説明

G蛋白質共役型レセプター作動剤

【課題】Gタンパク質共役型レセプター(GPCR)の作動剤として有用な新規化合物を提供する。
【解決手段】一般式:L−(CH−COOH(式中、Lは、RN−またはRO−であり、Rは、置換されていてもよい芳香族炭化水素基等であり、Rは、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、水素原子等であり、RおよびRは一緒に環を形成していてもよく、mは、4〜16であり、−(CH−の末端のC原子を含まない−CHCH−は、−MR−で置き換えられていてもよく、Mは、O、SまたはNRであり、Rは、置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキレン基等を示し、Rは、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、置換されていてもよい芳香族複素環基、水素原子等である、で表される化合物またはその薬学的に許容し得る塩を含むGタンパク質共役型レセプター作動剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、G蛋白質共役型レセプター作動剤、とくにGPR40に対するアゴニスト作用を有する新規化合物およびそれを含む医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
Gタンパク質共役型レセプター(GPCR)は、細胞膜を貫通して存在するレセプターであり、細胞外からの特定のリガンドを刺激として受け取り、その情報を細胞内のGタンパク質に伝達して活性化させる。GPCRは、構造上、細胞膜を7回貫通しているという特徴を有し、特定のリガンドと結合することによって、構造が大きく変化して、Gタンパク質の活性化を引き起こす。
【0003】
本発明者らのグループを含む多くの研究グループの成果により、遊離脂肪酸をリガンドとする細胞膜型レセプター群の存在が明らかとなっている(非特許文献1)。
本発明者らは、GPR120のリガンド探索に成功し、そのリガンドが長鎖不飽和脂肪酸であることを明らかにし、さらに腸管における生理機能としてGLP-1の分泌に関与することを見出した。さらに有用なGタンパク質共役型レセプター作動剤を提供してきた(特許文献1)。
【0004】
一方、脂肪酸の受容体としてGPR40も見出され、膵臓ランゲルハンス島のインシュリン分泌への関与が明らかにされてきた。GPR40のリガンドについても多くの研究グループによって検討されており、リノレン酸(LA)の他に、例えば、TAK-875(特許文献2、非特許文献2)、GW9508およびGW1100(非特許文献3)、AMGEN-1(特許文献3の化合物10.3)など多数のリガンドが見出されている。
しかしながら、従来とは異なる化学構造を有するさらに多様なリガンドを得ること、とくに目的のGPRに対して選択性を有するリガンドの提供が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2008/139987号
【特許文献2】特表2009−542580号公報
【特許文献3】特表2007−525516号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】平澤明および辻本豪三、「脂肪酸受容体に対するリガンド探索、生理機能の解明と創薬応用」、医学のあゆみ、2010年、233巻9号、755〜760頁。
【非特許文献2】N. Negoro et al., "Discovery of TAK-875: A potent, selective, and orally bioavailable GPR40 agonist", ACS Med. Chem. Lett. (2010) 1, 290-294.
【非特許文献3】C. P. Briscoe et al., "Pharmacological regulation of insulin secretion in MIN6 cells through the fatty acid receptor GPR40: identification of agonist and antagonist small molecules", Br. J. Pharm. (2006) 148, 619-628.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、これまで知られていない新規な化合物をスクリーニングし、さらにその特徴付けをおこない、Gタンパク質共役型レセプター(GPCR)の作動剤として有用な新規化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、これまでGタンパク質共役型レセプターの作動剤として、十分に検討されてこなかった化合物群に対し、GPR40およびGPR120のそれぞれに対してスクリーニングを行ったところ、ある特定の一般式で表される化合物群が作動剤として作用することを見出し、さらに研究を進め、本発明を完成するに至った。
【0009】
したがって、本発明は、以下の[1]〜[14]に示す化合物、該化合物を含むGタンパク質共役型レセプター(GPCR)の作動剤、該作動剤を含む医薬組成物などに関する。
[1]一般式:
L−(CH−COOH
式中、
Lは、RN−またはRO−であり、
は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、
は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、置換されていてもよい芳香族複素環基、水素原子または置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基であり、
およびRは一緒に環を形成していてもよく、
mは、4〜16であり、
−(CH−の末端のC原子を含まない−CHCH−は、−MR−で置き換えられていてもよく、
Mは、O、SまたはNRであり、
は、置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を示し、
は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、置換されていてもよい芳香族複素環基、水素原子または置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基である、
で表される化合物またはその薬学的に許容し得る塩を含むGタンパク質共役型レセプター作動剤。
【0010】
[2]Lは、RN−またはRO−であり、
は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、
は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、置換されていてもよい芳香族複素環基、水素原子または置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基であり、
およびRは一緒に環を形成していてもよく、
mは、4〜16である、[1]に記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩を含むGタンパク質共役型レセプター作動剤。
[3]LがRN−である、[1]または[2]に記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩を含むGタンパク質共役型レセプター作動剤。
[4]Rが、置換されていてもよいフェニルであり、Rが、置換されていてもよいピリジニルである、[3]に記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩を含むGタンパク質共役型レセプター作動剤。
【0011】
[5]11-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)ウンデカン酸(NCG74)、
12-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG75)、
10-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG85)、
9-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)ノナン酸(NCG86)、
10-(4-クロロフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG87)、
10-(4-フルオロフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG88)、
10-(4-メトキシフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG89)、
10-(4-トリル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG97)、
10-(4-N,N-ジメチルアミノフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG98)、
10-(4-ビフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG99)、
【0012】
10-(4-フェノキシフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG100)、
10-(4-ターシャリーブチルフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG101)、
12-(4-クロロフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG102)、
12-(4-フルオロフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG103)、
12-(4-トリル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG104)、
12-(4-ターシャリーブチルフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG105)、
12-(4-ビフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG106)、
13-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)トリデカン酸(NCG107)、
14-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)テトラデカン酸(NCG108)、
12-(4-メトキシフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG109)、
【0013】
12-(4-トリフルオロメチルフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG110)、
12-(2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG111)、
12-フェニルアミノドデカン酸(NCG112)、
12-(フェニル-2-チアゾリルアミノ)ドデカン酸(NCG113)、
12-(フェニル-2-ベンゾチアゾリル)アミノドデカン酸(NCG114)、
12-(フェニル-2-ベンゾオキサゾリルアミノ)ドデカン酸(NCG115)、
12-(9-カルバゾイル)ドデカン酸(NCG116)、
12-(9-ピリド[2,3-b]インドイル)ドデカン酸(NCG117)、
12-(1-ナフチル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG118)、
12-(2-ナフチル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG119)、
【0014】
12-ジフェニルアミノドデカン酸(NCG120)、
12-(2-ジピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG121)、
12-[(4-メトキシフェニル)フェニルアミノ]ドデカン酸(NCG122)、
12-フェノキシドデカン酸(NCG123)、
12-(10-フェノキサジニル)ドデカン酸(NCG124)、
12-(10-フェノチアジニル)ドデカン酸(NCG125)、
12-(2-ピリジニル-3-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG126)、
12-(フェニル-2-キノリニルアミノ)ドデカン酸(NCG127)、
12-(1-イソキノリルフェニルアミノ)ドデカン酸(NCG128)、
12-[(5-フルオロ-2-ピリジニル)-2-ピリジニルアミノ]ドデカン酸(NCG129)、
【0015】
12-[(5-クロロ-2-ピリジニル)-2-ピリジニルアミノ]ドデカン酸(NCG130)、
12-[(5-メチル-2-ピリジニル)-2-ピリジニルアミノ]ドデカン酸(NCG131)、
12-[(5-トリフルオロメチル-2-ピリジニル)-2-ピリジニルアミノ]ドデカン酸(NCG132)、
3-[4-(3-フェニルアミノプロポキシ)フェニル]プロピオン酸(NCG133)、
3-{4-[3-(2-ピリジニルアミノ)プロポキシ]フェニル}プロピオン酸(NCG134)、
3-[4-(3-ジフェニルアミノプロポキシ)フェニル]プロピオン酸(NCG135)、および、
3-{4-[3-(2-ジピリジニルアミノ)プロポキシ]フェニル}プロピオン酸(NCG136)
からなる群から選択される化合物またはその薬学的に許容し得る塩を含むGタンパク質共役型レセプター作動剤。
【0016】
[6]Gタンパク質共役型レセプターが、GPR40を含む、[1]〜[5]のいずれか一項に記載のGタンパク質共役型レセプター作動剤。
[7]GPR40特異的である、[6]に記載のGタンパク質共役型レセプター作動剤。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載のGタンパク質共役型レセプター作動剤を有効成分として含有する、GPR40が関与する疾患の治療または予防のための医薬組成物。
[9]GPR40が関与する疾患が、糖尿病である、[8]に記載の医薬組成物。
【0017】
[10]一般式:
L−(CH−COOH
式中、
Lは、RN−またはRO−であり、
は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、
は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、置換されていてもよい芳香族複素環基、水素原子または置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基であり、
およびRは一緒に環を形成していてもよく、
mは、4〜16であり、
−(CH−の末端のC原子を含まない−CHCH−は、−MR−で置き換えられていてもよく、
Mは、O、SまたはNRであり、
は、置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を示し、
は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、置換されていてもよい芳香族複素環基、水素原子または置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基である、
で表される化合物またはその塩。
【0018】
[11]Lは、RN−またはRO−であり、
は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、
は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、置換されていてもよい芳香族複素環基、水素原子または置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基であり、
およびRは一緒に環を形成していてもよく、
mは、4〜16である、[10]に記載の化合物またはその塩。
[12]LがRN−である、[10]または[11]に記載の化合物またはその塩。
[13]Rが、置換されていてもよいフェニルであり、Rが、置換されていてもよいピリジニルである、[12]に記載の化合物またはその塩。
【0019】
[14]11-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)ウンデカン酸(NCG74)、
12-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG75)、
10-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG85)、
9-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)ノナン酸(NCG86)、
10-(4-クロロフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG87)、
10-(4-フルオロフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG88)、
10-(4-メトキシフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG89)、
10-(4-トリル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG97)、
10-(4-N,N-ジメチルアミノフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG98)、
10-(4-ビフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG99)、
【0020】
10-(4-フェノキシフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG100)、
10-(4-ターシャリーブチルフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG101)、
12-(4-クロロフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG102)、
12-(4-フルオロフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG103)、
12-(4-トリル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG104)、
12-(4-ターシャリーブチルフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG105)、
12-(4-ビフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG106)、
13-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)トリデカン酸(NCG107)、
14-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)テトラデカン酸(NCG108)、
12-(4-メトキシフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG109)、
【0021】
12-(4-トリフルオロメチルフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG110)、
12-(2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG111)、
12-フェニルアミノドデカン酸(NCG112)、
12-(フェニル-2-チアゾリルアミノ)ドデカン酸(NCG113)、
12-(フェニル-2-ベンゾチアゾリル)アミノドデカン酸(NCG114)、
12-(フェニル-2-ベンゾオキサゾリルアミノ)ドデカン酸(NCG115)、
12-(9-カルバゾイル)ドデカン酸(NCG116)、
12-(9-ピリド[2,3-b]インドイル)ドデカン酸(NCG117)、
12-(1-ナフチル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG118)、
12-(2-ナフチル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG119)、
【0022】
12-ジフェニルアミノドデカン酸(NCG120)、
12-(2-ジピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG121)、
12-[(4-メトキシフェニル)フェニルアミノ]ドデカン酸(NCG122)、
12-フェノキシドデカン酸(NCG123)、
12-(10-フェノキサジニル)ドデカン酸(NCG124)、
12-(10-フェノチアジニル)ドデカン酸(NCG125)、
12-(2-ピリジニル-3-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG126)、
12-(フェニル-2-キノリニルアミノ)ドデカン酸(NCG127)、
12-(1-イソキノリルフェニルアミノ)ドデカン酸(NCG128)、
12-[(5-フルオロ-2-ピリジニル)-2-ピリジニルアミノ]ドデカン酸(NCG129)、
【0023】
12-[(5-クロロ-2-ピリジニル)-2-ピリジニルアミノ]ドデカン酸(NCG130)、
12-[(5-メチル-2-ピリジニル)-2-ピリジニルアミノ]ドデカン酸(NCG131)、
12-[(5-トリフルオロメチル-2-ピリジニル)-2-ピリジニルアミノ]ドデカン酸(NCG132)、
3-[4-(3-フェニルアミノプロポキシ)フェニル]プロピオン酸(NCG133)、
3-{4-[3-(2-ピリジニルアミノ)プロポキシ]フェニル}プロピオン酸(NCG134)、
3-[4-(3-ジフェニルアミノプロポキシ)フェニル]プロピオン酸(NCG135)、および、
3-{4-[3-(2-ジピリジニルアミノ)プロポキシ]フェニル}プロピオン酸(NCG136)
からなる群から選択される化合物またはその塩。
【発明の効果】
【0024】
本発明の化合物は、それ自体がGタンパク質共役型レセプター(GPCR)のリガンドとしての機能を有するか、および/または該リガンドを製造するための中間体化合物として利用できる。本発明の化合物は一態様において、Gタンパク質共役型レセプター(GPCR)の作動剤(agonist)として機能する。
【0025】
従来、リガンドである脂肪酸による活性化以外には、GPR40に関していくつかの化合物が作用するという報告はあるが、GPR40とGPR120とのそれぞれに対して選択性を有するアゴニストを見出した例は僅少であるところ、本発明の化合物はGPR40に対して特異的に作用することが明らかとなった。とくに、GPR40とGPR120の2種類の受容体は、非常に類似した脂肪酸をリガンドとするところ、本発明におけるGPR40に選択的な化合物は、GPR120に対する作用は弱く、GPR40にのみ特異的に作用する。その結果、GPR120が発現する他組織には作用せず、膵臓のGPR40に対してのみ作用し、膵臓β細胞からのインスリン分泌を促進することにより糖尿病の治療効果および予防効果が期待される。
