説明

GLP−1分泌促進剤

【課題】GLP−1分泌促進、胃排泄抑制等に有用な物質の提供。
【解決手段】スピルリナ又はその抽出物を有効成分とするGLP−1分泌抑制剤。スピルリナ又はその抽出物を有効成分とする胃排泄抑制剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GLP−1(glucagon-like peptide-1)分泌促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
Glucagon−like peptide−1(GLP−1)は、内分泌ホルモンであるグルカゴンと共通の遺伝子及び前駆体から産生されるホルモンである。グルカゴンが脾島のα細胞で産生されるのに対し、GLP−1は腸の内分泌細胞(L細胞)で産生され、その前駆体からグルカゴンとは異なったプロセシングを経て産生される。GLP−1は糖代謝に重要な役割を果たしているインクレチン(incretin: Intestine Secretion Insulin)作用を備えたホルモンであり、栄養素の摂取によって血中に分泌され、膵β細胞に働きかけインスリン分泌を促進し、血糖値を低下させる。GLP−1はまた、膵臓に働きかけてグルカゴン分泌を抑制することにより、肝からのブドウ糖放出を低下させ、血糖値を低下させる。他のGLP−1の作用としては、膵β細胞の増殖促進、胃排泄や胃酸分泌の抑制、及び食欲と摂食の抑制等が知られている(非特許文献1〜3)。従って、GLP−1の効果を高めることは、肥満、糖尿病等の生活習慣病の改善に有用である。近年では、GLP−1補充療法やGLP−1受容体(GLP−1R)アゴニストを利用した糖尿病治療法の開発も進められている。
【0003】
GLP−1はまた、中枢神経系に対する作用を有することが知られている。GLP−1の食欲と摂食の抑制効果は、中枢神経系に存在するGLP−1Rを介するものと考えられている(非特許文献1)。また、GLP−1R欠損マウスでは学習能力が低下する一方で、GLP−1Rを過剰発現させたマウスでは記憶学習能力が向上する(非特許文献4)。培養系での実験では、GLP−1の神経突起伸長促進作用や、神経傷害によるアポトーシスからの保護作用が観察されている(非特許文献5)。従って、GLP−1は、神経変性を抑え、認知症等の神経変性疾患や糖尿病に伴う神経障害の改善に有用な物質としても期待されている。
【0004】
また、GLP−1は、糖尿病患者の血糖値制御に有用であると考えられている。GLP−1により膵臓のグルカゴン分泌が抑制されると、肝からのブドウ糖放出が低下し、血糖が低下する。この作用は低血糖によるグルカゴン分泌と拮抗せず、またインスリン濃度に依存しないことが報告されている。GLP−1投与により1型糖尿病患者及び2型糖尿病患者で共に、血糖を一定にするのに必要なインスリン量が減少したことも報告されている。さらにGLP−1は、中枢神経系へ作用して食欲を抑制することにより、長期的に血糖値制御に効果を発揮し得る。よって、これらの作用を介して、GLP−1により、糖尿病やインスリン抵抗性の患者の症状を改善できる可能性がある。実際にGLP−1アナログ製剤であるExenatideやLiraglutideが糖尿病治療薬として使用されており、インスリン抗性改善効果があることが報告されている(非特許文献6)。
【0005】
しかし、通常GLP−1は非常に分解され易く、生体内での半減期は非常に短い。そのため、体外からGLP−1を投与しても、その血中濃度を一定に保つのは非常に難しい。従って、生体内でのGLP−1濃度を長時間にわたって高めるためには、外からの投与よりも内因性GLP−1の分泌を促進することが望ましい。
【0006】
培養系での研究から、GLP−1の分泌を促進する物質として、パルミチン酸、オレイン酸、肉加水分解物(MH)、ガストリン放出ペプチド(GRP)、カルバコール、フォルスコリン、イオノマイシン、酢酸ミリスチン酸ホルボール(PMA)、必須アミノ酸(EAA)、ロイシン、イソロイシン、スキムミルク、カゼイン、レプチン、ムスカリン性受容体M1、M2がこれまでに報告されている(非特許文献7〜11)。
【0007】
スピルリナは藍藻綱ユレモ目アルスロスピラ属の藻類で、グリコヘモグロビン低下作用、血清脂質レベル改善作用が知られている(非特許文献12)。しかし、スピルリナのGLP−1に対する作用については何ら報告されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】J Clin Endocrinol Metab, 2002, 87(3):1239-1246
【非特許文献2】Am J Physiol Endocrinol Metab, 1997, 273:E981-E988
【非特許文献3】Eur J Pharmacol, 2002, 440(2-3):269-279
【非特許文献4】Nat Med, 2003, 9:1173-1179
【非特許文献5】J Pharmacol Exp Ther, 2002, 302(3):881-888
【非特許文献6】医学のあゆみ, 2009, 231(7):755-758
【非特許文献7】Endocrinology, 2001, 142(10):4522-4528
【非特許文献8】Journal of Endocrinology, 2006, 191,159-170
