説明

GLYT−1阻害剤としてのベンゾイル−テトラヒドロピリジン

本発明は、一般式(I)[式中、Rは、非芳香族複素環、又はOR’であり;R’は、低級アルキル、ハロゲンで置換されている低級アルキル、又は−(CH−シクロアルキルであり;Rは、NO、CN、又はSOR’’であり;R’’は、低級アルキルであり;Arは、フェニル(場合により、ハロゲン、シアノ、ハロゲンで置換されている低級アルキル、又はSOR’’で置換されている)であり;nは、0、1、又は2である]の化合物及び薬学的に活性な酸付加塩、並びに神経疾患及び精神神経疾患の処置におけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式I
【0002】
【化5】


[式中、
は、非芳香族複素環、又はOR’であり;
R’は、低級アルキル、ハロゲンで置換されている低級アルキル、又は−(CH−シクロアルキルであり;
は、NO、CN、又はSOR’’であり;
R’’は、低級アルキルであり;
Arは、フェニル(場合により、ハロゲン、シアノ、ハロゲンで置換されている低級アルキル、又はSOR’’で置換されている)であり;
nは、0、1、又は2である]
の化合物、及び薬学的に活性な酸付加塩に関する。
【0003】
本発明は、一般式Iの化合物、これらの化合物の製造方法、これらを含む医薬組成物、並びに神経疾患及び精神神経疾患の処置におけるそれらの使用に関する。
【0004】
驚くべきことに、一般式Iの化合物が、グリシントランスポーター1(GlyT−1)の良好な阻害剤であり、グリシントランスポーター2(GlyT−2)阻害剤に対して良好な選択性を有することが見出された。
【0005】
統合失調症は、妄想、幻覚、思考障害、及び精神障害などの一時的な陽性症状、並びに感情鈍麻、注意障害及び引きこもりなどの持続性陰性症状、並びに認知障害を特徴とする進行性で壊滅的な神経系疾病である(Lewis DA and Lieberman JA, Neuron, 2000, 28:325-33)。数十年にわたり、ドーパミン作動系の遮断に関与する治療介入を導く「ドーパミン機能亢進」仮説に研究の焦点を当ててきた(Vandenberg RJ and Aubrey KR., Exp. Opin. Ther. Targets, 2001, 5(4): 507-518; Nakazato A and Okuyama S, et al., 2000, Exp. Opin. Ther. Patents, 10(1): 75-98)。この薬理学的なアプローチは、機能的転帰の最も多い前兆である陰性及び認知症状に十分対処していない(Sharma T., Br.J. Psychiatry, 1999, 174(suppl. 28): 44-51)。
【0006】
統合失調症の補完モデルは、1960年代半ばに、非競合NMDAレセプターアンタゴニストであるフェンシクリジン(PCP)及び関連した薬剤(ケタミン)のような化合物によりグルタミン酸系を遮断することで生じる精神異常作用に基づき提案された。興味深いことに、健康な被験者において、PCP−誘発精神異常発現作用は、認知機能障害と同様に陽性及び陰性症状を内包し、それ故に患者に統合失調症に非常に似た症状を呈する(Javitt DC et al., 1999, Biol. Psychiatry, 45: 668-679 and refs. herein)。更に、NMDAR1サブユニットを低減したレベルで発現しているトランスジェニックマウスは、NMDAレセプター活性を減じることで統合失調症のような行動をとるモデルを支持する、薬理学的に誘発された統合失調症のモデルにおいて観察されるのと同様の行動障害を示す(Mohn AR et al., 1999, Cell, 98: 427-236)。
【0007】
グルタミン酸神経伝達は、特にNMDAレセプター活性において、NMDAレセプターがシナプス可塑性及び記憶形成の閾値を開閉する段階的なスイッチとしての役割を果たすような、シナプス可塑性、学習及び記憶に重大な役割を果たしている(Hebb DO, 1949, The organization of behavior, Wiley, NY; Bliss TV and Collingridge GL, 1993, Nature, 361: 31-39)。NMDA NR2Bサブユニットを過剰に発現しているトランスジェニックマウスは、シナプス可塑性が強化され、優れた学習及び記憶能力を示す(Tang JP et al., 1999, Nature: 401- 63-69)。
【0008】
従って、グルタミン酸の欠乏が統合失調症の病態生理に関与するならば、グルタミン酸の伝達を特にNMDAレセプターの活性化を介して増強することは、抗精神病及び認知増強の両方の効果を生むことを予見できるであろう。
