説明

ETC車載器

【課題】ICカードの挿入を容易に行うことの可能なETC車載器を提供する。
【解決手段】ICカードが挿入されるカード挿入口10を有する筐体20を備えたETC車載器100において、筐体20に、カード挿入口10の厚み方向一方側に配置される第一板部31と、厚み方向他方側に配置される第二板部41とを設け、これら第一板部31と第二板部41とによってカード挿入口10を画成し、第一板部31を第二板部41よりもICカードの挿入方向手前側に突出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ETCシステムにおいて車両に搭載されるETC車載器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速道路等の有料道路や駐車場等の料金所ゲートにおいて、料金の収受を自動化するシステムとしてETC(Electronic Toll Collection Sysem)が導入されている。このETCによる料金収受方法は、車両に搭載されたETC車載器にセットしたICカードと料金所に設置された料金収受システムのアンテナとの間で無線通信を行うことで当該車両の車両特定情報を取得し、通行料金を収受するものである。
【0003】
上記ETC車載器として、例えば特許文献1には、ICカードへの放電を抑えるべく、ETC車載器の筐体におけるカード挿入口付近に、グラウンドに導通する金属体を設けたものが開示されている。また、このETC車載器では、筐体内に設置されて所定の条件で点灯するLEDの光が、筐体状に開口する投光部から外部に出射されるようになっている。
【0004】
一方、例えば特許文献2には、筐体内にLEDと該LEDの光線が導入されるレンズを設け、レンズに設けられた2面からそれぞれ光線が外部に出射されるように構成されたETC車載器が開示されている。これにより、ETC車載器をフロントガラス及びダッシュボードのいずれに設置した場合であっても、ICカードが正常に読み込まれた際のLEDの点灯を運転者が確認できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−195643号公報
【特許文献2】特許第4200966号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来のETC車載器は、ICカードを挿入し易い構造とは言えず、ICカード挿入の際に運転者が手間取ってしまう場合があった。特に、ETC車載器の設置箇所が運転席から視認し難い車内下部にある場合や夜間の場合には、手探りでのICカードの挿入は困難であり、当該挿入の作業が煩雑となってしまうというという問題があった。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、ICカードの挿入を容易に行うことの可能なETC車載器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
即ち、本発明に係るETC車載器は、ICカードが挿入されるカード挿入口を有する筐体を備えたETC車載器において、前記筐体が、前記カード挿入口の厚み方向一方側に配置される第一板部と、前記厚み方向他方側に配置される第二板部とを有し、これら第一板部と第二板部とによって前記カード挿入口が画成されており、前記第一板部が前記第二板部よりも前記ICカードの挿入方向手前側に突出していることを特徴とする。
【0009】
このような特徴のETC車載器によれば、カード挿入方向手前側に突出する第一板部がICカード挿入の際のガイドとして機能する。
【0010】
また、本発明に係るETC車載器は、前記カード挿入口を前記ICカードの幅方向にわたって照明する光源を備えることが好ましい。
【0011】
これにより、ETC車載器を外部から見た際にカード挿入口が該カード挿入口の幅方向にわたって発光することになるため、運転者がカード挿入口の位置やICカードの挿入向きを容易に認識することができる。したがって、運転手から視認し難い車内下部にETC車載器が設置されている場合や夜間の場合であっても、容易にICカードを挿入することができる。
【0012】
さらに、本発明に係るETC車載器は、 前記筐体の内部に設けられ、前記光源から放射される光線が入射されて該光線を拡散させながら前記カード挿入口に導く拡散導光板を備え、前記光源が前記拡散導光板を介して前記カード挿入口を前記幅方向にわたって照明することが好ましい。
