説明

H−ARQ処理メモリ管理のための方法及び装置

【課題】H−ARQ処理動的メモリ管理のための方法及び装置を提供する。
【解決手段】H−ARQ処理に関連付けられたデータを格納するためにメモリを動的に管理する方法は、H−ARQ処理に関連付けられたパケットを受信することと、H−ARQバッファ内で空いているメモリ場所が利用可能であるかを判定することと、空いているメモリ場所にパケットを割り当てることと、パケットが正しく復号されたかを判定することと、パケットが正しく復号されなかった場合、後続するパケット再送信との結合のために、割り当てられたメモリ場所内にパケットを保持することとを含む。この方法を実行するように構成されたロジックを有する装置もまた示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、ユーザ機器(UE)内で提供されるメモリのためのメモリ管理技術に関し、特に、トラヒック・データの送信のためのUEとネットワークとの間のインタラクションに関連付けられたHSDPA(高速ダウンリンク・パケット・アクセス)ハイブリッド自動反復要求(H−ARQ)処理の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
無線データ・サービスは、近年中に成長することが予測され、ネットワーク・サービス・プロバイダの収入及びトラヒックの主要源になるであろう。この成長要求を満たす目的のために、高速ダウンリンク・パケット・アクセス(HSDPA)規格が開発された。HSDPAは、3GPPリリース5以降においてサポートされる手順及びチャネルのセットとして見なされ、ダウンリンクにおける高速パケット・データ送信を可能とすることができる。HSDPAは、ユニバーサル・モバイル・テレコミュニケション・システム(UMTS)ベースのネットワークのためのロードマップを提供し、それらのデータ転送の速度及び容量を増加させることができる。HSDPAは、他の改善の中でもとりわけ追加の共有データ・チャネルの利用によって広帯域符号分割多元接続(WCDMA)技術を向上させ、ユーザ間での統計的な多重化、適応性のある異なる変調及び符号化技術の応用、及び高速かつチャネルが知ることのできる基地局でのスケジューリングを可能にする。HSDPAはまた、停止及び待機(Stop and Wait)(SAW)プロトコルを用いたハイブリッド自動反復要求(H−ARQ)と称される高速再送信メカニズムを用いることにより、誤り復元の速度を改善することもできる。
【0003】
図1は、WCDMA/HSDPAネットワーク100の典型的な要素間の最上層インタラクションを示し、基地トランシーバ局105(以下、「ノードB」と称する)及びユーザ機器(UE)デバイス110を含むことができる。UE110は、従来の構成を有するメモリ・バッファ115を含む。ネットワーク100内に存在しうる他の様々な要素は、簡略化のために図示されない。ノードB105は、様々なエア・インタフェース又はチャネルを介してUE110と通信することができる。高速ダウンリンク共有チャネル(HS−DSCH)は、ノードB105とUE110との間でトラヒック・データ・パケットを伝送することができる一次ラジオ・ベアラとして用いられうる。UE110のHS−DSCH動作のためのサポートは、追加の2つの制御チャネルである高速共有制御チャネル(HS−SCCH)及び高速専用物理制御チャネル(HS−DPCCH)を含むことができる。HS−SCCHは、パケットが新規送信であるか再送信であるかに関する情報及びH−ARQ関連パラメータを含むことができるシグナリング情報をUEへ提供することができる。HS−DPCCHは、チャネル品質インジケータ(CQI)を含むことができるフィードバック情報をノードBへ提供することができる。HS−DPCCHはまた、(例えばUE110内の巡回冗長検査(CRC)に基づいて)UE110によって生成されるアクノレッジメント(ACK)/ネガティブ・アクノレッジメント(NACK)フィードバックを提供することもできる。
【0004】
H−ARQ処理は、UE110内の不正パケットを破棄するのではなく格納することによって、より速い復元を可能にすることができる。不正パケットが受信されると、UE110は、それをバッファ・メモリ115内に含まれるH−ARQバッファに格納し、その不正パケットを1つ又は複数の後続する再送信と結合し、正しく復号する確率を上げることができる。再送信されたパケットが誤りを含む場合でも、以前受信された不正送信の組合せから良好なパケットが導出されることができる。この処理は、軟結合(soft combining)と称され、追跡結合(CC)及び/又はインクリメンタル・リダンダンシ(IR)を含むことができる。CCは、ノードBが単純に、元のパケットの符号化記号の全く同じセットを再送信することができるという基本的な結合アプローチである。IRの場合、異なる方式でパケットを再符号化することにより、再送信中に異なるリダンダンシ情報が送信され、それによってインクリメンタルに符号化利得を増加させることができる。H−ARQ処理の速度を改善するために、この機能は、UE110の物理/媒体アクセス制御(L1)層で直接実施されうる。
【0005】
メモリ・バッファ115は、様々な処理機能あるいはサービスのための格納空間を提供するためにUE110内に存在することができる。メモリ・バッファ115の一定の部分は、例えばマルチメディア・ブロードキャスト・マルチキャスト・サービス(MBMS)に関連付けられたデータのような非HSDPAサービスに当てられうる。以下H−ARQバッファと称される、メモリのその他の部分は、特定の数のHSDPA H−ARQ処理に関連付けられるデータを格納するための一定の空間に当てられうる。各H−ARQ処理は、MAC−hs層におけるHSDPAパケットの配信の役割を負うことができる。このH−ARQ処理の一定の数は、以下「N」と称され、Nの値は、ネットワーク・プロバイダに依存しうる。図1に示す従来のH−ARQバッファは、静的なアプローチを用いてH−ARQ処理に関連付けられたデータを構成する。各H−ARQ処理は、識別子(例えば、HSDPA H−ARQ1、HSDPA H−ARQ2、・・・、HSDPA H−ARQN)を割り当てられ、各々が一定のサイズを有する一定のメモリ場所を恒久的に割り当てられうる。このサイズは、H−ARQ処理の数及びHS−DSCHカテゴリ指定に依存しうる。
【0006】
図2は、ノードB105とUE110との間のインタラクションを示す典型的なタイミング図200である。パケット・データは、時間領域多重化を用いてHS−DSCHを介して転送されうる。ここで、各送信時間間隔(TTI)は、(規格に準拠すると2ms期間であるが、他の期間も考慮されうる)サブフレームとも称される3つのスロットからなることができる。HS−DSCHのためのデータは、HS−PDSCH(高速物理ダウンリンク共有チャネル)で送信され、各TTI内で符号多重化される。各データ・パケットは、特定のH−ARQ IDに対応することができる別々のH−ARQ処理に関連付けられうる。各HS−DSCHに関連付けられた情報及び対応するH−ARQ処理は、HS−SCCHを介してUE110へ提供され、HS−DSCH(TTI)での対応するサブフレームより2スロット先行する。図2に示す例において、H−ARQ IDの範囲は1乃至6であり、データ・パケット205は、H−ARQ6 210に関連付けられる。パケットがUE110によって受信されると、UEは、パケットを復号しようと試みるであろう。復号が成功した場合、UE110は、関連するH−ARQのためのHS−DPCCHを介してノードB105へACKを送信するであろう。復号が失敗した場合、UE110は、同じチャネルを介してノードB105へNACKを送信するであろう。アクノレッジメント間の待ち時間をより良く用いるために、複数の処理が、別々のTTIを用いてUE110内で実行されうる。この技術は、N「チャネル」SAW(図示された例ではN=6)と称されうる。ここで、各「チャネル」は特定のH−ARQ処理に対応する。1つの処理がアクノレッジメントを待つ間、残りのN−1個の処理は継続して送信することができる。
