説明

HCV−反応性T細胞受容体

急性又は慢性HCV及びHCV-関連状態又は悪性腫瘍の治療及び/又は予防に有用な、HCVエピトープ-反応性組換えT細胞受容体を発現する細胞を提供する。本発明は、さらにHCVエピトープ-反応性T細胞受容体の製造方法及びHCVエピトープ-反応性組換えT細胞受容体を発現する細胞を用いる治療方法を提供する。HCVエピトープ-反応性組換えT細胞受容体をコードするポリヌクレオチド、構築物及びベクターをも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔緒言〕
(発明の分野)
本発明は、一般的に免疫学及び免疫媒介療法の分野に関する。さらに詳しくは、本発明は、組換えC型肝炎ウイルス-反応性T細胞受容体を発現する細胞の製造と使用に関する。このような細胞はウイルス力価を減じ、及び/又はウイルスを排除し、並びに肝硬変や肝細胞癌などのHCV-関連状態を治療するのに有効でありうるレシピエントの免疫応答を媒介することができる。
【背景技術】
【0002】
(背景)
C型肝炎は、以前は1989年にその原因物質が同定されるまで非経口的に伝達される“非A型、非B型肝炎”と呼ばれていた肝臓のウイルス感染症である。C型肝炎ウイルス(HCV)の発見及び特徴づけは、輸血後肝炎におけるその主要な役割及び持続感染を誘発するというその傾向の理解をもたらした。
HCVは、肝硬変及び肝細胞癌といった急性肝炎及び慢性肝臓疾患の主要原因である。世界的に、推定1億7千万の人が慢性的にHCVに感染しており、毎年300〜400万の人が新しく感染する。世界の人口の3%以上が慢性HCV感染を内部に持っていると推定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
HCV感染の標準的な抗-ウイルス療法は、インターフェロン-αとリバビリン(ribavarin)の併用である。しかし、多くの患者はこの療法にうまく応答せず、重大な副作用も付随する。明白に、HCV感染及びHCV-関連悪性腫瘍の世界中の罹患率と死亡率を減らすため、HCV感染患者のためのさらに有効な療法が必要である。
免疫系がHCV感染の排除を媒介できるという証拠がある。50より多くのHCVエピトープを認識するHCV反応性T細胞が単離されたという事実にもかかわらず、HCVにさらされた大多数の患者が慢性感染を発症する。慢性感染の発症は、少なくとも部分的に、このウイルスが急速に突然変異して抗原エスケープ(escape)変異体をもたらすという傾向の影響を受ける。さらに、感染に応じてもたらされる低いT細胞アビディティーと無効なサイトカイン特性の両方が、ウイルス排除ではなく慢性感染の発症に寄与するだろうと推測された。
【課題を解決するための手段】
【0004】
〔発明の概要〕
本発明者らは以前に、HLA-不同性の肝臓同種移植を受けたHCV-陽性の肝臓移植患者が、ドナーHLA分子によって拘束される宿主起源のHCV-反応性T細胞を有することを示した。このT細胞の初期の研究は、これらがそのHCVエピトープリガンドに対して比較的高いアフィニティーを有することを示した。この研究を拡張し、発明者らは引き続きHCVエピトープ反応性T細胞からT細胞受容体をクローン化し、該T細胞受容体コード配列を例えば末梢血リンパ球(PBL)-誘導T細胞又は造血幹細胞などの細胞にex vivo送達するためのベクターを開発した。操作した自己細胞をHCV-感染患者に戻して、急性又は慢性HCV感染又はHCV-関連悪性腫瘍の治療を果たす。ワクチン及びペプチド/MHC四量体戦略と異なり、このアプローチは患者のT細胞受容体レパートリー及び/又は前駆体発生頻度に依存しない。さらに、本発明のいくつかの実施形態では、自然にHCVエピトープ-反応性T細胞受容体を発現する細胞を操作して、異なるHCVエピトープに反応性の第二の組換えT細胞受容体を発現させることによって、慢性感染に及ぼすHCVエスケープ変異体の影響を減じることができる。
従って、一局面では、本発明は、HCVエピトープ-反応性組換えT細胞受容体を有する細胞を提供する。
【0005】
別の局面では、本発明は、配列表の配列番号2と少なくとも95%の配列同一性を有する、HCVエピトープ-反応性T細胞受容体のα-鎖をコードする配列を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する。本発明は、配列表の配列番号4と少なくとも95%の配列同一性を有する、HCVエピトープ-反応性T細胞受容体のβ-鎖をコードする配列を含む単離されたポリヌクレオチドをも提供する。さらなる局面では、本発明は、配列番号2と少なくとも95%の配列同一性を有する、HCVエピトープ-反応性T細胞受容体のα-鎖をコードする配列及び配列番号4と少なくとも95%の配列同一性を有する、HCVエピトープ-反応性T細胞受容体のβ-鎖をコードする配列を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する。本発明は前記単離されたポリヌクレオチドを含む構築物及びベクターをも提供する。
【0006】
さらなる局面では、本発明は、対象に送達するためのHCV-反応性T細胞の製造方法を提供する。本方法は、上述したように、対象から単離されたT細胞に本発明の構築物で形質導入することを含む。
さらに別の局面では、本発明は、HCV-反応性T細胞受容体の製造方法を提供する。この方法は以下を含む:(a)HLA不適合な肝臓同種移植のHCV-陽性レシピエント又はHCV-曝露非ウイルス血症個体からHCV-反応性T細胞を単離すること;(b)前記HCV-反応性T細胞から、該T細胞受容体のα-鎖及びβ-鎖をコードするポリヌクレオチド配列をクローン化すること;(c) 前記(b)のポリヌクレオチド配列を細胞に送達すること;及び(d)前記細胞による前記T細胞受容体の発現に適した条件下で前記細胞をインキュベートすること。
【0007】
さらなる局面では、本発明は、HCV-感染対象を治療するか又は対象のHCV感染の再活性化を阻害する方法を提供する。本方法は、HCVエピトープ-反応性組換えT細胞受容体を含んでなる免疫療法的に有効量の細胞を対象に投与することを含む。
なお別の局面では、本発明は、対象のHCV-関連肝細胞癌を治療する方法を提供する。本方法は、HCVエピトープ-反応性組換えT細胞受容体を含んでなる免疫療法的に有効量の細胞を対象に投与することを含む。
さらに別の局面では、本発明は、HCVエピトープ-反応性組換えT細胞受容体を含んでなる細胞の、HCV感染症又はHCV-関連肝細胞癌の治療用薬物の製造での使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
〔発明のいくつかの実施形態の詳細な説明〕
急性及び慢性HCV感染症及びHCV-関連悪性腫瘍並びに他の状態を予防及び治療するための新戦略の必要に応じて、本発明の一実施形態は、HCVエピトープ-反応性組換えT細胞受容体(TCR)を含む細胞を提供する。該細胞は、特に有効な態様の治療を提供するため養子移入プロトコロルで使うのに好適である。本明細書では“HCVエピトープ-反応性”という表現を用いて、主要組織適合複合体(Major Histocompatibility Complex)(MHC)分子と関連してHCVエピトープに結合して、該組換えTCRを発現する細胞内でヘルパー又は細胞障害性応答を誘発するTCRを表す。本明細書では用語“組換え”を用いてTCRの外因性コード配列の導入によって細胞内で発現されるTCRを表す。いくつかの実施形態では、組換えTCRは、該TCRが自然には発現されない細胞内、或いは該細胞による応答又はTCRリガンドの結合による応答細胞を誘発するには不十分なレベルで発現される細胞内で発現されうる。
集合して機能性HCV-エピトープ反応性TCRを形成できる機能性α-鎖及びβ-鎖をコードする1つ又は複数のポリヌクレオチドで適切な細胞に形質転換又は形質導入を生じさせることによって、HCV-反応性T細胞受容体を調製することができる。本発明の細胞は好適には自己細胞である。すなわち、細胞は形質導入又は形質転換された細胞を受ける予定の対象由来である。最も好適には、細胞は対象の末梢血リンパ球又は造血幹細胞由来である。いくつかの実施形態では、細胞は、CD4細胞表面マーカー、CD8細胞表面マーカー、CD4及びCD8の両マーカーを発現するか(本明細書では“二重ポジティブ”と称する)、又はCD4細胞表面マーカーもCD8細胞表面マーカーも発現しない(本明細書では“二重ネガティブ”と称する)T細胞である。いくつかの実施形態では、HCV-反応性組換えTCRは自然でもTCRを発現するT細胞である。組換えTCRは自然に発現されるTCRと同じエピトープと結合するか、又は異なるエピトープと結合しうる。他の実施形態では、細胞は2つの異なる組換えTCR、すなわち、2つの異なるHCVエピトープと結合するTCRで形質導入されうる。
【0009】
発明者らは、HLA不同性の肝臓同種移植を受けているHCV-陽性の肝臓移植患者及びウイルス感染を排除したことがあるHCV-曝露患者の両者の末梢血が高アフィニティーTCRを発現するHCV反応性T細胞の優れた起源を与えることを見出した。従って、いくつの実施形態では、HLA-不適合肝臓同種移植のHCV-陽性レシピエント、又はHCV-曝露非ウイルス血症患者からHCV-反応性T細胞を単離し、かつ該HCV反応性T細胞から、T細胞受容体のα-鎖及びβ-鎖をコードするポリヌクレオチド配列をクローン化することによって、HCV-エピトープ反応性TCRを調製することができる。これらの配列を標準的な方法(例えば、本明細書で援用するMolecular Cloning: A Laboratory Manual, 3d ed., Sambrook and Russell, CSHL Press (2001)に記載されているような)でクローン化したら、該配列を適切な細胞に送達し、その細胞による該TCRの発現に適した条件下で細胞をインキュベートする。いくつかの実施形態では、適切な条件は標準的な細胞培養を含みうる。TCRがin vitro又はex vivo発現されると、該TCRを発現する細胞を、技術上周知かつ後で例示するように、関心のある他のパラメーターのうち、HCVエピトープとの反応性について評価することができる。いくつかのプロトコロル、すなわちベクターを対象に投与するプロトコロルでは、TCRをin vivo発現させて、治療が必要な対象、すなわち急性若しくは慢性HCV感染又はHCV-関連状態の対象に治療効果を与えることもできる。
