説明

EL装置及びその製造方法

【課題】第1導電層表面の光反射効率を高く維持しつつ、第1導電層の導電材の酸化を防止して第1導電層の電気抵抗を抑制できるEL装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】このEL装置は、基板と、前記基板上に形成された第1導電層と、前記第1導電層上に形成され、発光層を含む有機層と、前記有機層上に形成された第2導電層と、を備え、前記第1導電層は、第1配線層と、導電性を有し、前記第1配線層上に形成されて前記第1配線層を保護する第1保護層と、前記第1保護層上に形成され、光反射率が前記第1保護層よりも大きい第1電極層と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、EL(Electroluminescent)装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
EL装置は、ガラス基板と、そのガラス基板上に積層された第1導電層、発光層を含む有機層及び第2導電層を備えて構成されている。その第1導電層の導電材が薬液、水、大気等との接触によって酸化すると、その酸化膜が電気抵抗となって、装置駆動時の消費電力の増大、画素間の発光輝度のバラツキの原因となる場合がある。
【0003】
これに対する従来の対策として、第1導電層の導電材の表面をモリブデン等からなる保護膜で被覆し、導電材の酸化を防止するようにした技術がある(特許文献1)。
【0004】
また、トップエミッション型のEL装置では、有機層で発光された光が第2導電層を透過して外部に放出されるため、第1導電層の表面は、有機層で発光された光を効率良く反射することが求められる。
【0005】
なお、ボトムエミッション型のEL装置に関する電極構造としては、特許文献2に記載のものがある。
【0006】
【特許文献1】特開2001−185363号公報
【特許文献2】特開2003−115393号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、保護膜は導電材に対する保護機能を重視して材料等の選択が行われるため、保護層を設けることにより第1導電層表面の光反射効率が低下し、光の取出効率の低下を招く場合がある。
【0008】
そこで、本発明の解決すべき課題は、第1導電層表面の光反射効率を高く維持しつつ、
第1導電層の導電材の酸化を防止して第1導電層の電気抵抗を抑制できるEL装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明では、基板と、前記基板上に形成された第1導電層と、前記第1導電層上に形成され、発光層を含む有機層と、前記有機層上に形成された第2導電層とを備え、前記第1導電層は、第1配線層と、導電性を有し、前記第1配線層上に形成されて前記第1配線層を保護する第1保護層と、前記第1保護層上に形成され、光反射率が前記第1保護層よりも大きい第1電極層とを有する。
【0010】
また、請求項2の発明では、請求項1の発明に係るEL装置において、前記第1配線層、前記第1保護層及び前記第1電極層が金属材料により形成されている。
【0011】
また、請求項3の発明では、請求項1又は請求項2の発明に係るEL装置において、前記第2導電層と電気的に接続され、前記第1導電層に対して離間した領域に形成される第3導電層をさらに備え、前記第3導電層は、第2配線層と、導電性を有し、前記第2配線層上に形成されて前記第2配線層を保護する第2保護層とを有し、前記第2電極層の一部が、前記第2保護層上まで延びて前記第2保護層に電気的に接続される。
【0012】
また、請求項4の発明では、請求項3の発明に係るEL装置において、前記第2配線層及び前記第2保護層が金属材料により形成されている。
【0013】
また、請求項5の発明では、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明に係るEL装置において、前記第1配線層及び前記第1電極層は、アルミニウム、銀、ロジウム、金、及び銅の少なくともいずれか一つを含み、前記第1保護層は、モリブデン又はモリブデン合金からなる。
【0014】
また、請求項6の発明では、請求項1ないし請求項5のいずれかの発明に係るEL装置において、前記第1導電層、前記有機層及び前記第2導電層で構成される有機発光素子が配置される複数の画素形成領域と、前記基板上に形成され、隣接する画素形成領域同士の間を仕切る隔壁とをさらに備えた。
【0015】
また、請求項7の発明では、請求項6の発明に係るEL装置において、前記有機層の端部は、前記隔壁の側壁もしくはその近傍まで延設されている。
【0016】
また、請求項8の発明では、請求項6又は請求項7の発明に係るEL装置において、前記隔壁の断面形状は、下部よりも上部が幅広な略逆テーパーを成し、前記有機層の端部は、前記隔壁の上面の直下領域内まで延設されている。
【0017】
また、請求項9の発明では、請求項8の発明に係るEL装置において、前記第1電極層及び前記第2導電層の端部が前記隔壁の上面の直下領域もしくはその近傍まで延設されている。
【0018】
また、請求項10の発明では、請求項1ないし請求項9のいずれかの発明に係るEL装置において、前記有機層が前記第1電極層の端面を被覆している。
【0019】
また、請求項11の発明では、請求項10の発明に係るEL装置において、前記有機層が前記第1電極層の外周に沿った端面の全面を被覆している。
【0020】
また、請求項12の発明では、請求項10又は請求項11の発明に係るEL装置において、前記有機層は前記第1電極層よりも厚みが大きい。
【0021】
