説明

H2遮断薬、少なくとも1つの抗炎症薬剤および細胞毒性薬剤を含む抗がん治療

本発明は、H2遮断薬、少なくとも1つの抗炎症薬剤、細胞毒性薬剤、ならびに任意でレバミゾール、レチノイド、NFkB阻害物質、酸化還元キノン、NADH+H+の細胞内蓄積を増強する薬剤、多価アルコール、血管形成促進増殖因子の阻害物質、およびMMP阻害物質を含む薬学的組成物を用いた哺乳動物の処置に関連し、そのような薬学的組成物は、腫瘍性疾患および障害の、向上した治療および/または予防を考慮に入れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、抗がん治療および/または予防の分野に関連する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
がんは一般に、制御されない異常な細胞増殖により引き起こされる、100を上回る疾患グループの1つを意味し、隣接組織または体の他の部分へ拡散し得る。がん細胞は、がん細胞が互いに集合する固形腫瘍を形成し得、または白血病のように散在する細胞として存在し得る。正常細胞は、成熟が達成されるまで分裂し、続いて損傷または死亡した細胞の置換のために必要な場合にのみ分裂する。がん細胞は、無限に分裂し、最終的に隣接組織に押し出されて体の他の部分へ拡散するため、しばしば「悪性」と言及される。がん細胞の、1つの器官から別の器官へ、または体の1つの部分から別の部分へ侵入し、かつ拡散する傾向により、これらは、過剰増殖するが体の他の器官または部分へ拡散しない良性腫瘍細胞と区別される。悪性がん細胞は最終的に、血流またはリンパ系を介して、増殖および新しい腫瘍を形成し得る体の他の部分へ転移および拡散する。この種の腫瘍進行によって、がんは致命的疾患となっている。
【0003】
がんの診断および処置において顕著な改善がみられているが、多くの人々が毎年がんにより死亡し、かつ彼らの死は、典型的には転移、および従来の治療に耐性ながんによる。
【0004】
大抵の薬物に媒介されるがん治療は、分裂細胞に選択的な細胞毒性薬剤と称される毒物に依存する。がん細胞は一般に正常細胞より頻繁に分裂するため、これらの薬物が効果的である。しかしながら、そのような薬物はほとんど不可避的に、患者中の全てのがん細胞を死滅させるわけではない。1つの理由は、がん細胞が、薬物耐性を付与する変異を獲得し得ることである。別の理由は、全てのがん細胞が正常細胞より頻繁に分裂するわけではなく、遅く分裂するがん細胞がそのような細胞毒性薬剤に対して正常細胞と同程度またはよりいっそう非感受性であり得ることである。いくつかのがん細胞は遅く分裂する。なぜならそれらは血管新生が不十分な固形腫瘍中に存在し、かつ細胞分裂のための必要条件を満たすことが不可能であるためである。例えば、シクロホスファミドのような細胞毒性薬剤が、がんを処置するために使用されてきている。
【0005】
近年、がんの化学治療は劇的に進歩しているが、単一薬剤を用いるがんの処置の成功は限られている。まず、任意の単一薬剤は、存在する悪性細胞の母集団の一部を標的にするのみであり得るため、がん細胞の部分母集団は増殖を継続するまま残される。次に、細胞は薬物への長期曝露時に耐性を発達させる。異なる作用メカニズムおよび異なる毒性を有する2つ以上の薬剤を利用する併用療法は、薬物耐性を回避し、かつ標的細胞集団を増やすために有用であるが、全てのがんの処置において効果的であることは証明されていない。さらに、ある種の薬剤の組み合わせは、相乗的である可能性がある:それらの組み合わされた効果は、それら個々の活性に基づいて予測されるものよりも大きい。従って、異なる薬剤を組み合わせることは、がんを処置するための強力な戦略であり得る。
【0006】
悪性な細胞と健康な細胞との間の最も顕著な相違は、非制限的増殖のためのがん細胞の能力である。この相違は、DNAの合成または統合性を干渉することによって典型的に細胞増殖を妨害する、多数の細胞毒性薬剤に活用されている。この様式で機能する細胞毒性薬剤のクラスの例は、シクロホスファミドのようなアルキル化剤、代謝拮抗物質(例えば、プリンおよびピリミジンアナログ)、およびプラチナ配位錯体を含む。
【0007】
細胞分裂を妨害することにより機能する細胞毒性薬剤に伴う1つの問題は、それらが正常細胞と悪性細胞とを区別しないことである:任意の分裂細胞がそれらの作用に関する潜在的な標的である。従って、通常は高レベルの増殖を示す細胞集団(骨髄など)が影響を受け、がんの処置に一般に関連する毒性副作用につながる。
【0008】
腫瘍が増殖するにつれ、血液供給、および結果的に新規血管系の成長が要求される。血管形成は、組織中へと新規に発達する血管の成長を含む組織血管新生の過程であり、新血管新生としても言及される。血管は、それによって酸素および栄養素が生細胞へ供給される手段である。
【0009】
血管形成促進(pro-angiogenic)増殖因子の阻害物質は、VEGFまたはFGFのような、公知の血管形成促進因子のシグナル伝達を阻害するために使用される薬剤である。現在、これらの薬剤単独ではがんの処置において十分な効力を示すことができない。
【0010】
ごくわずかな例外を除き、いかなる単一薬物または薬物の組み合わせも大抵のがんに関して治療的ではない。従って、生命を脅かす腫瘍の増殖を遅延することが可能な、および/または腫瘍の負荷をさらに減少させることにより生活の質を改善することが可能な、新規薬物または組み合わせが必要とされる。
【0011】
Natori et al. (Biomedicine & Pharmacotherapy, 59: 56-60 (2005))(非特許文献1)によって、H2遮断薬であるシメチジンが、抗血管形成の性質、および従って抗がん性質を有することが示された。その一方で、米国特許出願第20030158118号(特許文献1)(Weidner, Morten および Slothによる)によって、シメチジン単独では、いかなる相当量に対しても腫瘍増殖が阻害されないことが示された(その中の実施例4)。さらに、Saarloos MN et al. (Clin. Exp. Metastasis 11: 275-83 (1993))(非特許文献2)によって、インドメタシンに加え、インターロイキン2(IL-2)の投与により転移における免疫治療試験が遂行され、H2遮断薬の添加は治療効力を改善しないことが示された。その一方で、米国特許出願第20030158118号(特許文献1)によって、シメチジンおよびシステイン誘導体から構成されるがんの処置が示唆された。
【0012】
レバミゾール(levamisol)は、当技術分野において抗蠕虫剤として公知である、合成フェニルイミドチアゾールである。いくつかの研究では、単独または5-FUとの組み合わせにおいてレバミゾールのいかなる有益な効果も実証することができなかったが、他の研究では、5-FUと組み合わせた際にレバミゾールに関するいくつかの利点が見出されている(DeVita et al. Cancer: Principles and Practice of Oncology, 5th Edition, pp 1171-5)(非特許文献3)。
【0013】
キノンは、酸化還元サイクルを通して酸化的ストレスを誘導するそれらの能力に関して公知であり、これにより「酸化還元キノン」として言及されている(Powis G., Free Radic. Biol. Med. 6: 63-101 (1989))(非特許文献4)。ビタミンK3のような薬学的に許容される酸化還元キノンは、血流遮断に関与するタンパク質の生物活性のために必要とされるため、特別な治療価値を有する。ビタミンK3は酸化還元キノンであり、主に動物用食餌のサプリメントにおいて、プロトロンボジェニック(prothrombogenic)薬剤として公知である。研究によって、ビタミンK3が有益な抗がん性質を示すことができないことが示されている(Tetef M. et al. J. Cancer Res. Clin. Oncol. 121: 103-6 (1995))(非特許文献5)。
【0014】
レチノイドは、化学的にビタミンAに関連する化合物のクラスである。レチノイドは、主に上皮細胞増殖を制御するそれらの様式のため、医薬に使用される。全トランス型レチノイン酸(ATRA)である天然レチノイドは、レチノイン酸受容体(RAR)を介して多様な重要な細胞機能を調節する。ATRAは、急性前骨髄球性白血病を含む様々な悪性腫瘍に対して治療的に使用されてきている。レチノイドの抗腫瘍効果は、細胞増殖、分化、アポトーシスおよび血管形成へのそれらの影響に起因する。しかしながら、血管形成におけるATRAの役割について、依然としていくつかの不確定性が存在する。例えば、Saito A. et al. (Endocrinology 148: 1412-23 (2007))(非特許文献6)は、ATRAが血管形成促進効果を有することを主張している。
