ELISAアッセイを用いた循環する治療抗体、抗原および抗原/抗体複合体の測定
【課題】細胞分化抗原またはそのフラグメントのような、溶解性のリンパ球表面分子を検出またはモニタリングするための手法を提供すること。
【解決手段】治療抗体:抗原複合体を検出する工程であって、当該方法は、以下:
患者からサンプルを得る工程であって、ここで当該患者は、治療抗体を用いる免疫療法の過程を受け、ここで当該治療抗体は、当該複合体を形成する可溶性循環標的抗原に結合する、工程;当該サンプルを、第1のモノクロナ−ル抗体と接触させる工程であって、ここで当該抗体は、当該複合体を捕捉する、工程;当該複合体を、標識された第2の抗体と接触させる工程;および当該標識された複合体を測定する工程、を包含する、方法。
【解決手段】治療抗体:抗原複合体を検出する工程であって、当該方法は、以下:
患者からサンプルを得る工程であって、ここで当該患者は、治療抗体を用いる免疫療法の過程を受け、ここで当該治療抗体は、当該複合体を形成する可溶性循環標的抗原に結合する、工程;当該サンプルを、第1のモノクロナ−ル抗体と接触させる工程であって、ここで当該抗体は、当該複合体を捕捉する、工程;当該複合体を、標識された第2の抗体と接触させる工程;および当該標識された複合体を測定する工程、を包含する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許仮出願第60/323,679号(2001年9月20日出願)に対して優先権を主張する。
(発明の背景)
((A)発明の分野)
本発明は、免疫学および過剰増殖疾患の分野に関連する。さらに詳細には、本発明は、少なくとも一度の免疫療法を受けた患者における、治療抗体:抗原複合体、可溶性抗原、遊離した治療抗体、および可溶性のすべての治療抗体の検出およびモニタリングの方法に関連する。さらに、その方法は、治療抗体:抗原複合体、可溶性抗原または可溶性の治療抗体のレベルを測定することにより、過剰増殖疾患のモニタリングまたは病期分類に使用され得る。
【背景技術】
【0002】
((B)関連分野の説明)
((1)分化クラスター)
分化クラスター(CD)は、分化抗原に対するモノクローナル抗体の反応性の比較により、ヒト白血球分化抗原(BernanrdおよびBoumsell,1984)を定義するために確立された。これらの細胞表面抗原は、細胞株のマーカーとして働き、異なる機能を有する白血球の集団(例えば、好中球および単球)を識別する。
【0003】
白血球細胞表面抗原は、白血球集団およびそれらの機能的状態の同定の可能性のある膨大な臨床的用途を有する(Krensky,1985,Kungら,1984;Kungら,1983;Cosimiら,Knowlesら,1983;およびHoffman,1984)。例えば、表面マーカーによるT細胞の総数の測定は、リンパ性悪性疾患(Greavesら,1981)および移植に関連したウイルス感染(Colvin,R.Bら,1981)、ならびにエイズ(Gupta,1986;Ebertら,1985)の特徴付け、診断および分類に有用である。
((a)CD20)
CD20(B1(Bp35)とも呼ばれる)は、Bリンパ球の表面上に検出される細胞表面リンタンパク質である(TedderおよびSchlossman,1988;Warzynskiら,1994;Alginoら 1996)。CD20は、ヒトB細胞の活性化、増殖および分化の制御において、主要な役割を有している(Golayら,1985;TedderおよびEngel,1994;Kehrlら,1994)。CD20は、非増殖B細胞と比較した場合、悪性B細胞および増殖B細胞において激しくリン酸化されることが報告されている(TedderおよびSchlossman,1988)。配列解析に基づいて、CD20分子は、細胞質中に4つの膜貫通ドメインとN−およびC−末端ドメインを有すると思われる(Kehrl,ら,1994)。その分子は、膜貫通Ca++コンダクタンスを制御すると思われる(TedderおよびEngel,1994)。CD20の細胞外タンパクに対する抗体は、src関連キナーゼとの相互作用により細胞周期の進行を調節するチロシンキナーゼ経路を活性化すると思われる(Deansら,1995;Popoffら1998;Hofmeisterら,2000)。抗体に結合した際の界面活性剤不溶性の膜コンパートメントへのCD20の再局在もまた報告されている(Deansら,1998)。いくつかの研究が、異なる過剰増殖疾患における悪性のB細胞の表面上のCD20発現の強度の変化を証明した(Almasriら,1992;Ginaldiら,1998)。この成功を受けて、様々なB細胞悪性疾患の処置において、抗CD20モノクローナル抗体(Rituximab)は重要である(Maloneyら,1999;Dimopoulousら,2000;Zinzaniら,2000;Hainsworth,2000;Keatingら,2000;McLaughlinら,2000:Kuehnleら,2000)。報告されているCD20分子の構造は、CD20が細胞表面から分泌されず、そしてCD20が細胞表面から放出される可能性はほとんどないことを示唆する。
((b)CD52)
CD52抗原は、12アミノ酸からなる非常に短い成熟タンパク質配列を有するが、大きな糖質ドメイン(タンパク質ドメインの大きさの約3倍)を有する糖タンパク質である(Xia,M.Qら,1993;Treumann,A.ら,1995)。CD52は、Tリンパ球、Bリンパ球、単球/マクロファージ、好酸球およびいくつかの造血前駆体の表面で発現される(Rowan,W.ら,1998;Elsner,J.ら,1996;Taylor,M.L.ら,2000;Gilleece,M.H.ら,1993)。CD52はまた、男性生殖管、主に末端の表皮、精管および精嚢の上皮内層細胞において発現される(Kirchhoff,C.ら,1995;Kirchhoff,C.ら,1993;Kirchhoff,C.1996;Kirchhoff,C.ら,1997;Kirchhoff,C.,1998;Kirchhoff,C.ら,2000)。CD52は、精子が正常な運動性を保つために必要である。CD52は、生殖管を通じた精子細胞の通過を可能にするために、精漿内に分泌され、精子細胞により捕捉される。そのため、CD52は精巣上体の精子および射精された精子の表面上において検出されるが、精子形成細胞または精巣の精子どちらにおいても検出されない。精子のタンパク核およびリンパ球のタンパク核心は同じである−両方とも第1染色体(1p36)に位置する単一コピー遺伝子の産物である(Tone,M.ら,1999)。しかしながら、N結合型糖側鎖およびGPIアンカー構造は異なる。リンパ球におけるCD52の生理的な役割は不明である。
【0004】
モノクローナル抗体のCampath−1ファミリーは、本来はヒトT細胞に対してラットを免疫することで作製された(Friend,P.J.ら,1991)。後の研究は、Campath−1抗体がCD52を認識することを示した(Xia,M.Q.ら,1993;Xia,M.Q.ら,1991;Hale,G.ら,1990)。いくつかの形態、IgGおよびIgMの両方が作製された。Campath−1のIgG1形態は、ヒト化され、そしてその因子である、Campath−1H(Alemtuzumab)は、難治性の慢性リンパ性リンパ腫(CLL)の処置に対して近年認められた(Finkelstein,J.Bら,2001;Rawstron,A.C.ら,2001;Riechmann,L.ら,1988)。Campath−1ファミリーの抗体はまた、インビトロで同種骨髄移植におけるリンパ球の欠乏にも用いられ、そして様々な疾患における免疫調節治療として研究されている(Moreau,T.ら,1996;Matteson,E.L.ら.,1995;Lim,S.H.ら,1993;Lockwood,C.M.ら,1993;Lockwood,C.M.,1993;Lockwood,C.M.ら,1996;Dick,A.D.ら,2000;Hale,G.ら,2000;Isaacs,J.D.ら,1992;Lim,S.H.ら,1993;Mehta,J.ら,1997;Naparstek,E.ら,1999;Naparstek,E.ら,1995;Novitzky,N.ら,1999;Or,R.ら,1994)。
【0005】
CD52に対する抗体は、抗原架橋により、細胞の殺傷を開始すると考えられる(Hale,C.ら,1996)。この架橋の結果、腫瘍壊死因子−α、インターフェロンγ、およびインターロイキンを含むいくつかのサイトカインが放出される(Elsner,J.ら,1996;Wing,M.G.ら,1996;Wing,M.G.ら,1995)。抗体によるCD52の架橋は、アポトーシスおよび抗体依存の細胞傷害性を促進し、それは慢性リンパ性リンパ腫(CLL)の患者の治療においてCampath−1Hの効果に重要になり得る(Rowan,W.ら,1998;Rawstron,A.C.ら,2001;Greenwood,J.ら,1994;Xia,M.Q.,ら,1993)。CD52は、CLL患者の腫瘍性リンパ球、軽度のリンパ腫およびT細胞悪性腫瘍の表面上で発現される(Dyer,M.J.,1999;Dybjer,A.ら,2000;Pawson,R.ら,1997;Salisbury,J.R.ら,1994;Matutes,E.1998)。骨髄性、単球性、および急性のリンパ芽球性リンパ腫のいくつかの症例もまたCD52を発現する(Belov,L.ら,2001;Hale,G.ら,1985)。さまざまな血液学的悪性腫瘍におけるCD52の幅広い発現は、これらの悪性腫瘍の治療におけるCampath−1Hの使用への関心の増加をもたらした(Khorana,A.ら,2001;Keating,M.J.1999)。
【0006】
CD52は、男性生殖器系において放出され、そしてこの可溶性分子は精子機能を維持するために重要な役割を果たす(Kirchhoff,C.,1996;Yeung,C.H.ら,1997;Yeung,C.H.ら,2001)。しかしながら、CD52が造血細胞から放出されるおよび/またはCLL患者の血液循環において検出可能であるかは知られていない。
((c)CD33)
CD33は、シアリン酸に結合するシグレックス(siglecs)ファミリーのメンバーである。CD33は、細胞の骨髄単球性系統に制限される。ミエロイド(myloid)細胞の成熟の間、多能性造血幹細胞は、減少した自己再生能力および高程度の分化を有している前駆細胞の増加を生じさせる。この発達の間、正常ミエロイド細胞は、細胞表面抗原(例えばCD33)を発現する。CD33は、成熟した正常造血細胞に存在するが、正常造血幹細胞は、この細胞表面抗原を欠いている。成熟している正常造血細胞に加え、CD33は急性骨髄性白血病(AML)においても存在する。したがって、このミエロイド細胞表面マーカーは、モノクローナル抗体ターゲティングの誘引性の標的となる。またさらに、抗CD33抗体はまた、白血病細胞へ放射線あるいは細胞傷害性物質を直接送達するために使用される。
((2)免疫学的検定法)
免疫学的検定法は、細胞表面抗原を測定するために通常は用いられる。代表的には、フローサイトメトリーを用いた免疫蛍光が、最適な免疫学的検定法である。しかしながら、他の免疫学的検定法、例えば酵素結合免疫測定法(ELISA)も使われ得る。この技術は、生物学的分子を検出するための強力な測定法を作成する簡易な相分離と相互作用をもつ抗原−抗体の特別な性質に基づいている。
【0007】
一つの周知の極めて特異的なELISAはサンドイッチELISAである。この測定法において、抗体は固相または固体支持体に結合され、次いで二成分固相抗原:抗体複合体の形成によって試料から抗原を抽出するために、試験される試料と接触される。適当なインキュベーション時間の後、固体支持体は、液体試料の残留物を除去するために洗浄され、次いで既知量の標識抗体を含む溶液と接触される。
【0008】
ELISAに対する方法論および計測手段は、免疫蛍光の方法論および計測手段よりも容易である。またさらに、ELISA測定法および免疫蛍光測定法は、完全に異なる測定法である。ELISA測定法は、全身を反映する血漿/血球中のタンパク質(抗原)を測定する。表面免疫蛍光測定法は、個々の細胞表面の抗原を測定し、身体中の細胞の量の情報を提供しない。従って、ELISA測定法の発展に全身の測定を提供するための利点がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の簡単な要旨)
従って、本発明の目的は、細胞分化抗原またはそのフラグメントのような、溶解性のリンパ球表面分子を検出またはモニタリングするための手法を提供することである。特に、細胞分化抗原に向けられる可溶性表面抗原、抗体:抗原複合体および抗体は、改変サンドイッチELISA技術を用いることで検出またはモニタリングされ得る。また、改変サンドイッチELISA技術を使用して定量化される可溶性細胞表面分子は、炎症または感染のような任意の他のプロセスに起因して、癌または他の過剰増殖疾患を有する個体の増殖または細胞体積のモニタリングのために用いられ得る。
【0010】
特定の実施形態において、抗体:抗原複合体は、少なくとも1つの治療抗体を用いた免疫療法の治療(例えば、注射)を受けた患者で測定される。治療抗体としては、抗CD20、抗CD52または抗CD33が挙げられ得るが、これらに限定されない。抗体:抗原複合体は、ELISA技術によって測定され、抗体免疫療法の効果の決定を提供する。
【0011】
本発明の別の局面は、患者に免疫治療を提供する方法を含み、この方法は、治療抗体を投与工程、ならびに循環抗体:抗原複合体、総抗体、遊離抗原および遊離抗体の存在を検出する工程を包含する。治療抗体は、細胞表面から放出される可溶性抗原に結合する。抗原はCD20、CD52およびCD33であると想定される。これらの方法は、抗体に基づいた治療の効果をモニタリングするために利用され得ると想定される。
【0012】
さらなる実施形態において、本発明は、可溶性白血球表面分子、治療抗体または抗体:抗原複合体を測定することで過剰増殖疾患の検出またはモニタリングする方法を提供する。具体的には、患者から試料が得られ、その試料が1次モノクローナル抗体と接触され、ここでこの抗体は複合体を捕獲し;この複合体は標識された2次抗体と接触され;そしてこの標識された複合体が測定される。1次モノクローナル抗体は、固体表面に結合される。またさらに、患者は、治療抗体を用いた免疫療法の治療を受けここで、この治療抗体は、複合体を形成する可溶性の循環標的抗原と結合する。
・本発明はさらに、以下を提供し得る:
・(項目1)
患者における抗体免疫療法の効力を決定する方法であって、循環する抗体:抗原複合体のレベルの検出する工程を包含する、方法。
・(項目2)
検出工程がELISAによる、項目1に記載の方法。
・(項目3)
上記抗体免疫療法が、Rituximab、Campath−1HまたはMylotargである、項目1に記載の方法。
・(項目4)
免疫療法の方法であって、当該方法は、患者に治療抗体を投与する工程および循環する抗体:抗原複合体の存在を検出する工程を包含する、方法。
・(項目5)
上記抗体が、可溶性抗原に結合する、項目4に記載の方法。
・(項目6)
上記抗原が、細胞表面から分離される、項目5に記載の方法。
・(項目7)
上記抗原が、CD20、CD52およびCD33である、項目5に記載の方法。
・(項目8)
検出工程がELISAによる、項目4に記載の方法。
・(項目9)
治療抗体:抗原複合体を検出する工程であって、当該方法は、以下:
患者からサンプルを得る工程であって、ここで当該患者は、治療抗体を用いる免疫療法の過程を受け、ここで当該治療抗体は、当該複合体を形成する可溶性循環標的抗原に結合する、工程;当該サンプルを、第1のモノクロナ−ル抗体と接触させる工程であって、ここで当該抗体は、当該複合体を捕捉する、工程;当該複合体を、標識された第2の抗体と接触させる工程;および当該標識された複合体を測定する工程、を包含する、方法。
・(項目10)
上記第1モノクローナル複合体が、固体表面に結合する、項目9に記載の方法。
・(項目11)
上記サンプルが、血清または血漿である、項目9に記載の方法。
・(項目12)
上記患者がヒト患者である、項目9に記載の方法。
・(項目13)
上記第1のモノクローナル抗体が、抗CD20、抗CD52または抗CD33である、項目9に記載の方法。
・(項目14)
上記治療抗体が、抗CD20、抗CD52または抗CD33である、項目9に記載の方法。
・(項目15)
上記治療抗体が、Rituximabである、項目14に記載の方法。
・(項目16)
上記治療抗体が、Campath−1Hである、項目14に記載の方法。
・(項目17)
上記治療抗体が、Mylotargである、項目14に記載の方法。
・(項目18)
治療抗体療法をモニタリングする方法であって、当該方法が、患者のサンプルにおける治療抗体:抗原複合体を測定する工程を包含する、方法。
・(項目19)
上記患者サンプルが血清または血漿である、項目18に記載の方法。
・(項目20)
上記治療抗体が、抗CD20、抗CD52または抗CD33である、項目18に記載の方法。
・(項目21)
上記治療抗体が、Rituximabである、項目20に記載の方法。
・(項目22)
上記治療抗体が、Campath−1Hである、項目20に記載の方法。
・(項目23)
上記治療抗体が、Mylotargである、項目20に記載の方法。
・(項目24)
過剰増殖疾患をモニタリングする方法であって、当該方法が、患者のサンプルにおける治療抗体:抗原複合体を測定する工程を包含する、方法。
・(項目25)
上記過剰増殖疾患を、さらに癌として規定する、項目24に記載の方法。
・(項目26)
上記癌が、新生物を含む、項目25に記載の方法。
・(項目27)
上記新生物が、黒色腫、非小肺細胞、小肺細胞、肺肝臓癌、網膜芽細胞腫、星状細胞腫、神経謬芽細胞、歯肉、舌、白血病、神経芽細胞腫、頭部、頚部、胸部、膵臓、前立腺、腎臓、骨、精巣、卵巣、中皮腫、子宮頚部、胃腸、リンパ腫、脳、結腸、または膀胱である、項目26に記載の方法。
・(項目28)
上記新生物が、造血細胞新生物であって、当該新生物は、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄単球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、T細胞慢性リンパ性白血病および前リンパ球性白血病から成る群から選択された、項目26に記載の方法。
・(項目29)
上記治療抗体が、抗CD20、抗CD52または抗CD33である、項目24に記載の方法。
・(項目30)
上記治療抗体が、Rituximabである、項目29に記載の方法。
・(項目31)
上記治療抗体が、Campath−1Hである、項目29に記載の方法。
・(項目32)
上記治療抗体が、Mylotargである、項目29に記載の方法。
・(項目33)
自己免疫疾患をモニタリングする方法であって、当該方法が、患者の血清における治療抗体:抗原複合体を測定する工程を包含する、方法。
・(項目34)
上記治療抗体が、抗CD52である、項目33に記載の方法。
・(項目35)
上記治療抗体CD52が、Campath−1Hである、項目34に記載の方法。
・(項目36)
第2の治療抗体:抗原複合体を測定する工程をさらに包含する、項目33に記載の方法。
・(項目37)
上記第2の治療抗体が、抗CD20である、項目36に記載の方法。
・(項目38)
上記抗CD20が、Rituximabである、項目37に記載の方法。
・(項目39)
上記第1:抗原複合体および上記第2の抗体:抗原複合体が、同時に測定される、項目37に記載の方法。
・(項目40)
上記第1:抗原複合体および上記第2の抗体:抗原複合体が、連続的に測定される、項目37に記載の方法。
・(項目41)
上記自己免疫疾患が、シェ−グレン症候群、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、自己免疫性甲状腺疾患、無反応性眼球炎症性疾患、多発性硬化症、またはヴェーゲナー肉芽腫症である、項目33に記載の方法。
・(項目42)
腫瘍の質量を決定する方法であって、当該方法は、以下:
患者からサンプルを得る工程;
当該サンプルを第1のモノクロナ−ル抗体と接触させる工程であって、ここで当該抗体が、当該サンプル中の可溶性抗原を捕捉する、工程;
当該可溶性抗原を、標識された第2の抗原と接触させる工程;および
当該標識された可溶性抗原を測定する工程
を包含する、方法。
・(項目43)
上記サンプルが、血漿である、項目42に記載の方法。
・(項目44)
上記第1のモノクロナ−ル抗体が、抗CD20である、項目42に記載の方法。
・(項目45)
上記可溶性抗原が、CD20である、項目42に記載の方法。
・(項目46)
上記標識された第2の抗体が、Rituximabである、項目42に記載の方法。
・(項目47)
上記腫瘍が、黒色腫、非小肺細胞、小肺細胞、肺肝臓癌、網膜芽細胞腫、星状細胞腫、神経謬芽細胞腫、歯肉、舌、白血病、神経芽細胞腫、頭部、頚部、胸部、膵臓、前立腺、腎臓、骨、精巣、卵巣、中皮腫、子宮頚部、胃腸、リンパ腫、脳、結腸、または膀胱である、項目42に記載の方法。
・(項目48)
上記腫瘍が、B細胞腫瘍である、項目42に記載の方法。
・(項目49)
上記B細胞腫瘍が、慢性リンパ性白血病である、項目43に記載の方法。
・(項目50)
B細胞過剰増殖疾患を病気分類する方法であって、当該疾患が、サンドイッチ型ELISAにより、患者サンプルにおける、可溶性CD20のレベルを決定する工程を包含する、方法。
・(項目51)
上記可溶性CD52のレベルを決定する工程をさらに包含する、項目50に記載の方法。
・(項目52)
上記B細胞過剰増殖疾患が、慢性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄単球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、多発性骨髄腫、毛様細胞性白血病、前リンパ球性白血病、またはリンパ腫である、項目50に記載の方法。
・(項目53)
上記B細胞過剰増殖疾患が慢性リンパ球性白血病である、項目50に記載の方法。
・(項目54)
B細胞過剰増殖疾患をモニタリングする方法であって、当該方法が、サンドイッチ型ELISAにより、患者サンプルにおける可溶性CD20のレベル、可溶性抗CD20のレベルまたはCD20/抗CD20複合体のレベルを測定する工程を包含する、方法。
・(項目55)
上記B細胞過剰増殖疾患が、慢性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄単球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、多発性骨髄腫、毛様細胞性白血病、前リンパ球性白血病、またはリンパ腫である、項目54に記載の方法。
・(項目56)
上記B細胞過剰増殖疾患が、慢性リンパ性白血病である、項目54に記載の方法。
・(項目57)
上記可溶性CD52のレベル、可溶性抗CD52のレベルまたはCD52/抗CD52複合体のレベルを測定する工程をさらに包含する、項目54に記載の方法。
・(項目58)
造血性過剰増殖疾患をモニタリングする方法であって、当該方法が、サンドイッチ型ELISAにより、上記可溶性CD52のレベル、可溶性抗CD52のレベルおよびCD52/抗CD52複合体のレベルを測定する工程を包含する、方法。
・(項目59)
上記造血性過剰増殖疾患が、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄単球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、多発性骨髄腫、T細胞慢性リンパ性白血病、前リンパ球性白血病、および他のT細胞疾患からなる群から選択される、項目58に記載の方法。
・(項目60)
可溶性CD20の量、可溶性抗CD20の量およびCD20/抗CD20複合体の量を測定する工程をさらに包含する、項目58に記載の方法。
・(項目61)
可溶性CD33の量、可溶性抗CD33の量およびCD33/抗CD33複合体の量を測定する工程をさらに包含する、項目60に記載の方法。
・(項目62)
T細胞過剰増殖疾患を病気分類する方法であって、当該方法が、サンドイッチ型ELISAによって、患者サンプルにおける可溶性CD52のレベルを測定する工程を包含する、方法。
・(項目63)
上記T細胞過剰増殖疾患が、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄単球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、多発性骨髄腫、T細胞慢性リンパ性白血病、前リンパ球性白血病、および他のT細胞疾患である、項目62に記載の方法。
・(項目64)
上記T細胞過剰増殖疾患が、慢性リンパ性白血病である、項目63に記載の方法。
・(項目65)
T細胞過剰増殖疾患をモニタリングする方法であって、当該方法が、サンドイッチ型ELISAにより、患者サンプルにおける可溶性CD52のレベル、可溶性抗CD52のレベルまたはCD52/抗CD52複合体のレベルを測定する工程を包含する、方法。
・(項目66)
上記T細胞過剰増殖疾患が、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄単球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、多発性骨髄腫、T細胞慢性リンパ性白血病、前リンパ球性白血病、および他のT細胞疾患である、項目65に記載の方法。
・(項目67)
上記T細胞過剰増殖疾患が、慢性リンパ性白血病である、項目66に記載の方法。
・(項目68)
骨髄性過剰増殖疾患を病気分類する方法であって、当該方法が、サンドイッチ型ELISAにより、患者サンプルにおける、可溶性CD33のレベルを決定する工程を包含する、方法。
・(項目69)
上記骨髄性過剰増殖疾患が、慢性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄単球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、多発性骨髄腫、毛様細胞性白血病、前リンパ球性白血病、またはリンパ腫である、項目68に記載の方法。
・(項目70)
上記骨髄性過剰増殖疾患が、急性骨髄性白血病である、項目69に記載の方法。
・(項目71)
骨髄性過剰増殖疾患をモニタリングする方法であって、当該方法が、サンドイッチ型ELISAにより、患者サンプルにおける、可溶性CD33のレベル、可溶性抗CD33のレベルまたはCD33/抗CD33複合体のレベルを測定する工程を包含する、方法。
・(項目72)
上記骨髄性過剰増殖疾患が、慢性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄単球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、多発性骨髄腫、毛様細胞性白血病、前リンパ球性白血病、およびリンパ腫である、項目71に記載の方法。
・(項目73)
上記過剰増殖疾患が、急性骨髄性白血病である、項目72に記載の方法。
【0013】
本明細書で使用される場合、過剰増殖疾患は、さらに癌と定義され得る。またさらに、癌は新生物と定義される。例示的な新生物としては、黒色腫、非小細胞肺、小細胞肺、肺肝臓癌(lung hepatocarcinoma)、網膜芽細胞腫、星状細胞腫、神経膠芽腫、歯茎、舌、白血病、神経芽細胞腫、頭部、頸部、胸部、膵臓、前立腺、腎臓、骨、精巣、卵巣、中皮腫、子宮頸部、胃腸、リンパ腫、脳、結腸、または膀胱が挙げられるが、これに限定されない。
【0014】
過剰増殖疾患は、さらに自己免疫疾患(例えば、シェーグレン症候群、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、自己免疫甲状腺疾患、難治性眼球炎症、多発性硬化症、ヴェーゲナー肉芽腫症または感染症)と定義され得ることが企図される。
【0015】
特定の実施形態において、本発明は、造血性新生物をモニタリング、検出、または病期決定をする。例示的な造血性新生物としては、慢性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、骨髄形成異常症候群、慢性骨髄単球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、T細胞慢性リンパ球性白血病または前リンパ球性白血病を含むが、これに限定されない。
【0016】
またさらに、本発明は、腫瘍質量の決定に使用され得ることが企図される。腫瘍質量は、可溶性白血球細胞表面抗原、可溶性抗体または可溶性抗体:抗原複合体のレベルを測定する本発明の改変サンドイッチELISA技術を用いて測定され得る。
【0017】
特許請求の範囲および/または明細書において、用語「含む(comprising)」と組み合わせて使用される場合、単語「a」または「an」の使用は、「1つ(one)」を意味し得る。しかし、これはまた、「一つ以上」、「少なくとも一つ」および「一つかそれ以上」の意味と一致する。
【0018】
