説明

FPC基板コネクタユニット

【課題】FPC基板をFPCコネクタに良好に装着することが可能なFPC基板コネクタユニットを提供する。
【解決手段】FPCコネクタ1は、端子3とこれを収納するハウジング2とを備えている。ハウジング2は、下板部11と一対の側壁12と挿入口10M及び挿入空間部10Sと上部開口部13Hとを備えたハウジング本体10と、ハウジング本体10に回動自在に取り付けられ、上部開口部13Hを開閉自在な板状のカバー部材20とを備えている。カバー部材20には、下板部11に対して垂直方向に立った状態において下板部11と対向する側面20Sに、FPC基板5の挿入時に一時的にFPC基板5と係合し、FPC基板5の装着完了後にFPC基板5との係合が外れる少なくとも1つの係合凸部22が突設されており、FPC基板5に、係合凸部22が入り込む少なくとも1つの係合穴部51Hが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPC(Flexible Printed Circuit)基板とFPCコネクタとのFPC基板コネクタユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図面を参照して、従来のFPC基板コネクタユニットの構成、及びFPC基板のFPCコネクタへの装着方法について、説明する。
図12は従来のFPCコネクタユニットのFPC基板の装着前かつFPCコネクタ開状態の斜視図である。
図13は従来のFPCコネクタユニットのFPC基板の装着後かつFPCコネクタ開状態の斜視図である。
図14は従来のFPCコネクタユニットにおけるFPC基板の装着不良を示す斜視図である。
図15は従来のFPCコネクタのカバー部材の斜視図である。
図16は従来のFPC基板を表面側から見た斜視図である。
図17は従来のFPC基板を裏面側から見た斜視図である。
【0003】
従来のFPC基板コネクタユニットU2は、FPC基板105とFPCコネクタ101とのユニットである。
【0004】
FPCコネクタ101は、FPC基板105と導電接続される複数の端子103と、複数の端子103が収容されたハウジング102とを備えている。複数の端子103はそれぞれ、下アーム部131Aと上アーム部131Bとを備えている。
【0005】
ハウジング102は、ハウジング本体110とカバー部材120とから構成されている。
ハウジング本体110は、FPCコネクタ101に装着されたFPC基板105と対向する下板部111と、下板部111のFPC基板105の挿入方向に平行な両端部に上方に向けて突設された一対の側壁112と、FPC基板105が挿入される挿入口110M及び挿入空間部110Sと、FPCコネクタ101に装着されたFPC基板105と対向する上部開口部113Hとを備えた上板部113とを備えている。
ハウジング本体110のFPC基板105が装着される側と反対側には、実装基板(図示せず)等との導電接続用の少なくとも1つの外部接続端子140が設けられている。
【0006】
カバー部材120は、ハウジング本体110の一対の側壁112に取り付けられており、この取付部分を軸として回動自在とされ、ハウジング本体110の上部開口部113Hを開閉自在な板状の部材である。カバー部材120のハウジング本体110への取付部分には、回動軸となる一対の突起124が設けられている。
【0007】
FPC基板105は、FPCコネクタ101に対して先に挿入される先端側に他の部分(主部)152より相対的に幅太な幅太部151を備えている。
ハウジング本体110の下板部111の両端部の挿入口110M側に、FPC基板105の幅太部151が係止される一対の係止壁114が突設されている。
【0008】
図16及び図17において、FPC基板105の表面に符号105a、裏面に符号105bを付してある。
FPC基板105の裏面105bには、FPCコネクタ101の複数の端子103が接続される複数の導電部151P(電極パターン)が設けられている。
FPCコネクタ101のカバー部材120には、複数の端子103が係合する複数の端子係合部123が設けられている。
【0009】
従来のFPC基板コネクタユニットU2は、以上のように構成されている。
以下、図12〜図14を参照して、FPC基板105のFPCコネクタ101への装着方法について、説明する。
【0010】
