説明

GaN系III−V族化合物半導体発光素子及びその製造方法

【課題】440nm以上の発光波長で、高発光効率かつ高信頼性のGaN系III−V族化合物半導体発光素子を提供する。
【解決手段】本GaN系半導体レーザ素子10は、サファイア基板12の表層、バッファ層14、及び第1のGaN層16からなるストライプ状の凸部18、及びサファイア基板上に、第2のGaN層20、n側クラッド層22、n側ガイド層24、活性層26、劣化防止層28、p側ガイド層30、p側クラッド層32、及びp側コンタクト層34の積層構造を備える。活性層は、GaInN障壁層36と、GaInN井戸層38との量子井戸構造として構成されて、障壁層と井戸層の上面もしくは下面もしくはその双方との間にAlGaN層からなる面状結晶欠陥抑制層40を介在させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GaN系III−V族化合物半導体発光素子及びその製造方法に関し、更に詳細には、高発光効率で信頼性の高い、発光波長が440nm以上のGaN系III−V族化合物半導体発光素子、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
GaN系III−V族化合物半導体は、直接遷移半導体であって、その禁制帯幅は1.9eVから6.2eVにわたっているので、可視領域から紫外領域までの発光を得ることができる化合物半導体である。
そのような半導体特性を有するGaN系III−V族化合物半導体は、青色や緑色の半導体レーザダイオード(LD)や発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子の材料として注目され、GaN系III−V族化合物半導体を使った青色や緑色の半導体発光素子の開発が、近年、活発に行われている。
青色や緑色のLEDはすでに実用化されており、また、LDについても、光ディスクなどの光記録媒体の記録密度を向上させるために、発光波長400nm程度の光が得られる青紫色半導体LDの実用化が目前である。
そして、発光波長400nmより長波長の純青色、或いは緑色半導体レーザ素子は、レーザディスプレイ装置の光源として、また医療用機器への応用に対する期待から、その開発が求められている。
【0003】
これら発光波長400nmから460nmのGaN系化合物半導体発光素子では、活性層を構成する量子井戸構造の井戸層として、主として、GaInN層が用いられている。
青紫色から長波長化させるためには、井戸層を構成するGaInN層のIn組成を増加させなければならないものの、In組成を増加させることによって、GaInN層の結晶性が悪化し、その結果、GaN系化合物半導体発光素子の発光効率が低下する。
【0004】
LEDは、注入電流密度が低いので、青紫色より長波長のLEDを実用化する際にも、結晶性の悪化がさほど問題にならないこともあるが、注入電流密度の高い半導体レーザ素子では、結晶性の悪化により、半導体レーザ素子の発光効率が低下し、閾値が高まり、信頼性が悪化するという問題が生じる。
このため、発光波長400nmより長波長の純青色或いは緑色半導体レーザ素子の開発を進展させるには、In組成を増大させたときのGaInN層の結晶性の改善が望まれている。
【0005】
そこで、例えば特開2000−349398号公報は、高出力で、かつ素子信頼性の高い窒化物半導体発光素子を提供するために、以下のような構成を提案している。即ち、前掲公報で提案されている窒化物半導体発光素子は、n型窒化物半導体からなるn型クラッド層、IncGa1-cN(0≦c<1)からなる井戸層を有する多重量子井戸構造からなる活性層、及びp型窒化物半導体からなるp型クラッド層とを備えた窒化物半導体発光素子であって、活性層とp型クラッド層との間に、AlaGa1-aN(0<a<1)からなりかつp型クラッド層よりエネルギーギャップの大きい第1のp型窒化物半導体層と、AlbGa1-bN(0<b<1)からなる第2のp型窒化物半導体層とを介在させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−349398号公報(第5頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述の公報に開示されている構成は、青色半導体レーザ素子に適用することを意図したものであって、400nmより長波長のGaN系III−V族化合物半導体レーザ素子で効果を奏するとは考えられない。
以上の説明から判る通り、発光波長400nmより長波長の純青色或いは緑色のGaN系III−V族化合物半導体レーザ素子の実現が求められているものの、従来の技術では、活性層を構成するGaInN層のIn組成を増大させて、発光波長を400nmより長波長化させようとしても、GaInN層の結晶性が悪化して半導体レーザ素子の信頼性が低下するために、長波長化を実現することが難しかった。