また、請求項13の発明では、請求項9の発明に係るEL装置において、前記隔壁は、前記画素形成領域を個別に囲むように形成され、前記第1電極層、前記有機層及び前記第2電極層が略矩形状を有し、前記隔壁上面の直下領域内まで延設された前記有機層の端部、並びに、前記隔壁上面の直下領域もしくはその近傍まで延設された前記第1電極層及び前記第2電極層の端部は、前記第1電極層、前記有機層及び前記第2電極層の4辺のうちの少なくとも3辺に対応する端部である。
【0022】
また、請求項14の発明では、請求項6ないし請求項13のいずれかの発明に係るEL装置において、前記基板と前記第1導電層との間に形成された層間絶縁層をさらに備え、前記有機層は、前記第1電極層から前記層間絶縁層上まで延設されている。
【0023】
また、請求項15の発明では、請求項1ないし請求項14のいずれかの発明に係るEL装置において、前記第1電極層の端部が、前記第1配線層及び前記第1保護層の端部よりも外側まで延設されている。
【0024】
また、請求項16の発明では、請求項1ないし請求項15のいずれかの発明に係るEL装置において、前記有機層は、前記第1電極層、前記第1保護層及び前記第1配線層の端面を被覆する。
【0025】
また、請求項17の発明では、請求項1ないし請求項16のいずれかの発明に係るEL装置において、前記第1保護層と前記第1電極層との間に介在される絶縁層をさらに備え、前記有機層は、前記第1電極層から前記絶縁層上まで延設されている。
【0026】
また、請求項18の発明では、請求項3ないし請求項5のいずれかの発明に係るEL装置において、前記基板と前記第1配線層との間に、回路層と、該回路層上に配設され、コンタクトホールを有する層間絶縁層とを更に備え、前記前記第3導電層が、前記コンタクトホール内に被着されている。
【0027】
また、請求項19の発明では、請求項18の発明に係るEL装置において、前記第3導電層は、前記コンタクトホールの内面から前記層間絶縁層上にかけて被着される。
【0028】
また、請求項20の発明では、請求項18又は請求項19の発明に係るEL装置において、前記第2導電層と前記第3導電層との接続部は、前記コンタクトホール内に位置する。
【0029】
また、請求項21の発明では、請求項18ないし請求項20のいずれかの発明に係るEL装置において、前記第2導電層と前記第3導電層との接続部は、前記層間絶縁層上に位置する。
【0030】
また、請求項22の発明では、請求項18ないし請求項21のいずれかの発明に係るEL装置において、前記回路層は、薄膜トランジスタ又は容量素子の一部を有する。
【0031】
また、請求項23の発明では、請求項18ないし請求項22のいずれかの発明に係るEL装置において、前記第1導電層、前記有機層及び前記第2導電層で構成される有機発光素子が配置される複数の画素形成領域をさらに備え、前記第2導電層は、隣接する画素形成領域同士で電気的に接続されている。
【0032】
また、請求項24の発明では、請求項18ないし請求項22のいずれかの発明に係るEL装置において、前記第1導電層、前記有機層及び前記第2導電層で構成される有機発光素子が配置される複数の画素形成領域をさらに備え、前記第1導電層は、隣接する画素形成領域同士で電気的に接続されている。
【0033】
また、請求項25の発明では、請求項1ないし請求項24のいずれかの発明に係るEL装置において、前記第1電極層及び前記有機層は、チャンバ内の真空状態を保持した状態で続けて形成されている。
【0034】
また、請求項26の発明では、請求項6ないし請求項9のいずれかの発明に係るEL装置であって、前記有機層は、前記隔壁を蒸着マスクの全部もしくは一部として利用して形成されている。
【0035】
また、請求項27の発明では、請求項6ないし請求項9のいずれかの発明に係るEL装置であって、前記有機層は、前記基板に対して斜め方向から蒸着された。
【0036】
また、請求項28の発明では、請求項6ないし請求項9のいずれかの発明に係るEL装置であって、前記第1電極層及び前記第2導電層は、前記隔壁を蒸着マスクの全部もしくは一部として利用して形成され、前記第1電極層及び前記第2導電層は、前記基板に対して略垂直方向から蒸着されて形成されている。
【0037】
また、請求項29の発明では、請求項1ないし請求項28のいずれかの発明に係るEL装置の製造方法において、前記第1電極層を減圧状態のチャンバ内で形成する工程と、前記第1電極層の形成後に、チャンバ内の減圧状態を保持した状態で前記有機層を形成する工程とを備える。
【0038】
また、請求項30の発明では、請求項6ないし請求項9のいずれかの発明に係るEL装置の製造方法であって、前記有機層の構成材料が載置された蒸着源から前記第1電極層に向かって飛翔する蒸着物質の入射角が蒸着中に変化するように、前記蒸着源もしくは前記基板の少なくともいずれか一方を移動させながら前記有機層の蒸着を行う工程を備える。
【発明の効果】
【0039】
請求項1ないし請求項24に記載の発明によれば、第1保護層は第1配線層の保護に適した材料や厚み等を採用しつつ、第1電極層に光反射特性に優れた材料等の構成を採用することができる。これによって、第1導電層表面の光反射効率を高く維持しつつ、第1配線層の酸化等のダメージを防止して第1導電層の電気抵抗の増加を抑制できる。その結果、EL装置の光取出効率を維持しつつ、EL装置駆動時の消費電力の抑制、及び画素間の発光輝度のバラツキ抑制が図れる。
【0040】
請求項2に記載の発明によれば、第1配線層、第1保護層及び第1電極層が金属材料により形成されているため、第1導電層の電気抵抗を小さく抑えることができる。
【0041】
