説明

EP4受容体アンタゴニストとしてのナフタレン及びキノリンスルホニル尿素誘導体

本発明は、EP4媒介性の疾患又は症状、例えば急性及び慢性の疼痛、変形性関節症、関節リウマチ、及び癌の治療に有用な、EP4受容体アンタゴニストとしての、ナフタレン及びキノリンスルホニル尿素誘導体に向けたものである。また医薬組成物及び使用法も含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロスタグランジンE媒介性疾患を治療するための化合物及び方法と、特定の医薬組成物とに関する。さらに詳細には、本発明の化合物は、NSAID及びアヘン剤とは構造的に異なり、かつE型プロスタグランジンの疼痛及び炎症作用のアンタゴニストである。
【背景技術】
【0002】
3つの総説論文が、プロスタノイド受容体の特性及び治療的関連性、並びに最も一般的に使用される選択的アゴニスト及びアンタゴニストについて記載している:フォルコ(Folco)、サムエルソン(Samuelson)、マクラウフ(Maclouf)、及びヴェロ(Velo)編、「エイコサノイド:バイオテクノロジーから治療応用まで(Eicosanoids:From Biotechnology to Therapeutic Applications)」、プレナム・プレス(Plenum Press)、ニューヨーク、1996年、第14章、p.137−154;「ジャーナル・オブ・リピド・メディエーターズ・アンド・セル・シグナリング(Journal of Lipd Mediators and Cell Signaling)」、1996年、第14巻、p.83−87;及び、「プロスタグランジンズ・アンド・アザー・リピド・メディエーターズ(Prostaglandins and Other Lipid Mediators)」、2002年、第69巻、p.557−573.
【0003】
したがって、選択的なプロスタグランジンリガンド、アゴニスト、又はアンタゴニストは、プロスタグランジンE受容体のどのサブタイプが考慮されるかに依存して、従来の非ステロイド抗炎症剤と同様の、抗炎症性、解熱性、及び鎮痛性の特性をもち、加えて、血管ホメオスタシス、再生、胃腸機能、及び骨代謝に影響を及ぼす。これらの化合物は、無差別のシクロオキシゲナーゼ阻害剤であるNSAIDの、メカニズムベースのいくつかの副作用を誘導する能力を低減させ得る。特に、本化合物は、胃腸毒性の可能性を低減し、腎性副作用の可能性を低減し、出血時間に対する作用を低減し、そしてアスピリン感受性喘息患者において喘息発作を誘発する能力を低減させると考えられている。
【0004】
「ザ・ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション(The Journal of Clinical Investigation)」(2002年、第110巻、p.651−658)では、研究は、コラーゲン抗体注入によりマウスにおいて誘導される慢性炎症が、主としてPGE受容体のEP4サブタイプにより媒介されることを示唆している。特許出願公開WO96/06822(1996年3月7日)、WO96/11902(1996年4月25日)、及びEP752421−A1(1997年1月8日)は、化合物を、プロスタグランジン媒介性性疾患の治療において有用であるものとして開示している。
【0005】
本発明は、PGE受容体のEP4サブタイプのアンタゴニストである新規化合物に向けたものである。それ故本化合物は、EP4受容体により媒介される疾患又は症状、例えば急性及び慢性の疼痛、変形性関節症、関節リウマチ、及び癌の治療のために有用であろう。
【発明の概要】
【0006】
発明の要旨
本発明は、EP4媒介性の疾患又は症状、例えば急性及び慢性の疼痛、変形性関節症、関節リウマチ、及び癌の治療に有用な、EP4受容体アンタゴニストとしての、ナフタレン及びキノリンスルホニル尿素誘導体に向けたものである。また医薬組成物及び使用法も含まれる。
【0007】
発明の詳細な記載
本発明は、式I:
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、
Xは、N及びCHからなる群より選択され;
及びRは、独立して、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、及びC1−6フルオロアルキルからなる群より選択され;
は、ハロゲン、C1−6アルキル、及びC1−6ハロアルキルからなる群より選択され;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、及びC3−6シクロアルキルからなる群より選択され;また、R及びR、又は、R及びRは、結合して、3員ないし6員の単環式シクロアルカン環を形成してもよく;
Arは、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルからなる群より選択されるか、又は、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルの縮合類似体であり;そして
各Yは、独立して、ハロ、メチル、エチル、メトキシ、CF、CFO−、及びヒドロキシからなる群より選択される]
の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩である属を包含する。
【0010】
この属の中で、本発明は、Arがフェニル又はナフチルである、式Iの化合物の亜属を包含する。
【0011】
この亜属の中で、本発明は、Arがフェニルである、式Iの化合物のクラスを包含する。
【0012】
また、この属の中で、本発明は、Rがメチルである、式Iの化合物の亜属も包含する。
【0013】
また、この属の中で、本発明は、R及びRが水素であり、かつ、R及びRが結合してシクロプロピル環を形成する、式Iの化合物の亜属も包含する。
【0014】
また、この属の中で、本発明は、XがNである、式Iの化合物の亜属も包含する。
【0015】
また、この属の中で、本発明は、XがCHである、式Iの化合物の亜属も包含する。
【0016】
また、この属の中で、本発明は、式Ia:
【0017】
【化2】

【0018】
[式中、
Xは、N及びCHからなる群より選択され;
及びRは、同じであり、かつ、エチル、2,2,2−トリフルオロエチル、及びジフルオロメチルからなる群より選択され;そして
1又は2個のY基が存在し、かつ、各Yは、独立して、F、Cl、Br、メチル、エチル、メトキシ、CF、CFO−、及びヒドロキシからなる群より選択される]
の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩である亜属も包含する。
【0019】
この亜属の中で、本発明は、XがNである、式Iaの化合物のクラスを包含する。
【0020】
また、この亜属の中で、本発明は、XがCHである、式Iaの化合物のクラスも包含する。
【0021】
本発明はまた、以下の群:
2,6−ジクロロ−N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]ベンゼンスルホンアミド;
N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]−4−メチルベンゼンスルホンアミド;
2−クロロ−N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]ベンゼンスルホンアミド;
N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]−2−メチルベンゼンスルホンアミド;
N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]−2−メトキシベンゼンスルホンアミド;
2−ブロモ−N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]ベンゼンスルホンアミド;
N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]−2,6−ジメトキシベンゼンスルホンアミド;
N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]−2−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド;
N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]ナフタレン−2−スルホンアミド;
N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]−2,6−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド;
N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]−2,6−ジメチルベンゼンスルホンアミド;
2,3−ジクロロ−N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]ベンゼンスルホンアミド;
N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]−4−フルオロベンゼンスルホンアミド;
N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼンスルホンアミド;
N−{[(2−{4−[4,9−ビス(ジフルオロメトキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−メチルフェニル}エチル)アミノ]カルボニル}−4−メチルベンゼンスルホンアミド;
2−クロロ−N−{[(1−{3−メチル−4−[6−オキソ−5,9−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6,8−ジヒドロ−7H−ピロロ[3,4g]キノリン−7−イル]ベンジル}シクロプロピル)アミノ]カルボニル}ベンゼンスルホンアミド;
2−クロロ−N−[({2−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルフェニル]−2,2−ジフルオロエチル}アミノ)カルボニル]ベンゼンスルホンアミド;
N−{[(1−{3−メチル−4−[6−オキソ−5,9−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6,8−ジヒドロ−7H−ピロロ[3,4−g]キノリン−7−イル]ベンジル}シクロプロピル)アミノ]カルボニル}ナフタレン−2−スルホンアミド;及び
2−メトキシ−4−メチル−N−{[(1−{3−メチル−4−[6−オキソ−5,9−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6,8−ジヒドロ−7H−ピロロ[3,4−g]キノリン−7−イル]ベンジル}シクロプロピル)アミノ]カルボニル}ベンゼンスルホンアミドから選択される化合物、又は上記化合物のいずれかの薬学的に許容され得る塩も包含する。
【0022】
本発明はまた、2−クロロ−N−{[(1−{3−メチル−4−[6−オキソ−5,9−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6,8−ジヒドロ−7H−ピロロ[3,4g]キノリン−7−イル]ベンジル}シクロプロピル)アミノ]カルボニル}ベンゼンスルホンアミドの塩酸塩である化合物も包含する。
【0023】
本発明はまた、式Iの化合物を、1つ以上の生理的に許容され得る担体又は賦形剤との混合物中に含んでなる医薬組成物も包含する。
【0024】
本発明はまた、ヒト又は動物医薬における使用のための、式Iの化合物又はその薬学的に許容され得る誘導体も包含する。
【0025】
本発明はまた、EP4受容体におけるPGE2の作用により媒介される症状を患っているヒト又は動物患者を治療する方法であって、式Iの化合物の有効量を、該患者に投与することを含んでなる方法も包含する。
【0026】
本発明はまた、EP4受容体におけるPGE2の作用により媒介される症状の治療用の治療薬製造のための、式Iの化合物の使用も包含する。
【0027】
本発明はまた、急性又は慢性の疼痛、偏頭痛、変形性関節症、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、痛風、滑液包炎、強直性脊椎炎、原発性月経困難症、癌、又はアテローム性動脈硬化症を、治療を必要とする患者において治療するための方法であって、治療上有効な量の式Iの化合物又はその薬学的に許容され得る塩を該患者に投与することを含んでなる方法も包含する。
略語
【0028】
以下の略語は、表示した意味を有する。
【0029】
【化3】

