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H3型ウマA型インフルエンザウイルス
説明

H3型ウマA型インフルエンザウイルス

【課題】単離H3型ウマA型インフルエンザウイルス、並びに当該ウイルス、その遺伝子又はタンパク質の調製法及び使用法を提供する。
【解決手段】特定のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするHA遺伝子断片、又は位置78のアラニンを有しかつ位置159のセリンを有する特定のアミノ酸配列と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するHAをコードするHA遺伝子断片を含む、単離H3ウマインフルエンザウイルス。H3ウマインフルエンザウイルスHAの遺伝子断片、又はNA、PB1、PB2、PA、NP、M1、M2、NS1又はNS2の遺伝子断片を含む単離ポリヌクレオチド。ウイルスの有効量を含む、インフルエンザに対して哺乳動物を免疫するための医薬組成物であって、該哺乳動物に投与される、医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
政府権利の状態
本発明は、一部分、アメリカ合衆国政府の助成(合衆国農業部門から2001-35204-10184助成)によりなされたものである。政府は、本発明に関するある権利を有する。
【0002】
背景
インフルエンザは、ウマを含む哺乳動物のおける主な呼吸器疾患であり、毎年実質的に死亡率及び経済的損失の原因となっている。加えて、インフルエンザウイルス感染症は、家禽において重大な全身性疾患を引き起こすことができ、死を招く。インフルエンザウイルスゲノムの分類した性質は、2以上のインフルエンザウイルスに感染した細胞においてウイルス複製の間に断片の再集合を起こす。断片の再集合は、遺伝子の突然変異及びドリフトと組み合わされて、長期にわたって多数のインフルエンザウイルスの分岐株を生じ得る。新規株は、その血球凝集素(HA)及び/又はノイラミニダーゼ(NA)タンパク質に抗原性変化を示し、特にHAタンパク質をコードする遺伝子は、高度の変動性を有する。インフルエンザ予防の主な現在の方法は、ワクチン接種である。ほとんど一般的には、全ウイルスワクチンが使用される。インフルエンザHAタンパク質が、ウイルスに対する宿主の保護的免疫反応に関する主な標的抗原であり、高度に変動するため、インフルエンザウイルスの単離及び最近の発症に関連するウイルスのHA抗原の同定及び特徴付けは、ワクチン産生に重要である。流行及び予測に基づいて、ワクチンは、主なそして予測されるインフルエンザウイルス株に対する保護的免疫反応を刺激するように設計される(Park他,2004)。
【0003】
インフルエンザウイルスには3つの一般的種類、A型、B型及びC型があり、その内部タンパク質間の血清交差反応の不存在によって特定される。A型インフルエンザウイルスは、その糖タンパク質の抗原性及び一般的相違によって更にサブタイプ、HA及びNAタンパク質に分類される。全ての公知のHA及びNAサブタイプ(H1〜H15及びN1〜N9)は、水鳥から単離され、インフルエンザの自然リザーバとして働くと考えられている。H7N7及びH3N8 A型ウイルスは、ウマインフルエンザの最も一般的な原因であり、これらのサブタイプは一般的にウマインフルエンザワクチンに取り込まれている。
【0004】
従って、新規インンフルエンザウイルス単離物、例えばワクチン用のものを単離する必要性が引き続き存在する。
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
本発明は、単離されたH3型ウマA型インフルエンザウイルスを提供する。これは、致命的な肺炎で死亡する子馬から単離され、ウイルスは、HAの残基78及び159での特徴的置換(位置の番号付けは、15アミノ酸シグナルペプチドを欠く成熟タンパク質で行う)を有する。すなわちHAの位置78の残基はバリンではなく、位置159の残基はアスパラギンではない。1つの実施態様では、本発明の単離H3型A型インフルエンザウイルスは、残基78で保存的置換、例えば、バリンからアラニンへの置換、及び残基159で非保存的置換、例えばアスパラギン酸からセリン置換を有する。1つの実施態様では、本発明の単離H3型A型インフルエンザウイルスは、位置29でメチオニン以外の残基、例えば非保存的置換、位置54でリシン以外の残基、例えば非保存的置換、位置83でセリン以外の残基、例えば非保存的置換、位置92でアスパラギン以外の残基、例えば非保存的置換、位置222でロイシン以外の残基、例えば非保存的置換、位置272でアラニン以外の残基、例えば保存的置換、及び/又は位置328でトレオニン以外の残基、例えば保存的置換を有する。保存的アミノ酸置換は、類似の側鎖を有する残基間の置換可能性を言う。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシンであり;アミド含有側鎖を有するアミノ酸群は、アスパラギン及びグルタミンであり;芳香族側鎖を有するアミノ酸群は、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンであり:塩基性側鎖を有するアミノ酸群は、リシン、アルギニン及びヒスチジンであり;イオウ含有側鎖を有するアミノ酸群は、システイン及びメチオニンである。1つの実施態様では、保存的アミノ酸置換群は以下である:トレオニン-バリン-ロイシン-イソロイシン-アラニン;フェニルアラニン-チロシン;リシン-アルギニン;アラニン-バリン;グルタミン酸-アスパラギン酸;及び、アスパラギン-グルタミン。
【0006】
1つの実施態様では、HAが残基78及び159に特徴的置換を有する限り、本発明のインフルエンザウイルスは、配列番号1〜8、17及び/又は18の1つと同一のアミノ酸配列を実質的に有する1以上のウイルスタンパク質(ポリペプチド)を含む。参照配列と実質的に同一であるアミノ酸配列は、参照配列のアミノ酸と少なくとも95%、例えば96%、97%、98%又は99%のアミノ酸配列同一性を有し、そして、欠損配列、例えば実質的に同一活性を有するか又は対応する完全長、成熟ウイルス性タンパク質と実質的に同一レベルで発現することができる欠損ウイルス性タンパク質を生じる配列;挿入、例えば実質的に同一活性を有するか又は対応する完全長、成熟ウイルス性タンパク質と実質的に同一レベルで発現することができる修飾ウイルス性タンパク質を生じる配列;及び/又は置換、例えば実質的に同一活性を有するか又は参照タンパク質と実質的に同一レベルで発現することができるウイルス性タンパク質を生じる配列を含んでもよい。1つの実施態様では、参照配列と残基と同一でない1以上の残基は、保存的又は非保存的置換でよく、そこでは、1以上の置換が置換(複数)を有するタンパク質の発現レベル又は活性を実質的に変更せず、及び/又はそのタンパク質を有するウイルスに感染した細胞から得られるウイルスレベルを実質的に変更しない。本明細書で用いる「実質的に同一発現レベル又は活性」とは、約80%、90%以上である検出可能なタンパク質レベル、約30%、50%、90%例えば最高100%以上であるタンパク質レベル又は測定可能な活性、配列番号1〜8、17又は18の1つに対応する完全長成熟ポリペプチドの活性を含む。1つの実施態様では、ウイルスは、1以上、例えば2、5、10、15、20以上のアミノ酸置換、例えば配列番号1〜8、17又は18を有するポリペプチドの完全長、成熟体の残基の最高5%までの保存的置換、を有するポリペプチドを含む。本発明の単離ウイルスは、ワクチン中で、単独又は1以上の他の単離物、例えば他のインフルエンザウイルス単離物と共に使用して、遺伝子療法及び/又は診断におけるウイルス-特異的血清をつくる。従って、本発明は、本発明のウイルスに感染した宿主、ウイルスに特異的な単離抗体を提供する。
【0007】
本発明はまた、本発明のウイルスのタンパク質の少なくとも1つに対応する核酸断片、配列番号1〜8、17又は18の1つによってコードされる対応するポリペプチドとの実質的に同一なレベル又は活性を有するウイルスタンパク質のための核酸断片の一部分、又は核酸分子の相補鎖を含む単離核酸分子(ポリヌクレオチド)を提供する。1つの実施態様では、単離核酸分子は、実質的に同一のアミノ酸配列、例えば、配列番号1〜8、17又は18の1つを有するポリペプチドと同一である、少なくとも95%、例えば96%、97%、98%又は99%の連続アミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする。1つの実施態様では、単離核酸分子は、実質的に同一であるヌクレオチド配列、例えば配列番号9〜16の1つ又はその相補鎖と同一である、少なくとも50%、例えば60%、70%、80%又は90%以上の連続核酸配列を含み、そして、配列番号1〜8、17又は18の1つを有するポリペプチドに同一である、少なくとも95%、例えば96%、97%、98%又は99%の連続核酸配列を有するポリペプチドをコードする。
【0008】
本発明の単離核酸分子はベクター内で使用して、インフルエンザタンパク質を発現する、例えば組換えタンパク質ワクチン産生し、診断に使用するための核酸ワクチンとして抗血清をつくり、又はvRNA産生のために、例えば他のインフルエンザウイルス遺伝子を含む他のウイルス遺伝子を用いてキメラ遺伝子を調製し、及び/又は、組換えウイルス(例えば本明細書に参考として援用されているNeumann他(1999)を参照されたい)を調製することができる。従って、本発明はまた、単離ウイルスポリペプチド、組換えウイルス及び核酸分子(複数)と接触する宿主細胞、及び/又は本発明の組換えウイルス、並びに、例えばウイルスに感染した、又は1以上のウイルスポリペプチドをコードする単離ウイルスポリペプチドもしくはポリヌクレオチドで免疫した哺乳動物から得られる単離ウイルス特異的抗体、を提供する。
【0009】
本発明は更に、以下の単離ベクター、例えば1以上の単離インフルエンザウイルスベクター、又は1以上のベクターを含む組成物の少なくとも1つを提供する:ここで、ベクターは、転写終結配列に結合する配列番号5と同一のアミノ酸配列を実質的に有するPAに関して、インフルエンザウイルスPA DNAに作動可能に結合するプロモーターを含み、ベクターは、転写終結配列に結合する配列番号3と同一のアミノ酸配列を実質的に有するPB1に関して、インフルエンザウイルスPB1 DNAに作動可能に結合するプロモーターを含み、ベクターは、転写終結配列に結合する配列番号4と同一のアミノ酸配列を実質的に有するPB2に関して、インフルエンザウイルスPB2 DNAに作動可能に結合するプロモーターを含み、ベクターは、転写終結配列に結合する配列番号1と同一のアミノ酸配列を実質的に有するHAに関して、インフルエンザウイルスHA DNAに作動可能に結合するプロモーターを含み、ベクターは、転写終結配列に結合する配列番号6と同一のアミノ酸配列を実質的に有するNPに関して、インフルエンザウイルスNP DNAに作動可能に結合するプロモーターを含み、ベクターは、転写終結配列に結合する配列番号2と同一のアミノ酸配列を実質的に有するNAに関して、インフルエンザウイルスNA DNAに作動可能に結合するプロモーターを含み、ベクターは、転写終結配列に結合する配列番号7(M1)及び/又は配列番号17(M2)と同一のアミノ酸配列を実質的に有するMに関して、インフルエンザウイルスM DNAに作動可能に結合するプロモーターを含み、及び/又は、ベクターは、転写終結配列に結合する配列番号8(NS1)及び/又は配列番号18(NS2)と同一のアミノ酸配列を実質的に有するNSに関して、インフルエンザウイルスNS DNAに作動可能に結合するプロモーターを含む。場合により、2つのベクターは、転写終結配列に結合するインフルエンザウイルスに作動可能に結合するプロモーターを含むベクター、例えば転写終結配列に結合するインフルエンザウイルスM1 DNAに作動可能に結合するプロモーターを含むベクター、及び転写終結配列に結合するインフルエンザウイルスM2 DNAに作動可能に結合するプロモーターを含むベクター、の代わりに採用することができる。場合により、2つのベクターは、転写終結配列に結合するインフルエンザウイルスNS DNAに作動可能に結合するプロモーターを含むベクター、例えば、転写終結配列に結合するインフルエンザウイルスNS1 DNAに作動可能に結合するプロモーターを含むベクター、及び転写終結配列に結合するインフルエンザウイルスNS2 DNAに作動可能に結合するプロモーターを含むベクター、の代わりに使用することができる。インフルエンザウイルスベクターは、少なくとも5’及び3'非コードインフルエンザウイルス配列を含むものである。
