説明

HCV融合ポリペプチド

本発明は、HCVポリタンパク質の別の領域に由来する少なくとも1つの他のHCVエピトープに融合した、切断された、または全長のHCV NS5ポリペプチドおよびHCV NS2ポリペプチドの一部を含むHCV融合ポリペプチドを提供する。融合物は、HCVに対する免疫応答、例えばCD4+およびCD8+T細胞を含むC型肝炎ウイルス(HCV)特異的T細胞を活性化すること等のHCVに対する細胞性免疫応答を刺激する方法において、使用することができる。方法は、HCV特異的免疫原性組成物を開発するためならびにHCVに対して免疫化するためのモデル系において、使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連する出願への相互参照)
本願は、2006年8月25日に出願された米国特許出願第60/840,162号の利益を主張し、米国特許出願第60/840,162号は、その全体が参照として本明細書中に援用される。
【0002】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)ポリペプチドに関する。より具体的には、本発明は、核酸がE2、NS2のカルボキシ末端の一部、変異NS3、NS4、切断されたNS5および場合によりHCV由来のコアポリペプチドを含む切断されたHCV融合タンパク質をコードする、核酸およびタンパク質に関する。タンパク質は、HCV特異的T細胞を準備刺激および/または活性化するためならびに診断試薬のために、細胞媒介性免疫応答等の免疫応答を刺激するのに有用である。本発明はまた、HCV融合ポリペプチドの生成を促進する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染は、重要な健康問題であり、世界の人口のおよそ1%がウイルスに感染している。急性感染した個体の75%より多くが、最終的には、肝硬変、肝不全、および肝細胞癌を生じる場合がある慢性保菌者状態に進行する。非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献3を参照のこと。
【0004】
HCVは、Houghtonらによって、NANBHの原因として、最初に同定および特徴付けされた。HCVのウイルスゲノム配列は、配列を得るための方法のように公知である。例えば、特許文献1;特許文献2;および特許文献3を参照のこと。HCVは、9.5kbのプラスセンス一本鎖RNAゲノムを有し、ウイルスのフラビウイルス科のメンバーである。系統学的分析基づいて、少なくとも6つの、異なるが関連する遺伝子型のHCVが同定されている(非特許文献5)。ウイルスは、3000個を超えるアミノ酸残基を有する単一のポリタンパク質をコードする(非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8)。ポリタンパク質は、同時および翻訳後に、構造および非構造(NS)タンパク質の両方にプロセシングされる。
【0005】
具体的には、図1に示されるように、いくつかのタンパク質がHCVゲノムによってコードされる。HCVポリタンパク質の切断生成物の順序および命名は以下の通りである。
NH−C−E1−E2−p7−NS2−NS3−NS4a−NS4b−NS5a−NS5b−COOH。ポリタンパク質の最初の切断は、3つの構造タンパク質、N末端ヌクレオカプシドタンパク質(「コア」と名付けられる)ならびに2つのエンベロープ糖タンパク質、「E1」(Eとしても公知)および「E2」(E2/NS1としても公知)、ならびにウイルス酵素を含む非構造(NS)タンパク質を遊離させる宿主プロテアーゼによって、触媒される。NS領域はNS2、NS3、NS4およびNS5と名付けられる。NS2はタンパク質分解活性を有する膜内在性タンパク質であり、NS3と組み合わせて、NS2−NS3シスル結合を切断し、次に、NS3 N末端を生成し、セリンプロテアーゼ活性およびRNAヘリカーゼ活性の両方を含む大きなポリタンパク質を放出する。NS3プロテアーゼは、NS3プロテアーゼは、残りのポリタンパク質をプロセシングする役目を果たす。これらの反応において、NS3は、NS3補因子(NS4a)、2つのタンパク質(NS4bおよびNS5a)、およびRNA依存性RNAポリメラーゼ(NS5b)を遊離させる。ポリタンパク質成熟の完了は、NS3セリンプロテアーゼによって触媒されるNS3−NS4a接合部での自己触媒的切断によって開始される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第89/04669号パンフレット
【特許文献2】国際公開第90/11089号パンフレット
【特許文献3】国際公開第90/14436号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Alterら(1992)N.Engl.J.Med.327:1899−1905
【非特許文献2】RensnickおよびKoff.(1993)Arch.Intem.Med.153:1672−1677
【非特許文献3】Seeff(1995)Gastrointest.Dis.6:20−27
【非特許文献4】Tongら(1995)N.Engl.J.Med.332:1463−1466
【非特許文献5】Simmondsら、J.Gen.Virol.(1993)74:2391−2399
【非特許文献6】Chooら、Science(1989)244:359−362
【非特許文献7】Chooら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88:2451−2455
【非特許文献8】Hanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88:1711−1715
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
HIVのような特定のウイルスに対する医薬品の開発における広範な進歩にもかかわらず、急性HCV感染および慢性HCV感染の制御における成功は限られている(Hoofnagleおよびdi Bisceglie(1997)N.Engl.J.Med.336:347−356)。具体的には、強力な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答等の細胞性免疫応答の発生は、HCV感染の制御および根絶のために重要であると考えられている。
【0009】
細胞性免疫応答を発生させることができる免疫原性HCV融合タンパク質は、国際公開第2004/005473号パンフレットならびに米国特許第6,562,346号明細書;同第6,514,731号明細書および同第6,428,792号明細書に記載されている。それにもかかわらず、HCVに対する細胞性免疫応答等の免疫応答を刺激するさらなる有効な方法について、当該分野における必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
HCVポリペプチドのエピトープを認識するT細胞を準備刺激することおよび/または活性化すること等のHCVに対する細胞性免疫応答等の免疫応答を刺激するための試薬および方法を提供することが、本発明の目的である。HCV感染の予防および/または治療のための組成物を提供することもまた、本発明の目的である。生物学的試料中のHCVの存在を検出するための診断アッセイにおける使用のための試薬および方法を提供することもまた、本発明の目的である。
【0011】
したがって、一実施形態において、本発明は、アミノ末端からカルボキシ末端の方向でメチオニン、E2のアミノ酸384〜715、NS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜2990およびコアのアミノ酸1〜121からなり、ここでNS3配列の1165位のセリンはアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9はリシンであり、コア配列のアミノ酸11はアスパラギンである、単離されたHCV融合ポリペプチドを含む、免疫原性組成物を対象とする。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、アミノ末端からカルボキシ末端の方向でメチオニン、E2のアミノ酸384〜715、NS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜3011およびコアのアミノ酸1〜121からなり、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がリシンであり、コア配列のアミノ酸11がアスパラギンである、単離されたHCV融合ポリペプチドを含む、免疫原性組成物を対象とする。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、アミノ末端からカルボキシ末端の方向でNS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜2990およびコアのアミノ酸1〜121からなり、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がリシンであり、コア配列のアミノ酸11がアスパラギンである、単離されたHCV融合ポリペプチドを含む、免疫原性組成物を対象とする。
【0014】
さらに別の実施形態において、本発明は、アミノ末端からカルボキシ末端の方向でNS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜3011およびコアのアミノ酸1〜121からなり、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がリシンであり、コア配列のアミノ酸11がアスパラギンである、単離されたHCV融合ポリペプチドを含む、免疫原性組成物を対象とする。
【0015】
さらなる実施形態において、本発明は、アミノ末端からカルボキシ末端の方向でメチオニン、E2のアミノ酸384〜715、NS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜2990およびコアのアミノ酸1〜121からなり、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がアルギニンであり、コア配列のアミノ酸11がスレオニンである、単離されたHCV融合ポリペプチドを含む、免疫原性組成物を対象とする。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、アミノ末端からカルボキシ末端の方向でメチオニン、E2のアミノ酸384〜715、NS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜3011およびコアのアミノ酸1〜121からなり、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がアルギニンであり、コア配列のアミノ酸11がスレオニンである、単離されたHCV融合ポリペプチドを含む、免疫原性組成物を対象とする。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、アミノ末端からカルボキシ末端の方向でNS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜2990およびコアのアミノ酸1〜121からなり、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がアルギニンであり、コア配列のアミノ酸11がスレオニンである、単離されたHCV融合ポリペプチドを含む、免疫原性組成物を対象とする。
【0018】
さらに別の実施形態において、本発明は、アミノ末端からカルボキシ末端の方向でNS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜3011およびコアのアミノ酸1〜121からなり、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がアルギニンであり、コア配列のアミノ酸11がスレオニンである、単離されたHCV融合ポリペプチドを含む、免疫原性組成物を対象とする。
【0019】
別個の実施形態において、本発明は、本発明のHCV融合ポリペプチドをコードする核酸を含む。
【0020】
全てのHCVタンパク質領域(例えば、E2、NS2、NS3、NS4、NS5、コア)は、全長HCV−1ポリタンパク質のアミノ酸配列に関して番号付けされる。
【0021】
さらなる実施形態において、融合ポリペプチド中に存在するHCVポリペプチドは、同じHCV分離株に由来する。他の実施形態において、融合物中に存在するHCVポリペプチドの少なくとも1つは、融合物中に存在する他のペプチドの少なくとも1つと異なる分離株に由来する。
【0022】
ある実施形態において、HCV融合ポリペプチドは、図3A〜3Jのアミノ酸1772〜1892位に示されるアミノ酸の配列からなるコアポリペプチドである、C末端の切断を含むHCVコアポリペプチドを含む。
【0023】
さらにさらなる実施形態において、本発明は、上述の実施形態のいずれかによるHCV融合ポリペプチドを薬学的に許容され得る賦形剤と組み合わせて含む組成物を対象とする。ある実施形態において、組成物は、HCV E1E2複合体等の免疫原性HCVポリペプチドを含む。E1E2複合体は、融合タンパク質と別々に提供してもよい。
【0024】
さらなる実施形態において、本発明は、被験体に治療有効量の上述のような組成物を投与することを含む、脊椎動物被験体において細胞性免疫応答を刺激する方法を対象とする。
【0025】
さらなる実施形態において、本発明は、
(a)上述のようなHCV融合ポリペプチドの1つ以上をコードするポリヌクレオチド、ならびに
(b)ポリヌクレオチドに作動可能に連結され、それによって宿主細胞中でコード配列が転写および翻訳されることができる、少なくとも1つの調節因子
を含む、組換えベクターを対象とする。
【0026】
さらなる実施形態において、本発明は、上述のような組換えベクターを含む宿主細胞の集団を対象とする。
【0027】
さらなる実施形態において、本発明は、HCV融合ポリペプチドを生成するための方法を対象とし、方法は、タンパク質を生成するための条件下で上述のような宿主細胞を培養することを含む。本発明はまた、HCV E2アミノ酸配列を融合ポリペプチドのN末端に配置することによってHCV融合ポリペプチドの組換え発現を促進するための方法を含む。
【0028】
本発明のこれらおよび他の実施形態は、本明細書中の開示を考慮して、当業者に容易に思い当たるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、HCVポリタンパク質の種々の領域を示す、HCVゲノムの図表示である。
【図2】図2(配列番号3および4)は、代表的な天然の非修飾NS3プロテアーゼドメインのDNAおよび対応するアミノ酸配列を示す。
【図3A】図3A〜3J(配列番号5および6)は、N末端からNS3プロテアーゼドメインが欠失しており、C末端にコアのアミノ酸1〜121を含む、代表的な修飾された融合タンパク質の領域のDNAおよび対応するアミノ酸配列を示す。
【図3B】図3A〜3J(配列番号5および6)は、N末端からNS3プロテアーゼドメインが欠失しており、C末端にコアのアミノ酸1〜121を含む、代表的な修飾された融合タンパク質の領域のDNAおよび対応するアミノ酸配列を示す。
【図3C】図3A〜3J(配列番号5および6)は、N末端からNS3プロテアーゼドメインが欠失しており、C末端にコアのアミノ酸1〜121を含む、代表的な修飾された融合タンパク質の領域のDNAおよび対応するアミノ酸配列を示す。
【図3D】図3A〜3J(配列番号5および6)は、N末端からNS3プロテアーゼドメインが欠失しており、C末端にコアのアミノ酸1〜121を含む、代表的な修飾された融合タンパク質の領域のDNAおよび対応するアミノ酸配列を示す。
【図3E】図3A〜3J(配列番号5および6)は、N末端からNS3プロテアーゼドメインが欠失しており、C末端にコアのアミノ酸1〜121を含む、代表的な修飾された融合タンパク質の領域のDNAおよび対応するアミノ酸配列を示す。
【図3F】図3A〜3J(配列番号5および6)は、N末端からNS3プロテアーゼドメインが欠失しており、C末端にコアのアミノ酸1〜121を含む、代表的な修飾された融合タンパク質の領域のDNAおよび対応するアミノ酸配列を示す。
【図3G】図3A〜3J(配列番号5および6)は、N末端からNS3プロテアーゼドメインが欠失しており、C末端にコアのアミノ酸1〜121を含む、代表的な修飾された融合タンパク質の領域のDNAおよび対応するアミノ酸配列を示す。
【図3H】図3A〜3J(配列番号5および6)は、N末端からNS3プロテアーゼドメインが欠失しており、C末端にコアのアミノ酸1〜121を含む、代表的な修飾された融合タンパク質の領域のDNAおよび対応するアミノ酸配列を示す。
【図3I】図3A〜3J(配列番号5および6)は、N末端からNS3プロテアーゼドメインが欠失しており、C末端にコアのアミノ酸1〜121を含む、代表的な修飾された融合タンパク質の領域のDNAおよび対応するアミノ酸配列を示す。
【図3J】図3A〜3J(配列番号5および6)は、N末端からNS3プロテアーゼドメインが欠失しており、C末端にコアのアミノ酸1〜121を含む、代表的な修飾された融合タンパク質の領域のDNAおよび対応するアミノ酸配列を示す。
【図4】図4Aおよび4Bは、S.セレビシエ(S.cerevisiae)株AD3におけるNS5tCore121(NS5のアミノ酸1973〜2990およびコアの1〜121)およびNS5Core121(全長NS5、NS5のアミノ酸1973〜3011およびコアの1〜121)の発現レベルの比較を示す。図4Aは25℃での発現レベルを示し、図4Bは30℃での発現レベルを示す。レーン1、標準;レーン2、プラスミド対照;レーン3、NS5tCore121をコードするプラスミド(クローン6);レーン4、NS5tCore121をコードするプラスミド(クローン7);レーン5、NS5Core121をコードするプラスミド(クローン8);レーン6、NS5Core121をコードするプラスミド(クローン9);レーン7、標準。
【図5A】図5A〜5E(配列番号7および8)は、C末端の切断されたNS5ポリペプチドを含み、NS5ポリペプチドのC末端がコアポリペプチドに融合している、代表的な融合タンパク質の領域のDNAおよび対応するアミノ酸配列を示す。具体的には、C末端の切断されたNS5ポリペプチドは、HCVポリタンパク質のアミノ酸1〜121を含むコアポリペプチドに融合している、HCV−1に関して番号付けされた、HCVポリタンパク質のアミノ酸1973〜2990を含む(Chooら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451−2455を参照のこと)。
【図5B】図5A〜5E(配列番号7および8)は、C末端の切断されたNS5ポリペプチドを含み、NS5ポリペプチドのC末端がコアポリペプチドに融合している、代表的な融合タンパク質の領域のDNAおよび対応するアミノ酸配列を示す。具体的には、C末端の切断されたNS5ポリペプチドは、HCVポリタンパク質のアミノ酸1〜121を含むコアポリペプチドに融合している、HCV−1に関して番号付けされた、HCVポリタンパク質のアミノ酸1973〜2990を含む(Chooら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451−2455を参照のこと)。
【図5C】図5A〜5E(配列番号7および8)は、C末端の切断されたNS5ポリペプチドを含み、NS5ポリペプチドのC末端がコアポリペプチドに融合している、代表的な融合タンパク質の領域のDNAおよび対応するアミノ酸配列を示す。具体的には、C末端の切断されたNS5ポリペプチドは、HCVポリタンパク質のアミノ酸1〜121を含むコアポリペプチドに融合している、HCV−1に関して番号付けされた、HCVポリタンパク質のアミノ酸1973〜2990を含む(Chooら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451−2455を参照のこと)。
【図5D】図5A〜5E(配列番号7および8)は、C末端の切断されたNS5ポリペプチドを含み、NS5ポリペプチドのC末端がコアポリペプチドに融合している、代表的な融合タンパク質の領域のDNAおよび対応するアミノ酸配列を示す。具体的には、C末端の切断されたNS5ポリペプチドは、HCVポリタンパク質のアミノ酸1〜121を含むコアポリペプチドに融合している、HCV−1に関して番号付けされた、HCVポリタンパク質のアミノ酸1973〜2990を含む(Chooら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451−2455を参照のこと)。
【図5E】図5A〜5E(配列番号7および8)は、C末端の切断されたNS5ポリペプチドを含み、NS5ポリペプチドのC末端がコアポリペプチドに融合している、代表的な融合タンパク質の領域のDNAおよび対応するアミノ酸配列を示す。具体的には、C末端の切断されたNS5ポリペプチドは、HCVポリタンパク質のアミノ酸1〜121を含むコアポリペプチドに融合している、HCV−1に関して番号付けされた、HCVポリタンパク質のアミノ酸1973〜2990を含む(Chooら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451−2455を参照のこと)。
【図6A】図6A〜6Fは、本発明の融合ポリペプチドを生じるために使用される例示的なクローニング戦略を示す。
【図6B】図6A〜6Fは、本発明の融合ポリペプチドを生じるために使用される例示的なクローニング戦略を示す。
【図6C】図6A〜6Fは、本発明の融合ポリペプチドを生じるために使用される例示的なクローニング戦略を示す。
【図6D】図6A〜6Fは、本発明の融合ポリペプチドを生じるために使用される例示的なクローニング戦略を示す。
【図6E】図6A〜6Fは、本発明の融合ポリペプチドを生じるために使用される例示的なクローニング戦略を示す。
【図6F】図6A〜6Fは、本発明の融合ポリペプチドを生じるために使用される例示的なクローニング戦略を示す。
【図7】図7は、本発明の例示的な融合ポリペプチドの遺伝子構成を示す。
【図8】図8は、本発明の例示的なHCV融合ポリペプチドでの免疫化に応答してマウス中で生じたT細胞のグラフ表示である。
【図9】図9は、本発明の例示的なHCV融合ポリペプチドでの免疫化に応答してマウス中で生じたT細胞のグラフ表示である。
【図10A】図10A〜10Dは、酵母細胞における本発明の例示的なHCV融合ポリペプチドの発現の結果を示す。
【図10B】図10A〜10Dは、酵母細胞における本発明の例示的なHCV融合ポリペプチドの発現の結果を示す。
【図10C】図10A〜10Dは、酵母細胞における本発明の例示的なHCV融合ポリペプチドの発現の結果を示す。
【図10D】図10A〜10Dは、酵母細胞における本発明の例示的なHCV融合ポリペプチドの発現の結果を示す。
【図11】図11は、本発明の例示的なHCV融合ポリペプチドの遺伝子構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実行は、他に示されない限りは、当業者の能力の範囲内である、化学、生化学、組換えDNA技術および免疫学の従来の方法を採用する。かかる技術は文献中で十分に説明されている。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版);Methods In Enzymology(S.ColowickおよびN.Kaplan編、Academic Press,Inc.);DNA Cloning、第I巻および第II巻(D.N.Glover編);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編);Nucleic Acid Hybridization(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編);Animal Cell Culture(R.K.Freshney編);Perbal,B.、A Practical Guide to Molecular Cloningを参照のこと。
【0031】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、内容がそうではないと明らかに示さない限り、複数の参照を含むことが留意されなければならない。したがって、例えば、「ポリペプチド」に対する参照は、2つ以上のポリペプチドの混合物を含む、等。
【0032】
以下のアミノ酸の略語は、本明細書を通して使用される。
アラニン:Ala(A) アルギニン:Arg(R)
アスパラギン:Asn(N) アスパラギン酸:Asp(D)
システイン:Cys(C) グルタミン:Gln(Q)
グルタミン酸:Glu(E) グリシン:Gly(G)
ヒスチジン:His(H) イソロイシン:Ile(I)
ロイシン:Leu(L) リジン:Lys(K)
メチオニン:Met(M) フェニルアラニン:Phe(F)
プロリン:Pro(P) セリン:Ser(S)
スレオニン:Thr(T) トリプトファン:Trp(W)
チロシン:Tyr(Y) バリン:Val(V)
(I.定義)
本発明を記載する際に、以下の用語が使用され、以下に示されるように定義されることが意図される。
【0033】
