説明

FGF受容体活性化N−硫酸塩オリゴ糖、該オリゴ糖の調製および該オリゴ糖の治療用途

本発明は、式(I)


(式中、R、R、RおよびRは、−OSO−基またはヒドロキシ基であり、Rは、−O−アルキル基であるか、式(II)を有する単糖であり、Rは、式(III)を有する二糖であり、Rは、式(IV)を有する二糖であり、Rは、ヒドロキシル基であるか、式(VI)を有する二糖であり、およびRは、ヒドロキシル基であるか、−O−アルキル基であるか、式(VII)を有する二糖であり、この式中のR10は、−O−アルキル基である。)を有するFGF受容体活性化N−硫酸塩オリゴ糖に関する。本発明は、さらに、前記オリゴ糖の調製に、およびこのオリゴ糖の治療用途に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FGF/FGFRシステムのアゴニストであるN−硫酸塩オリゴ糖、ならびに該オリゴ糖の調製および治療用途に関する。
【背景技術】
【0002】
血管新生は、新たな毛細血管の発生過程である。血管封鎖中、動脈新生(毛細血管の拡大)と併せて血管新生が封鎖領域の血管再生を増進させる。線維芽細胞増殖因子(Fibroblast Growth Facter:FGF)などの幾つかの増殖因子が新生血管形成過程を刺激することは、インビトロおよびインビボで証明されている。
【0003】
FGFは、23メンバーのファミリーである。FGF2(または塩基性FGF)は、18kDaタンパク質である。FGF2は、培養中の内皮細胞においてこれらの細胞の増殖および移動、ならびにプロテアーゼの生産を誘導する。インビボでは、FGF2は、新生血管形成を促進する。FGF2は、2クラスの受容体、即ちチロシンキナーゼ活性を有する高親和性受容体(FGFR)およびヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)タイプの低親和性受容体を介して、内皮細胞と相互作用する。
【0004】
チロシンキナーゼ活性を有する細胞表面受容体が、2つのリガンド分子と1つのヘパラン硫酸分子とから成る複合体と二量体の形態で会合することは周知である。この複合体の形成は、細胞内シグナルカスケードを誘発し、この結果、血管新生に関与する2つの重要な過程である細胞増殖および移動が活性化されることとなる。
【0005】
従って、FGF2およびFGF2の受容体は、血管新生過程の活性化または阻害を目的とする療法の非常に適切なターゲットである。
【0006】
合成オリゴ糖は、FGF受容体との相互作用の研究の主題にもなっており、平滑筋細胞上の受容体へのFGF−2の結合に対する、16μg/mLのIC50での該オリゴ糖による阻害効果が証明されており、FGF−2で誘導されたこれらの細胞の増殖に対する約23μg/mLのIC50での阻害も証明されている(C.Tabeur et al.,Bioorg.& Med.Chem.,1999,7,2003−2012;C.Noti et al.,Chem.Eur.J.,2006,12,8664−8686)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】C.Tabeur et al.,Bioorg.& Med.Chem.,1999,7,2003−2012
【非特許文献2】C.Noti et al.,Chem.Eur.J.,2006,12,8664−8686
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、FGF/FGFR複合体の形成を助長することができ、従って、内皮細胞のインビトロでの生存を促進すること、ならびにインビトロおよびインビボでの新たな血管の形成を増加させることができる、新規合成オリゴ糖を発見した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの主題は、式(I):
【0010】
【化1】

(式中、
は、−OSO基またはヒドロキシル基を表し、
は、−O−アルキル基、または式(II)の単糖:
【0011】
【化2】

(この式中、Rはアルキル基を表す。)
を表し、
は、式(III)の二糖:
【0012】
【化3】

を表し、この式中、
は、−OSO基またはヒドロキシル基を表し、
は、式(IV)の二糖:
【0013】
【化4】

を表し、この式中、
は、−OSO基またはヒドロキシル基を表し、
は、ヒドロキシル基、または式(VI)の二糖:
【0014】
【化5】

を表し、この式中、
は、−OSO基またはヒドロキシル基を表し、
は、ヒドロキシル基、または−O−アルキル基、または式(VII)の二糖:
【0015】
【化6】

を表し、この式中、R10は、−O−アルキル基を表し、
但し、Rが、上で規定したとおりの式(II)の単糖を表すときには、Rは、ヒドロキシル基または−O−アルキル基を表すこと、Rが、−O−アルキル基を表すときには、Rは、上で規定したとおりの式(VI)の二糖を表すこと、ならびにR、R、RおよびRは、同時にヒドロキシル基を表さないことを条件とする。)
に対応する新規オリゴ糖化合物である。
【0016】
本発明の文脈においては、本文中で別様に述べていない限り、用語「アルキル基」は、1から4個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖飽和脂肪族基を意味すると解する。言及することができる例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルおよびtert−ブチル基が挙げられる。以下で規定する化合物の各サブグループを含めて、本発明による化合物において、アルキル基は、−O−アルキル基のアルキル基(radical)が有利にはプロピル基を表す置換基RおよびR10を除き、有利にはメチル基を表す。
【0017】
本発明による化合物は、合成オリゴ糖であり、即ち、本文中、以下で詳細に説明するように、中間体シントンから出発する全合成によって得られる化合物である。この点で、本発明による化合物は、ヘパリンまたは低分子量ヘパリンなどの多糖の複雑な混合物から解重合または単離によって得られるオリゴ糖とは異なる。詳細には、本発明による化合物は、化学合成の結果として生ずる明確な構造を有し、および純粋なオリゴ糖の形態であり、即ち、他のオリゴ糖種を含まない。
【0018】
本発明は、酸形態でのまたは任意に医薬的に許容される塩の形態での式(I)の化合物を包含する。酸形態の場合、官能基−COOおよび−SOは、それぞれ、−COOHおよび−SOH形態である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
用語「本発明の化合物の医薬的に許容される塩」は、1つ以上の官能基−COOおよび/または−SOが医薬的に許容されるカチオンにイオン結合している化合物を意味する。本発明による好ましい塩は、カチオンがアルカリ金属カチオンから選択されるもの、特に、Naカチオンであるものである。
【0020】
本発明による式(I)の化合物は、1つ以上の水素または炭素原子が放射性同位体、例えばトリチウムまたは炭素14Cで置換されているものも含む。このような標識化合物は、調査、代謝または薬物動態研究において、生化学検査の際のリガンドとして有用である。
【0021】
本発明による化合物の式(I)において、
式(II)の単糖は、該単糖のウロン酸単位の4位に位置する酸素原子により、式(I)で表される二糖単位に連結され、
式(III)の二糖は、該二糖のグルコサミン単位の1位に位置する酸素原子により、式(I)で表される二糖単位に連結され、
同様に、式(IV)の二糖は、該二糖のグルコサミン単位の1位に位置する酸素原子により、式(III)の二糖に連結され、
同様に、式(VI)の二糖は、該二糖のグルコサミン単位の1位に位置する酸素原子により、式(IV)の二糖に連結され、
同様に、式(VII)の二糖は、該二糖のグルコサミン単位の1位に位置する酸素原子により、式(VI)の二糖に連結される
と解する。
【0022】
用語「グルコサミン単位」は、下記の式:
【0023】
【化7】

を有する単糖を意味する。
【0024】
本発明による化合物中に存在する他のタイプの糖単位は、ウロン酸、より具体的には下記の式:
【0025】
【化8】

に対応するイズロン酸である。
【0026】
従って、本発明による式(I)の化合物を、下記の式(I’):
【0027】
【化9】

によって表すこともでき、式中、イズロン酸単位およびグルコサミン単位が互いに続いており、R、R、R、RおよびRが上で規定したとおりである。
【0028】
従って、RおよびRの意味に依存して、本発明によるオリゴ糖は、7から10の糖単位を含むことがある。
【0029】
本発明の主題である式(I)/(I’)の化合物の中で、
、R、R、RおよびRが、上で規定したとおりであり、
が、上で規定したとおりの式(II)の単糖を表し、ならびに
が、ヒドロキシル基を表す
ものに言及することができる。
【0030】
このような化合物は七糖である。これらの化合物は、下記の式(I−1)(式中、Rは、ヒドロキシル基を表し、ならびにR、R、RおよびRは、上で規定したとおりである。)に対応し、およびこれらの酸形態または任意の医薬的に許容される塩の形態である。
【0031】
本発明の主題である式(I)/(I’)の化合物の中で、Rが−O−アルキル基を表す、化合物のサブグループに言及することができる。
【0032】
このような化合物は八糖または十糖である。これらの化合物は、下記の式(I−2)(式中、R、R、R、RおよびRは、上で規定したとおりであり、ならびにRは、−O−アルキル基を表す。)に対応し、およびこれらの酸形態または任意の医薬的に許容される塩の形態である。
【0033】
本発明の主題である式(I)/(I’)の化合物の中で、
が、−O−アルキル基を表し、および
が、上で規定した式(VI)の二糖を表し、この式中のRが、上で規定した式(VII)の二糖を表す
化合物のサブグループに言及することができる。
【0034】
このような化合物は十糖である。これらの化合物は、下記の式(I−3)(式中、R、R、R、RおよびR10は、上で規定したとおりである。)に対応し、およびこれらの酸形態または任意の医薬的に許容される塩の形態である。
【0035】
【化10】

【0036】
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、
が−O−アルキル基を表し、および
が、上で規定した式(VI)の二糖を表し、この式中のRが、ヒドロキシル基または−O−アルキル基のいずれかを表す
化合物のサブグループに言及することができる。
【0037】
このような化合物は八糖であり、上記の式(I−2)(式中、R、R、RおよびRは、上で規定したとおりであり、Rは、−O−アルキル基を表し、ならびにRは、ヒドロキシル基または−O−アルキル基のいずれかを表す。)に対応する。
【0038】
有利には、本発明による八糖は、Rが−O−アルキル基を表す。
【0039】
本発明による化合物の他のサブグループは、上で規定した各サブグループについて上に挙げた特徴の幾つかを有することがある。
【0040】
本発明は、特に、以下のオリゴ糖に関する。
【0041】
メチル(ナトリウム4−O−プロピル−2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシル−ウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル−(1→4)]−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシド(No.1)、
メチル(ナトリウム4−O−プロピル−2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシル−ウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル−(1→4)]−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシド(No.2)、
ナトリウム[メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシド]−ウロナート(No.3)、
メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシド(No.4)、
メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシド(No.5)、
メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシド(No.6)、
メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシド(No.7)、
メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−[(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)]−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−(スルホナト)アミノ−α−D−グルコピラノシド(No.8)、
メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナト)アミノ−α−D−グルコピラノシル)−[(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)]−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシド(No.9)。
【0042】
原則的には、本発明による化合物の調製方法は、以前に文献に報告されているとおりに調製した二糖またはオリゴ糖シントンを用いる。特に、特許または特許出願EP0300099、EP0529715、EP0621282およびEP0649854、ならびにAngew.Chem.Int.Ed.Engl.,1993,32,1671−1690に発表されたC.Van BoeckelおよびM.Petitouによる刊行物を参照する。次に、これらのシントンを互いにカップリングさせて、本発明による化合物の完全に保護された等価物を得る。その後、この保護された等価物を本発明による化合物に転化させる。上で言及したカップリング反応では、アノマー炭素が活性化された「ドナー」二糖またはオリゴ糖が、遊離ヒドロキシルを有する「アクセプター」二糖またはオリゴ糖と反応する。
【0043】
従って、本発明は、
第一段階において、所望の化合物(I)の完全に保護された等価物を合成すること、
第二段階において、−COO基および−OSO基を導入するおよび/または脱マスキングすること、
第三段階において、化合物全体を脱保護すること、ならびに
第四段階において、N−硫酸塩基を導入すること
を特徴とする、式(I)/(I’)の化合物の調製方法に関する。
【0044】
所望の化合物(I)の完全に保護された等価物の合成は、当業者に周知である反応に従って、およびオリゴ糖の合成方法(例えば、G.J.Boons,Tetrahedron(1996),52,1095−1121ならびに特許出願WO98/03554およびWO99/36443)を用いて行い、この方法では、グリコシド結合供与性オリゴ糖をグリコシド結合受容性オリゴ糖とカップリングさせて、該2つの反応種のサイズの合計に等しいサイズの、別のオリゴ糖を得る。この順序を、式(I)/(I’)の化合物が、場合により保護された形態で得られるまで繰り返す。所望の最終化合物の電荷の性質およびプロフィールが、当業者に周知の規則に従って、様々な合成工程において用いられる化学種の性質を決める。例えば、C.Van Boeckel and M.Petitou,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.(1993),32,1671−1690を、または代替的にH.Paulsen,「Advances in selective chemical syntheses of complex oligosaccharides」,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.(1982),21,155−173を参照することができる。
【0045】
本発明の化合物は、オリゴ糖合成の技術分野の当業者に周知の様々な戦略を用いて、無理なく調製することができる。上で説明した方法は、本発明の好ましい方法である。しかし、式(I)/(I’)の化合物を、例えば、「Monosaccharides,their chemistry and their roles in natural products」,P.M.Collins and R.J.Ferrier,J.Wiley & Sons(1995)に、およびG.J.BoonsによりTetrahedron(1996),52,1095−1121に記載されている他の周知の糖化学法によって調製することもできる。
【0046】
式(I)/(I’)の化合物の調製方法において用いられる保護基は、第一に合成中にヒドロキシルまたはアミンなどの反応性官能基を保護すること、および第二に合成終了時にインタクトな反応性官能基を再生することを可能にするものである。例えば「Protective Groups in Organic Synthesis」,Greene et al.,3rd edition(John Wiley & Sons,Inc.,New York)に記載されているような、糖化学において一般に用いられる保護基を用いて、本発明による方法を行う。保護基は、例えば、アセチル、ハロメチル、ベンゾイル、レブリニル、ベンジル、アリル、tert−ブチルジフェニルシリル(tBDPS)基から選択される。
【0047】
活性化基も用いることができる。これらは、例えばG.J.Boons,Tetrahedron(1996),52,1095−1121に従って、糖化学において従来用いられている基である。これらの活性化基は、例えば、イミダートおよびチオグリコシドから選択される。
【0048】
上で説明した方法により、本発明の化合物を塩の形態で、有利にはナトリウム塩の形態で得ることができる。対応する酸を得るために、塩形態の本発明の化合物を酸形態のカチオン交換樹脂と接触させてもよい。その後、酸形態の本発明の化合物を塩基で中和して所望の塩を得ることができる。式(I)/(I’)の化合物の塩を調製するために、式(I)/(I’)の化合物と、医薬的に許容される塩を生じさせる任意の無機または有機塩基を使用することができる。
【0049】
本発明の主題は、下記の式20A:
【0050】
【化11】

(式中、Pg、Pg’およびPg’’は、同一であるまたは異なることがあり、保護基を表す。)
の化合物でもある。
【0051】
このような化合物は、式(I)/(I’)の化合物の合成の際に中間体として有用である。
【0052】
詳細には、本発明の主題は、Pg、Pg’およびPg’’がそれぞれベンジル、アリルおよびアセチル基を表す、前記化合物20Aである。このような化合物は、下記のスキーム2に図示する二糖20:
【0053】
【化12】

に対応し、以下で詳細に説明するように、本発明による化合物1および2の合成に有用である。
【0054】
後続の実施例は、本発明による一定の化合物および合成中間体の調製を説明するものである。これらの化合物は限定的なものではなく、単に本発明を例証するために役立つものである。出発化合物および試薬は、調製の仕方が明確に説明されていない場合、市販されているまたは文献に記載されているものであり、でなければ該文献に記載されているまたは当業者に周知である方法に従って調製することができる。
【実施例】
【0055】
以下の略記を用いる。
【0056】
[α]:旋光度
Ac:アセチル
All:アリル
Bn:ベンジル
Bz:ベンゾイル
TLC:薄層クロマトグラフィー
CrO:三酸化クロム
DDQ:2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン
ESI:電子スプレーイオン化
h:時間
SO:硫酸
Lev:レブリニル
Me:メチル
min:分
Rf:遅延因子(溶媒移動フロント(solvent migration front)を基準にしてTLCで測定される保持時間)
tBDPS:tert−ブチルジフェニルシリル
Z:ベンジルオキシカルボニル
【0057】
合成中間体の調製
スキーム1:ドナー二糖15の調製
【0058】
【化13】