【0015】
米国特許出願第2005/148521号(特許文献2)は、有効量の細胞毒性薬剤、非ステロイド性抗炎症薬物(NSAID)、安息香酸エステルおよび薬学的に許容される担体の組み合わせを投与する段階を含む、がんを処置するための方法および組成物に関連する。
【0016】
国際公開公報第06/056889号(特許文献3)は、少なくとも1つの血管形成阻害物質、細胞内NADH+H+の蓄積を増強する少なくとも1つの薬剤、および薬学的に許容される担体の組み合わせを投与する段階を含む、血管形成を阻害するための方法および薬学的組成物に関連する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許出願第20030158118号
【特許文献2】米国特許出願第2005/148521号
【特許文献3】国際公開公報第06/056889号
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Natori et al. (Biomedicine & Pharmacotherapy, 59: 56-60 (2005))
【非特許文献2】Saarloos MN et al. (Clin. Exp. Metastasis 11: 275-83 (1993))
【非特許文献3】DeVita et al. Cancer: Principles and Practice of Oncology, 5th Edition, pp 1171-5
【非特許文献4】Powis G., Free Radic. Biol. Med. 6: 63-101 (1989)
【非特許文献5】Tetef M. et al. J. Cancer Res. Clin. Oncol. 121: 103-6 (1995)
【非特許文献6】Saito A. et al. (Endocrinology 148: 1412-23 (2007))
【発明の概要】
【0019】
驚くべきことに、現在、本発明の発明者らによって、細胞毒性薬剤および少なくとも1つの抗炎症薬物(例えば、NSAID)と共に、H2遮断薬(例えば、シメチジン)を含む薬学的組成物が、各薬剤単独での活性と比較した場合に抗腫瘍効果を有意に増大させることが見出されている。
【0020】
さらに、H2遮断薬、細胞毒性薬剤、および少なくとも1つの抗炎症薬物(例えば、NSAID)を含む薬学的組成物へのNFkB阻害物質(スルファサラジンなど)のさらなる添加によって、この抗腫瘍効果がさらに増強されることが、予想外に見出されている。
【0021】
さらに、H2遮断薬、細胞毒性薬剤、および少なくとも1つの抗炎症薬物(例えば、NSAID)を含む薬学的組成物へのレチノイド(全トランス型レチノイン酸(ATRA)など)のさらなる添加によって、この抗腫瘍効果がさらに増強されることが、予想外に見出されている。
【0022】
さらに、H2遮断薬、細胞毒性薬剤、および少なくとも1つの抗炎症薬物(例えば、NSAID)を含む薬学的組成物へのレバミゾールの添加によって、該薬物の組み合わせの抗腫瘍活性が促進および増強されることが、予想外に見出されている。
【0023】
さらに、H2遮断薬、細胞毒性薬剤、少なくとも1つの抗炎症薬物(例えば、NSAID)およびNFkB阻害物質を含む薬学的組成物へのレバミゾールの添加によって、該薬物の組み合わせの抗腫瘍活性が促進および増強されることが、予想外に見出されている。
【0024】
NADH+H+の細胞内蓄積を増強する薬剤などの他の薬剤、マトリックスメタロプロテアーゼの阻害物質および血管形成促進因子の阻害物質もまた、本発明の薬学的組成物に組み入れられ、抗腫瘍効果の増強を予想外に示した。
【0025】
従って、本発明は、がんの処置および/または予防のための、H2遮断薬、少なくとも1つの抗炎症薬剤、細胞毒性薬剤、ならびに任意でレバミゾール、NFkB阻害物質、レチノイド、酸化還元キノン、NADH+H+の細胞内蓄積を増強する薬剤、多価アルコール、血管形成促進増殖因子の阻害物質、およびMMP阻害物質、ならびにそれらの使用を含む薬学的組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】腫瘍細胞接種、および本発明のいくつかの薬学的組成物の投与から40日後の腫瘍サイズ(mm3)を示す。
【図2】腫瘍細胞接種、ならびにシメチジンおよび/またはレバミゾールの投与から28日後の腫瘍サイズ(mm3)を示す。
【図3】腫瘍細胞接種、および本発明のいくつかの薬学的組成物の投与から28日後の腫瘍サイズ(mm3)を示す。
【図4】腫瘍細胞接種、および本発明のいくつかの薬学的組成物の投与から28日後の腫瘍サイズ(mm3)を示す。
【図5】腫瘍細胞接種、および本発明のいくつかの薬学的組成物の投与から28日後の腫瘍サイズ(mm3)を示す。
【図6】腫瘍細胞接種、および本発明のいくつかの薬学的組成物の投与から28日後の腫瘍サイズ(mm3)を示す。
【図7】腫瘍細胞接種、および本発明のいくつかの薬学的組成物の投与から35日後の腫瘍サイズ(mm3)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の詳細な説明
本発明は、H2遮断薬、少なくとも1つの抗炎症薬剤、細胞毒性薬剤および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供する。
【0028】
本発明において言及される、「H2遮断薬」という用語は、胃中の壁細胞でのヒスタミンの作用を遮断し、これらの細胞による酸産生を減少させるために使用される、ヒスタミン2型受容体アンタゴニストに関連する。H2遮断薬は、当業者に公知の任意のH2遮断薬であってもよい。例えば、H2遮断薬はシメチジン、ラニチジン、ファモチジンおよびニザチジンからなる群より選択され得る。
【0029】
本明細書において使用される、「抗炎症薬剤(薬物)」という用語は、感染、傷害、刺激、または手術のいずれかへの応答により引き起こされる炎症疾患を、減少させ、かつ/または阻害し、かつ/または予防することが可能な任意の薬剤に関連する。本発明の1つの態様において、抗炎症薬剤は、ステロイド性および非ステロイド性の抗炎症薬剤からなる群より選択してもよい。別の態様においては、抗炎症薬物は、デキサメタゾンおよびベタメタゾンからなる群より選択されるステロイド性抗炎症薬物である。さらなる態様においては、抗炎症薬剤は、非ステロイド性抗炎症薬物である。特定の態様においては、非ステロイド性抗炎症薬物は、COX-1阻害物質、COX-2阻害物質、ならびに非選択的COX-1およびCOX-2阻害物質から選択してもよい。本発明のまたさらなる態様においては、COX-1およびCOX-2阻害物質は、ジクロフェナク、ピロキシカムおよびインドメタシンからなる群より選択してもよい。別の態様においては、該組成物は、非ステロイド性抗炎症薬物に加えて、非限定的にデキサメタゾンおよびベタメタゾンのようなステロイド性抗炎症薬物をさらに含む。
【0030】
本明細書で使用される、「細胞毒性薬剤」という用語は、異常なおよび制御できない進行性細胞増殖の処置のために使用される任意の薬剤に関連する。細胞毒性薬剤は、低用量で投与される場合には血管形成阻害物質として作用する。細胞毒性薬剤の非限定的な例は、アルキル化剤のシクロホスファミド(CTX)(Bristol-Meyers Squibb)、イホスファミド(Bristol-Meyers Squibb)、クロラムブシル(Glaxo Wellcome)、およびカルムスチン(Bristol-Meyers Squibb);代謝拮抗物質のシタラビン(Pharmacia & Upjohn)、6-メルカプトプリン(Glaxo Wellcome)、6-チオグアニン(Glaxo Wellcome)、およびメトトレキサート(Immunex);抗生物質のドキソルビシン(Pharmacia & Upjohn)、ダウノルビシン(NeXstar)、およびミトキサントロン(Immunex);ならびにビンクリスチン(Lilly)、ビンブラスチン(Lilly)およびパクリタキセル(Bristol-Meyers Squibb)のような種々雑多な薬剤を含む。本発明の1つの態様において、細胞毒性薬剤は、シクロホスファミド、イホスファミド、シタラビン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、ビンクリスチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、クロラムブシル、カルムスチン、ビンブラスチン、メトトレキサート、ミトキサントロン、およびパクリタキセル、またはそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択され得る。本発明のさらなる態様においては、細胞毒性薬剤は、シクロホスファミドまたはイホスファミドであってよい。
