説明

HCV感染のための組み合わせ治療

本発明は、VX-497、リバビリン、およびインターフェロンを含む治療的組み合わせに関する。本発明はまた、患者において、HCV感染を処置するまたはその1もしくはそれ以上の症候を軽減するための、本発明の治療的組み合わせを用いる方法に関する。本発明はまた、本発明の組み合わせを含むキットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野
本発明は、VX-497、リバビリン、およびインターフェロンを含む治療的組み合わせに関する。本発明はまた、患者において、HCV感染を処置する、またはその1もしくはそれ以上の症候を軽減するための、本発明の治療的組み合わせを用いる方法に関する。本発明はまた、本発明の治療的組み合わせを含むキットを提供する。本発明はまた、本発明の治療的組み合わせを投与するための医薬レジメを提供する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
HCVは、フラビウイルスのファミリーのRNAウイルスである。HCVでの急性感染は、通常穏やかで、しばしば無症候の急性肝炎を引き起こす。しかし、HCVに感染した少なくとも85%の患者がウイルスを完全には除けず、肝臓の慢性感染を起こす。一旦慢性C型肝炎を発症すると、ウイルスの自然除去はまれであり、慢性感染を有する大多数の患者がゆっくりと進行する肝臓疾患を発症する。感染後20年で、ほとんどの患者は進行中の慢性肝炎の兆候を有し、少なくとも20%が肝硬変を有する。長期間の慢性C型肝炎の後遺症は、肝硬変、肝不全、および肝細胞癌を含む。HCVは、全世界で170,000,000人に感染していると推定されている。これからの10年にわたって、多くの患者がその感染から30年になるため、C型肝炎による死者の数は、著しく増大すると予測されている。
【0003】
HCV感染の典型的な症状は、ALTの上昇、抗HCV抗体試験陽性、HCV−RNA試験陽性によって示されるHCVの存在、慢性肝臓疾患の臨床的症状、または肝細胞損傷を含む。
【0004】
1999年になるまで、欧州連合(EU)における慢性HCV感染のための承認された治療は、インターフェロン−α(IFN−α);例えば Intron(登録商標) A、Viraferon(登録商標)、または Infergen(登録商標)であった。有効率は比較的低く、20%の患者のみが6ヶ月の治療後に持続性ウイルス学的著効(SVR)を達成した。SVRは、処置の中止後6ヶ月でHCV−RNAが検出されない患者の数である。注射用量に対応した持続的抗ウイルス効果ないこと、および薬物の種々の副作用(インフルエンザ様症状、悪心、食欲不振、不眠症および鬱症状を含む)が、本治療の利用を制限してきた。
【0005】
リバビリンは、広域抗ウイルス剤であり、これは慢性C型肝炎に有効であると報告されている。単独で用いた場合には、リバビリンは、使用中に、患者のほとんどで、肝酵素レベルが低下する。しかしながら、肝酵素は、使用を中止するとベースライン値に戻る。さらに、リバビリン処置は、ごくわずかしか、そして一時的にしか血漿HCV−RNAレベルを低下させない。リバビリンをIFN−αと組み合わせた場合に、より有望な結果が得られた。リバビリン(1000〜1200mg/日, 経口)、およびIFN−α(3MIU, 週3回, 皮下)の組み合わせの2つの大きな対照治験において、前処置のないC型肝炎患者は、IFN−α単独と比較して、組み合わせにおいて統計学的に有意に上昇したSVRを示した。6ヶ月の処置により、組み合わせ治療におけるSVRは、29〜32%であったのに対して、IFN−α単独では6〜17%(後者は48週の処置の場合を示す)であった。より長期の、すなわち48週の組み合わせ処置では、前処置なしの患者は、いくらか高い比率のSVR(37〜42%)を示した。この組み合わせ治療は、EMEAの承認を1999年に受け、Schering Plough Corporation によって販売された。リバビリン治療の限界は、薬物誘発性溶血性貧血の発現を含む。大多数の患者は、処置の期間中、平均2〜3g/dLのヘモグロビンの減少を示す。リバビリンの投与量の削減を要する10g/dL未満へのヘモグロビン濃度の低下は、組み合わせ治療を受けた患者の約8%で観察された。リバビリン処置はまた、非特異的な非局所的症状、例えば疲労、不眠、鬱症状、および眩暈を伴ってきた。これまでに報告された治験において、リバビリンおよびIFN−αの組み合わせ治療を受けた患者の少数が、毒性回避のために、一般的には溶血性貧血のために、用量の削減もしくは処置の中止を必要とした。さらに、溶血は、鉄吸収の増大によって肝臓を損傷することが示唆されている。
【0006】
リバビリンおよびIFN−α組み合わせのSVR率をさらに改善する試みで、近年の開発は、治療のインターフェロン成分に焦点を当てている。ペグ化と呼ばれる反応で、ポリエチレングリコール(PEG)分子をインターフェロン蛋白質と共有結合させている。ペグ化によって、腎臓からの排泄および蛋白質分解を低下させた結果、蛋白質の半減期を延長させる。ペグ化インターフェロン−α(PEG−IFN−α)は、標準IFN−αよりも血清濃度の変化が少なく、その結果ウイルスへの一貫した抗ウイルス効力をもたらす。2個の異なるPEG−IFN−α製品が検討された。PEG−IFN−α 2a (Pegasys(登録商標);Roche Laboratories)は、40kDaのPEG分子を結合させており、その結果、血清半減期は約80時間となった。PEG−IFN−α 2b(PEG-Intron(商標)またはViraferonPEG(商標);Schering Plough Corporation)は、12kDaのPEG分子を結合させており、血清半減期は約31時間となった。
