説明

GPS妨害電波位置特定システム及びGPS妨害電波位置特定方法

【課題】本発明は、GPS妨害電波位置特定システム及びGPS妨害電波位置特定方法に係り、GPS電波を妨害する妨害電波を発信する妨害電波発信源の位置をその受信強度の大きさに関係なく特定することにある。
【解決手段】移動体が、衛星から送信されるGPS電波に含まれるGPS情報に基づいて位置を特定する位置特定手段と、GPS電波の受信状態の良否を判定する受信状態判定手段と、を有し、また、その受信状態が不良状態から良状態へ変化したとき又は/及び良状態から不良状態へ変化したときに特定される位置を示す情報を送信する。また、サーバが、移動体の情報送信手段から送信される位置を示す情報を受信し、その受信された位置を示す情報に基づいてGPS電波が妨害される妨害電波エリアを作成し、そして、その妨害電波エリア内にGPS電波を妨害する妨害電波を発信する妨害電波発信源が存在すると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS妨害電波位置特定システム及びGPS妨害電波位置特定方法に係り、特に、GPS電波を妨害する妨害電波を発信する妨害電波発信源の位置を特定するうえで好適なシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、妨害電波などのノイズの発生源の位置を特定する位置特定システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この位置特定システムにおいては、サーバが、基地局の受信強度が閾値以上となった場合に、その受信強度と隣接の基地局の受信強度とに相関関係があるか否かを判別する。そして、その相関関係がなかった場合には、閾値以上となった受信強度を測定した基地局の近傍に違法電波局が位置していると推定する。一方、その相関関係があった場合には、両基地局間に違法電波局が位置していると推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−142750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両などの移動体に受信されるGPS電波を妨害する手法としては、盗難された移動体の位置を衛星からのGPS電波を用いて特定させないために、GPS電波をその盗難移動体が受信できないようにGPS電波に妨害電波を重畳させることや、特定される位置を混乱させるために、偽のGPS電波を移動体に向けて送ることが考えられる。これらの妨害電波や偽のGPS電波は、信号強度の高い電波である必要はなく、微弱の電波で十分である。
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1記載のシステムでは、妨害電波発信源の位置を特定するのに、基地局に受信される妨害電波の信号強度が閾値以上となることが必要であるので、妨害電波の信号強度が閾値未満であるときは妨害電波発信源の位置を特定することができなくなってしまう。
【0006】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、GPS電波を妨害する妨害電波を発信する妨害電波発信源の位置をその受信強度の大きさに関係なく特定することが可能なGPS妨害電波位置特定システム及びGPS妨害電波位置特定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は、衛星から送信されるGPS電波に含まれるGPS情報に基づいて位置を特定する位置特定手段と、前記GPS電波の受信状態の良否を判定する受信状態判定手段と、前記受信状態判定手段により判定される前記受信状態が不良状態から良状態へ変化したとき又は/及び良状態から不良状態へ変化したときに前記位置特定手段により特定される位置を示す情報を送信する情報送信手段と、を有する移動体と、前記移動体の前記情報送信手段から送信される前記情報を受信する情報受信手段と、前記情報受信手段に受信される前記情報に基づいて前記GPS電波が妨害される妨害電波エリアを作成する妨害電波エリア作成手段と、前記妨害電波エリア作成手段により作成された前記妨害電波エリア内に前記GPS電波を妨害する妨害電波を発信する妨害電波発信源が存在すると判定する妨害電波発信源特定手段と、を有するサーバと、を備えるGPS妨害電波位置特定システムにより達成される。
【0008】