【0031】
本発明の文脈において、「薬学的に許容される担体」という用語は、動物またはヒトへの投与に関する薬学的組成物を調合するために一般に使用される賦形剤として定義される、薬学的に許容される非毒性担体または希釈剤に関連する。そのような担体は、緩衝剤、可溶化剤、安定化剤、または食味添加物(taste additive)を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0032】
本発明の薬学的組成物の各構成成分、すなわちH2遮断薬(例えば、シメチジン)、細胞毒性薬剤(例えば、シクロホスファミド)および抗炎症薬物(例えば、NSAID)は、単独では、いかなる顕著な抗腫瘍効果も示さない。実施例2(グループ3、図2)は、シメチジンの単回投与が、腫瘍増殖においていかなる顕著な効果ももたらさなかったことを実証している。さらに、国際公開公報第03/061566号における実験3および4(各々、図3および4)は、腫瘍増殖に対するシクロホスファミド単独での非常に穏やかな効果を実証した。従って、H2遮断薬、細胞毒性薬剤および抗炎症薬剤を含む薬学的組成物が、顕著で、かつ増強された抗腫瘍効果を示すことは、驚くべき発見であった。
【0033】
本発明の1つの態様においては、本発明の薬学的組成物は、さらにレバミゾールを含んでもよい。
【0034】
本発明のさらなる態様においては、本発明の薬学的組成物はまた、NFkB阻害物質も含む。
【0035】
本明細書において使用される、「NFkB阻害物質」という用語は、細胞内転写因子である核内因子κB(NFkB)の阻害のために使用される、任意の薬剤に関連する。特定の態様においては、NFkB阻害物質は、スルファサラジン、ラパマイシン、コーヒー酸フェネチルエステル、SN50(細胞透過性阻害性ペプチド)、パルテノライド、トリプトライド(triptolide)、ウェデロラクトン(wedelolactone)、ラクタシスチン、およびMG-132[Z-Leu-Leu-Leu-H]から選択される。またさらなる態様においては、NFkB阻害物質は、スルファサラジンおよびラパマイシンまたはそれらの誘導体から選択される。別の態様においては、ラパマイシン誘導体はテムシロリムスおよびエベロリムスから選択される。
【0036】
本発明の1つの態様においては、薬学的組成物は、さらにレバミゾールおよびNFkB阻害物質の双方を一緒に含む。
【0037】
本発明のさらなる態様においては、本発明の薬学的組成物はまた、レチノイドを含む。
【0038】
本明細書において使用される、「レチノイド」という用語は、化学的にビタミンAに関連する化合物のクラスに関連する。本明細書において使用される場合、本発明のレチノイド構成成分は、レチノイン酸受容体(RAR)またはレチノイドX受容体(RXR)を通して作用する、かつ/またはそれらに結合する任意の化合物である。特定の態様において、レチノイドは、トレチノインまたはベサノイド(Roche Pharmaceuticals)としても公知である、全トランス型レチノイド酸(ATRA)である。ATRAは天然起源から単離するか、または合成的に調製することが可能である。
【0039】
本発明のさらに別の態様において、本発明の薬学的組成物は、NADH+H+の細胞内蓄積を増強する少なくとも1つの薬剤をさらに含んでもよい。特定の態様においては、NADH+H+の細胞内蓄積を増強する薬剤は、多価アルコールである。さらなる態様においては、多価アルコールは、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、アラビノール(arabinol)、イジトールおよび当業者に公知の任意の他のポリオールからなる群より選択される。特定の態様においては、多価アルコールはキシリトールである。
【0040】
本発明の別の態様において、本発明の薬学的組成物は、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の阻害物質をさらに含んでもよい。
【0041】
本明細書で使用される、「マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)阻害物質」という句は、哺乳動物において天然に存在する、少なくとも1つのマトリックスメタロプロテアーゼ酵素の加水分解活性を、少なくとも5%阻害する任意の化合物に関連する。
【0042】
MMP阻害物質は、AG-3340、RO 32-3555、RS 13-0830、組織メタロプロテアーゼ阻害物質(TIMP)(例えば、TIMP-1、TIMP-2、TIMP-3、またはTIMP-4)、α2-マクログロブリン、テトラサイクリン(例えば、テトラサイクリン、ミノサイクリン、およびドキシサイクリン)、ヒドロキサマート(例えば、バチマスタット(batimastat)、マリミスタット(marimistat)およびトロケード(trocade))、キレート剤(例えば、EDTA、システイン、アセチルシステイン、D-ペニシラミン、および金塩)、合成MMP断片、スクシニルメルカプトプリン、ホスホンアミダート(phosphonamidate)、およびヒドロキサミン酸(hydroxaminic acid)のような、当技術分野において公知の任意のMMP阻害物質であってもよい。特定の態様においては、MMP阻害物質は、MMP2またはMMP9阻害物質である。
【0043】
本発明の別の態様においては、本発明の薬学的組成物は血管形成促進増殖因子の阻害物質をさらに含んでもよい。
【0044】
「血管形成促進増殖因子の阻害物質」という用語は、VEGF、FGFまたはPDGFのような、公知の血管形成促進因子のシグナル伝達を阻害するために使用される薬剤に関連する。理論に拘束されることを意図するものではなく、これらの薬剤が、血管形成因子とその受容体との相互作用の阻害により細胞外で作用可能であること、または対応する受容体のタンパク質キナーゼ活性の阻害を介して細胞内で作用可能であることが示された。これらの薬剤の非限定的な例は、抗VEGFもしくは抗VEGF受容体抗体、またはVEGF-R、FGF-RもしくはPDGF-Rのタンパク質キナーゼドメインの阻害物質を含む。
【0045】
本発明の別の態様においては、本発明の薬学的組成物は、酸化還元キノンをさらに含んでもよい。
【0046】
キノンは、任意の必要な二重結合の転位を伴う、偶数個の-CH=基の-C(=O)-基への変換によって芳香族化合物に由来する(多環および複素環アナログが含まれる)、ベンゾキノンの構造のような完全に結合した環状ジオン構造を有する化合物である。キノンは、酸化還元サイクルを通して酸化ストレスを誘導するそれらの能力に関して公知であり、本明細書において「酸化還元キノン」と言及される(Powis G., Free Radic. Biol. Med. 6:63-101 (1989))。ビタミンK3のような薬学的に許容される酸化還元キノンは、これらが血流遮断に関与するタンパク質の生物活性のために必要とされるため、特別な治療価値を有する。ビタミンK3は酸化還元キノンであり、主に動物用食餌のサプリメントにおいて、プロトロンボジェニック薬剤として公知である。研究によって、ビタミンK3は有益な抗がん性質を示すことができないことが示されている(Tetef M. et al. J. Cancer Res. Clin. Oncol. 121: 103-6 (1995))。
【0047】
1つの態様において、酸化還元キノンは、ビタミンK3(メナジオンまたは2-メチル-1,4-ナフタレンジオンとして公知)である。さらなる態様においては、ビタミンK3は、メナジオンおよびメナジオン亜硫酸水素ナトリウムからなる群より選択され得る。
【0048】
本明細書で使用される、本発明の薬学的組成物は、構成成分/薬剤/化合物/薬物/成分の組み合わせに関連する。
【0049】
本明細書で使用される、構成成分/薬剤/化合物/薬物/成分は、例えば、H2遮断薬、抗炎症薬剤、細胞毒性薬剤、レバミゾール、レチノイド、NFkB阻害物質、NADH+H+の細胞内蓄積を増強する薬剤、多価アルコール、血管形成促進増殖因子の阻害物質またはMMP阻害物質である。
