説明

FCC工程で用いるに適したCO酸化促進剤

FCC工程中のCOおよびNO排出量を制御するに適した組成物であって、(i)酸性酸化物である支持体、(ii)酸化セリウム、(iii)セリア以外のランタニド酸化物、例えば酸化プラセオジムなど、(iv)場合により、IbおよびIIb族の金属の酸化物、例えば銅、銀および亜鉛などおよび(v)貴金属、例えばPtおよびPdなどを含んで成る組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
産業的に重要な課題は、硫黄、炭素および窒素を含有する燃料を処理しそして燃焼させる結果としてもたらされる排気流れに入っている空気汚染物、例えば一酸化炭素、硫黄酸化物および窒素酸化物などの濃度を減少させるに効力のある方法を開発することに関する。硫黄酸化物、一酸化炭素および窒素酸化物の濃度が通常の工程でしばしば見られる濃度である排気流れが大気の中に放出されるのは環境的に望ましくない。硫黄および窒素を含有する炭化水素供給原料の接触分解においてコークスの付着によって失活した分解用触媒の再生が一酸化炭素と硫黄酸化物と窒素酸化物の含有量が相対的に高い排気流れをもたらし得る工程の典型的な例である。
【0002】
重質石油溜分の接触分解が原油を有用な製品、例えば内燃機関で利用される燃料などに変化させる時に用いられる主要な精製工程の1つである。流動接触分解(FCC)工程では、高分子量炭化水素の液体および蒸気を流動床反応槽または細長いトランスファライン(transfer line)反応槽のいずれかの中で熱い微細な固体状触媒粒子と接触させそしてそれらを流動または分散状態に所望度合の分解が起こって自動車用ガソリンおよび留出燃料に典型的に存在する種類の低分子量の炭化水素が生じるに充分な高温で充分な時間維持することが行われている。
【0003】
炭化水素の接触分解では、触媒粒子に非揮発性の炭素質材料、即ちコークスがいくらか付着する。コークスは高度に凝縮した芳香族炭化水素を含んで成っていて水素を一般に約4から約10重量パーセント含有する。当該炭化水素供給原料が有機硫黄および窒素化合物を含有する場合、そのコークスもまた硫黄および窒素を含有する。コークスが分解用触媒の上に蓄積するにつれて、その触媒が分解で示す活性および前記触媒がガソリン調合剤の生成に関して示す選択性が低下する。コークスが付着することで実質的に不活性になった触媒は反応ゾーンから連続的に取り出される。そのように失活した触媒をストリッピングゾーン(stripping zone)に移送して、そのゾーンの中で高温の不活性ガスを用いて揮発性付着物を除去する。次に、適切な再生工程でコークス付着物を実質的に除去することで、その触媒粒子を再び活性にしてそれが本質的に元々の能力を示すようにする。次に、再生させた触媒を反応ゾーンに連続的に戻すことでサイクルを繰り返す。
【0004】
酸素含有ガス、例えば空気などを用いて触媒表面のコークス付着物を燃焼させることで触媒再生を達成する。そのようなコークス付着物の燃焼は、簡単な様式では、炭素の酸化であると見なすことができ、その生成物は一酸化炭素と二酸化炭素である。
【0005】
再生装置に由来する燃焼排ガスの中に入っている残存一酸化炭素の濃度が高いことが接触分解方法が始まって以来問題になっていた。FCCが進化した結果として、再生後の結晶性アルミノシリケート触媒に要求される低い炭素濃度を達成する目的で、FCC再生装置で用いられる温度が益々高くなってきている。今日の再生装置の操作は、促進剤(promoter)が用いられていない時、現在では典型的に約1100度Fから1350度Fの範囲の温度で行われ、その結果として、CO/CO比が1.5から0.8の範囲の燃焼排ガスが生じる。一酸化炭素の酸化は非常に発熱的であり、その結果として、希釈された触媒相、サイクロンまたは燃焼排ガスラインの中でいわゆる「一酸化炭素の後燃え」が起こる可能性がある。後燃えがプラント装置の重大な損傷の原因になっていた。他方、大気に放出される燃焼排ガスに未燃焼の一酸化炭素が入っていると、それは排気筒の評価の損失に相当し、生態学的に望ましくない。
【背景技術】
【0006】
大気への放出が許される一酸化炭素の量が制限されておりかつ一酸化炭素をより完璧に酸化させると結果として工程が有利になることから、それに刺激されて、再生装置の中で起こさせる一酸化炭素の完全な燃焼を達成する手段を提供しようとする提案がいくつかもたらされた。
【0007】
FCC装置に備わっている再生装置の中で起こさせる一酸化炭素の酸化に触媒作用を及ぼす目的で貴金属を用いることが商業的に幅広く受け入れられている。そのような進展の歴史のいくつかが特許文献1および2に挙げられている。そのような進展の初期段階では、分解用触媒の粒子に貴金属を付着させることが行われた。現在では、一般に、促進剤を貴金属を含有する流動性固体状粒子の形態で供給することが実施されており、そのような粒子は分解用触媒の粒子とは物理的に分離した状態である。貴金属またはこれの化合物を適切な担体材料の粒子の上に担持させそして促進剤の粒子を通常は前記分解用触媒の粒子とは個別に再生装置の中に導入することが行われている。その促進剤の粒子はその系から微細物として取り除かれることはなく、分解/ストリッピング/再生サイクル中、分解用触媒粒子と一緒に循環する。ある促進剤が示すCO燃焼効率の判断は、(熱い方の)希薄相と濃密相の間の温度の差、即ちデルタTを測定することで行われる。
