説明

Gタンパク質共役受容体のモジュレーターとしてのチアゾール誘導体

本発明は、Gタンパク質共役受容体120(GPR120)を調節するために有用である式(IA)および(IB)の化合物およびそれらの医薬組成物ならびに異常または脱制御GPR120と関連する状態を処置、改善または予防するためのこのような化合物を使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2007年2月22日出願の米国仮出願番号60/891,184の優先権の利益を主張し、これは、引用により、その全体として、本出願に包含される。
【0002】
技術分野
本発明は、一般的にGタンパク質共役受容体に関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
Gタンパク質共役受容体(GPCR)は細胞内のシグナルの変換を担うタンパク質の大きいクラスを構成する。GPCRの細胞外部分にリガンドが結合すると、シグナルが細胞内で変換され、細胞の生物学的または生理学的特性の変化を起こす。Gタンパク質およびエフェクター(Gタンパク質により調節される細胞内酵素およびチャネル)と結合したGPCRは細胞内セカンドメッセンジャーの状態を細胞外入力信号(input)に接続するモジューラーシグナル伝達系の成分である。
【0004】
GPCR遺伝子および遺伝子産物は疾患の原因因子である可能性がある(Spiegel et al., J. Clin. Invest. 92:1119 1125 (1993))。例えば、ロドプシン遺伝子およびV2バソプレシン受容体遺伝子の特定の欠損は、種々の形態の網膜色素変性症(Nathans et al., Annu. Rev. Genet. 26:403 424 (1992))および腎性尿崩症(Holtzman et al., Hum. Mol. Genet. 2:1201 1204 (1993))を引き起こすことが示されている。これらの受容体は中枢神経系および末梢神経系の生理学的過程の両方に重要である。
【0005】
Gタンパク質共役受容体120(GPR120)は、腸で豊富に発現しており、そして不飽和長鎖遊離脂肪酸(FFA)の受容体として機能するオーファンGタンパク質共役受容体である。(Hirasawa et al., Nature Medicine 11:90-94 (2005))。FFAによるGPR120の刺激はグルカゴン様ペプチド1(GLP1)の分泌を促進して血中インスリンを増加させ、そして細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)カスケードを活性化すると報告されている。(Katsuma et al., J. Biol. Chem. 280:19507-19515 (2005))。末梢において、GLP1は腸運動性に作用し、胃酸およびグルカゴン分泌を阻止する。中枢神経系において、GLP1は満腹を誘導し、体重増加の減少を引き起こす。膵臓において、GLP1は、グルコース刺激インスリン分泌の増加に加えて、インスリン分泌β細胞塊の拡大を誘導する。(MacDonald et al., Diabetes 51:Supp. 3 S434-S442 (2002))。
【0006】
強力なインスリン分泌促進インクレチンとして、ならびに食欲および食事制限におけるGLP1の重要性を考慮すると、GPR120は糖尿病、肥満および他の摂食障害の処置のための有望な標的である。薬剤作用および開発のための標的としてGPCRが重要であるため、GPCR機能を調節する薬剤の開発の必要性が残っている。
【発明の概要】
【0007】
発明の開示
本発明は、化合物、医薬組成物およびGタンパク質共役受容体、さらに特にGPR120を調節するためのこのような化合物を使用する方法を提供する。
【0008】
1つの局面において、本発明は、式(1):
【化1】

〔式中、Lは結合または−CR−O−であり;
は結合またはNRであり;
はORまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC3−6アルキニルであり;
はNR−(CR−RまたはRであり;
はHまたはC1−6アルキルであり;
はC3−7シクロアルキル、アリール、N、OまたはSを含むヘテロアリールまたはヘテロ環式環であり、これらそれぞれは所望によりハロ、ヒドロキシル、ニトロ、OR、SR、NR、NR−(CR−Rまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC3−6アルキニルで置換されているか;または、
および−(CR−Rは、NR−(CR−R中のNと一体となって、所望により置換されているヘテロ環式環を形成し;
それぞれのRはH、所望により置換されているC1−6アルキルまたは−(CR−Rであり;そして、
mおよびnは独立して0−4である〕
を含む化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物およびプロドラッグを提供する。
【0009】
1つの態様において、本発明の化合物は式(2A)または(2B):
【化2】

〔式中、それぞれのnは0であり;そして、
およびRは式(1A)および(1B)に定義のとおりである〕
を含む。
【0010】
上記式(1A)、(1B)、(2A)および(2B)において、Rは所望により置換されているフェニル、ピペリジニルまたはピリジルであり得る。
【0011】
他の態様において、本発明の化合物は式(3A)または(3B):
【化3】

〔式中、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、ZおよびZ10は独立してCRまたはNであり;
はH、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、OR、SR、NR、NR−(CR−Rまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルあるいはC3−6アルキニルであり;そして、
R、R、Rおよびmは式(1A)および(1B)に定義のとおりである〕
を含む。
【0012】
上記式(3A)または(3B)において、それぞれのZ、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、ZおよびZ10はCRであり得る。他の例において、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、ZおよびZ10の1個はNである。
【0013】
さらに他の態様において、本発明の化合物は式(4A)または(4B):
【化4】

