説明

GPS受信データの処理装置、処理方法及びプログラム

【課題】高架道路下などでGPS受信情報の測位遅れが発生した場合、その区間での速度は見かけ上遅くなり、次の区間での速度が見かけ上速くなる。すなわち、位置・時刻のデータに基づき算出した移動体の速度が、当該移動体の当該時刻前後の速度傾向に比べて離れてくる。
【解決手段】算出した速度を当該移動体の速度傾向に合わせるように前記移動体の位置・時刻のデータの時間ずれ補正を行うことにより、測位遅れを補正する。この補正データに基づき、移動体の速度、加速度などを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS(Global Positioning System)受信装置から得られる位置・時刻データを処理するGPS受信データの処理装置、処理方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両や歩行者などが、携帯電話機やPHS、PDAなどの無線通信が可能な可搬型GPS(Global Positioning System)受信装置を搭載又は携帯し、その車両や歩行者の位置情報を得ることが行われている。
【特許文献1】特開2005-115557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような位置情報を利用して、移動体の位置データや速度データを作成して、当該移動体の移動傾向(走行傾向)を分析・診断したり、あるいは簡易な地図ナビゲーションを行ったりするには、速度を算出し、その変化から加速度を算出する必要があるが、速度や加速度を算出するためには、位置精度が重要であるとともに、それに加えて測位時刻の精度の確保も重要になる。
【0004】
ところが、一般的なGPS受信機能においては、測位時刻が秒単位であり、測位に要する処理時間によって実測タイミングは、数十〜数百ミリ秒単位で変動している。そのため、単純に2点間の移動距離を取得時間の差で割って速度を求めると、数十%の誤差を含む。高架下の通過時などでは、誤差が1秒を超える場合もあり、求めた速度は真値の0.5〜2倍の値となり得る。
【0005】
そこで、本発明では、移動体の位置データや速度データに対して、測位時刻のずれを補正することのできるGPS受信データの処理装置、処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
また、位置誤差の影響を軽減するため、一般に、前後の複数の位置に基づいて平滑化処理が行われるが、位置データや速度データに対する位置誤差の影響は、単位時間当たりの移動量が小さな低速移動時では大きく、逆に高速移動時では単位時間当たりの移動量が大きいので影響は少なくなるという特性がある。
【0006】
そこで本発明は、移動体の速度を変数として、平滑化処理を行う際の位置の数を関連づけることで、GPS受信データに含まれる位置の誤差を軽減し、精度を上げることのできるGPS受信データの処理装置、処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のGPS受信データの処理装置は、GPS(Global Positioning System)受信情報を取得するGPS受信・測位部と、前記GPS受信情報に基づいて移動体の位置・時刻のデータを算出し、前記位置・時刻のデータに基づき移動体の速度を算出し、当該算出した速度が、当該移動体の当該時刻前後の速度傾向に比べて離れている場合に、その算出した速度を当該移動体の速度傾向に合わせるように前記移動体の位置・時刻のデータの時間ずれ補正を行う演算処理部とを備えるものである(請求項1)。
【0008】
この構成によれば、例えばGPS受信情報の測位遅れが発生した場合、その区間での速度は見かけ上遅くなり、次の区間での速度が見かけ上速くなる。すなわち、位置・時刻のデータに基づき算出した移動体の速度が、当該移動体の当該時刻前後の速度傾向に比べて離れてくる。そこでその算出した速度を当該移動体の速度傾向に合わせるように前記移動体の位置・時刻のデータの時間ずれ補正を行うことにより、測位遅れを補正することができる。
【0009】
なお、定常的にGPS位置情報に含まれる誤差は、真値を中心とした正規分布であり、平均化で誤差の影響を排除できるが、マルチパスや測位対象衛星の切り替え時などに発生する突発的な位置誤差は、打ち消しあう成分が近傍にないため、平均化で誤差を打ち消すことはできない。そのようなデータは前後で加速度の大きさがほぼ同じで向きが異なる。そこでこれらのデータを処理対象から削除することが望ましい(請求項2)。
【0010】
前記演算処理部は、連続する2つのデータの平均化処理を行い、平均化されたデータを新たに加えることにより、ばらつくデータを平滑化することができる(請求項3)。
前記演算処理部は、前記時間ずれ補正の行われた位置・時刻のデータに基づいて、一定周期ごとのデータが得られるようにデータの補間処理を行うことが望ましい(請求項4)。一定周期ごとのデータが得られれば、軌跡の補正処理や速度や加速度の算出処理を行いことが容易にできるようになる。
【0011】
また、本発明のGPS受信データの処理装置は、GPS受信情報を取得するGPS受信・測位部と、前記GPS受信情報に基づいて移動体の位置・時刻のデータを算出し、これらの位置・時刻のデータに基づき、多数点平均軌跡、少数点平均軌跡をそれぞれ算出し、前記多数点平均軌跡、少数点平均軌跡に対して、当該移動体の速度に応じた重み付き平均化を行うことにより、補正された移動体の位置・時刻のデータを得る演算部とを有することを特徴とする(請求項5)。
【0012】
