説明

GLP−1アゴニスト、組成物、方法および使用

本発明は、少なくとも1つの新規ヒトGLP−1ミメティボディ、または特定部分またはバリアントに関し、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディまたは特定部分またはバリアントをコードする単離された核酸、GLP−1ミメティボディまたは特定部分またはバリアント、ベクター、宿主細胞、トランスジェニック動物もしくは植物、ならびに肥満関連障害を処置するための治療用組成物、方法およびデバイスを含むそれらの作成および使用法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、引用により全部、本明細書に編入する2005年12月22日に出願された特許文献1の優先権を主張する。
発明の分野
本発明は、哺乳動物のGLP−1ミメティボディ、生物学的に活性なタンパク質に特異的な特定部分およびバリアント、フラグメントまたはリガンド、GLP−1ミメティボディをコードする核酸および相補的核酸、宿主細胞、ならびに肥満関連障害を処置するための治療用製剤、投与およびデバイスを含むそれらの作成法および使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術
組換えタンパク質は新興している治療薬の種類である。そのような組換え治療薬は、タンパク質製剤および化学的修飾に進歩を生んだ。そのような修飾は、血清半減期を上昇させ(例えばタンパク質分解酵素に対してそれらの暴露を遮断することにより)、生物学的活性を強化し、または望ましくない副作用を減少させることによるように、治療用タンパク質の治療的用途を潜在的に強化することができる。1つのそのような修飾は、エンテラセプト(enteracept)のようなレセプタータンパク質に融合した免疫グロブリンフラグメントの使用である。また治療用タンパク質は、より長い半減期を提供するために、あるいはFc受容体結合、プロテインA結合および補体固定化のような機能を包含するために、抗体のFcドメインを使用して構築されてきた。
【0003】
肥満は、身体のサイズに比して過剰な脂肪量が現れる慢性疾患である。およそ1/3の米国人がボディマス指数に基づき太り過ぎであり(BMI>25kg/m)、そして肥満は流行病の規模に達しつつあると認識されている。肥満が健康を脅かす重要性は、肥満が2型糖尿病、心血管疾患、骨関節症および睡眠時無呼吸のような他の疾患の元となる原因またはリスクファクターであるという事実により強調される。体重がわずかでも減少すれば(初期の体重の5〜10%)、肥満関連疾患を発症するリスクファクターはかなり減少し、そして肥満、アテローム異常脂質血症、血圧上昇およびインスリン耐性を特徴とするメタボリックシンドローム状態を改善することができる。
【0004】
肥満を処置する必要性は広く認識され、そして成功裏の治療を開発するためにすべての大手製薬会社で研究がなされている。肥満は:1)ライフサイクルの変化、2)体重の低下にゆるやかな効果を有し、そして重要な副作用を伴う現在市場に出されている3つの薬剤(フェントラミン(Phentramine)、オルリセタ(Orlisata)およびシブトラミン(Sibutramine))、および3)手術により現在は処置されている。
【0005】
グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)は、栄養物の摂取に応答して腸の内分泌細胞から分泌される30個のアミノ酸ホルモンである。GLP−1は循環を移動し、そして膵臓上のGLP−1受容体に結合し、インスリン分泌に上昇をもたらす。さらにGLP−1は循環に放出されるグルコースの量を減少する胃排出能を下げる。これらの作用は血中グルコースレベルを下げることと組合わさる。このようにGLP−1の生物活性のメカニズムは、2型糖尿病の処置に魅力的な治療薬となり得ることが示唆される。またGLP−1は肥満の処置にも有望である。幾つかの研究では、末梢または脳室内(ICV)のいずれかに投与されたGLP−1が動物モデルにおいて食物摂取を下げることが示された。肥満した糖尿病患者を対象として5日間、連続してGLP−1を送達するヒトでの実験では、
食物摂取の減少および体重に減少を生じた。しかしGLP−1はその極端に短い半減期(T1/2〜1−2分)により治療薬として開発されていない。これはジペプチジルプロテアーゼ(DPP−IV)により急速に分解され、これがペプチドの長さをN−末端で2アミノ酸の長さまで下げ、そしてそれを不活性化する。
【0006】
現在開発中、または市場に出されている幾つかのGLP−1類似体がある。Byetta(商標)はアミリン(Amylin)およびイーライリリー(Eli Lilly)により開発され、最近市場に出されたGLP−1類似体である。これはメキシコドクトカゲの唾液から初めて同定され、そしてGLP−1と53%同一である。Byetta(商標)はDPP−IVに耐性であるが、それでもその短いインビボ半減期(30分未満)により、1日2回の食事前投与が必要である。Byatta(商標)が2型糖尿病の治療として評価された臨床試験中、HbA1cレベルは処置後82週間、約1%下がった。興味深いことに、Byatta(商標)を摂取した患者は試験の過程で体重に持続的な減少があり(5〜10ポンド)、GLP−1類似体が肥満の処置に可能性を有することを支持する。リラグルチド(liraglutide)はノボノルディスク(Novo Nordisk)により開発された脂質化GLP−1類似体であり、そして現在、臨床試験中である。この分子の薬物動態学に基づき、リラグルチドは1日に1回投与されることが想定される。1週間または1カ月に1回投与できるように、増大した半減期を持つGLP−1療法は開発中の他のGLP−1ペプチドに優る重要な利点を有する。
【0007】
したがって1もしくは複数のこれらおよび当該技術分野で知られている他の問題を克服するGLP−1治療用タンパク質の改善され、かつ/または修飾された変更体を提供する必要性が存在する。ミメティボディ技術は、ペプチド治療薬に新規な送達プラットフォームを提供する。GLP−1ミメティボディは徐放性の様式でGLP−1を送達する手段を提供することができ、現在開発中のGLP−1ペプチドに対する改善を提供する。さらにその二量体構造およびその組織分布特性に基づき、GLP−1ミメティボディはインスリン分泌、β−細胞保護および食物摂取に関して区別可能な特徴を有することができた。
【参考文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/752,826号明細書
【発明の開示】
【0009】
発明の要約
本発明は、当該技術分野で知られている事柄と組み合わせて、本明細書に記載し、かつ/または本明細書で可能となるような、修飾された免疫グロブリン、その分解産物および他の特定部分およびそのバリアントを含むヒトのGLP−1ミメティボディ、ならびにミメティボディ組成物、コードまたは相補的核酸、ベクター、宿主細胞、組成物、製剤、デバイス、トランスジェニック動物、トランスジェニック植物、およびそれらの作成法および使用法を提供する。
【0010】
ミメティボディ(商標)技術は、ペプチド治療薬に新たな送達プラットフォーム提供する。GLP−1ミメティボディ(商標)は、GLP−1ペプチドを徐放性様式で送達する手段を提供し、現在開発中のGLP−1ペプチドに優る改善を提供する。Byetta(商標)は、たとえ分子の半減期が比較的短くても持続的な体重の減少を表す。徐放性の薬物動態学プロファイルを持つGLP−1類似体は、食物摂取および体重を大幅に減少させる可能性を有する。さらにGLP−1ミメティボディ(商標)は、開発中または市場に出ている他のGLP−1類似体とは極めて異なる。これはペプチドというよりもむしろ大きなタンパク質であり、そして分子あたり2つのペプチドを有する。そのサイズおよび二量体構造に基づき、GLP−1ミメティボディ(商標)は、他の分子に対して区別することができる特徴を有する。例えば二量体分子によるGLP−1受容体の活性化は、単量体分子とは異なり、シグナリング経路における差異を生じることが可能である。加えて、分子サイズにより大変異なる組織分布プロファイルを生じることが可能であり、これは異なる薬物動態学的特性をもたらすことができる。
【0011】
GLP−1ペプチドを包含しているミメティボディ(商標)構築物は、肥満している個体の体重を減少する新規治療を提供する。治療効力と相関することが知られている動物モデルでは、CNTO736、GLP−1ミメティボディ(商標)が食物摂取および脂肪量の減少により体重を減少させる。
【0012】
また本発明は、本明細書に記載し、かつ/または当該技術分野で知られているような少なくとも1つの単離されたGLP−1ミメティボディまたは特定部分またはバリアントも提供する。GLP−1ミメティボディは任意選択により、少なくとも1つのGLP−1治療用ペプチド(P)に直接連結した任意選択のリンカー配列(L)に直接連結した少なくとも1つの部分的可変領域(V)に直接連結した少なくとも1つのヒンジ領域またはそのフラグメント(H)の少なくとも一部に直接連結した少なくとも1つのCH2領域に直接連結した少なくとも1つのCH3領域を含んでなることができる。
【0013】
好適な態様である1対のCH3−CH2−ヒンジ−部分V領域配列−リンカー−治療用ペプチド配列では、この対は場合により例えば限定するわけではないが少なくとも1つのCys−Cysジスルフィド結合または少なくとも1つのCH4または他の免疫グロブリン配列のような会合もしくは共有結合により連結されている。1つの態様では、GLP−1ミメティボディは式(I):
a.(P(n)−L(o)−V(p)−H(q)−CH2(r)−CH3(s))(t)
[式中、Pは生物活性GLP−1ペプチド、バリアントまたは誘導体の少なくとも1つであり、Lは少なくとも1つのリンカー配列であり、これはミメティボディに選択的な配向および結合特性(alternative orientations and binding properties)を持つことを可能にすることにより構造的柔軟性を提供するポリペプチドであることができ、Vは免疫グロブリン可変領域のC−末端の少なくとも一部分であり、Hは免疫グロブリン可変ヒンジ領域の少なくとも一部分であり、CH2は免疫グロブリンCH2定常領域の少なくとも部分であり、CH3は免疫グロブリンCH3定常領域の少なくとも部分であり、nは1〜10の整数であり、そしてo、p、q、r、sおよびtは独立して0〜10の整数であることができる]を含んでなり、免疫グロブリン分子の種々の型、例えば限定するわけではないがIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM、IgD、IgE等またはその任意のサブクラス等、またはそれらの組み合わせを模する。
【0014】
抗体配列の可変領域は、限定するわけではないが表1に記載するような少なくとも1つの配列番号47〜55の少なくとも一部分、またはそのフラグメントであることができ、さらに2004年6月24日に出願され、そして2005年1月20日に公開された国際公開WO05/05604号明細書(PCTUS04/19898)の図1−9に記載されているように、配列番号1−9に対応して場合により置換、挿入または欠失の少なくとも1つを含んでなることができる。CH2、CH3およびヒンジ領域は、限定するわけではないが表1に記載するような少なくとも1つの配列番号56〜64の少なくとも一部分、またはそのフラグメントであることができ、さらに2004年6月24日に出願され、そして2005年1月20日に公開された国際公開WO05/05604号明細書(PCTUS04/19898)の図1−9に記載されているように、配列番号32−40に対応して場合により置換、挿入または欠失の少なくとも1つを含んでなることができる。
【0015】
すなわち本発明のGLP−1ミメティボディは、その本来の特性および機能を持つ抗体
または免疫グロブリン構造または機能の少なくとも部分を模すると同時に、GLP−1治療用ペプチドおよびその本来の、または獲得したin vitro、in vivoまたはin situ特性または活性を提供する。抗体の種々の部分および本発明のGLP−1ミメティボディの治療用ペプチド部分は、当該技術分野で知られている事柄と組み合わせて本明細書に記載するように変動させることができる。
【0016】
また本発明は、本明細書に記載し、または当該技術分野で知られているような限定するわけではないが少なくとも1つの生物活性GLP−1ペプチドまたは式(I)のP部分に対応するポリペプチドの既知の生物学的活性のような、少なくとも1つの活性を有する少なくとも1つの単離されたGLP−1ミメティボディまたは特定部分またはバリアントを提供する。
【0017】
1つの観点では、本発明は配列番号1の、または場合により本明細書に記載するような、または当該技術分野で知られているような任意の1もしくは複数の置換、欠失または挿入を含む配列番号1の少なくとも1つのポリペプチド配列を含んでなる単離されたヒトのGLP−1ミメティボディの少なくとも1つを提供する。別の観点では本発明のGLP−1ミメティボディまたは特定部分またはバリアントの少なくとも1つは、式(I)のミメティボディのP部分に対応する少なくとも1つのGLP−1ペプチドまたはポリペプチドの、少なくとも1つのリガンドの1〜3個から全アミノ酸配列を含んでなる少なくとも1つのエピトープ、例えば限定するわけではないがGLP−1受容体、そのフラグメントへの結合を模し、ここでリガンドは配列番号1の少なくとも部分、または場合により本明細書に記載するか、または当該技術分野で知られているような1もしくは複数の置換、欠失もしくは挿入を含む配列番号1の少なくとも部分に結合する。少なくとも1つのGLP−1ミメティボディは、場合により少なくとも10−9M、少なくとも10−10M、少なくとも10−11Mまたは少なくとも10−12Mの親和性でGLP−1受容体と結合することができる。このようにGLP−1ミメティボディは、限定するわけではないが受容体またはそのフラグメントに対する結合活性のような既知の方法に従い対応する活性についてスクリーニングすることができる。
【0018】
本発明はさらに、本発明の少なくとも1つのGLP−1ミメティボディに対する少なくとも1つの抗−イディオタイプ抗体を提供する。抗−イディオタイプ抗体またはフラグメントは、本発明の少なくとも1つのGLP−1ミメティボディに特異的に結合する。抗イディオタイプ抗体には、限定するわけではないが、本発明の少なくとも1つのGLP−1ミメティボディのGLP−1リガンド結合領域に競合的に結合する重鎖もしくは軽鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)またはそれらのリガンド結合部分、重鎖もしくは軽鎖可変領域、重鎖もしくは軽鎖定常領域、骨格領域、またはそれらの任意の部分のような免疫グロブリン分子の少なくとも一部分を含んでなる分子を含有する任意のタンパク質またはペプチドを含む。本発明のそのようなイディオタイプ抗体は、限定するわけではないがヒト、マウス、ウサギ、ラット、齧歯類、霊長類等のような任意の哺乳動物を含むか、またはそれらに由来することができる。
【0019】
本発明は1つの観点において、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディまたはGLP−1ミメティボディ抗−イディオタイプ抗体、あるいは少なくとも1つの特定した配列、それらのドメイン、部分またはバリアントを含んで成る特定部分またはバリアントをコードするポリヌクレオチドを含んでなる、それと相補的な、有意な同一性を有する、またはハイブリダイズする単離された核酸分子を提供する。本発明はさらに、少なくとも1つの該単離されたGLP−1ミメティボディ、またはGLP−1ミメティボディ抗−イディオタイプ抗体をコードする核酸分子を含んで成る組換えベクター、そのような核酸および/または組換えベクターを含む宿主細胞、ならびにそのようなGLP−1ミメティボディまたはGLP−1ミメティボディ抗−イディオタイプ抗体核酸、ベクターおよび/または宿主細胞の作成法および/または使用法を提供する。
【0020】
また提供するのは、少なくとも1つの単離された哺乳動物のGLP−1ミメティボディまたはGLP−1ミメティボディ抗−イディオタイプ抗体;単離された核酸を含んでなる単離された核酸ベクター、および/または単離された核酸を含んでなる原核もしくは真核宿主細胞である。宿主細胞は、場合によりCOS−1、COS−7、HEK293、BHK21、CHO、BSC−1、HepG2、653、SP2/0、293、HeLa、骨髄腫もしくはリンパ腫細胞、またはそれらの任意の誘導体、不死化または形質転換した細胞から選択される少なくとも1つであることができる。
【0021】
また本発明は、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディまたはGLP−1ミメティボディ抗イディオタイプ抗体、または特定部分またはバリアントを宿主細胞中で発現させる少なくとも1つの方法も提供し、この方法は本明細書に記載し、かつ/または当該技術分野で知られている宿主細胞を、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディまたはGLP−1ミメティボディ抗イディオタイプ抗体、または特定部分またはバリアントが検出可能かつ/または回収可能な量で発現される条件下で培養することを含んで成る。また本発明で提供されるのは、GLP−1ミメティボディまたはGLP−1ミメティボディ抗イディオタイプ抗体が検出可能または回収可能な量で発現されるように、in vitro、in vivoもしくはin situの条件下で、GLP−1ミメティボディまたはGLP−1ミメティボディ抗イディオタイプ抗体をコードする核酸を翻訳することを含んでなる、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディまたはGLP−1ミメティボディ抗イディオタイプ抗体の生産法である。
【0022】
また提供するのは本発明の少なくとも1つの単離されたヒトのGLP−1ミメティボディまたはGLP−1抗−イディオタイプ抗体を生産する方法であり、この方法は回収可能な量でGLP−1ミメティボディまたはGLP−1抗−イディオタイプ抗体を発現することができる宿主細胞またはトランスジェニック動物またはトランスジェニック植物を提供することを含んでなる。
【0023】
さらに本発明で提供するのは、上記方法により生産された少なくとも1つのGLP−1ミメティボディである。
【0024】
また本発明は、(a)本明細書に記載する単離されたGLP−1ミメティボディまたは特定部分またはバリアントをコードする核酸および/またはGLP−1ミメティボディ;および(b)適切な担体もしくは希釈剤を含んで成る少なくとも1つの組成物も提供する。担体もしくは希釈剤は、既知の方法に従い任意の製薬学的に許容され得るものであることができる。組成物は場合により少なくとも1つのさらなる化合物、タンパク質または組成物をさらに含むことができる。
【0025】
また提供するのは、少なくとも1つの単離されたヒトのGLP−1ミメティボディおよび少なくとも1つの製薬学的に許容され得る担体または希釈剤を含んでなる組成物である。組成物は場合により少なくとも1つの検出可能な標識もしくはレポーター、抗感染薬、糖尿病薬もしくはインスリン代謝関連薬、心血管(CV)系薬、中枢神経系(CNS)薬、自律神経系(ANS)薬、気道薬、胃腸管(GI)薬、ホルモン薬、流体もしくは電解質バランスのための薬剤、血液製剤、抗腫瘍性薬、免疫調節薬、目、耳もしくは鼻の薬、局所薬、栄養剤、TNFアンタゴニスト、抗リウマチ薬、筋弛緩剤、麻薬、非−ステロイド系抗炎症薬(NTHE)、鎮痛剤、麻酔薬、鎮静剤、局所麻酔薬、神経筋遮断薬、抗菌薬、止痒薬、コルチコステロイド、同化性ステロイド、エリスロポエチン、免疫感作、免疫グロブリン、免疫抑制剤、成長ホルモン、ホルモン代用薬、放射性薬品、抗鬱薬、抗精神病薬、刺激物質、喘息薬物療法、ベータアゴニスト、吸入ステロイド、エピネフリンもしくは類似体、サイトカインもしくはサイトカインアンタゴニストから選択される有効量の少なくとも1つの化合物またはタンパク質をさらに含んでなることができる。
【0026】
また本発明は、本発明に従い治療的もしくは予防的に有効な量の少なくとも1つのGLP−1ミメティボディまたは特定部分またはバリアントを送達するための少なくとも1つの組成物、デバイスおよび/または方法も提供する。
【0027】
本発明はさらに、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1つのGLP−1関連状態をモジュレートまたは処置するために、かつ/または当該技術分野で知られ、かつ/または本明細書に記載するような関連状態の前、後または最中に、治療に有効量を投与するための少なくとも1つのGLP−1ミメティボディ法または組成物を提供する。
【0028】
さらに本発明は、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1つの代謝、免疫、心血管、感染性、悪性および/または神経疾患の症状をモジュレートするために、処置もしくは減少するために治療に有効な量で投与する時、かつ/または限定するわけではないが、当該技術分野で知られているような関連疾患または処置条件の前、後または最中のような多くの異なる条件下で必要に応じて、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディ、特定部分またはバリアントを方法または組成物を提供する。
【0029】
本発明はさらに、少なくとも1つの糖尿病もしくはインスリン代謝関連障害、骨および関節障害、心血管障害、歯または経口障害、皮膚学的障害、耳、鼻もしくは喉の障害、内分泌もしくは代謝障害、胃腸管障害、婦人科学的障害、肝臓もしくは胆管障害、産科学的障害、血液学的障害、免疫学的もしくはアレルギー障害、感染性疾患、筋肉骨格障害、癌性障害、神経障害、栄養障害、眼科的障害、小児科学的障害、毒性障害、精神障害、腎臓障害、肺障害または任意の他の障害の症状をモジュレートするために、処置もしくは減少するために治療に有効な量で投与する時に(例えばメルクマニュアル(Merck Manual)、第17版、メルクリサーチラボラトリーズ、メルク社(Merck and
Co.)、ホワイトハウス ステーション、ニュージャージー州(1999)を参照にされたい。これは引用により全部、本明細書に編入する)、限定するわけではないが当該技術分野で知られている関連疾患または処置条件の前、後または最中のような多くの異なる条件において必要に応じて、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディ、特定部分またはバリアントを方法または組成物に提供する。
【0030】
また本発明は、GLP−1関連状態を診断するために、本発明に従い少なくとも1つのGLP−1ミメティボディの少なくとも1つの組成物、デバイスおよび/または送達方法も提供する。
【0031】
本発明はさらに、細胞、組織、器官、動物または患者の少なくとも1つのGLP−1関連状態を診断するための、かつ/または当該技術分野で既知であり、かつ/または本明細書に記載するような関連状態の前、後または最中に診断するための少なくとも1つのGLP−1ミメティボディ法または組成物を提供する。
【0032】
また提供するのは、(a)本発明の少なくとも1つの単離されたヒトのGLP−1ミメティボディの有効量を含んで成る組成物を、細胞、組織、器官または動物に接触または投与することを含んで成る、細胞、組織、器官または動物の疾患状態を診断または処置する方法である。この方法は場合によりさらに、0.001〜50mg/(キログラムの細胞、組織、器官または動物)の有効量で、0〜24時間に、1〜7日間に、1〜52週間に、1〜24カ月の間に、1〜30年の間に、またはその範囲で、またはその中の値で使用することを含んでなることができる。この方法は場合によりさらに、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、網内、気管支内、腹内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頸管内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜腔内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊椎内、滑液包内、胸内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣、直腸、頬内、舌下、鼻内または経皮から選択される少なくとも1つの様式による接触または投与を使用することを含んでなることができる。この方法は場合により、(a)少なくとも1つの検出可能な標識もしくはレポーター、抗感染薬、糖尿病薬もしくはインスリン代謝関連薬、心血管(CV)系薬、中枢神経系(CNS)薬、自律神経系(ANS)薬、気道薬、胃腸管(GI)薬、ホルモン薬、流体もしくは電解質バランスのための薬剤、血液製剤、抗腫瘍薬、免疫調節薬、目、耳もしくは鼻の薬、局所薬、栄養剤、TNFアンタゴニスト、抗リウマチ薬、筋弛緩剤、睡眠薬、非−ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、鎮痛薬、麻酔薬、鎮静薬、局所麻酔薬、神経筋遮断剤、抗菌剤、止痒薬、コルチコステロイド、同化性ステロイド、エリスロポエチン、免疫感作、免疫グロブリン、免疫抑制剤、成長ホルモン、ホルモン代用薬、放射性薬品、抗鬱薬、抗精神薬、刺激物、喘息薬物療法、ベータアゴニスト、吸入型ステロイド、エピネフリンもしくは類似体、サイトカインもしくはサインカインアンタゴニストから選択される有効量の少なくとも1つの化合物またはタンパク質を含んで成る少なくとも1つの組成物を接触または投与する前に、それと同時にまたは後に投与することをさらに含んでなることができる。
【0033】
また本発明の少なくとも1つの単離されたヒトのGLP−1ミメティボディを含んで成る医療用デバイスも提供し、ここでこのデバイスは、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、網内、気管支内、腹内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頸管内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜腔内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊椎内、滑液包内、胸内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣、直腸、頬内、舌下、鼻内または経皮から選択される少なくとも1つの様式により、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディを接触または投与するのに適している。
【0034】
また提供するのは、ヒトの製薬学的または診断的使用のための製品であり、これは包装材料および溶液もしくは凍結乾燥形態の本発明の少なくとも1つの単離されたヒトのGLP−1ミメティボディを含んでなる容器を含んでなる。この製品は場合により構成要素として、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、網内、気管支内、腹内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頸管内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜腔内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊椎内、滑液包内、胸内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣、直腸、頬内、舌下、鼻内または経皮送達デバイスまたはシステムの容器を有することを含んでなることができる。
【0035】
本発明は、本明細書に記載する任意の発明をさらに提供する。
【0036】
発明の説明
本発明は、単離された、組換えおよび/または合成のミメティボディまたは特定部分またはバリアント、ならびに少なくとも1つのGLP−1ミメティボディをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含んでなる、組成物およびコード核酸分子を提供する。本発明のそのようなミメティボディまたは特定部分またはバリアントは、特異的なGLP−1ミメティボディ配列、ドメイン、フラグメントおよびその特定バリアント、ならびに治療用組成物、方法およびデバイスを含む該核酸およびミメティボディまたは特定部分またはバリアントの作成法および使用法も提供する。
【0037】
また本発明は本明細書に記載し、かつ/または当該技術分野で既知の単離されたGLP−1ミメティボディまたは特定部分またはバリアントの少なくとも1つも提供する。GLP−1ミメティボディは任意選択により、少なくとも1つのGLP−1療用ペプチド(P)に直接連結した任意選択のリンカー配列(L)に直接連結した少なくとも1つの部分的可変領域(V)に直接連結した少なくとも1つのヒンジ領域またはそのフラグメント(H)に直接連結した少なくとも1つのCH2領域に直接連結した少なくとも1つのCH3領域を含んでなることができる。
【0038】
好適な態様では、GLP−1ミメティボディは式(I):
(I)(P(n)−L(o)−V(p)−H(q)−CH2(r)−CH3(s))(t)
[式中、Pは少なくとも1つの生物活性GLP−1ポリペプチドであり、Lは少なくとも1つのリンカー配列であり、これはミメティボディに選択的な配向および結合特性を持つことを可能にすることにより構造的柔軟性を提供するポリペプチドであることができ、Vは免疫グロブリン可変領域のC−末端の少なくとも一部分であり、Hは免疫グロブリン可変ヒンジ領域の少なくとも一部分であり、CH2は免疫グロブリンCH2定常領域の少なくとも部分であり、CH3は免疫グロブリンCH3定常領域の少なくとも部分であり、m、n、o、p、q、r、sおよびtは独立して0〜10を含むその範囲の整数であることができる]
を含んでなり、免疫グロブリン分子の種々の型、例えば限定するわけではないがIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM、IgD、IgEまたはその任意のサブクラス等、またはそれらの組み合わせを模する。
【0039】
このように本発明のGLP−1ミメティボディは、その本来の特性および機能を持つ抗体構造を模すると同時に、治療用ペプチドおよびその本来の、または獲得したin vitro、in vivoまたはin situ特性または活性を提供する。t=1である好適な態様では、単量体CH3−CH2−ヒンジ−部分J配列−リンカー−治療用ペプチドは、会合または限定するわけではないがCys−Cysジスルフィド結合のような共有結合により他の単量体と連結することができる。抗体の種々の部分および本発明の少なくとも1つのGLP−1ミメティボディのGLP−1治療用ペプチド部分は、当該技術分野で知られている事柄と組み合わせて本明細書に記載するように変動させることができる。