【0007】
第III相治験において、PEG−IFN−α 2a(Pegasys)+リバビリンの抗ウイルス活性を、無前処置C型肝炎患者に対する48週の処置を行なった後評価した。1,149人の患者が治験に編入され、そして180μg PEG−IFN−α 2a+リバビリン、180μg PEG−IFN−α 2a+プラセボ、またはIFN−α 2b+リバビリンの何れかを投与された。PEG−IFN−α 2a+リバビリンは、PEG−IFN−α 2a(30%)、およびIFN−α 2b+リバビリン(45%)と比較して、SVRについて統計学的に有意な向上(56%)を示した。Pegasys(登録商標)およびリバビリンの組み合わせは、現在FDAもしくはEMEAで承認されていない。
【0008】
PEG−IFN−α 2b(PEG-Intron(商標)/ViraferonPEG(商標))+リバビリン組み合わせの抗ウイルス活性は、第III相治験で、無前処置患者において評価された。総数1,530人の患者が試験に編入され、以下の3つの処置法の1つに無作為化された:1.5μg/kg PEG−IFN−α 2b、皮下、週1回 + 800mg/日 リバビリンを48週間;1.5μg/kg PEG−IFN−α 2b、皮下、週1回 + 1000〜1200mg/日 リバビリン 4週間、次に0.5μg/kg PEG−IFN−α 2b、皮下、週1回 + 1000〜1200mg/日 リバビリンを44週間;またはIFN−α 2b + リバビリンを48週間。SVR率は、それぞれ54%、47%、および47%であった。PEG-Intron(商標)およびリバビリンの組み合わせは、米国および欧州の当局より2001年に承認を受けている。
【0009】
リバビリンおよびインターフェロン αを用いたHCV感染を処置する方法は、例えば米国特許第 6,299,872 号、米国特許第 6,387,365 号、米国特許第 6,172,046 号、米国特許第 6,472,373 号に開示されている。これらの文献は、引用によって本明細書中に組み込まれている。
【0010】
ペグ化インターフェロンおよびリバビリンの組み合わせは効果的である一方、欠点を有する。50〜55%にわたるSVR率が、これらの2つの薬剤の毒性と相まって、改善された安全性プロファイルを有するさらなる効果的な治療の必要性を指摘している。副作用を減少させ、かつ効果を増大させたHCV感染のための有効な治療が必要とされている。
【発明の開示】
【0011】
本発明の要約
VX-497、リバビリン、およびインターフェロンを含む治療的組み合わせを提供することが、本発明の目的である。
【0012】
患者において、HCV感染を処置する、またはその1もしくはそれ以上の症状を軽減する方法であって、本発明の組成物を該患者に投与することを含む方法を提供することが、本発明の別の目的である。
【0013】
患者において、HCV感染を処置するための医薬レジメを提供することが、本発明のさらに別の目的である。
【0014】
本発明の詳細な説明
下記の定義を、本明細書中で用いる。
“Peg-Intron”は、PEG-Intron(登録商標)を、すなわちペグ−インターフェロン α−2b(Schering Corporation, Kenilworth, NJ より市販)を意味し;
“Intron”は、Intron-A(登録商標)を、すなわちインターフェロン α−2b(Schering Corporation, Kenilworth, NJ より販売)を意味し;
“リバビリン”は、リバビリン(1−β−D−リボフラノシル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミド, ICN Pharmaceuticals, Inc., Costa Mesa, CA より販売;Merck Index, entry 8365, Twelfth Edition に記載;Rebetol(登録商標)として Schering Corporation, Kenilworth, NJ より販売;または Copegus(登録商標)として Hoffmann-La Roche, Nutley, NJ より販売)を意味し;
“Pagasys”は、Pegasys(登録商標)、すなわちペグ−インターフェロン α−2a(Hoffmann-La Roche, Nutley, NJ より販売)を意味し;
“Roferon”は、Roferon(登録商標)、すなわちリコンビナントのインターフェロンα−2a(Hoffmann-La Roche, Nutley, NJ より販売)を意味し;
“Berefor”は、Berefor(登録商標)、すなわちインターフェロン α2(Boehringer Ingelheim Pharmaceutical Inc., Ridgefield, CT より販売)を意味し;
