説明

EP2作動薬

本発明は、EP2作動薬、その調製方法、この化合物を含有する医薬組成物、ならびにこの化合物および組成物を使用して、眼内圧を低下させ、それによって緑内障を治療する方法を提供する。
【図1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年7月28日出願の米国仮特許出願第60/833907号および2007年6月4日出願の米国仮特許出願第60/941923号の利益を主張するものであり、これら出願の内容はその全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、EP2作動薬のエステル、その調製方法、この化合物を含有する医薬組成物、ならびにこの化合物および組成物を使用して、眼内圧を低下させ、それによって緑内障を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
緑内障は、視神経損傷、最終的には視力の完全な喪失をもたらす進行性の疾患である。この疾患の原因は、長年にわたり大規模な調査の主題となってきたが、未だ十分にわかっていない。この疾患の主症状および/またはリスクファクターは、眼の前房中の過剰な房水による眼内圧の上昇または高眼圧症である。前房での房水蓄積の原因は、十分にわかっていない。眼内圧の上昇は、β遮断薬や炭酸脱水酵素阻害薬などの、眼内での房水の産生を低減する薬物、または縮瞳薬や交感神経模倣薬などの、眼からの房水の流出を増大させる薬物の投与によって、少なくともある程度コントロールできることが知られている。新規なプロスタグランジンFα類似体であるラタノプロストは、房水の流出を増大させて眼内圧を低下させる選択的プロスタノイドFP受容体作動薬である。
【0004】
EP受容体活性化と眼内圧低下効果との関係はよく知られている。現在、EP受容体の4つのサブタイプ:EP1、EP2、EP3、およびEP4が認められている(J.Lipid Mediators Cell Signaling、第14巻、83〜87頁(1996年))。眼内圧は、PGE2やその合成類似体のいくつかなどの、EP2受容体を活性化することのできるリガンドによって低下させることができる(Journal of Ocular Pharmacology、第4巻、第1号、13〜18頁(1988年);Journal of Ocular Pharmacology and Therapeutics、第11巻、第3号、447〜454頁(1995年))。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
US4599353、US5296504、WO1998/028264、US6288120、US6492412、US6649657、JP2000053566、EP1000619、US6344485、EP1205189、US2002/0115695、US2002/0161026、US2004/0176423、WO2003/045371、US2003/0166631、WO1999/019300、US6498172、JP20011163779、EP1108426、US2005/203086、およびWO2004/078169を含めた数多くの刊行物が、骨障害および/または緑内障を治療するためのプロスタグランジン作動薬の使用を提案しており、それぞれの開示の全体を、すべての目的で参照により本明細書に援用する。しかし、本技術分野では、緑内障治療のための代替療法がなおも求められ続けている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、EP2作動薬のエステル、その医薬組成物、ならびに(男性および/または女性のヒトを含めた)哺乳動物において眼内圧を低下させる方法であって、哺乳動物に、治療有効量の以下の群から選択される化合物
【0007】
【化1−1】

【0008】
【化1−2】

【0009】
【化1−3】

または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物[式中、
は、(C〜C12)アルキル、(C〜C12)アルケニル、(C〜C12)アルキニル、(CR−X−(C〜C12)−アルキル、(CR−X−シクロ(C〜C12)アルキル、(CR−X−シクロ(C〜C12)アルケニル、(CR−X−(C〜C12)アリール、または(CR−X−(3〜10)員ヘテロシクリルであり、ただし、Rはt−ブチルでなく、Rは、1〜3個のR基で置換されていてもよく、
Xは、結合、O、−S−、または−NRであり、
、R、およびRは、それぞれ独立に、Hまたは(C〜C)アルキルであり、
各Rは、独立に、−CN、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−NO、−CF、−CHF、−CHF、−OCF、−N、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、−(C=O)R、−(C=O)OR、−O(C=O)R、−O(C=O)NR、−NR(C=O)R、−(C=O)NR、−NR、−NROR、−S(O)NR、−S(O)(C〜C)アルキル、−OS(O)、−NRS(O)、−(CR1011(C〜C12アリール)、−(CR1011(3〜10)員ヘテロシクリル、−(CR1011(C=O)(CR1011(C〜C12)アリール、−(CR1011(C=O)−(CR1011−(3〜10)員ヘテロシクリル、−(CR1011O(CR1011(C〜C12)アリール、−(CR1011O−(CR1011(3〜10)員ヘテロシクリル、−(CR1011S(O)(CR1011(C〜C12)アリール、または−(CR1011S(O)(CR1011(3〜10)員ヘテロシクリルであり、
前述のR基の(C〜C)アルキル、(C〜C12)アリール、および(3〜10)員ヘテロシクリルはいずれも、−CN、−F、−Cl、−Br、−I、−NO、−CF、−CHF、−CHF、−OCF、−N、−OR12、−(C=O)R12、−(C=O)OR13、−O(C=O)R13、−NR13(C=O)R14、−(C=O)NR1516、−NR1718、−NR14OR15、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、−(CR1617(C〜C12)アリール、および−(CR1617(3〜10)員ヘテロシクリルからそれぞれ独立に選択される1〜3個の置換基でそれぞれ独立に置換されていてもよく、
、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、およびR18は、それぞれ独立に、H、(C〜C)アルキル、−(C=O)N(C〜C)アルキル、−(CR1920(C〜C12)アリール、または−(CR1920(3〜10)員ヘテロシクリルであり、
前述のR、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、およびR18基の(C〜C)アルキル、(C〜C12)アリール、および(3〜10)員ヘテロシクリルはいずれも、−CN、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−NO、−NR2122、−CF、−CHF、−CHF、−OCF、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、および(C〜C)アルコキシからそれぞれ独立に選択される1〜3個の置換基でそれぞれ独立に置換されていてもよく、
19、R20、R21、およびR22は、それぞれ独立に、Hまたは(C〜C)アルキルであり、
、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、およびR18基それぞれの(3〜10)員ヘテロシクリルの任意の1または2個の炭素原子は、オキソ(=O)で置換されていてもよく、
−F、−Cl、−Br、−I、−SO、もしくは−SO基、またはN、O、もしくはS原子に結合していない−CH(メチル)、−CH(メチレン)、または−CH(メチン)基を含む上述の置換基のいずれも、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、−NH、−NH(C〜C)アルキル、または−N((C〜C)アルキル)でそれぞれ独立に置換されていてもよく、
jは、0、1、または2であり、
b、k、q、u、およびvは、それぞれ独立に、0、1、2、3、4、5、または6である]を投与することを含む方法に関する。
【0010】
別の態様では、本発明は、Rが(C〜C12)アルキルである化合物に関する。
【0011】
別の態様では、本発明は、Rが(C〜C)アルキルである化合物に関する。
【0012】
別の態様では、本発明は、Rが−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH、−CHCHCHCH、−CH(CH)CHCH、または−CHCH(CH)CHである化合物に関する。
【0013】
別の態様では、本発明は、Rが−CHCHOCH、−CHCHOCHCHOCH、−CH(CH)CHOH、または−CH(CH)CHOCHである化合物に関する。
【0014】
別の態様では、本発明は、Rが−CH(CHである化合物に関する。
【0015】
別の態様では、本発明は、以下の化合物
【0016】
【化2】

または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物に関する。
【0017】
別の態様では、本発明は、本発明の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物と、薬学的に許容できる賦形剤とを含有する医薬組成物に関する。
【0018】
別の態様では、本発明は、哺乳動物において眼内圧を低下させる方法であって、前記哺乳動物に、治療有効量の本発明の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を投与することを含む方法に関する。
【0019】
別の態様では、本発明は、ヒトにおいて眼内圧を低下させる、哺乳動物において眼内圧を低下させる方法に関する。
【0020】
別の態様では、本発明は、緑内障治療の際に眼内圧を低下させる、哺乳動物において眼内圧を低下させる方法に関する。
【0021】
別の態様では、本発明は、約0.00001mg/日〜約10mg/日の本発明の化合物を投与する、哺乳動物において眼内圧を低下させる方法に関する。
【0022】
別の態様では、本発明は、約0.005mg/日の本発明の化合物を投与する、哺乳動物において眼内圧を低下させる方法に関する。
【0023】
別の態様では、本発明は、本発明の化合物を局所投与する、哺乳動物において眼内圧を低下させる方法に関する。
【0024】
別の態様では、本発明は、哺乳動物に、治療有効量の次式の化合物
【0025】
【化3】

または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を投与することを含む、哺乳動物において眼内圧を低下させる方法に関する。
【0026】
別の態様では、本発明は、哺乳動物に、治療有効量の本発明の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を投与することを含む、哺乳動物において眼内圧を低下させる方法に関する。
【0027】
別の態様では、本発明は、ヒトにおいて緑内障を治療する、哺乳動物において眼内圧を低下させる方法に関する。別の態様では、本発明は、約0.00001mg/日〜約10mg/日の本発明の化合物を投与する、哺乳動物において眼内圧を低下させる方法に関する。別の態様では、本発明は、本発明の化合物を局所投与する、哺乳動物において眼内圧を低下させる方法に関する。
【0028】
別の態様では、本発明は、神経保護を促進する方法に関する。さらに別の態様では、本発明は、緑内障濾過手術後の瘢痕形成を予防する方法に関する。
【0029】