【0013】
これにより、カード挿入口全体をその幅方向にわたってより確実に照明することができる。即ち、光源により直接的にカード挿入口を照明した場合には照明範囲が局所的なものとなってしまうが、光源が出射する光線を拡散導光板を介してカード挿入口に導くことにより、カード挿入口を広範囲にわたって照明することができる。したがって、運転手がより容易にカード挿入口の位置やICカードの挿入向きを認識することができる。
【0014】
また、本発明に係るETC車載器において、前記光源は、前記厚み方向他方側に向かって前記光線を出射し、前記拡散導光板が、前記光源の前記厚み方向他方側に配置され、入射する前記光線を前記カード挿入口に向かって反射する反射面が形成された入射部を有することが好ましい。
【0015】
光源からの光線が入射部の反射面における反射を介してカード挿入口に導かれることで、光源からの光線が直接的にカード挿入口を照明する場合に比べて、光源からカード挿入口までの光路を延長させることができる。これによって、光源から出射された光線をより広範囲に拡散させることができ、カード挿入口全体を適切に照明することができる。
【0016】
また、本発明に係るETC車載器においては、前記拡散導光板が、基部から前記第一板部に向かって延在する導光部をさらに有することが好ましい。
【0017】
これにより、入射部の反射面にて反射された光線を確実にカード挿入口に向かって導入することができる。
【0018】
さらに、本発明に係るETC車載器においては、前記導光部から前記挿入方向手前側に向かって延在して前記カード挿入口を介して前記筐体の外部に露出する出射部とを有することが好ましい。
【0019】
これにより、導光部内を進行する光線が出射部内に侵入し、該出射部内を通過して筐体の外部へと出射される。即ち、筐体の外部からはカード挿入口を介して外部に露出する出射部自体が発光するように視認されるため、運転手がより確実にカード挿入口の位置やICカードの挿入向きを認識することができる。
【0020】
また、本発明に係るETC車載器においては、前記筐体内に前記ICカードの幅方向に間隔をあけて複数配置され、前記導光板が、複数の前記光源を前記幅方向に互いに隔離させる仕切り部をさらに有することが好ましい。
【0021】
光源を幅方向に間隔をあけて複数配置したことにより、カード挿入口をより広範囲にわたって照明することができる。また、これら光源の間に仕切り部が設けられたことで、該光源から幅方向に漏出した光を拡散導光板に導入することができる。したがって、光の利用効率を向上させることができ、より照度高くカード挿入口を照明することが可能となる。
【0022】
さらに、本発明に係るETC車載器においては、前記第一板部における前記厚み方向一方側を向く面に設けられ、前記拡散導光板によって導かれた前記光線を反射させる反射板を備えることが好ましい。
【0023】
これにより、第一板部に到達した光線を反射させることができるため、当該光線を効率的に筐体外部へと導くことができる。したがって、運転手が外部からETC車載器を見た場合に、より確実にカード挿入口の位置やICカードの挿入向きを認識することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のETC車載器によれば、カード挿入方向手前側に突出する第一板部がICカードを挿入の際のガイドとなることにより、容易にICカードをカード挿入口から筐体内に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態に係るETC車載器の斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】LED(光源)及び拡散導光板の平面図、即ち、LED及び拡散導光板をカード挿入口の厚み方向他方側から見た図である。
【図5】LED(光源)及び拡散導光板の平面図の正面図、即ち、LED及び拡散導光板を挿入方向手前側から見た図である。
【図6】図1のB−B断面図であって、ETC車載器の作用を説明する図である。
【図7】図1のB−B断面図であって、ETC車載器の作用を説明する図である。
【図8】第一板部に反射板を設けたETC車載器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明のETC車載器100の実施形態について図面を参照して説明する。