【0050】
本明細書で使用される、「容器」という用語は、本発明の薬学的組成物の少なくとも1つの構成成分を保持することが可能な任意の入れ物を意味する。そのような容器は、当業者に公知の任意の瓶、バイアルまたは箱であってよく、かつ、そこに含有される構成成分に適しさらにあらゆる温度下での短期または長期の保管に適する、任意の材料で作製され得る。
【0051】
本発明は、本発明の薬学的組成物を含む水性または油性の懸濁液または溶液からなる製剤をさらに提供する。
【0052】
1つの態様において、前記製剤は経口投与のために調合される。そのような経口投与は、例えば患者の自宅において施行される処置が考慮される。
【0053】
本発明の製剤がスルファサラジンを含む場合に、スルファサラジンは炭酸塩を使用して溶解してもよい。そのような炭酸塩は、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムのような任意の炭酸塩であり得る。
【0054】
本発明のさらなる態様においては、前記製剤は着香料(例えば、メントール、アネトールおよび/または塩)をさらに含む。本発明の別の態様においては、前記製剤の水性または油性の懸濁液または溶液の成分の一部が乾燥形態で供給され、かつ経口投与に先立ち再構成(例えば、可溶化される)され得る。
【0055】
本発明の1つの態様において、構成成分は、徐放性または持効性の製剤として提供され得る。担体または希釈剤は、グリセリルモノストレアラート(glyceryl monostrearate)もしくはグリセリルジステアラート単独、またはワックスとの混合物のような、当技術分野において公知の任意の徐放性物質を含んでもよい。マイクロカプセル化もまた使用され得る。持効性製剤は、即時型、および1日を通したパルス放出型(pulsed release)の薬学的組成物を提供することができる。希釈剤は、本発明の薬学的組成物の生物学的活性に影響を及ぼさないよう選択される。そのような希釈剤の例は、蒸留水、生理食塩水、Ringer溶液、ブドウ糖溶液およびHank溶液である。
【0056】
本発明の薬学的組成物または製剤は、担体、補助剤、およびポロキサマーのような乳化剤、または非毒性、非治療的、非免疫原性の安定剤等を含んでもよい。そのような希釈剤または担体の有効量は、構成成分の可溶性および生物学的活性等の点において薬学的に許容される製剤を取得するために有効な量であると考えられる。
【0057】
1つの態様において、前記製剤は、本発明の薬学的組成物中に含まれる1つまたはいくつかの構成成分が遅延様式で放出されることになる、制御放出装置または組成物を含む。そのような製剤は、本発明の薬学的組成物中に含まれる構成成分の異なる用量を、経口的に投与された後に異なる時間間隔で放出する錠剤(または丸剤)の形態であってもよい。
【0058】
本発明の薬学的組成物は、固形、半固形、例えば懸濁液のような液体形態、もしくはエアロゾル等に調合されてもよく、または当業者に公知の任意の他の製剤であってもよい。1つの態様においては、該組成物は、正確な量の単回投与に適する単位用量の形態で投与される。該組成物はまた、所望される製剤に依存して、上記に定義されるような薬学的に許容される担体を含んでもよい。
【0059】
本発明の1つの態様において、本発明の薬学的組成物は、全構成成分を一緒に含む単回用量形態で投与され得る。
【0060】
別の態様においては、本発明の薬学的組成物の少なくとも1つの構成成分は、別個に、同時に、または順次に投与され得る。
【0061】
さらに別の態様においては、本発明の薬学的組成物は、個別の容器中に本発明の薬学的組成物の少なくとも1つの構成成分を含むキットまたはシステムを介して投与され得る。
【0062】
「順次に投与される」という用語は、個別の容器中に含まれる本発明の薬学的組成物またはそれらの構成成分の、順序付けられかつ連続的な投与を意味する。この順次的投与は、1、2、または3日間隔であってもよい。従って、本発明は以下を含むキットをさらに提供する:
・本発明の薬学的組成物の少なくとも1つの構成成分を含む、第一容器;
・本発明の薬学的組成物の少なくとも1つの構成成分を含む、第二容器;および該容器の投与に関する使用説明書。
【0063】
例えば使用説明書は、非連続日の第一容器の投与、および毎日の第二容器の投与を示してもよい。
【0064】
さらなる態様において、本発明の薬学的組成物の構成成分は、複数すなわち2つ以上の容器中に含まれてもよい。
【0065】
1つの態様において、第一および第二容器中の本発明の薬学的組成物の構成成分は、同一である。別の態様においては、第一および第二容器中の本発明の薬学的組成物の構成成分は、同一ではない。保管および投与の容易化のため、本発明の薬学的組成物の相溶性構成成分は、該薬学的組成物の他の構成成分と分けて1つの容器中に配置され得る。
【0066】
本発明の1つの態様によれば、本発明の薬学的組成物の各構成成分は、別々の容器に含まれる。別の態様においては、特定の日の投与のための全構成成分は、使用および保管の容易化のため組み合わせられ、かつ1つの容器に保管される。もし安定性目的のために必要な場合には、容器を凍結して保管し(-20℃)、例えば、投与の1または2日前に冷蔵庫(4〜8℃)中に設置することにより、投与前に解凍してもよい。
【0067】
本発明の1つの態様において、キットは、少なくとも1つのバイアルのH2遮断薬、少なくとも1つのバイアルの抗炎症薬剤、少なくとも1つのバイアルの細胞毒性薬剤、ならびに任意で、少なくとも1つのバイアルのレバミゾール、レチノイド、NFkB阻害物質、NADH+H+の細胞内蓄積を増加させる薬剤、血管形成促進因子の阻害物質、MMP阻害物質および薬学的担体を含む。キットは、同時または順次的であり得る投与におけるそれらの使用を説明する使用説明書を含んでもよい。
【0068】
本発明の発明者らにより実施された実験により、H2遮断薬(シメチジン)単独およびレバミゾール単独のどちらもいかなる顕著な抗がん活性も示さないことが示された(実施例2および図2)。しかしながら、驚くべきことに、本発明者らによって、シメチジンおよびレバミゾールを、細胞毒性薬剤、少なくとも1つの抗炎症薬剤、ならびに任意でNFkB阻害物質、レチノイド、NADH+H+の細胞内蓄積を増強する薬剤、多価アルコール、血管形成促進増殖因子の阻害物質およびMMP阻害物質の少なくとも1つと組み合わせることにより、抗腫瘍効果の増強がもたらされ、それにより強力な抗がん治療が得られることが、見出された。
【0069】
従って本発明は、本発明の薬学的組成物を哺乳動物へ投与する段階を含む、哺乳動物においてがんを阻害する方法を提供する。
【0070】
本発明は、本発明の製剤を哺乳動物へ投与する段階を含む、哺乳動物においてがんを阻害する方法をさらに提供する。
【0071】
本発明において言及される「がん」という用語は、悪性増殖または腫瘍を引き起こす異常なおよび制御できない細胞分裂を特徴とする腫瘍性疾患に関連する。良性腫瘍細胞とは異なり、がん細胞は浸潤および転移の性質を提示し、かつ非常に未分化である。がんは、癌腫および肉腫の2つの広範なカテゴリーを含む。本発明の1つの態様において、がんは固形腫瘍または腫瘍転移である。本発明のさらなる態様においては、該がんは肺がん(例えば腺癌であり、非小細胞肺がんを含む)、膵臓がん(例えば、外分泌膵臓癌のような膵臓癌)、結腸がん(例えば、結腸腺癌および結腸腺腫のような結腸直腸癌)、進行疾患を含む前立腺がん、リンパ球系の造血器腫瘍(例えば、急性リンパ球性白血病、B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫)、骨髄性白血病(例えば、急性骨髄性白血病(AML))、甲状腺濾胞がん、骨髄異形成症候群(MDS)、間葉起源の腫瘍(例えば、繊維肉腫および横紋筋肉腫)、黒色腫、奇形癌、神経芽細胞腫、神経膠腫、グリア芽細胞腫、皮膚の良性腫瘍(例えば、角化棘細胞腫)、乳癌(例えば、進行乳がん)、腎臓癌、卵巣癌、膀胱癌および表皮癌からなる群より選択され得るが、それらに限定されない。
【0072】
本発明の文脈において使用されるように、「がんの阻害」という用語は、腫瘍サイズの減少;腫瘍増殖の速度の低下;腫瘍サイズの静止;転移数の減少;さらなる転移数の減少;がんの侵襲性の低下;1つのステージから次のステージへの腫瘍の進行速度の低下、悪性がんを有する哺乳動物の組織における腫瘍増殖の阻害、転移の確立の制御、腫瘍転移形成の阻害、定着した腫瘍の退縮、およびがんにより誘導された血管形成の減少に関連する。「がんの阻害」という用語はまた、以前の処置(手術的除去を含む)後のがん再発の防止、およびがんを発生する個人の傾向(一般に、遺伝学的、生活スタイルに起因する、慢性的炎症等)におけるがんの防止のような予防も意味し得る。
