説明

FAQ作成支援システム及びプログラム

【課題】FAQ作成支援システムを提供する。
【解決手段】実施形態のFAQ作成支援システムは、問合せ代表文(問合せ文とその回答文を含む文書の文書集合において各文書それぞれの問合せ文から抽出される複数の問合せ代表文のうち同一の問合せ代表文に基づいて、一の問合せ代表文に複数の抽出元の問合せ文に対応する文書が関連付けられた文)と、回答代表文(各文書それぞれの回答文から抽出される複数の回答代表文のうち同一の回答代表文に基づいて、一の回答代表文に複数の抽出元の回答文に対応する文書が関連付けられた文)との対を、問合せ代表文に関連付く各文書が回答代表文それぞれに関連付いている各文書とマッチングする文書数で評価し、問合せ代表文と回答代表文との対に基づくFAQの作成環境を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、FAQ作成支援に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、問合せとその回答をまとめたFAQ(Frequently Asked Questions)が作成され、問合せユーザに対するコミュニケーションツールとして、また、問合せに対して回答をする情報提供者の業務ツールとして活用されている。
【0003】
一般的にFAQは、多数の問合せ内容とそれに対する回答を分析し、例えば、FAQ作成者が問合せ頻度の高い問合せを抽出したり、問合せ頻度の高い問合せの中から代表的な問合せを作成し、抽出又は作成した問合せとそれに対する適切な回答とを組み合わせて作成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−15769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
問合せ文及びその回答文を含む文書の文書群からFAQの候補となる問合せと回答の対を定量的に評価したFAQ作成環境を実現するFAQ作成支援システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のFAQ作成支援システムは、問合せ文とその回答文を含む文書の文書集合において各文書それぞれの問合せ文から抽出される複数の問合せ代表文のうち同一の問合せ代表文に基づいて、一の問合せ代表文に複数の抽出元の問合せ文に対応する文書が関連付けられた問合せ代表文を記憶する第1記憶部と、各文書それぞれの回答文から抽出される複数の回答代表文のうち同一の回答代表文に基づいて、一の回答代表文に複数の抽出元の回答文に対応する文書が関連付けられた回答代表文を記憶する第2記憶部と、一の問合せ代表文に関連付く各文書が回答代表文それぞれに関連付いている各文書とマッチングする文書数をカウントし、カウントされた各文書数を用いて一の問合せ代表文と一の回答代表文とのペアに対するFAQ候補評価情報を生成するFAQ候補制御部と、FAQ候補評価情報に対応する問合せ代表文と回答代表文との対に基づいて、問合せとその回答で構成されるFAQを生成するFAQ作成制御部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1実施形態のFAQ作成支援システムの適用例を示す図である。
【図2】第1実施形態のFAQ作成支援機能を説明する図である。
【図3】第1実施形態のFAQ作成支援システムの構成ブロック図である。
【図4】第1実施形態の問合せ−対応内容2軸マトリクス図の一例を示す図である。
【図5】第1実施形態のFAQ作成画面例を示す図である。
【図6】第1実施形態のFAQ情報例を示す図である。
【図7】第1実施形態のFAQ作成支援処理フローを示す図である。
【図8】第1実施形態の代表文生成部のブロック構成図(a)、代表文生成処理フロー(b)を示す図である。
【図9】第1実施形態の問合せ内容及び回答内容の代表文を生成する構文解析(依存構造木)処理を説明する図である。
【図10】第1実施形態の構文解析処理における部分依存構造木の抽出例を示す図である。
【図11】第1実施形態の構文解析処理を通じて得られる代表文の一例を示す図である。
【図12】第1実施形態の代表文候補情報の一例を示す図である。
【図13】第1実施形態の集約代表文候補情報の一例を示す図である。
【図14】第1実施形態の問合せ代表文情報の一例を示す図である。
【図15】第1実施形態の回答代表文情報の一例を示す図である。
【図16】第1実施形態の問合せ代表文階層情報の一例を示す図である。
【図17】第1実施形態のケース情報入力画面例を示す図である。
【図18】第1実施形態のケース情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態につき、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1実施形態)
図1から図18は、第1実施形態のFAQ作成支援システムに係る図である。本実施形態に係るFAQ作成支援システムは、一例として、コンタクトセンターシステムに外的又は内的に適用することができ、顧客からの問合せ内容及びオペレータの回答(対応)内容に基づくFAQの作成支援機能を提供する。
【0010】
図1は、FAQ作成支援システム3がコンタクトセンターシステム1に適用された例である。コンタクトセンターシステム1は、顧客Cからの公衆回線網Nを介した着信(入電)をACDシステム2が各オペレータに分配し、顧客の問合せに対してオペレータが応答する。
【0011】
オペレータは、オペレータ端末5から顧客の問合せ内容(問合せ文)を入力し、また、問合せに対する回答内容(回答文)を入力する。顧客からの各問合せ及びその回答は、ケース情報としてそれぞれ所定のデータベースに登録され、対応履歴として蓄積される。
【0012】
図17は、オペレータ端末5のディスプレイ装置に表示されるケース情報入力画面の一例であり、オペレータはケース情報入力画面を通じて顧客からの問合せ内容及び対応内容を含む各種の対応履歴情報を入力する。
【0013】
オペレータ端末5からケース情報入力画面を通じて入力されたケース情報は、所定のデータベース等の記憶部に記憶される。図18は、ケース情報の一例であり、1つの問合せに対して一意に割り当てられるケース番号(文書ID)、問合せタイプ、問合せ内容、対応内容、付帯情報等を含む。ケース情報は、同じ又は異なる顧客からの1つの問合せに対して1つのケース情報が生成されて登録される。なお、付帯情報は、例えば、問合せ内容を区分する製品分類や問合せ分類等の各ケース情報に付帯する情報である。
【0014】