【0007】
図2に示す例において、第1のTTIの場合、H−ARQ1に関連付けられた受信パケットの終端の7.5スロット後、NACKインジケーションは、1つのスロット中にUE110によってH−ARQ1のためのHS−DPCCHで送信された。同一のH−ARQ処理における最も早い(再)送信は、前の送信の始まりの10ms後(すなわち、復号のために許容された時間ギャップを考慮すると、その送信の終端の12スロット後)に起こる。ノードB105は、同一のH−ARQにおける再送信を最も早い機会にスケジュールすることより、あるいはACK/NACKインジケーションに関わらず連続する方式でそのH−ARQ処理をスケジュールするか、あるいは規格において設定された上記のタイムライン制約を満たすその他任意の方法を用いてNACK信号を優先させることができる。
【0008】
各H−ARQ処理に関連付けられたデータの格納にUE110内のメモリ・リソースが用いられるので、賢く柔軟な方式でメモリを用いるために、H−ARQ処理メモリ管理のための方法及び装置へのニーズがある。H−ARQ処理のためのメモリの節約により、非HSDPAサービスのために多くのメモリを提供することができる、及び/又は、より小さなバッファ・メモリを有するUEの設計が可能となり、それによって低い生産コスト及び/又はUE110の電力消費の低減がもたらされうる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の典型的な実施形態は、H−ARQ処理メモリ管理のための方法及び装置に向けられる。
【0010】
1つの実施形態は、H−ARQ処理に関連付けられたデータを格納するためにメモリを動的に管理する方法を含む。この方法は、H−ARQ処理に関連付けられたパケットを受信することと、H−ARQバッファ内で空いているメモリ場所が利用可能であるかを判定することと、空いているメモリ場所にパケットを割り当てることと、パケットが正しく復号されたかを判定することと、パケットが正しく復号されなかった場合、後続するパケット再送信との結合のために、割り当てられたメモリ場所内にパケットを保持することとを含む。
【0011】
別の実施形態は、UEデバイスのメモリを管理する方法を含む。この方法は、HSDPA H−ARQ処理のために利用可能なメモリ空間を決定することと、各H−ARQ処理のためのメモリ量を決定することと、同時に格納することができるH−ARQ処理の数(nT)を決定することと、与えられたUEカテゴリに割り当てられたH−ARQ処理の総数がnTを越えたかを判定することと、与えられたUEカテゴリに割り当てられたH−ARQ処理の総数がnTを越えた場合、H−ARQ処理格納のために動的なメモリ管理を実行することとを含む。
【0012】
また別の示された実施形態は、H−ARQ処理に関連付けられたデータを格納するためにメモリを動的に管理する装置を含む。この装置は、H−ARQ処理に関連付けられたパケットを受信する手段と、H−ARQバッファ内で空いているメモリ場所が利用可能であるかを判定する手段と、空いているメモリ場所にパケットを割り当てる手段と、パケットが正しく復号されたかを判定する手段と、パケットが正しく復号されなかった場合、後続するパケット再送信との結合のために、割り当てられたメモリ場所内にパケットを保持する手段とを含む。
【0013】
示された別の実施形態は、UEデバイスのメモリを管理する装置である。この装置は、HSDPA H−ARQ処理のために利用可能なメモリ空間を決定する手段と、各H−ARQ処理のためのメモリ量を決定する手段と、格納することができるH−ARQ処理の数(nT)を決定する手段と、与えられたUEカテゴリに割り当てられたH−ARQ処理の総数がnTを越えたかを判定する手段と、与えられたUEカテゴリに割り当てられたH−ARQ処理の総数がnTを越えた場合、H−ARQ処理格納のための動的なメモリ管理を実行する手段とを含む。
【0014】
また別の実施形態は、H−ARQ処理に関連付けられたパケットを受信するように構成されたロジックと、H−ARQバッファ内で空いているメモリ場所が利用可能であるかを判定するように構成されたロジックと、空いているメモリ場所にパケットを割り当てるように構成されたロジックと、パケットが正しく復号されたかを判定するように構成されたロジックと、パケットが正しく復号されなかった場合、後続するパケット再送信との結合のために、割り当てられたメモリ場所内にパケットを保持するように構成されたロジックとを含む装置である。
【0015】
本発明の別の実施形態は、HSDPA H−ARQ処理のために利用可能なメモリ空間を決定するように構成されたロジックと、各H−ARQ処理のためのメモリ量を決定するように構成されたロジックと、格納することができるH−ARQ処理の数(nT)を決定するように構成されたロジックと、与えられたUEカテゴリに割り当てられたH−ARQ処理の総数がnTを越えたかを判定するように構成されたロジックと、与えられたUEカテゴリに割り当てられたH−ARQ処理の総数がnTを越えた場合、H−ARQ処理格納のために動的なメモリ管理を実行するように構成されたロジックとを備える装置を含むことができる。
【0016】
本発明の別の実施形態は、H−ARQ処理に関連付けられたデータを格納するためにメモリを動的に管理するためのプログラム・コードを格納して含むコンピュータ読取可能媒体を含むことができる。このコンピュータ読取可能媒体は、H−ARQ処理に関連付けられたパケットを受信するためのプログラム・コードと、H−ARQバッファ内で空いているメモリ場所が利用可能であるかを判定するためのプログラム・コードと、空いているメモリ場所にパケットを割り当てるためのプログラム・コードと、パケットが正しく復号されたかを判定するためのプログラム・コードと、パケットが正しく復号されなかった場合、後続するパケット再送信との結合のために、割り当てられたメモリ場所内にパケットを保持するためのプログラム・コードとを備える。
【0017】
本発明の別の実施形態は、UEデバイスのメモリを管理するためのプログラム・コードを格納して含むコンピュータ読取可能媒体を含むことができる。このコンピュータ読取可能媒体は、HSDPA H−ARQ処理のために利用可能なメモリ空間を決定するためのプログラム・コードと、各H−ARQ処理のためのメモリ量を決定するためのプログラム・コードと、格納することができるH−ARQ処理の数(nT)を決定するためのプログラム・コードと、与えられたUEカテゴリに割り当てられたH−ARQ処理の総数がnTを越えたかを判定するためのプログラム・コードと、与えられたUEカテゴリに割り当てられたH−ARQ処理の総数がnTを越えた場合、H−ARQ処理格納のために動的なメモリ管理を実行するためのプログラム・コードとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