【0030】
定義
「アルキル」、並びに接頭語「alk」をもつ他の基、例えばアルコキシ、アルカノイルは、直鎖又は分枝鎖か、又はそれらの組合せでもよい炭素鎖を意味する。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどを包含する。
【0031】
「フルオロアルキル」は、1つ以上の水素原子がフッ素原子により置換された、上記に定義したアルキルを意味する。
【0032】
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有しており、かつ直鎖又は分枝鎖か、又はそれらの組合せでもよい炭素鎖を意味する。アルケニルの例は、ビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニルなどを包含する。
【0033】
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有し、かつ直鎖又は分枝鎖か、又はそれらの組合せでもよい炭素鎖を意味する。アルキニルの例は、エチニル、プロパルギル、3−メチル−1−ペンチニル、2−ヘプチニルなどを包含する。
【0034】
「シクロアルキル」は、各々が3ないし10個の炭素原子を有する、単環式又は二環式の飽和炭素環を意味する。シクロアルキルの「縮合類似体」は、アリール又はヘテロアリール基に縮合した単環式の環を意味し、ここにおいて、結合点は非芳香族部分にある。シクロアルキル及びその縮合類似体の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロナフチル、デカヒドロナフチル、インダニルなどを包含する。
【0035】
「アルコキシ」は、指示された数の炭素原子を有する、直鎖又は分枝したアルコキシ基を意味する。C1−6アルコキシは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどを包含する。
【0036】
「シクロアルコキシ」は、シクロプロピルオキシのような、酸素原子に結合した上記に定義したシクロアルキルを意味する。
【0037】
「フルオロアルコキシ」は、1個以上の水素原子がフッ素原子により置換された、上記に定義したアルコキシを意味する。
【0038】
「アリール」は、炭素原子のみを含有する、単環又は二環式の芳香環を意味する。アリールの「縮合類似体」は、単環式シクロアルキル又は単環式ヘテロシクリル基に縮合したアリール基を意味し、ここにおいて、結合点は芳香族部分にある。アリール及びその縮合類似体の例は、フェニル、ナフチル、インダニル、インデニル、テトラヒドロナフチル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾピラニル、1,4−ベンゾジオキサニルなどを包含する。
【0039】
「ヘテロアリール」は、N、O、及びSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、各環が5ないし6原子を含有する単環又は二環式の芳香環を意味する。ヘテロアリールの「縮合類似体」は、単環式シクロアルキル又は単環式ヘテロシクリル基に縮合したヘテロアリール基を意味し、ここにおいて、結合点は芳香族部分にある。ヘテロアリールの例は、ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、フロ(2,3−b)ピリジル、キノリル、インドリル、イソキノリルなどを包含する。
【0040】
「ヘテロシクリル」は、N、S、及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する、芳香族ではない、単環又は二環式の飽和環、又は部分不飽和な単環式の環を意味し、前記環の各々は、3ないし10個の原子を有し、ここにおいて、結合点は炭素又は窒素であってもよい。ヘテロシクリルの「縮合類似体」は、アリール又はヘテロアリール基に縮合した単環式ヘテロ環を意味し、ここにおいて、結合点は非芳香族部分にある。「ヘテロシクリル」及びその縮合類似体の例は、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、2,3−ジヒドロフロ(2,3−b)ピリジル、ベンゾオキサジニル、テトラヒドロヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ジヒドロインドリルなどを包含する。この用語はまた、芳香族ではない部分不飽和単環式の環、例えば、窒素を介して結合した2−若しくは4−ピリドン、又はN−置換−(1H,3H)−ピリミジン−2,4−ジオン(N−置換ウラシル)も包含する。
【0041】
「ハロゲン」及び「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を包含する。
【0042】
「ハロアルキル」は、上記に定義されたアルキルであって、ここにおいて1個以上の水素原子が、これもまた上記に定義されたハロ原子によって置換されたアルキルを意味する。
【0043】
光学異性体−ジアステレオマー−幾何異性体−互変異性体
式Iの化合物は、1つ以上の不斉中心を有し、それ故に、ラセミ体及びラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオ混合物、及び個々のジアステレオマーとして生じ得る。本発明は、式Iの化合物の全てのかかる異性体型を包含するものとする。
【0044】
本明細書に記載されたある化合物は、オレフィン二重結合を含有しており、別に指定しない限り、E及びZ双方の幾何異性体を包含するものとする。
【0045】
本明細書に記載されたある化合物は、水素の結合点を異にして存在してもよく、互変異性体と呼ばれる。かかる例は、ケト−エノール互変異性体として知られる、ケトン及びそのエノール型であってもよい。個々の互変異性体、並びにその混合物は、式Iの化合物に包含される。
【0046】
式Iの化合物は、例えば分別結晶により、適当な溶媒、例えばMeOH若しくはEtOAc、又はそれらの混合物から、ジアステレオ異性体のエナンチオマーペアへ分離してもよい。そのようにして得たエナンチオマーペアは、通常の手段により、例えば光学活性アミンを分割剤として使用することによるか、又はキラルHPLCカラムにおいて、個々の立体異性体へ分離してもよい。
【0047】
別法として、一般式Iの化合物の任意のエナンチオマーを、既知の立体配置の光学的に純粋な出発物質、又は試薬を使用して、立体特異的に合成することより取得してもよい。