本実施形態のFAQ作成支援システム3は、オペレータの対応履歴として蓄積されたケース情報の問合せとその回答をそれぞれ分析し、問合せ内容及び回答内容の各代表文を生成(抽出)し、生成された代表文からFAQの候補となる問合せと回答の対を定量的に評価したFAQ作成環境を提供する。
【0015】
なお、オペレータ端末5を介したケース情報の登録処理は、コンタクトセンターシステム1の不図示の制御部が遂行することができ、また、FAQ作成支援システム3が遂行するように構成することもできる。
【0016】
図2は、本実施形態のFAQ作成支援機能を説明する図である。オペレータ端末5からオペレータによって入力された顧客からの問合せ内容とその回答内容とを含むケース情報から、各ケース番号(文書ID)別に問合せ文の構文解析を通じた代表文生成処理を行い、問合せ代表文を生成する。また、対応内容についても各文書ID別に対応内容の構文解析を通じて代表文生成処理を行い、回答代表文を生成する。
【0017】
本実施形態の問合せ代表文は、問合せ文及びその回答文を含む文書の文書集合において複数の問合せ文から生成される要約文であり、抽出元の問合せ文それぞれが同じ要約文で集約され、1つの要約文に複数の問合せ文(及び、抽出元の文書ID)が関連付けられるFAQの候補文となる代表要約文である。回答代表文も同様である。
【0018】
また、本実施形態では、生成された代表文に紐付く生成元の文書群を対象としてさらに構文解析を遂行し、1つの代表文に紐付くサブ代表文を生成し、代表文とそのサブ代表文で構成される階層化された代表文を生成することができる。つまり、1つの代表文に関連付けられる複数の問合せ内容を対象に代表文生成処理を遂行することで、サブ代表文を当該代表文の下位階層として生成する。
【0019】
そして、問合せ文とその回答文を含む文書の文書集合において、各文書の問合せ文で構成される第1文書群を適切に表す複数の問合せ代表文(問合せ要約文)と、各文書の回答文で構成される第2文書群を適切に表す複数の回答代表文(回答要約文)とをマッチングし、問合せ代表文と回答代表文との関係を抽出元の文書ID数(文書数)で表した問合せ−回答マトリクス図を生成する。
【0020】
具体的には、問合せ代表文を縦軸、回答代表文を横軸とし、問合せ代表文に紐付く文書IDと回答代表文に紐付く文書IDとの間のマッチング数(文書ID数、つまり文書数)をマトリクス表示した2軸表示画面を生成し、問合せ代表文と代表回答文との対を、抽出元の文書ID数で評価した問合せ−回答2軸マトリクス図を、FAQを作成する管理者等の管理者端末4に提供する。
【0021】
また、問合せ−回答2軸マトリクス図の縦軸及び横軸の各要素が交差する文書ID数が表示される各表示ブロックが選択された場合、当該クロスする問合せ代表文とその回答代表文とを含むFAQ作成画面を管理者端末4に提供し、選択された表示ブロックに対応する問合せ代表文とその代表回答文の対に関連付けられる抽出元の文書群(各文書の問合せ文)が提供されるFAQの作成環境を実現する。
【0022】
FAQ作成画面を通じて作成されたFAQは、FAQ情報として登録される。このFAQ情報は、オペレータの問合せ対応業務のフィードバック情報として活用でき、例えば、図17のケース情報入力画面の「FAQ検索」ボタンを選択すると、登録されたFAQ情報をオペレータ端末に表示させ、問合せ内容の入力作業の負担を低減させつつ、問合せに対する回答の迅速化及び回答内容の入力作業の負担も低減させることができる。
【0023】
図3は、FAQ作成支援システム3の構成ブロック図である。FAQ作成支援システム3は、FAQ作成支援サーバ100とDBサーバ200とを含んで構成される。FAQ作成支援サーバ100がFAQ作成支援機能全体を制御する制御部として機能し、DBサーバ200が、FAQ作成に用いられる各種情報を記憶する記憶部として機能する。本実施形態のFAQ作成支援システムは、1つ又は複数のコンピュータで構成することができる。
【0024】
FAQ作成支援サーバ100は、管理者端末4(FAQの作成者が操作するFAQ作成者端末)との間の通信制御を遂行する通信制御部120、メモリ130、FAQ作成支援サーバ全体の制御を司るCPU(制御部)110とを含む。
【0025】
制御部110は、認証部111、代表文生成部112、FAQ候補制御部113及びFAQ作成制御部114を含んで構成される。
【0026】
DBサーバ200は、画面情報210、ケース情報220、代表文情報230、FAQ情報240をそれぞれ記憶し、代表文情報230は、代表文生成部112による代表文生成処理を通じて生成される問合せ代表文231、階層化問合せ代表文232及び回答代表文233を含む。
【0027】
<代表文生成処理>
図8から図16を参照して、代表文生成処理について説明する。本実施形態の代表文生成処理は、問合せ文とその回答文を含む文書(ケース情報)の文書集合を入力データとして、問合せの代表文(要約)と回答の代表文をそれぞれ生成する。
【0028】
図8に示すように、代表文生成部112は、構文解析部1121、代表文候補抽出部1122、文生成集約部1123及び代表文決定部1124を含んで構成され、また、抽出ルール記憶部250を含む。なお、抽出ルール記憶部250は、DBサーバ200に含まれるように構成してもよく、また別途の記憶部としてFAQ作成支援システム3に含まれてもよい。
【0029】
代表文生成部112は、図18に示したケース情報220を参照し、各ケース情報の問合せフィールドに記憶されるオペレータが入力した顧客から受付けた問合せ文(テキスト形式)を1つの文書とし、分析対象元全ての問合せ文を集めた問合せの第1文書集合を生成する。同様に、分析対象元全ての回答を集めた回答の第2文書集合を生成する。各文書集合の問合せ文及び回答文は、元の文書IDが関連付けられている。
【0030】
本実施形態では、構文解析処理と抽出ルールを用いて、問合せの文書集合から問合せの代表文を、回答の文書集合から回答の代表文をそれぞれ生成する。
【0031】
本実施形態の構文解析処理は、文を構成する複数の自立語および当該自立語間の係り受け関係を解析する。解析結果は、複数の自立語および当該自立語間の係り受け関係がノードおよびアークを用いて表現される。本実施形態の構文解析結果は、依存構造木として生成される。
【0032】
ノードは、依存構造木において自立語を表す。このノードには、当該自立語の見出し語、当該見出し語の品詞および当該見出し語の付属語が付与される。ノードに付与される自立語の見出し語は、当該自立語の文字列を示す。ノードに付与される見出し語の品詞は、当該見出し語(つまり、ノードによって表される自立語)の品詞を表す。ノードに付与される品詞には、例えば名詞、サ変名詞、動詞、形容詞、副詞および連体詞等が含まれる。