請求項3に記載の発明によれば、第2導電層に対する導電路として機能する第3導電層において、その第2配線層が第2保護層で保護されているため、第2配線層の酸化を防止することができ、これによって第3導電層の電気抵抗を抑制できる。その結果、EL装置駆動時の消費電力の抑制、及び画素間の発光輝度のバラツキ抑制が図れる。
【0042】
請求項4に記載の発明によれば、第2配線層及び第2保護層が金属材料により形成されているため、第3導電層の電気抵抗を小さく抑えることができる。
【0043】
請求項5に記載の発明によれば、電気抵抗が低く、表面の光反射効率が高い第1導電層を実現することができる。
【0044】
請求項7に記載の発明によれば、有機層の端部が、隔壁の側壁もしくはその近傍まで延設されているため、第2導電層の形成位置が所望の位置からずれたとしても、第2導電層と第1電極層との短絡の発生率を低下することができる。それ故、EL装置の生産性を向上させることが可能となる。
【0045】
請求項8に記載の発明によれば、前記隔壁の断面形状が下部よりも上部が幅広な略逆テーパーを成している場合であっても、有機層の端部が隔壁の上面の直下領域内まで延設されているため、有機層の端部が側壁もしくはその近傍まで配置されることとなる。従って、第2導電層の形成位置が所望の位置からずれたとしても、第2導電層と第1電極層とが直接接触して短絡することが良好に防止される。それ故、EL装置の生産性を向上させることが可能となる。
【0046】
請求項9に記載の発明によれば、第1電極層及び第2電極層の端部が前記隔壁の上面の直下領域もしくはその近傍まで延設されていることから、有機発光素子の発光面積を広く確保することができ、有機発光素子の発光効率を向上させることが可能となる。
【0047】
請求項10に記載の発明によれば、有機層が第1電極層の端面を被覆しているため、第2導電層の形成箇所が所望の位置からずれたとしても、第2導電層が第1電極層に直接接触して短絡することが良好に防止される。その結果、第2導電層に要求されるパターニング精度を緩和することができる。
【0048】
請求項11に記載の発明によれば、有機層が第1電極層の外周に沿った端面の全面を覆っているため、第2導電層と第1電極層との短絡をより確実に防止できる。
【0049】
請求項12に記載の発明によれば、有機層が第1電極よりも厚みが大きいため、第1電極の端面の被覆が容易となり、EL装置の生産性向上に寄与することができる。
【0050】
請求項13に記載の発明によれば、隔壁によって取り囲まれた領域内のスペースを有効に利用して、画素を形成することができ、有機発光素子の発光面積を広く確保することが可能となる。
【0051】
請求項14に記載の発明によれば、有機層は、前記第1電極層から基板と第1導電層との間に配置される層間絶縁層上まで延設されているため、第2導電層が第1電極層と直接接触して短絡するのを確実に防止できる。また層間絶縁層が有機樹脂から形成されている場合、層間絶縁層と有機層との密着性が良好であるため、有機層の端部の剥離を良好に防止することができる。
【0052】
請求項15に記載の発明によれば、前記第1電極層の端部が、前記第1配線層及び前記第1保護層の端部よりも外側まで延設されているため、第1電極層の形成によって発光領域を拡大することができる。
【0053】
請求項16に記載の発明によれば、第1保護層や第1配線層の端面と第2導電層とが直接接触して短絡することが良好に防止される。
【0054】
請求項17に記載の発明によれば、第2導電層と第1電極層とが直接接触して短絡することを良好に防止することができる。また絶縁層が有機樹脂から形成されている場合、絶縁層と有機層との密着性が良好であるため、有機層の端部の剥離を良好に防止することができる。
【0055】
請求項25に記載の発明によれば、第1電極層及び有機層が、チャンバ内の真空状態を保持した状態で続けて形成されているため、第1電極層の表面が大気等に触れて酸化等のダメージを受けるのを防止することができ、第1電極層の電気抵抗を小さく抑えることができる。
【0056】
請求項27に記載の発明によれば、有機層の端部を隔壁の側壁まで延設させることができる。
【0057】
請求項28に記載の発明によれば、第1電極層及び第2導電層の端部を隔壁上面の直下領域もしくはその近傍に位置するように容易に形成することができる。
【0058】
請求項29に記載の発明によれば、第1電極層及び有機層が、チャンバ内の減圧状態を保持した状態で続けて形成されているため、第1電極層の表面が大気等に触れて酸化等のダメージを受けるのを防止することができ、第1電極層の電気抵抗を小さく抑えることができる。
【0059】
請求項30に記載の発明によれば、有機層の端部を隔壁の側壁まで延設させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態に係るEL装置の平面図であり、図2は図1のA1−A1断面図であり、図3は図1のA2−A2断面図であり、図4は図2のA3−A3断面図である。
【0061】
本実施形態に係るEL装置1は、図1ないし図4に示されるように、基板2と、回路層3と、層間絶縁層4と、第1ないし第3導電層5〜7と、有機層8と、隔壁9とを備えている。基板2の上面側には複数の画素形成領域11が形成され、その各画素形成領域11内に、第1導電層5、有機層8及び第2導電層6によって有機発光素子12が形成されている。隔壁9は、その画素形成領域11同士の間を仕切るように略格子状に形成されている。そして、有機発光素子12は、発光領域13(図4の点線ハッチング付した領域)を形成している。
【0062】
