説明

GABA−B−レセプターに対する親和性を有する2−ヒドロキシ−プロピオン酸誘導体および3−ヒドロキシ−ベンゾフラン−2−オン誘導体

本発明は、式Iの化合物(式中、R、R、R、R、RおよびRは、明細書および請求項に定義されたとおりである)に関し、該化合物は、GABAレセプターに対し活性であって、CNS疾病、特に、不安神経症、うつ病、てんかん、統合失調症および認識障害を含む疾病および障害の制御および予防に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I:
【0002】
【化8】

【0003】
〔式中、
は、水素、ヒドロキシ、C1−6−アルコキシまたはNR(ここで、RおよびRは、独立して、水素またはC1−6−アルキルである)であり;
は、水素、ヒドロキシまたはフッ素であり;
あるいは、RとRは、一緒になって−O−または−NH−であり、それによってそれらが結合する炭素原子とともに5員の複素環を形成し;
は、t−ブチル、1,1−ジメチルプロピルまたはアリールであり;
は、水素であり;
は、C1−6−アルキルまたはC1−6−ハロアルキルであり;
は、水素、ヒドロキシルまたはC1−6−アルキルである〕
の化合物、ならびにその光学異性体および薬学的に許容される塩〔(RS)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オンを除く〕に関する。
【0004】
式Iの化合物およびそれらの塩は、有益な治療特性で特色づけられている。化合物がGABAレセプターに対し活性があることが見出された。
【0005】
γ−アミノ酪酸(GABA)、すなわち最も豊富に存在する抑制性神経伝達物質は、イオンチャネル共役型GABAA/Cレセプターおよび代謝共役型GABAレセプターの両方を活性化する(HillおよびBowery, Nature, 290, 149-152, 1981)。シナプス前末端およびシナプス後ニューロンの、哺乳類の脳の大部分の領域に存在しているGABAレセプターは、抑制性シナプス伝達の微調整に関与する。高電位活性型Ca2+チャネル(P/Q−およびN−タイプ)の調節を介し、シナプス前GABAレセプターは、多量の神経伝達物質の放出を抑制する。シナプス後GABAレセプターは、G−タンパク共役型内向き整流性K(GIRK)チャネルを活性化し、そしてアデニリル・シクラーゼを調整する(Billintonら, Trends Neurosci., 24, 277-282, 2001; Boweryら, Pharmacol. Rev,. 54, 247-264, 2002)。GABAレセプターは、さまざまな神経伝達物質系の活性を調節するように戦略的に位置しているので、それ故にGABAレセプターリガンドは、不安神経症、うつ病、てんかん、統合失調症および認識障害の処置において、治療可能性を持ちうる(VacherおよびBettler, Curr. Drug Target, CNS Neurol. Disord. 2, 248-259, 2003; Bettlerら, Physiol Rev. 84, 835-867, 2004)。さらに、GABAレセプターの存在が、脾臓、肺、肝臓、腸、胃、食道および膀胱のような器官において確認されている(Calverら, Neuroscience, 100, 155-170, 2000; Schwarzら, J Biol Chem 275, 32174-32181, 2000; Uezonoら, J Pharmacol Sci, 94, 211-213, 2004)。そのために、GABAレセプターリガンドはまた、末梢神経系における治療に応用できる可能性を持つであろう。
【0006】
天然GABAレセプターは、2種のサブユニット、すなわちGABAR1とGABAR2サブユニットからなる異性体構造である(Kaupmannら, Nature, 386, 239-246, 1997; Nature, 396, 683-687, 1998)。GABAR1とGABAR2の構造は、それらが、ファミリー3と呼ばれる、G−タンパク共役型レセプター(GPCR)のファミリーに属することを示す。ファミリー3 GPCRの他の構成員は、代謝共役型グルタミン酸(mGlu1−8)、カルシウム感知性、鋤鼻、フェロモンおよび推定味覚レセプターを含む(Pinら, Pharmaco. Ther. 98, 325-354, 2003)。ファミリー3レセプター(GABAレセプターを含む)は、2つの明らかに分離した位相ドメイン:すなわち、アゴニスト結合(正立体サイト)のためのハエジゴクのモジュールを含有する、例外的に長い細胞外アミノ末端ドメイン(ATD、500−600アミノ酸)(Galvezら, J. Biol. Chem., 275, 41166-41174, 2000)、ならびにレセプター活性化およびG−タンパクカップリングに関与する7TMらせん形部分プラス細胞間カルボキシル末端ドメインによって特徴付けられる。GABAR1R2ヘテロダイマーにおけるアゴニストによるレセプター活性化の機序は、GPCRの中で独特である。ヘテロマーにおいて、GABAR1サブユニットだけがGABAに結合するが、その一方でGABAR2は、G−タンパクのカップリングおよび活性化に応答できる(Havlickovaら, Mol Pharmacol. 62, 343-350, 2002; Kniazeffら,J. Neurosci., 22, 7352-7361, 2002)。
【0007】
Schulerら、Neuron, 31, 47-58, 2001は、GABAR1ノックアウト(KO)マウスが、自発性発作および痛覚過敏を示すことを明示している。これらKOマウスは、全ての生化学的および電気生理学的なGABA反応を失っている。興味深いことに、GABAR1のKOマウスが、2つの不安神経症パラダイム、すなわち明暗箱(明時間の減少)および階段テスト(後ろ足で立つおよび登った段数の減少)において、より不安になった。それらは、記憶過程障害を表す受動回避行動モデルの明らかな機能障害を示した。GABAR1のKOはまた、新しい環境において、自発運動の亢進および過活動を見せた。Gassmannら、J Neurosci. 24, 6086-6097, 2004は、GABAR2のKOマウスが、GABAR1のKOマウスに匹敵する、自発性発作、痛覚過敏、自発運動活性および重度の記憶障害を患うことを示している。さらに、不安神経症およびうつ病の行動の変化が、GABAR2のKOマウスに見られた(Mombereauら, Neuroreport, 16, 307-310, 2005)。そのために、ヘテロメリックGABAR1R2レセプターが、これらの表現型に応答できる。GABAR1遺伝子は、染色体6p21.3(HLAクラスI、統合失調症、てんかん、および失読症に関連する領域にある)にマップされる(Petersら, Neurogenetics, 2, 47-54, 1998)。5個の一塩基多型(SNPs);A−7265G(プロモーター領域)、C10497G(イントロン 9)、Ser−491−Ser(T〜C、エクソン 12)、Phe−659−Phe(A〜G、エクソン 16)およびA33795G(3’−UTR)が、GABAR1遺伝子中に発見されている。統合失調症(Zaiら, Eur Neuropsychopharmacol 15, 347-52,2005)および強迫障害(OCD)(Zaiら, Am J Med Genet B Neuropsychiatr Genet 134, 25-29. 2005)とGABAR1遺伝子のA−7265G多型の関連性が、近年報告されている。
【0008】
バクロフェン(リオレサールθ,β−クロロフェニルGABA)、天然レセプターでEC50=210nMを有する選択的GABAレセプターアゴニストが、脊髄損傷、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、脳性麻痺の後の患者における痙縮および骨格筋硬直の治療のための臨床試験において1972年から使用されている唯一のリガンドである。バクロフェンとGABAレセプターアゴニストを用いて行われた前臨床および臨床試験のほとんどが、神経因性疼痛およびコカインとニコチンに関連する渇望を軽減する治療のためであった(Misgeldら, Prog. Neurobiol. 46, 423-462, 1995; Ennaら, Life Sci, 62, 1525-1530, 1998; McCarsonおよびEnna, Neuropharmacology, 38, 1767-1773, 1999; Brebnerら, Neuropharmacology, 38, 1797-1804, 1999; Patersonら, Psychopharmacology, 172, 179-186, 2004; Patersonら, Neuropsychopharmacology, 30, 119-128, 2005)。パニック障害患者において、バクロフェンが、多くのパニック発作、ならびにハミルトン不安評価尺度、ズング不安評価尺度およびカッツ−R神経質下位尺度を伴って判断されたような、不安神経症の症状を軽減することにおいて、有意に効果的であることが示された(Breslowら, Am. J. Psychiatry, 146, 353-356, 1989)。慢性の、戦闘に関連する心的外傷後ストレス障害(PTSD)を伴う退役軍人の小さい群を用いた試験において、バクロフェンは効果的であり、そして十分に耐性のある治療であることがわかった。それは、PTSDの全般的な症状、最も顕著には回避、情緒的無感覚および過覚醒症状における有意な改善、ならびに付随の不安神経症およびうつ病の減少をももたらした(Drakeら, Ann. Pharmacother. 37., 1177-1181, 2003)。前臨床研究において、バクロフェンは、精神病のラットPPIモデルにおいて、ジゾシルピンによって誘発されたが、アポモルフィンによって誘発されない聴覚の驚愕反応のプレパルス抑制(PPI)における減少を逆転させることができた(Bortolatoら, Psychopharmacology, 171, 322-330, 2004)。そのために、GABAレセプターアゴニストは、精神障害の薬物療法における可能性がある。PNSにおけるGABAレセプターの存在のために、バクロフェンを使用する前臨床および臨床試験は、過活動膀胱(膀胱機能は、持続性GABA制御下にある)、胃食道逆流性疾患および胸焼け、咳および喘息のような膀胱機能障害、腸および肺の障害のためのGABAレセプターアゴニストの治療可能性を実証している。(Bolserら, Br J Pharmacol, 113, 1344-1348, 1994; Dicpinigaitisら, J Clin Pharmacol, 38, 364-367, 1998; Dicpinigaitisら, Arch Phys Med Rehabil, 81, 921-923, 2000; Cangeら, Aliment Pharmacol Ther, 16, 869-873, 2002; Lehmannら, Eur J Pharmacol, 448, 67-70, 2002; Pehrsonら, J Urol, 168, 2700-2705, 2002; Sangerら, Auton Autacoid Pharmacol, 22, 147-154, 2002; Symondsら, Eur J Pharmacol, 470, 95-97, 2003; Piquerasら, Br J Pharmacol, 142, 1038-48, 2004)。残念ながら、バクロフェンは、その有用性を制限する、乏しい血液脳関門透過性、非常に短い作用時間および狭い治療濃度域(筋の弛緩、鎮静および耐性)を含む多くの副作用を有する。