(ベンジル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−4−O−レブリノイル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノース(12)
無水ジオキサン(340mL)中の化合物11(11.6g、16.2mmol)(特許出願WO2006/021653の化合物8の調製に記載されているもの)の溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(2.12g、17.3mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(6.5g、34.3mmol)およびレブリン酸(3.6mL、34.3mmol)を順次添加する。4時間30分攪拌した後、この混合物をジクロロメタン(1800mL)で希釈する。有機相を10%硫酸水素カリウム水溶液で、塩化ナトリウム飽和溶液で、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で、その後、水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した後、蒸発乾固させる。残留物を、シリカゲルのカラムでのクロマトグラフィー(5/1 v/v トルエン/アセトン)によって精製して、12.7gの化合物12を得る。
【0059】
TLC:Rf=0.42、シリカゲル、3/1 v/v トルエン/アセトン
【0060】
(ベンジル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−4−O−レブリノイル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−1,6−ジ−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α,β−D−グルコピラノース(13)
無水酢酸(160mL)中の化合物12(12.76g、16.2mmol)の溶液に、0℃で、トリフルオロ酢酸(14.1mL、183mmol)を添加する。この反応媒体を16時間、室温で攪拌する。濃縮後、この混合物をトルエンと共蒸発させる。シリカゲルのカラムでのクロマトグラフィー(4/1 v/v トルエン/アセトン)による残留物の精製により、10.5gの化合物13を得る。
【0061】
TLC:Rf=0.49、シリカゲル、(4/1 v/v トルエン/アセトン)
【0062】
(ベンジル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−4−O−レブリノイル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α,β−D−グルコピラノース(14)
ジエチルエーテル(360mL)中の化合物13(10.5g、12.0mmol)およびベンジルアミン(50mL、457mmol)の溶液を室温で2時間攪拌する。この反応混合物をジエチルエーテル(2000mL)で希釈する。有機相を冷1M塩酸水溶液で洗浄した後、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮乾固させる。残留物を、シリカゲルのカラムでのクロマトグラフィー(3/1 v/v トルエン/アセトン)に付して、7.14gの化合物14を得る。
【0063】
TLC:Rf=0.40、シリカゲル、3/1 v/v トルエン/アセトン
【0064】
(ベンジル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−4−O−レブリノイル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α,β−D−グルコピラノーストリクロロアセトイミダート(15)
トリクロロアセトニトリル(4.3mL、42.8mmol)および炭酸セシウム(1.89g、13.7mmol)をジクロロメタン(160mL)中の化合物14(7.14g、8.56mmol)の溶液に添加する。30分攪拌した後、この反応媒体を濾過し、濃縮する。残留物を、シリカゲルのカラムでのクロマトグラフィー(2/1 v/v トルエン/アセトン+0.1%トリエチルアミン)によって精製して、7.0gの化合物15を得る。
【0065】
TLC:Rf=0.37および0.28、シリカゲル、2/1 v/v トルエン/アセトン
【0066】
スキーム2:グリコシルドナー20の調製
【0067】
【化14】

(ベンジル2−O−アセチル−4−O−(アリルオキシ)カルボニル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノース(16)
無水テトラヒドロフラン中の化合物11(11.7g、17.3mmol)(特許出願WO2006/021653の化合物8の調製に記載されているもの)の溶液に、0℃で、ピリジン(14mL、173mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(2.12g、17.3mmol)およびクロロギ酸アリル(18.3mL、173mmol)を順次添加する。16時間、室温で攪拌した後、水(47mL)を0℃で添加する。30分攪拌した後、この混合物を酢酸エチル(800mL)で希釈する。有機相を10%硫酸水素カリウム水溶液および水で、その後、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液および水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した後、蒸発乾固させる。残留物を、シリカゲルのカラムでのクロマトグラフィー(2/1 v/v シクロヘキサン/酢酸エチル)によって精製して、11.4gの化合物16を得る。
【0068】
TLC:Rf=0.37、シリカゲル、2/1 v/v シクロヘキサン/酢酸エチル。
【0069】
ベンジル2−O−アセチル−4−O−アリル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノース(17)
化合物16(11.44g、15.1mmol)をテトラヒドロフラン(100mL)に溶解する。酢酸パラジウム(67.6mg、0.30mmol)およびトリフェニルホスフィン(395mg、1.5mmol)を添加する。還流させながら2時間攪拌した後、反応媒体を濃縮乾固させる。残留物を、シリカゲルのカラムでのクロマトグラフィー(3/1 v/v シクロヘキサン/酢酸エチル)によって精製して、8.0gの化合物17を得る。
【0070】
TLC:Rf=0.33、シリカゲル、2/1 v/v シクロヘキサン/酢酸エチル。
【0071】
(ベンジル2−O−アセチル−4−O−アリル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−1,6−ジ−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α,β−D−グルコピラノース(18)
0℃に冷却した無水酢酸(105mL)中の化合物16(7.96g、11.1mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(9.4mL)を添加する。この反応媒体を16時間、室温で攪拌する。濃縮後、この混合物をトルエン(5×200mL)と共蒸発させる。シリカゲルのカラムでのクロマトグラフィー(2/1 v/v シクロヘキサン/酢酸エチル)による残留物の精製により、7.72gの化合物18を得る。
【0072】
TLC:Rf=0.40、シリカゲル、2/1 v/v シクロヘキサン/酢酸エチル
【0073】
ベンジル2−O−アセチル−4−O−アリル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α,β−D−グルコピラノース(19)
ジエチルエーテル(280mL)中の化合物18(7.72g、9.44mmol)およびベンジルアミン(3.9mL、35.2mmol)の溶液を室温で6時間攪拌する。この反応混合物をジエチルエーテル(800mL)で希釈する。有機相を1M塩酸水溶液で洗浄した後、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮乾固させる。残留物を、シリカゲルのカラムでのクロマトグラフィー(5/2 v/v トルエン/酢酸エチル)によって精製して、6.14gの化合物19を得る。
【0074】
TLC:Rf=0.45、シリカゲル、5/3 v/v トルエン/酢酸エチル
【0075】
(ベンジル2−O−アセチル−4−O−アリル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α,β−D−グルコピラノーストリクロロアセトイミダート(20)
トリクロロアセトニトリル(4mL、39.6mmol)および炭酸セシウム(4.13g、12.7mmol)をジクロロメタン(150mL)中の化合物19(6.14g、7.9mmol)の溶液に添加する。30分攪拌した後、この反応媒体を濾過し、濃縮する。残留物を、シリカゲルのカラムでのクロマトグラフィー(4/1 v/v トルエン/酢酸エチル)によって精製して、6.5gの化合物20を得る。
【0076】
TLC:Rf=0.50、シリカゲル、3/1 v/v トルエン/酢酸エチル
【0077】
アノマープロトンのケミカルシフト(500MHz,CDCl)δ5.27IdoUAII、5.57Glcβおよび5.28IdoUAII、6.36Glcα
LC−MS m/z 798.2[(M+Na)]。TR1=13.59分およびTR2=13.75分
【0078】
スキーム3:八糖26の調製
【0079】
【化15】

メチル(ベンジル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−4−O−レブリノイル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−6−O−アセチル−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(22)
トルエン/ジクロロメタン混合物(23mL、20/3 v/v)中のイミダート15(541mg、0.553mmol)とグリコシルアクセプター21(650mg、0.83mmol)(Carbohydrate Research(1987),167 67−75に記載されている方法に従って調製したもの)と粉末4Åモレキュラーシーブ(412mg)との混合物を、アルゴン雰囲気下で1時間、25℃で攪拌する。反応混合物を−25℃に冷却し、この反応媒体にジクロロメタン中のtert−ブチルジメチルシリルトリフラートの1M溶液(82.5μL)を添加する。15分後、固体炭酸水素ナトリウムの添加により反応媒体を中和する。濾過および濃縮後、得られた残留物をサイズ排除クロマトグラフィー(Sephadex(登録商標)LH20、120×3cm、1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール)によって精製して、746mgの化合物22を得る。
【0080】
TLC:Rf=0.37、シリカゲル、5/6 v/v シクロヘキサン/酢酸エチル。
【0081】
メチル(ベンジル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−6−O−アセチル−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(23)
1/2 v/v トルエン/エタノール混合物(290mL)中の化合物22(2.3g、1.44mmol)の溶液に、酢酸ヒドラジン(662.3mg、7.2mmol)を添加する。この反応媒体を2時間、室温で攪拌する。濃縮後、残留物をシリカゲルのカラムでのフラッシュクロマトグラフィー(5/6 v/v シクロヘキサン/酢酸エチル)によって精製して、1.84gの化合物23を得る。
【0082】
TLC:Rf=0.48、シリカゲル、5/6 v/v シクロヘキサン/酢酸エチル。
【0083】
メチル(ベンジル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−4−O−レブリノイル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ベンジル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル−(1→4)−(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−6−O−アセチル−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(24)
1/1 v/v ジクロロメタン/トルエン混合物(75mL)中のグリコシルアクセプター23(1.97g、1.12mmol)とイミダート15(1.63g、1.66mmol)と粉末4Åモレキュラーシーブ(2.6g)の混合物を、アルゴン雰囲気下で1時間、25℃で攪拌する。反応混合物を−20℃に冷却し、この反応媒体にジクロロメタン中のtert−ブチルジメチルシリルトリフラートの1M溶液(250μL)を添加する。10分後、固体炭酸水素ナトリウムの添加により反応媒体を中和する。濾過および濃縮後、得られた残留物をサイズ排除クロマトグラフィー(Sephadex(登録商標)LH20、190×3.2cm、1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール)によって精製して、1.63gの化合物24を得る。
【0084】
TLC:Rf=0.33、シリカゲル、3/1 v/v トルエン/アセトン
【0085】
メチル(ベンジル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ベンジル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−6−O−アセチル−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(25)
1/2 v/v トルエン/エタノール混合物(145mL)中の化合物24(1.7g、0.73mmol)の溶液に、酢酸ヒドラジン(338mg、3.67mmol)を添加する。この反応媒体を2時間、室温で攪拌する。濃縮後、残留物をシリカゲルのカラムでのフラッシュクロマトグラフィー(1/1 v/v シクロヘキサン/酢酸エチル)によって精製して、化合物25(1.41g)を得る。
【0086】
TLC:Rf=0.47、シリカゲル、1/1 v/v シクロヘキサン/酢酸エチル。
【0087】
メチル(ベンジル2−O−アセチル−4−O−アリル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(ベンジル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル−(1→4)]−(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−6−O−アセチル−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(26)
1/1 v/v ジクロロメタン/トルエン混合物(26mL)中のイミダート20(0.681mg、0.74mmol)とグリコシルアクセプター25(1.10g、0.5mmol)と粉末4Åモレキュラーシーブ(0.555g)の混合物を、アルゴン雰囲気下で1時間、25℃で攪拌する。反応混合物を−20℃に冷却し、ジクロロメタン中のtert−ブチルジメチルシリルトリフラートの1M溶液(111μL)を添加する。20分後、固体炭酸水素ナトリウムの添加により反応媒体を中和する。Celite(登録商標)により濾過し、濃縮した後、得られた残留物をサイズ排除カラムでのクロマトグラフィー(Sephadex(登録商標)LH20、190×3.2cm、1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール)に付して、468mgの八糖26、および六糖25と八糖26とを含有する842mgの混合物を順次得る。
【0088】
この混合物(842mg)を上記条件下で処理して、処理およびカラムクロマトグラフィー(Sephadex(登録商標)LH20、190×3.2cm、1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール)後、化合物26(513.6mg)を得る。
【0089】
2つの画分(468mgおよび513.6mg)を併せ、シリカゲルのカラムでの分取HPLCクロマトグラフィー(2/1 v/v トルエン/酢酸エチル)によって精製して、化合物26(1.03g)を得る。
【0090】
TLC:Rf=0.44、シリカゲル、2/1 v/v トルエン/酢酸エチル。
【0091】
スキーム4:八糖30の調製
【0092】
【化16】

メチル(メチル4−O−アリル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル−(1→4)]−(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(27)
3Åモレキュラーシーブ(10.3g)を含有する2/3 v/v ジクロロメタン/メタノール混合物(83mL)中の化合物26(819mg、0.27mmol)の溶液に、0℃、アルゴン雰囲気下で、メタノール中のナトリウムメトキシドの1M溶液(1.65mL)を添加する。−18℃で16時間後、反応媒体をDowex(登録商標)50WX4H樹脂で中和する。濾過および濃縮後、残留物をサイズ排除クロマトグラフィー(Sephadex(登録商標)LH20、120×3cm、1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール)、続いてシリカゲルのカラムでのクロマトグラフィー(4/3 v/v トルエン/アセトン)によって精製して、605mgの化合物27を得る。
【0093】
TLC:Rf=0.41、シリカゲル、4/3 v/v トルエン/アセトン。
【0094】
メチル(メチル4−O−アリル−3−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(メチル3−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル−(1→4)]−(メチル3−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−6−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシド(28)
化合物27(300mg、0.12mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(3×10mL)の共蒸留により脱水した後、N,N−ジメチルホルムアミド(11mL)に溶解する。この溶液に三酸化硫黄−トリエチルアミン複合体(902mg、4.98mmol)を添加する。混合物を光から保護して16時間、55℃で攪拌した後、メタノール(202μL、4.98mmol)で中和する。反応媒体をSephadex(登録商標)LH20ゲルのカラム(95×2cm)に投入して1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール混合物で溶離して、化合物28(426mg)を得る。
【0095】
TLC:Rf=0.32、シリカゲル、11/7/1.6/4 v/v/v/v 酢酸エチル/ピリジン/酢酸/水。
【0096】
メチル(リチウム4−O−アリル−3−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−リチウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(リチウム3−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−リチウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル−(1→4)]−(リチウム3−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−6−O−リチウムスルホナト−α−D−グルコピラノシド(29)
1/1 v/v テトラヒドロフラン/メタノール混合物(19mL)中の化合物28(459mg、0.12mmol)の溶液に、0℃で、水中の水酸化リチウムの0.7M溶液(7.6mL、0.2Mの最終濃度まで適量)を添加する。0℃で1時間、および室温で16時間後、反応媒体を0℃に冷却し、酢酸(305μL)で中和した後、Sephadex(登録商標)LH20カラム(95×2cm)に投入して4/1 v/v メタノール/水混合物で溶離して、化合物29(368mg)を得る。
【0097】
TLC:Rf=0.25、シリカゲル、27/19/4.2/11 v/v/v/v 酢酸エチル/ピリジン/酢酸/水。
【0098】
メチル(ナトリウム4−O−nプロピル−2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アミノ−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アミノ−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル−(1→4)]−(ナトリウム2−O−スルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−アミノ−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−α−D−グルコピラノシド(30)
2/3 v/v tert−ブタノール/水混合物(27mL)中の化合物29(170mg)の溶液を水素圧(1bar)下、炭担持10%パラジウム(340mg)の存在下、30℃で24時間処理する。濾過(Millipore(登録商標)LSWP 5μmフィルター)後、反応混合物をSephadex(登録商標)G25−fineのカラム(90×3cm)に投入して0.2M塩化ナトリウム水溶液で溶離する。生成物を含有する画分を濃縮し、同カラムを使用して水で溶離することにより脱塩する。濃縮乾固後、化合物30(205mg)を得る。
【0099】
質量:「ESI」法、ネガティブモード:理論質量=2327.55、実験質量:2239a.m.u.(イズロン酸がCOOH形態で観察される。)。
【0100】
スキーム5:十糖33の調製
【0101】
【化17】

