説明

HCVFタンパク質及びその使用

HCV Fタンパク質由来の単離免疫原性ペプチド及び対応する核酸、抗体、組成物、ワクチン並びにマイクロアレイ。これらの生成物は、HCV Fタンパク質は、HCV感染症の予防、治療及び診断のために、並びにHCV組換えポリペプチドの産生のために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症の予防、治療及び診断のための、ペプチド及び対応する核酸、並びにその使用に関する。特に、HCV感染症の予防、治療及び診断のための、HCV Fタンパク質由来のペプチド及び対応する核酸、その製造法、並びにその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、U.S.C. §119 (e)の下で、本明細書にその全体が参照として引用される、2004年11月18日に出願された米国仮特許出願第60/628,549号の利益を請求する。
【0003】
発明の背景
CD4+ Tヘルパー(Th)及びCD8+細胞傷害性リンパ球(CTL)からなる細胞-介在型免疫反応は、HCV複製が宿主内で制御され得るという主要なメカニズムを構成している [1〜4]。伝達経路と標的群の重複に因り、慢性C型肝炎(HCV)キャリアの大部分は、成人のHCV疾患の予後を著しく悪くする、I型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)にも感染する [5、6]。このことは、少なくとも一部は、HCV-特異的体液性免疫及びHIV-1による細胞-介在型免疫の阻害から起こると考えられる [7〜9]。代替リーディングフレームを用いてウイルス性又は細胞性遺伝子産物の翻訳から生じる曖昧なエピトープは、かかる反応を誘導することが知られ、ある形態のヒト癌では、腫瘍-特異的抗原の重要な起源を示すことが近年明らかにされた [10、11]。様々なRNA、及び細菌、植物及び動物のDNAウイルスは、ウイルスゲノムに課せられたサイズ限界を補うために及び/又はウイルス性タンパク質発現を調節するために、重複したオープン・リーディング・フレーム(ORF)を使用する。同様にして、HCVは、代替144〜162アミノ酸、Fタンパク質と称される未知の機能の17 kDaポリペプチド、又はコア遺伝子の5'部分由来の代替リーディング・フレームタンパク質(ARFP)をコードする [12〜14]。Fタンパク質は、形質移入細胞で発現され [15]、そしてHCV-感染患者から単離された血清及びT細胞により認識され得る。このことは、Fタンパク質がin vivoで産生されることを示唆する [13、14、16、17]。
【0004】
HCV感染症及び関連疾患の流行及び逆の結果を考えると、HCV感染症の予防、治療及び診断のための方法及び薬剤を開発する要求がある。
【発明の開示】
【0005】
発明の概要
本発明は、HCV Fタンパク質由来のエピトープ及びその使用に関する。
【0006】
「HCV Fタンパク質」は、当該分野では、代替リーディング・フレームタンパク質(ARFP)とも称される[14]。これらの用語はいずれも、等価であり、本明細書では交換的に使用される。
【0007】
第1の局面では、本発明は、HCV Fタンパク質由来の単離免疫原性ポリペプチドであって、配列番号8で示される完全長HCV Fタンパク質でない、前記ポリペプチドを提供する。
【0008】
1つの実施態様では、HCV Fタンパク質は、HCV-1b以外のサブタイプのHCVから得られる。更なる実施態様では、HCV Fタンパク質は、HCV-1a、HCV-2a、HCV-3a、HCV-4a、HCV-5a及びHCV-6aからなる群より選ばれるサブタイプのHCVから得られる。
【0009】
1つの実施態様では、ポリペプチドは、表16で定義されるHCV Fタンパク質内の開始位置及び終止位置により定義される。
【0010】
実施態様では、本発明のポリペプチド又はエピトープは、以下の一般式Iを有するアミノ酸配列を含む(表14参照)。
【0011】
X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12-X13-X14-X15-X16-X17-X18-X19-X20-X21-X22-X23
【0012】
式中、
X1は、V、A及びDから選ばれるか、又はなし;
X2は、Rであるか、又はなし;
X3は、Sであるか、又はなし;
X4は、Lであるか、又はなし;
X5は、V及びAから選ばれるか、又はなし;
X6は、Eであるか、又はなし;
X7は、F及びYから選ばれるか、又はなし;
X8は、Tであるか、又はなし;
X9は、Cである;
X10は、Cである;
X11は、Rである;
X12は、Aである;
X13は、G及びRから選ばれるか、又はなし;
X14は、Aであるか、又はなし;
X15は、L、P及びHから選ばれるか、又はなし;
X16は、D、G及びNから選ばれるか、又はなし;
X17は、Wであるか、又はなし;
X18は、Vであるか、又はなし;
X19は、C及びSから選ばれるか、又はなし;
X20は、Aであるか、又はなし;
X21は、Rであるか、又はなし;
X22は、R、Q及びLから選ばれるか、又はなし;並びに
X23は、E、G及びVから選ばれるか、又はなし。
【0013】
更なる実施態様では、本発明のポリペプチド又はエピトープは、一般式IIを有するアミノ酸配列を含む(表15を参照)。
【0014】
Z1-Z2-Z3-Z4-Z5-Z6-Z7-Z8-Z9-Z10-Z11-Z12-Z13-Z14-Z15
【0015】
式中、
Z1は、P及びHから選ばれるか、又はなし;
Z2は、V、E及びEから選ばれるか、又はなし;
Z3は、V及びAから選ばれるか、又はなし;
Z4は、L及びPから選ばれるか、又はなし;
Z5は、G、V及びDから選ばれるか、又はなし;
Z6は、L、P、H及びRから選ばれるか、又はなし;
Z7は、A、L、P、I、T及びVから選ばれるか、又はなし;
Z8は、Gである;
Z9は、Aである;
Z10は、P及びQから選ばれる;
Z11は、Q及びMから選ばれる;
Z12は、Tである;
Z13は、Pである;
Z14は、G及びAから選ばれる;
Z15は、V、I及びGから選ばれる。
【0016】
1つの実施態様では、ペプチドは以下:(a) 配列番号9、11、12、14〜38、51〜103及び/又は122〜128から選ばれるアミノ酸配列を含むポリペプチド;及び/又は、(b) (a)の機能的変異体又はフラグメント、ここで当該機能性変異体又はフラグメントは免疫-関連活性を有する、から選ばれる。
【0017】
1つの実施態様では、免疫-関連活性は、以下: (i) HCVに対する免疫反応の誘導; (ii) T-細胞溶解活性の誘導; (iii) ヒト白血球抗原(HLA)又はMHCクラスI分子への結合; (iv) HCV-感染対象からの血清との免疫反応性; (v) サイトカインもしくはケモカインの発現又は産生の変化;及び (vi) (i)〜(v) の任意の組み合わせ、から選ばれる。1つの実施態様では、HLA分子は、HLA-A分子(例えば、HLA-A*0201分子)である。
【0018】
1つの実施態様では、ポリペプチドは、長さが50以下のアミノ酸である。
【0019】
1つの実施態様では、ポリペプチドは、配列番号9、11、12、14〜38、51〜103及び/又は122〜128から選ばれるアミノ酸配列から本質的になる。
【0020】
1つの実施態様では、ポリペプチドは、組換え体である。
【0021】
更なる局面では、本発明は、上記のポリペプチドを含む調製物であって、HCV Fタンパク質以外のHCVタンパク質を実質的に含まない、前記調製物を提供する。1つの実施態様では、HCV Fタンパク質以外のHCVタンパク質は、HCVコアタンパク質である。
【0022】
更なる実施態様では、本発明は、単離HCV Fタンパク質ペプチドエピトープであって、免疫-関連活性を有し、但し、配列番号8で示される完全長HCV Fタンパク質でない、前記エピトープを提供する。
【0023】
