説明

ERBBチロシンキナーゼの阻害剤として使用されるキナゾリン誘導体



その効果が、ヒトのような温血動物において、erbB2受容体型チロシンキナーゼを阻害することによって、単独で又は部分的に産生される、抗増殖性効果の産生において使用するための、置換基が明細書中で定義されるとおりの式(I)のキナゾリン誘導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗腫瘍活性を保有し、そして従ってヒト又は動物の治療の方法において有用である、ある種の新規なキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩に関する。本発明は、更に前記キナゾリン誘導体の製造のための方法、これを含有する医薬組成物及び治療的方法における、例えばヒトのような温血動物における固形腫瘍性疾病の予防又は治療において使用するための医薬の製造におけるその使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
乾癬及び癌のような細胞増殖の異常な制御から起こる疾病のための現時点の治療管理の多くは、DNA合成及び細胞増殖を阻害する化合物を使用している。今日まで、このような治療において使用される化合物は、一般的に細胞にとって毒性であるが、然しながらこれらの、腫瘍細胞のような急速に分裂する細胞に対する向上された効果は、利益のあるものであることができる。これらの細胞毒性の抗腫瘍剤に対する別の方法、例えば細胞のシグナル伝達経路の選択的阻害剤が、現時点で開発されつつある。これらの種類の阻害剤は、腫瘍細胞に対する作用の向上された選択性を示す潜在性を有する可能性があり、そして従って好ましくない副作用を保有する治療の可能性を減少する可能性がある。
【0003】
真核細胞は、器官内の細胞間の連絡を可能にする、多くの多様な細胞外シグナルに連続的に反応している。これらのシグナルは、増殖、分化、アポトーシス及び運動性を含む細胞中の広い範囲の身体的反応を制御している。細胞外シグナルは、増殖因子並びに他の自己分泌、パラクリン及び内分泌因子を含む多様な各種の溶解性因子の形態を取る。特異的膜貫通型受容体に結合することによって、これらのリガンドは、細胞外シグナルを細胞内シグナル伝達経路に統合し、従ってシグナルを形質膜を通して伝達し、そして個々の細胞がその細胞外シグナルに反応することを可能にする。多くのこれらのシグナル伝達過程は、これらの多様な細胞反応の促進に関係するタンパク質のリン酸化の可逆過程を使用している。標的タンパク質のリン酸化の状態は、特異的キナーゼ及び哺乳類ゲノムによってコードされる全てのタンパク質の約三分の一の制御に責任があるホスファターゼによって制御される。リン酸化がシグナル伝達過程においてこのように重要な制御機構であるために、従ってこれらの細胞内経路の異常が、異常な細胞増殖及び分化となり、そして従って細胞の形質転換を促進することは驚くことではない(Cohen et al,Curr Opin Chem Biol,1999,,459−465中で概説)。
【0004】
多くのこれらのチロシンキナーゼが、恒常的に活性な形態に変異され、及び/又は過剰発現した場合、各種のヒトの細胞の形質転換となることが広く示されている。キナーゼのこれらの変異された及び過剰発現した形態は、大部分のヒトの腫瘍中に存在している(Kolibaba et al,Biochimica et Biophysica Acta,1997,133,F217−F248中で概説)。チロシンキナーゼが、各種の組織の増殖及び分化において基本的な役割を演じているために、新規な抗癌治療の開発において、これらの酵素に多くの焦点が当てられている。この酵素のファミリーは、二つのグループ−受容体型及び非受容体型−チロシンキナーゼに、例えばEGF受容体及びSRCファミリーにそれぞれ分割される。ヒトゲノムプロジェクトを含む多くの研究の結果から、約90種のチロシンキナーゼがヒトゲノム中において確認され、このうち58種が受容体型であり、そして32種が非受容体型である。これらは、20種の受容体型チロシンキナーゼ及び10種の非受容体型チロシンキナーゼサブファミリーに区分することができる(Robinson et al,Oncogene,2000,19,5548−5557)。
【0005】
受容体型チロシンキナーゼは、細胞の複製を開始する分裂促進シグナルの伝達において特に重要である。細胞の形質膜を広げたこれらの大きな糖タンパク質は、その特異的リガンドのための細胞外結合領域を保有する(EGF受容体のための上皮細胞増殖因子(EGF)のような)。リガンドの結合は、受容体の細胞内部分に属する受容体型キナーゼの酵素活性の活性化となる。この活性は、標的タンパク質中の重要なチロシンアミノ酸をリン酸化し、細胞の形質膜を通る増殖シグナルの伝達となる。
【0006】
EGFR、erbB2、erbB3及びerbB4を含む受容体型チロシンキナーゼのerbBファミリーが、腫瘍細胞の増殖及び生存を刺激することにしばしば関係することは知られている(Olayioye et al.EMBO J.,2000,19,3159中で概説)。これを達成することができる一つの機構は、タンパク質レベルにおける、一般的に遺伝子増幅の結果としての受容体の過剰発現によるものである。これは、乳癌(Sainsbury et al.,Brit.J.Cancer,1988,58,458;Guerin et al.,Oncogene Res.,1988,,21;Slamon et al.Science,1989,244,707;Klijn et al.,Breast Cancer Res.Treat.,1994,29,73、そしてSalomon et al.,Crit.Rev.Oncol.Hematol.,1995,19,183中で概説)、腺癌を含む非小細胞肺癌(NSCLC)(Cerny et al.,Brit.J.Cancer,1986,54,265;Reubi et al.,Int.J.Cancer,1990,45,269;Rusch et al.,Cancer Research,1993,53,2379;Brabender et alClin.Cancer Res.,2001,,1850)、並びに他の肺癌(Hendler et al.,Cancer Cells,1989,,347;Ohsaki et al.Oncol.Rep.,2000,,603)、膀胱癌(Neal et al.,Lancet,1985,366;Chow et al.,Clin.Cancer Res.,2001,,1957,Zhau et al.,Mol Carcinog.,254)、食道癌(Mukaida et al.,Cancer,1991,68,142)、結腸、直腸又は胃癌のような胃腸管癌((Bolen et al.,Oncogene Res.,1987,,149;Kapitanovic et al.,Gastroenterology,2000,112,1103;Ross et al.,Cancer Invest.,2001,19,554)、前立腺の癌(Visakorpi et al.,Histochem.J.,1992,24,481;Kumar et al.,2000,32,73;Scher et al.J.Natl.Cancer Inst.,2000,92,1866)、白血病(Konaka et al.,Cell,1984,37,1035,Martin−Subero et al.Cancer Genet Cytogenet.,2001,127,174)、卵巣(Hellstrom et al.,Cancer Res.,2001,61,2420)、頭頚部(Shiga et al.,Head Neck,2000,22,599)、又は膵臓癌(Ovotny et al.,Neoplasma,2001,48,188)のような、多くのヒトの癌(Klapper et al.,Adv.Cancer Res.,2000,77,25中で概説)において観察されている。更なるヒトの腫瘍組織が、受容体型チロシンキナーゼのerbBファミリーの発現に対して試験されているため、この広範な蔓延及び重要性が、将来更に向上されるものであることが予想される。
【0007】
一つ又はそれより多いこれらの受容体(特にerbB2)の誤制御の結果として、多くの腫瘍が臨床的に更に攻撃的になり、そして従って患者に対するより不良な予後に相関することが広く信じられている(Brabender et alClin.Cancer Res.,2001,,1850;Ross et alCancer Investigation,2001,19,554,Yu et al.,Bioessays,2000,22.7,673)。
【0008】
これらの臨床的発見に加えて、大量の前臨床の情報は、受容体型チロシンキナーゼのerbBファミリーが、細胞の形質転換に関係していることを示唆している。これは、多くの腫瘍細胞系が、一つ又はそれより多いerbB受容体を過剰発現し、そしてEGFR又はerbB2が、非腫瘍細胞に形質移入された場合、これらの細胞を形質転換する能力を有するという観察を含む。この腫瘍化の潜在性は、erbB2を過剰発現した遺伝子導入マウスが、乳腺に腫瘍を自然発生的に発生したように、更に証明される。これに加えて、多くの前臨床試験は、抗増殖性効果を、一つ又はそれより多いerbB活性を、小分子阻害剤、機能阻害剤又は阻害性抗体によってノックアウトすることによって導入することができることを証明している(Mendelsohn et al.,Oncogene,2000,19,6550中で概説)。従って、これらの受容体型チロシンキナーゼの阻害剤が、哺乳類の癌細胞の増殖の選択的阻害剤として価値を有するべきであることが認識されている(Yaish et al.Science,1988,242,933,Kolibaba et al,Biochimica et Biophysica Acta,1997,133,F217−F248;Al−Obeidi et al,2000,Oncogene19,5690−5701;Mendelsohn et al,2000,Oncogene19,6550−6565)。
【0009】
この前臨床データに加えて、小分子EGFRチロシンキナーゼ阻害剤イレッサ(ゲフィチニブ及びZD1839としても知られる)及びタルセバ(エルロチニブ及びCP−358,774としても知られる)が、進行した非小細胞肺癌の治療において使用するために認可されている。更に、EGFR及びerbB2に対する阻害性抗体(それぞれ、エルビタックス(c−225/セツキシマブ)及びハーセプチン(トラスツズマブ))が、選択された固形腫瘍の治療のための臨床において利益を有することが証明されている(Mendelsohn et al,2000,Oncogene19,6550−6565中で概説)。
【0010】
最近、EGF受容体の細胞内触媒領域のATP結合ポケットの変異が、非小細胞肺癌(NSCLC)のあるサブセットにおいて発見されている。ゲフィチニブ及びエルロチニブのような化合物の臨床的利益が、EGFR変異単独によって仲介される可能性が低いことが明白になってきているが、受容体中の変異の存在は、ゲフィチニブ(Lynch et al,N Engl J Med 2004;350:2129−2139;Paez et al,Science 2004;304:1497−1500)のようなEGFRチロシンキナーゼ阻害剤への反応と相関しているように見受けられる。リガンドの刺激が、野生型受容体中に見られるものと比較して、変異された受容体における異なったリン酸化のパターンになることが証明され、そして変異EGF受容体が、NSCLCが依存性となる生存シグナルを選択的に伝達することが考えられる。ゲフィチニブのような化合物によるこれらのシグナルの阻害は、このような薬物の効力に寄与することができる(Sordella et al.Science 2004;305:1163−1167)。同様に、erbB2キナーゼ領域内の変異は、最近、NSCLC、神経膠芽腫、並びに胃及び卵巣腫瘍のようなある種の原発性腫瘍において発見されている(Stephens et al.,Nature 2004;431;525−526)。従って、野生型及び変異された受容体の両方のEGF及び/又はerbB2受容体型チロシンキナーゼの阻害は、抗癌効果を与えることが予想されるものである重要な標的である。
【0011】
erbB型受容体型チロシンキナーゼのメンバーの増幅及び/又は活性が検出され、そして従って乾癬(Ben−Bassat,Curr.Pharm.Des.,2000,,933;Elder et al.,Science,1989,243,811)、良性前立腺肥大(BPH)(Kumar et al.,Int.Urol.Nephrol.,2000,32,73)、アテローム性動脈硬化症及び再狭窄(Bokemeyer et al.,Kidney Int.,2000,58,549)のような多くの非悪性増殖性疾患において役割を演じることに関係づけられている。従って、erbB型受容体型チロシンキナーゼの阻害剤が、過剰な細胞増殖のこれらの及び他の非悪性疾患の治療において有用であることが予想される。
【0012】
国際特許出願、WO96/09294、WO96/15118、WO96/16960、WO96/30347、WO96/33977、WO96/33978、WO96/33979、WO96/33980、WO96/33981、WO、97/03069、WO97/13771、WO97/30034、WO97/30035、WO97/38983、WO98/02437、WO98/02434、WO98/02438、WO98/13354、WO99/35132、WO99/35146、WO01/21596、WO01/55141及びWO02/18372は、4位においてアニリノ置換基を保有するある種のキナゾリン誘導体が、受容体型チロシンキナーゼ阻害活性を保有することを開示している。
【0013】
国際特許出願WO01/94341は、5位の置換基を保持するある種のキナゾリン誘導体が、c−Src、c−Yes及びc−Fynのような非受容体型チロシンキナーゼのSrcファミリーの阻害剤であることを開示している。
【0014】
WO03/040108及びWO03/040109は、5位の置換基を保持するある種のキナゾリン誘導体が、チロシンキナーゼの阻害剤の、erbBファミリー、特にEGF及びerbB2受容体型チロシンキナーゼの阻害剤であることを開示している。WO03/040108及びWO03/040109は、それぞれある種の4−アニリノキナゾリン誘導体を開示している。いずれもの開示されたキナゾリン誘導体は、キナゾリン環の5位にメトキシ連結されたアミド基を含有していない。
【0015】
WO2004/093880は、5位の置換基を保持するある種の4−アニリノキナゾリン誘導体が、チロシンキナーゼの阻害剤の、erbBファミリー、特にEFG及びerbB2受容体型チロシンキナーゼの阻害剤であることを開示している。開示された化合物は、アニリノ基のフェニル環に環式アミド置換基を保持せず、或いはこれらは、メトキシ連結のアミド基によってキナゾリン環の5位において置換されてもいない。
【0016】
WO2005/051923も、更に5位の置換基を保持するある種のキナゾリン誘導体が、チロシンキナーゼの阻害剤の、erbBファミリー、特にEFG及びerbB2受容体型チロシンキナーゼの阻害剤であることを開示している。このPCT特許出願は、キナゾリン環の5位においてアシルアミノエトキシ置換基を保持するある種の4−アニリノキナゾリン誘導体を開示している。開示された化合物は、アニリノ基のフェニル環に環式アミド置換基を保持せず、或いはこれらは、メトキシ連結のアミド基によってキナゾリン環の5位において置換されてもいない。
【0017】
WO2005/118572(即ち、同時系属中のPCT特許出願第PCT/GB2005/002215)も、更に5位の置換基を保持するある種のキナゾリン誘導体が、チロシンキナーゼの阻害剤の、erbBファミリー、特にEFG及びerbB2受容体型チロシンキナーゼの阻害剤であることを開示している。このPCT特許出願は、キナゾリン環の5位においてメトキシ連結のアミド置換基を保持するある種の4−アニリノキナゾリン誘導体を開示している。この出願において、環式アミドによってアニリノ基のフェニル環において置換されている4−アニリノキナゾリン誘導体の開示はない。
【0018】
従来の技術は、フェニル環の4位において環式アミド置換基を保持するアニリノ基によって、キナゾリン環の4位において置換され、そしてメトキシ連結のアミド基によって、キナゾリン環の5位において置換されているキナゾリン誘導体を開示していない。
【発明の開示】
【0019】
既知のerbBチロシンキナーゼの阻害剤と比較して、改良された薬理学的特性と一緒に良好なin vivo活性を持つ、更なる化合物、特に選択的erbB2チロシンキナーゼ阻害剤である更なる化合物を見出すことに対する必要性が残っている。例えば、制約されるものではないが、例えば(i)物理的特性;(ii)高い生体利用率及び/又は好都合な半減期及び/又は好都合な分布体積及び/又は高い吸収性のような好ましいDMPK特性;(iii)臨床的薬物間の相互作用に対する負担を減少する因子(例えばシトクロムP450酵素阻害又は導入);並びに(iv)患者のQT間隔の延長に対する減少された負担を伴う化合物、例えばhERGアッセイにおいて不活性であるか又は弱い活性である化合物において利益及び/又は改良された特性を持つ新規な化合物に対する必要性が存在する。
【0020】
驚くべきことに、本出願人等は、いまやアニリノ基のフェニル環の4位に環式アミド置換基を保持し、そしてある種のメトキシ連結のアミド基を含有する置換基でキナゾリン環の5位において置換された4−アニリノキナゾリン誘導体の選択された群が、強力な抗腫瘍活性を保有することを見出した。本発明中で開示されるキナゾリン誘導体が、薬理学的活性を、単一の生物学的過程に対する影響によってのみ保有することを暗示することを望むものではないが、キナゾリン誘導体が、腫瘍細胞の増殖に導くシグナル伝達段階に関係する一つ又はそれより多い受容体型チロシンキナーゼのerbBファミリーの阻害によって抗腫瘍効果を与えることが信じられる。特に、本発明のキナゾリン誘導体が、EGF及び/又はerbB2受容体型チロシンキナーゼの阻害によって抗腫瘍効果を与えることが信じられる。更に特に、本発明のキナゾリン誘導体が、EGF受容体型チロシンキナーゼと比較して、erbB2受容体型チロシンキナーゼの選択的阻害によって抗腫瘍効果を与えることが信じられる。本発明のキナゾリン誘導体が、本明細書中で先に記載したもののような好ましい特性の組合せを示すことも更に信じられる。
【0021】
erbB受容体、特にerbB2に対する言及は、本明細書中で使用される場合、他に具体的に記述しない限り、野生型及び変異された受容体の両方を含むことを意図している。用語“変異”は、制約されるものではないが、遺伝子増幅、ヌクレオチドのフレーム内欠失又はerbB2のような受容体をコードする一つ又はそれより多いエクソン内の置換を含む。
【0022】
一般的に本発明のキナゾリン誘導体は、例えばEGF及び/又はerbB2及び/又はerbB4受容体型チロシンキナーゼの阻害によってerbB受容体型チロシンキナーゼファミリーに対する強力な阻害活性を保有し、一方他のキナーゼに対してはより強力でない阻害活性を保有する。更に、一般的に、本発明のキナゾリン誘導体は、erbB2受容体型チロシンキナーゼに対して、EGFRチロシンキナーゼのそれより実質的に良好な効力を保有し、従ってerbB2推進の腫瘍のために有効な治療を潜在的に提供する。従って、本発明によるキナゾリン誘導体を、EGFR又は他のチロシンキナーゼに有意な影響を有せずに、erbB2チロシンキナーゼを阻害するために十分である投与量で投与することが可能であることができる。本発明によるキナゾリン誘導体によって与えられる選択的阻害は、erbB2チロシンキナーゼによって仲介される症状のための治療を、他のチロシンキナーゼの阻害に伴うことができる好ましくない副作用を減少しながら提供することができる。
【0023】
本発明の第1の側面によれば、以下の式I:
【0024】
【化1】

