説明

FRP製筒状体とその製造方法

【課題】FRP製の筒状体の端部に他部材を圧入接合する際に、端部の層間が層間破壊を起こすことがないような端部の補強方法・手段を提供すること。

【解決手段】FRP製筒状本体の両端又は片端が、該筒状本体に他部材を圧入接合するために補強されているFRP製筒状体であって、該筒状本体は繊維強化材の巻き角度が筒状体の軸方向に対して0°以上45°未満である強化繊維層とマトリックス樹脂で構成されており、該筒状本体の両端又は片端の内側及び/又は外側に、繊維強化材の巻き角度が筒状体の軸方向に対して45°以上90°以下の強化繊維層と、強化繊維の布帛と、マトリックス樹脂とからなる補強層が積層配置されているFRP製筒状体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロペラシャフトやロール等として用いられる繊維強化プラスチック(FRP)製の筒状体とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化プラスチック(FRP)製の比較的大型のパイプ(筒状体)は、軽量で各種機械的物性に優れているので、近年、自動車のプロペラシャフトや工業用の各種回転ロール等に多用されるようになっている。例えば、自動車は、省エネルギーの観点から燃費の向上を目的とした軽量化が強く望まれており、その一つの手段として、プロペラシャフトを金属製のものからFRP製のものに代替させることが行われている。
【0003】
FRP製の筒状体を効率よく製造する方法として、例えば、フィラメントワインディング法がある。フィラメントワインディング法では、一般に、マンドレルの周囲に樹脂を含浸させた繊維又は繊維束を巻き付けた後、樹脂を硬化させ、その後マンドレルを引き抜くことによって製品、即ち、FRP製の筒状体が製造される。フィラメントワインディング法で製造された製品の強度は、繊維の巻付け角度(配列繊維とマンドレル又は筒状体の軸方向とのなす角度)や繊維の配列状態の影響を大きく受ける。
【0004】
FRP製の筒状体を形成するためには、主としてFRP製の筒状体に優れた曲げ強度や曲げ弾性率を持たせる強化繊維束のヘリカル巻層、即ち、FRP製の筒状体の軸方向に対して±5°〜±45°度程度の角度でらせん状に強化繊維束を巻き付けた層と、主としてFRP製の筒状体に径方向強度を持たせるフープ巻層、即ち、FRP製の筒状体の軸方向に対して±70°〜±90°度程度の角度で強化繊維束を巻き付けた層をそれぞれ単独又は組み合わせて形成する場合が多い。
【0005】
FRP製の筒状体の中でも、自動車のプロペラシャフトや工業用の各種回転ロール等は、筒状体本体の両端又は片端にヨーク等の金属部材を挿入・接合して用いられる場合が多く、この挿入・接合部を補強する必要があり、そのために色々な方法が提案されている。例えば、特開平8−105428(特許文献1)には、筒状の本体筒が、全長にわたって設けた、本体筒の軸方向に対して強化繊維が±5〜±30°の角度で配列されたヘリカル巻層と、前記ヘリカル巻層の内側で、かつ、本体筒の端部に設けた、強化繊維のフープ巻層とを有しており、この本体筒の端部内周縁に面取り又はR加工が施されたFRP筒体が開示されている。
【0006】
また、特開2000−318053(特許文献2)には、FRP製パイプの本体部の両端に、ヨークの基端が挿入される結合部が形成され、結合部側の部分のマトリックス樹脂含有率が、本体部のマトリックス樹脂含有率より低く形成されたもの、更に、強化繊維は、パイプの軸方向となす角度がほぼ±10°前後となるように巻き付けられたヘリカル巻層と、巻付け角度が90°に近いフープ巻層とから構成され、フープ巻層は結合部にのみ形成され、ヘリカル巻層の間に挟まれた状態で配置されているFRP製パイプも開示されている。
【0007】
しかしながら、FRP製の筒状体の端部にヨーク等の金属部材を圧入接合する際には、結合部(挿入・接合部)に大きな応力がかかるので、巻き角度の異なる層間で層間破壊(剥離)が起こり易いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−105428号公報
【特許文献2】特開2000−318053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、FRP製の筒状体の端部に他部材を圧入接合する際に、端部の層間が層間破壊を起こすことがないような端部の補強方法・手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、特許請求の範囲の請求項1〜6に記載された、下記の本発明によって達成される。
