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FRP成形用強化繊維基材の賦形装置及び賦形方法
説明

FRP成形用強化繊維基材の賦形装置及び賦形方法

【課題】表面に皺のない良質のプリフォームが自動的に得られる賦形装置及び方法を提供する。
【解決手段】賦形すべきプリフォーム(F)の形状に応じた外形の下金型(2)と、下金型に対向配置されると共に下金型に向けて押し付け可能に設けられた上金型(5)とを有し、下金型(2)にセットした被賦形基材(K)を上金型(5)により押し付け賦形してプリフォームを得るように構成された賦形装置(10)であって、上金型(5)は、被賦形基材の中央部(Kc)に対向する中央金型(5C)と、中央金型の周囲に配設された複数の横金型(5S)とに分割された構成とされ、中央金型(5C)を上下駆動する中央金型駆動手段(7)と、中央金型(5C)が押し付けている被賦形基材に対し、各横金型(5S)がその被賦形基材の中央外方部(Ks)を引き伸ばしながら押付けるように各横金型(5S)を駆動する横金型駆動手段(8)とを有するFRP成形用強化繊維基材の賦形装置及びそれを用いた賦形方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FRP(繊維強化プラスチック)成形用強化繊維基材の賦形装置及び賦形方法に関し、より詳しくは、強化繊維基材を望ましい形状のプリフォームへと自動的に賦形可能な装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車、鉄道車両、船舶、航空機等の輸送機器の製造、あるいは建築などの分野で用いられる材料には、環境問題の観点から、軽量で二酸化炭素削減などの省エネルギー化に寄与する材料が望まれ、その開発が進みつつある。このような材料の一つとして、強化繊維基材を用いたFRPがある。強化繊維基材を用いて所定形状のFRP製品に成形する手法の一例を示すに、まず、複数枚の強化繊維基材を賦形型に積層し、予備賦形してプリフォームとする。その後、そのプリフォームを成形型に入れて、樹脂(マトリックス樹脂)を含浸させて硬化させる。この時、強化繊維基材の賦形に関しては、人手により所定形状に基材をレイアップすることが多く、生産性が低いと共にコストが高いという問題の原因となっていた。
【0003】
そこで、上記問題に鑑み、生産性の向上及び低コスト化を図った賦形方法が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の賦形方法の一例について説明する。図11に示すように、賦形型131に強化繊維基材132を配置し、基材132の上に、押し子133a,133bを直接押し当てて賦形型131に沿うように予備的に賦形する。その後、賦形型131の周囲をシール134a,134bで囲み、その上からシート135を被せる。真空ポンプ136により、シート135と賦形型131で囲まれた空間を真空引き(減圧)することで、基材132を押し子133a,133bで押さえながら、所定形状に賦形させたプリフォームとする。137a、137bは、必要に応じて配置される加熱源や冷却源を示している。
【特許文献1】特開2006−123404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、図11に示したような賦形方法では、シート135と賦形型131とで囲まれた空間内を真空にする際に、基材132の表面に皺が発生することがあった。皺の発生は、成形品の強度を弱めたり、美観を損ねたりするため、そのような成形品を製品として用いることはできず、歩留まりの悪化につながった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、表面に皺のない良質のFRP成形用強化繊維基材のプリフォームを自動的に得ることのできる賦形装置及び賦形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る本発明のFRP成形用強化繊維基材の賦形装置は、FRP成形用強化繊維基材の目標賦形形状に応じた外形の下金型(2