Sumiferon(登録商標)、すなわち天然のα−インターフェロンの精製ブレンド(例えば Sumiferon (Sumitomo, Japan より販売));
Wellferon(登録商標)、すなわちインターフェロン α n1(Glaxo Wellcome LTd., Great Britain);
Alferon(登録商標)、すなわち天然のα−インターフェロンの混合物(Interferon Sciences により製造、Purdue Frederick Co., CT により販売);
“VX-497”は、式:
【化1】

を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を意味する。
VX-497は、Vertex Pharmaceuticals Inc. によって見出された強力なIMPDH阻害剤であり、米国特許第 6,541,496 号に記載されている。
“bid”は1日2回を;“tid”は1日3回を;“qid”は1日4回を;“biw”は週2回を;“tiw”は週3回を意味する。
【0015】
本明細書中で用いる“治療的組み合わせ”という用語は、1個もしくはそれ以上の活性な薬物、すなわち治療有用性を有する化合物の組み合わせを意味する。典型的には、本発明の治療的組み合わせにおける、それぞれの化合物は、当該化合物および薬学的に許容される担体を含むひとつの医薬組成物中に存在している。本発明の治療的組み合わせにおける化合物は、レジメの一部として、同時にもしくは別個に投与され得る。
【0016】
ひとつの態様において、本発明は、VX-497およびリバビリンを含む治療的組み合わせを提供する。
【0017】
別の態様において、本発明は、IMPDH阻害剤、例えばVX-497、リバビリン、およびインターフェロンを含む治療的組み合わせを提供する。
【0018】
治療的組み合わせの第1成分、すなわちVX-497は、組成物中に含まれる。このような組成物は、VX-497(“VX-497組成物”)、および薬学的に許容されるアジュバントもしくは担体を含む。
【0019】
好ましくは、VX-497組成物は、少なくとも約60mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む。
【0020】
別の態様において、VX-497組成物は、約60mg/日から約220mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む。
【0021】
別の態様において、VX-497組成物は、約60mg/日から約150mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む。
【0022】
別の態様において、VX-497組成物は、70mg/日から約120mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む。
【0023】
別の態様において、VX-497組成物は、約80mg/日から約100mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む。
【0024】
別の態様において、VX-497組成物は、約85mg/日から約90mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む。
【0025】
別の態様において、VX-497組成物は、約90mg/日から約220mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む。
【0026】
別の態様において、VX-497組成物は、約90mg/日から約120mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む。
【0027】
別の態様において、VX-497組成物は、100mg/日から約110mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む。
【0028】
別の態様において、VX-497組成物は、約100mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む。
【0029】
別の態様において、VX-497組成物は、約150mg/日から約220mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む。
【0030】
別の態様において、VX-497組成物は、約170mg/日から約210mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む。
【0031】
別の態様において、VX-497組成物は、約180mg/日から約210mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む。
【0032】
別の態様において、VX-497組成物は、約200mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む。
【0033】
1つの態様において、VX-497組成物は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、1日6回投与するのに適切な製剤において、VX-497を含む。例えば、VX-497組成物が約100mg/日の用量のVX-497を含み、1日2回投与が望ましいならば、VX-497組成物は、約50mgのVX-497を含む製剤(例えば錠剤)において、VX-497を含む。
