説明

GlyT−1阻害剤

【課題】神経学的および神経精神病学的疾患の治療のための医薬化合物の提供。
【解決手段】式1の化合物


式中:Ar1は、チオフェン基であり、これは、2または3チオフェンであってもよく、選択的にメチルまたはエチルから選択される1つまでの置換基で置換されており;Ar2は、チオフェン、フラン、および置換されたフェニルから選択され、ここで、フェニル基の置換基は、C1-6アルキル、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、シアノ、並びにその塩、その溶媒和化合物、およびその水和物から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換されたアミンのクラスに、それらを含む薬学的組成物に、並びにこのような化合物を使用して神経学的および神経精神病学的な疾患を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シナプス伝達は、プレおよびポスト-シナプス末端と、包囲しているグリア細胞との両者の特殊な構造の相当な配列が関係する細胞間情報伝達の複雑な形態である(Kanner and Schuldiner, CRC Critical Reviews in Biochemistry, 22,1987: 1032(非特許文献1))。輸送体は、シナプスから神経伝達物質を隔離して、これによりシナプスにおける神経伝達物質の濃度、並びにこの中でのこれらの持続時間を調節し、これらは共に、シナプス伝達の大きさに影響をあたえる。さらに、隣接したシナプスへの神経伝達物質の伝播を防ぐことにより、輸送体はシナプス伝達の忠実度を維持する。最後に、プレシナプス末端に放出された神経伝達物質を隔離することにより、輸送体は神経伝達物質を再利用することができる。
【0003】
神経伝達物質の運搬は、細胞外ナトリウムおよび膜を越えた電圧相違に依存する。激しいニューロン発火の状態下で、たとえば発作の間に、輸送体は逆に機能することができ、カルシウム非依存性の非開口分泌様式で神経伝達物質を放出する(Attwellら、Neuron, 11, 1993: 401-407(非特許文献2))。したがって、神経伝達物質輸送体の薬理学的調整は、シナプスの活性を修飾するための手段を提供し、これは神経学上および精神医学上の障害を治療するための有用な治療法を提供する。
【0004】
アミノ酸グリシンは、哺乳動物神経系の主要な神経伝達物質であり、抑制シナプスおよび興奮シナプスの両者として機能する。神経系とは、神経系の中枢部分および末梢部分の両者が意図される。グリシンのこれらの異なった機能は、2つの異なったタイプの受容体によって媒介され、このそれぞれが、グリシン輸送体の異なったクラスと関連する。グリシンの阻害作用は、痙攣性アルカロイドのストリキニーネに感受性であるグリシン受容体によって媒介され、したがって「ストリキニーネ感受性」と呼ばれる。このような受容体は、受容体にグリシンが結合することにより開く内因性の塩素チャネルを含み;塩化物コンダクタンスが増大することにより、活動電位の発火のための閾値が増大する。ストリキニーネ感受性のグリシン受容体は、主に脊髄および脳幹において見出され、したがって、このような受容体の活性化を増強する薬理学的薬剤は、これらの領域における抑制性の神経伝達を増大するであろう。
【0005】
また、グリシンは、中枢神経系において主要な興奮性の神経伝達物質であるグルタミン酸の作用を調整することにより、興奮性の伝達において機能する(JohnsonおよびAscher, Nature, 325, 1987: 529-531(非特許文献3); Fletcherら、Glycine Transmission, OttersonおよびStorm-Mathisen編、1990: 193-219(非特許文献4))。特に、グリシンは、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体と呼ばれるグルタミン酸受容体のクラスにおける必須の共アゴニストであると考えられる。NMDA受容体の活性化は、ニューロンを脱分極するナトリウムおよびカルシウムのコンダクタンスを増大し、これにより、これが活動電位を発火させるであろう可能性を増大する。
【0006】
脳の海馬領域のNMDA受容体は、学習および記憶のあるタイプの統合である長期活性化(LTP)として知られるシナプス可塑性のモデルにおいて重要な役割を果たす(Hebb, D. O (1949) The Organization of Behavior, Wiley, NY; BlissおよびCollingridge (1993) Nature 361: 31-39(非特許文献5); Morrisら、(1986) Nature 319: 774-776(非特許文献6))。トランスジェニックマウスにおける、選択されたNMDA受容体サブユニットの発現増強により、NMDA受容体媒介電流の増大、LTPの増強、並びに学習および記憶の一部の試験においてより良い成績を生じる(Tangら(1999) Nature 401: 63(非特許文献7))。
【0007】
反対に、トランスジェニックマウスにおける選択されたNMDA受容体サブユニットの発現減少により、薬理学的に誘導された精神分裂病の動物モデルと同様の、増大した運動、増大した常同症、および社会的/性的な相互作用の欠損を含む行動を生じる(Mohnら、(1999) Cell 98 : 427-436(非特許文献8))。これらの異常な行動は、抗精神病薬ハロペリドールおよびクロザピンを使用して改善することができる。
【0008】
NMDA受容体は、大脳皮質および海馬体において特に高密度で、脳の全体にわたって広く分布する。
【0009】
分子クローニングにより、哺乳動物の脳にグリシン輸送体の2つのクラスが存在することが示され、GlyT-1およびGlyT-2と名付けられた。GlyT-1は、脳および脊髄の全体にわたって見出され、その分布がグルタミン酸作動性経路およびNMDA受容体のものと対応することが示唆されている(Smithら、Neuron, 8, 1992: 927-935(非特許文献9))。分子クローニングにより、さらにGlyT-1の4つの変異体の存在が示され、GlyT-1a、GlyT-1b、GlyT-1c、およびGlyT-1dと名付けられた。これらの変異体の2つ(1aおよび1b)は、齧歯類において見出され、このそれぞれが、脳および末梢組織においてユニークな分布を示す(Borowskyら、Neuron, 10, 1993: 851-863(非特許文献10); Adamsら、J. Neuroscience, 15, 1995: 2524-2532(非特許文献11))。第3の変異体1cは、ヒト組織で検出されただけであった(Kimら、Molecular Pharmacology, 45, 1994: 608-617(非特許文献12))。第4の変異体は、ヒト組織で検出された(米国特許第6,008,015号(特許文献1)を参照されたい)。これらの変異体は、ディファレンシャルスプライシングおよびエキソンの利用によって生じ、これらのN末端領域は異なる。GlyT-2は、主に脳幹および脊髄において見出され、その分布は、ストリキニーネ感受性のグリシン受容体のものとよく対応する(Liuら、J. Biological Chemistry, 268, 1993: 22802-22808(非特許文献13); JurskyおよびNelson, J. Neurochemistry, 64, 1995: 1026-1033(非特許文献14))。GlyT-2によって媒介されるグリシン輸送のもう一つの顕著な特徴は、グリシン輸送がGlyT-1によって媒介される場合のように、これがサルコシンによって阻害されないということである。これらのデータは、グリシンのシナプスレベルを調節することにより、GlyT-1およびGlyT-2は、それぞれNMDA受容体およびストリキニーネ感受性グリシン受容体の活性に選択的に影響を及ぼすという見解と一致している。
【0010】
したがって、グリシン輸送体を阻害または活性化する化合物は、シナプスにおけるグリシン濃度を修飾することによって受容体機能を変化させると予想され、したがって種々の疾病状態に治療的な利益を提供するであろう。
【0011】
たとえば、GlyT-1で媒介されるグリシン輸送を阻害する化合物は、NMDA受容体(この受容体は、その他の位置のうち前脳に位置する)でグリシン濃度を増大しているかもしれない。この濃度の増大は、おそらくNMDA受容体の活性を上昇することができ、これにより分裂病の症状を軽減して認識機能を増強し得る。あるいは、NMDA受容体のグリシン受容体成分と直接相互作用する化合物は、それぞれGlyT-1活性を阻害または増強することによって引き起こされる細胞外グリシンの利用可能性を増大または減少するので、同じか、または同様の効果を有し得る。たとえば、Pitkanenら、Eur. J. Pharmacol., 253, 125-129(1994)(非特許文献15));Thielsら、Neuroscience, 46, 501-509(1992)(非特許文献16);並びにKretschmerおよびSchmidt、J. Neurosci., 16, 1561-1569(1996)(非特許文献17)を参照されたい。
【0012】
GlyT-1輸送体に結合し、および阻害することに有効であり、インビボにおいて投与されたときに毒作用をも示す多くの化合物が見出されている。このような化合物は、輸送体の機能を研究するための有用な薬学的手段であるが、毒性は、医薬品としてのこのような化合物の有用性を制限するあろう。
【0013】
それゆえに、グリシン輸送に影響を及ぼす化合物を提供することは望ましい。また、グリシン輸送に影響を及ぼすが、薬学的組成物に有用であるように、十分に非毒性である化合物を提供することは望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第6,008,015号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Kanner and Schuldiner, CRC Critical Reviews in Biochemistry, 22,1987: 1032
【非特許文献2】Attwellら、Neuron, 11, 1993: 401-407
【非特許文献3】JohnsonおよびAscher, Nature, 325, 1987: 529-531
【非特許文献4】Fletcherら、Glycine Transmission, OttersonおよびStorm-Mathisen編、1990: 193-219
【非特許文献5】Hebb, D. O (1949) The Organization of Behavior, Wiley, NY; BlissおよびCollingridge (1993) Nature 361: 31-39
【非特許文献6】Morrisら、(1986) Nature 319: 774-776
【非特許文献7】Tangら(1999) Nature 401: 63
【非特許文献8】Mohnら、(1999) Cell 98 : 427-436
【非特許文献9】Smithら、Neuron, 8, 1992: 927-935
【非特許文献10】Borowskyら、Neuron, 10, 1993: 851-863
【非特許文献11】Adamsら、J. Neuroscience, 15, 1995: 2524-2532
【非特許文献12】Kimら、Molecular Pharmacology, 45, 1994: 608-617
【非特許文献13】Liuら、J. Biological Chemistry, 268, 1993: 22802-22808
【非特許文献14】JurskyおよびNelson, J. Neurochemistry, 64, 1995: 1026-1033
【非特許文献15】Pitkanenら、Eur. J. Pharmacol., 253, 125-129(1994)
【非特許文献16】Thielsら、Neuroscience, 46, 501-509(1992)
【非特許文献17】KretschmerおよびSchmidt、J. Neurosci., 16, 1561-1569(1996)
【発明の概要】
【0016】
本発明は、GlyT-1輸送の阻害に有効であることが見出され、かつ医学的に有用であるように十分に非毒性である化合物に関する。より詳細には、本発明の化合物は、その他の既知のGlyT-1阻害剤を越える予想外に改善された毒性プロフィールを示す。本発明の一つの側面によれば、式1の化合物が提供される:
【化1】

