説明

GIST検出用マーカー

【課題】GIST検出用マーカー、および該マーカーを用いたGISTの検出または診断方法、さらには、GIST検出用または診断用のキットを提供すること。
【解決手段】胃癌や胃の正常組織では発現レベルが低く、他方GISTにおいては発現レベルが上昇するSOBP遺伝子および該遺伝子がコードするポリペプチドをGIST検出用マーカーとして用いる。本発明は、このGISTマーカー遺伝子に対する検出用プローブおよび該遺伝子がコードするポリペプチドに対する抗体を用いることにより、GIST検出用マーカーを検出し、GISTの検出または診断を迅速かつ確実に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GIST(Gastrointestinal stromal tumor)において特異的に発現する遺伝子およびポリペプチドからなるGIST検出用マーカー、該マーカーを検出するためのプローブ及び該マーカーを用いたGISTの検出又は診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消化管間質腫瘍はGIST(Gastrointestinal stromal tumor)とも呼ばれ、主に消化管の粘膜下に発生する間葉系腫瘍である。従来、消化管の粘膜下に発生する間葉系の腫瘍は平滑筋腫瘍と考えられていたが、平滑筋腫とは異なる特徴を有する腫瘍の存在が明らかとなった。Miettinenらは典型的な平滑筋腫瘍および神経鞘腫は抗CD34抗体で免疫染色されないが、抗CD34抗体で免疫染色される消化管間葉系腫瘍を見いだしGISTと命名した(非特許文献1)。
【0003】
このようなGISTは消化管のCajalの介在細胞の腫瘍化したものであるとの報告がなされ、多くのGISTではCajalの介在細胞に本来発現しているc-kit遺伝子の変異を認められることが報告されている(非特許文献2)。さらに、GISTの中にはPDGFRα(platelet derived growth factor receptor alpha)遺伝子の変異の認められるものも存在している(非特許文献3)。
【0004】
GISTの中で起きているc-kit遺伝子の変異はエクソン9、11、13、17の4領域のいずれかに70%〜90%の頻度で見られる。また、PDGFRα遺伝子の変異はエクソン12、18のいずれかに5〜10%の頻度で見られる(非特許文献4、5)。
【0005】
さらに、1cm以下の小さなGISTでも、大きなGISTとほぼ同じ頻度でc-kit遺伝子の突然変異の認められることも報告されている。これは、c-kit遺伝子の突然変異が腫瘍発生初期に起こる変化であり、悪性化に伴って獲得される変化であることを示唆している。
【0006】
分子標的薬であるイマチニブはGISTに対して著効を示す(非特許文献6、7)。しかしながら、今のところ、統計学的にイマチニブの有用性が確認されたGIST以外の固形腫瘍はない。そのため、イマチニブが正しく使用されるためには、GISTであるとの正確な診断が不可欠である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−233105
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Miettinen M., Virolainen M. and Rikala M.S. Gastrointestinal stromal tumors--value of CD34 antigen in their identification and separation from true leiomyomas and schwannomas. Am. J. Surg. Pathol. 19, 207-216(1995)
【非特許文献2】Hirota, S., Isozaki, K., Moriyama, Y., Hashimoto, K., Nishida, T., Ishiguro, S., Kawano, K., Hanada, M., Kurata, A., Takeda, M., Muhammad, Tunio, G., Matsuzawa, Y., Kanakura, Y., Shinomura, Y., and Kitamura, Y. Gain-of-function mutations of c-kit in human gastrointestinal stromal tumors. Science 279, 577-580(1998)
【非特許文献3】Merkelbach-Bruse, S., Dietmaier, W., Fuzesi, L., Gaumann, A., Haller, F., Kitz, J., Krohn, A., Mechtersheimer, G., Penzel, R., Schildhaus, H. U, Schneider-Stock, R., Simon, R., and Wardelmann, E. Pitfalls in mutational testing and reporting of common KIT and PDGFRA mutations in gastrointestinal stromal tumors. BMC Med Genet. 11, 106(2010)
