説明

FRPサンドイッチパネルの交差部構造

【課題】曲げ荷重や引張荷重が負荷された際、隅部のFRPオーバーレイの剥離を防止することができるFRPサンドイッチパネルの交差部構造を提供する。
【解決手段】FRPサンドイッチパネル1、2の交差部における隅部A、Bは、三角柱状の木材又は発泡プラスチック等からなる芯材と、芯材の周囲を包囲するGFRP布部分とから形成されたFRPコーナー部材3a、3bが設置され、FRPサンドイッチパネル1、2の側面の所定範囲とFRPコーナー部材3a、3bとを覆うFRP布4a、4bによって、オーバーレイして接着が図られている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はFRPサンドイッチパネルの交差部構造、特に、船舶の船穀材、プラント容器および建築パネル等の構造材を形成するFRPサンドイッチパネルを相互に接合する交差部構造における、FRPサンドイッチパネルの交差部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のFRPサンドイッチパネルの交差部構造は、FRPサンドイッチパネル相互をL型、T型に組み合わせ樹脂接合し例えば船穀材を製造するものであって、たとえば、ロイドやABS等の船級規則等に推奨する構造、形状、寸法が規定されている。特に、FRPサンドイッチパネル相互が交差する交差部(継手部に相等する)が形成される隅部には十分なR形状を付すためのパテを貼付けたり、断面三角形のフォーム材を接着してから、FRPのオーバーレイをするよう規定されている。
【0003】
一方、FRP板に撓み防止および強度向上のためのハット型断面の防撓材を設置し、FRP板と防撓材との間に、FRPからなる補強部材を設けた発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−89013号公報(4頁〜7頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に開示された発明は、FRP板と防撓材の心材との接着技術であって、FRP板相互の接着技術が開示されていない。
また、FRPサンドイッチパネルをL型、T型に相互に接合して船穀材等の構造材(交差部構造に同じ)を製作する際、継手強度上の弱点として、継手を形成するFRPサンドイッチパネル間に曲げ荷重や引張荷重が負荷された際、隅部のFRPオーバーレイが剥離し易いという問題があった。
この継手部の曲げ強度は、オーバーレイ接着部の剥離強度により限定されるものの、FRPオーバーレイに使用する樹脂の接着力には限界があるため、剥離に対する強度対策は困難を極めるという問題があった。
【0006】
本発明は前記問題を解決するものであって、FRPサンドイッチパネル間に曲げ荷重や引張荷重が負荷された際、隅部のFRPオーバーレイの剥離を防止することができるFRPサンドイッチパネルの交差部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係るFRPサンドイッチパネルの交差部構造は、一方のFRP(繊維強化プラスチック)パネルの側面に他方のFRP(繊維強化プラスチック)パネルの端面が当接して形成される交差部におけるものであって、
前記交差部の隅の所定範囲に当接する断面略三角形状のコーナー部材をFRP布によって包囲し、該FRP布によって包囲されたコーナー部材を前記交差部の隅に配置して、斜面をそれぞれ前記一対のFRPパネルのそれぞれの側面に接着し、さらに、前記一対のFRPパネルのそれぞれの側面の所定範囲と前記コーナー部材の底面とを覆うFRPオーバーレイを施してなることを特徴とする。
【0008】
(2)また、前記(1)において、前記コーナー部材が、それぞれFRP布によって包まれた断面略三角形状の複数の心材片によって形成されることを特徴とする。
(3)また、前記(1)または(2)において、前記複数の心材片のうち少なくとも1の心材片を包むFRP布が延長布面を有し、該延長布面が前記一方のFRPパネルの側面と前記他方のFRPパネルの端面とによって挟まれることを特徴とする。
【0009】
(4)また、前記(1)乃至(3)の何れかにおいて、前記交差部の隅に配置されたコーナー部材は、前記隅から遠い縁部が面取り加工され、該面取りされた後でFRP布によって包囲され、前記交差部の隅に配置された状態で前記面取りされた範囲にパテが充填されることを特徴とする。
(5)さらに、前記交差部の角を跨いで、前記一対のFRPパネルのそれぞれの側面の所定範囲に、FRPオーバーレイが施されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