式中:
Ar1は、チオフェン基であり、これは、2または3チオフェンであってもよく、メチルまたはエチルから選択される1つまでの置換基で選択的に置換されており;並びに、
Ar2は、チオフェン、フラン、および置換されたフェニルから選択され、ここで、フェニル基の置換基は、C1-6アルキル、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、シアノ、並びにその塩、その溶媒和化合物、およびその水和物から選択される。本発明のさらなる側面によれば、化合物:(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(2-メチルフェニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンが提供される。
【0017】
式1の化合物および化合物(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(2-メチルフェニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンは、GlyT-1を介したグリシン輸送を阻害するか、またはこのような化合物の前駆体(たとえばプロドラッグ)であることが見出されている。GlyT-1輸送阻害剤は、分裂病、そして、認知機能不全、痴呆(アルツハイマー病に関連したものを含む)、注意欠陥障害、うつ病、並びに、自閉症疾患、Rett疾患、小児期崩壊性障害、アスペルガー障害、およびその他の特定されない広播性発達疾患(たとえば異型自閉症)のような広播性発達疾患などのその他のCNS関連疾患の治療に有用である。
【0018】
本発明のもう一つの側面によれば、式1の化合物または化合物(z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(2-メチルフェニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンと、キャリアとを含む組成物が提供される。
【0019】
本発明のもう一つの側面によれば、式1の化合物と薬学的に許容されるキャリアとを含む薬学的組成物が提供される。本発明のさらなる側面において、グリシン輸送を阻害するために有効な量の式1の化合物と、薬学的に許容されるキャリアとを含む薬学的組成物が提供される。
【0020】
本発明のさらなる側面において、化合物(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(2-メチルフェニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンと、薬学的に許容されるキャリアとを含む薬学的組成物が提供される。本発明のさらなる側面において、グリシン輸送を阻害するために有効な量の化合物(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(2-メチルフェニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンと、薬学的に許容されるキャリアとを含む薬学的組成物が提供される。
【0021】
本発明のもう一つの側面において、グリシン輸送阻害剤が必要とされる医学的症状を治療するための薬学的使用のために適切な量の式1の化合物または化合物(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(2-メチルフェニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンを含む組成物が提供される。分裂病または認知機能不全の治療などの、GlyT-1を媒介したグリシン輸送の阻害が必要な医学的症状の治療に有用である化合物を含む組成物が好ましい。
【0022】
式1の化合物または化合物(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(2-メチルフェニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンは、グリシン輸送阻害剤が必要とされ、この適応症は上で詳述されたものである、医学的症状を有する患者を治療するために使用することができる。好ましい適応症は、分裂病である。また、化合物は、グリシン輸送阻害剤が必要とされる医学的症状を有する患者を治療するための薬物を製造するために使用することができる。
【0023】
定義
本明細書において用いられる「アルキル」の用語は、メチル、エチル、およびその他同種のものを含む1、2、3、4、5、または6炭素原子を有するラジカルを含有する直鎖および分枝鎖炭素および水素を意味する。
【0024】
本明細書において用いられるC1-6の用語は、1、2、3、4、5、または6炭素原子のアルキルラジカルを意味する。
【0025】
本明細書において用いられる「アルコキシ」の用語は、メトキシ、エトキシ、t-ブトキシ、およびその他同種のものを含む1、2、3、4、5、または6炭素原子を含むオキシラジカルを終端としている直鎖および分枝鎖アルキル基を意味する。
【0026】
本明細書において用いられる「ハロ」の用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびその他同種のものを含むハロゲンを意味する。
【0027】
「ハロアルキル」の用語は、1つまたは複数の独立して選択された-CF3などのハロ原子で置換されたアルキル基をいう。
【0028】
同様に、「ハロアルコキシ」の用語は、1つまたは複数の独立して選択された-OCF3などのハロ原子によって置換されたアルコキシ基をいう。
【0029】
好ましい態様
本発明の適切な態様は、式1の化合物であって、Ar1は、選択的に置換された2-チオフェンまたは3-チオフェンから選択される化合物を含む。本発明の適切な態様において、Ar1は2-チオフェンである。本発明の好ましい態様において、Ar1は、2-(3-アルキルチオフェン)、好ましくは2-(3-メチルチオフェン)である。もう一つの本発明の好ましい態様において、Ar1は、3-チオフェンである。さらに好ましい態様において、Ar1は、3-(4-アルキルチオフェン)、好ましくは3-(4-メチルチオフェン)である。
【0030】
本発明の適切な態様において、Ar2は、置換されたフェニル、チオフェン、およびフランから選択される。本発明のより好ましい態様において、Ar2は、置換されたフェニルであって、このような置換基は、3位または4位であり、かつ置換基は:C1-6アルキル;ハロ;C1-6ハロアルキル;C1-6アルコキシ;C1-6ハロアルコキシ;およびシアノから選択される。その他の好ましい態様において、3位または4位のフェニル置換基は、CF3、Me、iPr、MeO、CN、およびCF30から選択される。好ましい態様において、Ar2は、3-メトキシフェニルである。もう一つの好ましい態様において、Ar2は、3-メチルフェニルである。もう一つの好ましい態様において、さらに、Ar2は、3-トリフルオロメトキシフェニルである。さらにもう一つの態様において、Ar2は、3-トリフルオロメチルフェニルである。さらに好ましい態様において、Ar2は、4-イソプロピルフェニルであり、さらにもう一つの好ましい態様において、Ar2は、3-シアノフェニルである。
【0031】
適切な態様において、Ar2は、チオフェンである。本発明の好ましい態様において、Ar2は、2-チオフェンである。
【0032】
さらにもう一つの好ましい態様において、Ar2は2-フランである。
【0033】
本発明のより好ましい態様は:
(Z)-N-(1-(4-(4-イソプロピルフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(化合物G(i));
(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(化合物G(ii));
(Z)-N-(1-(4-(2-チエニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(化合物G(iii));
(Z)-N-(1-(4-(2-フリル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(化合物G(iv));
(Z)-N-(1-(4-(3-メトキシフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(化合物G(v));
(Z)-N-(1-(4-(3-メチルフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(化合物G(vi));
(Z)-N-(1-(4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(化合物G(vii));
(Z)-N-(1-(4-(3-シアノフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(化合物G(viii));
(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(2-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(化合物G(ix));
(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(化合物G(x));
(Z)-N-(1-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)フェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(化合物G(xi));
(Z)-N-(1-(4-(3-メトキシフェニル)フェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(化合物G(xii));
(Z)-N-(1-(4-(3-メチルフェニル)フェニル)-1-(2-(3-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(化合物G(xiii));を含み、
本発明の最も好ましい態様は、(Z)-N-(1-(4-(2-フリル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(化合物G(iv))である。
【0034】
本発明の適切なもう一つの態様は、化合物(Z)N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(2-メチルフェニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(化合物G(xiv))である。
【0035】
本発明のもう一つの態様において、式Iの化合物は、放射標識形態(たとえば、その構造内に3Hもしくは14Cの取込みによって、または125Iとの結合によってラベルされる)などの、ラベルされた形態で提供される。本発明の好ましい態様において、優先してGlyT-1に結合するこのような化合物は、当該技術分野に共通の技術によってGlyT-1受容体リガンドを同定するために使用することができる。これは、リガンド候補物質の存在下で、受容体または組織をインキュベートし、次いで生じる標品を、本発明の放射標識された化合物の等モル量とインキュベートすることによって達成することができる。したがって、GlyT-1受容体リガンドは、GlyT-1部位を有意に占有し、本発明の放射標識された化合物の結合を防ぐものとして示される。あるいは、GlyT-1受容体リガンド候補物質は、まず本発明の化合物の放射標識された形態をインキュベートし、次いで生じた標品を、候補物質リガンドの存在下でインキュベートすることによって同定されてもよい。より強力なGlyT-1受容体リガンドは、等モル濃度において本発明の放射標識された化合物を置き換えるであろう。
【0036】
式Iの化合物の塩基付加塩は、薬学的に許容される酸から最も適切に形成される。また、本発明の化合物の酸付加塩、溶媒和化合物、および水和物も、本発明の範囲内に含まれる。
【0037】
所与の化合物塩の所望の化合物塩への変換は、当業者に周知の標準的な技術を適用することによって達成される。
【0038】
【化2】

