】
次に、珪素を含む絶縁膜を200〜500nm(典型的には250〜300nm)の厚
さに形成し、パターニングによって開口部を有する保護膜63を形成する。そして、その
上に透明導電膜(本実施例ではITO膜)からなる陽極64を110nmの厚さに形成す
る。透明導電膜としては、他にも酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物、酸化スズ、酸化
インジウムもしくは酸化亜鉛を用いることができる。また、それらにガリウムを添加した
ものを用いても良い。
【0115】
さらに、陽極64上に蛍光体65及びカラーフィルター66を形成して、図9に示すよ
うな画素部が完成する。
【0116】
本実施例の構造とした場合、生成された赤、緑若しくは青の光はTFTが形成された基
板とは反対側に出射される。そのため、画素内のほぼ全域、即ちTFTが形成された領域
をも発光領域として用いることができる。その結果、画素の有効発光面積が大幅に向上し
、画像の明るさやコントラストが向上する。
【0117】
なお、本実施例の構成は、実施例2、3のいずれの構成とも自由に組み合わせることが
可能である。
【実施例5】
【0118】
実施例1では、結晶質珪素膜302の形成手段としてレーザー結晶化を用いているが、
本実施例では異なる結晶化手段を用いる場合について説明する。
【0119】
本実施例では、非晶質珪素膜を形成した後、特開平7−130652号公報に記載され
た技術を用いて結晶化を行う。同公報には、結晶化を促進(助長)する触媒元素としてニ
ッケルを用い、結晶性の高い結晶質珪素膜を得る技術が開示されている。
【0120】
また、結晶化工程が終了した後で、結晶化に用いた触媒元素を除去する工程を行っても
良い。その場合、特開平10−270363号若しくは特開平8−330602号に記載
された技術により触媒元素をゲッタリングすれば良い。
【0121】
また、本出願人による特願平11−076967号の明細書に記載された技術を用いて
TFTを形成しても良い。特願平11−076967号の明細書では、図1とは異なる保
持容量が説明されているが、TFTを形成する部分までを参照すれば良い。
【0122】
以上のように、本発明は実施例1及び図1で説明したように、素子の求める機能に応じ
て適切な構造のTFTを配置することを主旨としており、その作製方法に限定されるもの
ではない。即ち、実施例1に示した作製工程は一実施例であって、図1若しくは実施例1
の図5(C)の構造が実現できるのであれば、他の作製工程を用いても問題ではない。
【0123】
なお、図1若しくは図5(C)の構造に実施例2〜4のいずれかの構成を組み合わせた
場合についても、そのような構造を作製するにあたって本実施例に示したような作製工程
を組み合わせることは可能である。
【実施例6】
【0124】
実施例1において、図4(A)の工程と図4(B)の工程との間に、ゲート絶縁膜31
2をエッチングする工程を加えても良い。即ち、図4(A)に示すようにn型不純物元素
を添加した後、ゲート電極313〜317および容量形成用電極318をマスクとして自
己整合的にゲート絶縁膜312をエッチングする。このエッチングは活性層が露呈するま
で行う。
【0125】
本実施例では、実施例1用いたゲート絶縁膜が窒化酸化珪素膜であるため、エッチング
ガスとしてCHF3ガスを用いたドライエッチングを行う。勿論、他のエッチング条件は
これに限定されるものではない。
【0126】
そして、露呈した活性層に対して図4(B)に示すようにn型不純物元素の添加工程を
行う。この工程ではゲート絶縁膜を通さずに直接リンを活性層へ添加することになるため
、非常に短時間で処理を行うことができる。また、添加時の加速電圧も低くて済むので、
活性層へのダメージも低減しうる。
【0127】
後は、実施例1の工程に従ってEL表示装置を完成させれば良い。なお、本実施例の構
成は実施例1〜5のいずれの構成とも自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例7】
【0128】
本実施例では、実施例1と異なる構造の画素を形成したアクティブマトリクス型EL表
示装置について説明する。
【0129】
図10(A)は本実施例のEL表示装置であるが、TFT構造は実施例1(図5(C)
参照)と同様である。本実施例では画素電極1001、陰極1002、EL層1003お
よび陽極1004を形成し、陰極1002、EL層1003および陽極1004でEL素
