説明

GISデータの表示プログラム、GISデータ提供用の管理サーバ、及び空間解析処理システム

【課題】所望の解析処理(表示態様)を容易に設定し、これを得ることができるGISデータの表示プログラム等の提供。
【解決手段】ネットワーク3を通じて管理サーバ12からレイヤデータ名を取得するとともに、管理サーバ12がネットワーク3を通じてデータサーバ5から取得したレイヤデータ名を取得するレイヤ名取得手段13、
レイヤデータ名を表示装置15に表示するレイヤ名表示手段16、
GISデータの表示に対する要求をフローチャート形式で入力装置によりレイヤデータを指定して設定可能なフローチャート作成ツール45を有し、GISデータの表示要求を生成し、管理サーバ12に送信する要求生成手段18、
管理サーバ12から受信した地図データとレイヤデータとを重ね合わせ表示する重畳表示手段19、
としてコンピュータを機能させてGISデータの表示プログラムを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はGISデータの表示プログラム、GISデータ提供用の管理サーバ、及び空間解析処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、位置、距離、面積、及び方向などの空間的な属性と、人口分布、気温、及び道路名などの他の付加的な属性とを関連付けるシステムであるGIS(Geographic Information System、地理情報システム)が知られている。GISは、レイヤ構造を有するベクタ形式の地図データに種々の属性を包含し、その属性を様々な表示形式で表示することにより、多くの機能を実現する。例えば、GISを用いることにより、事業者が有している顧客データ(住所、年収、家族構成等)と事業者が運営している複数の販売店舗の住所データに対して距離や移動時間に基づく空間解析処理を行うことにより商圏分析を行ったり、地震発生分布等の災害情報と顧客データや販売店舗の住所データを用いて、各種災害に対する避難経路の検討やハザードマップ作成等といった防災関連の分析を行うなど、様々な解析処理を行うことができる。
【0003】
一方、従来より、GISの専用ソフト(GISエンジン)をクライアントに導入することなく、安価に所望のGIS解析処理結果を得るために、特許文献1に記載されたものが知られている。この従来例はWWWサーバに搭載したGISエンジンによりホームページを介してクライアントにGISデータを提供するもので、ある地域のGISによる地図の情報の配信をクライアントがWWWサーバに要求し、これに応じてWWWサーバがクライアントに当該地図の配信を行う。また、クライアントは、GISデータを利用することにより、配信された地図を活用して所定の施設を検索することなどもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-189674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来例では、サーバに対してGIS解析処理を指示し、所望の解析処理結果を得るためにはJavaScript(登録商標)やHTMLなどに関する高度なプログラミング技術が必要であり、利用者への負荷が大きかった。このため、解析処理を少し変えるだけでも、要求する表示態様に応じた専門知識に基づくプログラミングが必要であり、利用者の負担が大きいという問題があった。
【0006】
本発明は以上の欠点を解消すべくなされたものであって、所望の解析処理を容易に設定し、これを得ることができるGISデータの表示プログラム、GISデータ提供用の管理サーバ、及び空間解析処理システムの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば上記目的は、
ネットワーク3を通じて交信可能な管理サーバ12から、該管理サーバ12のレイヤ名テーブル2に格納されているレイヤデータ名を各データ名が識別可能な形態で取得するとともに、前記管理サーバ12がネットワーク3を通じて交信可能なデータサーバ5内に格納され、該データサーバ5から管理サーバ12が取得したレイヤデータ名を各データ名が識別可能な形態で取得するレイヤ名取得手段13、
レイヤ名取得手段13により取得したレイヤデータ名を、各データ名が入力装置14により指定可能な形態で表示装置15に表示するレイヤ名表示手段16、
GISデータの表示に対する要求をフローチャート形式で入力装置によりレイヤデータを指定して設定可能なフローチャート作成ツール45を有し、レイヤ名表示手段16により表示されたレイヤデータ名の中から選択されて前記フローチャート作成ツール45を用いて指定されたレイヤデータ名に対応するレイヤデータを、記憶部34あるいはネットワーク3を通じて交信可能なデータサーバ5(4a)のデータベース38に格納されて予め入力装置14により指定された位置データに対応する地図データに対して重ね合わせたGISデータの表示要求を、前記位置データあるいは該位置データのデータサーバにおける格納位置を示すデータと、前記入力装置14により指定したレイヤデータ名とを含めて生成し、管理サーバ12に送信する要求生成手段18、
前記管理サーバ12により生成され、あるいは管理サーバ12を介してデータサーバ5から取得されて管理サーバ12から重ね合わせて表示可能な形態で受信した、前記位置データに対応する地図データと前記レイヤデータ名に対応するレイヤデータとを重ね合わせ表示する重畳表示手段19、
としてコンピュータを機能させるためのGISデータの表示プログラムを提供することにより達成される。
【0008】
本発明に係るGISデータの表示プログラムをクライアント4にインストールすると、該クライアント4において位置データを決定し、レイヤデータ名を選択した上でGISデータの提供を管理サーバ12に要求することができ、管理サーバ12は、位置データに対応する地図データと、指定されたレイヤデータ名により特定されるレイヤデータをクライアント4に提供する。クライアント4は位置情報に基づいてレイヤデータを地図データに重ねることによりGISデータを表示装置15に表示することが可能で、したがってレイヤデータを選択に際して自由に変更することによりGISデータの表示態様の自由度を確保することができる。また、上記レイヤデータには管理サーバ12により生成されるもの以外に、データサーバ5に格納されているものも含まれ、このようにしてレイヤデータが分散されることにより、レイヤデータの多数を指定可能にしたとしても演算処理能力や記憶容量を良好に確保することが容易になる。