【0026】
また、従来のリガンドよりも比較的構造が簡単であるため、本発明の化合物は、簡単な製造方法によって提供することができる。したがって本発明は、脂肪酸受容体GPR40に対する選択的アゴニストを新規に見出したもので、これにより脂肪酸受容体の機能を特異的に制御できる新規の医薬品、食品等が比較的簡単な製造方法によって提供することができる可能性があり、きわめて有益である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1−1】図1−1は、本発明の化合物および各試験例において用いた化合物の化学構造式の一覧である。
【図1−2】図1−2は、本発明の化合物および各試験例において用いた化合物の化学構造式の一覧である。
【図1−3】図1−3は、本発明の化合物および各試験例において用いた化合物の化学構造式の一覧である。
【図1−4】図1−4は、本発明の化合物および各試験例において用いた化合物の化学構造式の一覧である。
【図2】図2は、FLAGhGPR40を組み込んだ発現誘導細胞株(T-REx FLAGhGPR40)を用いた、各種化合物の刺激に対するERKアッセイの結果を示すグラフである。
【図3】図3は、FLAGhGPR120を組み込んだ発現誘導細胞株(Flp-in FLAGhGPR120)を用いた、各種化合物の刺激に対するERKアッセイの結果を示すグラフである。
【図4】図4は、GPR40に対するNCG75、LAおよびAMGEN_1のカルシウム反応を容量依存性的に示すグラフである。
【図5】図5は、GPR120に対するNCG75、LAおよびAMGEN_1のカルシウム反応を容量依存性的に示すグラフである。
【図6】図6は、NCG75のMIN6インシュリン分泌アッセイの結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の化合物は、一般式:
L−(CH−COOH
式中、
Lは、RN−またはRO−であり、
は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、
は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、置換されていてもよい芳香族複素環基、水素原子または置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基であり、
およびRは、一緒に環を形成していてもよく、
mは、4〜16であり、
−(CH−の末端のC原子を含まない−CHCH−は、−MR−で置き換えられていてもよく、
Mは、O、SまたはNRであり、
は、置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を示す、
で表される化合物として記載することができる。
【0029】
ここで、「芳香族炭化水素基」とは、単環または縮合環から構成される炭素数6〜14のアリール基を意味し、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、インデニル基、アズレニル基、フルオレニル基、フェナントリル基などが挙げられる。該アリール基は、場合により、部分的に飽和されていてもよい。部分的に飽和されたアリール基としては、例えばジヒドロインデニル、テトラヒドロナフチルなどが挙げられる。好適には、炭素数6〜10のアリール基であり、さらに好適には、ビフェニル基、フェニルまたはナフチル基であり、最も好適には、フェニル基である。芳香族炭化水素基が「置換されていてもよい」とは、例えば、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フェニル基などによって置換されていてもよいことを意味する。したがって、置換されていてもよい芳香族炭化水素基としては、とくに限定されないが、例えば、フェニル、フルオロフェニル、クロロフェニル、トリル、メトキシフェニル、N,N−ジメチルアミノフェニル、ビフェニル、フェノキシフェニル、ターシャリーブチルフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ナフチルなどが挙げられ、好ましくは、フェニル、4位が置換されたフェニルであり、とくに好ましくは、フェニルである。
【0030】
また、「芳香族複素環基」とは、単環または縮合環から構成される芳香族性を有する炭素原子以外のヘテロ原子(例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子)を環の構成元素として有する官能基を意味する。ここで、ヘテロ原子は、1個または2個以上含まれ得るが、2個以上含まれる場合のヘテロ原子は互いに同種または異種の原子であってもよい。本発明の化合物においては、とくに限定されないが、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、1,3,5−トリアジニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、テトラゾリル基、チエニル基、フリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、チアジアゾリル基、キノリル基、ベンゾチアゾリル基などが挙げられ、好ましくは、ピリジル基、チアゾリル基であり、とくに好ましくは、ピリジル基である。芳香族複素環基が「置換されていてもよい」とは、例えば、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フェニル基などによって置換されていてもよいことを意味する。したがって、置換されていてもよい芳香族複素環基としては、とくに限定されないが、例えば、ピリジニル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリニルなどが挙げられ、好ましくは、2−ピリジニルである。
【0031】
「置換されていてもよいアルキル基」とは、アルキル基における1個または2個以上の水素原子が、例えば、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フェニル基などによって置換されていてもよいことを意味する。
「置換されていてもよいアルキレン基」とは、アルキレン基における1個または2個以上の水素原子が、例えば、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フェニル基などによって置換されていてもよいことを意味する。
ここで「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子などを示し、好ましくは、フッ素原子または塩素原子である。
【0032】
本発明の化合物において、RとRとは、互いに独立しており、同じであっても異なっていてもよい。また、RおよびRは、一緒に環を形成していてもよく、一緒に環を形成する場合、かかる環は、とくに限定されないが、例えば、カルバゾイル、ピリドインドイル、フェノキサジニル、フェノチアジニルが挙げられ、好ましくは、9−カルバゾイル、9−ピリド[2,3−b]インドイル、10−フェノキサジニル、10−フェノチアジニルである。
また、前記一般式において、mは4〜16、好ましくは7〜14、とくに好ましくは9〜11である。
【0033】
本発明の化合物は、常法によって、適宜、塩または薬学的に許容し得る塩に調製することができる。
ここで「薬学的に許容し得る塩」とは、人体に投与しても無害な塩のことをいい、典型的には、カリウム塩、ナトリウム塩や、酸付加塩などが挙げられる。酸付加塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸や、酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、グルクロン酸またはガラクツロン酸などのウロン酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸または酒石酸などのα−ヒドロキシ酸、アスパラギン酸またはグルタミン酸などのアミノ酸、安息香酸またはケイ皮酸などの芳香族酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸またはベンゼンスルホン酸などのスルホン酸、その他各種の有機酸の塩が挙げられる。
本発明の化合物をリガンド製造の中間体化合物として用いる場合、その塩は、とくに薬学的に許容し得る塩ではなく、人体に投与すると有害な塩であってもよく、最終的に薬学的に許容し得る塩とできれば、とくに限定されない。
【0034】
本発明の化合物は、GPCR作動剤、とくにGPR40特異的な作動剤として作用する。したがって本発明は、一態様において、前記化合物またはその薬学的に許容し得る塩を有効成分として含むGタンパク質共役型レセプター作動剤であり、とくにGPR40の機能を作動(亢進)させる。
GPR40は膵臓β細胞に存在し、GPR40の作動によりインスリン分泌が促進される。したがって、本発明のGPR40作動性化合物は、
(i)膵臓β細胞からのインスリン分泌促進による糖尿病治療薬、
(ii)β細胞またはその前駆細胞の分化増殖促進による、高血糖、インスリン抵抗性、肥満などから糖尿病に移行することを予防する糖尿病予防剤としての使用が可能である。また、β細胞移植時の移植細胞の生着率向上のための医薬としての使用も可能である。
【0035】
本発明の化合物を有効成分として含有するGPCRの作動剤は、上記したような薬効を有しており、例えば、次のようにして製剤化できる。
本発明のGPCRの作動剤は、静脈内、経口への投与を含む、治療上適切な投与経路に適合するように製剤化される。静脈内への投与に使用される溶液または懸濁液には、限定はしないが、注射用の水などの滅菌的希釈液、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒、ベンジルアルコールまたは他のメチルパラベンなどの保存剤、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなどの無痛化剤、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)などのキレート剤、酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩などの緩衝剤、塩化ナトリウムまたはデキストロースなど浸透圧調製のための薬剤を含んでもよい。
pHは塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調整することができる。非径口的標品はアンプル、ガラスもしくはプラスチック製の使い捨てシリンジまたは複数回投与用バイアル中に収納される。
【0036】
注射に適する製剤とするには、滅菌された注射可能な溶液または分散媒であって、使用時に調製するための滅菌水溶液(水溶性の)または分散媒および滅菌されたパウダー(凍結乾燥されたタンパク質、核酸などを含む)が含まれる。静脈内の投与に関し、適切な担体には生理食塩水、静菌水、CREMOPHOR EL(登録商標。BASF,Parsippany,N.J.)、またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)が含まれる。注射剤として使用する場合、GPCR作動剤は滅菌されており、また、シリンジを用いて投与されるために十分な流動性を保持していなくてはならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、および適切な混合物を含む溶媒または分散媒培地を使用することができる。例えば、レクチンなどのコーティング剤を用い、分散媒においては必要とされる粒子サイズを維持し、界面活性剤を用いることにより適度な流動性が維持される。種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、およびチメロサールなどは、微生物のコンタミネーションを防ぐために使用可能である。また、糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコールおよび塩化ナトリウムのような等張性を保つ薬剤が組成物中に含まれてもよい。吸着を遅らせることができる組成物には、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの薬剤が含まれる。
【0037】
滅菌的な注射可能溶液は、必要な成分を単独でまたは他の成分と組み合わせた後に、適切な溶媒中に必要量の活性化合物を加え、滅菌することで調製される。一般に、分散媒は、基本的な分散培地および上述したその他の必要成分を含む滅菌的媒体中に活性化合物を取り込むことにより調製される。滅菌的な注射可能な溶液の調製のための滅菌的なパウダーの調製方法には、活性な成分および滅菌溶液に由来する何れかの所望な成分を含むパウダーを調製する真空乾燥および凍結乾燥が含まれる。
経口用の製剤とする場合には、不活性な希釈剤または体内に取り込んでも害を及ぼさない担体が含まれる。経口用製剤は、例えば、ゼラチンのカプセル剤に包含されるか、加圧されて錠剤化される。経口的治療のためには、活性化合物は賦形剤と共に取り込まれ、錠剤、トローチまたはカプセル剤の形態で使用される。また、経口用製剤は、流動性担体を用いて調製することも可能である。さらに、薬剤的に適合する結合剤、および/またはアジュバント物質などが包含されてもよい。
【0038】
錠剤、丸薬、カプセル剤、トローチ剤およびその類似物は、以下の成分または類似の性質を持つ化合物の何れかを含み得る。微結晶性セルロースのような賦形剤、アラビアゴム、トラガントまたはゼラチンなどの結合剤;スターチまたはラクトース、アルギン酸、PRIMOGEL、またはコーンスターチなどの膨化剤;ステアリン酸マグネシウムまたはSTRROTESなどの潤滑剤;コロイド性シリコン二酸化物などの滑剤;スクロースまたはサッカリンなどの甘味剤;またはペパーミント、メチルサリシル酸またはオレンジフレイバーなどの香料添加剤。
全身投与用の製剤とする場合には、経粘膜的または経皮的に行うことができる。経粘膜的または経皮的投与について、標的のバリアーを透過することができる浸透剤が選択される。経粘膜浸透剤は界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が含まれる。経鼻スプレーまたは坐薬は経粘膜的な投与に対して使用することができる。経粘膜的投与に対して、活性化合物はオイントメント、軟膏、ジェルまたはクリーム中に製剤化される。
【0039】
また、本発明医薬組成物は、直腸への送達に対して、坐薬(例えば、ココアバターおよび他のグリセリドなどの基剤と共に)または滞留性の浣腸の形態で調製することもできる。
制御放出製剤とする場合には、体内から即時に除去されことを防ぎ得る担体を用いて調製することができる。例えば、エチレンビニル酢酸塩、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの、生物分解性、生物適合性ポリマーを用いることができる。このような材料は、ALZA Corporation(Mountain View,CA)およびNOVA Pharmaceuticals,Inc.(Lake Elsinore,CA)から入手することが可能で、また、当業者によって容易に調製することもできる。また、リポソームの懸濁液も薬学的に受容可能な坦体として使用することができる。有用なリポソームは、限定はしないが、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導ホスファチジルエタノール(PEG−PE)を含む脂質組成物として、使用に適するサイズになるように、適当なポアサイズのフィルターを通して調製され、逆相蒸発法によって精製される。例えば、抗体のFab’断片などは、ジスルフィド交換反応を介して、リポソームに結合させてもよい(MartinおよびPapahadjopoulos,1982)。詳細な調製方法は、例えば、Eppstein等,1985;Hwang等,1980中の記載を参照。
【0040】
本発明のGPCR作動剤の投与量は、特定の疾患の治療または予防において、投与される患者(人)または動物の状態、投与方法等に依存するが、当業者であれば容易に最適化することが可能である。例えば、注射投与の場合は、例えば、一日に患者の体重あたり約0.1μg/kgから500mg/kgを投与するのが好ましく、一般に一回または複数回に分けて投与され得るであろう。好ましくは、投与量レベルは、一日に約0.1μg/kgから約250mg/kgであり、より好ましくは一日に約0.5〜約100mg/kgである。
経口投与の場合は、好ましくは1.0から1000mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供される。好ましくは治療されるべき患者(人)または動物に対する有効活性成分の投与量は、0.01〜100mg/kgである。化合物は一日に1〜4回の投与計画で、好ましくは一日に一回または二回投与される。
【0041】
本発明の化合物は、適宜、公知の方法を用いることにより製造することができるが、以下、その代表的な製造方法の例について述べる。なお、本発明の化合物の合成方法は、下記合成例に限定されるものではない。
【0042】
〔合成例〕
本発明の化合物は、以下の工程1〜3を含む製造方法によって合成し得る。
(工程1)
〔式1〕R + RNH → RNH
工程1は、RNHの製造工程であり、RNHは、Rを溶媒中、塩基の存在下、RNHと加熱下に反応を行うことにより得ることができる。
【0043】
前記溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどの極性非プロトン性溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒;トルエン、キシレンなどのベンゼン系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒等が挙げられ、好ましくは、トルエン、キシレンなどである。
前記塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウムなどの無機塩基、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシドなどのアルコキシド系塩基、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセンなどの有機塩基が挙げられ、好ましくは、ナトリウムtert-ブトキシドである。
【0044】
ここで、Rは、例えば、クロロピリジン、ブロモピリジン、ヨードピリジンであり、好ましくは、ヨードピリジン、ブロモピリジンである。
また、RNHは、例えば、アニリンなどの芳香族アミン、n-ブチルアミンなどの脂肪族アミンであり、好ましくは、アニリンなどの芳香族アミンである。
【0045】
反応温度は、40℃〜100℃で行うことができ、好ましくは50℃〜80℃である。また反応時間は、5〜100時間であり、好ましくは24〜50時間である。
また、かかる製造工程において、適宜、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチルなどの触媒を用い得る。
【0046】
(工程1’)
〔式1’〕X(CHCOOH + ROH → X(CHCOOR
工程1’は、工程2において、工程1で得られたRNHと反応させるX(CHCOORの製造工程であり、X(CHCOOHとROHとを反応させて、エステルを得る。かかるエステル化については、常法に従い、当業者が適宜なし得る。
ここで、Rは、好ましくは、メチル、エチル、tert-ブチル、ベンジルなどである。
【0047】
(工程2)
〔式2〕RNH + X(CHCOOR → RN(CHCOOR
工程2は、RN(CHCOORの製造工程であり、RN(CHCOORは、RNHを溶媒中、塩基の存在下、X(CHCOORと加熱下に反応を行うことにより得ることができる。
【0048】
前記溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどの極性非プロトン性溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒;トルエン、キシレンなどのベンゼン系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒等が挙げられ、好ましくは、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなどである。
前記塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウムなどの無機塩基、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシドなどのアルコキシド系塩基、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセンなどの有機塩基が挙げられ、好ましくは、水素化ナトリウムである。
【0049】
ここで、RNHは、例えば、N-フェニルピリジン-2-アミンなどのジアリルアミン、N-ブチルピリジン-2-アミンなどのアルキルアリルアミンであり、好ましくは、N-フェニルピリジン-2-アミンなどのジアリルアミンである。
また、X(CHCOORは、例えば、9-ブロモノナン酸エチルエステル、11-ブロモウンデカン酸メチルエステル、12-ブロモドデカン酸メチルエステルなどのハロアルキル酸アルキルエステルであり、好ましくは、12-ブロモドデカン酸メチルエステルである。
【0050】
反応温度は、40℃〜100℃で行うことができ、好ましくは50℃〜80℃である。また反応時間は、5〜100時間であり、好ましくは24〜50時間である。
また、かかる製造工程において、適宜、ヨウ化カリウムなどの触媒を用い得る。
【0051】
(工程3)
〔式3〕RN(CHCOOR → RN(CHCOOH
工程3は、RN(CHCOOHの製造工程であり、RN(CHCOORを脱エステル化することにより得ることができる。
かかる脱エステル化については、常法に従い、当業者が適宜なし得る。
【0052】
上記式中、Rは、置換されていてもよい芳香族炭化水素基または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、Rは、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、置換されていてもよい芳香族複素環基、水素原子または置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基である。また、mは、4〜16である。
、Xは、夫々、同一または異なっていてもよく、典型的にはハロゲン、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フェニル基であり、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、とくに好ましくは、臭素原子である。
【0053】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0054】
1.化合物の合成
実施例1(スキーム1)
11-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)ウンデカン酸(化合物2、NCG74)の製造
【化1】