【非特許文献9】Nutrition, 2009, 25(3):340-349
【非特許文献10】Endocrinology, 2003, 144(7):3244-3250
【非特許文献11】Diabetes, 2006, 52(2):252-259
【非特許文献12】Journal of Medicinal Food, 2001, 4(4):193-199
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、GLP−1の分泌を促進する物質の提供と、GLP−1分泌促進、胃排泄抑制等に関連した当該物質の使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、GLP−1の分泌を促進できる素材について検討したところ、スピルリナにGLP−1の分泌を促進する作用があることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明は以下を提供する。
(1)スピルリナ又はその抽出物を有効成分とするGLP−1分泌抑制剤。
(2)スピルリナ又はその抽出物を有効成分とする胃排泄抑制剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明のGLP−1の分泌促進剤は、優れたGLP−1分泌促進するとともに、胃排泄抑制のために有用である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】スピルリナ抽出物によるNCI−H716細胞におけるGLP−1分泌促進。*:p < 0.05。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において、「GLP−1分泌促進」とは、食事、特に糖質又は脂質を多く含む食事を摂取することで引き起こされる生体内でのGLP−1分泌を促進することを意味する。あるいは、「GLP−1分泌促進」とは、主として食後に生じる生体内でのGLP−1分泌に伴う血中GLP−1濃度上昇を増強するか、上昇したGLP−1濃度を維持するか、又は上昇したGLP−1濃度の低下を抑制することをいう。
【0015】
本明細書において、「非治療的」とは、医療行為、すなわち治療による人体への処置行為を含まない概念である。
【0016】
本明細書において、「改善」とは、疾患、症状又は状態の好転、疾患、症状又は状態の悪化の防止又は遅延、あるいは疾患又は症状の進行の逆転、防止又は遅延をいう。
【0017】
本明細書において、「予防」とは、個体における疾患若しくは症状の発症の防止又は遅延、あるいは個体の疾患若しくは症状の発症の危険性を低下させることをいう。
【0018】
本明細書において、「スピルリナ」とは、藍藻綱ユレモ目のArthrospira platensis又はArthrospira maximaを指す。「スピルリナ抽出物」とは、スピルリナ全藻からの抽出物でよい。スピルリナは、そのまま抽出工程に付されてもよく、又は粉砕、切断若しくは乾燥された後に抽出工程に付されてもよい。
【0019】
上記抽出物としては、市販されているもの、例えば市販のスピルリナ色素、を利用してもよく、又は常法により得られる各種溶媒抽出物、又はその希釈液、その濃縮液、その乾燥末、ペースト若しくはその活性炭処理したものであってもよい。一例として、本発明における抽出物は、スピルリナを室温(例えば、4〜50℃)若しくは加温(室温〜溶媒沸点)下にて抽出するか、又はソックスレー抽出器等の抽出器具を用いて抽出することにより得ることができる。
【0020】
抽出のための溶媒には、極性溶媒、非極性溶媒のいずれをも使用することができる。溶媒の具体例としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;スクワラン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;トルエン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;及び超臨界二酸化炭素;ピリジン類;油脂、ワックス等その他オイル類等の有機溶媒;ならびにこれらの混合物が挙げられる。好適には、水、アルコール類及びその水溶液が挙げられ、アルコール類としてはエタノールが好ましい。より好ましい溶媒は、水及びエタノール水溶液である。
【0021】
抽出のための溶媒としてアルコール水溶液を使用する場合には、アルコール類と水との配合割合(容量比)としては、0.001〜100:99.999〜0が好ましく、5〜95:95〜5がより好ましく、20〜80:80〜20がさらに好ましく、30〜70:70〜30がさらにより好ましく、40〜60:60〜40がなお好ましい。エタノール水溶液の場合、エタノール類濃度が40〜60容量%であることが好ましい。
溶媒の使用量としては、スピルリナ(乾燥質量換算)1gに対して1〜100mLが好ましく、抽出時間としては、1分間〜100日間が好ましく、1分間〜10日間がより好ましい。このときの抽出温度は、0℃〜溶媒沸点、より好ましくは5〜100℃、さらに好ましくは10〜50℃、さらにより好ましくは10〜35℃である。
【0022】