【0010】
従って、本発明は、ベクター、例えばインフルエンザウイルスタンパク質をコードする及び/又はインフルエンザvRNA、野生型及び組換えvRNAをコードするプラスミドを提供する。従って、本発明のベクターは、インフルエンザウイルスタンパク質(センス)又はvRNA(アンチセンス)をコードしてもよい。好適なプロモーター又は転写終結配列は、タンパク質又はペプチド、例えばウイルス性タンパク質又はペプチド、非ウイルス性病原体のタンパク質又はペプチド、又は治療的タンパク質又はペプチドを発現するために採用することができる。1つの実施態様では、vRNAの発現のためには、プロモーターは、RNAポリメラーゼIプロモーター、RNAポリメラーゼIIプロモーター、RNAポリメラーゼIIIプロモーター、T3プロモーター又はT7プロモーターである。場合により、ベクターは、転写終結配列m例えばRNAポリメラーゼI転写終結配列、RNAポリメラーゼII転写終結配列、RNAポリメラーゼIII転写終結配列又はリボザイムを含む。
【0011】
本発明の組成物は、対象の遺伝子又は読み取り枠、例えばワクチンとして有用な免疫原性ペプチド又はタンパク質をコードする外来遺伝子を含んでもよい。従って、本発明の他の実施態様は、ベクター内のインフルエンザウイルスの1つが外来遺伝子と置き換わる上記発明の組成物を含み、又はその組成物は、インフルエンザウイルス遺伝子に加えて、所望の核酸配列、例えば、転写終結配列に結合する3’インフルエンザウイルス配列に結合する対象のDNA、に結合する5’インフルエンザウイルス配列に結合するプロモーターを含有するベクターを更に含む。この核酸配列は、インフルエンザウイルス複製を許す宿主細胞に接触すると、場合により組換えウイルスを生じる。1つの実施態様では、対象のDNAは、アンチセンス方向にある。vRNA産生用ベクターであるか又はタンパク質産生用のベクターである対象のDNAは、免疫原性エピトープ、例えば、癌療法又はワクチンに有用なエピトープ、又は遺伝子療法に有用なペプチドもしくはポリペプチド、をコードしてもよい。
【0012】
本発明の多数のベクターは物理的に結合し、又はそれぞれのベクターは個々のプラスミドもしくは他の線状の核酸送達ビヒクル上に存在してもよい。
【0013】
本発明はまた、インフルエンザウイルスを調製する方法を提供する。この方法は、細胞、例えば家禽又は哺乳動物細胞と、本発明の単離ウイルス又は本発明の多数のベクターとを、例えば逐次又は同時に接触させるステップを含む。例えば多数のベクターを有効な量で含む組成物を採用して感染性インフルエンザウイルスを生じる。本発明はまた、ウイルスに感染した細胞、又はベクター及び/又は組成物と接触した細胞からウイルスを単離するステップを含む。本発明は更に、本発明のウイルスに感染した宿主細胞、又は本発明の組成物又はベクターと接触した宿主細胞を提供する。1つの実施態様では、宿主細胞は、弱毒化(例えば低温馴化)ドナーウイルス及び本発明のウイルスに感染し、低温馴化生ウイルスワクチンとして有用な低温馴化組換えウイルスを調製する。
【0014】
本発明はまた、哺乳動物内の免疫応答を誘導する、例えば1以上の病原体に対して例えば、本発明のウイルス及び場合により細菌、異種ウイルス、又は寄生虫もしくは他の抗原に対して、哺乳動物を免疫するための方法を提供する。組成物又はワクチンに対する免疫応答は、例えば、当該ウイルス又は密接に(構造的に)関連するウイルスへの感染を予防又は阻害することができる、投与されたウイルス調製物、ポリペプチド又は投与された核酸分子によってコードされるポリペプチド、ウイルス性ポリペプチドに対する細胞及び/又は抗体-介在免疫応答の宿主生物において発生する。通常、このような応答は、対象の組成物又はワクチンに含まれる抗原(複数)に特異的に指向される、抗体、B細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、及び/又は細胞障害性T細胞を産生する対象からなる。本方法は、宿主生物例えば哺乳動物へ、本発明のインフルエンザウイルス例えば弱毒化、生のウイルスの有効量を、例えば当該ウイルス又は抗原的に密接な関連ウイルスによって哺乳動物等の動物の感染を予防又は緩和するために有効な量で、場合によりアジュバント及び/又は担体と組み合わせて投与するステップを含む。1つの実施態様では、ウイルスは筋肉内に投与され、一方、別の実施態様ではウイルスは鼻腔内投与される。ある投薬プロトコールでは、全ての用量は、筋肉内又は鼻腔内投与することができ、別のプロトコールでは、筋肉内及び鼻腔内投与の組み合わせが採用される。ワクチンは更に、組換えインフルエンザウイルス、他の病原体(複数)、追加の生物製剤又は微生物生物、例えば多価ワクチンを形成するためのもの、を含むインフルエンザウイルスのある他の単離物でもよい。1つの実施態様では、不活性化ウマインフルエンザウイルス及び粘膜性アジャバント、例えばコレラ毒素の非毒性B鎖、による鼻腔内ワクチン接種は、鼻咽頭にウイルス特異的IgA及び中和抗体、並びに血清IgGを誘導する。
【0015】
ウマインフルエンザワクチンは、他の抗ウイルス剤、例えばアマンタジン、リマンタジン及び/又はノイラミニダーゼと共に採用することができ、例えば抗ウイルス剤と組み合わせて別々に、例えば前、同時に及び/又は後に投与することができる。
【0016】
更に、ウイルス特異的抗体又はウイルス特異的タンパク質を検出するための、本発明のウイルス、それによってコードされる単離ウイルス性タンパク質、又は当該ウイルスもしくはタンパク質に特異的な抗血清を用いる診断法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】図1Aは、A/Equine/Wisconsin/1/03の配列を示す。配列番号1〜8、17及び18は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M2及びNS2の推定アミノ酸配列を示す。配列番号9〜16は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M(M1及びM2)及びNS(NS1及びNS2)のmRNAセンスヌクレオチド配列を示す。
【図1B】図1Bは、A/Equine/Wisconsin/1/03の配列を示す。配列番号1〜8、17及び18は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M2及びNS2の推定アミノ酸配列を示す。配列番号9〜16は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M(M1及びM2)及びNS(NS1及びNS2)のmRNAセンスヌクレオチド配列を示す。
【図1C】図1Cは、A/Equine/Wisconsin/1/03の配列を示す。配列番号1〜8、17及び18は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M2及びNS2の推定アミノ酸配列を示す。配列番号9〜16は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M(M1及びM2)及びNS(NS1及びNS2)のmRNAセンスヌクレオチド配列を示す。
【図1D】図1Dは、A/Equine/Wisconsin/1/03の配列を示す。配列番号1〜8、17及び18は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M2及びNS2の推定アミノ酸配列を示す。配列番号9〜16は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M(M1及びM2)及びNS(NS1及びNS2)のmRNAセンスヌクレオチド配列を示す。
【図1E】図1Eは、A/Equine/Wisconsin/1/03の配列を示す。配列番号1〜8、17及び18は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M2及びNS2の推定アミノ酸配列を示す。配列番号9〜16は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M(M1及びM2)及びNS(NS1及びNS2)のmRNAセンスヌクレオチド配列を示す。
【図1F】図1Fは、A/Equine/Wisconsin/1/03の配列を示す。配列番号1〜8、17及び18は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M2及びNS2の推定アミノ酸配列を示す。配列番号9〜16は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M(M1及びM2)及びNS(NS1及びNS2)のmRNAセンスヌクレオチド配列を示す。
【図1G】図1Gは、A/Equine/Wisconsin/1/03の配列を示す。配列番号1〜8、17及び18は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M2及びNS2の推定アミノ酸配列を示す。配列番号9〜16は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M(M1及びM2)及びNS(NS1及びNS2)のmRNAセンスヌクレオチド配列を示す。
【図1H】図1Hは、A/Equine/Wisconsin/1/03の配列を示す。配列番号1〜8、17及び18は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M2及びNS2の推定アミノ酸配列を示す。配列番号9〜16は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M(M1及びM2)及びNS(NS1及びNS2)のmRNAセンスヌクレオチド配列を示す。