【0009】
GISデータは、地図データに対する様々なレイヤデータの重ね合わせを位置情報を基準にすることで確保することができ、また、レイヤデータは一般に適宜の透過表示を設定した上で地図データに重ね合わせ(重畳し)たり、あるいは仮にその複数を重ね合わせたとしても表示上の問題も生じにくい。本発明は以上のGISデータの特殊性に着目したもので、位置を特定した上で、この位置に基づいて階層状をなすレイヤデータを選択可能にすることにより、表示態様の自由度を確保したものである。
【0010】
また、クライアント4によるレイヤデータの指定に際して選択可能なレイヤデータを管理サーバ12側で管理することにより、クライアント4で指定可能なレイヤデータと、管理サーバ12からクライアント4に送信可能なレイヤデータとの対応関係をつけることができるとともに、クライアント4におけるレイヤデータの指定操作を簡単にすることも可能になる。
【0011】
したがって本発明によれば、GISデータの利用者は、クライアント4において、用意されたレイヤデータを任意に組み合わせることにより、所望の解析処理を行うことができる。また、GISデータの要求をフローチャート形式で行うことにより、利用者にはGISデータの分野に関する専門的なプログラミングの知識も必要ないし、要求内容の一覧性を高めることもできる。
【0012】
また、クライアント4におけるGISデータの要求は上述したフローチャート形式以外にも、その他の適宜のGUI形式や、あるいは処理手続をXML等に記載したコマンド形式で設定することも可能である。
【0013】
さらに、上述したレイヤデータと同様に、位置データについても選択できるようにすれば、既存のデータとの連係が容易になるなど、利便性をより向上させることができる。
【0014】
加えて、上述したようにネットワーク3を介することなくクライアント4側でレイヤデータを生成できるようにすることも望ましい。この場合、クライアント4側で格納している、事業者が運営している複数の販売店舗の住所データや各販売店舗の顧客データ、さらにはその売上高、損益などの各種の事業に関する管理データ(事業者管理データ)をそのまま活用してレイヤデータを作成することも容易になる。
【0015】
以上のGISデータの提供を実現するには、
位置データを用い、予め設定された演算処理の複数のうちから選択されたいずれかの演算処理をしてレイヤデータを生成するレイヤデータ生成手段1、
レイヤデータ生成手段1により生成可能なレイヤデータのデータ名を、対応する演算処理と関連づけて格納するレイヤ名テーブル2、
ネットワーク3を通じて交信可能なクライアント4からのレイヤデータの問い合わせに応じ、前記レイヤ名テーブル2に格納されているレイヤデータ名をレイヤ名テーブル2から取得するとともに、ネットワーク3を通じて交信可能なデータサーバ5内に格納されているレイヤデータのデータ名をデータサーバ5から取得するレイヤ名収集手段6、
レイヤ名収集手段6により取得したレイヤデータ名を各データ名が識別可能な形態でクライアント4に送信するレイヤ名通知手段7、
位置データあるいは該位置データのデータサーバにおける格納位置を示すデータと、該位置データに対応する地図データに対して重ね合わせ表示するものとして前記クライアント4において選択されたレイヤデータのデータ名とを含むクライアント4からのGISデータ要求に応じ、該GISデータ要求から前記位置情報に対応する地図データを要求する地図要素要求と、前記レイヤデータ名のレイヤデータを要求するレイヤ要素要求を抽出する要求分析手段8、
地図要素要求に応じて前記位置データに対応する地図データをデータサーバ5から取得するとともに、レイヤ要素要求に応じて前記レイヤデータ名に対応するレイヤデータを、前記位置データに基づいて前記レイヤ名テーブル2において当該レイヤデータ名に対応する演算処理をしてレイヤデータ生成手段1により生成し、あるいはデータサーバ5から取得する要素取得・生成手段9、
取得あるいは生成した地図データとレイヤデータとを前記クライアント4において重ね合わせて表示可能な形態でクライアント4に送信する送信手段10、
を備えるGISデータ提供用の管理サーバがあれば足りる。
【0016】
また、住所データを座標データに変換する変換手段11を上記管理サーバ12に備えた場合には、位置データとして一般に使用される住所データを利用してGISデータを構成するデータ間の共通性を良好に確保することができる。
【0017】
さらに、上述した地図データやレイヤデータとしては、例えば、ネットワーク上に広く公開されているデータをそのまま活用することも不可能ではないが、上述した管理サーバ12に加えてデータサーバ5を有するサーバシステムを構成しておけば、データサーバ5に標準的なレイヤデータ等を格納しておくことにより、GISデータの表示態様の自由度を安定して得ることができる。加えて、このサーバシステムに上述したクライアント4を含めて空間解析処理システムを構築することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、高度なプログラミングを要することなく、GISデータの表示態様の自由度を高め、容易に所望の解析処理結果を得ることができるGISデータの表示プログラム、GISデータ提供用の管理サーバ、及び空間解析処理システムを提供することができ、主題図の作成等を通じてGISデータを簡単に有効活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】空間解析処理システムを示す図で、ネットワークを含むシステム全体の構成を示す図である。
【図2】データサーバの機能ブロック図である。
【図3】管理サーバの機能ブロック図である。
【図4】クライアントを示す図で、(a)は端末コンピュータの機能ブロック図、(b)はクライアント内データサーバの機能ブロック図である。
【図5】本発明に係るGISデータの表示処理のクライアントにおけるフローチャートである。
【図6】本発明に係るGISデータの表示処理のクライアントにおける他のフローチャートである。
【図7】店舗の商圏を運転時間に基づいて分析した主題図を得る際のクライアントにおける表示画面を示す図で、(a)はフローチャートを作成する際の表示画面、(b)は(a)のフローチャートに対応する主題図を表示した表示画面である。