【0011】
本発明のうちの請求項1に記載された発明は、FRP製筒状本体の両端又は片端が、該筒状本体に他部材を圧入接合するために補強されているFRP製筒状体であって、該筒状本体は繊維強化材の巻き角度が筒状体の軸方向に対して0°以上45°未満である強化繊維層とマトリックス樹脂で構成されており、該筒状本体の両端又は片端の内側及び/又は外側に、繊維強化材の巻き角度が筒状体の軸方向に対して45°以上90°以下の強化繊維層と、強化繊維の布帛と、マトリックス樹脂とからなる補強層が積層配置されていることを特徴とするFRP製筒体を示す。
【0012】
請求項2に記載された発明は、補強層の長さが、FRP製筒状体の全長の少なくとも10%であることを特徴とする請求項1に記載のFRP製筒状体である。
【0013】
請求項3に記載された発明は、補強層の強化繊維の布帛が、繊維目付が1〜500g/mで、厚さが0.001〜2mmの布帛であることを特徴とする請求項1又は2に記載のFRP製筒状体である。
【0014】
請求項4に記載された発明は、布帛用の強化繊維が、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維のいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のFRP製筒状体である。
【0015】
請求項5に記載された発明は、FRP製筒状本体の両端又は片端が、該筒状本体に他部材を圧入接合するために補強されているFRP製筒状体を製造するに際し、フィラメントワインディング法によって、該筒状本体を繊維強化材の巻き角度が筒状体の軸方向に対して0°以上45°未満である強化繊維層とマトリックス樹脂で構成し、該筒状本体の両端又は片端の内側及び/又は外側に、繊維強化材の巻き角度が筒状体の軸方向に対して45°以上90°以下の強化繊維層と、強化繊維の布帛と、マトリックス樹脂とからなる補強層を積層配置し、その後硬化することを特徴とするフィラメントワインディング法によるFRP製筒状体の製造方法である。
【0016】
そして、請求項6に記載された発明は、FRP製筒状本体の両端又は片端が、該筒状本体に他部材を圧入接合するために補強されているFRP製筒状体を製造するに際し、シートワインド法によって、該筒状本体を繊維強化材の巻き角度が筒状体の軸方向に対して0°以上45°未満である強化繊維層とマトリックス樹脂で構成し、該筒状本体の両端又は片端の内側及び/又は外側に、繊維強化材の巻き角度が筒状体の軸方向に対して45°以上90°以下の強化繊維層と、強化繊維の布帛と、マトリックス樹脂とからなる補強層を積層配置し、その後硬化することを特徴とするシートワインド法によるFRP製筒状体の製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明のFRP製筒状体は、他部材を圧入接合するための筒状本体の両端又は片端が、新しい方法・手段で補強されている。即ち、本発明においては、層間破壊が発生し易い筒状本体の両端又は片端の層間に強化繊維の布帛を挟み、該布帛に樹脂を保持させ布帛と樹脂からなる層を形成せしめ、該層が前記層間を均一な厚みに維持することによって、層間の破壊を防ぐ効果が得られる。その結果、層間破壊を起こすことなく、金属部品等の他部材を圧入接合することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明のFRP製筒状体の片端部の断面形状を、模式的に示したものである。
【図2】図2は、フィラメントワインディング装置で本発明のFRP製筒状体を製造する場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明におけるFRP製筒状体は、筒状本体の両端又は片端が、該筒状本体に他部材を圧入接合するために補強されているFRP製筒状体であって、該筒状本体は繊維強化材の巻き角度が筒状体の軸方向に対して0°以上45°未満である強化繊維層(ヘリカル巻層)とマトリックス樹脂で構成されているものである。そして、該筒状本体の両端又は片端の内側及び/又は外側に、繊維強化材の巻き角度が筒状体の軸方向に対して45°以上90°以下の強化繊維層(フープ巻層)と、強化繊維の布帛と、マトリックス樹脂とからなる補強層が積層配置されているものである。筒状本体は全長に亘って繊維強化材のヘリカル巻層で形成されている必要はあるが、筒の径方向の強度を維持するために、一部フープ巻層が組み合わされて積層されていてもよい。また、筒状本体の繊維強化材のヘリカル巻層の内側全体にわたり、マンドレルを引き抜き易くする等の理由で、フープ巻層が積層配置される場合があるが、かかる態様のものも本発明の筒状本体に含まれる。
