説明

EP4受容体リガンドとしてのインドリンアミド誘導体

本発明は、急性および慢性の疼痛、骨関節炎、リウマトイド関節炎、癌および緑内障のようなEP4介在疾患または状態の治療に有用なEP4受容体のリガンド、アンタゴニストまたはアゴニストとしてのインドリンアミド誘導体を目的とする。医薬組成物および使用方法も包含される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロスタグランジンE媒介疾患を治療する化合物および方法、ならびに、そのためのいくつかの医薬組成物に関する。本発明は、PGE2受容体のEP4サブタイプのリガンド、アンタゴニストまたはアゴニストである新規な化合物を目的とする。E型プロスタグランジンの疼痛作用および炎症作用のアンタゴニストである本発明の化合物は、NSAIDおよびアヘン剤とは構造的に異なっている。
【背景技術】
【0002】
3つの研究論文が、プロスタノイド受容体および最も頻用されている選択的アゴニストおよびアンタゴニストの性質決定および治療の関連性について記載している:Eicosanoids:From Biotechnology to Therapeutic Applications,Folco,Samuelsson,Maclouf and Velo eds,Plenum Press,New York,1996,chap.14,137−154;Journal of Lipid Mediators and Cell Signalling,1996,14,83−87;および、Prostaglandins and Other Lipid Mediators,2002,69,557−573。
【0003】
従って、選択的プロスタグランジンリガンド、アゴニストまたはアンタゴニストは、どのプロスタグランジンE受容体のサブタイプが考察されるかにより、慣用の非ステロイド系抗炎症薬と同様の抗炎症性、解熱性および鎮痛性を有しており、さらに、血管恒常性、生殖、胃腸機能および骨代謝に対する効果を有している。これらの化合物では、無差別シクロオキゲナーゼインヒビターであるNSAIDのメカニズムに基づく副作用のいくつかを誘発する能力が減少している。化合物は特に、胃腸毒性の低下可能性、腎副作用の減少可能性、出血時間の短縮効果、および、アスピリン感受性喘息患者の喘息発作誘発の減少可能性を示すと考えられる。
【0004】
The Journal of Clinical Investigation(2002,110,651−658)に収載された研究論文は、コラーゲン抗体注射によってマウスに誘発された慢性炎症が主としてPGE2受容体のEP4サブタイプによって媒介されることを示唆している。特許出願公開WO 96/06822(March 7,1996)、WO 96/11902(April 25,1996)およびEP 752421−A1(January 08,1997)は、化合物がプロスタグランジン媒介疾患の治療に有用であると開示している。
【0005】
本発明はPGE2受容体のEP4サブタイプのリガンド、アンタゴニストまたはアゴニストである新規な化合物を目的とする。従って化合物は、急性および慢性の疼痛、骨関節炎、リウマトイド関節炎、癌および緑内障のようなEP4受容体によって媒介される疾患または状態の治療に有用であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO 96/06822(March 7,1996)
【特許文献2】WO 96/11902(April 25,1996)
【特許文献3】EP 752421−A1(January 08,1997)
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Eicosanoids:From Biotechnology to Therapeutic Applications,Folco,Samuelsson,Maclouf and Velo eds,Plenum Press,New York,1996,chap.14
【非特許文献2】137−154;Journal of Lipid Mediators and Cell Signalling,1996,14,83−87;および、Prostaglandins and Other Lipid Mediators,2002,69,557−573
【非特許文献3】The Journal of Clinical Investigation(2002,110,651−658)
【発明の概要】
【0008】
本発明は、急性および慢性の疼痛、骨関節炎、リウマトイド関節炎、癌および緑内障のようなEP4受容体媒介疾患または状態の治療に有用なEP4受容体のリガンド、アンタゴニストまたはアゴニストとして作用するインドリンアミド誘導体を目的とする。
【0009】
本発明は式I
【0010】
【化1】

[式中、Xは−COOHまたはテトラゾール−5−イルであり、
A、BおよびCは、A、BまたはCの1つ以下がNであるという条件付きでN、CHおよびC(R)から選択され、
Dは−C(R)または−N(R)−であり、ここに、Rのおのおのは、水素、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、C1−4アルコキシ、C1−4フルオロアルコキシおよびアセチルから成るグループから独立に選択され、
ArおよびArは、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリル、または、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルの融合類似体から成るグループから独立に選択され、ここにArは場合により1から3個のR基で置換され、Arは場合により1から3個のR基で置換されており、
、RおよびRのおのおのは、ハロ、−CN、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、C1−4アルコキシ、C1−4フルオロアルコキシ、アセチル、アミノカルボニルおよびフェニルから成るグループから独立に選択されており、
およびRは、水素およびC1−4アルキルから成るグループから選択されるか、または、RおよびRはそれらが結合している原子と共にC3−6シクロアルキル基を形成し得る]の化合物属または医薬的に許容されるその塩を包含する。
【0011】
この属概念の範囲内で本発明は、RがメチルでありRが水素であるか、または、RおよびRはそれらが結合している原子と共にシクロプロピルを形成している式Iの化合物の亜属を包含する。
【0012】
この属概念の範囲内で本発明はまた、Arが、場合により1から3個のR基で置換されたフェニルである式Iの化合物の亜属を包含する。
【0013】
この属概念の範囲内で本発明はまた、Arが、場合により1から3個のR基で置換されたフェニルである式Iの化合物の亜属を包含する。
【0014】
この属概念の範囲内で本発明はまた、A、BおよびCの各々がCHおよびC(R)から独立に選択された式Iの化合物の亜属を包含する。
【0015】
この属概念の範囲内で本発明はまた、Xが−COOHである式Iの化合物の亜属を包含する。
【0016】
この属概念の範囲内で本発明はまた、式Ia
【0017】
【化2】