【0048】
用語「薬学的に許容され得る塩」は、無機又は有機塩基、及び無機又は有機酸を含む、薬学的に許容され得る非毒性の塩基又は酸から調製される塩を指す。無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン塩、第一マンガン塩、カリウム、ナトリウム、亜鉛などを包含する。特に好適であるのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、及びナトリウムの塩である。薬学的に許容され得る有機非毒性塩基から誘導される塩は、第一級、第二級、及び第三級アミンの塩;天然産置換アミンを含む置換アミンの塩;環状アミン、及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩を包含する。
【0049】
本発明化合物が塩基性である場合、塩は、無機及び有機酸を含む、薬学的に許容され得る非毒性の酸から調製してもよい。かかる酸は、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などを包含する。特に好適であるのは、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、及び酒石酸である。
【0050】
本明細書で用いる場合、式Iの化合物に対する言及はまた、薬学的に許容され得る塩も包むことを意味することが理解されよう。
【0051】
有用性
本発明化合物は、EP4受容体のアンタゴニストであり、それ故に、EP4受容体媒介性疾患の治療において有用である。
【0052】
EP4受容体に結合するその能力の観点から、本発明化合物は以下の疾患の治療において有用である。したがって、本発明化合物は、鎮痛剤として有用である。例えばそれらは、疾患の変形特性及び関節構造の維持を含む、慢性関節痛(例えば、関節リウマチ、変形性関節症、リウマチ性脊椎炎、痛風性関節炎、及び若年性関節炎);筋骨格痛;腰及び頸部疼痛;捻挫及び筋違い;神経因性疼痛;交感神経依存性疼痛;筋炎;癌及び線維筋肉痛に付随する疼痛;偏頭痛に付随する疼痛;インフルエンザ又は他のウイルス感染症、例えば感冒に付随する疼痛;リウマチ熱;機能性腸疾患、例えば、非潰瘍性消化不良、非心臓性胸痛、及び過敏性腸症候群に付随する疼痛;心筋虚血に付随する疼痛;術後疼痛;頭痛;歯痛;及び月経困難症の治療において有用である。
【0053】
本発明化合物は、神経因性疼痛の治療において有用である。神経因性疼痛症候群は、ニューロン損傷に続いて発生し得るものであり、結果として生じる疼痛は、元の損傷が治癒された後であっても、数か月又は数年間継続することがある。ニューロン損傷は、末梢神経、背根、脊髄、又は脳のある領域に生じるおそれがある。神経因性疼痛症候群は、伝統的に、それらを(25)引き起こした疾患又は事象に従って分類される。神経因性疼痛症候群は、糖尿病性神経障害;坐骨神経痛;非特異的腰痛;多発性硬化症性疼痛;線維筋痛症;HIV関連神経障害;ヘルペス後神経痛;三叉神経痛;及び物理的外傷、切断、癌、毒素、又は慢性炎症性症状からの結果として生じる疼痛を包含する。これらの症状は、治療が困難であり、いくつかの薬剤が限られた効能をもつことは知られているが、完全なペインコントロールが達成されることは稀である。神経因性疼痛の症状は、驚くほど雑多であり、しばしば、自発性の電撃及び穿刺痛、又は継続性の灼熱痛として記載される。さらに、正常な非疼痛性知覚、例えば「しびれ(ピンズ・アンド・ニードルズ)」(知覚異常及び感覚異常)、(35)接触に対する感度増加(知覚過敏)、無害な刺激後の疼痛性知覚(動的、静的、又は熱的異痛症)、有害な刺激に対する感度増加(熱性、寒冷、機械的痛覚過敏)、刺激除去後の継続的な痛覚(痛覚異常過敏)、又は、選択的感覚経路の不在又は欠損(痛覚鈍麻)に関連する疼痛がある。
【0054】
本発明化合物はまた、炎症の治療において、例えば、皮膚症状(例えば、日焼け、火傷、湿疹、皮膚炎、乾癬);眼性疾患、例えば緑内障、網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎、及び眼組織に対する急性損傷(例えば、結膜炎);肺疾患(例えば、喘息、気管支炎、肺気腫、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、愛鳥家病、農夫肺、COPD);胃腸管疾患(例えば、アフタ性潰瘍、クローン病、アトピー性胃炎、疣状胃炎、潰瘍性大腸炎、小児脂肪便症、限局性回腸炎、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、胃食道逆流症);臓器移植;炎症性の要素をもつ他の症状、例えば、血管疾患、偏頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、強皮症、重症筋無力症、多発性硬化症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット病、多発性筋炎、歯肉炎、心筋虚血、発熱、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、腱炎、滑液包炎、及びシューグレン症候群の治療においても有用である。
【0055】
本発明化合物はまた、免疫疾患、例えば自己免疫疾患、免疫不全症、又は臓器移植の治療においても有用である。本発明化合物はまた、HIV感染の潜伏期間を増すことにおいても有効である。
【0056】
本発明化合物はまた、血小板機能異常疾患(例えば、閉鎖性の血管症)の治療において有用である。
【0057】
本発明化合物はまた、利尿作用をもつ薬剤の調製にも有用である。
【0058】
本発明化合物はまた、インポテンス又は勃起障害の治療においても有用である。
【0059】
本発明化合物はまた、異常な骨代謝又は再吸収により特徴づけられる骨疾患、例えば、骨粗鬆症(特に閉経後骨粗鬆症)、高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、骨パジェット病、骨溶解、骨転移を伴うか伴わない悪性高カルシウム血症、関節リウマチ、歯周炎、変形性関節症、骨痛、骨減少症、癌悪液質、結石症(calculosis)、結石症(lithiasis)(特に尿路結石症)、固形癌、痛風及び強直性脊椎炎、腱炎及び滑液包炎の治療において有用である。さらなる側面においては、本発明化合物は、骨再吸収を阻害すること、及び/又は、骨生成を促進することにおいて有用であり得る。
【0060】
本発明はまた、NSAID及びCOX−2阻害剤の、血行力学的副作用の減弱にも有用である。
【0061】
本発明化合物はまた、心臓血管疾患、例えば、高血圧又は心筋虚血(myocardiac ischemia);機能性又は器質性の静脈不全;静脈瘤治療;痔;及び動脈圧の著しい低下に付随したショック状態(例えば、敗血症性ショック)の治療においても有用である。
【0062】
本発明化合物はまた、神経変性疾患及び神経変性、例えば、痴呆、特に変性性痴呆(老人性痴呆、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病及びクロイツフェルト−ヤコブ病、ALS、運動ニューロン疾患を含む);血管性痴呆(多発梗塞性痴呆を含む);並びに頭蓋内腔を占めている病変に付随した痴呆;外傷;感染及び関連症状(HIV感染を含む);代謝;毒素;無酸素症及びビタミン欠乏症;加齢に付随した軽度認知障害、特に加齢に伴う記憶障害の治療においても有用である。
式Iの化合物はまた、神経保護の処置において、及び脳卒中、心停止、肺バイパス、外傷性脳損傷、又は脊髄損傷などに続く、神経変性の治療においても有用である。
【0063】
本発明化合物はまた、耳鳴りの治療においても有用である。
【0064】
本発明化合物はまた、依存症誘発剤に対し、依存を予防若しくは低減することにおいて、又は、耐性若しくは逆耐性を予防若しくは低減することにおいても有用である。依存症誘発剤の例は、オピオイド(例えば、モルヒネ)、CNS抑制剤(例えば、エタノール)、神経刺激剤(例えば、コカイン)、及びニコチンを包含する。
【0065】
本発明化合物はまた、1型糖尿病の合併症(例えば、糖尿病性細小血管症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、黄班変性症、緑内障)、ネフローゼ症候群、再生不良性貧血、ブドウ膜炎、川崎病、及びサルコイドーシスの治療においても有用である。
【0066】
本発明化合物はまた、腎機能障害(腎炎、特にメサンギウム増殖性糸球体腎炎、腎炎症候群)、肝機能障害(肝炎、肝硬変)、胃腸機能不全(下痢)、及び結腸癌の治療においても有用である。
【0067】
本発明化合物はまた、新生物を、かかる治療又は予防を必要とする患者において、治療又は予防するのに有用である。用語「治療」は、新生物の増殖、拡散、又は転移の、部分的又は完全な阻害、並びに、新生細胞の部分的又は完全な破壊を包含する。用語「予防」は、リスクのある個体において、臨床的に顕性な新生物の開始を全体的に防止すること、又は新生物の前臨床的に顕性な段階の開始を防止することの、いずれかを包含する。またこの定義により包含されることを意図するのは、悪性細胞への開始を防止すること、又は、前癌細胞の悪性細胞への進行を停止又は逆転させることである。このことは、新生物の発症のリスクにある者の、予防的治療を包含する。用語、治療のための「患者」は、既知の新生物の任意の1つをもつ任意のヒト又は動物患者を包含し、好ましくはヒト患者である。予防法については、患者は任意のヒト又は動物患者であり、好ましくは、新生物を得るリスクにあるヒト患者である。患者は、発癌物質への暴露に起因するリスクにあってもよく、新生物をもつべく遺伝的に素因を与えられている、などでもよい。
【0068】