【非特許文献4】Flethcer, C. D. M., Berman, J. J., Corless, C., Gorstein, F., Lasota, J., Longley, B. J., Miettinen, M., O'Leary, T. J., Remotti, H., Rubin, B. P., Shmookler, B., Sobin, L. H., and Weiss, S. W. Diagnosis of Gastrointestinal Stromal Tumors: A Consensus Approach. Human Pathology, 33, 459-465(2002)
【非特許文献5】Miettinen, M., Sobin, L. H., and Sarlomo-Rikala, M. Immunohistochemical spectrum of GISTs at different sites and their differential diagnosis with reference to CD117 (KIT). Modern Pathology, 13, 1134-1142(2000)
【非特許文献6】Heinrich, M. C., Corless, C. L., Demetri, G. D., Blanke, C. D., von Mehren, M., Joensuu, H., McGreevey, L. S., Chen, C. J., Van den Abbeele, A. D., Druker, B. J., Kiese, B., Eisenberg, B., Roberts, P. J., Singer, S., Fletcher, C. D., Silberman, S., Dimitrijevic, S., and Fletcher, J. A. Kinase mutations and imatinib response in patients with metastatic gastrointestinal stromal tumor. J. Clin. Oncol., 21, 4342-4349(2003)
【非特許文献7】Tarn, C., Merkel, E., Canutescu, A. A., Shen, W., Skorobogatko, Y., Heslin, M. J., Eisenberg, B., Birbe, R., Patchefsky, A., Dunbrack, R., Arnoletti, J. P., von Mehren, M. and Godwin, A. K. Analysis of KIT mutations in sporadic and familial gastrointestinal stromal tumors: therapeutic implications through protein modeling. Clinical Cancer Research, 11, 3668-3677(2005)
【非特許文献8】Schena, M., Shalon, D., Davis, R. W. and Brown, P. O. Quantitative monitoring of gene expression patterns with a complementary DNA microarray. Science, 270, 467-470(1995)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
GISTの確定診断は病理形態学のみでは診断が困難な症例も存在し、免疫組織化学、遺伝子変異検索の併用による多角的な診断が必要であると考えられている。しかしながら、免疫組織化学的手法や分子生物学的手法も万能ではなく、正確な診断が困難な場合もある。特に、分子生物学的手法においては、すべてのGISTの症例で必ずしもKITタンパク質の発現が陽性ではなく、c-kitまたはPDGFRα遺伝子の突然変異の割合も100%ではない。
【0010】
したがって、GISTの正確な診断を行うためには、より精度の高い分子生物学的手法の確立が必須であり、c-kitやPDGFRα遺伝子の突然変異やKITタンパク質の発現の有無だけでなく、新たな分子生物学的マーカーが望まれていた。
【0011】
本発明は、GISTマーカー、特に、GISTに特異的に発現する遺伝子およびポリペプチドからなるGIST検出用マーカー、および該マーカーを用いたGISTの検出又は診断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、GISTと診断された複数の患者の手術材料および胃癌と診断された複数の患者の手術材料を癌部(腫瘍部位)と非癌部(正常部位)にわけたものからmRNAを単離し、DNAマイクロアレイ法によって網羅的に遺伝子発現プロファイルを取得・解析した結果、SOBP(sine oculis binding protein homolog(Drosophila))遺伝子がGISTで特異的に高発現していることをつきとめ、該遺伝子がGISTマーカーとして用いることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち本発明は以下を提供する。