【0055】
工程1:N-フェニルピリジン-2-アミン(化合物1)の製造
2-ブロモピリジン(3.1g)、アニリン(5.6g)をトルエン(40mL)に溶解し、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(370mg)、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(490mg)、ナトリウムtert-ブトキシド(2.7g)を加え、80℃で終夜攪拌した。反応液に酢酸エチル(100mL)を加え、水(100mL)で洗浄した。有機層を2N塩酸(100mL)で抽出し、酢酸エチル(100mL)で洗浄した。
水層に2N水酸化ナトリウム水溶液(150mL)を加えアルカリ性にした後、酢酸エチル(200mL)で抽出した。有機層を飽和食塩水(200mL)で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をジエチルエーテルで洗浄し、表題化合物(1.3g、収率37%)を得た。
【0056】
1H-NMR (CDCl3, 500MHz, δ; ppm) 8.21 (1H, d, J = 4.9 Hz), 7.49 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.40-7.30 (4H, m), 7.06 (1H, m), 6.88 (1H, d, J = 8.2 Hz), 6.73 (1H, d, J = 7.1 Hz), 6.61 (1H, broad s).
【0057】
工程2:11-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)ウンデカン酸メチルエステルの製造
工程1で得られたN-フェニルピリジン-2-アミン(化合物1)(670mg)をN,N-ジメチルホルムアミド(4mL)に溶解し、水素化ナトリウム(60%)(230mg)を加え、室温で20分攪拌した。反応液にヨウ化カリウム(330mg)、11-ブロモウンデカン酸メチルエステル(1.1g)のN,N-ジメチルホルムアミド(4mL)溶液を加え、80℃で2時間攪拌した。反応液に酢酸エチル(100mL)を加え、水(100mL)、飽和食塩水(100mL)で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n-ヘキサン:酢酸エチル=8:1)で精製し、表題化合物(210mg、収率17%)を得た。
【0058】
1H-NMR (CDCl3, 500MHz, δ; ppm) 8.19 (1H, d, J = 5.0 Hz), 7.39 (2H, t, J = 7.8 Hz), 7.26-7.21 (4H, m), 6.54 (1H, t, J = 6.0 Hz), 6.34 (1H, d, J = 8.6 Hz), 3.93 (2H, t, J = 7.8 Hz), 3.65 (3H, s), 2.29 (2H, t, J = 7.6 Hz), 1.65-1.54 (4H, m), 1.35-1.22 (14H, m).
【0059】
工程3:11-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)ウンデカン酸(化合物2、NCG74)の製造
前工程で得られた11-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)ウンデカン酸メチルエステル(200mg)をメタノール(2mL)、テトラヒドロフラン(2mL)に溶解し、2N水酸化ナトリウム水溶液(0.8mL)を加え、室温で終夜攪拌した。反応液に2N塩酸(0.8mL)を加え、濃縮後、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n-ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、表題化合物(157mg、収率81%)を無色結晶として得た。
【0060】
mp 76-77℃; 1H-NMR (CDCl3, 500MHz, δ; ppm) 8.21 (1H, d, J = 5.2 Hz), 7.40 (2H, t, J = 7.3 Hz), 7.27-7.21 (4H, m), 6.56 (1H, t, J = 5.9 Hz), 6.33 (1H, d, J = 8.5 Hz), 3.90 (2H, t, J = 7.8 Hz), 2.33 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.66-1.59(4H, m), 1.35-1.20 (14H, m); MS (EI) m/z: 354 (M+); HRMS calcd for C22H30N2O2 354.230, found 354.230; Anal. calcd for C22H30N2O2: C, 74.54; H, 8.53; N, 7.90. Found: C, 74.47; H, 8.54; N, 8.03.
【0061】
実施例2(スキーム2)
12-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(化合物4、NCG75)の製造
【化2】

【0062】
工程1:12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)の製造
12-ブロモドデカン酸(1.0g)をメタノール(30mL)に溶解し、濃硫酸(1mL)を加え、1.5時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、酢酸エチル(100mL)を加え、水(100mL)、飽和食塩水(100mL)で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n-ヘキサン:酢酸エチル=16:1)で精製し、表題化合物(0.92g、収率 88%)を得た。
【0063】
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 3.66 (3H, s), 3.40 (2H, t, J = 6.9 Hz), 2.30 (2H, t, J = 7.5), 1.85 (2H, quintet, J = 7.2 Hz), 1.61 (2H, quintet, J = 7.4 Hz), 1.42 (2H, quintet, J = 7.3 Hz), 1.35-1.23 (12H, m).
【0064】
工程2、工程3:12-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(化合物4、NCG75)の製造
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに前工程で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)(470mg)を用い、実施例1の工程2、工程3と同様の方法により表題化合物(292mg、収率35%)を無色結晶として得た。
【0065】
mp 76-77℃; 1H-NMR (CDCl3, 500MHz, δ; ppm) 8.21 (1H, d, J = 5.0 Hz), 7.40 (2H, t, J = 7.8 Hz), 7.27-7.21 (4H, m), 6.56 (1H, t, J = 5.6 Hz), 6.33 (1H, d, J = 8.8 Hz), 3.91 (2H, t, J = 7.9 Hz), 2.34 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.66-1.59 (4H, m), 1.34-1.21 (16H, d, J = 9.3 Hz); MS (EI) m/z: 368 (M+); HRMS calcd for C23H32N2O2 368.246, found 358.247; Anal. calcd for C23H32N2O2: C, 74.96; H, 8.75; N, 7.60. Found: C, 75.07; H, 8.95; N, 7.52.
【0066】
実施例3 10-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG85)の製造
【化3】

【0067】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに10-ブロモデカン酸メチルエステルを用い、実施例1の工程2、工程3と同様の方法により表題化合物(収率11%)を無色油状物として得た。
【0068】
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.21 (1H, d, J = 5.1 Hz), 7.41 (2H, t, J = 7.9 Hz), 7.28-7.21 (4H, m), 6.56 (1H, t, J = 6.09), 6.33 (1H, d, J = 8.5 Hz), 3.90 (2H, t, J = 7.7 Hz), 2.33 (2H, t, J = 7.4 Hz), 1.68-1.56 (4H, m), 1.33-1.23 (10H, m); MS (EI) m/z: 340 (M+); HRMS. calcd for C21H28N2O2 340.215, found 340.216; Anal. calcd for C21H28N2O2・1/5 H2O: C, 73.31; H, 8.32; N, 8.14. Found: C, 73.20; H, 8.37; N, 8.14.
【0069】
実施例4 9-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)ノナン酸(NCG86)の製造
【化4】

【0070】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに9-ブロモノナン酸エチルエステルを用い、実施例1の工程2、工程3と同様の方法により表題化合物(収率41%)を無色結晶として得た。
【0071】
mp 65-66℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.21 (1H, d, J = 5.2 Hz), 7.40 (2H, t, J = 7.8 Hz), 7.27-7.21 (4H, m), 6.56 (1H, t, J = 5.9 Hz), 6.33 (1H, d, J = 8.8 Hz), 3.91 (2H, t, J = 7.8 Hz), 2.33 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.65-1.60 (4H, m), 1.35-1.25 (8H, m); MS (EI) m/z: 326 (M+); HRMS calcd. for C20H26N2O2 326.199, found 326.199; Anal. calcd for C20H26N2O2: C, 74.96; H, 8.75; N, 7.60. Found: C, 75.07; H, 8.95; N, 7.52.
【0072】
実施例5 10-(4-クロロフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG87)の製造
【化5】

【0073】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに10-ブロモデカン酸メチルエステルを、アニリンの代わりに4-クロロアニリンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率7.6%)を無色結晶として得た。
【0074】
mp 79-80℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.21 (1H, d, J = 4.8 Hz), 7.36 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.30 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.16 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.60 (1H, t, J = 5.3 Hz), 6.37 (1H, d, J = 8.5 Hz), 3.87 (2H, t, J = 7.7 Hz), 2.33 (2H, t, J = 7.4 Hz), 1.65-1.56 (4H, m), 1.35-1.24 (10H, m); MS (EI) m/z: 374, 376 (M+); HRMS calcd for C21H27N2O235Cl 374.177, found 374.176; calcd for C21H27N2O237Cl 376.174, found 376.173; Anal. calcd for C21H27N2O2Cl: C, 67.28; H, 7.26; N, 7.47. Found: C, 67.01; H, 7.29; N, 7.74.
【0075】
実施例6 10-(4-フルオロフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG88)の製造
【化6】

【0076】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに10-ブロモデカン酸メチルエステルを、アニリンの代わりに4-フルオロアニリンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率37%)を無色結晶として得た。
【0077】
mp 71-72℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.17 (1H, d, J = 4.8 Hz), 7.25 (1H, t, J = 7.8 Hz), 7.20-7.17 (2H, m), 7.09 (2H, t, J = 4.26 Hz), 6.55 (1H, t, J = 5.9 Hz), 6.25 (1H, d, J = 8.5 Hz), 3.88 (2H, t, J = 7.6 Hz), 2.28 (2H, t, J = 7.4 Hz), 1.65-1.59 (4H, m), 1.34-1.25 (10H, m); MS (EI) m/z: 358 (M+); HRMS calcd for C21H27N2O2F 358.205, found 358.206; Anal. calcd for C21H27N2O2F: C, 70.37; H, 7.59; N, 7.82. Found: C, 70.20; H, 7.52; N, 7.82.
【0078】
実施例7 10-(4-メトキシフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG89)の製造
【化7】

【0079】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに10-ブロモデカン酸メチルエステルを、アニリンの代わりに4-アニシジンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率32%)を無色結晶として得た。
【0080】
mp 78-79℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.19 (1H, d, J = 4.9 Hz), 7.24 (1H, t, J = 8.0 Hz), 7.13 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.96 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.53 (1H, t, J = 5.3 Hz), 6.20 (1H, d, J = 8.3 Hz), 3.91-3.81 (5H, m), 2.28 (2H, t, J = 7.3 Hz), 1.66-1.50 (4H, m), 1.38-1.24 (12H, m); MS (EI) m/z: 370 (M+); HRMS calcd for C22H30N2O3 370.225, found 370.226; Anal. calcd for C22H30N2O3・1/7 H2O: C, 70.83; H, 8.18; N, 7.51. Found: C, 70.81; H, 8.29; N, 7.32.
【0081】
実施例8 10-(4-トリル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG97)の製造
【化8】

【0082】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに10-ブロモデカン酸メチルエステルを、アニリンの代わりに4-トルイジンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率29%)を無色結晶として得た。
【0083】
mp 65-66℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.19 (1H, d, J = 5.1 Hz), 7.26-7.21 (2H, m), 7.10 (2H, d, J = 8.2 Hz), 6.53 (1H, t, J = 6.1 Hz), 6.27 (1H, d, J = 8.5 Hz), 3.86 (2H,t, J = 7.7 Hz), 2.37 (3H, s), 2.30 (2H, t, J = 7.3 Hz), 1.66-1.60 (4H, m), 1.28-1.24 (12H, m); MS (EI) m/z: 354 (M+); HRMS calcd for C22H30N2O2 354.230, found 354.230; Anal. calcd for C22H30N2O2・1/3 H2O: C, 73.30; H, 8.53; N, 7.77. Found: C, 73.30; H, 8.36; N, 7.77.
【0084】
実施例9 10-(4-N,N-ジメチルアミノフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG98)の製造
【化9】

【0085】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに10-ブロモデカン酸メチルエステルを、アニリンの代わりにN,N-ジメチルアミノ-4-フェニレンジアミンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率25%)を茶色結晶として得た。
【0086】
mp 125-126℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.17 (1H, d, J = 4.8 Hz), 7.20 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.07 (2H, d, J = 6.7 Hz), 6.77 (2H, d, J = 8.5 Hz), 6.49 (1H, t, J = 6.1 Hz), 6.19 (1H, d, J = 8.5 Hz), 3.82 (2H, t, J = 7.9 Hz), 2.98 (6H, s), 2.34 (2H, t, J = 7.3 Hz), 1.66-1.61 (4H, m), 1.31-1.24 (10H, m); MS (EI) m/z: 383 (M+); HRMS calcd for C23H33N3O2 383.257, found 383.258; Anal. calcd for C23H33N3O2・1/5 H2O: C, 71.36; H, 8.70; N, 10.85. Found: C, 71.24; H, 8.52; N, 10.69.
【0087】
実施例10 10-(4-ビフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG99)の製造
【化10】

【0088】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに10-ブロモデカン酸メチルエステルを、2-ブロモピリジンの代わりに4-ブロモビフェニルを、アニリンの代わりに2-アミノピリジンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率5.5%)を無色結晶として得た。
【0089】
mp 80-81℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.23 (1H, d, J = 5.1 Hz), 7.62 (4H, t, J = 7.9 Hz), 7.45 (2H, t, J = 7.6 Hz), 7.35 (1H, t, J = 7.3 Hz), 7.31-7.28 (3H, m), 3..94 (2H, t, J = 7.9 Hz), 2.33 (2H, t, J = 7.4 Hz), 1.66-1.60 (4H, m), 1.31-1.26 (10H, m); MS (EI) m/z: 416 (M+); HRMS calcd for C27H32N2O2 416.246, found 416.246; Anal. calcd for C27H32N2O2: C, 77.85; H, 7.74; N, 6.73. Found: C, 77.51; H, 7.74; N, 6.60.
【0090】
実施例11 10-(4-フェノキシフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG100)の製造
【化11】