このETC車載器100は、車両の内部に設置され、ICカード110(図1において図示省略、図6参照)がセットされた状態で料金所に設置された料金収受システムのアンテナとの間で無線通信を行うための装置である。ETCシステムでは、この無線通信を行うことにより、車両の車両特定情報を取得し、通行料金を収受する。
ETC車載器100は、図1〜3に示すように、カード挿入口10を有する筐体20と、該筐体20内に設けられた車載器本体50、LED62基盤及び拡散導光板70とを備えている。
【0027】
筐体20は、図1〜図3に示すように、ICカード110を挿入する際のカード挿入方向(以下、単に挿入方向と称する)から見た際に略長方形状をなすカード挿入口10を有しており、該カード挿入口10を起点として挿入方向に向かって延在する矩形箱状をなしている。
【0028】
この筐体20は、カード挿入口10の厚み方向(カード挿入口10の短手方向、以下単に厚み方向と称する)に二つの部材を嵌め合わせることによって構成されており、これら部材のうちの厚み方向一方側(図1〜図3の下側)に位置する部材が第一ケース材30とされ、厚み方向他方側(図1〜図3の上側)に位置する部材が第二ケース材40とされている。
【0029】
第一ケース材30は、図1から図3に示すように、カード挿入口10の幅方向(カード挿入口10の長手方向、以下単に幅方向と称する)と平行をなして挿入方向に延在する平板状の第一板部31と、該第一板部31の幅方向両側から厚み方向一方側に立ち上がる一対の側板部34とを有している。
一対の側板部34における挿入方向手前側の部分は、挿入方向手前側に向かうに従って漸次厚み方向一方側に向かう円弧形状をなしている。
【0030】
第二ケース材40は、図1から図3に示すように、第一ケース材30と略平行に延在する概略平板状をなす第二板部41を有している。この第二板部41は、その幅方向両側が第一ケース材30における一対の側板部34に対して挿入方向全域にわたって当接している。即ち、第二板部41の幅方向両側が一対の側板部34の間に嵌り込むことによって、第一ケース材30と第二ケース材40とが一体に固定されている。
また、第二板部41における挿入方向手前側の部分は、第一ケース材30の側板部34の円弧形状に従って屈曲している。即ち、第二板部41の挿入方向手前側の部分は、挿入方向手前側に向かうに従って漸次前記第一板部31に向かう湾曲形状をなしている。
【0031】
これによって、第二板部41の挿入方向手前側の端縁である第二端縁42と第一板部31との間に間隙が形成されており、当該間隙が上記カード挿入口10とされている。即ち、本実施形態では互いに厚み方向に離間する第一板部31と第二板部41とによって、カード挿入口10が筐体20における挿入方向手前側の部分に開口するように画成されているのである。
そして、このカード挿入口10から挿入方向に延在する第一板部31上の空間が、カード挿入口10から挿入されたICカード110を上記ETC車載器100の内部に導入するためのカード導入路11とされている。
【0032】
ここで、本実施形態のETC車載器100においては、第一板部31の方が第二板部41よりも挿入方向手前側に突出している。即ち、第一板部31の挿入方向手前側の端縁である第一端縁32と、第二板部41の挿入方向手前側の端縁である第二端縁42との位置を比較した場合、第一端縁32の方が第二端縁42よりも挿入方向手前側に位置している。
【0033】
なお、第一板部31の挿入方向手前側の部分の幅方向中央には、第一端縁32から挿入方向奥側に向かって凹むように湾曲する第一凹部33が形成されている。また、第二板部41の挿入方向手前側の幅方向中央の部分にも、第二端縁42から挿入方向奥側に向かって凹むように湾曲する第二凹部43が形成されている。なお、これら第一凹部33及び第二凹部43の頂部の挿入方向の位置は互いに略同一とされている。
したがって、第一板部31及び第二板部41によって画成されるカード挿入口10も、これら第一板部31及び第二板部41と同様に挿入方向奥側に凹むように湾曲した形状をなしている。これによって、ETC車載器100にセットされたICカード110を外部から把持し易くなるため、該ICカード110をETC車載器100から容易に引き抜くことができる。
【0034】