【0010】
“対象”は脊椎動物、好適には哺乳動物、さらに好適にはヒトである。明らかなように、研究目的のため、対象は好適には動物モデル、例えばマウス又はラットである。動物モデルでは、種に基づいてTCRのα-鎖及びβ-鎖の配列を選択できることが分かるだろう。いくつかの場合、ヒトMHC分子を発現するトランスジェニック動物も本発明の特定の実施形態を評価するのに役立ちうる。
本発明の組換えTCRは、それらが発現される細胞内で最も適切に機能する。すなわち、本発明の組換えTCRは、クラスI又はクラスII MHC分子と関連してHCVエピトープを認識するCD3複合体と関係があるα及びβTCR鎖の機能性ヘテロ二量体である。ヒトでは、エピトープのMHC拘束は、抗原を提示する細胞によって発現される特定のヒト白血球抗原(HLA)によって決まる。いずれのHLA型(すなわち、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRA、及びHLA-DRB1)に基づいて拘束されるHCVエピトープを認識する組換えTCRも本発明で使うのに適する。研究目的では、組換えTCRは、ヒト以外の種、例えばH-2KマウスのMHC分子と関連してHCVエピトープを認識してよい。
特定の実施形態では、組換えTCRは、HLA-A2拘束されるHCVエピトープを認識する。人口のほぼ半分はHLA-A2陽性なので、HLA-A2-拘束性TCRが本明細書で述べるような広範な治療用途を見出すことは明かである。さらに、HLA-A2四量体は生産され、よく特徴づけされ、商業的に入手可能である。このような四量体は、実施例で述べるように、本発明のTCRの調製で有用である。
【0011】
上述したように、本発明のTCRはHCV-エピトープ反応性である。50を超える既知の免疫反応性HCVエピトープがある。適切なエピトープは、HCVのコアタンパク質、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a及びNS5bを含め、いずれのHCVタンパク質由来ペプチドでもよい。いくつかの実施形態では、上記HCVペプチドの1つの突然変異形である。本明細書では、TCRエピトープの“突然変異体”又は“突然変異形”は、1つ又は複数のアミノ酸の置換、欠失又は付加によって基準ウイルス-コード化配列から変化したアミノ酸配列を有するが、非突然変異エピトープによって結合かつ活性化されるTCRに結合かつ活性化する能力を保持しているTCRエピトープである。明らかなように、突然変異体は天然に存在し、或いは組換え又は合成によって生成されうる。
【0012】
いくつかの実施形態では、細胞は、HCVエピトープNS3:1406-1415に対して反応性のTCRの生産的に再配列されたα-鎖(AV38s2/AJ30/AC)のアミノ酸配列であると決定された配列番号2と少なくとも95%のアミノ酸同一性を有するα-鎖を含んでなるTCRを含む。さらなる実施形態では、α-鎖は、配列番号2と少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の同一性を有する。好適には、α-鎖は配列番号2に示されるアミノ酸の連続配列を有する。
他の実施形態では、細胞は、HCVエピトープNS3:1406-1415に対して反応性のTCRの生産的に再配列されたβ-鎖(BV11s1/BD2s1/BJ2s7/BC2)のアミノ酸配列であると決定された配列番号4と少なくとも95%のアミノ酸同一性を有するβ-鎖を含んでなるTCRを含む。さらなる実施形態では、β-鎖は、配列番号4と少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の同一性を有する。好適には、β-鎖は配列番号4に示されるアミノ酸の連続配列を有する。
【0013】
特に好適な実施形態では、細胞は、配列番号2と少なくとも95%のアミノ酸同一性を有するα-鎖及び配列番号4と少なくとも95%のアミノ酸同一性を有するβ-鎖を含んでなるTCRを含む。
Karlin及びAltschulのアルゴリズム(Proc. Natl. Acad. Sci. 87: 2264-68 (1990)、改変したProc. Natl. Acad. Sci. 90: 5873-77 (1993))を用いて同一性率を決定することができる。このようなアルゴリズムをBLASTxプログラムに組み込み、これを用いて基準ポリペプチドに相同性のアミノ酸配列を得ることができる。明らかなように、本発明は、保存的アミノ酸置換を含むアミノ酸配列を有するTCR α-鎖又はβ-鎖をも包含する。このような置換は技術上周知である。
本明細書では、特に好適なHCVエピトープをHCV株H77(ジェンバンク受入番号M67463)に関連して、すなわち、被定義エピトープ部位の、H77タンパク質の配列に対する位置を示して提供する。このエピトープ命名システムを用いて、本発明に従って生成しうる組換えTCRと反応性のHCVエピトープ及びその突然変異体の特定の非限定例を下表1に提供する。
【0014】
【表1】

【0015】
本明細書で低レベルの抗原を認識するT細胞の能力として定義されるT細胞アビディティーが養子移入研究における治療効率と関係があることが分かった。従って、本発明のいくつかの実施形態では、例えば、技術上標準的なIFN-γ放出アッセイを用いてT細胞クローンを相対的アビディティーについて特徴づける。一般に、“高アビディティー”のT細胞は、T細胞活性化に1mM以下の刺激ペプチドが必要であると定義される。
本発明は、さらに、HCVエピトープ-反応性T細胞受容体のα-鎖をコードする配列を含んでなる単離されたポリヌクレオチドを提供する。好適には、コード化α-鎖配列は、配列番号2と少なくとも95%の配列同一性を有する。特に好適な実施形態では、単離されたポリペプチドは配列番号1に示される配列を含む。
【0016】
本発明は、さらに、HCVエピトープ-反応性T細胞受容体のβ-鎖をコードする配列を含んでなる単離されたポリヌクレオチドを提供する。好適には、β-鎖配列は、配列番号4と少なくとも95%の配列同一性を有する。特に好適な実施形態では、単離されたポリペプチドは配列番号3に示される配列を含む。
本発明の特に好適な単離されたポリヌクレオチドは、配列番号2と少なくとも95%の配列同一性を有する、HCVエピトープ-反応性T細胞受容体のα-鎖をコードする配列及び配列番号4と少なくとも95%の配列同一性を有する、HCVエピトープ-反応性T細胞受容体のβ-鎖をコードする配列を含む。
本発明のさらなる実施形態は、前記単離されたポリヌクレオチドのいずれかを含むポリヌクレオチド構築物を提供する。任意に、TCRのα-鎖及びβ-鎖のコード配列は、細胞内で機能的なプロモーターに操作可能に連結される。好適なプロモーターには構成性プロモーター及び誘導性プロモーターが包含され、適切なプロモーターの選択は本技術の十分スキル内である。例えば、好適なプロモーターとして、限定するものではないが、レトロウイルスLTR、SV40プロモーター、CMVプロモーター及び細胞プロモーター(例えば、β-アクチンプロモーター)が挙げられる。“操作可能に連結”という表現は、制御配列(例えばプロモーター及び/又は転写因子結合部位の配列)と第二核酸配列との間の機能的リンケージを意味する。ここで、前記制御因子は、第二配列に対応する核酸の転写を支配する。
【0017】
当業者に周知のいくつかの方法を用いて構築物を細胞にin vitro、ex vivo又はin vivo送達しうる。例えば、細胞がin vitro又はex vivoの場合、標準プロトコロル、例えば、本明細書で援用するMolecular Cloning: A Laboratory Manual, 3d ed., Sambrook and Russell, CSHL Press (2001)に記載されている当該プロトコロルに従って細胞を形質転換又は形質導入させることができる。本発明は、構築物の細胞へのin vivo送達をも包含する。ポリヌクレオチド構築物の好適な送達方法は技術上周知であり、限定するものではないが、ウイルスベクター、ナノ粒子、金粒子、リポプレックス(lipoplex)及びポリプレックス(polyplex)が挙げられる。
1つの特に好適な送達方法は、例えばレンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ-関連ウイルスベクター及び単純ヘルペスウイルスベクター等のウイルスベクターの使用を含む。実施例で述べるように、構築物のin vitro、ex vivo又はin vivo送達のいずれにもレトロウイルスベクターが特に好適である。TCRをコードする構築物の送達に有用なレトロウイルスベクターの1つの好適な配列を図3に示す。
【0018】
TCRをコードするポリヌクレオチドを含んでなるベクター、又は上述したように調製した組換えTCRを含んでなる細胞を好適には対象に投与して、対象の急性若しくは慢性HCV感染又は状態(例えば、肝細胞癌を含む)を治療する。いくつかの実施形態では、組換えTCRを発現する細胞又はTCRをコードするポリヌクレオチドを含んでなるベクターを予防的に対象に投与して、HCV感染の再活性化を阻害することができる。