〔式中、RはHまたはC1−6アルキルであり;
は5−6員アリールまたはヘテロアリールであるか;または、
および−(CR−Rは、NR−(CR−R中のNと一体となって、所望により置換されている4−7員ヘテロ環式環を形成し;そして、
mは0または1である〕
を含む。
【0014】
上記式(4A)および(4B)において、Rはフェニルであるか、またはRおよび−(CR−Rは、NR−(CR−R中のNと一体となって、所望により置換されているピペリジニルを形成してもよい。
【0015】
他の局面において、本発明は、式(1A)、(1B)、(2A)、(2B)、(3A)、(3B)、(4A)または(4B)の化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0016】
さらに他の局面において、本発明は、Gタンパク質共役受容体120(GPR120)を調節するための方法であって、治療有効量の式(1A)、(1B)、(2A)、(2B)、(3A)、(3B)、(4A)もしくは(4B)を含む化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を、所望により第2の治療剤と組み合わせて、細胞もしくは組織系または哺乳動物対象に投与し、それにより該GPR120を調節することを含む方法を提供する。特定の態様において、本発明の化合物はGPR120アゴニストである。
【0017】
本発明は、また、Gタンパク質共役受容体120(GPR120)が介在する状態を予防、改善または処置するための方法であって、有効量の式(1A)、(1B)、(2A)、(2B)、(3A)、(3B)、(4A)もしくは(4B)を含む化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を、所望により第2の治療剤と組み合わせて、細胞もしくは組織系または哺乳動物対象に投与し、それにより該状態を処置することを含む方法を提供する。
【0018】
さらに、本発明は、Gタンパク質共役受容体120(GPR120)が介在する状態を処置するための式(1A)、(1B)、(2A)、(2B)、(3A)、(3B)、(4A)または(4B)の化合物の使用を提供する。本発明は、また、GPR120が介在する状態を処置するための薬剤の製造における式(1A)、(1B)、(2A)、(2B)、(3A)、(3B)、(4A)または(4B)の化合物の使用を提供する。
【0019】
本発明の化合物を使用して改善または処置され得る状態の例は、真性糖尿病のような糖尿病、高脂血症(hyperlipidemia)のような脂質異常症(dyslipidemia)、肥満または食欲不振を含むが、これらに限定はされない。
【0020】
定義
基および他の基、例えばハロ置換アルキルおよびアルコキシの構造要素としての“アルキル”は、直鎖または分岐鎖のいずれかであり得る。本明細書で使用される所望により置換されているアルキル、アルケニルまたはアルキニルは所望によりハロゲン化されていてもよく(例えば、CF)、または、ヘテロ原子、例えば、NR、OまたはSで置換されている、または置き換えられている1個以上の炭素(例えば、−OCHCHO−、アルキルチオール、チオアルコキシ、アルキルアミンなど)を有していてもよい。
【0021】
“アリール”は炭素原子を含む単環式または縮合二環式芳香環を意味する。例えば、アリールはフェニルまたはナフチルであり得る。“アリーレン”はアリール基から生じる二価のラジカルを意味する。
【0022】
本明細書で使用する“ヘテロアリール”は1個以上の環員がヘテロ原子であるときの上記アリールについて定義するとおりのものである。ヘテロアリールの例は、ピリジル、インドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピリミジニル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、チエニルなどを含むが、これらに限定はされない。
【0023】
本明細書で使用する“炭素環式環”は、所望により、例えば、=Oで置換されていてもよい炭素原子を含む、飽和または部分的に不飽和、単環式、縮合二環式または架橋多環式環を意味する。炭素環式環の例はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピレン、シクロヘキサノンなどを含むが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書で使用する“ヘテロ環式環”は、1個以上の環炭素がヘテロ原子である上記炭素環式環に対して定義のとおりである。例えば、ヘテロ環式環はN、O、S、N=、S、S(O)、S(O)またはNR(ここで、Rは水素、C1−4アルキルまたは保護基であってよい)を含み得る。ヘテロ環式環の例はモルホリノ、ピロリジニル、ピロリジニル−2−オン、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリジニロン、1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカ−8−イルなどを含むが、これらに限定されない。
【0025】
特に明記しない限り、置換基が“所望により置換されている”と記載されているとき、それは置換基は個々におよび独立して、例えば、所望によりハロゲン化されているアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミン、アルキルチオ、アルキニル、アミド、モノおよびジ置換アミノ基を含むアミノ、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、カルボニル、炭素環式、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリール、ヘテロ環式、ヒドロキシ、イソシアネート、イソチオシアネート、メルカプト、ニトロ、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、ペルハロアルキル、ペルフルオロアルキル、シリル、スルホニル、チオカルボニル、チオシアネート、トリハロメタンスルホニルおよびそれらの保護された化合物から選択される1個以上の基で置換されていてもよい基であることを意味する。上記置換基の保護されている化合物を形成し得る保護基は当業者に既知であり、参考文献、例えば、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999, and Kocienski, Protective Groups, Thieme Verlag, New York, NY, 1994に見いだすことができ、その全体を出典明示により本明細書に含む。
【0026】
本明細書で使用する用語“併用投与”または“組合せ投与”は、選択した複数治療剤を単独の患者に投与することを含むことを意味し、複数薬剤を必ずしも同じ投与経路でまたは同時に投与するものではない処置レジメンを含むことを意図する。
【0027】
本明細書で使用する用語“医薬組合せ”は、1個を超える活性成分の混合または組合せによりもたらされる製品を意味し、複数活性成分の固定されたおよび固定されていない組合せの両方を含む。用語“固定された組合せ”は、複数活性成分、例えば式(1)の化合物および併用剤が、両方とも患者に、同時に、一つの物または用量の形態で投与されることを意味する。用語“固定されていない組合せ”は、複数活性成分、例えば式(1)の化合物および併用剤を、両方とも患者に、別々の物として、同時に、一緒にまたは具体的時間制限なしに連続して投与することを意味し、ここで、このような投与は患者体内で活性成分の治療的有効濃度を提供する。後者はまたカクテル療法、例えば3種以上の活性成分の投与にも適用される。
【0028】
用語“治療有効量”は、研究者、獣医、医師または他の臨床医により求められる、細胞、組織、臓器、系、動物またはヒトの生物または医学応答を誘導する対象化合物の量を意味する。
【0029】
対象化合物の用語“投与”または“投与する”は、処置を必要とする対象に本発明の化合物のプロドラッグを含む本発明の化合物を提供することを意味する。
【0030】
本明細書で使用する“処置”、“処置し”および“処置する”は、疾患および/または附随する症状を軽減する、または無くす方法を意味する。
【0031】
発明を実施するための形態
本発明は、化合物、医薬組成物およびGタンパク質共役受容体、さらに特にGPR120を調節するためのこのような化合物を使用する方法を提供する。
【0032】
1つの局面において、本発明は、式(1):
【化5】

〔式中、Lは結合または−CR−O−であり;
は結合またはNRであり;
はORまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC3−6アルキニルであり;
はNR−(CR−RまたはRであり;
はHまたはC1−6アルキルであり;
はC3−7シクロアルキル、アリール、N、OまたはSを含むヘテロアリールまたはヘテロ環式環であり、これらそれぞれは所望によりハロ、ヒドロキシル、ニトロ、OR、SR、NR、NR−(CR−Rまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC3−6アルキニルで置換されているか;または、
および−(CR−Rは、NR−(CR−R中のNと一体となって、所望により置換されているヘテロ環式環を形成し;
それぞれのRはH、所望により置換されているC1−6アルキルまたは−(CR−Rであり;そして、
mおよびnは独立して0−4である〕
を含む化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物およびプロドラッグを提供する。
【0033】
他の態様において、本発明の化合物は式(2A)または(2B):
【化6】

〔式中、それぞれのnは0であり;そして、
およびRは式(1A)および(1B)に定義のとおりである〕
を含む。
【0034】
さらに他の態様において、本発明の化合物は式(3A)または(3B):
【化7】

〔式中、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、ZおよびZ10は独立してCRまたはNであり;そして、
はH、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、OR、SR、NR、NR−(CR−Rまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルあるいはC3−6アルキニルであり;そして、
R、R、Rおよびmは式(1A)および(1B)に定義のとおりである〕
を含む。
【0035】
さらに他の態様において、本発明の化合物は式(4A)または(4B):
【化8】

