説明

Gタンパク質共役受容体88の調節因子

本開示は、一般に、Gタンパク質共役受容体88を調節することができる化合物、かかる化合物を含む組成物およびGタンパク質共役受容体88の調節方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2009年10月9日に提出した米国仮特許出願第61/249,465号の利益を請求するものである。
【0002】
本開示は、一般に、Gタンパク質共役受容体88を調節することができる化合物、かかる化合物を含む組成物、およびGタンパク質共役受容体88の調節方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
GPR88は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)スーパーファミリーのオーファンメンバーである。GPR88は、GTPgS結合、カルシウム流入およびcAMP阻害アッセイを含むいくつかのアッセイでGPCR活性を示す。当該受容体は、肝臓を含む末梢組織での測定可能な発現と共に、CNSで高度な発現を示す。CNS発現は、線条体で特に強く、ドーパミンD2受容体のものと類似しており(非特許文献1)、これは、前記受容体がドーパミン作動活性を調節する際に役割を果たしうることを示唆している。これと一致して、GPR88発現を欠失する遺伝学的に改変されたマウスは、ドーパミン作動性アゴニストに対して高い反応を示し、統合失調症(プレパルス抑制実験、条件回避反応)および鬱病(強制水泳試験)に関するモデルにおいて行動が変化した。これらの結果は、CNS疾患の治療におけるGPR88による治療可能性を示す。また、転写プロファイリング研究により、GPR88発現は、双極性障害(非特許文献2および3)、統合失調症(非特許文献4)および鬱病(非特許文献5)に関する治療または状態によって変動することが明らかにされ、これは、精神疾患に関連するCNSシグナル経路の必要な調節因子としてのGPR88についてのさらなる証拠を提供する。
【0004】
GPR88はまた、肝臓組織で発現されており、このことはGPR88シグナル経路が代謝プロセスの調節に関与している可能性を示唆する。GPR88発現を欠失する遺伝学的に改変されたマウスの最初の表現形特性(レベル1データ)は、これらの動物がグルコースに対する反応、インスリンレベルおよびトリグリセリドに対する変化を示すことを示唆する。これらの結果から、GPR88活性を調節する化合物が代謝性疾患において有用性を有しうることが示唆される。
【0005】
これらのデータに基づいて、GPR88活性を調節する化合物(アゴニスト、アンタゴニストまたは調節因子)は、精神病、統合失調症の失認、感情障害、注意欠陥多動障害、双極性障害、薬物依存、パーキンソン病、アルツハイマー病、肥満症および糖尿病の治療において治療上の有用性を有することが予測される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Mizushima et. al, Genomics 69, 314-321 (2000)
【非特許文献2】Ogden et al., Mol Psychiatry 2004 Nov;9(11):1007-29
【非特許文献3】Brandish,et al. Neuron, Vol. 45, 861-872, March 24, 2005
【非特許文献4】Matsuoka, et al. Synapse 2008 Jan;62(1):1-7
【非特許文献5】Conti et al., Mol Psychiatry. 2007 Feb;12(2):167-89
【発明の概要】
【0007】
第1の態様において、本発明は、
式(I)
【化1】

(I),
[式中、
Aは、フェニルおよびチエニルから選択され;
1は、C2−C6アルケニル;C3−C6アルコキシ;C3−C6アルキルスルファニル;C2−C6アルキニル;C3−C6シクロアルキル−C2−C4アルケニル;C3−C6シクロアルキル−C1−C3アルコキシ;C3−C6シクロアルキルオキシ;1個のC1−C3アルキル基で適宜置換されていてもよいフェノキシ;C1−C3アルコキシ、C1−C3アルコキシ−C1−C3アルキル、C1−C3アルキル、C1−C3アルキルスルホニル、シアノ、ハロおよびハロ−C1−C3アルキルから独立して選択される1、2または3個の基で適宜置換されていてもよいフェニル;フェニル部分がC1−C3アルキルおよびハロから独立して選択される1または2個の基で適宜置換されていてもよいフェニル−C1−C3アルコキシ;およびチエニルから選択され;
2は、水素;C1−C3アルコキシ;C1−C3アルキル;およびハロから選択され;
3は、水素およびC1−C3アルコキシから選択され;
4は、C1−C3アルコキシ−C1−C3アルキル;C1−C6アルキル;ヘテロサイクリル;ヒドロキシ−C1−C3アルキル;(RabN)−C1−C3アルキル;
【化2】

[式中、
【化3】

は、親分子部分への結合点を表す]
から選択され;
5は、水素およびハロから選択され;ならびに
aおよびRbは、独立して、水素およびC1−C3アルキルから選択されるか;あるいは
aおよびRbは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピペリジニルまたはピペラジニル環を形成し、各環は、C1−C3アルキルおよびヒドロキシ−C1−C3アルキルから選択される1個の基で適宜置換されていてもよいものである]
の化合物またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0008】
第1の態様の第1の実施態様において、R3は水素である。第2の実施態様において、Aはフェニルである。第3の実施態様において、R4は、C1−C3アルコキシ−C1−C3アルキル;ヒドロキシ−C1−C3アルキル;および
【化4】

[式中、
【化5】

は、親分子部分への結合点を表す]
から選択される。
【0009】
第1の態様の第4の実施態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を提供するものであって、式中、R3は水素であり、Aはフェニルであり、R4は、C1−C6アルキルおよび
【化6】

[式中、
【化7】

は親分子部分への結合点を表す]
から選択されるものである。
【0010】
第1の態様の第5の実施態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を提供するものであって、式中、R3は水素であり、Aはフェニルであり、R4はヘテロサイクリルである。
【0011】
第1の態様の第6の実施態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を提供するものであって、式中、R3は水素であり、Aはフェニルであり、R4は(RabN)−C1−C3アルキルである。
【0012】
第1の態様の第7の実施態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を提供するものであって、式中、R3は水素であり、Aはチエニルである。第8の実施態様において、R4は、C1−C3アルコキシ−C1−C3アルキル;ヒドロキシ−C1−C3アルキル;および
【化8】

[式中、
【化9】

は親分子部分への結合点を表す]
から選択されるものである。
【0013】
第1の態様の第9の実施態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を提供するものであって、式中、R3は水素であり、Aはチエニルであり、R4は、C1−C6アルキルおよび
【化10】

[式中、
【化11】

は親分子部分への結合点を表す]
から選択されるものである。
【0014】
第1の態様の第10の実施態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を提供するものであって、式中、R3は水素であり、Aはチエニルであり、R4はヘテロサイクリルである。
【0015】
第1の態様の第11の実施態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を提供するものであって、式中、R3は水素であり、Aはチエニルであり、R4は、(RabN)−C1−C3アルキルである。
【0016】
第2の態様において、本発明は、式(II)
【化12】

