説明

HCN遮断薬としてのアミノ−ヘテロアリール誘導体

本発明は、一般式Iを有するアミノ−ヘテロアリール誘導体またはその薬学的に許容され得る塩、これを含む医薬組成物、ならびに神経障害性疼痛または炎症性疼痛などの疼痛の治療のためのこのような誘導体の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ−ヘテロアリール誘導体、これを含む医薬組成物、および慢性神経障害性疼痛の治療におけるこのようなアミノ−ヘテロアリール誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
神経障害性疼痛、または神経損傷後の自発性疼痛および異常な感度は、典型的には外傷性損傷、感染もしくは疾患、または手術に起因し、最初の損傷が治癒した後も長期間持続することがあり得る。現在使用されている治療選択肢は、多くの人に対して限定的であるか、または不充分なものである。
【0003】
HCNチャネルは、I、IまたはIとして知られる電流の分子基質である。過分極活性化型環状ヌクレオチド依存性(HCN)チャネルは、ペースメーカーチャネルとしても知られており、最初に心臓ペースメーカー細胞において確認され(Di Francesco,1993 Annu Rev Physiol.55:455−472)、また、さまざまな末梢および中枢のニューロンにも見い出されている(例えば、Notomi & Shigemoto 2004 J.Comp.Neurol.471:241−276)。このチャネルは、過分極によってゆっくり活性化され、脱分極内向き電流(心臓細胞ではI、ニューロンではIと称される)を生じさせ、ナトリウムイオンおよびカリウムイオンの両方に対して透過性である。視床、扁桃、脊髄および一次感覚ニューロンなどの神経系の疼痛処理域には、4つのHCNチャネルアイソフォームが存在している。おそらく、4つのサブユニットすべてが後根神経節(DRG)に存在していると思われ、HCN1が最も高い発現レベルを有する。これは、DRGで記録されたI電流の活性化速度論と整合する(Tuら,J Neurosci.Res.2004 76:713−722)。
【0004】
電流は、痛覚に関与している神経系の多くの領域、例えば、脊髄の膠様質、後根神経節、扁桃、前帯状皮質および視床のニューロンにおいて検出されている。I電流は、中型/大型のDRGによって優先的に示されるようであり、ほとんどのC型(小型)のDRGの細胞体には存在していないことがある(Scroggsら,J Neurophysiol.TV.271−279;Tuら,J Neurosci.Res.2004 76:713−722)。さらに、ラットにおける神経損傷(Chungモデル)では、大型のDRGにおいてI電流密度が増大し、結紮した神経においてペースメーカー駆動性の自発性活動電位が生じたと報告されている。Iチャネル遮断薬ZD 7288により、A−βおよびA−δ線維における異所性放電の発火(firing)頻度が、伝導ブロックが引き起こされることなく低減された(Leeら 2005 J Pain 417−424)。
【0005】
神経障害性疼痛モデルにI遮断薬ZD 7288を腹腔内投与すると、機械的異痛が用量依存的に逆転される(Chung/von Frey;Chaplanら 2003 J Neurosci.23:1 169−1178)。また、ZD 7288により、炎症性疼痛のラットCFAモデルにおいて異痛が抑制され、軽度の熱傷ラットモデルでは自発性疼痛が遮断される。別の研究グループにより、ラットにおいて、手術の4時間後にZD 7288を坐骨神経に局所投与すると、Brennanモデルにおいて機械的異痛が減弱されることが報告されている(Dalle & Eisenach 2005 Reg.Anesth.and Pain Med 243−248)。
【0006】
慢性的な有痛性の状態の時、炎症後の末梢感覚および神経障害と関連している神経損傷部位でのイオンチャネルの発現の変化のために、一次求心性が過剰興奮性となるという仮説がたてられる。IのZD 7288誘導性阻害により、神経損傷有髄DRGにおいて自発性活性が低減され(Yagiら,2000 Proc 9th World Congress on Pain 109−117)、そのため随伴性の疼痛が低減される。現在入手可能な前臨床データは、Iチャネル遮断薬が慢性神経障害性疼痛の治療において有用性を有することを示す。
【0007】
現在利用可能なHCN遮断薬は、すべてのHCNアイソフォームを、明白なサブタイプ選択性なく阻害するようであり、それにより、その有用性は、疼痛などの心臓以外の適応症に限定されている(Wickendenら「HCN pacemaker channels and pain:a drug discovery perspective」,Current Pharm.Design 2009,15,2149−2169)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Di Francesco,1993 Annu Rev Physiol.55:455−472
【非特許文献2】Notomi & Shigemoto 2004 J.Comp.Neurol.471:241−276
【非特許文献3】Tuら,J Neurosci.Res.2004 76:713−722
【非特許文献4】Scroggsら,J Neurophysiol.TV.271−279
【非特許文献5】Leeら 2005 J Pain 417−424
【非特許文献6】Chung/von Frey;Chaplanら 2003 J Neurosci.23:1 169−1178
【非特許文献7】Dalle & Eisenach 2005 Reg.Anesth.and Pain Med 243−248
【非特許文献8】Yagiら,2000 Proc 9th World Congress on Pain 109−117
【非特許文献9】Wickendenら「HCN pacemaker channels and pain:a drug discovery perspective」,Current Pharm.Design 2009,15,2149−2169
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
依然として、神経障害性または炎症性疼痛などの疼痛の治療に有用であり得るさらなるIチャネル阻害薬の必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のため、本発明は、神経障害性または炎症性疼痛などの疼痛の治療における使用のための、一般式I
【化1】

【0011】
(式中、
Arは、フェニルまたは1つもしくは2つの窒素原子を含む6員のヘテロアリール基を表し、これらは各々、ハロゲン、(C1〜4)アルキル、ハロ(C1〜4)アルキル、(C1〜4)アルキルオキシ、ハロ(C1〜4)アルキルオキシ、CN、(C1〜4)アルキルチオおよびハロ(C1〜4)アルキルチオから選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;
Xは、O、S、またはNRであり;
は、Hまたは(C1〜4)アルキルであり;
は、(C1〜4)アルキル、ハロ(C1〜4)アルキル、(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルまたはハロ(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルであり;
は、H、(C1〜4)アルキル、ハロ(C1〜4)アルキル、(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルまたはハロ(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルであるか;あるいは
とRが、これらが結合している炭素原子と一緒に、酸素原子を含有していてもよい飽和の3〜7員環を形成しており;
、YおよびYは、独立して、CHまたはNである;ただし、Y、YおよびYの少なくとも1つはNであるものとし、YがNのとき、YはNであるものとし;
およびRは、独立して、H、(C1〜4)アルキル、ハロ(C1〜4)アルキル、(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルであるか;あるいは
およびRが、これらが結合している窒素原子と一緒に、酸素原子を含有していてもよい飽和の3〜7員環を形成している)
を有するアミノ−ヘテロアリール誘導体またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0012】
本発明の態様は、一般式1
【化2】

【0013】
(式中、
Arは、フェニルまたは1つもしくは2つの窒素原子を含む6員のヘテロアリール基を表し、これらは各々、ハロゲン、(C1〜4)アルキル、ハロ(C1〜4)アルキル、(C1〜4)アルキルオキシ、ハロ(C1〜4)アルキルオキシ、CN、(C1〜4)アルキルチオおよびハロ(C1〜4)アルキルチオから選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;
Xは、O、S、またはNRであり;
は、Hまたは(C1〜4)アルキルであり;
は、(C1〜4)アルキル、ハロ(C1〜4)アルキル、(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルまたはハロ(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルであり;
は、H、(C1〜4)アルキル、ハロ(C1〜4)アルキル、(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルまたはハロ(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルであるか;あるいは
とRが、これらが結合している炭素原子と一緒に、酸素原子を含有していてもよい飽和の3〜7員環を形成しており;
、YおよびYは、独立して、CHまたはNである;ただし、Y、YおよびYの少なくとも1つはNであるものとし、YがNのとき、YはNであるものとし;
およびRは、独立して、H、(C1〜4)アルキル、ハロ(C1〜4)アルキルまたは(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルであるか;あるいは
およびRが、これらが結合している窒素原子と一緒に、酸素原子を含有していてもよい飽和の3〜7員環を形成している)によるアミノ−ヘテロアリール誘導体またはその薬学的に許容され得る塩であって、4−(1−{[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]スルファニル}エチル)−2−ピリミジンアミン、ならびにArがフェニルであり;XがOであり;RがCHであり;R、RおよびRがHであり;YがNであり;YがNであり;YがCHである式Iの化合物を除く、アミノ−ヘテロアリール誘導体またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0014】
但し書きは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の症状(sympton)の予防または治療に有用な化合物としての国際公開第2008/067389号(ALSGEN Inc.)の4−[1−(4−クロロフェノキシ)エチル]−2−ピリミジンアミンの開示、ならびにスクリーニングライブラリーに利用可能であるが、医薬としての有用性は未知である化合物としての4−(1−フェノキシエチル)−2−ピリミジンアミン、4−[1−[3−(トリフルオロメチル)フェノキシ]エチル]−2−ピリミジンアミン、4−[1−(2,4−ジクロロフェノキシ)エチル]−2−ピリミジンアミンおよび4−(1−{[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]スルファニル}エチル)−2−ピリミジンアミンの開示に関する。
【0015】
用語(C1〜4)アルキルは、式Iの規定において用いる場合、1〜4つの炭素原子を有する分枝または非分枝のアルキル基(ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、プロピル、イソプロピル、エチルおよびメチルなど)を意味する。好ましいのはメチルである。
【0016】
ハロゲンという用語はF、CI、BrまたはIを意味する。好ましいハロゲンはFである。
【0017】
ハロ(C1〜4)アルキルという用語において、ハロは、1つ以上のハロゲン置換基を意味する。好ましいハロ(C1〜4)アルキルはトリフルオロメチルである。
【0018】
ハロ(C1〜4)アルキルオキシという用語において、ハロは、1つ以上のハロゲン置換基を意味する。好ましいハロ(C1〜4)アルキルオキシはトリフルオロメチルオキシである。
【0019】
Arがフェニルまたはピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル、ピラジン−2−イルおよびピリミジン−2−イルから選択される6員のヘテロアリール基を表す式Iのアミノ−ヘテロアリール誘導体が好ましい。
【0020】
また、YとYがNであり、YがCHである式Iの化合物が好ましい。さらに、RがCHであり、RがHである式Iの化合物が好ましい。さらに、RおよびRがHである化合物がより好ましい。
【0021】
具体的には、神経障害性疼痛および炎症性疼痛などの疼痛の治療における使用のための本発明の好ましいアミノ−ヘテロアリール誘導体は、
(R)−4−(1−(3−フルオロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(R)−4−(1−(2−クロロ−5−フルオロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(R)−4−(1−(2,5−ジフルオロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(R)−4−(1−(2,4−ジフルオロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(R)−4−(1−(3−メトキシピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(S)−4−(1−(3−フルオロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(S)−4−(1−(2,5−ジフルオロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(4−(1−(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルチオ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(R)−4−(1−(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(R)−4−(1−(4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;および
4−(1−(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルアミノ)エチル)ピリミジン−2−アミン
またはその薬学的に許容され得る塩から選択される。
【0022】
具体的には、本発明の好ましいアミノ−ヘテロアリール誘導体は:
(R)−4−(1−(3−メトキシピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(4−(1−(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルチオ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(R)−4−(1−(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(R)−4−(1−(4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;および
4−(1−(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルアミノ)エチル)ピリミジン−2−アミン
またはその薬学的に許容され得る塩である。
【0023】
本発明のアミノ−ヘテロアリール誘導体は、有機化学の技術分野で一般的に知られた方法によって調製され得る。
【0024】
式1のアミノ−ヘテロアリール誘導体は、例えば、式2(スキーム1)(式中、X、Y〜YおよびR〜Rは、先に定義した意味を有する)の適切な化合物から調製され得る。式中のXがOまたはSである式1の化合物は、式中のXがOである式2の化合物から、試薬Ar−XH(式中、XはOまたはSであり、Arは、先に定義した意味を有する)を使用し、ミツノブカップリング条件(すなわち、テトラヒドロフランなどの溶媒中、ジアルキルアザジカルボキシレートの存在下で、トリアルキルまたはアリールホスフィン)を用いて調製され得る。また、式中のXがOまたはSである式1の化合物は、式中のXがOまたはSである式2の化合物から、試薬Ar−X’(式中、X’は、フルオロ、クロロ、メタンスルホニルまたはニトロ基などの脱離基である)を用いて調製され得る。かかる変換は、典型的には、極性非プロトン性溶媒(例えば、N−メチルピロリジノン(NMP)またはテトラヒドロフラン(THF))中で、塩基(水素化ナトリウムなど)を用いて行われる。
【0025】
スキーム1
【化3】

