説明

FTY720のハロゲン化誘導体

新たなヨードまたはブロモ化合物、ならびにS1P受容体発現が変化する疾患または障害のための診断薬および造影剤としてのそれらの使用が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物、特に新規放射性化合物、それらの調製、ならびに自己免疫疾患、神経変性疾患、脳疾患、または脱髄性疾患、例えば多発性硬化症などの、S1P受容体に関連する疾患または障害の分野における造影技術および診断ツールのための放射性トレーサー/マーカーとしてのこのような新規放射性化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多発性硬化症(MS)は、若年成人における神経学的障害の主要原因であり、最も多い中枢神経系の脱髄性障害である。MSは、いくつかの形態をとり、ほとんどすべての神経学的症状が出現する可能性がある。こうした症状は、不連続の発作において(再発型)、または時間とともに徐々に増大しながら(進行型)、出現する。発作の中間で症状は消失することもあるが、特に疾患が進行するにつれて永続的な神経学的障害が出現することが多い。MSの徴候および症状は、多くの他の医学的問題に類似している可能性があるので、この疾患は診断するのが困難である。診断過程を容易にし、標準化するために、脱髄領域(MS病変またはプラーク)を視覚化し追跡するための脳および脊椎の神経造影分析および磁気共鳴造影(MRI)を含む診断基準が確立されている。
しかし、現在のところ、MSに対して完全に特異的である診断検査は存在せず、生検または死後検査のみが、絶対的に確実な診断をもたらすことができる。したがって、多発性硬化症を診断するのに有効な方法が医学において大いに必要とされている。
【0003】
非侵襲性の核造影技術は、実験動物、患者および志願者を含む生存対象の生理学および生化学に関する情報を得るのに使用することができる。これらの技術は、生存対象に投与された放射性トレーサーから放出される放射線を検出できる造影装置の使用に依拠する。得られた情報を再構成して、放射性トレーサーの分布および/または濃度を時間の関数として明らかにする平面画像および断層画像を提供することができる。多発性硬化症、脳疾患または脱髄性疾患にとってとりわけ興味深いこのような技術の例は、陽電子放射断層撮影法(PET)、三次元画像を作り出す核医学造影技術、または単一光子放射断層撮影法(SPECT)、ガンマ線を使用する核医学断層造影技術である。
【0004】
これらの技術を使用するための要件の1つが、適切なトレーサーを利用できることである。このようなトレーサーは、例えば、特定の臓器または組織中に蓄積することができ、そのため、投与後にトレーサーを視覚化すると、これらの組織または臓器を視覚化することを可能にする。あるいは、トレーサーは、疾患または障害の場合に(例えば、このような特定の受容体がこれらの疾患または障害に関連している場合に)分布される、または何らかの形で変更される特徴的な活性(例えば、特定の受容体に対する結合力を有する)を有することができ、そのため、体中のトレーサーを視覚化すると、このような疾患または障害を検出し、段階付け、または追跡することが可能になる。視覚化するため、その化合物を放射性標識する。したがって、放射性標識は、その化合物の特定の特性を変えないことが必須である。
【0005】
多くの疾患または障害は、スフィンゴシン1−リン酸(S1P)の受容体に何らかの形で関連していることが知られているか、または推測されている。S1Pは、増殖、細胞骨格の組織化などの多様な細胞応答を仲介し、免疫細胞の輸送、血管の恒常性、または中枢神経系における細胞間情報伝達の調節などの現象に関連している生物活性のあるスフィンゴ脂質である。S1Pは、体液および組織中に様々な濃度で含まれ、炎症部位での多面発現性メディエーターの過剰産生は、種々の病理学的状態に関与している可能性がある。遺伝子欠損研究および逆薬理学は、S1Pの多くの効果が5種のGタンパク質共役型S1P受容体サブタイプ(S1P受容体)を介して仲介されるという証拠を提供した。受容体サブタイプS1P1、S1P2およびS1P3は、広範に発現され、心血管系で優位な受容体である。S1P1は、また、リンパ球上の優位な受容体であり、二次リンパ器官からのそれらの放出を調節する。S1P4受容体はリンパ系で、S1P5は中枢神経系(CNS)の白質路中で発現される。
【0006】
合成リガンドとこれらのS1P受容体との相互作用は、広範な治療的用途のための新規な戦略を提供する。
【0007】
プロトタイプのS1P受容体モジュレーター、FTY720(フィンゴリモド、2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオール)は、5種のS1P受容体サブタイプ中の4種を標的とし、リンパ球性および内皮性S1P1を介するリンパ球輸送、ならびにおそらくはさらなるS1P受容体サブタイプによる他の炎症過程を調節するようにいくつかのレベルで作用することができる。FTY720は、S1P1(0.3nM)、S1P4(0.6nM)およびS1P5(0.3nM)に高い親和性で、S1P3(3.1nM)にはより低い約10分の1の親和性で結合するが、S1P2には結合しない。進行中の臨床試験は、FTY720が再発性−寛解性の多発性硬化症の効果的な治療を提供できることを指摘している(例えば、「FTY720療法は多発性硬化症におけるT細胞部分集合に対して種々の効果を発揮する(FTY720 therapy exerts differential effects on T cell subsets in multiple sclerosis)」Mehling Mら、Neurology.2008年10月14日;71(16):1261〜7)中に記載されている)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
FTY720の治療作用をさらに明らかにするために、例えば、その薬物動態および患者での臓器内分布を定量化するために、該薬物を模倣するのに使用され得る、FTY720の放射性標識された誘導体を調製する必要もある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、本発明者らは、放射性同位体であってもよい原子を含有するFTY720誘導体を特定した。このような誘導体は、FTY720の薬物動態および物理化学的活性を模倣することができる。例えば、それらの誘導体は、FTY720の次の特性:臓器内分布、S1P受容体に対する親和性および選択性、リン酸化の速度論のうちの1つまたは複数を模倣することができる。
【0010】
FTY720の特性から考えて、トレーサーまたは造影剤として使用することのできる、すなわち、1つまたは複数の放射性同位元素を導入してもFTY720の特性を模倣することのできるFTY720誘導体を開発する必要がある。
【0011】
ヨウ素および臭素(それぞれ、約127および80Daの原子量を有する)は、特にFTY720(分子量は307.5)に対比して著しく重い原子である。したがって、化合物の物理化学的および薬物動態学的特性を変化させると予想されるこのようなハロゲン原子の導入にもかかわらず、ハロゲン原子を導入しても同様の薬物動態学的特性を維持しながらFTY720に近い親和性および選択性のプロフィールでS1P受容体に結合することのできるFTY720誘導体を調製することが可能であることは驚くべきことである。放射性標識の後、これらの化合物はインビトロおよびインビボでの造影用途のために使用することができる。同位体で適切に標識されている場合、これらの薬剤は、S1P受容体の選択的標識のための、例えばサブタイプS1P1、S1P3、S1P4およびS1P5の少なくとも1種のための組織病理学的標識剤、造影剤、および/またはバイオマーカーとして貴重な特性を提示する。より詳細には、本発明の化合物は、S1P受容体をインビトロまたはインビボで標識するための、とりわけサブタイプS1P1、S1P3、S1P4およびS1P5受容体の少なくとも1種をインビトロまたはインビボで標識するためのマーカーまたは放射性トレーサーとして有用である。
【0012】
さらに、これらの化合物は、おそらくは、S1P受容体に対するそれらの親和性とは無関係である、ミエリンシート中への挿入などの機構によって、ミエリン中に蓄積する傾向がある。それゆえ、それらの化合物は、ミエリンシートに異常のある疾患および障害における、例えば脱髄性疾患におけるミエリンを造影するのにも適している。
【0013】
本発明の化合物中に組み込むことのできる適切な放射性核種としては、123I、124I、125I、131I、75Brまたは76Brが挙げられる。化合物中に組み込むべき放射性核種の選択は、具体的な分析用途または薬学的用途によって決まる。したがって、インビトロでS1P受容体を標識する場合、および競合アッセイの場合には、125Iまたは131Iを組み込んだ化合物が好ましい。本発明の特定の実施形態において、診断および研究用の造影剤(陽電子放射断層撮影法(PET)または単一光子放射断層撮影法(SPECT))の場合には、それぞれ124Iまたは123Iを組み込んだ化合物が好ましい。
【0014】
これらのトレーサーは、組織断面中のS1P受容体をインビトロまたはインビボで造影するために、例えばS1P受容体に対して親和性を有する化合物の受容体占有率を分析するために使用することができ、したがって、このような化合物の潜在的な治療的用途を評価することができる。
【0015】
このようなトレーサーは、また、S1P受容体発現に影響を及ぼす疾患および障害、例えば自己免疫疾患または多発性硬化症などの脱髄性疾患を診断または段階付けるために使用することができる。それらは、また、S1P受容体との相互作用を介して作用する薬物での治療による利益を受けやすい患者集団を評価するのに、または特定の患者集団におけるFTY720の分布を推定するのに使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の化合物
本発明は、FTY720の新たな誘導体、とりわけFTY720の新たな放射性誘導体、すなわち、FTY720の放射性標識誘導体、診断および治療的用途における医学的画像化のためのトレーサーとしてのFTY720の放射性標識誘導体の使用を提供する。
【0017】
前述で定義したように、「FTY720の誘導体」は、FTY720またはFTY720−リン酸塩に同一または類似した構造を有し、さらに少なくとも1つのヨウ素または臭素原子、例えば、ヨウ素または臭素の少なくとも1つの放射性同位体を含む化合物を指す。
【0018】
FTY720は、下記に示す通りの2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオールである:
【0019】
【化1】

【0020】
FTY720−リン酸塩は、下記に示す通りのFTY720のリン酸化された形態を指す:
【0021】
【化2】

【0022】
用語「FTY720の放射性標識された誘導体」および「本発明の放射性標識された化合物」は、放射性である、すなわち少なくとも1つのヨウ素または臭素原子が、ヨウ素または臭素の放射性同位体で、例えば対応する放射性同位体で置換されている、例えば置き換えられている、本明細書に記載の通りのFTY720誘導体を指す。すなわち、本発明の放射性標識された化合物は、123I、125I、124I、131I、75Brおよび76Brから選択される少なくとも1つの原子、例えば123Iおよび124Iから選択される少なくとも1つの原子を含むことができる。
【0023】
本発明によるFTY720誘導体、およびFTY720の放射性標識された誘導体は、式Iの化合物である:
【0024】
【化3】