【0033】
ノードに付与される見出し語の付属語は、当該見出し語に付随する付属語を表す。ノードに付与される見出し語の付属語には、例えば「が」、「を」、「の」および「に」のような助詞等が含まれる。
【0034】
アークは、依存構造木においてノード間の構文的な係り受け関係を表す。このアークには、ノード間(自立語間)の係り受け関係の種類が付与される。アークに付与される係り受け関係の種類には、例えばガ格、ヲ格、連体修飾および隣接等が含まれる。なお、依存構造木においては、アークは例えば矢印により記述される。このアークの矢印は、ノード間の係り受け関係における係り元のノードから係り先のノードに向かうものとする。
【0035】
以降の説明では、1つのアークを用いて表される2つのノード間の係り受け関係において、当該アークにおける係り先のノード(つまり、1つのアークにおける終点となるノード)を親ノードと称する。一方、1つのアークを用いて表される2つのノード間の係り受け関係において、当該アークにおける係り元ノード(つまり、1つのアークにおける始点となるノード)を子ノードと称する。
【0036】
図9(a)は、2つのノードおよび当該ノード間の係り受け関係を表すアークを用いて表現される依存構造木の一例である。図9(a)の依存構文木は、ノード201およびノード202がアーク203によって繋がれ、ノード201が親ノード、ノード202が子ノードに相当する。図9(a)に示すような依存構造木を組み合せることにより、複数の自立語を含む文の構文解析結果(依存構造木)が表現される。
【0037】
図9(b)は、図18の文書ID「1」が付与されている文書を構成する問合せ文のうちの1つ目の文「急に黒のインクが出なくなり印刷ができません」の構文解析結果の一例である。
【0038】
ルートノードとは、親ノードを持たないノードであり、図9(b)の例では、見出し語が「できません」のノードである。また、ルートノードに対する子ノードを、第一世代子ノードと定義し、図9(b)の例では、第一世代子ノードは、見出し語が「出なくなり」のノードと、見出し語が「印刷」であるノードである。そして、子ノードが存在しない(つまり、アークにより子ノードとつながっていない)ノードをリーフノードと定義し、図9(b)の例では、見出し語が「急に」、「黒」「印刷」の各ノードが、リーフノードに相当する。
【0039】
本実施形態では、文書集合を構成する各文書内の各問合せ文に対して個別に構文解析を行い、解析結果として得られた依存構造木から、代表文の候補(代表文候補)を抽出する。代表文候補を抽出するルールは、代表文候補抽出ルールとして抽出ルール記憶部250に予め記憶されている。本実施形態では、解析結果として得られる依存構造木に対し、代表文候補抽出ルールを適用することにより、問合せ文から1つ又は複数の代表文候補を抽出する。
【0040】
代表文候補抽出ルールを用いた代表文候補の抽出処理について説明する。本実施形態では、1つの依存構造木に対して複数の抽出ルールの各々が適用されることにより、当該抽出ルール毎に当該依存構造木から部分依存構造木が抽出される。さらに、抽出された部分依存構造木に対して抽出ルールの各々が適用されることにより、部分依存構造木が抽出される。つまり、代表文候補の抽出処理においては、抽出ルール毎に抽出された各部分構造木が代表文候補となる。
【0041】
図10は、代表文候補抽出ルールを説明する図であり、図10(a)は、1つの動詞を含む部分依存構造木を抽出するルール(抽出ルール1)、図10(b)は、分岐なし部分依存構造木を抽出するルール(抽出ルール2)の説明図である。
【0042】
抽出ルール1は、1つの動詞を含む部分依存構造木のルールであり、図10(a)に示すように、依存構造木によって表される複数の自立語のうちの動詞に着目する。抽出ルール1によれば、依存構造木によって表される複数の自立語のうちの動詞に基づいて当該依存構造木が分割される。
【0043】
具体的には、抽出ルール1が適用される依存構造木において、ノードに付与されている見出し語の品詞が動詞であるノードおよび当該動詞ノードの親ノード間のアークが切断されることによって当該依存構造木が分割される。つまり、抽出ルール1では、分割された依存構造木の各々が部分依存構造木として抽出される。
【0044】
抽出ルール2は、分岐なし部分依存構造木を抽出するルールであり、図10(b)に示すように、依存構造木(または、部分依存構造木)におけるルートノードおよび第1世代子ノード(つまり、ルートノードの子ノード)間の全てのアークの種類に着目する。これらのアークの中に、アークの種類がガ格、ヲ格、ニ格、カラ格、場所格および道具格であるアークが存在する場合に、抽出ルール2を適用する。なお、この抽出ルール2が適用されるアークの種類は予め設定されている。
【0045】
まず、部分依存構造木におけるルートノードおよび第1世代子ノード間の全てのアークの中から、アークの種類がガ格、ヲ格、ニ格、カラ格、場所格および道具格であるアークが探索される。
【0046】
次に、ルートノードおよび第1世代子ノード間の全てのアークのうちアークの種類がガ格、ヲ格、ニ格、カラ格、場所格および道具格以外であるアーク(つまり、探索されたアーク以外のアーク)が切断される。
【0047】
この後、アークが切断された後の部分依存構造木において、ルートノードおよび各リーフノード間における全てのノードおよびアークを含む部分依存構造木が抽出される。図10(b)の例では、3つの部分依存構造木が抽出される。
【0048】
また、抽出ルール2は、部分依存構造木から分岐のない部分依存構造木が抽出され、抽出ルール2が適用されて抽出された部分依存構造木は、分岐なし依存構造木となる。
【0049】
図11は、図9(b)の示した文「急に黒のインクが出なくなり印刷ができません」の依存構造木に、抽出ルール1及び/又は抽出ルール2を適用して抽出された部分依存構造木の一例である。このように1つの問合せ文から、構文解析と抽出ルールを用いて、部分依存構造木、すなわち、依存構造木形式の代表文候補が1つ又は複数抽出される。これらの代表文候補には、代表文候補ID、抽出元の文書ID及び抽出元フィールド(問合せ、回答等)が関連付けられる。
【0050】
図11に示すように、図9(b)の構文解析結果(依存構造木)に、抽出ルール1を適用すると、2つの動詞「出なくなり」と「できません」で依存構造木が分割され、2つの部分依存構造木A、Bが抽出される。また、図9(b)の構文解析結果(依存構造木)に、抽出ルール1及び抽出ルール2を適用する(抽出ルール1を適用して得られた部分依存構造木に対して抽出ルール2を適用する)と、部分依存構造木Aから部分依存構造木Cが抽出され、部分依存構造木Cから部分依存構造木Dが抽出される。