【0091】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに10-ブロモデカン酸メチルエステルを、アニリンの代わりに4-フェノキシアニリンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率41%)を無色結晶として得た。
【0092】
mp 117-118℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.20 (1H, d, J = 4.8 Hz), 7.36 (2H, t, J = 8.0 Hz), 7.28 (1H, t, J = 7.6 Hz), 7.17 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.13 (1H, t, J = 7.3 Hz), 7.08-7.03 (4H, m), 6.56 (1H, t, J = 6.1 Hz), 6.29 (8.5 Hz), 3.87 (2H, t, J = 7.0 Hz), 2.34 (2H, t, J = 7.3 Hz), 1.66-1.60 (4H, m), 1.29-1.24 (10H, m); MS (EI) m/z: 432 (M+); HRMS calcd for C27H32N2O3 432.241, found 432.241; Anal. calcd for C27H32N2O3: C, 74.97; H, 7.46; N, 6.48. Found: C, 74.75; H, 7.49; N, 6.49.
【0093】
実施例12 10-(4-ターシャリーブチルフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG101)の製造
【化12】

【0094】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに10-ブロモデカン酸メチルエステルを、アニリンの代わりに4-ターシャリーブチルアニリンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率23%)を無色結晶として得た。
【0095】
mp 117-118℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.20 (1H, d, J = 4.8 Hz), 7.41 (2H, d, J = 6.7 Hz), 7.24 (1H, t, J = 7.0 Hz), 7.14 (2H, d, J = 6.7 Hz), 6.54 (1H, t, J = 6.4 Hz), 6.30 (1H, d, J = 8.5 Hz), 3.86 (2H, t, J = 7.9 Hz), 2.33 (2H, t, J = 7.4 Hz), 1.65-1.54 (4H, m), 1.34 (9H, s), 1.34-1.21 (10H, m); MS (EI) m/z: 396 (M+); HRMS calcd for C25H36N2O2 396.278, found 396.277; Anal. calcd for C25H36N2O2: C, 75.72; H, 9.15; N, 7.06. Found: C, 75.44; H, 9.29; N, 6.85.
【0096】
実施例13 12-(4-クロロフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG102)の製造
【化13】

【0097】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、アニリンの代わりに4-クロロアニリンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率19%)を無色結晶として得た。
【0098】
mp 86-87℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.21 (1H, d, J = 4.6 Hz), 7.36 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.30 (1H, t, J = 7.8 Hz), 7.17 (2H, t, J = 8.8 Hz), 6.60 (1H, t, J = 6.1 Hz), 6.37 (1H, d, J = 8.5 Hz), 3.88 (2H, t, J = 7.7 Hz), 2.34 (2H, t, J = 7.4 Hz), 1.66-1.60 (4H, m), 1.27-1.24 (14H, m); MS (EI) m/z: 402, 404 (M+); HRMS calcd for C23H31N2O235Cl 402.207, found 402.207; calcd for C23H31N2O237Cl 404.204, found 404.203; Anal. calcd for C23H31N2O2Cl・1/6 H2O: C, 68.05; H, 7.78; N, 6.90. Found: C, 68.37; H, 7.92; N, 6.51.
【0099】
実施例14 12-(4-フルオロフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG103)の製造
【化14】

【0100】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、アニリンの代わりに4-フルオロアニリンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率37%)を無色結晶として得た。
【0101】
mp 79-80℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.21 (1H, d, J = 4.9 Hz), 7.28.7.25 (1H, m), 7.20 (2H, t, J = 7.0 Hz), 7.10 (2H, t, J = 7.3 Hz), 6.56 (1H, t, J = 5.6 Hz), 6.24 (1H, d, J = 8.5 Hz), 3.86 (2H, t, J = 7.7 Hz), 2.34 (2H, t, J = 7.4 Hz), 1.66-1.56 (4H, m), 1.28-1.25 (14H, m); MS (EI) m/z: 385(M+); HRMS calcd for C21H27N2O2F 385.241, found 385.241; Anal. calcd for C21H27N2O2F: C, 71.47; H, 8.08; N, 7.25. Found: C, 71.14; H, 7.97; N, 7.36.
【0102】
実施例15 12-(4-トリル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG104)の製造
【化15】

【0103】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、アニリンの代わりに4-トルイジンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率15%)を無色結晶として得た。
【0104】
mp 80-81℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.20 (1H, d, J = 5.2 Hz), 7.26-7.20 (3H, m), 7.11 (2H, d, J = 8.2 Hz), 6.53 (1H, t, J = 6.1 Hz), 6.27 (1H, d, J = 8.8 Hz), 3.87 (2H, t, J = 7.9 Hz), 2.37 (3H, s), 2.34 (2H, t, J = 7.4 Hz), 1.65-1.61 (4H, m), 1.32-1.22 (14H, m); MS (EI) m/z: 381 (M+); HRMS calcd for C24H34N2O2 381.266, found 381.266; Anal. calcd for C24H34N2O2・1/5 H2O: C, 74.65; H, 8.98; N, 7.25. Found: C, 74.78; H, 8.94; N, 7.25.
【0105】
実施例16 12-(4-ターシャリーブチルフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG105)の製造
【化16】

【0106】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、アニリンの代わりに4-ターシャリーブチルアニリンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率20%)を無色結晶として得た。
【0107】
mp 92℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.20 (1H, d, J = 5.2 Hz), 7.41 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.24 (1H, t, J = 7.8 Hz), 7.14 (2H, d, J = 8.5 Hz), 6.53 (1H, t, J = 6.1 Hz), 6.30 (1H, d, J = 8.5 Hz), 3.87 (2H, t, J = 7.9 Hz), 2.34 (2H, t, J = 7.4 Hz), 1.66-1.60 (4H, m), 1.34 (9H, s), 1.34-1.21 (14H, m); MS (EI) m/z: 367 (M+); HRMS calcd for C27H40N2O2 367.238, found 367.237; Anal. calcd for C27H40N2O2: C, 76.37; H, 9.50; N, 6.60. Found: C, 76.13; H, 9.63; N, 6.52.
【0108】
実施例17 12-(4-ビフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG106)の製造
【化17】

【0109】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、2-ブロモピリジンの代わりに4-ブロモビフェニルを、アニリンの代わりに2-アミノピリジンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率6.0%)を無色結晶として得た。
【0110】
mp 65-66℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.24 (1H, d, J = 5.2 Hz), 7.62 (4H, t, J = 8.2 Hz), 7.46 (2H, t, J = 7.6 Hz), 7.36 (1H, t, J = 7.4 Hz), 7.32-7.28 (3H, m), 6.59 (1H, t, J = 5.6 Hz), 6.46 (1H, d, J = 8.5 Hz), 3.94 (2H, t, J = 7.7 Hz), 2.33 (2H, t, J = 7.4 Hz), 1.69-1.60 (4H, m), 1.37-1.24 (14H, m); MS (EI) m/z: 444 (M+); HRMS calcd for C29H36N2O2 444.277, found 444.275; Anal. calcd for C29H36N2O2: C, 78.34; H, 8.16; N, 6.30. Found: C, 77.96; H, 8.22; N, 6.22.
【0111】
実施例18 12-(4-メトキシフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG109)の製造
【化18】

【0112】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例3の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、アニリンの代わりに4-アニシジンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率30%)を無色結晶として得た。
【0113】
mp 90-91℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.19 (1H, d, J = 5.2 Hz), 7.23 (1H, t, J = 6.8 Hz), 7.14 (2H, d, J = 6.4 Hz), 6.95 (2H, d, J = 6.7 Hz), 6.52 (1H, t, J = 6.1 Hz), 6.19 (1H, d, J = 8.8 Hz), 3.86-3.83 (5H, m), 2.34 (2H, t, J = 7.3 Hz), 1.66-1.56 (4H, m), 1.33-1.20 (14H, m); MS (EI) m/z: 398 (M+); HRMS calcd for C24H34N2O3 398.256, found 398.256; Anal. calcd for C24H34N2O3: C, 72.33; H, 8.60; N, 7.03. Found: C, 71.98; H, 8.83; N, 7.20.
【0114】
実施例19 12-(4-トリフルオロメチルフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG110)の製造
【化19】

【0115】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例3の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、2-ブロモピリジンの代わりに4-ブロモトリフルオロメチルベンゼンを、アニリンの代わりに2-アミノピリジンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率3%)を無色結晶として得た。
【0116】
mp 90-91℃; 1H-NMR (CDCl3, 600 MHz, δ; ppm) 8.26 (1H, d, J = 5.2 Hz), 7.60 (2H, d, J = 9.0 Hz), 7.38 (1H, t, J = 7.8 Hz), 7.31 (2H, d, J = 7.5 Hz), 1.66-1.59 (4H, m), 1.36-1.22 (14H, m); MS (EI) m/z: 436 (M+); HRMS calcd for C24H31N2O2F3 436.234, found 436.233; Anal. calcd for C24H31N2O2F3: C, 66.04; H, 7.16; N, 6.42. Found: C, 65.78; H, 7.00; N, 6.44.
【0117】
実施例20 12-(フェニル-2-ベンゾチアゾリル)アミノドデカン酸(NCG114)の製造
【化20】

【0118】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、2-ブロモピリジンの代わりに2-クロロベンゾチアゾールを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率22%)を淡黄色結晶として得た。
【0119】
mp 42-43℃; 1H-NMR (CDCl3, 600 MHz, δ; ppm) 7.59 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.48-7.45 (3H, m), 7.39-7.37 (3H, m), 7.27 (1H, t), 7.03 (1H, t, J = 7.5 Hz), 4.03 (2H, t, J = 7.5 Hz), 2.33 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.73-1.59 (4H, m), 1.39-1.22 (14H, m); MS (EI) m/z: 424 (M+); HRMS calcd for C25H32N2O2S 424.218, found 424.218; Anal. calcd for C25H32N2O2S: C, 67.84; H, 7.74; N, 6.33. Found: C, 67.56; H, 7.37; N, 6.23.
【0120】
実施例21 12-(フェニル-2-ベンゾオキサゾリルアミノ)ドデカン酸(NCG115)の製造
【化21】

【0121】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、2-ブロモピリジンの代わりに2-クロロベンゾオキサゾールを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率8.2%)を無色結晶として得た。
【0122】
mp 61-62℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 7.33-7.21 (4H, m), 7.13-7.03 (3H, m), 6.96 (1H, t, J = 7.2 Hz), 6.89 (1H, d, J = 7.5 Hz), 3.89 (2H, t, J = 7.5 Hz), 2.30 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.85-1.59 (4H, m), 1.45-1.25 (14H, m); MS (EI) m/z: 408 (M+); HRMS calcd for C25H32N2O3 408.241, found 408.241; Anal. calcd for C25H32N2O3・1/7 H2O: C, 73.04; H, 7.92; N, 6.81. Found: C, 73.14; H, 8.15; N, 6.57.
【0123】
実施例22 12-(9-カルバゾイル)ドデカン酸(NCG116)の製造
【化22】

【0124】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、N-フェニルピリジン-2-アミン(化合物1)の代わりにカルバゾールを用い、実施例1の工程2、工程3と同様の方法により表題化合物(収率66%)を無色結晶として得た。
【0125】
mp 102-104℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.09 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.46 (2H, t, J = 7.7 Hz), 7.40 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.22 (2H, t, J = 7.2 Hz), 4.29 (2H, t, J = 7.0 Hz), 2.34 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.86 (2H, quintet, J = 7.5 Hz), 1.66-1.58 (2H, m), 1.41-1.20 (14H, m); MS (EI) m/z: 365 (M+); HRMS calcd for C24H31NO2 365.235, fornd 365.235; Anal. calcd for C24H31NO2: C, 78.86; H, 8.55; N, 3.83. Found: C, 78.50; H, 8.42; N, 3.79.
【0126】
実施例23 12-(1-ナフチル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG118)の製造
【化23】

【0127】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、アニリンの代わりに1-ナフタレンアミンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率43%)を無色結晶として得た。
【0128】
mp 89-91℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.25 (1H, d, J = 4.0 Hz), 7.92 (1H, d, J = 7.5 Hz), 7.86 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.78 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.56-7.51 (2H, m), 7.49-7.39 (2H, m), 7.14 (1H, t, J = 7.5 Hz), 6.53 (1H, t, J = 6.0 Hz), 5.86 (1H, d, J = 9.0 Hz), 2.31 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.70-1.59 (4H, m), 1.36-1.20 (16H, m); MS (EI) m/z: 418 (M+); HRMS calcd for C27H34N2O2 418.262, found 418.262; Anal. calcd for C27H34N2O2: C, 77.48; H, 8.19; N, 6.69. Found: C, 77.51; H, 8.30; N, 6.46.
【0129】
実施例24 12-(2-ナフチル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG119)の製造
【化24】

【0130】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、2-ブロモピリジンの代わりに2-ブロモナフタレンを、アニリンの代わりに2アミノピリジンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率24%)を無色結晶として得た。
【0131】
mp 87-88℃; 1H-NMR (CDCl3, 600 MHz, δ; ppm) 8.24 (1H, d, J = 5.4 Hz), 7.87 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.84 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.78 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.68 (1H, s), 7.49-7.45 (2H, m), 7.35 (1H, d ,J = 8.7 Hz), 7.26 (1H, t, J = 7.5 Hz), 6.59 (1H, t, J = 6.0 Hz), 6.41 (1H, d, J = 8.4 Hz), 4.02 (2H, t, J = 7.8 Hz), 2.32 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.71-1.59 (4H, m), 1.36-1.21 (14H, m); MS (EI) m/z: 418 (M+); HRMS calcd for C27H34N2O2 418.261, found 418.261; Anal. calcd for C27H34N2O2: C, 77.48; H, 8.19; N, 6.69. Found: C, 77.12; H, 8.17; N, 6.66.
【0132】
実施例25 12-ジフェニルアミノドデカン酸(NCG120)の製造
【化25】

【0133】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、N-フェニルピリジン-2-アミン(化合物1)の代わりにジフェニルアミンを用い、実施例1の工程2、工程3と同様の方法により表題化合物(収率46%)を無色油状物として得た。
【0134】
1H-NMR (CDCl3, 600 MHz, δ; ppm) 7.26-7.23 (4H, m), 6.98 (4H, d, J = 8.5 Hz), 6.92 (2H, t, J = 7.5 Hz), 3.66 (2H, t, J = 7.8 Hz), 2.34 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.68-1.59 (4H, m), 1.35-1.20 (14H, m); MS (EI) m/z: 367 (M+); HRMS calcd for C24H33NO2 367.251, found 367.251.
【0135】
実施例26 12-(2-ジピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG121)の製造
【化26】