(II),
[式中、
Aは、フェニルおよびチエニルから選択され;
1は、C5−C6アルコキシ;C5アルキニル;C1アルコキシおよびC1−C2アルキルから選択される1個の基で適宜置換されていてもよいフェニルから選択され;
2は、水素;C1アルコキシおよびC1アルキルから選択され;
4は、ヒドロキシ−C1アルキルおよび(RabN)−C1アルキルから選択され;ならびに
aおよびRbは、水素から独立して選択されるか;または
aおよびRbは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、1個のC1アルキル基で置換されたピペラジニル環を形成する]
の化合物またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0017】
第3の態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および医薬的に許容される担体を含む組成物を提供する。
【0018】
第4の態様において、本発明は、治療上有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を哺乳類に投与することを特徴とする、哺乳類における神経疾患または代謝性疾患から選択される疾患の治療方法を提供する。第4の態様の第1の実施態様において、前記哺乳類はヒトである。第4の態様の第2の実施態様において、前記疾患は、精神病、統合失調症の失認、感情障害、注意欠陥多動障害、薬物依存、パーキンソン病およびアルツハイマー病から選択される神経疾患である。第4の態様の第3の実施態様において、疾患は、肥満症および糖尿病から選択される代謝性疾患である。
【0019】
第5の態様において、本発明は、治療上有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を哺乳類に投与することを特徴とする、哺乳類におけるGタンパク質共役受容体88の調節方法を提供する。第5の態様の第1の実施態様において、前記哺乳類はヒトである。第5の態様の第2の実施態様において、Gタンパク質共役受容体88は、神経疾患または代謝性疾患を治療するために調節される。第5の態様の第3の実施態様において、Gタンパク質共役受容体88は、精神病、統合失調症の失認、感情障害、注意欠陥多動障害、双極性障害、薬物依存、パーキンソン病およびアルツハイマー病から選択される神経疾患を治療するために調節される。第5の態様の第4の実施態様において、Gタンパク質共役受容体88は、肥満症および糖尿病から選択される代謝性疾患を治療するために調節される。
【0020】
本発明の他の態様は、本明細書に記載の態様および/または態様の2つまたはそれ以上の適当な組み合わせを含みうる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のさらに他の実施態様および態様は、下記に提供される記載から明らかである。
【0022】
本明細書の本発明の記載は、化学結合の法則および原理に従って解釈されるべきである。ある例において、所定の位置に置換基を導入するために水素原子を除くことが必要となることもある。
【0023】
本発明に包含される化合物は、医薬品としての使用に適切に安定であるものと理解されるべきである。
【0024】
本明細書で引用される全ての特許公報、特許出願公報および参考文献は、出典明示によりその全体が本明細書に取り込まれる。矛盾が生じる場合、定義を含む本開示が優先される。
【0025】
本明細書で用いられるように、下記の用語は、示されている意味を有する。
【0026】
本明細書で用いられるように、単数形「a」、「an」および「the」には、特に断りがない限り、複数の対象が含まれる。
【0027】
ある例において、ある特定の基中の炭素原子数は、その基の表記の前に表される。例えば、用語「C2-6アルケニル」は、2から6個の炭素原子を含有するアルケニル基を表す。これらの表記が存在する場合、それらは、本明細書に含まれる全ての他の定義に優先する。
【0028】
本明細書で用いられるように、用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素の二重結合を含有する2から6個の炭素原子の直鎖または分枝鎖の基を意味する。
【0029】
本明細書で用いられるように、用語「アルコキシ」は、酸素原子を介して親分子部分に結合しているアルキル基を意味する。
【0030】
本明細書で用いられるように、用語「アルコキシアルキル」は、1、2または3個のアルコキシ基で置換されたアルキル基を意味する。
【0031】
本明細書で用いられるように、用語「アルキル」は、1から6個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素から派生した基を意味する。
【0032】
本明細書で用いられるように、用語「アルキルスルファニル」は、硫黄原子を介して親分子部分に結合したアルキル基を意味する。
【0033】
本明細書で用いられるように、用語「アルキルスルホニル」は、スルホニル基を介して親分子部分に結合したアルキル基を意味する。
【0034】
本明細書で用いられるように、用語「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素の三重結合を含有する2から6個の炭素原子の直鎖または分枝鎖の基を意味する。
【0035】
本明細書で用いられるように、用語「シアノ」は、−CNを意味する。
【0036】
本明細書で用いられるように、用語「シクロアルキル」は、3から7個の炭素原子および0個のヘテロ原子を有する飽和単環式炭化水素環基を意味する。シクロアルキル基の代表的な例としては、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが含まれる。
【0037】
本明細書で用いられるように、用語「(シクロアルキル)アルケニル」は、1、2または3個のシクロアルキル基で置換されたアルケニル基を意味する。
【0038】
本明細書で用いられるように、用語「(シクロアルキル)アルコキシ」は、アルコキシ基を介して親分子部分に結合したシクロアルキル基を意味する。
【0039】
本明細書で用いられるように、用語「シクロアルキルオキシ」は、酸素原子を介して親分子部分に結合したシクロアルキル基を意味する。
【0040】
本明細書で用いられるように、用語「ハロ」および「ハロゲン」は、F、Cl、BrまたはIを意味する。
【0041】
本明細書で用いられるように、用語「ハロアルキル」は、1、2、3または4個のハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。
【0042】
本明細書で用いられるように、用語「ヘテロサイクリル」は、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含有する4、5、6または7員環を意味する。4員環は、0個の二重結合を有し、5員環は、0から2個の二重結合を有し、ならびに6および7員環は、0から3個の二重結合を有する。用語「ヘテロサイクリル」には、ヘテロサイクリル環が、別の単環式ヘテロサイクリル基または4から6員芳香族もしくは非芳香族炭素環;ならびに架橋二環式基、例えば7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−7−イル、2−アザビシクロ[2.2.2]オク−2−チルおよび2−アザビシクロ[2.2.2]オク−3−チルなどに縮合されている二環式基も含まれる。本発明のヘテロサイクリル基は、基中のいずれかの炭素原子または窒素原子を介して親分子部分に結合されうる。ヘテロサイクリル基の例には、以下に限定されないが、ベンゾチエニル、フリル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、オキサゾリル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラゾリル、ピリジニル、ピロリジニル、ピロロピリジニル、ピロリル、チアゾリル、チエニル、チオモルホリニル、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−7−イル、2−アザビシクロ[2.2.2]オク−2−チルおよび2−アザビシクロ[2.2.2]オク−3−チルが含まれる。
【0043】
本明細書で用いられるように、用語「ヒドロキシ」は、−OHを意味する。
【0044】
本明細書で用いられるように、用語「ヒドロキシアルキル」は、1、2または3個のヒドロキシ基で置換されたアルキル基を意味する。
【0045】
本明細書で用いられるように、用語「−NRab」は、窒素原子を介して親分子部分に結合している2つの基、RaおよびRbを意味する。RaおよびRbは、水素およびC1−C3アルキルから独立して選択されるか、あるいは、RaおよびRbは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピペリジニルまたはピペラジニル環を形成し、各環は、C1−C3アルキルおよびヒドロキシ−C1−C3アルキルから選択される1個の基で適宜置換されていてもよいものである。
【0046】
本明細書で用いられるように、用語「(NRab)アルキル」は、1、2または3個の−NRabアルキル基で置換されたアルキル基を意味する。
【0047】
本明細書で用いられるように、用語「フェノキシ」は、酸素原子を介して親分子部分に結合したフェニル基を意味する。
【0048】
本明細書で用いられるように、用語「フェニルアルコキシ」は、アルコキシ基を介して親分子部分に結合したフェニル基を意味する。
【0049】
本明細書で用いられるように、用語「スルホニル」は、−SO2−を意味する。
【0050】
不斉中心は、本発明の化合物中に存在する。これらの中心は、キラル炭素原子の周囲の置換基の立体配置に応じて、記号「R」または「S]によって表記される。本発明には、Gタンパク質共役受容体88を調節する能力を有する全ての立体化学異性体型またはその混合物が含まれると認識されるべきである。化合物の各立体異性体は、キラル中心を含有する市販品として入手可能な出発物質から合成するか、あるいはエナンチオマー生成物の混合物の製造、続いてジアステレオマー混合物への変換、次いで分離または再結晶などの分離、クロマトグラフィー技術、またはキラルクロマトグラフィーカラム上のエナンチオマーの直接的な分離によって製造することができる。特定の立体化学の出発化合物は、市販品として入手可能であるか、あるいは当該技術分野で公知の技術によって製造され、分割されうるかのいずれかである。
【0051】
本発明の特定の化合物はまた、分離可能でありうる異なる安定な立体配座型で存在しうる。非対称単結合に関する回転の制限による、例えば、立体障害または環のひずみ(ring strain)によるねじり非対称は、異なる配座異性体の分離を可能にしうる。本発明には、これらの化合物の各構造異性体およびその混合物が含まれる。
【0052】
用語「本発明の化合物」およびこれと同等の表現は、式(I)の化合物、ならびにその医薬的に許容されるエナンチオマー、ジアステレオマーおよび塩を包含するものとされる。同様に、中間体に関しても、文中で可能ならばそれらの塩を包含するものとされる。
【0053】
本発明の化合物は、医薬的に許容される塩として存在しうる。用語「医薬的に許容される塩」は、本明細書で用いられるように、水もしくは油可溶性または分散性である本発明の化合物の塩または双性型を表し、妥当な医学的判断の範囲内において、合理的な利益/リスクの均整がとれ、過度の毒性、刺激、アレルギー性反応、またはその他の問題もしくは合併症を伴うことなく患者の組織と接触して用いるのに適しており、それらの目的の用途に対して有効である。この塩は、本化合物の最終的な単離および精製時に、あるいは適当な窒素原子を適当な酸と反応させることによって別々に製造することができる。代表的な酸付加塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、カンホレート(camphorate)、カンフォースルホン酸塩(camphorsulfonate);ジグルコン酸塩、二臭化水素酸塩、二塩酸塩、二ヨウ化水素酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルモエート(palmoate)、ペクチネート(pectinate)、過硫酸塩、3−フェニルプロプリオネート(proprionate)、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、パラトルエンスルホン酸塩およびウンデカン酸塩が含まれる。医薬的に許容される付加塩を生成するために用いることができる酸の例には、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸、ならびに有機酸、例えば、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸およびクエン酸が含まれる。
【0054】
塩基付加(Basic addition)塩は、そのカルボキシ基を、適当な塩基、例えば、金属カチオンの水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩と、あるいはアンモニアまたは有機第一級、第二級もしくは第三級アミンと反応させることによって、その化合物の最終的な単離および精製時に製造することができる。医薬的に許容される塩のカチオンには、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウム、ならびに非毒性第四級アミンカチオン、例えば、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N−ジベンジルフェネチルアミンおよびN,N’−ジベンジルエチレンジアミンが含まれる。塩基付加塩の生成に有用な他の代表的な有機アミンには、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジンおよびピペラジンが含まれる。
【0055】
治療上の用途において、治療上有効量の式(I)の化合物ならびにその医薬的に許容される塩がそのまま化学物質として投与されうることが可能である場合、その活性成分を医薬組成物として供することが可能である。よって、本発明は、さらに、治療上有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩および1つまたはそれ以上の医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。本明細書で用いられるように、用語「治療上有効量」は、有効な患者の利益を示すために十分な各活性成分の総量を意味する。各活性成分が単独で投与される場合、この用語は、その成分単独のものを意味する。組み合わせて投与される場合、この用語は、組み合わせて、連続して、または同時のいずれかで投与されて治療効果を生じる活性成分の合計量を意味する。式(I)の化合物およびその医薬的に許容される塩は、上記のとおりである。担体、希釈剤または賦形剤は、製剤のその他の成分と適合可能であり、その受容者に対して有毒ではないことが受け入れられなければならない。本発明の別の態様によれば、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を、1つまたはそれ以上の医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と混合させることを特徴とする医薬製剤の製造方法もまた提供される。本明細書で用いられるように、用語「医薬的に許容される」は、妥当な医学的判断の範囲内において、合理的な利益/リスクの均整がとれ、過度の毒性、刺激、アレルギー性反応、またはその他の問題もしくは合併症を伴うことなく患者の組織と接触して用いるのに適しており、それらの目的の用途に対して有効であるこれらの化合物、物質、組成物および/または製剤を意味する。
【0056】
医薬製剤は、単位用量あたりの所定量の活性成分を含有する単位製剤で提示されうる。本発明の化合物の1日につき1キログラム体重あたり約0.01および約250ミリグラム(「mg/kg」)の間、好ましくは、1日につき約0.05および約100mg/kg体重の間の用量レベルは、疾患の予防および治療のための単剤治療時に典型的である。典型的には、本発明の医薬組成物は、1日あたり約1から約5回で、あるいは連続吸入として投与される。かかる投与は、慢性期または急性期の治療として用いることができる。担体物質と組み合わせて単一製剤を製造しうる活性成分の量は、治療される病状、病状の重症度、投与時期、投与経路、用いられる化合物の排出速度、治療期間、患者の年齢、性別、体重および状態に応じて変動する。好ましい単位製剤は、活性成分を、本明細書の上記に記載されるような1日の用量または分割用量、あるいはその適当な分割用量で含有するものである。治療は、本化合物の最適な用量より実質的に少ない用量から開始されうる。その後、用量は、この状況下で最適な効果が達成されるまで少しずつ増加される。一般に、化合物は、最も望ましくは、有毒もしくは有害な副作用を全く生じることなく有益な効果を一般にもたらす濃度レベルで投与される。
【0057】
本発明の組成物が本発明の化合物および1つまたはそれ以上のさらなる治療剤もしくは予防剤を含む場合、本化合物および前記さらなる薬剤は、通常、単剤投薬計画で通常投与される用量の約10から150%の間、より好ましくは、約10および80%の間の用量レベルで存在する。
【0058】
医薬製剤は、いずれかの適当な経路、例えば、経口(バッカルまたは舌下を含む)、直腸、経鼻、局所(バッカル、舌下または経皮)、膣または非経口(皮下、皮内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内、静脈内または皮内注射もしくは注入を含む)経路による投与で適用されうる。かかる製剤は、薬学の技術分野で公知の方法によって、例えば、活性成分を担体もしくは賦形剤と混合させること(bringing into association)によって製造されうる。経口投与または注射による投与が好ましい。
【0059】
経口投与に用いられる医薬製剤は、カプセル剤または錠剤;散剤または顆粒剤;水性もしくは非水性液体中の溶液または懸濁液;食用フォームまたはホイップ;あるいは水中油型液体乳濁液もしくは油中水型乳濁液などの別々の単位として提示されうる。
【0060】
例えば、錠剤またはカプセル剤の形態での経口投与においては、活性薬物成分は、経口で非毒性の医薬的に許容される不活性担体、例えば、エタノール、グリセロール、水などと併用することができる。散剤は、本化合物を適当に微細なサイズにまで粉砕し、同様に粉砕した医薬的担体、例えば、デンプンまたはマンニトールのような食用の炭水化物などと混合することによって製造される。芳香剤、保存剤、分散剤および着色剤もまた存在しうる。
【0061】
カプセル剤は、上記のように粉末混合物を調製し、成形ゼラチンシース(gelatin sheath)に充填することによって製造される。流動促進剤および滑沢剤、例えば、コロイド状シリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、または固体のポリエチレングリコールが、充填工程前に粉末混合物に添加されうる。崩壊剤または可溶化剤、例えば、寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムはまた、カプセルが摂取された時の薬剤の有効性を向上させるために添加されうる。
【0062】
さらに、所望もしくは必要とされる場合、適当な結合剤、滑沢剤、崩壊剤および着色剤もまた、混合物に取り込まれうる。適当な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、グルコースまたはベータ乳糖などの天然糖、コーンシロップ、アカシア、トラガントまたはアルギン酸ナトリウムなどの天然および合成ガム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールなどが含まれる。これらの製剤で用いられる滑沢剤には、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。崩壊剤には、以下に限定されないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが含まれる。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、造粒化もしくはスラッグし、滑沢剤および崩壊剤を添加し、そして錠剤に圧縮することによって製剤化される。粉末混合物は、適当に粉砕した本化合物を、上記に記載されるような希釈剤または塩基、適宜、結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート(aliginate)、ゼラチン(gelatining)またはポリビニルピロリドン)、溶解遅延剤(パラフィンなど)、吸収促進剤(第四級塩など)および/または吸収剤(ベントナイト、カオリンまたはリン酸水素カルシウムなど)と混合することによって調製される。粉末混合物は、結合剤(シロップ、デンプン糊、アカシア粘液(acadia mucilage)またはセルロース性物質もしくはポリマー性物質の溶液)で湿らせ、ふるいに押し通すことによって造粒化されうる。造粒化の代わりとして、粉末混合物は、該粉末混合物を打錠機に通して処理し、結果物は、不完全に成型されたスラグで、顆粒に粉砕することができる。顆粒物は、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油を加えることによって、錠剤形成臼にくっつくことを防ぐために滑沢化されうる。次いで、滑沢化された混合物は、錠剤に圧縮される。本発明の化合物はまた、自由流動性不活性担体と組み合わされ、造粒化またはスラッグ化工程を経ることなく直接的に錠剤に圧縮することもできる。シェラックのシールコーティング、糖またはポリマー性物質のコーティングおよびワックスの研磨コーティングからなる透明または不透明な保護コーティングが施されうる。染料は、異なる単位製剤を区別するためにこれらのコーティングに加えらうる。
【0063】
経口流体、例えば、溶液、シロップ剤、エリキシル剤は、定められた量に所定量の化合物が含まれ得るように用量単位形態で調製されうる。シロップ剤は、化合物を適当に風味付けされた水溶液中に溶解させることによって調製することができ、エリキシル剤は、毒性のないビヒクルを使用することによって調製される。エトキシル化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテルのような可溶化剤および乳濁剤、保存剤、ペパーミント油または天然甘味料のような風味添加剤、またはサッカリンもしくはその他の人工甘味料などもまた添加することができる。
【0064】
可能ならば、経口投与用製剤は、マイクロカプセル化することができる。前記製剤はまた、例えば、ポリマー、ワックスなどの中で粒子状物質をコーティングまたは組み込むことによって、放出を延長もしくは持続させるように調製することができる。
【0065】
式(I)の化合物およびその医薬的に許容される塩はまた、小型の単層ビシクル、大型の単層ビシクル、および多重層ビシクルのようなリポソーム送達系の形態で投与することができる。リポソームは、様々なリン脂質、例えば、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンから形成されうる。
【0066】
式(I)の化合物およびその医薬的に許容される塩はまた、モノクローナル抗体を化合物分子がカップリングされる各担体として使用して送達されうる。化合物はまた、標的を設定可能な薬物担体として可溶性ポリマーとカップリングされ得る。かかるポリマーには、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール(polyhydroxyethylaspartamidephenol)、またはパルミトイル残基(palitoyl residue)で置換されたポリエチレンオキシドポリリジンが含まれる。さらに、化合物は、薬物の放出制御を達成するのに有用な生物分解性ポリマーの一クラス、例えば、ポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋もしくは両親媒性ブロックコポリマーにカップリングされうる。
【0067】
経皮投与に用いられる医薬製剤は、レシピエントの上皮に長期間密接に接触させ続けるために別々のパッチとして提示されうる。例えば、活性成分は、Pharmaceutical Research, 1986, 3(6), 318で一般に記載されるように、イオン導入によりパッチから送達され得る。
【0068】
局所投与に用いられる医薬製剤は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁液、ローション剤、散剤、液剤、ペースト、ゲル、スプレー剤、エアロゾルまたは油として製剤化され得る。
【0069】
直腸投与に用いられる医薬製剤は、座薬または浣腸として提示され得る。
【0070】
担体が固体である経鼻投与に用いられる医薬製剤には、嗅ぎ薬の様式で、すなわち、鼻近くに固定した粉末の容器から鼻腔を通した急速な吸入で投与される、例えば、20から500ミクロンの範囲の粒径を有する粗末が含まれる。経鼻スプレーまたは点鼻薬としての投与のための、担体が液体である適当な製剤には、活性成分の水性または油性液剤が含まれる。
【0071】
吸入による投与に用いられる医薬製剤には、微粒子ダストもしくはミストが含まれ、これらは、様々なタイプの定量加圧型エアロゾル、ネブライザーまたは吸入器によって作り出されうる。
【0072】
膣投与に用いられる医薬製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、泡またはスプレー製剤として提示されうる。
【0073】
非経口投与に用いられる医薬製剤には、水性および非水性滅菌注射溶液(抗酸化剤、緩衝液、静菌薬、および製剤を対象のレシピエントの血液と等張にする溶質が含まれうる);ならびに水性および非水性滅菌懸濁液(懸濁化剤および増粘剤が含まれうる)が含まれる。製剤は、単位用量または複数回投与量容器、例えば、密封アンプルおよびバイアル中で提示されてもよく、滅菌液体担体、例えば、注射用水を使用直前で添加することのみを必要とする凍結乾燥条件で保存されてもよい。即時注射溶液および懸濁液はまた、滅菌された散剤、顆粒剤および錠剤から調製されうる。
【0074】
特に上記の成分に加えて、製剤には、当該製剤のタイプを考慮した当該技術分野で慣用的なその他の薬剤が含まれてもよく、例えば、経口投与に適当な製剤には、香味剤が含まれてもよいことが理解されるべきである。
【0075】
用語「患者」には、ヒトおよびその他の哺乳類の両方が含まれる。
【0076】
用語「治療する」は、:(i)疾患、障害または状態が、当該疾患、障害および/または状態にかかりやすいが、まだそれにかかっていると診断されていない患者で生じることを予防し;(ii)疾患、障害または状態を抑え、すなわち、その進行を停止させ;ならびに(iii)疾患、障害または状態を軽減し、すなわち、疾患、障害および/または状態の退縮を生じることを意味する。
【0077】
本発明は、合成プロセスによって、あるいはヒトまたは動物の体内(インビボ)で生じるプロセスを含む代謝プロセスまたはインビトロで生じるプロセスによって調製される式(I)の化合物が包含されるものとされる。
【0078】
特に下記の例示的なスキームおよび実施例に含まれる本出願で用いられる略語は、当業者に周知である。用いられる略語のいくつかは下記のとおりである:O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェートに対してHATU;ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェートに対してBOP;1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩に対してEDCまたはEDCI;O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレートに対してTBTU;;ジクロロメタンに対してDCM;アセテートに対してAcOまたはOAc;メタノールに対してMeOH;イソプロピルに対してiPr;N,N−ジメチルホルムアミドに対してDMF;メチルに対してMe;エチルに対してEt;アリールに対してAr;ベンジルに対してBn;フェニルに対してPh;カルボベンジルオキシに対してCbz;tert−ブチルジメチルシリルに対してTBS;保護基に対してPG;tert−ブトキシカルボニルに対してBocまたはBOC;アゾジカルボン酸ジイソプロピルに対してDIAD;トリエチルアミンに対してTEAまたはEt3N;1,2−ジメトキシエタンに対してDME;水素化アルミニウムリチウムに対してLAH;テトラヒドロフランに対してTHF;トリフルオロ酢酸に対してTFA;エタノールに対してEtOH;室温に対してRTまたはrt;分に対してminまたはmins;時間に対してhまたはhr;ヒドロキニジン1,4−フタラジンジイルジエーテルに対して(DHQD)2PHAL;酢酸エチルに対してEtOAc;イソプロピルアルコールに対してiPrOH;n−ブチルリチウムに対してnBuLi;ヘキサンに対してhex;tert−ブトキシに対してtBuO;n−プロパノールに対してn−PrOH;1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールに対してHOAt;テトラブチルアンモニウムフルオリドに対してTBAF;およびジイソプロピルエチルアミンに対してDIEA。
【実施例】
【0079】
本開示は、その範囲を限定することが意図されていない特定の実施態様について説明される。一方で、本開示は、特許請求の範囲の範囲内に含まれうる全ての代替、改変および均等物を網羅する。よって、下記の実施例は、具体的な実施形態を含み、本開示の1つの実施を例示し、実施例がある態様の例示のためであって、最も有用であり、その手順および概念的な態様の記載を容易に理解されるものと考えられるものを提供するために提示されていることが理解される。
【0080】
本発明の化合物は、この項目に記載される反応および技術、ならびに当業者に公知であるその他の合成方法を用いて製造されうる。これらの反応は、用いられる試薬および物質に適当であり、もたらされる変換に適切な溶媒中で行われる。また、下記に記載の合成方法の説明において、溶媒、反応温度、実験時間およびワークアップ手順の選択を含む全ての推奨される反応条件は、当業者によって容易に認識される反応の標準的な条件であるように選択されるものと考えられる。分子の様々な部分に存在する官能基が推奨される試薬および反応に適合すべきことは、有機合成の当業者によって理解される。かかる反応条件に適合する置換基の制限は、当業者によって容易に理解され、代替する方法も用いられるべきである。
【0081】
式4の化合物は、スキーム1に概略が示される方法によって調製される。式1のアミン化合物は、対応するアシル塩化物によって、またはN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基およびジクロロメタン(DCM)などの溶媒の存在下で標準的なペプチドカップリング試薬、例えば、HATU、BOP、EDC、TBTUを用いて、化合物2などのカルボン酸化合物とカップリングされて、化合物3を生じる。化合物3は、適当なボロン酸[R1B(OH)2]を用いてスズキカップリングされて、式4の化合物を生じる。
スキーム1
【化13】