【0025】
[式中:
は、水素、ヒドロキシ、(1−4C)アルコキシ及び(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルコキシから選択され;
同一であるか又は異なっていることができるR及びRは、水素、(1−4C)アルキル、(2−4C)アルケニル及び(2−4C)アルキニルから選択され、この(1−4C)アルキルは、一つ又はそれより多いヒドロキシ置換基を所望により保有していてもよく;
同一であるか又は異なっていることができるR及びRは、水素、(1−4C)アルキル、(3−4C)アルケニル及び(3−4C)アルキニルから選択され、この(1−C4)アルキルは、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、(1−4C)アルキルアミノ、ジ−[(1−4C)アルキル]アミノ及び(1−4C)アルコキシから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を所望により保有していてもよく、或いは
及びRは、これらが接続している窒素原子と一緒に、一つの窒素異種原子を含有し、そして酸素、窒素及び硫黄から独立に選択される一つ又はそれより多い更なる異種原子を所望により含有していてもよい、飽和の4、5、6又は7員の複素環を形成し、
そしてここにおいて、R、R及びこれらが接続している窒素原子によって形成されるいずれもの複素環は、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、(1−4C)アルキル及び(1−4C)アルコキシから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を、所望により保有していてもよく;
同一であるか又は異なっていることができるG及びGは、水素及びハロゲノから選択され;
同一であるか又は異なっていることができるG及びGは、水素、ハロゲノ、シアノ、(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ、(2−4C)アルケニル及び(2−4C)アルキニルから選択され;
環−NQは、窒素連結の、一つの窒素異種原子を含有し、そして酸素、窒素及び硫黄から独立に選択される一つ又はそれより多い更なる異種原子を所望により含有していてもよい、飽和又は部分的に不飽和の、4、5、6、7又は8員の複素環であり、そしてこの複素環−NQは、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ及びヒドロキシ−(1−4C)アルキルから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を所望により保有していてもよく;
そしてここにおいて、R、R及びこれらが接続している窒素原子によって形成されるいずれもの複素環及び/又はいずれもの複素環−NQは、1又は2個のオキソ或いはチオキソ置換基を、所望により保有していてもよい;]
のキナゾリン誘導体又は医薬的に受容可能なその塩が提供される。
【0026】
本発明の第2の側面によれば:
が、水素、ヒドロキシ、(1−4C)アルコキシ及び(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルコキシから選択され;
同一であるか又は異なっていることができるR及びRは、水素、(1−4C)アルキル、(2−4C)アルケニル及び(2−4C)アルキニルから選択され、この(1−4C)アルキルは、一つ又はそれより多いヒドロキシ置換基を所望により保有していてもよく;
同一であるか又は異なっていることができるR及びRは、水素、(1−4C)アルキル、(3−4C)アルケニル及び(3−4C)アルキニルから選択され、この(1−C4)アルキルは、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、(1−4C)アルキルアミノ、ジ−[(1−4C)アルキル]アミノ及び(1−4C)アルコキシから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を所望により保有していてもよく;
同一であるか又は異なっていることができるG及びGは、水素及びハロゲノから選択され;
同一であるか又は異なっていることができるG及びGは、水素、ハロゲノ、シアノ、(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ、(2−4C)アルケニル及び(2−4C)アルキニルから選択され;
環−NQは、窒素連結の、一つの窒素異種原子を含有し、そして酸素、窒素及び硫黄から独立に選択される一つ又はそれより多い更なる異種原子を所望により含有していてもよい、飽和又は部分的に不飽和の、4、5、6、7又は8員の複素環であり、そしてこの複素環−NQは、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ及びヒドロキシ−(1−4C)アルキルから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を所望により保有していてもよく;
そしてここにおいて、いずれもの複素環−NQは、1又は2個のオキソ或いはチオキソ置換基を、所望により保有していてもよい;
式Iのキナゾリン誘導体又は医薬的に受容可能なその塩が提供される。
【0027】
上記で定義した式Iのキナゾリン誘導体のあるものが、一つ又はそれより多い不斉炭素によって光学的に活性な又はラセミの形態で存在することができる限り、本発明が、その定義中に、上述の活性を保有するいずれものこのような光学的に活性な又はラセミの形態を含むことは理解されることである。特に、式Iのキナゾリン誘導体は、R及びR基に接続している炭素原子において、R及びRが同一でない場合、キラル中心を有することができる。本発明は、本明細書中で先に定義した活性を有する全てのこのような立体異性体、例えば(2R)及び(2S)異性体(特に(2R)異性体)を包含する。キラル化合物の名称において、化合物(R,S)が、いずれものスケールミック(scalemic)又はラセミ混合物を意味し、一方(R)及び(S)は、鏡像異性体を意味することは更に理解されることである。名称中に(R,S)、(R)又は(S)が存在しない場合、名称が、いずれものスケールミック又はラセミ混合物を指し、ここにおいてスケールミック混合物は、R及びS鏡像異性体をいずれもの相対的比率で含有し、そしてラセミ混合物は、R及びS鏡像異性体を50:50の比で含有していることは理解されることである。光学的に活性な形態の合成は、当技術において公知の有機化学の標準的な技術によって、例えば光学的に活性な出発物質からの合成、又はラセミの形態の分割によって行うことができる。同様に、上記の活性は、本明細書中で以下に言及される標準的な実験室の技術を使用して評価することができる。
【0028】
本明細書において、一般的用語“アルキル”は、プロピル、イソプロピル及びtert−ブチルのような直鎖並びに分枝鎖アルキル基の両方を含む。然しながら、“プロピル”のような個々のアルキル基に対する言及は、直鎖の変種のみに対して特定的であり、“イソプロピル”のような個々の分枝鎖アルキル基への言及は、分枝鎖変種のみに対して特定的である。類似の慣例は、他の一般的用語に適用され、例えば、(1−4C)アルコキシは、メトキシ及びエトキシを含み、(1−4C)アルキルアミノは、メチルアミノ、エチルアミノ及びイソプロピルアミノを含み、そしてジ−[(1−4C)アルキル]アミノは、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ及び−イソプロピル−−メチルアミノを含む。
【0029】
上記で言及した一般的なラジカルのための適した意義は、以下に記載するものを含む。
及びRがこれらが接続している窒素原子と一緒に、一つの窒素異種原子を含有し、そして酸素、窒素及び硫黄から独立に選択される一つ又はそれより多い更なる異種原子を所望により含有していてもよい、飽和の(即ち、最大の程度の飽和を持つ環系)4、5、6又は7員の複素環を形成することに対して、本明細書中で言及がなされた場合、このようにして形成された環は、適当には一つ又は二つの更なる異種原子を含有し、そして更に適当には、一つの更なる異種原子を含有する。例えば、このようにして形成された環は、アゼチジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、ピラゾリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、ピペラジン−1−イル、チオモルホリン−4−イル、1,3−オキサゾリジン−1−イル、アゼパン−1−イル、ジアゼパン−1−イル及び1,4−オキサゼパン−1−イル、特にアゼチジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、ピペラジン−1−イル、チオモルホリン−4−イル及びアゼパン−1−イルから選択することができる。
【0030】
窒素連結の、一つの窒素異種原子(即ち、式Iのカルボニル基に環−NQを連結している窒素異種原子)を含有し、そして酸素、窒素及び硫黄から独立に選択される一つ又はそれより多い更なる異種原子を所望により含有していてもよい、飽和(即ち、最大の程度の飽和を持つ環系)又は部分的に不飽和(即ち、ある程度の、しかし完全ではない程度の不飽和を保持する環系)の、4、5、6、7又は8員の複素環である環−NQのために適した意義は、合計三つまでの異種原子を持つ単環式環である。更に適した複素環−NQは、例えば、一つの窒素異種原子を含有し、そして酸素、窒素及び硫黄から独立に選択される一つ又は二つの更なる異種原子(特に窒素及び酸素から選択される)を所望により含有していてもよい、飽和の、5、6又は7員の単環式複素環を含むことができる。このような環の例は、アゼチジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピラゾリジニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、アゼパニル、ジアゼパニル及びオキサゼパニル、特にピロリジニル、ピペリジニル及びアゼパニルを含む。
【0031】
なお更に適した複素環−NQは、例えば、一つのみの窒素異種原子(即ち、式Iのカルボニル基に環−NQを連結している窒素異種原子)を含有する、飽和の、5、6又は7員の単環式複素環を含むことができる。このような環の例は、ピロリジニル、ピペリジニル及びアゼパニルを含む。
【0032】
これらが接続している窒素原子と一緒にR及びRによって形成されるいずれもの複素環及び/又はいずれもの複素環−NQは、同一であるか或いは異なっていることができる、本明細書中で定義したとおりの一つ又はそれより多い置換基を、所望により保有していてもよい。
【0033】
更に、これらが接続している窒素原子と一緒にR及びRによって形成されるいずれもの複素環及び/又はいずれもの複素環−NQは、1又は2個のオキソ或いはチオキソ置換基を、所望により保有していてもよい。1又は2個のオキソ或いはチオキソ置換基を保有する複素環の例は、例えば、3−オキソモルホリニル、2−オキソ−オキサゾリジニル、2−オキソピロリジニル、2−チオキソピロリジニル、2−オキソイミダゾリジニル、2−チオキソイミダゾリジニル、2−オキソピペリジニル、2,5−ジオキソピロリジニル、2,5−ジオキソイミダゾリジニル、2,6−ジオキソピペリジニル、2,4−ジオキソイミダゾリジニル及び2−オキソピペラジニルを含む。
【0034】
更に、複素環内のいずれもの窒素又は硫黄原子は、酸化されて、対応するN又はSオキシド、例えば1,1−ジオキソ−チオモルホリニルを与えることができる。
式I中のキナゾリン基が、キナゾリン環の2、6及び8位のそれぞれにおいて置換されていないことは理解されることである。
【0035】
‘R’基(RないしR)のいずれか、‘G’基(GないしG)のいずれか、又は環−NQ内の各種の基のために適した意義は:
ハロゲノのために フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード;
(1−4C)アルキルのために: メチル、エチル、プロピル、イソプロピル及びtert−ブチル;
(1−4C)アルコキシのために: メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ及びブトキシ;
(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルコキシのために: エトキシメトキシ、プロポキシメトキシ、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシプロポキシ、メトキシイソプロポキシ及びメトキシブトキシ;
(1−4C)アルキルアミノのために: メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ及びブチルアミノ;
ジ−[(1−4C)アルキル]アミノのために: ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、−エチル−−メチルアミノ及びジイソプロピルアミノ;
(2−4C)アルケニルのために: ビニル、イソプロペニル、アリル及びブタ−2−エニル;
(2−4C)アルキニルのために: エチニル、2−プロピニル及びブタ−2−イニル;並びに
ヒドロキシ−(1−4C)アルキルのために: ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル及び3−ヒドロキシプロピル;
を含む。
【0036】
本明細書において、(1−4C)アルキル基に対して言及がなされた場合、このような基が、4個までの炭素原子を含有するアルキル基を指すことは理解されることである。同様に、(1−2C)アルキル基に対する言及は、メチル及びエチルのような2個までの炭素原子を含有するアルキル基を指す。同様な慣例は、先に収載した他の基に対して適合される。
【0037】
式Iのある種のキナゾリン誘導体が、例えば水和された形態のような溶媒和された、又は溶媒和されていない形態で存在することができることは理解されることである。本発明が、抗増殖活性のようなerbB受容体型チロシンキナーゼに対する阻害効果を示す全てのこのような溶媒和された形態を包含することは理解されることである。
【0038】
式Iのある種のキナゾリン誘導体が、多形を示すことができ、そして本発明が、抗増殖活性のようなerbB受容体型チロシンキナーゼに対する阻害効果を示す全てのこのような形態を包含することも、更に理解されることである。
【0039】
本発明が、抗増殖活性のようなerbB受容体型チロシンキナーゼに対する阻害効果を示す式Iのキナゾリン誘導体の全ての互変異性の形態に関することも、更に理解されることである。
【0040】
式Iのキナゾリン誘導体の適した医薬的に受容可能な塩は、例えば、式Iのキナゾリン誘導体の酸付加塩、例えば無機又は有機酸との酸付加塩である。適した無機酸は、例えば、塩酸、臭化水素酸又は硫酸を含む。適した有機酸は、例えば、トリフルオロ酢酸、クエン酸又はマレイン酸を含む。式Iのキナゾリン誘導体のもう一つの適した医薬的に受容可能な塩は、例えば、十分に酸性である式Iのキナゾリン誘導体の塩、例えば、アルカリ或いはカルシウム又はマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、或いはアンモニウム塩、又はメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリン又はトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミンのような有機塩基との塩である。
【0041】
本発明の特別な新規なキナゾリン誘導体は、例えば、他に記述しない限り、R、R、R、R、R、G、G、G、G及び環−NQのそれぞれが、本明細書中で先に定義した、或いは本明細書中の以下の段落(a)ないし(ff)中の意味のいずれかを有する、式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩を含む:−
(a) Rは、水素、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ及びメトキシエトキシから選択される;
(b) Rは、水素及びメトキシから選択される;
(c) Rは、水素である;
(d) G及びGは、両方とも水素である;
(e) 同一であるか又は異なっていることができるG及びGは、水素、クロロ及びフルオロ(特に水素及びクロロ)から選択される;
(f) G及びGの一つはハロゲノ(例えばクロロ)であり、そしてG及びGの他方は、水素である;
(g) Gは、ハロゲノ(例えばクロロ)であり、そしてG、G及びGは、全て水素である;
(h) Gは、ハロゲノ(例えばクロロ)であり、そしてG、G及びGは、全て水素である;
(i) 同一であるか又は異なっていることができるR及びRは、水素及び(1−2C)アルキル(メチルのような)から選択される;
(j) 同一であるか又は異なっていることができるR及びRは、水素及び(1−2C)アルキル(メチルのような)から選択され、ここにおいて、R及びRの少なくとも一つは、(1−2C)アルキル(メチルのような)である;
(k) Rは、水素であり、そしてRは、(1−2C)アルキル(メチルのような)である;
(l) 同一であるか又は異なっていることができるR及びRは、水素及び(1−4C)アルキルから選択され、この(1−4C)アルキルは、一つ又はそれより多いヒドロキシ置換基を所望により保有していてもよく、或いは
及びRは、これらが接続している窒素原子と一緒に、酸素、窒素及び硫黄から独立に選択される一つ又はそれより多い更なる異種原子を所望により含有していてもよい飽和の4、5、6又は7員の複素環を形成し、
そしてここにおいて、R、R及びこれらが接続している窒素原子によって形成されるいずれもの複素環は、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、(1−4C)アルキル及び(1−4C)アルコキシから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を、所望により保有していてもよく、
そしてここにおいて、R、R及びこれらが接続している窒素原子によって形成されるいずれもの複素環は、1又は2個のオキソ或いはチオキソ置換基を所望により保有していてもよい;
(m) 同一であるか又は異なっていることができるR及びRは、水素及び(1−4C)アルキルから選択され、この(1−4C)アルキルは、一つ又はそれより多いヒドロキシ置換基を所望により保有していてもよく、或いは
及びRは、これらが接続している窒素原子と一緒に、アゼチジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、ピラゾリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル及びピペラジン−1−イルから選択される複素環を形成し、ここにおいて、R、R及びこれらが接続している窒素原子によって形成されるいずれもの複素環は、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、(1−4C)アルキル及び(1−4C)アルコキシから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を、所望により保有していてもよく、
そしてここにおいて、R、R及びこれらが接続している窒素原子によって形成されるいずれもの複素環は、1又は2個のオキソ或いはチオキソ置換基を所望により保有していてもよい;
(n) 同一であるか又は異なっていることができるR及びRは、水素及び(1−4C)アルキルから選択され、この(1−4C)アルキルは、一つ又はそれより多いヒドロキシ置換基を所望により保有していてもよく、或いは
及びRは、これらが接続している窒素原子と一緒に、ピロリジン−1−イル及びモルホリン−4−イルから選択される複素環を形成し、ここにおいて、R、R及びこれらが接続している窒素原子によって形成されるいずれもの複素環は、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、(1−4C)アルキル及び(1−4C)アルコキシから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を、所望により保有していてもよく、
そしてここにおいて、R、R及びこれらが接続している窒素原子によって形成されるいずれもの複素環は、1又は2個のオキソ或いはチオキソ置換基を所望により保有していてもよい;
(o) Rは、水素であり、そしてRは、(1−4C)アルキルであり、この(1−4C)アルキルは、一つ又はそれより多いヒドロキシ置換基を所望により保有していてもよい;
(p) R及びRは、水素、メチル、エチル及び2−ヒドロキシエチルから独立に選択される;
(q) R及びRは、両方とも(1−4C)アルキルであり、この(1−4C)アルキルは、一つ又はそれより多いヒドロキシ置換基を所望により保有していてもよい;
(r) Rは、メチルであり、Rは、(1−4C)アルキルであり、この(1−4C)アルキルは、一つ又はそれより多いヒドロキシ置換基を所望により保有していてもよい;
(s) Rは、メチルであり、そしてRは、メチル、エチル及び2−ヒドロキシエチル(特にメチル及び2−ヒドロキシエチル)から選択される;
(t) R及びRは、両方ともメチルである;
(u) Rは、メチルであり、そしてRは、2−ヒドロキシエチルである;
(v) R及びRは、これらが接続している窒素原子と一緒に、ピロリジン−1−イル及びモルホリン−4−イルから選択される複素環を形成し、この複素環は、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、(1−4C)アルキル及び(1−4C)アルコキシから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を、所望により保有していてもよく、そしてこの複素環は、1又は2個のオキソ或いはチオキソ置換基を所望により保有していてもよい;
(w) R及びRは、これらが接続している窒素原子と一緒に、ピロリジン−1−イル及びモルホリン−4−イルから選択される複素環を形成する;
(x) 環−NQは、窒素連結の、一つの窒素異種原子を含有し、そして酸素、窒素及び硫黄から独立に選択される一つ又は二つの更なる異種原子を所望により含有していてもよい、飽和又は部分的に不飽和の、5、6又は7員の複素環であり、そしてこの複素環−NQは、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ及びヒドロキシ−(1−4C)アルキルから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を所望により保有していてもよく、そしてこの複素環−NQは、1又は2個のオキソ或いはチオキソ置換基を、所望により保有していてもよい;
(y) 環−NQは、窒素連結の、一つの窒素異種原子を含有する、飽和又は部分的に不飽和の、5、6又は7員の複素環であり、そしてこの複素環−NQは、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ及びヒドロキシ−(1−4C)アルキルから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を所望により保有していてもよく、そしてこの複素環−NQは、1又は2個のオキソ或いはチオキソ置換基を、所望により保有していてもよい;
(z) 環−NQは、アゼパン−1−イル、ピペリジン−1−イル及びピロリジン−1−イルから選択され、そしてこの複素環−NQは、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ及びヒドロキシ−(1−4C)アルキルから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を所望により保有していてもよく、そしてこの複素環−NQは、1又は2個のオキソ或いはチオキソ置換基を、所望により保有していてもよい;
(aa) 環−NQは、アゼパン−1−イルである;
(bb) 環−NQは、ピペリジン−1−イルである;
(cc) 環−NQは、ピロリジン−1−イルである;
(dd) 環−NQは、アゼパン−1−イル、ピペリジン−1−イル及びピロリジン−1−イルから選択される;
(ee) 同一であるか又は異なっていることができるR及びRは、水素、(1−4C)アルキル、(3−4C)アルケニル及び(3−4C)アルキニルから選択され、この(1−4C)アルキルは、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、(1−4C)アルキルアミノ、ジ−[(1−4C)アルキル]アミノ及び(1−4C)アルコキシから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を所望により保有していてもよい;並びに
(ff) 同一であるか又は異なっていることができるR及びRは、水素、(1−4C)アルキル、(3−4C)アルケニル及び(3−4C)アルキニルから選択され、この(1−4C)アルキルは、一つ又はそれより多いヒドロキシ置換基を所望により保有していてもよい。
【0042】
式Iのキナゾリン誘導体又は医薬的に受容可能なその塩の特別な群は、以下の式IA:
【0043】
【化2】

【0044】
[式中:
同一であるか又は異なっていることができるR及びRは、水素及び(1−4C)アルキルから選択され、この(1−4C)アルキルは、一つ又はそれより多いヒドロキシ置換基を所望により保有していてもよく;
同一であるか又は異なっていることができるR及びRは、水素及び(1−4C)アルキルから選択され、この(1−4C)アルキルは、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、(1−4C)アルキルアミノ、ジ−[(1−4C)アルキル]アミノ及び(1−4C)アルコキシから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を所望により保有していてもよく;
同一であるか又は異なっていることができるG及びGは、水素及びハロゲノから選択され;
同一であるか又は異なっていることができるG及びGは、水素、ハロゲノ、シアノ、(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ、(2−4C)アルケニル及び(2−4C)アルキニルから選択され;
環−NQは、窒素連結の、一つの窒素異種原子を含有し、そして酸素、窒素及び硫黄から独立に選択される一つ又はそれより多い更なる異種原子を所望により含有していてもよい、飽和又は部分的に不飽和の、4、5、6、7又は8員の複素環であり、そしてこの複素環−NQは、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ及びヒドロキシ−(1−4C)アルキルから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を所望により保有していてもよく、そしてこの複素環−NQは、1又は2個のオキソ或いはチオキソ置換基を、所望により保有していてもよい;]
を有する。
【0045】
式IAのキナゾリン誘導体の特別な側面において、Rは、水素であり、そしてRは、(1−2C)アルキル(特にメチル)である。
式IAのキナゾリン誘導体の特別な側面において、同一であるか又は異なっていることができるR及びRは、(1−4C)アルキルから選択され、この(1−4C)アルキルは、一つ又はそれより多いヒドロキシ置換基を所望により保有していてもよい。例えば、Rは、メチルであることができ、そしてRは、メチル及び2−ヒドロキシエチルから選択することができる。
【0046】
式IAのキナゾリン誘導体の特別な側面において、G及びGは、両方とも水素である。
式IAのキナゾリン誘導体の特別な側面において、同一であるか又は異なっていることができるG及びGは、水素及びハロゲノから選択される。例えば、Gは、水素であることができ、そしてGは、ハロゲノ(クロロのような)であることができる。
【0047】
式IAのキナゾリン誘導体の特別な側面において、環−NQは、窒素連結の、一つの窒素異種原子を含有し、そして酸素、窒素及び硫黄から独立に選択される一つ又はそれより多い更なる異種原子を所望により含有していてもよい、飽和の、5、6又は7員の複素環であり、そしてこの複素環−NQは、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ及びヒドロキシ−(1−4C)アルキルから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を所望により保有していてもよく、そしてこの複素環−NQは、1又は2個のオキソ或いはチオキソ置換基を、所望により保有していてもよい。特に、環−NQは、窒素連結の、一つの窒素異種原子を含有する、飽和の、5、6又は7員の複素環であることができ、そしてこの複素環−NQは、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ及びヒドロキシ−(1−4C)アルキルから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を所望により保有していてもよく、そしてこの複素環−NQは、1又は2個のオキソ或いはチオキソ置換基を、所望により保有していてもよい。更に特に、環−NQは、アゼパン−1−イル、ピペリジン−1−イル及びピロリジン−1−イルから選択することができる。
【0048】
式IAのキナゾリン誘導体において、キナゾリン環の7位における基(即ち、式Iの化合物中のR)が水素であることは理解されることである。
式Iのキナゾリン誘導体又は医薬的に受容可能なその塩のもう一つの特別な群は、以下の式IB:
【0049】
【化3】