車載器本体50は、矩形箱状をなす部材であって、その外面にICカード110を保持するためのカード保持孔51が開口している。このカード保持孔51にICカード110の一部が挿入、保持された状態で、ICカード110の情報が車載器本体50によって読み取られる。このような車載器本体50は、筐体20内のカード導入路11にカード保持孔51が連続するように配置されている。即ち、車載器本体50は、そのカード保持孔51の開口がカード導入路11の挿入方向奥側に位置するように配置されている。
なお、図2に示すように、車載器本体50におけるカード保持孔51の開口の厚み方向一方側の部分の幅方向中央には、挿入方向奥側に凹むように湾曲する切欠部52が形成されている。
【0035】
LED基板60は、車載器本体50における厚み方向他方側の面に固定された基板本体61と、該基板本体61の厚み方向他方側の面に複数(本実施形態では5対)配置されたLED(光源)62とを備えている。なお、これらLED62は、少なくともカード挿入口10よりも厚み方向他方側に配置されていればよい。また、各LED62は、主として厚み方向他方側を向けて光線を照射するように固定されており、即ち、LED62は厚み方向他方側に指向性を有する光線を放射するように構成されている。
【0036】
上記複数のLED62は、図4及び図5に示すように、互いに幅方向に所定間隔をあけて離間した状態で基板本体61上における挿入方向手前側に固定されている。さらに、これら複数のLED62のうち幅方向中央側に位置するLED62の方が幅方向両側に位置するLED62よりも挿入方向奥側に位置している。即ち、複数のLED62は、第一板部31の第一凹部33及び第二板部41の第二凹部43に沿うように湾曲して配列されている。
【0037】
そして、このようなLED基板60は、例えば車のエンジンをかけた場合や、車載器本体50のカード保持孔51にカードが適切に挿入されている場合に、基板本体61を介してLED62に電力が供給されることで該LED62が点灯するように構成されている。
【0038】
拡散導光板70は、ガラスや透明樹脂等の透明材料で構成されており、上記LED62の光を拡散させながらカード挿入口10に導く役割を有している。
この拡散導光板70は、入射部71、導光部74及び出射部75が順次一体に接続された構成をなしており、さらに入射部71には仕切り部78が一体に接続されている。
【0039】
入射部71は、複数のLED62の厚み方向他方側に該LED62と間隔をあけて配置されており、複数のLED62の配列にしたがってこれらLED62の配列方向に延在している。即ち、入射部71は、図4及び図5に示すように、複数のLED62の厚み方向他方側において幅方向に延在して配置されるとともに、幅方向の中央が挿入方向奥側に凹むとなるように湾曲している。
【0040】
この入射部71における各LED62と対向する面、即ち、厚み方向一方側を向く面は、これらLED62からの光が入射する入射面72とされている。また、この入射部71における入射面72の反対側の面、即ち、厚み方向他方側を向く面は、カード挿入方向手前側に向かうに従って漸次厚み方向他方側に傾斜する反射面73とされている。この反射面73は、入射面72を介して入射部71内に入射したLED62からの光線をカード挿入方向手前側かつ厚み方向一方側、即ち、カード挿入口10側に向かって反射する役割を有している。
【0041】
この反射面73には、光線を効率的に拡散反射させるべく凹凸形状が付与されていることが好ましい。また、この反射面73に例えば金属膜等の光反射促進機能を有する反射膜が積層されていてもよい。なお、入射面72及び反射面73も、挿入方向奥側に凹むように湾曲している。
【0042】
導光部74は、入射部71における挿入方向手前側を向く部分全域から該挿入方向手前側に向かうに従って厚み方向他方側に傾斜するように延在している。即ち、この導光部74は、入射部71からカード挿入口10側に向かって延在しており、入射部71の反射面73によって反射された光線が該入射部71内を通過することによって該光線をカード挿入方向側に導く役割を有している。本実施形態においてこの導光部74は、図4及び図5に示すように、入射部71同様、幅方向中央が挿入方向奥側に凹むように湾曲しており、挿入方向手前側に向かうに従って幅方向の寸法が漸次拡大するように延在している。
【0043】