1つの実施態様では、免疫-関連活性は、以下:(i) HCVに対する免疫反応の誘導;(ii) T-細胞溶解活性の誘導; (iii) ヒト白血球抗原(HLA)又はMHCクラスI分子への結合;(iv) HCV-感染対象からの血清との免疫反応性;(v) サイトカインもしくはケモカインの発現又は産生の変化;及び(vi) (i)〜(v)の任意の組み合わせ、から選ばれる。
【0024】
実施態様では、単離ペプチドエピトープは、配列番号9、11、12及び/又は122〜128から選ばれるアミノ酸配列の約8〜約50の連続アミノ酸から本質的になり、更なる実施態様では、配列番号9、11、12及び/又は122〜128から選ばれるアミノ酸配列の約8〜約15の連続アミノ酸から本質的になり、なる実施態様では、配列番号9、11、12及び/又は122〜128から選ばれるアミノ酸配列の9、10又は15の連続アミノ酸から本質的になる。
【0025】
更なる実施態様では、単離ペプチドエピトープは、配列番号9、11、12、14〜38、51〜103及び/又は122〜128から選ばれるアミノ酸配列を含む。更なる実施態様では、単離ペプチドエピトープは、配列番号9、11、12、14〜38、51〜103及び/又は122〜128から選ばれるアミノ酸配列への1〜15のアミノ酸の付加を含み、更なる実施態様では、1〜30のアミノ酸の付加を含む。更なる実施態様では、単離ペプチドエピトープは、配列番号9、11、12、14〜38、51〜103及び/又は122〜128からアミノ酸配列から本質的になる。
【0026】
更なる局面では、本発明は、上記の単離ポリペプチド又はペプチドエピトープ及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。1つの実施態様では、本組成物は、アジュバントを更に含む。1つの実施態様では、本組成物は、MHC分子を更に含む。
【0027】
更なる局面では、本発明は、前記の単離ポリペプチド又はペプチドエピトープ及び薬学的に許容されるアジュバントを含む組成物を提供する。
【0028】
更なる局面では、本発明は、前記の単離ポリペプチド又はペプチドエピトープ及びアジュバントを含む組成物を提供する。
【0029】
更なる局面では、本発明は、前記の単離ポリペプチド又はペプチドエピトープ及びMHC分子を含む組成物を提供する。
【0030】
更なる局面では、本発明は、2以上のMHCペプチド複合体モノマーのマルチマーを含む組成物であって、当該モノマーの各々は、前記のポリペプチド又はペプチドエピトープ及びMHC分子を含む、前記組成物を提供する。
【0031】
1つの実施態様では、上記のMHC分子は、MHCクラスI重鎖又はその融合タンパク質、及びβ2ミクログロブリン又はその融合タンパク質を含む。
【0032】
実施態様では、多原子価の物質により、モノマーは結合して前記マルチマーになる。実施態様では、モノマーは、ビオチン-アビジン相互作用、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用、二重コイルドメイン相互作用、及びリポソーム-モノマー架橋により、前記多原子価の物質と会合する。
【0033】
1つの実施態様では、上記組成物は、前記単離ポリペプチドとは異なった第二ポリペプチドを更に含み、当該第二ポリペプチドは、HCV免疫反応を誘導することができる。1つの実施態様では、第二ポリペプチドは、追加のHCVポリペプチドである。
【0034】
更なる局面では、本発明は、前記のポリペプチド及び/又はペプチドエピトープに特異的に結合することができる抗体を提供する。更なる局面では、本発明は、前記のポリペプチド及び/又はペプチドエピトープをコードする単離核酸を提供する。1つの実施態様では、配列番号9、11、12及び/又は122〜128から選ばれるアミノ酸配列をコードすることができるヌクレオチド配列のフラグメントを含む。1つの実施態様では、配列番号9、11、12及び/又は122〜128から選ばれるアミノ酸配列をコードすることができるヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様では、核酸は、配列番号10のヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様では、核酸は、配列番号9、11、12、14〜38、51〜103及び/又は122〜128から選ばれるアミノ酸配列をコードすることができるヌクレオチド配列を含む。
【0035】
更なる局面では、本発明は、転写調節配列に作動可能に結合された上記の核酸を含むベクターを提供する。
【0036】
更なる局面では、本発明は、上記のベクターで形質転換又は形質移入された宿主細胞を提供する。
【0037】
更なる局面では、本発明は、前記のポリペプチド又はペプチドエピトープの製造法であって、前記のポリペプチド又はペプチドエピトープの発現を許容する条件下で上記宿主細胞を培養することを含む、前記方法を提供する。1つの実施態様では、本方法は、HCV Fタンパク質以外のHCVタンパク質(例えば、HCVコアタンパク質)を産生しない又は実質的に産生しない。1つの実施態様では、本方法は、産生した前記ポリペプチド又はペプチドエピトープを回収することを更に含む。
【0038】
更なる局面では、本発明は、動物における、HCV感染症を予防もしくは治療するための、又はHCVに対する免疫学的又は保護的免疫反応を誘導するための方法であって、前記ポリペプチド、調製物、ペプチドエピトープ、医薬組成物、及び/又はベクターから選択される薬剤を当該動物に投与することを含む、前記方法を提供する。
【0039】
1つの実施態様では、動物は哺乳動物であり、更なる実施態様ではヒトである。更なる実施態様では、ヒトはHIV感染症を更に有する。
【0040】
更なる局面では、本発明は、医薬の製造のための、前記ポリペプチド、調製物、ペプチドエピトープ、組成物又はベクターの使用を提供する。
【0041】
更なる局面では、本発明は、HCV感染症を予防もしくは治療するための、又はHCVに対する免疫学的もしくは保護的免疫反応を誘導するための、前記ポリペプチド、調製物、ペプチドエピトープ、組成物及び/又はベクターから選ばれる薬剤の使用を提供する。
【0042】
更なる局面では、本発明は、HCV感染症を予防もしくは治療するための、又はHCVに対する免疫学的もしくは保護的免疫反応を誘導するための、医薬を製造するための、前記ポリペプチド、調製物、ペプチドエピトープ、組成物及び/又はベクターから選ばれる薬剤の使用を提供する。
【0043】
更なる局面では、本発明は、HCV感染症を予防もしくは治療するための、又はHCVに対する免疫学的もしくは保護的免疫反応を誘導するための教示を組合せた、前記ポリペプチド、調製物、ペプチドエピトープ、組成物及び/又はベクターから選ばれる薬剤を含む商業的包装を提供する。
【0044】
更なる局面では、本発明は、動物におけるHCV感染症の検出又は診断方法であって、前記ポリペプチド、調製物、ペプチドエピトープ、又はそれらの組み合わせを用いて当該動物の生物試料をアッセイすることを含む、前記方法を提供する。
【0045】
更なる局面では、本発明は、動物における生物試料中のHCVの検出又は定量方法であって、前記ポリペプチド、調製物、ペプチドエピトープ、又はそれらの組み合わせを用いて当該生物試料をアッセイすることを含む、前記方法を提供する。
【0046】
更なる局面では、本発明は、動物におけるHCV感染症の検出又は診断方法であって、以下のステップ:当該動物の生物試料を、前記ポリペプチド、調製物、ペプチドエピトープ又はこれらの任意の組み合わせに接触させ;及び、当該生物試料の構成成分の、前記ポリペプチド又はペプチドエピトープへの結合を測定すること、を含み、ここで、当該結合はHCV感染症の指標である、前記方法を提供する。
【0047】
更なる局面では、本発明は、動物の生物試料中のHCVの検出又は定量方法であって、以下のステップ:(a) 当該生物試料を、前記ポリペプチド、調製物、ペプチドエピトープ又はこれらの任意の組み合わせに接触させ;及び、(b) 当該生物試料の構成成分の、前記ポリペプチド又はペプチドエピトープへの結合を測定すること、を含み、ここで、当該結合は、当該試料中のHCVの存在又は量の指標である、前記方法を提供する。