【0008】
FCC装置において商業ベースで用いられている促進剤製品には、白金を少量(例えば100または500ppm)含浸させておいたカオリン粘土に噴霧乾燥と焼成を受けさせた多孔質微細球(microsphere)が含まれる。特許文献1(上記)を参照のこと。商業的に最も用いられている促進剤は、高純度の多孔質アルミナ、典型的にはガンマアルミナの微細球に白金源を含浸させることで得られた促進剤である。いろいろな商品で白金が貴金属として選択されたが、それは、FCC再生装置における一酸化炭素酸化の促進で最も有効なVIII族金属が白金であると言った従来技術の開示に相応してそのような金属が好適であることを反映していると思われる。例えば特許文献3の中の図3および特許文献4の中の同じ図を参照のこと。その図には、いろいろな種の貴金属含有促進剤(precious metal promoters)の濃度を0.5から10ppmにまで上昇させた時のCO/CO比に対する影響が示されている。
【0009】
パラジウムをFCC装置に備わっている再生装置の中に行き渡っている条件の如き条件下で用いて一酸化炭素から二酸化炭素への酸化を促進させようとする時にパラジウムを特定形態のシリカ−アルミナ、即ち浸出を受けさせておいたムライト(leached mullite)の粒子に担持させておくと異常に高い効果がもたらされることが特許文献5に教示されている。そのパラジウムが当該促進剤に含めるただ1つの触媒活性金属成分であってもよいか或はそれを他の金属、例えば白金などと混合してもよい。
【0010】
特許文献6および7は、Laによる安定化を受けているアルミナ(好適にはLaが約4−8重量パーセント)にPtを担持させたFCC用CO促進剤(CO promoter)に関する。セリアを「排除する必要がある」ことが開示されている。コラム3に「Laを充分な量、即ち約6−8パーセント存在させるとCeを2パーセント存在させても無駄である。Laを少なくするのは実際に有害である。」と開示されている。具体例として、特許文献6および7には、ガンマアルミナに担持させた白金が示すCO促進に対して8%のCeは否定的な影響を示してLaは肯定的な影響を示すことが示されている。
【0011】
硫黄と窒素を含有する供給原料を接触分解工程で用いると触媒に付着するコークスは硫黄と窒素を含有する。コークスが付着して失活した触媒を再生させている間、触媒表面のコークスが燃焼しそしてその結果として硫黄から硫黄酸化物への変換および窒素から窒素酸化物への変換がもたらされる。
【0012】
不幸なことには、活性が高い燃焼促進剤、例えば白金およびパラジウムなどはまた再生ゾーンの中で生じる窒素酸化物の生成を促進する働きもする。窒素酸化物が大気の中に放出されることは環境的に望ましくないことから、そのような促進剤の使用によってもたらされる効果は、ある種の望ましくない排気を別の望ましくない排気に代えると言った効果である。従来技術のCO促進剤を用いるとNOが劇的に増加(例えば>300%)し得ることが報告されている。
【0013】
有害な気体の生成量を減少させるか或はそれらが生じた後にそれらに処理を受けさせるアプローチがいろいろ用いられてきた。最も典型的には添加剤がFCC触媒粒子の不可欠な一部としてか或はFCC触媒との混合物の状態の個々別々の粒子として用いられてきた。
【0014】
NOx排出量を制御すると同時にCO促進を行うであろういろいろな添加剤が開発されてきた。
【0015】
Ptが基になったCO促進剤に希土類を添加することが特許文献4、8および9に述べられている。一例は4%のREOであり、これはいくらか利点を示す。REOがFCCUから出るNOx排出量の減少に対していくらか効果を示すことは全く教示されていない。
【0016】
無機支持体に担持させたPt、Pd、Ir、Os、Ru、Rh、Reおよび銅から選択される燃焼促進剤が特許文献10に教示されている。
【0017】
Pt−IrおよびPt−Rhの2種類の金属を含有する促進剤が特許文献11に教示されており、それは通常のPt含有促進剤よりもNOx量を減少させる。
【0018】
NOxを過度に生じさせないPd−Ru含有CO酸化促進剤の使用が特許文献12に教示されている。
【0019】
Ru以外の他の全てのVIII族金属とPdの2種類の金属が特許文献13に教示されている。
【0020】
(i)酸性酸化物である支持体、(ii)アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属またはこれらの混合物、(iii)酸素を貯蔵する能力を有する遷移金属酸化物および(iv)パラジウム含有成分を含んで成る組成物が特許文献14および15に記述されており、それはFCC工程においてCO燃焼を促進すると同時にNOxの生成を最小限にする。
【0021】
VIII族の遷移金属の酸化物とIIIB族の遷移金属の酸化物とIIA族の金属の酸化物で構成させたCO促進剤が特許文献16に教示されている。
【0022】