(a):プロパルギルアルコール、Pd(PPh34、CuI、Et3N、r.t.、オーバーナイト;(b):Red-Al、THF、0℃、1時間、次いでEtOAc、I2、-78℃からr.t.、オーバーナイト;(c):NBS、PPh3、CH2Cl2、-40℃、1時間;(d):t-ブチルサルコシン、K2CO3、KI、MeCN、r.t.、オーバーナイト;(e):Ar1B(OH)2、Pd(PPh34、2MのNa2CO3、DME、90℃、4.5時間;(f):Ar2B(OH)2、Pd(PPh34、2MのNa2CO3、DME、Δ、3時間;(g):ギ酸、40℃、オーバーナイト。
【0039】
式1の化合物は、上記スキーム1に示した方法によって容易に調製される。中間体Bは、プロパルギルアルコールと4-ブロモヨードベンゼンのパラジウム触媒反応によって調製した。化合物Bは、ナトリウムビス(2-メトキシエトキシ)水素化アルミニウム(Red-Al)の後にヨウ素で処理することにより、ヨウ化物Cに変換した。アルコールの臭化物への変換に続くサルコシンによる置換からなる2工程により、中間体Dが導かれた。中間体Dは、これが多くの誘導体の調製を可能にするので、特に有用な中間体であり、完全な立体化学制御によりアリール基を配向することができる。たとえば、共通の中間体Dは、種々のボロン酸と反応させて、式Eの生成物を生じた。
【0040】
また、式Eの生成物は、有用な化学物質中間体である。これらの生成物は、4'-アリール基(Ar2基)を有する多数の化合物の調製を可能にする。生成物Eは、種々のボロン酸と反応させて、式Fの種々の生成物を得て、最後の工程においてギ酸で脱保護してタイプGの最終化合物を与えることができる。
【0041】
本明細書に記載した反応を使用して、本発明の以下の化合物を作成した:
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【0042】
本発明の化合物は、経口的に、舌下に、直腸に、鼻に、膣に、局所的に(パッチまたはその他の経皮的なデリバリー装置の使用を含む)、エアロゾルを用いて肺経路によって、または非経口的に投与されてもよく、たとえば、筋肉内に、皮下に、腹膜内に、動脈内に、静脈内に、またはくも膜下腔内を含む。投与は、周期的または連続したデリバリーのためのポンプ手段によることもできる。本発明の化合物は、単独で投与されてもよく、または標準的な薬学的実務に従って薬学的に許容されるキャリアもしくは賦形剤と組み合わされてもよい。経口の投与型式については、本発明の化合物は、タブレット、カプセル、ロゼンジ、チューインガム、トローチ、粉末、シロップ、エリキシル、水溶液、および懸濁液、その他同種のものの形で使用されてもよい。タブレットの場合、使用されるキャリアは、ラクトース、クエン酸ナトリウム、およびリン酸の塩を含む。デンプンなどの種々の崩壊剤、並びにステアリン酸マグネシウムおよびタルクなどの潤滑剤は、タブレットに通常使用される。カプセル形態での経口投与については、有用な希釈剤は、ラクトースおよび高分子量ポリエチレングリコールである。必要に応じて、いくつかの甘味料および/または香料が添加される。非経口投与については、本発明の化合物の無菌液が通常調製され、溶液のpHを適切に調整して緩衝化する。静脈内における使用では、溶質の総濃度は、標品が等張になるように制御されるべきである。眼の投与については、軟膏または滴下できる液体を、アプリケータまたは点眼びんなどの当技術分野において既知の眼球デリバリー系によって送達してもよい。このような組成物は、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリビニルアルコールなどの粘膜擬態剤、ソルビン酸、EDTAまたは塩化ベンジルクロミウムなどの防腐剤、および通常量の希釈剤および/またはキャリアを含むことができる。肺の投与については、希釈剤および/またはキャリアは、エアロゾルを形成させるために適切なように選択されるであろう。
【0043】
本発明の化合物の坐薬形態は、膣、尿道、および直腸の投与に有用である。このような坐薬は、一般に、室温では固体であるが、体温で融解する物質の混合物から造られるであろう。このような媒体をつくるために通常使用される物質は、カカオ油(theobroma oil)、グリセリン化ゼラチン(glycerinated gelatin)、水素化された植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物、およびポリエチレングリコールの脂肪酸エステルを含む。坐薬剤形のさらなる考察のために、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th Ed., Mack Publishing, Easton, PA, 1980, pp. 1530-1533を参照されたい。類似したジェルまたはクリームは、膣、尿道、および直腸の投与に使用することもできる。
【0044】
当業者には、多数の投与媒体が明らかであり、徐放性製剤、リポソームの製剤、および重合体基質を含むが、限定されない。
【0045】
本発明に用いられる薬学的に許容される酸付加塩の例は、たとえば、塩化水素酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、および硫酸などの鉱酸、並びに酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、p-トルエンスルホン酸、およびアリールスルホン酸などの有機酸由来のものを含む。本発明に用いられる薬学的に許容される塩基付加塩の例は、ナトリウムまたはカリウムなどの非毒性金属、アンモニウム塩、およびトリエチルアミン塩などの有機アミノ塩に由来するものを含む。多くの適切なこのような塩は、当業者に既知であろう。
【0046】
医師またはその他の保健看護の専門家は、患者の重量、年齢、および身体条件に基づいて適切な用量および治療法を選択することができる。用量は、一般に本発明の化合物の血清レベルを約0.01μg/cc〜約1000μg/ccの間、好ましくは約0.1μg/cc〜約100μg/ccの間に維持するように選択されるであろう。非経口投与については、好ましい量が約0.001mg/kg〜約10mg/kg(あるいは、約0.01mg/kg〜約10mg/kg)、より好ましくは、約0.01mg/kg〜約1mg/kg(約0.1mg/kg〜約1mg/kg)である選択可能な基準により投与されるであろう。経口投与については、好ましい投与量の選択可能な基準は、約0.001mg/kg〜約10mg/kg(約0.1mg/kg〜約10mg/kg)、より好ましくは、約0.01mg/kg〜約1mg/kg(約0.1mg/kg〜約1mg/kg)である。坐薬形態の投与については、好ましい投与量の選択可能な基準は、約0.1mg/kg〜約10mg/kg、より好ましくは約0.1mg/kg〜約1mg/kgである。
【0047】
グリシン輸送を阻害する活性のためアッセイに使用するために、真核細胞、好ましくはウズラ繊維芽細胞に由来するQT-6細胞に、ヒトGlyT-1の4つの既知の変異体、すなわち、GlyT-1a、GlyT-1b、GlyT-1cもしくはGlyT-1dのうちの1つ、またはヒトGlyT-2をトランスフェクションして発現させた。これらのGlyT-1輸送体の配列は、GlyT-1aのN最末端をコードする配列を、対応するラット由来配列から単に推定したことを除き、Kimら、Molec. Pharm. 45: 608-617, 1994に記載されている。このN末端タンパク質をコードする配列は、Kimらによって推測されたものと対応することは、現在確認されている。GlyT-1dの配列は、米国特許第6,008,015号において記載されており、これはその全体が参照として本明細書に組み入れられる。ヒトGlyT-2の配列は、米国特許第5,919,653号に記載されており、これはその全体が参照として本明細書に組み入れられる。適切な発現ベクターは、数ある中でpRc/CMV (Invitrogen)、Zap Express Vector (Stratagene Cloning Systems, LaJolla, CA; 以下において「Stratagene」)、pBk/CMV、またはpBk-RSV vectors (Stratagene)、Bluescript II SK +/- Phagemid Vectors (Stratagene)、LacSwitch (Stratagene)、pMAMおよびpMAM neo (Clontech)を含む。適切な発現ベクターは、適切な宿主細胞、好ましくは非哺乳類宿主細胞(これは真核、菌類、または原核であることができる)に含まれたGlyT DNAの発現を促進することができる。このような好ましい宿主細胞は、両生類、鳥、菌類、昆虫、および爬虫類細胞を含む。
【0048】
実施例
実施例1:1-(4-ブロモフェニル)プロパ-1-イン-3-オル(中間体B):4-ブロモヨードベンゼン(10.0g、35.3mmol)のトリエチルアミン(Et3N、100mL)溶液に、プロパルギルアルコール(2.7mL、2.57g、45.9mmol)、CuI(0.81g、4.24mmol)、およびPd(PPh34(1.63g、1.41mmol)を添加した。混合液を一晩撹拌し、次いで、反応混合液を濃縮した。カラムクロマトグラフィー(20-35% EtOAc/ヘキサン)により、黄色/オレンジの固体として1-(4-ブロモフェニル)-1-プロピン-3-オルB(6.58g、88%)を提供した。