本発明のいくつかの実施形態では、対象由来の細胞に本発明のベクターをex vivo投与する。ポリヌクレオチド及び/又はウイルスベクターの特に好適な投与態様は、TCRコード配列をT細胞及び/又は造血幹細胞に特異的及び/又は優勢的に送達する当該投与態様であろう。レトロウイルスの場合、好適な用量は、約0.1μg/106細胞〜約10μg/106細胞の範囲、例えば約1μg/106細胞〜約5μg/106細胞の範囲であると予測される。特に好ましい実施形態では、このような用量は、治療前の症状に比し、又は適切なコントロールに比べて少なくとも50%HCV-関連症状を阻止又は低減するだろう。詳細には、本発明のレトロウイルスベクターによる治療は、治癒を与えないにしても、HCV感染症又は関連状態を緩和又は軽減し、或いは慢性HCV-関連状態への進行の発生を減じうると想定される。いくつかの実施形態では、本治療を用いて急性若しくは慢性HCV感染又は肝細胞癌といった関連状態を治癒又は予防することができる。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態では、HCVエピトープ-反応性組換えT細胞受容体を含んでなる免疫療法的に有効量の細胞を投与する。本明細書では、“免疫療法的に有効量”とは、対象に免疫媒介予防又は治療効果をもたらす当該量、すなわち、治療前の症状に比し、又は適切なコントロールに比べて少なくとも50%症状を阻止又は低減する当該量を意味する。投与すべき細胞の量は、治療する対象によって、例えば、TCR-媒介免疫応答を開始する該個体の免疫系の能力、該患者の年齢、性別及び体重並びに治療すべき状態の重症度によって決まる。個々の予防又は治療計画に関する変量の数は多く、慎重な範囲の用量が期待される。通常、約5×105細胞/kg(体重)〜約1×1010細胞/kg(体重)の量で細胞を投与してよい。さらに好ましくは、約5×106細胞/kg(体重)〜約1×108細胞/kg(体重)投与する。対象に投与すべき細胞又はウイルスベクターの最大用量は、望ましくないか又は耐えられない副作用を引き起こさない最高用量である。初期投与及び追加治療の好適な計画も考慮し、通常のプロトコロルによって決定することができる。
本発明のさらなる理解を助けるため、以下に実施例を示す。利用する個々の材料及び条件は、本発明のさらなる説明を意図したものであり、添付の請求項の妥当な範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0020】
〔実施例1:HCV反応性T細胞クローンの単離〕
HLA-A2+肝臓同種移植を受けたことがあるHLA-A2-患者から末梢血単核細胞(PBMC)を単離した。PBMCを抗-CD8-FITCと、HCV NS3:1073-1081ペプチド、HCV NS3:1406-1414ペプチド、HCVコア:131-139ペプチド、HCV NS5:2594-2602ペプチド、又は無関係ペプチド(HIV GAG)を負荷したHLA-A2四量体とで染色した。四量体はBeckman Coulter (Brea, CA)又はNIAlD四量体施設から得た。
FACScanフローサイトメーター(BD Biosciences, Rockville, MD)を用いてFACS解析で、染色されたT細胞のパーセンテージを決定し、CellQuestソフトウェア(BD Biosciences)を用いて解析した。図1に示した結果は、有意数のCD8+、HLA-A2-HCV NS3:1073-1081及びHLA-A2-HCV NS3:1406-1415四量体-反応性T細胞が検出されたことを実証する。
クローン化のため、T細胞を染色している0.1%より多くのHCV四量体を有するサンプルを選別してHCV反応性T細胞を富化かつ拡張した。要するに、10%の熱-不活化貯蔵ヒトAB血清(Valley Biomedical, Winchester, VA)、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、2.92mg/mlのL-グルタミン、300IU/mlの組換えヒトIL-2(Chiron Corp., Emeryville, CA)、及び10μg/mlのペプチドで補充した2mlのAIM V培地(Invitrogen, Carlsbad, CA)内、3×106細胞/ウェルの密度で24-ウェル平底組織培養プレートにPBMCを蒔いた。
【0021】
フィーダーとして照射PHA刺激した(10μg/ml)同種PBMCの存在下、10、3、1、及び0.3細胞/ウェルで蒔くことによって培養をクローン化した。初めに、IFN-γ放出アッセイで、ペプチド負荷T2細胞の認識について増殖ポジティブウェルを検定した。要するに、アメリカ培養株化細胞保存機関(American Type Culture Collection)(Rockford, MD)からT2細胞を得、10% FBS(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、及び2.92mg/mlのグルタミンで補充したRPMI 1640培地から成る完全培地(CM)で増殖させた。Synthetic Biomolecules (San Diego, CA)からHCV NS3:1406-1415ペプチドを得た。Nishimura, et al., Cancer Res. 59:6230-38 (1999)(本明細書で援用する)に記載されているように、加湿インキュベーター内37℃で18時間、96ウェルU底プレート内、総体積200μlでT細胞を、HCVペプチド及びネガティブコントロールペプチドを負荷したT2細胞と1:1比で共培養した。上清を収集し、放出されたIFN-γの量をELISAで測定した。T細胞クローンが18時間で5×104のT細胞当たり少なくとも100pg/mlのIFN-γを分泌し、かつ該IFN-γの量がバックグラウンドレベルの少なくとも2倍であるとき、T細胞クローンが抗原反応性であるとみなした。
抗原反応性クローン(クローン性を確実にするため、30%未満の増殖ポジティブウェルのプレートから)を、10%の熱不活化貯蔵AB血清、及び200IU/mlのIL-2(培養の3日毎に添加)を含有する完全培地で各クローンを3人の健康なドナーから貯蔵した照射同種PBMC、30ng/mlのOKT3(Ortho Biotech, Bridgewater, NJ)と培養することによって拡張した。
【0022】
Clay, et al., Clin. Cancer Res. 7:1127-1135 (2001)(本明細書で援用する)に記載されているようなELISPOTアッセイを用いて、HCV反応性クローンによるIFN-γの生産を測定した。抗-ヒトIFN-γ mAbを予めコートしたMultiscreen 96ウェルろ過プレート内で一晩、5×104T細胞をHCVペプチド負荷T2細胞と1:1比で共培養した。プレートを洗浄し、ビオチンと結合した第二抗-ヒトIFN-γ mAbとインキュベート後、アルカリホスファターゼに結合したストレプトアビジンとインキュベートした。Vectastain AEC基質を用いてプレートを展開し、CTL ELISPOTリーダーを用いて各ウェル内のスポット数を数えた。関連HCVペプチドエピトープで脈動したT2細胞で刺激したT細胞培養内のスポット数を、無関係なコントロールペプチド(HIV Pol:476-484)で脈動したT2細胞で刺激した同じT細胞培養内のスポット数と統計的に比較した(対応T検定)。刺激因子としてHCV+株化細胞を用いて、加工HCV抗原を認識できる細胞の割合についても各T細胞培養をアッセイした。
【0023】
Nishimura, et al., J. Immunol. 141:4403- 4409 (1988)(本明細書で援用する)に記載されているような51Cr放出アッセイで、HCV反応性CTLがHLA-A2+、HCV+標的細胞を溶解させる能力も測定した。要するに、106の標的細胞をCM内で200μCiの51Crにて37℃で1時間標識した。5×103の標識化標的を4×105(80:1)、1×105(20:1)、2.5×104(5:1)、及び6.25×103(1.25:1)のエフェクターと200mlのCM内で37℃にて4時間インキュベートした。上清を収集し、放出された51Crを測定した。2%のSDS又は完全培地内で5×103の標識化標的細胞をそれぞれ37℃で4時間インキュベートすることによって、各標的による全部かつ自発的51Cr放出を決定した。100:1以下のE:Tで少なくとも10%の特異的溶解を媒介でき、かつ観察される溶解がバックグラウンドの少なくとも3倍である当該T細胞培養を、有意に特異的に溶解できるとみなした。
これらの基準に基づいて、HCVペプチドNS3:1406-1414に反応性の4種のT細胞クローンを得た。すべてのT細胞クローンを5%のCO2加湿インキュベーター内37℃で10%の熱-不活化貯蔵ヒトAB血清、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、2.92mg/mlのグルタミン、及び300IU/mlの組換えヒトIL-2で補充したRPMI 1640培地内で維持した。フィーダーとして照射貯蔵同種PBMCの存在下、30ng/mlの抗-CD3 mAb(Ortho Biotech, Raritan, New Jersey)及び300IU/mlのIL-2を用いてT細胞クローンを拡張した。
【0024】
〔実施例2:T細胞クローンによる腫瘍細胞の認識〕
米国立癌研究所外科部門(Surgery Branch, NCI)(Topalian, et al., J. Immune 142:3714-3725 (1989) and Rivoltini, et al., Cancer Res., 55:3149-3157 (1995);本明細書で援用)で免疫療法を受けているメラノーマ患者から得た外科標本からメラノーマ株化細胞(MEL)を確立した。米国立癌研究所外科部門(Anglard, et al., Cancer Res. 52:348-356 (1992);本明細書で援用)で根治的な腎摘出術を受けている患者から腎細胞癌系統(RCC)を得た。特に断らない限り、Mediatech (Herndon, VA)からすべての培地成分を得た。10% FBS(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、及び2.92mg/mlのグルタミンで補充したRPMI 1640培地から成る完全培地(CM)でMEL 624(HLA-A2+)、MEL 624-28(HLA-A2-)、RCC UOK131(HLA-A2+)及びRCC 1764(HLA-A2-)株化細胞を維持した。