本明細書では、用語「プロドラッグ」とは、投与後に、ある種の化学的過程または生理的過程によってin vivoで薬物を放出する薬物前駆体である化合物を指す(例えば、プロドラッグは、生理的pHまたは酵素作用にさらされると所望の薬物形態に変換される)。プロドラッグ戦略は、薬物の性質を強化して、薬物の薬物動態学的性質にある固有の欠陥を克服できるようにする。プロドラッグを特定の状況で使用して、薬物の効用を強化することもできる。プロドラッグは、化学修飾により、患者に投与されると身体内で親分子を再生するまったく新しい化学物質を導くという点で、製剤とは異なる。親薬物を再生する条件をモジュレートする際の選択肢となるプロドラッグ戦略は、無数に存在する。プロドラッグ戦略についての総説または論述はいくつか発表されており、非網羅的なリストを以下に示すが、これらはそれぞれその全体が参照により本明細書に援用される。「Prodrug Research:Futile Or Fertile?」、Biochemical Pharmacology第68巻(11)2097〜2106頁、2004年、B.Testa;「Prodrugs As Therapeutics」、Expert Opinion On Therapeutic Patents、第14巻(3)277〜280頁、2004年、V.J.Stella;「Lessons Learned From Marketed And Investigational Prodrugs」、J.Med.Chem.第47巻(10)、2393〜2404頁、2004年、P.Ettmayer、G.L.Amidon、B.Clement、およびB.Testa;「Prodrugs of Biologically Active Phosphate Esters」、Bioorganic And Medicinal Chemistry第11巻(6)、885〜98頁、2003年、C.Schultz;「Design Of Ester Prodrugs To Enhance Oral Absorption of Poorly Permeable Compounds:Challenges To The Discovery Scientist」、Current Drug Metabolism第4巻(6)461〜85頁、2003年、K.Beaumont、R.Webster、I.Gardner、およびK.Dack;「Design Of Selectively Activated Anticancer Prodrugs:Elimination and Cyclization Strategies」、Current Medicinal Chemistry−Anti−Cancer Agents、第2巻(2)155〜85頁、2002年、S.Papot、I.Tranoy、F.Tillequin、J.C.Florent、およびJ.P.Gesson、UMR6514、Faculte des Sciences、40 avenue du recteur Pineau、86022 Poitiers、France;「Current Prodrug Strategies Via Membrane Transporters/Receptors」、Expert Opinion on Biological Therapy第2巻(6)607〜20頁、2002年、B.S.Anand、S.Dey、およびA.K.Mitra、Division of Pharmaceutical Sciences、School of Pharmacy、University of Missouri−Kansas City、5005 Rockhill Road、Kansas City、Missouri 64110−2499、USA;「Prodrugs And Hydrolysis Of Esters」、Pharmacia第48巻(1〜4)45〜57頁、2001年、B.Tsvetkova、P.Peikov、およびJ.Tencheva;「Beta−Lactamase−Dependent Prodrugs−Recent Developments」、Tetrahedron第56巻(31)5699〜5707頁、2000年、T.P.Smyth、M.E.O’Donnell、M.J.O’Connor、およびJ.O.St Ledger;「Design Of Intramolecularly Activated Prodrugs」、Drug Metabolism Reviews第30巻(4)787〜807頁、1998年、B.TestaおよびJ.M.Mayer、School of Pharmacy、University of Lausanne、Switzerland;ならびに「Hydrolysis in Drug and Prodrug Metabolism,Chemistry,Biochemistry,and Enzymology」、Richard Testa、Joachim Mayer、2003年、Wiley−VCH publisher、ISBN3−906390−25−X。
【0030】
プロドラッグデザインの主な目標は、活性のあるカルボン酸の薬物動態学的な挙動を改良することである。カルボン酸基は、生理的pH範囲でイオン化するので、この部分を含んでいる化合物の親油性を有意に低下させる一因となる。結果として、薬理活性のある非常に多くのカルボン酸は、極性の強い他の部分を含んでいる化合物で特に懸念される問題である、生体利用度の低さなどの好ましくない薬物動態学的性質を示す。
【0031】
本発明の化合物は、プロドラッグとして投与することができる。それ自体は薬理活性をほとんどまたはまったくもたなくてもよい本発明の化合物の特定の誘導体は、身体中または身体上に投与されたとき、例えば加水分解による切断によって、所望の活性を有する化合物に変換され得る。このような誘導体を「プロドラッグ」と呼ぶ。プロドラッグの使用についてのこれ以上の情報は、「Pro−drugs as Novel Delivery Systems」、第14巻、ACS Symposium Series(T HiguchiおよびW Stella)、および「Bioreversible Carriers in Drug Design」、Pergamon Press、1987年(E B Roche、米国薬剤師会編)で見ることができる。
【0032】
プロドラッグは、例えば、本発明の化合物中に存在する適切な官能基を、例えばH Bundgaardによる「Design of Prodrugs」(Elsevier、1985年)に記載されているように、当業者に「プロ部分」として知られている特定の部分で置換して生成することができる。そのようなプロドラッグの一部の例としては、本発明の化合物がカルボン酸官能基(−COOH)を含んでいる場合、そのエステル、例えば、(C〜C20)アルキル、(C〜C12)アルキル、(C〜C)アルキル、または(C〜C)アルキルでの水素の置換が挙げられる。前述の例に従う置換基の別の例および他のプロドラッグタイプの例は、上述の参考文献で見ることができる。
【0033】
典型的なプロドラッグは、切断されて対応する遊離酸を放つものであり、そのような加水分解可能なエステル化合物には、カルボキシルの遊離水素が、(C〜C20)アルキル、(C〜C12)アルキル、(C〜C)アルカノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子を有する1−(アルカノイルオキシ)エチル、5〜10個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルカノイルオキシ)エチル、3〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4〜7個の炭素原子を有する1−(アルコキシカルボニル−オキシ)エチル、5〜8個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3〜9個の炭素原子を有するN−(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4〜10個の炭素原子を有する1−(N−(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3−フタリジル、4−クロトノラクトニル、γ−ブチロラクトン4−イル、ジ−N,N−(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキル(b−ジメチルアミノエチルなど)、カルバモイル−(C〜C)アルキル、N,N−ジ(C〜C)アルキルカルバモイル−(C〜C)アルキル、ならびにピペリジノ、ピロリジノ、またはモルホリノ(C〜C)アルキルで置換されている置換基が含まれるがこの限りでない。
【0034】
加水分解可能なエステル形成残基は、切断されると対応するカルボン酸を放つ。そのようなプロドラッグには、カルボン酸のヒドロキシル水素が、アルキル、アルケニル、またはアルキニル基によって置換されている置換基を有するものが含まれるがこの限りでない。これらの基は、直鎖でも分枝鎖でもよく、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびシクロアルキニル部分などの、環状構造を形成するものでもよく、ノルボルニル基やアダマンチル基などの架橋構造もこれらに含まれる。典型的なアルキル基には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルなどが含まれるがこの限りでない。より複雑なアルキル基としては、リモネニル、ペリリル、ボルニル、およびメンチルエステルなどの、より親油性のテルペノイド誘導体が挙げられる。
【0035】
他のプロドラッグカルボン酸エステル置換基は、その限りでないが、アルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルコキシアルキニル、アルコキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルケニル、アルコキシシクロアルキニル、アルコキシアルキルシクロアルキル、アルコキシアルキルシクロアルケニル、アルコキシアルキルシクロアルキニル、アルコキシアルケニルシクロアルキル、アルコキシアルケニルシクロアルケニル、アルコキシアルケニルシクロアルキニル、アルコキシアルキニル−シクロアルキル、アルコキシアルキニルシクロアルケニル、およびアルコキシアルキニルシクロアルキニル基を含めて、アルコキシ誘導体を含む。
【0036】
他のプロドラッグカルボン酸エステル置換基は、その限りでないが、フェニル、ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオレニル、およびアントラセニル基を含めて、アリール誘導体を含む。アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルコキシアリール、アルコキシアルキルアリール、アルコキシアルケニルアリール、およびアルコキシアルキニルアリール基も含まれる。
【0037】
他のプロドラッグカルボン酸エステル置換基は、その限りでないが、フリル、チオフェニル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、ジオキソラニル、オキサゾリル、チアゾリル、インダゾリル、イミダゾリニル、イニダゾリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピラニル、ピリジニル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペラジニル、トリアジニル、トリチアニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフトリジニル、プテリジニル、キヌクリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、インデニル、ナフタレニル、アズレニル、フルオレニル、アントラセニル、ノルボルナニル、およびアダマンタニル基を含めて、複素環誘導体を含む。アルキル複素環基、アルケニル複素環基、アルキニル複素環基、アルコキシ複素環基、アルコキシアルキル−複素環基、アルコキシアルケニル複素環基、およびアルコキシアルキニル複素環基も含まれる。これらの基に対応する部分的に飽和した部分および完全に飽和した部分、例えば、アルキルテトラヒドロフラン基およびアルキルテトラヒドロピラン基も含まれる。
【0038】
他のプロドラッグカルボン酸エステル置換基は、その限りでないが、RおよびRが、H、アルキル、アルキルアミノ、アルコキシアルキル、アセトアミジル、アルキル炭酸アルキルエステルでそれぞれ独立に置換されている基、またはモルホリニル基やピペリジニル基などの、RおよびRが、4員、5員、もしくは6員の環状もしくは複素環構造を形成する基を含めて、カルバモイルメチルエステル、すなわち−CHCO−NRR基を含む。
【0039】
他のプロドラッグカルボン酸エステル置換基は、アミノアルキル基、ならびにその限りでないが、アルキルピロリル、アルキルピロリニル、アルキルピロリジニル、アルキルオキサゾリル、アルキルチアゾリル、アルキルイミダゾリル、アルキルイミダゾリニル、アルキルイミダゾリニニル、アルキルピラゾリル、アルキルピラゾリニル、アルキルピラゾリニニル、アルキルイソオキサゾリル、アルキルイソチアゾリル、アルキルオキサジアゾリル、アルキルトリアゾリル、アルキルチアジアゾリル、アルキルピリジニル、アルキルピペリジニル、アルキルモルホリニル、アルキルチオモルホリニル、アルキルピリダジニル、アルキルピリミジニル、アルキルピラジニル、アルキルピペラジニル、アルキルトリアジニル、アルキルインドリジニル、アルキルインドリル、アルキルイソインドリル、アルキルインドリル、アルキルインドリニル、アルキルインダゾリル、アルキルベンゾイミダゾリル、アルキルベンズチアゾリル、アルキルプリニル、アルキルキノリジニル、アルキルキノリニル、アルキルイソキノリニル、アルキルシンノリニル、アルキルフタラジニル、アルキルキナゾリニル、アルキルキノキサリニル、アルキルナフチリジニル、アルキルプテリジニル、アルキルキヌクリニニル、アルキルカルバゾリル、アルキルアクリジニル、アルキルフェナジニル、アルキルフェノチアジニル、およびアルキルフェノキサジニル基を含めて、1個または複数のN原子を含んでいるアルキル複素環基を含む。
【0040】
さらに他のプロドラッグカルボン酸エステル置換基は、トリグリセリド、グリコール酸エステル、(アシルオキシ)アルキルエステル、[(アルコキシカルボニル)オキシ]メチルエステル、アミドメチルエステル、アルキルアミノエステル、オキソジオキソリル)メチルエステル、およびN,N−ジアルキルヒドロキシルアミノエステルを含む。
【0041】