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーをいい、最小長の生成物に限定されない。したがって、ペプチド、オリゴペプチド、ダイマー、マルチマー等が、定義に含まれる。全長タンパク質およびその断片の両方が、定義によって包含される。用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グルコシル化、アセチル化、リン酸化等を含む。さらに、本発明の目的のために、「ポリペプチド」は、タンパク質が所望の活性を維持する限り、天然の配列に対する、欠失、付加および置換(性質は一般に保存的)等の修飾を含むタンパク質をいう。これらの修飾は、部位特異的突然変異誘発を介するように意図的であってもよく、または例えば、タンパク質を生成する宿主の変異もしくはPCR増幅によるエラーを介するように偶発的なものであってもよい。
【0034】
「HCVポリペプチド」は、上記で定義されたように、HCVポリタンパク質に由来するポリペプチドである。ポリペプチドは、物理的にHCVに由来する必要はないが、合成的にまたは組換え的に生成してもよい。さらに、ポリペプチドは、Simmondsら、J.Gen.Virol.(1993)74:2391−2399に記載されているHCVの6つの遺伝型のいずれかを有する分離株を含む種々のHCV株および分離株(例えば、株1、2、3、4等)ならびに新しく同定された分離株およびHCV1a、HCV1b等のようなこれらの分離株のサブタイプのいずれかに由来してもよい。多数の保存領域および可変領域が、これらの株の間で公知であり、一般に、これらの領域に由来するエピトープのアミノ酸配列は、2つの配列がアラインメントされた場合に、高い程度の配列相同性、例えば、30%より大きい、好ましくは40%より大きいアミノ酸配列相同性を有する。したがって、例えば、用語「NS5」ポリペプチドは、種々のHCV株のいずれか由来の天然のNS5、ならびに以下にさらに定義されるようなNS5アナログ、ムテインおよび免疫原性断片をいう。用語「HCVポリペプチド」は、一般に、コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4(NS4aおよびNS4bを含む)、NS5(NS5aおよびNS5bを含む)である、HCVポリタンパク質中に存在する、種々の、個々の同定され、公知のHCVタンパク質をいうために使用される。用語「HCV融合ポリペプチド」は、単一の組換えポリペプチド分子中に2つ以上のHCVポリペプチドが存在する、組換えポリペプチドをいうために使用される。
【0035】
用語「アナログ」および「ムテイン」は、参照分子の生物学的に活性のある誘導体またはかかる誘導体の断片をいい、これらは、以下に定義されるように、細胞媒介性免疫応答を刺激する能力等の所望の活性を維持する。修飾されたNS3の場合において、「アナログ」または「ムテイン」は、その天然のタンパク質分解活性を欠いたNS3分子をいう。一般に、用語「アナログ」は、修飾が免疫原性活性を破壊しない限り、天然の分子に対して、1つ以上のアミノ酸付加、置換(一般に、性質は保存的、または修飾されたNS3の場合において、活性タンパク質分解部位で性質は非保存的)および/または欠失を有する天然のポリペプチド配列および構造を有する化合物をいう。用語「ムテイン」は、1つ以上のペプチド模倣物(「ペプトイド」)を有するペプチドをいう。好ましくは、アナログまたはムテインは、少なくとも天然の分子と同じ免疫活性を有する。ポリペプチドアナログおよびムテインを作製するための方法は、当該分野で公知であり、以下にさらに記載される。
【0036】
上に説明されるように、アナログは、一般に、性質は保存的である置換、すなわち、それらの側鎖が関連するアミノ酸のファミリー内で起こる置換を含む。具体的には、アミノ酸は、一般に4つのファミリーに分類される:(1)酸性−−アスパラギン酸およびグルタミン酸;(2)塩基性−−リシン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性−−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;ならびに(4)無電荷で極性−−グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは、芳香族アミノ酸として分類されることもある。例えば、ロイシンのイソロイシンまたはバリンでの、アスパラギン酸のグルタミン酸での、スレオニンのセリンでの単独の置換、またはアミノ酸の構造的に関連したアミノ酸での類似の保存的な置換は、生物学的活性に対して主要な効果は有さないことが、合理的に予測可能である。例えば、目的のポリペプチドは、分子の所望の機能がインタクトなままである限り、約5〜10個までの保存的アミノ酸置換もしくは非保存的アミノ酸置換、または約さらには15〜25個までの保存的アミノ酸置換もしくは非保存的アミノ酸置換、または5〜25個の間の任意の整数の保存的アミノ酸置換もしくは非保存的アミノ酸置換を含んでもよい。当業者は、当該分野で周知のHopp/WoodsおよびKyte−Doolittleプロットを参照することによって、変化を許容し得る目的の分子の領域を容易に決定することができる。
【0037】
「C末端の切断されたNS5ポリペプチド」によって、全長NS5aポリペプチド、およびNS5b領域全体でなくNS5bポリペプチドN末端部分を含む、NS5ポリペプチドが意味される。C末端の切断されたNS5ポリペプチドの具体的な例を下記に提供する。
【0038】
「修飾されたNS3」によって、NS3ポリペプチドのプロテアーゼ活性が破壊される、すなわちプロテアーゼ活性が減少するか、阻害されるか、またはない(非修飾または野生型NS3と比較して)ような修飾を有するNS3ポリペプチドが意味される。修飾は、天然の分子に対して1つ以上のアミノ酸付加、置換(性質は一般に非保存的)および/または欠失を含み得、ここでNS3ポリペプチドのプロテアーゼ活性は破壊されている。プロテアーゼ活性を測定する方法は、以下にさらに議論される。
【0039】
「断片」によって、インタクトな全長ポリペプチド配列および構造の一部のみからなるポリペプチドが意図される。断片は、天然のポリペプチドのC末端欠失および/またはN末端欠失を含み得る。特定のHCVタンパク質の「免疫原性断片」は、本明細書中に記載されるアッセイによって測定される場合に問題の断片が免疫原性活性を保持する限りは、一般に、エピトープを定義する、全長分子の少なくとも約5〜10個の連続するアミノ酸残基、好ましくは全長分子の少なくとも約15〜25個の連続するアミノ酸残基、および最も好ましくは全長分子の少なくとも約20〜50個以上の連続するアミノ酸残基を含むか、または5個のアミノ酸と全長配列との間の任意の整数の連続するアミノ酸残基を含む。
【0040】
本明細書中で使用される場合、用語「エピトープ」は、少なくとも約3〜5個、好ましくは約5〜10個または15個、および約1000個以下のアミノ酸(またはこの間の任意の整数のアミノ酸)の配列をいい、これは、それ自体、またはより大きな配列の一部として、かかる配列に応答して生じる抗体に結合する配列を定義する。断片の長さに臨界的な上限はなく、これは、ほぼ全長のタンパク質配列、またはHCVポリタンパク質由来の2つ以上のエピトープを含む融合タンパク質でさえ含み得る。本発明における使用のためのエピトープは、それが由来する親タンパク質の一部の正確な配列を有するポリペプチドに限定されない。実際に、ウイルスゲノムは、一定流量の状態にあり、分離株間で比較的高い程度の可変性を示すいくつかの可変ドメインを含む。したがって、用語「エピトープ」は、天然の配列に同一な配列、ならびに天然の配列に対する欠失、付加および置換等の修飾(一般に、性質は保存的)を包含する。
【0041】
エピトープを含む所与のポリペプチドの領域は、当該分野で周知の任意の数のエピトープマッピング技術を使用して、同定され得る。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology、第66巻(Glenn E.Morris編、1996)Humana Press、Totowa、New Jerseyを参照のこと。例えば、直線状エピトープは、例えば、タンパク質分子の一部に対応する多数のペプチドを固体支持体上で同時に合成し、ペプチドを固体支持体に依然として付着させながら、ペプチドを抗体と反応させることによって決定され得る。かかる技術は、当該分野で公知であり、例えば、米国特許第4,708,871号;Geysenら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998−4002;Geysenら(1986)Molec.Immunol.23:709−715に記載されている。同様に、コンホメーションエピトープは、例えば、X線結晶学および2次元核磁気共鳴等によって、アミノ酸の空間的立体配座を決定することによって容易に決定される。例えば、Epitope Mapping Protocols(前出)を参照のこと。タンパク質の抗原性領域はまた、例えば、Oxford Molecular Groupから入手可能なOmiga version 1.0ソフトウェアプログラムを使用して計算されたもの等の、標準的な抗原性および疎水性親水性指標プロットを使用して同定され得る。このコンピュータプログラムは、抗原性プロフィールを決定するためのHopp/Woods法、Hoppら、Proc.Natl.Acad.Sci USA(1981)78:3824−3828、および疎水性親水性指標プロットのためのKyte−Doolittle技術、Kyteら、J.Mol.Biol.(1982)157:105−132を使用する。
【0042】
種々のHCVエピトープの説明については、例えば、Chienら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:10011−10015;Chienら、J.Gastroent.Hepatol.(1993)8:S33−39;Chienら、国際公開第93/00365号;Chien,D.Y.、国際公開第94/01778号;ならびに米国特許第6,280,927号および第6,150,087号を参照のこと。
【0043】
本明細書中で使用される場合、用語「T細胞エピトープ」は、ペプチド構造または関連するハプテンに対するT細胞免疫を誘導することができるペプチド構造の特性をいう。T細胞エピトープは、一般に、MHC分子のペプチド結合間隔内の拡大した立体配座を想定する直鎖ペプチド決定因子を含む(Unanueら、Science(1987)236:551−557)。ポリペプチドのMHCクラスII関連直鎖ペプチド決定因子(一般に5〜14個の間のアミノ酸長)への変換は、抗原提示細胞(APC)によって行われる「抗原プロセシング」と呼ばれる。より具体的には、T細胞エピトープは、電荷および疎水性親水性を含む一次アミノ酸配列特性ならびにヘリシティー等のある種の二次構造等の短ペプチド構造の局所的な特性によって定義され、これらはポリペプチド全体の折り畳みに依存しない。さらに、ヘルパーT細胞によって認識することができる短ペプチドは、一般に疎水性側(MHC分子との相互作用について)および親水性側(T細胞受容体との相互作用について)を含む両親媒性構造であり(Margalitら、Computer Prediction of T−cell Epitopes、New Generation Vaccines Marcel−Dekker,Inc,編G.C.Woodrowら、(1990)pp.109−116)、さらに、両親媒性構造はα螺旋立体配置を有する(例えば、Spougeら、J.Immunol.(1987)138:204−212;Berkowerら、J.Immunol.(1986)136:2498−2503を参照のこと)と考えられている。
【0044】
したがって、T細胞エピトープを含むタンパク質のセグメントは、多数のコンピュータプログラムを使用して容易に予測することができる(例えば、Margalitら、Computer Prediction of T−cell Epitopes、New Generation Vaccines Marcel−Dekker,Inc,編、G.C.Woodrowら、(1990)pp.109−116を参照のこと)。かかるプログラムは、一般に、T細胞応答を誘導することが公知の配列に対してペプチドのアミノ酸配列を比較し、T細胞エピトープに必要であると考えられているアミノ酸のパターンについて検索する。
【0045】
HCV抗原(ポリペプチドおよびインビボで発現されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの両方を含む)または組成物に対する「免疫学的応答」は、目的の組成物中に存在する分子に応答した被験体における体液性免疫応答および/または細胞性免疫応答における発生である。本発明の目的のために、「体液性免疫応答」は抗体分子によって媒介される免疫応答をいい、「細胞性免疫応答」はTリンパ球および/または他の白血球によって媒介されるものである。細胞性免疫の1つの重要な態様は、細胞溶解性T細胞(「CTL」)による抗原特異的応答を伴う。CTLは、主要組織適合複合体(MHC)によってコードされるタンパク質と関連して提示され、細胞の表面上に発現されるペプチド抗原に対する、特異性を有する。CTLは、細胞内微生物の細胞内破壊またはかかる微生物に感染した細胞の溶解を誘導および促進するのを助ける。CD8+T細胞およびCD4+T細胞の両方は、HCV感染細胞を殺傷することができる。細胞性免疫の別の態様は、ヘルパーT細胞による抗原特異的応答を伴う。ヘルパーT細胞は、表面上にMHC分子と関連したペプチド抗原を提示する細胞に対する非特異的エフェクター細胞の機能を刺激し、活性に焦点を当てることを助けるように作用する。「細胞性免疫応答」はまた、IFN−γおよびTNF−αを含むがこれらに限定されない、抗ウイルス性サイトカイン、ケモカイン、ならびにCD4+T細胞およびCD8+T細胞に由来するものを含む活性化T細胞および/または他の白血球によって生成される他のかかる分子の生成をいう。
【0046】
細胞性免疫応答を誘発する組成物またはワクチンは、細胞表面でMHC分子と関連した抗原の提示によって、脊椎動物被験体を感作するように働くことができる。細胞媒介性免疫応答は、それらの表面に抗原を提示する細胞、またはその付近を対象とする。また、抗原特異的Tリンパ球は、免疫化された宿主の将来的な保護を可能にするように生じさせることができる。
【0047】
特定の抗原が細胞媒介性免疫学的応答を刺激する能力は、リンパ球増殖(リンパ球活性化)アッセイ、CTL細胞傷害性細胞アッセイによる、または感作された被験体における抗原に特異的なTリンパ球についてアッセイをすることによる等の多数のアッセイによって判定してもよい。かかるアッセイは、当該分野において周知である。例えば、Ericksonら、J.Immunol.(1993)151:4189−4199;Doeら、Eur.J.Immunol.(1994)24:2369−2376;および下記の実施例を参照のこと。
【0048】
したがって、本明細書中で使用される免疫学的応答は、CTLの生成、および/またはヘルパーT細胞の産生もしくは活性化を刺激するものであってもよい。目的の抗原もまた、抗体媒介性免疫応答を誘発する場合がある。したがって、免疫学的応答は、以下の効果の1つ以上を含んでもよい:B細胞による抗体の産生;ならびに/また目的の組成物またはワクチンに存在する抗原または抗原(複数)に対して特異的に指向されるサプレッサーT細胞および/もしくはγδT細胞の活性化。これらの応答は、感染性を中和し、かつ/または抗体−補体、もしくは抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を媒介して、免疫化された宿主に対する保護(すなわち、予防)または症状の軽減(すなわち、治療)を提供するように働き得る。かかる応答は、当該分野において周知である、標準的なイムノアッセイおよび中和アッセイを使用して判定することができる。
【0049】
「等価な抗原決定基」によって、HCVの株1、2、3等のHCVの異なる亜種または株由来の抗原決定基が意味され、これらの抗原決定基は、配列の変動に起因して必ずしも同一でないが、問題のHCV配列における等価な位置に存在する。一般に、等価な抗原決定基のアミノ酸配列は、2つの配列がアラインメントされた場合、高い程度の配列相同性、例えば、60%より大きい、さらに80〜90%より高い相同性等の、30%より大きい、通常40%より大きいアミノ酸配列相同性を有する。
【0050】
「コード配列」または選択されたポリペプチドを「コードする」配列は、適切な制御配列の制御下に配置された場合、インビトロまたはインビボで転写され(DNAの場合)、ポリペプチドに翻訳される(mRNAの場合)核酸分子である。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端で開始コドンによって、および3’(カルボキシ)末端で翻訳終止コドンによって、判定される。転写終結配列は、コード配列に対して3’に配置され得る。
【0051】
「核酸」分子または「ポリヌクレオチド」は、二本鎖配列および一本鎖配列の両方を含んでもよく、ウイルス由来のcDNA、原核生物もしくは真核生物のmRNA、ウイルス(例えば、DNAウイルスおよびレトロウイルス)由来のゲノムDNA配列または原核生物DNA、および特に合成DNA配列をいうが、これらに限定されない。用語はまた、DNAおよびRNAの公知の塩基アナログのいずれかを含む配列も捕捉する。
【0052】
「作動可能に連結される」は、そのように記載される成分が、それらの所望の機能を実行するように構成される要素の配置をいう。したがって、コード配列に作動可能に連結される所与のプロモーターは、適切な転写因子等が存在する場合、コード配列の発現をもたらすことができる。プロモーターは、コード配列の発現を指示するように機能する限り、コード配列と連続である必要はない。したがって、例えば、介在する、翻訳されないが転写される配列が、イントロンが転写されるように、プロモーター配列とコード配列との間に存在し得、プロモーター配列は、依然としてコード配列に「作動可能に連結される」と考えられ得る。
【0053】
核酸分子を記載するために本明細書中で使用される場合、「組換え体」は、その起源または操作により、天然に関連するポリヌクレオチドの全てまたは一部と関連しない、ゲノム、cDNA、ウイルス、半合成、または合成起源のポリヌクレオチドを意味する。タンパク質またはポリペプチドに関して使用される場合、用語「組換え体」は、組換えポリヌクレオチドの発現によって生成されるポリペプチドを意味する。一般に、目的の遺伝子は、下記にさらに記載されるように、クローニングされ、次いで、形質転換された生物において発現される。宿主生物は、発現条件下で、外来遺伝子を発現して、タンパク質を生成する。
【0054】
「制御因子」は、それが連結しているコード配列の発現を助けるポリヌクレオチド配列をいう。用語は、プロモーター、転写終結配列、上流の調節ドメイン、ポリアデニル化シグナル、5’−UTRおよび3’−UTRを含む非翻訳領域、ならびに適切な場合、リーダー配列およびエンハンサーを含み、これらは、集合的に、宿主細胞においてコード配列の転写および翻訳を提供する。
【0055】
本明細書中で使用される場合、「プロモーター」は、宿主細胞においてRNAポリメラーゼを結合することができ、それに作動可能に連結される下流の(3’方向)コード配列の転写を開始することができる、DNA調節領域である。本発明の目的のために、プロモーター配列は、バックグラウンドよりも上の検出可能なレベルで目的の遺伝子の転写を開始するのに必要な最小数の塩基または要素を含む。プロモーター配列には、転写開始部位、ならびにRNAポリメラーゼの結合に関与するタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)がある。真核生物プロモーターは、しばしば、常にではないが、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含む。
【0056】
制御配列は、RNAポリメラーゼがプロモーター配列に結合し、コード配列をmRNAに転写する場合、細胞においてコード配列の「転写を指示し」、次いで、これは、コード配列によってコードされるポリペプチドに翻訳される。
【0057】
「発現カセット」または「発現構築物」は、目的の配列(複数可)または遺伝子(複数可)の発現を指向することができる集合体をいう。発現カセットは、目的の配列(複数可)または遺伝子(複数可)(の転写を指向するように)に作動可能に連結されたプロモーター等の上記のような制御因子を含み、しばしば、同様に、ポリアデニル化配列を含む。本発明の特定の実施形態において、本明細書中に記載される発現カセットは、プラスミド構築物内に含まれていてもよい。発現カセットの構成成分に加えて、プラスミド構築物はまた、1つ以上の選択マーカー、プラスミド構築物が一本鎖DNAとして存在することを可能にするシグナル(例えば、M13複製開始点)、少なくとも1つの多重クローニング部位、および「哺乳動物」の複製開始点(例えば、複製のSV40複製開始点またはアデノウイルス複製開始点)を含んでもよい。
【0058】
本明細書中で使用される場合、「形質転換」は、挿入のために使用される方法:例えば、直接的な取り込みによる形質転換、トランスフェクション、感染等にかかわらず、外因性ポリヌクレオチドの宿主細胞への挿入をいう。トランスフェクションの具体的な方法については、下記をさらに参照のこと。外因性ポリヌクレオチドは、組み込まれていないベクター、例えば、エピソームとして維持してもよく、または宿主ゲノムに組み込んでもよい。
【0059】
「宿主細胞」は、外因性DNA配列によって、形質転換された細胞、または形質転換することができる細胞である。
【0060】
「単離された」は、ポリペプチドに言及する場合、示された分子が、分子が天然に見出される生物全体から分離し、別々であるか、または同じ種類の他の生物学的高分子の実質的な非存在下で存在することを意味する。ポリヌクレオチドに関して、用語「単離された」は、天然でそれと通常関連する配列の全てまたは一部を欠いた核酸分子;または天然で存在するが、それに関連する異種配列を有する配列;または染色体から解離した分子である。
【0061】
本明細書中で使用される場合、用語「精製された」は、好ましくは、少なくとも75重量%、より好ましくは、少なくとも85重量%、より好ましくは、さらに少なくとも95重量%、最も好ましくは、少なくとも98重量%の、同じ種類の生物学的高分子が存在することを意味する。
【0062】
「相同性」は、2つのポリヌクレオチド部分または2つのポリペプチド部分の間の同一性のパーセントをいう。2つのDNA、または2つのポリペプチド配列は、配列が、規定された長さの分子にわたって、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%〜85%、好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%〜98%またはそれ以上の配列同一性を示す場合、互いに「実質的に相同」である。本明細書中で使用される場合、実質的に相同はまた、特定のDNA配列またはポリペプチド配列に対して完全な同一性を示す配列をいう。
【0063】
一般に、「同一性」は、2つのポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の、それぞれ正確なヌクレオチド対ヌクレオチドの対応またはアミノ酸対アミノ酸の対応をいう。同一性のパーセントは、それらの配列をアラインメントさせ、2つのアラインメントされた配列の間の一致の正確な数を数え、短い方の配列の長さによって割り、結果に100を掛けることによる、2つの分子の間の配列情報の直接的な比較によって判定することができる。ペプチド分析のためにSmithおよびWaterman Advances in Appl.Math.2:482−489,1981の局所的相同性アルゴリズムを適合させる、ALIGN、Dayhoff,M.O.、Atlas of Protein Sequence and Structure中、M.O.Dayhoff編、補遺5、3:353−358、National biomedical Research Foundation、Washington,DC等の、容易に入手可能なコンピュータプログラムを、分析を助けるために使用することができる。ヌクレオチド配列同一性を判定するためのプログラムは、Wisconsin Sequence Analysis Package、Version 8(Genetics Computer Group、Madison、WIから入手可能)、例えば、同様にSmithおよびWatermanのアルゴリズムに依存するBESTFIT、FASTAおよびGAPプログラムにおいて入手可能である。これらのプログラムは、製造業者によって推奨され、上記で参照されるWisconsin Sequence Analysis Packageに記載されるデフォルトパラメーターで容易に利用される。例えば、参照配列に対する特定のヌクレオチド配列の同一性のパーセントは、6つのヌクレオチド位置のデフォルトスコアリングテーブルおよびギャップペナルティーで、SmithおよびWatermanの相同性アルゴリズムを使用して判定することができる。
【0064】