【図8】店舗とその顧客の位置関係をスパイダーグラフを用いて分析した主題図を得る際のクライアントにおける表示画面を示す図で、(a)はフローチャートを作成する際の表示画面、(b)は(a)のフローチャートに対応する主題図を表示した表示画面である。
【図9】顧客の分布を人口分布の統計と比較して分析した主題図を得る際のクライアントにおける表示画面を示す図で、(a)は分析条件を入力する際の表示画面、(b)は(a)のフローチャートに対応する主題図を表示した表示画面である。
【図10】店舗毎の所定の定量的なデータを棒グラフを用いて、各店舗の位置を考慮して分析した主題図を得る際のクライアントにおける表示画面を示す図で、(a)は分析条件を入力する際の表示画面、(b)は(a)のフローチャートに対応する主題図を表示した表示画面である。
【図11】空間解析処理システムの変形例を示す図で、ネットワークを含むシステム全体の構成を示す図である。
【図12】データサーバの変形例を示す図で、データサーバの機能ブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1にサーバクライアントシステムにおいてGISデータを提供するためのネットワーク3を含む全体構成を示す。この実施の形態において、管理サーバ12と、データサーバ5の複数と、クライアント4の複数がインターネット(ネットワーク3)に接続される。
【0021】
上記データサーバ5の各々は、図2に示すように、地図データ(背景データ)に重ねられてGISデータを構成するレイヤデータを格納するデータベース30と、入出力部31と、制御部32とを備える。例えば、図2の最上段に示すデータサーバ5には道路ネットワークデータが、そのすぐ下に示すデータサーバ5には公的な統計データ、この実施の形態においては人口分布に関する統計データが格納される。図示省略したデータサーバ5にも、同様に各種の統計データや地震発生時の震度分布といった防災関連データ等が格納される。これらデータサーバ5に格納される各データは経緯度座標や平面直角座標等といった各種座標に基づく位置データに関連づけられる。
【0022】
具体的には、上記道路ネットワークデータとしては、例えば自動車の運転経路検索に用いられるような情報、すなわちノード間を連結したリンクデータに関する例えば位置、距離、想定される移動時間などにより構成され、一方、上記統計データとしては、例えば総人口、年代別人口などの各種の人口に関する統計値が、市区町村、1km四方などの各種の広さ区画に応じて区分けされて構成される。また、上記データサーバ5のデータベース30には、上述したレイヤデータが重ねられてGISデータを構成する地図データも格納される。さらに、各データベース30には、管理情報として内部に格納している各レイヤデータ、地図データのデータ名に関する情報も格納される。以下の実施例においては、統計データを用いた商圏分析を例に説明する。
【0023】
一方、上記管理サーバ12は、図3に示すように、上述した管理情報に所定時間間隔でアクセスしてデータサーバ5に格納されているレイヤデータのデータ名を収集するレイヤ名収集手段6を制御部33に備えるとともに、収集したレイヤ名を当該レイヤ名のレイヤデータが格納されるデータサーバ5のアドレス、ファイル情報に関連づけて記憶するデータサーバレイヤ名テーブル2aを記憶部34に備える。この記憶部34には、レイヤ名収集手段6がレイヤ名を収集すべきデータサーバ5のアドレス、データベース名も格納される。また、上記レイヤ名収集手段6は、レイヤデータのデータ名とともに、上述した地図データのデータ名も合わせて取得し、上記データサーバレイヤ名テーブル2aには、地図データのデータ名と、対応するデータサーバ5のアドレス等も格納される。
【0024】
また、上記制御部33は、変換手段11、レイヤデータ生成手段1、地図データ取得手段35、送信手段10を備える。上記変換手段11は、住所に関する情報を上述した経緯度座標等に関する情報に変換するもので、この変換に際しては記憶部の住所辞書データベース36が参照される。
【0025】
上記レイヤデータ生成手段1は、上述した所定の経緯度座標等に基づく位置データを用いた各種の演算により、各種のレイヤデータを生成する。具体的には、例えば上述した道路ネットワークデータにアクセスして所定の経緯度座標等の地点から所定の運転時間内で到達可能な領域を演算し、自動車の運転時間を基準にした所定の領域を示すレイヤデータを生成する。また、このほかにも、所定の経緯度座標等の地点に所定のシンボルを描画したレイヤデータや、上記地点を中心にする所定距離を半径とする円領域を演算し、これを示したレイヤデータ、上記地点が複数のときに、このような円領域に換えてボロノイ図で示したレイヤデータなど各種のレイヤデータを生成する。
【0026】
以上の各種のレイヤデータは、その名称、この実施の形態においては具体的には上述した演算処理の名称と、これに対応する実際の演算処理を特定可能なもの、例えば演算処理ルーチン名とが関連付けられて管理サーバレイヤ名テーブル2bに格納される。したがってレイヤデータ生成手段1は、経緯度座標等に基づく位置と演算処理名とを特定されることにより、対応する演算処理を経緯度座標等に基づく位置を用いて実行し、対応するレイヤデータを生成することができる。なお、上記管理サーバレイヤ名テーブル2bは、上述したデータサーバレイヤ名テーブル2aとともにレイヤ名テーブル2を構成し、これにより、上述したクライアント4に提供可能なレイヤデータのデータ名がこのレイヤ名テーブル2に集約される。このレイヤ名テーブル2には、上述した地図データのデータ名等も格納される。
【0027】
上記地図データ取得手段35は、上述したデータサーバ5にアクセスして上述した所定の経緯度座標等の地点を含む地図データを取得する。具体的には、上述した位置データを与えられると、例えばこの位置を中心とする地図であって、スクリーン座標に基づく所定の広さ領域のものを所定の倍率で取得する。位置データが複数のときには、各位置からの距離が最も小さくなる経緯度座標等を演算して中心を得ることが可能で、また、倍率を下げることにより、各位置が収まる範囲内の地図を得ることが可能である。なお、上記レイヤデータ生成手段1及び地図データ取得手段35は、クライアント4からの指示により表示領域が変更された場合も同様の処理を行う。
【0028】
上記送信手段10は、地図データとレイヤデータをそれぞれ経緯度座標等に基づく位置データとともにクライアント4に送信することにより、これらを重ね合わせ可能にクライアント4に提供する。
【0029】