この構成によれば、位置誤差の影響を軽減するため、前後の複数の位置に基づいて、平滑化処理を行うが、平滑化処理を行う位置の数が少なければ、移動軌跡に対する追従性が良好になり、平滑化処理を行う位置の数が多ければ、位置の誤差はさらに軽減する。そこで、連続した比較的少数の位置を平均化することにより位置誤差が平滑化された少数点平均軌跡と、更に平滑化範囲を広げた多数点平均軌跡を得る。そして、移動体が移動している時の、単位時間当たりの移動量(移動速度)に対するGPS位置計測誤差の割合は、移動体の速度によって異なるので、前記多数点平均軌跡、少数点平均軌跡に対して、当該移動体の速度に応じた重み付き平均化を行う。これにより、GPS位置計測誤差の影響が極力軽減された補正された移動体の位置・時刻のデータを得ることができる。
【0013】
前記演算部は、前記補正された移動体の位置・時刻のデータに基づき、速度計算を行う(請求項6)。これにより、精度の高い速度データを得ることができる。
なお、移動体が停止しているとき位置情報は、GPS位置データ誤差があるため、多数点平均軌跡でも微小な変動が現れる。この変動を避けるため、前記多数点平均軌跡の推定速度を算出し、推定速度が第一の基準速度以下となれば移動体は停止したと判定しその期間、位置・時刻のデータを得る演算を停止し、前記推定速度が第二の基準速度以上になり、かつ停止判断位置から基準半径以上の円外に出たならば移動体は移動を始めたと判定することとすれば(請求項7)、移動体の停止を確実に判定し、停止中に誤差の多い演算を行わないで済むことができる。なお、前記基準速度にはヒステリシスを与え、「第一の基準速度 < 第二の基準速度 」の関係とするとよい。
【0014】
また、請求項8,9記載の発明は、前記請求項1記載の発明と実質同一発明に係る方法及びプログラムの発明である。
また、請求項10,11記載の発明は、前記請求項5記載の発明と実質同一発明に係る方法及びプログラムの発明である。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明によれば、GPS受信情報の測位遅れを補正することができるので、ガード下、高架道路下、ビル陰などGPS測位ができない条件下でも、抜けのないデータを得ることができる。したがって、このデータに基づいて、停止判定や移動中の速度・加速度の分析が容易にできるようになる。
また、複数種類の移動体の平均軌跡を算出し、移動体の速度に応じて重み付き平均化を行うことにより、GPS位置計測誤差の影響が極力軽減された補正された移動体の位置・時刻のデータを得ることができる。したがって、このデータに基づいて、停止判定や移動中の速度・加速度の分析が容易にできるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
<可搬型GPS受信装置>
図1(a)は、本発明の可搬型GPS(Global Positioning System)受信装置の一実施形態に係るGPS受信機能付き携帯電話機(以下「GPS携帯電話機」という)1を示す外観図である。GPS携帯電話機1は運転者等が携帯して車両に持ち込むこともあり、歩行者が携帯することもある。この明細書では、GPS携帯電話機1を搭載して移動する車両、歩行者などを総称して「移動体」という。なお、可搬型GPS受信装置として、携帯電話機以外に、ノートパソコン、PDA(Personal Digital Assistant)などを用いても良い。
【0017】
図1(b)は、このGPS携帯電話機1に備えられている各機能を示すブロック図である。各機能を列挙すると、基地局と通信する通信機能11、GPS受信・測位機能12、マン−マシン入力機能(入力キー13、マイクなど)、マン−マシン出力機能(スピーカ14、表示器15など)、アプリケーションソフトウェア16、記憶機能17(内部メモリ又はSDカードなどの外部メモリ)などである。
【0018】
前記GPS受信・測位機能12は、GPS衛星からの電波を一定周期で(例えば1秒ごとに)受信して、当該移動体の位置・座標情報と、当該位置・座標情報にリンクする時刻の情報と(以下まとめて「GPS受信情報」という)を取得する機能である。なお、GPS携帯電話機1がGPS衛星からの電波を直接受信するとともに、携帯電話機システムキャリアの運営する基地局でGPS衛星からの電波を受けてその一部内容を、無線通信回線を通してGPS携帯電話機1に送信することにより、GPS携帯電話機1の受信負担を軽減するという運用方法も行われているので、本明細書で「GPS携帯電話機1がGPS衛星からの電波を受信する」と言うときは、GPS携帯電話機1がGPS衛星からの電波をダイレクトに受信する場合と、基地局から受信する場合との双方を含むものとする。
【0019】
以下、GPS携帯電話機1は車両に搭載されたものを想定する。
前記アプリケーションソフトウェア16は、前記マン−マシン入力機能を通して移動体の移動開始/終了等の指示を受けた場合に、GPS携帯電話機1に、次の(1)〜(3)の動作を行わせる。
(1)GPS受信・測位機能12を通してGPS受信情報の取得を行うこと、又はGPS受信情報の取得を停止すること、(2)取得したGPS受信情報に基づき、時間ずれ補正、異常データ削除、2点平均化、定周期化、多数点平均軌跡生成処理、少数点平均軌跡生成処理、多数点平均軌跡と少数点平均軌跡の混合処理、停止判定処理といった各処理を行い、補正された位置・時刻情報を得(これらの処理を一括して「データ補正推定処理」という)、これらの位置・時刻情報を、記憶機能17を使ってメモリに蓄積すること、(3)データ補正推定処理された位置・時刻情報に基づき、移動体の速度・加速度を算出し、算出した移動速度・加速度から、運転者の安全運転診断・省燃費運転診断を行うための診断指標を、当該運転者又は運行管理者が分かりやすい形で作成し、出力すること。
【0020】
図2は、前記アプリケーションソフトウェアの行う処理内容を説明するためのフローチャートであり、図3は、GPS携帯電話機1の表示器15に表示される各画面図である。