本発明の状況において同一性のパーセントを確立する別の方法は、University of Edinburghによる著作権があり、John F.CollinsおよびShane S.Sturrokによって開発され、IntelliGenetics,Inc.(Mountain View、CA)によって配給されるプログラムのMPSRCHパッケージを使用することである。この一そろいのパッケージから、Smith−Watermanアルゴリズムを使用することができ、ここで、デフォルトパラメーターは、スコアリングテーブルのために使用される(例えば、12のギャップオープンペナルティー、1のギャップ伸長ペナルティー、および6のギャップ)。生成されるデータから、「一致」値が「配列同一性」を反映する。配列間の同一性または相同性のパーセントを計算するための他の適したプログラムは、当該分野において一般に公知であり、例えば、別のアラインメントプログラムは、デフォルトパラメーターとともに使用されるBLASTである。例えば、BLASTNおよびBLASTPは、以下のデフォルトパラメーターを使用して用いることができる:遺伝子コード=標準;フィルター=なし;鎖=両方;カットオフ=60;期待値=10;マトリクス=BLOSUM62;記載=50配列;ソート=HIGH SCORE;データベース=非冗長、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS translations+Swiss protein+Spupdate+PIR。これらのプログラムの詳細は、NCBIインターネットサイトで容易に見出すことができる。
【0065】
あるいは、相同性は、相同な領域の間に安定な二本鎖を形成する条件下でのポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション、続いて、一本鎖特異的ヌクレアーゼ(複数可)での消化、および消化された断片のサイズ決定によって、判定することができる。実質的に相同であるDNA配列は、その特定の系について規定されるように、例えばストリンジェントな条件下で、サザンハイブリダイゼーション実験で同定することができる。適切なハイブリダイゼーション条件を規定することは、当該分野の技術の範囲内である。例えば、Sambrookら、上記;DNA Cloning、上記;Nucleic Acid Hybridization、上記を参照のこと。
【0066】
「核酸免疫化」によって、インビボにおける免疫原(単数または複数)の発現のために、宿主細胞中に1つ以上の選択された抗原をコードする核酸分子を導入することが意味される。核酸分子は、例えば、注入投与、吸入投与、経口投与、鼻腔内投与および粘膜投与等によってレシピエント被験体中に直接的に導入してもよく、または、エキソビボで、宿主から取り出された細胞中に導入してもよい。後者の場合、形質転換された細胞は、被験体中に再導入され、ここで、核酸分子によってコードされる抗原に対する免疫応答を開始することができる。
【0067】
本明細書中で使用される場合、「処置」は、(i)伝統的なワクチンにおけるような、感染または再感染の予防、(ii)症状の減少または除去、および(iii)問題の病原体の実質的な除去または完全な除去、のいずれかをいう。処置は、予防的(感染前)または治療的(感染後)に達成してもよい。
【0068】
「脊椎動物被験体」によって、チンパンジーおよび他の類人猿およびサル種等の非ヒト霊長類を含む、ヒトおよび他の霊長類;ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギおよびウマ等の飼育場用家畜;イヌおよびネコ等の家畜哺乳動物;マウス、ラットおよびモルモット等の齧歯類を含む実験用動物;ニワトリ、シチメンチョウおよび他の家禽、アヒル、ガチョウ等のような家庭用、野生および狩猟用のトリを含むトリを含むがこれらに限定されない、コルダータ(cordata)亜門の任意のメンバーが意味される。用語は、特定の年齢を示さない。したがって、成体の個体および新生仔の個体の両方を網羅することが意図される。これらの脊椎動物の全ての免疫系が同様に作動するので、本明細書中に記載される発明は、上記脊椎動物種のいずれにおける使用のためにも意図される。
【0069】
(II.発明を実施するための形態)
本発明を詳細に記載する前に、本発明は、もちろん、特定の製剤も処理パラメーターも変動し得るので、特定の製剤にも処理パラメーターにも限定されないことが理解されるべきである。本明細書中で用いられる用語は、本発明の特定の実施形態を記載する目的のためでしかなく、限定することは意図されないこともまた、理解されるべきである。
【0070】
本明細書中に記載されたものと類似するかまたは同等な多数の組成物および方法を、本発明の実施において使用することができるが、好ましい材料および方法が本明細書中に記載される。
【0071】
本発明は、HCV NS2のアミノ酸1018〜1026、全長HCV NS5aポリペプチドおよびC末端の切断されたHCV NS5bポリペプチドの一部を含む、HCV融合ポリペプチドに関する。本発明はまた、それをコードするポリヌクレオチドに関する。具体的には、本発明のHCV融合ポリペプチドは、アミノ末端からカルボキシ末端の順序で、HCV NS2のアミノ酸1018〜1026、HCV NS3のアミノ酸1027〜1657、HCV NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜2990およびコアのアミノ酸1〜121を含む。HCV融合ポリペプチドは、NS2配列に先行するアミノ末端にHCV E2のアミノ酸384〜715を、および/またはNS5 2990アミノ酸の直後にHCV NS5のアミノ酸2991〜3011を、さらに含んでもよい。本発明のHCV融合ポリペプチドを用いて、体液性および/または細胞性免疫応答等の免疫学的応答を刺激して、例えばHCV特異的T細胞、すなわちこれらのポリペプチドのエピトープを認識するT細胞を活性化する、および/またはヘルパーT細胞の産生を誘発する、および/または抗ウイルス性サイトカイン、ケモカイン等の生成を刺激することができる。かかる融合タンパク質によるHCV特異的T細胞の活性化は、特に応答と関連するHCVポリペプチドエピトープを同定するための、HCVワクチンの開発のためのインビトロモデル系およびインビボモデル系の両方を提供する。HCV融合ポリペプチドはまた、哺乳動物におけるHCVに対する免疫応答、例えばCTL応答を発生させるため、ならびに/またはCD8+T細胞およびCD4+T細胞を準備刺激して、治療目的または予防目的のいずれかのための抗ウイルス剤を生成するために使用することができる。
【0072】
したがって、HCV融合ポリペプチドは、HCV感染を治療および/または予防するために有用である。HCV融合ポリペプチドは、単独で、または1つ以上の細菌性もしくはウイルス性免疫原と組み合わせて使用してもよい。組み合わせは、同じ病原体由来の複数の免疫原、異なる病原体由来の複数の免疫原または同じおよび異なる病原体由来の複数の免疫原を含んでもよい。したがって、細菌性、ウイルス性および/もしくは他の免疫原が、HCV融合ポリペプチドとして同じ組成物中に含まれてもよく、または、同じ被験体に別々に投与されてもよい。
【0073】
さらに、本発明のHCV融合ポリペプチドはまた、診断試薬として使用して、生物学的試料中のHCV感染を検出することができる。
【0074】
本発明をさらに理解するために、本組成物における使用のためのHCV融合ポリペプチド、ならびにHCV融合ポリペプチドの生成、それを含む組成物およびHCV融合ポリペプチドを使用する方法に関して、以下により詳細な考察を提供する。
【0075】
(HCV融合ポリペプチド)
HCV株のゲノムは、およそ9,000〜12,000ヌクレオチドの単一のオープンリーディングフレームを含み、これは、ポリタンパク質に転写される。図1および表1に示されるように、HCVポリタンパク質は、切断の際に、
NH−Core−E1−E2−p7−NS2−NS3−NS4a−NS4b−NS5a−NS5b−COOHの順序で、少なくとも10個の異なる産物を生成する。コアポリペプチドは、HCV−1に関して番号付けされた、1〜191位に存在する(HCV−1ゲノムについては、Chooら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451−2455を参照のこと)。このポリペプチドは、さらにプロセシングされて、およそアミノ酸1〜173のHCVポリペプチドを生成する。エンベロープポリペプチド、E1およびE2は、それぞれ、約192〜383位および約384〜746位に存在する。P7ドメインは、約747〜809位に見出される。NS2は、タンパク質分解活性を有する内在性膜タンパク質であり、ポリタンパク質の約810〜1026位に見出される。NS2は、NS3(約1027〜1657位に見出される)と組み合わせて、NS2−NS3シスル結合を切断し、次に、NS3 N末端を生成し、セリンプロテアーゼ活性およびRNAヘリカーゼ活性の両方を含む大きなポリタンパク質を遊離させる。約1027〜1207位に見出されるNS3プロテアーゼは、残りのポリタンパク質をプロセシングする働きをする。ヘリカーゼ活性は、約1193〜1657位に見出される。NS3は、NS3補因子(約1658〜1711位に見出されるNS4a)、2個のタンパク質(約1712〜1972位に見出されるNS4b、および約1973〜2420位に見出されるNS5a)、およびRNA依存性RNAポリメラーゼ(約2421〜3011位に見出されるNS5b)を遊離させる。ポリタンパク質の成熟の完了は、NS3セリンプロテアーゼによって触媒される、NS3−NS4a連結部での自己触媒による切断よって開始される。
【0076】
【表1】

本発明のHCV融合ポリペプチドは、C末端の切断されたNS5ポリペプチド(本明細書中で「NS5t」または「NS5tr」とも呼ばれる)を含む。具体的には、C末端の切断されたNS5ポリペプチドは、全長NS5aポリペプチド、およびNS5bポリペプチドのN末端部分を含む。C末端の切断されたポリペプチドは、全長HCV−1配列に関して番号付けされた、アミノ酸2505...2550...2600...2650...2700...2750...2800...2850...2900...2950...2960...2970...2975...2980...2985...2990...2995...3000等の後等の、全長HCV−1ポリタンパク質に関して番号付けされた、アミノ酸2500とC末端との間の任意の位置で切断することができる。分子が、全長HCV−1配列に関して番号付けされた、2500と3010との間の任意のアミノ酸で切断されてもよいことは、容易に明らかである。ある特に好ましいNS5ポリペプチドは、全長HCV−1ポリタンパク質に関して番号付けされた、アミノ酸2990の直後のアミノ酸に対応するアミノ酸で切断され、全長HCV−1ポリタンパク質に関して番号付けされた、アミノ酸1973〜2990に対応するアミノ酸配列を含む。かかる構築物についての配列は、配列番号8のアミノ酸1〜1018位で示される(図5A〜5E中でアミノ酸1973〜2990として標識されている)。本発明の融合物は、場合により、発現のためのN末端のメチオニンを有する。
【0077】
C末端の切断されたNS5ポリペプチドは、単独で、下記の組成物中で、またはHCVポリタンパク質の種々のドメインのいずれか由来の1つ以上の他のHCV免疫原性ポリペプチドと組み合わせて、使用することができる。さらなるHCVポリペプチドが、別々に、または融合物において提供される。実際に、融合物は、HCVポリタンパク質の全ての領域を含んでもよい。これらのポリペプチドは、NS5ポリペプチドと同じHCV分離株に由来してもよく、または、種々のHCV遺伝子型のいずれかを有する分離株を含む異なる株および分離株に由来して、広範なHCV遺伝子型に対して増大した防御を提供してもよい。また、ポリペプチドは、融合物を含むワクチン組成物が使用される特定の地理的領域に固有の特定のウイルスクレードに基づいて選択してもよい。本融合物が、広範な状況においてHCV感染を治療する効果的な手段を提供することは、容易に明らかである。
【0078】
したがって、NS5tは、NS5tの、HCVポリタンパク質中での他のドメイン由来の1つ以上の免疫原性HCVポリペプチドとの任意の組み合わせ、すなわちE1、E2、p7、NS2、NS3、NS4、および/またはコアポリペプチドと組み合わせられたNS5tを含む、融合ポリペプチド中に含まれてもよい。好ましくは、NS5tは、HCV融合ポリペプチド中で、NS2、NS3、NS4、およびコアポリペプチドの部分、ならびに場合によりE2と組み合わせられる。これらの領域は、それらが天然に存在する順序である必要はない。さらに、これらの領域のそれぞれは、同じまたは異なるHCV分離株に由来してもよい。本明細書中に記載されている種々の融合物中に存在する種々のHCVポリペプチドは、全長ポリペプチドまたはその一部のいずれであってもよい。
【0079】
融合ポリペプチドを構成しているHCVポリペプチドの部分は、それぞれ一般に、少なくとも1つのエピトープを含み、これは2152−HEYPVGSQL−2160(配列番号1)および/または2224−AELIEANLLWRQEMG−2238(配列番号2)等の、活性化T細胞上のT細胞受容体によって認識される。エピトープは、いくつかの方法によって同定することができる。例えば、上記の任意の組み合わせを含む個々のポリペプチドまたは融合タンパク質を、例えば、ポリペプチドまたはタンパク質に対するモノクローナル抗体を使用する免疫親和性精製によって、単離することができる。次いで、単離されたタンパク質配列は、タンパク質配列全体にわたる、精製されたタンパク質のタンパク質分解性切断によって一連の短いペプチドを調製することによって、スクリーニングすることができる。例えば、100マーポリペプチドで開始することによって、各ポリペプチドは、HCV活性化T細胞上のT細胞受容体によって認識されるエピトープの存在について試験することができ、次いで、次第により小さく、重複する断片を、同定された100マーから試験して、目的のエピトープをマッピングすることができる。
【0080】
HCV活性化T細胞上のT細胞受容体によって認識されるエピトープは、例えば、51Cr放出アッセイによって、またはリンパ増殖アッセイによって、同定することができる(実施例を参照のこと)。51Cr放出アッセイにおいて、エピトープをコードするポリヌクレオチドを発現ベクター中にクローニングすることおよび発現ベクターを標的細胞中に形質転換することによって、目的のエピトープを表示する標的細胞を、構築することができる。HCV特異的CD8T細胞は、例えば、融合物中で見出されるHCVポリタンパク質の1つ以上の領域由来の1つ以上のエピトープを提示する標的細胞を溶解し、かかるエピトープを提示しない細胞は溶解しない。リンパ増殖アッセイにおいて、HCV活性化CD4T細胞は、例えば、融合物中に見出されるHCVポリタンパク質の1つ以上の領域由来の1つ以上のエピトープとともに培養される場合、増殖するが、HCVエピトープ性ペプチドの非存在下では、増殖しない。
【0081】
種々のHCVポリペプチドは、融合タンパク質中に任意の順序で存在してもよい。所望される場合、1つ以上のHCVポリペプチドの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以上が、HCV融合タンパク質中に存在してもよい。複数のHCVのウイルス株が存在してもよく、これらの株のいずれかのHCVポリペプチドを、融合タンパク質中で使用してもよい。
【0082】
Core、NS2、p7、E1、E2、NS3、NS4、NS5a、NS5b遺伝子およびポリペプチドを含む、HCVポリタンパク質の種々の領域の核酸配列およびアミノ酸配列を含む、多数のHCV株および分離株の核酸配列およびアミノ酸配列が、決定されている。例えば、分離株HCV J1.1が、Kuboら(1989)Japan.Nucl.Acids Res.17:10367−10372;Takeuchiら(1990)Gene 91:287−291;Takeuchiら(1990)J.Gen.Virol.71:3072−3033;およびTakeuchiら(1990)Nucl.Acids Res.18:4626に記載されている。2つの独立した分離株、HCV−JおよびBKの全コード配列が、Katoら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:9524−9528およびTakamizawaら(1991)J.Virol.65:1105−1113にそれぞれ記載されている。
【0083】
HCV−1分離株を記載している刊行物としては、Chooら(1990)Brit.Med.Bull.46:423−441;Chooら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451−2455およびHanら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:1711−1715が挙げられる。HCV分離株HC−J1およびHC−J4は、Okamotoら(1991)Japan J.Exp.Med.60:167−177に記載されている。HCV分離株HCT18〜、HCT23、Th、HCT27、EC1およびEC10が、Weinerら(1991)Virol.180:842−848に記載されている。HCV分離株Pt−1、HCV−K1およびHCV−K2が、Enomotoら(1990)Biochem.Biophys.Res.Commun.170:1021−1025に記載されている。HCV分離株A、C、DおよびEが、Tsukiyama−Koharaら(1991)Virus Genes 5:243−254に記載されている。
【0084】
上記で説明されているように、HCV融合ポリペプチドの成分のそれぞれは、同じHCV株もしくは分離株または異なるHCV株もしくは分離株から得ることができる。例えば、NS5ポリペプチドは、HCVの第1の株に由来してもよく、存在している他のHCVポリペプチドは、HCVの第2の株に由来してもよい。あるいは、1つ以上の他のHCVポリペプチド、例えば、存在する場合、NS2、NS3、NS4、Core、p7、E1および/またはE2は、HCVの第1の株に由来してもよく、残りのHCVポリペプチドは、HCVの第2の株に由来してもよい。さらに、存在するHCVポリペプチドのそれぞれは、異なるHCV株に由来してもよい。
【0085】
本融合物における使用のためのHCV領域由来の種々のHCVエピトープの記載については、例えば、Chienら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:10011−10015;Chienら、J.Gastroent.Hepatol.(1993)8:S33−39;Chienら、国際公開第93/00365号、Chien,D.Y.;国際公開第94/01778号;ならびに米国特許第6,280,927号および第6,150,087号を参照のこと。
【0086】
例えば、融合物は、C末端の切断されたNS5ポリペプチド、およびNS3ポリペプチドを含んでもよい。NS3ポリペプチドを修飾して、融合物のさらなる切断が阻害されるように、プロテアーゼ活性を阻害または減少させることができる(本明細書中で「NS3」とも呼ばれる)。NS3ポリペプチドは、NS3プロテアーゼドメインの全てまたは一部の欠失によって修飾してもよい。あるいは、プロテアーゼ活性は、プロテアーゼドメインの活性領域内のアミノ酸の置換によって阻害してもよい。最後に、触媒部位が修飾されるような、ドメインの活性領域へのアミノ酸の付加もまた、タンパク質分解活性を阻害する働きをする。
【0087】
上記で説明されるように、プロテアーゼ活性は、全長HCV−1ポリタンパク質に関して番号付けされた、アミノ酸約1027〜1207位(Chooら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88:2451−2455を参照のこと)、図2の2〜182位で見出される。NS3プロテアーゼの構造、および活性部位は、公知である。例えば、De Francescoら、Antivir.Ther.(1998)3:99−109;Kochら、Biochemistry(2001)40:631−640を参照のこと。したがって、天然の配列に対する欠失および修飾は、典型的には、分子の活性部位で、またはこの近くで生じる。具体的には、図2の1〜182位もしくは2〜182位、好ましくは1〜170位もしくは2〜170位または1〜155位もしくは2〜155位に存在する1つ以上のアミノ酸に対して、修飾するかまたは欠失を作製することが、望ましい。好ましい修飾は、プロテアーゼを不活性化するために、プロテアーゼの活性部位の触媒的三連構造、すなわち、H、Dおよび/またはS残基に対してである。これらの残基は、全長HCVポリタンパク質に対して番号づけられた、それぞれ1083位、1107位および1165位に存在する(それぞれ図2の58位、80位および140位)。かかる修飾は、T細胞エピトープを維持しながら、タンパク質分解性切断を抑制する。ある特に好ましい修飾は、Ser−1165の、Alaでの置換である。当業者は、活性を崩壊させるために欠失すべきNS3プロテアーゼの部分を、容易に決定することができる。活性の存在または非存在は、当業者に公知の方法を使用して判定することができる。
【0088】
例えば、プロテアーゼ活性またはその喪失は、下記で実施例に記載される手順を使用して、ならびに当該分野で周知のアッセイを使用して、判定することができる。例えば、Takeshitaら、Anal.Biochem.(1997)247:242−246;Kakiuchiら、J.Biochem.(1997)122:749−755;Saliら、Biochemistry(1998)37:3392−3401;Choら、J.Virol.Meth.(1988)72:109−115;Cerretaniら、Anal.Biochem.(1999)266:192−197;Zhangら、Anal.Biochem.(1999)270:268−275;Kakiuchiら、J.Virol.Meth.(1999)80:77−84;Fowlerら、J.Biomol.Screen.(2000)5:153−158;およびKimら、Anal.Biochem.(2000)284:42−48を参照のこと。
【0089】
図3A〜3Jは、修飾されたNS3ポリペプチドを含み、NS3プロテアーゼドメインがN末端から欠失しており、C末端上にCoreのアミノ酸1〜121を含む、代表的なHCV融合ポリペプチドを示す。
【0090】
上記に説明するように、本発明の融合物中のHCVポリタンパク質のコア領域由来のポリペプチドを含むことが、望ましい場合がある。この領域は、HCV−1に対して番号づけられる、HCVポリタンパク質のアミノ酸1〜191位に存在する。全長タンパク質、アミノ酸1〜160、例えば、アミノ酸1〜150、1〜140、1〜130、1〜120、例えば、アミノ酸1〜121、1〜122、1〜123...1〜151等のようなその断片、またはアミノ酸10〜53、アミノ酸10〜45、アミノ酸67〜88、アミノ酸120〜130、または例えばHoughtonら、米国特許第5,350,671号;Chienら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:10011−10015;Chienら、J.Gastroent.Hepatol.(1993)8:S33−39;Chienら、国際公開第93/00365号;Chien,D.Y.,国際公開第94/01778号;ならびに米国特許第6,280,927号および第6,150,087号で同定されているコアエピトープのいずれか間で見出されるエピトープ等の、全長タンパク質のエピトープを含むより小さな断片のいずれかを、本発明の融合物に使用することができる。さらに、国際公開第99/63941号に記載されるような、ポリタンパク質のコア領域のフレームシフトから生じるタンパク質を使用することができる。本融合物との使用のための、ある特に好ましいコアポリペプチドは、図3A〜3Jのアミノ酸1772〜1892位に示されるアミノ酸の配列を含む。このコアポリペプチドは、コンセンサスアミノ酸Arg−9およびThr−11(それぞれ、図3A〜3Jの1780位および1782位)を含むHCVポリタンパク質アミノ酸1〜121を含む。図5A〜5E(配列番号7および8)は、C末端の切断されたNS5ポリペプチドを含み、NS5のC末端がこのコアポリペプチドに融合した、代表的な融合タンパク質のDNAおよび対応するアミノ酸配列を示す。C末端の切断されたNS5ポリペプチドは、HCVポリタンパク質のアミノ酸1〜121(配列番号8のアミノ酸1019〜1139)を含む上述のコアポリペプチドに融合した、HCV−1に関して番号付けされた、HCVポリタンパク質のアミノ酸1973〜2990を含む(Chooら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451−2455を参照のこと)(配列番号8のアミノ酸1〜1018)。
【0091】
コアポリペプチドが存在する場合、これは、融合物のN末端、C末端および/または内部に存在し得る。特に好ましいのは、以下にさらに記載される、ISCOM等の特定のアジュバンドとの複合体の形成を可能にするので、C末端上のコアポリペプチドである。
【0092】
HCV融合物中の他の有用なポリペプチドとしては、ポリタンパク質の任意の種々の領域由来のT細胞エピトープが挙げられる。この点において、E1、E2、p7およびNS2は、ヒトT細胞エピトープ(CD4+およびCD8+の両方)を含み、ワクチン効力を増大させ、複数のHCV遺伝子型に対する保護レベルを増大させるよう働くこれらのエピトープの1つ以上を含むことが公知である。さらに、異なる遺伝子型由来のエピトープの混合物等の、特異的な、保存されたT細胞エピトープの複数のコピーもまた、融合物中で使用することができる。