前記は以下の発明の詳細な説明がより理解され得るように、いく分大まかに本発明の特性および技術的利点について概説した。特許請求の範囲の事項を構成する本発明のさらなる特性および利点は、以下に記述され得る。開示される概念および特定の実施形態が、本発明と同じ目的の実施のための他の構造を改良または設計するための基礎として容易に利用され得ることが当業者に認められ得る。このような等価な構成物は添付の特許請求の範囲に記載の本発明の精神および範囲から逸脱しないこともまた、当業者に理解されるはずである。本発明を特徴付けると考えられる新規の特性は、その機構および実施の方法についての両方で、さらなる目的および利点とともに、添付した図と共に考えた場合に、以下の説明からより良く理解される。しかしながら、個々の図は、図示および説明のためのみに提供され、本発明の制限の定義を意図するものではないと明確に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下の図面は、本明細書の一部をなし、そして本発明の特定の局面をさらに説明するために含まれている。本発明は、本明細書中に示される特定の実施形態の詳細な説明と一緒に一つ以上のこれらの図面を参考することによってより良く理解され得る。
【図1】図1は、慢性リンパ球性白血病(CLL)患者の血漿中のsCD20のレベルを示すウエスタンブロットを表している。正常末梢血単核(MN)細胞からのタンパク抽出物は、CD20の発現が無いことを示し、一方CLL(C)患者からの白血病細胞は、33〜36KDの分子量をもつ、予想されるタンパク質を示している。正常な個体由来の血漿(NP)および、CLL患者からの血漿は、可溶性CD20(sCD20)を示す。
【図2】図2は、CLL患者の血漿中のsCD52のレベルを示すウエスタンブロットを表している。白血病細胞由来の(C)タンパク抽出液は、予想されるタンパク質を示し、同じ患者由来の血漿(P)は可溶性のsCD52を示す。CD52はまた、正常な個体(NC)由来の末梢血単核細胞および正常血漿(NP)においても検出される。
【図3】図3は、正常個体と比較して、CLL患者のsCD20のレベルが高いことを示す。
【図4】図4は、ELISAにより決定されたsCD52の直線性を図示する。
【図5】図5は、CLL患者が、正常個体と比較して、sCD52の高いレベルを有していることを図示している。
【図6】図6は、sCD20/リツキシマブ複合体がリツキシマブのレベルの増加とともに増加したこと示す。
【図7】図7は、sCD20レベルとRai病期分類と間の直接的な相関を示す。
【図8】図8は、sCD20レベルとBinet病期分類と間の直接的な相関を示す。
【図9】図9は、低いsCD20を有する患者と比較して高いsCD20を有する患者の中央生存率を示す。
【図10】図10は、sCD52のレベルがRai病期分類と相関することを示す。
【図11】図11は、sCD52のレベルがBinet病期分類と相関することを示す。
【図12】図12は、sCD52の高いレベルが、乏しい細胞遺伝学を有するCLL患者において検出されることを図示している。
【図13】図13は、肥大したリンパ節を有するリンパ節部位の数が多い患者において高いレベルのsCD52が検出されることを図示している。
【図14】図14は、高いレベルのsCD52を有する患者が、低いレベルのsCD52を有する患者よりも短い生存を有することを図示している。
【図15】図15は、最小の残留物について、Campath−1Hで処置された、CLL患者におけるsCD52/Campath−1H複合体の検出を示す。sCD52のレベルもまた示される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(発明の詳細説明)
癌または過剰増殖疾患の処置における抗体の使用の概念は、抗体が結合する抗原を発現する腫瘍細胞に達する抗体の能力に依存している。循環中の遊離可溶性標的抗原の存在および無細胞抗原または可溶性抗原によりこれらの抗体を結合および吸収する可能性、それ故、抗体が悪性細胞に達することの防止は、本発明に関係する。
【0021】
本明細書に記載される本発明は、過剰増殖疾患および治療の効果を診断、モニタリングまたは病期分類するための治療抗体として利用する。より詳細には、本発明は、治療抗体:抗原複合体、可溶性抗原および可溶性治療抗体を検出およびモニタリングする方法に関し、ここで患者は、少なくとも1回の免疫療法の治療を受けている。
種々の過剰増殖疾患が、本発明の方法によってモニタリングされ、病期分類されまたは診断され得る。過剰増殖疾患は、異常な細胞増殖または異常な増殖制御の任意の種類と関連する疾患および状態を含む。過剰増殖疾患は、癌としてさらに定義され得る。またさらに、癌は、腫瘍または新生物と定義され得る。本発明を用いてモニタリングまたは診断され得る典型的な新生物としては、黒色腫、非小細胞肺、小細胞肺、肺肝臓癌(lung hepatocarcinoma)、網膜芽細胞腫、星状細胞腫、神経膠芽腫、歯茎、舌、白血病、神経芽細胞腫、頭部、頸部、胸部、膵臓、前立腺、腎臓、骨、精巣、卵巣、中皮腫、子宮頸部、胃腸、リンパ腫、脳、結腸、または膀胱が挙げられるが、これに限定されない。
【0022】
より詳細には、本発明の方法は、造血性新生物のモニタリング、検出、病期分類または診断のために使用され得る。例えば、この造血性新生物としては、慢性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、骨髄形成異常症候群、慢性骨髄単球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、T細胞慢性リンパ球性白血病、前リンパ球性白血病、リンパ腫、B細胞関連疾患または他のT細胞関連疾患が挙げられるが、これに限定されない。
【0023】
診断、病期分類およびモニタリングを企図される他の過剰増殖疾患は、シェーグレン症候群、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、自己免疫甲状腺疾患、難治性眼球炎症、多発性硬化症、ヴェーゲナー肉芽腫症および口、前立腺、胸部または肺における前新生物性病変である。
【0024】
可溶性マーカー、可溶性抗体または可溶性抗体:抗原複合体の組み合わせが、過剰増殖疾患のモニタリング、病期分類または診断のために測定され得ることもまた想定される。例えば、限定しないが、可溶性抗CD−20/CD20複合体および可溶性抗CD−52/CD52複合体が過剰増殖疾患のモニタリング、病期分類または診断のために同時にまたは連続して測定され得ることが想定される。
【0025】
循環標的抗原および可能なその結果生じた循環免疫複合体の形成の存在は、白血病の患者を処置するためにまた使用される、特異的抗原に対する、Campath−1H(抗CD52)(Haleら、2000;Khoranaら、2001;Flynn、2000)またはMylotarg(抗CD33)(Van Der Vledenら、2001)を含む抗体の使用に基づく治療的なアプローチにとって重要であり得る。可溶性の抗原が、治療抗体を受けた患者における治療抗体と結合し得、免疫複合体(すなわち、抗体:抗原複合体)を形成することが企図される。これら免疫複合体は、過剰増殖細胞に達する治療抗体の量を減少し得る。このように、この抗体は、抗原を有する標的細胞に到達するように、治療抗体の投与量は、しかるべく治療的なレベルに達するために調整される必要があり得る。従って、可溶性の細胞表面抗原およびその治療抗体との複合体の測定は、より効果的な治療戦略を設計するのを助け得るということが企図される。
【0026】
なおもさらに、本発明は、腫瘍の量を決定するために使用され得ることを企図される。腫瘍の総量は、可溶性白血球表面抗原、可溶性抗体または可溶性の抗体:抗原複合体のレベルを測定するために本明細書に記載された改変サンドイッチELISAを使用し、決定され得る。
(A.細胞表面抗原)
本明細書中で使用される「標的抗原」、「表面抗原」、「細胞表面抗原」または「白血球細胞表面抗原」は、交換可能であり、そして白血球上に位置する細胞表面抗原(例えば、CD20,CD52またはCD33)と単に呼ばれる。
【0027】
循環標的抗原および可能なその結果生じた循環免疫複合体の形成の存在は、特異的な抗原に対する、Rituximab(抗CD20)、Campath−1H(抗CD52)またはMylotarg(抗CD33)に限定しないが、これらを含む抗体の使用に基づく他の治療的なアプローチにとって重要であり得る。
【0028】
(1.CD20)
CD20は、CD20陽性B細胞の成熟および増殖(Riley,J.K.ら、2000)において重要な分子である。種々のB細胞悪性腫瘍においてCD20の発現の強度の著しい差異は、CD20がリンパ球増殖性疾患(Marti,G.E.ら、1992およびGinaldi,L.ら、1998)の異なる臨床的な行動に関与し得ることを示唆する。可溶性CD20(sCD20)は、正常な個体およびCLLを伴う患者の両方の血漿中に検出され得ることが企図される。なおもさらに、本発明において、sCD20は、細胞の能動的な放出(active shedding)もしくは代謝回転および細胞膜の断片化またはその両方が原因であり得ることが企図される。
【0029】
sCD20は、血漿、細胞溶解物または血清において評価され得る。特定の実施形態において、sCD20は、循環する細胞を傷つけ、そしてsCD20のレベルに影響する凝固プロセスの危険性を減少させるために、血清ではなく血漿において評価され得る。
【0030】
sCD20はのレベルは、患者の治療技術および予後診断に直接影響を与え得る。sCD20は、患者が抗CD20(Rituximab)で治療される場合、重要な役割を果たし得る。sCD20/Rituximab複合体の形成によって、白血球細胞に到達するモノクローナル抗体の量は、減少され得る。これが要因である場合、抗体の投与量は、高レベルなsCD20を有する患者において特に、治療的なレベルに達するのに従って調節を必要とし得る。
【0031】
(2.CD52)
ヒトCD52(Campath−1H抗原)は、リンパ球上の大量の表面分子であり、かつ種々のリンパ球増殖性疾患の治療に対して重要な標的である(Tone,M.ら、1999;Keating,M.J.ら、1999;Kalil,N.ら、2000)。これは、大型炭水化物の部分が付着される、ペプチドを固定した小型グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)を含む(Kirchhoff,C.ら、2001)。
【0032】
CD52が雄性生殖系において報告されたものと同様の様式で細胞が放出し得ることを研究者によって企図される(Kirchhoff,C.ら、2001)。これはまた、CLLを有する患者において、細網内皮性系が、相対的に低い代謝回転速度にもかかわらず、細胞の代謝回転によって生じるすべての細胞破砕物を除去することはできないという可能性もまたある。
【0033】
可溶性CD52(sCD52)は、血漿、細胞溶解物または血清において評価され得る。特定の実施形態において、sCD52は、循環する細胞を傷つけ、そしてsCD52のレベルに影響する凝固プロセスの危険性を減少させるために、血清ではなく血漿において評価され得る。
【0034】
なおもさらに、本発明において、sCD52の存在が、Campath−1H治療の有効性および/または毒性に有意な影響を与え得ることもまた企図される。CD52は、標的細胞上の大量の発現、標的細胞膜に近い位置に存在することおよび変化の速度が遅いことのために、モノクローナル抗体治療に対して非常に適切な標的であると考えられる(Treumann,A.ら、1995;Dyer,M.J.ら、1999;Bindon,C.I.ら、1988)。Campath−1Hに対する応答は、一様であり、そしてこの可変性の原因は、多くの研究者によって調べられている。この可変性は、標的細胞上のCD52の発現レベルにおける差異に部分的に依存し得ることが示唆されている(Ginaldi,L.ら、1998)。
【0035】
(3.CD33)
CD33は、細胞の骨髄単球性の系統に限定される。CD33は、成熟した正常造血性細胞上に存在するが、正常造血幹細胞は、この細胞表面抗原を欠く。成熟した正常造血性細胞に加えて、CD33はまた、急性骨髄性白血病(AML)においても存在する。従って、この骨髄系細胞表面マーカーは、モノクローナル抗体ターゲッティングのための誘引性の標的になる。
【0036】
可溶性CD33(sCD33)は、血漿、細胞溶解物または血清において評価され得る。特定の実施形態において、sCD33は、循環する細胞を傷つけ、そしてsCD33のレベルに影響する凝固プロセスの危険性を減少させるために、血清ではなく血漿において評価され得る。
(B.抗体)
本発明は、可溶性白血球細胞表面抗原、白血球細胞表面抗原に対する可溶性抗体または可溶性抗体/抗原複合体の測定ならびに疾病および疾患の診断および治療におけるそのような測定の使用に関する。
【0037】
本明細書中で使用されるように、用語「可溶性」は、「自発的に放出される」;すなわち、細胞の正常なプロセスまたは病態生理学的プロセスによって放出される分子および患者へのインビボ注入によって体液内に可溶性形態で存在する分子をいう。そのような分子は、その分子の「可溶化された」細胞表面形態から区別され、その可溶化は、界面活性剤による細胞溶解物のようなインビトロ操作によって引き起こされる。本発明の可溶性白血球細胞表面抗原は、細胞表面対応物の抗原性決定基を有する分子である。
【0038】
本発明の可溶性分子の測定は、患者および被験者の生理学的状態の異なる診断において、疾病を検出および/または病期分類するために、患者に対する治療的処置の効果を観察するのに価値があり得る。これらの測定はまた、治療の結果を予想することならびに患者の免疫状態を評価し、そしてモニタリングすることの助けとなり得る。可溶性分子の1つ以上の型は、測定され得る。この可溶性分子は、被験者の任意の体液、例えば、血清、血漿、尿、唾液、胸水、骨液、脊髄液、組織浸潤および腫瘍浸潤物に限らないが、これらを含む体液中で測定され得る。
【0039】
本発明のある局面において、1つ以上の抗体は、市販される治療抗体であり得る。たとえば、これらとしては、Rituximab(抗CD20)、Campath−1H(抗CD52)またはMylotarg(抗CD33)であるが、これらに限定されない。これらの抗体は、本明細書中で以下に記載される、種々の診断的または治療的適用において使用され得る。
【0040】
なおもさらに、1つ以上の抗体は、細胞表面抗原CD20、CD52およびCD33に対して生産され得ることが企図される。CD20、CD52およびCD33に対して特異的な、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体および関連タンパク質は、数個の適用において有用性を有することが理解される。これらとしては、過剰増殖疾患を検出および診断する際に使用する診断キットの製造を含む。
【0041】
(1.ポリクローナル抗体)
CD20レセプター、CD52レセプターおよびCD33レセプターに対するポリクローナル抗体は、CD20レセプター、CD52レセプターおよびCD33レセプターならびにアジュバントの多数回の皮下(sc)注入または腹腔内(ip)注入よって、動物内で一般的に惹起される。
【0042】
動物は、免疫原性化合物または誘導体に対して免疫される。動物は、力価が一定になるまで追加免疫される。その動物は、通常耳の血管を通じてまたはその代わりに心臓穿刺によって、出血される。取り出された血液は、凝固することが可能になり、遠心分離され、次いで全細胞および血餅から血清成分を分離する。その血清は、種々の適用に対して使用され得、または他の望ましい抗体画分は、他の抗体、固体マトリックスに結合するペプチドを使用するアフィニティークロマトグラフィーのような周知の方法、または例えば、プロテインAクロマトグラフィーまたはプロテインGクロマトグラフィーを使用することによって精製され得る。
【0043】
(2.モノクローナル抗体)
モノクローナル抗体(MAb)を産生するための方法は、一般的に、ポリクローナル抗体を調製するために方法と同様の方針に沿って、開始される。マウスおよびラットのようなげっ歯類は、好ましい動物であるが、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、サルの細胞の使用もまた、可能である。ラットの使用は、特定の利点を提供し得る(Goding、1986)が、マウスが好ましく、BALB/cマウスが最も好ましい、なぜなら日常的に使用され、そして一般的に高い割合で安定な癒合を与えるためである。
【0044】
モノクローナル抗体は、実質的に同質の抗体の集団から得られる(すなわち、集団を含む個々の抗体が、少量で存在し得る、自然に起こる潜在的な変異を除いて同一である)。したがって、修飾語「モノクローナル」は、個々の抗体の混合物でないとして、抗体の特徴を示す。
【0045】
その動物は、上記したように一般的にポリクローナル抗体に対する抗原を注入される。その抗原は、必要に応じて、キーホールリンペットヘモシアニンのような担体分子に結合され得る。その抗原は、代表的には、フロイントの完全アジュバンドまたはフロイントの不完全アジュバンドのようなアジュバンドで混合され得る。同一の抗原を用いる追加免疫注入は、約2週間の間隔でなされ得る。
【0046】
免疫に次いで、潜在的に抗体を産生する体細胞、特にBリンパ球(B細胞)は、MAb産生プロトコールにおいて使用について選択される。これらの細胞は、生検を実施した脾臓またはリンパ節から得られ得る。脾臓細胞およびリンパ節細胞が好ましく、この脾臓細胞は、形質芽細胞分離ステージの抗体産生細胞の豊富な源であるために、好ましい。
【0047】
しばしば、動物のパネルは、免疫され、そして最も抗体力価の高い動物の脾臓が取り出され、そして脾臓リンパ球が、脾臓をシリンジでホモジネートすることによって得られる。代表的に、免疫したマウスからの脾臓は、約5×107〜2×108個のリンパ球を含む。
【0048】
次いで、免疫したマウスからの抗体産生Bリンパ球は、不死化した骨髄腫細胞の細胞、一般的に免疫された動物と同様の種の細胞と融合される。ハイブリドーマ産生融合手順で使用されるのに適当な骨髄腫細胞の系統は、抗体を産生せず、高い融合効果および所望の融合した細胞(ハイブリドーマ)のみの成熟を支持する特定の選択培地中で、成熟を不可能にする酵素欠損を有する。
【0049】
抗体を産生する脾臓またはリンパ節細胞および骨髄腫細胞のハイブリッドを産生する方法は通常、その比率が、細胞膜の融合を促進する(化学的または電気的な)作用因子の存在下で、それぞれ約20:1から約1:1に変化し得るが、2:1の比率で骨髄腫細胞と体細胞を混合する工程を包含する。センダイウイルスを使用する融合方法は、ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、37%(v/v)PEG)を使用することがKohlerおよびMilstein(1976)によって記載された。電気的に誘導された融合の使用もまた、適切である(Goding、1986)。
【0050】
融合の手順は、通常、低頻度、すなわち約1×10−6〜1×10−8で生存可能なハイブリッドを生成する。しかし、このことは問題にはならない。なぜならば、この生存可能な融合ハイブリッドは、その親融合細胞(特に通常は、無限に分割し続ける骨髄腫細胞)から、選択培地で培養することによって、分化される。この選択培地は、一般的に組織培養培地中にヌクレオチドのデノボ合成を阻害する薬剤を含む培地である。例示的かつ好ましい薬剤は、アミノプテリン、メトトレキサートおよびアザセリンである。アミノプテリンおよびメトトレキサートは、プリンおよびピリミジンの両方のデノボ合成を阻害する。他方、アザセリンは、プリンの合成のみを阻害する。アミノプテリンまたはメトトレキサートが使用される場合、この培地には、ヌクレオチドの供給源としてヒポキサンチンおよびチミジンが追加される(HAT培地)。アザセリンが使用される場合、この培地には、ヒポキサンチンが追加される。
【0051】
好ましい選択培地は、HATである。ヌクレオチドサルベージ経路が機能可能な細胞だけが、HAT培地中に生き残ることができる。これらの骨髄腫細胞は、サルベージ経路の主要な酵素(例えば、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT))を欠失しており、それらは、生存することができない。このB細胞は、この経路を機能させ得るが、培養中での寿命の限界を有し、一般的に約2週間以内に死滅する。従って、選択培地中に生き残ることができる細胞だけが、骨髄腫およびB細胞から形成されるそれらのハイブリッドである。
【0052】
この培養は、特異なハイブリドーマが選択されるハイブリドーマ集団を提供する。代表的に、ハイブリドーマの選択は、マイクロタイタープレートでの単一クローン希釈による細胞の培養によって実施され、次いで所望の反応性について個々のクローンの上清(約2〜3週間後)を試験する。そのアッセイは、放射免疫測定、酵素免疫測定、細胞毒性アッセイ、プラークアッセイ、ドットイムノバインディングアッセイなどのように、感度が高く、簡便でかつ迅速であるべきである。
【0053】
次いで、選択されたハイブリドーマは、連続的に希釈され得、そして個々の抗体産生細胞株へとクローン化され得る。それらのクローンは、次いで、無限に増殖され得、MAbを提供する。これらの細胞株は、2つの基本的な方法でMab生成に対して利用され得る。
【0054】
このハイブリドーマのサンプルは、元の融合に対する体細胞および骨髄腫細胞を提供するために使用された型の組織適合性動物(例えば、有性生殖マウス)に(しばしば腹腔内に)注入され得る。必要に応じて、その動物は、注入の前に、炭化水素、特にプリスタン(テトラメチルペンタデカン)のような油で初回刺激を受ける。注入された動物は、融合細胞ハイブリッドによって生成された特定のモノクローナル抗体を分泌する腫瘍を発症する。次いで、血清または腹水のような動物の体液は、高濃度でMAbを提供するために選ばれ得る。
【0055】
個々の細胞株はまた、インビトロで培養され得、ここでMAbは、それらが高濃度で容易に得られ得る培養培地に自然に分泌される。
【0056】
いずれかの方法によって生成されるMAbは、望ましくは、濾過、遠心分離およびHPLCまたはアフィニティークロマトグラフィーのような種々のクロマトグラフィーの方法を使用してさらに精製され得る。本発明のモノクローナル抗体のフラグメントは、ペプシンまたはパパインのような酵素を用いた消化を含む方法および/または化学的還元によるジスフィルド結合の切断によって、分解を含む方法によって精製されたモノクローナル抗体から得られ得る。あるいは、本発明に含まれるモノクローナル抗体フラグメントは、自動ペプチド合成機を使用して合成され得る。
【0057】
分子クローニングアプローチは、モノクローナルを生成するために使用され得ることがまた企図される。これに対して、組み合わせの免疫グロブリンファージミドライブラリーは、免疫された動物の脾臓から単離したRNAから調製され、そして適切な抗体を発現するファージミドは、抗原を発現する細胞およびコントロール細胞(例えば、腫瘍細胞に対して正常細胞)を使用してパニングすることによって選択される。従来のハイブリドーマ技術に対するこのアプローチの利点は、約104倍多い抗体が、1回で生成およびスクリーニングされ得ること、ならびに新しい特異性が、適切な抗体を探す機会をさらに増加するH鎖およびL鎖の組み合わせによって生じることである。
【0058】
(3.ヒト化抗体)
非ヒト抗体をヒト化するための方法は、当該分野で周知である。一般的にヒト化された抗体は、非ヒトである供給源から導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これら非ヒトアミノ酸残基は、しばしば「移入」残基(代表的に「移入」可変ドメインから受け継がれる)と呼ばれる。ヒト化は、ヒトの抗体に対応する配列に対して、げっ歯類のCDR配列またはCDR配列を置換することによって、Winterおよびその共同研究者の方法(Jonesら、1986;Riechmannら、1988;Verhoeyenら、1988)に従って実質的に実施され得る。従って、そのような「ヒト化」抗体は、キメラの抗体であって、ここで、実質的にインタクトなヒトの可変ドメインより少ない抗体が、ヒトでない種由来の対応する配列によって置換される。実際に、ヒト化抗体は、代表的に、いくつかのCDR残基および可能ないくつかのFR残基が、げっ歯類の抗体中のアナログ部位由来の残基によって置換されたヒトの抗体である。
【0059】
抗体が、抗原に対して高い親和性および他の有利な生物学的性質を保持しつつヒト化することが重要である。この目標を達成するために、好ましい方法に従って、ヒト化抗体は、その親配列ならびにその親の配列およびヒト化配列の3次元モデルを使用する種々の仮想ヒト化産物を分析することによって調製され得る。3次元免疫グロブリンモデルは、一般に利用可能であり、そして当業者に公知である。選択された候補免疫グロブリン配列の、可能性のある3次元高次構造を図解し、表示するコンピュータプログラムが、利用可能である。これらの表示の検査は、候補免疫グロブリン配列が機能する際に、可能性のある残基の役割の分析(すなわち、抗原に結合する候補免疫グロブリンの能力に影響を与える残基の分析)を可能にする。
【0060】
(4.ヒト抗体)
ヒトモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ方法によって製作され得る。ヒトモノクローナル抗体の生成のための、ヒト骨髄腫細胞株およびマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株は、当該分野で記載されている(Kozbor、1984;Brodeurら、1987)。
【0061】
内因性免疫グロブリンの生成なしに、免疫において、ヒト抗体のレパートリーを生成することが可能であるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を産生することが現在可能である。例えば、キメラマウスかつ生殖細胞系変異マウスにおいて、抗体重鎖連結領域(JH)遺伝子のホモ接合性欠失が、内因性抗体産性の完全な阻害を生じると記載されている。そのような生殖細胞系変異マウスでは、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子アレイの移入のために、抗原攻撃の際にヒト抗体の産生を生じる(Jakobovitら、1993)。
【0062】
あるいは、ファージディスプレイ技術(McCaffertyら、1990)は、非免疫ドナー由来の免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーより、インビトロでヒトの抗体および抗体フラグメントを生成するために使用され得る。この技術に従って、抗体Vドメイン遺伝子は、M13またはfdのような糸状バクテリオファージの主要な被覆タンパク質遺伝子か、または少数の被覆タンパク質遺伝子のいずれかにインフレームでクローニングされ、そしてファージ粒子の表面上に機能的な抗体フラグメントとして提示される。
【0063】
(5.抗体結合体)
本発明は、CD20、CD52およびCD33に対する抗体、または少なくとも1つの因子と結合して抗体結合を形成する別の二次抗体(例えば、ヤギ抗ヒトIgGであるが、これに限定されず、一般的にモノクローナル型である)をさらに提供する。診断的薬剤または治療的薬剤としての抗体分子の有効性を増加させるために、または少なくとも1つの所望の分子またはその一部において連結もしくは共有結合、または複合体化することが従来型である。このような分子またはその一部は、少なくとも1つのエフェクター分子またはレポーター分子であり得るがこれらに限定されない。エフェクター分子は、所望の活性(例えば、細胞毒性活性)を有する分子を含む。抗体と結合するエフェクター分子の非限定的な例としては、トキシン、抗腫瘍剤、治療酵素、放射標識ヌクレオチド、抗ウイルス剤、キレート剤、サイトカイン、成長因子およびオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが挙げられる。反対に、レポーター分子は、アッセイを使用して検出され得る任意の一部として規定される。抗体と結合するレポーター分子の非限定的な例としては、酵素、放射標識、ハプテン、蛍光標識、燐光性分子、化学発光分子、発色団、発光分子、光親和性分子、有色粒子またはビオチンのようなリガンドが、挙げられる。
【0064】
十分な選択性、特異性または親和性を有する任意の抗体は、抗体結合体に対する主成分として使用され得る。このような特徴は、当業者に公知の従来型免疫学的スクリーニング方法論を使用して評価され得る。標準的な抗原結合部位に加えて、生物学的に活性な分子に結合するための抗体分子内の部位は、病原体、B細胞超抗原、T細胞コレセプターCD4およびHIV−1外被に結合し得る可変ドメインに存在する部位を含む(Sassoら、1989;Shorkiら、1991;Silvermannら、1995;Clearyら、1994;Lenertら、1990;Berberianら、1993;Kreierら、1991)。さらに、可変ドメインは、抗体自己結合に含まれ(Kangら、1988)、そして抗抗体によって認識されるエピトープ(イディオトープ)を含む(Kohlerら、1989)。