また、上記の目的は、移動体が、衛星から送信されるGPS電波に含まれるGPS情報に基づいて位置を特定する位置特定ステップと、移動体が、前記GPS電波の受信状態の良否を判定する受信状態判定ステップと、移動体が、前記受信状態判定ステップにおいて判定される前記受信状態が不良状態から良状態へ変化したとき又は/及び良状態から不良状態へ変化したときに前記位置特定ステップにおいて特定される位置を示す情報をサーバへ送信する情報送信ステップと、サーバが、前記情報送信ステップにおいて送信される前記情報を受信する情報受信ステップと、サーバが、前記情報受信ステップにおいて受信される前記情報に基づいて前記GPS電波が妨害される妨害電波エリアを作成する妨害電波エリア作成ステップと、サーバが、前記妨害電波エリア作成ステップにおいて作成された前記妨害電波エリア内に前記GPS電波を妨害する妨害電波を発信する妨害電波発信源が存在すると判定する妨害電波発信源特定ステップと、を備えるGPS妨害電波位置特定方法により達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、GPS電波を妨害する妨害電波を発信する妨害電波発信源の位置をその受信強度の大きさに関係なく特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例であるGPS妨害電波位置特定システムの構成図である。
【図2】本実施例のGPS妨害電波位置特定システムにおいて実行される制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【図3】本実施例におけるGPS妨害電波位置特定方法の手法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて、本発明に係るGPS妨害電波位置特定システム及びGPS妨害電波位置特定方法の具体的な実施の形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施例であるGPS妨害電波位置特定システム10の構成図を示す。本実施例のGPS妨害電波位置特定システム10は、車両位置を特定するうえで用いられるGPS衛星からのGPS電波を妨害する妨害電波を発信する妨害電波発信源の位置を特定するシステムである。
【0013】
図1に示す如く、本実施例のGPS妨害電波位置特定システム10は、GPS電波を用いて位置が検出される車両12と、情報提供センタなどに設けられるサーバ14と、を備えている。尚、車両12は、位置検出を行うナビゲーション装置を搭載するすべての車両であることが望ましいが、そのうちの少なくとも一台の車両であればよい。尚、本実施例では、車両12は、複数存在するものとする。
【0014】
各車両12はそれぞれ、ナビゲーション装置16を有している。ナビゲーション装置16は、GPSアンテナを有しており、GPSアンテナでGPS衛星から送信されるGPS電波を受信することが可能である。ナビゲーション装置16は、受信したGPS電波に基づいて衛星航法の原理に従って自車両の存在する位置(緯度,経度)を検出する。尚、ナビゲーション装置16は、GPS電波を用いて自車両の位置を検出できないときなどは、自車両のヨー角(方位)に基づいて自立航法の原理に従って自車両の存在する位置を検出することが可能である。
【0015】
ナビゲーション装置16は、道路の地図データが格納されたハードディスクなどの記録装置を有している。ナビゲーション装置16は、記録装置内の地図データを読み出して、検出した自車両位置を示すマークを、表示部に表示されている地図上に重畳して表示させると共に、検出した自車両位置に従って自車両運転者に対して音声案内を行う。
【0016】
ナビゲーション装置16は、コンピュータを主体に構成された演算装置18に接続されている。ナビゲーション装置16において検出された自車両位置の情報は、演算装置18に供給される。演算装置18は、ナビゲーション装置16から供給される情報に基づいて自車両の位置を把握する。また、ナビゲーション装置16のGPSアンテナにおけるGPS電波の受信状態を示す情報は、演算装置18に供給される。演算装置18は、ナビゲーション装置16から供給される情報に基づいてGPS電波の受信状態を検出する。例えば、GPS電波の受信強度やそのS/N比を算出する。
【0017】
演算装置18には、また、カメラ20が接続されている。カメラ20は、車体前部バンパや車室内ミラーステイなどに配設されており、自車両周辺の状況を撮影することが可能である。カメラ20の撮影した撮像画像は、演算装置18に供給される。演算装置18は、カメラ20からの撮像画像を処理することにより、例えば、自車両と他車両との相対距離を検出し、また、交通標識や看板などから交差点名称などを抽出する。