【0009】
アミノ酸グリシンは、CNSにおいて少なくとも2つの重要な機能を有することが知られている。これは、ストリキニン感受性グリシンレセプターと結合して抑制性アミノ酸として働き、また、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)レセプター機能に対しグルタミン酸との重要なコアゴニストとして作用して興奮性活性に影響を及ぼす。グルタミン酸は活性に依存してシナプス終末から放出されるが、一方グリシンは明らかに一定のレベル以上で存在し、レセプターをそのグルタミン酸に対する反応に関して調節/制御するようである。
【0010】
神経伝達物質のシナプス密度を制御する最も効果的な方法の一つは、シナプスにおいてその再取り込みに影響を及ぼすことである。神経伝達物質トランスポーターは、神経伝達物質を細胞外空間から取り除くことで、その細胞外寿命を制御し、これによりシナプス伝達の規模を調節する(Gainetdinov RR et a1, 2002, Trends in Pharm. Sci, 23(8): 367-373)。
【0011】
グリシントランスポーターは、神経伝達物質トランスポーターのナトリウム及びクロリドファミリーの一部を形成するが、シナプス後グリシン作動性作用の終了、並びにシナプス前神経終末及び周囲の細かいグリア突起へのグリシンの再取り込みによる、細胞外グリシンの低濃度の保持において重要な役割を果たしている。
【0012】
2つの異なるグリシントランスポーター遺伝子は、哺乳動物の脳からクローンされ(GlyT−1及びGlyT−2)、これにより〜50%のアミノ酸配列相同性を有する2つのトランスポーターが生じる。GlyT−1は、選択的スプライシング及び選択的プロモータ使用から生じた4つのアイソフォームを呈する(1a、1b、1c及び1d)。これらのアイソフォームの2つのみが、げっ歯類の脳に見出されている(GlyT−1a及びGlyT−1b)。GlyT−2もまた、ある程度の不均一性を呈する。2つのGlyT−2アイソフォーム(2a及び2b)は、げっ歯類の脳内に確認されている。GlyT−1はCNS及び末梢組織に局在していることが知られているのに対し、GlyT−2はCNSに特異的である。GlyT−1は顕著なグリア分布を有し、ストリキニン感受性グリシンレセプターに相当するエリアのみではなく、そのエリアの外側(NMDAレセプター機能の調節に関与していると仮定されている)にも見つかっている(Lopez- Corcuera B et al., 2001, Mol. Mem. Biol., 18: 13-20)。したがって、NMDAレセプター活性を高める1つの戦略は、GlyT−1トランスポーターを阻害することにより、シナプスのNMDAレセプターの局所微小環境におけるグリシン濃度を上げることである(Bergereon R. Et al., 1998, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95: 15730- 15734; Chen L et al., 2003, J. Neurophysiol, 89 (2): 691-703)。
【0013】
グリシントランスポーター阻害剤は、神経疾患及び精神神経疾患の処置に適している。関連する疾患状態の大部分は、精神病、統合失調症(Armer RE and Miller DJ, 2001, Exp. Opin. Ther. Patents, 11 (4): 563-572)、重篤な大鬱病性障害のような精神病性気分障害、双極性障害を伴う急性躁病または鬱病のような精神障害を伴う気分障害、及び統合失調症を伴う気分障害(Pralong ET et al., 2002, Prog. Neurobio1, 67: 173-202)、自閉性障害(Carlsson Ml, 1998, J. Neural Transm. 105: 525-535)、認知症(加齢に伴う認知症及びアルツハイマー型の老年性認知症を含む)のような認知障害、哺乳類(ヒトを含む)における記憶障害、注意欠陥障害、並びに疼痛(Armer RE and Miller DJ, 2001, Exp. Opin. Ther. Patents, 11 (4): 563-572)である。
【0014】
したがって、GlyT−1阻害によりNMDAレセプターの活性を増加させることが、精神病、統合失調症、認知症、及び注意欠陥障害、又はアルツハイマー病のような認知過程が悪化する他の疾患を治療する薬剤につながり得る。
【0015】