【0025】
HCV NS3:1406-1415及びコントロールエピトープを発現するように操作した腫瘍株化細胞は他のところで記載されている(Rosen, et al., J. Immunol. 173:5355-5359 (2004)及びLangerman, et al., J. Transl. Med. 2:42 (2004))。要するに、HCV NS3:1406-1415又はコントロールエピトープをコードするミニ遺伝子を含有するレトロウイルスベクターを用いてHLA-A2+及びHLA-A2-メラノーマ(それぞれMEL 624及びMEL 624-28)と腎細胞癌(それぞれRCC UOK131及びRCC 1764)系統を形質導入した。500μg/mlのG418(Research Products International, Mount Prospect, IL)で補充した上述した通りのRPMI培地内で細胞を維持した。
各T細胞クローンを、HLA-A2+(624 MEL若しくはRCC UOK131)又はHLA-A2-(624-628 MEL若しくはRCC 1764)であるメラノーマ又は腎細胞癌細胞と共培養した。HCV NS3:1406-1415又は空ベクターをコードするミニ遺伝子をMEL及びRCC細胞に形質導入した。上述したように、放出されたIFN-γの量をELISAで測定した。図2に示されるように、試験した4つの各クローンは、HLA-A2+ HCV NS3:1406-1415+標的と共培養したとき特異的にIFN-γを分泌したが、HCV NS3:1406-1415-標的又はHLA-A2-標的と共培養したときは分泌しなかった。
【0026】
〔実施例3:TCRα及びβ鎖の同定〕
以前にNishimura, et al., J. Immunother. 16:85-94 (1994)及びShilyansky, et al., PNAS 91:2829-2833 (1994)(本明細書で援用する)に記載されているように4つの各HCV-反応性T細胞クローンからTCRα鎖を同定した。要するに、TRIzol(Invitrogen)を用いて100〜500万個の細胞から全RNAを単離し、α定常部(AC)リバースプライマーを用いて5' RACEシステム(cDNA末端の迅速増幅(Rapid Amplification of cDNA Ends))(Invitrogen)でTCR cDNAを増幅した。PCR生成物をクローン化し、配列決定し、かつ2つの生産的に再配列したα-鎖(AV38s2及びAV41s1)を同定した。
引き続くサブクローニング用のSal I制限部位を含有するAVフォワード(AV38s2フォワード5'-AAAGTCGACCTGTGAGCATGGCATGCCCTGGCTTCCTG-3'(配列番号17);AV41s1フォワード5'-AAAGTCGACTAATAATGGTGAAGATCCGGCAATTT-3'(配列番号18))及びACリバース(5'-AAAGTCGACCCTCAGCTGGACCACAGCCGCAGCGTCATGAGCAGA-3'(配列番号19))プライマーを用いてcDNAから両全長α鎖を増幅した。PCR生成物をpCR 2.1 TAクローニングベクター(Invitrogen)に連結し、大腸菌TOP 10コンピテント細胞(Invitrogen)に形質転換させた。α-鎖cDNAの存在についてPCRで細菌クローンをスクリーニングし、かつ配列決定してPCR増幅中にエラーが起こらなかったことを保証した。
【0027】
以前に記載されているような(Anglard, et al., Cancer Res. 52:348-356 (1992))TCRβ-鎖V部(BV)縮退サブファミリー特異性プライマーを用いて、4種のHCV-反応性T細胞クローンからTCRβ-鎖をRT-PCRで同定した。TRIzolを用いて100〜500万の細胞から全RNAを単離した。Superscript IIリバース転写酵素とオリゴ(dT)12-18(Invitrogen)を用いて1μgの全RNAから第一鎖cDNAを合成した。1×PCR緩衝液、1.5mMのMgCl2、200μMのdNTP、400nMのTCR BVサブファミリー特異性フォワードプライマー、400nMのTCRβ-鎖C部(BC)特異性リバースプライマー、及び1UのTaq DNAポリメラーゼ(すべてのPCR試薬:Invitrogen)から成る50μlの反応で10ngのcDNAをPCR-増幅した。クローン化し、配列決定し、既知ゲノムDNA配列に基づいてBV11s1として同定した4つの全HCV-反応性T細胞クローンからBV11バンドを得た。Xho I制限部位(フォワード5'-AAACTCGAGCCCCAACTGTGCCATGACTATCAGGCT-3'(配列番号20);リバース5'-AAACTCGAGCTAGCCTCTGGAATCCTTTCTCTTGACCATTGCCAT-3'(配列番号21))を含有するフォワード及びリバースプライマーを用いてcDNAから全長β-鎖を増幅し、pCR 2.1 TAクローニングベクターに連結し、大腸菌TOP 10コンピテント細胞に形質転換させた。β-鎖遺伝子の存在下で細胞クローンをスクリーニングし、組換えクローンを配列決定して、PCR増幅中にエラーが起こらなかったことを保証した。
さらなるDNA配列解析は、4種すべてのT細胞クローンが同じJα(AJ30及びAJ49)及びDβ/Jβ(BD2s1/BJ2s7)セグメントを使用し、かつCDR3領域をまたがって同一配列を有することを明かにし、これらの細胞クローンが姉妹クローンであることを示した。
【0028】
〔実施例4:レトロウイルスベクター構築及び形質導入〕
これらのT細胞クローン内の2つのTCRα鎖の存在は、TCRがHCV NS3抗原認識を媒介するかを決定するために2つのレトロウイルスベクターを構築することを余儀なくさせた。SAMEN CMV/SRαレトロウイルスベクターは以前に開示され(Roszkowski, et al., J. Immunol. 170:2582-2589 (2003);本明細書で援用する)、すべてのレトロウイルス構築物の骨格として使用された。図3に示されるように、迅速連結戦略を用いてHCV TCRα及びβ鎖遺伝子並びにCD8 TCRα及びβ鎖遺伝子を該レトロウイルスのそれぞれXho I及びSal I制限部位に挿入して3つのレトロウイルス構築物を作製した。まず、MMLV LTRの転写制御下でHCVクローン3由来のTCRβ鎖をSAMEN CMV/SRαの上流クローニング部位に挿入した。次に、SRαプロモーターの転写制御下でHCVクローン3TCRα鎖のそれぞれをSAMEN CMV/SRαの下流クローニング部位に挿入した。1つのレトロウイルスはAV38s2α鎖とBV11s1β鎖を含有した(HCV TCRと称する)。第二レトロウイルスはAV41s1α鎖とBV11s1β鎖を含有した(Alt TCRと称する)。第三レトロウイルスはCD8α及びβ鎖を含有した。
【0029】
Jurkat及びSupT1株化細胞(American Type Culture Collection, Rockford, MD)を10%のFBS(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、及び2.92mg/mlのグルタミンで補充したRPMI 1640培地から成る完全培地(CM)内で維持した。上述したように補充したDMEM内で293GP細胞を維持した。
Roszkowski, et al., J. Immunol. 170:2582-2589 (2003)によって開示されている通りの過渡的トランスフェクションプロトコルを用いてレトロウイルス上清を調製した。要するに、100cm2の組織培養皿に、ハンクス塩基性塩溶液(Hanks Basic Salt Solution)(HBSS)中の0.02%のB型ウシ皮膚ゼラチン(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を室温で15分コートした。24時間後に60〜70%のコンフルエントを与えるのに十分な密度で293GP細胞を蒔いた。Lipofectamine Plus試薬(Invitrogen)を用いて細胞を過渡的に3μgのレトロウイルスベクター及び水疱性口内炎ウイルスエンベロープ遺伝子を含有する3μgのプラスミドと同時トランスフェクトした。トランスフェクション培地をCMと交換し、24時間後と48時間後にレトロウイルス上清を収集した。
【0030】
開示されている通りの(Clay, et al., J. Immunol. 163:507-513 (1999))スピノキュレーション(spinoculation)でJurkat及びSupT1細胞に形質導入した。要するに、8μg/mlのポリブレン(Sigma-Aldrich)で補充したレトロウイルス上清内に1×106細胞/mlで細胞を再懸濁させた。細胞を24-ウェル平底組織培養プレートに加え(1ml/ウェル)、プレートを32℃で90分間1000xgで遠心分離した。スピノキュレーション後細胞を再懸濁させ、37℃で4時間インキュベートしてから、1mlの新鮮なCMを各ウェルに加えた。次の日、新鮮なレトロウイルス上清を用いてこのスピノキュレーション手順を繰り返した。24時間後、各培養にG418を添加することによって(Jurkat細胞では2mg/ml及びSupT1細胞では2.5mg/ml)、形質導入された細胞を選択した。