しかしながら、FCC工程におけるNO排出量を制御するように改良を受けさせたCO酸化促進剤が求められているままである。
【特許文献1】米国特許第4,171,286号
【特許文献2】米国特許第4,222,856号
【特許文献3】米国特許第4,107,032号
【特許文献4】米国特許第4,350,614号
【特許文献5】米国特許第4,608,357号
【特許文献6】米国特許第5,164,072号
【特許文献7】米国特許第5,110,780号
【特許文献8】米国特許第4,072,600号
【特許文献9】米国特許第4,088,568号
【特許文献10】米国特許第4,199,435号
【特許文献11】米国特許第4,290,878号
【特許文献12】米国特許第4,300,997号
【特許文献13】米国特許第4,544,645号
【特許文献14】米国特許第6,165,933号
【特許文献15】米国特許第6,358,881号
【特許文献16】米国特許第6,117,813号
【発明の開示】
【0023】
本発明は、FCC工程で用いるに適していてNOx排出量を制御することに加えて向上したCO酸化促進活性を示し得る新規な組成物を提供するものである。
【0024】
本発明は、1つの面において、FCC工程におけるCO排出量を減少させる組成物を提供し、この組成物は、(i)酸性酸化物である支持体、(ii)セリア、(iii)セリア以外の少なくとも1種のランタニド系列元素の酸化物、(iv)場合により、周期律表のIbおよびIIb族およびこれらの混合物から選択される少なくとも1種の遷移金属の酸化物および(v)少なくとも1種の貴金属を含有する。前記酸性酸化物である支持体は好適にはアルミナを含有する。酸化プラセオジムがセリア以外の好適なランタニド酸化物である。CuおよびAgがIb族の好適な遷移金属でありそしてZnがIIb族の好適な遷移金属である。
【0025】
別の面において、本発明は、本発明のCO排出量減少およびNOx制御用組成物をFCC触媒粒子の不可欠な一部としてか或はFCC触媒と混ざり合っている状態の個々別々の粒子として用いるFCC方法を包含する。
【0026】
本発明の前記および他の面を以下に更に詳細に記述する。
【0027】
本発明は、FCC工程において特定種の組成物がCOの減少とNOガス排出量の制御の両方に非常に有効であることを見いだしたことを包含する。本発明のCO減少用組成物は、これが(i)酸性酸化物である支持体、(ii)酸化セリウム、(iii)セリア以外の少なくとも1種のランタニド系列元素の酸化物、(iv)場合により、周期律表のIbおよびIIb族およびこれらの混合物から選択される少なくとも1種の遷移金属の酸化物および(v)少なくとも1種の貴金属を含んで成ることを特徴とする。
【0028】
前記酸性酸化物である支持体が有する酸性度は、本組成物がCO酸化促進およびNO制御に有効な添加剤として働くに充分でなければならない。酸性酸化物である触媒支持体は本分野の通常の技術者に良く知られており、それらには例えば過渡的(transitional)アルミナ、例えばガンマおよびイータアルミナなど、シリカによる安定化を受けている種類の前記アルミナ[スピネルまたはムライトが生じるように特徴的な発熱を経験する焼成を受けさせておいたカオリンからシリカを浸出させることで生じさせたシリカ安定化アルミナスピネル(silica−stabilized alumina spinel)を包含]が含まれる。そのような支持体は結晶性または非晶質であってもよい。そのような酸性酸化物である支持体は好適にはアルミナを少なくともいくらか含有する。より好適には、そのような酸化物である支持体はアルミナを少なくとも50重量%含有する。この酸化物である支持体は好適にはアルミナおよびシリカ−アルミナから成る群から選択した酸化物である。非晶質のシリカ−アルミナである支持体を用いる場合、この支持体が有するアルミナとシリカのモル比を好適には約1:1から約50:1にする。商業的に入手可能な酸性酸化物であるアルミナである支持体の例は、PURALOX、CATAPALおよびVERSALなどの如き商標の下で入手可能な支持体である。商業的に入手可能な酸性シリカ−アルミナである支持体の例はSIRALおよびSIRALOXなどの如き商標の下で入手可能な支持体である。
【0029】
場合により、米国特許第4,847,225号および4,628,042号(これらはそれに関する教示に関して引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されているように、前以て成形しておいたカオリン微細球からシリカを苛性浸出(caustic leaching)させることで、そのようなシリカ−アルミナである支持体を生じさせることも可能である。好適には、苛性浸出を受けさせておいたカオリンに焼成をスピネルおよび/またはムライトが生じるようにそれが特徴的な発熱を本質的に経験するように受けさせる。より好適には、前記苛性浸出を受けさせるカオリンである支持体は微細球であり、ここで、前記苛性浸出を受けさせるカオリンは、発熱を経験する焼成を受ける前、アルミニウムクロロヒドロキサイド(chlorohydroxide)と結合している。
【0030】