【0048】
更なる局面では、本発明は、動物におけるHCV感染症の検出又は診断方法あって、前記抗体又は組成物を用いて当該動物の生物試料をアッセイすることを含む、前記方法を提供する。
【0049】
更なる局面では、本発明は、動物の生物試料中のHCVの検出又は定量方法あって、前記抗体又は組成物を用いて当該生物試料をアッセイすることを含む、前記方法を提供する。
【0050】
更なる局面では、本発明は、生物試料中のHCVのin vitro診断、検出又は定量のための、前記ポリペプチド、調製物、ペプチドエピトープ又はそれらの組み合わせの使用を提供する。
【0051】
更なる局面では、本発明は、T-細胞を標識、検出又は単離するための、前記ポリペプチド又はペプチドエピトープ、及びMHC分子を含む複合体の使用を提供する。
【0052】
更なる局面では、本発明は、T-細胞エピトープ及び/又はアミノ酸配列を検出、選択、分類又は同定するための、前記ポリペプチド又はペプチドエピトープ、及びMHC分子を含む複合体の使用を提供する。
【0053】
1つの実施態様では、前記組成物は、免疫原性組成物又はワクチン組成物である。
【0054】
更なる局面では、本発明は、基板に結合された前記ポリペプチド、ペプチドエピトープ又はそれら双方を含むポリペプチドマイクロアレイを提供する。
【0055】
更なる局面では、本発明は、前記抗体を含むポリペプチドマイクロアレイを提供する。
【0056】
更なる局面では、本発明は、基板に結合されたMHC複合体を含むポリペプチドマイクロアレイであって、当該複合体が、前記ポリペプチド又はペプチドエピトープ及びMHC分子を含む、前記マイクロアレイを提供する。
【0057】
更なる局面では、本発明は、動物におけるHCV感染症の検出又は診断方法であって、以下のステップ:当該動物の生物試料を、前記ポリペプチドマイクロアレイと接触あせ;及び当該生物試料の構成成分の、前記ポリペプチドマイクロアレイへの結合を測定すること、を含み、当該結合は、HCV感染症の指標である、前記方法を提供する。
【0058】
更なる局面では、本発明は、HCV感染症を検出又は診断するための教示と組み合わせて、前記ポリペプチド、ペプチドエピトープ、抗体及び/又はポリペプチドマイクロアレイから選ばれる成分を含む、商業的包装を提供する。
【0059】
1つの実施態様では、前記生物試料は、動物の組織又は体液である。
【0060】
発明の詳細な説明
HCV Fタンパク質は、コアタンパク質部位と重複する代替リーディングフレームでコードされる。この研究は、HCV及びHIV-1に同時感染した患者における、Fタンパク質に対する宿主の体液性及び細胞-介在性免疫反応の流行及び特徴を試験するために行われた。
【0061】
本明細書に記載の研究では、突然変異は、コアの非存在下で、HCV-1a Fタンパク質の発現を可能にするために導入された。この組換えタンパク質、及びコアと共有する最初の11アミノ酸残基を欠く切断型は、E.コリ(E. coli)中で発現され、そのアミノ酸配列を質量分析により検証した。Fタンパク質-特異的細胞障害性T細胞(CTL)活性を試験するために、ワクシニア-Fタンパク質組換え体を用いた。推定CTLエピトープを同定するために、HLA-A*0201へのFタンパク質-由来ペプチドの結合を研究した。
【0062】
このような事情で、HIV-1に同時感染した25患者の内の13患者を含めて、様々なHCV遺伝子型に感染した39患者の内の23患者の血清は、抗原性交差-反応性の指標であり、そしてHCV遺伝子型間のFタンパク質コーディング配列の保存と一致する、切断型であることが決定した。HCV及びHIV-1に同時感染した9患者の内の7患者を含めて、11 HCV-感染患者の内の9患者において、Fタンパク質-特異的CTL前駆体を検出した。最後に、3つの新規な推定HLA-A*0201-制限CTLエピトープを同定した。
【0063】
本明細書に記載の結果は、交差-反応性Fタンパク質-特異的免疫グロブリン及びCTL反応は、HCV感染宿主及びHIV-1に同時感染した対象において等しく検出することができる、ことを示す。
【0064】
従って、第1の局面では、本発明は、HCV Fタンパク質から得られるポリペプチドであって、配列番号8に示される完全長のHCV Fタンパク質でない、前記ポリペプチドに関する。かかるポリペプチドは、HCV Fmut8タンパク質、その切断変更体(例えば、N-末端から11アミノ酸を欠くΔ11変更体)、及び配列番号8で示されるHCV Fタンパク質の切断変更体を含む。本発明は、HCV Fタンパク質又はHCV Fmut8タンパク質のポリペプチドエピトープ、すなわち、これらのタンパク質から得られる免疫原性ポリペプチド又はフラグメント、及びポリペプチドの変異体又はフラグメントに関する。実施態様では、ポリペプチド又はその変異体もしくはフラグメントは、T-細胞溶解活性の誘導、HLA又はMHCクラスI分子への結合、HCV-感染対象由来の血清との免疫反応性、サイトカインもしくはケモカインの発現又は産生、あるいはそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない活性を有し、又は活性に影響を与えるもしくは活性を引き出すことができる。
【0065】
実施態様では、長さが50、45、40、35、30、25、20、15又は10未満のアミノ酸でよい。ポリペプチドの実施態様では、長さが5、8又は9以上のアミノ酸である。実施態様では、ポリペプチドは、長さが9、10又は15のアミノ酸である。
【0066】
実施態様では、ポリペプチドは、配列番号9、11、12及び/又は14〜38、51〜103及び/又は122〜128から選ばれるアミノ酸配列;又は、その機能性(例えば、免疫原性)変異体又はフラグメントを含む。実施態様では、ポリペプチドは、9、11、12、14〜38及び/又は51〜103から選ばれるアミノ酸配列に1〜5、1〜10、1〜15、1〜20、1〜30又は1〜40のアミノ酸の付加を含む。更なる実施態様では、ポリペプチドは、9、11、12、14〜38及び/又は51〜103から選ばれるアミノ酸配列から本質的になる。
【0067】
実施態様では、ポリペプチドは、配列番号9、11、12及び/又は122〜128から選ばれるアミノ酸配列の5〜10、9、10、5〜15、15、5〜20、5〜25、5-30、30、5〜35、5-40、5〜45、45又は5〜50の連続アミノ酸から本質的になる。
【0068】
実施態様では、本発明のポリペプチド又はエピトープは、次の一般式Iを有するアミノ酸配列を含む(表14参照)。
【0069】
X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12-X13-X14-X15-X16-X17-X18-X19-X20-X21-X22-X23
【0070】
式中、
X1は、V、A及びDから選ばれるか、又はなし;
X2は、Rであるか、又はなし;
X3は、Sであるか、又はなし;
X4は、Lであるか、又はなし;
X5は、V及びAから選ばれるか、又はなし;
X6は、Eであるか、又はなし;
X7は、F及びYから選ばれるか、又はなし;
X8は、Tであるか、又はなし;
X9は、Cである;
X10は、Cである;
X11は、Rである;
X12は、Aである;
X13は、G及びRから選ばれるか、又はなし;
X14は、Aであるか、又はなし;
X15は、L、P及びHから選ばれるか、又はなし;
X16は、D、G及びNから選ばれるか、又はなし;
X17は、Wであるか、又はなし;
X18は、Vであるか、又はなし;
X19は、C及びSから選ばれるか、又はなし;
X20は、Aであるか、又はなし;
X21は、Rであるか、又はなし;
X22は、R、Q及びLから選ばれるか、又はなし;並びに
X23は、E、G及びVから選ばれるか、又はなし。
【0071】
更なる実施態様では、本発明のポリペプチド又はエピトープは、一般式IIを有するアミノ酸配列を含む(表15を参照)。
【0072】