[式中、
は、C1〜10アルキルまたはOC1〜9アルキル、例えばCアルキル、例えばn−オクチルであり、
は、HもしくはC1〜6アルキル、またはPOであり、
ここで、少なくとも1つの水素原子、例えば、炭素原子に連結された少なくとも1つの水素原子は、ヨウ素または臭素原子で置き換えられている]。
【0025】
式IのFTY720の放射性標識された誘導体において、少なくとも1つの水素原子、例えば、炭素原子に連結された少なくとも1つの水素原子は、ヨウ素または臭素の放射性同位体で、例えば、123I、125I、124I、131I、75Brおよび76Brから選択される原子で、例えば123Iまたは124Iで処理、例えば、置き換えられる。
特定の実施形態において、式IのFTY720の放射性標識された誘導体は、123I、125I、124I、131I、75Brおよび76Brから選択される少なくとも1つの原子を、例えば、123Iおよび124Iから選択される少なくとも1つの原子を含有し、例えば、123Iまたは124Iを含有する。
【0026】
好ましくは、放射性同位体で置換される、例えば置き換えられる水素原子は放射性標識される炭素原子に連結されている。
【0027】
ヨウ素または臭素原子は、分子中のアリール環上の置換基として組み込むことができ、この場合、該誘導体は、「ヨウ素化アリールFTY720誘導体」または「臭素化アリールFTY720誘導体」と呼ばれる。このようなアリールFTY720誘導体は、1つまたは複数のヨウ素または臭素原子を、例えばヨウ素または臭素の少なくとも1種の放射性同位体を含有することができる。
【0028】
本発明は、式Iaの化合物、例えば、放射性標識された化合物を提供する:
【0029】
【化4】

[式中、
は、前述で定義した通りであり、
およびBの少なくとも一方は、I(ヨウ素)またはBrであり、他方はHであり、
は、C1〜10アルキルまたはOC1〜9アルキルであり、例えば、XはCアルキルである]。
【0030】
1つの特定の実施形態において、Rは、HまたはPOである。
【0031】
別の実施形態において、Xは、n−オクチルまたはn−ヘプチルオキシである。
例えば、RはHであり、Xはn−オクチルであるか、またはRはPOであり、Xはn−オクチルである。
【0032】
さらに別の実施形態において、Aは、I(ヨウ素)およびBrからなる群から選択され、BがHであるか、またはAはHであり、BがI(ヨウ素)およびBrからなる群から選択されるかのいずれかである。
【0033】
好ましくは、
は、HまたはPOであり、
少なくとも1つのAおよびBはI(ヨウ素)であり、他方はHであり、
は、n−オクチルまたはn−ヘプチルオキシである。
【0034】
式Iaの放射性標識された化合物において、少なくとも1つのヨウ素または臭素原子は、ヨウ素または臭素の放射性同位体で、例えば、125I、124I、123I、131I、75Brおよび76Brから選択される、例えば、125Iおよび124Iから選択される放射性同位体で置換、例えば置き換えられている。
【0035】
別の実施形態において、FTY720誘導体のアルキル鎖は、二重結合で終結しており、ここで、その炭素原子の少なくとも1つは、1つのヨウ素または臭素で置換、例えば置き換えられており、それゆえ、該誘導体は、「ヨウ素化アリルFTY720誘導体」または「臭素化アリルFTY720誘導体」と呼ばれる。
【0036】
本発明は、さらに、式Ibの化合物、例えば、放射性標識された化合物を提供する:
【0037】
【化5】

[式中、
は、H、C1〜6アルキル、またはPOであり、
E、FおよびGの少なくとも1つは、I(ヨウ素)またはBrであり、残りはHであり、例えば、FおよびGの少なくとも一方は、I(ヨウ素)およびBrからなる群から選択され、残りはHであり、
は、C1〜8アルキルまたはOC1〜7アルキルである]。
【0038】
別の実施形態において、Xは、1,6−n−ペンチレンまたはオキシ−n−ブチルである。
【0039】
一実施形態において、Rは、HまたはPOである。
【0040】
別の実施形態において、E、FまたはGのいずれかは、I(ヨウ素)およびBrからなる群から選択され、残りはHであり、例えば、EおよびGはHであり、Fは、I(ヨウ素)およびBrからなる群から選択される。
【0041】
よりさらなる実施形態において、RはPOであり、E、FおよびGの少なくとも1つはI(ヨウ素)またはブロモであり、残りはHである。例えば、RがPOであり、EがHであって、GがI(ヨウ素)またはブロモであり、FがHであるか、または逆に、GがHであり、FがI(ヨウ素)またはブロモであるかのいずれかである。
【0042】
別の実施形態において、Eは、I(ヨウ素)およびブロモからなる群から選択され、GおよびHは双方ともHである。
【0043】
式Iaの放射性標識された化合物において、少なくとも1つのヨウ素または臭素原子は、ヨウ素または臭素の放射性同位体で、例えば、125I、124I、123I、131I、75Brおよび76Brから選択される、例えば、125Iおよび124Iから選択される放射性同位体で置換、例えば置き換えられている。
【0044】
本明細書に記載の式I、IaおよびIbの化合物の定義中で、用語ヨウ素(「I」)および臭素(「Br」)は、それぞれ、ヨウ素および臭素の原子を指し、このような原子のすべての同位体を包含する。
【0045】
したがって、式I、IaおよびIbの化合物は、放射性標識された化合物であってもよく、例えば、ヨウ素原子は、125I、124I、123Iおよび131Iから選択することができ、臭素原子は、75Brおよび76Brから選択することができる。
【0046】
好ましくは、本発明の化合物は、少なくとも1つの放射性標識された原子、例えば、123Iおよび124Iから選択される原子を含有する。
【0047】
式I、IaまたはIbの化合物が、分子中に1つまたは複数の不斉中心を有する場合、本発明は、種々の光学異性体、ならびにラセミ化合物、ジアステレオ異性体、およびこれらの混合物を包含すると理解されたい。式IaまたはIbの化合物は、アミノ基を所持する炭素原子が不斉である場合、好ましくは、この炭素原子の位置でS−配置を有する。
式I、IaまたはIbの化合物は、遊離または塩の形態で存在することができる。式I、IaまたはIbの化合物の薬学的に許容される塩の例としては、無機酸との塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩および硫酸塩;有機酸との塩、例えば、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、メタンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩;あるいは適切なら、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびアルミニウムなどの金属との塩;トリエチルアミンなどのアミンとの塩;ならびにリシンなどの二塩基性アミノ酸との塩が挙げられる。本発明の化合物およびその塩は、水和物および溶媒和物の形態を包含する。
【0048】
式Iaの化合物、例えば式Iaの放射性標識された化合物の例としては、次の化合物がある:
【0049】
【化6】

【化7】

【0050】
式Ibの化合物、例えば式Iaの放射性標識された化合物の例としては、次の化合物がある:
【0051】
【化8】

【化9】

【0052】
前に例示した化合物において、原子Iは、123I、125I、124I、131I、75Brまたは76Brのいずれか1つで、例えば、123I、125I、124Iまたは131Iで、例えば、75Brまたは76Brで、あるいは例えば、123Iまたは124Iで置換、例えば置き換えることができる。この場合、該化合物は、FTY720の放射性標識された誘導体である。
【0053】
方法
Ibの化合物、例えば、化合物I〜Nは、次のように要約される方法1により得られる。
【0054】
【化10】

【0055】
該方法を以下でより詳細に説明する。
【0056】
ステップ1
式(VII)の化合物は、式(V)の化合物を式(VI)の化合物と、適切なカップリング試薬、例えば、DIADまたはDEADおよびPPhの存在下に、溶媒または溶媒混合物、例えば、ジオキサン、THFの存在下で反応させることによって得られる。
【0057】
ステップ2
式I、JまたはNの化合物は、式(VII)の化合物を、適切な酸、例えば、濃塩酸、濃硫酸またはトリフルオロ酢酸の存在下に、溶媒、例えば、ジオキサン、EtOHまたはMeOHの存在下で反応させることによって得られる。
【0058】
ステップ3
式(VIII)の化合物は、式(VII)の化合物をリン酸化剤、例えば、ホスホロクロリデート、ジフェニルクロルホスフェート、シアノエチルホスフェート、ホスホルアミダイト(ジ−tertブチルジエチルホスホルアミダイトなど)と、溶媒または溶媒混合物、例えば、DCM、THFまたはジオキサンの存在下で反応させること、続いて酸化剤、例えばHでの酸化反応によって得られる。
【0059】
ステップ4
式K、LまたはMの化合物は、式(VIII)の化合物を、適切な酸、例えば、濃塩酸、濃硫酸またはトリフルオロ酢酸の存在下に、溶媒または溶媒混合物、例えば、ジオキサン、EtOHまたはMeOHの存在下で反応させることによって得られる。
【0060】
式Iaの化合物、例えば、化合物A、B、D、E、FおよびHは、次のスキームによって要約される方法2により得られる。
【0061】
【化11】

【化12】

【0062】
ステップ5
式A、BまたはDの化合物は、式(IX)の化合物を、ヨウ素、適切な酸、例えば、濃塩酸、濃硫酸またはトリフルオロ酢酸の存在下に、溶媒または溶媒混合物、例えば、CHCN、ジオキサン、EtOHまたはMeOHの存在下で反応させることによって得られる。
【0063】
ステップ6
式(X)の化合物は、式A、BまたはDの化合物を、クロロギ酸ベンジル、適切な塩基、例えば、水酸化ナトリウムの存在下に、溶媒または溶媒混合物、例えば、CHCN、ジオキサン、EtOHまたはMeOHの存在下で反応させることによって得られる。
【0064】
ステップ7
式(XI)の化合物は、式(X)の化合物をリン酸化剤、例えば、ホスホロクロリデート、ジフェニルクロルホスフェート、シアノエチルホスフェート、ホスホルアミダイト(ジ−tertブチルジエチルホスホルアミダイトなど)と、溶媒または溶媒混合物、例えば、DCM、THFまたはジオキサンの存在下で反応させること、続いて酸化剤、例えばHでの酸化反応によって得られる。
【0065】
ステップ8
式E、FまたはHの化合物は、式(XI)の化合物を、適切な酸、例えば、濃塩酸、濃硫酸またはトリフルオロ酢酸の存在下に、溶媒または溶媒混合物、例えば、ジオキサン、EtOHまたはMeOHの存在下で反応させることによって得られる。
【0066】
本発明は、また、式(IIIa)または(IVa)の放射性標識された化合物を提供する:
【0067】
【化13】