【0009】
Urwylerら、Mol. Pharmacol., 60, 963-971, 2001は、ポジティブアロステリックモジュレーター、CGP7930[2,6−ジ−tert−ブチル−4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピル)−フェノール]およびそのアルデヒド類似体CGP13501と呼ばれるGABAレセプターリガンドの新規クラスを報告している。これらのリガンドは、GABAレセプターでそれら自身に効果を有さないが、内因性GABAに呼応して、それらがGABAR1R2でGABAの有効性および最大効果の両方を増加させる(Pinら, Mol. Pharmacol, 60, 881-884, 2001)。興味深いことに、CGP7930によるGABA効果のこの強化は、さらに、CGP7930を用いる前処理がDBAマウスにおいてバクロフェン誘発性正向反射の消失の相乗効果をもたらす(この複合効果は、GABAアンタゴニストにより阻止することができる)という、生体内の作用機序に基づいたパラダイムを裏付けた(Caraiら, Eur J Pharmacol, 504, 213-216, 2004)。CGP7930についての最近の研究(Binetら, J Biol Chem., 279, 29085-29091, 2004)は、このポジティブモジュレーターが、GABAR2サブユニットの7回膜貫通ドメイン(7TMD)を直接的に活性化することを示している。Mombereauら、Neuropsychopharmacology, 1-13, 2004は、不安神経症の明暗箱および高架式ゼロ迷路テストモデルにおいて、GABAレセプターポジティブモジュレーター、GS39783(N,N’−ジシクロペンチル−2−メチルスルファニル−5−ニトロ−ピリミジン−4,6−ジアミン)(Urwylerら, J. Pharmacol Exp. Ther, 307, 322-330, 2003)による急性および慢性治療の抗不安作用を、最近報告している。GS39783(10mg/kg、経口、1日1回)による慢性治療(21日間)後の耐性は、観察されなかった。なぜならば、GABAエンハンサーは、GABAがない場合、レセプター活性には影響がないが、内因性GABAに対するGABAレセプターの親和性をアロステリック的に強化し、これらのリガンドがバクロフェンに匹敵するような改善された副作用プロファイルを有すると期待される。確かに、0.1〜200mg/kgの経口で、GS39783は、自発性の運動活性、回転踏み車、体温およびけん引力テストに対して、2.5〜15mg/kgの経口でこれらの副作用を示すバクロフェンと比較して、影響がない。GS39783は、マウスおよびラットにおける受動回避行動テストによって評価されたような、認識動作には少しも影響しない。その上に、GS39783は、高架式プラス迷路(ラット)、高架式ゼロ迷路(マウスおよびラット)、ならびにストレス誘導異常高熱(マウス)テストパラダイムにおいて、抗不安様作用を示した。そのために、GS39783が、バクロフェンまたはベンゾジアゼピンに関連する副作用なしの新規な抗不安薬を意味する(Cryanら, J Pharmacol Exp Ther., 310, 952-963, 2004)。CGP7930およびGS39783による前臨床研究は、両化合物がラットにおけるコカイン自律的管理を減少することに有効であることを示している(Smithら, Psychopharmacology, 173, 105-111, 2004)。ポジティブモジュレーター、CGP7930もまた、胃食道逆流症(GERD)の治療のために前臨床的に試験されており、効果的であることがわかった(国際公開公報第03/090731号、胃食道障害におけるGABAレセプターポジティブモジュレーターの使用)。
【0010】
ポジティブアロステリックモジュレーターは、mGlu1レセプター(Knoflachら, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 98, 13402-13407, 2001; Wichmannら, Farmaco, 57, 989-992, 2002)、カルシウム感知レセプター(NPS R−467およびNPS R−568)(Hammerland ら, Mol. Pharmacol., 53, 1083-1088, 1998)(US 6,313,146)、mGlu2レセプター[LY487379,N−(4−(2−メトキシフェノキシ)−フェニル−N−(2,2,2−トリフルオロエチルスルホニル)−ピリド−3−イルメチルアミンおよびその類似体)(国際公開公報第01/56990号、グルタミン酸レセプターの増強剤)ならびにmGlu5レセプター(CPPHA、N−{4−クロロ−2−[(l,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)メチル]フェニル}−2−ヒドロキシベンズアミド)(O'Brienら, J. Pharmaco. Exp. Ther., 27, Jan. 27, 2004)を含む他のファミリー3 GPCRに関して報告されている。興味深いことに、これらのポジティブモジュレーターが、7TMD領域内に位置する新規なアロステリックサイトと結合し、それによって7TMD領域の活性状態を安定させることによってアゴニスト親和性を強化することが示されている(Knoflachら, Proc. Natl. Acad. Sci., USA 98, 13402-13407, 2001; Schaffhauserら, Mol. Pharmacol, 64, 798-810, 2003)。さらに、NPS R−467、NPS R−568(Tecalcet)および関連した化合物は、それらのアロステリック作用機序によって、臨床試験に登録された最初のポジティブアロステリックモジュレーターである。Sensipar(商標)(カルシウム感知受容体の増強剤、Amgen−NPSのcinacalcet)は、2004年、FDAに承認されたGPCRの最初のポジティブアロステリックモジュレーターである。
【0011】
Dyachenko, V. Iら、「ポリフルオロケトンとフェノールおよびフェノラートの反応におけるオルト置換基の立体効果」、Izvestiya Akademii Nauk SSSR, Seriya Khimicheskaya (1989), (4), 923-8には、すでに(RS)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オンが開示された。それにもかかわらず、Dyachenko, V. Iらは、純粋化学の文献に属し、前記化合物がGABA−Bレセプターで活性を有しうることを教示も示唆もしていない。
【0012】
本発明の目的は、式Iの化合物および薬学的に許容されるそれらの酸付加塩、式Iの化合物およびそれらの塩の製造、式Iの化合物または薬学的に許容されるそれらの酸付加塩を含有する医薬組成物である。
【0013】
本発明のさらなる目的は、疾病、特に冒頭にも触れた種類の疾病および障害、例えば、不安神経症、うつ病、てんかん、統合失調症、認識障害、痙縮および骨格筋の硬直、脊髄損傷、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、脳性麻痺、神経因性疼痛およびコカインとニコチンに関連する渇望、精神病、パニック障害、心的外傷後ストレス障害の制御または予防に、ならびに過活動膀胱、胃食道逆流性疾患および胸焼け、咳および喘息のような膀胱機能障害、腸および肺の障害に有用な、そのような薬剤の製造のための式Iの化合物、または(RS)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン、および許容されるそれらの酸付加塩の使用である。
【0014】
本明細において使用される以下の一般用語の定義は、当該用語が単独または組み合わせて現れるかどうかに関係なく適用される。
【0015】
本明細書に使用される、用語「アリール」は、場合により置換されたフェニルまたはナフチルより選択される一価環状芳香族炭化水素部分を意味する。アリールのための置換基としては、ハロ、ヒドロキシ、C1−7−アルキル、C1−7−アルコキシ、C1−7−ハロアルキル、C1−7−ハロアルコキシ、ならびに以下の本明細書の実施例によって特に例証されたような基を包含するが、これらに限定されない。
【0016】
「C1−6−アルキル」は、1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を含有する、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素鎖基を意味する。そのような基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、n−ヘキシル、ならびに以下の本明細書の実施例によって特に例証されたものである。
【0017】
「C1−6−ハロアルキル」は、1個以上のハロゲンによって置換された、先に定義されたC1−6−アルキル基を意味する。C1−6−ハロアルキルの例は、1個以上のCl、F、BrまたはI原子によって置換されたメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチルまたはn−ヘキシル、ならびに以下の本明細書の実施例によって特に例証されたそれらの基を含むが、これらに限定されない。好ましいC1−6−ハロアルキルは、ジフルオロ−またはトリフルオロ−メチルまたはエチルである。
【0018】
「C1−6−アルコキシ」は、アルキル基が先に定義されたとおりであり、アルキル基が酸素原子を介して結合した基を意味する。好ましいC1−6−アルコキシは、MeO−およびEt−O、ならびに以下の本明細書の実施例によって特に例証されたそれらの基である。
【0019】
「ヒドロキシ」は、1、2または3個の−OH基を意味する。
【0020】
語句「RとRは、一緒になって−O−または−NH−であり、それによってそれらが結合する炭素原子とともに5員の複素環を形成し」は、以下の式:
【0021】
【化9】