本発明の目的は、式Iの化合物それ自体、GlyT−1阻害によるNMDAレセプターの活性化に関連する疾患を処置する医薬を製造するための式Iの化合物及びその薬学的に許容されうる塩の使用、それらの製造、本発明による化合物に基づく医薬及びその生産、並びに精神病、記憶及び学習における機能障害、統合失調症、認知症、及び注意欠陥障害又はアルツハイマー病のような認知過程が悪化する他の疾患などの疾病の抑制または予防における、式Iの化合物の使用である。
【0016】
本発明の化合物を使用する好ましい適応症は、統合失調症、認知機能障害、及びアルツハイマー病である。
【0017】
更に、本発明は、全てのラセミ混合物、それらに対応する全てのエナンチオマー及び/又は光学異性体を含む。
【0018】
本明細書で使用される用語「低級アルキル」は、炭素原子1〜7個を含む飽和直鎖状又は分岐鎖状基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、2−ブチル、t−ブチルなどを意味する。好ましいアルキル基は、炭素原子1〜4個を有する基である。
【0019】
本明細書で使用される用語「シクロアルキル」は、炭素原子3〜7個を含む飽和炭素環、例えば、シクロプロピル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルを意味する。
【0020】
本明細書で使用される用語「非芳香族複素環」は、O、N及びSからなる群より選択される1又は2個のヘテロ原子を含む5員又は6員複素環を意味する。好ましい環は、1−ピロリジン、1−ピペリジン、1−ピペラジン、又は1−モルホリンである。
【0021】
用語「ハロゲン」は、塩素、ヨウ素、フッ素及び臭素を意味する。
【0022】
本明細書で使用される用語「ハロゲンで置換されている低級アルキル」は、上記と同義のアルキル基を意味し、ここで、少なくとも1個の水素原子が、ハロゲンにより置き換えられており、例えばCF、CHF、CHF、CHCFなどである。
【0023】
用語「薬学的に許容されうる酸付加塩」は、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタン−スルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのような、無機及び有機酸との塩を包含する。
【0024】
好ましい式Iの化合物は、Rがモルホリンである化合物であり、例えば以下のものである:
4−[1−(2−モルホリン−4−イル−5−ニトロ−ベンゾイル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル]ベンゾニトリル、
(5−メタンスルホニル−2−モルホリン−4−イル−フェニル)−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−3,6ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−メタノン、又は
[4−(4−メタンスルホニル−フェニル)−3,6ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−(2−モルホリン−4−イル−5−ニトロ−フェニル)−メタノン。
【0025】
更に好ましいのは、Rが−O−低級アルキル(ハロゲンで置換されている)である化合物であり、その化合物は、
[5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−フェニル]−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−メタノン
である。
【0026】
更に好ましいのは、Rが−O−低級アルキルである化合物であり、その化合物は、
3−[4−(4−クロロ−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボニル]−4−イソプロポキシ−ベンゾニトリル
である。
【0027】
好ましい式Iの化合物は、更に、Rが−O−(CH−シクロアルキルである化合物であり、例えば以下の化合物である:
(2−シクロペンチルオキシ−5−メタンスルホニル−フェニル)−[4−(4−メタンスルホニル−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−メタノン、又は
[4−(4−クロロ−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−(2−シクロプロピルメトキシ−5−メタンスルホニル−フェニル)−メタノン。
【0028】
式Iの本化合物及びその薬学的に許容されうる塩は、当該技術において既知の方法、例えば下記の方法により調製でき、その方法は、
a)式
【化6】


