説明

EP2アゴニストを有効成分とする月経困難症治療剤

【構成】EP2アゴニストを有効成分とする月経困難症治療剤に関する。
【効果】選択的なEP2アゴニストは月経困難症の治療に有用である。例えば、選択的EP2アゴニストである、式(I)
【化1】


(式中、Rはカルボキシ基等を表わし、RI−1はハロゲン原子等を表わし、RI−2は水素原子、水酸基等を表わし、RI−3は水素原子、C1〜8のアルキル基、C2〜8のアルケニル基、C2〜8のアルキニル基等を表わし、nは0〜4を表わす。)
で示されるプロスタグランジン誘導体、そのエステル、その非毒性塩、またはそれらのシクロデキストリン包接化合物は子宮収縮抑制作用を有し、月経困難症の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、EP2アゴニストを有効成分とする月経困難症治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
月経困難症はいわゆる生理痛(下腹痛、腰痛)であるが、日常生活に支障をきたし、治療を必要とする症候群をいう。月経困難症では頭痛、悪心、嘔吐、下痢、めまい、うつ、不眠などが、下腹痛、腰痛に加え症状として現われる。
【0003】
月経困難症は精神的ストレスの寄与も大きいとされているが、基本的には機能的月経困難症と器質的月経困難症に分類される。
【0004】
機能的月経困難症は子宮発育不全に基づく子宮筋の収縮調節障害や、月経時期の子宮内膜でのプロスタグランジン(PG)産生による過収縮に起因する。また、若年の月経困難症患者の月経血や内膜においてPGの量が増加する。このことから、内膜から産生されたPG、バソプレシンおよびその他の物質が血管や子宮を強く収縮させ、虚血が起こり痛みを誘発することが示唆されている(Powell AM. et al, Prostaglandins 29(2), 273-290 (1985)、Stromberg P. et al, Acta Obstet Gynecol Scand 63(6), 533-538 (1984))。
【0005】
PGEは、アラキドン酸カスケードの中の代謝産物として知られており、その作用は、細胞保護作用、子宮収縮、発痛作用、消化管の蠕動運動促進、覚醒作用、胃酸分泌抑制作用、血圧降下作用、利尿作用等の多彩な機能を有していることが知られている。
【0006】
近年の研究の中で、PGE受容体には、それぞれ役割の異なったサブタイプが存在することが分かってきた。現時点で知られているサブタイプは、大別して4つあり、それぞれ、EP1、EP2、EP3、EP4と呼ばれている(Negishi M. et al, J. Lipid Mediators Cell Signaling 12, 379-391 (1995) )。これらの役割分担を調べることによって、おのおの他のサブタイプ受容体に結合しない化合物を見出すことにより、より副作用の少ない薬剤を得ることが可能となった。
【0007】
これまで、EP2アゴニストとしては、ヨーロッパ特許公開番号860430号に記載の化合物、国際特許出願公開番号WO99/33794号に記載の化合物、ヨーロッパ特許公開番号974580号に記載の化合物、国際特許出願公開番号WO95/19964号に記載の化合物、米国特許第5698598号に記載の化合物、米国特許第6376533号に記載の化合物、国際特許出願公開番号WO98/28264号に記載の化合物、国際特許出願公開番号WO99/19300号に記載の化合物、ヨーロッパ特許出願公開番号EP0911321号に記載の化合物、国際特許出願公開番号WO98/58911号に記載の化合物およびAH−13205が提案されているが、米国特許第6376533号を除く出願明細書には月経困難症の治療に有効であることを示唆する記載は全くない。米国特許第6376533号には、適応症の一つとして月経困難症が挙げられているが、有効性を示唆する実験データは示されていない。
【0008】
【本発明の目的】
本発明者らは、月経困難症治療に有効であり、かつ副作用の少ない化合物を見出すべく検討を重ねた結果、意外にもPGE受容体サブタイプであるEP2受容体に特異的に結合する化合物、すなわちEP2アゴニストが、非妊娠ラットにおいてプロスタグランシンによる収縮だけでなくオキシトシン、バソプレシン、メタコリンによる子宮筋収縮を抑制する作用を有することをインビボ(in vivo)で初めて見出し、したがって月経困難症に有効であるとの知見を得、本発明を完成した。
【0009】
月経困難症の主原因は子宮の収縮であるとされているが、現在、臨床で主に用いられている非ステロイド系抗炎症薬はプロスタグランジンによる収縮のみを抑制すると考えられることから、EP2アゴニストは非ステロイド系抗炎症薬よりも優れた月経困難症治療薬となりうることが示唆された。
【0010】
さらに、本発明に用いられる化合物は、サブタイプEP2受容体に特異的に結合し、その他のサブタイプEP1、EP3、EP4等には、ほとんど結合しないため、EP1によると考えられる発痛、EP3によると考えられる子宮収縮作用がない。したがって、本発明に用いられる化合物は月経困難症治療に有効であり、かつ副作用が少ないと考えられる。また、本発明に用いられる化合物が月経困難症に有用であることは今回初めて確認されたことである。
【0011】
【発明の開示】
本発明は、EP2アゴニストを有効成分とする月経困難症治療剤に関する。
【0012】
本発明に用いられるEP2アゴニストとしては、現在までに知られているEP2アゴニストや今後見出されるEP2アゴニストをすべて包含する。例えば、現在までに知られている選択的なEP2アゴニストとしては、以下の化合物が挙げられる。
【0013】
ヨーロッパ特許公開番号860430号には、式(I)
【0014】
【化2】