【0065】
抗体結合体のある例は、抗体が検出可能な標識に連結された抗体結合体である。「検出可能な標識」は、特定の機能的な特性、および/または化学的特性に起因して検出され得る化合物および/またはエレメントであり、検出可能な標識の使用は、検出可能な標識が結合された抗体が検出されること可能にし、そして/または所望の場合、さらに定量される。別のこのような例は、細胞障害性因子または抗細胞因子に連結された抗体を含む結合体の形成であり、そして、「免疫毒素」と名づけられ得る。
【0066】
抗体結合体は、一般的に診断剤としての用途のために好ましい。抗体診断剤は、一般的に、さまざまな免疫アッセイのような、インビトロ診断剤での用途、および/または一般的に、「抗体特異的イメージング」として知られているインビボ診断プロトコールでの用途について、2種類に分類される。
【0067】
多くの適切なイメ−ジング剤は、抗体にイメージング剤を接着させるための方法(例えば、それぞれ文献によってここで取り込まれた、米国特許第5,021,236号;同第4,938,948号;および同第4,472,509号(各々は、参考として本明細書中に援用される)を参照のこと)であるとして、当該分野で公知である。使用されたイメ−ジング部分は、常磁性イオン;放射性同位体;蛍光色素;NMR検出可能物質;X線イメージングであり得る。
【0068】
常磁性イオンの場合では、当業者は、例としては、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジミウム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)、および/またはエルビウム(III)のようなイオンが挙げられ得、ガドリニウムが特に好ましい。X線イメージングのような他の状況で有用なイオンとしては、ランタン(III)、金(III)、鉛(II)、および、特にビスマス(III)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
治療の用途および/または診断の用途についての放射性同位体の場合では、アスタチン211、14炭素、51クロム、36塩素、57コバルト、58コバルト、銅67、152Eu、ガリウム67、3水素、ヨウ素123、ヨウ素125、ヨウ素131、インジウム111、59鉄、32リン、レニウム186、レニウム188、75セレン、35硫黄、テクネチウム(technicium)99m、および/またはイットリウム90が挙げられ得る。125Iは、特定の実施形態での使用にしばしば好ましく、そしてテクネチウム99mおよび/またはインジウム111はまた、それらの低いエネルギーおよび長い検出範囲に対する適合性に起因して、しばしば好ましい。本発明の放射性標識モノクローナル抗体は、当該分野で周知の方法に従って製造され得る。例えば、モノクローナル抗体は、ヨウ化ナトリウムおよび/またはヨウ化カリウムならびに化学的酸化試薬(例えば、次亜塩素酸ナトリウム)または酵素的酸化試薬(例えば、ラクトぺルオキシダ−ゼ)との接触によってヨウ素化され得る。本発明に従うモノクローナル抗体は、リガンド交換プロセスによって、例えば、すず溶液を用いてペルテクネート(pertechnate)を還元し、Sephadexカラムにこの還元されたテクネチウムをキレート化し、そしてこのカラムに抗体を適用することによって、テクネチウム99mで標識され得る。あるいは、直接標識する技術は、例えば、ペルテクネート、SNCl2のような還元試薬、ナトリウム−カリウムフタレート溶液のような緩衝溶液、および抗体をインキュベートすることによって使用される。金属イオンとして存在する放射性同位体を抗体に結合するためにしばしば使用される中間官能基は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。
【0070】
結合体としての使用のために企図された蛍光標識の中には、Alexa 350、Alexa 430、AMCA、BODIPY 630/650、BODIPY650/665、BODIPY−FL、BODIPY−R6G、BODIPY−TMR、BODIPY−TRX、Cascade Blue、Cy3、Cy5,6−FAM、フルオレセインイソチオシアネート(Fluorescein Isothiocyanate)、HEX、6−JOE、Oregon Green 488、Oregon Green 500、Oregon Green 514、Pacific Blue、REG、Rhodamine Green、Rhodamine Red、Renographin、ROX、TAMRA、TET、テトラメチルローダミン(Tetramethylrhodamine)、および/またはTexas Redが含まれる。
【0071】
本発明中で企図された抗体結合体の別の型は、インビトロでの使用のために優先的に意図されたものであり、ここで、抗体は、クロモゲン基質との接触の際に着色した生成物を生成する二次結合リガンドおよび/または酵素(酵素タグ)に連結される。適切な酵素の例としては、ウレアーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、(西洋ワサビ)水素ペルオキシダーゼまたはグルコースオキシダ−ゼが挙げられる。好ましい二次結合リガンドは、ビオチンおよび/またはアビジンならびにストレプトアビジン化合物である。このような標識の使用は、当業者に周知であり、そして例えば、米国特許第3,817,837号;同第3,850,752号;同第3,939,350号;同第3,996,345号;同第4,277,437号;同第4,275,149号および同第4,366,241号に記載されている;各々は、参考として本明細書中で援用される。
【0072】
抗体への分子の部位特異的な結合のさらに別の公知の方法は、ハプテンに基づく親和性標識を有する抗体の反応を含む。本質的には、ハプテンに基づく親和性標識は、抗原結合部位でアミノ酸と反応し、それにより、この部位を破壊し、そして特異的な抗原反応を阻害する。しかし、このことは、抗体結合体による抗原結合の損失を引起すため、不利になり得る。
【0073】
アジド基を含む分子はまた、低強度の紫外光によって生成される反応性のニトレン中間体を通じてタンパク質への共有結合を形成するためにも使用され得る(PotterおよびHaley、1983)。特に、プリンヌクレオチドの2−アジドアナログおよび8−アジドアナログは、粗製細胞抽出物中でタンパク質に結合するヌクレオチドを同定するために、部位特異的光プローブとして使用された(OwensおよびHaley、1987;Athertonら、1985)。2−アジドヌクレオチドおよび8−アジドヌクレオチドはまた、精製されたタンパク質のドメインに結合するヌクレオチドをマッピングするためにも使用され(Khatoonら、1989;Kingら、1989;およびDholakiaら、1989)、そして抗体結合剤として使用され得る。
【0074】
抗体の結合部分への抗体の接着または結合について、いくつかの方法が、当該分野で公知である。いくつかの接着法は、例えば、ジエチレントリアミン五酢酸無水物(DTPA);エチレントリアミン四酢酸;N−クロロ−p−トルエンスルホンアミド;および/または抗体に接着されたテトラクロロ−3α−6α−ジフェニルグリクリル(diphenylglycouril)−3のような有機キレート試薬を使用する金属キレート錯体の使用を包含する(米国特許第4,472,509号および同第4,938,948号、各々は、参考として本明細書中で援用される)。モノクローナル抗体はまた、カップリング試薬(例えば、グルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸塩)の存在下で酵素を用いても反応され得る。フルオロセインマーカーを有する結合体は、これらのカップリング試薬の存在下でまたはイソチオシアネートを用いる反応によって調製される。米国特許第4,938,948号では、胸部腫瘍のイメージングは、モノクロナ−ル抗体を使用することで成し遂げられ、そして検出可能なイメージング部分は、連結(例えば、メチル−p−ヒドロキシベンズイミデートまたはN−スクシンイミジル−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を使用して抗体に結合する。
【0075】
他の実施形態では、抗体結合部位を変えない反応状況を使用して、免疫グロブリンのFc領域にスルフヒドリル基を選択的に導入することによって免疫グロブリンの誘導体化は、企図される。この方法論に従って製造された抗体結合体は、改良された寿命、特異性および感受性を示すと開示されている(米国特許第5,196,066号、参考として本明細書中で援用される)。エフェクター分子またはレポーター分子の部位特異的接着(ここで、レポーター分子またはエフェクター分子は、Fc領域で炭化水素残基に結合される)はまた、文献中に開示された(O’Shannessyら、1987)。このアプローチは、現在臨床評価されている、診断的および治療的に有望な抗体を産生することが報告された。
【0076】
(C.免疫検出法)
特定の実施形態では、本発明は、生物学的成分(例えば、可溶性CD20、可溶性CD52、可溶性CD33、抗CD22、抗CD52、抗CD33、抗CD20/CD20、抗CD52/CD52、および抗CD33/CD33)を結合、精製、除去、定量および/またはそうでなければ一般的に検出するための免疫検出法に関する。いくつかの免疫検出法としては、酵素結合イムノソルベント(byステッドマン)アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイ(RIA)、免疫放射測定アッセイ、蛍光イムノアッセイ、化学発光アッセイ、生物発光アッセイ、およびウエスタンブロットなどが挙げられる。様々な有用な免疫検出法の工程は、科学的文献(例えば、Doolittle MHおよびBen−Zeev O、1999;Gulbis BおよびGaland P、1993;De Jager Rら、1993;およびNakamuraら、1987、各々は、参考として本明細書中で援用される)に記載された。
【0077】
一般的には、免疫結合法は、治療抗体:抗原複合体(例えば、抗CD20/CD20、抗CD52/CD52および抗CD33/CD33)、または可溶性白血球細胞表面抗原(例えば、CD20、CD52もしくはCD33)、または可溶性抗体(例えば、抗CD20、抗CD52、もしくは抗CD33)を含むことが疑われるサンプルを得る工程、この複合体を捕捉する第一モノクローナル抗体とこのサンプルとを接触させる工程、ならびに免疫複合体の形成を可能にするために効果的な条件下で、この複合体(例えば、標識された第2の抗体)を選択的に結合または検出することができる組成物とこのサンプルとを接触する工程を包含する。複合体を選択的に結合または検出することができる組成物の別の例としては、当該分野で公知であるように、様々なマーカー(例えば、ビオチン/アビジンリガンド結合配置)を使用し標識され得る抗体または他のリガンドが挙げられるが、これらに限定されない。当業者はまた、標識された第3の抗体を使用し得る。
【0078】
抗原、抗体または抗体:抗原複合体の検出に関して、分析される生物学的サンプルは、抗原または抗体:複合体、を含むことが疑われる任意のサンプル(例えば、組織切片もしくは組織標本、ホモジェナイズされた組織抽出物、細胞、小器官、上記の抗原含有組成物のいずれかの分離された形態および/もしくは精製された形態)であるか、または(血液および/もしくは血清を含む)細胞もしくは組織と接触される任意の生物学的流体でさえあるが、組織サンプルもしくは組織抽出が好ましい。
【0079】
免疫複合体(1次免疫複合体)の形成を可能にするために有効な条件下でかつ十分な時間の間、第一抗体と選択された生物学的サンプルを接触することは、抗体組成物をサンプルに加えて、そして抗体が任意の抗CD20/CD20複合体、抗CD52/CD52複合体および抗CD33/CD33複合体または任意の存在する抗原(すなわち、CD20、CD52もしくはCD33)、または任意の存在する抗体(すなわち、抗CD20、抗CD52もしくは抗CD33)と免疫複合体を形成する(すなわち、結合する)のに十分に長い期間の間この混合物をインキュベートするという、一般的に簡単な事柄である。この後、サンプル−抗体組成物(例えば、組織切片、ELISAプレート、ドットブロットまたはウエスタンブロット)は、任意の非特定的に結合した抗体種を除去して、一次免疫複合体中の特異的に結合した抗体のみが検出されることを可能にするため一般的に洗浄される。
【0080】
一般的には、免疫複合体形成の検出は、当該分野において周知であり、そして多数のアプローチの適用により達成され得る。これらの方法は、標識またはマーカー(例えば、放射性タグ、蛍光性タグ、生物学的タグおよび酵素的タグのいずれか)の検出に一般的に基づいている。このような標識の使用に関する米国特許としては、3,817,837;3,850,752;3,939,350;3,996,345;4,277,437;4,275,149および4,366,241(各々は、参考として本明細書中に援用される)が挙げられる。もちろん、当該分野で公知であるように、二次結合リガンド(例えば、第2の抗体および/またはビオチン/アビジンリガンド結合配列)の使用によりさらなる利点が見出される。免疫複合体を検出するための全ての以前のアッセイは、患者自身の抗体および抗原によって発生される自系複合体に基づいている。本発明は、本発明のアッセイが、治療的アプローチの結果として免疫複合体を検出するという点で異なっている。
【0081】
検出において使用される抗原、抗体または抗原:抗体複合体は、それ自体で検出可能ラベルに連結され得、次いで、この標識を単に検出して、それにより、組成物中の一次免疫複合体の量を測定することが可能になる。あるいは、一次免疫複合体内で結合する第一抗体は、この抗体に対し結合親和性を有する第2の結合リガンドによって検出され得る。これらの場合では、第2の結合リガンドは、検出可能な標識に連結され得る。第2の結合リガンドは、それ自体しばしば抗体であり、したがって、「2次」抗体と呼ばれ得る。一次免疫複合体は、2次免疫複合体の形成を可能にするために有効な条件下でかつ十分な期間、標識された二次結合リガンドまたは抗体と接触される。次いで、この二次免疫複合体は、任意の非特異的に結合した標識二次抗体またはリガンドを除去するために一般的に洗浄され、次いで、二次免疫複合体中で残った標識は、検出される。
【0082】
さらなる方法は、2工程アプローチによる一次免疫複合体の検出を包含する。抗体に対し結合親和性を有する第2の結合リガンド(例えば、抗体)は、上記されるように、二次免疫複合体を形成するために使用される。洗浄後、二次免疫複合体は、免疫複合体(三次免疫複合体)の形成を可能にするために有効な条件下でかつ十分な期間、再び第2の抗体に対して結合親和性を有する第3結合リガンドまたは抗体と接触される。この第3のリガンドまたは第3の抗体は、検出可能な標識に連結され、このように形成された第3の免疫複合体の検出を可能にする。このことが、望まれる場合、この系は、シグナル増幅を提供し得る。
【0083】
本発明の免疫検出法は、種々の疾患のような状態の診断および予後において、明白な有用性を有し、ここで、白血球細胞表面抗原は、疾患過程の間減少されるか、または治療的抗体は、循環中に蓄積するかもしくは治療的抗体が、複合体を形成する。ここで、可溶性白血球の細胞表面抗原(例えば、CD20、CD52、CD33)、可溶性の治療抗体(例えば、抗CD20、抗CD52、抗CD33)または治療抗体:抗原複合体(例えば、抗CD20/CD20、抗CD52/CD52もしくは抗CD33/CD33)を含むことが疑われる生物学的サンプルおよび/または臨床サンプルを、測定する。
【0084】
様々な形態の過剰増殖疾患(例えば、癌)を有する患者の臨床診断および/または臨床モニタリングにおいて、正常な被験体由来の対応する生物学的サンプル中のレベルと比較した場合の可溶性白血球マーカー、可溶性治療抗体および可溶性治療抗体:抗原複合体のレベルにおける変化は、癌または他の過剰増殖疾患を有する患者の指標である。しかし、当業者に公知であるように、このような臨床診断は、必ずしもこの方法のみに基づいて行われるとは限らない。当業者が、生物マーカーの型および/または量の相違(ポジティブの同定を示す)、および/または生物マーカーの低レベルな変化および/もしくはバックグラウンドの変化を区別することに精通している。実際は、バックグラウンドレベルは、「カットオフ」を形成するためにしばしば使用され、このカットオフより上に増加した検出が、有意および/またはポジティブとして記録される。
【0085】
上記で詳細に記載されたように、最も簡単かつ/または直接的な意味におけるイムノアッセイは、結合アッセイである。特定の好ましい免疫アッセイは、当該分野で公知である様々な型の酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)および/またはラジオイムノアッセイ(RIA)である。組織切片を使用する免疫組織化学的な検出はまた、特に有用である。しかし、検出が、このような技術、および/またはウエスタンブロッティング、ドットブロッティング、FACS分析に限られず、そして/または同類のものもまた、使用され得るということは、容易に理解される。
【0086】
1つの例示的なELISAにおいて、白血球細胞表面抗原の抗体(例えば、抗CD20、抗CD33、抗CD52)は、タンパク質親和性を示す選択された表面(例えば、ポリスチレンマイクロタイタープレート中でのウェル)上に固定される。次いで、治療抗体(例えば、Rituxiamb、Campath−HまたはMylotarg)を用いて免疫治療の少なくとも1つの過程(例えば、1回の注射)を経験した患者由来のサンプルを、ウェルに加える。結合および/または非特異的に結合した免疫複合体を除去するための洗浄後、結合した治療抗体:抗原複合体が、検出され得る。検出は、検出可能な標識に連結される第2の抗体の付加によって一般的に達成される。ELISAのこの型は、単純な「サンドイッチELISA」である。
【0087】
治療抗体を検出するために使用される別の例示的なサンドイッチELISAにおいて、白血球細胞表面抗原の抗体は、ウェル表面上に固定される。次に、治療抗体を用いる免疫治療の少なくとも1つの過程(例えば、1回の注射)を経験した患者由来の細胞溶解物を、ウェルに加える。この細胞溶解物は、抗体に結合する抗原を含有する。次いで、患者由来の血漿が、このウェルに加えられる。血漿は、抗原に結合する治療抗体を含有する。結合および/または非特異的に結合した免疫複合体を除去するための洗浄後、結合した治療抗体:抗原複合体が、検出され得る。検出は、検出可能な標識に連結される第3の抗体の付加によって達成される。
【0088】
白血球抗原を検出するために使用されるなお別の例示的なサンドイッチELISAにおいて、白血球細胞表面抗原の抗体は、ウェル表面上に固定される。次に、治療抗体を有する免疫治療の少なくとも1つの過程(例えば、1回の注射)を経験した患者由来の血漿を、ウェルに加える。結合および/または非特異的に結合した免疫複合体を除去するための洗浄後、結合した治療抗体:抗原複合体が、検出され得る。次いで、検出可能標識に連結される第2の抗体を、加える。この第2の抗体は、代表的に、標識化された治療抗体である。
【0089】
使用される形式に関わり無く、ELISAは、共通のある特徴(例えば、コーティング、インキュベーティングおよび結合すること、非特異的な結合種を除去するために洗浄すること、および結合した免疫複合体を検出すること)を有する。これらは、以下に記載される。
【0090】
抗原または抗体のいずれかでプレートをコーティングすることにおいて、一般的には、一晩または特定の時間のいずれかの間、抗原または抗体の溶液と共にプレートのウェルをインキュベートする。次いで、このプレートのウェルを、不完全に吸着された物質を除去するために洗浄する。次いで、ウェルのいくつか残った利用可能な表面は、試験抗血清に関し抗原的に中性である非特異的タンパク質で「コーティング」される。これらとしては、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼインまたはミルクパウダーの溶液が挙げられる。このコーティングは、固定表面上で非特異的吸着部位のブロッキングを可能にし、そしてしたがって表面上への抗血清の非特異的結合によって引き起こされるバックグラウンドを減少する。
【0091】
ELISAにおいて、直接な手順よりむしろ2次的検出手段または3次的検出手段を使用することは、おそらくより習慣的である。したがって、ウェルに対するタンパク質または抗体の結合、バックグラウンドを減少するための非反応性物質でのコーティング、および非結合物質を除去するための洗浄後に、固定表面は、免疫複合体(抗原/抗体)形成を可能にするための効果的な条件下で、試験されるべき生物学的サンプルと接触される。次いで、免疫複合体の検出は、標識化された第三次抗体または第3結合リガンドと組み合せて、標識された二次結合リガンドまたは第2の結合抗体、および二次結合リガンドまたは二次結合抗体を必要とする。
【0092】
「免疫複合体(抗原/抗体)形成を可能にするための効果的な条件下」とは、この条件が、好ましくは、溶液(例えば、BSA、ウシγグロブリン(BGG)またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)/Tween)で抗原および/または抗体を希釈することを包含することを意味する。加えられたこれらの薬剤はまた、非特異的バックグラウンドの減少を補助する傾向がある。
【0093】
「適切な」条件はまた、インキュベーションが、効果的な結合を可能にするために十分な温度または期間であることを意味する。インキュベーション工程は、代表的に約1時間〜2時間〜4時間またはそのぐらいで、好ましくは25℃から27℃のオーダーの温度であるか、または約4℃もしくはそのぐらいで一晩中であり得る。
【0094】
ELISAにおける全てのインキュベーション工程に次いで、接触した表面は、非複合体化物質を除去するため洗浄される。好ましい洗浄手順は、溶液(PBS/Tween、またはホウ酸塩緩衝液)で洗浄することを包含する。試験サンプルと元の結合した物質との間で特異的な免疫複合体の形成、そしてその次の洗浄に次いで、免疫複合体のほんの微小量の存在は、決定され得る。
【0095】
検出手段を提供するため、第2の抗体または第3の抗体は、検出を可能にするために結合された標識を有する。好ましくは、この標識は、適切なクロモグン基質と共にインキュベートすることで発色する酵素である。したがって、例えば、さらなる免疫複合体形成の発達を支持する期間または条件下(例えば、PBS−TweenのようなPBS含有溶液中で室温で2時間インキュベートすること)で、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼまたは水素ペルオキシダーゼ結合抗体と、第1免疫複合体および第2免疫複合体を接触させるかまたはインキュベートすることが望ましい。
【0096】
本明細書中に記載される可溶性の抗原、抗体または抗体:抗原複合体を測定するため商業的に製造され得るキット中に上記の試薬がパッケージングされ得ることもまた、企図される。
【0097】
D.免疫治療
本発明の特定の実施形態において、患者が、免疫治療の少なくとも1つの過程(例えば、1回の注射)を経験したことが提供される。本明細書中に記載されるように、免疫治療は、一般的に癌細胞を標的化しそして破壊するため免疫エフェクター細胞および免疫エフェクター分子の使用に依存する。免疫エフェクターは、例えば、腫瘍細胞の表面上のいくつかのマーカーに特異的な抗体であり得る。単独の抗体は、治療のエフェクターとして役立ち得るかまたは実際に細胞死滅をもたらすように他の細胞を補充し得る。この抗体はまた、薬物または毒素(化学法剤、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素など)に結合体化され得、そして標的化剤として単に作用し得る。あるいは、エフェクターは、腫瘍細胞標的と直接的または間接的のいずれかで相互作用する表面分子を運ぶリンパ球であり得る。様々なエフェクター細胞は、細胞傷害性T細胞および細胞傷害性NK細胞を含む。
【0098】
特定の実施形態において、免疫治療のために使用される抗体は、Rituximal、Campath−1H、またはMylotargである。
【0099】
免疫治療はまた、併用治療の一部としても使用され得る。免疫治療の一局面において、腫瘍細胞は、標的化の影響を受けやすい(すなわち、他の細胞の大部分に存在しない)いくつかのマーカーを有さなければならない。多くの腫瘍マーカーが存在し、そしてこれらのいずれも、本発明の状況において標的化するために適切であり得る。一般的な腫瘍マーカーとしては、癌胎児性抗原、前立腺特異的抗原、泌尿器腫瘍関連抗原、胎児抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG−72、HMFG、Sialyl Lewis Antigen、MucA、MucB、PLAP、エストロゲン物質レセプター、ラミニンレセプター、erbBおよびp155が挙げられる。免疫治療の代替的局面は、免疫刺激性効果とプロアポトーシス効果を組み合せることである。免疫刺激分子もまた存在し、これらとしては、サイトカイン(例えば、IL−2、IL−4、IL−12、GM−CSF、γ−IFN)、ケモカイン(例えば、MIP−1、MCP−1、IL−8)および成長因子(例えば、FLT3リガンド)が挙げられる。
【0100】
前に考察したように、現在調査中または使用中の免疫療法の例は、免疫アジュバンド(例えば、Mycobacterium bovis、Plasmodium falciparum、ジニトロクロロベンゼンおよび芳香族化合物)(米国特許第5,801,005号;米国特許第5,739,169号;HuiおよびHashimoto、1998;Christodoulidesら、1998)および、サイトカイン治療(例えば、インターフェロンα、βおよびγ;IL−1、GM−CSFおよびTNF)(Bukowskiら、1998;Davidsonら、1998;Hellstrandら、1998)、遺伝子治療(例えば、TNF、IL−1、IL−2、p53)(Qinら、1998;Austin−WardおよびVillaseca、1998;米国特許第5,830,880号および米国特許第5,846,945号)およびモノクローナル抗体(例えば、抗ガングリオシドGM2、抗HER−2、抗p185)(Pietrasら、1998;Hanibuchiら、1998;米国特許第5,824,311号)である。ハーセプチン(herrceptin)(trastuzumab)は、HER2−neuレセプターを遮断するキメラ(マウス−ヒト)モノクローナル抗体である。ハーセプチンは、抗腫瘍活性を有し、悪性腫瘍の処置における使用のために承認されている(Dillman,1999)。
(1.受動的免疫療法)
癌の受動的免疫療法のための多数の異なるアプローチが存在する。それらは、概して次のように分類され得る:抗体の単独注射;毒素または化学療法剤と結合した抗体の注射;放射性同位体と結合した抗体の注射;抗イディオタイプ抗体の注射;そして最後に、骨髄中の腫瘍細胞の浄化。
【0101】
好ましくは、ヒトモノクローナル抗体は、患者に殆どまたは全く副作用を与えないので、受動的免疫療法に使用される。しかしながら、それらの適用は、それらが十分にないことよって幾分限定され、現時点では、病変内投与しかされない。ガングリオシド抗原に対するヒトモノクローナル抗体は、皮膚の再発性の黒色腫に罹患した患者に病変内投与される(IrieおよびMorton、1986)。毎日または毎週の病変内注射の後に、後退が、患者10人の内6人に見られた。別の研究において、中程度の成功が、2つのヒトモノクローナル抗体の病変内注射から達成された(Irieら、1989)。
【0102】
2つの異なる抗原に対する1より多いモノクローナル抗体または複数抗原特異性を有する同等の抗体を投与することは、有利であり得る。処置プロトコールは、また、リンホカインまたはBajorinら(1988)に述べられているような他の免疫エンハンサーの投与を含み得る。ヒトモノクローナル抗体の開発は、本明細書の中のほかの部分でさらに詳細に述べる。
(2.能動免疫療法)
能動免疫治療において、抗原性のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質、あるいは自家または同種異系の腫瘍細胞組成物または「ワクチン」が、一般に、別個の細菌アジュバンド(RavindranathおよびMorton,1991;MortonおよびRavindranath,1996;Mortonら、1992;Mitchellら、1990;Mitchellら、1993)と共に投与される。黒色腫の免疫治療において、高IgM反応を誘発する患者は、しばしば、IgM抗体を誘発しないか、または低IgM抗体を誘発する患者よりも常に生存する(Mortonら、1992)。IgM抗体は、しばしば一時的な抗体であり、そして原則に対する例外は、抗ガングリオシド抗体または抗炭化水素抗体であるようである。