1.配列表の配列番号1により特定されるSOBP遺伝子の塩基配列を有することを特徴とするGIST検出用遺伝子マーカー。
2.前記1記載のGIST検出用遺伝子マーカーの塩基配列の全部または一部のDNAまたはcDNAを少なくとも1つ以上固定化させたことを特徴とするGISTマーカー遺伝子発現検出用DNAマイクロアレイまたはDNAチップ。
3.配列表の配列番号1により特定されるSOBP遺伝子の塩基配列を有するGIST検出用遺伝子マーカーのSOBP遺伝子の発現を検出するために使用されるオリゴヌクレオチドであって、
前記SOBP遺伝子の塩基配列またはその相補塩基配列の一部からなり、前記SOBPのmRNAまたはそのcDNAと部位特異的塩基対を形成することを特徴とするオリゴヌクレオチド。
4.前記3記載のオリゴヌクレオチドを少なくとも1つ以上固定化させたことを特徴とするGISTマーカー遺伝子発現検出用DNAマイクロアレイまたはDNAチップ。
5.配列表の配列番号1により特定されるSOBP遺伝子の塩基配列を有するGIST検出用遺伝子マーカーを検出するために使用されるプライマーであって、
前記SOBP遺伝子のmRNAまたはそのcDNAと部位特異的塩基対を形成し、配列表の配列番号1に示される塩基配列の全部または一部を有するDNAをPCR法により増幅するための少なくとも2種類のプライマーからなることを特徴とするGISTマーカー遺伝子検出用プライマーセット。
6.配列表の配列番号2により特定されるSOBPタンパク質のアミノ酸配列の全部またはその一部からなることを特徴とするGIST検出用ポリペプチドマーカー。
7.前記6記載のGIST検出用ポリペプチドマーカーのアミノ酸配列を有するポリペプチドを哺乳動物に投与することにより誘導し、前記ポリペプチドに特異的に結合する抗体を使用することによりSOBPタンパク質を検出することを特徴とするGIST診断方法。
8.前記抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であることを特徴とする前記7記載のGIST診断方法。
9.SOBP遺伝子を組み込んだ哺乳動物細胞用発現ベクターを哺乳動物に投与することにより誘導し、配列表の配列番号2に示されるSOBPタンパク質のアミノ酸配列の全部又は一部からなるポリペプチドに特異的に結合する抗体を使用することによりSOBPタンパク質を検出することを特徴とするGIST診断方法。
10.前記抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であることを特徴とする前記9記載のGIST診断方法。
11.配列表の配列番号1により特定されるSOBP遺伝子の発現レベルを指標とすることを特徴とするGIST診断方法。
12.配列表の配列番号1により特定されるSOBP遺伝子の塩基配列を有するGIST検出用遺伝子マーカーのSOBP遺伝子の発現を検出するために使用されるオリゴヌクレオチドであって、前記SOBP遺伝子の塩基配列またはその相補塩基配列の一部からなり、前記SOBPのmRNAまたはそのcDNAと部位特異的塩基対を形成するオリゴヌクレオチドを用いて前記発現レベルの指標を得ることを特徴とする前記11記載のGIST診断方法。
13.胃癌などの非GISTとGISTとを判別するためのGIST診断方法であって、
GIST診断を目的とした患者由来の検出組織からなる検体試料を採取する工程と、
正常組織からなる参照試料を採取する工程と、
前記検体試料及び前記参照試料における配列表の配列番号1により特定されるSOBP遺伝子またはSOBPタンパク質の発現レベルまたは発現量を測定比較する診断工程と、
を含むことを特徴とするGIST診断方法。
14.前記診断工程は、あらかじめ把握されている正常組織または非GIST組織における前記SOBP遺伝子または前記SOBPタンパク質の発現レベルまたは発現量を基準とし、前記基準よりも高い場合にGISTであると判定することを特徴とする前記13記載のGIST診断方法。
15.前記SOBP遺伝子の発現レベルまたは発現量は、RT-PCR法、リアルタイムPCR法、ハイブリダイゼーション法のうちの一つにより得ることを特徴とする前記11乃至14のうちの1つに記載のGIST診断方法。
16.前記ハイブリダイゼーション法がマイクロアレイ法又はブロット法であることを特徴とする前記15記載のGIST診断方法。
17.前記マイクロアレイ法又はブロット法に用いられるプローブがヌクレオチド又はタンパク質であることを特徴とする前記15記載のGIST診断方法。
18.前記ヌクレオチドがmRNA、cDNA、または合成オリゴヌクレオチドであることを特徴とする前記17記載のGIST診断方法。
19.配列表の配列番号2に示されるSOBPタンパク質の発現レベルを指標とするGIST診断方法。
20.蛍光抗体法により前記検体試料におけるSOBPタンパク質を標識化し、これを検出することを特徴とする前記19記載のGIST診断方法。
21.配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列の全部または一部を含むポリペプチドに特異的に結合する抗体を含むことを特徴とするGISTを治療するための医薬組成物。