【0034】
別の態様において、VX-497組成物は、1日2回投与するのに適切な製剤において、VX-497を含む。
【0035】
または、VX-497組成物は、1日3回投与するのに適切な製剤において、VX-497を含む。
【0036】
別の態様において、VX-497組成物は、約90mg/日から約120mg/日の投与に十分な量のVX-497を含み、該VX-497は、1日2回投与するために製剤化されている。
【0037】
別の態様において、VX-497組成物は、100mg/日から約110mg/日の投与に十分な量のVX-497を含み、該VX-497は、1日2回投与するために製剤化されている。
【0038】
別の態様において、VX-497組成物は、約100mg/日の投与に十分な量のVX-497を含み、該VX-497は、1日2回投与するために製剤化されている。
【0039】
本発明の治療的組み合わせにおいて、VX-497は、当業界で既知の他のIMPDH阻害剤によって置き換えられてもよい。好ましくは、このような他のIMPDH阻害剤は、患者において(例えば血清血漿において)、対応するVX-497の用量の曝露レベルと比較して、等価な曝露レベルを提供する量で用いられる。このような他のIMPDH阻害剤の例は、例えば Cellcept、VX-944、VX-148、およびミゾルビン(mizorubin)を含む。
【0040】
治療的組み合わせの第2の成分、すなわちリバビリンは、組成物(“リバビリン組成物”)中に含まれる。典型的には、このような組成物は、リバビリンおよび薬学的に許容されるアジュバントもしくは担体を含む。
【0041】
1つの態様において、リバビリン組成物は、400mg/日から約1200mg/日の投与に十分な量のリバビリンを含む。
【0042】
別の態様において、リバビリン組成物は、約800mg/日から約1200mg/日の投与に十分な量のリバビリンを含む。
【0043】
別の態様において、リバビリン組成物は、約1000mg/日から約1200mg/日の投与に十分な量のリバビリンを含む。
【0044】
別の態様において、リバビリン組成物は、約1000mg/日または約1200mg/日の投与に十分な量のリバビリンを含む。
【0045】
別の態様において、リバビリン組成物は、約300mg/日から約800mg/日の、より好ましくは約300mg/日から約700mg/日の投与に十分な量のリバビリンを含む。または、より好ましくは500mg/日から約700mg/日の投与に十分な量で存在する。または、より好ましくはそれは400mg/日から約600mg/日の投与に十分な量で存在する。
【0046】
さらに別の態様において、リバビリンは、Rebetol(登録商標) または Copegus(登録商標)の何れかである。
【0047】
1つの態様において、リバビリン組成物は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、または1日6回投与するのに適切な製剤において、リバビリンを含む。例えば、治療的組み合わせが約1000mg/日の用量のリバビリンを含み、かつ1日5回の投与が望ましいならば、治療的組み合わせは、例えば約200mgのリバビリンを含む製剤(例えば錠剤)においてリバビリンを含む。
【0048】
または、リバビリン組成物は、少なくとも1日2回投与するのに適切な製剤において、リバビリンを含む。より好ましくは、リバビリンは、1日2回、1日3回、1日4回、または1日5回投与するために製剤化される。好ましくは、リバビリンは、1日2回もしくは1日3回投与するために製剤化される。
より好ましくは、リバビリンは、1日2回投与するよう製剤化される。
【0049】
本明細書で用いられる“インターフェロン”という用語は、ウイルス複製および細胞増殖を阻害し、免疫応答を調節する、高い相同性を有する種特異的な蛋白質を、例えばインターフェロン α、インターフェロン β、またはインターフェロン γを意味する(The Merck Index, entry 5015, Twelfth Edition)。
【0050】
別の態様において、本発明の治療的組み合わせは、天然のα−インターフェロン 2aを
利用する。または、本発明の治療的組み合わせは、天然のα−インターフェロン 2bを利用する。好ましくは、本発明の治療的組み合わせは、リコンビナントのα−インターフェロン 2aもしくは2bを利用する。より好ましくは、インターフェロンは、ペグ化α−インターフェロン 2aもしくは2bである。本発明に適切なインターフェロンは、(a) Intron、(b) Peg-Intron、(c) Pegasys、(d) Roferon、(e) Berofor、(f) Sumiferon、(g) Wellferon、(h) コンセンサス α−インターフェロン(Amgen, Inc., Newbury Park, CAより販売)、(i) Alferon、(j) Viraferon(登録商標)、(k) Infergen(登録商標)を含む。
【0051】
別の態様において、治療的組み合わせは、VX-497、そして Intron、Peg-Intron、Pegasys、Roferon、Berofor、Sumiferon、Wellferon、コンセンサス α−インターフェロン、または Alferon から選択されるインターフェロンを含む。