シクロオキシゲナーゼの誘導型アイソフォームであるCOX−2の活性化は、急性および慢性の神経疾患モデルにおいて神経毒性である(Dore S、Otsuka T、Mitro Tら、「Neuronal overexpression of cyclooxygenase−2 increases cerebral infarction」、Ann Neurol.2003年、第54巻:155〜162頁)。COX−2が神経変性を促進する正確な機序は不明であるが、シクロオキシゲナーゼは、アラキドン酸のPGH2への変換を触媒するので、プロスタグランジンの下流の調節および/または酸化ストレスが関与すると推定される。PGH2は、プロスタグランジン合成酵素によって、PGE2、PGF2α、PGD2、PGI2、およびTxA2に変換される(Liu D、Wu L、Breyer R、Mattison MP、Anddreasson K、「Neuroprotection by the PGE2 EP2 receptor in permanent focal cerebral ischemia」、Ann Neurol.2005年、第57巻:758〜761頁)。これらの中でも、PGE2は、COX−2活性化と堅く結び付けられる炎症促進性のプロスタグランジンである。PGE2は、4種のGタンパク質共役型受容体(EP1、EP2、EP3、およびEP4)に結合する。これらの中でも、EP2受容体の活性化は、興奮毒性運動ニューロン変性(Bilak M、Wu I、Wang Qら、「PGE2 receptors rescue motor neurons in a model of amyotrophic lateral sclerosis」、Ann Neurol.2004年、第56巻:240〜248頁)、NMDA毒性および酸素グルコース欠乏(McCullough L、Wu L、Haughey Nら、「Neuroprotective function of the PGE2 EP2 receptor in cerebral ischemia」、J Neuroscience.2004年、第24巻:257〜268頁)、アミロイドβ神経毒性(Yagami T、Nakazato H、Ueda Kら、「Prostaglandin E2 rescues cortical neurons from amyloid beta protein−induced apoptosis」、Brain Res.2003年、第959巻:328〜335頁)、および炎症性神経毒性(Lee EO、Shin YJ、Chong YH、「Mechanisms involved in prostaglandin E2−mediated neuroprotection against TNF−α:possible involvement of multiple signal transduction and beta−cetenin/T−Cell factor」、J Neuroimmunol.2004年、第155巻:21〜31頁)において神経保護を促進することがわかっている。
【0042】
AH−13205(EP2作動薬)の眼への局所的な投薬を1年間にわたり毎日受けた若いカニクイザルを使用する調査では、処置した眼だけでなく反対側の眼でも、毛様体筋中の神経束の数が倍になったことが明らかになった。神経束および神経発芽の増加は、毛様体筋の縦に伸びた部分および網状部分に限定され、おそらくは筋間の間隙の拡張および/または神経栄養性成長因子の刺激作用のためであると考えることができた(Richter M、Krauss AH、Woodward DF、Lutjen−Drecoll E、「Morphological changes in the anterior eye segment after long−term treatment with different receptor selective prostaglandin agonists and a prostamide」、Invest Ophthalmol Vis Sci.2003年、第44巻(10):4419〜26頁)。新生子ブタにおいて、PG合成酵素阻害剤および/またはEP2作動薬であるブタプロストの存在下、短時間の低酸素状態にさらすと、PG合成酵素阻害剤のみによって低下した電気生理学的な変化(VEPおよびERG)が回復し、EP2受容体の作動活性が、神経機能を保存し得ることが示唆された(Najarian T、Hardy P、Hou X、Lachapelle J、Doke A、Gobeil F Jr、Roy MS、Lachapelle P、Varma DR、Chemtob S、「Preservation of neural function in the perinate by high PGE(2) levels acting via EP(2) receptors」、J Appl Physiol.2000年8月、第89巻(2):777〜84頁)。PGE2は、PGによって誘発される神経保護の指標でもある、ネズミ星状細胞培養物からの脳由来神経栄養因子(BDNF)および神経成長因子(NGF)の合成および分泌を刺激することがわかっている(Toyomoto M、Ohta M、Okumura K、Yano H、Matsumoto K、Inoue S、Hayashi K、Ikeda K、「Prostaglandins are powerful inducers of NGF and BDNF production in mouse astrocyte cultures」、FEBS Lett.2004年、第562巻(1〜3):211〜5頁)。
【0043】
EP2受容体は、ヒト網膜の網状層および神経線維層、ならびに角膜、結膜、強膜、および水晶体で同定されており(Schlotzer−Schrehardt U、Zenkel M、Nusing RM、「Expression and localization of FP and EP prostanoid receptor subtypes in human ocular tissues」、Inves Ophthalmol Vis Sci.2002年、第43巻:1475〜1487頁)、EP2受容体作動薬が、網膜の神経変性疾患(例えば、緑内障、DME、およびAMD)と、角膜の基底下神経叢に影響を及ぼす疾患の両方に対して神経保護性となり得ることが示唆される。
【0044】
ドライアイ治療におけるEP2作動薬の潜在的役割との一致は、この疾患が、実際には、基底下の求心性神経および/または副交感神経による伝達の喪失を特徴とする神経栄養性の角膜症である可能性があることを示唆する証拠である(Benitez del Castillo JM、Wasfy MAS、Fernandez C、Garcia−Sanchez J、「An in vivo confocal masked study on corneal epithelium and subbasal nerves in patients with dry eye」、Inves Ophthalmol Vis Sci.2004年、第45巻:3030〜3035頁)。このドライアイの概念は、眼表面(角膜、結膜、副涙腺、およびマイボーム腺)、主涙腺、および反射性神経支配によって単一の機能単位が形成されることを強調するものである。この説によれば、主涙腺に対する神経刺激が変更されると、炎症およびリンパ球浸潤がもたらされる(Stern ME、Beuerman RWら、「A unified theory of the role of the ocular surface in dry eye.Lacrimal Gland,Tear Film,and Dry Eye Syndromes 2」、Sullivanら編、Plenum Press、ニューヨーク、1998年)。炎症およびリンパ球浸潤によって、その後サイトカインが分泌され、これによって副交感神経による主涙腺、副腺、および結膜杯細胞への伝達がさらに損なわれる場合がある(Stern ME、Beuerman RWら、「A unified theory of the role of the ocular surface in dry eye.Lacrimal Gland,Tear Film,and Dry Eye Syndromes 2」、Sullivanら編、Plenum Press、ニューヨーク、1998年)。12したがって、EP2作動薬は、非シェーグレン関連ドライアイ(すなわち乾性角結膜炎)またはシェーグレン関連ドライアイに罹患している患者において、基底下の求心性神経および/または副交感神経によるシグナル伝達を保護することができるため、ドライアイの新規な治療選択肢となり得る。
【0045】
緑内障、神経保護、およびIOP低下におけるEP2受容体作動薬の二重の作用機序と一致して、Choungおよび同僚ら(1998)は、プロスタグランジンE2(PGE2)が、インターロイキン1β(IL−1β)およびトランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)リシルオキシダーゼ(LO)のmRNAレベルを消失させることを実証している(Choung J、Taylor L、Thomas K、Zhou X、Kagan H、Yang X、Polgar P)。
【0046】
さらに、EP2受容体作動薬は、緑内障濾過手術後の長期の治療成果を向上させる機会を有し得る。瘢痕形成は、緑内障濾過手術が失敗する主な原因である。線維性の応答を制限することは、瘢痕形成および組織線維症を制限するのに重要である。細胞外の結合組織マトリックスにコラーゲンが沈着するには、リシルオキシダーゼ(LO)の存在が必要である。Choung Jら、「Role of EP2 receptors and cAMP in prostaglandin E2 regulated expression of type I collagen alpha1,lysyl oxidase,and cyclooxygenase−1 genes in human embryo lung fibroblasts」、J Cell Biochem.1998年、第71巻:254〜63頁。E2(PGE2)は、LO mRNAの発現レベルを抑制する。
【0047】
「Role of EP2 receptors and cAMP in prostaglandin E2 regulated expression of type I collagen alpha1,lysyl oxidase,and cyclooxygenase−1 genes in human embryo lung fibroblasts」、J Cell Biochem.1998年、第71巻:254〜63頁)。TGFβは、いくつかの細胞外基質遺伝子(例えば、バーシカン、エラスチン、コラーゲン、フィブリリン、ラミニン、およびフィブリン)を上向き調節し、おそらくは小柱状の網目構造において流出抵抗を増大させる。緑内障の眼ではTGFβレベルが上昇する(Fleenor DL、Shepard AR、Hellberg PE、Jacobson N、Pang I、Clark AF、「TGFb2−induced changes in human trabecular meshwork:implications for intraocular pressure」、Inves Ophthalmol Vis Sci.2006年、第47巻:226〜234頁)。したがって、EP2受容体作動薬によってTGFβmRNAレベルを消失させると、緑内障の眼において本来の(traditional)流出量を増大させ、その後IOPを低下させることができる。
【0048】
本明細書では、用語「含む(comprising)」および「包含する(including)」は、そのオープンな非限定的意味で使用する。
【0049】
本明細書では、用語「置換された」とは、指定の基または部分が1個または複数の置換基を有することを意味する。用語「無置換」とは、指定の基が置換基をもたないことを意味する。
【0050】
本明細書では、用語「置換されていてもよい」とは、指定の基が無置換であるか、または1個または複数の置換基で置換されていることを意味する。
【0051】
本明細書では、用語「治療する」、「治療すること」、または「治療」は、予防的(preventative)(例えば予防的(prophylactic))治療および姑息的治療を包含する。
【0052】
本明細書では、用語「薬学的に許容できる」とは、担体、希釈剤、賦形剤、および/または塩が、製剤の他の成分と適合性があり、そのレシピエントに有害でないものでなければならないことを意味する。
【0053】
本明細書では、用語「アルキル」は、直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素を意味する。典型的なアルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチルなどが含まれるがこの限りでない。
【0054】
本明細書では、用語「アルケニル」とは、少なくとも1個の二重結合、すなわちC=Cを有する直鎖または分枝鎖の炭化水素を意味する。典型的なアルケニル基には、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニルなどが含まれるがこの限りでない。
【0055】
本明細書では、用語「アルキニル」とは、少なくとも1個の三重結合、すなわちC≡Cを有する直鎖または分枝鎖の炭化水素を意味する。典型的なアルキニル基には、アセチレニル、プロパルギル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニルなどが含まれるがこの限りでない。
【0056】
本明細書では、用語「シクロアルキル」とは、環状の飽和炭化水素を意味する。典型的なシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが含まれるがこの限りでない。
【0057】