【0050】
[式中:
同一であるか又は異なっていることができるR及びRは、水素及び(1−4C)アルキルから選択され、この(1−4C)アルキルは、一つ又はそれより多いヒドロキシ置換基を所望により保有していてもよく;
同一であるか又は異なっていることができるR及びRは、水素及び(1−4C)アルキルから選択され、この(1−4C)アルキルは、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、(1−4C)アルキルアミノ、ジ−[(1−4C)アルキル]アミノ及び(1−4C)アルコキシから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を所望により保有していてもよく;
は、水素、ハロゲノ、シアノ、(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ、(2−4C)アルケニル及び(2−4C)アルキニルから選択され;
環−NQは、窒素連結の、一つの窒素異種原子を含有し、そして酸素、窒素及び硫黄から独立に選択される一つ又はそれより多い更なる異種原子を所望により含有していてもよい、飽和又は部分的に不飽和の、4、5、6、7又は8員の複素環であり、そしてこの複素環−NQは、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ及びヒドロキシ−(1−4C)アルキルから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を所望により保有していてもよく、そしてこの複素環−NQは、1又は2個のオキソ或いはチオキソ置換基を、所望により保有していてもよい;]
を有する。
【0051】
式IBのキナゾリン誘導体の特別な側面において、Rは、水素であり、そしてRは、(1−2C)アルキル(特にメチル)である。
式IBのキナゾリン誘導体の特別な側面において、同一であるか又は異なっていることができるR及びRは、(1−4C)アルキルから選択され、この(1−4C)アルキルは、一つ又はそれより多いヒドロキシ置換基を所望により保有していてもよい。例えば、Rは、メチルであることができ、そしてRは、メチル及び2−ヒドロキシエチルから選択することができる。
【0052】
式IBのキナゾリン誘導体の特別な側面において、Gは、ハロゲノ(特にクロロ)である。
式IBのキナゾリン誘導体の特別な側面において、環−NQは、窒素連結の、一つの窒素異種原子を含有し、そして酸素、窒素及び硫黄から独立に選択される一つ又はそれより多い更なる異種原子を所望により含有していてもよい、飽和の、5、6又は7員の複素環であり、そしてこの複素環−NQは、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ及びヒドロキシ−(1−4C)アルキルから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を所望により保有していてもよく、そしてこの複素環−NQは、1又は2個のオキソ或いはチオキソ置換基を、所望により保有していてもよい。特に、環−NQは、窒素連結の、一つの窒素異種原子を含有する、飽和の、5、6又は7員の複素環であることができ、そしてこの複素環−NQは、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ及びヒドロキシ−(1−4C)アルキルから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を所望により保有していてもよく、そしてこの複素環−NQは、1又は2個のオキソ或いはチオキソ置換基を、所望により保有していてもよい。更に特に、環−NQは、アゼパン−1−イル、ピペリジン−1−イル及びピロリジン−1−イルから選択することができる。
【0053】
式IBのキナゾリン誘導体において、キナゾリン環の7位における基並びにアニリノ基のフェニル環の2、5及び6位の基(即ち、式Iの化合物中のR、G、G及びG)が水素であることは理解されることである。
【0054】
式Iのキナゾリン誘導体又は医薬的に受容可能なその塩のもう一つの特別な群は、以下の式IC:
【0055】
【化4】

【0056】
[式中:
は、水素であり;
は、(1−2C)アルキル(特にメチル)であり;
は、(1−2C)アルキル(特にメチル)であり;
は、(1−2C)アルキルであり、この(1−2C)アルキルは、一つ又はそれより多いヒドロキシ置換基を所望により保有していてもよく;
は、ハロゲノ(特にクロロ)であり;
環−NQは、窒素連結の、一つの窒素異種原子を含有する、飽和の、5、6又は7員の複素環であり、そしてこの複素環−NQは、ハロゲノ、ヒドロキシ及び(1−4C)アルキルから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を所望により保有していてもよく、そしてこの複素環−NQは、1又は2個のオキソ或いはチオキソ置換基を、所望により保有していてもよい;]
を有する。
【0057】
式ICのキナゾリン誘導体の特別な側面において、Rは、メチル及び2−ヒドロキシエチルから選択される。
式ICのキナゾリン誘導体の特別な側面において、環−NQは、アゼパン−1−イル、ピペリジン−1−イル及びピロリジン−1−イルから選択される。
【0058】
式ICのキナゾリン誘導体において、キナゾリン環の7位における基並びにアニリノ基のフェニル環の2、5及び6位の基(即ち、式Iの化合物中のR、G、G及びG)が水素であることは理解されることである。
【0059】
本発明の特別なキナゾリン誘導体は、例えば:
(2R)−2−[(4−{[4−(アゼパン−1−イルカルボニル)−3−クロロフェニル]アミノ}キナゾリン−5−イル)オキシ]−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルプロパンアミド;
(2R)−2−[(4−{[3−クロロ−4−(ピペリジン−1−イルカルボニル)フェニル]アミノ}キナゾリン−5−イル)オキシ]−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルプロパンアミド;
(2R)−2−[(4−{[3−クロロ−4−(ピロリジン−1−イルカルボニル)フェニル]アミノ}キナゾリン−5−イル)オキシ]−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルプロパンアミド;
(2R)−2−[(4−{[4−(アゼパン−1−イルカルボニル)−3−クロロフェニル]アミノ}キナゾリン−5−イル)オキシ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
(2R)−2−[(4−{[3−クロロ−4−(ピペリジン−1−イルカルボニル)フェニル]アミノ}キナゾリン−5−イル)オキシ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;及び
(2R)−2−[(4−{[3−クロロ−4−(ピロリジン−1−イルカルボニル)フェニル]アミノ}キナゾリン−5−イル)オキシ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
から選択される一つ又はそれより多い式Iのキナゾリン誘導体或いは医薬的に受容可能なその塩である。
【0060】
式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩は、化学的に関連する化合物の調製に適用可能であることが知られているいずれかの方法によって調製することができる。適した方法は、例えば、WO96/15118、WO01/94341、WO03/040108及びWO03/040109中に例示されているものを含む。このような方法は、式Iのキナゾリン誘導体を調製するために使用される場合、本発明の更なる特徴として提供され、そして以下の代表的方法の変法によって例示され、これらにおいて、他に喜寿地しない限り、R、R、R、R、R、G、G、G、G及び環−NQは、本明細書中で先に定義した意味のいずれかを有する。必要な出発物質は、有機化学の標準的な方法によって得ることができる。このような出発物質の調製は、以下の代表的な方法の変法及び付属する実施例に関連して記載される。別の方法として、必要な出発物質は、当業者の通常の技術内である例示したものと類似の方法によって得らことが可能である。
【0061】
方法(a) 以下の式II:
【0062】
【化5】

【0063】
[式中、R、G、G、G、G及び環−NQは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、本明細書中で先に定義した意味のいずれかを有する]
のキナゾリンの、以下の式III:
【0064】
【化6】

【0065】
[式中、R、R、R及びRは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、本明細書中で先に定義した意味のいずれかを有し、そしてLは、ハロゲノ(例えばクロロ又はブロモ)、スルホニルオキシ基(例えばメチルスルホニルオキシ又はトルエン−4−スルホニルオキシ基)又はヒドロキシ基のような適した置換可能な基である]
のアミドとの反応;
或いは
方法(b) 以下の式IV:
【0066】
【化7】

【0067】
[式中、R、R、R、G、G、G、G及び環−NQは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、本明細書中で先に定義した意味のいずれかを有し、そしてLは、適した置換可能な基、例えば(1−3C)アルコキシ(メトキシ又はエトキシのような)であるか、又はLは、ヒドロキシであり、このヒドロキシ基は、都合よくは適したカップリング剤と結合して、置換可能な基を産生する]
のキナゾリン(又は適したその塩、例えばそのアルカリ土類金属塩、或いはナトリウム又はカリウム塩のようなアルカリ金属塩)の、以下の式V:
【0068】
【化8】

【0069】
[式中、R及びRは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、本明細書中で先に定義した意味のいずれかを有する]
のアミンとの、都合よくは適した塩基の存在中のカップリング;
或いは
方法(c)が2−ヒドロキシエチルである式Iのキナゾリン誘導体のための、以下の式VI:
【0070】
【化9】

【0071】
[式中、R、R、G、G、G、G及び環−NQは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、本明細書中で先に定義した意味のいずれかを有する]
のキナゾリンの、上記で定義したとおりの式Vのアミンとの反応;
或いは
方法(d) 以下の式VII:
【0072】
【化10】

【0073】
[式中、R、R、R、G、G、G、G及び環−NQは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、本明細書中で先に定義した意味のいずれかを有する]
のキナゾリンの、上記で定義したとおりの式Vのアミンとの反応;
或いは
方法(e) 以下の式VIII:
【0074】
【化11】

【0075】
[式中、R、R、R、R及びRは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、本明細書中で先に定義した意味のいずれかを有する]
のキナゾリン−4(3H)−オンの、適した活性化基及び以下の式IX:
【0076】
【化12】

【0077】
[式中、G、G、G、G及び環−NQは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、本明細書中で先に定義した意味のいずれかを有する]
のアミンとの反応;
或いは
方法(f) 以下の式X:
【0078】
【化13】

【0079】
[式中、R、G、G、G、G及び環−NQは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、本明細書中で先に定義した意味のいずれかを有し、そしてLは、ハロゲノ(例えばフルオロ)のような適した置換可能な基である]
のキナゾリンの、以下の式XI:
【0080】
【化14】

【0081】
[式中、R、R、R及びRは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、本明細書中で先に定義した意味のいずれかを有する]
の化合物との反応;
或いは
方法(g) 以下の式XII:
【0082】
【化15】

【0083】
[式中、R、R、R、R、R、G、G、G及びGは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、本明細書中で先に定義した意味のいずれかを有する]
のキナゾリンの、以下の式XIII:
【0084】
【化16】

【0085】
[式中、環−NQは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、本明細書中で先に定義した意味のいずれかを有する]
の環式アミン化合物とのカップリング;
並びにその後、必要な場合:
(i)式Iのキナゾリン誘導体を、もう一つの式Iのキナゾリン誘導体に転換すること;
(ii)存在するいずれもの保護基を除去すること(慣用的な方法によって);
(iii)医薬的に受容可能な塩を形成すること。
【0086】
上記に反応のための具体的な条件は、以下のとおりである:
方法(a)
が、例えば、ハロゲノ又はスルホニルオキシ基である場合、方法(a)の反応は、都合よくは適した塩基の存在中で行われる。適した塩基は、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム又は炭酸カルシウムのようなアルカリ又はアルカリ土類金属炭酸塩である。反応は、所望により、ヨウ化ナトリウム又はヨウ化カリウムのようなヨウ化物の供給源の存在中で、或いは水素化ナトリウム又は水素化カリウムのような適したアルカリ金属水素化物の存在中で行われてもよい。
【0087】
反応は、都合よくは、適した不活性溶媒又は希釈剤、例えば酢酸エチルのようなエステル、塩化メチレン、クロロホルム又は四塩化炭素のようなハロゲン化溶媒、テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンのようなエーテル、トルエンのような芳香族溶媒、メタノール又はエタノールのようなアルコール、或いは−ジメチルホルムアミド、−ジメチルアセトアミド、−メチルピロリジン−2−オン又はジメチルスルホキシドのような双極性非プロトン性の溶媒の存在中で行われる。反応は、都合よくは、例えば0ないし120℃の範囲の温度で、都合よくは周囲温度又はその近辺で、及び/又は約50℃で行われる。
【0088】
が、ヒドロキシである場合、方法(a)の反応は、都合よくは、適したMitsunobu条件下で行われる。適したMitsunobu条件は、例えば、THF、又は適当にはジクロロメタンのような有機溶媒中の適した第三ホスフィン及びアゾジカルボン酸ジ−アルキルの存在中の、そして0℃ないし60℃の範囲の温度、しかし都合よくは、周囲温度における反応を含む。適した第三ホスフィンは、例えばトリ−n−ブチルホスフィン又は適当には、トリ−フェニルホスフィンを含む。適したアゾジカルボン酸ジ−アルキルは、例えばアゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)又は適当には、アゾジカルボン酸ジ−tert−ブチル(DTAD)を含む。Mitsunobu反応の詳細は、Tet.Letts.,31,699,(1990);The Mitsunobu Reaction,D.L.Hughes,Organic Reactions,1992,Vol.42,335−656及びProgress in the Mitsunobu Reaction,D.L.Hughes,Organic Preparations and Procedures International,1996,Vol.28,127−164中に含まれている。
【0089】
方法(b)
がヒドロキシである場合、反応(b)は、都合よくは、適したカップリング剤の存在中で行われる。適したカップリング剤は、例えば、ヘキサフルオロ−リン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム(HATU)のような適したペプチドカップリング剤、或いはジシクロヘキシルカルボジイミド又は1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)のようなカルボジイミドである。方法(b)の反応は、所望により、ジメチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリジン、2−ヒドロキシピリジンN−オキシド(HOPO)又は1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)のような適した触媒の存在中で行われてもよい。
【0090】
がヒドロキシである場合、方法(b)の反応は、都合よくは、適した塩基の存在中で行うことができる。適した塩基は、例えば、ピリジン、2,6−ルチジン、コリジン、4−メチルアミノピリジン、トリエチルアミン、ジ−イソプロピルエチルアミンのような有機アミン塩基、N−メチルモルホリン又はジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、或いは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム若しくは炭酸カルシウムのようなアルカリ又はアルカリ土類金属炭酸塩である。
【0091】
方法(b)の反応は、都合よくは、適した不活性溶媒又は希釈剤、例えば、酢酸エチルのようなエステル、塩化メチレン、クロロホルム又は四塩化炭素のようなハロゲン化溶媒、テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンのようなエーテル、トルエンのような芳香族溶媒、メタノール又はエタノールのようなアルコール、或いは−ジメチルホルムアミド、−ジメチルアセトアミド、−メチルピロリジン−2−オン又はジメチルスルホキシドのような双極性非プロトン性の溶媒の存在中で行われる。反応は、都合よくは、例えば0ないし120℃の範囲の温度で行われる。Lがヒドロキシである場合、反応は都合よくは、周囲温度、又はその近辺で行われる。Lが、(C1−C3)アルコキシである場合、反応は、都合よくは、約60℃、又はその近辺で行うことができる。
【0092】
都合よくは、この反応は、更にマイクロ波加熱器のような適した加熱装置を使用して、密閉容器中で反応物を加熱することによって行うこともできる。
【0093】
方法(c)
方法(c)の反応は、都合よくは、適した不活性溶媒又は希釈剤、例えば、酢酸エチルのようなエステル、塩化メチレン、クロロホルム又は四塩化炭素のようなハロゲン化溶媒、テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンのようなエーテル、トルエンのような芳香族溶媒、エタノールのようなアルコール、或いは−ジメチルホルムアミド、−ジメチルアセトアミド、−メチルピロリジン−2−オン又はジメチルスルホキシドのような双極性非プロトン性の溶媒の存在中で行われる。反応は、都合よくは、例えば0ないし120℃の範囲の温度で、都合よくは、周囲温度、又はその近辺で行われる。
【0094】
方法(d)
方法(d)の反応は、都合よくは、適した不活性溶媒又は希釈剤、例えば、酢酸エチルのようなエステル、塩化メチレン、クロロホルム又は四塩化炭素のようなハロゲン化溶媒、テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンのようなエーテル、トルエンのような芳香族溶媒、メタノール又はエタノールのようなアルコール、或いは−ジメチルホルムアミド、−ジメチルアセトアミド、−メチルピロリジン−2−オン又はジメチルスルホキシドのような双極性非プロトン性の溶媒の存在中で行われる。反応は、都合よくは、例えば0ないし120℃の範囲の温度で、都合よくは、周囲温度、又はその近辺で行われる。
【0095】
方法(e)
方法(e)において、式VIIIのキナゾリン−4(3H)−オンは、都合よくは、適した活性剤と反応させられて、キナゾリン−4(3H)−オン環の4位におけるオキソ基を、適した置換可能な基、例えばハロゲノ(クロロのような)によって置換され、そして式IXのアミンとの反応のためのキナゾリン(本明細書中で以下“活性化されたキナゾリン”と呼ぶ)を形成する。このようにして形成された活性化されたキナゾリンは、都合よくは、更なる精製なしでin situで使用することができる。
【0096】
式VIIIのキナゾリン−4(3H)−オンの、適した活性化剤との反応は、都合よくは、慣用的な方法を使用して行われる。例えば、式VIIIのキナゾリン−4(3H)−オンは、塩化チオニル、塩化ホスホリル又は四塩化炭素及びトリフェニルホスフィンの混合物のような適したハロゲン化剤と反応することができる。
【0097】
活性化されたキナゾリンの式IXのアミンとの反応は、都合よくは酸の存在中で、例えば触媒量の酸の存在中で行われる。適した酸は、例えば、塩化水素ガス(都合よくはジエチルエーテル又はジオキサンのような適した不活性溶媒中に溶解して)又は塩酸を含む。
【0098】
別の方法として、活性化されたキナゾリンの式IXのアミンとの反応は、適した塩基の存在中で行うことができる。適した塩基は、例えば、−ジイソプロピルジエチルアミンである。
【0099】
別の方法として、活性化されたキナゾリンが、キナゾリン環の4位にハロゲノ基(例えばクロロ)を含有する場合、式IXのアミンとの反応は、酸又は塩基の非存在で行うことができる。この反応において、ハロゲノ脱離基の置換は、in−situの酸(H−ハロゲノ)の形成及び反応の自己触媒となる。
【0100】
上記の反応は、都合よくは、適した不活性溶媒又は希釈剤、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又は酢酸エチルのようなアルコール或いはエステル、ジクロロメタン、塩化メチレン、クロロホルム又は四塩化炭素のようなハロゲン化溶媒、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル又は1,4−ジオキサンのようなエーテル、トルエンのような芳香族溶媒、或いは−ジメチルホルムアミド、−ジメチルアセトアミド、−メチルピロリジン−2−オン又はジメチルスルホキシドのような双極性非プロトン性の溶媒の存在中で行われる。
【0101】
酸の存在又は非存在中で行われる場合、上記の反応は、都合よくは、例えば0ないし250℃の範囲、都合よくは40ないし80℃の範囲の温度で、或いは好ましくは、溶媒が使用される場合、その還流温度、又はその近辺で行われる。塩基の存在中で行われる場合、上記の反応は、都合よくは、例えば−78ないし30℃の範囲の温度で行われる。
【0102】
方法(f)
方法(f)は、都合よくは、適した塩基の存在中で行われる。適した塩基は、例えば、水素化ナトリウムのようなアルカリ金属水素化物である。
反応は、都合よくは、適した不活性溶媒又は希釈剤、例えば、テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンのようなエーテル、トルエンのような芳香族溶媒、或いは−ジメチルホルムアミド、−ジメチルアセトアミド、−メチルピロリジン−2−オン又はジメチルスルホキシドのような双極性非プロトン性の溶媒の存在中で行われる。反応は、都合よくは、例えば0ないし120℃の範囲の温度で行われる。
【0103】
方法(g)
式XIIのキナゾリンの、式XIIIの化合物との反応は、都合よくは、方法(b)において上記で考察したように、Lがヒドロキシである場合に使用したものと類似の条件を使用して行うことができる。
【0104】
出発物質
方法(a)のための出発物質
式IIのキナゾリンは、例えば以下の反応スキーム1:
【0105】
【化17】