【0020】
筒状本体のヘリカル巻層と筒状の圧入接合部のヘリカル巻層は、連続して形成されているのが好ましい。また、筒状の圧入接合部の筒外径は、筒状本体の筒外径と同じであってもよいが、筒状の圧入接合部の筒外径が筒状本体の筒外径よりも大きくてもよい。後者の場合には、両者間はテーパー状になっており、ヘリカル巻層が筒状の圧入接合部からテーパー部を経て筒状本体の全長にわたって連続して形成されているのが好ましい。本発明で言う圧入接合とは、FRP製筒状体とヨークなどの金属部品を接合させる方法であって、筒状体の内径よりもわずかに外径の大きな金属部品に圧力をかけ、筒状体の内側に押し込み接合することである。FRP製筒状体と金属部品を接合する方法は、他に接着剤による接合などがある。
【0021】
本発明において、ヘリカル巻層は、FRP製の筒状体の軸方向に対して45°未満の角度で、らせん状に強化繊維又は強化繊維束を巻き付けた(ワインディング)層を意味するが、±5°以上、±45°未満の角度で巻き付けたものが好ましい。また、フープ巻層は、FRP製の筒状体の軸方向に対して45°以上、90°以下の角度で、強化繊維又は強化繊維束を巻き付けた層を意味するが、±70°以上、±90°以下の角度で巻き付けたものが好ましい。
【0022】
本発明において、FRP製筒状本体の両端又は片端の内側及び/又は外側に、繊維強化材のフープ巻層と強化繊維の布帛とマトリックス樹脂とからなる補強層が積層配置されている。補強層の長さは、FRP製筒状体の全長の少なくとも10%必要である。従って、FRP製筒状本体の両端に補強層が配置されている場合には、筒状体の全長の少なくとも20%必要である。補強層は、筒状本体の端部の内側又は外側に配置しても、両方に配置してもよい。その積層構成は、端部のヘリカル巻層とフープ巻層の間に布帛を挿入・配置しても、フープ巻層の層間に布帛を1層又は2層以上挿入・配置してもよい。布帛自体がマトリックス樹脂を含有したものを用いてもよいが、繊維強化材のヘリカル巻層あるいはフープ巻層とマトリックス樹脂とからなる層から樹脂は染み出してくるので、樹脂を含まない布帛のみを挿入・配置してもよい。
【0023】
本発明において用いられる強化繊維の布帛は、織物、編物、不織布等の形態で、繊維目付が1〜500g/mで、厚さが0.001〜2mmの範囲にあるものが好ましい。また、布帛用の強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維のいずれか1種又は2種以上であるのが好ましい。
【0024】
本発明のFRP製筒状体を構成するマトリクス樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂が用いられるが、他の樹脂、例えば、ポリアミド、ポリカーボネード、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂であってもよい。FRP製筒状体のヘリカル巻層又はフープ巻層として用いられる繊維強化材としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等を使用することができ、これらを併用することも可能である。
【0025】
本発明のFRP製筒状体の製造方法としては、例えば、マトリクス樹脂を含浸させた強化繊維束をフィラメントワインディング法でマンドレルに巻き付けて筒状に積層し、その後加熱により硬化させ、マンドレルを引き抜いて筒状本体を形成する方法がある。フィラメントワインディング法の場合には、筒状本体の端部に強化繊維の布帛を配置して、前記マトリックス樹脂を含浸させた強化繊維束と共にマンドレルに巻き付ければよい。あるいはまた、プリプレグを強化繊維材の配列方向(配列角度)を調整しつつシートワインド法でマンドレルに巻き付けて筒状に積層し、その後加熱により硬化させ、マンドレルを引き抜いて筒状本体を形成する方法でもよい。シートワインド法の場合には、筒状本体の端部に強化繊維の布帛を配置して、前記プリプレグと共にマンドレルに巻き付ければよい。
【0026】
本発明の実施の態様の一例を図で説明する。図1は、本発明のFRP製筒状体の片端部の
