FPDモジュールの組立装置及び組立方法
【課題】搭載部材が搭載される表示基板によって構成されるFPDモジュールに対して効率的に処理を行うこと。
【解決手段】FPDモジュールを組み立てるFPDモジュール組立ラインにおいて、表示基板1が搬送される第1の方向の搬送ラインに沿って配置される、ACF貼付ユニット、仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300のうち、少なくともいずれかの装置に対して、搬送ラインに交差する方向の処理位置に表示基板1を移動し、配置する移動装置を備える。そして、ACF貼付ユニット、仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300のうち、少なくともいずれかの装置が、移動装置によって処理位置に移動された表示基板1の少なくとも3辺に、少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで所定の処理を行うものである。
【解決手段】FPDモジュールを組み立てるFPDモジュール組立ラインにおいて、表示基板1が搬送される第1の方向の搬送ラインに沿って配置される、ACF貼付ユニット、仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300のうち、少なくともいずれかの装置に対して、搬送ラインに交差する方向の処理位置に表示基板1を移動し、配置する移動装置を備える。そして、ACF貼付ユニット、仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300のうち、少なくともいずれかの装置が、移動装置によって処理位置に移動された表示基板1の少なくとも3辺に、少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで所定の処理を行うものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイ(以下、FPD(Flat Panel Display)と呼ぶ。)を構成するFPDモジュールに電子部品(搭載部材)を実装するFPDモジュールの組立装置及び組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、FPDとしては、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイなどがある。このFPDにおける表示基板の周縁部には、駆動ICの搭載や、COF(Chip on Film)、FPC(Flexible Printed Circuit)などのTAB(Tape Automated Bonding)接続が行われる。また、表示基板の周辺には、例えば、PCB(Printed Circuit Board)などの周辺基板が実装される。その結果、FPDモジュールが組み立てられる。
【0003】
FPDモジュールの組立装置は、複数の工程を順次行うことで、FPDの表示基板における周縁部及び周辺に、駆動IC、COF及びPCBなどの搭載部材を実装し、FPDモジュールを組み立てるライン装置である。
【0004】
ここで、以下の説明で「搭載部材」と称する電子部品は、その詳細形状や部材の厚さの差異などで、TCP(Tape Carrier Package)と呼称されたり、COF(Chip On Film)と呼称されたりする。これらTCPやCOFは、スプロケット穴を有する長尺のポリイミドフィルムに配線を施したFPC(Flexible Printed Circuit)に、ICチップを搭載し、これを切り出して構成されたものであり、実装する上での差異はない。また、パネルの設計によってはICチップなしのFPCのみを実装する場合もある。FPDの実装組立工程においては、これらの部品に実質上の差異はないため、本発明では搭載部材と呼称する。
【0005】
FPDモジュールの組立装置における工程の一例としては、(1)表示基板端部の搭載部材貼付け部を清掃する端子クリーニング工程と、(2)清掃後の表示基板端部に異方性導電フィルム(ACF:AnisotropicConductive Film)を貼付けるACF工程がある。また、(3)表示基板のACFを貼付けた位置に、搭載部材を位置決めして搭載する搭載工程と、(4)搭載部材を加熱圧着してACFにより固定する圧着工程がある。さらに、(5)搭載部材の表示基板側とは反対側に、予めACFを貼付けたPCB基板を貼付け搭載するPCB工程がある。なお、PCB工程は、複数の工程からなっている。
【0006】
ACFは、接合する部材のどちらか一方に予め貼付けられていればよい。例えば、上記ACF工程の別な例では、ACFを搭載部材に予め貼付けるようにしてもよい。また、FPDモジュール組立ラインには、処理する基板の辺の数、処理する搭載部材やICの数などに応じて、様々な処理装置群が必要となる。
【0007】
このような処理装置群による一連の工程を経ることによって、表示基板上の電極と搭載部材に設けた電極との間を熱圧着し、ACF内部の導電性粒子を介して両電極の電気的な接続が行われる。なお、圧着工程を終えると、ACF基材樹脂が硬化するため、両電極の電気的な接続と同時に、表示基板と搭載部材が機械的にも接続される。
【0008】
FPDモジュールの組立装置の工程に用いられる圧着装置については、特許文献1に記載されている。この特許文献1には、仮圧着ステージから供給された表示基板を搬送ベルトの搬送方向から垂直な方向に移動させる際に、表示基板を反時計回りに方向転換した上で、表示基板の2辺に電子回路部品を同時に熱圧着する圧着装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−117704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、FPDモジュール組立ラインには、工程毎に様々な処理を行うための装置群が配置されるため、組立ラインの規模が拡大しやすい。しかし、特許文献1に開示された技術では、表示基板の大きさが大きくなるにつれて、表示基板を回転することによって生じる慣性力によって所定の位置に表示基板を停止させることが困難となり、位置合わせに時間を要してしまう。また、表示基板を回転させると、表示基板の対角線を直径とする円の面積分だけ各処理装置群に空間を設けなければならず、ライン構成が冗長となりやすかった。
【0011】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、搭載部材が搭載される表示基板によって構成されるFPDモジュールに対して効率的に処理を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明は、表示基板にACFを貼付けるACF貼付装置と、表示基板に搭載部材を、ACFを介して仮圧着する仮圧着装置と、仮圧着された搭載部材を表示基板に本圧着する本圧着装置と、を備えるFPDモジュールを組み立てるFPDモジュール組立ラインにおいて以下の処理が行われる。
すなわち、表示基板が第1の方向に搬送される搬送ラインに沿って配置される、ACF貼付装置、仮圧着装置又は本圧着装置のうち、少なくともいずれかの装置に設けられる移動装置によって、搬送ラインに交差する方向の所定の位置に表示基板を移動し、配置する。
そして、ACF貼付装置、仮圧着装置、本圧着装置のうち、少なくともいずれかの装置が、移動装置によって処理位置に移動された表示基板の少なくとも3辺に、少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで所定の処理を行う。
【発明の効果】
【0013】
本発明のFPDモジュールの組立装置によれば、ACF貼付装置、仮圧着装置、本圧着装置のうち、少なくともいずれかの装置に設けられる移動装置を用いて、搬送ラインに交差する方向の所定の位置に表示基板を移動し、配置することによって、処理位置に移動した表示基板の少なくとも3辺に、少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで所定の処理を行うことができる。このため、従来用いられていた表示基板の2辺ずつに対して処理を行うFPDモジュール組立ラインに比べて、FPDモジュールの組立装置の規模を縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のFPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態に係るFPDモジュールの概略構成を示す平面図である。
【図2】本発明のFPDモジュールの組立ラインのフロアレイアウト図である。
【図3】本発明のFPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態に係る仮圧着ユニットを示す平面図である。
【図4】本発明のFPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態に係るACF貼付部の構成概略図である。
【図5】本発明のFPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態に係るACF貼付部の斜視図である。
【図6】本発明のFPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態に係るACF貼付部のカッター刃の制御回路を示すブロック図である。
【図7】図7Aは、本発明のFPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態に係るACF貼付部で行われる搭載部材の撮像における撮像領域を示す説明図、図7Bは、ACF貼付部において行われる搭載部材の画像測定を説明する説明図である。
【図8】本発明のFPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態に係る本圧着ユニットの断面図である。
【図9】本圧着ユニットに係るシート送り機構の傾斜変更部を示す説明図である。
【図10】本圧着ユニットに係るシート送り機構の一部を示す説明図である。
【図11】本発明のFPDモジュールの組立装置に係る保護シートの傾斜角度及び送り量の第1の例を示す説明図である。
【図12】本発明のFPDモジュールの組立装置に係る保護シートの傾斜角度及び送り量の第2の例を示す説明図である。
【図13】本発明のFPDモジュールの組立装置に係る保護シートの傾斜角度及び送り量の第3の例を示す説明図である。
【図14】本発明のFPDモジュールの組立装置に係る保護シートの傾斜角度及び送り量の第4の例を示す説明図である。
【図15】本発明のFPDモジュールの組立装置に係る保護シートの傾斜角度及び送り量の第5の例を示す説明図である。
【図16】本発明のFPDモジュールの組立装置に係る保護シートの傾斜角度及び送り量の第6の例を示す説明図である。
【図17】本発明のFPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態に係る本圧着ユニットの変形例を示す説明図である。
【図18】本発明のFPDモジュールの組立装置の第2の実施の形態を示すFPDモジュール組立ラインのフロアレイアウト図である。
【図19】本発明のFPDモジュールの組立装置の第2の実施の形態に係る移動装置の斜視図である。
【図20】本発明のFPDモジュールの組立装置の第2の実施の形態に係る搬送ユニットの動作を示す説明図である。
【図21】本発明のFPDモジュールの組立装置の第2の実施の形態に係る搬送ユニットの動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、FPDモジュールの組立装置を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
始めに、本発明のFPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態について、図1〜図17を参照して説明する。
【0016】
[第1の実施の形態:FPDモジュールの組立装置]
まず、FPDモジュールについて、図1を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るFPDモジュールの概略構成を示す平面図である。
【0017】
図1に示すように、FPDモジュール7は、表示基板1の周縁部に複数の搭載部材2をACF接合により接続するとともに、表示基板1の1つの長辺と2つの短辺に接続される搭載部材2にPCB6をACF接続して構成されている。搭載部材2は、扁平な長方形のポリイミドフィルムに銅箔による印刷回路(不図示)を施したFPC(Flexible Printed Circuit)4に、ICチップ5を搭載してなる搭載部材2である。ICチップ5は、FPC4の略中央に実装されている。FPC4の下面には、印刷回路が設けられており、長手方向の両側(2つの長辺)にアウターリード端子(不図示)が設けられている。
【0018】
搭載部材2の品種によっては、ICチップ5が下面側にある場合(COFタイプ)や、ICチップがない場合(FPCタイプ)などもある。図1には、例としてICチップ5をFPC4の穴にはめ込んだ形式が示されている。また、搭載部材2やPCB6は、接続部位により回路的には相互に差異があるが、搭載実装の説明には区別する必要がないので、同じものとして図示している。
【0019】
図2は、FPDモジュール組立ライン10の全体を示すフロアレイアウト図である。
FPDモジュール組立ライン10は、表示基板1を受け入れる受け入れ装置としての受け入れユニット100、表示基板1にACFを介して搭載部材2を仮圧着する仮圧着装置としての仮圧着ユニット200、表示基板1にACFを介して搭載部材2を本圧着する本圧着装置としての本圧着ユニット300、表示基板1にPCBを接続するPCB接続装置としてのPCB接続ユニット400及び、表示基板1を搬送する搬送装置としての搬送ユニット500から構成されている。各ユニットは、フレーム103、203、303、403及び503を有している。各フレームの操作面側には、搬送レール101、201、301、401及び501が設けられており、隣り合う搬送レールが連結されている。また、仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300、PCB接続ユニット400において、表示基板1を搬送ラインに交差するY方向に移動する移動機構290,390,490を、「移動装置」と総称する。
【0020】
搬送レール101、201、301及び401は、搬送ステージ102、202、302及び402を移動可能に支持している。これら搬送ステージ102、202、302及び402は、次のユニットの作業位置まで表示基板1を搬送する。なお、最後の搬送ユニット500には、表示基板1を受け取る装置が別途設けられるが、搬送ユニット500からの搬送は、一般に工場毎に仕様が異なるので、ここでは省略している。
【0021】
仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300及びPCB接続ユニット400の作業位置には、表示基板1の作業辺を載せる基準バー204、304及び404が設けられている。これら基準バー204、304及び404は、表示基板1の作業辺を吸着し、表示基板1の平坦化を行う。これら基準バー204、304及び404は、仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300及びPCB接続ユニット400の後端支え(不図示)と共に作業中の表示基板1を安定して保持する。
【0022】
仮圧着ユニット200は、表示基板1を搬送ラインに交差するY方向に移動する移動機構290を備える。以下の説明において、本例では、Y方向は、搬送ラインに直交するものとする。そして、仮圧着ユニット200は、搭載部材供給部220によって供給され、後述する打ち抜き機構によって切り出された搭載部材2にACFを貼付けるACF貼付部230を備える。ACFを貼付けられた搭載部材2は搭載部280に渡される。そして、仮圧着ユニット200は、移動機構290によってY方向に移動された表示基板1の一方長辺と両短辺の3辺に搭載部材2をACFによって仮圧着する。
【0023】
本圧着ユニット300は、3つの本圧着部320A,320B及び320Cを有する。また、本圧着ユニット300は、表示基板1を搬送ラインに交差するY方向に移動する移動機構390を備える。そして、本圧着ユニット300は、移動機構390によってY方向に移動された表示基板1の一方長辺と両短辺の3辺に搭載された搭載部材2の本圧着作業を少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで行う。3つの本圧着部320A,320B及び320Cは、上刃を有する本圧着ヘッドと、下刃とを備えている。上刃及び下刃は、ヒータにより加熱されており、搭載部材2を加熱加圧して表示基板1に接続する。
【0024】
搭載部材2を表示基板1に本圧着するには、搭載部材2を仮圧着した表示基板1を下側から下刃で支えつつ、上刃で加圧する。このとき、搭載部材2と上刃との間には、保護シート340Aが介在される(後述する図8参照)。上刃により加圧されたACFは、例えば、190℃で5秒間加熱されて熱硬化する。保護シート340Aは、所定の回数の圧着作業が行われると、シート送り機構によって送られて、上刃に当接する使用部分が変更される。
【0025】
この本圧着ユニット300では、表示基板1の両短辺に仮圧着されたゲート側の搭載部材2を本圧着する本圧着部320B,320Cを左右方向(ユニットが並ぶ方向)へ移動させる移動機構が必要になる。しかしながら、ユニット毎に要する生産時間のうち、最も生産時間の長い本圧着作業を少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで実施できる。このため、全行程を通じて処理の開始から終了までに要する時間(アラウンドタイム)を短くすることができるという利点がある。
【0026】
PCB接続ユニット400は、表示基板1の1つの長辺と2つの短辺の搭載部材2にPCB6を接続する。PCB接続ユニット400は、各辺にそれぞれPCB供給装置430と、ACF貼付装置440と、移載装置450と、本圧着部460を備えている。また、PCB接続ユニット400は、表示基板1を搬送ラインに交差するY方向に移動する移動機構490を備える。そして、移動機構490は、PCB接続ユニット400が表示基板1にPCBを接続する処理を行う位置に表示基板1を移動する場合に、PCB接続ユニット400は、移動機構490によってY方向に移動された表示基板1の一方長辺と両短辺の3辺にPCB6の接続作業を少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで行う。
【0027】
PCB供給装置430は、トレー(不図示)で供給されたPCB6を1枚ずつ左右のACF貼付装置440に供給する。ACF貼付装置440は、PCB供給装置430から供給されたPCB6にACFを貼付ける。移載装置450は、ACFの貼付けが終了したPCB6を本圧着部460に搬送する。そして、本圧着部460は、PCB6を加圧加熱して複数のソース側の搭載部材2に接続する。
【0028】
このように、ACF貼付部230、仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300、PCB接続ユニット400のうち、少なくともいずれかの装置が表示基板1の3辺にそれぞれ同一の処理を加える3台の処理機構を有する。そして、3台の処理機構のうち、2台の処理機構が搬送ラインに交差する方向であって、処理位置に配置された表示基板1の対向する2辺に対してそれぞれ処理を行う場合に、移動される表示基板1の大きさに合わせて2台の処理機構が表示基板1に接近又は離反可能に構成される。
【0029】
なお、既に述べたようにACF貼り付けは表示基板1側に行うことも可能である。この場合は、上記のACF貼付部230を3辺処理とするには、ACF貼付部230を搭載部材供給部220無しに表示基板1の配置位置の3辺に配置することで実現できる。この変形例は、ガラス基板への貼り付けACFに先行して実績のある場合に、プロセス変更を避けることができるという効果がある。
さらには、搭載部材供給部220とACF貼付部230を表示基板1の長辺側に配置し、左右の短辺側にはACF貼付部230を搭載部材供給部220無しに配置することで、長辺側の搭載部材2(例えば、COF)に予めACFを貼って仮圧着する構成とし、短辺側は次工程でICチップ等を搭載する構成とすることも可能である。この場合は予めACFを回路面に貼付けると位置決めマークが認識しがたくなる微小なICチップを直接表示基板1に接続する構成では、搭載精度を高める上で有効である。
【0030】
上述したように移動装置は、表示基板1が搬送される第1の方向の搬送ラインに沿って配置される、ACF貼付部230、仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300、PCB接続ユニット400のうち、少なくともいずれかの装置に対して、搬送ラインに交差する方向の処理位置に表示基板1を移動し、少なくともいずれかの装置の処理位置に表示基板1を配置する。これにより、ACF貼付部230、仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300、PCB接続ユニット400のうち、少なくともいずれかの装置が、移動装置によって処理位置に移動された表示基板1の少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで所定の処理を行うことができる。
【0031】
このようにFPDモジュール組立ライン10における移動装置によれば、仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300及びPCB接続ユニット400には、それぞれ表示基板1をY方向に移動する移動機構290,390,490が設けられる。このため、表示基板1の少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで所定の処理を行うことができる。このとき、表示基板1を回転するような処理は不要であるため、装置群のスペースを減らすことができ、FPDモジュールの組立装置全体のライン長を短くすることができる。なお、移動機構290,390,490は、必ずしも搬送ラインに直交する方向に表示基板1を移動するものでなくてもよい。
【0032】
なお、本例の移動装置として、水平方向で搬送方向に交差する方向に表示基板1を移動させる例について説明したが、表示基板1の移動方向を上下方向に移動するように構成することも、当然可能である。
【0033】
[仮圧着ユニット]
次に、仮圧着ユニット200の形態について、図3〜図7を参照して説明する。図3は、仮圧着ユニット200を示す平面図である。図4は、第1の実施の形態に係るACF貼付部の構成概略図である。
【0034】
ACFの特性上、伸びを生じやすいため、この伸びにどのように対処するか検討することが必要である。ACFは、厚さ30μm程度のPET(Polyethylene Terephthalate)製のベースフィルム上に厚さ30μm程度のACFを塗布して形成されており、リールで供給される。このため、ACFが必要な長さで切り取られるように、予めACFにハーフカットなどの切れ込みを入れておいても、ベースフィルムの伸びなどによりACFの長さに誤差が生じる。なお、ここで言うハーフカットとは、ACF層には切り込みを与え、ベースフィルム層は完全には切り離さず連続性を維持するような切込みを入れる加工のことである。
【0035】
図3に示すように、仮圧着ユニット200は、搭載部材供給部220と、ACF貼付部230と、搭載部280を備えている。搭載部材供給部220は、リール221と、リール221を回転させるリール送り機構622と、打ち抜き機構623を備えている。
【0036】
表示基板1に搭載する搭載部材2は、長尺のリボン状フィルムとしてリール221に巻きつけられている。リール221は、リール送り機構622によって回転し、リボン状フィルムを規定ピッチで送り出す。打ち抜き機構623は、リール221によって送り出されたリボン状フィルムを打ち抜いて、搭載部材2を個別に切り出す。切り出された搭載部材2は、取り出し機構624(図4参照)によって取り出され、ACF貼付部230に供給される。
【0037】
図4に示すように、ACF貼付部230は、搬入十字アーム660と、ACF貼付ブロック670と、搬出十字アーム680を備えている。
【0038】
搬入十字アーム660は、4つのアーム片660aを備えており、ACF貼付ブロック670に搭載部材2を供給する。搬入十字アーム660の4つのアーム片660aは、それぞれ搭載部材2を真空吸着する搭載部材チャック666を有している。搬入十字アーム660は、約90度ずつ回転し、各アーム片660aを、取り出し位置、清掃位置、撮像位置及び載置・圧着位置に配置する。
【0039】
搭載部材2の取り出し位置には、打ち抜き機構623と取り出し機構624が配置されている。この取り出し位置では、取り出し機構624の上下反転アーム624aが打ち抜き機構623から搭載部材2を取り出し、搭載部材チャック666に渡す。清掃位置には、ブラシ625が配置されている。この清掃位置では、ブラシ625が搭載部材チャック666に吸着された搭載部材2におけるACF3aを貼付ける面を清掃する。
【0040】