まず、レトロウイルスベクター(AV38s2/BV11s1及びAV4ls1/BV11s1)を用いてSupT1細胞に形質導入した。SupT1細胞は本来CD3又はTCRαβを発現しないCD4+/CD8+ヒトT細胞リンパ腫株化細胞であり、クローン化TCRの発現を確証するため用いた。形質導入されたSupT1細胞とコントロールSupT1細胞を抗-CD-3及び抗-TCRαβ抗体で染色した。図4に示されるように、FACS解析によってSupT1細胞はTCR回復CD3(図4A)及びTCRαβ(図4B)発現のどちらでも形質導入され(AV41s1/BV11s1TCRについては示さず)、両形態のHCVクローン3TCRがT細胞の表面上に安定したTCR/CD3複合体を形成できることを示している。
【0031】
〔実施例5:サイトカイン放出アッセイ〕
上述したようなサイトカイン放出アッセイによって、HCV反応性T細胞クローン及びTCR形質導入Jurkat細胞による抗原反応性を測定した。要するに、96-ウェルU-底組織培養プレート内200μlのCM中1:1の比で応答因子と刺激因子を共培養した。Jurkat実験では、10ng/mlのPMA(Sigma-Aldrich)を各ウェルに添加した。Jurkat刺激のポジティブコントロールとして、1μg/mlのイオノマイシン(Sigma-Aldrich)を添加して最大サイトカイン放出を得た。共培養を37℃で20時間インキュベートしてから上清を収集した。IFN-γに対するmAb(Pierce, Rockford, IL)又はIL-2に対するmAb(R&D Systems, Minneapolis, MN)を用いて、放出されたサイトカインの量をELISAで測定した。
可変濃度のペプチドを含有するCM内で1×106細胞/mlを37℃で2時間インキュベートすることによって、T2細胞にペプチドを負荷した。ペプチド-負荷T2細胞を新鮮なCMで洗浄後、応答因子と共培養した。
【0032】
AV38s2/BV11s1 HCV TCRの機能を検証するため、Jurkat細胞にHCV TCRレトロウイルスで形質導入した。Jurkat細胞はCD8-ヒトT細胞リンパ腫系統(その自然のTCRを発現する)なので、いずれの形質導入されるTCRも内因性TCRと競合しなければならないだろう。さらに、外来性TCRを発現するJurkat細胞は、抗原刺激によって抗原特異性様式でIL-2を分泌する (Roszkowski, et al., Cancer Res. 65:1570-1576 (2005);本明細書で援用する)。従って、Jurkat細胞は、いずれのクローン化TCRの機能を評価するためにも使用できるモデルT細胞である。
図5に示されるように、HCV TCRで形質導入されたJurkat細胞は、HCV NS3:1406-1415ペプチドを負荷したT2細胞で刺激すると、有意な量のIL-2を分泌した。HCR TCR-形質導入されたJurkat細胞は、T2細胞のみ又は無関係ペプチド(CMV pp65:495-503(NLVPMVATV)(配列番号22)若しくはチロシナーゼ:368-376(YMDGTMSQV)(配列番号23)を負荷したT2細胞を認識しなかったので、これらの細胞をHCV反応性であるとみなした。チロシナーゼ(TIL)のHLA-A2拘束性認識のみを媒介するTCRで形質導入されたコントロールJurkat細胞は、チロシナーゼ:368-376を負荷したT2細胞で刺激したときIL-2を分泌したが、HCV NS3:1406-1415又はCMV pp65:495-503を負荷したT2細胞で刺激したときはIL-2を分泌しなかった(図5)。これらの実験は、HCV NS3:1406-1415ペプチド認識が、HCVクローン3細胞からクローン化されたAV38s2/BV11s1 TCRによって媒介されたことを実証している。
【0033】
〔実施例6:HCV TCR形質導入Jurkat細胞の相対的アビディティー〕
天然の非-HCV反応性TCRを有する形質導入されたT細胞の相対的なアビディティーに対するAV38s2/BV11s1、クローン3 HCV TCRの寄与を決定するため、親のHCV反応性T細胞クローンとTCR形質導入Jurkat細胞を、減少する量のHCV NS3:1406-1415ペプチドを負荷したT2細胞で刺激し、放出されたサイトカインの量をELISAで測定した。図6に示されるように、親HCV T細胞クローンは、1ng/ml未満の濃度のペプチドを負荷したT2細胞で刺激したとき有意な量のIFN-γ(100pg/mlより多く、少なくともバックグラウンドの2倍)を分泌し、IFN-γの最大の半分の生産を誘発するためには、1〜10ng/mlのペプチドでT2細胞を負荷する必要があった(図6A)。対照的に、HCV TCR-形質導入Jurkat細胞は、有意な(100pg/mlより多く、かつ少なくともバックグラウンドの2倍)のIL-2放出を誘発するためには、T2細胞を10ng/ml以上の濃度のペプチドで負荷する必要があった(図6B)。最大の半分の応答は、該アッセイで用いたHCV TCR形質導入Jurkat細胞の数と無関係に20〜30ng/mlだった。HCV TCR形質導入Jurkat細胞の相対的アビディティー及び最大の半分の応答は両方とも親T細胞クローンの少なくとも10倍低かった(図6Aと図6Bを比較されたい)。Jurkat細胞内の内因性TCR鎖との競合を考慮すると、TCR形質導入Jurkatクローンは、親T細胞クローンに対して低レベルのHCV TCRを発現するだろうと予測された。結果として、相対的なアビディティーの差異は驚くべきでなく、かつ他のTCRで得られた結果と一致した(Cole, et al., Cancer Res. 55:748-752 (1995))。
【0034】
〔実施例7:HCV TCR形質導入Jurkat細胞で加工した抗原の認識〕
上述したように、HCV NS3:1406-1415ペプチドエピトープを発現するように操作したヒトメラノーマ細胞及び腎細胞癌細胞並びに親HCV反応性T細胞クローンを含むHCV+標的のパネルを用いて、HCV TCR形質導入Jurkat細胞が、MHCクラスI経路を介して提示された内因的コード化抗原を認識する能力を評価した。図7に示されるように、HCV TCR形質導入Jurkat細胞は、HLA-A2+ HCV NS3:1405-1415+と共培養した場合、有意な量のIL-2(100pg/mlより多く、少なくともバックグラウンドの2倍)を分泌したが、HLA-A2- HCV NS3:1405-1415+又はHLA-A2+ CMV pp65:495-503+腫瘍細胞と共培養した場合は分泌しなかった。コントロールTIL 1383I TCR形質導入Jurkat細胞は、HLA-A2+メラノーマ細胞で刺激したときだけIL-2を分泌し、HLA-A2-メラノーマ細胞又は腎臓癌細胞で刺激したときは分泌しなかった。これらの結果は、HCV TCRは加工抗原を認識する能力を他のエフェクター細胞に伝達できることを示す。さらに、Jurkat細胞上のCD8発現の非存在は、HCV TCR Jurkat細胞がHCV+細胞を認識することを阻まなかった。従って、CD8発現は加工抗原の認識に必要なかった。
【0035】
〔実施例8:四量体及び抗原認識におけるCD8の役割〕
実施例7で得られた結果をさらに探査するため、かつHCV TCR形質導入細胞を刺激するときのCD8の役割を決定するため、HCR TCR形質導入sJurkat細胞を形質導入してヒトCD8を発現させた。ヒトT細胞cDNAから全長CD8α及びβ鎖をRT-PCRで増幅した。CD8α鎖を増幅するために用いたクローニングプライマー(フォワード5'-AAACTCGAGCGCGTCATGGCCTTACCAGTGACCG-3'(配列番号24);リバース-5'-AAACTCGAGTTAGACGTATCTCGCCGAAAG-3'(配列番号25)及びCD8β鎖を増幅するために用いたクローニングプライマー(フォワード5'AAAGTCGACGCCACGATGCGGCCGCGGCTGTGGCT-3'(配列番号26);リバース-5'-GTCGACAATAAACACTTCAACAAAGCACTC-3'(配列番号27))は引き続くサブクローニングのため、それぞれXho I又はSal I制限部位を含んだ。PCR生成物をpCR 2.1 TAクローニングベクターに連結し、大腸菌TOP 10コンピテント細胞に形質転換させた。細胞クローンを全長CD8α又はβ鎖遺伝子の存在についてスクリーニングし、組換えクローンを配列決定してPCR増幅中にエラーが起こらなかったことを保証した。
【0036】
TCR及び他のT細胞マーカーの細胞表面発現を免疫蛍光染色で測定し、上述したようなフローサイトメトリーで定量化した(Langerman, et al., J. Transl. Med. 2:42 (2004))。以下の抗体を用いた:抗-CD3-PE、抗-CD8-FITC、抗-TCR α-β-PE(BD Biosciences, San Diego, CA)及び抗-TCR Vβ11-FITC(Beckman Coulter, Brea, CA)。以下のPE-標識HLA-A *0201四量体を用いた:HCV NS3:1406-1415及びCMV pp65:495-503(Beckman Coulter)。FACScanフローサイトメーター(BD Biosciences)を用いてフローサイトメトリーを行い、データをCellQuestプログラム(BD Biosciences)で解析した。