(i)本発明は、FRP布で包まれたFRPコーナー部材を、当接部の隅(凹部側)に設置して、これを跨いでFRPオーバーレイが施されるから、交差部のFRPオーバーレイの剥離が防止できる強度を得ることができる。すなわち、FRPオーバーレイに、これを剥がそうとする力が作用しても、かかる力はFRPコーナー部材を包むFRP布によって分散(低減9)される。これによって、FRPコーナー材は、強度向上に寄与する構造体とみなされるから、FRPオーバーレイの剥離強度が向上し、交差部(継手)の引張強度や曲げ強度が向上する。
【0011】
(ii)また、コーナー部材がそれぞれFRP布によって包まれた複数の心材片によって形成されるから、それぞれの心材片に挟まれたFRP布が、FRPオーバーレイを剥がそうとする力の分散(低減)に寄与するから、FRPオーバーレイの剥離強度がさらに向上し、交差部(継手)の引張強度や曲げ強度がさらに向上する。
(iii)また、心材片を包むFRP布の延長布面が、一対のFRPパネルに挟まれるから、延長布面の一方が一対のFRPパネルによって堅固に端されている。したがって、FRPオーバーレイを剥がそうとする力のうち、延長布面が負担する分力は確実に支持されるから、FRPオーバーレイの剥離強度がさらに向上し、交差部(継手)の引張強度や曲げ強度がさらに向上する。
【0012】
(iv)また、コーナー部材の交差部の隅から遠い縁部に面取り加工され、この範囲にパテが充填されるから、FRPオーバーレイの剥離強度がさらに向上し、交差部(継手)の引張強度や曲げ強度がさらに向上する。
(v)さらに、交差部の角(凸部側)を跨いで、一対のFRPパネルのそれぞれの側面にFRPオーバーレイが施されるから、交差部は両側(隅および角)において補強され、FRPオーバーレイの剥離強度がさらに向上し、交差部(継手)の引張強度や曲げ強度がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係るFRPサンドイッチパネルの交差部構造を説明する断面図。
【図2】図1に示すFRPサンドイッチパネルの交差部構造の構成部材の一部を示す斜視図。
【図3】本発明の実施の形態2に係るFRPサンドイッチパネルに付した防撓材断面により交差部構造を説明する断面図。
【図4】図3に示すFRPサンドイッチパネルの交差部構造の構成部材の一部を拡大して示す断面図。
【図5】本発明の実施の形態3に係るFRPサンドイッチパネルの交差部構造を説明する断面図。
【図6】図5に示すFRPサンドイッチパネルの交差部構造の構成部材の一部を示す斜視図。
【図7】図5に示すFRPサンドイッチパネルの交差部構造の一部を拡大して示す断面図。
【図8】図5に示すFRPサンドイッチパネルの交差部構造における力の取り合いを示す断面図。
【図9】図5に示すFRPサンドイッチパネルの交差部構造における力の取り合いを拡大して示す断面図。
【図10】本発明の実施の形態4に係るFRPサンドイッチパネルの交差部構造を説明する断面図。
【図11】本発明の実施の形態5に係るFRPサンドイッチパネルの交差部構造を説明する断面図。
【図12】図5に示すFRPサンドイッチパネルの交差部構造に対する比較交差部を例示する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施の形態1]
図1および図2は、本発明の実施の形態1に係るFRPサンドイッチパネルの交差部構造を説明するものであって、図1は断面図、図2は構成部材の一部を示す斜視図である。なお、図1、2は模式的に描くものであって、部材の相対的な大きさ(厚さ)は誇張されている。
図1において、FRPサンドイッチパネルの交差部構造(以下「T字状交差部」と称す)100は、一方の第1FRPサンドイッチパネル1の側面に、他方の第2FRPサンドイッチパネル2の端面を突き合わせて、T字状に組み立てている。
そして、かかる突き合わせによって形成される一対の隅部Aおよび隅部Bに、それぞれ略三角断面のFRPコーナー部材3aおよびFRPコーナー部材3bが設置されている。
【0015】
そして、隅部Aにおいては、第1FRPサンドイッチパネル1の一方の側面1aの所定範囲、FRPコーナー部材3aおよび第2FRPサンドイッチパネル2の一方の側面2aの所定範囲を覆うFRP布4aによって、オーバーレイして接着が図られている。同様に、隅部Bにおいては、第1FRPサンドイッチパネル1の一方の側面1aの所定範囲、FRPコーナー部材3bおよび第2FRPサンドイッチパネル2の他方の側面2bの所定範囲を覆うFRP布4bによって、オーバーレイして接着が図られている。なお、以下の説明において、同じ内容においては添え字「a、b」の記載を省略する。
【0016】