【図1I】図1Iは、A/Equine/Wisconsin/1/03の配列を示す。配列番号1〜8、17及び18は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M2及びNS2の推定アミノ酸配列を示す。配列番号9〜16は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M(M1及びM2)及びNS(NS1及びNS2)のmRNAセンスヌクレオチド配列を示す。
【図1J】図1Jは、A/Equine/Wisconsin/1/03の配列を示す。配列番号1〜8、17及び18は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M2及びNS2の推定アミノ酸配列を示す。配列番号9〜16は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M(M1及びM2)及びNS(NS1及びNS2)のmRNAセンスヌクレオチド配列を示す。
【図1K】図1Kは、A/Equine/Wisconsin/1/03の配列を示す。配列番号1〜8、17及び18は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M2及びNS2の推定アミノ酸配列を示す。配列番号9〜16は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M(M1及びM2)及びNS(NS1及びNS2)のmRNAセンスヌクレオチド配列を示す。
【図1L】図1Lは、A/Equine/Wisconsin/1/03の配列を示す。配列番号1〜8、17及び18は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M2及びNS2の推定アミノ酸配列を示す。配列番号9〜16は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M(M1及びM2)及びNS(NS1及びNS2)のmRNAセンスヌクレオチド配列を示す。
【図1M】図1Mは、A/Equine/Wisconsin/1/03の配列を示す。配列番号1〜8、17及び18は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M2及びNS2の推定アミノ酸配列を示す。配列番号9〜16は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M(M1及びM2)及びNS(NS1及びNS2)のmRNAセンスヌクレオチド配列を示す。
【図1N】図1Nは、A/Equine/Wisconsin/1/03の配列を示す。配列番号1〜8、17及び18は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M2及びNS2の推定アミノ酸配列を示す。配列番号9〜16は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M(M1及びM2)及びNS(NS1及びNS2)のmRNAセンスヌクレオチド配列を示す。
【図1O】図1Oは、A/Equine/Wisconsin/1/03の配列を示す。配列番号1〜8、17及び18は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M2及びNS2の推定アミノ酸配列を示す。配列番号9〜16は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M(M1及びM2)及びNS(NS1及びNS2)のmRNAセンスヌクレオチド配列を示す。
【図1P】図1Pは、A/Equine/Wisconsin/1/03の配列を示す。配列番号1〜8、17及び18は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M2及びNS2の推定アミノ酸配列を示す。配列番号9〜16は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M(M1及びM2)及びNS(NS1及びNS2)のmRNAセンスヌクレオチド配列を示す。
【図1Q】図1Qは、A/Equine/Wisconsin/1/03の配列を示す。配列番号1〜8、17及び18は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M2及びNS2の推定アミノ酸配列を示す。配列番号9〜16は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M(M1及びM2)及びNS(NS1及びNS2)のmRNAセンスヌクレオチド配列を示す。
【図1R】図1Rは、A/Equine/Wisconsin/1/03の配列を示す。配列番号1〜8、17及び18は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M2及びNS2の推定アミノ酸配列を示す。配列番号9〜16は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M(M1及びM2)及びNS(NS1及びNS2)のmRNAセンスヌクレオチド配列を示す。
【図2】図2は、A/Equine/NewYork/99(配列番号19)及びA/Equine/Wisconsin/1/03(配列番号20)のHA-1の配列アラインメントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の詳細な説明
定義
本明細書で用いる用語「単離された」とは、in vivo物質には関連せず、又はin vitro物質から実質的に単離されるような、核酸分子、例えば本発明のベクター又はプラスミド、ペプチド又はポリペプチド(タンパク質)、又はウイルスのin vitroでの調製及び/又は分離を言う。単離ウイルス調製物は、一般的にin vitro培養及び増殖によって得られ、実質的に他の感染剤を含まない。
【0019】
本明細書で用いる「実質的に精製された」とは、対象種が主な種である、例えば、モル基準で、組成物中の任意の他の個々の種よりも豊富である、好ましくは存在する種の少なくとも約80%、及び場合により組成物中に存在する種の90%以上、例えば95%、98%、99%以上である、ことを意味する。
【0020】
本明細書で用いる「実質的に存在しない」とは、当該剤の標準的検出法を用いる具体的な感染剤の検出レベル未満である、ことを意味する。
【0021】
「組換えウイルス」は、in vitroで、例えばウイルスゲノム中に変異を導入するために、組換えDNA技術を用いて操作されたウイルスである。
【0022】
本明細書で用いる用語「組換え核酸」又は「組換えDNA配列又は部分」は、核酸例えばある起源から誘導又は単離され、次に、その配列が天然ではなく、又はその配列が、天然型ゲノム内に配置するようには配置されない天然配列に対応するように、in vitroで化学的に変化させることができるDNAを言う。ある起源「由来」のDNAの例は、有用なフラグメントとして特定され、次いで基本的に純粋体として化学的に合成されるDNA配列である。ある起源から「単離された」かかるDNAの例は、更に操作することができる、例えば遺伝子工学の方法により本発明の使用に増幅することができるように、化学的手段、例えば制限エンドヌクレアーゼの使用によって当該起源から切り取られる又は除かれる有用なDNA配列である。
【0023】
A型インフルエンザウイルスの構造及び増殖
A型インフルエンザは、少なくとも10タンパク質をコードする8単一-鎖ネガティブセンスウイルス性RNA(複数)(vRNA(複数))のゲノムを有する。インフルエンザウイルス生命サイクルは、宿主細胞の表面上のシアル酸含有受容体への血球凝集素(HA)の結合に始まり、次いで受容体-介在エンドサイトーシスが起こる。末期のエンドソームの低pHは、HAの構造的変化を引き起こし、その結果、HA2サブユニットのN-末端(いわゆる融合ペプチド)を生じる。融合ペプチドは、ウイルス性及びエンドソーム膜を生じ、マトリックスタンパク質(M1)及びRNP複合体は、細胞質に放出される。RNP(複数)は、vRNAを包膜する核タンパク質(NP)と、PA、PB1及びPB2タンパク質によって形成されるウイルス性ポリメラーゼ複合体とから成る。RNP(複数)は、核に移送され、転写及び複製が起こる。RNAポリメラーゼ複合体は、3種の反応を触媒する:5’キャップ及び3’ポリA構造を有するmRNAの合成、完全長相補的RNA(cRNA)の合成、及びcRNAを鋳型として用いるゲノムvRNAの合成。新規合成vRNA(複数)、NP及びポリメラーゼタンパク質は、RNP(複数)に会合し、核から除かれ、血漿膜に輸送され、そこで子孫ウイルス粒子の発芽が起こる。ノイラミニダーゼ(NA)タンパク質は、シアリルオリゴサッカライドからシアル酸を除くことにより、感染末期に決定的役割を果たし、その結果、細胞表面から新規会合ビリオンを放出し、ウイルス粒子の自己凝集を抑制する。ウイルス会合は、タンパク質-タンパク質及びタンパク質-vRNA相互作用を含むが、これらの相互作用の性質はほとんど知られていない。
【0024】
任意の細胞、例えば任意の家禽又は哺乳動物細胞、例えばヒト、イヌ、ウシ、ウマ、ネコ、ブタ、ヒツジ、ミンク、例えばMvLu1細胞、又は突然変異細胞を含む非ヒト霊長類細胞は、インフルエンザウイルスの効率的複製を支持し、インフルエンザウイルスを分離及び/又は増殖するために使用することができる。単離ウイルスは、組換えウイルス、例えば弱毒化ウイルスを調製するために使用することができる。1つの実施態様では、ワクチン産生のための宿主細胞は、家禽の卵に見られる細胞である。別の実施態様では、ワクチン産生のための宿主細胞は、連続性哺乳動物もしくは家禽細胞株又は細胞種である。最終産物の純度の好適な試験を含むように、使用する細胞の完全な特徴付けを確立することが好ましい。細胞の特徴付けに使用することができるデータは、(a)その起源、派生及び経過履歴に関する情報;(b)その成長及び形態学的特徴に関する情報;(c)偶発剤の試験結果;(d)ある細胞が他の細胞株と明確に区別できる顕著な特徴、例えば生化学的、免疫的及び細胞遺伝的パターン;及び(e)腫瘍形成の試験結果、を含む。好ましくは、使用する宿主細胞の経過レベル又は細胞群倍増は、おそらく低度である。
【0025】
宿主細胞によって産生されるウイルスは、ワクチン又は遺伝子療法製剤の前に高度に精製される。一般的に、精製方法は、細胞DNA、他の細胞成分及び偶発剤の大規模な除去をもたらす。DNAを大規模に低下又は変性させる方法も使用できる。
【0026】
ウマインフルエンザウイルスの検出
ウマインフルエンザウイルスを引き起こす疾患は、一般的に、H7N7(1に等しい)及びH3N8(2に等しい)サブタイプのA型インフルエンザウイルスである。これらは一般的に、ヒト(H1N1、H2N2及びH3N2)で感染を引き起こすサブタイプとは異なる。ウマインフルエンザは、生ウイルスを含む分泌物(例えば、生理液)の吸入又は接触により感染する。ウイルスは、気道上部及び気道下部の上皮細胞に感染し、4〜6日間内に気道の広範囲に線毛消失を引き起こす。結果的に、粘膜毛様体クリアランス機構が損なわれ、感染するまでの最高32日間、気管クリアランス率は減少する。気管支炎及び気管支梢炎が発症し、間質性肺炎が起こる、これは鬱血、水腫、白血球浸潤を伴う。一般的に、H3N8ウイルスは、H7N7ウイルスよりもかなり重度の疾患を引き起こす;H3N8サブタイプのウイルスはより肺向性であり、及び心筋炎とも関連する。