【0026】
式中のXがNRでありRがHまたは(C1〜4)アルキルである式1のアミノ−ヘテロアリール誘導体は、式中のXがNRである式2の化合物から、式Ar−X’の試薬(式中、X’は、フルオロ、クロロまたはニトロ基などの脱離基である)を用いて、塩基(トリエチルアミンなど)の存在下で調製され得るか、または式Ar−X”の試薬(式中、X”は、低原子価の金属種に酸化的に付加される基、例えば、クロロ、ブロモ、ヨードおよびトリフルオロメタンスルホニルである)を用いた遷移金属触媒型反応によって調製され得る。
【0027】
式2の化合物は、スキーム2に概要を示したように調製され得る。式中のRが上記に規定したとおりである式3の化合物を、適当な触媒の存在下での水素化によって、または金属水素化物試薬(水素化ホウ素ナトリウムもしくは水素化アルミニウムリチウムなど)によって還元すると、式中のXがOであり、RがHである式2の化合物が得られる。式中のRが上記に規定したとおりである式3の化合物と、一般式R−金属の有機金属試薬(式中、Rは上記の定義を有し、金属は、リチウム、トリアルキルシリルまたはハロゲン化マグネシウム部分などの種である)との反応により、式中のXがOである式2のアルコール化合物が得られる。
【0028】
キラルな試薬または触媒を用いてヒドリド付加、水素化またはアルキル含有有機金属試薬の付加を行うと、一方の立体異性体が光学的に富化された式2の化合物が得られ得る。
【0029】
スキーム2
【化4】

【0030】
式中のXがNRでありRが(C1〜4)アルキルである式2の化合物は、スキーム3に概要を示したように調製され得る。式3の化合物を、脱水剤(硫酸マグネシウムまたはチタンテトライソプロポキシドなど)の存在下で、一般式RNHのアミン種と縮合させると、式4のイミン中間体が得られ、金属水素化物試薬を用いて、もしくは水素化によって還元するか、または式R−金属の有機金属試薬で処理すると、式2の化合物が得られ得る。
【0031】
スキーム3
【化5】

【0032】
式中、XがNRでありRがHである式2の化合物は、式3の化合物を一般式YNHのアミン種(式中、Yは、ヒドロキシルまたは式SORのスルフィニル基(式中のRは、アルキルもしくは置換されていてもよいアリール基である)などの基である)と、脱水剤(硫酸マグネシウムまたはチタンテトライソプロポキシドなど)の存在下で縮合させて式5のイミン中間体を得、これを、金属水素化物試薬で直接的に還元するか、または水素化もしくは式R−金属の有機金属試薬での処理と同時にY基を除去(すなわち、式6の化合物の単離を回避)すること、あるいは、後で適当なY基の除去工程を行うことによって式2の化合物が得られ得ることにより、スキーム3に概要を示したように調製され得る。かかる経路は中間の式6の化合物を経由して行ってもよく、該化合物が、Yが純粋な一方の立体配置を有するキラル基である場合(例えば、SOR)、ジアステレオマーの分離、したがって、式中のXがNRであるである式2の単一のエナンチオマー化合物が可能となり得る。
【0033】
式中のXがNRでありRがHである式2の化合物は、還元剤(ナトリウムトリアセトキシボロヒドリドなど)の存在下での適当な(C1〜4)カルボニル含有試薬での還元的アミノ化によって、または塩基(トリエチルアミンなど)の存在下での式RX’の基(式中、X’は上記に規定したとおりである)との反応によって、式中のXがNRでありRが(C1〜4)アルキルである式2の化合物に変換させることができる。
【0034】
択一的な方法において、式1のアミノ−ヘテロアリール誘導体は、スキーム4に概要を示したように、式中のX’がクロロ、ブロモまたはニトロである式7の適切な化合物から、一般式HNRの試薬(式中、RおよびRは上記に規定したとおりである)とのN−アリール化反応を行うことにより調製され得る。式7の試薬の使用において、X’がスキーム4において上記に規定されている。かかるSAr反応には、塩基(トリエチルアミンなど)の存在が必要とされ得る。
【0035】
スキーム4
【化6】

【0036】
式1の化合物は、式中のX”が上記に規定したとおりである式8の適切な化合物から、
スキーム5に概要を示したように、一般式HNRの試薬とのN−アリール化反応を行うことにより調製され得る。この反応は、適当な遷移金属触媒型N−アリール化を使用することにより行われる。
【0037】
スキーム5
【化7】

【0038】
式7の化合物は、スキーム6に概要を示したように、スキーム1に示したものと同様の変換を用いて、式9の化合物を出発物質として調製され得る。同様に、式8の化合物は、スキーム7に概要を示したように、式10の化合物を出発物質として調製され得る。
【0039】
スキーム6
【化8】

【0040】
スキーム7
【化9】

【0041】
式中のXがOである式9の化合物は、式11の化合物から、スキーム8に概要を示したように、適当な還元剤を用いた還元または式R−金属の有機金属試薬との反応によって調製され得る。同様に、式10の化合物は、式15の化合物から、スキーム9に概要を示したように調製され得る。
【0042】
式中のXがNRである式9および10の化合物は、それぞれ、スキーム8および9に概要を示したように、スキーム3に示したものと同様の変換を用いて調製され得る。
【0043】
スキーム8
【化10】

【0044】
スキーム9
【化11】

【0045】
式中のRが上記に規定したとおりである式11および式15の化合物は、それぞれ、式20および22のエノールエーテル化合物から、それぞれ、スキーム10および11に概要を示したように調製され得る。式19および21の化合物を、それぞれ、式23のビニル金属種(式中、Mは、トリアルキルスタンナン(例えば、トリ−n−ブチルスズ)などの金属種であり、RおよびRは、独立して、H、(C1〜3)アルキル、ハロ(C1〜3)アルキル、(C1〜3)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルおよびハロ(C1〜3)アルキルオキシ(C1〜4)から選択される、ただし、R基とR基の両方に担持された炭素原子に連続して連結される炭素原子は4つ以下であり、Rはアルキルまたはトリアルキルシリル基であるものとする)とクロスカップリングさせると、それぞれ、式20および式22の化合物が得られる。続いて、それぞれ、式20および式22のエノールエーテルを酸性加水分解すると、それぞれ、式11および式15の所望の中間体が得られる。
【0046】
スキーム10
【化12】

【0047】
スキーム11
【化13】

【0048】
式中のRが上記に規定したとおりである式3の化合物は、式25のエノールエーテル化合物から、スキーム12に概要を示したように、式24の化合物を、式23のビニル金属種(式中、M、R、RおよびRは上記に規定したとおりである)クロスカップリングさせて式25のエノールエーテル化合物を得ることにより調製され得る。続いて、式25のエノールエーテル化合物を酸性加水分解すると、所望の式3のカルボニル化合物が得られる。
【0049】
スキーム12
【化14】

【0050】
式中のYとYがNでありYがCHである式3の化合物は、式中のRが上記に規定したとおりでありR1011が、独立して(C1〜10)アルキル基(例えば、メチルまたはエチル)であるか、あるいはR10とR11がともに一緒に結合して(C2〜10)アルキリデン基(例えば、エチレン)を示す式26のモノアセタール保護ジケトンを出発物質として、スキーム13に概要を示したように調製され得る。式26の化合物を、式中のR12およびR13が独立して(C1〜10)アルキル基(例えば、メチルまたはエチル)であるか、あるいはR12とR13がともに一緒に結合して(C2〜10)アルキリデン基(例えば、ブチレン)を示し、R14およびR15が独立して(C1〜10)アルキル基(例えば、メチルまたはエチル)であるか、あるいはR14とR15がともに一緒に結合して(C2〜10)アルキリデン基(例えば、ブチレン)を示す式28の化合物と縮合させると、式27のエナミン化合物が得られる。式27の化合物を、式中のRおよびRは上記に規定したとおりである式29のアミジンと縮合させると、式30のピリミジンが得られる。式30の化合物を、例えば、塩酸などの酸で酸性加水分解すると、式中のYがCHであり、YおよびYがNであり、R、RおよびRが上記に規定したとおりである式3の化合物が得られる。
【0051】
スキーム13
【化15】

【0052】
上記に記載した変換のうちいくつかは、保護基によって保護されたヘテロ原子を有する同様の中間体を用いて、スキーム14に概要を示したように行うことができる。
【0053】
スキーム14
【化16】

【0054】
例えば、式中のRがHである式30の化合物は、式中のR、Y〜Y、R、R10およびR11が上記に規定したとおりであり、PGが保護基である(限定されないが、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)およびベンジルオキシカルボニル(Cbz)基が挙げられ得る)式32の化合物に変換することができる。アセタール官能基の選択的加水分解により式33の化合物が得られる。かかる保護基の使用は、Wuts P.G.MおよびGreene T.W.「Protecting Groups in Organic Synthesis」New York,Wiley(2006)に充分に記載されている。スキーム1、2、3および12に示したものと同じ経路を使用し、式33の化合物を出発物質として脱保護工程を加えると、同じ生成物を調製することができる。
【0055】
スキーム15
【化17】