添付の図面は、本発明の実施形態の説明を補助するために示され、実施形態の限定ではなく、単に実施形態の例示として提供される。
【図1】図1は、従来のH−ARQバッファ構成を有するユーザ機器(UE)デバイスとノードBとの間の典型的な最上層インタラクションを示す。
【図2】図2は、HSDPA動作のためのUEとノードBとの間のインタラクションを示す典型的なタイミング図である。
【図3】図3は、典型的なUEデバイスと、UE関連のH−ARQバッファ・メモリ構成の最上層ブロック図を示す。
【図4】図4は、H−ARQ処理に関連付けられたデータを格納するためにメモリを動的に管理する典型的な処理を示す最上層フローチャートである。
【図5】図5は、H−ARQ処理に関連付けられたデータを格納するためにメモリを動的に管理する別の典型的な処理のフローチャートである。
【図6】図6は、UEによって用いられるメモリ管理技術のタイプを決定する典型的な処理を示すフローチャートである。
【発明を実施する形態】
【0019】
本発明の局面は、本発明の特定の実施形態に向けられた以下の説明及び関連する図面において開示される。代替実施形態が、本発明の範囲から逸脱することなく考案されうる。更に、本発明の周知の要素は、本発明の関連する詳細を不明確にしないように、詳しく説明されない、又は省略されるであろう。
【0020】
本明細書において用いられる「典型的な」という言葉は、「例、例示、又は例証として提供する」ことを意味する。本明細書において「典型的」であるとして説明される任意の実施形態は、必ずしも、他の実施形態に対して好適又は有利であるとは解釈されない。同様に、「本発明の実施形態」という用語は、本発明の全ての実施形態が、説明された特徴、利点、又は動作モードを含むことを義務付けるものではない。
【0021】
更に、多くの実施形態が、例えばコンピュータ・デバイスの要素によって実行される一連の動作の観点から説明される。本明細書で説明された様々な動作は、特定の回路(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))によって、1つ又は複数のプロセッサによって実行されるプログラム命令によって、又はそれらの組合せによって実行されうることが理解されるであろう。更に、本明細書で説明されるこれら一連の動作は、実行されると関連するプロセッサに本明細書で説明された機能を実行させる、対応するコンピュータ命令のセットを格納した任意の形式のコンピュータ読取可能記憶媒体に全体が組み込まれると解釈されることができる。従って、本発明のさまざまな局面は、多くの異なる形式において具現化することができ、その全てが、特許請求された主題の範囲内であることが意図される。また、本明細書で説明される実施形態の各々について、そのような任意の実施形態の対応する形式が、例えば説明された動作を実行する「ように構成された」として本明細書で説明されうる。
【0022】
図3は、典型的なUE300及びUE関連ハイブリッドARQ(H−ARQ)バッファ・メモリ構成330の最上位レベルのブロック図を示す。UE300は、図3ではセルラ電話の形式で示されるが、本発明の実施形態は、ネットワーク100を介してデジタル通信を実行することができる任意の形式のUE300において実施することができる。例えばUEは、無線モデム、PCMCIAカード、パーソナル・コンピュータ、電話、又はそれらの任意の組合せあるいは部分的な組合せを限定せず含む、無線通信機能を有する任意のデバイスであることができる。
【0023】
UE300は、ネットワーク100を介してデータ及び/又はコマンドを交換することができるプラットフォーム310を有することができる。プラットフォーム310は、特定用途向け集積回路(「ASIC」)320、又はその他のプロセッサ、マイクロプロセッサ、論理回路、あるいはその他任意のデータ処理デバイスに動作可能に接続されたトランシーバ315を含むことができる。ASIC320又はその他のプロセッサは、UE300のメモリ325内に格納された任意の常駐プログラムとのインタフェースしうるアプリケーション・プログラミング・インタフェース(「API」)層を実行することができる。メモリ325は、読取専用メモリ及び/又はランダム・アクセス・メモリ(RAM及びROM)、EEPROM、フラッシュ・カード、又はそのようなプラットフォームに共通の任意のメモリからなることができる。
【0024】
無線ネットワーク100によって用いられる様々な通信プロトコル層は、様々なコマンドを実行し(図3に示されない)異なる層で処理することができるプラットフォーム310内に存在することもできる。通信プロトコル層は、例えばラジオ・リソース制御(RRC)層、ラジオ・リンク制御(RLC)層、媒体アクセス制御(MAC)層、及び物理層(L1)を含むことができる。物理層のために受信された情報は、様々な層MAC、RLC、及びRRCの間で復号及び転送されうる。3GPPリリース5で導入されたHSDPA規格に準拠して、上位層は、高速ダウンリンク共有チャネル(HS−DSCH)を用いてトラヒック・データ・パケットを転送することができる。ACK/NACKフィードバック情報を搬送するアップリンク高速専用物理制御チャネル(HS−DPCCH)と、HS−DSCHに関連付けられた制御情報を搬送するダウンリンク高速共有制御チャネル(HS−SCCH)とを含む他のHSDPAチャネルにも、同じことが当てはまる。
【0025】
メモリ325の一部は、バッファ330専用であることができ、H−ARQ機能を用いない非HSDPAサービスと、HSDPA H−ARQ処理との両方に関連付けられたデータを同時にサポートするために割り当てられうる。非HSDPAサービスのために確保されたバッファ330内の空間量は、3GPP WCDMA規格に関連付けられた従来技術を用いてネットワークによってUEへシグナルされた情報から取得され、UE300の機能に基づいて、準静的な形式で提供されうる。非HSDPAサービスは、上記規格のリリース6バージョンにおいて導入される、WCDMAセルラ・ネットワークにおいてオーディオ・ストリーム及びビデオ・ストリームをサポートするためのマルチメディア・ブロードキャスト・マルチキャスト・サービス(MBMS)に関連付けられたデータを含むことができる。非HSDPAサービス専用のバッファ空間330の一部は、例えば共有共通制御物理チャネル(S−CCPCH)を介して搬送されるブロードキャスト・データ、及び/又は、専用物理データ・チャネル(DPDCH)を介して搬送される、64kbpsクラスあるいは384kbpsクラスのダウンリンク・ラジオ・ベアラに関連付けられた専用データを含むWCDMAダウンリンク・チャネルの設定可能なプールのためのデータを格納するようにサイズ変更されうる。
【0026】
同時の非HSDPAサービスに対するメモリ要件を考慮に入れると、バッファ330内に残っている空間は、H−ARQ処理に関連付けられた、パケットとも称されるHS−DSCHトランスポート・ブロック・サイズのソフト・ビットを格納するために特化されうる。3GPP WCDMA(FDD)規格の技術仕様書25.306(リリース5以降)において提供されるHS−DSCH物理層(L1)カテゴリに従って、H−ARQバッファは、インクリメンタル・リダンダンシ(IR)再結合処理のために用いられうる、各々が1つの処理に特化された小さなバッファに分割されうる。全てのH−ARQ処理に集合的に含まれる情報は、技術明細書25.212に準拠するノードB105の「仮想IR」バッファ内に格納される。各処理において、それらのソフト・ビットは、そのバージョンが各送信中に搬送される、HS−DSCH物理層レート・マッチングの2つのステージの間に格納されたH−ARQデータを表す。上述した個々のバッファは、以下、H−ARQバッファ・メモリ場所と称される。各H−ARQバッファ・メモリ場所は、各H−ARQ処理のためのサイズあるいはソフト・ビットの数を有することができ、H−ARQバッファ内には、合計nT個のH−ARQバッファ・メモリ場所が存在しうる。