このEL装置1は、有機層8が発光した光を上面側の第2導電層6を介して外部に取り出すトップエミッション型の構造を採用している。また、このEL装置1の構成は、アクティブマトリクス駆動方式に対応した構成となっているが、パッシブマトリクス駆動方式に対応した構成を採用してもよい。また、第1導電層5と第2導電層6のいずれをアノード側に設定してもよい。また、本実施形態では、第1導電層5を隣接する画素形成領域11同士において電気的に接続するようにしているが、第3導電層7を隣接する画素形成領域11同士において電気的に接続するようにしてもよい。
【0063】
基板2はガラス基板等により構成される。回路層3は、図示しない薄膜トランジスタ又は容量素子の一部を構成している。層間絶縁層4は、回路層3と有機発光素子10との間を絶縁するように、これらの間に形成されている。なお、層間絶縁層4は、絶縁性を有するシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等の無機材料や絶縁性を有する有機樹脂により形成されている。
【0064】
第1導電層5は、基板2側から順に、第1配線層16、第1保護層17及び第1電極層18を有している。第1配線層16は、導電性の高い金属材料からなり、層間絶縁層4上に形成されている。第1保護層17は、導電性を有する材料からなり、第1配線層16上に形成されて第1配線層16を保護する。第1電極層18は、光反射率が第1保護層17よりも大きい導電材料からなり、第1保護層17上に形成される。これによって、第1導電層5表面の光反射効率を高く維持しつつ、第1配線層11の酸化等のダメージを防止して第1導電層5の電気抵抗の増加を抑制できる。その結果、EL装置1の光取出効率を維持しつつ、EL装置1駆動時の消費電力の抑制、及び画素間の発光輝度のバラツキ抑制が図れる。
【0065】
また、第1配線層16の材料の具体例としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銀又は銀合金、ロジウム、金、又は銅が挙げられる。第1保護層17の材料の具体例としては、モリブデン又はモリブデン合金が挙げられる。第1電極層18の材料の具体例としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銀又は銀合金、ロジウム、金、又は銅が挙げられる。このような材料を用いることにより、電気抵抗が低く、表面の光反射効率が高い第1導電層5を実現できる。
【0066】
有機層8は、第1導電層5上に形成され、有機系材料を発光体として用いた発光層を含んで構成されている。有機層8は、単層構造もしくは機能別に積層した多層構造のいずれも採用することができる。例えば、有機層8が発光層のみの単層からなる単層構造では、発光層が正孔輸送特性と電子輸送特性とを兼ね備えた材料からなり、その材料中に発光材料をドープする方法や、発光材料自体に電荷輸送特性が付与された材料を用いる方法などを採用することができる。このような単層構造は、素子形成プロセスを簡略化できることから、歩留まりを向上させることができ、低コストのEL装置1を提供できるという利点がある。
【0067】
また、有機層8の構造として多層構造を採用する場合、例えば発光層に加え、正孔輸送層、正孔注入層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、電子阻止層のうち、単数もしくは複数を選択して有機層8を構成する。例えば、有機層8が発光層と正孔阻止層とからなる多層構造である場合には、両電極層18,19からの電荷の注入量を制御するため、正孔注入電極として働く電極層18,19のいずれか一方と電子輸送層との間に正孔輸送層を設けた構造としてもよい。また、同様にして、電子注入電極となる電極層18,19のいずれか他方と正孔輸送層との間に電子阻止層を設けることも可能である。なお、正孔注入層、電子注入層については無機材料が使用されることもあるが、その場合であっても、正孔注入層、電子注入層を含めて有機層と呼ぶ。
【0068】
第2導電層6は、有機層8上に形成された第2電極層19を備え、有機層8の上面側から光りを取り出すために、インジウム錫酸化膜(ITO)、錫酸化膜等の光透過性を有する導電材料を用いて形成されている。また第2導電層6が、マグネシウム、銀、アルミニウム等の基本的には光透過性を有さない材料により形成されていたとしても、100nm以下の膜厚程度に薄くすることによって導電性をある程度確保したまま、第2導電層6に光を透過させることができる。また第2導電層6は、マグネシウム、銀及びアルミニウム等を複数組み合わせて構成したり、あるいは、多層構造としても良い。
【0069】
第3導電層7は、層間絶縁層4上における第1導電層5と離間した領域に形成され、第2導電層6と電気的に接続されている。第3導電層7は、第2配線層21と第2保護層22とを備えている。第2導電層6の一部が第2保護層22上まで延びて第3導電層7に電気的に接続されている。第2導電層6と第3導電層7との主な電気接続部20は、例えば層間絶縁層4上における第1電極層18の端部18bから所定間隔をあけた位置に設けられる。また、層間絶縁層4には、各画素形成領域11内にコンタクトホール4aが設けられ、このコンタクトホール4aを介して第3導電層7が回路層3に電気的に接続されている。
【0070】
このように、第2導電層6に対する導電路として機能する第3導電層7において、第2配線層21が第2保護層22で保護されているため、第2配線層21が酸化等のダメージを受けるのを防止することができ、これによって第3導電層7の電気抵抗を抑制できる。その結果、EL装置1駆動時の消費電力の抑制、及び画素間の発光輝度のバラツキ抑制が図れる。
【0071】
第2配線層21の材料の具体例としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銀又は銀合金、ロジウム、金、又は銅が挙げられる。第2保護層22の材料の具体例としては、モリブデン又はモリブデン合金が挙げられる。このような材料を用いることにより、電気抵抗が低い第3導電層7を実現できる。