【0068】
式(IIIa)および(IVa)の化合物は、対応するスタナンまたはボランを、放射性ハロゲン化アルカリ金属の供給源の存在下で反応させることによって得られる。式(IIIa)および(IVa)の化合物の標識は、いくつかの技術によって達成され得る。例えば、標識は、式(IIIa)、(IVa)の化合物のトリアルキルスタナン前駆体、ボラン前駆体、またはボロン前駆体、ならびにNa123I、Na124I、Na125I、Na131I、Na75BrまたはNa76Brなどのハロゲン化アルカリ金属を、クロラミン−T、過酢酸または過酸化水素水溶液などの酸化剤、および塩酸、酢酸または酸性緩衝液などの酸の存在下に、好ましくは外界温度でおよび適切な溶媒中で反応させることによって実施することができる。標識は、また、酸性媒質中での非放射性ヨウ化分子と放射性ハロゲン化アルカリ金属との間の交換によって行うことができる。
【0069】
本発明者らの取組みは、放射性ハロゲン化されたヨード−FTY720誘導体に対する前駆体としての有機ホウ素化合物(ボロン酸、ピナコール−ボロネート、トリフルオロボロネートおよびボロン酸ネオペンチル)の使用を基礎にした。
【0070】
放射性標識された式Iaの化合物、例えば、化合物A、BおよびDは、次のスキームによって要約される方法3により得ることができる。
【0071】
【化14】

