説明

GSK−3阻害剤としてのピリミドン化合物

本発明は、GSK−3阻害剤としての活性を有するピリミドン誘導体Iに関する。本発明はさらに、そのような誘導体を含む医薬組成物、および特定の障害の治療におけるその使用に関する。式(I):
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年8月23日出願の米国仮出願第60/823,267号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、GSK−3阻害剤としての活性を有するピリミドン誘導体に関する。本発明はさらに、そのような誘導体を含む医薬組成物、および特定の障害の治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
プロテインキナーゼは、原形質および核における細胞外事象のシグナル伝達を調節し、有糸分裂、分化、およびアポトーシスを含めた細胞の生死に関わる実に多くの事象に関与する。ある種のキナーゼの阻害剤は、そのキナーゼが誤調節されてはいないが、にもかかわらず疾患の維持に不可欠となっているとき、疾患の治療において有用性を有する。この場合、キナーゼ活性の阻害は、これらの疾患の治療法または姑息的手段として働くことになるので、プロテインキナーゼの阻害剤はそれなりに、長い間好都合な薬物ターゲットとされてきた。
【0004】
プロリン指向性のセリン/スレオニンキナーゼであるグリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK−3)は、GSK−3αおよびGSK−3βの2種のアイソフォームが同定されており、グリコーゲン合成の律速酵素であるグリコーゲン合成酵素(GS)をリン酸化する。たとえば、Embiら、Eur.J.Biochem.、第107巻、519〜527頁(1980年)を参照されたい。GSK−3αおよびGSK−3βは、高度に発現される。たとえば、Woodgettら、EMBO、第9巻、2431〜2438頁(1990年)およびLoyら、J.Peptide Res.、第54巻、85〜91頁(1999年)を参照されたい。GS以外に、代謝性タンパク質、シグナル伝達タンパク質、および構造タンパク質を含めて、いくつかの他のGSK−3基質も同定されている。GSK−3によって調節されるシグナル伝達タンパク質の中でも注目すべきものは、活性化タンパク質1、サイクリックAMP応答エレメント結合タンパク質(CREB)、活性化型T細胞の核因子(NF)、熱ショック因子1、βカテニン、c−Jun、c−Myc、c−Myb、およびNF−.sub.KBを含めた、多くの転写因子である。たとえば、C.A.Grimesら、Prog.Neurobiol.、第65巻、391〜426頁(2001年)、H.Eldar−Finkelman、Trends in Molecular Medicine、第8巻、126〜132頁(2002年)、およびP.Cohenら、Nature、第2巻、1〜8頁(2001年)を参照されたい。
【0005】
GSK−3活性をターゲットとすることは、アルツハイマー病(A.Castroら、Exp.Opin.Ther.Pat.、第10巻、1519〜1527頁(2000年))、喘息(P.J.Barnes、Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.、第42巻、81〜98頁(2002年))、癌(Bealsら、Science、第275巻、1930〜1933頁(1997年)、L.Kimら、Curr.Opin.Genet.Dev.、第10巻、508〜514頁(2000年)、およびQ.Eastmanら、Curr.Opin.CellBiol.、第11巻、233頁(1999年))、糖尿病およびそれに関連した続発症、たとえばシンドロームXおよび肥満(S.E.Nikoulinaら、Diabetes、第51巻、2190〜2198頁(2002年)、Orenaら、JBC、15765〜15772頁(2000年)、およびSummersら、J.Biol.Chem.、第274巻17934〜17940頁(1999年))、脱毛(S.E.Millarら、Dev.Biol.、第207巻、133〜149頁(1999年)、およびE.Fuchsら、Dev.Cell、第1巻、13〜25頁(2001年))、炎症(P.Cohen、Eur.J.Biochem.、第268巻、5001〜5010頁(2001年))、うつ病などの気分障害(A.Adnanら、Chem.Rev.、第101巻、2527〜2540頁(2001年)、およびR.S.B.Williamsら、Trends Phamacol.Sci.、第21巻、61〜64頁(2000年))、神経細胞死および発作(D.A.E.Crossら、J.Neurochem.、第77巻、94〜102頁(2001年)、およびC.Sasakiら、Neurol.Res.、第23巻、588〜592頁(2001年))、双極性障害(Kleinら、PNAS、第93巻、8455〜8459頁(1996年))、ならびに心臓保護(C.Badorffら、J.Clin.Invest.、第109巻、373〜381頁(2002年)、S.Haqら、J.Cell Biol.、第151巻、117〜129頁(2000年)、およびH.Tongら、Circulation Res.、第90巻、377〜379頁(2002年))を含む状態の治療において、治療への重要な可能性を秘めている。
【0006】
GSK−3は、筋細胞の増殖および分化を制御する、インスリン、IGF−I、およびWntシグナル伝達カスケードを含めた複数の細胞性経路においてネガティブな介在物質として働く(Glass、Int.J.Biochem.and Cell Biol.、第37巻、1974頁(2005年);McManusら、EMBO J.、第24巻、1571頁(2005年);およびRochatら、Mol.Biol.Cell.、第15巻、4544頁(2004年))。GSK−3のタンパク質レベルおよび活性は、ラットおよびヒトの両方における加齢や固定などの筋萎縮状態(Cosgroveら、Frontiers in Myogenesis、71頁(2006年);およびFunaiら、Am.J.Physiol.Regul.Integr.Comp.Physiol.、第290巻、R1080(2006年))、脱神経によって誘発した萎縮、ならびにII型糖尿病および肥満の対象(Frameら、Expert Opin.Ther.Targets、第10巻、429頁(2006年))において増大する。筋細胞培養物および動物モデルにおいて、RNA干渉法または小分子によってGSK−3を阻害すると、筋管形成が刺激され、タンパク質分解が低減する(Van der Veldenら、Am.J.Physiol.Cell.Physiol.、第290巻、C453−(2006年);Liら、Int.J.Biochem.and Cell Biol.、第37巻、2207年(2005年);Fangら、Endocrinology、第146巻、3141頁(2005年);Evensonら、Int.J.Biochem.Cell.Biol.、第37巻、2226頁(2005年))。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、GSK−3活性を阻害することは、筋肉質量および機能の低下によって生じ、またはそれに随伴する状態または機能不全の治療において治療的な可能性を有する。そのような状態または機能不全は、たとえば、若年者における遺伝または外傷による神経性の筋状態(たとえば筋ジストロフィー);慢性疾患(たとえば、うっ血性心不全、慢性腎不全、癌、発作など)から生じる状態;長期間の臥床の結果として生じる急性疾患;高齢患者における身体活動の低下に関連する状態;および/または長期間の固定および/または臥床(たとえば、人工股関節置換術、大手術など)に至る急性傷害/疾病にある者における状態を含む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、式IおよびIIのGSK−3阻害剤、または薬学的に許容できるその塩に関する。
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、Rは、水素またはC〜Cアルキル基であり、
は、−(4〜15員)ヘテロシクロアルキル、−(5〜10員)ヘテロアリール、またはC〜Cアルキル基であり、前記アルキルは、−(4〜15員)ヘテロシクロアルキルまたは−(5〜10員)ヘテロアリールで置換されており、Rの前記ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールは、基Rから選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく、
または−NRは、一緒になって、(8〜15員)ヘテロシクロアルキルまたは−(5〜10員)ヘテロアリールを形成していてよく、どちらもが、基Rから選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく、
は、水素またはC〜Cアルキルであり、
は、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、またはC〜Cハロアルコキシであり、
各Rは、−OH、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、−C〜Cアルコキシ、−C〜Cアルケノキシ、−C〜Cアルキノキシ、−C〜Cヒドロキシアルキル、−CN、−NO、−NR、−C(=O)N、−C(=O)R、−C(=O)OR、−S(O)NR、−S(O)、−NRC(=O)R、−NRSO、−(C〜Cアルキレン)−C〜C15アリール、−(C〜Cアルキレン)−(5〜15員)ヘテロシクロアルキル、−(C〜Cアルキレン)−(5〜15員)ヘテロアリール、−(C〜Cアルキレン)−C〜C15アリールオキシ、および−(C〜Cアルキレン)−(5〜15員)ヘテロアリールオキシからそれぞれ独立に選択され、Rの前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、およびヘテロアリールオキシは、ハロゲン、−C〜C12アルキル、−C〜Cアルコキシ、−NR、−C(=O)N、−C(=O)R、−C(=O)OR、−NRC(=O)R、−NRSO、−S(O)NR、−S(O)、または−OHから選択される1種または複数の置換基でそれぞれ独立に置換されていてもよく、
各RおよびRは、−H、−C〜C15アルキル、−C〜C15アルケニル、−C〜C15アルキニル、−(C〜Cアルキレン)−(C〜C15シクロアルキル)、−(C〜Cアルキレン)−(C〜Cシクロアルケニル)、(C〜Cアルキレン)−((5〜15員)ヘテロシクロアルキル)、−(C〜Cアルキレン)−(C〜C15アリール)、および−(C〜Cアルキレン)−((5〜15員)ヘテロアリール)からそれぞれ独立に選択され、RおよびRの前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールは、−OH、−C〜C12アルキル、−C〜C12アルケニル、−C〜C12アルキニル、−C〜Cアルコキシ、−C〜Cアルケノキシ、−C〜Cアルキノキシ、−C〜Cヒドロキシアルキル、ハロゲン、−CN、−NO、−CF、−NH、−NH(C〜Cアルキル)、−N(C〜Cアルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C〜Cアルキル)、−C(=O)N(C〜Cアルキル)、−SONH、−SONH(C〜Cアルキル)、−SON(C〜Cアルキル)、−C(=O)H、−C(=O)OH、および−C(=O)O(C〜Cアルキル)からそれぞれ独立に選択される1個または複数の置換基でそれぞれ独立に置換されていてもよく、
nは0、1、または2であり、mは0、1、2、3、または4であり、pは0、1、2、または3である。]
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、上で示した式IもしくはIIの化合物またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
【0012】
式IまたはIIについての本発明の一実施形態では、Rは、−(5〜15員)ヘテロシクロアルキルまたは−(5〜10員)ヘテロアリールである。
【0013】
式IまたはIIについての本発明の別の実施形態では、Rは、−(5〜15員)ヘテロシクロアルキルである。
【0014】
式IまたはIIについての本発明の別の実施形態では、Rは、−(5〜15員)ヘテロシクロアルキルまたは−(5〜10員)ヘテロアリールで置換されているC〜Cアルキル基である。
【0015】
式IまたはIIについての本発明の別の実施形態では、−NRは、一緒になって、8員、9員、または10員ヘテロシクロアルキルを形成している。別の実施形態では、8員、9員、または10員のヘテロシクロアルキルは、−OH、ハロゲン、−(C〜Cアルキレン)−C〜C15アリール、−(C〜Cアルキレン)−(5〜15員)ヘテロシクロアルキル、または−(C〜Cアルキレン)−(5〜15員)ヘテロアリールから選択される1個または複数の置換基で置換されている。
【0016】
式IまたはIIについての本発明の別の実施形態では、−NRは、一緒になって、テトラヒドロイソキノリニル、架橋アザ二環式基、架橋ジアザ二環式基、ならびに次式
【0017】
【化2】