(3.養子免疫治療)
養子免疫治療において、患者の循環リンパ球または腫瘍浸潤リンパ球は、インビトロで単離され、IL−2のようなリンホカインにより活性化されるか、または腫瘍壊死の遺伝子で形質転換されるかまた、再投与される(Rosenbergら、1988;1989)。これを達成するために、動物またはヒトの患者に、本明細書に述べられているアジュバンドを組み込んだ抗原性ペプチド組成物と組み合わせ、免疫学的に有効量の活性化リンパ球を投与する。活性化リンパ球は、最も好ましくは患者自身の細胞(血液または腫瘍サンプルから容易に単離された)であり、そしてインビトロで活性化される(拡張される)。免疫療法のこの形態は、黒色腫および腎臓癌腫の退行についていくらかの例を提供するが、応答者のパーセンテージは、応答のなかった者と比較して殆どいない。
【0103】
標識抗体とともにインキュベーションし、次に非結合材料を取り除くために洗浄した後、標識の量は、例えば、酵素標識としてのペルオキシダーゼの場合において、発色基質(例えば、尿素、またはブロモクレゾールブルー、または2,2’−アジノ−ジ−(3−エチルベンズチアジゾリン−6−スルホン酸(ABTS)、またはH2O2)。次に、定量化は、色調の度合いを、例えば可視スペクトル分光光度計を用いて測定することによって達成される。
【実施例】
【0104】
(E.実施例)
次の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含まれるが、以下の実施例において開示された技術に従って、本発明の実施において十分に機能することが本発明者らによって発見された技術を示し、その実施のために好ましい形態を構築すると見なされ得ることが当業者に理解されるべきである。しかしながら、本開示の観点において、当業者は、多くの変化が、開示された特定の実施形態においてなされ得、そしてなお本発明の精神および範囲から逸脱することなく類似または同様の結果を得ることを理解する。
(実施例1)
(患者のサンプル)
血漿サンプルを、CLLの患者および正常個体から収集した。末梢血サンプルを、EDTAチューブに収集した。CLLの診断を、末梢血および骨髄の形態学的評価、免疫学的評価、分子的評価を基準に決定した。免疫学的評価は、CD19、CD5、CD20、CD23、CD11C、CD22、FMC−7、CD79B、CD3、CD4、CD8、κおよびλを用いる白血球(細胞)のフローサイトメトリー解析を含んだ。分子的研究は、免疫グロブリン遺伝子およびT細胞レセプター遺伝子ならびにBcl−1およびBcl−2再配列研究を含んだ。
(実施例2)
(血漿および細胞性CD20のウエスタンブロット解析)
健常者およびCLLの患者から得られた血漿5μlを、9.5 SDS−PHゲルで電気泳動的に分離した。正常な単核細胞およびCLL細胞のサンプルからの細胞溶解液は、ポジティブコントロールおよびネガティブコントロールとして使用した。ニトロセルロース膜を、0.1%Tween 20および0.01%アジ化ナトリウムを含むPBS中で、5%無脂肪乳とともに室温で6〜8時間ブロッキングした。このブロットを、1μg/μlマウス抗CD20抗体(Sigma Chemical Corporation、St.Louis,MO)ならびに2.5%無脂肪乳、2.5ウシ血清アルブミン(BSA)および0.1%Tween 20を含むPBSを用いて4℃で一晩インキュベートした。次に、この膜を0.1%Tween 20を含むPBSで洗浄した。次に、ブロットを、1:20に希釈した抗マウス西洋わさびペルオキシダーゼ結合体化Ig(Sigma Chemical Corporation,St.Louis,Missouri)ならびに1%無脂肪乳および0.1%Tween 20を含むPBSと共にインキュベートした。免疫反応性バンドを、ECL検出システム(Amersham,Arlington Heights,IL)を用いて現像した。
【0105】
図1で示したように、抗CD20の反応性バンドは、高レベルで、CLLを有する患者の血漿において検出された。血漿において検出された可溶性(sCD20)バンドは、CLL細胞において検出された35kDのCD20に合致した。正常個体由来の血漿もまた、低レベルのCD20を示した。CLL細胞は、容易に検出可能なCD20タンパク質を示したが、正常個体からの単核細胞(この単核細胞は、豊富な単球およびT細胞を含み、そしてほとんどB細胞を含まない)は、検出不可能なCD20バンドを示した。
(実施例3)
(血漿および細胞CD52のウエスタンブロット解析)
患者からの正確に14.5μlの全血漿および40μgの細胞タンパク質を、9.5 SDS−PAGEゲルで電気泳動した。正常単核細胞サンプルおよびCLL細胞サンプルからの細胞溶解液を、ポジティブコントロールおよびネガティブコントロールとして使用した。このタンパク質を、標準的な技法を用いてニトロセルロース膜に転写した。膜を、0.1%Tween−20および0.01%アジ化ナトリウムを含むPBS中で、5%無脂肪乳とともに6〜8時間、温暖な温度でブロッキングした。このブロットを、1μgの抗CD52(Campath−1G)抗体ならびに2.5無脂肪乳、2.5ウシ血清アルブミン(BSA)および0.01Tween 20を含むPBSで、4℃で一晩インキュベートした。次に、この膜を、0.01%Tween 20を含むPBSで洗浄した。次に、このブロットを、Tween 20で希釈した西洋わさびペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ラットIg(Sigma Chemical Corporation、St.Louis,MO)ならびに1%無脂肪乳および0.1% Tween 20を含むPBSとともにインキュベートした。放射活性バンドを、ECL検出システム(Amersham,Arlington Heights,IL)を用いて現像した。
【0106】
図2に示すように、白血病性細胞からのタンパク質抽出物は、Campath−1Gモノクローナル抗体を使用して検出される場合、予想された14〜20kDのCD52 糖タンパク質を示す。同じ患者由来の血漿は、対応するバンドを示した。
(実施例4)
(血漿および細胞のCD20のElisa解析)
患者の血漿中のsCD20を検出するためのELISAアッセイを、開発した。簡単には、96ウェルのポリスチレンマイクロプレートを、Sigmaから購入したCD20に対する抗体を捕獲することでコートした。次に、プレートを、0.01%Tween 20を含むPBSで6回洗浄し、37℃で1〜3時間、0.01%Tween 20を含むPBS中のBSAでブロッキングし、0.01%Tween 20を含むPBSで洗浄した。100μlの血漿を、ウェルに加えた。次に、混合液を、室温で2時間インキュベートした。sCD20を、標準的手法を使用した西洋わさびペルオキシダーゼ酵素接合体を使用した後に、ヒト化抗CD20(Rituximab)抗体を使用して検出した;Rituximabを、2% BSA、0.01%Tween 20中で1:400に希釈した。プレートを、12時間インキュベートした。次に、ウェルを、0.01%Tween 20を含むPBSで6回洗浄した。100単位の基質を、色の発現のために加え、一定振とうで15〜30分インキュベートした。次に、15μlのNaClで反応を停止し、プレートを、450nmの波長で読み取った。段階希釈した既知数の合成CD20ペプチド分子を、検量線を作製するために使用した。
【0107】
レベルに相関する、ウエスタンブロットのCD20バンドの強度は、図1に示すようにELISAアッセイにおいて認められた。希釈および希釈サンプルの測定は、ほとんど同一の値を示した。ELISAアッセイにより検出したようなCLL患者の血漿におけるsCD20レベルは、31の通常個体において検出されたsCD20レベルよりも有意に高かった(図3)。CLLの患者におけるsCD20レベルは、52.89〜15740M/ml(平均=776.9)で変動した。対照的に、正常個体の血漿におけるsCD20のレベルは、123.55〜547.10M/ml(平均=470)で変動した。
(実施例5)
(sCD52酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA))
患者の血漿中のsCD52を検出するためのELISAアッセイを、開発された。簡単には、96ウェルのポリスチレンマイクロプレートを、Campath−1M抗体でコートした。次に、プレートを、0.01%Tween 20を含むPBSで6回洗浄し、37℃で1〜3時間、0.01%Tween 20を含むPBS中のBSAでブロッキングし、0.01%Tween 20を含むPBSで洗浄した。100μlの患者の血漿に加え、3時間インキュベートし、次に0.01%Tween 20を含むPBSで8回洗浄した。sCD52を、標準的手法を使用した西洋わさびペルオキシダーゼ酵素接合体を使用した後に、ヒト化抗CD52 Campath−1H抗体を使用して検出した;Campath−1Hを、2%BSA、0.01%Tween 20中で1:400に希釈した。次に、ウェルを、0.01%Tween 20を含むPBSで6回洗浄した。100単位の基質を、色の発現のために加え、一定振とうで15〜30分インキュベートした。次に、反応を、15μlのNaClで停止させ、プレートを、450nmの波長で読み取った。
【0108】
ELISAにおいて検出されたレベルを、25の正常個体において検出されたレベルに対して標準化した。25の正常個体において検出された平均レベルは、1の値を割り当て、CLL患者の血漿において検出されたレベルを、正常個体の正常平均の倍数として表す。図2に示すように、ELISAレベルは、ウエスタンブロットにおいて検出されたレベルに相関するようである。ウエスタンブロットのバンドを、スキャンし、定量化した。全サンプルから得た等量の血漿を、ゲル上で泳動された。ELISAの直線性を証明するために、高レベルを有する患者からの血漿を希釈し、そしてこの希釈での測定を相関させた。図4に示すように、希釈とELISAによって検出されたレベルとの間に完全な相互関係があった。図5に示すように、正常患者において検出されたsCD52レベルとCLLの患者において検出されたsCD52レベルとの比較において、CLL患者のCD52のレベルに有意な増加があった。
(実施例6)
(血漿CD20/Rituximab複合体(ELISA))
sCD20/Rituximab複合体形成を、ELISAアッセイを使用してRituximabで処置したCLL患者の血漿において調査した。
【0109】
血漿CD20/Rituximab複合体を、同様のサンドイッチELISAアッセイを使用することで測定した。簡単には、96ウェルポリスチレンマイクロプレートを、CD20に対する捕捉抗体でコートし、上述のように洗浄した。血漿サンプルを、PBS中での1:100希釈後に加え、上述のように洗浄した。検出のために、西洋わさびペルオキシダーゼ結合体化ヤギ抗ヒト免疫グロブリンを、使用した。次に、ウェルを、0.01%Tween 20を含むPBSで6回洗浄した。100単位の基質を、色の発現のために加え、一定振とうで15〜30分インキュベートした。反応を、15μlのNaClで停止させ、このプレートを、450nmの波長で読み取った。Rituximabに対して飽和で結合した後に、段階希釈した既知数の合成CD20ペプチド分子を、検量線を作製するために使用した。
【0110】
sCD20/Rituximab免疫複合体は、Rituximabで処置された20人のCLL患者から得られた20個全てのサンプルにおいて検出された。ELISAアッセイは、過剰のRituximabと混合された既知量の合成ペプチド混合物の希釈物間の直線的相関を示した(R=1)。免疫複合体は、Rituximabで処置した患者から得られた一連のサンプルにおいて検出された(図6)。図6に示すように、sCD20/Rituximab複合体は、Rituximabのレベルの増加と共に増加した。
(実施例7)
(CLLの進行したステージと相関する高レベルのsCD20)
種々の特徴および疾患の臨床段階を有する180人のCLL患者におけるsCD20の血漿レベルの相関を、評価した。研究した患者の特徴は、表1に列挙される。
【0111】
患者の内32人(17.8%)は、Raiステージ0疾患、81人(45%)は、ステージI〜II、および60人(33%)は、ステージIII〜IVであった。患者の平均年齢は61歳であり、そしてβ2Mレベルは3.4であった。男性と女性との間でsCD20レベルにおいて有意な差はなかった(p値=0.66)。sCD20レベルは、β2M(r=0.23,p値=0.006)、血小板数(r=−0.22,p値=0.004)、CD19+/CD38+細胞の割合(r=0.20,p値=0.03)およびヘモグロビンレベル(r=−0.18,p値=0.02)と高い相関関係があった(表2)。s
CD20レベルは、白血球数(r=−0.07,p値=0.33)とも、リンパ球数(r=−0.03,p値=0.71)とも年齢(r=0.05,p値=0.53)とも有意な相互関係がなかった。sCD20レベルとRaiステージとの間に直接的な相互関係があった。症例をRai0、RaiI〜IIおよびRai III〜IVに分類したとき、より高いRaiステージは、有意に高いレベルのsCD20を有していた(P=0.01,Kruskal−Wallis試験)(図7)。Raiステージ0〜IIの患者は、RaiステージIII〜IVの患者と比較したとき有意に低いsCD2レベルを有していた(P=0.01)。ビネ病期分類を使用した場合、同様の結果が得られた(P=0.004)(図8)。sCD20レベルとリンパ節症(P=0.11)または肝腫(P=0.25)の部位の数との間に相関関係はなかった。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
【表3】
一変量のCox比例危険モデルは、この患者群の生存率を予測する変数について試験に適合された(表3)。表3に示すように、CD38、ヘモグロビン、血小板、β2M、Rai病期分類、およびsCD20の発現が、すべて生存率の予測値となった。Cox回帰モデルの連続変数としてsCD20は、生存率の予測値となった(P=0.002)。しかしながら、適合度についてのマーチンゲール残差プロットをふまえ、sCD20がこのモデルによく適応するために対数変換が必要であった。sCD20の対数が一変量のCoxモデルに再適合させるために使用される場合、p値が0.08であり、ほんのわずかに有意であった。それゆえ、sCD20を、CARTによって選択された、1875M/mlのカットオフ時点を利用することで2種類に分け、これは、異なる生存率プロフィールを有する2つの患者群を証明した。sCD20>1875M/mlを有する患者は、sCD20<=1875M/mlを有する患者よりも有意に短い生存時間を有した(P=0.01)(図9)。高いsCD20を有する患者における生存率の中央値は約18ヶ月であり、一方でより低いレベルのsCD20を有する患者における中央値は到達されなかった(図9)。sCD20>1875M/mlを有する患者における、この短い生存率を示した多変量解析は、Rai病期分類またはヘモグロビンと無関係であった。
【0115】
sCD20のレベルは、患者の管理および予後に直接的な影響を有し得る。sCD20のレベルは、ライおよびビネの病期分類、ならびにβ2Mと正の相関関係があり、血小板およびヘモグロビンと逆の相関関係があった。sCD20は、白血球数、年齢、脾腫、またはリンパ節拡張と相関しなかった。高いレベルのsCD20は、ライの病期分類から無関係に短い生存率と相関した。このことは、sCD20レベルが疾患の特定の臨床上の病期および特性の生物学に反映し得ることを示唆した。患者が抗CD20(Rituximab)によって処置される場合、sCD20は重要な役割を果たし得る。sCD20/Rituximab複合体の形成は、白血病性細胞に到達することからモノクローナル抗体の量を有意に減少し得る。これが因子である場合、抗体の投薬量は、特に高いレベルのsCD20を有する患者において、治療レベルに到達するように、従って調節される必要があり得る。sCD20および治療的な抗CD20抗体との複合体の測定は、より効果的な治療戦略を設計するのに役立ち得る。
【0116】
(実施例10)
(CLL患者における可溶化CD52の臨床的関連性)
sCD52レベルは116人のCLL患者において研究された。これらの患者の特徴は、表1に列挙される。116患者のうち66人(57%)は、前もって未処置であった。79人(68%)が男性であり、44人(38%)がライの病期分類の病期III〜IVであった。患者の中央値年齢は61歳であり、中央値WBC数は60.1×109/Lであった。中央値ヘモグロビンは12.7g/Lであり、中央値βーミクログロブリン(β2M)は3.6g/dLであった。CD52の血漿レベルはRai病期分類と相関して、優位な相関関係があった(p=0.0008、クルスカル−ワリス)(図10)。また、ビネの病期分類が使用された場合も、同様の相関関係があった(p<0.0001)(図11)。116患者のうち74人が完全な細胞遺伝学の研究を有し、またsCD52レベルは、細胞遺伝学に乏しい患者(11q21−、+12、または第17番染色体の異常)とその他の患者とともに患者との間で比較された。細胞遺伝学に乏しい患者は、有意により高いレベルのsCD52を有した(p=0.0002、クルスカル−ワリス)(図12)。血漿CD52レベルは、また、拡張されたリンパ節を伴うリンパ結節部位の数と相関関係を有した。図13に示すように、より高いレベルのsCD52は、拡張されたリンパ節を伴うリンパ結節部位の数が多い患者の血漿中で検出された(P=0.002)。sCD52レベルはまた、肝臓の増加サイズ(P=0.0005)および膵臓の増加サイズ(0.000002)と正の相関関係にあった(表5)。sCD52レベルとヘモグロビン(P<0.00001)およびsCD52レベルと血小板(P<0.00001)と間には、逆の相関関係があった(表5)。sCD52レベルは、総白血球数(WBC)(p<0.00001)、β2M(P=0.00002)およびCD38の表面発現(0.01)と正の相関関係にあった(表5)。Cox比例危険モデルおよび一変量解析を用いると、sCD52は生存率と強く相関した。より高いレベルのsCD52は、短い生存率に相関した(P=0.001)。一変量解析はまた、この患者群における生存率が、ライの病期分類(p=0.007)、表面CD38発現(0.02)、乏しい細胞遺伝学(p=0.005)、ヘモグロビン(p=0.001)、血小板(p=0.01)およびβ2M(0.00001)と相関関係があることを示した。こうして、データは、この患者群が通常のCLL患者の代表であることを示唆した。
【0117】
sCD52、ライの病期分類、ヘモグロビン、血小板、WBC、およびβ2Mを組み込んだ多変量解析において、β2Mのみが生存率の予測値となり(p=0.02)、一方ではsCD52は生存率の予測値とならなかった。カットオフ時点が、高い発現を有する人と低い発現を有する人の2群に患者を分別するために用いられた。上側の四分位値に一致する32のカットオフ時点を用いた場合、高いレベルのsCD52を有する患者は有意に短い生存率を示した(p=0.0001、Log−Rank検定)(図14)。ライの病期分類、ヘモグロビン、血小板、WBC、およびβ2Mを組み込んだ多変量解析において、CLL患者を2群に分別するためにsCD52レベルを用いた場合、β2Mは生存率の予測値のままであり(P=0.05)、またsCD52は生存率の境界予測値となり、一方でライ、ヘモグロビン、血小板およびWBCは生存率の予測値とならなかった。このことは、非常に高いレベルにあるとき、sCD52レベルが生存率の予測値とおそらく無関係であることを示唆した。
【0118】
(表4 患者の特徴)
【0119】
【表4】
(表5 CLLにおけるsCD52レベルと種々の臨床的特徴との間のスピアマン(Spearman)相関)
【0120】
【表5】
これらのデータは、sCD52レベルがCLLにおいて特異的な臨床的挙動を反映するということを示した。sCD52レベルは、種々の疾患段階に相関し、またより高いレベルは疾患の病原性に関連された。循環血中の白血病性細胞の数、肝肥大、脾腫、リンパ節関連およびβ2Mの間に正の相関があった:これらのすべては通常、より多くの進行型疾患と関係する。それゆえ、sCD52は病期の進行した患者に使用され得、しかしもっと重要なことには、sCD52の存在は、Campath−1Hを用いて治療される場合、これらの患者の処置の有効性に有意な影響をもたらし得る。sCD52が治療上のCampath−1H抗体に結合し得、また細胞への到達からそれらを隔絶し得るという可能性は、考慮されるべきであり、また調査されるべきである。この結合は、抗体の薬力学および薬物動態学において有意な影響をもたらし得る。高いレベルのsCD52を有する患者が、sCD52を飽和するためにより多くの抗体の投与量を要求し、抗体が細胞に到達することを許容することが可能である。同様に、治療中の患者が、彼らのsCD52レベルが低下し、腫瘍質量が小さくなるように、より低いレベルの抗体を要求することが可能である。抗CD52抗体の投薬量の減少は、Campath−1Hで処置されている患者に報告されている深刻な免疫抑制を減少する手助けとなり得る。sCD52の使用はまた、Campath−1Hに基づいているかどうかには関係なく、CLL疾患のモニタリングおよび治療の有効性のモニタリングに有用であり得る。
【0121】
(実施例11)
(Campath−1Hで処置されている患者におけるsCD52/Campath−1H複合体の検出)
CLL患者の血漿中sCD52の検出は、結果として、発明者に抗原および抗体が血漿中で複合体を形成し得る可能性を検討させた。
【0122】
血漿sCD52/Campath−1H複合体を、同様のサンドイッチELISAアッセイを用いて測定した。簡潔には、96ウェルポリスチレンマイクロプレートをCD52のための捕獲抗体でコーティングし、上述したように洗浄した。血漿サンプルがPBS中1:100希釈の後添加し、上述したようにインキュベートした。検出については、ホースラディッシュペルオキシダーゼが結合したヤギ抗ヒト免疫グロブリンが使用された。ウェルを、それから0.01%のTween20を含むPBSで6回洗浄した。100ユニットの基質を色の発色のために添加し、一定の振盪をともなって15〜30分間インキュベートした。それから15マイクロリットルの塩化ナトリウムで反応を停止し、プレートを450nm波長で読んだ。Campath−1Hに飽和して結合した後、既知数の分子の合成CD52ペプチドの希釈系列が検量線を作成するために用いられた。
【0123】
sCD52/Campath−1H免疫複合体を、Campath−1Hで処置されたCLL患者からのサンプル中で検出した。ELISAアッセイは、過剰量のCampath−1H(R=1)と混合された既知数の合成ペプチドの希釈間に線形相関を示した。免疫複合体は、Campath−1Hで処置されている患者からのサンプル系列中で検出された(図15)。
【0124】
Campath−1Hで処置された患者におけるsCD52/Campath−1H複合体の検出は、これらの複合体の形成が、標的細胞に付着することが可能な抗体の量を減らすことが出来たことを示唆する。
【0125】
(実施例12)
(Campath−1HとCLL治療に対する応答との間の相関)
化学療法後の最低限の残存疾患を根絶するために、Campath−1Hのレベルが、Campath−1Hで処置されたCLL患者において測定された。全患者は、完全寛解(CR)だがフローサイトメトリーでの残存疾患の徴候は有していたか、部分寛解(PR)であった。患者は、Campath−1H 10mgで1ヶ月間、週に3回、処置された。Campath−1Hの血漿レベルは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって決定された残存疾患、治療に対する応答、および感染と相関した。
【0126】
簡潔には、血漿サンプルは、この過程の最後に12患者から集められた。数人の患者は完全寛解(CR)を達成し、また数人の患者は応答を示さなかった(NR)。CRの患者は、NRの患者に比して有意により高いレベルのCampath−1Hを有した(P=0.009)。CRを達成した患者の血漿中Campath−1H濃度の中央値は、0.420μg/ml(0〜1.760μg/mlの範囲)であり、一方で全NR患者は検出可能な血漿中Campath−1Hを有さなかった。CRを達成した患者は、PCRによって決定されるような有意により少ない、最低限の疾患を有した(P=0.02)。PCRによって決定されるようなより多くの残存疾患を有して治療を開始された患者は、CRを達成する可能性がより少なかった(P=0.02)。感染の徴候があった患者(3人はCMVにより、1人はStaphylococcusによる)は、PCRによって決定されるような残存疾患を有意により多く有したが(P=0.02)、これらの患者は、感染を発症しなかった患者に比して、Campath−1Hレベルの統計的に有意な差異を有さなかった。
【0127】
こうして、このデータは、より高いレベルの残存疾患を有するCLL患者が、疾患を根絶するためより高い用量のCampath−1Hを必要とし得、検出可能な血漿中Campath−1HレベルがCRを達成するために必要であり得ることを示唆した。さらに、この患者群における感染は、より高いレベルの残存疾患と関係し、より高いレベルのCampath−1Hとは関係しなかった。
【0128】
(実施例13)
(Rituximabレベルと、フルダービン(fludarbine)、シクロホスファミドおよびRituximabを併用して処置されたCLL患者の応答との間の相関)
フルダービン(F)、シクロホスファミド(C)およびRituximab(R)を併用したCLL患者の処置(6サイクルのFCR(第1サイクルの2〜4日目、および第2〜6サイクルの1〜3日目に、F−25mg/m2/日およびC−250mg/m2/日、ならびに第1サイクルの1日目にR−375mg/m2、ならびに第2〜6サイクルの1日目にR−500mg/m2))は、成功(例えば、寛解(CR)を達成すること)に終わった。
【0129】
簡潔には、治療開始の3〜9ヶ月の間の様々な時間にFCRで処置されたCLL患者において、血漿Rituximabレベルが測定され、そのレベルは、応答およびその他の特徴と相関した。最前線の患者が考慮された場合、応答を有さない患者は、検出可能なレベルのRituximabを有さなかった。これらの患者は、CRの患者または結節性CR(CRN)の患者に比して、有意に高いレベルの循環CD20(cCD20)を有した。しかしながら、前もって処置されていた患者が考慮された場合、RituximabレベルはCR、NRおよびCRNの患者間で有意な差異を有さなかった。高いRituximabレベルは、最前線の患者の中で、治療開始時においてRai病期分類の初期段階に位置する患者では達成されたが(P=0.005)、前もって処置されていた患者においては達成されなかった(P=0.7)。達成されたRituximabレベルは、前もって処置された患者における以前の処置β2Mと逆の相関関係にある(R=0.44、P=0.002)が、最前線の患者とは逆の相関関係になかった(R=0.20、P=0.23)。
【0130】
こうして、このデータは、治療に対して応答しなかった患者で、FCRで治療された少数の最前線の患者が、低レベルのRituximabを有し、より多い用量から恩恵を受け得ることを示唆した。
【0131】
(参考文献)
以下の参考文献は、本明細書中に記載されるものに対する模範的な手順、またはその他の詳細な補足を提供する範囲で、特に本明細書中で参考として援用される。
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【0137】
【数6】
本発明およびその進歩性を詳細に記載したが、添付の特許請求の範囲によって規定された本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変化、置換、変更が、本明細書中でなされ得ることが理解されるべきである。さらに、本願の範囲は、本明細書中に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、および工程といった特定の実施例に限定されないように、意図される。当業者が、本発明の開示から、容易に理解するように、本明細書中に記載された対応する実施例と、実質的に同じ機能を実施し、実質的に同じ結果に達する、現存するかまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、または工程は、本発明に従って利用され得る。従って、添付の特許請求の範囲は、このようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、または工程を範囲内に含むよう、意図される。