【0015】
(式中、Rはカルボキシ基またはヒドロキシメチル基を表わし、RI−1はオキソ基、メチレン基またはハロゲン原子を表わし、RI−2は水素原子、水酸基、またはC1〜4のアルコキシ基を表わし、RI−3は水素原子、C1〜8のアルキル基、C2〜8のアルケニル基、C2〜8のアルキニル基、または1〜3個の以下の(1)〜(5)の基で置換されているC1〜8のアルキル基、C2〜8のアルケニル基またはC2〜8のアルキニル基を表わし:(1)ハロゲン原子、(2)C1〜4のアルコキシ基、(3)C3〜7のシクロアルキル基、(4)フェニル基、または(5)1〜3個のハロゲン原子、C1〜4のアルキル基、C1〜4のアルコキシ基、ニトロ基またはトリフルオロメチル基で置換されているフェニル基;nは0〜4を表わし、
【0016】
【化3】

【0017】
は一重結合または二重結合を表わし、
【0018】
【化4】

【0019】
は二重結合または三重結合を表わし、
【0020】
【化5】

【0021】
は一重結合、二重結合または三重結合を表わす。ただし、(1)5−6位が三重結合を表わすとき、13−14位は三重結合を表わさない。(2)13−14位が二重結合を表わすとき、その二重結合はE体、Z体またはEZ体の混合物を表わす。)で示されるω−シクロアルキル−プロスタグランジンE誘導体、それらの非毒性塩、それらのプロドラッグまたはシクロデキストリン包接化合物が開示されている。
【0022】
国際特許出願公開番号WO99/33794号には、式(II)
【0023】
【化6】

【0024】
(式中、AIIはベンゼン、チオフェンまたはフラン環を表わし、RII−1は水酸基、C1〜6のアルコキシ基、またはNRII−10II−11(式中、RII−10およびRII−11は、独立して水素原子またはC1〜4のアルキル基を表わす。)で示される基を表わし、RII−2はC1〜4のアルキレン基、C2〜4のアルケニレン基、−S−C1〜4のアルキレン基、−S−C2〜4のアルケニレン基またはC1〜4のアルキレン−S−基を表わし、Rはオキソ基、メチレン基、ハロゲン原子、またはRII−32−COO−(式中、RII−32はC1〜4のアルキル基、C1〜4のアルコキシ基、フェニル基、フェニル−C1〜4のアルキル基、RII−33−OOC−C1〜4のアルキル基またはRII−33−OOC−C2〜4のアルケニル基(式中、RII−33は水素原子またはC1〜4のアルキル基を表わす。)を表わす。)
で示される基を表わし、RII−4は水素原子、水酸基またはC1〜4のアルコキシ基を表わし、RII−5はC1〜8のアルキル基、C2〜8のアルケニル基、C2〜8のアルキニル基、1〜3個の以下の(1)〜(5)の基で置換されているC1〜8のアルキル基、C2〜8のアルケニル基またはC2〜8のアルキニル基を表わし:(1)ハロゲン原子、(2)C1〜4のアルコキシ基、(3)C3〜7のシクロアルキル基、(4)フェニル基、または(5)1〜3個のハロゲン原子、C1〜4のアルキル基、C1〜4のアルコキシ基、ニトロ基またはトリフルオロメチル基で置換されているフェニル基、nは0〜4を表わし、
【0025】
【化7】