図2において、FRPコーナー部材3は、三角柱状の木材ないし発泡プラスチック等からなる芯材33と、芯材33の周囲を包囲するGFRP布部分31、32、34とから形成されている。なお、GFRP布部分31、32、34は便宜状の称呼であって、それぞれ共通のGFRPを1枚または複数枚を巻回している。
すなわち、GFRP布部分31は第1FRPサンドイッチパネル1に設置され、GFRP布部分32は第2FRPサンドイッチパネル2に設置され、GFRP布部分34にはFRP布4がオーバーレイして接着している。
【0017】
なお、以上は、面材である第1FRPサンドイッチパネル1と第2FRPサンドイッチパネル2とが直角に交差しているT字状交差部100について説明しているが、本発明はこれに限定するものではなく、第1FRPサンドイッチパネル1と第2FRPサンドイッチパネル2とが傾いて交差する(直角に交差しない)「ト字状交差部」であってもよい。
【0018】
[実施の形態2]
図3および図4は、本発明の実施の形態2に係るFRPサンドイッチパネルに付した防撓材断面により交差部構造を説明するものであって、図3は断面図、図4は構成部材の一部を拡大して示す断面図である。なお、実施の形態1と同じ部分または相等する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図3において、FRPサンドイッチパネルの交差部構造(以下「T字状交差部」と称す)200は、面材である第1FRPサンドイッチパネル1に、スティフナー(防撓材に同じ)9が直角に交差している。このとき、形成される一対の隅部Aおよび隅部Bに、それぞれ略三角断面のFRPコーナー部材3aおよびFRPコーナー部材3bが設置されている。なお、以下の説明において、同じ内容においては添え字「a、b」の記載を省略する。
【0019】
FRPコーナー部材3は、鋭角の角部に面取りが施された略三角柱状の木材ないし発泡プラスチック等からなる芯材33と、芯材33の周囲を包囲するGFRP布部分31、32、34、35とから形成されている。
そして、隅部Aにおいては、第1FRPサンドイッチパネル1の一方の側面1aの所定範囲、FRPコーナー部材3aおよびスティフナー9の一方の側面9aの所定範囲を覆うFRP布4aによって、オーバーレイして接着が図られている。このとき、芯材33aの面取り部に相等する、GFRP布部分31とFRP布4aの一部と側面1aの一部とから形成される三角柱状の空間には、パテ5aが充填されている。すなわち、当該空間にパテ5が充填された状態で、オーバーレイして接着が図られている。
【0020】
また、隅部Bにおいても同様であって、芯材33bの面取り部にはパテ5bが充填され、所定範囲を覆うFRP布4bによって、オーバーレイして接着が図られている。
なお、FRP布4aおよびFRP布4bは、それぞれ複数枚のFRPシートを重ねたものであって、それぞれを形成するFRPシートがスティフナー9の頂面9cにおいて交互に重なったものを示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、FRP布4aおよびFRP布4bを、共通のFRPシートを複数枚重ねて形成してもよい。
【0021】
図4において、FRPコーナー部材3の端部隙間(面取り部によって形成された空間)にはパテ5が充填され、パテ5がFRP布4の一部と側面1aとを接合している。このため、FRP布4に引張力F4(矢印方向)が作用しても剥離反力F1が発生するから、FRP布4は側面1aから剥離し難くなっている(芯材33が側面1aから浮き上がり難くなっている)。
【0022】
[実施の形態3]
図5〜図9は、本発明の実施の形態3に係るFRPサンドイッチパネルの交差部構造を説明するものであって、図5は断面図、図6は構成部材の一部を示す斜視図、図7は一部を拡大して示す断面図、図8は力の取り合いを示す断面図、図9は力の取り合いを拡大して示す断面図である。なお、実施の形態1と同じ部分または相等する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図5において、FRPサンドイッチパネルの交差部構造(以下「L字状交差部」と称す)300は、面材である第1FRPサンドイッチパネル1の側端部の側面に、面材である第2FRPサンドイッチパネル2の端面を突き合わせて、L字状に組み立てている。
【0023】
そして、隅部Aに、一対の略三角断面のFRPコーナー部材片6およびFRPコーナー部材片7が設置され、これを覆うように、第1FRPサンドイッチパネル1の一方の側面1aの所定範囲から、第2FRPサンドイッチパネル2の一方の側面2aの所定範囲がFRP布4によってオーバーレイされている。また、角部Cは、第1FRPサンドイッチパネル1の他方の側面1bの所定範囲および端面1cと、第2FRPサンドイッチパネル2の他方の側面2bの所定範囲とが、FRP布8によってオーバーレイされている。