22.配列表の配列番号1に示される塩基配列の全部または一部を含むポリヌクレオチドおよび/またはその誘導体を含むことを特徴とするGISTを治療するための医薬組成物。
【発明の効果】
【0014】
本発明において、GIST検出用マーカー遺伝子であるSOBP遺伝子を検出するためのプローブ、あるいは、SOBPタンパク質のアミノ酸配列の全部または一部を有するポリペプチドに対する抗体を作製することにより、SOBP遺伝子またはSOBPタンパク質の発現を指標としてGISTの検出または診断を広範囲にかつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(マイクロアレイ法によるGISTにおけるSOBP遺伝子の発現レベル) GIST10症例、胃癌の腫瘍部位25症例、胃癌またはGIST症例から取得した非癌部(正常部位)20症例においてDNAマイクロアレイにより網羅的遺伝子発現解析を行い、ヒト共通レファレンスに対するSOBP遺伝子の発現レベル比をlog2比にしてプロットした。黒の菱形は個々の症例におけるSOBP遺伝子の発現レベル比を表している。また、アスタリスク(*)は、t検定により統計的に両群における差のP値が0.0005未満であることを示している。さらに、アスタリスク(**)は、t検定により統計的に両群における差のP値が0.0006未満であることを示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
他に特に規定されない限り、本明細書中に使用される用語は、本発明が属する分野における通常の知識を有する者(当業者)によって、一般的に理解されるものと同一の意味を有する。
【0017】
当業者は、本明細書中に記載されるものと同等または類似の多くの方法および物質を認識する。ただし、本発明は本明細書に記載される方法および物質に限定されない。
【0018】
「遺伝子の発現レベルを測定する」または「遺伝子の発現を検出する」とは、該遺伝子の発現レベルを検出又は定量する限り特に制限されず、例えば、該遺伝子のmRNAやcDNAを検出又は定量してもよい。これらの検出又は定量には、該遺伝子又はその遺伝子産物であるペプチド若しくはタンパク質に特異的に結合する分子を用いることが望ましい。遺伝子又はその遺伝子産物であるペプチド若しくはタンパク質に特異的に結合する分子とは、特に制限されないが、該遺伝子に特異的に結合するヌクレオチド、DNA、cDNA、RNA、ペプチド若しくはタンパク質に特異的に結合する抗体等を例示することができる。また、該遺伝子の発現レベルの検出又は定量には、該遺伝子のmRNAもしくはタンパク質の断片またはホモログを用いてもよい。
【0019】
「DNAマイクロアレイ」とは、オリゴヌクレオチドや一本鎖または二本鎖のDNAをガラス基板上などに高密度に配置したものをいい、「DNAマイクロアレイ法」とは、そのDNAマイクロアレイ上で蛍光標識したRNA分子などとハイブリッド形成を行わせて定性的定量的にDNAと結合した核酸の種類や量を測定する手法をいう。
【0020】
「オリゴヌクレオチド」とは、ヌクレオチドが数個重合した分子の総称のことをいう。
【0021】
「ポリヌクレオチド」とは、単数または複数で使用された場合、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシヌクレオチドのことをいい、DNAまたはRNAであってもよく、修飾されたDNAまたはRNAでもよい。DNAまたはRNAは一本鎖でも二本鎖でもよく、DNAとRNAを含むハイブリッド分子でもよい。
【0022】
「遺伝子マーカー」または「マーカー遺伝子」とは、発現またはレベルがある種の状態間で変化する遺伝子全体またはその遺伝子由来のESTを意味する。遺伝子発現がある種の状態と相関している場合、その遺伝子はその状態のマーカーである。
【0023】
遺伝子の発現レベルを検出又は定量する具体的な方法としては、該遺伝子に特異的に結合するプローブ用の標識化ヌクレオチド、標識化cDNAまたは標識化RNAを用いたノーザンブロット法、ドットブロット法、iAFLP(introduced Amplified Fragment Length Polymorphism)法、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法、PCR法、またはmRNAを直接測定する方法等を用いることができる。PCR法としては、RT-PCR法、リアルタイムPCR法、競合PCR法を挙げることができる。
【0024】
前記リアルタイムPCR法としては、例えば、試料内の全RNAやmRNAから逆転写酵素を用いてcDNAを合成し、該cDNAを鋳型にして目的領域をPCR法により増幅し、該増幅産物の生産過程をリアルタイムにモニタリングする方法が挙げられる。リアルタイムにモニタリングする試薬としては、例えば、SYBR(登録商標:Moleclar Probes社)Green Iや、TaqMan(登録商標:アプライドバイオシステムズ社)プローブ等が挙げられる。
【0025】