【0018】
演算装置18には、また、光通信装置22が接続されている。光通信装置22は、自車両が他車両と相互に光通信を行うための通信装置であって、自車両から所定領域内の他車両へ向けて自車両の位置情報を送信すると共に、所定領域内の他車両から送信されたその他車両の位置情報を受信する。演算装置18は、把握した自車両の位置情報を例えば所定時間間隔で光通信装置22から送信させると共に、光通信装置22に受信された他車両の位置情報を把握する。
【0019】
演算装置18には、更に、電波通信装置24が接続されている。電波通信装置24は、自車両がサーバ14と相互に電波通信を行うための通信装置であって、サーバ14との間で授受すべき情報を送受する。電波通信装置24は、所定の通信領域で情報送受を行うことが可能である。演算装置18は、サーバ14に対して送信すべき情報を電波通信装置24から送信させると共に、電波通信装置24に受信されたサーバ14からの情報を把握する。
【0020】
また、サーバ14は、電波通信装置30と、コンピュータを主体に構成された演算装置32と、を有している。電波通信装置30は、サーバ14が各車両12と相互に電波通信を行うための通信装置であって、各車両12との間で授受すべき情報を送受する。電波通信装置30は、道路上の複数箇所に設けられており、それぞれ所定の通信領域で情報送受を行うことが可能である。尚、各電波通信装置30の通信領域は、互いにオーバーラップしたものであってもよい。
【0021】
演算装置32は、各車両12に対して送信すべき情報を電波通信装置30から送信させると共に、電波通信装置30に受信された各車両12からの情報を把握する。演算装置32は、存在する車両12と情報送受を行うべき通信エリアを指定して、その指定通信エリアに対応する電波通信装置30に情報送受を行わせる。また、演算装置32は、後述の如く、各車両12からの情報に基づいて妨害電波発信源の位置を特定する。
【0022】
次に、図2及び図3を参照して、本実施例のGPS妨害電波位置特定システム10によるGPS妨害電波位置特定方法の手法について説明する。図2は、本実施例のGPS妨害電波位置特定システム10において車両12及びサーバ14が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。また、図3は、本実施例におけるGPS妨害電波位置特定方法の手法を説明するための図を示す。
【0023】
本実施例において、各車両12はそれぞれ、イグニションオン時又は走行中、演算装置18にて例えば所定時間ごとにGPS電波の受信状態を検出する。演算装置18は、GPS電波の受信状態を検出すると、その受信状態を記録装置に情報記録する。尚、この記録装置への情報記録は、所定期間分だけ行うことが可能であるものとすればよく、記録装置に記録される情報が満杯である場合は、その後に新しい情報が記録されるべきとき、最も古い情報が消去されることとすればよい。
【0024】
各車両12それぞれの演算装置18は、検出したGPS電波の受信状態の時間変化を算出して、GPS電波の受信状態が良状態から悪状態へ変化するか否かを判別すると共に、悪状態から良状態へ変化するか否かを判別する。そして、GPS電波の受信状態が良状態から悪状態へ変化したと判別した場合及びGPS電波の受信状態が悪状態から良状態へ変化したと判別した場合は、ナビゲーション装置16からの情報に基づいて自車両の位置を把握して、GPS電波の受信状態が変化したときの自車両位置の情報を記録装置に記録する。尚、この自車両位置の情報が記録装置に記録されるときは、その自車両位置の情報に対応させて、GPS電波の受信状態が変化したときの時刻の情報を記録装置に記録することとするのがよい。
【0025】
サーバ14は、演算装置32にてまず、存在する車両12と情報送受を行うべき通信エリアを指定する。そして、その指定した指定通信エリアに対応する電波通信装置30から車両12に対してGPS電波の受信状態の状況を通知すべきことを指示(通知指示)する(ステップ100)。車両12は、電波通信装置24にてサーバ14からの通知指示を受信すると、演算装置18にてその通知指示を把握する。車両12は、演算装置18にてサーバ14からの通知指示を把握すると、その通知指示に応答して、電波通信装置24からサーバ14に対して、GPS電波の受信状態が変化したときの自車両位置の情報を送信する(ステップ102)。尚、車両12は、GPS電波の受信状態が変化したときの自車両位置を検出していなかったときは、サーバ14への自車両位置の情報送信を行わなくてもよいし、また、サーバ14に対してGPS電波の受信状態が変化したときの自車両位置が無い旨の情報送信を行うこととしてもよい。