【0106】
[式中、L及びLは、適した置換可能な基であり、但し、Lは、Lより不安定であることを条件とし、そしてR、G、G、G、G及び環−NQは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、本明細書中で先に定義した意味のいずれかを有する]
に例示するように、慣用的な方法によって得ることができる。
【0107】
適した置換可能な基Lは、例えば、フルオロ、クロロ、メチルスルホニルオキシ又はトルエン−4−スルホニルオキシのようなハロゲノ又はスルホニルオキシ基、特にフルオロである。適した置換可能な基Lは、例えば、ハロゲノ或いはアルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルホニルオキシ又はアリールスルホニルオキシ基、例えばクロロ、ブロモ、メトキシ、フェノキシ、ペンタフルオロフェノキシ、メチルチオ、メタンスルホニル、メタンスルホニルオキシ又はトルエン−4−スルホニルオキシ基である。好ましくは、L及びLは、両方ともハロゲノであり、例えばLは、フルオロであり、そしてLは、クロロである。
【0108】
反応スキーム1のための注記:
工程(i)
当業者が認識するものであるように、式IIaのキナゾリンの式IIbのキナゾリンへの転換は、慣用的な方法を使用して、例えば式IIaの化合物を、適した活性化剤と反応させることによって行うことができる。例えば、Lがフルオロであり、そしてLがハロゲノ(例えばクロロ)である場合、5−フルオロ−キナゾリン−4(3H)−オンは、塩化チオニル、塩化ホスホリル又は四塩化炭素及びトリフェニルホスフィンの混合物のような適したハロゲン化剤と反応させることができる。
【0109】
工程(ii)及び(iia)
式IIbのキナゾリンの式IX又はIXaのアミンとの反応は、都合よくは、上記で考察したように方法(e)において使用したものと類似の条件を使用して行うことができる。式IIbの化合物は、精製せずにin situで使用することができる。
【0110】
工程(iii)
工程(iii)の反応は、都合よくは、上記で考察したような方法(g)において使用したものと類似の条件を使用して行うことができる。
【0111】
工程(iv)
式IIdのキナゾリンの式IIのキナゾリンへの転換は、適した適当に保護された酸素求核基との反応、それに続く慣用的な方法による保護基の除去によって行うことができる。例えば、転換は、都合よくは、適した塩基の存在中のN−アセチルエタノールアミンとの反応によって行うことができる。適した塩基は、例えば、アルカリ金属水素化物(例えば水素化ナトリウム)又はアルカリ金属アミド(例えばリチウムジ−イソプロピルアミド(LDA))のような非求核性強塩基である。反応は、都合よくは、適した不活性溶媒又は希釈剤、例えば、テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンのようなエーテル、トルエンのような芳香族溶媒、或いは−ジメチルホルムアミド、−ジメチルアセトアミド、−メチルピロリジン−2−オン又はジメチルスルホキシドのような双極性非プロトン性の溶媒の存在中で行われる。反応は、都合よくは、10ないし250℃の範囲、好ましくは100ないし150℃の範囲の温度で行われる。
【0112】
転換は、別の方法として、適したアルカリ金属アルコキシド(例えばナトリウムメトキシド)との反応、それに続く慣用的な脱メチル反応によって行うことができる。いずれもの適した脱メチルの反応条件を使用することができる。例えば、脱メチル工程は、塩酸ピリジニウムとの50ないし180℃の範囲の温度における反応、三臭化ホウ素との−78ないし30℃の範囲の温度における反応、ナトリウムチオフェノレートのような適したチオレートとの50ないし200℃の範囲の温度における反応によって行うことができる。
【0113】
反応スキーム1のための出発物質
式IIaの化合物は、商業的に入手可能であるか、又は慣用的な方法を使用して調製することができる。例えば、5−フルオロ−キナゾリン−4(3H)−オン出発物質は、商業的に入手可能であるか、又は例えば、J.Org.Chem.1952,17,164−176中に記載されているような慣用的な方法を使用して調製することができる。
【0114】
式IX及びIXaの化合物は、商業的に入手可能な化合物であるか、又はこれらは、文献中で既知であるか、或いはこれらは、当技術において既知の標準的な方法によって調製することができる。例えば、式IX及びIXaの化合物は、以下の反応スキーム2:
【0115】
【化18】

【0116】
[式中、G、G、G、G及び環−NQは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、本明細書中で先に定義した意味のいずれかを有する]
によって調製することができる。
【0117】
反応スキーム2のための注記:
工程(i)
工程(i)の反応は、都合よくは、上記で考察したような方法(g)において使用したものと類似の条件を使用して行うことができる。
【0118】
工程(ii)
当業者が認識するものであるように、反応スキーム2の工程(ii)の還元は、慣用的な方法を使用して行うことができる。例えば、工程(ii)のニトロ基の還元は、標準的な条件下で、例えば白金/炭素、パラジウム/炭素、酸化白金(IV)又はニッケル触媒上の接触水素化、鉄、塩化チタン(III)、塩化スズ(II)又はインジウムのような金属による処理、或いは亜ジチオン酸ナトリウムのようなもう一つの適した還元剤による処理によって行うことができる。
【0119】
式IIIのアミドは、商業的に入手可能であるか、又はこれらは、文献中で既知であるか、或いは当技術において公知の方法を使用して調製することができる。
【0120】
方法(b)のための出発物質
式IVのキナゾリンは、慣用的な方法によって得ることができる。例えば、Lが(1−3C)アルコキシ(メトキシのような)である式IVのキナゾリン化合物は、上記で定義したとおりの式IIの化合物又は上記で定義したとおりの式IIdの化合物の、以下の式IVa:
【0121】
【化19】

【0122】
[式中、Rは、(1−3C)アルキル基であり、そしてR及びRは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、本明細書中で先に定義した意味のいずれかを有する]
の化合物との反応によって調製することができる。
【0123】
式IIの化合物の式IVaの化合物との反応は、都合よくは、先に記載したような適したMitsunobu条件下で行うことができる。
式IIdの化合物の式IVaの化合物との反応は、都合よくは、適した塩基の存在中で行われる。適した塩基は、例えば、ナトリウムメトキシド又はナトリウムエトキシドのようなアルカリ金属アルコキシドである。
【0124】
がヒドロキシ(又は適したその塩)である式IVのキナゾリン化合物は、Lが(1−3C)アルコキシである式IVの化合物の、適したアルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウムとの、室温における反応によって調製することができる。この反応は、都合よくは、適した不活性溶媒又は希釈剤、例えばテトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンのようなエーテル或いはメタノールのようなアルコールの存在中で行われる。
【0125】
がヒドロキシ(又は適したその塩)である式IVのキナゾリン化合物は、別の方法として、式IIの化合物の適したハロゲン化された(例えば塩素化)アルコールとの、当業者によって認識され、そして例えば、WO03/077847の参考実施例27に記載されているような、適したクロロトン反応条件下の反応によって調製することができる。
【0126】
式IVa及びVの化合物は、商業的に入手可能であるか、又はこれらは、文献中で既知であるか、或いは当技術において公知の方法を使用して調製することができる。
【0127】
方法(c)のための出発物質
式VIの化合物は、当技術において公知の方法を使用して調製することができる。例えば、式VIの化合物は、上記で定義したとおりの式IIの化合物の、以下の式VIa:
【0128】
【化20】

【0129】
[式中、Rは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、本明細書中で先に定義した意味のいずれかを有する]
の化合物との、例えば上記で考察したような適したMitsunobu条件下の反応によって調製することができる。
【0130】
式V及びVIaの化合物は、商業的に入手可能であるか、又はこれらは、文献中で既知であるか、或いは当技術において公知の方法を使用して調製することができる。
【0131】
方法(d)のための出発物質
式Vの化合物は、上記で考察されている。
式VIIの化合物は、Lがヒドロキシである式IVの化合物から、方法(b)のために上記で考察したような反応条件下における、先に記載したような適したカップリング剤及び適した塩基(例えばHATU及びジイソプロピルエチルアミン)を使用する内部カップリング反応によって調製することができる。
【0132】
方法(e)のための出発物質
式VIIIの化合物は、当技術において公知の方法を使用して調製することができる。式VIIIの化合物は、例えば、以下の式VIIIa:
【0133】
【化21】

【0134】
[式中、Lは、上記で定義したとおりの適した置換可能な基であるか、又はLはヒドロキシであり、そしてR、R及びRは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、本明細書中で先に定義した意味のいずれかを有する]
の適当なキナゾリン−4(3H)−オン化合物の、上記で定義したとおりの式Vの化合物との反応によって調製することができる。この反応は、都合よくは、上記で考察したような方法(b)において使用したものと類似の条件を使用して行うことができる。
【0135】
別の方法として、式VIIIの化合物は、例えば、以下の式VIIIb:
【0136】
【化22】