スピルリナの抽出物を得る抽出手段は、具体的には、固液抽出、液液抽出、浸漬、煎出、浸出、水蒸気蒸留、還流抽出、超音波抽出、マイクロ波抽出、攪拌等の手段を用いることができる。例えば、浸漬の好適な一例として、10〜50℃で、1時間〜14日間の浸漬が挙げられる。また、抽出時間を短縮する場合には、攪拌を伴う固液抽出が望ましい。この固液抽出の好適な条件の一例としては、10〜100℃(好ましくは10〜35℃)下、100〜400rpmで1〜30分間の攪拌が挙げられる。
抽出物の酸化を防止するため、煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する手段を併用してもよい。
【0023】
後記実施例に示すように、スピルリナ抽出物は、消化管細胞からのGLP−1分泌を有意に促進する作用を有する。また、GLP−1の作用として、グルカゴン分泌抑制、インスリン分泌促進、及びそれらによる血糖上昇抑制、ならびに胃排泄抑制、及び食欲抑制は、従来よく知られている(J Clin Endocrinol Metab, 2002, 87(3):1239-1246, Am J Physiol Endocrinol Metab, 1997, 273:E981-E988, Eur J Pharmacol, 2002, 440(2-3):269-279など)。従って、スピルリナ又はその抽出物は、GLP−1分泌促進剤として有用であり、且つGLP−1分泌に関わる様々な状態の制御、例えば、胃排泄抑制のために有用である。
【0024】
すなわち、スピルリナ又はその抽出物は、GLP−1分泌促進のため、又は胃排泄抑制のために使用することができる。当該使用は、ヒト若しくは非ヒト動物、又はそれらに由来する検体における使用であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。
【0025】
従って、本発明は、スピルリナ又はその抽出物を有効成分として含有するGLP−1分泌促進剤を提供する。
また本発明は、スピルリナ又はその抽出物を有効成分として含有する胃排泄抑制剤を提供する。
上記本発明の剤は、スピルリナ又はその抽出物から本質的に構成されていてもよい。
【0026】
スピルリナ又はその抽出物は、GLP−1分泌促進のため、又は胃排泄抑制のための組成物、医薬、医薬部外品、飲食品若しくはその原料、又は飼料若しくはその原料に素材として配合することができ、あるいはそれらの製造のために使用することができる。
【0027】
上記組成物、医薬、医薬部外品、飲食品、飼料、又は飲食品若しくは飼料の原料は、ヒト又は非ヒト動物用として製造され、又は使用され得る。スピルリナ又はその抽出物は、当該組成物、医薬、医薬部外品、飲食品、飼料、又は飲食品若しくは飼料の原料に素材として配合され、GLP−1分泌促進又は胃排泄抑制のための有効成分であり得る。
【0028】
上記医薬又は医薬部外品は、スピルリナ又はその抽出物を有効成分として含有する。当該医薬又は医薬部外品は、任意の投与形態で投与され得る。投与形態は、経口投与でも非経口投与でもよい。例えば、経口投与形態としては、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤のような固形投薬形態、ならびにエリキシロール、シロップおよび懸濁液のような液体投薬形態が挙げられ、非経口投与形態としては、注射、輸液、経皮、経粘膜、経鼻、経腸、吸入、坐剤、ボーラス、貼布剤等が挙げられる。
【0029】
上記医薬や医薬部外品は、スピルリナ又はその抽出物を単独で含有していてもよく、又は薬学的に許容される担体と組み合わせて含有していてもよい。斯かる担体としては、例えば、賦形剤、被膜剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、希釈剤、分散剤、緩衝剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、乳化剤、防腐剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、保湿剤、増粘剤、活性増強剤、抗炎症剤、殺菌剤、矯味剤、矯臭剤等が挙げられる。また、当該医薬や医薬部外品は、スピルリナ又はその抽出物のGLP−1分泌促進作用が失われない限り、他の有効成分や薬理成分を含有していてもよい。
【0030】
上記医薬又は医薬部外品は、スピルリナ又はその抽出物から、あるいは必要に応じて上記担体及び/又は他の有効成分や薬理成分を組みあわせて、常法により製造することができる。当該医薬又は医薬部外品におけるスピルリナの含有量(抽出物の乾燥物換算)は、通常0.0001〜20質量%であり、0.001〜10質量%とするのが好ましく、0.01〜5質量%とするのがより好ましい。
【0031】
上記飲食品や飼料は、GLP−1分泌促進、胃排泄抑制等の機能を有し、当該機能を必要に応じて表示した食品、機能性食品、病者用食品、特定保健用食品、ペットフード等であり得る。
【0032】
上記飲食品の種類は特に限定されない。飲料としては、例えば、果汁飲料、炭酸飲料、茶系飲料、コーヒー飲料、乳飲料、アルコール飲料、清涼飲料等、あらゆる飲料が挙げられる。食品の形態は、固形、半固形、液状等の任意の形態であってもよく、また錠剤形態、丸剤形態、タブレット、カプセル形態、液剤形態、シロップ形態、粉末形態、顆粒形態等であってもよい。例えば、食品としては、パン類、麺類、パスタ、ゼリー状食品、各種スナック類、ケーキ類、菓子類、アイスクリーム類、スープ類、乳製品、冷凍食品、インスタント食品、その他加工食品、調味料、サプリメント等が挙げられる。上記飼料の種類も特に限定されず、任意の動物のための飼料であってよく、その形態も上記食品の場合と同様に任意の形態であり得る。