【0136】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、N-フェニルピリジン-2-アミン(化合物1)の代わりに2,2’-ジピリジニルアミンを用い、実施例1の工程2、工程3と同様の方法により表題化合物(収率36%)を無色結晶として得た。
【0137】
mp 36-37℃; 1H-NMR (CDCl3, 600 MHz, δ; ppm) 8.35 (1H, d, J = 4.0 Hz), 7.51 (2H, t, J = 7.8 Hz), 7.05 (2H, d, J = 8.5 Hz), 6.85 (2H, d, J = 6.0 Hz), 4.14 (2H, t, J = 7.8 Hz), 2.33 (2H, t, J = 7.2 Hz), 1.71-1.59 (4H, m), 1.36-1.22 (14H, m); MS (EI) m/z: 369 (M+); HRMS calcd for C22H31N3O2 369.242, found 369.241; Anal. calcd for C22H31N3O2: C, 71.51; H, 8.46; N, 11.37. Found: C, 71.39; H, 8.55; N, 11.60.
【0138】
実施例27 12-[(4-メトキシフェニル)フェニルアミノ]ドデカン酸(NCG122)の製造
【化27】

【0139】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、2-ブロモピリジンの代わりに4-ブロモアニソールを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率8.4%)を無色油状物として得た。
【0140】
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 7.15 (2H, t, J = 7.8 Hz), 7.07 (2H, d, J = 9.0 Hz), 6.88 (2H, d, J = 8.5 Hz), 6.73-6.69 (3H, m), 3.81 (3H, s), 3.59 (2H, t, J = 7.8 Hz), 2.34 (2H, t, J = 7.8 Hz), 1.66-1.59 (4H, m), 1.36-1.24 (14H, m); MS (EI) m/z: 397 (M+); HRMS calcd for C25H35NO3 397.261, found 397.262.
【0141】
実施例28 12-(10-フェノキサジニル)ドデカン酸(NCG124)の製造
【化28】

【0142】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、N-フェニルピリジン-2-アミン(化合物1)の代わりにフェノキサジンを用い、実施例1の工程2、工程3と同様の方法により表題化合物(収率52%)を淡緑色結晶として得た。
【0143】
mp 85-87℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 6.79-6.78 (3H, m), 6.64-6.60 (4H, m), 6.45(2H, d, J = 7.5 Hz), 3.45 (2H, t, J = 8.2 Hz), 2.35 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.68-1.59 (4H, m), 1.43-1.26 (14H, m); MS (EI) m/z: 381 (M+); HRMS calcd for C24H31NO3 381.230, found 381.230; Anal. calcd for C24H31NO3・1/7 H2O: C, 75.05; H, 8.21; N, 3.65; found: C, 75.04; H, 8.31; N, 3.87.
【0144】
実施例29 12-(10-フェノチアジニル)ドデカン酸(NCG125)の製造
【化29】

【0145】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、N-フェニルピリジン-2-アミン(化合物1)の代わりにフェノチアジンを用い、実施例1の工程2、工程3と同様の方法により表題化合物(収率30%)を桃色結晶として得た。
【0146】
mp 122-123℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 7.94 (2H, d, J = 7.5 Hz), 7.63 (2H, t, J = 8.0 Hz), 7.41 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.23-7.21 (2H, t), 4.22 (2H, t, J = 8.0 Hz), 2.32 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.62 (2H, quintet, J = 7.2 Hz), 1.52 (2H, quintet, J = 7.5 Hz), 1.42 (2H, quintet, J = 7.2 Hz), 1.37-1.28 (12H, m); MS (EI) m/z: 397 (M+); HRMS calcd for C24H31NO2S 397.207, found 397.207; Anal. calcd for C24H31NO2S・H2O: C, 69.36; H, 8.00; N, 3.37; found: C, 69.18; H, 7.62; N, 3.74.
【0147】
実施例30 12-(2-ピリジニル-3-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG126)の製造
【化30】

【0148】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、アニリンの代わりに3-アミノピリジンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率24%)を無色結晶として得た。
【0149】
mp 88-89℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.57 (1H, s), 8.43 (1H, s), 8.23 (1H, d, J = 5.0 Hz), 7.61 (1H, d, J = 9.0 Hz), 7.38-7.34 (2H, m), 6.67 (1H, t, J = 6.5 Hz), 6.48 (1H, d, J = 8.5 Hz), 3.92 (2H, t, J = 7.5 Hz), 2.33 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.68-1.59 (4H, m), 1.37-1.20 (14H, m); MS (EI) m/z: 369 (M+); HRMS calcd for C22H31N3O2 369.241, found 369.241; Anal. calcd for C22H31N3O2・1/4 H2O: C, 70.65; H, 8.49; N, 11.14; found: C, 70.50; H, 8.36; N, 10.74.
【0150】
実施例31 12-(フェニル-2-キノリニルアミノ)ドデカン酸(NCG127)の製造
【化31】

【0151】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、2-ブロモピリジンの代わりに2-クロロキノリンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率8.7%)を無色結晶として得た。
【0152】
mp 137-138℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 14.6 (1H, broad s), 9.30 (1H, s), 7.87 (1H, d, J = 9.5 Hz), 7.80 (1H, t, J = 7.8 Hz), 7.64-7.59 (3H, m), 7.54 (1H, t, J = 7.8 Hz), 7.45 (1H, t, J = 7.5 Hz), 7.28 (1H, d), 6.45 (1H, d, J = 9.5 Hz), 4.66 (2H, t, J = 7.5 Hz), 2.35 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.82-1.75 (2H, m), 1.65-1.53 (4H, m), 1.35-1.22 (12H, m); MS (EI) m/z: 418 (M+); HRMS calcd for C27H34N2O2 418.262, found 418.262; Anal. calcd for C27H34N2O2・2/5 CHCl3: C, 70.57; H, 7.44; N, 6.01; found: C, 70.43; H, 7.37; N, 6.13.
【0153】
実施例32 12-(1-イソキノリルフェニルアミノ)ドデカン酸(NCG128)の製造
【化32】

【0154】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、2-ブロモピリジンの代わりに1-クロロイソキノリンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率10%)を黄色油状物として得た。
【0155】
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.29 (1H, d, J = 6.0 Hz), 7.72-7.67 (2H, m), 7.49 (1H, t, J = 7.0 Hz), 7.33 (1H, d, J = 6.0 Hz), 7.22 (1H, t, J = 7.5 Hz), 7.15 (2H, t, J = 8.0 Hz), 6.89 (1H, t, J = 7.5 Hz), 6.81 (2H, d, J = 8.0 Hz), 4.05 (2H, t, J = 7.5 Hz), 2.30-2.22 (2H, m), 1.72 (2H, quintet, J = 7.8 Hz), 1.60-1.52 (2H, m), 1.38-1.31 (2H, m), 1.29-1.17 (12H, m); MS (EI) m/z: 418 (M+); HRMS calcd for C27H34N2O2 418.262, found 418.262; Anal. calcd for C27H34N2O2・3/5 H2O: C, 75.52; H, 8.26; N, 6.52; found: C, 75.40; H, 8.09; N, 6.33.
【0156】
実施例33 12-[(5-フルオロ-2-ピリジニル)-2-ピリジニルアミノ]ドデカン酸(NCG129)の製造
【化33】

【0157】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、アニリンの代わりに2-アミノ-5-フルオロピリジンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率49%)を無色結晶として得た。
【0158】
mp 47-48℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.31 (1H, d, J = 5.0 Hz), 8.22 (1H, d, J = 3.5 Hz), 7.50 (1H, t, J = 5.3 Hz), 7.31-7.27 (1H, m), 7.12 (1H, d, J = 9.0 Hz), 6.93 (1H, d, J = 8.5 Hz), 6.80 (1H, t, J = 6.3 Hz), 4.08 (2H, t, J = 7.8 Hz), 2.32 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.69-1.59 (4H, m), 1.36-1.20 (14H, m); MS (EI) m/z: 387 (M+); HRMS calcd for C22H30N3O2F 387.231, found 397.232; Anal. calcd for C22H30N3O2F: C, 68.19; H, 7.80; N, 10.84; found: C, 67.92; H, 7.84; N; 10.50.
【0159】
実施例34 12-[(5-クロロ-2-ピリジニル)-2-ピリジニルアミノ]ドデカン酸(NCG130)の製造
【化34】

【0160】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、アニリンの代わりに2-アミノ-5-クロロピリジンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率49%)を無色結晶として得た。
【0161】
mp 45-46℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.37 (1H, d, J = 5.0 Hz), 8.25 (1H, d, J = 2.0 Hz), 7.56 (1H, t, J = 8.5 Hz), 7.43 (1H, d, J = 9.0 Hz), 7.07 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.01 (1H, d, J = 8.5 Hz), 6.90 (1H, t, J = 6.3 Hz), 4.10 (2H, t, J = 8.0 Hz), 2.33 (2H, t, J = 7.3 Hz), 1.68-1.59 (4H, m), 1.35-1.22 (14H, m); MS (EI) m/z: 403, 405 (M+); HRMS calcd for C22H30N3O235Cl 403.203, found 403.202; calcd for C22H30N3O237Cl 405.198, found 405.199; Anal. calcd for C22H30N3O2Cl: C, 65.41; H, 7.49; N, 10.40; found: C, 65.20; H, 7.51; N, 10.38.
【0162】
実施例35 12-[(5-メチル-2-ピリジニル)-2-ピリジニルアミノ]ドデカン酸(NCG131)の製造
【化35】

【0163】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、アニリンの代わりに2-アミノ-5-メチルピリジンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率11%)を無色結晶として得た。
【0164】
mp 57-59℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.30 (1H, d, J = 5.0 Hz), 8.23 (1H, s), 7.44 (1H, t, J = 8.8 Hz), 7.39 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.04 (1H, d, J = 8.0 Hz), 6.89 (1H, d, J = 8.5 Hz), 6.76 (1H, t, J = 5.5 Hz), 4.09 (2H, t, J = 7.8 Hz), 2.33 (2H, t, J = 7.3 Hz), 2.28 (3H, s), 1.69-1.59 (4H, m), 1.36-1.21 (14H, m); MS (EI) m/z: 383 (M+); HRMS calcd for C23H33N3O2 383.257, found 383.257; Anal. calcd for C23H33N3O2: C, 72.03; H, 8.67; N, 10.96; found: C, 71.77; H, 8.65; N, 10.82.
【0165】
実施例36 12-[(5-トリフルオロメチル-2-ピリジニル)-2-ピリジニルアミノ]ドデカン酸(NCG132)の製造
【化36】

【0166】
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、アニリンの代わりに2-アミノ-5-トリフルオロメチルピリジンを用い、実施例1と同様の方法により表題化合物(収率5.3%)を無色結晶として得た。
【0167】
mp 58-59℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.51 (1H, s), 8.47 (1H, d, 5.0 Hz), 7.68 (1H, t, J = 7.8 Hz), 7.59 (1H, d, J = 9.0 Hz), 7.21 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.06 (1H, t, J = 5.8 Hz), 6.94 (1H, d, J = 8.5 Hz), 4.15 (2H, t, J = 8.0 Hz), 2.34 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.70-1.59 (4H, m), 1.35-1.21 (14H, m); MS (EI) m/z: 437 (M+); HRMS calcd for C23H30N3O2F3 437.229, found 437.229; Anal. calcd for C23H30N3O2F3; C, 63.14; H, 6.91; N, 9.60; found: C, 62.90; H, 6.56; N, 9.50.
【0168】
実施例37(スキーム3)
13-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)トリデカン酸(化合物8、NCG107)の製造
【化37】

【0169】
工程1:トリデカンジオン酸,1-メチルエステル(化合物5)の製造
トリデカンジオン酸,1,13-ジメチルエステル(2.2g)をメタノール(30mL)、テトラヒドロフラン(30mL)に溶解し、2N水酸化ナトリウム(4.8mL)を加え、室温で終夜攪拌した。反応液に2N塩酸(4.8mL)を加え、濃縮後、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n-ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、表題化合物(1.1g、収率53%)を得た。
【0170】
1H-NMR (CDCl3, 600 MHz, δ; ppm) 3.66 (3H, s), 2.34 (2H, t, J = 7.5 Hz), 2.30 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.65-1.61 (4H, m), 1.35-1.25 (14H, m).
【0171】
工程2:13-ヒドロキシトリデカン酸メチルエステル(化合物6)の製造
前工程で得られたトリデカンジオン酸,1-メチルエステル(5)(1.1g)をテトラヒドロフラン(14mL)に溶解し、ボラン・ジメチルスルフィド錯体のテトラヒドロフラン溶液(2.0M)(1.32mL)を加え、室温で4時間攪拌した。反応液に酢酸エチル(100mL)を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水(100mL)、飽和食塩水(100mL)で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n-ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、表題化合物(799mg、収率77%)を得た。
【0172】
1H-NMR (CDCl3, 600 MHz, δ; ppm) 3.66 (3H, s), 3.66.3.62 (2H, m), 2.30 (2H, t, J = 7.8 Hz), 1.65-1.49 (4H, m), 1.35-1.22 (16H, m).
【0173】
工程3:13-ブロモトリデカン酸メチルエステル(化合物7)の製造
前工程で得られた13-ヒドロキシトリデカン酸メチルエステル(化合物6)(799mg)をトルエン(3mL)に溶解し、四臭化炭素(1.3g)を加え、室温で25分間攪拌した。そこにトリフェニルホスフィン(1.0g)を加え室温で4時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n-ヘキサン:酢酸エチル=6:1)で精製し、表題化合物(202mg、収率20%)を得た。
【0174】
1H-NMR (CDCl3, 600 MHz, δ; ppm) 3.66 (3H, s), 3.40 (2H, t, J = 6.9 Hz), 2.30 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.88-1.82 (2H, m), 1.64-1.58 (2H, m), 1.45-1.38 (2H, m), 1.37-1.24 (14H, m).
【0175】
工程4、工程5:13-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)トリデカン酸(化合物8、NCG107)の製造
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに前工程で得られた13-ブロモトリデカン酸メチルエステル(化合物7)を用い、実施例1の工程2、工程3と同様の方法により表題化合物(収率24%)を無色結晶として得た。
【0176】
mp 81-82℃; 1H-NMR (CDCl3, 600 MHz, δ; ppm) 8.21 (1H, d, J = 5.4 Hz), 7.41 (2H, t, J = 7.8 Hz), 7.30.7.22 (4H, m), 6.56 (1H, t, J = 6.0 Hz), 6.33 (1H, d, J = 8.4 Hz), 3.91 (2H, t, J = 7.8 Hz), 2.34 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.68-1.59 (4H, m), 1.38-1.20 (16H, m); MS (EI) m/z: 382 (M+); HRMS calcd for C24H34N2O2 382.261, found 382.262; Anal. calcd for C24H34N2O2・1/2 H2O: C, 73.62; H, 9.01; N, 7.15. Found: C, 73.55; H, 8.80; N, 7.01.
【0177】
実施例38 14-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)テトラデカン酸(NCG108)の製造
【化38】