【0051】
そして、これら複数の部分依存構造木A、B、C、Dそれぞれを、1つの問合せ文の代表文候補として抽出し、代表文候補から代表文候補文を生成する。つまり、ノード間の構文的な係り受け関係(アーク)に基づいて依存構造木形式から文形式に変換した各代表文候補文を生成する。
【0052】
例えば、図11に示すように、動詞ノードの見出し語を終止形とすることによって各部分依存構造木から代表文候補文を生成することができ、部分依存構造木Aから代表文候補文「急に黒のインクが出なくなる」、部分依存構造木Bから代表文候補文「印刷ができません」、部分依存構造木Cから代表文候補文「黒のインクが出なくなる」、部分依存構造木Dから代表文候補文「印刷ができません」が、それぞれ生成される。
【0053】
図12は、生成された代表文候補文の一例を示す図であり、生成された代表文候補文に、代表文候補文ID、抽出元の文書ID、及び抽出元フィールドを関連付けて、代表文候補文ID別に記憶する。
【0054】
例えば、代表文候補文ID1の代表文候補文は「急に黒のインクが出なくなる」であり、文書ID「1」が関連付けられ、文書ID「1」が関連付けられる代表文候補文ID2の代表文候補文は「印刷ができません」となる。また、文書ID「1」が関連付けられる代表文候補文ID4の代表文候補文は「印刷ができません」となる。このように1つの文書IDに複数の代表文候補文が関連付けられ、1つの文書(問合せ文)から複数生成される代表文候補(代表文候補文)が、抽出元の文書IDで管理される。
【0055】
次に、代表文候補文を構成する文字列が同じである問合せ文同士を集約する処理を行い、集約代表文候補文を生成する。集約代表文候補文に関連付けられる文書IDの集合(文書ID数)は、集約元の代表文候補文に関連付けられている文書ID群の和集合となる。
【0056】
図13は、図12に示した複数の代表文候補文を集約した集約代表文候補文の一例を示す図であり、集約代表文候補文ID「2」の集約代表文候補文「印刷ができません」に関連付けられる文書IDの集合は「1,2,・・・」となる。
【0057】
すなわち、代表文候補文を集約する処理は、一の文書IDに関連付けられる代表文候補文を構成する文字列を用いて他の文書IDに関連付けられる代表文候補文を検索し、異なる文書ID同士を1つ代表文候補文に関連付けて集約する処理である。
【0058】
そして、集約された集約代表文候補文を用い、抽出元の文書集合の代表的な内容を表す代表文を抽出することにより、代表文を生成する。
【0059】
例えば、代表的な内容の度合い(代表度)の一例として説明すると、文書IDが異なる数、すなわち、代表文候補文に関連付けられる抽出元の文書ID数(文書数)を用いることができ、集約代表文候補文に紐付いている文書ID数が多いものほど、代表度が高い文書集合の内容を表している文として、抽出(決定)することができる。
【0060】
そこで、図13の問合せの集約代表文候補文の各々に紐付いている文書IDの数を用いて、文書数(代表度)が多い順に所定数(例えば10個)の集約代表文候補文を抽出し、抽出された所定数の集約代表文候補文を代表文として決定することができる。図14は、集約代表文候補文の中から決定された問合せの代表文(要約)の一例を示す図であり、それぞれの代表文は、代表文ID別に、生成元の文書ID(代表文として決定された集約代表文候補文に紐付いている各文書ID)が関連付けられている。
【0061】
このように本実施形態の代表文生成処理は、問合せ文とその回答文を含む文書の文書集合(複数の、問合せ文とその回答文を含む文書)から、当該文書集合の問合せ文及び回答文それぞれを適切に表す各代表文を生成する。各代表文は、生成元である文書集合の各文書が各々関連付けられ、異なる各文書が代表文で関連付けられる(異なる各文書が代表文によって集約(分類)される)。
【0062】
図8(b)は、本実施形態の代表文生成処理フローを示す図である。
【0063】
構文解析部1121は、ケース情報220の問合せ文及びその回答文を対として含む各文書を文書ID別に抽出し(S301)、複数の自立語を含む問合せ文によって構成される文書集合を対象に、各問合せ文の構文解析処理を遂行する(S302)。
【0064】
構文解析部1121は、対象の文書集合に含まれる各文書を構成する問合せ文、つまり、当該文書集合に含まれる各文書中の全ての問合せ文それぞれについて構文解析を行う。構文解析部1121の構文解析の結果は、依存構造木によって表現される。なお、1つの問合せ文が構文解析された結果は、1つの依存構造木であり、問合せ文毎に依存構造木を生成する。
【0065】
代表文候補抽出部1122は、構文解析部1122によって生成された依存構造木の一部である部分構造木である代表文候補を、当該依存構造木から抽出する(ステップS303)。代表文候補抽出部1122は、抽出ルール記憶部250に格納されている抽出ルールを用いて代表文候補を抽出する。なお、代表文抽出部1122によって抽出される代表文候補(部分依存構造木)は、少なくとも2つの自立語および当該自立語間の係り受け関係を表す構造木である。また、代表文候補抽出部1122は、構文解析部1121によって問合せ文毎に生成された依存構造木の各々から代表文候補を抽出する。
【0066】
抽出ルール記憶部250に記憶されている抽出ルールは、依存構造木に適用され、当該依存構造木から代表文候補を抽出することができるルールである。本実施形態では異なる複数の抽出ルール1、2が抽出ルール記憶部250に記憶され、本実施形態の代表文候補抽出部1122は、抽出ルール1を適用した後に抽出ルール2を適用し、各部分構造木である代表文候補を対象依存構造木から抽出する。
【0067】
文生成集約部1123は、代表文候補抽出部1122によって抽出された代表文候補(部分構造木)によって表される複数の自立語および当該自立語間の係り受け関係に基づいて、当該代表文候補から代表文候補文(平文)を生成する(S304)。
【0068】
次に、文生成集約部1123は、生成された代表文候補文を集約することによって、集約代表文候補文を生成する(ステップS305)。文生成集約部1123は、生成された代表文候補文のうち、同一の代表文候補文を1つの集約代表文候補文に集約する。このとき、文生成集約部1123は、集約代表文候補文を識別するための集約代表文候補文ID別に、当該集約代表文候補文に集約された代表文候補文に関連付けられた各文書IDを関連付ける。