【0082】
市販品として入手できないアリール シクロプロパンカルボン酸化合物2は、スキーム2に従って調製した。トランス−アクリル酸化合物5は、その対応するアシル塩化物に変換される。アシル塩化物は、(+)−L−2,10−カンファースルタム6と反応して中間体化合物7を生じる。化合物7を、N−メチルニトロソ尿素8から塩基性条件下で調製したジアゾメタンを用いて、Pd(OAc)2の存在下でシクロプロパン化して、中間体化合物9を得た。化合物9は、ベンジルアルコール中のTi(iPrO)4で処理されて、中間体化合物10を供した。化合物10をMeOH中のNaOH溶液で加水分解させて、所望のアリールシクロプロパンカルボン酸化合物2を得る。
スキーム2
【化14】

【0083】
式15の化合物は、スキーム3またはスキーム4に概略が示される方法によって調製される。化合物11を文献(JACS, 1998, 1207-1217)に従ってアミノヒドロキシル化して中間体化合物12を得る。化合物12の保護基が酸性条件下または水素化で除去されて化合物13を生じる。アミノ化合物13は、対応するアシル塩化物によって、またはN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基およびジクロロメタン(DCM)などの溶媒の存在下で標準的なペプチドカップリング試薬、例えば、HATU、BOP、EDC、TBTUを用いて、化合物2などのカルボン酸化合物とカップリングされて、化合物14を生じる。化合物14を適当なボロン酸[R1B(OH)2]とスズキカップリングさせて式1の化合物を得る。
スキーム3
【化15】

【0084】
化合物16は、文献(JACS, 1998, 1207-1217)に従ってアミノヒドロキシル化されて中間体化合物17を供する。両方のベンジルおよびベンジルカルバメート保護基は、水素化によって除去される。アミンがベンジルカルバメートとして再度保護され、フェノールがシリルエーテルとして保護されて化合物19を生じる。化合物19のベンジルカルバメートが水素化によって除去されて化合物20を生じる。アミノ化合物20は、対応するアシル塩化物によって、あるいはN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基およびジクロロメタン(DCM)などの溶媒の存在下で標準的なペプチドカップリング試薬、例えば、HATU、BOP、EDC、TBTUを用いて、化合物2などのカルボン酸化合物とカップリングされて、化合物21を生じる。シリル保護基を除去して、化合物22を供する。次いで、化合物22は、トリフレート化試薬(triflating reagent)と反応させることによって対応するトリフレート化合物23に変換される。化合物23を適当なボロン酸[R1B(OH)2]またはアルキンなどのその他の薬剤で触媒カップリングさせて式15の化合物を得る。
スキーム4
【化16】

【0085】
式29の化合物は、スキーム5に概略が示される方法によって調製される。化合物24を文献(JACS, 1998, 1207-1217)に従ってアミノヒドロキシル化して中間体化合物25を得る。化合物25のアミノ保護基が水素化または酸性条件下で除去されて、化合物26を生じる。アミノ化合物26は、対応するアシル塩化物によって、あるいはN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基およびジクロロメタン(DCM)などの溶媒の存在下で標準的なペプチドカップリング試薬、例えば、HATU、BOP、EDC、TBTUを用いて、化合物2などのカルボン酸化合物とカップリングされて化合物27を生じる。化合物27のフェノール保護基が除去されて、フェノール化合物28を供する。化合物28を塩基性条件下で適当なアルキル化剤でアルキル化して、式29の化合物を得る。あるいは、化合物25のフェノール保護基が最初に除去されてフェノール化合物30を生じる。化合物30を塩基性条件下にて適当なアルキル化剤でアルキル化して化合物31を得る。次いで、化合物31のアミノ保護基を水素化または酸性条件下で除去して、化合物32を得る。アミノ化合物32は、対応するアシル塩化物によって、あるいはN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基およびジクロロメタン(DCM)などの溶媒の存在下で標準的なペプチドカップリング試薬、例えば、HATU、BOP、EDC、TBTUを用いて、化合物2などのカルボン酸化合物とカップリングされて式29の化合物を生じる。
スキーム5
【化17】

【0086】
式37の化合物は、スキーム6に概略が示される方法によって調製される。N−Boc保護アミノ酸33は、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基および溶媒の存在下で標準的なペプチドカップリング試薬、例えば、HATU、BOP、EDC、TBTUを用いて、N−メチルピペラジンとカップリングされてアミド化合物34を生じる。化合物34のアミノ保護基が酸性条件下で除去されて、化合物35を供する。化合物35を水素化アルミニウムリチウムで処理してアミド官能基を還元して、化合物36を得る。アミン化合物36は、対応するアシル塩化物によって、あるいはN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基およびジクロロメタン(DCM)などの溶媒の存在下で標準的なペプチドカップリング試薬、例えば、HATU、BOP、EDC、TBTUを用いて、化合物2などのカルボン酸化合物とカップリングされて式37の化合物を生じる。
スキーム6
【化18】

【0087】
式45の化合物は、スキーム7に概略が示される方法によって調製される。化合物38におけるアミン基がt−ブチルカルバメートとして保護されて、化合物39を生じる。次いで、化合物39におけるフェノール基がシリル エーテルとして保護されて、化合物40を生じる。化合物40は、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基および溶媒の存在下で標準的なペプチドカップリング試薬、例えば、HATU、BOP、EDC、TBTUを用いて、N−メチル ピペラジンとカップリングされて、アミド化合物41を生じる。化合物41におけるアミド官能基を還元して、化合物42を得る。化合物42をテトラブチルアンモニウムフルオリドで処理してシリル基を除去して、化合物43を供する。化合物43を塩基性条件下で適当なアルキル化剤でアルキル化して、化合物44を得る。t−ブチル カルバメート基を酸性条件下で除去し、続いて、対応するアシル塩化物によって、あるいはN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基およびジクロロメタン(DCM)などの溶媒の存在下で標準的なペプチドカップリング試薬、例えば、HATU、BOP、EDC、TBTUを用いて、化合物2などのカルボン酸化合物とカップリングさせて、式45の化合物を得る。
スキーム7
【化19】

【0088】
式47の化合物は、スキーム8に概略が示される方法によって調製される。化合物15をフタルイミドでミツノブ反応させて化合物46を供する。化合物46をヒドラジンで処理して化合物47を得る。
スキーム8
【化20】

【0089】
式54の化合物は、スキーム9に概略が示される方法によって調製される。式48のアミン化合物は、Protective Groups in Organic Synthesis (Greene, Wuts; 3rd ed., 1999, John Wiley & Sons, Inc.)に記載の適当な保護基試薬、好ましくは、t−ブチルカルバメートで保護される。反応がN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの適当な塩基の存在下で行われて、boc保護化合物49を生じる。化合物49におけるヒドロキシル基のアルキル化は、化合物49をテトラヒドロフランまたは塩化メチレンなどの不活性溶媒中のアルコール(R’OH)、トリフェニルホスフィン、アゾジカルボキシレートエステルRc2CN=NCO2c(ここで、Rcは、低級アルキルである)で、0℃から150℃の範囲の温度で処理することによって達成される。ホスフィン、溶媒またはアゾジカルボキシレートエステルの選択は、ミツノブ(Mitsunobu, O. Synthesis 1981, 1)によって記載されるような有機化学の当業者に公知である。化合物50におけるエステルの還元は、テトラヒドロフランおよびエタノールの混合液中の塩化リチウムの存在下で水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素リチウムまたは水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤の存在中で行われて、中間体51を生じる。化合物51をフタルイミドでミツノブ反応を生じさせて、化合物52を供する。t−ブチル カルバメート基を酸性条件下で除去し、対応するアシル塩化物によって、あるいはN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基およびジクロロメタン(DCM)などの溶媒の存在下で標準的なペプチドカップリング試薬、例えば、HATU、BOP、EDC、TBTUを用いて、化合物2などのカルボン酸化合物とカップリングさせて、化合物53を生じる。化合物53をヒドラジンで処理して、式54の化合物を得る。
スキーム9
【化21】

【0090】
スキーム1〜9を用いて合成された様々な類似体は、表1に列挙される。
表1
【化22】

【表1】

【0091】
下記の実施例において、全ての温度は摂氏温度で示す。融点は、Meltemp 3.0 Laboratory Device,Inc.キャピラリー融点装置(capillary melting point apparatus)で記録し、修正していない。陽子磁気共鳴(1H NMR)スペクトルは、Bruker Avance 300、Bruker Avance 400またはBruker Avance 500分光計で記録した。全てのスペクトルは、示される溶媒中で調べ、化学シフトは、内部標準テトラメチルシラン(TMS)から低磁場のδ単位で示し、プロトン間の結合定数をヘルツ(Hz)で示す。多重度パターンは以下のとおりに表記される:s,一重項;d,二重項;t,三重項;q,四重項;m,多重項;br,広域ピーク;dd,二重項の二重項;br d,広域ニ重項;dt,三重項の二重項;br s,広域一重項;dq,四重項の二重項。赤外線(IR)スペクトルは、臭化カリウム(KBr)または塩化ナトリウムフィルムを用いて、Jasco FT/IR−410またはPerkin Elmer 2000 FT−IR分光計で4000cm-1から400cm-1にて調べ、ポリスチレンフィルムの1601cm-1吸収に較正し、逆数センチメーター(cm-1)で示した。旋光度[α]Dは、示される溶媒中にてRudolph Scientific Autopol IV偏光計で測定し;濃度をmg/mLで示す。低分解能質量スペクトル(MS)および見掛けの分子(MH+)または(M−H)+は、Finnegan SSQ7000で決定した。高分解能質量スペクトルは、Finnegan MAT900で決定した。液体クロマトグラフィー(LC)/質量スペクトルは、Water Micromass ZQに接続した島津LCで行った。
【0092】
実施例1
(1S,2S)−2−フェニル−シクロプロパンカルボン酸[(S)−1−(4’−メトキシ−ビフェニル−4−イル)−プロピル]−アミド
【化23】


パートA.(1S,2S)−2−フェニル−シクロプロパンカルボン酸[(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−プロピル]−アミド
ジクロロメタン(10mL)中の(1S,2S)−2−フェニル−シクロプロパンカルボン酸(170mg,1.05mmol)溶液に、シュウ酸ジクロリド(145mg,1.2mmol)、続いて数滴のN,N−ジメチルホルムアミドを室温で加えた。反応混合液を室温で45分間撹拌し、濃縮し、ジクロロメタン(1.5ml)中に溶解させた。該溶液を、ジクロロメタン(10ml)中の(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−プロピルアミン(250mg,1.0mmol,HCl塩)およびトリエチルアミン(222mg,2.2mmol)溶液に0℃でゆっくり加えた。生じた反応混合液を室温で1.5時間撹拌した。水を加え、水層をジクロロメタンにより抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製して、(1S,2S)−2−フェニル−シクロプロパンカルボン酸[(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−プロピル]−アミド(330mg,92%)を得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.37 (d, J=8.6 Hz, 2 H), 7.15 - 7.23 (m, 2 H), 7.11 (d, J=7.3 Hz, 1 H), 7.08 (d, J=8.3 Hz, 2 H), 6.98 (d, J=7.3 Hz, 2 H), 5.75 (d, J=7.6 Hz, 1 H), 4.77 (q, J=7.5 Hz, 1 H), 2.31 - 2.41 (m, 1 H), 1.65 - 1.81 (m, 2 H), 1.48 - 1.59 (m, 2 H), 1.12 - 1.23 (m, 1 H), 0.82 (t, J=7.4 Hz, 3 H); LRMS ( ESI) (M + 1) = 360.04. 分子式=C19H20BrNO.
【0093】
パートB.(1S,2S)−2−フェニル−シクロプロパンカルボン酸[(S)−1−(4’−メトキシ−ビフェニル−4−イル)−ロピル]−アミド
ジメトキシエタン(2ml)および水(0.6ml)中の(1S,2S)−2−フェニル−シクロプロパンカルボン酸[(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−プロピル]−アミド(60mg,0.17mmol)、4−メトキシフェニルボロン酸(51mg,0.34mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)とジクロロメタンとの錯体(1:1)(13mg,0.017mmol)およびリン酸カリウム(72mg,0.34mmol)の懸濁液を、160℃で5分間加熱するマイクロ波にかけた。該反応混合液を水酸化ナトリウム(1N,水溶液)で洗浄し、これを酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製して、(1S,2S)−2−フェニル−シクロプロパンカルボン酸[(S)−1−(4’−メトキシ−ビフェニル−4−イル)−ロピル]−アミド(20.4mg,収率31%)を得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.43 (dd, J=8.3, 2.8 Hz, 4 H), 7.25 (d, J=8.1 Hz, 2 H), 7.17 (d, J=7.8 Hz, 2 H), 7.06 - 7.13 (m, 1 H), 6.99 (d, J=7.3 Hz, 2 H), 6.89 (d, J=8.6 Hz, 2 H), 5.76 (d, J=7.6 Hz, 1 H), 4.81 - 4.92 (m, 1 H), 2.35 - 2.45 (m, 1 H), 1.73 - 1.89 (m, 2 H), 1.51 - 1.62 (m, 2 H), 1.19 (br. s., 2 H), 1.12 - 1.25 (m, 2 H), 0.86 (t, J=7.3 Hz, 3 H); LRMS (ESI) = 386.2, [(M + 1)+ C26H28NO2についての計算値 386.5].
【0094】
実施例2
(1R,2R)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸[(R)−2−ヒドロキシ−1−(4’−メチル−ビフェニル−4−イル)−エチル]−アミド
【化24】


