GLP−1化合物
GLP−1類似体を含むGLP−1化合物、および患者において代謝性疾患を治療する、インスリン発現を高める、およびインスリン分泌を促進するためにGLP−1化合物を使用する方法が提供される。この方法は、たとえば糖尿病、耐糖能異常、インスリン抵抗性、様々な脂質障害、肥満、心臓血管疾患および骨障害を治療するために使用できる。本発明において提供されるGLP−1化合物は、たとえば式I(配列番号5)などのアミノ酸配列を含むGLP−1類似体を含み、この化合物はGLP−1活性を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2006年4月20日に出願された米国仮特許出願第60/793,707号の利益を主張し、これは、全ての目的において本明細書中の全体にわたって参考として明白に援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)と関連ペプチド、グルカゴンは、プログルカゴンの示差的なプロセシングによって生産され、拮抗する生物活性を有する。プログルカゴン自体は、膵のα細胞および、主として遠位小腸と結腸に位置する、腸内分泌性L細胞において産生される。膵において、グルカゴンはプログルカゴンから選択的に切断される。腸では、これに対し、プログルカゴンはGLP−1とグルカゴン様ペプチド2(GLP−2)を形成するようにプロセシングされ、それらはそれぞれ、プログルカゴンのアミノ酸残基78−107と126−158に対応する(たとえば非特許文献1および非特許文献2参照)。慣例により、GLP−1のアミノ酸の番号付けは、プログルカゴンの切断から形成されるGLP−1(1−37)に基づく。生物活性形態は、このペプチドのさらなるプロセシングから生成され、GLP−1(7−37)−OHおよびGLP−1(7−36)−NH2を生じる。これらのプロセシングされたペプチドの最初のアミノ酸はHis7である。GLP−1(7−37)−OH(または単にGLP−(7−37))とGLP−1(7−36)−NH2はどちらも同じ活性を有する。便宜上、「GLP−1」という用語を、これらの形態の両方を指すために使用する。
【0003】
グルカゴンは、低血糖に応答して膵のα細胞から分泌され、グルカゴンの主要標的器官は肝である。グルカゴンは、グリコーゲンの分解を刺激し、グリコーゲンの生合成を阻害する。また脂肪酸の合成も阻害するが、糖新生を促進する。これらの作用の正味の結果は、肝からのグルコースの放出を有意に上昇させることである。GLP−1は、これに対し、グルカゴン分泌を低下させるが、その一方で、腸管による栄養素の吸収に応答してインスリンの分泌、グルコースの取込みおよびサイクリックAMP(cAMP)形成を刺激する。様々な臨床データがこれらの作用の証拠を提供する。コントロール不良の2型糖尿病患者におけるGLP−1の投与は、たとえば、患者の空腹時血糖値を正常化した(たとえば非特許文献3参照)。
【0004】
GLP−1は多くの他の重要な活性を有する。たとえばGLP−1はまた、胃の運動性および胃液分泌を抑制する(たとえば非特許文献4参照)。時として回腸ブレーキ作用と称されるこの作用は、栄養素のアベイラビリティに遅延期を生じさせ、その結果急速なインスリン応答の必要性を有意に低下させる。
【0005】
試験はまた、GLP−1が細胞分化と複製を促進することができ、それが次に、膵島細胞の保存およびβ細胞量の増加を助けることを示唆する(たとえば非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;および非特許文献8参照)。また、GLP−1が満腹感を高め、食物摂取を低下させ得ることを示唆する証拠もある(たとえば非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11参照)。
【0006】
他の研究は、GLP−1が、GLUT−1輸送体、インスリン受容体およびヘキソキナーゼ−1を含む、β細胞特異的遺伝子発現を誘導することを指示する(たとえば非特許文献12参照)。そのような誘導は、しばしば加齢に関連するグルコース不耐性を逆転させ得る。
【0007】
GLP−1は代謝ホメオスタシスを調節する上で鍵となる役割を果たすので、糖尿病、肥満および代謝症候群を含む様々な代謝性疾患を治療するための魅力的な標的である。糖尿病のための現在の治療は、インスリン注射、およびスルホニル尿素、メトホルミンおよびTZDの投与を含む。これらのアプローチには、しかしながら、重要な欠点がある。たとえばインスリン注射は、複雑な投薬上の配慮を必要とし、スルホニル尿素による治療はしばしば経時的に無効になり、メトホルミンは低血糖を誘導することがあり、TZDは体重増加や浮腫などの副作用を有する。GLP−1治療の潜在的利点は、1)インスリン分泌が高血糖に依存することによる高い安全性、2)結果として過度のグルコース産生を抑制する、グルカゴン分泌の抑制、および3)結果として栄養素の吸収を遅延させ、急激なグルコース上昇を防ぐ、胃排出の緩慢化を含む。
【0008】
GLP−1による有効な治療の重要な障害は、しかしながら、典型的にはわずか数分しかない、このペプチドの非常に短い半減期である(たとえば非特許文献13参照)。この分子の半減期を延長することを目標として様々な類似体が開発されてきた。これらの一部は、しかし、嘔吐および吐気を含む、有意の消化器系副作用を有する(たとえば非特許文献14参照)。
【非特許文献1】IrwinとWong,1995,Mol.Endocrinol.9:267−277
【非特許文献2】Bellら、1983,Nature 304:368−371
【非特許文献3】Gutniakら、1992,New Eng.J.Med.326:1316−1322
【非特許文献4】Tolessa,1998,J.Clin.Invest.102:764−774
【非特許文献5】Andreasenら、1994,Digestion 55:221−228
【非特許文献6】Wangら、1997,J.Clin.Invest.99:2883−2889
【非特許文献7】Mojsov,1992,Int.J.Pep.Prot.Res.40:333−343
【非特許文献8】Xuら、1999,Diabetes 48:2270−2276
【非特許文献9】Toft−Nielsenら、1999,Diabetes Care 22:1137−1143
【非特許文献10】Flintら、1998,J.Clin.Invest.101:515−520
【非特許文献11】Gutswillerら、1999 Gut 44:81−86
【非特許文献12】PerfettiとMerkel,2000,Eur.J.Endocrinol.143:717−725
【非特許文献13】Holst,1994,Gastroenterology 107:1848−1855
【非特許文献14】Agersoら、2002,Diabetologia 45:195−202
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、糖尿病、肥満、過敏性腸症候群および代謝症候群などの様々な代謝性疾患の治療における使用のための、GLP−1型活性を有する改善された分子への必要性が現在も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(要旨)
GLP−1類似体を含み、GLP−1の活性(たとえばインスリン分泌刺激活性)を有するGLP−1化合物をここで開示する。その組成物の有効量を投与することによって様々な疾患を治療するための方法も提供する。そのような方法は、たとえば糖尿病、耐糖能異常、インスリン抵抗性、様々な脂質障害、肥満、心臓血管疾患および骨障害を治療するために使用できる。
【0011】
ここで提供するGLP−1化合物の一部は、たとえば式I(配列番号5):
Xaa7−Gly−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Cys−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Gly−Xaa36−Xaa37−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−C(O)−R1(式I、配列番号5)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
Xaa33は、ValまたはLysであり;
Xaa34は、LysまたはAsnであり;
Xaa36は、ArgまたはGlyであり;
Xaa37は、GlyまたはProである]
のアミノ酸配列を含むGLP−1類似体を含み、前記化合物はGLP−1活性を有する。特定態様では、GLP−1類似体は、5以下の保存的アミノ酸置換を含む配列番号7または8のアミノ酸配列を有し、保存的アミノ酸置換は、アミノ酸Xaa8、Xaa23、またはXaa38−Xaa45のいずれかではないことを条件とする。もう1つの特定態様では、GLP−1類似体は、配列番号7または8のいずれかのアミノ酸配列を有する。
【0012】
ここで提供する他のGLP−1化合物は、式II(配列番号9):
Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Xaa23−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Cys−Ser−Gly−Gly−C(O)−R1(式II、配列番号9)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
8位のXaaは、Gly、bAla(2−アミノプロピオン酸)、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、Aib(2−アミノイソ酪酸)またはα−α−二置換アミノ酸であり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
23位のXaaは、Gln、Asn、Arg、Glu、Asp、Lys、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
33位のXaaは、Val、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Glu、AspまたはLysであり;
34位のXaaは、Asn、Lys、Arg、Glu、AspまたはHisであり;
35位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
36位のXaaは、Gly、Arg、Lys、Glu、AspまたはHisであり;
37位のXaaは、Pro、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysである]
のアミノ酸配列を含むGLP−1類似体を含み、前記化合物はGLP−1活性を有する。特定態様では、GLP−1類似体は、5以下の保存的アミノ酸置換を含む配列番号11または12のアミノ酸配列を有し、保存的アミノ酸置換は、アミノ酸Xaa8、またはXaa38−Xaa41のいずれかではないことを条件とする。もう1つの特定態様では、GLP−1類似体は、配列番号11または12のアミノ酸配列を有する。
【0013】
ここで提供するさらなる他のGLP−1化合物は、式III(配列番号13):
Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Xaa23−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Gly−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41−C(O)−R1(式III、配列番号13)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
8位のXaaは、Gly、bAla(2−アミノプロピオン酸)、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、Aib(2−アミノイソ酪酸)またはα−α−二置換アミノ酸であり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、Aib(2−アミノイソ酪酸)、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、α−α−二置換アミノ酸またはAad(2−アミノアジピン酸)であり;
23位のXaaは、Gln、Asn、Arg、Glu、Asp、Lys、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
33位のXaaは、Val、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Glu、AspまたはLysであり;
34位のXaaは、Asn、Lys、Arg、Glu、AspまたはHisであり;
35位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
36位のXaaは、Gly、Arg、Lys、Glu、AspまたはHisであり;
38位のXaaは、Cys、Glyであるか、または除かれており;
39位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Cysであるか、または除かれており;
40位のXaaは、Glyであるかまたは除かれており;
41位のXaaは、Glyであるかまたは除かれており;
38、39、40または41位のアミノ酸が除かれているとき、そのアミノ酸の下流の各々のアミノ酸も除かれていることを条件とする]
のアミノ酸配列を含むGLP−1類似体を含み、前記化合物はGLP−1活性を有する。特定態様では、GLP−1類似体は、5以下の保存的アミノ酸置換を含む配列番号16−28のいずれかのアミノ酸配列を有し、保存的アミノ酸置換は、アミノ酸Xaa8、Xaa22、またはXaa38−Xaa41のいずれかではないことを条件とする。もう1つの特定態様では、GLP−1類似体は、配列番号16−28のいずれかのアミノ酸配列を有する。
【0014】
ここで提供する一部のGLP−1化合物は、式IV(配列番号29):
Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Xaa23−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41C(O)−R1(式IV、配列番号29)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
8位のXaaは、Gly、bAla(2−アミノプロピオン酸)、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、2−アミノイソ酪酸またはα−α−二置換アミノ酸であり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
23位のXaaは、Gln、Asn、Arg、Glu、Asp、Lys、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
33位のXaaは、Val、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Glu、AspまたはLysであり;
34位のXaaは、Asn、Lys、Arg、Glu、AspまたはHisであり;
35位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
36位のXaaは、Gly、Arg、Lys、Glu、AspまたはHisであり;
37位のXaaは、Pro、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
38位のXaaは、Gly、Ser、Lys、Cysであるか、または除かれており;
39位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Leu、Phe、Pro、Cysであるか、または除かれており;
40位のXaaは、Gly、Cysであるかまたは除かれており;
41位のXaaは、Glyであるかまたは除かれており;
Xaa18、Xaa19、Xaa20、Xaa21、Xaa22、Xaa23、Xaa24、Xaa25、Xaa26、Xaa27、Xaa28、Xaa29およびXaa30から選択される2個のアミノ酸は、結合して環を形成しており、および環を形成する2個のアミノ酸は、0、1、2、3、4または5個のアミノ酸によって分離されている]
のアミノ酸配列を含むGLP−1類似体を含み、前記化合物はGLP−1活性を有する。特定態様では、GLP−1類似体は、5以下の保存的アミノ酸置換を含む配列番号30−246のいずれかのアミノ酸配列を有する。もう1つの特定態様では、GLP−1類似体は、配列番号30−246のいずれかのアミノ酸配列を有する。
【0015】
さらにもう1つの態様では、ここで提供するGLP−1化合物は、式VI:
Xaa4−Xaa5−Xaa6−His7−Ala8−Glu9−Gly10−Thr11−Phe12−Thr13−Ser14−Asp15−Val16−Ser17−Ser18−Tyr19−Leu20−Glu21−Gly22−Gln23−Ala24−Ala25−Lys26−Glu27−Phe28−Ile29−Ala30−Trp31−Leu32−Val33−Lys34−Gly35−Arg36−C(O)−R1(式VI、配列番号276)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
4位のXaaは、Metであるかまたは除かれており;
5位のXaaは、Met、Hisであるかまたは除かれており;
6位のXaaは、Met、Ala、Gly、Pro、Ser、Thr、Val、Gln、Arg、Lys、His、Tyr、Ile、Asp、Leu、Asn、Glu、TrpまたはPheであり;
5位のアミノ酸が除かれているとき、4位のアミノ酸も除かれていることを条件とする]
に示すアミノ酸配列を含むGLP−1類似体を含み、前記化合物はGLP−1活性を有する。
【0016】
また、医薬的に許容される担体およびここで述べるGLP−1化合物の有効量を含有する医薬組成物も提供する。
【0017】
加えて、ここで提供するGLP−1化合物またはここで提供するGLP−1化合物を含有する医薬組成物の有効量を被験体に投与することを含む、糖尿病、肥満および代謝症候群の群から選択される代謝性疾患を有する被験体を治療するための方法を提供する。
【0018】
加えて、ここで提供するGLP−1化合物またはここで提供するGLP−1化合物を含有する医薬組成物の有効量を被験体に投与することを含む、被験体においてインスリン発現を高めるための方法および被験体においてインスリン分泌を促進するための方法を提供する。
【0019】
ある態様では、ここで提供するGLP−1化合物は、ポリエチレングリコール、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、ポリ−(N−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオールまたはポリビニルアルコールなどの、水溶性ポリマーで共有結合的に修飾され得る。
【0020】
具体的な実施形態は、一部の実施形態の以下のより詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
I.定義
本明細書および付属の特許請求の範囲において使用するとき、単数形態「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに異なる指示を与えない限り、複数の言及を包含する。
【0022】
異なる定義がない限り、ここで使用するすべての技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。以下の参考文献は、本発明において使用する用語の多くの一般的定義を当業者に提供する:Singletonら、DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY(第2版、1994);THE CAMBRIDGE DICTIONARY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY (Walkerら、1988);THE GLOSSARY OF GENETICS,第5版、R.Riegerら(編集),Springer Verlag(1991);およびHale & Marham,THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY(1991)。
【0023】
ここで使用するとき、以下の用語は、異なる記載がない限りそれらに帰せられる意味を有する。
【0024】
「インスリン分泌刺激活性」は、グルコース依存的にインスリンの合成、放出または分泌を上昇させる能力を指す。インスリン分泌刺激作用は、インスリン陽性細胞の数の増加および/または所与の期間に合成されるまたは既存のインスリン陽性細胞から放出されるインスリンの量の増加によるものを含むが、これらに限定されない、多くの異なる機構のいずれかから生じ得る。インスリン分泌刺激活性は、GLP−1受容体結合活性または受容体活性化を測定するインビボおよびインビトロ実験などの(たとえば欧州特許第619,322号および米国特許第5,120,712号に述べられているような膵島細胞またはインスリノーマ細胞を使用するアッセイ)、当技術分野において公知の方法を用いて検定できる。ヒトでは、インスリン分泌刺激活性は、インスリンレベルまたはCペプチドレベルを検査することによって測定できる。
【0025】
「核酸」、「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」という用語は、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドを含むがこれらに限定されない、何らかの長さのヌクレオチドの重合形態を含むためにここで使用される。
【0026】
「ポリペプチド」および「タンパク質」は、ここでは交換可能に使用され、ペプチド結合を通して連結されたアミノ酸の分子鎖を含む。これらの用語は生成物の特定の長さを表わさない。それゆえ、「ペプチド」および「オリゴペプチド」はポリペプチドの定義に包含される。これらの用語は、ポリペプチドの翻訳後修飾、たとえばグリコシル化、アセチル化、リン酸化等を含む。加えて、タンパク質フラグメント、類似体、突然変異または変異タンパク質、融合タンパク質等はポリペプチドの意味に包含される。これらの用語はまた、1またはそれ以上のアミノ酸類似体または非天然アミノ酸が含まれる分子を包含する。
【0027】
2またはそれ以上の核酸またはポリペプチドに関して「同一」または「同一性」パーセント」という用語は、たとえば以下に述べられているような配列比較アルゴリズムを用いて、または目視検査によって測定されるような、比較し、最大対応性になるように整列したとき、同じであるか、または同じであるヌクレオチドまたはアミノ酸残基の特定パーセンテージを有する、2またはそれ以上の配列またはサブ配列を指す。
【0028】
ここで使用する「実質的に同一」という語句は、たとえば以下に述べられているような配列比較アルゴリズムを用いて、または目視検査によって測定されるような、比較し、最大対応性になるように整列したとき、少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸残基同一性を有する2またはそれ以上の配列またはサブ配列を指す。最も好ましくは、配列は、たとえばヌクレオチドのコード領域のような、比較される配列の全長にわたって実質的に同一である。
【0029】
配列比較のために、典型的には1つの配列を参照配列として使用し、試験配列をそれと比較する。配列比較アルゴリズムを使用するときは、試験配列と参照配列をコンピュータに入力し、必要に応じて配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムのパラメータを指定する。配列比較アルゴリズムが、その後、指定したプログラムパラメータに基づき、参照配列と比較した試験配列についての配列同一性パーセントを算定する。
【0030】
比較のための配列の最適アラインメントは、たとえばSmithとWaterman,1981,Adv.Appl.Math.2:482によるローカルホモロジーアルゴリズムによって、NeedlemanとWunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443のホモロジーアラインメントアルゴリズムによって、PearsonとLipman,1988,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性についての検索方法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータでの実施によって(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,Wis.のGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)、または目視検査によって[一般に、Current Protocols in Molecular Biology,(Ausubel,F.M.ら編集)John Wiley & Sons,Inc.,New York(1987−1999,補遺46 (1999年4月)などの補遺を含む)参照]実施できる。配列比較を行うためのこれらのプログラムの使用は、典型的には各プログラムについて特異的なデフォルトパラメータを用いて実施される。
【0031】
配列同一性および配列類似性パーセントを決定するために適切なアルゴリズムのもう1つの例は、Altschulら、1990,J.Mol.Biol.215:403−410に述べられている、BLASTアルゴリズムである。BLAST分析を実施するためのソフトウエアは、National Center for Biotechnology Informationを通して公的に入手可能である。このアルゴリズムは、データベース配列中の同じ長さのワードとアラインメントしたときある正の値の閾値スコアTにマッチするかまたはそれを満たす、問い合わせ配列における長さWの短いワードを同定することにより、高スコア配列対(HSP)を最初に同定することを含む。Tは、近接ワードスコア閾値と称される(Altschulら、前出)。これらの最初の近接ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見出するための検索を開始するための種として機能する。次いでこれらのワードヒットは、累積アラインメントスコアが増加し得る限り、各々の配列に沿って両方向に拡張される。累積スコアは、ヌクレオチド配列については、パラメータM(マッチする残基の対に対する報酬スコア;常に>0)およびパラメータN(ミスマッチ残基に対するペナルティースコア;常に<0)を用いて算定される。アミノ酸配列に関しては、スコアリング行列を使用して累積スコアを算定する。各方向におけるワードヒットの拡張は、以下の場合に停止される:累積アライメントスコアが、その最大達成値から量Xだけ低下する場合;1またはそれ以上の負のスコアリング残基アライメントの累積に起因して、累積スコアが0またはそれ以下になる場合;またはいずれかの配列の末端に到達した場合。核酸またはポリペプチドが本発明の範囲内であるかどうかを同定するには、BLASTプログラムのデフォルトパラメータが適切である。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列に関して)は、ワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=−4をデフォルトとし、両方の鎖の比較を使用する。アミノ酸配列に関しては、BLASTPプログラムは、ワード長(W)3、期待値(E)10をデフォルトとし、BLOSUM62スコアリング行列を使用する。TBLATNプログラム(ヌクレオチド配列に対してタンパク質配列を使用する)は、ワード長(W)3、期待値(E)10をデフォルトとして、そしてBLOSUM62スコアリング行列を使用する(HenikoffとHenikoff,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915参照)。
【0032】
配列同一性パーセントを算定することに加えて、BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計的分析を実施する(たとえばKarlinとAltschul,1993,Proc.Nat’l. Acad.Sci.USA 90:5873−5787参照)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの測定は、2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の間の一致が偶然に起こる確率の指標を提供する、最小和確率(smallest sum probability)(P(N))である。たとえば、参照核酸に対する試験核酸の比較における最小和確率が、約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満である場合、核酸は参照配列に対して類似するとみなされる。
【0033】
ポリペプチドは、典型的には、たとえば2つのポリペプチドが保存的置換によってのみ異なる場合、2番目のポリペプチドと実質的に同一である。タンパク質について述べるとき「保存的置換」は、タンパク質の活性を実質的に変化させない、タンパク質のアミノ酸組成における変化を指す。それゆえ、特定アミノ酸配列の「保存的に修飾された変化」は、タンパク質活性にとって重要でないアミノ酸のアミノ酸置換、または重要なアミノ酸の置換であっても活性を実質的に変化させない、類似の性質(たとえば酸性、塩基性、正または負に荷電、極性または非極性等)を有する他のアミノ酸によるアミノ酸の置換を指す。機能的に類似のアミノ酸を示す保存的置換表は、ここで説明されており、また当技術分野において周知である(たとえばCreighton,1984,Proteins,W.H.Freeman and Company参照)。加えて、タンパク質の活性を実質的に変化させずにコード配列内の1個のアミノ酸または小さなパーセンテージのアミノ酸を変化させる、付加するまたは欠失させる個々の置換、欠失または付加も、「保存的に修飾された変化」である。
【0034】
ここで使用するとき、20個の従来アミノ酸およびそれらの1文字および3文字略記は慣例的用法に従う。いかなる目的に関しても参照によりここに組み込まれる、IMMUNOLOGY−−A SYNTHESIS,第2版(E.S.GolubとD.R.Gren編集),Sinauer Associates:Sunderland,MA,1991参照。20個の従来アミノ酸の立体異性体(たとえばD−アミノ酸);α,α−二置換アミノ酸などの非天然アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸および他の非従来アミノ酸も、ここで提供するポリペプチドのための適切な成分であり得る。非従来アミノ酸の例は、4−ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、ε−N,N,N−トリメチルリシン、ε−N−アセチルリシン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリシン、σ−N−メチルアルギニン、および他の類似アミノ酸およびイミノ酸(たとえば4−ヒドロキシプロリン)を含む。ここで言及する一部のアミノ酸類似体は以下のように略記される:
bAlaは、β−アミノプロピオン酸である;
Jは、Aad(2−アミノアジピン酸;ホモグルタミン酸とも称される)である;
Zは、Aib(2−アミノイソ酪酸)である;
Oは、オルニチンである;
Cpaは、4−カルボキシ−フェニルアラニンである;および
Bは、βグルタミン酸である。
アミノ酸略記がスラッシュ(すなわち「/」によって分離されるとき、これは、スラッシュによって分離されたアミノ酸のいずれか1個が指示された位置で生じ得ることを意味する。たとえばK/O/Cは、リシン、オルニチンまたはシステインのいずれか1個が指示された位置で生じ得ることを意味する。
【0035】
ここで使用するα,α−二置換アミノ酸という用語は、当技術分野におけるその通常の意味を有し、たとえばα−メチル−ロイシン、α−メチル−フェニルアラニン、α−メチル−トリプトファン、4−アミノ−1−ピペリジン、2−アミノ−2,2−ジフェニル酢酸を含む。
【0036】
ここで使用するポリペプチド表記法では、標準用法および慣例に従って、左側方向はアミノ末端方向であり、右側方向はカルボキシル末端方向である。GLP−1化合物に関して使用するとき「下流」という用語は、言及される位置に対してポリペプチドのカルボキシル末端側、すなわち言及される位置の右側にある位置を意味する。GLP−1化合物に関して使用するとき「上流」という用語は、言及される位置に対してポリペプチドのアミノ末端側、すなわち言及される位置の左側にある位置を意味する。推奨されるアミノ酸およびペプチドに関するIUPAC−IUB命名法および記号体系(recommended IUPAC−IUB Nomenclature and Symbolism for Amino Acids and Peptides)は、J.Biochem.,1984,219,345−373;Eur.J.Biochem.,1984,138,9−37;1985,152,1;1993,213,2;Internat.J.Pept.Prot.Res.,1984,24,following p 84;J.Biol.Chem.,1985,260,14−42;Pure Appl.Chem.,1984,56,595−624;Amino Acids and Peptides,1985,16,387−410;Biochemical Nomenclature and Related Documents,第2版、Portland Press, 1992,p.39−69に公表されている。
【0037】
天然に生じる残基は、共通側鎖特性に基づくクラスに分類され得る:
1)疎水性:ノルロイシン(Nor)、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
3)酸性:Asp、Glu;
4)塩基性:His、Lys、Arg;
5)鎖の方向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;および
6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0038】
保存的アミノ酸置換は、これらのクラスの1つのメンバーと同じクラスのもう1つ別のメンバーとの交換を含み得る。保存的アミノ酸置換は、典型的には生物系における合成によってではなく化学的ペプチド合成によって組み込まれる、非天然に生じるアミノ酸残基を含み得る。これらは、ペプチドミメティックおよびアミノ酸部分の他の逆形態または反転形態を含む。
【0039】
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーともう1つ別のクラスのメンバーとの交換を含み得る。そのような置換された残基は、非ヒト抗体と相同なヒト抗体の領域に、または分子の非相同領域に導入され得る。
【0040】
そのような変更を行う場合、ある実施形態によれば、アミノ酸のハイドロパシー指数(hydropathic index)を考慮し得る。各々のアミノ酸は、その疎水性および電荷特徴に基づいてハイドロパシー指数が割り当てられている。それらは以下の通りである:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);トレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リシン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)。
【0041】
タンパク質に相互作用的な生物学的機能を与える上でのアミノ酸のハイドロパシー指数の重要性は当技術分野において了解されている(たとえばKyteら、1982,J.Mol.Biol.157:105−131参照)。一定のアミノ酸を類似のハイドロパシー指数またはスコアを有する他のアミノ酸の代わりに使用することができ、依然として類似の生物活性を保持し得ることは公知である。ハイドロパシー指数に基づいて変更を行う場合、ある実施形態では、ハイドロパシー指数が±2以内であるアミノ酸の置換を含む。ある実施形態では、±1以内であるものを含み、またある実施形態では、±0.5以内であるアミノ酸の置換を含む。
【0042】
類似のアミノ酸の置換は、特にそれによって作製される生物学的に機能性のタンパク質またはペプチドが、ここで開示されるような、免疫学的実施形態における使用を意図されている場合、親水性に基づいて有効に行われ得ることが当技術分野において了解されている。ある実施形態では、タンパク質の最大局所平均親水性は、その隣接するアミノ酸の親水性によって支配されるので、その免疫原性および抗原性、すなわち、タンパク質の生物学的性質と相関する。
【0043】
以下の親水性値がこれらのアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リシン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);トレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);およびトリプトファン(−3.4)。類似の親水性の値に基づいて変更を行う場合、ある実施形態では、その親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換を含み、ある実施形態では、±l以内であるものを含み、またある実施形態では、±0.5以内であるアミノ酸の置換を含む。また、親水性に基づき、一次アミノ酸配列からエピトープを同定し得る。これらの領域は「エピトープコア領域」とも称される。
【0044】
例示的なアミノ酸置換を表1に示す。
【0045】
【表1−1】
【0046】
【表1−2】
ここで、保護基、リンカーおよび固相支持体の使用、ならびに詳細な保護および脱保護反応条件、リンカー切断条件、スカベンジャーの使用、および固相ペプチド合成の他の態様は周知であり、また“Protecting Groups in Organic Synthesis,”第3版、T.W.GreeneとP.G.M.Wuts編集、John Wiley & Sons,Inc.,1999;Novabiochem Catalog,2000;“Synthetic Peptides,A User’s Guide,”G.A.Grant編集、W.H.Freeman & Company, New York,N.Y.,1992;“Advanced Chemtech Handbook of Combinatorial & Solid Phase Organic Chemistry,”W.D.Bennet,J.W.Christensen,L.K.Hamaker,M.L.Peterson,M.R.RhodesおよびH.H.Saneii編集、Advanced Chemtech,1998;“Principles of Peptide Synthesis,第2版“ M.Bodanszky編集、Springer−Verlag,1993;“The Practice of Peptide Synthesis,第2版、“M.BodanszkyとA.Bodanszky編集、Springer−Verlag,1994;“Protecting Groups,”P.J.Kocienski編集、Georg Thieme Verlag,Stuttgart,Germany,1994;“Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis,A Practical Approach,”W.C.ChanとP.D.White編集、Oxford Press,2000,G.B.Fieldsら、Synthetic Peptides:A User’s Guide,1990,77−183その他に述べられている。
【0047】
当業者は、周知の手法を用いてここで示すようなポリペプチドの適切な変異体を決定することができる。ある実施形態では、当業者は、活性にとって重要ではないと考えられる領域を標的することにより、活性を破壊せずに変更し得る分子の適切な領域を同定し得る。他の実施形態では、当業者は、類似のポリペプチドの間で保存されている分子の残基および部分を同定することができる。さらなる実施形態では、生物活性にとってまたは構造にとって重要であると考えられる領域であっても、生物活性を破壊せずにまたはポリペプチドの構造に有害な影響を及ぼさずに保存的アミノ酸置換に供し得る。
【0048】
加えて、当業者は、活性または構造にとって重要な類似ポリペプチド内の残基を同定する構造−機能試験を検討し得る。そのような比較を考慮して、当業者は、類似のタンパク質内の活性または構造にとって重要なアミノ酸残基に対応する、タンパク質内のアミノ酸残基の重要性を予測することができる。当業者は、そのような予測上の重要アミノ酸残基に対する化学的に類似のアミノ酸置換を選択し得る。
【0049】
当業者はまた、類似ポリペプチドにおける構造に関して三次元構造およびアミノ酸配列を分析し得る。そのような情報を考慮して、当業者は、抗体のアミノ酸残基のアラインメントをその三次元構造に関して予測し得る。ある実施形態では、当業者は、タンパク質の表面にあると予測されるアミノ酸残基に根本的な変化を加えないことを選択し得る。そのような残基は他の分子との重要な相互作用に関与し得るからである。さらに、当業者は、各々の所望アミノ酸残基に1個のアミノ酸置換を含む試験変異体を作製し得る。それらの変異体は、その後、当業者に公知の活性アッセイを用いてスクリーニングし得る。そのような変異体は、適切な変異体についての情報を収集するために使用できる。たとえば特定アミノ酸残基への変化が、活性の破壊、活性の望ましくない低下または不適切な活性を生じさせることが発見された場合、そのような変化を有する変異体を回避することができる。言い換えると、そのような常套的実験から収集された情報に基づき、当業者は、単独でまたは他の突然変異と組み合わせて、さらなる置換を回避すべきアミノ酸を容易に判定できる。