【0072】
第1導電層5の第1配線層16及び第1保護層17と、第3導電層7の第2配線層21及び第2保護層22とは同じ材料により、同一の成膜及びパターニング工程により形成される。これによって、製造工程の効率化が図れる。
【0073】
隔壁9は絶縁樹脂により形成され、その断面形状は下部よりも上部が幅広な略逆テーパを成している。また本実施形態では、隔壁9は第1及び第2保護層17,22の上から形成されている。隔壁9によって仕切られる各画素形成領域11は、略矩形の平面形状を有している。これに対応して、第1電極層18、有機層8、第2導電層6、及びこれらによって形成される有機発光素子12も略矩形の平面形状を有している。
【0074】
次に、各画素形成領域11内に形成される第1電極層18、有機層8及び第2導電層6の構成について説明する。第1電極層18は、その3辺の端部18aが隔壁9の上面9aのエッジ9bの直下もしくはその近傍(エッジ9bの直下から3μm以内の領域)まで延設されており、残りの1辺の端部18bが、隔壁9から離反して位置されている。有機層8は、その3辺の端部8aが隔壁9の上面9aの直下領域内まで延設されており(すなわち、エッジ部9bの直下よりも隔壁9の壁面に近接して位置されており)、残りの1辺の端部8bが、第1電極層18の端部18bの外側にはみ出すように延設されている。これに伴って、有機層8が、第1電極層18の外周に沿った端面18cの全面を被覆している。
【0075】
このように、有機層8の端部8aが隔壁9の上面9aの直下領域内まで延設されているため、有機層8の端部8aが隔壁9の側壁もしくはその近傍まで配置されることとなる。従って、第2導電層6の形成位置が所望の位置からずれたとしても、第2導電層6と第1電極層18とが直接接触して短絡することが良好に防止され、EL装置1の生産性向上が図れるようになっている。また、有機層8が第1電極層18の外周に沿った端面18cの全面を被覆しているため、第2導電層6の形成位置ずれによる第2導電層6と第1電極層18との短絡をより確実に防止できるようになっている。なお、有機層8は第1電極層18よりも厚みが大きいことが望ましい。これによって、有機層8による第1電極層18の端面18cの被覆が容易になる。
【0076】
第2導電層6は、その4辺の端部6aが隔壁9の上面9aのエッジ9bの直下もしくはその近傍(エッジ9bの直下から3μm以内の領域)まで延設されている。このように、第1電極層18及び第2導電層6(第2電極層19)の端部18a,6aが隔壁9の上面9aの直下領域もしくはその近傍まで延設されていることから、有機発光素子12の発光面積を広く確保することができ、有機発光素子12の発光効率を向上させることが可能となる。
【0077】
また、第1電極層18の端部18bは、第1配線層16及び第2保護層17の端部16a,17aから外方にはみ出し、層間絶縁層4上まで延設されている。また、第2導電層6も、そのような第1電極層18と対向するように形成されている。このため、第1電極層18の形成により、有機発光素子11の発光面積が拡大されている。
【0078】
また、これに対応して、有機層8の端部8bは、第1電極層18の端部18bから外方にはみ出し、層間絶縁層4上まで延設されている。これによって、有機層8の端部8bによって第1電極層18の端部18bの端面18cを確実に被覆することができる。また、層間絶縁層4が有機樹脂から形成されている場合、層間絶縁層4と有機層8との密着性が良好であるため、有機層8の端部8bの剥離を良好に防止することができる。
【0079】
なお、本実施形態では、有機層8の3辺の端部8aを隔壁9の上面9aの直下領域内まで延設するようにしたが、変形例として、端部8aを隔壁9の上面9aのエッジ部9bの直下又はその近傍まで延設し、上面9aの直下領域内に入り込まない構成としてもよい。このような構成でも、第1電極層18と第2導電層6との短絡の発生率を低下させることができる。
【0080】
次に、本実施形態に係るEL装置1の製造工程について説明する。
【0081】
EL装置1の製造工程は、以下の工程を備える。
【0082】
(S1) 基板2上に回路層3を形成する。なお、回路層3は、CVDやスパッタリング等の薄膜形成技術やフォトリソグラフィー等の薄膜加工技術を採用することにより所定パターンに形成される。
【0083】
(S2) 回路層3上に層間絶縁層4を形成する。なお、層間絶縁層4は、スピンコート法、CVD等の薄膜形成技術やフォトリソグラフィー等の薄膜加工技術を採用することにより所定パターンに形成される。
【0084】
(S3) 層間絶縁層4上に第1及び第2配線層16,21及び第1及び第2保護層17,22を形成する。なお、第1及び第2配線層16,21及び第1及び第2保護層17,22は、CVDやスパッタリング等の薄膜形成技術やフォトリソグラフィー等の薄膜加工技術を採用することにより所定パターンに形成される。
【0085】
(S4) 第1及び第2保護層17,19の上から、隔壁9を形成する。なお、隔壁9は、スピンコート法等の薄膜形成技術やフォトリソグラフィー等の薄膜加工技術を採用することにより所定パターンに形成される。
【0086】
(S5) 隔壁9によって仕切られた各画素形成領域11内に第1電極層18を形成する。この工程では、図5(a)に示すマスク26の開口部26aにより図1に示すような蒸着領域27が形成され、この蒸着領域27内の全面に第1電極層形成用の材料が蒸着される。この蒸着領域27は、一列に並ぶ複数の画素形成領域18を横断するようにライン状に延設されている。そして、基板2に対して略垂直方向B1から材料物質の蒸着が行われ、隔壁9の上面9aの一部がマスクとして利用されるようになっている。即ち、第1電極層18の3辺の端部18aの部分は、隔壁9の上面9aがマスクとして用いられて形成され、残りの1辺の端部18bはマスク26の開口部26aがマスクとして用いられて形成される。これによって、マスク26の精度に依存することなく、第1電極層18の端部18aを隔壁9の上面9aのエッジ部9bの直下又はその近傍に位置するように容易に形成できる。