また、上述したクライアント4は、図1に示すように、例えばクライアント内データサーバ4a(5)と端末コンピュータ4bをLAN37(ネットワーク3)で接続して構成される。なお、図1においては端末コンピュータ4bが単数として示されるが、複数で構成することも可能である。このクライアント4は、以下においては発明の意義を理解しやすくするために適宜の事業者に所有されているものとして説明する。
【0030】
この実施の形態において、上記クライアント内データサーバ4a(5)には、図4(b)に示すように、位置データとして上述した事業者が運営している複数の販売店舗の住所データや各販売店舗の顧客データ、さらにはその売上高、損益などの各種の事業に関する管理データ(事業者管理データ)が蓄積されるデータベース38を記憶部39に備える。このデータベース38は、事業者の従業員が操作する上述した端末コンピュータ4bからアクセス可能で、クライアント内データサーバ4a(5)の入出力部40によって端末コンピュータ4bからのデータベース38内の所定のデータに関する検索要求を受信すると、制御部41を介してデータベース38を端末コンピュータ4bによって検索することができるようにされる。上記データベース38には、上述したデータサーバ5同様、管理情報も格納される。
【0031】
一方、上記端末コンピュータ4bは、図4(a)に示すように、マウスやキーボードなどにより構成される入力装置14と、ディスプレイからなる表示装置15とを備えるとともに、GISデータの表示等を行うプログラムであるGISエンジンをカスタマイズしたGISデータの表示プログラムをインストールし、このプログラムを適宜のオペレーティングシステム上で動作可能にして構成される。この端末コンピュータ4bは、上述したクライアント内データサーバ4a(5)に所定時間間隔でアクセスしてデータベース38に格納されるデータのデータ名を取得するデータ名取得手段42と、このデータ名取得手段42により取得されたデータ名を表示装置15に表示させるデータ名表示手段43を制御部32に備え、上述したクライアント内データサーバ4a(5)のデータベース38内のデータにアクセス可能にされる。また、上述した管理サーバ12と同様に、端末コンピュータ4bのデータ名取得手段42は、データベース38のデータ名とともに当該データ名のデータが格納されるクライアント内データサーバ4a(5)のアドレス、データサーバ名をクライアント内データサーバ4a(5)から取得し、端末コンピュータ4bの記憶部20には、上述したデータサーバ38に格納されるデータ名に、各データが格納されるクライアント内データサーバ4a(5)のアドレス、データサーバ名を関連づけて格納するデータ名テーブル57が設けられる。
【0032】
また、上記端末コンピュータ4bは、上述した管理サーバ12にアクセスしてレイヤ名テーブル2からレイヤ名を取得するレイヤ名取得手段13を制御部33に備える。レイヤ名取得手段13による管理サーバ12へのアクセスは、記憶部(統計情報格納手段)20に格納される管理サーバ12のアドレス、レイヤ名テーブル2名を利用して所定時間間隔毎になされ、取得されたレイヤ名は、レイヤ名表示手段16によって表示装置15に表示される。以上に加え、上記レイヤ名取得手段13は上述した地図データのデータ名も取得し、レイヤ名表示手段16は地図データのデータ名も表示装置15に表示させる。
【0033】
また、端末コンピュータ4bは、上述したクライアント内データサーバ4a(5)、管理サーバ12、データサーバ5を利用してGISデータを取得し、これを表示するために、要求生成手段18と、重畳表示手段19とを備える。要求生成手段18は、上述した入力装置14を介して入力される命令に従い、上述したクライアント内データサーバ4a(5)に格納されるデータを取得し、また、このようにしてクライアント内データサーバ4a(5)から取得したデータとともに、上述したデータサーバ5に格納される地図データと、同様にデータサーバ5に格納され、あるいは管理サーバ12により生成されるレイヤデータとを取得するための命令を生成して管理サーバ12に出力する。上記入力装置14による命令の入力操作を容易にするために、要求生成手段18は、フローチャート作成ツール45と要求管理手段58を有する。
【0034】
上記フローチャート作成ツール45は、起動されると、図7(a)に示すように、上述した表示装置15の表示画像内に所定のフローチャート作成領域46を設定し、また、該フローチャート作成領域46内で処理記号59やデータ記号60、線記号61、さらには表示処理を示す記号62を描画するための描画補助ツール49を表示画像内に表示する。この実施の形態において上記描画補助ツール49は、表示処理を示す記号62の表示を除いて、上述したデータ名表示手段43及びレイヤ名表示手段16の出力をそのまま利用して構成される。図7(a)の上段のウィンドウはデータサーバレイヤ名テーブル2aのデータ名、地図データのデータ名、及びデータ名テーブル57のデータ名を表示する欄49a、下段のウィンドウは管理サーバレイヤ名テーブル2bのデータ名を表示する欄49bである。
【0035】
フローチャート作成ツール45によるフローチャートの作成は、データ名表示手段43により表示されるデータのデータ名や、レイヤ名表示手段16により表示されるレイヤデータ及び地図データのデータ名を利用して行うことが可能で、具体的には例えば、入力装置14からの入力により複数の販売店舗の住所データ名や、レイヤデータ名、地図データ名がその表示位置からフローチャート作成領域46内にドラッグアンドドロップされることにより、それぞれ対応する処理記号59やデータ記号60が予め設定された描画態様でフローチャート作成領域46に描画表示される。また、上述したマウス14によって線領域を指定することにより、データ記号60や処理記号59などの間に線記号61を描画することができる。なお、処理記号59等の描画態様に関するデータは端末コンピュータ4bの記憶部20に格納されている。
【0036】