撮像位置には、第1の撮像カメラ626が配置されている。この撮像位置では、第1の撮像カメラ626が搭載部材チャック666に吸着された搭載部材2を下方から撮像し、搭載部材2の端部(ACF3aが貼付けられる辺)の長さと、アライメントマーク710A,710B(図5参照)が検出される。載置・圧着位置には、ACF貼付ブロック670が配置されている。この載置・圧着位置では、搭載部材チャック666に吸着された搭載部材2がACF貼付ブロック670に渡される。ACF貼付ブロック670については、後で図5を参照して詳しく説明する。
【0041】
搬出十字アーム680は、搬入十字アーム660と同様に、4つのアーム片680aを備えており、搭載部280に搭載部材2を供給する。搬出十字アーム680の4つのアーム片680aは、それぞれ搭載部材2を真空吸着する剥離チャック681を有している。搬出十字アーム680は、約90度ずつ回転し、各アーム片680aを、剥離位置、撮像位置、搬出位置及び待機位置に配置する。
【0042】
剥離位置には、ACF貼付ブロック670が配置されている。この剥離位置では、ACF3a(図5参照)が貼付けられた搭載部材2が剥離チャック681に吸着される。撮像位置には、第2の撮像カメラ627が配置されている。この撮像位置では、第2の撮像カメラ627が剥離チャック681に吸着された搭載部材2を下方から撮像する。第2の撮像カメラ627によって撮像された画像は、画像処理装置(不図示)に出力され、搭載部材2に対するACF3aの貼付状態が検査される。
【0043】
搬出位置には、受け渡し部275(図3参照)が配置されている。この搬出位置では、撮像位置で撮像された画像に基づく検査によって合格と判定された搭載部材2が受け渡し部275に渡される。受け渡し部275は、供給された搭載部材2を搭載部280に渡す。待機位置では、搭載部材2を吸着していない剥離チャック681が待機している。なお、撮像位置における検査結果が不合格であった搭載部材2は、待機位置において廃棄され、不図示の回収部に回収される。
【0044】
なお、上述した搬入十字アーム660及び搬出十字アーム680は、必ずしも4本の腕を有する十字アームとする必要はなく、搬送タクトの必要によっては、搭載部材2を搬入及び搬出するためのアームを1本として移動装置に適用することが可能である。また、表示基板1を高速に搬送することが必要な場合には、搭載部材2を搬入し、搬出する機構が有するアームを6本、8本と増やして適用することも当然可能である。
【0045】
[ACF貼付ブロック]
次に、ACF貼付ブロック670について、図5を参照して説明する。図5は、第1の実施の形態に係るACF貼付部の斜視図である。
【0046】
図5に示すACF貼付ブロック670は、搬入十字アーム660から供給された搭載部材2の2つの辺にACFテープ3のACF3aを貼付ける。このACF貼付ブロック670は、不図示の供給リールと、ガイドローラ691A,691B,691Cと、ベースフィルム回収部692と、第1のカッター刃694Aと、第2のカッター刃694Bを備えている。さらに、ACF貼付ブロック670は、ACFガイド696と、圧着刃697と、下受け698と、吸着受け699と、剥離ローラ701と、移動チャック702A,702Bと、固定チャック703を備えている。
【0047】
第1のカッター刃694Aと第2のカッター刃694Bは、ACFテープ3の送り方向と平行な方向(ACFテープの長手方向)に適当な間隔をあけて配置されている。第1のカッター刃694Aは、第1のカッター刃駆動機構(不図示)により、上下方向と、ACFテープ3の長手方向に移動される。さらに、第1のカッター刃694Aは、第1のカッター刃駆動機構によりACFテープ3に対して角度が修正される。
【0048】
第2のカッター刃694Bは、第1のカッター刃694Aと同様に、第2のカッター刃駆動機構(不図示)により、上下方向と、ACFテープの長手方向に移動される。また、第2のカッター刃694Bは、第2のカッター刃駆動機構によりACFテープ3に対して角度が修正される。
【0049】
第1のカッター刃694Aと第2のカッター刃694Bは、ACFテープ3にハーフカットを施す。第1のカッター刃694A,第2のカッター刃694B間には、中抜きアーム(不図示)が設けられている。この中抜きアームは、第1のカッター刃694A,第2のカッター刃694Bによって形成される2つのハーフカット間の余分なACF3aを粘着テープに貼付けて除去する。
【0050】
ACFガイド696は、表面を平滑に仕上げたステンレス製の部材であり、搭載部材チャック666に対向する表面にフッ素樹脂加工が施されている。これにより、ベースフィルム3bからはみ出したACF3aがACFガイド696に固着しない。ACFガイド696は、ACFテープ3及びACFテープ3のACF3a上に載置される搭載部材2を移動可能に支持する。
【0051】
なお、図5では、搬入十字アーム660のアーム片660aから搭載部材チャック666が離脱しているように示しているが、搭載部材チャック666は、アーム片660aに接続されて一体になっている。この搭載部材チャック666は、アーム片660aと共に下降され、ACFガイド696上に送り出されたACFテープ3のACF3aに搭載部材2を押し付ける。また、搭載部材チャック666及びACFガイド696には、ヒータが内蔵されており、搭載部材2及びACFテープ3を例えば70〜90℃で加熱する。
【0052】
圧着刃697は、昇降機構(不図示)により下降され、下受け698との間に搭載部材2及びACFテープ3を挟んで、例えば2MPaで加圧する。また、圧着刃697及び下受け698のACFテープ3に対向する部分には、ヒータが内蔵されており、搭載部材2及びACFテープ3を例えば70〜90℃で加熱する。なお、搭載部材チャック666、ACFガイド696、圧着刃697及び下受け698の加熱温度と加圧力は、使用するACFの特性に応じて適宜設定する。
【0053】
移動チャック702A,702Bは、余分なACF3aが除去された2つのハーフカット間のベースフィルム3bをそれぞれ挟持する。これら移動チャック702A,702Bは、それぞれチャックベース705A,705Bに支持されている。チャックベース705A,705Bは、移動チャック702A,702BをACFテープ3の送り方向又は送り方向とは反対の方向へ1ピッチ分移動させる。また、固定チャック703は、ガイドローラ691Cとベースフィルム回収部692との間に配置されており、ACF3aから剥離されたベースフィルム3bを挟持する。
【0054】
次に、ACF貼付ブロック670の動作について説明する。
ACFテープ3は、ガイドローラ691Aにより方向を変えられ、ACFガイド696上の定位置に配置される。ACFテープ3には、ACFガイド696に配置される前に、第1のカッター刃694A,第2のカッター刃694BによってACFテープ3のハーフカットが施される。このとき、第1のカッター刃694A,第2のカッター刃694Bは、第1の撮像カメラ626によって撮像された画像から検出された搭載部材2の端部(ACF3aが貼付けられる辺)の長さ及び傾きに基づいて駆動制御される。第1のカッター刃694A,第2のカッター刃694Bの駆動制御については、後で詳しく説明する。
【0055】
搬入十字アーム660の搭載部材チャック666は、搭載部材2を真空吸着して搬送し、ACFガイド696に沿って延伸されたACFテープ3のACF3a上に載置して加圧する。このとき、搭載部材チャック666は、第1の撮像カメラ626によって撮像された搭載部材2のアライメントマーク710A,710Bに基づいて駆動され、ACF3aに対する搭載部材2の姿勢(X,Y,θ)を補正する。
【0056】
また、圧着刃697は、昇降機構(不図示)により下降され、下受け698との間にある搭載部材2及びACFテープ3を挟んで、例えば2MPaで加圧する。一方、搬出十字アーム680の剥離チャック681は、吸着受け699に支持された搭載部材2を吸着する。そして、移動チャック702A,702Bは、それぞれベースフィルム3bを挟持し、固定チャック703は、ベースフィルム3bを開放する。
【0057】
加圧を終えた搭載部材チャック666は、真空吸着を大気開放し、搭載部材2から離れる。また、加圧を終えた圧着刃697は、昇降機構によって上昇する。そして、チャックベース705A,705Bは、ベースフィルム3bを挟持した移動チャック702A,702Bを送り方向へ1ピッチ分移動させる。これにより、搭載部材2及びACFテープ3は、送り方向へ1ピッチ分送り出される。
【0058】
このとき、剥離チャック681に吸着された搭載部材2に貼り付いているACF3aとベースフィルム3bとの間に剥離ローラ701が挿入され、ACF3aからベースフィルム3bが剥離される。
【0059】
搭載部材2及びACFテープ3の送り出しが完了すると、固定チャック703は、ACF3aが剥離されたベースフィルム3bを挟持する。そして、移動チャック702A,702Bは、ベースフィルム3bを開放し、チャックベース705A,705Bによって送り方向とは反対の方向へ1ピッチ分移動する。
【0060】
一方、搬入十字アーム660と、搬出十字アーム680は、約90度回転する。これにより、ACFガイド696の上方には、搬入十字アーム660の搭載部材チャック666に吸着された搭載部材2が配置される。また、搬出十字アーム680の剥離チャック681に吸着されたACF3aが貼り付いた搭載部材2は、受け渡し部275に渡され、吸着受け699の上方には、搭載部材2を吸着していない剥離チャック681が配置される。これにより、ACF貼付ブロック670の動作が一巡し、第1のカッター刃694A,第2のカッター刃694BによるACFテープ3のハーフカットが行われる。
【0061】
[カッター刃の駆動制御]
次に、ACF貼付部230における第1のカッター刃694A,第2のカッター刃694Bの駆動制御について、図6と図7を参照して説明する。図6は、第1のカッター刃694Aと第2のカッター刃694Bの駆動制御に係る制御回路の例を説明する。図7Aは、ACF貼付部230において行われる搭載部材2の撮像における撮像領域を示す説明図である。図7Bは、ACF貼付部230において行われる搭載部材2の画像測定を説明する説明図である。
【0062】
第1のカッター刃694Aと第2のカッター刃694Bの駆動制御に係る制御回路は、第1の撮像カメラ626と、画像処理装置110と、制御装置111とを備えている。画像処理装置110は、第1の撮像カメラ626及び制御装置111と電気的に接続されている。制御装置111は、第1のカッター刃駆動機構265A,第2のカッター刃駆動機構265Bと電気的に接続されている。制御装置111は、画像処理装置110と電気的に接続された演算処理部112と、第1のカッター刃駆動機構265A,第2のカッター刃駆動機構265Bと電気的に接続された駆動出力部113を有している。
【0063】
第1の撮像カメラ626は、2視野レンズを有し、2つのアライメントマーク710A,710Bが設けられている搭載部材2の2つの角部を含む撮像領域T1,T2を撮像する。第1の撮像カメラ626は、撮像した搭載部材2の端部の画像を画像処理装置110に出力する。画像処理装置110は、2つのアライメントマーク710A,710Bによって、端子部分Sの位置を検出する。また、撮像領域T1における角領域M1と撮像領域T2における角領域M2から、搭載部材2の端部(ACF3aが貼付けられる辺)の長さMを検出する。さらに、搭載部材2の送り方向(進行方向)の前後の辺の端子部分Sに対する傾きを検出する。画像処理装置110は、送られてきた画像から搭載部材2の端部の基準線に対する位置及び傾きを検出する。
【0064】
ACF貼付部230では、画像処理装置110によって、図7に示す端子部分Sの位置を検出する。また、搭載部材2の端部(ACF3aが貼付けられる辺)の長さと端子部分に対する傾きを検出する。ここで、演算処理部112は、第1の撮像カメラ626が撮像した撮像結果から判明する搭載部材2の端部の基準線からの距離及び傾きに基づいて、第1のカッター刃694Aと第2のカッター刃694Bによる切断位置を決定する切断位置決定部として用いられる。この基準線は、駆動出力部113は、演算処理部112によって決定された切断位置に基づいて駆動信号を生成し、第1のカッター刃駆動機構265A,第2のカッター刃駆動機構265Bに出力する。そして、第1のカッター刃駆動機構265A,第2のカッター刃駆動機構265Bは、演算処理部112によって決定された切断位置でACFを切断する切断部として用いられる。
【0065】
演算処理部112は、端子部分Sの位置に基づいて、ACF3aに対する搭載部材2の姿勢(X,Y,θ)の補正値を決定する。また、搭載部材2の端部の長さMと、搭載部材2の送り方向(進行方向)の前後の辺の端子部分Sに対する傾きに基づいて、第1のカッター刃694A,第2のカッター刃694Bによる切断位置を決定する。そして、第2のカッター刃694Bによる切断位置を記憶部(不図示)に記憶する。
【0066】
駆動出力部113は、今回の画像測定に基づいて決定した第1のカッター刃694Aによる切断位置に基づいて駆動信号を生成し、第1のカッター刃駆動機構265Aに出力する。第1のカッター刃駆動機構265Aは、対応する搭載部材2が撮像位置にあるときに、受信した駆動信号に基づいて第1のカッター刃694Aを回転及び水平移動させる。
【0067】
これにより、第1のカッター刃694Aは、対応する搭載部材2の送り方向の前側の辺と平行であって搭載部材2の端部の長さMに応じた位置に配置される。そして、第1のカッター刃駆動機構265Aは、第1のカッター刃694Aを下降させ、ACF3aを切断する。
【0068】
また、駆動出力部113は、対応する搭載部材2が載置・圧着位置(ACFガイド696の上方)に配置されたときに、記憶部に記憶された第2のカッター刃694Bによる切断位置を抽出する。そして、抽出した切断位置に基づいて駆動信号を生成し、第2のカッター刃駆動機構265Bに出力する。第2のカッター刃駆動機構265Bは、受信した駆動信号に基づいて第2のカッター刃694Bを回転及び水平移動させる。
【0069】
これにより、第2のカッター刃694Bは、対応する搭載部材2の送り方向の後側の辺と平行であって搭載部材2の端部の長さMに応じた位置に配置される。そして、第2のカッター刃駆動機構265Bは、第2のカッター刃694Bを下降させ、ACF3aを切断する。その結果、ACF3aを対応する搭載部材2に応じた長さに切断することができ、ACF3aを搭載部材2に高精度に貼付けることができる。
【0070】
なお、本発明に係る撮像部は、2視野レンズを有する第1の撮像カメラ626に限定されるものではなく、例えば、2つの撮像カメラとプリズムによって構成することもできる。この場合は、一方の撮像カメラがプリズムを介して撮像領域T1を撮像し、他方の撮像カメラがプリズムを介して撮像領域T2を撮像する。また、搭載部材の種類に応じて撮像領域T1,T2の位置を変更する場合は、2つの撮像カメラを固定してプリズムを移動させる、又はプリズムを固定して2つの撮像カメラを移動させることで対応できる。
【0071】
このように、ACF貼付ブロック670は、搭載部材2の端部を第1の撮像カメラ626で撮像して画像測定を行い、その結果に基づいてACF3aの切断位置を決定する。その結果、ACF3aを搭載部材2の個体差に応じた長さに切断することができ、対応する搭載部材2に高精度に貼付けることができる。
【0072】
なお、ACF貼付ブロック670は、切断部として2つのカッター刃を用いたが、本発明に係るカッター刃は、1つであってもよい。その場合は、搭載部材2に対するACF3aの2つの切断位置を1つのカッター刃で切断することになる。
【0073】
また、上述した実施の形態に係るACF貼付ブロック670では、ACFテープ3をハーフカットした後、ハーフカットされたACF3aを搭載部材2に貼り付ける例について説明したが、搭載部材2にACF3aを貼った後、ACFテープ3をハーフカットすることも可能である。
【0074】
次に、搭載部280について説明する。
搭載部280は、表示基板1の長辺に搭載部材2を搭載する長辺搭載部280Aと、それぞれ表示基板1の短辺に搭載部材2を搭載する短辺搭載部280B,280Cから構成されている。これら長辺搭載部280A及び短辺搭載部280B,280Cは、受け渡し部275から搭載部材2を受け取る。
【0075】
長辺搭載部280Aは、シャトルチャック281と、Y軸ガイド282と、X軸ガイド283と、搭載ブロック285と、X軸ガイド286と、カメラ部287を備えている。
【0076】
シャトルチャック281は、受け渡し部275から搭載部材2を受け取る。このシャトルチャック281は、Y軸ガイド282に移動可能に支持されている。そして、Y軸ガイド282は、X軸ガイド283に移動可能に支持されている。これにより、シャトルチャック281は、水平方向に移動自在になっている。シャトルチャック281及びY軸ガイド282は、2つずつ設けられている。そして、2つのY軸ガイド282は、X軸ガイド283を共有している。
【0077】
搭載ブロック285は、搭載ベース291と、搭載部材台292と、搭載ヘッド293と、受け渡しヘッド294からなっている。搭載ベース291は、X軸ガイド286に移動可能に支持されており、表示基板1の長辺における搭載位置に移動する。搭載部材台292、搭載ヘッド293及び受け渡しヘッド294は、搭載ベース291上に配置されている。
【0078】
シャトルチャック281は、搭載ベース291に接近し、搭載部材台292に搭載部材2を渡す。受け渡しヘッド294は、搭載部材台292上の搭載部材2を搭載ヘッド293に渡す。搭載ヘッド293は、受け渡しヘッド294から供給された搭載部材2を表示基板1の搭載位置に仮圧着(搭載)する。この際、搭載ベース291の移動に先立って予め搭載位置の両端部下方に待機した一対のカメラ部287は、それぞれ2視野レンズを有し、表示基板1の搭載マークと搭載部材2の位置決めマークの撮像を行う。この画像測定により算出された位置決め誤差を搭載ヘッド293に送信し、搭載ヘッド293は、受信した個別調整値により搭載位置の調整(位置決め)を行いつつ搭載部材2を表示基板1に搭載している。
【0079】
なお、長辺搭載部280Aの搭載ブロック285及びカメラ部287は、シャトルチャック281に対応して2組設けられている。そして、2つの搭載ベース291は、X軸ガイド286を共有している。
【0080】
短辺搭載部280B,280Cは、長辺搭載部280Aと同様の構成を有している。つまり、短辺搭載部280B,280Cは、シャトルチャック281と、X軸ガイド296と、Y軸ガイド297と、搭載ブロック285と、Y軸ガイド298と、カメラ部(不図示)をそれぞれ備えている。
【0081】
短辺搭載部280B,280Cのシャトルチャック281は、X軸ガイド296に移動可能に支持されており、X軸ガイド296は、Y軸ガイド297に移動可能に支持されている。短辺搭載部280B,280Cの搭載ベース291は、Y軸ガイド298に移動可能に支持されており、表示基板1の短辺における搭載位置に移動する。
【0082】
表示基板1は、基準バー204に配置される際に、予め両端の基準マークをカメラ部287により撮影し、概略のアライメント調整を行った状態で渡される。しかし、表示基板1の寸法誤差による搭載位置のずれを避けるため、搭載ヘッド293による搭載においても、個々にアライメントを行う。
【0083】
[本圧着装置]
次に、本圧着ユニット300の構成例を説明する。
【0084】
始めに、従来の本圧着装置の構成例について説明する。
圧着工程で用いられる圧着装置は、搭載部材を表示基板に押し付ける圧着ヘッドを備えている。この圧着ヘッドの圧着面(上刃)を搭載部材に直接接触させると、搭載部材と表示基板との間に介在されるACFがはみ出して圧着面に付着し、圧着面の平坦性が低下してしまう。これにより、搭載部材に作用する加圧力が不均一となり、圧着不良が発生し易くなる。
【0085】
そこで、圧着ヘッドの圧着面と搭載部材との間に保護シートを介在させ、はみ出したACFが圧着ヘッドの圧着面に付着しないようにする技術が考えられている。保護シートは、圧着ヘッドの熱や加圧力の影響により劣化するため、所定の使用回数又は所定の時間で送り機構により送られ、使用部分が変更される。
【0086】
[本圧着ユニット]
ここで、本発明の第1の実施の形態に係る本圧着ユニット300のシート送り機構について、図8〜図10を参照して説明する。図8は、本圧着ユニット300の断面図である。図9は、図8に示す本圧着ユニット300に係るシート送り機構350Aの一部を示す説明図である。図10は、図8に示す本圧着ユニット300に係るシート送り機構の傾斜変更部を示す説明図である。
【0087】
本圧着ユニット300は、本圧着部320A,320B及び320Cを有している。
本圧着部320Aは、下部フレーム321Aと、上部フレーム322Aと、圧着ヘッド330Aと、保護シート340Aと、シート送り機構350Aとを備えている。
【0088】
下部フレーム321A上には、下刃(不図示)が設置されている。この下刃は、図示しないヒータユニットにより加熱され、先端部分が60℃〜100℃に保温されている。この下刃の先端部分の温度は、使用するACFの特性などに応じて適宜設定される。さらに、下部フレーム321A上には、下刃を跨ぐように、上部フレーム322Aが設置されている。上部フレーム322Aは、圧着ヘッド330Aを上下方向に移動させる昇降機構が設けられている。
【0089】
圧着ヘッド330Aは、エアシリンダを用いた空気バネ構造となっている。エアシリンダの加圧ロッドには、複数の上刃フレーム(不図示)が取り付けられており、それら上刃フレームにそれぞれ上刃331が固定されている。上刃331は、図示しないヒータユニットにより加熱され、圧着面を有する先端部分が例えば150℃〜350℃に保温されている。各上刃331の圧着面は、略長方形に形成されている。そして、複数の上刃フレームに取り付けられた複数の上刃331は、互いの短辺が対向するように一直線上に並べられている。
【0090】
上刃331と下刃との間には、保護シート340Aが介在されている。この保護シート340Aは、所定の幅を有する帯状に形成されており、シート送り機構350Aによって上刃331と下刃との間に送り出される。
【0091】
シート送り機構350Aは、シート供給リール351と、回転駆動部352と、ガイドローラ群353Aと、シート回収部354とを備えている。
【0092】
シート供給リール351には、未使用の保護シート340Aが巻きつけられており、シート回収部354には、使用済みの保護シート340Aが回収される。回転駆動部352は、間欠的に駆動してシート供給リール351を間欠的に回転させる。シート供給リール351が回転すると、保護シート340Aは、所定の送り速度で所定の送り量だけ送り出される。
【0093】
シート回収部354は、回転駆動部352の駆動に同期して、保護シート340Aを所定の送り量分だけ回収する。このシート回収部354としては、例えば、回収リールと回収リールを回転させる回転駆動部から構成することができる。また、保護シート340Aを吸引する吸引装置であってもよい。
【0094】
ガイドローラ群353Aは、保護シート340Aの進行方向を変えて、シート供給リール351からシート回収部354へ保護シート340Aを案内する。ガイドローラ群353Aは、下刃の側方に配置されるガイドローラ353a,353bを含む。シート供給リール351から送り出された保護シート340Aは、ガイドローラ群353Aのうちの図示しないガイドローラによって進行方向が変えられ、ガイドローラ353aに導かれる。
【0095】
ガイドローラ353aの回転軸は、水平方向に平行であって複数の上刃331が並ぶ方向に直交する方向に対して傾斜しており、本圧着部320Aの前方に向かうにつれて上刃331から離れる。このガイドローラ353aは、保護シート340Aを圧着ヘッド330Aの上刃331と下部フレーム321Aに設けられた下刃との間へ案内し、複数の上刃331が並ぶ方向に対して水平方向に傾斜させる。この傾斜角度については、後で図11〜図16を参照して説明する。
【0096】
また、シート送り機構350Aは、上刃331と下刃との間に配置される保護シート340Aの傾斜方向を変更する傾斜変更部355を備えている。この傾斜変更部355は、
2つの押さえローラ355a,355bと、テーパローラ355cから構成されている(図9参照)。
【0097】
押さえローラ355a,355bは、円柱状に形成されており、上刃331に対向する保護シート340Aが上方へ変位しないように押さえつけている。これにより、上刃331に対向する保護シート340Aは、水平方向と略平行な状態を保っている。押さえローラ355a,355bの回転軸は、保護シート340Aの幅方向に略直交している。
なお、押さえローラ355a,355bは、円柱状に限定されるものではなく、例えば、本圧着部320A前方に向かうにつれて径が大きくなるテーパローラを用いることもできる。
【0098】
テーパローラ355cは、押さえローラ355a,355bの上方に配置されている。このテーパローラ355cの回転軸は、上刃331が並ぶ方向に対して直交する方向に向いている。そして、テーパローラ355cは、本圧着部320Aの前方に向かうにつれて連続的に径が小さくなっている。
【0099】
これら押さえローラ355a,355b及びテーパローラ355cは、ガイドローラ353aに案内された保護シート340Aの傾斜角度を反転させる。したがって、ガイドローラ353aから押さえローラ355aまでの保護シート340Aと、押さえローラ355bからガイドローラ353bまでの保護シート340Aとは、複数の上刃331が並ぶ方向に直交する平面に対して対称になっている(図8参照)。
【0100】