【0027】
本発明の様々な実施形態において、H−ARQ処理に関連付けられたHS−DSCHパケットは、図1に関連して上述したバッファ115において示すように各H−ARQ処理を自身のメモリ場所に静的に割り当てるのではなく、動的な方式で割り当てられたH−ARQバッファ・メモリ場所に格納される。
【0028】
各メモリ場所のサイズは、(仮想IRバッファの「暗黙の分割」(“implicit partitioning”)を用いる場合)H−ARQ処理の数と、全てのH−ARQ処理のためのソフト・ビットの総数、サポートされる変調スキーム、及び符号多重化されたHS−PDSCHの数を他のパラメータの中から指定することができるHS−DSCH UEカテゴリ指定とによって決められる。用いられるHS−DSCHカテゴリは、UEが自身の機能を公示した後、ネットワーク100によってUE300へシグナルされうる。更に、以下「N」と称されるH−ARQ処理の総数も、ネットワーク100によって指定され、上位層を介してシグナルされることができ、指定されたHS−DSCHカテゴリと独立しうる。実際には、従来Nは6から8までの範囲であり、本発明の実施形態に従って、H−ARQバッファ内のメモリ場所の総数より大きくなりうる(すなわち、nT<N)。そのような実施形態でも、ネットワークに公示されるUE機能(カテゴリ)は変更されないままでなければならないことを留意されたい。
【0029】
従って、いわゆる「暗黙の分割」を用いる場合、各H−ARQバッファ・メモリ場所のサイズは、H−ARQ処理の総数でソフト・ビットの総数を割ることにより、与えられたUEカテゴリのために決定されうる(すなわち、H-ARQ_Buffer_Mem_Loc_Size = Total_Num_Soft_Bits / N)。ネットワークよりも「高く」公示された(すなわち、ソフト・ビット要件の数がより多い)HS−DSCHカテゴリのUEを有する構成において、ネットワークは、各H−ARQバッファ・メモリ場所の共通サイズを、ネットワーク・カテゴリのための暗黙の分割によって取得された(より小さな)値に明確に指定し、ノードB105の2段階ディレート・マッチング(de-rate matching)をミラーするUEでの2段階ディレート・マッチングを保証する。これは、この実施形態によって包含される「明確な分割」の特定の場合である。割り当てられたH−ARQバッファ・メモリ場所の数nTは、H−ARQバッファ・メモリ場所のサイズに対するH−ARQバッファの合計サイズの比の整数部分をとることによって決定されうる(すなわち、nT = int( Total_H-ARQ_Buffer_Size / H-ARQ_Buffer_Mem_Loc_Size))。H−ARQバッファの合計サイズは、非HSDPAサービス専用のメモリの量をバッファ330のサイズから引くことによって概算されうる。非HSDPAサービス専用のメモリの量は、ネットワーク100によってUE300に供給されることができ、バッファ330のサイズは従来、周知の設計パラメータである。
【0030】
nTの値は上述したように最初に計算されうるが、この値は、ネットワーク100の復号性能に基づいて変更されうる。UE300の復号性能が完全である(ブロック誤り率が本質的にゼロである)理想的な状態では、一例において、nTの最小値は僅か3である。例えば特定のシステムにおいて、この最小値は、復号時間に7.5スロットしか用いられない、すなわち、パケットのためのACK又はNACKフィードバック・インジケーションに対するタイムライン要件に基づいて、H−ARQ処理のための単一のパケット送信の処理が僅か2.5TTIであるという事実に基づくことができる。従って、3つのH−ARQバッファ・メモリ場所しか必要ではない。更に、実際の下限値は、実際の設計における復号時間に依存し、7.5スロットよりも少ないスロットが用いられれば、より下がることができる。しかし、実際の復号性能は、ほとんど全ての場合理想よりも少ない(ブロック誤り率がゼロではない)ので、nTは、システム設計に基づいて予め定められた閾値(例えば、上記の例では3)と等しいか、それより大きくなってはならない。UE300の復号性能が許容可能である場合、nTの値は、予め定められた閾値(例えば3)を下回らない限り、最初に計算された値から低減されうる。あるいはUE復号性能が低下した場合、nTの値は、必要であれば、非HSDPAサービスに割り当てられたメモリ空間の量を低減することによって増加されうる。この処理は、以下に示される図5の説明においてより詳しく説明される。そのような頻度の低い手順のトリガは、同時の非HSDPAサービスとHSDPAサービスとの間の許容可能なシステム・レベル・トレードオフ、及びUEにおける非HSDPAチャネルの処理のためのシステム再設定機能によって起こりうる。
【0031】
H−ARQバッファ・メモリ場所の数(nT)は、本発明の様々な実施形態において、従来のUEバッファ115で用いられるH−ARQバッファの数(N)より少ない。従って、より少ないメモリがH−ARQ処理のために用いられるので、他の処理のために利用可能なメモリを増加させることができる。例えば、非HSDPAサービスのためにより多くのメモリを利用可能とすることができる。更に、メモリ制約の低減は、より小さなバッファ・メモリを有するUEを設計することにより、低い生産コスト及びUE電力消費の低減という更なる利点を提供することもできる。
【0032】
図3を更に参照すると、実施形態の動的メモリ管理アプローチの概観が、メモリ・マッピング表335を用いて説明されうる。この例において、合計5のH−ARQバッファ・メモリ場所(nT=5)と、7のH−ARQ処理(N=7)がある。特定のH−ARQ処理に関連付けられた新規到来パケットがUE300に到着すると、それは、空いているH−ARQバッファ・メモリ場所に割り当てられうる(空いているメモリ場所の更なる説明は、図4及び図5の説明に関して以下で提供される)。マッピング表325では、次に到来するパケットは、メモリ場所m2に格納されうる。パケットが正しく復号されると、割り当てられたメモリ場所は、後続するパケットによる使用のためにクリアされうる。パケットが正しく復号されなかった場合、そのパケットは、H−ARQ物理層技術のような追跡結合(chase combining)又はインクリメンタル・リダンダンシを用いて、同じH−ARQ処理に関連付けられた同じパケットの後続するバージョンと再結合するために、メモリ場所に格納されたままである。表335において、H−ARQ1は、現在H−ARQバッファ・メモリ場所m1に格納され、H−ARQ7は、H−ARQバッファ・メモリ場所m4に格納され、H−ARQ5は、H−ARQバッファ・メモリ場所m5に格納される。これらの場合、これらH−ARQ処理の復号状態は、続行中であるか失敗したかの何れかである。H−ARQバッファ・メモリ場所m2及びm4は、後続して到来するパケットによって用いるために空にされた。以下でより完全に説明されるように、次の新しく到来するパケットがUE300に到着した時、H−ARQバッファ・メモリ場所全てが埋まっている場合、新規のパケットは破棄され、復号は試みられず、UEは、ノードB105が一般に、自己復号可能であるパケット(特に、パンクチャされたシステマティック・ビットを有さないパケットの第1の送信バージョン)を再送信することができるように、フィードバックではなく不連続送信(DTX)信号を送信するであろう。