そこで、本発明の課題は、発光波長が440nm以上であって、発光効率及び信頼性が高いGaN系III−V族化合物半導体発光素子、及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、In組成が増大すると、GaInN層の結晶性が悪化する原因について、以下のように解析した。
GaInN層の結晶性の悪化は、主として、2種類に分類される結晶欠陥の発生に起因する。一つは主に井戸層と障壁層との格子不整合に起因して活性層から結晶成長方向に延伸する線状結晶欠陥(転位)であり、もう一つは過剰なIn−In結合に起因して活性層面内で発生する面状結晶欠陥である。
面状結晶欠陥とは、結晶欠陥が面状に生成する逆位相境界欠陥、積層欠陥等の結晶欠陥をいう。面状結晶欠陥は非発光中心となりうるので、面状結晶欠陥が存在すると、注入電流対光出力効率が低下する。
そこで、面状結晶欠陥の発生を抑制する対策を開発するために、以下の実験を行った。
【0009】
実験例1
本発明者は、図9に示すように、Ga1-xInxN(x=0.03)層からなる膜厚5nmの障壁層62とGa1-zInzN(z=0.14)層からなる厚さ2.5nm程度の井戸層64との3重量子井戸構造60を形成し、結晶欠陥の発生状況を調べたところ、面状結晶欠陥が、障壁層62と井戸層64との界面に発生していることがわかった。また、この結晶欠陥の面内密度は、10/cm台以上であった。図9中、66及び68は、それぞれ、n側光ガイド層及びp側光ガイド層である。尚、図9は実験例1の試料の活性層構造を示す断面図である。
障壁層62としてGaN層を用いても、結果はGa1-xInxN(x=0.03)層と同じであった。
【0010】
実験例2
本発明者らは、障壁層62の上面と井戸層64の下面との間に面状結晶欠陥の発生を抑制する仕組みが必要と考えた。
そこで、本発明者は、図10に示すように、実験例1と同じ障壁層62の上面と井戸層64の下面との間に、Alを含み、Inを含まない厚さ1nm程度のAlyGa1-yN (y=0.02)層72を面状結晶欠陥抑制層として介在させた3重量子井戸構造70を形成した。つまり、実験例2の試料は、障壁層62の上面と井戸層64の下面との間に厚さ1nm程度のAlyGa1-yN (y=0.02)層72を介在させたことを除いて、実験例1の試料と同じである。尚、図10は実験例2の試料の活性層構造を示す断面図である。
結晶欠陥の発生状況を調べたところ、面状結晶欠陥の発生密度は1〜2桁以上、抑制されていた。面状結晶欠陥が発生すると、周囲に過剰な歪み場を生じることがあるため、面状結晶欠陥から転位などの線状結晶欠陥が発生することがあった。しかし、これらの線状結晶欠陥の発生も殆ど観察されなかった。
障壁層としてGaN層を用いても、結果はGa1-xInxN(x=0.03)層と同じであった。
【0011】
実験例3
さらに、本発明者は、図11に示すように、実験例1と同じ障壁層62の上面と井戸層64の下面との間、並びに井戸層62の上面と障壁層62の下面との間に、Alを含み、Inを含まない厚さ1nm程度のAlyGa1-yN(y=0.02)層を面状結晶欠陥抑制層72として介在させた3重量子井戸構造80を形成した。つまり、実験例3の試料は、障壁層62と井戸層64の上下の間に厚さ1nm程度のAlyGa1-yN(y=0.02)層72を介在させたことを除いて、実験例1の試料と同じである。尚、図11は実験例3の試料の活性層構造を示す断面図である。
結晶欠陥の発生状況を調べたところ、面状結晶欠陥の発生密度はさらに抑制されていた。
障壁層としてGaN層を用いても、結果はGa1-xInxN(x=0.03)層と同じであった。
【0012】
実験例4
また、本発明者は、障壁層62としてAlzGa1-zN(z=0.02)層を採用し、面状結晶欠陥抑制層72として、厚さ0.5nm程度のAlyGa1-yN(y=0.025)層を採用した他は、実験例3と同様にして、図11に断面図を示すような3重量子井戸構造80を形成した。結晶欠陥の発生状況を調べたところ、実験例3と同様に、面状結晶欠陥の発生は抑制されていた。
【0013】
実験例5
さらに、本発明者は、障壁層62としてAlzGa1-zN(z=0.02)層を採用し、面状結晶欠陥抑制層72として、厚さ0.5nm程度のAly1Iny2Ga1-y1-y2N層72を採用した他は、実験例3と同様にして、図11に断面図を示すような3重量子井戸構造80を形成した。ただし、面状結晶欠陥抑制層72は、障壁層62と同一の組成から井戸層64と同一の組成へと、直線的に傾斜する組成分布を有する構成(すなわち0≦y1≦0.02、0≦y2≦0.14)とした。結晶欠陥の発生状況を調べたところ、面状結晶欠陥の発生密度は10/cm以下と大きく抑制されていた。
【0014】
