説明

GLP−1ペプチドまたはその類似体をコードし、分泌する、封入された細胞を用いた、急性心筋梗塞(AMI)の処置

本願は、GLP−1、そのフラグメントまたはバリアント、あるいはGLP−1、そのフラグメントまたはバリアントを含んでいる融合ペプチドをコードし、分泌する細胞、例えば、間葉系の幹細胞または間葉系の間質細胞あるいは任意のさらなる適切な細胞の、急性心筋梗塞(AMIまたはMI)の処置のための、使用に関する。このGLP−1、そのフラグメントまたはバリアント、あるいはGLP−1、そのフラグメントまたはバリアントを含んでいる融合ペプチドをコードし、分泌する細胞は、処置される患者の免疫系の応答を防止するように、(球状の)マイクロカプセルに封入されている。また、本願は、これらの(球状の)マイクロカプセル、またはこれらの細胞もしくは(球状の)マイクロカプセルを含んでいる薬学的組成物の、急性心筋梗塞(AMIまたはMI)の処置のための使用にも関する。


Notice: Undefined index: DEJ in /mnt/www/gzt_disp.php on line 298

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GLP−1、そのフラグメントまたはバリアント、あるいはGLP−1を含んでいる融合ペプチド、そのフラグメントまたはバリアントをコードし、分泌する細胞の、急性心筋梗塞(AMIまたはMI)を処置するための医薬を調製するための、使用であって、
GLP−1、そのフラグメントまたはバリアント、あるいはGLP−1を含んでいる融合ペプチド、そのフラグメントまたはバリアントをコードし、分泌する細胞が、処置される患者の免疫系の応答を防止するために、球状のマイクロカプセルに封入されている、使用。
【請求項2】
前記球状のマイクロカプセルが、好ましくは、球状のコアと、少なくとも1個の、表面を被覆する層とを含んでおり、
該球状のコアが、架橋されたポリマーと、GLP−1、そのフラグメントまたはバリアント、あるいはGLP−1を含んでいる融合ペプチド、そのフラグメントまたはバリアントをコードし、分泌する細胞と、の混合物を含んでいるか、または該混合物からなり、
該少なくとも1個の、表面を被覆する層が、架橋されたポリマーを含んでいるか、または該架橋されたポリマーからなる、
請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記球状のマイクロカプセルの全直径が、約120μm〜約800μm、約120μm〜約700μm、約150μm〜約650μm、約165μm〜約600μm、約120μm〜約300μm、約150μm〜約250μm、約165μm〜約225μm、または約180μm〜約200μmであり、
該全直径には、約180、185、190、または200μmが含まれる、
請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記細胞が、GLP−1、そのフラグメントまたはバリアント、あるいはGLP−1を含んでいる融合ペプチド、そのフラグメントまたはバリアントをコードし、分泌する、間葉系の幹細胞、間葉系の間質細胞、ヒトの間葉系の幹細胞、ヒトの間葉系の幹細胞に由来する分化した細胞、同種の細胞、または自己細胞である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
前記架橋されたポリマーが、バイオポリマーおよびアルギン酸塩を含んでいる群から選択される、請求項2〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記コアの架橋されたポリマーおよび/または前記少なくとも1個の、表面を被覆する層の架橋されたポリマーが、化学的に同一のポリマーを同一の濃度または異なる濃度にて含んでおり、
さらに、該ポリマーが異なる分子量を有し得る、および/または該ポリマーが異なる様式にて架橋され得る、
請求項2〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記球状のマイクロカプセルが、1個、2個、3個、4個、5個、5個〜10個、またはそれ以上の、表面を被覆する層を含んでいる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
前記球状のマイクロカプセルが、ポリカチオンからなるさらなる外側の、表面を被覆する層を含んでいる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用であって、
前記GLP−1が、
(a)GLP−1の7〜35番目のアミノ酸を含んでいるペプチド、
(b)GLP−1の7〜36番目のアミノ酸を含んでいるペプチドまたはGLP−1(7−36)アミド、
(c)GLP−1の7〜37番目のアミノ酸を含んでいるペプチド、
(d)式II:
【数1】

で表される配列を含んでいるペプチドであって、
Xaa7はL−ヒスチジンであり;Xaa8はAla、Gly、Val、Leu、IleまたはLysであり;Xaa16はValまたはLeuであり;Xaa18はSer、LysまたはArgであり;Xaa19はTyrまたはGlnであり;Xaa20はLeuまたはMetであり;Xaa22はGlyまたはGluであり;Xaa23はGln、Glu、LysまたはArgであり;Xaa25はAlaまたはValであり;Xaa26はLys、GluまたはArgであり;Xaa27はGluまたはLeuであり;Xaa30はAla、GluまたはArgであり;Xaa33はValまたはLysであり;Xaa34はLys、Glu、AsnまたはArgであり;Xaa35はGlyであり;Xaa36はArg、GlyまたはLysであるか、アミドであるか、あるいは存在しておらず;Xaa37はGly、Ala、Glu、Pro、Lys、アミドであるか、あるいは存在していない、ペプチド、
(e)式III:
【数2】