Z1-Z2-Z3-Z4-Z5-Z6-Z7-Z8-Z9-Z10-Z11-Z12-Z13-Z14-Z15
【0073】
式中、
Z1は、P及びHから選ばれるか、又はなし;
Z2は、V、E及びEから選ばれるか、又はなし;
Z3は、V及びAから選ばれるか、又はなし;
Z4は、L及びPから選ばれるか、又はなし;
Z5は、G、V及びDから選ばれるか、又はなし;
Z6は、L、P、H及びRから選ばれるか、又はなし;
Z7は、A、L、P、I、T及びVから選ばれるか、又はなし;
Z8は、Gである;
Z9は、Aである;
Z10は、P及びQから選ばれる;
Z11は、Q及びMから選ばれる;
Z12は、Tである;
Z13は、Pである;
Z14は、G及びAから選ばれる;
Z15は、V、I及びGから選ばれる。
【0074】
本発明は、ポリペプチド及び薬学的に許容される担体を含む、組成物、例えばワクチン又は免疫原性組成物を更に提供する。更なる実施態様では、組成物は、アジュバントを更に含む。更なる実施態様では、組成物は、MHC分子を更に含む。
【0075】
本発明は、MHCペプチド複合体のマルチマー(すなわち、2以上)を更に提供する。それにより、各々のMHC複合体は、本発明のポリペプチド及びMHC分子を含む。1つの実施態様では、MHC複合体は、本発明のポリペプチド、MHCクラスI重鎖及びβ2マイクログロブリンを含む。かかるマルチマー系は、当該分野で公知であり、複合体は、例えば、多原子価の物質との好適な相互作用、例えば、ビオチン-(ストレプト)アビジン(四価であり、よってテトラマーを生じる)相互作用(米国特許第5,635,363号 [June 3, 1997]; Altman et al., Science, 1996 Oct 4; 274 (5284) : 94-6. Erratum in: Science 1998 Jun 19; 280 (5371): 1821参照)によって互いに会合することができる。かかるマルチマーは、T-細胞を標識、検出、単離及び刺激するために、並びに他のエピトープを発見するために使用することもできる。
【0076】
1つの実施態様では、本発明の組成物(例えば、ワクチン又は免疫原性組成物)は、本発明の多数のポリペプチドを含むことができる。1つの実施態様では、組成物は、HCV免疫反応を引き出すことができる第二ポリペプチド、例えば、追加のHCVポリペプチド又はそのフラグメント、を含むことができる。
【0077】
本発明は、本発明のポリペプチドに対するもしくはこれを認識する、又はこれに特異的に結合することができる抗体を提供する。
【0078】
本発明は、本発明のポリペプチドをコードする単離核酸又はポリペプチド(例えば、配列番号10又はそのフラグメントから選ばれるヌクレオチド配列、あるいはそれとは異なるが、遺伝子コードの縮重により同一のポリペプチドをなおコードする配列)を更に提供する。本発明は、転写調節又は発現制御配列に作動可能に結合された核酸を含むベクター(例えば、プロモーター)を更に提供する。本発明は、核酸又はベクターを含む宿主細胞を更に提供する。
【0079】
本発明は、ポリペプチド、組成物又はMHC複合体(本発明のポリペプチド及び1以上のMHC分子 [例えば、MHCクラスI重鎖、β2マイクログロブリン] 又は本発明のベクターを含む)を、動物(例えば、哺乳動物、例えばヒト)に投与することを含む、HCV感染症を予防又は治療するための、予防的及び治療的方法を提供する。実施態様では、かかる方法は、動物にワクチン投与又は免疫する(すなわち、免疫反応を生じる)ために、本発明のポリペプチド、組成物又はベクターを投与することを含む。1つの実施態様では、動物も、HIV感染症に罹患している。
【0080】
本発明は、HCV感染症の診断及び検出方法を更に提供する。かかる方法は、本発明のポリペプチドもしくは組成物、前記の2以上のMHCペプチド複合体を含むマルチマー、又は本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体を試薬として利用することができる。実施態様では、本方法は、生物試料、例えば動物の組織又は体液(例えば、血液、リンパ球)を、当該試薬と接触させることを含む。本発明は、有名な診断法において用いることができる、本発明のポリペプチド、及び場合により他の成分、例えばMHC分子を含むペプチドアレイ又はマイクロアレイを更に提供する。
【0081】
本発明は、生物試料中のHCVの検出又は定量方法を更に提供する。かかる方法は、本発明のポリペプチド又は組成物、前記の2以上のMHCペプチド複合体を含むマルチマー、又は本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体を試薬として用いることができる。実施態様では、本方法は、生物試料、例えば動物の組織又は体液(例えば、血液、リンパ球)を、当該試薬と接触させることを含む。本発明は、上記の方法において用いることができる、本発明のポリペプチド、及び場合により他の成分、例えばMHC分子を含むペプチドアレイ又はマイクロアレイを更に提供する。
【0082】
本発明は、例えばHCV感染症の予防又は治療のための医薬又はワクチンの製造のための、ポリペプチド、MHC複合体(本発明のポリペプチド及び1以上のMHC分子 [例えば、MHCクラスI重鎖、β2マイクログロブリン] を含む)又は本発明のベクターの使用を更に提供する。本発明は、HCV感染症の予防又は治療のための、本発明のポリペプチド、組成物又はベクターの使用を更に提供する。
【0083】
本発明は、HCV感染症の予防又は治療のための教示を組み合わせた、本発明のポリペプチド、組成物又はベクターを含む商業的包装を更に提供する。
【0084】
本発明は、HCV感染症の診断及び検出のための教示を組み合わせた、本発明のポリペプチド、組成物又は抗体を含む商業的包装を更に提供する。
【0085】
本発明は、融合ペプチドに更に関する。本明細書で用いる融合ペプチドは、N-又はC-末端で任意の他のポリペプチドに融合された本発明のポリペプチド又はポリペプチド誘導体を含むものである(本明細書では、以下、「ペプチドテイル」と称する)。かかる融合ポリペプチドを得る簡単な方法は、ポリペプチド配列のイン-フレーム融合、すなわち、ハイブリッド配列の翻訳による。融合ポリペプチドをコードするハイブリッド配列は、宿主を形質転換又は形質移入するために使用される発現ベクターに挿入される。代替的に、ポリペプチド又はポリペプチド誘導体をコードするポリヌクレオチド配列は、ペプチドテイルをコードするポリヌクレオチドが既に存在する発現ベクターに挿入される。かかるベクター及び使用のための教示は、商業的に入手できる、例えば、ペプチドテイルがマルトース結合タンパク質であるNew England Biolabs製のpMa1-c2又はpMa1-p2系、Pharmacia製のグルタチオン-S-トランスフェラーゼ系、又はNovagen製のHis-Tag系。これらの及び他の発現系は、本発明のポリペプチド及び誘導体の更なる精製の簡便な手段を提供する。融合ポリペプチドの有利な例は、本発明のポリペプチドもしくはホモログ又はフラグメントがアジュバント活性を有するポリペプチド、例えば、コレラ毒素又はE.コリ(E. coli)熱-不安定毒素のいずれかのサブユニットB、に融合される点である。
【0086】
融合を達成するために、本発明のポリペプチドは、アジュバント活性を有するポリペプチドのN-又は好ましくはC-末端に融合される。代替的に、本発明のポリペプチドフラグメントは、アジュバント活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列内に挿入される。
【0087】
上記と一致することであるが、本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドに成長する、異種のシグナルペプチドを含むハイブリッド前駆体ポリペプチドもコードする。「異種シグナルペプチド」は、本発明のポリペプチドの天然前駆体中で見出されないシグナルペプチドを意味する。
【0088】