【0072】
ステップ9
式(XII)の化合物は、化合物Aを、Greeneらによって記載されているような適切な保護基(Protective groups in Organic Synthesis,Wiley)、例えば、アルキルt−ブチルカルボネート、アセトニド、酢酸エステルの存在下に、適切な塩基、例えば、水酸化ナトリウムの存在下において、適切な溶媒または溶媒混合物、例えば、DMF、DMSO、ジオキサンの存在下で反応させることによって得られる。
【0073】
ステップ10
式(XIII)の化合物は、式(XII)の化合物を、適切なパラジウム触媒、例えば、PdCl(PPhPPh、PdCl(dppf)の存在下に、適切な塩基、例えば、KCO、KOAcの存在下に、適切な溶媒または溶媒混合物、例えば、ジオキサン、DMSOの存在下で、適切なジボロン化合物、例えば、ビス(ピナコラト)ジボロン、ビス(ネオペンチル)ジボロンのクロスカップリング反応を介して反応させること、続いて、適切な酸、例えば塩酸またはフッ化水素カリウムの存在下で加水分解することによって得られる。
【0074】
ステップ11
式(XIV)の化合物は、式(XIII)の化合物を、ヨウ素の供給源、例えばNaIの存在下に、適切な酸化剤、例えば、クロラミン−T、過酢酸または過酸化水素水溶液の存在下に、適切な塩基の存在下に、適切な溶媒または溶媒混合物、例えば、HO、THF、ジオキサンの存在下で反応させること、続いて、保護基を適切な酸、例えば、塩酸、トリフルオロ酢酸で除去することによって得られる。
【0075】
放射性標識された式Ibの化合物、例えば、化合物I、JおよびNは、方法3に類似の合成スキームに従って得られる。
【0076】
疾患
前述で定義したように、「S1P受容体発現に影響を及ぼす疾患または障害」は、1種または複数のS1P受容体の、例えば、S1P1、S1P4、S1P5およびS1P3受容体のいずれか1種の不均衡または機能不全をもたらす疾患または障害を指す。
例えば、このような疾患としては、炎症性疾患、自己免疫疾患、脱髄性疾患、神経変性疾患、脳疾患、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、癌、またはS1P受容体発現に影響を及ぼす任意の疾患が挙げられる。
【0077】
本明細書中で定義する場合、自己免疫疾患には、限定はされないが、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節炎、リウマチ様関節炎、糖尿病(例えば、I型糖尿病、II型成人発症糖尿病)、ブドウ膜炎が含まれる。
【0078】
本明細書中で定義する場合、心血管疾患には、限定はされないが、高血圧症、心拍数調節不全が含まれる。
【0079】
本明細書中で定義する場合、脱髄性疾患には、限定はされないが、多発性硬化症、およびそれに付随する障害、例えば、視神経炎およびギラン・バレー症候群が含まれる。
【0080】
本明細書中で定義する場合、神経変性疾患には、限定はされないが、進行性認知症、β−アミロイド関連炎症性疾患、アルツハイマー病、アミロイドーシス、レビー小体病、多発脳梗塞性認知症、ピック病、または脳動脈硬化症が含まれる。
【0081】
本発明は、炎症性疾患、自己免疫疾患、脱髄性疾患、神経変性疾患、脳疾患、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、および癌から選択される疾患、例えば、炎症性疾患、自己免疫疾患、脱髄性疾患、神経変性疾患、および脳疾患から選択される疾患に罹患したまたは患う患者にとりわけ適合している。
別の実施形態において、本発明は、このような疾患を患っていると疑われる患者に向けられる。
【0082】
診断および造影での使用
前に述べたように、本発明は、本明細書中で前に定義したような新規FTY720誘導体、例えば、とりわけ脳または脊髄の造影のための適切な造影装置を使用するインビトロおよびインビボでの造影の用途のための、ミエリンシートまたはS1P受容体のトレーサーとして使用することのできる、ヨウ素化または臭素化されたFTY720誘導体、例えば、式I、IaまたはIbの化合物を提供する。
【0083】
PET/SPECT造影と確立済のMRI技術との間には、いくつかの相違が存在し、両方法は、相補的と考えることができる。MRIは、例えば多発性硬化症中の病変を造影するのに使用することができるが、限界があり、PET/SPECTのトレーサーはその限界を克服することができる。例えば、MRI法は、組織の水分含有量に基づくものであり、発作、出血、または炎症過程に続く、例えば、神経変性に由来するT2強調MRI超強度画像を明瞭には識別しない。対照的に、本発明の化合物は、ミエリンシート中への挿入に続いて、またはミエリン中に発現されたS1P受容体への結合によって、特定のミエリンの造影を可能にする。
さらに、PET/SPECT造影は、例えば、慢性病変と急性(活性)病変とを区別するのにGdをベースにしたコントラスト増強剤の使用を必要としない。最後に、MRIは、金属インプラント、心臓ペースメーカー、人工内耳、旧世代の動脈瘤クリップ、埋め込み型刺激装置、または眼内金属性外来物を有する患者で禁忌である。
【0084】
本明細書中で前述で定義したように、「造影装置」は、生存対象に投与された放射性トレーサーから放出される放射線を検出することができ、得られた情報を再構成して平面画像および断層画像を提供することのできる装置を指す。このような画像は、放射性トレーサーの分布および/または濃度を時間の関数として明らかにすることができる。好ましくは、本発明の「造影装置」は、限定はされないが、陽電子放射断層撮影法(PET)、または単一光子放射断層撮影法(SPECT)を指す。
【0085】
これらのトレーサーは、組織断面中の、特に脳中のS1P受容体をインビトロまたはインビボで造影するために、例えば、S1P受容体に対して、例えば、S1P1、S1P3、S1P4および/またはS1P5受容体に対して親和性を有する化合物の受容体占有率を分析するために使用することができる。本発明の化合物は、例えば、このような受容体に作用する薬物のS1P受容体阻害のレベルを測定するのに有用である。
【0086】
それらのトレーサーは、このような化合物の潜在的な治療的用途を評価するのに使用することができる。それらは、このような疾患の薬物療法の有効性を監視するのに有用であり得る。
【0087】
これらのトレーサーは、本明細書中で定義するようなS1P関連疾患または障害、例えば、自己免疫疾患、または多発性硬化症などの脱髄性疾患の所見を診断またはそれを検査するのに使用することができる。
【0088】
これらのトレーサーは、患者が、S1P受容体との相互作用を介して作用する薬物で治療されることに、例えばFTY720で治療されることに感受性であるかどうかを評価するのに使用することができる。
【0089】
一連の実施形態において、本発明は、以下を提供する:
1.1
前述で定義したFTY720誘導体、例えばFTY720のヨードまたはブロモ誘導体、例えば、式I、IaまたはIbの化合物、例えば、式IaおよびIbの化合物;あるいはその対応する放射性標識された誘導体、例えば、式I、IaまたはIbの放射性標識された化合物、例えば、123I、124I、125I、131I、75Brおよび76Brから選択される少なくとも1つの原子を含む式IaまたはIbの化合物。好ましくは、化合物A〜H、例えば、化合物A、C、Eおよび/またはG、あるいはその対応する放射性標識された化合物。好ましくは、化合物Aおよび化合物Eのいずれか1つから選択される化合物、ならびにその対応する放射性標識された化合物。
1.2
前述で定義したFTY720誘導体、例えば、式I、IaまたはIbの化合物、例えば、式IaまたはIbの化合物;あるいはその対応する放射性標識された化合物、例えば、式I、IaおよびIbの放射性標識された化合物、例えば、S1P受容体を標識するための、例えばS1P1、S1P3、S1P4およびS1P5受容体の少なくとも1つを標識するための、例えば、S1P1および/またはS1P5受容体を標識するためのマーカーとしての式IaまたはIbの放射性標識された化合物。
1.3
前述で定義したFTY720誘導体、例えば、式I、IaまたはIbの化合物、例えば、式IaまたはIbの化合物;およびその対応する放射性標識された化合物、例えば、式I、IaまたはIbの放射性標識された化合物、例えば、S1P受容体発現が変化する疾患または障害、例えば、自己免疫疾患、神経変性疾患、脳疾患、または脱髄性疾患から選択される疾患、例えば多発性硬化症のためのマーカーとしての式IaまたはIbの放射性標識された化合物。
2.1
前述で定義したFTY720誘導体の、例えば、前述で定義したFTY720のヨードまたはブロモ誘導体の、例えば、式I、IaまたはIbの化合物の、例えば、式IaまたはIbの化合物の;あるいは前述で定義したその対応する放射性標識された化合物の、例えば、式IaまたはIbの放射性標識された化合物の、例えば陽電子放射断層撮影法(PET)または単一光子放射断層撮影法(SPECT)のための放射性トレーサーとしての使用。
2.2
前述で定義したFTY720誘導体の、例えば、前述で定義したFTY720のヨードまたはブロモ誘導体の、例えば、式I、IaまたはIbの化合物の、あるいはその対応する放射性標識された化合物の、例えば、式IaまたはIbの放射性標識された化合物の、S1P受容体発現が変化する疾患または障害、例えば、自己免疫疾患、神経変性疾患、脳疾患、または脱髄性疾患から選択される疾患、例えば多発性硬化症を診断するための使用。
3.
前述で定義したFTY720誘導体の、例えば、前述で定義したFTY720のヨードまたはブロモ誘導体の、例えば、式I、IaまたはIbの化合物の、例えば、式IaまたはIbの化合物の;あるいはその対応する放射性標識された化合物の、例えば、式IaまたはIbの放射性標識された化合物の、例えば、自己免疫疾患、神経変性疾患、脳疾患、または脱髄性疾患、例えば多発性硬化症に罹患しているまたはそれを有する疑いのある患者における、例えば、陽電子放射断層撮影法(PET)または単一光子放射断層撮影法(SPECT)を用いる、インビトロまたはインビボでの造影用途、例えば脳または脊髄造影のための使用。
4.1
対象におけるS1P受容体発現が変化する疾患または障害、例えば、自己免疫疾患または脱髄性疾患の所見を診断する方法であって、前述で定義したFTY720の放射性標識された誘導体、例えば前述で定義したFTY720の放射性標識されたヨードまたはブロモ誘導体、例えば前述で定義した式IaまたはIbの化合物を使用するステップを含む方法。
4.2
対象におけるS1P受容体発現が変化する疾患または障害をPETまたはSPECTを使用して診断する、例えば、炎症性疾患、自己免疫疾患、神経変性疾患、脳疾患または脱髄性疾患を診断する方法であって、前述で定義したFTY720誘導体、例えば前述で定義したFTY720のヨードまたはブロモ誘導体、例えば、前述で定義した式I、IaまたはIbの化合物、例えば、式IaまたはIbの化合物を放射性標識するステップを含む方法。
4.3
対象におけるS1P受容体発現が変化する疾患または障害、例えば、炎症性疾患、自己免疫疾患、神経変性疾患、脳疾患または脱髄性疾患の所見を診断する方法であって、
a)前述で定義したFTY720の放射性標識された誘導体、前述で定義したFTY720の放射性標識されたヨードまたはブロモ誘導体、例えば前述で定義した式I、IaまたはIbの放射性標識された化合物、例えば、式I、IaまたはIbの化合物を対象に投与するステップ、
b)適切な造影装置、例えば、陽電子放射断層撮影法(PET)または単一光子放射断層撮影法(SPECT)を用いて、放射性標識された化合物から放出される放射線を検出または測定するステップ、および任意選択で
c)ステップb)で得られた情報を再構成して、放射性標識された化合物の分布および/または濃度を時間の関数として明らかにする平面画像および断層画像を提供するステップ
を含む方法。
4.4
対象におけるS1P受容体発現が変化する疾患または障害、例えば、自己免疫疾患、神経変性疾患、脳疾患または脱髄性疾患の所見を診断する、前記4.3の項目において定義した方法であって、ステップa)の前に、
前述で定義したFTY720の放射性標識された誘導体を調製する、例えば、123I、124I、125I、131I、75Brおよび76Brからなる群から選択される原子、例えば123Iまたは124IをFTY720誘導体中に導入する、ステップa1)
を含む方法。
ステップa1)は、放射性である1つのヨウ素またはブロモ原子を含有する、例えば123I、125I、124I、131I、75Brおよび76Brから選択される、例えば123Iおよび124Iから選択される1つの原子を含有する式I、IaまたはIbの化合物を調製するステップからなっていてもよい。
5.1
炎症性疾患、自己免疫疾患、脱髄性疾患、および脳疾患から選択される疾患または障害に罹患している患者が、S1P受容体モジュレーター、例えばS1P受容体アゴニストとして作用する化合物、例えばFTY720に応答するかどうかを予測する方法であって、
a)前述で定義したFTY720の放射性標識されたヨード誘導体、例えば、少なくとも1つの放射性ヨウ素原子を含む式IaおよびIbの放射性標識された化合物を患者に投与するステップ、および
b)適切な造影装置、例えば陽電子放射断層撮影法(PET)または単一光子放射断層撮影法(SPECT)を用いて放射性標識された化合物から放出される放射線を検出または測定するステップ
を含む方法。
5.2
どの患者が、S1P受容体モジュレーター、例えば、S1P受容体アゴニストとして作用する化合物、例えば、FTY720に応答するかを予測する、前記5.1の項目において定義した方法であって、ステップa)の前に、
前述で定義したFTY720の放射性標識された誘導体を調製する、例えば、123I、124I、125I、131I、75Brまたは76Brからなる群から選択される原子、例えば123Iまたは124Iを本発明のFTY720誘導体中に、例えば式I、IaまたはIbの化合物中に導入する、ステップa1)を含む方法。ステップa1)は、放射性である1つのヨウ素またはブロモ原子を含有する、例えば、123I、125I、124I、131I、75Brおよび76Brから選択される少なくとも1つの原子を含有する、例えば、123Iおよび124Iから選択される少なくとも1つの原子を含有する、式I、IaまたはIbの、例えば、式IaまたはIbの化合物を調製するステップからなっていてもよい。
5.3
特定の患者集団におけるFTY720の分布、例えば脳内分布を推定する方法であって、
a)前述で定義したFTY720の放射性標識された誘導体を調製する、例えば、123I、124I、125I、131I、75Brまたは76Brからなる群から選択される原子、例えば123Iまたは124Iを本発明のFTY720誘導体中に、例えば式I、IaまたはIbの化合物中に導入するステップ、
b)例えば炎症性疾患、自己免疫疾患、脱髄性疾患、および脳疾患から選択される疾患または障害に罹患した、またはこのような疾患に罹患するリスクのある、患者集団に前記放射性標識された化合物を投与するステップ、および
c)このような患者のミエリンまたは脳におけるFTY720の分布を視覚化するステップ
を含む方法。
放射性標識された誘導体を調製するステップは、放射性である1つのヨウ素または臭素原子を含有する、例えば、123I、125I、124I、131I、75Brおよび76Brから選択される少なくとも1つの原子を含有する、例えば、123Iおよび124Iから選択される少なくとも1つの原子を含有する、式I、IaまたはIbの、例えば、式IaまたはIbの化合物を調製するステップからなっていてもよい。
6.1
前述で定義したFTY720誘導体の、例えば、前述で定義したFTY720のヨードまたはブロモ誘導体の、例えば、式I、IaまたはIbの化合物の、あるいは前述で定義したその対応する放射性標識された化合物の、例えば、123I、125I、124I、131I、75Brおよび76Brから選択される少なくとも1つの原子を含有する、例えば123Iおよび124Iから選択される少なくとも1つの原子を含有する式I、IaまたはIbの化合物の、S1P受容体発現が変化する疾患または障害、例えば、炎症性疾患、自己免疫疾患、脱髄性疾患、神経変性疾患、または脳疾患の薬物療法の有効性を監視するための使用。
6.2
前述で定義したFTY720誘導体の、例えばFTY720のヨードまたはブロモ誘導体の、例えば式IaまたはIbの化合物の、あるいは前述で定義したその対応する放射性標識された化合物の、例えば、123I、125I、124I、131I、75Brおよび76Brから選択される少なくとも1つの原子を含有する、例えば、123Iおよび124Iから選択される少なくとも1つの原子を含有する式I、IaまたはIbの化合物の、対象におけるミエリンを造影するための、および/または脳または脊髄造影を視覚化するためのトレーサーとしての使用であって、前記方法が、
a)前述で定義したFTY720の放射性標識された誘導体、FTY720の放射性標識されたヨードまたはブロモ誘導体、例えば、前述で定義した式I、IaまたはIbの放射性標識された化合物を対象に投与するステップ、
b)適切な造影装置、例えば、陽電子放射断層撮影法(PET)または単一光子放射断層撮影法(SPECT)を用いて放射性標識された化合物から放出される放射線を検出または測定するステップ、および任意選択で
c)ステップb)で得られた情報を再構成して、放射性標識された化合物の分布および/または濃度を時間の関数として明らかにする平面画像および断層画像を提供するステップ
を含む使用。
6.3
ステップa)の前に、FTY720の放射性標識された誘導体を調製する、例えば、123I、124I、125I、131I、75Brおよび76Brからなる群から選択される原子、例えば123Iまたは124Iを本発明のFTY720誘導体中に導入するステップを含む、前記6.2の項目において定義した使用。
6.4
ステップa)の前に、123I、125I、124I、131I、75Brおよび76Brから選択される少なくとも1つの原子を含有する、例えば123Iおよび124Iから選択される少なくとも1つの原子を含有する式I、IaまたはIbの、例えば式IaまたはIbの化合物を調製するステップを含む、前記6.2の項目において定義した使用。
6.5
陽電子放射断層撮影法(PET)または単一光子放射断層撮影法(SPECT)を使用する、前記6.2または6.4の項目において定義した使用。
6.6
自己免疫疾患、神経変性疾患、脳疾患、または脱髄性疾患、例えば多発性硬化症に罹患している、それを有する疑いのある、またはそれに罹患するリスクのある患者における、前記6.2〜6.5の項目において定義した使用。
6.7
前述で定義したFTY720誘導体の、例えば、前述で定義したFTY720のヨードまたはブロモ誘導体の、例えば、式I、IaまたはIbの化合物の、あるいは前述で定義したその対応する放射性標識された化合物の、S1P受容体発現が変化する疾患または障害、例えば自己免疫疾患、または脱髄性疾患、例えば多発性硬化症の所見を診断するための使用。
6.8
4.3または4.4の項目において前述で定義した方法による、前述で定義したFTY720誘導体の、例えば、前述で定義したFTY720のヨードまたはブロモ誘導体の、例えば、式I、IaまたはIbの化合物の、あるいは前述で定義したその対応する放射性標識された化合物の、疾患または障害の所見を診断するための使用。
6.9
どの患者がS1P受容体モジュレーターとして作用する化合物、例えばFTY720に応答するかを予測するための、前述で定義したFTY720誘導体の、例えば、前述で定義したFTY720のヨードまたはブロモ誘導体の、例えば、式I、IaまたはIbの化合物の、あるいはその対応する放射性標識された化合物の使用。
6.10
特定の患者集団におけるFTY720の分布、例えば脳内分布を推定するための、前述で定義したFTY720誘導体の、例えば、前述で定義したFTY720のヨードまたはブロモ誘導体の、例えば、式IaまたはIbの化合物の、あるいはその対応する放射性標識された化合物の使用。
7.
対象に有効量の、前述で定義したFTY720の放射性標識されたヨードまたはブロモ誘導体、例えば式I、IaまたはIbの放射性標識された化合物、例えば式IaまたはIbの放射性標識された化合物を投与するステップを含む、脳造影またはミエリン造影の方法。
8.
本発明の化合物、例えば、前述で定義したFTY720誘導体、例えば前述で定義したFTY720のヨードまたはブロモ誘導体、例えば式I、IaまたはIbの化合物、あるいはその対応する放射性標識された化合物、および薬学的に許容される担体または添加剤を含む組成物。
9.
S1P受容体、例えば、S1P1、S1P3、S1P4およびS1P5受容体の少なくとも1種を含有する組織病理学的構造体をインビトロまたはインビボで標識するための、本発明の放射性標識された化合物の、例えば式I、IaまたはIbの放射性標識された化合物の、例えば、式IaまたはIbの放射性標識された化合物の、あるいは8の項目において定義した組成物の使用。
【0090】
インビトロでのオートラジオグラフィーを実施するための、および組織断面上のS1P受容体の分布を測定するための、例えば、式I、IaまたはIbの放射性標識された化合物の、例えば、放射性標識された化合物A〜Mから選択される化合物の、例えば、放射性標識された化合物A、C、EまたはGの使用が提供される。オートラジオグラフィーは、定量的全身オートラジオグラフィー(QWBA)によって行うことができる。
【0091】
本明細書中で使用する場合、「薬学的に許容される担体」としては、任意のすべての溶媒、分散媒質、被覆、抗菌および抗真菌剤、等張剤、吸収遅延剤などが挙げられる。薬学的に活性な物質へのこのような媒質および薬剤の使用は、当技術分野で周知である。本発明の化合物は、適切な希釈剤または補助剤を用いて、またはヒト血清アルブミンまたはリポソームなどの適切な担体を用いて患者に投与することができる。薬学的に許容される希釈剤としては、生理食塩水および緩衝水溶液が挙げられる。補助剤としては、レゾルシノール、非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンオレイルエーテルおよびヘキサデシルポリエチレンエーテルなど)を挙げることができる。
本発明の一実施形態において、本発明の化合物、そのエナンチオマー、立体異性体、ラセミ化合物、または薬学的に許容される塩、例えば、本発明の放射性標識された化合物は、注射(静脈内、筋内または皮下)として非経口的に投与される。該化合物、そのエナンチオマー、立体異性体、ラセミ化合物、または薬学的に許容される塩は、無菌でパイロジェンフリーの非経口で許容される水溶液として製剤化することができる。しかるべきpH、等張性、安定性などを有するこのような非経口で許容される溶液の調製は、当業者にとって公知である。非経口投与に適したいくつかの医薬組成物は、本発明の放射性標識された化合物を、使用直前に無菌の注射可能な溶液または分散液に再構成することのできる1種または複数の薬学的に許容される無菌粉末と組み合わせて含む。医薬組成物は、また、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、該製剤を意図した受容者の血液と等張にする溶質、または懸濁もしくは増粘剤を含むことができる。注射用製剤は、本発明の放射性標識された化合物に加えて、塩化ナトリウム溶液、リンガー溶液、デキストロース溶液、デキストロースと塩化ナトリウムとの溶液、乳酸加リンガー溶液、デキストラン溶液、ソルビトール溶液、ポリビニルアルコールを含む溶液などの等張性ビヒクル、あるいは界面活性剤および粘度増強剤、または当技術分野で公知の他のビヒクルを含む浸透圧の均衡した溶液を含むことができる。製剤は、また、安定剤、保存剤、緩衝剤、抗酸化剤、または当業者にとって公知の他の添加剤を含むことができる。
【0092】
有効量の本発明の化合物dを、造影研究で使用するために薬学的に許容される担体と合わせることができる。
本明細書中で定義する場合、「有効量」は、適切な方法および利用可能な設備、例えば、PETまたはSPECTを使用して許容される画像をもたらすのに十分な量を指す。
有効量は、1回を超える投与で投与することができる。
有効量は、治療している状態の本質および重症度、患者が受けた治療的処置の性質に基づいて診断される疾患、または診断される疾患の状態、患者の感受性の程度、患者の年齢、性別、体重、および患者の特異的応答、ならびに線量計測法などの因子に応じて変化する可能性がある。
有効量は、使用する装置およびフィルムに関連する因子に応じて変化する可能性がある。
有効量の選択およびこのような因子の最適化は、当業者にとって周知である。結局、主治医が、それぞれ個々の患者に投与する化合物の量および造影研究の継続期間を決定する。
例えば、1μg未満の本発明の放射性標識された化合物、例えば、式I、IaまたはIbの放射性標識された化合物、例えば、放射性標識された化合物A〜Mから選択される化合物、例えば放射性標識された化合物A、C、EまたはGが、診断または治療目的などで投与される。本明細書中で定義されている本発明の方法において投与される本発明の放射性標識された化合物の有効量の例には、約100pg〜約10μg、例えば、約80pg〜約15μg、例えば、約50pg〜約20μg、例えば、約30pg〜約30μg、例えば、約20pg〜約35μg、例えば、約10pg〜約40μgが含まれる。
例えば、本発明の放射性標識された化合物、例えば式I、IaまたはIbの放射性標識された化合物の有効量は、約100pg、約50pg、約30pg、約20pg、約10pg、約1pg、約100μg、約80μg、約50μg、約40μg、約30μg、約20μg、約10μg、約5μg、約1μgでよい。
【0093】
別の実施形態において、本発明の放射性標識された化合物、例えば、式I、IaまたはIbの放射性標識された化合物は、約0.1〜約10mCi、約0.5〜約80mCi、約1〜約50mCi、約1〜約100mCiとして投与することができる。
このような範囲および量は、本発明の放射性標識された化合物を、例えば、式I、IaまたはIbの放射性標識された化合物を、例えば、放射性標識された化合物A〜Mから選択される化合物を、例えば、放射性標識された化合物A、C、EまたはGを、前に記載の方法によるマーカー、例えば造影剤または診断薬として投与する場合に、あるいは後記のようなキットにおいてとりわけ適している。
【0094】
別の態様において、前述に記載の本発明の放射性標識された化合物、そのエナンチオマー、立体異性体、ラセミ化合物、または薬学的に許容される塩を、ヒト血清アルブミンなどの担体、またはマンニトールまたはグラシエート(glaciate)などの補助分子を含む薬学的に許容される溶液と組み合わせて含むキットが提供される。キット中で使用するためのヒト血清アルブミンは、任意の方法で、例えば、ヒト血清からのタンパク質の精製を介して、またはヒト血清アルブミンをコードする遺伝子を含むベクターの組換え発現を介して作製することができる。他の物質、例えば、洗浄剤、希薄アルコール、炭水化物なども、担体として使用することができる。
【0095】
一実施形態において、キットは、1〜約50mCiの本発明の放射性標識された化合物、そのエナンチオマー、立体異性体、ラセミ化合物、または薬学的に許容される塩を含むことができる。
【0096】
本発明の特定の実施形態において、キットは、キレート化剤と共有または非共有結合で結合している非標識脂肪酸の立体異性体、およびマンニトール、グルコン酸塩などの補助分子を含むことができる。非標識脂肪酸の立体異性体/キレート化剤は、溶液状または凍結乾燥された形態で提供できる。キットは、また、記載の方法の実施を容易にする他の成分を含む。例えば、緩衝剤、シリンジ、フィルム、説明書などを、開示のキットの構成要素として任意選択で含めることができる。
【0097】
治療的使用
本発明の化合物は、前述で定義したようにS1P受容体発現が変化する疾患または障害、例えば、自己免疫疾患または脱髄性疾患、例えば多発性硬化症を治療または予防するための治療薬として使用することができる。
【0098】
用語「治療」または「療法」(特に、S1P受容体発現が変化する疾患または障害の)は、前記疾患、特に前述の疾患の予防的または好ましくは治療的(限定はされないが、軽減、治療、症状緩和、症状減弱を含む)処置を指す。
【0099】
さらに、以下が提供される:
10.それを必要とする患者におけるS1P受容体発現が変化する疾患または障害、例えば、炎症性疾患、自己免疫疾患、神経変性疾患、脳疾患、または脱髄性疾患を治療または予防する方法であって、前述で定義したFTY720のヨードまたはブロモ誘導体、例えば式I、IaまたはIbの化合物、あるいは前述で定義したその対応する放射性標識された化合物、あるいはその薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法。
【実施例】
【0100】
次の非限定的実施例により、本発明を例示する。
【0101】
使用される省略形を次に列挙する。
Boc tert−ブチルオキシカルボニル
CHCN アセトニトリル
DCC ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCE ジクロロエタン
DCM ジクロロメタン
DMF N,N’−ジメチルホルムアミド
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
EtO ジエチルエーテル
h 時間
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
CO 炭酸カリウム
LC 液体クロマトグラフィー
MeOH メタノール
min 分
mL ミリリットル
mmol ミリモル
MS 質量分光法
NaHCO 重炭酸ナトリウム
NaOH 水酸化ナトリウム
NHOH 水酸化アンモニウム
PG 保護基
Rt 保持時間(LC/MS)
RT 室温
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
【0102】
LCMS/HPLCの条件(%=体積パーセント)
方法A(Rt=保持時間A)
Gilson331ポンプを、Gilson UV/VIS152検出器およびFinnigan AQA分光計(ESI)に連結し、50μLのループ式注入バルブおよびWaters XTerra MS C18 3.5μm 4.6×50mmカラムで、95/5〜10/90の水+0.05%TFA/アセトニトリル+0.05%TFAのグラジエントを8分間にわたり1.5mL/分の流速で実行した。
方法B(Rt=保持時間B)
Agilent1100シリーズ;カラム:Waters XBridge C18 2.5μm、3×30mm;グラジエント:A(水+5%アセトニトリル+0.5〜1.0%HCOH)/B(アセトニトリル+0.5〜1.0%HCOH)で、0分に10B、1.70分に95B、2.40分に95B、2.45分に10B;流速=1.2ml/分;カラム温度=50℃。
方法C(Rt=保持時間C)
Thar SFC200;Chiralpak IC、30×250mm;一定濃度:CO/2−プロパノール/2−プロピルアミン=75:25:0.25;流速=90g/分;BPR=150バール。
方法D(Rt=保持時間D)
UPLC−ZQ2000;カラム:Acquity HSS−T3、1.8μm、2.1×50mm;グラジエント:A(水+5%アセトニトリル+0.5〜1.0%HCOH)/B(アセトニトリル+0.5〜1.0%HCOH)で0分に2B、4.3分に98B、5.0分に98B、5.10分に2B、6.0分に2B;流速=1.0ml/分。
【0103】
分取HPLC
Gilson Trilution LC
カラム:SunFire C18、30×100mm、5μm
溶離液:水(+0.1%TFA):アセトニトリル(+0.1%TFA)を16分間で85/15〜65/35;流速=50mL/分。
【0104】
1H−NMR装置:Bruker(360MHz)、Varian Mercury(400MHz)、Bruker Advance(600MHz)。
【0105】
(実施例A)
2−アミノ−2−{2−[4−((E)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−プロパン−1,3−ジオールHCl塩
ステップ1:(4−{2−[4−((E)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−メタノール
【0106】
【化15】