【0178】
トリデカンジオン酸,1,13-ジメチルエステルの代わりにテトラデカンジオン酸,1,14-ジメチルエステルを用い、実施例37と同様の方法により表題化合物(収率24%)を無色結晶として得た。
【0179】
mp 71-72℃; 1H-NMR (DMSO, 600 MHz, δ; ppm) 8.11 (1H, d, J = 4.8 Hz), 7.44 (2H, t, J = 7.2 Hz), 7.36 (1H, t, J = 7.5 Hz), 7.27-7.24 (3H, m), 6.60 (1H, t, J = 6.31 (1H, d, J = 8.4 Hz), 3.89 (2H, t, J = 7.5 Hz), 2.17 (2H, t, J = 7.2 Hz), 1.58-1.45 (4H, m), 1.38-1.20 (18H, m); MS (EI) m/z: 396 (M+); HRMS calcd for C25H36N2O2 396.278, found 396.277; Anal. calcd for C25H36N2O2: C, 75.72; H, 9.15; N, 7.06. Found: C, 75.47; H, 9.06; N, 6.87.
【0180】
実施例39(スキーム4)
12-(2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(化合物10、NCG111)の製造
【化39】

【0181】
工程1:12-アミノドデカン酸メチルエステル塩酸塩(化合物9)の製造
塩化チオニル(3mL)をメタノール(75mL)にゆっくりと加え、-10℃で10分攪拌した。そこに12アミノドデカン酸(3.0g)を加え、室温で終夜攪拌した。反応液を減圧濃縮後、残渣をメタノール(50mL)に溶解し、ジエチルエーテル(80mL)を加え、析出物をジエチルエーテルで洗浄し、表題化合物(3.2g、収率86%)を得た。
【0182】
1H-NMR (CD3OD, 500MHz, δ; ppm) 3.63 (3H, s), 2.87 (2H, t, J = 7.7 Hz), 2.30 (2H, t, J = 7.3 Hz), 1.65-1.55 (4H, m), 1.41-1.29 (14H, m).
【0183】
工程2:12-(2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸メチルエステルの製造
前工程で得られた12-アミノドデカン酸メチルエステル塩酸塩(化合物9)(2.7g)、2-ブロモピリジン(520mg)をトルエン(15mL)に溶解し、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(61mg)、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(84mg)、ナトリウムtert-ブトキシド(1.4g)を加え、80℃で終夜攪拌した。反応液をろ過後、減圧濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n-ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、表題化合物(150mg、収率15%)を得た。
【0184】
mp 90-91℃; 1H-NMR (CDCl3, 500MHz, δ; ppm) 8.07 (1H, d, J = 5.0 Hz), 7.41 (1H, t, J = 7.7 Hz), 6.54 (1H, t, J = 6.0 Hz), 6.37 (1H, d, J = 8.5 Hz), 4.49 (1H, broad s), 3.66 (3H, s), 3.09 (2H, t, J = 7.2 Hz), 2.31 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.64-1.58 (4H, m), 1.42-1.35 (2H, m), 1.34-1.25 (12H, m).
【0185】
工程3:12-(2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(化合物10、NCG111)の製造
11-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)ウンデカン酸メチルエステルの代わりに前工程で得られた12-(2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸メチルエステル(150mg)を用い、実施例1の工程3と同様の方法により表題化合物(102mg、収率71%)を無色結晶として得た。
【0186】
mp 78-79℃; 1H-NMR (CDCl3, 500MHz, δ; ppm) 7.82 (1H, d, J = 5.5 Hz), 7.51 (1H, t, J = 7.9 Hz), 6.53 (1H, t, J = 6.2 Hz), 6.43 (1H, d, J = 8.8 Hz), 3.16 (2H, t, J = 6.0 Hz), 2.33 (2H, t, J = 6.4 Hz), 1.68-1.62 (4H, m), 1.47-1.33 (14H, m); MS (EI) m/z: 292 (M+); HRMS calcd for C17H28N2O2 292.215, found 292.216; Anal. calcd for C17H28N2O2: C, 69.83; H, 9.65; N, 9.58. Found: C, 70.11; H, 9.64; N, 9.42.
【0187】
実施例40 12-フェニルアミノドデカン酸(NCG112)の製造
【化40】

【0188】
2-ブロモピリジンの代わりにブロモベンゼンを用い、実施例39と同様の方法により表題化合物(収率11%)を無色結晶として得た。
【0189】
mp 100-101℃; 1H-NMR (DMSO, 600MHz, δ; ppm) 12.0 (1H, broad s), 7.03 (2H, t, J = 7.5 Hz), 6.52 (1H, t, J = 8.4 Hz), 6.48 (2H, d, J = 6.9 Hz), 5.5 (1H, broad s), 2.94 (2H, t, J = 6.9 Hz), 2.18 (2H, t, J = 7.2 Hz), 1.55-1.44 (4H, m), 1.37-1.31 (2H, m), 1.30-1.23 (12H, m); MS (EI) m/z: 291 (M+); HRMS calcd for C18H29NO2 291.219, found 291.219; Anal. calcd for C18H29NO2: C, 74.18; H, 10.03; N, 4.81. Found: C, 73.86; H, 9.68; N, 4.92.
【0190】
実施例41(スキーム5)
12-(フェニル-2-チアゾリルアミノ)ドデカン酸(化合物12、NCG113)の製造
【化41】

【0191】
工程1:フェニル-2-チアゾリルアミン(化合物11)の製造
1-フェニル-2-チオウレア(3.0g)およびブロモアセトアルデヒドジエチルアセタール(3.9g)を酢酸(50mL)に溶解させ、2時間還流した。反応液を減圧濃縮後、残渣に酢酸エチル(100mL)を加え、水(100mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)、飽和食塩水(50mL)で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n-ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、表題化合物(1.28g,収率37%)を無色固体として得た。
【0192】
1H-NMR (CDCl3, 500MHz, δ; ppm) 8.57 (1H, broad s), 7.40-7.30 (4H, m), 7.31 (1H, d, J = 3.7 Hz), 7.07 (1H, m), 6.64 (1H, d, J = 3.7 Hz).
【0193】
工程2、工程3:12-(フェニル-2-チアゾリルアミノ)ドデカン酸(化合物12、NCG113)の製造
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)を、N-フェニルピリジン-2-アミン(化合物1)の代わりに前工程で得られたフェニル-2チアゾリルアミン(化合物11)を用い、実施例1の工程2、工程3と同様の方法により表題化合物(収率7.8%)を淡黄色結晶として得た。
【0194】
mp 66-67℃; 1H-NMR (CDCl3, 600 MHz, δ; ppm) 7.45 (2H, t, J = 7.8 Hz), 7.35 (2H, d, J = 7.2 Hz), 7.31 (1H, t, J = 7.5 Hz), 7.23 (1H, d, J = 3.6 Hz), 6.40 (1H, d, J = 3.6 Hz), 3.91 (2H, t, J = 7.8 Hz), 2.33 (2H, t, J = 7.2 Hz), 1.69-1.60 (4H, m), 1.37-1.22 (14H, m); MS (EI) m/z: 374 (M+); HRMS calcd for C21H30N2O2S 374.202, found 274.202; Anal. calcd for C21H30N2O2S: C, 67.39; H, 8.07; N, 7.48. Found: C, 67.27; H, 7.97; N, 7.43.
【0195】
実施例42(スキーム6)
12-(9-ピリド[2,3-b]インドイル)ドデカン酸(化合物15、NCG117)の製造
【化42】

【0196】
工程1:3-ブロモ-N-フェニル-2-ピリジンアミン(化合物13)の製造
2-ブロモピリジンの代わりにヨードベンゼン(4.2g)を、アニリンの代わりに3-ブロモ-2-アミノピリジン(3.0g)を、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチルの代わりに1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(910mg)を用い、実施例1の工程1と同様の方法により表題化合物(2.2g、収率61%)を得た。
【0197】
1H-NMR (DMSO, 500 MHz, δ; ppm) 8.12.8.11 (2H, m), 7.94 (1H, d, J = 7.7 Hz), 7.63 (1H, d, J = 8.9 Hz), 7.28 (2H, t, J = 7.0 Hz), 6.98 (1H, t, J = 7.5 Hz), 6.75 (1H, t, J = 6.3 Hz).
【0198】
工程2:9H-ピリド[2,3-b]インドール(化合物14)の製造
前工程で得られた3-ブロモ-N-フェニル-2-ピリジンアミン(化合物13)(2.2g)をN,N-ジメチルホルムアミド(25mL)に溶解し、ジアセトキシパラジウム(200mg)、炭酸ナトリウム(1.3g)を加え3日加熱還流した。反応液に酢酸エチル(100mL)を加え、水(100mL)、飽和食塩水(50mL)で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n-ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、表題化合物(264mg、収率17%)を得た。
【0199】
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.87 (1H, broad s), 8.47 (1H, d, J = 4.7 Hz), 8.34 (1H, d, J = 6.7 Hz), 8.07 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.52-7.46 (2H, m), 7.19 (1H, d, J = 7.6 Hz).
【0200】
工程3、工程4:12-(9-ピリド[2,3-b]インドイル)ドデカン酸(化合物15、NCG117)の製造
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)(296mg)を、N-フェニルピリジン-2-アミン(化合物1)の代わりに前工程で得られた9Hピリド[2,3-b]インドール(化合物14)(168mg)を用い、実施例1の工程2、工程3と同様の方法により表題化合物(124mg、収率34%)を無色結晶として得た。
【0201】
mp 123-124℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.56 (1H, d, J = 4.5 Hz), 8.33 (1H, d, J = 7.5 Hz), 8.08 (1H, d, J = 7.5 Hz), 7.53 (1H, t, J = 7.0 Hz), 7.48 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.28 (1H, t, J = 7.5 Hz), 7.18 (1H, t, J = 6.2 Hz), 4.47 (2H, t, J = 7.5 Hz), 2.37 (2H, t, J = 7.2 Hz), 1.88 (2H, quintet, J = 7.5 Hz), 1.66 (2H, quintet, J = 7.3 Hz), 1.45.1.24 (14H, m); MS (EI) m/z: 366; HRMS calcd for C23H30N2O2 366.230, found 366.231; Anal. calcd for C23H30N2O2・1/5 H2O: C, 74.64; H, 8.28; N, 7.57. Found: C, 74.71; H, 8.17; N, 7.54.
【0202】
実施例43(スキーム7)
12-フェノキシドデカン酸(化合物16、NCG123)の製造
【化43】

【0203】
工程1:12-フェノキシドデカン酸メチルエステルの製造
フェノール(100mg)をテトラヒドロフラン(2mL)に溶解し、実施例2の工程1で得られた12-ブロモドデカン酸メチルエステル(化合物3)(890mg)のテトラヒドロフラン(3mL)溶液、炭酸セシウム(430mg)を加え、80℃で終夜攪拌した。反応液に酢酸エチル(100mL)を加え、水(100mL)、飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n-ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で精製し、表題化合物(23mg、収率2.5%)を得た。
【0204】
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 7.29-7.25 (2H, m), 6.93-6.86 (3H, m), 3.95 (2H, t, J = 6.5 Hz), 3.66 (3H, s), 2.36 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.83-1.68 (4H, m), 1.37-1.22 (14H, m).
【0205】
工程2:12-フェニルオキシドデカン酸(化合物16、NCG123)の製造
11-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)ウンデカン酸メチルエステルの代わりに前工程で得られた12-フェニルオキシドデカン酸メチルエステル(23mg)を用い、実施例1の工程3と同様の方法により表題化合物(20mg、収率92%)を無色結晶として得た。
【0206】
mp 82-83℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 7.29-7.26 (2H, m), 6.94-6.88 (3H, m), 3.95 (2H, t, J = 6.5 Hz), 2.35 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.77 (2H, quintet, J = 7.1 Hz), 1.63 (2H, quintet, J = 7.4 Hz), 1.45 (2H, quintet, J = 7.5 Hz), 1.37-1.26 (12H, m); MS (EI) m/z: 292 (M+); HRMS calcd for C18H28O3 292.203, found 292.203; Anal. calcd for C18H28O3: C, 73.93; H, 9.65; N, 0.00. Found: C, 74.22; H, 9.36; N, 0.18.
【0207】
実施例44(スキーム8)
3-[4-(3-フェニルアミノプロポキシ)フェニル]プロピオン酸(化合物19、NCG133)の製造
【化44】