【0026】
は、単結合または二重結合を表わす。
ただし、8−9位が二重結合を表わす場合は、RII−3はRII−32−COO−(基中、RII−32は前記と同じ意味を表わす。)で示される基であり、RII−1はC1〜6のアルコキシを表わす。)
で示されるω−シクロアルキル−プロスタグランジンE誘導体、それらの非毒性塩またはそれらのシクロデキストリン包接化合物が開示されている。
【0027】
ヨーロッパ特許公開番号974580号には、式(III)、
【0028】
【化8】

【0029】
(式中、RIII−1はヒドロキシ基、C1〜6のアルコキシ基またはNRIII−11III−12基(基中、RIII−11およびRIII−12は独立して、水素原子またはC1〜6のアルキル基を表わす。)を表わし、XIIIは塩素原子またはフッ素原子を表わし、RIII−2は水素原子、C1〜8のアルキル基、C2〜8のアルケニル基、C2〜8のアルキニル基、1〜3個の以下の(1)〜(5)の基で置換されているC1〜8のアルキル基、C2〜8のアルケニル基またはC2〜8のアルキニル基を表わし:(1)ハロゲン原子、(2)C1〜4のアルコキシ基、(3)C3〜7のシクロアルキル基、(4)フェニル基、または(5)ハロゲン原子、C1〜4のアルキル基、C1〜4のアルコキシ基、ニトロ基およびトリフルオロメチル基から選ばれる1〜3個の基で置換されているフェニル基、nIIIは0〜4を表わし、
【0030】
【化9】

【0031】
は単結合、二重結合または三重結合を表わす。)で示されるω−シクロアルキル−プロスタグランジンE誘導体、それらの非毒性塩またはシクロデキストリン包接化合物が開示されている。
【0032】
国際特許出願公開番号WO95/19964号には、式(IV)
【0033】
【化10】

【0034】
(式中、すべての記号は国際特許出願公開番号WO95/19964号に定義されたとおりである。)
で示される化合物が開示されている。
【0035】
米国特許第5698598号には、式(V)、
【0036】
【化11】

【0037】
式(VI)、
【0038】
【化12】

【0039】
および式(VII)
【0040】
【化13】

【0041】
(式中、すべての記号は米国特許第5698598号に定義されたとおりである。)
で示される化合物が開示されている。
【0042】
国際特許出願公開番号WO98/28264号には、式(VIII)
【0043】
【化14】

【0044】
(式中、すべての記号は国際特許出願公開番号WO98/28264号に定義されたとおりである。)
で示される化合物が開示されている。
【0045】
国際特許出願公開番号WO99/19300号には、式(IX)
【0046】
【化15】

【0047】
(式中、すべての記号は国際特許出願公開番号WO99/19300号に定義されたとおりである。)
で示される化合物が開示されている。
【0048】
ヨーロッパ特許出願公開番号EP0911321号には、式(X)
【0049】
【化16】

【0050】
(式中、すべての記号はヨーロッパ特許出願公開番号EP0911321号に定義されたとおりである。)
で示される化合物が開示されている。
【0051】
国際特許出願公開番号WO98/58911号には、式(XI)
【0052】
【化17】

【0053】
(式中、すべての記号は国際特許出願公開番号WO98/58911号に定義されたとおりである。)
で示される化合物が開示されている。
【0054】
さらに、AH−13205は
【0055】
【化18】

【0056】
で示される化合物であり、EP2アゴニスト活性を持つことが知られている。
【0057】
本発明に用いられる好ましいEP2アゴニストは、式(I)
【0058】
【化19】