〔式中、RはHまたはC1−6アルキルであり;
は5−6員アリールまたはヘテロアリールであるか;または、
および−(CR−Rは、NR−(CR−R中のNと一体となって、所望により置換されている4−7員ヘテロ環式環を形成し;そして、
mは0または1である〕
を含む。
【0036】
本発明は、また、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩のすべての適当な同位体化合物(variation)を含む。本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の同位体化合物は少なくとも1個の原子が同じ原子数を有するが、通常天然で見つけられる原子質量と異なる原子質量である原子により置換されているものとして定義される。本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩に包含され得る同位体の例は、水素、炭素、窒素および酸素の同位体、例えば、H、H、11C、13C、14C、15N、17O、18O、35S、18F、36Clおよび123Iを含むが、これらに限定されない。本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩のある同位体化合物、例えば、放射性同位体、例えば、Hまたは14Cが包含されるものは、薬剤および/または基質組織分布研究において有用である。特定の例において、Hおよび14C同位体は結合の容易さおよび検出手段の容易さのため使用され得る。他の例において、Hのような同位体での置換は、より大きな代謝安定性からもたらされる特定の治療利益、例えば、インビボで半減期の増加、または必要用量の減少を提供できる。本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の同位体化合物は一般的に適当な反応剤の適当な同位体化合物を使用する慣用の製造法により製造できる。
【0037】
本発明の化合物はGタンパク質共役受容体(GPCR)、特にGPR120を調節するために有用であり得る。例えば、本発明の化合物はGPR120アゴニストとして有用であり得る。本発明の化合物は、また、真性糖尿病のような糖尿病、高脂血症のような脂質異常症、肥満または食欲不振を含むが、これらに限定されない、GPR120が介在する状態を処置するために有用であり得る。
【0038】
薬理学および有用性
本発明の化合物はGタンパク質共役受容体を調節し、それ自体、GPCRがその疾患の病状および/または総体症状に関与する疾患または障害の処置に有用であり得る。さらに具体的に、本発明の化合物はGタンパク質共役受容体120(GPR120)が介在する状態を予防、改善または処置するために使用され得る。
【0039】
GPR120が介在する状態の例は、肥満、糖尿病、過食症、内分泌異常、トリグリセリド蓄積症、バルデー・ビードル症候群、ローレンス・ムーン症候群、プラダー・ラブハート・ウィリー症候群、食欲不振および悪液質を含むが、これらに限定されない。特定の例において、肥満は30kg/m以上の肥満度指数(BMI)として定義される(National Institute of Health, Clinical Guidelines on the Identification, Evaluation, and Treatment of Overweight and Obesity in Adults (1998))。しかしながら、本発明の化合物は25kg/m以上、26kg/m以上、27kg/m以上、28kg/m以上、29kg/m以上、29.5kg/m以上または29.9kg/m以上の肥満度指数(BMI)により特徴付けられる状態(これらすべては一般的に過体重を意味する(National Institute of Health, Clinical Guidelines on the Identification, Evaluation, and Treatment of Overweight and Obesity in Adults (1998)))を予防、改善または処置するために使用され得る。
【0040】
いくつかの態様において、本発明の化合物は脂肪細胞からのグリセロール生産を調節するための薬剤、血中グリセロールを調節するための薬剤、脂肪分解を調節するための薬剤、インスリン抵抗性調節剤、ストレス調節剤、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌を調節するための薬剤、成長ホルモン分泌を調節するための薬剤およびグルカゴン様ペプチド1(GLP1)分泌を調節するための薬剤として有用であり得る。
【0041】
GPR120アゴニストであるか、または遊離脂肪酸のGPR120への結合親和性を強化する本発明の化合物は、脂肪細胞からのグリセロール生産を抑制するための薬剤、血中グリセロールを低下させるための薬剤、脂肪分解を抑制するための薬剤、インスリン抵抗性を抑制するための薬剤、ストレス調節剤、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌抑制剤、成長ホルモン分泌抑制剤およびグルカゴン様ペプチド1(GLP1)分泌促進剤として有用であり得る。特定の例において、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌抑制剤として有用であるGPRアゴニストは、例えば、ACTH産生腫瘍、クッシング病、感染病、二次性副腎皮質不全、消化性潰瘍、真性糖尿病、精神障害、白内障、緑内障、結核症、高血圧、クッシング症候群(例えば、中心性肥満、浮腫、高血圧、生理不順、広範な皮膚線条(extensive stretch mark)、多毛症、真性糖尿病、満月様顔貌(full moon face)、骨粗鬆症、出血性素因、精神障害(例えば、鬱病、不安)、筋萎縮症、筋力低下、低カリウム血症、高コレステロール血症、グルコース抵抗性障害、白血球増加症)、副腎萎縮などのような関連疾患を予防/処置するために有用であり得る。
【0042】
GPR120アンタゴニストであるか、または遊離脂肪酸のGPR120への結合親和性を低下させる本発明の化合物は、脂肪細胞からのグリセロール生産を促進するための薬剤、血中グリセロールを増加するための薬剤、脂肪分解を促進するための薬剤、インスリン抵抗性を促進するための薬剤、ストレス調節剤、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌を促進するための薬剤、成長ホルモン分泌を促進するための薬剤およびグルカゴン様ペプチド1(GLP1)分泌を抑制するための薬剤として有用であり得る。特定の例において、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌を促進するための薬剤として有用であるGPR120アンタゴニストは結合組織疾患(例えば、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、リウマチ熱、強皮症)、腎臓疾患(例えば、ネフローゼ)、呼吸器疾患(例えば、気管支喘息、肺結核性胸膜炎、サルコイドーシス、びまん性間質性肺炎)、消化器系疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、胆汁鬱滞性急性肝炎、劇症肝炎、慢性肝炎、肝硬変症)、神経筋疾患(例えば、脳脊髄炎、末梢神経炎、多発性硬化症、重症筋無力症、顔面麻痺)、血液疾患(例えば、溶血性貧血、無顆粒球症、紫斑病、再生不良性貧血、白血病、悪性リンパ腫)、内分泌腺代謝疾患(例えば、急性もしくは慢性副腎皮質不全、副腎性器症候群、甲状腺疾患による悪性眼球突出症、ACTH単独欠損症)、皮膚疾患(例えば、蕁麻疹、湿疹、皮膚炎、帯状疱疹、乾癬、薬物アレルギー)またはアナフィラキシーショックなどを予防/処置するために有用であり得る。
【0043】
本発明の化合物は、また、例えば、真性糖尿病、耐糖能異常、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症(hyperlipemia)、動脈硬化症、狭心症、心筋梗塞、性機能障害、肥満、下垂体機能障害(例えば、下垂体機能低下症、下垂体性小人症、尿崩症、末端肥大症、クッシング病、高プロラクチン血症、抗利尿ホルモンの不適当な分泌の症候群)、癌(例えば、結腸直腸癌)、記憶学習障害、膵臓疲労、低血糖、インスリンアレルギー、脂肪毒性(lipotoxicity)、脂肪萎縮、癌性悪液質、高インスリン血症、高血糖症、高FFA流量により引き起こされる障害、高トリグリセリド血症、脂肪肝、熱産生の機能障害、胆石症、摂食障害、食欲不振、腸管ホルモン(例えば、コレシストキニン(CCK)、胃抑制ペプチド(GIP)、ガストリン、グルカゴン様ペプチド1(GLP1)、ソマトスタチン、ガストリン放出ペプチド、セクレチン、血管作動性腸管ペプチド、モチリン、サブサタンスP、ニューロテンシン、ガラニン、神経ペプチドY、エンケファリン、ペプチドYYなど)の分泌障害または循環器疾患を予防/処置するための薬剤として有用であり得る。GPR120アゴニストは真性糖尿病、高脂血症、動脈硬化症、狭心症または心筋梗塞を予防/処置するために特に有用であり得るが、GPR120アンタゴニストは食欲不振および肥満、例えば、内臓脂肪蓄積での肥満を予防/処置するために有用であり得る。
【0044】
さらに、本発明の化合物は、疾患、例えば、動脈硬化症、動脈硬化性疾患およびそれらの二次疾患[例えば、急性冠症候群、例えば、アテローム性動脈硬化症、末梢動脈疾患、急性心筋梗塞、不安定狭心症など、虚血性心疾患、例えば、経皮経管的血管形成術後(PTCA)後の再狭窄、心筋梗塞、狭心症など、血管石灰沈着などを含む動脈硬化症、間欠性跛行、卒中(脳梗塞、脳卒中、脳出血など)、ラクナ梗塞、脳血管性認知症、壊疽、糸球体硬化症、ネフロパシー、タンジアー病など]、アテローム性動脈硬化症における血管病変およびそれらの二次疾患(例えば、冠動脈心疾患(CHD)、脳虚血など)、脂質代謝異常およびその二次疾患などを予防/処置するための薬剤として有用であり得る。
【0045】
投与および医薬組成物
一般的に、本発明の化合物は単独でまたは1種以上の治療剤との組合せのいずれかで当分野で既知の通常のおよび許容される形式のいずれかを介して、治療有効量を投与される。本発明の化合物は固定された医薬組成物中の他の治療剤と混合され得、他の治療剤の前、同時、後に別々に投与され得る。
【0046】
したがって、本発明は、他の治療剤、例えば、糖尿病、糖尿病性合併症、脂質異常症およびさらに特に高脂血症を処置するための治療剤;抗高血圧剤、抗肥満剤、利尿剤、化学療法剤、免疫処置剤、免疫調節剤、抗炎症剤、抗血栓剤、骨粗鬆症のための治療剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗原虫剤、抗生物質、鎮咳剤および去痰薬、鎮静剤、麻酔剤、抗潰瘍剤、精神安定剤、抗精神病剤、抗腫瘍剤、筋弛緩剤、抗癲癇剤、抗鬱剤、抗アレルギー剤、強心剤、抗不整脈剤、血管拡張剤、血管収縮剤、麻酔アンタゴニスト、ビタミン、ビタミン誘導体、抗喘息剤、抗認知症剤、頻尿または尿失禁のための処置剤、排尿障害のための治療剤、アトピー性皮膚炎のための処置剤、アレルギー性鼻炎のための治療剤、昇圧剤、エンドトキシンアンタゴニストまたは抗体、シグナル形質導入阻害剤、炎症性メディエーター効果抑制剤、炎症性メディエーター効果抑制抗体、抗炎症性メディエーター効果抑制剤、抗炎症性メディエーター効果抑制抗体などと共に使用され得る本発明の化合物を包含する。
【0047】