【0024】
すなわち、L字状交差部300は、隅部Aと角部Cとの両方がFRP布4、8によってオーバーレイされ一体接着化が図られている。
図6において、FRPコーナー部材片6は、三角柱状の木材ないし発泡プラスチック等からなる芯材66と、芯材66の2面にそれぞれGFRP布部分64、67が設置されている。
また、FRPコーナー部材片7は、三角柱状の木材ないし発泡プラスチック等からなる芯材77と、芯材77の2面にそれぞれGFRP布部分74、76が設置され、GFRP布部分76に芯材77から離れたGFRP布部分72(延長布面に相等する)が延設されている。
【0025】
図7において、FRPコーナー部材片6のGFRP布部分67とFRPコーナー部材片7のGFRP布部分76とが当接して一体化され、FRPコーナー部材片7のGFRP布部分72が、第1FRPサンドイッチパネル1の一方の側面1aと第2FRPサンドイッチパネル2の端面2cとに挟まれている。
なお、以上は、面材である第1FRPサンドイッチパネル1と第2FRPサンドイッチパネル2とが直角に交差しているL字状交差部300について説明しているが、本発明はこれに限定するものではなく、第1FRPサンドイッチパネル1と第2FRPサンドイッチパネル2とが傾いて交差する(直角に交差しない)「V字状交差部」であってもよい。
【0026】
図8において、L字状交差部300に隅部Aを開かせようとする力M2(第1FRPサンドイッチパネル1を固定側としたとき、第2FRPサンドイッチパネル2を倒そうとするモーメントに同じ)が作用したとき、隅部Aのオーバーレイ用のFRP布4にはこれを形成するFRPシート(図示しない)の面方向の引張力F4が発生する。
このとき、FRPコーナー部材片6のGFRP布部分64とFRP布4とが一体化した範囲と、FRPコーナー部材片7のGFRP布部分74とFRP布4とが一体化した範囲と、FRPコーナー部材片6のGFRP布部分67とFRPコーナー部材片7のGFRP布部分76と一体化した範囲とは、略Y字状に交差している。
【0027】
そのため、FRPコーナー部材片6のGFRP布部分64とFRP布4とが一体化した範囲に発生した引張力F64(≒F4)は、FRPコーナー部材片7のGFRP布部分74とFRP布4とが一体化した範囲に発生する引張力F74と、FRPコーナー部材片6のGFRP布部分67とFRPコーナー部材片7のGFRP布部分76と一体化した範囲に発生する引張力F76とに分解される。
このとき、FRPコーナー部材片7のGFRP布部分76にはGFRP布部分72が延設され、GFRP布部分72の端部が角部Cを覆うFRP布8に接続しているから、分解された引張力F76は確実に支持されている。このため、FRP布4を側面1aから剥がそうとする剥離反力F1は小さくなるから、剥がれ難くなる。
【0028】
すなわち、オーバーレイの接着部に生じている剥離荷重を分担することによって、発生する剥離反力が低減しているから、剥離強度が向上し、継手の引張強度や曲げ強度が向上している。
なお、図12には、隅部Aに三角柱状の木材ないし発泡プラスチック等からなる芯材33のみを配置して、これを覆うFRP布4をオーバーレイして接着した比較交差部900を示している。すなわち、比較交差部900では、FRP布4に引張力F4(矢印方向)が作用した際に発生する剥離反力F1が、分散されることがないから、FRP布4は側面1aから剥離して、芯材33が側面1aから浮き上がっている。
【0029】
[実施の形態4]
図10は、本発明の実施の形態4に係るFRPサンドイッチパネルの交差部構造を説明する断面図である。
図10において、FRPサンドイッチパネルの交差部構造400は、L字状交差部300(実施の形態3)をT字状交差部100(実施の形態1)に適用したものであるから、第1FRPサンドイッチパネル1を固定側としたとき、第2FRPサンドイッチパネル2を倒そうとする一方向および他方向のモーメントに対して、オーバーレイの接着部に生じている剥離荷重が分担され、隅部Aおよび隅部Bにおいて剥離強度が向上し、継手の引張強度や曲げ強度が向上している。なお、実施の形態1および実施の形態3と同じ部分または相等する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【0030】
FRPコーナー部材片7aのGFRP布部分76aにはGFRP布部分72aが延設され、FRPコーナー部材片7bのGFRP布部分76bにはGFRP布部分72bが延設され、GFRP布部分72aとGFRP布部分72bは一体に接合されている。