メチル(ベンジル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−4−O−レブリノイル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(ベンジル 2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル−(1→4)]−(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−6−O−アセチル−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(31)
1/1 v/v ジクロロメタン/トルエン混合物(11.4mL)中のイミダート15(250mg、0.255mmol)とグリコシルアクセプター25(376mg、0.169mmol)と粉末4Åモレキュラーシーブ(396mg)の混合物を、アルゴン雰囲気下で1時間、25℃で攪拌する。反応混合物を−20℃に冷却し、ジクロロメタン中のtert−ブチルジメチルシリルトリフラートの0.1M溶液(381μL)を添加する。12分後、固体炭酸水素ナトリウムの添加により反応媒体を中和する。濾過および濃縮後、得られた残留物をSephadex(登録商標)LH20カラムでのクロマトグラフィー(120×3cm、1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール)に付して、150mgの粗製化合物31、および六糖25と八糖31とを含有する318mgの混合物を順次得る。
【0102】
六糖25と八糖33とを含有する混合物を上記条件下で処理して、サイズ排除クロマトグラフィー(Sephadex(登録商標)LH20)後、151mgの粗製化合物31、および六糖25と八糖31とを含有する191mgの混合物を得る。この操作を六糖25の枯渇点まで2回繰り返す。
【0103】
粗製八糖31を含有する画分を併せ、シリカゲルのカラムでのフラッシュクロマトグラフィー(7/3 v/v トルエン/酢酸エチル)によって精製して、化合物31(351mg)を得る。
【0104】
TLC:Rf=0.37、シリカゲル、7/5 v/v トルエン/酢酸エチル。
【0105】
メチル(ベンジル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(ベンジル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル−(1→4)]−(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−6−O−アセチル−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(32)
1/2 v/v トルエン/エタノール混合物(22mL)中の化合物31(335mg、0.11mmol)の溶液に、酢酸ヒドラジン(51mg、0.55mmol)を添加する。この反応媒体を2時間、室温で攪拌する。この反応混合物をジクロロメタン(50mL)で希釈する。有機相を2%硫酸水素カリウム水溶液で洗浄した後、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮乾固させる。残留物を、シリカゲルのカラムでのクロマトグラフィー(7/3 v/v トルエン/アセトン)によって精製して、化合物32(238mg)を得る。
【0106】
TLC:Rf=0.50、シリカゲル、5/6 v/v シクロヘキサン/酢酸エチル。
【0107】
メチル(ベンジル2−O−アセチル−4−O−アリル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(ベンジル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル−(1→4)]−(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−6−O−アセチル−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(33)
1/1 v/v ジクロロメタン/トルエン混合物(2.2mL)中のイミダート20(64mg、0.066mmol)とグリコシルアクセプター32(130mg、0.044mmol)と粉末4Åモレキュラーシーブ(49mg)の混合物を、アルゴン雰囲気下で1時間、25℃で攪拌する。反応混合物を−20℃に冷却し、ジクロロメタン中のtert−ブチルジメチルシリルトリフラートの0.1M溶液(100μL)を添加する。10分後、固体炭酸水素ナトリウムの添加により反応媒体を中和する。濾過および濃縮後、得られた残留物をSephadex(登録商標)LH20カラムでのクロマトグラフィー(120×3cm、1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール)に付して、61mgの粗製化合物33、および八糖32と十糖33とを含有する87.7mgの混合物を順次得る。
【0108】
上記混合物(87.7mg)を上記条件下で処理して、Sephadex(登録商標)LH20カラム(120×3cm、1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール)でのクロマトグラフィー後、粗製化合物33(120mg)を得る。
【0109】
粗製化合物を含有する2つの画分を併せ、シリカゲルのカラムでのフラッシュクロマトグラフィー(7/2 v/v トルエン/酢酸エチル)によって精製して、化合物33(120mg)を得る。
【0110】
TLC:Rf=0.52、シリカゲル、1/1 v/v シクロヘキサン/酢酸エチル
【0111】
スキーム6:十糖37の調製
【0112】
【化18】

メチル(メチル4−O−アリル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル−(1→4)]−(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(34)
3Åモレキュラーシーブ(125mg)を含有する2/3 v/v ジクロロメタン/メタノール混合物(982μL)中の化合物33(51.8mg、0.014mmol)の0℃に冷却した溶液に、アルゴン雰囲気下で、メタノール中のナトリウムメトキシドの1M溶液(21.0μL)を添加する。室温で5時間後、反応媒体をDowex(登録商標)50WX4H樹脂で中和する。濾過および濃縮後、残留物をサイズ排除クロマトグラフィー(Sephadex(登録商標)LH20、95×2cm、1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール)によって精製して、化合物34(31.4mg)を得る。
【0113】
TLC:Rf=0.47、シリカゲル、7/3 v/v ジクロロメタン/アセトン
【0114】
メチル(メチル4−O−アリル−3−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(メチル3−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル−(1→4)]−(メチル3−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−6−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシド(35)
化合物28の調製の場合と同じように化合物34(31.5mg、10.6μmol)を処理して、サイズ排除クロマトグラフィー(Sephadex(登録商標)LH20、100×1.2cm、1/1 v/v ジクロロメタン/メタノール)後、化合物35(47.0mg)を得る。
【0115】
TLC:Rf=0.55、シリカゲル、16/11/2.6/7 v/v/v/v 酢酸エチル/ピリジン/酢酸/水。
【0116】
メチル(リチウム4−O−アリル−3−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−リチウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(リチウム3−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−リチウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル−(1→4)]−(リチウム3−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−6−O−リチウムスルホナト−α−D−グルコピラノシド(36)
1/1 v/v テトラヒドロフラン/メタノール混合物(2.0mL)中の化合物35(47mg、12.5μmol)の溶液に、0℃で、水中の水酸化リチウムの1M溶液(500μL、0.2Mの最終濃度まで適量)を添加する。0℃で1時間および室温で4時間後、反応媒体を酢酸で中和し、−20℃で16時間放置する。この反応混合物をSephadex(登録商標)LH20ゲルのカラムに投入して4/1 v/v メタノール/水混合物で溶離して、化合物36(38.9mg)を得る。
【0117】
メチル(ナトリウム4−O−プロピル−2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アミノ−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アミノ−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル−(1→4)]−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−アミノ−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−α−D−グルコピラノシド(37)
6/9 v/v tert−ブタノール/水混合物(1mL)中の化合物36(40mg、10.8μmol)の溶液を水素圧(11bar)下、炭担持10%パラジウム(80mg、還元すべき化合物の量×2)の存在下、40℃で4時間処理する。濾過(Millipore(登録商標)LSWP 5μmフィルター)後、溶液をChelex(登録商標)100樹脂(1mL)のカラムに投入して水で溶離し、濃縮乾固させる。このようにして得た粗製化合物(27mg)をさらに精製せずに次の工程で使用する。
【0118】
質量:「ESI」法、ネガティブモード:理論質量=2781.10、実験質量:2782.05±0.30a.m.u.
【0119】
スキーム7:七糖43の調製
【0120】
【化19】

メチル[メチル(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−4−O−レブリノイル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシド]ウロナート(40)
トルエン(43mL)中の、C.Tabeur et al.,BioOrg.Med.Chem.(1999)7,2003−2012により記載された方法に従って調製したイミダート38(1.1g、1.22mmol)とKoshida,S.et al.,Tetrahedron Lett.,1999,40,5725−5728により記載された方法に従って調製したグリコシルアクセプター39(864mg、2.44mmol)と粉末4Åモレキュラーシーブ(914mg)との混合物を、アルゴン雰囲気下で1時間、25℃で攪拌する。反応混合物を−20℃に冷却し、ジクロロメタン中のtert−ブチルジメチルシリルトリフラートの1M溶液(183μL)を添加する。1時間攪拌した後、固体炭酸水素ナトリウムの添加により反応媒体を中和する。Celite(登録商標)により濾過し、濃縮した後、得られた残留物をSephadex(登録商標)LH20カラムでのクロマトグラフィー(120×3cm、1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール)、続いてシリカゲルのカラムでのクロマトグラフィー(1/1 v/v トルエン/酢酸エチル)に付して、化合物40(936mg)を得る。
【0121】
TLC:Rf=0.38、シリカゲル、1/1 v/v トルエン/酢酸エチル
【0122】
メチル[メチル(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシド]ウロナート(41)
化合物40(2.56g、2.34mmol)を、化合物23の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、シリカゲルのカラムでのフラッシュクロマトグラフィー(1/1 v/v トルエン/酢酸エチル)後、化合物41(2.17g)を得る。
【0123】
TLC:Rf=0.35、シリカゲル、1/1 v/v トルエン/酢酸エチル
【0124】
メチル[メチル(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−4−O−レブリノイル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシド]ウロナート(42)
ジクロロメタン(42mL)中のイミダート38(1.1g、1.22mmol)とグリコシルアクセプター41(1.2g、1.20mmol)と粉末4Åモレキュラーシーブ(903mg)の混合物を、アルゴン雰囲気下で1時間、25℃で攪拌する。反応混合物を−20℃に冷却し、ジクロロメタン中のtert−ブチルジメチルシリルトリフラートの1M溶液(181μL)を添加する。15分後、固体炭酸水素ナトリウムの添加により反応媒体を中和する。濾過および濃縮後、得られた残留物をサイズ排除カラムでのクロマトグラフィー(Sephadex(登録商標)LH20、190×3.2cm、1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール)、続いてシリカゲルのカラムでのクロマトグラフィー(1/1 v/v トルエン/酢酸エチル)によって精製して、1.63gの化合物42を得る。
【0125】
TLC:Rf=0.30、シリカゲル、1/1 v/v トルエン/酢酸エチル
【0126】
メチル[メチル(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシド]ウロナート(43)
化合物42(3.90g、2.25mmol)を、化合物23の調製について説明したものと同じ手順に従って処理する。シリカゲルのカラムでのクロマトグラフィー(1/1 v/v トルエン/酢酸エチル)により化合物43(3.39g)を得る。
【0127】
TLC:Rf=0.33、シリカゲル、1/1 v/v トルエン/酢酸エチル
【0128】
スキーム8:二糖50の調製
【0129】
【化20】

(3,4−ジ−O−ベンジル−2−O−(4−メトキシ)ベンジル−6−O−tert−ブチルジメチルシリル−α−L−イドピラノシル)−(1→4)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノース(45)
N,N−ジメチルホルムアミド(210mL)中の化合物44(32.3g、42.2mmol)(特許出願WO2006/021653の化合物108の調製に記載されているもの)の溶液に、0℃でアルゴン下、臭化ベンジル(25mL、211mmol)およびその後、55%NaH(3g、126mmol)を添加する。20分の磁気攪拌後、メタノール(30mL)を添加し、反応媒体を真空下で濃縮し、粗製反応生成物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した後、塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、脱水し(NaSO)、濾過し、濃縮する。得られた残留物を精製せずに次の工程で使用する。
【0130】
LC−MS m/z 871.7[(M+NH]。T=13.86分
【0131】
(2−O−アセチル−3,4−ジ−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジメチルシリル−α−L−イドピラノシル)−(1→4)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノース(46)
ジクロロメタン(1.6L)中の粗製化合物45(38.6g)の溶液に、水(80mL)を添加した後、0℃でDDQ(14.2g)を添加する。4時間45分間、0℃で攪拌した後、媒体をジクロロメタンで希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液を添加する。その後、有機相を水で洗浄し、脱水し(NaSO)、濾過し、濃縮する。得られた化合物を精製せずに次の工程で使用する。
【0132】
得られた残留物をジクロロメタン(350mL)に溶解し、トリエチルアミン(13mL)、4−ジメチルアミノピリジン(2g)および無水酢酸(60mL)を添加する。10分間0℃で、その後、1時間45分間、室温で磁気攪拌した後、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、10%硫酸水素カリウム水溶液、水で順次洗浄した後、有機相を脱水し(NaSO)、濾過し、濃縮する。
【0133】
得られた残留物をシリカ(酢酸エチル/シクロヘキサン)で精製して、化合物46(26.8g)を得る。
【0134】
LC−MS m/z 798.3[(M+Na)]。T=12.97分
【0135】
(メチル2−O−アセチル−3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノース(47)
アセトン(1.4L)中の化合物46(26.3g、33.9mmol)の溶液に、0℃で、3.5M HSO水溶液(47mL)中のCrO(10.5g)の溶液を添加する。4時間、0℃で機械攪拌した後、反応媒体をジクロロメタンで希釈し、中性になるまで水で洗浄し、有機相を脱水し(NaSO)、濾過し、濃縮する。得られた化合物を精製せずに次の工程で使用する。
【0136】
得られた残留物をN,N−ジメチルホルムアミド(210mL)に溶解し、炭酸水素カリウム(17g)およびヨウ化メチル(21mL)を添加する。反応混合物を室温で16時間攪拌した後真空下で濃縮する。残留物を酢酸エチルで希釈した後、水で、チオ硫酸ナトリウム飽和水溶液で、塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、脱水し(NaSO)、濾過し、濃縮する。得られた化合物を精製せずに次の工程で使用する。
【0137】
LC−MS m/z 707.3[(M+NH]。T=10.37分
【0138】
(メチル2−O−アセチル−3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−1,6−ジ−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α,β−D−グルコピラノース(48)
前の工程で得られた粗製残留物を無水酢酸(177mL)に溶解した後、トリフルオロ酢酸(TFA)(17.7mL)を添加する。反応混合物を16時間攪拌した後、濃縮し、トルエンと共蒸発させ、シリカゲル(シクロヘキサン/酢酸エチル)で精製して、化合物48(17.4g)を得る。
【0139】
LC−MS m/z 809.3[(M+NH]。T=10.81分
【0140】
(メチル2−O−アセチル−3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α,β−D−グルコピラノース(49)
ジエチルエーテル(303mL)中の化合物48(7g、8.84mmol)の溶液に、0℃でアルゴン下、ベンジルアミン(BnNH)(29.7mL)を添加する。1時間0℃で、その後、6時間、室温で磁気攪拌した後、反応混合物を冷1N HCl水溶液で中和し、水で洗浄し、脱水し(NaSO)、濾過し、濃縮し、シリカゲル(酢酸エチル/シクロヘキサン)で精製して、化合物49(5.95g)を得る。
【0141】
LC−MS m/z 767.7[(M+NH]。T=1.64分
【0142】
(メチル2−O−アセチル−3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α,β−D−グルコピラノーストリクロロアセトイミダート(50)
ジクロロメタン(150mL)中の化合物49(5.94g、7.9mmol)の溶液に、アルゴン下、炭酸セシウム(CsCO)(4.1g)を添加した後、トリクロロアセトニトリル(CClCN)(3.9mL)を添加する。45分、室温で攪拌した後、反応混合物を濾過し、濃縮する。残留物をシリカゲル(酢酸エチル/シクロヘキサン+0.1%トリエチルアミン)で精製して、化合物50(5.7g)を得る。
【0143】
LC−MS m/z 912.0[(M+NH]。T=1.81分
【0144】
スキーム9:七糖55の調製
【0145】
【化21】