糖尿病のための治療剤は、インスリン製剤(例えば、ウシまたはブタの膵臓から抽出された動物インスリン製剤;大腸菌または酵母菌を使用して遺伝子操作で合成されたヒトインスリン製剤;亜鉛インスリン;プロタミン亜鉛インスリン;インスリンのフラグメントまたは誘導体(例えば、INS−1など)、経口インスリン製剤など)、インスリン増感剤(例えば、ピオグリタゾンまたはそれらの塩(好ましくは塩酸塩)、トログリタゾン、ロシグリタゾンまたはそれらの塩(好ましくはマレイン酸塩)、レグリキサン(JTT−501)、ネトグリタゾン(MCC−555)、YM−440、GI−262570、KRP−297、FK−614、CS−011、(E)−[[[4−[(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)メトキシ]フェニル]メトキシ]イミノ]ベンゼンブタン酸など、WO99/58510に記載の化合物(例えば、(E)−4−[4−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−ベンジルオキシイミノ]−4−フェニル酪酸)、WO01/38325に記載の化合物、テサグリタザル(AZ−242)、ラガグリタザール(NN−622)、BMS−298585、ONO−5816、BM−13−1258、LM−4156、MBX−102、LY−519818、MX−6054、LY−510929、バラグリタゾン(NN−2344)、T−131またはそれらの塩、THR−0921)、−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテートなど)、ビグアニド(例えば、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミンなど)、インスリン分泌促進剤[スルホニルウレア(例えば、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリドなど)、レパグリニド、セナグリニド、ミチグリニドまたはそれらのカルシウム塩水和物、ナテグリニド、など]、GLP−1受容体アゴニスト[例えば、GLP−1、GLP−1MR剤、NN−2211、AC−2993(エキセンディン−4)、BIM−51077、Aib(8,35)hGLP−1(7,37)NH2、CJC−1131など]、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(例えば、NVP−DPP−278、PT−100、P32/98、P93/01、NVP−DPP−728、LAF237、TS−021など)、3アゴニスト(例えば、CL−316243、SR−58611−A、UL−TG−307、AJ−9677、AZ40140など)、アミリンアゴニスト(例えば、プラムリンチドなど)、ホスホチロシンホスファターゼ阻害剤(例えば、バナジン酸など)、グルコネオゲネシス阻害剤(例えば、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、グルカゴンアンタゴニストなど)、SGLT(ナトリウム−グルコース共輸送体)阻害剤(例えば、T−1095など)、11−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害剤(例えば、BVT−3498など)、アディポネクチンまたはそれらのアゴニスト、IKK阻害剤(例えば、AS−2868など)、レプチン抵抗性改善剤、ソマトスタチン受容体アゴニスト(WO01/25228、WO03/42204に記載の化合物、WO98/44921、WO98/45285、WO99/22735に記載の化合物など)、グルコキナーゼ活性剤(例えば、Ro−28−1675)などを含むが、これらに限定されない。
【0048】
糖尿病性合併症を処置するための治療剤は、アルドースレダクターゼ阻害剤(例えば、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、フィダレスタット(SNK−860)、ミナルレスタット(ARI−509)、CT−112など)、神経栄養因子およびそれらの増強剤(例えば、NGF、NT−3、BDNF、WO01/14372に記載のニューロトロフィン生産分泌促進剤(例えば、4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)−5−[3−(2−メチルフェノキシ)プロピル]オキサゾールなど)など)、タンパク質キナーゼC(PKC)阻害剤(例えば、LY−333531など)、AGE阻害剤(例えば、ALT−945、ピマゲジン、ピラトキサンチン(pyratoxanthine)、N−フェナシルチアゾリウムブロマイド(ALT−766)、EXO−226、ALT−711、ピリドリン、ピリドキサミンなど)、活性酸素スカベンジャー(例えば、チオクト酸など)、脳血管拡張剤(例えば、チアプリドなど)、ソマトスタチン受容体アゴニスト(BIM23190)、アポトーシスシグナル調節キナーゼ−1(ASK−1)阻害剤などを含むが、これらに限定されない。
【0049】
高脂血症を処置するための治療剤は、コレステロール合成阻害剤であるスタチン化合物(例えば、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチンまたはそれらの塩(例えば、ナトリウム塩など)など)、スクアレン合成阻害剤(例えば、WO97/10224に記載の化合物、例えば、N−[[(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾキサゼピン−3−イル]アセチル]ピペリジン−4−酢酸など)、フィブラート化合物(例えば、ベザフィブラート、クロフィブラート、シンフィブラート、クリノフィブラートなど)、抗酸化剤(例えば、リポ酸、プロブコール)などを含むが、これらに限定されない。
【0050】
抗高血圧剤の例は、アンジオテンシン変換転換酵素阻害剤(例えば、カプトプリル、エナラプリル、デラプリル、など)、アンジオテンシンIIアンタゴニスト(例えば、ロサルタン、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、タソサルタン、1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−4H−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]−2−エトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−7−カルボン酸など)、カルシウムアンタゴニスト(例えば、マニジピン、ニフェジピン、アムロジピン、エホニジピン、ニカルジピンなど)、クロニジンなどを含むが、これらに限定されない。
【0051】
抗肥満剤の例は、中枢神経系に作用する抗肥満剤(例えば、デクスフェンフルラミン、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキサンフェタミン、マジンドール、フェニルプロパノールアミン、クロベンゾレックス;MCH受容体アンタゴニスト(例えば、SB−568849;SNAP−7941;WO01/82925およびWO01/87834に包含されている化合物など);神経ペプチドYアンタゴニスト(例えば、CP−422935など);カンナビノイド受容体アンタゴニスト(例えば、SR−141716、SR−147778など);グレリンアンタゴニスト;11−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害剤(例えば、BVT−3498など)など)、膵リパーゼ阻害剤(例えば、オーリスタット、ATL−962など)、3アゴニスト(例えば、CL−316243、SR−58611−A、UL−TG−307、AJ−9677、AZ40140など)、ペプチド食欲抑制剤(例えば、レプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子)など)、コレシストキニンアゴニスト(例えば、リンチトリプト(lintitript)、FPL−15849など)、摂食抑制物質(例えば、P−57など)などを含むが、これらに限定されない。
【0052】
利尿剤の例は、キサンチン誘導体(例えば、サリチル酸ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カルシウムテオブロミン、など)、チアジド製剤(例えば、エチアジド、シクロペンチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンジルヒドロクロロチアジド、ペンフルチジド、ポリチアジド、メチクロチアジド、など)、抗アルドステロン製剤(例えば、スピロノラクトン、トリアムテレンなど)、炭酸脱水酵素阻害剤(例えば、アセタゾラミドなど)、クロロベンゼンスルホンアミド製剤(例えば、クロルタリドン、メフルシド、インダパミド、など)、アゾセミド、イソソルビド、エタクリン酸、ピレタニド、ブメタニド、フロセミドなどを含むが、これらに限定されない。
【0053】
化学療法剤の例は、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、イホスファミドなど)、代謝アンタゴニスト(例えば、メトトレキサート、5−フルオロウラシルなど)、抗腫瘍抗生物質(例えば、マイトマイシン、アドリアマイシンなど)、植物由来抗腫瘍剤(例えば、ビンクリスチン、ビンデシン、タキソールなど)、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシドなどを含むが、これらに限定されない。
【0054】
免疫処置剤の例は、微生物または細菌成分(例えば、ムラミルジペプチド誘導体、ピシバニールなど)、免疫増強活性を有する多糖(例えば、レンチナン、シゾフィラン、クレスチンなど)、遺伝子工学技術により得られたサイトカイン(例えば、インターフェロン、インターロイキン(IL)など)、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポエチンなど)など(好ましくはインターロイキン、例えば、IL−1、IL−2、IL−12など)を含むが、これらに限定されない。
【0055】
抗炎症剤の例は、非ステロイド性抗炎症剤、例えば、アスピリン、アセトアミノフェン、インドメタシンなどを含むが、これらに限定されない。
【0056】
抗血栓剤の例は、ヘパリン(例えば、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム、ダルテパリンナトリウムなど)、ワルファリン(例えば、ワルファリンカリウムなど)、抗トロンビン剤(例えば、アルガトロバンなど)、血栓溶解剤(例えば、ウロキナーゼ、チソキナーゼ、アルテプラーゼ、ナテプラーゼ、モンテプラーゼ、パミテプラーゼなど)、血小板凝集抑制剤(例えば、塩酸チクロピジン、シロスタゾール、イコサペント酸エチル、ベラプロストナトリウム、塩酸サルポグレラートなど)などを含むが、これらに限定されない。
【0057】
骨粗鬆症を処置するための治療剤は、アルファカルシドール、カルシトリオール、エルカトニン、サケカルシトニン、エストリオール、イプリフラボン、パミドロン酸二ナトリウム、アレンドロン酸ナトリウム水和物、インカドロン酸二ナトリウムなどを含むが、これらに限定されない。
【0058】
本発明の化合物と組み合わせて使用され得るビタミンの例は、ビタミンB1、ビタミンB12などおよびそれらの誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0059】
抗認知症剤の例は、タクリン、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミンなどを含むが、これらに限定されない。
【0060】
頻尿または尿失禁のための治療剤は、塩酸フラボキセイト、塩酸オキシブチニン、塩酸プロピベリンなどを含むが、これらに限定されない。
【0061】
排尿障害のための治療剤は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ジスチグミン)などを含むが、これらに限定されない。
【0062】
さらに、動物モデルおよび臨床的症状における悪液質改善作用を有する治療剤は、本発明の化合物と組み合わせて使用され得る。このような治療剤の例は、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えば、インドメタシンなど)[Cancer Research, Vol. 49, pp. 5935-5939, 1989]、プロゲステロン誘導体(例えば、酢酸メゲストロール)[Journal of Clinical Oncology, Vol. 12, pp. 213-225, 1994]、グルコステロイド(glucosteroid)(例えば、デキサメタゾンなど)、メトクロプラミド剤、テトラヒドロカンナビノール剤(刊行物は上記のすべてである)、脂質代謝改善剤(例えば、エイコサペンタエン酸など)[British Journal of Cancer, Vol. 68, pp. 314-318, 1993]、成長ホルモン、IGF−1または悪液質誘導因子に対する抗体、例えば、TNF−、LIF、IL−6、オンコスタチンMなどを含むが、これらに限定されない。