まず図12に示すように、カバー部材120を開状態としたFPCコネクタ101の挿入口110MからFPC基板105を挿入する。このとき、FPCコネクタ101のFPC基板105の挿入側には、FPC基板105の幅太部151が係止される一対の係止壁114が突設されているので、一対の係止壁114の上方から下板部111とカバー部材120との間の挿入空間部110Sに対して、FPC基板105を斜めに挿入する。
【0011】
FPC基板105の挿入が奥までスムーズに行われると、図13に示すように、FPC基板105の幅太部151がFPCコネクタ101の一対の係止壁114に係止される。その後、カバー部材120を閉じることで、FPC基板105の装着が完了する。
しかしながら、FPC基板105の上記斜め挿入においては、図14に示すように、一対の係止壁114が邪魔となって、FPC基板105の挿入が奥までスムーズに行かず、一対の係止壁114上にFPC基板105が乗り上がり、それ以上奥に挿入できなくなる場合がある。かかる状態では、FPC基板105とFPCコネクタ101との導電接続ができず、カバー部材120も良好に閉まらない。
【0012】
以下の公知文献の説明では、部材の用語を適宜本願発明で使用している用語に統一してある。
特許文献1には、複数の端子(5)がハウジング(3)の下板部(32)に配列され、ハウジング(3)に、下板部(32)の両側に設けられた一対の案内片(4A、4B)と天板部(4C)とを有するカバー部材(4)が回転結合されたFPCコネクタ(1)が開示されている(請求項1、図1)。
特許文献1のFPCコネクタ(1)において、カバー部材(4)の一対の案内片(4A、4B)の内壁間の間隔はFPC基板(2)の幅より僅かに大きく、FPC基板(2)をハウジング(3)に挿入する過程では、FPC基板(2)は一対の案内片(4A、4B)の内壁に規制されてFPC基板(2)と端子(5)とが位置合わせされるようになっている。
特許文献1では、FPC基板(2)の先端部に幅太部がなく、FPCコネクタ(1)の手前にFPC基板(2)を係止する係止壁がない。
【0013】
特許文献1には、「カバー部材(4)を閉じる過程では、カバー部材(4)における回転軸側の終縁(E)がFPC基板(2)に当接して、端子(5)側に送り出すように作用し、FPC基板(2)が容易に挿入される。」ことが記載されている(段落0035)。
【0014】
特許文献2には、FPC基板(2)の導電部(2A)と接触する端子が収容されたコネクタ(1)のハウジング(3)に係合部材(4)を取り付け、この係合部材は、FPCにあけられた孔部(2B)に係合する突起部(4B)を備えたプレート部(4A)と、このプレート部の両端から延びハウジングの両側に回動可能に取り付けられた一対のアーム部(4C)とを備え、係合部材を開いた状態でプレート部とハウジング上面(3A)とが接触ないしは近接してハウジングに設けられたストッパ(6)でこの係合部材の閉じる方向への回動を阻止し、係合部材のプレート部をハウジングのFPCの挿入口(3C)を塞ぐ方向すなわち閉じる方向へ回動させてストッパを乗り越えさせ、プレート部の突起部をFPCの孔部に係合したコネクタの接続構造が開示されている(請求項1、図1、及び図4)
特許文献2では、FPC基板(2)の先端部に幅太部がなく、FPCコネクタ(1)の手前にFPC基板(2)を係止する係止壁がない。
【0015】
特許文献3には、複数の端子(4)を有するハウジング(2)とFPC基板(1)を装填抜去するためのスライダ(3)とを備え、スライダ(3)に端子(4)の接点(4a)が収容される接点収納壁(3b)と、FPC基板(1)が装着された際に接点収納壁(3b)から接点(4a)を突出させてFPC基板(1)に当接させるための開口部(3a)とが設けられたFPCコネクタが開示されている(請求項2、図1、及び図2)。
特許文献3ではFPC基板(1)に幅太部(1a)が設けられている(図3)が、FPCコネクタの手前にFPC基板(1)の幅太部(1a)を係止する係止壁がない。特許文献3ではまた、回動自在なカバー部材は設けられておらず、その代わりに、FPC基板(1)の挿入方向にスライド可能なスライダ(3)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2004-193080号公報
【特許文献2】特開2006-147294号公報
【特許文献3】特開平10-255926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