上記フローチャートにおいては、上述した処理記号59や表示処理を示す記号62がいわゆる関数、データ記号60等がいわゆる変数を示すオブジェクト(モジュール)の関連付けとして定義され、また、線記号61が、該線記号61により接続された処理記号59やデータ記号60等の要素同士の入出力概念を、該線記号61を構成する矢印の向きで入出力方向を示すものとして定義される。したがって具体的には、上述した表示処理を示す記号62(図7(a)において「分析マップ」と表記された記号)に対して矢印を向けるようにしてその下段のデータ記号60A(「地図」と表記された記号)が接続されることにより、このデータ記号60Aに対応する地図データが表示処理されるジョブが定義される。同様に、図7(a)において最上段の「店舗」と表記された記号は、複数の販売店舗の住所データを示すデータ記号60Bであり、また、図7(a)において上から2段目の「アドレスマッチング」と表記された記号は、上記住所データを引数とするもので、当該住所に対応する経緯度座標等を求める処理記号59Aであって、上述したデータ記号60Bが処理関数に矢印を向けるようにして接続されることにより、複数の販売店舗の住所からその経緯度座標等が求められるジョブが定義される。
【0037】
また、上記要求管理手段58は、以上のように生成されたフローチャートの各ジョブを実行するために、フローチャートに含まれるデータ記号60に対応するデータをクライアント内データサーバ4a(5)やデータサーバ5に要求し、処理記号59に対応する演算処理、その演算結果を管理サーバ12に要求する。この要求管理手段58は、具体的には、フローチャートを線記号61毎のオブジェクトの複数に分解し、言い換えればフローチャートからオブジェクトを抽出し、各々の変数と関数がデータ記号60や処理記号59に基づいて特定されたオブジェクト同士をさらに線記号61に基づいて関連づけて管理サーバ12に対する命令を生成する。上述したようにフローチャートに描画される処理記号59等は、レイヤ名表示手段16の対応するレイヤ名と関連づけられており、オブジェクトの抽出に際してはこの関連付けを利用することができる。また、この管理サーバ12への命令の生成に先立ち、フローチャートに含まれるデータ記号60が示すデータがクライアント内データサーバ4a(5)に格納されたものであるときには、上述したデータ名テーブル57を参照して当該データをクライアント内データサーバ4a(5)から取得した上で、このデータとともに管理サーバ12に対する命令をレイヤ名テーブル2を参照して管理サーバ12に出力する。さらに、要求管理手段58は、フローチャートに含まれる全てのデータ記号60及び処理記号59を抽出し、後述するように地図データに対応するデータ記号60が含まれていること、レイヤデータに対応するデータ記号60あるいは処理記号59が含まれていることを検証し、レイヤデータによってGISデータが表示できるフローチャートであることを確保する。
【0038】
したがって端末コンピュータの操作者は、レイヤ名表示手段16などにより表示される各種のデータ、処理を組み合わせてフローチャートを生成することにより、コーディング作業をすることなく、様々な表示態様のGISデータを要求することができる。また、GISデータの要求内容をフローチャート形式で簡単に把握することができる。なお、上述のようにフローチャートの作成の自由度を確保したことに伴い、操作ミスによってフローチャートが適切に作成されない場合が懸念されるが、このような場合に対応して、各データ記号60や処理記号59には、予めそれぞれに対応して適宜の入出力先が設定されてレイヤデータ等が構成されていることから、例えば線記号61が適切に接続されていないような場合などにおいても相応のGISデータを要求することができる。なお、このような線記号61の接続については、予め関数と変数の接続関係を設定しておき、自動判定により結線の可否、あるいは結線自体を自動判定し、修正を加えるようにしておくことも可能である。
【0039】
また、上記重畳表示手段19は、以上の要求に対応して管理サーバ12から返送される地図データ、レイヤデータを重ね合わせ表示する。この重ね合わせは、地図データ、レイヤデータの各々が備える位置データ、具体的には上述した経緯度座標等に関するデータを利用して位置合わせがなされる。
【0040】
一方、以上のようにしてクライアント4から出力されるGISデータ要求に応えて地図データ、レイヤデータをクライアント4に出力するために、上述した管理サーバ12は、要求分析手段8と、要素取得・生成手段9とを備える。上記要求分析手段8は、上述したようにクライアント4(端末コンピュータ4b)の入出力部47から出力されて管理サーバ12の入出力部48を介して受信されるオブジェクト群、すなわち地図データ名、レイヤデータ名、及びこれらの関連付けに関する情報を各要素に分解し、地図データ名に対応する地図データ、レイヤデータ名に対応するレイヤデータの取得命令を、クライアント内データサーバ4a(5)に格納されていた位置データとともに要素取得・生成手段9に出力する。上述したように住所データである上記位置データは、上述した変換手段11によって経緯度座標等の座標データに変換される。なお、上述した関連付けに関する情報によって、得られたレイヤデータに対して重ねて演算処理が必要とされる場合には、この演算処理の命令を要素取得・生成手段9に出力する。
【0041】
要素取得・生成手段9は、要求分析手段8からの要求に応じ、レイヤ名テーブル2を参照し、クライアント内データサーバ4a(5)に格納されていた位置データを利用して、地図データ名やレイヤデータ名に対応する地図データ、レイヤデータをデータサーバ5から取得し、あるいはレイヤデータ生成手段1により生成させる。なお、地図データの取得に際しては、クライアント内データサーバ4a(5)に格納されていた位置データを利用し、取得する地図領域の特定がなされる。また、得られたレイヤデータに対して重ねて演算処理が要求される場合には、このレイヤデータをレイヤデータ生成手段1に出力してさらなるレイヤデータを生成させる。以上の結果取得した地図データ、レイヤデータは、経緯度座標等の情報とともに上述した送信手段10によってクライアント4に出力される。
【0042】
上述したクライアント4の要求生成手段18、重畳表示手段19と、管理サーバ12の要求分析手段8、要素取得・生成手段9による処理の流れを図5に示す。先ず、クライアント4(端末コンピュータ4b)においてフローチャート作成ツール45が起動されてデータ記号60や処理記号59、すなわちフローチャートの工程をなす要素が入力装置14からの命令によってフローチャート作成領域46に入力され、あるいは線記号61が入力されると(ステップS1)、フローチャート作成ツール45によってフローチャート作成領域46にデータ記号60等が描画される(ステップS2)。データ記号60等の入力が完了し(ステップS3)、入力装置14によって実行命令、すなわち要求生成命令が入力されると(ステップS4)、例えば、フローチャートのいずれかの工程に位置データを特定する指定が含まれていること、及び、レイヤデータに関する指定が含まれていることが検証された上で管理サーバ12に対する要求が生成される。