これにより、保護シート340Aの複数の上刃331が並ぶ方向に対して水平方向に傾斜する部分を短くすることができる。したがって、保護シート340A及びガイドローラ353bの前方への突出量を抑制することができ、装置の小型化を図ることができる。
【0101】
また、本圧着ユニット300は、表示基板1の3辺に搭載された搭載部材2(図1参照)の圧着作業を少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで行うため、3つの本圧着部320A,320B,320Cを設けている。したがって、保護シート340A及びガイドローラ353bの前方への突出量を抑制することにより、保護シート340A及びガイドローラ353bが本圧着部320B,320Cに干渉しないようにすることができる。
【0102】
ガイドローラ353b,353cは、上刃331と下刃との間を通過した保護シート340Aの進行方向を変えて、シート回収部354へ導く。これにより、ガイドローラ353b,353cを通過した保護シート340Aは、シート回収部354に回収される。
【0103】
本圧着部320B及び320Cは、本圧着部320Aの前方に配置されており、互いの圧着ヘッド330B,330Cが対向している。これら本圧着部320B及び320Cは、本圧着部320Aと同様の構成を有している。本圧着部320B及び320Cが本圧着部320Aと異なる点は、シート送り機構350B,350Cが傾斜変更部を有していない点である。
【0104】
本圧着部320Bは、下部フレーム321Bと、上部フレーム322Bと、圧着ヘッド330Bと、保護シート340Bと、シート送り機構350Bとを備えている。
シート送り機構350Bは、シート供給リール351と、回転駆動部352と、ガイドローラ群353Bと、シート回収部354とを有している。
【0105】
本圧着部320Bのシート供給リール351には、未使用の保護シート340Bが巻きつけられており、シート回収部354には、使用済みの保護シート340Bが回収される。回転駆動部352によりシート供給リール351が回転すると、保護シート340Bは、所定の送り速度で所定の送り量だけ送り出される。
【0106】
ガイドローラ群353Bは、保護シート340Bの進行方向を変えて、シート供給リール351からシート回収部354へ保護シート340Bを案内する。ガイドローラ群353Bは、下刃の側方に配置されるガイドローラ353d,353eを含む。シート供給リール351から送り出された保護シート340Bは、ガイドローラ群353Bのうちの図示しないガイドローラによって進行方向が変えられ、ガイドローラ353dに導かれる。
【0107】
ガイドローラ353dは、保護シート340Bを圧着ヘッド330Bの上刃331と下部フレーム321Bに設けられた下刃(不図示)との間へ案内し、上刃331が並ぶ方向に対して水平方向に傾斜させる。上刃331と下刃との間を通過した保護シート340Bは、ガイドローラ353e及び図示しないガイドローラによって進行方向を変えられ、シート回収部354に向かって進行する。
【0108】
本圧着部320Cは、下部フレーム321Cと、上部フレーム322Cと、圧着ヘッド330Cと、保護シート340Cと、シート送り機構350Cとを備えている。
シート送り機構350Cは、シート供給リール351と、回転駆動部352と、ガイドローラ群353Cと、シート回収部354とを有している。
【0109】
本圧着部320Cのシート供給リール351には、未使用の保護シート340Cが巻きつけられており、シート回収部354には、使用済みの保護シート340Cが回収される。回転駆動部352によりシート供給リール351が回転すると、保護シート340Cは、所定の送り速度で所定の送り量だけ送り出される。
【0110】
ガイドローラ群353Cは、保護シート340Cの進行方向を変えて、シート供給リール351からシート回収部354へ保護シート340Cを案内する。ガイドローラ群353Cは、下刃の側方に配置されるガイドローラ353f,353gを含む。シート供給リール351から送り出された保護シート340Cは、ガイドローラ群353Cのうちの図示しないガイドローラによって進行方向が変えられ、ガイドローラ353fに導かれる。
【0111】
ガイドローラ353fは、保護シート340Cを圧着ヘッド330Cの上刃331と下部フレーム321Cに設けられた下刃(不図示)との間へ案内し、上刃331が並ぶ方向に対して水平方向に傾斜させる。上刃331と下刃との間を通過した保護シート340Cは、ガイドローラ353g及び図示しないガイドローラによって進行方向を変えられ、シート回収部354に向かって進行する。
【0112】
保護シート340A,340B,340Cの材料としては、例えば、ポリテトラフルオルエチレン、シリコンゴム、ポリイミド等を適用することができる。また、これらの材料の2種類以上を積層した複合シートから形成することもできる。ポリテトラフルオルエチレンは、ACFが付着し難い材料として好適であり、シリコンゴムは、クッション性を有する材料として好適である。また、ポリイミドは、耐熱性がよい材料として好適である。
【0113】
[保護シートの傾斜角度及び送り量]
次に、保護シートの傾斜角度及び送り量について、図11〜図16を参照して説明する。
図11〜図16は、FPDモジュール組立ライン10に係る保護シートの傾斜角度及び送り量の第1の例〜第6の例を示す説明図である。
【0114】
FPDモジュール組立ライン10のシート送り機構(350A,350B,350C)では、使用済み部分が上刃331から外れるまで保護シート(340A,340B,34
0C)を送る。そして、複数の上刃331が並ぶ方向に対する保護シートの傾斜角度θが小さければ、保護シートが圧着ヘッドの前方に突出する量を小さくでき、装置の小型化を図ることができる。したがって、本実施の形態では、上記した2つの点を考慮して保護シートの傾斜角度θを決定する。
【0115】
ここで、複数の上刃331が並ぶ方向をX方向とし、複数の上刃331が並ぶ方向に対して直交する方向をY方向とする。そして、上刃331のX方向の長さ(上刃長さ)をLとして、隣り合う上刃331の間隔(上刃間距離)をL1とする。また、上刃331のY方向の長さ(上刃幅)をtとする。
その場合に、保護シートの傾斜角度θは、次式により決定する。
tanθ=t/(L+L1)
【0116】
図11に示す第1の例では、上刃間距離L1が上刃長さLよりも短い(L>L1)。なお、上刃間距離L1が短いほど、tanθはt/Lに近づく(t/(L+L1)≒t/L)。
第1の例における保護シートのX方向の送り量は、上刃長さLと上刃間距離L1を加えた長さと等しくして、Y方向の送り量は上刃幅tと等しくする。
【0117】
これにより、保護シートの幅方向の長さを短く設定することができる。また、保護シート上に多くの使用済み部分を設けることができ、保護シートの使用効率を高めることができる。そして、上記の送り量にすると、保護シート上の使用済み部分(圧痕)がY方向(複数の上刃331が並ぶ方向に直交する方向)に並ぶ。しかも、Y方向に並ぶ保護シートの使用済み部分は、それぞれ別の上刃331によって使用されたものとなる。
【0118】
図12に示す第2の例では、上刃間距離L1が上刃長さLよりも長い(L<L1)。この上刃間距離L1は、上刃長さLの2倍の長さになっている。したがって、
tanθ=t/3L
となる。
【0119】
第2の例における保護シートのX方向の送り量は、上刃長さLに上刃間距離L1を加えた長さの1/3にする。つまり、上刃長さLと等しくする。一方、Y方向の送り量は上刃幅tの1/3にする。
【0120】
これにより、保護シートの幅方向の長さを短く設定することができる。また、保護シート上に多くの使用済み部分を設けることができ、保護シートの使用効率を高めることができる。そして、上記の送り量にすると、保護シート上の使用済み部分がY方向に並び、それら使用済み部分は、それぞれ別の上刃331によって使用されたものとなる。
【0121】
図13に示す第3の例では、上刃間距離L1が上刃長さLと略等しい(L=L1)。したがって、
tanθ=t/2L
となる。
【0122】
第3の例における保護シートのX方向の送り量は、上刃長さLに上刃間距離L1を加えた長さの1/2にする。つまり、上刃長さLと等しくする。一方、Y方向の送り量は上刃幅tの1/2にする。
【0123】
これにより、保護シートの幅方向の長さを短く設定することができる。また、保護シート上に多くの使用済み部分を設けることができ、保護シートの使用効率を高めることができる。そして、上記の送り量にすると、保護シート上の使用済み部分がY方向に並び、それら使用済み部分は、それぞれ別の上刃331によって使用されたものとなる。
【0124】
図14に示す第4の例では、Y方向に並ぶ使用済み部分が互いに接触しないように、Y方向に隣り合う使用済み部分の間隔がαになるようにする。したがって、
tanθ=(t+α)/(L+L1)
となる。
【0125】
この第4の例では、上刃間距離L1が上刃長さLよりも長い(L<L1)。具体的には、上刃間距離L1が、上刃長さLの2倍の長さにβを加えた長さとなっている。したがって、
L+L1=3L+β
となる。
ここで、3L+β=3L´とし、t+αをt´とする。これにより、
tanθ=t´/3L´
となる。
【0126】
第4の例における保護シートのX方向の送り量は、上刃長さLに上刃間距離L1を加えた長さの1/3にする。つまり、X方向の送り量をL´/3にする。一方、Y方向の送り量は、上刃幅tにαを加えた長さの1/3にする。つまり、Y方向の送り量をt´/3にする。
【0127】
これにより、保護シート上に多くの使用済み部分を設けることができ、保護シートの使用効率を高めることができる。そして、上記の送り量にすると、保護シート上の使用済み部分がY方向に並び、それら使用済み部分は、それぞれ別の上刃331によって使用されたものとなる。
【0128】
図15に示す第5の例では、第4の例と同様に、Y方向に隣り合う使用済み部分の間隔がαになるようにする。したがって、
tanθ=(t+α)/(L+L1)
となる。
【0129】
この第5の例では、上刃間距離L1が上刃長さLよりも長い(L<L1)。具体的には、上刃間距離L1が、上刃長さLにβを加えた長さなっている。したがって、
L+L1=2L+β
となる。
ここで、2L+β=2L´とし、t+αをt´とする。これにより、
tanθ=t´/2L´
となる。
【0130】
第5の例における保護シートのX方向の送り量は、上刃長さLに上刃間距離L1を加えた長さの1/2にする。つまり、X方向の送り量をL´/2にする。一方、Y方向の送り量は、上刃幅tにαを加えた長さの1/2にする。つまり、Y方向の送り量をt´/2にする。
【0131】
これにより、保護シート上に多くの使用済み部分を設けることができ、保護シートに保護シートの使用効率を高めることができる。そして、上記の送り量にすると、保護シート上の使用済み部分がY方向に並び、それら使用済み部分は、それぞれ別の上刃331によって使用されたものとなる。
【0132】
図16に示す第6の例では、上刃間距離L1が上刃長さLよりも短い(L>L1)。上刃間距離L1が上刃長さLよりも短い場合には、保護シートの傾斜角度θを、次式により決定することができる。
tanθ=(t+α)/n(L+L1)
ただし、nは正の整数とする(n≧1)。
【0133】
これにより、保護シートの傾斜角度θを小さくすることができる。つまり、nを大きくすると、傾斜角度θを小さく設定することができる。したがって、この式により保護シートの傾斜角度θを決定することは、保護シートが圧着ヘッドの前方に突出する量に制限がある場合に有効である。なお、nを大きくするほど、保護シートの使用効率が低くなるため、保護シートが圧着ヘッドの前方に突出する量と保護シートの使用効率を考慮してnの値を決定するとよい。
【0134】
第6の例では、n=2としている。この場合における保護シートのX方向の送り量は、上刃長さLに上刃間距離L1を加えた長さの2倍にする。つまり、X方向の送り量を2(L+L1)にする。一方、Y方向の送り量は、上刃幅tにαを加えた長さにする。つまり、Y方向の送り量をt+αにする。
【0135】
なお、図8に示すように、本実施の形態の本圧着部320Aでは、傾斜変更部355によって保護シート340Aの傾斜角度を変更している。そのため、傾斜変更部355より下流側(シート回収部354側)の保護シート340Aでは、上刃331が使用済み部分に当接することになる。したがって、本圧着部320Aでは、傾斜変更部355より上流側(シート供給リール351側)における保護シート340Aの使用回数を許容回数の半分にする。
【0136】
上述の使用回数とは、上刃331が保護シート340Aの同一部分に当接する回数である。また、許容回数とは、上刃331を保護シート340Aの同一部分に当接させてよい回数の上限値である。この許容回数は、保護シートの材質、上刃の温度等を考慮して適宜設定できる。
例えば、同一部分に圧着作業を10回まで行うことが可能な保護シートを用いる場合は、傾斜変更部355より上流側で圧着作業を5回行うと、所定の送り量だけ保護シートを送る。これにより、傾斜変更部355より下流側で上刃331が使用済み部分に当接しても、使用回数が許容回数を超えることはない。
【0137】
[本圧着ユニットの圧着部の変形例]
図17は、本発明のFPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態に係る本圧着ユニットの圧着部の変形例を示す説明図である。本変形例では、第1の実施の形態と比べて図8に示すシート送り機構の構成が異なっている。すなわち、2つのシート送り機構を有することにより、保護シートとシート送り機構の組を2組有している。そして、傾斜変更部を境界として保護シートを左右の圧着する部分で2回使用しないようにしたため、保護シートが途中で切れるおそれがないという効果がある。
【0138】
FPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態に係る本圧着ユニットは、圧着部620A,320B及び320Cを有している。つまり、本圧着部320B及び320Cは、第1の実施の形態に係る本圧着ユニット300に用いられているものと同じである。
【0139】
図17に示すように、圧着部620Aは、上部フレーム622Aと、2つの保護シート640A,640Bと、2つのシート送り機構650A,650Bとを有している。すなわち、圧着部620Aは、保護シートとシート送り機構の組を2組有している。また、圧着部620Aは、下部フレーム及び圧着ヘッド(不図示)を備えている。
【0140】
上部フレーム622Aは、正面から見た形状が略C字状に形成されており、長方形の上板628と、この上板628の短辺にそれぞれ連続する側板629A,629Bとを有している。側板629A,629Bは、それぞれ上下方向に長い長方形に形成されており、一方の短辺が上板628に連続している。
【0141】
上板628の一方(前側)の長辺には、保護シート640A,640Bとの干渉を避けるための切欠き625a,625bが設けられている。これと同様に、側板629A,629Bの一方(前側)の長辺にも、保護シート640A,640Bとの干渉を避けるための切欠き626a,627aが設けられている。
【0142】
2つの保護シート640A,640Bは、それぞれ所定の幅を有する帯状に形成されており、上刃と下刃との間に介在されている。そして、圧着作業を行うときに、上刃と搭載部材2(図1参照)との間に介在される。これら保護シート640A,640Bの上刃と下刃との間に介在されている部分は、同一平面上に位置している。
【0143】
保護シート640Aは、所定の幅を有する帯状に形成されており、シート送り機構650Aによって上部フレーム622Aの中間部よりも側板629A側の上刃と下刃との間に送り出される。一方、保護シート640Bは、保護シート640Aと同じ所定の幅を有する帯状に形成されており、シート送り機構650Bによって上部フレーム622Aの中間部よりも側板629A側の上刃と下刃との間に送り出される。
【0144】
シート送り機構650Aは、図示しないシート供給リール及び回転駆動部と、ガイドローラ群653Aと、シート回収部655Aとを備えている。
【0145】
ガイドローラ群653Aは、保護シート640Aをシート供給リールからシート回収部655Aへ案内する。このガイドローラ群653Aは、複数の上刃(不図示)が並ぶ方向に所定の間隔をあけて配置されるガイドローラ653a,653bを含む。ガイドローラ653aは、上部フレーム622A内において側板629A側に配置されており、ガイドローラ653bは、上部フレーム622A内の中間部に配置されている。
【0146】
シート供給リールから送り出された保護シート640Aは、側板629Aの切欠き626aを貫通してガイドローラ653aに到達する。ガイドローラ653aは、保護シート640Aを上刃と下刃との間へ案内し、複数の上刃が並ぶ方向に対して水平方向に傾斜させる。
【0147】
ガイドローラ653bは、上刃と下刃との間を通過した保護シート640Aを上方へ案内し、シート回収部655Aへ導く。これにより、保護シート640Aは、上部フレーム622Aの切欠き625aを貫通してシート回収部655Aに回収される。
【0148】
シート送り機構650Bは、シート送り機構650Aと同様の構成を有しており、図示しないシート供給リール及び回転駆動部と、ガイドローラ群653Bと、シート回収部655Bとを備えている。
【0149】
ガイドローラ群653Bは、保護シート640Bをシート供給リールからシート回収部655Bへ案内する。このガイドローラ群653Bは、複数の上刃(不図示)が並ぶ方向に所定の間隔をあけて配置されるガイドローラ653c,653dを含む。ガイドローラ653cは、上部フレーム622A内において側板629B側に配置されており、ガイドローラ653dは、上部フレーム622A内の中間部に配置されている。
【0150】
シート供給リールから送り出された保護シート640Bは、側板629Bの切欠き627aを貫通してガイドローラ653cに到達する。ガイドローラ653cは、保護シート640Bを上刃と下刃との間へ案内し、複数の上刃が並ぶ方向に対して水平方向に傾斜させる。
【0151】
ガイドローラ653dは、上刃と下刃との間を通過した保護シート640Bを上方へ案内し、シート回収部655Bへ導く。これにより、保護シート640Bは、上部フレーム622Aの切欠き625bを貫通してシート回収部655Bに回収される。
【0152】
このように、本実施の形態では、圧着部620Aの圧着ヘッドに対して、保護シートとシート送り機構の組を2組設ける構成とした。これにより、圧着部620Aの圧着ヘッドに対して、保護シートとシート送り機構を1組設ける場合よりも、保護シートの前方への突出量を小さくすることができる。その結果、装置の小型化を実現することができる。また、保護シートの前方への突出量を小さくすることにより、保護シートが本圧着部320B,320C(図8参照)に干渉しないようにすることができる。
【0153】
さらに、上刃331の当接位置から外れた使用済み部分に別の上刃331が当接する事はなく、第1の実施の形態に係る本圧着部320Aよりも安定した圧着作業を行うことができる。
【0154】
なお、第1の実施の形態の変形例では、圧着部620Aの圧着ヘッドに対して、保護シートとシート送り機構の組を2組設けたが、本発明に係る保護シートとシート送り機構の組は、3組以上にすることもできる。
【0155】
上述した第1の実施の形態を含む変形例によれば、保護シートを圧着ヘッドの複数の上刃と搭載部材(下刃)との間へ案内し、複数の上刃が並ぶ方向に対して水平方向に傾斜させる。シート送り機構によって保護シートを送ると、上刃が当接することで生じる使用済み部分が上刃に対して斜めに変位する。したがって、上刃による圧着箇所から使用済み部分が外れるまでの保護シートの変位量を小さくすることができる。その結果、保護シートの送り量を小さくすることができ、送り時間を短くすることができる。また、保護シートの変位量が小さくても、使用済み部分を圧着箇所から外すことができる。
【0156】
しかも、送り機構を圧着ヘッドの側方に配置することが可能になるため、装置の小型化を図ることができるとともに、圧着ヘッドの周囲に熱がこもらないようにすることができる。つまり、上述した第1の実施の形態では、装置の小型化を実現しながら短時間で保護シートの送りを行うことができる。また、保護シートの送り量を調整することにより、保護シート上に多くの使用済み部分を設けることができ、保護シートの使用効率を高めることができる。
【0157】
上述した第1の実施の形態を含む変形例では、ACFが貼付けられた搭載部材2の搭載作業を表示基板1の3辺に対して各辺に対する処理時間がオーバーラップするようにした。このため、従来用いられていた表示基板の2辺ずつに対して処理を行うFPDモジュール組立ラインに比べて、規模を縮小することができる。
【0158】
なお、上述した第1の実施の形態を含む変形例では、2列のACFを同時に貼り付ける例を示したが、実装するCOFの形式によっては片側のみACFを貼り付ける場合もあるため、同時に2列のACFを貼り付けることに限定されるものではない。
【0159】
[第2の実施の形態:移動装置の変形例]
次に、本発明の第2の実施の形態に係るFPDモジュール組立ライン11について、図18〜図21を参照して説明する。ここでは、第1の実施の形態において説明したFPDモジュール組立ライン10が備える移動装置の変形例を説明する。
【0160】
[FPDモジュール組立ライン]
ここで、本発明のFPDモジュールの組立装置の第2の実施の形態であるFPDモジュール組立ライン11について、図18を参照して説明する。なお、仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300、PCB接続ユニット400については、第1の実施の形態に係るFPDモジュール組立ライン10における構成と同様の構成としてあるため、詳細な説明を省略する。
【0161】
図18は、FPDモジュール組立ライン11全体を示すフロアレイアウト図である。上述した第1の実施の形態において、表示基板1をY方向に搬送する際に、X方向に直交する方向に表示基板1を移動する移動機構290,390,490を用いて行ったが、本実施の形態では、2軸の回転駆動するアームを用いてY方向に表示基板1を搬送することを実現している。
【0162】
FPDモジュール組立ライン11を構成する受け入れユニット100、搭載ユニットである仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300及びPCB接続ユニット400は、搬送ラインに沿った第1の方向Xに従って並んでいる。
【0163】
以下、第1の方向Xに交差する上下方向を第2の方向Zとし、第1の方向X及び第2の方向Zに交差する方向を第3の方向Yとする。本例では、第2の方向Zは、第1の方向Xに直交し、第3の方向Yは、第1の方向X及び第2の方向Zに直交するものとする。また、第1の方向Xの受け入れユニット100側を上流側とし、第1の方向XのPCB接続ユニット400側を下流側とする。
【0164】
表示基板1は、受け入れユニット100からPCB接続ユニット400まで順次搬送され、各処理作業工程を経て周縁部に搭載部材2が実装されると共に、その搭載部材2にPCB6が実装される。FPDモジュール組立ライン11は、次のユニットの作業位置まで表示基板1を搬送する搬送ユニット500を備えている。
【0165】
[搬送ユニット]
次に、搬送ユニット500について、図19を参照して説明する。
図19は、本圧着ユニット300に関る搬送ユニット500の斜視図である。
【0166】
搬送ユニット500は、各作業ユニットに対して設けられている。この搬送ユニット500は、供給搬送部510と、取り出し搬送部520と、中置き台570から構成されている。
【0167】
まず、中置き台570について説明する。
中置き台570は、隣り合う作業ユニット間に配置されている。この中置き台570には、取り出し搬送部520によって搬送された表示基板1が載置される。
【0168】
なお、中置き台570は、PCB接続ユニット400の下流側にも配置されている(図18参照)。PCB接続ユニット400の下流側に設けられた中置き台570は、PCB接続ユニット400と搬送ユニット(不図示)との間に配置されている。
【0169】
中置き台570は、支持筐体571に支持されている。この支持筐体571は、中空の直方体状に形成されている。支持筐体571の内部には、搬送ユニット制御部(不図示)が収納されている。この搬送ユニット制御部は、収納された支持筐体571の上流側に配設された作業ユニットに対して設けられた取り出し搬送部520及び供給搬送部510の各駆動部を制御する。
【0170】
次に、供給搬送部510について説明する。
供給搬送部510は、作業ユニット(例えば、本圧着ユニット300)と第3の方向Yに対向しており、作業ユニットの一対の制御部(制御部303A,303B)間に配置されている。この供給搬送部510は、供給された表示基板1を作業ユニットの作業位置へ搬送し、基準バー(例えば、基準バー304)に載置する。
【0171】
供給搬送部510は、保持部511と、回動駆動部512と、昇降部513と、X軸スライダ514と、Y軸スライダ515と、Y軸ガイド516とを備えている。
【0172】
保持部511は、表示基板1の下方に向いた平面部を真空吸着する吸着部(不図示)を有しており、表示基板1を着脱可能に保持する。この保持部511は、1つ前(上流側)の作業ユニットに対して設けられた取り出し搬送部520から渡される表示基板1を保持し、その表示基板1を対応する作業ユニットの基準バーに載置するときに保持を解除する。
【0173】