FPCコネクタの手前にFPC基板を係止する係止壁がない特許文献1−2、及び、FPCコネクタの手前にFPC基板を係止する係止壁がなく、回動自在なカバー部材の代わりにFPC基板の挿入方向にスライド可能なスライダが設けられた特許文献3では、FPC基板を斜めに挿入する必要がなく、FPC基板をハウジングの下板部に対して平行に挿入することができる。したがって、FPC基板がFPCコネクタの係止壁に乗り上げて、導電接続不良及びカバー部材の閉不良が生じる上記問題は生じない。
しかしながら、特許文献1〜3では、FPCコネクタの手前にFPC基板を係止する係止壁がないので、FPC基板がFPCコネクタに良好に係止されず、FPCコネクタに挿入されたFPC基板が外れやすい。
【0018】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、FPCコネクタの挿入口側に、FPC基板が係止される係止壁が突設された構造においても、FPC基板をFPCコネクタに良好に装着することが可能なFPC基板コネクタユニットを提供することを目的とするものである。
本発明は、FPCコネクタの挿入口側に、FPC基板が係止される係止壁が突設された構造に有効であるが、任意の構造のFPC基板コネクタユニットに適用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明のFPC基板コネクタユニットは、
FPC(Flexible Printed Circuit)基板と、当該FPC基板が接続されるFPCコネクタとのFPC基板コネクタユニットであって、
前記FPCコネクタは、前記FPC基板と導電接続される少なくとも1つの端子と、当該少なくとも1つの端子が収容されたハウジングとを備えたものであり、
前記ハウジングは、
前記FPCコネクタに装着された前記FPC基板と対向する下板部と、当該下板部の前記FPC基板の挿入方向に平行な両端部に上方に向けて突設された一対の側壁と、前記FPC基板が挿入される挿入口及び挿入空間部と、前記FPCコネクタに装着された前記FPC基板と対向する上部開口部とを備えたハウジング本体と、
前記ハウジング本体の前記一対の側壁に取り付けられ、かつ、当該取付部分を軸として回動自在とされ、前記上部開口部を開閉自在な板状のカバー部材とを備えたものであり、
前記カバー部材には、当該カバー部材が前記下板部に対して垂直方向に立った状態において前記下板部と対向する側面に、前記FPC基板の挿入時に一時的に前記FPC基板と係合し、前記FPC基板の装着完了後に前記FPC基板との係合が外れる少なくとも1つの係合凸部が突設されており、
前記FPC基板に、前記少なくとも1つの係合凸部が入り込む少なくとも1つの係合穴部が形成されたものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、FPCコネクタの挿入口側に、FPC基板が係止される係止壁が突設された構造においても、FPC基板をFPCコネクタに良好に装着することが可能なFPC基板コネクタユニットを提供することができる。
本発明は、FPCコネクタの挿入口側に、FPC基板が係止される係止壁が突設された構造に有効であるが、任意の構造のFPC基板コネクタユニットに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一実施形態のFPCコネクタの開状態の斜視図である。
【図2】一実施形態のFPCコネクタのカバー部材の斜視図である。
【図3】一実施形態のFPCコネクタのハウジング本体の斜視図である。
【図4】一実施形態のFPC基板を表面側から見た斜視図である。
【図5】一実施形態のFPC基板を裏面側から見た斜視図である。
【図6】FPC基板のFPCコネクタへの装着方法を示す工程図である。
【図7】FPC基板のFPCコネクタへの装着方法を示す工程図である。
【図8】FPC基板のFPCコネクタへの装着方法を示す工程図である。
【図9】FPC基板のFPCコネクタへの装着方法を示す工程図である。
【図10】FPC基板のFPCコネクタへの装着方法を示す工程図である。
【図11】図10のA−A'断面図である。
【図12】従来のFPCコネクタユニットのFPC基板の装着前かつFPCコネクタ開状態の斜視図である。
【図13】従来のFPCコネクタユニットのFPC基板の装着後かつFPCコネクタ開状態の斜視図である。
【図14】従来のFPCコネクタユニットにおけるFPC基板の装着不良を示す斜視図である。