パートA.[(R)−1−(4−ブロモ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
n−プロパノール(20ml)中のt−ブチルカルバメート(1.82g,15.5mmol)の溶液に、水酸化ナトリウム溶液(1N,15.25mol)を加え、次いで新たに調製した次亜塩素酸t−ブチル(1.75mL,15.25mmol)を加えた。該混合物を室温で5分間攪拌した。次いで、この反応混合液を氷浴に置き、n−プロパノール(20ml)中の(DHQD)2PHAL(0.234g,0.3mmol)およびn−プロパノール(35ml)中の1−ブロモ−4−ビニル−ベンゼン(915mg,5mmol)を順次加え、6分間攪拌した。K2OSO22H2O(0.074g,0.2mmol)を0℃で直接加えた。最終反応混合液を1.5時間撹拌して、淡黄色の清澄な溶液を調製した。亜硫酸ナトリウム(50ml)の飽和溶液を加えて、反応を0℃でクエンチした。過剰なn−プロパノールを高真空中で除去した。水層を酢酸エチルにより抽出した(3x30ml)。有機層を合わせて、食塩水で洗浄し(2x30ml)、次いでMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、黄色の粗固形物を得た。粗生成物を、ヘキサン中で0%〜100%の酢酸エチルのグラジエントを用いてシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色の固形物を得た(920mg,収率58%)。
【0095】
パートB.(R)−2−アミノ−2−(4−ブロモ−フェニル)−エタノール
MeOH(15ml)中の[(R)−1−(4−ブロモ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−カルバミン酸t−ブチルエステル(946mg,3mmol)溶液を、ジオキサン中のHCl(4M,15ml)で1.5時間処理した。混合液を濃縮して、表題化合物(755mg,100%)を白色の固形物として得た。
【0096】
パートC.(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸[(R)−1−(4−ブロモ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−アミド
DCM(15ml)中の(1S,2S)−2−チオフェン−2イル−シクロプロパンカルボン酸(655mg,3.9mmol)の溶液に、シュウ酸クロリド(DCM中で2M、2.14ml)および数滴のDMFを加えた。混合物を3時間攪拌し、次いで濃縮した。残渣をDCM中で懸濁させ、再度濃縮した。該工程を2回より多く繰り返した。
【0097】
上記残渣(2.5mmol)をDCM(2.5ml)中に懸濁させた。該懸濁液に、(R)−2−アミノ−2−(4−ブロモ−フェニル)−エタノール(600mg,2.38mmol)およびトリエチルアミン(660μl,4.76mmol)を加えた。生じた混合物を室温で20分間攪拌した。反応混合液を飽和NaHCO3溶液に注ぎ入れ、EtOAcで3回抽出した。EtOAc層を合わせて、乾燥させ(MgSO4)、濃縮した。該残渣を、フラッシュゲルシリカカラム(DCM中の30% EtOAc)にかけて、表題化合物(560mg,64%)を得た。
【0098】
パートD.(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸[(R)−2−ヒドロキシ−1−(4’−メチル−ビフェニル−4−イル)−エチル]−アミド
DME/H2O(3/1,2ml)中の(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸[(R)−1−(4−ブロモ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−アミド(560mg,1.53mmol)、K3PO4(650mg,3.0mmol))およびp−トリルボロン酸(310mg,2.3mmol)の混合液を、N2に通し、次いでPd(PPh34(178mg,0.153mmol)を加えた。混合物を密封した管の中にて85℃で1.5時間攪拌した。反応混合液を1N NaOHに注ぎ入れ、EtOAcで抽出した(3x)。EtOAc層を合わせて、MgSO4で乾燥させた。溶媒を除去し、残渣を、シリカカラム(DCM中で50% EtOAc、次いでDCM中で10% MeOH)にかけた。得られた生成物を結晶化(iPrOH/EtOAc)およびPrep HPLCによってさらに精製して、表題化合物(275mg)を得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.6 (d, J=8.1 Hz, 2 H), 7.5 (d, J=7.8 Hz, 2 H), 7.4 (d, J=8.1 Hz, 2 H), 7.2 (d, J=7.6 Hz, 2 H), 7.1 (t, J=5.4 Hz, 1 H), 6.8 - 7.0 (m, 2 H), 5.0 (dd, J=5.4, 1.9 Hz, 1 H), 3.7 - 3.8 (m, 2 H), 2.5 - 2.7 (m, 1 H), 2.4 (s, 3 H), 2.1 (t, J=8.7 Hz, 1 H), 1.4 - 1.6 (m, 1 H), 1.2 (ddd, 1 H). LRMS (ESI) = 378, [(M + 1)+ C23H24NO2Sについての計算値 377.5].
【0099】
実施例3
(1S,2S)−2−フェニル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−1−[4−(2−エチル−ブトキシ)−2−メトキシ−フェニル]−2−ヒドロキシ−エチル}−アミド
【化25】


パートA.4−ベンジルオキシ−2−メトキシ−1−ビニル−ベンゼン
0℃で60mL THF中のメチルトリフェニル−ホスホニウムブロミド(2.66g,7.43mmol)の懸濁液に、4.6mL(7.43mmol)の1.6M nBuLiを加えた。生じた混合物を0℃で1時間撹拌し、続いて、15mL THF中に溶解させたアルデヒド化合物(1.5g,6.2mmol)をゆっくり加えた。氷浴を取り外し、室温で2時間攪拌した。次いで、これをエーテルで希釈し、水でクエンチした。有機層を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。これを1〜5のEtOAc/ヘキサンを用いてISCOで精製して、908mg(61%)のスチレンを得た。
【0100】
パートB.[(R)−1−(4−ベンジルオキシ−2−メトキシ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
6.3mLのn−プロパノール中に懸濁させた569mg(4.86mmol)のt−ブチルカルバメートに、4.8mLの1N NaOH(4.8mmol)および新たに調製したtBuOCl(548μl,4.8mmol)を加え、続いて室温で8分間攪拌した。続いて、これを0℃に冷却し、6.3mLのn−PrOH中に溶解させた触媒(DHQD)2PHAL(73.2mg,0.094mmol)を加えた。続いて、11mLのn−PrOH中に溶解させたスチレン(307mg,1.28mmol)を加え、さらに8分攪拌した。続いて、K2OSO4・2H2O(23mg,0.063mmol)を直接加え、生じた混合物を0℃で1.5時間撹拌した。茶色から淡赤色、橙色、そして最終的に淡黄色へと数回の色の変化が見られた。EtOAcで希釈し、Na223溶液でクエンチした。有機層を分離し、水層をEtOAcで抽出した。有機層を合わせて、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮した。これを、5〜50% EtOAc/ヘキサンを用いてISCOで精製して、146mg(30%)の表題化合物を得た。
【0101】
パートC.[(R)−2−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−フェニル)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
MeOH(4ml)中の[(R)−1−(4−ベンジルオキシ−2−メトキシ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(136mg,0.365mmol)およびPd/C(〜10mg)の混合物をH2(1atm)下にて終夜攪拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮して、表題化合物(100mg,100%)を得た。
【0102】
パートD.{(R)−1−[4−(2−エチル−ブトキシ)−2−メトキシ−フェニル]−2−ヒドロキシ−エチル}−カルバミン酸tert−ブチル エステル
1mL DMF中に溶解させた34mg(0.122mmol)の[(R)−2−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−フェニル)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルおよび2−エチルブチルブロミド(20μl,0.182mmol)に、K2CO3(34mg,0.244mmol)を加え、60℃で終夜加熱した。これを室温に冷まし、エーテルで希釈し、水でクエンチした。有機層を水および食塩水で洗浄し、続いてMgSO4で乾燥させた。溶媒を除去し、残渣をフラッシュカラム(ヘキサン中の35% EtOAc)で精製して表題化合物(24mg,54%)を得た。
【0103】
パートE.(1S,2S)−2−フェニル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−1−[4−(2−エチル−ブトキシ)−2−メトキシフェニル]−2−ヒドロキシ−エチル}−アミド
{(R)−1−[4−(2−エチル−ブトキシ)−2−メトキシ−フェニル]−2−ヒドロキシ−エチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(24mg,0.0654mmol)を1mLのMeOH中に溶解させ、0℃に冷却した。続いて、ジオキサン中のHCl(4M,330μL,1.31mmol)をゆっくり加え、反応液を室温で4時間撹拌した。これを濃縮して、アミノアルコール化合物をHCl塩として得た。これをDCM(1mL)中に溶解させ、TEA(20μL,0.13mmol)を加え、続いてDCM中の(1S,2S)−2−フェニル−シクロプロパンカルボニルクロリド溶液(1M,0.65mL,0.65mmol,実施例1に記載されるように調製した)を加えた。生じた反応混合物を室温で1.5時間撹拌した。水を加え、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(9mg)を得た。1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 7.0 (t, J=7.5 Hz, 2 H), 6.9 - 7.0 (m, 4 H), 6.3 (d, J=2.5 Hz, 1 H), 6.3 (dd, J=8.3, 2.3 Hz, 1 H), 5.1 (td, J=8.1, 4.8 Hz, 1 H), 3.7 (d, J=5.6 Hz, 2 H), 3.6 (s, 3 H), 3.5 (dd, J=11.2, 4.7 Hz, 1 H), 3.4 (dd, J=11.1, 7.8 Hz, 1 H), 2.1 (dd, J=6.6, 2.5 Hz, 1 H), 1.8 (t, J=8.8 Hz, 1 H), 1.4 - 1.5 (m, 1 H), 1.3 (dq, J=14.8, 7.3 Hz, 5 H), 1.0 (ddd, J=8.3, 6.3, 4.3 Hz, 1 H), 0.7 (t, J=7.6 Hz, 6 H). LRMS (ESI) = 412, [(M + 1)+ C25H34NO4についての計算値 411.5].
【0104】
実施例4
(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸[(R)−1−(4’−エチル−ビフェニル−4−イル)−2−ヒドロキシ−エチル]−アミド
【化26】


本実施例化合物は、(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸および4−エチルフェニルボロン酸を用いて実施例2と同様に調製した。1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 7.6 (d, J=8.1 Hz, 2 H), 7.5 (d, J=8.3 Hz, 2 H), 7.4 (d, J=8.3 Hz, 2 H), 7.3 (d, J=8.1 Hz, 2 H), 7.2 (d, J=5.3 Hz, 1 H), 6.9 - 7.0 (m, 1 H), 6.9 (d, J=3.5 Hz, 1 H), 5.1 (t, J=6.4 Hz, 1 H), 3.7 - 3.9 (m, 2 H), 2.7 (q, J=7.7 Hz, 2 H), 2.5 (dd, J=5.7, 3.9 Hz, 1 H), 2.1 (ddd, J=8.7, 4.8, 4.5 Hz, 1 H), 1.6 (ddd, J=9.0, 4.8, 4.6 Hz, 1 H), 1.3 (t, J=7.6 Hz, 4 H). LRMS (ESI) = 392, [(M + 1)+ C24H26NO2Sについての計算値 391.5].
【0105】
実施例5
(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸[(R)−2−ヒドロキシ−1−(4’−メチル−ビフェニル−4−イル)−エチル]−アミド
【化27】


本実施例化合物は、(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸を用いて実施例2と同様に調製した。1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 7.5 (d, J=8.1 Hz, 2 H), 7.4 (d, J=8.1 Hz, 2 H), 7.3 (d, J=8.1 Hz, 2 H), 7.1 (d, J=7.8 Hz, 2 H), 7.0 (d, J=4.5 Hz, 1 H), 6.8 (d, J=5.1 Hz, 1 H), 6.7 (d, J=3.0 Hz, 1 H), 4.9 - 5.0 (m, 1 H), 3.6 - 3.8 (m, 2 H), 2.5 (dd, J=12.9, 6.1 Hz, 1 H), 2.3 (s, 3 H), 1.8 - 2.0 (m, 1 H), 1.5 (ddd, J=9.1, 4.9, 4.7 Hz, 1 H), 1.2 (ddd, 1 H). LRMS (ESI) = 378, [(M + 1)+ C23H24NO2Sについての計算値 377.5].
【0106】
実施例6
(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−2−ヒドロキシ−1−[4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−エチル}−アミド
【化28】


パートA.(R)−t−ブトキシカルボニルアミノ−(4−ヒドロキシ−フェニル)−酢酸メチルエステル
(R)−(−)−2−フェニルグリシンメチルエステル塩酸塩(2.17g,10mmol)および二炭酸ジ−t−ブチル(2.62g,12mmol)をテトラヒドロフラン(100ml)中で合わせた。トリエチルアミン(1.60mL,22mmol)を室温でシリンジにより該混合物に加えた。反応混合物を室温で終夜攪拌した。次いで反応混合液中のTHFを減圧中で除去した。飽和NH4Cl水溶液および酢酸エチルを分液漏斗中の混合液に加えた。水層を酢酸エチルで抽出した(3x40ml)。有機層を合わせて、飽和NH4Cl水溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、白色の固形物を得た(3.08g,粗生成物):1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.20 (d, J=8.1 Hz, 2 H), 6.77 (m, 2 H), 5.73 (br. s., 1 H), 5.56 (br. s., 1 H), 5.25 (d, J=6.6 Hz, 1 H), 3.73 (s, 3 H), 1.46 (s, 9 H) LCMS(ESI) m/e 282.1 [(M+H)+, C14H20NO5についての計算値 282.3].
【0107】
パートB.[(R)−2−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−エチル]−カルバミン酸t−ブチルエステル
(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−(4−ヒドロキシ−フェニル)−酢酸メチルエステル(10mmol)、水素化ホウ素リチウム(1.089g,50mmol)およびTHF(50ml)を合わせて、室温で終夜攪拌した。反応混合液に氷(20ml)を攪拌しながら加えた。続いて、飽和クエン酸を泡が発生しなくなるまで滴下して加えた。反応混合液を分液漏斗に移した。水層を酢酸エチルで抽出した(3x30ml)。有機層を合わせて、飽和NH4Clおよび水で順次洗浄し、続いてMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、ある程度の不純物を含む白色の粗固形物(2.92g,粗生成物)を得た:1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 7.14 (d, J=8.6 Hz, 2 H), 6.76 (d, J=8.6 Hz, 2 H), 4.56 (m, 1 H), 3.63 (m, 2 H), 1.43 (s, 9 H); LCMS (ESI) m/e 254.1 [(M+H)+, C13H20NO4についての計算値 254.3].
【0108】
パートC.{(R)−2−ヒドロキシ−1−[4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−エチル}−カルバミン酸t−ブチルエステル
[(R)−2−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−エチル]−カルバミン酸t−ブチルエステル(10mmol)、(S)−2−メチルブチルブロミド(2.60g,17mmol)およびCs2CO3(7.47g,23mmol)をDMF(50ml)中で合わせた。反応混合液を70℃で終夜加熱した。飽和NH4Clを加えて反応をクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出した(3x20ml)。有機層を合わせて、食塩水で洗浄し、続いてMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、白色の粗固形物を得た。粗生成物を、シリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の0%〜50% 酢酸エチル)により精製して、表題化合物(2.09g,65% 3工程の収率)を白色の固形物として得た:1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.22 (d, J=8.6 Hz, 2 H), 6.90 (m, 2 H), 5.13 (d, J=6.6 Hz, 1 H), 4.73 (br. s., 1 H), 3.83 (m, 3 H), 3.74 (m, 1 H), 2.39 (br. s., 1 H), 1.87 (m, 1 H), 1.58 (m, 1 H), 1.42 (m, 9 H), 1.29 (m, 1 H), 1.01 (m, 3 H), 0.96 (m, 3 H); LCMS (ESI) m/e 324.2 [(M+H), C18H30NO4についての計算値 324.4].
【0109】
パートD.(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−2−ヒドロキシ−1−[4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−エチル}−アミド HCl
氷浴内のジクロロメタン(30ml)中の{(R)−2−ヒドロキシ−1−[4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−エチル}−カルバミン酸t−ブチルエステル(2.09g,6.47mmol)の溶液に、1,4−ジオキサン中の4M HCl(10ml)を加えた。続いて、最終混合液を室温で2時間攪拌した。過剰な溶媒を減圧下で除去して、白色の固形物を得て、そのまま次の工程に用いた。
【0110】
パートE.(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−2−ヒドロキシ−1−[4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−エチル}−アミド
氷浴内のジクロロメタン(50ml)中の(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸(1.08g,6.45mmol)の溶液に、シュウ酸クロリド(6.50mL,64.4mmol)、続いてDMF(0.1ml)を窒素下で加えた。反応混合物を0℃で30分間攪拌した。過剰な溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、高真空下で2時間乾燥させて、(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸クロリドを得た。別の250mL 丸底フラスコに、窒素下にて氷冷浴中で{(R)−2−ヒドロキシ−1−[4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−エチル}−アミドHCl(6.47mmol)、ジクロロメタン(60ml)およびトリエチルアミン(4.30ml,32.35mmol)を入れた。ジクロロメタン(10ml)中の新たに調製した(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸クロリドを、反応混合液中に滴下して加えた。最終反応混合液を室温で1.5時間撹拌した。最終反応液を水でクエンチした。有機層を食塩水で洗浄し(3x30ml)、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、ヘキサン中で0%〜100%の酢酸エチルのグラジエントを用いてシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色の固形物(1.42g,収率58%)を得た:1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.25 (d, J=8.6 Hz, 2 H), 7.09 (m, 1 H), 6.91 (m, 3 H), 6.82 (d, J=3.5 Hz, 1 H), 6.23 (d, J=6.1 Hz, 1 H), 5.06 (td, J=6.3, 4.3 Hz, 1 H), 3.91 (m, 2 H), 3.78 (m, 2 H), 2.75 (m, 2 H), 1.88 (m, 1 H), 1.70 (m, 2 H), 1.58 (m, 1 H), 1.29 (m, 2 H), 1.03 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 0.96 (t, J=7.5 Hz, 3 H); LCMS (ESI) m/e 374.2 [(M+H)+, C21H28NO3Sについての計算値 374.5].
【0111】
実施例7
(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−1−[4−(2−エチル−ブトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−エチル}−アミド
【化29】