【0050】
多くの学術公表文献が二次構造の予測を対象としてきた。たとえばMoult,1996,Curr.Op.in Biotech.7:422−427;Chouら、1974,Biochemistry 13:222−245;Chouら、1974,Biochemistry 113:211−222;Chouら、1978,Adv.Enzymol. Relat.Areas Mol.Biol.47:45−148;Chouら、1979,Ann.Rev.Biochem.47:251−276;およびChouら、1979,Biophys.J.26:367−384参照。さらに、二次構造の予測を支援するためにコンピュータプログラムが現在使用可能である。二次構造を予測する1つの方法はホモロジーモデリングに基づく。たとえば30%以上の配列同一性または40%以上の配列類似性を有する2つのポリペプチドまたはタンパク質は、しばしば類似の構造トポロジーを有する。タンパク質構造データベース(PDB)の最近の発展は、ポリペプチドまたはタンパク質構造内の潜在的な折りたたみの数を含む、二次構造の高い予測可能性を提供してきた。たとえばHolmら、1999,Nucl.Acid.Res.27:244−247参照。所与のポリペプチドまたはタンパク質内には限られた数の折りたたみが存在すること、およびひとたび決定的な数の構造が決定されれば、構造予測は劇的により正確になることが示唆された(Brennerら、1997,Curr.Op.Struct.Biol.7:369−376)。
【0051】
二次構造を予測するさらなる方法は、「スレッディング(threading)」(Jones,1997,Curr.Opin.Struct.Biol.7:377−87;Sipplら、1996,Structure 4:15−19)、「プロフィール解析」(Bowieら、1991,Science 253:164−170;Gribskovら、1990,Meth.Enzym.183:146−159;Gribskovら、1987,Proc.Nat.Acad.Sci.84:4355−4358)、および「進化的連鎖」(たとえばHolm,1999,前出;およびBrenner,1997,前出)を含む。
【0052】
ある実施形態によれば、アミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を低下させる、(2)酸化に対する感受性を低下させる、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変化させる、(4)結合親和性を変化させる、および/または(5)そのようなポリペプチドに他の物理化学的または機能的性質を与えるまたは性質を改変するものである。ある実施形態によれば、1個または複数のアミノ酸置換(ある実施形態では、保存的アミノ酸置換)は、天然に生じる配列において(ある実施形態では、分子間接触を形成するドメインの外側のポリペプチドの部分において)作製し得る。ある実施形態では、保存的アミノ酸置換は、典型的には親配列の構造特徴を実質的に変化させない(たとえば置換アミノ酸は、親配列内に生じるらせんをこわすまたは親配列を特徴づける他の種類の二次構造を崩壊させる傾向があってはならない)。当技術分野で認識されているポリペプチドの二次および三次構造の例は、各々が参照によりここに組み込まれる、PROTEINS,STRUCTURES AND MOLECULAR PRINCIPLES,(Creighton編集),1984,W. H.Freeman And Company,New York;INTRODUCTION TO PROTEIN STRUCTURE(C.BrandenとJ.Tooze編集),1991,Garland Publishing,New York,N.Y.;およびThorntonら、1991,Nature 354:105に述べられている。
【0053】
ペプチド類似体は、鋳型ペプチドと類似の性質を有する非ペプチド薬として製薬産業において一般的に使用されている。これらの種類の非ペプチド化合物は、「ペプチドミメティック」と称される。いかなる目的に関しても参照によりここに組み込まれる、Fauchere,1986,Adv.Drug Res.15:29;VeberとFreidinger,1985,TINS P.392;およびEvansら、1987,J.Med.Chem.30:1229参照。そのような化合物は、しばしばコンピュータ分子モデリングを援用して開発される。治療上有用なペプチドと構造的に類似するペプチドミメティックは、同様の治療または予防効果を生じさせるために使用され得る。一般に、ペプチドミメティックは、ヒト抗体のようなパラダイムポリペプチド(すなわち生化学的性質または薬理活性を有するポリペプチド)に構造的に類似するが、場合により、当技術分野で周知の方法によって、−CH2−NH−、−CH2−S−、−CH2−CH2−、−CH=CH−(シスおよびトランス)、−COCH2−、−CH(OH)CH2−、および−CH2SO−から選択される結合によって置換された1またはそれ以上のペプチド結合を有する。同じ種類のD−アミノ酸によるコンセンサス配列の1またはそれ以上のアミノ酸の体系的置換(たとえばL−リシンの代わりにD−リシン)は、特定実施形態において、より安定なペプチドを作製するために使用され得る。加えて、コンセンサス配列または実質的に同一のコンセンサス配列変異を含む拘束ペプチドは、当技術分野で公知の方法によって(いかなる目的に関しても参照によりここに組み込まれる、RizoとGierasch,1992,Ann.Rev.Biochem.61:387);たとえばペプチドを環化する分子内ジスルフィド結合を形成することができる内部システイン残基を付加することによって作製し得る。
【0054】
II.概説
GLP−1類似体を含む、GLP−1の少なくとも1つの活性を保持する様々なGLP−1化合物がここで提供される。開示されるGLP−1類似体は、以下の特徴の1またはそれ以上を含む:1)GLP−1の特定位置におけるアミノ酸置換、2)GLP−1のN末端および/またはC末端における付加アミノ酸、3)GLP−1のN末端および/または4)C末端におけるアミノ酸の不在、および/またはポリペプチドと特定アミノ酸の側鎖を結合することによって形成される環の存在。
【0055】
以下でより詳細に述べるように、提供されるGLP−1化合物は、様々な疾患を治療するために治療的または予防的に投与され得る。前記化合物で治療することができる疾患の例は、糖尿病、耐糖能異常、インスリン抵抗性、高血糖症、代謝症候群、様々な脂質障害、肥満、冠疾患、骨障害および過敏性腸症候群を含むが、これらに限定されない。
【0056】
III.GLP−1化合物
A.構造
上述したように、「GLP−1」は、GLP−1(7−37)−OHおよびGLP−1(7−36)−NH2を指す。ここで使用するGLP−1のアミノ酸の番号づけは、プログルカゴンの切断から形成されるGLP−1(1−37)に基づく。
【0057】
天然GLP−1(7−37)−OHは以下のアミノ酸配列を有する:
7His−8Ala−9Glu−10Gly−11Thr−12Phe−13Thr−14Ser−15Asp−16Val−17Ser−18Ser−19Tyr−20Leu−21Glu−22Gly−23Gln−24Ala−25Ala−26Lys−27Glu−28Phe−29Ile−30Ala−31Trp−32Leu−33Val−34Lys−35Gly−36Arg−37Gly (配列番号1)。
【0058】
この式に示すように、アミノ末端のHis残基は、GLP−1(1−37)からのプロセシングを反映するために慣例的にアミノ酸残基7と称される;カルボキシル末端のGlyは、次に、慣例的にアミノ酸残基37と称される。背景技術の章で述べたように、GLP−1(7−37)−OHのカルボキシル末端は、GLP−1(7−36)−NH2を生じるように切断され得る。これら2つの末端の間に位置するその他のアミノ酸は、示されているように連続的に番号づけられる。そこで、たとえば8位のアミノ酸はAlaであり、26位のアミノ酸はLysである。同様に、ここで特定位置で置換を行うことに言及するとき、同じ番号づけシステムが適用される。それゆえ、たとえば22位におけるAlaの置換は、22位のGlyがAlaで置換されたことを意味する。アミノ酸がGLP−1(7−36)のアミノ末端で付加される場合、その位置は、7位のすぐ上流のアミノ酸がアミノ酸6であり、その次の上流アミノ酸が5位である等のように、漸減順序で連続的に番号づけられる。アミノ酸がGLP−1(7−36)のカルボキシル末端で付加される場合、その位置は、36位のすぐ下流のアミノ酸がアミノ酸37であり、その次の下流アミノ酸が38位である等のように、漸増順序で連続的に番号づけられる。上記で論じたように、GLP−1(7−37)とも称されるGLP−1(7−37)−OHとGLP−1(7−36)−NH2はどちらも同じ活性を有する。便宜上、「GLP−1」および「天然GLP−1」という用語は、これらの生物活性形態の両方を指すために使用される。
ここで使用する「GLP−1」化合物は、GLP−1類似体を含み、および1またはそれ以上の付加的な成分(たとえばインビボで化合物の半減期を延長させる成分)を含み得る分子を指す。
【0059】
「GLP−1活性」という語句またはその文法上の等価物は、広くGLP−1に関連する活性を指す。そのような活性の例は、インスリン分泌刺激活性、胃の運動性の抑制、胃液分泌の抑制、β細胞の増殖と複製の促進、β細胞量の増加、GLP−1を被験体に投与したときの満腹感の上昇と食物摂取の低下を含むが、これらに限定されない。
【0060】
ここで使用するとき、「GLP−1類似体」という用語は、天然GLP−1(7−37)−OHまたはGLP−1(7−36)−NH2のアミノ酸配列の1またはそれ以上の変化を有するが、天然GLP−1の少なくとも1つの活性を保持するポリペプチドを指す。ここで提供し、説明するGLP−1類似体は、たとえばGLP−1の特定残基における特定アミノ酸置換を含む。類似体の一部はまた、C末端に付加アミノ酸残基を含み、また別の類似体はC末端が短縮されている。ここで提供するGLP−1類似体は、様々なインビボモデルにおいて血糖値を顕著に低下させ、天然GLP−1に比べて長い半減期を有する。ここで述べるように、GLP−1類似体は、類似体のインビボでの半減期を上昇させるためにポリエチレングリコール(PEG)の1またはそれ以上の分子でペグ化され得る。あるいは、GLP−1類似体は、ここで述べるような融合タンパク質を形成するためにもう1つ別のポリペプチドに結合され得る。ここで列挙する式において、R1は、カルボキシル基、アミン、エステル、または置換アミンであり得る。それゆえ、ここで提供するGLP−1類似体は、そのC末端にカルボキシル基またはアミド基を有し得る。
【0061】
ある実施形態では、ここで提供するGLP−1類似体は、以下の特徴の1またはそれ以上を有する:
1)GLP−1に対する1またはそれ以上のアミノ酸置換(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個);
2)GLP−1のC末端またはN末端における1またはそれ以上の追加アミノ酸残基の付加(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸);
3)NまたはC末端における1またはそれ以上のアミノ酸のトランケーション(典型的には1、2、3、4または5個のアミノ酸);および/または
4)類似体内の特定アミノ酸上の側鎖の間で形成される環構造。
【0062】
提供される一部のGLP−1類似体は、たとえば、以下の置換を含むがこれらに限定されない、8、22、23、26、33、34、35、36および/または37位の1またはそれ以上における特定アミノ酸置換を含む:
8Ala:Gly、2−アミノイソ酪酸(Aib)またはβ−アミノプロピオン酸(bAla)による置換;
22Gly:2−アミノイソ酪酸(Aib)、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、α−α−二置換アミノ酸または2−アミノアジピン酸による置換;
23Gln:Cysによる置換;
26Lys:オルニチンまたはホモリシンによる置換;
33Val:Lysによる置換;
34Lys:Asnによる置換;
36Arg:Glyによる置換;
37Gly:Proによる置換。
【0063】
GLP−1類似体の一部は、たとえば37位のアミノ酸へのCys、Cys−Ala、Cys−Gly、Cys−Ser−Gly、Cys−Ser−Gly−Gly(配列番号278)、またはGly−Cysの付加(前記の各々はアミノ末端からカルボキシル末端方向に列記されている)を含む、特定C末端伸長を含む。
【0064】
他のGLP−1類似体は、GLP−1のN末端におけるMet、Ala、Gly、Pro、Ser、Thr、Val、Gln、Arg、Lys、His、Tyr、Ile、Asp、Leu、Asn、Glu、TrpまたはPheの付加のような特定N末端付加を含む。一部の類似体は、MQ、MR、MK、MH、MY、MI、MD、ML、MN、ME、MW、MFまたはMMジペプチドの付加によってアミノ末端へとN末端で伸長される。さらなる他の類似体は、アミノ末端に付加されたMHHトリペプチドを有する。
【0065】
GLP−1類似体は、論議を容易にするために、特定の構造特徴を共有する分子の特定ファミリーに分類できる。これらは、以下に提供する一般式によって最も容易に表すことができる。
【0066】
1つのファミリーは、たとえば、式I:
Xaa7−Gly−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Cys−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Gly−Xaa36−Xaa37−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−C(O)−R1(式I、配列番号5)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
Xaa33は、ValまたはLysであり;
Xaa34は、LysまたはAsnであり;
Xaa36は、ArgまたはGlyであり;
Xaa37は、GlyまたはProである]
に示すアミノ酸配列を含むまたは前記アミノ酸配列から成り、その化合物はGLP−1活性を有する。
【0067】
ここで列挙する式において、R1は、カルボキシル基、アミン、エステル、または置換アミンであり得る。それゆえ、ここで提供するGLP−1類似体は、そのC末端にカルボキシル基またはアミド基を有し得る。
【0068】
GLP−1類似体の2番目のファミリーは、式II:
Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Xaa23−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Cys−Ser−Gly−Gly−C(O)−R1(式II、配列番号9)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
8位のXaaは、Gly、bAla(2−アミノプロピオン酸)、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、2−アミノイソ酪酸またはα−α−二置換アミノ酸であり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
23位のXaaは、Gln、Asn、Arg、Glu、Asp、Lys、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
33位のXaaは、Val、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Glu、AspまたはLysであり;
34位のXaaは、Asn、Lys、Arg、Glu、AspまたはHisであり;
35位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
36位のXaaは、Gly、Arg、Lys、Glu、AspまたはHisであり;
37位のXaaは、Pro、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysである]
に示すアミノ酸配列を含むまたは前記アミノ酸配列から成り、その化合物はGLP−1活性を有する。
【0069】
GLP−1類似体の3番目のファミリーは、式III(配列番号13):
Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Xaa23−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Gly−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41−C(O)−R1(式III、配列番号13)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
8位のXaaは、Gly、bAla(2−アミノプロピオン酸)、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、2−アミノイソ酪酸またはα−α−二置換アミノ酸であり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、2−アミノイソ酪酸、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、α−α−二置換アミノ酸または2−アミノアジピン酸であり;
23位のXaaは、Gln、Asn、Arg、Glu、Asp、Lys、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
33位のXaaは、Val、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Glu、AspまたはLysであり;
34位のXaaは、Asn、Lys、Arg、Glu、AspまたはHisであり;
35位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
36位のXaaは、Gly、Arg、Lys、Glu、AspまたはHisであり;
38位のXaaは、Cys、Glyであるか、または除かれており;
39位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Cysであるか、または除かれており;
40位のXaaは、Glyであるかまたは除かれており;
41位のXaaは、Glyであるかまたは除かれており;
38、39、40または41位のアミノ酸が除かれているとき、そのアミノ酸の下流の各々のアミノ酸も除かれていることを条件とする]
に示すアミノ酸配列を含むまたは前記アミノ酸配列から成り、その化合物はGLP−1活性を有する。それゆえ、たとえば38位のアミノ酸が除かれている場合、39−41位のアミノ酸も存在しない。同様に、39位のアミノ酸が除かれている場合、40および41位のアミノ酸も存在しない。および40位のアミノ酸が除かれている場合、41位のアミノ酸は存在しない。
【0070】
GLP−1類似体のもう1つのファミリーは、類似体内の2個のアミノ酸が、典型的にはそれらの側鎖を通して、一緒に連結されたときに形成される環または環式構造を含む。側鎖は、互いに直接連結されるかまたはリンカーを通して連結され得る。
【0071】
このファミリーの中の一部のGLP−1類似体は、式V:
【0072】
【化1】
[式中、
Xは、−N(Z1)−C(O)−または−C(O)−N(Z1)−であり;
Z1は、水素または(C1−C8)アルキルであり;
X1は、少なくとも11個のアミノ酸であり;
X2は、1個のアミノ酸であり;
X3は、結合または1−5個のアミノ酸であり;
X4は、1個のアミノ酸であり;
X5は、少なくとも10個のアミノ酸であり;
Z2は、−OZ3または−NZ4Z5であり;および
Z3、Z4およびZ5は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
およびX1およびX5を含むアミノ酸は、それぞれGLP−1のアミノ部分およびカルボキシル部分からのアミノ酸に対応する]
に示す一般構造、または天然GLP−1内のアミノ酸が式X−Yに示すようなアミノ酸で置換されている類似配列を有する。
【0073】
一部の環状GLP−1類似体は、たとえば、式IV:
Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Xaa23−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41−C(O)−R1(式IV、配列番号29)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
8位のXaaは、Gly、bAla(2−アミノプロピオン酸)、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、2−アミノイソ酪酸またはα−α−二置換アミノ酸であり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
23位のXaaは、Gln、Asn、Arg、Glu、Asp、Lys、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
33位のXaaは、Val、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Glu、AspまたはLysであり;
34位のXaaは、Asn、Lys、Arg、Glu、AspまたはHisであり;
35位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
36位のXaaは、Gly、Arg、Lys、Glu、AspまたはHisであり;
37位のXaaは、Pro、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
38位のXaaは、Gly、Ser、Lys、Cysであるか、または除かれており;
39位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Leu、Phe、Pro、Cysであるか、または除かれており;
40位のXaaは、Gly、Cysであるかまたは除かれており;
41位のXaaは、Glyであるかまたは除かれており;
Xaa18、Xaa19、Xaa20、Xaa21、Xaa22、Xaa23、Xaa24、Xaa25、Xaa26、Xaa27、Xaa28、Xaa29およびXaa30から選択される2個のアミノ酸は、結合して環を形成しており、および環を形成する2個のアミノ酸は、0、1、2、3、4または5個のアミノ酸によって分離されている]
に示すアミノ酸配列を含むまたは前記アミノ酸配列から成り、その化合物はGLP−1活性を有する。
【0074】
分離に関与するアミノ酸の数を数えるとき、側鎖が結合している2個のアミノ酸は除外される。それゆえ、たとえば側鎖が結合して環を形成している2個のアミノ酸は、それらの2個のアミノ酸が互いに隣り合うとき(たとえばXaa18とXaa19の位置のアミノ酸が結合して環を形成しているとき)、それらを分離する0個のアミノ酸を有する。
【0075】
特定実施形態では、結合して環を形成する2個のアミノ酸は、たとえば:
Xaa18が、Xaa22またはXaa23のいずれかと結合する;または
Xaa19が、Xaa23またはXaa24のいずれかと結合する;または
Xaa20が、Xaa24またはXaa25のいずれかと結合する;または
Xaa21が、Xaa25またはXaa26のいずれかと結合する;または
Xaa22が、Xaa26またはXaa27のいずれかと結合する;または
Xaa23が、Xaa27またはXaa28のいずれかと結合する;または
Xaa24が、Xaa28またはXaa29のいずれかと結合する;または
Xaa25が、Xaa29またはXaa30のいずれかと結合する;または
Xaa26が、Xaa30またはXaa31のいずれかと結合する
ときを含めて、3または4個のアミノ酸によって分離される。
【0076】
多種多様なアミノ酸、アミノ酸類似体(たとえば非天然アミノ酸)をこれらの位置に挿入することができる。アミノ酸または類似体は、互いに直接にまたはリンカーを通して反応して環を形成することができる、側鎖内の反応性官能基を有するように選択される。一部の環状類似体における環は、たとえば1個のアミノ酸または類似体の側鎖内のカルボキシル基を2番目のアミノ酸または類似体の側鎖内のアミノ基と反応させて環状ラクタムを形成することによって形成される。それゆえ、たとえばある実施形態では、環構造は、以下に例示するように、上記で特定した位置にあるGlu(E)、Asp(D)、Lys(K)、オルニチン(O)、4−カルボキシ−フェニルアラニン(Cpa)、β−ホモグルタミン酸(B)、α,γ−ジアミノ酪酸(Dab)、およびホモグルタミン酸(J)のいずれか2個の側鎖の間で形成される:
【0077】
【化2】
図1は、たとえば、結合して環状ラクタムを形成することができる、3個のアミノ酸によって分離されたGLP−1内の位置の例を示す。
【0078】
図2A−2Iは、グルタミン酸/リシンアミノ酸対が結合して環を形成している化学構造を示す。特定対合は、上記に示す他の対合のいずれかならびに他の対合で置換され得ることは当業者に認識される。
【0079】
結合して環状ラクタムを形成することができる適切な位置に必要なアミノ酸を有するGLP−1類似体の配列の特定例を配列番号30−246に提示し、また表2に示しており、結合して環を形成することができる2個のアミノ酸を太字の下線付き活字で示す。
【0080】
一部のGLP−1類似体は2個の環状構造を含む。一例は、
HGEGT FTSDV SSYLE GQAKK EFIAW LEKGR K(配列番号277)
である。この類似体において、最初のEとKの対(それぞれ21位と25位)が1個の環状ラクタムを形成し、2番目のEとKの対(それぞれ33位と37位)が2番目の環状ラクタムを形成する。Glu(E)およびLys(K)残基の1つの対または両方の対が、環状ラクタム環を形成するために上記で列挙し、例示したようなその他のアミノ酸またはアミノ酸類似体で置換され得る。
【0081】
GLP−1類似体の最後のファミリーは、式VI:
Xaa4−Xaa5−Xaa6−His7−Ala8−Glu9−Gly10−Thr11−Phe12−Thr13−Ser14−Asp15−Val16−Ser17−Ser18−Tyr19−Leu20−Glu21−Gly22−Gln23−Ala24−Ala25−Lys26−Glu27−Phe28−Ile29−Ala30−Trp31−Leu32−Val33−Lys34−Gly35−Arg36−C(O)−R1(式VI、配列番号276)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
4位のXaaは、Metであるかまたは除かれており;
5位のXaaは、Met、Hisであるかまたは除かれており;
6位のXaaは、Met、Ala、Gly、Pro、Ser、Thr、Val、Gln、Arg、Lys、His、Tyr、Ile、Asp、Leu、Asn、Glu、TrpまたはPheであり;
5位のアミノ酸が除かれているとき、4位のアミノ酸も除かれていることを条件とする]
に示すアミノ酸配列を含むまたは前記アミノ酸配列から成り、その化合物はGLP−1活性を有する。
【0082】
一部のGLP−1類似体を表2に示す。表2に列挙する配列のいくつかは、C末端アミドを有することが示されている。しかし、表2に列挙する配列および本明細書中の別の箇所で述べる配列のすべてがC末端カルボキシル基またはC末端アミド基を有し得ることは了解されるべきである。表2において使用するとき、bAlaはβ−アミノプロピオン酸であり;Aadは2−アミノアジピン酸であり;ZはAib(2−アミノイソ酪酸)であろ;Oはオルニチンであり;Cpaは4−カルボキシ−フェニルアラニンであり;Dabはα,γ−ジアミノ酪酸であり;およびBはβホモグルタミン酸であり;Jはホモグルタミン酸である。[K/O/C]は、アミノ酸配列が、場合によりこの位置にリシン、オルニチンまたはシステインのいずれかを含むが、これらのアミノ酸を全く含まなくてもよいことを意味する。太字と下線で強調されている残基は、結合して(典型的にはそれらの側鎖によって)環または環状構造を形成するアミノ酸を示す。
【0083】
【表2−1】
【0084】
【表2−2】
【0085】
【表2−3】
【0086】
【表2−4】
【0087】
【表2−5】
【0088】
【表2−6】
【0089】
【表2−7】
【0090】
【表2−8】
「GLP−1類似体」という用語はまた、変異体、フラグメントまたは誘導体が類似アミノ酸配列を有し(たとえば保存的置換を含む)、GLP−1類似体の少なくとも1つの活性を、ある程度まで、保持するという点で前記GLP−1類似体の1つの機能的等価物である、前記GLP−1類似体の変異体、フラグメントおよび誘導体を包含する。
【0091】
「GLP−1変異体」は、上記および表2に列挙するファミリー中のGLP−1類似体と「実質的に同一」(上記の定義参照)であるポリペプチドを含む。そのような変異体は、欠失、挿入および/または置換などのアミノ酸変化を有するタンパク質を含む。典型的には、そのような変化は、変異体ポリペプチドの活性がここで開示するGLP−1類似体の1つと実質的に類似する(たとえばインスリン分泌刺激活性のようなGLP−1活性を有する)ように、本来は保存的である(たとえばCreighton,1984,Proteins,W.H.Freeman and Companyおよび上記考察参照)。置換の場合、もう1つ別のアミノ酸を置換するアミノ酸は、通常、類似の構造および/または化学的性質を有する。上記ファミリーの中に列挙されるGLP−1類似体に対する挿入および欠失は、典型的には1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸を含む。別の場合には、1、2、3、4または5個のアミノ酸の挿入または欠失が存在する。
【0092】
GLP−1変異体は、変異体がまだGLP−1活性を有することを条件として、ここで述べるGLP−1類似体(すなわち上記で列挙する種々のファミリー中の類似体および表2に列挙するもの)と少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%のアミノ酸同一性を有し得る。たとえば変異体は、アミノ酸Xaa8、Xaa23、またはXaa38 −Xaa45 のいずれかが変化していないことを条件として、配列番号7または8のGLP−1類似体と少なくとも75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%のアミノ酸同一性を有し得る。他の変異体は、アミノ酸Xaa8またはXaa38−Xaa41 のいずれかが変化していないことを条件として、配列番号11または12のGLP−1類似体と少なくとも75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%のアミノ酸同一性を有する。一部の他の変異体は、アミノ酸Xaa8、Xaa22、またはXaa38 −Xaa41のいずれかが、存在するとき、変化していないことを条件として、配列番号16−28のいずれか1つのGLP−1類似体と少なくとも75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%のアミノ酸同一性を有する。さらなる他の変異体は、Xaa18、Xaa19、Xaa20、Xaa21、Xaa22、Xaa23、Xaa24、Xaa25、Xaa26、Xaa27、Xaa28、Xaa29およびXaa30から選択される2個のアミノ酸が結合して環を形成していることを条件として、配列番号30−246のいずれか1つのGLP−1類似体と少なくとも75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%のアミノ酸同一性を有する。さらなる他の変異体は、アミノ酸Xaa4、Xaa5またはXaa6が、存在するとき、変化していないことを条件として、1、2、3、4または5以下の保存的アミノ酸置換を有する配列番号247−267のいずれか1つのGLP−1類似体と少なくとも75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%のアミノ酸同一性を有する。さらなる他の変異体は、1、2、3、4または5以下の保存的アミノ酸置換を有する配列番号268−275のいずれか1つのGLP−1類似体と少なくとも75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%のアミノ酸同一性を有する。
【0093】
ある実施形態では、GLP−1変異体は、保存的アミノ酸置換がアミノ酸Xaa8、Xaa23、またはXaa38 −Xaa45 のいずれかではなく、および変異体がGLP−1活性(たとえばインスリン分泌刺激活性)を有することを条件として、1、2、3、4または5以下の保存的アミノ酸置換を有する配列番号7または8を含む。
【0094】
ある実施形態では、GLP−1変異体は、保存的アミノ酸置換がアミノ酸Xaa8またはXaa38−Xaa41 のいずれかではなく、および変異体がGLP−1活性(たとえばインスリン分泌刺激活性)を有することを条件として、1、2、3、4または5以下の保存的アミノ酸置換を有する配列番号11または12を含む。
【0095】
ある実施形態では、GLP−1変異体は、保存的アミノ酸置換がアミノ酸Xaa8、Xaa22、またはXaa38 −Xaa41のいずれかではないことを条件として、1、2、3、4または5以下の保存的アミノ酸置換を有する配列番号16−28のいずれか1つを含む。
【0096】
ある実施形態では、GLP−1変異体は、Xaa18、Xaa19、Xaa20、Xaa21、Xaa22、Xaa23、Xaa24、Xaa25、Xaa26、Xaa27、Xaa28、Xaa29およびXaa30から選択される2個のアミノ酸が結合して環を形成していることを条件として、1、2、3、4または5以下の保存的アミノ酸置換を有する配列番号30−246のいずれか1つを含む。
【0097】
ある実施形態では、GLP−1変異体は、保存的アミノ酸置換がアミノ酸Xaa4、Xaa5またはXaa6ではないことを条件として、1、2、3、4または5以下の保存的アミノ酸置換を有する配列番号247−267のいずれか1つを含む。
【0098】
ここで使用する「GLP−1誘導体」は、1またはそれ以上のアミノ酸が、1)対応するD−アミノ酸で置換されている、2)非天然に生じるアミノ酸残基に変化している、および/または3)化学修飾されている、上記ファミリーおよび表2に列挙されるGLP−1類似体の1つを指す。化学修飾の例は、ペプチド骨格および/またはアミノ酸側鎖のアルキル化、アシル化、脱アミド化、エステル化、リン酸化およびグリコシル化を含むが、これらに限定されない。
【0099】
「GLP−1フラグメント」は、上記ファミリーまたは表2に列挙されるGLP−1類似体のトランケート形態またはその変異体または誘導体を指す。フラグメントは、典型的には上記ファミリーに示すGLP−1類似体に対して1、2、3、4または5個のアミノ酸がトランケートされている。トランケーションは、アミノ末端および/またはカルボキシル末端のいずれでもよい。
【0100】
ここで提供するGLP−1化合物は、適切な二価金属カチオンと錯体形成することができる。ここで提供するGLP−1化合物の二価金属錯体は、懸濁液として皮下投与することができ、ここで提供するGLP−1化合物のそのような錯体は一般にほぼ生理的pHの水溶液に不溶性であるので、インビボで低い放出速度を有する。ここで提供するGLP−1化合物と錯体形成するのに適した二価金属カチオンの非限定的な例は、Zn++、Mn++、Fe++、Ca++、Co++、Cd++、Ni++等を含む。ここで提供するGLP−1化合物の二価金属錯体は、たとえば、参照によりここに組み込まれる、国際公開公報第WO01/98331号に述べられているような手法を用いて入手できる。
【0101】
提供されるGLP−1化合物は、単にここで開示するGLP−1類似体を含み得るかまたは、典型的にはインビボでの類似体の半減期を延長させるように選択される、付加的な成分を含み得る。一部のGLP−1化合物は、たとえば、分子の半減期を延長させるおよび/またはクリアランスを低減するためにペグ化される。他のGLP−1類似体は、PEG以外の水溶性ポリマーで修飾される。適切な水溶性ポリマーまたはそれらの混合物は、N結合型またはO結合型糖鎖、糖類(たとえばキトサン、キサンタンガム、セルロースおよびその誘導体、アカシアガム、カラヤガム、グアーガム、カラギーナンおよびアガロースなどの様々な多糖類)、リン酸塩、ポリエチレングリコール(PEG)(モノ−(C1−C10)、アルコキシ−またはアリールオキシ−ポリエチレングリコールを含む、タンパク質を誘導体化するために使用されてきたPEGの形態を含む)、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、デキストラン(たとえば約6kDの、低分子量デキストラン)、セルロース、または他の糖鎖ベースのポリマー、ポリ−(N−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(たとえばグリセロール)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン、ポリビニルアルコール、および前記のコポリマーを含むが、これらに限定されない。GLP−1化合物は、たとえば、GLP−1類似体のインビボでの半減期を上昇させるように選択される様々な成分を含み得る。
【0102】
さらにもう1つの選択肢は、GLP−1類似体をもう1つ別のポリペプチドまたはポリペプチドドメインに融合することである。それゆえ、GLP−1化合物は、ここで開示するGLP−1類似体が、免疫グロブリンのFc領域、トランスフェリン、または血清アルブミン(たとえばヒト血清アルブミン)などの血液成分のような様々なタンパク質、またはこれらのタンパク質のフラグメントに融合している融合タンパク質であり得る。ヒトアルブミンについての例示的アミノ酸配列は、Lawnら、1981,Nucleic Acids Research 9:6102−6114;Melounら、1975,FEBS Lett.58:136;およびMinghettiら、1986,J.Biol.Chem.261:6747)において論じられている。そのような融合タンパク質は、ここで述べるようなおよび当技術分野で公知の標準組換え手法を用いて作製できる。
【0103】
融合は、GLP−1類似体のアミノ末端、カルボキシル末端または両方末端で実施し得る。融合は、リンカーまたはアダプター分子なしで直接であり得るかまたはリンカーまたはアダプター分子を通してであり得る。リンカーまたはアダプター分子は、1またはそれ以上のアミノ酸残基、典型的には約20−約50アミノ酸残基であり得る。リンカーまたはアダプター分子はまた、融合部分の分離を可能にする、DNA制限エンドヌクレアーゼのためまたはプロテアーゼのための切断部位と共に設計され得る。ひとたび構築されれば、融合ポリペプチドはここで述べる方法に従って誘導体化され得ることが認識される。
【0104】
B.ペグ化
ある実施形態では、ここで提供するGLP−1類似体はペグ化される。ここで使用するとき、「ペグ化」という用語は、当技術分野におけるそれらの一般的な意味を有し、一般に、たとえば、ポリエチレングリコールまたはその誘導体の1またはそれ以上の分子の共有結合によって、たとえばポリアルキレングリコール、好ましくは活性化ポリアルキレングリコールを、アミノ酸、たとえばリシンなどの適切な反応基または部分と反応させて共有結合を形成することによって、ここで述べるようにGLP−1類似体を化学修飾する工程を指す。「ペグ化」は、しばしばポリエチレングリコールまたはメトキシポリエチレングリコールのようなその誘導体を用いて実施されるが、ここで使用する用語は、たとえばポリプロピレングリコールなどの、他の何らかの有用なポリアルキレングリコールも包含する。ここで使用するとき、「PEG」は、当技術分野で理解されているポリエチレングリコールおよびその誘導体を指す(たとえば米国特許第5,445,090号、同第5,900,461号、同第5,932,462号、同第6,436,386号、同第6,448,369号、同第6,437,025号、同第6,448,369号、同第6,495,659号、同第6,515,100号および同第6,514,491号参照)。
【0105】
ここで提供するGLP−1類似体は、ペプチド内のランダムな位置でまたは分子内のあらかじめ定められた位置でペグ化することができ、1またはそれ以上の結合分子、典型的には1、2、3、4または5個の分子を含み得る。
【0106】
ペグ化のために使用されるポリマーはいかなる分子量であってもよく、分枝状または非分枝状のいずれでもよい。ポリエチレングリコールに関しては、一般に分子量は、取扱いおよび製造の容易さのために約1kDa−約100kDa(「約」という用語は、ポリエチレングリコールの製剤において、一部の分子は言及される分子量を超え、一部の分子は言及される分子量より低いことを指示する)である。たとえばポリエチレングリコールは、約1、5、10、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90または100kDaの平均分子量を有し得る。一部のGLP−1化合物は、40、30または20kDa未満の1またはそれ以上の分子でペグ化される。所望する治療プロフィールに依存して(たとえば所望する循環半減期の期間、もしあれば、生物活性への作用、取扱いの容易さ、抗原性の程度または欠如、および治療タンパク質または類似体へのポリエチレングリコールの他の公知の作用)、他の大きさも使用できる。