RNA、DNA又はその改変体もしくは組み合わせを含む本発明に従うポリヌクレオチド分子は、様々な用途を有する。DNA分子は、例えば、(i) 組換え宿主系においてコードされたポリペプチドを産生するプロセスにおいて、(ii) HCV感染症を予防及び/又は治療するための方法及び組成物において更に使用される、ワクチンベクター、例えばポックスウイルスの構築において、並びに (iii) ネイキッド型での又は送達ビヒクルで製剤化された、ワクチン剤として(及びRNA分子)使用される。
【0089】
従って、本発明の更なる局面は、(i) 発現に必要とされる要素の制御下、特に好適なプロポーターの制御下にある本発明のDNA分子を含む発現カセット;(ii) 本発明の発現カセットを含む発現ベクター;(iii) 本発明の発現カセット及び/又はベクターで形質転換又は形質移入された原核細胞又は真核細胞;並びに (iv) 本発明のDNA分子の発現を可能にする条件下で、発明の発現カセット及び/又はベクターで形質転換又は形質移入された原核細胞又は真核細胞を培養し、そして細胞培養物からコードされたポリペプチド又はポリペプチド誘導体を回収することを含む、本発明のポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチド又はポリペプチド誘導体の製造法を包含する。
【0090】
本発明の様々な遺伝子及び核酸配列は、組換え配列でよい。用語「組換え」は、何かが組み換えられていることを意味する。これは、核酸構築物に関連する場合には、当該用語が、分子生物的技術手段により結合又は産生される核酸配列からなる分子を意味するからでる。用語「組換え」は、タンパク質又はポリペプチドに関連する場合には、分子生物的技術手段によりつくられる組換え核酸構築物を用いて発現されるタンパク質又はポリペプチド分子を意味する。用語「組換え」は、遺伝子組成物に関連する場合には、親のゲノム中では生じなかったアレルの新しい組み合わせを有する、配偶子、子孫、細胞又はゲノムを意味する。組換え核酸構築物は、ライゲートされるもしくはライゲートされるために操作されるヌクレオチド配列、又は本来ライゲートされないもしくは本来異なった位置にライゲートされる核酸配列を含むことができる。従って、核酸構築物を「組換え体」と言うことは、遺伝子工学を用いて、すなわち人間の介入により、操作された核酸分子を示す。組換え核酸構築物は、例えば、形質転換により宿主細胞に導入することができる。かかる組換え核酸構築物は、単離されそして宿主種の細胞に再導入された、同一の又は異なった宿主細胞種から得られる配列を含むことができる。組換え核酸構築物の配列は、宿主細胞の最初の形質転換の結果、又は次の組換え及び/又は修復事象の結果のいずれかとして、宿主細胞ゲノムに挿入することができる。
【0091】
本発明の別の局面では、単離された核酸、例えば、本発明のポリペプチドをコードすする核酸配列、又はそのホモログ、フラグメント又は変異体は、組換え発現ベクターに更に取り込むことができる。1つの実施態様では、ベクターは、本発明のペプチド化合物、ポリペプチド又はドメインをコードすることができる配列を含む核酸に作動可能に結合された、転写調節配列又はプロモーターを含むだろう。第一の核酸配列が第二の核酸配列と機能的な関係にある場合には、第一の核酸配列は、第二の核酸配列に「作動可能に結合」される。例えば、プロモーターがコーディング配列の転写又は発現に影響を与える場合には、コーディング配列に作動可能に結合される。一般的に、作動可能に結合されたDNA配列は、連続であり、必要ならば、リーディングフレーム内で、2つのタンパク質コーディング部位と連結される。しかしながら、例えば、エンハンサーは、一般的に、数キロベース、プロモーターから離れたときに機能を亢進し、そしてイントロン配列は、様々な長さでよいので、いくつかのポリヌクレオチド要素は、作動可能に結合することができ、連続ではない。「転写制御要素」は、DNA配について言及する遺伝子用語、例えば、作動可能に結合されるタンパク質コーディング配列の転写を誘導又は制御する、開始及び終止コドン、エンハンサー及びプロモーター、スプラスシグナル、ポリアデニル化シグナルである。
【0092】
組換え発現系は、原核生物及び真核生物宿主から選択される。真核生物宿主は、酵母細胞 (例えば、サッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)又はピチア・パストリス(Pichia pastoris))、哺乳動物細胞 (例えば、COS1、NIH3T3又はJEG3細胞)、節足動物細胞 (例えば、Spodoptera fruglperda (SF9)細胞)、及び植物細胞を含む。好ましい発現系は、原核生物宿主、例えばE.コリ(E. coli)である。細菌及び真核細胞は、当業者には、商業的供給元、例えばAmerican Type Culture Collection (ATCC; Rockville, Maryland) を含む多数の異なった供給元から入手可能である。組換えタンパク質発現のために使用される細胞の商業的供給元はまた、細胞の利用の教示を提供する。
【0093】
発現系の選択は、発現されたポリペプチドの所望の特徴に依拠する。例えば、それは、本発明のポリペプチド、特に脂質化された形態又は任意の他の形態を産生するために有用であり得る。
【0094】
当業者であれば容易に理解できるだろうが、必ずしも全てのベクター、発現制御配列及び宿主が、本発明のポリペプチドと同等にうまく発現することは予想できない。しかしながら、下記のガイドラインでは、ベクター、発現制御配列及び宿主の選択は、過度な実験なしでかつ本発明の範囲を逸脱することなく、行うことができる。
【0095】
ベクターの選択において、その中に存在し及びその中で複製することができるベクターと適合する宿主が選択される。ベクターのコピー数、コピー数を制御する能力、他のタンパク質の発現、例えば抗生物質耐性について考慮される。発現制御配列の選択においては、多数の変数が考慮される。これらの中で、重要な変数は、配列の相対的強度(例えば、様々な条件下での発現を引き起こす能力)、配列機能を制御する能力、発現されるポリヌクレオチドと制御配列との適合性(例えば、二次的構造は、効率的な転写を抑制するヘアピン構造を避けると考えられる)である。宿主の選択においては、選択されたベクターと適合し、発現産物の任意の可能な毒性効果に寛容で、必要ならば発現産物を効率的に分泌することができ、所望の形態で産物を発現することができ、容易にスケールアップすることができ、そして最終産物がそこから容易に精製することができる、単細胞宿主が選択される。
【0096】
発現カセットの選択は、選択された宿主系、及び発現されたポリペプチドの所望の特徴に依拠する。典型的には、発現カセットは、選択された宿主系中で機能し、そして構成的又は誘導的でよいプロモーター;リボソーム結合サイト;必要ならば、開始コドン(ATG);シグナルペプチド、例えば脂質化されたシグナルペプチドをコードする部位;本発明のDNA分子;及び場合により、3'-末端部位(翻訳及び/又は転写終止因子)を含む。シグナルペプチドコーディング部位は、本発明のポリペプチドに隣接し、適正なリーディングフレーム中に配置される。シグナルペプチド-コーディング部位は、成熟ポリペプチドをコードするDNA分子と相同又は異種であり、発現のために使用される宿主の分泌組織と適合する。本発明のDNA分子単独又はシグナルペプチドと組み合わせてより構成される、オープンリーディングフレームは、転写及び翻訳が宿主系で起こるようにプロモーターの制御下に置かれる。プロモーター及びシグナルペプチドコーディング部位は、当業者に広く知られ及び入手可能であり、例えば、アラビノース(プロモーターaraB)より誘導され、グラム-陰性菌例えばE.コリ(E. coli)において機能する、サルモネラ・ティフィリウム(Salmonella typhimurium) (及び誘導体)のプロモーター(米国特許第5,028,530号明細書、及びCagnon et al., Protein Engineering (1991) 4 (7): 843に記載); T7ポリメラーゼを発現する多数のE.コリ(E. coli)株内で機能する、RNAポリメラーゼをコードするバクテリオファージT7の遺伝子のプロモーター (米国特許第4,952,496号明細書に記載) ; OspA脂質化シグナルペプチド; 及び、RlpB脂質化シグナルペプチド (Takase et al., J. Bact. (1987) 169: 5692) を含む。