【0063】
さらに、グリコシル化阻害剤(例えば、ALT−711など)、神経再生促進剤(例えば、Y−128、VX853、プロサプチドなど)、抗鬱剤(例えば、デシプラミン、アミトリプチリン、イミプラミンなど)、抗癲癇剤(例えば、ラモトリジン、トリレプタル、ケプラ、ゾニサミド、プレガバリン、ハーコセライド(Harkoseride)、カルバマゼピン)、抗不整脈剤(例えば、メキシレチン)、アセチルコリン受容体リガンド(例えば、ABT−594)、エンドセリン受容体アンタゴニスト(例えば、ABT−627)、モノアミン取り込み阻害剤(例えば、トラマドール)、麻薬性鎮痛剤(例えば、モルヒネ)、GABA受容体アゴニスト(例えば、ガバペンチン、ガバペンチンMR製剤)、2受容体アゴニスト(例えば、クロニジン)、局所麻酔剤(例えば、カプサイシン)、抗不安剤(例えば、ベンゾジアゼピン)、ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、シルデナフィル)、ドーパミン受容体アゴニスト(例えば、アポモルヒネ)などは、また、本発明の化合物と組み合わせて使用され得る。
【0064】
治療有効量は、疾患の重症度、対象の年齢および相対的な健康度、使用される化合物の有効性および他の要素に依存して広く変化し得る。一般的に、満足な結果は体重あたり約0.01から2.5mg/kgの1日投与量で全身的に得られることが示される。大型哺乳動物、例えばヒトにおいて指示される1日投与量は、例えば1日に4回までの分割用量でまたは遅延形で都合良く投与される体重あたり約0.01mg/kgから約100mg/kgの範囲である。経口投与のための適当な単位用量形は体重あたり約0.01から50mg/kgを含む。例えば、本発明の化合物(活性成分として)は、1日に1回または複数回で、1日あたり約0.01から約30mg/kg体重;いくつかの例において、1日あたり約0.1から約20mg/kg体重;および他の例、1日あたり約1から約20mg/kg体重で高脂血症を有する患者に経口的に投与され得る。
【0065】
本発明の化合物はEP1688138(出典明示によりその全体を本出願に包含させる)に記載されているような当分野で既知の任意の慣用の経路により医薬組成物として投与できる。例えば、本発明の化合物は経腸的に、例えば経口的に、例えば錠剤形もしくはカプセル形で、または非経腸的に、例えば注射溶液形もしくは懸濁液形で、局所的に、例えばローション形、ゲル形、軟膏形もしくはクリーム形で、または経鼻形もしくは座薬形で投与できる。
【0066】
少なくとも1種の薬学的に許容される担体もしくは希釈剤と一緒に遊離形または薬学的に許容される塩形の本発明の化合物を含む医薬組成物を、混合、造粒または被覆方法による慣用の方法で製造できる。例えば、経口組成物は、活性成分をa)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;b)滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムもしくはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤のために、c)結合剤、例えば、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン;所望により、d)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩または起沸性混合物;および/またはe)吸収剤、着色剤、香味剤および甘味剤と共に含む錠剤またはゼラチンカプセルであり得る。注射組成物は、等張水溶液または懸濁液であり得、そして座薬は脂肪エマルジョンまたは懸濁液から製造し得る。
【0067】
該組成物は滅菌し得そして/またはアジュバント、例えば保存剤、安定化剤、湿潤剤もしくは乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調節するための塩および/またはバッファーを含み得る。加えて、それらはまた、治療に有効な他の物質を含み得る。適当な経皮投与用製剤は有効量の本発明の化合物を担体と含む。担体は宿主の皮膚を介する輸送を助けるために、薬理学的に許容される吸収性溶媒を含み得る。例えば、経皮デバイスは裏当て部分、化合物と所望により担体を含む貯蔵部、所望により長時間にわたって制御されたおよび予定された速度で宿主の皮膚に化合物を送達するための速度制御バリア、および皮膚にデバイスを固定するための手段を含む、バンデージ形である。マトリックス経皮製剤もまた使用され得る。例えば、皮膚および眼への、適当な局所投与用製剤は、当分野で既知の水溶液、軟膏、クリームまたはゲルであり得る。このような製剤は、可溶化剤、安定化剤、等張増加剤、バッファーおよび保存剤を含み得る。
【0068】
本発明はまたa)遊離形または薬学的に許容される塩形の式(1A)、(1B)、(2A)、(2B)、(3A)、(3B)、(4A)または(4B)の化合物を含む第一の薬剤、およびb)少なくとも1個の併用剤を含む、医薬組合せのキットを提供する。本キットは、さらに、その投与のための指示書を含み得る。
【0069】
本発明の化合物の製造方法
本発明の化合物は実施例に例示されている製造法にしたがって製造できる。
【0070】
本発明の化合物を、遊離塩基形の化合物を薬学的に許容される無機酸または有機酸と反応させることにより薬学的に許容される酸付加塩として製造できる。あるいは、本発明の化合物の薬学的に許容される塩基付加塩を、遊離酸形の化合物を薬学的に許容される無機塩基または有機塩基と反応させることにより製造できる。あるいは、塩形の本発明の化合物を出発物質または中間体の塩を使用して製造できる。
【0071】
遊離酸形または遊離塩基形の本発明の化合物を、対応する塩基付加塩形または酸付加塩形、各々から製造できる。例えば酸付加塩形の本発明の化合物は、適当な塩基(例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウムなど)と処理することにより対応する遊離塩基に変換できる。塩基付加塩形の本発明の化合物は、適当な酸(例えば、塩酸など)と処理することにより対応する遊離酸に変換できる。
【0072】
非酸化形の本発明の化合物を、適当な不活性有機溶媒(例えば、アセトニトリル、エタノール、ジオキサン溶液など)中で、0から80℃で還元剤(例えば、硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、三塩化リン、三臭化リンなど)と処理することにより本発明の化合物のN−オキシドから製造できる。
【0073】
本発明の化合物の保護された誘導体を当業者に既知の方法で製造できる。保護基の創造およびその除去に適用できる技術の詳細な説明はT. W. Greene, “Protecting Groups in Organic Chemistry”, 3rd edition, John Wiley and Sons, Inc., 1999において見ることができる。
【0074】
本発明の化合物を、溶媒和物(例えば、水和物)として都合良く製造でき、またはそれは本発明の工程中に形成される。本発明の化合物の水和物を、有機溶媒、例えばジオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノールを使用し、水性/有機溶媒混合物から再結晶することにより都合良く製造できる。
【0075】
本発明は、また、本発明の化合物のプロドラッグ誘導体を提供する。本発明の化合物のプロドラッグ誘導体の変換は“Pharmaceutical Development”, vol. 7 (Molecular Design), pp. 163-198 (1990)に記載の生理学的条件下または生体中の胃酸などの酵素による反応(例えば、酵素的酸化、還元、加水分解などによる変換)で起こり得る。
【0076】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体を当業者に既知の方法で製造できる(例えば、Saulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985を参照のこと)。例えば、適当なプロドラッグを、本発明の非誘導化化合物を適当なカルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロリデート、パラ−ニトロフェニルカーボネートなど)と反応させることにより製造できる。他の例は、アミノ基がアシル、アルキル、リン酸などで置換されている(例えば、エイコサニル、アラニル、ペンチルアミノカルボニル、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジルメチル、ピバロイルオキシメチル、tert−ブチルなどでアミノ基の置換)本発明の化合物;ヒドロキシ基がアシル、アルキル、リン酸、ホウ酸などで置換されている(例えば、アセチル、パルミトイル、プロパノイル、ピバロイル、スクシニル、フマリル、アラニル、ジメチルアミノメチルカルボニルなどでヒドロキシル基の置換)化合物;カルボキシル基がエステル、アミドなどで置換されている(例えば、エチルエステル、フェニルエステル、カルボキシメチルエステル、ジメチルアミノメチルエステル、ピバロイルオキシメチルエステル、エトキシカルボニルオキシエチルエステル、フタリジルエステル、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル、メチルアミドなどでカルボキシル基の修飾)など化合物を含む。特定の例において、プロドラッグ誘導体はC1−6アルキル基、例えば、メチル、エチル、tert−ブチルなどでカルボキシル基のエステル化により製造される。
【0077】
本発明の化合物を、化合物のラセミ混合物を光学的に活性な分割剤と反応させ、一組のジアステレオマー化合物を形成し、該ジアステレオマーを分離し、そして光学的に純粋なエナンチオマーを回収することにより、それらの個々の立体異性体として製造できる。エナンチオマーの分離は本発明の化合物の共有結合ジアステレオマー誘導体を使用して行い得るが、分離できる複合体が好ましい(例えば、結晶のジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは異なる物理的性質(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を有し、そしてこれらの相違を利用して容易に分離できる。ジアステレオマーをクロマトグラフィー、または好ましくは溶解度の差異に基づく分割/分離技術により分割できる。次いで光学的に純粋なエナンチオマーを、ラセミ化をもたらさないであろう実用的手段により分割剤と一緒に回収する。ラセミ混合物から化合物の立体異性体の分離に適用できる技術のより詳細な説明はJean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, Racemates and Resolutions”, John Wiley And Sons, Inc., 1981において見ることができる。
【0078】
本発明の化合物は実施例に例示されているとおりに製造され得、所望により下記の工程を含み得る:
(a)本発明の化合物の薬学的に許容される塩への変換;
(b)塩形の本発明の化合物の非塩形への変換;
(c)非酸化形の本発明の化合物の薬学的に許容されるN−オキシドへの変換;
(d)N−オキシド形の本発明の化合物の非酸化形への変換;
(e)異性体の混合物からの本発明の化合物の個々の異性体への分離;
(f)本発明の非誘導化合物の薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体への変換;および
(g)本発明の化合物のプロドラッグ誘導体のその非誘導形への変換。
【0079】
出発物質の製造が特に記載されていない限り、その化合物は既知であるか、または当分野で既知の方法に準じてもしくは下記の実施例に記載のとおりに製造できる。当業者は、ここに記載の合成方法は本発明の化合物の製造法の代表例のみであり、そして他の既知の方法を同様に使用できることを理解できよう。本発明をさらに本発明の化合物の製造を説明する下記実施例により例示するが、これらに限定はされない。
【実施例】
【0080】
実施例1
5−(4−(2−(2−クロロフェニル)チアゾル−4−イル)フェニル)−1H−テトラゾール
【化9】