本明細書では、用語「シクロアルケニル」とは、少なくとも1個の二重結合、すなわちC=Cを有する環状炭化水素を意味する。典型的なシクロアルケニル基には、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルなどが含まれるがこの限りでない。
【0058】
本明細書では、用語「シクロアルキニル」とは、少なくとも1個の三重結合、すなわちC≡Cを有する環状炭化水素を意味する。典型的なシクロアルキニル基には、シクロヘキシニル、シクロヘプチニル、シクロオクチニルなどが含まれるがこの限りでない。
【0059】
本明細書では、用語「アルコキシ」とは、酸素を介して結合した、直鎖または分枝鎖の飽和アルキル基を意味する。典型的なアルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、t−ペントキシ、ヘキソキシ、イソヘキソキシ、ヘプトキシ、オクトキシなどが含まれるがこの限りでない。
【0060】
本明細書では、用語「アルキレン」とは、末端の炭素それぞれから水素原子が除去された、直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素を意味する。典型的なアルキレン基には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレンなどが含まれるがこの限りでない。
【0061】
本明細書では、用語「ハロ」または「ハロゲン」は、クロロ、ブロモ、ヨード、またはフルオロを意味する。
【0062】
本明細書では、用語「アリール」とは、芳香族炭化水素から水素の除去によって誘導される有機の基を意味する。典型的なアリール基には、フェニル、ナフチルなどが含まれるがこの限りでない。
【0063】
本明細書では、用語「複素環」とは、各基がその環系中に3〜10個の原子を有し、O、S、およびNからそれぞれ独立に選択される1個〜4個のヘテロ原子を含んでいる、芳香族または非芳香族の環式基を意味する。非芳香族の複素環基には、その環系中に3個しか原子をもたない基が含まれるのに対し、芳香族の複素環基は、その環系中に少なくとも5個の原子を有する。複素環基には、ベンゾ縮合環などの縮合環系が含まれる。典型的な3員複素環基はアジリジンであり、4員複素環基はアゼチジニル(アゼチジンから誘導される)であり、5員複素環基はチアゾリルであり、7員複素環基はアゼピニルであり、10員複素環基はキノリニルである。非芳香族複素環基の例には、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3H−インドリル、およびキノリジニルが含まれるがこの限りでない。芳香族複素環(ヘテロアリール)基の例には、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、およびフロピリジニルが含まれるがこの限りでない。前述の基は、そのような可能性がある場合、C結合型でもN結合型でもよい。例えば、ピロールから誘導される基は、ピロール−1−イル(N結合型)でもピロール−3−イル(C結合型)でもよい。さらに、イミダゾールから誘導される基は、イミダゾール−1−イル(N結合型)でもイミダゾール−3−イル(C結合型)でもよい。複素環基では、任意の環炭素原子、硫黄原子、または窒素原子が、環あたり1〜2個の酸素(オキソ)によって置換されていてもよい。2個の環炭素原子がオキソ部分で置換されている複素環基の例は、1,1−ジオキソ−チオモルホリニルである。
【0064】
酸素、窒素、および硫黄からそれぞれ独立に選択される1または2個のヘテロ原子を有する、典型的な5〜6員複素環式芳香環には、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリジアジニル、ピリミジニル、ピラジニルなどが含まれるがこの限りでない。
【0065】
酸素、硫黄、および窒素からそれぞれ独立に選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する、部分的に飽和した、完全に飽和した、または完全に不飽和の典型的な5〜8員複素環には、3H−1,2−オキサチオリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリルなどが含まれるがこの限りでない。典型的な別の5員環は、フリル、チエニル、2H−ピロリル、3H−ピロイル、ピロリル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、ピロリジニル、1,3−ジオキソラニル、オキサゾリル、チアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、2H−イミダゾリル、2−イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリル、2−ピラゾリニル、ピラゾリニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2−ジチオリル、1,3−ジチオリル、3H−1,2−オキサチオリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3,4−オキサトリアゾリル、1,2,3,5−オキサトリアゾリル、3H−1,2,3−ジオキサゾリル、1,2,4−ジオキサゾリル、1,3,2−ジオキサゾリル、1,3,4−ジオキサゾリル、5H−1,2,5−オキサチアゾリル、および1,3−オキサチオリルである。典型的な別の6員環は、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ピリジニル、ピペリジニル、1,2−ジオキシニル、1,3−ジオキシニル、1,4−ジオキサニル、モルホリニル、1,4−ジチアニル、チオモルホリニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペラジニル、1,3,5−トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、1,2,3−トリアジニル、1,3,5−トリチアニル、4H−1,2−オキサジニル、2H−1,3−オキサジニル、6H−1,3−オキサジニル、6H−1,2−オキサジニル、1,4−オキサジニル、2H−1,2−オキサジニル、4H−1,4−オキサジニル、1,2,5−オキサチアジニル、1,4−オキサジニル、o−イソキサジニル、p−イソキサジニル、1,2,5−オキサチアジニル、1,2,6−オキサチアジニル、1,4,2−オキサジアジニル、および1,3,5,2−オキサジアジニルである。典型的な別の7員環は、アゼピニル、オキセピニル、チエピニル、および1,2,4−ジアゼピニルである。典型的な別の8員環は、シクロオクチル、シクロオクテニル、およびシクロオクタジエニルである。
【0066】
典型的な二環式の環は、それぞれ独立に考えて、窒素、硫黄、および酸素から独立に選択される1個〜4個のヘテロ原子を有していてもよい、部分的に飽和した、完全に飽和した、または完全に不飽和の、2個の縮合した5または6員環から構成されるものであり、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、1H−イソインドリル、インドリニル、シクロペンタ(b)ピリジニル、ピラノ(3,4−b)ピロリル、ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾ(b)チエニル、ベンゾ(c)チエニル、1H−インダゾリル、インドキサジニル、ベンゾオキサゾリル、アントラニリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、4Hキノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8−ナフチリジニル、プテリジニル、インデニル、イソインデニル、ナフチル、テトラリニル、デカリニル、2H−1−ベンゾピラニル、ピリド(3,4−b)−ピリジニル、ピリド(3,2−b)−ピリジニル、ピリド(4,3−b)−ピリジニル、2H−1,3−ベンゾオキサジニル、2H−1,4−ベンゾオキサジニル、1H−2,3−ベンゾオキサジニル、4H−3,1−ベンゾオキサジニル、2H−1,2−ベンゾオキサジニル、および4H−1,4−ベンゾオキサジニルである。
【0067】
炭素環式または複素環式の部分が、特定の結合点を表示することなく、異なる環原子を介して示した基質に結合または付着し得る場合、炭素原子または三価の窒素原子を介して、すべての考えられる点が企図されることを理解されたい。例えば、用語「ピリジル」は2−、3−、または4−ピリジルを意味し、用語「チエニル」は2−または3−チエニルを意味する、等々である。
【0068】
本発明の化合物の薬学的に許容できる塩には、その(二塩を含めた)酸付加塩および塩基の塩が含まれる。
【0069】
適切な酸付加塩は、非毒性の塩を形成する酸から生成するものである。例には、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、およびトリフルオロ酢酸塩が含まれる。
【0070】
適切な塩基の塩は、非毒性の塩を形成する塩基から生成するものである。例には、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、グリシン、リジン、マグネシウム、メグルミン、オールアミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、および亜鉛の塩が含まれる。適切な塩に関する総説については、StahlおよびWermuthによる「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use」(Wiley−VCH、ドイツ国Weinheim、2002年)を参照されたい。
【0071】
本発明の化合物の薬学的に許容できる塩は、本発明の化合物の溶液と所望の酸または塩基の溶液とを適宜混ぜ合わせて、容易に調製することができる。塩は、溶液から沈殿する場合もあるので、濾過によって収集してもよいし、または溶媒を蒸発させて回収してもよい。塩のイオン化の程度は、完全にイオン化した程度からほとんどイオン化していない程度まで様々でよい。
【0072】
本発明の化合物は、溶媒和していない形態および溶媒和した形態の両方で存在する場合がある。用語「溶媒和物」は、本明細書では、本発明の化合物と、1個または複数の薬学的に許容できる溶媒分子、例えば、エタノール、水などとを含む分子複合体について述べるのに使用する。用語「水和物」は、用語「溶媒和物」の意味の範囲内に含められ、溶媒が水であるときに頻繁に使用される。本発明による薬学的に許容できる溶媒和物には、結晶化の溶媒が同位体によって置換されたもの、例えばDO、d−アセトン、d−DMSOでよい溶媒和物(水和物)が含まれる。
【0073】
クラスレートや薬物−ホスト包接複合体などの複合体である本発明の化合物は、本発明の範囲内である。上述の溶媒和物とは対照的に、薬物およびホストが、化学量論量または非化学量論量で存在する。化学量論量でも非化学量論量でもよい2種以上の有機および/または無機の構成成分を含有する複合体も含まれる。得られる複合体は、イオン化していても、部分的にイオン化していても、またはイオン化していなくてもよい。そのような複合体の総説については、HaleblianによるJ Pharm Sci、第64巻(8)、1269〜1288頁(1975年8月)を参照されたい。
【0074】
本発明の化合物には、本発明のすべての化合物、光学異性体、幾何異性体、および互変異性体を含めた、以下で定義するようなその多形体および異性体、ならびに同位体標識された化合物が含まれる。
【0075】
1個または複数の不斉炭素原子を含んでいる本発明の化合物は、2種以上の立体異性体として存在する場合もある。化合物がアルケニル基またはアルケニレン基を含んでいる場合、幾何的なシス/トランス(またはZ/E)異性体が考えられる。化合物が、例えばケト基、オキシム基、または芳香族部分を含んでいる場合、互変異性体の異性(「互変異性」)が存在し得る。このため、単一化合物が1種類に留まらない異性を示す場合もある。
【0076】
本発明の化合物の立体異性体、幾何異性体、および互変異性体形態は、1種類に留まらない異性を示す化合物およびその1種または複数の混合物を含めて、すべてが本発明の範囲内に含まれる。対イオンが光学活性を有する、例えばD−乳酸もしくはL−リジンである、またはラセミ化合物である、例えばDL−酒石酸もしくはDL−アルギニンである酸付加塩または塩基の塩も含まれる。
【0077】
シス/トランス異性体は、当業者によく知られている従来の技術、例えば、クロマトグラフィーおよび分別結晶によって分離することができる。
【0078】
個々の鏡像異性体を調製/単離する従来の技術としては、光学的に純粋な適切な前駆体からのキラル合成、または例えばキラルな高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用するラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割が挙げられる。
【0079】
別法として、ラセミ体(またはラセミ前駆体)を、光学活性のある適切な化合物、例えばアルコールと、または本発明の化合物が酸または塩基の部分を含んでいる場合、酒石酸や1−フェニルエチルアミンなどの酸または塩基と反応させることもできる。得られるジアステレオ異性体混合物は、クロマトグラフィーおよび/または分別再結晶によって分離し、ジアステレオ異性体の一方または両方を、当業者によく知られている手段によって、対応する純粋な鏡像異性体に変換することができる。