更に好適には、前記酸性酸化物である支持体にこれがCO酸化促進および制御を助長するに充分な表面積を持たせる。前記酸化物である支持体に好適には少なくとも約20m/g、より好適には約50から約300m/g以下の表面積を持たせる。前記酸性酸化物である支持体は、これを当該FCC触媒の不可欠な一部として用いる時には粉末であるのが好適であり、或はこれを好適にはFCC触媒との混合物として用いる時には微細球または粒子であるのが好適である。
【0031】
本発明の添加剤組成物に存在させる酸化セリウム(セリア)の量は、酸性酸化物である支持体の量を基準にしてかなり多様であり得る。本添加剤組成物の酸化セリウム含有量を前記酸性酸化物である支持体材料100重量部当たり好適には少なくとも約0.5重量部にし、より好適には、酸化セリウムの含有量を前記酸性酸化物である支持体材料100部当たり少なくとも約1重量部から約25重量部以下にする。
【0032】
セリア以外のランタニド酸化物には、セリア以外のランタニド系列に属する少なくとも1種の金属の酸化物が含まれる。セリア以外のランタニド酸化物は好適には酸化プラセオジムである。本添加剤組成物に存在させるセリア以外のランタニド酸化物の量も酸性酸化物である支持体の量を基準にしてかなり多様であり得る。本添加剤組成物に含有させるランタニド酸化物の量を前記酸性酸化物である支持体材料100重量部当たり好適には少なくとも約0.05重量部にし、より好適には、セリア以外のランタニド酸化物の含有量を前記酸性酸化物である支持体材料100部当たり少なくとも約1重量部から約25重量部以下にする。本発明の添加剤組成物に存在させるセリアとセリア以外のランタニド酸化物の量を重量で表して1:20から20:1、好適な1:10から10:1の範囲にする。
【0033】
前記Ibおよび/またはIIb族の遷移金属は、周期律表の前記族から選択した如何なる金属または金属組み合わせであってもよい。このような遷移金属を好適にはCu、Ag、Znおよびこれらの混合物から成る群から選択する。存在させる遷移金属の量は前記酸化物である支持体材料100万部当たり好適には少なくとも100重量部(金属酸化物として測定)、より好適には、前記酸化物である支持体材料100部当たり約0.1から約5重量部である。
【0034】
前記貴金属の量も望まれるCO燃焼促進度合に応じてかなり多様であり得る。貴金属の典型的な濃度は添加剤および/または触媒全体の50から1500ppmの範囲であろう。本明細書で用いる如き貴金属には、Pt、Pd、Ir、Os、Ru、Rh、Reおよびこれらの前駆体、例えば塩およびアミン錯体などおよびこれらの混合物から成る群から選択されるそれらが含まれ、好適には、そのような貴金属はPt、Pdまたはこれらの混合物である。
【0035】
本添加剤組成物に他の材料を少量含有させることも可能であり、そのような他の材料は、好適には、CO酸化にもNO制御機能にも有意な様式で悪影響を与えない材料である。本明細書でNO制御を言及する場合、これは、典型的には、FCC工程に由来するNO排出量の減少を指すが、本発明は他の種類の制御も包含し、それには、例えば、FCC装置(この装置ではNOx排出量が多いと予測される)におけるNO排出濃度の維持などが含まれる。本添加剤組成物を本質的にこの上に挙げた品目(i)−(v)で構成させてもよく、品目(iv)は任意である。本発明の組成物をFCC工程に添加する粒子として用いる(FCC触媒粒子自身の中に一体化させるのとは対照的に)場合、本添加剤組成物を充填材(例えば粘土、シリカ−アルミナ、シリカおよび/またはアルミナ粒子)および/または結合剤(例えばシリカゾル、アルミナゾル、シリカアルミナゾルなど)と一緒にしてFCC工程で用いるに適した粒子に成形しておいてもよく、好適には噴霧乾燥後に焼成段階を設けることで成形しておいてもよい。より好適には、粉末状の酸化物である支持体材料に個々の成分を染み込ませる前または後にそれを結合剤/充填材と一緒にして典型的には噴霧乾燥を受けさせることで、酸性酸化物である支持体から多孔質粒子(また微細球としても知られる)を生じさせる。好適には、添加する結合剤のいずれも使用する充填材のいずれも本添加剤成分の性能に有意な悪影響を与えないものである。
【0036】
本添加剤組成物を添加剤粒子として用いる(FCC触媒粒子自身の中に一体化するのとは対照的に)場合、この添加剤粒子の中の本添加剤成分の量を好適には少なくとも50重量%、より好適には少なくとも75重量%にする。最も好適には、この添加剤粒子の全体を本添加剤成分で構成させる。この添加剤粒子の大きさを好適にはFCC工程で触媒インベントリー(inventory)と一緒に循環するに適した大きさにする。この添加剤粒子に持たせる平均粒子サイズを好適には約20−200μmにする。好適には、この添加剤粒子にこれがFCCUの苛酷な環境に耐え得るような摩滅特徴を持たせる。
【0037】
この上で述べたように、本発明の添加剤組成物をFCC触媒粒子自身の中に一体化することも可能である。そのような場合、本発明の添加剤組成物と組み合わせて通常のFCC触媒粒子成分のいずれも使用可能である。本発明の添加剤組成物をFCC触媒粒子の中に一体化する場合、好適には、それがFCC触媒粒子の少なくとも約0.02重量%を占めるようにする。
【0038】