【0056】
式中のRとRが先に定義した意味を有し、YがCHである式1のアミノ−ヘテロアリール誘導体は、スキーム15に概要を示したように調製され得る。式中のR16がH、アルキルオキシまたはアリールオキシである式34aの化合物を、Ar−X’またはAr−X”の化合物と、スキーム7に示したものと同様にして反応させた後、必要な場合は、適当な官能基の相互変換によってR16をHに変換させると、式35の化合物が得られる。あるいはまた、式34bの化合物を、Ar−XHの化合物と反応させた後、必要な場合は、適当な官能基の相互変換によってR16をHに変換させると、式35の化合物が得られる。式35の化合物を一般式CH−金属の有機金属種(式中、金属は上記の意味を有する)で処理すると、式36の化合物が得られ、これを酸化させると式37の化合物となり得る。式35の化合物を、式中のR12、R13、R14およびR15が上記の意味を有する式28の試薬で縮合させると、式38のエナミン化合物が得られ、これを式29の化合物と縮合させると式1の化合物が得られる。
【0057】
スキーム16
【化18】

【0058】
式中のR
(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルまたはハロ(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルである式1の化合物は、スキーム16に概要を示したように、式中のR17が(C1〜4)アルキレン基である式39の化合物を出発物質として調製され得る。適当な保護基でのヒドロキシ基のモノ保護により、PGが、限定されないがtert−ブチルジメチルシリルなどの保護基である式40の化合物が得られる。式40の化合物を式Ar−XH、Ar−X’またはAr−X”の適当な試薬(スキーム6および7参照)と、スキーム1において上記に概要を示した条件を用いて反応させると、式41の化合物が得られる。保護基を除去すると式42の化合物が得られ、式中のR18が(C1〜4)アルキルまたはハロ(C1〜4)アルキルである式43の試薬でO−アルキル化すると、式1の化合物が得られる。Rを、酸素に結合しているPG基に対してオルソゴナルな適当な保護基で置き換えたこの経路の変形は、スキーム14に概要を示したものと同様にして可能である。かかる保護基ストラテジーは当業者によく知られている。
【0059】
スキーム17
【化19】

【0060】
式中、XがOでありYがCHである式39の化合物は、式中のR19およびR20が、独立して(C1〜10)アルキル基(例えば、メチルまたはエチル)であるか、あるいはR19とR20がともに一緒に結合して(C2〜10)アルキリデン基を示す式44の化合物から、スキーム17に概要を示したように、スキーム13および15に概要を示したものと同様のシーケンスで調製され得る。式中のR、R17、R19およびR20が上記に規定したとおりであり、XがOである式44の化合物を、式28の試薬と反応させると、式45の化合物が得られる。続いて、式29の試薬で処理すると、式46の化合物が得られ、これを、例えば、塩酸などの酸を用いて脱保護すると、式中のXがOである式39の化合物が得られる。
【0061】
スキーム18
【化20】

【0062】
式2の化合物は、式中のX’が上記に規定したとおりである式9の化合物のX’基を、一般式HNRのアミン(式中、RおよびRは上記に規定したとおりである)で、スキーム18に概要を示したように、直接的に置き換えることによって調製され得る。あるいはまた、X’基の置き換えは、式中のRが上記に規定したとおりであり、R21およびR22がH、アルキルまたはアリール基であり得る式47のヒドラジン試薬を使用することにより行うこともでき、式48の化合物が得られる。例えばラネーニッケルを用いて窒素−窒素結合を切断すると、式中のRが上記に規定したとおりであり、RがHである式2の化合物が得られる。
【0063】
スキーム19
【化21】

【0064】
式10の化合物を出発物質として同様の反応シーケンスを行うことができ、その場合、一般式HNRまたは式47の試薬とのN−アリール化反応が、遷移金属触媒を用いてスキーム19に概要を示したように行われる。
【0065】
式中のRとRがともにHである式2の化合物は、式10の化合物から、スキーム20に概要を示したように、遷移金属触媒(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))を用い、式中のR23およびR24が独立して、フェニルまたは置換されていてもよいフェニル環である式49のイミンのN−アリール化によって式50の化合物を得ることにより調製され得る。イミン官能基を加水分解すると、式中のRとRがともにHである式2の化合物が得られる。あるいはまた、Ar基を付加した後、ベンゾフェノンイミン加水分解することにより、式48の化合物から式1の化合物が直接調製され得る。
【0066】
スキーム4において一般式HNRの試薬を式47に試薬に置き換えてもよく、スキーム18に概要を示したものと同様のシーケンスで、式1の化合物が得られる。同様に、スキーム5においてHNRの試薬の代わりに式46および式47の試薬を使用してもよく、スキーム19およびスキーム20に概要を示したものと同様のシーケンスで式1の化合物が得られる。
【0067】
スキーム20
【化22】

【0068】
、YおよびYがすべてNであり、RとRがともにHである式1の化合物は、
スキーム21に概要を示したように、式51のアミジンを、式中のR25がアルキル基である式52のジアルキルシアノカーボンイミドジチオエートと反応させて式53のアミノチオアルキル−1,3,5−トリアジンを得、これに、上記に概要を示した方法のうちの1つを用いて芳香族部分をカップリングさせ、式54の化合物を得ることにより調製され得る。式54の化合物から、例えばラネーニッケルを用いてチオアルキル基を除去すると、式中のY、YおよびYがすべてNであり、RとRがともにHである式1の化合物が得られる。
【0069】
スキーム21
【化23】

【0070】
式中のRが上記に規定したとおりである式3の化合物は、スキーム22に概要を示すように、一般式R−金属の有機金属試薬またはヒドリド還元剤を、Eが、ケトンもしくはアルデヒドの適当な前駆体求電子基(ニトリルなど)またはアミド官能基(ワインレブアミドなど)である式55の化合物に添加することにより調製され得る。同様にして、式11、式15および式33の化合物が調製され得る。
【0071】
スキーム22
【化24】

【0072】
式Iによる本発明のアミノ−ヘテロアリール誘導体は、1つ以上のキラル中心を含むものであってもよく、したがって、立体異性体(ジアステレオマーなど)として存在するものであってもよい。本発明は、その範囲に前述の立体異性体(式Iの化合物およびその塩の個々の各R、S、R/SおよびS/S異性体、別の立体異性体を実質的に含まない(すなわち、随伴が5%未満、好ましくは2%未満、特に1%)、ならびに任意の割合のかかる立体異性体の混合物)を包含する。
【0073】
精製された立体異性体は、キラル塩形態の晶出、キラルクロマトグラフィーによる分割または酵素的方法を用いた分割などの方法を用いて得ることができる。かかる方法は当業者によく知られている。「Advanced Organic Chemistry」(March J.,New York,Wiley(1985)ならびに「Chirality in Industry」(A.N.Collins,G.N.SheldrakeおよびJ.Cosby編,1992;John Wiley)に記載された方法が使用され得る。
【0074】
また、本発明は、1つ以上の原子が、通常自然界に見られる原子量または質量数と異なる原子量または質量数を有する原子で置き換えられていること以外は本明細書に記載のものと同一である、同位体標識された本発明の式Iのアミノ−ヘテロアリール誘導体も包含する。本発明の化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、イオウ、リン、フッ素および塩素の同位体(それぞれ、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、18F、35S、および36Clなど)が挙げられる。
【0075】
一部の特定の同位体標識された式(I)の化合物(例えば、Hや14Cで標識されたもの)は、化合物および/または基質の組織分布アッセイに有用である。調製の容易性および検出可能性のため、トリチウム化(すなわち、H)およびカーボン−14(すなわち、14C)同位体は特に好ましい。さらに、重水素(すなわち、H)などのより重い同位体での置換によって代謝安定性が大きくなることにより、特定の治療上の利点(例えば、インビボ半減期の増大または必要投薬量の低減)がもたらされることがあり得、したがって、一部の状況において好ましい場合があり得る。同位体標識された式(I)の化合物は、一般的に、本明細書の以下のスキームおよび/または実施例に開示したものと同様の手順に従い、同位体標識されていない試薬を、同位体標識した適切な試薬で置き換えることにより調製され得る。
【0076】
薬学的に許容され得る塩は、式Iの化合物の遊離塩基無機酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸もしくは硫酸など)、または有機酸(例えば、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、グリコール酸、コハク酸、プロピオン酸、酢酸、メタンスルホン酸など)で処理することにより得られ得る。好ましいのは、塩酸とL−(+)−酒石酸により得られる塩である。
【0077】
本発明のアミノ−ヘテロアリール誘導体は、溶媒和されていない形態で存在していてもよく、薬学的に許容され得る溶媒(例えば、水、エタノールなど)で溶媒和された形態で存在していてもよい。一般に、本発明の解釈上、溶媒和された形態は、溶媒和されていない形態と等価であるとみなす。
【0078】
さらに、本発明は、一般式Iによるアミノ−ヘテロアリール誘導体またはその薬学的に許容され得る塩を薬学的に許容され得る助剤と混合された状態で含み、他の治療用薬剤を含んでいてもよい医薬組成物を提供する。「許容され得る」という用語は、組成物のその他の成分と適合性であり、そのレシピエントに対して有害でないことを意味する。該組成物としては、例えば、経口、舌下、皮下、静脈内、硬膜外、髄腔内、筋肉内、経皮、肺内、局所、眼内または経直腸投与などに適したものもの(すべて、投与のための単位投薬形態)が挙げられる。好ましい投与経路は経口経路である。
【0079】
経口投与では、活性成分は、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤などの個別の単位として提示され得る。
【0080】
非経口投与では、本発明の医薬組成物は、単位用量容器または反復用量容器内(例えば、密封バイアルおよびアンプル内)の例えば、所定量の注射用液にて提示され得、また、フリーズドライ(凍結乾燥)条件下で保存され、使用前に滅菌液状担体(例えば、水)を添加するだけでよいものであってもよい。
【0081】
かかる薬学的に許容され得る助剤との混合は、例えば、標準的な参考文献、Gennaro,A.R.ら,Remington:The Science and Practice of Pharmacy(第20版,Lippincott Williams & Wilkins,2000,特に、パート5:Pharmaceutical Manufacturing参照)に記載されており、活性薬剤は、固形投薬単位(丸剤、錠剤など)に圧縮してもよく、カプセル剤、坐剤または貼付剤に加工してもよい。薬学的に許容され得る液体により、活性薬剤は、液剤、懸濁剤、乳剤の形態の流動性組成物(例えば、注射用調製物)またはスプレー剤(例えば、経鼻スプレー剤)として適用され得る。
【0082】
固形投薬単位の作製では、例えば、充填剤、着色剤、高分子結合剤などの慣用的な添加剤の使用が想定される。一般に、活性化合物の機能を妨げない薬学的に許容され得る任意の添加剤が使用され得る。本発明の活性薬剤とともに固形組成物として投与され得る好適な担体としては、ラクトース、デンプン、セルロース誘導体など、またはその混合物が挙げられ、適当な量で使用される。非経口投与では、薬学的に許容され得る分散化剤および/または湿潤剤(プロピレングリコールまたはブチレングリコールなど)を含有する水性懸濁剤、等張性生理食塩水液および滅菌注射用剤が使用され得る。
【0083】
さらに、本発明は、上記の医薬組成物を、前記組成物に適した同封資料(packaging material)と合わせて含み、前記同封資料としては、該組成物を本明細書において上記の用途に使用するための使用説明書が挙げられる。
【0084】
本発明のアミノ−ヘテロアリール誘導体は、HEK細胞において発現させたヒトHCN1チャネル(国際特許出願国際公開第01/090142号:「完全長さヒトHCN1 Iチャネルサブユニットおよびバリアント」−Akzo Nobel N.V.参照)を用いたパッチクランプ電気生理学により測定されるIチャネルの阻害薬であることがわかった。
【0085】
本発明の化合物は、Iチャネルのモジュレーションによって媒介される疼痛、好ましくは、神経障害性または炎症性疼痛、例えば、三叉神経痛、ヘルペス後神経痛(帯状ヘルペス後の疼痛)、糖尿病性神経障害、切断術後の幻想肢痛、多発性硬化症、化学療法後の疼痛、線維筋痛症(慢性筋肉痛障害)、HIV感染、アルコール中毒症、癌(末梢神経上の癌の直接的な結果として、または一部の化学療法薬の副作用として)ならびに異型顔面神経痛などの病状において発生する神経障害性疼痛の治療に有用性を有する。
【0086】
また、本発明の化合物を、他の薬物、例えば、鎮痛薬(オピオイドなど)および非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)(COX−2選択的阻害薬など)ともに使用してもよい。
【0087】
本発明の化合物は、ヒトに対して、症状が軽減されるのに充分な量および充分な時間量で投与され得る。実例として、ヒトに対する投薬量レベルは0.001〜50mg/kg体重の範囲、好ましくは、0.01〜20mg/kg体重の投薬量であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0088】
本発明を、以下の実施例によってさらに説明する。
【0089】
方法
一般的な化学的手順
試薬はすべて、一般的な市販の供給元から購入したもの、または市販の原料を用いて文献の手順に従って合成したもののいずれかとした。プロトンNMR(H NMR)は、Bruker DPX 400分光計にて取得し、内部テトラメチルシラン(TMS)を参照としている。質量スペクトルは、Shimadzu LC−8A(HPLC)PE Sciex API 150EX LCMSにて記録した。
【0090】
中間化合物
化合物1a:1−(ジメチルアミノ−4,4−ジメトキシペント−1−エン−3−オン
【化25】