[式中、Rはハロ、−CN、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、C1−4アルコキシ、C1−4フルオロアルコキシ、アセチル、アミノカルボニルおよびフェニルから成るグループから選択される]
の化合物の亜属または医薬的に許容されるその塩を包含する。
【0018】
この亜属の範囲内で本発明は、少なくとも1個のR基が存在する式Iの化合物のクラスを包含する。
【0019】
本発明はまた、以下のグループから選択された化合物:
4−[(1S)−1−({[1−(3−クロロベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
4−[(1S)−1−({[1−(3−クロロベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
4−{(1S)−1−[({1−[4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル}カルボニル)アミノ]エチル}安息香酸;
4−[(1S)−1−({[1−(3−シアノベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
4−[(1S)−1−({[1−(4−シアノベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
4−[(1S)−1−({[1−(3−クロロ−4−ヨードベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
4−[(1S)−1−({[1−(4−ヨードベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
4−[(1S)−1−({[1−(3,5−ジブロモベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
4−{(1S)−1−[({1−[3−(アミノカルボニル)ベンジル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル}カルボニル)アミノ]エチル}安息香酸;
4−[(1S)−1−({[1−(3,4−ジクロロベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
4−{(1S)−1−[({1−[3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル}カルボニル)アミノ]エチル}安息香酸;
4−[(1S)−1−({[1−(ビフェニル−4−イルメチル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
4−[(1S)−1−({[1−(4−ブロモベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
4−{(1S)−1−[({1−[4−(アミノカルボニル)ベンジル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル}カルボニル)アミノ]エチル}安息香酸;
4−{(1S)−1−[({1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル}カルボニル)アミノ]エチル}安息香酸;
4−[(1S)−1−({[1−(2,5−ジクロロベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
4−[1−({[1−(3,4−ジクロロベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)シクロプロピル]安息香酸;
4−[(1S)−1−({[1−(2−ナフチルメチル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
1−(3,4−ジクロロベンジル)−N−{1−[4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル]シクロプロピル}インドリン−7−カルボキサミド;
4−{(1S)−1−[({1−[2−ブロモ−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル}カルボニル)アミノ]エチル}安息香酸;
4−{(1S)−1−[({1−[4−(クロロ)ベンジル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル}カルボニル)アミノ]エチル}安息香酸;
N−{(1S)−1−[4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル]エチル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]インドリン−7−カルボキサミド;および
4−{(1S)−1−[({5−クロロ−1−[4−(クロロ)ベンジル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル}カルボニル)アミノ]エチル}安息香酸、
または、上記のいずれかの医薬的に許容される塩を包含する。
【0020】
本発明はまた、生理学的に許容される1種以上の担体または賦形剤と混合された式Iの化合物を含む医薬組成物を包含する。
【0021】
本発明はまた、ヒト医薬または獣医薬として使用するための式Iの化合物または医薬的に許容されるその誘導体を包含する。
【0022】
本発明はまた、PGE2のEP4受容体の作用によって媒介される状態に苦しむヒトまたは動物対象の治療方法を包含する。方法は、有効量の式Iの化合物を対象に投与する段階を含む。
【0023】
本発明はまた、PGE2のEP4受容体の作用によって媒介される状態を治療する治療薬を製造するための式Iの化合物の使用を包含する。
【0024】
定義
“アルキル”ならびにアルコキシ、アルカノイルのような接頭辞“アルク”を有する他の基は、直鎖状、分枝状またはそれらが混在する炭素鎖を意味する。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−およびtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどを含む。
【0025】
“フルオロアルキル”は、1つ以上の水素原子がフッ素原子によって置換された上記に定義のアルキルを意味する。
【0026】
“アルケニル”は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有し直鎖状または分枝状またはそれらが混在する炭素鎖を意味する。アルケニルの例は、ビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニルなどを含む。
【0027】
“アルキニル”は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有し直鎖状または分枝状またはそれらが混在する炭素鎖を意味する。アルキニルの例は、エチニル、プロパルギル、3−メチル−1−ペンチニル、2−ヘプチニルなどを含む。
【0028】
シクロアルキル”は、おのおのが3から10個の炭素原子を有している単環式または二環式の飽和炭素環を意味する。シクロアルキルの“融合類似体”は、アリールまたはヘテロアリール基に融合した単環式環を意味しており、その付着点は非芳香族部分に存在する。シクロアルキルおよびその融合類似体の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロナフチル、デカヒドロナフチル、インダニルなどを含む。
【0029】
“アルコキシ”は、指定された数の炭素原子を有している直鎖状または分枝状のアルコキシ基を意味する。例えばC1−6アルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどを含む。
【0030】
“シクロアルコキシ”は、酸素原子に結合した上記に定義のシクロアルキルを意味し、例えばシクロプロピルオキシである。
【0031】
“フルオロアルコキシ”は、1つ以上の水素原子がフッ素原子によって置換された上記に定義のアルコキシを意味する。
【0032】
“アリール”は、炭素原子だけを含有する単環式または二環式芳香環を意味する。アリールの“融合類似体”は、単環式シクロアルキルまたは単環式ヘテロシクリル基に融合したアリール基を意味しており、その付着点は芳香族部分に存在する。アリールおよびその融合類似体の例は、フェニル、ナフチル、インダニル、インデニル、テトラヒドロナフチル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾピラニル、1,4−ベンゾジオキサニルなどを含む。
【0033】
“ヘテロアリール”は、N、OおよびSから選択された少なくとも1つのヘテロ原子を含有し各環が5から6個の原子を含有する単環式または二環式の芳香環を意味する。ヘテロアリールの“融合類似体”は、単環式シクロアルキルまたは単環式ヘテロシクリル基に融合したヘテロアリール基を意味しており、その付着点は芳香族部分に存在する。ヘテロアリールの例は、ピロリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、フロ(2,3−b)ピリジル、キノリル、インドリル、イソキノリルなどを含む。
【0034】
“ヘテロシクリル”は、N、SおよびOから選択された少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、各環が3から10個の炭素原子を有している単環式または二環式の飽和環を意味する。付着点は炭素または窒素でよい。ヘテロシクリルの“融合類似体”は、アリールまたはヘテロアリール基に融合し付着点が非芳香族部分に存在する単環式複素環を意味する。“ヘテロシクリル”およびその融合類似体の例は、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、2,3−ジヒドロフロ(2,3−b)ピリジル、ベンズオキサジニル、テトラヒドロヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ジヒドロインドリルなどを含む。この用語はまた、芳香族でない部分不飽和単環式環、例えば窒素を介して付着した2−もしくは4−ピリドンまたはN−置換−(1H,3H)−ピリミジン−2,4−ジオン(N−置換ウラシル)を含む。
【0035】
“ハロゲン”および“ハロ”はフッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む。
【0036】
光学異性体−ジアステレオマー−幾何異性体−互変異性体
式Iの化合物は1つ以上の非対称中心を含有しており、従って、ラセミ体、ラセミ混合物、単一鏡像異性体、ジアステレオマー混合物および個別のジアステレオマーとして存在できる。本発明は式Iの化合物のこのような異性体形態のすべてを含意する。
【0037】
この文中に記載の化合物のあるものはオレフィン系二重結合を含有し、他に特に規定がなければEおよびZ幾何異性体を含意する。
【0038】
この文中に記載の化合物のあるものは異なる水素付着点を有しており、互変異性体と呼ばれる。このような例は、ケト−エノール互変異性体として知られるケトンとそのエノール形であろう。個々の互変異性体およびそれらの混合物は式Iの化合物に包含される。
【0039】
式Iの化合物は、例えば、MeOHまたはEtOAcまたはそれらの混合物のような適当な溶媒から分別結晶化によってジアステレオ異性的鏡像異性体対に分割され得る。このようにして得られた鏡像異性体対は、慣用の手段、例えば、分離剤として光学活性アミンを使用するかまたはキラルHPLCカラムを使用することによって個別の立体異性体に分割され得る。
【0040】
あるいは、光学的に純粋な出発材料または既知の立体配置の試薬を使用する立体特異的合成によって一般式Iの化合物のいずれかの鏡像異性体を得ることもできる。
【0041】