【0052】
別の態様において、治療的組み合わせは、Intron、Roferon、Peg-Intron、または Pegasys の1つの中のVX-497を含む。
【0053】
別の態様において、治療的組み合わせは、約4,000,000IU/週から約12,000,000IU/週の投与に十分な量の Intron もしくは Roferon を含む。好ましくは、Intron もしくは Roferon は、約6,000,000IUから約10,000,000IUの投与に十分な量で存在する。さらにより好ましくは、Intron もしくは Roferon は、約8,000,000IUから約9,000,000IUの投与に十分な量で存在する。より好ましくは、Intron もしくは Roferon は、約9,000,000IUの投与に十分な量で存在する。
【0054】
本発明の治療的組み合わせにおける Peg-Intron もしくは Pegasys の量は、処置される患者の体重によって変化する。
【0055】
1つの態様において、治療的組み合わせは、約0.5μg/kg/週から約2μg/kg/週の投与に十分な量の Peg-Intron もしくは Pegasys を含む。別の態様において、Peg-Intron もしくは Pegasys は、約1μg/kg/週から約2μg/kg/週の投与に十分な量で存在する。または、Peg-Intron もしくは Pegasys は、約1.5μg/kg/週の投与に十分な量で存在する。
【0056】
VX-497およびリバビリンのそれぞれを製剤化するのに有用な薬学的担体およびアジュバントは、当業界で既知である。VX-497を含む製剤は、米国特許第6,541,496号に開示されている。この開示は、ここに引用することによって本明細書中に組み込まれる。リバビリンを含む製剤は、米国特許第4,211,771号で開示されている。
【0057】
別の態様において、本発明は、患者においてHCV感染を処置するのに使用するためのキットを提供する。本発明のキットは、本発明の治療的組み合わせの何れか1つを含む。さらに、キットは、治療的組み合わせを利用するための説明書を含む。キットは、患者の種類もしくはタイプ、または他の臨床的に関係する要因、例えば年齢、体重、合併疾患/状態、HCV感染の重症度および段階、前処置に対する応答性もしくは無応答性、副作用の傾向などの要請に応じて調製され得る。例えば、キットにおける治療的組み合わせは、例えば75kgの体重を有する患者に適切な投与量で製造され得る。または、キットにおける治療的組み合わせは、例えば75kg以下の体重を有する患者に適切な投与量で製造され得る。または、キットにおける治療的組み合わせは、小児科の使用のために製造され得る。ここで、子供への投与量は、例えば年齢、体重、疾患の重症度などの要因によって変化する。
【0058】
別の態様において、本発明は、(i) 複数のVX-497組成物;(ii) 複数のリバビリン組成物;(iii) 複数のインターフェロン組成物;および (iv) 上記の組成物を利用するための説明書を含むキットを提供する。
【0059】
別の態様において、キットは、VX-497組成物を含み、ここで、それぞれの組成物は上記の態様の何れか1つに記載のVX-497の投与量を含む。1つの態様において、該組成物は、それぞれ、少なくとも、そして好ましくは約50mgのVX-497を含む。1つの態様において、該組成物は、それぞれ、少なくとも、そして好ましくは約1000mgのVX-497を含む。
【0060】
別の態様において、キットは、リバビリン組成物を含み、ここで、それぞれの組成物は、上記のリバビリンの望ましい投与量を含む。別の態様において、該組成物は、それぞれ、約200mgのリバビリンを含む。好ましくは、該組成物は、それぞれ、カプセル製剤において約200mgのリバビリンを含む。
【0061】
別の態様において、キットは、インターフェロン−α組成物を含み、ここで、それぞれの組成物は、上記のインターフェロンの投与量を含む。好ましくは、キットにおけるインターフェロンは、Intron、Peg-Intron、Roferon、または Pegasys である。より好ましくは、インターフェロンは、Peg-Intron もしくは Pegasys である。
【0062】
別の態様において、キットは、1回投与バイアルまたは多回投与バイアルにおけるインターフェロン−α製剤を含む。好ましくは、インターフェロン−αは、注射に適切な製剤である。
【0063】
別の態様において、本発明は、患者において、HCV感染を処置するまたはその1もしくはそれ以上の症候を軽減する方法であって、本発明による治療的組み合わせを投与する段階を含む方法を提供する。1つの態様において、患者は、HCV遺伝子型1の感染を有する。
【0064】
別の態様において、本発明の方法は、未処置の患者、すなわち予めHCV感染の処置を全く受けていない患者の処置において、HCV感染を処置するまたはその1もしくはそれ以上の症候を軽減するのに有用である。
【0065】
別の態様において、本発明の方法は、インターフェロン単剤治療に応答しない患者において、HCV感染を処置するまたはその1もしくはそれ以上の症候を軽減するのに有用である。