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許仮出願第60/323,679号(2001年9月20日出願)に対して優先権を主張する。
(発明の背景)
((A)発明の分野)
本発明は、免疫学および過剰増殖疾患の分野に関連する。さらに詳細には、本発明は、少なくとも一度の免疫療法を受けた患者における、治療抗体:抗原複合体、可溶性抗原、遊離した治療抗体、および可溶性のすべての治療抗体の検出およびモニタリングの方法に関連する。さらに、その方法は、治療抗体:抗原複合体、可溶性抗原または可溶性の治療抗体のレベルを測定することにより、過剰増殖疾患のモニタリングまたは病期分類に使用され得る。
【背景技術】
【0002】
((B)関連分野の説明)
((1)分化クラスター)
分化クラスター(CD)は、分化抗原に対するモノクローナル抗体の反応性の比較により、ヒト白血球分化抗原(BernanrdおよびBoumsell,1984)を定義するために確立された。これらの細胞表面抗原は、細胞株のマーカーとして働き、異なる機能を有する白血球の集団(例えば、好中球および単球)を識別する。
【0003】
白血球細胞表面抗原は、白血球集団およびそれらの機能的状態の同定の可能性のある膨大な臨床的用途を有する(Krensky,1985,Kungら,1984;Kungら,1983;Cosimiら,Knowlesら,1983;およびHoffman,1984)。例えば、表面マーカーによるT細胞の総数の測定は、リンパ性悪性疾患(Greavesら,1981)および移植に関連したウイルス感染(Colvin,R.Bら,1981)、ならびにエイズ(Gupta,1986;Ebertら,1985)の特徴付け、診断および分類に有用である。
((a)CD20)
CD20(B1(Bp35)とも呼ばれる)は、Bリンパ球の表面上に検出される細胞表面リンタンパク質である(TedderおよびSchlossman,1988;Warzynskiら,1994;Alginoら 1996)。CD20は、ヒトB細胞の活性化、増殖および分化の制御において、主要な役割を有している(Golayら,1985;TedderおよびEngel,1994;Kehrlら,1994)。CD20は、非増殖B細胞と比較した場合、悪性B細胞および増殖B細胞において激しくリン酸化されることが報告されている(TedderおよびSchlossman,1988)。配列解析に基づいて、CD20分子は、細胞質中に4つの膜貫通ドメインとN−およびC−末端ドメインを有すると思われる(Kehrl,ら,1994)。その分子は、膜貫通Ca++コンダクタンスを制御すると思われる(TedderおよびEngel,1994)。CD20の細胞外タンパクに対する抗体は、src関連キナーゼとの相互作用により細胞周期の進行を調節するチロシンキナーゼ経路を活性化すると思われる(Deansら,1995;Popoffら1998;Hofmeisterら,2000)。抗体に結合した際の界面活性剤不溶性の膜コンパートメントへのCD20の再局在もまた報告されている(Deansら,1998)。いくつかの研究が、異なる過剰増殖疾患における悪性のB細胞の表面上のCD20発現の強度の変化を証明した(Almasriら,1992;Ginaldiら,1998)。この成功を受けて、様々なB細胞悪性疾患の処置において、抗CD20モノクローナル抗体(Rituximab)は重要である(Maloneyら,1999;Dimopoulousら,2000;Zinzaniら,2000;Hainsworth,2000;Keatingら,2000;McLaughlinら,2000:Kuehnleら,2000)。報告されているCD20分子の構造は、CD20が細胞表面から分泌されず、そしてCD20が細胞表面から放出される可能性はほとんどないことを示唆する。
((b)CD52)
CD52抗原は、12アミノ酸からなる非常に短い成熟タンパク質配列を有するが、大きな糖質ドメイン(タンパク質ドメインの大きさの約3倍)を有する糖タンパク質である(Xia,M.Qら,1993;Treumann,A.ら,1995)。CD52は、Tリンパ球、Bリンパ球、単球/マクロファージ、好酸球およびいくつかの造血前駆体の表面で発現される(Rowan,W.ら,1998;Elsner,J.ら,1996;Taylor,M.L.ら,2000;Gilleece,M.H.ら,1993)。CD52はまた、男性生殖管、主に末端の表皮、精管および精嚢の上皮内層細胞において発現される(Kirchhoff,C.ら,1995;Kirchhoff,C.ら,1993;Kirchhoff,C.1996;Kirchhoff,C.ら,1997;Kirchhoff,C.,1998;Kirchhoff,C.ら,2000)。CD52は、精子が正常な運動性を保つために必要である。CD52は、生殖管を通じた精子細胞の通過を可能にするために、精漿内に分泌され、精子細胞により捕捉される。そのため、CD52は精巣上体の精子および射精された精子の表面上において検出されるが、精子形成細胞または精巣の精子どちらにおいても検出されない。精子のタンパク核およびリンパ球のタンパク核心は同じである−両方とも第1染色体(1p36)に位置する単一コピー遺伝子の産物である(Tone,M.ら,1999)。しかしながら、N結合型糖側鎖およびGPIアンカー構造は異なる。リンパ球におけるCD52の生理的な役割は不明である。
【0004】
モノクローナル抗体のCampath−1ファミリーは、本来はヒトT細胞に対してラットを免疫することで作製された(Friend,P.J.ら,1991)。後の研究は、Campath−1抗体がCD52を認識することを示した(Xia,M.Q.ら,1993;Xia,M.Q.ら,1991;Hale,G.ら,1990)。いくつかの形態、IgGおよびIgMの両方が作製された。Campath−1のIgG1形態は、ヒト化され、そしてその因子である、Campath−1H(Alemtuzumab)は、難治性の慢性リンパ性リンパ腫(CLL)の処置に対して近年認められた(Finkelstein,J.Bら,2001;Rawstron,A.C.ら,2001;Riechmann,L.ら,1988)。Campath−1ファミリーの抗体はまた、インビトロで同種骨髄移植におけるリンパ球の欠乏にも用いられ、そして様々な疾患における免疫調節治療として研究されている(Moreau,T.ら,1996;Matteson,E.L.ら.,1995;Lim,S.H.ら,1993;Lockwood,C.M.ら,1993;Lockwood,C.M.,1993;Lockwood,C.M.ら,1996;Dick,A.D.ら,2000;Hale,G.ら,2000;Isaacs,J.D.ら,1992;Lim,S.H.ら,1993;Mehta,J.ら,1997;Naparstek,E.ら,1999;Naparstek,E.ら,1995;Novitzky,N.ら,1999;Or,R.ら,1994)。
【0005】
CD52に対する抗体は、抗原架橋により、細胞の殺傷を開始すると考えられる(Hale,C.ら,1996)。この架橋の結果、腫瘍壊死因子−α、インターフェロンγ、およびインターロイキンを含むいくつかのサイトカインが放出される(Elsner,J.ら,1996;Wing,M.G.ら,1996;Wing,M.G.ら,1995)。抗体によるCD52の架橋は、アポトーシスおよび抗体依存の細胞傷害性を促進し、それは慢性リンパ性リンパ腫(CLL)の患者の治療においてCampath−1Hの効果に重要になり得る(Rowan,W.ら,1998;Rawstron,A.C.ら,2001;Greenwood,J.ら,1994;Xia,M.Q.,ら,1993)。CD52は、CLL患者の腫瘍性リンパ球、軽度のリンパ腫およびT細胞悪性腫瘍の表面上で発現される(Dyer,M.J.,1999;Dybjer,A.ら,2000;Pawson,R.ら,1997;Salisbury,J.R.ら,1994;Matutes,E.1998)。骨髄性、単球性、および急性のリンパ芽球性リンパ腫のいくつかの症例もまたCD52を発現する(Belov,L.ら,2001;Hale,G.ら,1985)。さまざまな血液学的悪性腫瘍におけるCD52の幅広い発現は、これらの悪性腫瘍の治療におけるCampath−1Hの使用への関心の増加をもたらした(Khorana,A.ら,2001;Keating,M.J.1999)。
【0006】
CD52は、男性生殖器系において放出され、そしてこの可溶性分子は精子機能を維持するために重要な役割を果たす(Kirchhoff,C.,1996;Yeung,C.H.ら,1997;Yeung,C.H.ら,2001)。しかしながら、CD52が造血細胞から放出されるおよび/またはCLL患者の血液循環において検出可能であるかは知られていない。
((c)CD33)
CD33は、シアリン酸に結合するシグレックス(siglecs)ファミリーのメンバーである。CD33は、細胞の骨髄単球性系統に制限される。ミエロイド(myloid)細胞の成熟の間、多能性造血幹細胞は、減少した自己再生能力および高程度の分化を有している前駆細胞の増加を生じさせる。この発達の間、正常ミエロイド細胞は、細胞表面抗原(例えばCD33)を発現する。CD33は、成熟した正常造血細胞に存在するが、正常造血幹細胞は、この細胞表面抗原を欠いている。成熟している正常造血細胞に加え、CD33は急性骨髄性白血病(AML)においても存在する。したがって、このミエロイド細胞表面マーカーは、モノクローナル抗体ターゲティングの誘引性の標的となる。またさらに、抗CD33抗体はまた、白血病細胞へ放射線あるいは細胞傷害性物質を直接送達するために使用される。
((2)免疫学的検定法)
免疫学的検定法は、細胞表面抗原を測定するために通常は用いられる。代表的には、フローサイトメトリーを用いた免疫蛍光が、最適な免疫学的検定法である。しかしながら、他の免疫学的検定法、例えば酵素結合免疫測定法(ELISA)も使われ得る。この技術は、生物学的分子を検出するための強力な測定法を作成する簡易な相分離と相互作用をもつ抗原−抗体の特別な性質に基づいている。
【0007】
一つの周知の極めて特異的なELISAはサンドイッチELISAである。この測定法において、抗体は固相または固体支持体に結合され、次いで二成分固相抗原:抗体複合体の形成によって試料から抗原を抽出するために、試験される試料と接触される。適当なインキュベーション時間の後、固体支持体は、液体試料の残留物を除去するために洗浄され、次いで既知量の標識抗体を含む溶液と接触される。
【0008】
ELISAに対する方法論および計測手段は、免疫蛍光の方法論および計測手段よりも容易である。またさらに、ELISA測定法および免疫蛍光測定法は、完全に異なる測定法である。ELISA測定法は、全身を反映する血漿/血球中のタンパク質(抗原)を測定する。表面免疫蛍光測定法は、個々の細胞表面の抗原を測定し、身体中の細胞の量の情報を提供しない。従って、ELISA測定法の発展に全身の測定を提供するための利点がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の簡単な要旨)
従って、本発明の目的は、細胞分化抗原またはそのフラグメントのような、溶解性のリンパ球表面分子を検出またはモニタリングするための手法を提供することである。特に、細胞分化抗原に向けられる可溶性表面抗原、抗体:抗原複合体および抗体は、改変サンドイッチELISA技術を用いることで検出またはモニタリングされ得る。また、改変サンドイッチELISA技術を使用して定量化される可溶性細胞表面分子は、炎症または感染のような任意の他のプロセスに起因して、癌または他の過剰増殖疾患を有する個体の増殖または細胞体積のモニタリングのために用いられ得る。
【0010】
特定の実施形態において、抗体:抗原複合体は、少なくとも1つの治療抗体を用いた免疫療法の治療(例えば、注射)を受けた患者で測定される。治療抗体としては、抗CD20、抗CD52または抗CD33が挙げられ得るが、これらに限定されない。抗体:抗原複合体は、ELISA技術によって測定され、抗体免疫療法の効果の決定を提供する。
【0011】
本発明の別の局面は、患者に免疫治療を提供する方法を含み、この方法は、治療抗体を投与工程、ならびに循環抗体:抗原複合体、総抗体、遊離抗原および遊離抗体の存在を検出する工程を包含する。治療抗体は、細胞表面から放出される可溶性抗原に結合する。抗原はCD20、CD52およびCD33であると想定される。これらの方法は、抗体に基づいた治療の効果をモニタリングするために利用され得ると想定される。
【0012】
さらなる実施形態において、本発明は、可溶性白血球表面分子、治療抗体または抗体:抗原複合体を測定することで過剰増殖疾患の検出またはモニタリングする方法を提供する。具体的には、患者から試料が得られ、その試料が1次モノクローナル抗体と接触され、ここでこの抗体は複合体を捕獲し;この複合体は標識された2次抗体と接触され;そしてこの標識された複合体が測定される。1次モノクローナル抗体は、固体表面に結合される。またさらに、患者は、治療抗体を用いた免疫療法の治療を受けここで、この治療抗体は、複合体を形成する可溶性の循環標的抗原と結合する。
・本発明はさらに、以下を提供し得る:
・(項目1)
患者における抗体免疫療法の効力を決定する方法であって、循環する抗体:抗原複合体のレベルの検出する工程を包含する、方法。
・(項目2)
検出工程がELISAによる、項目1に記載の方法。
・(項目3)
上記抗体免疫療法が、Rituximab、Campath−1HまたはMylotargである、項目1に記載の方法。
・(項目4)
免疫療法の方法であって、当該方法は、患者に治療抗体を投与する工程および循環する抗体:抗原複合体の存在を検出する工程を包含する、方法。
・(項目5)
上記抗体が、可溶性抗原に結合する、項目4に記載の方法。
・(項目6)
上記抗原が、細胞表面から分離される、項目5に記載の方法。
・(項目7)
上記抗原が、CD20、CD52およびCD33である、項目5に記載の方法。
・(項目8)
検出工程がELISAによる、項目4に記載の方法。
・(項目9)
治療抗体:抗原複合体を検出する工程であって、当該方法は、以下:
患者からサンプルを得る工程であって、ここで当該患者は、治療抗体を用いる免疫療法の過程を受け、ここで当該治療抗体は、当該複合体を形成する可溶性循環標的抗原に結合する、工程;当該サンプルを、第1のモノクロナ−ル抗体と接触させる工程であって、ここで当該抗体は、当該複合体を捕捉する、工程;当該複合体を、標識された第2の抗体と接触させる工程;および当該標識された複合体を測定する工程、を包含する、方法。
・(項目10)
上記第1モノクローナル複合体が、固体表面に結合する、項目9に記載の方法。
・(項目11)
上記サンプルが、血清または血漿である、項目9に記載の方法。
・(項目12)
上記患者がヒト患者である、項目9に記載の方法。
・(項目13)
上記第1のモノクローナル抗体が、抗CD20、抗CD52または抗CD33である、項目9に記載の方法。
・(項目14)
上記治療抗体が、抗CD20、抗CD52または抗CD33である、項目9に記載の方法。
・(項目15)
上記治療抗体が、Rituximabである、項目14に記載の方法。
・(項目16)
上記治療抗体が、Campath−1Hである、項目14に記載の方法。
・(項目17)
上記治療抗体が、Mylotargである、項目14に記載の方法。
・(項目18)
治療抗体療法をモニタリングする方法であって、当該方法が、患者のサンプルにおける治療抗体:抗原複合体を測定する工程を包含する、方法。
・(項目19)
上記患者サンプルが血清または血漿である、項目18に記載の方法。
・(項目20)
上記治療抗体が、抗CD20、抗CD52または抗CD33である、項目18に記載の方法。
・(項目21)
上記治療抗体が、Rituximabである、項目20に記載の方法。
・(項目22)
上記治療抗体が、Campath−1Hである、項目20に記載の方法。
・(項目23)
上記治療抗体が、Mylotargである、項目20に記載の方法。
・(項目24)
過剰増殖疾患をモニタリングする方法であって、当該方法が、患者のサンプルにおける治療抗体:抗原複合体を測定する工程を包含する、方法。
・(項目25)
上記過剰増殖疾患を、さらに癌として規定する、項目24に記載の方法。
・(項目26)
上記癌が、新生物を含む、項目25に記載の方法。
・(項目27)
上記新生物が、黒色腫、非小肺細胞、小肺細胞、肺肝臓癌、網膜芽細胞腫、星状細胞腫、神経謬芽細胞、歯肉、舌、白血病、神経芽細胞腫、頭部、頚部、胸部、膵臓、前立腺、腎臓、骨、精巣、卵巣、中皮腫、子宮頚部、胃腸、リンパ腫、脳、結腸、または膀胱である、項目26に記載の方法。
・(項目28)
上記新生物が、造血細胞新生物であって、当該新生物は、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄単球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、T細胞慢性リンパ性白血病および前リンパ球性白血病から成る群から選択された、項目26に記載の方法。
・(項目29)
上記治療抗体が、抗CD20、抗CD52または抗CD33である、項目24に記載の方法。
・(項目30)
上記治療抗体が、Rituximabである、項目29に記載の方法。
・(項目31)
上記治療抗体が、Campath−1Hである、項目29に記載の方法。
・(項目32)
上記治療抗体が、Mylotargである、項目29に記載の方法。
・(項目33)
自己免疫疾患をモニタリングする方法であって、当該方法が、患者の血清における治療抗体:抗原複合体を測定する工程を包含する、方法。
・(項目34)
上記治療抗体が、抗CD52である、項目33に記載の方法。
・(項目35)
上記治療抗体CD52が、Campath−1Hである、項目34に記載の方法。
・(項目36)
第2の治療抗体:抗原複合体を測定する工程をさらに包含する、項目33に記載の方法。
・(項目37)
上記第2の治療抗体が、抗CD20である、項目36に記載の方法。
・(項目38)
上記抗CD20が、Rituximabである、項目37に記載の方法。
・(項目39)
上記第1:抗原複合体および上記第2の抗体:抗原複合体が、同時に測定される、項目37に記載の方法。
・(項目40)
上記第1:抗原複合体および上記第2の抗体:抗原複合体が、連続的に測定される、項目37に記載の方法。
・(項目41)
上記自己免疫疾患が、シェ−グレン症候群、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、自己免疫性甲状腺疾患、無反応性眼球炎症性疾患、多発性硬化症、またはヴェーゲナー肉芽腫症である、項目33に記載の方法。
・(項目42)
腫瘍の質量を決定する方法であって、当該方法は、以下:
患者からサンプルを得る工程;
当該サンプルを第1のモノクロナ−ル抗体と接触させる工程であって、ここで当該抗体が、当該サンプル中の可溶性抗原を捕捉する、工程;
当該可溶性抗原を、標識された第2の抗原と接触させる工程;および
当該標識された可溶性抗原を測定する工程
を包含する、方法。
・(項目43)
上記サンプルが、血漿である、項目42に記載の方法。
・(項目44)
上記第1のモノクロナ−ル抗体が、抗CD20である、項目42に記載の方法。
・(項目45)
上記可溶性抗原が、CD20である、項目42に記載の方法。
・(項目46)
上記標識された第2の抗体が、Rituximabである、項目42に記載の方法。
・(項目47)
上記腫瘍が、黒色腫、非小肺細胞、小肺細胞、肺肝臓癌、網膜芽細胞腫、星状細胞腫、神経謬芽細胞腫、歯肉、舌、白血病、神経芽細胞腫、頭部、頚部、胸部、膵臓、前立腺、腎臓、骨、精巣、卵巣、中皮腫、子宮頚部、胃腸、リンパ腫、脳、結腸、または膀胱である、項目42に記載の方法。
・(項目48)
上記腫瘍が、B細胞腫瘍である、項目42に記載の方法。
・(項目49)
上記B細胞腫瘍が、慢性リンパ性白血病である、項目43に記載の方法。
・(項目50)
B細胞過剰増殖疾患を病気分類する方法であって、当該疾患が、サンドイッチ型ELISAにより、患者サンプルにおける、可溶性CD20のレベルを決定する工程を包含する、方法。
・(項目51)
上記可溶性CD52のレベルを決定する工程をさらに包含する、項目50に記載の方法。
・(項目52)
上記B細胞過剰増殖疾患が、慢性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄単球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、多発性骨髄腫、毛様細胞性白血病、前リンパ球性白血病、またはリンパ腫である、項目50に記載の方法。
・(項目53)
上記B細胞過剰増殖疾患が慢性リンパ球性白血病である、項目50に記載の方法。
・(項目54)
B細胞過剰増殖疾患をモニタリングする方法であって、当該方法が、サンドイッチ型ELISAにより、患者サンプルにおける可溶性CD20のレベル、可溶性抗CD20のレベルまたはCD20/抗CD20複合体のレベルを測定する工程を包含する、方法。
・(項目55)
上記B細胞過剰増殖疾患が、慢性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄単球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、多発性骨髄腫、毛様細胞性白血病、前リンパ球性白血病、またはリンパ腫である、項目54に記載の方法。
・(項目56)
上記B細胞過剰増殖疾患が、慢性リンパ性白血病である、項目54に記載の方法。
・(項目57)
上記可溶性CD52のレベル、可溶性抗CD52のレベルまたはCD52/抗CD52複合体のレベルを測定する工程をさらに包含する、項目54に記載の方法。
・(項目58)
造血性過剰増殖疾患をモニタリングする方法であって、当該方法が、サンドイッチ型ELISAにより、上記可溶性CD52のレベル、可溶性抗CD52のレベルおよびCD52/抗CD52複合体のレベルを測定する工程を包含する、方法。
・(項目59)
上記造血性過剰増殖疾患が、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄単球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、多発性骨髄腫、T細胞慢性リンパ性白血病、前リンパ球性白血病、および他のT細胞疾患からなる群から選択される、項目58に記載の方法。
・(項目60)
可溶性CD20の量、可溶性抗CD20の量およびCD20/抗CD20複合体の量を測定する工程をさらに包含する、項目58に記載の方法。
・(項目61)
可溶性CD33の量、可溶性抗CD33の量およびCD33/抗CD33複合体の量を測定する工程をさらに包含する、項目60に記載の方法。
・(項目62)
T細胞過剰増殖疾患を病気分類する方法であって、当該方法が、サンドイッチ型ELISAによって、患者サンプルにおける可溶性CD52のレベルを測定する工程を包含する、方法。
・(項目63)
上記T細胞過剰増殖疾患が、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄単球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、多発性骨髄腫、T細胞慢性リンパ性白血病、前リンパ球性白血病、および他のT細胞疾患である、項目62に記載の方法。
・(項目64)
上記T細胞過剰増殖疾患が、慢性リンパ性白血病である、項目63に記載の方法。
・(項目65)
T細胞過剰増殖疾患をモニタリングする方法であって、当該方法が、サンドイッチ型ELISAにより、患者サンプルにおける可溶性CD52のレベル、可溶性抗CD52のレベルまたはCD52/抗CD52複合体のレベルを測定する工程を包含する、方法。
・(項目66)
上記T細胞過剰増殖疾患が、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄単球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、多発性骨髄腫、T細胞慢性リンパ性白血病、前リンパ球性白血病、および他のT細胞疾患である、項目65に記載の方法。
・(項目67)
上記T細胞過剰増殖疾患が、慢性リンパ性白血病である、項目66に記載の方法。
・(項目68)
骨髄性過剰増殖疾患を病気分類する方法であって、当該方法が、サンドイッチ型ELISAにより、患者サンプルにおける、可溶性CD33のレベルを決定する工程を包含する、方法。
・(項目69)
上記骨髄性過剰増殖疾患が、慢性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄単球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、多発性骨髄腫、毛様細胞性白血病、前リンパ球性白血病、またはリンパ腫である、項目68に記載の方法。
・(項目70)
上記骨髄性過剰増殖疾患が、急性骨髄性白血病である、項目69に記載の方法。
・(項目71)
骨髄性過剰増殖疾患をモニタリングする方法であって、当該方法が、サンドイッチ型ELISAにより、患者サンプルにおける、可溶性CD33のレベル、可溶性抗CD33のレベルまたはCD33/抗CD33複合体のレベルを測定する工程を包含する、方法。
・(項目72)
上記骨髄性過剰増殖疾患が、慢性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄単球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、多発性骨髄腫、毛様細胞性白血病、前リンパ球性白血病、およびリンパ腫である、項目71に記載の方法。
・(項目73)
上記過剰増殖疾患が、急性骨髄性白血病である、項目72に記載の方法。
【0013】
本明細書で使用される場合、過剰増殖疾患は、さらに癌と定義され得る。またさらに、癌は新生物と定義される。例示的な新生物としては、黒色腫、非小細胞肺、小細胞肺、肺肝臓癌(lung hepatocarcinoma)、網膜芽細胞腫、星状細胞腫、神経膠芽腫、歯茎、舌、白血病、神経芽細胞腫、頭部、頸部、胸部、膵臓、前立腺、腎臓、骨、精巣、卵巣、中皮腫、子宮頸部、胃腸、リンパ腫、脳、結腸、または膀胱が挙げられるが、これに限定されない。
【0014】
過剰増殖疾患は、さらに自己免疫疾患(例えば、シェーグレン症候群、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、自己免疫甲状腺疾患、難治性眼球炎症、多発性硬化症、ヴェーゲナー肉芽腫症または感染症)と定義され得ることが企図される。
【0015】
特定の実施形態において、本発明は、造血性新生物をモニタリング、検出、または病期決定をする。例示的な造血性新生物としては、慢性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、骨髄形成異常症候群、慢性骨髄単球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、T細胞慢性リンパ球性白血病または前リンパ球性白血病を含むが、これに限定されない。
【0016】
またさらに、本発明は、腫瘍質量の決定に使用され得ることが企図される。腫瘍質量は、可溶性白血球細胞表面抗原、可溶性抗体または可溶性抗体:抗原複合体のレベルを測定する本発明の改変サンドイッチELISA技術を用いて測定され得る。
【0017】
特許請求の範囲および/または明細書において、用語「含む(comprising)」と組み合わせて使用される場合、単語「a」または「an」の使用は、「1つ(one)」を意味し得る。しかし、これはまた、「一つ以上」、「少なくとも一つ」および「一つかそれ以上」の意味と一致する。
【0018】
前記は以下の発明の詳細な説明がより理解され得るように、いく分大まかに本発明の特性および技術的利点について概説した。特許請求の範囲の事項を構成する本発明のさらなる特性および利点は、以下に記述され得る。開示される概念および特定の実施形態が、本発明と同じ目的の実施のための他の構造を改良または設計するための基礎として容易に利用され得ることが当業者に認められ得る。このような等価な構成物は添付の特許請求の範囲に記載の本発明の精神および範囲から逸脱しないこともまた、当業者に理解されるはずである。本発明を特徴付けると考えられる新規の特性は、その機構および実施の方法についての両方で、さらなる目的および利点とともに、添付した図と共に考えた場合に、以下の説明からより良く理解される。しかしながら、個々の図は、図示および説明のためのみに提供され、本発明の制限の定義を意図するものではないと明確に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下の図面は、本明細書の一部をなし、そして本発明の特定の局面をさらに説明するために含まれている。本発明は、本明細書中に示される特定の実施形態の詳細な説明と一緒に一つ以上のこれらの図面を参考することによってより良く理解され得る。