用語「新生物」は、良性及び癌性双方の、腫瘍(tumor、growth)及びポリープを包含する。したがって、本発明化合物は、扁平上皮乳頭腫、基底細胞腫、移行上皮乳頭腫、腺腫、ガストリノーマ、胆管細胞腺腫、肝細胞腺腫、尿細管腺腫、好酸性顆粒細胞腫、グロムス腫瘍、色素細胞母班、線維腫、粘液腫、脂肪腫、平滑筋腫、横紋筋腫、良性奇形腫、血管腫、骨腫、軟骨腫、及び髄膜腫を含む、良性の、腫瘍及びポリープを治療又は予防するために有用である。本発明化合物はまた、扁平上皮癌、基底細胞癌、移行上皮癌、腺癌、悪性ガストリノーマ、胆管細胞癌、肝細胞癌、腎細胞癌、悪性黒色腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、悪性奇形腫、血管肉腫、カポジ肉腫、リンパ管肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、悪性髄膜腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、及び白血病を含む、癌性の、腫瘍、腫瘍、及びポリープを治療又は予防するためにも有用である。本明細書では、「新生物」は、脳腫瘍、骨癌、上皮細胞由来の新生物(上皮癌)、基底細胞癌、腺癌、胃腸癌、例えば、口唇癌、口腔癌、食道癌、小腸癌及び胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頚癌、肺癌、乳癌及び皮膚癌、例えば扁平上皮細胞及び基底細胞癌、前立腺癌、腎細胞癌、及び、全身の上皮、間充織、又は血液細胞に影響を及ぼす他の既知の癌を包含する。本発明化合物は、任意の上記の癌の治療又は予防に有用である。本発明化合物は、以下の細胞タイプの、良性及び癌性の、腫瘍、腫瘍、及びポリープの治療又は予防に有用である;扁平上皮、基底細胞、移行上皮、腺上皮、G細胞、胆管上皮、肝細胞、細管上皮、メラノサイト、線維性結合組織、心臓骨格、脂肪組織、平滑筋、骨格筋、生殖細胞、血管、リンパ管、骨、軟骨、髄膜、リンパ球様細胞、及び造血細胞。本化合物は、家族性腺腫様ポリープ症(FAP)を含む、腺腫様ポリープをもつ患者の治療に使用してもよい。さらに、本化合物は、FAPのリスクにある患者において、ポリープの形成を防止するために使用してもよい。好ましくは、本発明化合物は、以下の癌の治療又は予防に有用である:結腸直腸、食道、胃、乳房、頭頸部、皮膚、肺、肝臓、胆嚢、膵臓、膀胱、子宮内膜、子宮頚部、前立腺、甲状腺、及び脳。
【0069】
治療について言及する場合、別に明確に指定しない限り、確立された症状の治療、及び予防的治療の双方を包含することが理解されるべきである。
【0070】
用量範囲
式Iの化合物の、予防用又は治療用の用量は、治療されるべき症状の性質及び重さにより、また使用される式Iの特定の化合物、及びその投与経路によって、もちろん異なるであろう。用量はまた、個々の患者の年齢、体重、及び応答によっても異なるであろう。一般に、日用量範囲は、単回用量又は分割用量で、哺乳動物のkg体重当たり、約0.001mgないし約100mg、好ましくは、kg当たり0.01mgないし約50mg、最も好ましくは、kg当たり0.1mgないし10mgの範囲内にある。一方、場合によっては、これらの範囲外の用量を使用することが必要であろう。
【0071】
静脈内投与用の組成物を用いる場合の使用には、適当な用量範囲は、式Iの化合物を、1日当たり、kg体重当たり、約0.01mgないし約25mg(好ましくは、0.1mgないし約10mg)である。
【0072】
経口用組成物を用いる場合では、適当な用量範囲は、式I又はIaの化合物を、例えば、1日当たり、kg体重当たり、約0.01mgないし約100mg、好ましくは、kg当たり約0.1mgないし約10mgである。
【0073】
舌下投与用組成物を用いる場合の使用には、適当な用量範囲は、式Iの化合物を、1日当たり、kg体重当たり、0.01mgないし約25mg(好ましくは、0.1mgないし約5mg)である。
【0074】
医薬組成物
本発明の別の側面は、式Iの化合物と、薬学的に許容され得る担体とを含んでなる医薬組成物を提供する。医薬組成物における場合、用語「組成物」は、活性成分と、担体を構成する不活性成分(薬学的に許容され得る賦形剤)とを含んでなる生成物、並びに、任意の2つ以上の成分の結合、錯化、又は会合から、或いは1つ以上の成分の解離から、或いは、1つ以上の成分の別のタイプの反応又は相互作用から、直接又は間接的に生じる結果となる任意の生成物を包含することを意図している。したがって、本発明の医薬組成物は、式Iの化合物、追加の活性成分、及び薬学的に許容され得る賦形剤を混合することにより製される任意の組成物を包含する。
【0075】
本発明化合物の有効な用量を、哺乳動物、特にヒトに対し提供するため、任意の適当な投与経路を使用してよい。例えば、経口、舌下、直腸内、局所、非経口、眼、経肺、経鼻などを使用してもよい。剤形は、錠剤、トローチ、分散物、懸濁物、溶液、カプセル、クリーム、軟膏、エアロゾルなどを包含する。
【0076】
本発明の医薬組成物は、活性成分として式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を含んでなり、また、薬学的に許容され得る担体及び、任意で他の治療成分を含有してもよい。用語「薬学的に許容され得る塩」は、無機塩基又は酸、及び有機塩基又は酸を含む、薬学的に許容され得る非毒性の塩基又は酸から調製される塩を指す。
【0077】
該組成物は、経口、舌下、直腸内、局所、非経口(皮下、筋肉内、及び静脈内を含む)、眼(点眼)、経肺(エアロゾル吸入)、又は経鼻投与に適した組成物を包含するが、いずれの所与の場合にも最適の経路は、治療される症状の性質及び重さと、活性成分の性質とに依存するであろう。それらは単位投与形態で便利に与えられてよく、かつ薬学の技術分野において周知の任意の方法により調剤される。
【0078】
吸入による投与には、本発明化合物は、加圧パック又はネブライザーからのエアロゾルスプレーの形態で便利に送達される。該化合物はまた、製剤し得る粉末として送達してもよく、粉末組成物を吸入粉末吸入器装置の助けにより吸入してもよい。吸入用の好ましい送達系は、フルオロカーボン又は炭化水素のような適当な噴射剤中に、式Iの化合物の懸濁物又は溶液として製剤してもよい定量噴霧吸入(MDI)エアロゾル、及び、追加の賦形剤を用いるか用いない式Iの化合物の乾燥粉末として製剤してもよい乾燥粉末吸入(DPI)エアロゾルである。
【0079】
式Iの化合物の適当な局所用製剤は、経皮装置、エアロゾル、クリーム、軟膏、ローション、散布剤などを包含する。
【0080】
実用使用においては、式Iの化合物は、通常の薬学の調合技術に従い、均質な混合剤中の活性成分として薬学的担体と混合することができる。該担体は、投与、例えば経口又は非経口(静脈内を含む)に所望される剤形に依存して、広く多様な形態をとることができる。経口投与形態の組成物の調製においては、任意の通常の薬学的媒体、例えば、懸濁液、エリキシル、及び溶液といった経口用液体製剤の場合には、例えば水、グリコール、油、アルコール、着香剤、保存剤、着色剤などを;或いは、例えば粉末、カプセル、及び錠剤といった経口用固形製剤の場合には、担体、例えばデンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などを使用してもよく、液体製剤よりも固形経口製剤の方が好ましい。その投与の容易さの故に、錠剤及びカプセルが、最も有利な経口用投与単位形態に相当し、この場合当然、固形の薬学的担体が使用される。所望であれば、錠剤を、標準的な水性又は非水性の技術によりコートしてもよい。
【0081】
上記に示した一般的な投与形態に加えて、式Iの化合物はまた、制御放出性の手段及び/又は送達装置、例えば、米国特許第3,845,770;3,916,899;3,536,809;3,598,123;3,630,200、及び4,008,719号に記載されたものにより投与してもよい。
【0082】
経口投与に適した本発明の医薬組成物は、個別の単位、例えば、各々が予め決められた量の活性成分を粉末又は顆粒として或いは、水性液体、非水性液体、水中油型エマルジョン、又は油中水型の液体エマルジョン中の溶液又は懸濁液として含有する、カプセル、カシェ剤、又は錠剤として提供され得る。かかる組成物は、任意の調剤法により製剤してよいが、全ての方法は、活性成分を1つ以上の必須の成分を構成する担体と組合せる工程を包含する。一般に、該組成物は、活性成分を、液体担体又は超微粒子固形担体、又は双方と、均一にかつ均質に混合すること、及び次に、必要であれば生成物を所望の形態に造形することにより調剤する。例えば、錠剤は、圧縮又は成形により、任意で1つ以上の副成分と共に製剤してもよい。圧縮錠剤は、粉末又は顆粒のような流動性の形態にある活性成分を、任意で結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、界面活性剤、又は分散剤と混合して、適当な機器において圧縮することにより製剤してもよい。成形錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末化された化合物の混合物を、適当な機器において成形することにより製してもよい。望ましくは、各錠剤は、約1mgないし約500mgの活性成分を含有し、そして各カシェ剤又はカプセルは、約1ないし約500mgの活性成分を含有する。
【0083】
併用療法