[式中、XはNR13またはSであり、XはOまたはNR13であり、R13は不在であるか、水素またはC〜Cアルキルである]から選択される基からなる群から選択される。
【0018】
別の実施形態では、Rは、Rで置換されている−(5〜15員)ヘテロシクロアルキルであり、Rは、−C(=O)R、−C(=O)OR、または−S(O)であり、Rは、(C〜Cアルキレン)−C〜C15アリールである。
【0019】
式IまたはIIの化合物は、光学中心を有することもあり、したがって異なる鏡像異性およびジアステレオ異性の配置で存在する場合がある。本発明は、そのような式IまたはIIの化合物のすべての鏡像異性体、ジアステレオ異性体、および他の立体異性体、ならびにこれらの立体異性体のラセミ化合物、ラセミ混合物、および他の混合物を包含する。
【0020】
式IまたはIIの化合物の薬学的に許容できる塩には、その酸付加塩および塩基の塩が含まれる。
【0021】
適切な酸付加塩は、非毒性の塩を形成する酸から生成するものである。例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、シクラミン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ピログルタミン酸塩、サリチル酸塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルホン酸塩、スズ酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、およびキシノホ酸塩(xinofoate)が含まれるがこの限りでない。
【0022】
適切な塩基の塩は、非毒性の塩を形成する塩基から生成するものである。例には、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、グリシン、リジン、マグネシウム、メグルミン、オールアミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、および亜鉛の塩が含まれるがこの限りでない。
【0023】
酸および塩基の半塩、たとえば半硫酸塩および半カルシウム塩を生成してもよい。
【0024】
これらおよび他の適切な塩に関する総説については、StahlおよびWermuthによる「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use」(Wiley−VCH、2002年)を参照されたい。
【0025】
式IまたはIIの化合物の薬学的に許容できる塩は、
(i)式IまたはIIの化合物を所望の酸または塩基と反応させること、
(ii)式IまたはIIの化合物の適切な前駆体から酸もしくは塩基に不安定な保護基を除去する、または所望の酸もしくは塩基を使用して適切な環状前駆体、たとえばラクトンもしくはラクタムを開環すること、または
(iii)適切な酸もしくは塩基との反応によって、または適切なイオン交換カラムによって、式IまたはIIの化合物の塩を別の塩に変換すること
によって調製することができる。
【0026】
塩を生成する反応は、通常は溶液中で実施する。得られる塩は、沈殿する場合もあり、または溶媒を蒸発させて回収することもできる。得られる塩のイオン化の程度は、完全なイオン化からほとんどイオン化していない程度まで様々でよい。
【0027】
本発明の化合物は、完全な非晶質から完全な結晶の範囲に及ぶ一連の固体状態で存在し得る。用語「非晶質」とは、材料が分子レベルで長いきちんとした序列を欠き、温度に応じて、固体または液体の物理的性質を示し得る状態を指す。通常、そのような材料は、特有のX線回折パターンを示さず、固体の性質を示しながらも、より正式には液体であると記述される。加熱すると、固体の性質から液体の性質への変化が起こるが、これは、通常は二次の状態変化(「ガラス転移」)を特徴とする。用語「結晶」とは、材料が分子レベルで規則的な整った内部構造を有し、明確なピークを伴う特有のX線回折パターンを示す固相を指す。このような材料も、十分に加熱したとき液体の性質を示すが、固体から液体への変化は、通常は一次の相転移(「融点」)を特徴とする。
【0028】
本発明の化合物はまた、溶媒和していない形態および溶媒和した形態で存在する場合がある。用語「溶媒和物」は、本明細書では、本発明の化合物と1個または複数の薬学的に許容できる溶媒分子、たとえばエタノールとを含む分子錯体について述べるのに使用する。用語「水和物」は、前記溶媒が水であるときに用いる。
【0029】
有機水和物の現在受け入れられている分類系は、隔離部位水和物、チャネル水和物、または金属イオン配位水和物を規定するものである。たとえば、「Polymorphism in Pharmaceutical Solids」、K.R.Morris(Ed.H.G.Brittain、Marcel Dekker、1995)を参照されたい。隔離部位水和物は、水分子が、介在する有機分子によって互いとの直接の接触から隔離されているものである。チャネル水和物では、水分子は格子チャネル中に位置し、そこで他の水分子と隣り合っている。金属イオン配位水和物では、水分子は金属イオンに結合している。
【0030】
本発明の化合物は、適切な条件下に置いたとき、中間状態(中間相または液晶)で存在する場合もある。中間状態は、真の結晶状態と真の液体状態(融解物または溶液)の中間である。温度変化の結果として生じる中間状態は「温度転移型」であると記述され、水や別の溶媒などの第2の成分が加えられた結果として生じる中間状態は、「濃度転移型」であると記述される。濃度転移型の中間相を生成する潜在性を有する化合物は、「両親媒性」であると記述され、(−COONa、−COO、−SONaなどの)イオン性または(−N(CHなどの)非イオン性の極性頭部基を有する分子からなる。より多くの情報については、「Crystals and the Polarizing Microscope」、N.H.HartshorneおよびA.Stuart、第4版(Edward Arnold、1970年)を参照されたい。
【0031】
本発明の化合物には、そのすべての多形体および晶癖を含めて、上で規定した式IまたはIIの化合物、以下で定義するそのプロドラッグおよび(光学的異性体、幾何的異性体、互変異性体を含めた)異性体、ならびに同位体標識された式IまたはIIの化合物が含まれる。
【0032】
示したように、式IまたはIIの化合物のいわゆる「プロドラッグ」も、本発明の範囲内にあり、式IまたはIIの化合物中に存在する適切な官能基を、当業者に「pro−部分」として知られている特定の部分で置換して調製することができる。たとえば、H.Bundgaardによる「Design of Prodrugs」(Elsevier、1985年)を参照されたい。
【0033】
本発明によるプロドラッグの一部の例には、以下のものが含まれる。
(i)カルボン酸官能基(−COOH)を含んでいる式IまたはIIの化合物、すなわちそのエステル、たとえば、式(I)の化合物のカルボン酸官能基の水素が(C〜C)アルキルによって置換されている化合物、
(ii)アルコール官能基(−OH)を含んでいる式IまたはIIの化合物、すなわちそのエーテル、たとえば、式IまたはIIの化合物のアルコール官能基の水素が(C〜C)アルカノイルオキシメチルによって置換されている化合物、および
(iii)第一級または第二級アミノ官能基(−NHまたは−NHR(R≠H))を含んでいる式IまたはIIの化合物、すなわちそのアミド、たとえば、場合により、式IまたはIIの化合物のアミノ官能基の一方または両方の水素が(C〜C10)アルカノイルによって置換されている化合物。
【0034】
前述の例に従う置換基の別の例および他のプロドラッグタイプの例は、上述の参考文献で見ることができる。
【0035】
1個または複数の不斉炭素原子を含んでいる式IまたはIIの化合物は、2種以上の立体異性体として存在し得る。式IまたはIIの化合物がアルケニル基またはアルケニレン基を含んでいる場合、幾何的なシス/トランス(またはZ/E)異性体が考えられる。構造異性体が低いエネルギー障壁で相互変換可能である場合、互変異性体の異性(「互変異性」)が起こり得る。互変異性は、たとえばイミノ、ケト、またはオキシム基を含んでいる式IまたはIIの化合物ではプロトン互変異性、または芳香族部分を含んでいる化合物ではいわゆる原子価互変異性の形をとり得る。これは、単一化合物が1種類に留まらない異性を示す場合もあるということである。
【0036】
本発明の範囲内には、1種類に留まらない異性を示す化合物を含めた、式IまたはIIの化合物のすべての立体異性体、幾何異性体、および互変異性体の形態、ならびにこれらの1種または複数の混合物が含まれる。対イオンが光学活性を有する、たとえば、d−乳酸もしくはl−リジン、またはラセミ化合物、たとえば、dl−酒石酸もしくはdl−アルギニンである酸付加塩または塩基の塩も含まれる。
【0037】
シス/トランス異性体は、当業者によく知られている従来の技術、たとえばクロマトグラフィーおよび分別再結晶によって分離することができる。
【0038】
個々の鏡像異性体を調製/単離する従来の技術としては、光学的に純粋な適切な前駆体からのキラル合成、またはたとえばキラルな高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用するラセミ化合物(または塩もしく誘導体のラセミ化合物)の分割が挙げられる。
【0039】
別法として、ラセミ化合物(またはラセミ前駆体)を、適切な光学活性のある化合物、たとえばアルコールと、または式IもしくはIIの化合物が酸性もしくは塩基性の部分を含んでいる場合、1−フェニルエチルアミンや酒石酸などの塩基もしくは酸と反応させることができる。得られるジアステレオ異性体混合物は、クロマトグラフィーおよび/または分別再結晶によって分離し、ジアステレオ異性体の一方または両方を、当業者によく知られている手段によって、対応する純粋な鏡像異性体に変換することができる。
【0040】
キラルな本発明の化合物(およびキラルなその前駆体)は、0〜50体積%、通常は2%〜20%のイソプロパノール、および0〜5体積%のアルキルアミン、通常は0.1%のジエチルアミンを含有する炭化水素、通常はヘプタンまたはヘキサンからなる移動相を用いる不斉樹脂でのクロマトグラフィー、通常はHPLCを使用して、鏡像異性体を豊富に含む形で得ることができる。溶出液を濃縮すると、濃縮された混合物が得られる。
【0041】
ラセミ化合物が結晶化するとき、2種の異なるタイプの結晶が考えられる。第1のタイプは、上で言及したラセミ化合物(真のラセミ体)であり、両方の鏡像異性体を等モル量で含有する均質な1形態の結晶が生成される。第2のタイプは、ラセミ混合物またはラセミコングロメートであり、それぞれが単一の鏡像異性体を含む2形態の結晶が等モル量で生成される。
【0042】
ラセミ混合物中に存在する結晶形は、両方が同一の物理的性質を有するが、真のラセミ体と比べると異なる物理的性質を有する場合もある。ラセミ混合物は、当業者に知られている従来の技術によって分離することができる。たとえば、「Stereochemistry of Organic Compounds」、E.L.ElielおよびS.H.Wilen(Wiley、1994年)を参照されたい。
【0043】
本発明は、1個または複数の原子が、原子番号は同じであるが原子質量または質量数が自然界で圧倒的に多い原子質量または質量数と異なっている原子で置換されている、薬学的に許容できるすべての同位体標識された式IまたはIIの化合物を包含する。
【0044】
本発明の化合物に含めるのに適する同位体の例には、HやHなどの水素、11C、13C、および14Cなどの炭素、36Clなどの塩素、18Fなどのフッ素、123Iや125Iなどのヨウ素、13Nや15Nなどの窒素、15O、17O、18Oなどの酸素、32Pなどのリン、35Sなどの硫黄の同位体が含まれるがこの限りでない。
【0045】
特定の同位体標識された式IまたはIIの化合物、たとえば、放射性同位体が組み込まれている化合物は、薬物および/または基質の組織分布調査において有用である。放射性同位体のトリチウム、すなわちH、およびカーボン14、すなわち14Cは、組み込みやすく、検出手段が手近であることを考えて、この目的に特に有用である。
【0046】
同位体標識された式IまたはIIの化合物は一般に、当業者に知られている従来の技術によって、または以前から用いられている標識されていない試薬の代わりに同位体標識された適切な試薬を使用しながら、添付の実施例および調製例に記載する方法と類似の方法によって調製することができる。
【0047】
本発明による薬学的に許容できる溶媒和物には、結晶化の溶媒が、同位体によって置換されているもの、たとえばDO、d−アセトン、d−DMSOでよいものが含まれる。
【0048】
本発明の詳細な実施形態には、以下の実施例で例示する化合物、およびその薬学的に許容できる塩、錯体、溶媒和物、多形体、立体異性体、代謝産物、プロドラッグ、ならびにこれらの他の誘導体が含まれる。
【0049】
本発明はまた、前記障害または状態の治療に有効な量の式IまたはIIの化合物を含む医薬組成物に関する。
【0050】
本発明はまた、アルツハイマー病、癌、糖尿病、シンドロームX、肥満、脱毛、炎症、気分障害、神経細胞死、発作、双極性障害、筋肉質量および機能の喪失から生じる状態、精子運動性の低下、ならびに心臓保護から選択される障害の治療方法であって、前記障害の治療に有効な量の式IまたはIIの化合物を投与することを含む方法に関する。
【0051】
本発明はまた、ヒトを含めた哺乳動物における気分障害または気分エピソードの治療方法であって、前記哺乳動物に、前記障害またはエピソードの治療に有効な量の式IまたはIIの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0052】
本発明はまた、ヒトを含めた哺乳動物における気分障害または気分エピソードの治療方法であって、前記哺乳動物に、PDE10を阻害するのに有効な量の式IまたはIIの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0053】
本発明に従って治療することのできる気分障害および気分エピソードの例には、軽度、中等度、または重度の型の大うつ病エピソード、躁病または混合性気分エピソード、軽躁病気分エピソード;非定型の特徴を伴ううつ病エピソード;メランコリー型の特徴を伴ううつ病エピソード;緊張病型の特徴を伴ううつ病エピソード;産後に発症する気分エピソード;脳卒中後うつ病;大うつ病性障害;気分変調障害;軽症うつ病性障害;月経前不快気分障害;統合失調症の精神病後うつ病性障害;妄想性障害や統合失調症などの精神病性障害との混合型の大うつ病性障害;双極性障害、たとえば、双極I型障害、双極II型障害、および気分循環性障害が含まれるがこの限りでない。
【0054】
本発明はさらに、ヒトを含めた哺乳動物における神経変性障害または状態の治療方法であって、前記哺乳動物に、前記障害または状態の治療に有効な量の式IまたはIIの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0055】
本発明はさらに、ヒトを含めた哺乳動物における神経変性障害または状態の治療方法であって、前記哺乳動物に、PDE10を阻害するのに有効な量の式IまたはIIの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0056】
本明細書では、別段の指摘がない限り、「神経変性障害または状態」とは、中枢神経系におけるニューロンの機能不全および/または死によって引き起こされる障害または状態を指す。このような障害および状態の治療は、このような障害または状態のリスクのあるニューロンの機能不全または死を防ぎ、かつ/または損傷を受けているまたは健常なニューロンの機能を、リスクのあるニューロンの機能不全または死によって引き起こされる機能喪失の埋め合わせをするような方法で強化する薬剤の投与によって促進することができる。用語「神経栄養剤」とは、本明細書では、このような性質の一部または全部を有する物質または薬剤を指す。
【0057】
本発明に従って治療することのできる神経変性障害および状態の例には、パーキンソン病;ハンチントン病;認知症、たとえばアルツハイマー病、多発梗塞性認知症、AIDSに関連した認知症、および前頭側頭型認知症;脳外傷に関連する神経変性;発作に関連する神経変性;脳梗塞に関連する神経変性;低血糖によって誘発される神経変性;てんかん性痙攣に関連する神経変性;神経毒中毒に関連する神経変性;ならびに多系統萎縮症が含まれる。
【0058】
本発明の一実施形態では、神経変性障害または状態は、ヒトを含めた哺乳動物における線条体の中型有棘ニューロンの神経変性を含む。
【0059】
本発明の別の実施形態では、神経変性障害または状態は、ハンチントン病である。
【0060】
用語「アルキル」は、本明細書では、別段の指摘がない限り、直線状または分枝状の部分を有する飽和した一価の炭化水素基を包含する。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、およびt−ブチルが含まれる。
【0061】
用語「アルケニル」は、本明細書では、別段の指摘がない限り、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する、上で定義したようなアルキル部分を包含する。アルケニルの例には、エテニルおよびプロペニルが含まれる。
【0062】
用語「アルキニル」は、本明細書では、別段の指摘がない限り、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する、上で定義したようなアルキル部分を包含する。アルキニル基の例には、エチニルおよび2−プロピニルが含まれる。
【0063】
用語「アルコキシ」は、本明細書では、別段の指摘がない限り、本明細書で単独または別の基の一部として用いるとき、酸素原子に結合しているアルキル基を指す。
【0064】
用語「アルキルチオ」は、本明細書では、別段の指摘がない限り、本明細書で単独または別の基の一部として用いるとき、硫黄原子を介して結合している上記アルキル基を包含する。
【0065】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、本明細書では、単独または別の基の一部として、塩素、臭素、フッ素、またはヨウ素を指す。
【0066】
用語「ハロアルキル」とは、本明細書では、別段の指摘がない限り、少なくとも1個のハロゲン原子がアルキル基に結合したものを指す。ハロアルキル基の例には、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、およびフルオロメチル基が含まれる。
【0067】
用語「シクロアルキル」は、本明細書では、別段の指摘がない限り、非芳香族の飽和環状アルキル部分を包含し、アルキルは、上で定義したとおりである。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルが含まれる。
【0068】
用語「アリール」は、本明細書では、別段の指摘がない限り、フェニル、ナフチル、インデニル、フルオレニルなどの、芳香族化合物から水素原子の除去によって誘導される有機の基を包含する。「アリール」は、少なくとも1個の環が芳香族である縮合環基を包含する。
【0069】
用語「複素環式」、「ヘテロシクロアルキル」、および同様の用語は、本明細書では、それぞれが好ましくは酸素、硫黄、および窒素から選択される1個または複数のヘテロ原子、好ましくは1個〜4個のヘテロ原子を含んでいる非芳香族の環式基を指す。本発明の複素環基には、1個または複数のオキソ部分で置換されている環系を含めることもできる。非芳香族複素環基の例は、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼピニル、ピペラジニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、キノリジニル、キヌクリジニル、1,4−ジオキサスピロ[4.5]デシル、1,4−ジオキサスピロ[4.4]ノニル、1,4−ジオキサスピロ[4.3]オクチル、および1,4−ジオキサスピロ[4.2]ヘプチルである。
【0070】
用語「ヘテロアリール」とは、本明細書では、1個または複数のヘテロ原子(好ましくは酸素、硫黄、および窒素)、好ましくは1個〜4個のヘテロ原子を含んでいる芳香族基を指す。基の少なくとも1個の環が芳香族である、1個または複数のヘテロ原子を含んでいる多環式基は、「ヘテロアリール」基である。本発明のヘテロアリール基には、1個または複数のオキソ部分で置換されている環系も含めることができる。ヘテロアリール基の例は、ピリジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、トリアジニル、イソインドリル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ベンゾフリル、フロピリジニル、ピロロピリミジニル、およびアザインドリルである。
【0071】
別段の指摘がない限り、炭化水素から誘導される前述の基はすべて、約1個〜約20個までの炭素原子(たとえば、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20シクロアルキル、3〜20員ヘテロシクロアルキル、C〜C20アリール、5〜20員ヘテロアリールなど)、または1個〜約15個の炭素原子(たとえば、C〜C15アルキル、C〜C15アルケニル、C〜C15シクロアルキル、3〜15員ヘテロシクロアルキル、C〜C15アリール、5〜15員ヘテロアリールなど)、または1個〜約12個炭素原子、または1個〜約8個の炭素原子、または1個〜約6の炭素原子を有するものでよい。
【0072】
一般に好ましい本発明のGSK−3阻害剤は、K値が約10μM以下、より好ましくは約0.1μM以下である。
【0073】
「障害の治療方法」にあるような「治療」という用語は、このような用語が適用される障害の進行またはその障害の1つまたは複数の症状を逆転させ、緩和し、または阻止することを指す。本明細書では、この用語は、患者の状態に応じて、障害またはそれに随伴する任意の症状の発症を予防すること、ならびに発症前に障害またはその症状のいずれかの重症度を軽減することを含めて、障害の予防をも含む。「治療」とは、本明細書では、障害の再発を予防することも指す。
【0074】
用語「哺乳動物」とは、本明細書では、ヒト、イヌ、およびネコを含めた「哺乳綱」の綱の任意のメンバーを指す。
【0075】
本発明の化合物は、単独で、または薬学的に許容できる担体と組み合わせて、1回または複数回の用量で投与することができる。適切な医薬担体には、不活性な固体希釈剤または充填剤、無菌水溶液、ならびに様々な有機溶媒が含まれる。そこで、それによって生成される医薬組成物は、錠剤、粉末、トローチ剤、液体製剤、シロップ、注射用溶液などの様々な剤形にして容易に投与することができる。これらの医薬組成物は、着香剤、結合剤、賦形剤などの追加の成分を場合により含有してもよい。したがって、本発明の化合物は、経口、頬側、鼻腔内、非経口(たとえば静脈内、筋肉内、または皮下)、経皮(たとえばパッチ)、または直腸投与用に、または吸入もしくはガス注入による投与に適する形で製剤することができる。
【0076】
経口投与では、医薬組成物は、たとえば、結合剤(たとえばα化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(たとえばラクトース、微結晶セルロース、またはリン酸カルシウム)、滑沢剤(たとえばステアリン酸マグネシウム、タルク、またはシリカ)、崩壊剤(たとえばジャガイモデンプンまたはナトリウムデンプングリコラート)、または湿潤剤(たとえばラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容できる賦形剤と共に従来の手段によって調製される、錠剤またはカプセル剤の形をとり得る。錠剤は、既知の方法によってコーティングしてもよい。経口投与用の液体製剤は、たとえば、溶液、シロップ、もしくは懸濁液の形をとってよく、または使用前に水もしくは他の適切な媒体で戻すための乾燥製品として提供してもよい。このような液体製剤は、懸濁化剤(たとえばソルビトールシロップ、メチルセルロース、または水素添加された食用脂)、乳化剤(たとえばレシチンまたはアカシア)、非水性媒体(たとえばアーモンド油、油性エステル、またはエチルアルコール)、および保存剤(たとえばp−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピル、またはソルビン酸)などの薬学的に許容できる添加剤と共に、従来の手段によって調製することができる。
【0077】
頬側投与では、組成物は、従来の方法で製剤された錠剤またはトローチ剤の形をとり得る。
【0078】
本発明の化合物は、従来のカテーテル処置技術または注入の使用を含めて、注射による非経口投与用に製剤することもできる。注射用の製剤は、単位剤形にして、たとえばアンプルまたは多用量容器に入れて、保存剤を加えて提供することができる。注射用製剤は、油性または水性媒体中の懸濁液、溶液、または乳濁液などの形をとってよく、懸濁化剤、安定剤、および/または分散剤などの製剤用薬剤を含有してよい。別法として、活性成分は、使用前に適切な媒体、たとえば、発熱物質を含まない無菌水で戻すための粉末形態にしてもよい。
【0079】
製品溶液が必要なときは、単離された包接錯体を、患者への経口または非経口投与に必要な強度の溶液を生成するのに十分な量だけ、水(または他の水性媒質)に溶解させて作製することができる。化合物は、口腔で活性成分を放出するように設計された急速分散型の剤形に製剤することもできる。これらはしばしば、ゼラチンを主体とする急速溶解性の基材を使用して製剤されている。このような剤形はよく知られており、広範囲な薬物の送達に使用することができる。ほとんどの急速分散型剤形では、ゼラチンが担体または構造形成物質として利用されている。通常、ゼラチンを使用すると、剤形に十分な強度が与えられて、包装から取り出す際に破損しないようになるが、一度口に入ると、ゼラチンは剤形を即時に溶解させるようになる。別法として、様々なデンプンが同じ効果を得るのに使用される。
【0080】
本発明の化合物は、たとえば、カカオ脂や他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含有する坐剤や保持浣腸などの直腸用組成物に製剤することもできる。
【0081】
鼻腔内投与または吸入による投与では、本発明の化合物は、患者によって圧迫もしくはポンピングされるポンプスプレー容器から溶液もしくは懸濁液の形で、または加圧容器もしくはネブライザーからエアロゾルスプレーの形態として、適切な噴射剤、たとえばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、もしくは他の適切な気体を使用して送達することが好都合である。加圧されたエアロゾルの場合では、投与量単位は、弁を設けて計量された量を送達することによって決定することができる。加圧容器またはネブライザーは、活性化合物の溶液または懸濁液を含有することができる。本発明の化合物と、ラクトースやデンプンなどの適切な粉末基剤の粉末混合物を含有する、吸入器または注入器に入れて使用するためのカプセルおよびカートリッジ(たとえばゼラチン製のもの)を製剤することもできる。
【0082】
平均的な成人において上で言及した状態(たとえば偏頭痛)を治療するためのエアロゾル製剤は、エアロゾルの計量された各用量が約20mg〜約1000mgの本発明の化合物を含有するように整えられることが好ましい。エアロゾルでの全体としての1日量は、約100mg〜約10mgの範囲内である。投与は、たとえば各回1、2、または3用量として、毎日数回、たとえば2、3、4、または8回でよい。
【0083】
本発明の化合物を平均的な成人に経口、非経口、直腸、または頬側投与するのに提唱される1日量は、たとえば1日1〜4回投与することができる単位用量あたり式IまたはIIの活性成分約0.01mg〜約2000mg、好ましくは約0.1mg〜約200mgでよい。
【0084】
本発明の化合物を平均的な成人に経口、非経口、直腸、または頬側投与するのに提唱される1日量は、たとえば1日1〜4回投与することができる単位用量あたり式IまたはIIの活性成分約0.01mg〜約2000mg、好ましくは約0.1mg〜約200mgでよい。
【0085】
誘導性の細胞系におけるGSK−3β(グリコーゲン合成酵素キナーゼ)全細胞活性のアッセイプロトコル
ヒト組換え型GSK−3βおよびヒト組換え型TauをCHO Tet−Off細胞系中で発現させた。GSK−3β活性は、誘導された細胞系の細胞可溶化液を用いてtauのセリン202およびスレオニン205での特異的なリン酸化を検出するイムノアッセイを使用して測定した。細胞を、10%テトラサイクリン認可FBS(BD Biosciences Clontech)および400pg/mlのドキシサイクリン(Sigma)を補充したMinimum Essential Medium Alpha(Invitrogen)中で増殖させた。ドキシサイクリンなしの培地で72時間増殖させて、tauおよびGSK−3βの発現を誘導した。細胞を試験薬剤と共に90分間インキュベートし、次いで培地を除去し、細胞を、250mMのNaCl、50mMのトリス pH7.5、5mMのEDTA、0.1%のNP40、5mMのDTT、1mMのバナジン酸ナトリウム、1uMのオカダ酸、および1×プロテアーゼ阻害剤(Roche−Complete錠)を含有する緩衝液で溶解させた。PBS(Sigma)中に0.5%のBSA(Roche)、0.5%のTween20(Sigma)を含有する緩衝液中に16ng/ウェルのビオチン標識抗体HT7(Pierce)、20ng/ウェルのルテニウム標識抗体AT8、10ug/ウェルのストレプトアビジン磁気ビーズM−280(Bioveris)を含有する細胞可溶化物を、サンドイッチイムノアッセイにおいて使用した。振盪しながら4℃で終夜インキュベートした後、M−8分析計(Bioveris)でアッセイシグナルの読み取りを行った。
【0086】
無細胞酵素アッセイにおけるGSK−3β(グリコーゲン合成酵素キナーゼ)のアッセイプロトコル
組換え型ヒトGSK3βをSF9/バキュロウイルス細胞中で発現させた。His−タグタンパク質を、Ni−NTA Superflowカラムに対するアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。酵素活性は、[33P]ATP(PerkinElmer)のγリン酸からビオチン標識されたペプチド基質bio−LC−S−R−H−S−S−P−H−Q−pS−E−D−E−E−E−OH(Anaspec)への[33P]の組み込みとして検定した。反応は、8mMのMOPS(pH7.0)、10mMの酢酸マグネシウム、0.2mMのEDTA、1mMのDTT、および2uMの冷ATPを含有する緩衝液中で実施した。33P−ATPを加えて0.025uCi/ウェル(120uL)とし、基質最終濃度を1.0uMとした。酵素を試験薬剤と共に室温で30分間プレインキュベートした後、基質混合物を加えて反応を開始した。室温で60分間インキュベートした。PBS中に12.5mMのEDTA、0.25%のTriton−X100、125uMのATP、および6.2mg/mlのストレプトアビジンコートされたSPAビーズ(Amersham)を含有するCaまたはMgなしの0.66体積の緩衝液を加えて、反応を停止した。ビーズと結合した放射能を、Trilux計数器(PerkinElmer)でCPMのシンチレーション計数によって定量化した。
【0087】
以下のスキームは、本発明の様々な化合物の調製方法を示すものである。スキームで例示する様々な置換基(たとえば、P、Cap、X1など)は、例示目的のものすぎず、上記および特許請求の範囲に挙げるものと無関係な場合もあることを留意されたい。
【0088】
以下の反応スキームは、実施例の調製で用いられる方法の例示的な説明を提供するものである。しかし、これらのスキームに従って調製した化合物をさらに改変して、本発明の範囲内で新しい実施例を得てもよいことを留意されたい。たとえば、エステル官能基を、当業者によく知られている手順を使用してさらに反応させて、別のエステル、アミド、カルビノール、またはケトンを得ることができる。
【0089】
【化3】