【0027】
先にインフルエンザ経験のない動物での臨床的兆候は、容易に判別できる。インフルエンザは、1〜3日間の潜伏期間で突然発症することによって特徴付けられる。最初の兆候は、体温の上昇(最高41℃)であり、通常、二相性である。大量のウイルスを大気中に放出する重度の空咳を引き起こす。この空咳は、二次細菌感染のために粘液膿性になる鼻汁をよく伴う。他の最も一般的に観察される臨床的兆候は、筋肉痛、食欲不振及び顎下リンパ節の肥大である。脚及び陰嚢の水腫も極まれに見られる。疾患の重度は、用量、ウイルス株及びウマの免疫状態により変動する。
【0028】
咳が長く続くかもしれないが、健常で免疫コンピテントな成ウマは、通常、10日以内に単純なインフルエンザから回復する。二次的細菌感染が起こる場合には、回復期間は長くなる。しかしながら、子馬、状態の悪い動物及びロバでは、比較的高い死亡率が記録されている。母親抗体が曝露期間に存在しない場合には、子馬は死に至るウイルス性肺炎を発症する。成動物の死は、通常、胸膜炎、化膿性肺炎、又は稀に出血性紫斑病を引き起こす二次的細菌感染の結果である。ウマインフルエンザ後遺症は、慢性咽頭炎、慢性気管支梢炎、心筋炎及び肺胞気腫を含み、嘔吐、二次副鼻腔及び喉嚢感染の原因となる。
【0029】
ワクチン接種又は前の感染の結果としての動物の部分的免疫の臨床的兆候は、ほとんど又は全く咳き又は発熱がないため認識するのがより困難である。その経験がない動物群では感染の蔓延が常に速いが、認識可能な臨床的兆候の18日前にワクチン接種したウマでは、潜在的に感染が発生するという問題がある。
【0030】
感染性呼吸器疾患の発生は、種々の薬剤、例えばウマヘルペスウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス及び動脈炎ウイルス、ストレプトコカス・エクイ(Streptococcus equi)又はストレプトコカス・ズーエピデミカス(S. zooepidemicus)によって起こるかもしれないことである。臨床的兆候に基くインフルエンザの推定的診断は、ウイルス単離もしくは検出、又は血清試験によって確認する必要がある。臨床診断の実験的確認は、血清変換を証明するための鼻咽喉スワブ又は血清学からウイルスの典型的単離によって、又は呼吸分泌内の、ウイルス性抗原、ウイルス性核酸又はウイルス的に感染した細胞の存在を検出する迅速診断試験によって行うことができる。迅速診断試験では、その簡便性及び使用の容易性にもかかわらず、感染ウイルス株の遺伝的又は抗原的性質についての情報をほとんど又は全く得られず、ウイルスの単離をすることができない。
【0031】
ウイルス検出又は単離の鼻咽喉スワブは、出きるだけ速く採取する必要がある。実験的負荷試験の結果は、感染後2〜3日目の発熱開始24〜48時間に最高ウイルス力価が得られ、及びウイルス潜伏期間は通常、4又は5日以内である、ことを示唆する。鼻スワブ試料は、呼吸分泌物を吸収するために、腹道を介してウマの鼻咽頭にできるだけ遠くスワブを通すことによって得られる。スワブはウイルス輸送媒体を用いて容器に迅速に移し、氷上に置いてウイルスの生存を維持することが必要である。乾燥スワブを採取する場合にはウイルスはおそらく生存しておらず、細菌輸送媒体を使用する場合には汚染の機会が増加する。鼻スワブ試料は、9〜11齢の幼虫形成卵の尿膜(又は羊膜)腔に接種することができる。33〜35℃で3日間インキュベーションした後、尿液を採取し、赤血球凝集活性を試験する。あるいは、細胞培養物を用い、ウイルスを単離することもできる。インフルエンザ感染は、臨床的兆候の開始後できるだけ早くに採取した急性血清試料の血清試験結果と、2〜4週間後に採取した回復期の血清試料の血清試験結果との比較により、診断することもできる。
【0032】
赤血球凝集阻害(HI)試験は、ウイルスによる赤血球の凝集を阻害するために、血清試料中に存在するインフルエンザ-特異的抗体の能力を測定する。血清は、非特異的反応を減少させるために、熱不活性化及び予備処理され、U底マイクロタイタープレート内の標準ウイルス用量でインキュベーションする前に段階希釈される。赤血球の懸濁液を添加し、更にインキュベーションした後、凝集を試験する。ウイルス感染抗体が4倍増加し、これは感染を示す。ウイルス抗原全部をH7N7ウイルスに使用してもよいが、H3N8ウイルスの試験感度を向上させるには、ツイーン80-エーテルで壊した抗原が通常求められる。反復ワクチン接種されたウマでは、HI力価の4倍増加を感染は刺激できない。
【0033】
一元放射溶血反応(SRH)試験は、株特異性が低いが、HI試験よりも再現性がありかつエラープローンが少ない、そして線形試験であるため、より感受性で、重度にワクチン接種したウマでの感染によって誘導される抗体の少ない増加を検出できる。SRH試験は、補体の存在下でウイルス-被覆赤血球を溶解するための、インフルエンザ-特異的抗体の能力に基く。試験血清を被覆赤血球及び補体を含むアガロース内の穿孔ウェルに添加し、20時間アガロースを拡散する。ウェルの周囲の赤血球溶解(haemolysis)の透明領域面積は、血清試料中に存在するインフルエンザ抗体レベルに匹敵する。
【0034】
感染表面でウマをワクチン接種する場合には、HI及びSRH試験を用いて抗体レベルの増加がワクチン接種に起因するか又は感染に起因するかを決定するのはおそらくできない。
【0035】
インフルエンザワクチン
本発明のワクチンは、本発明の単離インフルエンザウイルス、及び場合により、他の単離インフルエンザウイルス、西ナイル熱ウイルス、ウマヘルペスウイルス、ウマ動脈炎ウイルス、ウマ感染性貧血レンチウイルス、狂犬病ウイルス、東部及び/又は西部及び/又はベネズエラウマ脳炎ウイルス、1以上の単離インフルエンザウイルス又は1以上の他の病原体の1以上の免疫原性タンパク質又は糖タンパク質、例えば1以上の細菌由来の免疫原性タンパク質、非インフルエンザウイルス、酵母又は菌類、又は本発明の単離インフルエンザウイルスの1以上の免疫原性タンパク質を含む1以上のウイルス性タンパク質(例えばDNAワクチン)をコードする単離核酸を含む1以上の他の単離ウイルスを含む。1つの実施態様では、本発明のインフルエンザウイルスは、インフルエンザウイルス又は他の病原体のためのワクチンベクターでもよい。
【0036】
完全ビリオンワクチンは、限外濾過によって濃縮し、その後ゾーナル遠心又はクロマトグラフィーによって精製することができる。例えばホルマリン又はβ-プロピオラクトンを用いて精製する前又は後に不活性化される。
【0037】
サブユニットワクチンは精製糖タンパク質を含む。かかるワクチンは以下のようにして調製することができる:界面活性剤によって処理することにより断片化したウイルス懸濁液を用いて、例えば超遠心によって精製する。従って、このサブユニットワクチンは、主にHAタンパク質及びNAを含む。使用する界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、例えばヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(Bachmeyer,1975)、アニオン界面活性剤、例えばアンモニウムデオキシコール酸塩(Laver及びWebster,1976);又は例えばTRITONX100の名称で市販されている非イオン性界面活性剤でよい。血球凝集素は、ブロメリンのようなプロテアーゼでビリオンを処理した後に単離でき、Grand及びSkehel(1972)によって記載の方法によって精製することができる。
【0038】
スプリットワクチンは、脂質を溶解する薬剤に処理することができるビリオンを含む。スプリットワクチンは、以下のようにして調製することができる:上記のようにして得た精製ウイルスの水性懸濁液を、不活性化されていても又はなくてもよいが、界面活性剤と会合したエチルエーテル又はクロロホルム等の脂溶性溶媒で攪拌しながら処理する。ウイルスエンベロープ脂質の溶解は、ウイルス粒子の断片化をもたらす。スプリットワクチン、これは、除かれるその元の脂質環境と共に血液凝集素及びノイラミニダーゼから主に構成されているが、及び核又はその分解生産物を含む水層が回収される。その後、残渣の感染粒子は未だ不活性化され得ない場合には、不活性化される。
【0039】
不活性化ワクチン
不活性化インフルエンザウイルスワクチンは、公知の方法、ホルマリン又はβ-プロピオラクトン処理に限定されない、を用いて複製ウイルスを不活性化することにより提供される。本発明に使用できる不活性化ワクチン種は、全ウイルス(WV)ワクチン又はサブビリオン(SV)(スプリット)ワクチンを含むことができる。WVワクチンは、そのままの不活性化ウイルスを含み、一方、SVワクチンは、脂質含有ウイルスエンベロープを溶解する界面活性剤で壊した後、残ウイルスの化学的不活性化を行った精製ウイルスを含む。
【0040】
加えて、使用できるワクチンは、表面抗原又はサブユニットワクチンと称される単離HA及びNA表面タンパク質を含む。
【0041】
生弱毒化ウイルスワクチン
生の弱毒化インフルエンザウイルスワクチンは、インフルエンザウイルス感染を予防又は治療するために使用することができる。弱毒化は、弱毒化ドナーウイルス由来の弱毒化遺伝子の、公知の方法に従う複製単離物又は組換えウイルスへの輸送によって、単一ステップで達成することができる(例えば、Murphy,1993参照)。A型インフルエンザウイルスへの耐性は、HA及び/又はNA糖タンパク質への免疫応答の発生により主に介在されるため、これらの表面抗原をコードする遺伝子は、組換えウイルス又は臨床的単離物から得られなければならない。弱毒化遺伝子は、弱毒化親から誘導される。この方法において、弱毒化する遺伝子は、好ましくはHA及びNA糖タンパク質をコードしない。
【0042】
インフルエンザウイルスを再現性良く弱毒化することができるウイルス(ドナーインフルエンザウイルス)が利用できる。例えば低温(ca)ドナーウイルスは、弱毒化ワクチンの産生に使用することができる。生の弱毒化組換えウイルスワクチンは、caドナーウイルスをビルレント複製ウイルスと結合することによりつくることができる。その後、組換え子孫を、好適な抗血清の存在下に、(ビルレントウイルスの複製を制限する)25℃で選択する。これは、弱毒化caドナーウイルスの表面抗原を生じるウイルスの複製を阻害する。有用な組換え体は以下の通りである:(a)感染性、(b)血清学的に非成哺乳動物及び免疫学的に処理した成哺乳動物を弱毒化した、(c)免疫原性、及び(d)遺伝的に安定。ca組換え体の免疫原性は、その複製レベルに匹敵する。従って、新規野生型ウイルスによるcaドナーウイルスの6移送遺伝子の獲得は、成及び非成哺乳動物のワクチン接種に使用するためのこれらのウイルスを再現性良く弱毒化する。
【0043】