【0059】
(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)
で示されるプロスタグランジン誘導体、そのエステル、その非毒性塩、またはそれらのシクロデキストリン包接化合物である。
【0060】
より好ましい化合物は、(5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−ジヒドロキシ−9−クロロ−20−ノルプロスタ−5,13−ジエン酸、または(5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−ジヒドロキシ−9−クロロプロスタ−5,13,19−トリエン酸と、それらのリジン塩またはそれらのα−シクロデキストリン包接化合物である。
【0061】
【エステル】
本発明に用いられる化合物のうち、カルボキシ基を有する化合物は、公知の方法により、エステルとすることが出来る。エステルの形にすることにより、安定性、吸収性が増すため、医薬品としてより有用である。好ましくは、アルキルエステルである。より好ましくは、C1〜4のアルキルエステルである。最も好ましいエステルは、メチルエステルである。
【0062】
【塩】
本発明に用いられる化合物のうち、カルボキシ基を有する化合物は、公知の方法で相当する塩に変換される。塩は、毒性のない、水溶性のものが好ましい。適当な塩としては、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩、薬学的に許容される有機アミン(テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩が挙げられる。好ましくは、リジン塩である。
また、本発明に用いられる化合物は、公知の方法により水和物に変換することもできる。
【0063】
【包接化合物】
本発明に用いられる化合物、そのエステルは、α−、β−あるいは、γ−シクロデキストリンあるいは、これらの混合物を用いて、GB1,351,238号または、GB1,419,221号明細書記載の方法を用いることにより、シクロデキストリン包接化合物に変換することができる。シクロデキストリン包接化合物に変換することにより、安定性が増大し、また水溶性が大きくなるため、薬剤として使用する際好都合である。
【0064】
【本発明に用いられる化合物の製造方法】
本発明に用いられる化合物、そのエステル、その非毒性塩は、ヨーロッパ特許公開番号860430号明細書、国際特許出願公開番号WO99/33794号明細書、ヨーロッパ特許公開番号974580号明細書、国際特許出願公開番号WO95/19964号明細書、米国特許第5698598号明細書、米国特許第6376533号明細書、国際特許出願公開番号WO98/28264号明細書、国際特許出願公開番号WO99/19300号明細書、ヨーロッパ特許出願公開番号EP0911321号明細書、国際特許出願公開番号WO98/58911号明細書に記載の方法により製造することができる。
【0065】
【毒性】
本発明に用いられる化合物の毒性は、十分に低いものであり、医薬品として使用するために十分安全であることが確認された。例えば、本発明に用いられる式(I−a)のうち、化合物A(リジン塩)の最大耐用量は、ラット静脈内投与で30mg/kg動物体重以上であった。
【0066】
【医薬品への適用】
本発明に用いられる化合物は月経困難症に有効である。
【0067】
本発明に用いられる化合物またはそれらの非毒性塩は、
1)該化合物の予防および/または治療効果の補完および/または増強、
2)該化合物の動態・吸収改善、投与量の低減、
および/または
3)該化合物の副作用の軽減
のために他の薬剤と組み合わせて、併用剤として投与してもよい。
【0068】
本発明に用いられる化合物と他の薬剤の併用剤は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。この別々の製剤にして投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、本発明に用いられる化合物を先に投与し、他の薬剤を後に投与してもよいし、他の薬剤を先に投与し、本発明に用いられる化合物を後に投与してもかまわず、それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。
【0069】
上記併用剤により、予防および/または治療効果を奏する疾患は特に限定されず、本発明に用いられる化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する疾患であればよい。
【0070】
例えば、本発明に用いられる化合物の月経困難症に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬剤としては、例えば、鎮痛剤(非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤等)、経口避妊薬、ホルモン製剤、鎮痙剤、β作動薬、バソプレシンV1a拮抗剤、プロスタグランジン合成酵素阻害剤、局所麻酔薬、カルシウムチャネル拮抗剤、カリウムチャネル遮断薬、ロイコトリエン遮断薬、平滑筋弛緩剤、血管拡張薬等が挙げられる。
【0071】
非ステロイド系抗炎症薬としては、例えば、サザピリン、サリチル酸ナトリウム、アスピリン、アスピリン・ダイアルミネート配合、ジフルニサル、インドメタシン、スプロフェン、ウフェナマート、ジメチルイソプロピルアズレン、ブフェキサマク、フェルビナク、ジクロフェナク、トルメチンナトリウム、クリノリル、フェンブフェン、ナプメトン、プログルメタシン、インドメタシンファルネシル、アセメタシン、マレイン酸プログルメタシン、アンフェナクナトリウム、モフェゾラク、エトドラク、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フルルビプロフェンアキセチル、ケトプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、チアプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、アルミノプロフェン、ザルトプロフェン、メフェナム酸、メフェナム酸アルミニウム、トルフェナム酸、フロクタフェニン、ケトフェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、ピロキシカム、テノキシカム、アンピロキシカム、ナパゲルン軟膏、エピリゾール、塩酸チアラミド、塩酸チノリジン、エモルファゾン、スルピリン、ミグレニン、サリドン、セデスG、アミピロ−N、ソルボン、ピリン系感冒薬、アセトアミノフェン、フェナセチン、メシル酸ジメトチアジン、シメトリド配合剤、非ピリン系感冒薬、ブロムフェナク、フェナメート、スリンダク、ナブメトン、ケトロラク等が挙げられる。
【0072】
COX阻害剤としては、例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ等が挙げられる。
【0073】
鎮痙剤としては、例えば、スコポラミン等が挙げられる。
【0074】
β作動薬としては、例えば、イソクスプリン、テルブタリン、サルブタモール、メタプロテレノール、リトドリン等が挙げられる。
【0075】
バソプレシンV1a拮抗剤としては、例えば、レルコバプチン等が挙げられる。
【0076】
プロスタグランジン合成酵素阻害剤としては、例えば、サラゾスルファピリジン、メサラジン、オサラジン、4−アミノサリチル酸、JTE−522、オーラノフィン、カルプロフェン、ジフェンピラミド、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、メロキシカム、オキサプロジン、パーサルミド、ピプロキセン、ピロキシカム、ピロキシカムベータデックス、ピロキシカムシンナメート、トロピンインドメタシネート、ザルトプロフェン、プラノプロフェン、当帰芍薬散、芍薬甘草湯等が挙げられる。
【0077】
局所麻酔薬としては、例えば、塩酸コカイン、塩酸プロカイン、リドカイン、塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、メピバカイン、エチドカイン、ブピバカイン、塩酸−2−クロロブチロカインなどが挙げられる。
【0078】
カルシウム拮抗剤としては、例えば、ニフェジピン、塩酸ベニジピン、塩酸ジルチアゼム、塩酸ベラパミル、ニソルジピン、ニトレンジピン、塩酸ベプリジル、ベシル酸アムロジピン、塩酸ロメリジン、イスラジピン、ニモジピン、フェロジピン、ニカルジピン等が挙げられる。