【0073】
本発明の文脈において使用される、「投与」という用語、またはその他の語形は、薬学的に活性な構成成分、薬物、液体または他の物質を体と接触させる経路に関連する。薬学的組成物は、投入部位からその作用が生じることが望まれる体の部分へと輸送される。本発明の1つの態様によれば、該投与は、本発明の薬学的組成物または任意のその構成成分に適する、経口、直腸内、膣内、経鼻、局所、経皮、または非経口(皮下、筋肉内、滑液包内、腹腔内、皮内および静脈内を含む)投与を含む、任意の医学的に許容される手段を介して達成され得る。
【0074】
従って本発明の薬学的組成物またはその各構成成分は、経口的(口腔および舌下を含む)、直腸内、膣内、経鼻的、局所的、経皮的、または非経口的(皮下的、筋肉内、静脈内、滑液包内、腹腔内、および皮内を含む)投与のような、当技術分野において公知の任意の手段により投与され得る。
【0075】
本発明の薬学的組成物、方法およびシステムは、単独、または当業者に公知の他のがん処置の方法との組み合わせのいずれかにおいて使用され得る。そのような方法は、化学療法、放射線治療、または手術を含んでもよいが、それらに限定されない。本発明の薬学的組成物の投与は、他のがん治療の前、その間、またはその後に実施され得る。さらに、本発明の薬学的組成物は、当業者に公知の他のがん処置と並行して投与され得る。
【0076】
典型的に、経口投与は静脈内投与よりも多い用量が要求される。従って、投与経路は状況に依存すると考えられる:当業者は、必要とされる用量に対して1ヶ月当たりの必要な投与回数のバランスを取りながら、どの投与形態が特定の場合において最適であるかを決定しなくてはならない。
【0077】
1つの態様において、本発明の薬学的組成物の構成成分は、当業者に公知の各構成成分の通常の用量を使用して投与される。
【0078】
別の態様においては、本発明の薬学的組成物の構成成分は、1つまたは複数の構成成分の、当技術分野において公知の用量よりも低い用量を使用して投与される。例えば、細胞毒性薬剤を投与する際には、副作用を減少させるため、単一の細胞毒性薬剤として投与される際に使用されるよりも低い用量 − 典型的には個々の量の75%以下、より具体的には50%以下、さらにより具体的には40%以下を使用することが可能である。
【0079】
とりわけ、NADH+H+の細胞内蓄積を増強する薬剤(すなわち、ポリオール)は1日当たり5g〜100gの用量で、より具体的には、1日当たり10g〜50gの用量で投与される。
【0080】
本発明の薬学的組成物に含まれる構成成分は、米国医薬品集(PDR)における個々の構成成分に関して記載されている用量のような、臨床医によって適切であると見出され得る用量で投与され得る。本発明の薬学的組成物の構成成分の適切な用量の非限定的な例は、以下を含む。
・1日当たり50〜400 mgのレバミゾール、より具体的には1日当たり100〜300 mgのレバミゾール
・1日当たり200〜4,000 mgのシメチジン、より具体的には1日当たり400〜2,000 mgのシメチジン
・0.1〜50 mg/kgのシクロホスファミド、より具体的には0.2〜20 mg/kgのシクロホスファミド
・1日当たり50〜400のジクロフェナク、より具体的には1日当たり100〜300 mgのジクロフェナク
・1日当たり50〜5,000 mgのスルファサラジン、より具体的には1日当たり300〜3,000 mgのスルファサラジン
・1日当たり1〜10 mgのラパマイシン
・1日当たり10〜100 mgの全トランス型レチノイン酸(ATRA)
【0081】
1つの態様において、0.1〜50 mg/kgのシクロホスファミドの用量は、1日当たり、1週間に2回、または1週間に1回投与され得る。さらなる態様においては、0.2〜20 mg/kgのシクロホスファミド用量は、1日当たり、1週間に2回、または1週間に1回投与され得る。
【0082】
治療的適用において、本発明の薬学的組成物の構成成分の用量および投与スケジュールは、構成成分、年齢、体重、および受容患者の臨床条件、ならびに選択用量に影響を及ぼす他の因子の中で、治療を施す臨床医または施術者の経験および判断に依存して変動し得る。一般に、予定された用量および投与は、腫瘍増殖の遅延および/または後退をもたらすために十分であるべきで、かつがんの完全な退縮を引き起こし得る。いくつかの場合において、退縮は直接的な画像診断(例えば、MRI)を介して、または腫瘍特異的マーカーの血液レベルの低下によってモニタリングされ得る。薬学的組成物の有効量は、臨床医または他の有資格観察者により認知されるような医学的利点を提供する量である。患者における腫瘍退縮は、典型的に腫瘍の直径を基準にして測定される。腫瘍の直径の縮小は、退縮を示す。完全な退縮はまた、処置を停止した後に腫瘍が再発することができないことにより示される。本発明は、予防的または治療的な、またはアジュバント療法もしくはネオアジュバント療法の状況のいずれかにおける本発明の薬学的組成物の投与を考慮に入れる。
【0083】
予防的に提供される場合に、本発明の薬学的組成物は、任意の症状に先立って投与され得る。薬学的組成物の予防的投与は、がんを防止または阻害するために寄与し得る。本発明の薬学的組成物は、例えばがんの家族歴を有する患者へ予防的に投与され得る。がんを発症するリスクは、患者の生体液(すなわち、血液、尿)中におけるがんマーカータンパク質のレベルを測定することにより、または遺伝学的マーカーにより決定され得る。あるいは、本発明の薬学的組成物の投与は、がんマーカータンパク質レベルが上昇している患者へ投与され得る。そのようなマーカーは、例えば、上昇性PSA、CEA、チモシンβ-15、チモシンβ-16、カルシトニン、およびマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)を含む。予防的に提供される場合には、本発明の薬学的組成物の用量は、適切な予防的用量へ減量され得る。
【0084】
治療的に提供される場合に、本発明の薬学的組成物は、がんの症状または兆候の発症時(もしくは後)に投与され得る。従って、本発明の薬学的組成物は、ある部位で予測される腫瘍増殖に先立ち、またはある部位で悪性増殖が開始された後のいずれかで提供され得る。
【0085】
本発明の文脈において使用される、「哺乳動物」という用語は、幼体の栄養物のためにメスにおいて乳汁を産生する乳腺の存在を特徴とし、さらに体毛または毛皮に被覆されている温血脊椎動物に関連する。1つの態様において、該哺乳動物は、ヒト、ネコ、イヌ、およびウマからなる群より選択され得る。
【0086】
本発明は、各容器が本発明の薬学的組成物の少なくとも1つの構成成分を含み、予定された日に投与されるための複数の容器を含む、がんの処置または予防のためのシステムをさらに提供し、該システムは、少なくとも1日の処置のために十分な容器を含む。別の態様においては、該システムは少なくとも7日間の処置のために十分な容器を含んでもよい。
【0087】
本発明の特定の局面において、以下を含む、がんの処置のためのシステムが提供される:
・以下を含む、25〜100 mlの0〜60%キシリトール水溶液を含む第一容器:200〜600 mgの範囲のシクロホスファミド;100〜300 mgの範囲のジクロフェナク;0〜200 mgの範囲のレバミゾール;400〜2,000 mgの範囲のシメチジン;100〜1,000 mgの範囲のスルファサラジンまたは1〜10 mgの範囲のラパマイシン;および
・以下を含む、25〜100 mlの0〜60%キシリトール水溶液を含む第二容器:400〜2,000 mgの範囲のシメチジン;500〜4,000 mgの範囲のスルファサラジンまたは1〜10 mgの範囲のラパマイシン;任意で、100〜500 mgの範囲のレバミゾール。
【0088】
本発明の別の特定の局面において、以下を含む、がんの処置のためのシステムが提供される:
・以下を含む、25〜100 mlの0〜60%キシリトール水溶液を含む第一容器:200〜600 mgの範囲のシクロホスファミド;100〜300 mgの範囲のジクロフェナク;200〜2,000 mgの範囲のシメチジン;100〜1,000 mgの範囲のスルファサラジンまたは1〜10 mgのラパマイシン;および
・以下を含む、25〜100 mlの0〜60%キシリトール水溶液を含む第二容器:200〜2,000 mgの範囲のシメチジン;300〜4,000 mgの範囲のスルファサラジンまたは1〜10 mgのラパマイシン。