【0097】
発現カセットは、典型的には、選ばれた発現系において複製する能力を選択される、発現ベクターの一部分である。発現ベクター (例えば、プラスミド又はウイルスベクター) は、例えば、Pouwels et al. (Cloning Vectors: A Laboratory Manual 1985, Supp. 1987) に記載の発現ベクターから選択することができる。好適な発現ベクターは、様々な商業的供給元から購入することができる。宿主細胞を発現ベクターで形質転換/形質移入する方法は、当該分野で周知であり、Ausubel et al. (Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Inc., 1994) に記載のように、選択された宿主系に依拠する。
【0098】
発現において、本発明の組換えポリペプチド(又はポリペプチド誘導体)は、細胞内区画で産生され、細胞内区画に残り、細胞外液又はペリプラスム間隙中に分泌/排出され、又は細胞膜中に埋め込まれる。ポリペプチドは、組換え細胞培養液の遠心後に、細胞抽出物又は上清から実質的に精製される。典型的に、組換えポリペプチドは、抗体-型アフィニティ精製により、又は当業者に容易に採用され得る他の周知の方法、例えば、ポリペプチド又はその誘導体をコードするポリヌクレオチドと、小アフィニティ結合ドメインとの融合、により精製される。本発明のポリペプチドを免疫的結合することによる精製に有用な抗体は、以下に記載のようにして得られる。
【0099】
実施態様では、本発明は、本発明の核酸又はポリペプチド(例えば、配列番号1〜128の任意)と同一又は実質的に同一である、核酸及びポリペプチドを更に提供する。かかる変異体は、1以上の残基の置換、削除及び/又は付加による本発明の核酸又はポリペプチド(好適には、ヌクレオチド又はアミノ酸)とは異なることがある(好適には、ヌクレオチド又はアミノ酸)。
【0100】
「相同性」及び「相同的」は、2つのペプチド間又は2つの核酸分子間の配列類似性を意味する。相同性は、配置合わせした配列中において、各位置を比較することにより決定することができる。核酸間又はアミノ酸配列間の相同性の程度は、配列が共有する位置での同一のヌクレオチド又はアミノ酸、又はマッチングするヌクレオチド又はアミノ酸の数の関数である。当該用語が本明細書で使用されるとき、配列の機能活性が保存される場合には、核酸配列は、もう一方の配列と「相同的」である(本明細書で使用される用語「相同的」は、進化的関連性(evolutionary relatedness)を推論しない)。好ましくは2つの核酸配列を(許容されるギャップに)位置合わせした時に、少なくとも約50%の配列類似性又は同一性を共有する場合には、又はこれらの配列が特定の機能性モチーフを共有する場合には、2つの核酸配列は、「実質的に同一」であると考えられる。代替的な実施態様では、好ましくは位置合わせされた実質的に同一の配列における配列類似性は、少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%でよい。本明細書で用いる、配列間の相同性のあるパーセンテージは、好ましくは位置合わせされた配列における配列同一性の程度を示す。「非関連」又は「非相同性」配列は、配列番号1〜128の任意と40%未満の同一性、好ましくは約25未満の同一性を共有する。
【0101】
実質手に相補的な核酸は、1分子の補体が実施的に他の分子と同一である核酸である。2つの核酸又はタンパク質配列を好ましくは位置合わせした時に、少なくとも約70%の配列同一性を共有する場合には、2つの核酸又はタンパク質配列が実質的に同一であると考えられる。代替的な実施態様では、配列同一性は、例えば、配列番号1〜128のいずれかと少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%、でよい。同一性の比較のための配列の最適な位置合わせは、各種のアルゴリズム、例えば、Smith and Waterman, 1981, Adv. Appl. Math 2: 482の局地的相同性;Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443の相同性アラインメント・アルゴリズム;of Pearson and Lipman, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 2444の類似性の検索法;及びこれらのアルゴリズムのコンピューター化実行(例えば、Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, Madison, WI, U.S.A.におけるGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA)、を用いて行うことができる。配列同一性はまた、Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol. 215: 403-10 (公開されたデフォルト設定を用いて) に記載の、BLASTアルゴリズムを用いて決定することができる。BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/) のインターネットにより)生物工学定法に関する国立センターから入手することができる。BLASTアルゴリズムは、データベーズ配列中の同じ長さのワードを並べた時に、いくつかの正の値をもつ閾値スコアTと適合するか又はこれを満たす、問い合わせ配列内の長さがWの短いワードを特定することにより、最初に、ハイスコア配列ペア(HSP)を特定することを含む。Tは、近縁ワードスコア閾値と称される。最初の近縁ワードヒットは、検索を開始するための種子として働き、より長いHSPを見出す。当該ワードヒットは、各配列の両方向に、累積アラインメントスコアが増加する限り伸張する。各方向におけるワードヒットの伸張は、以下のパラメータを満たす時に中断する:累積アラインメントスコアが、その最大達成値から量Xだけ減少し; 1以上の負のスコア残余(negative-scoring residue)アラインメントの累積に因り、累積スコアがゼロ以下になり;又は、いずれかの配列の末端が近づく。BLASTアルゴリズムパラメータW、T及びXは、アラインメントの感度及びスピードを決定する。BLASTプログラムは、11のワードの長さ(W)、BLOSUM62スコアマトリックス(Henikoff and Henikoff, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915-10919)、50のアラインメント(B)、10の期待値(E)(又は1、0.1、0.01、0.001、又は0.0001)、M=5、N=4、及び双方の鎖の比較を、デフォルトとして使用することがある。BLASTアルゴリズムを用いる2つの配列間の統計的な類似性の1つの指標は、最少合計予測性(P(N))である。これは、2つのヌクレオチド及びアミノ酸配列間のマッチングが偶然に起こるという予測性の指標を提供する。本発明の代替的な実施態様では、試験配列の比較における最少合計予測性が、約1未満、好ましくは約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、及び最も好ましくは約0.001未満である場合には、ヌクレオチド又はアミノ酸配列は、実質的に同一であると考えられる。
【0102】