【0091】
3,3−ジメトキシ−2−ブタノン(24.96g)とΝ,Ν−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(25.09mL)を合わせ、100℃まで一晩加熱した。さらに、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(5mL)を添加し、加熱をさらに1日継続した。反応混合物を真空濃縮し、34.29gの4−(1,1−ジメトキシエチル)−ピリミジン−2−アミンを褐色油状物として得た。
【0092】
同様の様式で、以下のものを調製した:
1b:1−(ジメチルアミノ)−4,4−ジメトキシヘキス−1−エン−3−オン(出発物質は、3,3−ジメトキシ−2−ペンタノン)
1c:1−(ジメチルアミノ)−4,4−ジメトキシブト−1−エン−3−オン(出発物質は、1,1−ジメトキシ−2−プロパノン)
1d:1−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)−3−(ジメチルアミノ)プロプ−2−エン−1−オン(出発物質は、1−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)エタノン(2工程で、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボキサルデヒドから調製))
化合物2a:4−(1,1−ジメトキシエチル)ピリミジン−2−アミン
【化26】

【0093】
1−(ジメチルアミノ)−4,4−ジメトキシペント−1−エン−3−オン(1a)(34.29g)をエタノール(750mL)に溶解させた。炭酸カリウム(65.3g)とグアニジン塩酸塩(20.77g)を添加し、得られた懸濁液を一晩還流加熱した。反応混合物を真空濃縮し、残渣を水とともに一晩撹拌し、濾過し、40℃の真空炉内で一晩乾燥させ、標題化合物(21.01g)を白色固形物として得た。濾液をジクロロメタン(3×700mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空濃縮し、さらなる収量(10.6g)の標題化合物を得た。
【0094】
同様の様式で、以下のものを調製した。
【0095】
2b:4−(1,1−ジメトキシプロピル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、1−(ジメチルアミノ)−4,4−ジメトキシヘキス−1−エン−3−オン(1b)とグアニジン塩酸塩)
2c:4−(1,1−ジメトキシメチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、1−(ジメチルアミノ)−4,4−ジメトキシブト−1−エン−3−オン(1c)とグアニジン塩酸塩)
2d:4−(1,1−ジメトキシメチル)−2−(N−メチルアミノ)ピリミジン(出発物質は、4−(1,1−ジメトキシエチル)ピリミジン−2−アミン(1a)とN−メチルグアニジン塩酸塩)
2e:4−(1,1−ジメトキシエチル)−2−(ピロリジン−1−イル)ピリミジン(出発物質は、l−(ジメチルアミノ)−4,4−ジメトキシペント−1−エン−3−オン(1a)とピロリジン−1−カルボキシイミドアミドヨウ化水素酸塩)
2f:4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、1−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)−3−(ジメチルアミノ)プロプ−2−エン−1−オン(1d)とグアニジン塩酸塩
化合物3a:1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノン
【化27】

【0096】
4−(1,1−ジメトキシエチル)ピリミジン−2−アミン(2a)(180g)のテトラヒドロフラン(2L)撹拌溶液に、2M塩酸溶液(980mL)を添加し、撹拌を室温で一晩継続した。大部分の溶媒を真空除去し、残りの水性液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に注入した。砂状の着色沈殿物を濾別し、40℃で真空乾燥させ、標題化合物を得た(112g)。
【0097】
同様の様式で、以下のものを調製した:
3b:1−(2−アミノピリミジン−4−イル)プロパノン(出発物質は、4−(1,1−ジメトキシプロピル)ピリミジン−2−アミン(2b))
3c:1−[2−(N−メチルアミノ)ピリミジン−4−イル]エタノン(出発物質は、4−(1,1−ジメトキシメチル)−2−(N−メチルアミノ)ピリミジン(2d))
3d:1−(2−(ピロリジン−1−イル)ピリミジン−4−イル)エタノン(出発物質は、4−(1,1−ジメトキシエチル)−2−(ピロリジン−1−イル)ピリミジン(2e))
化合物4a:2−クロロ−4−アセチルピリジン
【化28】

【0098】
2−クロロ−4−シアノピリジン(41.6g)の乾燥エーテル溶液に、窒素雰囲気下でヨウ化マグネシウムメチル(200mL,エーテル中3M)を滴下した。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。形成された固形物を収集し、直ぐに1000gの氷、500mLの水および250mLの6N HClの混合物上に注入した。この水性液を室温にし、次いでエーテル(800mL)で抽出し、合わせた有機層を乾燥させ(硫酸ナトリウム)、エバポレートし、赤色油状物を得、これは、放置すると結晶化した。この物質をエーテル(約300mL)とヘプタン(約50mL)の混合物に溶解させた。この溶液をアセトン/ドライアイス浴中で冷却すると黄色固形物の形成がもたらされ、これを濾過し、30分間風乾させ、標題化合物(21.7g)を黄色固形物として得た。
【0099】
化合物5a:1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール
【化29】

【0100】
1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノン(化合物3a)(0.5g)を、50mLのメタノールに溶解させ、0℃まで冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(0.138g)を分割して添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム溶液(20mL)を添加し、この混合物を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、エバポレートし、標題化合物(270mg)を無色の油状物として得、これは、放置すると固化した。
【0101】
同様の様式で、以下のものを調製した:
5b:1−(2−アミノピリミジン−4−イル)プロパノール(出発物質は、1−(2−アミノピリミジン−4−イル)プロパノン(3b))
5c:1−[2−(N−メチルアミノ)ピリミジン−4−イル]エタノール(出発物質は、1−[2−(N−メチルアミノ)−ピリミジン−4−イル]エタノン(3c))
5d:1−(2−クロロピリジン−4−イル)エタノール(出発物質は、2−クロロ−4−アセチルピリジン(4a))
化合物6a:(R)−1−2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール
【化30】

【0102】
1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノン(化合物3a)(59.8g)のN,N−ジメチルホルミド(formide)(600mL)溶液に、室温で、クロロ[(1R,2R)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジアミン](p−シメン)ルテニウム(II)(3.35g)を添加した。得られた暗橙色溶液に、次いで、アルゴンをパージし、ギ酸−トリエチルアミン複合体(5:2)(189g)を添加した。反応液をアルゴン雰囲気下、室温で1時間撹拌し、次いで、減圧下でエバポレートして乾固させ、暗褐色残渣を得、これをジクロロメタンと最小容量のメタノールに溶解させ、シリカゲルでクロマトグラフィー処理した(4%から10%までのメタノールを含むジクロロメタンで溶出)。生成物を含む画分を合わせ、減圧下でエバポレートし、標題化合物(29.2g)を得、これは、キラルSFC(超臨界流体クロマトグラフィー)クロマトグラフィーによると2.4%:97.6%比のエナンチオマーであった。
【0103】
同様の様式で、以下のものを調製した:
6b:(S)−1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール(出発物質は、1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノン(3a)であり、クロロ[(1S,2S)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジアミン](p−シメン)ルテニウム(II)を触媒として使用)
6c:(R)−1−(2−アミノピリミジン−4−イル)プロパノール(出発物質は、1−(2−アミノピリミジン−4−イル)プロパノンであり、クロロ[(1R,2R)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジアミン](p−シメン)ルテニウム(II)を触媒として使用)
6d:(S)−1−(2−アミノピリミジン−4−イル)プロパノール(出発物質は、1−(2−アミノピリミジン−4−イル)プロパノンであり、クロロ[(1S,2S)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジアミン](p−シメン)ルテニウム(II)を触媒として使用)
6e:(S)−1−(2−N−メチルアミノピリミジン−4−イル)エタノール(出発物質は、1−[2−(N−メチルアミノ)ピリミジン−4−イル]エタノン(3c)であり、クロロ[(1S,2S)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジアミン](p−シメン)ルテニウム(II)を触媒として使用)
6f:(R)−1−(2−(ピロリジン−1−イル)ピリミジン−4−イル)エタノール(出発物質は、1−(2−(ピロリジン−1−イル)ピリミジン−4−イル)エタノン(3d)であり、クロロ[(1R,2R)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジアミン](p−シメン)ルテニウム(II)を触媒として使用)
化合物7a:2−N−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−4−(1,1−ジメトキシメチル)ピリミジン
【化31】

【0104】
4−(1,1−ジメトキシメチル)ピリミジン−2−アミン(2c)(15g)のテトラヒドロフラン(300mL)溶液に、炭酸ナトリウム(37.6g)の水(200mL)溶液を添加した。この溶液に、クロロギ酸ベンジル(50.6mL)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液を滴下した。室温で3時間後、撹拌を停止し、混合物の層を分離した。水相を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、真空濃縮し、黄色液状物を得、これを、フラッシュクロマトグラフィー(60%の酢酸エチルを含むヘプタン)によって3回精製し、標題化合物(17.95g)を白色固形物として得た。
【0105】
化合物8a:2−N−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−4−ホルミル−ピリミジン
【化32】

【0106】
2−N−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−4−(1,1−ジメトキシメチル)ピリミジン(7a)(17.96g)のテトラヒドロフラン(150mL)溶液に、水性HCl(1M,150mL)を添加し、得られた混合物を60℃で一晩撹拌した。この酸性混合物を、飽和水性炭酸ナトリウムの添加によって塩基性にし(pH>10)、層を分離し、水性相を酢酸エチルで2回抽出した。次いで、合わせた有機層を合わせ、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、真空濃縮し、標題化合物(14.1g)をオフホワイト色固形物として得た。
【0107】
化合物9a:1−[2−(N−ベンジルオキシカルボニルアミノ)ピリミジン−4−イル]−2,2,2−トリフルオロエタノール
【化33】