【0040】
CH3−CH2−ヒンジの部分は、サルベージ受容体への結合が維持されるならば徹底的に修飾して本発明に従うバリアントを形成することができる。そのようなバリアントでは、本発明の融合分子により要求されない構造的特徴または機能的活性を提供する1もしくは複数の自然な部位を除去してよい。これらの部位は例えば残基を置換または削除することにより、残基を部位に挿入することにより、または部位を含有する部位を短縮化することにより除去することができる。挿入または置換された残基は、ペプチドミメティックスまたはD−アミノ酸のような改変されたアミノ酸になることもできる。CH3−CH2−ヒンジのバリアントは、(1)ジスルフィド結合の形成、(2)選択した宿主細胞との不適合性、(3)選択した宿主細胞中の発現での異種性、(4)グリコシル化、(5)補体との相互作用、(6)サルベージ受容体以外のFc受容体への結合、あるいは(7)抗体依存的細胞傷害性(ADCC)に影響を及ぼすか、または関与する1もしくは複数の天然の部位または残基を欠いてもよい。CH3−CH2−ヒンジバリアントの例には以下の分子または配列を含む。1.ジスルフィド結合の形成に関与する部位が除去されている。そのような除去は、本発明の分子を生産するために使用する宿主細胞に存在する他のシステイン含有タンパク質との反応を回避することができる。この目的に、システイン残基は削除するか、または他のアミノ酸(例えばアラニル、セリル)と置換することができる。システイン残基が除去された場合でも、やはり単鎖CH3−CH2−ヒンジドメインは、非共有的に一緒に保持されている二量体のCH3−CH2−ヒンジドメインを形成することができる。2.CH3−CH2−ヒンジ領域は、選択した宿主細胞とさらに適合性とするように修飾される。例えば分子が大腸菌(E.coli)のような細菌細胞で組換え的に発現される場合、プロリンイミノペプチダーゼのような大腸菌(E.coli)中の消化酵素により認識され得るヒンジ中のPA配列を除去することができる。3.ヒンジ領域の部分は、選択した宿主細胞で発現される場合、異種性を防止するために除去されるか、または他のアミノ酸と置換される。4.1もしくは複数のグリコシル化部位が除去される
。典型的にグリコシル化される残基(例えばアスパラギン)は、細胞分解(cytolytic)応答を付与することができる。そのような残基は削除するか、または非グリコシル化残基(例えばアラニン)と置換することができる。5.C1q結合部位のような補体との相互作用に関与する部位は除去される。補体集合は本発明の分子に有利とはなり得えないので、そのようなバリアントは回避され得る。6.サルベージ受容体以外のFc受容体への結合に影響を及ぼす部位は除去される。CH3−CH2−ヒンジ領域は、本発明の融合分子に必要ではない特定の白血球との相互作用に関する部位を有する可能性があるので除去することができる。7.ADCC部位は除去される。ADCC部位は当該技術分野では例えばMolec.Immunol.29(5)633−9(1992)で、IgG1中のADCC部位に関して知られている。これらの部位も本発明の融合部位には必要ではないので除去することができる。
【0041】
リンカーポリペプチドは、ミメティボディに選択的な配向および結合特性を持つことを可能にすることにより、構造的柔軟性を提供する。存在する場合、その化学的構造は重要ではない。リンカーは好ましくは、ペプチド結合により一緒に連結されたアミノ酸から作られる。すなわち好適な態様では、リンカーはペプチド結合により連結された1〜20個のアミノ酸で作られ、ここでアミノ酸は20個の自然に存在するアミノ酸から選択される。これらのアミノ酸の幾つかは当業者に十分に理解されているようにグリコシル化され得る。さらに好適な態様では、1〜20個のアミノ酸が、グリシン、アラニン、セリン、プロリン、アスパラギン、グルタミンおよびリシンから選択される。さらにより好ましくは、リンカーはグリシンおよびアラニンのような空間的に制約されていないほとんどのアミノ酸から作られる。すなわち好適なリンカーはポリ(Gly−Ser)、ポリグリシン(特に(Gly),(Gly))、ポリ(Gly−Ala)、およびポリアラニンである。他の具体的なリンカーの例は:(Gly)Lys(Gly)(配列番号:65)、(Gly)AsnGlySer(Gly)(配列番号:66)、(Gly)Cys(Gly)(配列番号:67)、およびGlyProAsnGlyGly(配列番号:68)である。
【0042】
上記の命名について説明するために、例えば(Gly)Lys(Gly)はGly−Gly−Gly−Lys−Gly−Gly−Gly−Glyを意味する。GlyおよびAlaの組み合わせも好適である。示したリンカーは例であり、本発明の範囲に入るリンカーはさらに長くてよく、そして他の残基を含んでもよい。
【0043】
非ペプチド−リンカーも可能である。例えば−NH−(CH)s−C(O)−のようなアルキルリンカー(ここでs=2〜20)を使用することができる。これらのアルキルリンカーはさらに、低級アルキル(例えばC−C)、低級アシル、ハロゲン(例えば
Cl,Br)、CN、NH2、フェニル等のような空間的に制約の無い基で置換してもよい。非−ペプチドリンカーの例は100〜5000kD、好ましくは100〜500kDの分子量を有するPEGリンカーである。ペプチドリンカーは上記と同じ様式で誘導体を形成するように改変することができる。
【0044】
本明細書で使用する“GLP−1ペプチド”または“GLP−1ペプチド、バリアントまたは誘導体”は、GLP−1ペプチド、GLP−1フラグメント、GLP−1相同体、GLP−1類似体、またはGLP−1誘導体の少なくとも1つであることができる。GLP−1ペプチドは天然のGLP−1(7−37)と十分な相同性を有する約2 5〜約45個の自然に存在する、または自然には存在しないアミノ酸を有するので、それらは膵臓のβ−細胞上のGLP−1受容体に結合することによりインスリン分泌刺激活性を現す。GLP−1(7−37)は配列番号15:His−Ala−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Val−Ser−Ser−Tyr−Leu−Glu−Gly−Gln−Ala−Ala−Lys−Glu−Phe−Ile−Ala−Trp−Leu−Val−Lys−Gly−Arg−Glyのアミノ酸配列を有する。
【0045】
GLP−1フラグメントは、GLP−1(7−37)もしくはその類似体もしくは誘導体のN−末端および/またはC−末端に由来する1もしくは複数のアミノ酸を短縮した後に得られるポリペプチドである。GLP−1相同体は、1もしくは複数のアミノ酸がGLP−1(7−37)のN−末端および/またはC−末端に加えられたペプチド、もしくはそのフラグメントもしくは類似体である。GLP−1類似体は、GLP−1(7−37)の1もしくは複数のアミノ酸が修飾かつ/または置換されたペプチドである。GLP−1類似体はGLP−1(7−37)またはGLP−1(7−37)のフラグメントと十分な相同性を有するので、類似体はインスリン分泌刺激活性を有する。GLP−1誘導体は、GLP−1ペプチド、GLP−1相同体またはGLP−1類似体のアミノ酸配列を有する分子と定義されるが、さらにそのアミノ酸側基、α−炭素原子、末端アミノ基または末端カルボン酸基に1もしくは複数の化学修飾を有する。
【0046】
多数の活性GLP−1フラグメント、類似体および誘導体が当該技術分野で知られ、そしてこれらの類似体および誘導体のいずれも本発明のGLP−1ミメティボディの一部となることができる。当該技術分野で既知の幾つかのGLP−1類似体およびGLP−1フラグメントは米国特許第5,118,666号、5,977,071号および5,545,618号明細書、およびAdelhorst,et al.,J.Biol.Chem.269:6275(1994)に開示されている。例には限定するわけではないがGLP−1(7−34),GLP−1(7−35),GLP−1(7−36),Gln9−GLP−1(7−37),D−Gln9−GLP−1(7−37),Thr16−Lys18−GLP−1(7−37)およびLys18−GLP−1(7−37)がある。
【0047】
「GLP−1ミメティボディ」、「GLP−1ミメティボディ部分」または「GLP−1ミメティボディフラグメント」および/または「GLP−1ミメティボディバリアント」等は、限定するわけではないが、少なくとも1つの配列番号1のような、少なくとも1つのGLP−1ペプチド、バリアントもしくは誘導体のリガンド結合、in vitro、in situおよび/または好ましくはin vivoでの活性のような、少なくとも1つの生物学的活性を模するか、有するか、または刺激する。例えば適当なGLP−1ミメティボディ、特定部分もしくはバリアントは、少なくとも1つのGLP−1受容体シグナリングまたは他の測定可能もしくは検出可能な活性をモジュレート、増加、修飾、活性化することもできる。
【0048】
本発明の方法および組成物に有用なGLP−1ミメティボディは、タンパク質リガンド、例えばGLP−1受容体に対する適切な結合親和性を特徴とし、そして場合により、そして好ましくは低い毒性を有する。特にGLP−1ミメティボディは、可変領域、定常領域(CH1部分を含まない)および骨格の部分、またはそれらの任意の部分(例えば可変重または軽鎖のJ、DまたはV領域の部分;少なくとも1つのヒンジ領域、定常重鎖または軽鎖等の少なくとも部分)のような個々の成分が個別に、かつ/または集合的に任意に、そして好ましくは低い免疫原性を有する場合に本発明に有用である。本発明に使用することができるミメティボディは場合により良好から優れた症状の緩和および低毒性で長期間、患者を処置するそれらの能力により特徴付けられる。低い免疫原性および/または高い親和性、ならびに他の不確定な特性は、達成される治療的結果に貢献し得る。本明細書では「低い免疫原性」を、処置した患者の約75%未満、または好ましくは約50、45、40、35、30、35、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2および/または1%未満に有意なHAMA、HACAまたはHAHA応答を生じ、かつ/または処置した患者に低い力価を生じる(二重抗原酵素イムノアッセイで測定した時、約300未満、好ましくは約100未満)と定める(例えばElliott et al.,Lancet 344:1125−1127(1994)を参照にされたい)。
【0049】
用途
本発明の単離された核酸は、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディ、そのフラグメントもしくは特定バリアントの生産に使用することができ、これは限定するわけではないが少なくとも1つの肥満関連障害、過剰な体脂肪に関連する太り過ぎ状態、インスリン代謝関連障害、免疫障害もしくは疾患、心血管障害もしくは疾患、感染、悪性および/または神経障害もしくは疾患、ならびに他の既知の、または特定されたタンパク質関連状態から選択される少なくとも1つの肥満関連状態の症状をモジュレートし、処置し、緩和し、発生の防止を助け、または低減するために、細胞、組織、器官または動物(哺乳動物およびヒトを含む)で行うために使用できる。
【0050】
そのような方法は少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントを含んでなる有効量の組成物または製薬学的組成物を、症状、効果もしくはメカニズムにおいてそのようなモジュレーション、処置、緩和、防止または低減が必要な細胞、組織、器官、動物または患者に投与することを含んでなることができる。有効量は単回または多回投与あたり約0.0001〜500mg/kgの量、または単回または多回投与あたり約0.01〜5000μg/mlの血清濃度を達成する量、または本明細書に記載する、または関連する技術分野で知られている既知の方法を使用してなされ、そして決定された任意の有効範囲またはその中の値の量を含んでなることができる。
【0051】
引用
本明細書に引用するすべての刊行物または特許は全部、それらが本発明のこの時点の技術の状況を示し、かつ/または本発明の説明および可能性を提供するので参考により本明細書に編入する。刊行物とは任意の科学的もしくは特許刊行物、またはすべての記録された、電子的または印刷形式を含む任意の媒体形式で入手できる任意の他の情報を称する。以下の参考文献は引用により全部、本明細書に編入する:Ausubel,et al.編集、分子生物学の現在のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)、ジョン ウィリー&サンズ社(John Wiley & Sons,Inc.)、ニューヨーク、ニューヨーク州(1987−2003):Sambrook,et al.、モレキュラークローニング:ア ラボラトリーマニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)、第2版、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク州(1989);Harlow and Lane、抗体(Antibodies)、ア ラボラトリーマニュアル、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク州(1989);Colligan,et al.編集、免疫学の現在のプロトコール(Current Protocols in Immunology)、ジョン ウィリー&サンズ社、ニューヨーク州(1994−2003);Colligan,et al.,タンパク質科学の現在のプロトコール(Current Protocols in Protein Science)、ジョン ウィリー&サンズ社、ニューヨーク、ニューヨーク州、(1997−2003)。
【0052】
本発明のミメティボディ
GLP−1ミメティボディは任意選択により、少なくとも1つのGLP−1治療用ペプチド(P)に直接連結した任意選択のリンカー配列(L)に直接連結した少なくとも1つの部分的可変領域(V)に直接連結した少なくとも1つのヒンジ領域を含んでなるような、少なくとも1つのヒンジ領域フラグメント(H)の少なくとも一部に直接連結した少なくとも1つのCH2領域に直接連結した少なくとも1つのCH3領域を含んでなることができる。好適な態様では、1対のCH3−CH2−H−V−L−Pが限定するわけではないがCys−Cysジスルフィド結合のような会合もしくは共有結合により連結され得る。すなわち本発明のGLP−1ミメティボディは、本来の特性および機能を持つ抗体構造および機能を模すると同時に、治療用ペプチドおよびその本来の、または獲得したin vitro、in vivoまたはin situ特性または活性を提供する。抗体の種々の部分および本発明の少なくとも1つのGLP−1ミメティボディの治療用ペプチド部分は、当該技術分野で知られている事柄と組み合わせて本明細書に記載するように変動させることができる。
【0053】
このように本発明のミメティボディは、既知のタンパク質に比べて、限定するわけではないが少なくとも1つの増加した半減期、増加した活性、より特異的な活性、増加したアビディティ、増加または減少したオフレイト(off rate)、選択された、またはより適切な活性のサブセット、低い免疫原性、少なくとも1つの所望する治療効果の増加した質または期間、低い副作用等のような、少なくとも1つの適切な特性を提供する。
【0054】
式(I)のミメティボディのフラグメントは、当該技術分野で知られ、かつ/または本明細書に記載するような酵素的分解、合成または組換え技術により生産することができる。またミメティボディは1もしくは複数の終結コドンが天然の終結部位の上流に導入された抗体遺伝子を使用して、種々の短縮形で生成することもできる。ミメティボディの種々の部分は通常の技術により化学的に一緒に連結することができ、または遺伝子工学技術を使用して連続するタンパク質として調製することができる。例えばヒト抗体鎖の少なくとも1つの定常領域をコードする核酸は、本発明のミメティボディに使用するための連続タンパク質を生産するために発現させることができる。例えば単鎖抗体に関してはLadner et al.,米国特許第4,946,778号明細書、およびBird,R.E.et al.,Science242:423−426(1988)を参照にされたい。
【0055】
本明細書で使用する「ヒトの抗体」という用語は、実質的にタンパク質の各部分(例えばGLP−1ペプチド、CHドメイン(例えばCH、CH)、ヒンジ、V))がヒトで実質的に非免疫原性であり、わずかな配列の変化(change)または変更(variation)を含むと期待される抗体を指す。そのような変化または変更は任意に、そして好ましくは非修飾ヒト抗体または本発明のミメティボディに比べて、ヒトにおける免疫原性を保持しているか、または減少している。すなわちヒト抗体および対応する本発明のGLP−1ミメティボディは、キメラまたはヒト化抗体とは区別される。GLP−1ミメティボディは、ヒトの免疫グロブリン(例えば重鎖および/または軽鎖)遺伝子を発現することができる非ヒト動物または細胞により生産されることができると指摘される。
【0056】
その少なくとも1つのタンパク質リガンドに特異的なヒトのミメティボディは、単離されたGLP−1受容体またはその部分(合成ペプチドのような合成分子を含む)のような適切なリガンドに対して設計することができる。そのようなミメティボディの調製を既知の技術を使用して行い、そして少なくとも1つのタンパク質またはその部分のリガンド結合領域または配列を同定し、そして特性決定する。
【0057】
好適な態様では、本発明の少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントは、少なくとも1つの細胞株、混合細胞株、不死化細胞、または不死化および/または培養細胞のクローン群により生産される。不死化したタンパク質生産細胞は、適当な方法を使用して生産することができる。好ましくは少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントは、機能的に再配列されたか、または機能的な再配列を受けることができ、そしてさらに本明細書に記載するミメティボディ構造、例えば限定するわけではないが式(I)を含んでなる少なくとも1つのヒト免疫グロブリン座から誘導されるか、またはそれに実質的に類似する配列を有するDNAを含んでなる核酸またはベクターを提供することにより生成され、ここで当該技術分野で知られているようにC−末端可変領域の部分はVに、ヒンジ領域はHに、CH2はCH2に、そしてCH3はCH3に使用することができる。
【0058】
本明細書で使用する用語「機能的に再配列された」とは、V(D)J組換えを受け、それにより免疫グロブリン鎖(例えば重鎖)、またはその任意の部分をコードする免疫グロブリン遺伝子を生産する免疫グロブリン座に由来する核酸のセグメントを指す。機能的に再配列された免疫グロブリン遺伝子は、例えばヌクレオチドシークエンシング、ハイブリダイゼーション(例えばサザンブロッティング、ノーザンブロッティング)のような適切な方法を使用して、遺伝子セグメント間のコーディングジョイント(coding joints)にアニールすることができるプローブ、または遺伝子セグメント間のコーディングジョイントにアニールすることができるプライマーを用いた免疫グロブリン遺伝子の酵素的増幅(例えばポリメラーゼ連鎖反応)を使用して、直接的または間接的に同定することができる。細胞が特定の可変領域または特定の配列(例えば少なくとも1つのP配列)を含んでなる可変領域を含んでなるGLP−1ミメティボディもしくは部分もしくはバリアントを生産するかどうかも、適切な方法を使用して決定することができる。
【0059】
本発明のミメティボディ、特定部分およびバリアントは、そのようなミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントを乳の中に生産するヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジ等のようなトランスジェニック動物または哺乳動物を提供するために、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントをコードする核酸を使用して調製することもできる。そのような動物は抗体コード配列について応用される既知の方法を使用して提供することができる。例えば限定するわけではないが、米国特許第5,827,690号;同第5,849,992号;同第4,873,316号;同第5,849,992号;同第5,994,616号;同第5,565,362号;同第5,304,489号明細書等(これらの各々は引用により全部、本明細書に編入する)を参照にされたい。
【0060】
本発明のミメティボディ、特定部分およびバリアントは、そのようなミメティボディ、特定部分もしくはバリアントを、植物の一部またはそれらから培養した細胞中に生産するトランスジェニック植物および培養植物細胞(例えば限定するわけではないが、タバコおよびメイズ)を提供するために、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントをコードする核酸を使用してさらに調製することができる。非限定的な例として、組換えタンパク質を発現するトランスジェニックタバコの葉が、例えば誘導性プロモーターを使用して大量の組換えタンパク質を提供するために成功裏に使用されてきた。例えばCramer et al.,Curr.Top.Microbol.Immunol.240:95−118(1999)およびそこに引用されている技術文献を参照にされたい。またトランスジェニックメイズまたはコーンは、他の組換え系で生産されたものに、または天然の起源から精製されたものに均等な生物学的活性を持つ哺乳動物のタンパク質を工業的生産レベルで発現するために使用されてきた。例えばHood et al.,Adv.Exp.Med.Biol.464:127−147(1999)およびそこに引用されている技術文献を参照にされたい。単鎖ミメティボディ(scFv’s)のような抗体フラグメントを含め、抗体はタバコ種子およびジャガイモの塊茎を含むトランスジェニック植物の種子からも大量に生産されてきた。例えばConrad et al.,Plant Mol.Biol.38:101−109(1998)およびそこに引用されている技術文献を参照にされたい。すなわち本発明のミメティボディ、特定部分およびバリアントは、既知の方法に従いトランスジェニック植物を使用して生産することもできる。また例えば、Fischer et al.,Biotechnol.Appl.Biochem.30:99−108(Oct.,1999)、Ma et al.,Trends Biotechnol.13:522−7(1995);Ma et al.,Plant Physiol.109:341−6(1995);Whitelam et al.,Biochem.Soc.Trans.22:940−944(1994);およびそこに引用されている技術文献を参照にされたい。上記参考文献は引用により全部、本明細書に編入する。
【0061】
本発明のミメティボディは、広い範囲の親和性(K)でヒトのタンパク質リガンドに結合することができる。好適な態様では、本発明の少なくとも1つのヒトGLP−1ミメティボディは場合により高い親和性で少なくとも1つのタンパク質リガンドに結合することができる。例えば本発明の少なくとも1つのGLP−1ミメティボディは、約10−7M以下のKD、またはより好ましくは約0.1〜9.9(またはこの中の任意の範囲もしくは値)X10−7、10−8、10−9、10−10M、10−11、10−12または10−13以下のK、またはこの中の任意の範囲もしくは値で少なくとも1つのタンパク質リガンドに結合することができる。
【0062】
少なくとも1つのタンパク質リガンドに関するGLP−1ミメティボディの親和性またはアビディティーは、例えば抗体−抗原結合親和性またはアビディティを決定するために使用されるような適当な方法を使用して実験的に定めることができる。(例えばBerzofsky,et al.,「抗体−抗原相互作用(Antibody−Antigen
Interactions)」、基本的免疫学(Fundamental Immunology)で、Paul,W.E.編集、ラベン(Raven)出版:ニューヨーク、ニューヨーク州(1984);Kuby,Janis 免疫学(Immunology)、W.H.フリーマン アンド カンパニー(Freeman and Company):ニューヨーク、ニューヨーク州(1992);およびそこに記載されている方法を参照にされたい)。測定された特定のGLP−1ミメティボディ−リガンド相互作用の親和性は、異なる条件下(例えば、塩濃度、pH)で測定すれば変動し得る。すなわち親和性および他のリガンド−結合パラメーター(例えばK、K、K)の測定は、好ましくはGLP−1ミメティボディおよびリガンドの標準化された溶液、および本明細書に記載するか、または当該技術分野で知られているバッファーのような標準化バッファーを用いて作成される。
【0063】
核酸分子
少なくとも1つの配列番号1および6ならびに抗体の少なくとも1つの部分の連続するアミノ酸の少なくとも90−100%をコードするヌクレオチド配列(ここで上記配列は式(I)のP配列として挿入されて、本発明のGLP−1ミメティボディを提供し、さらに特定のフラグメント、バリアントまたはそのコンセンサス配列を含んでなる)、またはこれらの配列の少なくとも1つを含んでなる寄託されたベクターのような本明細書に提供する情報を使用して、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントをコードする本発明の核酸分子は、本明細書に記載する方法または当該技術分野で知られているように得ることができる。
【0064】
本発明の核酸分子は、mRNA、hnRNA、tRNAまたは他の任意の形態のようなRNAの形態、あるいは限定するわけではないがクローニングにより得た、または合成的に生成されたcDNAおよびゲノムDNAを含むDNAの形態、またはそれらの任意の組み合わせであることができる。DNAは3本鎖、2本鎖もしくは1本鎖、またはそれらの組み合わせであることができる。DNAまたはRNAの少なくとも1つの鎖の部分はコード鎖(センス鎖としても知られている)であることができ、またはそれは非コード鎖(アンチ−センス鎖とも言われる)であることができる。
【0065】
本発明の単離された核酸分子は、場合により1もしくは複数のイントロンを含むオープンリーディングフレーム(ORF)を含んでなる核酸分子、GLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントのコード配列を含んでなる核酸分子、および上記のものとは実質的に異なるが、遺伝子暗号の縮重によりそれでも本明細書に記載し、かつ/ま
たは当該技術分野で既知の少なくとも1つのGLP−1ミメティボディをコードするヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子を含むことができる。もちろん遺伝子暗号は当該技術分野では周知である。すなわち当業者には本発明の特異的なGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントをコードするそのような縮重核酸バリアントを生成することは日常的なことである。例えばAusubel,et al.,同上を参照にされたい。そしてそのような核酸バリアントは本発明に包含される。
【0066】
本明細書に示すように、GLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントをコードする核酸を含んで成る本発明の核酸分子は、限定するわけではないが自身によりGLP−1ミメティボディフラグメントのアミノ酸配列をコードするもの;全GLP−1ミメティボディもしくはそれらの部分のコード配列;GLP−1ミメティボディ、フラグメントもしくは部分のコード配列、ならびにスプライシングおよびポリアデニル化シグナルを含む(例えば、リボソーム結合およびmRNAの安定性)転写、mRNAプロセッシングに役割を果たす、転写された、非翻訳配列のような限定するわけではない非コード5’および3’配列を含むさらなる非コード配列と一緒に、少なくとも1つのイントロンのような前記のさらなるコード配列を含むか、または含まない少なくとも1つのシグナルリーダーまたは融合ペプチドのコード配列のようなさらなる配列;さらなる機能性を提供する配列のようなさらなるアミノ酸をコードするさらなるコード配列を含むことができる。すなわちGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントをコードする配列は、GLP−1ミメティボディフラグメントもしくは部分を含んで成る融合GLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントの精製を容易にするペプチドをコードする配列のようなマーカー配列と融合させることができる。
【0067】
本明細書に記載するポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチド
本発明は選択的なハイブリダイゼーション条件下で、本明細書に開示するポリヌクレオチド、またはその特定バリアントもしくは部分を含む本明細書に開示する他のものとハイブリダイズする単離された核酸を提供する。すなわち本態様のポリヌクレオチドは、そのようなポリヌクレオチドを含んで成る核酸を単離し、検出し、かつ/または定量するために使用することができる。
【0068】
低または中程度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件は、典型的(しかし排他的ではなく)には相補的配列に比べて低下した配列同一性を有する配列に採用される。中および高ストリンジェンシー条件も、より大きな同一性の配列のために場合により使用することができる。低ストリンジェンシー条件は、約40−99%の配列同一性を有する配列の選択的ハイブリダイゼーションを可能とし、そしてオーソロガス(orthologous)またはパラロガス(paralogous)配列を同定するために使用することができる。
【0069】
場合により本発明のポリヌクレオチドは、本明細書に記載するポリヌクレオチドによりコードされるGLP−1ミメティボディまたは特定部分またはバリアントの少なくとも一部をコードする。本発明のポリヌクレオチドは、本発明のGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントをコードするポリヌクレオチドへの選択的ハイブリダイゼーションに使用できる核酸配列を包含する。例えばAusubel、同上;Colligan、同上を参照にされたい(各々、引用により全部、本明細書に編入する)。
【0070】