【0090】
スキーム1によれば、Aが炭素または窒素であり、R、R、R、およびRが上述のとおりであるスキーム1の中間体化合物は、式1の化合物と式4の化合物から調製することができ、これらの化合物は、市販品として入手することも、またはピリジンなどの溶媒中にて二酸化セレンで酸化させるなどの当業者に知られている方法によって調製することもできる。
【0091】
スキーム1に示すように、式2の化合物を、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、イソプロパノールなどの溶媒中にて硫酸や塩酸などの酸でエステル化すると、式3の化合物を調製することができる。好ましい溶媒は、0℃〜67℃の間、好ましくは20℃〜67℃の温度で硫酸が酸として用いられるエタノールである。
【0092】
スキーム1に示すように、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、EtOAcなどの極性溶媒中で、水素化ナトリウム、カリウムt−ブトキシド、金属置換されたヘキサメチルジシラジンなどの塩基を使用して酢酸エチル(EtOAc)を縮合させると、式4の化合物を調製することができる。好ましい塩基はカリウムt−ブトキシドであり、好ましい溶媒は、0℃〜67℃の間、好ましくは20℃〜67℃の温度のEtOAc/THFである。
【0093】
別法として、式4の化合物は、THFなどの溶媒中にて式2の化合物をN,N−カルボニルジイミダゾール(CDI)で処理して反応性の中間体を生成し、これをマロン酸エチルのマグネシウム塩でアルキル化し、次いで加熱して、脱炭酸された生成物を得ることにより調製することもできる。
【0094】
スキーム1に示すように、水素化ナトリウム、カリウムt−ブトキシド、DBUなどの塩基の存在下、MeOHやEtOHなどの溶媒中にて1−メチル−2−チオ尿素を縮合させると、式5の化合物を調製することができる。好ましい溶媒は、0℃〜80℃の間、好ましくは60℃〜80℃の温度でDBUが好ましい塩基として用いられるエタノールである。
【0095】
スキーム1に示すように、式5の化合物を、DMFやDCEなどの溶媒中にてオキシ塩化リンや五塩化リンなどの塩素化剤を使用して塩素化することによって、式6の化合物を調製することがきる。好ましい溶媒は、0℃〜110℃の間、好ましくは40℃〜80℃の温度でオキシ塩化リンが好ましい塩素化剤として用いられるDMFである。
【0096】
スキーム1に示すように、トリエチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、DBUなどの塩基の存在下、DMF、DMSO、NMPなどの溶媒中にて式6または式9のアミンを用いる求核アミン置換を実施すると、式7の化合物を調製することができる。好ましい溶媒は、0℃〜110℃の間、好ましくは40℃〜80℃の温度でDBUが好ましい塩基として用いられるDMFである。
【0097】
スキーム1に示すように、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、カリウム−t−ブトキシド、DBUなどの塩基の存在下、THF、水、MeOH、アセトニトリルなどの溶媒中にて、ヨウ化メチルを式5の化合物で置換すると、式8の化合物を調製することができる。好ましい溶媒は、0℃〜80℃の間、好ましくは0℃〜40℃の温度で水酸化ナトリウムが好ましい塩基として用いられる水とTHFの混合物である。
【0098】
スキーム1に示すように、mCPBAまたは過酸化水素の存在下、THFやジクロロメタンなどの溶媒中にてスルフィドを酸化させると、式9の化合物を調製することができる。好ましい溶媒は、0℃〜80℃の間、好ましくは0℃〜40℃の温度でmCPBAが用いられるジクロロメタンである。
【0099】
【化4】