【0079】
カリウムチャネル遮断薬としては、例えば、ドフェチリド、E−4031、アルモカラント、セマチリド、アムバシリド、アジミリド、テジサミル、RP58866、ソタロール、ピロキシカム、イブチリド等が挙げられる。
【0080】
血管拡張薬としては、例えば、ニトログリセリン、イソソルビドジニトレート、一硝酸イソソルビド等が挙げられる。
【0081】
本発明に用いられる化合物と他の薬剤の重量比は特に限定されない。
【0082】
他の薬剤は、任意の2種以上を組み合わせて投与してもよい。
【0083】
また、本発明に用いられる化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する他の薬剤には、上記したメカニズムに基づいて、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。
【0084】
本発明に用いられる化合物、または本発明に用いられる化合物と他の薬剤の併用剤を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。
【0085】
投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人当たり、一回につき、1ngから100mgの範囲で一日一回から数回経口投与されるか、または成人一人当たり、一回につき、0.1ngから10mgの範囲で一日一回から数回非経口投与されるか、または一日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。
【0086】
もちろん前記したように、投与量は種々の条件により変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて投与の必要な場合もある。
【0087】
本発明に用いられる化合物、または本発明に用いられる化合物と他の薬剤の併用剤を投与する際には、経口投与のための内服用固形剤、内服用液剤および、非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤、点眼剤、吸入剤等として用いられる。
【0088】
経口投与のための内服用固形剤には、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。また錠剤には舌下錠、口腔内貼付錠、口腔内速崩壊錠などが含まれる。
【0089】
このような内服用固形剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質はそのままか、または賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
【0090】
舌下錠は公知の方法に準じて製造、調製される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質に賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、コロイダルシリカ、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(デンプン、L-ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、膨潤剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カーボポール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、グアーガム等)、膨潤補助剤(グルコース、フルクトース、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルトース、トレハロース、リン酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩、グリシン、グルタミン酸、アルギニン等)安定剤、溶解補助剤(ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グルタミン酸、アスパラギン酸等)、香味料(オレンジ、ストロベリー、ミント、レモン、バニラ等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。また、必要に応じて常用される防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の添加物を加えることもできる。
【0091】
口腔内貼付錠は公知の方法に準じて製造、調製される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質に賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、コロイダルシリカ、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(デンプン、L-ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、付着剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カーボポール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、グアーガム等)、付着補助剤(グルコース、フルクトース、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルトース、トレハロース、リン酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩、グリシン、グルタミン酸、アルギニン等)安定剤、溶解補助剤(ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グルタミン酸、アスパラギン酸等)、香味料(オレンジ、ストロベリー、ミント、レモン、バニラ等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。また、必要に応じて常用される防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の添加物を加えることもできる。
【0092】
口腔内速崩壊錠は公知の方法に準じて製造、調製される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質をそのまま、あるいは原末もしくは造粒原末粒子に適当なコーティング剤(エチルセルロース、ヒドキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリル酸メタクリル酸コポリマー等)、可塑剤(ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル等)を用いて被覆を施した活性物質に賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、コロイダルシリカ、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(デンプン、L-ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、分散補助剤(グルコース、フルクトース、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルトース、トレハロース、リン酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩、グリシン、グルタミン酸、アルギニン等)安定剤、溶解補助剤(ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グルタミン酸、アスパラギン酸等)、香味料(オレンジ、ストロベリー、ミント、レモン、バニラ等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。また、必要に応じて常用される防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の添加物を加えることもできる。
【0093】