の化合物を、式
【化7】


の化合物と、式III−1の化合物についてはTBTU(2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート)のような活性化剤の存在下で、反応させて、

【化8】


[式中、halは、塩素などのハロゲン原子であり、Ar、R及びRは、上記と同義である]の化合物にすること、及び
所望であれば、得られた化合物を薬学的に許容されうる酸付加塩に変換することを含む。
【0029】
式Iの化合物は、a)を変形した方法及び以下のスキーム1に従って調製されてもよい。全ての出発物質は、文献に記載のように市販のものでも、又は当該技術において周知の方法により調製されたものでもよい。下記の略号が使用されている:
【0030】
【化9】

【0031】
一般式Iの化合物は、式IIの4−アリール−置換−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン誘導体を、式III(A:OH)の対応する酸とTBTUのような活性化剤の存在下で、又は式III(A:Cl)の対応する活性化した酸と、反応させて調製できる。式IIIの酸は、式IVの酸を式RHの求核剤と反応させて調製できる。式IIの4−アリール−置換−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン誘導体は、スキーム1に示すように、スズキ条件下で(Eastwood et al. tetrahedron Letters (2000), 41, (19),3705-3708)、ボロン酸エステルVをArXとパラジウム触媒の存在下で反応させ、続いて保護基を開裂して調製できる。保護基は、典型的にはtert−ブトキシカルボニル(Boc)である。
【0032】
式Iの塩基性化合物の酸付加塩は、少なくとも化学量論的に当量の適切な塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、アンモニアなど)で処理して、対応する遊離塩基に変換してもよい。
【0033】
式Iの化合物及びその薬学的に使用されうる付加塩は、有益な薬理学的特性を備えている。詳細には、本発明の化合物がグリシントランスポーターI(GlyT−1)の良好な阻害剤であることが見出された。
【0034】
下記に示した試験に従って化合物を調査した。
【0035】
溶液及び材料
DMEM完全培地:Nutrient mixture F-12(Gibco life technologies)、ウシ胎児血清(FBS)5%(Gibco life technologies)、ペニシリン/ストレプトマイシン1%(Gibco life technologies)、ハイグロマイシン0.6mg/ml(Gibco life technologies)、グルタミン1mM(Gibco life technologies)
【0036】
取込緩衝液(UB):150mM NaCl、10mM Hepes−Tris、pH7.4、1mM CaCl、2.5mM KCl、2.5mM MgSO、10mM (+)D−グルコース。
Flp−in(商標)−CHO(Invitrogen Cat n°R758-07)細胞に、mGlyT1b cDNAを安定にトランスフェクトさせた。
【0037】
グリシン取込阻害アッセイ(mGlyT−1b)
1日目に、哺乳動物の細胞(Flp−in(商標)−CHO、mGlyT−1b cDNAをトランスフェクトしたもの)を、96−ウエル培養プレートに、ハイグロマイシンなしで、完全F−12培地中40,000細胞/ウエルの密度で接種した。2日目に、培地を吸引し、細胞を取込緩衝液(UB)で2回洗浄した。次に細胞を(i)潜在的競合物無し、(ii)10mM 非放射性グリシン、(iii)ある濃度の潜在的阻害剤のいずれかと22℃で20分間インキュベートした。潜在的阻害剤の濃度範囲を、50%の効果(例えばIC50、50%のグリシン取込みを阻害する競合物濃度)を生じる阻害剤の濃度を計算するためのデータを生成するのに使用した。次に[H]−グリシン60nM(11〜16Ci/mmol)及び25μM非放射性グリシンを含む溶液に直ちに加えた。プレートを、穏やかに振とうしながらインキュベートし、混合物を吸引して反応を止め、氷冷UBで洗浄した(3回)。細胞をシンチレーション液で溶解し、3時間振とうし、細胞中の放射能をシンチレーションカウンターを用いてカウントした。
【0038】
好ましい化合物は、GlyT−1でのIC50(μM)を<0.9で示す。
【0039】
【表1】