上記課題を解決するために、上述の知見に基づいて、本発明に係るGaN系III−V族化合物半導体発光素子は、GaN系化合物半導体からなる障壁層とGaInN層からなる井戸層との量子井戸構造の活性層を有し、発光波長が440nm以上のGaN系III−V族化合物半導体発光素子において、障壁層がGa1-xInxN(0≦x<0.1)層もしくは、Alz1Inz2Ga1-z1-z2N層(Al組成z1が0≦z1<0.2、In組成z2が0≦z2<0.1)であり、障壁層とGaInN井戸層の上面もしくは下面もしくはその双方との間に、膜厚0.25nm以上3nm以下のAlxGa1-xN層(0.02<x<0.4)、からなる面状結晶欠陥抑制層が介在していることを特徴としている。
また、本発明に係る他のGaN系III−V族化合物半導体発光素子は、GaN系化合物半導体からなる障壁層とGaInN層からなる井戸層との量子井戸構造の活性層を有し、発光波長が440nm以上のGaN系III−V族化合物半導体発光素子において、Alz1Inz2Ga1-z1-z2N障壁層(Al組成z1が0<z1<0.2、In組成z2が0<z2<0.1)とGa1-yInyN井戸層(In組成yが0<y<0.25)の下面もしくは上面もしくはその双方との間に、膜厚0.25nm以上3nm以下のAlx1Inx2Ga1-x1-x2N層(0<x1<0.4、0<x2<y)からなる面状結晶欠陥抑制層が介在していることを特徴としている。
【0015】
本発明で、GaN系III−V族化合物半導体とは、V族として窒素(N)を有し、組成がAlabGacIndxyAsz(a+b+c+d=1、0≦a、b、d≦1、0<c≦1、x+y+z=1、0<x≦1、0≦y、z≦1)で表示される化合物半導体である。
本発明で、障壁層の上面とは障壁層の基板と反対側の面を言い、井戸層の下面とは井戸層の基板側の面を言う。
本発明は、GaN系化合物半導体からなる障壁層とGaInN層からなる井戸層との量子井戸構造の活性層を有し、発光波長が440nm以上のGaN系III−V族化合物半導体発光素子であるかぎり、活性層の構成に制約無く適用できる。また、リッジ形状、電流狭窄構造の構成を問わず、適用することができる。更には、半導体レーザ素子及び発光ダイオードの区別無く適用できる。
【0016】
本発明の実施態様では、井戸層を構成するGa1-zInN層のIn組成zが0<z<0.25である。
【0017】
本発明に係るGaN系III−V族化合物半導体発光素子の製造方法は、GaN系化合物半導体からなる障壁層とGaInN層からなる井戸層との量子井戸構造の活性層を有し、発光波長が440nm以上のGaN系III−V族化合物半導体発光素子の製造方法において、活性層の形成に際して、GaInN井戸層の上面もしくは下面に、膜厚0.25nm以上3nm以下のAlxGa1-xN層(0.02<x<0.4)からなる面状結晶欠陥抑制層を介在させる工程を有し、井戸層としてGa1-zInzN(In組成zが0<z<0.25)層を成膜し、障壁層としてGa1-xInxN(0≦x<0.1)層もしくはAlz1Inz2Ga1-z1-z2N(Al組成z1が0≦z1<0.2、In組成z2が0≦z2<0.1)層を成膜することを特徴としている。
【0018】
本発明の構成によれば、GaInN井戸層の上面もしくは下面もしくはその双方の間に、Alを含む膜厚3nm以下のAlxGa1-xN層(0.02<x<0.4)もしくは、Alx1Inx2Ga1-x1-x2N層を製膜させることにより、これらの層が面状結晶欠陥抑制層として機能する。これにより、井戸層のIn組成増加に伴って生じる、GaInN井戸層上面および下面の境界面での面状結晶欠陥の発生が抑制され、同時に、この井戸層より結晶成長方向に延伸する線状結晶欠陥(転位)の発生が抑制される。
本発明に係るGaN系III−V族化合物半導体発光素子の構成を適用することにより、面状及び線状の結晶欠陥の発生を抑制し、発光波長が440nm以上であって、高発光効率で信頼性の高いGaN系III−V族化合物半導体発光素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例の半導体レーザ素子の構成を示す断面図である。
【図2】活性層の構成を示す層構造図である。
【図3】活性層の各構成層のバンドギャップ・エネルギー図である。
【図4】A、B それぞれ、本実施例の方法に従って半導体レーザ素子を製造する際の主要工程の断面図である。
【図5】活性層の構成を示す層構造図である。
【図6】活性層の各構成層のバンドギャップ・エネルギー図である。
【図7】活性層の各構成層のバンドギャップ・エネルギー図である。
【図8】活性層の各構成層のバンドギャップ・エネルギー図である。
【図9】実験例1の試料の活性層構造を示す断面図である。
【図10】実験例2の試料の活性層構造を示す断面図である。