【0033】
このように、本発明の実施形態は、本明細書で説明される機能を実行する能力を含むUE300を含むことができる。様々なロジック要素が、本明細書に開示された機能を達成するために、ディスクリート要素、プロセッサにおいて実行されるソフトウェア・モジュール、又はソフトウェアとハードウェアとの任意の組合せによって具現化されうる。例えば、ASIC320及びメモリ325は全て、本明細書に開示された様々な機能をロード、格納、及び実行するために協働して用いられることができ、これらの機能を実行するロジックは、様々な要素に割り当てられうる。あるいは、機能は、1つのディスクリート部品に(例えば、ASIC/プロセッサ320内に組み込まれたメモリ内に)組み込まれることもできる。従って、図3のUE300の特徴は、単なる例示としてみなされるべきであり、本発明は、説明された特徴又は構成に限定されない。
【0034】
図4は、H−ARQ処理に関連付けられたデータを格納するためにメモリを動的に管理する典型的な処理400を示す最上位レベルのフローチャートである。この処理は、UE300内のASIC320によって実行されうる。説明の簡略化のために、処理400は、与えられたH−ARQ処理に関連付けられうる連続するパケットにおいて動作する連続処理として示されるが、UEは、処理400の様々なブロックを、連続するTTIにおいて受信され、異なるH−ARQ処理に関連付けられたパケットのために非同期方式で実行することができることが理解されるべきである。
【0035】
処理400は、ノードB105からHS−DSCHを介してUE300によってパケットが受信されると開始することができる(ブロック405)。受信されたパケットは、特定のH−ARQ iに関連付けられることができ、H−ARQパラメータは、HS−SCCHを介してUE300へ提供されうる。UE300はその後、空いているメモリ場所がH−ARQバッファ内に存在するかを判定することができる(ブロック410)。空いているメモリ場所が存在しない場合、パケットは効率的にドロップされ、UE300は、アップリンク・フィードバック(ACK又はNACK)の代わりにDTX信号をノードB105へ送信することができる(ブロック415)。DTXを受信すると、ノードB105は、処理毎の最小再送信間隔(例えば、10ms)より後の何らかの時点において、H−ARQ iに関連付けられた自己復号可能パケットを再送信することができる。この設計は、そのようにパケットをドロップすることによってネットワーク・スループット性能及び容量に重大な影響が及ぼされないようにしなければならない。この設計の目的のために、失敗したあるいは現在未だ復号中である、前に受信されたH−ARQ処理の数が、nT個のバッファ・メモリ場所を満たすのに十分である場合、それが起こることが観察されうる。
【0036】
ブロック410で、空いているメモリ場所がH−ARQバッファ内に存在すると判定された場合、UE300は、受信したパケットをH−ARQバッファ内の空いているメモリ場所へ割り当てることができる(ブロック420)。非HSDPAメモリ・バッファが後に拡張される場合にパケットを損失又は上書きする可能性を最小化するために、受信されたパケットは、非HSDPAメモリ区分から遠い、空いているメモリ場所へ割り当てられうる。UE300はその後、受信されたパケットが正しく復号されたかを判定するであろう(ブロック425)。この判定は、例えばL1において実行することができる巡回冗長検査(CRC)を用いることによってなされうる。パケットが正しく復号された場合、UE300は、パケットを破棄し、H−ARQバッファ・メモリ場所を空にするであろう(ブロック430)。パケットが正しく復号されなかった場合、そのパケットは、H−ARQ ID iに関連付けられたそのパケットの後続する再送信と軟結合させるために保持されるであろう(ブロック435)。3GPP WCDMA/HSDPA規格の技術明細書25.212に準拠して、再送信されたバージョンは、効率的な符号化利得及び復号効率を増加させるために、異なるパンクチャされたビット(インクリメンタル・リダンダンシ)を有することができる。元の(あるいは前に送信された)パケットと再送信されたパケットとの再結合により、パケットの信号対雑音比が改善され、正しい復号動作の確率を高めることができる。
【0037】
このように、本発明の実施形態は、H−ARQ処理に関連するデータを格納するためにメモリを動的に管理する方法を含むことができる。この方法は、H−ARQ処理に関連付けられたパケットを受信すること(ブロック405)と、H−ARQバッファ内で空いているメモリ場所が利用可能であるかを判定すること(ブロック410)と、空いているメモリ場所にパケットを割り当てること(ブロック420)と、パケットが正しく復号されたかを判定すること(ブロック425)と、パケットが正しく復号されなかった場合、後続するパケット再送信と結合するために、割り当てられたメモリ場所内にパケットを保持すること(ブロック425)とを含むことができる。方法あるいはその任意の一部は、ASIC320での実行のために、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又はそれらの任意の組合せ/部分的な組合せによって実現されうることが理解されるべきである。無論、この方法は、ASICでの実行に限定されず、任意のタイプのプロセッサ及び/又はハードウェアにおいて実行することができ、複数のプロセッサ及び/又はサブプロセッサに実行を分割させることもできる。
【0038】
図5は、H−ARQ処理に関連付けられたデータを格納するためにメモリを動的に管理する別の典型的な処理500のフローチャートを示す。上述したように、処理500は、与えられたH−ARQ処理に関連付けられうる連続するパケットについてなされる動作する連続処理として示されうる。しかし、UEは、他の並行するH−ARQ処理に関連付けられ、受信されたパケットのために、非同期方式で、処理500の様々なブロックを実行することもできる。
【0039】
処理500は、パケット格納のためH−ARQバッファ・メモリを初期化することによって開始することができる(ブロック503)。これは、処理毎のH−ARQバッファ・メモリ場所のサイズ、及びH−ARQバッファ・メモリ場所の総数(nT)を決定することを含むことができる。この決定は、図3の説明に関して詳しく上述されたように実行されうる。しかし、H−ARQ処理のために残っている空間は、任意に小さくあってはならず、バッファ330内の十分なメモリが、許容可能な復号性能を可能とするH−ARQバッファの合計サイズのために提供されることを確実にするために検査が実行されうる。
【0040】