【0108】
2−N−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−4−ホルミル−ピリミジン(8a)(40g)の乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(800mL)溶液に、窒素下で、いくらかのモレキュラーシーブスを添加した。30分間撹拌後、炭酸カリウム(2.15g)とトリフルオロメチルトリメチルシラン(26.5g)を添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。混合物をブライン(1000mL)に注入し、酢酸エチル(2×500mL)で抽出し、半飽和ブライン(2×500mL)で洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、100gのシリカ上に吸収させた後、重力カラムクロマトグラフィーによって精製し(溶離剤:ヘプタン/酢酸エチル 1:1)、標題化合物(18.49g)をオフホワイト色固形物として得た。
【0109】
化合物10:1−[2−アミノピリミジン−4−イル]−2,2,2−トリフルオロエタノール
【化34】

【0110】
1−[2−(N−ベンジルオキシカルボニルアミノ)ピリミジン−4−イル]−2,2,2−トリフルオロエタノール(9a)のエタノール−テトラヒドロフラン(1:1)(500mL)溶液に、窒素雰囲気下で、パラジウム担持炭素(785mg)を添加した。混合物を水素雰囲気(バルーン)下に置き、室温で撹拌した。45分後、反応混合物をセライトに通して濾過し、真空濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーによって精製し(ジクロロメタン/メタノールを99:1から95:5まで)、標題化合物を得た(1.52g)。
【0111】
化合物11a:1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノンオキシム
【化35】

【0112】
1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノン(3a)(4g)のエタノール(70mL)と水(14mL)の懸濁液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(4.05g)を添加し、酢酸ナトリウム(7.18g)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。この時間後、反応混合物を真空濃縮し、水を添加し、15分間撹拌した。沈殿物を濾過によって収集し、水で洗浄し、40℃で一晩真空乾燥させ、標題生成物(4.29g)を淡黄色固形物として得た。
【0113】
同様の様式で:
11b:1−(2−アミノピリミジン−4−イル)プロパノンオキシム(出発物質は、1−(2−アミノピリミジン−4−イル)プロパノン(3b))
を調製した。
【0114】
化合物12a:1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エチルアミン
【化36】

【0115】
1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノン(3a)(4.29g)を、エタノール/テトラ−ヒドロフラン(1:1,400mL)に溶解させた。この懸濁液をアルゴンで飽和させた。ラネーニッケル(水中50%スラリー,約4mL)を添加し、水素をフラスコ内に導入した。反応混合物を水素雰囲気(バルーン)下で撹拌した。4日後、さらなるラネーニッケル(水中50%スラリー,約4mL)を添加した。10日後、反応混合物を珪藻土で濾過し、真空濃縮した。残渣を、エタノール/テトラヒドロフラン(1:1,150mL)に溶解させ、この混合物中でアルゴンを起泡させ、ラネーニッケル(水中50%スラリー,約4mL)を添加し、反応混合物を8バールの水素圧下に置き、撹拌した。4日後、反応混合物をKieselguhrで濾過し、真空濃縮し、4.4gの暗褐色固形物を得、これを、カラムクロマトグラフィーによって精製し(5%のトリエチルアミンを含む酢酸エチルから10%のメタノールを含む酢酸エチルまで)、標題化合物を得た(1.54g)。
【0116】
同様の様式で:
12b:1−(2−アミノピリミジン−4−イル)プロピルアミン(出発物質は、1−(2−アミノピリミジン−4−イル)プロパノンオキシム(11b))
を調製した。
【0117】
化合物13a:1−(2−ヒドラジノピリジン−4−イル)エタノール
【化37】

【0118】
1−(2−クロロピリジン−4−イル)エタノール(5d)(14.3g)を、ヒドラジン水和物(275mL)に溶解させた。得られた混合物を100℃で撹拌しながら一晩加熱した。混合物を真空濃縮し、黄色油状物を得、これを小容量のメタノールに溶解させ、エーテルを添加すると、これにより白色固形物の沈殿がもたらされた。得られた懸濁液を30分間撹拌し、濾過し、残渣を(ヒドラジン塩酸塩)を廃棄した。濾液を真空濃縮し、標題化合物(13.7g)を淡褐色油状物として得た。
【0119】
化合物14a:1−(2−アミノピリジン−4−イル)エタノール
【化38】

【0120】
1−(2−ヒドラジノピリミジン−4−イル)エタノール(13a)をエタノール(300mL)に溶解させ、ラネー−Ni(35mL,水中50%スラリー)を添加した。フラスコにアルゴンをフラッシングし、水素雰囲気(バルーン)下に置き、室温で一晩撹拌した。混合物を濾過し、真空濃縮し、赤色油状物を得、これをメタノールに溶解させ、シリカ上で濃縮した後、シリカフラッシュクロマトグラフィーによって精製し(100%酢酸エチルから20%のメタノールを含む酢酸エチルまで)、標題化合物(9.0g)を橙色油状物として得た。
【0121】
化合物15:1−(4−アミノ−6−(メチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)エタノール
【化39】

【0122】
窒素雰囲気下で、2−ヒドロキシプロパンイミドアミド塩酸塩(4.97g)を乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(25mL)に懸濁させ、水素化ナトリウム(1.66g,鉱油中60wt%)を一気に添加した。ガスの発生がおさまったら、この白色懸濁液を65℃まで加熱した。1時間後、ジメチルシアノカーボンイミドジチオエート(6.24g)を添加し、混合物を65℃で18時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、水(200mL)とともに磨砕した。得られた沈殿物を濾別し、水で洗浄し、水層を5%メタノール含有ジクロロメタン(3×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(硫酸ナトリウム)、濃縮した後、フラッシュクロマトグラフィーによって精製し(10%のメタノールを含むジクロロメタンで溶出)、標題化合物(300mg)を黄色油状物として得、これは、放置すると固化した。
【0123】
化合物16a:4−(1−(2−クロロフェノキシ)エチル)−6−(メチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−アミン
【化40】

【0124】
1−(4−アミノ−6−(メチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)エタノール(15)(203mg)の乾燥テトラヒドロフラン(8mL)溶液に、2−クロロフェノール(0.122mL)およびトリフェニルホスフィン(314mg)を滴下した後、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(0.233mL)を滴下した。この溶液を室温で80分間撹拌し、次いで真空濃縮し、酢酸エチル(40mL)に溶解させ、1N水酸化ナトリウム溶液(2×40mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮し、黄色油状物を得た。SCXクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノールの1:1混合物、次いで、2Nアンモニアを含有するジクロロメタン−メタノールの1:1混合物で溶出)、続いてフラッシュカラムクロマトグラフィー(1%のアセトニトリルを含むジクロロメタンを使用)によって精製し、標題化合物を得た(207mg)。
【0125】
同様の様式で:
16b:4−(1−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)エチル)−6−(メチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−アミン(出発物質は、2−クロロ−4−フルオロフェノール)
を調製した。
【0126】
化合物17:1−(4−アミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)エタノール
【化41】

【0127】
1−(4−アミノ−6−(メチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)エタノール(15)(398mg)のエタノール(20mL)溶液に、ラネーニッケルの50%スラリー(水中)(6mL)を添加し、反応混合物を85℃まで30分間加熱し、次いで室温まで冷却し、濾過し、エバポレートし、標題化合物を得た(230mg)。
【0128】
化合物18a:(R)−2−ブロモ−6−(1−(2−クロロフェノキシ)エチル)ピリジン
【化42】

【0129】
(S)−1−(6−ブロモピリジン−2−イル)エタノール(1g)(S.Ishikawa,T.Hamada,K.Manabe,およびS.Kobayashi,Synthesis 2005,13,2176−2182の方法によって調製)、2−クロロフェノール(0.615mL,0.764g)とトリフェニルホスフィン(1.558g)を含むテトラヒドロフラン(20mL)の溶液を、N2下、0℃まで冷却した。次いで、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(1.17mL,1.2g)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液を滴下し、反応液を室温まで一晩昇温させた。溶媒を減圧除去し、次いで、ヘプタンを添加して副生成物トリフェニルホスフィンオキシドを沈殿させた。濾過および濾液のエバポレーションの後、シリカでのフラッシュクロマトグラフィーによる精製(ヘプタン/酢酸エチル 8:2で溶出)によって、標題化合物(1.45g)を透明な液状物として得た。
【0130】
同様の様式で、以下の化合物:
18b:(R)−2−ブロモ−6−(1−(2,4−ジフルオロフェノキシ)エチル)ピリジン(出発物質は、2−クロロ−4−フルオロフェノール)
18c:(R)−2−ブロモ−6−(1−(3−フルオロフェノキシ)エチル)ピリジン(出発物質は、3−フルオロフェノール)
を調製した。
【0131】
化合物19:1−(2−アミノピリジン−4−イル)−2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エタノール
【化43】

【0132】
4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)ピリミジン−2−アミン(2f)(7.18g)のメタノール(300mL)溶液に、p−トルエンスルホン酸一水和物(10.49g)を添加し、この溶液を室温で一晩撹拌した。混合物を炭酸ナトリウムに通して濾過し、真空濃縮し、褐色固形物を得、これをN,N−ジメチルホルムアミド(400mL)に溶解させ、これに、イミダゾール(5.2g)とtert−ブチルジメチルシリルクロリド(7.7g)を添加し、この溶液を室温で一晩撹拌した。混合物をシリカ上で真空濃縮し、シリカフラッシュクロマトグラフィーによって精製し(50%から75%までの酢酸エチルを含むヘプタンで溶出)、標題化合物を得た(850mg)。
【0133】
化合物20a:4−(2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−1−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)エチル)−ピリミジン−2−アミン
【化44】

【0134】
1−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エタノール(19)(640mg)、2−クロロ−4−フルオロフェノール(696mg)およびトリフェニルホスフィン(1246mg)を含むジクロロメタン(10mL)の溶液に、(E)−ビス(4−クロロベンジル)ジアゼン−1,2−ジカルボキシレートのジクロロメタン(20mL)溶液を滴下した。混合物を45℃で一晩撹拌した後、濾過し、濾液をシリカカラムに適用し、10%から100%までのエーテルを含むヘプタンで溶出した。生成物を含む画分を濃縮し、標題化合物(835mg)を白色固形物として得た。
【0135】
同様の様式で、以下の化合物:
20b:4−(2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−1−(3−フルオロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、3−フルオロフェノール)
を調製した。
【0136】
化合物21a:2−(2−アミノピリジン−4−イル)−2−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)エタノール
【化45】

【0137】
4−(2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−1−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)エチル)−ピリミジン−2−アミン(20a)(830mg)のテトラヒドロフラン(15mL)溶液に、テトラブチル−アンモニウムフルオリド(1g)を添加し、混合物を室温で5日間撹拌した。混合物を濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製し(0%から10%までメタノールを含むジクロロメタンを使用)、標題化合物を得た(348mg)を白色固形物として得た。
【0138】
同様の様式で、以下の化合物:
21b:2−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(3−フルオロフェノキシ)エタノール(出発物質は、4−(2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−1−(3−フルオロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(20b))
を調製した。
【実施例】
【0139】
実施例1A:(R)−4−(1−3−フルオロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン
【化46】