式Iの化合物は、式Iの化合物がそれに対し有用である疾患又は症状の、治療/予防/抑制又は改善において使用される、他の薬剤と組合せて使用してもよい。かかる他の薬剤は、それらが通常使用される経路及び量において、式Iの化合物と同時に、又は連続的に投与してもよい。式Iの化合物を、1つ以上の他の薬剤と同時に用いる場合、かかる他の薬剤を、式Iの化合物に加えて含有する医薬組成物が好ましい。したがって、本発明の医薬組成物は、式Iの化合物に加えて、1つ以上の他の活性成分も含有するものを包含する。別々か又は同じ医薬組成物中で投与される、式Iの化合物と組合せてもよい他の活性成分の例は、制限されることなく、COX−2阻害剤、例えばセレコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、バルデコキシブ、又はパレコキシブ;5−リポキシゲナーゼ阻害剤;NSAID、例えばジクロフェナク、インドメタシン、ナブメトン、又はイブプロフェン;ロイコトリエン受容体アンタゴニスト;DMARD、例えばメトトレキセート;アデノシンA1受容体アゴニスト;ナトリウムチャンネルブロッカー、例えばラモトリジン;NMDA受容体モジュレーター、例えばグリシン受容体アンタゴニスト;ガバペンチン及び関連化合物;三環系抗うつ剤、例えばアミトリプチリン;ニューロン安定化抗てんかん薬;モノアミン作動性取込み阻害剤、例えばベンラファキシン;オピオイド鎮痛薬;局所麻酔薬;5HTアゴニスト、例えばスマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、アルモトリプタン、又はリザトリプタンといった、トリプタン類;EP1受容体リガンド;EP2受容体リガンド;EP3受容体リガンド;EP1アンタゴニスト;EP2アンタゴニスト、及びEP3アンタゴニストを含む。該化合物を他の治療薬と組合せて使用する場合、該化合物は、任意の便利な経路により、連続的に、又は同時に投与してもよい。
【0084】
したがって、本発明は、さらなる側面において、式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る誘導体を、さらなる治療剤又は複数の治療剤と一緒に含んでなる組合せを提供する。
【0085】
上記に言及した組合せは、医薬製剤の形態での使用に向けて便利に与えられてよく、したがって、上記に定義した組合せを、薬学的に許容され得る担体又は賦形剤と一緒に含んでなる医薬製剤は、本発明のさらなる側面を構成する。かかる組合せの個々の成分は、別々か又は組合せた医薬製剤中で、連続的又は同時に投与してもよい。
【0086】
式Iの化合物の、第2の活性成分に対する重量比は、変更してもよく、また各成分の有効用量に依存するであろう。一般には、各々の有効用量が用いられるであろう。したがって、例えば、式Iの化合物をNSAIDと組合せる場合、NSAIDに対する式Iの化合物の重量比は、一般に約1000:1ないし約1:1000、好ましくは約200:1ないし約1:200の範囲であろう。式Iの化合物と、他の活性成分との組合せもまた、一般には上記の範囲内となるが、各々の場合に、各活性成分の有効用量を用いるべきである。
【0087】
生物活性を測定するためのアッセイ
式Iの化合物は、以下のアッセイを用いて試験して、インビトロ及びインビボにおけるそのプロスタノイドアンタゴニスト又はアゴニスト活性を、またその選択性を測定してもよい。示したプロスタグランジン受容体活性は、DP、EP、EP、EP、EP、FP、IP、及びTPである。
【0088】
ヒト胎児腎(HEK)293(ebna)細胞系におけるプロスタノイド受容体の安定な発現
完全長のコーディング配列に相当するプロスタノイド受容体cDNAを、哺乳動物発現ベクターの適当な部位へサブクローンし、そしてHEK293(ebna)細胞内へトランスフェクトする。個々のcDNAを発現しているHEK293(ebna)細胞を、選択下に増殖させ、2−3週間の増殖後に、クローニングリング法を用いて個々のクローンを単離し、続いてクローン細胞系へ拡張する。
【0089】
プロスタノイド受容体結合アッセイ
トランスフェクトしたHEK293(ebna)細胞を、培地中に維持し、収穫し、プロテアーゼ阻害剤の存在下に細胞を溶解した後、分画遠心分離により膜を調製して、受容体結合アッセイに使用する。プロスタノイド受容体結合アッセイ(DP1、DP2(CRTH2)、EP1、EP2、EP3−III、EP4、FP、IP、及びTPについて)は、1mM EDTA、2.5ないし30mM二価カチオン、及び適当な放射リガンドを含有する、10mM MES/KOH(pH6.0)(EP、FP、及びTP)、又は10mM HEPES/KOH(pH7.4)(DP及びIP)中で行なう。合成化合物は、ジメチルスルホキシド中で添加し、これを全てのインキュベーションにおいて1%(v/v)にて一定に維持する。反応は、膜タンパク質の添加により開始する。非特異結合は、10μMの対応する非放射性プロスタノイドの存在下に測定する。インキュベーションは、室温又は30℃において、60ないし120分間行ない、急速濾過により終了する。特異結合は、全結合から非特異結合を引き算することにより計算する。各リガンド濃度において残留した特異結合を計算し、S字状の濃度−反応曲線を構築するため、リガンド濃度の関数として表わす。化合物の結合親和性は、等式Ki=InPt/1+[放射リガンド]/Kd(ここで、Kdは、放射リガンド:受容体相互作用の平衡阻害定数であり、そしてInPtは、用量−反応曲線の変曲点である)から平衡阻害定数(Ki)を計算することにより判定する。
【0090】
実施例1ないし19を、EP4受容体に関する上記結合アッセイにおいて試験し、500nM未満のIC50を実証した。
【0091】
プロスタノイド受容体アゴニスト及びアンタゴニストアッセイ
HEK−293(ebna)−hEP4細胞における細胞内cAMP蓄積の刺激を測定する全細胞セカンドメッセンジャーアッセイを実施して、受容体リガンドがアゴニストであるか又はアンタゴニストであるかを測定する。細胞を収穫し、25mM HEPES、pH7.4を含有するHBSS中に再懸濁する。インキュベーションは、0.5mM IBMX(ホスホジエステラーゼ阻害剤、バイオモル(Biomol)より入手)を含有する。試料を37℃で10分間インキュベートし、反応を終了し、次にcAMPレベルを測定する。リガンドを、ジメチルスルホキシド中で添加し、これを全てのインキュベーションにおいて1%(v/v;アゴニスト)又は2%(v/v;アンタゴニスト)にて一定に維持する。アゴニストについては、セカンドメッセンジャー反応をリガンド濃度の関数として表わし、EC50値及び最大応答の双方を、PGE標準に比較して計算する。アンタゴニストについては、リガンドがアゴニスト応答を阻害する能力を、PGEアゴニストのそのEC70に相当する濃度での存在下に、用量−反応曲線を作成することにより測定する。IC50値は、PGE誘導活性の50%を阻害するのに必要なリガンドの濃度として計算する。
【0092】
EP4受容体アンタゴニストアッセイでは、実施例1ないし19の化合物は、1000nM未満のEC50値を示した。
【0093】
ラット足浮腫アッセイ
この方法は、チャン(Chan)ら著「ザ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー・アンド・エクスペリメンタル・セラピューティクス(J.Pharmacol.Exp.Ther.)」、1995年、第274巻、p.1531−1537)により記載されたものと同様である。
【0094】
ラットにおいてカラギーナンにより誘導される急性炎症性痛覚過敏
この方法は、ボイス(Boyce)ら著(「ニューロファーマコロジー(Neuropharmacology)」、1994年、第33巻、p.1609−1611)に記載されたものと同様である。
【0095】
ラットにおけるアジュバント誘発関節炎
雌のルイスラット(体重〜146ないし170g)を計量し、耳にマークを付し、群(関節炎を誘発しなかったネガティブコントロール群、ビヒクルコントロール群、1mg/kgの合計1日用量でインドメタシンを投与したポジティブコントロール群、及び0.001ないし10.0mg/kgの合計1日用量で試験化合物を投与した4つの群)に割り当て、各群内で体重が等しくなるようにする。各々が10匹のラットからなる6つの群に、0.1mLの軽油(アジュバント)中の5.0mgのマイコバクテリウム・ブチリカム(Mycobacterium butyricum)を後肢に注射し、ネガティブコントロール群のラット10匹には、アジュバントを注射しなかった。体重、対側の肢体積(水銀置換式プレチスモグラフィーにより測定)、及び側面X線像(ケタミン(Ketamine)及びキシラジン(Xylazine)麻酔下に取得)を、事前(1日目)及び、アジュバント注射後17ないし21日目に測定し、第1肢体積を、事前(1日目)及びアジュバント注射後の4及び17ないし21日目に測定する。ラットは、X線像及びアジュバント注射用に、0.03ないし0.1mLの、ケタミン(87mg/kg)及びキシラジン(13mg/kg)の組合せを筋内注射して麻酔する。X線像は、両後肢について、0日目及び17ないし21日目に、ファキシトロン(Faxitron)(45kVp、30秒間)及びコダック(Kodak)X−OMAT TLフィルムを用いて作成し、自動現像機で現像する。X線像を、実験処理について盲検化された研究者により、軟及び硬組織における変化について評価する。以下のX線像の変化を、重篤度によって数的に等級分けする:軟組織体積の増加(0−4)、関節窩の狭窄又は拡大(0−5)、軟骨下侵食(0−3)、骨膜反応(0−4)、骨溶解(0−4)、亜脱臼(0−3)、及び変性性関節変化(0−3)。特定の基準を用いて、各X線像の変化について、重篤度の数的等級を確立する。肢当たりの最大可能なスコアは、26であった。合計1日用量0.1、0.3、1、及び3mg/kg/日の試験化合物、1mg/kg/日の合計1日用量のインドメタシン、又はビヒクル(滅菌水中0.5%メトセル)を、1日2回経口投与し、アジュバントの注射後に開始して、17ないし21日まで続ける。化合物は毎週調製し、使用まで暗中で冷蔵し、投与直前にボルテックスで混合する。
【実施例】
【0096】
合成法及び実施例
【0097】
【化4】