前記競合PCR法としては、例えば、試料内の全RNAやmRNAから逆転写酵素を用いてcDNAを合成し、該cDNAと内部標準DNAを同一の反応チューブ内で反応させる方法や、さらに前記逆転写反応時にmRNAとともにRNA内部標準を加えて反応させる方法等が挙げられる。また、内部標準遺伝子の配列は、例えば、増幅目的遺伝子の配列と相同配列でもよく、非相同な配列でもよい。
【0026】
前記mRNAを直接測定する方法としては、nCounter Analysis system(ナノストリング社)などが挙げられる。
【0027】
さらに、遺伝子の発現レベルを検出又は定量する具体的な方法としては、DNAマイクロアレイ、DNAチップ、または抗体アレイ等が挙げられる。DNAマイクロアレイ又はDNAチップには該遺伝子のヌクレオチド又はcDNAが少なくとも1つ以上固定化されているものを用いる。
【0028】
なお、ヌクレオチド又はcDNAは、該遺伝子の一部に相当する部分でもよい。
【0029】
上記プローブの標識化に用いられる標識試薬は、例えば放射性同位元素である[125I]、[131I]、[H]、[14C]、[32P]、[35S]、酵素であるβーガラクトシダーゼ、βーグルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、また、蛍光物質であるシアニン蛍光色素蛍光色素(例えば、Cy2、Cy3、Cy5、Cy5.5、Cy7、Cyanine3、Cyanine5など)を用いることができる。
【0030】
また、上記リアルタイムPCR法としては、例えば、臓器(組織)内又は細胞内の全RNAやmRNAから逆転写酵素により合成したcDNAを鋳型にして、PCRの増幅産物をリアルタイムでモニタリングする方法が挙げられる。リアルタイムPCR用モニタリング試薬としては、例えばSYBR GreenIやTapMan(登録商標:アプライドバイオシステムズ社)プローブ等が用いられる。
【0031】
通常、DNAマイクロアレイやDNAチップは、プローブが支持体の上に固定されているアレイ又はチップであり、DNAマイクロアレイ又はDNAチップの支持体としては、ハイブリダイゼーションに使用可能なものであればよく、例えばガラス、シリコン、プラスチックなどの基板や、ニトロセルロース膜、ナイロン膜等を用いることができる。
【0032】
DNAマイクロアレイやDNAチップに用いるプローブはcDNAでも合成オリゴDNAでも構わない。
【0033】
DNAマイクロアレイやDNAチップの使用方法については特に制限されない。例えば、生体試料からmRNAを精製し、該mRNAを鋳型とした逆転写反応を行う際に、適切な標識を付したプライマーや標識ヌクレオチドを使用することにより、標識されたcDNAを得ることができる。この標識化cDNAとDNAマイクロアレイやDNAチップ表面上に固定された本発明におけるプローブとの間でハイブリダイズさせ、被検試料とのハイブリダイゼーション及び対照試料とのハイブリダイゼーションのそれぞれの結果を比較し、SOBP遺伝子の有無を検出したり、発現レベルを測定することにより、GISTの検出または診断をすることができる。
【0034】
上記標識化cDNAの作製に用いられる標識物質としては、放射性同位元素、蛍光物質等を用いることができる。例えば、蛍光物質としては、Cy2、Cy3、Cy5、Cy5.5、Cy7、Cyanine3、Cyanaine5、FITC(イソチオシアン酸フルオレセイン)、テキサスレッド、ローダミン等が挙げられる。
【0035】
SOBP遺伝子のDNA配列情報は配列表の配列番号1に示した他、NCBI(National Center for Biotechnology Information)の遺伝子データベースにおいてアクセッション番号NM_018013またはAK090879によりアプローチすることができる。また、SOBP遺伝子に対応するポリペプチド又はタンパク質は上記遺伝子の発現産物であり、該ポリペプチド又はタンパク質のアミノ酸配列の配列情報は配列表の配列番号2に示した他、NCBIの遺伝子データベースにおいて、アクセッション番号NP_060483によりアプローチすることもできる。
【0036】
上記ポリペプチド又はタンパク質を検出又は定量する方法としては、所定のポリペプチド又はタンパク質を検出又は定量する方法であれば特に制限されない。例えば、該ポリペプチド又はタンパク質に特異的に結合する抗体やアプタマー等を用いることができ、抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、一本鎖抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、2つのエピトープを同時に認識することができる二機能性抗体等を例示できる。これらの抗体は、慣用のプロトコルを用いて該ポリペプチド又はタンパク質又はそれらの断片を抗原として用いて作製することができる。また、アプタマーとは、タンパク質、アミノ酸等の分子に特異的に結合する核酸分子である。
【0037】
上記ポリペプチド又はタンパク質に特異的に結合する抗体を用いて、被検試料中に存在する該ポリペプチド又はタンパク質を検出又は定量する場合、免疫沈降法、電気化学発光法、RIA(Radioimmunoassay)法、ELISA(Enzyme-liked immunosorbent assay)法、蛍光抗体法等の公知の免疫学的方法を用いることができる。
【0038】