工程A:4−(2−ブロモアセチル)ベンゾニトリル1(0.34g、1.5mmol)および2−クロロベンゾチオアミド(0.26g、1.5mmol)をEtOH(3mL)に溶解し、電子レンジを使用して150℃に3分加熱する。水で希釈し、濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、4−(2−(2−クロロフェニル)チアゾル−4−イル)ベンゾニトリル2を白色の固体として得る。1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ = 8.37 (dd, J = 2.2, 7.7 Hz, 1H), 8.13 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.79 (s, 1H), 7.74 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.53 (ddd, J = 1.2, 2.2, 7.7 Hz, 1H), 7.41 (m, 2H)。MS 計算値 C1610ClNS (M+H) 297.0、実測値 296.8。
【0081】
工程B:4−(2−(2−クロロフェニル)チアゾル−4−イル)ベンゾニトリル2(0.10g、0.3mmol)をDMF(1.50mL)に溶解する。アジ化ナトリウム(0.09g、1.4mmol)および塩化アンモニウム(0.09g、1.7mmol)を加え、混合物を110℃で18時間撹拌する。冷却し、濾過し、逆相HPLC精製(TFAを使用する水/ACN勾配)に付し、5−(4−(2−(2−クロロフェニル)チアゾル−4−イル)フェニル)−1H−テトラゾールA1を白色の固体として得る。MS 計算値 C1611ClNS (M+H) 340.0、実測値 340.0。
【0082】
表1は当業者に明白である適当な出発物質を使用して、上記製造方法にしたがって製造される化合物例を示す。
表1
【表1】