【0066】
別の態様において、本発明の方法は、リバビリンおよびインターフェロンを用いた組み合わせ治療に応答しない患者において、HCV感染を処置するまたはその1もしくはそれ以上の症候を軽減するのに有用である。
【0067】
別の態様において、本発明は、HCV−RNAレベルを減少させる必要がある患者において、HCV−RNAレベルを減少させる方法であって、該患者に本発明の治療的組み合わせを投与することを含む方法を提供する。好ましくは、本発明の方法は、患者におけるHCV−RNAレベルを検出可能なレベル未満に減少させる。
【0068】
本発明で用いられる“HCV−RNAの検出可能なレベル”は、定量的多回逆転写酵素PCT法による測定で、患者の血清1mlあたり少なくとも100HCV−RNA複製を意味する。該方法は、当業界で周知である。
【0069】
別の態様において、本発明は、本発明による治療的組み合わせを、それが必要な患者に少なくとも12週間投与することを含む医薬レジメを提供する。1つの態様において、医薬レジメは、治療的組み合わせを、それが必要な患者に、約12週間から約24週間投与することを含む。または、治療的組み合わせは、少なくとも24週間投与される。別の態様において、治療的組み合わせは、患者におけるHCV−RNAレベルが検出可能なレベル未満になるまで投与される。
【0070】
別の態様において、医薬レジメは、それが必要な患者に、
(i) 治療有効量のVX-497を1日2回で、
(ii) 治療有効量のリバビリンを1日2回で、
(iii) 治療有効量のインターフェロン−αを週1回で、
少なくとも約12週間投与することを含む。
【0071】
1つの態様において、VX-497を少なくとも40mgで1日2回投与する。または、VX-497を約40mgで1日2回から約120mgで1日2回投与する。別の態様において、VX-497を約50mgで1日2回投与する。さらに別の態様において、VX-497を約100mgで1日2回投与する。
【0072】
別の態様において、リバビリン投与量は、400mg/日、600mg/日、800mg/日、1000mg/日、または1200mg/日から選択され、それぞれの1日用量は、1日間で複数回の投与に分割される。このような複数回の投与に望ましい投与量は、それぞれ、200mg、300mg、400mg、500mg、または600mgである。
【0073】
別の態様において、インターフェロン−αは、週1回投与される。好ましくは、Intron もしくは Roferon は、週1回投与される。または、ペグ化されたインターフェロンは、週1回投与される。望ましいペグ化されたインターフェロンは、Peg-Intron もしくは Pegasys を含む。医薬レジメにおけるインターフェロン−αの望ましい投与量は、上記の通りである。
【実施例】
【0074】
24週の二重盲験無作為化プラセボ対照試験を、リバビリン/Peg-Intron 治療に応答しなかった31人の患者で行った。患者は、3つの群に分けられた。3つの群は全てリバビリン/Peg-Intron 治療を受けた。第1群はプラセボを投与され、他方、第2群はVX-497を25mg、1日2回投与された。第3群は本発明に従った薬物に含まれるVX-497を投与された。
【0075】
第3群の80%以上の患者が、すなわち本発明に記載の用量でリバビリン、Peg-Intron、およびVX-497を投与された群が、24週の最後にHCV−RNAの検出不可能なレベルを達成していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
VX-497およびリバビリンを含む治療的組み合わせ。
【請求項2】
VX-497、リバビリン、およびインターフェロンを含む治療的組み合わせ。
【請求項3】
インターフェロンがインターフェロン−α 2aである、請求項2に記載の治療的組み合わせ。
【請求項4】
少なくとも約60mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の治療的組み合わせ。
【請求項5】
約60mg/日から約220mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む、請求項4に記載の治療的組み合わせ。
【請求項6】
約60mg/日から約150mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む、請求項5に記載の治療的組み合わせ。
【請求項7】
70mg/日から約120mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む、請求項6に記載の治療的組み合わせ。
【請求項8】
約80mg/日から約100mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む、請求項7に記載の治療的組み合わせ。
【請求項9】
約85mg/日から約90mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む、請求項8に記載の治療的組み合わせ。
【請求項10】
約90mg/日から約220mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む、請求項4に記載の治療的組み合わせ。