メチル{メチル(メチル2−O−アセチル−3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシド}ウロナート(51)
ジクロロメタン(6.5mL)中のグリコシルアクセプター43(200mg、0.12mmol)とイミダート50(163mg、0.18mmol)と粉末4Åモレキュラーシーブ(137mg)の混合物を、アルゴン雰囲気下で1時間、25℃で攪拌する。反応混合物を−20℃に冷却し、ジクロロメタン中のtert−ブチルジメチルシリルトリフラートの1M溶液(27μL)を添加する。1時間後、固体炭酸水素ナトリウムの添加により反応媒体を中和する。濾過および濃縮後、得られた残留物をサイズ排除カラムでのクロマトグラフィー(Sephadex(登録商標)LH20、90×3cm、1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール)、続いてシリカゲルのカラムでのクロマトグラフィー(2/1 v/v トルエン/酢酸エチル)によって精製して、化合物51(212mg)を得る。
【0146】
TLC:Rf=0.38、シリカゲル、1/1 v/v トルエン/酢酸エチル。
【0147】
メチル{メチル(メチル3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシド}ウロナート(52)
化合物51(271mg、0.11mmol)を、化合物27の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、サイズ排除カラムでのクロマトグラフィー(Sephadex(登録商標)LH20、120×3cm、1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール)、続いてシリカゲルのカラムでのクロマトグラフィー(5/3 v/v トルエン/アセトン)の後、化合物52(186mg)を得る。
【0148】
TLC:Rf=0.65、シリカゲル、4/3 v/v トルエン/酢酸エチル
【0149】
メチル{メチル(メチル3,4−ジ−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(メチル3−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−3−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシド}ウロナート(53)
化合物52(172mg、0.08mmol)を、化合物28の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、サイズ排除クロマトグラフィー(Sephadex(登録商標)LH20、120×3cm、1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール)後、化合物53(196mg)を得る。
【0150】
H NMR(DO)主アノマープロトンのδ:5.41;5.38;5.34;5.15;5.14;5.05;5.15;5.02ppm。
【0151】
リチウム{メチル(リチウム3,4−ジ−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−リチウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(リチウム3−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−リチウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−3−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシド}ウロナート(54)
化合物53(186mg、70.7μmol)を、化合物29の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、サイズ排除クロマトグラフィー(Sephadex(登録商標)LH20、120×3cm、50/50/1 v/v/v ジクロロメタン/エタノール/水)後、化合物54(141mg)を得る。
【0152】
TLC:Rf=0.24、シリカゲル、27/19/4.2/11 v/v/v/v 酢酸エチル/ピリジン/酢酸/水
【0153】
ナトリウム{メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アミノ−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アミノ−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシド}ウロナート(55)
1/1 v/v tert−ブタノール/水混合物(6mL)中の化合物54(60.0mg、0.022mmol)の溶液を水素圧(<200mbar)下、炭担持10%パラジウム(60mg)の存在下、室温で処理する。24時間攪拌した後、反応媒体を濾過し(Millipore(登録商標)LSWP 5μmフィルター)、濃縮乾固させる。このようにして得た粗製生成物55(48.7mg)をさらに精製せずに次の工程で使用する。
【0154】
スキーム10:グリコシドアクセプター60の調製
【0155】
【化22】

メチル(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−4−O−レブリノイル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−6−O−アセチル−3−O−ベンジル−2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(57)
ジクロロメタン(600mL)中の化合物56(23.5g、30mmol、Carbohydrate Research(1987),167,67−75に記載されている方法に従って調製したもの)の溶液に、0℃で不活性雰囲気下、4−ジメチルアミノピリジン(733mg、6mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(11.5g、60mmol)およびレブリン酸(6.2mL、60mmol)を添加する。16時間、室温で攪拌した後、混合物をジクロロメタン(1.5L)で希釈する。有機相を10%硫酸水素カリウム水溶液で、水で、炭酸水素ナトリウム飽和溶液で、その後、水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、蒸発乾固させる。残留物をシリカゲルのカラムでのフラッシュクロマトグラフィー(1/3 シクロヘキサン/酢酸エチル)によって精製して、化合物57(22.6g)を得る。
【0156】
Rf=0.37、シリカゲル、1/3 v/v シクロヘキサン/酢酸エチル
【0157】
メチル(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−4−O−レブリノイル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(58)
1/1 テトラヒドロフラン/メタノール混合物(140mL)中の化合物57(20.2g、23mmol)の溶液に、A.Orita et al.,Chem.Eur.J.(2001)7,3321に従って調製した[tBuSnCl(OH)](226mg、0.79mmol)を不活性雰囲気下で添加する。反応媒体を38時間、35℃で攪拌する。濃縮後、残留物(20.8g)を精製せずに次の工程で使用する。
【0158】
Rf=0.23、シリカゲル、1/3 v/v シクロヘキサン/酢酸エチル
【0159】
メチル(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−4−O−レブリノイル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(59)
ジクロロメタン(190mL)中の粗製化合物58(23mmol)の溶液に、0℃でおよび不活性雰囲気下で、トリエチルアミン(8mL、57.5mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(1.4g、11.5mmol)およびtert−ブチルジフェニルシリルクロリド(12mL、46.0mmol)を添加する。この反応媒体を16時間、室温で攪拌する。この反応混合物をジクロロメタンで希釈する。有機相を塩化ナトリウム飽和水溶液でおよびその後水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、蒸発させる。残留物を、シリカゲルのカラムでのフラッシュクロマトグラフィー(2/1 シクロヘキサン/酢酸エチル)によって精製して、化合物59(24.4g)を得る。
【0160】
Rf=0.42、シリカゲル、2/1 v/v シクロヘキサン/酢酸エチル
【0161】
メチル(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(60)
1/2 トルエン/エタノール混合物(2.5L)中の化合物59(22.6g、20.0mmol)の溶液に、酢酸ヒドラジン(9.21mg、100.0mmol)を添加する。この反応媒体を30分間、室温で攪拌する。濃縮後、残留物をシリカゲルのカラムでのフラッシュクロマトグラフィー(2/1 シクロヘキサン/酢酸エチル)によって精製して、17.6gの化合物60を得る。
【0162】
Rf=0.40、シリカゲル、2/1 v/v シクロヘキサン/酢酸エチル
【0163】
スキーム11:グリコシドドナー65の調製
【0164】
【化23】

(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−4−O−レブリノイル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−1−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノース(62)
1/1 メタノール/テトラヒドロフラン混合物(80mL)中の61(11g、13.7mmol)(C.Tabeur et al.,Carbohydr.Res.,281(1996)253−276によって記載された方法に従って調製したもの)の溶液に、A.Orita et al.,Chem.Eur.J.(2001)7,3321に従って調製した[tBuSnCl(OH)](0.55g)を添加する。35℃で5.5時間、室温で16時間、および再び35℃で4時間攪拌した後、反応混合物を真空下で濃縮し、クロマトグラフィーによって精製して化合物62(5.97g)を得る。
【0165】
LC−MS m/z 780.2[(M+Na)]。T=9.14分
【0166】
(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−4−O−レブリノイル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−1−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノース(63)
化合物62(5.97g、7.88mmol)をジクロロメタン(63mL)に溶解する。0℃でおよびアルゴン下で、4−ジメチルアミノピリジン(0.481g)、トリエチルアミン(2.7mL)およびtert−ブチルジフェニルシリルクロリド(4mL)を順次添加する。4時間、磁気攪拌した後、反応媒体をジクロロメタンで希釈し、10%硫酸水素カリウム水溶液で洗浄し、水で洗浄し、脱水し(NaSO)、濾過し、濃縮する。得られた残留物をシリカ(酢酸エチル/ヘプタン)で精製して、化合物63(7g)を得る。
【0167】
LC−MS m/z 1018.3[(M+Na)]。T=12.33分
【0168】
(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−4−O−レブリノイル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α,β−D−グルコピラノース(64)
ジエチルエーテル(70mL)中の化合物63(7g、7.03mmol)の溶液に、0℃で、ベンジルアミン(BnNH)(29mL)を添加する。15分間0℃で、その後、6時間、室温で攪拌した後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、冷1N HClで中和し、水で洗浄し、脱水し(NaSO)、濾過し、濃縮し、シリカゲル(酢酸エチル/トルエン)で精製して、化合物64(5.86g)を得る。
【0169】
LC−MS m/z 976.3[(M+Na)]。T=27.6/27.8分
【0170】
(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−4−O−レブリノイル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α,β−D−グルコピラノーストリクロロアセトイミダート(65)
ジクロロメタン(140mL)中の、粉末4Åモレキュラーシーブ(7g)の存在下の化合物64(6.5g、6.81mmol)の溶液に、アルゴン下、炭酸セシウム(CsCO)(3.5g)を添加した後、0℃で、トリクロロアセトニトリル(CClCN)(3.4mL)を添加する。15分間0℃で、その後、5時間、室温で攪拌した後、反応混合物を濾過し、濃縮する。残留物を、シリカゲルで(1/4 酢酸エチル/トルエン+0.1%トリエチルアミン)で精製して、化合物65(6.33g)を得る。
【0171】
LC−MS m/z 1119.1[(M+Na)]。T=31.2
【0172】
スキーム12:四糖67の調製
【0173】
【化24】

メチル(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−4−O−レブリノイル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(66)
ジクロロメタン(210mL)中のグリコシルアクセプター59(8.80g、9.00mmol)とイミダート65(6.58g、6.00mmol)と粉末4Åモレキュラーシーブ(4.50g)の混合物を、アルゴン雰囲気下で1時間、25℃で攪拌する。反応混合物を−20℃に冷却し、ジクロロメタン中のtert−ブチルジメチルシリルトリフラートの1M溶液(900μL)を添加する。1時間20分後、固体炭酸水素ナトリウムの添加により反応媒体を中和する。Celite(登録商標)により濾過し、濃縮した後、得られた残留物をSephadex(登録商標)LH20カラムでのクロマトグラフィー(190×3.2cm、1/1 ジクロロメタン/エタノール)に付して、8.26gの化合物66を得る。
【0174】
Rf=0.30、シリカゲル、2/1 シクロヘキサン/酢酸エチル
【0175】
メチル(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(67)
化合物66(8.26g、4.31mmol)を、化合物23の合成について記載したものと同じ手順に従って化合物67(6.41g)に変換する。
【0176】
Rf=0.34、シリカゲル、2/1 シクロヘキサン/酢酸エチル
【0177】
スキーム13:六糖69の調製
【0178】
【化25】

メチル(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−4−O−レブリノイル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(68)
ジクロロメタン(215mL)中のグリコシルアクセプター67(7.42g、4.09mmol)とイミダート65(6.73g、6.1mmol)と粉末4Åモレキュラーシーブ(4.60g)の混合物を、アルゴン雰囲気下で1時間、25℃で攪拌する。反応混合物を−20℃に冷却し、ジクロロメタン中のtert−ブチルジメチルシリルトリフラートの1M溶液(920μL)を添加する。1時間30分後、固体炭酸水素ナトリウムの添加により反応媒体を中和する。Celite(登録商標)による濾過後、反応媒体をジクロロメタン(800mL)で希釈する。有機相を2%炭酸水素ナトリウム水溶液で、水で順次洗浄した後、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、蒸発乾固させる。得られた残留物をSephadex(登録商標)LH20のカラムでのクロマトグラフィー(190×3.2cm、1/1 ジクロロメタン/エタノール)、続いてシリカゲルのカラムでのクロマトグラフィー(6/1 トルエン/酢酸エチル)によって精製して、6.13gの化合物68を得る。
【0179】
Rf=0.46、シリカゲル、4/1 v/v トルエン/酢酸エチル
【0180】
メチル(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(69)
化合物68(7.14g、2.59mmol)を、化合物23の調製について記載したものと同じ手順に従って化合物69(6.07g)に変換する。
【0181】
Rf=0.37、シリカゲル、2/1 v/v シクロヘキサン/酢酸エチル
【0182】
スキーム14:二糖73の調製
【0183】
【化26】

(3,4−ジ−O−ベンジル−2−O−(4−メトキシ)ベンジル−6−O−tert−ブチルジメチルシリル−α−L−イドピラノシル)−(1→4)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノース(70)
N,N−ジメチルホルムアミド(210mL)中の化合物44(32.3g、42.2mmol)(特許出願WO2006/021653の化合物108の調製に記載されているもの)の溶液に、0℃でアルゴン下、臭化ベンジル(25mL)およびその後、55%NaH(3g)を添加する。20分の磁気攪拌後、メタノール(30mL)を添加し、反応媒体を真空下で濃縮し、粗製反応生成物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した後、塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、脱水し(NaSO)、濾過し、濃縮する。得られた残留物(38.6g)を精製せずに次の工程で使用する。
【0184】
LC−MS m/z 871.7[(M+NH]。T=13.86分
【0185】
(2−O−アセチル−3,4−ジ−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジメチルシリル−α−L−イドピラノシル)−(1→4)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノース(71)
ジクロロメタン(1.6L)中の粗製化合物70(38.6g)の溶液に、水(80mL)を添加した後、0℃でDDQ(14.2g)を添加する。4時間45分間、0℃で攪拌した後、媒体をジクロロメタンで希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液を添加する。その後、有機相を水で洗浄し、脱水し(NaSO)、濾過し、濃縮する。得られた化合物を精製せずに次の工程で使用する。
【0186】
得られた残留物をジクロロメタン(350mL)に溶解した後、トリエチルアミン(13mL)、4−ジメチルアミノピリジン(2g)および無水酢酸(60mL)を添加する。10分間0℃で、その後、1時間45分間、室温で磁気攪拌した後、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、10%硫酸水素カリウム水溶液、水で順次洗浄し、有機相を脱水し(NaSO)、濾過し、濃縮する。得られた残留物をシリカ(酢酸エチル/シクロヘキサン)で精製して、化合物71(26.8g)を得る。
【0187】
LC−MS m/z 798.3[(M+Na)]。T=12.97分
【0188】
(メチル2−O−アセチル−3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノース(72)
アセトン(1.4L)中の化合物71(26.3g、33.9mmol)の溶液に、0℃で、3.5M HSO水溶液(47mL)中のCrO(10.5g)の溶液を添加する。4時間、0℃で機械攪拌した後、反応媒体をジクロロメタンで希釈し、中性になるまで水で洗浄し、有機相を脱水し(NaSO)、濾過し、濃縮する。得られた化合物を精製せずに次の工程で使用する。
【0189】
得られた残留物をN,N−ジメチルホルムアミド(210mL)に溶解し、炭酸水素カリウム(17g)およびヨウ化メチル(21mL)を添加する。反応混合物を室温で16時間攪拌した後、真空下で濃縮する。残留物を酢酸エチルで希釈した後、水で、チオ硫酸ナトリウム飽和水溶液で、塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、脱水し(NaSO)、濾過し、濃縮する。得られた化合物を精製せずに次の工程で使用する。
【0190】
LC−MS m/z 707.3[(M+NH]。T=10.37分
【0191】
(メチル2−O−アセチル−3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−1,6−ジ−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α,β−D−グルコピラノース(73)
前の工程で得られた粗製残留物を無水酢酸(177mL)に溶解した後、トリフルオロ酢酸(TFA)(17.7mL)を添加する。反応混合物を16時間攪拌した後、濃縮し、トルエンと共蒸発させ、シリカゲル(シクロヘキサン/酢酸エチル)で精製して、化合物73(17.4g)を得る。
【0192】
LC−MS m/z 809.3[(M+NH]。T=10.81分
【0193】
スキーム15:グリコシルドナー77の調製
【0194】
【化27】