【図11】実験例3〜実験例5の試料の活性層構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、実施例を挙げ、添付図面を参照して、本発明を具体的かつ詳細に説明する。尚、以下の実施例で示す半導体発光素子の種類、化合物半導体層の成膜方法、組成、及び膜厚、プロセス条件等は、本発明の理解を容易にするための一つの例示であって、本発明はこの例示に限定されるものではない。
【実施例1】
【0021】
(GaN系III−V族化合物半導体発光素子の実施例)
本実施例は、本発明に係るGaN系III−V族化合物半導体発光素子を半導体レーザ素子に適用した実施例である。図1は本実施例の半導体レーザ素子の構成を示す断面図、図2は活性層の構成を示す層構造図、及び図3は活性層の各構成層のバンドギャップ・エネルギー図である。
本実施例のGaN系III−V族化合物半導体レーザ素子(以下、半導体レーザ素子という)10は、発振波長が450nmの半導体レーザ素子であって、図1に示すように、積層方向の膜厚(以下、単に膜厚さという)30nmのGaN系半導体よりなるバッファ層14を介してサファイア基板12のc面上に積層された厚さ1μmの第1のGaN層16を有し、サファイア基板12の表層、バッファ層14、及び第1のGaN層16はストライプ状にエッチングされて、残部がストライプ状の凸部18として形成されている。
【0022】
半導体レーザ素子10は、ストライプ状の凸部18上を含めて基板12上に、ELO(Epitaxial Lateral Overgrowth)法によって積層された第2のGaN層20を有し、続いて第2のGaN層20の上に、n側クラッド層22、n側ガイド層24、活性層26、劣化防止層28、p側ガイド層30、p側クラッド層32、及びp側コンタクト層34の積層構造を備えている。図1中、19は基板12上に第2のGaN層20を横成長させた際に基板12と第2のGaN層20との間に生じる空隙部を示す。
バッファ層14及び第1のGaN層16はアンドープ層であり、第2のGaN層20及びn側ガイド層24は、n型不純物としてケイ素(Si)を添加したn型GaNにより形成され、n側クラッド層22はn型不純物としてSiを添加したn型AlGaN混晶(Al組成が0.07)層により構成されている。
【0023】
活性層26は、図2に示すように、厚さ5nmのGaInN層からなる障壁層36と、厚さ2.5nmのGaInN層からなる井戸層38とからなる量子井戸構造として構成され、障壁層36の上面と井戸層38の下面との間に厚さ1nmのAlGaN層からなる面状結晶欠陥抑制層40を介在させた組み合わせを1回〜数回積層し、最上層を障壁層41で終端させた構造(本実施例では、3重量子井戸構造)を有する。最上層の障壁層41は組成が下部の障壁層36と同じで、膜厚が下部の障壁層36と同じか、又はより厚く設定されている。
例えば発光波長450nmの半導体レーザでは、障壁層36としてGaInNを選択したときには、障壁層36のGaInN層のIn組成を0.02に、井戸層38のIn組成を0.16に、面状結晶欠陥抑制層40のAl組成を0.02にする。尚、障壁層36としてGaN層を設けても良い。この場合も、井戸層38のIn組成は0.16で、面状結晶欠陥抑制層40のAl組成は0.02で良い。
これにより、活性層26の各構成層は、図3に示すようなバンドギャップ・エネルギーを示す。
【0024】
劣化防止層28は、例えば厚さが20nmのAlGaN(Al組成0.2)層により構成されている。p側ガイド層30及びp側コンタクト層34はp型不純物としてマグネシウム(Mg)を添加したp型GaNにより構成されている。p側クラッド層32はp型不純物としてMgを添加したp型AlGaN混晶(Al組成0.07)層により構成されている。
【0025】
p側コンタクト層34及びp側クラッド層32の上部は、ストライプ状リッジ42として形成されていて、電流狭窄構造として機能する。
また、p側クラッド層32の下部、p側ガイド層30、劣化防止層28、活性層26、n側ガイド層24、及びn側クラッド層22は、エッチングされ、リッジ42に平行なメサ44として形成されると共に、第2のGaN層20の一部をメサ44脇に露出させている。
【0026】
リッジ42の側面及びリッジ脇のp側クラッド層32上には、二酸化ケイ素(SiO2)などの絶縁材料よりなる絶縁膜46が成膜され、絶縁膜46のリッジ42上のストライプ状開口を介してp側コンタクト層34とオーミック接触するようにp側電極48が形成されている。p側電極48は、p側コンタクト層34の上面からパラジウム(Pd)、白金(Pt)、及び金(Au)が順次積層された金属積層膜となっている。なお、このp側電極48は、電流狭窄するために細い帯状(図1では、図面に対して垂直方向に延長された帯状、ストライプ状)に形成されている。
また、メサ44脇に露出している第2のGaN層20の上には、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、及び金(Au)が順次積層された金属積層膜からなるn側電極50が設けられている。