このとき、FRPコーナー部材片7aに設置されるGFRP布部分74a、76a、72aおよびFRPコーナー部材片7bに設置されるGFRP布部分74b、76b、72bの全域を、共通の複数枚のGFRPシートを積層して形成してもよく、あるいは、所定範囲を部分的に積層しながら、部分間の繋ぎ範囲を交互に重ねるようにしてもよい。
【0031】
[実施の形態5]
図11は、本発明の実施の形態5に係るFRPサンドイッチパネルの交差部構造を説明する断面図である。
図11において、FRPサンドイッチパネルの交差部構造500は、L字状交差部400(実施の形態4)をT字状交差部200(実施の形態2)に適用したものであるから、第1FRPサンドイッチパネル1を固定側としたとき、スティフナー9を倒そうとする一方向および他方向のモーメントに対して、オーバーレイの接着部に生じている剥離荷重が分担され、隅部Aおよび隅部Bにおいて剥離強度が向上し、継手の引張強度や曲げ強度が向上している。なお、実施の形態4および実施の形態2と同じ部分または相等する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のFRPサンドイッチパネルの交差部構造は、交差部の引張強度や曲げ強度が向上するから、FRP製の船穀材、プラント容器または建築パネル等の広い分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 第1FRPサンドイッチパネル
2 第2FRPサンドイッチパネル
3 コーナー部材
4 FRP布(オーバーレイ用)
5 パテ
6 コーナー部材片
7 コーナー部材片
8 FRP布(オーバーレイ用)
9 スティフナー
31 GFRP布部分
32 GFRP布部分
33 芯材
34 GFRP布部分
64 GFRP布部分
66 芯材
67 GFRP布部分
72 GFRP布部分
74 GFRP布部分
76 GFRP布部分
77 芯材
100 T字状交差部(実施の形態1)
200 T字状交差部(実施の形態2)
300 L字状交差部(実施の形態3)
400 T字状交差部(実施の形態4)
500 T字状交差部(実施の形態5)
900 比較交差部
A 隅部
B 隅部
C 角部
F1 剥離反力
F4 引張力
F64 引張力
F76 引張力
F74 引張力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方のFRP(繊維強化プラスチック)パネルの側面に他方のFRP(繊維強化プラスチック)パネルの端面が当接して形成される交差部におけるFRPサンドイッチパネルの交差部構造であって、
前記交差部の隅の所定範囲に当接する断面略三角形状のコーナー部材をFRP布によって包囲し、該FRP布によって包囲されたコーナー部材を前記交差部の隅に配置して、斜面をそれぞれ前記一対のFRPパネルのそれぞれの側面に接着し、さらに、前記一対のFRPパネルのそれぞれの側面の所定範囲と前記コーナー部材の底面とを覆うFRPオーバーレイを施してなることを特徴とするFRPサンドイッチパネルの交差部構造。
【請求項2】
前記コーナー部材が、それぞれFRP布によって包まれた断面略三角形状の複数の心材片によって形成されることを特徴とする請求項1記載のFRPサンドイッチパネルの交差部構造。
【請求項3】
前記複数の心材片のうち少なくとも1の心材片を包むFRP布が延長布面を有し、該延長布面が前記一方のFRPパネルの側面と前記他方のFRPパネルの端面とによって挟まれることを特徴とする請求項1または2記載のFRPサンドイッチパネルの交差部構造。
【請求項4】
前記交差部の隅に配置されたコーナー部材は、前記隅から遠い縁部が面取り加工され、該面取りされた後でFRP布によって包囲され、前記交差部の隅に配置された状態で前記面取りされた範囲にパテが充填されることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のFRPサンドイッチパネルの交差部構造。
【請求項5】
前記交差部の角を跨いで、前記一対のFRPパネルのそれぞれの側面の所定範囲に、FRPオーバーレイが施されることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のFRPサンドイッチパネルの交差部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−221487(P2010−221487A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70305(P2009−70305)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(502116922)ユニバーサル造船株式会社 (172)
【Fターム(参考)】