子1000を形成する。このとき、画素電極1001は公知の如何なる導電膜を用いても
良い。また、本実施例では陰極1002としてMgAg膜を用い、陽極1004として酸
化亜鉛に酸化ガリウムを添加した透明導電膜を用いる。なお、EL層1003は公知の材
料を組み合わせて形成すれば良い。
【0130】
本実施例では、画素電極1001のコンタクト部(画素電極1001と電流制御用TF
T202とが接続された部分)に形成された凹部(窪み)が絶縁物1005で埋め込まれ
、さらに画素電極1001の端部が絶縁物1006で覆われている点に特徴がある。
【0131】
絶縁物1005は上記凹部を埋め込むことで段差によるEL層の被覆不良を防止してい
る。第2層間絶縁膜350に形成されたコンタクトホールが深い(段差が高い)とEL層
の被覆不良が生じて陰極1002と陽極1004が短絡する恐れがある。そのため、本実
施例では凹部を絶縁物1005で埋め込むことによりEL層の被覆不良を防ぐことを特徴
としている。
【0132】
また、同様に画素電極1001の端部は画素電極1001の膜厚分の段差が生じている
ため、絶縁物1005と同様の理由により絶縁物1006を形成する。
これにより画素電極1001の端部において陰極1002と陽極1004の短絡を確実に
防ぐことができる。また、画素電極1001の端部は電界集中を起こしてEL層1003
の劣化が進行しやすいため、絶縁物1006を設けることでEL層1003に電界集中し
ないようにする目的もある。
【0133】
また、図10(B)は電流制御用TFTの活性層にLDD領域を形成しない構造とした
場合の例である。EL素子にかかる電圧が10V以下、好ましくは5V以下となった場合
、ホットキャリアによる劣化は殆ど問題とならないため、このような構造とすることが可
能である。即ち、図10(B)の構造では、電流制御用TFTの活性層がソース領域10
10、ドレイン領域1011およびチャネル形成領域1012からなる。
【0134】
なお、本実施例の構成は実施例1〜6のいずれの構成とも自由に組み合わせて実施する
ことが可能である。
【実施例8】
【0135】
本発明のEL表示装置を駆動は、画像信号としてアナログ信号を用いたアナログ駆動を
行うこともできるし、デジタル信号を用いたデジタル駆動を行うこともできる。
【0136】
アナログ駆動を行う場合、スイッチング用TFTのソース配線にはアナログ信号が送ら
れ、その階調情報を含んだアナログ信号が電流制御用TFTのゲート電圧となる。そして
、電流制御用TFTでEL素子に流れる電流を制御し、EL素子の発光強度を制御して階
調表示を行う。
【0137】
一方、デジタル駆動を行う場合、アナログ的な階調表示とは異なり、時分割駆動と呼ば
れる階調表示を行う。即ち、発光時間の長さを調節することで、視覚的に色階調が変化し
ているように見せる。
【0138】
EL素子は液晶素子に比べて非常に応答速度が速いため、高速で駆動することが可能で
ある。そのため、1フレームを複数のサブフレームに分割して階調表示を行う時分割駆動
に適した素子であると言える。
【0139】
このように、本発明は素子構造に関する技術であるので、駆動方法は如何なるものであ
っても構わない。
【実施例9】
【0140】
実施例1ではEL層として有機EL材料を用いることが好ましいとしたが、本発明は無
機EL材料を用いても実施できる。但し、現在の無機EL材料は非常に駆動電圧が高いた
め、アナログ駆動を行う場合には、そのような駆動電圧に耐えうる耐圧特性を有するTF
Tを用いなければならない。
【0141】
または、将来的にさらに駆動電圧の低い無機EL材料が開発されれば、本発明に適用す
ることは可能である。
【0142】
また、本実施例の構成は、実施例1〜7のいずれの構成とも自由に組み合わせることが
可能である。
【実施例10】
【0143】
本発明のEL表示装置の外観図を説明する。なお、図11(A)は本発明のEL表示装
置の上面図であり、図11(B)はその断面図である。
【0144】
図11(A)において、4001は基板、4002は画素部、4003はソース側駆動
回路、4004はゲート側駆動回路であり、それぞれの駆動回路は配線4005を経てF
PC(フレキシブルプリントサーキット)4006に至り、外部機器へと接続される。
【0145】
このとき、画素部4002、ソース側駆動回路4003及びゲート側駆動回路4004
を囲むようにして第1シール材4101、カバー材4102、充填材4103及び第2シ
ール材4104が設けられている。
【0146】