核酸の構築
本発明の単離された核酸は、当該技術分野で周知な(a)組換え法、(b)合成技術、(c)精製技術、またはそれらの組み合わせを使用して作成することができる。
【0071】
核酸は本発明のポリヌクレオチドに加えた配列を都合よく含んで成ることができる。例
えばポリヌクレオチドの単離を補助するために、1もしくは複数のエンドヌクレアーゼ制限部位を含んで成るマルチクローニング部位を核酸に挿入することができる。また翻訳可能な配列を、本発明の翻訳されたポリヌクレオチドの単離を補助するために挿入することができる。例えばヘキサ−ヒスチジンマーカー配列は、本発明のタンパク質を精製するための都合のよい手段を提供する。本発明の核酸(コード配列を除く)は場合により、本発明のポリヌクレオチドのクローニングおよび/または発現のためのベクター、アダプターまたはリンカーである。
【0072】
クローニングおよび/または発現における機能を至適化するために、ポリヌクレオチドの単離を補助するために、またはポリヌクレオチドの細胞への導入を向上させるために、そのようなクローニングおよび/発現配列にさらなる配列を加えることができる。クローニングベクター、発現ベクター、アダプターおよびリンカーの使用は、当該技術分野では周知である。例えばAusubel、同上;またはSambrook、同上を参照にされたい。
【0073】
核酸を構築するための組換え法
RNA、cDNA、ゲノムDNAまたはそれらの任意の組み合わせのような本発明の単離された核酸組成物は、当業者に既知の多数のクローニング法を使用して生物起源から得ることができる。幾つかの態様では、cDNAまたはゲノムDNAライブラリー中の所望する配列を同定するために、適切なストリンジェンシー条件下で本発明のポリヌクレオチドと選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを使用する。RNAの単離、およびcDNAおよびゲノムライブラリーの構築は、当業者には周知である。(例えばAusubel、同上;またはSambrook、同上を参照にされたい)。
【0074】
核酸分子を構築するための合成法
本発明の単離された核酸は、既知の方法で直接的な化学合成により調製することもできる(例えばAusubel et al.、同上を参照にされたい)。化学合成は一般に1本鎖オリゴヌクレオチドを生成し、これを相補的配列とのハイブリダイゼーションにより、または1本鎖を鋳型として使用したDNAポリメラーゼによる重合化により2本鎖DNAに転換することができる。当業者はDNAの化学合成は約100以上の塩基の配列に限定され得るが、より長い配列は短い配列の連結により得ることができると認識するだろう。
【0075】
組換え発現カセット
本発明はさらに、本発明の核酸を含んでなる組換え発現カセットを提供する。本発明の核酸配列、例えば本発明のGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントをコードするcDNAまたはゲノム配列は、少なくとも1つの所望する宿主細胞に導入することができる組換え発現カセットを構築するために使用することができる。組換え発現カセットは典型的には、意図する宿主細胞でポリヌクレオチドの転写を支配する転写開始調節配列に操作可能に連結された本発明のポリヌクレオチドを含んでなる。ヘテロロガスおよび非ヘテロロガス(すなわち内因性)の両方のプロモーターを使用して、本発明の核酸の発現を支配することができる。
【0076】
幾つかの態様では、プロモーター、エンハンサーまたは他の要素として役立つ単離された核酸は、本発明のポリヌクレオチドの発現をアップまたはダウンレギュレートするように、非ヘテロロガス状態の本発明のポリヌクレオチドの適当な位置(上流、下流またはイントロン中)に導入することができる。例えば内因性プロモーターを当該技術分野で知られているように突然変異、欠失および/または置換によりインビボまたはインビトロで改変することができる。本発明のポリヌクレオチドは、所望によりセンスまたはアンチセンス方向のいずれかで発現することができる。センスまたはアンチセンス方向のいずれかの
遺伝子発現の制御は、観察可能な特性に直接的な影響を有することができると考えられる。サプレッションの別の方法はセンスサプレッションである。センス方向に形成された核酸の導入は、標的遺伝子の転写を遮断する効果的な手段であることが示された。
【0077】
ベクターおよび宿主細胞
また本発明は、本発明の単離された核酸分子を含むベクター、組換えベクターにより遺伝的に操作された宿主細胞、および当該技術分野で周知な組換え法による少なくとも1つのGLP−1ミメティボディまたは特定部分またはバリアントの生産に関する。例えばSambrook,et al.、同上;Ausubel et al.、同上(各々、引用により全部、本明細書に編入する)を参照にされたい。
【0078】
ポリヌクレオチドは場合により、宿主中での増殖のために選択可能なマーカーを含むベクターに連結することができる。一般にプラスミドベクターは電気穿孔等のような適当な既知の方法を使用して細胞に導入され、他の既知の方法にはリン酸カルシウム沈殿のような沈殿として、または荷電した脂質との複合体でのベクターの使用を含む。ベクターがウイルスである場合、適当なパッケージング細胞株を使用してインビトロでパッケージングし、そして次いで宿主細胞に形質導入することができる。
【0079】
DNA挿入物は適当なプロモーターに操作可能に連結されるべきである。発現構築物は任意に少なくとも1つの転写開始、終結用の部位、および転写領域中に翻訳のためのリボソーム結合部位をさらに含むだろう。構築物により発現された成熟転写産物のコード部分は、好ましくは最初に翻訳開始、および翻訳されるべきmRNAの終わりに適切に位置する終結コドン(例えばUAA、UGAまたはUAG)を含み、UAAおよびUAGが哺乳動物または真核細胞の発現には好適である。
【0080】
発現ベクターは好ましくは、しかし任意に少なくとも1つの選択可能なマーカーを含む。そのようなマーカーには例えば限定するわけではないが、真核細胞培養用のメトトレキセート(MTX)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR、米国特許第4,399,216号、同第4,634,655号、同第4,656,134号、同第4,956,288号、同第5,149,636号、同第5,179,017号明細書、アンピシリン、ネオマイシン(G418)、マイコフェノール酸、またはグルタミンシンテターゼ(GS、米国特許第5,122,464号、同第5,770,359号、同第5,827,739号細書)耐性、そして大腸菌(E.coli)および他の細菌または原核細胞での培養にはテトラサイクリンまたはアンピシリン耐性遺伝子を含む(上記の特許明細書は引用により全部、本明細書に編入する)。上記の宿主細胞に関する適当な培養基および条件は、当該技術分野では既知である。適当なベクターは当業者には直ちに明らかである。ベクター構築物の宿主細胞への導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、電気穿孔、形質導入、感染または他の既知の方法により行うことができる。そのような方法はSambrook、同上、第1〜4および16〜18章、Ausubel、同上、第1、9、13、15、16章のように当該技術分野で記載されている。
【0081】
本発明の少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントは、融合タンパク質のように修飾された形態で発現することができ、そして分泌シグナルだけでなく、さらにヘテロロガスな機能的領域を含むことができる。例えばさらなるアミノ酸の領域、特に荷電したアミノ酸を、GLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントのN−末端に付加して、宿主細胞中の、精製中の、あるいは後の取り扱いおよび保存中の安定性および持続性を向上させることができる。またペプチド部分を本発明のGLP−1ミメティボディまたは特定部分またはバリアントに付加して、精製を容易することができる。そのような領域は、GLP−1ミメティボディまたはその少なく
とも1つのフラグメントの最終調製前に除去することができる。そのような方法は多くの標準的な研究室用マニュアル、例えばSambrook、同上、第17.29〜17.42および18.1〜18.74章;Ausubel、同上、第16、17および18章に記載されている(引用により全部、本明細書に編入する)。
【0082】
当業者は本発明のタンパク質をコードする核酸の発現に利用可能な多数の発現系についての知識がある。
【0083】
ミメティボディ、その特定部分もしくはバリアントの生産に有用な細胞培養の具体例は哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞系は単層状態の細胞であることが多いが、哺乳動物細胞懸濁物またはバイオリアクターも使用することができる。完全なグリコシル化タンパク質を発現することができる多数の適当な宿主細胞株が当該技術分野で開発され、そしてそれにはCOS−1(例えばATCC CRL 1650)、COS−7(例えばATCC
CRL−1651)、HEK293、BHK21(例えばATCC CRL−10)、CHO(例えばATCC CRL 1610、DG−44)およびBSC−1(例えばATCC CRL−26)細胞株、hepG2細胞、P3X63Ag8.653、SP2/0−Ag14、293細胞、HeLa細胞等を含み、これらは例えばバージニア州マナッサスのアメリカンタイプカルチャーコレクションから容易に入手できる(www.atcc.com)。好適な宿主細胞には骨髄腫およびリンパ腫細胞のようなリンパ節起源の細胞を含む。特に好適な宿主細胞は、P3X63Ag8.653細胞(ATCC寄託番号 CRL−1580)およびSP2/0−Ag14細胞(ATCC寄託番号 CRL−1851)である。
【0084】
これらの細胞用の発現ベクターは、限定するわけではないが1もしくは複数の以下のような発現制御配列を含むことができる;複製起点、プロモーター(例えば後期または初期SV40プロモーター、CMVプロモーター(例えば米国特許第5,168,062号;同第5,385,839号明細書)、HSV tkプロモーター、pgk(ホスホリグリセレート キナーゼ)プロモーター、EF−1アルファプロモーター(米国特許第5,266,491号明細書)、少なくとも1つのヒト免疫グロブリンプロモーター、エンハンサーおよび/またはリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位(例えばSV40ラージTAgポリA付加部位)および転写終結配列のようなプロセッシング情報部位。例えば、Ausubel,et al.、同上;Sambrook、et al.、同上を参照にされたい。本発明の核酸またはタンパク質の生産に有用な他の細胞は知られており、かつ/または例えば細胞株およびハイブリドーマのアメリカンタイプカルチャーコレクションカタログ(www.atcc.org)あるいは既知の他の市販の供給源から入手可能である。
【0085】
真核宿主細胞を使用する時、典型的にはポリアデニル化または転写終結配列をベクターに包含する。終結配列の例は、ウシ成長ホルモン遺伝子に由来するポリアデニル化配列である。転写の正確なスプライシングのための配列も含むことができる。スプライシング配列の例は、SV40に由来するVP1イントロン(Sprague,et al.,J.Virol.45:773−781(1983))である。さらに当該技術分野で既知であるように、宿主細胞中で複製を制御する遺伝子配列をベクターに包含することができる。
【0086】
GLP−1ミメティボディもしくはその特定部分もしくはバリアントの精製
GLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントは、限定するわけではないがプロテインA精製、硫酸アンモニウムもしくはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンもしくはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、ハイドロキシルアパ
タイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含む周知な方法により、組換え細胞培養物から回収し、そして精製することができる。高性能液体クロマトグラフィー(“HPLC”)も精製に使用することができる。例えばColligan、免疫学における現在のプロトコール、またはタンパク質科学における現在のプロトコール、ジョン ウィリー & サンズ、ニューヨーク、ニューヨーク州(1997−2003)、例えば第1、4、6、8、9、10章を参照にされたい(各々が全部、引用により本明細書に編入される)。
【0087】
本発明のミメティボディまたは特定部分またはバリアントには、自然に精製された生成物、化学合成法の生成物、および例えば酵母、高等植物、昆虫および哺乳動物細胞を含む真核細胞宿主から組換え技術により生産される産物を含む。組換え生産法で使用する宿主に依存して、本発明のGLP−1ミメティボディもしくは特定部分またはバリアントはグリコシル化されることができ、または非グリコシル化であることができるが、グリコシル化が好適である。そのような方法は:Sambrook、同上、第17.37〜17.42;Ausubel、同上、第10、12、13、16、18および20章、Colligan、タンパク質科学(Protein Science)、同上、第12〜14(すべて引用により本明細書に編入する)のような多くの標準的な研究室マニュアルに記載されている。
【0088】
ミメティボディ、特定フラグメントおよび/またはバリアント
本発明の単離されたミメティボディは、本明細書でさらに完全に検討する本発明の1つのポリヌクレオチドによりコードされるGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント、あるいは任意の単離もしくは調製されたGLP−1ミメティボディもしくはその特定部分もしくはバリアントを含んでなる。
【0089】
好ましくはGLP−1ミメティボディもしくはリガンド結合部分またはバリアントは、少なくとも1つのGLP−1タンパク質リガンドに結合し、そしてこれにより対応するタンパク質またはそのフラグメントの少なくとも1つのGLP−1生物活性を提供する。種々の治療的または診断的に重要なタンパク質が当該技術分野では周知であり、そしてそのようなタンパク質の適切なアッセイまたは生物学的活性も当該技術分野では周知である。
【0090】
本発明に適切なGLP−1ペプチド、バリアントおよび誘導体の非限定的例は、配列番号1に表される:His−Xaa2−Xaa3−Gly−Xaa5−Xaa6−Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Phe−Xaa23−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31、ここで:Xaa2はAla,Gly,Ser,Thr,Leu,Ile,Val,Glu,AspまたはLysであり;Xaa3はGlu,AspまたはLysであり;Xaa5はThr,Ala,Gly,Ser,Leu,Ile,Val,Arg,His,Glu,AspまたはLysであり;Xaa6はPhe,His,TrpまたはTyrであり;Xaa7はThrまたはAsnであり;Xaa8はSer,Ala,Gly,Thr,Leu,Ile,Val,Glu,AspまたはLysであり;Xaa9はAspまたはGluであり;Xaa10はVal,Ala,Gly,Ser,Thr,Leu,Ile,Met,Tyr,Trp,His,Phe,Glu,AspまたはLysであり;Xaa11はSer,Val,Ala,Gly,Thr,Leu,Ile,Glu,AspまたはLysであり;Xaa12はSer,Val,Ala,Gly,Thr,Leu,Ile,Glu,AspまたはLysであり;Xaa13はTyr,Phe,Trp,Glu,AspまたはLysであり;Xaa14はLeu,Ala,Met,Gly,Ser,Thr,Leu,Ile,Val,Glu,AspまたはLysであり;Xaa15はGlu,Ala,Thr,Ser,Gly,Gln,AspまたはLysであり;Xaa16はGly,Ala,Ser,Thr,Leu,Ile,Val,Gln,Asn,Arg,Cys,Glu,AspまたはLysであり;Xaa17は Gln,Asn,Arg,His,Glu,AspまたはLysであり;Xaa18はAla,Gly,Ser,Thr,Leu,Ile,Val,Arg,Glu,AspまたはLysであり;Xaa19はAla,Gly,Ser,Thr,Leu,Ile,Val,Met,Glu,AspまたはLysであり;Xaa20はLys,Arg,His,Gln,Trp,Tyr,Phe,GluまたはAspであり;Xaa21はGlu,Leu,Ala,His,Phe,Tyr,Trp,Arg,Gln,Thr,Ser,Gly,AspまたはLysであり;Xaa23はIle,Ala,Val,LeuまたはGluであり;Xaa24はAla,Gly,Ser,Thr,Leu,Ile,Val,His,Glu,AspまたはLysであり;Xaa25はTrp,Phe,Tyr,Glu,AspまたはLysであり;Xaa26 is Leu,Gly,Ala,Ser,Thr,Ile,Val,Glu,AspまたはLysであり;Xaa27はVal,Leu,Gly,Ala,Ser,Thr,Ile,Arg,Glu,AspまたはLysであり;Xaa28はLys,Asn,Arg,His,GluまたはAspであり;Xaa29はGly,Ala,Ser,Thr,Leu,Ile,Val,Arg,Trp,Tyr,Phe,Pro,His,Glu,AspまたはLysであり;Xaa30はArg,His,Thr,Ser,Trp,Tyr,Phe,Glu,AspまたはLysであり;そしてXaa31はGly,Ala,Ser,Thr,Leu,Ile,Val,Arg,Trp,Tyr,Phe,His,Glu,Asp,Lysである。
【0091】
別の好適なGLP−1ペプチド、バリアントまたは誘導体の群は、配列番号6に例示される:His−Xaa2−Xaa3−Gly−Thr−Xaa6−Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Ser−Xaa12−Tyr−Xaa14−Glu−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Lys−Xaa21−Phe−Xaa23−Ala−Trp−Leu−Xaa27−Xaa28−Gly−Xaa30、ここで:Xaa2はAla,GlyまたはSerであり;Xaa3はGluまたはAspであり;Xaa6はPheまたはTyrであり;Xaa7はThrまたはAsnであり;Xaa8はSer,ThrまたはAlaであり;Xaa9はAspまたはGluであり;Xaa10はVal,Leu,MetまたはIleであり;Xaa12はSerまたはLysであり;Xaa14はLeu,AlaまたはMetであり;Xaa16はGly,Ala,GluまたはAspであり;Xaa17はGlnまたはGluであり;Xaa18はAlaまたはLysであり;Xaa19はAla,Val,Ile,LeuまたはMetであり;Xaa21はGluまたはLeuであり;Xaa23はIle,Ala,Val,LeuまたはGluであり;Xaa27はValまたはLysであり;Xaa28はLysまたはAsnであり;そしてXaa30はArgまたはGluである。
【0092】
これらのペプチドは開示され、かつ/または当該技術分野で既知の方法により調製することができる。配列中(および他に特別な場合を特定しない限り本明細書中)のXaasは特定のアミノ酸残基、その誘導体または修飾アミノ酸を含む。酵素であるジペプチジル−ペプチダーゼIV(DPP−IV)は、投与したGLP−1で観察される迅速なインビボ不活性化の原因となり得るので、ミメティボディの内容においてDPP−IVの活性から保護されるGLP−1ペプチド、相同体、類似体および誘導体が好適である。
【0093】
少なくとも1つのGLP−1の生物学的活性を一部または好ましくは実質的に提供するGLP−1ミメティボディ、またはその特定部分もしくはそのバリアントは、GLP−1リガンドに結合し、そしてこれによりGLP−1受容体のようなGLP−1の少なくとも1つのリガンドへの結合を介して、または他のタンパク質依存的もしくは媒介型メカニズムを介して媒介される少なくとも1つの活性を提供することができる。本明細書で使用す
る用語「GLP−1ミメティボディ活性」とは、アッセイに依存して約20−10,000%まで、好ましくは少なくとも約60,70,80,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99,100,110,120,130,140,150,160,170,180,190,200,250,300,350,400,450,500,550,600,700,800,900,1000,2000,3000,4000,5000,6000,7000,8000,9000%以上まで、少なくとも1つのGLP−1依存的活性をモジュレートまたは引き起こすことができるGLP−1ミメティボディを指す。
【0094】
GLP−1ミメティボディまたは特定部分またはバリアントが少なくとも1つのタンパク質依存的活性を提供する能力は、好ましくは本明細書に記載し、かつ/または当該技術分野で既知の少なくとも1つの適当なタンパク質の生物学的アッセイにより評価される。本発明のヒトGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントは、任意のクラス(IgG、IgA、IgM等)またはアイソタイプに類似することができ、そして少なくともカッパまたはラムダ軽鎖の部分を含んでなることができる。1つの態様では、ヒトGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントは、IgG重鎖可変フラグメント、ヒンジ領域、例えば少なくとも1つのアイソタイプ、例えばIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4のCH2およびCH3を含んでなる。
【0095】
本発明の少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントは、少なくとも1つのリガンド、サブユニット、フラグメント、部分またはそれらの任意の組み合わせに結合する。本発明の少なくとも1つのGLP−1ミメティボディ、特定部分もしくはバリアントの少なくとも1つのGLP−1ペプチド、バリアントまたは誘導体は、場合によりリガンドの少なくとも1つの特定したエピトープに結合することができる。結合するエピトープは、少なくとも1〜3個のアミノ酸の少なくとも1つのアミノ酸配列から、GLP−1受容体またはその部分のようなタンパク質リガンドの配列の連続するアミノ酸の全特定部分の任意の組み合わせを含んでなることができる。
【0096】
そのようなミメティボディは、既知の技術を使用して式(I)のGLP−1ミメティボディの種々の部分を一緒に連結することにより、組換えDNA技術の既知の技術を使用してGLP−1ミメティボディをコードする少なくとも1つの核酸分子を調製し、そして発現させることにより、あるいは化学合成のような他の適切な方法を使用することにより調製することができる。
【0097】
受容体のようなヒトのGLP−1リガンドに結合し、そして定めた重鎖または軽鎖可変領域またはその一部を含んでなるミメティボディは、ファージディスプレイ(Katsube,Y.,et al.,Int J Mol.Med,1():863−868(1998)引用により全部、本明細書に編入する)、または当該技術分野で知られているようなトランスジェニック動物を使用する方法のような適切な方法を使用して調製することができる。GLP−1ミメティボディ、特定部分もしくはバリアントは、コード核酸またはその部分を適当な宿主細胞で使用して発現させることができる。
【0098】
また本発明は、本明細書に記載するアミノ酸配列と実質的に同じ配列中のアミノ酸を含んでなるミメティボディ、リガンド結合フラグメントおよび免疫グロブリン鎖に関する。好ましくはそのようなミメティボディまたはそのリガンド結合フラグメントは、受容体のようなヒトのGLP−1リガンドと高い親和性で(例えば約10−7M以下のK)で結合できる。本明細書に記載する配列と実質的に同じアミノ酸配列には、保存的アミノ酸置換、ならびにアミノ酸欠失および/または挿入を含んで成る配列を含む。保存的アミノ酸置換とは、第1アミノ酸と類似の化学的および/または物理的特性(例えば、荷電、構造、極性、疎水性/親水性)を有する第2のアミノ酸に、第1アミノ酸を置き換えることを言う。保存的置換には、以下の群内で1つのアミノ酸が別のアミノ酸に置き換わることを含む:リシン(K)、アルギニン(R)およびヒスチジン(H);アスパルテート(D)およびグルタメート(E);アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、チロシン(Y)、K、R、H、DおよびE;アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、メチオニン(M)、システイン(C)およびグリシン(G);F、WおよびY;C、SおよびT。
【0099】
アミノ酸暗号
本発明のミメティボディまたは特定部分またはバリアントを作るアミノ酸は、しばしば略記される。アミノ酸の命名法は当該技術分野でよく知られているような、その1文字暗号、その3文字暗号、名前または3ヌクレオチドコドン(1つまたは複数)によるアミノ酸の命名により示すことができる(Alberts,B.,et al.,細胞の分子生物学(Molecular Biology of The Cell)、第3版、ガーランド(Garland)出版社、ニューヨーク、1994を参照にされたい):
【0100】
【表1】

【0101】
本発明のGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントは、本明細書で特定する自然な突然変異またはヒトの操作のいずれかに由来する1もしくは複数のアミノ酸置換、欠失または付加を含むことができる。本発明に使用することができるそのようなまたは他の配列には、限定するわけではないが配列番号47〜64に提示する以下の配列を含み、ここで抗体配列の部分的可変領域は、限定するわけではないが表1に記載するような少なくとも1つの配列番号47〜55の少なくとも一部、またはそのフラグメント
であることができ、そしてさらに場合により配列番号1〜9に対応して、2004年6月24日に出願され、そして2005年1月20日に公開された国際公開第WO05/05604(PCT US04/19898)の図1〜9にさらに記載されている少なくとも1つの置換、挿入または欠失を含んでなる。CH2、CH3およびヒンジ領域は、限定するわけではないが表1に記載するような少なくとも1つの配列番号56〜64の少なくとも一部、またはそのフラグメントであることができ、そしてさらに場合により配列番号32〜40に対応して、2004年6月24日に出願され、そして2005年1月20日に公開された国際公開第WO05/05604(PCT US04/19898)の図32〜40にさらに記載されている少なくとも1つの置換、挿入または欠失を含んでなる。もちろん当業者は多くのアミノ酸置換を、上記に記載したものを含む多くの因子に依存して作るだろう。一般に、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディのアミノ酸置換、挿入または欠失の数は、本明細書に特定するように1〜30またはその中の範囲もしくは値のように40、30、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1個のアミノ酸より多くない。
【0102】
本発明の式I((P(n)−L(o)−V(p)−H(q)−CH2(r)−CH3(s))(t))では、式IのV、H、CH2、CH3部分は、任意の適切なヒトまたはヒトに適合した配列(例えば表1に提示するような)であることができ、ここで抗体配列の部分的可変領域は、限定するわけではないが表1に記載するような少なくとも1つの配列番号47〜55の少なくとも1つの部分、またはその断片であることができ、さらに場合により2004年6月24日に出願し、そして2005年1月20日に公開されたPCT国際公開第05/05604号パンフレット(PCT US04/19898)の図1〜9に記載されたような少なくとも1つの置換、挿入または欠失を含んでなり(配列番号1〜9に対応する):そしてここでCH2、CH3およびヒンジ領域は、限定するわけではないが表1に記載するような少なくとも1つの配列番号56〜64の少なくとも1つの部分、またはその断片であることができ、さらに場合により2004年6月24日に出願し、そして2005年1月20日に公開されたPCT国際公開第05/05604号パンフレット(PCT US04/19898)の図32〜40に記載されたような少なくとも1つの置換、挿入または欠失を含んでなり(配列番号32〜40に対応する)、または当該技術分野で知られているような配列、またはその組み合わせもしくはコンセンサス配列、またはその任意の融合タンパク質、好ましくはヒトに投与した時に免疫原性を最少にするために操作されたヒト起源のものであることができる。
【0103】
P部分は、限定するわけではないが配列番号1に提示されるような、またはその任意の組み合わせもしくはコンセンサス配列のような当該技術分野で知られ、または本明細書に記載する少なくとも1つのGLP−1治療用ペプチド、またはその融合タンパク質を含んでなることができる。好適な態様では、P部分は少なくとも1つの配列番号6の配列、またはその組み合わせもしくはコンセンサス配列を有する少なくとも1つのGLP−1ペプチド、またはその任意の融合タンパク質を含んでなることができる。
【0104】
任意のリンカー配列は、当該技術分野で知られているような任意の適切なペプチドリンカーであることができる。好適な配列にはGおよびSの組み合わせ、例えばX1−X2−X3−X4−...−Xnを含み、ここでXはGまたはSであることができ、そしてnは5〜30であることができる。非限定的例には、GS、GGS、GGGS(配列番号16)、GSGGGS(配列番号17)、GGSGGGS(配列番号18)、GGSGGGSGG(配列番号19)およびGGGSGGGSGG(配列番号20)等を含む。
【0105】