(メチル2−O−アセチル−3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−1−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノース(74)
1/1 メタノール/テトラヒドロフラン混合物(76mL)中の化合物73(5.05g、6.3mmol)の溶液に、A.Orita et al.,Chem.Eur.J.(2001)7,3321に従って調製した[tBuSnCl(OH)](0.25g、0.88mmol)を添加する。室温で72時間攪拌した後、反応混合物を真空下で濃縮し、クロマトグラフィーによって精製して、化合物74(2.89g)を得る。
【0195】
LC−MS m/z 772.4[(M+Na)]。T=10.23分
【0196】
(メチル2−O−アセチル−3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−1−O−アセチル−2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノース(75)
化合物74(2.89g、3.86mmol)をジクロロメタン(31mL)に溶解する。0℃でおよびアルゴン下で、トリエチルアミン(1.3mL)、4−ジメチルアミノピリジン(0.235g)およびtert−ブチルジフェニルシリルクロリド(2mL)を順次添加する。3時間、磁気攪拌した後、反応媒体をジクロロメタンで希釈し、10%硫酸水素カリウム水溶液で洗浄し、水で洗浄し、脱水し(NaSO)、濾過し、濃縮する。得られた残留物をシリカ(酢酸エチル/シクロヘキサン)で精製して、化合物75(3.4g)を得る。
【0197】
LC−MS m/z 1010.6[(M+Na)]。T=13.10分
【0198】
(メチル2−O−アセチル−3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α,β−D−グルコピラノース(76)
ジエチルエーテル(35mL)中の化合物75(3.44g、3.48mmol)の溶液に、0℃で、ベンジルアミン(BnNH)(14.5mL)を添加する。8時間、室温で攪拌した後、反応混合物を−18℃で16時間置き、再び室温で2.5時間置く。その後、媒体を酢酸エチルで希釈し、冷1N HClで中和し、水で洗浄し、脱水し(NaSO)、濾過し、濃縮し、シリカゲル(酢酸エチル/シクロヘキサン 15/85)で精製して76(3.83g)を得る。
【0199】
LC−MS m/z 963.6[(M+NH]。T=12.37、12.47分
【0200】
(メチル2−O−アセチル−3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α,β−D−グルコピラノーストリクロロアセトイミダート(77)
ジクロロメタン(60mL)中のおよび粉末4Åモレキュラーシーブ(3g)の存在下の化合物76(2.99g、3.16mmol)の溶液に、0℃、アルゴン下で、炭酸セシウム(CsCO)(1.6g)およびその後トリクロロアセトニトリル(CClCN)(1.6mL)を添加する。20分間0℃で攪拌し、7時間室温で攪拌し、−18℃で16時間保管し、その後、8時間、室温で磁気攪拌し、−18℃で16時間保管し、最後に1時間、室温で磁気攪拌した後、反応混合物を濾過し、濾過する。残留物をシリカゲル(15/85 酢酸エチル/シクロヘキサン+0.1%トリエチルアミン)で精製して、化合物77(2.69g)を得る。
【0201】
LC−MS m/z 1113.4[(M+Na)]。T=14.58分
【0202】
スキーム16:八糖79の調製
【0203】
【化28】

メチル(メチル2−O−アセチル−3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)]2−(メチル2−O−アセチル−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(78)
ジクロロメタン(69mL)中のグリコシルアクセプター69(3.50g、1.32mmol)とイミダート77(2.16g、1.98mmol)と粉末4Åモレキュラーシーブ(1.48g)の混合物を、アルゴン雰囲気下で1時間、室温で攪拌する。反応混合物を−20℃に冷却し、ジクロロメタン中のtert−ブチルジメチルシリルトリフラートの1M溶液(297μL)を添加する。2時間30分後、固体炭酸水素ナトリウムの添加により反応媒体を中和する。Celite(登録商標)による濾過後、反応媒体をジクロロメタン(400mL)で希釈する。有機相を2%炭酸水素ナトリウム水溶液で、水で順次洗浄した後、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、蒸発乾固させる。得られた残留物をSephadex(登録商標)LH20のカラムでのクロマトグラフィー(190×3.2cm、1/1 ジクロロメタン/エタノール)、続いてシリカゲルのカラムでのクロマトグラフィー(4/1 シクロヘキサン/酢酸エチル)によって精製して、3.04gの化合物78を得る。
【0204】
Rf=0.30、シリカゲル、3/1 シクロヘキサン/酢酸エチル
【0205】
メチル(メチル3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(79)
3Åモレキュラーシーブ(78mg)を含有する2/3 ジクロロメタン/メタノール混合物(187mL)中の化合物78(2.23g、0.623mmol)の溶液に、アルゴン雰囲気下、0℃で、メタノール中のナトリウムメトキシドの1M溶液(99.7μL)を添加する。室温で24時間後、反応媒体をDowex AG50WX4H樹脂で中和する。濾過および濃縮した後、残留物をSephadex(登録商標)LH20のカラムでのクロマトグラフィー(120×3cm、1/1 ジクロロメタン/エタノール)、続いてシリカゲルのカラムでのフラッシュクロマトグラフィー(100/0→66/34 シクロヘキサン/酢酸エチル)に付して、1.80gの化合物79を得る。
【0206】
Rf=0.38、シリカゲル、3/1 v/v シクロヘキサン/酢酸エチル
【0207】
スキーム17:八糖80、81、82、83、84、85、86および87の調製
【0208】
【化29】

メチル(メチル3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(80)
メチル(メチル3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(81)
メチル(メチル3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(82)
メチル(メチル3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(87)
メタノール(14mL)中の化合物79(373mg、0.11mmol)の溶液に、フッ化アンモニウム(324mg、8.74mmol)を添加する。20時間、室温で攪拌した後、反応混合物を、Sephadex(登録商標)LH20ゲルのカラム(120×3cm、1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール)に投入し、続いてシリカゲルのカラムでのフラッシュクロマトグラフィー(1/0→7/3 v/v トルエン/アセトン)に付して、以下のものを順次得る。
【0209】
化合物80(58.8mg)
TLC:Rf=0.63、シリカゲル、65/35 v/v トルエン/アセトン
化合物81(44.4mg)
TLC:Rf=0.53、シリカゲル、65/35 v/v トルエン/アセトン
化合物82(37.7mg)
TLC:Rf=0.45、シリカゲル、65/35 v/v トルエン/アセトン
化合物83と化合物84の混合物(54.0mg)
化合物85と化合物86の混合物(48.3mg)
化合物87(26.6mg)
TLC:Rf=0.14、シリカゲル、65/35 v/v トルエン/アセトン
【0210】
メチル(メチル3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(83)
メチル(メチル3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(84)
化合物83と84の混合物(260mg)をシリカゲルのカラムでのフラッシュクロマトグラフィー(100/0→85/15 v/v トルエン/メタノール)によって精製して、化合物83(27.8mg)を得る。
【0211】
TLC:Rf=0.22、シリカゲル、85/15 v/v トルエン/メタノール
【0212】
残存画分をシリカゲルのカラムでのフラッシュクロマトグラフィー(100/0→97/3 v/v ジクロロメタン/メタノール)によって再び精製して、化合物84(45.3mg)を得る。
【0213】
TLC:Rf=0.13、シリカゲル、85/15 v/v トルエン/メタノール
【0214】
メチル(メチル3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]−アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(85)
メチル(メチル3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]−アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(86)
化合物85と86の混合物(135mg)をC18シリカゲルのカラムでのHPLCクロマトグラフィー(Waters(登録商標)Sunfire、5μm、150×19mm、9/1 アセトニトリル/水+0.1%トリフルオロ酢酸)によって精製して、以下のものを順次得る。
【0215】
サイズ排除クロマトグラフィー(Sephadex(登録商標)LH20、120×3cm、1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール)後、化合物85(32.6mg)
質量:「ESI」法、ネガティブモード:理論質量=2698.96、実験質量:2698.55±0.65a.m.u.
サイズ排除クロマトグラフィー(Sephadex(登録商標)LH20、120×3cm、1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール)後、化合物86(26.5mg)
質量:「ESI」法、ネガティブモード:理論質量=2698.96、実験質量:2698.95±1.05a.m.u.
【0216】
スキーム18:八糖91の調製
【0217】
【化30】

メチル(メチル3,4−ジ−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチル−ジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−6−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシド(88)
化合物81(69mg、23.5μmol)を、化合物28の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、サイズ排除クロマトグラフィー(Sephadex(登録商標)LH20、120×3cm、1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール)後、化合物88(85.1mg)を得る。
【0218】
TLC:Rf=0.62、シリカゲル、17/9/2.2/5 v/v/v/v 酢酸エチル/ピリジン/酢酸/水。
【0219】
メチル(メチル3,4−ジ−O−ベンジル−2−O−アンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−2−O−アンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−2−O−アンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−アンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−2−O−アンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−6−O−アンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシド(89)
メタノール(2.7mL)中の化合物88(85.1mg、21.1μmol)の溶液に、フッ化アンモニウム(31.3mg、0.846mmol)を添加する。55℃で48時間後、反応混合物をSephadex(登録商標)LH20ゲルのカラム(95×2cm)に投入してN,N−ジメチルホルムアミドで溶離させて、化合物89(64mg)を得る。
【0220】
[α]19.4°(c1.0;MeOH)
【0221】
メチル(リチウム3,4−ジ−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(リチウム3−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(リチウム3−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−リチウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(リチウム3−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−6−O−リチウムスルホナト−α−D−グルコピラノシド(90)
化合物89(63.3mg、17.8μmol)を、化合物29の調製について説明したものと同じ手順に従って処理する。Sephadex(登録商標)LH20ゲルのカラムでのクロマトグラフィー(120×3cm、50/50/1 v/v/v ジクロロメタン/エタノール/水)によって、化合物90(49.8mg)を得る。
【0222】
[α]14.6°(c1.0;MeOH)
【0223】
メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アミノ−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アミノ−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アミノ−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−アミノ−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−α−D−グルコピラノシド(91)
1/1 v/v tert−ブタノール/水混合物(516μL)中の化合物90(7.6mg、2.6μmol)の溶液に、室温で、ギ酸アンモニウム(21.2mg、0.33μmol)および炭担持10%パラジウム(49.4mg)を順次添加する。4時間攪拌した後、反応媒体を濾過し(Millipore(登録商標)LSWP 5μmフィルター)、Sephadex(登録商標)G25−fineゲルのカラム(95×2cm)に投入して0.2M NaCl水溶液で溶離する。期待化合物を含有する画分を併せ、Sephadex(登録商標)G25−fineゲルのカラム(95×2cm)に投入して水で溶離する。このようにして得た粗製生成物91(5.5mg)をさらに精製せずに次の工程で使用する。
【0224】
スキーム19:八糖95の調製
【0225】
【化31】

メチル(メチル3,4−ジ−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−6−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシド(92)
化合物82(16.5mg、5.6μmol)を、化合物28の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、Sephadex(登録商標)LH20ゲルのカラムでのクロマトグラフィー(120×3cm、1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール)後、化合物92(21.5mg)を得る。
【0226】
TLC:Rf=0.73、シリカゲル、28/16/3.8/9 v/v/v/v 酢酸エチル/ピリジン/酢酸/水。
【0227】
メチル(メチル2−O−アンモニウムスルホナト−3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2−O−アンモニウムスルホナト−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アンモニウムスルホナト2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2−O−アンモニウムスルホナト−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2−O−アンモニウムスルホナト−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−6−O−アンモニウムスルホナト−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(93)
化合物92(21.5mg、5.3μmol)を、化合物89の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、サイズ排除クロマトグラフィー(Sephadex(登録商標)LH20、95×2cm、N,N−ジメチルホルムアミド)後、化合物93(21.5mg)を得る。
【0228】
TLC:Rf=0.63、シリカゲル、11/7/1.6/4 v/v/v/v 酢酸エチル/ピリジン/酢酸/水。
【0229】
メチル(リチウム3,4−ジ−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(リチウム3−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−リチウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(リチウム3−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(リチウム3−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−6−O−リチウムスルホナト−α−D−グルコピラノシド(94)
化合物93(14.7mg、4.1μmol)を化合物31の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、サイズ排除クロマトグラフィー(Sephadex(登録商標)LH20、95×2cm、50/50/1 v/v/v ジクロロメタン/エタノール/水)後、化合物94(13.0mg)を得る。
【0230】
TLC:Rf=0.56、シリカゲル、28/16/3.8/9 v/v/v/v 酢酸エチル/ピリジン/酢酸/水
【0231】
メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アミノ−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アミノ−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アミノ−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−アミノ−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−α−D−グルコピラノシド(95)
1/1 v/v tert−ブタノール/水混合物(883μL)中の化合物94(13mg、4.4μmol)の溶液に、ギ酸アンモニウム(36mg、0.57mmol)および炭担持10%パラジウム(34mg)を添加する。室温で4時間攪拌した後、反応媒体を濾過し(Millipore(登録商標)LSWP 5μmフィルター)、濃縮乾固させる。残留物をSephadex(登録商標)G25−fineゲルのカラム(95×2cm)に投入して0.2M NaCl水溶液で溶離する。期待化合物を含有する画分を併せ、Sephadex(登録商標)G25−fineゲルのカラム(95×2cm)に投入して水で溶離する。このようにして得た粗製生成物95(2.5mg)をさらに精製せずに次の工程で使用する。
【0232】
スキーム20:八糖99の調製
【0233】
【化32】

メチル(メチル3,4−ジ−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(メチル3−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)]−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−6−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシド(96)
化合物83(35.1mg、12.0μmol)を、化合物28の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、Sephadex(登録商標)LH20ゲルのカラムでのクロマトグラフィー(120×3cm、1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール)後、化合物96(46.3mg)を得る。
【0234】
[α]111°(c0.95;CHCl
【0235】
メチル(メチル2−O−アンモニウムスルホナト−3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アンモニウムスルホナト−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2−O−アンモニウムスルホナト3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2−O−アンモニウムスルホナト−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2−O−アンモニウムスルホナト−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−6−O−アンモニウムスルホナト−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(97)
化合物96(45.0mg、11.2μmol)を、化合物89の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、Sephadex(登録商標)LH20ゲルのカラムでのクロマトグラフィー(95×2cm、N,N−ジメチルホルムアミド)後、化合物97(30.8mg)を得る。
【0236】
[α]14.7°(c0.95;MeOH)
【0237】
メチル(リチウム3,4−ジ−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−リチウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(リチウム3−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(リチウムメチル3−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−6−O−リチウムスルホナト−α−D−グルコピラノシド(98)
化合物97(27.1mg、7.6μmol)を化合物29の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、Sephadex(登録商標)LH20ゲルのカラムでのクロマトグラフィー(95×2cm、50/50/1 v/v/v ジクロロメタン/エタノール/水)後、化合物98(20.7mg)を得る。
【0238】
[α]14.4°(c1.01;MeOH)
【0239】
メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アミノ−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アミノ−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−アミノ−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−α−D−グルコピラノシド(99)
化合物98(17.5mg、5.9μmol)を、化合物91の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、化合物99(9.5mg)を得る。
【0240】
質量:「ESI」法、ネガティブモード:理論質量=2081.38、実験質量:1993.28±0.14a.m.u.(イズロン酸がCOOH形態で観察される。)。
【0241】
スキーム21:八糖104の調製
【0242】
【化33】

メチル(メチル3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−6−O−ベンゾイル−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)−カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(100)
1,2−ジクロロエタン(5.6mL)中の化合物80(355mg、0.117mmol)、無水安息香酸(75.8mg、0.335mmol)およびトリエチルアミン(47.3μL、0.335mmol)の溶液を60℃で24時間攪拌した後、64時間、室温で攪拌する。反応混合物をSephadex(登録商標)LH20ゲルのカラム(120×3cm)に投入して1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール混合物で溶離した後、シリカゲルのカラムでのフラッシュクロマトグラフィー(100/0→85/15 v/v トルエン/アセトン)に付して、化合物100(193.2mg)を得る。
【0243】
TLC:Rf=0.38、シリカゲル、2/1 v/v シクロヘキサン/酢酸エチル
【0244】
メチル(メチル3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(メチル3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−6−O−ベンゾイル3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(101)
化合物100(60.0mg、0.018mmol)を、化合物89の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、Sephadex(登録商標)LH20ゲルのカラムでのクロマトグラフィー(120×3cm、1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール)後、化合物101(46.1mg)を得る。
【0245】
質量:「ESI」法、ネガティブモード:理論質量=2564.66、実験質量:2563.66±0.19a.m.u.
【0246】
メチル(メチル3,4−ジ−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(メチル3−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(メチル3−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−6−O−ベンゾイル−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(102)
化合物101(42.9mg、0.016mmol)を、化合物28の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、Sephadex(登録商標)LH20ゲルのカラムでのクロマトグラフィー(120×3cm、1/1 v/v ジクロロメタン/エタノール)およびその後、C18シリカゲルのカラムでのフラッシュクロマトグラフィー(40−60μm、A:メタノール、5%水、23mM酢酸アンモニウム、B:アセトニトリル、45%メタノール、5%水、17mM酢酸アンモニウム、A→B 100/0→70/30)、続いてSephadex(登録商標)LH20カラムでの脱塩(95×2cm、50/50/1 v/v/v ジクロロメタン/エタノール/水)の後、化合物102(28.7mg)を得る。
【0247】
メチル(リチウム3,4−ジ−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−リチウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(リチウム3−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−リチウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(リチウム3−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(103)
化合物102(28.7mg、7.5μmol)を、化合物29の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、粗製化合物103(17.3mg)を得る。
【0248】
メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アミノ−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アミノ−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−アミノ−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(104)
化合物103(17.3mg、5.7μmol)を、化合物91の調製について説明したものと同じ手順に従って処理する。このようにして得た粗製化合物104を再び鹸化する。1/1 v/v テトラヒドロフラン/メタノール混合物(506μL)中の粗製化合物104の溶液に、0℃で、水中の水酸化リチウムの0.7M溶液(202μL、0.2Mの最終濃度まで適量)を添加する。0℃で1時間および室温で16時間後、反応媒体を排除カラムでのクロマトグラフィー(Sephadex(登録商標)G25−fine、95×2cm、0.2M NaClおよびその後、Sephadex(登録商標)G25−fine、95×2cm、水)に付して、化合物104(6.5mg)を得る。
【0249】
H NMR[600MHz](DO)アノマープロトンのδ:5.45;5.44;5.43;5.26;5.25;5.24;5.18;4.98ppm
【0250】
スキーム22:八糖108の調製
【0251】
【化34】