また、図11(B)は図11(A)をA−A’で切断した断面図に相当し、基板400
1の上にソース側駆動回路4003に含まれる駆動TFT(但し、ここではnチャネル型
TFTとpチャネル型TFTを図示している。)4201及び画素部4002に含まれる
電流制御用TFT4202が形成されている。
【0147】
本実施例では、駆動TFT4201には図5(C)のnチャネル型TFT205とpチ
ャネル型TFT206と同じ構造のTFTが用いられ、電流制御用TFT4202には図
1のnチャネル型TFT202と同じ構造のTFTが用いられる。また、画素部4002
には電流制御用TFT4202のゲートに接続された保持容量(図示せず)が設けられる

【0148】
駆動TFT4201及び画素TFT4202の上には樹脂材料でなる層間絶縁膜(平坦
化膜)4301が形成され、その上に画素TFT4202のドレインと電気的に接続する
画素電極(陰極)4302が形成される。画素電極4302としては仕事関数の小さい導
電膜が用いられる。金属膜としては、周期表の1族または2族に属する元素を含む導電膜
(代表的にはアルミニウム、銅もしくは銀に、アルカリ金属元素もしくはアルカリ土類金
属元素を含ませた導電膜)を用いることができる。
【0149】
そして、画素電極4302の上には絶縁膜4303が形成され、絶縁膜4303は画素
電極4302の上に開口部が形成されている。この開口部において、画素電極4302の
上にはEL(エレクトロルミネッセンス)層4304が形成される。EL層4304は公
知の有機EL材料または無機EL材料を用いることができる。また、有機EL材料には低
分子系(モノマー系)材料と高分子系(ポリマー系)材料があるがどちらを用いても良い

【0150】
EL層4304の形成方法は公知の蒸着技術もしくは塗布法技術を用いれば良い。また
、EL層の構造は正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層または電子注入層を自由
に組み合わせて積層構造または単層構造とすれば良い。
【0151】
EL層4304の上には透明導電膜からなる陽極4305が形成される。透明導電膜と
しては、酸化インジウムと酸化スズとの化合物、酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物、
酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛もしくはそれらにガリウムを添加した化合物を含む
導電膜を用いることができる。
【0152】
また、陽極4305とEL層4304の界面に存在する水分や酸素は極力排除しておく
ことが望ましい。従って、真空中で両者を連続成膜するか、EL層4304を窒素または
希ガス雰囲気で形成し、酸素や水分に触れさせないまま陽極4305を形成するといった
工夫が必要である。本実施例ではマルチチャンバー方式(クラスターツール方式)の成膜
装置を用いることで上述のような成膜を可能とする。
【0153】
そして陽極4305は4306で示される領域において配線4005に電気的に接続さ
れる。配線4005は陽極4305に所定の電圧を与えるための配線であり、異方導電性
フィルム4307を介してFPC4006に電気的に接続される。
【0154】
以上のようにして、画素電極(陰極)4302、EL層4304及び陽極4305から
なるEL素子が形成される。このEL素子は、第1シール材4101及び第1シール材4
101によって基板4001に貼り合わされたカバー材4102で囲まれ、充填材410
3により封入されている。
【0155】
カバー材4102としては、ガラス材またはプラスチック材(プラスチックフィルムも
含む)を用いることができる。プラスチック材としては、FRP(Fiberglass
−Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フ
ィルム、マイラーフィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリル樹脂フィルムを用いる
ことができる。
【0156】
また、充填材4103としては紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、
PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹
脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)を用いる