経口投与のための内服用液剤は、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤・乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる希釈剤(精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
【0094】
非経口投与のための外用剤の剤形には、例えば、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、湿布剤、貼付剤、リニメント剤、噴霧剤、吸入剤、スプレー剤、点眼剤、および点鼻剤等が含まれる。これらはひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、公知の方法または通常使用されている処方により製造、調製される。
【0095】
軟膏剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に研和、または溶融させて製造、調製される。軟膏基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、
高級脂肪酸または高級脂肪酸エステル(アジピン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル等)、ロウ類(ミツロウ、鯨ロウ、セレシン等)、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等)、高級アルコール(セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等)、シリコン油(ジメチルポリシロキサン等)、炭化水素類(親水ワセリン、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン等)、グリコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マクロゴール等)、植物油(ヒマシ油、オリーブ油、ごま油、テレピン油等)、動物油(ミンク油、卵黄油、スクワラン、スクワレン等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保湿剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0096】
ゲル剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させて製造、調製される。ゲル基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、低級アルコール(エタノール、イソプロピルアルコール等)、ゲル化剤(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース等)、中和剤(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等)、界面活性剤(モノステアリン酸ポリエチレングリコール等)、ガム類、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0097】
クリーム剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融または乳化させて製造、調製される。クリーム基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸エステル、低級アルコール、炭化水素類、多価アルコール(プロピレングリコール、、1,3−ブチレングリコール等)、高級アルコール(2−ヘキシルデカノール、セタノール等)、乳化剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、脂肪酸エステル類等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0098】
湿布剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、練合物とし支持体上に展延塗布して製造される。湿布基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、増粘剤(ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、デンプン、ゼラチン、メチルセルロース等)、湿潤剤(尿素、グリセリン、プロピレングリコール等)、充填剤(カオリン、酸化亜鉛、タルク、カルシウム、マグネシウム等)、水、溶解補助剤、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0099】
貼付剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、支持体上に展延塗布して製造される。貼付剤用基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高分子基剤、油脂、高級脂肪酸、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0100】
リニメント剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物を水、アルコール(エタノール、ポリエチレングリコール等)、高級脂肪酸、グリセリン、セッケン、乳化剤、懸濁化剤等から選ばれるもの単独または2種以上に溶解、懸濁または乳化させて製造、調製される。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0101】
噴霧剤、吸入剤、およびスプレー剤は、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えば米国特許第 2,868,691 号および同第3,095,355 号に詳しく記載されている。また、エアゾル剤としても構わない。
【0102】
非経口投与のための注射剤としては、溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、ひとつまたはそれ以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤として、例えば注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造、調製される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
【0103】
非経口投与のためその他の組成物としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される直腸内投与のための坐剤および腟内投与のためのペッサリー等が含まれる。
【0104】
【実施例】
本発明化合物が、月経困難症治療に有効であることは、以下の実験により確認された。
実施例1:非妊娠ラットにおけるPGF2α、PGE、バソプレシン、オキシトシン、メタコリン誘発の子宮収縮に対する本発明に用いられる化合物の抑制作用
(薬理実験)
実験日前日にエストラジオール(500μg/kg)を皮下投与することにより性周期を同期化した非妊娠雌性ラットを用いた。子宮角に切開を加え、生理食塩液を満たしたオープンエンドカテーテルを挿入した。子宮内圧は圧トランスデューサー、歪み圧アンプを介して記録した。子宮内圧が安定した後、誘発剤(PGF2α:100μg/kg、PGE:100μg/kg、バソプレシン:10U/kg、オキシトシン:100mU/kgまたはメタコリン:50μg/kg)を静脈内投与し子宮内圧を上昇させた。誘発剤による子宮内圧上昇を再度確認した後に、被験物質、すなわち、(5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−ジヒドロキシ−9−クロロ−20−ノルプロスタ−5,13−ジエン酸・リジン塩(化合物A)を1,3または10μg/kg/minの用量で静脈内持続注入した。被験物質の持続注入開始30分以後に誘発剤を投与した。被験物質による抑制作用は、誘発剤投与により上昇した子宮内圧曲線下面積(PGF2αとPGEについては投与後5分間、バソプレシンについては投与後2分間、オキシトシンについては投与後10分間、メタコリン投与後1分間の曲線下面積)を求め,被験物質投与前に対する抑制率で評価した。
【0105】
(結果)
非妊娠ラットにおけるPGF2α、PGE、バソプレシン、オキシトシン、メタコリン誘発の子宮収縮に対する化合物Aの抑制率を以下の表に示す。
【0106】
【表1】