【0049】
実施例2:(Z)-1-(4-ブロモフェニル)-1-ヨードプロパ-1-エン-3-オル(中間体C):1-(4-ブロモフェニル)-1-プロピン-3-オルB(6.58g、31.2mmol)の無水テトラヒドロフラン溶液(THF、66mL)を、氷浴槽で冷やした。65%w/wのRed-Alのトルエン溶液(PhMe、18.7mL、19.4g、62.4mmol)を15分間にわたって液滴として添加した。1時間後、酢酸エチル(EtOAc、3.0mL、2.75g、31.2mmol)を添加した。反応混合液をドライアイス/アセトン漕中で冷却した。I2(12.7g、49.9mmol)の無水THF(66mL)溶液を液滴として添加した。反応混合液は、一晩で室温にゆっくりと温めた。反応を飽和Na2SO3で停止して、セライトをとおして濾過した。濾過ケーク(filter cake)をEtOAcでよく洗浄した。ろ液を水およびブライン(brine)で洗浄して乾燥し(MgS04)、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(20%のEtOAc/ヘキサン)により、黄色の固体として(Z)-1-(4-ブロモフェニル)-1-ヨードプロペン-3-オルC(8.82g、83%)を提供した。

【0050】
実施例3:(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-ヨードプロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステル(中間体D):(Z)-1-(4-ブロモフェニル)-1-ヨードプロペン-3-オルC(8.81g、26.0mmol)のCH2Cl2溶液(220mL)をドライアイス/アセトニトリル浴中でアルゴン下において冷却した。PPh3(10.9g、41.6mmol)、およびN-ブロモコハク酸イミド(NBS、7.40g、41.6mmol)を添加した。1時間後、反応を飽和NaHCO3で停止した。混合液を、飽和NaHCO3およびブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過して濃縮した。残さは、無水アセトニトリル(MeCN、104mL)中に、直ちに取り込んだ。塩酸t-ブチルサルコシン(5.20g、28.6mmol)、K2C03(35.9g、260mmol)、およびKI(21.6g、130mmol)を添加した。混合液を、一晩撹拌し、次いで濾過して、濾過ケークをEtOAcで洗浄した。ろ液は、EtOAcおよび水の間で分離した。有機相をブラインで洗浄して乾燥し(MgS04)、濾過して濃縮した。カラムクロマトグラフィー(20%のEtOAc/ヘキサン)により、明褐色油状物として(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-ヨードプロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルD(9.63g、2工程かけて80%)を提供した。

【0051】
実施例4-1:(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステル(中間体E(i)):(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-ヨードプロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルD(29.86g、64.06mmol)のジメトキシエタン溶液(300mL)に、3-チオフェンボロン酸(9.02g、70.47mmol)、Pd(PPh34(3.70g、3.20mmol)、および2MのNa2CO3(300mL)を添加した。反応物は、4.5時間勢いよく機械的攪拌しながら、90℃に温めた。混合液を冷却して、EtOAcおよび水の間で分離した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(MgS04)、濾過して濃縮した。カラムクロマトグラフィー(2-5%アセトン/ヘキサン)により、黄色油状物として(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルE(i)(27.06g、78%)を提供した。

【0052】
4-2:(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(2-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステル(中間体E(ii)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-ヨードプロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルDおよび2-チオフェンボロン酸から、(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(2-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルE(ii)を調製し、243mg(52%)の黄色油状物を提供した。

【0053】
4-3:(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステル(中間体E(iii)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-ヨードプロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルDおよび3-メチル-4-チオフェンボロン酸から(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルE(iii)を調製して、574mg(61%)の黄色油状物を提供した。

【0054】
4-4:(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(2-(3-メチルチエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステル(中間体E(iv)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-ヨードプロパ-1-エン-3イル)サルコシン、tブチルエステルDおよび3-メチル-2-チオフェンボロン酸から、(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(2-(3-メチルチエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルE(iv)を調製して、436mg(47%)の黄色油状物を提供した。

【0055】
4-5:(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(2-メチルフェニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステル(中間体E(v)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-ヨードプロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルDおよび2-トルイルボロン酸から、(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(2-メチルフェニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルE(v)を調製して、379mg(66%)の黄色油状物を提供した。
【0056】
実施例5-1:(Z)-N-(1-(4-(4-イソプロピルフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステル(中間体F(i)):(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルE(i)(21.14g、50.05mmol)のジメトキシエタン溶液(210mL)を、4-イソプロピルベンゼンボロン酸(16.41g、100.1mmol)、Pd(PPh34(2.89g、2.50mmol)、および2MのNa2CO3(210mL)に添加した。激しく攪拌した混合液を加熱して2時間還流した。混合液を冷却して、EtOAcおよび水の間で分離した。有機相をブラインで洗浄して乾燥し(MgS04)、濾過して濃縮した。カラムクロマトグラフィー(2-5%アセトン/ヘキサン)に続く第二のクロマトグラフィー(2-20% EtOAc/ヘキサン)により、黄色油状物として(Z)-N-(1-(4-(4-イソプロピルフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(i)(18.65g、81%)を提供した。