アプリケーションソフトウェアが起動すると、GPS携帯電話機1の表示器15に初期画面(図3(a))が表示される(ステップS1)。この画面で例えば運転者が入力キー13を使ってキー操作すると(ステップS2)、GPS携帯電話機1は、キー読取処理を行う(ステップS3)。キー入力内容が「運転」であれば(ステップS4)、GPS携帯電話機1のGPS受信・測位機能12を動作状態(アクティブ)にする(ステップS5)。そしてGPS携帯電話機1の表示器15に運転開始画面(図3(b))を表示させる(ステップS6)。
【0021】
ステップS5からS2に戻ると、ステップS5の処理に基づきGPS受信情報取得イベントが発生しているので、ステップS7に進む。ステップS7では、GPS受信・測位機能12に基づき、GPS受信情報を取得する。そして、このGPS受信情報に基づいてデータ補正推定処理を行う(ステップS8)。このデータ補正推定処理の詳細な内容は後述する。データ補正推定処理結果は、内部メモリ又はSDカードなどの外部メモリに蓄積される。
【0022】
次にステップS2に戻り、キー操作が行われれば、キー読取処理を行い(ステップS3)、キー入力内容が「終了」であれば(ステップS4)、GPS携帯電話機1のGPS受信・測位機能12を停止状態にする(ステップS10)。そして内部メモリ又は外部メモリからデータ補正推定処理結果を読み出して、診断指標生成処理を行い(ステップS11)、運転終了画面において診断指標を表示する(ステップS12)。
【0023】
図3(c)は、運転診断結果の表示画面である。表示内容は、移動距離、運転時間などの定型的な数字の他に、運転中データ補正推定処理の結果得られた移動速度・加速度を一定時間間隔又はイベント発生時に統計処理を行うことで、以下の(a)〜(d)などの項目を、連続した数値(点数、グラフ)、多段階の数値(点数、レベル、マーク)、コメント文等で表現している。なお、出力方法は、画面表示の他に、必要に応じてスピーカにより音声で行っても良い。
【0024】
(a) 加速及び減速:単位運転時間あたり、しきい値を超える正負の加速度がどれほどの回数現れたかを五段階評価する。
(b) 速度:一般道路又は高速道路移動中の平均速度を五段階評価する。
(c) 速度ムラ:速度データから読み取れる速度ムラ、すなわち平均値からの偏差の二乗平均(rms)値を五段階評価する。
【0025】
(d) 急ハンドル:設定速度以上で進入したカーブでの横Gを五段階評価する。
図3(d)は、運転診断履歴の表示画面である。この運転診断履歴は、前記図3(c)の運転診断結果の変化を、長期間(週・月など)にわたってグラフ化している。
これらの運転診断結果の表示により、算出した移動速度・加速度から、移動体の移動モニターとして安全運転診断・省燃費運転診断を行うための診断指標を、運転者又は運行管理者が分かりやすい形で作成し出力することができる。また、運転者が移動体を乗り換える場合であっても、移動体ごとに端末装置を備え付けておく必要がなくなるというコスト上の利点も得られる。
<移動分析診断システム1>
前述の実施形態では、GPS携帯電話機1で作成した診断指標をGPS携帯電話機1の表示器15に表示していたが、GPS携帯電話機1を、診断指標を蓄積管理する管理用パーソナルコンピュータ(以下「管理用パソコン」という)2に接続して、GPS携帯電話機1で作成した診断指標を、管理用パソコン2に伝送し、管理用パソコン2において、一台〜複数台の車両の診断指標情報を管理することもできる。
【0026】
図4は、GPS携帯電話機1と管理用パソコン2を含む移動分析診断システムのブロック図である。このシステムでは、GPS携帯電話機1を一台のみ表示しているが、複数台のGPS携帯電話機1が入れ替わり、もしくは同時に管理用パソコン2に接続される。
GPS携帯電話機1と管理用パソコン2との間のデータ通信手段として、GPS携帯電話機1に付属する通信手段又はその他の読取手段を用いることができる。前記通信手段として、電子メール(ショートメッセージを含む)、インターネットアクセス(VPNによるイントラネット接続を含む)、Bluetooth、IrDA(赤外線通信)、USBケーブル等を挙げることができ、前記読取手段として、メモリカード、バーコード(二次元バーコードを含む)等を挙げることができる。
【0027】
管理用パソコン2には、前記データ通信手段のインターフェースが搭載され、管理用パソコン本体21にデータを取り込めるようになっている。
管理用パソコン2は、取り込んだ運転診断データを分類してファイルとして管理する。この分類・管理のために、診断指標生成・分析用の固有アプリケーションを搭載しても良いが、搭載しないで、管理用パソコン2のオペレーティングシステム(OS)のファイル管理機能又は汎用アプリケーションのファイル管理機能を用いてもよい。
【0028】
図5は、この実施形態における、GPS携帯電話機1の診断指標データ伝送処理を示すフローチャートであり、図2からの変更部分を示している。
初期画面(図3(a))においてユーザが入力キー13を使ってキー操作すると(ステップT2)、GPS携帯電話機1は、キー読取処理を行う(ステップT3)。キー入力内容が「通信」であれば(ステップT4)、GPS携帯電話機1の診断指標データ送信機能を動作状態(アクティブ)にする(ステップT5)。そしてGPS携帯電話機1の表示器15に「送信中です」という文字を表示した処理開始画面を表示させる(ステップT6)。
【0029】
ステップT2に戻ると、診断指標送信イベントが発生しているので、ステップT7に進む。ステップT7では、通信電文作成処理又はその他の出力の準備を行い、ステップT8で、前記GPS携帯電話機1に付属する通信機能11を使って通信電文等のデータを送信するか、メモリカードに保存するか、又はGPS携帯電話機1の表示画面にバーコード表示する。そして、これらのいずれかの処理が終了すると、処理終了画面を表示する(ステップT9)。