パートA.[(R)−2−ヒドロキシ−1−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル
16mL n−プロパノール中に懸濁させた1.88g(12.4mmol)のカルバミン酸ベンジルに、12.2mLの1N NaOH(12.2mmol)、続いて新たに調製したtBuOCl(1.4mL,12.2mmol)を加え、次いで室温で8分間攪拌した。続いて、これを0℃に冷却し、14mLのn−PrOH中に溶解させた触媒(DHQD)2PHAL(156mg,0.2mmol)を加えた。これに20mL n−PrOH中に溶解させたスチレン(538μL,4mmol)を加え、さらに8分間攪拌した。次いで、K2OSO4・2H2O(58.8mg,0.16mmol)を直接加え、生じた混合物を0℃で1.5時間撹拌した。茶色から淡赤色、橙色、そして最終的に淡黄色へと数回の色の変化が見られた。EtOAcで希釈し、Na223溶液でクエンチした。有機層を分離し、水層をEtOAcで抽出した。有機層を合わせて、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮した。これを20〜40% EtOAc/ヘキサンを用いてフラッシュカラムで精製して、761mg(63%)の生成物を得た。
【0112】
パートB.(R)−2−アミノ−2−(4−メトキシ−フェニル)−エタノール
MeOH(8mL)中の[(R)−2−ヒドロキシ−1−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(761mg,2.53mmol)およびPd/C(76mg)の混合物を、H2(1atm)下で1.5時間撹拌した。該混合液を濾過し、濾液を濃縮して表題化合物(432mg,100%)を得た。
【0113】
パートC.(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸[(R)−2−ヒドロキシ−1−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−アミド
(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボニルクロリド溶液(3mLのDCM中で0.78mmol,実施例6に記載されるように調製した)を、DCM(3mL)中の(R)−2−アミノ−2−(4−メトキシ−フェニル)−エタノール(130.3mg,0.78mmol)の溶液、続いてDIEA(277.2μL,1.56mmol)に加えた。反応液をH2O/EtOAcでクエンチし、ワークアップを行った。有機層を乾燥させ(MgSO4)、溶媒を除去した。残渣をフラッシュカラムにかけて表題化合物(105mg,43%)を得た。
【0114】
パートD.(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸[(R)−2−ヒドロキシ−1−[4−ヒドロキシ−フェニル)−エチル]−アミド
−10℃でDCM(3mL)中の(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸[(R)−2−ヒドロキシ−1−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−アミド(105mg,0.331mmol)の懸濁液に、BBr3(1M,0.994mL,0.994mmol)を加えた。該混合液を−10℃から−5℃の間で1時間撹拌した。NaHCO3/HClでワークアップを行い、粗生成物を得て、フラッシュカラムでさらに精製して(DCM中で5% MeOH)、表題生成物を得た(70mg,70%)。
【0115】
パートE.(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−2−ヒドロキシ−1−[4−(2−エチル−ブトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−エチル}−アミド
0.8mL DMF中に溶解させた(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸[(R)−2−ヒドロキシ−1−[4−ヒドロキシ−フェニル)−エチル]−アミド(35mg,0.105mmol)の溶液に、2−エチルブチルブロミド(38mg,0.231mmol)、続いてK2CO3(32mg,0.231mmol)を加えた。これを60℃で攪拌しながら終夜加熱した。翌日、室温に冷まし、エーテルで希釈し、水でクエンチした。有機層を水および食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮した。続いて、これをフラッシュカラムで精製して(DCM中で20−40% EtOAc)、表題化合物(26mg,58%)を得た。1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 5.8 (d, J=8.6 Hz, 2 H), 5.7 (dd, J=5.2, 1.1 Hz, 1 H), 5.4 (d, J=8.6 Hz, 3 H), 5.3 (d, J=3.5 Hz, 1 H), 3.4 - 3.5 (m, 1 H), 2.4 (d, J=5.6 Hz, 2 H), 2.2 (dd, J=6.6, 3.0 Hz, 2 H), 1.0 (dd, J=6.3, 2.5 Hz, 1 H), 0.5 (ddd, J=8.6, 4.7, 4.4 Hz, 1 H), 0.1 - 0.2 (m, 1 H), -0.1 - 0.1 (m, J=15.1, 7.7, 7.6, 7.6 Hz, 5 H), -0.2 (ddd, J=8.5, 6.2, 4.3 Hz, 1 H), -0.5 (t, J=7.5 Hz, 6 H). LRMS (ESI) = 388, [(M + 1)+ C22H30NO3Sについての計算値 387.5].
【0116】
実施例8
(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−1−[4−(2−エチル−ブトキシ)−2−メチル−フェニル]−2−ヒドロキシ−エチル}−アミド
【化30】

本実施例化合物は、4−メトキシ−2−メチル−1−ビニル−ベンゼンを出発物質として実施例7のように調製した。1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 7.2 (d, J=8.8 Hz, 1 H), 7.1 (dd, J=5.1, 1.3 Hz, 1 H), 6.9 (t, J=3.5 Hz, 1 H), 6.8 (d, J=2.8 Hz, 1 H), 6.7 - 6.8 (m, 2 H), 5.2 (dd, J=7.6, 5.8 Hz, 1 H), 3.9 (d, J=5.6 Hz, 2 H), 3.6 - 3.7 (m, 2 H), 2.5 (dd, J=5.7, 4.2 Hz, 1 H), 2.4 (s, 3 H), 2.0 (ddd, J=8.6, 4.7, 4.4 Hz, 1 H), 1.6 - 1.7 (m, 1 H), 1.4 - 1.6 (m, 5 H), 1.2 (ddd, J=8.4, 6.1, 4.4 Hz, 1 H), 0.9 (t, J=7.5 Hz, 6 H). LRMS (ESI) = 402, [(M + 1)+ C23H32NO3Sについての計算値 401.6].
【0117】
実施例9
(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−2−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−エチル}−アミド
【化31】


パートA.4−ベンジルオキシ−2−メチル−1−ビニル−ベンゼン
0℃で150mL THF中のメチルトリフェニル−ホスホニウムブロミド(18.95g,53.05mmol)の懸濁液に、31.8mL(50.84mmol)の1.6M nBuLiを加えた。生じた混合物を0℃で1時間撹拌し、続いて40mLのTHF中に溶解させたアルデヒド(10.0g,44.21mmol)をゆっくり加えた。氷浴を取り外し、室温で2時間攪拌した。次いで、これをエーテルで希釈し、水でクエンチした。有機層を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。これを、1〜5のEtOAc/ヘキサンを用いてISCOで精製して、9.67g(97%)のスチレンを得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.33 - 7.48 (m, 6 H), 6.90 (dd, J=17.4, 10.9 Hz, 1 H), 6.80 - 6.85 (m, 2 H), 5.56 (dd, J=17.4, 1.5 Hz, 1 H), 5.21 (dd, J=10.9, 1.5 Hz, 1 H), 5.09 (s, 2 H), 2.36 (s, 3 H).
【0118】
パートB.[(R)−1−(4−ベンジルオキシ−2−メチル−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
100mLのプロパノール中に懸濁させた15.36g(131.1mmol)のtert−ブトキシカルバメートに、150mLの0.87M NaOH(131.1mmol)、次いで新たに調製したtBuOCl(14.9g,131.1mmol)を加え、続いて室温で8分間攪拌した。次に、これを0℃に冷却し、30mLのPrOH中に溶解させた触媒(DHQD)2PHAL(2.0g,2.59mmol)を加えた。これに20mLのPrOH中に溶解させたスチレン(9.64g,42.99mmol)を加え、さらに8分間攪拌した。続いて、K2OSO4・2H2Oを直接加え、生じた混合物を0℃で1.5時間撹拌した。茶色から淡赤色、橙色、そして最終的に淡黄色へと数回の色の変化が見られた。EtOAcで希釈し、Na223溶液でクエンチした。有機層を分離し、水層をEtOAcで抽出した。有機層を合わせて、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮した。これをISCOで5−50%のEtOAc/ヘキサンを用いて精製して、8.5g(55%)の生成物を得た。
【0119】
パートC.[(R)−2−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−2−メチル−フェニル)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
45mLのMeOH中に溶解させたベンジル保護フェノール(1.48g,4.15mmol)を含有する500mLのフラスコに、Pd−C(0.35g,0.33mmol)を加えた。空気を除去し、反応物を水素ガスのバルーン下で激しく攪拌した。2時間後、これを珪藻土(セライト(登録商標))のパッドに通して濾過し、濃縮して、984mg(88%)の生成物を得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.37 - 7.47 (m, 4 H), 7.31 - 7.37 (m, 1 H), 7.25 - 7.30 (m, 2 H), 7.16 (d, J=8.3 Hz, 1 H), 6.78 - 6.87 (m, 2 H), 6.71 - 6.77 (m, 1 H), 4.88 - 5.02 (m, 1 H), 3.81 (br. s., 2 H), 2.38 (s, 3 H), 1.33 - 1.52 (m, 9 H); m/e LCMS 計算値 358.2 [(M+1)+, C21H27NO4 357.2].
【0120】
パートD.{(R)−2−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−エチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
10mL DMF中に溶解させたフェノール(969mg,3.36mmol)の溶液に、臭化アルキル(658mg,4.36mmol)、続いてK2CO3(753mg,5.46mmol)を加えた。これを攪拌しながら50℃で終夜加熱した。翌日、これを室温に冷まし、エーテルで希釈し、水でクエンチした。有機層を水および食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮した。次いで、これを5〜50 EtOAc/ヘキサンを用いてISCOで精製して、1.17g(96%)の生成物を得た。
【0121】
パートE.(R)−2−アミノ−2−[2−メチル−4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−エタノール
Boc保護アミノアルコール化合物(1.15g,3.41mmol)を25mLのMeOH中に溶解し、0℃に冷却した。次いで、塩化アセチル(2.68g,34.1mmol)をゆっくり加え、反応液を0℃で4時間撹拌した。これを濃縮して、アミンのHCl塩(933mg,100%)を得た。1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 7.28 - 7.36 (m, 1 H), 6.83 - 6.88 (m, 2 H), 4.54 (dd, J=8.8, 4.3 Hz, 1 H), 3.71 - 3.88 (m, 4 H), 2.40 (s, 3 H), 1.79 - 1.89 (m, 1 H), 1.59 (ddd, J=13.4, 7.6, 5.6 Hz, 1 H), 1.30 (dt, J=13.6, 7.6 Hz, 1 H), 1.03 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 0.97 (t, J=7.5 Hz, 3 H); m/e LCMS 計算値 238.1[(M+1)+, C14H23NO2について 237.1].
【0122】
パートF.(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−2−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−エチル}−アミド
15mL THF中に溶解させた(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸(300mg,1.78mmol)に、1,1−カルボニルジイミダゾール(318mg,1.96mmol)を加え、室温で2時間攪拌し、アミノアルコール化合物16(488mg,1.78mmol)およびTEA(0.273mL,1.96mmol)を加えた。生じた混合物を終夜攪拌した。反応混合液をEtOAcで希釈し、水でクエンチした。有機層を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物をヘキサン中の10〜70% EtOAcでISCOにかけて、521mg(75%)の生成物を得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δppm 7.16 (d, J=8.3 Hz, 1 H), 7.09 (dd, J=5.1, 1.0 Hz, 1 H), 6.88 - 6.94 (m, 1 H), 6.73 - 6.83 (m, 3 H), 6.19 (d, J=6.3 Hz, 1 H), 5.27 (td, J=6.6, 4.0 Hz, 1 H), 3.78 - 3.94 (m, 3 H), 3.73 (d, J=6.3 Hz, 1 H), 3.05 (dd, J=6.8, 5.1 Hz, 1 H), 2.67 - 2.75 (m, 1 H), 2.40 (s, 3 H), 1.87 (dq, J=13.1, 6.5 Hz, 1 H), 1.67 - 1.74 (m, 2 H), 1.52 - 1.60 (m, 1 H), 1.22 - 1.32 (m, 2 H), 1.02 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 0.96 (t, J=7.5 Hz, 3 H) m/e LCMS 計算値 388.3 [(M+1)+, C22H30NO3Sについて388.5].
【0123】
実施例10
(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−2−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチル−ペンチルオキシ)−フェニル]−エチル}−アミド
【化32】

本実施例化合物は、4−メトキシ−2−メチル−1−ビニル−ベンゼンを出発物質として実施例7のように調製し、2−メチルペンチルブロミドでアルキル化した。1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 7.2 - 7.3 (m, 1 H), 7.1 (dd, J=5.2, 1.1 Hz, 1 H), 6.9 (t, J=3.7 Hz, 1 H), 6.8 (d, J=3.5 Hz, 1 H), 6.7 - 6.8 (m, 2 H), 5.2 (dd, J=7.6, 5.8 Hz, 1 H), 3.8 - 3.8 (m, 1 H), 3.7 (dd, J=9.2, 6.4 Hz, 1 H), 3.6 - 3.7 (m, 2 H), 2.5 (dd, J=6.3, 2.5 Hz, 1 H), 2.4 (s, 3 H), 2.0 (ddd, J=8.8, 4.7, 4.5 Hz, 1 H), 1.8 - 2.0 (m, 1 H), 1.3 - 1.6 (m, 4 H), 1.2 - 1.3 (m, 2 H), 1.0 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 0.9 (t, J=7.5 Hz, 3 H). LRMS (ESI) = 402, [(M + 1)+ C23H32NO3Sについての計算値 401.6].
【0124】
実施例11
(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸[(R)−1−[4−(2−メチル−ペンチルオキシ)−フェニル]−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−アミド
【化33】