0℃で、THF(10mL)中の4−[2−(4−ヒドロキシメチル−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−エチル]−フェノール(260mg、1.1ミリモル)、(E)−6−ヨード−ヘキサ−5−エン−1−オール(250mg、1.0当量)およびトリフェニルホスフィン(290mg、1.0当量)の混合物に、DIAD(0.215mL、1.0当量)を添加する。生じる混合物を、室温で18時間、50℃で24時間撹拌する。0.3当量のDIADおよびPPhを添加し、混合物を50℃でさらに72時間撹拌する。0.5当量のDIADおよびPPhを添加し、混合物を50℃でさらに1時間撹拌する。混合物を、AcOEtと飽和NHClとの間に分配する。有機相を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空で濃縮してベージュ色の粗オイル(1.54g)を得る。粗生成物を、溶媒系としてDCM/MeOH(100/0〜90/10)を使用するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。精製により、(4−{2−[4−((E)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−メタノールが無色のオイルとして単離される。
LC/MS : RtA 4.84分, m/z : 444.0 [M+H]
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ ppm 7.08 (d, 2H); 6.79 (d, 2H); 6.52 (m, 1H); 6.01 (d, 2H); 5.30 (s, 1H); 4.27 (m, 1H); 4.09 (m, 1H); 3.92 (t, 2H); 3.72 (m, 1H); 3.45 (m, 1H); 2.54 (m, 2H); 2.12 (m, 2H); 2.06 (s, 3H); 1.88 (m, 1H); 1.75 (m, 3H); 1.57 (m, 2H).
ステップ2:2−アミノ−2−{2−[4−((E)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−プロパン−1,3−ジオールHCl塩
【0107】
【化16】