他の弱毒化突然変異体は、部位指向突然変異によってインフルエンザウイルスに導入し、これらの突然変異遺伝子を担持する感染性ウイルスを救援することができる。弱毒化突然変異体は、ゲノムの非コード領域及びコード領域に導入することができる。かかる弱毒化突然変異体は、HA又はNA以外の遺伝子、例えばPB2ポリメラーゼ遺伝子に導入することができる(Subbarao他,1993)。従って、新規のドナーウイルスは部位指向突然変異によって導入される弱毒化突然変異を生じることもでき、かかる新規ドナーウイルスは、caドナーウイルスについて上で記の述べた方法と類似の方法で生弱毒化組換えワクチン候補の産生に用いることができる。同様に、他の公知の好適な弱毒化ドナー株は、インフルエンザウイルスと組換えて、哺乳動物のワクチン接種に使用するために好適な弱毒化ワクチンを得ることができる(Enami他,1990;Muster他,1991;Subbarao他,1993)。
【0044】
好ましくは、かかる弱毒化ウイルスは、当初の臨床的単離物の抗原決定基と実質的に類似する抗原決定基をコードするウイルス由来の遺伝子を維持する。これは、弱毒化ワクチンの目的が、ウイルスの当初の臨床的単離物と同一の抗原性を実質的に提供することであり、同時にワクチンがワクチン接種哺乳動物において重度の疾患を引き起こす機会を最小限に抑える程度に病原性を欠く、ことだからである。
【0045】
よって、ウイルスは、動物、例えば哺乳動物において免疫応答を誘導するワクチンとして公知の方法に従い、弱毒化又は不活性化されて調合し、投与することができる。かかる弱毒化又は不活性化ワクチンが、臨床的単離物又はそれ由来の高増殖株の抗原性に類似の抗原性を維持している否かを決定するための方法は、当該分野では周知である。かかる公知の方法は、ドナーウイルスの抗原決定基を提示するウイルスを除くための抗血清又は抗体の使用;化学的選択(例えば、アマンタジン又はリマンチジン);HA又はNA活性及び阻害;及び、抗原決定基(例えば、HA又はNA遺伝子)をコードするドナー遺伝子が弱毒化ウイルス中には存在しないことを確認するための、核酸スクリーニング(例えば、プローブハイブリダイゼーション又はPCR)、を含む。例えばRobertson他,1988;Kilbourne,1969;Aymard-Henry他,1985;Robertoson他,1992を参照されたい。
【0046】
医薬組成物
予防接種、例えば鼻腔、非経口又は経口投与に適した本発明の医薬組成物は、1以上のインフルエンザウイルス単離物、例えば1以上の弱毒化又は不活性化インフルエンザウイルス、そのサブユニット、その単離タンパク質(複数)及び/又はその1以上のタンパク質をコードする単離核酸を含む。場合により殺菌水溶液又は非水溶液、懸濁液又はエマルションを更に含む。組成物は、当該分野で公知の補助剤又は賦形剤を更に含むことができる。例えばBerkow他,1987;Avery's Drug Treatment, 1987; Osol, 1980を参照されたい。本発明の組成物は、一般的に個々の用量(単位用量)の形態で提供される。
【0047】
慣用的ワクチンは、一般的に、組成物に入る各々の株由来のHAを約0.1〜200μg、例えば30〜100μgを含む。本発明のワクチン組成物の主な成分を形成するワクチンは、単一インフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスの組み合わせ、例えば1以上の組換え体(複数)を含む少なくとも2又は3のインフルエンザウイルスを含んでもよい。
【0048】
非経口投与用の調製物は、殺菌水溶液又は非水溶液、懸濁液及び/又はエマルションを含み、当該分野で公知の補助剤又は賦形剤を含んでもよい。非水溶性溶媒の例は、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油例えばオリーブ油、及び注射有機エステル例えばオレイン酸エチルである。担体又は閉鎖包帯は、皮膚透過性を増加させ、及び抗原吸収性を亢進するために使用することができる。経口投与用の液体剤形は、一般的に液体剤形を含むリポソーム溶液を含んでもよい。懸濁リポソーム用の好適な剤形は、当該分野で一般的に使用される不活性希釈剤、たとえば精製水を含有するエマルション剤、懸濁剤、液剤、シロップ剤及びエリキシル剤を含む。不活性化希釈剤に加えて、かかる組成物は、アジュバント、加湿剤、乳化剤及び懸濁化剤、又は甘味料、風味剤もしくは香料も含んでもよい。例えばBerkow他,1992;Avery's,1987;及びOsol,1980を参照。
【0049】
本発明の組成物が個体への投与に用いられる場合に、塩、緩衝剤、アジュバント又は組成物の効力を改善するために望ましい他の基質を更に含むことができる。ワクチンに関しては、特異的免疫応答を増大することができるアジュバント、基質を使用できる。通常、アジュバント又は組成物は、免疫系に提示される前に混合されるか、又は別個に提示されるが、免疫される生物の同一部位に提示される。ワクチン組成物に使用するために好適な材料の例は、Osol(1980)において提供される。
【0050】
ワクチンの異質性は、少なくとも2つのインフルエンザウイルス株、例えば2〜20株又はその任意の範囲もしくは数値に関して、複製インフルエンザウイルスを混合することにより提供することができる。
【0051】
本発明に従う医薬組成物は、少なくとも1つの化学療法化合物、例えば遺伝子療法に関しては、免疫抑制剤、抗炎症剤又は免疫増強剤、ワクチンに関しては、γ-グロブリン、アマンタジン、グアニジン、ヒドロキシベンズイミダゾール、α-インターフェロン、β-インターフェロン、γ-インターフェロン、α-腫瘍懐死因子、チオセミカルバゾン、メチサゾン、リファンピン、リバビリン、ピリミジンアナローグ、プリンアナローグ、フォスカーネット、ホスホノ酢酸、アシクロビル、ジデオキシヌクレオシダーゼ、プロテアーゼインヒビター、又はガンシクロビルを含むがこれらに限定されない化学療法剤を更に又は追加的に含む。
【0052】
組成物は、エンドトキシンを含まない少量のホルムアルデヒドを除く変動、及び組成物が投与された生物に安全でありかつ望ましくない効果を与えないことが見出されている保存料を含んでもよい。
【0053】
医薬目的
組成物(又はそれが誘導する抗血清)の投与は、「予防」又は「治療」目的のいずれかでよい。予防的に提供される場合には、ワクチンである本発明の組成物は、病原性感染症の任意の症状又は臨床的兆候が明らかになる前に提供される。組成物の予防的投与は、任意の次の感染を予防し又は弱めるために役立つ。予防的に提供される場合には、本発明の遺伝子療法組成物は、疾患の任意の症状又は臨床的兆候が明らかになる前に提供される。組成物の予防的投与は、疾患に関連する1以上の症状又は臨床的兆候を予防し又は弱めるために役立つ。
【0054】
治療的に提供される場合には、弱毒化又は不活性化ウイルスワクチンは、具体的感染症の症状又は臨床的兆候の検出に提供される。化合物(複数)の治療的投与は、任意の具体的感染症を弱めるために役立つ。例えばBerlow他,1992;及びAvery,1987を参照。治療的に提供される場合には、遺伝子療法組成物は、疾患の症状又は臨床的兆候の検出に提供される。化合物(複数)の治療的投与は、当該疾患の症状又は臨床的兆候を弱めるために役立つ。
【0055】
従って、本発明の弱毒化又は不活性化ワクチン組成物は、(予想される感染を予防又は弱めるために)感染の開始前又は具体的感染の始まり後に提供することができる。同様に、遺伝子療法では、組成物は、障害もしくは疾患の任意の症状又は臨床的兆候が明らかになる前に、又は1以上の症状が検出された後に、提供することができる。
【0056】
組成物は、その投与がレシピエント哺乳動物によって寛容される場合には、「薬理的に許容される」と言われる。投与される量が生理的に有意である場合には、かかる薬剤は、「治療上有効量」で投与されると言われる。レシピエント患者の生理に検出できる変化が起こる場合、例えば、感染性インフルエンザウイルスの少なくとも1株に対して、少なくとも1つの一次的もしくは二次的体液性免疫応答又は細胞性免疫応答を亢進する場合には、本発明の組成物は、生理的に有意である。
【0057】
提供される「保護」は決して絶対である必要はない。すなわち、対照群又は哺乳動物群と比べて統計的に優位な改善がある場合には、インフルエンザ感染が完全に予防又は絶滅している必要はない。インフルエンザウイルスの感染の症状の始まり又は臨床的兆候の重度又は迅速性の緩和に、保護を限定してもよい。
【0058】
医薬的投与
本発明の組成物は、受動免疫又は活性免疫のいずれかによって、1以上の病原体に対する耐性、例えば1以上のインフルエンザウイルス株を提供する。活性免疫では、不活性化又は弱毒化生ワクチン組成物は、宿主(例えば哺乳動物)に予防的に投与され、投与に対する宿主免疫応答は、感染及び/又は疾患に対して保護する。受動免疫に関しては、誘導抗血清が回収され、少なくとも1つのインフルエンザウイルス株によって感染を引き起こす疑いのあるレシピエントに投与することができる。本発明の遺伝子治療組成物は、活性免疫により、所望の遺伝子産物の予防的又は治療的レベルを与える。
【0059】
1つの実施態様では、ワクチンは、(胎盤を通して又は母乳中の抗体の受動的取り込みにより)雌及び胎児又は新生児の両方を保護するために役立つ免疫応答の生成を引き起こすために十分な時間及び量の条件下で、(妊娠又は出産前の)雌の哺乳動物に提供される。
【0060】
従って、本発明は、障害又は疾患、例えば少なくとも1つの病原体株による感染を予防又は軽減する方法を含む。本明細書で用いるように、投与が、疾患の臨床的兆候又は症状の全体的又は部分的軽減(すなわち抑制)、又は疾患に対する個体の全体的又は部分的免疫のいずれかをもたらす場合には、ワクチンは疾患を予防又は軽減すると言われる。本明細書で用いるように、投与が、疾患の臨床的兆候又は症状の全体的又は部分的軽減(すなわち抑制)、又は疾患に対する個体の全体的又は部分的免疫のいずれかをもたらす場合には、遺伝子療法組成物は疾患を予防又は軽減すると言われる。
【0061】
本発明の少なくとも1つのインフルエンザウイルス単離物は、付活性化又は弱毒化されているウイルス、その1以上の単離ウイルス性タンパク質、その1以上のウイルス性タンパク質をコードする1以上の単離核酸分子、又はその組み合わせを含み、意図した目的を達成する任意の方法によって投与することができる。
【0062】
例えば、かかる組成物の投与は、様々な非経口経路、例えば皮下、静脈内、皮内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、経口又は経皮的経路でよい。非経口投与は、ボーラス注射又は長時間の漸進的輸注によって達成することができる。
【0063】
インフルエンザウイルス関連病原体を予防、抑制又は治療する典型的投薬計画は、本明細書に記載のワクチン組成物の有効量の投与を含む。当該組成物は、最高1週間〜約24ケ月の期間まで、又は本明細書に記載の任意の範囲もしくは数値で、単回治療として投与されるか又は増加投薬もしくは追加投薬として反復される。
【0064】
本発明によれば、組成物の「有効量」は、所望の効果を達成するために十分な量である。有効量は、レシピエントの種、年齢、性別、健康状態及び体重、同時治療法の種類、もしあれば治療の頻度、及び所望の効果の性質に依拠する、ことが理解される。下記の有効量の範囲は、本発明を限定するものではなく、用量範囲を示すことを意図する。
【0065】
動物例えば成哺乳動物用の生弱毒化又は殺傷ウイルスワクチンの用量は、約102〜1015、例えば103〜1012プラーク形成単位(PFU)/kg又はその任意の範囲もしくは数値でよい。不活性化ワクチン用量は、HAタンパク質の約0.1〜1000、例えば30〜100 μgの範囲でよい。しかしながら、投薬量は、出発点として存在するワクチンを用いて慣用的方法によって決定される安全かつ効果的量であるべきである。