【0208】
工程1:3-[4-(3-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロピオン酸メチルエステル(化合物17)の製造
3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル(360mg)をアセトニトリル(3mL)に溶解し、炭酸カリウム(370mg)、3-ブロモプロパノール(288mg)のアセトニトリル(3mL)溶液、ヨウ化カリウム(175mg)を加え、60℃で3時間攪拌した。反応液に酢酸エチル(100mL)を加え、水(100mL)、飽和食塩水(100mL)で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n-ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、表題化合物(314mg、収率65%)を得た。
【0209】
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 7.11 (2H, d, J = 8.5 Hz), 6.83 (2H, d, J = 8.5 Hz), 4.10 (2H, t, J = 6.0 Hz), 3.87 (2H, quintet, J = 7.6 Hz), 3.66 (3H, s), 2.89 (2H, t, J = 7.8 Hz), 2.59 (2H, t, J = 7.8 Hz), 2.07-2.02 (2H, m).
【0210】
工程2:3-[4-(3-オキソプロポキシ)フェニル]プロピオン酸メチルエステル(化合物18)の製造
前工程で得られた3-[4-(3-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロピオン酸メチルエステル(化合物17)(200mg)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、デス・マーチン・ペルヨージナン(530mg)を加えて室温で2時間攪拌した。反応液に酢酸エチル(100mL)を加え、2N水酸化ナトリウム(100mL)、飽和食塩水(100mL)で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n-ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、表題化合物(143mg、収率72%)で得た。
【0211】
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 9.86 (1H, t, J = 1.5 Hz), 7.11 (2H, d, J = 8.5 Hz), 6.83 (2H, d, J = 8.5 Hz), 4.28 (2H, t, J = 6.0 Hz), 3.66 (3H, s), 2.87-2.83 (4H, m), 2.59 (2H, t, J = 7.8 Hz).
【0212】
工程3:3-[4-(3-フェニルアミノプロポキシ)フェニル]プロピオン酸メチルエステルの製造
前工程で得られた3-[4-(3-オキソプロポキシ)フェニル]プロピオン酸メチルエステル(化合物18)(100mg)をジクロロメタン(1mL)に溶解し、アニリン(44mg)のジクロロメタン(3mL)溶液、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(135mg)を加え、室温で終夜攪拌した。反応液に酢酸エチル(100mL)を加え、水(100mL)、飽和食塩水(100mL)で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n-ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、表題化合物(64mg、収率48%)を得た。
【0213】
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 8.08 (1H, d, J = 4.0 Hz), 7.40 (1H, t, J = 7.8 Hz), 7.10 (2H, d, J = 8.5 Hz), 4.06 (2H, t, J = 5.8 Hz), 3.66 (3H, s), 3.50 (2H, quintet, J = 4.2 Hz), 2.89 (2H, t, J = 7.8 Hz), 2.59 (2H, t, J = 7.8 Hz), 2.13.2.26 (2H, m).
【0214】
工程4:3-[4-(3-フェニルアミノプロポキシ)フェニル]プロピオン酸(化合物19、NCG133)の製造
11-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)ウンデカン酸メチルエステルの代わりに前工程で得られた3-[4-(3フェニルアミノプロポキシ)フェニル]プロピオン酸メチルエステル(64mg)を用い、実施例1の工程3と同様の方法により表題化合物(51mg,収率83%)を茶色結晶として得た。
【0215】
mp 94-96℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 7.17 (2H, t, J = 8.0 Hz), 7.12 (2H, d, J = 8.5 Hz), 6.84 (2H, d, J = 8.5 Hz), 6.69 (1H, t, J = 7.3 Hz), 6.62 (2H, d, J = 7.5 Hz), 4.06 (2H, t, J = 6.0 Hz), 3.34 (2H, t, J = 6.8 Hz), 2.90 (2H, t, J = 7.8 Hz), 2.65 (2H, t, J = 7.8 Hz), 2.11-2.07 (2H, m); MS (EI) m/z: 299 (M+); HRMS calcd for C18H21NO3 299.153, found 299.152; Anal. calcd for C18H21NO3: C, 72.22; H, 7.07; N, 4.68. Found: C, 72.09; H, 7.19; N, 4.73.
【0216】
実施例45 3-{4-[3-(2-ピリジニルアミノ)プロポキシ]フェニル}プロピオン酸(NCG134)の製造
【化45】

【0217】
アニリンの代わりに2-アミノピリジンを用い、実施例44と同様の方法により表題化合物(収率26%)を得た。
【0218】
mp 132-134℃; 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 7.86 (1H, d, J = 4.0 Hz), 7.52 (1H, t, J = 7.8 Hz), 7.09 (2H, d, J = 8.5 Hz), 6.86 (2H, d, J = 9.0 Hz), 6.55 (1H, t, J = 6.3 Hz), 6.49 (1H, d, J = 9.0 Hz), 4.07 (2H, t, J = 6.0 Hz), 3.42 (2H, t, J = 6.0 Hz), 2.75 (2H, t, J = 8.0 Hz), 2.46 (2H, t, J = 7.8 Hz), 2.11-2.05 (2H, m); MS (EI) m/z: 300 (M+); HRMS calcd for C17H20N2O3 300.147, found 300.147; Anal. calcd for C17H20N2O3: C, 67.98; H, 6.71; N, 9.33. Found: C, 67.78, H; 6.75; N, 9.06.
【0219】
実施例46(スキーム9)
3-[4-(3-ジフェニルアミノプロポキシ)フェニル]プロピオン酸(化合物21、NCG135)の製造
【化46】

【0220】
工程1:3-[4-(3-ブロモプロポキシ)フェニル]プロピオン酸メチルエステル(化合物20)の製造
3-ブロモプロパノールの代わりに1,3-ジブロモプロパン(3mL)を用い、実施例44の工程1と同様の方法により表題化合物(1.5g、収率50%)を得た。
【0221】
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 7.11 (2H, d, J = 9.0 Hz), 6.83 (2H, d, J = 8.5 Hz), 4.07 (2H, t, J = 5.8 Hz), 3.66 (3H, s), 3.60 (2H, t, J = 6.5 Hz), 2.89 (2H, t, J = 7.8 Hz), 2.59 (2H, t, J = 8.0 Hz), 2.33-2.26 (2H, m).
【0222】
工程2、工程3:3-[4-(3-ジフェニルアミノプロポキシ)フェニル]プロピオン酸(化合物21、NCG135)の製造
11-ブロモウンデカン酸メチルエステルの代わりに前工程で得られた3-[4-(3-ブロモプロポキシ)フェニル]プロピオン酸メチルエステル(化合物19)(450mg)を、N-フェニルピリジン-2-アミン(化合物1)の代わりにジフェニルアミン(250mg)を用い、実施例1の工程2、工程3と同様の方法により表題化合物(73mg、収率15%)を無色結晶として得た。
【0223】
mp 121-123℃; 1H-NMR (DMSO, 500 MHz, δ; ppm) 7.25 (4H, t, J = 8.0 Hz), 7.11 (2H, d, J = 8.5 Hz), 6.99 (4H, d, J = 8.8 Hz), 6.91 (2H, t, J = 7.5 Hz), 6.82 (2H, d, J = 9.0 Hz), 4.00 (2H, t, J = 6.3 Hz), 3.87 (2H, t, J = 7.3 Hz), 2.74 (2H, t, J = 7.5 Hz), 2.50-2.46 (2H, m), 2.00-1.94 (2H, m); MS (EI) m/z: 375 (M+); HRMS calcd for C24H25NO3 375.184, found 375.183; Anal. calcd for C24H25NO3・1/5 H2O: C, 76.04; H, 6.75; N, 3.70. Found: C, 76.08; H, 6.76; N, 3.78.
【0224】
実施例47 3-{4-[3-(2-ジピリジニルアミノ)プロポキシ]フェニル}プロピオン酸(NCG136)の製造
【化47】

【0225】
ジフェニルアミンの代わりに2,2’-ジピリジニルアミンを用い、実施例46と同様の方法により表題化合物(収率11%)を無色固体として得た。
【0226】
mp 53-55 ℃; 1H-NMR (DMSO, 500 MHz, δ; ppm) 8.29 (2H, d, J = 4.0 Hz), 7.62 (2H, t, J = 7.8 Hz), 7.14 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.05 (2H, d, J = 8.5 Hz), 6.94 (2H, t, J = 6.5 Hz), 6.72 (2H, d, J = 8.5 Hz), 4.26 (2H, t, J = 7.0 Hz), 3.95 (2H, t, J = 6.3 Hz), 2.65 (2H, t, J = 7.8 Hz), 2.10 (2H, t, J = 8.0 Hz), 2.60.2.01 (2H, m); MS (EI) m/z: 377 (M+); HRMS calcd for C22H23N3O3 377.172, found 377.173; Anal. calcd for C22H23N3O3・2/5 CHCl3: C, 63.28; H, 5.55; N, 9.88. Found: C, 63.26; H, 5.44; N, 9.94.
【0227】
試験例1 細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)アッセイによるGPR40およびGPR120のリガンドスクリーニング
1.蛋白質回収
(1)本実験には、FLAGhGPR40遺伝子を組み込んだ誘導発現細胞株およびFLAGhGPR120遺伝子を組み込んだ誘導発現細胞株の2細胞株を用い、それぞれ、35mmディッシュに細胞数5×105/dishになるよう播種した。ディッシュへの定着を確認した後、ドキシサイクリン(doxycyclin)処理(10μg/ml ドキシサイクリンを細胞溶液に加える)し、その28時間後にスタベーション(starvation)(FBS(-)培地に置き換える)を行い、更にその20時間後にアッセイした。
なお、「FLAG」は受容体に付けたエピトープを意味し、「h」はヒト(human)のコンストラクトであることを示す。また「GPR40」および「GPR120」はそれぞれの受容体を意味する。また、FLAGhGPR40遺伝子およびFLAGhGPR120遺伝子は、上記細胞株中において、ドキシサイクリン処理によって安定的にGPR40およびGPR120をそれぞれ発現するように設計された発現ベクターによって組み込まれている。
【0228】
(2)リガンドとして、NCG74、NCG75、NCG85、NCG86、NCG87、NCG88、NCG89、NCG97、NCG98、NCG99、NCG100、NCG101、NCG102、NCG103、NCG104、NCG105、NCG106、NCG107、NCG108、NCG109、NCG110、NCG111、NCG112、NCG113、NCG114、NCG115、NCG116、NCG117、NCG118、NCG119、NCG120、NCG121、NCG122、NCG123、NCG124、NCG125、NCG126、NCG127、NCG128、NCG129、NCG130、NCG131、NCG132、NCG133、NCG134、NCG135およびNCG136の47種の化合物を用いた。これらの化合物の構造式について、図1−1〜図1−4にその一覧を示す。
【0229】
これらの化合物を、それぞれ、DMSO(dimethyl sulfoxide)に溶解して調製し、培地で10倍に希釈して、全量100μlとした。また、ネガティブコントロールとしてDMSOを、ポジティブコントロールとしてPMA(Phorbol-12-myristate-13-acetate)を用いた。
(3)細胞のディッシュから培地を除き、全液量を0.9mlとした。
(4)リガンド溶液を細胞の溶液の上からポタポタと垂らすように加え、軽くディッシュを揺すって拡散させ、室温で反応させた。
(5)5分間の反応の後、培地を捨て、ディッシュに残った培地は氷上にてアスピレータで除去した。
【0230】
(6)150μl Lysis buffer(組成:50mM HEPES(pH7.0), 150mM NaCl, 10% glycerol, 1% NonidetP-40, 2mM MgCl2, 1mM EDTA, 100mM NaF, 10mM Sodiumphosphate, 1mM Na3VO4, 20mM β-glycerophosphate, Proteinase Inhibitor)を入れ、Cell Scraperで細胞を回収した。
(7)回収した液は150μl(等量)の1×SDS Sample Buffer(組成:50mM Tris-HCl(pH6.8), 2% SDS, 6% Mercaptoethanol, 10% glycerol, BPB)と混合し、以下のウェスタンブロッティングに使用、または-20℃で保存した。
【0231】
2.SDS-PAGE
(1)SDS Sample Bufferに混合した粗酵素液は、超音波ホモジナイザー(sonifier)を用いて超音波破砕した後、90℃で5minインキュベートした。
(2)ボルテックスにかけて遠心(15,000rpm、5min、4℃)した。
(3)泳動槽に1×SDS-PAGE Running Buffer(組成:25mM Tris, 0.2M Glycine, 1% SDS)を満たし、2枚の7.5%アクリルアミドゲルをセットし、サンプル遠心後の上清をアプライした。泳動は40mAの定電流で行った。(約80〜90min)
【0232】
3.ブロッティング(Blotting, Semi-Dry法)
(1)PVDF(PolyVinylidene DiFluoride)メンブレンはゲルの大きさにあわせて切り、メタノールに約15sec浸した後、Transfer Buffer C solution(組成:25mM Tris, 0.02% SDS, 2% methanol, 40mM 6-aminohexanoic acid)中で、15min振盪(室温)して膨潤させた。ブロッティングに使用する濾紙は、10cm×10cmの大きさに切った。
(2)ブロッティング装置に、A solution(組成:0.3M Tris, 0.02% SDS, 2% methanol)に浸した濾紙2枚、B solution(組成:25mM Tris, 0.02% SDS, 2% methanol)に浸した濾紙2枚の順に重ね、その上にメンブレンを乗せた。更にその上に泳動終了後のゲルを乗せ、最後に、C solutionに浸らせた濾紙2枚を重ねてふたをした。
(3)15Vで30分間Transferを行った。
【0233】
4.ブロッキング(Blocking)
(1)以下の作業はすべて室温で行った。Transfer終了後のメンブレンを、1×TTBS(組成:0.2M Tris, 1.5M NaCl, 0.2% Tween20)を入れたケースに移し、15分間洗浄した。
(2)TTBSを除き、ブロッキング液(Block Ace)を約10mlを加えて1時間振盪してブロッキングした。
【0234】
5.一次抗体
(1)一次抗体(p44/42 MAP Kinase Antibodyおよび Phospho-p44/42 MAP Kinase Antibody)は、それぞれTTBSで1000倍希釈して用いた。
(2)ブロッキング終了後、ブロッキング液を除き、一次抗体溶液を入れて1時間振盪して反応させた。
【0235】
6.二次抗体
(1)二次抗体(Anti-rabbit Ig, Horseradish Peroxidase linkednF (ab’)2 fragment)は、TTBSで5000倍希釈して用いた。
(2)一次抗体溶液を除き、TTBS中で5〜10分間振盪し洗浄した。洗浄は3回行った。
(3)TTBSを除き、二次抗体溶液を入れて1時間振盪した。
【0236】
7.検出
(1)氷上にて、ECL kit中のDetection Reagent 1とDetection Reagent 2それぞれ2mlずつを混合した。
(2)二次抗体反応終了後のメンブレンから、二次抗体溶液を除き、TTBS中で5分間振盪し洗浄した。洗浄は3回行った。
(3)メンブレンを、しっかり水を切ってパック内へ入れ、1枚のメンブレンにつき2mlのDetection Reagent混合液をかけた。
(4)カセット内でメンブレンとフィルムとを1分〜5分間接触させ、自動現像機で現像した。
【0237】
8.解析
(1)フィルムをスキャンしてパソコンに取り込み、「Image J」のアプリケーション( Image J 1.345: National Institutes of Healthから公開されているフリーソフト)を用いてバンドを数値化した。
(2)DMSOおよびPMAにより正規化(normalize)し、薬物間の値を比較した。
FLAGhGPR40およびFLAGhGPR120細胞株に対し、下記の各薬物を、10μMと100μMの濃度で反応させた。シグナルは数値化し、PMAにより正規化した。
FLAGhGPR40およびFLAGhGPR120の結果を、それぞれ図2および図3に示す。
GPRの組み込まれていない細胞株(Mock)およびDoxycycline処理を行っていない細胞(Dox(-))をネガティブコントロールとして並べ、Doxycycline処理を行ったもの(Dox(+))について化合物のERK活性を比較した。
【0238】
9.考察
hGPR40について、NCG75、NCG109、NCG112、NCG121は、GPR40を誘導発現した細胞に対して、特異的に反応していた。すなわち、上記の4種の化合物は、GPR40作動剤として好適に用いられることがわかった。とくに、NCG75は、GPR40を強く作動し、GPR120を作動させる活性は弱かった。
【0239】
試験例2 細胞内カルシウムイオン濃度[Ca2+]の変化によるスクリーニングおよび評価
1.細胞播種
試験例1と同様に、GPR40発現細胞株およびGPR120発現細胞株を用いた。コラーゲン処理された96穴プレートに細胞数2×105/well/50μlになるように、無血清培地を用いて各細胞を播種した。
【0240】
2.細胞内へのカルシウムイオン感受性色素の導入
Calcium Assay Kit(Molecular Devices社)をマニュアル記載の2倍濃度でFLIPR buffer (Invitorgen社のHanks' Balanced Salt Solutionに20mM HEPESを加えてpH 7.4に調製した溶液)に溶解した。その溶液50μl/wellを播種後21時間の細胞に添加しCalcium Assay Kitの濃度が所定の最終濃度となった状態で1時間室温で暗所に静置することにより、細胞内へカルシウムイオン感受性色素を導入した。
【0241】
3.被検化合物調製
被検化合物は、DMSOに溶解し上記FLIPR bufferで希釈して各化合物濃度が1.5×10-4M、DMSO濃度が1.5%となるように調製した。ネガティブコントロールとして同濃度のDMSOを、ポジティブコントロールとしてGPR120とGPR40に対する既知のリガンドであるα-Linolenic acid (LA)を被検化合物と同様に調製して使用した。
【0242】
4.細胞内カルシウムイオン濃度変化の測定
カルシウムイオン感受性色素の導入を終えた細胞および96穴プレートへ分注した調製済の各リガンド溶液を、Molecular Devices社の測定装置FLIPR(Fluorometric Imaging Plate Reader)へ設置し、被検化合物添加刺激に伴う細胞内カルシウムイオン濃度の変化(アゴニスト活性)を、カルシウムイオン感受性色素の蛍光強度変化として測定し、LAに対する応答の比として表示した。リガンド溶液は全体の1/5量を添加した。リガンド(被検化合物およびLA)とDMSOの最終濃度はそれぞれ3×10-5M、0.3%である。スクリーニングの結果を表1にまとめる。なお、表1中、「−」は、反応が極めて弱かったことを示し、「no data」は、データを取得していないことを示す。
【0243】
【表1】