【0107】
PEG分子(またはここで述べる他の水溶性ポリマー)は、ポリペプチドまたはタンパク質の機能的または抗原性ドメインへの作用を考慮してGLP−1類似体に結合すべきである。たとえばPEGは、遊離アミノ基、カルボキシル基またはスルフヒドリル基などの反応性基によりアミノ酸残基を通して共有結合され得る。反応性基は、活性化PEG分子が結合され得るものである。遊離アミノ基を含む天然に生じるアミノ酸残基の例は、リシン残基およびN末端アミノ酸残基を含む;遊離カルボキシル基を有するものは、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基およびC末端アミノ酸残基を含む。スルフヒドリル基(たとえばシステイン上の)も、ポリエチレングリコール分子を結合するための反応性基として使用できる。PEG分子はまた、共役により、非天然アミノ酸として合成によって導入された反応性官能基に組み込み得るか、あるいはPEGは、ペプチド合成の間に直交法(orthogonal methods)を用いてペプチドに共役し得る。
【0108】
様々な戦略がGLP−1類似体のペグ化のために使用できる(たとえば国際公開公報第WO2005/042027号、同第WO2004/060386号、Veronese, 2001,Biomaterials 22:405−417;Robertsら、2002,Advanced Drug Delivery Reviews 54:459−476参照;また。欧州特許第0 401 384号(G−CSFへのPEGの結合)、およびMalikら、1992,Exp.Hematol.20:1028−1035(塩化トレシルを使用したGM−CSFのペグ化を報告している)も参照のこと)。たとえばPEGは、リシン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはシステイン残基への共有結合によってGLP−1類似体に連結され得る。1またはそれ以上の反応化学が、GLP−1類似体の特定アミノ酸残基(たとえばリシン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはシステイン)またはGLP−1類似体の2種類以上のアミノ酸残基(たとえばリシン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システインおよびそれらの組合せ)にポリエチレングリコールを結合するために使用できる。
【0109】
1つのそのような戦略は、GLP−1類似体の一部であるシステインにPEGを結合することである。上記に示すように、提供されるGLP−1類似体のいくつかは、PEGを結合できるC末端にまたはC末端の近くにシステイン残基を含む。システインへの結合は様々なアプローチを用いて実施できる。1つの一般的な方法は、PEG−マレイミドをシステインのチオール基に反応させることを含む。
【0110】
もう1つのアプローチは、酵素カップリングによってGLP−1類似体のカルボキシ末端にPEGを結合することである(たとえば米国特許第4,343,898号参照)。
【0111】
直接または介在リンカーによってPEGをGLP−1類似体に結合することができる。ポリエチレングリコールをタンパク質およびポリペプチドに結合するための無リンカー系は、Delgadoら、Crit.Rev.Thera.Drug Carrier Sys.9:249−304,1992;Francisら、1998,Intern.J. of Hematol.68:1−18;米国特許第4,002,531号;米国特許第5,349,052号;国際公開公報第WO95/06058号;および国際公開公報第WO98/32466号に述べられている。
【0112】
介在リンカーを伴わずにPEGをGLP−1類似体のアミノ酸残基に直接結合するための1つの方法は、塩化トレシル(ClSO2CH2CF3)を使用したモノメトキシポリエチレングリコール(MPEG)の修飾によって生成される、トレシル化MPEGを使用する。タンパク質またはポリペプチドとトレシル化MPEGの反応後、ポリエチレングリコールをタンパク質またはポリペプチドのアミン基に直接結合する。それゆえGLP−1類似体−PEG複合体は、GLP−1類似体を、2,2,2−トリフルオロエタンスルホニル基を有するPEG分子と反応させることによって生成できる。
【0113】
PEGはまた、多くの異なる介在リンカーを使用してGLP−1類似体に結合することができる。たとえば米国特許第5,612,460号は、PEGをGLP−1類似体に結合するためのウレタンリンカーを開示する。PEGがリンカーによってGLP−1類似体に結合しているGLP−1類似体−PEG複合体はまた、MPEG−スクシンイミジルスクシネート、1,1’−カルボニルジイミダゾールで活性化されたMPEG、MPEG−2,4,5−トリクロロペニルカルボネート、MPEG−.rho.−ニトロフェノールカルボネート、および様々なMPEG−スクシネート誘導体などの化合物とGLP−1類似体の反応によって生成され得る。ポリエチレングリコールをタンパク質およびポリペプチドに結合するための多くの付加的なポリエチレングリコール誘導体および反応化学が、国際公開公報第WO98/32466号に述べられている。
【0114】
各々のGLP−1類似体に結合されるポリエチレングリコール部分の数(すなわち置換の程度)も変化させ得る。たとえばペグ化GLP−1類似体は、平均して、1、2、3、4または5個、またはそれ以上のポリエチレングリコール分子に結合され得る。置換の程度を決定するための方法は、たとえばDelgadoら、1992,Crit.Rev.Thera.Drug Carrier Sys.9:249−304において論じられている。
【0115】
GLP−1類似体へのPEGの共有結合を生じさせるためには、PEGのヒドロキシル末端基を最初に反応性官能基に変換しなければならない。この工程はしばしば「活性化」と称され、その生成物は「活性化PEG」と呼ばれる。末端で反応性官能基によってキャップされた、メトキシポリエチレングリコール(mPEG)がしばしば使用される。そのような活性化PEGの1つは、PEGのスクシンイミジルスクシネート誘導体(SS−PEG)である。Abuchowskiら、1984,Cancer Biochem. Biophys.7:175−186;およびポリエチレングリコール−N−スクシンイミドカルボネートおよびその製剤を開示する米国特許第5,122,614号も参照のこと。
【0116】
以下の実施例の章は、ここで開示するGLP−1化合物をペグ化するための戦略に関する詳細な指針を提供する。
【0117】
IV.GLP−1化合物および類似体を作製するための核酸および方法
提供されるGLP−1類似体は、化学合成および/または組換え法を含む、当技術分野で確立されている様々な方法を用いて生成することができる。PEGをペプチドに結合するための種々の戦略は上記に示されている。
【0118】
GLP−1類似体を化学合成によって作製する場合、そのような方法は、典型的には固相アプローチを含むが、溶液ベースの化学または固相アプローチと溶液アプローチの組合せも利用できる。以下の実施例の章は、環を含む様々な環状化合物を含めて、ここで述べるGLP−1化合物の合成に関する詳細な指針を含む。
【0119】
タンパク質を合成するための固相法の例は、Merrifield,1964,J.Am.Chem.Soc.85:2149;およびHoughton,1985,Proc.Natl.Acad.Sci.82:5132によって述べられている。GLP−1類似体のフラグメントも合成することができ、その後それらを連結することができる。そのような反応を実施するための方法は、Grant,1992,Synthetic Peptides:A User Guide,W.H.Freeman and Co.,N.Y.;および“Principles of Peptide Synthesis,”1993(BodanskyとTrost編集),Springer−Verlag,Inc.N.Y.によって記述されている。ここで述べるGLP−1類似体の作製において当業者を導くために十分な、ペプチドを製造するための方法に関するさらなるガイダンスは、Liuら、1996,J.Am.Chem.Soc.118:307−312;Kullmann,1987,Enzymatic Peptide Synthesis,CRC Press,Boca Raton,FL,p.41−59;Drylandら、1986,J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1:125−137;Jones,1991,The Chemical Synthesis of Peptides,Clarendon Press;およびBodanszky,M.とBodanszky A.,1994,The Practice of Peptide Synthesis,第2版、Springer−Verlagによって提供される。
【0120】
あるいは、GLP−1類似体は、確立された組換え手法を用いて作製することができる。たとえば、GLP−1類似体をコードする組換え核酸構築物を細胞に導入することにより、GLP−1類似体を宿主細胞において発現させ得る。そのような実施形態によれば、細胞は、たとえばポリヌクレオチドをウイルス(またはウイルスベクター)にパッケージングし、そのウイルス(またはベクター)で宿主細胞を形質転換することを含む、ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための何らかの方法を使用して、または米国特許第4,399,216号、同第4,912,040号、同第4,740,461号および同第4,959,455号(いかなる目的に関しても参照によりここに組み込まれる)によって例示されているような、当技術分野で公知のトランスフェクション手順によって、組換え核酸構築物で形質転換される。使用される形質転換手順は、形質転換される細胞に依存し得る。哺乳動物細胞への異種ポリヌクレオチドの導入のための方法は当技術分野において周知であり、デキストラン媒介性トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿法、ポリブレン媒介性トランスフェクション、プロトプラスト融合、電気穿孔、リポソームへのポリヌクレオチドの封入、核酸を正に荷電した脂質と混合すること、および細胞および細胞核へのDNAの直接的微量注入を含むが、これらに限定されない。
【0121】
GLP−1類似体アミノ酸配列の全部または機能的部分をコードする核酸分子を、従来の組換え遺伝子手法を用いて適切な発現ベクターに挿入することができる。ベクターは、典型的には使用される特定宿主細胞において機能性であるように選択される(すなわちベクターは宿主細胞機構と適合性であり、遺伝子の増幅および/または発現を許容する)。発現ベクターの総説については、NolanとShatzman,1998,Curr.Opin.Biotechnol.9:447−450参照。
【0122】
発現ベクターは、市販のベクターなどの好都合な出発ベクターから構築され得る。そのようなベクターは、所望隣接配列全部を含んでもよくまたは必ずしも全部を含まなくてもよい。ここで述べる隣接配列の1またはそれ以上が既にベクター内に存在しない場合、それらを個別に入手し、ベクターに連結し得る。隣接配列の各々を得るために使用される方法は当業者に周知である。
【0123】
ベクターが構築され、GLP−1類似体をコードする核酸分子がベクターの適切な部位に挿入された後、完成されたベクターを増幅および/またはポリペプチド発現のために適切な宿主細胞に挿入し得る。GLP−1類似体をコードする発現ベクターの選択宿主細胞への形質転換は、トランスフェクション、感染、塩化カルシウム法、電気穿孔、微量注入、リポフェクション、DEAE−デキストラン法などの方法、または上述したような他の公知の手法を含む周知の方法によって達成し得る。選択される方法は、一部には、使用される宿主細胞の種類に依存する。これらの方法および他の適切な方法は当業者に周知であり、たとえばSambrookら、2001, MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 3d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor,N.Y.に示されている。
【0124】
宿主細胞は、適切な条件下で培養されたとき、GLP−1類似体を合成し、このタンパク質の収集を所望する場合は、その後培地から収集するか(宿主細胞がタンパク質を培地に分泌する場合)またはタンパク質を生産する宿主細胞から直接収集することができる。適切な宿主細胞の選択は、たとえば所望発現レベル、活性のために望ましいまたは必要なポリペプチド修飾(グリコシル化またはリン酸化など)および生物活性分子への折りたたみの容易さなどの、多くの異なる因子に依存する。
【0125】
発現のための宿主細胞として使用可能な哺乳動物細胞系は当技術分野において周知であり、American Type Culture Collection(ATCC)より入手可能な多くの不死化細胞系、たとえばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、サル腎細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(たとえばHep G2)、および多くの他の細胞系を含むが、これらに限定されない。ある実施形態では、細胞系は、いずれの細胞系がGLP−1類似体の高発現レベルを有するかを判定することを通して選択され得る。
【0126】
V.例示的治療用途
GLP−1に関連する様々な活性(背景技術参照)を考慮して、ここで述べるGLP−1化合物は、一般に以下の生物活性の1またはそれ以上を達成するために使用できる:1)インスリン放出を刺激する、2)血糖値を低下させる、3)血漿インスリンレベルを上昇させる、4)β細胞特異的遺伝子(たとえばGLUT−1輸送体、インスリン受容体およびヘキソキナーゼ−1)の転写を刺激する、5)β細胞のアポトーシスを阻害し、β細胞の増殖と複製を上昇させることによってβ細胞の量を増加させる、6)満腹感を誘導し、それによって食物摂取を減少させ、体重減少を促進する、7)胃液の分泌を低下させる、8)胃排出を遅延させる、および9)胃の運動性を低下させる。
【0127】
GLP−1化合物は、それゆえ、I型またはII型糖尿病、耐糖能異常、インスリン抵抗性、成人潜伏性自己免疫性糖尿病(LADA)、妊娠糖尿病、代謝症候群、および若年者の成人発症糖尿病(MODY)を含むが、これらに限定されない、多くの異なる形態の糖尿病またはそれと密接に関連する疾患を治療するために使用できる。そこで、GLP−1化合物は、感染、ストレス、発作に起因する、または妊娠中に誘導される感受性低下による、インスリンに対する低い感受性を有する個体を治療するために使用できる。治療できる他の種類の糖尿病は、糖尿病がグルカゴノーマ、原発性アルドステロン症、クッシング症候群およびソマトスタチノーマなどのもう1つ別の内分泌疾患に関連するもの、または特定の薬剤またはホルモン(たとえばエストロゲン含有薬剤、精神活性薬剤、高血圧薬、およびサイアザイド利尿薬)の投与によって生じる糖尿病である。
【0128】
GLP−1化合物はまた、冠疾患および、たとえば高血圧、冠動脈疾患、高脂血症、心臓血管疾患、アテローム性動脈硬化症および高コレステロール血症および心筋梗塞を含む、脂質障害に関連する疾患を治療するために使用できる。
【0129】
骨障害、骨粗しょう症および他の関連疾患もGLP−1組成物で治療することができる。
【0130】
GLP−1化合物で治療できるさらなる疾患は、肥満、過敏性腸症候群、発作、手術後の異化作用の変化、心筋梗塞および高血糖症を含む。GLP−1化合物はまた、鎮静剤として使用することもできる。
【0131】
GLP−1化合物はまた、上記に列挙したような疾患を発症する危険度が高い個体を治療することを含めて、予防的に使用することができる。具体例として、前記化合物は、インスリン非依存性糖尿病または肥満になる危険度が高い個体に予防的に投与できる。そのような個体は、たとえば耐糖能異常を有するもの、過体重であるもの、および前記疾患に対する遺伝的素因を有するもの(糖尿病の病歴を有する家族からの個体)を含む。
【0132】
多種多様な被験体がGLP−1化合物で治療できる。ここで使用する「被験体」または「患者」という用語は、典型的には哺乳動物を指し、しばしば前記疾患の1つを有するまたは前記疾患の1つに対する危険度が高いヒトであるが、必ずしもそうでなくてもよい。被験体は、しかしながら、非ヒト霊長動物(たとえば類人猿、サル、ゴリラ、チンパンジー)でもよい。被験体はまた、家畜(たとえばウマ、ウシ、ヒツジまたはブタ)、ペット動物(たとえばネコまたはイヌ)または実験動物(たとえばマウスまたはラット)などの、霊長動物以外の哺乳動物でもよい。
【0133】
VI.医薬組成物
A.組成物
ここで提供するGLP−1化合物は、治療用途の章で列挙した疾患の治療のために製剤された医薬組成物における有効成分として使用できる。それゆえ、開示されるGLP−1化合物は、上記に列挙したものを含む様々な治療適用における使用のための薬剤の製造において使用できる。
【0134】
GLP−1化合物に加えて、医薬組成物はまた、GLP−1化合物が有用性を有する様々な疾患の1またはそれ以上を治療する上で有用な1またはそれ以上の他の治療薬を含み得る。特定のGLP−1組成物と組み合わせることができる他の治療薬の一般的なクラスは、インスリン放出薬、グルカゴン分泌の阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、グルカゴン拮抗薬、抗肥満薬、カロリー摂取を低下させる化合物、選択的エストロン受容体調節薬、ステロイドまたは非ステロイドホルモン、成長因子、および食物栄養素を含むが、これらに限定されない。
【0135】
そのような付加的な治療薬は、たとえば高血糖症、糖尿病、高血圧、肥満および骨障害を治療するための薬剤を含み得る。組成物に含有され得る、糖尿病を治療するための他の治療薬の例は、脂質障害を治療するときに使用されるものを含む。そのような薬剤の具体例は、胆汁酸抑制剤(たとえばコレスチラミン、リポスタビル、テトラヒドロリプスタチン)、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(たとえば米国特許第4,346,227号;同第5,354,772号;同第5,177,080号;同第5,385,929号;および同第5,753,675号参照)、ニコチン酸、MTP阻害剤(たとえば米国特許第5,595,872号;同第5,760,246号;同第5,885,983号;および同第5,962,440号参照)、リポキシゲナーゼ阻害剤、フィブリン酸誘導体、コレステロール吸収阻害剤、スクアレンシンテターゼ阻害剤(たとえば米国特許第4,871,721号;同第5,712,396号;および同第4,924,024号)、および回腸ナトリウム/胆汁酸共輸送体を含むが、これらに限定されない。組成物に組み込むことができる他の抗糖尿病薬は、メグリチニド、チアゾリジンジオン、ビグアナイド、インスリン分泌促進薬、インスリン抵抗性改善薬、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、PPAR−αアゴニスト、PPAR−γアゴニストを含む。
【0136】
ジペプチジルペプチダーゼIV活性の阻害剤も、GLP−1類似体のN末端での切断を阻害するために含有され得る。
【0137】
医薬組成物は、所望製剤に依存して、動物またはヒト投与のために医薬組成物を製剤するために一般的に使用されるビヒクルと定義される、医薬的に許容される非毒性担体または希釈剤を含み得る。希釈剤は、配合剤の生物活性に影響を及ぼさないように選択される。そのような希釈剤の例は、蒸留水、緩衝水、生理的食塩水、PBS、リンガー液、デキストロース溶液、およびハンクス液である。加えて、医薬組成物または製剤は、他の担体、アジュバント、または非毒性、非治療性、非免疫原性安定剤、賦形剤等を含み得る。組成物はまた、pH調節剤および緩衝剤、毒性調節剤、湿潤剤および界面活性剤などの、生理的条件に近付けるための付加的な物質も含み得る。
【0138】
組成物はまた、たとえば抗酸化剤などの、様々な安定剤のいずれかを含み得る。医薬組成物がポリペプチド(たとえばGLP−1類似体)を含む場合、ポリペプチドは、ポリペプチドのインビボでの安定性を高める、またはその薬理的性質を高める(たとえばポリペプチドの半減期を上昇させる、その毒性を低減する、溶解度または再取込みを増強する)、様々な周知の化合物と錯体形成することができる。そのような修飾または錯化剤の例は、硫酸塩、グルコン酸塩、クエン酸塩およびリン酸塩を含む。組成物のGLP−1類似体はまた、それらのインビボでの属性を高める分子と錯体形成することができる。そのような分子は、たとえば炭水化物、ポリアミン、アミノ酸、他のペプチド、イオン(たとえばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン)、および脂質を含む。
【0139】
医薬組成物はまた、制御放出システムの一部として製剤され得る。そのようなシステムは、移植可能な浸透圧ポンプ、リポソームまたは経皮パッチを含み得る。ポンプを使用した送達のための方法は、たとえばLanger,1990,Science 249:1527−33;およびSaudekら、1989,N.Engl.J.Med.321:574によって述べられている。リポソームを使用するための送達選択肢は、たとえばTreatら、1989,in Liposomes in the Terapy of Infetious Disease and Cancer,(Lopez−BeresteinとFidler編集),Liss,New York,p.353−65;およびLanger,1990,Science 249:1527−33)によって論じられている。
【0140】
様々な種類の投与に適する製剤についてのさらなるガイダンスは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,1985,Mace Publishing Company,Philadelphia,Pa.第17版に見出される。薬剤送達のための方法の簡単な総説については、Langer,1990,Science 249:1527−1533参照。
【0141】
2.用量
上述したように、医薬組成物は予防的および/または治療的処置のために投与できる。「有効量」は、一般に、所望効果を達成するために十分であるが非毒性である有効成分(たとえばGLP−1化合物またはGLP−1類似体)の量を指し、前記所望効果は、症状の重症度および/または頻度の低減または排除、および/または損傷の改善または矯正である。「治療有効量」は、疾患状態または症状を改善する、または疾患または他の何らかの望ましくない症状の進行を予防する、妨げる、遅延させるまたは逆転させるために十分な量を指す。「予防有効量」は、疾患状態または症状の発症を予防する、妨げるまたは遅延させるために有効な量を指す。
【0142】
一般に、GLP−1化合物の毒性および治療効果は、たとえばLD50(集団の50%に致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療上有効な用量)を測定することを含む、細胞培養および/または実験動物における標準医薬手順に従って決定され得る。毒性と治療効果の間の用量比が治療指数であり、LD50/ED50比として表わすことができる。大きな治療指数を示す組成物が望ましい。
【0143】
細胞培養および/または実験動物から得られたデータは、ヒトのための用量範囲を策定するときに使用できる。有効成分の用量は、典型的には、ほとんどまたは全く毒性を伴わないED50を含む循環濃度範囲内に存する。用量は、使用される投与形態および使用される投与経路に依存してこの範囲内で変化し得る。
【0144】
投与される有効成分の量は、疾患の重症度、治療される被験体の年齢と大きさ、および特定の疾患自体などの、主治医によって評価され得る様々な因子に依存する。一般に、しかし、投与されるGLP−1類似体自体の総量は、典型的には1μg/kg体重/日−100mg/kg/日の範囲である。一部の場合には、用量は10μg/kg/日−10 mg/kg/日の範囲である。他の治療レジメンでは、GLP−1化合物は、50μg/kg/日−5mg/kg/日または100μg/kg/日−1mg/kg/日で投与される。
【0145】
C.投与
ここで述べる医薬組成物は様々な方法で投与することができる。例は、経口、鼻内、直腸、局所、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下(subcutaneous,subdermal)、髄腔内、および頭蓋内投与法によって医薬的に許容される担体を含有する組成物を投与することを含む。
【0146】
経口投与に関しては、有効成分は、カプセル、錠剤および粉末などの固体投与形態で、またはエリキシル、シロップおよび懸濁液などの液体投与形態で投与することができる。活性成分を、グルコース、ラクトース、スクロース、マンニトール、デンプン、セルロースまたはセルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、サッカリンナトリウム、滑石、炭酸マグネシウムなどの、不活性成分および粉末担体と共にゼラチンカプセルに封入することができる。望ましい色、味、安定性、緩衝能力、分散または他の公知の望ましい特徴を与えるために添加し得る付加的な不活性成分の例は、べんがら、シリカゲル、ラウリル硫酸ナトリウム、二酸化チタン、および食用白色インクである。同様の希釈剤が圧縮錠剤を作製するために使用できる。錠剤およびカプセルのいずれもが、数時間にわたって薬剤の持続的放出を提供する持続放出製剤として製造できる。圧縮錠剤は、不快な味を隠し、大気から錠剤を保護するために糖被覆またはフィルム被覆することができ、または消化管での選択的崩壊のために腸溶被覆することができる。経口投与のための液体投与形態は、患者の受け入れを高めるために着色料および着香料を含有し得る。
【0147】
単独または他の適切な成分と組み合わせた有効成分は、吸入によって投与されるエアロゾル製剤(すなわちそれらは「噴霧」され得る)に製造することができる。エアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの許容される加圧推進薬に含め得る。
【0148】
直腸投与のための適切な製剤は、たとえば坐薬基剤と共に充填された有効成分から成る坐薬を含む。適切な坐薬基剤は、天然または合成トリグリセリドまたはパラフィン系炭化水素を含む。加えて、たとえば液体トリグリセリド、ポリエチレングリコールおよびパラフィン系炭化水素を含む、基剤と充填有効成分の組合せから成るゼラチン直腸カプセルを使用することも可能である。
【0149】
たとえば関節内(関節の中)、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内および皮下経路などの非経口投与に適する製剤は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、および製剤を意図する受容者の血液と等張にする溶質を含有し得る、水性および非水性等張滅菌注射溶液、および懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤および防腐剤を含有し得る、水性および非水性滅菌懸濁液を含む。
【0150】
医薬組成物を製剤するために使用される成分は、好ましくは高純度であり、潜在的に有害な夾雑物を実質的に含まない(たとえば少なくともNational Food(NF)グレード、一般には少なくとも分析グレード、より典型的には少なくとも医薬品グレード)。さらに、インビボでの使用を意図される組成物は通常無菌である。所与の化合物が使用前に合成されなければならない限り、生じる生成物は、典型的には、合成または精製工程の間に存在し得る、いかなる潜在的毒性物質も、特にいかなる内毒素も実質的に含まない。非経口投与のための組成物も無菌であり、実質的に等張で、GMP条件下にて製造される。
【実施例】
【0151】
実施される実験および達成される結果を含む、以下の実施例は、説明のみを目的として提供され、本発明を限定すると解釈されるべきではない。
【0152】
(実施例1)
GLP−1化合物の合成
ペプチド合成
ここで述べるGLP−1類似体を生成するために以下のプロトコールを使用した。Nα−Fmoc、側鎖保護アミノ酸、Wang樹脂、およびRinkアミド樹脂を使用した。以下の側鎖保護戦略を用いた:Asp(OtBu)、Arg(Pbf)、Cys(Acm)、Glu(OtBu)、Glu(O2−PhiPr)、His(Trt)、Lys(Nε−Boc)、Lys(Nε−Mtt)、Ser(OtBu)、Thr(OtBu)およびTyr(OtBu)。GLP−1ペプチド誘導体は、O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウム−ヘキサフルオロ−ホスフェート(HBTU)/N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)/N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)カップリング化学を0.2mmol当量の樹脂スケール(Fmoc脱保護リンクアミド樹脂)で使用して、ペプチド固相合成法(SPPS)によりABI433ペプチドシンセサイザーで段階的に合成した。各々のカップリングサイクルについて、Nα−Fmocアミノ酸1mmol、DIEA 4mmolおよびHBTUの1mmol当量を使用した。HBTU活性化Fmocアミノ酸の濃度はDMF中0.5Mであり、カップリング時間は45分であった。Fmoc脱保護は、DMF溶液中の30%ピペリジンを最初に2分間、その後さらに20分間使用する2回の処理で実施した。
【0153】
ラクタム形成
側鎖−側鎖ラクタム形成を、構築したN末端Fmoc保護ペプチド樹脂上で実施した。ペプチド−樹脂をDCM中で30分間溶媒和し、排液した(drained)。Mttおよび2−PhiPr基(特定ラクタム結合形成部位で保護する)を、5%TISを含むDCM溶液中1%TFAで除去した。DCM溶液中1%TFAによるペプチド−樹脂の処理を30分ずつ8回反復し、各々の処理の後に十分なDCM洗浄を実施した。次に、遊離カルボキシル基およびアミノ基を、0.5Mベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)5当量の添加によって縮合し、DMF中のDIEA 10当量をペプチド樹脂に添加して、24時間放置した。その後樹脂をDMF、DCMおよびDCM/MeOHで十分に洗浄し、乾燥させた。
【0154】
側鎖の脱保護と樹脂からの切断
合成と修飾後、樹脂を排液し、DCM、DMF、DCMで洗浄し、その後真空中で乾燥させた。ペプチド−樹脂を脱保護し、トリフルオロ酢酸(TFA)/1,2−エタンジチオール(EDT)/トリイソプロピル−シラン(TIS)/H2O(92.5:2.5:2.5:2.5v/v)溶液で室温にて90分間処理することによって樹脂から遊離させた。次に揮発性物質を窒素ガス流で除去し、粗ペプチドをジエチルエーテルで2回沈殿させ、遠心分離によって収集した。
【0155】
Acm脱保護
粗GLP−1 Cys(Acm)保護ペプチドを、新鮮添加した酢酸水銀(II)(15mg/mL)を含む10%AcOH水溶液に溶解した。溶液を周囲温度で4時間攪拌した。次に2−メルカプトエタノールの80%水溶液を添加して20%v/vの組成物を生成し、十分に混合して、一晩放置した。次に0.1%TFA水溶液で希釈し、水銀塩を含む灰色沈殿物を遠心分離とろ過によって除去した。脱保護されたペプチドを、その後、逆相HPLC精製に供した。
【0156】
特定実施例
環を含まないGLP−1化合物を合成するための合成プロトコールを図3に示しており、この図は、8位にGly置換、22位にAib置換、およびC末端にシステインとアラニンの付加を含む類似体(すなわち配列番号18)を合成するためのアプローチを例示する。
【0157】
図4−11は、様々な環状GLP−1化合物を合成するためのアプローチを例示する。図4は、たとえば、グルタミン酸とリシン残基の側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を形成するためのスキームを示す。図5は、グルタミン酸とオルニチンの側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を合成するためのアプローチを提供する。図6は、アスパラギン酸の側鎖とリシンの側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を合成するためのアプローチを提供する。図7は、アスパラギン酸の側鎖とオルニチンの側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を合成するためのアプローチを提供する。図8は、リシンの側鎖とグルタミン酸鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を合成するためのアプローチを提供する。図9は、ホモグルタミン酸の側鎖とリシンの側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を合成するためのアプローチを提供する。図10は、4−カルボキシ−フェニルアラニンの側鎖とリシンの側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を合成するためのアプローチを提供する。図11は、β−ホモグルタミン酸の側鎖とリシンの側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を合成するためのアプローチを提供する。
【0158】
逆相HPLC精製
逆相高速液体クロマトグラフィーを分析カラム(C18、5μm、0.46cm×25cm)または分取カラム(C18、10μm、2.2cm×25cm)で実施した。典型的には、解析的分析については1mL/分の流速にて35分間で5−95%、および分取分離については20mL/分の流速にて90分間で5−65%の、緩衝液A中の緩衝液B(A=0.1%TFA水溶液;B=0.09%TFAを含む90%ACN水溶液)の直線勾配を使用してクロマトグラフィー分離を達成した。分析および分取HPLC画分をESMSおよびフォトダイオードアレイ(PDA)HPLCによって特性決定し、選択した画分を合わせ、凍結乾燥した。
【0159】
質量分析法
イオンスプレイ大気圧イオン化源を備えたシングル四重極質量分析計で質量スペクトルを取得した。試料(25μL)を、溶融シリカキャピラリーのインターフェース(内径50μm)によってイオン化源に直接結合された移動溶媒(10μL/分;30:50:20 ACN/MeOH/0.05%TFA)に注入した。試料の小滴を5kVの正電位でイオン化し、インターフェースプレートを通しておよびその後60Vの電位でオリフィス(直径100−120μm)を通して分析計に導入した。フルスキャン質量スペクトルを、0.1Daのスキャンステップサイズで400−2200Daの質量範囲にわたって取得した。認められたm/z値から分子量を導いた。
【0160】
ペグ化
チオエーテル結合PEGペプチドを、所望結合部位で操作された反応性システインチオールを有するGLP類似体から導いた(表2参照)。活性化PEG誘導体はすべて、5kD−40kDの分子量を有する単官能性メトキシPEG−マレイミド(mPEG−mal)であった。結合は、pH6でのアルキル化によって達成された。簡単に述べると、ペプチドをアミン不含緩衝液(50mMリン酸ナトリウム、5mM EDTA、pH6)に2mg/mlで溶解し、mPEG−malを控え目な化学量論的過剰量(1.2−1.5倍)で添加し、室温で0.5−2時間反応させた。反応を逆相HPLCによって観測し、5mM β−メルカプトエタノールで反応停止させて、さらに30分間室温で放置してインキュベートし、その後精製した。
【0161】
精製は、SPセファロースHP(GE Healthcare)を使用し、0−500mMの直線塩化ナトリウム勾配で溶出する分取陽イオン交換クロマトグラフィーによって実施した。溶出されたPEGペプチドをRP−HPLCおよびSDS−PAGEによって評価し、プールして、その後濃縮し、10mM酢酸ナトリウム、5%ソルビトール、pH4に透析した。RP−HPLCにより、すべての最終プールについて>99%の純度が測定された。標的結合部位の各々におけるPEGとの結合を確認するためにペプチドマッピングと塩基配列決定を使用した。
【0162】
(実施例2)
インビボアッセイ
GLP−1構築物のインビトロでの効果
A.GLP−1Rレポーターアッセイ
GLP−1と試験化合物の力価を比較するため、ヒトまたはマウスGLP−1受容体を発現するレポーター細胞系を生成した。ルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現増強を通してcAMPレベルの上昇を測定した。簡単に述べると、環状AMPレベルによって調節されるルシフェラーゼレポーター遺伝子構築物を担持することに加えて、マウスまたはヒトGLP−1受容体を発現するCHOK1細胞を、アッセイの2日前にプレートし、その後37℃、5%CO2で培養した。アッセイの前日の晩に、細胞を洗浄し、培地を、0.5%プロテアーゼ不含ウシ血清アルブミン(BSA)を含む無血清培地と交換し、その後一晩培養した。細胞を、0.5%プロテアーゼ不含BSAおよび100μM IBMXを含む培地にて37℃で6時間、一連の濃度の試験化合物またはGLP−1に暴露した。細胞溶解産物を、Luciferase Assay System(Promega Corporation,Madison,WI)を使用してルシフェラーゼ活性に関して検定した。ルシフェラーゼ活性はLuminoskan Ascent(Thermo Electron Corporation,Marietta,OH)を用いて測定した。生じた化合物濃度曲線の非線形回帰分析を、GraphPad Prism(GraphPad Software,Inc.,San Diego,CA)を用いて実施した。「EC50」は、最大活性の50パーセントが達成される化合物の濃度を表わす。
【0163】
B.構築物のインビトロでのGLP−1受容体結合
膜の作製。ヒトまたはマウスのGLP−1受容体を発現するCHOK1細胞を、PBSを使用して150mm培養皿から採集した。細胞を1500rpmで10分間沈降させた。生じたペレットを氷冷スクロース緩衝液(25mMトリス−HCl、0.32Mスクロース、0.25g/Lアジ化ナトリウム、pH7.4)15ml中で、モータ付きガラス張り(glass fitted)テフロン(登録商標)ホモジナイザで均質化した。ホモジネートを48,000×gにて4℃で10分間遠心分離し、Tissue−Tearor(Biospec Products)を用いてアッセイ緩衝液(50mMトリス−HCl、5mM MgCl2、10mg/mlプロテアーゼ不含BSA、0.1mg/ml STI、および0.1mg/ml Pefabloc、pH7.4)25mlに再懸濁して、その後再び48,000×gで10分間遠心分離した。ペレットを、Tissue−Tearorを用いてアッセイ緩衝液15ml中で3回目の均質化に供し、再び48,000×gで10分間遠心分離した。生じたペレットを4mg/mlの湿重量濃度でアッセイ緩衝液に再懸濁した。
【0164】
リガンド結合アッセイ。結合アッセイを96穴U底プレートにおいて実施した。膜(組織200μg)を、総容量100μlで、0.2nM 125I−GLP−1(PerkinElmer Life Sciences,Boston,MA)を含むアッセイ緩衝液中、一連の濃度の試験化合物またはGLP−1と共に室温で2時間インキュベートした。加えて、1μMの非標識GLP−1の存在下で非特異的結合を評価した。あらかじめ0.5%ポリエチレンイミンに浸したUnfilter−96 GF/Cガラス繊維フィルタープレート(FilterMate 196 Packard Harvester,PerkinElmer,Shelton,CT)を通しての速やかなろ過によって反応を終了させ、その後低温50mMトリス−HCl、pH7.4の300μlで3回洗浄した。結合放射能を、TopCount(マイクロプレートシンチレーションおよびルミネセンス計数器(Packard Instrument Company,PerkinElmer,Shelton,CT)を用いて測定した。生じた濃度曲線の非線形回帰分析を、GraphPad Prism(GraphPad Software,Inc.,San Diego,CA)を用いて実施した。「IC50」は、最大特異的125I−GLP−1結合を50パーセント低下させる化合物の濃度を表わす。
【0165】
(実施例3)
インビボアッセイ
A.db/dbマウス:
食後血糖値に関してGLP−1化合物をさらに検討するため、db/db糖尿病マウスモデルをこのスクリーニングにおいて使用し、この測定を1、2、4、6および24時間目に観測した。db/dbマウスは、Jackson Laboratory JAX(登録商標) GEMM(登録商標) Strain − Spontaneous Mutation Congenic Miceより市販されており、糖尿病の偶発突然変異に関してホモ接合である(Leprdb)。これらのマウスは約3−4週齢で特定可能に肥満になった。試験に含めるための各マウスについての選択判定基準は、少なくとも300mg/dLの血糖値であった。8.5週齢(慢性1−2週間試験のため)から約10−11週齢(急性1−3日間試験のため)のdb/dbマウスに各々の試験化合物を1回(急性実験)または複数回(慢性実験)注射した。実験当日、午前9時にマウスから採血し(基線値)、その後直ちにマウスを注射者に引き渡して、注射者は適切なGLP−1化合物または陽性/陰性対照を注射した。次にマウスを、摂食行動に関連する血糖値の変動性を制限するため、食餌を含まない新鮮ケージに入れた。通常は1時間、4時間、6時間および24時間の時点で採血した。24時間の時点で血糖値が開始時より低い時は、血糖値が基線レベルに戻るまで24時間ごとにさらなる時点で採血した。6時間の時点の後、通常食を与えた。