【0026】
サーバ14は、指定通信エリア内の車両12への通知指示後、演算装置32にて、何れかの車両12においてGPS電波の受信状態が変化したか否かを判別する(ステップ104)。サーバ14は、電波通信装置30にて車両12から送信された情報を受信すると、かかる受信情報に基づいてGPS電波の受信状態が変化したときの車両位置情報を特定する。尚、サーバ14は、複数の車両12からの情報を受信した場合は、演算装置32にて、それぞれの受信情報に基づいてGPS電波の受信状態が変化したときの車両位置をそれぞれ特定する。
【0027】
サーバ14は、GPS電波の受信状態が変化したときの車両位置を特定して何れかの車両12がGPS電波の受信状態が変化した地点を通行していたと判別した場合は、次に、演算装置32にて、そのGPS電波の受信状態が変化した地点を通行した車両12の現位置を含む通信エリアを指定して、その指定通信エリアに対応する電波通信装置30から車両12に対してGPS電波の受信状態の状況を通知すべきことを通知指示する(ステップ106)。尚、この際に利用される電波通信装置30は、上記ステップ100で用いられた電波通信装置30とは異なるものであればよい。そして、以後、車両12は上記ステップ102の処理と同様の処理を、また、サーバ14は上記ステップ104以降の処理と同様の処理を、それぞれ実行する。
【0028】
サーバ14は、演算装置32にて、GPS電波の受信状態が変化したときの車両位置を特定した後、その車両位置を、GPS電波の受信状態が比較的良い地域(良地域)とその受信状態が比較的悪い地域(不良地域)との境界点として設定して、GPS電波が妨害される妨害電波エリアを作成・推定する(ステップ108)。尚、この妨害電波エリアは、例えば円形に形成されるものとすればよい。また、この妨害電波エリアの作成には上記した境界点が複数得られることが望ましく、それら複数の境界点の位置に基づいて所定の近次式を用いて上記の妨害電波エリアを推定する。
【0029】
サーバ14は、現時点までに特定したGPS電波の受信状態が変化したときの車両位置からだけでは上記の妨害電波エリアを特定できないときは、上記の妨害電波エリアが推定されるように特定するGPS電波の受信状態が変化したときの車両位置の数を増やすべく、再び上記ステップ104以降の処理を実行する。一方、現時点までに特定したGPS電波の受信状態が変化したときの車両位置から上記の妨害電波エリアを特定できたときは、その妨害電波エリア内(例えば、その妨害電波エリアの略中心)にGPS電波を妨害する妨害電波を発信する妨害電波発信源が存在すると判定する。
【0030】
サーバ14は、上記の如く妨害電波発信源の位置を特定した後は、例えば、その妨害電波発信源の位置をその位置近傍を通行する車両12の運転者に通知するための処理を実行し、或いは、その妨害電波発信源の位置近傍を通行する車両12のナビゲーション装置16での位置検出にGPS電波を用いないようにさせるための処理を実行する。
【0031】
このように本実施例のシステムにおいては、車両12においてGPS電波の受信状態が良状態から悪状態へ変化したときの位置及びGPS電波の受信状態が悪状態から良状態へ変化したときの位置が検出され、その位置情報が車両12からサーバ14へ送信されてサーバ14に収集され、そして、サーバ14において収集した位置情報から妨害電波エリアが推定されて妨害電波発信源の位置が特定される。
【0032】
例えば図3に示す如く、当初、サーバ14において通信エリアAが指定され、その指定通信エリアA内においてGPS電波の受信状態が変化した地点B,Cを通行した車両12として車両B,Cが存在し、かつ、サーバ14においてその車両B,Cの現位置を含む通信エリアB,Cが指定され、その指定通信エリアB,C内においてGPS電波の受信状態が変化した地点Aを通行した車両12として車両Aが存在していた場合、それらの地点A〜Cの位置情報がサーバ14に収集されて、それらの地点A〜Cの位置情報から妨害電波エリア(図3において破線で示される領域内)が推定される。
【0033】
かかる構成によれば、妨害電波エリア又は妨害電波発信源の位置を特定するのに、受信電波が良状態から悪状態へ或いは悪状態から良状態へ変化すればよく、受信電波又は妨害電波の強度が閾値以上となることは不要である。従って、本実施例によれば、GPS電波を妨害する妨害電波を発信する妨害電波エリアや妨害電波発信源の位置を、受信強度の大きさに関係なく特定することが可能である。