)と、下金型(2)に対向配置されると共に下金型(2)に向けて押し付け可能に設けられた上金型(5)とを有し、下金型(2)にセットした被賦形基材(K)を上金型(5)により押し付け賦形してプリフォーム(F)を得るように構成されたFRP成形用強化繊維基材の賦形装置(10)であって、上金型(5)は、被賦形基材(K)の中央部(Kc)に対向する中央金型(5C)と、中央金型(5C)の周囲に配設された複数の横金型(5S)との分割構成を有し、賦形装置(10)は、中央金型(5C)を上下方向に駆動する中央金型駆動手段(7)と、中央金型(5C)が押し付けている被賦形基材(K)に対し、各横金型(5S)がその被賦形基材(K)の中央部の周辺部(Ks)を引き伸ばしながら押し付けるように各横金型(5S)を駆動する横金型駆動手段(8)と、を有することを特徴とするものからなる。
【0007】
請求項2に係る賦形装置では、被賦形基材(K)を下金型(2)の所定位置に位置決めする位置決め手段(22,51)を有し、且つ上金型(5)における被賦形基材押し付け面が略平面形状とされている。
【0008】
請求項3に係る賦形装置は、下金型(2)を加熱する下金型加熱手段(21)を備えている。請求項4に係る賦形装置は、上金型(5)を加熱する上金型加熱手段を備えている。請求項5に係る賦形装置は、下金型(2)を冷却する下金型冷却手段を備えている。
【0009】
請求項6に係る賦形装置は、中央金型(5C)及び横金型(5S)により前もって複数回試し賦形をした際の最も皺のできにくかったときの制御データに基づいて、中央金型(5C)及び横金型(5S)を動作制御する制御手段(9)を備えている。
【0010】
請求項7に係る本発明のFRP成形用強化繊維基材の賦形方法は、上記のような賦形装置を用いた賦形方法であって、下金型(2)に被賦形基材(K)をセットするステップと、下金型(2)にセットした被賦形基材(K)に向けて中央金型(5C)を下方に駆動することにより被賦形基材(K)の中央部(Kc)を押し付けるステップと、中央金型(5C)が押し付けている被賦形基材(K)に対し、各横金型(5S)がその被賦形基材(K)の中央部の周辺部(Ks)を引き伸ばしながら押し付けるように各横金型(5S)を駆動するステップと、を有すること特徴とする方法からなる。
【0011】
上記本発明によると、中央金型(5C)が押付けている被賦形基材(K)に対し、各横金型(5S)はその被賦形基材(K)の中央部の周辺部(Ks)を引き伸ばしながら押し付けるように駆動される。これにより、基材(K)の周辺部(Ks)は、例えば後述の図9の矢印Q方向に張った状態となり、その後、横金型(5S)は、下金型(2)に嵌り込むように下降する。これにより、基材(K)の中央部の周辺部(Ks)は、若干長さが伸びると共により一層張った状態で賦形されるので、皺のない賦形ができるようになる。
【0012】
特に、請求項2の構成とすることで、被賦形基材(K)が下金型(2)の所定位置に位置決めされた後に、押し付け面が略平面形状、つまり凹凸部が少ない上金型(5)により、被賦形基材(K)の中央部(Kc)を押付けることができるため、目標とする形状からのズレが極めて少ない望ましい形状のプリフォーム(F)が得られる。
【0013】
また、請求項3から請求項5の構成とすることで、下金型2及び上金型5の温度を迅速に上昇または下降させることができるため、賦形動作のタクトタイムの短縮を図ることができる。
【0014】
また、請求項6の構成とすることで、熟練工が被賦形基材(K)を手で均すのとほぼ同じ均し動作を自動的に行うことができるようになり、非常に良品質なプリフォーム(F)が得られる。
【0015】
なお、特許請求の範囲及び課題を解決するための手段の各欄において各構成要素に付した括弧書きの符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明のFRP成形用強化繊維基材の賦形装置及び賦形方法によれば、表面に皺のない良質のプリフォームを自動的に得ることができる。これにより、生産性の向上及び低コスト化を図ることができることと併せて、歩留まりの向上を達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の望ましい実施の形態について説明する。