【0080】
キラルな本発明の化合物(およびキラルなその前駆体)は、0〜50%、通常は2〜20%のイソプロパノール、および0〜5%のアルキルアミン、通常は0.1%のジエチルアミンを含有する、炭化水素、通常はヘプタンまたはヘキサンからなる移動相を用いる不斉樹脂でのクロマトグラフィー、通常はHPLCを使用して、鏡像異性体を豊富に含む形で得ることができる。溶出液を濃縮すると、濃縮された混合物が得られる。
【0081】
立体異性体の混合物は、当業者に知られている従来の技術によって分離することができる[例えば、E.L.Elielによる「Stereochemistry of Organic Compounds」(Wiley、ニューヨーク、1994年)を参照されたい]。
【0082】
本発明は、1個または複数の原子が、原子番号は同じであるが、原子質量または質量数が自然界で通常見られる原子質量または質量数とは異なる原子によって置換されている、薬学的に許容できるすべての同位体標識された本発明の化合物を包含する。
【0083】
本発明の化合物中に含めるのに適する同位体の例には、HやHなどの水素、11C、13C、14Cなどの炭素、36Clなどの塩素、18Fなどのフッ素、123Iや125Iなどのヨウ素、13Nや15Nなどの窒素、15O、17O、18Oなどの酸素、32Pなどのリン、および35Sなどの硫黄の同位体が含まれる。
【0084】
特定の同位体標識された本発明の化合物、例えば、放射性同位体が組み込まれているものは、薬物および/または基質の組織分布調査において有用である。放射性同位体のトリチウム、すなわちH、およびカーボン14、すなわち14Cは、組み込みやすく、検出手段が手近にあることから、この目的に特に有用である。
【0085】
ジュウテリウム、すなわちHなどのより重い同位体で置換すると、代謝安定性がより高いために生じる特定の治療上の利益、例えば、in vivo半減期の延長または投与必要量の減少がもたらされる場合もあり、したがって、ある状況において好ましいといえる。
【0086】
11C、18F、15O、13Nなどの陽電子放射同位体での置換は、陽電子放射断層撮影(PET)調査において基質受容体占有率を調べるのに有用となり得る。
【0087】
同位体標識された本発明の化合物は、一般に、当業者に知られている従来の技術によって、または添付の実施例および調製例に記載の方法と類似の方法によって、以前から用いられている標識されていない試薬の代わりに同位体標識された適切な試薬を使用して調製することができる。
【0088】
本明細書では、表現「反応不活性溶媒」および「不活性溶媒」とは、所望の生成物の収率に不利な影響を及ぼすような形で出発材料、試薬、中間体、または生成物と相互作用しない溶媒を指す。
【0089】
命名法において本明細書で使用するマイナスまたはプラスの挿入符号は、特定の立体異性体によって平面偏光が回転する方向を示す。
【0090】
当業者ならば、特定の本発明の化合物が、特定の立体化学的または幾何的配置で存在し得る1個または複数の原子を含んでいて、立体異性体および立体配置的異性体を生じさせている場合もあることがわかるであろう。そのようなすべての異性体およびその混合物が本発明に含まれる。本発明の化合物の溶媒和物(水和物)も含まれる。
【0091】
他の特色および利点は、本発明について述べる明細書および特許請求の範囲から明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0092】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のものを含む群から選択される化合物
【化1−1】

【化1−2】

【化1−3】

または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物
[式中、
は、(C〜C12)アルキル、(C〜C12)アルケニル、(C〜C12)アルキニル、(CR−X−(C〜C12)アルキル、(CR−X−シクロ(C〜C12)アルキル、(CR−X−シクロ(C〜C12)アルケニル、(CR−X−(C〜C12)アリール、または(CR−X−(3〜10)員ヘテロシクリルであり、ただし、Rはt−ブチルでなく、Rは、1〜3個のR基で置換されていてもよく、
Xは、結合、O、−S−、または−NRであり、
、R、およびRは、それぞれ独立に、Hまたは(C〜C)アルキルであり、
各Rは、独立に、−CN、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−NO、−CF、−CHF、−CHF、−OCF、−N、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、−(C=O)R、−(C=O)OR、−O(C=O)R、−O(C=O)NR、−NR(C=O)R、−(C=O)NR、−NR、−NROR、−S(O)NR、−S(O)(C〜C)アルキル、−OS(O)、−NRS(O)、−(CR1011(C〜C12アリール)、−(CR1011(3〜10)員ヘテロシクリル、−(CR1011(C=O)−(CR1011(C〜C12)アリール、−(CR1011(C=O)(CR1011(3〜10)員ヘテロシクリル、−(CR1011O(CR1011(C〜C12)アリール、−(CR1011O(CR1011(3〜10)員ヘテロシクリル、−(CR1011S(O)(CR1011(C〜C12)アリール、または−(CR1011S(O)(CR1011(3〜10)員ヘテロシクリルであり、
前述のR基の(C〜C)アルキル、(C〜C12)アリール、および(3〜10)員ヘテロシクリルはいずれも、−CN、−F、−Cl、−Br、−I、−NO、−CF、−CHF、−CHF、−OCF、−N、−OR12、−(C=O)R12、−(C=O)OR13、−O(C=O)R13、−NR13(C=O)R14、−(C=O)NR1516、−NR1718、−NR14OR15、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、−(CR1617(C〜C12)アリール、および−(CR1617(3〜10)員ヘテロシクリルからそれぞれ独立に選択される1〜3個の置換基でそれぞれ独立に置換されていてもよく、
、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、およびR18は、それぞれ独立に、H、(C〜C)アルキル、−(C=O)N(C〜C)アルキル、−(CR1920(C〜C12)アリール、または−(CR1920(3〜10)員ヘテロシクリルであり、
前述のR、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、およびR18基の(C〜C)アルキル、(C〜C12)アリール、および(3〜10)員ヘテロシクリルはいずれも、−CN、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−NO、−NR2122、−CF、−CHF、−CHF、−OCF、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、および(C〜C)アルコキシからそれぞれ独立に選択される1〜3個の置換基でそれぞれ独立に置換されていてもよく、
19、R20、R21、およびR22は、それぞれ独立に、Hまたは(C〜C)アルキルであり、
、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、およびR18基それぞれの(3〜10)員ヘテロシクリルの任意の1または2個の炭素原子は、オキソ(=O)で置換されていてもよく、
−F、−Cl、−Br、−I、−SO、もしくは−SO基、またはN、O、またはS原子に結合していない−CH(メチル)、−CH(メチレン)、または−CH(メチン)基を含む上述の置換基のいずれも、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、−NH、−NH(C〜C)アルキル、または−N((C〜C)アルキル)でそれぞれ独立に置換されていてもよく、
jは、0、1、または2であり、
b、k、q、u、およびvは、それぞれ独立に、0、1、2、3、4、5、または6である]。
【請求項2】
が(C〜C12)アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が(C〜C)アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH、−CHCHCHCH、−CH(CH)CHCH、または−CHCH(CH)CHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が−CHCHOCH、−CHCHOCHCHOCH、−CH(CH)CHOH、または−CH(CH)CHOCHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が−CH(CHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
次式
【化2】

を含む化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物と、薬学的に許容できる賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項9】
哺乳動物において眼内圧を低下させる方法であって、前記哺乳動物に、治療有効量の請求項7に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を投与することを含む方法。
【請求項10】
ヒトにおいて眼内圧を低下させる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
緑内障治療において眼内圧を低下させる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1に記載の化合物約0.00001mg/日〜約10mg/日を投与する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
請求項1の化合物約0.005mg/日を投与する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
請求項1に記載の化合物を局所投与する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
哺乳動物において眼内圧を低下させる方法であって、前記哺乳動物に、治療有効量の次式の化合物
【化3】

または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を投与することを含む方法。
【請求項16】
ヒトにおいて緑内障を治療する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1に記載の化合物約0.00001mg/日〜約10mg/日を投与する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
請求項1に記載の化合物を局所投与する、請求項15に記載の方法。

【図1】実施例1、すなわち[3−({[4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル](ピリジン−3−イル−スルホニル)アミノ}メチル)フェノキシ]酢酸イソプロピル、および比較化合物12(C12)、すなわち[3−({[4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル](ピリジン−3−イル−スルホニル)アミノ}メチル)フェノキシ]酢酸t−ブチルの粉末X線回折図である。
【発明を実施するための形態】
【0093】
本発明の化合物は、化学分野で知られている方法によって、特に本明細書に含まれる記述に照らして調製することができる。本発明の化合物を製造するための特定の方法は、本発明の別の特徴として提供し、以下の反応スキームおよび実施例によって例示する。
【0094】
本発明の化合物は、以下の経路、すなわちa)2種の適切なアルキル化剤、一般にハロゲン化アルキルまたはスルホン酸アルキルを用いるスルホンアミドの連続したアルキル化、b)ハロゲン化アルキルまたはスルホン酸アルキルを用いるスルホンアミドのアルキル化、またはc)アルデヒドの還元的アミノ化に続く、塩化アシル、クロロホルマート、イソシアナート、クロロカルボニルアミドなどのアシル化剤、または塩化スルホニルなどのスルホニル化剤との反応のいずれかによって調製することができ、アルキル化剤のうちの1種は、適切に保護されたカルボン酸部分を含んでいる。カルボン酸部分を適切なエステルに変更すると、所望の本発明の化合物となる。例えば、4−ピラゾール−1−イル−ベンズアルデヒドを用いる3−アミノメチルフェノキシ酢酸イソプロピルエステルの還元的アミノ化によって、第二級アミン中間体である3−[4−ピラゾール−1−イル−ベンジルアミノ)メチル]フェノキシ酢酸イソプロピルエステルが得られ、これが塩化ピリジン−3−スルホニルとのアミド生成を経て、所望の化合物である3−{[(4−ピラゾール−1−イル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ]メチル}フェノキシ)−酢酸イソプロピルエステルとなる。
【0095】
【化4】