【0140】
(S)−1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール(6b)(7.75g)、3−フルオロフェノール(6.87g)とトリフェニル−ホスフィン(16.07g)を、テトラヒドロフラン(150mL)に窒素下で添加し、0℃まで冷却した(ブライン/氷浴)。得られた褐色混合物を0℃で20分間撹拌し、次いで、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(12.06mL,12.39g)を、テトラヒドロフラン(40mL)溶液として滴下した。添加中、反応液を0〜2℃に維持し、次いで室温まで一晩昇温させた。溶媒を減圧下除去した後、粗製生成物をシリカプラグに負荷し、シリカでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した(ヘプタン/酢酸エチル7:3で溶出)後、エタノールから晶出させ、標題化合物(6.2g)を白色の結晶性固形物として得た。MS(ES):m/z 234.0[M+H];[α]−153.0(メタノール,c=1.8mg/ml)。
【0141】
同様の様式で、以下のもの:
1B:(R)−4−(1−(2−クロロ−5−フルオロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、2−クロロ−5−フルオロフェノール)、MS(ES):m/z 268[M+H]
1C:(R)−4−(1−(2−クロロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、2−クロロフェノール)、MS(ES):m/z 250[M+H]
1D:(R)−4−(1−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、2−トリフルオロメチルフェノール)、MS(ES):m/z 284[M+H];[α]−179.6(メタノール,c=0.9mg/ml)
1E:(R)−4−(1−(2,5−ジフルオロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、2,5−ジフルオロフェノール)、MS(ES):m/z 252[M+H]
1F:(RV4−(1−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、2−クロロ−4−フルオロフェノール)、MS(ES):m/z 268[M+H];[α]−164.7(メタノール,c=2mg/ml)
1G:(R)−4−(1−(3−ブロモフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、3−ブロモフェノール)、MS(ES):m/z 295[M+H];[α]−164.7(メタノール,c=2mg/ml)
1H:(R)−4−(1−(2,5−ジクロロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、2,5−ジクロロフェノール)、MS(ES):m/z 284[M]
1I:(R)−4−(1−(2,4−ジフルオロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、2,4−ジフルオロフェノール)、MS(ES):m/z 252[M+H];[α]−57.2(メタノール,c=3.7mg/ml)
1J:(R)−4−(1−(2,3−ジフルオロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、2,3−ジフルオロフェノール)、MS(ES):m/z 252[M+H]
1K:(R)−4−(1−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、3−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェノール)、MS(ES):m/z 302[M+H]
1L:(R)−4−(1−(2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェノール)、MS(ES):m/z 318[M+H]
1M:(R)−4−(1−(3−メチルフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、3−メチルフェノール(m−クレゾール)、MS(ES):m/z 230[M+H]
1N:(RV4−(1−(2−クロロ−5−メチルフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、2−クロロ−5−メチルフェノール)、MS(ES):m/z 264[M+H]
1O:(R)−4−(1−(2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェノール)、MS(ES):m/z 318[M+H]
1P:(R)−4−(1−(3,4−ジメトキシフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、3,4−ジメトキシフェノール)、MS(ES):m/z 276[M+H];[α]−99.7(メタノール,c=1mg/ml)
1Q:(R)−4−(1−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)エチル)−N−メチルピリミジン−2−アミン(出発物質は、(S)−1−(2−N−メチルアミノピリミジン−4−イル)エタノール(6e)と2−クロロ−4−フルオロフェノール)、MS(ES):m/z 282[M+H]
1R:(R)−4−(1−(3−フルオロフェノキシ)エチル)−N−メチルピリミジン−2−アミン(出発物質は、(S)−1−(2−N−メチルアミノピリミジン−4−イル)エタノール(6e)と3−フルオロフェノール)、MS(ES):m/z 248[M+H]
1S:(R)−4−(1−(3−メトキシピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、(S)−1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール(6b)と3−メトキシ−2−(1H)−ピリドン)、MS(ES):m/z 247[M+H].;[α]−147.2(メタノール,c=1.6mg/ml)
1T:(S)−4−(1−(3−フルオロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、3−フルオロフェノールと(R)−1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール)、MS(ES):m/z 234[M+H];[α]+145.6(メタノール,c=1.33mg/ml)
1U:(S)−4−(1−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、2−トリフルオロ−メチルフェノールと(R)−1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール)、MS(ES):m/z 284[M+H]
1V:(S)−4−(1−(2,5−ジフルオロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、2,5−ジフルオロ−フェノールと(R)−1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール)、MS(ES):m/z 268[M+H]
1W:(S)−4−(1−(3−ブロモフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、3−ブロモフェノールと(R)−1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール)、MS(ES):m/z 296[M+H];[α]−132.3(メタノール,c=8.3mg/ml)
1x:(R)−4−(1−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)プロピル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、(S)−1−(2−アミノピリミジン−4−イル)プロパノール(6d)と2−クロロ−4−フルオロフェノール)、MS(ES):m/z 282[M+H];[α]−128(クロロホルム,c=0.5mg/ml)
1Y:(RV4−(1−(3−フルオロフェノキシ)プロピル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、(S)−1−(2−アミノピリミジン−4−イル)プロパノール(6d)と3−フルオロフェノール)、MS(ES):m/z 248[M+H];[α]−104(クロロホルム,c=0.5mg/ml)
1Z:(S)−4−(1−(3−フルオロフェノキシ)プロピル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、(R)−1−(2−アミノピリミジン−4−イル)プロパノール(6c)と3−フルオロフェノール)、MS(ES):m/z 248[M+H];[α]+99(クロロホルム,c=0.5mg/ml)
を調製した。
【0142】
実施例1aについて記載のものと同様の様式で、以下のもの
実施例2A:4−(1−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、3−トリフルオロメチルフェノールと1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール)、MS(ES):m/z 284[M+H]
2A:4−(1−(3−クロロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、3−クロロフェノールと1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール)、MS(ES):m/z 250[M+H]
2C:4−(1−(3−トリフルオロメトキシフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、3−トリフルオロ−メトキシフェノールと1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール)、MS(ES):m/z 300[M+H]
2D:(R)−4−(1−(3−(トリフルオロメチル)フェニルチオ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、(S)−1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール(6b)と3−(トリフルオロメチル)ベンゼンチオール)、MS(ES):m/z 298[M−H]
2E:(R)−4−(1−(2−クロロフェニルチオ エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、(S)−1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール(化合物6b)と2−クロロベンゼンチオール)、MS(ES):m/z 266[M+H]
2F:(R)−4−(1−(3−フルオロフェニルチオ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、(S)−1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール(6b)と3−フルオロベンゼンチオール)、MS(ES):m/z 250[M+H]
2G:(S)−4−(1−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)プロピル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、(R)−1−(2−アミノピリミジン−4−イル)プロパノール(6c)と2−クロロ−4−フルオロフェノール)、MS(ES):m/z 282[M+H];[α]+128.9(クロロホルム,c=0.5mg/ml)
2H:4−(1−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)エチル)ピリジン−2−アミン(出発物質は、1−(2−アミノピリジン−4−イル)エタノール(14a)と2−クロロ−4−フルオロフェノール)、MS(ES):m/z 267[M+H]
2I:4−(1−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)エチル)−1,3,5−トリアジン−2−アミン(出発物質は、1−(4−アミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)エタノール(18)と2−クロロ−4−フルオロフェノール)、MS(ES):m/z 269[M+H]
2J:(R)−4−(1−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)エチル)−2−(ピロリジン−1−イル)ピリミジン(出発物質は、(R)−1−(2−(ピロリジン−1−イル)ピリミジン−4−イル)エタノール(6f)と2−クロロ−4−フルオロフェノール)、MS(ES):m/z 322[M+H]
2K:(4−(1−(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルチオ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール(5a)と3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−チオール)、MS(ES):m/z 301[M+H]
を調製した。
【0143】
実施例3A (R)−4−(1−(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン
【化47】

【0144】
(R)−1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール(6a)(250mg)の乾燥N−メチル−モルホリン(4mL)溶液に、周囲温度で、2−メチルプロパン−2−オレイン酸(olate)カリウム(222mg)を添加し、この溶液を30分環撹拌し、次いで、2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)−ピリジン(282mg)を添加し、混合物を周囲温度で10分間撹拌し、次いで、マイクロ波照射により100℃まで2分間加熱し、次いで冷却し、水(50mL)中でクエンチした。沈殿した固形物を濾過し、水で洗浄し、微真空下で風乾させた。この半乾燥物質を塩化メチレンに溶解させ、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、これに活性炭を添加し、次いで、ダイカライト床に通して濾過し、エバポレートし、標題化合物を得た(359mg)。MS(ES):m/z 285[M+H]
【0145】
同様の様式で、以下の化合物:
3B:4−(1−(3−メトキシピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、1−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)エタノール(5a)と2−クロロ−3−メトキシピリジン)、MS(ES):m/z 247[M+H]
3C:4−(1−(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリジン−2−アミン(出発物質は、1−(2−アミノピリジン−4−イル)エタノール(14a)と2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ピリジン)、MS(ES):m/z 284[M+H]
3D:4−(1−(4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルオキシ)エチル)ピリジン−2−アミン(出発物質は、1−(2−アミノピリジン−4−イル)エタノール(14a)と2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン)、MS(ES):m/z 285[M+H]
を調製した。
【0146】
実施例4A:(R)−4−(1−(3−メトキシピラジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン
【化48】