【0034】
尚、上記の実施例においては、車両12の演算装置18がGPS衛星からのGPS電波に含まれるGPS情報に基づいて車両位置を特定することが特許請求の範囲に記載した「位置特定手段」及び「位置特定ステップ」に、演算装置18がGPS電波の受信状態を検出することが特許請求の範囲に記載した「受信状態判定手段」及び「受信状態判定ステップ」に、車両12の電波通信装置24がGPS電波の受信状態が変化したときの自車両位置の情報をサーバ14に対して送信することが特許請求の範囲に記載した「情報送信手段」及び「情報送信ステップ」に、それぞれ相当している。
【0035】
また、サーバ14の電波通信装置30が車両12からのGPS電波の受信状態が変化したときの位置情報を受信することが特許請求の範囲に記載した「情報受信手段」及び「情報受信ステップ」に、サーバ14の演算装置32が車両12からの受信情報に基づいて妨害電波エリアを作成・推定することが特許請求の範囲に記載した「妨害電波エリア作成手段」及び「妨害電波エリア作成ステップ」に、演算装置32が推定した妨害電波エリア内に妨害電波発信源が存在すると判定することが特許請求の範囲に記載した「妨害電波発信源特定手段」及び「妨害電波発信源特定ステップ」に、それぞれ相当している。
【0036】
ところで、上記の実施例においては、車両12でのGPS電波の受信状態が良状態から悪状態へ変化した位置と、GPS電波の受信状態が悪状態から良状態へ変化した位置と、の双方に基づいて妨害電波エリアを作成することとし、妨害電波エリアを作成するうえで上記の両位置情報を同等に取り扱うこととしているが、両位置情報の取り扱いに差を設けることとしてもよい。例えば、GPS電波の受信状態が悪状態から良状態へ変化した位置の情報よりも、GPS電波の受信状態が良状態から悪状態へ変化した位置の情報が、妨害電波エリアを作成するうえで情報信頼度の高い情報であるとしてもよく、この場合は、情報信頼度の高い位置データを優先的に用いて妨害電波エリアを作成することとすればよい。かかる変形例によれば、妨害電波エリアの位置特定精度の向上を図ることができる。
【0037】
また、上記の実施例においては、妨害電波エリアを作成する前に得られたGPS電波の受信状態が変化したときの車両位置の情報が複数ある場合、妨害電波エリアを作成するうえでそれら複数の位置情報を同等に取り扱うこととしているが、それら複数の位置情報の取り扱いに差を設けることとしてもよい。例えば、GPS電波の受信状態が変化した時点が新しいものほど、妨害電波エリアを作成するうえで情報信頼度の高い情報であるとしてもよく、この場合は、情報信頼度の高い位置データを優先的に用いて妨害電波エリアを作成することとすればよい。かかる変形例によれば、妨害電波エリアの位置特定精度の向上を図ることができる。
【0038】
また、上記の如く、GPS電波の受信状態が変化したときの車両位置の情報として妨害電波エリアを作成するうえで情報信頼度の異なるものがある場合は、その情報信頼度別に妨害電波エリアを作成することとしてもよい。かかる変形例によれば、妨害電波エリアの位置特定精度の向上を図ることができる。
【0039】
また、上記の実施例においては、車両12でのGPS電波の受信状態が変化した位置に基づいて妨害電波エリアを作成するが、その受信状態が変化した前後でその受信強度が所定値よりも低かった場合は、その受信状態変化がビルなどの障害物に起因していたと推定することで、妨害電波エリアの作成に際し得られた受信状態が変化した位置の情報の情報信頼度を下げることとしてもよい。また、車両12でのGPS電波の受信状態が変化した前後でそのS/N比が悪化した場合は、その受信状態変化が電波妨害による影響であったと推定することで、妨害電波エリアの作成に際し得られた受信状態が変化した位置の情報の情報信頼度を上げることとしてもよい。かかる変形例によれば、妨害電波エリアの位置特定精度の向上を図ることができる。
【0040】