【0040】
式Iの化合物及び式Iの化合物の薬学的に許容されうる塩は、薬剤として、例えば、医薬製剤の形態で使用することができる。この医薬製剤は、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤、又は懸濁剤の剤形で、経口投与することができる。しかし投与はまた、例えば坐剤の剤形で直腸内に、又は例えば注射剤の剤形で非経口的に行うこともできる。
【0041】
式Iの化合物は、医薬製剤を製造するため、薬学的に不活性な無機又は有機担体と共に加工することができる。乳糖、トウモロコシデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩等が、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤のためのそのような担体として使用することができる。軟ゼラチンカプセル剤のための適切な担体は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、半固体及び液体ポリオール類等である。しかし、活性物質の性質に応じて、軟ゼラチンカプセル剤の場合は、通常担体を必要としない。液剤及びシロップ剤の製造に適切な担体は、例えば、水、ポリオール類、グリセリン、植物油等である。坐剤に適切な担体は、例えば、天然又は硬化油、ロウ、脂肪、半液体又は液体のポリオール等である。
【0042】
更に、製剤は、防腐剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、着香剤、浸透圧を変化させる塩、緩衝剤、マスキング剤、又は酸化防止剤を含むことができる。これらはまた、更に他の治療上有益な物質を含むことができる。
【0043】
式Iの化合物又は薬学的に許容しうるその塩と、治療上不活性な担体とを含有する医薬もまた、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されうる酸付加塩の1種以上と、所望により、他の治療上有益な物質の1種以上とを、治療上不活性な担体の1種以上と共に、ガレヌス製剤の投与形態にすることを含む調製方法と同様に、本発明の目的である。
【0044】
本発明による最も好ましい適応症は、中枢神経系の疾患、例えば、統合失調症、認知機能障害及びアルツハイマー病の治療又は予防を含む適応症である。
【0045】
用量は、広い範囲内で変えることができ、当然それぞれの特定の症例における個別の要求に適合させなければならない。経口投与の場合、成人用の用量を、一般式Iの化合物1日当たり約0.01mg〜約1000mg、又は薬学的に許容されうるその塩を対応する量で変えることができる。1日量を、1回量として又は分割量として投与してよく、加えて、必要性が示される場合、上限を超えることもできる。
【0046】
錠剤の処方(湿式造粒)
項目 成分 mg/錠剤
5mg 25mg 100mg 500mg
1.式IA又はIBの化合物 5 25 100 500
2.無水乳糖DTG 125 105 30 150
3.Sta-Rx 1500 6 6 6 30
4.微晶質セルロース 30 30 30 150
5.ステアリン酸マグネシウム 1 1 1 1
合計 167 167 167 831
【0047】
製造手順
1.項目1、2、3及び4を混合し、精製水で造粒する。
2.顆粒を50℃で乾燥させる。
3.顆粒を適切な微粉砕装置に通す。
4.項目5を加え、3分間混合し、適切な成形機で圧縮する。
【0048】
カプセル剤の処方
項目 成分 mg/カプセル
5mg 25mg 100mg 500mg
1.式IA又はIBの化合物 5 25 100 500
2.含水乳糖 159 123 148 ---
3.トウモロコシデンプン 25 35 40 70
4.タルク 10 15 10 25
5.ステアリン酸マグネシウム 1 2 2 5
合計 200 200 300 600
【0049】
製造手順
1.項目1、2及び3を適切なミキサーで30分間混合する。
2.項目4及び5を加え、3分間混合する。
3.適切なカプセルに充填する。
【0050】
下記の実施例は、本発明を限定することなく説明する。全ての温度は摂氏で示される。
【0051】
全ての出発物質は、文献に記載のように市販のものでも、又は当該技術において周知の方法により調製されたものでもよい。
【0052】
実施例1
(2−モルホリン−4−イル−5−ニトロ−フェニル)−(4−フェニル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−メタノン
【0053】
【化10】

【0054】
1a:2−モルホリン−4−イル−5−ニトロ−安息香酸
ジオキサン(50ml)中の2−フルオロ−5−ニトロ安息香酸(4.86g、26.2mmol)の溶液に、モルホリン(11.5ml)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。残渣を水に溶解し、混合物を2N HClで酸性化した。固体を濾過し、水で洗浄し、乾燥して、標記化合物(6.2g、93%)を黄色の固体として得た。MS(m/e):251.2(M−H、100%)
【0055】
1b:2−モルホリン−4−イル−5−ニトロ−ベンゾイルクロリド
トルエン中の2−モルホリン−4−イル−5−ニトロ−安息香酸(4.0g、16mmol)の懸濁液に、DMF2滴及びチオニルクロリド(5.7ml、79.3mmol)を加えた。混合物を80℃まで50分間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、得られた固体をエーテル中で撹拌し、濾過し、乾燥して、標記化合物(4.0g、93%)を黄色の固体として得た。
【0056】
1c:(2−モルホリン−4−イル−5−ニトロ−フェニル)−(4−フェニル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−メタノン
DCM 1ml中の2−モルホリン−4−イル−5−ニトロ−ベンゾイルクロリド40.6mg(0.15mmol)、4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン(市販)29mg(0.18mmol)及びNEt 62.5ul(0.45mmol)の混合物を、室温で16時間撹拌した。揮発物を蒸発した後、残渣をCHCN/DMF/HCOOH 3/5/2 1mlに取り、アセトニトリル/水勾配で溶離する逆相の分取HPLC精製に付して、蒸発した後、標記化合物を得た。MS(m/e):394.1(MH、100%)
【0057】
実施例2
[4−(4−クロロ−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−(2−モルホリン−4−イル−5−ニトロフェニル)メタノン
【0058】
【化11】