機能に必須な本発明のGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントのアミノ酸は、位置指定突然変異誘発法またはアラニン走査突然変異誘発法(例えばAusubel、同上、第8、15章;Cunningham and Wells,Science 244 1081−1085(1989))のような当該技術分野で知られている方法により同定することができる。後者の手法は、1つのアラニン突然変異を分子の各残基に導入する。次いで生じた変異体分子は、限定するわけではないが本明細書に特定し、または当該技術分野で知られているような少なくとも1つのタンパク質関連活性のような生物学的活性について試験される。またGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントの結合に重要な部位は、結晶化、核磁気共鳴法または光親和性(photoaffinity)標識のような構造的分析により同定することができる(Smith,et al,J.Mol.Biol 224:899−904(1992)およびde Vos,et al,Science 255:306−312(1992))。
【0106】
本発明のミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントは、式(I)のP部分と
して、例えば限定するわけではないが少なくとも配列番号1および6の少なくとも一部分を含んでなることができる。GLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントは、さらに式(I)のP部分として少なくとも1つのポリペプチドの少なくとも1つの機能的部分、配列番号1および6の少なくとも1つの少なくとも90〜100%を場合により含んでなることができる。上に列挙した活性の少なくとも1つを強化または維持することができる非限定的なバリアントには、限定するわけではないが、該GLP−1ミメティボディの適切な生物学的活性もしくは機能に有意な影響を及ぼさない置換、挿入もしくは欠失の少なくとも1つに対応する少なくとも1つの突然変異をさらに含んでなる任意の上記ポリペプチドを含む。
【0107】
1つの態様では、Pアミノ酸配列またはその部分は、配列番号1および6の少なくとも1つに対応する部分のアミノ酸配列に対応する約90〜100%の同一性(すなわち90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100またはその中の任意の範囲および値)を有する。好ましくは90〜100%のアミノ酸同一性(すなわち90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100またはその中の任意の範囲および値)は、当該技術分野で知られているような適切なコンピューターアルゴリズムを使用して決定される。
【0108】
本発明のミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントは、本発明のGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントに由来する任意の数の連続したアミノ酸残基を含んでなることができ、ここでその数はGLP−1ミメティボディ中の連続残基の10〜100%の数からなる整数群から選択される。場合により連続するアミノ酸のこの部分列(subsequence)は、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250以上のアミノ酸長、またはその中の任意の範囲もしくは値である。さらにそのような部分列の数は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20以上のような1から20からなる群から選択される任意の整数であることができる。
【0109】
当業者は、本発明が少なくとも1つの生物的に活性な本発明のGLP−1ミメティボディまたは特定部分またはバリアントを含むと考えるだろう。生物的に活性なミメティボディまたは特定部分またはバリアントは、天然(非−合成)、内因性または関連する、および既知の挿入され、または融合されたタンパク質または特定部分またはバリアントの少なくとも20%、30%または40%、そして好ましくは少なくとも50%、60%または70%、そして最も好ましくは少なくとも80%、90%または95%〜1000%の比活性を有する。酵素活性および基質特異性を測定するアッセイおよび定量法は、当業者には周知である。
【0110】
別の観点では、本発明は有機部分の共有結合により修飾された本明細書に記載するヒトのミメティボディおよびリガンド結合フラグメントに関する。そのような修飾は改善された薬物動態学的特性(例えばインビボ血清半減期の上昇)を持つGLP−1ミメティボディまたはリガンド結合フラグメントを生じることができる。この有機部分は直鎖または分岐した親水性のポリマー性基、脂肪酸基、または脂肪酸エステル基であることができる。特定の態様では親水性のポリマー性基は約800〜約120,000ダルトンの分子量を有することができ、そしてポリアルカングリコール(例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG))、炭水化物ポリマー、アミノ酸ポリマーまたはポリビニルピロリドンであることができ、そして脂肪酸または脂肪酸エステル基は約8〜約40個の炭素原子を含んで成ることができる。
【0111】
本発明の修飾されたミメティボディおよびリガンド結合フラグメントは、直接的または間接的にGLP−1ミメティボディまたは特定部分またはバリアントに共有的に結合した1以上の有機部分を含んで成ることができる。本発明のGLP−1ミメティボディまたはリガンド結合フラグメントに結合する各有機部分は、独立して親水性ポリマー性基、脂肪酸基または脂肪酸エステル基であることができる。本明細書で使用する用語「脂肪酸」は、モノ−カルボン酸およびジ−カルボン酸を包含する。本明細書で使用する用語「親水性のポリマー性基」とは、水中でオクタン中よりも溶解性の有機ポリマーを指す。例えばポリリシンは水中でオクタン中より可溶性である。すなわちポリリシンの共有結合により修飾されたGLP−1ミメティボディは、本発明に包含される。本発明のミメティボディを修飾するために適する親水性ポリマーは直鎖または分岐であることができ、そして例えばポリアルカングリコール(例えば、PEG、モノメトキシ−ポリエチレングリコール(mPEG)、PPG等)、炭水化物(例えばデキストラン、セルロース、オリゴ糖、多糖等)、親水性アミノ酸のポリマー(例えばポリリシン、ポリアルギニン、ポリアスパルテート等)、ポリアルカンオキシド(例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等)、およびポリビニルピロリドンを含む。好ましくは本発明のGLP−1ミメティボディを修飾する親水性ポリマーは、別個の分子量の物体として約800〜約150,000ダルトンの分子量を有する。例えばPEG2500、PEG5000、PEG7500、PEG9000、PEG10000、PEG12500、PEG15000およびPEG20,000(ここで下付文字は、ダルトンでのポリマーの平均分子量である)を使用することができる。
【0112】
親水性のポリマー性基は1〜約6個のアルキル、脂肪酸または脂肪酸エステル基で置換することができる。脂肪酸または脂肪酸エステル基で置換される親水性ポリマーは、適当な方法を使用することにより調製することができる。例えばアミン基を含んで成るポリマーは、脂肪酸または脂肪酸エステルのカルボキシレートにカップリングすることができ、そして脂肪酸または脂肪酸エステル上で活性化されたカルボキシレート(例えばN,N−カルボニルジイミダゾールにより活性化される)を、ポリマー上のヒドロキシル基にカップリングすることができる。
【0113】
本発明のミメティボディを修飾するために適切な脂肪酸および脂肪酸エステルは飽和であることができ、あるいは1もしくは複数の不飽和単位を含むことができる。本発明のミメティボディを修飾するために適切な脂肪酸には、例えばn−ドデカノエート(C12、ラウレート)、n−テトラデカノエート(C14、ミリステート)、n−オクタデカノエート(C18、ステアレート)、n−エイコサノエート(C20、アラキデート)、n−ドコサノエート(C22、ベヘネート)、n−トリアコンタノエート(C30)、n−テトラコンタノエート(C40)、シス−Δ9−オクタデカノエート(C18、オレート)、オールシス−Δ5,8,11,14−エイコサテトラエノエート(C20、アラキドネート)、オクタン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、ドコサン二酸等を含む。適当な脂肪酸エステルには、直鎖もしくは分枝低級アルキル基を含んで成るジカルボン酸のモノ−エステルを含む。低級アルキル基は、1から約12、好ましくは1から約6個の炭素原子を含んで成ることができる。
【0114】
修飾されたヒトミメティボディおよびリガンド結合フラグメントは、1もしくは複数の修飾剤を用いた反応によるような適当な方法を使用して調製することができる。本明細書で使用する用語「修飾剤」は、活性化基を含んで成る適当な有機基(例えば親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)を指す。「活性化基」は、適当な条件下で第2の化学基と反応し、これにより修飾剤と第2の化学基との間に共有結合を形成することができる化学的部分または官能基である。例えばアミン反応性の活性化基には、トシラート、メシラート、ハロ(クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル(NHS)等のような求電子性基を含む。チオールと反応することができる活性化基には、例えばマレイミド、ヨードアセチル、アクリロリル、ピリジルジスルフィド、5−チオール−2−ニトロ安息香酸チオール(TNB−チオール)等を含む。アルデヒド官能基をアミンまたはヒドラジドを含有する分子にカップリングさせることができ、そしてアジド基を三価のリン基と反応させてホスホルアミデートまたはホスホルイミド結合を形成することができる。活性化基を分子に導入する適当な方法は、当該技術分野で既知である(例えば、Hermanson,G.T.生物結合法(Bioconjugate Techniques)、アカデミック出版;サンディエゴ、カリフォルニア州、(1996)を参照にされたい)。活性化基は有機基(例えば親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)に直接、またはリンカー部分、例えば二価のC−C12基(ここで1もしくは複数の炭素原子が酸素、窒素または硫黄のようなヘテロ原子に置き換わることができる)を介して結合させることができる。適当なリンカー部分には、例えばテトラエチレングリコール、−(CH−、−NH−(CH−NH−、−(CH−NH−および−CH−O−CH−CH−O−CH−CH−O−CH−NH−を含む。リンカー部分を含んで成る修飾剤は、例えばモノ−Boc−アルキルジアミン(例えばモノ−Boc−エチレンジアミン、モノ−Boc−ジアミノヘキサン)を、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)の存在下で脂肪酸と反応させて、遊離アミンと脂肪酸カルボキシレートとの間にアミド結合を形成することにより生成することができる。Boc保護基はトリフルオロ酢酸(TFA)を用いた処理により生成物から除去し、記載した別のカルボキシレートにカップリングすることができる1級アミンを露出することができるか、または無水マレイン酸と反応させ、そして生じた生成物を環化して脂肪酸の活性化マレイミド誘導体を生成することができる(例えばThompson,et al.,国際公開第92/16221号パンフレットを参照にされたい(この教示は全部、引用により本明細書に編入する))。
【0115】
本発明の修飾したミメティボディは、ヒトGLP−1ミメティボディまたはリガンド結合フラグメントを修飾剤と反応させることにより生成することができる。例えば有機部分は、アミン−反応性修飾剤(例えばPEGのNHSエステル)を使用することにより、非−部位特異的様式でGLP−1ミメティボディに結合させることができる。修飾したヒトミメティボディまたはリガンド結合フラグメントは、GLP−1ミメティボディまたはリガンド結合フラグメントのジスルフィド結合(例えば鎖内ジスルフィド結合)を還元することにより調製することもできる。還元されたGLP−1ミメティボディまたはリガンド結合フラグメントは、次いでチオール−反応性の修飾剤と反応させて、本発明の修飾されたGLP−1ミメティボディを生成することができる。本発明のGLP−1ミメティボディまたは特定部分またはバリアントの特異的部位に結合する有機部分を含んで成る修飾されたヒトミメティボディおよびリガンド結合フラグメントは、逆タンパク質溶解(Fisch et al.,Bioconjugate Chem.,3:147−153(1992);Werlen et al.,Bioconjugate Chem.,5:411−417(1994);Kumaran et al.,Protein Sci.6(10):2233−2241(1997);Itoh et al.,Bioorg.Chem.,24(1);59−68(1996);Capellas et al.,Biotechnol.Bioeng.,56(4):456−463(1997))のような適当な方法、およびHermanson,G.T.,生物結合法(Bioconjugate Techniques)、アカデミック出版;サンディエゴ、カリフォルニア州1996)に記載されている方法を使用して調製することができる。
【0116】
GLP−1ミメティボディ組成物
また本発明は、自然には存在しない組成物、混合物または形態で提供される、本明細書に記載し、かつ/または当該技術分野で既知であるような少なくとも1つの、少なくとも
2つの、少なくとも3つの、少なくとも4つの、少なくとも5つの、少なくとも6以上のミメティボディまたはその特定部分またはバリアントを含んで成る、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディまたは特定部分またはバリアント組成物を提供する。そのような組成物の割合は、当該技術分野で既知の、または本明細書に記載するような液体もしくは乾燥溶液、混合物、懸濁液、乳液またはコロイドとしての重量、容量、濃度、容量モル濃度または重量モル濃度による。
【0117】
そのような組成物は、限定するわけではないが0.00001、0.00003、0.00005、0.00009、0.0001、0.0003、0.0005、0.0009、0.001、0.003、0.005、0.009、0.01、0.02、0.03、0.05、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1 0、1 1、1 2、1 3、1.4、1 5、1 6、1 7、1 8、1 9、2 0、2 1、2.2、2 3、2 4、2 5、2 6、2 7、2 8、2 9、3.0、3 1、3 2、3 3、3 4、3 5、3 6、3 7、3 8、3.9、4 0、4 3、4 5、4 6、4 7、4 8、4 9、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99 1、99.2、99 3、99 4、99 5、99 6、99 7、99 8、99.9%のような、当該技術分野で既知の、または本明細書に記載するような液体、ガスもしくは乾燥溶液、混合物、懸濁液、乳液またはコロイドとしての重量、容量、濃度、容量モル濃度またはモル重量濃度で0.00001〜99.9999パーセントを含んでなることができる。本発明のそのような組成物は、このように限定するわけではないが0.00001〜100mg/mlおよび/または0.00001〜100mg/gを含む。
【0118】
組成物は場合により、さらに少なくとも1つの肥満関連薬、抗感染薬、心血管(CV)系薬、中枢神経系(CNS)薬、自律神経系(ANS)薬、気道薬、胃腸管(GI)薬、ホルモン薬、流体もしくは電解質バランスのための薬剤、血液製剤、抗腫瘍薬、免疫調節薬、目、耳もしくは鼻の薬、局所薬、栄養剤等から選択される少なくとも1つの化合物またはタンパク質の有効量を含んでなることができる。そのような薬剤は当該技術分野では周知であり、本明細書で提示するそれぞれについて製剤、適用、投薬および投与を含む(例えばNursing 2001 薬剤のハンドブック(Handbook of Drugs)、第21版、スプリングハウス(Springhouse)社、スプリングハウス、ペンシルバニア州、2001:健康の専門家の薬剤ガイド(Health Professional’s Drug Guide)2001、編集、Shannon,Wilson,Stang、プレンティス−ホール(Prentice−Hall)社、アッパー サドル リバー、ニュージャージー州;薬理治療ハンドブック(Pharmacotherapy Handbook)、Wells et al 、編集、アペルトン&ランゲ(Appleton & Lange)、スタムフォード、コネチカット州を参照にされたい(それぞれ引用により全部、本明細書に編入する))。
【0119】
肥満関連薬は、脂肪異化作用化合物または処置、カフェイン、グリタゾン、インスリンおよび誘導体、スルホニルウレア、メグリチニド、ビグアニド(biguanide)、アルファ−グルコシダーゼインヒビター、タンパク質チロシンホスファターゼ−1B、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3、糖新生インヒビター、ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ(PDH)インヒビター、脂肪分解インヒビター、脂肪酸化インヒビター、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼIおよび/またはIIインヒビター、ベータ−3アドレノレセプターアゴニスト、ナトリウムおよびグルコースコートランスポーター(SGLT)インヒビターの少なくとも1つ、あるいは自己免疫抑制、免疫調節、T細胞の活性
化、増殖、移動および/またはサプレッサー細胞機能、T細胞受容体/ペプチド/MHC−II相互作用の阻害、T細胞アネルギーの誘導、自己反応性T細胞の欠失、血液脳関門をわたるトラフィッキングの減少、炎症性(pro−inflammatory)(Th1)および免疫調節(immunomodulatory)(Th2)サイトカインのバランスの変化、マトリックスメタロプロテアーゼインヒビターの阻害、神経保護、グリオーシスの減少、再−髄鞘形成の促進の1もしくは複数に作用する化合物の少なくとも1つであることができる。
【0120】
GI管薬は、制酸、吸着薬、抗発張剤(antiflatulent)、消化酵素、胆石溶解剤、止瀉薬、緩下薬、制吐薬および抗潰瘍薬から選択される少なくとも1つであることができる。ホルモン薬はコルチコステロイド、アンドロゲン、同化性ステロイド、エストロゲン、プロゲスチン、ゴナドトロピン、抗糖尿病薬から選択される少なくとも1つ、少なくとも1つのグルカゴン、甲状腺ホルモン、甲状腺ホルモンアンタゴニスト、下垂体ホルモン、および副甲状腺様薬であることができる。流体および電解質バランスのための薬剤は、利尿剤、電解質、代替溶液、酸化剤およびアルカリ化剤から選択される少なくとも1つであることができる。血液製剤は造血薬、抗凝固薬、血液誘導体および血栓溶解酵素から選択される少なくとも1つであることができる。抗腫瘍薬はアルキル化剤、代謝拮抗物質、抗生物質系抗腫瘍薬、ホルモンバランスを改変する抗腫瘍薬、および種々雑多な抗腫瘍性薬から選択される少なくとも1つであることができる。免疫調節薬は免疫抑制剤、ワクチン、毒素、抗毒素、抗蛇毒素、免疫血清および生物学的応答モディファイヤーから選択される少なくとも1つであることができる。目、耳および鼻の薬は、目の抗感染薬、目の抗炎症薬、縮瞳薬、散瞳薬、目の血管収縮薬および種々雑多な目、耳、鼻の薬から選択される少なくとも1つであることができる。局所薬は局所用抗感染薬、殺疥癬虫薬、殺シラミ薬および局所用コルチコステロイドから選択される少なくとも1つであることができる。栄養剤はビタミン、無機物または熱量源(caloric)から選択される少なくとも1つであることができる。例えばナーシング 2001 ドラッグハンドブック(Nursing 2001 Drug Handbook)、同上を参照にされたい。
【0121】
少なくとも1つの制酸薬、吸着薬または抗発張薬は、炭酸アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび炭酸カルシウム、マガルドレート、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、シメチコーン、重炭酸ナトリウムから選択される少なくとも1つであることができる。少なくとも1つの消化酵素または胆石溶解薬は、パンクレアチン、パンクレリパーゼおよびウルソジオール(ursodiol)から選択される少なくとも1つであることができる。少なくとも1つの止瀉薬はアタパルジャイト、次サリチル酸ビスマス、ポリカルボフィルカルシウム、塩酸ジフェノキシレートもしくは硫酸アトロピン、ロペラミド、酢酸オクトレオチド(octreotide)、オピウムチンキ、オピウムチンキ(樟脳処理)から選択される少なくとも1つであることができる。少なくとも1つの緩下薬は、ビソコジル(bisocodyl)、ポリカルボフィルカルシウム、カスカラサグラダ、カスカラサグラダ芳香性流エキス剤、カスカラサグラダ流エキス剤、ひまし油、ドキュセートカルシウム、ドキュセートナトリウム、グリセリン、ラクチュロース、クエン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、メチルセルロース、鉱物油、ポリエチレングリコールもしくは電解質溶液、車前子(psyllium)、センナ、リン酸ナトリウムから選択される少なくとも1つであることができる。少なくとも1つの制吐薬は、塩酸クロルプロマジン、ジメンヒドリネート、メシル酸ドラセトロン(dolasetron)、ドロナビノール、塩酸グラニセトロン(granisetron)、塩酸メクリジン、塩酸メトクロプラミド、塩酸オンダンセトロン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、プロクロルペラジンエジシレート(edisylate)、マレイン酸プロクロルペラジン、塩酸プロメタジン、スコポラミン、マレイン酸チエチルペラジン、塩酸トリメトベンザミドから選択される少なくとも1つであることができる。少なくとも1つの抗潰瘍薬は、シメチジン、塩酸シメチジン、ファモチジン、ランソプラゾール(lansoprazole)、ミソプロストール、ニザチジン、オメプラゾール、ラベプラゾールナトリウム、クエン酸ランチジン(rantidine)ビスマス、塩酸ラニチジン、スクラルフェートから選択される少なくとも1つであることができる。(例えばナーシング 2001 ドラッグハンドブックの第643〜95頁を参照されたい。)少なくとも1つの抗糖尿病薬またはグルカオンはアカルボース、クロロプロパミド、グリメピリド(glimepiride)、グリピジド(glipizide)、グルカゴン、グリブリド、インスリン、塩酸メトホルミン、ミグリトール(miglitol)、塩酸ピオグリタゾン(pioglitazone)、レパグリニド(repaglinide)、マレイン酸ロシグリタゾン(rosiglitazone)、トログリタゾンから選択される少なくとも1つであることができる。少なくとも1つの甲状腺ホルモンは、レボチロキシン(levothyroxine)ナトリウム、リオチロニン(liothyronine)ナトリウム、リオトリックス(liotrix)、チロイド(thyroid)から選択される少なくとも1つであることができる。少なくとも1つの甲状腺ホルモンアンタゴニストは、メチマゾール、ヨウ化カリウム、ヨウ化カリウム(飽和溶液)、プロピルチオウラシル、放射性ヨウ素(ヨウ化ナトリウム131I)、強いヨウ素溶液から選択される少なくとも1つであることができる。少なくとも1つの下垂体ホルモンは、コルチコトロピン、コシントロピン、酢酸デスモプレシン、酢酸ロイプロリド、rGLP−1シトリ−コルチコトロピン、ソマトレム、ソマトロピン、バソプレッシンから選択される少なくとも1つであることができる。少なくとも1つの副甲状腺様薬は、カルシフェジオール(calcifediol)、カルシトニン(ヒト)、カルシトニン(サケ)、カルシトリオール、ジヒドロタキステロール(dihydrotachysterol)、エチドロネート二ナトリウムから選択される少なくとも1つであることができる。(例えばナーシング 2001 ドラッグハンドブックの第696〜796頁を参照されたい。)
少なくとも1つの利尿剤は、アセタゾラミド、アセタゾラミドナトリウム、塩酸アミロライド、ブメタニド(bumetanide)、クロルタリドン、エタクリネートナトリウム、エタクリン酸、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、インダパミド(indapamide)、マンニトール、メトラゾン、スピロノラクトン、トルセミド(torsemide)、トリアムテレン、尿素から選択される少なくとも1つであることができる。少なくとも1つの電解質または代替溶液は、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、カルシウムグルビオネート、カルシウムグルセプテート、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、リン酸カルシウム(三塩基性)、デキストラン(高分子量)、デキストラン(低分子量)、ヘタスターチ、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸カリウム、重炭酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、リンゲル注入液、リンゲル注入液(乳酸化)、塩化ナトリウムから選択される少なくとも1つであることができる。少なくとも1つの酸性化剤またはアルカリ性化剤は、重炭酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、トロメタミンから選択される少なくとも1つであることができる。(例えばナーシング 2001 ドラッグハンドブックの第797〜833頁を参照されたい。)
【0122】
少なくとも1つの造血薬は、フマル酸鉄、グルコン酸鉄、硫酸鉄、硫酸鉄(乾燥化)、デキストラン鉄、ソルビトール鉄、多糖−鉄錯体、グルコン酸鉄ナトリウム錯体から選択される少なくとも1つであることができる。少なくとも1つの抗凝固薬は、アルデパリン(ardeparin)ナトリウム、ダルテパリン(dalteparin)ナトリウム、ダナパロイド(danaparoid)ナトリウム、エノキサパリン(enoxaparin)ナトリウム、ヘパリンカルシウム、ヘパリンナトリウム、ワルファリンナトリウムから選択される少なくとも1つであることができる。少なくとも1つの血液誘導体は、アルブミン5%、アルブミン25%、抗血友病因子、抗−インヒビター凝固複合体、アンチトロンビンIII(ヒト)、第IX因子(ヒト)、第IX因子複合体、血漿タンパク質画分から選択される少なくとも1つであることができる。少なくとも1つの血栓溶解酵素はアルテプラーゼ(alteplase)、アニストレプラーゼ(anistreplase)、レテプラーゼ(reteplase)(組換え)、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼから選択される少なくとも1つであることができる。(例えばナーシング 2001ドラッグハンドブックの第834〜66頁を参照されたい。)
【0123】
少なくとも1つの局所抗感染剤は、アシクロビル、アンフォテリシンB、アゼラ酸(azelaic acid)クリーム、バシトラシン、硝酸ブトコナゾール、リン酸クリンダマイシン、クロトリマゾール、硝酸エコナゾール、エリスロマイシン、硫酸ゲンタマイシン、ケトコナゾール、酢酸マフェナイド、メトロニダゾール(局所)、硝酸ミコナゾール、ムピロシン(mupirocin)、塩酸ナフチファイン、硫酸ネオマイシン、ニトロフラゾン、ニスタチン、銀スルファジアジン、塩酸テルビナファイン(terbinafine)、テルコナゾール(terconazole)、塩酸テトラサイクリン、チオコナゾール、トルナフテートから選択される少なくとも1つであることができる。少なくとも1つの殺疥癬虫薬または殺シラミ薬は、クロタミトン、リンダン、ペルメトリン(permethrin)およびピレトリンから選択される少なくとも1つであることができる。少なくとも1つの局所コルチコステロイドは、ベタメタゾンジプロピオネート、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、リン酸ナトリウムデキサメタゾン、ジフロラゾンジアセテート、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン(fluticasone)、ハルシオニド(halcionide)、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、モメタゾンフロエート(mometasone furoate)、トリアムシノロンアセトニドから選択される少なくとも1つであることができる。(例えばナーシング 2001 ドラッグハンドブックの第1098〜1136頁を参照されたい。)
少なくとも1つのビタミンまたは無機物は、ビタミンA、ビタミンB複合体、シアノコバラミン、葉酸、ヒドロキソコバラミン、ロイコボリンカルシウム、ナイアシン、ナイアシンアミド、塩酸ピリドキシン、リボフラビン、塩酸チアミン、ビタミンC、ビタミンD、コレカルシフェロール、エルゴカルシフェロール、ビタミンD類似体、ドキセルカルシフェロール(doxercalciferol)、パリカルシトール(paricalcitol)、ビタミンE、ビタミンK類似体、フィトナジオン、弗化ナトリウム、弗化ナトリウム(局所)、微量元素、クロム、銅、ヨウ素、マンガン、セレン、亜鉛から選択される少なくとも1つであることができる。少なくとも1つの熱量源は、アミノ酸浸剤(結晶)、デキストロース中のアミノ酸浸剤、電解質とのアミノ酸浸剤、デキストロース中の電解質とのアミノ酸浸剤、肝不全のためのアミノ酸浸剤、高代謝ストレスのためのアミノ酸浸剤、腎不全のためのアミノ酸浸剤、デキストロース、脂肪乳剤、中鎖トリグリセリドから選択される少なくとも1つであることができる。(例えばナーシング 2001 ドラッグハンドブックの第1137〜63頁を参照されたい。)
【0124】
本発明のGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物は、さらに限定するわけではないが希釈剤、結合剤、安定化剤、バッファー、塩、親油性溶媒、保存剤、アジュバント等のような少なくとも1つの任意の適切な補助剤を含んで成ることができる。製薬学的に許容される補助剤が好適である。そのような滅菌溶液の非限定的な例および調製法は、限定するわけではないがGennaro、編集、レミングトンの製薬科学、第18版、メルク出版社(イーストン、ペンシルバニア州)1990のように当該技術分野では周知である。GLP−1ミメティボディ組成物の投与様式、溶解性および/または安定性に適する製薬学的に許容され得る担体は日常的に、ならびに当該技術分野で周知であるように、または本明細書に記載するように通常に選択され得る。