【0107】
(考察)
本発明に用いられる化合物(化合物A)は、非妊娠動物において、用量依存的にPGF2α誘発子宮収縮を抑制した。また、本発明に用いられる化合物は、PGF2α以外にもPGE、バソプレシン、オキシトシンまたはメタコリン誘発の子宮収縮を抑制した。これより、本発明に用いられる化合物は子宮筋収縮に起因する月経困難症に有効であり、プロスタグランジン産生を抑制するNSAIDやバソプレシン、オキシトシンなどの拮抗剤よりも高い効果が期待できる可能性が示唆された。
【0108】
製剤例1
以下の各成分を常法により混合したのち、溶液を常法により滅菌し、1mlづつバイアルに充填し、常法により凍結乾燥し、1バイアル中0.2mgの活性成分を含有する注射剤100本を得た。
・(5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−ジヒドロキシ−9−クロロ−20−ノルプロスタ−5,13−ジエン酸・リジン塩 27.3mg
・マンニット 5g
・蒸留水 100ml
製剤例2
以下の各成分を常法により混合したのち、打錠して、1錠中に0.2mgの活性成分を含有する錠剤100錠を得た。
・(5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−ジヒドロキシ−9−クロロ−20−ノルプロスタ−5,13−ジエン酸・リジン塩 27.3mg
・カルボキシメチルセルロース カルシウム 200mg
・ステアリン酸マグネシウム 100mg
・微結晶セルロース 9.2g

【特許請求の範囲】
【請求項1】
EP2アゴニストを有効成分とする月経困難症治療剤。
【請求項2】
式(I−a)
【化1】

(式中、Rは、エチル基または、n−2−プロペニル基を表わす。)
で示されるプロスタグランジン誘導体、そのエステル、その非毒性塩、またはそれらのシクロデキストリン包接化合物から選ばれる一種またはそれ以上の化合物を有効成分とする請求項1記載の月経困難症治療剤。
【請求項3】
有効成分が、(5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−ジヒドロキシ−9−クロロ−20−ノルプロスタ−5,13−ジエン酸、そのリジン塩または、そのα−シクロデキストリン包接化合物である請求項1記載の治療剤。
【請求項4】
有効成分が、(5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−ジヒドロキシ−9−クロロプロスタ−5,13,19−トリエン酸、そのリジン塩または、そのα−シクロデキストリン包接化合物である請求項1記載の治療剤。

【公開番号】特開2006−21998(P2006−21998A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−210290(P2002−210290)
【出願日】平成14年7月18日(2002.7.18)
【出願人】(000185983)小野薬品工業株式会社 (180)
【Fターム(参考)】