図1は本発明の一実施態様に係る賦形装置10の外観斜視図、図2は図1の賦形装置10の一部断面表示正面図、図3は賦形装置10の上金型5及びその周辺部を示す概略平面図である。各図において、直交座標系の3軸をX、Y、Zとし、XY平面は水平面、Z軸方向は鉛直方向(上下方向)を示している。
【0018】
図1から図3に示すように、賦形装置10は、基台1、下金型2、架台3、中間板4、上金型5、中間板駆動部6、中央金型駆動部(中央金型駆動手段)7、横金型駆動部(横金型駆動手段)8、制御装置9を備えている。基台1は、下金型2を設置する部位であり、生産現場の床上に据え付けられる。
【0019】
下金型2は、目的のプリフォームの形状に応じた外形、すなわち目的とする成形体の立体形状を僅かな相似比で縮小した立体形状を呈する雄型である。その材質は例えばアルミニウムとされる。なお、基材Kからの離脱性を良くするために、その表面は非粘着処理されていることが好ましい。アルミニウム以外にも、ステンレス鋼等の熱伝導性の良い材質で構成することもできる。下金型2は内部に加熱手段としてヒーター21を備え、これをオンすることにより下金型2の表面を90℃〜120℃程度に加熱可能である。また、下金型2を冷却するための冷却手段(図示せず)を設けておくことが好ましい。冷却手段としては、例えば下金型2の内部を冷媒が流通する冷媒流通機構や、下金型2に向けて低温窒素ガス等の冷却ガスを噴射する冷却ガス噴射機構を挙げることができる。また、下金型2の中央表面の対角位置にはZ方向上向きに突出した2本の位置決めピン22を備えている。位置決めピン22は、金属または合成樹脂などを材質とし、その先端は細く尖った形状とされている。
【0020】
架台3は、基台1の上方にこれを跨ぐように設けられている。中間板4は、図2に示すように、中間板駆動部6を介して上下駆動自在に架台3に取り付けられている。中間板4は、押さえロッド穴41及びガイド穴42を備えている。押さえロッド穴41は、2本の押さえロッド51(後述)がそれぞれ貫通するように中間板4の2箇所に穿設された貫通穴である。ガイド穴42は、2本のガイドロッド52(後述)がそれぞれ貫通するように中間板4の2箇所に穿設された貫通穴である。
【0021】
上金型5は、図3に示すように、下金型2と一対となる雌型を複数個に分割した形状をなし、中央金型5Cとその周囲に配設された複数の横金型5Sとからなる。上金型5についても、下金型2と同様に加熱手段及び冷却手段を設けてもよい。
【0022】
中央金型5Cは、押付け面(底部)が略平面形状、つまり凹凸部が少ない形状とされ、2本の押さえロッド51及び2本のガイドロッド52を取り付けた構成とされる。押さえロッド51は、上下方向に伸縮自在であり且つ位置決めピン22を内挿可能な筒体を備えている。そして、下金型2における位置決めピン22に対応する平面視位置(XY位置)に設けられ、中間板4における押さえロッド穴41を貫通する。ガイドロッド52は、ガイド穴42を貫通するように設けられた棒状体である。中央金型5Cは、中央金型駆動部7を介して上下駆動自在に中間板4に取り付けられている。
【0023】
中央金型駆動部7は、油圧シリンダ、空気圧シリンダまたはサーボモータなどで構成することができ、下金型2にセットされた基材Kの中央部を中央金型5Cが、賦形物に応じた任意の力で押し付けるように、中央金型5CをZ軸方向に駆動可能となっている。
【0024】
各横金型5Sは、中央金型5Cの周囲に、各金型を隣接させた状態で、下金型2における周辺部位に対応した形状の雌型である。本実施態様では、10個の横金型5S1,5S2,5S3・・・5S10が設けられている。これら横金型5S1〜5S10は、それぞれ横金型駆動部8S1〜8S10を介して上下駆動自在に中間板4に取り付けられる。本明細書において、各横金型を特にそれぞれ分けて考える必要がない場合には、横金型の符号は末尾の下付の数字を略して単に「5S」と記載する。横金型駆動部の符号についても、上と同様な場合には、単に「8S」と記載する。
【0025】