【0125】
本組成物に有用な製薬学的賦形剤および添加剤には、限定するわけではないがタンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質および炭水化物(例えば単糖、二−、三−、四−およびオリゴ糖、アルジトール、アルドン酸、エステル化糖のような誘導化糖、および多糖または
糖ポリマーを含む糖類)を含み、これらは単独で、または1〜99.99重量もしくは容量%の組み合わせで存在することができる。例示的タンパク質は賦形剤は、ヒト血清アルブミン(HSA)、組換えヒト血清アルブミン(rHA)のような血清アルブミン、ゼラチン、カゼイン等を含む。緩衝能においても機能し得る代表的なアミノ酸/GLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント成分には、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテーム等を含む。1つの好適なアミノ酸はグリシンである。
【0126】
本発明の使用に適する炭水化物賦形剤には、例えばフルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D−マンノース、ソルボース等のような単糖、ラクトース、シュクロース、トレハロース、セルビオース糖の二糖、ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、澱粉糖の多糖、およびマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール(グルシトール)、ミオイノシトール等のアルジトールを含む。本発明の使用に適する好適な炭水化物賦形剤は、マンニトール、トレハロースおよびラフィノースである。
【0127】
GLP−1ミメティボディ組成物は、バッファーまたはpH調整剤を含むこともでき;典型的にはバッファーは有機酸または塩基から調製される塩である。代表的なバッファーには、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、カルボン酸、酒石酸、コハク酸、酢酸またはフタル酸の塩のような有機酸塩;Tris、トロメタミン塩酸塩またはリン酸バッファーを含む。本組成物の使用に好適なバッファーはクエン酸塩のような有機酸塩である。
【0128】
さらに本発明のGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物は、ポリビニルピロリドン、フィコール(ポリマー性糖)、デキストレート(例えば2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンのようなシクロデキストリン)、ポリエチレングリコールのようなポリマー性賦形剤/添加剤、風味剤、抗微生物剤、甘味剤、酸化防止剤、帯電防止剤、表面活性剤(例えば“TWEEN 20”および“TWEEN 80”のようなポリソルベート)、脂質(例えばリン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えばコレステロール)およびキレート化剤(例えばEDTA)を含むことができる。
【0129】
本発明によるGLP−1ミメティボディ組成物で使用するために適するこれらのおよびさらに知られている製薬学的賦形剤および/または添加剤は当該技術分野では既知であり、例えば「レミングトン:薬学の科学&実践(Remington:The Science & Practice of Pharmacy)」、第19版、ウィリアムス&ウィリアムス(Williams & Williams)、(1995)および「医師の卓上レファレンス(Physician’s Desk Reference)」、第52版、メディカル エコノミックス、モントバレー、ニュージャージー州(1998)に列挙され、この開示は引用により全部、本明細書に編入する。好適なキャリアーまたは賦形剤材料は炭水化物(例えば糖およびアルジトール)およびバッファー(例えばクエン酸塩)またはポリマー性剤である。
【0130】
製剤
上記のように本発明は安定な製剤を提供し、これは好ましくは食水または選択した塩を含む適当なバッファー、ならびに保存剤を含有する任意選択の保存溶液および製剤、ならびに製薬学的または獣医学的使用に適する多用途保存製剤であり、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントを製薬学的に許容される製剤中に含んで成る。保存製剤は少なくとも1つの既知の保存剤または任意に少なくとも1つのフェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、亜硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、
クロロブタノール、塩化マンガン(例えばヘキサヒドレート)、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンズエトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびチメロサール、またはそれらの混合物から成る群から選択される保存剤を水性希釈剤中に含む。適当な濃度または混合物は、0.001〜5%のような、または限定するわけではないが0.001、0.003、0.005、0.009、0.01、0.02、0.03、0.05、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.3、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9またはこの中の任意の範囲または値のような、当該技術分野で知られているように使用することができる。非限定的な例には、保存剤なし、0.1〜2% m−クレゾール(例えば0.2、0.3、0.4、0.5、0.9、1.0%)、0.1〜3%ベンジルアルコール(例えば0.5、0.9、1.1、1.5、1.9、2.0、2 5%)、0.001〜0.5%チメロサール(例えば0.005、0.01)、0.001〜2.0%フェノール(例えば0.05、0.25、0.28、0.5、0.9、1.0%)、0.0005〜1.0%アルキルパラベン(1つまたは複数)(例えば0.00075、0.0009、0.001、0.002、0.005、0.0075、0.009、0.01、0.02、0.05、0.075、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.75、0.9、1.0%)等を含む。
【0131】
上記のように、本発明は包装材料および場合により水性希釈剤中に処方されたバッファーおよび/または保存剤を含む少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントの溶液を含んで成る少なくとも1つのバイアルを含んで成る製品を提供し、ここで該包装材料は、そのような溶液が1、2、3、4、5、6、9、12、18、20、24、30、36、40、48、54、60、66、72時間以上保持できることを示すラベルを含んで成る。本発明はさらに、包装材料、凍結乾燥した少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントを含んで成る第1バイアル、および処方されたバッファーまたは保存剤の水性希釈剤を含んで成る第2バイアルを含んで成る製品を含んで成り、ここで該包装材料は患者が少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントを水性希釈剤中に再構成して、24時間以上の期間にわたり保持できる溶液を形成することを指導するラベルを含んで成る。
【0132】
本発明に従い使用する少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントは、哺乳動物細胞または導入遺伝子調製物を含む組換え手段により生産できるか、あるいは本明細書に記載し、または当該技術分野で既知の他の生物起源から精製することができる。
【0133】
本発明の生成物中の少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントの量の範囲は、湿潤/乾燥系である場合、構成時に約0.01μg/ml〜約100mg/mlの濃度を生じる量を含むが、より低および高濃度も操作可能であり、そして意図する送達賦形剤に依存し、例えば溶液組成は経皮用パッチ、肺、経粘膜または浸透圧もしくはマイクロポンプ法とは異なるだろう。
【0134】
好ましくは水性希釈剤は場合によりさらに製薬学的に許容できる保存剤を含んで成る。好適な保存剤には、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンズエトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびチメロサール、またはそれらの混合物から成る群から選択されるものを含む。製剤中
に使用する保存剤の濃度は、抗−微生物効果を生じるために十分な濃度である。そのような濃度は選択した保存剤に依存し、そして当業者により容易に決定される。
【0135】
他の賦形剤、例えば張性調整剤、バッファー、酸化防止剤、保存強化剤を場合により、そして好ましくは希釈剤に加えることができる。グリセリンのような張性調整剤は既知の濃度で通常に使用される。生理学的に耐容されるバッファーは好ましくは改善されたpH制御を提供するために加える。製剤は約pH4〜約pH10のような広いpH範囲を網羅することができ、そして好ましい範囲は約pH5〜約pH9、そして最も好ましくは約6.0〜約8.0の範囲である。好ましくは本発明の製剤は約6.8から約7.8の間のpHを有する。好適なバッファーにはリン酸バッファー、最も好ましくはリン酸ナトリウム、特にリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を含む。
【0136】
Tween 20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、Tween 40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、Tween 80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート)、Pluronic F68(ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレン ブロック コポリマー)およびPEG(ポリエチレングリコール)、あるいはポリソルベート20もしくは80、またはポリオキサマー184もしくは188、Pluronic(商標)ポリリス(polyls)、他のブロック コポリマーのような非イオン性表面活性剤のような製薬学的に許容される可溶化剤、およびEDTAおよびEGTAのようなキレーターのような他の添加剤を、凝集を減らすために製剤または組成物に場合により加えることができる。これらの添加剤は製剤を投与するためにポンプまたはプラスチック容器が使用される場合に特に有用である。製薬学的に許容される表面活性剤の存在は、タンパク質が凝集する傾向を緩和する。
【0137】
本発明の製剤は、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント、およびフェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンズエトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびチメロサールまたはそれらの混合物から成る群から選択される保存剤を、水性希釈剤中で混合することを含んで成る方法により調製することができる。少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントおよび保存剤を水性希釈剤中で混合することは、通例の溶解および混合手順を使用して行う。適切な製剤を調製するために、例えば所望の濃度のタンパク質および保存剤を提供するために十分な量で、バッファー溶液中の計測した量で少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントをバッファー溶液中の所望の保存剤と合わせる。この方法の変法は当業者により認識されているだろう。例えば加える成分の順序、さらなる添加剤を使用するのかどうか、製剤が調製される温度およびpHは、濃度および使用する投与手段のために至適化され得るすべての因子である。
【0138】
特許請求する製剤は、透明溶液として、または水、保存剤および/または賦形剤、好ましくはリン酸バッファーおよび/または食塩および選択した塩を水性希釈剤中に含む第2バイアルで再構成する凍結乾燥した少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントのバイアルを含んで成る2個のバイアルの状態で患者に提供することができる。単一溶液のバイアルまたは再構成が必要な2個のバイアルのいずれも複数回、再使用され、そして患者処置の単回または多回サイクルを満たし、そしてこれにより現在利用できるものより都合よい処置法を提供することができる。
【0139】
特許請求する製品は、すぐに、そして24時間以上の期間にわたり投与するために有用である。したがってここで特許請求する製品は、患者に重要な利点を提供する。本発明の製剤は場合により約2〜約40℃の温度で安全に保存され、そして長期間にわたりタンパ
ク質の生物活性を保持することができ、すなわちその溶液が6、12、18、24、36、48、72または96時間以上の期間にわたり保持でき、かつ/または使用できることを示す包装ラベルを付すことを可能とする。保存希釈剤を使用する場合、そのようなラベルは1〜12カ月、半年、1年半および/または2年までの少なくとも1つの使用を含むことができる。
【0140】
本発明の少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントの溶液は、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントを水性希釈剤中で混合することを含んで成る方法により調製することができる。混合は通例の溶解および混合手順を使用して行う。適当な希釈剤を調製するためには、例えば所望の濃度のタンパク質および場合により保存剤またはバッファーを提供するために十分な量で、水またはバッファー中に計測した少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント量を合わせる。この方法の変法は当業者により認識されているだろう。例えば加える成分の順序、さらなる添加剤を使用するかどうか、製剤が調製される温度およびpHは、濃度および使用する投与の手段のために至適化され得るすべての因子である。
【0141】
特許請求する製品は、透明溶液として、または水性希釈剤を含む第2バイアルで再構成する凍結乾燥した少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントのバイアルを含んで成る2個のバイアルとして患者に提供することができる。単一溶液のバイアルまたは再構成が必要な2個のバイアルのいずれかは多数回、再使用することができ、そして患者処置の単回または多回サイクルを満たし、そしてこれにより現在利用できるものより都合よい処置法を提供する。
【0142】
特許請求する製品は、薬局、医院または他のそのような研究所および施設に、透明溶液または水性希釈剤を含む第2バイアルで再構成する凍結乾燥した少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントのバイアルを含んで成る2個のバイアルを提供することより、患者に間接的に提供することができる。この場合、透明溶液は1リットルまで、またはそれより大きなサイズであることができ、大きなリザーバーを提供して、そこからより小さいバイアルに移すために、より少量の少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント溶液が1または多数回引き出され、そして薬局または医院により使用者および/または患者に提供され得る。
【0143】
これらの単一バイアル系を含んで成る認識されているデバイスは、Humaject(商標)、NovoPen(商標)、B−D(商標)Pen、AutoPen(商標)およびOptiPen(商標)のような溶液送達用のペン型注入デバイスを含む。2個のバイアル系を含んで成る認識されているデバイスは、HumatroPen(商標)のような再構成された溶液を送達するためのカートリッジ中で、凍結乾燥された薬剤を再構成するためのそれらペン−注入系を含む。
【0144】
ここで特許請求する製品には包装材料を含む。包装材料は管理会社が必要とする情報に加えて、製品を使用できる条件を提供する。本発明の包装材料は、2つのバイアルの湿潤/乾燥製品について、患者が水性希釈剤中で少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントを再構成して溶液を形成し、そして2〜24時間以上の期間にわたり溶液を使用するための使用説明を提供する。単一バイアル溶液の製品については、ラベルはそのような溶液が2〜24時間以上にわたり使用できることを示す。ここで特許請求する製品は、ヒトの医薬品としての使用に有用である。
【0145】
本発明の製剤は少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントおよび選択されたバッファー、好ましくは食塩または選択した塩を含むリン酸
バッファーを混合することを含んで成る方法により調製することができる。少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントおよびバッファーを水性希釈剤中で混合することは、通例の溶解および混合法を使用して行う。適当な製剤を調製するためには、例えば所望の濃度のタンパク質およびバッファーを提供するために十分な量で、計測した量の少なくとも1つGLP−1ミメティボディまもしくは定部分もしくはバリアントを、水中の所望の緩衝剤と水中で合わせる。この方法の変法は当業者により認識されているだろう。例えば加える成分の順序、さらなる添加剤を使用するかどうか、製剤が調製される温度およびpHは、濃度および使用する投与の手段のために至適化され得るすべての因子である。
【0146】
特許請求する安定な、または保存された製剤は、透明溶液として、または水性希釈剤中に保存剤またはバッファーおよび賦形剤を含む第2バイアルで再構成する凍結乾燥した少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントのバイアルを含んで成る2個のバイアルとして患者に提供することができる。単一溶液のバイアルまたは再構成が必要な2個のバイアルのいずれも多数回、再使用することができ、そして単回または複数のサイクルで患者を処置するために十分であり、すなわち現在利用できるものよりも都合良い処置法を提供することができる。
【0147】
本明細書に記載する安定な、または保存された製剤または溶液のいずれかの中の少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントは、本発明に従いSCまたはIM注射;経皮、肺、経粘膜、インプラント、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプまたは当業者により、あるいは当該技術分野で周知であるような他の手段を含む種々の送達法を介して患者に投与することができる。
【0148】
治療的応用
またミメティボディに関する本発明は、成人発症または若年性のインスリン依存性、非インスリン依存性等の肥満関連障害を調節し、または処置する方法を提供し、それらには限定するわけではないが細胞、組織、器官、動物または患者におけるインスリン耐性、高血糖、低血糖、膵炎、クッシング症候群(Sushing’s syndrome)、黒色表皮症、脂肪組織萎縮糖尿病、網膜症、ネフロパシー、多発性神経障害、単神経障害、自律性神経障害、潰瘍、足潰瘍、関節の問題、感染(例えば真菌もしくは細菌性)等のような随伴する兆候および症状を含む。
【0149】
また本発明は、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1つの肥満関連免疫疾患をモジュレートまたは処置する方法を提供し、これらの疾患には限定するわけではないが、成人発症または若年性のインスリン依存性、非インスリン依存性等の少なくとも1つのI型またはII型糖尿病気を含み、限定するわけではないがインスリン耐性、非インスリン耐性、高血糖、低血糖、膵炎、クッシング症候群、黒色表皮症、脂肪組織萎縮糖尿病、網膜症、ネフロパシー、多発性神経障害、単神経障害、自律性神経障害、潰瘍、足潰瘍、関節の問題、感染(例えば真菌もしくは細菌性)等のような随伴する兆候および症状を含む。例えばメルクマニュアル(Merck Manual)、第12〜第17版、メルク&カンパニー(Merck & Company)、ラーウェイ、ニュージャージー州(1972、1977、1982、1987、1992、1999)、薬理療法ハンドブック、Wells et al.、編集、第2版、アペルトン アンド ランジ、スタムフォード、コネチカット州(1998、2001)を参照にされたい。各々、引用により全部、本明細書に編入する)。
【0150】
そのような方法は場合により、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントを含んで成る有効量の組成物または製薬学的組成物を、そのようなモジュレーション、処置または治療が必要な細胞、組織、器官、動物または患者に投
与することを含んで成る。
【0151】
本発明の任意の方法は、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントを含んで成る有効量の組成物または製薬学的組成物を、そのようなモジュレーション、処置または治療が必要な細胞、組織、器官、動物または患者に投与することを含んで成る。そのような方法は場合よりそのような免疫疾患を処置するためのさらに同時投与または併用療法を含んで成ることができ、ここで該少なくとも1つGLP−1ミメティボディ、それらの特定部分もしくはバリアントの投与は、さらに事前、同時および/または後に、少なくとも1つのTNFアンタゴニスト(例えば限定するわけではないが、TNF抗体もしくはフラグメント、可溶性TNF受容体もしくはフラグメント、それらの融合タンパク質、または低分子TNFアンタゴニスト)、抗リウマチ薬、筋弛緩剤、麻薬、非−ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、鎮痛剤、麻酔薬、鎮静剤、局所麻酔薬、神経筋遮断剤、抗菌剤(例えばアミノグルコシド、抗菌・カビ剤、駆虫剤、抗ウイルス剤、カルバペネム(carbapenem)、セファロスポリン、フルオロルキノロン(flurorquinolone)、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、他の抗微生物剤)、止痒剤、コルチコステロイド、同化性ステロイド、糖尿病関連薬、無機類、栄養、甲状腺剤、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、止冩薬、鎮咳剤、制吐剤、抗潰瘍剤、緩下剤、抗凝血剤、エリスロポエチン(例えばGLP−1エチン アルファ)、フィルグラスチム(filgrastim)(例えばG−CSF、Neupogen)、サルグラモスチン(GM−CSF、Leukine)、免疫感作、免疫グロブリン、免疫抑制薬(例えばバシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン代用薬、エストロゲン受容体モジュレーター、散瞳薬、毛様体筋麻痺薬、アルキル化薬、代謝拮抗物質、有糸分裂インヒビター、放射性薬品、抗鬱薬、抗躁薬、抗精神病薬、抗不安薬、催眠薬、交換神経作用薬、刺激物質、ドネゼピル、タクリン、喘息薬物療法、ベータアゴニスト、吸入ステロイド、ロイコトリエンインヒビター、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリンもしくは類似体、ドルナーゼアルファ(Pulmozyme)、サイトカインもしくはサイトカインアンタゴニストから選択される少なくとも1つを投与すること含んでなる。適切な投薬用量は、当該技術分野では周知である。例えばWells et al.、編集、薬理療法ハンドブック(Pharmacotherapy Handbook)、第2版、アペルトン アンド ランジ(Appleton and Lange)、スタムフォード、コネチカット州(2000):PDR薬局方、タラスコンポケット薬局方(Tarascon Pocket Pharmacopoeia)2000、豪華版、タラスコン出版社、ローマ リンダ、カリフォルニア州(2000)を参照にされたい(それぞれ引用により全部、本明細書に編入する)。
【0152】
典型的には病的状態の処置は少なくとも1つのGLP−1ミメティボディ組成物の有効量または投薬用量を投与することにより行われ、この量は用量あたり組成物中に含まれる比活性に依存して投与あたり全部で、平均して、範囲で少なくとも約0.0001から500ミリグラムの少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント/(患者1キログラム)、そして好ましくは単回または多回投与あたり少なくとも約0.001〜100ミリグラムのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分またはバリアント/(患者体重1キログラム)である。あるいは効果的な血清濃度は、単回または多回投与あたり0.001〜5000μg/mlの血清濃度を構成することができる。適当な投薬用量は医師が知っており、そしてもちろん特定の疾患状態、投与する組成物の比活性、および処置を受ける特定の患者に依存する。場合により所望する治療的量を達成するために、繰り返し投与、すなわち特定の監視され、または計量された用量の反復個別投与を提供することが必要となる可能性があり、ここで個別投与は所望の毎日の用量または効果が達成されるまで繰り返される。
【0153】
好適な用量は任意に、0.0001、0.0002、0.0003、0.0004、0
.0005、0.0006、0.0007、0.0008、0.0009、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29および/または30mg/kg投与、あるいはそれらの任意の範囲、値または画分を含むことができ、あるいは単回または多回投与あたり0.0001、0.0002、0.0003、0.0004、0.0005、0.0006、0.0007、0.0008、0.0009、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.5、0.9、1.0、1.1、1.2、1.5、1.9、2.0、2.5、2.9、3.0、3.5、3.9、4.0、4.5、4.9、5.5、5.9、6.0、6.5,6.9、7.0、7.5、7.9、8.0、8.5、8.9、9.0、9.5、9.9、10、10.5、10.9、11、11.5、11.9、20、12.5、12.9、13.0、13.5、13.9、14.0、14.5、4.9、5.0、5.5、5.9、6.0、6.5、6.9、7.0、7.5、7.9、8.0、8.5、8.9、9.0、9.5、9.9、10、10.5、10.9、11、11.5、11.9、12、12.5、12.9、13.0、13.5、13.9、14、14.5、15、15.5、15.9、16、16.5、16.9、17、17.5、17.9、18、18.5、18.9、19、19.5、19.9、20、20.5、20.9、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、96、100、200、300、400および/または500μg/ml血清濃度あるいはそれらの任意の範囲、値または画分の血清濃度を達するために含むことができる。
【0154】
あるいは投与する投薬用量は、特定の薬剤の薬物動態学的特性、およびその投与の様式および経路;受容体の年齢、健康および体重;症状の性質および程度、現行処置の種類、処置の頻度、および所望する効果のような既知の因子に大変依存し得る。通常、有効成分の投薬用量は、体重1キログラムあたり約0.0001〜100ミリグラムとなり得る。多くは投与あたり1キログラムにつき0.001〜10、そして好ましくは0.001〜1ミリグラムであることができ、あるいは徐放性形態が所望の効果を得るために効果的である。
【0155】
非限定的な例として、ヒトまたは動物の処置は、1日あたり0.0002、0.0003、0.0004、0.0005、0.0006、0.0007、0.0008、0.0009、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.9、1.0、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9または10mg/kgのような0.0001〜100mg/kgの本発明の少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントを1回に、または周期的用量として、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40日に少なくとも1回、あるいは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20週に少なくとも1回、あるいはそれらを組み合わせて、単回、注入または反復投与を使用して提供することができる。
【0156】
内部投与に適する剤形(組成物)は、一般に単位または容器あたり約0.0001ミリグラム〜約500ミリグラムの有効成分を含む。これらの製薬学的組成物では、有効成分は通常、組成物の総重量に基づき約0.5〜99.999重量%の量で存在するだろう。
【0157】
非経口投与には、GLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントは溶液、懸濁液、乳液または凍結乾燥粉末として製剤することができ、一緒にまたは別に製薬学的に許容される非経口賦形剤が提供される。そのような賦形剤の例は、水、塩水、リンゲル溶液、デキストロース溶液および5%ヒト血清アルブミンである。リポソームおよび固定油のような非水性賦形剤を使用することもできる。賦形剤または凍結乾燥粉末は、等張性(例えば塩化ナトリウム、マンニトール)および化学的安定性(例えばバッファーおよび保存剤)を維持するための添加剤を含むことができる。製剤は既知のまたは適当な技術で滅菌される。