“医薬的に許容される塩”という用語は、無機または有機の塩基および無機または有機の酸を含む医薬的に許容される無毒性塩基または酸から製造される塩を表す。無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩を含む。アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウムの塩が特に好ましい。医薬的に許容される無毒性有機塩基から誘導される塩は、第一級、第二級および第三級アミン、天然産生置換アミンを含む置換アミン、環状アミンの塩、ならびに、イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチル−アミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどを含む。
【0042】
本発明の化合物が塩基性のとき、塩は無機および有機の酸を含む医薬的に許容される無毒性酸から製造され得る。このような酸は、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコ酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などを含む。クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸が特に好ましい。
【0043】
この文中に使用した式Iの化合物という表現は医薬的に許容されるそれらの塩も含意することは理解されよう。
【0044】
効用
本発明の化合物は、EP4受容体のリガンドであり、従ってEP4受容体のアンタゴニストまたはアゴニストとして有用であり、この受容体によって媒介される疾患または状態の治療という効用を有している。
【0045】
EP4受容体への結合能に基づき、本発明の化合物は、化合物がアンタゴニストであるかアゴニストであるかに従って以下の障害の1つ以上を治療するために有用である。
【0046】
PGE2受容体のEP4サブタイプのアンタゴニストである本発明の化合物は、急性および慢性の疼痛、骨関節炎、リウマトイド関節炎および癌のような疾患または状態の治療に有用である。
【0047】
本発明の化合物は、鎮痛薬として有用である。例えば化合物は、病的変形および関節構造保持性を含む慢性関節痛(例えば、リウマトイド関節炎、骨関節炎、リウマトイド脊椎炎、痛風性関節炎および若年性関節炎);筋骨格痛;背下部および頸部痛;捻挫および挫傷;神経障害性疼痛;交感神経性持続痛;筋炎;癌および線維筋痛症に付随する疼痛;偏頭痛に付随する疼痛;インフルエンザまたは他のウイルス感染症たとえば感冒に付随する疼痛;リウマチ熱;機能性腸疾患例えば非潰瘍性消化不良、非心臓性胸痛および炎症性腸症候群に付随する疼痛;心筋虚血に付随する疼痛;術後痛;頭痛;歯痛;および月経困難症の治療に有用である。
【0048】
本発明の化合物は、神経障害性疼痛の治療に有用である。神経障害性疼痛症候群は、ニューロンの傷害後に発症し、原因傷害の治癒後に疼痛が数ヶ月または数年間持続することもある。ニューロンの傷害は、末梢神経、脊髄神経後根、脊髄および脳のいくつかの領域で生じ得る。神経障害性疼痛症候群は伝統的に、それらを急発させた疾患または事象に従って分類されている。神経障害性疼痛症候群は、糖尿病性神経障害;坐骨神経痛;非特異的背下部痛;多発性硬化症痛;線維筋痛症;HIV関連神経障害;ヘルペス後神経痛;三叉神経痛;および、身体的外傷、切断、癌、毒素または慢性炎症状態に起因する疼痛を含む。これらの状態は治療が難しく、いくつかの薬剤は薬効が限られていることが判っており、疼痛の完全な制御が成し遂げられることはめったにない。神経障害性疼痛の症状は驚くほど多様であり、しばしば、特発性電撃痛および刺痛、または、持続性灼熱痛と記述される。さらに、正常では無痛の感覚に付随する疼痛、例えば、“ピン・アンド・ニードル”(異常知覚および知覚不全)、触覚過敏(知覚過敏症)、無害刺激後の疼痛感覚(動的、静的または熱的異疼痛)、有害刺激に対する過敏(熱刺激、寒冷刺激、機械的刺激に対する痛覚過敏症)、刺激除去後の疼痛感覚持続(痛覚過敏)、または、選択的感覚伝導路の欠如または欠損(痛覚鈍麻)が存在する。
【0049】
本発明の化合物はまた、炎症の治療、例えば、皮膚状態(日焼け、火傷、湿疹、皮膚炎、乾癬など);眼科疾患、例えば、緑内障、網膜炎、網膜障害、ぶどう膜炎および眼組織の急性傷害(結膜炎など);肺疾患(例えば、喘息、気管支炎、肺気腫、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、鳩飼育者病、農夫肺、CORD);胃腸管障害(例えば、アフタ性潰瘍、クローン病、アトピー性胃炎、変異形胃炎、潰瘍性大腸炎、腹腔疾患、限局性回腸炎、炎症性腸症候群、炎症性腸疾患、胃腸逆流症);臓器移植;炎症成分を伴う他の状態、例えば、血管疾患、偏頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不能性貧血、ホジキン病、強皮症、重症筋無力症、多発性硬化症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、心筋虚血、発熱、全身性ループスエリテマトーデス、多発性筋炎、腱炎、滑液嚢炎およびシェーグレン症候群の治療に有用である。
【0050】
本発明の化合物はまた、自己免疫疾患、免疫不全疾患または臓器移植のような免疫疾患の治療に有用である。本発明の化合物はまた、HIV感染の潜伏期間延長に有効である。
【0051】
本発明の化合物はまた、異常血小板機能疾患(例えば閉塞性血管疾患)の治療に有用である。
【0052】
本発明の化合物はまた、利尿作用薬の調製に有用である。
【0053】
本発明の化合物はまた、性交不能または勃起機能不全の治療に有用である。
【0054】
本発明の化合物はまた、異常な骨代謝または吸収を特徴とする骨疾患、例えば、骨粗鬆症(特に、閉経後骨粗鬆症)、高カルシウム血症、上皮小体機能亢進症、ページェット骨疾患、骨溶解、骨転移のあるまたは骨転移のない悪性疾患の高カルシウム血症、リウマトイド関節炎、歯周炎、骨関節炎、骨痛、骨減少症、癌カテキシー、結石症、結石症(特に尿結石症)、固形癌腫、痛風および強直性脊椎炎、腱炎および滑液嚢炎の治療に有用である。別の見地では本発明の化合物は骨吸収の阻害および/または骨形成の促進に有用である。
【0055】
本発明の化合物はまた、NSAIDおよびCOX−2インヒビターの血行動態的副作用を減弱するために有用である。
【0056】
本発明の化合物はまた、心血管疾患、例えば、高血圧または心筋虚血;機能性または器官性静脈不全;静脈瘤治療;痔核;および顕著な動脈圧降下に付随するショック状態(例えば敗血症ショック)の治療に有用である。
【0057】
本発明の化合物はまた、神経変性疾患および神経変性、例えば、認知症特に退行性認知症(老人性認知症、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病およびクロイツフェルト・ヤコブ病、ALS、運動ニューロン疾患を含む);血管性認知症(多発梗塞性認知症を含む);ならびに、頭蓋内空間占拠病変に付随する認知症;外傷;感染症および関連状態(HIV感染を含む);代謝;毒素;低酸素症およびビタミン欠乏;および加齢に付随する緩慢な認識低下特に加齢関連記憶低下の治療に有用である。