で表される配列を含んでいるペプチドであって、
Xaa7はL−ヒスチジンであり;Xaa8はAla、Gly、Val、Leu、IleまたはLysであり;Xaa18はSer、LysまたはArgであり;Xaa22はGlyまたはGluであり;Xaa23はGln、Glu、LysまたはArgであり;Xaa26はLys、GluまたはArgであり;Xaa30はAla、GluまたはArgであり;Xaa34はLys、GluまたはArgであり;Xaa35はGlyであり;Xaa36はArgまたはLysであるか、アミドであるか、あるいは存在しておらず;Xaa37はGly、Ala、GluまたはLysであるか、アミドであるか、あるいは存在していない、ペプチド、および
(f)(a)〜(e)に示すペプチドのいずれかと少なくとも80%の同一性を示すペプチド
からなる群より選択されるペプチドである、使用。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用であって、
前記GLP−1の融合ペプチドまたはそのフラグメントもしくはバリアントが、成分(I)および成分(II)を含んでおり、
該成分(I)のN末端は、
(a)GLP−1(7−35、7−36または7−37)の配列
(b)配列番号1で表される配列
(c)式II:
【数3】

で表される配列を含んでいるか、該配列からなるペプチドであって、
Xaa7はL−ヒスチジンであり;Xaa8はAla、Gly、Val、Leu、IleまたはLysであり;Xaa16はValまたはLeuであり;Xaa18はSer、LysまたはArgであり;Xaa19はTyrまたはGlnであり;Xaa20はLeuまたはMetであり;Xaa22はGlyまたはGluであり;Xaa23はGln、Glu、LysまたはArgであり;Xaa25はAlaまたはValであり;Xaa26はLys、GluまたはArgであり;Xaa27はGluまたはLeuであり; Xaa30はAla、GluまたはArgであり;Xaa33はValまたはLysであり;Xaa34はLys、Glu、AsnまたはArgであり;Xaa35はGlyであり;Xaa36はArg、GlyまたはLysであるか、アミドであるか、あるいは存在しておらず;Xaa37はGly、Ala、Glu、Pro、Lys、アミドであるか、あるいは存在していない、ペプチド
(d)式III:
【数4】

で表される配列を含んでいるか、該配列からなるペプチドであって、
Xaa7はL−ヒスチジンであり;Xaa8はAla、Gly、Val、Leu、IleまたはLysであり;Xaa18はSer、LysまたはArgであり;Xaa22はGlyまたはGluであり;Xaa23はGln、Glu、LysまたはArgであり;Xaa26はLys、GluまたはArgであり;Xaa30はAla、GluまたはArgであり;Xaa34はLys、GluまたはArgであり;Xaa35はGlyであり;Xaa36はArgまたはLysであるか、アミドであるか、あるいは存在しておらず;Xaa37はGly、Ala、GluまたはLysであるか、アミドであるか、あるいは存在していない、ペプチド、または
(e)(a)〜(d)に示す配列のいずれかの配列と少なくとも80%の配列同一性を有する配列
の配列からなるか、あるいは該配列を含んでいるペプチドの群から選択され、
該成分(II)のC末端は、少なくとも9個のアミノ酸のペプチド配列、またはその機能的なフラグメントもしくはバリアントから選択される、使用。
【請求項11】
前記GLP−1の融合ペプチドの成分(II)が、
(a)配列番号22(RRDFPEEVAI)、配列番号27(DFPEEVAI)、配列番号28(RDFPEEVA)、配列番号29(RRDFPEEV)、配列番号30(AADFPEEVAI)、配列番号31(ADFPEEVA)、または配列番号32(AADFPEEV)で表される配列、あるいは配列番号22、27、28、29、30、31または32と少なくとも80%の配列同一性を有する配列、
を含んでいるペプチド配列、
(b)配列番号23(RRDFPEEVAIVEEL)、配列番号24(RRDFPEEVAIAEEL)、配列番号33(AADFPEEVAIVEEL)、または配列番号34(AADFPEEVAIAEEL)で表される配列、あるいは配列番号23、24、33または34と少なくとも80%の配列同一性を有する配列、
を含んでいるペプチド配列、および
(c)配列番号2(RRDFPEEVAIVEELG)、配列番号3(RRDFPEEVAIAEELG)、配列番号35(AADFPEEVAIVEELG)、または配列番号36(AADFPEEVAIAEELG)で表される配列、あるいは配列番号2、3、35または36と少なくとも80%の配列同一性を有する配列、
を含んでいるペプチド配列、
から選択される、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記GLP−1の融合ペプチドの成分(I)と成分(II)とが、直接的に連結されているか、リンカー配列を介して連結されている、請求項10または11に記載の使用。
【請求項13】
前記GLP−1の融合ペプチドが、成分(I)および成分(II)の代わりに、または成分(I)および成分(II)に加えて、成分(III)を含んでおり、
融合タンパク質に成分(I)および成分(III)が存在する場合、成分(III)が、成分(I)のC末端および/または成分(I)のN末端に連結されていてもよく、
融合タンパク質に成分(I)、成分(II)および成分(III)が存在する場合、成分(III)が、成分(II)のC末端および/または成分(I)のN末端に連結されていてもよい、
請求項10〜12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
請求項13に記載の使用であって、
成分(III)が少なくとも4個のアミノ酸残基、少なくとも10個のさらなるアミノ酸残基、少なくとも20個のさらなるアミノ酸残基、または少なくとも30個のさらなるアミノ酸残基を含んでおり、
成分(III)が
(a)プログルカゴンにおけるGLP−2のN末端配列、
(b)GLP−1(5−37、6−37、または7−37)の配列、
(c)式II:
【数5】