【0022】
の基のいずれか一つを意味する。
【0023】
用語「薬学的に許容される酸付加塩」は、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタン-スルホン酸、p−トルエンスルホン酸を含む無機酸および有機酸の塩を包含するが、これらに限定されない。
【0024】
特定の実施態様において、本発明の化合物は、式I:
〔式中:
は、水素、ヒドロキシ、C1−6−アルコキシまたはNR(ここで、RおよびRは、独立して、水素またはC1−6−アルキルである)であり;
は、水素、ヒドロキシまたはフッ素であり;
は、t−ブチル、1,1−ジメチルプロピルまたはアリールであり;
は、水素であり;
は、C1−6−アルキルまたはC1−6−ハロアルキルであり;
は、水素、ヒドロキシまたはC1−6−アルキルである〕
のこれらの化合物、ならびにその光学異性体および薬学的に許容される塩、例えば、以下の化合物:
(R,S)−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−プロピオン酸;
(R,S)−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−プロピオン酸ナトリウム塩;
(R,S)−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−プロピオン酸メチルエステル;および
(R,S)−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−プロピオン酸
である。
【0025】
また、式Iの化合物によって含まれるものは、本発明の式I−a:
【0026】
【化10】

【0027】
〔式中、
は、t−ブチル、1,1−ジメチルプロピルまたはアリールであり;
は、水素であり;
は、C1−6−アルキルまたはC1−6−ハロアルキルであり;
は、水素、ヒドロキシまたはC1−6−アルキルである〕
の化合物、ならびにその光学異性体および薬学的に許容される塩〔(RS)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オンを除く〕、例えば、以下の化合物:
(R,S)−5−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−7−フェニル−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン;
(R,S)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン;
(S)−(−)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン;
(R,S)−7−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−5−メチル−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン;
(R,S)−5,7−ビス−(1,1−ジメチル−プロピル)−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン;
(R)−(+)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン;
(R,S)−5,7−ジ−tert−ブチル−3,4−ジヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン;および
(R,S)−7−tert−ブチル−5−エチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン
である。
【0028】
また、式Iの化合物によって含まれるものは、本発明の式I−b:
【0029】
【化11】

【0030】
〔式中、
は、t−ブチル、1,1−ジメチルプロピルまたはアリールであり;
は、水素であり;
は、C1−6−アルキルまたはC1−6−ハロアルキルであり;
は、水素、ヒドロキシまたはC1−6−アルキルである〕
の化合物、ならびにその光学異性体および薬学的に許容される塩、例えば、(R,S)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンである。
【0031】
本発明はまた、以下のとおり、本発明の化合物の製造方法を包含する。
【0032】
特定の実施態様において、式Iの化合物を製造するための本発明の方法は、式II:
【0033】
【化12】

【0034】
の化合物を、式:CFCOCORの化合物と反応させ、式I(式中、RがC1−6−アルコキシであり、RがOHであり、そしてR〜Rが本明細書に定義したとおりである)の化合物を得る工程を含む。
【0035】
特定の実施態様において、式Iの化合物を製造するための本発明の方法は、式III:
【0036】
【化13】

【0037】
(式中、Xが、BrまたはIである)の化合物を、式:CFCOCORの化合物と反応させ、式I(式中、RがC1−6−アルコキシであり、そしてR〜Rが本明細書に定義したとおりである)の化合物を得る工程を含む。
【0038】
特定の実施態様において、式I−aの化合物を製造するための本発明の方法は、式I:
【0039】
【化14】

【0040】
(式中、RがC1−6−アルコキシであり、そしてRがOHである)の化合物の環化反応により、式I−a(式中、R〜Rが本明細書に定義したとおりである)とする工程を含む。
【0041】
特定の実施態様において、式Iの化合物を製造するための本発明の方法は、式I:
【0042】
【化15】

【0043】
の化合物におけるC1−6−アルコキシであるR部分を加水分解して、式Iの化合物(式中、Rがヒドロキシであり、そしてR〜Rが本明細書に定義したとおりである)を得る工程を含む。
【0044】
本発明はまた、それが上述の方法に従って製造される、式I、I−aまたはI−bの化合物を包含する。
【0045】
以下の一般スキーム1〜3は、さらに本発明記載の化合物の製造の特定の実施態様を例示する。これらのスキームにおいて、そして特に明記しない限り、全ての出発物質、構成要素および中間体は、市販されている。さらに、依然としてこれらのスキームにおいて、そして特に明記しない限り、R〜Rは、本明細書に定義したとおりである。
【0046】
【化16】

【0047】
工程a−d:
G. Casiraghi, G. Sartori, G. Casnati, F. Bigi, JCS Perkin Transactions 1(1972-1999) 1983, 1649-1651により手順を最適化すること。最初に、出発フェノールのリチウム塩を、n−ブチルリチウムとテトラヒドロフラン(THF)中で調製して、次に、溶媒テトラヒドロフランを、1,2−ジクロロエタンと置き換えた。反応はトルエン中で起こらなかった。もう1つの方法として、出発フェノールのナトリウム塩を、直接、ナトリウムトリメチルシラノラートと、1,2−ジクロロエタン中で調製したが、しかし、反応は通常、適用できず、そして異なる位置異性体の生成物を得た。次に、ルイス酸、塩化ガリウム(III)または塩化アンモニウム(III)を加えた。次の短い加熱が、フェノラートとルイス酸の錯体を形成して、LiClを沈殿した。この錯体を、0℃から周囲温度でトリフルオロピルビン酸メチルと反応させて、中間体を2〜16時間加熱還流することにより、その場で環化した。
【0048】
【化17】

【0049】
工程eおよびf:
第一のフラスコ中に、典型的なアリールグリニャール試薬を、THF中でブロモ−またはヨードアレーンから切削状マグネシウムで調製した。このグリニャール溶液を、THF中の−70℃に冷却したトリフルオロピルビン酸メチルまたはエチルの溶液に、ゆっくりと加えた(逆添加)。
【0050】
工程g:
エステルを、直ちに、ジオキサン中の1N NaOH水溶液で、周囲温度で加水分解した。
【0051】
【化18】