【0137】
[式中、Pgは、適した適当な保護基(ピバロイルオキシメチル基のような)であり、そしてRは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、本明細書中で先に定義した意味のいずれかを有する]
の適当なキナゾリン−4(3H)−オン化合物の、上記で定義したとおりの式IIIのアミドとの反応によって調製することができ、ここにおいて、式IIIのアミド中のLは、ヒドロキシである。この反応は、典型的には、上記で考察したような適したMitsunibu条件下で行われる。
【0138】
式VIIIa及びVIIIbの化合物は、商業的に入手可能であるか、又はこれらは、文献中で既知であるか、或いはこれらは、当技術において公知の方法を使用して調製することができる。
【0139】
式IXの化合物は、商業的に入手可能であるか、又はこれらは、文献中で既知であるか、或いは当技術において公知の方法(例えば上記反応スキーム2に記載したように)を使用して調製することができる。
【0140】
方法(f)のための出発物質
式Xのキナゾリンは、上記で考察したような方法を使用して、例えば反応スキーム1において考察したように調製することができる。
式XIの化合物は、商業的に入手可能であるか、又はこれらは、文献中で既知であるか、或いは当技術において公知の方法を使用して調製することができる。
【0141】
方法(g)のための出発物質
式XIIのキナゾリンは、上記で考察したような方法を使用して、例えば上記方法(a)ないし(f)において考察したように調製することができる。
式XIIIの化合物は、商業的に入手可能であるか、又はこれらは、文献中で既知であるか、或いはこれらは、当技術において公知の方法を使用して調製することができる。
式Iのキナゾリン誘導体は、上記の方法から遊離塩基の形態で得ることができ、又は別の方法として、これは、塩、例えば酸付加塩の形態で得ることができる。式Iのキナゾリン誘導体の塩から遊離塩基を得ることが所望される場合、塩を、適した塩基、例えばアルカリ又はアルカリ土類金属炭酸塩又は水酸化物、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムで、或いはアンモニア、例えばメタノール中の7Nのアンモニアのようなメタノール性アンモニアを使用する処理によって、処理することができる。
【0142】
上記の方法において使用される保護基は、一般的に文献中に記載されているか、又は当業者にとって当該基の保護のために適当であるとして知られている基のいずれかから選択することができ、そして慣用的な方法によって導入することができる。保護基は、文献中に記載されているような、又は当業者にとって当該保護基の除去のために適当として知られている、いずれもの慣用的な方法によって除去することができ、このような方法は、保護基の除去が、分子中の他の部分の基への妨害が最小であるように選択される。
【0143】
保護基の具体的な例は、便宜上、以下に与えられ、これらにおいて、例えば低級アルキル中のような“低級”は、これが適用された基が、好ましくは1ないし4個の炭素原子を有することを意味する。これらの例が、網羅的ではないことは理解されることである。保護基の除去のための方法の具体的な例が以下に与えられた場合、これらは、同様に網羅的ではない。具体的に記述されていない保護基の使用及び脱保護の方法は、勿論、本発明の範囲内である。
【0144】
カルボキシ保護基は、エステルを形成する脂肪族又は芳香脂肪族アルコール、或いはエステルを形成するシラノールの残基であることができる(前記のアルコール又はシラノールは、好ましくは1ないし20個の炭素原子を含有する)。カルボキシ保護基の例は、直鎖又は分枝鎖の(1ないし12C)アルキル基(例えばイソプロピル及びtert−ブチル);低級アルコキシ−低級アルキル基(例えばメトキシメチル、エトキシメチル及びイソブトキシメチル);低級アシルオキシ−低級アルキル基(例えばアセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル及びピバロイルオキシメチル);低級アルコキシカルボニルオキシ−低級アルキル基(例えば1−メトキシカルボニルオキシエチル及び1−エトキシカルボニルオキシエチル);アリール−低級アルキル基(例えばベンジル、4−メトキシベンジル、2−ニトロベンジル、4−ニトロベンジル、ベンズヒドリル及びフタリジル);トリ(低級アルキル)シリル基(例えばトリメチルシリル及びtert−ブチルジメチルシリル);トリ(低級アルキル)シリル−低級アルキル基(例えばトリメチルシリルエチル);及び(2−6C)アルケニル基(例えばアリル)を含む。カルボキシ保護基の除去のために特に適当な方法は、例えば酸、塩基、金属又は酵素的に触媒された開裂を含む。
【0145】
ヒドロキシ保護基の例は、低級アルキル基(例えばtert−ブチル)、低級アルケニル基(例えばアリル);低級アルカノイル基(例えばアセチル);低級アルコキシカルボニル基(例えばtert−ブトキシカルボニル);低級アルケニルオキシカルボニル基(例えばアリルオキシカルボニル);アリール−低級アルコキシカルボニル基(例えばベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル及び4−ニトロベンジルオキシカルボニル);トリ(低級アルキル)シリル(例えばトリメチルシリル及びtert−ブチルジメチルシリル)及びアリール−低級アルキル(例えばベンジル)基を含む。
【0146】
アミノ保護基の例は、ホルミル、アリール−低級アルキル基(例えばベンジル及び置換されたベンジル、4−メトキシベンジル、2−ニトロベンジル及び2,4−ジメトキシベンジル、並びにトリフェニルメチル);ジ−4−アニシルメチル及びフリルメチル基;低級アルコキシカルボニル(例えばtert−ブトキシカルボニル);低級アルケニルオキシカルボニル(例えばアリルオキシカルボニル);アリール−低級アルコキシカルボニル基(例えばベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル及び4−ニトロベンジルオキシカルボニル);低級アルカノイルオキシアルキル基(例えばピバロイルオキシメチル);トリアルキルシリル(例えばトリメチルシリル及びtert−ブチルジメチルシリル);アルキリデン(例えばメチリデン)及びベンジリデン並びに置換されたベンジリデン基を含む。
【0147】
ヒドロキシ及びアミノ保護基の除去のために適当な方法は、例えば、2−ニトロベンジルオキシカルボニルのような基のための、酸、塩基、金属又は酵素的に触媒された加水分解、ベンジルのような基のための水素化、及び2−ニトロベンジルオキシカルボニルのような基のための光分解的にを含む。例えば、tert−ブトキシカルボニル保護基は、トリフルオロ酢酸を使用する酸で触媒された加水分解によって、アミノ基から除去することができる。
【0148】
読者は、反応条件及び試薬の一般的指導に対して、John Wiley & Sonsによって1992に刊行されたAdvanced Organic Chemistry,4th Edition,by J.Marchを、そして保護基の一般的指導に対して、これもJohn Wiley & Sonによって刊行されたProtective Groups in Organic Synthesis,2nd Edition,by T.Green et al.を参照されたい。
【0149】
本発明のキナゾリン誘導体中の各種の環の置換基のあるものが、標準的な芳香族置換反応によって導入され、又は官能基の、上述の反応の前又は直後のいずれかにおける慣用的な変更によって生成され、そしてこのようなことを、本発明の方法の側面に含むことができることは認識されるものである。このような反応及び変更は、例えば、芳香族置換反応による置換基の導入、置換基の還元、置換基のアルキル基及び置換基の酸化を含む。このような方法のための試薬及び反応条件は、化学技術において公知である。芳香族置換反応の特別な例は、濃硝酸を使用するニトロ基の導入、例えば、アシルハロゲン化物及びルイス酸(三塩化アルミニウムのような)をフリーデルクラフツ条件下で使用するアシル基の導入;アルキルハロゲン化物及びルイス酸(三塩化アルミニウムのような)をフリーデルクラフツ条件下で使用するアルキル基の導入;及びハロゲノ基の導入を含む。
【0150】
式Iのキナゾリン誘導体の医薬的に受容可能な塩、例えば酸付加塩を必要とする場合、これは、例えば、前記のキナゾリン誘導体の適した酸との、慣用的な方法を使用する反応によって得ることができる。
【0151】
本明細書中で先に記述したように、本発明によるいくつかの化合物は、一つ又はそれより多いキラル中心を含有することができ、そして従って立体異性体として存在することができる。立体異性体は、慣用的な技術、例えば、クロマトグラフィー又は分別結晶化を使用して分離することができる。鏡像異性体は、ラセミ体の分離によって、例えば分別結晶化、分割又はHPLCによって単離することができる。ジアステレオ異性体は、ジアステレオ異性体の異なった物理的特性によって、例えば、分別結晶化、HPLC又はフラッシュクロマトグラフィーによって単離することができる。別の方法として、特別な立体異性体は、ラセミ化又はエピマー化を起こさないものである条件下のキラル出発物質からのキラル合成によって、或いはキラル試薬による誘導によって製造することができる。特定の立体異性体が単離される場合、これは適当には、実質的に他の立体異性体を含まずに、例えば20%より少ない、特に10%より少ない、そして更に特に5重量%より少ない他の立体異性体を含有して、単離される。
【0152】
式Iのキナゾリン誘導体の調製に関連する上記の項において、表現“不活性溶媒”は、出発物質、試薬、中間体又は生成物と、所望の生成物の収率に不都合に影響する様式で反応しない溶媒を指す。
【0153】
当業者は、本発明のキナゾリン誘導体を、別の、そしていくつかの場合には更に好都合な方法で得るために、本明細書中で先に記述した個々の方法の工程を、異なった順序で行うことができ、及び/又は個々の反応を、全体の経路の異なった段階で行うことができる(即ち、化学的転換を、本明細書中の先の特別な反応に伴うものと異なった中間体に行うことができる)ことを認識するものである。
【0154】
先に記載した方法において使用されたある種の中間体は新規であり、そして本発明の更なる特徴を形成する。従って、本明細書中で先に定義したとおりの式II、IV、VI、VII及びXIIの化合物から選択される化合物、又はその塩が提供される。中間体は、中間体の塩の形態であることができる。このような塩は、医薬的に受容可能な塩である必要はない。例えば、このような塩が、式Iのキナゾリン誘導体の製造において有用である場合、これは、医薬的に受容不可能な塩の形態の中間体を調製するために有用であることができる。
【0155】
生物学的アッセイ
化合物の阻害活性を、そのin vivoの活性を、異種移植研究で評価する前に、非細胞ベースのタンパク質チロシンキナーゼアッセイ、並びに細胞ベースの増殖アッセイで評価した。
【0156】
a)タンパク質チロシンキナーゼリン酸化アッセイ
この試験は、EGFR、erbB2及びerbB4チロシンキナーゼ酵素による、チロシンを含有するペプチド基質のリン酸化を阻害する、試験化合物の能力を測定する。
【0157】
EGFR、erbB2及びerbB4(それぞれ寄託番号X00588、X03363及びL07868)の組換え細胞内断片を、クローンし、そしてバキュロウイルス/Sf21系中に発現させた。溶菌液を、これらの細胞から、氷冷の溶菌緩衝液(20mMのpH7.5のN−2−ヒドロキシエチルピペリジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)、150mMのNaCl、10%のグリセロール、1%のTriton X−100、1.5mMのMgCl、1mMのエチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)N’,N’,N’,N’−四酢酸(EGTA)、及びプロテアーゼ阻害剤による処理によって調製し、そして次いで遠心によって清澄化した。
【0158】
これらの組換えタンパク質の恒常的キナーゼ活性を、合成ペプチド(6:3:1の比のグルタミン酸、アラニン及びチロシンのランダムコポリマーから構成)をリン酸化するその能力によって決定した。具体的には、MaxisorbTMの96ウェル免疫プレートを合成ペプチドでコートした(100μlのリン酸緩衝食塩水(PBS)中の0.2μgのペプチドの溶液、そして4℃で一晩インキュベートした)。プレートを、50mMのpH7.4のHEPESで室温で洗浄して、過剰の未結合の合成ペプチドを除去した。EGFR又はerbB2活性を、ペプチドでコートしたプレート中の、DMSO中の試験化合物(2.5%の最終濃度)を含む、室温の50mMのpH7.4のHEPES、それぞれの酵素のKm濃度のアデノシン三リン酸(ATP)、10mMのMnCl、0.05mMのNaVO、0.1mMのDL−ジチオトレイトール(DTT)、0.05%のTriton X−100中の室温で20分間のインキュベーションによって評価した。反応をアッセイの液体成分の除去によって停止し、続いてプレートをPBS−T(0.05%のTween 20を含むリン酸緩衝食塩水)によって洗浄した。
【0159】
不動化した反応のリンペプチド産物を、免疫学的方法によって検出した。まず、プレートを、マウス(Upstate Biotechnologyから入手の4G10)中で産生させた抗ホスホチロシン一次抗体と、90分間室温でインキュベートした。徹底的な洗浄後、プレートを、西洋わさびぺルオキシダーゼ(HRP)結合ヒツジ抗マウス二次抗体(Amershamから入手のNXA931)で60分間室温で処理した。更なる洗浄後、プレートのそれぞれのウェル中のHRP活性を、22’−アジノ−ジ−[3−エチルベンゾチアゾリンスルホネート(6)]ジアンモニウム塩結晶(Rocheから入手のABTSTM)を基質として使用して比色分析的に測定した。
【0160】
色の発色、そして従って酵素活性の定量は、Molecular DevicesのThermoMaxマイクロプレートリーダーによる405nmにおける吸光度の測定によって達成した。与えられた化合物に対するキナーゼ阻害を、IC50値として表示した。これは、このアッセイにおけるリン酸化の50%阻害を与えるために必要な化合物の濃度の計算によって決定した。リン酸化の範囲を、正(ベヒクル足すATP)及び負(ベヒクル引くATP)の対照値から計算した。
【0161】
(b)EGFRで刺激したKB細胞増殖アッセイ
このアッセイは、ヒト腫瘍細胞系、KB(アメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC)から入手)の増殖を阻害する試験化合物の能力を測定する。
【0162】
KB細胞を、10%の胎児ウシ血清、2mMのグルタミン及び非必須アミノ酸を含有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で、37℃の7.5%のCO中の空気インキュベーター中で培養した。細胞を、トリプシン/エチルアミンジアミン四酢酸(EDTA)を使用して、原液フラスコから回収した。細胞密度を、血球計算器を使用して測定し、そして生存率を、トリパンブルー溶液を使用して計算してから、96ウェルプレートの、2.5%の木炭処理済み血清、1mMのグルタミン及び非必須アミノ酸を含有するDMEM中に、ウェル当り1.25×10細胞の密度で、37℃の7.5%CO中で播種し、そして4時間静置させた。
【0163】
プレートへの付着に続いて、細胞を、EGF(1ng/mlの最終濃度)を含むか又は含まず、そしてジメチルスルホキシド(DMSO)中のある濃度範囲の化合物を含み又は含まずに処理してから、4日間インキュベートした。インキュベーション期間後、細胞数を、50μlの臭化3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム(MTT)(5mg/mlの原液)の2時間の添加によって決定した。次いでMTT溶液を振り払い、プレートを静かに叩いて乾燥し、そして細胞を100μlのDMSOの添加によって溶解した。
【0164】
可溶化された細胞の吸光度を、Molecular DevicesのThermoMaxマイクロプレートリーダーを使用して、540nmで読取った。増殖の阻害を、IC50値として表示した。これを、増殖の50%阻害を与えるために必要な化合物の濃度の計算によって決定した。増殖の範囲を、正(ベヒクル足すEGF)及び負(ベヒクル引くEGF)の対照値から計算した。
【0165】
c)クローン24ホスホ−erbB2細胞アッセイ
この免疫蛍光終点アッセイは、全長の野生型erbB2タンパク質を過剰発現する細胞系(本明細書中で以下‘クローン24’細胞)を得るために、標準的な方法を使用してMCF7細胞を、全長のerbB2遺伝子で形質移入することによって産生されたMCF7(乳癌)由来細胞系中のerbB2のリン酸化を阻害する試験化合物の能力を測定する。
【0166】
クローン24細胞を、増殖培地(フェノールレッドを含まない、10%の胎児ウシ血清、2mMのグルタミン及び1.2mg/mlのG418を含有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM))中で、7.5%COのエアーインキュベーター中で37℃で培養した。細胞を、T75の原液フラスコから、PBS(pH7.4のリン酸緩衝食塩水、Gibco No.10010−015)中の一回洗浄によって回収し、そして2mlのトリプシン(1.25mg/ml)/エチルアミンジアミン四酢酸(EDTA)(0.8mg/ml)溶液を使用して回収した。細胞を増殖培地中に再懸濁した。細胞密度を、血球計算器を使用して測定し、そして生存率をトリパンブルー溶液を使用して計算してから、増殖培地中で更に希釈し、そして透明底の96ウェルプレート(Packard,No.6005182)のウェル当り(100ul中)1×10細胞の密度で播種した。
【0167】
3日後、増殖培地をウェルから除去し、そしてerbB阻害剤化合物を含む又は含まないのいずれかの100μlのアッセイ培地(フェノールレッドを含まないDMEM、2mMのグルタミン、1.2mg/mlのG418)で置換えた。プレートをインキュベーターに4時間戻し、そして次いで20μlのPBS中の20%のホルムアルデヒド溶液をそれぞれのウェルに加え、そしてプレートを室温で30分間放置した。固定液を多チャンネルピペットで除去し、100μlのPBSをそれぞれのウェルに加え、そして次いで多チャンネルのピペットで除去し、そして次いで50μlのPBSをそれぞれのウェルに加えた。次いでプレートを密閉し、そして2週間まで4℃で保存した。
【0168】
免疫染色を室温で行った。細胞を、プレート洗浄器を使用して、200μlのPBS/Tween 20(1袋のPBS/Tweenの乾燥粉末(Sigma,No.P3563)を、1Lの二回蒸留のHOに加えることによって製造)で一回洗浄し、次いで100μlの0.5%のTriton X−100/PBSをそれぞれのウェルに加えて、細胞を浸透性にした。10分後、プレートを200μlのPBS/Tween 20で洗浄し、そして次いで100μlの遮断溶液(PBS中の5%のMarvel乾燥脱脂粉乳(Nestle))をウェルごとに加え、そしてプレートを15分間インキュベートした。プレート洗浄器による遮断溶液の除去後、遮断溶液中で1:250に希釈された30μlのウサギポリクローナル抗−ホスホerbB2 IgG抗体(エピトープホスホ−Tyr 1248,SantaCruz,No.SC−12352−R)を、それぞれのウェルに加え、そして2時間インキュベートした。次いでこの一次抗体溶液をプレート洗浄器を使用してウェルから除去し、続いてプレート洗浄器を使用して200μlのPBS/Tween 20で二回洗浄した。100μlの遮断溶液をウェルごとに加え、そしてプレートを10分間インキュベートした。次いで遮断溶液中に1:750で希釈された30μlのAlexa−Fluor 488ヤギ抗ウサギIgG二次抗体(Molecular Probes,No.A−11008)を、それぞれのウェルに加えた。これ以降、可能な限り、プレートを光への暴露から保護し、この段階で黒色の裏当てテープによって密閉した。プレートを45分間インキュベートし、そして次いで二次抗体溶液をウェルから除去し、続いてプレート洗浄器を使用して200μlのPBS/Tween 20で三回洗浄した。次いで100μlのPBSをそれぞれのプレートに加え、10分間インキュベートし、そして次いでプレート洗浄器を使用して除去した。次いで50μlのPBSをそれぞれのウェルに加え、そしてプレートを黒色の裏当てテープで再び密閉し、そして分析の前に4℃で保存した。プレートを、免疫染色の完了の6時間以内に分析した。
【0169】
それぞれのウェルの蛍光シグナルを、レーザー走査によって発生された画像の特徴を、迅速に定量するために使用することができるプレートリーダーである、Acumen Explorer装置(Acumen Bioscience Ltd.)を使用して測定した。この装置は、所定の閾値より上の蛍光物体の数を測定するために設定され、そしてこれは、erbB2タンパク質のリン酸化状態の測定値を与えた。それぞれの化合物に対して得られた蛍光の用量反応データは、適したソフトウェアパッケージ(Originのような)にエクスポートされて、カーブフィッティング分析を行った。erbB2リン酸化の阻害をIC50値として表示した。これは、erbB2リン酸化の50%阻害シグナルを得るために必要な化合物の濃度の計算によって決定した。
【0170】
d)In vivoのBT474C異種移植アッセイ
このアッセイは、メスのスイス胸腺欠損マウス(Alderley Park,nu/nu genotype)(Baselga,J.et al.(1998)Cancer Research,58,2825−2831)の異種移植片として増殖したBT−474腫瘍細胞系の変異的変種の増殖を阻害する試験化合物の能力を測定する。
【0171】
BT−474腫瘍細胞系(ヒト乳癌)を、Dr Baselga(at Laboratorio Recerca Oncologica,Paseo Vall D’Hebron 119−129,Barcelona 08035,Spain)から得た。この細胞系をサブクローンし、そしてある集団(本明細書中で以下“BT474C”と呼ばれる)を得た。
【0172】
メスのスイス胸腺欠損(nu/nu genotype)マウスを飼育し、そしてAlderley Park中で負圧隔離飼育器(PFI Systems Ltd.)中で維持した。マウスを、12時間の明/暗サイクルの障壁施設に収容し、そして滅菌食料及び水を自由に与えた。全ての方法を生後少なくとも8週間のマウスで行った。BT474C腫瘍細胞異種移植を、ドナーマウスの後部側腹部に、マウス当り100μlの、50%のマトリゲルを含み、血清を含まない培地中の1×10個の新しく培養した細胞の皮下注射によって確立した。マウスを、細胞の移植の前日の、100μg/マウスの皮下注射による安息香酸エストラジオール(Mesalin,Intravet UK 0.2 mg/ml)で補充し、その後毎週50μg/マウスでブーストするか;或いは0.5mgの21日放出用エストロゲンペレット(Innovative Research of America)の細胞移植前日の移植によって補充した。例として、移植14日後の選択により、マウスを、毎日一回0.1ml/10g体重の投与量で投与される化合物又はベヒクル対照で処理する前に、10匹の群に無作為に分けた。腫瘍の体積を、二方向のノギス測定によって、式、(長さ×幅)×√(長さ×幅)×(π/6)を使用して週二回評価し、式中、長さは腫瘍の最長の直径であり、そして幅は対応する垂線であった。治療の最初からの増殖の阻害は、対照及び処置群に対する腫瘍体積の平均の変化の比較によって計算し、そして二つの群の統計的有意性を、スチューデントt検定を使用して評価した。
【0173】
e)BT474C細胞増殖アッセイ
BT474C細胞は、上記で考察したように、in vivoの競合細胞のサブクローンされた集団である。
【0174】
BT474Cアッセイは、MTS(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム、内部塩−Promega G1111)終点に基づいた細胞増殖アッセイであり、これは、四日間にわたる細胞の増殖を阻害する試験化合物の能力を測定する。細胞を、増殖培地(フェノールレッドを含まない、10%の胎児ウシ血清、10%のM1サプリメント(AstraZenecaの内部供給)、1%のオキサロ酢酸を含有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で、7.5%COのエアーインキュベーター中で37℃で対数増殖期まで増殖させる。細胞を原液フラスコからPBS(pH7.4のリン酸緩衝生理食塩水、Gibco No.10010−015)中で1回洗浄することによって回収し、そして2mlのトリプシン(1.25mg/ml)/エチルアミンジアミン四酢酸(EDTA)(0.8mg/ml)溶液を使用して除去する。細胞を、アッセイ培地(フェノールレッドを含まない、10%の木炭/デキストラン処理済み胎児ウシ血清、10%のM1サプリメント、1%のオキサロ酢酸を含有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM))中に再懸濁する。細胞密度を、血球計算器を使用して測定し、そして生存率を、トリパンブルー溶液を使用して計算してから、更にアッセイ培地で希釈し、そして透明底の96ウェルプレート(Coster 3598)のウェル当り(100ul中に)1×10個の細胞の密度で播種する。一つの余分なプレートを、0日目の対照として働くために設定する。4時間後、100%のDMSO(Sigma D5879)中に連続して希釈された試験化合物を含有するアッセイ培地を、用量反応の形態で、プレートの全域に三重で加える。0日目プレートを、MTS溶液(テトラゾリウム化合物−エト硫酸フェナジン(PES−Sigma P4544)/PBS中のMTS粉末から製造)で処理し、そして2時間インキュベートしてから、反応を10%のSDSの添加によって停止する。プレートを、分光光度計で490nmで読取る。
【0175】
アッセイプレートを37℃で4日間放置し、そして次いでMTS溶液(上記のとおり)で処理し、これを活性細胞によって可溶性ホルマザン生成物に転換する。プレートを2時間インキュベーションした後、反応を10%のSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の添加によって停止し、そしてプレートを分光光度計で490nmで読取り、転換された染料の濃度に相対的な吸光度値を得る。
【0176】
それぞれの化合物により得られた吸光度の容量反応データを、適したソフトウェアパッケージ(Originのような)にエクスポートして、カーブフィッティング分析を行う。BT474C細胞増殖の阻害を、IC50値で表示する(対数/直線プロットの使用によってGI50として計算−0日目の吸光度データより上のデータを分析)。これを、細胞増殖の50%阻害を得るために必要な化合物の濃度の計算によって決定する。
【0177】
f)hERGでコードされたカリウムチャンネルの阻害アッセイ
Ion WorksTMHTのための細胞培養:
Persson et al.(Persson,F.,Carlsson,L.,Duker,G.,and Jacobson,I.,Blocking characteristics of hERG,hNav1.5,and hKvLQT1/hminK after administration of the novel anti−arrhythmic compound AZD7009.,J Cardiovasc.Electrophysiol.,16,329−341.2005)によって記載されたhERGを発現するチャイニーズハムスター卵巣K1(CHO)細胞を、37℃で、加湿された雰囲気(5%CO)中で、L−グルタミン、10%胎児ウシ血清(FCS)及び0.6mg/mlのハイグロマイシン(全てSigma)を含有するF−12Ham培地中で、半密集まで増殖した。使用前に、単層を予備加熱(37℃)した1:5,000のベルセンの3mlのアリコートを使用して洗浄した。この溶液の吸引後、フラスコを、インキュベーター中で、更なる2mlの1:5,000のベルセンを伴って6分間37℃でインキュベートした。次いで細胞をフラスコの底部から静かに叩くことによって剥がし、そして次いで10mlの、カルシウム(0.9mM)及びマグネシウム(0.5mM)を含有するダルベッコ−PBS(PBS;Invitrogen)を、フラスコに加え、そして15mlの遠心試験管中に吸引して入れてから、遠心(50g、4分間)した。得られた上清を廃棄し、そしてペレットを静かに3mlのPBS中に再懸濁した。1mlの細胞懸濁液のアリコートを取出して、生存細胞数を、トリパンブルー排除(Cedex;Innovatis)に基づいて決定し、そして細胞の再懸濁物の体積をPBSで調節して、所望の最終細胞濃度を得た。IonWorksTMHTの電圧のオフセットを調節するために使用されるCHO−Kv1.5細胞を、維持し、そして同様な方法で使用するために調製した。
【0178】
IonWorksTMHTの電気生理学
この装置の原理及び操作は、Schroeder et al.(Schroeder,K.,Neagle,B.,Trezise,D.J.,and Worley,J.,Ionworks HT:a new high−throughput electrophysiology measurement platform,J Biomol Screen,8,50−64,2003によって記載されている。簡単には、この技術は、吸引を使用して、二つの隔離された流体容器を分離する小さい孔の上に、細胞を位置し、そして保持することによって、それぞれのウェルにおいて記録が試みられる、384ウェルのプレート(PatchPlateTM)に基づいている。一旦、シール形成が起こった後、PatchPlateTMの下側の溶液は、アムホテリシンBを含有するものに交換される。これは、それぞれのウェルの孔を覆っている細胞の膜のパッチを浸透性にし、そして実質的に、穿孔全細胞パッチクランプの記録が行われることを可能にする。
【0179】
IonWorksTMHT(Essen Instrumentsから入手のベータ試験機)を、室温(約21℃)で、以下の方法で操作した。“緩衝液”位置の容器に4mlのPBSを入れ、そして“細胞”位置のそれに、先に記載したCHO−hERG細胞懸濁液を入れる。試験される化合物(その最終試験濃度×3で)を含有する96ウェルプレート(V底、Greiner Bio−one)を、“プレート1”位置に置き、そしてPatchPlateTMを、PatchPlateTMステーションにクランプ止めした。それぞれの化合物プレートを、10個の8点濃度−効果曲線を構築することが可能な12の列に配置する;プレート上の残りの二つの列は、アッセイの基線を規定するベヒクル(最終濃度0.33%のDMSO)、及び100%阻害レベルを規定する過最大遮断濃度のシサプリド(最終濃度10μM)を取込む。次いでIonWorksTMHTの流体工学ヘッド(F−ヘッド)は、PatchPlateTMのそれぞれのウェルに3.5μlのPBSを加え、そしてその下側は、次の成分(mMで):100のグルコン酸K、40のKCl、3.2のMgCl、3のEGTA及び5のHEPES(全てSigma)(10MのKOHを使用して、pH7.25−7.30)を有する“内部”溶液で潅流される。プライミング及び脱泡後、次いで電子ヘッド(E−ヘッド)は、孔の試験を行いながら、PatchPlateTMの周りを動き回る(即ち、それぞれのウェルの孔が開いているか否か決定するために電圧パルスを適用しながら)。次いでF−ヘッドは、3.5μlの先に記載した細胞懸濁液を、PatchPlateTMのそれぞれのウェルに分配し、そして細胞が、それぞれのウェル中の孔に到着し、そしてシールするために200秒が与えられた。これに続いて、E−ヘッドは、PatchPlateTMの周りを動き回って、それぞれのウェルで得られるシールの抵抗を決定した。次に、PatchPlateTMの下側の溶液を、次の成分(mMで):140のKCl、1のEGTA、1のMgCl及び20のHEPES(10MのKOHを使用してpH7.25−7.30)及び100μg/mlのアムホテリシン(全てSigma)を有する“アクセス”溶液に交換した。パッチの穿孔が起こるために9分を与えた後、E−ヘッドは、PatchPlateTMの48ウェルの周りを一度動き回って、化合物添加前のhERG電流の測定値を得た。次いでF−ヘッドは、化合物プレートのそれぞれのウェルからPatchPlateTMの4個のウェルに3.5μlの溶液を加えた(最終DMSO濃度は、ウェルごとに0.33%であった)。これは、いずれもの汚染の影響を最小にするために、化合物プレートの最も希釈されたウェルから最も濃縮されたウェルに移動することによって達成された。概略3分半のインキュベーション後、次いでE−ヘッドは、PatchPlateTMの全ての384ウェルの周りを動き回って、化合物添加後のhERGの電流の測定値を得た。この方法によって、それぞれの濃度の試験化合物の効果が、ウェルの十分なパーセントにおいて受容可能な基準が達成されることを条件として、1ないし4個間のウェルからの記録に基づく非累積濃度−効果曲線を作成することができる。
【0180】
化合物の添加前及び後のhERG電流を、−70mVに保持される20秒の時間、−60mVへの160ミリ秒の段階(漏洩の推定値を得るため)、−70mVに戻る100ミリ秒の段階、+40mVへの1秒の段階、−30mVへの2秒の段階及び最後の−70mVへの500ミリ秒の段階からなる単一の電圧パルスによって誘起した。化合物添加の前及び後の電圧パルス間に、膜電位のクランピングはなかった。電流は、電圧パルスプロトコルの開始における+10mVの段階間に誘起された電流の推定値に基づく漏洩が差引かれた。電流シグナルは、2.5kHzで採取された。
【0181】
事前及び事後の走査によるhERG電流の大きさは、漏洩を差引いた値から、−70mVにおける初期の保持時間中の電流の40ミリ秒の平均(基線電流)を取り、そしてこれをテール電流反応のピークから差引くことによって、IonWorksTMHTソフトウェアによって自働的に測定された。それぞれのウェルにおいて誘起された電流に対する許容基準は:事前走査シール抵抗>60MΩ、事前走査hERGテール電流振幅>150pA;事後走査シール抵抗>60MΩであった。hERG電流の阻害の程度を、事後走査hERG電流を、代表的な事前走査hERG電流で割ることによってそれぞれのウェルに対して評価した。
【0182】
式Iのキナゾリン誘導体の薬理学的特性は、予想されるように構造の変化に伴って変化するが、一般的に式Iのキナゾリン誘導体によって保有される活性は、上記試験(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の一つ又はそれより多くにおける以下の濃度又は投与量:
試験(a):− 例えば、0.001−1μMの範囲のIC50
試験(b):− 例えば、0.001−5μMの範囲のIC50
試験(c):− 例えば、0.001−5μMの範囲のIC50
試験(d):− 例えば、1−200mg/kg/日の範囲の活性;
試験(e):− 例えば、0.001−5μMの範囲のIC50
において証明することができる。
【0183】
生理学的に受容不可能な毒性は、本発明の試験されたキナゾリン誘導体の有効な投与量における試験(d)において観察されなかった。試験(f)は、目標及びhERG活性間の安全な余裕を示し、hERGチャンネルの阻害によって起きる不整脈の可能性がないことを示唆した。従って、本明細書中で先に定義したとおりの式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩が、本明細書中で以下に規定される範囲の投与量で投与された場合、有害な毒物学的影響がないことが予想される。
【0184】
例として、表Aに、本発明による代表的な化合物の活性を例示する。表Aの2列目は、EGFRチロシンキナーゼタンパク質リン酸化の阻害に対する試験(a)からのIC50データを示し;3列目は、erbB2チロシンキナーゼタンパク質リン酸化の阻害に対する試験(a)からのIC50データを示し;そして4列目は、先に記載した試験(e)におけるBT474C細胞の増殖の阻害に対するIC50データを示す:
【0185】
【表1】