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【0096】
別法として、本発明の化合物は、エステル化経路によって、その対応するカルボン酸誘導体を経て調製することができる。それ自体として、最初にカルボン酸を塩基で脱プロトン化し、次いで求電子剤と反応させて、対応するエステルを得る。例えば、3−{[(4−ピラゾール−1−イル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)アミノ]メチル}−フェノキシ)酢酸を、DMFなどの適切な溶媒の存在下、炭酸カリウムで脱プロトン化した後、ヨウ化イソプロピルで処理すると、所望の化合物である3−{[(4−ピラゾール−1−イル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ]メチル}フェノキシ)酢酸イソプロピルエステルが得られる。
【0097】
【化5】
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【0098】
さらに他の方法としては、a)カリウムt−ブトキシドなどの塩基およびN,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒を使用しながら、3−ヒドロキシベンズアルデヒドをα−ブロモ酢酸エステル(R=Me、Et、i−Pr、t−Buなど)でO−アルキル化して、O−アルキル化された生成物1を得、b)メタノールなどのアルコール溶媒およびピリジンなどの塩基中でヒドロキシルアミン塩酸塩を用いて1のオキシムを生成して2を得、c)Hおよびエタノールなどのアルコール溶媒の存在下、10%パラジウム担持炭素などの金属触媒を用い、2の触媒作用による水素化を実施してアミン3を得、d)適切なアルデヒド(R’CHO)および水素化ホウ素ナトリウムやナトリウムなどの還元剤を用い、3の還元的アミノ化を実施してアミン4を得、さらにe)トリエチルアミンなどの塩基およびジクロロメタンなどの溶媒の存在下、適切な塩化スルホニル(R”SOCl)で4をN−アルキル化して、所望の生成物5を得るものが挙げられる。
【0099】
【化6】
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【0100】
他の適切な反応条件は、当業者に知られており、「Protective Groups In Organic Synthesis」、第2版、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、John Wiley and Sons,Inc.、1991年、227〜229頁で例示されているが、この文献はすべての目的でその全体が参照により本明細書に援用される。
【0101】
本発明の化合物が、眼内圧を低下させ、したがって緑内障を治療するための医薬として有用であることは、in vivoアッセイおよび受容体結合アッセイを含めた従来のアッセイにおけるこの化合物の活性によって実証される。このようなアッセイは、化合物の活性を、互いに、また他の既知の化合物の活性と比較することのできる手段ともなる。そのように比較した結果は、このような疾患を治療するための、ヒトを含めた哺乳動物の投与量レベルを決定するのに有用である。
【0102】
医薬としての使用を目的とする本発明の化合物は、結晶性または非晶質の製品として投与することができる。こうした化合物は、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、蒸発乾燥などの方法によって、例えば、固体充填物、粉末、またはフィルムとして得ることができる。マイクロ波乾燥または高周波乾燥をこの目的のために使用してもよい。
【0103】
本発明の化合物は、通常はpH調整された等張性無菌食塩水中の微粒子化された懸濁液または溶液の液滴の形態で、眼または耳に直接投与することもできる。眼および耳への投与に適する他の製剤には、軟膏、生分解性(例えば、吸収性のゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(例えばケイ素樹脂)の植込錠、ウェハ、レンズ、ならびにニオソームやリポソームなどの微粒子系またはベシクル系が含まれる。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸などのポリマー;セルロース系ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはメチルセルロース;またはヘテロ多糖体ポリマー、例えばゲランガムを、塩化ベンザルコニウムなどの保存剤と一緒に混ぜてもよい。このような製剤は、イオン導入法によって送達することもできる。本発明の化合物は、眼の前面、側面、または後部に送達することもできる。
【0104】
医薬としての使用を目的とする本発明の化合物は、単独で、1種または複数の他の本発明の化合物と組み合わせて、または1種または複数の他の薬物と組み合わせて(またはこれらの任意の組合せとして)投与することができる。緑内障を治療する薬物には、いくつかの異なる部類が存在し、各部類中にいくつかの異なる薬物が存在する。チモロール、レボブノール(Betagan)、およびベタキソロールなどの局所的なβアドレナリン受容体拮抗薬は、毛様体による房水産生を低減する。ブリモニジン(Alphagan)などのα2−アドレナリン作用薬は、水性物質の産生を低下させ、ブドウ膜−強膜流出を増大させる二重の機序によって作用する。エピネフリンおよびジピベフィン(dipivefin)(Propine)のような選択性のより弱い交感神経模倣薬は、おそらくはβ2作用薬作用によって、線維柱帯から、さらにおそらくはブドウ膜強膜流出経路からの房水の流出を増大させる。ピロカルピンのような縮瞳薬(副交感神経作動薬)は、毛様体筋の収縮によって作用し、線維柱帯を締め、旧来の経路からの水性物質の流出を増大させる。ドルゾラミド(Trusopt)、ブリンゾラミド(Azopt)、アセタゾラミド(Diamox)のような炭酸脱水酵素阻害薬は、毛様体中の炭酸脱水酵素を阻害することによって房水分泌を低下させる。ラタノプロスト(Xalatan)、ビマトプロスト(Lumigan)、およびトラボプロスト(Travatan)のようなプロスタグランジン類似体は、水性物質のブドウ膜強膜流出を増加させる。一般に、このような薬物および/またはその組合せは、1種または複数の薬学的に許容できる賦形剤と合わせて製剤として投与される。用語「賦形剤」とは、本明細書では、本発明の化合物以外の任意の成分について述べるのに使用する。賦形剤の選択は、大部分は、特定の投与方式、賦形剤が溶解性および安定性に及ぼす影響、剤形の性質などの要素に応じて決まることになる。
【0105】
本発明の化合物の送達に適する医薬組成物およびその調製方法は、当業者に容易に明らかとなろう。そのような組成物およびその調製方法は例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第19版(Mack Publishing Company、1995年)で見ることができる。]
【0106】
本発明の化合物は、経口投与することができる。経口投与は、化合物が消化管に入るように飲み込むものでもよいし、または化合物が口から直接に血流に入る頬側もしくは舌下投与を使用してもよい。
【0107】
経口投与に適する製剤には、固体製剤、例えば、錠剤、微粒子、液体、または粉末を含有するカプセル剤、(液体充填型を含めた)トローチ剤、咀嚼剤、多粒子およびナノ粒子、ゲル、固溶体、リポソーム、(粘膜付着性のものを含めた)フィルム、膣坐剤、スプレー、ならびに液体製剤が含まれる。
【0108】
液体製剤には、懸濁液、溶液、シロップ、およびエリキシルが含まれる。このような製剤は、軟または硬カプセルの充填剤として使用することができ、通常は、担体、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適切な油と、1種または複数の乳化剤および/または懸濁化剤とを含む。液体製剤は、例えば小袋から出した固体を再形成して調製することもできる。
【0109】
本発明の化合物は、LiangおよびChenによるExpert Opinion in Therapeutic Patents、第11巻(6)、981〜986頁(2001年)に記載のものなどの急速溶解急速崩壊型剤形にして使用することもできる。
【0110】
錠剤剤形では、用量に応じて、薬物が、剤形の1重量%〜80重量%、より典型的な例では剤形の5重量%〜60重量%を占めていてよい。薬物に加え、錠剤は一般に崩壊剤を含有する。崩壊剤の例には、ナトリウムデンプングリコラート、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶セルロース、低級アルキル置換されたヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、α化デンプン、およびアルギン酸ナトリウムが含まれる。一般に、崩壊剤は、剤形の1重量%〜25重量%、好ましくは5重量%〜20重量%を占める。
【0111】
結合剤は一般に、錠剤製剤に粘着性の性質を付与するのに使用される。適切な結合剤には、微結晶セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成のゴム、ポリビニルピロリドン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。錠剤は、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水物など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶セルロース、デンプン、および第二リン酸カルシウム二水和物などの希釈剤も含有してよい。
【0112】
錠剤は、ラウリル硫酸ナトリウムやポリソルベート80などの界面活性剤、および二酸化ケイ素やタルクなどの滑剤を場合により含んでもよい。存在するとき、界面活性剤は錠剤の0.2重量%〜5重量%を占めてよく、滑剤は錠剤の0.2重量%〜1重量%を占めてよい。
【0113】
錠剤は一般に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムの混合物などの滑沢剤も含有する。滑沢剤は一般に、錠剤の0.25重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜3重量%を占める。
【0114】
他の考えられる成分としては、抗酸化剤、着色剤、着香剤、保存剤、および矯味剤が挙げられる。
【0115】
典型的な錠剤は、約80%までの薬物、約10重量%〜約90重量%の結合剤、約0重量%〜約85重量%の希釈剤、約2重量%〜約10重量%の崩壊剤、および約0.25重量%〜約10重量%の滑沢剤を含有する。錠剤ブレンドを直接にまたはローラーによって圧縮すると、錠剤を形成することができる。別法として、錠剤ブレンドまたはブレンドの一部分を、湿式、乾式、もしくは溶融造粒、溶融凝固、または押出し成形の処理にかけた後に打錠してもよい。最終製剤は、1つまたは複数の層を含んでよく、コーティングされていても、コーティングされていなくてもよく、カプセル封入される場合さえある。錠剤の製剤については、H.LiebermanおよびL.Lachmanによる「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets、第1巻」、Marcel Dekker、ニューヨーク州ニューヨーク、1980年(ISBN0−8247−6918−X)で論述されている。
【0116】
様々な種類の投与向けの前述の製剤は、即時型および/または変更型の放出がなされるように製剤することができる。変更型放出製剤としては、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的指向性放出、およびプログラム放出が挙げられる。
【0117】
本発明の目的に適する変更型放出製剤は、米国特許第6106864号に記載されている。高エネルギー分散や浸透性粒子および被覆粒子などの他の適切な放出技術の詳細は、Vermaら、Pharmaceutical Technology On−line、第25巻(2)、1〜14頁(2001年)で見られる。制御放出を実現するためのチューインガムの使用は、WO00/35298に記載されている。
【0118】
本発明の化合物は、血流、筋肉、または内臓に直接投与することもできる。非経口投与に適する手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、側脳室内、尿道内、胸骨内、脳内、筋肉内、および皮下が含まれる。非経口投与に適するデバイスには、(微細針を含めた)針注射器、無針注射器、および注入技術が含まれる。
【0119】
非経口製剤は通常、塩、炭水化物、緩衝剤(好ましくはpH3〜9まで)などの賦形剤を含有する場合もある水溶液であるが、一部の適用例では、無菌の非水性溶液として、または発熱物質を含まない無菌水などの適切な媒体と共に使用するための乾燥形態としてより適切に製剤することもできる。
【0120】
例えば凍結乾燥による無菌条件下での非経口製剤の調製は、当業者によく知られている標準の製薬技術を使用して容易に実現することができる。
【0121】
非経口溶液の調製で使用する本発明の化合物の溶解性は、溶解性改善剤を混ぜるなどの適切な製剤技術を使用して増大させることができる。
【0122】