【0069】
代表文決定部1124は、文生成集約部1123によって生成された集約代表文候補文の中から代表文を決定(選択)する(ステップS306)。このとき、代表文決定部1124は、文生成集約部1123によって生成された集約代表文候補文に付与された文書IDの数(つまり、当該集約代表文候補文に集約された代表文候補文の数)に基づいて代表文を決定する。
【0070】
代表文決定部1124は、代表文として決定された複数の集約代表文候補文に代表文識別IDを割り当てるとともに、当該集約代表文候補文に集約された代表文候補文に関連付けられる各文書IDを関連付けてDBサーバ200(所定の記憶領域)に記憶する(S307)。
【0071】
また、代表文生成部112は、ケース情報220の問合せ文及びその回答文を対として含む各文書を文書ID別に抽出し、複数の自立語を含む回答文によって構成される文書群を対象に、代表文生成処理を遂行し、生成元の文書IDが紐付けられた回答の代表文(回答の要約文)を生成し、回答代表文として決定された複数の集約代表文候補文に代表文識別IDを割り当てるとともに、当該集約代表文候補文に集約された代表文候補文に関連付けられる各文書IDを関連付けてDBサーバ200(所定の記憶領域)に記憶する(図15)。
【0072】
なお、本実施形態では、生成された問合せ代表文に紐付く生成元の文書群を対象にさらに代表文生成処理を遂行し、生成された一の問合せ代表文に対するサブクラスの問合せ代表文(サブ問合せ代表文)を生成する。
【0073】
例えば、図14の代表文ID「1」が付与されている代表文「印刷ができません」に紐付いている各文書IDの複数の文書を対象として代表文生成処理を遂行することで、図16に示すように、代表文「印刷ができません」に対して「黒のインクが出なくなる」、「黒のみできません」といった、サブ代表文を生成する。すなわち、代表文「印刷ができません」が含まれている文書群を対象として生成される代表文が、上位階層の代表文「印刷ができません」の下位階層のサブ代表文として関連付けられ、問合せ代表文の階層構造を含む階層化問合せ代表文を生成することができる。なお、生成されるサブ代表文は、サブ代表文ID別に上位階層の代表文IDに関連付けられて、DBサーバ200(所定の記憶領域)に記憶される。
【0074】
<FAQ作成支援機能>
図4から図7を参照して、本実施形態のFAQ作成支援機能について説明する。本実施形態のFAQ作成支援機能は、代表文生成処理で生成された階層化問合せ代表文及び回答代表文を用いて、問合せ−回答マトリクス図(FAQ候補マトリクス図)及びFAQ作成画面を通じたFAQ作成環境を管理者端末4(FAQ作成者)に提供する。
【0075】
FAQ作成制御部114は、認証部111による認証処理を経た管理者端末4から伝送されるFAQ作成要求に基づいて、FAQ作成処理を遂行する。
【0076】
FAQ作成制御部114は、FAQ作成要求を受信した場合、FAQ候補制御部113に、階層化問合せ代表文及び回答代表文を用いた問合せ−回答マトリクス図の生成命令を出力する。
【0077】
生成命令が入力されたFAQ候補制御部113は、FAQ候補評価情報の生成処理及び問合せ−回答マトリクス図の生成処理を遂行する。FAQ候補制御部113は、DBサーバ200に記憶されている階層化問合せ代表文233及び回答代表文232を参照して、一の問合せ代表文に関連付く各文書が回答代表文それぞれに関連付いている各文書とマッチングする文書数をカウントし、カウントされた各文書数を用いて一の問合せ代表文と一の回答代表文とのペアに対するFAQ候補評価情報を生成する。
【0078】
本実施形態のFAQ候補評価情報は、カウントされた文書数であり、例えば、問合せ代表文「印刷ができません」に関連付けられる文書IDが、「1、2、5、8、9、10、11・・・・」であり、回答代表文「印刷エラーの自動修復を実施する」に関連付けられる文書IDが「8、11、25、31、・・・」である場合、2つの文書ID「8」と「11」がマッチングし、文書ID数を「2」とカウントする。
る。
【0079】
また、FAQ候補制御部113は、一のサブ問合せ代表文に関連付く各文書が回答代表文それぞれに関連付いている各文書とマッチングする文書数をカウントし、カウントされた各文書数を用いてサブ問合せ代表文と回答代表文とのペアに対するFAQ候補評価情報も生成する。
【0080】
本実施形態のFAQ候補評価情報の生成処理によって生成されるFAQ候補評価情報(文書ID数)は、一の問合せ代表文と一の回答代表文との関係を表す情報であり、FAQ候補制御部113は、生成されたFAQ候補評価情報(カウントした文書ID数)を、該当の問合せ代表文と回答代表文の行と列が交差する位置の表示ブロックに表示し、問合せ代表文と回答代表文との対を定量的に評価した評価情報として提供する。なお、カウント数が「0」である場合は、「0」を表示ブロックに表示する。
【0081】
FAQ候補制御部113は、複数の問合せ代表文別及びサブ問合せ代表文別に全ての回答代表文との間のFAQ候補評価情報を生成し、問合せ代表文及び回答代表文を縦横に配置したマトリクス図であって、問合せ代表文と回答代表文とが縦横で交わる位置に、該当の問合せ代表文と回答代表文との対に対応するFAQ候補評価情報が表示された問合せ−回答マトリクス図を生成する。このとき、FAQ候補制御部113は、問合せ代表文のサブ問合せ代表文を該当の問合せ代表文と共に、マトリクス図に配置し、サブ問合せ代表文と回答代表文とが縦横で交わる位置に、サブ問合せ代表文と回答代表文との対に対応するFAQ候補評価情報が表示されるように、問合せ−回答マトリクス図を生成する。
【0082】
例えば、縦軸に図16の問合せ代表文を代表文ID別及びサブ代表文ID別に配列し、同様に横軸に図15の回答代表文を回答代表文ID別に配列する。なお、図16の例では、代表文ID「1」に紐付く下位階層のサブ代表文は、代表文ID「1」と代表文ID「2」との間に配列する。
【0083】
図4は、管理者端末4の表示される2次元の問合せ−回答マトリクス図の一例であり、縦軸(列)に各問合せ代表文(サブ問合せ代表文を含む)、横軸(行)に各回答代表文がそれぞれ配置され、問合せ代表文と回答代表文との対の関係を文書ID数で定量的に表した格子状の各表示ブロックが含まれる。
【0084】
管理者端末4のFAQ作成者は、マウス等の操作入力手段を用いて、問合せ−回答マトリクス図上の問合せ代表文と回答代表文との関係を表した文書ID数が表示される格子状の各表示ブロックを選択することができる。FAQ作成者によって格子状の各表示ブロックを選択されると、FAQ作成制御部114は、選択された表示ブロックに対応する問合せ代表文及び回答代表文に基づくFAQ作成画面を管理者端末4に提供する。