本発明を如何なる特別な製造方法にも限定するものでないが、本発明の添加剤組成物の製造を好適には下記の手順で行う:
(a)酸性酸化物である支持体粒子に酸化セリウム源、セリア以外の少なくとも1種のランタニド酸化物源および場合により少なくとも1種のIb/IIb族元素源を一緒に含浸させ、
(b)段階(a)の含浸を受けさせた支持体に焼成を受けさせ、
(c)段階(b)で生じさせた材料に選択した貴金属または前駆体である塩もしくは錯体を所望濃度で含浸させ、
(d)場合により、段階(c)で含浸を受けさせた添加剤に再び焼成を受けさせてもよい。
【0039】
前記酸化物源は、好適には、当該金属の酸化物自身または個々の金属の塩(焼成時に分解して酸化物になる)または酸化物と塩の組み合わせが入っているスラリー、ゾルおよび/または溶液である。望まれるならば、個々の成分を個別に当該支持体粒子に添加して、各添加と添加の間に焼成段階を設けてもよい。その焼成段階を好適には約450−750℃で実施する。
【0040】
本添加剤組成物は個別の添加剤粒子としてか或はFCC触媒粒子の不可欠な一部として使用可能である。本添加剤成分を添加剤として用いる場合、それ自身をFCC工程で用いるに適した粒子に成形しておいてもよい。別法として、本添加剤成分を通常の任意技術を用いて結合剤、充填材などと一緒にしておいてもよい。例えば、米国特許第5,194,413号(これの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている方法を参照のこと。
【0041】
本発明の添加剤成分をFCC触媒粒子の中に一体化する場合、好適には、その成分を最初に生じさせた後、FCC触媒粒子を構成する他の成分と一緒にする。本添加剤組成物をFCC触媒粒子の中に直接取り込ませる場合、これは、公知の如何なる技術を用いて達成されてもよい。この目的で用いるに適した技術の例が米国特許第3,957,689号、4,499,197号、4,542,188号および4,458,623号(これらの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)に開示されている。
【0042】
好適には、本発明の組成物にアルカリおよび/またはアルカリ土類金属を含めない。本発明の添加剤組成物にアルカリおよび/またはアルカリ土類金属を存在させないことは、それらが好適には前記組成物が示すCO酸化にもNO制御機能にも有意な様式で悪影響を与えないようにそれらを前記組成物に実質的に存在させないことを意味することを意図する。そのようにアルカリおよび/またはアルカリ土類金属を存在させない場合の量は、典型的に、本発明の添加剤組成物の中に存在するアルカリおよびアルカリ土類金属の量が約1%未満、好適には約0.5%未満、より好適には約0.1%未満であることを意味する。
【0043】
本発明の組成物は通常の如何なるFCC工程にも使用可能である。典型的なFCC工程は450から650℃の反応温度で実施され、触媒を再生させる温度は600から850℃である。本発明の組成物は典型的な如何なる炭化水素供給原料のFCC処理にも使用可能である。本発明の組成物を、好適には、窒素を平均的な量以上の量で含有する炭化水素供給原料、特に残留供給原料(residual feedstocks)または窒素含有量が少なくとも0.1重量%の供給原料に分解を受けさせることを伴うFCC工程で用いる。本発明の添加剤成分の使用量は特定のFCC工程に応じて多様であり得る。本添加剤成分の使用量(循環するインベントリー中の)を、好適には、循環する触媒インベントリー中のFCC触媒の重量を基準にして約0.05−15重量%にする。本発明の組成物をFCC工程触媒再生段階中に存在させると、再生中に排出されるCOの濃度が劇的に低下しかつNO排出量も同様に制御される。
【0044】
以下の実施例は本発明の態様の具体例であり、本出願の一部を構成する請求の範囲に包含させる如き発明を限定することを意図するものでない。
【実施例1】
【0045】
2%Pr11/10%CeO/2%CuO/アルミナ
アルミナである支持体粒子に硝酸セリウムと硝酸プラセオジムが入っている溶液を湿り開始(incipient wetness)まで一緒に含浸させ、乾燥そして焼成を1200度Fで2時間受けさせることで、10重量%のCeOおよび2重量%のPr11濃度を達成する。その微細球に硝酸銅を含浸させ、乾燥そして焼成を1200度Fで2時間受けさせることで、2重量%のCeO濃度を達成する。
【実施例2】
【0046】
3%Pr11/18%CeO/0.5%CuO/アルミナ
アルミナである支持体粒子に硝酸セリウムと硝酸プラセオジムが入っている溶液を湿り開始まで一緒に含浸させ、乾燥そして焼成を1200度Fで2時間受けさせることを通して、18重量%のCeOおよび3重量%のPr11濃度を達成する。このCeおよびPr濃度を達成する目的で前記含浸および焼成段階を2回実施した。その結果として得た微細球に硝酸銅を含浸させ、乾燥そして焼成を1200度Fで2時間受けさせることで、0.5重量%のCeO濃度を達成する。
【実施例3】
【0047】
2%Pr11/10%CeO/アルミナ