【0058】
式Iの化合物はまた、神経保護処置に有用であり、また、卒中、心拍停止、肺バイパス、外傷性脳傷害、脊椎傷害などの後の神経変性の治療に有用である。本発明の化合物はまた卒中および多発性硬化症の治療に有用である。
【0059】
本発明の化合物はまた耳鳴の治療に有用である。
【0060】
本発明の化合物はまた、依存誘発物質に対する依存の防止もしくは抑制、または、依存誘発物質に対する耐性もしくは逆耐性の防止もしくは抑制に有用である。依存誘発物質の例は、オピオイド(例えばモルヒネ)、CNS抑制薬(例えばエタノール)、精神刺激剤(例えばコカイン)およびニコチンを含む。
【0061】
本発明の化合物はまた、1型糖尿病の合併症(例えば、糖尿病性細小血管症、糖尿病性網膜障害、糖尿病性腎障害、黄斑変性、緑内障)、ネフローゼ症候群、再生不能性貧血、ぶどう膜炎、川崎病およびサルコイドーシスの治療に有用である。
【0062】
本発明の化合物はまた、腎機能不全(腎炎、特にメサンギウム増殖性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群)、肝機能不全(肝炎、肝硬変)、胃腸機能不全(下痢)および結腸癌の治療に有用である。
【0063】
本発明の化合物はまた、該当する治療または予防を要する対象患者の新生物の治療または予防に有用である。“治療”という用語は、新生物の成長、散開または転移の部分的または全面的阻止、新生物細胞の部分的または全面的駆除、および/または、疼痛、食欲不振もしくは体重減少を含む新生物付随症状の部分的または全面的解消を含む。この用語はまた、他の化学療法剤に対する増感剤としての化合物の使用を含む。“予防”という用語は、臨床的に明らかな新生物の発生の完全な予防または危険性のある個体の症状発現前段階の新生物の発生の予防を含む。悪性細胞のイニシエーションの防止または前癌性細胞から悪性細胞への進行の停止もしくは逆行もこの定義に包含させる。これは、新生物を発症する危険性のある人々の予防的処置を含む。治療の“対象”という用語は、既知の新生物のいずれかを有しているヒトまたは哺乳類を含み、好ましくはヒトである。予防方法の場合、対象はヒトまたは動物であり、好ましくは新生物が生じる危険性のあるヒトである。新生物などが生じやすい遺伝体質をもつ対象は発癌性物質に接触することによって危険に陥る。
【0064】
“新生物”という用語は、良性および癌性双方の腫瘍、異常増殖およびポリープを含む。従って、本発明の化合物は良性の腫瘍、異常増殖およびポリープ、例えば、扁平上皮細胞乳頭腫、基底細胞腫瘍、移行細胞乳頭腫、腺腫、ガストリノーマ、胆管細胞腺腫、肝細胞腺腫、腎管状腺腫、膨大細胞腫、グロムス腫瘍、メラノサイト母斑、線維腫、粘液腫、脂肪腫、平滑筋腫、横紋筋腫、良性奇形腫、血管腫、骨腫、軟骨腫および髄膜腫の治療または予防に有用である。本発明の化合物はまた、癌性の腫瘍、異常増殖およびポリープ、例えば、扁平上皮癌腫、基底細胞癌腫、移行細胞癌腫、腺癌腫、悪性ガストリノーマ、胆管細胞癌腫、肝細胞癌腫、腎細胞癌腫、悪性黒色腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、悪性奇形腫、血管肉腫、カポジ肉腫、リンパ管肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、悪性髄膜腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫および白血病の治療または予防に有用である。本明細書において、“新生物”は、脳癌、骨癌、上皮細胞由来新生物(上皮癌腫)、基底細胞癌腫、腺癌腫、ならびに、口唇癌、口腔癌、食道癌、小腸癌および胃癌のような胃腸癌、結腸癌、直腸癌、肝癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頚癌、肺癌、乳癌、ならびに、扁平上皮細胞癌および基底細胞癌のような皮膚癌、前立腺癌、腎細胞癌腫を含み、また、全身の上皮、間葉または血液細胞を冒す他の既知の癌を含む。本発明の化合物は、上記癌のいずれかの治療または予防に有用である。本発明の化合物は、以下の種類の細胞の良性および癌性の腫瘍、異常増殖およびポリープの治療または予防に有用である:扁平上皮、基底細胞、移行上皮、腺上皮、G細胞、胆汁管上皮、肝細胞、細管上皮、メラノサイト、線維性結合組織、心骨格、脂肪組織、平滑筋、骨格筋、生殖細胞、血管、リンパ管、骨、軟骨、髄膜、リンホイド細胞および造血細胞。化合物は、家族性腺腫様ポリープ(FAP)を含む腺腫様ポリープのある患者を治療するために使用できる。化合物はさらに、FAPの危険がある患者のポリープ形成を防止するために使用できる。好ましくは本発明の化合物が以下の癌の治療または予防に使用される:結腸直腸、食道、胃、乳房、頭頚、皮膚、肺、肝、胆嚢、膵臓、膀胱、子宮内膜頚、前立腺、甲状腺および脳。
【0065】
特に明記されていない限り、治療という表現は確定された症状の治療および予防的処置の双方を含むと理解される。
【0066】
本発明のEP4アゴニストは、眼内高血圧、緑内障、黄斑浮腫、黄斑変性を治療するため、網膜および視神経の頭部血液速度を増加するため、網膜および視神経の酸素圧を増加するため、神経保護効果を与えるため、ならびに、2つ以上のこのような効果を得るために有用である。本発明のEP4アゴニストはまた、骨粗鬆症、グルココルチコイド誘発骨粗鬆症、ページェット病、骨代謝回転の異常亢進、歯周病、歯の喪失、骨折、リウマトイド関節炎、プロテーゼ周囲骨溶解、骨形成不全、転移性骨疾患、悪性高カルシウム血症および多発性骨髄腫を非限定的に含む骨吸収異常に関連した病状および状態を治療するために有用である。
【0067】
用量範囲
式Iの化合物の予防的または治療的用量の大きさはもちろん、治療されるべき状態の性質および重篤度、使用される特定の式Iの化合物およびその投与経路に伴って変更されるであろう。用量はまた、個々の患者の年齢、体重および応答に従って変更されるであろう。一般的に1日の用量範囲は、哺乳動物の体重に対して約0.001mgから約100mg/kg、好ましくは0.01mgから約50mg/kg、最も好ましくは0.1から10mg/kg以内であり、この量を一回で投与するかまたは分割量ずつ投与する。また、いくつかの場合にはこれらの範囲外の投与量を使用することが必要であろう。
【0068】
静脈内投与組成物を使用する場合、式Iの化合物の適正投与量範囲は1日に体重1kgあたり約0.01mgから約25mg(好ましくは0.1mgから約10mg)である。
【0069】
経口組成物を使用する場合、式Iの化合物の適正投与量範囲は1日に体重1kgあたり約0.01mgから約100mg(好ましくは0.1mgから約10mg)である。
【0070】
舌下投与組成物を使用する場合、式Iの化合物の適正投与量範囲は1日に体重1kgあたり約0.01mgから約25mg(好ましくは0.1mgから約5mg)である。
【0071】
医薬組成物