ことができる。この充填材4103の内部に吸湿性物質(好ましくは酸化バリウム)を設
けておくとEL素子の劣化を抑制できる。
【0157】
また、充填材4103の中にスペーサを含有させてもよい。このとき、スペーサを酸化
バリウムで形成すればスペーサ自体に吸湿性をもたせることが可能である。また、スペー
サを設けた場合、スペーサからの圧力を緩和するバッファ層として陽極4305上に樹脂
膜を設けることも有効である。
【0158】
また、配線4005は異方導電性フィルム4307を介してFPC4006に電気的に
接続される。配線4005は画素部4002、ソース側駆動回路4003及びゲート側駆
動回路4004に送られる信号をFPC4006に伝え、FPC4006により外部機器
と電気的に接続される。
【0159】
また、本実施例では第1シール材4101の露呈部及びFPC4006の一部を覆うよ
うに第2シール材4104を設け、EL素子を徹底的に外気から遮断する構造となってい
る。こうして図11(B)の断面構造を有するEL表示装置となる。なお、本実施例のE
L表示装置は実施例1〜9のいずれの構成を組み合わせて作製しても構わない。
【実施例11】
【0160】
本実施例では、本発明のEL表示装置の画素構造の例を図12(A)〜(C)
に示す。なお、本実施例において、4601はスイッチング用TFT4602のソース配
線、4603はスイッチング用TFT4602のゲート配線、4604は電流制御用TF
T、4605はコンデンサ、4606、4608は電流供給線、4607はEL素子とす
る。
【0161】
図12(A)は、二つの画素間で電流供給線4606を共通とした場合の例である。即
ち、二つの画素が電流供給線4606を中心に線対称となるように形成されている点に特
徴がある。この場合、電流供給線の本数を減らすことができるため、画素部をさらに高精
細化することができる。
【0162】
また、図12(B)は、電流供給線4608をゲート配線4603と平行に設けた場合
の例である。なお、図12(B)では電流供給線4608とゲート配線4603とが重な
らないように設けた構造となっているが、両者が異なる層に形成される配線であれば、絶
縁膜を介して重なるように設けることもできる。この場合、電流供給線4608とゲート
配線4603とで専有面積を共有させることができるため、画素部をさらに高精細化する
ことができる。
【0163】
また、図12(C)は、図12(B)の構造と同様に電流供給線4608をゲート配線
4603と平行に設け、さらに、二つの画素を電流供給線4608を中心に線対称となる
ように形成する点に特徴がある。また、電流供給線4608をゲート配線4603のいず
れか一方と重なるように設けることも有効である。この場合、電流供給線の本数を減らす
ことができるため、画素部をさらに高精細化することができる。
【0164】
なお、本実施例の構成は実施例1〜10のいずれの構成とも自由に組み合わせることが
可能である。
【実施例12】
【0165】
本実施例では、本発明のEL表示装置の画素構造の例を図13(A)、(B)
に示す。なお、本実施例において、4701はスイッチング用TFT4702のソース配
線、4703はスイッチング用TFT4702のゲート配線、4704は電流制御用TF
T、4705はコンデンサ(省略することも可能)、4706は電流供給線、、4707
は電源制御用TFT、4708は電源制御用ゲート配線、4709はEL素子とする。電
源制御用TFT4707の動作については特願平11−341272号を参照すると良い

【0166】
また、本実施例では電源制御用TFT4707を電流制御用TFT4704とEL素子
4708との間に設けているが、電源制御用TFT4707とEL素子4708との間に
電流制御用TFT4704が設けられた構造としても良い。また、電源制御用TFT47
07は電流制御用TFT4704と同一構造とするか、同一の活性層で直列させて形成す
るのが好ましい。
【0167】
また、図13(A)は、二つの画素間で電流供給線4706を共通とした場合の例であ
る。即ち、二つの画素が電流供給線4706を中心に線対称となるように形成されている
点に特徴がある。この場合、電流供給線の本数を減らすことができるため、画素部をさら
に高精細化することができる。
【0168】
また、図13(B)は、ゲート配線4703と平行に電流供給線4710を設け、ソー
ス配線4701と平行に電源制御用ゲート配線4711を設けた場合の例である。なお、
図13(B)では電流供給線4710とゲート配線4703とが重ならないように設けた