なお、この導光部74は、カード導入路11におけるICカード110の進行が妨げられない厚み方向位置まで延在しており、即ち、導光部74の先端の厚み方向位置は、第二板部41の第二端縁42と同一の位置か該第二端縁42よりも僅かに厚み方向一方側に突出した位置とされている。
また、導光部74の幅方向中央は、車載器本体50に形成された切欠部52内に収納されている。
【0044】
出射部75は、入射部71の先端における幅方向全域から挿入方向手前側に向かって延在している。より詳細には、図4及び図5に示すように、導光部74の先端から挿入方向手前側及び幅方向両側に向かって挿入方向と平行に延在しており、導光部74よりも幅方向の寸法が大きく設定されている。
【0045】
また、出射部75の幅方向中央は、カード挿入口10に沿うように挿入方向奥側にむかって凹むように湾曲している。そして、出射部75は、第二板部41の第二端縁42と同一の挿入方向位置まで延在しており、即ち、出射部75の挿入方向手前側の端部となる該出射部75の先端側出射面76は、カード挿入口10に沿うようにして該カード挿入口10を介して筐体20の外部に露出している。
また、出射部75における厚み方向一方側を向く面、即ち、第一板部31と厚み方向に間隔をあけて対向する内側出射面77は、カード導入路11におけるICカード110の進行が妨げられない厚み方向位置まで位置している。換言すれば、出射部75の内側出射面77と第一板部31とによって、カード導入路11の一部が画成されている。
【0046】
仕切り部78は、図2から図4に示すように、入射部71の入射面72に幅方向に間隔をあけて複数形成されており、該入射面72から厚み方向一方側に突出するように入射部71に一体に設けられている。より具体的には、各仕切り部78は隣り合うLED62の間の領域にそれぞれ位置しており、これによって、複数のLED62を幅方向に互いに隔離している。各仕切り部78は、図4に示すように、挿入方向手前側に向かうに従って幅方向の寸法が小さくなるように形成されている。
【0047】
次に、上記ETC車載器100の作用について図6及び図7を参照して説明する。
例えば運転手が乗車席に乗り込み、車両のエンジンをかけると、車両からETC車載器100に電力が供給されることでLED基板60の各LED62が点灯する。これにより、図6に示すように、LED62から主として厚み方向他方側に向かって光線が放射され、拡散導光板70における入射部71の入射面72を介して当該光線が入射部71内に導入される。なお、LED62から放射される光線のうちの一部の光線は、該LED62の側方に向かって、即ち、幅方向に向かって、仕切り部78内に侵入した後、該仕切り部78内での反射を経て入射部71内に導入される。
【0048】
そして、入射部71内に導入された光線は、該入射部71における反射面73での反射を介して、カード挿入方向手前側かつ厚み方向一方側に向かって、即ち、導光部74の延在方向に向かって進行する。その後、光線は導光部74から出射部75に侵入し該出射部75の内側出射面77に到達する。
【0049】
このように内側出射面77に到達した光線の一部は、該内側出射面77を透過して直進し、第一板部31における厚み方向他方側を向く面に到達する。これによって、該第一板部31における厚み方向他方側を向く面を含むカード挿入口10が光線によって照明される。なお、LED62が幅方向に複数配置されており、さらに、拡散導光板70内部で光線が順次拡散されることにより、カード挿入口10はその幅方向全域にわたって略均一に照明される。これにより、ETC車載器100を外部から見た場合には、カード挿入口10が幅方向全域にわたって発光して見える。
【0050】
一方、内側出射面77に到達した光線の一部は、該内側出射面77により反射されて挿入方向手前側に進行した後、先端側出射面76からETC車載器100の外部へと出射される。この際、上記同様、LED62が幅方向に複数配置され、さらに、拡散導光板70内部で光線が順次拡散されることにより、当該光線は出射部75における先端側出射面76の幅方向全域からETC車載器100外部へと出射される。これにより、ETC車載器100を外部から見た場合には、拡散導光板70における出射部75の先端側出射面76は幅方向全域にわたって発光して見える。
【0051】