【0052】
工程hおよびi:
ザントマイヤーイサチン合成として、当技術分野で周知のこの2つの工程の方法は、ごく最近、K. C. Nicolaou, D. Y. K. Chen, X. Huang, T. Ling, M. Bella, S. A. Snyder, J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 12888-12896に応用されていた。もう1つの手段は、Nicolausにより文献中に提案されている。実施例A.1において得られた低収率を、高親油性の出発物質2,4−ジ−tert−ブチル−フェニルアミンの、水性の反応媒体における難溶解性により、合理的に説明することができる。
【0053】
工程j:
I. Choudhury-Mukherjee, H. A. Schenck, S. Cechova, T. N. Pajewski, J. Kapur, J. Ellena, D. S. Cafiso, M. L. Brown, J Med. Chem. 2003, 46, 2494- 2501による手順に従う。
【0054】
前述のように、式I、I−aおよびI−bの化合物、ならびにそれらの薬学的に許容される付加塩は、有益な薬理特性を有する。本発明の化合物が、GABAレセプターへの親和性を有することが見出された。
【0055】
化合物を、以下に与えられた試験に従って調査した。
【0056】
細胞内のCa2+移動度の検定
ヒトGABAR1aR2aおよびGα16を安定に発現するチャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞を、ポリ−D−リジン処理した96−ウェル、黒/透明−底プレート(BD Biosciences, Palo Alto, CA)中に、5x10細胞/ウェルで播種した。24時間後、細胞を、ローディングバッファー(1xHBSS、20mM HEPES、2.5mM プロベネシド)中のFluo−4アセトキシメチルエステル(Catalog No. F-14202, Molecular Probes, Eugene, OR)4μMで、37℃で90分間ロードした。ハンクス平衡塩溶液(HBSS)(10X)(catalog No. 14065-049)およびHEPES(1M)(catalog No. 15630-056)は、Invitrogen, Carlsbad, CAから購入した。プロベネシド(250mM)(catalog No. P8761)は、Sigma, Buchs, Switzerlandから入手した。細胞を、ローディングバッファーを用いて5回洗浄して、過剰の染料を除去し、そして細胞内のカルシウムの移動度、[Ca2+を、前述のように(Porterら, Br. J. Pharmacol., 128, 13-20, 1999)蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR, Molecular Devices, Menlo Park, CA)を使用して測定した。エンハンサーを、15分適用した後、GABAを適用した。GABA−シフトの検定のために、GABA(0.0003〜30μM)の濃度−応答曲線を、10μMエンハンサーの不在下および存在下で決定した。GABA−シフトを、Log[EC50(GABA+10μM エンハンサー)/EC50(GABA単独)]として定義した。最大増強効果%(%Emax)および各々のエンハンサーの有効性(EC50値)を、10nM GABA(EC10)の存在下でエンハンサー(0.001〜30μM)の濃度−応答曲線から決定した。応答は、10μM GABA単独(100%と見なす)および10nM GABA単独(0%と見なす)によって引き起こされた最大刺激効果に対して標準化された基底値を引いた、蛍光におけるピークの増加として測定した。データは、Maxが最大効果、EC50が半値効果を導き出している濃度、そしてnがヒル傾斜(Hill slope)である、方程式 Y=100+(Max−100)/(l+(EC50/[drug]))と適合させた。
【0057】
【表1】