【0043】
なお、上記検証作業は、例えば、フローチャートからデータ記号60を抽出し、データベース38に格納されるいずれかのデータに対応するデータ記号60があるかを判定するなどして行うことが可能である。また、レイヤデータに関する指定の検証については、反対に、例えばフローチャートにおいて、表示処理を示す記号62に対して地図データを示すデータ記号60の複数が線記号61により接続されているかを判定するなど間接的に行うことが可能である。以上の検証の結果、位置データに関する指定が含まれていない場合には、予め設定されている所定の位置に関する位置データが指定されたものとして位置データに関する指定が付加されてその不足を補うなどされる。また、レイヤデータに関する指定が含まれていない場合には、地図データを単数に変更してその不具合を補うなどされる。あるいは、端末コンピュータ4bの表示装置15にエラー表示を行い、再度位置データまたはレイヤデータの指定を促す構成としてもよい。なお、以上に代えて例えば、レイヤデータに関する指定の検証に際し、表示処理を示す記号62に対して地図データを示すデータ記号60以外の処理記号59やデータ記号60が線記号61により接続されているかを判定して検証精度を高めることも可能である。
【0044】
管理サーバ12への要求に際しては、クライアント4の要求生成手段18によってクライアント内データサーバ4a(5)から取得するものとして指定された位置データが取得され、次いで、取得した位置データと、地図データ名、レイヤデータ名、これらの関連付けに関する情報とが管理サーバ12に対して要求として送信される(ステップS5)。この後、管理サーバ12から送信されたGISデータがクライアント4により受信されると(ステップS6)、重畳表示手段19によって地図データとレイヤデータを重ね合わせたGISデータがクライアント4(端末コンピュータ4b)の表示装置15に表示される(ステップS7)。
【0045】
図7(a)は上述したように処理記号59等のフローチャート作成領域46への入力を行う際の表示装置15の表示画面を、図7(b)は図7(a)のフローチャートに対応するGISデータを表示した際の表示装置15の表示画面を示す。図7(a)において50は、マウス等で指定された特定のデータ記号60や処理記号59のプロパティを表示したもので、加えて、図7(b)において51はGISデータの表示欄、52はGISデータのプロパティを表示したものである。
【0046】
以上の図7(a)及び(b)は、上述したように、フローチャートにおいて「店舗」と表示されるデータ記号60Bに対応する販売店舗の住所データを引数とし、「アドレスマッチング」と表示される処理記号59Aに対応する処理関数によって地図データ上で販売店舗の位置がポイント表示されるレイヤデータを生成し、また、「アドレスマッチング」の処理関数によって得られた販売店舗の位置データ(経緯度座標等に関するデータ)を引数として、「運転時間商圏」と表示される処理記号59Bに対応する処理関数によって販売店舗の位置から所定の運転時間内と判定された領域が色分け表示されるレイヤデータを生成することを示すものである。なお、上述したようにフローチャートにおける「分析マップ」の表示は、表示処理を示す記号62で、フローチャートの終了段階を示すものであり、また、「地図」の表示は、データ記号60Aであって地図データを示すものである。さらに、上記「運転時間商圏」は、上記販売店舗の位置データを用い、上述した道路ネットワークデータを利用して求めることができる。
【0047】
図8に他の表示態様を設定した場合を示す。なお、上述した表示態様と同種の構成は同種の符号を付して説明を省略する。ここで図8(a)に示す「顧客」は販売店舗毎の顧客の住所データを示すデータ記号60C、「スパイダーグラフ」は、各販売店舗の位置データと各販売店舗の顧客の位置データを引数とするもので、各販売店舗と各販売店舗の顧客の位置を線で結んで表示するいわゆるスパイダーグラフの描画処理に対応する処理記号59Cである。
【0048】
また、以上においては管理サーバ12によって「運転時間商圏」や「スパイダーグラフ」を示すレイヤデータを生成する場合を示したが、この実施の形態においてはこのほかにも、「指定距離商圏」や「道路距離商圏」を示すレイヤデータを作成することができる。上記「指定距離商圏」は、店舗の位置データを引数とし、地図を用いて店舗の位置から所定の距離範囲内を色分け表示したレイヤデータであり、また、上記「道路距離商圏」は、同様に店舗の位置データを引数とし、上述した道路ネットワークデータを利用して生成することができるもので、店舗の位置から所定の道路距離範囲内を色分け表示したレイヤデータである。これら「指定距離商圏」や「道路距離商圏」は、「アドレスマッチング」等と共に、代表的な処理関数として描画補助ツール49の下段のウィンドウ49bに表示される。また、月次レポート等として定期的に用いる場合には、これらのフローチャートをテンプレートとして記憶部20に登録することにより、最新のデータを用いた解析処理結果を容易に得ることができる。
【0049】
また、この実施の形態において、クライアント内データサーバ4a(5)にアクセスすることなく、端末コンピュータ4b側で位置(座標)データを容易に生成、利用できるようにするために、端末コンピュータ4bは作表手段53を備える。この作表手段53は、上述したクライアント内データサーバ4a(5)における販売店舗の住所データ等を構成する表を生成可能な表計算ソフトをカスタマイズしたものであり、例えばアドイン機能を利用して、OLE技術によって上述したGISエンジンと連係できるようにされる。また、上述のカスタマイズにおいて、地図データ、レイヤデータのデータ名は、適宜のアイコン等をクリックするだけで容易に指定できるようにされる。
【0050】
さらに、この作表手段53は、一般の表計算ソフト同様、予め設定された棒グラフや円グラフで数値を表示するグラフ表示機能を備える。
【0051】