【0158】
適当な製薬学的キャリアーは、この分野の標準的な参考書である最新版のレミングトンの製薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、A.Osolに記載されている。
【0159】
治療的投与
多くの既知の、および開発された様式を、製薬学的に有効な量の本発明の少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントを投与するために使用することができる。本発明のGLP−1ミメティボディは、溶液、乳液、コロイドもしくは懸濁液として、または粉末として、吸入または本明細書に記載し、もしくは当該技術分野で既知の他の様式により投与するために適する種々のデバイスおよび方法を使用することにより担体中で送達することができる。
【0160】
非経口製剤および投与
非経口投与用の製剤は、通常の賦形剤として滅菌水または塩水、ポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコール、植物起源の油、水素化ナフタレン等を含むことができる。注入用の水性または油性懸濁液は、既知の方法に従い適当な乳化剤または加湿剤および沈殿防止剤を使用して調製することができる。注入用の薬剤は、水溶液または滅菌された注入可能溶液または溶媒中の懸濁液のような非毒性で、非経口投与可能な希釈剤であることができる。使用可能な賦形剤または溶剤として、水、リンゲル溶液、等張性塩水等を利用できる;通例の溶媒、または沈殿防止溶媒として、滅菌された非揮発性油を使用することができる。これらの目的のために、任意の種類の非揮発性油および脂肪酸を使用でき、それらには天然または合成または半合成の脂肪油または脂肪酸;天然または合成または半合成のモノ−もしくはジ−またはトリ−グリセリドを含む。非経口投与は当該技術分野で知られており、そして限定するわけではないが通例の注入手段、米国特許第5,851,198号明細書に記載されたガスで圧縮した、針を含まない注入デバイス、および米国特許第5,839,446号明細書に記載されたレーザーパーホレーターデバイスを含む(これらの明細書は引用により全部、本明細書に編入する)。
【0161】
代替送達
本発明はさらに少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントの、非経口的、皮下、筋肉内、静脈内、ボーラス、膣、直腸、頬内、舌下、鼻内または経皮的手段による投与に関する。タンパク質、GLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物は、非経口(皮下、筋肉内もしくは静脈内)投与、特に液体溶液もしくは懸濁液の状態で使用するために;膣または直腸投与、特にクリームおよび坐薬のような半固体形で使用するために;頬内、または舌下投与、特に錠剤またはカプセル形態で;あるいは鼻内、特に粉末、点鼻またはエーロゾルまたは特定薬剤(certain agent)の形態で;あるいは皮膚構造をモディファイし、または経皮パッチ中の薬剤濃度を上げるためのジメチルスルフォキシドのような化学的エンハンサー(Junginger et al.、「薬剤の浸透強化(Drug Permeation Enhancement)」;Hsieh,D.S.、編集、第59−90頁(マルセルデッカー(Marcel Dekker)社、ニューヨーク 1994、引用により全部、本明細書に編入する)を用いて、またはタンパク質およびペプチドを含む製剤の皮膚上への適用を可能にする酸化剤(国際公開第98/53847号パンフレット)を用いて、または電気穿孔のような一過性の輸送路を作るために電場を適用して、またはイオン導入法のような皮膚を通る荷電した薬剤の移動性を上げるために、またはソノホレシス(sonophoresis)のような超音波を適用して(米国特許第4,309,989号および同第4,767,402号明細書)、経皮的に、特にゲル、軟膏、ローション、懸濁液またはパッチ送達系の状態で使用するために調製することができる(上記の刊行物および特許は引用により全部、本明細書に編入する)。
【0162】
肺/鼻投与
肺投与には、好ましくは少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物は、肺または洞のより下部気道に到達するために効果的な粒子サイズで送達される。本発明に従い、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントは、吸入による治療薬の投与について当該技術分野で既知の種々の吸入または鼻デバイスにより送達することができる。エーロゾル化した製剤を患者の洞腔または肺胞に沈積させることができるこれらのデバイスには、定量吸入器、ネブライザー、乾燥粉末ジェネレーター、噴霧器等を含む。GLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントを肺または鼻投与に向けるための適当な他のデバイスも当該技術分野では既知である。すべてのそのようなデバイスは、エーロゾル中のGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントを分配するための投与に適する製剤に使用することができる。そのようなエーロゾルは、溶液(水性または非水性の両方)または固体粒子のいずれかから成ることができる。Ventolin(商標)定量吸入器のような定量呼入器は、多くは推進ガスを使用し、そして吸息中の作動が必要である(例えば国際公開第94/16970号、同第98/35888号パンフレットを参照にされたい)。Turbuhaler(商標)(アストラ:Astra)、Rotahaler(商標)(グラクソ:Glaxo)、Diskus(商標)(グラクソ)、Spiros(商標)呼入器(ジュラ:Dura)、インハーレセラピューティクス(Inhale Therapeutics)により販売されているデバイスおよびSpinhaler(商標)粉末呼入器(フィソンス:Fisons)のような粉末吸入器は、混合粉末の呼吸作動を使用する(米国特許第4668218号明細書 アストラ、欧州特許第237507号明細書 アストラ、国際公開第97/25086号パンフレット グラクソ、国際公開第94/08552号パンフレット ジュラ、米国特許第5458135号明細書 インハーレ、国際公開第94/06498号パンフレット フィソンス、すべて引用により本明細書に編入する)。AERx(商標)アラディギム(Aradigm)、Ultravent(商標)ネブライザー(マリンクロッド:Mallinckrodt)、およびAcornII(商標)ネブライザー(マークエスト メディカル プロダクツ:Marquest Medical Products)(米国特許第5404871号明細書 アラディギム、国際公開第97/22376号パンフレット)のようなネブライザー(上記技術文献は引用により全部、本明細書に編入する)は、溶液からエーロゾルを生成するが、定量吸入器、乾燥粉末吸入器等は、小さい粒子のエーロゾルを生成する。市販されている吸入器デバイスのこれらの具体的例は、本発明の実施に適する具体的なデバイスの代表例であることを意図し、そして本発明の範囲を限定するものではない。好ましくは少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントを含んで成る組成物は、乾燥粉末吸入器または噴霧器により送達される。本発明の少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントを投与するための吸入デバイスには幾つかの望ましい特徴がある。例えば吸入デバイスによる送達は有利には、信頼性があり、再現性があり、そして正確であることである。吸入デバイスは場合により、良好な呼吸適性のために小さい乾燥粒子(例えば約10μm未満、好ましくは約1〜5μm)を送達することができる。
【0163】
噴霧としてのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物の投与
GLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物タンパク質を含む噴霧は、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントの懸濁液または溶液を、加圧下のノズルを通すことにより生成することができる。ノズルのサイズおよび形状、かける圧力および液体供給速度は、所望の出力および粒子サイズを達成するために選択することができる。電気噴霧は例えば毛細管またはノズル供給部に連結した電場により生成できる。有利には噴霧器により送達される少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物タンパク質の粒子は、約10μm未満、好ましくは約1〜約5μmの範囲、そして最も好ましくは約2μm〜3μmの粒子サイズを有する。
【0164】
噴霧器で使用するために適当な少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物タンパク質の製剤は、典型的には水溶液中、1mlの溶液あたり約1mg〜約20mgの濃度で少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物タンパク質の濃度で、水溶液中にGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物タンパク質を含む。製剤は賦形剤、バッファー、張性調整剤、保存剤、表面活性剤および好ましくは亜鉛のような作用物質(agent)を含むことができる。製剤はまた、GLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物タンパク質を安定化するために、バッファー、還元剤、バルクタンパク質または炭水化物のような賦形剤または作用物質を含むこともできる。GLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物タンパク質を製剤するために有用なバルクタンパク質には、アルブミン、プロタミン等を含む。GLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物タンパク質を製剤するために有用な典型的な炭水化物には、シュクロース、マンニトール、ラクトース、トレハロース、グルコース等を含む。GLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物タンパク質製剤は、エーロゾルを形成する溶液の噴霧化により引き起こされるGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物タンパク質の表面が誘導する凝集を下げ、または防止することができる表面活性剤を含むこともできる。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルのような種々の通例の表面活性剤を使用することができる。量は一般に製剤の0.001から14重量%の間である。本発明の目的に特に好適な表面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリソルベート80、ポリソルベート20等である。ミメティボディまたは特定部分またはバリアントのようなタンパク質の製剤のために、当該技術分野で既知のさらなる作用物質も製剤に含むことができる。
【0165】
ネブライザーによるGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物の投与
GLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物タンパク質は、ジェットネブライザーまたは超音波ネブライザーのようなネブライザーにより投与することができる。典型的にはジェットネブライザーでは、圧縮空気源を使用して開口部を通る高速エアジェットを作成する。ガスがノズルを越えて膨張すると低圧領域が作成され、これが液体リザーバーに連結された毛細管を通ってGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物タンパク質の溶液を引き出す。毛細管からの液流は、管から出る時に不安定なフィラメントおよび液滴に剪断され、エーロゾルを作成する。ある範囲の形状、流速、およびそらせ型を使用して、上記のジェットネブライザーから所望の性能特性を達成することができる。超音波ネブライザーでは、高周波電気エネルギーを使用して、典型的には圧電変圧器を使用して、振動的、機械的エネルギーを作成することができる。このエネルギーを直接的に、またはカップリング流体を通すいずれかでGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物タンパク質の製剤に伝え、G
LP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物タンパク質を含むエーロゾルを作成する。有利にはネブライザーにより送達されるGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物タンパク質の粒子は、約10μm未満、好ましくは約1μm〜約5μmの範囲、そして最も好ましくは約2μm〜3μmの粒子サイズを有する。
【0166】
ジェットまたは超音波のいずれのネブライザーを用いても、使用するために適当な少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントの製剤は、典型的には、1mlの溶液あたり約1mg〜約20mgの濃度の少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分またはバリアントタンパク質で、水溶液中にGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物タンパク含む。製剤は賦形剤、バッファー、張性調整剤、保存剤、表面活性剤および好ましくは亜鉛のような作用物質を含むこともできる。また製剤は、バッファー、還元剤、バルクタンパク質または炭水化物のような、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物タンパク質を安定化するための賦形剤または作用物質も含むこともできる。少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物タンパク質を製剤するために有用なバルクタンパク質には、アルブミン、プロタミン等を含む。少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントを製剤するために有用な典型的な炭水化物には、シュクロース、マンニトール、ラクトース、トレハロース、グルコース等を含む。少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント製剤はエーロゾルを形成する溶液の噴霧化により引き起こされる少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントの表面が誘導する凝集を下げ、または防止することができる表面活性剤も含むこともできる。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびアルコールおよびポリオキシエチレンソルビタル脂肪酸エステルのような種々の通例の表面活性剤を使用することができる。量は一般に製剤の0.001から4重量%の間の範囲である。本発明の目的に特に好適な表面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリソルベート80、ポリソルベート20等である。GLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントタンパク質のようなタンパク質の製剤のために当該技術分野で既知のさらなる作用物質も製剤に含むことができる。
【0167】
定量吸入器によるGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物の投与
定量吸入器(MDI)では、推進剤、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント、および任意の賦形剤または他の添加剤を、液化圧縮ガスを含む混合物としてキャニスターに含む。定量バルブの作動は好ましくは、約10μm未満、好ましくは約1μm〜約5μm、そして最も好ましくは約2μm〜3μmの範囲のサイズの粒子を含むエーロゾルとして混合物を放出する。所望のエーロゾル粒子サイズは、ジェット−ミル(jet−milling)、噴霧乾燥、臨界点縮合等を含む当業者に既知の様々な方法により生成されるGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物タンパク質の製剤を使用することにより得られる。好適な定量吸入器には、3Mまたはグラクソにより製造され、そしてヒドロフルオロカーボン推進剤を採用するものを含む。
【0168】
定量吸入器デバイスを用いて使用するための少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントの製剤は、一般に少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントを含む細かく分割した粉末を、懸濁液として非水性媒質中に、例えば表面活性剤により推進剤に懸濁して含む。推進剤は、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノールおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタン、HFA−134a(ヒドロフルオロアルカン−134a)、HFA−227(ヒドロフルオロアルカン−227)等を含むクロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルロカーボンまたは炭化水素のような、この目的に使用される任意の通例の材料であることができる。好ましくは推進剤はヒドロフルオロカーボンである。表面活性剤は、推進剤中の懸濁液として少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントを安定化するために、化学分解等に対して活性剤を保護する等のために選択することができる。適当な表面活性剤にはソルビタントリオレート、ダイズ レシチン、オレイン酸等を含む。場合により溶液エーロゾルは、エタノールのような溶媒を使用することが好ましい。タンパク質のようなタンパク質の製剤に当該技術分野で既知のさらなる作用物質を、製剤に含むこともできる。
【0169】
当業者は、本発明の方法を本明細書に記載していないデバイスを介して少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアント組成物を肺投与することにより達成できることを認識しているだろう。
【0170】
粘膜製剤および投与
粘膜表面を通して吸収させるために、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントを投与する組成物および方法には、複数のミクロン以下の粒子、粘膜接着性高分子、生物活性ペプチドおよび水性の連続相を含んで成る乳液を含み、これは乳液粒子の粘膜接着を達成することにより粘膜表面を通る吸収を促進する(米国特許第5,514,670号明細書)。本発明の乳液の適用に適する粘膜表面には、角膜、結膜、頬、舌、鼻、膣、肺、胃、腸および直腸経路の投与を含む。膣または直腸投与用の製剤、例えば坐薬は、賦形剤として例えばポリアルキレングリコール、ワセリン、カカオ脂等を含むことができる。鼻内投与用の製剤は固体であることができ、そして賦形剤として例えばラクトースを含み、または点鼻の水性もしくは油性溶液であることができる。頬内投与には賦形剤は糖、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、糊化(pregelinatined)澱粉等を含む(米国特許第5,849,695号明細書)。
【0171】
経口製剤および投与
経口用の製剤は、腸壁の透過性を人工的に上げるための補助剤(例えばレゾルシノールおよびポリオキシエチレンオレイルエーテルおよびn−ヘキサデシルポリエチレンエーテルのような非イオン性表面活性剤)の同時投与、ならびに酵素的分解を阻害するための酵素阻害剤(例えば膵臓トリプシンインヒビター、ジイソプロピルフルオロホスフェート(DFF)およびトラシロール)の同時投与に依存する。経口投与用の固体型剤形の活性成分化合物を、シュクロース、ラクトース、セルロース、マンニトール、トレハロース、ラフィノース、マルチトール、デキストラン、澱粉、寒天、アルギネート、キチン、キトサン、ペクチン、トラガカントガム、アラビアガム、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、合成もしくは半合成ポリマーおよびグリセリドを含む少なくとも1つの添加剤と混合することができる。またこれらの剤形は他の種類(1つまたは複数)の添加剤、例えば不活性な希釈剤、ステアリン酸マグネシウム、パラベンのような潤滑剤、ソルビン酸、アスコルビン酸、アルファ−トコフェロールのような保存剤、システインのような酸化防止剤、崩壊剤、結合剤、増粘剤、緩衝剤、甘味料、風味剤(flavoring agent)、香料等も含むことができる。
【0172】
錠剤およびピルはさらに腸溶性コート調製物に加工することができる。経口投与用の液体調製物には、医学的使用が可能な乳液、シロップ、エリキシル、懸濁液および溶液調製物を含む。これらの調製物は該分野で通常使用されている不活性希釈剤、例えば水を含むことができる。インスリンおよびヘパリンの薬剤送達系としてリポソームも記載された(米国特許第4,239,754号明細書)。さらに最近では、混合アミノ酸(プロテイノイド)の人工ポリマーの微小球も、薬剤を送達するために使用された(米国特許第4,925,673号明細書)。さらに米国特許第5,879,681号および同第5,5,871,753号明細書に記載された担体化合物も生物学的に活性な作用物質を経口で送達するために使用され、そして当該技術分野で既知である。
【0173】
経皮製剤および投与
経皮投与には、少なくとも1つのGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントを、リポソームまたはポリマー性ナノ粒子、マイクロ粒子、マイクロカプセルまたは微小球(特に言及しない限り、集合的にマイクロ粒子と呼ぶ)のような送達デバイスにカプセル化する。多数の適当なデバイスが知られており、それらにはポリ乳酸、ポリグリコール酸およびそれらのコポリマーのようなポリヒドロキシ酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物およびポリホスファゼンのような合成ポリマー、ならびにコラーゲン、ポリアミノ酸、アルブミンおよび他のタンパク質、アルギネートおよび他の多糖およびそれらの組み合わせのような天然ポリマーから作られたマイクロ粒子を含む(米国特許第5,814,599号明細書)。
【0174】
持効性(prolonged)投与および製剤
本発明の化合物を個体に長期間、例えば単回投与で1週間から1年の期間送達することがしばしば望ましい。種々の緩効性、貯蔵またはインプラント剤形を利用することができる。例えば剤形は、体液中での溶解度が低い化合物の製薬学的に許容される非毒性塩、例えば(a)リン酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、タンニン酸、パモ酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレン モノ−もしくはジ−スルホン酸、ポリガラクツロン酸等のような多塩基性酸との酸付加塩;(b)亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウム等のような多価金属カチオン、または例えばN,N’−ジベンジル−エチレンジアミンまたはエチレンジアミンから形成される有機カチオンとの塩;あるいは(c)(a)および(b)の組み合わせ、例えばタンニン酸亜鉛塩を含むことができる。さらに本発明の化合物は、または好ましくは今ちょうど記載したような比較的不溶性の塩をゲル、例えば注入に適するゴマ油を含む例えばモノステアリン酸アルミニウムゲルに配合することができる。特に好適な塩は、亜鉛塩、タンニン酸亜鉛塩、パモ酸塩等である。注入用の別の種類の遅延放出型dGLP−1製剤は、例えば米国特許第3,773,919号明細書に記載されているようなポリ乳酸/ポリグリコール酸ポリマーのような緩効分解型(slow degrading)の非毒性、非抗原性ポリマー中にカプセル化するために分散した化合物または塩を含む。化合物または好ましくは上記の比較的不溶性の塩は、特に動物で使用するために、コレステロールマトリックスシラスティック(silastic)ペレット中に配合することもできる。さらなる緩効性の、dGLP−1またはインプラント製剤、例えばガスまたは液体リポソームが技術文献で知られている(米国特許第5,770,222号明細書および「徐放性および放出制御薬剤送達系(Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems)」、J.R.Robinson 編集、マルセルデッカー社、ニューヨーク、1978)。
【0175】
本発明を一般的に記載してきたが、これは具体的説明により提供され、そして限定を意味しない以下の実施例を参照することにより、より容易に理解できるだろう。
【実施例】
【0176】
実施例1:哺乳動物細胞中でのGLP−1ミメティボディのクローニングおよび発現
典型的な哺乳動物発現ベクターは、mRNAの転写の開始を媒介する少なくとも1つのプロモーター要素、GLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントのコード配列、および転写の終結および転写産物のポリアデニル化に必要なシグナルを含む。さらなる要素にはエンハンサー、Kozak配列およびRNAスプライシングのための供与および受容部位により挟まれた介在配列を含む。高度に効率的な転写はSV40に由来する初期および後期プロモーター、レトロウイルス、例えばRSV、HTLVI、HIVIに由来する長い末端反復配列(LTRS)、およびサイトメガロウイルス(CMV)の初期プロモーターにより達成され得る。しかし細胞要素(例えばヒトアクチンプロモーター)も使用することができる。本発明の実施に使用するために適当な発現ベクターには、例えばpIRES1neo、pRetro−Off、pRetro−On、PLXSNまたはpLNCX(クロンテック ラボズ(Clonetech Labo)、パロアルト、カリフォルニア州)、pcDNA3.1(+/−)、pcDNA/Zeo(+/−)またはpcDNA3.1/Hygro(+/−)(インビトロジェン(Invitrogen))、PSVLおよびPMSG(ファルマシア(Pharmacia)、ウプサラ、スウェーデン)、pRSVcat(ATCC37152)、pSV2dhfr(ATCC37146)およびpBC12MI(ATCC67109)のようなベクターを含む。使用できた哺乳動物宿主細胞には、ヒトHela 293、H9およびJurkat細胞、マウスNIH3T3およびC127細胞、Cos1、Cos7およびCV1、quailQC1−3細胞、マウスL細胞およびチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を含む。
【0177】
あるいは遺伝子は染色体に組み込まれた遺伝子を含む安定な細胞株で発現させることができる。dhfr、gpt、ネオマイシンまたはハイグロマイシンのような選択可能なマーカーを用いたコートランスフェクションにより、トランスフェクトした細胞の同定および単離が可能となる。
【0178】
トランスフェクトした遺伝子は、大量のコードされたGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントを発現させるために増幅することもできる。DHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼ)マーカーは、数百またはさらに数千の目的遺伝子のコピーを持つ細胞株を開発するために有用である。別の有用な選択マーカーは、酵素グルタミンシンターゼ(GS)(Murphy,et al.,Biochem.J.227:277−279(1991);Bebbington,et al.,Bio/Technology 10:169−175(1992))である。これらのマーカーを使用して、哺乳動物細胞を選択培地で成長させ、そして最高の耐性を持つ細胞を選択する。これらの細胞株は、染色体に組み込まれた増幅した遺伝子(1つまたは複数)を含む。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)およびNSO細胞は、GLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントの生産によく使用される。
【0179】
発現ベクターpC1およびpC4は、ラウス肉腫ウイルスの強力なプロモーター(LTR)(Cullen et al.,Molec.Cell.Biol.5:438−447(1985))に加えてCMV−エンハンサーのフラグメント(Boshart,et al.,Cell 41:521−530(1985))を含む。多クローニング部位、例えば制限酵素開裂部位であるBamHI、XbaIおよびAsp718は、目的遺伝子のクローニングを容易にする。ベクターは3’イントロンに加えて、ラットのプレプロインスリン遺伝子のポリアデニル化および終結シグナルを含む。
【0180】
CHO細胞中でのクローニングおよび発現
ベクターpC4をGLP−1ミメティボディもしくは特定部分もしくはバリアントの発現に使用する。プラスミドpC4は、プラスミドpSV2−dhfr(ATCC寄託番号37146)の誘導体である。プラスミドはマウスDHFR遺伝子をSV40初期プロモーターの制御下に含む。これらのプラスミドでトランスフェクトしたジヒドロ葉酸活性を欠くチャイニーズハムスター卵巣または他の細胞は、細胞を化学療法剤であるメトトレキセートを補充した選択培地(例えばアルファマイナスMEM、ライフテクノロジーズ(Life Technologies)、ゲチスバーグ、メリーランド州)中で成長させることにより選択することができる。メトトレキセート(MTX)に対して耐性の細胞中でDHFR遺伝子の増幅が十分に示された(例えば、F.W.Alt,et al.,J.Biol.Chem.253:1357−1370(1978);J.L.Hamlin and C.Ma.Biochem.et Biophys.Acta 1097:107−143(1990);およびM.J.Page and M.A.Sydenham,Biotechnology 9:64−68(1991)を参照にされたい)。MTXの濃度を上昇させて成長させた細胞は、DHFR遺伝子の増幅の結果として目的酵素であるDHFRの過剰生産により薬剤への耐性を生じる。第2遺伝子がDHFR遺伝子に連結されている場合、これは通常、同時に増幅され(co−amplified)、そして過剰に発現される。当該技術分野では、この取り組みを使用して1,000コピー以上の増幅した遺伝子(1つまたは複数)を持つ細胞株を発生できることが知られている。続いてメトトレキセートを離脱する時、宿主細胞の1もしくは複数の染色体(1つまたは複数)に組み込まれた増幅された遺伝子を含む細胞株が得られる。