本実施例の半導体レーザ素子10では、図示はしないが、反射鏡層が、p側電極48の長さ方向(すなわち共振器長方向)と垂直な一対の端面に、それぞれ設けられていて、共振器構造を構成している。
【0027】
本実施例の半導体レーザ素子10は、活性層26を構成する障壁層36の上面と井戸層38の下面との間に厚さ1nmのAlGaN層からなる面状結晶欠陥抑制層40を介在させているので、井戸層38のIn組成が0.16という高いIn組成であっても、面状結晶欠陥及び線状結晶欠陥が発生していない。
よって、本実施例の半導体レーザ素子10を適用することにより、波長440nm以上のレーザ光を高出力、高発光効率で、しかも高い信頼性で出射する半導体レーザ素子を実現することができる。
【実施例2】
【0028】
(GaN系III−V族化合物半導体発光素子の製造方法の実施例)
本実施例は、本発明に係るGaN系III−V族化合物半導体発光素子の製造方法を上述の実施例の半導体レーザ素子10の作製に適した実施例の一例である。図4A及び図4Bは、それぞれ、本実施例の方法に従って半導体レーザ素子を製造する際の主要工程の断面図である。
本実施例の製造方法では、先ず、基本的には、図4Aに示すように、従来の方法と同様にして、予めサーマルクリーニングなどにより表面を清浄化したc面サファイア基板12上に、MOCVD法により520℃程度の温度でアンドープのGaNバッファ層14を成長させる。続いて、MOCVD法により1000℃程度の成長温度でGaNバッファ層14上にアンドープの第1のGaN層16を成長させる。
次いで、MOCVD装置から基板を取りだし、一定方向に延在するストライプ状のSiO2膜からなる保護マスク(図示せず)を第1のGaN層16上に形成し、保護マスクから露出している領域の第1のGaN層16、GaNバッファ層14、及びサファイア基板12の表層をRIEによってエッチングし、ストライプ状の凸部18を形成する。
【0029】
再び、MOCVD装置に基板を搬入し、横方向成長が生じる条件で、n型の第2のGaN層20をエピタキシャル成長させ、続いて第2のGaN層20上に、順次、MOCVD法によりn側AlGaNクラッド層22、n側GaN光ガイド層24、活性層26、劣化防止層28、p側GaN光ガイド層30、p側AlGaNクラッド層32、及びp側GaNコンタクト層34を成膜して、図4Bに示すように、積層構造を形成する。
【0030】
本実施例では、活性層26の形成に際して、障壁層36として厚さ5nmのGaInN(In組成は0.02)層を、面状結晶欠陥抑制層40として厚さ1nmのAlGaN(Al組成は0.02)層を、井戸層38として厚さ2.5nmのGaInN(In組成は0.16)層を順次成膜し、障壁層36、面状結晶欠陥抑制層40、及び井戸層38の組み合わせを所定回数(本実施例では3回)積層させ、最上層を障壁層41で終端させる。
【0031】
上述のGaN系半導体層の成長原料は、例えば、III族元素のGaの原料としてトリメチルガリウム((CH33Ga、TMG)を、III族元素のAlの原料としてトリメチルアルミニウム((CH33Al、TMAl)を、III族原料のInの原料としてトリメチルインジウム((CH33In、TMIn)を、V族元素のNの原料としてアンモニア(NH3)を用いる。
また、キャリアガスは、例えば水素(H2)と窒素(N2)との混合ガスを用いる。
ドーパントは、n型ドーパントとして例えばモノシラン(SiH4)を、p型ドーパントとして例えばビス=メチルシクロペタジエニルマグネシウム(CH3542Mg;MeCp2Mg)、又はビス=シクロペンタジエニルマグネシウム(C552Mg;Cp2Mg)を用いる。
【0032】
次に、積層構造を形成した基板をMOCVD装置から再び取りだし、フォトリソグラフィ処理とエッチング加工により、p側GaNコンタクト層34及びp側クラッド層32の上部をエッチングして、図4Bに示すように、隣り合う凸部18の間の領域にストライプ状リッジ42を形成すると共にリッジ脇にp側クラッド層32を露出させる。
【0033】
続いて、リッジ42のp側GaNコンタクト層34上、リッジ42の側面、及びp側クラッド層32上に連続して、例えばCVD法によりSiO2 よりなる絶縁膜46を形成する。
次いで、絶縁膜46の上に、図示しないレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ処理によってp側電極48の形成位置に対応したマスクパターンを形成し、続いてこれをマスクとして絶縁膜46を選択的にエッチング除去して、図4Bに示すように、p側電極48の形成位置に対応した開口を形成する。
【0034】
次いで、図示しないが、基板全面に、すなわち絶縁膜46が選択的に除去されたp側GaNコンタクト層34上及び図示しないレジスト膜上に、例えばパラジウム(Pd)、白金(Pt)、及び金(Au)を順次蒸着し、次いでリフトオフ法により図示しないレジスト膜及びこのレジスト膜の上に蒸着されたパラジウム、白金及び金の積層膜を共に除去して、図1に示すように、p側電極48を形成する。