【0058】
式I、I−aおよびI−bの化合物、ならびにそれらの薬学的に使用可能な酸付加塩を、薬剤、例えば医薬製剤の形態で使用することができる。医薬製剤は、経口的には、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬質ゼラチンカプセルおよび軟質ゼラチンカプセル、溶剤、乳濁剤または懸濁剤の形態で投与することができる。しかしながら、投与はまた、経直腸的には、例えば、坐剤の形態で、または非経口的には、注射剤の形態で行うこともできる。
【0059】
式I、I−aおよびI−bの化合物、ならびにそれらの薬学的に使用可能な酸付加塩は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠および硬質ゼラチンカプセルの製造のための、薬学的に不活性な無機または有機賦形剤とともに加工することができる。乳糖、トウモロコシデンプンまたはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩などは、例えば、錠剤、糖衣錠および硬質ゼラチンカプセルのための、このような賦形剤として使用することができる。
【0060】
軟質ゼラチンカプセルに適切な賦形剤は、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固体および液体のポリオールである。
【0061】
溶剤およびシロップの製造に適切な賦形剤は、水、ポリオール、スクロース、転化糖、グルコースを含むが、これらに限定されない。
【0062】
注射剤に適切な賦形剤は、水、アルコール、ポリオール、グリセリン、植物油を含むが、これらに限定されない。
【0063】
坐剤に適切な賦形剤は、天然油または硬化油、ワックス、脂肪、半固体または液体のポリオールを含むが、これらに限定されない。
【0064】
さらに、医薬製剤は、防腐剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、香味料、浸透圧を変えるための塩、緩衝剤、マスキング剤または酸化防止剤を含有することができる。それらは、さらにその他の治療上有益な物質を含有することができる。
【0065】
用量は、広い範囲内で変動可能であり、各々の特定な場合における個々の要求に、もちろん適合されるであろう。一般に、経口投与の場合、一般式Iの化合物の約10〜1000mg/人の1日用量が適切であるが、必要な場合には上記の上限も超えることができる。
【0066】
錠剤処方(湿式造粒法)
品目 成分 1錠当たりのmg
5mg 25mg 100mg 500mg
1. 式Iの化合物 5 25 100 500
2. 無水乳糖 DTG 125 105 30 150
3. Sta−Rx 1500 6 6 6 30
4. 微晶質セルロース 30 30 30 150
5. ステアリン酸マグネシウム 1 1 1 1
合計 167 167 167 831
【0067】
製造手順
1. 品目1、2、3および4を混合して、精製水と造粒する。
2. 顆粒を50℃で乾燥する。
3. 顆粒を適切な製粉装置に通す。
品目5を加えて3分間混合し;適切なプレスで圧縮する。
【0068】
カプセル処方
品目 成分 1カプセル当たりのmg
5mg 25mg 100mg 500mg
1. 式Iの化合物 5 25 100 500
2. 含水乳糖 159 123 148 ―――
3. トウモロコシデンプン 25 35 40 70
4. タルク 10 15 10 25
5. ステアリン酸マグネシウム 1 2 2 5
合計 200 200 300 600
【0069】
製造手順
1. 適切なミキサー内で、品目1、2および3を30分間混合する。
2. 品目4および5を加えて、3分間混合する。
3. 適切なカプセルに充填する。
【0070】
実施例
【0071】
中間体の合成
【0072】
実施例A.1
N−(2,4−ジ−tert−ブチル−フェニル)−2−[(E)−ヒドロキシイミノ]−アセトアミド
硫酸ナトリウム(20.75g、146mmol)と抱水クロラール(2.78g、17mmol)を水(30mL)に溶解した。次に、水(6mL)、25%HCl(1.9mL)中の2,4−ジ−tert−ブチル−フェニルアミン[P. D. Bartlett, M. Roha, R. M. Stiles, J. Am. Chem. Soc. 1954, 76, 2349-2353に従って調製](3g、14.6mmol)の溶液、および水(8mL)中の塩酸ヒドロキシルアミン(3.25g、47mmol)の溶液を加えた。混合物を100℃で1時間加熱した。酢酸エチルによる抽出およびヘプタン中の酢酸エチル0%〜25%の勾配を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーで、ホルミル化した出発物質との1:1の混合物である明褐色固体(1g、25%)を得た。MS:m/z=277(M+H)。
【0073】
実施例A.2
5,7−ジ−tert−ブチル−1H−インドール−2,3−ジオン
濃硫酸(3.8mL)中のN−(2,4−ジ−tert−ブチル−フェニル)−2−[(E)−ヒドロキシイミノ]−アセトアミド(500mg、1.7mmol)を、90℃で2時間加熱した。この溶液を0℃に冷却し、氷水(15mL)にゆっくり加えて、褐色沈殿物を濾別し、ヘプタン中の酢酸エチル0%〜25%の勾配を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製して、橙色粉末200mg(42%)を得た。MS:m/z=259(M)。
【0074】
本発明記載の式Iの化合物の合成
以下の実施例において、特記のない限り、全ての出発物質は、市販されている。
【0075】
実施例1
(R,S)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン
2,4−ジ−tert−ブチルフェノール(28g、28.5mmol)を、テトラヒドロフラン(250mL)中にアルゴン下で溶解して、−70℃に冷却した。ヘキサン中のブチルリチウムの1.6M溶液(85mL、135.7mmol)を加えて、溶液を20℃にした。テトラヒドロフランを留去して1,2−ジクロロエタン(250mL)で置き換え、再度留去して1,2−ジクロロエタン(250mL)で置き換えた。氷/MeOH中で冷却後、新鮮なアンプルの塩化ガリウム(III)(25g、142.5mmol)を加えた(発熱、5℃)。得られた溶液を15分間還流して、LiClの白色沈殿物が得られた。懸濁液を氷中で冷却し、次に1,2−ジクロロエタン(20mL)に溶解したトリフルオロピルビン酸メチル(14.5mL、142.5mmol)を加えて、撹拌を13時間、20℃で続けた。3.5時間還流することにより、反応を完結に導いた。冷却後、懸濁液をジクロロメタン(2回)、冷1M HCl(2回)、NaCl(1回)で抽出した。粗生成物をヘプタン/ジクロロメタン 2:1中のシリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製した。精製した生成物(37g)を冷ヘプタン(150mL)から再結晶し、そして50℃/1mbarで5時間乾燥した。白色結晶28.9g(64%)を得た、融点83℃。MS:m/z=330(M)。
【0076】
実施例2
(R,S)−5−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−7−フェニル−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン
4−tert−ブチル−2−フェニルフェノール(4.5g、20mmol)をテトラヒドロフラン(50mL)中にアルゴン下で溶解して、−70℃に冷却した。次に、ヘキサン中のブチルリチウムの1.6M溶液(13.8mL、22mmol)を加えて、溶液を20℃にした。テトラヒドロフランを留去し、1,2−ジクロロエタン(100mL、2回繰り返す)により置き換えた。氷中で冷却後、塩化アルミニウム(III)(2.9g、22mmol)を加えた(発熱しない)。得られた溶液を15分間還流して、LiClの沈殿物が得られた。懸濁液を氷中で冷却し、次にトリフルオロピルビン酸メチル(2.2mL、22mmol)を加え、撹拌を0.5時間、20℃で続けて、次に3時間還流した。冷却後、懸濁液をジクロロメタン(3回)、冷1M HCl(1回)、NaCl(1回)で抽出した。粗生成物をヘプタン/酢酸エチル 5:1中のシリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製した。白色結晶3.14g(45%)を得た。MS:m/z=350(M)。
【0077】
実施例3
(R,S)−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−プロピオン酸
(R,S)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン(330mg、1mmol)をジオキサン(2mL)に溶解し、氷中で冷却して、1N NaOH(2mL)で処理した。冷却することなく撹拌を6時間続けた。抽出:酢酸エチル(2回)、1N HCl(1回)、そして飽和NaCl(1回)。粗生成物を、33:67〜0:100のヘプタン/酢酸エチル勾配を用いてシリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製した。明褐色泡状物305mg(87%)を得た。
【0078】
実施例4
(R,S)−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−プロピオン酸、ナトリウム塩
(R,S)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン(7.69g、23.3mmol)を、ジオキサン(50mL)に溶解し、氷中で冷却し、1N NaOH(51.2mL、51.2mmol)で処理して、16時間20℃で撹拌した。黄色溶液を蒸発乾固した。残渣をトルエン(100mL)中で100℃に加熱して、熱溶液を濾過した。濾液を蒸発乾固して、得られた白色固体をヘプタン(100mL)中で80℃に加熱した。スラリーを冷却して20℃にし、次に氷中で15分間撹拌した。白色固体を濾別して、少量のヘプタンで洗浄した。白色固体8.87g(97%)を得た。MS:m/z=347(M−H)。
【0079】
実施例5
(R)−(+)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン
(R,S)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン(1.5g、4.5mmol)を、ヘプタン/2−プロパノール 97:3を用いてChiralpack ADで分離した。最初に(+)−鏡像異性体(534mg、35%)、続いて(−)−異性体(580mg、39%)を、両方とも白色結晶として溶離した。MS:m/z=330(M)。[α]20=+33.47(CHCl、c=0.765)
【0080】
(R)−5−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−フェニル)−3−((R)−1−ナフタレン−1−イル−エチル)−5−トリフルオロメチル−オキサゾリジン−2,4−ジオンのX線解析を介した(R)−(+)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オンの絶対配置の決定
(R)−(+)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン(100mg、0.3mmol)、(R)−(−)−1−(1−ナフチル)エチルイソシアナート(58μL、0.33mmol)、および4−ジメチルアミノピリジン(3.7mg、0.03mmol)を、トルエン(1mL)中で1時間、窒素下で加熱還流した。得られた溶液を蒸発乾固して、残渣をヘプタン中の酢酸エチル0%〜100%の勾配を用いて20分間、そして次にヘプタン/DCM 3:1を用いてシリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製した。白色結晶60mg(37%)を得た。X線解析に適している結晶を、ジクロロメタン中で溶液の蒸発を遅くすることによって得た。
【0081】
実施例6
(S)−(−)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン
(R,S)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン(1.5g、4.5mmol)を、ヘプタン/2−プロパノール 97:3を用いてChiralpack ADで分離した。最初に(+)−鏡離異性体(534mg、35%)、続いて(−)−異性体(580mg、39%)を、両方とも白色結晶として溶出した。MS:m/z=330(M)。[α]20=−33.27(CHCl、c=0.679)
【0082】
実施例7
(R,S)−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−プロピオン酸メチルエステル
切削状マグネシウム(536mg、22mmol)を、テトラヒドロフラン(20mL)中に窒素下で懸濁して、テトラヒドロフラン(20mL)中の1−ブロモ−3,5−ジ−tert−ブチルベンゼン(5.4g、20mmol)の溶液をゆっくり加え、そして50℃に加熱しながら塩化イソプロピルマグネシウムの触媒量(0.5mL、0.8mmol)を加えて、反応を開始した。得られた褐色溶液を30分間加熱還流して、切削状マグネシウムの溶解を完了した。得られた褐色のグリニャール溶液を−70℃に冷却し、そして次にテトラヒドロフラン(20mL)に溶解したトリフルオロピルビン酸メチル(2.25mL、22mmol)を含有する第2フラスコに相互接続されたテフロンチューブを介して移し、そして窒素下で−70℃に冷却した。混合により内部温度は−30℃になり、撹拌を続けて0℃にまで到達した時、続いて飽和NHCl溶液でクエンチした。抽出:酢酸エチル(2回)、飽和NHCl溶液(1回)、飽和NaCl溶液。クロマトグラフィー:シリカゲル、ヘプタン/DCM勾配100:0〜0:100、40分間。淡黄色油状物3.1g(45%)を得た。MS:m/z=346(M)。
【0083】
実施例8
(R,S)−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−プロピオン酸
(R,S)−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−プロピオン酸メチルエステル(3.1g、8.9mmol)をジオキサン(20mL)に溶解して、1N NaOH(20mL)で2.5時間、20℃で処理した。反応混合物を蒸発乾固した。抽出:トルエン(2回)、1M KHSO(1回)、飽和NaCl(1回)。粗生成物を、熱ヘプタンから結晶化した。白色結晶2.35g(79%)を得た。MS:m/z=331(M−H)。
【0084】
実施例9
(R,S)−7−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−5−メチル−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン
2−tert−ブチル−4−メチルフェノール(4.65g、28mmol)を、窒素雰囲気下で1,2−ジクロロエタン(100mL)に溶解して、氷中で冷却した。次に、ナトリウムトリメチルシラノラート(3.176g、28mmol)を加えて(発熱しない)、冷却しないで撹拌を1時間続けた。得られた懸濁液を−40℃に冷却して、新鮮なアンプルの粒状塩化ガリウム(III)(5g、28.4mmol)を加えた(−30℃に発熱)。得られた懸濁液を20℃まで温めて、次に30分間加熱還流した。氷中で冷却後、トリフルオロピルビン酸エチル(4.815g、28mmol)を加え、冷却しないで撹拌を2時間続けて、次に80℃まで1時間加熱した。ヘプタン中の酢酸エチル0%〜100%の勾配を用いてシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーの後、灰色固体2.6g(32%)を得た。MS:m/z=288(M)。
【0085】
実施例10
(R,S)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン
窒素雰囲気下のフラスコに、無水フッ化カリウム(9mg、0.15mmol)を仕込んだ。乾燥テトラヒドロフラン(4mL)中の5,7−ジ−tert−ブチル−1H−インドール−2,3−ジオン(200mg、0.77mmol)の溶液を、続いてテトラヒドロフラン中の(トリフルオロメチル)トリメチルシラン 2Mの溶液(0.58mL、1.16mmol)を、シリンジを介して滴下した。テトラヒドロフラン(0.8mL)中のカリウム tert−ブトキシドの飽和溶液を添加する際に、反応を50℃まで温め、次に混合物を2時間、20℃で撹拌し、酢酸エチル(2x20mL)で抽出し、乾燥し、濾過して濃縮した。粗生成物を乾燥テトラヒドロフラン(2mL)に溶解し、0℃に冷却し、3N HCl(0.3mL)を加えて、15分間撹拌した。混合物を、酢酸エチル(2x20mL)で抽出した。ヘプタン/酢酸エチル 100:0〜80:20を用いるシリカゲルのクロマトグラフィーで、明黄色固体(120mg、47%)を得た。MS:m/z=329(M)。
【0086】
実施例11
(R,S)−5,7−ビス−(1,1−ジメチル−プロピル)−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン
2,4−ジ−tert−ペンチルフェノール(2.37g、10mmol)を、窒素雰囲気下で、1,2−ジクロロエタン(50mL)に溶解して、氷中で冷却した。次に、ナトリウムトリメチルシラノラート(1.134g、10mmol)を加え(発熱しない)、冷却しないで撹拌を1時間続けた。得られた懸濁液を−40℃に冷却して、新鮮なアンプルの粒状塩化ガリウム(III)(1.78g、10mmol)を加えた(−30℃に発熱)。得られた懸濁液を20℃まで温め、次に30分間加熱還流した。氷中で冷却後、トリフルオロピルビン酸エチル(1.72g、10mmol)を加えて、冷却しないで撹拌を2時間続けた。次に、混合物を1時間、80℃で加熱した。無色油状物0.785g(22%)を得た。MS:m/z=358(M)。
【0087】
実施例12
(R,S)−5,7−ジ−tert−ブチル−3,4−ジヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン
4,6−ジ(tert−ブチル)ベンゼン(6.35g、28mmol)を、テトラヒドロフラン(60mL)中にアルゴン下で溶解して、−70℃に冷却した。ヘキサン中のブチルリチウムの1.6M溶液(37.4mL、60mmol)を加えて、溶液を20℃にした。テトラヒドロフランを留去し、1,2−ジクロロエタン(100mL、2回繰り返す)により置き換えた。氷/MeOH中で冷却後、新鮮なアンプルの塩化ガリウム(III)(10g、57mmol)を加えた(発熱、5℃)。得られた溶液を15分間還流して、LiClの白色沈殿物が得られた。懸濁液を氷中で冷却し、次にトリフルオロピルビン酸エチル(4.85g、29mmol)を加えて、撹拌を20時間、20℃で続けた。3時間で還流することにより、反応を完結に導いた。冷却後、懸濁液をジクロロメタン(3回)、冷1M HCl(1回)、および飽和NaCl溶液(1回)で抽出した。粗生成物を、ヘプタン中のジクロロメタン0〜100%の勾配を用いたシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。明褐黄色の固体2.99g(30%)を得た。MS:m/z=288(M)。
【0088】
実施例13
(R,S)−7−tert−ブチル−5−エチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン
2−tert−ブチル−4−エチルフェノール(3g、28mmol)を、アルゴン下でテトラヒドロフラン(60mL)中に溶解して、−70℃に冷却した。ヘキサン中のブチルリチウムの1.6M溶液(10.5mL、17mmol)を加えて、溶液を20℃にした。テトラヒドロフランを留去し、1,2−ジクロロエタン(100mL、2回繰り返す)によって置き換えた。氷/MeOH中で冷却後、新鮮なアンプルの塩化ガリウム(III)(3g、17mmol)を加えた(発熱、5℃)。得られた溶液を15分間還流して、LiClの白色沈殿物が得られた。懸濁液を氷中で冷却し、次にトリフルオロピルビン酸エチル(3.15g、19mmol)を加えて、撹拌を20時間、20℃で続けた。3時間で還流することにより、反応を完結に導いた。冷却後、懸濁液をジクロロメタン(3回)、冷1M HCl(1回)、および飽和NaCl溶液(1回)で抽出した。粗生成物を、ヘプタン中のジクロロメタン0〜100%の勾配を用いたシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。無色のガム状物1.54g(30%)を得た。MS:m/z=302(M)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I:
【化1】