【0085】
FAQ作成制御部114は、問合せ−回答マトリクス図上の格子状の表示ブロック(FAQ候補評価情報)が選択された場合、選択された表示ブロックの文書ID数が「1」以上であるか否かを判別する。
【0086】
選択された表示ブロックの文書ID数が「1」以上であると判別された場合、FAQ作成制御部114は、選択された表示ブロックに対応する問合せ代表文及び回答代表文を含むFAQ作成画面を生成し、管理者端末4に伝送する。選択された表示ブロックの文書ID数が「1」以上でない、すなわち、選択された表示ブロックの文書ID数が「0」であると判別された場合、FAQ作成制御部114は、FAQ作成画面を通じた問合せ代表文及び回答代表文に基づくFAQ作成処理を遂行しない。
【0087】
このとき、FAQ作成制御部114は、ケース情報220を参照して問合せ文とその回答文を含む文書の文書集合の中から選択された表示ブロック(FAQ候補評価情報)に対応する問合せ代表文に関連付く各抽出元の問合せ文それぞれを文書IDに基づいて抽出し、選択された選択された表示ブロックに対応する問合せ代表文及び回答代表文と、抽出された各抽出元の問合せ文とを含むFAQ作成画面を生成する。
【0088】
図5は、本実施形態のFAQ作成画面例である。図5の例では、図4の問合せ−回答マトリクス図における問合せ代表文「印刷できません」と回答代表文「インクの残量を確認する」とに対応する表示ブロック「25」が選択された場合のFAQ作成画面である。問合せ代表文「印刷できません」と回答代表文「インクの残量を確認する」との対の定量的な評価(関係)を示す25個の問合せ文(25個の文書IDに紐付く問合せ文)を表示する問合せ一覧ブロックA、問合せ一覧ブロックAで選択された1の文書(文書IDに紐付く文書)の問合せ文とその回答文を表示する詳細情報表示ブロックB、問合せ代表文「印刷できません」と回答代表文「インクの残量を確認する」それぞれが、各入力欄に表示された新規FAQ作成ブロックCを含んで構成されている。
【0089】
FAQ作成者は、FAQ作成画面において問合せ代表文「印刷できません」と回答代表文「インクの残量を確認する」とで分類される25個の抽出元の複数の各文書を問合せ一覧ブロックで見ることができ、問合せ一覧ブロックで選択した抽出元の1の文書の問合せ文とその回答文を詳細情報表示ブロックで見ることができる。FAQ作成制御部114は、問合せ一覧ブロックAに対する表示及び問合せ一覧ブロックAで選択された1の文書の問合せ文とその回答文を詳細情報表示ブロックBに表示する表示の各制御を遂行する。
【0090】
また、FAQ作成者は、新規FAQ作成ブロックの問合せ内容入力欄に表示された問合せ代表文「印刷できません」を編集したり、対応内容入力欄に表示された回答代表文「インクの残量を確認する」を編集することができ、登録ボタンを選択することで、FAQ作成者は、問合せ内容入力欄及び対応内容入力欄のそれぞれに表示(入力)されている問合せ文とその回答文を対としたFAQを登録(作成)することができる。
【0091】
図6は、本実施形態のFAQ作成画面から登録されたFAQ情報の一例を示す図であり、FAQ作成制御部114は、登録ボタンの選択操作に基づいて、作成されたFAQ毎にFAQ識別ID、件名、問合せ内容、問合せ代表文ID、対応内容、回答代表文IDをFAQ情報240として記憶する。なお、本実施形態では、問合せ−回答マトリクス図上の問合せ代表文及び回答代表文との関係に基づくFAQ作成環境を提供するので、FAQ作成画面が問合せ代表文及び回答代表文に紐付くことになる。このため、FAQ作成画面を通じて作成されたFAQ情報には、問合せ−回答マトリクス図上の該当する問合せ代表文ID及び回答代表文IDがそれぞれ含まれて、FAQ情報240に記憶される。
【0092】
なお、FAQ作成制御部114は、選択された表示ブロックに対応する問合せ代表文及び回答代表文を含むFAQ作成画面して管理者端末4に提供し、問合せ一覧ブロックAにする選択操作に基づいて、ケース情報220を参照して問合せ文とその回答文を含む文書の文書集合の中から選択された表示ブロック(FAQ候補評価情報)に対応する問合せ代表文に関連付く各抽出元の問合せ文それぞれを文書IDに基づいて抽出し、問合せ一覧ブロックAに、抽出した該当の問合せ文を表示するように制御できる。
【0093】
また、図4の例において問合せ−回答マトリクス図における問合せ代表文「印刷できません」のサブ問い合わせ代表文「ドキュメントが保留状態となる」と回答代表文「インクの残量を確認する」とに対応する表示ブロックが選択された場合、FAQ作成制御部114は、図5の新規FAQ作成ブロックCの問合せ内容入力欄に、選択されたサブ問合せ代表文とその上位層の問合せ代表文とを組み合わせた「印刷できません。ドキュメント保留状態となる」をFAQ候補として自動生成して表示することができる。つまり、サブクラスの問合せ代表文が選択された場合、上位層の問合せ代表文とその下位層の問合せ代表文とを組み合わせたFAQ作成候補(問合せ内容)を生成し、新規FAQ作成ブロックCに自動的に表示させることができる。
【0094】
図7は、本実施形態のFAQ作成支援サーバ100のFAQ作成支援処理フローを示す図である。
【0095】
認証部111は、管理者端末4からFAQ作成要求を受信すると(S201)、認証処理を遂行する(S101)。
【0096】
認証処理を経たFAQ作成要求に基づいて、FAQ候補制御部113は、FAQ候補制御部113は、DBサーバ200に記憶されている階層化問合せ代表文233及び回答代表文232を取得し(S102)、複数の問合せ代表文別及び/又はサブ問合せ代表文別に全ての回答代表文との間のFAQ候補評価情報を生成するFAQ候補評価情報の生成処理(S103)、及び問合せ代表文と回答代表文とが縦横で交わる位置に、該当の問合せ代表文と回答代表文との対に対応するFAQ候補評価情報が表示された問合せ−回答マトリクス図の生成処理を遂行する(S104)。
【0097】
FAQ候補制御部113は、生成した問合せ−回答マトリクス図を管理者端末4に伝送する(S105)。
【0098】
管理者端末4に表示された問合せ−回答マトリクス図上の問合せ代表文と回答代表文との関係を表した文書ID数が表示される格子状の各表示ブロックが選択されると(S106、S202)、FAQ作成制御部114は、ケース情報220を参照して選択された表示ブロックに対応する問合せ代表文に関連付く各抽出元の問合せ文それぞれを文書IDに基づいて抽出し(S107)、選択された表示ブロックに対応する問合せ代表文及び回答代表文と、抽出された各抽出元の問合せ文とを含むFAQ作成画面を生成する(S108)。