で表される配列を含んでいるペプチドであって、
Xaa7はL−ヒスチジンであり;Xaa8はAla、Gly、Val、Leu、IleまたはLysであり;Xaa16はValまたはLeuであり;Xaa18はSer、LysまたはArgであり;Xaa19はTyrまたはGlnであり;Xaa20はLeuまたはMetであり;Xaa22はGlyまたはGluであり;Xaa23はGln、Glu、LysまたはArgであり;Xaa25はAlaまたはValであり;Xaa26はLys、GluまたはArgであり;Xaa27はGluまたはLeuであり;Xaa30はAla、GluまたはArgであり;Xaa33はValまたはLysであり;Xaa34はLys、Glu、AsnまたはArgであり;Xaa35はGlyであり;Xaa36はArg、GlyまたはLysであるか、アミドであるか、あるいは存在しておらず;Xaa37はGly、Ala、Glu、Pro、Lys、アミドであるか、あるいは存在していない、ペプチド、
(d)式III:
【数6】

で表される配列を含んでいるペプチドであって、
Xaa7はL−ヒスチジンであり;Xaa8はAla、Gly、Val、Leu、IleまたはLysであり;Xaa18はSer、LysまたはArgであり;Xaa22はGlyまたはGluであり;Xaa23はGln、Glu、LysまたはArgであり;Xaa26はLys、GluまたはArgであり;Xaa30はAla、GluまたはArgであり;Xaa34はLys、GluまたはArgであり;Xaa35はGlyであり;Xaa36はArgまたはLysであるか、アミドであるか、あるいは存在しておらず;Xaa37はGly、Ala、GluまたはLysであるか、アミドであるか、あるいは存在していない、ペプチド、
(e)(a)〜(d)に示す配列のいずれかの配列と少なくとも80%の配列同一性を有する配列、および
(f)配列番号4または5で表される配列、あるいは配列番号4または5と少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含んでいる成分(III)
から選択されることが好ましい、使用。
【請求項15】
前記GLP−1の融合ペプチドが、成分(IV)としての担体タンパク質、特にトランスフェリンまたはアルブミンをさらに含んでいる、請求項10〜14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
前記GLP−1の融合ペプチドが、
配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号26、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、または配列番号48で表される配列、あるいは、配列番号6、7、8、10、11、12、26、または37〜48と少なくとも80%の配列同一性を有する配列、
から選択されたペプチド配列を含んでいるか、該ペプチド配列からなる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
前記球状のマイクロカプセルの前記コアにおける前記細胞が、抗アポトーシス因子、増殖因子、VEGF、エリスロポエチン(EPO)、抗血小板薬、抗凝固薬、および抗血栓薬からなる群より選択される因子をさらに分泌するようにさらに設計されている、ならびに/あるいは、
前記カプセルを通して処置的なレベルにて放出されるパラクリン因子としての内因性のタンパク質またはペプチドを分泌するようにさらに設計されており、
該内因性のタンパク質またはペプチドがVEGF、IL6、IL8、GDNF、NT3、およびMCP1から選択される、
請求項1〜16のいずれか1項に記載の使用。
【請求項18】
前記球状のマイクロカプセルが、心臓の組織へ直接的に注入することによって、または心臓組織の患部に供給する細動脈を通した血管内への送達によって、哺乳動物の急性心筋梗塞の患者または哺乳動物の急性心筋梗塞後の患者の心筋の患部に移植される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12(a)】
image rotate

【図12(b)】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公表番号】特表2012−502072(P2012−502072A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526412(P2011−526412)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006620
【国際公開番号】WO2010/028846
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(303039785)バイオコンパティブルズ ユーケー リミテッド (23)
【Fターム(参考)】