【0059】
実施例1の合成について記載の手順に従って、標記化合物を2−モルホリン−4−イル−5−ニトロ−ベンゾイルクロリド及び4−(4−クロロ−フェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン塩酸塩(市販)から合成した。MS(m/e):428.1(MH、100%)
【0060】
実施例3
4−[1−(2−モルホリン−4−イル−5−ニトロ−ベンゾイル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル]ベンゾニトリル
【0061】
【化12】

【0062】
実施例1の合成について記載の手順に従って、標記化合物を2−モルホリン−4−イル−5−ニトロ−ベンゾイルクロリド及び4−(1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル)−ベンゾニトリル(CAS:460365-22-4)から合成した。MS(m/e):417.0(M−H、100%)
【0063】
実施例4
[5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−フェニル]−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−メタノン
【0064】
【化13】

【0065】
4a:2−クロロ−5−スルフィノ−安息香酸
水100ml中の亜硫酸ナトリウム33.59g(267mmol)の溶液を、2−クロロ−5−フルオロスルホニル−安息香酸21.2g(89mmol)及び10M NaOH水溶液26.6ml(267mmol)で0℃で処理した。混合物を室温で3時間撹拌し、濃HCl(pH=4)で酸性化し、水を減圧下で除去した。メタノールを加え、沈殿物を濾取し、濾液を濃縮した。メタノール及びジエチルエーテルを加え、沈殿物を濾取し、エーテルで洗浄し、乾燥して、標記化合物15g(76.5%)を白色のガム状物として得た。MS(m/e):219.1(M−H、100%)
【0066】
4b:2−クロロ−5−メタンスルホニル−安息香酸
メタノール20ml及び水20ml中の2−クロロ−5−スルフィノ−安息香酸1g(4mmol)の混合物を、10N NaOHでpH=9に処理し、その後ヨウ化メチル1.7g(12mmol)を加えた。混合物を、NaOHを時々加えてpH=9を維持しながら80℃まで48時間加熱した。全ての揮発物を除去した後、濃HClを加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、蒸発乾固した。残渣をメタノールに取り、アセトニトリル/水勾配で溶離する逆相HPLC精製に付して、生成物画分を蒸発した後、標記化合物323mg(34%)を得た。MS(m/e):233.0(M−H、100%)
【0067】
4c:5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)安息香酸
2−クロロ−5−メタンスルホニル−安息香酸2.13mmol、NEt 5ml中のCu(I)Br 0.64mmol及び2,2,2−トリフルオロ−エタノール25mlの混合物を、密閉管中で120℃まで16時間加熱した。揮発物を減圧下で除去し、残渣を1N HCl 70mlに取った。酢酸エチルで抽出し、合わせた有機画分を乾燥し、蒸発して、残渣を得て、それをアセトニトリル/水勾配で溶離する逆相分取HPLCにより精製した。生成物画分を蒸発して、標記化合物を得た。MS(m/e):297.0(M−H、100%)
【0068】
4d:4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
ジメチルホルムアミド6ml中の4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(CAS:286961-14-6)0.97mmolの溶液に、炭酸カリウム2.91mmol、p−ブロモベンゾトリフルオリド1.02mmol、及びジクロロ(1,1’ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)ジクロロメタン錯体0.06mmolを順次加えた。次に反応物を80℃で6時間撹拌し、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(SiO、20g、ヘプタン)により精製して、標記化合物を得た。MS(m/e):271.1(M−イソブチレン)
【0069】
4e:4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン
ジクロロメタン2ml中の4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル0.52mmolの混合物を、トリフルオロ酢酸0.2mlで処理した。混合物を40℃で3時間撹拌し、次に濃縮し、水/NaOHで処理し、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機相を飽和NaClで洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発して、標記化合物を得た。MS(m/e):228.3(MH、100%)
【0070】
4f:5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−フェニル]−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−メタノン
ジメチルホルムアミド0.75ml中の5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−安息香酸0.17mmolの溶液に、TBTU 0.19mmol、N−エチルジイソプロピルアミン0.855mmol及び4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン0.205mmolを順次加えた。次に反応物を室温で45分間撹拌し、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(SiO、10g、ヘプタン、酢酸エチル 0〜100%)により精製して、標記化合物を得た。MS(m/e):508.6(MH、100%)
【0071】
実施例5
(5−メタンスルホニル−2−モルホリン−4−イル−フェニル)−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−メタノン
【0072】
【化14】