パケットは、ノードB105からHS−DSCHを介してUE300によって受信されうる(ブロック505)。UE300は、受信したパケットが新規のパケットであるかを知るために検査することができる(ブロック507)。パケットが新規のパケットであった場合、UE300は、H−ARQバッファ内に空いているメモリ場所が存在するかを判定することができる(ブロック510)。空いている場所が存在しない場合、パケットは効率的にドロップされ、復号は試みられず、UE300は、DTX信号をノードB105へ送信することができる(ブロック515)。UE300はその後、ある時間間隔中の復号されるべき受信パケットのうち、ドロップされたパケット数の割合の閾値を超えたかを判定することができる(ブロック547)。閾値を超えた場合、UE300は、nTを1ずつ増加することによってH−ARQバッファのサイズを増加させることができる(ブロック549)。時間インターバル・ウインドウの長さは、著しい性能低下を回避しながら、nTの変化が低減されうるように設計することができる。DTX信号を受信すると、ノードB105は、H−ARQ ID iに関連付けられうる、第1の送信のためのパケットの一般的に自己復号可能なバージョンを、再送信インターバル(例えば、10ms)より後の何らかの時点で再送信することができる。
【0041】
ブロック510において、H−ARQバッファ内に空いているメモリ場所が存在すると判定された場合、UE300は、受信したパケットをH−ARQバッファ内の空いているメモリ場所に割り当てることができる(ブロック520)。非HSメモリ・バッファが拡大された場合、パケットを上書きする可能性を最小化するために、受信されたパケットは、非HSDPAメモリ区画から遠い、空いているメモリ場所に割り当てられうる。UE300は、受信したパケットを復号することができる(ブロック522)。UE300はその後、受信されたパケットが正しく復号されたかを判定することができる(ブロック525)。
【0042】
パケットが正しく復号された場合、UE300は、そのパケットを破棄し、H−ARQバッファ・メモリ場所を空にし(ブロック530)、ノードB105へACK信号を送信することができる(ブロック517)。パケットが正しく復号されなかった場合、そのパケットは、H−ARQ ID iに関連付けられた同じパケットの後続する再送信との結合のために保持されるであろう(ブロック535)。NACK信号もまた、ノードBへ送信されうる(ブロック537)。HSDPA規格に準拠して、復号効率を高めるために、再送信されたブロックは、前のバージョンから、パンクチャされたビットの異なるセットを有することができる。元の(又は前に送信された)パケットと再送信されたパケットとの再結合により、パケットの信号対雑音比が改善され、正しい復号動作の確率を高めることができる。
【0043】
受信されたパケットが新規のパケットでないと判定された場合(ブロック507)、UE300は、H−ARQ ID iにおける前のパケットが正しく復号されたかを判定することができる(ブロック509)。正しく復号されていた場合、UE300は、ノードBへACK信号を送信し(ブロック517)、復号を試みない。H−ARQ ID iにおける前のパケットが正しく復号されなかったと判定された場合(ブロック509)、UE300は、ブロック513、522、及び525を実行するであろう。
【0044】
このように、本発明の実施形態は、H−ARQ処理に関連付けられたデータを格納するためにメモリを動的に管理する方法を含むことができる。この方法は、パケット格納のためのH−ARQバッファを初期化すること(ブロック503)と、H−ARQ処理に関連付けられたパケットを受信すること(ブロック505)と、受信されたパケットが新規のパケットであるかを判定すること(ブロック507)と、受信されたパケットが新規のパケットではない場合、H−ARQ処理に関連付けられた前のパケットが正しく復号されたかを判定すること(ブロック509)と、H−ARQに関連付けられた前のパケットが正しく復号された場合、アクノレッジメント(ACK)信号をノードBへ送信すること(ブロック517)とを含むことができる。
【0045】
この方法は更に、H−ARQバッファ内で空いているメモリ場所が利用可能であるかを判定すること(ブロック510)と、空いているメモリ場所にパケットを割り当てること(ブロック520)と、パケットを復号すること(ブロック522)と、パケットが正しく復号されたかを判定すること(ブロック525)と、パケットが正しく復号されなかった場合、後続するパケット再送信との結合のために、割り当てられたメモリ場所内にパケットを保持すること(ブロック535)と、ノードBへNACKを送信すること(ブロック537)とを含むことができる。
【0046】
この方法は更に、H−ARQバッファ内に利用可能な空いているメモリ場所が無い場合、不連続送信(DTX)信号をノードBへ送信すること(ブロック515)と、DTX信号に関連付けられた閾値を越えたかを判定すること(ブロック547)と、DTX信号に関連付けられた閾値を越えた場合、H−ARQバッファ・メモリのサイズ・ベースを変更すること(ブロック549)とを含むことができる。H−ARQ処理に関連付けられた前のパケットが正しく復号されなかったと判定された場合、この方法は更に、受信されたパケットを、H−ARQバッファ内の適切なメモリ場所に格納すること(ブロック513)と、受信されたパケットを復号すること(ブロック522)とを含むことができる。この方法は更に、受信されたパケットを割り当てられたメモリ場所から破棄し、H−ARQ内の割り当てられたメモリ場所を空にすること(ブロック530)と、ノードBへACK信号を送信すること(ブロック517)とを含むことができる。
【0047】
図6は、UE300によって用いられるメモリ管理技術のタイプを決定するための典型的な処理を示すフローチャートである。この処理は、全てのH−ARQ処理のために利用可能なバッファ330内のメモリを決定する(例えば、図3に示すH−ARQバッファの合計サイズを決定する)ことによって開始することができる(ブロック605)。UE300はその後、各H−ARQ処理によって用いられるメモリの量と、現在のHSDPAカテゴリに関連付けられたH−ARQバッファ・メモリ場所の数nTとを決定することができる(ブロック610)。UE300は、H−ARQバッファ・メモリ場所の数(nT)が、H−ARQ処理の総数より少ないかを判定することができる。少ない場合、UEは、動的なH−ARQ処理管理を実行するであろう。nTがNに等しい場合、UE300は、従来の静的なH−ARQ処理管理を実行することができる。nTと、H−ARQバッファの合計サイズとを決定する技術の例が、例えば図3の説明において上述された。
【0048】
このように、本発明の実施形態は、UEデバイスのメモリを管理する方法を含むことができる。この方法は、HSDPA H−ARQ処理のために利用可能なメモリ空間を決定すること(ブロック605)と、各H−ARQ処理のためのメモリ量を決定し、格納することができるH−ARQ処理の数(nT)を決定すること(ブロック610)と、与えられたUEカテゴリに割り当てられたH−ARQ処理の総数がnTを越えたかを判定すること(ブロック615)と、与えられたUEカテゴリに割り当てられたH−ARQ処理の総数がnTを越えた場合、H−ARQ処理格納のために動的なメモリ管理を実行すること(ブロック620)とを含むことができる。上述したように、方法全体又はその一部は、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組合せによって実行されうる。
【0049】
情報及び信号は、様々な異なる技術及び技法のうちの任意の1つを用いて表されうることが留意されるべきである。例えば、上記説明を通して参照されうるデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、記号、及びチップは、電圧、電流、電磁波、磁界あるいは磁気粒子、光場あるいは光学粒子、又はそれらの任意の組合せによって表されうる。