断面形状を模式的に示したものである。1は、繊維強化材のヘリカル巻層とマトリックス樹脂とからなる筒状本体、2は、前記1の内側と外側に1を挟んで積層配置された、繊維強化材のフープ巻層とマトリックス樹脂とからなる補強層、3は、強化繊維の布帛とマトリックス樹脂とからなる層、4は、マンドレルを引き抜き易くするために積層配置されたフープ層である。4は、本発明において必ずしも必要ではない。補強層は、FRP製筒状体の全長の少なくとも10%あるのが好ましいが、図1の場合には、前記2のうちの内側のフープ層の長さが、筒状体の全長の少なくとも10%あればよい。
【実施例】
【0027】
[実施例1]
以下、本発明のFRP製筒状体をフィラメントワインディング法で作製する例を具体的に説明する。
【0028】
図2に示したようなフィラメントワインディング装置を用いた。図2において、10はボビンに巻かれた炭素繊維のクリール、11はマトリックス樹脂の含浸浴、12はフィラメントワインダーにセットされたマンドレルを示す。マンドレルとしては直径82.5mm、長さ1200mmのものを用い、炭素繊維としては、東邦テナックス社製のテナックスIM600−24Kの糸束を4本引き揃えたものを3組、使用樹脂は液状のエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製のJER828の100重量部に対して、日立化成工業株式会社製の無水メチルハイミック酸を90重量部、四国化成工業株式会社製の2E4MZを1重量部)を用いた。
【0029】
繊維配列は、マンドレルの両端部から、軸方向にそれぞれ150mmの補強部を軸方向に対し85°の巻き角度で3層形成した。次いで、目付け
25g/m、厚さ 0.05mm、幅100mmのガラス繊維布帛を両端部に1層巻きつけた。その上から全体にわたって、マンドレルの軸方向に対し15°の巻き角度で2層の強化繊維のヘリカル巻層を形成し、次いで、全体にポリプロピレンのテープを巻き付け、その後、加熱炉内で回転加熱(加熱条件:135°で2時間)することにより、エポキシ樹脂を硬化(図2の13参照)し、次いで、マンドレルを抜きとり、ポリプロピレンのテープを剥ぎ取って1000mmになるよう両端部をカッティングし、本発明の筒状体を得た(図2の14参照)。
【0030】
本体部は内径82.501mm、外径85.250mm、端部(本体部+補強部)は、内径85.250mm、外径89.320mmであった。両端の補強部の長さは、それぞれ端から軸方向に150mmであった。一方、セレーション部を有するねじり試験用治具を用意した。
【0031】
この治具のセレーション部には、歯先円の外径(Dy)82.867mmの切込み歯を加工した。治具の接続端を、前記筒状体の管口から筒状体の内側に圧入し、治具と筒状体を接続した。圧入による破壊は全く起こっていなかった。これを、株式会社鷺宮製作所製の「ねじり疲労試験機」にて静ねじり試験を実施した結果、ねじり破壊トルクは4,200Nmであり、車輌用のプロペラシャフトとして使用するのに十分な強度を有していることが確認された。
【0032】
ヨークの圧入及び静ねじり試験後の、巻き角度の異なる層間の断面を目視で観察したところ、ガラス繊維からなる布帛を使用することによって、均一な厚さの樹脂層が形成されていることがわかった。
【0033】
[実施例2]
布帛を、ガラス繊維から目付け30g/m、厚さ0.07mmアラミド繊維布帛に変えた以外は、実施例1と同様にしてFRP筒状体を製造した。
【0034】
本体部は内径82.480mm、外径85.253mm、端部(本体部+補強部)は、内径85.253mm、外径89.320mm、両端の補強部の長さはそれぞれ端から軸方向に150mmであった。
【0035】
実施例1と同様に静ねじり試験を行った結果、ねじり破壊トルクは4,100Nmであり、充分、車輌用のプロペラシャフトとして使用できることが確認された。アラミド繊維からなる布帛を使用しても、実施例1と同様に、均一な厚さの樹脂層を作ることができた。
【0036】
[比較例1]
布帛を使用しない以外は実施例1と同様にして、布帛の積層構成持たない、1000mmのFRP筒状体を製造した。
【0037】
本体部は内径82.480mm、外径85.291mm、端部(本体部+補強部)は、内径85.250mm、外径89.324mm、両端の補強部の長さはそれぞれ端から軸方向に150mmであった。
【0038】
実施例1と同様に静ねじり試験を行うため、セレーション部を有するねじり試験用治具を圧入したところ、巻き角度の異なる層間でせん断破壊が起こった。
【0039】
[比較例2]
ガラス繊維布帛の幅を10mmとした以外は、実施例1と同様にしてFRP筒状体を製造した。
【0040】