【0093】
例えば、HCV E1および/またはE2領域由来のポリペプチドを、本発明の融合物において使用することができる。E2は、複数の種として存在し(Spaeteら、Virol.(1992)188:819−830;Selbyら、J.Virol.(1996)70:5177−5182;Grakouiら、J.Virol.(1993)67:1385−1395;Tomeiら、J.Virol.(1993)67:4017−4026)、クリッピングおよびタンパク質分解が、E2ポリペプチドのN末端およびC末端で起こり得る。したがって、本明細書中の使用のためのE2ポリペプチドは、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号づけられる、HCVポリタンパク質のアミノ酸405〜661、例えば、400、401、402...〜661、ならびに383もしくは384〜661、383もしくは384〜715、383もしくは384〜746、383もしくは384〜749または383もしくは384〜809、または383もしくは384から661〜809の間の任意のC末端等のポリペプチドを含んでもよい。好ましくは、アミノ酸384〜715を含むE2ポリペプチドの一部が、HCV融合ポリペプチド中に含まれる。好ましくは、E2ポリペプチド配列は、HCV融合ポリペプチドのN末端に存在する。
【0094】
同様に、本明細書中の使用のためのE1ポリペプチドは、HCVポリタンパク質のアミノ酸192〜326、192〜330、192〜333、192〜360、192〜363、192〜383、または192から326〜383の間の任意のC末端を含み得る。
【0095】
エピトープを含むE1および/またはE2の免疫原性断片を、本融合物において使用してもよい。例えば、E1ポリペプチドの断片は、6、10、25、50、75、100、125、150、175、185もしくはそれ以上等の約5〜分子のほぼ全長のE1ポリペプチドのアミノ酸、または述べられた数の間の任意の整数を含んでもよい。同様に、E2ポリペプチドの断片は、E2ポリペプチドの6、10、25、50、75、100、150、200、250、300もしくは350アミノ酸または述べられた数の間の任意の整数を含んでもよい。
【0096】
例えば、例えばアミノ酸384〜410または390〜410にわたる領域等の、E2の超可変領域由来のエピトープが、融合物中に含まれてもよい。E2ポリペプチド配列中に組み入れられる特に有効なE2エピトープは、HCV1型ゲノムのアミノ酸390〜410のコンセンサス配列を表すコンセンサス配列(配列番号9)
Gly−Ser−Ala−Ala−Arg−Thr−Thr−Ser−Gly−Phe−Val−Ser−Leu−Phe−Ala−Pro−Gly−Ala−Lys−Gln−Asn等の、この領域由来のコンセンサス配列を含むものである。E1およびE2のさらなるエピトープは、公知であり、例えば、Chienら、国際公開第93/00365号に記載されている。
【0097】
さらに、E1ポリペプチドおよび/またはE2ポリペプチドは、膜貫通ドメインの全てまたは一部を欠失していてもよい。E1について、一般に、アミノ酸約370位以上(HCV−1ポリタンパク質の番号づけに基づく)で終結するポリペプチドは、ERによって保持され、したがって増殖媒地中に分泌されない。E2について、アミノ酸731位以上(これもまた、HCV−1ポリタンパク質の番号づけに基づく)で終結するポリペプチドは、ERによって保持され、分泌されない。(例えば、1996年2月15日に公開された、国際公開第96/04301号を参照のこと)。これらのアミノ酸位置が絶対的ではなく、ある程度変動してもよいことが留意されるべきである。したがって、本発明は、膜貫通結合ドメインを保持するE1ポリペプチドおよび/またはE2ポリペプチドならびにアミノ酸約369位以下で終結するE1ポリペプチドおよびアミノ酸730位以下で終結するE2ポリペプチドを含む膜貫通結合ドメインの全てまたは一部を欠くポリペプチドの使用を企図する。さらに、C末端の切断は、N末端に向かう膜貫通ドメインを超えて延長してもよい。したがって、例えば、例えば360位より下に存在するE1切断および例えば715位より下に存在するE2切断もまた、本発明に包含される。必要な全ては、切断されたE1ポリペプチドおよびE2ポリペプチドが、それらの意図された目的のために機能的であり続けることである。しかしながら、特に好ましい切断されたE1構築物は、アミノ酸約300を超えて延長しないものである。最も好ましいのは、360位で終結しているものである。好ましい切断されたE2構築物は、アミノ酸約715位を超えて延長しないC末端の切断を有するものである。特に好ましいE2切断は、725等の、アミノ酸715〜730のいずれかの後で切断されている分子である。
【0098】
ある好ましい実施形態において、融合タンパク質は、修飾されたNS3、NS4(NS4aおよびNS4b)、C末端の切断されたNS5、および場合により、HCVのコアポリペプチドを含む(NS3NS4NS5tまたはNS3NS4NS5tCore融合タンパク質、本明細書中で「NS345t」および「NS345tCore」とも名付けられる)。これらの融合ポリペプチドはまた、HCV NS2ポリペプチドの一部、好ましくはアミノ酸1018〜1026(HCV−1ポリタンパク質中のように番号付けされる)由来のNS2部分を含んでもよい。これらの領域は、必ずしもそれらが天然のHCVポリタンパク質中で天然に存在する順序でなくてもよい。したがって、例えば、コアポリペプチドは、融合物のN末端および/またはC末端にあってもよい。特に好ましい実施形態において、NS5tは、全長HCV−1ポリタンパク質に関して番号付けされた、アミノ酸1973〜2990を含み、NS3分子は、通常1165位で見出されるSerのAlaでの置換を含み、領域は、以下のN末端からC末端の順序:NS3NS4NS5tまたはNS2NS3NS4NS5tで存在する。これらの融合物は、分子のC末端にコアポリペプチドを含んでもよい。存在する場合、コアポリペプチドは、好ましくは、図3A〜3Jのアミノ酸1772〜1892位に示されるアミノ酸の配列を含む。このコアポリペプチドは、コンセンサスアミノ酸Arg−9およびThr−11(それぞれ図3A〜3Jの1780位および1782位)を含む、HCVポリタンパク質のアミノ酸1〜121を含む。
【0099】
別の好ましい実施形態において、直前に記載されているHCV融合ポリペプチドは、NS3またはNS2に先行して、N末端にE2ポリペプチドを含む。好ましくは、E2ポリペプチドは、C末端の切断されたポリペプチドであり、全長HCV−1ポリタンパク質に関して番号付けされた、アミノ酸384〜715を含む。この融合物は、場合により、上述のようなコアポリペプチドを含んでもよい。
【0100】
所望される場合、融合タンパク質、またはこれらのタンパク質の個々の成分はまた、アミノ酸リンカーまたはシグナル配列等の、他のアミノ酸配列、ならびにグルタチオン−S−トランスフェラーゼおよびスタフィロコッカスプロテインA等の、タンパク質精製において有用なリガンドを含んでもよい。
【0101】
(HCV融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド)
ポリヌクレオチドは、全体より少ないHCVゲノムを含むか、または、上述のようにC末端の切断されたNS5を有するポリタンパク質全体の配列を含んでもよい。ポリヌクレオチドは、RNAまたは一本鎖DNAもしくは二本鎖DNAであってもよい。好ましくは、ポリヌクレオチドは、タンパク質および脂質等の他の成分を含まずに単離される。ポリヌクレオチドは、上述の融合タンパク質をコードし、したがって、NS5t、およびNS2、p7、E1、E2、NS3、NS4、コア等に由来するポリペプチド等のHCVポリタンパク質の異なる領域由来の少なくとも1つの他のHCVポリペプチドのコード配列を含む。ポリヌクレオチドは、好ましくは、E2NS2NS3NS4NS5core、E2NS2NS3NS4NS5tcore、NS2NS3NS4NS5coreまたはNS2NS3NS4NS5tcoreを含むか、またはこれらからなる、HCV融合ポリペプチドをコードする。本発明のポリヌクレオチドはまた、リンカーの配列、シグナル配列等の他のヌクレオチド配列、またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼおよびスタフィロコッカスプロテインA等のタンパク質精製において有用なリガンドを含んでもよい。
【0102】
発現収率を助けるために、ポリタンパク質を発現のための断片に分割することが望ましい場合がある。これらの断片は、本明細書中で記載されるような組成物において組み合わせて使用することができる。あるいは、これらの断片は、発現の後に結合させてもよい。したがって、例えば、NS3NS4は、1つの構築物として発現させてもよく、NS5tCoreは、第2の構築物として発現させてもよく、2つのタンパク質は、その後組成物に融合または別々に添加してもよい。同様に、E2NS3NS4は、1つの構築物として発現させてもよく、NS5tCoreを、第2の構築物として発現させてもよい。上記の組み合わせは、単に代表例であって、任意の組み合わせの融合物が別々に発現され得ることが、理解されるべきである。
【0103】
HCV融合ポリペプチド中に切断されたNS5(例えば、アミノ酸2990で切断されたNS5)を含むことは、しばしば、全長NS5が含まれたものと比較してより高いレベルの融合ポリペプチドの発現を生じることが、これまでに示されている。HCV融合ポリペプチドのカルボキシ末端でのHCVコア配列(例えばコアアミノ酸1〜121)の付加が、カルボキシ末端にコア配列のないHCV融合ポリペプチドの発現レベルより高いレベルの発現を生じることもまた、これまでに示唆されている。本発明者らは、今や、HCV融合ポリペプチドのN末端での特定のHCV E2配列(例えば、アミノ酸384〜715)の付加によって、N末端にE2配列を含まないものと比較して、融合ポリペプチドの組換え発現レベルが促進されることを見出した。したがって、本発明はまた、HCV E2配列を、融合ポリペプチドのN末端で、好ましくはアミノ酸384〜715(HCV−1ポリタンパク質に関して番号付けされる)に配置することによって、HCV融合ポリペプチドの組換え発現を促進する方法を提供する。N末端でのE2アミノ酸配列のかかる配置は、E2コード配列を融合ポリペプチドの5’末端に融合させることによって、達成することができることが、明らかであろう。
【0104】
種々のHCVポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、例えば、HCVに感染した個体の血漿、血清、もしくは肝臓ホモジネートに存在する核酸配列に由来するゲノムライブラリーから単離してもよく、または例えば自動合成機を使用して、実験室において合成してもよい。PCR等の増幅方法を使用して、HCVゲノムDNAまたはそれをコードするcDNAのいずれかからポリヌクレオチドを増幅してもよい。
【0105】
ポリヌクレオチドは、天然に存在するこれらのポリペプチドについてのコード配列を含むが、または天然に存在しない人工配列であってもよい。これらのポリヌクレオチドを、標準的な分子生物学技術を用いてライゲートさせて、融合タンパク質のコード配列を形成させてもよい。これらのタンパク質をコードするポリヌクレオチドを、適した発現系において発現することができる発現ベクターに導入してもよい。種々の細菌、酵母、哺乳動物および昆虫発現系が当該分野で入手可能であり、任意のかかる発現系を使用してもよい。場合により、これらのタンパク質をコードするポリヌクレオチドを無細胞発現系において翻訳してもよい。かかる方法は当該分野で公知である。タンパク質はまた、固相タンパク質合成によって構築してもよい。
【0106】
所望の融合物を含む本発明の発現構築物、またはこれらの融合物の個々の成分を含む個々の発現構築物を、核酸免疫化のために使用して、標準的な遺伝子送達プロトコールを用いて細胞性免疫応答を刺激してもよい。遺伝子送達のための方法は、当該分野で公知である。例えば、米国特許第5,399,346号、第5,580,859号、第5,589,466号を参照のこと。遺伝子は、直接脊椎動物被験体に送達してもよく、または、被験体に由来する細胞にエキソビボで送達して、細胞を被験体に再移植してもよい。例えば、構築物は、例えば、プラスミドDNA、例えば、pBR322、pUC、またはColE1等の、プラスミド内に含まれるプラスミドDNAとして送達してもよい。
【0107】
さらに、発現構築物は、細胞への送達の前に、リポソーム内に封入してもよい。脂質カプセル化は、一般に、核酸を安定的に結合するかまたは捕捉および維持することができるリポソームを使用して達成される。凝集したDNA対脂質調製物の比率は変化してもよいが、一般におよそ1:1である(DNAのmg:脂質のミクロモル)か、脂質よりも多い。核酸の送達のための担体としてのリポソームの使用の総説については、HugおよびSleight、Biochim.Biophys.Acta.(1991)1097:1−17;Straubingerら、Methods of Enzymology(1983)、第101巻、pp.512−527を参照のこと。
【0108】
本発明のポリヌクレオチドとの使用のためのリポソーム調製物としては、カチオン性(正に荷電)調製物、アニオン性(負に荷電)調製物、および中性調製物が挙げられ、カチオン性リポソームが特に好ましい。カチオン性リポソームは、容易に入手可能である。例えば、N[1−2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリエチル−アンモニウム(DOTMA)リポソームは、Lipofectinの登録商標で、GIBCO BRL、Grand Island NY.から入手可能である(Felgnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1987)84:7413−7416も参照のこと)。他の市販の脂質としては、transfectace(DDAB/DOPE)およびDOTAP/DOPE(Boerhinger)が挙げられる。他のカチオン性リポソームは、当該分野で周知の技術を使用して、容易に入手可能な物質から調製することができる。例えば、DOTAP(1,2−ビス(オレイルオキシ)−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン)リポソームの合成の記載については、Szokaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1978)75:4194−4198;PCT出願公開第90/11092号を参照のこと。種々のリポソーム−核酸複合体は、当該分野で公知の方法を使用して調製される。例えば、Straubingerら、METHODS OF IMMUNOLOGY(1983)、第101巻、pp.512−527;Szokaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1978)75:4194−4198;Papahadjopoulosら、Biochim.Biophys.Acta(1975)394:483;Wilsonら、Cell(1979)17:77);DeamerおよびBangham、Biochim.Biophys.Acta(1976)443:629;Ostroら、Biochem.Biophys.Res.Commun.(1977)76:836;Fraleyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1979)76:3348);EnochおよびStrittmatter、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1979)76:145);Fraleyら、J.Biol.Chem.(1980)255:10431;SzokaおよびPapahadjopoulos、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1978)75:145;ならびにSchaefer−Ridderら、Science(1982)215:166を、参照のこと。
【0109】
DNAはまた、Papahadjopoulosら、Biochem.Biophys.Acta.(1975)394:483−491によって記載されているものと類似の渦巻形の脂質組成物中で送達してもよい。米国特許第4,663,161号および第4,871,488号もまた、参照のこと。
【0110】
多数のウイルスベースの系が、哺乳動物細胞内への遺伝子導入のために開発されている。例えば、マウス肉腫ウイルス、マウス乳癌ウイルス、モロニーマウス白血病ウイルス、およびラウス肉腫ウイルス等のレトロウイルスは、遺伝子送達系のための簡便なプラットフォームを提供する。選択された遺伝子は、当該分野で公知の技術を用いて、ベクター内に挿入し、レトロウイルス粒子内に封入することができる。次いで、組換えウイルスを単離し、インビボまたはエキソビボのいずれかで、被験体の細胞に送達することができる。多数のレトロウイルス系が、記載されている(米国特許第5,219,740号;MillerおよびRosman、BioTechniques(1989)7:980−990;Miller,A.D.、Human Gene Therapy(1990)1:5−14;Scarpaら、Virology(1991)180:849−852;Burnsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1993)90:8033−8037;ならびにBoris−LawrieおよびTemin、Cur.Opin.Genet.Develop.(1993)3:102−109。簡潔には、本発明のレトロウイルス遺伝子送達ビヒクルは、例えば、B型、C型およびD型のレトロウイルスを含む様々なレトロウイルス、ならびにFIV、HIV、HIV−1、HIV−2およびSIV等のスプーマウイルスおよびレンチウイルスから容易に構築してもよい(RNA Tumor Viruses、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、1985を参照のこと)。かかるレトロウイルスは、American Type Culture Collection(「ATCC」;10801 University Blvd.、Manassas、VA 20110−2209)等の寄託機関もしくは収集機関から容易に得ることができ、または一般に利用可能な技術を用いて、公知の供給源から単離してもよい。
【0111】
アデノウイルス2型ベクターおよび5型ベクター等の多数のアデノウイルスベクターもまた、記載されている。宿主ゲノム内に組み込むレトロウイルスと異なり、アデノウイルスは染色体外に留まり、したがって、挿入変異に関連する危険性を最小限にする(Haj−AhmadおよびGraham、J.Virol.(1986)57:267−274;Bettら、J Virol.(1993)67:5911−5921;Mitterederら、Human Gene Therapy(1994)5:717−729;Sethら、J.Virol.(1994)68:933−940;Barrら、Gene Therapy(1994)1:51−58;Berkner,K.L.BioTechniques(1988)6:616−629;ならびにRichら、Human Gene Therapy(1993)4:461−476)。
【0112】
Michaelら、J.Biol.Chem.(1993)268:6866−6869およびWagnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:6099−6103に記載されているアデノウイルスキメラベクター等の分子結合体ベクターもまた、遺伝子送達のために使用してもよい。
【0113】
限定されないが、シンドビスウイルスおよびセムリキ森林ウイルス、VEEに由来するベクター等の、アルファウイルス属のメンバーもまた、目的の遺伝子の送達のためのウイルスベクターとしての使用を提供する。本方法の実践のために有用なシンドビスウイルス由来ベクターの記載については、Dubenskyら、J.Virol.(1996)70:508−519;ならびに国際公開第95/07995号および第96/17072号を参照のこと。
【0114】
限定されないが、アデノ随伴ウイルスベクター、サルウイルス40およびサイトメガロウイルスを含む、他のベクターを使用してもよい。サルモネラ(Salmonella)種、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、シゲラ(Shigella)種、ビブリオ・コレラエ(Vibrio cholerae)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)BCG株、およびリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)等の細菌ベクターを使用してもよい。MCおよびMC1等のミニ染色体、バクテリオファージ、コスミド(λファージcos部位が挿入されているプラスミド)およびレプリコン(細胞中で、それら自体の制御の下で複製することができる遺伝因子)もまた、使用してもよい。
【0115】
発現構築物はまた、微粒子状担体にカプセル化し、吸着させ、または関連させてもよい。かかる担体は、免疫系に対し、選択された分子の複数のコピーを提示し、局部リンパ節における分子の捕捉および維持を促進する。粒子はマクロファージによって補食され得、サイトカイン放出を通して抗原提示を促進し得る。微粒子状担体の例としては、ポリメチルメタクリレートポリマー由来のもの、ならびにポリ(ラクチド)由来の微粒子およびPLGとして公知のポリ(ラクチド−コグリコリド)由来の微粒子が挙げられる。例えば、Jefferyら、Pharm.Res.(1993)10:362−368;およびMcGeeら、J.Microencap.(1996)を参照のこと。
【0116】
発現構築物を細胞に送達するために、様々な他の方法を使用してもよい。かかる方法としては、DEAEデキストラン媒介性トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリリシン媒介性トランスフェクションもしくはポリオルニチン媒介性トランスフェクション、またはリン酸ストロンチウム、ベントナイトおよびカオリンを含むケイ酸アルミニウム、酸化クロム、ケイ酸マグネシウム、滑石等のような他の不溶性無機塩を使用した沈殿が挙げられる。他の有用なトランスフェクションの方法としては、エレクトロポレーション、ソノボレーション、プロトプラスト融合、リポソーム、ペプトイド送達、またはマイクロインジェクションが挙げられる。例えば、目的の細胞を形質転換するための技術の考察については、Sambrookら(前出)を;遺伝子導入に有用な送達系の総説については、Felgner,P.L.、Advanced Drug Delivery Reviews(1990)5:163−187を参照のこと。エレクトロポレーションを使用してDNAを送達する、ある特に効果的な方法が、国際公開第/0045823号に記載されている。
【0117】
さらに、金およびタングステン等の微粒子状担体を使用する微粒子銃送達系は、本発明の発現構築物を送達するために特に有用である。粒子は、送達されるべき構築物で被膜され、「遺伝子銃」から発射される銃粉末を用いて、一般に減圧の雰囲気下で、高速まで加速される。かかる技術、およびこれらに有用な装置の記載については、例えば、米国特許第4,945,050号;第5,036,006号;第5,100,792号;第5,179,022号;第5,371,015号;および第5,478,744号を参照のこと。
【0118】
(融合タンパク質またはポリヌクレオチドを含む組成物)
本発明はまた、融合タンパク質またはポリヌクレオチドを含む免疫原性組成物を提供する。上記で定義されたように、組成物を使用して、免疫学的応答を刺激することができる。組成物は、融合物の1つが本明細書中に記載されているようなC末端の切断されたNS5ドメインを含む限りは、1つ以上の融合物を含んでもよい。好ましくは、組成物は、NS2、NS3(特に、修飾されたNS3)、NS4、NS5tおよびコアの部分を含む、またはこれらからなる、HCV融合ポリペプチドを含む。より好ましくは、組成物は、E2、NS2、NS3(特に、修飾されたNS3)、NS4、NS5tおよびコアの部分を含む、またはこれらからなる、HCV融合ポリペプチドを含む。本発明の組成物はまた、薬学的に許容され得る担体を含んでもよい。担体は、それ自体が宿主に対して有害な抗体の産生を誘導するべきではない。薬学的に許容され得る担体は、当業者に周知である。かかる担体としては、タンパク質、ラテックス官能化セファロース、アガロース、セルロース、セルロースビーズ等のような多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン等のような多量体アミノ酸、アミノ酸コポリマー、および不活性型ウイルス粒子等の、大型のゆっくりと代謝される高分子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