【0057】
5-2:(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステル(中間体F(ii)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルE(i)および3-チオフェンボロン酸から、(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(ii)を調製して、1.00g(50%)の黄色油状物を提供した。
【0058】
5-3:(Z)-N-(1-(4-(2-チエニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステル(中間体F(iii)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルE(i)および2-チオフェンボロン酸から、(Z)-N-(1-(4-(2-チエニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(iii)を調製して、300mg(64%)の黄色油状物を提供した。
【0059】
5-4:(Z)-N-(1-(4-(2-フリル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステル(中間体F(iv)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルE(i)および2-フランボロン酸から、(Z)-N-(1-(4-(2-フリル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(iv)を調製して、216mg(82%)の黄色油状物を提供した。

【0060】
5-5:(Z)-N-(1-(4-(3-メトキシフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステル(中間体F(v)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルE(i)および3-メトキシフェニルボロン酸から、(Z)-N-(1-(4-(3-メトキシフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(v)を調製して、241mg(99%)の黄色油状物を提供した。

【0061】
5-6:(Z)-N-(1-(4-(3-メチルフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステル(中間体F(vi)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルE(i)および3-メチルフェニルボロン酸から、(Z)-N-(1-(4-(3-メチルフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(vi)を調製して、150mg(64%)の淡黄色油状物を提供した。

【0062】
5-7:(Z)-N-(1-(4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステル(中間体F(vii)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルE(i)および3(トリフルオロメトキシ)フェニルボロン酸から、(Z)-N-(1-(4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(vii)を調製して、127mg(51%)の黄色油状物を提供した。
【0063】
5-8:(Z)-N-(1-(4-(3-シアノフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステル(中間体F(viii)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルE(i)および3-シアノフェニルボロン酸から、(Z)-N-(1-(4-(3-シアノフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(viii)を調製して、57mg(77%)の黄色油状物を提供した。
【0064】
5-9:(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(2-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステル(中間体F(ix)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(2-チエニル)プロパ-1-エン-3イル)サルコシン、tブチルエステルE(ii)および3-チオフェンボロン酸から、(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(2-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(ix)を調製して、152mg(76%)の黄色油状物を提供した。

【0065】
5-10:(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3イル)サルコシン、tブチルエステル(中間体F(x)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルE(iii)および3-チオフェンボロン酸から、(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(x)を調製して、222mg(64%)の黄色油状物を提供した。
【0066】
5-11:(Z)-N-(1-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)フェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステル(中間体F(xi)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルE(iii)および3-(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸から、(Z)-N-(1-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)フェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(xi)を調製して、260mg(54%)の明黄色油状物を提供した。
【0067】
5-12:(Z)-N-(1-(4-(3-メトキシフェニル)フェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステル(中間体F(xii)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルE(iii)および3-メトキシフェニルボロン酸から、(Z)-N-(1-(4-(3-メトキシフェニル)フェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(xii)を調製して、193mg(69%)の黄色油状物を提供した。
【0068】
5-13:(Z)-N-(1-(4-(3-メチルフェニル)フェニル-1-(2-(3-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステル(中間体F(xiii)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(2-(3-メチルチエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルE(iv)および3-メチルフェニルボロン酸から、(Z)-N-(1-(4-(3-メチルフェニル)フェニル)-1-(2-(3-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(xiii)を調製して、176mg(73%)の黄色油状物を提供した。

【0069】
5-14:(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(2-メチルフェニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステル(中間体F(xiv)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-ブロモフェニル)-1-(2-メチルフェニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルE(v)および3-チオフェンボロン酸から、(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(2-メチルフェニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(xiv)を調製して、62mg(48%)の黄色油状物を提供した。
【0070】
実施例6-1:(Z)-N-(1-(4-(4-イソプロピルフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(G(i)):(Z)-N-(1-(4-(4-イソプロピルフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、t-ブチルエステルF(i)(18.62g、40.3mmol)を96%のギ酸(200mL)に溶解した。溶液を40℃で一晩温め、次いで濃縮した。残さをCH2Cl2で二回、共に蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(2-15% MeOH/CH2Cl2)により、淡黄色固体を提供した。メタノール(MeOH)による粉砕により、白い固体として純粋な(Z)-N-(1-(4-(4-イソプロピルフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンG(i)(11.38g、70%)を提供した。

【0071】
6-2:(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(G(ii)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(ii)から、(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンG(ii)を調製して、486mg(61%)の白色粉末を提供した。
【0072】
6-3:(Z)-N-(1-(4-(2-チエニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(G(iii)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-(2-チエニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(iii)から、(Z)-N-(1-(4-(2-チエニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンG(iii)を調製して、145mg(53%)の白色粉末を提供した。
【0073】
6-4:(Z)-N-(1-(4-(2-フリル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(G(iv)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-(2-フリル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(iv)から、(Z)-N-(1-(4-(2-フリル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンG(iv)を調製して、158mg(97%)の無色油状物を提供した。

【0074】
6-5:(Z)-N-(1-(4-(3-メトキシフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(G(v)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-(3-メトキシフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3イル)サルコシン、tブチルエステルF(v)から、(Z)-N-(1-(4-(3-メトキシフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンG(v)を調製して、156mg(74%)のオフホワイトの泡状物を提供した。

【0075】
6-6:(Z)-N-(1-(4-(3-メチルフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(G(vi)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-(3-メチルフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(vi)から、(Z)-N-(1-(4-(3-メチルフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンG(vi)を調製して、127mg(100%)の無色油状物を提供した。

【0076】
6-7:(Z)-N-(1-(4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(G(vii)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(vii)から、(Z)-N-(1-(4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンG(vii)を調製して、80mg(78%)の白色粉末を提供した。
【0077】
6-8:(Z)-N-(1-(4-(3-シアノフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(G(viii)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-(3-シアノフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(viii)から、(Z)-N-(1-(4-(3-シアノフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンG(viii)を調製して、48mg(84%)の白色粉末を提供した。
【0078】
6-9:(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(2-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(G(ix)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(2-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(ix)から、(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(2-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンG(ix)を調製して、108mg(59%)の白色粉末を提供した。

【0079】
6-10:(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(G(x)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(x)から、(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンG(x)を調製して、157mg(82%)の白色粉末を提供した。
【0080】
6-11:(Z)-N-(1-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)フェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(G(xi)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)フェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(xi)から、(Z)-N-(1-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)フェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンG(xi)を調製して、99mg(73%)の白色粉末を提供した。
【0081】
6-12:(Z)-N-(1-(4-(3-メトキシフェニル)フェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(G(xii)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-(3-メトキシフェニル)フェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(xii)から、(Z)-N-(1-(4-(3-メトキシフェニル)フェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンG(xii)を調製して、152mg(69%)の白色粉末を提供した。
【0082】
6-13:(Z)-N-(1-(4-(3-メチルフェニル)フェニル)-1-(2-(3-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(G(xiii)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-(3-メチルフェニル)フェニル)-1-(2-(3-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(xiii)から、(Z)-N-(1-(4-(3-メチルフェニル)フェニル)-1-(2-(3-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンG(xiii)を調製して、129mg(99%)の白色粉末を提供した。