パートA.(R)−tert ブトキシカルボニルアミノ−(4−ヒドロキシ−フェニル)−酢酸
ジオキサン(18mL)中のD−(p−ヒドロキシフェニル)−グリシン(3g,18mmol)、NaOH(1N,18mL,18mmol)の混合物に、ジオキサン(18mL)中の(Boc)2Oの溶液を加えた。生じた混合物は反応が完了するまで室温で攪拌した(LC−MSによってモニターした)。生成物(2.54g)は結晶化した。
【0125】
パートB.(R)−tert ブトキシカルボニルアミノ−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェニル]−酢酸
DMF(5mL)中の(R)−tert ブトキシカルボニルアミノ−(4−ヒドロキシ−フェニル)−酢酸(2.54g,9.55mmol)の溶液に、イミダゾール(1.43g,21mmol)、続いてt−ブチルジメチルシリルクロリド(1.58g,10.5mmol)を加えた。生じた混合物を室温で終夜攪拌した。さらなる量のt−ブチルジメチルシリルクロリド(1.43g,9.55mmol)を加え、反応をさらに1時間続けさせた。反応混合液をEtOAcで希釈し、H2Oで3回洗浄し、濃縮した。残渣に、1N NaOH溶液を加え、次いで濃HClで酸性にした。生じた混合物をEtOAcで3回抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(MgSO4)、濃縮して、表題化合物(4.5g)を得た。
【0126】
パートC.[(R)−1−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェニル]−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2−オキシ−エチル]−カルバミン酸tert−ブチル エステル
0℃でDMF(10ml)中の(R)−tertブトキシカルボニルアミノ−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェニル]−酢酸(2.5g,6.79mmol)の溶液に、EDCI(1.56g,8.15mmol)、続いてHOAt(1.11g,8.15mmol)を加えた。15分後、N−メチルピペラジン(0.9mL,8.15mmol)を加え、生じた混合物を室温に温め、終夜攪拌した。混合液をH2O/EtOAcに注ぎ入れ、層を分離した。有機層をH2Oで2回洗浄し、次いで乾燥させた(MgSO4)。溶媒を除去し、残渣をフラッシュカラムで精製して(DCM中の2.5〜5% MeOH)、表題化合物(785mg,26%)を得た。
【0127】
パートD.[(R)−1−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェニル]−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
0℃でTHF(5ml)中の[(R)−1−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェニル]−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2−オキシ−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(785mg,1.69mmol)のスラリーに、BH3・THF(1M,3.4mL,3.4mmol)を滴下して加えた。該混合物を40℃に温め、終夜攪拌した(反応物を乾燥させた)。さらなる量のTHF(5ml)およびBH3・THF(3.4mL)を加え、生じた混合物を50℃で終夜攪拌した。反応をH2Oでクエンチし、10分間攪拌した。次いで、混合液をEtOAcで3回抽出した。EtOAc層を合わせて、乾燥させた(MgSO4)。溶媒を除去し、続いて残渣をフラッシュカラムで精製して(ヘキサン中で25% EtOAc)、表題化合物を白色の固形物(370mg,48%)として得た。
【0128】
パートE.[(R)−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
THF(3ml)中の[(R)−1−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェニル]−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(370mg,0.82mmol)の溶液に、TBAF(THF中で1M,1mL,1mmol)を加えた。生じた混合物を室温で3時間攪拌した。反応混合液をエーテルで希釈し、NH4Cl溶液でクエンチした。有機層を水および食塩水で洗浄し、次いでMgSO4で乾燥させた。溶媒を除去して表題化合物を得た。
【0129】
パートF.[(R)−1−[4−(2−メチル−ペンチルオキシ)−フェニル]−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
DMF(1ml)中の[(R)−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(57mg,0.17mmol)、K2CO3(72mg,0.52mmol)および2−メチルペンチルブロミド(60μl,0.42mmol)の混合物を、55℃で終夜攪拌した。室温に冷まし、混合液をEtOAcで希釈し、H2Oで洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。溶媒を除去して表題化合物を得た。 MS (MH+ ).
【0130】
パートG.(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸[(R)−1−[4−(2−メチル−ペンチルオキシ)−フェニル]−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−アミド
MeOH(1ml)中の[(R)−1−[4−(2−メチル−ペンチルオキシ)−フェニル]−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(〜0.17mmol)の溶液を、ジオキサン中のHCl(4M,0.85mL,3.4mmol)で1時間処理した。該混合液を濃縮し、DCM(1ml)中に溶解させた。この溶液に、TEA(50μl,0.34mmol)を加え、続いてDCM中の(1S,2S)−2−フェニル−シクロプロパンカルボニルクロリド溶液(1M,0.19mL,0.19mmol,実施例1に記載されるように調製した)を加えた。生じた反応混合液を室温で1.5時間撹拌した。水を加え、水層をジクロロメタンにより抽出した。有機層を乾燥させ(MgSO4)、濃縮した。残渣を分取HPLCにより精製して、表題化合物(15.4mg)を得た。1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 7.2 (d, J=8.6 Hz, 2 H), 7.0 (dd, J=5.2, 1.1 Hz, 1 H), 6.8 - 6.9 (m, 3 H), 6.7 (d, J=3.3 Hz, 1 H), 5.0 (dd, J=9.3, 5.3 Hz, 1 H), 3.7 - 3.8 (m, 1 H), 3.6 - 3.7 (m, 1 H), 3.2 - 3.3 (m, 6 H), 2.8 - 2.9 (m, 2 H), 2.8 (s, 3 H), 2.6 (dd, J=13.1, 5.6 Hz, 2 H), 2.4 (dd, J=6.2, 2.7 Hz, 1 H), 1.7 - 2.0 (m, 2 H), 1.2 - 1.5 (m, 4 H), 1.0 - 1.2 (m, J=10.2, 4.0, 4.0, 3.8 Hz, 2 H), 0.9 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 0.8 (t, 3 H). LRMS (ESI) = 470, [(M + 1)+ C27H40N3O2Sについての計算値 469.7].
【0131】
実施例12
(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸[(R)−2−ヒドロキシ−1−(3−メトキシ−4’−メチル−ビフェニル−4−イル)−エチル]−アミド
【化34】


パートA.[(R)−1−(4−ベンジルオキシ−2−メトキシ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル
18mL n−プロパノール中に懸濁させた2.12g(13.95mmol)のベンジルカルバメートに、12.73mLの1N NaOH(13.73mmol)および新たに調製したtBuOCl(1.75mL,13.73mmol)を加え、次いで室温で8分間攪拌した。続いて0℃に冷却し、15.75mLのn−PrOH中に溶解させた触媒(DHQD)2PHAL(175mg,0.225mmol)を加えた。続いて、これに22.5mLのn−PrOH中に溶解させたスチレン(1.08g,4.5mmol)を加え、さらに8分間攪拌した。次に、K2OSO4・2H2O(66.2mg,0.18mmol)を直接加え、生じた混合物を0℃で1.5時間撹拌した。茶色から淡赤色、橙色、そして最終的に淡黄色へと数回の色の変化が見られた。EtOAcで希釈し、Na223溶液でクエンチした。有機層を分離し、水層をEtOAcで抽出した。有機層を合わせて、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮した。これを5〜50% EtOAc/ヘキサンを用いてISCOで精製して、1.2g(66%)の生成物を得た。
【0132】
パートB.4−((R)−1−アミノ−2−ヒドロキシ−エチル)−3−メトキシ−フェノール
MeOH/EtOAc(5:1,10mL)中の[(R)−1−(4−ベンジルオキシ−2−メトキシ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(1.2g,2.96mmol)およびPd/C(120mg)を、H2(1atm)下で終夜攪拌した。混合液を濾過し、濾液を濃縮して表題化合物(542mg,100%)を得た。
【0133】
パートC.[(R)−2−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−フェニル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル
THF/H2O(15/10mL)中の4−((R)−1−アミノ−2−ヒドロキシ−エチル)−3−メトキシ−フェノール(542mg,2.96mmol)、クロロギ酸ベンジル(634μL,4.44mmol)およびNaHCO3(497mg,5.92mmol)を室温で終夜攪拌した。水系のワークアップ後、表題化合物(736.3mg,79%)をフラッシュカラム(DCM中で5〜7% MeOH)により得た。
【0134】
パートD.{(R)−1−[4−(tertブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2−メトキシ−フェニル]−2−ヒドロキシ−エチル}−カルバミン酸ベンジルエステル
DCM中の[(R)−2−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−フェニル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(736.3mg,2.32mmol)、TBSCl(840.2mg,5.57mmol)およびイミダゾール(757.2mg,11.1mmol)の混合物を室温で24時間攪拌した。該反応液をEtOAc/H2Oでワークアップを行った。フラッシュカラムにより表題化合物(585.7mg,59%)を得た。
【0135】
パートE.(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−1−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2−メトキシ−フェニル]−2−ヒドロキシ−エチル}−アミド
MeOH(5mL)中の{(R)−1−[4−(tertブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2−メトキシ−フェニル]−2−ヒドロキシ−エチル}−カルバミン酸ベンジルエステル(585.7mg,1.36mmol)およびPd/C(60mg)の混合液を、H2(1atm)下で終夜攪拌した。混合物を濾過し、次の反応に直接使用した。
【0136】
氷浴内のジクロロメタン(10ml)中の(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸(228.2mg,1.36mmol)の溶液に、シュウ酸クロリド(0.58ml,6.6mmol)、続いてDMF(0.1ml)を窒素下で加えた。該反応混合物を0℃で30分間攪拌した。過剰な溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、高真空下で2時間乾燥させて、(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸クロリドを得た。別のフラスコに、上記アミノアルコール(1.36mmol)、ジクロロメタン(5ml)およびDIEA(448μL,2.72mmol)を氷冷浴内で窒素下にて注ぎ入れた。ジクロロメタン(10ml)中で新たに調製した(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸クロリドを、該反応混合液に滴下して加えた。最終反応混合液を室温で1.5時間撹拌した。最終反応液を水でクエンチした。有機層を食塩水で洗浄し(3x10ml)、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧中で濃縮し、ヘキサン中で0%〜100%の酢酸エチルのグラジエントを用いてシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色の固形物(393.4mg,収率59%)を得た。
【0137】
パートF.(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸[(R)−2−ヒドロキシ−1−[4−ヒドロキシ−2−メトキシ−フェニル)−エチル]−アミド
0℃で20mL THF中に溶解させた(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−1−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2−メトキシ−フェニル]−2−ヒドロキシ−エチル}−アミド(393.4mg,0.88mmol)に、1.32mL TBAF(1.0M溶液,1.32mmol)を加えた。氷浴を取り外し、室温で2時間攪拌した。これをエーテルで希釈し、NH4Cl溶液でクエンチした。有機層を水および食塩水で洗浄し、続いてMgSO4で乾燥させた。これを濃縮し、フラッシュカラムで精製して(DCM中で6% MeOH)、表題化合物を得た(次の反応に直接使用した)。
【0138】
パートG.トリフルオロ−メタンスルホン酸4−{(R)−2−ヒドロキシ−1−[((1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボニル)アミノ]−エチル}−3−メトキシ−フェニルエステル
THF(5ml)中の(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸[(R)−2−ヒドロキシ−1−[4−ヒドロキシ−2−メトキシ−フェニル)−エチル]−アミド(〜0.88mmol)、N−フェニル−ビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(471.6mg,1.32mmol)およびTEA(366μl,2.64mmol)の懸濁液を、週末にかけて攪拌した。反応混合液をH2Oで希釈し、EtOAcで抽出した。EtOAc層をNaHCO3および食塩水で洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。溶媒を除去し、残渣をフラッシュカラムで精製して(ヘキサン中の15〜80% EtOAc)、表題化合物をオフホワイト色の固形物(342.4mg,84%)として得た。
【0139】
パートH.(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸[(R)−2−ヒドロキシ−1−(3−メトキシ−4’−メチル−ビフェニル−4−イル)−エチル]−アミド
DME/H2O(1.2/0.4mL)中のトリフルオロ−メタンスルホン酸4−{(R)−2−ヒドロキシ−1−[((1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボニル)アミノ]−エチル}−3−メトキシ−フェニルエステル(66mg,0.142mmol)、トリルボロン酸(38.1mg,0.284mmol),Pd(PPh334(16.4mg,0.014mmol)およびNa2CO3(45.2mg,0.426mmol)の混合物を80℃で3時間加熱した。反応混合液を短シリカパッド(EtOAc)に通し、濃縮した。残渣を分取HPLCにかけて表題化合物(12.3mg)を得た。1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 7.7 (d, J=8.3 Hz, 2 H), 7.6 (d, J=8.3 Hz, 1 H), 7.5 (d, J=7.8 Hz, 2 H), 7.4 (t, J=5.4 Hz, 2 H), 7.1 - 7.2 (m, 1 H), 7.1 (d, J=3.5 Hz, 1 H), 5.6 (dd, J=7.8, 4.5 Hz, 1 H), 4.8 (s, 1 H), 4.2 (s, 3 H), 4.0 (dd, J=11.1, 4.5 Hz, 1 H), 3.9 (dd, J=11.4, 7.8 Hz, 1 H), 2.8 (dd, J=6.3, 2.5 Hz, 1 H), 2.6 (s, 3 H), 2.3 (dd, J=8.0, 4.7 Hz, 1 H), 1.8 (ddd, J=9.2, 4.8, 4.7 Hz, 1 H), 1.5 (ddd, 1 H). LRMS (ESI) = 408, [(M + 1)+ C24H26NO3Sについての計算値 407.5].
【0140】
実施例13
(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸[(R)−1−(4’−エチル−3−メトキシ−ビフェニル−4−イル)−2−ヒドロキシ−エチル]−アミド
【化35】


本実施例化合物は実施例12と同様に調製した。最終的なカップリングを4−エチルフェニルボロン酸を用いて行った。1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 7.5 (d, J=8.1 Hz, 2 H), 7.3 (d, J=8.3 Hz, 1 H), 7.3 (d, J=8.3 Hz, 2 H), 7.1 - 7.2 (m, 2 H), 6.9 (dd, J=5.2, 3.4 Hz, 1 H), 6.9 (d, J=3.3 Hz, 1 H), 5.4 (dd, J=7.8, 4.5 Hz, 1 H), 4.6 - 4.7 (m, 1 H), 4.0 (s, 3 H), 3.8 (dd, J=11.2, 4.7 Hz, 1 H), 3.7 (dd, J=11.4, 7.8 Hz, 1 H), 2.7 (q, J=7.6 Hz, 2 H), 2.5 (ddd, J=9.2, 5.6, 4.2 Hz, 1 H), 2.1 (ddd, J=8.3, 5.3, 4.0 Hz, 1 H), 1.6 (ddd, J=9.5, 4.6, 4.3 Hz, 1 H), 1.3 (t, J=7.6 Hz, 4 H). LRMS (ESI) = 422.2, [(M + 1)+ C25H28NO3Sについての計算値 421.6].
【0141】
実施例14
(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸[(R)−2−ヒドロキシ−1−(2−メトキシ−4−ペンチ−1−ニル−フェニル)−エチル]−アミド
【化36】


本実施例化合物は、実施例12と同様に調製した。最終的なカップリングは、以下のとおりに行った:
トルエン(2mL)中のトリフルオロ−メタンスルホン酸4−{(R)−2−ヒドロキシ−1−[((1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボニル)アミノ]−エチル}−3−メトキシ−フェニルエステル(86mg,0.185mmol)、1−ペンチン(73μl,0.74mmol)、Pd(PPh34(21.4mg,0.019mmol)、CuI(7mg,0.037mmol)およびn−プロピルアミン(46μl,0.555mmol)の混合液を80℃で5時間加熱した。さらなる量の1−ペンチン(73μl)を加え、80℃で48時間反応させ続けた。反応混合液をEtOAcで希釈し、H2Oで洗浄した。EtOAc層を乾燥させ(MgSO4)、濃縮した。残渣をフラッシュカラム(ヘキサン中で20〜30% EtOAc)、続いて分取HPLCにかけて、表題化合物(22mg,31%)を得た。MS (MH+). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.2 (d, J=8.1 Hz, 1 H), 7.1 (d, J=5.3 Hz, 1 H), 6.9 (t, J=3.3 Hz, 2 H), 6.9 (dd, J=5.1, 3.5 Hz, 1 H), 6.8 (d, J=3.5 Hz, 1 H), 5.3 (dd, J=7.6, 4.5 Hz, 1 H), 3.8 (s, 3 H), 3.7 (dd, J=11.1, 4.5 Hz, 1 H), 3.6 (dd, J=11.2, 7.7 Hz, 1 H), 2.5 (dd, J=9.2, 3.9 Hz, 1 H), 2.4 (t, J=7.1 Hz, 2 H), 2.1 (ddd, J=8.6, 4.7, 4.4 Hz, 1 H), 1.6 - 1.7 (m, 2 H), 1.5 (ddd, J=9.2, 4.8, 4.7 Hz, 1 H), 1.2 (ddd, J=8.3, 6.1, 4.3 Hz, 1 H), 1.0 (t, J=7.3 Hz, 3 H). LRMS (ESI) = 384, [(M + 1)+ C22H26NO3Sについての計算値 383.5].
【0142】
実施例15
(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−2−ヒドロキシ−1−[4−(2−メチル−ペンチルオキシ)−フェニル]−エチル}−アミド
【化37】