【0066】
複製ウイルスワクチンの各用量における免疫応答HAの投薬量は、好適な量、例えば30〜100 μg又はその任意の範囲もしくは数値、又は政府機関によって推奨されるもしくは専門機関によって理解される量を含むと、標準化されている。しかしながら、NA量についても、この糖タンパク質が精製及び保存中に安定である量が標準化されている。
【0067】
ウマインフルエンザウイルスの組成物及び投薬量
ウマインフルエンザワクチンは、一般的に、不活性化全ウイルス又はそのサブユニットのいずれかとして、H7N7及びH3N8サブタイプの代表株を含む。それは、抗体を表面糖タンパク質、特にウイルス結合及び細胞への移入に必須であるHAに誘導することによってインフルエンザに対する保護、及び/又は他のウイルスタンパク質に対する潜在的に重要な細胞介在免疫応答を提供する。ワクチン接種は、インフルエンザを予防するには有用であるが、ウマがウイルスとどのように接触するかに従ってワクチン接種の頻度は変動するのでその保護は短命(慣用的不活性化ウイルスワクチンを使用して、3〜4ケ月)である(表1参照)。一次経過の一般的方法は、単一用量によるワクチン接種、その後、3〜6週間後の第二用量によるワクチン接種である。ワクチン製造者は、6〜12ケ月間隔で追加ワクチン接種を行うことを推奨する。あるいは、最初は、1〜2 ml用量、例えば筋肉内(IM)注射、第二は、3〜4週間後に異なった注射部位に1〜2 ml用量、例えばIM注射によって、及び場合により第三は、1〜2 ml用量、例えばIM又は鼻腔内(IN)により、ウマは投与される。ワクチンの各1〜2 ml用量は、約1〜5000億のウイルス粒子、好ましくは1000億ビリオン粒子を含んでもよい。例えば板張りの馬屋、訓練センター、競馬場、ショー及び他のこのようなイベントにおいて非常に多数のウマと接触するウマは、2〜3ケ月毎に頻繁にワクチン接種される。3-用量一次系は、年齢に関係なく、推奨された2-用量系よりもより高くかつ持続的免疫を誘導することが判明した。
【0068】
慣用的ワクチンを用いて、ワクチン接種の一次経過の後に数年間、4〜6ケ月の間隔で若いウマ、特に競走馬及び他の競走ウマをワクチン接種することが好ましい。ワクチン製造者によって推奨される第二から第三のワクチン接種の追加ブースターワクチン接種の包含は、若いウマには有益である。毎年の追加ワクチン接種は、子馬のときから定期的にワクチン接種を受けてきたより老齢のウマ、例えばショージャンパー及び雌ウマの血統に十分であろう。現在発症しているものに対するワクチン接種は時々実施されるが、新たにワクチン接種されたウマが感染に曝露される前に少なくとも7〜10日の間隔を設けなければ、おそらく効果的ではない。ウマインフルエンザ発症はヒトほど季節的ではないが、異種分野のウマが集まり、混合するセール又はレースに関連することがよくある。そのため、かかるイベントの前に時間的に追加のブースターワクチン接種を行うことが有利である。
【0069】
雌ウマの血統は、子馬の初乳抗体の十分な供給を確実にするためには、妊娠後期、但し子馬が生まれる前の2週間より前にワクチン接種するべきである。子馬のワクチン接種は、3〜6月齢で開始するべきであり、4〜7月でブースター接種、再度5〜8月でブースター接種を行い、子馬が曝露の高い危険性である場合には毎3ケ月繰り返すべきである。
【0070】
【表1】

【0071】
インフルエンザワクチンは、破傷風又はヘルペスウイルス抗原、及び他の病原体、例えばウマ病原体と混合してもよい。破傷風毒素によって起こる免疫応答は、インフルエンザ抗原によって誘導される応答よりもかなり持続的である。従って、強力なインフルエンザワクチン接種プログラムでは、インフルエンザを含むワクチンのみが好ましい。
【0072】
ウマの保護に必要とされるSRH試験によって測定される抗体レベルは、ワクチン接種及び負荷試験、及び当該分野のデータから特定される。ウマにおけるHAに対するワクチン誘導抗体応答は著しく短命であるため、全ウイルスワクチンに対する免疫応答の増幅及び期間を増加させるために、アジュバント例えば水酸化アルミニウム又はカルボマーが、通常含まれる。免疫刺激複合体(ISCOMs)を含有するサブユニットウマインフルエンザワクチンも免疫原性である。
【0073】
経験的に、不活性ワクチン中の抗原量は、HAのヒヨコ細胞凝集(CCA)単位の点から表され、効力は、ギニアピッグ及びウマで誘導されるHI抗体応答の点から表されてきたが、いずれも再現性のある結果を与えない。単一ラジカル分散(SRD)試験は、(HAのミリグラムであらわされる)免疫学的に活性なHAの濃度を測定する改良in vitro効力試験であり、アジュバントの添加前のプロセス試験で用いられる。
【0074】
本発明は以下の非限定的実施例によって更に説明される。
【実施例】
【0075】
生後直ぐに判った異常な精神作用(精神状態)の評価のために、約36時間齢のMorgan/Friesian子馬をウィスコンシン大学の大きな動物病院に照会した。出産は観察しなかったが、子馬は、数時間齢でフェンスにより雌馬から離れていることが判った。最初に見たときは、子馬は歩行可能で授乳されたが、次の36時間には方向感覚を失い、見た目にはっきりと目が見えず、目的もなくさまよっていた。24時間齢でのSNAP免疫グロブリンG(IgG)試験(Idexx Labratories, Weatbrook, ME)は、IgG濃度>800 mg/dLを示し、その時点で行ったCBCは通常であった。照会前に、5%デキストロースで希釈したジメチルスルホキシド1 g/kg IVで2回、子馬を処理した。
【0076】
診察時には、子馬は目的なくさまよい、物体にぶつかりそして鈍く目が見えないようであったが、光には瞳孔が反応した。雌馬のそばに置くと、子馬はうまく授乳された。身体的試験では問題なかった。放射性免疫拡散法で測定した937 mg/dL血清IgG濃度を含み、CBC及び血清生化学検査は通常であった。
【0077】
推定酸素血症、虚血脳障害の初期治療は、1時間、20%硫酸マグネシウムの250 mLローディング用量後に、42 mL/時間の一定速度輸注及び塩酸チアミン 2.2 mg/kg IV q24時間を含んだ。抗菌療法は、アミカシン 20 mg/kg IV q24時間及びプロカインペニシリンG 22,000 U/kg IM q12時間からなる。オメプラゾール 1 mg/kg PO q24時間も、胃潰瘍の発症を予防するために子馬に投与した。
【0078】
子馬の精神状態は次の24時間は平静状態を維持し、入院して2及び3日目のマンニトール 1 g/kg IV q24時間及びデキサメタソンナトリウムリン酸塩 0.1 mg/kg IV q24時間の追加治療は改善には関係しなかった。3日目には、子馬は、頭蓋及び近位脊髄のコンピュータ断層撮影のために通常の麻酔を受けたが、普通であった。脳脊髄液試料を腰仙間隙から得たが、細胞学的評価は通常であり、通常のタンパク質濃度を有していた。
【0079】
入院して4日目には、子馬は右側に頭を傾けたが、入院して5日目には平静を維持した。5日目には硫酸マグネシウム療法を中止したが、残りの治療計画は変更しなかった。6日目には、子馬は2回、短い一般的発作を起こした。これは、ミダゾラム 0.05 mg/kg IVでコントロールした。発作の間、子馬は元気で熱がなく、そして授乳を受けた。
【0080】
入院して7日目には、子馬は熱が出て(40℃)、粘液膿性の鼻汁を排出し、聴診すると偶発的なカチカチという音及びゼーゼーという音が拡散する、進行性頻脈を発症していた。先の7日間、熱、及び咳がいくつかの他の雌馬、及び新生馬ケア・ユニット中の子馬で認められた。抗菌療法を、ゲンタマイシン 6.6 mg/kg IV q24時間を含むチカルシリン/クラブラニック酸 50 mg/kg IV q8時間に変更し、子馬をポリイオン性液体で処理した。但し、子馬は未だ授乳を受けていた。8〜10日間で、子馬の神経状態は改善され続け、頭が傾くのがなくなり、通常の精神状態に戻ったが、頻呼吸、呼吸困難及び偶発的肺音が悪化した。この時点での胸部X線撮影は悪く、気管支間質性パターンを示した。遅い輸注でのアミノフィリン 0.5 mg/kg IV q12時間及び酸素の鼻腔吸入を入院の9及び10日目に開始した。連続動脈血ガス分析は、10日目の最後には、低酸素血症(PaO2,52 mmHg)、炭酸過剰(PaCO2,68.4 mmHg)及び低酸素飽和度(76%)を特定した。次に、子馬を機械的人工呼吸器に入れた。人工呼吸器の支援及び全身性非経口栄養を、動脈血ガス値が100%酸素で標準化する時期である48時間継続した。抗菌療法を以前のように継続した。人工呼吸器の支援を除いた13日目の負荷試験では、子馬は重度の呼吸困難及びチアノーゼを発症し、馬主の希望により安楽死させた。13日目に得られた経気管抽取の好気的培養は、チカルシリン/クラブラニック酸及びゲンタマイシンの耐性クレブシエラ・ニューモニアイ(Klebsiella pneumoniae)及び大腸菌を増殖した。
【0081】
完全なかつ組織病理学的解剖検査、並びに鼻汁試料中のウマヘルペスウイルス(EHV)-1及びEHV-4の存在に関するリアルタイム定量ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)評価;ウマウイルス性動脈炎ウイルスへの曝露があるかを決定する血清試験;及びDirectigen Flu A試験(Bectin Dickinson and Co., Franklin, NJ)及びインフルエンザウイルスの存在を試験するための鼻汁試料からのウイルス単離を行った。鼻汁試料をダクロンスワブで集め、リン酸緩衝生理食塩水、0.5%ウシ血清アルブミン、及びペニシリンG、ストレプトマイシン、ナイスタチン及びゲンタマイシンを含む2 mlのウイルス輸送培地に置いた。鼻汁スワブ試料を入院8日目に回収した。インフルエンザウイルスの追跡評価は、インフルエンザ核タンパク質(NP)発現の存在についての、簡易凍結の、ホルマリンで固定された肺、内臓及び中枢神経系組織に関する免疫組織化学、冷凍肺組織からのウイルス単離及びウイルス配列解析を含んだ。巨視的な死後の検査は、重度の拡散性の間質性肺炎、及び下垂体の周囲の脳の腹側尾表面上の硬膜下血腫と同定した。他の器官では敗血症又は病原体の証拠はなかた。肺の組織病理学的試験は、壊死を起こす気管支炎及び気管支梢炎、拡散性扁平上皮化生及び多病巣性間質性肺炎と同定した。軽い単核浸潤は下気道を覆い、場合により鬱血及び滲出に関連する肺胞破壊領域を覆った。脳組織の評価は、心室系の軽い拡張と共に、拡散性の大脳、特に小脳の白質液胞形成を示した。複数の分画について、ミエリンの存在についてクレシルバイオレット染色を行った。同時に行った、年齢が一致する染色済の対照由来の組織と比べると、脳及び脊髄のミエリンを示す以外は小さかった。中枢神経系における追加の病理組織学的異常は、小脳内に分子層が明らかに存在しなかった。ウマウイルス動脈炎の血清試験、及びEHV-1及びEHV-4 DNAのリアルタイムPCR試験は陰性であった。
【0082】