【表2】

【0083】
実施例2
4−(4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−N−(2−エトキシ−フェニル)チアゾル−2−アミン
【化10】

工程A:4−(2−ブロモアセチル)ベンゾニトリル1(0.022g、0.1mmol)および1−(2−エトキシフェニル)チオウレア(0.020g、0.1mmol)をEtOH(1mL)に溶解し、電子レンジを使用して150℃に3分加熱する。水で希釈し、濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、4−(2−(2−エトキシフェニルアミノ)チアゾル−4−イル)ベンゾニトリル3をオフホワイト色の固体として得る。MS 計算値 C1816OS (M+H) 322.1、実測値 322.1。
【0084】
工程B:4−(2−(2−エトキシフェニルアミノ)チアゾル−4−イル)ベンゾニトリル3(0.030g、0.1mmol)をDMF(1.50mL)に溶解する。アジ化ナトリウム(0.02g、0.3mmol)および塩化アンモニウム(0.02g、0.4mmol)を加え、混合物を110℃で18時間撹拌した。冷却し、濾過し、逆相HPLC精製(TFAを使用する水/ACN勾配)に付し、4−(4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−N−(2−エトキシフェニル)チアゾル−2−アミンB1を白色の固体として得る。MS 計算値 C1617OS (M+H) 365.1、実測値 365.1;1H NMR (dmso-d6, 400 MHz): δ 9.51 (s, 1H), 8.50 (dd, J = 2.3, 7.2 Hz, 1H), 8.13 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 8.09 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.53 (s, 1H), 7.01 (m, 3H), 4.14 (q, J = 7.0, 2H), 1.41 (t, J = 7.0 Hz, 3H)。
【0085】
表2は当業者に明白である適当な出発物質を使用して、上記製造方法にしたがって製造される化合物例を示す。
表2
【表3】

【0086】
実施例3
5−(4−(4−フェニルチアゾル−2−イル)フェニル)−1H−テトラゾール
【化11】

工程A:4−ブロモベンゾチオアミド7(0.02g、0.1mmol)および2−ブロモ−1−フェニルエタノン(0.02g、0.1mmol)をEtOH(1mL)に溶解し、電子レンジを使用して150℃に3分加熱する。水で希釈し、濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、2−(4−ブロモフェニル)−4−フェニルチアゾール8をオフホワイト色の固体として得る。MS 計算値 C1511BrNS (M+H) 316.0、実測値 315.8。
【0087】
工程B:2−(4−ブロモフェニル)−4−フェニルチアゾール8(0.03g、0.1mmol)、シアン化亜鉛(0.05g、0.4mmol)およびテトラキス−トリフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.01g、0.09mmol)をDMA(1mL)に溶解し、110℃に18時間加熱する。水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、水および塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮し、4−(4−フェニルチアゾル−2−イル)ベンゾニトリル9を得、これをさらなる精製なしで次の工程に使用した。MS 計算値 C1611S (M+H) 263.1、実測値 263.0。
【0088】
工程C:粗4−(4−フェニルチアゾル−2−イル)ベンゾニトリル9(上記工程Bから)をDMF(1mL)に溶解する。アジ化ナトリウム(0.02g、0.3mmol)および塩化アンモニウム(0.02g、0.4mmol)を加え、混合物を110℃で18時間撹拌する。冷却し、濾過し、逆相HPLC精製(TFAを使用する水/ACN勾配)に付し、5−(4−(4−フェニルチアゾル−2−イル)フェニル)−1H−テトラゾールC1を油状物として得る。MS 計算値 C1612S (M+H) 306.1、実測値 306.1。
【0089】
表3は当業者に明白である適当な出発物質を使用して、上記製造方法にしたがって製造される化合物例を示す。
表3
【表4】