アルミナである支持体粒子に硝酸セリウムと硝酸プラセオジムが入っている溶液を湿り開始まで一緒に含浸させ、乾燥そして焼成を1200度Fで2時間受けさせることで、10重量%のCeOおよび2重量%のPr11濃度を達成する。
【実施例4】
【0048】
実施例1で製造した生成物に白金をモノエタノールアミン錯体の水溶液を用いて濃度が500ppmになるように含浸させる。その材料に乾燥を受けさせた後、焼成を1200度Fで2時間受けさせる。
【実施例5】
【0049】
実施例2で製造した生成物に白金をモノエタノールアミン錯体の水溶液を用いて濃度が500ppmになるように含浸させる。その材料に乾燥を受けさせた後、焼成を1200度Fで2時間受けさせる。
【実施例6】
【0050】
実施例2で製造した生成物に白金をモノエタノールアミン錯体の水溶液を用いて濃度が200ppmになるように含浸させる。その材料に乾燥を受けさせた後、焼成を1200度Fで2時間受けさせる。
【実施例7】
【0051】
実施例3で製造した生成物に白金をモノエタノールアミン錯体の水溶液を用いて濃度が500ppmになるように含浸させる。その材料に乾燥を受けさせた後、焼成を1200度Fで2時間受けさせる。
【実施例8】
【0052】
実施例2で製造した生成物にパラジウムを硝酸塩水溶液を用いて濃度が500ppmになるように含浸させる。その材料に乾燥を受けさせた後、焼成を1200度Fで2時間受けさせる。
【実施例9】
【0053】
実施例3で製造した生成物にパラジウムを硝酸塩水溶液を用いて濃度が500ppmになるように含浸させる。その材料に乾燥を受けさせた後、焼成を1200度Fで2時間受けさせる。
比較実施例
実施例A
アルミナにPtを500ppm担持
アルミナ微細球に白金をエタノールアミン塩の水溶液を用いて濃度が500ppmになるように含浸させる。その材料に乾燥を受けさせた後、焼成を1200度Fで2時間受けさせる。
実施例B
アルミナにPdを500ppm担持
アルミナ微細球にパラジウムを硝酸塩の水溶液を用いて濃度が500ppmになるように含浸させる。その材料に乾燥を受けさせた後、焼成を1200度Fで2時間受けさせる。
CO酸化試験
試験を受けさせる添加剤とFCC触媒が50/50の混合物に100%蒸気を用いた蒸気処理を1500度Fで4時間受けさせることで、その添加剤を失活させる。その混合物の組成が蒸気処理後にも保持されることを確かめる目的で化学マーカーを用いる。5%がCOで3%がOで5%がCOで残りがNである1100度Fの気体流を用いた流動床でCO酸化試験を実施する。その流動床反応槽に仕込む添加剤を変えることでいろいろなCO変換率を達成する。空間時間と対比させた−ln(1−x)[ここで、xはCOの変換率である]の傾きとして活性を定義する。CO酸化活性試験のデータを表1に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
表1に示した結果は、従来技術の材料に比べて匹敵する貴金属充填率を持たせた本発明の添加剤組成物の方が良好なCO促進活性を有することを示している。
NOx還元
実験室の固定式流動床反応槽を用いる。添加剤に100%蒸気を用いた蒸気処理を1500度Fで4時間受けさせることで、それを失活させた。低金属(low metal)ECATに添加剤を0.2重量%含有させた混合物を試験で用いる。ガスオイルに分解を受けさせるとコークスが前記混合物に付着する。使用済み触媒に再生を1300度Fの空気中で受けさせる。その結果として生じた燃焼排ガスに由来するNOx排出量を化学発光で測定する。一定のコークス量の時のNOx排出量を報告する。NOx減少に関する典型的な結果を表2に示す。
【0056】
【表2】

【0057】
表2に示した結果は、本発明の添加剤組成物を用いると従来技術の添加剤を用いた時に比較してNOx排出量が低下することを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動接触分解工程における触媒再生中のCO排出量を減少させるに適した添加剤組成物であって、(i)酸性酸化物である支持体、(ii)酸化セリウム、(iii)酸化セリウム以外の少なくとも1種のランタニド系列元素の酸化物、(iv)場合により、周期律表のIbおよびIIb族およびこれらの混合物から選択される少なくとも1種の遷移金属の酸化物および(v)少なくとも1種の貴金属を含んで成る組成物。
【請求項2】
前記酸性酸化物である支持体がアルミナおよびシリカ−アルミナから成る群から選択される請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記酸性酸化物である支持体がアルミナである請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記酸性酸化物である支持体がシリカ−アルミナである請求項2記載の組成物。
【請求項5】
前記シリカアルミナが約1:1から約50:1以下のアルミナ:シリカモル比を有する請求項4記載の組成物。
【請求項6】
前記シリカ−アルミナが焼成カオリンからシリカを苛性浸出させることで作られたものである請求項4記載の組成物。
【請求項7】
前記シリカ−アルミナが特徴的発熱を経験する焼成を受けたカオリンからシリカを苛性浸出させることで作られたものである請求項4記載の組成物。