図8に示されるように、非形質導入及びHCV TCR-形質導入Jurkat細胞はCD8を発現せず(図8D及び8E)、かつ四量体と結合しなかった(図8A及び8B)。対照的に、CD8レトロウイルスで形質導入したHCV TCR Jurkat細胞は高レベルのCD8を発現し(図8F)、いくつかの細胞は四量体と結合できた(図8C)。1μg/mlのHCV NS3:1406-1415ペプチドを負荷したT2細胞と共培養すると、CD8+ HCV TCR Jurkat細胞は53,284pg/mlのIL-2を分泌し、CD8- HCV TCR Jurkat細胞は30,822pg/mlのIL-2を分泌した。対照的に、コントロールチロシナーゼペプチドを負荷したT2細胞と共培養すると、これらの細胞は、それぞれ88及び48pg/mlのIL-2を分泌した。これらの結果は、HCV TCRに結合する四量体はCD8発現を必要とするが、IL-2の生産にはCD8の発現は必要なく、CD8の発現はHCV+標的細胞によるHCV TCR Jurkat細胞の刺激を増大させることを確認する。
【0037】
〔実施例9:HCV TCR形質導入Jurkat細胞のアビディティーに及ぼすCD8の影響〕
実施例8でHCV TCR形質導入Jurkat細胞を形質導入してCD8を発現させた。結果として生じたCD8+ Jurkat細胞を抗原刺激に対する感受性についてCD8- Jurkat細胞と比較した。HCV TCR形質導入Jurkat細胞を、減少する量の野生型HCV NS3:1406-1415ペプチドを負荷したT2細胞と一晩共培養した。105の細胞によって放出されたIL-2の量をELISAで測定した。三通りのウェルの平均を図9に示す。CD8は効率的な抗原認識に必要ないことが明白であるが、Jurkat細胞内でCD8を発現するとHCVに対する応答を増強する。
【0038】
〔実施例10:HCR TCRで形質導入された末梢血T細胞はHCV+ HLA-A2+細胞を認識する〕
正常な末梢血(PBL)-誘導T細胞を抗-CD3及びIL-2で活性化してから上述したように形質導入してHCV TCRを発現させた。結果として生じたHCV TCR形質導入T細胞培養を、HCV NS3:1406-1415ペプチドを負荷したT2細胞及びこのペプチドエピトープを発現するように操作した腫瘍細胞を認識するその能力についてアッセイした。放出されたIFN-γの量を上述したようにELISAで測定した。図10に示される結果は、正常なPBL-誘導T細胞内のこのHCV反応性TCRの発現が、HCVペプチド負荷T2細胞及びHCV+株化細胞の認識をもたらすが、無関係のCMVペプチドを負荷した株化細胞又はT2細胞を認識しないことを実証する。
【0039】
〔実施例11:HCV TCR形質導入PBL-誘導-T細胞のアビディティー〕
親HCV反応性T細胞クローン及び3種のHCV TCR形質導入PBL-誘導T細胞の培養を、減少する量の野生型HCV NS3:1406-1415ペプチドを負荷したT2細胞と一晩共培養した。105のT細胞によって放出されたインターフェロン-γの量をELISAで測定した。三通りのウェルの平均を図11に示す。垂直線は、半-最大のインターフェロン-γ放出を誘発するために必要なペプチドの量を表す。各培養内のCD4及びCD8 T細胞のパーセンテージは、HCV T細胞クローンでは0%/100%、ドナーBでは32%/61%、ドナーDでは87%/10%、及びドナーFでは14%/72%だった。この結果は、HCV TCR形質導入T細胞培養がさらにIFN-γを生産し、かつ親T細胞クローンと同様のアビディティーを持つことを実証する。
【0040】
〔実施例12:HCV TCR形質導入CD4+及びCD8+ T細胞による抗原認識〕
HCV TCR形質導入T細胞を抗-CD4又は抗-CD8抗体で染色し、FACSで選別して99%より高純度の培養を得た。精製CD4+及びCD8+ T細胞を、5μg/mlのHCV若しくは無関係なCMVペプチド(pp65:495-503)を負荷したT2細胞又はHCV NS3:1406-1415ペプチド若しくはCMV pp65:495-503ペプチドを発現する624メラノーマ細胞若しくは腎臓癌131細胞と一晩共培養した。104のT細胞によって放出されたインターフェロン-γの量をELISAで測定した。三通りのウェルの平均と標準偏差を図12に示す。この結果は、精製HCV TCR形質導入CD4+及びCD8+ T細胞がHCVペプチド負荷T2細胞とHCV+株化細胞を両方とも認識できたことを実証する。
【0041】
〔実施例13:HCV TCR遺伝子修飾T細胞による突然変異HCV NS3:1406-1415ペプチドの認識〕
HCV NS3:1406-1415ペプチド配列を用いて関連配列についてGenBankを走査した。回収された1,000個の配列のうち、下表2に示されるように8つの天然に存在する突然変異エピトープを同定した。
【0042】
【表2】

【0043】
上記各ペプチドを合成し、それを用いてHCV TCR形質導入T細胞を刺激した。親HCV反応性T細胞クローン及び3種のHCV TCR形質導入PBL-誘導T細胞の培養を、5μg/mlの野生型HCV NS3:1406-1415ペプチド、突然変異ペプチド、又はコントロールチロシナーゼ:365-376ペプチドを負荷したT2細胞と一晩共培養した。105のT細胞によって放出されたインターフェロン-γの量をELISAで測定した。三通りのウェルの平均と標準偏差を図13に示す。8つの突然変異ペプチドの7つが親T細胞クローン及びHCV TCR形質導入T細胞培養の少なくとも2つで認識された。この結果は、HCV TCRがいくつかの天然に存在する突然変異エピトープを認識するので、HCVがエピトープの突然変異によって免疫認識を逸脱する機会を制限しうることを示している。
【0044】
〔実施例14:二機能性T細胞による抗原認識〕
Heemskerk, et al., Bone Marrow Transpl. 33:S21 (2004)及びLangerman, et al., J. Transl. Med. 2:42-49 (2004)に記載されているように、正常PBL-誘導T細胞をCMV pp65:495-503ペプチドで刺激してから、HCV TCRで形質導入した。正常ドナー由来のPBL-誘導T細胞を3日間5μg/mlのCMV pp65:495-503ペプチド及びIL-2で刺激してから、HCV TCRをコードするレトロウイルスで形質導入した。バルク培養をペプチド負荷T2細胞及びHCV NS3:1406-1415又はCMV pp65:495-503を発現するメラノーマ(624)又は腎臓癌(RCC 131)細胞で刺激したときのIFN-γ放出についてアッセイした。放出されたインターフェロン-γの量をELISAで測定した。図14に示されるように、結果として生じたTCR形質導入T細胞は、CMV pp65:495-503又はHCV NS3:1406-1415ペプチド負荷T2細胞並びにCMV+及びHCV+腫瘍細胞を認識した。
【0045】
図15に示されるように、四量体と細胞内インターフェロン-γ染色を併用して、二機能性T細胞によるHCV NS3:1406-1415とCMV pp65:495-503の二重認識を確証した。CMV pp65ペプチドを用いて、HCV TCRで形質導入されたT細胞(図15、下段パネル)、及び非形質導入細胞(図15、上段パネル)を刺激した。T細胞を624メラノーマ細胞(図15、左パネル)、HCV NS3:1406-1415を発現している624メラノーマ細胞(図15、中央パネル)、又はCMV pp65:495-503を発現している624メラノーマ細胞(図15、右パネル)で一晩刺激した。次に、細胞をHLA-A2/CMV pp65:495-503四量体で染色し、細胞内インターフェロン-γの存在について対比染色した。相対的な対数蛍光をフローサイトメトリーで測定した。二重染色細胞のパーセンテージを各ヒストグラムの右上象限に示す。これらのTCR形質導入T細胞培養内の約1%のT細胞は四量体及び細胞内IFN-γ染色に基づいて二重抗原認識が可能な両TCRを発現する。この結果は、HCV TCRのみならず別のTCRを両方とも発現する二機能性T細胞が発生しうることを実証する。
【0046】
〔参考例A:HCV+腫瘍のマウスモデル〕
2種のマウス株をHCV-ポジティブ腫瘍のモデルとして使用し、商業的に入手可能なHLA-A2トランスジェニックマウスをrag-1-/-マウスに交雑して、C57BL6バックグラウンドについてrag-1-/-マウス及びC57BL6バックグラウンドについてHLA-A2-rag-1-/-マウスを作製する。腫瘍を定着させるため、マウスにHCV+腫瘍株化細胞、例えばHuh-7、HepG2、又はヒトメラノーマ株化細胞、例えば624MELの静脈内又は皮下注射をする。Nishimura et al., Cancer Research 59: 6230-6238 (1999)に記載されているように、前記株化細胞をトランスフェクトしてHLA-A2を発現させる。腫瘍細胞がin vivo増殖の全過程を通してHLA-A2及びHCV遺伝子の発現を維持することを確認するため、腫瘍を収集し、単細胞懸濁液に溶かし、HCVタンパク質及びHLA-A2に特異的な抗体で染色してFACS解析で発現を測定した。
20匹のマウス群に1×105〜1×107のHCV TCR形質導入T細胞(CD8+又は1:1比のCD8+及びCD4+細胞)を移植した。注射後の日1、2、4、7、10、14、21、30、60、及び90日に各群から2匹のマウスを犠牲にした。各時点で、主要リンパ系区画内のCD3+/CD34+細胞を数えることによって、TCR遺伝子修飾されたT細胞の総数を決定して持続性を評価した。マウスをモニターし、処理関連罹患率及び死亡率の徴候について、空ベクターで形質導入したT細胞で処理したマウスと比較した。死体解剖を行って、移植片対宿主病(GVHD)又は自己免疫の無症状性の徴候を捜す。さらに、回収したT細胞をサイトカイン放出アッセイで解析してT細胞の抗原反応性をモニターし、かつFACS解析でCD27、CD28、CD45RA及びCCR7の発現について免疫記憶の発生をモニターする。
【0047】