【0098】
実施例1
2,6−ジクロロ−N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]ベンゼンスルホンアミド
【0099】
【化5】

【0100】
ジエチル=1,4−ジヒドロキシナフタレン−2,3−ジカルボキシラート(3)
EtOH(200mL)を固体ナトリウム(24g、1044mmol)に対し徐々に添加し、殆どのナトリウムが溶解するまで混合物を攪拌した。次にフタラート1(448g、2.02mol)を添加し、そして混合物を120℃に加熱した。次に、スクシナート2(88.0g、507mmol)を滴下漏斗から1.5時間にわたり添加し、次いで蒸留ヘッドを取り付け、EtOH(150mL)を収集しながらさらに90分間加熱を続けた。得られた懸濁固形混合物を、HO(700mL)及びベンゼン(700mL)中に溶解した。層を分離し、ベンゼン層をさらに0.5N NaOH水溶液(300mL)で抽出した。合わせた水性抽出物を酸性化し、そしてEtO(2x800mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNaSO上で乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮した。得られた油性の橙色の固体をEtOH(400mL)中に溶解し、濃HCl水溶液(10mL)を、続いて氷を添加した。得られた混合物を加熱し、そして冷却した。得られた固体を濾過により取り出し、そして冷水で洗浄した。固体をCHCl(500mL)中に溶解し、そして飽和食塩水(500mL)で洗浄した。有機抽出物をNaSO上で乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮して、30gの純粋なジフェノール3を得た(収率19.5%)。
【0101】
【化6】