本発明の別の目的は、式Iの化合物と医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供することである。医薬組成物中の“組成物”という用語は、担体を構成する(1種以上の)活性成分および(1種以上の)不活性成分(医薬的に許容される賦形剤)を含む生成物、ならびに、2種以上の成分のいずれかの組合せ、錯化もしくは凝集から、1種以上の成分の解離から、または、1種以上の成分の他のタイプの反応もしくは相互作用から直接または間接に得られる生成物を含意する。従って、本発明の医薬組成物は、式Iの化合物、(1種以上の)追加有効成分および医薬的に許容される賦形剤を混合することによって調製されたいかなる組成物も包含する。
【0072】
本発明の化合物を有効投与量で哺乳動物特にヒトに与えるためにいずれかの適当な投与経路を使用し得る。例えば、経口、舌下、直腸内、外用、非経口、眼内、肺内、鼻腔内などを使用し得る。剤形は、錠剤、トローチ剤、分散液、懸濁液、溶液、カプセル、クリーム、軟膏、エアゾールなどを含む。
【0073】
本発明の医薬組成物は、有効成分としてまたは医薬的に許容されるその塩として式Iの化合物を含み、また、医薬的に許容される担体および場合により他の治療用成分を含有し得る。“医薬的に許容される塩”という用語は、無機塩基または酸および有機塩基または酸を含む医薬的に許容される無毒性塩基または酸から製造された塩を表す。
【0074】
組成物は、経口、舌下、直腸内、外用、非経口(皮下、筋肉内および静脈内を含む)、眼内(点眼)、肺内(エアゾール吸入)、鼻腔内投与に適した組成物を含むが、所与の症例に最適の経路は治療される状態の性質および重篤度ならびに有効成分の性質に依存する。組成物は単位剤形で提供されるのが便利であり、製薬業界で公知の方法のいずれかによって調製され得る。
【0075】
吸入投与のためには、本発明の化合物が加圧パックまたはネブライザーからエアゾール噴霧の形態で送達されるのが便利である。化合物はまた、配合可能な粉末として送達されてもよく、粉末組成物はガス注入粉末吸入装置を用いて吸入され得る。好ましい吸入送達システムは、フルオロカーボンまたは炭化水素のような適当な噴射剤中の式Iの化合物の懸濁液または溶液として配合され得る定量噴霧式吸入(MDI)エアゾール、および、追加の賦形剤使用または不使用で式Iの化合物の乾燥粉末として配合され得るドライパウダー吸入(DPI)エアゾールである。
【0076】
式Iの化合物の適当な外用配合物は、経皮デバイス、エアゾール、クリーム、軟膏、飛散性散剤などを含む。
【0077】
実用化のためには、有効成分となる式Iの化合物は慣用の医薬配合技術により、医薬担体と有効成分として緊密混合する。担体は、例えば経口または非経口(静脈内を含む)のような投与により所望の製剤形態次第で多様な形態を有し得る。経口剤形の組成物を調製するとき、例えば懸濁液剤、エリキシル剤および溶液剤のような経口液体製剤の場合には例えば、水、グリコール、油、アルコール、着香料、保存料、着色料などのような常用の医薬媒体のいずれかを使用し、例えば、散剤、カプセル剤および錠剤のような経口固体製剤の場合にはデンプン、糖、微晶質セルローズ、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような担体を使用し得る。液体製剤よりも固体経口製剤のほうが好ましい。投与し易いという理由から錠剤およびカプセル剤は、明らかに固体医薬担体が使用されている最も有利な経口投与単位形態の代表である。所望の場合、水性または非水性の標準技術によって錠剤に剤皮をかけてもよい。
【0078】
上記に挙げた常用の剤形に加え、式Iの化合物は、U.S.特許3,845,770;3,916,899;3,536,809;3,598,123;3,630,200および4,008,719に記載されているような調節放出手段および/または送達装置によって投与され得る。
【0079】
経口投与に適した本発明の医薬組成物は、カプセル、カシェ剤または錠剤のような所定量の有効成分をおのおのが含有している個別単位として、粉末もしくは顆粒として、あるいは、水性液体、非水性液体、水中油型エマルションまたは油中水型液体エマルション中の溶液もしくは懸濁液として提供される。このような組成物は、製薬方法のいずれかによって調製できるが、すべての方法が1種以上の必要成分を構成する担体に有効成分を会合させる段階を含む。一般的に組成物は、有効成分を液体担体または微粉砕固体担体または双方と均一および緊密に混合し、次いで必要があれば生成物を所望の形態に造形することによって調製される。例えば錠剤は、場合によっては1種以上の補助成分と共に圧縮または成形することによって調製し得る。圧縮錠剤は、粉末または顆粒のような自由流動形態の有効成分を場合により結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、界面活性剤または分散剤と混合して適当な機械で圧縮することによって調製し得る。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿潤させた粉末状化合物の混合物を適当な機械で成形することによって調製し得る。望ましくは各錠剤が約1mgから約500mgの有効成分を含有し、各カシェ剤またはカプセルが約1から約500mgの有効成分を含有する。
【0080】
併用療法
式Iの化合物は、式Iの化合物が有用な疾患または状態の治療/予防/抑制または軽減に使用される他の薬剤と組合せて使用され得る。このような他の薬剤はそれらの常用の経路および量で、式Iの化合物と同時にまたは順次に投与され得る。式Iの化合物を1種以上の他の薬剤と同時に使用するときには、式Iの化合物に加えてこのような他の薬剤を含有する医薬組成物が好ましい。従って、本発明の医薬組成物は、式Iの化合物に加えて1種以上の他の有効成分も含有する医薬組成物を含む。個別投与によってまたは合一医薬組成物として式Iの化合物と併用できる他の有効成分の例は、COX−2インヒビター、例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、バルデコキシブまたはパレコキシブ;5−リポキシゲナーゼインヒビター;NSAID類、例えば、ジクロフェナク、インドメタシン、ナブメトンまたはイブプロフェン;ロイコトリエン受容体アンタゴニスト;DMARD類、例えば、メトトレキセート;アデノシンA1受容体アゴニスト;ナトリウムチャンネルブロッカー、例えば、ラモトリジン;NMDA受容体モジュレーター、例えば、グリシン受容体アンタゴニスト;ギャバペンチンおよび近縁化合物;三環系抗鬱薬、例えば、アミトリプチリン;ニューロン安定性抗癲癇薬;モノ−アミネルジック吸収阻害薬、例えば、ベンラファキシン;オピオイド鎮痛薬;局部麻酔薬;5HTアゴニスト、例えば、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、アルモトリプタンまたはリザトリプタンなどのトリプタン類;EP1受容体リガンド;EP2受容体リガンド;EP3受容体リガンド;EP1アンタゴニスト;EP2アンタゴニストおよびEP3アンタゴニストを非限定的に含む。化合物を他の治療薬と併用するとき、化合物は慣用の経路のいずれかによって順次にまたは同時に投与し得る。
【0081】
従って別の目的において本発明は、式Iの化合物または医薬的に許容されるその誘導体を1種以上の別の治療薬と共に含む組合せを提供する。
【0082】