【0087】
(S6) 第1電極層18の形成に続き、チャンバ内の減圧状態(例えば、真空状態)を解除することなく、第1電極層18上に有機層8を形成する。これによって、第1電極層18の表面が大気等に触れて酸化等のダメージを受けるのを防止することができ、第1電極層18の電気抵抗を小さく抑えることができる。
【0088】
また、この工程では、例えば、図5(b)に示すように図5(a)のマスク26と同一のマスク26により設定された基板2上のライン状の蒸着領域27に対して有機材料物質の蒸着が行われる(なお、図5(a)のマスク26と異なるマスクを用いるようにしてもよい)。そして、基板2に対して斜め方向を含む種々の方向B2から有機材料物質の蒸着が行われ、図5(a)の工程とほぼ同様に隔壁9の上面9aの一部がマスクとして利用されるようになっている。即ち、有機層8の3辺の端部8aの部分は、隔壁9の上面9aがマスクとして用いられて形成され、残りの1辺の端部8bはマスク26の開口部26aがマスクとして用いられて形成される。これによって、マスク26の精度に依存することなく、有機層8の端部18aを隔壁9の上面9aの直下領域内における側壁又はその近傍まで延設することができるとともに、有機層8の端部8bを第1電極層18の端部18bの外側まで延設することができる。これによって、第1電極層18の外周に沿った端面18cの全面を有機層18によって容易に被覆できる。
【0089】
ここで、材料物質を蒸着させる方向B2を変化させるための構成としては、有機層の構成材料が載置された図示しない蒸着源から第1電極層18側に向かって飛翔する蒸着物質の入射角が蒸着中に変化するように、蒸着源もしくは基板2の少なくともいずれか一方を移動させながら有機層8の蒸着を行う構成が考えられる。
【0090】
(S7) 有機層8の上から第2導電層6を形成する。この工程では、例えば図5(c)に示すように、隔壁9の上面9a全体を蒸着マスクとして利用し(即ち、専用の蒸着マスクを使用せずに)、材料物質を基板2に対して略垂直方向B3から蒸着することにより、第2導電層6が形成される。これによって、第2導電層6の4辺の端部6aを隔壁9の上面9aのエッジ部9bの直下又はその近傍に位置するように容易に形成できる。
【0091】
なお、パッシブマトリクス方式を採用する場合等には、上述の工程(S5)、(S6)において、マスク26を使用せずに、隔壁9の上面9a全体をマスクとして使用し、第1電極層18及び有機層8の蒸着を行うようにしてもよい。またマスク26を使用しつつ、隔壁9の上面9a全体をマスクとして使用し、第1電極層18及び有機層8の蒸着を行うようにしてもよい。
【0092】
<第2実施形態>
図6は本発明の第2実施形態に係るEL装置の断面図であり、図7は図6のA4−A4断面図である。本実施形態に係るEL装置1aの構成において、第1実施形態に係るEL装置1の構成と対応する部分には同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0093】
本実施形態に係るEL装置1aでは、図6及び図7に示すように、第1及び第2保護層17,22の上から有機樹脂からなる絶縁層31が形成され、その絶縁層31の上から第1電極層18、有機層8及び第2導電層6が形成されている。そして、第1電極層18及び第2導電層6が、絶縁層31に設けられたコンタクトホール31a,31b(図7の点線ハッチングを付した部分)を介して第1保護層17及び第2保護層22に電気的に接続されている。このコンタクトホール31a,31bを介した第1配線層16及び第1保護層17と第1電極層18との電気接続部、及び第2導電層6と第3導電層7との電気接続部は、層間絶縁層4上に形成に隔壁9は絶縁層31上に形成されている。
【0094】
第1電極層18は、その外周の全周における端部18a,18bがコンタクトホール31aを介して露出した第2保護層17の露出部分上から絶縁層31上にはみ出すように延設され、有機発光素子12の発光面積が拡大されている。
【0095】
有機層8は、第1電極層18上から絶縁層31上にはみ出すように延設され、第1電極層18の外周の全周における端面18cを被覆している。これによって、第2導電層6が第1導電層5と直接接触して短絡するのが確実に防止できるようになっている。また、有機樹脂製の絶縁層31と有機層8の端部18a,18bとの密着性が良好であるため、有機層8の端部18a,18bの剥離を防止できるようになっている。
【0096】
各層6,8,18の配設位置と隔壁9との位置関係は、第1実施形態に係るEL装置1とほぼ同様である。このため、隔壁9の上面9a等を用いた各層6,8,18の形成工程についても第1実施形態に係る工程とほぼ同様である。
【0097】
<変形例>
以下では、上述の第1及び第2実施形態に係るEL装置1,1aの変形例について記載する。
【0098】
図8に示すEL装置1cでは、第2実施形態の構成において、絶縁層31のコンタクトホール31aの開口面積が小さくされ、有機発光素子12の発光領域13のうちの絶縁層31上に位置する部分の割合が拡大されている。これによって、有機樹脂製の絶縁層31の表面の平坦性が高いため、第1電極層18の表面の平坦性が高められ、第1電極層18の表面の光反射効率が向上する。
【0099】