【0186】
本発明の更なる側面によれば、本明細書中で先に定義したとおりの式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩を、医薬的に受容可能な希釈剤又は担体と共に含んでなる医薬組成物が提供される。
【0187】
本発明の組成物は、経口使用(例えば錠剤、ロザンジ、硬質又は軟質カプセル、水性又は油性懸濁液、乳液、分散性粉末又は顆粒、シロップ又はエリキシルとして)、局所使用(例えばクリーム、軟膏、ゲル、或いは水性又は油性溶液若しくは懸濁液として)、吸入による投与(例えば微細に分割された粉末又は液体エアゾールとして)、通気による投与(例えば微細に分割された粉末)、非経口投与(例えば、静脈内、皮下、筋肉内又は筋肉内投与のための滅菌水性又は油性溶液として、或いは直腸投与のための座薬として)のために適した形態であることができる。
【0188】
本発明の組成物は、当技術において公知の慣用的な医薬的な賦形剤を使用して、慣用的な方法によって得ることができる。従って、経口使用を意図する組成物は、例えば、一つ又はそれより多い着色剤、甘味剤、芳香剤及び/又は保存剤を含有することができる。
【0189】
一つ又はそれより多い賦形剤と組合されて、単一の剤形が製造される活性成分の量は、治療される宿主及び投与の特別な経路によって必然的に変化するものである。例えば、ヒトへの経口投与を意図する製剤は、一般的に例えば、0.5mgないし0.5gの活性剤(更に適当には0.5ないし100mg、例えば1ないし30mg)を、全組成物の約5ないし約98重量パーセントで変化することができる適当な、そして都合のよい量の賦形剤と配合されて含有するものである。
【0190】
式Iのキナゾリン誘導体の治療又は予防目的のための投与量の大きさは、症状の特質および重篤度、動物又は患者の年齢及び性別、並びに投与の経路によって、医学の公知の原理によって、当然変化するものである。
【0191】
式Iのキナゾリン誘導体を治療又は予防的目的のために使用する場合、これは、一般的に、例えば0.1mg/kgないし75mg/kg体重の範囲の日量が、必要な場合分割投与で与えられて受けるように、投与されるものである。一般的に非経口経路が使用される場合、より低い投与量が投与されるものである。従って、例えば静脈内投与のために、例えば0.1mg/kgないし30mg/kg体重の範囲の投与量が一般的に使用されるものである。同様に、吸入による投与のために、例えば、0.05mg/kgないし25mg/kg体重の範囲の投与量が使用されるものである。然しながら、特に錠剤の形態の経口投与が好ましい。典型的には、単位剤形は、約0.5mgないし0.5gの本発明のキナゾリン誘導体を含有するものである。
【0192】
本出願人等は、本発明のキナゾリン誘導体が、抗癌特性のような抗増殖性特性を保有し、これが、そのerbB、特にEGF、そして更に特にerbB2受容体型チロシンキナーゼ阻害活性から得られると信じられることを見出した。更に、本発明によるキナゾリン誘導体のあるものが、EGFRチロシンキナーゼのような他のチロシンキナーゼ酵素に対するより、erbB2受容体型チロシンキナーゼに対して実質的に良好な効力を保有する。このようなキナゾリン誘導体は、erbB2受容体型チロシンキナーゼに対して十分な効力を保有し、これは、erbB2受容体型チロシンキナーゼを阻害するために十分な量で使用することができる一方、EGFRのような他のチロシンキナーゼに対して僅かな、又は有意に低い活性を証明する。このようなキナゾリン誘導体は、erbB2受容体型チロシンキナーゼの選択的阻害のために有用である可能性があり、そして例えば、erbB2促進の腫瘍の有効な治療のために有用である可能性がある。
【0193】
従って、本発明のキナゾリン誘導体は、及びerbB、特にerbB2受容体型チロシンキナーゼによって単独で又は部分的に仲介される疾病或いは医学的症状の治療において有用であることが予想され、即ち、キナゾリン誘導体は、erbB、特にerbB2受容体型チロシンキナーゼ阻害効果の産生のために、このような治療を必要とする温血動物において使用することができる。従って、本発明のキナゾリン誘導体は、erbB、特にerbB2受容体型チロシンキナーゼの阻害によって特徴づけられる、悪性細胞の治療のための方法を提供する。特に本発明のキナゾリン誘導体は、erbB、特にerbB2受容体型チロシンキナーゼの阻害によって単独で又は部分的に仲介される抗増殖性及び/又はアポトーシス促進性及び/又は抗浸潤効果を産生するために使用することができる。特に、本発明のキナゾリン誘導体は、これらの腫瘍細胞の増殖及び生存を促進するシグナル伝達段階に関係するerbB、特にerbB2受容体型チロシンキナーゼの阻害に対して感受性である腫瘍の予防又は治療において有用であることが予想される。従って、本発明のキナゾリン誘導体は、抗増殖性効果を与えることによって、多くの過剰増殖性疾患の治療及び/又は予防において有用であることが予想される。これらの疾患は、例えば、乾癬、良性前立腺肥大(BPH)、アテローム性動脈硬化症及び再狭窄を、そして特に、erbB、更に特にerbB2受容体型チロシンキナーゼが促進する腫瘍を含む。このような良性及び悪性腫瘍は、いずれもの組織に影響することができ、そして白血病、多発性骨髄腫又はリンパ腫のような非固形腫瘍を、そして更に固形腫瘍、例えば、胆管、骨、膀胱、脳/CNS、乳房、結腸直腸、子宮頚部、子宮内膜、胃、頭頚部、肝臓、肺、筋肉、神経細胞、食道、卵巣、膵臓、胸膜/腹膜、前立腺、腎臓、皮膚、精巣、甲状腺、子宮及び外陰部癌を含む。
【0194】
本発明のこの側面によれば、医薬として使用するための、式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩が提供される。
従って、本発明のこの側面によれば、ヒトのような温血動物における抗増殖性効果の産生において使用するための医薬の製造における、本明細書中で先に定義したとおりの式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩の使用が提供される。
【0195】
本発明のこの側面の更なる特徴によれば、抗増殖性効果を産生するための、このような治療を必要とするヒトのような温血動物における、有効な量の本明細書中で先に定義したとおりの式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩を、前記動物に投与することを含んでなる方法が提供される。
【0196】
本発明の更なる側面によれば、ヒトのような温血動物における抗増殖性効果の産生において使用するための、式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩が提供される。
【0197】
本発明の更なる側面によれば、抗増殖性効果の産生において使用するための医薬の製造における、本明細書中で先に定義したとおりの式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩の使用が提供され、この効果は、ヒトのような温血動物におけるerbB2受容体型チロシンキナーゼの阻害によって単独で又は部分的に産生される。
【0198】
本発明のこの側面の更なる特徴によれば、抗増殖性効果を産生するための、このような治療を必要とするヒトのような温血動物における、有効な量の本明細書中で先に定義したとおりの式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩を、前記動物に投与することを含んでなる方法が提供され、この効果は、ヒトのような温血動物におけるerbB2受容体型チロシンキナーゼの阻害によって単独で又は部分的に産生される。
【0199】
本発明の更なる側面によれば、抗増殖性効果の産生において使用するための、式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩が提供され、この効果は、ヒトのような温血動物におけるerbB2受容体型チロシンキナーゼの阻害によって単独で又は部分的に産生される。
【0200】
本発明の更なる側面によれば、erbB、特にerbB2受容体型チロシンキナーゼによって単独で又は部分的に仲介される、疾病又は医学的症状(例えば本明細書中で記述したような癌)の治療において使用するための医薬の製造における、本明細書中で先に定義したとおりの式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩の使用が提供される。
【0201】
本発明のこの側面の更なる特徴によれば、erbB、特にerbB2受容体型チロシンキナーゼによって単独で又は部分的に仲介される。疾病又は医学的症状(例えば本明細書中で記述したような癌)の治療のための、このような治療を必要とするヒトのような温血動物における、有効な量の本明細書中で先に定義したとおりの式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩を、前記動物に投与することを含んでなる方法が提供される。
【0202】
本発明の更なる側面によれば、erbB、特にerbB2受容体型チロシンキナーゼによって単独で又は部分的に仲介される疾病又は医学的症状(例えば本明細書中で記述したような癌)の治療において使用するための、式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩が提供される。
【0203】
本発明の更なる側面によれば、腫瘍細胞の増殖に導くシグナル伝達段階に関係する一つ又はそれより多いEGF及び/又はerbB2及び/又はerbB4(特にerbB2)受容体型チロシンキナーゼのようなerbB受容体型チロシンキナーゼの阻害に感受性である腫瘍の予防又は治療において使用するための医薬の製造における、本明細書中で先に定義したとおりの式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩の使用が提供される。
【0204】
本発明のこの側面の更なる特徴によれば、腫瘍細胞の増殖及び/又は生存に導くシグナル伝達段階に関係する一つ又はそれより多いEGF及び/又はerbB2及び/又はerbB4(特にerbB2)受容体型チロシンキナーゼのようなerbB受容体型チロシンキナーゼの阻害に感受性である腫瘍の予防又は治療のための、このような治療を必要とするヒトのような温血動物における、有効な量の本明細書中で先に定義したとおりの式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩を、前記動物に投与することを含んでなる方法が提供される。
【0205】
本発明の更なる側面によれば、腫瘍細胞の増殖及び/又は生存に導くシグナル伝達段階に関係する一つ又はそれより多いEGF及び/又はerbB2及び/又はerbB4(特にerbB2)受容体型チロシンキナーゼのようなerbB受容体型チロシンキナーゼの阻害に感受性である腫瘍の予防又は治療において使用するための、式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩が提供される。
【0206】
本発明の更なる側面によれば、EGF及び/又はerbB2及び/又はerbB4(特にerbB2)受容体型チロシンキナーゼの阻害効果を得ることにおいて使用するための医薬の製造における、本明細書中で先に定義したとおりの式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩の使用が提供される。
【0207】
本発明のこの側面の更なる特徴によれば、EGF及び/又はerbB2及び/又はerbB4(特にerbB2)受容体型チロシンキナーゼの阻害効果を得るための、このような治療を必要とするヒトのような温血動物における、有効な量の本明細書中で先に定義したとおりの式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩を、前記動物に投与することを含んでなる方法が提供される。
【0208】
本発明の更なる側面によれば、EGF及び/又はerbB2及び/又はerbB4(特にerbB2)受容体型チロシンキナーゼの阻害効果を得ることにおいて使用するための、式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩が提供される。
【0209】
本発明の更なる側面によれば、選択的erbB2キナーゼ阻害効果を得ることにおいて使用するための医薬の製造における、本明細書中で先に定義したとおりの式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩の使用が提供される。
【0210】
本発明のこの側面の更なる特徴によれば、選択的erbB2キナーゼ阻害効果を得るための、このような治療を必要とするヒトのような温血動物における、有効な量の本明細書中で先に定義したとおりの式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩を、前記動物に投与することを含んでなる方法が提供される。
【0211】
本発明の更なる側面によれば、選択的erbB2キナーゼ阻害効果を得ることにおいて使用するための、式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩が提供される。
【0212】
“選択的erbB2キナーゼ阻害効果”によって、式Iのキナゾリン誘導体が、erbB2受容体型チロシンキナーゼに対して、これが、他のキナーゼに対するよりも更に強力であることを意味する。特に本発明による化合物のいくつかは、erbB2受容体型キナーゼに対して、これが他のerbB受容体型チロシンキナーゼ、特にEGFRチロシンキナーゼのような他のチロシンキナーゼに対するより更に強力である。例えば本発明による選択的erbB2キナーゼ阻害剤は、erbB2受容体型チロシンキナーゼに対して、これがEGFRチロシンキナーゼに対するより、適したアッセイ(例えば先に記載したような与えられた試験化合物に対する、クローン24ホスホ−erbB2細胞アッセイからのIC50値(細胞中のerbB2チロシンキナーゼ阻害活性の測定値)を、KB細胞アッセイからのIC50(細胞中のEGFRチロシンキナーゼ阻害活性の測定値)と比較することによって)における相対的IC50値から決定されるように、少なくとも5倍、好ましくは少なくとも10倍更に強力である。
【0213】
本発明の更なる側面によれば、癌、例えば白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、胆管、骨、膀胱、脳/CNS、乳房、結腸直腸、子宮頚部、子宮内膜、胃、頭頚部、肝臓、肺、筋肉、神経細胞、食道、卵巣、膵臓、胸膜/腹膜、前立腺、腎臓、皮膚、精巣、甲状腺、子宮及び外陰部癌から選択される癌の治療において使用するための医薬の製造における、本明細書中で先に定義したとおりの式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩の使用が提供される。
【0214】
本発明のこの側面の更なる特徴によれば、癌、例えば白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、胆管、骨、膀胱、脳/CNS、乳房、結腸直腸、子宮頚部、子宮内膜、胃、頭頚部、肝臓、肺、筋肉、神経細胞、食道、卵巣、膵臓、胸膜/腹膜、前立腺、腎臓、皮膚、精巣、甲状腺、子宮及び外陰部癌から選択される癌の治療のための、このような治療を必要とするヒトのような温血動物における、有効な量の本明細書中で先に定義したとおりの式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩を、前記動物に投与することを含んでなる方法が提供される。
【0215】
本発明の更なる側面によれば、癌、例えば白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、胆管、骨、膀胱、脳/CNS、乳房、結腸直腸、子宮頚部、子宮内膜、胃、頭頚部、肝臓、肺、筋肉、神経細胞、食道、卵巣、膵臓、胸膜/腹膜、前立腺、腎臓、皮膚、精巣、甲状腺、子宮及び外陰部癌から選択される癌の治療において使用するための、式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩が提供される。
【0216】
先に記述したように、特定の疾病の治療的及び予防的処置のために必要な投与量の大きさは、特に、治療される宿主、投与の経路及び治療される病気の重篤度によって必然的に変化するものである。
【0217】
本発明のキナゾリン誘導体は、それによって本出願人等が、ヒトのような温血動物中で分解して、本発明のキナゾリン誘導体を放出する化合物を意味する、プロドラッグの形態で投与することができる。プロドラッグは、本発明のキナゾリン誘導体の物理学的特性及び/又は薬物動態学的特性を変更するために使用することができる。プロドラッグは、本発明のキナゾリン誘導体が、特性変更基がそれに接続することができる適した基又は置換基を含有している場合、形成することができる。プロドラッグの例は、式Iのキナゾリン誘導体中のヒドロキシ基において形成することができる、in vivoで開裂可能なエステル誘導体及び式Iのキナゾリン誘導体中のアミノ基において形成することができる、in vivoで開裂可能なアミド誘導体を含む。
【0218】
従って、本発明は、有機合成によって入手可能となる場合の、そしてそのプロドラッグの開裂によってヒト又は動物の内部で利用可能となる場合の、本明細書中で先に定義したとおりの式Iのキナゾリン誘導体を含む。従って、本発明は、有機合成の手段によって製造された式Iのキナゾリン誘導体を、そして更に前駆体化合物の代謝によってヒト又は動物の体内で製造されたようなキナゾリン誘導体を含み、即ち、式Iのキナゾリン誘導体は、合成的に製造されたキナゾリン誘導体又は代謝的に製造されたキナゾリン誘導体であることができる。
【0219】
式Iのキナゾリン誘導体の適した医薬的に受容可能なプロドラッグは、妥当な医学的判断に基づいて、好ましくない薬理学的活性及び過度の毒性を持たない、ヒト又は動物への投与に適しているものである。
【0220】
各種のプロドラッグが、例えば以下の文書:−
a) Methods in Enzymology,Vol.42,p.309 to 396,edited by K.Widder,et al.(Academic Press,1985);
b) Design of Pro−drugs,edited by H.Bundgaard,(Elsevier,1985);
c) A Textbook of Drug Design and Development,edited by Krogsgaard−Larsen and H.Bundgaard,Chapter 5 “Design and Application of Pro−drugs”,edited by H.Bundgaard,p.113 to 191(1991);
d) H.Bundgaard,Advanced Drug Delivery Reviews,1 to 38(1992);及び
e) H.Bundgaard,et al.,Journal of Pharmaceutical Sciences77,285(1988);
中に記載されている。
【0221】
本明細書中で先に定義された抗増殖性治療は、単独の療法として適用することができるか、或いは本発明のキナゾリン誘導体に加えて、慣用的な手術或いは放射線療法又は化学療法を含むことができる。このような化学療法は、一つ又はそれより多い以下の分類の抗腫瘍剤:
(i)アルキル化剤(例えばシス−プラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、テモゾロミド(temozolamide)及びニトロソ尿素);代謝拮抗剤(例えばゲムシタビン並びに5−フルオロウラシル及びテガフールのようなフルオロピリミジン、ラルチトレキセド、メトトレキセートのような葉酸代謝拮抗剤、シトシンアラビノシド並びにヒドロキシ尿素);抗腫瘍性抗生物質(例えばアドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン及びミトラマイシンのようなアントラサイクリン);有糸分裂阻害剤(例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン及びビノレルビンのようなビンカアルカロイド並びにタキソール及びタキソテールのようなタキソイド、並びにポロキナーゼ阻害剤);及びトポイソメラーゼ阻害剤(例えばエトポシド及びテニポシドのようなエピポドフィロトキシン、アムサクリン、トポテカン並びにカンプトテシン);のような、腫瘍内科学において使用されているような他の抗増殖性/抗悪性腫瘍性薬物及びこれらの組合せ;
(ii)抗エストロゲン剤(例えばタモキシフェン、フルベストラント、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン及びヨードキシフェン(iodoxyfene))、抗アンドロゲン剤(例えばビカルタミド、フルタミド、ニルタミド及び酢酸シプロテロン)、LHRHアンタゴニスト又はLHRHアゴニスト(例えばゴセレリン、リュープロレリン及びブセレリン)、プロゲストーゲン(例えば酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えばアナストロゾール、レトロゾール、ボロゾール(vorazole)及びエキセメスタンのような)並びにフィナステリドのような5α−レダクターゼの阻害剤のような、細胞分裂阻害剤;
(iii)抗浸潤剤(例えば4−(6−クロロ−2,3−メチレンジオキシアニリノ)−7−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ]−5−テトラヒドロピラン−4−イルオキシキナゾリン(AZD0530;国際特許出願WO01/94341)及びN−(2−クロロ−6−メチルフェニル)−2−{6−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]−2−メチルピリミジン−4−イルアミノ}チアゾール−5−カルボキシアミド(ダサチニブ、BMS−354825;J.Med.Chem.,2004,47,6658−6661)のような、c−Srcキナーゼファミリーの阻害剤、及びマリマスタットのようなメタロプロテイナーゼ阻害剤、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体機能の阻害剤又はヘパラナーゼの抗体);
(iv)増殖因子機能の阻害剤:例えばこのような阻害剤は、増殖因子抗体及び増殖因子受容体抗体(例えば抗erbB2抗体トラスツズマブ[ハーセプチンTM]及び抗erbB1抗体セツキシマブ[エルビタックス、C225]);このような阻害剤は、更にチロシンキナーゼ阻害剤、例えば上皮増殖因子ファミリーの阻害剤(例えばN−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(ゲフィチニブ、ZD1839)、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン(エルロチニブ、OSI−774)及び6−アクリルアミド−N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)−キナゾリン−4−アミン(CI1033)のようなEGFRファミリーのチロシンキナーゼ阻害剤)、ラパチニブのようなerbB2チロシンキナーゼ阻害剤、肝細胞増殖因子ファミリーの阻害剤、イマチニブのような血小板由来増殖因子ファミリーの阻害剤、セリン/トレオニンキナーゼの阻害剤(例えばファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤のようなRas/Rafシグナル伝達阻害剤、例えばソラフェニブ(BAY43−9006))、MEK及び/又はAKTキナーゼによる細胞のシグナル伝達の阻害剤、肝細胞増殖因子ファミリーの阻害剤、c−kit阻害剤、ablキナーゼ阻害剤、IGF受容体(インスリン様増殖因子)キナーゼ阻害剤;オーロラキナーゼ阻害剤(例えばAZD1152、PH739358、VX−680、MLN8054、R763、MP235、MP529、VX−528及びAX39459)並びにCDK2及び/又はCDK4阻害剤のようなサイクリン依存性キナーゼ阻害剤を含む;
(v)血管内皮増殖因子の影響を阻害するもの[例えば抗血管内皮増殖因子抗体ベバシズマブ(アバスチンTM)、及び4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン(ZD6474;WO01/32651の実施例2)、4−(4−フルオロ−2−メチルインドール−5−イルオキシ)−6−メトキシ−7−(3−ピロリジン−1−イルプロポキシ)キナゾリン(AZD2171;WO00/47212の実施例240)、バタラニブ(PTK787;WO98/35985)及びSU11248(スニチニブ;WO01/60814)のようなVEGF受容体型チロシンキナーゼ阻害剤、国際特許出願WO97/22596、WO97/30035、WO97/32856及びWO98/13354中に開示されているもののような化合物、並びに他の機構によって作用する化合物(例えばリノマイド、インテグリンαvβ3機能の阻害剤及びアンジオスタチン)]のような、抗血管新生剤;
(vi)コンブレタスタチンA4及び国際特許出願WO99/02166、WO00/40529、WO00/41669、WO01/92224、WO02/04434及びWO02/08213中で開示されている化合物のような、血管傷害剤;
(vii)アンチセンス療法、例えば抗rasアンチセンスISIS2503のような上記に収載した標的を指向するもの;
(viii)例えば、異常p53或いは異常BRCA1又はBRCA2のような異常遺伝子を置換える方法、シトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼ又は細菌性ニトロレダクターゼ酵素使用するもののようなGDEPT(遺伝子指向性酵素プロドラッグ療法)法、及び多剤耐性遺伝子療法のような化学療法又は放射線量法に対する患者の許容性を増加するための方法を含む、遺伝子療法的方法;並びに
(ix)例えば、インターロイキン2、インターロイキン4又は顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のようなサイトカインによる形質移入のような患者の腫瘍細胞の免疫原性を増加するためのex−vivo及びin−vivoの方法、T細胞アネルギーを減少するための方法、サイトカインで形質移入された樹状細胞のような形質移入された免疫細胞を使用する方法、サイトカインで形質移入された腫瘍細胞系を使用する方法、及び抗イディオタイプ抗体を使用する方法を含む、免疫療法的方法;
を含むことができる。
【0222】
このような併用治療は、治療の個々の成分の同時、連続又は別個投与によって達成することができる。このような組合せ産物は、本明細書中で先に記載した投与量の範囲の本発明のキナゾリン誘導体及びその認可された投与量の範囲の他の医薬的に活性な薬剤を使用する。
【0223】
本発明のこの側面によれば、本明細書中で先に定義したとおりの式Iのキナゾリン誘導体及び癌の併用治療のために本明細書中で先に定義したような更なる抗腫瘍剤を含んでなる医薬製品が提供される。
【0224】
式Iのキナゾリン誘導体は、温血動物(ヒトを含む)において使用するための治療剤として主として価値を有するが、これらは、更にerbB受容体型チロシンタンパク質キナーゼの影響を阻害することを必要とする如何なる場合も有用である。従って、これらは、新しい生物学的試験の開発及び新しい薬理学的薬剤の探求において使用するための、薬理学的標準として有用である。
【実施例】
【0225】
本発明は、ここに以下の非制約的実施例によって例示されるものであり、これらにおいて、他に記述しない限り:
(i)温度は、摂氏の度(℃)で与えられる;操作は、室温又は周囲温度、即ち18ないし25℃の範囲の温度で行われた;
(ii)有機溶液は、無水の硫酸マグネシウム又は無水の硫酸ナトリウムで乾燥した;溶媒の蒸発は、回転蒸発器を使用して、減圧下(600ないし4000パスカル;4.5ないし30mmHg)で、60℃までの浴温で行った;
(iii)クロマトグラフィーは、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを意味する;薄層クロマトグラフィー(TLC)は、シリカゲルプレートで行った;
(iv)一般的に、反応の進行は、TLC及び/又は分析用LC−MSによって追跡され、そして反応時間は例示のみのために与えられる;
(v)最終生成物は、満足なプロトン核磁気共鳴(NMR)スペクトル及び/又は質量スペクトルデータを有していた;
(vi)収率は、例示のみのために与えられ、そして必ずしも入念な過程開発によって得られたものではない;調製は、更なる物質が必要な場合には繰返した;
(vii)与えられた場合、NMRデータは、内部標準としてのテトラメチルシラン(TMS)に対するパーツパーミリオン(ppm)で与えられる、主要な診断プロトンに対する、他に示さない限り、溶媒としてペルジューテリオジメチルスルホキシド(DMSO−d)を使用して400MHzにおいて決定されたデルタ値の形態である;次の略語:s、単一線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;m、多重線;b、幅広線が使用されている;
(viii)化学記号は、その通常の意味を有する;SI単位及び記号を使用する;
(ix)溶媒比は、容積:容積(v/v)項で与えられる;そして
(x)質量スペクトルは、70電子ボルトの電子エネルギーで、化学イオン化(CI)モードで直接暴露プローブを使用して行った;示された場合、イオン化は、電子衝撃(EI)、高速原子衝撃(FAB)又はエレクトロスプレー(ESP)によって行った;m/zに対する値が与えられている;一般的に、母体質量を示すイオンのみが報告されている;そして他に記述しない限り、引用される質量イオンは、プロトン化された質量イオンを指す(MH)である;Mに対する言及は、電子の喪失によって発生された質量イオンである;そしてM−Hに対する言及は、プロトンの喪失によって発生された質量イオンである;
(xi)他に記述しない限り、不斉に置換された炭素及び/又は硫黄原子を含有する化合物は、分割されていない;
(xii)合成が、先の実施例に記載されたものと類似であると記載された場合、使用される量は、先の実施例において使用されたものとミリモル比当量である;
(xiii)全てのマイクロ波反応は、CEM DiscoverTMマイクロ波シンセサイザーで行った;
(xiv)分離用高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)は、Gilson装置で、以下の条件:
カラム: 21mm×10cmのHichrom RPB
溶媒A: 水+0.1%トリフルオロ酢酸、
溶媒B: アセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸
流量: 18ml/分
試験時間:10分間の5−95%Bの勾配を伴う15分間
波長: 254nm、10nmのバンド幅
注入体積:2.0−4.0ml
を使用して行った;
xv)分析用HPLCは、LC/MS Waters 2790/ZMD Micromass装置で、以下の条件:
Waters Symmetryカラム:C18、3.5mM、4.6×50mm
検出: UV254nM及びMS
溶出: 流量 2.5ml/分、5%ギ酸を含有する95%水及び5%メタノールから、5%ギ酸を含有する40%水、55%アセトニトリル及び5%メタノールへの3分間にわたる直線勾配、次いで5%ギ酸を含有する95%アセトニトリル及び5%メタノールへの1分間にわたる直線勾配;
を使用して行った(保持時間(t)を測定するため;
(xvi)以下の略語:
HATU ヘキサフルオロ−リン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム;
DEAD アゾジカルボン酸ジエチル;
DTAD アゾジカルボン酸ジ−tert−ブチル;
EDCI 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩;
THF テトラヒドロフラン;
DMF N,N−ジメチルホルムアミド;
DMA N,N−ジメチルアセトアミド;
DCM ジクロロメタン;
DMSO ジメチルスルホキシド;
IPA イソプロピルアルコール;
エーテル ジェチルエーテル;及び
TFA トリフルオロ酢酸
が使用されている。
【0226】
実施例1
(2R)−2−[(4−{[4−(アゼパン−1−イルカルボニル)−3−クロロフェニル]アミノ}キナゾリン−5−イル)オキシ]−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルプロパンアミド
酢酸2−(メチル{(2R)−2−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)オキシ]プロパノイル}アミノ)エチル(250mg、0.75mmol)、トリフェニルホスフィン(590mg、2.25mmol)及び四塩化炭素(2.17ml、22.5mmol)の1,2−ジクロロエタン(5ml)中の混合物を、45℃で2時間攪拌した。4−(アゼパン−1−イルカルボニル)−3−クロロアニリン(706mg、3.15mmol)を加えた。混合物を冷却し、そして溶媒を真空下で蒸発した。アセトニトリル(15ml)を加えた。混合物を75℃で1時間攪拌した。冷却後、7Nのメタノール中のアンモニアの溶液を加えた。混合物を真空下で蒸発し、そして残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶出剤:DCM中の1%から2.5%へのメタノール)によって精製して、酢酸2−[{(2R)−2−[(4−{[4−(アゼパン−1−イルカルボニル)−3−クロロフェニル]アミノ}キナゾリン−5−イル)オキシ]プロパノイル}(メチル)アミノ]エチルを、白色の固体(296mg)として得た。この化合物を、ピロリジン(1.56ml)中に溶解し、そして混合物を45℃で1時間加熱した。溶媒の蒸発後、残渣を分離用HPLC−MS装置のHPLCカラム(C18、5ミクロン、直径19mm、長さ100mm)に、2g/lの炭酸アンモニウムを含有する水及びアセトニトリルの混合物(勾配)と共に注入した。溶媒の蒸発後、混合物をジクロロメタン中に溶解し、そして真空下で蒸発して、表題化合物を、白色の泡状物(185mg、47%)として得た;NMR スペクトル(CDCl)(二つのロータマー)1.9−1.5(m,11H),3.04及び3.23(s,3H),3.33(m,2H),4.0−3.5(m,6H),5.71及び5.37(m,1H),6.87及び6.75(m,1H),7.6−7.2(m,3H),7.95(m,1H),8.35(m,1H),8.65及び8.56(m,1H);質量スペクトル MH526。
【0227】
出発物質として使用した酢酸2−(メチル{(2R)−2−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)オキシ]プロパノイル}アミノ)エチルは、以下のように製造した:
水素化ナトリウム(10g、油中の60%分散物、244mmol)を、(R)−ラクトアミド(8.14g、91.5mmol)及び5−フルオロキナゾリン−4(3H)−オン(10g、61mmol)のDMA(100ml)中の室温の溶液に、分割して加えた。混合物を80℃で3時間撹拌した。冷却後、更なる水素化ナトリウム(2g、油中の60%分散物、61mmol)を加え、そして混合物を80℃で3時間加熱した。冷却後、酢酸(18.3ml)をゆっくりと加えた。溶媒の蒸発後、残渣をエーテル中で摩砕して、固体を得た。ある程度のこの固体(10g)を、メタノール(200ml)中に懸濁し、そして濃硫酸(14ml)を加えた。混合物を還流で6時間撹拌した。冷却後、無機質を濾過して除去した。濾液を蒸発した。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶出剤:DCM中の3%メタノール)によって精製して、(2R)−2−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)オキシ]プロパン酸メチル(6.8g)を得た;NMR スペクトル 1.56(d,3H),3.67(s,3H),4.99(q,1H),6.84(d,1H),7.23(d,1H),7.64(t,1H),7.98(s,1H);質量スペクトル:MH249。
【0228】
(2R)−2−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)オキシ]プロパン酸メチル(6.8g、27.4mmol)及び2−(メチルアミノ)エタノール(11ml、137mmol)のメタノール(20ml)中の溶液を、還流で6時間加熱した。冷却後、溶媒を真空下で蒸発し、そして残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶出剤:DCM中の5%メタノール)によって精製した。エーテル中の摩砕及びアセトニトリル中の再結晶化により、(2R)−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−2−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)オキシ]プロパンアミドを、白色の固体(5g、63%)として得た;質量スペクトル:MH292。
【0229】
(2R)−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−2−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)オキシ]プロパンアミド(4.9g、16.8mmol)、無水酢酸(15.8ml、168mmol)及びピリジン(5ml)の懸濁液を、100℃で45分間加熱した。冷却後、溶媒を真空中で蒸発した。残渣をメタノール(4ml)及び水(4ml)の混合物中に取込んだ。混合物を室温で30分間攪拌した。溶媒を真空下で蒸発し、そして残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶出剤:DCM中の3%メタノール)によって精製して、酢酸2−(メチル{(2R)−2−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)オキシ]プロパノイル}アミノ)エチルを、白色の固体(4.8g、86%)として得た;NMRスペクトル(二つのロータマー)1.50(m,3H),1.91(s,3H),3.11及び2.84(s,3H),3.52及び3.74−3.67(m,2H),4.10(m,2H),5.21(m,1H),6.83及び6.70(d,1H),7.18(m,1H),7.60(m,1H),7.69(s,1H);質量スペクトル MH334。
【0230】
出発物質として使用した4−(アゼパン−1−イルカルボニル)−3−クロロアニリンは、以下のように製造した:
EDCI(2.45g、12.8mmol)を、4−アミノ−2−クロロ安息香酸(2g、11.7mmol)及びアゼパン(1.32ml、11.7mmol)のDCM(50ml)中の混合物に加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。混合物を飽和重炭酸ナトリウムで洗浄し、そしてMgSOで乾燥した。溶媒の蒸発後、残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶出剤:DCM中の2%メタノール)によって精製して、4−(アゼパン−1−イルカルボニル)−3−クロロアニリンを、淡色の固体(1.68g、57%)として得た;NMRスペクトル(CDCl)1.58(m,6H),1.82(m,2H),3.28(t,2H),3.9−3.6(m,4H),6.55(dd,1H),6.67(d,1H),7.02(d,1H);質量スペクトル MH253。
【0231】
実施例2
(2R)−2−[(4−{[3−クロロ−4−(ピペリジン−1−イルカルボニル)フェニル]アミノ}キナゾリン−5−イル)オキシ]−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルプロパンアミド
実施例1と類似の方法を使用して、酢酸2−(メチル{(2R)−2−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)オキシ]プロパノイル}アミノ)エチル(250mg、0.75mmol)を、3−クロロ−4−(ピペリジン−1−イルカルボニル)アニリン(189mg、0.79mmol)と反応させて、表題化合物を、白色の固体(237mg、62%)として得た;NMRスペクトル(CDCl)(二つのロータマー)1.9−1.4(m,9H),3.04及び3.23(s,3H),3.27(m,2H),3.9−3.5(m,6H),5.71及び5.33(m,1H),6.86及び6.73(m,1H),7.6−7.2(m,3H),8.05−7.85(m,1H),8.40−8.25(m,1H),8.64及び8.54(m,1H);質量スペクトル:MH 512。
【0232】
3−クロロ−4−(ピペリジン−1−イルカルボニル)アニリンは、実施例1の出発物質の3−クロロ−4−(ピペリジン−1−イルカルボニル)アニリンの方法によって、4−アミノ−2−クロロ安息香酸及びピペリジンから製造した:収率:1.55g、56%(淡色の固体);NMRスペクトル:(CDCl)1.44(m,2H),1.65(m,4H),3.22(m,2H),4.1−3.5(m,4H),6.55(dd,1H),6.66(d,1H),7.02(d,1H);質量スペクトル:MH239。
【0233】
実施例3
(2R)−2−[(4−{[3−クロロ−4−(ピロリジン−1−イルカルボニル)フェニル]アミノ}キナゾリン−5−イル)オキシ]−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルプロパンアミド
実施例1と類似の方法を使用して、酢酸2−(メチル{(2R)−2−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)オキシ]プロパノイル}アミノ)エチル(250mg、0.75mmol)を、3−クロロ−4−(ピロリジン−1−イルカルボニル)アニリン(177mg、0.79mmol)と反応させて、表題化合物を、白色の固体(212mg、57%)として得た;NMRスペクトル(CDCl)(フタツノロータマー)1.66(m,3H),1.88(m,2H),1.96(m,2H),3.04及び3.23(s,3H),3.28(m,2H),3.65(t,2H),3.95−3.7及び3.50(m,4H),5.71及び5.33(m,1H),6.86及び6.73(m,1H),7.6−7.2(m,3H),7.97及び7.91(m,1H),8.37及び8.32(m,1H),8.63及び8.52(m,1H);質量スペクトル:MH498。
【0234】
3−クロロ−4−(ピロリジン−1−イルカルボニル)アニリンは、実施例1の出発物質と類似の方法によって、4−アミノ−2−クロロ安息香酸及びピロリジンから製造した:
3−クロロ−4−(ピロリジン−1−イルカルボニル)アニリン:収率:833mg、64%;NMRスペクトル(CDCl)1.87(m,2H),1.95(m,2H),3.24(m,2H),3.62(m,2H),3.85(m,2H),6.56(dd,1H),6.66(d,1H),7.08(d,1H);質量スペクトル MH225。
【0235】
実施例4
(2R)−2−[(4−{[4−(アゼパン−1−イルカルボニル)−3−クロロフェニル]アミノ}キナゾリン−5−イル)オキシ]−N,N−ジメチルプロパンアミド
(2R)−N,N−ジメチル−2−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)オキシ]プロパンアミド(200mg、0.77mmol)、トリフェニルホスフィン(603mg、2.3mmol)及び四塩化炭素(2.2ml、23mmol)の1,2−ジクロロエタン(5ml)中の混合物を、45℃で2時間攪拌した。混合物を冷却した。4−(アゼパン−1−イルカルボニル)−3−クロロアニリン(202mg、0.8mmol)を加え、そして溶媒を真空下で蒸発した。アセトニトリル(10ml)を加え、そして混合物を75℃で3時間撹拌した。冷却後、7Nのメタノール中のアンモニアの溶液を加え、そして溶媒を真空下で蒸発した。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶出剤:DCM中の2%から4%へのメタノール)によって精製し、そしてDCM及びペンタンの混合物中で摩砕して、表題化合物を、白色の固体(241mg、65%)として得た;NMRスペクトル1.55(m,6H),1.58(d,3H),1.73(m,2H),2.95(s,3H),3.14(s,3H),3.24(m,2H),3.60(m,2H),5.87(q,1H),7.38(m,3H),7.78(t,1H),8.09(dd,1H),8.45(d,1H),8.63(s,1H),11.31(s,1H);質量スペクトル 496。
【0236】
出発物質として使用した(2R)−N,N−ジメチル−2−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)オキシ]プロパンアミドは、以下のように製造した:
水素化ナトリウム(1.24g、油中の60%、31mmol)を、5−メトキシキナゾリン−4(3H)−オン(5g、28.4mmol、WO−96/09294の28及び29頁に記載されているように調製)の無水のDMF(50ml)中の溶液に、温度を25℃に維持しながら分割して加えた。混合物を室温で30分間攪拌した。ピバル酸クロロメチル(4.45ml、31mmol)を室温で加え、そして反応混合物を3時間撹拌した。更なる水素化ナトリウム(0.12g、3mmol)及びピバル酸クロロメチル(0.67ml、4.5mmol)を加え、そして混合物を更に1時間攪拌した。高真空下の溶媒の蒸発後、混合物を水で希釈し、そしてDCMで抽出した。硫酸マグネシウムによる乾燥及び溶媒の蒸発後、残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶出剤:酢酸エチル−石油エーテル、6:4から8:2へ)によって精製して、ピバル酸(5−メトキシ−4−オキソキナゾリン−3(4H)−イル)メチルを、白色の固体(7.4g、90%)として得た;HPLC t 2.69分;質量スペクトル MH291。
【0237】
臭化マグネシウム(7g、38mmol)を、ピバル酸(5−メトキシ−4−オキソキナゾリン−3(4H)−イル)メチル(7.4g、25.5mmol)のピリジン(25ml)中の溶液に加えた。混合物を120℃で1時間攪拌した。冷却後、溶媒を高真空下で蒸発した。希酢酸(10mmlの水中の15ml)を加えた。沈澱した固体を濾過し、水で洗浄し、そして高真空下でPの存在中で乾燥して、ピバル酸(5−ヒドロキシ−4−オキソキナゾリン−3(4H)−イル)メチルを、白色の固体(6.33g、90%)として得た;NMRスペクトル(CDCl)1.23(s,9H),5.93(s,2H),6.99(d,1H),7.22(d,1H),7.68(t,1H),8.21(s,1H);質量スペクトル MH277。
【0238】
DTAD(13.34g、58mmol)を、ピバル酸(5−ヒドロキシ−4−オキソキナゾリン−3(4H)−イル)メチル(8g、29mmol)、トリフェニルホスフィン(15.2g、58mmol)及び(S)−N,N−ジメチルラクトアミド(5.1g、43,5mmol;Larcheveque M.,Synthesis 1986,1,60中に記載されているように調製)のDCM(300ml)中の、氷冷の溶液に分割して加えた。混合物を室温で1時間攪拌した。真空下の溶媒の蒸発後、残渣を6Nのメタノール中のアンモニア(100ml)で希釈した。混合物を室温で18時間撹拌した。溶媒の蒸発後、残渣をエーテルで摩砕した。得られた固体を濾過し、そしてシリカゲルのクロマトグラフィー(溶出剤DCM中の3から5%へのメタノール)によって更に精製して、(2R)−N,N−ジメチル−2−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)オキシ]プロパンアミドを、白色の固体(5.4g、71%)として得た;NMRスペクトル(CDCl)1.77(d,3H),2.94(s,3H),3.19(s,3H),5.10(q,1H),6.92(d,1H),7.35(d,1H),7.63(t,1H),8.00(s,1H);質量スペクトル MH262。
【0239】
実施例5
(2R)−2−[(4−{[3−クロロ−4−(ピペリジン−1−イルカルボニル)フェニル]アミノ}キナゾリン−5−イル)オキシ]−N,N−ジメチルプロパンアミド
実施例4と同じ方法を使用して、(2R)−N,N−ジメチル−2−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)オキシ]プロパンアミド(200mg、0.77mmol)を、3−クロロ−4−(ピペリジン−1−イルカルボニル)アニリン(190mg、0.8mmol)と反応させて、表題化合物を、白色の固体(210mg、57%)として得た;NMRスペクトル1.7−1.4(m,6H),1.58(d,3H),2.95(s,3H),3.14(s,3H),3.35(m,2H),3.63(m,2H),5.87(q,1H),7.39(m,3H),7.78(t,1H),8.09(dd,1H),8.45(d,1H),8.63(s,1H),11.31(s,1H);質量スペクトル 482。
【0240】
実施例6
(2R)−2−[(4−{[3−クロロ−4−(ピロリジン−1−イルカルボニル)フェニル]アミノ}キナゾリン−5−イル)オキシ]−N,N−ジメチルプロパンアミド
実施例4と同じ方法を使用して、(2R)−N,N−ジメチル−2−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)オキシ]プロパンアミド(200mg、0.77mmol)を、3−クロロ−4−(ピロリジン−1−イルカルボニル)アニリン(179mg、0.8mmol)と反応させて、表題化合物を、白色の固体(202mg、56%)として得た;NMRスペクトル1.58(d,3H),1.90−1.83(m,4H),2.95(s,3H),3.14(s,3H),3.16(t,2H),3.48(t,2H),5.87(q,1H),7.39(m,3H),7.78(t,1H),8.09(dd,1H),8.45(d,1H),8.63(s,1H),11.31(s,1H);質量スペクトル 468。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式I:
【化1】