そして、運転手は、例えばETC車載器100が視認し難い車両下部や夜間の場合であっても上記のように発光するカード挿入口10及び拡散導光板70を目印としてICカード110をETC車載器100に挿入する。この際、図7に示すように、運転手が挿入方向手前側かつ厚み方向他方側からICカード110を挿入しようとすると、カード挿入口10を画成する第一板部31と第二板部41とのうち第一板部31が挿入方向手前側に突出しているため、ICカード110の先端は第一板部31に対して厚み方向他方側から当接する。この状態で、運転手がICカード110を押し込むと、該ICカード110は第一板部31に従って該第一板部31に案内されるようにカード挿入口10、カード導入路11を経て筐体20外部へと進行していく。これにより、ICカード110がカード挿入路の挿入方向奥側にある車載器本体50のカード保持孔51に挿入されると、カードがETC車載器100にセットされた状態となる。
【0052】
以上のように、本実施形態のETC車載器100によれば、カード挿入方向手前側に突出する第一板部31がICカード110挿入の際のガイドとして機能する。即ち、運転手がICカード110を挿入しようとすると、まずICカード110が第一板部31に当接し、その後、該第一板部31の形状にしたがってICカード110が進行する。これによって、運転手はICカード110をカード挿入口10から筐体20内に容易に挿入することができる。
【0053】
また、本実施形態では、筐体20内部にLED62が設けられたことにより、ETC車載器100を外部から見た際にカード挿入口10が該カード挿入口10の幅方向にわたって発光することになる。これにより、運転者がカード挿入口10の位置やICカード110の挿入向きを容易に認識することができ、運転手から視認し難い車内下部にETC車載器100が設置されている場合や夜間の場合であっても、容易にICカード110を挿入することができる。
【0054】
さらに、LED62から放射される光線を拡散導光板70が拡散させながらカード挿入口10に導く構成のため、カード挿入口10全体をその幅方向にわたってより確実に照明することができる。即ち、LED62により直接的にカード挿入口10を照明した場合には照明範囲が局所的なものとなってしまうが、LED62が出射する光線を拡散導光板70を介してカード挿入口10に導くことにより、カード挿入口10を広範囲にわたって照明することができる。したがって、運転手がより容易にカード挿入口10の位置やICカード110の挿入向きを認識することができる。
【0055】
また、カード挿入口10よりも厚み方向他方側にLED62が配置されているため、該LED62がICカード110の挿入の妨げになることはない。
さらに、LED62からの光線が入射部71の反射面73における反射を介してカード挿入口10に導かれることで、LED62からの光線が直接的にカード挿入口10を照明する場合に比べて、LED62からカード挿入口10までの光路を延長させることができる。これによって、LED62から出射された光線をより広範囲に拡散させることができ、カード挿入口10全体を適切に照明することができる。
【0056】
さらに、拡散導光板70が上記入射部71から連続する導光部74を有しているため、入射部71の反射面73にて反射された光線を確実にカード挿入口10に向かって導入することができる。
また、導光部74に出射部75が接続されているため、導光部74内を進行する光線は出射部75内に侵入した後、該出射部75内を通過して筐体20の外部へと出射される。これにより、ETC車載器100の外部からは外部に露出する出射部75自体が発光するように視認されるため、運転手がより確実にカード挿入口10の位置やICカード110の挿入向きを認識することができる。
【0057】
さらに、本実施系形態では、LED62を幅方向に間隔をあけて複数配置したことにより、カード挿入口10をより広範囲にわたって照明することができる。加えて、これらLED62の間に拡散導光板70の仕切り部78が設けられたことで、該光源から幅方向に漏出した光を拡散導光板70の入射部71に導入することができる。したがって、光の利用効率を向上させることができ、より照度高くカード挿入口10を照明することが可能となる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
【0059】
例えば図8に示すように、第一板部31における厚み方向一方側を向く面に反射板80を設けてもよい。この反射板80は、例えば金属等の光反射性のある材料から構成されており、拡散導光板70における出射部75の内側出射面77から出射された光を当該反射板80で反射させてETC車載器100外部へと導く役割を有している。