図9に示すEL装置1dでは、第1実施形態の構成において、各画素形成領域11内の層間絶縁層4にコンタクトホール4bが追加され、そのコンタクトホール4bを介して第1導電層5が回路層3と電気的に接続されている。これに伴って、隣接する画素形成領域11間で第1配線層16及び第1保護層17同士、及び第3導電層7同士が分離されて形成され、それらの間を仕切るようにして隔壁9が層間絶縁層4上に形成されている。
【0100】
図10に示すEL装置1eは、第2実施形態の構成と、図9に示す構成とを組み合わせたものである。
【0101】
図11に示すEL装置1fは、図9に示す構成から、隔壁9、第3導電層7及び各画素形成領域11内に設けた層間絶縁層4のコンタクトホール4aを省略し、第2導電層6を複数の画素形成領域11に渡ってベタパターンで形成している。
【0102】
図12に示すEL装置1gは、図11に示す構成において、第1保護層17と、第1電極層、有機層8及び第2導電層6との間に絶縁層31を設けている。
【0103】
本発明は、上述の実施形態、変形例に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、種々の変更・改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の第1実施形態に係るEL装置の平面図である。
【図2】図1のA1−A1断面図である。
【図3】図1のA2−A2断面図である。
【図4】図2のA3−A3断面図である。
【図5】図5(a)ないし図5(c)は図1のEL装置の製造工程を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るEL装置の断面図である。
【図7】図6のA4−A4断面図である。
【図8】実施形態に係るEL装置の変形例を示す断面図である。
【図9】実施形態に係るEL装置の変形例を示す断面図である。
【図10】実施形態に係るEL装置の変形例を示す断面図である。
【図11】実施形態に係るEL装置の変形例を示す断面図である。
【図12】実施形態に係るEL装置の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0105】
1,1a〜1g EL装置、2 基板、3 回路層、4 層間絶縁層、5 第1導電層、6 第2導電層、6a 端部、7 第3導電層、8 有機層、8a,8b 端部、9 隔壁、9a 上面、9b エッジ部、11 画素形成領域、12 有機発光素子、13 発光領域、16 第1配線層、17 第1保護層、18 第1電極層、18a,18b 端部、18c 端面、19 第2電極層、21 第2配線層、22 第2保護層、26 マスク、27 蒸着領域、31 絶縁層、31a,31b コンタクトホール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された第1導電層と、
前記第1導電層上に形成され、発光層を含む有機層と、
前記有機層上に形成された第2導電層と、
を備え、
前記第1導電層は、
第1配線層と、
導電性を有し、前記第1配線層上に形成されて前記第1配線層を保護する第1保護層と、
前記第1保護層上に形成され、光反射率が前記第1保護層よりも大きい第1電極層と、
を有することを特徴とするEL装置。
【請求項2】
請求項1に記載のEL装置において、
前記第1配線層、前記第1保護層及び前記第1電極層が金属材料により形成されていることを特徴とするEL装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のEL装置において、
前記第2導電層と電気的に接続され、前記第1導電層に対して離間した領域に形成される第3導電層をさらに備え、
前記第3導電層は、
第2配線層と、
導電性を有し、前記第2配線層上に形成されて前記第2配線層を保護する第2保護層と、
を有し、
前記第2電極層の一部が、前記第2保護層上まで延びて前記第2保護層に電気的に接続されることを特徴とするEL装置。
【請求項4】
請求項3に記載のEL装置において、
前記第2配線層及び前記第2保護層が金属材料により形成されていることを特徴とするEL装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のEL装置において、
前記第1配線層及び前記第1電極層は、アルミニウム、銀、ロジウム、金、及び銅の少なくともいずれか一つを含み、
前記第1保護層は、モリブデン又はモリブデン合金からなることを特徴とするEL装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のEL装置において、
前記第1導電層、前記有機層及び前記第2導電層で構成される有機発光素子が配置される複数の画素形成領域と、
前記基板上に形成され、隣接する画素形成領域同士の間を仕切る隔壁と、をさらに備えたことを特徴とするEL装置。
【請求項7】
請求項6に記載のEL装置において、
前記有機層の端部は、前記隔壁の側壁もしくはその近傍まで延設されていることを特徴とするEL装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載のEL装置において、
前記隔壁の断面形状は、下部よりも上部が幅広な略逆テーパーを成し、
前記有機層の端部は、前記隔壁の上面の直下領域内まで延設されていることを特徴とするEL装置。
【請求項9】
請求項8に記載のEL装置において、
前記第1電極層及び前記第2導電層の端部が前記隔壁の上面の直下領域もしくはその近傍まで延設されていることを特徴とするEL装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のEL装置において、
前記有機層が前記第1電極層の端面を被覆していることを特徴とするEL装置。