上記の組合せは、医薬配合物の形態で使用するように提供されるのが便利であり、従って、医薬的に許容される担体または賦形剤と共に上記に定義されたような組合せを含む医薬配合物は本発明の別の態様を構成する。このような組合せの個々の成分は個別もしくは組合せた医薬配合物の形態で順次または同時に投与されてもよい。
【0083】
式Iの化合物対第二有効成分の重量比は様々に変更でき各成分の有効用量に従属するであろう。一般的に各々の有効用量が使用されるであろう。従って例えば、式Iの化合物をNSAIDと併用するとき、式Iの化合物対NSAIDの重量比は一般的に約1000:1から約1:1000、好ましくは約200:1から約1:200までの範囲であろう。また、式Iの化合物と他の有効成分との組合せも一般的に上記範囲内であろうが、症例毎に各有効成分の有効用量を使用すべきである。
【0084】
生物活性の定量アッセイ
式Iの化合物はそれらのインビトロおよびインビボのプロスタノイドアンタゴニストまたはアゴニスト活性ならびにそれらの選択性を測定するために以下のアッセイを使用して試験できる。証明されたプロスタグランジン受容体活性はDP、EP1、EP2、EP3、EP4、FP、IPおよびTPである。
【0085】
ヒト胚性腎(HEK)293(ebna)細胞系中のプロスタノイド受容体の安定な発現
全長コード配列に対応するプロスタノイド受容体cDNAを哺乳類発現ベクターの適正な部位にサブクローニングし、HEK293(ebna)にトランスフェクトする。個々のcDNAを発現しているHEK293(ebna)細胞を選択下に増殖させ、2から3週間の増殖後にクローニングリング法を使用して個々のコロニーを単離し、その後、クローナル細胞系に膨張させる。
【0086】
プロスタノイド受容体結合アッセイ
受容体結合アッセイに使用するために、トランスフェクトしたHEK293(ebna)細胞を培養維持し、回収し、プロテアーゼインヒビターの存在下で細胞を溶解した後、分画遠心法によって膜を調製する。プロスタノイド受容体結合アッセイ(DP1、DP2(CRTH2)、EP1、EP2、EP3−III、EP4、FP、IPおよびTP)は、1mMのEDTA、2.5から30mMの二価カチオンおよび適当な放射性リガンドをそれぞれが含有する10mMのMES/KOH(pH6.0)(EP類、FPおよびTP)または10mMのHEPES/KOH(pH7.4)(DP類およびIP)中で行う。合成化合物は、全てのインキュベーション中で1%(v/v)の一定濃度に維持されるジメチルスルホキシドに加える。膜タンパク質を添加することによって反応を開始させる。非特異的結合は10μMの対応する非放射性プロスタノイドの存在下で測定する。インキュベーションは室温または30℃で60から90分間行われ、急速濾過によって終結される。特異的結合は、全結合から非特異的結合を減算することによって計算する。S字形濃度−応答曲線を作成するために、各リガンド濃度における残留特異的結合を計算し、リガンド濃度の関数として表す。化合物の結合親和性は、等式
Ki=InPt/1+[放射性リガンド]/Kd
[式中、Kdは放射性リガンド:受容体相互作用の平衡解離定数を表し、
InPtは用量−応答曲線の変曲点を表す]
から平衡阻害定数(Ki)を計算することによって判定する。
【0087】
実施例1から23の化合物をEP4に対して上記結合アッセイで試験すると、各々が500nM未満のKiを示した。
【0088】
プロスタノイド受容体アゴニストおよびアンタゴニストアッセイ
受容体リガンドがアゴニストであるかアンタゴニストであるかを判定するためにHEK−293(ebna)−hEP4細胞中の細胞内cAMP蓄積の刺激を測定する全細胞第二メッセンジャーアッセイを行う。細胞を回収し、25mMのHEPES,pH7.4を含有するHBSSに再懸濁させる。インキュベーションは、0.5mMのIBMX(ホスホジエステラーゼインヒビター、Biomolから入手可能)を含有する。サンプルを37℃で10分間インキュベート(恒温培養)し、反応を終結させ、次いでcAMPレベルを測定する。リガンドは、全てのインキュベーション中に1%(v/v;アゴニスト)または2%(v/v;アンタゴニスト)の定濃度に維持されるジメチルスルホキシドに加える。アゴニストの場合、第二メッセンジャー応答はリガンド濃度の関数として表され、PGE2標準に比較したEC50および最大応答の双方を計算する。アンタゴニストの場合、EC70に対応する濃度のPGE2アゴニストの存在下の用量−応答曲線を作成することによってリガンドのアゴニスト応答阻止能を判定する。IC50値はPGE2誘発活性の50%を阻害するために必要なリガンドの濃度として計算する。
【0089】
ラット足趾浮腫アッセイ
方法はChanら(J.Pharmacol.Exp.Ther.274:1531−1537,1995)に記載された方法と同じである。
【0090】
カラゲナンによってラットに誘発された急性炎症性痛覚過敏
方法はBoyceら(Neuropharmacology 33:1609−1611,1994)に記載された方法と同じである。
【0091】
ラットのアジュバント誘発関節炎
雌のルイスラット(体重〜146から170g)を計量し、耳に印を付け、各グループ内の体重が同等になるようにグループ分けする(関節炎が誘発されなかった1つの陰性対照グループ、1つのビヒクル対照グループ、インドメタシンを合計1日用量1mg/kgで投与した1つの陽性対照グループ、および、被験化合物を合計1日用量0.10から3.0mg/kgで投与した4つのグループ)。各10匹のラットから成る6つのグループには0.1mlの軽鉱油中の0.5mgのMycobacterium butyricum(アジュバント)を後趾に注射し、陰性対照グループの10匹のラットにはアジュバントを注射しなかった。体重、対側趾の体積(水銀置換プレチスモグラフィーによって測定)および外側X線写真(ケタミンおよびキシラジン麻酔下で撮影)を、アジュバント注射の1日前(デイ−1)および21日後(デイ21)に測定し、第一趾の体積を、アジュバント注射の1日前(デイ−1)、4日後および21日後に測定する。X線写真の撮影には、ケタミン(87mg/kg)およびキシラジン(13mg/kg)を合せて0.03から0.1mLの量で筋肉内注射してラットを麻酔にかけ、アジュバントを注射する。Faxitron(45kVp,30秒)およびKodak X−OMAT TLフィルムを使用してデイ0およびデイ21に双方の後趾のX線写真を撮影し、全自動プロセッサで現像する。実験処理を見なかった研究者がX線写真の軟組織および硬組織の変化を評価する。X線写真に見られる以下の変化を著明度に従って数値段階で表す:軟組織体積増加(0−4)、関節腔の狭窄または拡大(0−5)、軟骨下糜爛(0−3)、骨膜反応(0−4)、骨溶解(0−4)、不全脱臼(0−3)および変性的関節変化(0−3)。X線写真に見られる各変化の著明度の数値段階を設定するために特定の判定基準を使用する。1つの足趾あたりの可能最大スコアは26であった。合計1日用量0.1、0.3および3mg/kg/日の被験化合物、合計1日用量1mg/kg/日のインドメタシンまたはビヒクル(滅菌水中の0.5%メトセル)の1日2回の経口投与を、アジュバント注射後に開始し21日間継続する。化合物は週1回調製し、使用するまで暗中で冷蔵し、投与直前に渦流混合する。
【0092】
以下の合成方法および実施例によって本発明をさらに説明する。
【0093】
合成方法
スキーム1
【0094】
【化3】