回動駆動部512は、第2の方向Zに平行な回動軸を中心に回動させる。この回動駆動部512は、例えば、モータと、このモータにおける回転軸の回転速度を減速させる減速機構と、この減速機構と保持部511とを接続する接続部材から構成されている。また、回動駆動部512の減速機構としては、例えば、歯車減速機を用いることができる。
【0174】
昇降部513は、回動駆動部512を支持している。この昇降部513は、回動駆動部512を第2の方向Zへ移動させる。これにより、保持部511は、回動駆動部512を介して第2の方向Zへ移動可能になっている。
この昇降部513としては、例えば、エアシリンダや油圧シリンダなどを適用することができる。
【0175】
X軸スライダ514は、昇降部513を支持する。Y軸スライダ515は、X軸スライダ514を第1の方向Xに移動可能に支持する。X軸スライダ514は、Y軸スライダ515上を移動するための駆動部を有しており、Y軸スライダ515は、Y軸ガイド516上を移動するための駆動部を有している。
【0176】
X軸スライダ514及びY軸スライダ515の駆動部、回動駆動部512、昇降部513は、支持筐体571内に収納された搬送ユニット制御部(不図示)により制御される。
【0177】
供給搬送部510では、受取位置で表示基板1を受け取ると、保持部511により表示基板1を保持する。次に、カメラ部(不図示)により保持部511に対する表示基板1の位置を検出する。そして、その検出結果に基づいて、X軸スライダ514及び回動駆動部512を駆動させ、作業ユニットの作業位置に対する表示基板1の第1の方向X及び回転方向の位置を調整する。
【0178】
次に、Y軸スライダ515を駆動させて表示基板1を作業ユニットにおける作業位置の上方に搬送する。そして、昇降部513を駆動させて、表示基板1を下降させ、表示基板1を対応する作業ユニットの基準バーに載置する。その後、保持部511による表示基板1の保持を解除し、Y軸スライダ515を駆動させて受取位置に戻る。
【0179】
受取位置に配置された供給搬送部510の保持部511と、中置き台570とは、第1の方向Xに並ぶと共に、第2の方向Zの位置が同じになる。
【0180】
次に、取り出し搬送部520について説明する。
取り出し搬送部520は、作業ユニット(例えば、本圧着ユニット300)の作業位置から表示基板1を取り出して、次のユニット(例えば、PCB接続ユニット400)の供給搬送部510に渡す。
【0181】
取り出し搬送部520は、表示基板1を保持する基板保持部材521と、この基板保持部材521を第1の方向Xへ移動させる直動駆動部522から構成されている。
基板保持部材521は、保持部531と、第1の回動駆動部532と、アーム部533と、第2の回動駆動部534と、基板保持アーム535と、支持部536と、昇降部537とを備えている。
【0182】
保持部531は、表示基板1の上方に向いた平面部を真空吸着する吸着部(不図示)を有しており、表示基板1を着脱可能に保持する。この保持部531は、作業ユニットの作業位置に配置された表示基板1を保持する。そして、表示基板1を中置き台570に載置するときに保持を解除する。
【0183】
第1の回動駆動部532は、第2の方向Zに平行な回動軸532aを中心に保持部531を回動させる。この第1の回動駆動部532は、例えば、モータと、このモータにおける回転軸の回転速度を減速させる減速機構と、この減速機構と保持部531とを接続する接続部材から構成されている。また、第1の回動駆動部532の減速機構としては、例えば、歯車減速機を用いることができる。
【0184】
アーム部533は、略L字状に形成されている。このアーム部533の一方の端部には、第1の回動駆動部532が取り付けられている。したがって、保持部531は、アーム部533に対して回動軸532a中心に回動する。一方、アーム部533の他方の端部は、第2の回動駆動部534に接続されている。
【0185】
第2の回動駆動部534は、第2の方向Zに平行な回動軸534aを中心にアーム部533を回動させる。この第2の回動駆動部534は、第1の回動駆動部532と同様に、モータと、減速機構と、減速機構とアーム部533とを接続する接続部材から構成されている。
【0186】
基板保持アーム535は、アーム部541と、接続部542と、保持部543から構成されている。
アーム部541は、適当な厚みを有する長方形の板体からなっている。接続部542は、第2の方向Zに平行な円柱状に形成されている。この接続部542の一端は、アーム部541の一方の端部に固定されている。また、接続部542の他端は、保持部543に固定されている。つまり、保持部543は、アーム部541に対して回動しない。
【0187】
保持部543は、保持部531と同じものであり、表示基板1の上方に向いた平面部を真空吸着する吸着部(不図示)を有している。基板保持アーム535の保持部543は、中置き台570に載置された表示基板1を保持する。そして、表示基板1を次の作業ユニットに対応する供給搬送部510に渡すときに保持を解除する。
【0188】
支持部536は、第2の回動駆動部534と基板保持アーム535を支持する。この支持部536は、適当な厚みを有する長方形の板体からなり、長辺が第1の方向Xに平行になるように配置されている。この支持部536の上流側の端部には、第2の回動駆動部534が固定されている。したがって、アーム部533は、支持部536に対して回動軸534a中心に回動する。
【0189】
支持部536の下流側の端部には、基板保持アーム535におけるアーム部541の他方の端部が固定されている。したがって、基板保持アーム535は、支持部536に対して回動しない。
【0190】
昇降部537には、支持部536が取り付けられている。この昇降部537は、支持部536を第2の方向Zへ移動させる。これにより、基板保持アーム535の保持部543と保持部531は、支持部536を介して第2の方向Zへ移動可能になっている。
この昇降部537としては、例えば、エアシリンダや油圧シリンダなどを適用することができる。
【0191】
直動駆動部522は、X軸ガイド551と、このX軸ガイド551上を移動するスライダ552から構成されている。
X軸ガイド551は、支持筐体571に配設されたガイド支持部555A,555Bに支持されている。
【0192】
スライダ552は、X軸ガイド551上を移動するための駆動部を有している。このスライダ552の駆動部と、基板保持部材521の第1の回動駆動部532,第2の回動駆動部534は、支持筐体571内に収納された搬送ユニット制御部(不図示)により制御される。
【0193】
[取り出し搬送部の動作]
次に、取り出し搬送部520の動作について、図20及び図21を参照して説明する。
図20は、搬送ユニット500における取り出し搬送部520の動作を示す説明図である。図21は、取り出し搬送部520の動作を示すタイミングチャートである。
【0194】
図20Aは、取り出し搬送部520の保持部531が表示基板1の上方を向いた平面部に接触した状態の説明図であり、図21に示すタイミングt1の状態を示している。
【0195】
図20Aに示す状態では、保持部531が本圧着ユニット300の作業位置にある表示基板1Aの平面部に接触し、基板保持アーム535における保持部543が中置き台570(図19参照)上の表示基板1Bの平面部に接触する。このときの基板保持部材521における支持部536の第1の方向Xの位置及び第2の方向Zの位置を0とする。
【0196】
また、このときのアーム部533に対する保持部531の回動角度θ1は、−35度になっている。回動角度θ1は、保持部531の回動範囲を70度に設定し、その中間を0度とした場合の角度である。したがって、保持部531は、−35度から35度まで回動する。
【0197】
一方、支持部536に対するアーム部533の回動角度θ2は、35度になっている。回動角度θ2は、アーム部533の回動範囲を70度に設定し、その中間を0度とした場合の角度である。したがって、アーム部533は、35度から−35度まで回動し、アーム部533と保持部531の回動方向は、反対になる。
【0198】
保持部531,543が表示基板1A,1Bの平面部に接触すると、保持部531の吸着部による表示基板1Aの吸着及び保持部543の吸着部による表示基板1Bの吸着が開始される(図21参照)。そして、所定の時間が経過すると、保持部531,543が表示基板1A,1Bを吸着して保持する。
【0199】
その後、昇降部537(図19参照)が駆動し、支持部536が第2の方向Zへ所定の距離(本例では60mm)だけ移動(上昇)する。これにより、表示基板1A,1Bを保持した保持部531,543は、支持部536と一緒に第2の方向Zへ所定の距離だけ移動(上昇)する。この状態は、図21に示すタイミングt1の状態である。
【0200】
なお、図20では、供給搬送部510の動作を省略しているが、供給搬送部510と取り出し搬送部520の動作は、供給搬送部510の動作に同期している。表示基板1A,1Bを保持した保持部531,543が第2の方向Zへの移動を開始すると、供給搬送部510は、表示基板1(不図示)を保持した保持部511を本圧着ユニット300の作業位置に向かって第3の方向Yへ移動する。
【0201】
表示基板1A,1Bを保持した保持部531,543の第2の方向Zへの移動が完了すると、第2の回動駆動部534(図19参照)がアーム部533をR1方向(図20B参照)に所定の速度で回動させる。また、第1の回動駆動部532(図19参照)が保持部531をR1方向と反対方向であるR2方向にアーム部533と同じ所定の速度で回動させる。さらに、スライダ552が基板保持部材521を第1の方向Xの下流側へ移動させる。
【0202】
このとき、基板保持部材521の移動速度は、保持部531の回動軸532aがアーム部533の回動軸534aに対して第1の方向Xの上流側へ変位する速度に一致している。したがって、保持部531の回動軸532aは、第3の方向Yへ移動して本圧着ユニット300の作業位置から離れる。
【0203】
その結果、保持部531の移動を第1の方向Yへ案内する直動軸を用いずに保持部531を第1の方向Yへ移動させることができる。したがって、保持部531の移動を第1の方向Yへ案内する直動軸を作業ユニットに干渉しなくなるまで退避させるためのスペースを確保する必要がない。これにより、搬送ユニット500を配置するためのスペースを小さくすることができ、装置全体の小型化を図ることができる。
【0204】
また、保持部531がR2方向にアーム部533と同じ所定の速度で回動するため、表示基板1Aは、本圧着ユニット300に対して回転することなく移動する。これにより、本圧着ユニット300に対する表示基板1Aの姿勢を常に一定にすることができるため、表示基板1Aが本圧着ユニット300に干渉しない。
【0205】
図20Bは、アーム部533及び保持部531の回動角度θ1,θ2が0度になった状態の説明図であり、図21に示すタイミングt2の状態を示している。
【0206】
図20Bに示す状態では、保持部531の回動軸532aと、アーム部533の回動軸534aが第1の方向Xに平行な直線Lに一致する。この図20Bに示す状態になるまでは、回動軸532aが回動軸534aに対して第1の方向Xの上流側へ変位する。そのため、回動軸532aと回動軸534aが第1の方向Xに平行な直線Lに一致するまで、スライダ552(図19参照)は、基板保持部材521を第1の方向Xの下流側へ移動させる。
【0207】
本例では、回動軸532aと回動軸534aが第1の方向Xに平行な直線Lに一致するまでに、基板保持部材521を第1の方向Xの下流側へ50mm移動させる(図21参照)。
【0208】
回動軸532aと回動軸534aが第1の方向Xに平行な直線Lに一致した後、アーム部533がR1方向に回動すると、回動軸532aは、回動軸534aに対して第1の方向Xの下流側へ変位する。そのため、回動軸532aと回動軸534aが第1の方向Xに平行な直線Lに一致してからは、スライダ552(図19参照)が、基板保持部材521を第1の方向Xの上流側へ移動させる。これにより、保持部531の回動軸532aは、引き続き第3の方向Yへ移動して本圧着ユニット300の作業位置から離れる。
【0209】
図20Cは、アーム部533の回動角度θ1が35度になり、保持部531の回動角度θ2が−35度になった状態の説明図であり、図21に示すタイミングt3の状態を示している。
【0210】
図20Cに示す状態では、アーム部533及び保持部531の回動動作が停止すると共に、基板保持部材521における支持部536の第1の方向Xの位置が0になる。つまり、支持部536は、タイミングt2(図20B参照)からタイミングt3(図20C参照)になるまでに、第1の方向Xの上流側へ50mm移動し、タイミングt1(図20A参照)と同じ位置に戻る。このとき、保持部531に保持された表示基板1Aと、保持部543に保持された表示基板1Bは、第1の方向Xに沿って並ぶ。
【0211】
また、図20Cに示す状態では、供給搬送部510が、保持部511によって保持した表示基板1を本圧着ユニット300の作業位置にある基準バー304に載置する。そして、保持部511を第3の方向Yへ移動させて作業位置から離す。
【0212】
アーム部533及び保持部531の回動動作が停止すると、スライダ552(図19参照)が基板保持部材521を第1の方向Xの下流側へ移動させる。
【0213】
図20Dは、基板保持部材521の第1の方向Xの下流側への移動が停止した状態の説明図であり、図21に示すタイミングt4及びt5の状態を示している。
【0214】
アーム部533及び保持部531の回動動作が停止する(図20C参照)と、直動駆動部522のスライダ552は、基板保持部材521を第1の方向Xの下流側へ所定の距離だけ移動させる(図21に示すタイミングt4)。本例では、基板保持部材521を第1の方向Xの下流側へ500mm移動させる。
【0215】
このとき、供給搬送部510の保持部511は、表示基板を受け取る受取位置に搬送する。この受取位置は、本圧着ユニット300から第3の方向Yへ所定の距離だけ離れている。そして、供給搬送部510は、1つ前の作業ユニットである仮圧着ユニット200に対応して設けられた取り出し搬送部(不図示)から表示基板が供給されるまで待機する。
【0216】
基板保持部材521の第1の方向Xの下流側への移動が停止すると、保持部531に保持された表示基板1Aは、中置き台570(図19参照)の上方に配置される。また、保持部543に保持された表示基板1Bは、次の作業ユニットであるPCB接続ユニット400に対応して設けられた供給搬送部(不図示)における保持部の上方に配置される。
【0217】
その後、昇降部537(図19参照)が駆動し、支持部536が第2の方向Zへ所定の距離(本例では60mm)だけ移動(下降)する。これにより、表示基板1Aは、中置き台570に載置される。そして、表示基板1Bは、PCB接続ユニット400に対応して設けられた供給搬送部(不図示)における保持部に載置される(図21に示すタイミングt5)。
【0218】
表示基板1A,1Bが中置き台570及び供給搬送部(不図示)における保持部に載置されると、保持部531及び保持部543の吸着部による表示基板1A,1Bの吸着が解除される。そして、所定の時間が経過すると、保持部531,543が表示基板1A,1Bを開放する(図21に示すタイミングt5)。これにより、表示基板1A,1Bの受け渡しが完了する。
【0219】
表示基板1A,1Bの受け渡しが完了すると、取り出し搬送部520は、図20Aに示す状態に戻る。すなわち、昇降部537を駆動させて支持部536を上昇させた後、スライダ552を駆動させて基板保持部材521を第1の方向Xの上流側へ移動させる。次に、アーム部533及び保持部531を回動させながら、基板保持部材521を第1の方向の下流側又は上流側に移動させて、保持部531を第3の方向Yへ移動させる。
【0220】
取り出し搬送部520が図20Dに示す状態から図20Aに示す状態に戻るまで、本圧着ユニット300は、供給された表示基板1に対する搭載部材2の本圧着作業を行う。また、供給搬送部510は、受取位置で待機する。
【0221】
上述した第2の実施の形態によれば、基板保持部材のアーム部を第2の方向に平行な軸を中心に回動させながら、基板保持部材を第1の方向の一方又は他方に移動させる。これにより、第1の回動駆動部の回動中心を第1の方向及び第2の方向に交差する第3の方向へ変位させることができる。例えば、保持部531の回動軸532aがアーム部533の回動軸534aの回転によって回動軸534aに対して第1の方向Xの上流側へ変位するときは、基板保持部材521を第1の方向Xの下流側へ移動させる。一方、回動軸532aが回動軸534aの回転によって回動軸534aに対して第1の方向Xの下流側へ変位するときは、基板保持部材521を第1の方向Xの上流側へ移動させる。これにより、回動軸532aを第3の方向Yへ移動させることができる。
【0222】
その結果、直動軸を用いずに保持部531及び表示基板1Aを第3の方向Yへ移動させることができる。その結果、第3の方向Yに平行な直動軸を設けなくても、表示基板1を第3の方向Yに移動させることができる。また、直動軸を退避させるためのスペースを確保する必要がないため、搬送ユニット500を配置するためのスペースを小さくすることができ、装置全体の小型化を図ることができる。
【0223】
また、アーム部533がR1方向に回動し、保持部531がR1方向と反対のR2方向に回動する。そして、両者は、同じ速度で回動する(角速度が同じである)ため、保持部531に保持された表示基板1Aの本圧着ユニット300に対する姿勢を常に一定にすることができる。したがって、第3の方向Yへ搬送する表示基板1Aが本圧着ユニット300に干渉しない。
【0224】
また、中置き台570と基板保持アーム535を設けたため、表示基板1Aを第3の方向Yへ引き出した後に、取り出し搬送部520が第1の方向Xの下流側へ移動する距離を短くすることができる。これにより、各作業ユニットが表示基板1Aの搬送待ちをしないようにすることができ、生産性を向上させることができる。
【0225】
また、上述した第2の実施の形態では、アーム部533及び保持部531の回動範囲の中間で、回動軸532aと回動軸534aが第1の方向Xに平行な直線Lに一致する構成とした。しかしながら、本発明に係るアーム部及び保持部の回動軸は、アーム部及び保持部の回動範囲の任意の位置で第1の方向Xに平行な直線Lに一致してもよい。
【0226】
例えば、本実施の形態のアーム部533の回動角度θ1が5度で、保持部531の回動角度θ2が−5度のときに、回動軸532aと回動軸534aを第1の方向Xに平行な直線Lに一致させることもできる。つまり、図20Aに示す状態からアーム部533がR1方向へ20度回動し、保持部531がR2方向へ20度回動したときに回動軸532aと回動軸534aを第1の方向Xに平行な直線Lに一致させることもできる。
このように構成する場合は、アーム部533の回動軸534aの位置を第3の方向Yの本圧着ユニット300側へずらせばよい。
【0227】
また、上述した第2の実施の形態では、昇降部537が支持部536を介してアーム部533及び基板保持アーム535を第2の方向Zへ移動させる構成とした。しかしながら、本発明に係る昇降部は、少なくとも保持部531,543を第2の方向Zへ移動させればよい。そのため、昇降部の配置は、保持部531,543を第2の方向Zへ移動させることができれば、適宜設定することができる。
【0228】
また、上述した第2の実施の形態では、ACFが貼付けられた搭載部材2の搭載作業を表示基板1の3辺に対して少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで行うようにした。このため、従来用いられていた表示基板の2辺ずつに対して処理を行うFPDモジュール組立ラインに比べて、規模を縮小することができる。
【0229】
以上、本発明のFPDモジュールの組立装置の実施の形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明のFPDモジュールの組立装置は、上述した第1及び第2の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の応用、変形実施が可能である。また、上述した第1及び第2の実施の形態について任意に組み合わせることにより、表示基板1の3辺を少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングに処理するFPDモジュール組立ラインを構成することが可能である。このタイミングは、各ユニットにおける表示基板1の辺毎の処理開始および処理終了の時間に差異があっても差し支えなく、少なくとも各辺に対する処理時間が重なっていれば良い。また、本発明に係るFPDモジュールの組立装置は、その構成によっては全てのユニットが表示基板1の3辺に対して処理を行うものとしなくてもよい。例えば、一部のユニットについては、個別に処理を行う機構を並べたものとしてもよい。
【符号の説明】
【0230】
10…FPDモジュール組立ライン、100…受け入れユニット、200…仮圧着ユニット、300…本圧着ユニット、400…PCB接続ユニット、500…搬送ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイ(以下、FPD(Flat Panel Display)と呼ぶ。)を構成するFPDモジュールに電子部品(搭載部材)を実装するFPDモジュールの組立装置及び組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、FPDとしては、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイなどがある。このFPDにおける表示基板の周縁部には、駆動ICの搭載や、COF(Chip on Film)、FPC(Flexible Printed Circuit)などのTAB(Tape Automated Bonding)接続が行われる。また、表示基板の周辺には、例えば、PCB(Printed Circuit Board)などの周辺基板が実装される。その結果、FPDモジュールが組み立てられる。
【0003】
FPDモジュールの組立装置は、複数の工程を順次行うことで、FPDの表示基板における周縁部及び周辺に、駆動IC、COF及びPCBなどの搭載部材を実装し、FPDモジュールを組み立てるライン装置である。
【0004】
ここで、以下の説明で「搭載部材」と称する電子部品は、その詳細形状や部材の厚さの差異などで、TCP(Tape Carrier Package)と呼称されたり、COF(Chip On Film)と呼称されたりする。これらTCPやCOFは、スプロケット穴を有する長尺のポリイミドフィルムに配線を施したFPC(Flexible Printed Circuit)に、ICチップを搭載し、これを切り出して構成されたものであり、実装する上での差異はない。また、パネルの設計によってはICチップなしのFPCのみを実装する場合もある。FPDの実装組立工程においては、これらの部品に実質上の差異はないため、本発明では搭載部材と呼称する。
【0005】
FPDモジュールの組立装置における工程の一例としては、(1)表示基板端部の搭載部材貼付け部を清掃する端子クリーニング工程と、(2)清掃後の表示基板端部に異方性導電フィルム(ACF:AnisotropicConductive Film)を貼付けるACF工程がある。また、(3)表示基板のACFを貼付けた位置に、搭載部材を位置決めして搭載する搭載工程と、(4)搭載部材を加熱圧着してACFにより固定する圧着工程がある。さらに、(5)搭載部材の表示基板側とは反対側に、予めACFを貼付けたPCB基板を貼付け搭載するPCB工程がある。なお、PCB工程は、複数の工程からなっている。
【0006】
ACFは、接合する部材のどちらか一方に予め貼付けられていればよい。例えば、上記ACF工程の別な例では、ACFを搭載部材に予め貼付けるようにしてもよい。また、FPDモジュール組立ラインには、処理する基板の辺の数、処理する搭載部材やICの数などに応じて、様々な処理装置群が必要となる。
【0007】
このような処理装置群による一連の工程を経ることによって、表示基板上の電極と搭載部材に設けた電極との間を熱圧着し、ACF内部の導電性粒子を介して両電極の電気的な接続が行われる。なお、圧着工程を終えると、ACF基材樹脂が硬化するため、両電極の電気的な接続と同時に、表示基板と搭載部材が機械的にも接続される。
【0008】
FPDモジュールの組立装置の工程に用いられる圧着装置については、特許文献1に記載されている。この特許文献1には、仮圧着ステージから供給された表示基板を搬送ベルトの搬送方向から垂直な方向に移動させる際に、表示基板を反時計回りに方向転換した上で、表示基板の2辺に電子回路部品を同時に熱圧着する圧着装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−117704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、FPDモジュール組立ラインには、工程毎に様々な処理を行うための装置群が配置されるため、組立ラインの規模が拡大しやすい。しかし、特許文献1に開示された技術では、表示基板の大きさが大きくなるにつれて、表示基板を回転することによって生じる慣性力によって所定の位置に表示基板を停止させることが困難となり、位置合わせに時間を要してしまう。また、表示基板を回転させると、表示基板の対角線を直径とする円の面積分だけ各処理装置群に空間を設けなければならず、ライン構成が冗長となりやすかった。