【請求項11】
約90mg/日から約120mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む、請求項10に記載の治療的組み合わせ。
【請求項12】
約100mg/日から約110mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む、請求項11に記載の治療的組み合わせ。
【請求項13】
約100mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む、請求項12に記載の治療的組み合わせ。
【請求項14】
約150mg/日から約220mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む、請求項4に記載の治療的組み合わせ。
【請求項15】
約180mg/日から約210mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む、請求項14に記載の治療的組み合わせ。
【請求項16】
約200mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む、請求項15に記載の治療的組み合わせ。
【請求項17】
1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、1日6回投与するのに適切な製剤において、VX-497を含む、請求項1〜16の何れか1項に記載の治療的組み合わせ。
【請求項18】
1日2回投与するのに適切な製剤において、VX-497を含む、請求項17に記載の治療的組み合わせ。
【請求項19】
1日3回投与するのに適切な製剤において、VX-497を含む、請求項17に記載の治療的組み合わせ。
【請求項20】
約90mg/日から約120mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む、請求項17に記載の治療的組み合わせであって、該VX-497が1日2回投与するよう製剤化されている治療的組み合わせ。
【請求項21】
100mg/日から約110mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む、請求項20に記載の治療的組み合わせであって、該VX-497が1日2回投与するよう製剤化されている治療的組み合わせ。
【請求項22】
約100mg/日の投与に十分な量のVX-497を含む、請求項21に記載の治療的組み合わせであって、該VX-497が1日2回投与するよう製剤化されている治療的組み合わせ。
【請求項23】
400mg/日から約1200mg/日の投与に十分な量のリバビリンを含む、請求項1〜4の何れか1項に記載の治療的組み合わせ。
【請求項24】
約800mg/日から約1200mg/日の投与に十分な量のリバビリンを含む、請求項23に記載の治療的組み合わせ。
【請求項25】
約1000mg/日から約1200mg/日の投与に十分な量のリバビリンを含む、請求項24に記載の治療的組み合わせ。
【請求項26】
約1000mg/日または約1200mg/日の投与に十分な量のリバビリンを含む、請求項25に記載の治療的組み合わせ。
【請求項27】
約300mg/日から約800mg/日の、より好ましくは約300mg/日から約700mg/日の投与に十分な量のリバビリンを含む、請求項26に記載の治療的組み合わせ。
【請求項28】
500mg/日から約700mg/日の投与に十分な量のリバビリンを含む、請求項27に記載の治療的組み合わせ。
【請求項29】
400mg/日から約600mg/日の投与に十分な量のリバビリンを含む、請求項28に記載の治療的組み合わせ。
【請求項30】
該リバビリンが、Rebetol(登録商標)、または Copegus(登録商標)である、請求項1〜29の何れか1項に記載の治療的組み合わせ。
【請求項31】
1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、または1日6回投与するのに適切な製剤において、リバビリンを含む、請求項1〜4の何れか1項に記載の治療的組み合わせ。
【請求項32】
少なくとも1日2回投与するのに適切な製剤において、リバビリンを含む、請求項31に記載の治療的組み合わせ。
【請求項33】
インターフェロン α 2aを含む、請求項1〜32の何れか1項に記載の治療的組み合わせ。
【請求項34】
該インターフェロンが、(a) Intron、(b) Peg-Intron、(c) Pegasys、(d) Roferon、(e) Berofor、(f) Sumiferon、(g) Wellferon、(h) コンセンサスα−インターフェロン、(i) Alferon、(j)Viraferon(登録商標)、または(k) Infergen(登録商標) から選択される、請求項33に記載の治療的組み合わせ。
【請求項35】
該インターフェロンが、Intron、Peg-Intron、Pegasys、Roferon、Berofor、Sumiferon、Wellferon、コンセンサスα−インターフェロン、または Alferon から選択される、請求項34に記載の治療的組み合わせ。
【請求項36】
該インターフェロンが、Intron、Roferon、Peg-Intron、または Pegasys である、請求項34に記載の治療的組み合わせ。