鼻汁中のインフルエンザウイルスの存在は最初に、陽性Directigen試験によって確認した。先の試験は、ウマ鼻汁試料に適用した場合の、この試験の感度及び特異性を記録している(Morely他, 1995及びChambers他,1994)。鼻スワブ輸送培地試料も、ニワトリ幼虫形成卵の尿膜空洞、及び24ウェル細胞培養プレート内で増殖するMadin-Darbyイヌ腎(MDCK)に接種した。インフルエンザウイルスの増殖に一致する細胞病原性効果を接種MDCK細胞で観察し、ニワトリの赤血球の血球凝集を引き起こした薬剤を接種卵から単離した(Palmar他,1975)。MDCK細胞培養物中のインフルエンザウイルスの存在を、同一プレート上で、抗-NPモノクローナル抗体(Mab)68D2(親切にも、ウィスコンシン・マジソン大学の獣医学スクールのYoshihiro Kawaoka博士より頂戴した)、陽性(ブタインフルエンザウイルス接種)及び陰性(モック接種)対照細胞と共に、接種細胞の免疫細胞化学染色(Landolt他,2003)によって確認した。H3-サブタイプウマインフルエンザウイルウとしてのウイルスの同定は、Olsen他(1997)に記載のプライマーを用いる、単離物からの血球凝集(HA)遺伝子の逆転写-PCR増幅、その後、HA遺伝子の領域をコードする完全長タンパク質のサイクルシークエンス、及びGenBankで入手できるウイルス配列に対する二つ一組の比較、によって確認した(DNASTARソフトウェア, version 4.0, Win32, Bestfit, Madison, WI)。このウイルスは、参照ウイルス株を、1,000ブーストラップ複製の最初の発見検索と比べたHA配列の最大構文ブートストラップ解析(PAUPソフトウェア,version 4.0B6; David Swofford, Smithsonian Institution, Washington, DC)を使用した系統発生解析によって、東アメリカ系H3ウマインフルエンザウイルスに由来することが判った。非構造的タンパク質遺伝子(配列決定された544ヌクレオチド)及びNP遺伝子(配列決定された885ヌクレオチド)のヌクレオチド配列部分に関する同様の解析により、東アメリカ系ウマインフルエンザウイルスであるとの当該ウイルスの同定を確認した。ここで、このウイルスは、A/Equine/Wisconsin/1-03と同定された。図1は、当該ウイルスの各遺伝子のコード領域の配列を提供する。
【0083】
インフルエンザウイルスの存在は、子馬の肺及び他の組織でも評価した。具体的には、Mab 68D2による免疫組織化学は、凍結及びホルマリン固定肺組織中に、拡散性で、幅広く分散した領域(主に、気道の周囲に存在する)のインフルエンザウイルスNP発現を示した。NP発現は、他の内臓又は中枢神経系では見られなかった。加えて、インフルエンザウイルスを、凍結肺組織試料からMDCK細胞から単離した(そして、免疫細胞化学及びHA遺伝子シークエンスによって確認した)。
【0084】
新生馬の急性呼吸困難症候群(ARADS)は、細菌性敗血症(Wilkins, 2003; Hoffman他, 1993)、周産期EHV-1(Frymus他、1986; Gilkerson他, 1999)及びEHV-4(Gilkerson他, 1999)、及び馬ウイルス性動脈炎感染(Del Piero他, 1997)の結果として報告されている、ごく低度の気道疾患は場合により、アデノウイルス及びEHV-2感染、特に免疫不全症患者で報告されている(Webb他, 1981; Murray他, 1996)。気管支間質性肺炎及びARDSは、細菌感染及びウイルス感染を含む様々な可能性のある原因を有するより年上の子馬の死亡率の高い呼吸器疾患である(Lakritz,1993)。それは、敗血症ショックを経験する新生馬又は拡散性気管支間質性肺炎を有するより年上の子馬のいずれかで起こり、ARDSは、急性発症、急性進行かつ重度の頻呼吸によって特徴付けられる。ARDSを伴う、呼吸努力の増加、チアノーゼの悪化及び高炭酸は、積極的治療法に対して反応が弱いことがよくある(Wilkins, 2003; Lakritz,1993)。それは、様々な可能性のある原因を有し、かつ抗菌剤、酸素、抗炎症剤、気管支拡張剤及び体温調節コントロールによる強力な治療にもかかわらず、一般的に30%を越える死亡率を有する呼吸器疾患のカテゴリーに入る。ウマインフルエンザは、は、世界中でウマの上気道疾患のよく知られた原因であるが(Wilkins, 2003; Van Maanen他,2002; Wilson 1993)、新生馬におけるこの疾患の発現兆候についての文献にはほとんど情報がない。1つの報告は、A型ウマインフルエンザが単離された7日齢の子馬の気管支間質性肺炎を記載している(Britton他,2002);この子馬は本明細書に記載の子馬に似ている。
【0085】
この試験で詳述した子馬は、2-又は3-週間、発熱し、粘液膿性の鼻汁を出し及び咳をした様々な入院ウマの内の1頭であった。高度な危険性を有する新生馬を含む、他の疾患ウマの臨床的兆候は、熱及び食欲不振の軽い全身的症状を除いて、一般的に上気道に限定される。この子馬の重度の肺不全の原因は不明である。治療は、強力な免疫抑制剤であるドキサメタソン及び診断法のための一般的麻酔を含み、これらのいずれも子馬に肺炎を発症しやすくした。呼吸器疾患の発症及び進行に対する子馬の神経的疾患の影響も、不明である。拡散性空砲形成の組織学的発見、中枢神経系のミエリン減少及び小脳内の分子層の不在は、任意の特別な臨床的診断又は組織病理学的診断とは適合しない。子馬は呼吸の中枢制御を損なっていた。それは、呼吸の制御に関連する脳部位(橋及び延髄)は拡散性空砲形成を示し、ミエリン染色を減少したからである。その結果生じる任意の換気障害は、入院後数日までに換気機能の正常化を生じる最終事象であったかもしれない。しかしながら、生まれつきの異常精神状態、空砲形成、中枢神経系でのミエリン形成の減少及び小脳異常は、呼吸器機能の悪化に対して反応する子馬の能力を損なった、共同的先天性神経異常の兆候である。脳の腹側尾部分で観察される限局性出血は軽く、おそらく、子馬が経験した発作の1つにおける損傷の結果であった。
【0086】
雌馬を、過去2年間、インフルエンザに対して半年度に殺傷産物でワクチン接種し、妊娠後期に追加ワクチン接種した。子馬では十分に受動伝達される事実を考慮すると、これらの抗体は明らかに子馬を十分に保護しなかった。更に、子馬から得られた単離物の系統発生解析は、それをH3N8サブタイプとして特徴付け、妊娠後期の雌馬をワクチン接種するために使用した市販の産物は、同一のサブタイプのインフルエンザウイルス株を含有していた。これは、受動伝達が、ある環境下での自然感染に対して保護することを保証できない、ことを示唆する。ワクチン効力のこのような欠如は、あるH3N8ウイルス株での自然感染から起こる臨床的呼吸器疾患に対して大人を保護するための、商業的に入手できるH7N7及びH3N8ウマインフルエンザウイルスワクチンの不具合について記載する、Mumford他(2003)の近年の研究と一致する。死亡時に所定の場所で抗菌剤投薬計画に耐性を示す2つの細菌種の気管を経た回収は、インフルエンザが死の唯一の原因であったという結論を混乱させる。しかしながら、死後検査は、肺血症について何ら巨視的又は組織病理学的証拠は同定されず、インフルエンザウイルスといくつかの細菌性病原体との相乗作用により、死亡率が増加する肺炎を引き起こす(McCullers他,2003;Simonsen,1999)。更、ウイルスが最初に鼻咽腔スワブから回収された6日後に、死体から得た肺組織からの感染性ウイルスの単離、及び当該肺組織由来のウイルス性抗原の免疫組織化学的例証は、この子馬の呼吸器不全のインフルエンザウイルスから起こる強力な病原体寄与の証拠を提供する。
【0087】
一次イヌ気道上皮細胞中の家禽、ウマ、ヒト及びブタ系ウイルスの増殖特性を比較し、及びそれらの増殖特性に与える種の影響を研究するために、培養細胞を、A/Equime/Wisconsin/1/03を含むウイルスを用いてMOI 3で感染させ、最高10時間までインキュベートした。他のウイルスは、6種のA型ヒト及びブタインフルエンザウイルス単離物を含んだ(A/Phillipines/08/98,A/Panama/2002/99,A/Costa Rica/07/99;A/Swine/North Carolina/44173/00,A/Swine/Minnesota/593/99,A/Swine/Ontario/00130/97)及び2種のウマインフルエンザウイルス(A/Equine/Kentucky/81及びA/Equine/Kentucky/91)。免疫細胞化学及びフローサイトメトリー分析のために、実験の最後には、細胞をホルマリンで固定した。
【0088】
上記の、6種のヒト及びブタインフルエンザウイルス単離物は、実質的に全て(80〜90%)のイヌ気道上皮細胞に感染し、当該細胞中で高力価(105.3〜107 TCID50/ml)まで増殖した。A/Equine/Kentucky/81及びA/Equine/Kentucky/91は、その感染性が高度に制限され、ほとんど(A/Equine/Kentucky/81に関しては、101.7 TCID50/ml)又は(A/Equine/Kentucky/91に関しては)全く、ウイルス増殖が観察できなかった。反対に、A/Equime/Wisconsin/1/03は、一次イヌ気道上皮細胞のより高いパーセンテージ(約30%)で感染し、当該細胞内で、実質的に高力価(約104.8 TCID50/ml)で増殖した。この結果は、試験した全てのA型インフルエンザウイルスがイヌの一次気道上皮細胞に感染することができる、ことを証明した。しかしながら、ウイルスの感染性及び複製性は、系統依存性が強かった。
【0089】
Dubovi他(2004)は、フロリダの競争用ケネルのグレイハウンド犬の咳及び発熱によって特徴付けられる、重度の呼吸器疾患の再発性発症を報告した。ほとんどの感染犬は回復したが、何頭かは間質性肺炎により死に至った。間質性肺炎症候群で死亡した犬の5頭由来の肺組織を、アフリカミドリザル腎上皮細胞(Vero)、Madin-Darbyイヌ腎上皮細胞(MDCK)、一次イヌ腎上皮細胞、一次イヌ肺上皮細胞、一次イヌ精巣上皮細胞、イヌ腫瘍線維芽細胞(A-72)及びヒト結腸直腸腺癌上皮細胞(HRT-18)における、ウイルス単離試験に供した(Dubovi他,2004)。MDCK細胞の細胞病理学は、犬の1頭由来の肺ホモジネートの第一通過に注目し、トリプシンなしで培養した細胞の次の通過に関する細胞病理学の喪失は、培養上清中の赤血球凝集活性の存在と合わせて、インフルエンザウイルスの存在を示唆した(Dubovi他,2004)。このウイルスは、マトリックスイ遺伝子に特異的なプライマーを用いるPCRにより、インフルエンザウイルスと最初に同定した。イヌインフルエンザイウイルスはA/Canine/Florida/43/04株と指定された。肺からのウイルス単離に基いて、免疫組織化学による肺組織中のウイルス抗原の存在、及びDubovi他(2004)の血清変換データは、単離インフルエンザウイルスが、Jacksonville 2004発症中、競争用グレイハウンドにおいて、致死性の出血性肺炎の原因となる因果関係薬剤である可能性が最も高く、及びこれは、イヌの呼吸器疾患に関連するウマインフルエンザウイルスの最初の報告である、と結論した(Dubovi他(2004)。イヌ単離物のHAタンパク質は、A/Equine/Wisconsin/1/03株とは6アミノ酸が相違する。