【0102】
ジエチル=1,4−ジエトキシナフタレン−2,3−ジカルボキシラート(4)
DMF(197mL)中のジフェノール3(30g、99mmol)の溶液に対し、EtI(19.9mL、246mmol)及びKCO(30g、217mmol)を添加し、混合物を加熱して2時間還流した。混合物を次に室温に冷却し、HO(2.5L)に注入した。水性層を2つに分け、それぞれをEtO(2x750mL)で抽出した。合わせたエーテル抽出物をNaSO上で乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮した。得られた褐色の油を真空中で一晩乾燥させて、13.5gの純粋なジエーテルを淡褐色の固体として得た。上記からの分けられた2つの水性層をNaClで飽和させ、そして再度EtO(2x750mL)で抽出した。合わせたエーテル抽出物をNaSO上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮し、そしてヘプタンで共沸して(3x200mL)、追加の5.8gの純粋なジエーテル4を、より濃い褐色の固体として得た(収率54.3%)。
【0103】
【化7】

【0104】
ジエチル=1,4−ジヒドロキシナフタレン−2,3−ジカルボキシラート(5)
EtOH(100mL)中のジエステル4(19.3g、53.6mmol)の溶液に対し、NaOH溶液(16.1mL、10M、161mmol)及び水(33.5mL)を添加した。混合物をロータリーエバポレーター(rotovap)上で回転させながら、60℃で90分間加熱した。室温に冷却後、EtOHを真空中で除去し、混合物を1N HCl(300mL)で酸性化し、そしてEtOAc(3x300mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNaSO上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮して、純粋なジアシド5を褐色の固体として得て、これをさらなる精製なしで直接使用した。
【0105】
【化8】

【0106】
4,9−ジエトキシナフト[2,3−c]フラン−1,3−ジオン(6)
CHCl(134mL)中のジアシド5(16.3g、53.6mmol)の溶液に対し、SOCl(5.86mL、80.0mmol)を添加し、この混合物を加熱して一晩還流した。室温に冷却後、混合物を真空中で濃縮した。得られた油性固体をエーテル/ヘキサンで粉砕することにより、10.0gの純粋なアンヒドリドを淡褐色の固体として得た。濾液を濃縮して再度粉砕することにより、追加の1.3gのアンヒドリド6を、やや濃い褐色の固体として得た(収率73.7%)。
【0107】
【化9】

【0108】
メチル=4−(4,9−ジエトキシ−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンゾアート(8)
AcOH(500mL)中の、アンヒドリド6(15.2g、53.1mmol)及びアニリン7(13.2g、80.0mmol、1.5当量)の溶液を、加熱して1.5時間還流した。追加の1.7当量のアニリンを、3.5時間にわたって添加し、そして還流を一晩継続した。混合物を真空中で濃縮し、そしてフラッシュカラムクロマトグラフィー(80:20−60:40ヘキサン:EtOAc、直線勾配)で2回精製して、13.8gの純粋なスクシンアミド8を得た(収率55.6%)。
【0109】
【化10】

【0110】
メチル=4−(4,9−ジエトキシ−1−ヒドロキシ−3−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンゾアート(9a)
THF:MeOH(2:1)(450mL)中のスクシンアミド8(12.8g、29.5mmol)の溶液を、0℃に冷却し、そしてNaBH(1.7g、45mmol)を添加した。90分後、TLC分析は〜95%の変換を示し、そのため追加の〜200mgのNaBHを添加して、20分間攪拌を続けた。反応を、飽和NHCl(200mL)の添加によりクエンチし、そして有機溶媒を真空中で除去した。得られた残渣を、HO(200mL)で希釈し、そしてCHCl(2x500mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNaSO上で乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮した。得られたアミナール9a(黄色の泡沫)を、さらなる精製なしに直接使用した。
【0111】
【化11】

【0112】
メチル=4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンゾアート(9b)
前述の工程からのアミナール9a(12.9g、29.6mmol)を、TFA(296mL)中に溶解し、濃緑色の溶液の形成を得た。次にEtSiH(23.7mL、148mmol)を添加し、室温で10分間の攪拌後、色は橙色に退色した。混合物を真空中で濃縮し、次いでフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHClで負荷;80:20−60:40ヘキサン:EtOAc、直線勾配)により精製して、12.3gの純粋なラクタム9bを得た(収率99%)。
【0113】
【化12】

【0114】
4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチル安息香酸(10)
THF/MeOH(176mL:58.6mL)中のエステル9b(12.3g、29.3mmol)の溶液に対し、HO(58.6mL)を、次いでLiOH(2.46g、58.6mmol)を添加した。混合物を室温で2.5日間攪拌し、この時点でTLC分析は完全な変換を示した。有機溶媒を真空中で除去し、水性層を1N HCl水溶液(400mL)で酸性化した。水性層をEtOAc(3x500mL)で抽出し、合わせた有機抽出物をNaSO上で乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮して、12.0gの純粋な酸10を得た(収率100%)。
【0115】
【化13】

【0116】
4,9−ジエトキシ−2−[4−(ヒドロキシメチル)−2−メチルフェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[f]イソインドール−1−オン(11)
酸10(11.8g、29.1mmol)の溶液に対し、室温で、BH・DMS(13.8mL、146mmol)を滴下添加した。次に混合物を室温で4時間攪拌し、この時点でTLC分析は完全な変換を示した。過剰のBHをMeOHでクエンチし、そして混合物を真空中で濃縮した。得られた残渣を、MeOH(3x150mL)で希釈及び再濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHClで負荷;25:75−0:100ヘキサン:EtOAc)により精製して、8.4gの純粋なアルコール11を白色の泡沫として得た(収率73.7%)。
【0117】
【化14】

【0118】
4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル=メタンスルホナート(12a)
CHCl(86mL)中のアルコール11(8.4g、22mmol)の溶液を、0℃に冷却し、次いでEtN(5.98mL、42.9mmol)及びMsCl(2.51mL、32.2mmol)を添加した。この温度で2時間攪拌した後、TLC分析は、2種の化合物の混合物への完全な変換を示した。この混合物をEtOAc(700mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(400mL)及び飽和食塩水(400mL)で洗浄した。水性分画をさらにEtOAc(300mL)で抽出し、次いで合わせた有機抽出物をNaSO上で乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮した。この濃縮後、不溶性の物質が残留するため、混合物をCHCl(500mL)で再希釈し、そして飽和NaHCO水溶液(500mL)で洗浄した。水性層をさらにCHCl(200mL)で抽出し、そして合わせた有機抽出物をNaSO上で乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮した。メシラート12aを、さらなる精製なしに次の工程に使用した。
【0119】
【化15】

【0120】
[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルフェニル]アセトニトリル12b
DMF(100mL)中の、前述の工程で得た粗メシラート12a(10.1g、21.5mmol)の溶液に対し、NaCN(5.26g、107mmol)を添加した。混合物を一晩攪拌し、結果として橙色の(懸濁された固体入りの)溶液を形成した。この混合物をEtO(400mL)で希釈し、そしてHO:飽和食塩水(1:1)(3x400mL)で洗浄した。水性分画をさらにEtO(400mL)で抽出し、次いで合わせた有機抽出物をNaSO上で乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHClで負荷;60:40−50:50ヘキサン:EtOAc)により精製して、7.0gの純粋なニトリル12bを白色の固体として得た(収率81%)。
【0121】
【化16】

【0122】
2−{4−[(1−アミノシクロプロピル)メチル]−2−メチルフェニル}−4,9−ジエトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[f]イソインドール−1−オン(13)
室温の、THF(16.6mL)中のベンジルニトリル12b(500mg、1.25mmol)の溶液に対し、チタン(IV)イソプロポキシド(0.92mL、3.1mmol)を添加した。黄色の溶液を5分間攪拌し、続いて臭化エチルマグネシウム(1.67mL、4.99mmol、エーテル中3M溶液)を添加した。褐色の溶液を室温で1時間攪拌し、そしてBF・OEt(0.63mL、5.0mmol)を添加した。より濃い褐色の溶液を、室温で30分間攪拌し、1M NaOH(250mL)でクエンチし、そしてDCM(3x)で抽出した。NaSO上で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。アミン13(橙色の泡沫)を、粗生成物のまま次の反応に使用した。
【0123】
【化17】