メチル(メチル3,4−ジ−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−デオキシ−2−[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ−6−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシド(105)
化合物85(31.4mg、11.6μmol)を、化合物28の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、Sephadex(登録商標)LH20ゲルのカラムでのクロマトグラフィー(120×3cm、50/50/1 v/v/v ジクロロメタン/エタノール/水)後、化合物105(40.2mg)を得る。
【0252】
メチル(メチル2−O−アンモニウムスルホナト−3,4−ジ−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アンモニウムスルホナト−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2−O−アンモニウムスルホナト−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2−O−アンモニウムスルホナト−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(6−O−アンモニウムスルホナト−2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2−O−アンモニウムスルホナト−3−O−ベンジル−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−6−O−アンモニウムスルホナト−3−O−ベンジル−2−[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(106)
化合物105(38.4mg、9.68μmol)を、化合物89の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、Sephadex(登録商標)LH20ゲルのカラムでのクロマトグラフィー(95×2cm、N,N−ジメチルホルムアミド)後、化合物106(28.4mg)を得る。
【0253】
Rf=0.21(28/16/3.8/9 EtOAc/ピリジン/AcOH/HO)。
【0254】
メチル(リチウム3,4−ジ−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−リチウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(リチウム3−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(リチウム3−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−リチウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(リチウム3−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−デオキシ−2−[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ−6−O−リチウムスルホナト−α−D−グルコピラノシド(107)
化合物106(28.4mg、7.62μmol)を、化合物89の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、Sephadex(登録商標)LH20ゲルのカラムでのクロマトグラフィー(95×2cm、50/50/1 v/v/v ジクロロメタン/エタノール/水)後、化合物107(28.0mg)を得る。
【0255】
Rf=0.12(28/16/3.8/9 EtOAc/ピリジン/AcOH/HO)。
【0256】
メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1−4)−(2−アミノ−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1−4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1−4)−(2−アミノ−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシル)−(1−4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1−4)−(2−アミノ−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−(1−4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1−4)−2−アミノ−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−α−D−グルコピラノシド(108)
化合物107(5.8mg、2.85μmol)を、化合物91の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、化合物108(2.5mg)を得、さらに精製せずに次の工程で使用する。
【0257】
H NMR[600MHz](DO)アノマープロトンのδ:5.45;5.44;5.42;5.26;5.25;5.24;5.17;5.03ppm
【0258】
スキーム23:八糖111の調製
【0259】
【化35】

メチル(メチル3,4−ジ−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−[(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)]−(1→4)−(メチル3−O−ベンジル−2−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−2−デオキシ−6−O−トリエチルアンモニウムスルホナト−α−D−グルコピラノシド(109)
化合物87(37.0mg、0.15mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(3×1.4mL)の共蒸発により脱水した後、N,N−ジメチルホルムアミド(1.4mL)に溶解する。この溶液に三酸化硫黄−トリエチルアミン複合体(109mg、6.01mmol)を添加する。混合物を光から保護して16時間、55℃で攪拌した後、過剰な試薬をメタノール(25μL)で壊す。反応媒体をSephadex(登録商標)LH20のカラム(120×3cm)に投入して1/1 ジクロロメタン/エタノール混合物で溶離して、化合物109(59.8mg)を得る。
【0260】
Rf=0.26、シリカゲル、28/16/3.8/9 酢酸エチル/ピリジン/酢酸/水。
【0261】
メチル(リチウム3,4−ジ−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−リチウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−[(1→4)−(リチウム3−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アジド−3−O−ベンジル−2−デオキシ−6−O−リチウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)]−(1→4)−(リチウム3−O−ベンジル−2−O−リチウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−3−O−ベンジル−2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−2−デオキシ−6−O−リチウムスルホナト−α−D−グルコピラノシド(110)
1/1 v/v テトラヒドロフラン/メタノール混合物(2.2mL)中の化合物109(57.3mg、13.7μmol)の溶液に、0℃で、水中の水酸化リチウムの0.7M溶液(0.88mL、0.2Mの最終濃度まで適量)を添加する。0℃で1時間およびその後、室温で16時間後、反応媒体をSephadex(登録商標)LH20のカラム(120×3cm)に投入して50/50/1 v/v/v ジクロロメタン/エタノール/水混合物で溶離して、化合物110(38.1mg)を得る。
【0262】
[α]13.1°(c1.0;MeOH)
【0263】
メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アミノ−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)−[(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−アミノ−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−α−D−グルコピラノシル)]−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−アミノ−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−α−D−グルコピラノシド(111)
1/1 v/v tert−ブタノール/水混合物(2.6mL)中の化合物110(40mg、12.8μmol)の溶液に、ギ酸アンモニウム(105mg、1.67mmol)および炭担持10%パラジウム(260mg)を添加する。室温で4時間攪拌した後、反応媒体を濾過し(Millipore(登録商標)LSWP 5μmフィルター)、濃縮乾固させる。残留物をSephadex(登録商標)G25−fineゲルのカラム(95×2cm)に投入して0.2M NaCl水溶液で溶離する。期待化合物を含有する画分を併せ、Sephadex(登録商標)G25−fineゲルのカラム(95×2cm)に投入して水で溶離する。このようにして得た粗製生成物111(14.7mg)をさらに精製せずに次の工程で使用する。
【0264】
質量:「ESI」法、ネガティブモード:理論質量=2285.47、実験質量:2197.20±0.34a.m.u.(イズロン酸がCOOH形態で観察される。)。
【0265】
本発明による化合物の実施例
【0266】
実施例1:メチル(ナトリウム4−O−プロピル−2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル−(1→4)]−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシド(化合物1)
【0267】
【化36】

炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(15mL、100mL/mmol)中の化合物30(180mg、0.077mmol)の新たに調製した溶液に、0℃でアルゴン雰囲気下、固体炭酸水素ナトリウム(1.17g、13.9mmol)を添加した後、ピリジン−三酸化硫黄複合体(985mg、6.19mmol)を30分かけて少しずつ添加する。室温で16時間後、反応混合物をSephadex(登録商標)G25−fineゲルのカラム(90×3cm)に投入して0.2M NaCl水溶液で溶離する。期待化合物を含有する画分を併せ、Sephadex(登録商標)G25−fineゲルのカラム(90×3cm)に投入して水で溶離する。期待化合物を含有する画分を濃縮した後、200mgの化合物1を得る。
【0268】
H NMR[600MHz](DO)アノマープロトンのδ:5.45;5.42(2H);5.22;5.21;5.20;5.18;5.03ppm。
【0269】
質量:「ESI」法、ネガティブモード:理論質量=2735.72、実験質量:2734a.m.u.
【0270】
実施例2:メチル(ナトリウム4−O−プロピル−2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル−(1→4)]−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシド(化合物2)
【0271】
【化37】

化合物37(29.5mg、11.56μmol)を、実施例1の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、イオン交換クロマトグラフィー(SAXカラム、条件:0.5mL/分、A:HO、B:2M NaCl、Bは30分にわたって30%から90%の勾配)、続いてのSephadex(登録商標)G25−fineゲルのカラムでのクロマトグラフィー(54×1.7cm、水)による精製後、化合物2(7.4mg)を得る。
【0272】
H NMR[600MHz](DO)アノマープロトンのδ:5.45;5.42;5.41(2H);5.22;5.21(2H);5.20;5.18;5.03ppm。
【0273】
質量:「ESI」法、ネガティブモード:理論質量=3401.12、実験質量:3400.40±0.76a.m.u.
【0274】
実施例3:ナトリウム[メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシド]ウロナート(化合物3)
【0275】
【化38】

粗製化合物55(48.7mg)を、実施例1の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、化合物3(37.6mg)を得る。
【0276】
H NMR[600MHz](DO)アノマープロトンのδ:5.43(2H);5.35;5.25;5.24;5.19;5.18;5.09ppm。
【0277】
実施例4:メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシド(化合物4)
【0278】
【化39】

化合物91(5.5mg、2.64μmol)を、実施例1の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、化合物4(4.5mg)を得る。
【0279】
H NMR[600MHz](DO)アノマープロトンのδ:5.44;5.40;5.31;5.25;5.24;5.22;5.16;5.03ppm。
【0280】
質量:「ESI」法、ネガティブモード:理論質量=2489.55、実験質量:2465.63±0.64a.m.u.
【0281】
実施例5:メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシド(化合物5)
【0282】
【化40】

化合物95(2.5mg、1.2μmol)を、実施例1の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、化合物5(1.9mg)を得る。
【0283】
H NMR[600MHz](DO)アノマープロトンのδ:5.45;5.43;5.33;5.25;5.23;5.21;5.16;5.05ppm。
【0284】
実施例6:メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシド(化合物6)
【0285】
【化41】

化合物99(8.9mg、4.28μmol)を、実施例1の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、化合物6(7.3mg)を得る。
【0286】
H NMR[600MHz](DO)アノマープロトンのδ:5.46;5.32(2H);5.26;5.25;5.21;5.20;5.05ppm。
【0287】
質量:「ESI」法、ネガティブモード:理論質量=2489.55、実験質量:2488.00±1.5a.m.u.
【0288】
実施例7:メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシド(化合物7)
【0289】
【化42】

化合物108(3.7mg、1.42μmol)を、実施例1の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、化合物7(1.8mg)を得る。
【0290】
H NMR[600MHz](DO)アノマープロトンのδ:5.46;5.42;5.31;5.26;5.24;5.22;5.18;5.03ppm。
【0291】
実施例8:メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−[(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)]−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−(スルホナト)アミノ−α−D−グルコピラノシド(化合物8)
【0292】
【化43】

化合物111(42mg、18.4μmol)を、実施例1の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、化合物8(44.1mg)を得る。
【0293】
H NMR[600MHz](DO)アノマープロトンのδ:5.45;5.44;5.25;5.24(2H);5.20;5.04ppm。
【0294】
質量:「ESI」法、ネガティブモード:理論質量=2693.84、実験質量:2692.97±0.18a.m.u.
【0295】
実施例9:メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナト)アミノ−α−D−グルコピラノシル)−[(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)]−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシド(化合物9)
【0296】
【化44】

化合物104(6.5mg、2.98μmol)を、実施例1の調製について説明したものと同じ手順に従って処理して、化合物9(6.0mg)を得る。
【0297】
H NMR[600MHz](DO)アノマープロトンのδ:5.44(2H);5.43;5.22(2H);5.19;5.18;5.05ppm。
【0298】
質量:「ESI」法、ネガティブモード:理論質量=2591.60、実験質量:2591.80±0.33a.m.u.
【0299】
本発明による化合物を薬理試験に付して、FGF受容体に対するこれらの化合物のアゴニスト効果、ならびに血管新生および虚血後血管再生に対するこれらの化合物の活性を判定した。
【0300】
インビトロ血管新生のモデル:FGF2に対する比活性
このインビトロ血管新生モデルは、生体マトリックス上でのヒト静脈内皮細胞の再編成に相当する。96ウエルプレート(Becton Dickinson 353872)の各ウエルに、コラーゲン(ラット尾コラーゲン、タイプI:Becton Dickinson 354249)中で1/3に希釈した60μLのMatrigel(登録商標)(Growth factor reduced Matrigel(登録商標):Becton Dickinson 356230)を分配することによって、マトリックスを作製する。37℃で1時間後、生体マトリックスは硬化する。
【0301】
ヒト静脈内皮細胞(HUVEC ref:C−12200−Promocell)を、生体マトリックスに、120μlのEBM(登録商標)培地(Endothelial Basal Medium、Lonza C3121)+2%FCS(ウシ胎仔血清−Lonza)+hEGF(Recombinant Human Epidermal Growth Factor−Lonza)10μg/ml中、7800細胞/ウエルで接種する。細胞をFGF2(R&D Systems/234−FSE−050)10ng/mlで、または本発明の生成物で18時間、37℃、5%COの存在下で刺激する。24時間後、細胞を顕微鏡(4倍対物レンズ)で観察し、画像ソフトウェア(Biocom VisioLab 2000ソフトウェア)を使って擬似細管(pseudo−tubules)の長さの分析を行う。
【0302】
インビトロ血管新生のこの試験において、本発明の化合物は、10−6Mと10−12Mの間の比活性を有する。例えば、化合物1および7は、10−6Mで活性である。
【0303】
ナトリウム塩の形態で試験した、次の式:
【0304】
【化45】

を有する化合物10も、このインビトロ血管新生試験において活性を示した。
【0305】
さらに、本発明による八糖No.8、七糖No.3および十糖No.2が、これらの糖の六糖類似体(C.TabeurらによりBioorg.& Med.Chem.,1999,7,2003−2012に記載された化合物)より良好なFGF−2活性化剤であることが、インビトロ細胞試験によって示された。さらに、本発明による他の八糖化合物の大部分、例えば化合物No.7は、インビトロモデルでは八糖No.8と同じ活性を有する。
【0306】
マウスにおけるセルロースインプラントのモデル
このモデルは、Andradeら(Microvascular Research,1997,54,253−61)により記載されたモデルを、血管新生の発生を活性化することができる薬理学的製品の試験に適応させたものである。
【0307】
動物(白色血縁BALB/c Jマウス)をキシラジン(Rompun(登録商標)、10mg/kg)/ケタミン(Imalgene(登録商標)1000、100mg/kg)混合物で腹腔内麻酔する。動物の背中の毛をそり、Hexomedine(登録商標)で消毒する。5mlの無菌空気を注射することによりマウスの背中の皮下にエアポケットを作る。この動物の背中の頂部を約2cm切開して、試験生成物を含有する50μlの滅菌溶液を含浸させた滅菌セルロースインプラント(直径1cm、厚み2mmのディスク、Cellspon(登録商標)ref.0501)を導入する。その後、切開を縫合し、Hexomedine(登録商標)で清浄にする。
【0308】
インプラント挿入の数日後、ガス麻酔(5%イソフルラン(Aerrane(登録商標)、Baxter))下のマウスのインプラントに、皮膚を通して注射により前記生成物(50μl/インプラント/日)を施すことができる。
【0309】
スポンジ挿入7日後、致死量のペントバルビタールナトリウム(CEVA Sante Animale)を腹腔内投与することにより、マウスを犠牲にする。その後、傷跡を避けてスポンジの周囲約1cmの皮膚を切除して、皮膚とスポンジを解離させる。その後、スポンジを数片に切断し、1mlの溶解バッファ(Cell Death Detection ELISA、Roche)が入っているRibolyser(登録商標)の中に置く。細胞破砕機(FastPrep(登録商標)FP120)を使用して、力4で20秒間、連続的に4回、これらのチューブを振盪する。その後、チューブを10分間、2000×gで、20℃で遠心分離機にかけ、上清をヘモグロビンアッセイの時まで−20℃で冷凍しておく。アッセイ当日、解凍後、チューブを再び遠心分離機にかけ、Drabkin試薬(Sigma、容量対容量)を用いてウシヘモグロビン(Sigma)の標準範囲と対照して分光光度計により405nmで読み取ることにより、ヘモグロビン濃度を測定する。
【0310】
各サンプルにおけるヘモグロビン濃度を、前記範囲から生成した多項式回帰(polynomial regression)からmg/mLで表示する。結果を各群について平均値(±sem)として表示する。群間差をANOVAで検定した後、値の平方根を用いてダネット検定を行う。
【0311】
このインビボ試験において、本発明の化合物は、5ng/部位と45ng/部位の間の比活性を示した。化合物1および7は、45ng/部位の濃度で活性である。
【0312】
従って、本発明の化合物は、FGF受容体に対するアゴニスト活性および血管新生に対する活性を有し、ならびに虚血後血管再生に対する活性も有する。このため、これらの化合物を薬物、特に、FGF受容体の活性を必要とする疾患の治療に有用である薬物、または血管新生虚血後血管再生の活性化を必要とする病態において有用である薬物の調製に使用することができる。
【0313】
従って、本発明のもう1つの態様によると、本発明の主題は、式(I)/(I’)の化合物もしくは化合物10またはこれらの化合物の医薬的に許容される塩を含む薬物である。
【0314】
本発明の1つの主題は、さらに一般的には、式(I)の化合物:
【0315】
【化46】