【0166】
多回注射によってタキフィラキシーを測定した。血糖値が十分に開始時の基線レベルに戻った後、化合物の2回目の注射を実施した。この時点で、化合物が同じ効果/有効性を有するか、または何らかの顕著なタキフィラキーがあるかどうかは明白であった。
【0167】
B.C57b16マウス:
C57B16(正常やせ型)マウスを10−12週齢で使用した。これらのマウスは、Jackson LaboratoriesまたはCharles Riverなどの業者から市販されており、正常であるとみなされる。「やせ型」という用語は、これらのマウスを肥満db/dbマウスと対比するために使用する。C57B16マウスを体重に関して無作為化した。基線血糖値を測定するために午前9時に採血を実施し、GLP−1化合物またはPBSを投与したあと、食餌を含まないケージにマウスを収容した。4−5時間後、2g/kgのグルコース用量を使用して腹腔内ブドウ糖負荷試験(ブドウ糖負荷試験は、ブドウ糖を代謝する身体能力を測定する)を実施した。ブドウ糖負荷の投与後30分および90分目および24時間目に、または血糖値がもとの値に戻るまで、血糖値を測定した。これらの試験から、陰性対照であるPBSに比べて、グルコースを利用する上でのGLP−1の効果増強作用が認められる。
【0168】
(実施例4)
式Iに関するGLP−1化合物についての結果
8位にグリシン置換、22位にシステイン置換および可変C末端を有する分子のクラスに関して受容体結合と力価を測定するため、インビトロ実験を実施した。実施例2で述べたように実験を実施し、結果を以下の表3に要約する。
【0169】
【表3−1】
【0170】
【表3−2】
表3に示すように、これらの分子の一部は種々の形態のPEGに結合されており、結合は23位のシステインで生じた。たとえば20k PEG二量体は2個のペプチドを有する単一20kD直鎖PEGポリマーであり、2個のペプチドはどちらもフォークのように同じ末端で結合する。「フォーク状(forked)」PEG−(マレイミド)2はNektar Therapeutics(Huntsville,AL,カタログ番号2D2MOPOF)から入手でき、以下の構造を有する:
【0171】
【化3】
「分枝」PEG複合体は、単一ペプチド上の同じ部位で結合した2個のポリマーである。分枝PEG2−マレイミドも、カタログ番号2D3X0P11でNektar Thearpeutics(Huntsville,AL)より入手でき、以下の構造を有する。
【0172】
【化4】
他の分子(たとえばcgGLP−3)は、「ダンベル状」PEG複合体である。この立体配置では、2個のペプチドが、ダンベルのように、各々の末端で1つずつ、8kD PEGに結合している。8kDのmal−PEG−malポリマーも、カタログ番号ZF−066−05でNektar Therapeutics(Huntsville,AL)より入手でき、以下の構造を有する:
【0173】
【化5】
(実施例5)
式IIに関するGLP−1化合物についての結果
8位の置換およびCSGまたはCSGGのいずれかのC末端付加を有するGLP−1化合物に関して受容体結合と力価を測定するため、インビトロ実験を実施した。ペグ化分子を38位のシステインで結合した。実施例2で述べたように実験を実施し、結果を以下の表4に要約する。
【0174】
【表4】
(実施例6)
式IIIに関する化合物についての結果
22位にAib(2−アミノイソ酪酸)またはAad(2−アミノアジピン酸)置換および場合により8位とC末端に置換を有するGLP−1化合物に関して受容体結合と力価を測定するため、インビトロ実験を実施した。ペグ化分子を38位のシステインで結合した。実施例2で述べたように実験を実施し、結果を以下の表5に要約する。
【0175】
【表5】
(実施例7)
環状GLP−1化合物に関する結果
一部のアミノ酸の側鎖が結合して環(環状ラクタム)を形成している様々なGLP−1化合物に関して受容体結合と力価を測定するため、インビトロ実験を実施した。実施例2で述べたように実験を実施した。試験した環状化合物の配列を結果と共に表6に示す。環状ラクタムの形成に関与するアミノ酸の側鎖を太字と下線で示している。表6に列挙する化合物のうちで、mgGLP−24だけがペグ化されていた。
【0176】
【表6】
(実施例8)
N末端伸長を有するGLP−1化合物に関する結果
N末端伸長を有するGLP−1化合物に関して受容体結合と力価を測定するため、インビトロ実験を実施した。実施例2で述べたように実験を実施し、結果を以下の表7に要約する。表7に列挙する化合物はいずれもペグ化されていなかった。
【0177】
【表7】
(実施例9)
インビボ結果−時間と血糖値への作用
ここで開示する種々のクラスからの代表化合物(たとえば上述した式I−IVの一般構造を有する化合物)を含む様々なGLP−1化合物を、血糖値に影響を及ぼすそれらの能力に関して試験した。これらの実験では、実施例3で述べたようにdb/dbマウスにおいて血糖を測定した。
【0178】
図12は、cgGLP−17、cgGLP−18、cgGLP−19、mgGLP−09A(配列およびPEGの大きさと種類については表4および5参照)およびmg−GLP−09Aが72時間の期間にわたって血糖を低下させる能力を示す。これらの化合物の各々は対照と比べて血糖を低下させ、cg−GLP−19が最も長い時間にわたって血糖を低下させた(マウスにおける血糖値が正常レベルに戻るのに10μg/マウス用量で72時間を要した)。もうひと組の実験をcgGLP−19、cgGLP−20、cgGLP−23、cgGLP−24(配列およびPEGの大きさと種類については表5参照)に関して実施した。GLP−1化合物10μgを各マウスに注射した。図13に示すように、これら4つのGLP−1化合物は、経時的に血糖値を低下させる同様の能力を示し、各々が48時間にわたって血糖値の有意の低下を生じさせた。
【0179】
もうひと組の実験をmgGLP−20、cgGLP−26、mgGLP−22およびmgGLP−24(配列およびPEGの大きさと種類については表5および6参照)を用いて実施した。用量は10μg/マウスであった。図14に示すように、各化合物は血糖値を低下させたが、低下の仕方は異なっていた。この例では、mgGLP−20およびmgGLP−24が最も長い時間グルコースを低下させた。これらの2つの化合物に関しては、血糖値が正常レベルに戻るのに72時間を要した。
【0180】
(実施例10)
用量依存的な血糖の低下
実施例3で述べたように、db/dbマウスに種々の用量(5および10μg/マウス)のmgGLP−32(配列とPEGの大きさについては表5参照)を注射した。図15に示すように、mgGLP−32は、24時間にわたって用量依存的に血糖値を低下させた。
【0181】
(実施例11)
やせ型GTT実験
インスリン放出へのGLP−1の作用は、グルコースの不在下よりもグルコースの存在下でより大きい。C57B16マウスは正常血糖を有しており、種々のGLP−1類似体の間での効果の相違を測定することが難しい(効果についてのウインドウがあまり広くない)。試験したGLP−1類似体の間で効果を測定するために、実施例3で述べたようにGLP−1類似体またはPBSの注射の52時間後にC57B16マウスにおいてブドウ糖負荷試験(GTT)を実施した。図16は、mgGLP−20、mgGLP−22およびmgGLP−24が、GLP−1類似体またはPBSの注射後最初の52時間に血糖を同程度に低下させたことを示す(配列およびPEG分子の大きさと種類については表5および6参照)。GTTに入って30分目に、ビヒクル処置マウスとGLP−1類似体処置マウスのグルコースレベルの間で分離が起こり、血糖低下へのGLP−1類似体の予想された作用を明らかにした。また、30分目に、GTTの間の血糖低下においてmgGLP−24はmgGLP−22より大きな効果を示し、mgGLP−22はmgGLP−20より大きな効果を示した。
【0182】
(実施例12)
多回投与実験
タキフィラキシーが長時間作用形態のGLP−1化合物に関する問題であるかどうかを調べるため、db/dbマウスにおいて多回投与実験を実施した。GLP−1化合物の2回目のボーラスを、翌日、24時間目の血糖測定の直後に注射したことを除き、実施例3で述べた方法を使用した。図17に示すように、血糖は、2日目にmgGLP−33(配列とPEGの大きさについては表5参照)で同程度に低下した。試験したGLP−1化合物に関してタキフィラキシーは認められなかった。mgGLP−20(配列およびPEGの大きさと種類については表5参照)に関しても同じ結果を認めた。
【0183】
加えて、mgGLP−32(配列およびPEGの大きさと種類については表5参照)に関する4日間の多回投与実験を正常C57B16マウスにおいて実施した。また、効果を測定するため、1回目の注射後にGTTを実施し、4回目の注射後に2回目のGTTを実施した。GTTは実施例3で述べたように実施した。血糖に対するGLP−1類似体の効果を示す結果を図18に示す。
【0184】
図19に示すように、mgGLP−20に関しては4時間の絶食中に血糖が低下した。また、mgGLP−20で処置したマウスでは1回目と2回目のGTTの間に血糖スパイクは見られなかった。mgGLP−20の4回目の投与後、タキフィラキシーは認められなかった。
【0185】
(実施例13)
ペグ化試験
活性化PEGポリマーはすべてNektar Thearpeutics(Huntsville,AL)より入手した。使用した種々の形態のPEG分子の説明は実施例4に述べられている。
【0186】
5−40kDにわたる大きさの数多くのPEG−マレイミドポリマーが入手可能であり、それらは分枝PEGポリマーを含み得る、または多価官能基を有し得る。受容体結合への影響を最小限にとどめる改善された薬物動態のための、PEGの大きさ、ポリマーの分枝およびペプチド原子価の最適のバランスを判定するためにこれらのポリマーを使用した。GLP−1類似体を、5kD、10kD、20kDおよび30kDの直鎖単官能性PEG−マレイミドから作製した。また、40kD分枝PEG(2×20kDポリマー)マレイミドも試験した。インビトロ結合アッセイは、PEGの大きさと受容体親和性の間の逆相関を明らかにし、分枝40kDポリマーは受容体結合に極めて有意の影響を及ぼす(表3−5)。同様に、PEGの大きさはインビボでのグルコース低下の期間に影響を及ぼし、より大きなポリマーが、典型的には、最大期間を達成する(データは示していない)。しかし、この作用には限界があり、分枝40kDポリマーを有する最も大きいPEG−GLP類似体(cgGLP−29)はインビボで最も活性ではなかった。
【0187】
図20および21は、1)「ダンベル」のように、各々の末端に1個ずつ、2個の8kD PEGポリマー;2)20kD PEGポリマー;3)30kD PEGポリマー;または4)40kD分枝PEGポリマーにそれぞれ結合した配列番号6および10によるヒトGLP−1受容体の活性化についてのGLP−1レポーターアッセイの結果を示す。興味深いことに、配列番号10は20、30および40kDのPEG複合体に関して同様の機能的活性を示し、配列番号6は20kD複合体の活性で目立った減少を示し、40kDの分枝複合体は30kDおよび8kDのダンベル複合体と類似の力価を示す。これは、受容体結合親和性とPEGの大きさの間で認められた逆相関と著しく異なる。図22は、1)5kD PEGポリマー;2)10kD PEGポリマー;3)20kD PEGポリマー;4)30kD PEGポリマー;または5)40kD分枝PEGポリマーに結合した配列番号22を使用したGLP−1受容体機能アッセイからの同様の結果を示す。これらの結果に対応するEC50値が表3−5に要約されている。これらのペプチド複合体に関して、非複合ペプチドと同様の力価を有する5kD PEG複合体を除き、すべての大きさのPEG複合体に関して同様のインビトロ力価が認められる。PEGの種々の大きさと形状がグルコースレベルを低下させる能力に及ぼす影響を調べるため、cgGLP−25(5kDa PEG)、cgGLP−26(10kDa PEG)、cgGLP−27(20kDa PEG)およびcgGLP−28(分枝40kDa PEG)を用いてインビボでのひと組の実験を実施した。これらの化合物の各々は、配列番号22のアミノ酸配列を有するが、指示されているように、結合しているPEGの大きさまたは形状が異なる。実施例3で述べたようにdb/dbマウスにおいて血糖を測定した。異なる化合物は異なる形で血糖を低下させ、cgGLP−27は最も長期間血糖を低下させた(図23)。
【0188】
ここで述べる実施例および実施形態は説明だけを目的とするものであり、それらに照らして様々な修正または変更が当業者に示唆され、それらの修正または変更は本出願の精神と範囲内および付属の特許請求の範囲内に包含されることが了解される。ここで引用するすべての出版物、特許および特許出願は、各々個々の出版物、特許または特許出願が参照によりここに組み込まれることが特定して個別に指示されているのと同じように、すべての目的に関してそれらの全体が参照によりここに組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0189】
【図1】図1は、結合して環状ラクタムを形成することができる、3個のアミノ酸によって分離されたGLP−1内の位置の例の図式的表示である。
【図2A】図2A−2Iは、グルタミン酸/リシンアミノ酸対の側鎖が結合して環を形成している例示的GLP−1類似体の化学構造を示す。GLP−1残基は1文字表記で示しており、伸長アミノ酸についての原子は、元素に関する通常の化学表記を用いて示している。エチレングリコール反復単位−[CH2CH2−O]n−の数は、所望するポリエチレングリコールの大きさ(たとえば5kDa−60kDa)に依存して異なり得る。
【図2B】図2A−2Iは、グルタミン酸/リシンアミノ酸対の側鎖が結合して環を形成している例示的GLP−1類似体の化学構造を示す。GLP−1残基は1文字表記で示しており、伸長アミノ酸についての原子は、元素に関する通常の化学表記を用いて示している。エチレングリコール反復単位−[CH2CH2−O]n−の数は、所望するポリエチレングリコールの大きさ(たとえば5kDa−60kDa)に依存して異なり得る。
【図2C】図2A−2Iは、グルタミン酸/リシンアミノ酸対の側鎖が結合して環を形成している例示的GLP−1類似体の化学構造を示す。GLP−1残基は1文字表記で示しており、伸長アミノ酸についての原子は、元素に関する通常の化学表記を用いて示している。エチレングリコール反復単位−[CH2CH2−O]n−の数は、所望するポリエチレングリコールの大きさ(たとえば5kDa−60kDa)に依存して異なり得る。
【図2D】図2A−2Iは、グルタミン酸/リシンアミノ酸対の側鎖が結合して環を形成している例示的GLP−1類似体の化学構造を示す。GLP−1残基は1文字表記で示しており、伸長アミノ酸についての原子は、元素に関する通常の化学表記を用いて示している。エチレングリコール反復単位−[CH2CH2−O]n−の数は、所望するポリエチレングリコールの大きさ(たとえば5kDa−60kDa)に依存して異なり得る。
【図2E】図2A−2Iは、グルタミン酸/リシンアミノ酸対の側鎖が結合して環を形成している例示的GLP−1類似体の化学構造を示す。GLP−1残基は1文字表記で示しており、伸長アミノ酸についての原子は、元素に関する通常の化学表記を用いて示している。エチレングリコール反復単位−[CH2CH2−O]n−の数は、所望するポリエチレングリコールの大きさ(たとえば5kDa−60kDa)に依存して異なり得る。
【図2F】図2A−2Iは、グルタミン酸/リシンアミノ酸対の側鎖が結合して環を形成している例示的GLP−1類似体の化学構造を示す。GLP−1残基は1文字表記で示しており、伸長アミノ酸についての原子は、元素に関する通常の化学表記を用いて示している。エチレングリコール反復単位−[CH2CH2−O]n−の数は、所望するポリエチレングリコールの大きさ(たとえば5kDa−60kDa)に依存して異なり得る。
【図2G】図2A−2Iは、グルタミン酸/リシンアミノ酸対の側鎖が結合して環を形成している例示的GLP−1類似体の化学構造を示す。GLP−1残基は1文字表記で示しており、伸長アミノ酸についての原子は、元素に関する通常の化学表記を用いて示している。エチレングリコール反復単位−[CH2CH2−O]n−の数は、所望するポリエチレングリコールの大きさ(たとえば5kDa−60kDa)に依存して異なり得る。
【図2H】図2A−2Iは、グルタミン酸/リシンアミノ酸対の側鎖が結合して環を形成している例示的GLP−1類似体の化学構造を示す。GLP−1残基は1文字表記で示しており、伸長アミノ酸についての原子は、元素に関する通常の化学表記を用いて示している。エチレングリコール反復単位−[CH2CH2−O]n−の数は、所望するポリエチレングリコールの大きさ(たとえば5kDa−60kDa)に依存して異なり得る。
【図2I】図2A−2Iは、グルタミン酸/リシンアミノ酸対の側鎖が結合して環を形成している例示的GLP−1類似体の化学構造を示す。GLP−1残基は1文字表記で示しており、伸長アミノ酸についての原子は、元素に関する通常の化学表記を用いて示している。エチレングリコール反復単位−[CH2CH2−O]n−の数は、所望するポリエチレングリコールの大きさ(たとえば5kDa−60kDa)に依存して異なり得る。
【図3】図3は、8位にGly置換、22位にAib置換、およびC末端にシステインとアラニンの付加を含む類似体(すなわち配列番号18)を合成するための例示的アプローチを示す。
【図4】図4は、グルタミン酸とリシン残基の側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を作製するための例示的合成スキームを提供する。
【図5】図5は、グルタミン酸とオルニチンの側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を作製するための例示的合成スキームを提供する。
【図6】図6は、アスパラギン酸とリシン残基の側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を作製するための例示的合成スキームを提供する。
【図7】図7は、アスパラギン酸とオルニチンの側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を作製するための例示的合成スキームを提供する。
【図8】図8は、リシンとグルタミン酸残基の側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を作製するための例示的合成スキームを提供する。
【図9】図9は、ホモグルタミン酸とリシンの側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を作製するための例示的合成スキームを提供する。
【図10】図10は、4−カルボキシ−フェニルアラニンとリシンの側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を作製するための例示的合成スキームを提供する。
【図11】図11は、β−ホモグルタミン酸とリシンの側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を作製するための例示的合成スキームを提供する。
【図12】図12は、cgGLP−17、cgGLP−18、cgGLP−19またはcgGLP−09Aで処置したマウスにおける血糖値を表すグラフを示す。
【図13】図13は、cgGLP−19、cgGLP−20、cgGLP−23またはcgGLP−24で処置したマウスにおける血糖値を表すグラフを示す。
【図14】図14は、mgGLP−20、cgGLP−26、mgGLP−22またはmgGLP−24で処置したマウスにおける血糖値を描画したグラフを示す。
【図15】図15は、mgGLP32で処置したマウスにおける血糖値を表すグラフを示す。
【図16】図16は、mgGLP−20、mgGLP−22またはmgGLP−24で処置したマウスに関して実施したひと組のGTT(ブドウ糖負荷試験)実験の間の血糖値を描画したグラフを示す。
【図17】図17は、mgGLP−33で処置したマウスにおける血糖値を描画したグラフを示す。
【図18】図18は、mgGLP−32で処置したマウスにおける血糖値を描画したグラフを示す。
【図19】図19は、mgGLP−20で処置したマウスにおける血糖値を描画したグラフを示す。
【図20】図20は、一部のcgGLP−3、cgGLP−1、cgGLP−7およびcgGLP−2へのPEGの大きさと形状の影響を描画したグラフを示す。
【図21】図21は、cgGLP−6、cgGLP−4、cgGLP−8、cgGLP−5へのPEGの大きさと形状の影響を描画したグラフを示す。
【図22】図22は、cgGLP−25、cgGLP−26、cgGLP−24、cgGLP−28、cgGLP−29へのPEGの大きさと形状の影響を描画したグラフを示す。
【図23】図23は、配列番号22に示すアミノ酸配列を有するGLP−1化合物およびcgGLP−25、cgGLP−26、cgGLP−27、cgGLP−29のいずれかで処置したdb/dbマウスへのインビボでのPEGの大きさと形状の影響を描画したグラフを示す。
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2006年4月20日に出願された米国仮特許出願第60/793,707号の利益を主張し、これは、全ての目的において本明細書中の全体にわたって参考として明白に援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)と関連ペプチド、グルカゴンは、プログルカゴンの示差的なプロセシングによって生産され、拮抗する生物活性を有する。プログルカゴン自体は、膵のα細胞および、主として遠位小腸と結腸に位置する、腸内分泌性L細胞において産生される。膵において、グルカゴンはプログルカゴンから選択的に切断される。腸では、これに対し、プログルカゴンはGLP−1とグルカゴン様ペプチド2(GLP−2)を形成するようにプロセシングされ、それらはそれぞれ、プログルカゴンのアミノ酸残基78−107と126−158に対応する(たとえば非特許文献1および非特許文献2参照)。慣例により、GLP−1のアミノ酸の番号付けは、プログルカゴンの切断から形成されるGLP−1(1−37)に基づく。生物活性形態は、このペプチドのさらなるプロセシングから生成され、GLP−1(7−37)−OHおよびGLP−1(7−36)−NH2を生じる。これらのプロセシングされたペプチドの最初のアミノ酸はHis7である。GLP−1(7−37)−OH(または単にGLP−(7−37))とGLP−1(7−36)−NH2はどちらも同じ活性を有する。便宜上、「GLP−1」という用語を、これらの形態の両方を指すために使用する。
【0003】
グルカゴンは、低血糖に応答して膵のα細胞から分泌され、グルカゴンの主要標的器官は肝である。グルカゴンは、グリコーゲンの分解を刺激し、グリコーゲンの生合成を阻害する。また脂肪酸の合成も阻害するが、糖新生を促進する。これらの作用の正味の結果は、肝からのグルコースの放出を有意に上昇させることである。GLP−1は、これに対し、グルカゴン分泌を低下させるが、その一方で、腸管による栄養素の吸収に応答してインスリンの分泌、グルコースの取込みおよびサイクリックAMP(cAMP)形成を刺激する。様々な臨床データがこれらの作用の証拠を提供する。コントロール不良の2型糖尿病患者におけるGLP−1の投与は、たとえば、患者の空腹時血糖値を正常化した(たとえば非特許文献3参照)。
【0004】
GLP−1は多くの他の重要な活性を有する。たとえばGLP−1はまた、胃の運動性および胃液分泌を抑制する(たとえば非特許文献4参照)。時として回腸ブレーキ作用と称されるこの作用は、栄養素のアベイラビリティに遅延期を生じさせ、その結果急速なインスリン応答の必要性を有意に低下させる。
【0005】
試験はまた、GLP−1が細胞分化と複製を促進することができ、それが次に、膵島細胞の保存およびβ細胞量の増加を助けることを示唆する(たとえば非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;および非特許文献8参照)。また、GLP−1が満腹感を高め、食物摂取を低下させ得ることを示唆する証拠もある(たとえば非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11参照)。
【0006】
他の研究は、GLP−1が、GLUT−1輸送体、インスリン受容体およびヘキソキナーゼ−1を含む、β細胞特異的遺伝子発現を誘導することを指示する(たとえば非特許文献12参照)。そのような誘導は、しばしば加齢に関連するグルコース不耐性を逆転させ得る。
【0007】
GLP−1は代謝ホメオスタシスを調節する上で鍵となる役割を果たすので、糖尿病、肥満および代謝症候群を含む様々な代謝性疾患を治療するための魅力的な標的である。糖尿病のための現在の治療は、インスリン注射、およびスルホニル尿素、メトホルミンおよびTZDの投与を含む。これらのアプローチには、しかしながら、重要な欠点がある。たとえばインスリン注射は、複雑な投薬上の配慮を必要とし、スルホニル尿素による治療はしばしば経時的に無効になり、メトホルミンは低血糖を誘導することがあり、TZDは体重増加や浮腫などの副作用を有する。GLP−1治療の潜在的利点は、1)インスリン分泌が高血糖に依存することによる高い安全性、2)結果として過度のグルコース産生を抑制する、グルカゴン分泌の抑制、および3)結果として栄養素の吸収を遅延させ、急激なグルコース上昇を防ぐ、胃排出の緩慢化を含む。
【0008】
GLP−1による有効な治療の重要な障害は、しかしながら、典型的にはわずか数分しかない、このペプチドの非常に短い半減期である(たとえば非特許文献13参照)。この分子の半減期を延長することを目標として様々な類似体が開発されてきた。これらの一部は、しかし、嘔吐および吐気を含む、有意の消化器系副作用を有する(たとえば非特許文献14参照)。
【非特許文献1】IrwinとWong,1995,Mol.Endocrinol.9:267−277
【非特許文献2】Bellら、1983,Nature 304:368−371
【非特許文献3】Gutniakら、1992,New Eng.J.Med.326:1316−1322
【非特許文献4】Tolessa,1998,J.Clin.Invest.102:764−774
【非特許文献5】Andreasenら、1994,Digestion 55:221−228
【非特許文献6】Wangら、1997,J.Clin.Invest.99:2883−2889
【非特許文献7】Mojsov,1992,Int.J.Pep.Prot.Res.40:333−343
【非特許文献8】Xuら、1999,Diabetes 48:2270−2276
【非特許文献9】Toft−Nielsenら、1999,Diabetes Care 22:1137−1143
【非特許文献10】Flintら、1998,J.Clin.Invest.101:515−520
【非特許文献11】Gutswillerら、1999 Gut 44:81−86
【非特許文献12】PerfettiとMerkel,2000,Eur.J.Endocrinol.143:717−725
【非特許文献13】Holst,1994,Gastroenterology 107:1848−1855
【非特許文献14】Agersoら、2002,Diabetologia 45:195−202
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、糖尿病、肥満、過敏性腸症候群および代謝症候群などの様々な代謝性疾患の治療における使用のための、GLP−1型活性を有する改善された分子への必要性が現在も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(要旨)
GLP−1類似体を含み、GLP−1の活性(たとえばインスリン分泌刺激活性)を有するGLP−1化合物をここで開示する。その組成物の有効量を投与することによって様々な疾患を治療するための方法も提供する。そのような方法は、たとえば糖尿病、耐糖能異常、インスリン抵抗性、様々な脂質障害、肥満、心臓血管疾患および骨障害を治療するために使用できる。
【0011】
ここで提供するGLP−1化合物の一部は、たとえば式I(配列番号5):
Xaa7−Gly−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Cys−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Gly−Xaa36−Xaa37−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−C(O)−R1(式I、配列番号5)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
Xaa33は、ValまたはLysであり;
Xaa34は、LysまたはAsnであり;
Xaa36は、ArgまたはGlyであり;
Xaa37は、GlyまたはProである]
のアミノ酸配列を含むGLP−1類似体を含み、前記化合物はGLP−1活性を有する。特定態様では、GLP−1類似体は、5以下の保存的アミノ酸置換を含む配列番号7または8のアミノ酸配列を有し、保存的アミノ酸置換は、アミノ酸Xaa8、Xaa23、またはXaa38−Xaa45のいずれかではないことを条件とする。もう1つの特定態様では、GLP−1類似体は、配列番号7または8のいずれかのアミノ酸配列を有する。
【0012】
ここで提供する他のGLP−1化合物は、式II(配列番号9):
Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Xaa23−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Cys−Ser−Gly−Gly−C(O)−R1(式II、配列番号9)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
8位のXaaは、Gly、bAla(2−アミノプロピオン酸)、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、Aib(2−アミノイソ酪酸)またはα−α−二置換アミノ酸であり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
23位のXaaは、Gln、Asn、Arg、Glu、Asp、Lys、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
33位のXaaは、Val、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Glu、AspまたはLysであり;
34位のXaaは、Asn、Lys、Arg、Glu、AspまたはHisであり;
35位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
36位のXaaは、Gly、Arg、Lys、Glu、AspまたはHisであり;
37位のXaaは、Pro、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysである]
のアミノ酸配列を含むGLP−1類似体を含み、前記化合物はGLP−1活性を有する。特定態様では、GLP−1類似体は、5以下の保存的アミノ酸置換を含む配列番号11または12のアミノ酸配列を有し、保存的アミノ酸置換は、アミノ酸Xaa8、またはXaa38−Xaa41のいずれかではないことを条件とする。もう1つの特定態様では、GLP−1類似体は、配列番号11または12のアミノ酸配列を有する。
【0013】
ここで提供するさらなる他のGLP−1化合物は、式III(配列番号13):
Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Xaa23−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Gly−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41−C(O)−R1(式III、配列番号13)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
8位のXaaは、Gly、bAla(2−アミノプロピオン酸)、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、Aib(2−アミノイソ酪酸)またはα−α−二置換アミノ酸であり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、Aib(2−アミノイソ酪酸)、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、α−α−二置換アミノ酸またはAad(2−アミノアジピン酸)であり;
23位のXaaは、Gln、Asn、Arg、Glu、Asp、Lys、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
33位のXaaは、Val、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Glu、AspまたはLysであり;
34位のXaaは、Asn、Lys、Arg、Glu、AspまたはHisであり;
35位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
36位のXaaは、Gly、Arg、Lys、Glu、AspまたはHisであり;
38位のXaaは、Cys、Glyであるか、または除かれており;
39位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Cysであるか、または除かれており;
40位のXaaは、Glyであるかまたは除かれており;
41位のXaaは、Glyであるかまたは除かれており;
38、39、40または41位のアミノ酸が除かれているとき、そのアミノ酸の下流の各々のアミノ酸も除かれていることを条件とする]
のアミノ酸配列を含むGLP−1類似体を含み、前記化合物はGLP−1活性を有する。特定態様では、GLP−1類似体は、5以下の保存的アミノ酸置換を含む配列番号16−28のいずれかのアミノ酸配列を有し、保存的アミノ酸置換は、アミノ酸Xaa8、Xaa22、またはXaa38−Xaa41のいずれかではないことを条件とする。もう1つの特定態様では、GLP−1類似体は、配列番号16−28のいずれかのアミノ酸配列を有する。
【0014】
ここで提供する一部のGLP−1化合物は、式IV(配列番号29):
Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Xaa23−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41C(O)−R1(式IV、配列番号29)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
8位のXaaは、Gly、bAla(2−アミノプロピオン酸)、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、2−アミノイソ酪酸またはα−α−二置換アミノ酸であり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
23位のXaaは、Gln、Asn、Arg、Glu、Asp、Lys、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
33位のXaaは、Val、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Glu、AspまたはLysであり;
34位のXaaは、Asn、Lys、Arg、Glu、AspまたはHisであり;
35位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
36位のXaaは、Gly、Arg、Lys、Glu、AspまたはHisであり;
37位のXaaは、Pro、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
38位のXaaは、Gly、Ser、Lys、Cysであるか、または除かれており;
39位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Leu、Phe、Pro、Cysであるか、または除かれており;
40位のXaaは、Gly、Cysであるかまたは除かれており;
41位のXaaは、Glyであるかまたは除かれており;
Xaa18、Xaa19、Xaa20、Xaa21、Xaa22、Xaa23、Xaa24、Xaa25、Xaa26、Xaa27、Xaa28、Xaa29およびXaa30から選択される2個のアミノ酸は、結合して環を形成しており、および環を形成する2個のアミノ酸は、0、1、2、3、4または5個のアミノ酸によって分離されている]
のアミノ酸配列を含むGLP−1類似体を含み、前記化合物はGLP−1活性を有する。特定態様では、GLP−1類似体は、5以下の保存的アミノ酸置換を含む配列番号30−246のいずれかのアミノ酸配列を有する。もう1つの特定態様では、GLP−1類似体は、配列番号30−246のいずれかのアミノ酸配列を有する。
【0015】
さらにもう1つの態様では、ここで提供するGLP−1化合物は、式VI:
Xaa4−Xaa5−Xaa6−His7−Ala8−Glu9−Gly10−Thr11−Phe12−Thr13−Ser14−Asp15−Val16−Ser17−Ser18−Tyr19−Leu20−Glu21−Gly22−Gln23−Ala24−Ala25−Lys26−Glu27−Phe28−Ile29−Ala30−Trp31−Leu32−Val33−Lys34−Gly35−Arg36−C(O)−R1(式VI、配列番号276)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
4位のXaaは、Metであるかまたは除かれており;
5位のXaaは、Met、Hisであるかまたは除かれており;
6位のXaaは、Met、Ala、Gly、Pro、Ser、Thr、Val、Gln、Arg、Lys、His、Tyr、Ile、Asp、Leu、Asn、Glu、TrpまたはPheであり;
5位のアミノ酸が除かれているとき、4位のアミノ酸も除かれていることを条件とする]
に示すアミノ酸配列を含むGLP−1類似体を含み、前記化合物はGLP−1活性を有する。
【0016】
また、医薬的に許容される担体およびここで述べるGLP−1化合物の有効量を含有する医薬組成物も提供する。
【0017】
加えて、ここで提供するGLP−1化合物またはここで提供するGLP−1化合物を含有する医薬組成物の有効量を被験体に投与することを含む、糖尿病、肥満および代謝症候群の群から選択される代謝性疾患を有する被験体を治療するための方法を提供する。
【0018】
加えて、ここで提供するGLP−1化合物またはここで提供するGLP−1化合物を含有する医薬組成物の有効量を被験体に投与することを含む、被験体においてインスリン発現を高めるための方法および被験体においてインスリン分泌を促進するための方法を提供する。
【0019】
ある態様では、ここで提供するGLP−1化合物は、ポリエチレングリコール、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、ポリ−(N−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオールまたはポリビニルアルコールなどの、水溶性ポリマーで共有結合的に修飾され得る。
【0020】
具体的な実施形態は、一部の実施形態の以下のより詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
I.定義
本明細書および付属の特許請求の範囲において使用するとき、単数形態「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに異なる指示を与えない限り、複数の言及を包含する。
【0022】
異なる定義がない限り、ここで使用するすべての技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。以下の参考文献は、本発明において使用する用語の多くの一般的定義を当業者に提供する:Singletonら、DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY(第2版、1994);THE CAMBRIDGE DICTIONARY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY (Walkerら、1988);THE GLOSSARY OF GENETICS,第5版、R.Riegerら(編集),Springer Verlag(1991);およびHale & Marham,THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY(1991)。
【0023】
ここで使用するとき、以下の用語は、異なる記載がない限りそれらに帰せられる意味を有する。
【0024】
「インスリン分泌刺激活性」は、グルコース依存的にインスリンの合成、放出または分泌を上昇させる能力を指す。インスリン分泌刺激作用は、インスリン陽性細胞の数の増加および/または所与の期間に合成されるまたは既存のインスリン陽性細胞から放出されるインスリンの量の増加によるものを含むが、これらに限定されない、多くの異なる機構のいずれかから生じ得る。インスリン分泌刺激活性は、GLP−1受容体結合活性または受容体活性化を測定するインビボおよびインビトロ実験などの(たとえば欧州特許第619,322号および米国特許第5,120,712号に述べられているような膵島細胞またはインスリノーマ細胞を使用するアッセイ)、当技術分野において公知の方法を用いて検定できる。ヒトでは、インスリン分泌刺激活性は、インスリンレベルまたはCペプチドレベルを検査することによって測定できる。