【0033】
上記飲食品若しくは飼料、又はそれらの原料は、スピルリナ又はその抽出物を単独で含有していてもよく、又は他の食材や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤等の添加剤を組み合わせて含有していてもよい。当該飲食品若しくは飼料中のスピルリナの含有量(抽出物の乾燥物換算)は、通常0.0001〜10質量%であり、0.0001〜5質量%とするのが好ましく、0.001〜1質量%とするのがより好ましい。
【0034】
あるいは、スピルリナ又はその抽出物は、GLP−1分泌促進のため又は胃排泄抑制のために、それらを必要とする対象に有効量で投与される。あるいは、スピルリナ又はその抽出物は、GLP−1分泌促進のため又は胃排泄抑制のために、それらを必要とする対象に有効量で摂取される。
【0035】
投与又は摂取する対象としては、GLP−1分泌促進又は胃排泄抑制を必要とする動物であり得る。動物は、好ましくはヒト又は非ヒト哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。
【0036】
好ましい投与量及び摂取量は、対象の種、体重、性別、年齢、状態又はその他の要因に従って変動し得る。投与の用量、経路、間隔、及び摂取の量や間隔は、当業者によって適宜決定され得る。例えば、ヒトに経口投与又は摂取させる場合、投与又は摂取量は、スピルリナの量(抽出物の乾燥物換算)として、成人1人当たり、20μg〜2000mg/日とすることが好ましく、200μg〜1000mg/日がより好ましく、2mg〜500mg/日がさらに好ましく、20mg〜200mg/日がなお好ましい。経口投与又は摂取は、好ましくは毎食時或いは毎食時前に行われ、より好ましくは毎食時の4時間〜5分前に行われる。
【0037】
あるいは、投与又は摂取する対象は、動物由来の組織、器官、細胞、又はそれらの分画物であり得る。当該組織、器官、細胞、又はそれらの分画物は、好ましくは、GLP−1を分泌する能力を有する天然由来又は生物学的若しくは生物工学的に改変された組織、器官、細胞、又はそれらの分画物である。
【実施例】
【0038】
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
【0039】
実施例1 スピルリナの細胞におけるGLP−1分泌促進作用
市販のスピルリナ抽出物(リナブルーAE;大日本インキ社から販売されているスピルリナ色素)を20%EtOHにより濃度1%(w/v)となるように希釈し、試験サンプルとした。コントロールとしては、20%EtOHを用いた。
【0040】
NCI−H716細胞(ヒト結腸由来細胞;ATCC社より購入、Dr. Herbert K. Oieらにより開発され、agencies of the United States Public Health Serviceから供給)は37℃、5%CO2存在下で培養した。培養液は、RPMI1640(10%ウシ胎児血清含有、高グルコース;Invitrogen社)を用いた。細胞を、マトリゲル(100μL/well;BD社)をコーティングした24ウエルプレートに1×106cell/well(N=4)となるように播き、DMEM(10%ウシ胎児血清含有、高グルコース;Invitrogen社)培地で培養した。3日後に培地を0.01%(v/v)の濃度で試験サンプルを含むKRB(Krebs-Ringer bicarbonate、Sigma社)・0.2%BSAに交換し、2時間培養した後、培地を回収した。培地はdiprotin−A(DPP4阻害剤、Sigma社)及びPMSF(Phenylmethylsulfonyl fluoride、セリンプロテアーゼ阻害剤、Sigma社)を加えた微量遠心管に回収し、浮遊した細胞を除去した後、GLP−1定量まで−80℃で保存した。培地中のGLP−1は、GLUCAGON-LIKE PEPTIDE-1 (ACTIVE) ELISA KIT(LINCO Research)を用いたELISAにより定量し、コントロールの平均値に対する相対値として求めた。
【0041】
結果を図1及び表1に示す。スピルリナは0.01%の濃度で有意にGLP−1分泌を促進した。
【0042】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピルリナ又はその抽出物を有効成分とするGLP−1分泌抑制剤。
【請求項2】
スピルリナ又はその抽出物を有効成分とする胃排泄抑制剤。

【図1】
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【公開番号】特開2013−53091(P2013−53091A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191533(P2011−191533)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】