また、上記の実施例においては、妨害電波エリアを作成するうえで用いるGPS電波の受信状態が変化したときの車両位置として、車両12でのナビゲーション装置16でGPS情報から特定した車両位置を用いることとしているが、そのGPS情報から特定した車両位置を、車両12に搭載されたカメラ20の撮影した撮像画像から特定される車両位置と比較したうえで、両位置の乖離が閾値未満であれば、妨害電波エリアの作成に際し得られた受信状態が変化した位置の情報の情報信頼度を上げ、一方、両位置の乖離が閾値以上であれば、その情報信頼度を下げることとしてもよい。また、両位置の乖離が閾値以上であれば、車両12で得られたGPS電波の受信状態が変化したときの車両位置の情報を、車両12からサーバ14へ送信するのを禁止し、又は、サーバ14で妨害電波エリアを作成するうえで用いる車両位置情報から除外することとしてもよい。これらの変形例によれば、妨害電波エリアの位置特定精度の向上を図ることができる。更に、両位置の乖離が閾値以上であれば、ナビゲーション装置16でGPS情報から特定した車両位置の情報が誤情報である可能性があることを車両運転者に通知し、又は、ナビゲーション装置16で自車両位置を検出するうえで自立航法のみを用いることとしてもよく、この場合は、ナビゲーション装置16の誤案内による信頼性低下を防止することが可能となる。
【0041】
更に、ナビゲーション装置16でGPS情報から特定した車両位置を、車両12に搭載された光通信装置22で受信された他車両の位置とカメラ20の撮影した撮像画像から特定される当該他車両と自車両との相対位置との関係から推定される自車両位置と比較したうえで、両位置の乖離が閾値未満であれば、妨害電波エリアの作成に際し得られた受信状態が変化した位置の情報の情報信頼度を上げ、一方、両位置の乖離が閾値以上であれば、その情報信頼度を下げることとしてもよい。また、両位置の乖離が閾値以上であれば、車両12で得られたGPS電波の受信状態が変化したときの車両位置の情報を、車両12からサーバ14へ送信するのを禁止し、又は、サーバ14で妨害電波エリアを作成するうえで用いる車両位置情報から除外することとしてもよい。これらの変形例によれば、妨害電波エリアの位置特定精度の向上を図ることができる。更に、両位置の乖離が閾値以上であれば、ナビゲーション装置16でGPS情報から特定した車両位置の情報が誤情報である可能性があることを車両運転者に通知し、又は、ナビゲーション装置16で自車両位置を検出するうえで自立航法のみを用いることとしてもよく、この場合は、ナビゲーション装置16の誤案内による信頼性低下を防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0042】
10 GPS妨害電波位置特定システム
12 車両
14 サーバ
18,32 演算装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星から送信されるGPS電波に含まれるGPS情報に基づいて位置を特定する位置特定手段と、前記GPS電波の受信状態の良否を判定する受信状態判定手段と、前記受信状態判定手段により判定される前記受信状態が不良状態から良状態へ変化したとき又は/及び良状態から不良状態へ変化したときに前記位置特定手段により特定される位置を示す情報を送信する情報送信手段と、を有する移動体と、
前記移動体の前記情報送信手段から送信される前記情報を受信する情報受信手段と、前記情報受信手段に受信される前記情報に基づいて前記GPS電波が妨害される妨害電波エリアを作成する妨害電波エリア作成手段と、前記妨害電波エリア作成手段により作成された前記妨害電波エリア内に前記GPS電波を妨害する妨害電波を発信する妨害電波発信源が存在すると判定する妨害電波発信源特定手段と、を有するサーバと、
を備えることを特徴とするGPS妨害電波位置特定システム。
【請求項2】
移動体が、衛星から送信されるGPS電波に含まれるGPS情報に基づいて位置を特定する位置特定ステップと、
移動体が、前記GPS電波の受信状態の良否を判定する受信状態判定ステップと、
移動体が、前記受信状態判定ステップにおいて判定される前記受信状態が不良状態から良状態へ変化したとき又は/及び良状態から不良状態へ変化したときに前記位置特定ステップにおいて特定される位置を示す情報をサーバへ送信する情報送信ステップと、
サーバが、前記情報送信ステップにおいて送信される前記情報を受信する情報受信ステップと、
サーバが、前記情報受信ステップにおいて受信される前記情報に基づいて前記GPS電波が妨害される妨害電波エリアを作成する妨害電波エリア作成ステップと、
サーバが、前記妨害電波エリア作成ステップにおいて作成された前記妨害電波エリア内に前記GPS電波を妨害する妨害電波を発信する妨害電波発信源が存在すると判定する妨害電波発信源特定ステップと、
を備えることを特徴とするGPS妨害電波位置特定方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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