パートA.1−ベンジルオキシ−4−ビニル−ベンゼン
0℃でTHF(75ml)中のメチルトリフェニルホスホニウムブロミドの懸濁液に、THF中の1.6M n−ブチルリチウム(17.69ml,28.30mmol)を加えた。混合液を窒素下で1時間撹拌し;次いでTHF(40ml)中の4−ベンジルオキシ−ベンズアルデヒド(5.00g,23.58mmol)の溶液を混合液に加えた。最終反応混合物を、0℃で1時間、室温で2時間撹拌した。続いて、反応液を飽和塩化アンモニウム(100ml)および水(20ml)を加えてクエンチした。水層を酢酸エチルにより抽出した(3x30ml)。有機層を合わせて、食塩水で洗浄し、続いてMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、淡黄色の粗固形物を得た。粗生成物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中で0%〜5%の酢酸エチル)により精製して、白色の固形物(3.06g,収率62%)を得た:1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.31 (m, 7 H), 6.86 (m, 2 H), 6.59 (dd, J=17.7, 10.9 Hz, 1 H), 5.55 (m, 1 H), 5.05 (m, 1 H), 5.00 (s, 2 H); LCMS (ESI) m/e 211.1 [(M+H), C15H15Oについての計算値 211.3].
【0143】
パートB.[(R)−1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−カルバミン酸t−ブチルエステル
n−プロパノール(40ml)中のt−ブチル カルバメート(3.65g,30.5mmol)溶液に、水(75ml)中の水酸化ナトリウム(1.26g,30.5mmol)の溶液を加え、続いて、光遮断フード(light-off hood)内中で新たに調製した次亜塩素酸t−ブチル(3.5ml,30.5mmol)(Org. Syn. 184)を加えた。混合液を室温で5分間攪拌した。次いで、この反応混合液を氷浴中に置き、n−プロパノール(40ml)中の(DHQD)2PHAL(0.492g,0.6mmol)およびn−プロパノール(70ml)中の1−ベンジルオキシ−4−ビニル−ベンゼン(2.10g,10mmol)を順次加え、6分間攪拌した。K2OSO2・2H2O(0.147g,0.4mmol)を0℃で直接加えた。最終反応混合液を1.5時間撹拌して、淡黄色の清澄な溶液を調製した。亜硫酸ナトリウムの飽和溶液(100ml)を加えて反応を0℃でクエンチした。過剰なn−プロパノールを高真空中で除去した。水層を酢酸エチルにより抽出した(3x30ml)。有機層を合わせて、食塩水で洗浄し(2x30ml)、次いでMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、黄色の粗固形物を得た。粗生成物を、ヘキサン中で0%〜100%の酢酸エチルのグラジエントを用いてシリカゲルでカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色の固形物(2.01g,収率59%,約13%の位置異性体)を得た:1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.39 (m, 5 H), 7.23 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 6.98 (d, J=8.6 Hz, 2 H), 5.15 (d, J=5.6 Hz, 1 H), 5.07 (s, 2 H), 4.74 (d, J=1.0 Hz, 1 H), 3.84 (t, J=5.3 Hz, 2 H), 2.37 (br. s., 1 H), 1.42 (m, 9 H); LCMS (ESI) m/e 344.2 [(M+H), C20H26NO4についての計算値 344.4].
【0144】
パートC.[(R)−2−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−エチル]−カルバミン酸t−ブチルエステル
[(R)−1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−カルバミン酸t−ブチルエステル(2.013g,5.87mmol)および10% パラジウム活性炭素(0.300g,0.294mmol)をエタノール(15ml)およびジクロロメタン(5ml)中で混合させた。水素化を1気圧にて室温で終夜行った。触媒を濾過して除去した。濾液を濃縮して、白色の固形物(1.350g,収率91%)とした:1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 7.36 (d, 2 H), 6.97 (m, 2 H), 3.83 (m, 1 H), 3.54 (dt, J=3.2, 1.5 Hz, 2 H), 1.66 (m, 9 H); LCMS (ESI) m/e 254.1 [(M+H), C13H20NO4についての計算値 254.3].
【0145】
パートD.{(R)−2−ヒドロキシ−1−[4−(2−メチル−ペンチルオキシ)−フェニル]−エチル}−カルバミン酸t−ブチルエステル
[(R)−2−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−エチル]−カルバミン酸t−ブチルエステル(0.700g,2.77mmol)、2−メチルペンチルブロミド(0.548g,3.32mmol)およびCs2CO3(1.17g,3.59mmol)をDMF(15ml)中で合わせた。反応混合液を70℃で終夜加熱した。飽和NH4Clを加えて反応をクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出した(3x10ml)。有機層を合わせて、食塩水で洗浄し、続いてMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、白色の粗固形物を得た。粗生成物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中で0%〜50% 酢酸エチル)により精製して、表題化合物(0.705g,2工程で収率76%)を白色の固形物として得た:1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.21 (d, 2 H), 6.89 (d, J=8.6 Hz, 2 H), 5.18 (d, J=7.1 Hz, 1 H), 4.72 (br. s., 1 H), 3.81 (dd, J=9.0, 5.7 Hz, 3 H), 3.72 (m, 1 H), 3.49 (s, 2 H), 2.54 (br. s., 1 H), 1.95 (m, 1 H), 1.35 (m, 11 H), 1.02 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 0.93 (m, 3 H); LCMS (ESI) m/e 338.2 [(M+H), C19H32NO4についての計算値 338.5].
【0146】
パートE.(R)−2−アミノ−2−[4−(2−メチル−ペンチルオキシ)−フェニル]−エタノール HCl
氷浴内のジクロロメタン(10ml)中の{(R)−2−ヒドロキシ−1−[4−(2−メチル−ペンチルオキシ)−フェニル]−エチル}−カルバミン酸t−ブチルエステル(0.70g,2.08mmol)の溶液に、1,4−ジオキサン(10ml)中の4M HClを加えた。次いで、最終混合液を室温で1.5時間撹拌した。過剰な溶媒を減圧中で除去して、白色の固形物を得て、次の工程に直接用いた。
【0147】
パートF.(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−2−ヒドロキシ−1−[4−(2−メチル−ペンチルオキシ)−フェニル]−エチル}−アミド
氷浴内のジクロロメタン(10ml)中の(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸(0.110g,0.66mmol)の溶液に、シュウ酸クロリド(0.58ml,6.60mmol)、続いてDMF(0.1ml)を窒素下で加えた。反応混合液を0℃で30分間攪拌した。過剰な溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、高真空下で2時間乾燥させて、(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸クロリドを得た。別の50mlの丸底フラスコに、(R)−2−アミノ−2−[4−(2−メチル−ペンチルオキシ)−フェニル]−エタノール HCl(0.47mmol)、ジクロロメタン(6ml)およびトリエチルアミン(0.31ml,2.35mmol)を氷冷浴内で窒素下にて入れた。ジクロロメタン(10ml)中で新たに調製した(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸クロリドを該反応混合液に滴下して加えた。最終反応混合液を室温で1.5時間撹拌した。最終反応液を水でクエンチした。有機層を食塩水で洗浄し(3x10ml)、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、ヘキサン中で0%〜100%の酢酸エチルのグラジエントを用いてシリカゲルでカラムクロマトグラフィーにより精製して白色の固形物を得た(0.088g,収率48%):1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.14 (m, 2 H), 6.99 (dd, J=5.2, 1.1 Hz, 1 H), 6.81 (m, 3 H), 6.72 (d, J=3.3 Hz, 1 H), 6.14 (d, J=6.3 Hz, 1 H), 4.95 (m, 1 H), 3.80 (m, 2 H), 3.67 (m, 2 H), 2.72 (dd, J=7.1, 4.8 Hz, 1 H), 2.62 (m, 1 H), 1.85 (m, 1 H), 1.60 (m, 2 H), 1.27 (m, 5 H), 0.92 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 0.83 (m, 3 H); LCMS (ESI) m/e 374.2 [(M+H)+, C22H30NO3Sについての計算値 374.5].
【0148】
実施例16
(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸[(R)−1−[4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−アミド
【化38】

パートA.[(R)−1−[4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
10mL DCM中に溶解させた220mg(0.627mmol)の(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−[4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−酢酸に、アミン(125mg,1.25mmol)およびDCC(258mg,1.25mmol)を加えた。生じた混合物を室温で終夜攪拌した。DCMで希釈し、シリカゲルの薄いパッドに通して濾過した。続いて、濃縮し、0〜12% MeOH/DCMで溶出するISCOにより精製して、243mg(89%)の生成物を得た。
【0149】
パートB.(R)−2−アミノ−2−[4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−1−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エタノン
0℃で12mLのMeOH中に溶解させた220mg(0.508mmol)の[(R)−1−[4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルに、AcCl(0.36mL,5.081mmol)を加え、生じた混合物を0℃で攪拌しながら4時間保った。続いて、濃縮して206mg(100%)の二HCl塩を得た。
【0150】
パートC.(R)−1−[4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチルアミン
10mLのTHF中の200mg(0.49mmol)の(R)−2−アミノ−2−[4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−1−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エタノン 二HCl塩に、5.9mLのLAH(1.0M溶液,4.9mmol)を加えた。生じた混合物を終夜還流させた。翌日、0℃に冷却し、0.5mLの高濃度KOH溶液をゆっくり加えた。氷浴を取り外し、1時間撹拌させ、続いてEtOAcで希釈し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、68mg(44%)の生成物を得た。得られた生成物は、さらに精製することなく次の工程に用いるのに十分純粋であった。
【0151】
パートD.(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸[(R)−1−[4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−アミド
0℃で10mL DCM中の(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸(21.5mg,0.128mmol)に、シュウ酸クロリド(41mg,0.32mmol)および0.1mLのDMFを加えた。生じた混合物を0℃で2時間撹拌した。これを濃縮して、酸塩化物を得た。これを15mLのDCM中に溶解させ、続いてアミン化合物(39mg,0.128mmol)およびTEA(25.9mg,0.256mmol)を加え、室温で2時間攪拌させた。これをDCMで希釈し、水でクエンチした。有機層を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。これを濃縮し、中性PREP HPLCで精製して、38mg(65%)の所望生成物を得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.20 (m, J=8.5 Hz, 2 H), 7.07 - 7.10 (m, 1 H), 6.91 (dd, J=5.0, 3.5 Hz, 1 H), 6.86 (m, J=8.5 Hz, 2 H), 6.82 (d, J=3.3 Hz, 1 H), 6.66 (d, J=4.8 Hz, 1 H), 4.90 (dt, J=10.1, 5.1 Hz, 1 H), 3.77 - 3.83 (m, 1 H), 3.68 - 3.74 (m, 1 H), 3.35 - 3.50 (m, 1 H), 2.62 - 2.67 (m, 3 H), 2.51 (br. s., 2 H), 2.46 (br. s., 4 H), 2.31 (s, 3 H), 1.85 (dq, J=13.1, 6.5 Hz, 1 H), 1.72 - 1.78 (m, 1 H), 1.48 - 1.70 (m, 3 H), 1.19 - 1.31 (m, 4 H), 1.10 - 1.18 (m, 1 H), 1.01 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 0.95 (t, J=7.4 Hz, 3 H); m/e LCMS 456.2 [(M+1)+, C26H38N3O2Sについての計算値 456.2].
【0152】
実施例17
(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−2−アミノ−1−[4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−エチル}−アミド
【化39】


パートA.(R)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−(4−ヒドロキシフェニル)アセテート
(R)−メチル 2−アミノ−2−(4−ヒドロキシフェニル)アセテートHCl(32g,180mmol)、ジオキサン(360mL)および水(360mL)の室温混合物を、トリエチルアミン(100mL,720mmol)および二炭酸ジ−tert−ブチル(47g,220mmol)で順次処理した。反応物を室温に3時間保ち、続いて水酸化ナトリウム水溶液(1N,40mL)を加えてクエンチした。生じた混合物を濃縮してジオキサンを除去し、水層をEt2Oで抽出した(3x200mL)。有機層を合わせて、水(1x200mL)および食塩水(1x200mL)で洗浄し、続いてNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、半固形物を得て、最少量の温めた酢酸エチルから再結晶化させて、(R)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−(4−ヒドロキシフェニル)アセテート(40g,収率78%)を白色の固形物として得た:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.23 (d, J=8.0 Hz, 2 H), 6.80 (d, J=8.0 Hz, 2 H), 5.52 (br s, 1 H), 5.26 (br d, 1 H), 5.05 (s, 1 H), 3.73 (s, 3 H), 1.45 (s, 9 H); LRMS (ESI) m/e 280.0 [(M - H)-, C14H18NO5についての計算値 280.3].
【0153】
パートB.(2R)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−(4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル)アセテート
(R)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−(4−ヒドロキシフェニル)アセテート(2.8g,10mmol)、(S)−2−メチル−1−ブタノール(1.1mL,10mmol)、トリフェニルホスフィン(2.6g,10mmol)およびテトラヒドロフラン(100mL)の0℃溶液を、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(1.9mL,10mmol)でシリンジにより滴下して処理した。生じた反応混合液を室温に温め、終夜保った。反応液を濃縮し、残渣をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の5%〜10% 酢酸エチル)により精製して、(2R)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−(4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル)アセテート(2.8g,収率80%)を清澄な無色の油状物として得た:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.27 (d, J=7.3 Hz, 2 H), 6.88 (d, J=8.6 Hz, 2 H), 5.49 (d, J=6.6 Hz, 1 H), 5.26 (d, J=7.3 Hz, 1 H), 3.81 (dd, J=9.1, 6.1 Hz, 1 H), 3.73 (s, 3 H), 3.69 - 3.76 (m, 1 H), 1.86 (dq, J=13.1, 6.5 Hz, 1 H), 1.52 - 1.61 (m, 1 H), 1.45 (s, 9 H), 1.22 - 1.33 (m, 2 H), 1.02 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 0.95 (t, J=7.5 Hz, 3 H); LRMS (ESI) m/e 352.2 [(M + H)+, C19H30NO5についての計算値 352.5].
【0154】
パートC.t−ブチル(R)−2−ヒドロキシ−1−(4−((S)−2−メチルブトキシ)フェニル)エチルカルバメート
水素化アルミニウムリチウム(320mg,8.5mmol)およびテトラヒドロフラン(50mL)の室温懸濁液を、(2R)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−(4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル)アセテートおよびテトラヒドロフランの溶液(40mL)でゆっくり処理した。生じた反応混合液を30分間保ち、次いで酢酸エチル(12mL)および水酸化カリウム水溶液(10%wt/wt,24mL)で処理した。混合物を1時間撹拌させ、続いてMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、tert−ブチル (R)−2−ヒドロキシ−1−(4−((S)−2−メチルブトキシ)フェニル)エチルカルバメート(2.2g,収率88%)を黄色の固形物として得た:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.22 (d, J=8.6 Hz, 2 H), 6.90 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 5.12 (d, J=6.3 Hz, 1 H), 4.74 (br. s., 1 H), 3.80 - 3.87 (m, 3 H), 3.74 (dd, J=9.1, 6.6 Hz, 1 H), 1.87 (dq, J=13.0, 6.5 Hz, 1 H), 1.53 - 1.64 (m, 2 H), 1.45 (s, 9 H), 1.22 - 1.34 (m, 1 H), 1.03 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 0.97 (t, J=7.5 Hz, 3 H); LRMS (ESI) m/e 324.1 [(M + H)+, C18H30NO4についての計算値 324.4].
【0155】
パートD.tert−ブチル (R)−2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル)−1−(4−((S)−2−メチルブトキシ)フェニル)エチルカルバメート
tert−ブチル (R)−2−ヒドロキシ−1−(4−((S)−2−メチルブトキシ)フェニル)エチルカルバメート(1.3g,4.0mmol)、フタルイミド(600mg,4.1mmol)、トリフェニルホスフィン(1.1g,4.1mmol)およびテトラヒドロフラン(40mL)の予冷溶液(0℃)を、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.80mL,4.1mmol)でシリンジにより滴下して処理した。生じた反応混合液を室温に終夜保ち、続いて濃縮し、得られた油状物を、シリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中で5%〜20% 酢酸エチル)により精製して、tert−ブチル (R)−2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル)−1−(4−((S)−2−メチルブトキシ)フェニル)エチルカルバメート(800mg,収率45%)を白色の固形物として得た:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.86 - 7.89 (m, 2 H), 7.70 - 7.75 (m, 2 H), 7.26 - 7.31 (m, 2 H), 6.90 (d, J=8.6 Hz, 2 H), 5.16 - 5.24 (m, 1 H), 5.04 - 5.08 (m, 1 H), 3.90 - 3.95 (m, 1 H), 3.83 (dd, J=8.6, 5.8 Hz, 1 H), 3.74 (dd, J=8.8, 6.6 Hz, 1 H), 1.83 - 1.89 (m, 1 H), 1.51 - 1.61 (m, 2 H), 1.26 (s, 9 H), 1.25 - 1.30 (m, 1 H), 1.03 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 0.97 (t, J=7.5 Hz, 3 H); LRMS (ESI) m/e 453.2 [(M + H)+, C26H33N2O5についての計算値 453.6].
【0156】
パートE.(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−1−[4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−エチル}−アミド
tert−ブチル (R)−2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル)−1−(4−((S)−2−メチルブトキシ)フェニル)エチルカルバメート(250mg,0.55mmol)およびジクロロメタン(10mL)の予冷溶液(0℃)を、トリフルオロ酢酸(2mL)で滴下して処理した。生じた溶液を室温に16時間保ち、続いて濃縮して、黄色の油状物を得て、ジクロロメタン(5mL)中に溶解させ、2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボニルクロリド(100mg,0.60mmol)、トリエチルアミン(0.20mL,1.4mmol)およびジクロロメタン(4mL)の室温溶液に加えた。生じた反応液を終夜保ち、続いて分液漏斗に移し、酢酸エチル(15mL)および飽和炭酸水素ナトリウム溶液(15mL)の間で分液処理した。層を分離し、水層を酢酸エチル(15mL)で抽出した。有機層を合わせて、水(15mL)および食塩水(15mL)で洗浄し、続いて乾燥させ(MgSO4)、濾過し、濃縮して、残渣を得て、シリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中で10%〜50% 酢酸エチル)により精製して、(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−1−[4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−エチル}−アミドを白色の固形物として得た:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.88 (dd, J=5.6, 3.0 Hz, 2 H), 7.76 (dd, J=5.6, 3.0 Hz, 2 H), 7.29 - 7.34 (m, 2 H), 7.07 (dd, J=5.2, 1.1 Hz, 1 H), 6.87 - 6.92 (m, 3 H), 6.77 (d, J=3.0 Hz, 1 H), 6.59 (d, J=7.8 Hz, 1 H), 5.29 - 5.37 (m, 1 H), 4.03 (dd, J=14.1, 10.1 Hz, 1 H), 3.97 (dd, J=14.1, 4.0 Hz, 1 H), 3.81 (dd, J=8.8, 5.8 Hz, 1 H), 3.73 (dd, J=9.1, 6.8 Hz, 1 H), 2.57 (ddd, J=9.5, 5.9, 4.0 Hz, 1 H), 1.86 (dq, J=13.1, 6.5 Hz, 1 H), 1.66 (ddd, J=8.4, 5.1, 4.2 Hz, 1 H), 1.52 - 1.63 (m, 2 H), 1.23 - 1.36 (m, 2 H), 1.14 (ddd, J=8.3, 6.3, 4.3 Hz, 1 H), 1.02 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 0.96 (t, J=7.5 Hz, 3 H).
【0157】
パートF.(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−2−アミノ−1−[4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−エチル}−アミド
(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−1−[4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−エチル}−アミド(330mg,0.66mmol)およびエタノール(20mL)の混合物を、ヒドラジン一水和物(0.32mL,6.6mmol)で滴下して処理し、得られた反応物を60℃で終夜保った。混合物を室温に冷まし、固形物を濾過により除去した。濾液を乾燥するまで濃縮し、酢酸エチル(15mL)でトリチュレートし、混合液を濾過した。収集した固形物を空気乾燥させ、続いてジエチルエーテル(5mL)中に溶解させた。生じた溶液を濃HCl(0.1mL)で処理し、沈殿物を濾過により収集して、(2S)−N−((1R)−2−アミノ−1−[4−((S)−2−メチルブトキシ)フェニル]−エチル)−2−フェニルプロピオンアミド(120mg,収率52%)を白色の固形物として得た:1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 7.33 (d, J=8.6 Hz, 2 H), 7.16 (dd, J=5.1, 1.3 Hz, 1 H), 6.98 (d, J=8.6 Hz, 2 H), 6.89 (dd, J=5.1, 3.5 Hz, 1 H), 6.85 (d, J=3.3 Hz, 1 H), 5.17 (dd, J=8.7, 5.9 Hz, 1 H), 3.86 (dd, J=9.1, 5.8 Hz, 1 H), 3.79 (dd, J=9.1, 6.3 Hz, 1 H), 3.27 - 3.31 (m, 2 H), 2.57 (ddd, J=9.3, 5.7, 4.2 Hz, 1 H), 2.00 (ddd, J=8.3, 5.2, 4.2 Hz, 1 H), 1.85 (dq, J=13.1, 6.6 Hz, 1 H), 1.55 - 1.64 (m, 2 H), 1.25 - 1.34 (m, 2 H), 1.03 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 0.97 (t, J=7.5 Hz, 3 H); LRMS (ESI) m/e 373.1 [(M + H)+, C21H29N2O2Sについての計算値 373.2].
【0158】
実施例18
(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−2−アミノ−1−[2−メチル−4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−エチル}−アミド
【化40】