これによって、第一板部31に到達した光線を反射させることができるため、当該光線を効率的に筐体20外部へと導くことができる。したがって、運転手が外部からETC車載器100を見た場合に、より確実にカード挿入口10の位置やICカード110の挿入向きを認識することができる。
【0060】
また、例えば拡散導光板70における拡散効果を向上させるために、透明材料中に気泡やフィラー等の拡散部材を混入してもよい。これによって、より広範囲にわたって均一にカード挿入口10や拡散導光板70の出射部75を発光させることができる。
【0061】
さらに、実施形態ではLED62から放射された光線は、入射部71の反射面73により一回のみ反射されているが、複数の反射面を設けて光線がこれら反射面による複数の反射を経た後に出射部75に導入される構成であってもよい。
また、実施形態では光源としてLED62を採用したが、他の種類の光源を用いてもよい。
さらに、ETC車載器100は、そのカード挿入口10を上方、下方、あるいは水平方向のいずれに向けて設置してもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 カード挿入口
11 カード導入路
20 筐体
30 第一ケース材
31 第一板部
32 第一端縁
33 第一凹部
34 側板部
40 第二ケース材
41 第二板部
42 第二端縁
43 第二凹部
50 車載器本体
51 カード保持孔
52 切欠部
60 LED基板
61 基板本体
62 LED
70 拡散導光板
71 入射部
72 入射面
73 反射面
74 導光部
75 出射部
76 先端側出射面
77 内側出射面
78 仕切り部
80 反射板
100 ETC車載器
110 ICカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードが挿入されるカード挿入口を有する筐体を備えたETC車載器において、
前記筐体が、前記カード挿入口の厚み方向一方側に配置される第一板部と、前記厚み方向他方側に配置される第二板部とを有し、
これら第一板部と第二板部とによって前記カード挿入口が画成されており、
前記第一板部が前記第二板部よりも前記ICカードの挿入方向手前側に突出していることを特徴とするETC車載器。
【請求項2】
前記カード挿入口を該カード挿入口の厚み方向に直交する幅方向にわたって前記筐体の内部から照明する光源を備えることを特徴とする請求項1に記載のETC車載器。
【請求項3】
前記筐体の内部に設けられ、前記光源から放射される光線が入射されて該光線を拡散させながら前記カード挿入口に導く拡散導光板を備え、
前記光源が前記拡散導光板を介して前記カード挿入口を前記幅方向にわたって照明することを特徴とする請求項2に記載のETC車載器。
【請求項4】
前記光源は、前記厚み方向他方側に向かって前記光線を出射し、
前記拡散導光板が、
前記光源の前記厚み方向他方側に配置され、入射する前記光線を前記カード挿入口に向かって反射する反射面が形成された入射部を有することを特徴とする請求項3に記載のETC車載器。
【請求項5】
前記拡散導光板が、
前記入射部から前記カード挿入口に向かって延在する導光部をさらに有することを特徴とする請求項4に記載のETC車載器。
【請求項6】
前記拡散導光板が、前記導光部から前記挿入方向手前側に向かって延在するとともに前記カード挿入口を介して前記筐体の外部に露出する出射部をさらに有することを特徴とする請求項5に記載のETC車載器。
【請求項7】
前記光源が、前記筐体内に前記幅方向に間隔をあけて複数配置され、
前記拡散導光板が、
複数の前記光源を前記幅方向に互いに隔離させる仕切り部をさらに有することを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載のETC車載器。
【請求項8】
前記第一板部における前記厚み方向一方側を向く面に設けられ、前記拡散導光板によって導かれた前記光線を反射させる反射板を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のETC車載器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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