本体部は内径82.250mm、外径85.294mm、端部(本体部+補強部)は、内径85.252mm、外径89.332mm、両端の補強部の長さはそれぞれ端から軸方向に150mmであった。
【0041】
実施例1と同様に静ねじり試験を行うため、セレーション部を有するねじり試験用治具を圧入したところ、巻き角度の異なる層間でせん断破壊が起こった。
【0042】
[比較例3]
軸方向にそれぞれ70mmの補強部を、軸方向に対し85°の巻き角度で3層形成した、ガラス繊維布帛の幅を50mmとした以外は、実施例1と同様にしてFRP筒状体を製造した。
【0043】
本体部は内径82.512mm、外径85.285mm、端部(本体部+補強部)は、内径85.250mm、外径89.333mm、両端の補強部の長さはそれぞれ端から軸方向に70mmであった。
【0044】
実施例1と同様に静ねじり試験を行うため、セレーション部を有するねじり試験用治具を圧入したところ、巻き角度の異なる層間でせん断破壊が起こった。
【符号の説明】
【0045】
1 繊維強化材のヘリカル巻層とマトリックス樹脂とからなる筒状本体
2 前記1を挟んで積層配置された、繊維強化材のフープ巻層とマトリックス樹脂とからなる補強層
3 繊維強化材の布帛とマトリックス樹脂とからなる層
4 マンドレルを引き抜き易くするために積層配置されたフープ層
10 ボビンに巻かれた炭素繊維のクリール
11 マトリックス樹脂の含浸浴
12 フィラメントワインダーにセットされたマンドレル
13 エポキシ樹脂を硬化させた状態の筒状体
14 マンドレルを抜き取って得られた本発明の筒状体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
FRP製筒状本体の両端又は片端が、該筒状本体に他部材を圧入接合するために補強されているFRP製筒状体であって、該筒状本体は繊維強化材の巻き角度が筒状体の軸方向に対して0°以上45°未満である強化繊維層とマトリックス樹脂で構成されており、該筒状本体の両端又は片端の内側及び/又は外側に、繊維強化材の巻き角度が筒状体の軸方向に対して45°以上90°以下の強化繊維層と、強化繊維の布帛と、マトリックス樹脂とからなる補強層が積層配置されていることを特徴とするFRP製筒状体。
【請求項2】
補強層の長さが、FRP製筒状体の全長の少なくとも10%であることを特徴とする請求項1に記載のFRP製筒状体。
【請求項3】
補強層の強化繊維の布帛が、繊維目付が1〜500g/mで、厚さが0.001〜2mmの布帛であることを特徴とする請求項1又は2に記載のFRP製筒状体。
【請求項4】
布帛用の強化繊維が、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維のいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のFRP製筒状体。
【請求項5】
FRP製筒状本体の両端又は片端が、該筒状本体に他部材を圧入接合するために補強されているFRP製筒状体を製造するに際し、フィラメントワインディング法によって、該筒状本体を繊維強化材の巻き角度が筒状体の軸方向に対して0°以上45°未満である強化繊維層とマトリックス樹脂で構成し、該筒状本体の両端又は片端の内側及び/又は外側に、繊維強化材の巻き角度が筒状体の軸方向に対して45°以上90°以下の強化繊維層と、強化繊維の布帛と、マトリックス樹脂とからなる補強層を積層配置し、その後硬化することを特徴とするフィラメントワインディング法によるFRP製筒状体の製造方法。
【請求項6】
FRP製筒状本体の両端又は片端が、該筒状本体に他部材を圧入接合するために補強されているFRP製筒状体を製造するに際し、シートワインド法によって、該筒状本体を繊維強化材の巻き角度が筒状体の軸方向に対して0°以上45°未満である強化繊維層とマトリックス樹脂で構成し、該筒状本体の両端又は片端の内側及び/又は外側に、繊維強化材の巻き角度が筒状体の軸方向に対して45°以上90°以下の強化繊維層と、強化繊維の布帛と、マトリックス樹脂とからなる補強層を積層配置し、その後硬化することを特徴とするシートワインド法によるFRP製筒状体の製造方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−214676(P2010−214676A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62141(P2009−62141)
【出願日】平成21年3月14日(2009.3.14)
【出願人】(000003090)東邦テナックス株式会社 (246)
【Fターム(参考)】