非経口投与用の製剤は、即時型および/または変更型の放出がなされるように製剤することができる。したがって、本発明の化合物は、移植デポー剤として投与するための固体、半固体、または揺変性液体として製剤して、活性化合物の変更型放出をもたらすこともできる。このような製剤の例には、薬物でコーティングされたステントおよびPGLA[define]ミクロスフェアが含まれる。
【0123】
本発明の化合物は、皮膚もしくは粘膜に局所的に、すなわち皮膚上に、または経皮的に投与することもできる。この目的のための典型的な製剤には、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、散粉剤、包帯剤、フォーム、フィルム、皮膚パッチ、ウェハ、植込錠、スポンジ、繊維、絆創膏、およびマイクロエマルジョンが含まれる。リポソームを使用してもよい。典型的な担体には、アルコール、水、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコールが含まれる。浸透性改善剤を混ぜてもよい[例えば、FinninおよびMorganによるJ Pharm Sci、第88巻(10)、955〜958頁(1999年10月)を参照されたい]。
【0124】
他の局所投与手段には、電気穿孔、イオン導入法、音波泳動法、超音波導入法、ならびに微細針もしくは無針(例えばPowderject(商標)、Bioject(商標)など)注射による送達が含まれる。
【0125】
本発明の化合物は、鼻腔内に、または吸入によって、通常は、(単独、または例えばラクトースとの乾燥ブレンドにした混合物として、または例えばホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合した混合型成分粒子としての)乾燥粉末の形態で乾燥粉末吸入器から、または加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは、電気水力学を使用して微細な霧を生成するアトマイザー)、もしくはネブライザーから、1,1,1,2−テトラフルオロエタンや1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴射剤を使用して、もしくは使用せずに、エアロゾルスプレーとして投与することもできる。鼻腔内の使用では、粉末は、生体接着剤、例えば、キトサンまたはシクロデキストリンを含んでよい。
【0126】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、またはネブライザーは、例えば、エタノール、エタノール水溶液、または活性物を分散させ、可溶化し、もしくはその放出を延長するのに適する別の物質と、溶媒としての噴射剤と、トリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、オリゴ乳酸などの随意選択の界面活性剤とを含む、本発明の化合物の溶液または懸濁液を含有する。
【0127】
薬物製品は、乾燥粉末または懸濁液製剤にして使用する前に、吸入による送達に適する大きさ(通常は5ミクロン未満)に超微粉砕する。これは、スパイラルジェット粉砕、流動層ジェット粉砕、ナノ粒子を生成する超臨界流体処理、高圧ホモジナイズ、噴霧乾燥などの任意の適切な微粉砕法によって実現することができる。
【0128】
吸入器または注入器に入れて使用するためのカプセル(例えばゼラチンまたはHPMC製のもの)、ブリスター、およびカートリッジは、本発明の化合物と、ラクトースやデンプンなどの適切な粉末基剤と、l−ロイシン、マンニトール、ステアリン酸マグネシウムなどの性能調節剤とからなる粉末混合物を含有するように製剤することができる。ラクトースは、無水でも一水和物の形態でもよく、後者が好ましい。他の適切な賦形剤としては、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース、およびトレハロースが挙げられる。
【0129】
電気水力学を使用して微細な霧を生成するアトマイザーに入れて使用するのに適する溶液製剤は、1作動あたり1μg〜20mgの本発明の化合物を含有してよく、作動体積は1μl〜100μlと様々でよい。典型的な製剤は、本発明の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノール、および塩化ナトリウムを含んでよい。プロピレングリコールの代わりに使用することのできる別の溶媒としては、グリセロールおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0130】
メントールやl−メントールなどの適切な香味剤、またはサッカリンやサッカリンナトリウムなどの甘味剤を、吸入投与/鼻腔内投与を目的とする本発明の製剤に加えてもよい。
【0131】
吸入投与/鼻腔内投与用の製剤は、例えばDL−乳酸−グリコール酸共重合体(PGLA)を使用して、即時型および/または変更型の放出がなされるように製剤することができる。変更型放出製剤としては、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的指向性放出、およびプログラム放出が挙げられる。
【0132】
乾燥粉末吸入器およびエアロゾルの場合では、投与量単位は、計量された量を送達する弁によって決定される。本発明による単位は通常、計量された用量または「ひと吹き」を投与するように整えられる。全体としての1日量は、1回で、またはより普通にはその日を通して数回に分けて投与することができる。
【0133】
本発明の化合物は、例えば、坐剤、膣坐剤、または浣腸の形で直腸投与または経膣投与することができる。カカオ脂が旧来の坐剤基剤であるが、様々な代替品を適宜使用してよい。
【0134】
本発明の化合物は、上述の投与方式のいずれかでの使用に向けてその溶解性、溶解速度、矯味、生体利用度、および/または安定性を改善するために、シクロデキストリンおよびその適切な誘導体やポリエチレングリコール含有ポリマーなどの可溶性の高分子物質と組み合わせることができる。
【0135】
例えば、薬物−シクロデキストリン複合体は、一般にほとんどの剤形および投与経路に有用であることがわかっている。包接複合体および非包接複合体の両方を使用することができる。薬物との直接の複合体形成に代わるものとして、シクロデキストリンを補助添加剤として、すなわち担体、希釈剤、または可溶化剤として使用してもよい。このような目的で最も一般的に使用されるのは、α、β、およびγシクロデキストリンであり、その例は、国際特許出願WO91/11172、WO94/02518、およびWO98/55148で見ることができる。
【0136】
ヒト患者への投与では、本発明の化合物の合計1日量は、1回で、または数回に分けて投与することができる。用語「治療」は、本明細書では、患者の[疾患および]状態に応じて、治癒的、姑息的、および予防的治療の1つまたは複数を包含し得る。
【0137】
本発明の化合物が眼内圧を低下させ得る能力は、以下で述べるアッセイを使用して測定することができる。
【実施例】
【0138】
以下の非限定的な調製例および実施例は、本発明の化合物の調製を例示するものである。
【0139】
H核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、すべての場合において、提案された構造と一致した。特徴的な化学シフト(δ)を、テトラメチルシランから低磁場方向への百万分率で示し、主要なピークの呼称については、従来の略語、例えば、s:一重線、d:二重線、t:三重線、q:四重線、m:多重線、br:ブロードを使用する。質量スペクトル(m/z)は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)または大気圧化学イオン化(APCI)を使用して記録した。一般的な溶媒については以下の略語を使用している。すなわち、CDCl:重クロロホルム、D−DMSO:ジュウテロジメチルスルホキシド、CDOD:重メタノール、THF:テトラヒドロフラン。「アンモニア」とは、0.88の比重を有する濃アンモニア水溶液を指す。薄層クロマトグラフィー(TLC)が使用されている場合、シリカゲル60F254プレートを使用するシリカゲルTLCを指し、Rは、化合物が移動した距離を、TLCプレートに面した溶媒が移動した距離で割ったものである。
【0140】
(実施例1)
[3−({[4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル](ピリジン−3−イル−スルホニル)アミノ}メチル)フェノキシ]酢酸イソプロピルの調製
【0141】
【化7】
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A.(3−ホルミルフェノキシ)酢酸イソプロピルエステルの調製
【0142】
【化8】
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3−ヒドロキシベンズアルデヒド(6.75g、55.2mmol)のDMF(55mL)溶液を窒素雰囲気中にて室温で攪拌しながら、カリウムt−ブトキシド(6.2g、55.3mmol)を少量ずつ加えた。得られる懸濁液を室温でさらに15分攪拌した後、ブロモ酢酸イソプロピル(7.10mL、55.2mmol)を加えた。反応液を室温で15時間攪拌し、次いで水(250mL)で失活させた。得られる水溶液を酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせて水で数回洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。中圧液体クロマトグラフィー(0〜10%のヘキサン/酢酸エチル)によって精製すると、表題化合物(5.2g、65%)が透明な油状物として得られた。H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δppm1.30(d,6H)5.04〜5.32(m,1H)7.21〜7.28(m,1H)7.38(s,1H)7.44〜7.60(m,2H)9.98(s,1H)。
【0143】
B.[(3−ヒドロキシイミノメチルフェノキシ)]酢酸イソプロピルエステルの調製
【0144】
【化9】
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(3−ホルミルフェノキシ)酢酸イソプロピルエステル(3.7g、17mmol)のメタノール(55mL)溶液を窒素中で攪拌しながら、ヒドロキシルアミン塩酸塩(1.2g、17mmol)およびピリジン(6mL、74mmol)を加えた。反応液を室温で15時間攪拌した。揮発性物質を真空中で除去し、残渣を酢酸エチルで希釈した。得られる溶液を1N HClで洗浄し、得られる水溶液を酢酸エチルで洗浄した。有機層を合わせてMgSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、表題化合物(4.13g、100%)を淡黄色の固体として得た。H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δppm1.36(d,6H)4.67〜4.72(m,2H)5.15〜5.34(m,1H)7.01〜7.07(m,1H)7.33〜7.36(m,1H)7.36〜7.43(m,2H)8.17(s,1H)。C1215NOに対するLRMSm/z計算値([M+H]):237.1。実測値:238.1。
【0145】
C.[(3−アミノメチルフェノキシ)]酢酸イソプロピルエステルの調製
【0146】
【化10】
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[(3−ヒドロキシイミノメチルフェノキシ)]酢酸イソプロピルエステル(2.5g、11mmol)、10%Pd/C(500mg、20重量%)、および濃塩酸(1mL)のエタノール(150mL)懸濁液を、大気圧下および室温で7時間水素化した。懸濁液をガラスフィルターペーパーで濾過し、得られる黄色の濾液を真空中で濃縮して、[(3−アミノメチルフェノキシ)]酢酸イソプロピルエステルのHCl塩(1.55g、60%)を黄色の固体として得た。H NMR(400MHz、MeOD)δppm1.31(d,6H)4.11(s,2H)4.65〜4.82(m,2H)5.04〜5.22(m,1H)6.95〜7.05(m,1H)7.05〜7.17(m,2H)7.39(t,J=7.96Hz,1H)。C1217NOのLRMSm/z計算値([M+H]):223.1。実測値:224.2。
【0147】
D.[3−({[4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル]アミノ}メチル)−フェノキシ]酢酸イソプロピルの調製
【0148】
【化11】
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[(3−アミノメチルフェノキシ)]酢酸イソプロピルエステル(0.40g、1.69mmol)、酢酸(0.6mL)、および4−ピラゾイルベンズアルデヒド(0.29g、1.69mmol)のメタノール(6mL)溶液を、室温で4時間攪拌した。1時間かけて50℃に温めた後、混合物を0℃に冷却し、NaCNBH(0.21g、3.31mmol)を加えた。混合物を室温に温め、1時間攪拌した後、飽和NaCO水溶液で失活させた。水性混合物を酢酸エチル(3×75mL)で抽出し、有機抽出物を合わせ、MgSOで乾燥させて、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物を、中圧液体クロマトグラフィー(ヘキサン→90%酢酸エチル/ヘキサン)を使用して精製して、純粋な生成物(0.43g、65%)を無色の油状物として得た。H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δppm1.27(d,J=6.32Hz,6H)3.79(s,2H)3.82(s,2H)4.59(s,2H)5.03〜5.26(m,1H)6.39〜6.54(m,1H)6.80(dd,J=8.08,2.53Hz,1H)6.90〜7.03(m,2H)7.19〜7.31(m,1H)7.42(d,J=8.34Hz,2H)7.55〜7.76(m,3H)7.92(d,J=2.27Hz,1H)。C2225のLRMSm/z計算値([M+H]):379.2。実測値:380.2。