したがって作表手段53によって住所データを生成しておいた上で、GISエンジンを駆動させ、アイコン等を操作して上記住所データを管理サーバ12に送信すれば、対応するGISデータを表示することができる。また、上述したグラフ表示機能を活用すれば、地図データにグラフを重畳表示してGISデータを作成、表示することができる。このグラフ表示を可能にするために、作表手段53は、グラフを表示するレイヤを生成するレイヤデータ自主生成手段21を備える。このレイヤデータ自主生成手段21は、作表手段53で作表された表において、販売店舗の住所データ、すなわち位置データのカラムと、各販売店舗の販売金額のカラム等が指定されたときに、販売金額のカラムの数値により生成されたグラフについて、レコードに基づいて各グラフを対応する位置データの経緯度座標等に対応する位置に配置、表示する。なお、上記販売金額のカラム等のデータは記憶部39(統計情報格納手段)に格納される。
【0052】
以上の作表手段53を用いた場合のフローチャートを図6に示す。この場合、入力装置14によりアイコン等をクリックして分析命令を入力すると(ステップS10)、分析条件入力ウィンドウ54が表示されて例えば上述した棒グラフの表示サイズなどの設定の入力がしやすくされる(ステップS11)。分析命令の入力が完了し(ステップS12)、入力装置14によって実行命令が入力されると(ステップS13)、分析命令に対応するフローチャートが生成され(ステップS14)、入力装置14により指定されたカラムのデータと、地図データ名、レイヤデータ名、関連付けに関する情報とが管理サーバ12に送信される(ステップS15)。この後、管理サーバ12から送信されたGISデータがクライアント4により受信されると(ステップS16)、重畳表示手段19によって地図データとレイヤデータを重ね合わせたGISデータがクライアント4内の端末コンピュータ4bの表示装置15に表示される(ステップS17)。
【0053】
図9(a)は分析条件入力ウィンドウ54が表示されている際の表示装置15の表示画面を、図9(b)は図9(a)の入力に対応するGISデータを表示した際の表示装置15の表示画面を示す。図9(a)において55は、表データ、56は上述したアイコン等の表示欄である。
【0054】
以上の図9は、販売店舗の位置をポイント表示するとともに、地図を1km四方の領域で人口密度に応じて色分け表示したものである。また、図10は販売店舗の月間の販売金額と利益などの数値を販売店舗の位置で棒グラフ表示したもので、上記販売金額等のデータを販売金額等のカラムから取得したものである。
【0055】
図11に本発明の変形例を示す。なお、この変形例において上述した実施の形態と同一の要素は図中に同一の符号を付して説明を省略する。この変形例は上述した実施の形態におけるクライアント内データサーバ4a(5)のデータベース38をデータサーバ5に搭載した場合を示すもので、クライアント4は上述した端末コンピュータ4bに相当するコンピュータのみで構成される(図12参照)。
【0056】
クライアント4の要求生成手段18は、フローチャート作成ツール45により生成される要求に従い、上記データベース38に格納された位置データをデータサーバ5から取得する命令を管理サーバ12に出力し、管理サーバ12の要素取得・生成手段9は、上記位置データをデータサーバ5から取得し、この位置データを利用して、フローチャート作成ツール45により要求された地図データ名やレイヤデータ名に対応する地図データ、レイヤデータをデータサーバ5から取得し、あるいはレイヤデータ生成手段1により生成させる。
【0057】
なお、以上の実施の形態や変形例においては、管理サーバ12やデータサーバ5、クライアント4をインターネット3を介して接続する場合を示したが、これらのいずれかの間あるいは全てをイントラネットで接続して構成することも可能である。また、上述した管理サーバ12におけるレイヤ生成機能を備えた他のサーバを設け、データサーバ5と同様に管理サーバレイヤ名テーブル2bにおいて、生成可能なレイヤデータを管理することも可能である。さらに、以上のような管理サーバ12やデータサーバ5のレイヤ名テーブル2への新規登録機能を持たせれば、拡張の自由度を高めることができるし、例えば、データサーバ5に格納されているものとは質などが異なる別の地図データをクライアント内データサーバ4a(5)に格納し、同種のデータ間で使用するデータを選択できるようにして表示態様に変化を加えることも可能である。また、商圏分析に限らず、被災時における事業継続計画の立案・検討や顧客に対するリスク分析等、防災用途に利用することも可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 レイヤデータ生成手段
2 レイヤ名テーブル
3 ネットワーク
4 クライアント
5 データサーバ
6 レイヤ名収集手段
7 レイヤ名通知手段
8 要求分析手段
9 要素取得・生成手段
10 送信手段
11 変換手段
12 管理サーバ
13 レイヤ名取得手段
14 入力装置
15 表示装置
16 レイヤ名表示手段
18 要求生成手段
19 重畳表示手段
20 記憶部(事業者管理データ格納手段)
21 レイヤデータ自主生成手段
45 フローチャート作成ツール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを通じて交信可能な管理サーバから、該管理サーバのレイヤ名テーブルに格納されているレイヤデータ名を各データ名が識別可能な形態で取得するとともに、前記管理サーバがネットワークを通じて交信可能なデータサーバ内に格納され、該データサーバから管理サーバが取得したレイヤデータ名を各データ名が識別可能な形態で取得するレイヤ名取得手段、
レイヤ名取得手段により取得したレイヤデータ名を、各データ名が入力装置により指定可能な形態で表示装置に表示するレイヤ名表示手段、
GISデータの表示に対する要求をフローチャート形式で入力装置によりレイヤデータを指定して設定可能なフローチャート作成ツールを有し、レイヤ名表示手段により表示されたレイヤデータ名の中から選択されて前記フローチャート作成ツールを用いて指定されたレイヤデータ名に対応するレイヤデータを、記憶部あるいはネットワークを通じて交信可能なデータサーバのデータベースに格納されて予め入力装置により指定された位置データに対応する地図データに対して重ね合わせたGISデータの表示要求を、前記位置データあるいは該位置データのデータサーバにおける格納位置を示すデータと、前記入力装置により指定したレイヤデータ名とを含めて生成し、管理サーバに送信する要求生成手段、
前記管理サーバにより生成され、あるいは管理サーバを介してデータサーバから取得されて管理サーバから重ね合わせて表示可能な形態で受信した、前記位置データに対応する地図データと前記レイヤデータ名に対応するレイヤデータとを重ね合わせ表示する重畳表示手段、