(4−{2−[4−((E)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−メタノール(60mg、0.135ミリモル)のEtOH(2mL)溶液に濃塩酸(2.05mL)を添加する。生じる混合物を85℃で2.5時間撹拌する。溶媒を真空で除去して、ベージュ色のペーストを得る。EtO中での沈殿の後、2−アミノ−2−{2−[4−((E)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−プロパン−1,3−ジオールHCl塩が、ベージュ色の粉末として単離される。
LC/MS : RtA 4.62分, m/z : 419.9 [M+H]
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 7.80 (bs, 3H); 7.09 (d, 2H); 6.83 (d, 2H); 6.52 (m, 1H); 6.22 (d, 2H); 5.37 (t, 1H); 3.90 (t, 2H); 3.50 (m, 4H); 2.08 (m, 2H); 1.75 (m, 2H); 1.65 (m, 2H); 1.50 (m, 2H).
【0108】
(実施例B)
(R/S)−リン酸モノ−{2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−4−[4−((E)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−ブチル}エステル
ステップ3:(R/S)−リン酸ジ−tert−ブチルエステル4−{2−[4−((E)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イルメチルエステル
【0109】
【化17】

0℃で、(4−{2−[4−((E)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−メタノール(230mg、0.52ミリモル)のDCM/THF(2mL/2mL)溶液に、1H−テトラゾール(182mg、5.0当量)およびジ−tert−ブチルジエチルホスホルアミダイト(0.433mL、3.0当量)を添加する。生じる混合物を室温で6時間撹拌する。次いで、30wt%H水溶液(0.159mL、10当量)を添加し、混合物を室温で1.5時間撹拌する。1Nチオ硫酸ナトリウム溶液(10mL)を注意して添加して反応混合物を失活させる。水相をDCMで抽出する。有機相を合わせ、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空で濃縮して、粗オイル(500mg)を得る。粗オイルを、溶媒系としてDCM/MeOH(100/0〜90/10)を使用するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーで精製する。精製すると、(R/S)−リン酸ジ−tert−ブチルエステル4−{2−[4−((E)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イルメチルエステル(107mg)が、約50%の純度の澄明オイルとして単離され、そのまま次のステップに使用される。
LC/MS:RtA 5.53分、m/z:636.1[M+H]
ステップ4:(R/S)−リン酸モノ−{2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−4−[4−((E)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−ブチル}エステル
【0110】
【化18】

(R/S)−リン酸ジ−tert−ブチルエステル4−{2−[4−((E)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イルメチルエステル(107mg、0.168ミリモル)のEtOH(2.5mL)溶液に濃塩酸(2.56mL)を添加する。生じる混合物を85℃で2.5時間撹拌する。溶媒を真空で除去してベージュ色のペーストを得る。EtO中での沈殿の後、(R/S)−リン酸モノ−{2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−4−[4−((E)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−ブチル}エステルが、ベージュ色の粉末として単離される。
LC/MS : RtA 4.53分, m/z : 500.0 [M+H]
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 7.09 (d, 2H); 6.82 (d, 2H); 6.52 (m, 1H); 6.22 (d, 1H); 3.89 (m, 4H); 3.53 (m, 2H); 2.08 (m, 2H); 1.78 (m, 2H); 1.65 (m, 2H); 1.49 (m, 2H)
【0111】
(実施例C)
2−アミノ−2−{2−[4−((Z)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−プロパン−1,3−ジオールTFA塩
ステップ1:(4−{2−[4−((Z)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−メタノール
【0112】
【化19】

4−[2−(4−ヒドロキシメチル−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−エチル]−フェノール(400mg、1.7ミリモル)、(Z)−6−ヨード−ヘキサ−5−エン−1−オール(250mg、1.0当量)を用いて、実施例Aのステップ1に類似の合成を開始する。(4−{2−[4−((Z)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−メタノール(403mg)が、澄明オイルとして単離される。
LC/MS:RtA 4.76分、m/z:443.9[M+H]
ステップ2:2−アミノ−2−{2−[4−((Z)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−プロパン−1,3−ジオールTFA塩
【0113】
【化20】

(4−{2−[4−((Z)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−メタノールを用いて、実施例Aのステップ2に類似の合成を開始する。逆相分取HPLCで精製すると、2−アミノ−2−{2−[4−((Z)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−プロパン−1,3−ジオールTFA塩が、白色粉末として得られる。
LC/MS : RtA 4.42分, m/z : 420.0 [M+H]
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 7.77 (bs, 3H); 7.08 (d, 2H); 6.84 (d, 2H); 6.40 (m, 1H); 6.29 (m, 1H); 5.40 (t, 1H); 3.92 (t, 2H); 3.50 (m, 4H); 2.13 (m, 2H); 1.72 (m, 4H); 1.53 (m, 2H).
【0114】
(実施例D)
(R/S)−リン酸モノ−{2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−4−[4−((Z)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−ブチル}エステル
ステップ3:(R/S)−リン酸ジ−tert−ブチルエステル4−{2−[4−((Z)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イルメチルエステル
【0115】
【化21】

(4−{2−[4−((Z)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−メタノールを用いて、実施例Bのステップ3に類似の合成を開始する。反応を後処理した後、(R/S)−リン酸ジ−tert−ブチルエステル4−{2−[4−((Z)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イルメチルエステルを、そのまま次のステップに使用する。
ステップ4:(R/S)−リン酸モノ−{2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−4−[4−((Z)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−ブチル}エステル
【0116】
【化22】

(R/S)−リン酸ジ−tert−ブチルエステル4−{2−[4−((Z)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イルメチルエステルを用いて、実施例Bのステップ4に類似の合成を開始する。(R/S)−リン酸モノ−{2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−4−[4−((Z)−6−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−ブチル}エステルが、白色粉末として単離される。
LC/MS : RtA 4.44分, m/z : 500.1 [M+H]
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 7.09 (d, 2H); 6.82 (d, 2H); 6.40 (m, 1H); 6.30 (m, 1H); 3.91 (m, 3H); 3.80 (m, 2H); 3.52 (m, 2H); 3.33 (bs, 2H); 2.52 (m, 2H); 2.12 (m, 2H); 1.72 (m, 4H); 1.54 (m, 2H)
【0117】
(実施例E)
2−アミノ−2−{2−[4−(5−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−プロパン−1,3−ジオールHCl塩
ステップ1:(4−{2−[4−(5−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−メタノール
【0118】
【化23】

4−[2−(4−ヒドロキシメチル−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−エチル]−フェノール(505mg、2.15ミリモル)、5−ヨード−ヘキサ−5−エン−1−オール(728mg、1.5当量)を用いて、実施例Aのステップ1に類似の合成を開始する。(4−{2−[4−(5−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−メタノールが、澄明オイルとして単離される。
LC/MS:RtA 4.76分、m/z:444.0[M+H]
ステップ2:2−アミノ−2−{2−[4−(5−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−プロパン−1,3−ジオールHCl塩
【0119】
【化24】

(4−{2−[4−(5−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−メタノール(63mg、0.142ミリモル)を用いて、実施例Aのステップ2に類似の合成を開始する。反応は、ジオキサン中、50℃で20時間、次いで70℃で4時間実施される。2−アミノ−2−{2−[4−(5−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−プロパン−1,3−ジオールHCl塩が、ベージュ色の粉末として得られる。
LC/MS : RtA 4.64分, m/z : 420.0 [M+H]
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 7.77 (bs, 3H); 7.09 (d, 2H); 6.84 (d, 2H); 6.18 (s, 1H); 5.60 (s, 1H); 5.36 (t, 2H); 3.93 (t, 2H); 3.50 (m, 4H); 2.43 (m, 2H); 1.75-1.50 (m, 6H).
【0120】
(実施例F)
(R/S)−リン酸モノ−{2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−4−[4−(5−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−ブチル}エステル
ステップ3:(R/S)−リン酸ジ−tert−ブチルエステル4−{2−[4−(5−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イルメチルエステル
【0121】
【化25】

(4−{2−[4−(5−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−メタノールを用いて、実施例Bのステップ3に類似の合成を開始する。フラッシュクロマトグラフィーで精製した後、(R/S)−リン酸ジ−tert−ブチルエステル4−{2−[4−(5−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イルメチルエステルを、そのまま次のステップに使用する。
ステップ4:(R/S)−リン酸モノ−{2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−4−[4−(5−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−ブチル}エステル
【0122】
【化26】

4−{2−[4−(5−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−エチル}−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イルメチルエステルを用いて、実施例2のステップbに類似の合成を開始する。反応は、ジオキサン中、50℃で4時間実施される。逆相分取HPLCで精製すると、(R/S)−リン酸モノ−{2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−4−[4−(5−ヨード−ヘキサ−5−エニルオキシ)−フェニル]−ブチル}エステルが、ベージュ色の粉末として単離される。
LC/MS : RtA 4.45分, m/z : 499.9 [M+H]
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 7.09 (d, 2H); 6.84 (d, 2H); 6.19 (s, 1H); 5.71 (s, 1H); 3.95-3.3.82 (m, 4H); 3.55-3.20 (m, 6H); 2.43 (m, 2H); 1.8-1.5 (m, 6H).
【0123】
(実施例GおよびH)
2−アミノ−2−[2−(3−ヨード−4−オクチルフェニル)エチル]−1,3−プロパンジオールおよび2−アミノ−2−[2−(2−ヨード−4−オクチルフェニル)エチル]−1,3−プロパンジオール
【0124】
【化27】