【0181】
プラスミドpC4は目的遺伝子を発現するために、ラウス肉腫ウイルスの長い末端反復配列(LTR)の強力なプロモーター(Cullen et al.,Molec.Cell.Biol.5:438−447(1985))に加えて、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)の前初期遺伝子のエンハンサーから単離されたフラグメント(Boshart,et al.,Cell 41:521−530(1985))を含む。プロモーターの下流は、遺伝子の組み込みを可能とするBamHI、XbaIおよびAsp718制限酵素開裂部位である。これらのクローニング部位の後に、プラスミドはラットのプレプロインスリン遺伝子の3’イントロンおよびポリアデニル化部位を含む。他の高効率プロモーター、例えばヒトb−アクチンプロモーター、SV40初期および後期プロモーターまたは他のレトロウイルス(例えばHIVおよびHTLVI)に由来する長い末端反復配列も発現に使用することができる。クロンテックのTet−OffおよびTet−On遺伝子発現系および同様な系は、哺乳動物細胞中で調節された様式でGLP−1を発現させるために使用できる(M.Gossen,and H.Bujard,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:5547−5551(1992))。mRNAのポリアデニル化には、他のシグナル、例えばヒト成長ホルモンまたはグロビン遺伝子に由来するシグナルも使用することができる。染色体に組み込まれた目的の遺伝子を持つ安定な細胞株は、gpt、G418またはハイグロマイシンのような選択可能マーカーを用いたコ−トランスフェクションでも選択できる。始めに1より多くの選択可能なマーカー(例えばG418に加えてメトトレキセート)を使用することが有利である。
【0182】
プラスミドpC4を制限酵素で消化し、そして次いでウシの腸ホスファターゼを使用して当該技術分野で既知の手法により脱リン酸化する。次いでベクターを1%アガロースゲルから単離する。
【0183】
本発明のGLP−1ミメティボディのHCおよびLC可変領域に対応する、完全なGLP−1ミメティボディまたは特定部分またはバリアントをコードするDNA配列を、既知の方法の工程に従い使用する。適切なヒト定常領域(すなわちHCおよびLC領域)をコードする単離された核酸もこの構築物に使用される。
【0184】
単離された可変および定常領域をコードするDNAおよび脱リン酸化ベクターは、次いでT4 DNAリガーゼで連結される。次いで大腸菌(E.coli)HB101またはXL−1ブルー細胞を形質転換し、そしてプラスミドpC4中に挿入されたフラグメントを含む細菌が、例えば制限酵素分析を使用して確認される。
【0185】
活性なDHFR遺伝子を欠くチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞をトランスフェクションに使用する。5μgの発現プラスミドpC4を0.5μgのプラスミドpSV2−neoを用いてリポフェクチンを使用してコ−トランスフェクトする。プラスミドpSV2neoは、G418を含む抗生物質群に対する耐性を付与する酵素をコードするTn5に由来するドミナント選択性マーカーであるneo遺伝子を含む。この細胞を、1μg/mlのG418を補充したアルファマイナスMEMにまく。2日後、細胞をトリプシン処理し、そして10、25または50ng/mlのメトトレキセートに加えて1μg/mlのG418を補足したアルファマイナスMEM中のハイブリドーマクローニングプレート(グレイナー(Greiner)、独国)にまく。約10〜14日後、1つのクローンをトリプシン処理し、そして異なる濃度のメトトレキセート(50nM、100nM、200nM、400nM、800nM)を使用して6−ウェルのペトリ皿または10mlのフラスコにまく。最高濃度のメトトレキセートで成長するクローンを、さらにより高濃度のメトトレキセート(1mM、2mM、5mM、10mM、20mM)を含む新たな6−ウェルプレートに移す。100〜200mM濃度で成長するクローンが得られるまで、同じ手順を繰り返す。所望の遺伝子産物の発現を例えばSDS−PAGEおよびウエスタンブロットにより、または逆相HPLC分析により分析する。
【0186】
実施例2:本発明のGLP−1ミメティボディの非限定的例
GLP−1は、経口グルコース対抗後に腸のL細胞から分泌される37アミノ酸ペプチドである。生物学的に活性なGLP−1(7−37)ペプチド、バリアントまたは誘導体を包含するミメティボディ構築物は、ペプチドのin vivo寿命を延ばし、そして2型糖尿病患者の血中グルコースを下げるための新規療法を提供すると期待される。天然のGLP−1(7−37)ペプチドまたはDPP−IV耐性類似体をコードするペプチドは、ミメティボディのスカフォールドに取り込まれることができる。これらの分子の幾つかが作成され、そして生じたミメティボディはin vitroの細胞に基づくアッセイにおける機能で活性が証明された。種々のin vitroアッセイおよびin vivoモデルをこれらの実験に使用することができ、そして効力は互いに比べることができず、または本明細書に提示する結果と比べることができないことに留意すべきである。
【0187】
GLP−1ミメティボディバリアントを生成するために、ミメティボディ中のGLP−1ペプチド、リンカー、ヒンジまたはCH2およびCH3配列を削除し、加え、置換し、変異させ、または修飾して、発現、効力、安定性またはエフェクター機能を改善することができた。
【0188】
野生型GLP−1配列、ならびにGLP−1(A2S)またはGLP−1(A2G)のようなDPP−IV耐性GLP−1バリアントは、ミメティボディのスカフォールドに取り込まれることができる。ペプチドの突然変異はGLP−1ミメティボディの特性を改善するために作成することができた。例えばアミノ末端残基中の突然変異はシグナリングを改善することができ、一方、ヘリックスドメイン中の突然変異はヘリックスを安定化することができ、これにより受容体への結合および/またはミメティボディの安定性を改善する。
【0189】
リンカーの長さおよび組成を変異させて、GLP−1ペプチドとFc領域との間の結合の柔軟性または安定性を変動させることができる。種々のアイソタイプを分子のヒンジ領域に取り込むことができる。さらに突然変異をミメティボディのヒンジ領域内に作成して分子を安定化することができる。例えばヒトIgG4ヒンジを突然変異させて、Ser228−>Proバリアントを作成し、ミメティボディの鎖間ジスルフィド結合を安定化することができる。ミメティボディのFc部分内の変更を作成し、分子の安定性を改善し、そしてFcR結合のようなエフェクター機能を変えることができた。例えば、Ala/Ala突然変異を持つIgG4のようなヒトまたはマウスのアイソタイプ(またはこれら分子の変更体)を使用することができた。
【0190】
本発明のGLP−1ミメティボディ
本発明の具体的な非限定的例は、式(I)
((P(n)−L(o)−V(p)−H(q)−CH2(r)−CH3(s))(t)、のGLP−1ミメティボディ構築物(配列番号2)であり、ここでPは生物活性GLP−1ペプチド(7−36)の1つのコピーであり、LはGly−SerまたはGly−Gly−Gly−Serのいずれかの柔軟性リンカーの直列反復であり、VはVH配列のC−末端であり、すなわち自然に存在するIgGのJ領域であり、Hは完全なIgG1ヒンジ領域であり、そしてCH2&CH3はIgG1アイソタイプのサブクラスである。この構築物の半減期は、GLP−1ペプチドのみ、またはそのバリアントまたは誘導体の多数倍であり、そしてIgGの半減期に類似している。
【0191】
上記の基本的構造に加えて、潜在的に好ましい生物学的特性を持つバリアントを記載する。これらには自己結合(self−associate)に対する減少した傾向、減少した免疫エフェクター機能または減少した免疫原性を有することができる構築物を含む。生物学的に活性なペプチドの改善された立体配置、および血液脳関門をわたる移動のような望ましい特性を付与する他の修飾も構想する。提案されるバリアントおよび修飾は任意の様式で組み合わせて、望ましい活性を有する構築物を得ることができる。
【0192】
組換えDNA法を使用して、GLP−1ペプチドを免疫グロブリンシグナルペプチドとヒトJ配列との間の中間ベクターに挿入した。これは、ベクター中に存在する制限部位にコンパチブルな末端を持つ相補的な合成オリゴヌクレオチドを使用して行った。これらのオリゴヌクレオチドは、GLP−1ペプチドおよび2つのGGGS反復からなる柔軟性リンカーのコード配列を含んでなった。次いで上記の機能的要素を含有する制限フラグメントを発現ベクターに転移した。このベクターは抗−CD4免疫グロブリンプロモーターおよびエンハンサー、およびヒトIgG1ヒンジ配列、HC定常領域2(CH2)および定常領域3(CH3)のコード配列ならびにプラスミドの複製および細菌中での選択および哺乳動物細胞中で安定な発現の選択に必要な要素を含んだ。
【0193】
このプラスミドをHEK293E細胞に導入し、そしてwtGLP−1ミメティボディの発現がトランスフェクトされた細胞中で一時的に達成された。GLP−1ミメティボディの精製は、標準的なプロテインAおよびSuperose12アフィニティークロマトグラフィーにより行い、約1.5mg/Lのトランスフェクトされた細胞を生じた。このタンパク質は以下に記載する実験の出発材料であった。
【0194】
GLP−1ミメティボディのアミノ酸配列を図1に示す。機能的ドメインはペプチドコード配列の上に注記する。J配列はさらに一層柔軟性を提供して、GLP−1二量体が正しい立体配置を取ることができるようにし、そして二量体が免疫グロブリンの球状構造から突出し、そして2つのGLP−1受容体の間の開裂を貫通できるようにする。3つのシステインがIgG1ヒンジ領域にも存在する。第1は通常、免疫グロブリン軽鎖(LC)と対をなし、そして他の2つは2つのHC間の鎖内結合に参加する。CH2およびCH3領域はタンパク質の嵩(bulk)を構成する。免疫グロブリンが長い血清半減期を有すると考えられている1つの理由は、免疫グロブリンが、飲作用を受けた免疫グロブリンを細胞外空間に戻すことにより血清半減期を延ばすFcRnに結合する能力を有するからである。FcRnの結合部位は、CH2およびCH3領域の連結部に重なる(Sheilds et al.,2001,J.Biol.Chem.,vol,276(9),6591−6604)。
【0195】
2つのIgG重鎖は細胞プロセッシング中にヒンジ領域に位置するシステイン間のジスルフィド結合を介して集成し、ホモ二量体を形成することがよく知られている。これは修飾されたペプチド間でも起こり、集成されたGLP−1ミメティボディ構築物を形成する
と予想される。さらにGLP−1ペプチドの2つのシステイン間の鎖内ジスルフィド結合も形成すると予想される。この予想されるGLP−1ミメティボディの構造は、2つのGLP−1ペプチドを含む。このペプチドの空間配置は、N−末端で隣接する配列の柔軟性と一緒にペプチドが生物学的に活性な二量体を形成できるようにするはずである。
【0196】
実施例3:FACS結合アッセイ。GLP−1ミメティボディの活性は、in vitro FACS結合アッセイで試験した。GLP−1MMBがGLP−1Rに結合するかどうかを測定するために、GLP−1Rを過剰発現するHEK293細胞(1x10細胞)をGLP−1MMB(20nM)と4℃で2時間、インキュベーションした。細胞を洗浄し、そして蛍光で標識した2次検出抗体(1μg/mLのヤギ抗−ヒトIgG、Fcガンマ特異的)を4℃で30分間加えた。細胞の蛍光強度はフローサイトメトリーを介して監視した。GLP−1MMBはGLP−1Rを過剰発現するHEK293細胞に結合する。GPL−1MMBは対照HEK293細胞には結合しない。GLP−1ペプチド類似体(A2S)はGPL−1Rを過剰発現しているHEK293細胞への結合をGLP−1MMBと競合することができる。
【0197】
実施例4:cAMPアッセイ。GLP−1のその受容体、G−タンパク質共役受容体への結合は、シグナリング分子3’,5’−サイクリックAMP(cAMP)に用量依存的上昇をもたらす。cAMPはGLP−1Rを発現している細胞でin vitroアッセイを用いて測定することができる(アプライド バイオシステムズ:Applied Biosystems)。簡単に説明すると、Rinm細胞(100,000細胞)を、GLP−1ペプチド(0〜30nM)またはGLP−1MMB(0〜100nM)の濃度を増加させながらインキュベーションした。細胞を溶解し、そしてcAMPの量は、アルカリホスファターゼ標識cAMP結合体および化学発光基質(Tropix(商標)、CDPD(商標))を使用する競合アッセイを使用して測定した。wtGLP−1MMBに関する濃度依存的cAMP活性は、GLP−1ペプチドに匹敵する(それぞれEC50=11nM対0.4nM))。同様の実験では、IgG4のスカフォールド内のGLP−1(A2G)MMBおよびIgG4のスカフォールド内のGLP−1(A2S)MMBが、両方ともRinm細胞中のcAMPレベルを、IgG4のスカフォールド内のwtGLP−1MMBよりも有意に高いレベルまで上げた。
【0198】
実施例5:DPP−IV開裂アッセイ。GLP−1はDPP−IVにより急速に不活性化されるので、完全(すなわち非開裂)GLP−1MMBを定量するin vitroアッセイを確立した。簡単に説明すると、GLP−1MMBまたはペプチド(1.2nM)を室温でDPP−IV(1μg/mL、R&D システムズ)とインキュベーションした。種々の時間の後(0、5、10、15、20、30、40分)、DPP−IVインヒビター(100μM、リンコ(Linco))を加えて反応をクエンチした。完全なGLP−1ミメティボディまたはペプチドの量は、GLP−1活性ELISA(リンコ)およびGLP−1MMBまたはペプチドを使用して、各々の標準曲線について測定した。GLP−1MMBがGLP−1ペプチドに比べてDPP−IVによる開裂に対して有意により一層耐性であったことを示す。
【0199】
実施例6:ヒト血清の安定性アッセイ。血清中のGLP−1MMBの安定性も測定して、他の血清プロテアーゼがGLP−1MMBを開裂し、そして不活性化できないことを確認した。簡単に説明すると、GLP−1ペプチドまたはGLP−1MMB(30nM)を37℃でヒト血清中でインキュベーションした。様々な時間の後、反応は、DPP−IVインヒビター(100μM、リンコ)でクエンチし、そしてサンプルをリンコからのGLP−1活性ELISAを使用して分析した。GLP−1MMBはヒト血清中で24時間安定であるが、ペプチドは急速に減少する。
【0200】
実施例7:GLP−1MMBはRINm細胞にインスリンの分泌を引き起こす。インスリン分泌におけるGLP−1MMBの効果を試験するために、RINm細胞をGLP−1(7−36)ペプチド(0〜5nM)、エキセンジン(exendin)−4ペプチド(0〜5nM)または種々のGLP−1ミメティボディ(5または50nM)の濃度を上げて処理し、そして分泌するインスリンの量をELISAを介して測定した。試験したすべてのGLP−1MMBは、RINm細胞にインスリン分泌を刺激する活性を有した。50nMで、MMBは野生型GLP−1(7−36)ペプチドに匹敵する活性を有した。
【0201】
実施例8:GLP−1MMBはdb/dbマウスのグルコースレベルを下げる。6週齢のdb/dbマウスを2時間絶食させ、そして静脈内に賦形剤、GLP−1ペプチドまたはGLP−1(A2S)ミメティボディを投与した。血中グルコースは投与後、0.5、1、2、3および4時間目に監視した。GLP−1ペプチドは血中グルコースを30分で下げたが、60分までに血中グルコースはGLP−1ペプチドの短い半減期によるように再度上がり始めた。これと比較して、GLP−1(A2S)MMBは、GLP−1ペプチド用量よりも100倍低い用量で、全4時間にわたり血中グルコースに減少を誘導した。さらに血中グルコースの減少は用量依存的であった。
【0202】
実施例9:マウスおよびカニクイザルのGLP−1MMBの薬物動態学。4種のGLP−1ミメティボディ(A2G、A2S、エキセンジン−cap、wt)の薬物動態を測定するために、C57/B16マウスに1mg/kgのMMBを静脈内投与した。血漿は異なる時点で屠殺したマウスの心穿刺を介して得た。種々のELISAを使用して、Fc、全ミメティボディ、活性ミメティボディおよび活性ペプチドをそれらが動物中で経時的に代謝される時に測定した。活性なMMBはペプチドの完全なN末端がミメティボディのFc領域に結合したままであることを反映している。ペプチド中の第2アミノ酸(アラニン)のセリンもしくはグリシンへの置換が、循環中の活性MMBを寿命を延ばす。
【0203】
カニクイザルに1.0mg/kgの4種のGPL−1MMB構築物を静脈内注射し、そして血清サンプルを投与後10分から5日の異なる時点で採取した。血清サンプルはELISAにより評価して完全なMMBを定量した。4種すべてのMMBが急速な分布期、続いてゆっくりとした排除期を表す。薬物動態定数は、各構築物について計算し、そしてT=0からT=120時間までAUCにより決定される類似の暴露で、約3日のT1/2を示す。
【0204】
実施例10:正常ラットへのCNTO736の脳室内(icv)投与は、肥満の処置を支持する証拠を示す。
【0205】
体重250〜350gのSprague−Dawleyラットの側脳室に以下の条件でカニューレを挿入した:−0.80mm前方、+1.2mm側方からブレグマ、−3.2mm腹側からブレグマ。動物はアンギオテンシンII試験にかけてカニューレが正しく配置されたことを確認した。ラットは逆にした明/暗サイクルおよび取り扱いに慣れさせた。給餌(feeding)のベースラインを確立するために、単回のPBS注射後、24時間の絶食/再給餌(refed)測定を行った。動物は、PBS注射から24時間の食物摂取に従い均一に分配された(10匹の3群)。PBS注射から7〜10日後、ラットは24時間絶食させ、そして暗サイクルに入る前にicvを投与された。ラットはCNTO736(3nmol)、エキセンジン−4(3nmol)またはPBSのいずれかを5μlの用量で投与された。食物摂取および水の摂取は、投与から0〜12および12〜24時間後に測定し、そして体重を24および48時間後に測定した。投与から最初の12時間で、エキセンジン−4およびCNTO736処置では食物および水の摂取に有意な減少があった。投与から次の12時間で(12〜24時間)、エキセンジン−4およびCNTO736の両方の処置には食物摂取に有意な減少があったが、水の摂取の減少はエキセンジン−4での処置のみに観察された。体重の減少がエキセンジン−4での処置で24および48時間の両方にあったが、CNTO736では無かった。
【0206】
実施例11 正常ラットへの静脈内(iv)CNTO736の投与
体重250〜350gのSprague−Dawleyラットは、逆にした明/暗サイクルおよび取り扱いに慣れさせた。給餌ベースラインを確立するために、単回のPBS注射後、24時間の絶食/再給餌測定を行った。動物は、PBS注射から24時間の食物摂取に従い均一に分配された(10匹の3群)。PBS注射から7〜10日後、ラットは24時間絶食させ、そして暗サイクルに入る前にiv投与された。ラットはCNTO736(12nmol)、エキセンジン−4(12nmol)またはPBSのいずれかを投与された。食物摂取および水の摂取は、投与から0〜12および12〜24時間後に測定し、そして体重を24時間後に測定した。投与後、最初の12時間で、エキセンジン−4およびCNTO736処置では食物および水の摂取に有意な減少があった。投与後、次の12時間で(12〜24時間)、CNTO736処置の動物にのみ食物摂取に有意な減少があり、そして水の摂取の増加はエキセンジン−4およびCNTO736処置の動物の両方で観察された。体重の有意な減少はエキセンジン−4およびCNTO736処置で投与から24時間後にあった。
【0207】
実施例12 正常ラットへの皮下(sc)CNTO736投与
体重250〜350gのSprague−Dawleyラットは、逆にした明/暗サイクルおよび取り扱いに慣れさせた。給餌ベースラインを確立するために、単回のPBS注射後、24時間の絶食/再給餌測定を行った。動物は、PBS注射から24時間の食物摂取に従い均一に分配された(10匹の3群)。PBS注射から7〜10日後、ラットを24時間絶食させ、そして暗サイクルに入る前に皮下投与された。ラットはCNTO736(12nmol)、エキセンジン−4(12nmol)またはPBSのいずれかを投与された。食物摂取および水の摂取は、投与から0〜6、6〜12および12〜24時間後に測定し、そして体重を24時間および48時間後に測定した。投与から最初の6時間で、エキセンジン−4処置のみに食物および水の摂取に有意な減少があった。投与から次の6時間で(6〜12時間)、エキセンジン−4およびCNTO736処置の動物の両方に食物摂取に有意な減少があり、そして水の摂取の有意な減少がエキセンジン−4処置動物にあった(CNTO736処置動物では有意ではなかった)。このデータは、sc投与後のCNTO736に関するCmaxが約6時間であることを示す以前のデータと一致する。体重の有意な減少がエキセンジン−4およびCNTO736処置で投与から48時間ではなく24時間後にあった。
【0208】
実施例13:DIOマウスにおけるCNTO736の長期投与
実験を始める前に(7日)、IPGTTをDIOマウスに行った。簡単に説明すると、マウスを一晩(21時間)絶食させ、そして基準の空腹時血中グルコース測定をt=−5分(グルコース攻撃に対して)で取った。t=0分で、マウスにD−グルコース(1.0mg/g)をi.p.投与した。血中グルコースレベルは、15、30、60、90、120、150および180分に測定した。IPGTTのデータは、血中グルコース対時間としてプロットし、そしてAUCの使用してマウスを4群(n=7)に無作為化した。インスリンおよびHbA1c測定のための血液は、実験を始める3日前に取った。
【0209】
実験開始の1日目に、マウスにCNTO736または賦形剤を1週間に3回(月曜、水曜および金曜日)または毎日、全部で6週間投与した(表3)。体重は毎日測定し、そして空腹時血中グルコースを1週間に2回測定した。IPGTTは処置から2週間後に繰り返し、そして再度、処置の5週間後に繰り返した。インスリンおよびHbA1cのための血液は、投与から6週間後に取った。また投与から6週間後に、1および2群の動物を屠殺し、そして直ちにPIXlmusを介して身体組成について分析した。
【0210】
【表2】

【0211】
CNTO736で毎日、または1週間に3回処置した動物の空腹時血中グルコースは、用量依存的様式で6週間にわたり低下した。処置した動物の体重も、賦形剤処置動物に比べて減少した。PBS処置動物は実験の過程で開始体重の6.5%増加したが、毎日CNTO736で処置した動物は、6週間後に体重が13.2%または1.2%(それぞれ1.0および0.1mg/kg)減少した。1週間に3回、CNTO736(1.0mg/kg)で処置した動物は、体重が5.8%減少した。PIXlmus分析は、体重の減少が除脂肪量よりも脂肪量の損失によるものであることを明らかにした。
【0212】
まとめ:本明細書に記載するデータは、ミメティボディスカフォールド上のGLP−1ペプチドの提示が、肥満の治療薬としてのその用途を可能とする特性を持つ新規分子を生じることを示唆する。GLP−1ペプチド類似体は食物摂取および体重の減少を引き起こすことが示された。しかしこの効果の元にあるメカニズムは、十分に解明されていない。この効果は、脳のGLP−1受容体の活性化を介して媒介される得るか、あるいは末梢で発現するGLP−1が体重の調節に関与する求心性迷走神経経路を活性化できるのかもしれない。本明細書で提示するデータは、CNTO736が食物摂取および体重を減少させることができたことを示唆する。CNTO736の食物および水の摂取ならびに体重に及ぼす効果は、末梢または中枢投与のいずれかの後に観察され、中枢および末梢メカニズムは、GLP−1が媒介するエネルギーバランスに及ぼす効果に役割を果たすことができるらしいことを示唆している。CNTO736は、血液脳関門を通過しそうもない高分子である(60kD)。すなわち末梢に投与されたCNTO736はその効果を迷走神経系の活性化を介して食物摂取に発揮するらしい。あるいはCNTO736は、血液脳関門の外側の脳領域に位置するGLP−1受容体を活性化して、食物および水の摂取に影響を及ぼす可能性がある。両方の仮説が試験されている。
利点:肥満を処置するための治療薬としてこの新規分子の使用は、他のGLP−1類似体に優る幾つかの利点を提供する。
【0213】
CNTO736は、他のGLP−1ペプチド類似体に比べて徐放性の薬物動態学的プロファイルを有する(カニクイザルでT1/2〜5日)。これは、より長期間薬剤が循環に留まることを可能とし、これにより他の類似体よりも持続的な様式で食物摂取を減少させる。
【0214】
CNTO736は他のGLP−1ペプチド類似体よりも有意に大きい分子であり、そして血液脳関門を通過することができない。他のGLP−1類似体で観察される副作用(悪心および嘔吐)が中枢で媒介されるならば、CNTO736で処置された患者はこれらの副作用を体験しない可能性がある。
【0215】
このミメティボディ(商標)プラットフォームは、各ミメティボディ(商標)分子について2つのペプチドの発現を生じる。これはGLP−1ペプチドが互いに相互作用して、細胞表面のGLP−1受容体に対して上昇した親和性を持つ二量体リガンドの形成を可能にすることができる。
【0216】
参考文献
1. DE Cummings,M.S.,Genetic and Pathophysiology of Human Obesity.Annu.Rev.Med.,2003.54:p.453−471.
2. RR Wing,R.K.,et.al.,Long−term Effects
of Modest Weight Loss in Type II Diabetic Patients.Arch.Intern.Med.,1987.147:p.1749−1753.
3. J Tuomilehto,J.L.,et.al.,Prevention of Type II Diabetes Mellitus by Changes in Lifestyle Among Subjects with Impaired
Glucose Tolerance.New England Journal of Medicine,2001.344:p.1343−1350.
4. group,D.P.P.r.,Reduction of the Incidence of Type II Diabetes with Lifestyle Intervention or Metformin.New England Journal of Medicine,2002.346:p.393−403.
5. MJ Franz,J.B.,et.al.,Evidence−based Nutrition Principles and recommendations for the Treatment of Diabetes and related Complications.Diabetes Care,2002.25:p.148−198.
6. J.J.Holst,C.O.,O.Vagn Nielsen and T.W.Schwartz,Truncated glucagon−like peptide I,an insulin−releasing hormone from the distal gut.1987.211(2):p.169−174.
7. Svetlana Mojsov,G.H.,Ira B.Wilson,Mariella Ravazzola,Lelio Orci,and Joel F.Habener,Preproglucagon Gene Expression in Pancrea and Intestine Diversifies at the
Level of Post−translational Processing.The Journal of Biological Chemistry,1986.261(25):p.11880−11884.
8. C.Orskov,L.R.,A.Wettergren,H.Kofod,JJ
Holst,Tissue and plasma concentrations of amidated and glycine−extended glucagon−like peptide I in humans.Diabetes,1994.43(4):p.535−539.
9. Daniel J.Drucker,J.P.,Svetlana Mojsov,William L.Chick,and Joel F.Habener,Glucagon−like peptide I stimulates insulin gene expression and increases cyclic AMP levels in a rat islet cell line.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1987.84:p.3431−3438.
10.S.Suzuki,K.K.,S.Ohashi,H.Mukai and K.
Yamashita,Comparison of the efffects of various C−terminal and N−terminal fragment peptides of glucagon−like peptide−1 on insulin and glucagon release from the isolated perfused rat pancreas.Endocrinology,1989.125:p.3109−3114.
11.A Wettergren,B.S.,PE Mortensen,J Myhre,J Christiansen,JJ Holst,Truncated GLP−1(proglucagon 78−107−amide)inhibits gastric and pancreatic functions in man.Dig Dis Sci,1993.38(4):p.665−673.