構造となっているが、両者が異なる層に形成される配線であれば、絶縁膜を介して重なる
ように設けることもできる。この場合、電流供給線4710とゲート配線4703とで専
有面積を共有させることができるため、画素部をさらに高精細化することができる。
【0169】
なお、本実施例の構成は実施例1〜10のいずれの構成とも自由に組み合わせることが
可能である。
【実施例13】
【0170】
本実施例では、本発明のEL表示装置の画素構造の例を図14(A)、(B)
に示す。なお、本実施例において、4801はスイッチング用TFT4802のソース配
線、4803はスイッチング用TFT4802のゲート配線、4804は電流制御用TF
T、4805はコンデンサ(省略することも可能)、4806は電流供給線、、4807
は消去用TFT、4808は消去用ゲート配線、4809はEL素子とする。消去用TF
T4807の動作については特願平11−338786号を参照すると良い。
【0171】
消去用TFT4807のドレインは電流制御用TFT4804のゲートに接続され、電
流制御用TFT4804のゲート電圧を強制的に変化させることができるようになってい
る。なお、消去用TFT4807はnチャネル型TFTとしてもpチャネル型TFTとし
ても良いが、オフ電流を小さくできるようにスイッチング用TFT4802と同一構造と
することが好ましい。
【0172】
また、図14(A)は、二つの画素間で電流供給線4806を共通とした場合の例であ
る。即ち、二つの画素が電流供給線4806を中心に線対称となるように形成されている
点に特徴がある。この場合、電流供給線の本数を減らすことができるため、画素部をさら
に高精細化することができる。
【0173】
また、図14(B)は、ゲート配線4803と平行に電流供給線4810を設け、ソー
ス配線4801と平行に消去用ゲート配線4811を設けた場合の例である。なお、図1
4(B)では電流供給線4810とゲート配線4803とが重ならないように設けた構造
となっているが、両者が異なる層に形成される配線であれば、絶縁膜を介して重なるよう
に設けることもできる。この場合、電流供給線4810とゲート配線4803とで専有面
積を共有させることができるため、画素部をさらに高精細化することができる。
【0174】
なお、本実施例の構成は実施例1〜10のいずれの構成とも自由に組み合わせることが
可能である。
【実施例14】
【0175】
本発明のEL表示装置は画素内にいくつのTFTを設けた構造としても良い。
実施例13、14ではTFTを三つ設けた例を示しているが、四つ乃至六つのTFTを設
けても構わない。本発明はEL表示装置の画素構造に限定されずに実施することが可能で
ある。
【0176】
なお、本実施例の構成は実施例1〜10のいずれの構成とも自由に組み合わせることが
可能である。
【実施例15】
【0177】
本発明を実施して形成したEL表示装置は様々な電気器具の表示部として用いることが
できる。例えば、TV放送等を鑑賞するには対角20〜60インチの本発明のEL表示装
置を筐体に組み込んだディスプレイを用いるとよい。なお、EL表示装置を筐体に組み込
んだディスプレイには、パソコン用ディスプレイ、TV放送受信用ディスプレイ、広告表
示用ディスプレイ等の全ての情報表示用ディスプレイが含まれる。
【0178】
また、その他の本発明の電気器具としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル
型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音楽再生装
置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム
機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍
)、画像再生装置(記録媒体に記録された画像を再生し、その画像を表示する表示部を備
えた装置)が挙げられる。それら電気器具の具体例を図15、図16に示す。
【0179】
図15(A)はEL表示装置を筐体に組み込んだディスプレイであり、筐体2001、
支持台2002、表示部2003を含む。本発明のEL表示装置は表示部2003に用い
ることができる。このようなディスプレイは自発光型であるためバックライトが必要なく
、液晶ディスプレイよりも薄い表示部とすることができる。
【0180】
図15(B)はビデオカメラであり、本体2101、表示部2102、音声入力部21