【0025】
「核酸」、「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」という用語は、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドを含むがこれらに限定されない、何らかの長さのヌクレオチドの重合形態を含むためにここで使用される。
【0026】
「ポリペプチド」および「タンパク質」は、ここでは交換可能に使用され、ペプチド結合を通して連結されたアミノ酸の分子鎖を含む。これらの用語は生成物の特定の長さを表わさない。それゆえ、「ペプチド」および「オリゴペプチド」はポリペプチドの定義に包含される。これらの用語は、ポリペプチドの翻訳後修飾、たとえばグリコシル化、アセチル化、リン酸化等を含む。加えて、タンパク質フラグメント、類似体、突然変異または変異タンパク質、融合タンパク質等はポリペプチドの意味に包含される。これらの用語はまた、1またはそれ以上のアミノ酸類似体または非天然アミノ酸が含まれる分子を包含する。
【0027】
2またはそれ以上の核酸またはポリペプチドに関して「同一」または「同一性」パーセント」という用語は、たとえば以下に述べられているような配列比較アルゴリズムを用いて、または目視検査によって測定されるような、比較し、最大対応性になるように整列したとき、同じであるか、または同じであるヌクレオチドまたはアミノ酸残基の特定パーセンテージを有する、2またはそれ以上の配列またはサブ配列を指す。
【0028】
ここで使用する「実質的に同一」という語句は、たとえば以下に述べられているような配列比較アルゴリズムを用いて、または目視検査によって測定されるような、比較し、最大対応性になるように整列したとき、少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸残基同一性を有する2またはそれ以上の配列またはサブ配列を指す。最も好ましくは、配列は、たとえばヌクレオチドのコード領域のような、比較される配列の全長にわたって実質的に同一である。
【0029】
配列比較のために、典型的には1つの配列を参照配列として使用し、試験配列をそれと比較する。配列比較アルゴリズムを使用するときは、試験配列と参照配列をコンピュータに入力し、必要に応じて配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムのパラメータを指定する。配列比較アルゴリズムが、その後、指定したプログラムパラメータに基づき、参照配列と比較した試験配列についての配列同一性パーセントを算定する。
【0030】
比較のための配列の最適アラインメントは、たとえばSmithとWaterman,1981,Adv.Appl.Math.2:482によるローカルホモロジーアルゴリズムによって、NeedlemanとWunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443のホモロジーアラインメントアルゴリズムによって、PearsonとLipman,1988,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性についての検索方法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータでの実施によって(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,Wis.のGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)、または目視検査によって[一般に、Current Protocols in Molecular Biology,(Ausubel,F.M.ら編集)John Wiley & Sons,Inc.,New York(1987−1999,補遺46 (1999年4月)などの補遺を含む)参照]実施できる。配列比較を行うためのこれらのプログラムの使用は、典型的には各プログラムについて特異的なデフォルトパラメータを用いて実施される。
【0031】
配列同一性および配列類似性パーセントを決定するために適切なアルゴリズムのもう1つの例は、Altschulら、1990,J.Mol.Biol.215:403−410に述べられている、BLASTアルゴリズムである。BLAST分析を実施するためのソフトウエアは、National Center for Biotechnology Informationを通して公的に入手可能である。このアルゴリズムは、データベース配列中の同じ長さのワードとアラインメントしたときある正の値の閾値スコアTにマッチするかまたはそれを満たす、問い合わせ配列における長さWの短いワードを同定することにより、高スコア配列対(HSP)を最初に同定することを含む。Tは、近接ワードスコア閾値と称される(Altschulら、前出)。これらの最初の近接ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見出するための検索を開始するための種として機能する。次いでこれらのワードヒットは、累積アラインメントスコアが増加し得る限り、各々の配列に沿って両方向に拡張される。累積スコアは、ヌクレオチド配列については、パラメータM(マッチする残基の対に対する報酬スコア;常に>0)およびパラメータN(ミスマッチ残基に対するペナルティースコア;常に<0)を用いて算定される。アミノ酸配列に関しては、スコアリング行列を使用して累積スコアを算定する。各方向におけるワードヒットの拡張は、以下の場合に停止される:累積アライメントスコアが、その最大達成値から量Xだけ低下する場合;1またはそれ以上の負のスコアリング残基アライメントの累積に起因して、累積スコアが0またはそれ以下になる場合;またはいずれかの配列の末端に到達した場合。核酸またはポリペプチドが本発明の範囲内であるかどうかを同定するには、BLASTプログラムのデフォルトパラメータが適切である。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列に関して)は、ワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=−4をデフォルトとし、両方の鎖の比較を使用する。アミノ酸配列に関しては、BLASTPプログラムは、ワード長(W)3、期待値(E)10をデフォルトとし、BLOSUM62スコアリング行列を使用する。TBLATNプログラム(ヌクレオチド配列に対してタンパク質配列を使用する)は、ワード長(W)3、期待値(E)10をデフォルトとして、そしてBLOSUM62スコアリング行列を使用する(HenikoffとHenikoff,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915参照)。
【0032】
配列同一性パーセントを算定することに加えて、BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計的分析を実施する(たとえばKarlinとAltschul,1993,Proc.Nat’l. Acad.Sci.USA 90:5873−5787参照)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの測定は、2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の間の一致が偶然に起こる確率の指標を提供する、最小和確率(smallest sum probability)(P(N))である。たとえば、参照核酸に対する試験核酸の比較における最小和確率が、約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満である場合、核酸は参照配列に対して類似するとみなされる。
【0033】
ポリペプチドは、典型的には、たとえば2つのポリペプチドが保存的置換によってのみ異なる場合、2番目のポリペプチドと実質的に同一である。タンパク質について述べるとき「保存的置換」は、タンパク質の活性を実質的に変化させない、タンパク質のアミノ酸組成における変化を指す。それゆえ、特定アミノ酸配列の「保存的に修飾された変化」は、タンパク質活性にとって重要でないアミノ酸のアミノ酸置換、または重要なアミノ酸の置換であっても活性を実質的に変化させない、類似の性質(たとえば酸性、塩基性、正または負に荷電、極性または非極性等)を有する他のアミノ酸によるアミノ酸の置換を指す。機能的に類似のアミノ酸を示す保存的置換表は、ここで説明されており、また当技術分野において周知である(たとえばCreighton,1984,Proteins,W.H.Freeman and Company参照)。加えて、タンパク質の活性を実質的に変化させずにコード配列内の1個のアミノ酸または小さなパーセンテージのアミノ酸を変化させる、付加するまたは欠失させる個々の置換、欠失または付加も、「保存的に修飾された変化」である。
【0034】
ここで使用するとき、20個の従来アミノ酸およびそれらの1文字および3文字略記は慣例的用法に従う。いかなる目的に関しても参照によりここに組み込まれる、IMMUNOLOGY−−A SYNTHESIS,第2版(E.S.GolubとD.R.Gren編集),Sinauer Associates:Sunderland,MA,1991参照。20個の従来アミノ酸の立体異性体(たとえばD−アミノ酸);α,α−二置換アミノ酸などの非天然アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸および他の非従来アミノ酸も、ここで提供するポリペプチドのための適切な成分であり得る。非従来アミノ酸の例は、4−ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、ε−N,N,N−トリメチルリシン、ε−N−アセチルリシン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリシン、σ−N−メチルアルギニン、および他の類似アミノ酸およびイミノ酸(たとえば4−ヒドロキシプロリン)を含む。ここで言及する一部のアミノ酸類似体は以下のように略記される:
bAlaは、β−アミノプロピオン酸である;
Jは、Aad(2−アミノアジピン酸;ホモグルタミン酸とも称される)である;
Zは、Aib(2−アミノイソ酪酸)である;
Oは、オルニチンである;
Cpaは、4−カルボキシ−フェニルアラニンである;および
Bは、βグルタミン酸である。
アミノ酸略記がスラッシュ(すなわち「/」によって分離されるとき、これは、スラッシュによって分離されたアミノ酸のいずれか1個が指示された位置で生じ得ることを意味する。たとえばK/O/Cは、リシン、オルニチンまたはシステインのいずれか1個が指示された位置で生じ得ることを意味する。
【0035】
ここで使用するα,α−二置換アミノ酸という用語は、当技術分野におけるその通常の意味を有し、たとえばα−メチル−ロイシン、α−メチル−フェニルアラニン、α−メチル−トリプトファン、4−アミノ−1−ピペリジン、2−アミノ−2,2−ジフェニル酢酸を含む。
【0036】
ここで使用するポリペプチド表記法では、標準用法および慣例に従って、左側方向はアミノ末端方向であり、右側方向はカルボキシル末端方向である。GLP−1化合物に関して使用するとき「下流」という用語は、言及される位置に対してポリペプチドのカルボキシル末端側、すなわち言及される位置の右側にある位置を意味する。GLP−1化合物に関して使用するとき「上流」という用語は、言及される位置に対してポリペプチドのアミノ末端側、すなわち言及される位置の左側にある位置を意味する。推奨されるアミノ酸およびペプチドに関するIUPAC−IUB命名法および記号体系(recommended IUPAC−IUB Nomenclature and Symbolism for Amino Acids and Peptides)は、J.Biochem.,1984,219,345−373;Eur.J.Biochem.,1984,138,9−37;1985,152,1;1993,213,2;Internat.J.Pept.Prot.Res.,1984,24,following p 84;J.Biol.Chem.,1985,260,14−42;Pure Appl.Chem.,1984,56,595−624;Amino Acids and Peptides,1985,16,387−410;Biochemical Nomenclature and Related Documents,第2版、Portland Press, 1992,p.39−69に公表されている。
【0037】
天然に生じる残基は、共通側鎖特性に基づくクラスに分類され得る:
1)疎水性:ノルロイシン(Nor)、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
3)酸性:Asp、Glu;
4)塩基性:His、Lys、Arg;
5)鎖の方向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;および
6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0038】
保存的アミノ酸置換は、これらのクラスの1つのメンバーと同じクラスのもう1つ別のメンバーとの交換を含み得る。保存的アミノ酸置換は、典型的には生物系における合成によってではなく化学的ペプチド合成によって組み込まれる、非天然に生じるアミノ酸残基を含み得る。これらは、ペプチドミメティックおよびアミノ酸部分の他の逆形態または反転形態を含む。
【0039】
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーともう1つ別のクラスのメンバーとの交換を含み得る。そのような置換された残基は、非ヒト抗体と相同なヒト抗体の領域に、または分子の非相同領域に導入され得る。
【0040】
そのような変更を行う場合、ある実施形態によれば、アミノ酸のハイドロパシー指数(hydropathic index)を考慮し得る。各々のアミノ酸は、その疎水性および電荷特徴に基づいてハイドロパシー指数が割り当てられている。それらは以下の通りである:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);トレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リシン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)。
【0041】
タンパク質に相互作用的な生物学的機能を与える上でのアミノ酸のハイドロパシー指数の重要性は当技術分野において了解されている(たとえばKyteら、1982,J.Mol.Biol.157:105−131参照)。一定のアミノ酸を類似のハイドロパシー指数またはスコアを有する他のアミノ酸の代わりに使用することができ、依然として類似の生物活性を保持し得ることは公知である。ハイドロパシー指数に基づいて変更を行う場合、ある実施形態では、ハイドロパシー指数が±2以内であるアミノ酸の置換を含む。ある実施形態では、±1以内であるものを含み、またある実施形態では、±0.5以内であるアミノ酸の置換を含む。
【0042】
類似のアミノ酸の置換は、特にそれによって作製される生物学的に機能性のタンパク質またはペプチドが、ここで開示されるような、免疫学的実施形態における使用を意図されている場合、親水性に基づいて有効に行われ得ることが当技術分野において了解されている。ある実施形態では、タンパク質の最大局所平均親水性は、その隣接するアミノ酸の親水性によって支配されるので、その免疫原性および抗原性、すなわち、タンパク質の生物学的性質と相関する。
【0043】
以下の親水性値がこれらのアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リシン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);トレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);およびトリプトファン(−3.4)。類似の親水性の値に基づいて変更を行う場合、ある実施形態では、その親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換を含み、ある実施形態では、±l以内であるものを含み、またある実施形態では、±0.5以内であるアミノ酸の置換を含む。また、親水性に基づき、一次アミノ酸配列からエピトープを同定し得る。これらの領域は「エピトープコア領域」とも称される。
【0044】
例示的なアミノ酸置換を表1に示す。
【0045】
【表1−1】
【0046】
【表1−2】
ここで、保護基、リンカーおよび固相支持体の使用、ならびに詳細な保護および脱保護反応条件、リンカー切断条件、スカベンジャーの使用、および固相ペプチド合成の他の態様は周知であり、また“Protecting Groups in Organic Synthesis,”第3版、T.W.GreeneとP.G.M.Wuts編集、John Wiley & Sons,Inc.,1999;Novabiochem Catalog,2000;“Synthetic Peptides,A User’s Guide,”G.A.Grant編集、W.H.Freeman & Company, New York,N.Y.,1992;“Advanced Chemtech Handbook of Combinatorial & Solid Phase Organic Chemistry,”W.D.Bennet,J.W.Christensen,L.K.Hamaker,M.L.Peterson,M.R.RhodesおよびH.H.Saneii編集、Advanced Chemtech,1998;“Principles of Peptide Synthesis,第2版“ M.Bodanszky編集、Springer−Verlag,1993;“The Practice of Peptide Synthesis,第2版、“M.BodanszkyとA.Bodanszky編集、Springer−Verlag,1994;“Protecting Groups,”P.J.Kocienski編集、Georg Thieme Verlag,Stuttgart,Germany,1994;“Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis,A Practical Approach,”W.C.ChanとP.D.White編集、Oxford Press,2000,G.B.Fieldsら、Synthetic Peptides:A User’s Guide,1990,77−183その他に述べられている。
【0047】
当業者は、周知の手法を用いてここで示すようなポリペプチドの適切な変異体を決定することができる。ある実施形態では、当業者は、活性にとって重要ではないと考えられる領域を標的することにより、活性を破壊せずに変更し得る分子の適切な領域を同定し得る。他の実施形態では、当業者は、類似のポリペプチドの間で保存されている分子の残基および部分を同定することができる。さらなる実施形態では、生物活性にとってまたは構造にとって重要であると考えられる領域であっても、生物活性を破壊せずにまたはポリペプチドの構造に有害な影響を及ぼさずに保存的アミノ酸置換に供し得る。
【0048】
加えて、当業者は、活性または構造にとって重要な類似ポリペプチド内の残基を同定する構造−機能試験を検討し得る。そのような比較を考慮して、当業者は、類似のタンパク質内の活性または構造にとって重要なアミノ酸残基に対応する、タンパク質内のアミノ酸残基の重要性を予測することができる。当業者は、そのような予測上の重要アミノ酸残基に対する化学的に類似のアミノ酸置換を選択し得る。
【0049】
当業者はまた、類似ポリペプチドにおける構造に関して三次元構造およびアミノ酸配列を分析し得る。そのような情報を考慮して、当業者は、抗体のアミノ酸残基のアラインメントをその三次元構造に関して予測し得る。ある実施形態では、当業者は、タンパク質の表面にあると予測されるアミノ酸残基に根本的な変化を加えないことを選択し得る。そのような残基は他の分子との重要な相互作用に関与し得るからである。さらに、当業者は、各々の所望アミノ酸残基に1個のアミノ酸置換を含む試験変異体を作製し得る。それらの変異体は、その後、当業者に公知の活性アッセイを用いてスクリーニングし得る。そのような変異体は、適切な変異体についての情報を収集するために使用できる。たとえば特定アミノ酸残基への変化が、活性の破壊、活性の望ましくない低下または不適切な活性を生じさせることが発見された場合、そのような変化を有する変異体を回避することができる。言い換えると、そのような常套的実験から収集された情報に基づき、当業者は、単独でまたは他の突然変異と組み合わせて、さらなる置換を回避すべきアミノ酸を容易に判定できる。
【0050】
多くの学術公表文献が二次構造の予測を対象としてきた。たとえばMoult,1996,Curr.Op.in Biotech.7:422−427;Chouら、1974,Biochemistry 13:222−245;Chouら、1974,Biochemistry 113:211−222;Chouら、1978,Adv.Enzymol. Relat.Areas Mol.Biol.47:45−148;Chouら、1979,Ann.Rev.Biochem.47:251−276;およびChouら、1979,Biophys.J.26:367−384参照。さらに、二次構造の予測を支援するためにコンピュータプログラムが現在使用可能である。二次構造を予測する1つの方法はホモロジーモデリングに基づく。たとえば30%以上の配列同一性または40%以上の配列類似性を有する2つのポリペプチドまたはタンパク質は、しばしば類似の構造トポロジーを有する。タンパク質構造データベース(PDB)の最近の発展は、ポリペプチドまたはタンパク質構造内の潜在的な折りたたみの数を含む、二次構造の高い予測可能性を提供してきた。たとえばHolmら、1999,Nucl.Acid.Res.27:244−247参照。所与のポリペプチドまたはタンパク質内には限られた数の折りたたみが存在すること、およびひとたび決定的な数の構造が決定されれば、構造予測は劇的により正確になることが示唆された(Brennerら、1997,Curr.Op.Struct.Biol.7:369−376)。
【0051】
二次構造を予測するさらなる方法は、「スレッディング(threading)」(Jones,1997,Curr.Opin.Struct.Biol.7:377−87;Sipplら、1996,Structure 4:15−19)、「プロフィール解析」(Bowieら、1991,Science 253:164−170;Gribskovら、1990,Meth.Enzym.183:146−159;Gribskovら、1987,Proc.Nat.Acad.Sci.84:4355−4358)、および「進化的連鎖」(たとえばHolm,1999,前出;およびBrenner,1997,前出)を含む。
【0052】
ある実施形態によれば、アミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を低下させる、(2)酸化に対する感受性を低下させる、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変化させる、(4)結合親和性を変化させる、および/または(5)そのようなポリペプチドに他の物理化学的または機能的性質を与えるまたは性質を改変するものである。ある実施形態によれば、1個または複数のアミノ酸置換(ある実施形態では、保存的アミノ酸置換)は、天然に生じる配列において(ある実施形態では、分子間接触を形成するドメインの外側のポリペプチドの部分において)作製し得る。ある実施形態では、保存的アミノ酸置換は、典型的には親配列の構造特徴を実質的に変化させない(たとえば置換アミノ酸は、親配列内に生じるらせんをこわすまたは親配列を特徴づける他の種類の二次構造を崩壊させる傾向があってはならない)。当技術分野で認識されているポリペプチドの二次および三次構造の例は、各々が参照によりここに組み込まれる、PROTEINS,STRUCTURES AND MOLECULAR PRINCIPLES,(Creighton編集),1984,W. H.Freeman And Company,New York;INTRODUCTION TO PROTEIN STRUCTURE(C.BrandenとJ.Tooze編集),1991,Garland Publishing,New York,N.Y.;およびThorntonら、1991,Nature 354:105に述べられている。
【0053】
ペプチド類似体は、鋳型ペプチドと類似の性質を有する非ペプチド薬として製薬産業において一般的に使用されている。これらの種類の非ペプチド化合物は、「ペプチドミメティック」と称される。いかなる目的に関しても参照によりここに組み込まれる、Fauchere,1986,Adv.Drug Res.15:29;VeberとFreidinger,1985,TINS P.392;およびEvansら、1987,J.Med.Chem.30:1229参照。そのような化合物は、しばしばコンピュータ分子モデリングを援用して開発される。治療上有用なペプチドと構造的に類似するペプチドミメティックは、同様の治療または予防効果を生じさせるために使用され得る。一般に、ペプチドミメティックは、ヒト抗体のようなパラダイムポリペプチド(すなわち生化学的性質または薬理活性を有するポリペプチド)に構造的に類似するが、場合により、当技術分野で周知の方法によって、−CH2−NH−、−CH2−S−、−CH2−CH2−、−CH=CH−(シスおよびトランス)、−COCH2−、−CH(OH)CH2−、および−CH2SO−から選択される結合によって置換された1またはそれ以上のペプチド結合を有する。同じ種類のD−アミノ酸によるコンセンサス配列の1またはそれ以上のアミノ酸の体系的置換(たとえばL−リシンの代わりにD−リシン)は、特定実施形態において、より安定なペプチドを作製するために使用され得る。加えて、コンセンサス配列または実質的に同一のコンセンサス配列変異を含む拘束ペプチドは、当技術分野で公知の方法によって(いかなる目的に関しても参照によりここに組み込まれる、RizoとGierasch,1992,Ann.Rev.Biochem.61:387);たとえばペプチドを環化する分子内ジスルフィド結合を形成することができる内部システイン残基を付加することによって作製し得る。
【0054】
II.概説
GLP−1類似体を含む、GLP−1の少なくとも1つの活性を保持する様々なGLP−1化合物がここで提供される。開示されるGLP−1類似体は、以下の特徴の1またはそれ以上を含む:1)GLP−1の特定位置におけるアミノ酸置換、2)GLP−1のN末端および/またはC末端における付加アミノ酸、3)GLP−1のN末端および/または4)C末端におけるアミノ酸の不在、および/またはポリペプチドと特定アミノ酸の側鎖を結合することによって形成される環の存在。
【0055】
以下でより詳細に述べるように、提供されるGLP−1化合物は、様々な疾患を治療するために治療的または予防的に投与され得る。前記化合物で治療することができる疾患の例は、糖尿病、耐糖能異常、インスリン抵抗性、高血糖症、代謝症候群、様々な脂質障害、肥満、冠疾患、骨障害および過敏性腸症候群を含むが、これらに限定されない。
【0056】
III.GLP−1化合物
A.構造
上述したように、「GLP−1」は、GLP−1(7−37)−OHおよびGLP−1(7−36)−NH2を指す。ここで使用するGLP−1のアミノ酸の番号づけは、プログルカゴンの切断から形成されるGLP−1(1−37)に基づく。
【0057】
天然GLP−1(7−37)−OHは以下のアミノ酸配列を有する:
7His−8Ala−9Glu−10Gly−11Thr−12Phe−13Thr−14Ser−15Asp−16Val−17Ser−18Ser−19Tyr−20Leu−21Glu−22Gly−23Gln−24Ala−25Ala−26Lys−27Glu−28Phe−29Ile−30Ala−31Trp−32Leu−33Val−34Lys−35Gly−36Arg−37Gly (配列番号1)。
【0058】
この式に示すように、アミノ末端のHis残基は、GLP−1(1−37)からのプロセシングを反映するために慣例的にアミノ酸残基7と称される;カルボキシル末端のGlyは、次に、慣例的にアミノ酸残基37と称される。背景技術の章で述べたように、GLP−1(7−37)−OHのカルボキシル末端は、GLP−1(7−36)−NH2を生じるように切断され得る。これら2つの末端の間に位置するその他のアミノ酸は、示されているように連続的に番号づけられる。そこで、たとえば8位のアミノ酸はAlaであり、26位のアミノ酸はLysである。同様に、ここで特定位置で置換を行うことに言及するとき、同じ番号づけシステムが適用される。それゆえ、たとえば22位におけるAlaの置換は、22位のGlyがAlaで置換されたことを意味する。アミノ酸がGLP−1(7−36)のアミノ末端で付加される場合、その位置は、7位のすぐ上流のアミノ酸がアミノ酸6であり、その次の上流アミノ酸が5位である等のように、漸減順序で連続的に番号づけられる。アミノ酸がGLP−1(7−36)のカルボキシル末端で付加される場合、その位置は、36位のすぐ下流のアミノ酸がアミノ酸37であり、その次の下流アミノ酸が38位である等のように、漸増順序で連続的に番号づけられる。上記で論じたように、GLP−1(7−37)とも称されるGLP−1(7−37)−OHとGLP−1(7−36)−NH2はどちらも同じ活性を有する。便宜上、「GLP−1」および「天然GLP−1」という用語は、これらの生物活性形態の両方を指すために使用される。
ここで使用する「GLP−1」化合物は、GLP−1類似体を含み、および1またはそれ以上の付加的な成分(たとえばインビボで化合物の半減期を延長させる成分)を含み得る分子を指す。
【0059】
「GLP−1活性」という語句またはその文法上の等価物は、広くGLP−1に関連する活性を指す。そのような活性の例は、インスリン分泌刺激活性、胃の運動性の抑制、胃液分泌の抑制、β細胞の増殖と複製の促進、β細胞量の増加、GLP−1を被験体に投与したときの満腹感の上昇と食物摂取の低下を含むが、これらに限定されない。
【0060】
ここで使用するとき、「GLP−1類似体」という用語は、天然GLP−1(7−37)−OHまたはGLP−1(7−36)−NH2のアミノ酸配列の1またはそれ以上の変化を有するが、天然GLP−1の少なくとも1つの活性を保持するポリペプチドを指す。ここで提供し、説明するGLP−1類似体は、たとえばGLP−1の特定残基における特定アミノ酸置換を含む。類似体の一部はまた、C末端に付加アミノ酸残基を含み、また別の類似体はC末端が短縮されている。ここで提供するGLP−1類似体は、様々なインビボモデルにおいて血糖値を顕著に低下させ、天然GLP−1に比べて長い半減期を有する。ここで述べるように、GLP−1類似体は、類似体のインビボでの半減期を上昇させるためにポリエチレングリコール(PEG)の1またはそれ以上の分子でペグ化され得る。あるいは、GLP−1類似体は、ここで述べるような融合タンパク質を形成するためにもう1つ別のポリペプチドに結合され得る。ここで列挙する式において、R1は、カルボキシル基、アミン、エステル、または置換アミンであり得る。それゆえ、ここで提供するGLP−1類似体は、そのC末端にカルボキシル基またはアミド基を有し得る。
【0061】
ある実施形態では、ここで提供するGLP−1類似体は、以下の特徴の1またはそれ以上を有する:
1)GLP−1に対する1またはそれ以上のアミノ酸置換(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個);
2)GLP−1のC末端またはN末端における1またはそれ以上の追加アミノ酸残基の付加(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸);
3)NまたはC末端における1またはそれ以上のアミノ酸のトランケーション(典型的には1、2、3、4または5個のアミノ酸);および/または
4)類似体内の特定アミノ酸上の側鎖の間で形成される環構造。
【0062】
提供される一部のGLP−1類似体は、たとえば、以下の置換を含むがこれらに限定されない、8、22、23、26、33、34、35、36および/または37位の1またはそれ以上における特定アミノ酸置換を含む:
8Ala:Gly、2−アミノイソ酪酸(Aib)またはβ−アミノプロピオン酸(bAla)による置換;
22Gly:2−アミノイソ酪酸(Aib)、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、α−α−二置換アミノ酸または2−アミノアジピン酸による置換;
23Gln:Cysによる置換;
26Lys:オルニチンまたはホモリシンによる置換;
33Val:Lysによる置換;
34Lys:Asnによる置換;
36Arg:Glyによる置換;
37Gly:Proによる置換。
【0063】
GLP−1類似体の一部は、たとえば37位のアミノ酸へのCys、Cys−Ala、Cys−Gly、Cys−Ser−Gly、Cys−Ser−Gly−Gly(配列番号278)、またはGly−Cysの付加(前記の各々はアミノ末端からカルボキシル末端方向に列記されている)を含む、特定C末端伸長を含む。
【0064】
他のGLP−1類似体は、GLP−1のN末端におけるMet、Ala、Gly、Pro、Ser、Thr、Val、Gln、Arg、Lys、His、Tyr、Ile、Asp、Leu、Asn、Glu、TrpまたはPheの付加のような特定N末端付加を含む。一部の類似体は、MQ、MR、MK、MH、MY、MI、MD、ML、MN、ME、MW、MFまたはMMジペプチドの付加によってアミノ末端へとN末端で伸長される。さらなる他の類似体は、アミノ末端に付加されたMHHトリペプチドを有する。
【0065】
GLP−1類似体は、論議を容易にするために、特定の構造特徴を共有する分子の特定ファミリーに分類できる。これらは、以下に提供する一般式によって最も容易に表すことができる。
【0066】
1つのファミリーは、たとえば、式I:
Xaa7−Gly−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Cys−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Gly−Xaa36−Xaa37−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−C(O)−R1(式I、配列番号5)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
Xaa33は、ValまたはLysであり;
Xaa34は、LysまたはAsnであり;
Xaa36は、ArgまたはGlyであり;
Xaa37は、GlyまたはProである]
に示すアミノ酸配列を含むまたは前記アミノ酸配列から成り、その化合物はGLP−1活性を有する。
【0067】
ここで列挙する式において、R1は、カルボキシル基、アミン、エステル、または置換アミンであり得る。それゆえ、ここで提供するGLP−1類似体は、そのC末端にカルボキシル基またはアミド基を有し得る。
【0068】
GLP−1類似体の2番目のファミリーは、式II:
Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Xaa23−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Cys−Ser−Gly−Gly−C(O)−R1(式II、配列番号9)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
8位のXaaは、Gly、bAla(2−アミノプロピオン酸)、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、2−アミノイソ酪酸またはα−α−二置換アミノ酸であり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
23位のXaaは、Gln、Asn、Arg、Glu、Asp、Lys、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
33位のXaaは、Val、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Glu、AspまたはLysであり;
34位のXaaは、Asn、Lys、Arg、Glu、AspまたはHisであり;
35位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
36位のXaaは、Gly、Arg、Lys、Glu、AspまたはHisであり;
37位のXaaは、Pro、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysである]
に示すアミノ酸配列を含むまたは前記アミノ酸配列から成り、その化合物はGLP−1活性を有する。
【0069】
GLP−1類似体の3番目のファミリーは、式III(配列番号13):
Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Xaa23−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Gly−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41−C(O)−R1(式III、配列番号13)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
8位のXaaは、Gly、bAla(2−アミノプロピオン酸)、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、2−アミノイソ酪酸またはα−α−二置換アミノ酸であり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、2−アミノイソ酪酸、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、α−α−二置換アミノ酸または2−アミノアジピン酸であり;
23位のXaaは、Gln、Asn、Arg、Glu、Asp、Lys、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
33位のXaaは、Val、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Glu、AspまたはLysであり;
34位のXaaは、Asn、Lys、Arg、Glu、AspまたはHisであり;
35位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
36位のXaaは、Gly、Arg、Lys、Glu、AspまたはHisであり;
38位のXaaは、Cys、Glyであるか、または除かれており;
39位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Cysであるか、または除かれており;
40位のXaaは、Glyであるかまたは除かれており;
41位のXaaは、Glyであるかまたは除かれており;
38、39、40または41位のアミノ酸が除かれているとき、そのアミノ酸の下流の各々のアミノ酸も除かれていることを条件とする]
に示すアミノ酸配列を含むまたは前記アミノ酸配列から成り、その化合物はGLP−1活性を有する。それゆえ、たとえば38位のアミノ酸が除かれている場合、39−41位のアミノ酸も存在しない。同様に、39位のアミノ酸が除かれている場合、40および41位のアミノ酸も存在しない。および40位のアミノ酸が除かれている場合、41位のアミノ酸は存在しない。
【0070】
GLP−1類似体のもう1つのファミリーは、類似体内の2個のアミノ酸が、典型的にはそれらの側鎖を通して、一緒に連結されたときに形成される環または環式構造を含む。側鎖は、互いに直接連結されるかまたはリンカーを通して連結され得る。
【0071】
このファミリーの中の一部のGLP−1類似体は、式V:
【0072】
【化1】
[式中、
Xは、−N(Z1)−C(O)−または−C(O)−N(Z1)−であり;
Z1は、水素または(C1−C8)アルキルであり;
X1は、少なくとも11個のアミノ酸であり;
X2は、1個のアミノ酸であり;
X3は、結合または1−5個のアミノ酸であり;
X4は、1個のアミノ酸であり;
X5は、少なくとも10個のアミノ酸であり;
Z2は、−OZ3または−NZ4Z5であり;および
Z3、Z4およびZ5は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
およびX1およびX5を含むアミノ酸は、それぞれGLP−1のアミノ部分およびカルボキシル部分からのアミノ酸に対応する]
に示す一般構造、または天然GLP−1内のアミノ酸が式X−Yに示すようなアミノ酸で置換されている類似配列を有する。
【0073】
一部の環状GLP−1類似体は、たとえば、式IV:
Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Xaa23−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41−C(O)−R1(式IV、配列番号29)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