(式中、
は、−OSO基またはヒドロキシル基を表し、
は、−O−アルキル基、または式(II)の単糖:
【0316】
【化47】

(この式中、Rはアルキル基を表す。)
を表し、
は、式(III)の二糖:
【0317】
【化48】

を表し、この式中、
は、−OSO基またはヒドロキシル基を表し、
は、式(IV)の二糖:
【0318】
【化49】

を表し、この式中、
は、−OSO基またはヒドロキシル基を表し、
は、ヒドロキシル基、または下記の式(V)の単糖、または式(VI)の二糖:
【0319】
【化50】

を表し、この式中、
は、−OSO基またはヒドロキシル基を表し、
は、ヒドロキシル基、または−O−アルキル基、または式(VII)の二糖:
【0320】
【化51】

を表し、この式中、R10は、−O−アルキル基を表し、
但し、Rが、上で規定したとおりの式(II)の単糖を表すときには、Rは、ヒドロキシル基または−O−アルキル基を表すこと、Rが、−O−アルキル基を表すときには、Rは、上で規定したとおりの式(VI)の二糖を表すこと、ならびにR、R、RおよびRは、同時にヒドロキシル基を表さないことを条件とする。)
を含む薬物である。
【0321】
このような化合物は、上で規定した式(I)/(I’)のもの、ならびに特許出願US2006/0079483A1に記載されている、上で規定された七糖10を含む。
【0322】
これらの薬物は、特に、虚血(心虚血および下肢動脈虚血)の処置、動脈の狭窄もしくは閉塞に関連したまたは動脈炎(arterites)に関連した疾患の処置、狭心症の処置、閉塞性血栓血管炎の処置、アテローム性動脈硬化症の処置、血管形成術または動脈内膜除去術後の再狭窄抑制処置、瘢痕形成の処置、筋肉再生処置、筋芽細胞生存のための処置、末梢神経疾患の処置、術後神経損傷の処置、神経欠損、例えばパーキンソン病、アルツハイマー病、プリオン病およびアルコール性神経変性の処置、認知症の処置、糖尿病の場合のバイオ人工膵臓移植片の生存を増進させるための処置、移植片の血管再生および移植片の生存を増進させるための処置、網膜変性の処置、色素性網膜炎の処置、変形性関節症の処置、子癇前症の処置または血管病変のおよび急性呼吸切迫症候群の処置、軟骨修復のための処置、骨を修復および保護するための処置、毛包を修復および保護するためのならびに発毛を保護および調節するための処置に関する療法において使用される。
【0323】
虚血は、損傷組織内の酸素濃度の減少につながる、器官内の動脈循環の減少である。虚血後血管再生のメカニズムには、2つの主要メカニズム、即ち血管新生および動脈新生が関与する。血管新生は、既存の血管から新たな毛細血管が発生する過程である。動脈新生は、虚血または無血管領域周囲での側副血管の発達(サイズおよび内径の増加)に寄与する。
【0324】
これらの血管再生過程に関与する増殖因子の中で、FGFファミリーおよび特にFGF−2は、最も広範に記載されている(Post,M.J.,Laham,R.,Sellke,F.W.& Simons,M.Therapeutic angiogenesis in cardiology using protein formulations.Cardiovasc.Res.49,522−31,2001)。
【0325】
従って、FGF2およびFGF2の受容体は、血管新生および動脈新生過程を誘導することを目的とする療法のための非常に適切なターゲットである(Khurana,R.& Simons,M.Insights from angiogenesis trials using fibroblast growth factor for advanced arteriosclerotic disease.Trends Cardiovasc.Med.13,116−22,2003)。
【0326】
本発明の化合物の用途の1つは、心臓閉塞または末梢動脈の閉塞後の虚血後処置である。心虚血の処置に関して、最も有望な臨床試験の1つは、FGF−2をヘパリンの存在下でアルジネートマイクロスフェア内に封鎖した臨床試験である(Laham,R.J.et al.Local perivascular delivery of basic fibroblast growth factor in patients undergoing coronary bypass surgery:results of a phase I randomized,double−blind,placebo−controlled trial.Circulation 100,1865−71,1999)。これらのマイクロスフェアを心筋内の虚血病変の近くに埋め込んだ。90日後、FGF2で処置した患者のすべてが虚血心の症状を示さなかった。対照的に、対照群では、7人中3人の患者が90日の時点で持続的症状を有し、および2人の患者が血管手術を必要とした。興味深いことに、3年のモニタリングの後、治療的恩恵は維持されていた。これらの観察は、FGF2を模倣する化合物が心虚血の予後の処置に選択される治療であえることを示唆している。
【0327】
冠動脈へのFGF2の注射を用いる3つの臨床試験が冠動脈狭窄の処置中に行われた(Laham,R.J.et al.Intracoronary basic fibroblast growth factor(FGF−2)in patients with severe ischemic heart disease:results of a phase I open−label dose escalation study.J.Am.Coll.Cardiol.36,2132−9,2000;Simons,M.et al.Pharmacological treatment of coronary artery disease with recombinant fibroblast growth factor−2:double−blind,randomized,controlled clinical trial.Circulation 105,788−93,2002;Unger,E.F.et al.Effects of a single intracoronary injection of basic fibroblast growth factor in stable angina pectoris.Am.J.Cardiol.85,1414−9,2000)。これらの3つの試験の結果は、FGF2の冠内注入が十分に許容され、患者の状態を有意に向上させることを示している。従って、本発明において説明する化合物は、冠動脈の狭窄に関連した疾患の処置に、および特に狭心症の処置に利用することができる。
【0328】
遠位動脈および特に下肢動脈の疾患は、肢を灌流する細動脈の慢性的閉塞によって引き起こされる。これらの病態は、主として下肢を罹患させる。第I相臨床試験において、跛行につながる末梢動脈病態を有する患者にFGF2の注射が施された(Lazarous,D.F.et al.,Basic fibroblast growth factor in patients with intermittent claudication:results of a phase I trial.J.Am.Coll.Cardiol.36,1239−44,2000)。この試験に関して、FGF2は、これらの患者において十分に許容された。臨床データは、FGF2の、特に歩行改善に対する有益な効果を示唆している。これらの臨床データは、本発明の化合物が遠位動脈の閉塞に関連した疾患の処置に選択される治療ツールであることを示唆している。
【0329】
バージャー病または閉塞性血栓血管炎は、遠位血管構造を罹患させるものであり、疼痛および潰瘍形成を伴う脚の遠位動脈を特徴とする。この疾患に関しては、血管新生および血管発生の誘導がこの病態の治療法である。前記発明の化合物は、閉塞性血栓血管炎に選択される療法である。
【0330】
末梢神経疾患は、遠位肢の脱感作につながる、運動および/または知覚末梢神経の軸索または脱髄性発作である。糖尿病の主な二次的合併症の一つは、末梢神経疾患の慢性的発生である。このことに関しては、FGF2は、軸索再生を誘導することが示されており、末梢神経病変の処置の際に、および従って、末梢神経疾患の際に選択される療法であり得る(Basic fibroblast growth factor isoforms promote axonal elongation and branching of adult sensory neurons in vitro.Klimaschewski L,Nindl W,Feurle J,Kavakebi P,Kostron H.Neuroscience.2004;126(2):347−53)。FGF受容体に対するアゴニスト活性のために、前記発明の化合物は、健常または糖尿病患者の場合の末梢神経障害の際に選択される処置である。
【0331】
FGF2が発達中の神経細胞の活性化剤であることは明瞭に実証されている。最近の結果は、FGF2が成人においてニューロンの再生を促進する中心的要素でもあることを示唆している(Sapieha PS,Peltier M,Rendahl KG,Manning WC,Di Polo A.,Fibroblast growth factor−2 gene delivery stimulates axon growth by adult retinal ganglion cells after acute optic nerve injury.Mol.Cell.Neurosci.2003 Nov.;24(3):656−72)。FGF受容体に対するアゴニスト活性のために、前記発明の化合物は、術後神経損傷の修復の際に、神経欠損、例えばパーキンソン病、アルツハイマー病、プリオン病およびアルコール性神経変性の修復の際に、または認知症の場合に選択される処置である。
【0332】
血管平滑筋細胞の増殖および移動は、動脈の内膜肥厚の一因となり、従って、アテローム性動脈硬化症にならびに血管形成術および動脈内膜除去術後の再狭窄に顕著な役割を果たす。血管新生因子、VEGFが、内皮再生を促進することにより内膜の厚みを有意に減少させることは立証されている(Van Belle,E.,Maillard,L.,Tio,F.O.& Isner,J.M.Accelerated endothelialization by local delivery of recombinant human vascular endothelial growth factor reduces in−stent intimal formation.Biochem.Biophys.Res.Commun.235,311−6,1997)。従って、血管新生促進活性を有する本発明の化合物は、アテローム性動脈硬化症の処置に、ならびに血管形成術または動脈内膜除去術後の再狭窄の抑制に有用であり得る。
【0333】
血管網は、組織の発達および維持に不可欠である。栄養、酸素および細胞の送達を促進することにより、血管は、組織の機能的および構造的完全性の維持に役立つ。このことに関連して、血管新生および血管発生は、虚血後の組織の保持および灌流を可能にする。例えば、VEGFおよびFGF2などの血管新生増殖因子は、組織再生のための血管再生を促進する。本発明において提供する化合物は、筋肉再生処置の際に選択される処置である。
【0334】
ジストロフィー性または正常筋肉における筋肉再生過程は、サイトカインのおよび血管新生増殖因子の局所レベルでの供給に依存する(Fibbi,G.,D’Alessio,S.,Pucci,M.,Cerletti,M.& Del Rosso,M.Growth factor−dependent proliferation and invasion of muscle satellite cells require the cell−associated fibrinolytic system.Biol.Chem.383,127−36,2002)。FGFシステムは、筋肉再生のならびに筋芽細胞生存および増殖の重要なシステムであることが提唱されている(Neuhaus,P.et al.Reduced mobility of fibroblast growth factor(FGF)−deficient myoblasts might contribute to dystrophic changes in the musculature of FGF2/FGF6/mdx triple−mutant mice.Mol.Cell.Biol.23,6037−48,2003)。FGF2および前記発明の化合物を活用して、心臓再生を促進することができる。これらは、例えば、虚血後の心筋の灌流(Hendel,R.C.et al.Effect of intracoronary recombinant human vascular endothelial growth factor on myocardial perfusion:evidence for a dose−dependent effect.Circulation 101,118−21,2000)、ならびにまた、特にデュシェンヌ型筋ジストロフィーの際、移植筋芽細胞の生存および進歩を向上させる。
【0335】
血管新生は、皮膚瘢痕形成中に不可欠な現象である。形成された新たな血管が、組織修復に必要とされる酸素および栄養を供給する。糖尿病の場合、瘢痕形成は、血管新生不全をもたらす緩慢で困難な過程である。FGFは、瘢痕形成期の血管新生過程に最も関与する増殖因子の1つである。一定のFGFは、皮膚外傷後の皮膚細胞において高度に過剰調節される。FGF受容体に対するアゴニスト活性のため、前記発明の化合物は、健常または糖尿病患者における瘢痕形成の処置に選択される療法である。
【0336】
バイオ人工膵臓移植は、一定のタイプの糖尿病の処置にとって非常に有望な技術である。バイオ人工膵臓における血管形成は、FGF2を有するマイクロスフェアを該膵臓に含浸させたときのほうがはるかに多いことが、糖尿病ラットにおいて立証されている(Sakurai,Tomonori,Satake,Akira,Sumi,Shoichiro,Inoue,Kazutomo,Nagata,Natsuki,Tabata,Yasuhiko.The Efficient Prevascularization Induced by Fibroblast Growth Factor 2 With a Collagen−Coated Device Improves the Cell Survival of a Bioartificial Pancreas.Pancreas.28(3):e70−e79,April 2004)。この血管再生は、例えば、埋め込まれたバイオ人工膵臓の生存、および結果としてこの移植片の生存を向上させる。FGF受容体に対するアゴニスト活性のために、前記発明の化合物は、糖尿病の際のバイオ人工膵臓移植片の生存を向上させる際に、ならびにより一般的には、移植片の血管再生を向上させる際に、および結果として、該移植片の生存を向上させる際に選択される療法である。
【0337】
色素性網膜炎は、光受容体の変性および網膜血管の閉鎖を特徴とする、網膜の進行性変性を伴う病態である。Lahdenrantaら(An anti−angiogenic state in mice and humans with retinal photoreceptor cell degeneration.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98,10368−73,2001)は、血管新生増殖因子が光受容体生存因子としておよび内皮細胞調節因子として同時に機能することにより、網膜の神経協調および関連血管形成を調節することを提唱している。このことに関連して、FGF2の硝子体内注射は、網膜生存および網膜血管新生に対して作用することにより光受容体の変性を遅らせる(Faktorovich,E.G.,Steinberg,R.H.,Yasumura,D.,Matthes,M.T.& LaVail,M.M.Basic fibroblast growth factor and local injury protect photoreceptors from light damage in the rat.J.Neurosci.12,3554−67,1992)。これらの観察は、網膜変性の、特に色素性網膜炎の療法としての、本発明に記載の化合物の重要性を明示している。
【0338】
変形性関節症の分野では、破壊された関節軟骨の修復について多くの研究が行われている。このことに関連して、軟骨細胞の増殖および分化はインビトロでFGF2により刺激されることが報告されている(Kato Y,Gospodarowicz D.Sulfated proteoglycan synthesis by confluent cultures of rabbit costal chondrocytes grown in the presence of fibroblast growth factor.J.Cell.Biol.1985 Feb.;100(2):477−85)。さらに、Cuevasらは、FGF2がインビボで軟骨修復を誘導することを示した(Cuevas P,Burgos J,Baird A.Basic fibroblast growth factor(FGF)promotes cartilage repair in vivo.Biochem.Biophys.Res.Commun.1998 Oct.31;156(2):611−8)。Takafujiらは、FGF2インプラントが、変形性関節症に罹患しているウサギの顎関節軟骨を有意に改善することも示した(Takafuji H,Suzuki T,Okubo Y,Fujimura K,Bessho K Regeneration of articular cartilage defects in the temporomandibular joint of rabbits by fibroblast growth factor−2:a pilot study.Int.J.Oral Maxillofac.Surg.2007 Oct.;36(10):934−7)。これらの観察は、変形性関節症の処置および軟骨修復の際の療法としての、本発明に記載の化合物の重要性を明示している。
【0339】
骨修復の分野において、絶対に必要なことの1つは、骨形成を刺激する作用因子を発見することである。主な増殖因子の中で、FGF2の全身投与が骨修復を助長することは実証されている(Acceleration of fracture healing in nonhuman primates by fibroblast growth factor−2.Kawaguchi H,Nakamura K,Tabata Y,Ikada Y,Aoyama I,Anzai J,Nakamura T,Hiyama Y,Tamura M.J.Clin.Endocrinol.Metab.2001 Feb.;86(2),875−880)。ゼラチンマトリックス中のFGF2の局所投与は、霊長類において骨修復を加速し、このことは骨折の処置におけるFGF2の臨床的有用性を示唆している。FGF受容体に対するアゴニスト特性のために、前記発明の化合物は、骨修復の際に選択される処置である。
【0340】
子癇前症は、血管形成不全に関連した胎盤の病態である(Sherer,D.M.& Abulafia,O.Angiogenesis during implantation,and placental and early embryonic development.Placenta 22,1−13,2001)。これらの血管形成不全は、血管新生不全に起因すると考えられ、胎盤の破壊をもたらし、この結果、胎児が死亡することがある。本発明の化合物は、子癇前症の胎盤における血管新生不全を克服するために選択される処置であり得る。
【0341】
血管新生誘導効果に加えて、VEGFまたはFGF2などの増殖因子は、内因性および外因性アポトーシス誘導因子から内皮細胞を保護する。内因性シグナリング経路は、剥奪またはDNA損傷などのストレスに応答してミトコンドリアにより活性化され、これに対して外因性シグナリング経路は、TNF−αまたはFasなどのアポトーシス促進因子の結合により誘導される。VEGFおよびFGF2が内皮細胞生存の2つの要因であることは、今では明瞭に説明されている(Role of Raf in Vascular Protection from Distinct Apoptotic Stimuli:A Alavi,J.D.Hood,R.Frausto,D.G.Stupack,D.A.Cheresh:Science 4 July 2003:Vol.301.No.5629,pp.94−96)。急性呼吸切迫症候群(ARDS)は、心血管の問題および神経精神学的な問題を特徴とする。心血管の問題に関連して、患者は、大きな血管病変および特に内皮細胞のアポトーシスの高い誘導を示す。最近、Hamacherらは、ARDSに罹患している患者の気管支肺胞洗浄液が肺微小血管内皮細胞に対してアポトーシス促進活性を示すことを立証した(Tumor necrosis factor−alpha and angiostatin are mediators of endothelial cytotoxicity in bronchoalveolar lavages of patients with acute respiratory distress syndrome.Am.J.Respir.Crit.Care Med.2002 Sep.1;166(5):651−6:Hamacher J.,Lucas R.,Lijnen H.R.,Buschke S.,Dunant Y.,Wendel A.,Grau G.E.,Suter P.M.,Ricou B.)。内皮細胞生存に対する活性のために、本発明の生成物は、血管病変に罹患している患者、および特にARDSに罹患している患者の血管改善の際に選択される処置であり得る。
【0342】
FGF7(またはKGF)およびFGF18の内因性過剰調節は、病気の場合のまたは腫瘍処置後の毛包の増殖、移動および保護を促進する重要なメカニズムであるようである(Comprehensive Analysis of FGF and FGFR Expression in Skin:FGF18 Is Highly Expressed in Hair Follicles and Capable of Inducing Anagen from Telogen Stage Hair Follicles.Mitsuko Kawano,Akiko Komi−Kuramochi,Masahiro Asada,Masashi Suzuki,Junko Oki,Ju Jiang and Toru Imamura)。FGF受容体に対するアゴニスト活性のために、前記発明の化合物は、毛包の修復および保護にならびに発毛の保護および調節に選択される処置であり得る。
【0343】
本発明のもう1つの態様によると、本発明は、本発明による化合物または化合物10を活性成分として含む医薬組成物に関する。これらの医薬組成物は、本発明による少なくとも1つの化合物もしくは化合物10、または前記化合物の医薬的に許容される塩の有効用量を含有すると共に、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤も含有する。前記賦形剤は、剤型および所望される投与方式に従って、当業者に周知の通常の賦形剤から選択される。
【0344】
従って、本発明の1つの主題は、式(I):
【0345】
【化52】