[式中:
は、水素、ヒドロキシ、(1−4C)アルコキシ及び(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルコキシから選択され;
同一であるか又は異なっていることができるR及びRは、水素、(1−4C)アルキル、(2−4C)アルケニル及び(2−4C)アルキニルから選択され、この(1−4C)アルキルは、一つ又はそれより多いヒドロキシ置換基を所望により保有していてもよく;
同一であるか又は異なっていることができるR及びRは、水素、(1−4C)アルキル、(3−4C)アルケニル及び(3−4C)アルキニルから選択され、この(1−C4)アルキルは、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、(1−4C)アルキルアミノ、ジ−[(1−4C)アルキル]アミノ及び(1−4C)アルコキシから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を所望により保有していてもよく、或いは
及びRは、これらが接続している窒素原子と一緒に、一つの窒素異種原子を含有し、そして酸素、窒素及び硫黄から独立に選択される一つ又はそれより多い更なる異種原子を所望により含有していてもよい、飽和の4、5、6又は7員の複素環を形成し、
そしてここにおいて、R、R及びこれらが接続している窒素原子によって形成されるいずれもの複素環は、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、(1−4C)アルキル及び(1−4C)アルコキシから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を、所望により保有していてもよく;
同一であるか又は異なっていることができるG及びGは、水素及びハロゲノから選択され;
同一であるか又は異なっていることができるG及びGは、水素、ハロゲノ、シアノ、(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ、(2−4C)アルケニル及び(2−4C)アルキニルから選択され;
環−NQは、窒素連結の、一つの窒素異種原子を含有し、そして酸素、窒素及び硫黄から独立に選択される一つ又はそれより多い更なる異種原子を所望により含有していてもよい、飽和又は部分的に不飽和の、4、5、6、7又は8員の複素環であり、そしてこの複素環−NQは、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ及びヒドロキシ−(1−4C)アルキルから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を所望により保有していてもよく;
そしてここにおいて、R、R及びこれらが接続している窒素原子によって形成されるいずれもの複素環及び/又はいずれもの複素環−NQは、1又は2個のオキソ或いはチオキソ置換基を、所望により保有していてもよい;]
のキナゾリン誘導体又は医薬的に受容可能なその塩。
【請求項2】
が、水素、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ及びメトキシエトキシから選択される、請求項1に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項3】
が水素である、請求項1又は2のいずれか1項に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項4】
及びGが、両方とも水素である、請求項1ないし3のいずれか1項又はそれより多くに記載のキナゾリン誘導体。
【請求項5】
又はGの一つが、ハロゲノであり、そしてG及びGの他方が、水素である、請求項1ないし4のいずれか1項又はそれより多くに記載のキナゾリン誘導体。
【請求項6】
同一であるか又は異なっていることができるR及びRが、水素及び(1−2C)アルキルから選択される、請求項1ないし5のいずれか1項又はそれより多くに記載のキナゾリン誘導体。
【請求項7】
が水素であり、そしてRが(1−2C)アルキルである、請求項1ないし6のいずれか1項又はそれより多くに記載のキナゾリン誘導体。
【請求項8】
同一であるか又は異なっていることができるR及びRが、水素、(1−4C)アルキル、(3−4C)アルケニル及び(3−4C)アルキニルから選択され、この(1−C4)アルキルは、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、(1−4C)アルキルアミノ、ジ−[(1−4C)アルキル]アミノ及び(1−4C)アルコキシから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を所望により保有していてもよい、請求項1ないし7のいずれか1項又はそれより多くに記載のキナゾリン誘導体。
【請求項9】
同一であるか又は異なっていることができるR及びRが、水素及び(1−4C)アルキルから選択され、この(1−C4)アルキルは、一つ又はそれより多いヒドロキシ置換基を所望により保有していてもよく、或いは
及びRは、これらが接続している窒素原子と一緒に、酸素、窒素及び硫黄から独立に選択される一つ又はそれより多い更なる異種原子を所望により含有していてもよい飽和の4、5、6又は7員の複素環を形成し、
そしてここにおいて、R、R及びこれらが接続している窒素原子によって形成されるいずれもの複素環は、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、(1−4C)アルキル及び(1−4C)アルコキシから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を、所望により保有していてもよく、
そしてここにおいて、R、R及びこれらが接続している窒素原子によって形成されるいずれもの複素環は、1又は2個のオキソ又はチオキソ置換基を、所望により保有していてもよい;
請求項1ないし7のいずれか1項又はそれより多くに記載のキナゾリン誘導体。
【請求項10】
及びRが、両方とも(1−4C)アルキルであり、この(1−4C)アルキルは、一つ又はそれより多いヒドロキシ置換基を所望により保有していてもよい、請求項1ないし9のいずれか1項又はそれより多くに記載のキナゾリン誘導体。
【請求項11】
がメチルであり、そしてRが(1−4C)アルキルであり、この(1−4C)アルキルは、一つ又はそれより多いヒドロキシ置換基を所望により保有していてもよい、請求項1ないし10のいずれか1項又はそれより多くに記載のキナゾリン誘導体。
【請求項12】
及びRが、両方ともメチルである、請求項1ないし11のいずれか1項又はそれより多くに記載のキナゾリン誘導体。
【請求項13】
がメチルであり、そしてRが2−ヒドロキシエチルである、請求項1ないし11のいずれか1項又はそれより多くに記載のキナゾリン誘導体。
【請求項14】
前記環−NQが、窒素連結の、一つの窒素異種原子を含有し、そして酸素、窒素及び硫黄から独立に選択される一つ又は二つの異種原子を所望により含有していてもよい、飽和又は部分的に不飽和の、5、6又は7員の複素環であり、そしてこの複素環−NQは、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ及びヒドロキシ−(1−4C)アルキルから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を所望により保有していてもよく、そしてこの複素環−NQは、1又は2個のオキソ或いはチオキソ置換基を所望により保有していてもよい、請求項1ないし13のいずれか1項又はそれより多くに記載のキナゾリン誘導体。
【請求項15】
前記環−NQが、窒素連結の、一つの窒素異種原子を含有する、飽和又は部分的に不飽和の、5、6又は7員の複素環であり、そしてこの複素環−NQは、ハロゲノ、シアノ、ヒドロキシ、(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ及びヒドロキシ−(1−4C)アルキルから独立に選択される一つ又はそれより多い置換基を所望により保有していてもよく、そしてこの複素環−NQは、1又は2個のオキソ或いはチオキソ置換基を所望により保有していてもよい、請求項1ないし14のいずれか1項又はそれより多くに記載のキナゾリン誘導体。
【請求項16】
前記環−NQが、アゼパン−1−イル、ピペリジン−1−イル及びピロリジン−1−イルから選択される、請求項1ないし15のいずれか1項又はそれより多くに記載のキナゾリン誘導体。
【請求項17】
以下:
(2R)−2−[(4−{[4−(アゼパン−1−イルカルボニル)−3−クロロフェニル]アミノ}キナゾリン−5−イル)オキシ]−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルプロパンアミド;
(2R)−2−[(4−{[3−クロロ−4−(ピペリジン−1−イルカルボニル)フェニル]アミノ}キナゾリン−5−イル)オキシ]−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルプロパンアミド;
(2R)−2−[(4−{[3−クロロ−4−(ピロリジン−1−イルカルボニル)フェニル]アミノ}キナゾリン−5−イル)オキシ]−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルプロパンアミド;
(2R)−2−[(4−{[4−(アゼパン−1−イルカルボニル)−3−クロロフェニル]アミノ}キナゾリン−5−イル)オキシ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
(2R)−2−[(4−{[3−クロロ−4−(ピペリジン−1−イルカルボニル)フェニル]アミノ}キナゾリン−5−イル)オキシ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;及び
(2R)−2−[(4−{[3−クロロ−4−(ピロリジン−1−イルカルボニル)フェニル]アミノ}キナゾリン−5−イル)オキシ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
の一つ又はそれより多くから選択される式Iのキナゾリン誘導体又は医薬的に受容可能なその塩。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれか1項又はそれより多くに記載の式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩を、医薬的に受容可能な希釈剤又は担体と共に含んでなる、医薬組成物。
【請求項19】
請求項1ないし17のいずれか1項又はそれより多くに記載の式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩、及び更なる抗腫瘍剤を癌の併用治療のために含んでなる、医薬製品。
【請求項20】
医薬として使用するための、請求項1ないし17のいずれか1項又はそれより多くに記載の式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩。
【請求項21】
温血動物における抗増殖性効果の産生において使用するための医薬の製造における、請求項1ないし17のいずれか1項又はそれより多くに記載の式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩の使用。
【請求項22】
抗増殖性効果を産生するための、このような治療を必要とする温血動物における、有効な量の請求項1ないし17のいずれか1項又はそれより多くに記載の式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩を、前記動物に投与することを含んでなる方法。
【請求項23】
erbB受容体型チロシンキナーゼによって、単独で又は部分的に仲介される疾病又は医学的症状の治療において使用するための医薬の製造における、請求項1ないし17のいずれか1項又はそれより多くに記載の式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩の使用。
【請求項24】
erbB受容体型チロシンキナーゼによって、単独で又は部分的に仲介される疾病又は医学的症状を治療するための、このような治療を必要とする温血動物における、有効な量の請求項1ないし17のいずれか1項又はそれより多くに記載の式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩を、前記動物に投与することを含んでなる方法。
【請求項25】
温血動物における腫瘍細胞の増殖及び/又は生存に導くシグナル伝達段階に関係する一つ又はそれより多いerbB受容体型チロシンキナーゼの阻害に感受性である腫瘍の予防或いは治療において使用するための医薬の製造における、請求項1ないし17のいずれか1項又はそれより多くに記載の式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩の使用。
【請求項26】
腫瘍細胞の増殖及び/又は生存に導くシグナル伝達段階に関係する一つ又はそれより多いerbB受容体型チロシンキナーゼの阻害に感受性である腫瘍の予防或いは治療のための、このような治療を必要とする温血動物における、有効な量の請求項1ないし17のいずれか1項又はそれより多くに記載の式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩を、前記動物に投与することを含んでなる方法。
【請求項27】
癌の治療において使用するための医薬の製造における、請求項1ないし17のいずれか1項又はそれより多くに記載の式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩の使用。
【請求項28】
癌の治療のための、このような治療を必要とする温血動物における、有効な量の請求項1ないし17のいずれか1項又はそれより多くに記載の式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩を、前記動物に投与することを含んでなる方法。
【請求項29】
請求項1に記載の式Iのキナゾリン誘導体、又は医薬的に受容可能なその塩の製造のための方法であって:
(a) 以下の式II:
【化2】