薬学的に許容され得る塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩または硫酸塩等の無機塩、ならびに酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、または安息香酸塩等の有機酸の塩もまた、本発明の組成物中で使用してもよい。特に有用なタンパク質基質は、血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン、免疫グロブリン分子、サイログロブリン、オボアルブミン、破傷風毒素、および当業者に周知の他のタンパク質である。本発明の組成物はまた、単独または組み合わせで、水、生理食塩水、グリセロール、デキストロース、エタノール等のような液体または賦形剤、ならびに湿潤剤、乳化剤、またはpH緩衝化剤等の物質を含んでもよい。本発明のタンパク質またはポリヌクレオチドはまた、リポソームおよびPLG等の微粒子状担体に吸着させてもよく、これに捕捉させてもよく、またはそうでなければこれに関連させてもよい。リポソームおよび他の微粒子状担体は、上述されている。
【0120】
所望される場合、IL−2、改変IL−2(cys125からser125へ)、GM−CSF、IL−12、γ−インターフェロン、IP−10、MIP1β、FLP−3、リバビリンおよびRANTES等のサイトカインを含むがこれらに限定されない、B7−1もしくはB7−2、またはサイトカイン、リンホカイン、およびケモカイン等の、リンパ球に対する免疫原提示を改善する共刺激分子が、組成物中に含まれてもよい。場合により、アジュバントもまた、組成物中に含まれてもよい。使用され得るアジュバントとしては:
(1)水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム等のようなアルミニウム塩(ミョウバン);(2)例えば(a)モデル110Yマイクロフルイダイザー(Microfluidics、Newton、MA)等のマイクロフルイダイザーを用いてサブミクロン粒子に製剤化される、(場合により種々の量のMTP−PEを含む)5%スクアレン、0.5%TWEEN 80、および0.5%SPAN 85を含むMF59(PCT国際公開第90/14837号)、(b)サブミクロンエマルジョンにマイクロ流動化されるか、またはボルテックスしてより大きな粒子サイズのエマルジョンが作製されるかのいずれかの、10%スクアレン、0.4%TWEEN 80、5%プルロニックブロックポリマーL121およびthr−MDP(下記を参照のこと)を含むSAF、ならびに(c)2%スクアレンと、0.2%TWEEN 80と、モノホスホリピドA(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)からなる群由来の1つ以上の細菌細胞壁成分、好ましくはMPL+CWS(DetoxTM)とを含むRibiTMアジュバント系(RAS)(Ribi Immunochem、Hamilton、MT)等の、水中油型エマルジョン製剤(ムラミルペプチド(下記を参照のこと)または細菌細胞壁成分等の他の特定の免疫刺激剤ありまたはなし);(3)QS21またはStimulonTM(Cambridge Bioscience、Worcester、MA)等のサポニンアジュバントを使用してもよく、またはこれから作製されるISCOM(免疫刺激複合体)等の粒子であって、このISCOMは、さらなる界面活性剤を有さなくてもよい(例えば、国際公開第00/07621号を参照のこと);(4)フロイント完全アジュバント(CFA)およびフロイント不完全アジュバント(IFA);(5)IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12等のようなインターロイキン等のサイトカイン(例えば、国際公開第99/44636号を参照のこと)、γインターフェロン等のインターフェロン、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)等;(6)コレラ毒素(CT)、百日咳毒素(PT)または大腸菌(E.coli)易熱性毒素(LT)等の細菌性ADPリボシル化毒素の無毒化変異体、特にLT−K63(ここで、63位の野生型アミノ酸がリシンで置換されている)、LT−R72(ここで、72位の野生型アミノ酸がアルギニンで置換されている)、CT−S109(ここで、109位の野生型アミノ酸がセリンで置換されている)、およびPT−K9/G129(ここで、9位の野生型アミノ酸がリシンで、129位の野生型アミノ酸がグリシンで置換されている)(例えば、国際公開第93/13202号および第92/19265号を参照のこと);(7)場合によりミョウバンの実質的非存在下にあるモノホスホリルリピドA(MPL)または3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)(例えば、GB2220221;EPA0689454を参照のこと)、(例えば、国際公開第00/56358号を参照のこと);(8)3dMPLと、例えばQS21および/または水中油型エミュレーションとの組み合わせ(例えば、EPA 0835318;EPA 0735898;EPA 0761231を参照のこと);(9)ポリエキシエチレンエーテルまたはポリオキシエチレンエステル(例えば、国際公開第99/52549号を参照のこと);(10)CpGオリゴヌクレオチド等の免疫刺激性オリゴヌクレオチド、またはサポニンおよびCpGオリゴヌクレオチド等の免疫刺激性オリゴヌクレオチド(例えば、国際公開第00/62800号を参照のこと);(11)免疫刺激剤および金属塩の粒子(例えば、国際公開第00/23105号を参照のこと);(12)サポニンおよび水中油型エマルジョン(例えば、国際公開第99/11241号を参照のこと;(13)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL−12(場合により+ステロール)(例えば、国際公開第98/57659号を参照のこと);(14)MPL誘導体RC529;ならびに(15)免疫刺激剤として作用し、組成物の有効性を促進する他の物質が挙げられるが、これらに限定されない。ミョウバンおよびMF59が、好ましい。
【0121】
上記のように、ムラミルペプチドとしては、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(CGP 11637、nor−MDPと呼ばれる)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(CGP 19835A、MTP−PEと呼ばれる)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
さらに、融合タンパク質は、ISCOMに吸着させてもよく、またはISCOM内に捕捉してもよい。古典的ISCOMは、コレステロール、サポニン、ホスホリピド、および免疫原の組み合わせによって形成される。一般に、免疫原(通常は、疎水性領域を有する)は、界面活性剤中にて可溶化され、反応混合物に添加され、それによって、ISCOMが、免疫原が中に組み込まれて形成される。ISCOMマトリックス組成物は、同様に形成されるが、ウイルスタンパク質を含まない。高い正電荷を有するタンパク質は、ISCOM粒子中に、疎水性の力を介してではなく、静電的に結合され得る。サポニンおよびISCOM、ならびにISCOMを製剤化するための方法のより詳細な一般的考察について、Barrら(1998)Adv.Drug Delivery Reviews 32:247−271(1998)を参照のこと。
【0123】
本発明との使用のためのISCOMは、当該分野で周知の標準的な技術を使用して生成され、例えば、米国特許第4,981,684号、第5,178,860号、第5,679,354号および第6,027,732号;欧州特許出願公開第EPA109,942号;第180,564号および第231,039号;Coulterら(1998)Vaccine 16:1243に記載されている。典型的には、用語「ISCOM」は、トリテルペノイドサポニン(特にQuil A)等のグリコシドと、疎水性領域を含む抗原との間に形成される、免疫原性複合体をいう。例えば、欧州特許出願公開第EPA 109,942号および第180,564号を参照のこと。この実施形態において、HCV融合物(通常は、疎水性領域を有する)は、界面活性剤中で可溶化され、反応混合物に添加され、それによって、ISCOMが、融合物が中に組み込まれて形成される。HCVポリペプチドISCOMは、両親媒性特性を示すHCVポリペプチドを用いて容易に生成される。しかしながら、望ましい疎水性特性を欠くタンパク質およびペプチドが、疎水性アミノ酸、脂肪酸ラジカル、アルキルラジカル等を有するペプチドと結合した後に、免疫原性複合体中に組み込まれてもよい。
【0124】
欧州特許出願公開第EPA 231,039号に説明されているように、抗原の存在は、基本的ISCOM構造(マトリックスまたはISCOMATRIXと呼ばれる)を形成するためには必要ではなく、これは、コレステロール等のステロール、ホスファチジルエタノールアミン等のホスホリピド、およびQuil A等のグリコシドから形成され得る。したがって、目的のHCV融合物は、マトリックス中に組み込まれるのではなく、マトリックスの外側に存在し、例えば、静電的相互作用を介してマトリックスに吸着される。例えば、高い正電荷を有するHCV融合物は、疎水性の力を介するのではなく、ISCOM粒子に静電的に結合され得る。サポニンおよびISCOM、およびISCOMを製剤化する方法の、より詳細な一般的考察については、Barrら(1998)Adv.Drug Delivery Reviews 32:247−271(1998)を参照のこと。
【0125】
ISCOMマトリックスは、例えば、可溶化ステロールと、グリコシドと、(場合により)ホスホリピドとを、一緒に混合することによって、調製してもよい。ホスホリピドが使用されない場合、2次元構造が形成される。例えば、欧州特許出願公開第EPA 231,039号を参照のこと。用語「ISCOMマトリックス」は、3次元構造および2次元構造の両方をいうよう使用される。使用されるべきグリコシドは、一般に、両親媒性特性を示し、分子中に疎水性領域および親水性領域を含む、グリコシドである。好ましくは、キラヤ・サポニア・モリナ(Quillaja saponaria Molina)からのサポニン抽出物およびQuil A等のサポニンが、使用される。他の好ましいサポニンは、アエスクルス・ヒポカスタナム(Aesculus hippocastanum)由来のエスキン(Pattら(1960)Arzneimittelforschung 10:273−275)、およびジプソフィラ・ストルチウム(Gypsophilla struthium)由来のサポアルビン(Vochtenら(1968)J.Pharm.Belg.42:213−226)である。
【0126】
ISCOMを調製するために、グリコシドが、少なくとも臨界ミセル形成濃度において使用される。Quil Aの場合、この濃度は、約0.03重量%である。ISCOMを生成するために使用されるステロールは、コレステロール、ラノステロール、ルミステロール、スティグマステロール、およびシトステロール等の、動物起源または植物起源の公知のステロールであってもよい。適したホスホリピドとしては、ホスファチジルコリンおよびホスファチジルエタノールアミンが挙げられる。一般に、グリコシド(特に、Quil Aである場合)対ステロール(特に、コレステロールである場合)対ホスホリピドのモル比は、1:1:0〜1であり、各数字について±20%(好ましくは±10%以下)である。これは、Quil A:コレステロールについての重量比約5:1に等しい。
【0127】
可溶化剤もまた、存在してもよく、例えば、界面活性剤であっても、尿素であっても、グアニジンであってもよい。一般に、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤、もしくは双性イオン性界面活性剤、またはデゾキシコール酸ナトリウム、コール酸塩、およびCTAB(セチルトリアンモニウムブロミド)等のコール酸ベースの界面活性剤が、この目的のために使用され得る。適した界面活性剤の例としては、オクチルグルコシド、ノニルN−メチルグルカミド、またはデカノイルN−メチルグルカミド、9〜10個のオキシエチレン基を有するポリエチレングリコールp−イソオクチル−フェニルエーテル(商標名TRITON X−100RTMの下で販売されている)等のアルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル、アシルポリオキシエチレンソルビタンエステル(商標名TWEEN 20TM、TWEEN 80TM等の下で販売されている)等のアシルポリオキシエチレンエステルが挙げられるが、これらに限定されない。可溶化剤は、一般に、限外濾過、透析、超遠心分離またはクロマトグラフィー等によって、ISCOMの形成のために除去されるが、特定の方法においては、この工程は不要である(例えば、米国特許第4,981,684号を参照のこと)。
【0128】
一般に、Quil A等のグリコシド対HCV融合物の重量比は、5:1〜0.5:1の範囲にある。好ましくは、重量比は、およそ3:1〜1:1であり、より好ましくは、比は2:1である。
【0129】
一旦ISCOMが形成されると、それらは、本明細書中に記載されるように、組成物へと製剤化され、動物に投与され得る。望ましい場合、得られる免疫原性複合体の溶液は、凍結乾燥され得、次いで、使用前に再構成され得る。
【0130】
上述の、HCV融合ポリペプチド、および融合ポリペプチドまたはHCV融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物は、他のHCV免疫原性タンパク質、および/またはそれを含む組成物と組み合わせて、使用してもよい。例えば、HCV融合ポリペプチドは、表1に記載されているHCVポリタンパク質の領域の1つ以上に由来する種々のHCV免疫原性タンパク質のいずれかと組み合わせて使用することができる。本融合ポリペプチドおよび/または融合ポリペプチドを含む組成物との使用のための、ある特定のHCV抗原は、HCV E1E2抗原である。HCV E1E2抗原は公知であり、HCV E1とHCV E2との複合体を含み、場合により、PCT国際公開第03/002065号に記載されているようなHCV E1E2複合体等の、p7領域の一部または全てを含む。さらなるHCV免疫原性タンパク質は、上述のような、賦形剤、アジュバント、免疫刺激分子等とともに組成物中で提供してもよい。例えば、E1E2複合体は、MF59等のサブミクロン水中油型エマルジョンならびに/またはCpY、CpRおよび非メチル化CpGモチーフ(グアノシンが続き、リン酸結合によって連結されたシトシン)等の免疫刺激核酸配列(ISS)を含むオリゴヌクレオチドを含む組成物中で提供してもよい。かかる組成物は、PCT国際公開第03/002065号中に詳細に記載されている。
【0131】
したがって、本発明の組成物が、多数の免疫調節剤と併用して投与することができ、通常アジュバントを含むことが、容易に明らかである。組成物との使用のためのかかる薬剤およびアジュバントとしては、上述の物質のいずれか、ならびに以下に示されるものの1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
(A.無機物含有組成物)
本発明におけるアジュバントとしての使用のために適した無機物含有組成物としては、アルミニウム塩およびカルシウム塩等の無機物塩が挙げられる。本発明は、水酸化物(例えば、オキシ水酸化物)、リン酸塩(例えば、ヒドロキシリン酸塩、オルトリン酸塩)、硫酸塩等のような無機物塩(例えば、Vaccine Design(1995)PowellおよびNewman編の第8章および第9章、ISBN:030644867X、Plenumを参照のこと)、または異なる無機化合物の混合物(例えば、場合によりリン酸塩が過剰な、リン酸塩および水酸化物アジュバントの混合物)を含み、化合物は任意の適した形態をとり(例えば、ゲル、結晶、不定形等)、塩(複数可)への吸着が好ましい。無機物含有組成物はまた、金属塩の粒子として製剤化してもよい(PCT国際公開第00/23105号)。
【0133】
Al3+の用量が1用量あたり0.2〜1.0mgの間であるように、アルミニウム塩が本発明の組成物中に含まれてもよい。一実施形態において、本組成物中での使用のためのアルミニウムベースのアジュバントは、リン酸バッファー中で抗原をミョウバンと混合し、次いで水酸化アンモニウムまたは水酸化ナトリウム等の塩基で滴定および沈殿することによってインサイチューで形成されるもの等の、ミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム(AIK(SO)、またはミョウバン誘導体である。
【0134】
本発明のワクチン製剤中での使用のための別のアルミニウムベースのアジュバントは、水酸化アルミニウムアジュバント(Al(OH))または結晶性オキシ水酸化アルミニウム(AlOOH)であり、これは、およそ500m/gの表面積を有する優れた吸着剤である。あるいは、水酸化アルミニウムアジュバントのヒドロキシル基の一部または全ての代わりにリン酸基を含む、リン酸アルミニウムアジュバント(AlPO)またはヒドロキシリン酸アルミニウムが提供される。本明細書中で提供される好ましいリン酸アルミニウムアジュバントは、酸性、塩基性および中性媒質中で、不定形で可溶性である。
【0135】
別の実施形態において、本組成物との使用のためのアジュバントは、リン酸アルミニウムおよび水酸化アルミニウムの両方を含む。より具体的なその実施形態において、アジュバントは、リン酸アルミニウム対水酸化アルミニウムの重量比で、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、または9:1より大きい比等、水酸化アルミニウムよりも大量のリン酸アルミニウムを有する。より具体的には、アルミニウム塩は、ワクチン1用量あたり0.4〜1.0mg、またはワクチン1用量あたり0.4〜0.8mg、またはワクチン1用量あたり0.5〜0.7mg、またはワクチン1用量あたり約0.6mgで存在してもよい。
【0136】
一般に、好ましいアルミニウムベースのアジュバント(複数可)、またはリン酸アルミニウム対水酸化アルミニウム等の複数のアルミニウムベースのアジュバントの比は、抗原が所望のpHでアジュバントと反対の電荷を保持するように、分子の間の静電気引力の最適化によって選択される。例えば、リン酸アルミニウムアジュバント(iep=4)はリゾチームを吸着するが、pH7.4でアルブミンを吸着しない。アルブミンが標的である場合、水酸化アルミニウムアジュバントが選択される(iep 11.4)。あるいは、リン酸塩での水酸化アルミニウムの前処理によって、その等電点が低下し、より塩基性の抗原に好ましいアジュバントになる。
【0137】
(B.油エマルジョン)
組成物でのアジュバントとしての使用に適した油エマルジョン組成物としては、スクアレン−水エマルジョンが挙げられる。特に好ましいアジュバントは、サブミクロン水中油型エマルジョンである。本明細書中での使用のための好ましいサブミクロン水中油型エマルジョンは、4〜5%w/vスクアレン、0.25〜1.0%w/v Tween 80TM(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、および/または0.25〜1.0% Span 85TM(ソルビタントリオレエート)、ならびに、場合により、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホホリルオキ)−エチルアミン(MTP−PE)を含むサブミクロン水中油型エマルジョン等の、場合により種々の量のMTP−PEを含むスクアレン/水エマルジョン、例えば、「MF59」として公知のサブミクロン水中油型エマルジョンである(国際公開第90/14837号;米国特許第6,299,884号および第6,451,325号、ならびにVaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(Powell,M.F.およびNewman,M.J.編)中のOttら、「MF59−−Design and Evaluation of a Safe and Potent Adjuvant for Human Vaccines」、Plenum Press、New York、1995、pp.277−296)。MF59は、4〜5%w/vのスクアレン(例えば、4.3%)、0.25〜0.5%w/vのTween 80TM、および0.5%w/vのSpan 85TMを含み、場合により、モデル110Yマイクロフルイダイザー(Microfluidics、Newton、MA)のようなマイクロフルイダイザーを用いてサブミクロン粒子に製剤化された、種々の量のMTP−PEを含む。例えば、MTP−PEは、約0〜500μg/用量、より好ましくは0〜250μg/用量、最も好ましくは0〜100μg/用量の量で存在させることができる。本明細書中で使用される場合、用語「MF59−0」は、MTP−PEを欠く、上記のサブミクロン水中油型エマルジョンをいうが、用語MF59−MTPは、MTP−PEを含む製剤を意味する。例えば、「MF59−100」は、1用量あたり100μgのMTP−PEを含む、等である。本明細書での使用のための別のサブミクロン水中油型エマルジョンであるMF69は、4.3%w/vのスクアレン、0.25%w/vのTween 80TM、および0.75%w/vのSpan 85TM、ならびに場合によりMTP−PEを含む。さらに別のサブミクロン水中油型エマルジョンは、SAFとしても公知のMF75であり、10%スクアレン、0.4%Tween 80TM、5%プルロニックブロック多量体L121、およびthr−MDPを含み、また、マイクロ流動化されてサブミクロンエマルジョンになる。MF75−MTPは、1用量あたり100〜400μgのMTP−PE等のMTPを含むMF75製剤を意味する。
【0138】
サブミクロン油中水型エマルジョン、それを製造する方法、および、組成物中での使用のためのムラミルペプチド等の免疫刺激剤が、国際公開第90/14837号ならびに米国特許第6,299,884号および第6,451,325号に詳細に記載されている。
【0139】
フロイト完全アジュバント(CFA)およびフロイント不完全アジュバント(IFA)もまた、本組成物中でのアジュバントとして使用され得る。
【0140】
(C.サポニン製剤)
サポニン製剤もまた、組成物中でのアジュバントとして使用され得る。サポニンは、広範な植物種の樹皮、葉、茎、根および花にも見られるステロール配糖体およびトリテルペノイド配糖体の不均質なグループである。キラヤ・サポニア・モリナの木の樹皮から単離されたサポニンは、アジュバントとして広く研究されてきた。サポニンはまた、スライマックス・オルナタ(Smilax ornata)(サルサパリラ)、ジプソフィラ・パニキュラータ(Gypsophilla paniculata)(ブライズベール)、およびサポナリア・オフィチナーリス(Saponaria officianalis)(ソープルート)からも商業的に得られ得る。サポニンアジュバント製剤としては、QS21等の精製された製剤、ならびにISCOM等の脂質製剤が挙げられる。
【0141】
サポニン組成物は、高速薄層クロマトグラフィー(HP−TLC)および逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)を用いて精製されてきた。これらの技術を用いて、QS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−BおよびQH−Cを含む、特定の精製画分が同定されている。好ましくは、サポニンはQS21である。QS21の生成の方法は、米国特許第5,057,540号に開示されている。サポニン製剤は、コレステロール等のステロールを含んでもよい(PCT公開第96/33739号を参照のこと)。
【0142】
サポニンおよびコレステロールの組み合わせを用いて、免疫刺激複合体(ISCOM)と呼ばれる独特の粒子を形成することができる。ISCOMはまた、一般的には、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリン等のリン脂質を含む。任意の公知のサポニンもISCOMに使用することができる。好ましくは、ISCOMは、Quil A、QHA、およびQHCの1つ以上を含む。ISCOMは、さらに、EP0109942、国際公開第96/11711号および国際公開第96/33739号に記載されている。場合により、ISCOMはさらなる界面活性剤(複数可)を含まなくてもよい。国際公開第00/07621号を参照のこと。
【0143】
サポニンベースのアジュバントの開発の総説は、Barrら、「ISCOMs and other saponin based adjuvants」、Advanced Drug Delivery Reviews(1998)32:247−271に見出され得る。Sjolanderら、「Uptake and adjuvant activity of orally delivered saponin and ISCOM vaccines」、Advanced Drug Delivery Reviews(1998)32:321−338も参照のこと。
【0144】
(D.ビロソームおよびウイルス様粒子(VLP))