【0035】
p側電極48を形成したのち、n側電極50の形成位置に対応して、絶縁膜46、p側クラッド層32、p側光ガイド層30、劣化防止層28、活性層26、n側光ガイド層24、及びn側クラッド層22を順次選択的に除去して、メサ44を形成すると共に第2のGaN層20を露出させる。
次いで、第2のGaN層20の上にチタン、アルミニウム、及び金を選択的に順次蒸着してn側電極50を形成する。
n側電極50を形成したのち、基板12をp側電極48の長さ方向(共振器長方向)と垂直に所定の幅で劈開し、その劈開面に反射鏡層を形成する。これにより、図1に示した半導体レーザ素子が形成される。
【0036】
上述の実施例では、成長方法をMOCVD法に限定して説明したが、ハライド気相成長法や分子線エピタキシー(Molecular Beam Epitaxy;MBE)法などの他の気相成長法により成長させるようにしてもよい。
【0037】
このようにして製造した本実施例のGaN系半導体レーザ素子10では、活性層26の障壁層36の上面と井戸層38の下面との間にAlGaNからなる面状結晶欠陥抑制層40が挿入されているので、井戸層38のIn組成増加に伴って生じる面状結晶欠陥の発生が抑制され、良好な結晶性の井戸層38を成膜することができる。また、井戸層38との格子不整合が大きい面状結晶欠陥抑制層40は井戸層38の下面にのみ配置されているので、高いデバイス設計マージンを維持しつつ、井戸層38から結晶成長方向へと延伸する転位の発生を抑制することができる。
このように、本実施例では、井戸層のIn組成が高くなるにつれて生じる2種類の結晶欠陥、即ち面状及び線状の結晶欠陥の発生を抑制することができるので、440nm以上の発光波長で、高発光効率かつ高信頼性のGaN系半導体レーザ素子を製造することができる。
【0038】
(GaN系III−V族化合物半導体発光素子のその他の実施例)
図1〜図3に示した実施例の他にも、本発明に係るGaN系III−V族化合物半導体発光素子は、様々な構成が可能である。本発明に係るGaN系III−V族化合物半導体発光素子のその他の実施例を以下に示す。
【実施例3】
【0039】
本実施例では、実施例1の図2に示した活性層の代わりに、図5に示す活性層の構成として、図1に示した半導体レーザ素子10を構成する。
活性層26は、図5に示すように、厚さ5nmのGaInN層からなる障壁層36と、厚さ2.5nmのGaInN層からなる井戸層38とからなる量子井戸構造として構成され、障壁層36の上面と井戸層38の下面との間、並びに井戸層38の上面と障壁層36の下面との間に、それぞれ厚さ1nmのAlGaN層からなる面状結晶欠陥抑制層40を介在させた組み合わせを1回〜数回積層し、最上層を障壁層41で終端させた構造(本実施例では、3重量子井戸構造)を有する。最上層の障壁層41は組成が下部の障壁層36と同じで、膜厚が下部の障壁層36と同じか、又はより厚く設定されている。
【0040】
例えば発光波長450nmの半導体レーザでは、障壁層36としてGaInNを選択したときには、障壁層36のGaInN層のIn組成を0.02に、井戸層38のIn組成を0.16に、面状結晶欠陥抑制層40のAl組成を0.02にする。尚、障壁層36としてGaN層を設けても良い。この場合も、井戸層38のIn組成は0.16で、面状結晶欠陥抑制層40のAl組成は0.02で良い。
これにより、活性層26の各構成層は、図6に示すようなバンドギャップ・エネルギーを示す。
【実施例4】
【0041】
本実施例では、実施例1の図2に示した活性層の代わりに、図5に示す活性層の構成として、図1に示した半導体レーザ素子10を構成する。また、障壁層36の材料を、実施例3のGaInNの代わりにAlGaNとする。
活性層26は、図5に示すように、厚さ5nmのAlGaN層からなる障壁層36と、厚さ2.5nmのGaInN層からなる井戸層38とからなる量子井戸構造として構成され、障壁層36の上面と井戸層38の下面との間、並びに井戸層38の上面と障壁層36の下面との間に、それぞれ厚さ0.5nmのAlGaN層からなる面状結晶欠陥抑制層40を介在させた組み合わせを1回〜数回積層し、最上層を障壁層41で終端させた構造(本実施例では、3重量子井戸構造)を有する。最上層の障壁層41は組成が下部の障壁層36と同じで、膜厚が下部の障壁層36と同じか、又はより厚く設定されている。
尚、障壁層36としてGaN層を設けても良い。
これにより、活性層26の各構成層は、図7に示すようなバンドギャップ・エネルギーを示す。図7では、障壁層36と面状結晶欠陥抑制層40とのバンドギャップの差が小さくなっている。
【実施例5】
【0042】