【0030】
管理用パソコン2は、このデータを受信するか、メモリカードもしくはバーコードのデータを読み取ると、ハードディスクなどの記憶装置23にこのデータを記憶する。
診断指標データファイルは、運転者別、ドライブ日別に記憶され管理される。そして、ユーザの操作に基づき、前記「固有アプリケーション」、「オペレーティングシステム(OS)のファイル管理機能」又は「汎用アプリケーションのファイル管理機能」を用いて、このデータを表示させ、もしくは印字させることができる。
【0031】
図6は、管理用パソコン2において表示したデータ一覧の表示下面の例を示す。
<移動分析診断システム2>
次の実施形態は、GPS携帯電話機1と管理用パソコン2とを接続して、GPS携帯電話機1で収集したGPS受信情報や、データ補正推定処理結果である補正された位置・時刻情報、この位置・時刻情報に基づいて算出した速度・加速度情報を管理用パソコン2に伝送し、管理用パソコン2において、複数台の車両の移動情報を作成し、管理する形態である。
【0032】
図7は、この実施形態にかかるGPS携帯電話機1と管理用パソコン2とで構成される移動分析診断システムのブロック図である。このシステムでは、GPS携帯電話機1を一台のみ表示しているが、複数台のGPS携帯電話機1が入れ替わり接続されることもあり、もしくは同時に管理用パソコン2に接続されることもある。データ通信手段は、前に説明したとおり電子メール、インターネットアクセス、Bluetooth、IrDA、USBケーブル又はその他の方法(メモリカード、バーコード等)を用いることができる。
【0033】
管理用パソコン2は、取り込んだデータを用いて、当該車両の診断指標を作成する。この作成のために、診断指標生成・分析用アプリケーションを搭載している。
図8は、管理用パソコン2における、診断指標生成・分析用アプリケーションの処理の流れを説明するためのフローチャートである。
管理用パソコン2で診断指標生成・分析用アプリケーションを起動すると、初期画面において、データ取得、データ検索、帳票出力、詳細分析等の各メニューが現れる(ステップU1)。ユーザが入力キー13を使っていずれかのメニューを選択する(ステップU2)。
【0034】
データ取得メニューが選択されれば、診断指標生成・分析用アプリケーションは、前記データ通信手段、すなわち電子メール、インターネットアクセス、Bluetooth、IrDAなどの通信手段又はメモリカード、バーコードなどの読取手段経由でGPS携帯電話機1のデータを取得する(ステップU3)。そしてGPS携帯電話機1の端末ID、データのタイムスタンプなどにより運転者別、車両別、時間別などに分類し、記憶装置23にこのデータを記憶させる(ステップU4)。
【0035】
データ検索が選択されれば、検索条件の入力を受け付ける(ステップU5)。検索条件には、例えば運転者名、車両、日付などがある。管理用パソコン2は、入力された検索条件を基にして、記憶装置のデータベースを検索し、検索結果を画面に表示する(ステップU6)。
帳票出力が選択されれば、帳票の種類と検索条件の選択画面が表示される(ステップU7)。帳票の種類には、安全指標月報、運転月報、安全指標推移、運転推移などがある。
【0036】
安全指標月報、運転月報は、前記運転診断結果である加速及び減速、速度、速度ムラ、急ハンドルなどの評価内容を、月ごとに統計処理したものである。この帳票イメージの画面表示例を図9に示す。運転診断指標が1か月分の月報という形で表されている。減速、速度、速度ムラ、急ハンドルなどの評価内容が一目で分かるようにグラフ化されて表示されている。この画面表示に、「高速道路の速度をもう少し落とすと経済的です。カーブでは十分減速して進入しましょう。先読み運転でブレーキの使用を抑えるとさらによいでしょう」などのコメントを付しても良い。
【0037】
安全指標推移、運転推移は、前記運転診断履歴である加速及び減速、速度、速度ムラ、急ハンドルなどの運転診断履歴を一覧にしたものである。
管理用パソコン2は、選択された条件で、帳票イメージを促成し、画面表示及びプリンタ出力する(ステップU8)。
詳細分析メニューが選択されれば、詳細分析の種類と検索条件の選択画面を表示する(ステップU9)。詳細分析の種類には、速度、加減速、カーブ、状態などがある。「状態」とは、車両の移動中、給油中、停車中などの各状態をいう。管理用パソコン2は、選択された条件で、分析結果を画面表示する(ステップU10)。図10は、ある運転者の速度、加減速、カーブ、状態の画面表示例である。横軸に時間をとり、速度、加減速、カーブ、状態の時間変化が一目で分かるようにグラフ化して表示している。
【0038】
この管理用パソコン2の診断指標生成・分析用アプリケーションにより詳細な運転傾向分析を行うことができ、車両ごとに精度の高い診断指標を作成することができる。
また、統計的に同じ場所で、急減速、急ハンドルを行った車両が多く存在した場合、その場所を危険箇所として表示することもできる。
<移動分析診断システム3>
次の実施形態は、GPS携帯電話機1本体で収集・蓄積したGPS受信情報(時刻、位置情報)、速度・加速度情報を、管理用パソコン2に、GPS携帯電話機1の通信機能11(電子メール又はインターネットアクセス)を使って送信することにより、管理用パソコン2のアプリケーションにおいて、詳細な運転傾向分析をリアルタイムに行うことができるシステムである。
【0039】
図11は、この実施形態にかかるGPS携帯電話機1と管理用パソコン2とを含む移動分析診断システムのブロック図である。