上記判定の基準としては、被検試料中に存在するSOBP遺伝子の発現レベル(又は該遺伝子に対応するポリペプチド若しくはタンパク質の発現レベル)が正常対照試料中に存在する、該遺伝子の発現レベル(又は該遺伝子に対応するポリペプチド若しくはタンパク質の発現レベル)よりも高いことを用いる。例えば、t検定を行った場合に、P<0.05、より好ましくはP<0.01、さらに好ましくはP<0.001、さらにより好ましくはP<0.0001である場合が挙げられる。
【0039】
検定方法はt検定に限定されるものではなく、マン・ホイットニ検定やウィルコクサン符号付順位検定でもよい。
【0040】
なお、上記判定基準は検定に限定されるものではなく、例えば各群の平均値の差を用いてもよい。
【0041】
基準値は、被検試料における発現レベルを測定する度に毎回測定する必要はなく、例えば、様々な種の生体試料における正常対照試料中に存在するSOBP遺伝子の発現レベルをあらかじめ測定しておき、その測定値を用いて比較することができる。
【0042】
GISTであるとの診断の判定基準は、例えば、予め把握している対照試料(胃癌などの非GISTや胃の正常組織など)のSOBP遺伝子またはタンパク質の発現レベルから基準の値を設定し、被検試料である乳がん組織のSOBP遺伝子またはタンパク質の発現レベルが前記基準より高い場合にはトリプルネガティブ乳がんと判定するものである。
【0043】
また、前記基準は、予め把握している複数の対照試料(胃癌などの非GISTや胃の正常組織など)の平均値でもよく、中央値でも構わないが、それらに限定されない。
【0044】
さらに、本発明のGISTの遺伝子マーカーを用いたGISTの診断を行う場合、SOBP遺伝子またはタンパク質の発現レベルを指標とするが、該発現レベルに加えて、被検試料の組織学的診断や他の遺伝子の発現レベル、または、その他の臨床情報などから総合的に判定できる。他の遺伝子としては、例えば、c-kit遺伝子やPDGFRα遺伝子などが挙げられる。
【0045】
本発明の遺伝子マーカーを用いてGISTの判定を、前述のようにSOBP遺伝子のmRNAまたは転写産物の検出によって行う場合、その検体は、特に制限されないが、例えば、手術により得られた組織や病理標本であってもよく、生検材料であってもよい。
【0046】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【実施例1】
【0047】
本発明のGISTマーカーとして用いられるSOBP遺伝子は、手術により胃癌患者から摘出した組織における癌部、非癌部(正常部位)、およびGISTと診断された患者から摘出した組織における癌部、非癌部(正常部位)において、DNAマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現プロファイルを取得し、GISTで特異的に発現レベルが上昇していた遺伝子である。なお、ここで、「発現レベル」とは絶対量である必要はなく相対量でよい。
【0048】
(マイクロアレイの作製)
マイクロアレイ用合成DNAを用いてマイクロアレイを作製する。マイクロアレイの作製方法・条件に限定はないが、例えば非特許文献8(Schena, M. et. al., Science, 270, 467-470(1995))に記載の作製方法を用いることができる。
【0049】
ヒト遺伝子断片ライブラリー(マイクロダイアグノスティック社製)を超微量分注装置(マイクロダイアグノスティク社製)によりスライドガラス(松波硝子工業社製、HAコートスライドガラス)にプリントしてマイクロアレイを作製した。該マイクロアレイを気相恒温器内にて80℃で1時間静置し、更にUVクロスリンカー(Hoefer社製、UVC500)を用いて120mJの紫外線を照射した。
【0050】
(マイクロアレイの後処理)
マイクロアレイの後処理は、公開特許公報(特開2004-233105)記載の方法により行った。
【0051】
(核酸検体の調製)
検体用核酸の調製は、手術組織からISOGEN試薬(ニッポンジーン社製)を用いて同社推奨のプロトコルに従い全RNAを抽出した。さらに、Poly(A)Pureキット(Ambion社製)を用い、同社推奨のプロトコルに従ってmRNAを精製した。
【0052】
(標識cDNAの合成)
該mRNA 2.0μgを核酸標識・ハイブリダイゼーション試薬(マイクロダイアグノスティック社製)、逆転写酵素
SuperScript II(登録商標:ライフテクノロジーズ)(インビトロジェン社製)、Cyanine5-deoxyuridinetriphosphate(Cyanine 5-dUTP)(Perkin Elmer社製)を用い、標識cDNAを作製した。一方、対照としてヒト共通レファレンス(マイクロダイアグノスティック社製)を使用した。ヒト共通レファレンスに対しては核酸標識・ハイブリダイゼーション試薬(マイクロダイアグノスティック社製)、逆転写酵素 SuperScript II(インビトロジェン社製)、Cyanine3-deoxyuridinetriphosphate(Cyanine 3-dUTP)(Perkin Elmer社製)を用い、標識cDNAを作製した。作製方法は各社推奨のプロトコルに従った。なお、ヒト共通レファレンスは22種類の細胞株(A431細胞、A549細胞、AKI細胞、HBL-100細胞、HeLa細胞、HepG2細胞、HL60細胞、IMR-32細胞、Jurkat細胞、K562細胞、KP4細胞、MKN7細胞、NK-92細胞、Raji細胞、RD細胞、Saos-2細胞、SK-N-MC細胞、SW-13細胞、T24細胞、U251細胞、U937細胞、Y79細胞)からそれぞれ調製したmRNAを等量ずつ混合したものである。