本実施例では、実施例1の図2に示した活性層の代わりに、図5に示す活性層の構成として、図1に示した半導体レーザ素子10を構成する。また、障壁層36の材料を、実施例4と同様にAlGaNとする。さらに、面状結晶欠陥抑制層40を、直線的に傾斜する組成分布を有する構成とする。
活性層26は、図5に示すように、厚さ5nmのAlGaN層からなる障壁層36と、厚さ2.5nmのGaInN層からなる井戸層38とからなる量子井戸構造として構成され、障壁層36の上面と井戸層38の下面との間、並びに井戸層38の上面と障壁層36の下面との間に、それぞれ厚さ0.5nmのAlInGaN層からなる面状結晶欠陥抑制層40を介在させた組み合わせを1回〜数回積層し、最上層を障壁層41で終端させた構造(本実施例では、3重量子井戸構造)を有する。最上層の障壁層41は組成が下部の障壁層36と同じで、膜厚が下部の障壁層36と同じか、又はより厚く設定されている。
AlInGaN層からなる面状結晶欠陥抑制層40は、障壁層と同一の組成から井戸層38と同一の組成へと、直線的に傾斜する組成分布を有する。
【0043】
例えば発光波長450nmの半導体レーザでは、障壁層36としてGaInNを選択したときには、障壁層36のGaInN層のIn組成を0.02に、井戸層38のIn組成を0.16にする。そして、面状結晶欠陥抑制層40のAly1Iny2Ga1-y1-y2N層のAl組成y1を0≦y1≦0.02、In組成y2を0≦y2≦0.16にする。尚、障壁層36としてGaN層を設けても良い。
これにより、活性層26の各構成層は、図8に示すようなバンドギャップ・エネルギーを示す。図8では、面状結晶欠陥抑制層40が直線的に傾斜する組成分布を有するため、面状結晶欠陥抑制層40のバンドギャップが傾斜面になっている。
【実施例6】
【0044】
本実施例では、実施例1の図2に示した活性層の代わりに、図5に示す活性層の構成として、図1に示した半導体レーザ素子10を構成する。また、障壁層36の材料を、実施例3のGaInNの代わりにAlInGaNとする。
活性層26は、図5に示すように、厚さ5nmのAlInGaN層からなる障壁層36と、厚さ2.5nmのGaInN層からなる井戸層38とからなる量子井戸構造として構成され、障壁層36の上面と井戸層38の下面との間、並びに井戸層38の上面と障壁層36の下面との間に、それぞれ厚さ0.5nmのAlInGaN層からなる面状結晶欠陥抑制層40を介在させた組み合わせを1回〜数回積層し、最上層を障壁層41で終端させた構造(本実施例では、3重量子井戸構造)を有する。最上層の障壁層41は組成が下部の障壁層36と同じで、膜厚が下部の障壁層36と同じか、又はより厚く設定されている。なお、面状結晶欠陥層40のAlInGaN層は、障壁層36のAlInGaN層と比較して、Al組成を多く、In組成を少なくする。
これにより、活性層26の各構成層は、実施例4と同様に、図7に示すようなバンドギャップ・エネルギーを示す。
【実施例7】
【0045】
本実施例では、実施例1の図2に示した活性層の代わりに、図5に示す活性層の構成として、図1に示した半導体レーザ素子10を構成する。また、障壁層36の材料を、実施例6と同様にAlInGaNとする。さらに、面状結晶欠陥抑制層40を、直線的に傾斜する組成分布を有する構成とする。
活性層26は、図5に示すように、厚さ5nmのAlInGaN層からなる障壁層36と、厚さ2.5nmのGaInN層からなる井戸層38とからなる量子井戸構造として構成され、障壁層36の上面と井戸層38の下面との間、並びに井戸層38の上面と障壁層36の下面との間に、それぞれ厚さ0.5nmのAlInGaN層からなる面状結晶欠陥抑制層40を介在させた組み合わせを1回〜数回積層し、最上層を障壁層41で終端させた構造(本実施例では、3重量子井戸構造)を有する。最上層の障壁層41は組成が下部の障壁層36と同じで、膜厚が下部の障壁層36と同じか、又はより厚く設定されている。
AlInGaN層からなる面状結晶欠陥抑制層40は、障壁層と同一の組成から井戸層38と同一の組成へと、直線的に傾斜する組成分布を有する。
これにより、活性層26の各構成層は、実施例5と同様に、図8に示すようなバンドギャップ・エネルギーを示す。
【0046】
そして、活性層26を、上述の実施例3〜実施例7のいずれかの構成として半導体レーザ10を構成した場合において、井戸層38が高いIn組成としても面状結晶欠陥及び線状結晶欠陥を発生しないようにすることが可能である。これにより、波長440nmのレーザ光を高出力、高発光効率で、かつ高い信頼性で出射する半導体レーザ素子を実現することができる。
【0047】