腫瘍防御研究のため、20匹のrag-1-/-マウス群の尾静脈に1×105〜1×107の高低アフィニティーのHCV TCR T細胞を注射する。コントロールとして、20匹のrag-1-/-マウス群はT細胞を受けないか又は空ベクターで形質導入したT細胞を受ける。次の日、各処理群から5匹のマウスの尾静脈に適量のHuh-7/A2細胞を投与して肺転移を定着させ、5匹のマウスに適量のHuh-7/A2細胞を皮下投与して固形腫瘍を定着させる。各処理群の残り10匹のマウスに同数のHuh-7細胞を静脈内又は皮下投与して特異性コントロールとして働かせる。動物の耳にタグを付け、無作為化して調査者の偏見を防止する。
日14に、肺転移を有するマウスを犠牲にして肺転移の数を数える。多すぎて数えられない転移のあるマウスは、統計解析のため250の転移を有するとみなされる。ノンパラメトリックな両側クラスカル-ワリス検定(nonparametric two-tailed Kruskal-Wallis test)を用いて、肺転移の平均数の統計的に有意な差異を決定する。皮下腫瘍を有するマウスでは、コントロール群が直径1.25cmの腫瘍を持つまで毎日カリパスを用いてその腫瘍を測定する。当該時点で、実験を終了して残りのマウスを犠牲にする。ウィルコクソン順位和検定(Wilcoxon Rank Sum test)を用いて、腫瘍増殖の統計的に有意な差異を決定する。
各実験を少なくとも3回繰り返し、防御的T細胞用量(腫瘍誘発から統計的に有意な防御を達成するために必要なHCV TCR形質導入T細胞の平均数として定義される)を決定する。片側T検定(one tailed T test)を用いて、HCV TCR T細胞の平均数と腫瘍防御に必要なTCR形質導入TILの平均数との間の統計的に有意な差異を決定する。
【0048】
腫瘍治療の研究のため、定着したHuh-7/A2腫瘍を有するマウスにHCV TCR形質導入T細胞を移植して、これらのT細胞が、定着した3日の肺転移又は皮下固形腫瘍の退化をin vivo媒介できるかを決定する。40匹のrag-1-/-マウスの尾静脈に適量のHuh-7/A2又はHuh-y細胞を注射して肺転移を定着させる。3日後、5匹の腫瘍保有マウス群に1×105〜5×107の高低アフィニティーのHCV TCR形質導入T細胞を静脈内注射する。腫瘍増殖のコントロールとして残りのマウスの5匹に食塩水を注射し、空ベクターで形質導入した5×107のT細胞を他の5匹に注射する。
日14に、肺転移を有するマウスを犠牲にし、耳にタグを付け、無作為化して調査者の偏見を防止し、肺転移数を数える。多すぎて数えられない転移のあるマウスは、上述したように達成する統計解析のため250の転移を有するとみなされる。
40匹のrag-1-/-マウスに適量のHuh-7/A2又はHuh-7細胞を皮下注射して、皮下固形腫瘍を有するマウスを確立する。各腫瘍が約0.5cmの直径に達したら、1×105〜5×107の高低アフィニティーのHCV TCR形質導入T細胞をマウスに静脈内注射する。さらなる5匹のマウス群にはT細胞を投与せずに未処理コントロール群として働かせるか、又は空ベクターで形質導入した5×107のT細胞を投与する。そして、腫瘍測定の間、すべてのマウスの耳にタグを付け、無作為化して調査者の偏見を防止する。
コントロール群が直径1.25cmの腫瘍を持つまで毎日カリパスを用いて腫瘍体積を測定する。当該時点で、実験を終了して残りの動物を犠牲にする。上述したようなウィルコクソン順位和検定を用いて、腫瘍増殖の統計的に有意な差異を決定する。
【0049】
〔参考例B:HCV感染症のマウスモデル〕
HCV感染症のマウスモデルは以前にMercer et al., Nat. Med. 7:927-933 (2001)に記載されている。要するに、命の最初の2週間以内の生存能力のあるヒト肝細胞を脾臓内接種でscid Alb/uPAマウスに移植する。HCV接種のため、100μg/Lより多くのヒトα1-抗-トリプシン(HAAT)を有するマウスを選択する。HCVは、明確なクローン又は高力価HCVを有するヒト血清のどちらかである。感染2週間後、リアルタイムPCRでHCV力価についてマウス血清をアッセイする。104〜107コピー/mLのHCV力価を有するマウスをさらなる評価に使用する。
【0050】
ウイルス防御研究のため、HLA-A2肝細胞を移植した5匹のscid Alb/uPAマウス群の尾静脈に最初に1×105〜5×107の高低アフィニティーのHCV TCR T細胞又はコントロールとして食塩水を注射する。24時間後、HCV感染患者の血液由来のHCVで各マウスを感染させる。2週間後及びその後8週まで毎週、各マウスの血液をリアルタイムPCRでHAATレベル及びHCV力価について盲検様式でアッセイして肝機能を評価し、かつ養子T細胞移入がHCV感染からの防御をもたらしたかを決定する。処理8週間後、各群から2匹の動物を犠牲にし、血液、脾臓、肝臓、及びリンパ節を収集して各動物のHCV状態並びに養子移入T細胞の持続性、局在化、機能及び表現型を評価する。各実験を少なくとも3回行い、対応T検定を用いてHCV感染からの統計的に有意な防御を評価する。
【0051】
ウイルス治療研究のため、HLA-A2肝細胞を移植した15匹のscid Alb/uPAマウス群にHCV感染患者の血液由来のHCVウイルスを感染させる。2週間後、各マウスの血液の初期HCV力価を測定し、これら5匹のHCV感染したscid Alb/uPA-hepマウス群の尾静脈に治療用量の高低アフィニティーのHCV TCR T細胞又はコントロールとして食塩水を注射する。8週間まで毎週血液を得、リアルタイムPCRでアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びヒトα1-抗トリプシン(HAAT)レベル並びにHCV力価について盲検様式でアッセイして肝機能を評価し、かつ養子T細胞移入がHCV感染からの防御をもたらしたかを決定する。処理8週間後、各群から2匹の動物を犠牲にし、血液、脾臓、肝臓、及びリンパ節を収集して各動物のHCV状態並びに養子移入T細胞の持続性、局在化、機能及び表現型を評価する。各実験を少なくとも3回行い、対応T検定を用いてHCV力価の統計的に有意な低減を評価する。
【0052】
この明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形“1つ(a、an)”及び“その(the)”は、文脈が明らかに別に指示しない限り、複数対象を包含する。従って、例えば、“1つのポリヌクレオチド”を含有する組成物は2つ以上のポリヌクレオチドの混合物を包含する。また、用語“又は”は、文脈が明らかに別に指示しない限り、一般に“及び/又は”を含む意味で使用されることに留意すべきである。この明細書で参照するすべての刊行物、特許及び特許出願は、この発明が属する技術の当業者のレベルの指標である。すべての刊行物、特許及び特許出願は、それぞれ個々の刊行物、特許及び特許出願が具体的かつ個々に援用されたのと同程度に明白に本明細書で援用される。本開示と援用特許、刊行物及び参考文献とが矛盾する場合、本開示が支配するものとする。
【0053】
また、本明細書で詳述するいずれの数値も下限値から上限値のすべての値を包含する。すなわち、この明細書では、数え上げられた最低値と最高値の間の数値のすべての可能な組合せを明白に述べたものとみなすものとする。例えば、濃度範囲を1%〜50%のように述ている場合、この明細書では、2%〜40%、10%〜30%、又は1%〜3%等のような値を明白に列挙していることを意図する。濃度範囲が“少なくとも5%”の場合、少なくとも5%から100%まで、100%を含めてすべてのパーセンテージの値も明白に列挙していることを意図する。これらは、具体的に意図するものの単なる例にすぎない。
本発明を種々の特有の実施形態及び技術に関連して述べた。しかし、本発明の精神及び範囲内にある限り、多くの変更及び修正を為しうることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】抗-CD8及び表示HCVペプチドを負荷したHLA-A2四量体で染色された、HLA-A2+肝臓同種移植を受けたことがあるHLA-A2-患者由来の末梢血単核細胞(PBMC)のFACS解析を示す。二重ポジティブ細胞のパーセンテージを右上隅に示す。
【図2】HCV NS3:1406-1415又は空ベクターで形質導入した表示細胞で刺激後の4つのT細胞クローンから放出されたINF-γの量を示すグラフである。
【図3】HCV TCR及びCD8をコードするレトロウイルスベクター構築物を示す。
【図4】抗-CD3及び抗-TCR抗体で染色された形質導入SupT1細胞及び非形質導入SupT1細胞のFACS解析を示す。
【図5】非形質導入Jurkat細胞又はT2細胞のみ、イオノマイシン、HCV NS3:1406-1415を負荷したT2、CMVペプチドを負荷したT2細胞及びチロシナーゼペプチドを負荷したT2細胞で処理後の形質導入Jurkat細胞から放出されたIL-2の量を示すグラフである。
【図6A】増加性濃度のHCVペプチドを負荷したT2細胞による刺激に応じて親T細胞から放出されたIFN-γの量を示すグラフである。
【図6B】増加性濃度のHCVペプチドを負荷したT2細胞による刺激に応じて、HCR TCRで形質導入したJurkat細胞によって放出されたIL-2の量を示すグラフである。
【図7】HCV又はCMVペプチドのどちらかを発現するHLA-A2+及びHLA-A2-株化細胞に応じて形質導入Jurkat細胞及び非形質導入Jurkat細胞によって放出されたIL-2の量を示すグラフである。
【図8】抗-CD8抗体(D、E、F)又はHLA-A2/HCV NS3:1406-1415四量体(A、B、C)で染色された非形質導入Jurkat細胞、HCV TCR形質導入Jurkat細胞及びHCV TCR CD8形質導入Jurkat細胞のFACS解析を示す。
【図9】HCV TCR、CD8形質導入Jurkat細胞と比較した、減少性濃度のHCVペプチドに応じてHCV TCR形質導入Jurkat細胞によって放出されたIL-2の量を示すグラフである。