8位のXaaは、Gly、bAla(2−アミノプロピオン酸)、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、2−アミノイソ酪酸またはα−α−二置換アミノ酸であり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
23位のXaaは、Gln、Asn、Arg、Glu、Asp、Lys、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
33位のXaaは、Val、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Glu、AspまたはLysであり;
34位のXaaは、Asn、Lys、Arg、Glu、AspまたはHisであり;
35位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
36位のXaaは、Gly、Arg、Lys、Glu、AspまたはHisであり;
37位のXaaは、Pro、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
38位のXaaは、Gly、Ser、Lys、Cysであるか、または除かれており;
39位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Leu、Phe、Pro、Cysであるか、または除かれており;
40位のXaaは、Gly、Cysであるかまたは除かれており;
41位のXaaは、Glyであるかまたは除かれており;
Xaa18、Xaa19、Xaa20、Xaa21、Xaa22、Xaa23、Xaa24、Xaa25、Xaa26、Xaa27、Xaa28、Xaa29およびXaa30から選択される2個のアミノ酸は、結合して環を形成しており、および環を形成する2個のアミノ酸は、0、1、2、3、4または5個のアミノ酸によって分離されている]
に示すアミノ酸配列を含むまたは前記アミノ酸配列から成り、その化合物はGLP−1活性を有する。
【0074】
分離に関与するアミノ酸の数を数えるとき、側鎖が結合している2個のアミノ酸は除外される。それゆえ、たとえば側鎖が結合して環を形成している2個のアミノ酸は、それらの2個のアミノ酸が互いに隣り合うとき(たとえばXaa18とXaa19の位置のアミノ酸が結合して環を形成しているとき)、それらを分離する0個のアミノ酸を有する。
【0075】
特定実施形態では、結合して環を形成する2個のアミノ酸は、たとえば:
Xaa18が、Xaa22またはXaa23のいずれかと結合する;または
Xaa19が、Xaa23またはXaa24のいずれかと結合する;または
Xaa20が、Xaa24またはXaa25のいずれかと結合する;または
Xaa21が、Xaa25またはXaa26のいずれかと結合する;または
Xaa22が、Xaa26またはXaa27のいずれかと結合する;または
Xaa23が、Xaa27またはXaa28のいずれかと結合する;または
Xaa24が、Xaa28またはXaa29のいずれかと結合する;または
Xaa25が、Xaa29またはXaa30のいずれかと結合する;または
Xaa26が、Xaa30またはXaa31のいずれかと結合する
ときを含めて、3または4個のアミノ酸によって分離される。
【0076】
多種多様なアミノ酸、アミノ酸類似体(たとえば非天然アミノ酸)をこれらの位置に挿入することができる。アミノ酸または類似体は、互いに直接にまたはリンカーを通して反応して環を形成することができる、側鎖内の反応性官能基を有するように選択される。一部の環状類似体における環は、たとえば1個のアミノ酸または類似体の側鎖内のカルボキシル基を2番目のアミノ酸または類似体の側鎖内のアミノ基と反応させて環状ラクタムを形成することによって形成される。それゆえ、たとえばある実施形態では、環構造は、以下に例示するように、上記で特定した位置にあるGlu(E)、Asp(D)、Lys(K)、オルニチン(O)、4−カルボキシ−フェニルアラニン(Cpa)、β−ホモグルタミン酸(B)、α,γ−ジアミノ酪酸(Dab)、およびホモグルタミン酸(J)のいずれか2個の側鎖の間で形成される:
【0077】
【化2】
図1は、たとえば、結合して環状ラクタムを形成することができる、3個のアミノ酸によって分離されたGLP−1内の位置の例を示す。
【0078】
図2A−2Iは、グルタミン酸/リシンアミノ酸対が結合して環を形成している化学構造を示す。特定対合は、上記に示す他の対合のいずれかならびに他の対合で置換され得ることは当業者に認識される。
【0079】
結合して環状ラクタムを形成することができる適切な位置に必要なアミノ酸を有するGLP−1類似体の配列の特定例を配列番号30−246に提示し、また表2に示しており、結合して環を形成することができる2個のアミノ酸を太字の下線付き活字で示す。
【0080】
一部のGLP−1類似体は2個の環状構造を含む。一例は、
HGEGT FTSDV SSYLE GQAKK EFIAW LEKGR K(配列番号277)
である。この類似体において、最初のEとKの対(それぞれ21位と25位)が1個の環状ラクタムを形成し、2番目のEとKの対(それぞれ33位と37位)が2番目の環状ラクタムを形成する。Glu(E)およびLys(K)残基の1つの対または両方の対が、環状ラクタム環を形成するために上記で列挙し、例示したようなその他のアミノ酸またはアミノ酸類似体で置換され得る。
【0081】
GLP−1類似体の最後のファミリーは、式VI:
Xaa4−Xaa5−Xaa6−His7−Ala8−Glu9−Gly10−Thr11−Phe12−Thr13−Ser14−Asp15−Val16−Ser17−Ser18−Tyr19−Leu20−Glu21−Gly22−Gln23−Ala24−Ala25−Lys26−Glu27−Phe28−Ile29−Ala30−Trp31−Leu32−Val33−Lys34−Gly35−Arg36−C(O)−R1(式VI、配列番号276)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
4位のXaaは、Metであるかまたは除かれており;
5位のXaaは、Met、Hisであるかまたは除かれており;
6位のXaaは、Met、Ala、Gly、Pro、Ser、Thr、Val、Gln、Arg、Lys、His、Tyr、Ile、Asp、Leu、Asn、Glu、TrpまたはPheであり;
5位のアミノ酸が除かれているとき、4位のアミノ酸も除かれていることを条件とする]
に示すアミノ酸配列を含むまたは前記アミノ酸配列から成り、その化合物はGLP−1活性を有する。
【0082】
一部のGLP−1類似体を表2に示す。表2に列挙する配列のいくつかは、C末端アミドを有することが示されている。しかし、表2に列挙する配列および本明細書中の別の箇所で述べる配列のすべてがC末端カルボキシル基またはC末端アミド基を有し得ることは了解されるべきである。表2において使用するとき、bAlaはβ−アミノプロピオン酸であり;Aadは2−アミノアジピン酸であり;ZはAib(2−アミノイソ酪酸)であろ;Oはオルニチンであり;Cpaは4−カルボキシ−フェニルアラニンであり;Dabはα,γ−ジアミノ酪酸であり;およびBはβホモグルタミン酸であり;Jはホモグルタミン酸である。[K/O/C]は、アミノ酸配列が、場合によりこの位置にリシン、オルニチンまたはシステインのいずれかを含むが、これらのアミノ酸を全く含まなくてもよいことを意味する。太字と下線で強調されている残基は、結合して(典型的にはそれらの側鎖によって)環または環状構造を形成するアミノ酸を示す。
【0083】
【表2−1】
【0084】
【表2−2】
【0085】
【表2−3】
【0086】
【表2−4】
【0087】
【表2−5】
【0088】
【表2−6】
【0089】
【表2−7】
【0090】
【表2−8】
「GLP−1類似体」という用語はまた、変異体、フラグメントまたは誘導体が類似アミノ酸配列を有し(たとえば保存的置換を含む)、GLP−1類似体の少なくとも1つの活性を、ある程度まで、保持するという点で前記GLP−1類似体の1つの機能的等価物である、前記GLP−1類似体の変異体、フラグメントおよび誘導体を包含する。
【0091】
「GLP−1変異体」は、上記および表2に列挙するファミリー中のGLP−1類似体と「実質的に同一」(上記の定義参照)であるポリペプチドを含む。そのような変異体は、欠失、挿入および/または置換などのアミノ酸変化を有するタンパク質を含む。典型的には、そのような変化は、変異体ポリペプチドの活性がここで開示するGLP−1類似体の1つと実質的に類似する(たとえばインスリン分泌刺激活性のようなGLP−1活性を有する)ように、本来は保存的である(たとえばCreighton,1984,Proteins,W.H.Freeman and Companyおよび上記考察参照)。置換の場合、もう1つ別のアミノ酸を置換するアミノ酸は、通常、類似の構造および/または化学的性質を有する。上記ファミリーの中に列挙されるGLP−1類似体に対する挿入および欠失は、典型的には1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸を含む。別の場合には、1、2、3、4または5個のアミノ酸の挿入または欠失が存在する。
【0092】
GLP−1変異体は、変異体がまだGLP−1活性を有することを条件として、ここで述べるGLP−1類似体(すなわち上記で列挙する種々のファミリー中の類似体および表2に列挙するもの)と少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%のアミノ酸同一性を有し得る。たとえば変異体は、アミノ酸Xaa8、Xaa23、またはXaa38 −Xaa45 のいずれかが変化していないことを条件として、配列番号7または8のGLP−1類似体と少なくとも75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%のアミノ酸同一性を有し得る。他の変異体は、アミノ酸Xaa8またはXaa38−Xaa41 のいずれかが変化していないことを条件として、配列番号11または12のGLP−1類似体と少なくとも75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%のアミノ酸同一性を有する。一部の他の変異体は、アミノ酸Xaa8、Xaa22、またはXaa38 −Xaa41のいずれかが、存在するとき、変化していないことを条件として、配列番号16−28のいずれか1つのGLP−1類似体と少なくとも75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%のアミノ酸同一性を有する。さらなる他の変異体は、Xaa18、Xaa19、Xaa20、Xaa21、Xaa22、Xaa23、Xaa24、Xaa25、Xaa26、Xaa27、Xaa28、Xaa29およびXaa30から選択される2個のアミノ酸が結合して環を形成していることを条件として、配列番号30−246のいずれか1つのGLP−1類似体と少なくとも75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%のアミノ酸同一性を有する。さらなる他の変異体は、アミノ酸Xaa4、Xaa5またはXaa6が、存在するとき、変化していないことを条件として、1、2、3、4または5以下の保存的アミノ酸置換を有する配列番号247−267のいずれか1つのGLP−1類似体と少なくとも75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%のアミノ酸同一性を有する。さらなる他の変異体は、1、2、3、4または5以下の保存的アミノ酸置換を有する配列番号268−275のいずれか1つのGLP−1類似体と少なくとも75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%のアミノ酸同一性を有する。
【0093】
ある実施形態では、GLP−1変異体は、保存的アミノ酸置換がアミノ酸Xaa8、Xaa23、またはXaa38 −Xaa45 のいずれかではなく、および変異体がGLP−1活性(たとえばインスリン分泌刺激活性)を有することを条件として、1、2、3、4または5以下の保存的アミノ酸置換を有する配列番号7または8を含む。
【0094】
ある実施形態では、GLP−1変異体は、保存的アミノ酸置換がアミノ酸Xaa8またはXaa38−Xaa41 のいずれかではなく、および変異体がGLP−1活性(たとえばインスリン分泌刺激活性)を有することを条件として、1、2、3、4または5以下の保存的アミノ酸置換を有する配列番号11または12を含む。
【0095】
ある実施形態では、GLP−1変異体は、保存的アミノ酸置換がアミノ酸Xaa8、Xaa22、またはXaa38 −Xaa41のいずれかではないことを条件として、1、2、3、4または5以下の保存的アミノ酸置換を有する配列番号16−28のいずれか1つを含む。
【0096】
ある実施形態では、GLP−1変異体は、Xaa18、Xaa19、Xaa20、Xaa21、Xaa22、Xaa23、Xaa24、Xaa25、Xaa26、Xaa27、Xaa28、Xaa29およびXaa30から選択される2個のアミノ酸が結合して環を形成していることを条件として、1、2、3、4または5以下の保存的アミノ酸置換を有する配列番号30−246のいずれか1つを含む。
【0097】
ある実施形態では、GLP−1変異体は、保存的アミノ酸置換がアミノ酸Xaa4、Xaa5またはXaa6ではないことを条件として、1、2、3、4または5以下の保存的アミノ酸置換を有する配列番号247−267のいずれか1つを含む。
【0098】
ここで使用する「GLP−1誘導体」は、1またはそれ以上のアミノ酸が、1)対応するD−アミノ酸で置換されている、2)非天然に生じるアミノ酸残基に変化している、および/または3)化学修飾されている、上記ファミリーおよび表2に列挙されるGLP−1類似体の1つを指す。化学修飾の例は、ペプチド骨格および/またはアミノ酸側鎖のアルキル化、アシル化、脱アミド化、エステル化、リン酸化およびグリコシル化を含むが、これらに限定されない。
【0099】
「GLP−1フラグメント」は、上記ファミリーまたは表2に列挙されるGLP−1類似体のトランケート形態またはその変異体または誘導体を指す。フラグメントは、典型的には上記ファミリーに示すGLP−1類似体に対して1、2、3、4または5個のアミノ酸がトランケートされている。トランケーションは、アミノ末端および/またはカルボキシル末端のいずれでもよい。
【0100】
ここで提供するGLP−1化合物は、適切な二価金属カチオンと錯体形成することができる。ここで提供するGLP−1化合物の二価金属錯体は、懸濁液として皮下投与することができ、ここで提供するGLP−1化合物のそのような錯体は一般にほぼ生理的pHの水溶液に不溶性であるので、インビボで低い放出速度を有する。ここで提供するGLP−1化合物と錯体形成するのに適した二価金属カチオンの非限定的な例は、Zn++、Mn++、Fe++、Ca++、Co++、Cd++、Ni++等を含む。ここで提供するGLP−1化合物の二価金属錯体は、たとえば、参照によりここに組み込まれる、国際公開公報第WO01/98331号に述べられているような手法を用いて入手できる。
【0101】
提供されるGLP−1化合物は、単にここで開示するGLP−1類似体を含み得るかまたは、典型的にはインビボでの類似体の半減期を延長させるように選択される、付加的な成分を含み得る。一部のGLP−1化合物は、たとえば、分子の半減期を延長させるおよび/またはクリアランスを低減するためにペグ化される。他のGLP−1類似体は、PEG以外の水溶性ポリマーで修飾される。適切な水溶性ポリマーまたはそれらの混合物は、N結合型またはO結合型糖鎖、糖類(たとえばキトサン、キサンタンガム、セルロースおよびその誘導体、アカシアガム、カラヤガム、グアーガム、カラギーナンおよびアガロースなどの様々な多糖類)、リン酸塩、ポリエチレングリコール(PEG)(モノ−(C1−C10)、アルコキシ−またはアリールオキシ−ポリエチレングリコールを含む、タンパク質を誘導体化するために使用されてきたPEGの形態を含む)、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、デキストラン(たとえば約6kDの、低分子量デキストラン)、セルロース、または他の糖鎖ベースのポリマー、ポリ−(N−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(たとえばグリセロール)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン、ポリビニルアルコール、および前記のコポリマーを含むが、これらに限定されない。GLP−1化合物は、たとえば、GLP−1類似体のインビボでの半減期を上昇させるように選択される様々な成分を含み得る。
【0102】
さらにもう1つの選択肢は、GLP−1類似体をもう1つ別のポリペプチドまたはポリペプチドドメインに融合することである。それゆえ、GLP−1化合物は、ここで開示するGLP−1類似体が、免疫グロブリンのFc領域、トランスフェリン、または血清アルブミン(たとえばヒト血清アルブミン)などの血液成分のような様々なタンパク質、またはこれらのタンパク質のフラグメントに融合している融合タンパク質であり得る。ヒトアルブミンについての例示的アミノ酸配列は、Lawnら、1981,Nucleic Acids Research 9:6102−6114;Melounら、1975,FEBS Lett.58:136;およびMinghettiら、1986,J.Biol.Chem.261:6747)において論じられている。そのような融合タンパク質は、ここで述べるようなおよび当技術分野で公知の標準組換え手法を用いて作製できる。
【0103】
融合は、GLP−1類似体のアミノ末端、カルボキシル末端または両方末端で実施し得る。融合は、リンカーまたはアダプター分子なしで直接であり得るかまたはリンカーまたはアダプター分子を通してであり得る。リンカーまたはアダプター分子は、1またはそれ以上のアミノ酸残基、典型的には約20−約50アミノ酸残基であり得る。リンカーまたはアダプター分子はまた、融合部分の分離を可能にする、DNA制限エンドヌクレアーゼのためまたはプロテアーゼのための切断部位と共に設計され得る。ひとたび構築されれば、融合ポリペプチドはここで述べる方法に従って誘導体化され得ることが認識される。
【0104】
B.ペグ化
ある実施形態では、ここで提供するGLP−1類似体はペグ化される。ここで使用するとき、「ペグ化」という用語は、当技術分野におけるそれらの一般的な意味を有し、一般に、たとえば、ポリエチレングリコールまたはその誘導体の1またはそれ以上の分子の共有結合によって、たとえばポリアルキレングリコール、好ましくは活性化ポリアルキレングリコールを、アミノ酸、たとえばリシンなどの適切な反応基または部分と反応させて共有結合を形成することによって、ここで述べるようにGLP−1類似体を化学修飾する工程を指す。「ペグ化」は、しばしばポリエチレングリコールまたはメトキシポリエチレングリコールのようなその誘導体を用いて実施されるが、ここで使用する用語は、たとえばポリプロピレングリコールなどの、他の何らかの有用なポリアルキレングリコールも包含する。ここで使用するとき、「PEG」は、当技術分野で理解されているポリエチレングリコールおよびその誘導体を指す(たとえば米国特許第5,445,090号、同第5,900,461号、同第5,932,462号、同第6,436,386号、同第6,448,369号、同第6,437,025号、同第6,448,369号、同第6,495,659号、同第6,515,100号および同第6,514,491号参照)。
【0105】
ここで提供するGLP−1類似体は、ペプチド内のランダムな位置でまたは分子内のあらかじめ定められた位置でペグ化することができ、1またはそれ以上の結合分子、典型的には1、2、3、4または5個の分子を含み得る。
【0106】
ペグ化のために使用されるポリマーはいかなる分子量であってもよく、分枝状または非分枝状のいずれでもよい。ポリエチレングリコールに関しては、一般に分子量は、取扱いおよび製造の容易さのために約1kDa−約100kDa(「約」という用語は、ポリエチレングリコールの製剤において、一部の分子は言及される分子量を超え、一部の分子は言及される分子量より低いことを指示する)である。たとえばポリエチレングリコールは、約1、5、10、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90または100kDaの平均分子量を有し得る。一部のGLP−1化合物は、40、30または20kDa未満の1またはそれ以上の分子でペグ化される。所望する治療プロフィールに依存して(たとえば所望する循環半減期の期間、もしあれば、生物活性への作用、取扱いの容易さ、抗原性の程度または欠如、および治療タンパク質または類似体へのポリエチレングリコールの他の公知の作用)、他の大きさも使用できる。
【0107】
PEG分子(またはここで述べる他の水溶性ポリマー)は、ポリペプチドまたはタンパク質の機能的または抗原性ドメインへの作用を考慮してGLP−1類似体に結合すべきである。たとえばPEGは、遊離アミノ基、カルボキシル基またはスルフヒドリル基などの反応性基によりアミノ酸残基を通して共有結合され得る。反応性基は、活性化PEG分子が結合され得るものである。遊離アミノ基を含む天然に生じるアミノ酸残基の例は、リシン残基およびN末端アミノ酸残基を含む;遊離カルボキシル基を有するものは、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基およびC末端アミノ酸残基を含む。スルフヒドリル基(たとえばシステイン上の)も、ポリエチレングリコール分子を結合するための反応性基として使用できる。PEG分子はまた、共役により、非天然アミノ酸として合成によって導入された反応性官能基に組み込み得るか、あるいはPEGは、ペプチド合成の間に直交法(orthogonal methods)を用いてペプチドに共役し得る。
【0108】
様々な戦略がGLP−1類似体のペグ化のために使用できる(たとえば国際公開公報第WO2005/042027号、同第WO2004/060386号、Veronese, 2001,Biomaterials 22:405−417;Robertsら、2002,Advanced Drug Delivery Reviews 54:459−476参照;また。欧州特許第0 401 384号(G−CSFへのPEGの結合)、およびMalikら、1992,Exp.Hematol.20:1028−1035(塩化トレシルを使用したGM−CSFのペグ化を報告している)も参照のこと)。たとえばPEGは、リシン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはシステイン残基への共有結合によってGLP−1類似体に連結され得る。1またはそれ以上の反応化学が、GLP−1類似体の特定アミノ酸残基(たとえばリシン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはシステイン)またはGLP−1類似体の2種類以上のアミノ酸残基(たとえばリシン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システインおよびそれらの組合せ)にポリエチレングリコールを結合するために使用できる。
【0109】
1つのそのような戦略は、GLP−1類似体の一部であるシステインにPEGを結合することである。上記に示すように、提供されるGLP−1類似体のいくつかは、PEGを結合できるC末端にまたはC末端の近くにシステイン残基を含む。システインへの結合は様々なアプローチを用いて実施できる。1つの一般的な方法は、PEG−マレイミドをシステインのチオール基に反応させることを含む。
【0110】
もう1つのアプローチは、酵素カップリングによってGLP−1類似体のカルボキシ末端にPEGを結合することである(たとえば米国特許第4,343,898号参照)。
【0111】
直接または介在リンカーによってPEGをGLP−1類似体に結合することができる。ポリエチレングリコールをタンパク質およびポリペプチドに結合するための無リンカー系は、Delgadoら、Crit.Rev.Thera.Drug Carrier Sys.9:249−304,1992;Francisら、1998,Intern.J. of Hematol.68:1−18;米国特許第4,002,531号;米国特許第5,349,052号;国際公開公報第WO95/06058号;および国際公開公報第WO98/32466号に述べられている。
【0112】
介在リンカーを伴わずにPEGをGLP−1類似体のアミノ酸残基に直接結合するための1つの方法は、塩化トレシル(ClSO2CH2CF3)を使用したモノメトキシポリエチレングリコール(MPEG)の修飾によって生成される、トレシル化MPEGを使用する。タンパク質またはポリペプチドとトレシル化MPEGの反応後、ポリエチレングリコールをタンパク質またはポリペプチドのアミン基に直接結合する。それゆえGLP−1類似体−PEG複合体は、GLP−1類似体を、2,2,2−トリフルオロエタンスルホニル基を有するPEG分子と反応させることによって生成できる。
【0113】
PEGはまた、多くの異なる介在リンカーを使用してGLP−1類似体に結合することができる。たとえば米国特許第5,612,460号は、PEGをGLP−1類似体に結合するためのウレタンリンカーを開示する。PEGがリンカーによってGLP−1類似体に結合しているGLP−1類似体−PEG複合体はまた、MPEG−スクシンイミジルスクシネート、1,1’−カルボニルジイミダゾールで活性化されたMPEG、MPEG−2,4,5−トリクロロペニルカルボネート、MPEG−.rho.−ニトロフェノールカルボネート、および様々なMPEG−スクシネート誘導体などの化合物とGLP−1類似体の反応によって生成され得る。ポリエチレングリコールをタンパク質およびポリペプチドに結合するための多くの付加的なポリエチレングリコール誘導体および反応化学が、国際公開公報第WO98/32466号に述べられている。
【0114】
各々のGLP−1類似体に結合されるポリエチレングリコール部分の数(すなわち置換の程度)も変化させ得る。たとえばペグ化GLP−1類似体は、平均して、1、2、3、4または5個、またはそれ以上のポリエチレングリコール分子に結合され得る。置換の程度を決定するための方法は、たとえばDelgadoら、1992,Crit.Rev.Thera.Drug Carrier Sys.9:249−304において論じられている。
【0115】
GLP−1類似体へのPEGの共有結合を生じさせるためには、PEGのヒドロキシル末端基を最初に反応性官能基に変換しなければならない。この工程はしばしば「活性化」と称され、その生成物は「活性化PEG」と呼ばれる。末端で反応性官能基によってキャップされた、メトキシポリエチレングリコール(mPEG)がしばしば使用される。そのような活性化PEGの1つは、PEGのスクシンイミジルスクシネート誘導体(SS−PEG)である。Abuchowskiら、1984,Cancer Biochem. Biophys.7:175−186;およびポリエチレングリコール−N−スクシンイミドカルボネートおよびその製剤を開示する米国特許第5,122,614号も参照のこと。
【0116】
以下の実施例の章は、ここで開示するGLP−1化合物をペグ化するための戦略に関する詳細な指針を提供する。
【0117】
IV.GLP−1化合物および類似体を作製するための核酸および方法
提供されるGLP−1類似体は、化学合成および/または組換え法を含む、当技術分野で確立されている様々な方法を用いて生成することができる。PEGをペプチドに結合するための種々の戦略は上記に示されている。
【0118】
GLP−1類似体を化学合成によって作製する場合、そのような方法は、典型的には固相アプローチを含むが、溶液ベースの化学または固相アプローチと溶液アプローチの組合せも利用できる。以下の実施例の章は、環を含む様々な環状化合物を含めて、ここで述べるGLP−1化合物の合成に関する詳細な指針を含む。
【0119】
タンパク質を合成するための固相法の例は、Merrifield,1964,J.Am.Chem.Soc.85:2149;およびHoughton,1985,Proc.Natl.Acad.Sci.82:5132によって述べられている。GLP−1類似体のフラグメントも合成することができ、その後それらを連結することができる。そのような反応を実施するための方法は、Grant,1992,Synthetic Peptides:A User Guide,W.H.Freeman and Co.,N.Y.;および“Principles of Peptide Synthesis,”1993(BodanskyとTrost編集),Springer−Verlag,Inc.N.Y.によって記述されている。ここで述べるGLP−1類似体の作製において当業者を導くために十分な、ペプチドを製造するための方法に関するさらなるガイダンスは、Liuら、1996,J.Am.Chem.Soc.118:307−312;Kullmann,1987,Enzymatic Peptide Synthesis,CRC Press,Boca Raton,FL,p.41−59;Drylandら、1986,J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1:125−137;Jones,1991,The Chemical Synthesis of Peptides,Clarendon Press;およびBodanszky,M.とBodanszky A.,1994,The Practice of Peptide Synthesis,第2版、Springer−Verlagによって提供される。
【0120】
あるいは、GLP−1類似体は、確立された組換え手法を用いて作製することができる。たとえば、GLP−1類似体をコードする組換え核酸構築物を細胞に導入することにより、GLP−1類似体を宿主細胞において発現させ得る。そのような実施形態によれば、細胞は、たとえばポリヌクレオチドをウイルス(またはウイルスベクター)にパッケージングし、そのウイルス(またはベクター)で宿主細胞を形質転換することを含む、ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための何らかの方法を使用して、または米国特許第4,399,216号、同第4,912,040号、同第4,740,461号および同第4,959,455号(いかなる目的に関しても参照によりここに組み込まれる)によって例示されているような、当技術分野で公知のトランスフェクション手順によって、組換え核酸構築物で形質転換される。使用される形質転換手順は、形質転換される細胞に依存し得る。哺乳動物細胞への異種ポリヌクレオチドの導入のための方法は当技術分野において周知であり、デキストラン媒介性トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿法、ポリブレン媒介性トランスフェクション、プロトプラスト融合、電気穿孔、リポソームへのポリヌクレオチドの封入、核酸を正に荷電した脂質と混合すること、および細胞および細胞核へのDNAの直接的微量注入を含むが、これらに限定されない。
【0121】
GLP−1類似体アミノ酸配列の全部または機能的部分をコードする核酸分子を、従来の組換え遺伝子手法を用いて適切な発現ベクターに挿入することができる。ベクターは、典型的には使用される特定宿主細胞において機能性であるように選択される(すなわちベクターは宿主細胞機構と適合性であり、遺伝子の増幅および/または発現を許容する)。発現ベクターの総説については、NolanとShatzman,1998,Curr.Opin.Biotechnol.9:447−450参照。
【0122】
発現ベクターは、市販のベクターなどの好都合な出発ベクターから構築され得る。そのようなベクターは、所望隣接配列全部を含んでもよくまたは必ずしも全部を含まなくてもよい。ここで述べる隣接配列の1またはそれ以上が既にベクター内に存在しない場合、それらを個別に入手し、ベクターに連結し得る。隣接配列の各々を得るために使用される方法は当業者に周知である。
【0123】
ベクターが構築され、GLP−1類似体をコードする核酸分子がベクターの適切な部位に挿入された後、完成されたベクターを増幅および/またはポリペプチド発現のために適切な宿主細胞に挿入し得る。GLP−1類似体をコードする発現ベクターの選択宿主細胞への形質転換は、トランスフェクション、感染、塩化カルシウム法、電気穿孔、微量注入、リポフェクション、DEAE−デキストラン法などの方法、または上述したような他の公知の手法を含む周知の方法によって達成し得る。選択される方法は、一部には、使用される宿主細胞の種類に依存する。これらの方法および他の適切な方法は当業者に周知であり、たとえばSambrookら、2001, MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 3d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor,N.Y.に示されている。
【0124】
宿主細胞は、適切な条件下で培養されたとき、GLP−1類似体を合成し、このタンパク質の収集を所望する場合は、その後培地から収集するか(宿主細胞がタンパク質を培地に分泌する場合)またはタンパク質を生産する宿主細胞から直接収集することができる。適切な宿主細胞の選択は、たとえば所望発現レベル、活性のために望ましいまたは必要なポリペプチド修飾(グリコシル化またはリン酸化など)および生物活性分子への折りたたみの容易さなどの、多くの異なる因子に依存する。
【0125】
発現のための宿主細胞として使用可能な哺乳動物細胞系は当技術分野において周知であり、American Type Culture Collection(ATCC)より入手可能な多くの不死化細胞系、たとえばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、サル腎細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(たとえばHep G2)、および多くの他の細胞系を含むが、これらに限定されない。ある実施形態では、細胞系は、いずれの細胞系がGLP−1類似体の高発現レベルを有するかを判定することを通して選択され得る。
【0126】
V.例示的治療用途
GLP−1に関連する様々な活性(背景技術参照)を考慮して、ここで述べるGLP−1化合物は、一般に以下の生物活性の1またはそれ以上を達成するために使用できる:1)インスリン放出を刺激する、2)血糖値を低下させる、3)血漿インスリンレベルを上昇させる、4)β細胞特異的遺伝子(たとえばGLUT−1輸送体、インスリン受容体およびヘキソキナーゼ−1)の転写を刺激する、5)β細胞のアポトーシスを阻害し、β細胞の増殖と複製を上昇させることによってβ細胞の量を増加させる、6)満腹感を誘導し、それによって食物摂取を減少させ、体重減少を促進する、7)胃液の分泌を低下させる、8)胃排出を遅延させる、および9)胃の運動性を低下させる。
【0127】
GLP−1化合物は、それゆえ、I型またはII型糖尿病、耐糖能異常、インスリン抵抗性、成人潜伏性自己免疫性糖尿病(LADA)、妊娠糖尿病、代謝症候群、および若年者の成人発症糖尿病(MODY)を含むが、これらに限定されない、多くの異なる形態の糖尿病またはそれと密接に関連する疾患を治療するために使用できる。そこで、GLP−1化合物は、感染、ストレス、発作に起因する、または妊娠中に誘導される感受性低下による、インスリンに対する低い感受性を有する個体を治療するために使用できる。治療できる他の種類の糖尿病は、糖尿病がグルカゴノーマ、原発性アルドステロン症、クッシング症候群およびソマトスタチノーマなどのもう1つ別の内分泌疾患に関連するもの、または特定の薬剤またはホルモン(たとえばエストロゲン含有薬剤、精神活性薬剤、高血圧薬、およびサイアザイド利尿薬)の投与によって生じる糖尿病である。
【0128】
GLP−1化合物はまた、冠疾患および、たとえば高血圧、冠動脈疾患、高脂血症、心臓血管疾患、アテローム性動脈硬化症および高コレステロール血症および心筋梗塞を含む、脂質障害に関連する疾患を治療するために使用できる。
【0129】
骨障害、骨粗しょう症および他の関連疾患もGLP−1組成物で治療することができる。
【0130】
GLP−1化合物で治療できるさらなる疾患は、肥満、過敏性腸症候群、発作、手術後の異化作用の変化、心筋梗塞および高血糖症を含む。GLP−1化合物はまた、鎮静剤として使用することもできる。
【0131】
GLP−1化合物はまた、上記に列挙したような疾患を発症する危険度が高い個体を治療することを含めて、予防的に使用することができる。具体例として、前記化合物は、インスリン非依存性糖尿病または肥満になる危険度が高い個体に予防的に投与できる。そのような個体は、たとえば耐糖能異常を有するもの、過体重であるもの、および前記疾患に対する遺伝的素因を有するもの(糖尿病の病歴を有する家族からの個体)を含む。
【0132】
多種多様な被験体がGLP−1化合物で治療できる。ここで使用する「被験体」または「患者」という用語は、典型的には哺乳動物を指し、しばしば前記疾患の1つを有するまたは前記疾患の1つに対する危険度が高いヒトであるが、必ずしもそうでなくてもよい。被験体は、しかしながら、非ヒト霊長動物(たとえば類人猿、サル、ゴリラ、チンパンジー)でもよい。被験体はまた、家畜(たとえばウマ、ウシ、ヒツジまたはブタ)、ペット動物(たとえばネコまたはイヌ)または実験動物(たとえばマウスまたはラット)などの、霊長動物以外の哺乳動物でもよい。
【0133】
VI.医薬組成物
A.組成物
ここで提供するGLP−1化合物は、治療用途の章で列挙した疾患の治療のために製剤された医薬組成物における有効成分として使用できる。それゆえ、開示されるGLP−1化合物は、上記に列挙したものを含む様々な治療適用における使用のための薬剤の製造において使用できる。
【0134】
GLP−1化合物に加えて、医薬組成物はまた、GLP−1化合物が有用性を有する様々な疾患の1またはそれ以上を治療する上で有用な1またはそれ以上の他の治療薬を含み得る。特定のGLP−1組成物と組み合わせることができる他の治療薬の一般的なクラスは、インスリン放出薬、グルカゴン分泌の阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、グルカゴン拮抗薬、抗肥満薬、カロリー摂取を低下させる化合物、選択的エストロン受容体調節薬、ステロイドまたは非ステロイドホルモン、成長因子、および食物栄養素を含むが、これらに限定されない。
【0135】
そのような付加的な治療薬は、たとえば高血糖症、糖尿病、高血圧、肥満および骨障害を治療するための薬剤を含み得る。組成物に含有され得る、糖尿病を治療するための他の治療薬の例は、脂質障害を治療するときに使用されるものを含む。そのような薬剤の具体例は、胆汁酸抑制剤(たとえばコレスチラミン、リポスタビル、テトラヒドロリプスタチン)、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(たとえば米国特許第4,346,227号;同第5,354,772号;同第5,177,080号;同第5,385,929号;および同第5,753,675号参照)、ニコチン酸、MTP阻害剤(たとえば米国特許第5,595,872号;同第5,760,246号;同第5,885,983号;および同第5,962,440号参照)、リポキシゲナーゼ阻害剤、フィブリン酸誘導体、コレステロール吸収阻害剤、スクアレンシンテターゼ阻害剤(たとえば米国特許第4,871,721号;同第5,712,396号;および同第4,924,024号)、および回腸ナトリウム/胆汁酸共輸送体を含むが、これらに限定されない。組成物に組み込むことができる他の抗糖尿病薬は、メグリチニド、チアゾリジンジオン、ビグアナイド、インスリン分泌促進薬、インスリン抵抗性改善薬、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、PPAR−αアゴニスト、PPAR−γアゴニストを含む。
【0136】
ジペプチジルペプチダーゼIV活性の阻害剤も、GLP−1類似体のN末端での切断を阻害するために含有され得る。
【0137】
医薬組成物は、所望製剤に依存して、動物またはヒト投与のために医薬組成物を製剤するために一般的に使用されるビヒクルと定義される、医薬的に許容される非毒性担体または希釈剤を含み得る。希釈剤は、配合剤の生物活性に影響を及ぼさないように選択される。そのような希釈剤の例は、蒸留水、緩衝水、生理的食塩水、PBS、リンガー液、デキストロース溶液、およびハンクス液である。加えて、医薬組成物または製剤は、他の担体、アジュバント、または非毒性、非治療性、非免疫原性安定剤、賦形剤等を含み得る。組成物はまた、pH調節剤および緩衝剤、毒性調節剤、湿潤剤および界面活性剤などの、生理的条件に近付けるための付加的な物質も含み得る。
【0138】
組成物はまた、たとえば抗酸化剤などの、様々な安定剤のいずれかを含み得る。医薬組成物がポリペプチド(たとえばGLP−1類似体)を含む場合、ポリペプチドは、ポリペプチドのインビボでの安定性を高める、またはその薬理的性質を高める(たとえばポリペプチドの半減期を上昇させる、その毒性を低減する、溶解度または再取込みを増強する)、様々な周知の化合物と錯体形成することができる。そのような修飾または錯化剤の例は、硫酸塩、グルコン酸塩、クエン酸塩およびリン酸塩を含む。組成物のGLP−1類似体はまた、それらのインビボでの属性を高める分子と錯体形成することができる。そのような分子は、たとえば炭水化物、ポリアミン、アミノ酸、他のペプチド、イオン(たとえばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン)、および脂質を含む。
【0139】