【0100】
式10、11、および12の化合物は、その−NR基が、保護基で保護されたアミン基を含んでいる、スキーム1で調製される式7の化合物を指す(たとえば、式10、11、および12の化合物では、Pは、Boc、Fmoc、またはCBZなどの保護基である)。スキーム2によれば、式10、11、および12の化合物を脱保護し、次いでキャップすると、式16、17、または18の化合物が得られる。保護/脱保護法の使用は、当業者に知られている。T.W.Greene、「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley&Sons、ニューヨーク、1991年を参照されたい。
【0101】
スキーム2によれば、式10、11、および12の化合物の脱保護を既知の方法によって実施すると、式13、14、および15の化合物が得られる。好ましい保護基はBOCであり、既知の方法によって、好ましくは、−78℃および67℃、好ましくは0〜50℃の温度のDCE中トリフルオロ酢酸によって除去することができる。
【0102】
スキーム2によれば、CAPが側鎖Rを有するアミド基を指す、式16、17、および18の所望の化合物は、TEA、DIPEA、ピリジンなどのアミン塩基の存在下、DMSO、DMF、THF、DCE、アセトニトリルなどの溶媒中にて、式13、14、および15の化合物を酸塩化物でアシル化して調製することができる。好ましい溶媒は、20℃〜120℃、好ましくは20℃〜60℃の温度で、TEAが好ましい塩基として用いられるDMSOである。
【0103】
別法として、CAP基が側鎖としてのアミド基Rである式16、17、および18の化合物を、DCCやHATUなどの適切なカップリング試薬、およびTEA、DIPEA、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの塩基を使用しながら、式13、14、および15の化合物をカルボン酸で処理して調製することができる。好ましい塩基は、DMF、THF、塩化メチレン、ジオキサンなどの適切な不活性溶媒中のDIPEAである。好ましいカップリング剤はHATUである。好ましい溶媒は、−40℃〜40℃の間、好ましくは20〜40℃の温度のDMFである。
【0104】
反応スキーム2によれば、CAP基が側鎖としてのRを有するカルバマートである、式16、17、および18の所望の化合物は、TEA、DIPEA、ピリジンなどのアミン塩基の存在下、DMSO、DMF、THF、DCE、アセトニトリルなどの溶媒中にて、式13、14、および15の化合物をクロロホルマートと反応させて調製することができる。好ましい溶媒は、0℃〜120℃の間、好ましくは0℃〜30℃の間の温度でTEAが好ましいアミン塩基として用いられるDCEである。
【0105】
反応スキーム2によれば、CAPが側鎖NRを有するスルホンアミド基である、式16、17、および18の所望の化合物は、式13、14、および15の化合物から、TEA、DIPEA、ピリジンなどの塩基の存在下、DMSO、DMF、THF、DCE、アセトニトリルなどの溶媒中で塩化スルホニルを用いて調製することができる。好ましい溶媒は、0℃〜120℃の間、好ましくは0℃〜30℃の間の温度でTEAが好ましいアミン塩基として用いられるDCEである。
【0106】
スキーム2によれば、CAPがRとして記述される式16、17、および18の化合物は、式13、14、および15の化合物の還元的アミノ化を、水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤、および酢酸や酢酸ナトリウムなどの随意選択の添加剤の存在下、アルデヒドまたはケトンで処理することにより実施して調製することができる。好ましい還元剤は、EtOH、THF、塩化メチレン、ジオキサン、トルエンなどの溶媒中のシアノ水素化ホウ素ナトリウムである。好ましい溶媒は、−78℃および67℃、好ましくは0〜50℃の温度のEtOHである。
【0107】
調製例1:2−クロロ−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン
【0108】
【化5】