【0244】
GPR40とGPR120とのそれぞれへのNCG75、LAおよびAMGEN_1の作用をカルシウム反応で容量依存性的に詳細に比較した結果を図4および図5並びに表2および表3に示す。
【表2】

【0245】
【表3】

【0246】
5.考察
GPR40およびGPR120発現細胞を用いて、被検化合物の細胞内カルシウムイオン濃度の変化を指標としたスクリーニングの結果、GPR40に対して、EC50が10μM以下の化合物が見出された。GPR120に対して、GPR40に対するEC50が小さい、すなわちGPR40に対して選択性を有する化合物として、NCG75を詳細に評価した。内因性のリガンドとしてLA、既報の化合物としてAMGEN-1と比較して、NCG75が、GPR40に対して選択性が高いことが示された。
【0247】
試験例3 MIN6インシュリン分泌アッセイ
1.試験方法
以下の培養条件および実験手順で、被検化合物のアッセイを行った。
培養条件:MIN6細胞は、DMEM(high glucose、25mM)に10%FBS、100U/ml ペニシリン、100μg/ml ストレプトマイシン、60μM β-メルカプトエタノールを添加した培地中37℃、5%CO2条件下で培養。
【0248】
実験手順:MIN6細胞を4×104 cell/100μlずつ96ウェルプレートへまき直し、24時間、37℃、5%CO2でインキュベートする。そして培地を取り除いた後、gulucose-freeのKrebs (NaCl 119 mM、KCl 4.74 mM、CaCl2 2.54 mM、MgCl2 1.19 mM、KH2PO4 1.19 mM、NaHCO3 25 mMおよびHEPES (pH 7.4) 10 mM) buffer 100μlで2回洗浄し、培地を2.5mM glucose添加Krebs buffer 100μlに置き換え、1時間プレインキュベートする。その後、同様にKrebs bufferで2回洗浄を行い、培地を低濃度(5mM)または高濃度(25mM)glucoseと各濃度の化合物を添加したKrebs buffer 100μlに置き換え2時間,37℃、5%CO2でインキュベートした後、上清を回収、-20℃で保存する。また、上清を回収した後の各wellには0.1N NaOH 50μlを加えピペッティング、細胞の溶解液を回収、CBBタンパク質アッセイ(Bradford法)によりタンパク量を決定する。
回収した上清中のインシュリン濃度はレビスインスリン-マウス-T ELISAキット(シバヤギ)を用いて決定した。
【0249】
化合物は、PMA(Phorbol-12-myristate-13-acetate)(500nM)、α−リノレン酸(α-LA)(10μMまたは100μM)、NCG75(10μMまたは100μM)、GW9508(10μMまたは100μM)を用いた。GW9508は、GPR40アゴニスト(Br J Pharmacol. 2006 Jul;148(5):619-28. Epub 2006 May 15.PMID:16702987参照)である。また、PMAおよびα-LAはポジティブコントロールであり、DMSOはネガティブコントロールである。
結果を図6に示す。
【0250】
2.考察
膵臓β細胞のモデルとして、培養細胞株であるmin6を用いたインスリンの分泌を検討したところ、NCG75は、用量依存的かつ細胞外のグルコース濃度に依存的なインスリン分泌を引き起こした。既知のGPR40作動薬であるGW9508と比較しても同程度の作用が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0251】
本発明のGタンパク質共役型レセプターの作動剤は、食欲調節剤、膵臓ベータ分化細胞増促進殖剤、消化器疾患治療薬、神経障害治療薬、および肺疾患治療薬として有効である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:
L−(CH−COOH
式中、
Lは、RN−またはRO−であり、
は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、
は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、置換されていてもよい芳香族複素環基、水素原子または置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基であり、
およびRは一緒に環を形成していてもよく、
mは、4〜16であり、
−(CH−の末端のC原子を含まない−CHCH−は、−MR−で置き換えられていてもよく、
Mは、O、SまたはNRであり、
は、置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を示し、
は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、置換されていてもよい芳香族複素環基、水素原子または置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基である、
で表される化合物またはその薬学的に許容し得る塩を含むGタンパク質共役型レセプター作動剤。
【請求項2】
Lは、RN−またはRO−であり、
は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、
は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、置換されていてもよい芳香族複素環基、水素原子または置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基であり、
およびRは一緒に環を形成していてもよく、
mは、4〜16である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩を含むGタンパク質共役型レセプター作動剤。
【請求項3】
LがRN−である、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩を含むGタンパク質共役型レセプター作動剤。
【請求項4】
が、置換されていてもよいフェニルであり、Rが、置換されていてもよいピリジニルである、請求項3に記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩を含むGタンパク質共役型レセプター作動剤。
【請求項5】
11-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)ウンデカン酸(NCG74)、
12-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG75)、
10-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG85)、
9-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)ノナン酸(NCG86)、
10-(4-クロロフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG87)、
10-(4-フルオロフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG88)、
10-(4-メトキシフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG89)、
10-(4-トリル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG97)、
10-(4-N,N-ジメチルアミノフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG98)、
10-(4-ビフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG99)、
10-(4-フェノキシフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG100)、
10-(4-ターシャリーブチルフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG101)、
12-(4-クロロフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG102)、
12-(4-フルオロフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG103)、
12-(4-トリル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG104)、
12-(4-ターシャリーブチルフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG105)、
12-(4-ビフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG106)、
13-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)トリデカン酸(NCG107)、
14-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)テトラデカン酸(NCG108)、
12-(4-メトキシフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG109)、
12-(4-トリフルオロメチルフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG110)、
12-(2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG111)、
12-フェニルアミノドデカン酸(NCG112)、
12-(フェニル-2-チアゾリルアミノ)ドデカン酸(NCG113)、
12-(フェニル-2-ベンゾチアゾリル)アミノドデカン酸(NCG114)、
12-(フェニル-2-ベンゾオキサゾリルアミノ)ドデカン酸(NCG115)、
12-(9-カルバゾイル)ドデカン酸(NCG116)、
12-(9-ピリド[2,3-b]インドイル)ドデカン酸(NCG117)、
12-(1-ナフチル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG118)、
12-(2-ナフチル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG119)、
12-ジフェニルアミノドデカン酸(NCG120)、
12-(2-ジピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG121)、
12-[(4-メトキシフェニル)フェニルアミノ]ドデカン酸(NCG122)、
12-フェノキシドデカン酸(NCG123)、
12-(10-フェノキサジニル)ドデカン酸(NCG124)、
12-(10-フェノチアジニル)ドデカン酸(NCG125)、
12-(2-ピリジニル-3-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG126)、
12-(フェニル-2-キノリニルアミノ)ドデカン酸(NCG127)、
12-(1-イソキノリルフェニルアミノ)ドデカン酸(NCG128)、
12-[(5-フルオロ-2-ピリジニル)-2-ピリジニルアミノ]ドデカン酸(NCG129)、
12-[(5-クロロ-2-ピリジニル)-2-ピリジニルアミノ]ドデカン酸(NCG130)、
12-[(5-メチル-2-ピリジニル)-2-ピリジニルアミノ]ドデカン酸(NCG131)、
12-[(5-トリフルオロメチル-2-ピリジニル)-2-ピリジニルアミノ]ドデカン酸(NCG132)、
3-[4-(3-フェニルアミノプロポキシ)フェニル]プロピオン酸(NCG133)、
3-{4-[3-(2-ピリジニルアミノ)プロポキシ]フェニル}プロピオン酸(NCG134)、
3-[4-(3-ジフェニルアミノプロポキシ)フェニル]プロピオン酸(NCG135)、および、
3-{4-[3-(2-ジピリジニルアミノ)プロポキシ]フェニル}プロピオン酸(NCG136)
からなる群から選択される化合物またはその薬学的に許容し得る塩を含むGタンパク質共役型レセプター作動剤。
【請求項6】
Gタンパク質共役型レセプターが、GPR40を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のGタンパク質共役型レセプター作動剤。
【請求項7】
GPR40特異的である、請求項6に記載のGタンパク質共役型レセプター作動剤。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のGタンパク質共役型レセプター作動剤を有効成分として含有する、GPR40が関与する疾患の治療または予防のための医薬組成物。
【請求項9】
GPR40が関与する疾患が、糖尿病である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
一般式:
L−(CH−COOH
式中、
Lは、RN−またはRO−であり、
は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、
は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、置換されていてもよい芳香族複素環基、水素原子または置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基であり、
およびRは一緒に環を形成していてもよく、
mは、4〜16であり、
−(CH−の末端のC原子を含まない−CHCH−は、−MR−で置き換えられていてもよく、
Mは、O、SまたはNRであり、
は、置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を示し、
は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、置換されていてもよい芳香族複素環基、水素原子または置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基である、
で表される化合物またはその塩。
【請求項11】
Lは、RN−またはRO−であり、
は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、
は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、置換されていてもよい芳香族複素環基、水素原子または置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基であり、
およびRは一緒に環を形成していてもよく、
mは、4〜16である、請求項10に記載の化合物またはその塩。
【請求項12】
LがRN−である、請求項10または11に記載の化合物またはその塩。
【請求項13】
が、置換されていてもよいフェニルであり、Rが、置換されていてもよいピリジニルである、請求項12に記載の化合物またはその塩。
【請求項14】
11-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)ウンデカン酸(NCG74)、
12-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG75)、
10-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG85)、
9-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)ノナン酸(NCG86)、
10-(4-クロロフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG87)、
10-(4-フルオロフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG88)、
10-(4-メトキシフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG89)、
10-(4-トリル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG97)、
10-(4-N,N-ジメチルアミノフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG98)、
10-(4-ビフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG99)、
10-(4-フェノキシフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG100)、
10-(4-ターシャリーブチルフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG101)、
12-(4-クロロフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG102)、
12-(4-フルオロフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG103)、
12-(4-トリル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG104)、
12-(4-ターシャリーブチルフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG105)、
12-(4-ビフェニル-2-ピリジニルアミノ)デカン酸(NCG106)、
13-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)トリデカン酸(NCG107)、
14-(フェニル-2-ピリジニルアミノ)テトラデカン酸(NCG108)、
12-(4-メトキシフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG109)、
12-(4-トリフルオロメチルフェニル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG110)、
12-(2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG111)、
12-フェニルアミノドデカン酸(NCG112)、
12-(フェニル-2-チアゾリルアミノ)ドデカン酸(NCG113)、
12-(フェニル-2-ベンゾチアゾリル)アミノドデカン酸(NCG114)、
12-(フェニル-2-ベンゾオキサゾリルアミノ)ドデカン酸(NCG115)、
12-(9-カルバゾイル)ドデカン酸(NCG116)、
12-(9-ピリド[2,3-b]インドイル)ドデカン酸(NCG117)、
12-(1-ナフチル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG118)、
12-(2-ナフチル-2-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG119)、
12-ジフェニルアミノドデカン酸(NCG120)、
12-(2-ジピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG121)、
12-[(4-メトキシフェニル)フェニルアミノ]ドデカン酸(NCG122)、
12-フェノキシドデカン酸(NCG123)、
12-(10-フェノキサジニル)ドデカン酸(NCG124)、
12-(10-フェノチアジニル)ドデカン酸(NCG125)、
12-(2-ピリジニル-3-ピリジニルアミノ)ドデカン酸(NCG126)、
12-(フェニル-2-キノリニルアミノ)ドデカン酸(NCG127)、
12-(1-イソキノリルフェニルアミノ)ドデカン酸(NCG128)、
12-[(5-フルオロ-2-ピリジニル)-2-ピリジニルアミノ]ドデカン酸(NCG129)、
12-[(5-クロロ-2-ピリジニル)-2-ピリジニルアミノ]ドデカン酸(NCG130)、
12-[(5-メチル-2-ピリジニル)-2-ピリジニルアミノ]ドデカン酸(NCG131)、
12-[(5-トリフルオロメチル-2-ピリジニル)-2-ピリジニルアミノ]ドデカン酸(NCG132)、
3-[4-(3-フェニルアミノプロポキシ)フェニル]プロピオン酸(NCG133)、
3-{4-[3-(2-ピリジニルアミノ)プロポキシ]フェニル}プロピオン酸(NCG134)、
3-[4-(3-ジフェニルアミノプロポキシ)フェニル]プロピオン酸(NCG135)、および、
3-{4-[3-(2-ジピリジニルアミノ)プロポキシ]フェニル}プロピオン酸(NCG136)
からなる群から選択される化合物またはその塩。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図1−4】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−153679(P2012−153679A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16446(P2011−16446)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【出願人】(506218664)公立大学法人名古屋市立大学 (48)
【出願人】(506180040)ファルマフロンティア株式会社 (9)
【Fターム(参考)】