医薬組成物はまた、制御放出システムの一部として製剤され得る。そのようなシステムは、移植可能な浸透圧ポンプ、リポソームまたは経皮パッチを含み得る。ポンプを使用した送達のための方法は、たとえばLanger,1990,Science 249:1527−33;およびSaudekら、1989,N.Engl.J.Med.321:574によって述べられている。リポソームを使用するための送達選択肢は、たとえばTreatら、1989,in Liposomes in the Terapy of Infetious Disease and Cancer,(Lopez−BeresteinとFidler編集),Liss,New York,p.353−65;およびLanger,1990,Science 249:1527−33)によって論じられている。
【0140】
様々な種類の投与に適する製剤についてのさらなるガイダンスは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,1985,Mace Publishing Company,Philadelphia,Pa.第17版に見出される。薬剤送達のための方法の簡単な総説については、Langer,1990,Science 249:1527−1533参照。
【0141】
2.用量
上述したように、医薬組成物は予防的および/または治療的処置のために投与できる。「有効量」は、一般に、所望効果を達成するために十分であるが非毒性である有効成分(たとえばGLP−1化合物またはGLP−1類似体)の量を指し、前記所望効果は、症状の重症度および/または頻度の低減または排除、および/または損傷の改善または矯正である。「治療有効量」は、疾患状態または症状を改善する、または疾患または他の何らかの望ましくない症状の進行を予防する、妨げる、遅延させるまたは逆転させるために十分な量を指す。「予防有効量」は、疾患状態または症状の発症を予防する、妨げるまたは遅延させるために有効な量を指す。
【0142】
一般に、GLP−1化合物の毒性および治療効果は、たとえばLD50(集団の50%に致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療上有効な用量)を測定することを含む、細胞培養および/または実験動物における標準医薬手順に従って決定され得る。毒性と治療効果の間の用量比が治療指数であり、LD50/ED50比として表わすことができる。大きな治療指数を示す組成物が望ましい。
【0143】
細胞培養および/または実験動物から得られたデータは、ヒトのための用量範囲を策定するときに使用できる。有効成分の用量は、典型的には、ほとんどまたは全く毒性を伴わないED50を含む循環濃度範囲内に存する。用量は、使用される投与形態および使用される投与経路に依存してこの範囲内で変化し得る。
【0144】
投与される有効成分の量は、疾患の重症度、治療される被験体の年齢と大きさ、および特定の疾患自体などの、主治医によって評価され得る様々な因子に依存する。一般に、しかし、投与されるGLP−1類似体自体の総量は、典型的には1μg/kg体重/日−100mg/kg/日の範囲である。一部の場合には、用量は10μg/kg/日−10 mg/kg/日の範囲である。他の治療レジメンでは、GLP−1化合物は、50μg/kg/日−5mg/kg/日または100μg/kg/日−1mg/kg/日で投与される。
【0145】
C.投与
ここで述べる医薬組成物は様々な方法で投与することができる。例は、経口、鼻内、直腸、局所、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下(subcutaneous,subdermal)、髄腔内、および頭蓋内投与法によって医薬的に許容される担体を含有する組成物を投与することを含む。
【0146】
経口投与に関しては、有効成分は、カプセル、錠剤および粉末などの固体投与形態で、またはエリキシル、シロップおよび懸濁液などの液体投与形態で投与することができる。活性成分を、グルコース、ラクトース、スクロース、マンニトール、デンプン、セルロースまたはセルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、サッカリンナトリウム、滑石、炭酸マグネシウムなどの、不活性成分および粉末担体と共にゼラチンカプセルに封入することができる。望ましい色、味、安定性、緩衝能力、分散または他の公知の望ましい特徴を与えるために添加し得る付加的な不活性成分の例は、べんがら、シリカゲル、ラウリル硫酸ナトリウム、二酸化チタン、および食用白色インクである。同様の希釈剤が圧縮錠剤を作製するために使用できる。錠剤およびカプセルのいずれもが、数時間にわたって薬剤の持続的放出を提供する持続放出製剤として製造できる。圧縮錠剤は、不快な味を隠し、大気から錠剤を保護するために糖被覆またはフィルム被覆することができ、または消化管での選択的崩壊のために腸溶被覆することができる。経口投与のための液体投与形態は、患者の受け入れを高めるために着色料および着香料を含有し得る。
【0147】
単独または他の適切な成分と組み合わせた有効成分は、吸入によって投与されるエアロゾル製剤(すなわちそれらは「噴霧」され得る)に製造することができる。エアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの許容される加圧推進薬に含め得る。
【0148】
直腸投与のための適切な製剤は、たとえば坐薬基剤と共に充填された有効成分から成る坐薬を含む。適切な坐薬基剤は、天然または合成トリグリセリドまたはパラフィン系炭化水素を含む。加えて、たとえば液体トリグリセリド、ポリエチレングリコールおよびパラフィン系炭化水素を含む、基剤と充填有効成分の組合せから成るゼラチン直腸カプセルを使用することも可能である。
【0149】
たとえば関節内(関節の中)、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内および皮下経路などの非経口投与に適する製剤は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、および製剤を意図する受容者の血液と等張にする溶質を含有し得る、水性および非水性等張滅菌注射溶液、および懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤および防腐剤を含有し得る、水性および非水性滅菌懸濁液を含む。
【0150】
医薬組成物を製剤するために使用される成分は、好ましくは高純度であり、潜在的に有害な夾雑物を実質的に含まない(たとえば少なくともNational Food(NF)グレード、一般には少なくとも分析グレード、より典型的には少なくとも医薬品グレード)。さらに、インビボでの使用を意図される組成物は通常無菌である。所与の化合物が使用前に合成されなければならない限り、生じる生成物は、典型的には、合成または精製工程の間に存在し得る、いかなる潜在的毒性物質も、特にいかなる内毒素も実質的に含まない。非経口投与のための組成物も無菌であり、実質的に等張で、GMP条件下にて製造される。
【実施例】
【0151】
実施される実験および達成される結果を含む、以下の実施例は、説明のみを目的として提供され、本発明を限定すると解釈されるべきではない。
【0152】
(実施例1)
GLP−1化合物の合成
ペプチド合成
ここで述べるGLP−1類似体を生成するために以下のプロトコールを使用した。Nα−Fmoc、側鎖保護アミノ酸、Wang樹脂、およびRinkアミド樹脂を使用した。以下の側鎖保護戦略を用いた:Asp(OtBu)、Arg(Pbf)、Cys(Acm)、Glu(OtBu)、Glu(O2−PhiPr)、His(Trt)、Lys(Nε−Boc)、Lys(Nε−Mtt)、Ser(OtBu)、Thr(OtBu)およびTyr(OtBu)。GLP−1ペプチド誘導体は、O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウム−ヘキサフルオロ−ホスフェート(HBTU)/N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)/N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)カップリング化学を0.2mmol当量の樹脂スケール(Fmoc脱保護リンクアミド樹脂)で使用して、ペプチド固相合成法(SPPS)によりABI433ペプチドシンセサイザーで段階的に合成した。各々のカップリングサイクルについて、Nα−Fmocアミノ酸1mmol、DIEA 4mmolおよびHBTUの1mmol当量を使用した。HBTU活性化Fmocアミノ酸の濃度はDMF中0.5Mであり、カップリング時間は45分であった。Fmoc脱保護は、DMF溶液中の30%ピペリジンを最初に2分間、その後さらに20分間使用する2回の処理で実施した。
【0153】
ラクタム形成
側鎖−側鎖ラクタム形成を、構築したN末端Fmoc保護ペプチド樹脂上で実施した。ペプチド−樹脂をDCM中で30分間溶媒和し、排液した(drained)。Mttおよび2−PhiPr基(特定ラクタム結合形成部位で保護する)を、5%TISを含むDCM溶液中1%TFAで除去した。DCM溶液中1%TFAによるペプチド−樹脂の処理を30分ずつ8回反復し、各々の処理の後に十分なDCM洗浄を実施した。次に、遊離カルボキシル基およびアミノ基を、0.5Mベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)5当量の添加によって縮合し、DMF中のDIEA 10当量をペプチド樹脂に添加して、24時間放置した。その後樹脂をDMF、DCMおよびDCM/MeOHで十分に洗浄し、乾燥させた。
【0154】
側鎖の脱保護と樹脂からの切断
合成と修飾後、樹脂を排液し、DCM、DMF、DCMで洗浄し、その後真空中で乾燥させた。ペプチド−樹脂を脱保護し、トリフルオロ酢酸(TFA)/1,2−エタンジチオール(EDT)/トリイソプロピル−シラン(TIS)/H2O(92.5:2.5:2.5:2.5v/v)溶液で室温にて90分間処理することによって樹脂から遊離させた。次に揮発性物質を窒素ガス流で除去し、粗ペプチドをジエチルエーテルで2回沈殿させ、遠心分離によって収集した。
【0155】
Acm脱保護
粗GLP−1 Cys(Acm)保護ペプチドを、新鮮添加した酢酸水銀(II)(15mg/mL)を含む10%AcOH水溶液に溶解した。溶液を周囲温度で4時間攪拌した。次に2−メルカプトエタノールの80%水溶液を添加して20%v/vの組成物を生成し、十分に混合して、一晩放置した。次に0.1%TFA水溶液で希釈し、水銀塩を含む灰色沈殿物を遠心分離とろ過によって除去した。脱保護されたペプチドを、その後、逆相HPLC精製に供した。
【0156】
特定実施例
環を含まないGLP−1化合物を合成するための合成プロトコールを図3に示しており、この図は、8位にGly置換、22位にAib置換、およびC末端にシステインとアラニンの付加を含む類似体(すなわち配列番号18)を合成するためのアプローチを例示する。
【0157】
図4−11は、様々な環状GLP−1化合物を合成するためのアプローチを例示する。図4は、たとえば、グルタミン酸とリシン残基の側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を形成するためのスキームを示す。図5は、グルタミン酸とオルニチンの側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を合成するためのアプローチを提供する。図6は、アスパラギン酸の側鎖とリシンの側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を合成するためのアプローチを提供する。図7は、アスパラギン酸の側鎖とオルニチンの側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を合成するためのアプローチを提供する。図8は、リシンの側鎖とグルタミン酸鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を合成するためのアプローチを提供する。図9は、ホモグルタミン酸の側鎖とリシンの側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を合成するためのアプローチを提供する。図10は、4−カルボキシ−フェニルアラニンの側鎖とリシンの側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を合成するためのアプローチを提供する。図11は、β−ホモグルタミン酸の側鎖とリシンの側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を合成するためのアプローチを提供する。
【0158】
逆相HPLC精製
逆相高速液体クロマトグラフィーを分析カラム(C18、5μm、0.46cm×25cm)または分取カラム(C18、10μm、2.2cm×25cm)で実施した。典型的には、解析的分析については1mL/分の流速にて35分間で5−95%、および分取分離については20mL/分の流速にて90分間で5−65%の、緩衝液A中の緩衝液B(A=0.1%TFA水溶液;B=0.09%TFAを含む90%ACN水溶液)の直線勾配を使用してクロマトグラフィー分離を達成した。分析および分取HPLC画分をESMSおよびフォトダイオードアレイ(PDA)HPLCによって特性決定し、選択した画分を合わせ、凍結乾燥した。
【0159】
質量分析法
イオンスプレイ大気圧イオン化源を備えたシングル四重極質量分析計で質量スペクトルを取得した。試料(25μL)を、溶融シリカキャピラリーのインターフェース(内径50μm)によってイオン化源に直接結合された移動溶媒(10μL/分;30:50:20 ACN/MeOH/0.05%TFA)に注入した。試料の小滴を5kVの正電位でイオン化し、インターフェースプレートを通しておよびその後60Vの電位でオリフィス(直径100−120μm)を通して分析計に導入した。フルスキャン質量スペクトルを、0.1Daのスキャンステップサイズで400−2200Daの質量範囲にわたって取得した。認められたm/z値から分子量を導いた。
【0160】
ペグ化
チオエーテル結合PEGペプチドを、所望結合部位で操作された反応性システインチオールを有するGLP類似体から導いた(表2参照)。活性化PEG誘導体はすべて、5kD−40kDの分子量を有する単官能性メトキシPEG−マレイミド(mPEG−mal)であった。結合は、pH6でのアルキル化によって達成された。簡単に述べると、ペプチドをアミン不含緩衝液(50mMリン酸ナトリウム、5mM EDTA、pH6)に2mg/mlで溶解し、mPEG−malを控え目な化学量論的過剰量(1.2−1.5倍)で添加し、室温で0.5−2時間反応させた。反応を逆相HPLCによって観測し、5mM β−メルカプトエタノールで反応停止させて、さらに30分間室温で放置してインキュベートし、その後精製した。
【0161】
精製は、SPセファロースHP(GE Healthcare)を使用し、0−500mMの直線塩化ナトリウム勾配で溶出する分取陽イオン交換クロマトグラフィーによって実施した。溶出されたPEGペプチドをRP−HPLCおよびSDS−PAGEによって評価し、プールして、その後濃縮し、10mM酢酸ナトリウム、5%ソルビトール、pH4に透析した。RP−HPLCにより、すべての最終プールについて>99%の純度が測定された。標的結合部位の各々におけるPEGとの結合を確認するためにペプチドマッピングと塩基配列決定を使用した。
【0162】
(実施例2)
インビボアッセイ
GLP−1構築物のインビトロでの効果
A.GLP−1Rレポーターアッセイ
GLP−1と試験化合物の力価を比較するため、ヒトまたはマウスGLP−1受容体を発現するレポーター細胞系を生成した。ルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現増強を通してcAMPレベルの上昇を測定した。簡単に述べると、環状AMPレベルによって調節されるルシフェラーゼレポーター遺伝子構築物を担持することに加えて、マウスまたはヒトGLP−1受容体を発現するCHOK1細胞を、アッセイの2日前にプレートし、その後37℃、5%CO2で培養した。アッセイの前日の晩に、細胞を洗浄し、培地を、0.5%プロテアーゼ不含ウシ血清アルブミン(BSA)を含む無血清培地と交換し、その後一晩培養した。細胞を、0.5%プロテアーゼ不含BSAおよび100μM IBMXを含む培地にて37℃で6時間、一連の濃度の試験化合物またはGLP−1に暴露した。細胞溶解産物を、Luciferase Assay System(Promega Corporation,Madison,WI)を使用してルシフェラーゼ活性に関して検定した。ルシフェラーゼ活性はLuminoskan Ascent(Thermo Electron Corporation,Marietta,OH)を用いて測定した。生じた化合物濃度曲線の非線形回帰分析を、GraphPad Prism(GraphPad Software,Inc.,San Diego,CA)を用いて実施した。「EC50」は、最大活性の50パーセントが達成される化合物の濃度を表わす。
【0163】
B.構築物のインビトロでのGLP−1受容体結合
膜の作製。ヒトまたはマウスのGLP−1受容体を発現するCHOK1細胞を、PBSを使用して150mm培養皿から採集した。細胞を1500rpmで10分間沈降させた。生じたペレットを氷冷スクロース緩衝液(25mMトリス−HCl、0.32Mスクロース、0.25g/Lアジ化ナトリウム、pH7.4)15ml中で、モータ付きガラス張り(glass fitted)テフロン(登録商標)ホモジナイザで均質化した。ホモジネートを48,000×gにて4℃で10分間遠心分離し、Tissue−Tearor(Biospec Products)を用いてアッセイ緩衝液(50mMトリス−HCl、5mM MgCl2、10mg/mlプロテアーゼ不含BSA、0.1mg/ml STI、および0.1mg/ml Pefabloc、pH7.4)25mlに再懸濁して、その後再び48,000×gで10分間遠心分離した。ペレットを、Tissue−Tearorを用いてアッセイ緩衝液15ml中で3回目の均質化に供し、再び48,000×gで10分間遠心分離した。生じたペレットを4mg/mlの湿重量濃度でアッセイ緩衝液に再懸濁した。
【0164】
リガンド結合アッセイ。結合アッセイを96穴U底プレートにおいて実施した。膜(組織200μg)を、総容量100μlで、0.2nM 125I−GLP−1(PerkinElmer Life Sciences,Boston,MA)を含むアッセイ緩衝液中、一連の濃度の試験化合物またはGLP−1と共に室温で2時間インキュベートした。加えて、1μMの非標識GLP−1の存在下で非特異的結合を評価した。あらかじめ0.5%ポリエチレンイミンに浸したUnfilter−96 GF/Cガラス繊維フィルタープレート(FilterMate 196 Packard Harvester,PerkinElmer,Shelton,CT)を通しての速やかなろ過によって反応を終了させ、その後低温50mMトリス−HCl、pH7.4の300μlで3回洗浄した。結合放射能を、TopCount(マイクロプレートシンチレーションおよびルミネセンス計数器(Packard Instrument Company,PerkinElmer,Shelton,CT)を用いて測定した。生じた濃度曲線の非線形回帰分析を、GraphPad Prism(GraphPad Software,Inc.,San Diego,CA)を用いて実施した。「IC50」は、最大特異的125I−GLP−1結合を50パーセント低下させる化合物の濃度を表わす。
【0165】
(実施例3)
インビボアッセイ
A.db/dbマウス:
食後血糖値に関してGLP−1化合物をさらに検討するため、db/db糖尿病マウスモデルをこのスクリーニングにおいて使用し、この測定を1、2、4、6および24時間目に観測した。db/dbマウスは、Jackson Laboratory JAX(登録商標) GEMM(登録商標) Strain − Spontaneous Mutation Congenic Miceより市販されており、糖尿病の偶発突然変異に関してホモ接合である(Leprdb)。これらのマウスは約3−4週齢で特定可能に肥満になった。試験に含めるための各マウスについての選択判定基準は、少なくとも300mg/dLの血糖値であった。8.5週齢(慢性1−2週間試験のため)から約10−11週齢(急性1−3日間試験のため)のdb/dbマウスに各々の試験化合物を1回(急性実験)または複数回(慢性実験)注射した。実験当日、午前9時にマウスから採血し(基線値)、その後直ちにマウスを注射者に引き渡して、注射者は適切なGLP−1化合物または陽性/陰性対照を注射した。次にマウスを、摂食行動に関連する血糖値の変動性を制限するため、食餌を含まない新鮮ケージに入れた。通常は1時間、4時間、6時間および24時間の時点で採血した。24時間の時点で血糖値が開始時より低い時は、血糖値が基線レベルに戻るまで24時間ごとにさらなる時点で採血した。6時間の時点の後、通常食を与えた。
【0166】
多回注射によってタキフィラキシーを測定した。血糖値が十分に開始時の基線レベルに戻った後、化合物の2回目の注射を実施した。この時点で、化合物が同じ効果/有効性を有するか、または何らかの顕著なタキフィラキーがあるかどうかは明白であった。
【0167】
B.C57b16マウス:
C57B16(正常やせ型)マウスを10−12週齢で使用した。これらのマウスは、Jackson LaboratoriesまたはCharles Riverなどの業者から市販されており、正常であるとみなされる。「やせ型」という用語は、これらのマウスを肥満db/dbマウスと対比するために使用する。C57B16マウスを体重に関して無作為化した。基線血糖値を測定するために午前9時に採血を実施し、GLP−1化合物またはPBSを投与したあと、食餌を含まないケージにマウスを収容した。4−5時間後、2g/kgのグルコース用量を使用して腹腔内ブドウ糖負荷試験(ブドウ糖負荷試験は、ブドウ糖を代謝する身体能力を測定する)を実施した。ブドウ糖負荷の投与後30分および90分目および24時間目に、または血糖値がもとの値に戻るまで、血糖値を測定した。これらの試験から、陰性対照であるPBSに比べて、グルコースを利用する上でのGLP−1の効果増強作用が認められる。
【0168】
(実施例4)
式Iに関するGLP−1化合物についての結果
8位にグリシン置換、22位にシステイン置換および可変C末端を有する分子のクラスに関して受容体結合と力価を測定するため、インビトロ実験を実施した。実施例2で述べたように実験を実施し、結果を以下の表3に要約する。
【0169】
【表3−1】
【0170】
【表3−2】
表3に示すように、これらの分子の一部は種々の形態のPEGに結合されており、結合は23位のシステインで生じた。たとえば20k PEG二量体は2個のペプチドを有する単一20kD直鎖PEGポリマーであり、2個のペプチドはどちらもフォークのように同じ末端で結合する。「フォーク状(forked)」PEG−(マレイミド)2はNektar Therapeutics(Huntsville,AL,カタログ番号2D2MOPOF)から入手でき、以下の構造を有する:
【0171】
【化3】
「分枝」PEG複合体は、単一ペプチド上の同じ部位で結合した2個のポリマーである。分枝PEG2−マレイミドも、カタログ番号2D3X0P11でNektar Thearpeutics(Huntsville,AL)より入手でき、以下の構造を有する。
【0172】
【化4】
他の分子(たとえばcgGLP−3)は、「ダンベル状」PEG複合体である。この立体配置では、2個のペプチドが、ダンベルのように、各々の末端で1つずつ、8kD PEGに結合している。8kDのmal−PEG−malポリマーも、カタログ番号ZF−066−05でNektar Therapeutics(Huntsville,AL)より入手でき、以下の構造を有する:
【0173】
【化5】
(実施例5)
式IIに関するGLP−1化合物についての結果
8位の置換およびCSGまたはCSGGのいずれかのC末端付加を有するGLP−1化合物に関して受容体結合と力価を測定するため、インビトロ実験を実施した。ペグ化分子を38位のシステインで結合した。実施例2で述べたように実験を実施し、結果を以下の表4に要約する。
【0174】
【表4】
(実施例6)
式IIIに関する化合物についての結果
22位にAib(2−アミノイソ酪酸)またはAad(2−アミノアジピン酸)置換および場合により8位とC末端に置換を有するGLP−1化合物に関して受容体結合と力価を測定するため、インビトロ実験を実施した。ペグ化分子を38位のシステインで結合した。実施例2で述べたように実験を実施し、結果を以下の表5に要約する。
【0175】
【表5】
(実施例7)
環状GLP−1化合物に関する結果
一部のアミノ酸の側鎖が結合して環(環状ラクタム)を形成している様々なGLP−1化合物に関して受容体結合と力価を測定するため、インビトロ実験を実施した。実施例2で述べたように実験を実施した。試験した環状化合物の配列を結果と共に表6に示す。環状ラクタムの形成に関与するアミノ酸の側鎖を太字と下線で示している。表6に列挙する化合物のうちで、mgGLP−24だけがペグ化されていた。
【0176】
【表6】
(実施例8)
N末端伸長を有するGLP−1化合物に関する結果
N末端伸長を有するGLP−1化合物に関して受容体結合と力価を測定するため、インビトロ実験を実施した。実施例2で述べたように実験を実施し、結果を以下の表7に要約する。表7に列挙する化合物はいずれもペグ化されていなかった。
【0177】
【表7】
(実施例9)
インビボ結果−時間と血糖値への作用
ここで開示する種々のクラスからの代表化合物(たとえば上述した式I−IVの一般構造を有する化合物)を含む様々なGLP−1化合物を、血糖値に影響を及ぼすそれらの能力に関して試験した。これらの実験では、実施例3で述べたようにdb/dbマウスにおいて血糖を測定した。
【0178】
図12は、cgGLP−17、cgGLP−18、cgGLP−19、mgGLP−09A(配列およびPEGの大きさと種類については表4および5参照)およびmg−GLP−09Aが72時間の期間にわたって血糖を低下させる能力を示す。これらの化合物の各々は対照と比べて血糖を低下させ、cg−GLP−19が最も長い時間にわたって血糖を低下させた(マウスにおける血糖値が正常レベルに戻るのに10μg/マウス用量で72時間を要した)。もうひと組の実験をcgGLP−19、cgGLP−20、cgGLP−23、cgGLP−24(配列およびPEGの大きさと種類については表5参照)に関して実施した。GLP−1化合物10μgを各マウスに注射した。図13に示すように、これら4つのGLP−1化合物は、経時的に血糖値を低下させる同様の能力を示し、各々が48時間にわたって血糖値の有意の低下を生じさせた。
【0179】
もうひと組の実験をmgGLP−20、cgGLP−26、mgGLP−22およびmgGLP−24(配列およびPEGの大きさと種類については表5および6参照)を用いて実施した。用量は10μg/マウスであった。図14に示すように、各化合物は血糖値を低下させたが、低下の仕方は異なっていた。この例では、mgGLP−20およびmgGLP−24が最も長い時間グルコースを低下させた。これらの2つの化合物に関しては、血糖値が正常レベルに戻るのに72時間を要した。
【0180】
(実施例10)
用量依存的な血糖の低下
実施例3で述べたように、db/dbマウスに種々の用量(5および10μg/マウス)のmgGLP−32(配列とPEGの大きさについては表5参照)を注射した。図15に示すように、mgGLP−32は、24時間にわたって用量依存的に血糖値を低下させた。
【0181】
(実施例11)
やせ型GTT実験
インスリン放出へのGLP−1の作用は、グルコースの不在下よりもグルコースの存在下でより大きい。C57B16マウスは正常血糖を有しており、種々のGLP−1類似体の間での効果の相違を測定することが難しい(効果についてのウインドウがあまり広くない)。試験したGLP−1類似体の間で効果を測定するために、実施例3で述べたようにGLP−1類似体またはPBSの注射の52時間後にC57B16マウスにおいてブドウ糖負荷試験(GTT)を実施した。図16は、mgGLP−20、mgGLP−22およびmgGLP−24が、GLP−1類似体またはPBSの注射後最初の52時間に血糖を同程度に低下させたことを示す(配列およびPEG分子の大きさと種類については表5および6参照)。GTTに入って30分目に、ビヒクル処置マウスとGLP−1類似体処置マウスのグルコースレベルの間で分離が起こり、血糖低下へのGLP−1類似体の予想された作用を明らかにした。また、30分目に、GTTの間の血糖低下においてmgGLP−24はmgGLP−22より大きな効果を示し、mgGLP−22はmgGLP−20より大きな効果を示した。
【0182】
(実施例12)
多回投与実験
タキフィラキシーが長時間作用形態のGLP−1化合物に関する問題であるかどうかを調べるため、db/dbマウスにおいて多回投与実験を実施した。GLP−1化合物の2回目のボーラスを、翌日、24時間目の血糖測定の直後に注射したことを除き、実施例3で述べた方法を使用した。図17に示すように、血糖は、2日目にmgGLP−33(配列とPEGの大きさについては表5参照)で同程度に低下した。試験したGLP−1化合物に関してタキフィラキシーは認められなかった。mgGLP−20(配列およびPEGの大きさと種類については表5参照)に関しても同じ結果を認めた。
【0183】
加えて、mgGLP−32(配列およびPEGの大きさと種類については表5参照)に関する4日間の多回投与実験を正常C57B16マウスにおいて実施した。また、効果を測定するため、1回目の注射後にGTTを実施し、4回目の注射後に2回目のGTTを実施した。GTTは実施例3で述べたように実施した。血糖に対するGLP−1類似体の効果を示す結果を図18に示す。
【0184】
図19に示すように、mgGLP−20に関しては4時間の絶食中に血糖が低下した。また、mgGLP−20で処置したマウスでは1回目と2回目のGTTの間に血糖スパイクは見られなかった。mgGLP−20の4回目の投与後、タキフィラキシーは認められなかった。
【0185】
(実施例13)
ペグ化試験
活性化PEGポリマーはすべてNektar Thearpeutics(Huntsville,AL)より入手した。使用した種々の形態のPEG分子の説明は実施例4に述べられている。
【0186】
5−40kDにわたる大きさの数多くのPEG−マレイミドポリマーが入手可能であり、それらは分枝PEGポリマーを含み得る、または多価官能基を有し得る。受容体結合への影響を最小限にとどめる改善された薬物動態のための、PEGの大きさ、ポリマーの分枝およびペプチド原子価の最適のバランスを判定するためにこれらのポリマーを使用した。GLP−1類似体を、5kD、10kD、20kDおよび30kDの直鎖単官能性PEG−マレイミドから作製した。また、40kD分枝PEG(2×20kDポリマー)マレイミドも試験した。インビトロ結合アッセイは、PEGの大きさと受容体親和性の間の逆相関を明らかにし、分枝40kDポリマーは受容体結合に極めて有意の影響を及ぼす(表3−5)。同様に、PEGの大きさはインビボでのグルコース低下の期間に影響を及ぼし、より大きなポリマーが、典型的には、最大期間を達成する(データは示していない)。しかし、この作用には限界があり、分枝40kDポリマーを有する最も大きいPEG−GLP類似体(cgGLP−29)はインビボで最も活性ではなかった。
【0187】
図20および21は、1)「ダンベル」のように、各々の末端に1個ずつ、2個の8kD PEGポリマー;2)20kD PEGポリマー;3)30kD PEGポリマー;または4)40kD分枝PEGポリマーにそれぞれ結合した配列番号6および10によるヒトGLP−1受容体の活性化についてのGLP−1レポーターアッセイの結果を示す。興味深いことに、配列番号10は20、30および40kDのPEG複合体に関して同様の機能的活性を示し、配列番号6は20kD複合体の活性で目立った減少を示し、40kDの分枝複合体は30kDおよび8kDのダンベル複合体と類似の力価を示す。これは、受容体結合親和性とPEGの大きさの間で認められた逆相関と著しく異なる。図22は、1)5kD PEGポリマー;2)10kD PEGポリマー;3)20kD PEGポリマー;4)30kD PEGポリマー;または5)40kD分枝PEGポリマーに結合した配列番号22を使用したGLP−1受容体機能アッセイからの同様の結果を示す。これらの結果に対応するEC50値が表3−5に要約されている。これらのペプチド複合体に関して、非複合ペプチドと同様の力価を有する5kD PEG複合体を除き、すべての大きさのPEG複合体に関して同様のインビトロ力価が認められる。PEGの種々の大きさと形状がグルコースレベルを低下させる能力に及ぼす影響を調べるため、cgGLP−25(5kDa PEG)、cgGLP−26(10kDa PEG)、cgGLP−27(20kDa PEG)およびcgGLP−28(分枝40kDa PEG)を用いてインビボでのひと組の実験を実施した。これらの化合物の各々は、配列番号22のアミノ酸配列を有するが、指示されているように、結合しているPEGの大きさまたは形状が異なる。実施例3で述べたようにdb/dbマウスにおいて血糖を測定した。異なる化合物は異なる形で血糖を低下させ、cgGLP−27は最も長期間血糖を低下させた(図23)。
【0188】
ここで述べる実施例および実施形態は説明だけを目的とするものであり、それらに照らして様々な修正または変更が当業者に示唆され、それらの修正または変更は本出願の精神と範囲内および付属の特許請求の範囲内に包含されることが了解される。ここで引用するすべての出版物、特許および特許出願は、各々個々の出版物、特許または特許出願が参照によりここに組み込まれることが特定して個別に指示されているのと同じように、すべての目的に関してそれらの全体が参照によりここに組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0189】
【図1】図1は、結合して環状ラクタムを形成することができる、3個のアミノ酸によって分離されたGLP−1内の位置の例の図式的表示である。
【図2A】図2A−2Iは、グルタミン酸/リシンアミノ酸対の側鎖が結合して環を形成している例示的GLP−1類似体の化学構造を示す。GLP−1残基は1文字表記で示しており、伸長アミノ酸についての原子は、元素に関する通常の化学表記を用いて示している。エチレングリコール反復単位−[CH2CH2−O]n−の数は、所望するポリエチレングリコールの大きさ(たとえば5kDa−60kDa)に依存して異なり得る。
【図2B】図2A−2Iは、グルタミン酸/リシンアミノ酸対の側鎖が結合して環を形成している例示的GLP−1類似体の化学構造を示す。GLP−1残基は1文字表記で示しており、伸長アミノ酸についての原子は、元素に関する通常の化学表記を用いて示している。エチレングリコール反復単位−[CH2CH2−O]n−の数は、所望するポリエチレングリコールの大きさ(たとえば5kDa−60kDa)に依存して異なり得る。
【図2C】図2A−2Iは、グルタミン酸/リシンアミノ酸対の側鎖が結合して環を形成している例示的GLP−1類似体の化学構造を示す。GLP−1残基は1文字表記で示しており、伸長アミノ酸についての原子は、元素に関する通常の化学表記を用いて示している。エチレングリコール反復単位−[CH2CH2−O]n−の数は、所望するポリエチレングリコールの大きさ(たとえば5kDa−60kDa)に依存して異なり得る。
【図2D】図2A−2Iは、グルタミン酸/リシンアミノ酸対の側鎖が結合して環を形成している例示的GLP−1類似体の化学構造を示す。GLP−1残基は1文字表記で示しており、伸長アミノ酸についての原子は、元素に関する通常の化学表記を用いて示している。エチレングリコール反復単位−[CH2CH2−O]n−の数は、所望するポリエチレングリコールの大きさ(たとえば5kDa−60kDa)に依存して異なり得る。
【図2E】図2A−2Iは、グルタミン酸/リシンアミノ酸対の側鎖が結合して環を形成している例示的GLP−1類似体の化学構造を示す。GLP−1残基は1文字表記で示しており、伸長アミノ酸についての原子は、元素に関する通常の化学表記を用いて示している。エチレングリコール反復単位−[CH2CH2−O]n−の数は、所望するポリエチレングリコールの大きさ(たとえば5kDa−60kDa)に依存して異なり得る。
【図2F】図2A−2Iは、グルタミン酸/リシンアミノ酸対の側鎖が結合して環を形成している例示的GLP−1類似体の化学構造を示す。GLP−1残基は1文字表記で示しており、伸長アミノ酸についての原子は、元素に関する通常の化学表記を用いて示している。エチレングリコール反復単位−[CH2CH2−O]n−の数は、所望するポリエチレングリコールの大きさ(たとえば5kDa−60kDa)に依存して異なり得る。
【図2G】図2A−2Iは、グルタミン酸/リシンアミノ酸対の側鎖が結合して環を形成している例示的GLP−1類似体の化学構造を示す。GLP−1残基は1文字表記で示しており、伸長アミノ酸についての原子は、元素に関する通常の化学表記を用いて示している。エチレングリコール反復単位−[CH2CH2−O]n−の数は、所望するポリエチレングリコールの大きさ(たとえば5kDa−60kDa)に依存して異なり得る。
【図2H】図2A−2Iは、グルタミン酸/リシンアミノ酸対の側鎖が結合して環を形成している例示的GLP−1類似体の化学構造を示す。GLP−1残基は1文字表記で示しており、伸長アミノ酸についての原子は、元素に関する通常の化学表記を用いて示している。エチレングリコール反復単位−[CH2CH2−O]n−の数は、所望するポリエチレングリコールの大きさ(たとえば5kDa−60kDa)に依存して異なり得る。
【図2I】図2A−2Iは、グルタミン酸/リシンアミノ酸対の側鎖が結合して環を形成している例示的GLP−1類似体の化学構造を示す。GLP−1残基は1文字表記で示しており、伸長アミノ酸についての原子は、元素に関する通常の化学表記を用いて示している。エチレングリコール反復単位−[CH2CH2−O]n−の数は、所望するポリエチレングリコールの大きさ(たとえば5kDa−60kDa)に依存して異なり得る。
【図3】図3は、8位にGly置換、22位にAib置換、およびC末端にシステインとアラニンの付加を含む類似体(すなわち配列番号18)を合成するための例示的アプローチを示す。
【図4】図4は、グルタミン酸とリシン残基の側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を作製するための例示的合成スキームを提供する。
【図5】図5は、グルタミン酸とオルニチンの側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を作製するための例示的合成スキームを提供する。
【図6】図6は、アスパラギン酸とリシン残基の側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を作製するための例示的合成スキームを提供する。
【図7】図7は、アスパラギン酸とオルニチンの側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を作製するための例示的合成スキームを提供する。
【図8】図8は、リシンとグルタミン酸残基の側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を作製するための例示的合成スキームを提供する。
【図9】図9は、ホモグルタミン酸とリシンの側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を作製するための例示的合成スキームを提供する。
【図10】図10は、4−カルボキシ−フェニルアラニンとリシンの側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を作製するための例示的合成スキームを提供する。
【図11】図11は、β−ホモグルタミン酸とリシンの側鎖が結合して環状ラクタムを形成している環状GLP−1化合物を作製するための例示的合成スキームを提供する。
【図12】図12は、cgGLP−17、cgGLP−18、cgGLP−19またはcgGLP−09Aで処置したマウスにおける血糖値を表すグラフを示す。
【図13】図13は、cgGLP−19、cgGLP−20、cgGLP−23またはcgGLP−24で処置したマウスにおける血糖値を表すグラフを示す。
【図14】図14は、mgGLP−20、cgGLP−26、mgGLP−22またはmgGLP−24で処置したマウスにおける血糖値を描画したグラフを示す。
【図15】図15は、mgGLP32で処置したマウスにおける血糖値を表すグラフを示す。
【図16】図16は、mgGLP−20、mgGLP−22またはmgGLP−24で処置したマウスに関して実施したひと組のGTT(ブドウ糖負荷試験)実験の間の血糖値を描画したグラフを示す。
【図17】図17は、mgGLP−33で処置したマウスにおける血糖値を描画したグラフを示す。
【図18】図18は、mgGLP−32で処置したマウスにおける血糖値を描画したグラフを示す。
【図19】図19は、mgGLP−20で処置したマウスにおける血糖値を描画したグラフを示す。
【図20】図20は、一部のcgGLP−3、cgGLP−1、cgGLP−7およびcgGLP−2へのPEGの大きさと形状の影響を描画したグラフを示す。
【図21】図21は、cgGLP−6、cgGLP−4、cgGLP−8、cgGLP−5へのPEGの大きさと形状の影響を描画したグラフを示す。
【図22】図22は、cgGLP−25、cgGLP−26、cgGLP−24、cgGLP−28、cgGLP−29へのPEGの大きさと形状の影響を描画したグラフを示す。
【図23】図23は、配列番号22に示すアミノ酸配列を有するGLP−1化合物およびcgGLP−25、cgGLP−26、cgGLP−27、cgGLP−29のいずれかで処置したdb/dbマウスへのインビボでのPEGの大きさと形状の影響を描画したグラフを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I(配列番号5):