【図1】図1は、慢性リンパ球性白血病(CLL)患者の血漿中のsCD20のレベルを示すウエスタンブロットを表している。正常末梢血単核(MN)細胞からのタンパク抽出物は、CD20の発現が無いことを示し、一方CLL(C)患者からの白血病細胞は、33〜36KDの分子量をもつ、予想されるタンパク質を示している。正常な個体由来の血漿(NP)および、CLL患者からの血漿は、可溶性CD20(sCD20)を示す。
【図2】図2は、CLL患者の血漿中のsCD52のレベルを示すウエスタンブロットを表している。白血病細胞由来の(C)タンパク抽出液は、予想されるタンパク質を示し、同じ患者由来の血漿(P)は可溶性のsCD52を示す。CD52はまた、正常な個体(NC)由来の末梢血単核細胞および正常血漿(NP)においても検出される。
【図3】図3は、正常個体と比較して、CLL患者のsCD20のレベルが高いことを示す。
【図4】図4は、ELISAにより決定されたsCD52の直線性を図示する。
【図5】図5は、CLL患者が、正常個体と比較して、sCD52の高いレベルを有していることを図示している。
【図6】図6は、sCD20/リツキシマブ複合体がリツキシマブのレベルの増加とともに増加したこと示す。
【図7】図7は、sCD20レベルとRai病期分類と間の直接的な相関を示す。
【図8】図8は、sCD20レベルとBinet病期分類と間の直接的な相関を示す。
【図9】図9は、低いsCD20を有する患者と比較して高いsCD20を有する患者の中央生存率を示す。
【図10】図10は、sCD52のレベルがRai病期分類と相関することを示す。
【図11】図11は、sCD52のレベルがBinet病期分類と相関することを示す。
【図12】図12は、sCD52の高いレベルが、乏しい細胞遺伝学を有するCLL患者において検出されることを図示している。
【図13】図13は、肥大したリンパ節を有するリンパ節部位の数が多い患者において高いレベルのsCD52が検出されることを図示している。
【図14】図14は、高いレベルのsCD52を有する患者が、低いレベルのsCD52を有する患者よりも短い生存を有することを図示している。
【図15】図15は、最小の残留物について、Campath−1Hで処置された、CLL患者におけるsCD52/Campath−1H複合体の検出を示す。sCD52のレベルもまた示される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(発明の詳細説明)
癌または過剰増殖疾患の処置における抗体の使用の概念は、抗体が結合する抗原を発現する腫瘍細胞に達する抗体の能力に依存している。循環中の遊離可溶性標的抗原の存在および無細胞抗原または可溶性抗原によりこれらの抗体を結合および吸収する可能性、それ故、抗体が悪性細胞に達することの防止は、本発明に関係する。
【0021】
本明細書に記載される本発明は、過剰増殖疾患および治療の効果を診断、モニタリングまたは病期分類するための治療抗体として利用する。より詳細には、本発明は、治療抗体:抗原複合体、可溶性抗原および可溶性治療抗体を検出およびモニタリングする方法に関し、ここで患者は、少なくとも1回の免疫療法の治療を受けている。
種々の過剰増殖疾患が、本発明の方法によってモニタリングされ、病期分類されまたは診断され得る。過剰増殖疾患は、異常な細胞増殖または異常な増殖制御の任意の種類と関連する疾患および状態を含む。過剰増殖疾患は、癌としてさらに定義され得る。またさらに、癌は、腫瘍または新生物と定義され得る。本発明を用いてモニタリングまたは診断され得る典型的な新生物としては、黒色腫、非小細胞肺、小細胞肺、肺肝臓癌(lung hepatocarcinoma)、網膜芽細胞腫、星状細胞腫、神経膠芽腫、歯茎、舌、白血病、神経芽細胞腫、頭部、頸部、胸部、膵臓、前立腺、腎臓、骨、精巣、卵巣、中皮腫、子宮頸部、胃腸、リンパ腫、脳、結腸、または膀胱が挙げられるが、これに限定されない。
【0022】
より詳細には、本発明の方法は、造血性新生物のモニタリング、検出、病期分類または診断のために使用され得る。例えば、この造血性新生物としては、慢性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、骨髄形成異常症候群、慢性骨髄単球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、T細胞慢性リンパ球性白血病、前リンパ球性白血病、リンパ腫、B細胞関連疾患または他のT細胞関連疾患が挙げられるが、これに限定されない。
【0023】
診断、病期分類およびモニタリングを企図される他の過剰増殖疾患は、シェーグレン症候群、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、自己免疫甲状腺疾患、難治性眼球炎症、多発性硬化症、ヴェーゲナー肉芽腫症および口、前立腺、胸部または肺における前新生物性病変である。
【0024】
可溶性マーカー、可溶性抗体または可溶性抗体:抗原複合体の組み合わせが、過剰増殖疾患のモニタリング、病期分類または診断のために測定され得ることもまた想定される。例えば、限定しないが、可溶性抗CD−20/CD20複合体および可溶性抗CD−52/CD52複合体が過剰増殖疾患のモニタリング、病期分類または診断のために同時にまたは連続して測定され得ることが想定される。
【0025】
循環標的抗原および可能なその結果生じた循環免疫複合体の形成の存在は、白血病の患者を処置するためにまた使用される、特異的抗原に対する、Campath−1H(抗CD52)(Haleら、2000;Khoranaら、2001;Flynn、2000)またはMylotarg(抗CD33)(Van Der Vledenら、2001)を含む抗体の使用に基づく治療的なアプローチにとって重要であり得る。可溶性の抗原が、治療抗体を受けた患者における治療抗体と結合し得、免疫複合体(すなわち、抗体:抗原複合体)を形成することが企図される。これら免疫複合体は、過剰増殖細胞に達する治療抗体の量を減少し得る。このように、この抗体は、抗原を有する標的細胞に到達するように、治療抗体の投与量は、しかるべく治療的なレベルに達するために調整される必要があり得る。従って、可溶性の細胞表面抗原およびその治療抗体との複合体の測定は、より効果的な治療戦略を設計するのを助け得るということが企図される。
【0026】
なおもさらに、本発明は、腫瘍の量を決定するために使用され得ることを企図される。腫瘍の総量は、可溶性白血球表面抗原、可溶性抗体または可溶性の抗体:抗原複合体のレベルを測定するために本明細書に記載された改変サンドイッチELISAを使用し、決定され得る。
(A.細胞表面抗原)
本明細書中で使用される「標的抗原」、「表面抗原」、「細胞表面抗原」または「白血球細胞表面抗原」は、交換可能であり、そして白血球上に位置する細胞表面抗原(例えば、CD20,CD52またはCD33)と単に呼ばれる。
【0027】
循環標的抗原および可能なその結果生じた循環免疫複合体の形成の存在は、特異的な抗原に対する、Rituximab(抗CD20)、Campath−1H(抗CD52)またはMylotarg(抗CD33)に限定しないが、これらを含む抗体の使用に基づく他の治療的なアプローチにとって重要であり得る。
【0028】
(1.CD20)
CD20は、CD20陽性B細胞の成熟および増殖(Riley,J.K.ら、2000)において重要な分子である。種々のB細胞悪性腫瘍においてCD20の発現の強度の著しい差異は、CD20がリンパ球増殖性疾患(Marti,G.E.ら、1992およびGinaldi,L.ら、1998)の異なる臨床的な行動に関与し得ることを示唆する。可溶性CD20(sCD20)は、正常な個体およびCLLを伴う患者の両方の血漿中に検出され得ることが企図される。なおもさらに、本発明において、sCD20は、細胞の能動的な放出(active shedding)もしくは代謝回転および細胞膜の断片化またはその両方が原因であり得ることが企図される。
【0029】
sCD20は、血漿、細胞溶解物または血清において評価され得る。特定の実施形態において、sCD20は、循環する細胞を傷つけ、そしてsCD20のレベルに影響する凝固プロセスの危険性を減少させるために、血清ではなく血漿において評価され得る。
【0030】
sCD20はのレベルは、患者の治療技術および予後診断に直接影響を与え得る。sCD20は、患者が抗CD20(Rituximab)で治療される場合、重要な役割を果たし得る。sCD20/Rituximab複合体の形成によって、白血球細胞に到達するモノクローナル抗体の量は、減少され得る。これが要因である場合、抗体の投与量は、高レベルなsCD20を有する患者において特に、治療的なレベルに達するのに従って調節を必要とし得る。
【0031】
(2.CD52)
ヒトCD52(Campath−1H抗原)は、リンパ球上の大量の表面分子であり、かつ種々のリンパ球増殖性疾患の治療に対して重要な標的である(Tone,M.ら、1999;Keating,M.J.ら、1999;Kalil,N.ら、2000)。これは、大型炭水化物の部分が付着される、ペプチドを固定した小型グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)を含む(Kirchhoff,C.ら、2001)。
【0032】
CD52が雄性生殖系において報告されたものと同様の様式で細胞が放出し得ることを研究者によって企図される(Kirchhoff,C.ら、2001)。これはまた、CLLを有する患者において、細網内皮性系が、相対的に低い代謝回転速度にもかかわらず、細胞の代謝回転によって生じるすべての細胞破砕物を除去することはできないという可能性もまたある。
【0033】
可溶性CD52(sCD52)は、血漿、細胞溶解物または血清において評価され得る。特定の実施形態において、sCD52は、循環する細胞を傷つけ、そしてsCD52のレベルに影響する凝固プロセスの危険性を減少させるために、血清ではなく血漿において評価され得る。
【0034】
なおもさらに、本発明において、sCD52の存在が、Campath−1H治療の有効性および/または毒性に有意な影響を与え得ることもまた企図される。CD52は、標的細胞上の大量の発現、標的細胞膜に近い位置に存在することおよび変化の速度が遅いことのために、モノクローナル抗体治療に対して非常に適切な標的であると考えられる(Treumann,A.ら、1995;Dyer,M.J.ら、1999;Bindon,C.I.ら、1988)。Campath−1Hに対する応答は、一様であり、そしてこの可変性の原因は、多くの研究者によって調べられている。この可変性は、標的細胞上のCD52の発現レベルにおける差異に部分的に依存し得ることが示唆されている(Ginaldi,L.ら、1998)。
【0035】
(3.CD33)
CD33は、細胞の骨髄単球性の系統に限定される。CD33は、成熟した正常造血性細胞上に存在するが、正常造血幹細胞は、この細胞表面抗原を欠く。成熟した正常造血性細胞に加えて、CD33はまた、急性骨髄性白血病(AML)においても存在する。従って、この骨髄系細胞表面マーカーは、モノクローナル抗体ターゲッティングのための誘引性の標的になる。
【0036】
可溶性CD33(sCD33)は、血漿、細胞溶解物または血清において評価され得る。特定の実施形態において、sCD33は、循環する細胞を傷つけ、そしてsCD33のレベルに影響する凝固プロセスの危険性を減少させるために、血清ではなく血漿において評価され得る。
(B.抗体)
本発明は、可溶性白血球細胞表面抗原、白血球細胞表面抗原に対する可溶性抗体または可溶性抗体/抗原複合体の測定ならびに疾病および疾患の診断および治療におけるそのような測定の使用に関する。
【0037】
本明細書中で使用されるように、用語「可溶性」は、「自発的に放出される」;すなわち、細胞の正常なプロセスまたは病態生理学的プロセスによって放出される分子および患者へのインビボ注入によって体液内に可溶性形態で存在する分子をいう。そのような分子は、その分子の「可溶化された」細胞表面形態から区別され、その可溶化は、界面活性剤による細胞溶解物のようなインビトロ操作によって引き起こされる。本発明の可溶性白血球細胞表面抗原は、細胞表面対応物の抗原性決定基を有する分子である。
【0038】
本発明の可溶性分子の測定は、患者および被験者の生理学的状態の異なる診断において、疾病を検出および/または病期分類するために、患者に対する治療的処置の効果を観察するのに価値があり得る。これらの測定はまた、治療の結果を予想することならびに患者の免疫状態を評価し、そしてモニタリングすることの助けとなり得る。可溶性分子の1つ以上の型は、測定され得る。この可溶性分子は、被験者の任意の体液、例えば、血清、血漿、尿、唾液、胸水、骨液、脊髄液、組織浸潤および腫瘍浸潤物に限らないが、これらを含む体液中で測定され得る。
【0039】
本発明のある局面において、1つ以上の抗体は、市販される治療抗体であり得る。たとえば、これらとしては、Rituximab(抗CD20)、Campath−1H(抗CD52)またはMylotarg(抗CD33)であるが、これらに限定されない。これらの抗体は、本明細書中で以下に記載される、種々の診断的または治療的適用において使用され得る。
【0040】
なおもさらに、1つ以上の抗体は、細胞表面抗原CD20、CD52およびCD33に対して生産され得ることが企図される。CD20、CD52およびCD33に対して特異的な、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体および関連タンパク質は、数個の適用において有用性を有することが理解される。これらとしては、過剰増殖疾患を検出および診断する際に使用する診断キットの製造を含む。
【0041】
(1.ポリクローナル抗体)
CD20レセプター、CD52レセプターおよびCD33レセプターに対するポリクローナル抗体は、CD20レセプター、CD52レセプターおよびCD33レセプターならびにアジュバントの多数回の皮下(sc)注入または腹腔内(ip)注入よって、動物内で一般的に惹起される。
【0042】
動物は、免疫原性化合物または誘導体に対して免疫される。動物は、力価が一定になるまで追加免疫される。その動物は、通常耳の血管を通じてまたはその代わりに心臓穿刺によって、出血される。取り出された血液は、凝固することが可能になり、遠心分離され、次いで全細胞および血餅から血清成分を分離する。その血清は、種々の適用に対して使用され得、または他の望ましい抗体画分は、他の抗体、固体マトリックスに結合するペプチドを使用するアフィニティークロマトグラフィーのような周知の方法、または例えば、プロテインAクロマトグラフィーまたはプロテインGクロマトグラフィーを使用することによって精製され得る。
【0043】
(2.モノクローナル抗体)
モノクローナル抗体(MAb)を産生するための方法は、一般的に、ポリクローナル抗体を調製するために方法と同様の方針に沿って、開始される。マウスおよびラットのようなげっ歯類は、好ましい動物であるが、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、サルの細胞の使用もまた、可能である。ラットの使用は、特定の利点を提供し得る(Goding、1986)が、マウスが好ましく、BALB/cマウスが最も好ましい、なぜなら日常的に使用され、そして一般的に高い割合で安定な癒合を与えるためである。
【0044】
モノクローナル抗体は、実質的に同質の抗体の集団から得られる(すなわち、集団を含む個々の抗体が、少量で存在し得る、自然に起こる潜在的な変異を除いて同一である)。したがって、修飾語「モノクローナル」は、個々の抗体の混合物でないとして、抗体の特徴を示す。
【0045】
その動物は、上記したように一般的にポリクローナル抗体に対する抗原を注入される。その抗原は、必要に応じて、キーホールリンペットヘモシアニンのような担体分子に結合され得る。その抗原は、代表的には、フロイントの完全アジュバンドまたはフロイントの不完全アジュバンドのようなアジュバンドで混合され得る。同一の抗原を用いる追加免疫注入は、約2週間の間隔でなされ得る。
【0046】
免疫に次いで、潜在的に抗体を産生する体細胞、特にBリンパ球(B細胞)は、MAb産生プロトコールにおいて使用について選択される。これらの細胞は、生検を実施した脾臓またはリンパ節から得られ得る。脾臓細胞およびリンパ節細胞が好ましく、この脾臓細胞は、形質芽細胞分離ステージの抗体産生細胞の豊富な源であるために、好ましい。
【0047】
しばしば、動物のパネルは、免疫され、そして最も抗体力価の高い動物の脾臓が取り出され、そして脾臓リンパ球が、脾臓をシリンジでホモジネートすることによって得られる。代表的に、免疫したマウスからの脾臓は、約5×107〜2×108個のリンパ球を含む。
【0048】
次いで、免疫したマウスからの抗体産生Bリンパ球は、不死化した骨髄腫細胞の細胞、一般的に免疫された動物と同様の種の細胞と融合される。ハイブリドーマ産生融合手順で使用されるのに適当な骨髄腫細胞の系統は、抗体を産生せず、高い融合効果および所望の融合した細胞(ハイブリドーマ)のみの成熟を支持する特定の選択培地中で、成熟を不可能にする酵素欠損を有する。
【0049】
抗体を産生する脾臓またはリンパ節細胞および骨髄腫細胞のハイブリッドを産生する方法は通常、その比率が、細胞膜の融合を促進する(化学的または電気的な)作用因子の存在下で、それぞれ約20:1から約1:1に変化し得るが、2:1の比率で骨髄腫細胞と体細胞を混合する工程を包含する。センダイウイルスを使用する融合方法は、ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、37%(v/v)PEG)を使用することがKohlerおよびMilstein(1976)によって記載された。電気的に誘導された融合の使用もまた、適切である(Goding、1986)。
【0050】
融合の手順は、通常、低頻度、すなわち約1×10−6〜1×10−8で生存可能なハイブリッドを生成する。しかし、このことは問題にはならない。なぜならば、この生存可能な融合ハイブリッドは、その親融合細胞(特に通常は、無限に分割し続ける骨髄腫細胞)から、選択培地で培養することによって、分化される。この選択培地は、一般的に組織培養培地中にヌクレオチドのデノボ合成を阻害する薬剤を含む培地である。例示的かつ好ましい薬剤は、アミノプテリン、メトトレキサートおよびアザセリンである。アミノプテリンおよびメトトレキサートは、プリンおよびピリミジンの両方のデノボ合成を阻害する。他方、アザセリンは、プリンの合成のみを阻害する。アミノプテリンまたはメトトレキサートが使用される場合、この培地には、ヌクレオチドの供給源としてヒポキサンチンおよびチミジンが追加される(HAT培地)。アザセリンが使用される場合、この培地には、ヒポキサンチンが追加される。
【0051】
好ましい選択培地は、HATである。ヌクレオチドサルベージ経路が機能可能な細胞だけが、HAT培地中に生き残ることができる。これらの骨髄腫細胞は、サルベージ経路の主要な酵素(例えば、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT))を欠失しており、それらは、生存することができない。このB細胞は、この経路を機能させ得るが、培養中での寿命の限界を有し、一般的に約2週間以内に死滅する。従って、選択培地中に生き残ることができる細胞だけが、骨髄腫およびB細胞から形成されるそれらのハイブリッドである。
【0052】
この培養は、特異なハイブリドーマが選択されるハイブリドーマ集団を提供する。代表的に、ハイブリドーマの選択は、マイクロタイタープレートでの単一クローン希釈による細胞の培養によって実施され、次いで所望の反応性について個々のクローンの上清(約2〜3週間後)を試験する。そのアッセイは、放射免疫測定、酵素免疫測定、細胞毒性アッセイ、プラークアッセイ、ドットイムノバインディングアッセイなどのように、感度が高く、簡便でかつ迅速であるべきである。
【0053】
次いで、選択されたハイブリドーマは、連続的に希釈され得、そして個々の抗体産生細胞株へとクローン化され得る。それらのクローンは、次いで、無限に増殖され得、MAbを提供する。これらの細胞株は、2つの基本的な方法でMab生成に対して利用され得る。
【0054】
このハイブリドーマのサンプルは、元の融合に対する体細胞および骨髄腫細胞を提供するために使用された型の組織適合性動物(例えば、有性生殖マウス)に(しばしば腹腔内に)注入され得る。必要に応じて、その動物は、注入の前に、炭化水素、特にプリスタン(テトラメチルペンタデカン)のような油で初回刺激を受ける。注入された動物は、融合細胞ハイブリッドによって生成された特定のモノクローナル抗体を分泌する腫瘍を発症する。次いで、血清または腹水のような動物の体液は、高濃度でMAbを提供するために選ばれ得る。
【0055】
個々の細胞株はまた、インビトロで培養され得、ここでMAbは、それらが高濃度で容易に得られ得る培養培地に自然に分泌される。
【0056】
いずれかの方法によって生成されるMAbは、望ましくは、濾過、遠心分離およびHPLCまたはアフィニティークロマトグラフィーのような種々のクロマトグラフィーの方法を使用してさらに精製され得る。本発明のモノクローナル抗体のフラグメントは、ペプシンまたはパパインのような酵素を用いた消化を含む方法および/または化学的還元によるジスフィルド結合の切断によって、分解を含む方法によって精製されたモノクローナル抗体から得られ得る。あるいは、本発明に含まれるモノクローナル抗体フラグメントは、自動ペプチド合成機を使用して合成され得る。
【0057】
分子クローニングアプローチは、モノクローナルを生成するために使用され得ることがまた企図される。これに対して、組み合わせの免疫グロブリンファージミドライブラリーは、免疫された動物の脾臓から単離したRNAから調製され、そして適切な抗体を発現するファージミドは、抗原を発現する細胞およびコントロール細胞(例えば、腫瘍細胞に対して正常細胞)を使用してパニングすることによって選択される。従来のハイブリドーマ技術に対するこのアプローチの利点は、約104倍多い抗体が、1回で生成およびスクリーニングされ得ること、ならびに新しい特異性が、適切な抗体を探す機会をさらに増加するH鎖およびL鎖の組み合わせによって生じることである。
【0058】
(3.ヒト化抗体)
非ヒト抗体をヒト化するための方法は、当該分野で周知である。一般的にヒト化された抗体は、非ヒトである供給源から導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これら非ヒトアミノ酸残基は、しばしば「移入」残基(代表的に「移入」可変ドメインから受け継がれる)と呼ばれる。ヒト化は、ヒトの抗体に対応する配列に対して、げっ歯類のCDR配列またはCDR配列を置換することによって、Winterおよびその共同研究者の方法(Jonesら、1986;Riechmannら、1988;Verhoeyenら、1988)に従って実質的に実施され得る。従って、そのような「ヒト化」抗体は、キメラの抗体であって、ここで、実質的にインタクトなヒトの可変ドメインより少ない抗体が、ヒトでない種由来の対応する配列によって置換される。実際に、ヒト化抗体は、代表的に、いくつかのCDR残基および可能ないくつかのFR残基が、げっ歯類の抗体中のアナログ部位由来の残基によって置換されたヒトの抗体である。
【0059】
抗体が、抗原に対して高い親和性および他の有利な生物学的性質を保持しつつヒト化することが重要である。この目標を達成するために、好ましい方法に従って、ヒト化抗体は、その親配列ならびにその親の配列およびヒト化配列の3次元モデルを使用する種々の仮想ヒト化産物を分析することによって調製され得る。3次元免疫グロブリンモデルは、一般に利用可能であり、そして当業者に公知である。選択された候補免疫グロブリン配列の、可能性のある3次元高次構造を図解し、表示するコンピュータプログラムが、利用可能である。これらの表示の検査は、候補免疫グロブリン配列が機能する際に、可能性のある残基の役割の分析(すなわち、抗原に結合する候補免疫グロブリンの能力に影響を与える残基の分析)を可能にする。
【0060】
(4.ヒト抗体)
ヒトモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ方法によって製作され得る。ヒトモノクローナル抗体の生成のための、ヒト骨髄腫細胞株およびマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株は、当該分野で記載されている(Kozbor、1984;Brodeurら、1987)。
【0061】
内因性免疫グロブリンの生成なしに、免疫において、ヒト抗体のレパートリーを生成することが可能であるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を産生することが現在可能である。例えば、キメラマウスかつ生殖細胞系変異マウスにおいて、抗体重鎖連結領域(JH)遺伝子のホモ接合性欠失が、内因性抗体産性の完全な阻害を生じると記載されている。そのような生殖細胞系変異マウスでは、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子アレイの移入のために、抗原攻撃の際にヒト抗体の産生を生じる(Jakobovitら、1993)。
【0062】
あるいは、ファージディスプレイ技術(McCaffertyら、1990)は、非免疫ドナー由来の免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーより、インビトロでヒトの抗体および抗体フラグメントを生成するために使用され得る。この技術に従って、抗体Vドメイン遺伝子は、M13またはfdのような糸状バクテリオファージの主要な被覆タンパク質遺伝子か、または少数の被覆タンパク質遺伝子のいずれかにインフレームでクローニングされ、そしてファージ粒子の表面上に機能的な抗体フラグメントとして提示される。
【0063】
(5.抗体結合体)
本発明は、CD20、CD52およびCD33に対する抗体、または少なくとも1つの因子と結合して抗体結合を形成する別の二次抗体(例えば、ヤギ抗ヒトIgGであるが、これに限定されず、一般的にモノクローナル型である)をさらに提供する。診断的薬剤または治療的薬剤としての抗体分子の有効性を増加させるために、または少なくとも1つの所望の分子またはその一部において連結もしくは共有結合、または複合体化することが従来型である。このような分子またはその一部は、少なくとも1つのエフェクター分子またはレポーター分子であり得るがこれらに限定されない。エフェクター分子は、所望の活性(例えば、細胞毒性活性)を有する分子を含む。抗体と結合するエフェクター分子の非限定的な例としては、トキシン、抗腫瘍剤、治療酵素、放射標識ヌクレオチド、抗ウイルス剤、キレート剤、サイトカイン、成長因子およびオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが挙げられる。反対に、レポーター分子は、アッセイを使用して検出され得る任意の一部として規定される。抗体と結合するレポーター分子の非限定的な例としては、酵素、放射標識、ハプテン、蛍光標識、燐光性分子、化学発光分子、発色団、発光分子、光親和性分子、有色粒子またはビオチンのようなリガンドが、挙げられる。
【0064】
十分な選択性、特異性または親和性を有する任意の抗体は、抗体結合体に対する主成分として使用され得る。このような特徴は、当業者に公知の従来型免疫学的スクリーニング方法論を使用して評価され得る。標準的な抗原結合部位に加えて、生物学的に活性な分子に結合するための抗体分子内の部位は、病原体、B細胞超抗原、T細胞コレセプターCD4およびHIV−1外被に結合し得る可変ドメインに存在する部位を含む(Sassoら、1989;Shorkiら、1991;Silvermannら、1995;Clearyら、1994;Lenertら、1990;Berberianら、1993;Kreierら、1991)。さらに、可変ドメインは、抗体自己結合に含まれ(Kangら、1988)、そして抗抗体によって認識されるエピトープ(イディオトープ)を含む(Kohlerら、1989)。
【0065】
抗体結合体のある例は、抗体が検出可能な標識に連結された抗体結合体である。「検出可能な標識」は、特定の機能的な特性、および/または化学的特性に起因して検出され得る化合物および/またはエレメントであり、検出可能な標識の使用は、検出可能な標識が結合された抗体が検出されること可能にし、そして/または所望の場合、さらに定量される。別のこのような例は、細胞障害性因子または抗細胞因子に連結された抗体を含む結合体の形成であり、そして、「免疫毒素」と名づけられ得る。
【0066】
抗体結合体は、一般的に診断剤としての用途のために好ましい。抗体診断剤は、一般的に、さまざまな免疫アッセイのような、インビトロ診断剤での用途、および/または一般的に、「抗体特異的イメージング」として知られているインビボ診断プロトコールでの用途について、2種類に分類される。
【0067】
多くの適切なイメ−ジング剤は、抗体にイメージング剤を接着させるための方法(例えば、それぞれ文献によってここで取り込まれた、米国特許第5,021,236号;同第4,938,948号;および同第4,472,509号(各々は、参考として本明細書中に援用される)を参照のこと)であるとして、当該分野で公知である。使用されたイメ−ジング部分は、常磁性イオン;放射性同位体;蛍光色素;NMR検出可能物質;X線イメージングであり得る。