ステップA:2−メルカプト−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン:イソニコチノイル酢酸エチル(Acros)(40.6g、210mmol)、1−メチル−2−チオ尿素(56.8g、630mmol)、DBU(31.4ml、31.9g、210mmol)、およびEtOH(400ml)の混合物を4時間加熱還流した。氷水浴中で冷却した後、メタンスルホン酸(13.6ml、20.2g、210mmol)の水(70ml)溶液をゆっくりと加え、密集した沈殿を濾過によって収集し、水で洗浄した。固体を終夜風乾して、表題化合物(32.6g)を得た。母液から結晶を収集し、洗浄し、上記のように乾燥させて、さらに表題化合物(1.45g)を得た。全収率=34.03g(74%)のオフホワイトの固体。H−NMR(DMSO):δppm12.88(s,1H)、8.69〜8.72(m,2H)、7.68〜7.71(m,2H)、6.37(s,1H)、3.55(s,3H)。
【0109】
【化6】

ステップB:2−クロロ−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン:
DMF(245ml)に、窒素雰囲気中で撹拌しながら、新たに蒸留したPOCl(21.8ml、35.8g、0.23mol)を加え、混合物を20分間撹拌した。調製例1、ステップAの生成物(33.2g、0.15mol)を少量ずつ加え、得られる混合物を室温で5分間撹拌し、次いで70℃で4時間加熱した。一晩冷却した後(4℃)、混合物を窒素中で密封し、撹拌しながらEtOAc(865ml)を加えた。30分間撹拌した後、沈殿を収集した、EtOAcで洗浄し、乾燥させた。固体を水(550ml)に溶解させ、15%の水酸化ナトリウム水溶液でpH10に調整した。沈殿を収集し、水で洗浄した。固体を、ポンプで、次いで45〜50℃の真空オーブン中にて五酸化リンで4日間乾燥させて、粗生成物(27.4g)を得た。この固体をEtOAc(最終体積約170ml)から再結晶化(熱濾過)して、表題化合物(21.0g)を淡いベージュ色の固体、融点=147.8〜148℃として得た。母液を蒸発にかけると、さらに生成物(5.60g)が得られた。全収率(26.6g、79%)。H−NMR(DMSO):δppm8.65〜8.72(m,18H)、7.89〜7.96(m,21H)、7.25(s,1H)、3.56(s,3H)。
【0110】
調製例2:2−クロロ−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン
【0111】
【化7】

ステップA:ピリミジン−4−カルボン酸の調製:4−メチルピリミジン(Aldrich)(10g、0.10mmol)のピリジン(100ml)溶液に、SeO(17.8g、0.16mmol)を加えた。混合物を2時間かけて55℃に、次いで3.5時間かけて85℃に加熱した。反応液を室温に冷まし、36時間撹拌した。固体を珪藻土で濾過した。溶媒を蒸発させ、残渣を100mlのMeOHに希釈した。沈殿を収集して、表題化合物を褐色の固体(9.7g、78%)として得た。H−NMR(DMSO−d):δppm13.4〜14.0(ブロード,1H)、9.34(s,1H)、9.04(d,J=4.98Hz,1H)、および8.02((d,J=4.98Hz,1H)。Cについて算出した質量:(M+1)125。
【0112】
【化8】

ステップB:ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステルの調製:調製例2、ステップAの生成物(6.17g、49.7mmol)のMeOH(60ml)溶液を硫酸(0.3ml)に加え、16時間加熱還流した。過剰の溶媒を真空中で除去して残渣を得、それを10%MeOH/CHCl(100ml)に溶解させ、シリカゲルに吸着させた。粗製材料を、CHCl、次いで10%MeOH/CHClを溶離液とするシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を黄色の固体(5.8g、85%)として得た。H−NMR(DMSO):δ9.4(s,1H)、9.0(d,J=4.9Hz,1H)、8.0(d,J=4.9Hz,1H)、および4.0(s,3H)。Cについて算出した質量:(M+H)140。
【0113】
【化9】

ステップC:3−オキソ−3−ピリミジン−4−イル−プロピオン酸エチルエステル:調製例2、ステップBの生成物(5.8g、42mmol)のEtOAc(180ml)溶液に、機械的に撹拌しながら、THF中1Mカリウムt−ブトキシド(85ml、85mmol)を4回に分けて加えた。反応液を40時間還流させた。水(200ml)を加え、層を分離した。水性物質をEtOAc(2×100ml)で洗浄した。水性物質を濃塩酸でpH2〜3に酸性化し、次いでCHCl(3×100ml)で抽出した。有機抽出物を合わせ、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、表題化合物を橙色の固体(7.07g、86%)として得た。(ケト形とエノール形の混合物)ケト:H−NMR(CDCl3)δppm12.22(s,1H)、9.23(s,1H)、8.89(d,J=4.98 Hz,1H)、7.83〜7.85(m,1H)、7.26(s,1H)、6.46(s,1H)、4.30(q,J=7.05 Hz,2H)、1.34(t,J=7.26 Hz,3H)。
【0114】
【化10】

ステップD:2−メルカプト−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン:調製例2、ステップCの生成物(8g、41.2371mmol)のEtOH(70ml)溶液に、N−メチルチオ尿素(7.43g、82.47mmol)およびDBU(6.27g、41.29mmol)を室温で加えた。混合物を70℃に加熱し、4時間撹拌した。混合物を濃縮し、未精製の残渣を、DCM中40%EtOAcを溶離溶媒として使用する60〜120メッシュのシリカゲルカラムでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を黄色の結晶固体(6g、66%)として得た。H−NMR(DMSO):δppm10.5〜10.8(ブロード,1H)、9.4(s,1H)、9.0(d,J=5Hz,1H)、7.8(d,J=5Hz,1H)、6.6(s,1H)、および3.75(s,3H)。COSについて算出した質量:(M+H)221。
【0115】
【化11】