【図15】従来のFPCコネクタのカバー部材の斜視図である。
【図16】従来のFPC基板を表面側から見た斜視図である。
【図17】従来のFPC基板を裏面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面を参照して、本発明に係る一実施形態のFPC(Flexible Printed Circuit)基板コネクタユニットの構成、及びFPC基板のFPCコネクタへの装着方法について、説明する。
図1は本実施形態のFPCコネクタの開状態の斜視図である。
図2は本実施形態のFPCコネクタのカバー部材の斜視図である。
図3は本実施形態のFPCコネクタのハウジング本体の斜視図である。
図4は本実施形態のFPC基板を表面側から見た斜視図である。
図5は本実施形態のFPC基板を裏面側から見た斜視図である。
図6〜図10はFPC基板のFPCコネクタへの装着方法を示す工程図である。
図11は図10のA−A'断面図(ハッチング省略)である。
視認しやすくするため、図面上は各構成要素の図示を実際のものとは適宜異ならせて、簡略化してある。
【0023】
図6及び図10に示すように、本実施形態のFPC基板コネクタユニットU1は、FPC基板5とFPCコネクタ1とのユニットである。図6はFPC基板5の装着前の状態、図10はFPC基板5の装着後の状態を示している。
【0024】
図1に示すように、FPCコネクタ1は、FPC基板5と導電接続される少なくとも1つの端子3と、少なくとも1つの端子3が収容されたハウジング2とを備えている。
本実施形態では、FPCコネクタ1に複数の端子3が設けられている。
複数の端子3はそれぞれ、後記するFPC基板5の裏面5bに設けられた導電部51P(図5を参照)と導電接触する下アーム部31Aと、後記するカバー部材20に形成された端子係合部23(図15を参照)と係合する上アーム部31Bとを備えた断面視略J字状の部材である。
複数の端子3は弾性材料からなり、ハウジング2に圧入されている。
【0025】
ハウジング2は、ハウジング本体10とカバー部材20とから構成されている。
ハウジング本体10は、FPCコネクタ1に装着されたFPC基板5と対向する下板部11と、下板部11のFPC基板5の挿入方向に平行な両端部に上方に向けて突設された一対の側壁12と、FPC基板5が挿入される挿入口10M及び挿入空間部10Sと、FPCコネクタ1に装着されたFPC基板5と対向する上部開口部13Hとを備えた上板部13とを備えている。
ハウジング本体10のFPC基板5が装着される側と反対側には、実装基板(図示せず)等との導電接続用の少なくとも1つの外部接続端子40が設けられている。外部接続端子40の数及び形状等は適宜設計変更可能である。
本実施形態において、外部接続端子40は、半田付け等により外部と導電接続される端子である。
【0026】
カバー部材20は、ハウジング本体10の一対の側壁12に取り付けられており、この取付部分を軸として回動自在とされ、ハウジング本体10の上部開口部13Hを開閉自在な板状の部材である。
図2に示すように、カバー部材20のハウジング本体10への取付部分には、回動軸となる一対の突起24が設けられている。
図3に示すように、ハウジング本体10の一対の側壁12には、カバー部材20の一対の突起24を受ける一対の軸受け穴12Hが設けられている。
【0027】
図2に示すように、カバー部材20には、カバー部材20がハウジング本体10の下板部11に対して垂直方向に立った状態において下板部11と対向する側面20Sに、FPC基板5の挿入時に一時的にFPC基板5と係合し、FPC基板5の装着完了後にFPC基板5との係合が外れる少なくとも1つの係合凸部22が突設されている。本実施形態では、カバー部材20の両端部に一対の係合凸部22が設けられている。係合凸部22の数は少なくとも1つであればよく、その位置も適宜設計できる。
図示する例では、係合凸部22は円柱状であるが、その形状は任意である。
【0028】
図3に示すように、ハウジング本体10には、上板部13に、FPC基板5の装着完了後に上記の一対の係合凸部22が入り込む一対の窓部13Wが設けられている。
一対の窓部13Wは一対の係合凸部22より多少大きく設計されており、カバー部材20の閉状態において、装着されたFPC基板5の先端部を外部より視認可能とする。
【0029】
図4に示すように、FPC基板5は、FPCコネクタ1に対して先に挿入される先端側に他の部分(主部)52より相対的に幅太な幅太部51を備えている。