FTY720(3.2g、10.4ミリモル)の湿り(wet)塩化メチレン(100mL)溶液に、硫酸銀(3.25g、10.4ミリモル)およびヨウ素(2.64g、10.41ミリモル)を添加する。トリフルオロメタンスルホン酸銀(0.13g、0.52ミリモル)を室温で添加し、生じる混合物を室温で18時間撹拌する。黄色固体状のヨウ化銀を濾過して除去する。有機相を、15%NaHCO水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、蒸発乾固する。
残留物を、シリカゲルカラムで精製し、乾燥後にヨード化合物7および8の混合物を得る。クロマトグラフィー(カラム:Chiralpak IC、30×250mm、移動相:CO/2−プロパノール/2−プロピルアミン=75/25/0.25(一定濃度))で精製して、白色固体として表題化合物を得る。
実施例G:
LCMS RtB = 1.28分, [M]+ = 433.9
SFC RtC = 4.82分
1H-NMR (500MHz, DMSO-d6) δ ppm 7.62 (d, 1H); 7.01-7.20 (m, 2H); 4.43 (t, 2H); 3.11-3.27 (m, 4H); 2.55-2.63 (m, 2H); 2.45-2.52 (m, 2H); 1.38-1.57 (m, 4H); 1.16-1.35 (m, 12H); 0.76-0.93 (m, 3H)
実施例H:
LCMS RtB = 1.29分, [M]+ = 433.9
SFC RtC = 5.58分
1H-NMR (500MHz, DMSO-d6) δ ppm 7.56 (d, 1H); 7.06-7.21 (m, 2H); 4.40 (t, 2H); 3.17-3.27 (m, 4H); 2.58-2.64 (m, 2H); 2.41-2.47 (m, 2H); 1.39-1.42 (m, 2H); 1.20-1.31 (m, 12H); 0.77-0.89 (m, 3H)
【0125】
(実施例I)
2−アミノ−2−[2−[3−ヨード−4−(ヘプチルオキシ)フェニル]エチル]−1,3−プロパンジオール
【0126】
【化28】

実施例Gの合成について記載した手順と同様にして、表題化合物が、2−アミノ−2−[2−[4−(ヘプチルオキシ)フェニル]エチル]−1,3−プロパンジオールから調製される。
LCMS RtB= 1.20分; [M]+ = 436.0
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 7.60 (s, 1H); 7.12-7.18 (m, 1H); 6.8-6.78 (m, 1H); 4.42 (br s, 2H); 3.92 (m, 2H); 3.09-3.25 (m, 4H); 2.6-2.67 (m, 2H); 1.62-1.73 (m, 2H); 1.38-1.56 (m, 4H); 1.2-1.36 (m, 6H); 0.81-0.88 (m, 3H).
【0127】
(実施例J)
リン酸モノ[(S)−2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−3−ヨード−4−オクチルフェニル)ブチル]エステル
【0128】
【化29】

【化30】

a)4−ヒドロキシメチル−4−[2−(3−ヨード−4−オクチルフェニル)エチル]オキサゾリジン−2−オン
実施例7に記載の化合物(1g、2.3ミリモル)の2N NaOH(10mL)懸濁液にクロロギ酸ベンジル(0.37mL、2.47ミリモル)を添加する。混合物を室温で一夜保持する。次いで、混合物を、1N HClで酸性とし、塩化メチレンで抽出する。有機相を、NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮する。残留物をシリカゲルカラムで精製して、白色粉末として表題化合物を得る。
UPLCMS RtD= 3.36分; [M+H]+ = 460
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 7.65 (s, 1H); 7.59 (d, 1H); 7.04-7.23 (m, 2H); 5.08 (t, 1H); 4.16 (d, 1H); 4.06 (d, 1H); 3.30-3.41 (m, 2H); 2.55-2.69 (m, 2H); 2.42-2.47 (m, 2H); 1.63 (dd, 2H); 1.47-1.52 (m., 2H); 1.18-1.25 (m, 10H); 0.74-0.91 (m, 3H)
b)リン酸モノ−{(R/S)−4−[2−(3−ヨード−4−オクチルフェニル)エチル]オキサゾリジン−2−オン}エステル
4−ヒドロキシメチル−4−[2−(3−ヨード−4−オクチルフェニル)エチル]オキサゾリジン−2−オン(815mg、1.77ミリモル)のジクロロメタン(5mL)とTHF(5mL)との溶液に、0℃で1H−テトラゾール(621mg、8.87ミリモル)およびジ−tert−ブチルジエチル−ホスホルアミダイト(1.59mL、5.32ミリモル)を添加する。室温で18時間後、30%過酸化水素水溶液(0.54mL、17.7ミリモル)を滴加し、次いで、混合物を室温でさらに90分間撹拌する。反応混合物を飽和Naで失活させ、水相をジクロロメタンで抽出する。有機層を、NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮する。粗生成物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、黄色オイルとして化合物を得る。
UPLCMS RtD = 4.56分; [M]+ = 651
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm7.87 (s, 1H); 7.67 (s, 1H); 7.08-7.25 (m, 2H); 4.06-4.21 (m, 2H); 3.78 (d, 2H); 1.65-1.86 (m, 2H); 1.46-1.52 (m, 2H); 1.40 (s, 18H); 1.17-1.34 (m, 14H); 0.84 (t, 3H)
c)リン酸モノ−{(R/S)−4−[2−(3−ヨード−4−オクチルフェニル)エチル]オキサゾリジン−2−オン}エステルのエナンチオマーの分離を、Chiralpak AS−PREPカラムでのHPLC(移動層としてヘプタン/iEtOH/MeOH=80/10/10)によって分取スケールで実施する。
d)リン酸モノ−{(S)−2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−4−[2−(3−ヨード−4−オクチルフェニル)ブチル]}エステル
リン酸モノ−{(S)−4−[2−(3−ヨード−4−オクチルフェニル)エチル]オキサゾリジン−2−オン}エステル(30mg、0.046ミリモル)のエタノール(0.5mL)溶液に、10%水酸化リチウム溶液(0.5mL、2.09ミリモル)を添加する。60℃で20時間後、反応混合物を室温まで冷却し、2日間撹拌する。濃HCl(0.5mL)を添加し、溶液を室温で1時間撹拌する。混合物をNaOH 4Nで中和し、濃縮する。残留物を、ジクロロメタン(2mL)に取り、Hyflo上で濾過し、濾滓をジクロロメタンで2回洗浄する。溶液を濃縮し、白色粉末として表題化合物を得る。
LCMS RtB=1.41分、[M]+=514
【0129】
(実施例K)
リン酸モノ−{(S)−2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−4−[2−(2−ヨード−4−オクチルフェニル)ブチル]}エステル
【0130】
【化31】

実施例Jの合成について記載した手順と同様にして、2−アミノ−2−[2−(2−ヨード−4−オクチルフェニル)エチル]−1,3−プロパンジオールから表題化合物を調製する。
LCMS RtB=1.32分、[M]+=513.8
【0131】
(実施例L)
リン酸モノ−{(S)−2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−4−[2−(3−ヨード−4−(ヘプチルオキシ)フェニル)ブチル]}エステル
【0132】
【化32】

実施例Jの合成について記載した手順と同様にして、2−アミノ−2−[2−[3−ヨード−4−(ヘプチルオキシ)フェニル]エチル]−1,3−プロパンジオールから表題化合物を調製する。
LCMS RtB=1.28分、[M+H]+=516.0
【0133】
(実施例M)
アリールボロン酸ネオペンチル前駆体の調製
【0134】
【化33】