【表5】

【0090】
実施例4
N−(4−((1H−テトラゾール−5−イル)メトキシ)フェニル)−4−(2−クロロフェニル)チアゾル−2−アミン
【化12】

工程A:2−ブロモ−1−(2−クロロフェニル)エタノン4(0.23g、1.0mmol)および1−(4−ヒドロキシフェニル)チオウレア(0.15g、1.0mmol)をEtOH(3mL)に溶解し、電子レンジを使用して150℃に3分加熱する。水で希釈し、濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、4−(4−(2−クロロフェニル)チアゾル−2−イルアミノ)フェノール5を黄色の固体として得る。1H-NMR (400MHz, dmso-d6) δ = 10.04 (s, 1H), 8.01 (s, 1H), 7.97 (dd, J = 2.0, 7.6 Hz, 1H), 7.84 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.59 (dd, J = 1.5, 7.7 Hz, 1H), 7.47 (ddd, J = 1.5, 7.7, 7.7 Hz, 1H), 7.42 (ddd, J = 2.0, 7.7, 7.7 Hz, 1H), 6.90 (d, J = 8.7 Hz, 2H)。MS 計算値 C1511ClNOS (M+H) 288.1、実測値 288.0。
【0091】
工程B:4−(4−(2−クロロフェニル)チアゾル−2−イルアミノ)フェノール5(0.032g、0.11mmol)およびクロロアセトニトリル(0.015mL、0.24mmol)をACN(1.5mL)に溶解する。炭酸セシウム(0.05g、0.15mmol)を加え、混合物を60℃で3時間撹拌する。濾過し、固体をさらにACNで洗浄し、合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濃縮し、2−(4−(4−(2−クロロフェニル)チアゾル−2−イルアミノ)フェノキシ)アセトニトリル6を油状物として得る。MS 計算値 C1712ClNOS (M+H) 327.0、実測値 326.7。
【0092】
工程C:2−(4−(4−(2−クロロフェニル)チアゾル−2−イルアミノ)フェノキシ)アセトニトリル6(0.027g、0.08mmol)をDMF(1.0mL)に溶解する。アジ化ナトリウム(0.02g、0.3mmol)および塩化アンモニウム(0.02g、0.4mmol)を加え、混合物を110℃で18時間撹拌する。冷却し、濾過し、逆相HPLC精製(TFAを使用する水/ACN勾配)に付し、N−(4−((1H−テトラゾール−5−イル)メトキシ)フェニル)−4−(2−クロロフェニル)チアゾル−2−アミンD1を白色の固体として得る。MS 計算値 C1713ClNOS (M+H) 370.1、実測値 369.7。
【0093】
アッセイ
Gタンパク質共役受容体120(GPR120)を調節するための化合物の適合性は、下記アッセイにしたがって、または当分野で既知の方法、例えば、EP1688138(その内容を出典明示により本出願に包含させる)に記載のものを使用して試験され得る。
【0094】
GPR120発現細胞の製造
ヒトGPR120の安定な細胞系をHEK293細胞で製造した。GPR120(登録番号BC101175)を乱交雑(promiscuous)Gタンパク質であるGα16に融合させる。発現プラスミドを製造業者の指示にしたがってFugene6を使用してHEK293細胞に導入する。安定な細胞系を薬剤選択にしたがって製造する。
【0095】
FLIPRアッセイ
FLIPR(蛍光イメージングプレートリーダー、Molecular Devices)アッセイを行い、GPR120発現細胞のアゴニスト誘導カルシウム動員を測定する。FLIPRアッセイの前日に、HEK293−GPR120−Ga16細胞を1%のFBSを補った40μlのDMEM中にウェルあたり25,000細胞でポリ−D−リシンで被覆された黒色壁−透明底384ウェルプレート(Falcon)に播種する。細胞を一晩37℃で加湿インキュベーターでインキュベートする。培地をFLIPRアッセイの日に吸引する。細胞をFluo−4 NM色素(Invitrogen cat# F36205)を含む50μl/ウェルのアッセイバッファー(HBSS、20mMのHEPES、2.5mMのプロベネシド、pH7.4)で37℃で45分インキュベートし、次に室温で30分平衡にする。化合物をDMSOに溶解し、アッセイバッファーで所望の濃度に希釈する。蛍光量を化合物(12.5μl/ウェル)を添加後すぐにFLIPR機械で測定する。
【0096】
EC50値は反応開始からの蛍光強度の変化を使用して計算された。一般的に、本発明の化合物は10μM以下、例えば、0.1μMから10μMのEC50値を有し得る。いくつかの例において、本発明の化合物はEC50値0.1μMから5μM;または、さらに特に0.5μMから5μMのEC50値を有し得る。他の例において、本発明の化合物は3μM以下;例えば、0.1μMから3μMのEC50値を有し得る。さらに他の例において、化合物は0.1μM以下または10μM以上のEC50値を有し得る。
【0097】
ここに記載の実施例および態様は、説明の目的のためだけであり、それらに照らして種々の修飾または変化が、当業者には示唆され、本発明の精神および権限および添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることは理解されるべきである。ここに引用するすべての刊行物、特許および特許出願は、すべての目的のために引用して包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1A)または(1B):
【化1】

〔式中、Lは結合または−CR−O−であり;
は結合またはNRであり;
はORまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC3−6アルキニルであり;
はNR−(CR−RまたはRであり;
はHまたはC1−6アルキルであり;
はC3−7シクロアルキル、アリール、N、OまたはSを含むヘテロアリールまたはヘテロ環式環であり、これらそれぞれは所望によりハロ、ヒドロキシル、ニトロ、OR、SR、NR、NR−(CR−Rまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC3−6アルキニルで置換されているか;または、
および−(CR−Rは、NR−(CR−R中のNと一体となって、所望により置換されているヘテロ環式環を形成し;
それぞれのRはH、所望により置換されているC1−6アルキルまたは−(CR−Rであり;そして、
mおよびnは独立して0−4である〕
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
式(2A)または(2B):
【化2】

〔式中、それぞれのnは0である〕
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が所望により置換されているフェニル、ピペリジニルまたはピリジルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式(3A)または(3B):
【化3】

〔式中、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、ZおよびZ10は独立してCRまたはNであり;そして、
はH、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、OR、SR、NR、NR−(CR−Rまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルあるいはC3−6アルキニルである〕
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
それぞれのZ、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、ZおよびZ10がCRである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、ZおよびZ10の1個がNである、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
式(4A)または(4B):
【化4】

〔式中、RはHまたはC1−6アルキルであり;
は5−6員アリールまたはヘテロアリールであるか;または、
および−(CR−Rは、NR−(CR−R中のNと一体となって、所望により置換されている4−7員ヘテロ環式環を形成し;そして、
mは0または1である〕
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
がフェニルであるか、またはRおよび−(CR−Rが、NR−(CR−R中のNと一体となって、所望により置換されているピペリジニルを形成する、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
治療有効量の請求項1−8のいずれかに記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項10】
Gタンパク質共役受容体120(GPR120)を調節するための、所望により第2の治療剤と組み合わせた、請求項1−8のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項11】
該化合物がGPR120アゴニストである、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
Gタンパク質共役受容体120(GPR120)が介在する状態を処置するための薬剤の製造のための、所望により第2の治療剤と組み合わせた、請求項1−8のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項13】
該状態が糖尿病、脂質異常症(dyslipidemia)、肥満または食欲不振である、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
該糖尿病が真性糖尿病である、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
該脂質異常症が高脂血症(hyperlipidemia)である、請求項13に記載の使用。

【公表番号】特表2010−519258(P2010−519258A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550612(P2009−550612)
【出願日】平成20年1月7日(2008.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/050434
【国際公開番号】WO2008/103500
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【Fターム(参考)】