このシステムでは、GPS携帯電話機1を一台のみ表示しているが、複数台のGPS携帯電話機1が入れ替わり接続されることもあり、もしくは複数台のGPS携帯電話機1が同時に管理用パソコン2に接続されることもある。データ通信手段には、リアルタイムのデータ通信手段である電子メール、インターネットアクセス、Bluetooth、IrDA、USBケーブル等を用いることができる。
【0040】
管理用パソコン2は、取り込んだデータを用いて、当該車両の診断指標を作成する。この作成のために、診断指標生成・分析用アプリケーションを搭載している。
図12は、管理用パソコン2における診断指標生成・分析用アプリケーションの処理の流れを説明するためのフローチャートであり、図8のフローチャートに追加する部分を示している。
【0041】
管理用パソコン2で診断指標生成・分析用アプリケーションを起動すると、当該アプリケーションは、タイマーを使って定期的にデータを取得しに行くとともに、初期画面において、リアルタイム端末表示、リアルタイム端末表示画面更新の各メニューを表示する(ステップV2)。
データ取得タイミングになれば、アプリケーションは、前記リアルタイムのデータ通信手段経由でGPS携帯電話機1のデータを取得する(ステップV3)。そしてGPS携帯電話機1の端末ID、移動データに付加されているタイムスタンプなどによりデータを分類し、記憶装置23にこのデータを記憶させる(ステップV4)。次に、記憶したデータに基づき速度、加速度、診断指標を監視し、適正範囲外の端末に警告マークを付ける(ステップV5)。さらに、リアルタイム端末情報表示画面更新イベントを登録する(ステップV6)。
【0042】
ステップV2に戻り、リアルタイム端末表示画面更新イベントが登録されているので、アプリケーションは、最新の端末情報(位置、速度、加速度、診断指標)をデータベースから取得し、表示内容を更新する(ステップV9)。警告マークが付いた端末情報が出現すれば、ハイライト表示等で利用者に通知する(ステップV10)。
ユーザが初期画面において、入力キー13を使ってリアルタイム端末表示メニューを選択すると、アプリケーションは、最新の端末情報(位置、速度、加速度、診断指標)を前記データベースから取得し、一覧形式・地図形式で表示する(ステップV7)。警告マークが付いた端末情報があれば、ハイライト表示等で利用者に通知する(ステップV8)。例えば、「端末1は運転が粗く、危険運転の傾向があります」といつた警告である。
【0043】
図13は、リアルタイム状況の画面表示例である。画面では各車両の現在の位置が表示されているとともに、各車両の状態、速度、運転診断指標がリアルタイムで表示される。また、通知メッセージが表示される。その例として「警告アラームの出ている端末はありません」などがあげられる。
このシステムにより、リアルタイムに複数端末の挙動を把握することができるため、診断指標を作成・管理するのみならず、安全運転また省燃費運転のための指導を随時行うことができる。
<GPS受信情報の補正推定処理>
次に、GPS受信情報を利用して移動速度・加速度を移動体の移動モニターとして運用上問題のない精度で算出するために、GPS受信情報の時刻及び位置を補正し、移動速度・加速度を推定により算出する処理を説明する。この処理では、次の2つの処理(1次処理、2次処理)を行い、時刻・位置を確定させ、確定した時刻・位置に基づき2地点の時刻差と移動距離とから速度・方位を算出する。加速度は速度を微分することで算出する。
【0044】
これらの各部の機能の全部又は一部は、CD−ROMやハードディスクなど所定の媒体に記録されたプログラムを、GPS受信データの処理装置のコンピュータが実行することにより実現される。GPS受信データの処理装置として、前記管理用パソコン2を用いることができるので、以下、前記管理用パソコン2を用いることを想定して説明を進める。
図14は、GPS受信情報の補正推定処理の概要を示すフローチャートである。
【0045】
まず、1次処理(ステップW1)では、時間ずれ補正、異常データ削除、2点平均化、定周期化の各処理を行い、得られた定周期データを記憶装置23に保存する。
次に、2次処理(ステップW2)で、低速フィルタリング、高速フィルタリングを行い、多数点平均軌跡、少数点平均軌跡を記憶装置23に保存する。そしてこれらの軌跡データを用いて混合処理、停止判定処理を行い、補正データを得て記憶装置23に保存する。
【0046】
最後に速度・加速度計算を行い(ステップW3)、速度・加速度データを記憶装置23に保存する。
(1)一次処理
(1−1)時間ずれ補正処理
GPS携帯電話機1では、電話・電子メール・ウェブアクセスなどのGPS携帯電話機本来の機能とGPS受信機能能とを一台で共有しているため、高架下通過や、基地局との通信中はGPS受信が出来ないものが多い。そのため、測位時間のずれが生じることがある。そこで、その算出した速度を当該移動体の速度傾向に合わせるように前記移動体の位置・時刻のデータの時間ずれ補正を行う。
【0047】
測位遅れが発生した場合、その区間での速度は見かけ上遅くなり、次の区間での速度が見かけ上速くなる。そこで2区間の速度を平均化することで、測位遅れを補正する。
具体的には、GPS受信情報(時刻Tn、経度Xn、緯度Ynとする)(nはGPS受信情報取得時刻を表す添え字である)に対し、直前(n-1)のGPS受信情報との移動ベクトルから、速度Vnを算出する。
【0048】
【数1】

【0049】
図15(a)は、時間に対する移動距離をプロットしたグラフであり、図15(b)は、時間に対する速度をプロットしたグラフである。図15(a)のように、移動距離のグラフに凸凹が現れている場合、図15(b)のように速度も、その区間の速度傾向V0に比べてかけ離れてくる。この場合に、破線矢印のように時間を補正する。
例えば、隣接する2点の時刻差と移動距離から算出した速度Vnの変化量がその区間の速度傾向に比べて、例えば1.25倍以上、0.8倍未満であった場合は、時間ズレありとみなし、区間内の測位時刻を調整し取得時刻のズレを平均化する。なお、「その区間の速度傾向」とは、当該時刻に対応する地点の前後に位置するk地点(k−1区間)における速度の平均値とする。kは例えば3〜6点とする。補正式は、