〔式中、
は、水素、ヒドロキシ、C1−6−アルコキシまたはNR(ここで、RおよびRは、独立して、水素またはC1−6−アルキルである)であり;
は、水素、ヒドロキシまたはフッ素であり;
あるいは、RとRは、一緒になって−O−または−NH−であり、それによってそれらが結合する炭素原子とともに5員の複素環を形成し;
は、t−ブチル、1,1−ジメチルプロピルまたはアリールであり;
は、水素であり;
は、C1−6−アルキルまたはC1−6−ハロアルキルであり;
は、水素、ヒドロキシまたはC1−6−アルキルである〕
の化合物、ならびにその光学異性体および薬学的に許容される塩〔(RS)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オンを除く〕。
【請求項2】
が、水素、ヒドロキシ、C1−6−アルコキシまたはNRであり(ここでRおよびRが、独立して、水素またはC1−6−アルキルである);
が、水素、ヒドロキシまたはフッ素であり;
が、t−ブチル、1,1−ジメチルプロピルまたはアリールであり;
が、水素であり;
が、C1−6−アルキルまたはC1−6−ハロアルキルであり;
が、水素、ヒドロキシまたはC1−6−アルキルである、
請求項1記載の式Iの化合物、ならびにその光学異性体および薬学的に許容される塩。
【請求項3】
(R,S)−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−プロピオン酸;
(R,S)−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−プロピオン酸ナトリウム塩;
(R,S)−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−プロピオン酸メチルエステル;および
(R,S)−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−プロピオン酸
からなる群より選択される、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
請求項1記載の式I−a:
【化2】