【0089】
本発明のさらに別の特定の局面において、以下を含む、がんを処置するためのシステムが提供される:
・以下を含む、25〜100 mlの0〜60%キシリトール水溶液を含む第一容器:200〜600 mgの範囲のシクロホスファミド;100〜300 mgの範囲のジクロフェナク;400〜2,000 mgの範囲のシメチジン;10〜1,00 mgの範囲のATRA;および
・以下を含む、25〜100 mlの0〜60%キシリトール水溶液を含む第二容器:400〜2,000 mgの範囲のシメチジン;10〜100 mgの範囲のATRA。
【0090】
本発明のさらなる態様においては、順次的投与のための少なくとも2つのバイアルを有するシステムが提供される。該システムは以下を含む:
・少なくとも1つの抗炎症薬剤、細胞毒性薬剤、H2遮断薬、任意で多価アルコールおよび酸化還元キノン、ならびに薬学的に許容される担体を含む、第一容器(本明細書において「細胞毒性容器」と言及される);ならびに
・H2遮断薬、および任意で、レバミゾール、NFkB阻害物質、酸化還元キノン、レチノイド、多価アルコール、血管形成促進増殖因子の阻害物質、MMP阻害物質ならびに薬学的に許容される担体の少なくとも1つを含む、別個の第二容器(本明細書において「非細胞毒性容器」と言及される);該システムは、容器中の構成成分の投与に関する使用説明書をさらに含んでもよい。
【0091】
またさらなる局面において、本発明は、以下を含む、がんを処置するためのシステムを提供する:
・少なくとも1つの抗炎症薬剤、細胞毒性薬剤、およびH2遮断薬、ならびに任意でNFkB阻害物質、レチノイド、酸化還元キノン、多価アルコール、ならびに薬学的に許容される担体を含む容器;ならびに
・H2遮断薬、および任意で、レバミゾール、NFkB阻害物質、レチノイド、酸化還元キノン、多価アルコール、血管形成促進増殖因子の阻害物質、MMP阻害物質ならびに薬学的に許容される担体を含む容器。
【0092】
本発明のシステム、およびがんの処置におけるその使用は、本発明の薬学的組成物の少なくとも1つの上記の構成成分の7日サイクルの投与を考慮に入れる。このサイクルは、非連続日に本発明の薬学的組成物の少なくとも1つの構成成分の投与を含んでもよく、一方NADH+H+の細胞内蓄積を増強する薬剤は、7日サイクルの残りの間毎日投与され得る。
【0093】
例えば、そのようなサイクルは、非連続日に本発明の薬学的組成物の少なくとも1つの構成成分の週2回の投与を含んでもよく、一方NADH+H+の細胞内蓄積を増強する薬剤は、7日サイクルの残りの間毎日投与され得る。
【0094】
本発明の1つの態様において、該システムは、処置の7日サイクルの1日目および4日目に第一容器を投与し、かつ処置サイクルの2、3、5、6および7日目に第二容器を投与するための使用説明書をさらに含む。
【0095】
前述の詳細な説明および以下の実施例は、例示的であるのみであって、本発明の範囲に対する限定として解釈されるべきではないことが理解される。当業者にとって明らかであろう開示された態様に対する様々な変化および改変は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく成されることが可能である。さらに、本明細書に引用された全ての特許、特許出願、および刊行物は参照により本明細書に組み入れられる。
【0096】
以下の本発明の例示的態様において、本発明の異なる薬学的組成物が、マウスにおいて腫瘍増殖の抑制の目的のためにインビボで試験された。対照グループは、非活性型成分のみを含む賦形剤を投与され、以下に詳細に記載されるような、異なる活性成分を含む薬学的組成物を投与されたグループと比較された。
【0097】
以下の記載は、本明細書の以下に詳述されるインビボ事例のために遂行された実験的手法を示す。
【0098】
(a)接種
マウス乳癌(EMT6/CTX)の3.5×105個の細胞を、CB6F1系統(BalbcおよびC57blの間の交配)の7〜8週齢マウスの背部中心部に皮下注射した。続いてマウスに印を付け、複数のグループに分割した。典型的には、各グループは7〜8匹のマウスで構成された。
【0099】
(b)腫瘍測定
腫瘍サイズを週2回測定し、グラフにプロットした。腫瘍の3次元サイズを評価するために使用された公式は、長さ×幅×幅×0.52であった。幅測定はまた、腫瘍の高さのための指標としても使用され、0.52は正規化係数である。
【0100】
(c)注射
特定の薬学的組成物を、マウスに1週間当たり6日間注射した。注射体積は10 g体重当たり0.05 mLであった(25 gマウスは0.125 mLを投与された)。全ての注射は腹腔内に遂行した。
【0101】
(d)処置計画
対応する組成物に応じて、細胞毒性処置日および非細胞毒性処置日の2つの処置型に1週間を分割した。
【0102】
大多数のマウスに小型腫瘍が認識した時点で、処置を開始した(接種の約5日または6日後)。最初の処置は細胞毒性であり、週の1日目として記録した(D1)。
【0103】
細胞毒性処置は、各週の1日目および4日目に施した(各々D1およびD4)。非細胞毒性処置は2、3、5、および6日目に施した(各々D2、D3、D5、およびD6)。7日目にはいかなる処置も施さなかった。対照グループには毎日賦形剤を投与した。
【0104】
(e)薬学的組成物
非細胞毒性処置は、以下を含んだ:対応する実施例の表中に記載される実験設計に応じて、60%キシリトール、ならびにシメチジンおよび/またはレバミゾールおよび/またはスルファサラジンおよび/またはメナジオン(実施例2および3においてのみ)および/または活性成分なし(=対照)のいずれか。
【0105】
細胞毒性処置に関して、以下の構成成分を、既に記載した(非細胞毒性)薬学的組成物へ添加した:対応する実施例の表中に記載される実験組成物に応じて、ジクロフェナクナトリウム − 30 mg/Kg/日、シクロホスファミド(CTX) − 60 mg/Kg/日。
【0106】
上記された全ての構成成分を、再蒸留水(DDW)、2% Solutol HS-15および60%キシリトールを含む賦形剤に入れて送達した。実験1および7において、DDWのみを含む;キシリトールを含まない賦形剤を添加した。
【0107】
スルファサラジンの1日の用量を、実験計画に応じて、および対応する実施例の表中に記載された実験設計に応じて150〜350 mg/Kg/日の範囲で投与した。
【0108】
非スルファサラジンを含む組成物の全てに関して:添加されたDDW体積は、キシリトールの溶解および体積の増加のため溶液の最終体積の60%であった。60%キシリトールを予め温められたDDW(〜60℃)中で溶解し、溶液が清澄になるまで撹拌した。98%の最終溶液体積を測定し、さらに2% solutol(液体)を添加した。続いて全ての他の構成成分をキシリトール溶液へ添加し、溶液が均一になるまで撹拌した。
【0109】
スルファサラジンを含む組成物に関して:添加されたDDW体積は、キシリトールの溶解および体積の増加のため溶液の最終体積の60%であった。スルファサラジンの溶解性を増加させるために、溶液のpHを塩基性範囲(pH〜10.5)にした。これはNa2CO3を0.2Mの濃度になるまでDDWへ添加することにより達成した。続いてスルファサラジンを添加し、そしてpHを中和した。溶液を加熱し(〜60℃)、60%キシリトールを添加した。98%の最終溶液体積を測定し、2% solutol(液体)を添加した。続いて、全ての他の構成成分をキシリトール溶液へ添加し、溶液が均一になるまで撹拌した。
【0110】
実施例1:
表1は、グループ1〜5へ投与された薬学的組成物を記載する。
【0111】
(表1)実施例1の薬学的組成物

【0112】
この実験は、CTXおよびジクロフェナクの組み合わせへ添加された際の、シメチジンの単独またはスルファサラジンと一緒のいずれかの、抗腫瘍活性に対する寄与を示すために実施された。結果は図1に示される。シメチジンを含む薬学的組成物(グループ4)は、CTXおよびジクロフェナクのみを含む薬学的組成物(グループ3)、またはジクロフェナク、スルファサラジンおよびシメチジンを含む組成物(グループ2)の抗腫瘍効果と比較して、腫瘍サイズの減少により実証される、より明白な抗腫瘍効果を示した。薬学的組成物へのシメチジンおよびスルファサラジン双方の添加(グループ5)によって、腫瘍サイズの最も明白な減少が示された。
【0113】
実施例2:
表2は、グループ1〜4へ投与された薬学的組成物を記載する。
【0114】
(表2)実施例2の薬学的組成物

【0115】