各横金型駆動部8Sは、油圧シリンダ、空気圧シリンダまたはサーボモータなどで構成することができ、各横金型5Sをそれぞれ独立に上下方向に駆動可能とすると共に横方向にも駆動可能とする。更に水平支軸J1の周りに回動駆動可能とする。ここで横方向とは、より具体的には、下金型2にセットした基材Kの中心に向かう水平方向(XY方向)である。また、上下方向への駆動については、より詳しくは、下金型2にセットされた基材Kの周辺部位を各横金型5Sが、賦形物(被賦形基材)に応じた任意の力で押付けるように各横金型5Sを駆動可能とする。図9では、横金型駆動部8として、横方向に伸縮可能なシリンダSH1,SH2、及び上下方向に伸縮可能なシリンダSV1を図示する。
【0026】
制御装置9は、タッチパネル等の入出力装置、メモリチップやマイクロプロセッサなどを主体とした適当なハードウエア、このハードウエアを動作させるためのコンピュータプログラムを組み込んだハードディスク装置、及び各構成部とデータ通信を行う適当なインターフェイス回路などから構成される。即ち、賦形装置10が一連の賦形動作を行うように、賦形装置10の各構成部を制御するためのコンピュータである。
【0027】
制御装置9のハードディスク装置には、例えば、中央金型5Cの押圧力の大きさ、各横金型5Sを駆動する順序、各横金型5Sを横方向に駆動するときの水平速度、各横金型5Sの押圧力の大きさなどの各データが記憶されている。これら各データは、例えば、前もって幾通りかの試し賦形をして最も皺のできにくい組合せを適用(採用)したものである。中央金型駆動部7及び各横金型駆動部8の制御は、これらのデータに基づいて行われる。
【0028】
次に、図4から図10も参照して、以上のように構成された賦形装置10の賦形動作を説明する。図4は賦形装置10による賦形動作の概要を示すフローチャート、図5は周辺部押付け動作のフローチャート、図6は基材Kのセット要領を示す図、図7は賦形装置10による賦形動作のフローを示す図、図8は賦形装置10による賦形動作のフローを示す図(図7の続き)、図9は周辺部押付け動作を具体的に示す図、図10は目的とするプリフォームFの正面断面図である。
【0029】
図4に示すように、賦形装置10の賦形動作は、基材セットステップS1、押し付け準備ステップS2、中央部押し付けステップS3、周辺部押し付けステップS4、押し付け終了ステップS5、取り外しステップS6からなる。ここで賦形装置10は次の初期状態にあるものとする。中間板4は待機位置である最上方位置P1に配置されている。中央金型5C及び各横金型5Sは、ともに待機位置である最上方位置P2に配置されている。下金型2のヒーター21はオン状態である。
【0030】
〔基材セットステップS1〕
作業者は下金型2に基材Kをセットする〔図7(A)〕。強化繊維基材Kは、図6に示すように、複数枚のシート状強化繊維材K1〜Km(mは2以上の任意の整数)を、隣り合う上下間で繊維の配向方向が互いに異なるように積層した積層体である。各シート状強化繊維材K2〜Kmの裏側面には熱可塑性の接着剤がまぶしてある。基材Kのセットは次のように行う。合計m枚のシート状強化繊維材K1〜Kmを積層した状態で、基材Kにおける所定の2箇所を位置決めピン22に突き刺す。その後、位置決めピン22に沿って下金型2に向けて基材Kを下降させる。その結果、基材Kの中央部は下金型2の中央部の表面に重なる。
【0031】
〔押し付け準備ステップS2〕
中間板駆動部6が中間板4を下降させることにより、中央金型5C及び横金型5Sを中間位置P1に配置する〔図7(B)〕。続いて、押さえロッド41が伸延し下降する。このとき、2本の位置決めピン22は、押さえロッド41の中空部に入り、押さえロッド41の下端面が基材Kを押圧することで、基材Kは下金型2の中央部に固定保持される〔図7(C)〕。
【0032】
〔中央部押し付けステップS3〕
押さえロッド41が基材Kを固定保持した状態で、中間板駆動部6は中間板4を更に下降させることにより、中央金型5C及び横金型5Sを下側位置P2に配置する。下側位置P2では、中央金型5Cの下面が基材Kの表面と近接する〔図7(D)〕。続いて、中央金型駆動部7は中央金型5Cを下降させる。このとき中央金型5Cが、賦形物に応じた任意の力で、下金型2にセットされた基材Kを押付けるように中央金型5Cを駆動する〔図8(E)〕。