2つの核酸が実質的に相補性であるという代替的な指標は、2つの配列が中程度の緊縮条件下、又は好ましくは緊縮条件下で、互いにハイブリダイズすることである。中程度の緊縮条件下でのフィルター結合配列へのハイブリダイゼーションは、例えば、65℃で、0.5 M NaHPO4、7% ドデシル硫酸ナトリウム (SDS)、1 mM EDTAで実行し、42℃で0.2 x SSC/0.1% SDSで洗浄することができる (Ausubel et al.著, 1989, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 1, Green Publishing Associates, Inc.、及びJohn Wiley & Sons, Inc., New York, p. 2.10.3参照)。代替的に、緊縮条件下でのフィルター結合配列へのハイブリダイゼーションは、例えば、65℃で、0.5 M NaHPO4、7% ドデシル硫酸ナトリウム (SDS)、1 mM EDTAで実行し、68℃で0.2 x SSC/0.1% SDSで洗浄することができる (Ausubel et al.著, 1989,), 1989, 同掲)。ハイブリダイゼーシ条件は、対象の配列によって公知の方法に従って変更することができる (Tijssen, 1993, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology--Hybridization with Nucleic Acid Probes, Part I, Chapter 2 "Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays", Elsevier, New York参照)。一般的に、緊縮条件は、特定のイオン強度及びpHでの特定の配列の熱融点よりも約5度低いように選択される。
【0103】
1つの局面では、本発明のポリペプチドは、実質的に精製される。本明細書で使用される「実質的に精製されたポリペプチド」は、天然の環境から分離されたポリペプチド及び/又は合成される環境に存在する大部分のポリペプチドを含まないポリペプチドと定義される。例えば、実質的に精製されたポリペプチドは、細胞性ポリペプチドとは無関係である。当業者は、本発明のポリペプチドが、化学的に合成することができ、組換え手段により産生することができ、又は天然源から得られる、ことを容易に理解するだろう。
【0104】
1つの実施態様では、本発明のポリペプチドは、組換えポリペプチドである。
【0105】
1つの局面では、本発明は、HCV Fタンパク質以外のHCVタンパク質(例えば、HCVコアタンパク質)を産生しない又は実質的に産生しないポリペプチドを製造する方法を提供する。本発明は、HCV Fタンパク質以外のHCVタンパク質(例えば、HCVコアタンパク質)を実質的に含まない前記ポリペプチドを含む、本発明のポリペプチド又は調製物を更に提供する。
【0106】
本明細書で用いる、本発明の免疫原性又はワクチン組成物は、ワクチン分野で公知の慣用的経路、例えば、粘膜(例えば、眼の、鼻腔内、肺の、口腔の、胃の、腸の、直腸の、膣の又は尿管内の)表面に、非経口的(例えば、皮下、皮内、筋肉内、静脈内又は腹腔内)、あるいは局所投与(例えば、パッチを介して)、により投与される。投与経路の選択は、多数のパラメータ、例えばポリペプチドに関連するアジュバントによる。粘膜製アジュバントが使用される場合には、鼻腔内又は経口的経路が好ましい。脂質製剤又はアルミニウム化合物が使用される場合には、非経口的経路が好ましく、皮下又は筋肉内経路が最も好ましい。選択はまた、ワクチン剤の性質による。
【0107】
本発明の組成物における使用のためには、ポリペプチド又はその誘導体は、リポソーム、好ましくは、中性もしくはアニオン性リポソーム、マイクロスフェア、ISCOMS又はウイルス-様粒子(VLS)内に又はこのリポソームと共に製剤化され、送達を促進し及び/又は免疫反応を亢進する。これらの化合物は、当業者には容易に入手可能である;例えば、Liposomes: A Practical Approach, RCP New Ed, IRL press (1990)を参照。
【0108】
リポソーム以外のアジュバント等も、当該分野で使用され、公知である。アジュバントは、抗原を局所デポジットに隔離することにより、速攻拡散から抗原を保護することがあり、又はマクロファージ及び免疫系の他の成分に化学走化性である因子を分泌するように宿主を刺激する物質を含むことがある。好適な選択は、当業者により、例えば以下に記載のものの中から慣用的にすることができる。
【0109】
本発明のポリペプチドは、ワクチンとしても有用である。遺伝子送達ビヒクル(生きたワクチンベクター)としてウイルス又は細菌性宿主を用いるか、又は遺伝子を遊離形態、例えばプラスミドに挿入された形態で投与するかのいずれかの、2つの主な経路がある。本発明のポリペプチドの治療的又は予防的有用性は、以下に記載のようにして評価される。従って、本発明の更なる局面は、(i) 発現に必要とされる因子の制御下に置かれた、本発明のDNA分子を含むワクチンベクター、例えばポックスウイルス;(ii) 希釈剤又は担体と組み合わせて、本発明のワクチンベクターを含む物質の組成物;特に、(iii)本発明のワクチンベクターの治療上又は予防上有効量を含む医薬組成物;(iv) 本発明のワクチンベクターの免疫学的有効量を哺乳動物に投与して、HCVに対する保護的又は治療的免疫反応を引き出すことを含む、動物のHCVに対する免疫反応を誘導する方法(例えば、ヒト;代替的には、当該方法は、非-ヒト動物のHCV感染症を治療又は予防するための動物用途に使用することができる);及び、特に、(v) 本発明のワクチンベクターの予防上又は治療上有効量を感染した個体に投与することを含む、HCV感染症を予防及び/又は治療する方法、を提供する。追加的に、本発明は、HCV感染症を予防及び/又は治療するための医薬の製造における本発明のワクチンベクターの使用を更に提供する。
【0110】
本明細書で用いる、ワクチンベクターは、本発明の1もしくは数個のポリペプチド又は誘導体を発現する。ワクチンベクターは、免疫反応を亢進する(アジュバント効果)サイトカイン、例えば、インターロイキン (IL-2) 又はインターロイキン-12 (IL-12) を追加的に発現する。発現されることになる成分の各々は、哺乳動物細胞中での発現に必要とされる因子の制御下に置かれる。
【0111】
本発明は、本発明の数個のポリペプチドもしくはその誘導体、又は(各々が、本発明のポリペプチド又はその誘導体を発現することができる)ワクチンベクターを含む組成物を更に提供する。組成物は、場合により、サイトカイン、例えばIL-2又はIL-12(又はその発現を可能にするワクチンベクター(複数))と組み合わせて、追加のHCV抗体もしくはサブユニット、フラグメント、ホモログ、突然変異体、又はそれらの誘導体も含む。
【0112】
本明細書で用いられる「ワクチン」は、本発明の1以上のポリペプチド/ペプチド、又は本発明のワクチンベクターを含む組成物又は製剤を意味する。哺乳動物の感染症を治療又は予防するワクチン方法は、任意の慣用的な経路により投与されることになる本発明のワクチン又はワクチンベクターの使用を含むことがある。
【0113】
治療は、単回投与で行うことができ、又は一定の間隔で繰り返すことができる。好適な投薬量は、当業者により理解される様々なパラメータ、例えば、ワクチン又はワクチンベクターそのもの、投与経路又はワクチン投与を受ける哺乳動物の状態(体重、年齢等)による。
【0114】
当該分野で利用できる生きたワクチンベクターは、ウイルスベクター、例えば、アデノウイルス及びポックスウイルス、並びに細菌ウイルス、例えばシゲラ(Shigella)、サルモネラ(Salmonella)、ビブリオ菌、ラクトバシラス(Lactobacillus)、BCGワクチン(Bacille Calmette-Guerin (BCG))及び連鎖球菌(Streptococcus)を含む。
【0115】