〔式中、
が、t−ブチル、1,1−ジメチルプロピルまたはアリールであり;
が、水素であり;
が、C1−6−アルキルまたはC1−6−ハロアルキルであり;
が、水素、ヒドロキシまたはC1−6−アルキルである〕
の化合物、ならびにその光学異性体および薬学的に許容される塩〔(RS)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オンを除く〕。
【請求項5】
(R,S)−5−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−7−フェニル−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン;
(R,S)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン;
(S)−(−)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン;
(R,S)−7−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−5−メチル−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン;
(R,S)−5,7−ビス−(1,1−ジメチル−プロピル)−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン;
(R)−(+)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン;
(R,S)−5,7−ジ−tert−ブチル−3,4−ジヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン;および
(R,S)−7−tert−ブチル−5−エチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン
からなる群より選択される 請求項4記載の式I−aの化合物。
【請求項6】
請求項1記載の式I:
【化3】


〔式中、
が、t−ブチル、1,1−ジメチルプロピルまたはアリールであり;
が、水素であり;
が、C1−6−アルキルまたはC1−6−ハロアルキルであり;
が、水素、ヒドロキシまたはC1−6−アルキルである〕
の化合物、ならびにその光学異性体および薬学的に許容される塩。
【請求項7】
(R,S)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンである、請求項6記載の式I−bの化合物。
【請求項8】
式II:
【化4】


の化合物を、式:CFCOCORの化合物と反応させ、式I(式中、RがC1−6−アルコキシであり、RがOHであり、そしてR〜Rが請求項1または2に定義したとおりである)の化合物を得る工程を含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の式Iの製造方法。
【請求項9】
式III:
【化5】


(式中、Xが、BrまたはIである)の化合物を、式:CFCOCORの化合物と反応させ、式I(式中、RがC1−6−アルコキシであり、そしてR〜Rが請求項1または2に定義したとおりである)の化合物を得る工程を含む、請求項1〜3項いずれか一項記載の式Iの製造方法。
【請求項10】
式I−1:
【化6】


(式中、RがC1−6−アルコキシであり、そしてRがOHである)の化合物の環化反応により、式I−a(式中、R〜Rが請求項4に定義したとおりである)の化合物とする工程を含む、請求項4または5のいずれか一項記載の式I−aの製造方法。
【請求項11】
式I:
【化7】


の化合物におけるC1−6−アルコキシであるR部分を加水分解して、式I(式中、Rがヒドロキシであり、そしてR〜Rが請求項1または2に定義したとおりである)の化合物を得る工程を含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の式Iの製造方法。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか一項記載の方法に従って製造される、式IまたはI−aの化合物。
【請求項13】
疾病、特に、不安神経症、うつ病、てんかん、統合失調症、認識障害、痙縮および骨格筋の硬直、脊髄損傷、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、脳性麻痺、神経因性疼痛およびコカインとニコチンと関連する渇望、精神病、パニック障害、心的外傷後ストレス障害または胃腸障害を含む疾病および障害の制御または予防で使用するための、請求項1〜7のいずれか一項記載の式I、I−aもしくはI−bの化合物、または(RS)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オン。
【請求項14】
請求項1〜7のいずれか一項記載の式I、I−aまたはI−bの化合物を含有するか、あるいは(RS)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オンを含有する医薬組成物。
【請求項15】
薬剤が、疾病、特に、不安神経症、うつ病、てんかん、統合失調症、認識障害、痙縮および骨格筋の硬直、脊髄損傷、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、脳性麻痺、神経因性疼痛およびコカインとニコチンに関連する渇望、精神病、パニック障害、心的外傷後ストレス障害を含む疾病および障害の制御または予防に、ならびに過活動膀胱、胃食道逆流性疾患および胸焼け、咳および喘息のような膀胱機能障害、腸および肺の障害に有用である、請求項14記載の医薬組成物。
【請求項16】
薬剤の製造のための、請求項1〜7のいずれか一項記載の式I、I−aまたはI−bの化合物、あるいは(RS)−5,7−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−3H−ベンゾフラン−2−オンの使用。
【請求項17】
薬剤が、疾病、特に、不安神経症、うつ病、てんかん、統合失調症、認識障害、痙縮および骨格筋の硬直、脊髄損傷、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、脳性麻痺、神経因性疼痛およびコカインとニコチンに関連する渇望、精神病、パニック障害、心的外傷後ストレス障害を含む疾病および障害の制御または予防に、ならびに過活動膀胱、胃食道逆流性疾患および胸焼け、咳および喘息のような膀胱機能障害、腸および肺の障害に有用である、請求項16記載の使用。
【請求項18】
本明細書に記載したような発明。

【公表番号】特表2009−502856(P2009−502856A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523313(P2008−523313)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【国際出願番号】PCT/EP2006/064347
【国際公開番号】WO2007/014843
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】