ビロソームおよびウイルス様粒子(VLP)もまた、本発明でアジュバントとして使用され得る。これらの構造体は一般に、場合によりリン脂質と混合または製剤化されている、ウイルスに由来する1つ以上のタンパク質を含む。これらは一般に、非病原性、非複製性であり、一般に、天然のウイルスゲノムのいずれも含まない。ウイルスタンパク質は組み換え生成され得るか、またはウイルス全体から単離され得る。ビロソームまたはVLPにおける使用に適した、これらウイルスタンパク質としては、インフルエンザウイルス(HAまたはNA等)、B型肝炎ウイルス(コアまたはキャプシドタンパク質等)、E型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、シンドビスウイルス、ロタウイルス、口蹄疫ウイルス、レトロウイルス、ノーウォークウイルス、ヒトパピローマウイルス、HIV、RNAファージ、Qβファージ(コートタンパク質等)、GAファージ、frファージ、AP205ファージ、およびTy(レトロトランスポゾンTyタンパク質p1等)に由来するタンパク質が挙げられる。VLPは、さらに国際公開第03/024480号、国際公開第03/024481号、およびNiikuraら、「Chimeric Recombinant Hepatitis E Virus−Like Particles as an Oral Vaccine Vehicle Presenting Foreign Epitopes」、Virology(2002)293:273−280;Lenzら、「Papillomavirus−Like Particles Induce Acute Activation of Dendritic Cells」、Journal of Immunology(2001)5246−5355;Pintoら、「Cellular Immune Responses to Human Papillomavirus(HPV)−16L1 Healthy Volunteers Immunized with Recombinant HPV−16L1 Virus−Like Particles」、Journal of Infectious Diseases(2003)188:327−338;およびGerberら、「Human Papillomavirus Virus−Like Particles Are Efficient Oral Immunogens when Coadministered with Escherichia coli Heat−Labile Entertoxin Mutant R192G or CpG」、Journal of Virology(2001)75(10):4752−4760で考察されている。ビロソームは、さらに、例えば、Gluckら、「New Technology Platforms in the Development of Vaccines for the Future」、Vaccine(2002)20:B10−B16で考察されている。免疫増強性再構成インフルエンザビロソーム(IRIV)は、鼻腔内の3価のINFLEXALTM生成物{MischlerおよびMetcalfe(2002)Vaccine 20、補遺5:B17−23}およびINFLUVAC PLUSTM生成物においてサブユニット抗原送達系として使用されている。
【0145】
(E.細菌性または微生物性の誘導体)
本組成物における使用に適したアジュバントとしては、以下のような細菌性または微生物性の誘導体が挙げられる。
【0146】
(1)腸内細菌性リポ多糖体(LPS)の非毒性誘導体
かかる誘導体としては、モノホスホリルリピドA(MPL)および3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)が挙げられる。3dMPLは、4、5または6個のアシル化鎖を有する3脱−O−アシル化モノホスホリルリピドAの混合物である。好ましい「小粒子」形態の3脱−O−アシル化モノホスホリルリピドAは、EP0689454に開示されている。かかる3dMPLの「小粒子」は、0.22ミクロン膜で濾過して滅菌できるほど小さい(EP0689454を参照のこと)。他の非毒性LPS誘導体としては、リン酸アミノアルキルグルコサミニド誘導体等の、モノホスホリルリピドAの模倣物、例えばRC−529が挙げられる。Johnsonら(1999)Bioorg Med Chem Lett 9:2273−2278を参照のこと。
【0147】
(2)リピドA誘導体
リピドA誘導体としては、OM−174等の、大腸菌(Escherichia coli)に由来するリピドAの誘導体が挙げられる。OM−174は、例えば、Meraldiら、「OM−174,a New Adjuvant with a Potential for Human Use,Induces a Protective Response with Administered with the Synthetic C−Terminal Fragment 242−310 from the circumsporozoite protein of Plasmodium berghei」、Vaccine(2003)21:2485−2491;およびPajakら、「The Adjuvant OM−174 induces both the migration and maturation of murine dendritic cells in vivo」、Vaccine(2003)21:836−842に記載されている。
【0148】
(3)免疫刺激オリゴヌクレオチド
アジュバントとしての使用に適した免疫刺激オリゴヌクレオチドとしては、CpGモチーフ(非メチル化シトシンとそれに続くグアノシンを含み、リン酸結合によって連結された配列)を含むヌクレオチド配列が挙げられる。パリンドローム配列またはポリ(dG)配列を含む、細菌の2本鎖RNAまたはオリゴヌクレオチドもまた、免疫刺激性であることが示されている。
【0149】
CpGのものは、ホスホロチオエート修飾等のヌクレオチド修飾/アナログを含んでもよく、2本鎖でも1本鎖でもよい。場合により、グアノシンは、2’−デオキシ−7−デアザグアノシン等のアナログで置換されていてもよい。可能なアナログ置換の例については、Kandimallaら、「Divergent synthetic nucleotide motif recognition pattern:design and development of potent immunomodulatory oligodeoxyribonucleotide agents with distinct cytokine induction profiles」、Nucleic Acids Research(2003)31(9):2393−2400;国際公開第02/26757号および国際公開第99/62923号を参照のこと。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は、さらに、Krieg、「CpG motifs:the active ingredient in bacterial extracts?」、Nature Medicine(2003)9(7):831−835;McCluskieら、「Parenteral and mucosal prime−boost immunization strategies in mice with hepatitis B surface antigen and CpG DNA」、FEMS Immunology and Medical Microbiology(2002)32:179−185;国際公開第98/40100号;米国特許第6,207,646号;第6,239,116号および米国特許第6,429,199号で考察されている。
【0150】
CpG配列は、GTCGTTモチーフまたはTTCGTTモチーフ等の、TLR9に対し指向することが可能である。Kandimallaら、「Toll−like receptor 9:modulation of recognition and cytokine induction by novel synthetic CpG DNAs」、Biochemical Society Transactions(2003)31(第3部):654−658を参照のこと。CpG配列は、CpG−A ODN等の、Th1免疫応答を誘導するのに特異的であり得るか、または、CpG−B ODN等の、B細胞応答を誘導するのにより特異的であり得る。CpG−AおよびCpG−B ODNは、Blackwellら、「CpG−A−Induced Monocyte IFN−gamma−Inducible Protein−10 Production is Regulated by Plasmacytoid Dendritic Cell Drived IFN−alpha」、J.Immunol.(2003)170(8):4061−4068;Krieg、「From A to Z on CpG」、TRENDS in Immunology(2002)23(2):64−65および国際公開第01/95935号で考察されている。好ましくは、CpGはCpG−A ODNである。
【0151】
好ましくは、CpGオリゴヌクレオチドは、5’末端が受容体認識しやすいように構築されている。場合により、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列が、それらの3’末端で結合して、「イムノマー」を形成することができる。例えば、Kandimallaら、「Secondary structures in CpG oligonucleotides affect immunostimulatory activity」、BBRC(2003)306:948−953;Kandimallaら、「Toll−like receptor 9:modulation of recognition and cytokine induction by novel synthetic CpG DNAs」、Biochemical Society Transactions(2003)31(第3部):664−658;Bhagatら、「CpG penta−and hexadeoxyribonucleotides as potent immunomodulatory agents」BBRC(2003)300:853−861および国際公開第03/035836号を参照のこと。
【0152】
(4)ADPリボシル化毒素およびそれらの無毒化誘導体
細菌性ADPリボシル化毒素およびそれらの無毒化された誘導体は、組成物中でアジュバントとして使用することができる。好ましくは、タンパク質は、大腸菌(すなわち、大腸菌易熱性エンテロトキシン「LT」)、コレラ(「CT」)、または百日咳(「PT」)に由来する。粘膜アジュバントとしての無毒化ADPリボシル化毒素の使用は、国際公開第95/17211号に記載されており、非経口アジュバントとしては国際公開第98/42375号に記載されている。好ましくは、アジュバントは、LT−K63、LT−R72、およびLTR192G等の無毒化LT変異体である。ADPリボシル化毒素およびそれらの無毒化された誘導体、特にLT−K63およびLT−R72の、アジュバントとしての使用は、以下の参考文献に見出され得る。Beignonら、「The LTR72 Mutant of Heat−Labile Enterotoxin of Escherichia coli Enhances the Ability of Peptide Antigens to Elicit CD4+ T Cells and Secrete Gamma Interferon after Coapplication onto Bare Skin」、Infection and Immunity(2002)70(6):3012−3019;Pizzaら、「Mucosal vaccines:non toxic derivatives of LT and CT as mucosal adjuvants」、Vaccine(2001)19:2534−2541;Pizzaら、「LTK63 and LTR72,two mucosal adjuvants ready for clinical trials」Int.J.Med.Microbiol(2000)290(4−5):455−461;Scharton−Kerstenら、「Transcutaneous Immunization with Bacterial ADP−Ribosylating Exotoxins,Subunits and Unrelated Adjuvants」、Infection and Immunity(2000)68(9):5306−5313;Ryanら、「Mutants of Escherichia coli Heat−Labile Toxin Act as Effective Mucosal Adjuvants for Nasal Delivery of an Acellular Pertussis Vaccine:Differential Effects of the Nontoxic AB Complex and Enzyme Activity on Th1 and Th2 Cells」Infection and Immunity(1999)67(12):6270−6280;Partidosら、「Heat−labile enterotoxin of Escherichia coli and its site−directed mutant LTK63 enhance the proliferative and cytotoxic T−cell responses to intranasally co−immunized synthetic peptides」、Immunol.Lett.(1999)67(3):209−216;Peppoloniら、「Mutants of the Escherichia coli heat−labile enterotoxin as safe and strong adjuvants for intranasal delivery of vaccines」、Vaccines(2003)2(2):285−293;およびPineら、(2002)「Intranasal immunization with influenza vaccine and a detoxified mutant of heat labile enterotoxin from Escherichia coli(LTK63)」J.Control Release(2002)85(1−3):263−270。アミノ酸置換の数的な参照は、好ましくは、Domenighiniら、Mol.Microbiol(1995)15(6):1165−1167に示されているADPリボシル化毒素のAおよびBサブユニットのアラインメントに基づく。
【0153】
(F.生体接着剤および粘膜接着剤)
生体接着剤および粘膜接着剤もまた、本組成物中でアジュバントとして使用することができる。適した生体接着剤としては、エステル化されたヒアルロン酸ミクロスフィア(Singhら(2001)J.Cont.Rele.70:267−276)、またはポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖類およびカルボキシメチルセルロースの架橋誘導体等の粘膜接着剤が挙げられる。キトサン、およびその誘導体もまた、本組成物中でアジュバントして使用できる。例えば、国際公開第99/27960号を参照のこと。
【0154】
(G.微粒子)
微粒子もまた、組成物中のアジュバントとして使用され得る。ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)を用いて、生分解性で無毒性の物質(例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトン等)から形成される微粒子(すなわち、直径約100nm〜約150μm、より好ましくは直径約200nm〜約30μm、および最も好ましくは直径約500nm〜約10μmの粒子)が好ましく、場合により、(例えば、SDSによって)負に帯電した表面、または(例えば、CTAB等の陽イオン性界面活性剤によって)正に帯電した表面を有するように処理される。
【0155】
(H.リポソーム)
アジュバントとしての使用に適したリポソーム製剤の例は、米国特許第6,090,406号、米国特許第5,916,588号、およびEP0626169に記載されている。
【0156】
(I.ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステル製剤)
組成物中での使用に適したアジュバントとしては、ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステルが挙げられる。例えば、国際公開第99/52549号を参照のこと。かかる製剤はさらに、オクトキシノールと組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(国際公開第01/21657号)、ならびに、例えば、オクトキシノール等の少なくとも1つのさらなる非イオン性界面活性剤と組み合わせたポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはエステル界面活性剤(国際公開第01/21152号)を含む。好ましいポリオキシエチレンエーテルは、以下の群から選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(laureth 9)、ポリオキシエチレン−9−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−8−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。
【0157】
(J.ポリホスファゼン(PCPP))
PCPP製剤は、例えば、Andrianovら、「Preparation of hydrogel microspheres by coacervation of aqueous polyphosphazene solutions」、Biomaterials(1998)19(1−3):109−115およびPayneら、「Protein Release from Polyphosphazene Matrices」、Adv.Drug.Delivery Review(1998)31(3):185−196に記載されている。
【0158】
(K.ムラミルペプチド)
アジュバントとしての使用に適したムラミルペプチドの例としては、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−l−アラニル−d−イソグルタミン(nor−MDP)、およびN−アセチルムラミル−l−アラニル−d−イソグルタミニル−l−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミンMTP−PE)が挙げられる。
【0159】
(L.イミダゾキノリン化合物)
組成物中でのアジュバントとしての使用に適したイミダゾキノリン化合物の例としては、イミキモド、およびそのアナログが挙げられ、Stanley、「Imiquimod and the imidazoquinolines:mechanism of action and therapeutic potential」Clin Exp Dermatol(2002)27(7)571−577;Jones、「Resiquimod 3M」、Curr Opin Investig Drugs(2003)4(2):214−218;ならびに米国特許第4,689,338号、第5,389,640号、第5,268,376号、第4,929,624号、第5,266,575号、第5,352,784号、第5,494,916号、第5,482,936号、第5,346,905号、第5,395,937号、第5,238,944号、および第5,525,612号にさらに記載されている。
【0160】
(M.チオセミカルバゾン化合物)
チオセミカルバゾン化合物の例、ならびに、すべて組成物中でのアジュバントとしての使用に適した化合物を製剤化、製造、およびスクリーニングする方法としては、国際公開第04/60308号に記載されているものが挙げられる。チオセミカルバゾンは、TNF−α等のサイトカインの生成のためのヒト末梢血単核細胞の刺激において特に有効である。
【0161】
(N.トリプタントリン化合物)
トリプタントリン化合物の例、ならびに、すべて組成物中でのアジュバントとしての使用に適した化合物を製剤化、製造、およびスクリーニングする方法としては、国際公開第04/64759号に記載されているものが挙げられる。トリプタントリン化合物は、TNF−α等のサイトカインの生成のためのヒト末梢血単核細胞の刺激において特に有効である。
【0162】
(O.ヒト免疫調節因子)
組成物中でのアジュバントとしての使用に適したヒト免疫調節因子としては、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12等)、インターフェロン(例えば、インターフェロン−γ)、マクロファージコロニー刺激因子、および腫瘍壊死因子等のサイトカインが挙げられる。
【0163】
組成物はまた、上記に特定されたアジュバントの1つ以上の態様の組み合わせを含むことができる。例えば、以下のアジュバント組成物を本発明において使用することができる。
(1)サポニンおよび水中油型エマルジョン(国際公開第99/11241号);
(2)サポニン(例えば、QS21)+無毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)(国際公開第94/00153号を参照のこと);
(3)サポニン(例えば、QS21)+無毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)+コレステロール;
(4)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL−12(場合により+ステロール)(国際公開第98/57659号)
(5)3dMPLと、例えば、QS21および/または水中油型エマルジョンとの組み合わせ(欧州特許出願第0835318号、第0735898号および第0761231号を参照のこと);
(6)10%スクアレン、0.4%Tween 80、5%プルロニックブロックポリマーL121、およびthr−MDPを含むSAFであって、マイクロ流動化されてサブミクロンエマルジョンになっているか、またはボルテックスされて粒子サイズのより大きいエマルジョンになったもの。
(7)2%スクアレン、0.2%Tween 80、ならびに、モノホスホリリピドA(MPL)、ジミコール酸トレハロース(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)からなる群由来の1つ以上の細菌細胞壁成分、好ましくはMPL+CWS(DetoxTM)を含むRibiTMアジュバントシステム(RAS)、(Ribi Immunochem);ならびに
(8)1つ以上の無機物塩(アルミニウム塩等)+LPSの無毒性誘導体(3dPML等)。
(9)1つ以上の無機物塩(アルミニウム塩等)+免疫刺激オリゴヌクレオチド(CpGモチーフを含むヌクレオチド配列等)。
【0164】
アルミニウム塩およびMF59は、注射可能なワクチンとの使用に好ましいアジュバントである。細菌性毒素および生体接着剤は、経鼻ワクチン等の粘膜送達ワクチンとの使用のための好ましいアジュバントである。
【0165】
(HCV特異的抗体を生成する方法)
HCV融合ポリペプチドを、HCV特異的ポリクローナル抗体およびHCV特異的モノクローナル抗体を生成するために使用してもよい。HCV特異的ポリクローナル抗体およびHCV特異的モノクローナル抗体は、HCV抗原に特異的に結合する。ポリクローナル抗体は、マウス、ウサギ、ヤギ、またはウマ等の哺乳動物に融合タンパク質を投与することによって、生成され得る。免疫化された動物由来の血清が収集され、抗体は、例えば、硫酸アンモニウムを用いる沈殿、その後のクロマトグラフィー、好ましくはアフィニティクロマトグラフィーによって、血漿から精製される。ポリクローナル抗血清を生成および処理するための技術は、当該分野で公知である。
【0166】
融合ポリペプチド中に存在するHCV特異的エピトープに対するモノクローナル抗体もまた、容易に生成され得る。HCV融合ポリペプチドで免疫化された、マウス等の哺乳動物由来の正常B細胞を、例えば、HAT感受性マウス骨髄腫細胞と融合させて、ハイブリドーマを生成し得る。HCV特異的抗体を生成するハイブリドーマは、RIAまたはELISAを使用して同定され得、半固体寒天におけるクローニングによって、または限界希釈によって、単離され得る。HCV特異的抗体を生成するクローンは、もう1回のスクリーニングによって、単離される。
【0167】
モノクローナルおよびポリクローナルのいずれかの、HCVエピトープに対する抗体は、HCVに感染したヒト由来の血清試料等の試料中のHCVまたはHCV抗原の存在を検出するために、特に有用である。HCV抗原についてのイムノアッセイは、1つの抗体またはいくつかの抗体を利用し得る。HCV抗原についてのイムノアッセイは、例えば、HCVエピトープに対するモノクローナル抗体、1つのHCVポリペプチドのエピトープに対するモノクローナル抗体の組み合わせ、種々のHCVポリペプチドのエピトープに対するモノクローナル抗体、同じHCV抗原に対するポリクローナル抗体、種々のHCV抗原に対するポリクローナル抗体、またはモノクローナル抗体とポリクローナル抗体との組み合わせを使用し得る。イムノアッセイプロトコールは、例えば、標識抗体を使用する、例えば、競合アッセイ、直接反応アッセイ、またはサンドイッチ型アッセイに基づき得る。標識は、例えば、蛍光、化学発光、または放射活性であり得る。
【0168】
ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体は、免疫アフィニティーカラムによって、HCV粒子またはHCV抗原を単離するためにさらに使用され得る。抗体は、抗体がその免疫選択的活性を保持するように、例えば、吸着によって、または共有結合によって、固体支持体に固定され得る。場合により、抗体の抗原結合部位が接近可能なままであるように、スペーサー基が含まれ得る。次いで、固定された抗体が、血液または血漿等の生物学的試料由来のHCV粒子またはHCV抗原に結合するために使用され得る。結合したHCV粒子または結合したHCV抗原は、例えば、pHの変化によって、カラムマトリックスから回収される。
【0169】
(HCV特異的T細胞)
インビボまたはインビトロで発現される、コアポリペプチドを含むかまたは含まないNS2NS3NS4NS5t融合タンパク質またはE2NS2NS3NS4NS5t融合タンパク質、ならびに本明細書中に記載されている他の種々の融合物のいずれかを含む、上述の融合物によって活性化されるHCV特異的T細胞は、好ましくは、これらのペプチドのうちの1つ以上と、コアポリペプチドを含むかまたは含まないNS5tとの融合物のエピトープを含む、NS2、p7、E1、E2、NS3、NS4、NS5a、またはNS5bポリペプチド等のHCVポリペプチドのエピトープを認識する。HCV特異的T細胞は、CD8またはCD4であり得る。他の実施形態において、NS5部分は切断されていなくてもよい。
【0170】
本発明は、少なくともNS345タンパク質配列に融合したアミノ酸1018位に見られる、天然に存在するNS2タンパク質のメチオニンを含む、新規なHCV融合ポリペプチドを提供し、ここで、NS3配列は、NS3の固有のプロテアーゼ機能が除去されるよう変異している。これらの組成物は、E2およびコアをさらに含んでもよい。
【0171】
E2および/またはコアを融合タンパク質に付加することによって、免疫系が認識する、さらなるT細胞エピトープが提供される。E1、P7およびNS2の大部分を含まないことによって、疎水性領域の喪失のために、発現が最適化される。
【0172】
NS5bの末端なしのHCVタンパク質を発現することもまた、タンパク質発現を促進する。(US20060088819−A1を参照のこと)
HCV特異的CD8T細胞は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)であり得、これは、MHCクラスI分子と複合体形成したこれらのエピトープのうちのいずれかを提示するHCV感染細胞を死滅させ得る。HCV特異的CD8T細胞は、例えば、51Cr放出アッセイ(実施例を参照のこと)によって検出され得る。51Cr放出アッセイは、HCV特異的CD8T細胞が、これらのエピトープのうちの1つ以上を提示している標的細胞を溶解する能力を測定する。IFN−γ等の抗ウイルス物質を発現するHCV特異的CD8T細胞もまた、本明細書中で企図され、これはまた、免疫学的方法によって、好ましくは、限定されないがE2、NS3、NS4、NS5a、またはNS5bポリペプチド等のHCVポリペプチドのうちの1つ以上でのインビトロ刺激の後、IFN−γまたは同様のサイトカインについての細胞内染色によって、検出され得る(実施例を参照のこと)。
【0173】
インビボまたはインビトロで発現される、限定されないが、コアポリペプチドを含むかまたは含まない、NS2NS3NS4NS5t融合ポリペプチドまたはE2NS2NS3NS4NS5t融合ポリペプチド等の上述の融合物によって活性化されるHCV特異的CD4細胞は、好ましくは、HCV感染細胞上のMHCクラスII分子に結合され、例えば、コアポリペプチドありまたはなしで、NS2NS3NS4NS5tまたはE2NS2NS3NS4NS5t融合ポリペプチドを刺激することに応じて増殖する、その融合物のエピトープを含む、限定されないがNS2、E2、NS3、NS4、NS5a、またはNS5bまたはコアポリペプチド等の、HCV感染細胞上のMHCクラスII分子に結合したHCVポリペプチドのエピトープを認識する。
【0174】
HCV特異的CD4T細胞は、リンパ増殖アッセイによって検出され得る(実施例を参照のこと)。リンパ増殖アッセイは、HCV特異的CD4T細胞が、例えば、NS2、E2、NS3、NS4、NS5a、および/またはNS5bまたはコアエピトープに応じて増殖する能力を測定する。
【0175】
(HCV特異的T細胞を活性化する方法)
HCV融合ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、インビトロまたはインビボのいずれかでHCV特異的T細胞を活性化するために使用され得る。HCV特異的T細胞の活性化は、特に、HCVに対するCTL応答を最適化するモデル系を提供するため、およびHCV感染に対する予防処置または治療処置を提供するために、使用され得る。インビトロ活性化について、タンパク質は、上述のように、アデノウイルスベクター等の、プラスミドまたはウイルスベクターを介して、好ましくはT細胞に供給される。
【0176】
T細胞のポリクローナル集団は、HCVに感染している哺乳動物の、血液に由来してもよく、好ましくは、リンパ節等の末梢リンパ器官、脾臓、または胸腺に由来してもよい。好ましい哺乳動物としては、マウス、チンパンジー、ヒヒ、およびヒトが挙げられる。HCVは、哺乳動物中の活性化したHCV特異的T細胞の数を拡大するように作用する。次いで、哺乳動物由来のHCV特異的T細胞は、限定されないが、コアポリペプチドを含むかまたは含まない、HCV NS2NS3NS4NS5t融合タンパク質またはE2NS2NS3NS4NS5t融合タンパク質等の、本明細書中に記載されているようなHCV融合ポリペプチドを、T細胞に添加することによって、インビトロで再刺激され得る。次いで、HCV特異的T細胞は、特に、増殖、IFN−γの生成、およびインビトロでHCVエピトープを提示する標的細胞を溶解する能力について、試験され得る。
【0177】
リンパ増殖アッセイにおいて、HCV活性化CD4T細胞は、限定されないがNS3、NS4、NS5a、NS5b、NS3NS4NS5、E2NS3NS4NS5、またはE2NS2NS3NS4NS5、またはE2NS3NS4NS5t、またはE2NS2NS3NS4NS5t、またはE2NS3NS4NS5core、またはE2NS2NS3NS4NS5core、またはE2NS3NS4NS5tcore、またはE2NS2NS3NS4NS5tcoreエピトープペプチド等のHCVポリペプチドとともに培養された場合に増殖するが、エピトープペプチドの非存在下では増殖しない。したがって、限定されないがNS3NS4NS5およびE2NS3NS4NS5エピトープ等の、NS2、E2、NS3、NS4、NS5a、NS5b、またはコアおよびこれらのエピトープの融合物等の、HCV特異的CD4T細胞によって認識される特定のHCVエピトープは、リンパ増殖アッセイを使用して同定され得る。
【0178】
同様に、上述の融合タンパク質を用いるインビトロ刺激の後にHCV特異的CD4T細胞および/またはCD8T細胞におけるIFN−γを検出することは、例えば、IFN−γを生成するようにCD4T細胞および/またはCD8T細胞を刺激する際に特に有効である、限定されないがNS3NS4NS5、およびE2NS3NS4NS5エピトープ等の、限定されないがNS2、p7、E1、E2、NS3、NS4、NS5a、NS5bのエピトープ、およびこれらのエピトープの融合物等の融合タンパク質エピトープを同定するために使用され得る(実施例2を参照のこと)。
【0179】
さらに、51Cr放出アッセイは、HCVに対するCTL応答のレベルを判定するために有用である。Cooperら、Immunity 10:439〜449を参照のこと。例えば、HCV特異的CD8T細胞は、HCVに感染した哺乳動物の肝臓に由来してもよい。これらのT細胞は、例えば、E2NS2NS3NS4NS5エピトープまたはNS2NS3NS4NS5エピトープを提示する標的細胞に対する51Cr放出アッセイにおいて、試験され得る。異なるNS2NS3NS4NS5エピトープまたはE2NS2NS3NS4NS5エピトープを発現するいくつかの標的細胞集団は、各標的細胞集団がNS2NS3NS4NS5またはE2NS2NS3NS4NS5の異なるエピトープを提示するように、構築され得る。HCV特異的CD8細胞は、これらの標的細胞集団のそれぞれに対してアッセイされ得る。51Cr放出アッセイの結果は、NS2NS3NS4NS5またはE2NS2NS3NS4NS5のエピトープのうちのどちらがHCVに対する最も強力なCTL応答を担うかを判定するために使用され得る。次いで、最も強力なCTL応答を担うエピトープを含む、コアポリペプチドを含むかまたは含まない、NS2NS3NS4NS5t融合タンパク質またはE2NS2NS3NS4NS5t融合タンパク質が、51Cr放出アッセイに由来する情報を使用して、構築され得る。
【0180】
上述のようなHCV融合ポリペプチド、またはかかる融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、HCV特異的T細胞をインビボで活性化する等、体液性および/または細胞性免疫応答を刺激するために、マウス、ヒヒ、チンパンジー、またはヒト等の哺乳動物に投与され得る。投与は、上述のように、非経口投与、鼻腔内投与、筋肉内投与、または生物学的微粒子銃(「遺伝子銃」)を使用する注射を含む皮下注射を含む、当該分野で公知の任意の手段によってであり得る。
【0181】
好ましくは、HCV融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの注射は、T細胞を活性化するために使用される。構築および改変を簡単にするという実用的利点に加えて、ポリヌクレオチドの注射は、宿主における融合タンパク質の合成を生じる。したがって、これらの免疫原は、天然の翻訳後修飾、構造、および立体構造で宿主免疫系に提示される。ポリヌクレオチドは、好ましくは、ヒト等の大きな哺乳動物に、0.5、0.75、1.0、1.5、2.0、2.5、5または10mg/kgの用量で、筋肉内注射される。
【0182】
HCV融合ポリペプチドまたはそれをコードするポリヌクレオチドを含む本発明の組成物は、使用される特定の組成物と適合する様式で、かつ、とりわけ、51Cr放出アッセイ、リンパ球増殖アッセイによって測定されるかまたはIFN−γについての細胞内染色によって測定される場合に、HCV特異的T細胞を活性化するのに有効な量で、投与される。タンパク質および/またはポリヌクレオチドは、HCVに感染していない哺乳動物またはHCV感染哺乳動物のいずれかに投与され得る。組成物中のポリヌクレオチドまたは融合タンパク質の特定の投与量は、組成物が投与される哺乳動物の種、年齢、および全体的な状態、ならびに組成物の投与様式を含むがこれらに限定されない、多くの要因に依存する。本発明の組成物の有効量は、慣用的な実験のみを用いて容易に判定され得る。上述のインビトロおよびインビボモデルが、適切な用量を同定するのに用いられ得る。以下に記載の実施例において使用されるポリヌクレオチドの量は、インビボまたはインビトロのいずれかにおいてHCV特異的T細胞の活性化を最適化するのに使用され得る全般的な手引きを提供する。一般に、0.5、0.75、1.0、1.5、2.0、2.5、5、または10mgのHCV融合ポリペプチドまたはポリヌクレオチドが、ヒヒ、チンパンジー、またはヒト等の大きな動物に投与される。所望される場合、共刺激分子またはアジュバントがまた、組成物の前、後、または同時に提供され得る。
【0183】
HCV特異的T細胞の活性化を含む、本発明の組成物の送達によりって発生する哺乳動物の免疫応答は、投与量、投与経路、または追加免疫計画を変化させることによって促進され得る。本発明の組成物は、単回用量スケジュールで、または、好ましくは、初回ワクチン接種が1〜10の別々の用量を含み、その後他の用量が免疫応答を維持および/もしくは強化するのに必要とされるその後の時間間隔、例えば、第2用量については1〜4ヶ月で与えられ、必要な場合、数ヶ月後にその後の用量(複数可)が与えられる複数回用量スケジュールで、与えられ得る。
【0184】
(III.実験)
以下は、本発明を行うための特定の実施形態の実施例である。実施例は、例示的な目的のためだけに提供され、いかなる方法においても本発明の範囲を限定することを意図するものではない。当業者は、本開示の教示が与えられれば、発明が種々の方法で実施され得ることを容易に理解するであろう。
【0185】
使用される数値(例えば、量、温度等)に関して、正確さを確保する努力をしているが、ある程度の実験誤差および偏差は、当然、許容されるべきである。
【実施例】
【0186】
(実施例1)
(HCV融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのクローニング)
アミノ末端からカルボキシ末端の方向で、アミノ酸1018〜1026由来のNS2のカルボキシ末端、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜2990または3011、および場合によりコアのアミノ酸1〜121をコードし、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、存在する場合、コア配列のアミノ酸9がアルギニンであり、コア配列のアミノ酸11がスレオニンであり、場合によりアミノ酸384〜アミノ酸715由来のE2配列を含む、合成核酸配列を、一般的な方法および下記に概説されるものに従って構築した。HCV−1配列に関するアミノ酸番号付けで、種々の構築物を図11に図式的に表す。標準的な組換えクローニング技術ならびに特にこれまでにUS2006−0088819−A1、国際公開第01/38360号および国際公開第2004/005473号に記載されている方法を利用することによって、核酸配列をプラスミドベクターにクローニングし、融合ポリペプチドをコードするコードするDNA挿入を含むプラスミドベクターで形質転換した宿主細胞から、融合ポリペプチドを発現させた。
【0187】
一実施形態の構築について、詳細な実施例を以下に提供する。同様の手法を使用して、上述の他の核酸配列を含むプラスミドベクターを構築した。
【0188】
(e2ns3ns5tr.c121をコードするポリヌクレオチドのクローニング)
アミノ末端からカルボキシ末端の方向でメチオニン、E2のアミノ酸384〜715、NS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜2990およびコアのアミノ酸1〜121からなり、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がアルギニンであり、コア配列のアミノ酸11がスレオニンである、HCV融合ポリペプチドをコードするように、合成HCV1a核酸を構築した。この核酸配列によってコードされる融合タンパク質を、HCV−1配列に関するアミノ酸番号付けで、図7で図式的に表し、これは本明細書中で「e2ns3ns5tr.c121」、「e2.ns3−ns5tr.core121」、または「E2NS3NS4NS5tr.core121」もしくは「E2NS2NS3NS4NS5tr.core121」と呼ばれる。
【0189】
e2ns3ns5tr.c121融合ポリペプチドは、一般に、酵母発現ベクターpBS24.1を用いて、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)中での発現のために操作した(米国特許第6,458,527号第4.2.4.2部および米国特許第5,635,374号、図6aに示す)。このベクターは、酵母における自律複製のための2μ配列ならびに選択マーカーとしての酵母遺伝子leu2dおよびURA3を含む。細菌におけるプラスミド複製に必要な、α因子ターミネーター、βラクタマーゼ遺伝子およびColE1複製開始点もまた、この発現ベクター中に存在する。
【0190】
以下の工程をとって、e2ns3ns5tr.c121ポリタンパク質のための発現カセットを構築した(図6a〜6fに示す)。
【0191】
最初に、N末端領域を組み立てるために、819bpのHindIII/AclI断片を、pGEM7.d.E2(HindIII/XhoI)サブクローン#3からゲル単離した。5’HindIIIクローニング部位の後に、ACAAAACAAA配列、イニシエーターATG、およびaa384で始まってaa650のAclI制限酵素認識部位まで続く、HCV−1 E2エクトドメインのコドンが続く。HindIII/AclI断片、およびE2エクトドメインのaa651〜aa662に対応する34bpのAclI/CelIIキナーゼ合成断片を、HCV−1 E2エクトドメイン配列のaa662〜aa715をコードする228bpのCelII/BlnI断片と、それに続くHCV−1 NS2およびNS3のaa1018〜aa1039のコドンを含むpT7Blue2 HindIII/CelIIベクターにライゲートした。ライゲーション混合物をHB101コンピテント細胞に形質転換し、Luria−アンピシリンアガープレート上に播種した(100μg/ml)。ミニプレップDNA分析、所望のクローンの同定および配列確認の後に、pT7Blue2.E2/ns2.3#23をHindIIIおよびBlnIで消化して、E2/NS2/NS3をコードする1081bpの断片を単離した。
【0192】
第二に、NS3ドメイン中にSer1165−Ala変異を導入するために、703bpのBlnI/ClaI断片を、pSP72 HindIII/ClaI.ns3mut 1165#15からゲル単離した。この703bpの断片は、部位特異的突然変異誘発によってSer1165がAlaに変異している、HCV−1ゲノムのaa1040〜aa1274をコードする。
【0193】
第三に、e2.ns3−ns5core121発現カセットのクローニングを容易にするために、1081bpのHindIII/BlnI断片(E2/NS2/NS3をコードする)および703bpのBln/ClaI断片(NS3mSer1165−Alaをコードする)を、pSP72 HindIII/ClaIベクターにライゲートした。ライゲーション混合物を上述のように形質転換し、DNA分析の後に、得られたクローンをpSP72.HindIII/Cla e2.ns3#1と名付けた。
【0194】
第四に、E2/NS2/NS3mをコードする1784bpのHindIII/ClaI断片を、上述のpSP72.HindIII/Cla e2.3#1からゲル精製した。HCV−1のNS3−NS5a由来のaa1274〜aa2202をコードするClaI/NheI 2787bp断片を、全長HCV−1クローンであるpUC.HCV3から単離した。2732bpのNhe/SalI断片を、pSP72.HindIII/SalI.ns5ab.2990.core121#27サブクローンからゲル単離した。Nhe/Sal断片は、NS5aおよびNS5bのaa2203〜2990に対応し、コアドメインのaa1〜121がそれに続く。HCV−1コア配列内で、コンセンサスaaを、9位(HCV−1コア配列のLysの代わりにArg)および11位(HCV−1のAsnの代わりにThr)で組み込んだ。
【0195】
最後に、米国特許第6,183,985号に記載されている1366bpのBamHI/HindIII ADH2/GAPDHプロモーター断片を、1784bpのHindIII/ClaI断片、2787bpのCla/NheI断片、および2732bpのNhe/SalI断片とともに、pBS24.1 BamHI/SalI酵母発現ベクターにライゲートし、それによって、プラスミドpd.e2ns3ns5tr.c121を作製した(図6fを参照のこと)。
【0196】
同様の手法を用いて、図11に示されるような、他の融合ポリペプチドをコードするように、他のポリヌクレオチドを構築し、発現ベクターpBS24.1に挿入した。これらの他の融合タンパク質は、
Δns3ns5core121またはΔNS3−NS5.core121(NS3のaa1242〜aa1657、NS4のaa1658〜aa1972、NS5のaa1973〜aa2990およびコアのaa1〜aa121);
ns3m.ns5−coreまたはNS3m−NS5(NS2のaa1018〜aa1026、NS3のaa1027〜aa1657、NS4のaa1658〜aa1972およびNS5のaa1973〜aa3011);
ns3m.ns5tr−coreまたはNS3m−NS5tr(NS2のaa1018〜aa1026、NS3のaa1027〜aa1657、NS4のaa1658〜aa1972およびNS5のaa1973〜aa2990);
ns3m.ns5+core121またはNS3m−NS5.core121(NS2のaa1018〜aa1026、NS3のaa1027〜aa1657、NS4のaa1658〜aa1972、NS5のaa1973〜aa3011およびコアのaa1〜aa121);
ns3m.ns5tr+coreまたはNS3m−NS5tr.core121(NS2のaa1018〜aa1026、NS3のaa1027〜aa1657、NS4のaa1658〜aa1972、NS5のaa1973〜aa2990およびコアのaa1〜aa121);
e2.ns3m.ns5−coreまたはE2.NS3m−NS5(メチオニン、E2のaa384〜aa715、NS2のaa1018〜aa1026、NS3のaa1027〜aa1657、NS4のaa1658〜aa1972およびNS5のaa1973〜aa3011);
e2.ns3m.ns5tr−coreまたはE2.NS3m−NS5tr(メチオニン、E2のaa384〜aa715、NS2のaa1018〜aa1026、NS3のaa1027〜aa1657、NS4のaa1658〜aa1972およびNS5の1973〜aa2990);ならびに
e2.ns3m.ns5+coreまたはE2.NS3m−NS5.core121(メチオニン、E2のaa384〜aa715、NS2のaa1018〜aa1026、NS3のaa1027〜aa1657、NS4のaa1658〜aa1972、NS5のaa1973〜aa3011およびコアのaa1〜aa121)である。
【0197】
これらの融合タンパク質の全ては、コア配列のアミノ酸9としてArgを有し、コア配列のアミノ酸11としてThrを有した。Δns3ns5core121以外の全ては、NS3中にSer1165−Ala変異を有した。
【0198】
(HCV融合タンパク質の発現および検出)
図10a〜10dに示されるように、上述の種々の構築物を有する発現プラスミドを酵母に形質転換し、発現させた。
【0199】
ADH2/GAPDHプロモーターを用いて、酵母発現プラスミドから融合タンパク質を発現させた。例えば、E2NS2NS3NS4NS5tr.core121融合タンパク質を、プラスミドpd.e2ns3ns5tr.c121から発現させた。
【0200】
S.セレビシエAD3株(遺伝子型matα、leu2、trp1、ura3−52、prb−1122、pep4−3、prc1−407、cir、trp+、:DM15[GAP/ADR]、元々は米国特許第6,458,527号第4.2.4.4部に記載されているようなBJ2168株に由来する)を、pd.e2ns3ns5tr.c121酵母発現プラスミドまたは他のプラスミドで、上述のように形質転換した。酢酸リチウムプロトコールを用いて、酵母細胞を発現プラスミドで形質転換した。Ura−形質転換体を、単一コロニーについて筋状にし、leu/8%グルコースプレート上に斑点をつけて、プラスミドコピー数を増大させた。Leuスターター培養物を30℃で24〜48時間増殖させ、次いでYEPD(酵母抽出物バクトペプトン2%グルコース)培地中で1:20に希釈した。細胞を25℃または30℃のいずれかで48時間増殖させ、培地中のグルコースの枯渇の後、採取した。
【0201】
図10a〜10dに結果が示されている実験について、プラスミドe2ns3ns5tr.c121によってコードされるHCV融合ポリペプチドならびに上述の他の融合ポリペプチドの発現について試験するために、酵母形質転換体を、新しく増殖させた単一コロニー、凍結グリセロールストックまたは数日後の液体培養物のいずれか由来の3mlのleu/8%グルコース培地中に接種した。これらの培養物は、「スターター培養物」と呼ばれ、30℃で36〜48時間増殖させた。次いで、各スターター培養物の1.5mlを、28.5mlのYEPDに接種し、25℃で48〜50時間増殖させた。等しいアリコートの細胞(同じ体積の、ひとまとまりの細胞)を、溶解バッファー(10mM Tris−Cl pH7.5、1mM EDTA、10mM DTT、1mM PMSF)中で、ガラスビーズで溶解させた。溶解した酵母細胞試料を14Krpmで30分間遠心分離し、上清を廃棄し、不溶性酵母ペレット(IP)を500μlのpH12 SDS試料バッファー+50mM DTT中に再懸濁させ、傾斜した振とう器上に1時間置いた。再懸濁させたIP試料を8〜10秒間超音波分解し(Virsonic 60、17に設定)、さらなる500μlのpH12 SDS試料バッファー+50mM DTTを、超音波分解した試料に添加した。microfuge中で試料を1分間遠心分離して、残渣をペレット化した。各試料の5μlを、煮沸なしで、SDS Tris−グリシンゲル(4〜20%)上に負荷した。
【0202】
電気泳動の後に、ゲルをクマシーブルーで染色するか(図10a〜10dのそれぞれの左側に示す)、またはニトロセルロースろ紙にブロットし、ウエスタンブロッティング技術を用いてウサギ抗HCVヘリカーゼ抗体とともにインキュベートするか(図10a〜10dのそれぞれの右側に示す)のいずれかをした。一次抗体であるウサギ抗ヘリカーゼ#1抗体(BAbCO、Berkeley Antibody Company、Richmond、California)を、1:10,000の希釈で使用した。次いで、ブロットを、1:1000希釈のヤギ抗ウサギIgG(H+L)HRP−結合体で検出し、HRP発色試薬で展開した。
【0203】