【0095】
上記スキーム中、符号Arは式IのArに対応し、場合によってはこの文中に記載のように置換されている。
【実施例1】
【0096】
4−[(1S)−1−({[1−(3−クロロベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸−カリウム塩
【0097】
【化4】

【0098】
段階1:1−(tert−ブトキシカルボニル)インドリン−7−カルボン酸
【0099】
【化5】

【0100】
tert−ブチルインドリン−1−カルボキシレート(25g,114mmol)およびTMEDA(22.87ml,151mmol)を567mlのエーテルに添加した。溶液を−78℃に冷却し、c−ヘキサン中のs−BuLi(1.2当量,1.4M)を滴下した。混合物をこの温度で1時間撹拌した。混合物にCOを5分間吹き込み、浴を除去した。10分間の撹拌後、1NのHClで混合物を反応停止させ、室温に加温し、EtOAcで3×抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。1:1のエーテル/ヘキサンで研和する。1H NMR(500MHz,DMSO−d6):δ12.5(bs,1H),7.35(m,2H),7.05(t,1H),4.00(t,2H),3.00(t,2H),1.45(s,9H)。
【0101】
段階2:tert−ブチル7−[({(1S)−1−[4−(メトキシカルボニル)フェニル]エチル}アミノ)カルボニル]インドリン−1−カルボキシレート
【0102】
【化6】

【0103】
1−(tert−ブトキシカルボニル)インドリン−7−カルボン酸(0.5g,1.9mmol)、HATU(795mg,2.09mmol)および(1S)−1−[4−(メトキシカルボニル)フェニル]エタナミニウムクロリド(511mg,2.85mmol)をアセトニトリル(12.7ml)に添加した。溶液を氷浴中で冷却し、DIPEA(993ul,5.7mmol)を添加した。氷浴を除去し、混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を除去し、粗混合物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。1H NMR(500MHz,DMSO−d6):δ8.40(d,1H),7.90(d,2H),7.55(d,2H),7.30(d,1H),7.25(d,1H),7.00(t,1H),5.10(m,1H),4.00(m,2H),3.85(s,3H),3.05(m,2H),1.45(d,3H),1.40(s,9H)。
【0104】
段階3:
メチル4−{(1S)−1−[(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イルカルボニル)アミノ]エチル}ベンゾエート
【0105】
【化7】

【0106】
tert−ブチル7−[({(1S)−1−[4−(メトキシカルボニル)フェニル]エチル}アミノ)カルボニル]インドリン−1−カルボキシレート(510mg,1.2mmol)をCHCl(5ml)に溶解し、TFA(5ml)を添加し、溶液を1時間撹拌した。溶媒を除去した。NaHCO(飽和)を添加し、EtOAcで3×抽出した。集めた有機層を水およびブラインで洗浄し、次いでMgSOで乾燥した。1H NMR(500MHz,DMSO−d6):δ8.50(d,1H),7.90(d,2H),7.55(m,3H),7.10(d,1H),6.50(m,2H),5.15(m,1H),3.85(s,3H),3.50(m,2H),2.90(m,2H),1.40(d,3H)。
【0107】
段階4:
メチル4−[(1S)−1−({[1−(3−クロロベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]ベンゾエート
【0108】
【化8】

【0109】
メチル4−{(1S)−1−[(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イルカルボニル)アミノ]エチル}ベンゾエート(354mg,1.09mmol)をACN(5.5ml)に溶解し、ベンジルブロミド(269mg,1.31mmol)およびHunig’s塩基(0.38ml,2.18mmol)を添加した。混合物を70℃で2時間撹拌した。溶媒を除去した。シリカゲルで精製した。1H NMR(500MHz,DMSO−d6):δ8.90(d,1H),7.75(d,2H),7.40(d,2H),7.25(m,3H),7.15(m,2H),7.05(d,1H),6.65(t,1H),5.00(m,1H),4.10(m,2H),3.85(s,3H),3.20(m,2H),2.90(m,2H),1.30(d,3H)。
【0110】
段階5:4−[(1S)−1−({[1−(3−クロロベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸−カリウム塩
【0111】
【化9】