【0050】
【数2】

【0051】
で表される。この式において、Lnは区間(n-1,n)での移動距離、T′nは補正後の時間である。この補正式[数2]は、T′n-2からTnまでの時間を、移動距離の比で内分することを表している。
(1−2)異常データ削除処理
定常的にGPS位置情報に含まれる誤差は、真値を中心とした正規分布であり、平均化で誤差の影響を排除できるが、マルチパスや測位対象衛星の切り替え時などに発生する突発的な位置誤差は、打ち消しあう成分が近傍にないため、平均化で誤差を打ち消すことはできない。そのデータを処理対象から削除する必要がある。
【0052】
図16(a)は、移動軌跡のデータであり、東(X方向)への移動中に、ビル影などの影響で測位点の1つが、大きく北(Y方向)へずれた場合を示すグラフである。一番緯度の大きなデータが異常点である。
図16(b)は緯度成分の速度(VY)を示すグラフである。速度変化を見ると、異常点で突出している。異常点の前後では、加速度の大きさがほぼ同じで向きが異なる。異常点の前後での速度変化(加速度)を和するとほぼ0になる。このような点を異常点と判断する。
【0053】
図16(c)は異常点を削除した移動軌跡のグラフである。
(1−3)2点平均化
GPS受信情報にはランダムな位置誤差が含まれているので、前述の時間ずれ補正処理をし、異常データを削除したデータに対して、中央1点の受信時刻を両端2点の中間値とすることで位置・時間を平均化する処理を行う。
【0054】
単純化するためにモデルとして、図17に示すように、車両が3つの位置(以下「点」という)が連続して検出されている場合を考える。これらの点P1,P2,P3をつなぐ2区間を(P1,P2)、(P2,P3)とする。点P2において、P3方向にΔL分の誤差があったとすれば、P1P2の距離はΔL増加し、P2P3の距離はΔL少なくなる。このように隣接する区間では誤差は逆相になるので、2点平均を行うことで誤差の影響を抑制する。
【0055】
具体的には、区間(P1,P2)において、中間点Q2=(P1+P2)/2を決定し、区間(P2,P3)において、中間点Q3=(P2+P3)/2を決定する。一般的に表現すると、中間点Qn=(Pn-1+Pn)/2を決定する。これらの中間点列に基づいて、以下の処理を行うことにより、位置誤差の影響を軽減することができる。
(1−4)時間間隔の一定化(定周期化)
前述の時間ずれ補正処理の結果、時間間隔が不定周期になる。そこで、後の2次処理を行いやすくするため、一定時間間隔(例;1秒間隔)の位置情報となるように、時刻と位置を比例配分により補間する。
【0056】
図18(a)は、車両の軌跡をプロットしたグラフである。横軸を経度X、縦軸を緯度Yにとっている。
図18(b),(c)は、位置情報を緯度・経度の2成分に分け、前段の時間ずれ補正処理の結果、時間間隔が不定周期になった様子を示すグラフである。図18(b)は横軸に時間T、縦軸に経度Xをとっている。図18(c)は横軸に時間T、縦軸に緯度Yをとっている。
【0057】
図18(b),(c)で時間Tnは一定周期になっていないので、次の関係を満たす一定周期(1秒)となる点Tmを追加する。
【0058】
【数3】

【0059】
Tmに相当する経度Xmを求めるには、図18(b)に示すように、その前後2点(Tn-1,Xn-1)(Tn,Xn)を直線で結び、この直線と縦軸T=Tmとの交点を求めればよい。また、Tmに相当する経度Ymを求めるには、図18(c)に示すように、その前後2点(Tn-1,Yn-1)(Tn,Yn)を直線で結び、この直線と縦軸T=Tmとの交点を求めればよい。
【0060】
それぞれ求めた緯度、経度に基づいて、一定周期(1秒)の位置データ群を生成したグラフが、図18(d)である。このように、一定時間間隔の位置列が得られる。
なお、GPS受信特性によっては2点ではなく3点以上の加重平均を用いても良い。
(2)2次処理
(2−1)速度域に応じたフィルタリング
1次処理で求めた一定時間ごとの車両の位置列に対して、連続したn点で時刻及び位置を加重平均して位置誤差が平滑化された位置列を得る少数点平均操作、更に平滑化範囲を広げたm点(m>n)で時刻及び位置を加重平均して位置誤差が平滑化された位置列を得る多数点平均操作を行う。
【0061】
平均化対象点数n、mは、GPS受信機能、受信環境による精度によって可変とすることもできる。この実施例では例えばn=2、m=8と設定する。
まず1次処理で得られた位置列(時刻Tn、経度Xn、緯度Ynとする)において、各座標値Xn,Ynの2点平均の位置列Anを生成する。このAnを「少数点平均軌跡」という。
【0062】
【数4】

【0063】
次に、2点平均データを用いて、同様に4点平均データBnを生成する。
【0064】
【数5】

【0065】
次に、4点平均データを用いて、同様に8点平均データCnを生成する。このCnを「多数点平均軌跡」という。
【0066】
【数6】

【0067】
多数点平均軌跡Cn(Tn、Xn、Yn)において、直前データとの移動ベクトルから多数点平均軌跡Cnに基づく速度Vnを算出する。
【0068】
【数7】

【0069】
(2−2)混合処理(平均化処理)
多数点平均軌跡Cnと少数点平均軌跡Anを、同時刻において加重平均し、位置座標列Dnを生成する。平均するときの重み係数(混合比)αは、多数点平均軌跡の速度Vnの関数とする。
ここで、低速−高速フィルタリング100%切替点であるVaを設定する。この低速−高速フィルタリング100%切替点Vaの設定基準は、次のようにする。
【0070】