【0073】
5a:5−メタンスルホニル−2−モルホリン−4−イル−安息香酸
モルホリン2ml中の2−クロロ−5−メタンスルホニル−安息香酸(実施例4、工程b)163.8mg(0.7mmol)の混合物を、100℃まで16時間加熱した。全ての揮発物を蒸発した後、残渣をメタノール/ギ酸 3/1 2mlに取り、アセトニトリル/水勾配で溶離する逆相HPLC精製に付して、生成物画分蒸発した後、標記化合物を得た。MS(m/e):284.1(M−H、100%)
【0074】
5b:(5−メタンスルホニル−2−モルホリン−4−イル−フェニル)−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−メタノン
実施例4、工程fの合成について記載の手順に従って、標記化合物を5−メタンスルホニル−2−モルホリン−4−イル−安息香酸及び4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジンから合成した。MS(m/e):495.4(MH、100%)
【0075】
実施例6
[4−(4−メタンスルホニル−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−(2−モルホリン−4−イル−5−ニトロ−フェニル)−メタノン
【0076】
【化15】

【0077】
6a:4−(4−メタンスルホニル−フェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン
標記化合物を、実施例4、工程d及びeに記載の手順に従って、4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル及び4−ブロモメチルスルホンから合成した。MS(m/e):336.0(M−H、100%)
【0078】
6b:[4−(4−メタンスルホニル−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−(2−モルホリン−4−イル−5−ニトロ−フェニル)−メタノン
実施例4、工程fの合成について記載の手順に従って、標記化合物を2−モルホリン−4−イル−5−ニトロ−安息香酸及び4−(4−メタンスルホニル−フェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジンから合成した。MS(m/e):470.1(M−H、100%)
【0079】
実施例7
(2−イソプロポキシ−5−メタンスルホニル−フェニル)−[4−(4−メタンスルホニル−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−メタノン
【0080】
【化16】

【0081】
7a:2−イソプロポキシ−5−メタンスルホニル−安息香酸
実施例4、工程cの合成について記載の手順に従って、標記化合物を2−クロロ−5−メタンスルホニル−安息香酸及びイソプロパノールから合成した。MS(m/e):257.0(M−H、100%)
【0082】
7b:(2−イソプロポキシ−5−メタンスルホニル−フェニル)−[4−(4−メタンスルホニル−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−メタノン
実施例4、工程fの合成について記載の手順に従って、標記化合物を2−イソプロポキシ−5−メタンスルホニル−安息香酸及び4−(4−メタンスルホニル−フェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジンから合成した。MS(m/e):495.4(M+NH、100%)
【0083】
実施例8
(2−シクロペンチルオキシ−5−メタンスルホニル−フェニル)−[4−(4−メタンスルホニル−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−メタノン
【0084】
【化17】