【請求項8】
前記苛性浸出を受けさせるカオリンである支持体が微細球であり、ここで、前記苛性浸出を受けさせるカオリンがこれの特徴的発熱を経験する焼成を受ける前にアルミニウムクロロヒドロキサイドと結合している請求項7記載の組成物。
【請求項9】
前記IbおよびIIb族の遷移金属が銅、銀、亜鉛およびこれらの混合物から成る群から選択される請求項1記載の組成物。
【請求項10】
前記酸化セリウムが前記酸性酸化物である支持体100重量部当たり少なくとも約0.5重量部の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項11】
酸化セリウム以外の前記少なくとも1種のランタニド系列元素の酸化物が前記酸性酸化物である支持体100重量部当たり少なくとも約0.5重量部の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項12】
前記貴金属がPtおよびPdから成る群の少なくとも1種でありそして前記組成物中の貴金属の量が少なくとも約50から約1500ppm未満である請求項1記載の組成物。
【請求項13】
前記酸化セリウムが前記酸性酸化物である支持体100重量部当たり少なくとも約2から約25重量部以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項14】
酸化セリウム以外の前記少なくとも1種のランタニド系列元素の酸化物が前記酸性酸化物である支持体100重量部当たり少なくとも約2から約25重量部以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項15】
酸化セリウム以外の前記ランタニド系列元素の酸化物が酸化プラセオジムである請求項1記載の組成物。
【請求項16】
前記セリアと酸化プラセオジムの量が重量で表して約1:20から約20:1の範囲である請求項15記載の組成物。
【請求項17】
前記セリアと酸化プラセオジムの量が重量で表して約1:10から約10:1の範囲である請求項15記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物中にアルカリおよび/またはアルカリ土類金属が実質的に存在しない請求項1記載の組成物。
【請求項19】
流動分解用触媒組成物であって、(a)炭化水素の分解に触媒作用を及ぼすに適した分解用成分および(b)(i)酸性酸化物である支持体、(ii)酸化セリウム、(iii)セリア以外の少なくとも1種のランタニド系列元素の酸化物、(iv)場合により、周期律表のIbおよびIIb族から選択される少なくとも1種の遷移金属の酸化物および(v)少なくとも1種の貴金属を含んで成る添加剤組成物を含んで成っていて前記添加剤組成物が前記触媒組成物粒子の不可欠な構成要素であるか、前記触媒成分とは別の粒子であるか或はこれらの混合物でありかつ前記分解用触媒中にCO排出量を減少させるに充分な量で存在する流動分解用触媒組成物。
【請求項20】
前記分解用触媒が成分(a)と成分(b)の混合物を構成している請求項19記載の分解用触媒。
【請求項21】
前記分解用触媒が成分(a)と成分(b)の両方を含有する一体型粒子を構成している請求項19記載の分解用触媒。
【請求項22】
前記添加剤成分(b)が前記分解用触媒組成物の約0.05から15重量%を構成している請求項19記載の分解用触媒。
【請求項23】
セリア以外の前記ランタニド系列元素の酸化物が酸化プラセオジムである請求項19記載の分解用触媒。
【請求項24】
前記貴金属がPtおよびPdから成る群の少なくとも1種でありそして前記組成物中の貴金属の量が少なくとも約50から約1500ppm未満である請求項19記載の組成物。
【請求項25】
前記組成物中にアルカリおよび/またはアルカリ土類金属が存在しない請求項19記載の組成物。
【請求項26】
炭化水素供給原料に流動接触分解を受けさせて分子量がより低い成分を生じさせている間のCO排出量を減少させる方法であって、(i)酸性酸化物である支持体、(ii)酸化セリウムを酸性酸化物である支持体100重量部当たり少なくとも0.5重量部、(iii)セリア以外の少なくとも1種のランタニド系列元素の酸化物を酸性酸化物である支持体100重量部当たり少なくとも0.5重量部、(iv)場合により、周期律表のIbおよびIIb族から選択される遷移金属の酸化物および(v)少なくとも1種の貴金属を含んで成るCO排出量減少用組成物をこれがCO排出量を減少させるに充分な量で存在させて炭化水素供給原料を炭化水素の分解に触媒作用を及ぼすに適した分解用触媒に高温で接触させることで分子量がより低い炭化水素成分を生じさせることを含んで成る方法。
【請求項27】
前記分解用触媒とCO減少用組成物が前記分解用触媒の成分と前記CO排出量減少用組成物の成分が分離した状態の混合物を構成している請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記分解用触媒とCO減少用組成物が前記分解用触媒の成分と前記CO減少用組成物の成分が一体になった組み合わせを構成している請求項26記載の方法。
【請求項29】