【0053】
(標識プローブの作製)
これらの標識cDNA、すなわち、Cyanine5-dUTPで標識した検体およびCyanine3-dUTPで標識したヒト共通レファレンスを同一試験管内で混合した後、Micropure EZ(ミリポア社製)およびMicrocon YM30(登録商標:ミリポア)(ミリポア社製)により精製した。精製方法は同社推奨のプロトコルに従って行った。最終的には核酸標識・ハイブリダイゼーション試薬(マイクロダイアグノスティック社製)に付属のハイブリダイゼーションバッファーおよび純水を用いて15μlに調製した。
【0054】
(ハイブリダイゼーション)
該溶液を99℃で5分間加熱して熱変性させた後に、マイクロアレイ上に滴下し、ハイブリダイゼーションカセット(マイクロダイアグノスティック社製)に格納した。該ハイブリダイゼーションカセットを気相恒温器(三洋電機バイオメディカ社製)に入れ、42℃で20時間静置した状態で保温した。
【0055】
(洗浄)
ハイブリダイゼーションカセットからスライドガラスを取り出し、核酸標識・ハイブリダイゼーション試薬(マイクロダイアグノスティック社製)付属のハイブリダイゼーション洗浄溶液を用い、同社推奨のプロトコルに従ってスライドガラスを洗浄した。
【0056】
(蛍光強度の検出および数値化)
洗浄したスライドガラスをスキャナGenePix4000B(Axon Instrument社製)を用いて蛍光を測定し、スキャナに付属の解析ソフトウエアGenePixPro(Axon Instrument社製)を用いて光学的に評価し、蛍光強度をヒト共通レファレンスとの相対比(log2比)で表した。
【0057】
(SOBP遺伝子の発現レベル)
胃癌症例25検体、GIST症例10検体、胃癌またはGISTの症例から取得した非癌部(正常部位)20検体にからmRNAを調製し、DNAマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現プロファイルを取得した。その結果、SOBP遺伝子は非癌部(正常部位)と比較してGISTで有意に発現レベルが上昇していた(P<0.0006)(図1)。さらに、胃癌(腫瘍)と比較してGISTで有意に発現レベルが上昇していた(P<0.0005)(図1)。なお、本実施例で使用した検体の臨床情報およびそれぞれの検体における共通レファレンスに対する発現レベル比を下記表1に示す。なお、表1中、「発現レベル比」は被検サンプル(検体)におけるSOBP遺伝子の発現レベルをヒト共通レファレンスにおける発現レベルで除し、底を2とする対数比に変換した値である。なお、「0」は検出限界以下を表している。
【0058】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の新規のGISTマーカーであるSOBP遺伝子は、正常組織や胃癌では発現レベルが低く、胃癌などとの区別が難しく確定診断が困難であるGISTにおいて顕著に発現レベルが上昇しているため、このGISTマーカーを用いることにより客観的な分子学的基準に基づいてGISTの確定診断を行うことが可能である。特に、術前の病理細胞診のような少量の組織でも確定診断を行うことができる。さらに、術後のフォローアップとしてのマーカーとしても使用でき、術後の治療方針の決定に際して客観的な判断材料になり得る。また、血清中のSOBPタンパク質量を測定することも可能であると考えられるため、GISTと診断された患者の術後の腫瘍マーカーとしても使用できる可能性がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列表の配列番号1により特定されるSOBP遺伝子の塩基配列を有することを特徴とするGIST検出用遺伝子マーカー。
【請求項2】
請求項1記載のGIST検出用遺伝子マーカーの塩基配列の全部または一部を有するDNAまたはcDNAを少なくとも1つ以上固定化させたことを特徴とするGISTマーカー遺伝子発現検出用DNAマイクロアレイまたはDNAチップ。
【請求項3】
配列表の配列番号1により特定されるSOBP遺伝子の塩基配列を有するGIST検出用遺伝子マーカーのSOBP遺伝子の発現を検出するために使用されるオリゴヌクレオチドであって、
前記SOBP遺伝子の塩基配列またはその相補塩基配列の一部からなり、前記SOBPのmRNAまたはそのcDNAと部位特異的塩基対を形成することを特徴とするオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
請求項3記載のオリゴヌクレオチドを少なくとも1つ以上固定化させたことを特徴とするGISTマーカー遺伝子発現検出用DNAマイクロアレイまたはDNAチップ。
【請求項5】
配列表の配列番号1により特定されるSOBP遺伝子の塩基配列を有するGIST検出用遺伝子マーカーを検出するために使用されるプライマーであって、