【0099】
FAQ作成制御部114は、生成されたFAQ作成画面を管理者端末4に伝送するとともに、FAQ作成者による操作入力に基づくFAQ作成画面の表示制御を遂行する(S109)。FAQ作成制御部114は、登録ボタンが選択された場合(S203)、問合せ内容入力欄及び対応内容入力欄のそれぞれに表示(入力)されている問合せ文とその回答文を対としたFAQをFAQ情報240に登録する(S110)。
【0100】
本実施形態のFAQ作成支援システムは、問合せ文とその回答文を含む文書の文書集合において、各文書の問合せ文で構成される第1文書群を適切に表す複数の問合せ代表文(問合せ要約文)と、各文書の回答文で構成される第2文書群を適切に表す複数の回答代表文(回答要約文)とをマッチングし、問合せ代表文と回答代表文と対の関係を抽出元の文書ID数で定量的に表すことにより、FAQ作成要否を容易かつ適切に判断できるFAQ作成環境を提供することが可能となる。
【0101】
例えば、FAQ作成者は、問合せとその回答に関し、同一内容の事象がどれだけ登録されているかを定量的に知ることができ、FAQ作成要否を容易かつ適切に判断することができる。
【0102】
このため、従来、人手で大量の対応履歴を読んで、一から(何もない状態から)FAQ候補を作成していた作業に比べ、作業時間及び作業負担を低減できる。特に、FAQ候補が文で表現されていることから、キーワードの場合に比べてFAQに仕上げる作業、例えば、キーワードからFAQ候補となる文書を起こす(作成する)手間を低減でき、FAQ作成の作業効率を向上させることができる。
【0103】
さらに、本実施形態では、問合せ代表文及び回答代表文それぞれを縦横に配置し、問合せ代表文と回答代表文との対の定量的な関係を示す格子状の各表示ブロックを含む問合せ−回答マトリクス図をFAQ作成者に提供するので、FAQを作成するための問合せ文とその回答文を含む文書それぞれが適切に分類された定量的な評価を実現できるとともに、問合せ文とその回答文を含む文書の文書集合から作成するFAQ候補文の全体像(例えば、多い問合せとその回答の傾向など)を、容易に一目で把握することができる。
【0104】
また、問合せ−回答マトリクス図上の表示ブロックの選択に基づくFAQ作成画面を提供するので、定量的な評価で集約(分類)された、問合せ文とその回答文を含む文書の文書集合に対するFAQ作成環境を提供することができる。つまり、FAQ作成画面自体が問合せ代表文及び回答代表文によって文書集合に集約したFAQ作成環境となるので、FAQの主題を外れることなく、適切なFAQを作成することができる。
【0105】
また、FAQ作成画面に問合せ代表文及び回答代表文とともに、問合せ代表文に関連付く各抽出元の問合せ文それぞれを抽出して表示するので、要約された文書(代表文)の細かいニュアンスや背景を把握しながら、FAQを作成することができる。
【0106】
以上、上述の実施形態では、階層化問合せ代表文233及び回答代表文232に基づいて、FAQ候補評価情報の生成処理及び問合せ−回答マトリクス図の生成処理を遂行する一例を説明したが、問合せ代表文231及び回答代表文232に基づいて、FAQ候補評価情報の生成処理及び問合せ−回答マトリクス図の生成処理を遂行することできる。
【0107】
また、問合せ−回答マトリクス図は、図4に示した複数の問合せ代表文と複数の回答代表文で構成されたマトリクス図以外にも、例えば、1つの問合せ代表文と複数の回答代表文で構成されたマトリクス図やFAQ候補評価情報が所定値以上(文書ID数が所定数以上)の問合せ代表文と回答代表文との対のみを含むマトリクス図を生成することもできる。
【0108】
また、問合せ代表文に紐付く生成元の文書群を対象にさらに代表文生成処理を遂行してサブクラスの問合せ代表文を生成する2段階のサブクラス化の一例を示したが、これに限らず、サブクラスの問合せ代表文に対してさらに代表文生成処理を遂行して3段階、4段階・・・と、2階層以上の多段のサブクラス化された問合せ代表文を生成することもできる。
【0109】
また、上述の実施形態では、問合せ代表文のサブクラス化を一例に説明したが、例えば、回答代表文をサブクラス化することもできる。つまり、図15の示した回答代表文それぞれに紐付く生成元の文書群を対象にさらに代表文生成処理を遂行し、各回答代表文に対応したサブクラスのサブ回答代表文を生成することができ、問合せ代表文及び回答代表文の両方又はいずれか一方をサブクラス化したFAQ作成環境を提供することができる。なお、回答代表文の階層化したマトリクス図表示においても、問合せ代表文の階層化表示と同様に、図4の例の横軸に回答代表文を代表文ID別及びサブ代表文ID別に配列し、回答代表文IDに紐付く下位階層のサブ代表文を、隣り合う代表文IDの間に配列することができる。
【0110】
また、回答代表文のサブクラス化も、2階層以上の多段のサブクラス化を行うことができる。さらに、問合せ−回答マトリクス図において問合せ代表文の下位階層であるサブ問合せ代表文が選択された場合の処理と同様に、図5において上位階層の回答代表文とその下位階層のサブ回答代表文とを組み合わせたFAQ作成候補(対応内容)を生成し、新規FAQ作成ブロックCに自動的に表示させることもできる。
【0111】
また、ケース情報220の文書ID毎の各付帯情報に含まれる製品分類や問合せ分類等を用い、特定の製品や問合せタイプに関する問合せ文とその回答文を含む文書の文書集合を対象にした、代表文生成処理、FAQ候補評価情報の生成処理、又は問合せ−回答マトリクス図の生成処理を遂行するように構成することができ、特定の製品や問合せタイプに応じた個別にFAQ作成環境を提供することもできる。
【0112】
また、FAQ作成支援サーバ100の代表文生成部112は、個別の代表文生成装置として構成することができ、FAQ作成支援サーバ100と代表文生成装置とが連動したFAQ作成支援システムとして構成することもできる。
【0113】
また、上述の実施形態の各処理は、コンピュータで実行可能なプログラムとして実現することも可能であり、当該プログラムがインストールされたコンピュータは、実施形態に係るFAQ作成支援機能の各処理を遂行する情報処理装置として動作することが可能である。例えば、不図示の補助記憶装置に当該プログラムが格納され、CPU等の制御部が補助記憶装置に格納されたプログラムを主記憶装置に読み出し、主記憶装置に読み出された該プログラムを制御部が実行し、コンピュータに実施形態に係る各処理を動作させることができる。