ステップE:2−クロロ−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン:氷浴で冷却したDMF(50ml)に、POCl(11ml)を加えた。混合物を30分間撹拌し、次いで調製例2、ステップCの生成物(5g、22.7mmol)を一度に加えた。反応混合物を50℃の油浴で加熱し、1時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、氷水(約200ml)上に注ぎ、混合物が室温に温まるまで撹拌した。溶液を固形炭酸水素ナトリウムで中和してpH約7とした。生成する固体を収集すると、褐色の固体(3.42g)が得られた。未精製の残渣をEtOAcに溶解し直し、1N NaOH(2×100ml)、次いでブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、表題化合物を黄褐色の固体(1.44g)として得た。中和された水溶液をEtOAc(3×)で抽出した。有機抽出物を1N NaOH(100ml)、次いでブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、表題化合物を黄褐色の固体(0.933g)として得た。全収率は、2.37g、47%であった。H−NMR(DMSO):δppm9.32(s,1H)、9.01(d,J=5Hz,1H)、8.14(d,J=5Hz,1H)、7.30(s,1H)、および3.57(s,3H)。
【0116】
調製例3:3−メチル−2−(メチルスルホニル)−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン
【0117】
【化12】

ステップA:3−メチル−2−(メチルチオ)−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン:調製例2、ステップDの生成物(250mg、1.1mmol)のTHF(3ml)懸濁液に、MeI(0.08ml、1.2mmol)、次いで1N NaOH(1.4ml、1.4mmol)を加えた。懸濁液を30分間撹拌した。混合物を水で希釈し、次いでCHCl(3×)で抽出した。有機抽出物を合わせ、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、表題化合物を黄色の結晶固体(277mg、100%)として得た。H−NMR(DMSO−d):δppm9.30(s,1H)、9.02(d,J=5Hz,1H)、8.31(d,J=5Hz,1H)、7.09(s,1H)、3.45(s,3H)、2.70(s,3H)。
【0118】
【化13】

ステップB:3−メチル−2−(メチルスルホニル)−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン:調製例3、ステップAの生成物(550mg、2.3mmol)のTHF(55ml)溶液に、mCPBA(1.0g、5.8mmol)を加え、16時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣をCHClに溶解し直し、シリカゲルに吸着させた。残渣を、50%のヘキサン中EtOAcを溶離液とする60〜120メッシュシリカゲルカラムでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、白色固体(625mg、54%)を得た。H−NMR(DMSO−d):δppm9.35(s,1H)、9.06(d,J=5Hz,1H)、8.31(d,J=5Hz,1H)、7.09(s,1H)、3.76(s,3H)、3.71(s,3H)。
【0119】
調製例4:2−クロロ−6−(3−フルオロピリジン−4−イル)−3−メチルピリミジン−4(3H)−オン
【0120】
【化14】

ステップA:3−(3−フルオロピリジン−4−イル)−3−オキソプロパン酸エチル:3−フルオロイソニコチン酸(3g、21.3mmol)のTHF(50ml)懸濁液に、CDI(3.6g、22.4mmol)を加えた。混合物を50℃で約16〜18時間加熱した。別のフラスコにおいて、マロン酸エチルカリウム(4.7g、27.7mmol)および塩化マグネシウム(3.2g、33.2mmol)をTHFに懸濁させ、35℃で1時間撹拌した。この混合物に、前のステップからの無水混合物を加えた。合わせた混合物を、還流温度で1時間、次いで50℃で16〜18時間加熱した。混合物を室温に冷却し、HCl水溶液(1N)でpH約5に酸性化した。水(5ml)を加えた後、有機層を分離した。水層をEtOAc(3×30ml)でさらに抽出し、有機層を合わせて乾燥させ(硫酸ナトリウム)、蒸発させて、未精製の油状物とした。MeOHを加えると、表題生成物が白色固体、3.9g(86.4%)として沈殿した。H−NMR(DMSO−d6)δ8.52(d,1H)、8.41(q,1H)、7.63(m,1H)、5.13(s,1H)、4.00(q,2H)、3.32(s,2H)、1.16(t,3H);LCMS 212.2(M+H)。
【0121】
【化15】

ステップB:6−(3−フルオロピリジン−4−イル)−2−メルカプト−3−メチルピリミジン−4(3H)−オン:調製例4、ステップAの生成物(3.9g、18.4mmol)のトルエン(40ml)懸濁液に、N−メチルチオ尿素(5.6g、62.6mmol)およびDBU(3.0ml、20.3mmol)を加え、混合物を100℃で48時間加熱した。30mlのEtOHを加え、反応液を100℃で約18時間加熱した。反応液を室温に冷却し、水(18ml)およびメタンスルホン酸(2ml)を加え、1時間撹拌した。水層を濃縮して体積を小さくし、生成した沈殿を収集して、2.4g(55%)の黄色の固体を得た。H−NMR(MeOH−d)δ8.65(d,1H)、8.55(d,1H)、7.63(q,1H)、6.17(s,1H)、3.69(s,3H);LCMS 238.2(M+H)。
【0122】
【化16】

ステップC:2−クロロ−6−(3−フルオロピリジン−4−イル)−3−メチルピリミジン−4(3H)−オンの調製:DMF(5ml)にオキシ塩化リン(0.41ml、4.43mmol)を加え、室温で30分間撹拌した。この混合物に、調製例4、ステップBの生成物(700mg、2.95mmol)を少量ずつ加え、混合物を62℃で2時間加熱した。冷却し濃縮した後、水をゆっくりと加えた。混合物をジクロロメタン(5×30ml)で抽出し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、濃縮して、表題生成物(365mg、52%)を黄色の固体として得た。H−NMR(CDCl)δ8.68(d,1H)、8.57(q,1H)、7.99(q,1H)、7.12(s,1H)、3.72(s,3H);LCMS 240.3(M+H)。
【0123】
実施例1〜35の一般手順
【0124】
【化17】

アミン(80μmol)に、調製例1の生成物(15.5mg、70μmol)およびTEA(16mg、160μmol)のDMF(400μl)溶液を加えた。混合物を密封し、振盪しながら12時間かけて80℃に加熱した。混合物をEtOAc(2ml)および水(2ml)で希釈し、次いで振盪した。有機層をタールが塗られた(tarred)バイアルに移し、水層をEtOAc(2ml)で抽出した。有機層をタールが塗られたバイアルに移した。有機抽出物を蒸発させ、大まかな量についてバイアルを秤量した。残渣をDMSO(930μl)に溶解させ、1時間かけて60℃に加熱した。生成物を分取HPLCによって精製した。
【実施例】
【0125】
以下の実施例1〜35は、上述の一般手順に従って調製した。
【0126】
【表1−1】

【0127】
【表1−2】

【0128】
【表1−3】

【0129】
【表1−4】

【0130】
【表1−5】

【0131】
【表1−6】

【0132】
【表1−7】

【0133】
【化18】

(実施例36)
(2S)−2−{[エチル(1−メチル−6−オキソ−4−ピリミジン−4−イル−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル)アミノ]メチル}ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチル:調製例2の生成物(67mg、0.30mmol)のDMF(1.5ml)溶液に、(S)−t−ブチル−2−((エチルアミノ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシラート(82mg、0.36mmol)、次いでTEA(0.1ml、0.7mmol)を加えた。反応液を16時間かけて80℃に加熱した。反応液をEtOAcと水とに分配し、有機層を分離し、シリカゲルに吸着させた。未精製の残渣を、50〜100%の勾配のヘキサン中EtOAcを溶離液とする60〜120メッシュシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を黄色の半固体(104mg、83%)として得た。H−NMR(CDCl):δppm9.22(s,1H)8.90(d,J=5Hz,1H)、8.51(d,J=5Hz,1H)、7.18(s,1H)、4.19(m,1H)、3.68(m,1H)、3.47〜3.29(m,5H)、2.00〜1.70(m,4H)、1.42(s,9H)、1.25(t,J=7Hz,3H)、MW計算値:414.5、実測値:415.4(MH+)。
【0134】
【化19】

(実施例37)
2−[(4S,4aS,8aR)−4−ヒドロキシ−4−フェニルオクタヒドロキノリン−1(2H)−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イルピリミジン−4(3H)−オン:調製例2の生成物(67mg、0.30mmol)のDMF(1.5ml)溶液に、(4S,4aS,8aR)−4−フェニル−デカヒドロキノリン−4−オール(82mg、0.36mmol)、次いでTEA(0.1ml、0.7mmol)を加えた。反応液を16時間かけて80℃に加熱した。反応液をEtOAcと水とに分配し、有機抽出物を分離し、シリカゲルに吸着させた。未精製の残渣を、50〜100%の勾配のヘキサン中EtOAcを溶離液とする60〜120メッシュシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を黄色の半固体(47mg、37%)として得た。H−NMR(CDCl):δppm9.32(s,1H)、9.05(d,J=5Hz,1H)、8.2(d,J=5Hz,1H)、7.49(d,J=7.5Hz,1H)、7.32(t,J=7.5Hz,1H)、7.20(t,J=7.5Hz,1H)、4.95(s,1H)、3.49(m,1H)、3.29(s,3H)、3.22〜3.06(m,2H)、2.26(m,1H)、2.05(m,1H)、1.88(m,1H)、1.66〜1.49(m,3H)、1.29〜0.97(m,5H)。MW計算値:417.5、実測値:418.5(MH+)。
【0135】
【化20】

(実施例38)
(1R,5S,6s)−6−[(1−メチル−6−オキソ−4−ピリミジン−4−イル−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル)アミノ]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボン酸t−ブチル:調製例3の生成物(20mg、0.07mmol)のDMF(0.5ml)溶液に、6−アミノ−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボン酸(1R,5S,6s)−t−ブチル(20mg、0.10mmol)を加えた後、TEA(0.1ml、0.7mmol)を加えた。反応液を16時間かけて80℃に加熱し、冷却し、DMSO(0.5ml)で希釈した。未精製の混合物を、0.01%の水酸化アンモニウム改質剤を含有するアセトニトリルと水の混合物を溶離液とする分取HPLCで精製して、表題化合物を黄色の半固体(19.9mg、68%)として得た。H−NMR(CDCl):δppm9.22(s,1H)、8.93(d,J=5Hz,1H)、8.34(d,J=5Hz,1H)、6.99(s,1H)、3.75(m,2H)、3.63(m,1H)、3.51(m,2H)、3.40(s,3H)、2.55(m,1H)、1.97(m,1H)、1.89(m,1H)、1.48(s,1H)。MW計算値:384.4、実測値:385.4(MH+)。
【0136】
【化21】