03、操作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部2106を含む。本発明のE
L表示装置は表示部2102に用いることができる。
【0181】
図15(C)は頭部取り付け型のELディスプレイの一部(右片側)であり、本体22
01、信号ケーブル2202、頭部固定バンド2203、表示部2204、光学系220
5、発光装置2206を含む。本発明はEL表示装置2206に用いることができる。
【0182】
図15(D)は記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)
であり、本体2301、記録媒体(DVD等)2302、操作スイッチ2303、表示部
(a)2304、表示部(b)2305を含む。表示部(a)は主として画像情報を表示
し、表示部(b)は主として文字情報を表示するが、本発明のEL表示装置はこれら表示
部(a)、(b)に用いることができる。なお、記録媒体を備えた画像再生装置には家庭
用ゲーム機器なども含まれる。
【0183】
図15(E)は携帯型(モバイル)コンピュータであり、本体2401、カメラ部24
02、受像部2403、操作スイッチ2404、表示部2405を含む。本発明のEL表
示装置は表示部2405に用いることができる。
【0184】
図15(F)はパーソナルコンピュータであり、本体2501、筐体2502、表示部
2503、キーボード2504を含む。本発明のEL表示装置は表示部2503に用いる
ことができる。
【0185】
なお、将来的に発光輝度がさらに高くなれば、出力した画像情報を含む光をレンズや光
ファイバー等で拡大投影してフロント型若しくはリア型のプロジェクターに用いることも
可能となる。
【0186】
また、発光装置は発光している部分が電力を消費するため、発光部分が極力少なくなる
ように情報を表示することが望ましい。従って、携帯情報端末、特に携帯電話や音楽再生
装置のような文字情報を主とする表示部に発光装置を用いる場合には、非発光部分を背景
として文字情報を発光部分で形成するように駆動することが望ましい。
【0187】
ここで図16(A)は携帯電話であり、本体2601、音声出力部2602、音声入力
部2603、表示部2604、操作スイッチ2605、アンテナ2606を含む。本発明
のEL表示装置は表示部2604に用いることができる。なお、表示部2604は黒色の
背景に白色の文字を表示することで携帯電話の消費電力を抑えることができる。
【0188】
また、図16(B)は音楽再生装置、具体的にはカーオーディオであり、本体2701
、表示部2702、操作スイッチ2703、2704を含む。本発明のEL表示装置は表
示部2702に用いることができる。また、本実施例では車載用のカーオーディオを示す
が、携帯型や家庭用の音楽再生装置に用いても良い。
なお、表示部2704は黒色の背景に白色の文字を表示することで消費電力を抑えられる
。これは携帯型の音楽再生装置において特に有効である。
【0189】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電気器具に用いることが
可能である。また、本実施例の電気器具は実施例1〜14に示したいずれの構成のEL表
示装置を用いても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
EL素子と、
前記EL素子に電気的に接続する第1のトランジスタと、
ソース配線に電気的に接続する第2のトランジスタと、
保持容量と、を有する画素を複数有し、
前記第1のトランジスタはスイッチング素子としての機能を有し、
前記第2のトランジスタは、電流供給線から前記EL素子へ流す電流量を制御する機能を有することを特徴とするEL表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−168548(P2012−168548A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−86960(P2012−86960)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【分割の表示】特願2011−230588(P2011−230588)の分割
【原出願日】平成12年4月25日(2000.4.25)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】