【0112】
メチル4−[(1S)−1−({[1−(3−クロロベンジル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル)カルボニル]アミノ}エチル)ベンゾエート(289mg,0.644mmol)をEtOH(3ml)に溶解した。2MのKOH(0.416ml,0.708mmol)を添加し、混合物を80℃で2時間撹拌した。混合物を冷却し、溶媒を除去した。1H NMR(500MHz,DMSO−d6):δ8.85(d,1H),7.65(d,2H),7.40(s,1H),7.30(m,2H),7.15(m,4H),7.05(d,1H),6.75(t,1H),5.00(m,1H),4.30(dd,2H),3.20(m,2H),2.90(t,2H),1.25(d,3H)。
【実施例2】
【0113】
4−[(1S)−1−({[1−(4−トリフルオロメチル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸−カリウム塩
【0114】
【化10】

【0115】
段階1:
4−[(1S)−1−({[1−(4−トリフルオロメチル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸−カリウム塩
【0116】
【化11】

【0117】
メチル4−{(1S)−1−[(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イルカルボニル)アミノ]エチル}ベンゾエート(150mg,0.462mmol)をACN(1.9ml)に溶解し、4−(トリフルオロメチル)ベンジルブロミド(132ml,0.554mmol)およびHunig’s塩基(0.161ml,0.924mmol)を添加した。混合物を70℃で2時間撹拌した。溶媒を除去した。シリカゲルで精製した。得られたメチルエステル(89mg,0.184mmol)をEtOH(0.86ml)に溶解し、2MのKOH(0.119ml,0.202mmol)を添加し、混合物を80℃で2時間撹拌した。混合物を冷却し、溶媒を除去した。1H NMR(500MHz,DMSO−d6):δ8.75(d,1H),7.70(d,2H),7.65(d,2H),7.55(d,2H),7.15(m,3H),7.05(d,1H),6.75(t,1H),5.00(m,1H),4.30(dd,2H),3.30(m,2H),2.95(t,2H),1.20(d,3H)。
【0118】
以下の示したすべての化合物は、実施例18および21を除いてスキーム1に従って製造し、またそれぞれのカリウム塩として製造した。実施例18および21はこの文中に記載の合成経路を適宜修正した方法によって当業者が容易に製造できる。
【0119】
【表1】






【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化12】

[式中、Xは−COOHまたはテトラゾール−5−イルであり、
A、BおよびCは、A、BまたはCの1つ以下がNでありえる条件付きでN、CHおよびC(R)から選択され、
Dは−C(R)または−N(R)−であり、ここに、Rのおのおのは、水素、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、C1−4アルコキシ、C1−4フルオロアルコキシおよびアセチルから成るグループから独立に選択され、
ArおよびArは、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリル、または、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルの融合類似体から成るグループから独立に選択され、ここにArは場合により1から3個のR基で置換され、Arは場合により1から3個のR基で置換されており、
、RおよびRのおのおのは、ハロ、−CN、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、C1−4アルコキシ、C1−4フルオロアルコキシ、アセチル、アミノカルボニルおよびフェニルから成るグループから独立に選択されており、
およびRは、水素およびC1−4アルキルから成るグループから選択されるか、または、RおよびRはそれらが結合している原子と共にC3−6シクロアルキル基を形成し得る。]の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項2】
がメチルでありRが水素であるか、または、RおよびRはそれらが結合している原子と共にシクロプロピルを形成している請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Arが、場合により1から3個のR基で置換されたフェニルである請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Arが、場合により1から3個のR基で置換されたフェニルである請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
A、BおよびCの各々がCHおよびC(R)から独立に選択された請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Xが−COOHである請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
式Ia
【化13】

[式中、Rはハロ、−CN、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、C1−4アルコキシ、C1−4フルオロアルコキシ、アセチル、アミノカルボニルおよびフェニルから成るグループから選択される。]
の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項8】
少なくとも1個のR基が存在する請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
以下のグループ:
4−[(1S)−1−({[1−(3−クロロベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
4−[(1S)−1−({[1−(3−クロロベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
4−{(1S)−1−[({1−[4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル}カルボニル)アミノ]エチル}安息香酸;
4−[(1S)−1−({[1−(3−シアノベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
4−[(1S)−1−({[1−(4−シアノベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
4−[(1S)−1−({[1−(3−クロロ−4−ヨードベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
4−[(1S)−1−({[1−(4−ヨードベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
4−[(1S)−1−({[1−(3,5−ジブロモベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
4−{(1S)−1−[({1−[3−(アミノカルボニル)ベンジル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル}カルボニル)アミノ]エチル}安息香酸;
4−[(1S)−1−({[1−(3,4−ジクロロベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
4−{(1S)−1−[({1−[3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル}カルボニル)アミノ]エチル}安息香酸;
4−[(1S)−1−({[1−(ビフェニル−4−イルメチル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
4−[(1S)−1−({[1−(4−ブロモベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
4−{(1S)−1−[({1−[4−(アミノカルボニル)ベンジル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル}カルボニル)アミノ]エチル}安息香酸;
4−{(1S)−1−[({1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル}カルボニル)アミノ]エチル}安息香酸;
4−[(1S)−1−({[1−(2,5−ジクロロベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
4−[1−({[1−(3,4−ジクロロベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)シクロプロピル]安息香酸;
4−[(1S)−1−({[1−(2−ナフチルメチル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
1−(3,4−ジクロロベンジル)−N−{1−[4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル]シクロプロピル}インドリン−7−カルボキサミド;
4−{(1S)−1−[({1−[2−ブロモ−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル}カルボニル)アミノ]エチル}安息香酸;
4−{(1S)−1−[({1−[4−(クロロ)ベンジル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル}カルボニル)アミノ]エチル}安息香酸;
N−{(1S)−1−[4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル]エチル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]インドリン−7−カルボキサミド;および
4−{(1S)−1−[({5−クロロ−1−[4−(クロロ)ベンジル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−イル}カルボニル)アミノ]エチル}安息香酸;
から選択される請求項1に記載の化合物または上記化合物のいずれかの医薬的に許容される塩。
【請求項10】
生理学的に許容される1種以上の担体または賦形剤と混合された請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項11】
ヒト医薬または獣医薬として使用するための請求項1に記載の化合物または医薬的に許容されるその誘導体。

【公表番号】特表2009−539886(P2009−539886A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514601(P2009−514601)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【国際出願番号】PCT/CA2007/001028
【国際公開番号】WO2007/143825
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】