GPS位置データ誤差を例えば6mとした場合、1秒間隔測位では時速21.6km/hに相当する誤差となる。この速度以下で移動すると、誤差の影響が大きく、この速度以上で移動すると、誤差の影響が小さくなると考える。よって、その速度21.6km/hで重み係数αが50%近辺になるように設定する。したがって、その速度21.6km/hの2倍である43.2km/hが低速−高速フィルタリング100%切替点Vaになる。上のVaの求め方は、GPSの測位精度など仮定上のものであり、実際には、運用してみてその実績から最適な混合比を求めるとよい。
【0071】
重み係数αは(1−Vn/Va)で表される。図19は、αの求め方を図解したグラフであり、この重み係数αを使えば、加重平均された位置座標列Dnは、
Vn<Vaのとき
Dn=(1−α)An+αCn
Vn≧Vaのとき
Dn=An
で表される。
【0072】
このように低速時には多数点平均軌跡Cnに重きを置き、高速時には少数点平均軌跡Anに重きを置くという重み付け平均化処理を行うのは、低速移動時は、単位時間当たりの移動量(移動速度)に対するGPS位置計測誤差(例えば前記6m)の割合が高速時よりも大きいからである。例えば毎秒10m(時速36km/h)で移動すれば、GPS位置計測誤差の移動量に対する比率は6/10=0.6にもなり、誤差の比率は高い。したがって、低速移動中は、多数点で誤差が平滑化されている多数点平均軌跡Cnに比重を置く。
【0073】
高速移動時は、単位時間当たりの移動量に対するGPS位置計測誤差の割合が小さくなる。したがって、高速移動中は、移動軌跡に対する追従性の大きな少数点平均軌跡結果に比重を置く。
図20は、重み付き平均化処理を図解した地図であり、横軸に経度(X)、縦軸に緯度(Y)をとり、三種類の位置座標列An,Cn,Dnの関係を示す。
【0074】
なお、前記例では、少数点平均と多数点平均との2つのフィルタリング結果を混合しているが、多数点平均軌跡Cn、中数点平均軌跡Bn、少数点平均軌跡Anを用い、これらの3種以上のフィルタリング結果を混合してもよい。このとき低速移動時は、多数点平均軌跡Cnと中数点平均軌跡Bnとの重み付き平均化を行い、高速移動時は、中数点平均軌跡Bnと少数点平均軌跡Anとの重み付き平均化を行う。
(2−3)停止判定処理
停止中の位置情報は、GPS位置データ誤差があるため、多数点平均軌跡でも微小な変動が現れる。この変動を抑えるため、停止を判断して、停止中は速度・加速度の計算を行わない手順を設ける。
【0075】
この判定条件には、多数点平均軌跡での前記推定速度Vnを用いる。移動→停止判定には、推定速度Vnが第一の基準速度S0 km/h以下となることを条件とし、停止→移動判定には、推定速度Vnが第二の基準速度S1 km/h以上になり、かつ停止判断位置から基準半径Rm以上の円外に出たことを条件とする。
前記基準速度にはヒステリシスを与え、「第一の基準速度S0 < 第二の基準速度S1 」の関係とする。例えば歩行速度程度の移動速度(4km/h)を検出するためには、第二の基準速度S1を4km/hより10%低い3.6km/hとし、S0をその0.75倍の2.7km/hとする。距離半径Rは位置の平均誤差が6mの場合は、誤差以上となるようにその1.25倍の7.5mとする。もちろん、これらの値は一例であり、実際の受信誤差を評価し、実際に運用してみた結果を考慮して経験に定めるとよい。
【0076】
上記判定処理の結果、停止判定位置と移動判定位置は異なることになるが、その間は速度・加速度の計算対象とはしないので問題ない。
(3)速度・加速度計算
前記2次処理で確定した2地点の位置・時刻に基づき、時刻差と移動距離とから速度・方位を算出する、加速度は速度を微分することで算出する。
【0077】
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、前記の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】(a)は、本発明の可搬型GPS受信装置の一実施形態に係るGPS携帯電話機1の外観図であり、(b)は、このGPS携帯電話機1に備えられている各機能を示すブロック図である。
【図2】GPS携帯電話機1で行われる診断指標データ作成処理内容を説明するためのフローチャートである。
【図3】GPS携帯電話機1の表示器15に表示される各画面図である。
【図4】GPS携帯電話機1と管理用パソコン2とを含む移動分析診断システムのブロック図である。
【図5】GPS携帯電話機1の診断指標データ伝送処理を示すフローチャートである。
【図6】管理用パソコン2において表示したデータ一覧画面の表示例である。
【図7】GPS携帯電話機1と管理用パソコン2とで構成される移動分析診断システムのブロック図である。
【図8】管理用パソコン2における、診断指標生成・分析用アプリケーションの処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図9】帳票イメージの画面表示例である。
【図10】詳細分析の画面表示例である。
【図11】GPS携帯電話機1と管理用パソコン2とを含む移動分析診断システムのブロック図である。
【図12】管理用パソコン2における診断指標生成・分析用アプリケーションの処理の流れを説明するためのフローチャートであり
【図13】リアルタイム状況の画面表示例である。
【図14】GPS受信情報の補正推定処理の概要を示すフローチャートである。
【図15】(a)は、時間に対する移動距離をプロットしたグラフであり、(b)は、時間に対する速度をプロットしたグラフである。
【図16】異常点の削除処理を示すグラフであり、(a)は移動軌跡のデータ、(b)は速度のグラフ、 (c)は異常点を削除した移動軌跡のグラフである。
【図17】2点平均化処理を示すグラフである。