(実施例39)
4−[(1−メチル−6−オキソ−4−ピリミジン−4−イル−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル)アミノ]アゼパン−1−カルボン酸t−ブチル:調製例3の生成物(80mg、0.30mmol)のDMF(1.0ml)溶液に、4−アミノアゼパン−1−カルボン酸t−ブチル(75mg、0.35mmol)を加えた後、TEA(0.15ml、1.1mmol)を加えた。次いで、反応液を16時間かけて80℃に加熱し、室温に冷却した。反応液をDMSO(1.5ml)で希釈し、0.01%の水酸化アンモニウム改質剤を含有するアセトニトリルと水の混合物を溶離液とする分取HPLCで精製して、黄色の半固体(23.2mg、19%)を得た。H−NMR(CDCl):δppm9.21(s,1H)、8.91(d,J=5Hz,1H)、8.32(d,J=5Hz,1H)、8.27(d,J=5Hz,1H)、6.94(s,1H)、4.27(m,1H)、3.68〜3.36(m,7H)、2.23(m,1H)、2.09(m,1H)、1.99〜1.64(m,4H)、1.49(d,J=5Hz,9H)。MW計算値:400.4、実測値:401.4(MH+)。
【0137】
【化22】

(実施例40)
2−(6−アミノ3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−t−ブチルカルボキシラート)−6−(3−フルオロピリジン−4−イル)−3−メチルピリミジン−4(3H)−オン:調製例4、ステップCの生成物(50mg、0.21mmol)、TEA(58mg、0.42mol)、および6−アミノ−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボン酸(1R,5S,6s)−t−ブチル(50mg、0.25mmol)のDMF(0.5ml)溶液を、マイクロ波装置(Biotage)にて150℃で5分間加熱した。水(5ml)を加えると沈殿が得られ、これをEtOAc(2×5ml)で抽出した。未精製の残渣を、100%のEtOAcを移動相として使用する分取TLCで精製して、白色固体(31mg、37%)を得た。H−NMR(500MHz、CD3OD):δppm8.57(d,1H)、8.51(d,1H)、8.16(q,1H)、6.52(s,1H)、3.71(m,2H)、3.48(m,2H)、3.39(s,3H)、2.5(t,H)、1.9(m,2H)、1.46(s,9H)。MW計算値:401.4、実測値:402.5(MH+)。
【0138】
【化23】

(実施例41)
2−(1−アセチルアゼパン−4−イルアミノ)−3−メチル−6−(ピリジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オン:実施例8の生成物(80μmol)に、TFA(2ml)のDCE(2ml)溶液を加えた。反応液を4時間振盪した。溶媒を蒸発させて未精製の残渣を得、これをDMF(500μl)に溶解させた。TEA(160μmol)の入ったDMF(0.2ml)を加えた後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール/ジメチルスルホキシド−N−メチルピロリジノン(HBTU)(80μmol)の入ったDMF(0.2ml)を加えた。これに酢酸(80μmol)の入ったDMF(0.1ml)を加えた。反応液を室温で16時間振盪した。未精製の混合物を蒸発させ、DMSOに溶解させ、分取HPLCによって精製して、表題化合物(1.9mg)を得た。MW計算値:341.2、実測値:342(MH+)、保持時間:1.37分。
【0139】
実施例42〜60の一般手順
実施例42〜60は、実施例41を調製するのに記載した類似の手順を使用し、適切な出発材料(実施例1〜35)を代わりに用い、適切な酸と結合させて調製した。使用するアッセイプロトコルは、上述の無細胞酵素アッセイにおける1μMでのGSK−3βの阻害パーセントである。
【0140】
【表2−1】

【0141】
【表2−2】

【0142】
【表2−3】

【0143】
【表2−4】

【0144】
【化24】

(実施例61)
(R)−2−(((1−ベンゾイルピロリジン−2−イル)メチル)(エチル)アミノ)−3−メチル−6−(ピリジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オン:実施例4の生成物(80μmol)に、TFA(2ml)のDCE(2ml)溶液を加え、混合物を4時間振盪した。溶媒を除去し、残渣をDMF(500μl)に溶解させた。TEA(160μmol)の入ったDMF(0.2ml)を加えた後、塩化ベンゾイル(80μmol)の入ったDMF(0.2ml)を加えた。反応液を室温で16時間振盪した。未精製の混合物を蒸発させ、次いでDMSOに溶解させ、分取HPLCによって精製して、表題化合物(4.0mg)を得た。MW計算値:417.5、実測値:418(MH+)、保持時間:1.89分。
【0145】
実施例62〜155の一般手順
実施例62〜155は、実施例61を調製するのに記載した類似の手順を使用し、適切な出発材料(実施例1〜35)を代わりに用い、適切な酸塩化物と結合させて調製した。
【0146】
【表3−1】

【0147】
【表3−2】

【0148】
【表3−3】

【0149】
【表3−4】

【0150】
【表3−5】

【0151】
【表3−6】

【0152】
【表3−7】

【0153】
【表3−8】

【0154】
【表3−9】

【0155】
【表3−10】

【0156】
【表3−11】

【0157】
【表3−12】

【0158】
【表3−13】

【0159】
【表3−14】

【0160】
【表3−15】

【0161】
【表3−16】

【0162】
【表3−17】

【0163】
【表3−18】

【0164】
【表3−19】

【0165】
【化25】

(実施例156)
(R)−2−(エチル((1−(メチルスルホニル)ピロリジン−2−イル)メチル)アミノ)−3−メチル−6−(ピリジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オン:実施例32の生成物(80μmol)にTFA(2ml)のDCE(2ml)溶液を加え、混合物を4時間振盪した。溶媒を除去して残渣を得、これをDCE(500μl)に溶解させた。TEA(160μmol)の入ったDCE(0.2ml)を加えた後、塩化メタンスルホニル(80μmol)の入ったDCE(0.2ml)を加えた。反応液を室温で16時間振盪した。混合物を蒸発させ、次いでDMSOに溶解させ、分取HPLCによって精製して、表題化合物(8.9mg)を得た。MW計算値:391.5、実測値:392(MH+)、保持時間:2.41分。
【0166】
実施例157〜199の一般手順
実施例157〜199は、実施例156を調製するのに記載した類似の手順を使用し、適切な出発材料(実施例1〜35)を代わりに用い、適切な塩化スルホニルと結合させて調製した。
【0167】
【表4−1】

【0168】
【表4−2】

【0169】
【表4−3】

【0170】
【表4−4】

【0171】
【表4−5】

【0172】
【表4−6】

【0173】
【表4−7】

【0174】
【表4−8】

【0175】
【表4−9】

【0176】
【化26】

(実施例200)
(R)−2−(エチル((1−(メチルスルホニル)ピロリジン−2−イル)メチル)アミノ)−3−メチル−6−(ピリジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オン:実施例8の生成物(80μmol)に、TFA(2ml)のDCE(2ml)溶液を加え、混合物を4時間振盪した。溶媒を除去して未精製の残渣を得、これをDCE(500ml)に溶解させた。TEA(160μmol)の入ったDCE(0.2ml)を加えた後、メチルクロロホルマート(80μmol)の入ったDCE(0.2ml)を加えた。反応液を室温で16時間振盪した。未精製の混合物を蒸発させ、次いでDMSOに溶解させ、分取HPLCによって精製して、表題化合物(3.9mg)を得た。MW計算値:357.4、実測値:358(MH+)、保持時間:1.7分。
【0177】
実施例201〜221の一般手順
実施例201〜221は、実施例200を調製するのに記載した類似の手順を使用し、適切な出発材料(実施例1〜35)を代わりに用い、適切なクロロホルマートと結合させて調製した。
【0178】
【表5−1】

【0179】
【表5−2】

【0180】
【表5−3】

【0181】
【表5−4】

【0182】
【表5−5】

【0183】
実施例222〜234は、実施例200を調製するのに記載した類似の手順を使用し、適切な出発材料(実施例1〜35)を代わりに用い、適切なクロロホルマートと結合させて調製した。
【0184】
【表6−1】

【0185】
【表6−2】

【0186】
【表6−3】

【0187】
【化27】

(実施例235)
(R)−2−(エチル((1−メチルピロリジン−2−イル)メチル)アミノ)−3−メチル−6−(ピリジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オン:実施例4の生成物(80μmol)に、TFA(2ml)のDCE(2ml)溶液を加え、混合物を4時間振盪した。溶媒を除去して残渣を得、これをMeOH(0.5ml)に溶解させた。TEA(160μmol)の入ったMeOH(0.2ml)を加えた後、ホルムアルデヒド(80μmol)の入ったMeOH(0.2ml)を加えた。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(100umol)を加え、MeOH(0.5ml)に溶解させた。反応液を室温で16時間時間振盪した。混合物を蒸発させ、DMSOに溶解させ、分取HPLCによって精製して、表題化合物(5.0mg)を得た。MW計算値:327.4、実測値:328(MH+)、保持時間:2.13分。
【0188】
実施例236〜262の一般手順
実施例236〜262は、実施例235を調製するのに記載した類似の手順を使用し、適切な出発材料(実施例1〜35)を代わりに用い、適切なアルデヒドと結合させて調製することができる。
【0189】
【表7−1】

【0190】
【表7−2】

【0191】
【表7−3】

【0192】
【表7−4】

【0193】
【表7−5】

【0194】
【表7−6】

【0195】
【化28】

(実施例263)
6−((4−(3−フルオロピリジン−4−イル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル)(メチル)アミノ)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボン酸(1S,5R,6s)−t−ブチル:(1S,5R,6s)−t−ブチル−6−(4−(3−フルオロピリジン−4−イル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イルアミノ)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボキシラート(1.2g、3mmol)のDMF(15ml)溶液に、60%のNaH(956mg、6mmol)を加え、混合物を室温で10分間撹拌した。混合物に、0.4mlのMeIを2mlのDMFに溶かした溶液を加え、混合物を室温で2時間撹拌した。混合物をEtOAcと水とに分配し、有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。残渣を、5〜100%の勾配のヘキサン中EtOAcを溶離液とするカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を白色固体(864mg、72%)として得た。
【0196】
【化29】

(実施例264)
6−(3−フルオロピリジン−4−イル)−3−メチル−2−(メチル((1S,5R,6s)−3−(ピリミジン−2−イル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−イル)アミノ)ピリミジン−4(3H)−オン:実施例274の生成物に、TFA(5ml)のDCM(5ml)溶液を加え、混合物を1時間振盪した。溶媒を蒸発させて未精製の残渣(35mg、85μmol)を得、これをDMF(1ml)に溶解させた後、TEA(90μl、510μmol)、次いで2−クロロピリミジン(19mg、166μmol)を加えた。反応は、Biotageマイクロ波反応器において170℃で10分間実施した。反応液をEtOAcと水とに分配し、有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。残渣を、100%EtOAcからEtOAc中10%MeOHへの勾配を溶離溶媒として使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(5mg、11%)を得た。H−NMR(CDCl):δppm8.48(d,1H)、8.46(d,1H)、8.28(d,2H)、7.95(t,1H)、6.77(s,1H)、6.53(t,1H)、3.94(d,2H)、3.60(d,2H)、3.49(s,3H)、3.01(s,3H)、2.68(t,1H)、1.88(m,1H);LCMS 394.3(M+H)。
【0197】
実施例265〜291の一般手順
実施例265〜291は、実施例263および264を調製するのに記載した類似の手順を使用し、適切な出発材料を代わりに用い、適切な試薬と結合させて調製した。
【0198】
【表8−1】