【0124】
2,6−ジクロロ−N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]ベンゼンスルホンアミド(14)
DME(10mL)中の、粗シクロプロピルアミン13(538mg、1.25mmol)及びカルバメート17(559mg、1.87mmol)の溶液を、一晩還流した(90℃)。暗緑色の溶液を室温に冷却し、そして1M HClでクエンチした。EtOAc(3x)で抽出し、NaSO上で乾燥し、そして緑色の溶液を濃縮した。F−C(60%EtOAc/AcOHを加えたヘキサン、DCMで負荷)により精製して、明橙色の泡沫を得た、エーテルをスウィッシュして、所望の化合物14を無色の固体として得た(2工程で28.4%)。
H NMRδ(ppm)(アセトン):9.68(1H,bs),8.44(1H,d,J=8.42Hz),8.26(1H,d,J=8.41Hz),7.74−7.60(5H,m),7.37(1H,d,J=7.95Hz),7.17(1H,s),7.05(1H,d,J=8.07Hz),6.53(1H,s),5.02(2H,s),4.55(2H,q,J=7.01Hz),4.33(2H,q,J=7.00Hz),2.80(2H,s),2.28(3H,s),1.51(6H,td,J=7.00,2.05Hz),0.88−0.82(2H,s),0.77−0.71(2H,s).MS(+ESI):m/z682.1(M+1),684.0.
【0125】
【化18】

【0126】
2,6−ジクロロベンゼンスルホンアミド(16)
−78℃の、THF(100mL)中の1−ブロモ−2,6−ジクロロベンゼン15(21.2g、94.0mmol)の溶液に対し、n−BuLi(48.9mL、78.2mmol、ヘキサン中1.6M)を添加した。反応混合物を−78℃で2時間攪拌した。混合物中に二酸化イオウを15分間バブリングした。黄色の溶液を4℃で一晩攪拌し、この間に無色の沈澱を形成した。反応を室温に温め、ヘキサンを添加し、そしてスルフィン酸塩を濾過した。この塩を水(250mL)中に溶解し、そして酢酸ナトリウム(16.0g、196mmol)を添加した。溶液を10℃に冷却し、ヒドロキシルアミン−O−スルホン酸(11g、98mmol)を添加した。氷水浴を除去すると、数分以内に白色の生成物が沈澱した。反応液を3時間攪拌した。反応液をEtOAc(3x)で抽出し、合わせた有機層を5%NaHCOで洗浄した。NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して、スルホンアミド16を無色の固体として得た。粗生成物を次の反応に使用。
【0127】
【化19】

【0128】
エチル=[(2,6−ジクロロフェニル)スルホニル]カルバメート(17)
アセトン(130mL)中の、スルホンアミド16(14.5g、64.1mmol)及び炭酸カリウム(31.0g、224mmol)の不均質溶液に対し、エチルクロロホルメート(15.4mL、160mmol)を添加した。反応液を一晩還流した。1M HClでクエンチし、EtOAc(3x)で抽出した。NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して、18.8gのカルバメート17を淡黄色の固体として得た(収率98%)。
実施例1の方法に従って、表1の化合物を調製した。
【0129】
【表1】

【0130】
【表2】

【0131】
【表3】

【0132】
【表4】

【0133】
【表5】

【0134】
表2の化合物は、さらに本発明を例示する:
【0135】
【表6】

【0136】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
Xは、N及びCHからなる群より選択され;
及びRは、独立して、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、及びC1−6フルオロアルキルからなる群より選択され;
は、ハロゲン、C1−6アルキル、及びC1−6ハロアルキルからなる群より選択され;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、及びC3−6シクロアルキルからなる群より選択され;また、R及びR、又は、R及びRは、結合して、3員ないし6員の単環式シクロアルカン環を形成してもよく;
Arは、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルからなる群より選択されるか、又は、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルの縮合類似体であり;そして
各Yは、独立して、ハロ、メチル、エチル、メトキシ、CF、CFO−、及びヒドロキシからなる群より選択される]
の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
Arがフェニル又はナフチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Arがフェニルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
がメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
及びRが水素であり、かつ、R及びRが結合してシクロプロピル環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
XがNである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
XがCHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
式Ia:
【化2】

[式中、
Xは、N及びCHからなる群より選択され;
及びRは、同じであり、かつ、エチル、2,2,2−トリフルオロエチル、及びジフルオロメチルからなる群より選択され;そして
1又は2個のY基が存在し、かつ、各Yは、独立して、F、Cl、Br、メチル、エチル、メトキシ、CF、CFO−、及びヒドロキシからなる群より選択される]
である、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項9】
XがNである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
XがCHである、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
以下の群:
2,6−ジクロロ−N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]ベンゼンスルホンアミド;
N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]−4−メチルベンゼンスルホンアミド;
2−クロロ−N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]ベンゼンスルホンアミド;
N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]−2−メチルベンゼンスルホンアミド;
N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]−2−メトキシベンゼンスルホンアミド;
2−ブロモ−N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]ベンゼンスルホンアミド;
N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]−2,6−ジメトキシベンゼンスルホンアミド;
N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]−2−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド;
N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]ナフタレン−2−スルホンアミド;
N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]−2,6−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド;
N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]−2,6−ジメチルベンゼンスルホンアミド;
2,3−ジクロロ−N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]ベンゼンスルホンアミド;
N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]−4−フルオロベンゼンスルホンアミド;
N−[({1−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルベンジル]シクロプロピル}アミノ)カルボニル]−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼンスルホンアミド;
N−{[(2−{4−[4,9−ビス(ジフルオロメトキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−メチルフェニル}エチル)アミノ]カルボニル}−4−メチルベンゼンスルホンアミド;
2−クロロ−N−{[(1−{3−メチル−4−[6−オキソ−5,9−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6,8−ジヒドロ−7H−ピロロ[3,4g]キノリン−7イル]ベンジル}シクロプロピル)アミノ]カルボニル}ベンゼンスルホンアミド;
2−クロロ−N−[({2−[4−(4,9−ジエトキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)−3−メチルフェニル]−2,2−ジフルオロエチル}アミノ)カルボニル]ベンゼンスルホンアミド;
N−{[(1−{3−メチル−4−[6−オキソ−5,9−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6,8−ジヒドロ−7H−ピロロ[3,4−g]キノリン−7−イル]ベンジル}シクロプロピル)アミノ]カルボニル}ナフタレン−2−スルホンアミド;及び
2−メトキシ−4−メチル−N−{[(1−{3−メチル−4−[6−オキソ−5,9−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6,8−ジヒドロ−7H−ピロロ[3,4−g]キノリン−7−イル]ベンジル}シクロプロピル)アミノ]カルボニル}ベンゼンスルホンアミドから選択される、請求項1の化合物、又は上記化合物のいずれかの薬学的に許容され得る塩。
【請求項12】
2−クロロ−N−{[(1−{3−メチル−4−[6−オキソ−5,9−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6,8−ジヒドロ−7H−ピロロ[3,4g]キノリン−7−イル]ベンジル}シクロプロピル)アミノ]カルボニル}ベンゼンスルホンアミドの塩酸塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
請求項1に記載の化合物を、1つ以上の生理的に許容され得る担体又は賦形剤との混合物中に含んでなる医薬組成物。
【請求項14】
ヒト又は動物医薬における使用のための、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容され得る誘導体。
【請求項15】
EP4受容体におけるPGE2の作用により媒介される症状を患っているヒト又は動物患者を治療する方法であって、請求項1に記載の化合物の有効量を、該患者に投与することを含んでなる方法。
【請求項16】
EP4受容体におけるPGE2の作用により媒介される症状の治療用の治療薬製造のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項17】
急性又は慢性の疼痛、偏頭痛、変形性関節症、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、痛風、滑液包炎、強直性脊椎炎、原発性月経困難症、癌、又はアテローム性動脈硬化症を、治療を必要とする患者において治療するための方法であって、治療上有効な量の請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容され得る塩を該患者に投与することを含んでなる方法。

【公表番号】特表2010−522218(P2010−522218A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500035(P2010−500035)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【国際出願番号】PCT/CA2008/000561
【国際公開番号】WO2008/116304
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】