12.M Tang−Christensen,P.L.,R Goke,A Fink−Jensen,DS Jessop,M Moller,SP Sheikh,Central administration of GLP−1(7−36)amide inhibits food and water intake in rats.American Journal of Physiology,1996.271:p.R848−R856.
13.M.D.Turton,D.O.S.,I.Gunn,S.A.Beak,C.M.B.Edwards,K.Meeran,S.J.Choi,G.M.Taylor,M.M.Heath,P.D.Lambert,J.P.H.Wilding,D.M.Smith,M.A.Ghatei,J.Herbert and S.R.Bloom,A role for glucagon−like peptide−1 in the central regulation of feeding.Nature,1996.379:p.69−72.
14.G van Dijk,T.T.,RJ Seeley,SC Woods,IL
Bernstein,Glucagon−like peptide−1 and satiety.Nature,1997.385:p.214.
15.E Naslund,N.K.,S Mansten,N Adner,JJ Holst,M Gutniak,PM Hellstrom,Prandial subcutaneous injections of glucagon−like peptide−1 cause weight loss in obese human
subjects.British Journal of Nutrition,2004.91(3):p.439−446.
16.Timothy J.Kieffer,C.H.S.M.,and Raymond A.Pederson,Degradation of Glucose−Dependent Insulinotropic Polypeptide and Truncated Glucagon−Like Peptide 1 in Vitro and in Vivo by Dipeptidyl Peptidase IV.Endocrinology,1995.136(9):p.3585−3596.
17.John Eng,W.A.K.,Latika Singh,Gurcharn
Singh and Jean−Pierre Raufman,Isolation
and Characterization of Exendin−4,an Exendin−3 Analogue,from Heloderma suspectum Venom.The Journal of Biological Chemistry,1992.267(11):p.7402−7405.
18.C.Mark B.Edwards,S.A.S.,Rachel Davis,Audrey E.Brynes,Gary S.Frost,Leighton J.Seal,Mohammad A.Ghatei,and Stephen R.Bloom,Exendin−4 reduces fasting and postprandial glucose and decreases energy intak
e in healthy volunteers.Am J Physiol Endocrinol Metab,2001.281:p.E155−E161.
19.Keating,G.,Exenatide.Drugs,2005.65(12):p.1681−1695.
20.Claus B.Juhl,M.H.,Jeppe Sturis,Grethe
Jakobsen,Henrik Agerso,Johannes Veldhuis,Niels Porksen and Ole Schmitz,Bedtime Administration of NN2211,a Long−Acting GLP−1 Derivative,Substantially Reduces Fasting and Postprandial Glycemia in Type 2 Diabetes.Diabetes,2002.51(2):p.424−429.
21.Bodil Elbrond,G.J.,Soren Larsen,Henrik Agerso,Lisbeth Bjerring Jensen,Paul Rolan,Jeppe Sturis,Vibeke Hatorp,Milan Zddravkovic,Pharmacokinetics,Pharmacodynamics,Safety,and Tolerability of a Single−Dose of NN2211,a Long−Acting Glucagon−Like Peptide 1 Derivative,in Healthy Male Subjects.Diabetes Care,2002.25(8):p.1398−1404.
【0217】
さらなる利点:肥満関連障害を処置するための治療薬としてこの新規分子の使用には、他のGLP−1アゴニストに優る幾つかの利点がある。例えば、GLP−1ペプチドの半減期を延ばすようである。またミメティボディスカフォールド中の野生型GLP−1ペプチドは、プロテアーゼ分解、特にDPP−IVに耐性である。これは変異体ペプチドよりも野生型GLP−1ペプチドでの処置を可能とすることができる。GLP−1は天然ペプチドであるので、変異したGLP−1類似体で処置した患者よりもGLP−1ミメティボディで処置した患者での免疫応答が低くなり得る。さらにGLP−1 MMBの大きなサイズによりそれが血液脳関門をわたることから排除される。これは悪心および不安が、脳のGLP−1Rに結び付くGLP−1に関連するので利点を提供できることになる。さらにミメティボディプラットフォームは各ミメティボディ分子上に2つのペプチドの発現を生じる。これはGLP−1ペプチドが互いに相互作用して、細胞表面のGLP−1受容体に対する親和性を上げることができる二量体リガンドの形成を可能とするかもしれない。
【0218】
本発明は前記説明および実施例に具体的に記載されている以外にも実施することができることは明白である。
【0219】
本発明の多くの修飾および変更が、上記教示に照らして可能であり、したがってそれらは本発明の範囲内にある。
【0220】
【表3】

【0221】
【表4】

【0222】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞、組織、器官または動物のGLP−1肥満関連状態を診断または処置する方法であって、有効量のGLP−1アゴニストまたはミメティボディ核酸、ポリペプチドまたは抗体の少なくとも1つを含んでなる組成物を、該細胞、組織、器官または動物に接触または投与することを含んでなり、ここで該少なくとも1つのGLP−1 CH1欠失ミメティボディ核酸が、配列番号2または4のアミノ酸配列をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチド、またはそれに相補的なポリヌクレオチドを含んでなる上記方法。
【請求項2】
細胞、組織、器官または動物のGLP−1肥満関連状態を診断または処置する方法であって、有効量のGLP−1アゴニストまたはミメティボディ核酸、ポリペプチドまたは抗体の少なくとも1つを含んでなる組成物を、該細胞、組織、器官または動物に接触または投与することを含んでなり、ここで該少なくとも1つのGLP−1 CH1欠失ミメティボディ核酸が、配列番号7〜14から選択される少なくとも1つを含んでなるアミノ酸配列をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチド、またはそれに相補的なポリヌクレオチドを含んでなる上記方法。
【請求項3】
細胞、組織、器官または動物のGLP−1肥満関連状態を診断または処置する方法であって、有効量のGLP−1アゴニストまたはミメティボディ核酸、ポリペプチドまたは抗体の少なくとも1つを含んでなる組成物を、該細胞、組織、器官または動物に接触または投与することを含んでなり、ここで該少なくとも1つのGLP−1 CH1欠失ミメティボディ核酸が、Pまたは式(I):
(Pep(n)−L(o)−V(p)−H(q)−CH2(r)−CH3(s))(t)
[式中、Pは生物活性GLP−1ペプチド、バリアントまたは誘導体の少なくとも1つであり、Lは少なくとも1つのリンカー配列であり、これはミメティボディに選択的な配向および結合特性を持つことを可能にすることにより構造的柔軟性を提供するポリペプチドであることができ、Vは免疫グロブリン可変領域のC−末端の少なくとも一部であり、Hは免疫グロブリン可変ヒンジ領域の少なくとも部分であり、CH2は免疫グロブリンCH2定常領域の少なくとも部分であり、CH3は免疫グロブリンCH3定常領域の少なくとも部分であり、nは1〜10の整数であり、そしてo、p、q、r、sおよびtは独立して0〜10の整数であることができる]
に従うポリペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含んでなる上記方法。
【請求項4】
細胞、組織、器官または動物のGLP−1肥満関連状態を診断または処置する方法であって、有効量のGLP−1アゴニストまたはミメティボディ核酸、ポリペプチドまたは抗体の少なくとも1つを含んでなる組成物を、該細胞、組織、器官または動物に接触または投与することを含んでなり、ここで該少なくとも1つのGLP−1 CH1欠失ミメティボディが配列番号2または4の連続するすべてのアミノ酸を含んでなる上記方法。
【請求項5】
細胞、組織、器官または動物のGLP−1肥満関連状態を診断または処置する方法であって、有効量のGLP−1アゴニストまたはミメティボディ核酸、ポリペプチドまたは抗体の少なくとも1つを含んでなる組成物を、該細胞、組織、器官または動物に接触または投与することを含んでなり、ここで該少なくとも1つのGLP−1 CH1欠失ミメティボディまたはアゴニストが少なくとも1つの配列番号7〜14の連続するすべてのアミノ酸を含んでなる上記方法。
【請求項6】
細胞、組織、器官または動物のGLP−1肥満関連状態を診断または処置する方法であって、有効量のGLP−1アゴニストまたはミメティボディ核酸、ポリペプチドまたは抗体の少なくとも1つを含んでなる組成物を、該細胞、組織、器官または動物に接触または投与することを含んでなり、ここで該少なくとも1つのGLP−1 CH1欠失ミメティボディが、Pまたは式(I):
(Pep(n)−L(o)−V(p)−H(q)−CH2(r)−CH3(s))(t)
[式中、Pは配列番号1および6から選択される少なくとも1つの生物活性GLP−1ペプチドであり、LはGS,GGS,GGGS(配列番号:16),GSGGGS(配列番号:17),GGSGGGS(配列番号:18),GGSGGGSGG(配列番号:19)および GGGSGGGSGG(配列番号:20)から選択され、VはGTLVTVSS(配列番号:21),GTLVAVSS(配列番号:22),GTAVTVSS(配列番号:23),TVSS(配列番号:24)およびAVSS(配列番号:25)から選択され、HはEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGP(配列番号:26)であり、CH2はSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAK(配列番号:43)であり、CH3はGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号:44)であり、nは1〜10の整数であり、そしてo、p、q、r、sおよびtは独立して0〜10の整数であることができる]
に従うポリペプチドを含んでなる上記方法。
【請求項7】
細胞、組織、器官または動物のGLP−1肥満関連状態を診断または処置する方法であって、有効量のGLP−1アゴニストまたはミメティボディ核酸、ポリペプチドまたは抗体の少なくとも1つを含んでなる組成物を、該細胞、組織、器官または動物に接触または投与することを含んでなり、ここで該少なくとも1つのGLP−1 CH1欠失ミメティボディが、Pまたは式(I):
(Pep(n)−L(o)−V(p)−H(q)−CH2(r)−CH3(s))(t)
[式中、Pは配列番号6の少なくとも1つの生物活性GLP−1ペプチドであり、LはGS,GGS,GGGS(配列番号:16),GSGGGS(配列番号:17),GGSGGGS(配列番号:18),GGSGGGSGG(配列番号:19)およびGGGSGGGSGG(配列番号:20)から選択され、VはGTLVTVSS(配列番号:21),GTLVAVSS(配列番号:22),GTAVTVSS(配列番号:23),TVSS(配列番号:24)およびAVSS(配列番号:25)から選択され、HはESKYGPPCPSCPAPEFLGGP(配列番号:27)であり、CH2はSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAK(配列番号:45)であり、CH3はGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号:46)であり、nは1〜10の整数であり、そしてo、p、q、r、sおよびtは独立して0〜10の整数であることができる]
に従うポリペプチドを含んでなる上記方法。
【請求項8】
細胞、組織、器官または動物のGLP−1肥満関連状態を診断または処置する方法であって、有効量のGLP−1アゴニストまたはミメティボディ核酸、ポリペプチドまたは抗体の少なくとも1つを含んでなる組成物を、該細胞、組織、器官または動物に接触または投与することを含んでなり、ここで該少なくとも1つのGLP−1 CH1欠失ミメティボディが、Pまたは式(I):
(Pep(n)−L(o)−V(p)−H(q)−CH2(r)−CH3(s))(t)
[式中、Pは配列番号6の少なくとも1つの生物活性GLP−1ペプチドであり、Lは
GS,GGS,GGGS(配列番号:16),GSGGGS(配列番号:17),GGSGGGS(配列番号:18),GGSGGGSGG(配列番号:19)およびGGGSGGGSGG(配列番号:20)から選択され、VはGTLVTVSS(配列番号:21),GTLVAVSS(配列番号:22),GTAVTVSS(配列番号:23),TVSS(配列番号:24)およびAVSS(配列番号:25)から選択され、HはESKYGPPCPPCPAPEAAGGP(配列番号:28)であり、CH2はSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAK(配列番号:45)であり、CH3はGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号:46)であり、nは1〜10の整数であり、そしてo、p、q、r、sおよびtは独立して0〜10の整数であることができる]
に従うポリペプチドを含んでなる上記方法。
【請求項9】
細胞、組織、器官または動物のGLP−1肥満関連状態を診断または処置する方法であって、有効量のGLP−1アゴニストまたはミメティボディ核酸、ポリペプチドまたは抗体の少なくとも1つを含んでなる組成物を、該細胞、組織、器官または動物に接触または投与することを含んでなり、ここで該少なくとも1つのGLP−1 CH1欠失ミメティボディが、Pまたは式(I):
(Pep(n)−L(o)−V(p)−H(q)−CH2(r)−CH3(s)(t)
[式中、Pは生物活性GLP−1ペプチド、バリアントまたは誘導体の少なくとも1つであり、Lは少なくとも1つのリンカー配列であり、これはミメティボディに選択的な配向および結合特性を持つことを可能にすることにより構造的柔軟性を提供するポリペプチドであることができ、Vは免疫グロブリン可変領域のC−末端の少なくとも一部分であり、Hは免疫グロブリン可変ヒンジ領域の少なくとも部分であり、CH2はSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAK(配列番号:43)であり、CH3はGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号:44)であり、nは1〜10の整数であり、そしてo、p、q、r、sおよびtは独立して0〜10の整数であることができる]
に従うポリペプチドを含んでなる上記方法。
【請求項10】
細胞、組織、器官または動物のGLP−1肥満関連状態を診断または処置する方法であって、有効量のGLP−1アゴニストまたはミメティボディ核酸、ポリペプチドまたは抗体の少なくとも1つを含んでなる組成物を、該細胞、組織、器官または動物に接触または投与することを含んでなり、ここで該少なくとも1つのGLP−1 CH1欠失ミメティボディが、Pまたは式(I):
(Pep(n)−L(o)−V(p)−H(q)−CH2(r)−CH3(s))(t)
[式中、Pは生物活性GLP−1ペプチド、バリアントまたは誘導体の少なくとも1つであり、Lは少なくとも1つのリンカー配列であり、これはミメティボディに選択的な配向および結合特性を持つことを可能にすることにより構造的柔軟性を提供するポリペプチドであることができ、Vは免疫グロブリン可変領域のC−末端の少なくとも一部分であり、Hは免疫グロブリン可変ヒンジ領域の少なくとも部分であり、CH2はSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAK(配列番号:45)であり、CH3はGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号:46)であり、nは1〜10の整数であり、そしてo、p、q、r、sおよびtは独立して0〜10の整数であることができる]
に従うポリペプチドを含んでなる上記方法。
【請求項11】
細胞、組織、器官または動物のGLP−1肥満関連状態を診断または処置する方法であって、有効量のGLP−1アゴニストまたはミメティボディ核酸、ポリペプチドまたは抗体の少なくとも1つを含んでなる組成物を、該細胞、組織、器官または動物に接触または投与することを含んでなり、ここで該少なくとも1つのGLP−1 CH1欠失ミメティボディが、Pまたは式(I):
(Pep(n)−L(o)−V(p)−H(q)−CH2(r)−CH3(s))(t)
[式中、Pは配列番号6の少なくとも1つの生物活性GLP−1ペプチドであり、Lは少なくとも1つのリンカー配列であり、これはミメティボディに選択的な配向および結合特性を持つことを可能にすることにより構造的柔軟性を提供するポリペプチドであることができ、Vは免疫グロブリン可変領域のC−末端の少なくとも一部分であり、Hは免疫グロブリン可変ヒンジ領域の少なくとも部分であり、CH2は免疫グロブリンCH2定常領域の少なくとも部分であり、CH3は免疫グロブリンCH3定常領域の少なくとも部分であり、nは1〜10の整数であり、そしてo、p、q、r、sおよびtは独立して0〜10の整数であることができる]
に従うポリペプチドを含んでなる上記方法。
【請求項12】
細胞、組織、器官または動物のGLP−1肥満関連状態を診断または処置する方法であって、有効量のGLP−1アゴニストまたはミメティボディ核酸、ポリペプチドまたは抗体の少なくとも1つを含んでなる組成物を、該細胞、組織、器官または動物に接触または投与することを含んでなり、ここで該少なくとも1つのGLP−1 CH1欠失ミメティボディが、Pまたは式(I):
(Pep(n)−L(o)−V(p)−H(q)−CH2(r)−CH3(s))(t)
[式中、Pは生物活性GLP−1ペプチド、バリアントまたは誘導体の少なくとも1つであり、LはGS,GGS,GGGS(配列番号:16),GSGGGS(配列番号:17)、GGSGGGS(配列番号:18),GGSGGGSGG(配列番号:19)およびGGGSGGGSGG(配列番号:20)から選択され、Vは免疫グロブリン可変領域のC−末端の少なくとも一部分であり、Hは免疫グロブリン可変ヒンジ領域の少なくとも部分であり、CH2は免疫グロブリンCH2定常領域の少なくとも部分であり、CH3は免疫グロブリンCH3定常領域の少なくとも部分であり、nは1〜10の整数であり、そしてo、p、q、r、sおよびtは独立して0〜10の整数であることができる]
に従うポリペプチドを含んでなる上記方法。
【請求項13】
細胞、組織、器官または動物のGLP−1肥満関連状態を診断または処置する方法であって、有効量のGLP−1アゴニストまたはミメティボディ核酸、ポリペプチドまたは抗体の少なくとも1つを含んでなる組成物を、該細胞、組織、器官または動物に接触または投与することを含んでなり、ここで該少なくとも1つのGLP−1 CH1欠失ミメティボディが、Pまたは式(I):
(Pep(n)−L(o)−V(p)−H(q)−CH2(r)−CH3(s))(t)
[式中、Pは生物活性GLP−1ペプチド、バリアントまたは誘導体の少なくとも1つであり、Lは少なくとも1つのリンカー配列であり、これはミメティボディに選択的な配向および結合特性を持つことを可能にすることにより構造的柔軟性を提供するポリペプチドであることができ、VはGTLVTVSS(配列番号:21),GTLVAVSS(配
列番号:22),GTAVTVSS(配列番号:23),TVSS(配列番号:24)およびAVSS(配列番号:25)から選択され、Hは免疫グロブリン可変ヒンジ領域の少なくとも部分であり、CH2は免疫グロブリンCH2定常領域の少なくとも部分であり、CH3は免疫グロブリンCH3定常領域の少なくとも部分であり、nは1〜10の整数であり、そしてo、p、q、r、sおよびtは独立して0〜10の整数であることができる]
に従うポリペプチドを含んでなる上記方法。
【請求項14】
細胞、組織、器官または動物のGLP−1肥満関連状態を診断または処置する方法であって、有効量のGLP−1アゴニストまたはミメティボディ核酸、ポリペプチドまたは抗体の少なくとも1つを含んでなる組成物を、該細胞、組織、器官または動物に接触または投与することを含んでなり、ここで該少なくとも1つのGLP−1 CH1欠失ミメティボディが、Pまたは式(I):
(Pep(n)−L(o)−V(p)−H(q)−CH2(r)−CH3(s))(t)
[式中、Pは生物活性GLP−1ペプチド、バリアントまたは誘導体の少なくとも1つであり、Lは少なくとも1つのリンカー配列であり、これはミメティボディに選択的な配向および結合特性を持つことを可能にすることにより構造的柔軟性を提供するポリペプチドであることができ、Vは免疫グロブリン可変領域のC−末端の少なくとも一部分であり、HはEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGP(配列番号:26),ESKYGPPCPSCPAPEFLGGP(配列番号:27)およびESKYGPPCPPCPAPEAAGGP(配列番号:28)から選択され、CH2は免疫グロブリンCH2定常領域の少なくとも部分であり、CH3は免疫グロブリンCH3定常領域の少なくとも部分であり、nは1〜10の整数であり、そしてo、p、q、r、sおよびtは独立して0〜10の整数であることができる]
に従うポリペプチドを含んでなる上記方法。
【請求項15】
細胞、組織、器官または動物のGLP−1肥満関連状態を診断または処置する方法であって、有効量のGLP−1アゴニストまたはミメティボディ核酸、ポリペプチドまたは抗体の少なくとも1つを含んでなる組成物を、該細胞、組織、器官または動物に接触または投与することを含んでなり、ここで該少なくとも1つのGLP−1 CH1欠失ミメティボディが、Pまたは式(I):
(Pep(n)−L(o)−V(p)−H(q)−CH2(r)−CH3(s))(t)
[式中、Pは生物活性GLP−1ペプチド、バリアントまたは誘導体の少なくとも1つであり、Lは少なくとも1つのリンカー配列であり、これはミメティボディに選択的な配向および結合特性を持つことを可能にすることにより構造的柔軟性を提供するポリペプチドであることができ、Vは免疫グロブリン可変領域のC−末端の少なくとも一部分であり、HはEPKSADKTHTCPPCPAPEAAGGP(配列番号:29),EPKSADKTHTCPPCPAPELAGGP(配列番号:30),EPKSADKTHTCPPCPAPEALGGP(配列番号:31),EPKSADKTHTCPPCPAPELEGGP(配列番号:32),EPKSSDKTHTCPPCPAPEFLGGP(配列番号:33),EPKSADKTHACPPCPAPELLGGP(配列番号:34),EPKSADKAHTCPPCPAPELLGGP(配列番号:35),およびEPKSADKTHTCPPCPAPELLGGP(配列番号:36),ADKTHTCPPCPAPELLGGP(配列番号:37),THTCPPCPAPELLGGP(配列番号:38),ESKYGPPCPSCPAPEAAGGP(配列番号:39),ESKYGPPCPPCPAPELLGGP(配列番号:40),CPPCPAPELLGGP(配列番号:41)およびCPPCPAPEAAGGP(配列番号:42)から選択され、CH2は免疫グロブリンCH2定常領域の少なくとも部分であり、CH3は免疫グロブリンCH3定常領域の少なくとも部分であり、nは1〜10の整数であり、そしてo、p、q、r、sおよびtは独立して0〜10の整数であることができる]
に従うポリペプチドを含んでなる上記方法。
【請求項16】
細胞、組織、器官または動物のGLP−1肥満関連状態を診断または処置する方法であって、有効量のGLP−1アゴニストまたはミメティボディ核酸、ポリペプチドまたは抗体の少なくとも1つを含んでなる組成物を、該細胞、組織、器官または動物に接触または投与することを含んでなり、ここで該少なくとも1つのGLP−1 CH1欠失ミメティボディが、Pまたは式(I):
(Pep(n)−L(o)−V(p)−H(q)−CH2(r)−CH3(s))(t)
[式中、Pは生物活性GLP−1ペプチド、バリアントまたは誘導体の少なくとも1つであり、Lは少なくとも1つのリンカー配列であり、これはミメティボディに選択的な配向および結合特性を持つことを可能にすることにより構造的柔軟性を提供するポリペプチドであることができ、Vは免疫グロブリン可変領域のC−末端の少なくとも一部分であり、Hは免疫グロブリン可変ヒンジ領域の少なくとも部分であり、CH2は免疫グロブリンCH2定常領域の少なくとも部分であり、CH3は免疫グロブリンCH3定常領域の少なくとも部分であり、nは1〜10の整数であり、そしてo、p、q、r、sおよびtは独立して0〜10の整数であることができる]
に従うポリペプチドを含んでなる上記方法。
【請求項17】
上記ポリペプチドが式Iの少なくとも1つのPポリペプチドの少なくとも1つの活性を有する、請求項1に記載のGLP−1 CH1欠失ミメティボディ核酸またはGLP−1
CH1欠失ミメティボディポリペプチド。
【請求項18】
上記方法が、治療に有効な量の少なくとも1つの化合物を含んでなる少なくとも1つの組成物、脂肪低減薬、脂肪代謝薬、脂肪吸収薬、糖尿病薬、インスリン代謝関連薬、検出可能な標識もしくはレポーター、TNFアンタゴニスト、抗感染薬、心血管(CV)系薬、中枢神経系(CNS)薬、自律神経系(ANS)薬、気道薬、胃腸管(GI)薬、ホルモン薬、流体もしくは電解質バランスのための薬剤、血液製剤、抗腫瘍薬、免疫調節薬、目、耳もしくは鼻の薬、局所薬、栄養剤、サイトカインまたはサイトカインアンタゴニストから選択される少なくとも1つの組成物またはポリペプチドを投与することをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
上記の有効量が、上記細胞、組織、器官または動物1キログラムあたり0.001−50mgのGLP−1 CH1欠失ミメティボディまたはアゴニスト、0.000001〜500mgの該GLP−1 CH1欠失ミメティボディまたはアゴニスト、または0.0001〜100μgの該GLP−1 CH1欠失ミメティボディまたはアゴニスト核酸、または均等な濃度である請求項1に記載の方法。
【請求項20】
上記接触または上記投与が、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、網内、気管支内、腹内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頸管内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜腔内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊椎内、滑液包内、胸内、子宮内、膀胱内、病変内局所、ボーラス、膣、直腸、頬内、舌下、鼻内または経皮から選択される少なくとも1つの様式による、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
上記GLP−1関連状態が代謝障害または過食障害である請求項1に記載の方法。
【請求項22】
上記代謝障害が高血糖症である請求項21に記載の方法。
【請求項23】
上記代謝障害が糖尿病である請求項21に記載の方法。
【請求項24】
上記有効量が、処置が必要な動物の血中グルコースレベルを下げることにより該代謝障害を処置する、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
上記有効量が、インスリン生産細胞からのインスリンの分泌を上げることにより該代謝障害を処置する、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
上記有効量が、インスリン生産細胞のアポトーシスを防止することにより該代謝障害を処置する、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
上記有効量が、インスリン生産細胞の増殖を上げることにより該代謝障害を処置する、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
上記GLP−1関連状態が糖尿病に関連する請求項1に記載の方法。
【請求項29】
上記GLP−1ミメティボディが配列番号69のアミノ酸配列を含んでなる、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2009−526750(P2009−526750A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547703(P2008−547703)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/062223
【国際公開番号】WO2007/076319
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(503054122)セントカー・インコーポレーテツド (74)
【Fターム(参考)】