図10Aは、アミノ末端にaa384〜aa715のE2エクトドメインを有さないHCV融合ポリペプチドの発現レベルの比較である。図中の全ての試料についてのスターター培養物を、新しく増殖させた単一コロニーから接種した。全ての試料は、不溶性ペレット(IP)を示し、1mlのpH12 SB+DTT中に1時間再懸濁させ、約8秒間超音波分解した。図10Aに示される試料は、
レーンST、分子量標準
レーンC、pAB24プラスミドベクター対照;
レーン1、ns3m−ns5(219.3kD)、コロニーA;
レーン2、ns3m−ns5(219.3kD)、コロニーB;
レーン3、ns3m−ns5tr(217.0kD)、コロニーA;
レーン4、ns3m−ns5tr(217.0kD)、コロニーB;
レーン5、ns3m−ns5.core121(233.6kD)、コロニーA;
レーン6、ns3m−ns5.core121(233.6kD)、コロニーB;
レーン7、ns3m−ns5tr.core121(230.3kD)、コロニーA;
レーン8、ns3m−ns5tr.core121(230.3kD)、コロニーB;
レーン9、Δns3−ns5.core121(208.0kD)、コロニーA;
レーン10、Δns3−ns5.core121(208.0kD)、コロニーB
である。
【0204】
図10Bは、互いにアミノ末端にaa384〜aa715のE2エクトドメインを有する融合ポリペプチドと、対照として働くΔns3−ns5.core121ポリペプチドとの発現レベルの比較である。図中に示される全ての試料についてのスターター培養物を、新しく増殖させた単一コロニーから接種した。全ての試料は、不溶性ペレット(IP)を示し、1mlのpH12 SB+DTT中に1時間再懸濁させ、約8秒間超音波分解した。図10Bに示される試料は、
レーンC、pAB24プラスミドベクター対照;
レーンST、分子量標準;
レーン1、e2.ns3m−ns5(256.0kD)、コロニーA;
レーン2、e2.ns3m−ns5(256.0kD)、コロニーB;
レーン3、e2.ns3m−ns5tr(253.6kD)、コロニーA;
レーン4、e2.ns3m−ns5tr(253.6kD)、コロニーB;
レーン5、e2.ns3m−ns5.core121(269.2kD)、コロニーA;
レーン6、e2.ns3m−ns5.core121(269.2kD)、コロニーB;
レーン7、e2.ns3m−ns5tr.core121(266.3kD)、コロニーA;
レーン8、e2.ns3m−ns5tr.core121(266.3kD)、コロニーB;
レーン9、Δns3m−ns5.core121(208.0kD)、コロニーA;
レーン10、Δns3m−ns5.core121(208.0kD)、コロニーB
である。
【0205】
図10Cは、種々の融合ポリペプチドの発現および検出の、新しく増殖させたコロニーから接種されたpAB24以外の凍結グリセロールストック由来の接種材料との比較である。図10Dは、同じ融合タンパク質の、凍結ストックまたは単一コロニーの代わりの数日後の液体培養物由来の接種材料との比較である。これらを行って、所望の融合ポリペプチドの将来の発現および検出レベルが、凍結ストック、予め調製された液体培養物および新しい単一コロニーの両方由来の複数世代の増殖の間中維持され得ることを確認した。
【0206】
図10Cに示される試料は、
レーンST、分子量標準;
レーンC、pAB24プラスミドベクター対照;
レーン1、ns3m−ns5(219.3kD)、凍結ストックA;
レーン2、ns3m−ns5(219.3kD)、凍結ストックB;
レーン3、ns3m−ns5tr.core121(230.3kD)、凍結ストックA;
レーン4、ns3m−ns5tr.core121(230.3kD)、凍結ストックB;
レーン5、e2.ns3m−ns5(256.0kD)、凍結ストックA;
レーン6、e2.ns3m−ns5(256.0kD)、凍結ストックB;
レーン7、e2.ns3m−ns5tr.core121(266.3kD)、凍結ストックA;
レーン8、e2.ns3m−ns5tr.core121(266.3kD)、凍結ストックB;
レーン9、e2.ns3m−ns5tr.core121(266.3kD)、凍結ストックC;
レーン10、Δns3−ns5.core121(208.0kD)、コロニー
である。
【0207】
図10Dに示される試料は、
レーンST、分子量標準;
レーンC、pAB24プラスミドベクター対照;
レーン1、ns3m−ns5(219.3kD)、液体培養物A;
レーン2、ns3m−ns5(219.3kD)、液体培養物B;
レーン3、ns3m−ns5tr.core121(230.3kD)、液体培養物A;
レーン4、ns3m−ns5tr.core121(230.3kD)、液体培養物B;
レーン5、e2.ns3m−ns5(256.0kD)、液体培養物A;
レーン6、e2.ns3m−ns5(256.0kD)、液体培養物B;
レーン7、e2.ns3m−ns5tr.core121(266.3kD)、液体培養物A;
レーン8、e2.ns3m−ns5tr.core121(266.3kD)、液体培養物B
である。
【0208】
ウエスタン解析によって検出される発現レベルの量の対照としてΔns3−ns5.core121を用いて、図10aおよび10b中で検出された融合ポリペプチドの量を目視検査によって評価し、相対量を下記の表2中に要約する。
【0209】
表2.Δns3−ns5.core121融合ポリタンパク質対照と比較した、ウエスタン解析によって検出されたHCV融合ポリペプチド発現レベルの要約。
【0210】
【表2A】

【0211】
【表2B】

図10A、10Bおよび表2に示される結果から、特にアミノ末端にaa384〜aa715のE2エクトドメインを有さないns3m−ns5およびns3m−ns5tr core121と比較した場合に、e2.ns3m−ns5およびe2.ns3m−ns5tr core121が特に高いレベルで発現されることが示される。
【0212】
(HCV融合ポリペプチド−ISCOM製剤の生成)
上述のように生成された、E2NS2NS3NS4NS5core121融合タンパク質、またはe2.ns3m−ns5tr.core121を用いて、HCV融合−ISCOMを次のように生成した。融合タンパク質を、イオン相互作用を利用して融合タンパク質とアジュバントとの間の関連を最大化して、予め形成されたISCOMATRIX(ISCOMを使用する)と混合することによって、融合−ISCOM製剤を調製した。ISCOMATRIXは、本質的に、Coulterら(1998)Vaccine 16:1243に記載されているように調製される。HCV融合ポリペプチド+ISCOMの生成のためのさらなる方法は、本明細書中に記載されている。融合−ISCOM製剤はまた、本明細書中で、「IMX/ポリ」または「IMX−ポリ」と呼ばれる。一実施形態において、CpGを製剤に添加し、完全な製剤を「IMX/ポリ/CpG」と名付けた。
【0213】
(実施例2)
(融合ポリペプチドワクチン製剤がT細胞応答を準備刺激する能力)
(免疫化)
以下の研究を行って、CpGありまたはなしで、E2NS3NS4NS5core121/ISCOM、またはIMX/ポリがHCV特異的免疫応答、特にT細胞応答を準備刺激する能力を判定した。また、IMX/ポリでの一次免疫と、それに続く、野生型NS345をコードするアルファウイルスレプリコン(「α−NS345」)での追加免疫またはその逆(α−NS345で準備刺激して、融合−ISCOM製剤で追加免疫する)を、HCV特異的T細胞応答に対するそれらの効果について試験した。結果を図8(CD4T細胞応答)および図9(CD8T細胞応答)に示す。
【0214】
1つの群あたり10匹の雌BALB/cマウスに、100μlの総体積で(すなわち、大腿1つあたり50μl)、示されたワクチン製剤(図8および9)を0、3、および6週間目に前脛骨筋に筋肉内(IM)注射し、血清を2、5、および8週間目に収集した。準備刺激−追加免疫試験のために、マウスを0および3週間目に準備刺激し、6週間目に追加免疫した。非構造タンパク質(NS345)については、VEE/SIN−NS345の5E6複製粒子および50μgのポリタンパク質を5μgのIMX(Pearse,M.J.およびD.Drane、2005、Adv Drug Deliv Rev 57:465−74;Pearse,M.J.およびD.Drane、2004、Vaccine 22:2391−5;Polakosら、2001、J.Immunol 166:3589−98)とともに、10μgのCpGありまたはなしで、注射のために混合した。脾臓におけるT細胞応答および血清中の抗体応答を検出するために、マウスを8週間目に屠殺した。
【0215】
(細胞内染色(ICS))
脾臓細胞(1E6)を、表3に示される10μg/mlのペプチドまたはタンパク質で、抗CD28抗体(1μg/ml)(BD Biosciences、San Jose、CA)およびブレフェルジンA(BD Biosciences、San Jose、CA)の存在下で、37℃で6時間刺激し、次いで、CD4(抗CD4アロフィコシアニン結合体、クローンSK3、Becton Dickinson、San Jose、CA)およびCD8(抗CD8α PerCP結合体、クローンSK1、Becton Dickinson)に対する抗体で染色し、Cytofix/Cytoperm(Pharmingen)、およびIFN−γ(クローン4S.B3、フィコエリトリン結合体、Pharmingen)で透過処理した。染色された細胞を、FACSCaliburTMフローサイトメーター(Becton Dickinson)で分析した。サイトカイン陽性細胞の平均頻度を、2つ組の各対について計算した。刺激されていない平均頻度(ペプチドなし)を刺激された平均頻度(HCVペプチドで、表3)と比較することによって、抗原特異的頻度を判定し、t検定によって、p<0.05を、統計的に有意であると見なす。
【0216】
【表3】

図8に示される結果から、CpGなしのIMX−ポリが、陰性対照と比較して、HCV特異的CD4T細胞応答を誘導することができることが示される。IMX−ポリへのCpGの添加によって、CD4T細胞応答がさらに増大した。CpGありまたはなしでの、種々の順序でのIMX−ポリおよびα−NS345での準備刺激および追加免疫もまた、有意なCD4T細胞応答を誘導した。
【0217】
(実施例3)
(対応するNSエピトープを発現するアルファウイルス)
アルファウイルスレプリコン粒子、例えば、SINCR(DC+)およびSINCR(LP)を、Poloら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1999)96:4598−4603に記載されているように調製した。アルファウイルスレプリコンは、本明細書中に記載されている免疫原性HCV融合ポリペプチド組成物のアミノ酸と比較して、さらなるHCVエピトープの全てもしくは一部分を含む。実施例2において使用されたα−NS345レプリコンは、NS3、4および5の完全な配列(NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜3011)を含んでおり、NS3に変異はなかった。実施例2に示されるように、準備刺激追加免疫化戦略の一部として、かかるアルファウイルス粒子を、本発明のHCV融合ポリペプチドと組み合わせて使用してもよい。
【0218】
(実施例4)
(修飾されたE2NS2NS3NS4NS5tおよびE2NS2NS3NS4NS5tCoreポリヌクレオチドおよびポリペプチドの生成)
以下の実施例におけるE2は、全長HCV−1ポリタンパク質に関して番号付けされたアミノ酸384〜715を含む、C末端の切断されたE2分子を表す。一実施形態におけるE2核酸を、NS2タンパク質のアミノ酸1018〜1026をコードする核酸に融合させたが、これは、ポリタンパク質のコア121アミノ酸をコードする核酸に融合した、ポリタンパク質のアミノ酸1027〜3011または2990をコードする核酸に融合している。
【0219】
これらの2つのベクターのHCV融合ポリペプチドは、図11中で「e2.ns3m.ns5−/−core121」(NS5bの全長バージョン)および「e2.ns3m.ns5t−/−core121」(切断されたNS5b)修飾NS3ポリペプチドとして見出される。示されるE2アミノ酸配列を含む構築物は、本明細書中に記載されているコア1〜121を含む。
【0220】
ポリタンパク質のアミノ酸1027〜2990をコードする核酸の部分は、修飾されたNS3タンパク質(1027〜1657)、NS4aNS4b(1658〜1972)およびNS5aNS5b(1973〜2090)をコードし、ここでNS5bタンパク質は切断されている。
【0221】
ポリタンパク質のアミノ酸1027〜3011をコードする核酸は、修飾されたNS3タンパク質(1027〜1657)、NS4aNS4b(1658〜1972)およびNS5aNS5b(1973〜3011)」をコードし、ここでNS5bは全長である。
【0222】
HCV融合ポリペプチドの、修飾されたNS3部分は、プロテアーゼ活性の喪失を生じる、Ser1165からアラニンの変異を含む。
【0223】
図11に示される、さらなる融合タンパク質は、(1)ポリタンパク質のアミノ酸1027〜3011をコードする核酸は、修飾されたNS3タンパク質(1027〜1657)、NS4aNS4b(1658〜1972)およびNS5aNS5b(1973〜3011)をコードし、ここでNS5bは全長である(「ns3m.ns5+/−core121」)、または(2)ポリタンパク質のアミノ酸1027〜2990をコードする核酸は、修飾されたNS3タンパク質(1027〜1657)、NS4aNS4b(1658〜1972)およびNS5aNS5b(1973〜2090)をコードし、ここでNS5bタンパク質は切断されている(「ns3m.ns5tr+/−core121」)に融合した、NS2の最後の9個のアミノ酸を含む。
【0224】
本明細書中に記載されている融合タンパク質への、NS2の最後の9個のアミノ酸の付加によって、NS3遺伝子部分の上流およびポリタンパク質のE2部分の下流の、天然に存在するメチオニンが提供され、したがって、天然に存在するHCVポリタンパク質からのエピトープの変化が最小限にされる。
【0225】
一実施形態において、本発明は、酵母における向上したタンパク質発現を可能にする、修飾されたHCV融合ポリペプチドを提供する。
【0226】
HCV−1 NS3ドメイン(aa1027〜aa1657)のN末端はトリプシン様セリンプロテアーゼをコードするので、プロテアーゼの触媒的三連構造の天然のSer1165をAlaに変異させて、HCV e2ns3ns5tr.c121融合ポリペプチドの自己タンパク質分解を予防する。
【0227】
したがって、HCV融合ポリペプチドをコードする核酸およびポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが開示される。本発明の好ましい実施形態を多少詳しく説明してきたが、特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく明らかな変化を行うことができることが、理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)アミノ末端からカルボキシ末端の方向で、メチオニン、E2のアミノ酸384〜715、NS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜2990およびコアのアミノ酸1〜121、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がリシンであり、コア配列のアミノ酸11がアスパラギンである;
(2)アミノ末端からカルボキシ末端の方向で、メチオニン、E2のアミノ酸384〜715、NS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜3011およびコアのアミノ酸1〜121、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がリシンであり、コア配列のアミノ酸11がアスパラギンである;
(3)アミノ末端からカルボキシ末端の方向で、NS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜2990およびコアのアミノ酸1〜121、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がリシンであり、コア配列のアミノ酸11がアスパラギンである;ならびに
(4)アミノ末端からカルボキシ末端の方向で、NS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜3011およびコアのアミノ酸1〜121、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がリシンであり、コア配列のアミノ酸11がアスパラギンである;
からなるポリペプチドの群から選択されるポリペプチドからなる単離されたHCV融合ポリペプチドを含む、免疫学的組成物。
【請求項2】
(1)アミノ末端からカルボキシ末端の方向で、メチオニン、E2のアミノ酸384〜715、NS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜2990およびコアのアミノ酸1〜121、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がアルギニンであり、コア配列のアミノ酸11がスレオニンである;
(2)アミノ末端からカルボキシ末端の方向で、メチオニン、E2のアミノ酸384〜715、NS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜3011およびコアのアミノ酸1〜121、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がアルギニンであり、コア配列のアミノ酸11がスレオニンである;
(3)アミノ末端からカルボキシ末端の方向で、NS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜2990およびコアのアミノ酸1〜121、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がアルギニンであり、コア配列のアミノ酸11がスレオニンである;ならびに
(4)アミノ末端からカルボキシ末端の方向で、NS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜3011およびコアのアミノ酸1〜121、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がアルギニンであり、コア配列のアミノ酸11がスレオニンである;
からなるポリペプチドの群から選択されるポリペプチドからなる単離されたHCV融合ポリペプチドを含む、免疫学的組成物。
【請求項3】
さらなるHCV免疫原性ポリペプチドをさらに含む、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
さらなるHCV免疫原性ポリペプチドがE1E2複合体を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
アジュバントをさらに含む、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
免疫刺激分子をさらに含む、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記免疫刺激分子がCpGである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
被験体に治療有効量の請求項1〜7のいずれかに記載の組成物を投与することを含む、脊椎動物被験体において細胞性免疫応答を刺激する方法。
【請求項9】
脊椎動物被験体において細胞性免疫応答を刺激する方法における、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項10】
被験体において細胞性免疫応答を刺激するための医薬品の製造における、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれかに記載の組成物を薬学的に許容され得る賦形剤と組み合わせることを含む、組成物を生成するための方法。
【請求項12】
(1)アミノ末端からカルボキシ末端の方向で、メチオニン、E2のアミノ酸384〜715、NS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜2990およびコアのアミノ酸1〜121、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がリシンであり、コア配列のアミノ酸11がアスパラギンである;
(2)アミノ末端からカルボキシ末端の方向で、メチオニン、E2のアミノ酸384〜715、NS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜3011およびコアのアミノ酸1〜121、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がリシンであり、コア配列のアミノ酸11がアスパラギンである;
(3)アミノ末端からカルボキシ末端の方向で、NS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜2990およびコアのアミノ酸1〜121、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がリシンであり、コア配列のアミノ酸11がアスパラギンである;ならびに
(4)アミノ末端からカルボキシ末端の方向で、NS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜3011およびコアのアミノ酸1〜121、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がリシンであり、コア配列のアミノ酸11がアスパラギンである;
からなるポリペプチドの群から選択されるポリペプチドからなるHCV融合ポリペプチドをコードするコード配列を含むポリヌクレオチド。
【請求項13】
(1)アミノ末端からカルボキシ末端の方向で、メチオニン、E2のアミノ酸384〜715、NS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜2990およびコアのアミノ酸1〜121、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がアルギニンであり、コア配列のアミノ酸11がスレオニンである;
(2)アミノ末端からカルボキシ末端の方向で、メチオニン、E2のアミノ酸384〜715、NS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜3011およびコアのアミノ酸1〜121、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がアルギニンであり、コア配列のアミノ酸11がスレオニンである;
(3)アミノ末端からカルボキシ末端の方向で、NS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜2990およびコアのアミノ酸1〜121、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がアルギニンであり、コア配列のアミノ酸11がスレオニンである;ならびに
(4)アミノ末端からカルボキシ末端の方向で、NS2のアミノ酸1018〜1026、NS3のアミノ酸1027〜1657、NS4のアミノ酸1658〜1972、NS5のアミノ酸1973〜3011およびコアのアミノ酸1〜121、ここでNS3配列の1165位のセリンがアラニンで置換されており、コア配列のアミノ酸9がアルギニンであり、コア配列のアミノ酸11がスレオニンである;
からなるポリペプチドの群から選択されるポリペプチドからなるHCV融合ポリペプチドをコードするコード配列を含むポリヌクレオチド。
【請求項14】
(a)請求項12または請求項13に記載のポリヌクレオチド;ならびに
(b)該ポリヌクレオチドに作動可能に連結され、それによって宿主細胞中でコード配列が転写および翻訳される、少なくとも1つの制御因子
をコードする、単離された核酸
【請求項15】
請求項14に記載の核酸で形質転換された、宿主細胞。
【請求項16】
HCV融合ポリペプチドを生成するための方法であって、前記ポリペプチドを生成するための条件下で請求項15に記載の宿主細胞の集団を培養することを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図3J】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−501580(P2010−501580A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525662(P2009−525662)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/018940
【国際公開番号】WO2008/024518
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】