としてコンピュータを機能させるためのGISデータの表示プログラム。
【請求項2】
ネットワークを通じて交信可能な管理サーバから、該管理サーバのレイヤ名テーブルに格納されているレイヤデータ名を各データ名が識別可能な形態で取得するとともに、前記管理サーバがネットワークを通じて交信可能なデータサーバ内に格納され、該データサーバから管理サーバが取得したレイヤデータ名を各データ名が識別可能な形態で取得するレイヤ名取得手段、
レイヤ名取得手段により取得したレイヤデータ名を、各データ名が入力装置により指定可能な形態で表示装置に表示するレイヤ名表示手段、
記憶部あるいはネットワークを通じて交信可能なデータサーバのデータベースに格納されて予め入力装置により指定された位置データに対応する地図データに対し、前記入力装置により指定したレイヤデータ名に対応するレイヤデータを重ね合わせたGISデータの表示要求を、前記位置データあるいは該位置データのデータサーバにおける格納位置を示すデータと、前記入力装置により指定したレイヤデータ名とを含めて生成し、管理サーバに送信する要求生成手段、
前記管理サーバにより生成され、あるいは管理サーバを介してデータサーバから取得されて管理サーバから重ね合わせて表示可能な形態で受信した、前記位置情報に対応する地図データと前記レイヤデータ名に対応するレイヤデータとを重ね合わせ表示する重畳表示手段、
としてコンピュータを機能させるためのGISデータの表示プログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、
記憶部あるいはネットワークを通じて交信可能なデータサーバから、該記憶部あるいはデータサーバのデータベースに格納されているデータのデータ名を取得するデータ名取得手段、
データ名取得手段により取得したデータ名を、各データ名が入力装置により指定可能な形態で表示装置に表示するデータ名表示手段として機能させ、
かつ、前記要求生成手段は、データ名表示手段により表示されたデータ名の中から入力装置により選択されたデータ名の位置データに対応する地図データに対して前記レイヤデータを重ね合わせたGISデータの表示要求を生成する請求項1または2記載のGISデータの表示プログラム。
【請求項4】
前記コンピュータを、
前記位置データに関連づけられた事業者管理データを格納する事業者管理データ格納手段、
前記事業者管理データに対し、予め設定された演算処理の複数のうちから前記入力装置により選択されたいずれかの演算処理をしてレイヤデータを生成するレイヤデータ自主生成手段として機能させ、
前記要求生成手段は、前記入力装置による指定により、前記事業者管理データと、レイヤデータ自主生成手段において選択した演算処理とを含めてGISデータ表示要求を生成可能で、
前記重畳表示手段は、レイヤデータ自主生成手段により生成されたレイヤデータを前記地図データに対して重ね合わせ表示可能な請求項1ないし3のいずれかに記載のGISデータの表示プログラム。
【請求項5】
位置データを用い、予め設定された演算処理の複数のうちから選択されたいずれかの演算処理をしてレイヤデータを生成するレイヤデータ生成手段、
レイヤデータ生成手段により生成可能なレイヤデータのデータ名を、対応する演算処理と関連づけて格納するレイヤ名テーブル、
ネットワークを通じて交信可能なクライアントからのレイヤデータの問い合わせに応じ、前記レイヤ名テーブルに格納されているレイヤデータ名をレイヤ名テーブルから取得するとともに、ネットワークを通じて交信可能なデータサーバ内に格納されているレイヤデータのデータ名をデータサーバから取得するレイヤ名収集手段、
レイヤ名収集手段により取得したレイヤデータ名を各データ名が識別可能な形態でクライアントに送信するレイヤ名通知手段、
位置データあるいは該位置データのデータサーバにおける格納位置を示すデータと、該位置データに対応する地図データに対して重ね合わせ表示するものとして前記クライアントにおいて選択されたレイヤデータのデータ名とを含むクライアントからのGISデータ要求に応じ、該GISデータ要求から前記位置情報に対応する地図データを要求する地図要素要求と、前記レイヤデータ名のレイヤデータを要求するレイヤ要素要求を抽出する要求分析手段、
地図要素要求に応じて前記位置データに対応する地図データをデータサーバから取得するとともに、レイヤ要素要求に応じて前記レイヤデータ名に対応するレイヤデータを、前記位置データに基づいて前記レイヤ名テーブルにおいて当該レイヤデータ名に対応する演算処理をしてレイヤデータ生成手段により生成し、あるいはデータサーバから取得する要素取得・生成手段、
取得あるいは生成した地図データとレイヤデータとを前記クライアントにおいて重ね合わせて表示可能な形態でクライアントに送信する送信手段、
を備えるGISデータ提供用の管理サーバ。
【請求項6】
前記位置データが住所データであり、
該住所データを、前記地図データ及びレイヤデータにおいて採用する座標データに変換する変換手段を備える請求項5記載のGISデータ提供用の管理サーバ。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれかに記載のGISデータの表示プログラムが動作するクライアント、
請求項5または6記載のGISデータ提供用の管理サーバ、
請求項1ないし4のいずれかに記載のレイヤ名取得手段により管理サーバを介して取得されるレイヤデータ名と、請求項5または6記載の要素取得・生成手段により管理サーバを介して取得されるレイヤデータとを格納するデータサーバ、
を有する空間解析処理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図11】
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【図12】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−150754(P2012−150754A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10596(P2011−10596)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000135771)株式会社パスコ (102)
【Fターム(参考)】