本実施形態において、幅太部51は、主部52より横方向に突出した一対の突出部51Aが形成された部分である。
一対の突出部51Aには、FPCコネクタ1のカバー部材20に設けられた一対の係合凸部22が入り込む一対の係合穴部51Hが開口されている。係合穴部51Hの数及び位置は、係合凸部22の数及び位置に合わせて、設計される。
図示する例では、係合穴部51Hの形状は、FPC基板5のFPCコネクタ1への挿入方向に対して延びた矩形状であるが、その形状は任意である。
図1に示すように、ハウジング本体10の下板部11の両端部の挿入口10M側に、FPC基板5の幅太部51が係止される一対の係止壁14が突設されている。
【0030】
図4及び図5において、FPC基板105の表面に符号5a、裏面に符号5bを付してある。
FPC基板5の裏面5bには、FPCコネクタ1の複数の端子3が接続される複数の導電部51P(電極パターン)が設けられている。導電部51Pの数及び位置は端子3の数及び位置に対応している。
図2に示すように、FPCコネクタ1のカバー部材20には、複数の端子3が係合する複数の端子係合部23が設けられている。端子係合部23は端子3の上アーム部31Bが引っ掛かる柱状の回動可能部材である。
【0031】
本実施形態のFPC基板コネクタユニットU1は、以上のように構成されている。
以下、図6〜図10を参照して、FPC基板5のFPCコネクタ1への装着方法について、説明する。
【0032】
まず図6に示すように、カバー部材20を開状態としたFPCコネクタ1の挿入口10MからFPC基板5を挿入する。このとき、FPCコネクタ1のFPC基板5の挿入側には、FPC基板5の幅太部51が係止される一対の係止壁14が突設されているので、一対の係止壁14の上方から下板部11とカバー部材20との間の挿入空間部10Sに対して、FPC基板5を斜めに挿入する。
【0033】
FPC基板5の挿入が奥までスムーズに行われると、図7に示すように、FPC基板5の幅太部51がFPCコネクタ1の一対の係止壁14に係止される。その後、図10に示すように、カバー部材20を閉じることで、FPC基板5の装着が完了する。
【0034】
FPC基板5の上記斜め挿入においては、図8に示すように、一対の係止壁14が邪魔となって、FPC基板5の挿入が奥までスムーズに行かず、一対の係止壁14上にFPC基板5が乗り上がり、それ以上奥に挿入できなくなる場合がある。
【0035】
FPC基板5の挿入が奥までスムーズに行われた場合も、一対の係止壁14上にFPC基板5が乗り上がってしまった場合も、ハウジング2のカバー部材20を閉じる操作を実施する。
一対の係止壁14上にFPC基板5が乗り上がってしまった状態で、ハウジング2のカバー部材20を閉じる操作を実施すると、図9に示すように、FPCコネクタ1のカバー部材20に設けられた一対の係合凸部22がFPC基板5に設けられた一対の係合穴部51Hに入り、カバー部材20の閉動に合わせて、FPC基板5がFPCコネクタ1の奥に向けて引っ張られる。その結果、図10に示すように、カバー部材20が閉状態となった時点には、FPC基板5がFPCコネクタ1に正規の位置に良好に装着された状態となる。
この状態では、図11に示すように、FPC基板5の複数の導電部51PとFPCコネクタ1の複数の端子3の下アーム部31Aとが良好に圧接触した状態となる。
【0036】
図10に示すように、FPC基板5の装着完了後、FPCコネクタ1の一対の係合凸部22は、ハウジング2の上板部13に設けられた一対の窓部13Wに入り込む。
本実施形態では、一対の窓部13Wは一対の係合凸部22よりも多少大きく設計されているので、一対の窓部13Wを通して、装着されたFPC基板5の先端部を外部より視認することができ、FPC基板5の装着状態を外部から確認することが可能である。
【0037】
以上説明したように、本実施形態では、カバー部材20に、FPC基板5の挿入時に一時的にFPC基板5と係合し、FPC基板5の装着完了後にFPC基板5との係合が外れる複数の係合凸部22を突設し、FPC基板5に、複数のFPC係合凸部22が入り込む複数の係合穴部51Hを設ける構成としている。
かかる構成とすることで、仮に図8に示したように、FPC基板5の挿入時にハウジング2の一対の係止壁14上にFPC基板5が乗り上がってしまった場合も、ハウジング2のカバー部材20を閉じる操作を実施することで、FPC基板5の挿入を続行し、良好な位置に装着することが可能である。