【0199】
【表8−2】

【0200】
【表8−3】

【0201】
【表8−4】

【0202】
【表8−5】

【0203】
【表8−6】

【0204】
【表8−7】

【0205】
【表8−8】

【0206】
【表8−9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】

または薬学的に許容できるその塩[式中、
は、水素またはC〜Cアルキル基であり、
は、−(4〜15員)ヘテロシクロアルキル、−(5〜10員)ヘテロアリール、またはC〜Cアルキル基であり、前記アルキルは、−(4〜15員)ヘテロシクロアルキルまたは−(5〜10員)ヘテロアリールで置換されており、Rの前記ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールは、基Rから選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく、
または−NRは、一緒になって、(8〜15員)ヘテロシクロアルキルまたは−(5〜10員)ヘテロアリールを形成していてよく、どちらもが、基Rから選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく、
は、水素またはC〜Cアルキルであり、
は、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、またはC〜Cハロアルコキシであり、
各Rは、−OH、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−C〜Cシクロアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、−C〜Cアルコキシ、−C〜Cアルケノキシ、−C〜Cアルキノキシ、−C〜Cヒドロキシアルキル、−CN、−NO、−NR、−C(=O)N、−C(=O)R、−C(=O)OR、−S(O)NR、−S(O)、−NRC(=O)R、−NRSO、−(C〜Cアルキレン)−C〜C15アリール、−(C〜Cアルキレン)−(5〜15員)ヘテロシクロアルキル、−(C〜Cアルキレン)−(5〜15員)ヘテロアリール、−(C〜Cアルキレン)−C〜C15アリールオキシ、および−(C〜Cアルキレン)−(5〜15員)ヘテロアリールオキシからそれぞれ独立に選択され、Rの前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、およびヘテロアリールオキシは、ハロゲン、−C〜C12アルキル、−C〜Cアルコキシ、−NR、−C(=O)N、−C(=O)R、−C(=O)OR、−NRC(=O)R、−NRSO、−S(O)NR、−S(O)、または−OHから選択される1個または複数の置換基でそれぞれ独立に置換されていてもよく、
各RおよびRは、−H、−C〜C15アルキル、−C〜C15アルケニル、−C〜C15アルキニル、−(C〜Cアルキレン)−(C〜C15シクロアルキル)、−(C〜Cアルキレン)−(C〜Cシクロアルケニル)、−(C〜Cアルキレン)−((5〜15員)ヘテロシクロアルキル)、−(C〜Cアルキレン)−(C〜C15アリール)、および−(C〜Cアルキレン)−((5〜15員)ヘテロアリール)からそれぞれ独立に選択され、RおよびRの前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールは、−OH、−C〜C12アルキル、−C〜C12アルケニル、−C〜C12アルキニル、C〜Cアルコキシ、−C〜Cアルケノキシ、−C〜Cアルキノキシ、−C〜Cヒドロキシアルキル、ハロゲン、−CN、−NO、−CF、−NH、−NH(C〜Cアルキル)、−N(C〜Cアルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C〜Cアルキル)、−C(=O)N(C〜Cアルキル)、−SONH、−SONH(C〜Cアルキル)、−SON(C〜Cアルキル)、−C(=O)H、−C(=O)OH、および−C(=O)O(C〜Cアルキル)からそれぞれ独立に選択される1個または複数の置換基でそれぞれ独立に置換されていてもよく、
nは、0、1、または2であり、mは、0、1、2、3、または4である]。
【請求項2】
が−(5〜15員)ヘテロシクロアルキルまたは−(5〜10員)ヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が−(5〜15員)ヘテロシクロアルキルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、−(5〜15員)ヘテロシクロアルキルまたは−(5〜10員)ヘテロアリールで置換されているC〜Cアルキル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
−NRが、一緒になって、8員、9員、または10員ヘテロシクロアルキルを形成している、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
−NRが、一緒になって、テトラヒドロイソキノリニル、架橋アザ二環式基、架橋ジアザ二環式基、ならびに次式
【化2】

[式中、XはNR13またはSであり、XはOまたはNR13であり、R13は不在であるか、水素またはC〜Cアルキルである]から選択される基から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記8員、9員、または10員ヘテロシクロアルキルが、−OH、ハロゲン、−(C〜Cアルキレン)−C〜C15アリール、−(C〜Cアルキレン)−(5〜15員)ヘテロシクロアルキル、または−(C〜Cアルキレン)−(5〜15員)ヘテロアリールから選択される1個または複数の置換基で置換されている、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
が、Rで置換されている−(5〜15員)ヘテロシクロアルキルであり、Rが−C(=O)R、−C(=O)OR、または−S(O)であり、Rが−(C〜Cアルキレン)−C〜C15アリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
式IIの化合物
【化3】

または薬学的に許容できるその塩[式中、
は、水素またはC〜Cアルキル基であり、
は、−(4〜15員)ヘテロシクロアルキル、−(5〜10員)ヘテロアリール、またはC〜Cアルキル基であり、前記アルキルは、−(4〜15員)ヘテロシクロアルキルまたは−(5〜10員)ヘテロアリールで置換されており、Rの前記ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールは、基Rから選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく、
または−NRは、一緒になって、(8〜15員)ヘテロシクロアルキルまたは−(5〜10員)ヘテロアリールを形成していてよく、どちらもが、基Rから選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく、
は、水素またはC〜Cアルキルであり、
は、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、またはC〜Cハロアルコキシであり、
各Rは、−OH、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、−C〜Cアルコキシ、−C〜Cアルケノキシ、−C〜Cアルキノキシ、−C〜Cヒドロキシアルキル、−CN、−NO、−NR、−C(=O)N、−C(=O)R、−C(=O)OR、−S(O)NR、−S(O)、−NRC(=O)R、−NRSO、−(C〜Cアルキレン)−C〜C15アリール、−(C〜Cアルキレン)−(5〜15員)ヘテロシクロアルキル、−(C〜Cアルキレン)−(5〜15員)ヘテロアリール、−(C〜Cアルキレン)−C〜C15アリールオキシ、および−(C〜Cアルキレン)−(5〜15員)ヘテロアリールオキシからそれぞれ独立に選択され、Rの前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、およびヘテロアリールオキシは、ハロゲン、−C〜C12アルキル、−C〜Cアルコキシ、−NR、−C(=O)NR、−C(=O)R、−C(=O)OR、−NRC(=O)R、−NRSO、−S(O)NR、−S(O)、または−OHから選択される1個または複数の置換基でそれぞれ独立に置換されていてもよく、
各RおよびRは、−H、−C〜C15アルキル、−C〜C15アルケニル、−C〜C15アルキニル、−(C〜Cアルキレン)−(C〜C15シクロアルキル)、−(C〜Cアルキレン)−(C〜Cシクロアルケニル)、−(C〜Cアルキレン)−((5〜15員)ヘテロシクロアルキル)、−(C〜Cアルキレン)−(C〜C15アリール)、および−(C〜Cアルキレン)−((5〜15員)ヘテロアリール)からそれぞれ独立に選択され、RおよびRの前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールは、−OH、−C〜C12アルキル、−C〜C12アルケニル、−C〜C12アルキニル、−C〜Cアルコキシ、−C〜Cアルケノキシ、−C〜Cアルキノキシ、−C〜Cヒドロキシアルキル、ハロゲン、−CN、−NO、−CF、−NH、−NH(C〜Cアルキル)、−N(C〜Cアルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C〜Cアルキル)、−C(=O)N(C〜Cアルキル)、−SONH、−SONH(C〜Cアルキル)、−SON(C〜Cアルキル)、−C(=O)H、−C(=O)OH、および−C(=O)O(C〜Cアルキル)からそれぞれ独立に選択される1個または複数の置換基でそれぞれ独立に置換されていてもよく、
nは、0、1、または2であり、pは、0、1、2、または3である]。
【請求項10】
が−(5〜15員)ヘテロシクロアルキルまたは−(5〜10員)ヘテロアリールである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
が−(5〜15員)ヘテロシクロアルキルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が、−(5〜15員)ヘテロシクロアルキルまたは−(5〜10員)ヘテロアリールで置換されているC〜Cアルキル基である、請求項9に記載の化合物。
【請求項13】
−NRが、一緒になって、8員、9員、または10員ヘテロシクロアルキルを形成している、請求項9に記載の化合物。
【請求項14】
−NRが、一緒になって、テトラヒドロイソキノリニル、架橋アザ二環式基、架橋ジアザ二環式基、ならびに次式
【化4】

[式中、XはNR13またはSであり、XはOまたはNR13であり、R13は不在であるか、水素またはC〜Cアルキルである]から選択される基から選択される、請求項9に記載の化合物。
【請求項15】
前記8員、9員、または10員ヘテロシクロアルキルが、−OH、ハロゲン、−(C〜Cアルキレン)−C〜C15アリール、−(C〜Cアルキレン)−(5〜15員)ヘテロシクロアルキル、または−(C〜Cアルキレン)−(5〜15員)ヘテロアリールから選択される1個または複数の置換基で置換されている、請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
が、Rで置換されている−(5〜15員)ヘテロシクロアルキルであり、Rが−C(=O)R、−C(=O)OR、または−S(O)であり、Rが−(C〜Cアルキレン)−C〜C15アリールである、請求項9に記載の化合物。
【請求項17】
所定量の請求項1または請求項9に記載の化合物と、薬学的に許容できる担体、媒体、または希釈剤とを含む医薬組成物。
【請求項18】
アルツハイマー病、癌、糖尿病、シンドロームX、肥満、脱毛、炎症、気分障害、神経細胞死、発作、双極性障害、筋肉質量および機能の喪失から生じる状態、虚弱、ならびに心臓保護から選択される障害の治療方法であって、前記障害の治療に有効な量の請求項1または請求項9に記載の化合物を投与することを含む方法。

【公表番号】特表2010−501540(P2010−501540A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525121(P2009−525121)
【出願日】平成19年8月13日(2007.8.13)
【国際出願番号】PCT/IB2007/002390
【国際公開番号】WO2008/023239
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】