[式中、R、G、G、G、G及び環−NQは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、請求項1において定義した意味のいずれかを有する]
のキナゾリンの、以下の式III:
【化3】

[式中、R、R、R及びRは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、請求項1において定義した意味のいずれかを有し、そしてLは、適した置換可能な基である]
のアミドとの反応;或いは
(b) 以下の式IV:
【化4】

[式中、R、R、R、G、G、G、G及び環−NQは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、請求項1において定義した意味のいずれかを有し、そしてLは、適した置換可能な基であるか、又はLは、ヒドロキシであり、このヒドロキシ基は、都合よくは適したカップリング剤と結合して、置換可能な基を産生する]
のキナゾリン(又は適したその塩)の、以下の式V:
【化5】

[式中、R及びRは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、請求項1において定義した意味のいずれかを有する]
のアミンとの、都合よくは適した塩基の存在中のカップリング;或いは
(c)が2−ヒドロキシエチルである式Iのキナゾリン誘導体のための、以下の式VI:
【化6】

[式中、R、R、G、G、G、G及び環−NQは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、請求項1において定義した意味のいずれかを有する]
のキナゾリンの、以下の式V:
【化7】

[式中、R及びRは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、請求項1において定義した意味のいずれかを有する]
のアミンとの反応;或いは
(d) 以下の式VII:
【化8】

[式中、R、R、R、G、G、G、G及び環−NQは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、請求項1において定義した意味のいずれかを有する]
のキナゾリンの、以下の式V:
【化9】

[式中、R及びRは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、請求項1において定義した意味のいずれかを有する]
のアミンとの反応;或いは
(e) 以下の式VIII:
【化10】

[式中、R、R、R、R及びRは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、請求項1において定義した意味のいずれかを有する]
のキナゾリン−4(3H)−オンの、適した活性化基及び以下の式IX:
【化11】

[式中、G、G、G、G及び環−NQは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、請求項1において定義した意味のいずれかを有する]
のアミンとの反応;或いは
(f) 以下の式X:
【化12】

[式中、R、G、G、G、G及び環−NQは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、請求項1において定義した意味のいずれかを有し、そしてLは、適した置換可能な基である]
のキナゾリンの、以下の式XI:
【化13】

[式中、R、R、R及びRは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、請求項1において定義した意味のいずれかを有する]
の化合物との反応;或いは
(g) 以下の式XII:
【化14】

[式中、R、R、R、R、R、G、G、G及びGは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、請求項1において定義した意味のいずれかを有する]
のキナゾリンの、以下の式XIII:
【化15】

[式中、環−NQは、いずれもの官能基が、必要な場合保護されていることを除き、請求項1において定義した意味のいずれかを有する]
の環式アミン化合物とのカップリング;
並びにその後、必要な場合:
(i)式Iのキナゾリン誘導体を、もう一つの式Iのキナゾリン誘導体に転換すること;
(ii)存在するいずれもの保護基を除去すること;
(iii)医薬的に受容可能な塩を形成すること;
を含んでなる、前記方法。
【請求項30】
請求項29に記載の、式II、IV、VI、VII及び/又はXIIの化合物、又はその塩。

【公表番号】特表2009−517451(P2009−517451A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542826(P2008−542826)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【国際出願番号】PCT/GB2006/004451
【国際公開番号】WO2007/063293
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】