【0083】
6-14:(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(2-メチルフェニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン(G(xiv)):同様の方法で、(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(2-メチルフェニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、tブチルエステルF(xiv)から、(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(2-メチルフェニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンG(xiv)を調製して、37mg(61%)の白色粉末を提供した。
【0084】
実施例7:GlyT-1を介した輸送アッセイ
本実施例は、トランスフェクションした培養細胞によるグリシン取込み測定のための方法を例示する。
【0085】
GlyT-1Cで安定してトランスフェクションした細胞(Kimら, Molecular Pharmacology, 45, 1994: 608-617を参照されたい)をHEPES緩衝食塩水(HBS)で2回洗浄した。次いで、細胞を37℃において10分間、(a)潜在的なコンペティターなし、(b)10mMの非放射活性グリシン、または(c)候補物質薬剤の濃度、のいずれかでインキュベートした。候補物質薬剤の濃度の範囲は、50%の効果を生じる濃度を算出するためのデータを作成するために使用した(たとえば、グリシン取込みを50%阻害する薬剤の濃度であるIC50)。次いで、[3H]グリシンを含む溶液を、50nM(17.5 Ci/mmol)の終濃度で添加した。次いで、細胞を穏やかに振盪しながら37℃で30分間インキュベートし、その後、反応混合液を吸引して、氷冷HBSで3回洗浄した。細胞をシンチラント(scintillant)で溶解して平衡化した。細胞の放射活性は、シンチレーションカウンタを使用して決定した。データは、行われたアッセイに依存して、候補物質剤に接触させた同じ細胞の間で、または接触させなかった細胞の間で比較した。
【0086】
本発明の化合物は、GlyT-1阻害剤としての活性があった。
【0087】
実施例8:NMDA受容体に関連するグリシン結合部位に対する結合アッセイ
本実施例は、NMDA受容体におけるグリシン部位に対する化合物の相互作用を測定するために使用される方法を例示する。このアッセイにおいて、既知のNMDAグリシン部位結合剤(トリチウム化されたMDL 105519、Amershamから入手可能)が、ラット海馬の組織に結合させるために使用される。次いで、試験化合物を導入して、アイソトープのリガンドと置換させる。試験化合物の結合は、アイソトープのリガンドを置換して、減少した放射活性を生じ、これを定量することができる。一般に化合物を2つの濃度で試験し、阻害が観察される場合、化合物をいくつかの濃度で再テストして用量応答曲線を作成し、これにより、IC50が決定され得る。
【0088】
試験化合物は、アッセイのために50mMのトリス酢酸緩衝液で希釈することによって調製する。アッセイに使用するラット海馬膜の一定分量を、冷却10mMのトリス酢酸緩衝液で2回洗浄して20,000rpmの超遠心分離に15分間供し、洗浄の間に再び均質化する。次いで、アッセイに適した濃度で膜を提供するために、最終ペレットを50mMのトリス酢酸緩衝液に再懸濁する。非特異的結合は、1mMのグリシンの存在下で定義される。全結合量は、トリス酢酸緩衝液のみの存在下で定義される。
【0089】
反応混合液は、[3H]-MDL 105519で5nMの最終濃度にした75μgの均質化した海馬膜標品とグリシンまたは試験化合物とを合わせて、トリス酢酸緩衝液の溶液として調製する。反応液を室温で30分間インキュベートすると共に振盪する。次いで、48w Brandell Harvestorを使用して、プレートをGFCフィルターに回収する。GFCフィルターは、フィルターに対するアイソトープのリガンドの非特異的結合を減らすために、蒸留水で作製された0.5%のBSA溶液で少なくとも30分間前処理する。プレートのウェルを4〜5倍容積の冷却50mMトリス酢酸緩衝液で洗浄する。次いで、フィルターをシンチレーションバイアルへ移し、2mlのシンチラントをそれぞれのバイアルに添加する。バイアルは、Beckman β-counterで計数される前に一晩置かせる。データは、Prismソフトウェアを使用して分析する。
【0090】
本発明の化合物は、NMDA受容体に関連するグリシン結合部位に、有意な結合を示さない。
【0091】
実施例9:グリシン受容体結合アッセイ
本実施例は、グリシン受容体と化合物の交叉反応性を測定するために使用したアッセイを例示する。このアッセイにおいて、ラット脊髄組織に結合させるために、既知のグリシン受容体結合剤である[3H]-ストリキニーネを使用する。次いで、試験化合物を導入して、アイソトープのリガンドと置換させる。試験化合物の結合により、アイソトープのリガンドを置換して減少された放射活性を生じ、これを定量化することができる。一般に化合物を2つの濃度で試験して阻害が観察される場合、化合物をいくつかの濃度で再テストして用量応答曲線を作成し、これにより、IC50が決定され得る。
【0092】
試験化合物は、アッセイのためにリン酸カリウム緩衝液で希釈することによって調製する。アッセイに使用されるラット脊髄膜の一定分量を、冷却リン酸緩衝液で2回洗浄し、続いて洗浄の間に4℃、14,000rpmでマイクロ遠心機にかけた。次いで、アッセイに適した濃度を提供するために、最終ペレットをリン酸緩衝液の量に再懸濁する。非特異的結合および全結合量は、それぞれ、10mMの最終濃度のグリシンおよびリン酸緩衝液のみによって定義される。
【0093】
反応混合液は、[3H]-ストリキニーネで7nMの最終濃度にした150μgのラット脊髄膜とグリシンまたは試験化合物とを合わせることによって調製する。反応混合液を氷上で振盪すると共に、2時間インキュベートする。次いで、48w Brandall Harvestorを使用して、プレートをGFCフィルター上に回収する。GFCフィルターは、非特異的結合を減らすために、蒸留水で作製された0.5%のBSA溶液で少なくとも30分間前処理する。プレートのウェルを4〜5倍容積の冷却リン酸緩衝液で洗浄する。次いで、フィルターをシンチレーションバイアルへ移し、2mlのシンチラントをそれぞれのバイアルに添加する。バイアルは、Beckman β-counterで計数される前に一晩置かせる。データは、Prismソフトウェアを使用して分析する。
【0094】
本発明の化合物は、グリシン受容体に対して有意な結合を示さない。
【0095】
実施例10:マウスにおける毒性を測定するためのアッセイ
本実施例は、GlyT1阻害剤による5日間の慢性経口用量毒性研究を例示した。化合物は、経口的に(PO)5日間、40mg/kg/日で雄のCD-1マウスに投与した。行動の観測(臨床徴候)および体重は、試験した全ての化合物について毎日記録した。
【0096】
雄CD-1マウスは、Charles River Labs (Kingston, NY)から購入した。動物は、到着時に20-25グラムの間で計量された。動物は、通常の12時間の明期/暗期サイクル(0700時点灯)で、温度/湿気制御された(72°±5°F/50%±5%)動物施設に、試験前の5日間慣れさせた。全ての動物には、アドリブで環境順化期間の間および研究の全体にわたって食物(Purina Labdiet(登録商標)Rodent chow #5001)および水(Elizabethtown Water Companyによって供給された)を与えた。試験開始の前の日に、動物をランダムに群に割り当てた:試験のために選ばれた全ての動物は、少なくとも20グラムの重さであり、よい状態であると思われた。それぞれの動物には、1日1回、5日間投与した。動物は、慢性投与期間後に、3日間の回復期間、その場所のままにした。
【0097】
それぞれの試験化合物の貯蔵濃縮物を、研究開始日に新たに調製した。一定分量を、1日の用量に必要とされる濃度に希釈した。貯蔵液は、使用中でないときは、冷蔵庫で保存した。それぞれの化合物を少量の蒸留水に溶解した。1当量の水酸化ナトリウム(2N)を、それぞれの試験薬剤の溶解を補助するために添加してもよい。次いで、媒体を、最終体積を与えるために充分な素量を添加した。最終体積を、適切なときにパーセント遊離塩基を反映するように調整した。本実験に使用される媒体は、10%重量/体積濃度の形態に蒸留水で溶解したヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPCD)Acros, lot 011849601であった。水酸化ナトリウム(2N)を使用して、pHを試験薬剤のもの(通常8〜10の間)と同じに調整した。調製した全ての試験化合物は、溶液において透明、または懸濁液においてわずかに濁っているかのどちらかであった。懸濁液は、使用の直前に混合した。
【0098】
全ての動物には、21ゲージの胃管栄養針(gavage needle)により、10.0ml/kgの体積で、試験化合物または媒体を経口的に(PO)投与した。個々の投薬体積を決定するために、毎日の体重を使用した。全ての試験化合物は、Denver Instruments分析天秤(model #A-250)で計量した。動物は、Ohaus携帯型天秤model #LS2000の最大荷重で計量した。
【0099】
試験薬剤の投与直後に、次いで、再び4時間および24時間において、顕性の行動(臨床徴候)について動物を評価した。27の別々の臨床徴候について動物を評価した:
活動:動物が異常に高活動または低活動である場合に記述する。
運動失調:不安定な歩行、随意筋運動調整の不能性。
カタレプシ:四肢のろう様硬直(これは、種々の位置に配置されてしばらく維持される可能性がある)、刺激に対する反応の欠如、パルスおよび呼吸を示し、並びに皮膚の青ざめによって特徴づけられる症状。
着色尿:尿中の赤みがかった排泄物。
着色涙液:目からの赤みがかった排泄物。
便の状態:軟らかく水っぽい、硬く小さい。
痙攣:間代性:全身的な間欠性緊張および骨格筋の緩和。緊張性:後肢および/または前肢の伸張をしばしば伴う全身的な常時性筋緊張。
チアノーゼ:外部組織(耳、指、尾部)の青みがかった色。
死亡:自然発症性または安楽死かどうか明記。
眼球陥没:眼窩への目の異常な退縮。
鼻出血:鼻からの赤みがかった排泄物。
眼球突出:目の異常な突出。
弛緩性:骨格筋が緊張を伴わないように見える。
湾曲姿勢:動物が地面からはなれて高く歩いているように見える。
過敏な触覚:動物が操作の際に声を出す、または過度に活動性になる。
涙液分泌(両方の目):涙の分泌および排泄。
側面横臥位:動物が自発的に仰臥する。
復原損失:動物がその位置に置かれたときに仰臥したままである。
縮瞳:眼の瞳孔の過剰な収縮。
散瞳:眼の瞳孔の過剰な拡張。
眼瞼下垂:両眼の上眼瞼の下垂をいう。
立毛:背および首における毛の逆立。
ラ音(湿潤または乾燥):湿潤(粘膜):バブリング音が呼吸の間に聞こえる。乾燥:呼吸の間に耳障りな、または音楽的な音が聞こえる。
呼吸(↑↓):この活動の異常な増大または減少。
硬直性:ろう様:四肢が、配置された位置にとどまる。リードパイプ:筋の硬直、四肢が移動に困難である。
唾液分泌(増加した):唾液の形成および過剰な分泌。
鎮静:動物が触れられたとき、または操作のときにゆっくり応答する。
常同:一定の無意味な運動の定常的な反復。
震え:細かい:体および/または四肢の定常的な速い振動。粗い:時間によって増減するように思われる体および/または四肢の速い振動。
【0100】
1)体重の値が2日連続にわたって対照群の平均値の75%まで下落するような体重の損失、または2)その動物がもはや正常には摂食または飲用ができなくなるような瀕死状態の発症、を示したいかなる動物も、実験の終結前に屠殺した。
【0101】
上記記載の通りのアッセイから得られた毒性データは、化合物Gi〜Gxivを含んだ表1〜14において提供される。投与直後、次いで、再び4時間および24時間において動物を観察した。観察は、以下のチャートからコード番号を使用して報告される:

【0102】
(表1)化合物G(iii)

【0103】
(表2)化合物G(viii)

【0104】
(表3)化合物G(xiv)

【0105】
(表4)化合物G(ix)

【0106】
(表5)化合物G(ii)

H-頭突き
+接触で引き起こされた
【0107】
(表6)化合物G(x)

【0108】
(表7)化合物G(xii)

【0109】
(表8)化合物G(xi)

【0110】
(表9)化合物G(xiii)

【0111】
(表10)化合物G(i)

【0112】
(表11)化合物G(v)

【0113】
(表12)化合物G(vi)

【0114】
(表13)化合物G(vii)

【0115】
(表14)化合物G(iv)

H-頭突き
【0116】
比較すると、式1の化合物は、同様に有効な他のGlyT1阻害剤よりも毒性が低い。例えば、下記化合物H、I、J、およびKは、表15、16、17、および18に見られるように、本発明の化合物よりも高い毒性プロファイルを示す。
【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【0117】
(表15)化合物H*

*本実験において、行動観察は、一日に一度のみ記録した。
【0118】
(表16)化合物I

I=重篤な痒症
【0119】
(表17)化合物J

【0120】
(表18)化合物K

*動物は、瀕死の状態のために安楽死させた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1の化合物
【化1】

式中:
Ar1は、チオフェン基であり、これは、2または3チオフェンであってもよく、選択的にメチルまたはエチルから選択される1つまでの置換基で置換されており;
Ar2は、チオフェン、フラン、および置換されたフェニルから選択され、ここで、フェニル基の置換基は、C1-6アルキル、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、シアノ、並びにその塩、その溶媒和化合物、およびその水和物から選択される。
【請求項2】
Ar1が2-チオフェンである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Ar1が2-(3-メチルチオフェン)である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Ar1が3-チオフェンである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
Ar1が3-(4-メチルチオフェン)である、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
Ar2が置換されたフェニルであり、該置換基がCF3、Me、iPr、MeO、CN、およびCF3Oから選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
Ar2がフランである、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
Ar2がチオフェンである、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
以下のものからなる群より選択される請求項1記載の化合物:
(Z)-N-(1-(4-(4-イソプロピルフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン;
(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン;
(Z)-N-(1-(4-(2-チエニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン;
(Z)-N-(1-(4-(2-フリル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン;
(Z)-N-(1-(4-(3-メトキシフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン;
(Z)-N-(1-(4-(3-メチルフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン;
(Z)-N-(1-(4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン;
(Z)-N-(1-(4-(3-シアノフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン;
(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(2-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン;
(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン;
(Z)-N-(1-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)フェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン;
(Z)-N-(1-(4-(3-メトキシフェニル)フェニル)-1-(3-(4-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン;および、
(Z)-N-(1-(4-(3-メチルフェニル)フェニル)-1-(2-(3-メチルチエニル))プロパ-1-エン-3イル)サルコシン。
【請求項10】
化合物(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(2-メチルフェニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン。
【請求項11】
請求項9記載の化合物(Z)-N-(1-(4-(2-フリル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン。
【請求項12】
請求項9記載の化合物(Z)-N-(1-(4-(4-イソプロピルフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン。
【請求項13】
請求項1記載の化合物とキャリアとを含む組成物。
【請求項14】
請求項10記載の化合物とキャリアとを含む組成物。
【請求項15】
請求項11記載の化合物とキャリアとを含む組成物。
【請求項16】
請求項12記載の化合物とキャリアとを含む組成物。
【請求項17】
請求項1記載の化合物の治療的に有効な量と薬学的に許容されるキャリアとを含む薬学的組成物。
【請求項18】
請求項10記載の化合物の治療的に有効な量と薬学的に許容されるキャリアとを含む薬学的組成物。
【請求項19】
請求項11記載の化合物の治療的に有効な量と薬学的に許容されるキャリアとを含む薬学的組成物。
【請求項20】
請求項12記載の化合物の治療的に有効な量と薬学的に許容されるキャリアとを含む薬学的組成物。
【請求項21】
患者に請求項17記載の薬学的組成物を投与する工程を含む、グリシン輸送阻害剤が必要とされる医学的症状を有する患者を治療するための方法。
【請求項22】
患者に請求項18記載の薬学的組成物を投与する工程を含む、グリシン輸送阻害剤が必要とされる医学的症状を有する患者を治療するための方法。
【請求項23】
患者に請求項19に記載の薬学的組成物を投与する工程を含む、グリシン輸送阻害剤が必要とされる医学的症状を有する患者を治療するための方法。
【請求項24】
患者に請求項20に記載の薬学的組成物を投与する工程を含む、グリシン輸送阻害剤が必要とされる医学的症状を有する患者を治療するための方法。
【請求項25】
医学的症状が分裂病である、請求項21記載の方法。
【請求項26】
医学的症状が分裂病である、請求項22記載の方法。
【請求項27】
医学的症状が分裂病である、請求項23記載の方法。
【請求項28】
医学的症状が分裂病である、請求項24記載の方法。
【請求項29】
医学的症状が認知機能不全である、請求項21記載の方法。
【請求項30】
医学的症状が認知機能不全である、請求項22記載の方法。
【請求項31】
医学的症状が認知機能不全である、請求項23記載の方法。
【請求項32】
医学的症状が認知機能不全である、請求項24記載の方法。
【請求項33】
医学的症状がアルツハイマー病である、請求項21記載の方法。
【請求項34】
医学的症状がアルツハイマー病である、 請求項22記載の方法。
【請求項35】
医学的症状がアルツハイマー病である、請求項23記載の方法。
【請求項36】
医学的症状がアルツハイマー病である、請求項24記載の方法。
【請求項37】
グリシン輸送阻害剤が必要とされる医学的症状を有する患者を治療するための、式Iの化合物の使用
【化2】