【0011】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、搭載部材が搭載される表示基板によって構成されるFPDモジュールに対して効率的に処理を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明は、表示基板にACFを貼付けるACF貼付装置と、表示基板に搭載部材を、ACFを介して仮圧着する仮圧着装置と、仮圧着された搭載部材を表示基板に本圧着する本圧着装置と、を備えるFPDモジュールを組み立てるFPDモジュール組立ラインにおいて以下の処理が行われる。
すなわち、表示基板が第1の方向に搬送される搬送ラインに沿って配置される、ACF貼付装置、仮圧着装置又は本圧着装置のうち、少なくともいずれかの装置に設けられる移動装置によって、搬送ラインに交差する方向の所定の位置に表示基板を移動し、配置する。
そして、ACF貼付装置、仮圧着装置、本圧着装置のうち、少なくともいずれかの装置が、移動装置によって処理位置に移動された表示基板の少なくとも3辺に、少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで所定の処理を行う。
【発明の効果】
【0013】
本発明のFPDモジュールの組立装置によれば、ACF貼付装置、仮圧着装置、本圧着装置のうち、少なくともいずれかの装置に設けられる移動装置を用いて、搬送ラインに交差する方向の所定の位置に表示基板を移動し、配置することによって、処理位置に移動した表示基板の少なくとも3辺に、少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで所定の処理を行うことができる。このため、従来用いられていた表示基板の2辺ずつに対して処理を行うFPDモジュール組立ラインに比べて、FPDモジュールの組立装置の規模を縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のFPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態に係るFPDモジュールの概略構成を示す平面図である。
【図2】本発明のFPDモジュールの組立ラインのフロアレイアウト図である。
【図3】本発明のFPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態に係る仮圧着ユニットを示す平面図である。
【図4】本発明のFPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態に係るACF貼付部の構成概略図である。
【図5】本発明のFPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態に係るACF貼付部の斜視図である。
【図6】本発明のFPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態に係るACF貼付部のカッター刃の制御回路を示すブロック図である。
【図7】図7Aは、本発明のFPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態に係るACF貼付部で行われる搭載部材の撮像における撮像領域を示す説明図、図7Bは、ACF貼付部において行われる搭載部材の画像測定を説明する説明図である。
【図8】本発明のFPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態に係る本圧着ユニットの断面図である。
【図9】本圧着ユニットに係るシート送り機構の傾斜変更部を示す説明図である。
【図10】本圧着ユニットに係るシート送り機構の一部を示す説明図である。
【図11】本発明のFPDモジュールの組立装置に係る保護シートの傾斜角度及び送り量の第1の例を示す説明図である。
【図12】本発明のFPDモジュールの組立装置に係る保護シートの傾斜角度及び送り量の第2の例を示す説明図である。
【図13】本発明のFPDモジュールの組立装置に係る保護シートの傾斜角度及び送り量の第3の例を示す説明図である。
【図14】本発明のFPDモジュールの組立装置に係る保護シートの傾斜角度及び送り量の第4の例を示す説明図である。
【図15】本発明のFPDモジュールの組立装置に係る保護シートの傾斜角度及び送り量の第5の例を示す説明図である。
【図16】本発明のFPDモジュールの組立装置に係る保護シートの傾斜角度及び送り量の第6の例を示す説明図である。
【図17】本発明のFPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態に係る本圧着ユニットの変形例を示す説明図である。
【図18】本発明のFPDモジュールの組立装置の第2の実施の形態を示すFPDモジュール組立ラインのフロアレイアウト図である。
【図19】本発明のFPDモジュールの組立装置の第2の実施の形態に係る移動装置の斜視図である。
【図20】本発明のFPDモジュールの組立装置の第2の実施の形態に係る搬送ユニットの動作を示す説明図である。
【図21】本発明のFPDモジュールの組立装置の第2の実施の形態に係る搬送ユニットの動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、FPDモジュールの組立装置を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
始めに、本発明のFPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態について、図1〜図17を参照して説明する。
【0016】
[第1の実施の形態:FPDモジュールの組立装置]
まず、FPDモジュールについて、図1を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るFPDモジュールの概略構成を示す平面図である。
【0017】
図1に示すように、FPDモジュール7は、表示基板1の周縁部に複数の搭載部材2をACF接合により接続するとともに、表示基板1の1つの長辺と2つの短辺に接続される搭載部材2にPCB6をACF接続して構成されている。搭載部材2は、扁平な長方形のポリイミドフィルムに銅箔による印刷回路(不図示)を施したFPC(Flexible Printed Circuit)4に、ICチップ5を搭載してなる搭載部材2である。ICチップ5は、FPC4の略中央に実装されている。FPC4の下面には、印刷回路が設けられており、長手方向の両側(2つの長辺)にアウターリード端子(不図示)が設けられている。
【0018】
搭載部材2の品種によっては、ICチップ5が下面側にある場合(COFタイプ)や、ICチップがない場合(FPCタイプ)などもある。図1には、例としてICチップ5をFPC4の穴にはめ込んだ形式が示されている。また、搭載部材2やPCB6は、接続部位により回路的には相互に差異があるが、搭載実装の説明には区別する必要がないので、同じものとして図示している。
【0019】
図2は、FPDモジュール組立ライン10の全体を示すフロアレイアウト図である。
FPDモジュール組立ライン10は、表示基板1を受け入れる受け入れ装置としての受け入れユニット100、表示基板1にACFを介して搭載部材2を仮圧着する仮圧着装置としての仮圧着ユニット200、表示基板1にACFを介して搭載部材2を本圧着する本圧着装置としての本圧着ユニット300、表示基板1にPCBを接続するPCB接続装置としてのPCB接続ユニット400及び、表示基板1を搬送する搬送装置としての搬送ユニット500から構成されている。各ユニットは、フレーム103、203、303、403及び503を有している。各フレームの操作面側には、搬送レール101、201、301、401及び501が設けられており、隣り合う搬送レールが連結されている。また、仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300、PCB接続ユニット400において、表示基板1を搬送ラインに交差するY方向に移動する移動機構290,390,490を、「移動装置」と総称する。
【0020】
搬送レール101、201、301及び401は、搬送ステージ102、202、302及び402を移動可能に支持している。これら搬送ステージ102、202、302及び402は、次のユニットの作業位置まで表示基板1を搬送する。なお、最後の搬送ユニット500には、表示基板1を受け取る装置が別途設けられるが、搬送ユニット500からの搬送は、一般に工場毎に仕様が異なるので、ここでは省略している。
【0021】
仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300及びPCB接続ユニット400の作業位置には、表示基板1の作業辺を載せる基準バー204、304及び404が設けられている。これら基準バー204、304及び404は、表示基板1の作業辺を吸着し、表示基板1の平坦化を行う。これら基準バー204、304及び404は、仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300及びPCB接続ユニット400の後端支え(不図示)と共に作業中の表示基板1を安定して保持する。
【0022】
仮圧着ユニット200は、表示基板1を搬送ラインに交差するY方向に移動する移動機構290を備える。以下の説明において、本例では、Y方向は、搬送ラインに直交するものとする。そして、仮圧着ユニット200は、搭載部材供給部220によって供給され、後述する打ち抜き機構によって切り出された搭載部材2にACFを貼付けるACF貼付部230を備える。ACFを貼付けられた搭載部材2は搭載部280に渡される。そして、仮圧着ユニット200は、移動機構290によってY方向に移動された表示基板1の一方長辺と両短辺の3辺に搭載部材2をACFによって仮圧着する。
【0023】
本圧着ユニット300は、3つの本圧着部320A,320B及び320Cを有する。また、本圧着ユニット300は、表示基板1を搬送ラインに交差するY方向に移動する移動機構390を備える。そして、本圧着ユニット300は、移動機構390によってY方向に移動された表示基板1の一方長辺と両短辺の3辺に搭載された搭載部材2の本圧着作業を少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで行う。3つの本圧着部320A,320B及び320Cは、上刃を有する本圧着ヘッドと、下刃とを備えている。上刃及び下刃は、ヒータにより加熱されており、搭載部材2を加熱加圧して表示基板1に接続する。
【0024】
搭載部材2を表示基板1に本圧着するには、搭載部材2を仮圧着した表示基板1を下側から下刃で支えつつ、上刃で加圧する。このとき、搭載部材2と上刃との間には、保護シート340Aが介在される(後述する図8参照)。上刃により加圧されたACFは、例えば、190℃で5秒間加熱されて熱硬化する。保護シート340Aは、所定の回数の圧着作業が行われると、シート送り機構によって送られて、上刃に当接する使用部分が変更される。
【0025】
この本圧着ユニット300では、表示基板1の両短辺に仮圧着されたゲート側の搭載部材2を本圧着する本圧着部320B,320Cを左右方向(ユニットが並ぶ方向)へ移動させる移動機構が必要になる。しかしながら、ユニット毎に要する生産時間のうち、最も生産時間の長い本圧着作業を少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで実施できる。このため、全行程を通じて処理の開始から終了までに要する時間(アラウンドタイム)を短くすることができるという利点がある。
【0026】
PCB接続ユニット400は、表示基板1の1つの長辺と2つの短辺の搭載部材2にPCB6を接続する。PCB接続ユニット400は、各辺にそれぞれPCB供給装置430と、ACF貼付装置440と、移載装置450と、本圧着部460を備えている。また、PCB接続ユニット400は、表示基板1を搬送ラインに交差するY方向に移動する移動機構490を備える。そして、移動機構490は、PCB接続ユニット400が表示基板1にPCBを接続する処理を行う位置に表示基板1を移動する場合に、PCB接続ユニット400は、移動機構490によってY方向に移動された表示基板1の一方長辺と両短辺の3辺にPCB6の接続作業を少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで行う。
【0027】
PCB供給装置430は、トレー(不図示)で供給されたPCB6を1枚ずつ左右のACF貼付装置440に供給する。ACF貼付装置440は、PCB供給装置430から供給されたPCB6にACFを貼付ける。移載装置450は、ACFの貼付けが終了したPCB6を本圧着部460に搬送する。そして、本圧着部460は、PCB6を加圧加熱して複数のソース側の搭載部材2に接続する。
【0028】
このように、ACF貼付部230、仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300、PCB接続ユニット400のうち、少なくともいずれかの装置が表示基板1の3辺にそれぞれ同一の処理を加える3台の処理機構を有する。そして、3台の処理機構のうち、2台の処理機構が搬送ラインに交差する方向であって、処理位置に配置された表示基板1の対向する2辺に対してそれぞれ処理を行う場合に、移動される表示基板1の大きさに合わせて2台の処理機構が表示基板1に接近又は離反可能に構成される。
【0029】
なお、既に述べたようにACF貼り付けは表示基板1側に行うことも可能である。この場合は、上記のACF貼付部230を3辺処理とするには、ACF貼付部230を搭載部材供給部220無しに表示基板1の配置位置の3辺に配置することで実現できる。この変形例は、ガラス基板への貼り付けACFに先行して実績のある場合に、プロセス変更を避けることができるという効果がある。
さらには、搭載部材供給部220とACF貼付部230を表示基板1の長辺側に配置し、左右の短辺側にはACF貼付部230を搭載部材供給部220無しに配置することで、長辺側の搭載部材2(例えば、COF)に予めACFを貼って仮圧着する構成とし、短辺側は次工程でICチップ等を搭載する構成とすることも可能である。この場合は予めACFを回路面に貼付けると位置決めマークが認識しがたくなる微小なICチップを直接表示基板1に接続する構成では、搭載精度を高める上で有効である。
【0030】
上述したように移動装置は、表示基板1が搬送される第1の方向の搬送ラインに沿って配置される、ACF貼付部230、仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300、PCB接続ユニット400のうち、少なくともいずれかの装置に対して、搬送ラインに交差する方向の処理位置に表示基板1を移動し、少なくともいずれかの装置の処理位置に表示基板1を配置する。これにより、ACF貼付部230、仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300、PCB接続ユニット400のうち、少なくともいずれかの装置が、移動装置によって処理位置に移動された表示基板1の少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで所定の処理を行うことができる。
【0031】
このようにFPDモジュール組立ライン10における移動装置によれば、仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300及びPCB接続ユニット400には、それぞれ表示基板1をY方向に移動する移動機構290,390,490が設けられる。このため、表示基板1の少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで所定の処理を行うことができる。このとき、表示基板1を回転するような処理は不要であるため、装置群のスペースを減らすことができ、FPDモジュールの組立装置全体のライン長を短くすることができる。なお、移動機構290,390,490は、必ずしも搬送ラインに直交する方向に表示基板1を移動するものでなくてもよい。
【0032】
なお、本例の移動装置として、水平方向で搬送方向に交差する方向に表示基板1を移動させる例について説明したが、表示基板1の移動方向を上下方向に移動するように構成することも、当然可能である。
【0033】
[仮圧着ユニット]
次に、仮圧着ユニット200の形態について、図3〜図7を参照して説明する。図3は、仮圧着ユニット200を示す平面図である。図4は、第1の実施の形態に係るACF貼付部の構成概略図である。
【0034】
ACFの特性上、伸びを生じやすいため、この伸びにどのように対処するか検討することが必要である。ACFは、厚さ30μm程度のPET(Polyethylene Terephthalate)製のベースフィルム上に厚さ30μm程度のACFを塗布して形成されており、リールで供給される。このため、ACFが必要な長さで切り取られるように、予めACFにハーフカットなどの切れ込みを入れておいても、ベースフィルムの伸びなどによりACFの長さに誤差が生じる。なお、ここで言うハーフカットとは、ACF層には切り込みを与え、ベースフィルム層は完全には切り離さず連続性を維持するような切込みを入れる加工のことである。
【0035】
図3に示すように、仮圧着ユニット200は、搭載部材供給部220と、ACF貼付部230と、搭載部280を備えている。搭載部材供給部220は、リール221と、リール221を回転させるリール送り機構622と、打ち抜き機構623を備えている。
【0036】
表示基板1に搭載する搭載部材2は、長尺のリボン状フィルムとしてリール221に巻きつけられている。リール221は、リール送り機構622によって回転し、リボン状フィルムを規定ピッチで送り出す。打ち抜き機構623は、リール221によって送り出されたリボン状フィルムを打ち抜いて、搭載部材2を個別に切り出す。切り出された搭載部材2は、取り出し機構624(図4参照)によって取り出され、ACF貼付部230に供給される。
【0037】
図4に示すように、ACF貼付部230は、搬入十字アーム660と、ACF貼付ブロック670と、搬出十字アーム680を備えている。
【0038】
搬入十字アーム660は、4つのアーム片660aを備えており、ACF貼付ブロック670に搭載部材2を供給する。搬入十字アーム660の4つのアーム片660aは、それぞれ搭載部材2を真空吸着する搭載部材チャック666を有している。搬入十字アーム660は、約90度ずつ回転し、各アーム片660aを、取り出し位置、清掃位置、撮像位置及び載置・圧着位置に配置する。
【0039】
搭載部材2の取り出し位置には、打ち抜き機構623と取り出し機構624が配置されている。この取り出し位置では、取り出し機構624の上下反転アーム624aが打ち抜き機構623から搭載部材2を取り出し、搭載部材チャック666に渡す。清掃位置には、ブラシ625が配置されている。この清掃位置では、ブラシ625が搭載部材チャック666に吸着された搭載部材2におけるACF3aを貼付ける面を清掃する。
【0040】
撮像位置には、第1の撮像カメラ626が配置されている。この撮像位置では、第1の撮像カメラ626が搭載部材チャック666に吸着された搭載部材2を下方から撮像し、搭載部材2の端部(ACF3aが貼付けられる辺)の長さと、アライメントマーク710A,710B(図5参照)が検出される。載置・圧着位置には、ACF貼付ブロック670が配置されている。この載置・圧着位置では、搭載部材チャック666に吸着された搭載部材2がACF貼付ブロック670に渡される。ACF貼付ブロック670については、後で図5を参照して詳しく説明する。
【0041】
搬出十字アーム680は、搬入十字アーム660と同様に、4つのアーム片680aを備えており、搭載部280に搭載部材2を供給する。搬出十字アーム680の4つのアーム片680aは、それぞれ搭載部材2を真空吸着する剥離チャック681を有している。搬出十字アーム680は、約90度ずつ回転し、各アーム片680aを、剥離位置、撮像位置、搬出位置及び待機位置に配置する。
【0042】
剥離位置には、ACF貼付ブロック670が配置されている。この剥離位置では、ACF3a(図5参照)が貼付けられた搭載部材2が剥離チャック681に吸着される。撮像位置には、第2の撮像カメラ627が配置されている。この撮像位置では、第2の撮像カメラ627が剥離チャック681に吸着された搭載部材2を下方から撮像する。第2の撮像カメラ627によって撮像された画像は、画像処理装置(不図示)に出力され、搭載部材2に対するACF3aの貼付状態が検査される。
【0043】
搬出位置には、受け渡し部275(図3参照)が配置されている。この搬出位置では、撮像位置で撮像された画像に基づく検査によって合格と判定された搭載部材2が受け渡し部275に渡される。受け渡し部275は、供給された搭載部材2を搭載部280に渡す。待機位置では、搭載部材2を吸着していない剥離チャック681が待機している。なお、撮像位置における検査結果が不合格であった搭載部材2は、待機位置において廃棄され、不図示の回収部に回収される。
【0044】
なお、上述した搬入十字アーム660及び搬出十字アーム680は、必ずしも4本の腕を有する十字アームとする必要はなく、搬送タクトの必要によっては、搭載部材2を搬入及び搬出するためのアームを1本として移動装置に適用することが可能である。また、表示基板1を高速に搬送することが必要な場合には、搭載部材2を搬入し、搬出する機構が有するアームを6本、8本と増やして適用することも当然可能である。
【0045】
[ACF貼付ブロック]
次に、ACF貼付ブロック670について、図5を参照して説明する。図5は、第1の実施の形態に係るACF貼付部の斜視図である。
【0046】
図5に示すACF貼付ブロック670は、搬入十字アーム660から供給された搭載部材2の2つの辺にACFテープ3のACF3aを貼付ける。このACF貼付ブロック670は、不図示の供給リールと、ガイドローラ691A,691B,691Cと、ベースフィルム回収部692と、第1のカッター刃694Aと、第2のカッター刃694Bを備えている。さらに、ACF貼付ブロック670は、ACFガイド696と、圧着刃697と、下受け698と、吸着受け699と、剥離ローラ701と、移動チャック702A,702Bと、固定チャック703を備えている。
【0047】
第1のカッター刃694Aと第2のカッター刃694Bは、ACFテープ3の送り方向と平行な方向(ACFテープの長手方向)に適当な間隔をあけて配置されている。第1のカッター刃694Aは、第1のカッター刃駆動機構(不図示)により、上下方向と、ACFテープ3の長手方向に移動される。さらに、第1のカッター刃694Aは、第1のカッター刃駆動機構によりACFテープ3に対して角度が修正される。
【0048】
第2のカッター刃694Bは、第1のカッター刃694Aと同様に、第2のカッター刃駆動機構(不図示)により、上下方向と、ACFテープの長手方向に移動される。また、第2のカッター刃694Bは、第2のカッター刃駆動機構によりACFテープ3に対して角度が修正される。
【0049】
第1のカッター刃694Aと第2のカッター刃694Bは、ACFテープ3にハーフカットを施す。第1のカッター刃694A,第2のカッター刃694B間には、中抜きアーム(不図示)が設けられている。この中抜きアームは、第1のカッター刃694A,第2のカッター刃694Bによって形成される2つのハーフカット間の余分なACF3aを粘着テープに貼付けて除去する。
【0050】
ACFガイド696は、表面を平滑に仕上げたステンレス製の部材であり、搭載部材チャック666に対向する表面にフッ素樹脂加工が施されている。これにより、ベースフィルム3bからはみ出したACF3aがACFガイド696に固着しない。ACFガイド696は、ACFテープ3及びACFテープ3のACF3a上に載置される搭載部材2を移動可能に支持する。
【0051】
なお、図5では、搬入十字アーム660のアーム片660aから搭載部材チャック666が離脱しているように示しているが、搭載部材チャック666は、アーム片660aに接続されて一体になっている。この搭載部材チャック666は、アーム片660aと共に下降され、ACFガイド696上に送り出されたACFテープ3のACF3aに搭載部材2を押し付ける。また、搭載部材チャック666及びACFガイド696には、ヒータが内蔵されており、搭載部材2及びACFテープ3を例えば70〜90℃で加熱する。
【0052】
圧着刃697は、昇降機構(不図示)により下降され、下受け698との間に搭載部材2及びACFテープ3を挟んで、例えば2MPaで加圧する。また、圧着刃697及び下受け698のACFテープ3に対向する部分には、ヒータが内蔵されており、搭載部材2及びACFテープ3を例えば70〜90℃で加熱する。なお、搭載部材チャック666、ACFガイド696、圧着刃697及び下受け698の加熱温度と加圧力は、使用するACFの特性に応じて適宜設定する。
【0053】
移動チャック702A,702Bは、余分なACF3aが除去された2つのハーフカット間のベースフィルム3bをそれぞれ挟持する。これら移動チャック702A,702Bは、それぞれチャックベース705A,705Bに支持されている。チャックベース705A,705Bは、移動チャック702A,702BをACFテープ3の送り方向又は送り方向とは反対の方向へ1ピッチ分移動させる。また、固定チャック703は、ガイドローラ691Cとベースフィルム回収部692との間に配置されており、ACF3aから剥離されたベースフィルム3bを挟持する。
【0054】
次に、ACF貼付ブロック670の動作について説明する。