前記分解用触媒をこれが炭化水素供給原料と接触している間流動させる請求項26記載の方法。
【請求項30】
使用済み分解用触媒を前記接触段階から回収しそして前記使用済み触媒に処理を前記触媒が再生する条件下で受けさせることも更に含んで成る請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記炭化水素供給原料が窒素を少なくとも0.1重量%含有する請求項26記載の方法。
【請求項32】
セリア以外の前記少なくとも1種のランタニド系列元素の酸化物が酸化プラセオジムである請求項26記載の方法。
【請求項33】
前記酸化セリウムと酸化プラセオジムの量を重量で表して約10:1から約1:10の範囲にする請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記貴金属がPtおよびPdから成る群の少なくとも1種でありそして前記組成物中の貴金属の量を少なくとも約50から約1500ppm未満にする請求項26記載の方法。
【請求項35】
前記組成物中にアルカリおよび/またはアルカリ土類金属を存在させない請求項26記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動接触分解工程における触媒再生中のCO排出量を減少させるに適した添加剤組成物であって、(i)酸性酸化物である支持体、(ii)酸化セリウム、(iii)酸化セリウム以外の少なくとも1種のランタニド系列元素の酸化物、(iv)場合により、周期律表のIbおよびIIb族およびこれらの混合物から選択される少なくとも1種の遷移金属の酸化物および(v)少なくとも1種の貴金属を含んで成る組成物。
【請求項2】
前記酸性酸化物である支持体がアルミナおよびシリカ−アルミナから成る群から選択される請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記IbおよびIIb族の遷移金属が銅、銀、亜鉛およびこれらの混合物から成る群から選択される請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記貴金属がPtおよびPdから成る群の少なくとも1種でありそして前記組成物中の貴金属の量が少なくとも約50から約1500ppm未満である請求項1記載の組成物。
【請求項5】
酸化セリウム以外の前記ランタニド系列元素の酸化物が酸化プラセオジムである請求項1記載の組成物。
【請求項6】
流動分解用触媒組成物であって、(a)炭化水素の分解に触媒作用を及ぼすに適した分解用成分および(b)(i)酸性酸化物である支持体、(ii)酸化セリウム、(iii)セリア以外の少なくとも1種のランタニド系列元素の酸化物、(iv)場合により、周期律表のIbおよびIIb族から選択される少なくとも1種の遷移金属の酸化物および(v)少なくとも1種の貴金属を含んで成る添加剤組成物を含んで成っていて前記添加剤組成物が前記触媒組成物粒子の不可欠な構成要素であるか、前記触媒成分とは別の粒子であるか或はこれらの混合物でありかつ前記分解用触媒中にCO排出量を減少させるに充分な量で存在する流動分解用触媒組成物。
【請求項7】
前記分解用触媒が成分(a)と成分(b)の混合物を構成している請求項6記載の分解用触媒。
【請求項8】
セリア以外の前記ランタニド系列元素の酸化物が酸化プラセオジムである請求項6記載の分解用触媒。
【請求項9】
前記貴金属がPtおよびPdから成る群の少なくとも1種でありそして前記組成物中の貴金属の量が少なくとも約50から約1500ppm未満である請求項6記載の組成物。
【請求項10】
炭化水素供給原料に流動接触分解を受けさせて分子量がより低い成分を生じさせている間のCO排出量を減少させる方法であって、(i)酸性酸化物である支持体、(ii)酸化セリウムを酸性酸化物である支持体100重量部当たり少なくとも0.5重量部、(iii)セリア以外の少なくとも1種のランタニド系列元素の酸化物を酸性酸化物である支持体100重量部当たり少なくとも0.5重量部、(iv)場合により、周期律表のIbおよびIIb族から選択される遷移金属の酸化物および(v)少なくとも1種の貴金属を含んで成るCO排出量減少用組成物をこれがCO排出量を減少させるに充分な量で存在させて炭化水素供給原料を炭化水素の分解に触媒作用を及ぼすに適した分解用触媒に高温で接触させることで分子量がより低い炭化水素成分を生じさせることを含んで成る方法。

【公表番号】特表2006−518267(P2006−518267A)
【公表日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543171(P2004−543171)
【出願日】平成14年11月5日(2002.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2002/035387
【国際公開番号】WO2004/033091
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(591044371)エンゲルハード・コーポレーシヨン (43)
【氏名又は名称原語表記】ENGELHARD CORPORATION
【Fターム(参考)】