【0147】
(R)−1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール(6a)(1g)の乾燥N−メチル−モルホリン(15mL)溶液に、水浴を用いて反応温度を25℃より下に維持しながら、水素化ナトリウム(0.302g,油中60%の分散体)を添加した。添加が終了したら、冷却浴から取り出し、混合物を30分間撹拌し、次いで、2−クロロ−3−メトキシピラジン(1.039g)の乾燥N−メチルモルホリン(2mL)溶液を添加し、反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。混合物を水(300mL)中でクエンチし、酢酸エチル(4×100mL)で抽出し、合わせた有機液を塩化リチウム溶液の10%w/v溶液(2×100mL)で、続いて飽和ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、エバポレートし、薄褐色固形物を得た。100gのシリカカラムでの精製(100%酢酸エチルで溶出)後、酢酸エチルからの晶出により標題生成物を得た(520mg)、MS(ES):m/z 248[M+H];[α]−110.9(メタノール,c=2mg/ml)
同様の様式で、以下の化合物:
4B:4−(2,2,2−トリフルオロ−1−(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、1−[2−アミノピリミジン−4−イル]−2,2,2−トリフルオロエタノール(10a)と2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)ピリジン)、MS(ES):m/z 339[M+H]
4C:(R)−4−(1−(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルオキシ)プロピル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、(R)−1−(2−アミノピリミジン−4−イル)プロパノール(6c)と2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)ピリジン)、MS(ES):m/z 299[M+H];[α]−122.4(クロロホルム,c=0.5mg/ml)
4D:4−(1−(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルオキシ))エチル)−N−メチルピリミジン−2−アミン(出発物質は、1−[2−(N−メチルアミノ)ピリミジン−4−イル]エタノール(5c)と2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)ピリジン)、MS(ES):m/z 299[M+H]
4E:4−(1−(6−メチル−ピリジン−2−イルオキシ))エチル)−N−メチルピリミジン−2−アミン(出発物質は、1−[2−(N−メチルアミノ)ピリミジン−4−イル]エタノール(5c)と2−フルオロ−6−メチル−ピリジン)、MS(ES):m/z 245[M+H]
4F:4−(1−(3−ブロモ−5−メチル−ピリジン−2−イルオキシ))エチル)−N−メチルピリミジン−2−アミン(出発物質は、1−[2−(N−メチルアミノ)ピリミジン−4−イル]エタノール(5c)と2−クロロ−3−ブロモ−5−メチル−ピリジン)、MS(ES):m/z 324[M+H]
4G:4−(1−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール(5a)と2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ピリジン)、MS(ES):m/z 285[M+H]
4H:4−(1−(3−クロロピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、1−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)エタノール(5a)と2,3−ジクロロピリジン)、MS(ES):m/z 251[M+H]
4I:(S)−4−(1−(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルオキシ)プロピル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、(S)−1−(2−アミノピリミジン−4−イル)プロパノール(6b)と2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ピリジン)、MS(ES):m/z 299[M+H];[α]−122.4(クロロホルム,c=0.5mg/ml)
4J:4−(1−(6−(トリフルオロメチル)ピラジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール(5a)と2−クロロ−6−(トリフルオロメチル)ピラジン(3−(トリフルオロメチル)ピラジン1−オキシドから、J.Med.Chem.1978,21,536に記載のように調製)、MS(ES):m/z 286[M+H]
4K:(R)−4−(1−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、(R)−1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール(5a)と2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ピリジン)、MS(ES):m/z 285[M+H]
4L:4−(1−(6−ブロモ−4−メチルピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール(5a)と3−ブロモ−2−クロロ−5−メチルピリジン)、MS(ES):m/z 309[M]
4M:4−(1−(6−ブロモピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、1−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)エタノール(5a)と2−ブロモ−6−フルオロピリジン)、MS(ES):m/z 297[M+H]
4N:(R)−4−(1−(6−フルオロ−ピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、(R)−1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール(5a)と2,3−ジフルオロ−ピリジン)、MS(ES):m/z 235[M+H]
4O:4−(1−(6−メチルピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、1−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)エタノール(5a)と2−フルオロ−6−メチルピリジン)、MS(ES):m/z 231[M+H]
4P:(R)−4−(1−(4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン(出発物質は、(R)−1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノール(5a)と2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン)、MS(ES):m/z 286[M+H];[α]−53.9(メタノール,c=1.7mg/ml)
4Q:(R)−4−(1−(ピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、(R)−1−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)エタノール(5a)と2−フルオロピリジン)、MS(ES):m/z 217[M+H];[α]−92.1(メタノール,c=2.5mg/ml)
を調製した。
【0148】
実施例5A:4−(1−(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルアミノ)エチル)ピリミジン−2−アミン
【化49】

【0149】
2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ピリジン(526mg)、1−(2−アミノピリミジン−4−イル)−エチルアミン(12a)(400mg)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP;108mg)およびナトリウムtert−ブトキシド(334mg)を含む乾燥窒素をフラッシングしたトルエン(40mL)の溶液に、アルゴンをフラッシングした。酢酸パラジウム(II)(26mg)を添加し、反応混合物をアルゴン雰囲気下で70℃まで一晩加熱した。反応混合物を水(200mL)上に注入し、酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(400mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空濃縮して物質を得、これをカラムクロマトグラフィーによって精製した(40%の酢酸エチルを含むヘプタンから80%の酢酸エチルを含むヘプタンまで)。生成物を含む画分を真空濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製し、241mgの標題化合物を透明な橙色油状物として得た。MS(ES):m/z 284[M+H]
【0150】
同様の様式で、以下の化合物:
5B:4−(1−(4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)エチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン)、MS(ES):m/z 285[M+H]
を調製した。
【0151】
実施例6:4−(1−(3−(メチルチオ)ピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン
【化50】

【0152】
(R)−4−(1−(6−フルオロ−ピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン(389mg)((R)−4−(1−(6−フルオロ−ピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミンについて記載のとおりに調製したが、出発物質は、1−(2−アミノピリミジン−4−イル)エタノールとした)の乾燥ジメチルスルホキシド(10mL)溶液に、メタンチオールナトリウム(582mg)を添加し、この溶液を5分間撹拌し、次いで、マイクロ波照射により140℃で300秒間加熱した。得られた混合物を水(300mL)中でクエンチし、得られた固形物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。固形物をヘプタンとともに磨砕し、さらなる標題化合物(226mg)を薄褐色固形物として得た。MS(ES):m/z 263[M+H]
【0153】
実施例7A:(R)−6−(1−(2−クロロフェノキシ)エチル)ピリジン−2−アミン
【化51】

【0154】
(R)−(+)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(30mg)、酢酸パラジウム(II)(7.2mg)および炭酸セシウム(0.365g)を、温度計、冷却器および窒素供給口を取り付けた3つ口フラスコに添加した。系に窒素をパージし、次いで、(R)−2−ブロモ−6−(1−(2−クロロフェノキシ)エチル)ピリジン(18a)(0.25g)とベンゾ−フェノンイミン(0.174g)を含むトルエン(40mL)の溶液を添加し、反応液を室温で30分間撹拌した。次いで、反応液を95℃で20時間加熱し、冷却し、エーテルで希釈し、ダイカライトに通して濾過した。濾過ケークをエーテルで洗浄し、濾液を減圧濃縮し、橙色ゴム状物を得、これをシリカでのカラムクロマトグラフィーによって精製し(ヘプタン/酢酸エチル(7:3)で溶出)、黄色ゴム状物を得、これをテトラヒドロフラン(5mL)に溶解させ、次いで、2M HCl(3ml)を添加し、反応液を室温で一晩放置した。混合物をシリカでのカラムクロマトグラフィーによる精製に供し(ヘプタン/酢酸エチル(7:3)で溶出)、薄黄色ゴム状物である標題生成物(88mg)を得た。MS(ES):m/z 249[M+H]
【0155】
同様の様式で、以下の化合物:
7B:(R)−6−(1−(2,4−ジフルオロフェノキシ)エチル)ピリジン−2−アミン(出発物質は、(R)−2−ブロモ−6−(1−(2,4−ジフルオロフェノキシ)エチル)ピリジン(18b)、MS(ES):m/z 251[M+H]
7C:(R)−6−(1−(3−フルオロフェノキシ)エチルVN,N−ジメチルピリジン−2−アミン(出発物質は、(R)−2−ブロモ−6−(1−(3−フルオロフェノキシ)エチル)ピリジン(18c)とジメチルアミン,酸性脱保護工程は省略)、MS(ES):m/z 261[M+H]
7D:(R)−2−(1−(3−フルオロフェノキシ)エチル)−6−(ピロリジン−1−イル)ピリジン(出発物質は、(R)−2−ブロモ−6−(1−(3−フルオロフェノキシ)エチル)ピリジン(18c)とピロリジン,酸性脱保護工程は省略)、MS(ES):m/z 287[M+H]
7E:(R)−2−(アゼチジン−1−イル)−6−(1−(3−フルオロフェノキシ)エチル)ピリジン(出発物質は、(R)−2−ブロモ−6−(1−(3−フルオロフェノキシ)エチル)ピリジン(18c)とアゼチジン、酸性脱保護工程は省略)、MS(ES):m/z 273[M+H]
を調製した。
【0156】
実施例8:4−(1−(2−クロロフェノキシ)エチル)−1,3,5−トリアジン−2−アミン
【化52】

【0157】
4−(1−(2−クロロフェノキシ)エチル)−6−(メチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−アミン(16a)(181mg)のエタノール(10mL)溶液に、ラネー−ニッケルをシリンジ(2.0mL)によって添加し、反応混合物を85℃で40分間加熱し、次いで、室温まで冷却し、混合物をセライトで濾過し、エタノール/水(1/1 v/v)とメタノールで洗浄した。濾液を真空濃縮し、さらに、カラムクロマトグラフィーによって精製し(1%のアセトニトリルを含むジクロロメタン)で溶出)、標題化合物を得た(25mg)。MS(ES):m/z 251[M+H]
【0158】
実施例9A:4−(1−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)−2−メトキシエチル)ピリミジン−2−アミン
【化53】