ACFテープ3は、ガイドローラ691Aにより方向を変えられ、ACFガイド696上の定位置に配置される。ACFテープ3には、ACFガイド696に配置される前に、第1のカッター刃694A,第2のカッター刃694BによってACFテープ3のハーフカットが施される。このとき、第1のカッター刃694A,第2のカッター刃694Bは、第1の撮像カメラ626によって撮像された画像から検出された搭載部材2の端部(ACF3aが貼付けられる辺)の長さ及び傾きに基づいて駆動制御される。第1のカッター刃694A,第2のカッター刃694Bの駆動制御については、後で詳しく説明する。
【0055】
搬入十字アーム660の搭載部材チャック666は、搭載部材2を真空吸着して搬送し、ACFガイド696に沿って延伸されたACFテープ3のACF3a上に載置して加圧する。このとき、搭載部材チャック666は、第1の撮像カメラ626によって撮像された搭載部材2のアライメントマーク710A,710Bに基づいて駆動され、ACF3aに対する搭載部材2の姿勢(X,Y,θ)を補正する。
【0056】
また、圧着刃697は、昇降機構(不図示)により下降され、下受け698との間にある搭載部材2及びACFテープ3を挟んで、例えば2MPaで加圧する。一方、搬出十字アーム680の剥離チャック681は、吸着受け699に支持された搭載部材2を吸着する。そして、移動チャック702A,702Bは、それぞれベースフィルム3bを挟持し、固定チャック703は、ベースフィルム3bを開放する。
【0057】
加圧を終えた搭載部材チャック666は、真空吸着を大気開放し、搭載部材2から離れる。また、加圧を終えた圧着刃697は、昇降機構によって上昇する。そして、チャックベース705A,705Bは、ベースフィルム3bを挟持した移動チャック702A,702Bを送り方向へ1ピッチ分移動させる。これにより、搭載部材2及びACFテープ3は、送り方向へ1ピッチ分送り出される。
【0058】
このとき、剥離チャック681に吸着された搭載部材2に貼り付いているACF3aとベースフィルム3bとの間に剥離ローラ701が挿入され、ACF3aからベースフィルム3bが剥離される。
【0059】
搭載部材2及びACFテープ3の送り出しが完了すると、固定チャック703は、ACF3aが剥離されたベースフィルム3bを挟持する。そして、移動チャック702A,702Bは、ベースフィルム3bを開放し、チャックベース705A,705Bによって送り方向とは反対の方向へ1ピッチ分移動する。
【0060】
一方、搬入十字アーム660と、搬出十字アーム680は、約90度回転する。これにより、ACFガイド696の上方には、搬入十字アーム660の搭載部材チャック666に吸着された搭載部材2が配置される。また、搬出十字アーム680の剥離チャック681に吸着されたACF3aが貼り付いた搭載部材2は、受け渡し部275に渡され、吸着受け699の上方には、搭載部材2を吸着していない剥離チャック681が配置される。これにより、ACF貼付ブロック670の動作が一巡し、第1のカッター刃694A,第2のカッター刃694BによるACFテープ3のハーフカットが行われる。
【0061】
[カッター刃の駆動制御]
次に、ACF貼付部230における第1のカッター刃694A,第2のカッター刃694Bの駆動制御について、図6と図7を参照して説明する。図6は、第1のカッター刃694Aと第2のカッター刃694Bの駆動制御に係る制御回路の例を説明する。図7Aは、ACF貼付部230において行われる搭載部材2の撮像における撮像領域を示す説明図である。図7Bは、ACF貼付部230において行われる搭載部材2の画像測定を説明する説明図である。
【0062】
第1のカッター刃694Aと第2のカッター刃694Bの駆動制御に係る制御回路は、第1の撮像カメラ626と、画像処理装置110と、制御装置111とを備えている。画像処理装置110は、第1の撮像カメラ626及び制御装置111と電気的に接続されている。制御装置111は、第1のカッター刃駆動機構265A,第2のカッター刃駆動機構265Bと電気的に接続されている。制御装置111は、画像処理装置110と電気的に接続された演算処理部112と、第1のカッター刃駆動機構265A,第2のカッター刃駆動機構265Bと電気的に接続された駆動出力部113を有している。
【0063】
第1の撮像カメラ626は、2視野レンズを有し、2つのアライメントマーク710A,710Bが設けられている搭載部材2の2つの角部を含む撮像領域T1,T2を撮像する。第1の撮像カメラ626は、撮像した搭載部材2の端部の画像を画像処理装置110に出力する。画像処理装置110は、2つのアライメントマーク710A,710Bによって、端子部分Sの位置を検出する。また、撮像領域T1における角領域M1と撮像領域T2における角領域M2から、搭載部材2の端部(ACF3aが貼付けられる辺)の長さMを検出する。さらに、搭載部材2の送り方向(進行方向)の前後の辺の端子部分Sに対する傾きを検出する。画像処理装置110は、送られてきた画像から搭載部材2の端部の基準線に対する位置及び傾きを検出する。
【0064】
ACF貼付部230では、画像処理装置110によって、図7に示す端子部分Sの位置を検出する。また、搭載部材2の端部(ACF3aが貼付けられる辺)の長さと端子部分に対する傾きを検出する。ここで、演算処理部112は、第1の撮像カメラ626が撮像した撮像結果から判明する搭載部材2の端部の基準線からの距離及び傾きに基づいて、第1のカッター刃694Aと第2のカッター刃694Bによる切断位置を決定する切断位置決定部として用いられる。この基準線は、駆動出力部113は、演算処理部112によって決定された切断位置に基づいて駆動信号を生成し、第1のカッター刃駆動機構265A,第2のカッター刃駆動機構265Bに出力する。そして、第1のカッター刃駆動機構265A,第2のカッター刃駆動機構265Bは、演算処理部112によって決定された切断位置でACFを切断する切断部として用いられる。
【0065】
演算処理部112は、端子部分Sの位置に基づいて、ACF3aに対する搭載部材2の姿勢(X,Y,θ)の補正値を決定する。また、搭載部材2の端部の長さMと、搭載部材2の送り方向(進行方向)の前後の辺の端子部分Sに対する傾きに基づいて、第1のカッター刃694A,第2のカッター刃694Bによる切断位置を決定する。そして、第2のカッター刃694Bによる切断位置を記憶部(不図示)に記憶する。
【0066】
駆動出力部113は、今回の画像測定に基づいて決定した第1のカッター刃694Aによる切断位置に基づいて駆動信号を生成し、第1のカッター刃駆動機構265Aに出力する。第1のカッター刃駆動機構265Aは、対応する搭載部材2が撮像位置にあるときに、受信した駆動信号に基づいて第1のカッター刃694Aを回転及び水平移動させる。
【0067】
これにより、第1のカッター刃694Aは、対応する搭載部材2の送り方向の前側の辺と平行であって搭載部材2の端部の長さMに応じた位置に配置される。そして、第1のカッター刃駆動機構265Aは、第1のカッター刃694Aを下降させ、ACF3aを切断する。
【0068】
また、駆動出力部113は、対応する搭載部材2が載置・圧着位置(ACFガイド696の上方)に配置されたときに、記憶部に記憶された第2のカッター刃694Bによる切断位置を抽出する。そして、抽出した切断位置に基づいて駆動信号を生成し、第2のカッター刃駆動機構265Bに出力する。第2のカッター刃駆動機構265Bは、受信した駆動信号に基づいて第2のカッター刃694Bを回転及び水平移動させる。
【0069】
これにより、第2のカッター刃694Bは、対応する搭載部材2の送り方向の後側の辺と平行であって搭載部材2の端部の長さMに応じた位置に配置される。そして、第2のカッター刃駆動機構265Bは、第2のカッター刃694Bを下降させ、ACF3aを切断する。その結果、ACF3aを対応する搭載部材2に応じた長さに切断することができ、ACF3aを搭載部材2に高精度に貼付けることができる。
【0070】
なお、本発明に係る撮像部は、2視野レンズを有する第1の撮像カメラ626に限定されるものではなく、例えば、2つの撮像カメラとプリズムによって構成することもできる。この場合は、一方の撮像カメラがプリズムを介して撮像領域T1を撮像し、他方の撮像カメラがプリズムを介して撮像領域T2を撮像する。また、搭載部材の種類に応じて撮像領域T1,T2の位置を変更する場合は、2つの撮像カメラを固定してプリズムを移動させる、又はプリズムを固定して2つの撮像カメラを移動させることで対応できる。
【0071】
このように、ACF貼付ブロック670は、搭載部材2の端部を第1の撮像カメラ626で撮像して画像測定を行い、その結果に基づいてACF3aの切断位置を決定する。その結果、ACF3aを搭載部材2の個体差に応じた長さに切断することができ、対応する搭載部材2に高精度に貼付けることができる。
【0072】
なお、ACF貼付ブロック670は、切断部として2つのカッター刃を用いたが、本発明に係るカッター刃は、1つであってもよい。その場合は、搭載部材2に対するACF3aの2つの切断位置を1つのカッター刃で切断することになる。
【0073】
また、上述した実施の形態に係るACF貼付ブロック670では、ACFテープ3をハーフカットした後、ハーフカットされたACF3aを搭載部材2に貼り付ける例について説明したが、搭載部材2にACF3aを貼った後、ACFテープ3をハーフカットすることも可能である。
【0074】
次に、搭載部280について説明する。
搭載部280は、表示基板1の長辺に搭載部材2を搭載する長辺搭載部280Aと、それぞれ表示基板1の短辺に搭載部材2を搭載する短辺搭載部280B,280Cから構成されている。これら長辺搭載部280A及び短辺搭載部280B,280Cは、受け渡し部275から搭載部材2を受け取る。
【0075】
長辺搭載部280Aは、シャトルチャック281と、Y軸ガイド282と、X軸ガイド283と、搭載ブロック285と、X軸ガイド286と、カメラ部287を備えている。
【0076】
シャトルチャック281は、受け渡し部275から搭載部材2を受け取る。このシャトルチャック281は、Y軸ガイド282に移動可能に支持されている。そして、Y軸ガイド282は、X軸ガイド283に移動可能に支持されている。これにより、シャトルチャック281は、水平方向に移動自在になっている。シャトルチャック281及びY軸ガイド282は、2つずつ設けられている。そして、2つのY軸ガイド282は、X軸ガイド283を共有している。
【0077】
搭載ブロック285は、搭載ベース291と、搭載部材台292と、搭載ヘッド293と、受け渡しヘッド294からなっている。搭載ベース291は、X軸ガイド286に移動可能に支持されており、表示基板1の長辺における搭載位置に移動する。搭載部材台292、搭載ヘッド293及び受け渡しヘッド294は、搭載ベース291上に配置されている。
【0078】
シャトルチャック281は、搭載ベース291に接近し、搭載部材台292に搭載部材2を渡す。受け渡しヘッド294は、搭載部材台292上の搭載部材2を搭載ヘッド293に渡す。搭載ヘッド293は、受け渡しヘッド294から供給された搭載部材2を表示基板1の搭載位置に仮圧着(搭載)する。この際、搭載ベース291の移動に先立って予め搭載位置の両端部下方に待機した一対のカメラ部287は、それぞれ2視野レンズを有し、表示基板1の搭載マークと搭載部材2の位置決めマークの撮像を行う。この画像測定により算出された位置決め誤差を搭載ヘッド293に送信し、搭載ヘッド293は、受信した個別調整値により搭載位置の調整(位置決め)を行いつつ搭載部材2を表示基板1に搭載している。
【0079】
なお、長辺搭載部280Aの搭載ブロック285及びカメラ部287は、シャトルチャック281に対応して2組設けられている。そして、2つの搭載ベース291は、X軸ガイド286を共有している。
【0080】
短辺搭載部280B,280Cは、長辺搭載部280Aと同様の構成を有している。つまり、短辺搭載部280B,280Cは、シャトルチャック281と、X軸ガイド296と、Y軸ガイド297と、搭載ブロック285と、Y軸ガイド298と、カメラ部(不図示)をそれぞれ備えている。
【0081】
短辺搭載部280B,280Cのシャトルチャック281は、X軸ガイド296に移動可能に支持されており、X軸ガイド296は、Y軸ガイド297に移動可能に支持されている。短辺搭載部280B,280Cの搭載ベース291は、Y軸ガイド298に移動可能に支持されており、表示基板1の短辺における搭載位置に移動する。
【0082】
表示基板1は、基準バー204に配置される際に、予め両端の基準マークをカメラ部287により撮影し、概略のアライメント調整を行った状態で渡される。しかし、表示基板1の寸法誤差による搭載位置のずれを避けるため、搭載ヘッド293による搭載においても、個々にアライメントを行う。
【0083】
[本圧着装置]
次に、本圧着ユニット300の構成例を説明する。
【0084】
始めに、従来の本圧着装置の構成例について説明する。
圧着工程で用いられる圧着装置は、搭載部材を表示基板に押し付ける圧着ヘッドを備えている。この圧着ヘッドの圧着面(上刃)を搭載部材に直接接触させると、搭載部材と表示基板との間に介在されるACFがはみ出して圧着面に付着し、圧着面の平坦性が低下してしまう。これにより、搭載部材に作用する加圧力が不均一となり、圧着不良が発生し易くなる。
【0085】
そこで、圧着ヘッドの圧着面と搭載部材との間に保護シートを介在させ、はみ出したACFが圧着ヘッドの圧着面に付着しないようにする技術が考えられている。保護シートは、圧着ヘッドの熱や加圧力の影響により劣化するため、所定の使用回数又は所定の時間で送り機構により送られ、使用部分が変更される。
【0086】
[本圧着ユニット]
ここで、本発明の第1の実施の形態に係る本圧着ユニット300のシート送り機構について、図8〜図10を参照して説明する。図8は、本圧着ユニット300の断面図である。図9は、図8に示す本圧着ユニット300に係るシート送り機構350Aの一部を示す説明図である。図10は、図8に示す本圧着ユニット300に係るシート送り機構の傾斜変更部を示す説明図である。
【0087】
本圧着ユニット300は、本圧着部320A,320B及び320Cを有している。
本圧着部320Aは、下部フレーム321Aと、上部フレーム322Aと、圧着ヘッド330Aと、保護シート340Aと、シート送り機構350Aとを備えている。
【0088】
下部フレーム321A上には、下刃(不図示)が設置されている。この下刃は、図示しないヒータユニットにより加熱され、先端部分が60℃〜100℃に保温されている。この下刃の先端部分の温度は、使用するACFの特性などに応じて適宜設定される。さらに、下部フレーム321A上には、下刃を跨ぐように、上部フレーム322Aが設置されている。上部フレーム322Aは、圧着ヘッド330Aを上下方向に移動させる昇降機構が設けられている。
【0089】
圧着ヘッド330Aは、エアシリンダを用いた空気バネ構造となっている。エアシリンダの加圧ロッドには、複数の上刃フレーム(不図示)が取り付けられており、それら上刃フレームにそれぞれ上刃331が固定されている。上刃331は、図示しないヒータユニットにより加熱され、圧着面を有する先端部分が例えば150℃〜350℃に保温されている。各上刃331の圧着面は、略長方形に形成されている。そして、複数の上刃フレームに取り付けられた複数の上刃331は、互いの短辺が対向するように一直線上に並べられている。
【0090】
上刃331と下刃との間には、保護シート340Aが介在されている。この保護シート340Aは、所定の幅を有する帯状に形成されており、シート送り機構350Aによって上刃331と下刃との間に送り出される。
【0091】
シート送り機構350Aは、シート供給リール351と、回転駆動部352と、ガイドローラ群353Aと、シート回収部354とを備えている。
【0092】
シート供給リール351には、未使用の保護シート340Aが巻きつけられており、シート回収部354には、使用済みの保護シート340Aが回収される。回転駆動部352は、間欠的に駆動してシート供給リール351を間欠的に回転させる。シート供給リール351が回転すると、保護シート340Aは、所定の送り速度で所定の送り量だけ送り出される。
【0093】
シート回収部354は、回転駆動部352の駆動に同期して、保護シート340Aを所定の送り量分だけ回収する。このシート回収部354としては、例えば、回収リールと回収リールを回転させる回転駆動部から構成することができる。また、保護シート340Aを吸引する吸引装置であってもよい。
【0094】
ガイドローラ群353Aは、保護シート340Aの進行方向を変えて、シート供給リール351からシート回収部354へ保護シート340Aを案内する。ガイドローラ群353Aは、下刃の側方に配置されるガイドローラ353a,353bを含む。シート供給リール351から送り出された保護シート340Aは、ガイドローラ群353Aのうちの図示しないガイドローラによって進行方向が変えられ、ガイドローラ353aに導かれる。
【0095】
ガイドローラ353aの回転軸は、水平方向に平行であって複数の上刃331が並ぶ方向に直交する方向に対して傾斜しており、本圧着部320Aの前方に向かうにつれて上刃331から離れる。このガイドローラ353aは、保護シート340Aを圧着ヘッド330Aの上刃331と下部フレーム321Aに設けられた下刃との間へ案内し、複数の上刃331が並ぶ方向に対して水平方向に傾斜させる。この傾斜角度については、後で図11〜図16を参照して説明する。
【0096】
また、シート送り機構350Aは、上刃331と下刃との間に配置される保護シート340Aの傾斜方向を変更する傾斜変更部355を備えている。この傾斜変更部355は、
2つの押さえローラ355a,355bと、テーパローラ355cから構成されている(図9参照)。
【0097】
押さえローラ355a,355bは、円柱状に形成されており、上刃331に対向する保護シート340Aが上方へ変位しないように押さえつけている。これにより、上刃331に対向する保護シート340Aは、水平方向と略平行な状態を保っている。押さえローラ355a,355bの回転軸は、保護シート340Aの幅方向に略直交している。
なお、押さえローラ355a,355bは、円柱状に限定されるものではなく、例えば、本圧着部320A前方に向かうにつれて径が大きくなるテーパローラを用いることもできる。
【0098】
テーパローラ355cは、押さえローラ355a,355bの上方に配置されている。このテーパローラ355cの回転軸は、上刃331が並ぶ方向に対して直交する方向に向いている。そして、テーパローラ355cは、本圧着部320Aの前方に向かうにつれて連続的に径が小さくなっている。
【0099】
これら押さえローラ355a,355b及びテーパローラ355cは、ガイドローラ353aに案内された保護シート340Aの傾斜角度を反転させる。したがって、ガイドローラ353aから押さえローラ355aまでの保護シート340Aと、押さえローラ355bからガイドローラ353bまでの保護シート340Aとは、複数の上刃331が並ぶ方向に直交する平面に対して対称になっている(図8参照)。
【0100】
これにより、保護シート340Aの複数の上刃331が並ぶ方向に対して水平方向に傾斜する部分を短くすることができる。したがって、保護シート340A及びガイドローラ353bの前方への突出量を抑制することができ、装置の小型化を図ることができる。
【0101】
また、本圧着ユニット300は、表示基板1の3辺に搭載された搭載部材2(図1参照)の圧着作業を少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで行うため、3つの本圧着部320A,320B,320Cを設けている。したがって、保護シート340A及びガイドローラ353bの前方への突出量を抑制することにより、保護シート340A及びガイドローラ353bが本圧着部320B,320Cに干渉しないようにすることができる。
【0102】
ガイドローラ353b,353cは、上刃331と下刃との間を通過した保護シート340Aの進行方向を変えて、シート回収部354へ導く。これにより、ガイドローラ353b,353cを通過した保護シート340Aは、シート回収部354に回収される。
【0103】
本圧着部320B及び320Cは、本圧着部320Aの前方に配置されており、互いの圧着ヘッド330B,330Cが対向している。これら本圧着部320B及び320Cは、本圧着部320Aと同様の構成を有している。本圧着部320B及び320Cが本圧着部320Aと異なる点は、シート送り機構350B,350Cが傾斜変更部を有していない点である。
【0104】
本圧着部320Bは、下部フレーム321Bと、上部フレーム322Bと、圧着ヘッド330Bと、保護シート340Bと、シート送り機構350Bとを備えている。
シート送り機構350Bは、シート供給リール351と、回転駆動部352と、ガイドローラ群353Bと、シート回収部354とを有している。
【0105】
本圧着部320Bのシート供給リール351には、未使用の保護シート340Bが巻きつけられており、シート回収部354には、使用済みの保護シート340Bが回収される。回転駆動部352によりシート供給リール351が回転すると、保護シート340Bは、所定の送り速度で所定の送り量だけ送り出される。
【0106】
ガイドローラ群353Bは、保護シート340Bの進行方向を変えて、シート供給リール351からシート回収部354へ保護シート340Bを案内する。ガイドローラ群353Bは、下刃の側方に配置されるガイドローラ353d,353eを含む。シート供給リール351から送り出された保護シート340Bは、ガイドローラ群353Bのうちの図示しないガイドローラによって進行方向が変えられ、ガイドローラ353dに導かれる。
【0107】
ガイドローラ353dは、保護シート340Bを圧着ヘッド330Bの上刃331と下部フレーム321Bに設けられた下刃(不図示)との間へ案内し、上刃331が並ぶ方向に対して水平方向に傾斜させる。上刃331と下刃との間を通過した保護シート340Bは、ガイドローラ353e及び図示しないガイドローラによって進行方向を変えられ、シート回収部354に向かって進行する。
【0108】
本圧着部320Cは、下部フレーム321Cと、上部フレーム322Cと、圧着ヘッド330Cと、保護シート340Cと、シート送り機構350Cとを備えている。
シート送り機構350Cは、シート供給リール351と、回転駆動部352と、ガイドローラ群353Cと、シート回収部354とを有している。
【0109】
本圧着部320Cのシート供給リール351には、未使用の保護シート340Cが巻きつけられており、シート回収部354には、使用済みの保護シート340Cが回収される。回転駆動部352によりシート供給リール351が回転すると、保護シート340Cは、所定の送り速度で所定の送り量だけ送り出される。
【0110】
ガイドローラ群353Cは、保護シート340Cの進行方向を変えて、シート供給リール351からシート回収部354へ保護シート340Cを案内する。ガイドローラ群353Cは、下刃の側方に配置されるガイドローラ353f,353gを含む。シート供給リール351から送り出された保護シート340Cは、ガイドローラ群353Cのうちの図示しないガイドローラによって進行方向が変えられ、ガイドローラ353fに導かれる。
【0111】
ガイドローラ353fは、保護シート340Cを圧着ヘッド330Cの上刃331と下部フレーム321Cに設けられた下刃(不図示)との間へ案内し、上刃331が並ぶ方向に対して水平方向に傾斜させる。上刃331と下刃との間を通過した保護シート340Cは、ガイドローラ353g及び図示しないガイドローラによって進行方向を変えられ、シート回収部354に向かって進行する。
【0112】
保護シート340A,340B,340Cの材料としては、例えば、ポリテトラフルオルエチレン、シリコンゴム、ポリイミド等を適用することができる。また、これらの材料の2種類以上を積層した複合シートから形成することもできる。ポリテトラフルオルエチレンは、ACFが付着し難い材料として好適であり、シリコンゴムは、クッション性を有する材料として好適である。また、ポリイミドは、耐熱性がよい材料として好適である。
【0113】
[保護シートの傾斜角度及び送り量]
次に、保護シートの傾斜角度及び送り量について、図11〜図16を参照して説明する。
図11〜図16は、FPDモジュール組立ライン10に係る保護シートの傾斜角度及び送り量の第1の例〜第6の例を示す説明図である。
【0114】
FPDモジュール組立ライン10のシート送り機構(350A,350B,350C)では、使用済み部分が上刃331から外れるまで保護シート(340A,340B,34
0C)を送る。そして、複数の上刃331が並ぶ方向に対する保護シートの傾斜角度θが小さければ、保護シートが圧着ヘッドの前方に突出する量を小さくでき、装置の小型化を図ることができる。したがって、本実施の形態では、上記した2つの点を考慮して保護シートの傾斜角度θを決定する。
【0115】
ここで、複数の上刃331が並ぶ方向をX方向とし、複数の上刃331が並ぶ方向に対して直交する方向をY方向とする。そして、上刃331のX方向の長さ(上刃長さ)をLとして、隣り合う上刃331の間隔(上刃間距離)をL1とする。また、上刃331のY方向の長さ(上刃幅)をtとする。
その場合に、保護シートの傾斜角度θは、次式により決定する。
tanθ=t/(L+L1)
【0116】
図11に示す第1の例では、上刃間距離L1が上刃長さLよりも短い(L>L1)。なお、上刃間距離L1が短いほど、tanθはt/Lに近づく(t/(L+L1)≒t/L)。
第1の例における保護シートのX方向の送り量は、上刃長さLと上刃間距離L1を加えた長さと等しくして、Y方向の送り量は上刃幅tと等しくする。
【0117】