【0050】
更に、本明細書に開示された実施形態に関連して説明された様々な例示となるブロック、モジュール、回路、及びアルゴリズム・ステップは、電子工学的ハードウェア、コンピュータ・ソフトウェア、又はそれらの組合せとして実現されうることが留意されるべきである。ハードウェアとソフトウェアとの相互置換性を明確に示すために、様々な例示となる構成要素、ブロック、モジュール、回路、及びステップは、それらの機能の観点から一般的に上述された。そのような機能がハードウェアとして実現されるかソフトウェアとして実現されるかは、システム全体に課された設計制約及び特定のアプリケーションに依存する。説明された機能は、各特定のアプリケーションのために様々な方法で実現されうるが、そのような実現の決定は、本発明の範囲から逸脱させるものとして解釈されてはならない。
【0051】
本明細書に開示された実施形態に関連して説明された方法、シーケンス、及び/又はアルゴリズムは、ハードウェアによって直接、プロセッサによって実行されるソフトウェア・モジュールによって、又はそれら2つの組合せによって具現化されうる。ソフトウェア・モジュールは、RAMメモリ、フラッシュ・メモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブル・ディスク、CD−ROM、又は当該技術において周知であるその他任意の形式の記憶媒体に収納されうる。典型的な記憶媒体は、プロセッサがそこから情報を読み取り、またそこへ情報を書き込むことができるように、プロセッサに接続される。あるいは、記憶媒体はプロセッサに統合されうる。
【0052】
従って、本発明の実施形態は、本明細書に開示されたようなH−ARQ処理メモリ管理のための方法を具現化するコンピュータ読取可能媒体を含むことができる。更に、本発明は、説明された例に限定されず、本明細書で説明された機能を実行する任意の手段は、本発明の実施形態に含まれる。例えば、本明細書で説明された方法、シーケンス、及び/又はアルゴリズムは、開示された機能を実行するように構成された論理によって実行されうる。
【0053】
上記開示は本発明の例示となる実施形態を示すが、様々な変更及び修正が、本特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく本明細書においてなされうる。本明細書で説明された本発明の実施形態に従う方法請求項の機能、ステップ、及び/又は動作は、任意の特定の順序で実行される必要はない。更に、本発明の要素は単一の形式で説明又は特許請求されるが、単一であることが明確に記載される限定がない限り、複数の形式も意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
H−ARQ処理に関連付けられたデータを格納するためにメモリを動的に管理する方法であって、
H−ARQ処理に関連付けられたパケットを受信することと、
H−ARQバッファ内で空いているメモリ場所が利用可能であるかを判定することと、
前記パケットを前記空いているメモリ場所に割り当てることと、
前記パケットが正しく復号されたかを判定することと、
前記パケットが正しく復号されなかった場合、後続するパケット再送信との結合のために、前記割り当てられたメモリ場所内に前記パケットを保持することとを備える方法。
【請求項2】
前記H−ARQ内に利用可能な空いているメモリ場所が無い場合、不連続送信(DTX)信号をノードBへ送信することを更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
送信されたDTX信号の数が、送信されたDTX信号の数に関連付けられた閾値を越えたかを判定することと、
前記送信されたDTX信号の数が予め定められた数を越えた場合、前記H−ARQバッファのメモリ・サイズ・ベースを修正することとを更に備える請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記H−ARQバッファのメモリ・サイズを修正することは更に、
非HSDPAサービスに割り当てられたメモリ空間の量を低減し、前記H−ARQバッファに割り当てられたメモリの量を増加させることを備える請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記受信したパケットが新規のパケットであるかを判定することと、
前記受信したパケットが新規のパケットでない場合、前記H−ARQ処理に関連付けられた前のパケットが正しく復号されたかを判定することとを更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記H−ARQ処理に関連付けられた前のパケットが正しく復号されなかったと判定された場合、
前記受信したパケットを前記H−ARQバッファ内の対応するメモリ場所内に格納することと、
前記受信したパケットを復号することとを更に備える請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記受信したパケットが正しく復号されなかった場合、ネガティブ・アクノレッジメント(NACK)信号を送信することを更に備える請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記受信したパケットが正しく復号された場合、
前記受信したパケットを前記割り当てられたメモリ場所から破棄することと、
前記H−ARQバッファ内の前記割り当てられたメモリ場所を空にすることと、
アクノレッジメント(ACK)信号をノードBへ送信することとを更に備える請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記パケットは、非HSサービスに関連付けられたメモリ空間から遠い前記空いているメモリ場所に割り当てられる請求項1に記載の方法。
【請求項10】
各々がH−ARQ IDに関連付けられた後続して受信したパケットのために実行される請求項1に記載の方法。
【請求項11】
UEデバイスのメモリを管理する方法であって、
HSDPA H−ARQ処理のために利用可能なメモリ空間を決定することと、
各H−ARQ処理のためのメモリ量を決定することと、
格納することができるH−ARQ処理の数(nT)を決定することと、
与えられたUEカテゴリに割り当てられたH−ARQ処理の総数がnTを越えたかを判定することと、
前記与えられたUEカテゴリに割り当てられたH−ARQ処理の総数がnTを越えた場合、H−ARQ処理格納のための動的なメモリ管理を実行することとを備える方法。
【請求項12】
前記与えられたUEカテゴリに割り当てられたH−ARQ処理の総数がnTを越えなかった場合、H−ARQ処理格納のための静的なメモリ管理を実行することを更に備える請求項11に記載の方法。
【請求項13】
H−ARQ処理に関連付けられたデータを格納するためにメモリを動的に管理する装置であって、
H−ARQ処理に関連付けられたパケットを受信する手段と、
H−ARQバッファ内で空いているメモリ場所が利用可能であるかを判定する手段と、
前記空いているメモリ場所に前記パケットを割り当てる手段と、
前記パケットが正しく復号されたかを判定する手段と、
前記パケットが正しく復号されなかった場合、後続するパケット再送信との結合のために、前記割り当てられたメモリ場所内に前記パケットを保持する手段とを備える装置。