式中
Ar1は、1つまでのメチルまたはエチルによって選択的に置換されたチエニルであり、並びに、
Ar2は、チエニル、フリル、および置換されたフェニルからなる群より選択され、フェニル置換基は、C1-6アルキル、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、およびシアノから選択される。
【請求項38】
医学的症状が、分裂病、認知機能不全、痴呆(アルツハイマー病を含む)、注意欠陥障害、うつ病、自閉症疾患、Rett疾患、小児期崩壊性障害、アスペルガー障害、および異型自閉症からなる群より選択される、請求項37記載の式Iの化合物の使用。
【請求項39】
医学的症状が分裂病である、請求項38記載の式Iの化合物の使用。
【請求項40】
化合物が、(Z)-N-(1-(4-(2-フリル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンである、請求項38記載の化合物の使用。
【請求項41】
化合物が、(Z)-N-(1-(4-(4-イソプロピルフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3イル)サルコシンである、請求項39記載の化合物の使用。
【請求項42】
グリシン輸送阻害剤が必要とされる医学的症状を有する患者を治療するための、化合物(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(2-メチルフェニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンの使用。
【請求項43】
グリシン輸送阻害剤が必要とされる医学的症状を有する患者を治療する薬物を製造するための、式Iの化合物の使用
【化3】

式中、
Ar1は、1つまでのメチルまたはエチルによって選択的に置換されるチエニルであり、並びに
Ar2は、チエニル、フリル、および置換されたフェニルからなる群より選択され、フェニル置換基は、C1-6アルキル、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、およびシアノから選択される。
【請求項44】
医学的症状が、分裂病、認知機能不全、痴呆(アルツハイマー病を含む)、注意欠陥障害、うつ病、自閉症疾患、Rett疾患、小児期崩壊性障害、アスペルガー障害および異型自閉症からなる群より選択される、請求項43記載の式Iの化合物の使用。
【請求項45】
医学的症状が分裂病である、請求項44記載の式Iの化合物の使用。
【請求項46】
化合物が、(Z)-N-(1-(4-(2-フリル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンである、請求項45記載の化合物の使用。
【請求項47】
化合物が、(Z)-N-(1-(4-(4-イソプロピルフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンである、請求項45記載の化合物の使用。
【請求項48】
化合物が、(Z)-N-(1-(4-(2-フリル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンである、請求項43記載の化合物の使用。
【請求項49】
化合物が、(Z)-N-(1-(4-(4-イソプロピルフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンである、請求項43記載の化合物の使用。
【請求項50】
グリシン輸送阻害剤が必要とされる医学的症状を有する患者を治療するための薬物を製造するための、化合物(Z)-N-(1-(4-(3-チエニル)フェニル)-1-(2-メチルフェニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンの使用。
【請求項51】
ヨウ化物Cを調製する方法であって、
【化4】

a)中間体B
【化5】

を水素化アルミニウムナトリウムビス(2-メトキシエトキシ)(Red-Al)で還元する工程と;
b)生じた中間体をヨウ素で処理してヨウ化物Cを得る工程と、
を含む方法。
【請求項52】
中間体Dを調製する方法であって、
【化6】

a)中間体B
【化7】

を水素化アルミニウムナトリウムビス(2-メトキシエトキシ)(Red-Al)で還元して、生じた中間体をヨウ素で処理してヨウ化物C
【化8】

を得る工程と;
b)ヨウ化物Cのアルコール部分を臭化物に転換する工程と;
c)臭化物をサルコシンt-ブチルエステルで置換して中間体Dを提供する工程と;
を含む方法。
【請求項53】
工程(b)の転換がN‐ブロモスクシンイミドおよびトリフェニルホスフィンで処理する工程を含む、請求項52記載の方法。
【請求項54】
中間体Eを調製する方法であって、
【化9】

式中、
Ar1は、1つまでのメチルまたはエチルによって選択的に置換されたチエニルであり、
a)中間体B
【化10】

を水素化アルミニウムナトリウムビス(2-メトキシエトキシ)(Red-Al)で還元し、生じた中間体をヨウ素で処理してヨウ化物C
【化11】

を得る工程と、
b)ヨウ化物Cのアルコール部分を臭化物に転換する工程と、
c)サルコシンt-ブチルエステルで臭化物を置換して、中間体D
【化12】

を提供する工程と、
d)式Ar1B(OH)2のボロン酸(式中、Ar1は上記記載の通りである)と中間体Dをパラジウム(0)触媒の存在下でカップリングして、式Eの中間体を得る工程と、
を含む方法。
【請求項55】
工程(b)の転換がN‐ブロモスクシンイミドおよびトリフェニルホスフィンで処理する工程を含む、請求項54記載の方法。
【請求項56】
式Gの化合物を調製する方法であって、
【化13】

式中、
Ar1は、1つまでのメチルまたはエチルによって選択的に置換されたチエニルであり、
Ar2は、チエニル、フリル、および置換されたフェニルからなる群より選択され、フェニル置換基は、C1-6アルキル、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、およびシアノから選択される;
a)中間体B
【化14】

を水素化アルミニウムナトリウムビス(2-メトキシエトキシ)(Red-Al)で還元して、生じた中間体をヨウ素で処理してヨウ化物C
【化15】

を得る工程と、
b)ヨウ化物Cのアルコール部分を臭化物に転換する工程と;
c)サルコシンt-ブチルエステルで臭化物を置換して、中間体D
【化16】

を提供する工程と;
d)式Ar1B(OH)2のボロン酸(式中、Ar1は、上記記載のとおりである)と中間体Dをパラジウム(0)触媒の存在下でカップリングし、式E
【化17】

の中間体を得る工程と;
e)パラジウム(0)触媒の存在下で、中間体Eを式Ar2B(OH)2のアリールボロン酸(式中、Ar2は、上記記載のとおりである)とカップリングし、中間体F
【化18】

を得る工程と;
f)中間体Fのエステル基を加水分解して式Gの化合物を与える工程と、
を含む方法。
【請求項57】
工程(b)の転換がN‐ブロモスクシンイミドおよびトリフェニルホスフィンによる処理を含む、請求項56記載の方法。
【請求項58】
工程(f)の加水分解がギ酸による処理を含む、請求項56記載の方法。
【請求項59】
請求項56記載の方法によって調製される、式1の化合物:
【化19】

式中:
Ar1は、チオフェン基であり、2または3チオフェンであってもよく、メチルまたはエチルから選択される1つまでの置換基で選択的に置換されており;
Ar2は、チオフェン、フラン、および置換されたフェニルから選択され、フェニル基における置換基が、C1-6アルキル、ハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、シアノから選択される。
【請求項60】
請求項56記載の方法によって調製される、(Z)-N-(1-(4-(2-フリル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシン、および(Z)-n-(1-(4-(4-イソプロピルフェニル)フェニル)-1-(3-チエニル)プロパ-1-エン-3-イル)サルコシンからなる群より選択される化合物。
【請求項61】
式Cの化合物。
【化20】

【請求項62】
式Dの化合物。
【化21】

【請求項63】
式Eの化合物
【化22】

式中、Ar1は、1つまでのメチルまたはエチルによって選択的に置換されたチエニルである。

【公開番号】特開2010−59182(P2010−59182A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255663(P2009−255663)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【分割の表示】特願2002−565971(P2002−565971)の分割
【原出願日】平成14年2月15日(2002.2.15)
【出願人】(505166351)エヌピーエス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】NPS PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】