Xaa7−Gly−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Cys−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Gly−Xaa36−Xaa37−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−C(O)−R1(式I、配列番号5)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
Xaa33は、ValまたはLysであり;
Xaa34は、LysまたはAsnであり;
Xaa36は、ArgまたはGlyであり;
Xaa37は、GlyまたはProである]
のアミノ酸配列を含むGLP−1類似体を含む、GLP−1活性を有するGLP−1化合物。
【請求項2】
前記GLP−1類似体が、5以下の保存的アミノ酸置換を含む配列番号7−8のいずれかのアミノ酸配列を有し、該保存的アミノ酸置換がアミノ酸Xaa8、Xaa23、またはXaa38−Xaa45のいずれかではないことを条件とする、請求項1に記載のGLP−1化合物。
【請求項3】
前記GLP−1類似体が、配列番号7−8のいずれかのアミノ酸配列を有する、請求項1に記載のGLP−1化合物。
【請求項4】
式II(配列番号9):
Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Xaa23−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Cys−Ser−Gly−Gly−C(O)−R1(式II、配列番号9)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
8位のXaaは、Gly、bAla(2−アミノプロピオン酸)、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、2−アミノイソ酪酸またはα−α−二置換アミノ酸であり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
23位のXaaは、Gln、Asn、Arg、Glu、Asp、Lys、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
33位のXaaは、Val、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Glu、AspまたはLysであり;
34位のXaaは、Asn、Lys、Arg、Glu、AspまたはHisであり;
35位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
36位のXaaは、Gly、Arg、Lys、Glu、AspまたはHisであり;
37位のXaaは、Pro、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysである]
のアミノ酸配列を含むGLP−1類似体を含む、GLP−1活性を有するGLP−1化合物。
【請求項5】
前記GLP−1類似体が、5以下の保存的アミノ酸置換を含む配列番号11−12のいずれかのアミノ酸配列を有し、該保存的アミノ酸置換がアミノ酸Xaa8、またはXaa38−Xaa41のいずれかではないことを条件とする、請求項4に記載のGLP−1化合物。
【請求項6】
前記GLP−1類似体が、配列番号11−12のいずれかのアミノ酸配列を有する、請求項4に記載のGLP−1化合物。
【請求項7】
式III(配列番号13):
Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Xaa23−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Gly−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41−C(O)−R1(式III、配列番号13)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
8位のXaaは、Gly、bAla(2−アミノプロピオン酸)、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、2−アミノイソ酪酸またはα−α−二置換アミノ酸であり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、2−アミノイソ酪酸、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、α−α−二置換アミノ酸または2−アミノアジピン酸であり;
23位のXaaは、Gln、Asn、Arg、Glu、Asp、Lys、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
33位のXaaは、Val、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Glu、AspまたはLysであり;
34位のXaaは、Asn、Lys、Arg、Glu、AspまたはHisであり;
35位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
36位のXaaは、Gly、Arg、Lys、Glu、AspまたはHisであり;
38位のXaaは、Cys、Glyであるか、または除かれており;
39位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Cysであるか、または除かれており;
40位のXaaは、Glyであるかまたは除かれており;
41位のXaaは、Glyであるかまたは除かれており;
38、39、40または41位のアミノ酸が除かれているとき、そのアミノ酸の下流の各々のアミノ酸も除かれていることを条件とする]
のアミノ酸配列を含むGLP−1類似体を含む、GLP−1活性を有するGLP−1化合物。
【請求項8】
前記GLP−1類似体が、5以下の保存的アミノ酸置換を含む配列番号16−28のいずれかのアミノ酸配列を有し、該保存的アミノ酸置換がアミノ酸Xaa8、Xaa22、またはXaa38−Xaa41のいずれかではないことを条件とする、請求項7に記載のGLP−1化合物。
【請求項9】
前記GLP−1類似体が、配列番号16−28のいずれかのアミノ酸配列を有する、請求項7に記載のGLP−1化合物。
【請求項10】
式IV(配列番号29):
Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Xaa23−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41C(O)−R1(式IV、配列番号29)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
8位のXaaは、Gly、bAla(2−アミノプロピオン酸)、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、2−アミノイソ酪酸またはα−α−二置換アミノ酸であり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
23位のXaaは、Gln、Asn、Arg、Glu、Asp、Lys、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
33位のXaaは、Val、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Glu、AspまたはLysであり;
34位のXaaは、Asn、Lys、Arg、Glu、AspまたはHisであり;
35位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
36位のXaaは、Gly、Arg、Lys、Glu、AspまたはHisであり;
37位のXaaは、Pro、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
38位のXaaは、Gly、Ser、Lys、Cysであるか、または除かれており;
39位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Leu、Phe、Pro、Cysであるか、または除かれており;
40位のXaaは、Gly、Cysであるかまたは除かれており;
41位のXaaは、Glyであるかまたは除かれており;
Xaa18、Xaa19、Xaa20、Xaa21、Xaa22、Xaa23、Xaa24、Xaa25、Xaa26、Xaa27、Xaa28、Xaa29およびXaa30から選択される2個のアミノ酸は、結合して環を形成しており、および該環を形成する2個のアミノ酸は、3、4または5個のアミノ酸によって分離されている]
のアミノ酸配列を含むGLP−1類似体を含む、GLP−1活性を有するGLP−1化合物。
【請求項11】
前記環を形成する2個のアミノ酸が3個のアミノ酸によって分離されている、請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項12】
前記環を形成する2個のアミノ酸が4個のアミノ酸によって分離されている、請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項13】
前記環を形成する2個のアミノ酸が5個のアミノ酸によって分離されている、請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項14】
Xaa18が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、
Xaa22が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、および
アミノ酸Xaa18とXaa22が結合して前記環を形成している、
請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項15】
Xaa19が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、
Xaa23が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、および
アミノ酸Xaa19とXaa23が結合して前記環を形成している、
請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項16】
Xaa20が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、
Xaa24が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、および
アミノ酸Xaa20とXaa24が結合して前記環を形成している、
請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項17】
Xaa21が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、
Xaa25が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、および
アミノ酸Xaa21とXaa25が結合して前記環を形成している、
請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項18】
Xaa22が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、
Xaa26が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、および
アミノ酸Xaa22とXaa26が結合して前記環を形成している、
請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項19】
Xaa23が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、
Xaa27が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、および
アミノ酸Xaa23とXaa27が結合して前記環を形成している、
請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項20】
Xaa24が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、
Xaa28が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、および
アミノ酸Xaa24とXaa28が結合して前記環を形成している、
請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項21】
Xaa25が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、
Xaa29が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、および
アミノ酸Xaa25とXaa29が結合して前記環を形成している、
請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項22】
Xaa26が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、
Xaa30が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、および
アミノ酸Xaa26とXaa30が結合して前記環を形成している、
請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項23】
前記GLP−1類似体が、5以下の保存的アミノ酸置換を含む配列番号30−246のいずれかのアミノ酸配列を有する、請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項24】
前記GLP−1類似体が、配列番号30−246のいずれかのアミノ酸配列を有する、請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項25】
R1が、カルボキシル基、アミン、エステルまたは置換アミンである、請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項26】
式VI:
Xaa4−Xaa5−Xaa6−His7−Ala8−Glu9−Gly10−Thr11−Phe12−Thr13−Ser14−Asp15−Val16−Ser17−Ser18−Tyr19−Leu20−Glu21−Gly22−Gln23−Ala24−Ala25−Lys26−Glu27−Phe28−Ile29−Ala30−Trp31−Leu32−Val33−Lys34−Gly35−Arg36−C(O)−R1(式VI、配列番号276)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
4位のXaaは、Metであるかまたは除かれており;
5位のXaaは、Met、Hisであるかまたは除かれており;
6位のXaaは、Met、Ala、Gly、Pro、Ser、Thr、Val、Gln、Arg、Lys、His、Tyr、Ile、Asp、Leu、Asn、Glu、TrpまたはPheであり;
5位のアミノ酸が除かれているとき、4位のアミノ酸も除かれていることを条件とする]
に示すアミノ酸配列を含むGLP−1類似体を含む、GLP−1活性を有するGLP−1化合物。
【請求項27】
前記GLP−1類似体が、1、2、3、4または5以下の保存的アミノ酸置換を含む配列番号247−267のいずれかのアミノ酸配列を有し、該保存的アミノ酸置換がアミノ酸Xaa4、Xaa5またはXaa6ではないことを条件とする、請求項26に記載のGLP−1化合物。
【請求項28】
前記GLP−1類似体が、配列番号247−267のいずれかのアミノ酸配列を有する、請求項26に記載のGLP−1化合物。
【請求項29】
代謝性疾患を有する被験体を治療するための方法であって、請求項1、4、7、10または26に記載のGLP−1化合物の有効量を被験体に投与することを含み、該代謝性疾患が、糖尿病、肥満および代謝症候群の群から選択される、方法。
【請求項30】
請求項1、4、7、10または26に記載のGLP−1化合物の有効量を被験体に投与することを含む、該被験体においてインスリン発現を高めるための方法。
【請求項31】
請求項1、4、7、10または26に記載のGLP−1化合物の有効量を被験体に投与することを含む、該被験体においてインスリン分泌を促進するための方法。
【請求項32】
水溶性ポリマーで共有結合によって改変されている、請求項1、4、7、10または26に記載のGLP−1化合物。
【請求項33】
前記水溶性ポリマーが、ポリエチレングリコール、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、ポリ−(N−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオールおよびポリビニルアルコールから成る群より選択される、請求項32に記載のポリペプチド。
【請求項34】
前記水溶性ポリマーが、ポリエチレングリコールおよびデキストランから成る群より選択される、請求項32に記載のポリペプチド。
【請求項35】
前記GLP−1類似体がペグ化されている、請求項1、4、7、10または26に記載のGLP−1化合物。
【請求項36】
医薬的に許容される担体および請求項1、4、7、10または26に記載のGLP−1化合物の有効量を含有する医薬組成物。
【請求項37】
代謝性疾患を有する被験体を治療するための方法であって、請求項36に記載の医薬組成物の有効量を該被験体に投与することを含み、該代謝性疾患が、糖尿病、肥満および代謝症候群の群から選択される、方法。
【請求項38】
請求項36に記載の医薬組成物の有効量を被験体に投与することを含む、該被験体においてインスリン発現を高めるための方法。
【請求項39】
請求項36に記載の医薬組成物の有効量を被験体に投与することを含む、該被験体においてインスリン分泌を促進するための方法。
【請求項1】
式I(配列番号5):
Xaa7−Gly−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Cys−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Gly−Xaa36−Xaa37−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−C(O)−R1(式I、配列番号5)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
Xaa33は、ValまたはLysであり;
Xaa34は、LysまたはAsnであり;
Xaa36は、ArgまたはGlyであり;
Xaa37は、GlyまたはProである]
のアミノ酸配列を含むGLP−1類似体を含む、GLP−1活性を有するGLP−1化合物。
【請求項2】
前記GLP−1類似体が、5以下の保存的アミノ酸置換を含む配列番号7−8のいずれかのアミノ酸配列を有し、該保存的アミノ酸置換がアミノ酸Xaa8、Xaa23、またはXaa38−Xaa45のいずれかではないことを条件とする、請求項1に記載のGLP−1化合物。
【請求項3】
前記GLP−1類似体が、配列番号7−8のいずれかのアミノ酸配列を有する、請求項1に記載のGLP−1化合物。
【請求項4】
式II(配列番号9):
Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Xaa23−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Cys−Ser−Gly−Gly−C(O)−R1(式II、配列番号9)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
8位のXaaは、Gly、bAla(2−アミノプロピオン酸)、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、2−アミノイソ酪酸またはα−α−二置換アミノ酸であり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
23位のXaaは、Gln、Asn、Arg、Glu、Asp、Lys、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
33位のXaaは、Val、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Glu、AspまたはLysであり;
34位のXaaは、Asn、Lys、Arg、Glu、AspまたはHisであり;
35位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
36位のXaaは、Gly、Arg、Lys、Glu、AspまたはHisであり;
37位のXaaは、Pro、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysである]
のアミノ酸配列を含むGLP−1類似体を含む、GLP−1活性を有するGLP−1化合物。
【請求項5】
前記GLP−1類似体が、5以下の保存的アミノ酸置換を含む配列番号11−12のいずれかのアミノ酸配列を有し、該保存的アミノ酸置換がアミノ酸Xaa8、またはXaa38−Xaa41のいずれかではないことを条件とする、請求項4に記載のGLP−1化合物。
【請求項6】
前記GLP−1類似体が、配列番号11−12のいずれかのアミノ酸配列を有する、請求項4に記載のGLP−1化合物。
【請求項7】
式III(配列番号13):
Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Xaa23−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Gly−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41−C(O)−R1(式III、配列番号13)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
8位のXaaは、Gly、bAla(2−アミノプロピオン酸)、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、2−アミノイソ酪酸またはα−α−二置換アミノ酸であり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、2−アミノイソ酪酸、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、α−α−二置換アミノ酸または2−アミノアジピン酸であり;
23位のXaaは、Gln、Asn、Arg、Glu、Asp、Lys、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
33位のXaaは、Val、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Glu、AspまたはLysであり;
34位のXaaは、Asn、Lys、Arg、Glu、AspまたはHisであり;
35位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
36位のXaaは、Gly、Arg、Lys、Glu、AspまたはHisであり;
38位のXaaは、Cys、Glyであるか、または除かれており;
39位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Cysであるか、または除かれており;
40位のXaaは、Glyであるかまたは除かれており;
41位のXaaは、Glyであるかまたは除かれており;
38、39、40または41位のアミノ酸が除かれているとき、そのアミノ酸の下流の各々のアミノ酸も除かれていることを条件とする]
のアミノ酸配列を含むGLP−1類似体を含む、GLP−1活性を有するGLP−1化合物。
【請求項8】
前記GLP−1類似体が、5以下の保存的アミノ酸置換を含む配列番号16−28のいずれかのアミノ酸配列を有し、該保存的アミノ酸置換がアミノ酸Xaa8、Xaa22、またはXaa38−Xaa41のいずれかではないことを条件とする、請求項7に記載のGLP−1化合物。
【請求項9】
前記GLP−1類似体が、配列番号16−28のいずれかのアミノ酸配列を有する、請求項7に記載のGLP−1化合物。
【請求項10】
式IV(配列番号29):
Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Xaa22−Xaa23−Xaa24−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Xaa32−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41C(O)−R1(式IV、配列番号29)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
7位のXaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、3−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンまたはα−メチル−ヒスチジンであり;
8位のXaaは、Gly、bAla(2−アミノプロピオン酸)、1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、2−アミノイソ酪酸またはα−α−二置換アミノ酸であり;
9位のXaaは、Glu、AspまたはLysであり;
10位のXaaは、GlyまたはHisであり;
11位のXaaは、Thr、Ala、Gly、Ser、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
12位のXaaは、His、Trp、PheまたはTyrであり;
13位のXaaは、ThrまたはGlyであり;
14位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
15位のXaaは、AspまたはGluであり;
16位のXaaは、Val、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Tyr、Glu、Asp、TrpまたはLysであり;
17位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
18位のXaaは、Ser、Ala、Gly、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
19位のXaaは、Tyr、Phe、Trp、Glu、Asp、Gln、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
20位のXaaは、Leu、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、Asp、Met、Trp、Tyr、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
21位のXaaは、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
22位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
23位のXaaは、Gln、Asn、Arg、Glu、Asp、Lys、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
24位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Arg、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
25位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
26位のXaaは、Lys、ホモリシン、Arg、Gln、Glu、Asp、His、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
27位のXaaは、Leu、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
28位のXaaは、Phe、Trp、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
29位のXaaは、Ile、Leu、Val、Ala、Phe、Asp、Glu、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
30位のXaaは、Ala、Gly、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり;
31位のXaaは、Trp、Phe、Tyr、Glu、AspまたはLysであり;
32位のXaaは、Leu、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
33位のXaaは、Val、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Glu、AspまたはLysであり;
34位のXaaは、Asn、Lys、Arg、Glu、AspまたはHisであり;
35位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
36位のXaaは、Gly、Arg、Lys、Glu、AspまたはHisであり;
37位のXaaは、Pro、Gly、Ala、Ser、Thr、Leu、Ile、Val、Glu、AspまたはLysであり;
38位のXaaは、Gly、Ser、Lys、Cysであるか、または除かれており;
39位のXaaは、Gly、Ala、Ser、Thr、Ile、Val、Leu、Phe、Pro、Cysであるか、または除かれており;
40位のXaaは、Gly、Cysであるかまたは除かれており;
41位のXaaは、Glyであるかまたは除かれており;
Xaa18、Xaa19、Xaa20、Xaa21、Xaa22、Xaa23、Xaa24、Xaa25、Xaa26、Xaa27、Xaa28、Xaa29およびXaa30から選択される2個のアミノ酸は、結合して環を形成しており、および該環を形成する2個のアミノ酸は、3、4または5個のアミノ酸によって分離されている]
のアミノ酸配列を含むGLP−1類似体を含む、GLP−1活性を有するGLP−1化合物。
【請求項11】
前記環を形成する2個のアミノ酸が3個のアミノ酸によって分離されている、請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項12】
前記環を形成する2個のアミノ酸が4個のアミノ酸によって分離されている、請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項13】
前記環を形成する2個のアミノ酸が5個のアミノ酸によって分離されている、請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項14】
Xaa18が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、
Xaa22が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、および
アミノ酸Xaa18とXaa22が結合して前記環を形成している、
請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項15】
Xaa19が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、
Xaa23が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、および
アミノ酸Xaa19とXaa23が結合して前記環を形成している、
請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項16】
Xaa20が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、
Xaa24が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、および
アミノ酸Xaa20とXaa24が結合して前記環を形成している、
請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項17】
Xaa21が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、
Xaa25が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、および
アミノ酸Xaa21とXaa25が結合して前記環を形成している、
請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項18】
Xaa22が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、
Xaa26が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、および
アミノ酸Xaa22とXaa26が結合して前記環を形成している、
請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項19】
Xaa23が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、
Xaa27が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、および
アミノ酸Xaa23とXaa27が結合して前記環を形成している、
請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項20】
Xaa24が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、
Xaa28が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、および
アミノ酸Xaa24とXaa28が結合して前記環を形成している、
請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項21】
Xaa25が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、
Xaa29が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、および
アミノ酸Xaa25とXaa29が結合して前記環を形成している、
請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項22】
Xaa26が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、
Xaa30が、Glu、Asp、Lys、ホモリシン、オルニチン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、β−グルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、α,γ−ジアミノ酪酸またはホモグルタミン酸であり、および
アミノ酸Xaa26とXaa30が結合して前記環を形成している、
請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項23】
前記GLP−1類似体が、5以下の保存的アミノ酸置換を含む配列番号30−246のいずれかのアミノ酸配列を有する、請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項24】
前記GLP−1類似体が、配列番号30−246のいずれかのアミノ酸配列を有する、請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項25】
R1が、カルボキシル基、アミン、エステルまたは置換アミンである、請求項10に記載のGLP−1化合物。
【請求項26】
式VI:
Xaa4−Xaa5−Xaa6−His7−Ala8−Glu9−Gly10−Thr11−Phe12−Thr13−Ser14−Asp15−Val16−Ser17−Ser18−Tyr19−Leu20−Glu21−Gly22−Gln23−Ala24−Ala25−Lys26−Glu27−Phe28−Ile29−Ala30−Trp31−Leu32−Val33−Lys34−Gly35−Arg36−C(O)−R1(式VI、配列番号276)
[式中、
R1は、OR2またはNR2R3であり;
R2およびR3は、独立して水素または(C1−C8)アルキルであり;
4位のXaaは、Metであるかまたは除かれており;
5位のXaaは、Met、Hisであるかまたは除かれており;
6位のXaaは、Met、Ala、Gly、Pro、Ser、Thr、Val、Gln、Arg、Lys、His、Tyr、Ile、Asp、Leu、Asn、Glu、TrpまたはPheであり;
5位のアミノ酸が除かれているとき、4位のアミノ酸も除かれていることを条件とする]
に示すアミノ酸配列を含むGLP−1類似体を含む、GLP−1活性を有するGLP−1化合物。
【請求項27】
前記GLP−1類似体が、1、2、3、4または5以下の保存的アミノ酸置換を含む配列番号247−267のいずれかのアミノ酸配列を有し、該保存的アミノ酸置換がアミノ酸Xaa4、Xaa5またはXaa6ではないことを条件とする、請求項26に記載のGLP−1化合物。
【請求項28】
前記GLP−1類似体が、配列番号247−267のいずれかのアミノ酸配列を有する、請求項26に記載のGLP−1化合物。
【請求項29】
代謝性疾患を有する被験体を治療するための方法であって、請求項1、4、7、10または26に記載のGLP−1化合物の有効量を被験体に投与することを含み、該代謝性疾患が、糖尿病、肥満および代謝症候群の群から選択される、方法。
【請求項30】
請求項1、4、7、10または26に記載のGLP−1化合物の有効量を被験体に投与することを含む、該被験体においてインスリン発現を高めるための方法。
【請求項31】
請求項1、4、7、10または26に記載のGLP−1化合物の有効量を被験体に投与することを含む、該被験体においてインスリン分泌を促進するための方法。
【請求項32】
水溶性ポリマーで共有結合によって改変されている、請求項1、4、7、10または26に記載のGLP−1化合物。
【請求項33】
前記水溶性ポリマーが、ポリエチレングリコール、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、ポリ−(N−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオールおよびポリビニルアルコールから成る群より選択される、請求項32に記載のポリペプチド。
【請求項34】
前記水溶性ポリマーが、ポリエチレングリコールおよびデキストランから成る群より選択される、請求項32に記載のポリペプチド。
【請求項35】
前記GLP−1類似体がペグ化されている、請求項1、4、7、10または26に記載のGLP−1化合物。
【請求項36】
医薬的に許容される担体および請求項1、4、7、10または26に記載のGLP−1化合物の有効量を含有する医薬組成物。
【請求項37】
代謝性疾患を有する被験体を治療するための方法であって、請求項36に記載の医薬組成物の有効量を該被験体に投与することを含み、該代謝性疾患が、糖尿病、肥満および代謝症候群の群から選択される、方法。
【請求項38】
請求項36に記載の医薬組成物の有効量を被験体に投与することを含む、該被験体においてインスリン発現を高めるための方法。
【請求項39】
請求項36に記載の医薬組成物の有効量を被験体に投与することを含む、該被験体においてインスリン分泌を促進するための方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公表番号】特表2009−534423(P2009−534423A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506806(P2009−506806)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/067150
【国際公開番号】WO2007/124461
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(500203709)アムジェン インコーポレイテッド (76)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/067150
【国際公開番号】WO2007/124461
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(500203709)アムジェン インコーポレイテッド (76)
【Fターム(参考)】
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