本発明は、440nm以上の発光波長で、高発光効率かつ高信頼性のGaN系半導体発光素子の実現を目的としているものの、発光波長の別なく適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 GaN系III−V族化合物半導体レーザ素子、12 サファイア基板、14 バッファ層、16 第1のGaN層、18 ストライプ状の凸部、20 第2のGaN層、22 n側クラッド層、24 n側ガイド層、26 活性層、28 劣化防止層、30 p側ガイド層、32 p側クラッド層、34 p側コンタクト層、36,62 障壁層、38,64 井戸層、40,72 面状結晶欠陥抑制層、41 最上層の障壁層、42 ストライプ状リッジ、44 メサ、46 絶縁膜、48 p側電極、50 n側電極、60,70,80 3重量子井戸構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GaN系化合物半導体からなる障壁層とGaInN層からなる井戸層との量子井戸構造の活性層を有し、発光波長が440nm以上のGaN系III−V族化合物半導体発光素子において、
障壁層がGa1-xInxN(0≦x<0.1)層であり、
障壁層とGaInN井戸層の下面もしくは上面もしくはその双方との間に、膜厚0.25nm以上3nm以下のAlxGa1-xN層(0.02<x<0.4)からなる面状結晶欠陥抑制層が介在しているGaN系III−V族化合物半導体発光素子。
【請求項2】
井戸層を構成するGa1-zInN層のIn組成zが0<z<0.25である請求項1に記載のGaN系III−V族化合物半導体発光素子。
【請求項3】
GaN系化合物半導体からなる障壁層とGaInN層からなる井戸層との量子井戸構造の活性層を有し、発光波長が440nm以上のGaN系III−V族化合物半導体発光素子において、
障壁層がAlz1Inz2Ga1-z1-z2N(Al組成z1が0≦z1<0.2、In組成z2が0≦z2<0.1)層であり、
障壁層とGaInN井戸層の下面もしくは上面もしくはその双方との間に、膜厚0.25nm以上3nm以下のAlxGa1-xN層(0.02<x<0.4)からなる面状結晶欠陥抑制層が介在しているGaN系III−V族化合物半導体発光素子。
【請求項4】
井戸層を構成するGa1-zInN層のIn組成zが0<z<0.25である請求項3に記載のGaN系III−V族化合物半導体発光素子。
【請求項5】
GaN系化合物半導体からなる障壁層とGaInN層からなる井戸層との量子井戸構造の活性層を有し、発光波長が440nm以上のGaN系III−V族化合物半導体発光素子の製造方法において、
活性層の形成に際して、障壁層とGaInN井戸層の下面もしくは上面もしくはその双方との間に、膜厚0.25nm以上3nm以下のAlxGa1-xN層(0.02<x<0.4)からなる面状結晶欠陥抑制層を介在させる工程を有し、
井戸層としてGa1-zInzN(In組成zが0<z<0.25)層を成膜し、障壁層としてGa1-xInxN(0≦x<0.1)層を成膜するGaN系III−V族化合物半導体発光素子の製造方法。
【請求項6】
GaN系化合物半導体からなる障壁層とGaInN層からなる井戸層との量子井戸構造の活性層を有し、発光波長が440nm以上のGaN系III−V族化合物半導体発光素子の製造方法において、
活性層の形成に際して、障壁層とGaInN井戸層の下面もしくは上面もしくはその双方との間に、膜厚0.25nm以上3nm以下のAlxGa1-xN層(0.02<x<0.4)からなる面状結晶欠陥抑制層を介在させる工程を有し、
井戸層としてGa1-zInzN(In組成zが0<z<0.25)層を成膜し、障壁層としてAlz1Inz2Ga1-z1-z2N(Al組成z1が0≦z1<0.2、In組成z2が0≦z2<0.1)層を成膜するGaN系III−V族化合物半導体発光素子の製造方法。
【請求項7】
GaN系化合物半導体からなる障壁層とGaInN層からなる井戸層との量子井戸構造の活性層を有し、発光波長が440nm以上のGaN系III−V族化合物半導体発光素子において、
Alz1Inz2Ga1-z1-z2N障壁層(Al組成z1が0<z1<0.2、In組成z2が0<z2<0.1)とGa1-yInyN井戸層(In組成yが0<y<0.25)の下面もしくは上面もしくはその双方との間に、膜厚0.25nm以上3nm以下のAlx1Inx2Ga1-x1-x2N層(0<x1<0.4、0<x2<y)からなる面状結晶欠陥抑制層が介在しているGaN系III−V族化合物半導体発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−54982(P2011−54982A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238739(P2010−238739)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【分割の表示】特願2005−513400(P2005−513400)の分割
【原出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】