a)[1,1−ビス−ヒドロキシメチル−3−(2−ヨード−4−オクチル−フェニル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
ジオキサン(5mL)中の2−アミノ−2−[2−(2−ヨード−4−オクチルフェニル)エチル]−1,3−プロパンジオール(110mg、0.25ミリモル)、(Boc)O(0.09mL、0.38ミリモル)およびNaOH 1M(0.28mL、0.28ミリモル)の混合物を、室温で一夜撹拌する。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮する。粗生成物を、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、無色のオイルとして表題化合物を得る。
LCMS RtB = 1.99分; [M]+ = 533.8
1H-NMR (360MHz, CDCl3) δ ppm 7.67 (s, 1H); 7.07-7.15 (m, 2H); 5.06 (s, 1H); 3.90 (dd, 2H); 3.67 (dd, 2H); 3.42 (bs, 2H); 2.63-2.74 (m, 2H); 2.49-2.63 (m, 2H); 1.81-1.96 (m, 2H); 1.56-1.60 (m, 2H); 1.49 (s, 9H); 1.30-1.43 (m, 10H); 0.87-0.96 (m, 3H)
b){5−[2−(2−ヨード−4−オクチル−フェニル)−エチル]−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキサン−5−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
[1,1−ビス−ヒドロキシメチル−3−(2−ヨード−4−オクチル−フェニル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(230mg、0.43ミリモル)のDMF(2mL)溶液に、2,2−ジメトキシ−プロパン(5.3mL、43.1ミリモル)、アセトン(3.2mL、43.1ミリモル)およびpTsOH.HO(8.2mg、0.043ミリモル)を室温で添加する。次いで、反応混合物を1時間撹拌する。溶液を、飽和NaHCO溶液で失活させ、酢酸エチルで抽出し、次いで、有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮する。粗生成物を、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、無色のオイルとして240mgの表題化合物を得る。
LCMS RtB = 1.92分; [M+H]+ = 574.2
1H NMR (360MHz, CDCl3) δ ppm 7.55 (s, 1H) 6.93-7.08 (m, 2H) 4.90 (br. s., 1H) 3.82 (d, 2H) 3.60 (d, 2H) 2.49-2.64 (m, 2H) 2.30-2.47 (m, 2H) 1.77-1.94 (m, 2H) 1.44-1.46 (m, 2H) 1.37-1.43 (m, 9H) 1.36 (s, 3H) 1.34 (s, 3H) 1.16-1.30 (m, 10H) 0.66-0.92 (m, 3H).
c)(2,2−ジメチル−5−{2−[4−オクチル−2−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−エチル}−[1,3]ジオキサン−5−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
25mLの2首丸底フラスコにPdCl(dppf)(14.2mg、0.017ミリモル)、KOAc(51.3mg、0.52ミリモル)およびビス−(ネオペンチルグリカト)ジボロン(43.3mg、0.19ミリモル)を仕込み、窒素でフラッシュする。{5−[2−(2−ヨード−4−オクチル−フェニル)−エチル]−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキサン−5−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(100mg、0.17ミリモル)のDMSO(1mL)溶液を添加し、溶液を50℃で3時間撹拌する。生成物を、酢酸エチル中に抽出し、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥する。有機溶媒を減圧下で除去し、生成物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーで精製して白色固体として、表題化合物を得る。
LCMS RtB=2.18分、[M+H]+=560.2
【0135】
(実施例N)
ボロン酸ピナコール前駆体:(2,2−ジメチル−5−{2−[4−オクチル−2−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−エチル}−[1,3]ジオキサン−5−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
20mLのSupelcoバイアル瓶に1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(8.54mg、10.46マイクロモル)、酢酸カリウム(103mg、1.046ミリモル)およびビス(ピナコラト)ジボロン(97mg、0.38ミリモル)を仕込み、アルゴンでフラッシュする。{5−[2−(2−ヨード−4−オクチル−フェニル)−エチル]−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキサン−5−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(200mg、0.349ミリモル)のDMSO(6mL)溶液を添加し、溶液を80℃で4時間撹拌する。反応混合物をHOで失活させ、酢酸エチルで抽出する。有機層を、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、粗生成物を、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、白色粉末として表題化合物を得る。
LCMS RtD= 1.90分; [M+H]+ = 574.4
1H NMR (360MHz, DMSO-d6) δ ppm 7.44-7.46 (m, 1H); 7.21 (d, 1H); 7.00 (d, 1H); 6.51 (br. s., 1H); 3.92 (d, 2H); 3.69 (d, 2H) 2.64-2.72 (m, 2H); 2.52-2.56 (m, 2H); 1.78-1.85 (m, 2H); 1.49-1.58 (m., 2H); 1.41-1.46 (m, 9H); 1.34-1.36 (m, 6H); 1.30-1.32 (m, 12H); 1.25-1.29 (m, 10H); 0.84-0.90 (m, 3H).
【0136】
(実施例O)
ボロン酸トリフルオロ前駆体:(2,2−ジメチル−5−{2−[4−オクチル−2−(トリフルオロボロラン−2−イル)−フェニル]−エチル}−[1,3]ジオキサン−5−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
ボロン酸ピナコリル(200mg、0.35ミリモル)のメタノール(2mL)溶液にフッ化水素カリウム水溶液(0.45mL、1.97ミリモル)を添加する。生じるスラリーを室温で15分間撹拌し、真空で濃縮し、次いで、熱アセトンに溶解し、濾過し、真空で濃縮する。濾液を、熱メタノールから再結晶させて、白色固体として表題化合物を得る。
LCMS RtD= 1.75分; [M-K]+ = 514,3
1H NMR (360MHz, DMSO-d6) δ ppm 7.16 (s, 1H); 6.75 (s, 2H); 6.39 (br. s., 1H); 3.98 (d, 2H); 3.59 (d, 2H); 2.52-2.56 (m, 2H); 2.39-2.46 (m, 2H); 1.75-1.82 (m, 2H); 1.48-1.56 (m, 2H); 1.43 (s, 9H); 1.31-1.34 (m, 6H); 1.23-1.30 (m, 10H); 0.82-0.92 (t, 3H)
【0137】
(実施例P)
ボロン酸前駆体を経由する123Iを用いた標識生成物の一般的調製手順
担体非添加のNa123I(74MBq、0.1%NaOH水溶液中)を、アリールボロン酸前駆体(50%THF水溶液中の4×10−2M溶液100mL)を入れた2mLのWheatonバイアル瓶中に入れる。反応バイアル瓶を密封し、アルミホイルで覆い、混合物を室温で5分間撹拌する。1滴の10%チオ硫酸ナトリウム水溶液を添加して過剰のヨウ素を分解する。123I含有中間体を、酢酸エチル中の3N HClの存在下で脱保護して、所望の123I含有化合物を得る。放射性ヨウ素化生成物を、溶離液としてペンタン:EtOAc(50:1)を使用してシリカゲルSep−pakカートリッジを通過させることによって単離する。
【0138】
S1P受容体/CHO膜調製物を使用するGTPγS結合アッセイ
該アッセイは、SPA技術(Amersham社)に基づき、96ウェルのフォーマットで実行される。膜は、対象とするS1P受容体を安定的に発現しているCHO細胞から調製される。アリコートは−80℃で貯蔵される。25μg/mLサポニンおよび10μM GDPを含むアッセイ緩衝液(20mM HEPES、pH7.4、100mM NaCl、10mM MgCl、および0.1%脂肪不含BSA)中に再懸濁された膜(5〜10μg/ウェル)を、WGAで被覆されたSPAビーズ(最終濃度1mg/ウェル)と混合する。リガンドおよび[35S]GTPγS(1250Ci/ミリモル、最終濃度0.2nM)を添加し、プレートを密封する。一定に振とうしながら室温で120分間インキュベートした後、プレートを1000×gで10分間遠心し、SPAビーズをペレット化する。次いで、プレートを、TopCount NXT装置(Packard社)中で測定し、GraphPad PRISMソフトウェアを使用してデータを解析する。
【0139】
とりわけ、各種S1P受容体での次の化合物に関するEC50値(nM)を下表に示す:
【0140】
【表1】

【0141】
Lewisラットにおけるリンパ球減少のパーセント
リンパ球ホーミング特性は、次の血中リンパ球減少アッセイで測定することができる:
S1P受容体アゴニストまたはビヒクルをラットに静脈内投与する。血液学的監視のための尾部血を、個々のベースライン値を得るために適用の1日前に、そして適用の2、4、8、24および48時間後に採取する。このアッセイで、S1P受容体アゴニストは、例えば20mg/kg未満の用量で投与した場合、末梢血中リンパ球を例えば50%減少させる。好ましいS1P受容体アゴニストは、それらのS1P結合特性に加えて、さらにS1P受容体を内部移行/脱感作し、それによって、リゾリン脂質、すなわちスフィンゴシン1−リン酸(S1P)、スフィンゴホスホリルコリン(SPC)、リゾホスファチジン酸(LPA)などを含むリゾリン脂質によって促進される脈管系細胞、例えば内皮細胞上での炎症過程に拮抗する化合物である。化合物の内部移行/脱感作能力は、ヒトのmycでタグ化されたS1P受容体をトランスフェクトされたCHO細胞を使用して測定される。
【0142】
【表2】

【0143】
本発明の放射性標識されたFTY720誘導体を使用し、例えば、ラットにおける生体外(ex vivo)での、またはヒト以外の霊長類および人間におけるインビボでのそれらの分布および濃度を、当業者に公知の方法、例えばPauwelsら(Current Pharmaceutical Design 2009,15,928〜934)またはBergstroemら(Eur J Nucl Med 1997,24,596〜601)に記載されているように使用することによって測定することができる。
【0144】
当業者は、本発明の精神および本質的特徴から逸脱することなしに、本明細書中に記載されたものの変形、修正および他の実施を思いつくであろう。したがって、本発明の範囲は、前述の例示的説明および実施例によってではなく後述の特許請求の範囲によって定義されるべきであり、該特許請求の範囲の意味および同義の範囲に包含されるすべての変更は、その中に包含されると解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−式Iの化合物
【化34】

[式中、
は、C1〜10アルキルまたはOC1〜9アルキル、例えば、Cアルキルであり、
は、HもしくはC1〜6アルキル、またはPOであり、
ここで、少なくとも1つの水素原子は、ヨウ素または臭素原子で置き換えられている]、
−式Iaの化合物
【化35】

[式中、
は、前述で定義した通りであり、
およびBの少なくとも一方はI(ヨウ素)またはBrであり、他方はHであり、
は、C1〜10アルキルまたはOC1〜9アルキルであり、例えば、Xは、Cアルキルである]、
−式Ibの化合物
【化36】

[式中、
は、H、C1〜6アルキル、またはPOであり、
E、FおよびGの少なくとも1つはI(ヨウ素)またはBrであり、残りはHであり、例えば、FおよびGの少なくとも一方はI(ヨウ素)およびBrからなる群から選択され、残りはHであり、
は、C1〜8アルキルまたはOC1〜7アルキルである]
から選択される化合物。
【請求項2】
化合物が、
【化37】

【化38】

から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
化合物が、
【化39】

【化40】

から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
123I、125I、124I、131I、75Brおよび76Brからなる群から選択される少なくとも1つの原子を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
化合物A、C、EおよびGから選択され、123Iまたは124Iであるヨウ素原子を含有する、請求項2または3に記載の化合物。
【請求項6】
S1P受容体発現に影響を及ぼす疾患または障害、例えば、炎症性疾患、自己免疫疾患、脱髄性疾患、および脳疾患から選択される疾患または障害のための診断薬としての、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項7】
前記疾患が多発性硬化症である、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
S1P受容体発現に影響を及ぼす疾患または障害、例えば、から選択される疾患または障害のための造影剤としての、例えば、脳または脊髄造影剤としての、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項9】
S1P受容体発現に影響を及ぼす疾患または障害、例えば、炎症性疾患、自己免疫疾患、脱髄性疾患、および脳疾患から選択される疾患または障害のためのトレーサーとしての、請求項2から5のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項10】
陽電子放射断層撮影法(PET)、単一光子放射断層撮影法(SPECT)、ガンマ線を使用する核医学断層造影技術から選択される技術、例えばPETまたはSPECTを使用する、請求項6から9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
対象におけるS1P受容体発現が変化する疾患または障害、例えば、炎症性疾患、自己免疫疾患、脱髄性疾患、および脳疾患から選択される疾患または障害の所見を患者において診断する方法であって、前記患者に有効量の請求項2から5のいずれか一項に記載の化合物を投与するステップを含む方法。
【請求項12】
炎症性疾患、自己免疫疾患、脱髄性疾患、および脳疾患から選択される疾患または障害に罹患している患者が、S1P受容体モジュレーターとして作用する化合物、例えばFTY720に応答するかどうかを予測する方法であって、
a)前記患者に有効量の請求項2から5のいずれか一項に記載の化合物を投与するステップ、および
b)適切な造影装置、例えば、陽電子放射断層撮影法(PET)、または単一光子放射断層撮影法(SPECT)を用いて、前記放射性標識された化合物から放出される放射線を検出または測定するステップ
を含む方法。
【請求項13】
S1P受容体発現が変化する疾患または障害、例えば、炎症性疾患、自己免疫疾患、脱髄性疾患、神経変性疾患、または脳疾患から選択される疾患または障害の薬物療法の患者における有効性を監視する方法であって、
a)前記患者に有効量の請求項2から5のいずれか一項に記載の化合物を投与するステップ、および
b)適切な造影装置、例えば、陽電子放射断層撮影法(PET)、または単一光子放射断層撮影法(SPECT)を用いて、前記放射性標識された化合物から放出される放射線を検出または測定するステップ
を含む方法。
【請求項14】
前記化合物が、請求項2で定義した化合物Aまたは化合物Bである、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記化合物が、請求項2で定義した化合物Aまたは化合物Bである、請求項6から10のいずれか一項に記載の使用。

【公表番号】特表2013−513571(P2013−513571A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542536(P2012−542536)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069169
【国際公開番号】WO2011/070066
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】