図2に示される結果は、レバミゾール(グループ2)もしくはシメチジン(グループ3)、またはそれらの組み合わせ(グループ4)はどれも、腫瘍増殖においていかなる顕著な効果も示さなかった。
【0116】
実施例3:
表3は、グループ1〜3へ投与された薬学的組成物を記載する。
【0117】
(表3)実施例3の薬学的組成物

【0118】
図3は、CTX、ジクロフェナク、スルファサラジンおよびメナジオンの組み合わせを含む薬学的組成物へのシメチジンおよびレバミゾールの添加時に腫瘍サイズの顕著な減少を示す(図3中、グループ3 対 グループ2)(対照グループと比較)。腫瘍サイズの顕著な減少が、グループ2およびグループ3に関して観察された。従って、シメチジンおよびレバミゾールの同時添加により、CTX、ジクロフェナク、スルファサラジンおよびメナジオンの組み合わせを含む薬学的組成物の抗腫瘍活性が増強された。
【0119】
実施例4:
表4は、グループ1〜3へ投与された薬学的組成物を記載する。
【0120】
(表4)実施例4の薬学的組成物

【0121】
この実験の薬学的組成物は、細胞毒性または非細胞毒性処置のいずれかの組み合わせにおいてスルファサラジンが存在しない実験2の組成物と類似する。結果は図4に示される。腫瘍サイズの減少は、CTX、ジクロフェナクおよびメナジオンの組み合わせを含む薬学的組成物への、シメチジンおよびレバミゾールの添加時に達成された(対照グループと比較)。
【0122】
実施例5:
表5は、グループ1〜4へ投与された薬学的組成物を記載する。
【0123】
(表5)実施例5の薬学的組成物

【0124】
この実験は、CTXおよびジクロフェナクへ添加された際の、シメチジンもしくはレバミゾールまたはそれらの組み合わせのいずれかの、抗腫瘍活性に対する寄与を示すために実施された。結果は図5に示される。シメチジンを含む薬学的組成物(グループ2)は、レバミゾールを含む薬学的組成物(グループ3)と比較して、腫瘍サイズを減少させる、より明白な抗腫瘍効果を示した。薬学的組成物へのシメチジンおよびレバミゾール双方の添加(グループ4)によって、最も明白な腫瘍サイズの減少が示された。
【0125】
実施例6:
表6は、グループ1〜4へ投与された薬学的組成物を記載する。
【0126】
(表6)実施例6の薬学的組成物

【0127】
この実験は、CTX、ジクロフェナクおよびスルファサラジンの組み合わせへ添加された際の、シメチジンの単独またはレバミゾールと一緒のいずれかの、抗腫瘍活性に対する寄与を示すために実施された。結果は図6に示される。シメチジンを含む薬学的組成物(グループ3)は、同一の薬学的組成物だがシメチジンを含まない(グループ2)と比較して、腫瘍サイズを減少させる、極めてより明白な抗腫瘍効果を示した。薬学的組成物へのシメチジンおよびレバミゾール双方の添加(グループ4)により、腫瘍サイズの最も明白な減少が示された。
【0128】
実施例7:
表7は、グループ1〜4へ投与された薬学的組成物を記載する。
【0129】
(表7)実施例7の薬学的組成物

【0130】
この実験は、CTX、ジクロフェナクおよびシメチジンの組み合わせへ添加された際の、スルファサラジンまたは全トランス型レチノイン酸(ATRA)のいずれかの、抗腫瘍活性に対する寄与を示すために実施された。結果は図7に示される。シメチジンおよびスルファサラジンを含む薬学的組成物(グループ3)は、CTXおよびジクロフェナクを含む薬学的組成物(グループ2)と比較して、腫瘍サイズを減少させる、より明白な抗腫瘍効果を示した。一方スルファサラジンのATRAによる置換(グループ4)により、腫瘍サイズの最も明白な減少が示された。
【0131】
実施例8:
(a)試験された対象
骨、肺、肝臓および頸部に転移を有する女性乳がん患者が、本発明の薬学的組成物を用いた処置へ登録された。他のホルモン治療処置、ならびにビノレルビンおよびカプシタビン(Capcitabine)を含む他の最先端の化学治療を用いた不満足な結果の後に、処置が開始された。該組成物を用いる処置の2ヶ月前に、腫瘍サイズは25%増加した。
【0132】
(b)モニタリング
患者の腫瘍サイズのCT測定により、疾患の進行を6〜8週毎にモニタリングした。
【0133】
(c)薬学的組成物およびその投与
以下の通り、産物を、個々に色分けされた以下の2つの型のバイアルに詰めた。
・以下の表8に指定される量でシクロホスファミド、シメチジン、スルファサラジンおよびジクロフェナクナトリウムを含有する青色キャップバイアル
・以下の表8に指定される量でスルファサラジンおよびシメチジンを含有する赤色キャップバイアル
【0134】
毎週の用量を、毎日の用量に対応する7個のバイアルを含むキットに梱包し(発泡スチロール容器)、投与日に応じてラベル付けした:2個の青色キャップバイアル(1日目および4日目)、および5個の赤色キャップバイアル(2、3、5、6および7日目)。
【0135】
治療用の製品を、3セットの用量で提供した:25 ml、37.5 ml、および50 ml。患者は、処置の第一週の間に25 mlバイアル、第二週の間に37.5 mlバイアル、第三週目およびそれ以降には50 mlの最大容量を投与された。
【0136】
毎週の処置サイクルを日曜日に開始した。青色キャップバイアルを日曜および水曜日に経口投与し、一方赤色キャップバイアルは月曜、火曜、木曜、金曜および土曜日に投与した。
【0137】
(表8)実施例8の薬学的組成物

【0138】
(d)結果
処置の3ヶ月後は疾患の顕著な進行はなかったが(すなわち、腫瘍サイズの0%の変化)、上記の処置を用いた5ヵ月後、腫瘍はわずか1%のみ増殖した(処置の2ヶ月前の間の25%とは対照的)。これらの結果は、本発明に係る処置によって、腫瘍増殖の劇的な減少が引き起こされたことを実証する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
H2遮断薬、少なくとも1つの抗炎症薬剤、細胞毒性薬剤および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
【請求項2】
レバミゾール(levamisol)をさらに含む、請求項1記載の薬学的組成物。
【請求項3】
NFkB阻害物質をさらに含む、請求項1および2のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項4】
NADH+H+の細胞内蓄積を増強する少なくとも1つの薬剤をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項5】
マトリックスメタロプロテアーゼの阻害物質をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項6】
血管形成促進(pro-angiogenic)因子の阻害物質をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項7】
酸化還元キノンをさらに含む、請求項1から6のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項8】
酸化還元キノンがビタミンK3である、請求項7記載の薬学的組成物。
【請求項9】
ビタミンK3が、メナジオンおよびメナジオン亜硫酸水素ナトリウムからなる群より選択される、請求項8記載の薬学的組成物。
【請求項10】
細胞毒性薬剤が、シクロホスファミド、イホスファミド、シタラビン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、ビンクリスチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、クロラムブシル、カルムスチン、ビンブラスチン、メトトレキサート、ミトキサントロン、およびパクリタキセル、またはそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される、請求項1から9のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項11】
細胞毒性薬剤が、シクロホスファミドまたはイホスファミドである、請求項10記載の薬学的組成物。
【請求項12】
抗炎症薬剤が、ステロイド性および非ステロイド性抗炎症薬剤からなる群より選択される、請求項1から11のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項13】
抗炎症薬剤が、非ステロイド性抗炎症薬剤である、請求項12記載の薬学的組成物。
【請求項14】