前記SOBP遺伝子のmRNAまたはそのcDNAと部位特異的塩基対を形成し、配列表の配列番号1に示される塩基配列の全部または一部を有するDNAをPCR法により増幅するための少なくとも2種類のプライマーからなることを特徴とするGISTマーカー遺伝子検出用プライマーセット。
【請求項6】
配列表の配列番号2により特定されるSOBPタンパク質のアミノ酸配列の全部またはその一部からなることを特徴とするGIST検出用ポリペプチドマーカー。
【請求項7】
請求項6記載のGIST検出用ポリペプチドマーカーのアミノ酸配列を有するポリペプチドを哺乳動物に投与することにより誘導し、前記ポリペプチドに特異的に結合する抗体を使用することによりSOBPタンパク質を検出することを特徴とするGIST診断方法。
【請求項8】
前記抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であることを特徴とする請求項7記載のGIST診断方法。
【請求項9】
SOBP遺伝子を組み込んだ哺乳動物細胞用発現ベクターを哺乳動物に投与することにより誘導し、配列表の配列番号2に示されるSOBPタンパク質のアミノ酸配列の全部又は一部からなるポリペプチドに特異的に結合する抗体を使用することによりSOBPタンパク質を検出することを特徴とするGIST診断方法。
【請求項10】
前記抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であることを特徴とする請求項9記載のGIST診断方法。
【請求項11】
配列表の配列番号1により特定されるSOBP遺伝子の発現レベルを指標とすることを特徴とするGIST診断方法。
【請求項12】
配列表の配列番号1により特定されるSOBP遺伝子の塩基配列を有するGIST検出用遺伝子マーカーのSOBP遺伝子の発現を検出するために使用されるオリゴヌクレオチドであって、前記SOBP遺伝子の塩基配列またはその相補塩基配列の一部からなり、前記SOBPのmRNAまたはそのcDNAと部位特異的塩基対を形成するオリゴヌクレオチドを用いて前記発現レベルの指標を得ることを特徴とする請求項11記載のGIST診断方法。
【請求項13】
胃癌などの非GISTとGISTとを判別するためのGIST診断方法であって、
GIST診断を目的とした患者由来の検出組織からなる検体試料を採取する工程と、
正常組織からなる参照試料を採取する工程と、
前記検体試料及び前記参照試料における配列表の配列番号1により特定されるSOBP遺伝子またはSOBPタンパク質の発現レベルまたは発現量を測定比較する診断工程と、
を含むことを特徴とするGIST診断方法。
【請求項14】
前記診断工程は、あらかじめ把握されている正常組織または非GIST組織における前記SOBP遺伝子または前記SOBPタンパク質の発現レベルまたは発現量を基準とし、前記基準よりも高い場合にGISTであると判定することを特徴とする請求項13記載のGIST診断方法。
【請求項15】
前記SOBP遺伝子の発現レベルまたは発現量は、RT-PCR法、リアルタイムPCR法、ハイブリダイゼーション法のうちの一つにより得ることを特徴とする請求項11乃至14のうちの1つに記載のGIST診断方法。
【請求項16】
前記ハイブリダイゼーション法がマイクロアレイ法又はブロット法であることを特徴とする請求項15記載のGIST診断方法。
【請求項17】
前記マイクロアレイ法又はブロット法に用いられるプローブがヌクレオチド又はタンパク質であることを特徴とする請求項15記載のGIST診断方法。
【請求項18】
前記ヌクレオチドがmRNA、cDNA、または合成オリゴヌクレオチドであることを特徴とする請求項17記載のGIST診断方法。
【請求項19】
配列表の配列番号2に示されるSOBPタンパク質の発現レベルを指標とするGIST診断方法。
【請求項20】
蛍光抗体法により前記検体試料におけるSOBPタンパク質を標識化し、これを検出することを特徴とする請求項19記載のGIST診断方法。
【請求項21】
配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列の全部または一部を含むポリペプチドに特異的に結合する抗体を含むことを特徴とするGISTを治療するための医薬組成物。
【請求項22】
配列表の配列番号1に示される塩基配列の全部または一部を含むポリヌクレオチドおよび/またはその誘導体を含むことを特徴とするGISTを治療するための医薬組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2012−88220(P2012−88220A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236256(P2010−236256)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「基礎研究から臨床研究への橋渡し促進技術開発/遺伝子発現解析技術を活用した個別がん医療の実現と抗がん剤開発の加速」にかかる業務委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(510261153)
【Fターム(参考)】