【請求項14】
前記H−ARQバッファ内に利用可能な空いているメモリ場所が無い場合、不連続送信(DTX)信号をノードBへ送信する手段を更に備える請求項13に記載の装置。
【請求項15】
送信されたDTX信号の数が、予め定められた数を越えたかを判定する手段と、
前記送信されたDTX信号の数が予め定められた数を越えた場合、前記H−ARQバッファのメモリ・サイズ・ベースを修正する手段とを更に備える請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記H−ARQバッファのメモリ・サイズを修正する手段は更に、
非HSDPAサービスに割り当てられたメモリの量を低減し、前記H−ARQバッファに割り当てられたメモリの量を増加させる手段を備える請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記受信したパケットが新規のパケットであるかを判定する手段と、
前記受信したパケットが新規のパケットではない場合、前記H−ARQ処理に関連付けられた前のパケットが正しく復号されたかを判定する手段とを更に備える請求項13に記載の装置。
【請求項18】
前記受信したパケットを、前記H−ARQバッファ内の対応するメモリ場所に格納する手段と、
前記受信したパケットを復号する手段とを更に備える請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記受信したパケットが正しく復号されなかった場合、ネガティブ・アクノレッジメント(NACK)信号を送信する手段を更に備える請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記受信したパケットを前記割り当てられたメモリ場所から破棄する手段と、
前記H−ARQバッファ内の前記割り当てられたメモリ場所を空にする手段と、
アクノレッジメント(ACK)信号をノードBへ送信する手段とを備える請求項17に記載の装置。
【請求項21】
前記パケットは、非HSサービスに関連付けられたメモリ空間から遠い前記空いているメモリ場所に割り当てられる請求項13に記載の装置。
【請求項22】
各々がH−ARQ IDに関連付けられた後続して受信したパケットのために、請求項1に記載の方法を実行する手段を更に備える請求項13に記載の装置。
【請求項23】
UEデバイスのメモリを管理する装置であって、
HSDPA H−ARQ処理のために利用可能なメモリ空間を決定する手段と、
各H−ARQ処理のためのメモリ量を決定する手段と、
格納することができるH−ARQ処理の数(nT)を決定する手段と、
与えられたUEカテゴリに割り当てられたH−ARQ処理の総数がnTを越えたかを判定する手段と、
前記与えられたUEカテゴリに割り当てられたH−ARQ処理の総数がnTを越えた場合、H−ARQ処理格納のために動的なメモリ管理を実行する手段とを備える装置。
【請求項24】
前記与えられたUEカテゴリに割り当てられたH−ARQ処理の総数がnTを越えない場合、H−ARQ処理格納のために静的なメモリ管理を実行する手段を更に備える請求項23に記載の装置。
【請求項25】
H−ARQ処理に関連付けられたパケットを受信するように構成されたロジックと、
H−ARQバッファ内で空いているメモリ場所が利用可能であるかを判定するように構成されたロジックと、
前記パケットを前記空いているメモリ場所に割り当てるように構成されたロジックと、
前記パケットが正しく復号されたかを判定するように構成されたロジックと、
前記パケットが正しく復号されなかった場合、後続するパケット再送信との結合のために、前記割り当てられたメモリ場所内に前記パケットを保持するように構成されたロジックとを備える装置。
【請求項26】
前記H−ARQバッファ内に利用可能な空いているメモリ場所が無い場合、不連続送信(DTX)信号をノードBへ送信するように構成されたロジックを更に備える請求項25に記載の装置。
【請求項27】
送信されたDTX信号に関する閾値を越えたかを判定するように構成されたロジックと、
前記送信されたDTX信号の数が、予め定められた数を超えた場合、前記H−ARQバッファのメモリ・サイズ・ベースを修正するように構成されたロジックとを更に備える請求項26に記載の装置。
【請求項28】
HSDPA H−ARQ処理のために利用可能なメモリ空間を決定するように構成されたロジックと、
各H−ARQ処理のためのメモリ量を決定するように構成されたロジックと、
格納することができるH−ARQ処理の数(nT)を決定するように構成されたロジックと、
与えられたUEカテゴリに割り当てられたH−ARQ処理の総数がnTを越えたかを判定するように構成されたロジックと、
前記与えられたUEカテゴリに割り当てられたH−ARQ処理の総数がnTを越えた場合、H−ARQ処理格納のために動的なメモリ管理を実行するように構成されたロジックとを備える装置。
【請求項29】
前記与えられたUEカテゴリに割り当てられたH−ARQ処理の総数がnTを越えない場合、H−ARQ処理のために静的なメモリ管理を実行するように構成されたロジックを更に備える請求項28に記載の装置。
【請求項30】
H−ARQ処理に関連するデータを格納するためのメモリを動的に管理するプログラム・コードを格納して含むコンピュータ読取可能媒体であって、
H−ARQ処理に関連付けられたパケットを受信するためのプログラム・コードと、
H−ARQバッファ内で空いているメモリ場所が利用可能であるかを判定するためのプログラム・コードと、
前記パケットを前記空いているメモリ場所に割り当てるためのプログラム・コードと、
前記パケットが正しく復号されたかを判定するためのプログラム・コードと、
前記パケットが正しく復号されなかった場合、後続するパケット再送信との結合のために、前記割り当てられたメモリ場所内にパケットを保持するためのプログラム・コードとを備えるコンピュータ読取可能媒体。
【請求項31】
UEデバイスのメモリを管理するためのプログラム・コードを格納して含むコンピュータ読取可能媒体であって、
HSDPA H−ARQ処理のために利用可能なメモリ空間を決定するためのプログラム・コードと、
各H−ARQ処理のためのメモリ量を決定するためのプログラム・コードと、
格納することができるH−ARQ処理の数(nT)を決定するためのプログラム・コードと、
与えられたUEカテゴリに割り当てられたH−ARQ処理の総数がnTを越えたかを判定するためのプログラム・コードと、
前記与えられたUEカテゴリに割り当てられたH−ARQ処理の総数がnTを越えた場合、H−ARQ処理のために動的なメモリ管理を実行するためのプログラム・コードとを備えるコンピュータ読取可能媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−17199(P2013−17199A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−181122(P2012−181122)
【出願日】平成24年8月17日(2012.8.17)
【分割の表示】特願2010−515200(P2010−515200)の分割
【原出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
2.EEPROM
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】