【請求項11】
請求項10に記載のEL装置において、
前記有機層が前記第1電極層の外周に沿った端面の全面を被覆していることを特徴とするEL装置。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載のEL装置において、
前記有機層は前記第1電極層よりも厚みが大きいことを特徴とするEL装置。
【請求項13】
請求項9に記載のEL装置において、
前記隔壁は、前記画素形成領域を個別に囲むように形成され、
前記第1電極層、前記有機層及び前記第2電極層が略矩形状を有し、
前記隔壁上面の直下領域内まで延設された前記有機層の端部、並びに、前記隔壁上面の直下領域もしくはその近傍まで延設された前記第1電極層及び前記第2電極層の端部は、前記第1電極層、前記有機層及び前記第2電極層の4辺のうちの少なくとも3辺に対応する端部であることを特徴とするEL装置。
【請求項14】
請求項6ないし請求項13のいずれかに記載のEL装置において、
前記基板と前記第1導電層との間に形成された層間絶縁層をさらに備え、
前記有機層は、前記第1電極層から前記層間絶縁層上まで延設されていることを特徴とするEL装置。
【請求項15】
請求項1ないし請求項14のいずれかに記載のEL装置において、
前記第1電極層の端部が、前記第1配線層及び前記第1保護層の端部よりも外側まで延設されていることを特徴とするEL装置。
【請求項16】
請求項1ないし請求項15のいずれかに記載のEL装置において、
前記有機層は、前記第1電極層、前記第1保護層及び前記第1配線層の端面を被覆することを特徴とするEL装置。
【請求項17】
請求項1ないし請求項16のいずれかに記載のEL装置において、
前記第1保護層と前記第1電極層との間に介在される絶縁層をさらに備え、
前記有機層は、前記第1電極層から前記絶縁層上まで延設されていることを特徴とするEL装置。
【請求項18】
請求項3ないし請求項5のいずれかに記載のEL装置において、
前記基板と前記第1配線層との間に、回路層と、該回路層上に配設され、コンタクトホールを有する層間絶縁層と、を更に備え、
前記前記第3導電層が、前記コンタクトホール内に被着されていることを特徴とするEL装置。
【請求項19】
請求項18に記載のEL装置において、
前記第3導電層は、前記コンタクトホールの内面から前記層間絶縁層上にかけて被着されることを特徴とするEL装置。
【請求項20】
請求項18又は請求項19に記載のEL装置において、
前記第2導電層と前記第3導電層との接続部は、前記コンタクトホール内に位置することを特徴とするEL装置。
【請求項21】
請求項18ないし請求項20のいずれかに記載のEL装置において、
前記第2導電層と前記第3導電層との接続部は、前記層間絶縁層上に位置することを特徴とするEL装置。
【請求項22】
請求項18ないし請求項21のいずれかに記載のEL装置において、
前記回路層は、薄膜トランジスタ又は容量素子の一部を有することを特徴とするEL装置。
【請求項23】
請求項18ないし請求項22のいずれかに記載のEL装置において、
前記第1導電層、前記有機層及び前記第2導電層で構成される有機発光素子が配置される複数の画素形成領域をさらに備え、
前記第2導電層は、隣接する画素形成領域同士で電気的に接続されていることを特徴とするEL装置。
【請求項24】
請求項18ないし請求項22のいずれかに記載のEL装置において、
前記第1導電層、前記有機層及び前記第2導電層で構成される有機発光素子が配置される複数の画素形成領域をさらに備え、
前記第1導電層は、隣接する画素形成領域同士で電気的に接続されていることを特徴とするEL装置。
【請求項25】
請求項1ないし請求項24のいずれかに記載のEL装置において、
前記第1電極層及び前記有機層は、チャンバ内の真空状態を保持した状態で続けて形成されていることを特徴とするEL装置。
【請求項26】
請求項6ないし請求項9のいずれかに記載のEL装置であって、
前記有機層は、前記隔壁を蒸着マスクの全部もしくは一部として利用して形成されていることを特徴とするEL装置。
【請求項27】
請求項6ないし請求項9のいずれかに記載のEL装置であって、
前記有機層は、前記基板に対して斜め方向から蒸着されたことを特徴とするEL装置。
【請求項28】
請求項6ないし請求項9のいずれかに記載のEL装置であって、
前記第1電極層及び前記第2導電層は、前記隔壁を蒸着マスクの全部もしくは一部として利用して形成され、
前記第1電極層及び前記第2導電層は、前記基板に対して略垂直方向から蒸着されて形成されていることを特徴とするEL装置。
【請求項29】
請求項1ないし請求項28のいずれかに記載のEL装置の製造方法において、
前記第1電極層を減圧状態のチャンバ内で形成する工程と、
前記第1電極層の形成後に、チャンバ内の減圧状態を保持した状態で前記有機層を形成する工程と、
を備えることを特徴とするEL装置の製造方法。
【請求項30】
請求項6ないし請求項9のいずれかに記載のEL装置の製造方法であって、
前記有機層の構成材料が載置された蒸着源から前記第1電極層に向かって飛翔する蒸着物質の入射角が蒸着中に変化するように、前記蒸着源もしくは前記基板の少なくともいずれか一方を移動させながら前記有機層の蒸着を行う工程を備えることを特徴とするEL装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−179913(P2007−179913A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−378237(P2005−378237)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】