非ステロイド性抗炎症薬剤が、COX-1およびCOX-2阻害物質からなる群より選択される、請求項13記載の薬学的組成物。
【請求項15】
抗炎症薬剤が、ジクロフェナク、ピロキシカムおよびインドメタシンからなる群より選択される、請求項14記載の薬学的組成物。
【請求項16】
ステロイド性抗炎症薬剤をさらに含む、請求項13記載の薬学的組成物。
【請求項17】
ステロイド性抗炎症薬剤が、デキサメタゾンまたはベタメタゾンである、請求項16記載の薬学的組成物。
【請求項18】
NADH+H+の細胞内蓄積を増強する薬剤が、多価アルコールである、請求項4記載の薬学的組成物。
【請求項19】
多価アルコールが、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、アラビノール(arabinol)、およびイジトールからなる群より選択される、請求項18記載の薬学的組成物。
【請求項20】
多価アルコールがキシリトールである、請求項19記載の薬学的組成物。
【請求項21】
H2遮断薬が、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、およびニザチジンからなる群より選択される、請求項1から20のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項22】
レチノイドをさらに含む、請求項1から21のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項23】
レチノイドが、全トランス型レチノイン酸(ATRA)である、請求項22記載の薬学的組成物。
【請求項24】
NFkB阻害物質が、スルファサラジンまたはラパマイシンである、請求項3記載の薬学的組成物。
【請求項25】
請求項1から24のいずれか一項記載の薬学的組成物を含む、水性懸濁液または溶液からなる製剤。
【請求項26】
請求項1から24のいずれか一項記載の薬学的組成物を含む、油性懸濁液からなる製剤。
【請求項27】
経口投与のための、請求項25または26のいずれか一項記載の製剤。
【請求項28】
着香料をさらに含む、請求項25から27のいずれか一項記載の製剤。
【請求項29】
前記水性懸濁液または溶液の成分の少なくとも一部が、乾燥形態で提供され、かつ経口投与に先立ち水性懸濁液または溶液へと再構成される、請求項25記載の製剤。
【請求項30】
スルファサラジンが炭酸塩を使用して溶解される、請求項25から29のいずれか一項記載の製剤。
【請求項31】
炭酸塩が、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムから選択される、請求項30記載の製剤。
【請求項32】
以下を含むキット:
請求項1から24のいずれか一項記載の組成物を含む、第一容器;
請求項1から24のいずれか一項記載の組成物を含む、第二容器;および
投与のための使用説明書。
【請求項33】
前記使用説明書が、非連続(non-consecutive)日の第一容器の投与、および毎日の第二容器の投与に関する、請求項32記載のキット。
【請求項34】
請求項1から24のいずれか一項記載の薬学的組成物を、哺乳動物へ投与することを含む、哺乳動物においてがんを阻害する方法。
【請求項35】
請求項25から31のいずれか一項記載の製剤を、哺乳動物へ投与することを含む、哺乳動物においてがんを阻害する方法。
【請求項36】
がんが固形腫瘍または腫瘍転移である、請求項34から35のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
がんが、肺がん、膵臓がん、結腸がん、前立腺がん、リンパ球系の造血器腫瘍、骨髄性白血病、甲状腺濾胞がん、骨髄異形成症候群、間葉起源の腫瘍、黒色腫、奇形癌、神経芽細胞腫、神経膠腫、グリア芽細胞腫、皮膚の良性腫瘍、乳癌、腎臓癌、卵巣癌、膀胱癌および表皮癌からなる群より選択される、請求項34から36のいずれか一項記載の方法。
【請求項38】
前記投与が、局所的、経皮的、経口的、経鼻的、直腸内、膣内、非経口的(滑液包内、皮下的、皮内、筋肉内、静脈内、または腹腔内を含む)投与を含む、請求項34から37のいずれか一項記載の方法。
【請求項39】
哺乳動物が、ヒト、ネコ、イヌ、およびウマからなる群より選択される、請求項34から38のいずれか一項記載の方法。
【請求項40】
複数の容器を含む、がんの処置または予防のためのシステムであって、各容器が予定された日に投与されるべき請求項1から24のいずれか一項記載の組成物を含み、該システムが少なくとも1日の処置のために十分な容器を含む、システム。
【請求項41】
少なくとも7日間の処置のために十分な容器を含む、請求項40記載のシステム。
【請求項42】
組成物が経口投与のために調合される、請求項40記載のシステム。
【請求項43】
以下を含む、がんを処置するためのシステム:
以下を含む、25〜100 mlの0〜60%キシリトール水溶液を含む第一容器:
シクロホスファミド 200〜600 mg
ジクロフェナク 100〜300 mg
レバミゾール 0〜200 mg
シメチジン 400〜2,000 mg
スルファサラジン 100〜1,000 mgまたはラパマイシン1〜10 mg;および
以下を含む、25〜100 mlの0〜60%キシリトール水溶液を含む第二容器:
レバミゾール 100〜500 mg
シメチジン 400〜2,000 mg
スルファサラジン 500〜4,000 mgまたはラパマイシン1〜10 mg。
【請求項44】
処置の週サイクルの1および4日目に第一容器を週2回投与するため、かつ処置の週サイクルの2、3、5、6および7日目に第二容器を週5回投与するための使用説明書をさらに含む、請求項43記載のシステム。
【請求項45】
以下を含む、がんを処置するためのシステム:
以下を含む、25〜100 mlの0〜60%キシリトール水溶液を含む第一容器:
シクロホスファミド 200〜600 mg
ジクロフェナク 100〜300 mg
シメチジン 200〜2,000 mg
スルファサラジン 100〜1,000 mgまたはラパマイシン1〜10 mg;および
以下を含む、25〜100 mlの0〜60%キシリトール水溶液を含む第二容器:
シメチジン 200〜2,000 mg
スルファサラジン 300〜4,000 mgまたはラパマイシン1〜10 mg。
【請求項46】
処置の週サイクルの1および4日目に第一容器を週2回投与するため、かつ処置の週サイクルの2、3、5、6および7日目に第二容器を週5回投与するための使用説明書をさらに含む、請求項45記載のシステム。
【請求項47】
以下を含む、がんを処置するためのシステム:
以下を含む、25〜100 mlの0〜60%キシリトール水溶液を含む第一容器:
シクロホスファミド 200〜600 mg
ジクロフェナク 100〜300 mg
シメチジン 400〜2,000 mg
ATRA 10〜100 mg;および
以下を含む、25〜100 mlの0〜60%キシリトール水溶液を含む第二容器:
シメチジン 400〜2,000 mg
ATRA 10〜100 mg。
【請求項48】
処置の週サイクルの1および4日目に第一容器を週2回投与するため、かつ処置の週サイクルの2、3、5、6および7日目に第二容器を週5回投与するための使用説明書をさらに含む、請求項47記載のシステム。
【請求項49】
以下を含む、がんを処置するためのシステム:
少なくとも1つの抗炎症薬剤、細胞毒性薬剤、H2遮断薬、任意でNFkB阻害物質、レチノイド、酸化還元キノン、多価アルコール、および薬学的に許容される担体を含む容器;ならびに
H2遮断薬、および任意でレバミゾール、NFkB阻害物質、レチノイド、酸化還元キノン、多価アルコール、血管形成促進増殖因子の阻害物質、MMP阻害物質ならびに薬学的に許容される担体を含む容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−542623(P2009−542623A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517608(P2009−517608)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【国際出願番号】PCT/IL2007/000836
【国際公開番号】WO2008/004231
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(509007230)ティルタン ファーマ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】