【0085】
8a:2−シクロペンチルオキシ−5−メタンスルホニル−安息香酸
実施例4、工程cの合成について記載の手順に従って、標記化合物を2−クロロ−5−メタンスルホニル−安息香酸及びシクロペンタノールから合成した。MS(m/e):282.9(M−H、100%)
【0086】
8b:(2−シクロペンチルオキシ−5−メタンスルホニル−フェニル)−[4−(4−メタンスルホニル−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−メタノン
実施例4、工程fの合成について記載の手順に従って、標記化合物を2−シクロペンチルオキシ−5−メタンスルホニル−安息香酸及び4−(4−メタンスルホニル−フェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジンから合成した。MS(m/e):503.9(M、100%)
【0087】
実施例9
3−[4−(4−クロロ−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボニル]−4−イソプロポキシ−ベンゾニトリル
【0088】
【化18】

【0089】
実施例4、工程fの合成について記載の手順に従って、標記化合物を5−シアノ−2−イソプロポキシ−安息香酸(CAS:845616-14-0)及び4−(4−クロロ−フェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン塩酸塩(市販)から合成した。MS(m/e):381.1(MH、100%)
【0090】
実施例10
[4−(4−クロロ−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−(2−シクロプロピルメトキシ−5−メタンスルホニル−フェニル)−メタノン
【0091】
【化19】


実施例4、工程fの合成について記載の手順に従って、標記化合物を2−シクロプロピルメトキシ−5−メタンスルホニル−安息香酸(CAS:845616-03-7)及び4−(4−クロロ−フェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン塩酸塩(市販)から合成した。MS(m/e):446.0(MH、100%)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
【化1】


[式中、
は、非芳香族複素環、又はOR’であり;
R’は、低級アルキル、ハロゲンで置換されている低級アルキル、又は−(CH−シクロアルキルであり;
は、NO、CN、又はSOR’’であり;
R’’は、低級アルキルであり;
Arは、フェニル(場合により、ハロゲン、シアノ、ハロゲンで置換されている低級アルキル、又はSOR’’で置換されている)であり;
nは、0、1、又は2である]
の化合物及び薬学的に活性な酸付加塩。
【請求項2】
が、モルホリンである、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項3】
化合物が、4−[1−(2−モルホリン−4−イル−5−ニトロ−ベンゾイル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル]ベンゾニトリル、(5−メタンスルホニル−2−モルホリン−4−イル−フェニル)−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−メタノン、又は
[4−(4−メタンスルホニル−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−(2−モルホリン−4−イル−5−ニトロ−フェニル)−メタノンである、請求項2記載の式Iの化合物。
【請求項4】
が、−O−低級アルキル(ハロゲンで置換されている)である、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項5】
化合物が、[5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−フェニル]−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−メタノンである、請求項4記載の式Iの化合物。
【請求項6】
が、−O−低級アルキルである、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項7】
化合物が、3−[4−(4−クロロ−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボニル]−4−イソプロポキシ−ベンゾニトリルである、請求項6記載の式Iの化合物。
【請求項8】
が、−O−(CH−シクロアルキルである、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項9】
化合物が、(2−シクロペンチルオキシ−5−メタンスルホニル−フェニル)−[4−(4−メタンスルホニル−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−メタノン、又は
[4−(4−クロロ−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−(2−シクロプロピルメトキシ−5−メタンスルホニル−フェニル)−メタノンである、請求項8記載の式Iの化合物。
【請求項10】
a)式
【化2】


の化合物を、式
【化3】


の化合物と、式III−1の化合物については活性化剤の存在下で、反応させて、

【化4】


[式中、halは、ハロゲン原子であり、Ar、R及びRは、上記と同義である]の化合物にすること、及び
所望であれば、得られた化合物を薬学的に許容されうる酸付加塩に変換することを含む、請求項1に定義された式Iの化合物を製造する方法。
【請求項11】
請求項10に記載した方法又は同等の方法により製造される、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか1項記載の1個以上の化合物と、薬学的に許容されうる賦形剤とを含む医薬。
【請求項13】
アルツハイマー病を処置するための、請求項12記載の医薬。
【請求項14】
アルツハイマー病を処置するための医薬を製造するための、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項15】
本明細書に記載の発明。

【公表番号】特表2008−526794(P2008−526794A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549822(P2007−549822)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【国際出願番号】PCT/EP2005/014052
【国際公開番号】WO2006/072432
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】