【請求項37】
Intron もしくは Roferon が、約4,000,000IU/週から約12,000,000IU/週の投与に十分な量で存在する、請求項36に記載の治療的組み合わせ。
【請求項38】
Intron もしくは Roferon が、約6,000,000IUから約10,000,000IUの投与に十分な量で存在する、請求項37に記載の治療的組み合わせ。
【請求項39】
Intron もしくは Roferon が、約8,000,000IUから約9,000,000IUの投与に十分な量で存在する、請求項38に記載の治療的組み合わせ。
【請求項40】
Intron もしくは Roferon が、約9,000,000IUの投与に十分な量で存在する、請求項39に記載の治療的組み合わせ。
【請求項41】
Peg-Intron もしくは Pegasysが、約0.5μg/kg/週から約2μg/kg/週の投与に十分な量で存在する、請求項36に記載の治療的組み合わせ。
【請求項42】
Peg-Intron もしくは Pegasysが、約1μg/kg/週から約2μg/kg/週の投与に十分な量で存在する、請求項41に記載の治療的組み合わせ。
【請求項43】
Peg-Intron もしくは Pegasysが、約1.5μg/kg/週の投与に十分な量で存在する、請求項42に記載の治療的組み合わせ。
【請求項44】
(i) 請求項1〜43の何れか1項に記載の治療的組み合わせ;および
(ii) 該組み合わせを利用するための説明書;
を含むキット。
【請求項45】
(i) 複数のVX-497製剤;
(ii) 複数のリバビリン製剤;
(iii) 複数のインターフェロン製剤;および
(iv) 該製剤を利用するための説明書;
を含む、請求項44に記載のキット。
【請求項46】
患者において、HCV感染を処置する、またはその1もしくはそれ以上の症候を軽減する方法であって、患者に、請求項1〜43の何れか1項に記載の治療的組み合わせを投与する段階を含む方法。
【請求項47】
HCV感染が遺伝子型である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
該患者が未処置患者である、請求項46または47に記載の方法。
【請求項49】
該患者がインターフェロン単剤治療に応答しない、請求項46または47に記載の方法。
【請求項50】
該患者がリバビリンおよびインターフェロンを用いた組み合わせ治療に応答しない、請求項46〜47に記載の方法。
【請求項51】
HCV−RNAレベルを減少させる必要がある患者において、HCV−RNAレベルを減少させる方法であって、該患者に、請求項1〜43の何れか1項に記載の治療的組み合わせを投与する段階を含む方法。
【請求項52】
患者におけるHCV−RNAレベルを、検出可能なレベル未満に減少させる、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
患者におけるHCV−RNAレベルが検出可能なレベル未満になるまで、請求項1〜43の何れか1項に記載の治療的組み合わせを、それが必要な患者に投与することを含む、医薬レジメ。
【請求項54】
該治療的組み合わせを少なくとも12週間投与する、請求項53に記載の医薬レジメ。
【請求項55】
該治療的組み合わせを少なくとも24週間投与する、請求項53に記載の医薬レジメ。
【請求項56】
それが必要な患者に、少なくとも約12週間投与することを含む、請求項53に記載の医薬レジメ。
【請求項57】
VX-497を1日2回;リバビリンを1日2回;およびインターフェロン αを週1回、それが必要な患者に投与することを含む、請求項53に記載の医薬レジメ。
【請求項58】
VX-497を少なくとも40mgで1日2回投与する、請求項57に記載の医薬レジメ。
【請求項59】
VX-497を、約40mgで1日2回〜約120mgを1日2回で投与する、請求項58に記載の医薬レジメ。
【請求項60】
該リバビリン投与量を、400mg/日、600mg/日、800mg/日、1000mg/日、または1200mg/日(ここで、それぞれの1日用量を、それぞれの1日の間の複数の投与に分割する)から選択する、請求項59に記載の医薬レジメ。
【請求項61】
該インターフェロン αを週1回投与する、請求項57に記載の医薬レジメ。
【請求項62】
該インターフェロン αが、Intron または Roferon である、請求項61に記載の医薬レジメ。
【請求項63】
該インターフェロン αがペグ化されたインターフェロンである、請求項61に記載の医薬レジメ。
【請求項64】
該ペグ化インターフェロンが、Peg-Intron または Pegasys である、請求項63に記載の医薬レジメ。

【公表番号】特表2007−508326(P2007−508326A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534467(P2006−534467)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/033739
【国際公開番号】WO2005/037274
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】