【0033】
〔周辺部押し付けステップS4〕
横金型駆動部8は、横金型5Sを一つずつ順次下降させて基材Kの押付けを行う。その際、例えば横金型5S1は、中央金型5Cが押付けている被賦形基材Kに対し、各横金型5Sがその被賦形基材Kの中央部の周辺部Ksを引き伸ばしながら押し付けるように駆動される〔図8(F)、詳細は図9、図5参照〕。
【0034】
より具体的に言えば、図9(A)〜(B)のように、基材Kの上方に配置された横金型5S1は、基材Kの中央部の外方部(周辺部)Ksを左横から下金型2に擦りつけながら下降する。この動作はシリンダSH1を伸ばした状態で、シリンダSV1を伸ばすことで行う。これにより、基材Kの中央外方部Ksは基材Kの中央部を中央金型5Cで押し付けるので図中の矢印Q方向に張った状態となる。その後、図9(B)〜(C)のように、横金型5S1は、水平支軸J1を軸心として横金型5S1が旋回することにより、下金型2に嵌り込むように下降する。この動作は、シリンダSH2を伸ばし且つシリンダSH1を縮めながら、シリンダSV1を伸ばすことで行う。このように、横金型5S1は、押し付ける位置よりも若干高め位置から斜め下方向に向けて駆動されて寄せ込まれる。その際、横金型5Sは基材Kを所定距離だけ引きずる形となる。その結果、基材Kの中央外方部Ksは、若干長さが伸びると共により一層張った状態で賦形されるので、皺のない賦形ができる。また、横金型5S1は、基材Kの表面に沿ってこれを均しながら移動するため、基材Kと下金型2との間に空隙ができない。そして折り曲げの境界部Bで基材Kが丁度折り込まれ、皺や弛みが発生せず、均一に平らな表面が形成される。このような駆動を残りの全ての横金型5S2〜5S10について順次行うことで(例えば、図5に示すステップS41〜S43を所定回数繰り返すことで)、基材Kを表面に皺のない良品質のプリフォームに自動的に賦形することができる。
【0035】
〔押し付け終了ステップS5〕
冷却手段により下金型2及び上金型5を冷却する。その後、中央金型駆動部7は中央金型5Cを上昇させる。それと同時に、横金型駆動部8は全ての横金型5Sを同時に上昇させる。その後、中間板駆動部6は、中間板4を上方位置P0まで上昇させる。中央金型5C及び横金型5Sを上昇させるタイミングは、冷却手段による冷却により各シート状強化繊維材K2〜Kmの熱可塑性の接着剤(樹脂)が硬化し、各シート状強化繊維材K1〜Kmが接着される時間の経過後である。冷却手段により上金型5及び下金型2を冷却することにより、下金型2及び上金型5の温度を迅速に下げることができるため、賦形動作のタクトタイムの短縮を図ることができる。
【0036】
〔取外しステップS6〕
所定の形状に賦形されたプリフォームFを下金型2から外して取り出す。
【0037】
以上、本発明の一実施形態について説明を行ったが、上述した実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこの実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、更に特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、下金型と上金型を用いて行うあらゆるFRP成形用強化繊維基材の賦形に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施態様に係る賦形装置の外観斜視図である。
【図2】図1の賦形装置の一部断面表示正面図である。
【図3】図1の賦形装置の上金型及びその周辺部を示す概略平面図である。
【図4】図1の賦形装置による賦形動作の概要を示すフローチャートである。
【図5】図1の賦形装置による周辺部押し付け動作のフローチャートである。
【図6】図1の賦形装置における基材のセット要領を示す概略断面図である。
【図7】図1の賦形装置による賦形動作のフローを示す図である。
【図8】図1の賦形装置による賦形動作のフローを示す図である(図7の続き)。