これにより、保護シートの幅方向の長さを短く設定することができる。また、保護シート上に多くの使用済み部分を設けることができ、保護シートの使用効率を高めることができる。そして、上記の送り量にすると、保護シート上の使用済み部分(圧痕)がY方向(複数の上刃331が並ぶ方向に直交する方向)に並ぶ。しかも、Y方向に並ぶ保護シートの使用済み部分は、それぞれ別の上刃331によって使用されたものとなる。
【0118】
図12に示す第2の例では、上刃間距離L1が上刃長さLよりも長い(L<L1)。この上刃間距離L1は、上刃長さLの2倍の長さになっている。したがって、
tanθ=t/3L
となる。
【0119】
第2の例における保護シートのX方向の送り量は、上刃長さLに上刃間距離L1を加えた長さの1/3にする。つまり、上刃長さLと等しくする。一方、Y方向の送り量は上刃幅tの1/3にする。
【0120】
これにより、保護シートの幅方向の長さを短く設定することができる。また、保護シート上に多くの使用済み部分を設けることができ、保護シートの使用効率を高めることができる。そして、上記の送り量にすると、保護シート上の使用済み部分がY方向に並び、それら使用済み部分は、それぞれ別の上刃331によって使用されたものとなる。
【0121】
図13に示す第3の例では、上刃間距離L1が上刃長さLと略等しい(L=L1)。したがって、
tanθ=t/2L
となる。
【0122】
第3の例における保護シートのX方向の送り量は、上刃長さLに上刃間距離L1を加えた長さの1/2にする。つまり、上刃長さLと等しくする。一方、Y方向の送り量は上刃幅tの1/2にする。
【0123】
これにより、保護シートの幅方向の長さを短く設定することができる。また、保護シート上に多くの使用済み部分を設けることができ、保護シートの使用効率を高めることができる。そして、上記の送り量にすると、保護シート上の使用済み部分がY方向に並び、それら使用済み部分は、それぞれ別の上刃331によって使用されたものとなる。
【0124】
図14に示す第4の例では、Y方向に並ぶ使用済み部分が互いに接触しないように、Y方向に隣り合う使用済み部分の間隔がαになるようにする。したがって、
tanθ=(t+α)/(L+L1)
となる。
【0125】
この第4の例では、上刃間距離L1が上刃長さLよりも長い(L<L1)。具体的には、上刃間距離L1が、上刃長さLの2倍の長さにβを加えた長さとなっている。したがって、
L+L1=3L+β
となる。
ここで、3L+β=3L´とし、t+αをt´とする。これにより、
tanθ=t´/3L´
となる。
【0126】
第4の例における保護シートのX方向の送り量は、上刃長さLに上刃間距離L1を加えた長さの1/3にする。つまり、X方向の送り量をL´/3にする。一方、Y方向の送り量は、上刃幅tにαを加えた長さの1/3にする。つまり、Y方向の送り量をt´/3にする。
【0127】
これにより、保護シート上に多くの使用済み部分を設けることができ、保護シートの使用効率を高めることができる。そして、上記の送り量にすると、保護シート上の使用済み部分がY方向に並び、それら使用済み部分は、それぞれ別の上刃331によって使用されたものとなる。
【0128】
図15に示す第5の例では、第4の例と同様に、Y方向に隣り合う使用済み部分の間隔がαになるようにする。したがって、
tanθ=(t+α)/(L+L1)
となる。
【0129】
この第5の例では、上刃間距離L1が上刃長さLよりも長い(L<L1)。具体的には、上刃間距離L1が、上刃長さLにβを加えた長さなっている。したがって、
L+L1=2L+β
となる。
ここで、2L+β=2L´とし、t+αをt´とする。これにより、
tanθ=t´/2L´
となる。
【0130】
第5の例における保護シートのX方向の送り量は、上刃長さLに上刃間距離L1を加えた長さの1/2にする。つまり、X方向の送り量をL´/2にする。一方、Y方向の送り量は、上刃幅tにαを加えた長さの1/2にする。つまり、Y方向の送り量をt´/2にする。
【0131】
これにより、保護シート上に多くの使用済み部分を設けることができ、保護シートに保護シートの使用効率を高めることができる。そして、上記の送り量にすると、保護シート上の使用済み部分がY方向に並び、それら使用済み部分は、それぞれ別の上刃331によって使用されたものとなる。
【0132】
図16に示す第6の例では、上刃間距離L1が上刃長さLよりも短い(L>L1)。上刃間距離L1が上刃長さLよりも短い場合には、保護シートの傾斜角度θを、次式により決定することができる。
tanθ=(t+α)/n(L+L1)
ただし、nは正の整数とする(n≧1)。
【0133】
これにより、保護シートの傾斜角度θを小さくすることができる。つまり、nを大きくすると、傾斜角度θを小さく設定することができる。したがって、この式により保護シートの傾斜角度θを決定することは、保護シートが圧着ヘッドの前方に突出する量に制限がある場合に有効である。なお、nを大きくするほど、保護シートの使用効率が低くなるため、保護シートが圧着ヘッドの前方に突出する量と保護シートの使用効率を考慮してnの値を決定するとよい。
【0134】
第6の例では、n=2としている。この場合における保護シートのX方向の送り量は、上刃長さLに上刃間距離L1を加えた長さの2倍にする。つまり、X方向の送り量を2(L+L1)にする。一方、Y方向の送り量は、上刃幅tにαを加えた長さにする。つまり、Y方向の送り量をt+αにする。
【0135】
なお、図8に示すように、本実施の形態の本圧着部320Aでは、傾斜変更部355によって保護シート340Aの傾斜角度を変更している。そのため、傾斜変更部355より下流側(シート回収部354側)の保護シート340Aでは、上刃331が使用済み部分に当接することになる。したがって、本圧着部320Aでは、傾斜変更部355より上流側(シート供給リール351側)における保護シート340Aの使用回数を許容回数の半分にする。
【0136】
上述の使用回数とは、上刃331が保護シート340Aの同一部分に当接する回数である。また、許容回数とは、上刃331を保護シート340Aの同一部分に当接させてよい回数の上限値である。この許容回数は、保護シートの材質、上刃の温度等を考慮して適宜設定できる。
例えば、同一部分に圧着作業を10回まで行うことが可能な保護シートを用いる場合は、傾斜変更部355より上流側で圧着作業を5回行うと、所定の送り量だけ保護シートを送る。これにより、傾斜変更部355より下流側で上刃331が使用済み部分に当接しても、使用回数が許容回数を超えることはない。
【0137】
[本圧着ユニットの圧着部の変形例]
図17は、本発明のFPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態に係る本圧着ユニットの圧着部の変形例を示す説明図である。本変形例では、第1の実施の形態と比べて図8に示すシート送り機構の構成が異なっている。すなわち、2つのシート送り機構を有することにより、保護シートとシート送り機構の組を2組有している。そして、傾斜変更部を境界として保護シートを左右の圧着する部分で2回使用しないようにしたため、保護シートが途中で切れるおそれがないという効果がある。
【0138】
FPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態に係る本圧着ユニットは、圧着部620A,320B及び320Cを有している。つまり、本圧着部320B及び320Cは、第1の実施の形態に係る本圧着ユニット300に用いられているものと同じである。
【0139】
図17に示すように、圧着部620Aは、上部フレーム622Aと、2つの保護シート640A,640Bと、2つのシート送り機構650A,650Bとを有している。すなわち、圧着部620Aは、保護シートとシート送り機構の組を2組有している。また、圧着部620Aは、下部フレーム及び圧着ヘッド(不図示)を備えている。
【0140】
上部フレーム622Aは、正面から見た形状が略C字状に形成されており、長方形の上板628と、この上板628の短辺にそれぞれ連続する側板629A,629Bとを有している。側板629A,629Bは、それぞれ上下方向に長い長方形に形成されており、一方の短辺が上板628に連続している。
【0141】
上板628の一方(前側)の長辺には、保護シート640A,640Bとの干渉を避けるための切欠き625a,625bが設けられている。これと同様に、側板629A,629Bの一方(前側)の長辺にも、保護シート640A,640Bとの干渉を避けるための切欠き626a,627aが設けられている。
【0142】
2つの保護シート640A,640Bは、それぞれ所定の幅を有する帯状に形成されており、上刃と下刃との間に介在されている。そして、圧着作業を行うときに、上刃と搭載部材2(図1参照)との間に介在される。これら保護シート640A,640Bの上刃と下刃との間に介在されている部分は、同一平面上に位置している。
【0143】
保護シート640Aは、所定の幅を有する帯状に形成されており、シート送り機構650Aによって上部フレーム622Aの中間部よりも側板629A側の上刃と下刃との間に送り出される。一方、保護シート640Bは、保護シート640Aと同じ所定の幅を有する帯状に形成されており、シート送り機構650Bによって上部フレーム622Aの中間部よりも側板629A側の上刃と下刃との間に送り出される。
【0144】
シート送り機構650Aは、図示しないシート供給リール及び回転駆動部と、ガイドローラ群653Aと、シート回収部655Aとを備えている。
【0145】
ガイドローラ群653Aは、保護シート640Aをシート供給リールからシート回収部655Aへ案内する。このガイドローラ群653Aは、複数の上刃(不図示)が並ぶ方向に所定の間隔をあけて配置されるガイドローラ653a,653bを含む。ガイドローラ653aは、上部フレーム622A内において側板629A側に配置されており、ガイドローラ653bは、上部フレーム622A内の中間部に配置されている。
【0146】
シート供給リールから送り出された保護シート640Aは、側板629Aの切欠き626aを貫通してガイドローラ653aに到達する。ガイドローラ653aは、保護シート640Aを上刃と下刃との間へ案内し、複数の上刃が並ぶ方向に対して水平方向に傾斜させる。
【0147】
ガイドローラ653bは、上刃と下刃との間を通過した保護シート640Aを上方へ案内し、シート回収部655Aへ導く。これにより、保護シート640Aは、上部フレーム622Aの切欠き625aを貫通してシート回収部655Aに回収される。
【0148】
シート送り機構650Bは、シート送り機構650Aと同様の構成を有しており、図示しないシート供給リール及び回転駆動部と、ガイドローラ群653Bと、シート回収部655Bとを備えている。
【0149】
ガイドローラ群653Bは、保護シート640Bをシート供給リールからシート回収部655Bへ案内する。このガイドローラ群653Bは、複数の上刃(不図示)が並ぶ方向に所定の間隔をあけて配置されるガイドローラ653c,653dを含む。ガイドローラ653cは、上部フレーム622A内において側板629B側に配置されており、ガイドローラ653dは、上部フレーム622A内の中間部に配置されている。
【0150】
シート供給リールから送り出された保護シート640Bは、側板629Bの切欠き627aを貫通してガイドローラ653cに到達する。ガイドローラ653cは、保護シート640Bを上刃と下刃との間へ案内し、複数の上刃が並ぶ方向に対して水平方向に傾斜させる。
【0151】
ガイドローラ653dは、上刃と下刃との間を通過した保護シート640Bを上方へ案内し、シート回収部655Bへ導く。これにより、保護シート640Bは、上部フレーム622Aの切欠き625bを貫通してシート回収部655Bに回収される。
【0152】
このように、本実施の形態では、圧着部620Aの圧着ヘッドに対して、保護シートとシート送り機構の組を2組設ける構成とした。これにより、圧着部620Aの圧着ヘッドに対して、保護シートとシート送り機構を1組設ける場合よりも、保護シートの前方への突出量を小さくすることができる。その結果、装置の小型化を実現することができる。また、保護シートの前方への突出量を小さくすることにより、保護シートが本圧着部320B,320C(図8参照)に干渉しないようにすることができる。
【0153】
さらに、上刃331の当接位置から外れた使用済み部分に別の上刃331が当接する事はなく、第1の実施の形態に係る本圧着部320Aよりも安定した圧着作業を行うことができる。
【0154】
なお、第1の実施の形態の変形例では、圧着部620Aの圧着ヘッドに対して、保護シートとシート送り機構の組を2組設けたが、本発明に係る保護シートとシート送り機構の組は、3組以上にすることもできる。
【0155】
上述した第1の実施の形態を含む変形例によれば、保護シートを圧着ヘッドの複数の上刃と搭載部材(下刃)との間へ案内し、複数の上刃が並ぶ方向に対して水平方向に傾斜させる。シート送り機構によって保護シートを送ると、上刃が当接することで生じる使用済み部分が上刃に対して斜めに変位する。したがって、上刃による圧着箇所から使用済み部分が外れるまでの保護シートの変位量を小さくすることができる。その結果、保護シートの送り量を小さくすることができ、送り時間を短くすることができる。また、保護シートの変位量が小さくても、使用済み部分を圧着箇所から外すことができる。
【0156】
しかも、送り機構を圧着ヘッドの側方に配置することが可能になるため、装置の小型化を図ることができるとともに、圧着ヘッドの周囲に熱がこもらないようにすることができる。つまり、上述した第1の実施の形態では、装置の小型化を実現しながら短時間で保護シートの送りを行うことができる。また、保護シートの送り量を調整することにより、保護シート上に多くの使用済み部分を設けることができ、保護シートの使用効率を高めることができる。
【0157】
上述した第1の実施の形態を含む変形例では、ACFが貼付けられた搭載部材2の搭載作業を表示基板1の3辺に対して各辺に対する処理時間がオーバーラップするようにした。このため、従来用いられていた表示基板の2辺ずつに対して処理を行うFPDモジュール組立ラインに比べて、規模を縮小することができる。
【0158】
なお、上述した第1の実施の形態を含む変形例では、2列のACFを同時に貼り付ける例を示したが、実装するCOFの形式によっては片側のみACFを貼り付ける場合もあるため、同時に2列のACFを貼り付けることに限定されるものではない。
【0159】
[第2の実施の形態:移動装置の変形例]
次に、本発明の第2の実施の形態に係るFPDモジュール組立ライン11について、図18〜図21を参照して説明する。ここでは、第1の実施の形態において説明したFPDモジュール組立ライン10が備える移動装置の変形例を説明する。
【0160】
[FPDモジュール組立ライン]
ここで、本発明のFPDモジュールの組立装置の第2の実施の形態であるFPDモジュール組立ライン11について、図18を参照して説明する。なお、仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300、PCB接続ユニット400については、第1の実施の形態に係るFPDモジュール組立ライン10における構成と同様の構成としてあるため、詳細な説明を省略する。
【0161】
図18は、FPDモジュール組立ライン11全体を示すフロアレイアウト図である。上述した第1の実施の形態において、表示基板1をY方向に搬送する際に、X方向に直交する方向に表示基板1を移動する移動機構290,390,490を用いて行ったが、本実施の形態では、2軸の回転駆動するアームを用いてY方向に表示基板1を搬送することを実現している。
【0162】
FPDモジュール組立ライン11を構成する受け入れユニット100、搭載ユニットである仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300及びPCB接続ユニット400は、搬送ラインに沿った第1の方向Xに従って並んでいる。
【0163】
以下、第1の方向Xに交差する上下方向を第2の方向Zとし、第1の方向X及び第2の方向Zに交差する方向を第3の方向Yとする。本例では、第2の方向Zは、第1の方向Xに直交し、第3の方向Yは、第1の方向X及び第2の方向Zに直交するものとする。また、第1の方向Xの受け入れユニット100側を上流側とし、第1の方向XのPCB接続ユニット400側を下流側とする。
【0164】
表示基板1は、受け入れユニット100からPCB接続ユニット400まで順次搬送され、各処理作業工程を経て周縁部に搭載部材2が実装されると共に、その搭載部材2にPCB6が実装される。FPDモジュール組立ライン11は、次のユニットの作業位置まで表示基板1を搬送する搬送ユニット500を備えている。
【0165】
[搬送ユニット]
次に、搬送ユニット500について、図19を参照して説明する。
図19は、本圧着ユニット300に関る搬送ユニット500の斜視図である。
【0166】
搬送ユニット500は、各作業ユニットに対して設けられている。この搬送ユニット500は、供給搬送部510と、取り出し搬送部520と、中置き台570から構成されている。
【0167】
まず、中置き台570について説明する。
中置き台570は、隣り合う作業ユニット間に配置されている。この中置き台570には、取り出し搬送部520によって搬送された表示基板1が載置される。
【0168】
なお、中置き台570は、PCB接続ユニット400の下流側にも配置されている(図18参照)。PCB接続ユニット400の下流側に設けられた中置き台570は、PCB接続ユニット400と搬送ユニット(不図示)との間に配置されている。
【0169】
中置き台570は、支持筐体571に支持されている。この支持筐体571は、中空の直方体状に形成されている。支持筐体571の内部には、搬送ユニット制御部(不図示)が収納されている。この搬送ユニット制御部は、収納された支持筐体571の上流側に配設された作業ユニットに対して設けられた取り出し搬送部520及び供給搬送部510の各駆動部を制御する。
【0170】
次に、供給搬送部510について説明する。
供給搬送部510は、作業ユニット(例えば、本圧着ユニット300)と第3の方向Yに対向しており、作業ユニットの一対の制御部(制御部303A,303B)間に配置されている。この供給搬送部510は、供給された表示基板1を作業ユニットの作業位置へ搬送し、基準バー(例えば、基準バー304)に載置する。
【0171】
供給搬送部510は、保持部511と、回動駆動部512と、昇降部513と、X軸スライダ514と、Y軸スライダ515と、Y軸ガイド516とを備えている。
【0172】
保持部511は、表示基板1の下方に向いた平面部を真空吸着する吸着部(不図示)を有しており、表示基板1を着脱可能に保持する。この保持部511は、1つ前(上流側)の作業ユニットに対して設けられた取り出し搬送部520から渡される表示基板1を保持し、その表示基板1を対応する作業ユニットの基準バーに載置するときに保持を解除する。
【0173】
回動駆動部512は、第2の方向Zに平行な回動軸を中心に回動させる。この回動駆動部512は、例えば、モータと、このモータにおける回転軸の回転速度を減速させる減速機構と、この減速機構と保持部511とを接続する接続部材から構成されている。また、回動駆動部512の減速機構としては、例えば、歯車減速機を用いることができる。
【0174】
昇降部513は、回動駆動部512を支持している。この昇降部513は、回動駆動部512を第2の方向Zへ移動させる。これにより、保持部511は、回動駆動部512を介して第2の方向Zへ移動可能になっている。
この昇降部513としては、例えば、エアシリンダや油圧シリンダなどを適用することができる。
【0175】
X軸スライダ514は、昇降部513を支持する。Y軸スライダ515は、X軸スライダ514を第1の方向Xに移動可能に支持する。X軸スライダ514は、Y軸スライダ515上を移動するための駆動部を有しており、Y軸スライダ515は、Y軸ガイド516上を移動するための駆動部を有している。
【0176】
X軸スライダ514及びY軸スライダ515の駆動部、回動駆動部512、昇降部513は、支持筐体571内に収納された搬送ユニット制御部(不図示)により制御される。
【0177】
供給搬送部510では、受取位置で表示基板1を受け取ると、保持部511により表示基板1を保持する。次に、カメラ部(不図示)により保持部511に対する表示基板1の位置を検出する。そして、その検出結果に基づいて、X軸スライダ514及び回動駆動部512を駆動させ、作業ユニットの作業位置に対する表示基板1の第1の方向X及び回転方向の位置を調整する。
【0178】
次に、Y軸スライダ515を駆動させて表示基板1を作業ユニットにおける作業位置の上方に搬送する。そして、昇降部513を駆動させて、表示基板1を下降させ、表示基板1を対応する作業ユニットの基準バーに載置する。その後、保持部511による表示基板1の保持を解除し、Y軸スライダ515を駆動させて受取位置に戻る。
【0179】
受取位置に配置された供給搬送部510の保持部511と、中置き台570とは、第1の方向Xに並ぶと共に、第2の方向Zの位置が同じになる。
【0180】
次に、取り出し搬送部520について説明する。
取り出し搬送部520は、作業ユニット(例えば、本圧着ユニット300)の作業位置から表示基板1を取り出して、次のユニット(例えば、PCB接続ユニット400)の供給搬送部510に渡す。
【0181】
取り出し搬送部520は、表示基板1を保持する基板保持部材521と、この基板保持部材521を第1の方向Xへ移動させる直動駆動部522から構成されている。
基板保持部材521は、保持部531と、第1の回動駆動部532と、アーム部533と、第2の回動駆動部534と、基板保持アーム535と、支持部536と、昇降部537とを備えている。
【0182】
保持部531は、表示基板1の上方に向いた平面部を真空吸着する吸着部(不図示)を有しており、表示基板1を着脱可能に保持する。この保持部531は、作業ユニットの作業位置に配置された表示基板1を保持する。そして、表示基板1を中置き台570に載置するときに保持を解除する。
【0183】
第1の回動駆動部532は、第2の方向Zに平行な回動軸532aを中心に保持部531を回動させる。この第1の回動駆動部532は、例えば、モータと、このモータにおける回転軸の回転速度を減速させる減速機構と、この減速機構と保持部531とを接続する接続部材から構成されている。また、第1の回動駆動部532の減速機構としては、例えば、歯車減速機を用いることができる。
【0184】
アーム部533は、略L字状に形成されている。このアーム部533の一方の端部には、第1の回動駆動部532が取り付けられている。したがって、保持部531は、アーム部533に対して回動軸532a中心に回動する。一方、アーム部533の他方の端部は、第2の回動駆動部534に接続されている。
【0185】
第2の回動駆動部534は、第2の方向Zに平行な回動軸534aを中心にアーム部533を回動させる。この第2の回動駆動部534は、第1の回動駆動部532と同様に、モータと、減速機構と、減速機構とアーム部533とを接続する接続部材から構成されている。
【0186】
基板保持アーム535は、アーム部541と、接続部542と、保持部543から構成されている。
アーム部541は、適当な厚みを有する長方形の板体からなっている。接続部542は、第2の方向Zに平行な円柱状に形成されている。この接続部542の一端は、アーム部541の一方の端部に固定されている。また、接続部542の他端は、保持部543に固定されている。つまり、保持部543は、アーム部541に対して回動しない。
【0187】
保持部543は、保持部531と同じものであり、表示基板1の上方に向いた平面部を真空吸着する吸着部(不図示)を有している。基板保持アーム535の保持部543は、中置き台570に載置された表示基板1を保持する。そして、表示基板1を次の作業ユニットに対応する供給搬送部510に渡すときに保持を解除する。
【0188】
支持部536は、第2の回動駆動部534と基板保持アーム535を支持する。この支持部536は、適当な厚みを有する長方形の板体からなり、長辺が第1の方向Xに平行になるように配置されている。この支持部536の上流側の端部には、第2の回動駆動部534が固定されている。したがって、アーム部533は、支持部536に対して回動軸534a中心に回動する。
【0189】
支持部536の下流側の端部には、基板保持アーム535におけるアーム部541の他方の端部が固定されている。したがって、基板保持アーム535は、支持部536に対して回動しない。
【0190】
昇降部537には、支持部536が取り付けられている。この昇降部537は、支持部536を第2の方向Zへ移動させる。これにより、基板保持アーム535の保持部543と保持部531は、支持部536を介して第2の方向Zへ移動可能になっている。
この昇降部537としては、例えば、エアシリンダや油圧シリンダなどを適用することができる。
【0191】
直動駆動部522は、X軸ガイド551と、このX軸ガイド551上を移動するスライダ552から構成されている。
X軸ガイド551は、支持筐体571に配設されたガイド支持部555A,555Bに支持されている。
【0192】
スライダ552は、X軸ガイド551上を移動するための駆動部を有している。このスライダ552の駆動部と、基板保持部材521の第1の回動駆動部532,第2の回動駆動部534は、支持筐体571内に収納された搬送ユニット制御部(不図示)により制御される。
【0193】
[取り出し搬送部の動作]
次に、取り出し搬送部520の動作について、図20及び図21を参照して説明する。