【0068】
常磁性イオンの場合では、当業者は、例としては、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジミウム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)、および/またはエルビウム(III)のようなイオンが挙げられ得、ガドリニウムが特に好ましい。X線イメージングのような他の状況で有用なイオンとしては、ランタン(III)、金(III)、鉛(II)、および、特にビスマス(III)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
治療の用途および/または診断の用途についての放射性同位体の場合では、アスタチン211、14炭素、51クロム、36塩素、57コバルト、58コバルト、銅67、152Eu、ガリウム67、3水素、ヨウ素123、ヨウ素125、ヨウ素131、インジウム111、59鉄、32リン、レニウム186、レニウム188、75セレン、35硫黄、テクネチウム(technicium)99m、および/またはイットリウム90が挙げられ得る。125Iは、特定の実施形態での使用にしばしば好ましく、そしてテクネチウム99mおよび/またはインジウム111はまた、それらの低いエネルギーおよび長い検出範囲に対する適合性に起因して、しばしば好ましい。本発明の放射性標識モノクローナル抗体は、当該分野で周知の方法に従って製造され得る。例えば、モノクローナル抗体は、ヨウ化ナトリウムおよび/またはヨウ化カリウムならびに化学的酸化試薬(例えば、次亜塩素酸ナトリウム)または酵素的酸化試薬(例えば、ラクトぺルオキシダ−ゼ)との接触によってヨウ素化され得る。本発明に従うモノクローナル抗体は、リガンド交換プロセスによって、例えば、すず溶液を用いてペルテクネート(pertechnate)を還元し、Sephadexカラムにこの還元されたテクネチウムをキレート化し、そしてこのカラムに抗体を適用することによって、テクネチウム99mで標識され得る。あるいは、直接標識する技術は、例えば、ペルテクネート、SNCl2のような還元試薬、ナトリウム−カリウムフタレート溶液のような緩衝溶液、および抗体をインキュベートすることによって使用される。金属イオンとして存在する放射性同位体を抗体に結合するためにしばしば使用される中間官能基は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。
【0070】
結合体としての使用のために企図された蛍光標識の中には、Alexa 350、Alexa 430、AMCA、BODIPY 630/650、BODIPY650/665、BODIPY−FL、BODIPY−R6G、BODIPY−TMR、BODIPY−TRX、Cascade Blue、Cy3、Cy5,6−FAM、フルオレセインイソチオシアネート(Fluorescein Isothiocyanate)、HEX、6−JOE、Oregon Green 488、Oregon Green 500、Oregon Green 514、Pacific Blue、REG、Rhodamine Green、Rhodamine Red、Renographin、ROX、TAMRA、TET、テトラメチルローダミン(Tetramethylrhodamine)、および/またはTexas Redが含まれる。
【0071】
本発明中で企図された抗体結合体の別の型は、インビトロでの使用のために優先的に意図されたものであり、ここで、抗体は、クロモゲン基質との接触の際に着色した生成物を生成する二次結合リガンドおよび/または酵素(酵素タグ)に連結される。適切な酵素の例としては、ウレアーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、(西洋ワサビ)水素ペルオキシダーゼまたはグルコースオキシダ−ゼが挙げられる。好ましい二次結合リガンドは、ビオチンおよび/またはアビジンならびにストレプトアビジン化合物である。このような標識の使用は、当業者に周知であり、そして例えば、米国特許第3,817,837号;同第3,850,752号;同第3,939,350号;同第3,996,345号;同第4,277,437号;同第4,275,149号および同第4,366,241号に記載されている;各々は、参考として本明細書中で援用される。
【0072】
抗体への分子の部位特異的な結合のさらに別の公知の方法は、ハプテンに基づく親和性標識を有する抗体の反応を含む。本質的には、ハプテンに基づく親和性標識は、抗原結合部位でアミノ酸と反応し、それにより、この部位を破壊し、そして特異的な抗原反応を阻害する。しかし、このことは、抗体結合体による抗原結合の損失を引起すため、不利になり得る。
【0073】
アジド基を含む分子はまた、低強度の紫外光によって生成される反応性のニトレン中間体を通じてタンパク質への共有結合を形成するためにも使用され得る(PotterおよびHaley、1983)。特に、プリンヌクレオチドの2−アジドアナログおよび8−アジドアナログは、粗製細胞抽出物中でタンパク質に結合するヌクレオチドを同定するために、部位特異的光プローブとして使用された(OwensおよびHaley、1987;Athertonら、1985)。2−アジドヌクレオチドおよび8−アジドヌクレオチドはまた、精製されたタンパク質のドメインに結合するヌクレオチドをマッピングするためにも使用され(Khatoonら、1989;Kingら、1989;およびDholakiaら、1989)、そして抗体結合剤として使用され得る。
【0074】
抗体の結合部分への抗体の接着または結合について、いくつかの方法が、当該分野で公知である。いくつかの接着法は、例えば、ジエチレントリアミン五酢酸無水物(DTPA);エチレントリアミン四酢酸;N−クロロ−p−トルエンスルホンアミド;および/または抗体に接着されたテトラクロロ−3α−6α−ジフェニルグリクリル(diphenylglycouril)−3のような有機キレート試薬を使用する金属キレート錯体の使用を包含する(米国特許第4,472,509号および同第4,938,948号、各々は、参考として本明細書中で援用される)。モノクローナル抗体はまた、カップリング試薬(例えば、グルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸塩)の存在下で酵素を用いても反応され得る。フルオロセインマーカーを有する結合体は、これらのカップリング試薬の存在下でまたはイソチオシアネートを用いる反応によって調製される。米国特許第4,938,948号では、胸部腫瘍のイメージングは、モノクロナ−ル抗体を使用することで成し遂げられ、そして検出可能なイメージング部分は、連結(例えば、メチル−p−ヒドロキシベンズイミデートまたはN−スクシンイミジル−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を使用して抗体に結合する。
【0075】
他の実施形態では、抗体結合部位を変えない反応状況を使用して、免疫グロブリンのFc領域にスルフヒドリル基を選択的に導入することによって免疫グロブリンの誘導体化は、企図される。この方法論に従って製造された抗体結合体は、改良された寿命、特異性および感受性を示すと開示されている(米国特許第5,196,066号、参考として本明細書中で援用される)。エフェクター分子またはレポーター分子の部位特異的接着(ここで、レポーター分子またはエフェクター分子は、Fc領域で炭化水素残基に結合される)はまた、文献中に開示された(O’Shannessyら、1987)。このアプローチは、現在臨床評価されている、診断的および治療的に有望な抗体を産生することが報告された。
【0076】
(C.免疫検出法)
特定の実施形態では、本発明は、生物学的成分(例えば、可溶性CD20、可溶性CD52、可溶性CD33、抗CD22、抗CD52、抗CD33、抗CD20/CD20、抗CD52/CD52、および抗CD33/CD33)を結合、精製、除去、定量および/またはそうでなければ一般的に検出するための免疫検出法に関する。いくつかの免疫検出法としては、酵素結合イムノソルベント(byステッドマン)アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイ(RIA)、免疫放射測定アッセイ、蛍光イムノアッセイ、化学発光アッセイ、生物発光アッセイ、およびウエスタンブロットなどが挙げられる。様々な有用な免疫検出法の工程は、科学的文献(例えば、Doolittle MHおよびBen−Zeev O、1999;Gulbis BおよびGaland P、1993;De Jager Rら、1993;およびNakamuraら、1987、各々は、参考として本明細書中で援用される)に記載された。
【0077】
一般的には、免疫結合法は、治療抗体:抗原複合体(例えば、抗CD20/CD20、抗CD52/CD52および抗CD33/CD33)、または可溶性白血球細胞表面抗原(例えば、CD20、CD52もしくはCD33)、または可溶性抗体(例えば、抗CD20、抗CD52、もしくは抗CD33)を含むことが疑われるサンプルを得る工程、この複合体を捕捉する第一モノクローナル抗体とこのサンプルとを接触させる工程、ならびに免疫複合体の形成を可能にするために効果的な条件下で、この複合体(例えば、標識された第2の抗体)を選択的に結合または検出することができる組成物とこのサンプルとを接触する工程を包含する。複合体を選択的に結合または検出することができる組成物の別の例としては、当該分野で公知であるように、様々なマーカー(例えば、ビオチン/アビジンリガンド結合配置)を使用し標識され得る抗体または他のリガンドが挙げられるが、これらに限定されない。当業者はまた、標識された第3の抗体を使用し得る。
【0078】
抗原、抗体または抗体:抗原複合体の検出に関して、分析される生物学的サンプルは、抗原または抗体:複合体、を含むことが疑われる任意のサンプル(例えば、組織切片もしくは組織標本、ホモジェナイズされた組織抽出物、細胞、小器官、上記の抗原含有組成物のいずれかの分離された形態および/もしくは精製された形態)であるか、または(血液および/もしくは血清を含む)細胞もしくは組織と接触される任意の生物学的流体でさえあるが、組織サンプルもしくは組織抽出が好ましい。
【0079】
免疫複合体(1次免疫複合体)の形成を可能にするために有効な条件下でかつ十分な時間の間、第一抗体と選択された生物学的サンプルを接触することは、抗体組成物をサンプルに加えて、そして抗体が任意の抗CD20/CD20複合体、抗CD52/CD52複合体および抗CD33/CD33複合体または任意の存在する抗原(すなわち、CD20、CD52もしくはCD33)、または任意の存在する抗体(すなわち、抗CD20、抗CD52もしくは抗CD33)と免疫複合体を形成する(すなわち、結合する)のに十分に長い期間の間この混合物をインキュベートするという、一般的に簡単な事柄である。この後、サンプル−抗体組成物(例えば、組織切片、ELISAプレート、ドットブロットまたはウエスタンブロット)は、任意の非特定的に結合した抗体種を除去して、一次免疫複合体中の特異的に結合した抗体のみが検出されることを可能にするため一般的に洗浄される。
【0080】
一般的には、免疫複合体形成の検出は、当該分野において周知であり、そして多数のアプローチの適用により達成され得る。これらの方法は、標識またはマーカー(例えば、放射性タグ、蛍光性タグ、生物学的タグおよび酵素的タグのいずれか)の検出に一般的に基づいている。このような標識の使用に関する米国特許としては、3,817,837;3,850,752;3,939,350;3,996,345;4,277,437;4,275,149および4,366,241(各々は、参考として本明細書中に援用される)が挙げられる。もちろん、当該分野で公知であるように、二次結合リガンド(例えば、第2の抗体および/またはビオチン/アビジンリガンド結合配列)の使用によりさらなる利点が見出される。免疫複合体を検出するための全ての以前のアッセイは、患者自身の抗体および抗原によって発生される自系複合体に基づいている。本発明は、本発明のアッセイが、治療的アプローチの結果として免疫複合体を検出するという点で異なっている。
【0081】
検出において使用される抗原、抗体または抗原:抗体複合体は、それ自体で検出可能ラベルに連結され得、次いで、この標識を単に検出して、それにより、組成物中の一次免疫複合体の量を測定することが可能になる。あるいは、一次免疫複合体内で結合する第一抗体は、この抗体に対し結合親和性を有する第2の結合リガンドによって検出され得る。これらの場合では、第2の結合リガンドは、検出可能な標識に連結され得る。第2の結合リガンドは、それ自体しばしば抗体であり、したがって、「2次」抗体と呼ばれ得る。一次免疫複合体は、2次免疫複合体の形成を可能にするために有効な条件下でかつ十分な期間、標識された二次結合リガンドまたは抗体と接触される。次いで、この二次免疫複合体は、任意の非特異的に結合した標識二次抗体またはリガンドを除去するために一般的に洗浄され、次いで、二次免疫複合体中で残った標識は、検出される。
【0082】
さらなる方法は、2工程アプローチによる一次免疫複合体の検出を包含する。抗体に対し結合親和性を有する第2の結合リガンド(例えば、抗体)は、上記されるように、二次免疫複合体を形成するために使用される。洗浄後、二次免疫複合体は、免疫複合体(三次免疫複合体)の形成を可能にするために有効な条件下でかつ十分な期間、再び第2の抗体に対して結合親和性を有する第3結合リガンドまたは抗体と接触される。この第3のリガンドまたは第3の抗体は、検出可能な標識に連結され、このように形成された第3の免疫複合体の検出を可能にする。このことが、望まれる場合、この系は、シグナル増幅を提供し得る。
【0083】
本発明の免疫検出法は、種々の疾患のような状態の診断および予後において、明白な有用性を有し、ここで、白血球細胞表面抗原は、疾患過程の間減少されるか、または治療的抗体は、循環中に蓄積するかもしくは治療的抗体が、複合体を形成する。ここで、可溶性白血球の細胞表面抗原(例えば、CD20、CD52、CD33)、可溶性の治療抗体(例えば、抗CD20、抗CD52、抗CD33)または治療抗体:抗原複合体(例えば、抗CD20/CD20、抗CD52/CD52もしくは抗CD33/CD33)を含むことが疑われる生物学的サンプルおよび/または臨床サンプルを、測定する。
【0084】
様々な形態の過剰増殖疾患(例えば、癌)を有する患者の臨床診断および/または臨床モニタリングにおいて、正常な被験体由来の対応する生物学的サンプル中のレベルと比較した場合の可溶性白血球マーカー、可溶性治療抗体および可溶性治療抗体:抗原複合体のレベルにおける変化は、癌または他の過剰増殖疾患を有する患者の指標である。しかし、当業者に公知であるように、このような臨床診断は、必ずしもこの方法のみに基づいて行われるとは限らない。当業者が、生物マーカーの型および/または量の相違(ポジティブの同定を示す)、および/または生物マーカーの低レベルな変化および/もしくはバックグラウンドの変化を区別することに精通している。実際は、バックグラウンドレベルは、「カットオフ」を形成するためにしばしば使用され、このカットオフより上に増加した検出が、有意および/またはポジティブとして記録される。
【0085】
上記で詳細に記載されたように、最も簡単かつ/または直接的な意味におけるイムノアッセイは、結合アッセイである。特定の好ましい免疫アッセイは、当該分野で公知である様々な型の酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)および/またはラジオイムノアッセイ(RIA)である。組織切片を使用する免疫組織化学的な検出はまた、特に有用である。しかし、検出が、このような技術、および/またはウエスタンブロッティング、ドットブロッティング、FACS分析に限られず、そして/または同類のものもまた、使用され得るということは、容易に理解される。
【0086】
1つの例示的なELISAにおいて、白血球細胞表面抗原の抗体(例えば、抗CD20、抗CD33、抗CD52)は、タンパク質親和性を示す選択された表面(例えば、ポリスチレンマイクロタイタープレート中でのウェル)上に固定される。次いで、治療抗体(例えば、Rituxiamb、Campath−HまたはMylotarg)を用いて免疫治療の少なくとも1つの過程(例えば、1回の注射)を経験した患者由来のサンプルを、ウェルに加える。結合および/または非特異的に結合した免疫複合体を除去するための洗浄後、結合した治療抗体:抗原複合体が、検出され得る。検出は、検出可能な標識に連結される第2の抗体の付加によって一般的に達成される。ELISAのこの型は、単純な「サンドイッチELISA」である。
【0087】
治療抗体を検出するために使用される別の例示的なサンドイッチELISAにおいて、白血球細胞表面抗原の抗体は、ウェル表面上に固定される。次に、治療抗体を用いる免疫治療の少なくとも1つの過程(例えば、1回の注射)を経験した患者由来の細胞溶解物を、ウェルに加える。この細胞溶解物は、抗体に結合する抗原を含有する。次いで、患者由来の血漿が、このウェルに加えられる。血漿は、抗原に結合する治療抗体を含有する。結合および/または非特異的に結合した免疫複合体を除去するための洗浄後、結合した治療抗体:抗原複合体が、検出され得る。検出は、検出可能な標識に連結される第3の抗体の付加によって達成される。
【0088】
白血球抗原を検出するために使用されるなお別の例示的なサンドイッチELISAにおいて、白血球細胞表面抗原の抗体は、ウェル表面上に固定される。次に、治療抗体を有する免疫治療の少なくとも1つの過程(例えば、1回の注射)を経験した患者由来の血漿を、ウェルに加える。結合および/または非特異的に結合した免疫複合体を除去するための洗浄後、結合した治療抗体:抗原複合体が、検出され得る。次いで、検出可能標識に連結される第2の抗体を、加える。この第2の抗体は、代表的に、標識化された治療抗体である。
【0089】
使用される形式に関わり無く、ELISAは、共通のある特徴(例えば、コーティング、インキュベーティングおよび結合すること、非特異的な結合種を除去するために洗浄すること、および結合した免疫複合体を検出すること)を有する。これらは、以下に記載される。
【0090】
抗原または抗体のいずれかでプレートをコーティングすることにおいて、一般的には、一晩または特定の時間のいずれかの間、抗原または抗体の溶液と共にプレートのウェルをインキュベートする。次いで、このプレートのウェルを、不完全に吸着された物質を除去するために洗浄する。次いで、ウェルのいくつか残った利用可能な表面は、試験抗血清に関し抗原的に中性である非特異的タンパク質で「コーティング」される。これらとしては、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼインまたはミルクパウダーの溶液が挙げられる。このコーティングは、固定表面上で非特異的吸着部位のブロッキングを可能にし、そしてしたがって表面上への抗血清の非特異的結合によって引き起こされるバックグラウンドを減少する。
【0091】
ELISAにおいて、直接な手順よりむしろ2次的検出手段または3次的検出手段を使用することは、おそらくより習慣的である。したがって、ウェルに対するタンパク質または抗体の結合、バックグラウンドを減少するための非反応性物質でのコーティング、および非結合物質を除去するための洗浄後に、固定表面は、免疫複合体(抗原/抗体)形成を可能にするための効果的な条件下で、試験されるべき生物学的サンプルと接触される。次いで、免疫複合体の検出は、標識化された第三次抗体または第3結合リガンドと組み合せて、標識された二次結合リガンドまたは第2の結合抗体、および二次結合リガンドまたは二次結合抗体を必要とする。
【0092】
「免疫複合体(抗原/抗体)形成を可能にするための効果的な条件下」とは、この条件が、好ましくは、溶液(例えば、BSA、ウシγグロブリン(BGG)またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)/Tween)で抗原および/または抗体を希釈することを包含することを意味する。加えられたこれらの薬剤はまた、非特異的バックグラウンドの減少を補助する傾向がある。
【0093】
「適切な」条件はまた、インキュベーションが、効果的な結合を可能にするために十分な温度または期間であることを意味する。インキュベーション工程は、代表的に約1時間〜2時間〜4時間またはそのぐらいで、好ましくは25℃から27℃のオーダーの温度であるか、または約4℃もしくはそのぐらいで一晩中であり得る。
【0094】
ELISAにおける全てのインキュベーション工程に次いで、接触した表面は、非複合体化物質を除去するため洗浄される。好ましい洗浄手順は、溶液(PBS/Tween、またはホウ酸塩緩衝液)で洗浄することを包含する。試験サンプルと元の結合した物質との間で特異的な免疫複合体の形成、そしてその次の洗浄に次いで、免疫複合体のほんの微小量の存在は、決定され得る。
【0095】
検出手段を提供するため、第2の抗体または第3の抗体は、検出を可能にするために結合された標識を有する。好ましくは、この標識は、適切なクロモグン基質と共にインキュベートすることで発色する酵素である。したがって、例えば、さらなる免疫複合体形成の発達を支持する期間または条件下(例えば、PBS−TweenのようなPBS含有溶液中で室温で2時間インキュベートすること)で、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼまたは水素ペルオキシダーゼ結合抗体と、第1免疫複合体および第2免疫複合体を接触させるかまたはインキュベートすることが望ましい。
【0096】
本明細書中に記載される可溶性の抗原、抗体または抗体:抗原複合体を測定するため商業的に製造され得るキット中に上記の試薬がパッケージングされ得ることもまた、企図される。
【0097】
D.免疫治療
本発明の特定の実施形態において、患者が、免疫治療の少なくとも1つの過程(例えば、1回の注射)を経験したことが提供される。本明細書中に記載されるように、免疫治療は、一般的に癌細胞を標的化しそして破壊するため免疫エフェクター細胞および免疫エフェクター分子の使用に依存する。免疫エフェクターは、例えば、腫瘍細胞の表面上のいくつかのマーカーに特異的な抗体であり得る。単独の抗体は、治療のエフェクターとして役立ち得るかまたは実際に細胞死滅をもたらすように他の細胞を補充し得る。この抗体はまた、薬物または毒素(化学法剤、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素など)に結合体化され得、そして標的化剤として単に作用し得る。あるいは、エフェクターは、腫瘍細胞標的と直接的または間接的のいずれかで相互作用する表面分子を運ぶリンパ球であり得る。様々なエフェクター細胞は、細胞傷害性T細胞および細胞傷害性NK細胞を含む。
【0098】
特定の実施形態において、免疫治療のために使用される抗体は、Rituximal、Campath−1H、またはMylotargである。
【0099】
免疫治療はまた、併用治療の一部としても使用され得る。免疫治療の一局面において、腫瘍細胞は、標的化の影響を受けやすい(すなわち、他の細胞の大部分に存在しない)いくつかのマーカーを有さなければならない。多くの腫瘍マーカーが存在し、そしてこれらのいずれも、本発明の状況において標的化するために適切であり得る。一般的な腫瘍マーカーとしては、癌胎児性抗原、前立腺特異的抗原、泌尿器腫瘍関連抗原、胎児抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG−72、HMFG、Sialyl Lewis Antigen、MucA、MucB、PLAP、エストロゲン物質レセプター、ラミニンレセプター、erbBおよびp155が挙げられる。免疫治療の代替的局面は、免疫刺激性効果とプロアポトーシス効果を組み合せることである。免疫刺激分子もまた存在し、これらとしては、サイトカイン(例えば、IL−2、IL−4、IL−12、GM−CSF、γ−IFN)、ケモカイン(例えば、MIP−1、MCP−1、IL−8)および成長因子(例えば、FLT3リガンド)が挙げられる。
【0100】
前に考察したように、現在調査中または使用中の免疫療法の例は、免疫アジュバンド(例えば、Mycobacterium bovis、Plasmodium falciparum、ジニトロクロロベンゼンおよび芳香族化合物)(米国特許第5,801,005号;米国特許第5,739,169号;HuiおよびHashimoto、1998;Christodoulidesら、1998)および、サイトカイン治療(例えば、インターフェロンα、βおよびγ;IL−1、GM−CSFおよびTNF)(Bukowskiら、1998;Davidsonら、1998;Hellstrandら、1998)、遺伝子治療(例えば、TNF、IL−1、IL−2、p53)(Qinら、1998;Austin−WardおよびVillaseca、1998;米国特許第5,830,880号および米国特許第5,846,945号)およびモノクローナル抗体(例えば、抗ガングリオシドGM2、抗HER−2、抗p185)(Pietrasら、1998;Hanibuchiら、1998;米国特許第5,824,311号)である。ハーセプチン(herrceptin)(trastuzumab)は、HER2−neuレセプターを遮断するキメラ(マウス−ヒト)モノクローナル抗体である。ハーセプチンは、抗腫瘍活性を有し、悪性腫瘍の処置における使用のために承認されている(Dillman,1999)。
(1.受動的免疫療法)
癌の受動的免疫療法のための多数の異なるアプローチが存在する。それらは、概して次のように分類され得る:抗体の単独注射;毒素または化学療法剤と結合した抗体の注射;放射性同位体と結合した抗体の注射;抗イディオタイプ抗体の注射;そして最後に、骨髄中の腫瘍細胞の浄化。
【0101】
好ましくは、ヒトモノクローナル抗体は、患者に殆どまたは全く副作用を与えないので、受動的免疫療法に使用される。しかしながら、それらの適用は、それらが十分にないことよって幾分限定され、現時点では、病変内投与しかされない。ガングリオシド抗原に対するヒトモノクローナル抗体は、皮膚の再発性の黒色腫に罹患した患者に病変内投与される(IrieおよびMorton、1986)。毎日または毎週の病変内注射の後に、後退が、患者10人の内6人に見られた。別の研究において、中程度の成功が、2つのヒトモノクローナル抗体の病変内注射から達成された(Irieら、1989)。
【0102】
2つの異なる抗原に対する1より多いモノクローナル抗体または複数抗原特異性を有する同等の抗体を投与することは、有利であり得る。処置プロトコールは、また、リンホカインまたはBajorinら(1988)に述べられているような他の免疫エンハンサーの投与を含み得る。ヒトモノクローナル抗体の開発は、本明細書の中のほかの部分でさらに詳細に述べる。
(2.能動免疫療法)
能動免疫治療において、抗原性のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質、あるいは自家または同種異系の腫瘍細胞組成物または「ワクチン」が、一般に、別個の細菌アジュバンド(RavindranathおよびMorton,1991;MortonおよびRavindranath,1996;Mortonら、1992;Mitchellら、1990;Mitchellら、1993)と共に投与される。黒色腫の免疫治療において、高IgM反応を誘発する患者は、しばしば、IgM抗体を誘発しないか、または低IgM抗体を誘発する患者よりも常に生存する(Mortonら、1992)。IgM抗体は、しばしば一時的な抗体であり、そして原則に対する例外は、抗ガングリオシド抗体または抗炭化水素抗体であるようである。
(3.養子免疫治療)
養子免疫治療において、患者の循環リンパ球または腫瘍浸潤リンパ球は、インビトロで単離され、IL−2のようなリンホカインにより活性化されるか、または腫瘍壊死の遺伝子で形質転換されるかまた、再投与される(Rosenbergら、1988;1989)。これを達成するために、動物またはヒトの患者に、本明細書に述べられているアジュバンドを組み込んだ抗原性ペプチド組成物と組み合わせ、免疫学的に有効量の活性化リンパ球を投与する。活性化リンパ球は、最も好ましくは患者自身の細胞(血液または腫瘍サンプルから容易に単離された)であり、そしてインビトロで活性化される(拡張される)。免疫療法のこの形態は、黒色腫および腎臓癌腫の退行についていくらかの例を提供するが、応答者のパーセンテージは、応答のなかった者と比較して殆どいない。
【0103】
標識抗体とともにインキュベーションし、次に非結合材料を取り除くために洗浄した後、標識の量は、例えば、酵素標識としてのペルオキシダーゼの場合において、発色基質(例えば、尿素、またはブロモクレゾールブルー、または2,2’−アジノ−ジ−(3−エチルベンズチアジゾリン−6−スルホン酸(ABTS)、またはH2O2)。次に、定量化は、色調の度合いを、例えば可視スペクトル分光光度計を用いて測定することによって達成される。