実施例18化合物は、実施例9化合物を出発物質として調製した。

パートA.(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−1−[2−メチル−4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−エチル}−アミド
20mLのTHF中のアルコール化合物(433mg,1.12mmol)およびフタルイミド(181mg,1.23mmol)に、トリフェニルホスフィン(322mg,1.23mmol)を加えた。これを0℃に冷却し、続いてDIAD(0.238mL,1.23mmol)を加えた。氷浴を取り外し、室温で4時間撹拌した。反応混合液を濃縮し、粗混合物を、2−40% EtOAc/ヘキサンで溶出するISCOで精製して、393mg(68%)の所望生成物を得た。
【0159】
パートB.(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−2−アミノ−1−[2−メチル−4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−エチル}−アミド
5mLのEtOH中に溶解させた(1S,2S)−2−チオフェン−2−イル−シクロプロパンカルボン酸{(R)−2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−1−[2−メチル−4−((S)−2−メチル−ブトキシ)−フェニル]−エチル}−アミド(50mg,0.097mmol)の溶液に、無水ヒドラジン(31mg,0.97mmol)を加え、攪拌しながら55℃で1時間加熱した。反応混合液をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣をEtOAc中に再溶解させ、NaHCO3、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。これを濃縮し、中性PREP HPLCで精製して、19mg(51%)の生成物を得た。1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 8.73 - 8.68 (d, J=5.2 Hz, 1 H), 7.23 - 7.31 (m, 1 H), 7.16 (dd, J=5.1, 1.3 Hz, 1 H), 6.89 (dd, J=5.2, 3.4 Hz, 1 H), 6.82 (dd, J=4.7, 2.1 Hz, 3 H), 5.36 - 5.48 (m, 1 H), 3.68 - 3.89 (m, 2 H), 3.33 - 3.29 (m, 2 H), 2.51 - 2.60 (m, 1 H), 2.40 (s, 3 H), 1.98 (d, J=3.7 Hz, 1 H), 1.77 - 1.87 (m, 1 H), 1.54 - 1.66 (m, 2 H), 1.23 - 1.33 (m, 2 H), 1.02 (d, 3 H), 0.97 (d, J=6.8 Hz, 3 H); m/e LCMS 387.3[ (M+1)+, C22H31N2O2Sについての計算値 387.3].
【0160】
生物学的活性
材料:
96ウェルGTPγSアッセイプレートをPerkin Elmerから購入した。小麦胚細胞凝集素PVT SPAビーズおよび35S−GTPγSをAmersham GDPから購入し、GTPγSおよび全ての緩衝液試薬をSigmaから購入した。384ウェルホワイトNBSプレートをcorningから購入した。百日咳毒素をCalbiochemから購入した。全ての細胞培養試薬をインビトロジェンから購入した。フォルスコリンをSigmaから購入した。cAMP HTRFキットをCisbio Internationalから購入した。
【0161】
方法:
GTPγSアッセイ
GTPγSアッセイ緩衝液は、10mM MgCl2、180mM NaCl、200uM GDP、0.167mg/ml DTT、1mM EGTAおよび20mM HEPES pH7.4からなる。この緩衝液は、細胞膜、ビーズおよび35S GTPγS成分の希釈のために用いた。96ウェルアッセイプレートの各ウェルに、48μlのアッセイ緩衝液、2μlの100x化合物、50μlの膜溶液(0.2μg/μl)、50μlの35S GTPγS溶液(0.8nM)および50μlのSPAビーズ(10mg/ml)を加えた。非特異的な結合は、冷GTPγSを対照ウェルに加えることによって調べた。プレートを透明な密封テープで密封し、室温で1時間インキュベートした。GTPγS活性は、Wallac Micro−Beta Trilux液体シンチレーションカウンターを用いて検出した。非特異的な結合は、10μMの冷GTPγSを用いて調べた。
【0162】
cAmp HTRFアッセイ
cAMP HTRFアッセイは、Cisbio Internationalキット手順62AM4PEJを改良する。アッセイプレートは、0.1μlのDMSOで希釈した100x化合物ストック溶液またはDMSOのみを384ウェルのNBSプレートにスタンプすることによって調製した。cAMP HTRFアッセイは、懸濁液中の細胞を用いて行った。cAMP HTRFアッセイ緩衝液は、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)、2mM CaCl2、5mM MgCl2、20mM HEPESおよび1mM 3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX)(アッセイ時に作りたてを加えた)から構成される。百日咳毒素の処理においては、百日咳毒素(100ng/ml)を、アッセイ16時間前に培地に加えた。コンフルエントな細胞を細胞解離緩衝液で解離させ、細胞数をカウントし、次いで1000xgで5分間遠心分離させた。細胞沈殿物を、基底cAMP測定のためのアッセイ緩衝液のみで、あるいは全ての他のウェルに添加するための0.75μM フォルスコリン(ウェルへの添加直前に加えた)で、再懸濁した。Multidrop 384(Lab systems)を用いて、10μlの細胞懸濁液を、化合物またはDMSOを含有する各ウェルに加えた。プレートをカバーして室温で30分間インキュベートした。この間、cAMP標準曲線を製造業者の説明書に従って調製した。インキュベーション終了時に、製造業者の溶解緩衝液で希釈した10μlの抗cAMPクリプテートおよび10μlのcAMP−XLを各ウェルに加えた。該プレートをカバーして室温で60分間インキュベートし、次いでEnvisionプレートリーダー(Perkin Elmer)で読み取り、665nm/620nmの蛍光比を調べた。蛍光比の値を、Graphpad Prismプログラムを用いて標準曲線からモルcAMP濃度に変換した。
【0163】
表2は、本開示の選択化合物についてのEC50値を示す:「X」の印の付いた全ての化合物は、62nMから130nMの間のEC50値を有する。
表2
【表2】

【0164】
本開示は、前記の例示的な実施例に限定されるものではなく、その必須の特性から逸脱することなく他の具体的な形態で具体化できることは、当業者にとって明らかである。よって、例示されるあらゆる局面で考えられ、限定されるものではない例、前記実施例よりむしろ特許請求の範囲に対して調製される対象、ならびに特許請求の範囲の意味および均等の範囲内となる全ての変更が本明細書に包含されることが所望される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(I),
[式中、
Aは、フェニルおよびチエニルから選択され;
1は、C2−C6アルケニル;C3−C6アルコキシ;C3−C6アルキルスルファニル;C2−C6アルキニル;C3−C6シクロアルキル−C2−C4アルケニル;C3−C6シクロアルキル−C1−C3アルコキシ;C3−C6シクロアルキルオキシ;1個のC1−C3アルキル基で適宜置換されていてもよいフェノキシ;C1−C3アルコキシ、C1−C3アルコキシ−C1−C3アルキル、C1−C3アルキル、C1−C3アルキルスルホニル、シアノ、ハロおよびハロ−C1−C3アルキルから独立して選択される1、2または3個の基で適宜置換されていてもよいフェニル;フェニル部分がC1−C3アルキルおよびハロから独立して選択される1または2個の基で適宜置換されていてもよいフェニル−C1−C3アルコキシ;およびチエニルから選択され;
2は、水素;C1−C3アルコキシ;C1−C3アルキル;およびハロから選択され;
3は、水素およびC1−C3アルコキシから選択され;
4は、C1−C3アルコキシ−C1−C3アルキル;C1−C6アルキル;ヘテロサイクリル;ヒドロキシ−C1−C3アルキル;(RabN)−C1−C3アルキル;
【化2】

[式中、
【化3】

は、親分子部分への結合点を表す]
から選択され;
5は、水素およびハロから選択され;ならびに
aおよびRbは、水素およびC1−C3アルキルから独立して選択されるか;あるいは
aおよびRbは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピペリジニルまたはピペラジニル環を形成し、各環は、C1−C3アルキルおよびヒドロキシ−C1−C3アルキルから選択される1個の基で適宜置換されていてもよいものである]
の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
3が水素である、請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
Aがフェニルである、請求項2に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
4が、C1−C3アルコキシ−C1−C3アルキル;ヒドロキシ−C1−C3アルキル;および
【化4】

[式中、
【化5】

は、親分子部分への結合点を表す]
から選択されるものである、請求項3に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
4が、C1−C6アルキルおよび
【化6】

[式中、
【化7】

は、親分子部分への結合点を表す]
から選択されるものである、請求項3に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項6】
4が、ヘテロサイクリルである、請求項3に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項7】
4が、(RabN)−C1−C3アルキルである、請求項3に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項8】
Aがチエニルである、請求項2に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項9】
4が、C1−C3アルコキシ−C1−C3アルキル;ヒドロキシ−C1−C3アルキル;および
【化8】

[式中、
【化9】

は、親分子部分への結合点を表す]
から選択されるものである、請求項8に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項10】
4が、C1−C6アルキルおよび
【化10】

[式中、
【化11】

は、親分子部分への結合点を表す]
から選択されるものである、請求項8に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項11】
4が、ヘテロサイクリルである、請求項8に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項12】
4が、(RabN)−C1−C3アルキルである、請求項8に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項13】
式(II)
【化12】

(II),
[式中、
Aは、フェニルおよびチエニルから選択され;
1は、C5−C6アルコキシ;C5アルキニル;C1アルコキシおよびC1−C2アルキルから選択される1個の基で適宜置換されていてもよいフェニルから選択され;
2は、水素;C1アルコキシおよびC1アルキルから選択され;
4は、ヒドロキシ−C1アルキルおよび(RabN)−C1アルキルから選択され;ならびに
aおよびRbは、独立して、水素から選択されるか;または
aおよびRbは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、1個のC1アルキル基で置換されたピペラジニル環を形成する]
の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項14】
【化13】


【化14】


から選択される化合物。
【請求項15】
請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩および医薬的に許容される担体を含む、組成物。
【請求項16】
治療上有効量の請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩を哺乳類に投与することを特徴とする、哺乳類における神経疾患または代謝性疾患から選択される疾患の治療方法。
【請求項17】
前記哺乳類がヒトである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記疾患が、精神病、統合失調症の失認、感情障害、注意欠陥多動障害、薬物依存、パーキンソン病およびアルツハイマー病から選択される神経疾患である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記疾患が、肥満症および糖尿病から選択される代謝性疾患である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
治療上有効量の請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩を哺乳類に投与することを特徴とする、哺乳類におけるGタンパク質共役受容体88の調節方法。
【請求項21】
前記哺乳類がヒトである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記Gタンパク質共役受容体88が、神経疾患または代謝性疾患を治療するために調節される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記Gタンパク質共役受容体88が、精神病、統合失調症の失認、感情障害、注意欠陥多動障害、双極性障害、薬物依存、パーキンソン病およびアルツハイマー病から選択される神経疾患を治療するために調節される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
Gタンパク質共役受容体88が、肥満症および糖尿病から選択される代謝性疾患を治療するために調節される、請求項22に記載の方法。

【公表番号】特表2013−507369(P2013−507369A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533264(P2012−533264)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/051572
【国際公開番号】WO2011/044195
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【出願人】(508192566)レクシコン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (38)
【Fターム(参考)】