【0114】
また、上記プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された状態で、コンピュータに適用することも可能であり、インターネット等のネットワークを通じてコンピュータにダウンロードすることも可能である。コンピュータ読取可能な記録媒体としては、CD−ROM等の光ディスク、DVD−ROM等の相変化型光ディスク、MO(Magnet Optical)やMD(Mini Disk)などの光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスクやリムーバブルハードディスクなどの磁気ディスク、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、SDメモリカード、メモリスティック等のメモリカードが挙げられる。また、特別に設計されて構成された集積回路(ICチップ等)等のハードウェア装置も記録媒体として含まれる。
【0115】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0116】
1 コンタクトセンターシステム
2 ACDシステム
3 FAQ作成支援システム
4 管理者端末
5 オペレータ端末
100 FAQ作成支援サーバ
110 CPU(制御部)
111 認証部
112 代表文生成部
1121 構文解析部
1122 代表文候補抽出部
1123 文生成集約部
1124 代表文決定部
113 FAQ候補制御部
114 FAQ作成制御部
120 通信制御部
130 メモリ
200 DBサーバ
210 画面情報
220 ケース情報
230 代表文情報
231 問合せ代表文情報
232 階層化問合せ代表文情報
233 回答代表文情報
240 FAQ情報
250 抽出ルール記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
問合せ文とその回答文を含む文書の文書集合において各文書それぞれの問合せ文から抽出される複数の問合せ代表文のうち同一の問合せ代表文に基づいて、一の問合せ代表文に複数の抽出元の問合せ文に対応する文書が関連付けられた前記問合せ代表文を記憶する第1記憶部と、
前記各文書それぞれの回答文から抽出される複数の回答代表文のうち同一の回答代表文に基づいて、一の回答代表文に複数の抽出元の回答文に対応する文書が関連付けられた前記回答代表文を記憶する第2記憶部と、
一の問合せ代表文に関連付く各文書が回答代表文それぞれに関連付いている各文書とマッチングする文書数をカウントし、前記カウントされた各文書数を用いて一の問合せ代表文と一の回答代表文とのペアに対するFAQ候補評価情報を生成するFAQ候補制御部と、
前記FAQ候補評価情報に対応する問合せ代表文と回答代表文との対に基づいて、問合せとその回答で構成されるFAQを生成するFAQ作成制御部と、
を有することを特徴とするFAQ作成支援システム。
【請求項2】
前記FAQ候補制御部は、
前記問合せ代表文及び前記回答代表文を縦横に配置したマトリクス図であって、前記問合せ代表文と前記回答代表文とが縦横で交わる位置に、該当の問合せ代表文と回答代表文との対に対応するFAQ候補評価情報が表示されたFAQ候補マトリクス図を生成することを特徴とする請求項1に記載のFAQ作成支援システム。
【請求項3】
前記第1記憶部は、前記問合せ代表文に関連付く複数の各文書の問合せ文から抽出される前記問合せ代表文に対するサブ問合せ代表文のうち同一のサブ問合せ代表文に基づいて、一のサブ問合せ代表文に複数の抽出元の問合せ文に対応する文書が関連付けられた前記副問合せ代表文をさらに記憶し、
前記FAQ候補制御部は、一のサブ問合せ代表文に関連付く各文書が回答代表文それぞれに関連付いている各文書とマッチングする文書数をカウントし、前記カウントされた各文書数を用いて一のサブ問合せ代表文と一の回答代表文とのペアに対するFAQ候補評価情報を生成するとともに、
前記問合せ代表文及び前記問合せ代表文の前記サブ問合せ代表文と、前記回答代表文とを縦横に配置し、前記問合せ代表文と前記回答代表文とが縦横で交わる位置及び前記サブ問合せ代表文と前記回答代表文とが縦横で交わる位置それぞれに、該当の問合せ代表文と回答代表文との対に対応するFAQ候補評価情報及びサブ問合せ代表文と回答代表文との対に対応するFAQ候補評価情報が表示された前記FAQ候補マトリクス図を生成することを特徴とする請求項2に記載のFAQ作成支援システム。
【請求項4】
所定のコンピュータに表示された前記FAQ候補マトリクス図上の前記FAQ候補評価情報が選択された場合に、前記FAQ作成制御部は、前記問合せ文とその回答文を含む文書の文書集合の中から選択されたFAQ候補評価情報に対応する問合せ代表文に関連付く前記各抽出元の問合せ文それぞれを抽出し、前記選択されたFAQ候補評価情報に対応する問合せ代表文及び回答代表文と、前記抽出された各抽出元の問合せ文とを含むFAQ作成画面を生成し、前記コンピュータに伝送することを特徴とする請求項2又は3に記載のFAQ作成支援システム。
【請求項5】
問合せ文とその回答文を含む文書の文書集合において各文書それぞれの問合せ文から抽出される複数の問合せ代表文のうち同一の問合せ代表文に基づいて、一の問合せ代表文に複数の抽出元の問合せ文に対応する文書が関連付けられた前記問合せ代表文を記憶する第1記憶部と、前記各文書それぞれの回答文から抽出される複数の回答代表文のうち同一の回答代表文に基づいて、一の回答代表文に複数の抽出元の回答文に対応する文書が関連付けられた前記回答代表文を記憶する第2記憶部とに接続可能なコンピュータに、
一の問合せ代表文に関連付く各文書が回答代表文それぞれに関連付いている各文書とマッチングする文書数をカウントし、前記カウントされた各文書数を用いて一の問合せ代表文と一の回答代表文とのペアに対するFAQ候補評価情報を生成する機能と、
前記FAQ候補評価情報に対応する問合せ代表文と回答代表文との対に基づいて、問合せとその回答で構成されるFAQを生成する機能と、
を実現させることを特徴とするFAQ作成支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−50896(P2013−50896A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189366(P2011−189366)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】