【実施例】
【0104】
(E.実施例)
次の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含まれるが、以下の実施例において開示された技術に従って、本発明の実施において十分に機能することが本発明者らによって発見された技術を示し、その実施のために好ましい形態を構築すると見なされ得ることが当業者に理解されるべきである。しかしながら、本開示の観点において、当業者は、多くの変化が、開示された特定の実施形態においてなされ得、そしてなお本発明の精神および範囲から逸脱することなく類似または同様の結果を得ることを理解する。
(実施例1)
(患者のサンプル)
血漿サンプルを、CLLの患者および正常個体から収集した。末梢血サンプルを、EDTAチューブに収集した。CLLの診断を、末梢血および骨髄の形態学的評価、免疫学的評価、分子的評価を基準に決定した。免疫学的評価は、CD19、CD5、CD20、CD23、CD11C、CD22、FMC−7、CD79B、CD3、CD4、CD8、κおよびλを用いる白血球(細胞)のフローサイトメトリー解析を含んだ。分子的研究は、免疫グロブリン遺伝子およびT細胞レセプター遺伝子ならびにBcl−1およびBcl−2再配列研究を含んだ。
(実施例2)
(血漿および細胞性CD20のウエスタンブロット解析)
健常者およびCLLの患者から得られた血漿5μlを、9.5 SDS−PHゲルで電気泳動的に分離した。正常な単核細胞およびCLL細胞のサンプルからの細胞溶解液は、ポジティブコントロールおよびネガティブコントロールとして使用した。ニトロセルロース膜を、0.1%Tween 20および0.01%アジ化ナトリウムを含むPBS中で、5%無脂肪乳とともに室温で6〜8時間ブロッキングした。このブロットを、1μg/μlマウス抗CD20抗体(Sigma Chemical Corporation、St.Louis,MO)ならびに2.5%無脂肪乳、2.5ウシ血清アルブミン(BSA)および0.1%Tween 20を含むPBSを用いて4℃で一晩インキュベートした。次に、この膜を0.1%Tween 20を含むPBSで洗浄した。次に、ブロットを、1:20に希釈した抗マウス西洋わさびペルオキシダーゼ結合体化Ig(Sigma Chemical Corporation,St.Louis,Missouri)ならびに1%無脂肪乳および0.1%Tween 20を含むPBSと共にインキュベートした。免疫反応性バンドを、ECL検出システム(Amersham,Arlington Heights,IL)を用いて現像した。
【0105】
図1で示したように、抗CD20の反応性バンドは、高レベルで、CLLを有する患者の血漿において検出された。血漿において検出された可溶性(sCD20)バンドは、CLL細胞において検出された35kDのCD20に合致した。正常個体由来の血漿もまた、低レベルのCD20を示した。CLL細胞は、容易に検出可能なCD20タンパク質を示したが、正常個体からの単核細胞(この単核細胞は、豊富な単球およびT細胞を含み、そしてほとんどB細胞を含まない)は、検出不可能なCD20バンドを示した。
(実施例3)
(血漿および細胞CD52のウエスタンブロット解析)
患者からの正確に14.5μlの全血漿および40μgの細胞タンパク質を、9.5 SDS−PAGEゲルで電気泳動した。正常単核細胞サンプルおよびCLL細胞サンプルからの細胞溶解液を、ポジティブコントロールおよびネガティブコントロールとして使用した。このタンパク質を、標準的な技法を用いてニトロセルロース膜に転写した。膜を、0.1%Tween−20および0.01%アジ化ナトリウムを含むPBS中で、5%無脂肪乳とともに6〜8時間、温暖な温度でブロッキングした。このブロットを、1μgの抗CD52(Campath−1G)抗体ならびに2.5無脂肪乳、2.5ウシ血清アルブミン(BSA)および0.01Tween 20を含むPBSで、4℃で一晩インキュベートした。次に、この膜を、0.01%Tween 20を含むPBSで洗浄した。次に、このブロットを、Tween 20で希釈した西洋わさびペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ラットIg(Sigma Chemical Corporation、St.Louis,MO)ならびに1%無脂肪乳および0.1% Tween 20を含むPBSとともにインキュベートした。放射活性バンドを、ECL検出システム(Amersham,Arlington Heights,IL)を用いて現像した。
【0106】
図2に示すように、白血病性細胞からのタンパク質抽出物は、Campath−1Gモノクローナル抗体を使用して検出される場合、予想された14〜20kDのCD52 糖タンパク質を示す。同じ患者由来の血漿は、対応するバンドを示した。
(実施例4)
(血漿および細胞のCD20のElisa解析)
患者の血漿中のsCD20を検出するためのELISAアッセイを、開発した。簡単には、96ウェルのポリスチレンマイクロプレートを、Sigmaから購入したCD20に対する抗体を捕獲することでコートした。次に、プレートを、0.01%Tween 20を含むPBSで6回洗浄し、37℃で1〜3時間、0.01%Tween 20を含むPBS中のBSAでブロッキングし、0.01%Tween 20を含むPBSで洗浄した。100μlの血漿を、ウェルに加えた。次に、混合液を、室温で2時間インキュベートした。sCD20を、標準的手法を使用した西洋わさびペルオキシダーゼ酵素接合体を使用した後に、ヒト化抗CD20(Rituximab)抗体を使用して検出した;Rituximabを、2% BSA、0.01%Tween 20中で1:400に希釈した。プレートを、12時間インキュベートした。次に、ウェルを、0.01%Tween 20を含むPBSで6回洗浄した。100単位の基質を、色の発現のために加え、一定振とうで15〜30分インキュベートした。次に、15μlのNaClで反応を停止し、プレートを、450nmの波長で読み取った。段階希釈した既知数の合成CD20ペプチド分子を、検量線を作製するために使用した。
【0107】
レベルに相関する、ウエスタンブロットのCD20バンドの強度は、図1に示すようにELISAアッセイにおいて認められた。希釈および希釈サンプルの測定は、ほとんど同一の値を示した。ELISAアッセイにより検出したようなCLL患者の血漿におけるsCD20レベルは、31の通常個体において検出されたsCD20レベルよりも有意に高かった(図3)。CLLの患者におけるsCD20レベルは、52.89〜15740M/ml(平均=776.9)で変動した。対照的に、正常個体の血漿におけるsCD20のレベルは、123.55〜547.10M/ml(平均=470)で変動した。
(実施例5)
(sCD52酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA))
患者の血漿中のsCD52を検出するためのELISAアッセイを、開発された。簡単には、96ウェルのポリスチレンマイクロプレートを、Campath−1M抗体でコートした。次に、プレートを、0.01%Tween 20を含むPBSで6回洗浄し、37℃で1〜3時間、0.01%Tween 20を含むPBS中のBSAでブロッキングし、0.01%Tween 20を含むPBSで洗浄した。100μlの患者の血漿に加え、3時間インキュベートし、次に0.01%Tween 20を含むPBSで8回洗浄した。sCD52を、標準的手法を使用した西洋わさびペルオキシダーゼ酵素接合体を使用した後に、ヒト化抗CD52 Campath−1H抗体を使用して検出した;Campath−1Hを、2%BSA、0.01%Tween 20中で1:400に希釈した。次に、ウェルを、0.01%Tween 20を含むPBSで6回洗浄した。100単位の基質を、色の発現のために加え、一定振とうで15〜30分インキュベートした。次に、反応を、15μlのNaClで停止させ、プレートを、450nmの波長で読み取った。
【0108】
ELISAにおいて検出されたレベルを、25の正常個体において検出されたレベルに対して標準化した。25の正常個体において検出された平均レベルは、1の値を割り当て、CLL患者の血漿において検出されたレベルを、正常個体の正常平均の倍数として表す。図2に示すように、ELISAレベルは、ウエスタンブロットにおいて検出されたレベルに相関するようである。ウエスタンブロットのバンドを、スキャンし、定量化した。全サンプルから得た等量の血漿を、ゲル上で泳動された。ELISAの直線性を証明するために、高レベルを有する患者からの血漿を希釈し、そしてこの希釈での測定を相関させた。図4に示すように、希釈とELISAによって検出されたレベルとの間に完全な相互関係があった。図5に示すように、正常患者において検出されたsCD52レベルとCLLの患者において検出されたsCD52レベルとの比較において、CLL患者のCD52のレベルに有意な増加があった。
(実施例6)
(血漿CD20/Rituximab複合体(ELISA))
sCD20/Rituximab複合体形成を、ELISAアッセイを使用してRituximabで処置したCLL患者の血漿において調査した。
【0109】
血漿CD20/Rituximab複合体を、同様のサンドイッチELISAアッセイを使用することで測定した。簡単には、96ウェルポリスチレンマイクロプレートを、CD20に対する捕捉抗体でコートし、上述のように洗浄した。血漿サンプルを、PBS中での1:100希釈後に加え、上述のように洗浄した。検出のために、西洋わさびペルオキシダーゼ結合体化ヤギ抗ヒト免疫グロブリンを、使用した。次に、ウェルを、0.01%Tween 20を含むPBSで6回洗浄した。100単位の基質を、色の発現のために加え、一定振とうで15〜30分インキュベートした。反応を、15μlのNaClで停止させ、このプレートを、450nmの波長で読み取った。Rituximabに対して飽和で結合した後に、段階希釈した既知数の合成CD20ペプチド分子を、検量線を作製するために使用した。
【0110】
sCD20/Rituximab免疫複合体は、Rituximabで処置された20人のCLL患者から得られた20個全てのサンプルにおいて検出された。ELISAアッセイは、過剰のRituximabと混合された既知量の合成ペプチド混合物の希釈物間の直線的相関を示した(R=1)。免疫複合体は、Rituximabで処置した患者から得られた一連のサンプルにおいて検出された(図6)。図6に示すように、sCD20/Rituximab複合体は、Rituximabのレベルの増加と共に増加した。
(実施例7)
(CLLの進行したステージと相関する高レベルのsCD20)
種々の特徴および疾患の臨床段階を有する180人のCLL患者におけるsCD20の血漿レベルの相関を、評価した。研究した患者の特徴は、表1に列挙される。
【0111】
患者の内32人(17.8%)は、Raiステージ0疾患、81人(45%)は、ステージI〜II、および60人(33%)は、ステージIII〜IVであった。患者の平均年齢は61歳であり、そしてβ2Mレベルは3.4であった。男性と女性との間でsCD20レベルにおいて有意な差はなかった(p値=0.66)。sCD20レベルは、β2M(r=0.23,p値=0.006)、血小板数(r=−0.22,p値=0.004)、CD19+/CD38+細胞の割合(r=0.20,p値=0.03)およびヘモグロビンレベル(r=−0.18,p値=0.02)と高い相関関係があった(表2)。s
CD20レベルは、白血球数(r=−0.07,p値=0.33)とも、リンパ球数(r=−0.03,p値=0.71)とも年齢(r=0.05,p値=0.53)とも有意な相互関係がなかった。sCD20レベルとRaiステージとの間に直接的な相互関係があった。症例をRai0、RaiI〜IIおよびRai III〜IVに分類したとき、より高いRaiステージは、有意に高いレベルのsCD20を有していた(P=0.01,Kruskal−Wallis試験)(図7)。Raiステージ0〜IIの患者は、RaiステージIII〜IVの患者と比較したとき有意に低いsCD2レベルを有していた(P=0.01)。ビネ病期分類を使用した場合、同様の結果が得られた(P=0.004)(図8)。sCD20レベルとリンパ節症(P=0.11)または肝腫(P=0.25)の部位の数との間に相関関係はなかった。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
【表3】
一変量のCox比例危険モデルは、この患者群の生存率を予測する変数について試験に適合された(表3)。表3に示すように、CD38、ヘモグロビン、血小板、β2M、Rai病期分類、およびsCD20の発現が、すべて生存率の予測値となった。Cox回帰モデルの連続変数としてsCD20は、生存率の予測値となった(P=0.002)。しかしながら、適合度についてのマーチンゲール残差プロットをふまえ、sCD20がこのモデルによく適応するために対数変換が必要であった。sCD20の対数が一変量のCoxモデルに再適合させるために使用される場合、p値が0.08であり、ほんのわずかに有意であった。それゆえ、sCD20を、CARTによって選択された、1875M/mlのカットオフ時点を利用することで2種類に分け、これは、異なる生存率プロフィールを有する2つの患者群を証明した。sCD20>1875M/mlを有する患者は、sCD20<=1875M/mlを有する患者よりも有意に短い生存時間を有した(P=0.01)(図9)。高いsCD20を有する患者における生存率の中央値は約18ヶ月であり、一方でより低いレベルのsCD20を有する患者における中央値は到達されなかった(図9)。sCD20>1875M/mlを有する患者における、この短い生存率を示した多変量解析は、Rai病期分類またはヘモグロビンと無関係であった。
【0115】
sCD20のレベルは、患者の管理および予後に直接的な影響を有し得る。sCD20のレベルは、ライおよびビネの病期分類、ならびにβ2Mと正の相関関係があり、血小板およびヘモグロビンと逆の相関関係があった。sCD20は、白血球数、年齢、脾腫、またはリンパ節拡張と相関しなかった。高いレベルのsCD20は、ライの病期分類から無関係に短い生存率と相関した。このことは、sCD20レベルが疾患の特定の臨床上の病期および特性の生物学に反映し得ることを示唆した。患者が抗CD20(Rituximab)によって処置される場合、sCD20は重要な役割を果たし得る。sCD20/Rituximab複合体の形成は、白血病性細胞に到達することからモノクローナル抗体の量を有意に減少し得る。これが因子である場合、抗体の投薬量は、特に高いレベルのsCD20を有する患者において、治療レベルに到達するように、従って調節される必要があり得る。sCD20および治療的な抗CD20抗体との複合体の測定は、より効果的な治療戦略を設計するのに役立ち得る。
【0116】
(実施例10)
(CLL患者における可溶化CD52の臨床的関連性)
sCD52レベルは116人のCLL患者において研究された。これらの患者の特徴は、表1に列挙される。116患者のうち66人(57%)は、前もって未処置であった。79人(68%)が男性であり、44人(38%)がライの病期分類の病期III〜IVであった。患者の中央値年齢は61歳であり、中央値WBC数は60.1×109/Lであった。中央値ヘモグロビンは12.7g/Lであり、中央値βーミクログロブリン(β2M)は3.6g/dLであった。CD52の血漿レベルはRai病期分類と相関して、優位な相関関係があった(p=0.0008、クルスカル−ワリス)(図10)。また、ビネの病期分類が使用された場合も、同様の相関関係があった(p<0.0001)(図11)。116患者のうち74人が完全な細胞遺伝学の研究を有し、またsCD52レベルは、細胞遺伝学に乏しい患者(11q21−、+12、または第17番染色体の異常)とその他の患者とともに患者との間で比較された。細胞遺伝学に乏しい患者は、有意により高いレベルのsCD52を有した(p=0.0002、クルスカル−ワリス)(図12)。血漿CD52レベルは、また、拡張されたリンパ節を伴うリンパ結節部位の数と相関関係を有した。図13に示すように、より高いレベルのsCD52は、拡張されたリンパ節を伴うリンパ結節部位の数が多い患者の血漿中で検出された(P=0.002)。sCD52レベルはまた、肝臓の増加サイズ(P=0.0005)および膵臓の増加サイズ(0.000002)と正の相関関係にあった(表5)。sCD52レベルとヘモグロビン(P<0.00001)およびsCD52レベルと血小板(P<0.00001)と間には、逆の相関関係があった(表5)。sCD52レベルは、総白血球数(WBC)(p<0.00001)、β2M(P=0.00002)およびCD38の表面発現(0.01)と正の相関関係にあった(表5)。Cox比例危険モデルおよび一変量解析を用いると、sCD52は生存率と強く相関した。より高いレベルのsCD52は、短い生存率に相関した(P=0.001)。一変量解析はまた、この患者群における生存率が、ライの病期分類(p=0.007)、表面CD38発現(0.02)、乏しい細胞遺伝学(p=0.005)、ヘモグロビン(p=0.001)、血小板(p=0.01)およびβ2M(0.00001)と相関関係があることを示した。こうして、データは、この患者群が通常のCLL患者の代表であることを示唆した。
【0117】
sCD52、ライの病期分類、ヘモグロビン、血小板、WBC、およびβ2Mを組み込んだ多変量解析において、β2Mのみが生存率の予測値となり(p=0.02)、一方ではsCD52は生存率の予測値とならなかった。カットオフ時点が、高い発現を有する人と低い発現を有する人の2群に患者を分別するために用いられた。上側の四分位値に一致する32のカットオフ時点を用いた場合、高いレベルのsCD52を有する患者は有意に短い生存率を示した(p=0.0001、Log−Rank検定)(図14)。ライの病期分類、ヘモグロビン、血小板、WBC、およびβ2Mを組み込んだ多変量解析において、CLL患者を2群に分別するためにsCD52レベルを用いた場合、β2Mは生存率の予測値のままであり(P=0.05)、またsCD52は生存率の境界予測値となり、一方でライ、ヘモグロビン、血小板およびWBCは生存率の予測値とならなかった。このことは、非常に高いレベルにあるとき、sCD52レベルが生存率の予測値とおそらく無関係であることを示唆した。
【0118】
(表4 患者の特徴)
【0119】
【表4】
(表5 CLLにおけるsCD52レベルと種々の臨床的特徴との間のスピアマン(Spearman)相関)
【0120】
【表5】
これらのデータは、sCD52レベルがCLLにおいて特異的な臨床的挙動を反映するということを示した。sCD52レベルは、種々の疾患段階に相関し、またより高いレベルは疾患の病原性に関連された。循環血中の白血病性細胞の数、肝肥大、脾腫、リンパ節関連およびβ2Mの間に正の相関があった:これらのすべては通常、より多くの進行型疾患と関係する。それゆえ、sCD52は病期の進行した患者に使用され得、しかしもっと重要なことには、sCD52の存在は、Campath−1Hを用いて治療される場合、これらの患者の処置の有効性に有意な影響をもたらし得る。sCD52が治療上のCampath−1H抗体に結合し得、また細胞への到達からそれらを隔絶し得るという可能性は、考慮されるべきであり、また調査されるべきである。この結合は、抗体の薬力学および薬物動態学において有意な影響をもたらし得る。高いレベルのsCD52を有する患者が、sCD52を飽和するためにより多くの抗体の投与量を要求し、抗体が細胞に到達することを許容することが可能である。同様に、治療中の患者が、彼らのsCD52レベルが低下し、腫瘍質量が小さくなるように、より低いレベルの抗体を要求することが可能である。抗CD52抗体の投薬量の減少は、Campath−1Hで処置されている患者に報告されている深刻な免疫抑制を減少する手助けとなり得る。sCD52の使用はまた、Campath−1Hに基づいているかどうかには関係なく、CLL疾患のモニタリングおよび治療の有効性のモニタリングに有用であり得る。
【0121】
(実施例11)
(Campath−1Hで処置されている患者におけるsCD52/Campath−1H複合体の検出)
CLL患者の血漿中sCD52の検出は、結果として、発明者に抗原および抗体が血漿中で複合体を形成し得る可能性を検討させた。
【0122】
血漿sCD52/Campath−1H複合体を、同様のサンドイッチELISAアッセイを用いて測定した。簡潔には、96ウェルポリスチレンマイクロプレートをCD52のための捕獲抗体でコーティングし、上述したように洗浄した。血漿サンプルがPBS中1:100希釈の後添加し、上述したようにインキュベートした。検出については、ホースラディッシュペルオキシダーゼが結合したヤギ抗ヒト免疫グロブリンが使用された。ウェルを、それから0.01%のTween20を含むPBSで6回洗浄した。100ユニットの基質を色の発色のために添加し、一定の振盪をともなって15〜30分間インキュベートした。それから15マイクロリットルの塩化ナトリウムで反応を停止し、プレートを450nm波長で読んだ。Campath−1Hに飽和して結合した後、既知数の分子の合成CD52ペプチドの希釈系列が検量線を作成するために用いられた。
【0123】
sCD52/Campath−1H免疫複合体を、Campath−1Hで処置されたCLL患者からのサンプル中で検出した。ELISAアッセイは、過剰量のCampath−1H(R=1)と混合された既知数の合成ペプチドの希釈間に線形相関を示した。免疫複合体は、Campath−1Hで処置されている患者からのサンプル系列中で検出された(図15)。
【0124】
Campath−1Hで処置された患者におけるsCD52/Campath−1H複合体の検出は、これらの複合体の形成が、標的細胞に付着することが可能な抗体の量を減らすことが出来たことを示唆する。
【0125】
(実施例12)
(Campath−1HとCLL治療に対する応答との間の相関)
化学療法後の最低限の残存疾患を根絶するために、Campath−1Hのレベルが、Campath−1Hで処置されたCLL患者において測定された。全患者は、完全寛解(CR)だがフローサイトメトリーでの残存疾患の徴候は有していたか、部分寛解(PR)であった。患者は、Campath−1H 10mgで1ヶ月間、週に3回、処置された。Campath−1Hの血漿レベルは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって決定された残存疾患、治療に対する応答、および感染と相関した。
【0126】
簡潔には、血漿サンプルは、この過程の最後に12患者から集められた。数人の患者は完全寛解(CR)を達成し、また数人の患者は応答を示さなかった(NR)。CRの患者は、NRの患者に比して有意により高いレベルのCampath−1Hを有した(P=0.009)。CRを達成した患者の血漿中Campath−1H濃度の中央値は、0.420μg/ml(0〜1.760μg/mlの範囲)であり、一方で全NR患者は検出可能な血漿中Campath−1Hを有さなかった。CRを達成した患者は、PCRによって決定されるような有意により少ない、最低限の疾患を有した(P=0.02)。PCRによって決定されるようなより多くの残存疾患を有して治療を開始された患者は、CRを達成する可能性がより少なかった(P=0.02)。感染の徴候があった患者(3人はCMVにより、1人はStaphylococcusによる)は、PCRによって決定されるような残存疾患を有意により多く有したが(P=0.02)、これらの患者は、感染を発症しなかった患者に比して、Campath−1Hレベルの統計的に有意な差異を有さなかった。
【0127】
こうして、このデータは、より高いレベルの残存疾患を有するCLL患者が、疾患を根絶するためより高い用量のCampath−1Hを必要とし得、検出可能な血漿中Campath−1HレベルがCRを達成するために必要であり得ることを示唆した。さらに、この患者群における感染は、より高いレベルの残存疾患と関係し、より高いレベルのCampath−1Hとは関係しなかった。
【0128】
(実施例13)
(Rituximabレベルと、フルダービン(fludarbine)、シクロホスファミドおよびRituximabを併用して処置されたCLL患者の応答との間の相関)
フルダービン(F)、シクロホスファミド(C)およびRituximab(R)を併用したCLL患者の処置(6サイクルのFCR(第1サイクルの2〜4日目、および第2〜6サイクルの1〜3日目に、F−25mg/m2/日およびC−250mg/m2/日、ならびに第1サイクルの1日目にR−375mg/m2、ならびに第2〜6サイクルの1日目にR−500mg/m2))は、成功(例えば、寛解(CR)を達成すること)に終わった。
【0129】
簡潔には、治療開始の3〜9ヶ月の間の様々な時間にFCRで処置されたCLL患者において、血漿Rituximabレベルが測定され、そのレベルは、応答およびその他の特徴と相関した。最前線の患者が考慮された場合、応答を有さない患者は、検出可能なレベルのRituximabを有さなかった。これらの患者は、CRの患者または結節性CR(CRN)の患者に比して、有意に高いレベルの循環CD20(cCD20)を有した。しかしながら、前もって処置されていた患者が考慮された場合、RituximabレベルはCR、NRおよびCRNの患者間で有意な差異を有さなかった。高いRituximabレベルは、最前線の患者の中で、治療開始時においてRai病期分類の初期段階に位置する患者では達成されたが(P=0.005)、前もって処置されていた患者においては達成されなかった(P=0.7)。達成されたRituximabレベルは、前もって処置された患者における以前の処置β2Mと逆の相関関係にある(R=0.44、P=0.002)が、最前線の患者とは逆の相関関係になかった(R=0.20、P=0.23)。
【0130】
こうして、このデータは、治療に対して応答しなかった患者で、FCRで治療された少数の最前線の患者が、低レベルのRituximabを有し、より多い用量から恩恵を受け得ることを示唆した。
【0131】
(参考文献)
以下の参考文献は、本明細書中に記載されるものに対する模範的な手順、またはその他の詳細な補足を提供する範囲で、特に本明細書中で参考として援用される。
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【0137】
【数6】
本発明およびその進歩性を詳細に記載したが、添付の特許請求の範囲によって規定された本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変化、置換、変更が、本明細書中でなされ得ることが理解されるべきである。さらに、本願の範囲は、本明細書中に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、および工程といった特定の実施例に限定されないように、意図される。当業者が、本発明の開示から、容易に理解するように、本明細書中に記載された対応する実施例と、実質的に同じ機能を実施し、実質的に同じ結果に達する、現存するかまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、または工程は、本発明に従って利用され得る。従って、添付の特許請求の範囲は、このようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、または工程を範囲内に含むよう、意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載された発明。
【請求項1】
本明細書に記載された発明。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−198232(P2012−198232A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−124609(P2012−124609)
【出願日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【分割の表示】特願2009−8263(P2009−8263)の分割
【原出願日】平成14年9月20日(2002.9.20)
【出願人】(500039463)ボード・オブ・リージエンツ,ザ・ユニバーシテイ・オブ・テキサス・システム (115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【分割の表示】特願2009−8263(P2009−8263)の分割
【原出願日】平成14年9月20日(2002.9.20)
【出願人】(500039463)ボード・オブ・リージエンツ,ザ・ユニバーシテイ・オブ・テキサス・システム (115)
【Fターム(参考)】
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