【図9】図1の賦形装置による周辺部押し付け動作を具体的に示す図である。
【図10】目標形状に賦形されたプリフォームの一例を示す断面図である。
【図11】従来の賦形方法の一例を示す賦形装置の概略断面図である。
【符号の説明】
【0040】
2 下金型
5 上金型
5C 中央金型
5S 横金型
7 中央金型駆動部(中央金型駆動手段)
8 横金型駆動部(横金型駆動手段)
9 制御装置(制御手段)
10 賦形装置
22 位置決めピン(位置決め手段)
51 押さえロッド(位置決め手段)
F プリフォーム
K 基材(被賦形基材)
Kc 中央部
Ks 中央部の周辺部
S1 基材セットステップ
S3 中央部押し付けステップ
S4 周辺部押し付けステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FRP成形用強化繊維基材の目標賦形形状に応じた外形の下金型(2)と、下金型(2)に対向配置されると共に下金型(2)に向けて押し付け可能に設けられた上金型(5)とを有し、下金型(2)にセットした被賦形基材(K)を上金型(5)により押し付け賦形してプリフォーム(F)を得るように構成されたFRP成形用強化繊維基材の賦形装置(10)であって、
上金型(5)は、被賦形基材(K)の中央部(Kc)に対向する中央金型(5C)と、中央金型(5C)の周囲に配設された複数の横金型(5S)との分割構成を有し、
賦形装置(10)は、
中央金型(5C)を上下方向に駆動する中央金型駆動手段(7)と、
中央金型(5C)が押し付けている被賦形基材(K)に対し、各横金型(5S)がその被賦形基材(K)の中央部の周辺部(Ks)を引き伸ばしながら押し付けるように各横金型(5S)を駆動する横金型駆動手段(8)と、
を有することを特徴とするFRP成形用強化繊維基材の賦形装置。
【請求項2】
被賦形基材(K)を下金型(2)の所定位置に位置決めする位置決め手段(22,51)を有し、且つ上金型(5)における被賦形基材押し付け面が略平面形状とされている、請求項1に記載のFRP成形用強化繊維基材の賦形装置。
【請求項3】
下金型(2)を加熱する下金型加熱手段(21)を備えている、請求項1または2に記載のFRP成形用強化繊維基材の賦形装置。
【請求項4】
上金型(5)を加熱する上金型加熱手段を備えている、請求項1〜3のいずれかに記載のFRP成形用強化繊維基材の賦形装置。
【請求項5】
下金型(2)を冷却する下金型冷却手段(21)を備えている、請求項3または4に記載のFRP成形用強化繊維基材の賦形装置。
【請求項6】
中央金型(5C)及び横金型(5S)により前もって複数回試し賦形をした際の最も皺のできにくかったときの制御データに基づいて、中央金型(5C)及び横金型(5S)を動作制御する制御手段(9)を備えている、請求項1〜5のいずれかに記載のFRP成形用強化繊維基材の賦形装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の賦形装置を用いた賦形方法であって、
下金型(2)に被賦形基材(K)をセットするステップと、
下金型(2)にセットした被賦形基材(K)に向けて中央金型(5C)を下方に駆動することにより被賦形基材(K)の中央部(Kc)を押し付けるステップと、
中央金型(5C)が押し付けている被賦形基材(K)に対し、各横金型(5S)がその被賦形基材(K)の中央部の周辺部(Ks)を引き伸ばしながら押し付けるように各横金型(5S)を駆動するステップと、
を有すること特徴とするFRP成形用強化繊維基材の賦形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−119701(P2009−119701A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295581(P2007−295581)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 地球温暖化防止新技術プログラム/自動車軽量化炭素繊維強化複合材料の研究開発、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】