【0149】
E.[3−({[4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル](ピリジン−3−イルスルホニル)−アミノ}メチル)フェノキシ]酢酸イソプロピルの調製
【0150】
【化12】
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[3−({[4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル]アミノ}メチル)−フェノキシ]酢酸イソプロピル(0.28g、0.75mmol)、トリエチルアミン(0.53mL、0.37mmol)、および塩化ピリジン−3−スルホニル(268mg、1.50mmol)のジクロロメタン(7mL)溶液を、室温で15時間攪拌した。混合物をジクロロメタンで希釈し、有機層を合わせて水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(0〜5%のジクロロメタン中メタノール)によって精製すると、所望の生成物(180mg、回収されたアミン出発材料に基づき69%)が淡黄色の油状物として得られた。H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δppm1.29(d,J=5.56Hz,6H)4.37(s,2H)4.42(s,2H)4.50(s,2H)5.06〜5.25(m,1H)6.49(s,1H)6.65〜6.75(m,2H)6.77〜6.84(m,1H)7.17〜7.23(m,J=8.59Hz,3H)7.46(dd,J=7.83,4.80Hz,1H)7.60(d,J=8.34Hz,2H)7.74(s,1H)7.92(s,1H)8.08(d,J=7.83Hz,1H)8.83(d,J=4.29Hz,1H)9.09(s,1H)。C2728SのLRMSm/z計算値([M+H]):520.2。実測値:521.2。
【0151】
表1で一覧にした化合物は、上記試薬およびスキームの適切な変更形態を使用して合成した。
【0152】
【表1−1】
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【0153】
【表1−2】
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【0154】
【表1−3】
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【0155】
【表1−4】
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【0156】
【表1−5】
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【0157】
【表1−6】
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【0158】
【表1−7】
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【0159】
【表1−8】
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【0160】
(実施例2)
空気眼圧測定によって測定した眼内圧
眼内圧は、正常なサルにおいて空気眼圧測定によって測定することができる。調査は、空気眼圧測定を受け入れるように訓練した意識下の動物で実施した。試験する化合物の25μl体積の液滴を一方の眼に局所的に投与し、反対側の眼には対照として媒体を投与する。統計分析は、スチューデントの対応のあるt検定によるものである。
【0161】
プロスタグランジンE2受容体への結合アッセイ
膜調製
すべての操作は4℃で実施した。プロスタグランジンE2 1型受容体(EP1)、2型(EP2)受容体、3型(EP3)受容体、または4型(EP4)受容体を発現する、形質移入された細胞を収集し、緩衝液A[50mMのトリス−HCl(pH7.4)、10mMのMgCl、1mMのEDTA、1mMのPefablocペプチド(Sigma、ミズーリ州セントルイス)、10uMのPhosporamidonペプチド(Sigma、ミズーリ州セントルイス)、1uMのPepstatin Aペプチド(Sigma、ミズーリ州セントルイス)、10uMのElastatinalペプチド(Sigma、ミズーリ州セントルイス)、100uMのAntipainペプチド(Sigma、ミズーリ州セントルイス)]に懸濁させて、1mlあたり2百万細胞とする。これらを、Branson Sonifier(モデル#250、Branson Ultrasonics Corporation、コネティカット州ダンベリー)を用い、2回の15秒バーストの超音波処理によって溶解させる。溶解していない細胞および壊死組織片を100×gで10分間の遠心分離によって除去する。次いで45000×gで30分間の遠心分離によって膜を収集する。ペレット状の膜を再懸濁して、1mlあたりタンパク質3〜10mgとするが、タンパク質濃度はBradfordの方法に従って求める[Bradford,M.、Anal.Biochem.、第72巻、248頁(1976年)]。次いで、再懸濁した膜を、使用するまで−80℃で冷凍保存する。
【0162】
結合アッセイ
調製した凍結した膜を解凍し、緩衝液Aに希釈して、1mlあたりタンパク質1mgとする。1体積の膜調製物を、0.05体積の試験化合物または緩衝液、および1体積の緩衝液A中3nM 3H−プロスタグランジンE2(#TRK431、Amersham、イリノイ州アーリントンハイツ)と合わせる。混合物(総体積205μL)を25℃で1時間インキュベートする。次いで、Tomtecハーベスター(モデルMachII/96、Tomtec、コネティカット州オレンジ)を使用するGF/C型ガラス繊維フィルター(#1205401、Wallac、メリーランド州ゲーサーズバーグ)での濾過によって膜を回収する。3H−プロスタグランジンE2が結合した膜はフィルターによって捕捉され、緩衝液および結合していない3H−プロスタグランジンE2はフィルターを通り抜けて廃棄物となる。次いで、各サンプルを3mlの[50mM トリス−HCl(pH7.4)、10mM MgCl、1mM EDTA]で3回洗浄する。次いで、フィルターを電子レンジで加熱して乾燥させる。膜に結合した3H−プロスタグランジンの量を決定するために、乾燥したフィルターを、シンチレーション液を含むプラスチック製の袋の中に入れ、LKB1205 Betaplate読取り装置(Wallac、メリーランド州ゲーサーズバーグ)でカウントする。IC50は、特異的に結合した3H−プロスタグランジンE2を50%置換するのに必要な試験化合物の濃度から求める。
【0163】
(実施例3)
(+/−)−15−デオキシ−16S−ヒドロキシ−17−シクロブチルPGE1;(+/−)−15−デオキシ
16S−ヒドロキシ−17−シクロブチルプロスタグランジンE1(ブタプロスト)
PGE2の構造類似体であるブタプロストは、EP2受容体サブタイプの選択的作動薬である。EP2受容体は、ヒト好中球上、ならびに呼吸平滑筋、血管平滑筋、および子宮平滑筋上に発現される。ブタプロストは、PGE2の約1/10の親和性で組換え型のネズミEP2受容体を結合し、他のネズミEP受容体、またはDP、TP、FP、もしくはIP受容体のいずれにもそれほど結合しない。ヒトEP2受容体を形質移入したCOS細胞におけるブタプロストによるcAMPの刺激についてのEC50は約5μMであるのに対し、このアッセイにおけるPGE2についてのEC50は約43nMである。ブタプロストは、様々なヒトおよび動物の組織および細胞のEP受容体発現プロファイルを薬理学的に明確にするのに頻繁に使用されている。
【0164】
表2および3は、高眼圧の非ヒト霊長類においてEP2作動薬を局所的に適用した後に見られる眼内圧(IOP)変化について述べる。典型的に、適切な製剤にした化合物を局所的に投与し、眼圧測定法を使用してIOPを測定した。投与を受けた高眼圧の眼において、媒体処置、次いでEP2化合物での処置のIOPの変化を経時的に評価した。ΔΔEmaxは、EP2化合物で処置した眼のIOPを、その化合物で最大のIOP低下が見られた時点で、媒体で処置した眼で見られるIOPと比較した差を示す。パーセントΔΔEmaxは、化合物によって付与されたIOP低下の、媒体でのIOP低下(100%に設定)に対する変化の百分率とした。Tmaxは、化合物の最大IOP低下が認められた時点を表す。ここで提供するデータは、統計学的有意性を示した。NSは、有意でないことを表す。表2は酸のEP2化合物を比較するものであり、表は特定の酸のエステルで見られるIOP応答を比較するものである。エステルでは、酸と比べて、角膜浸透がより良好になり、前房での薬物被作用性が改善され、したがって酸の用量(0.1mg/ml)の5分の1を投与した。
【0165】
【表2−1】
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【0166】
【表2−2】
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【0167】
【表3】
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【0168】
(実施例4)
緑内障のイヌで評価した際の、イソプロピルエステル(実施例1)とt−ブチルエステル(比較化合物12「C12」、US2003/0078261)の有効性(眼内圧の変化)の比較
典型的に、適切な製剤にした化合物を、局所的に投与し、眼圧測定法を使用してIOPを測定した。媒体または薬物を含有する50μlの一滴を、緑内障のイヌのそれぞれの眼に滴下し、投与後1、2、4、および6時間の時点でIOPを測定した。媒体または薬物の局所的な滴下の前に、ベースラインIOP測定を行った。緑内障のイヌにおいて、媒体処置、次いでEP2化合物での処置のIOPの変化を経時的に評価した。ΔΔEmaxは、EP2化合物で処置した眼のIOP±標準誤差を、その化合物で最大のIOP低下が見られた時点で、媒体で処置した眼で見られるものと比較した差を示す。パーセントΔΔEmaxは、化合物によって付与されたIOP低下の媒体でのIOP低下(100%に設定)に対する変化の百分率とした。
【0169】
C12と実施例1の最大IOP低下は同様である、すなわち7〜8mmHg(33〜34%)の間であるようにも思われたが、C12は実施例1の4倍の濃度で投与したことを留意されたい。
【0170】
【表4】
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【0171】
(実施例5)
イソプロピル対t−ブチル化合物の粉末X線回折パターン
図1は、C12(t−ブチルエステル)および実施例1(イソプロピルエステル)の粉末X線回折パターンを示す。
【0172】
粉末X線回折パターンを、40kVおよび40mAで作動するCu Kα放射線1.54ÅX線放射線源を備え付けたBruker AXS D8−Discover回折計を使用して収集した。分析の際、サンプルは、4〜40度(θ−2θ)の角度から、走査時間60秒および走査スポットサイズ0.5mmを使用して分析した。
【0173】
実施例1および比較化合物12の粉末X線回折図から、ピーク位置および強度割当によって特徴付けられるX線回折ピークを抽出した。当業者ならば、ピーク位置(2θ)は、通常は0.1度程度の装置間の若干のばらつきを示すことがわかるであろう。したがって、ピーク位置(2θ)が報告される場合、当業者ならば、その数がそのような装置間のばらつきを含むものであることを認識されよう。
【0174】
図1で見られるように、実施例1は、8.6±0.1、13.5±0.1、17.6±0.1、19.2±0.1、および21.9±0.1の回折角(2θ)で特徴的なピークを有する結晶形態として現れるのに対し、C12は非晶質形態であり、特徴的なピークをもたない。実施例1は、薬物製品へと製剤するのが比較的容易な固体活性成分となったが、C12は、取り扱い難いゴム質の材料となった。
【図1】
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【公表番号】特表2009−544751(P2009−544751A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522350(P2009−522350)
【出願日】平成19年7月16日(2007.7.16)
【国際出願番号】PCT/IB2007/002044
【国際公開番号】WO2008/015517
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】