図20は、搬送ユニット500における取り出し搬送部520の動作を示す説明図である。図21は、取り出し搬送部520の動作を示すタイミングチャートである。
【0194】
図20Aは、取り出し搬送部520の保持部531が表示基板1の上方を向いた平面部に接触した状態の説明図であり、図21に示すタイミングt1の状態を示している。
【0195】
図20Aに示す状態では、保持部531が本圧着ユニット300の作業位置にある表示基板1Aの平面部に接触し、基板保持アーム535における保持部543が中置き台570(図19参照)上の表示基板1Bの平面部に接触する。このときの基板保持部材521における支持部536の第1の方向Xの位置及び第2の方向Zの位置を0とする。
【0196】
また、このときのアーム部533に対する保持部531の回動角度θ1は、−35度になっている。回動角度θ1は、保持部531の回動範囲を70度に設定し、その中間を0度とした場合の角度である。したがって、保持部531は、−35度から35度まで回動する。
【0197】
一方、支持部536に対するアーム部533の回動角度θ2は、35度になっている。回動角度θ2は、アーム部533の回動範囲を70度に設定し、その中間を0度とした場合の角度である。したがって、アーム部533は、35度から−35度まで回動し、アーム部533と保持部531の回動方向は、反対になる。
【0198】
保持部531,543が表示基板1A,1Bの平面部に接触すると、保持部531の吸着部による表示基板1Aの吸着及び保持部543の吸着部による表示基板1Bの吸着が開始される(図21参照)。そして、所定の時間が経過すると、保持部531,543が表示基板1A,1Bを吸着して保持する。
【0199】
その後、昇降部537(図19参照)が駆動し、支持部536が第2の方向Zへ所定の距離(本例では60mm)だけ移動(上昇)する。これにより、表示基板1A,1Bを保持した保持部531,543は、支持部536と一緒に第2の方向Zへ所定の距離だけ移動(上昇)する。この状態は、図21に示すタイミングt1の状態である。
【0200】
なお、図20では、供給搬送部510の動作を省略しているが、供給搬送部510と取り出し搬送部520の動作は、供給搬送部510の動作に同期している。表示基板1A,1Bを保持した保持部531,543が第2の方向Zへの移動を開始すると、供給搬送部510は、表示基板1(不図示)を保持した保持部511を本圧着ユニット300の作業位置に向かって第3の方向Yへ移動する。
【0201】
表示基板1A,1Bを保持した保持部531,543の第2の方向Zへの移動が完了すると、第2の回動駆動部534(図19参照)がアーム部533をR1方向(図20B参照)に所定の速度で回動させる。また、第1の回動駆動部532(図19参照)が保持部531をR1方向と反対方向であるR2方向にアーム部533と同じ所定の速度で回動させる。さらに、スライダ552が基板保持部材521を第1の方向Xの下流側へ移動させる。
【0202】
このとき、基板保持部材521の移動速度は、保持部531の回動軸532aがアーム部533の回動軸534aに対して第1の方向Xの上流側へ変位する速度に一致している。したがって、保持部531の回動軸532aは、第3の方向Yへ移動して本圧着ユニット300の作業位置から離れる。
【0203】
その結果、保持部531の移動を第1の方向Yへ案内する直動軸を用いずに保持部531を第1の方向Yへ移動させることができる。したがって、保持部531の移動を第1の方向Yへ案内する直動軸を作業ユニットに干渉しなくなるまで退避させるためのスペースを確保する必要がない。これにより、搬送ユニット500を配置するためのスペースを小さくすることができ、装置全体の小型化を図ることができる。
【0204】
また、保持部531がR2方向にアーム部533と同じ所定の速度で回動するため、表示基板1Aは、本圧着ユニット300に対して回転することなく移動する。これにより、本圧着ユニット300に対する表示基板1Aの姿勢を常に一定にすることができるため、表示基板1Aが本圧着ユニット300に干渉しない。
【0205】
図20Bは、アーム部533及び保持部531の回動角度θ1,θ2が0度になった状態の説明図であり、図21に示すタイミングt2の状態を示している。
【0206】
図20Bに示す状態では、保持部531の回動軸532aと、アーム部533の回動軸534aが第1の方向Xに平行な直線Lに一致する。この図20Bに示す状態になるまでは、回動軸532aが回動軸534aに対して第1の方向Xの上流側へ変位する。そのため、回動軸532aと回動軸534aが第1の方向Xに平行な直線Lに一致するまで、スライダ552(図19参照)は、基板保持部材521を第1の方向Xの下流側へ移動させる。
【0207】
本例では、回動軸532aと回動軸534aが第1の方向Xに平行な直線Lに一致するまでに、基板保持部材521を第1の方向Xの下流側へ50mm移動させる(図21参照)。
【0208】
回動軸532aと回動軸534aが第1の方向Xに平行な直線Lに一致した後、アーム部533がR1方向に回動すると、回動軸532aは、回動軸534aに対して第1の方向Xの下流側へ変位する。そのため、回動軸532aと回動軸534aが第1の方向Xに平行な直線Lに一致してからは、スライダ552(図19参照)が、基板保持部材521を第1の方向Xの上流側へ移動させる。これにより、保持部531の回動軸532aは、引き続き第3の方向Yへ移動して本圧着ユニット300の作業位置から離れる。
【0209】
図20Cは、アーム部533の回動角度θ1が35度になり、保持部531の回動角度θ2が−35度になった状態の説明図であり、図21に示すタイミングt3の状態を示している。
【0210】
図20Cに示す状態では、アーム部533及び保持部531の回動動作が停止すると共に、基板保持部材521における支持部536の第1の方向Xの位置が0になる。つまり、支持部536は、タイミングt2(図20B参照)からタイミングt3(図20C参照)になるまでに、第1の方向Xの上流側へ50mm移動し、タイミングt1(図20A参照)と同じ位置に戻る。このとき、保持部531に保持された表示基板1Aと、保持部543に保持された表示基板1Bは、第1の方向Xに沿って並ぶ。
【0211】
また、図20Cに示す状態では、供給搬送部510が、保持部511によって保持した表示基板1を本圧着ユニット300の作業位置にある基準バー304に載置する。そして、保持部511を第3の方向Yへ移動させて作業位置から離す。
【0212】
アーム部533及び保持部531の回動動作が停止すると、スライダ552(図19参照)が基板保持部材521を第1の方向Xの下流側へ移動させる。
【0213】
図20Dは、基板保持部材521の第1の方向Xの下流側への移動が停止した状態の説明図であり、図21に示すタイミングt4及びt5の状態を示している。
【0214】
アーム部533及び保持部531の回動動作が停止する(図20C参照)と、直動駆動部522のスライダ552は、基板保持部材521を第1の方向Xの下流側へ所定の距離だけ移動させる(図21に示すタイミングt4)。本例では、基板保持部材521を第1の方向Xの下流側へ500mm移動させる。
【0215】
このとき、供給搬送部510の保持部511は、表示基板を受け取る受取位置に搬送する。この受取位置は、本圧着ユニット300から第3の方向Yへ所定の距離だけ離れている。そして、供給搬送部510は、1つ前の作業ユニットである仮圧着ユニット200に対応して設けられた取り出し搬送部(不図示)から表示基板が供給されるまで待機する。
【0216】
基板保持部材521の第1の方向Xの下流側への移動が停止すると、保持部531に保持された表示基板1Aは、中置き台570(図19参照)の上方に配置される。また、保持部543に保持された表示基板1Bは、次の作業ユニットであるPCB接続ユニット400に対応して設けられた供給搬送部(不図示)における保持部の上方に配置される。
【0217】
その後、昇降部537(図19参照)が駆動し、支持部536が第2の方向Zへ所定の距離(本例では60mm)だけ移動(下降)する。これにより、表示基板1Aは、中置き台570に載置される。そして、表示基板1Bは、PCB接続ユニット400に対応して設けられた供給搬送部(不図示)における保持部に載置される(図21に示すタイミングt5)。
【0218】
表示基板1A,1Bが中置き台570及び供給搬送部(不図示)における保持部に載置されると、保持部531及び保持部543の吸着部による表示基板1A,1Bの吸着が解除される。そして、所定の時間が経過すると、保持部531,543が表示基板1A,1Bを開放する(図21に示すタイミングt5)。これにより、表示基板1A,1Bの受け渡しが完了する。
【0219】
表示基板1A,1Bの受け渡しが完了すると、取り出し搬送部520は、図20Aに示す状態に戻る。すなわち、昇降部537を駆動させて支持部536を上昇させた後、スライダ552を駆動させて基板保持部材521を第1の方向Xの上流側へ移動させる。次に、アーム部533及び保持部531を回動させながら、基板保持部材521を第1の方向の下流側又は上流側に移動させて、保持部531を第3の方向Yへ移動させる。
【0220】
取り出し搬送部520が図20Dに示す状態から図20Aに示す状態に戻るまで、本圧着ユニット300は、供給された表示基板1に対する搭載部材2の本圧着作業を行う。また、供給搬送部510は、受取位置で待機する。
【0221】
上述した第2の実施の形態によれば、基板保持部材のアーム部を第2の方向に平行な軸を中心に回動させながら、基板保持部材を第1の方向の一方又は他方に移動させる。これにより、第1の回動駆動部の回動中心を第1の方向及び第2の方向に交差する第3の方向へ変位させることができる。例えば、保持部531の回動軸532aがアーム部533の回動軸534aの回転によって回動軸534aに対して第1の方向Xの上流側へ変位するときは、基板保持部材521を第1の方向Xの下流側へ移動させる。一方、回動軸532aが回動軸534aの回転によって回動軸534aに対して第1の方向Xの下流側へ変位するときは、基板保持部材521を第1の方向Xの上流側へ移動させる。これにより、回動軸532aを第3の方向Yへ移動させることができる。
【0222】
その結果、直動軸を用いずに保持部531及び表示基板1Aを第3の方向Yへ移動させることができる。その結果、第3の方向Yに平行な直動軸を設けなくても、表示基板1を第3の方向Yに移動させることができる。また、直動軸を退避させるためのスペースを確保する必要がないため、搬送ユニット500を配置するためのスペースを小さくすることができ、装置全体の小型化を図ることができる。
【0223】
また、アーム部533がR1方向に回動し、保持部531がR1方向と反対のR2方向に回動する。そして、両者は、同じ速度で回動する(角速度が同じである)ため、保持部531に保持された表示基板1Aの本圧着ユニット300に対する姿勢を常に一定にすることができる。したがって、第3の方向Yへ搬送する表示基板1Aが本圧着ユニット300に干渉しない。
【0224】
また、中置き台570と基板保持アーム535を設けたため、表示基板1Aを第3の方向Yへ引き出した後に、取り出し搬送部520が第1の方向Xの下流側へ移動する距離を短くすることができる。これにより、各作業ユニットが表示基板1Aの搬送待ちをしないようにすることができ、生産性を向上させることができる。
【0225】
また、上述した第2の実施の形態では、アーム部533及び保持部531の回動範囲の中間で、回動軸532aと回動軸534aが第1の方向Xに平行な直線Lに一致する構成とした。しかしながら、本発明に係るアーム部及び保持部の回動軸は、アーム部及び保持部の回動範囲の任意の位置で第1の方向Xに平行な直線Lに一致してもよい。
【0226】
例えば、本実施の形態のアーム部533の回動角度θ1が5度で、保持部531の回動角度θ2が−5度のときに、回動軸532aと回動軸534aを第1の方向Xに平行な直線Lに一致させることもできる。つまり、図20Aに示す状態からアーム部533がR1方向へ20度回動し、保持部531がR2方向へ20度回動したときに回動軸532aと回動軸534aを第1の方向Xに平行な直線Lに一致させることもできる。
このように構成する場合は、アーム部533の回動軸534aの位置を第3の方向Yの本圧着ユニット300側へずらせばよい。
【0227】
また、上述した第2の実施の形態では、昇降部537が支持部536を介してアーム部533及び基板保持アーム535を第2の方向Zへ移動させる構成とした。しかしながら、本発明に係る昇降部は、少なくとも保持部531,543を第2の方向Zへ移動させればよい。そのため、昇降部の配置は、保持部531,543を第2の方向Zへ移動させることができれば、適宜設定することができる。
【0228】
また、上述した第2の実施の形態では、ACFが貼付けられた搭載部材2の搭載作業を表示基板1の3辺に対して少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで行うようにした。このため、従来用いられていた表示基板の2辺ずつに対して処理を行うFPDモジュール組立ラインに比べて、規模を縮小することができる。
【0229】
以上、本発明のFPDモジュールの組立装置の実施の形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明のFPDモジュールの組立装置は、上述した第1及び第2の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の応用、変形実施が可能である。また、上述した第1及び第2の実施の形態について任意に組み合わせることにより、表示基板1の3辺を少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングに処理するFPDモジュール組立ラインを構成することが可能である。このタイミングは、各ユニットにおける表示基板1の辺毎の処理開始および処理終了の時間に差異があっても差し支えなく、少なくとも各辺に対する処理時間が重なっていれば良い。また、本発明に係るFPDモジュールの組立装置は、その構成によっては全てのユニットが表示基板1の3辺に対して処理を行うものとしなくてもよい。例えば、一部のユニットについては、個別に処理を行う機構を並べたものとしてもよい。
【符号の説明】
【0230】
10…FPDモジュール組立ライン、100…受け入れユニット、200…仮圧着ユニット、300…本圧着ユニット、400…PCB接続ユニット、500…搬送ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示基板にACFを貼付けるACF貼付装置と、
前記表示基板に搭載部材を、ACFを介して仮圧着する仮圧着装置と、
仮圧着された前記搭載部材を前記表示基板に本圧着する本圧着装置と、を備える
FPDモジュールを組み立てるFPDモジュール組立ラインにおいて、前記表示基板が搬送される第1の方向の搬送ラインに沿って配置される、前記ACF貼付装置、前記仮圧着装置又は前記本圧着装置のうち、少なくともいずれかの装置に対して、前記搬送ラインに交差する方向の処理位置に前記表示基板を移動し、配置する移動装置を備え、
前記ACF貼付装置、前記仮圧着装置、前記本圧着装置のうち、少なくともいずれかの装置が、前記移動装置によって前記処理位置に移動された前記表示基板の少なくとも3辺に、少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで所定の処理を行うことを特徴とするFPDモジュールの組立装置。
【請求項2】
さらに、前記表示基板にPCBを接続するPCB接続装置を備え、
前記移動装置は、前記PCB接続装置が前記表示基板に前記PCBを接続する処理を行う位置に前記表示基板を移動させ、前記PCB接続装置は、移動された前記表示基板の少なくとも3辺に、少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで前記PCBを接続する処理を行うことを特徴とする請求項1記載のFPDモジュールの組立装置。
【請求項3】
前記ACF貼付装置、前記仮圧着装置、前記本圧着装置、前記PCB接続装置のうち、少なくともいずれかの装置が前記表示基板の3辺にそれぞれ同一の処理を加える3台の処理機構を有し、前記3台の処理機構のうち、2台の前記処理機構が前記搬送ラインに交差する方向であって、前記処理位置に配置された前記表示基板の対向する2辺に対してそれぞれ処理を行う場合に、前記表示基板の大きさに合わせて2台の前記処理機構が前記表示基板に接近又は離反可能に構成されることを特徴とする請求項1又は2記載のFPDモジュールの組立装置。
【請求項4】
前記ACF貼付装置は、
ベースフィルムと前記ACFからなるACFテープの前記ACFに切り込みを入れる切込部と、切込みが入れられた前記ACFテープに前記搭載部材を貼付ける貼付部と、前記ACFテープの前記ベースフィルムを剥離する剥離部と、を有するACF貼付部と、
複数の搭載ヘッドを有し、表示基板の少なくとも3辺に対して前記ACFが貼付けられた搭載部材の搭載作業を、少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで行う搭載部と、を備える
請求項1又は2記載のFPDモジュールの組立装置。
【請求項5】
前記移動装置は、
前記表示基板を着脱可能に保持する保持部と、前記第1の方向に交差し、かつ、前記表示基板の平面に交差する第2の方向に平行な軸を中心に前記保持部を回動させる第1の回動駆動部と、前記第1の回動駆動部が取り付けられるアーム部と、前記第2の方向に平行な軸を中心に前記アーム部を回動させる第2の回動駆動部とを有する基板保持部材と、
前記基板保持部材を前記第1の方向へ移動させる直動駆動部と、を備え、
前記基板保持部材の前記第1の回動駆動部が、前記表示基板を保持した前記保持部を前記第2の回動駆動部によって回動される前記アーム部の回動方向と反対の方向に回動させ、前記直動駆動部が、前記アーム部の回動量に応じて前記基板保持部材を前記第1の方向の一方又は他方に移動させることで、前記保持部が保持した前記表示基板を前記第1の方向及び前記第2の方向に交差する第3の方向へ移動する請求項1又は2記載のFPDモジュールの組立装置。
【請求項6】
前記ACF貼付装置は、
搭載部材の端部を撮像する撮像部と、
前記撮像部の撮像結果に基づいて前記ACFの切断位置を決定する切断位置決定部と、
前記切断位置決定部によって決定された切断位置で前記ACFを切断する切断部と、を備える請求項1又は2記載のFPDモジュールの組立装置。
【請求項7】
前記本圧着装置は、
複数の上刃を有し、前記ACFを介して前記搭載部材を前記表示基板に熱圧着する圧着ヘッドと、
前記圧着ヘッドと前記搭載部材と間に介在される保護シートと、
前記保護シートを前記複数の上刃が並ぶ方向に対して水平方向に傾斜させて送るシート送り機構と、
を備える請求項1又は2記載のFPDモジュールの組立装置。
【請求項8】
表示基板にACFを貼付けるACF貼付装置と、前記表示基板に搭載部材を、ACFを介して仮圧着する仮圧着装置と、仮圧着された前記搭載部材を前記表示基板に本圧着する本圧着装置とを備えるFPDモジュールを組み立てるFPDモジュール組立ラインにおいて、前記表示基板が搬送される第1の方向に搬送ラインに沿って配置される、前記ACF貼付装置、前記仮圧着装置、前記本圧着装置のうち、少なくともいずれかの装置に対して、移動装置が前記搬送ラインに交差する方向の処理位置に前記表示基板を移動し、配置するステップと、
前記ACF貼付装置、前記仮圧着装置、前記本圧着装置のうち、少なくともいずれかの装置が、前記移動装置によって前記処理位置に移動された前記表示基板の少なくとも3辺に、少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで所定の処理を行うステップと、を有することを特徴とするFPDモジュールの組立方法。
【請求項1】
表示基板にACFを貼付けるACF貼付装置と、
前記表示基板に搭載部材を、ACFを介して仮圧着する仮圧着装置と、
仮圧着された前記搭載部材を前記表示基板に本圧着する本圧着装置と、を備える
FPDモジュールを組み立てるFPDモジュール組立ラインにおいて、前記表示基板が搬送される第1の方向の搬送ラインに沿って配置される、前記ACF貼付装置、前記仮圧着装置又は前記本圧着装置のうち、少なくともいずれかの装置に対して、前記搬送ラインに交差する方向の処理位置に前記表示基板を移動し、配置する移動装置を備え、
前記ACF貼付装置、前記仮圧着装置、前記本圧着装置のうち、少なくともいずれかの装置が、前記移動装置によって前記処理位置に移動された前記表示基板の少なくとも3辺に、少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで所定の処理を行うことを特徴とするFPDモジュールの組立装置。
【請求項2】
さらに、前記表示基板にPCBを接続するPCB接続装置を備え、
前記移動装置は、前記PCB接続装置が前記表示基板に前記PCBを接続する処理を行う位置に前記表示基板を移動させ、前記PCB接続装置は、移動された前記表示基板の少なくとも3辺に、少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで前記PCBを接続する処理を行うことを特徴とする請求項1記載のFPDモジュールの組立装置。
【請求項3】
前記ACF貼付装置、前記仮圧着装置、前記本圧着装置、前記PCB接続装置のうち、少なくともいずれかの装置が前記表示基板の3辺にそれぞれ同一の処理を加える3台の処理機構を有し、前記3台の処理機構のうち、2台の前記処理機構が前記搬送ラインに交差する方向であって、前記処理位置に配置された前記表示基板の対向する2辺に対してそれぞれ処理を行う場合に、前記表示基板の大きさに合わせて2台の前記処理機構が前記表示基板に接近又は離反可能に構成されることを特徴とする請求項1又は2記載のFPDモジュールの組立装置。
【請求項4】
前記ACF貼付装置は、
ベースフィルムと前記ACFからなるACFテープの前記ACFに切り込みを入れる切込部と、切込みが入れられた前記ACFテープに前記搭載部材を貼付ける貼付部と、前記ACFテープの前記ベースフィルムを剥離する剥離部と、を有するACF貼付部と、
複数の搭載ヘッドを有し、表示基板の少なくとも3辺に対して前記ACFが貼付けられた搭載部材の搭載作業を、少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで行う搭載部と、を備える
請求項1又は2記載のFPDモジュールの組立装置。
【請求項5】
前記移動装置は、
前記表示基板を着脱可能に保持する保持部と、前記第1の方向に交差し、かつ、前記表示基板の平面に交差する第2の方向に平行な軸を中心に前記保持部を回動させる第1の回動駆動部と、前記第1の回動駆動部が取り付けられるアーム部と、前記第2の方向に平行な軸を中心に前記アーム部を回動させる第2の回動駆動部とを有する基板保持部材と、
前記基板保持部材を前記第1の方向へ移動させる直動駆動部と、を備え、
前記基板保持部材の前記第1の回動駆動部が、前記表示基板を保持した前記保持部を前記第2の回動駆動部によって回動される前記アーム部の回動方向と反対の方向に回動させ、前記直動駆動部が、前記アーム部の回動量に応じて前記基板保持部材を前記第1の方向の一方又は他方に移動させることで、前記保持部が保持した前記表示基板を前記第1の方向及び前記第2の方向に交差する第3の方向へ移動する請求項1又は2記載のFPDモジュールの組立装置。
【請求項6】
前記ACF貼付装置は、
搭載部材の端部を撮像する撮像部と、
前記撮像部の撮像結果に基づいて前記ACFの切断位置を決定する切断位置決定部と、
前記切断位置決定部によって決定された切断位置で前記ACFを切断する切断部と、を備える請求項1又は2記載のFPDモジュールの組立装置。
【請求項7】
前記本圧着装置は、
複数の上刃を有し、前記ACFを介して前記搭載部材を前記表示基板に熱圧着する圧着ヘッドと、
前記圧着ヘッドと前記搭載部材と間に介在される保護シートと、
前記保護シートを前記複数の上刃が並ぶ方向に対して水平方向に傾斜させて送るシート送り機構と、
を備える請求項1又は2記載のFPDモジュールの組立装置。
【請求項8】
表示基板にACFを貼付けるACF貼付装置と、前記表示基板に搭載部材を、ACFを介して仮圧着する仮圧着装置と、仮圧着された前記搭載部材を前記表示基板に本圧着する本圧着装置とを備えるFPDモジュールを組み立てるFPDモジュール組立ラインにおいて、前記表示基板が搬送される第1の方向に搬送ラインに沿って配置される、前記ACF貼付装置、前記仮圧着装置、前記本圧着装置のうち、少なくともいずれかの装置に対して、移動装置が前記搬送ラインに交差する方向の処理位置に前記表示基板を移動し、配置するステップと、
前記ACF貼付装置、前記仮圧着装置、前記本圧着装置のうち、少なくともいずれかの装置が、前記移動装置によって前記処理位置に移動された前記表示基板の少なくとも3辺に、少なくとも各辺に対する処理時間がオーバーラップするタイミングで所定の処理を行うステップと、を有することを特徴とするFPDモジュールの組立方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−182358(P2012−182358A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45038(P2011−45038)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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