(式中、
は、−OSO基またはヒドロキシル基を表し、
は、−O−アルキル基、または式(II)の単糖(この式中、Rはアルキル基を表す。)
を表し、
は、式(III)の二糖:
【0346】
【化53】

を表し、この式中、
は、−OSO基またはヒドロキシル基を表し、
は、式(IV)の二糖:
【0347】
【化54】

を表し、この式中、
は、−OSO基またはヒドロキシル基を表し、
は、ヒドロキシル基、または下記の式(V)の単糖、または式(VI)の二糖:
【0348】
【化55】

を表し、この式中、
は、−OSO基またはヒドロキシル基を表し、
は、ヒドロキシル基、または−O−アルキル基、または式(VII)の二糖:
【0349】
【化56】

を表し、
この式中、R10は、−O−アルキル基を表し、
但し、Rが、上で規定したとおりの式(II)の単糖を表すときには、Rは、ヒドロキシル基または−O−アルキル基を表すこと、Rが、−O−アルキル基を表すときには、Rは、上で規定したとおりの式(VI)の二糖を表すこと、ならびにR、R、RおよびRは、同時にヒドロキシル基を表さないことを条件とする。)
の少なくとも1つの化合物または該化合物の医薬的に許容される塩を活性成分として含むと共に、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤も含む、医薬組成物である。
【0350】
この種の化合物は、上で規定した式(I)/(I’)のもの、ならびに特許出願US2006/0079483A1に記載されている、上で規定した七糖10を包含する。
【0351】
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、局部、局所、気管内、鼻腔内、経皮または直腸内投与のための本発明の医薬組成物で、上記活性成分または該活性成分の塩を、標準的な製薬用賦形剤との混合物として、単位投与形態で、上記障害または疾患の予防または処置のために、ヒトおよび動物に投与することができる。
【0352】
適切な単位投与形態としては、経口形態、例えば錠剤、軟または硬ゲルカプセル、粉末、顆粒および経口溶液または懸濁液、舌下、頬側、気管内、眼内、鼻腔内または吸入投与形態、局部、経皮、皮下、筋肉内または静脈内投与形態、直腸内投与形態およびインプラントが挙げられる。局部投与については、本発明による化合物をクリーム、ゲル、軟膏またはローションで使用することができる。
【0353】
注射用投与形態は特に有利であり、塩化ナトリウムが存在する状態で注射用蒸留水に溶解した活性化合物を従来含む。活性化合物の単位用量は、所望の治療効果に適したものであるべきであり、例えば、活性成分0.1mgと100mgの間であり得る。
【0354】
本発明のもう1つの態様によると、本発明は、上に示した病態を処置するための、本発明による化合物もしくは化合物10、またはこれらの化合物の医薬的に許容される塩の使用にも関する。
【0355】
従って、本発明の1つの主題は、上に示した病態を処置するための、式(I):
(式中、
は、−OSO基またはヒドロキシル基を表し、
は、−O−アルキル基、または式(II)の単糖:
【0356】
【化57】

(式中、Rはアルキル基を表す。)
を表し、
は、式(III)の二糖:
【0357】
【化58】

を表し、この式中、
は、−OSO基またはヒドロキシル基を表し、および
は、式(IV)の二糖:
【0358】
【化59】

を表し、この式中、
は、−OSO基またはヒドロキシル基を表し、
は、ヒドロキシル基、または下記の式(V)の単糖、または式(VI)の二糖:
【0359】
【化60】

を表し、この式中、
は、−OSO基またはヒドロキシル基を表し、
は、ヒドロキシル基、または−O−アルキル基、または式(VII)の二糖:
【0360】
【化61】

を表し、この式中、R10は、−O−アルキル基を表し、
但し、Rが、上で規定したとおりの式(II)の単糖を表すときには、Rは、ヒドロキシル基または−O−アルキル基を表すこと、Rが、−O−アルキル基を表すときには、Rは、上で規定したとおりの式(VI)の二糖を表すこと、ならびにR、R、RおよびRは、同時にヒドロキシル基を表さないことを条件とする。)
の化合物、
または該化合物の医薬的に許容される塩
である。
【0361】
この種の化合物は、上で規定した式(I)/(I’)のもの、ならびに特許出願US2006/0079483A1に記載されている、上で規定した七糖10を包含する。
【0362】
本発明のもう1つの態様によると、本発明は、上に示した病態を処置するための方法にも関し、この方法は、本発明による化合物もしくは化合物10、またはこれらの化合物の医薬的に許容される塩の有効用量の患者への投与を含む。
【0363】
本発明による薬物、医薬組成物および処置方法は、上で規定した化合物のサブグループのいずれかに関することもある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
は、−OSO基またはヒドロキシル基を表し、
は、−O−アルキル基、または式(II)の単糖:
【化2】

(式中、Rはアルキル基を表す。)
のいずれかを表し、
は、式(III)の二糖:
【化3】

を表し、この式中、
は、−OSO基またはヒドロキシル基を表し、
は、式(IV)の二糖:
【化4】

を表し、この式中、
は、−OSO基またはヒドロキシル基を表し、
は、ヒドロキシル基、または式(VI)の二糖:
【化5】

のいずれかを表し、この式中、
は、−OSO基またはヒドロキシル基を表し、
は、ヒドロキシル基、または−O−アルキル基、または式(VII)の二糖:
【化6】

のいずれかを表し、この式中、R10は、−O−アルキル基を表し、
但し、Rが、上で規定したとおりの式(II)の単糖を表すときには、Rは、ヒドロキシル基または−O−アルキル基を表すこと、Rが、−O−アルキル基を表すときには、Rは、上で規定したとおりの式(VI)の二糖を表すこと、ならびにR、R、RおよびRは、同時にヒドロキシル基を表さないことを条件とする。)
に対応する、酸形態でのまたは任意の医薬的に許容される塩の形態での、オリゴ糖化合物。
【請求項2】
が、式(II)の単糖を表し、およびRが、ヒドロキシル基を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
下記の式(I−1):
【化7】

(式中、Rは、ヒドロキシル基を表し、ならびにR、R、RおよびRは、請求項1において規定したとおりである。)
に対応する、酸形態でのまたは任意の医薬的に許容される塩の形態での、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、−O−アルキル基を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
下記の式(I−2):
【化8】

(式中、Rは、−O−アルキル基を表し、ならびにR、R、R、RおよびRは、請求項1において規定したとおりである。)
に対応する、酸形態でのまたは任意の医薬的に許容される塩の形態での、請求項1または請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が、−O−アルキル基を表し、および
が、請求項1において規定したとおりの式(VI)の二糖を表し、この式中のRが、請求項1において規定したとおりの式(VII)の二糖を表す、
請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
下記の式(I−3):
【化9】

(式中、RおよびRは、請求項6において規定したとおりであり、ならびにR、R、R、RおよびR10は、請求項1において規定したとおりである。)
に対応する、酸形態でのまたは任意の医薬的に許容される塩の形態での、請求項1または請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
が、−O−アルキル基を表し、および
が、請求項1において規定したとおりの式(VI)の二糖を表し、この式中のRが、ヒドロキシル基または−O−アルキル基のいずれかを表す、
請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
下記の式(I−2):
【化10】

(式中、R、R、RおよびRは、請求項1において規定したとおりであり、Rは、−O−アルキル基を表し、ならびにRは、ヒドロキシル基または−O−アルキル基のいずれかを表す。)
に対応する、酸形態でのまたは任意の医薬的に許容される塩の形態での、請求項1または請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
が、−O−アルキル基を表す、請求項8または請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
式(I’):
【化11】

(式中、R、R、R、RおよびRは、請求項1から9のいずれか一項において規定したとおりである。)
に対応することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
以下の化合物:
メチル(ナトリウム4−O−プロピル−2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシル−ウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル−(1→4)]−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシド(No.1)、
メチル(ナトリウム4−O−プロピル−2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル−(1→4)]−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシド(No.2)、
ナトリウム[メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシド]−ウロナート(No.3)、
メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシド(No.4)、
メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシド(No.5)、
メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシド(No.6)、
メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシド(No.7)、
メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)−[(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)]−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−(スルホナト)アミノ−α−D−グルコピラノシド(No.8)、および
メチル(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナト)アミノ−α−D−グルコピラノシル)−[(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−(2−デオキシ−6−O−ナトリウムスルホナト−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシル)]−(1→4)−(ナトリウム2−O−ナトリウムスルホナト−α−L−イドピラノシルウロナート)−(1→4)−2−デオキシ−2−ナトリウム(スルホナトアミノ)−α−D−グルコピラノシド(No.9)
から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
薬物であって、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物において、Rが、ヒドロキシル基、または下記の式(V)の単糖、または下記の式(IV)の二糖:
【化12】

(式中、RおよびRは、請求項1から10のいずれか一項において規定したとおりである。)
のいずれかを表す化合物、またはこの化合物の医薬的に許容される塩を含むことを特徴とする、薬物。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物またはこの化合物の医薬的に許容される塩を含むことを特徴とする、請求項13に記載の薬物。
【請求項15】
化合物10:
【化13】

またはこの化合物の医薬的に許容される塩を含むことを特徴とする、請求項13に記載の薬物。
【請求項16】
医薬組成物であって、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物において、Rが、ヒドロキシル基、または下記の式(V)の単糖、または下記の式(IV)の二糖:
【化14】

(式中、RおよびRは、請求項1から10のいずれか一項において規定したとおりである。)
のいずれかを表す化合物、またはこの化合物の医薬的に許容される塩を含むと共に、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤も含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項17】
請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物、またはこの化合物の医薬的に許容される塩を含むと共に、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤も含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項18】
化合物10:
【化15】

またはこの化合物の医薬的に許容される塩を含むと共に、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤も含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項19】
FGF受容体の活性化を必要とする病態の処置の際に使用するための、Rが、ヒドロキシル基、または下記の式(V)の単糖、または式(VI)の二糖:
【化16】

(式中、RおよびRは、請求項1から10のいずれか一項において規定したとおりである。)
のいずれかを表す、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
FGF受容体の活性化を必要とする病態の処置の際に使用するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物またはこの化合物の医薬的に許容される塩。
【請求項21】
FGF受容体の活性化を必要とする病態の処置の際に使用するための、化合物10:
【化17】

またはこの化合物の医薬的に許容される塩。
【請求項22】
血管新生活性化および虚血後血管再生を必要とする病態の処置の際に使用するための、請求項19から21のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
虚血、例えば心虚血および下肢動脈虚血の処置、動脈の狭窄もしくは閉塞に関連したまたは動脈炎(arterites)に関連した疾患の処置、狭心症の処置、閉塞性血栓血管炎の処置、アテローム性動脈硬化症の処置、血管形成術または動脈内膜除去術後の再狭窄抑制処置、瘢痕形成の処置、筋肉再生処置、筋芽細胞生存のための処置、末梢神経疾患の処置、術後神経損傷の処置、神経欠損、例えばパーキンソン病、アルツハイマー病、プリオン病およびアルコール性神経変性の処置、認知症の処置、糖尿病の場合のバイオ人工膵臓移植片の生存を増進させるための処置、移植片の血管再生および移植片の生存を増進させるための処置、網膜変性の処置、色素性網膜炎の処置、変形性関節症の処置、子癇前症の処置または血管病変のおよび急性呼吸切迫症候群の処置、軟骨を修復するための処置、骨を修復および保護するための処置、毛包を修復および保護するためのならびに発毛を保護および調節するための処置の際に使用するための、請求項19から22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
式20A:
【化18】

(式中、Pg、Pg’およびPg’’は、同一であるまたは異なっていてよい、保護基を表す。)
の化合物。
【請求項25】
Pg、Pg’およびPg’’が、それぞれ、ベンジル、アリルおよびアセチル基を表す、請求項24に記載の化合物。

【公表番号】特表2013−501838(P2013−501838A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524264(P2012−524264)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051702
【国際公開番号】WO2011/018587
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(504456798)サノフイ (433)
【Fターム(参考)】