【図18】定周期化処理を示すグラフであり、(a)は、車両の軌跡をプロットしたグラフ、(b),(c)は、位置情報を緯度・経度の2成分に分け、前段の時間ずれ補正処理の結果、時間間隔が不定周期になった様子を示すグラフ、(d)は一定周期(1秒)の位置を示すグラフである。
【図19】重み係数αの求め方を図解したグラフである。
【図20】重み付き平均化処理を図解した地図である。
【符号の説明】
【0079】
1 GPS携帯電話機
11 通信機能
12 GPS受信・測位機能
13 入力キー
14 スピーカ
15 表示器
16 アプリケーションソフトウェア
17 記憶機能
21 管理用パソコン本体
22 管理用パソコン表示画面
23 記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS(Global Positioning System)受信情報を取得するGPS受信・測位部と、
前記GPS受信情報に基づいて移動体の位置・時刻のデータを算出し、前記位置・時刻のデータに基づき当該移動体の速度を算出し、当該算出した速度が、当該移動体の当該時刻前後の速度傾向に比べて離れている場合に、その算出した速度を当該移動体の速度傾向に合わせるように前記移動体の位置・時刻のデータの時間ずれ補正を行う演算処理部とを備えることを特徴とするGPS受信データの処理装置。
【請求項2】
前記演算処理部は、前後で加速度の大きさがほぼ同じで向きが異なる異常データを処理対象から削除する請求項1記載のGPS受信データの処理装置。
【請求項3】
前記演算処理部は、連続する2つのデータの平均化処理を行い、平均化されたデータを処理対象に新たに加える請求項1又は請求項2記載のGPS受信データの処理装置。
【請求項4】
前記演算処理部は、前記時間ずれ補正の行われた位置・時刻のデータに基づいて、一定周期ごとのデータが得られるようにデータの補間処理を行う請求項1から請求項3のいずれかに記載のGPS受信データの処理装置。
【請求項5】
GPS(Global Positioning System)受信情報を取得するGPS受信・測位部と、
前記GPS受信情報に基づいて移動体の位置・時刻のデータを取得し、これらの位置・時刻のデータに基づき、多数点平均軌跡、少数点平均軌跡をそれぞれ算出し、
前記多数点平均軌跡、少数点平均軌跡に対して、当該移動体の速度に応じた重み付き平均化を行うことにより、補正された移動体の位置・時刻のデータを得る演算部とを有することを特徴とするGPS受信データの処理装置。
【請求項6】
前記演算部は、補正された移動体の位置・時刻のデータに基づき速度計算を行う請求項5記載のGPS受信データの処理装置。
【請求項7】
前記演算部は、前記多数点平均軌跡の推定速度を算出し、この推定速度が第一の基準速度以下となれば移動体は停止したと判定して、その期間、位置・時刻のデータを得る演算を停止し、前記推定速度が第二の基準速度以上になり、かつ停止判断位置から基準半径以上の円外に出たならば移動体は移動を始めたと判定する請求項5又は請求項6記載のGPS受信データの処理装置。
【請求項8】
GPS(Global Positioning System)受信情報を取得し、
前記GPS受信情報に基づいて移動体の位置・時刻のデータを算出し、
前記位置・時刻のデータに基づき当該移動体の速度を算出し、
当該算出した速度が、当該移動体の当該時刻前後の速度傾向に比べて離れている場合に、その算出した速度を当該移動体の速度傾向に合わせるように前記移動体の位置・時刻のデータの時間ずれ補正を行うことを特徴とするGPS受信データの処理方法。
【請求項9】
コンピュータに搭載されて使用されるプログラムであって、
GPS(Global Positioning System)受信情報を取得するステップと、
前記GPS受信情報に基づいて移動体の位置・時刻のデータを算出するステップと、
前記位置・時刻のデータに基づき当該移動体の速度を算出するステップと、
当該算出した速度が、当該移動体の当該時刻前後の速度傾向に比べて離れている場合に、その算出した速度を当該移動体の速度傾向に合わせるように前記移動体の位置・時刻のデータの時間ずれ補正を行うステップとを備えることを特徴とするGPS受信データの処理プログラム。
【請求項10】
GPS(Global Positioning System)受信情報を取得し、
前記GPS受信情報に基づいて移動体の位置・時刻のデータを取得し、
これらの位置・時刻のデータに基づき、多数点平均軌跡、少数点平均軌跡をそれぞれ算出し、
前記多数点平均軌跡、少数点平均軌跡に対して、当該移動体の速度に応じた重み付き平均化を行うことにより、補正された移動体の位置・時刻のデータを得ることを特徴とするGPS受信データの処理方法。
【請求項11】
コンピュータに搭載されて使用されるプログラムであって、
GPS(Global Positioning System)受信情報を取得するステップと、
前記GPS受信情報に基づいて移動体の位置・時刻のデータを取得するステップと、
これらの位置・時刻のデータに基づき、多数点平均軌跡、少数点平均軌跡をそれぞれ算出するステップと、
前記多数点平均軌跡、少数点平均軌跡に対して、当該移動体の速度に応じた重み付き平均化を行うことにより、補正された移動体の位置・時刻のデータを得るステップとを備えることを特徴とするGPS受信データの処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−275338(P2008−275338A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−115950(P2007−115950)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(504126112)住友電工システムソリューション株式会社 (78)
【Fターム(参考)】