【0159】
2−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)エタノール(21a)(185mg)の乾燥テトラヒドロフラン溶液に、窒素雰囲気で、水素化ナトリウム(23mg,油中60%の分散体)を添加し、混合物を室温で10分間撹拌し、次いで、ヨウ化メチル(0.045mL)を添加した。混合物を室温でさらに45分間撹拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液上に注入し、次いで酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で真空乾燥させた。カラムクロマトグラフィーでの精製(10%から100%までのエーテルを含むヘプタンで溶出)により、標題化合物(60mg)を油状物として得、これは、放置すると固化した。MS(ES):m/z 298[M+H]
【0160】
同様の様式で、以下の化合物:
9B:4−(1−(3−フルオロフェノキシ)−2−メトキシエチル)ピリミジン−2−アミン(出発物質は、2−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(3−フルオロフェノキシ)エタノール(21b)、MS(ES):m/z 264[M+H]
を調製した。
【0161】
実施例10
自動化パッチクランプ電気生理学を用いた生物学的試験
A:細胞培養
HEK−hHCN1−2H10細胞を225cmのフラスコ内で、10%Fetalclone II+0.1mM非必須アミノ酸+1mMピルビン酸ナトリウム+10mM HEPES+0.5mg/mL G418を補給したMEM(イーグル塩を含む)中で培養した。細胞を、50%コンフルエントになるまで37℃で5%CO雰囲気中、100%相対湿度で常套的に維持した。使用前の24時間、細胞を30℃でインキュベートしてHCN1膜発現を増大させ、パッチクランプ実験の直前に収集した。増殖培地を真空下で吸引した。細胞は、50mL ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(CaClおよびMgClなし;D−PBS)中で洗浄する。次いで、細胞を、0.1%トリプシン/0.04%EDTAの5mLの1:1混合物および細胞解離バッファー(CDS)とともに37℃で2分間インキュベートすることにより解離させる。細胞の解離を5mLの増殖培地の添加によって終了させた後、細胞を、10mL容ピペットを用いて3〜4回静かに磨砕することにより機械的に解離させた。細胞を、血球計算器を用いて計数し、212gで1分半の遠心分離によって回収し、5mLの濾過済の外部記録溶液(下記参照)に再懸濁させた。細胞を、上記のような遠心分離によって再度、回収し、濾過済の細胞外溶液に2×10細胞/mLの密度で再懸濁させ、4〜5回磨砕した。細胞をすぐにlonWorksに移した。
【0162】
B:パッチクランプ記録
自動化パッチクランプ記録は、lonWorks Quattro(MDS Analytical Technologies)を用いて行った。lonWorks Quattroに、細胞内溶液(inmM:KGIuconate,130;NaCl,10;MgCl,1;EGTA,1;HEPES,10,pH7.35)および細胞外溶液(inmM:NaGluconate,104;NaCl,10;KCl,30;MgCl,1;CaCl,1.8;Hepes,10;グルコース,5;pH7.35)の記録溶液で初期刺激を行った。穿孔パッチクランプ記録は、0.1mg/mLのアンホテリシンB(0.36%DMSO中)および−40mVにクランプした細胞電圧を用いて確立した。全細胞穿孔パッチクランプ記録は、2つの別々の実験において行い、電圧ステップを−80mVおよび−120mVを1秒間とし;チャネル活性化の前に−10mV電圧パルスを用いて漏れの減算を行った。化合物は、12種類の濃度(半ログ間隔;1%DMSO)で試験し、各電流の記録の間に10分間インキュベートした。細胞は、全細胞電流が100pS未満、密封抵抗(seal resistance)<50ΜΩのもの、または密封抵抗が実験過程中に>50%変化した場合、除外した。HCNによって媒介される時間依存性電流の振幅を、化合物の添加前と添加後の両方において、試験電圧に近づけたときの過渡送電容量直後に記録された電流と、定常状態の振幅に達した後に測定される電流の差として測定した。データを、lonWorks Quattro System Softwareバージョン2を用いて処理し、Activity Base(XLFit 4.1を有する)にて、標準的な4パラメータロジスティック関数を用いて解析した。濃度応答曲線を作成し、hHCN1チャネルにおける化合物の効力を、適切な信頼区間を用いてpEC50で報告した。
【0163】
本発明の化合物は、300μΜで、Ih電流を>50%ブロックする;好ましい組の化合物は、−80mV電圧ステップで4より大きいpEC50活性を有し、本発明のさらに好ましい化合物は−80mV電圧ステップで5より大きいpEC50活性を有する。
【0164】
実施例11
神経障害性疼痛のラット(Chung)モデル
このモデルでは、左のL5脊髄神経をしっかりと結紮することによって機械的異痛を誘発させる。このアッセイは、神経障害性疼痛の治療に臨床的に使用されている鎮痙薬(ガバペンチン)、抗鬱薬(デュロキセチン)およびオピオイド鎮痛薬(モルヒネ)の抗異痛効果を示すために成功裡に使用されている。
【0165】
雄Wistarラット(施術時の体重は228〜301g)を本試験に使用した。ラットを、パースペクスボックス内の高くなった(約40cm)メッシュ床に配置し、機械的刺激(較正von Freyフィラメント)に対するに対するラットの引っ込め閾値を、漸増力(2.6〜167mN)フィラメントを用いて測定した。von Freyフィラメントは、足底面に適用し、閾値応答は垂直(up and down)法を用いて測定した(Chaplan S.R.ら,J.Neurosci.Methods 53:55−63,1994;Dixon.J.Ann.Rev.Pharmacol.toxicol.20:441−462,1980)。足を鋭敏に引っ込めた場合、プラスの応答と認めた。15gのカットオフを試験の上限として選択した。ベースラインの測定後、各動物に麻酔し、L5脊髄神経をしっかりと結紮した。動物を、少なくとも3日間、施術から回復させた。薬物投与の当日、足の引っ込め閾値を再度測定した(0分)。この読み値の測定直後、ラットにビヒクルまたは試験化合物を経口投与し、化合物投与後、種々の時点で読み値を測定した。
【0166】
データは平均±s.e.m.で表示した。統計解析は、ノンパラメトリック統計学検定であるクラスカル・ワオリスの一元配置分散解析を用いて行った。次いで、各治療群をビヒクル群と、ノンパラメトリックダン検定を用いて比較した。また、下と上を、それぞれ0および15g(カットオフ)の定数にして線形回帰(シグモイド用量応答;勾配変化のある法面)を使用し、tmaxにおけるED50(およそ50%で異痛が逆転される用量)の値を計算した(XLFitソフトウェア)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経障害性または炎症性疼痛などの疼痛の治療における使用のための、一般式1
【化1】

(式中、
Arは、フェニルまたは1つもしくは2つの窒素原子を含む6員のヘテロアリール基を表し、これらは各々、ハロゲン、(C1〜4)アルキル、ハロ(C1〜4)アルキル、(C1〜4)アルキルオキシ、ハロ(C1〜4)アルキルオキシ、CN、(C1〜4)アルキルチオおよびハロ(C1〜4)アルキルチオから選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;
Xは、O、S、またはNRであり;
は、Hまたは(C1〜4)アルキルであり;
は、(C1〜4)アルキル、ハロ(C1〜4)アルキル、(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルまたはハロ(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルであり;
は、H、(C1〜4)アルキル、ハロ(C1〜4)アルキル、(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルまたはハロ(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルであるか;あるいは
とRが、これらが結合している炭素原子と一緒に、酸素原子を含有していてもよい飽和の3〜7員環を形成しており;
、YおよびYは、独立して、CHまたはNである;ただし、Y、YおよびYの少なくとも1つはNであるものとし、YがNのとき、YはNであるものとし;
およびRは、独立して、H、(C1〜4)アルキル、ハロ(C1〜4)アルキルまたは(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルであるか;あるいは
およびRが、これらが結合している窒素原子と一緒に、酸素原子を含有していてもよい飽和の3〜7員環を形成している)
によるアミノ−ヘテロアリール誘導体またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
一般式1
【化2】

(式中、
Arは、フェニルまたは1つもしくは2つの窒素原子を含む6員のヘテロアリール基を表し、これらは各々、ハロゲン、(C1〜4)アルキル、ハロ(C1〜4)アルキル、(C1〜4)アルキルオキシ、ハロ(C1〜4)アルキルオキシ、CN、(C1〜4)アルキルチオおよびハロ(C1〜4)アルキルチオから選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;
Xは、O、S、またはNRであり;
は、Hまたは(C1〜4)アルキルであり;
は、(C1〜4)アルキル、ハロ(C1〜4)アルキル、(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルまたはハロ(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルであり;
は、H、(C1〜4)アルキル、ハロ(C1〜4)アルキル、(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルまたはハロ(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルであるか;あるいは
とRが、これらが結合している炭素原子と一緒に、酸素原子を含有していてもよい飽和の3〜7員環を形成しており;
、YおよびYは、独立して、CHまたはNである;ただし、Y、YおよびYの少なくとも1つはNであるものとし、YがNのとき、YはNであるものとし;
およびRは、独立して、H、(C1〜4)アルキル、ハロ(C1〜4)アルキルまたは(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルであるか;あるいは
およびRが、これらが結合している窒素原子と一緒に、酸素原子を含有していてもよい飽和の3〜7員環を形成している)
によるアミノ−ヘテロアリール誘導体またはその薬学的に許容され得る塩であって、4−(1−{[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]スルファニル}エチル)−2−ピリミジンアミン、ならびにArがフェニルであり;XがOであり;RがCHであり;R、RおよびRがHであり;YがNであり;YがNであり;YがCHである式Iの化合物を除く、アミノ−ヘテロアリール誘導体またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項3】
Arが、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル、ピラジン−2−イルまたはピリミジン−2−イルを表す、請求項2に記載のアミノ−ヘテロアリール誘導体。
【請求項4】
およびYがNであり、YがCHである、請求項2または3に記載のアミノ−ヘテロアリール誘導体。
【請求項5】
がCHであり、RがHである、請求項4に記載のアミノ−ヘテロアリール誘導体。
【請求項6】
およびRがHである、請求項5に記載のアミノ−ヘテロアリール誘導体。
【請求項7】
神経障害性疼痛および炎症性疼痛などの疼痛の治療における使用のための、
(R)−4−(1−(3−フルオロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(R)−4−(1−(2−クロロ−5−フルオロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(R)−4−(1−(2,5−ジフルオロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(R)−4−(1−(2,4−ジフルオロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(R)−4−(1−(3−メトキシピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(S)−4−(1−(3−フルオロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(S)−4−(1−(2,5−ジフルオロフェノキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(4−(1−(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルチオ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(R)−4−(1−(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(R)−4−(1−(4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;および
4−(1−(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルアミノ)エチル)ピリミジン−2−アミン
から選択される、請求項1に記載のアミノ−ヘテロアリール誘導体またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項8】
(R)−4−(1−(3−メトキシピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(4−(1−(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルチオ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(R)−4−(1−(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;
(R)−4−(1−(4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルオキシ)エチル)ピリミジン−2−アミン;および
4−(1−(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルアミノ)エチル)ピリミジン−2−アミン
から選択される、請求項2に記載のアミノ−ヘテロアリール誘導体またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項9】
治療における使用のための、一般式1
【化3】

(式中、
Arは、フェニルまたは1つもしくは2つの窒素原子を含む6員のヘテロアリール基を表し、これらは各々、ハロゲン、(C1〜4)アルキル、ハロ(C1〜4)アルキル、(C1〜4)アルキルオキシ、ハロ(C1〜4)アルキルオキシ、CN、(C1〜4)アルキルチオおよびハロ(C1〜4)アルキルチオから選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;
Xは、O、S、またはNRであり;
は、Hまたは(C1〜4)アルキルであり;
は、(C1〜4)アルキル、ハロ(C1〜4)アルキル、(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルまたはハロ(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルであり;
は、H、(C1〜4)アルキル、ハロ(C1〜4)アルキル、(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルまたはハロ(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルであるか;あるいは
とRが、これらが結合している炭素原子と一緒に、酸素原子を含有していてもよい飽和の3〜7員環を形成しており;
、YおよびYは、独立して、CHまたはNである;ただし、Y、YおよびYの少なくとも1つはNであるものとし、YがNのとき、YはNであるものとし;
およびRは、独立して、H、(C1〜4)アルキル、ハロ(C1〜4)アルキルまたは(C1〜4)アルキルオキシ(C1〜4)アルキルであるか;あるいは
およびRが、これらが結合している窒素原子と一緒に、酸素原子を含有していてもよい飽和の3〜7員環を形成している)
によるアミノ−ヘテロアリール誘導体またはその薬学的に許容され得る塩であって、Arがフェニルであり;XがOであり;RがCHであり;R、RおよびRがHであり;YがNであり;YがNであり;YがCHである式Iの化合物を除く、アミノ−ヘテロアリール誘導体またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項10】
請求項2〜6および8のいずれか一項に記載のアミノ−ヘテロアリール誘導体と薬学的に許容され得る助剤との混合物を含む医薬組成物。
【請求項11】
チャネルのモジュレーションによって媒介される疼痛、好ましくは、神経障害性または炎症性疼痛の治療のための医薬の調製における請求項1に記載の式Iのアミノ−ヘテロアリール誘導体の使用。
【請求項12】
治療を必要とする患者に治療有効量の請求項1に記載の式Iのアミノ−ヘテロアリール誘導体を投与することによる、神経障害性または炎症性疼痛などのIチャネルのモジュレーションによって媒介される疼痛の治療方法。

【公表番号】特表2013−515031(P2013−515031A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545268(P2012−545268)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070213
【国際公開番号】WO2011/076723
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(512059936)エム・エス・ディー・オス・ベー・フェー (24)
【Fターム(参考)】