【図10】HCV TCRで形質導入した正常な末梢血誘導T細胞(ドナーB、D及びF)から、T2細胞のみ又は無関係なペプチド(CMV)若しくはHCVペプチドを負荷したT2細胞、又は無関係なペプチド若しくはHCVペプチドを負荷したHLA-A2+細胞(624 MEL及びRCC UOK131細胞)による刺激後に放出されたINF-γの量を示すグラフである。
【図11】HCV TCRで形質導入した正常な末梢血誘導T細胞(ドナーB、D及びF)から、減少性濃度のHCV NS3:1406-1415ペプチドを負荷したT2細胞による刺激後に放出されたIL-2の量を親T細胞クローンと比較して示すグラフである。
【図12】HCV TCRで形質導入し、かつCD4+及びCD8+集団にFACS選別した正常な末梢血誘導T細胞(ドナーB、D及びF)から放出されたIFN-γの量を示す1セットのグラフである。T2細胞のみ又は無関係なペプチド(CMV)若しくはHCVペプチドを負荷したT2細胞、又は無関係なペプチド若しくはHCVペプチドを負荷したHLA-A2+細胞(624 MEL及びRCC UOK131細胞)で細胞を刺激した。
【図13】HCV TCRで形質導入した正常な末梢血誘導T細胞(ドナーB、D及びF)及び親T細胞クローンから、表示した突然変異を含有するHCV NS3:1406-1415ペプチドを負荷したT2細胞による刺激後に放出されたIL-2の量を示すグラフである。
【図14】CMV pp65:495-503ペプチドで刺激してからHCV TCRで形質導入した正常な末梢血誘導T細胞から、無関係な(Flu又はMART-1)、CMV若しくはHCVペプチドを負荷したT2細胞、又はHLA-A2+細胞(624 MEL及びRCC UOK131細胞)のみかCMV若しくはHCVペプチドを負荷したHLA-A2+細胞による刺激後に放出されたIFN-γの量を示すグラフである。
【図15】CMV pp65:495-503ペプチドで刺激してからHCV TCRで形質導入したか(下段パネル)又は非形質導入のまま(上段パネル)の正常な末梢血誘導T細胞のIFN-γ及びCMV四量体染色のFACS解析を示す。624 MEL細胞のみ(左パネル)、HCV NS3:1406-1415を発現している624 MEL細胞(中央パネル)又はCMV pp65:495-503を発現している624 MEL細胞でT細胞を一晩刺激した。右上隅の数は二重染色細胞のパーセンテージである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HCVエピトープ-反応性組換えT細胞受容体を含んでなる細胞。
【請求項2】
前記HCVエピトープがHLA-A2拘束性である、請求項1に記載の細胞。
【請求項3】
前記HCVエピトープがNS3エピトープ又はその突然変異体を含む、請求項1に記載の細胞。
【請求項4】
前記NS3エピトープがNS3:1406-1415又はその突然変異体を含む、請求項3に記載の細胞。
【請求項5】
前記NS3エピトープがNS3:1406-1415(V1408L)、NS3:1406-1415(A1409T)、NS3:1406-1415(I1412L)、NS3:1406-1415(I1412V)、NS3:1406-1415(I1412N)、NS3:1406-1415(V1408T)又はNS3:1406-1415(V1408S、A1409S、I1412L、A1414S)を含む、請求項4に記載の細胞。
【請求項6】
前記HCVエピトープがコアタンパク質エピトープ若しくはその突然変異体、E1エピトープ若しくはその突然変異体、E2エピトープ若しくはその突然変異体、p7エピトープ若しくはその突然変異体、NS2エピトープ若しくはその突然変異体;NS4aエピトープ若しくはその突然変異体、NS4bエピトープ若しくはその突然変異体、NS5aエピトープ若しくはその突然変異体又はNS5bエピトープ若しくはその突然変異体を含む、請求項2に記載の細胞。
【請求項7】
第二のHCVエピトープ-反応性T細胞をさらに含み、この第二のHCVエピトープが前記HCVエピトープと異なる、請求項1に記載の細胞。
【請求項8】
前記T細胞受容体が配列番号2と少なくとも95%のアミノ酸同一性を有するα-鎖を含む、請求項1に記載の細胞。
【請求項9】
前記T細胞受容体が配列番号4と少なくとも95%のアミノ酸同一性を有するβ-鎖を含む、請求項1に記載の細胞。
【請求項10】
前記T細胞受容体が配列番号2と少なくとも95%のアミノ酸同一性を有するα-鎖及び配列番号4と少なくとも95%のアミノ酸同一性を有するβ-鎖を含む、請求項1に記載の細胞。
【請求項11】
CD8マーカーをさらに含んでなる、請求項1に記載の細胞。
【請求項12】
CD4マーカーをさらに含んでなる、請求項1に記載の細胞。
【請求項13】
前記細胞が造血幹細胞である、請求項1に記載の細胞。
【請求項14】
前記細胞がPBL-誘導T細胞である、請求項1に記載の細胞。
【請求項15】
配列番号2と少なくとも95%の配列同一性を有する、HCVエピトープ-反応性T細胞受容体のα-鎖をコードする配列を含んでなる単離されたポリヌクレオチド。
【請求項16】
配列番号1の配列を含んでなる、請求項15に記載のポリヌクレオチド。
【請求項17】
配列番号4と少なくとも95%の配列同一性を有する、HCVエピトープ-反応性T細胞受容体のβ-鎖をコードする配列を含んでなる単離されたポリヌクレオチド。
【請求項18】
配列番号3の配列を含んでなる、請求項17に記載のポリヌクレオチド。
【請求項19】
配列番号2と少なくとも95%の配列同一性を有する、HCVエピトープ-反応性T細胞受容体のα-鎖をコードする配列及び配列番号4と少なくとも95%の配列同一性を有する、HCVエピトープ-反応性T細胞受容体のβ-鎖をコードする配列を含んでなる単離されたポリヌクレオチド。
【請求項20】
プロモーターに操作可能に連結された請求項15〜19のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含んでなる構築物。
【請求項21】
請求項20に記載の構築物を含んでなるレトロウイルスベクター。
【請求項22】
請求項20に記載の構築物を含んでなるT細胞。
【請求項23】
対象に送達するためのHCV-反応性T細胞の製造方法であって、前記対象から単離したT細胞に請求項20に記載の構築物で形質導入することを含む方法。
【請求項24】
HCV-反応性T細胞受容体の製造方法であって、以下を含む方法:
(a)HLA不適合な肝臓同種移植のHCV+レシピエント又はHCV-曝露非ウイルス血症個体からHCV-反応性T細胞を単離すること;
(b)前記HCV-反応性T細胞から、該T細胞受容体のα-鎖及びβ-鎖をコードするポリヌクレオチド配列をクローン化すること;
(c)前記(b)のポリヌクレオチド配列を細胞に送達すること;及び
(d)前記細胞による前記T細胞受容体の発現に適した条件下で前記細胞をインキュベートすること。
【請求項25】
HCV感染対象を治療するか又は対象のHCV感染の再活性化を阻害する方法であって、HCVエピトープ-反応性組換えT細胞受容体を含んでなる免疫療法的に有効量の細胞を前記対象に投与することを含む方法。
【請求項26】
前記T細胞受容体が、配列番号2と少なくとも95%のアミノ酸同一性を有するα-鎖及び配列番号4と少なくとも95%のアミノ酸同一性を有するβ-鎖を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
対象のHCV-関連肝細胞癌を治療する方法であって、HCVエピトープ-反応性組換えT細胞受容体を含んでなる免疫療法的に有効量の細胞を前記対象に投与することを含む方法。
【請求項28】
前記T細胞受容体が、配列番号2と少なくとも95%のアミノ酸同一性を有するα-鎖及び配列番号4と少なくとも95%のアミノ酸同一性を有するβ-鎖を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
HCVエピトープ-反応性組換えT細胞受容体を含んでなる細胞の、HCV感染症又はHCV-関連肝細胞癌の治療用薬物の製造における使用。
【請求項30】
前記HCVエピトープがNS3エピトープ又はその突然変異体である、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
前記NS3エピトープがNS3:1406-1415を含む、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
前記NS3エピトープがNS3:1406-1415(V1408L)、NS3:1406-1415(I1412L)、NS3:1406-1415(I1412V)、NS3:1406-1415(I1412N)又はNS3:1406-1415(V1408T)を含む、請求項30に記載の使用。
【請求項33】
前記T細胞受容体が、配列番号2と少なくとも95%のアミノ酸同一性を有するα-鎖及び配列番号4と少なくとも95%のアミノ酸同一性を有するβ-鎖を含む、請求項29に記載の使

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2009−515534(P2009−515534A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540336(P2008−540336)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/060697
【国際公開番号】WO2007/056760
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(501242712)ザ ユニヴァーシティー オヴ シカゴ (19)
【出願人】(508316405)オレゴン ヘルス アンド サイエンス ユニヴァーシティー (1)
【Fターム(参考)】