本実施形態によれば、FPCコネクタ1の挿入口10M側に、FPC基板5の幅太部51が係止される係止壁14が突設された構造においても、FPC基板5をFPCコネクタ1に良好に装着することが可能なFPC基板コネクタユニットU1を提供することができる。
【0038】
本実施形態は、FPCコネクタの挿入口側に、FPC基板が係止される係止壁が突設された構造に有効であるが、任意の構造のFPC基板コネクタユニットに適用可能である。
【0039】
(設計変更)
本発明は上記実施形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適宜設計変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、携帯電話、デジタルカメラ、及びパーソナルコンピュ−タ等の電子機器に用いられるFPC基板コネクタユニットに適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
U1 基板コネクタユニット
1 FPCコネクタ
2 ハウジング
3 端子
5 FPC基板
5a FPC基板の表面
5b FPC基板の裏面
10 ハウジング本体
10M 挿入口
10S 挿入空間部
11 下板部
12 側壁
12H 軸受け穴
13 上板部
13H 上部開口部
13W 窓部
14 係止壁
20 カバー部材
20S 側面
22 係合凸部
23 端子係合部
24 突起
31A 下アーム部
31B 上アーム部
40 外部接続端子
51 幅太部
51A 突出部
51H 係合穴部
51P 導電部
52 主部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FPC(Flexible Printed Circuit)基板と、当該FPC基板が接続されるFPCコネクタとのFPC基板コネクタユニットであって、
前記FPCコネクタは、前記FPC基板と導電接続される少なくとも1つの端子と、当該少なくとも1つの端子が収容されたハウジングとを備えたものであり、
前記ハウジングは、
前記FPCコネクタに装着された前記FPC基板と対向する下板部と、当該下板部の前記FPC基板の挿入方向に平行な両端部に上方に向けて突設された一対の側壁と、前記FPC基板が挿入される挿入口及び挿入空間部と、前記FPCコネクタに装着された前記FPC基板と対向する上部開口部とを備えたハウジング本体と、
前記ハウジング本体の前記一対の側壁に取り付けられ、かつ、当該取付部分を軸として回動自在とされ、前記上部開口部を開閉自在な板状のカバー部材とを備えたものであり、
前記カバー部材には、当該カバー部材が前記下板部に対して垂直方向に立った状態において前記下板部と対向する側面に、前記FPC基板の挿入時に一時的に前記FPC基板と係合し、前記FPC基板の装着完了後に前記FPC基板との係合が外れる少なくとも1つの係合凸部が突設されており、
前記FPC基板に、前記少なくとも1つの係合凸部が入り込む少なくとも1つの係合穴部が形成されたFPC基板コネクタユニット。
【請求項2】
前記ハウジング本体は、前記上部開口部を有する上板部を備えており、当該上板部に、前記FPC基板の装着完了後に前記少なくとも1つの係合凸部が入り込み、前記カバー部材の閉状態において、装着された前記FPC基板の先端部を外部より視認可能とする窓部が設けられた請求項1に記載のFPC基板コネクタユニット。
【請求項3】
前記FPC基板は、前記FPCコネクタに対して先に挿入される先端側に他の部分より相対的に幅太な幅太部を備えており、
前記ハウジング本体の前記下板部の前記挿入口側に、前記FPC基板の前記幅太部が係止される係止壁が突設された請求項1又は2に記載のFPC基板コネクタユニット。
【請求項4】
前記端子は、前記FPC基板の裏面に形成された導電部と導電接触する下アーム部と、前記カバー部材に形成された端子係合部と係合する上アーム部とを備えた請求項1〜3のいずれかに記載のFPC基板コネクタユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−109037(P2012−109037A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254787(P2010−254787)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】