【0090】
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【0091】
全ての刊行物、特許及び特許出願は、本明細書に参考として援用されている。先の明細書では、本発明をその好ましいある実施態様と関連付けて記載し、多くの詳細を例証のために記載してきたが、本発明が追加の実施態様を許容し、本明細書に記載のある詳細が本発明の基本的原則を逸脱することなく、かなり変動することができる、ことは当業者であれば明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1を有するHA、又は位置78のバリンもしくは位置159のアルギニンを有さない配列番号1と実質的に同一のアミノ酸配列を有するHAを含む、単離H3ウマインフルエンザウイルス。
【請求項2】
以下の少なくとも1つを含む、請求項1記載の単離ウマインフルエンザウイルス:配列番号2又は配列番号2と実質的に同一のアミノ酸配列を有するNA、配列番号3又は配列番号3と実質的に同一のアミノ酸配列を有するPB1、配列番号4又は配列番号4と実質的に同一のアミノ酸配列を有するPB2、配列番号5又は配列番号5と実質的に同一のアミノ酸配列を有するPA、配列番号6又は配列番号6と実質的に同一のアミノ酸配列を有するNP、配列番号7又は配列番号7と実質的に同一のアミノ酸配列を有するM1、配列番号17又は配列番号17と実質的に同一のアミノ酸配列を有するM2、配列番号8又は配列番号8と実質的に同一のアミノ酸配列を有するNS1、及び/又は配列番号18又は配列番号18と実質的に同一のアミノ酸配列を有するNS2。
【請求項3】
配列番号1〜8、17又は18の少なくとも1つをコードする核酸配列に対応するネガティブ鎖核酸を含む、請求項1記載の単離ウマインフルエンザウイルス。
【請求項4】
配列番号1を有するHA及び配列番号2を有するNAを有する、請求項1記載の単離ウマインフルエンザウイルス。
【請求項5】
配列番号1と実質的に同一のアミノ酸配列を有するインフルエンザウイルスHA、配列番号2と実質的に同一のアミノ酸配列を有するインフルエンザウイルスNA、配列番号3と実質的に同一のアミノ酸配列を有するインフルエンザウイルスPB1、配列番号4と実質的に同一のアミノ酸配列を有するインフルエンザウイルスPB2、配列番号5と実質的に同一のアミノ酸配列を有するインフルエンザウイルスPA、配列番号6と実質的に同一のアミノ酸配列を有するインフルエンザウイルスNP、配列番号7と実質的に同一のアミノ酸配列を有するインフルエンザウイルスM1、配列番号17と実質的に同一のアミノ酸配列を有するインフルエンザウイルスM2、配列番号8と実質的に同一のアミノ酸配列を有するインフルエンザウイルスNS1、配列番号18と実質的に同一のアミノ酸配列を有するインフルエンザウイルスNS2の核酸部分、又は当該核酸部分の相補鎖を含む単離ポリヌクレオチドであって、HAの当該核酸部分が位置78のバリン又は位置159のアルギニンをコードしない、前記ポリヌクレオチド。
【請求項6】
前記核酸部分が、配列番号9〜16の1つと実質的に同一の核酸配列、又はその相補鎖を有する、請求項5記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項7】
作動可能に結合したプロモーター及び/又は転写終結配列を更に含む、請求項5記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項8】
前記核酸部分がセンス方向にある、請求項7記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
前記核酸部分がアンチセンス方向にある、請求項7記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
前記核酸部分の末端に5'及び3'インフルエンザウイルス配列を含む、請求項5記載のポリヌクレオチド。
【請求項11】
配列番号1〜8又は17〜18の1つと実質的に同一のアミノ酸配列を有する単離ポリペプチドであって、配列番号1と実質的に同一のアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドが位置78のバリン又は位置159のアルギニンを有さない、前記ポリペプチド。
【請求項12】
インフルエンザvRNA及び/又はタンパク質産生のための1以上のベクターを含む組成物であって、少なくとも1つのベクターが、請求項5記載の単離ポリペプチドの核酸部分の少なくとも1つに作動可能に結合し、場合により転写終結配列に結合したプロモーターを含む、前記組成物。
【請求項13】
各ベクターが異なった核酸部分を有する2以上のベクターを含む、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
HA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M又は場合によりM1及び/又はM2、及びNS又は場合によりNS1及び/又はNS2のためのベクターを含む、請求項12記載の組成物。
【請求項15】
HA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、M2、NS1又はNS2の1つを除いて全部についての機能性インフルエンザウイルスタンパク質の読み取り枠を有するベクターを含む、請求項12記載の組成物。
【請求項16】
所定のDNAを含有するベクターを更に含む、請求項12記載の組成物。
【請求項17】
所定のDNAを含有する前記ベクターが、インフルエンザウイルスベクターである、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
各ベクターが、インフルエンザウイルスベクターである、請求項14又は15の組成物。
【請求項19】
所定のDNAを含有するベクターを更に含む、請求項18記載の組成物。
【請求項20】
所定のDNAを含有する前記ベクターが、インフルエンザウイルスベクターである、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
所定の前記DNAが、病原体の免疫原性ポリペプチドもしくはペプチド又は治療的ポリペプチドもしくはペプチドをコードする読み取り枠を含む、請求項16又は19記載の組成物。
【請求項22】
家禽又は哺乳動物細胞を請求項1のウイルスと接触させるステップを含む、インフルエンザウイルスの製造法。
【請求項23】
前記ウイルスを単離するステップを更に含む、請求項22記載の製造法。
【請求項24】
請求項23記載の方法によって得られる単離ウイルス。
【請求項25】
請求項1又は24記載のウイルスに感染した細胞。
【請求項26】
請求項1又は24記載のウイルスの有効量を哺乳動物に投与するステップを含む、インフルエンザに対して哺乳動物を免疫する方法。
【請求項27】
前記哺乳動物がイヌ又はウマである、請求項26記載の方法。
【請求項28】
インフルエンザ感染に対して予防的又は治療的反応を誘導するために十分な量で請求項1又は24記載のウイルスを含むワクチン。
【請求項29】
異なった単離インフルエンザウイルスを更に含む、請求項28記載のワクチン。
【請求項30】
前記単離ウマインフルエンザウイルスが弱毒化ウイルスである、請求項28記載のワクチン。
【請求項31】
前記単離ウマインフルエンザウイルスが組換えウイルスである、請求項28記載のワクチン。
【請求項32】
前記ウマインフルエンザウイルスが、化学的、物理的又は分子的手段により改変されている、請求項28記載のワクチン。
【請求項33】
アジュバントを更に含む、請求項28記載のワクチン。
【請求項34】
薬学的に許容される担体を更に含む、請求項28記載のワクチン。
【請求項35】
前記担体が、鼻腔内又は筋肉内投与に好適である、請求項34記載のワクチン。
【請求項36】
凍結乾燥形態である、請求項28記載のワクチン。
【請求項37】
抗-インフルエンザウイルス抗体を含むと疑われる動物の生理的試料を請求項1又は24記載のウイルスに接触させるステップ;及び、当該試料が当該ウイルスに特異的な抗体を含むか否かを決定するステップ、を含む診断方法。
【請求項38】
抗-インフルエンザウイルス抗体を含むと疑われる動物の生理的試料を請求項11記載の単離HAポリペプチドに接触させるステップ;及び、当該試料が当該単離HAポリペプチドに特異的な抗体を含むか否かを決定するステップ、を含む診断方法。
【請求項39】
インフルエンザウイルスの種特異的複製を検出する方法であって、以下:
(a)1以上の単離インフルエンザウイルスを一次非ヒト哺乳動物気道上皮細胞に接触させるステップ;及び
(b)前記ウイルスの1以上が前記細胞内で効果的に複製するか否かを検出するステップ
を含む、前記方法。
【請求項40】
前記細胞がイヌ細胞である、請求項39記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図1I】
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【図1J】
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【図1K】
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【図1L】
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【図1M】
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【図1N】
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【図1O】
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【図1P】
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【図1Q】
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【図1R】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−99339(P2013−99339A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−98(P2013−98)
【出願日】平成25年1月4日(2013.1.4)
【分割の表示】特願2006−89224(P2006−89224)の分割
【原出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 掲載年月日:平成17年9月29日 掲載アドレス:http://www.sciencexpress.org/、 発行年月日:平成17年10月21日 刊行物名 :SCIENCE 巻数:VOL 310、 掲載年月日:平成17年10月29日 掲載アドレス:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/
【出願人】(506097988)ウィスコンシン アルムニ リサーチ ファンデイション (14)
【Fターム(参考)】