アデノウイルスベクターの例、及び本発明のDNA分子を発現することができるアデノウイルスベクターを構築する方法は、米国特許第4,920,209号明細書に記載されている。ポックスウイルスベクターは、米国特許第4,722,848号明細書及び同5,364,773号明細書に各々記載されている、ワクシニアウイルス及びカナリアポックスウイルス(canary pox virus)を含む(例えば、ワクシニアウイルスベクターについては、Tartaglia et al., Virology (1992) 188: 217)、及びカナリアポックスウイルスについては、Taylor et al., Vaccine (1995) 13: 539を参照)。本発明のポリペプチドは、哺乳動物細胞の発現の好適な条件下でウイルス性ゲノムに挿入されるので、本発明のポリペプチドを発現することができるポックスウイルスベクターは、Kieny et al., Nature (1984) 312: 163に記載の相同的組換えにより得られる。一般的に、治療的又は予防的用途のためのワクチンウイルスベクターの用量は、約1 x 104〜約1 x 1011プラーク形成単位/キログラム、有利には、約1 x 107〜約1 x 1010プラーク形成単位/キログラム、好ましくは、約1 x 107〜約1 x 109プラーク形成単位/キログラムでよい。好ましくは、ウイルスベクターは、非経口的に投与される;例えば、4週間毎に、3用量である。本発明のウイルスベクターを含む組成物に化学的アジュバントを加えず、それにより、ウイルスベクターそのものに対する免疫反応を最小限に抑えることが好ましい。
【0116】
生きた経口ワクチンとして有用である非-毒物発生ビブリオ菌突然変異体は知られている。Mekalanos et al., Nature (1983) 306: 551及び米国特許第4,882,278号明細書は、機能性コラレ毒素が産生されないように削除された、2つのctxAアレルの各々のコーディング配列の実質的な量を有する菌株を記載する。WO 92/11354は、irgA遺伝子座が突然変異により不活性化される菌株を記載する;この突然変異は、ctxA突然変異を有する単一の菌株内で組み合わせることができる。WO 94/01533は、機能性ctxA及びattRS1 DNA配列がない欠損変異体を記載する。これらの突然変異体は、WO 94/19482に記載にように、異種抗原を発現するように遺伝子組み換えされる。本発明のDNA分子によりコードされるポリペプチド又はポリペプチド誘導体を発現することができるビブリオ菌株の有効ワクチン投与量は、選択された投与経路に好適な体積で、約1 x 105〜約1 x 109、好ましくは約1 x 106〜約1 x 108の生存細菌を含む。好ましい投与経路は、全ての粘膜経路を含む;最も好ましくは、これらのベクターは鼻腔内に又は経口的に投与される。
【0117】
異種抗原又はそうでない抗原の組換え発現のために遺伝子組み換えされた、弱毒化ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)株、及び経口ワクチンとしてのその使用は、Nakayama et al. (Bio/Technology (1988) 6: 693) 及びWO 92/11361に記載されている。好ましい投与経路は、全ての粘膜経路を含む;最も好ましくは、これらのベクターは鼻腔内に又は経口的に投与される。
【0118】
本発明との関連でワクチンベクターとして使用される他の細菌株は、シゲラ・フレクスナー(Shigella flexneri)については、High et al., EMBO (1992) 11: 1991及びSizemore et al., Science (1995) 270: 299に; ストレプトコッカス・ゴルドニー(Streptococcus gordonii)については、Medaglini et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1995) 92: 6868に; 及び、BCGワクチン(Bacille Calmette Guerin)については、Flynn J. L., Cell. Mol. Biol. (1994) 40 (suppl. I): 31、WO 88/06626、WO 90/00594、WO 91/13157、WO 92/01796及びWO 92/21376に記載されている。
【0119】
細菌ベクターにおいて、本発明のポリペプチドは、細菌ゲノムに挿入され、プラスミドの一部として遊離な状態で保持される。
【0120】
本発明のポリペプチド又はワクチンベクターを含む組成物は、アジュバントを更に含む。多数のアジュバントは当業者に公知である。好ましいアジュバントは、以下に記載のものから選択される。
【0121】
従って、本発明の更なる局面は、(i) 希釈剤又は担体と組み合わせて、本発明のポリペプチド又はポリヌクレオチドを含む物質の組成物;(ii) 希釈剤又は担体と組み合わせて、本発明のワクチンベクターを含む物質の組成物;(iii) 本発明のポリペプチド又はポリヌクレオチドを免疫学的有効量の投与により哺乳動物のHCVに対する免疫反応を誘導して、HCVに対する保護的免疫反応を引き出す方法;及び特に、(iv) 本発明のポリペプチド又はポリヌクレオチドの予防上又は治療上有効量を感染した個体に投与することによる、HCV感染症を予防及び/又は治療する方法、を提供する。追加的に、本発明は、HCV感染症を予防及び/又は治療するための医薬の製造における本発明のポリペプチド又はポリヌクレオチドの使用を更に提供する。
【0122】
本発明のポリヌクレオチドの使用は、治療的又は予防的目的のために、ワクチンとして哺乳動物に投与することを含む。かかるポリヌクレオチドは、哺乳動物細胞において複製できない、そして哺乳動物ゲノムに結合できない、プラスミドの一部分として、DNAの形態で使用される。典型的には、かかるDNA分子は、哺乳動物細胞での発現のために好適なプロモーターの制御下に置かれる。プロモーターは、偏在的に又は組織-特異的に機能する。非-組織特異的プロモーターの例は、(米国特許第4,168,062号明細書に記載の)初期のサイトメガロ・ウイルス(CMV)プロモーター、及び(Norton & Coffin, Molec. Cell Biol. (1985) 5: 281に記載の)ラウ肉腫ウイルスプロモーターを含む。組織-特異的プロモーターの例は、筋肉細胞内での発現を誘導するデスミンプロモーターである(Li et al., Gene (1989) 78: 243, Li & Paulin, J. Biol. Chem. (1991) 266: 6562 and Li & Paulin, J. Biol. Chem. (1993) 268: 10403)。プロモーターの使用は、当業者には周知である。有用なベクターは、多数の刊行物、特に、WO 94/21797及びHartikka et al. Human Gene Therapy (1996) 7: 1205に記載されている。
【0123】
ワクチンとして使用される本発明のポリヌクレオチドは、対応するポリペプチドの前駆体又は成熟形態のいずれかをコードする。前駆体形態では、シグナルペプチドは、相同性又は異種のいずれかである。後者の場合には、真核細胞のリーダー配列、例えば組織-型プラスミノーゲン因子(tPA)のリーダー配列が好ましい。
【0124】
ポリヌクレオチドを調製及び精製するための分子生物学の標準的な方法は、本発明のポリヌクレオチド治療薬の調製において使用される。ワクチンとしての使用のためには、本発明のポリヌクレオチドは、以下に記載の様々な方法に従って製剤化される。
【0125】
1つの方法は、任意の送達ビヒクルを含まないネイキッド形態で、ポリヌクレオチドを利用する。かかるポリヌクレオチドは、単に、担体を含む又は含まない、生理学的に許容される溶液、例えば殺菌性の生理食塩水又は殺菌性の緩衝生理食塩水で希釈される。担体が存在する場合には、担体は、好ましくは、等張性、劣張性又は僅かに高張性であり、例えば、スクロース溶液、例えば20%スクロースを含む溶液により提供される、比較的低いイオン強度を有する。
【0126】
代替的な方法は、細胞取り込みを助ける薬剤と組み合わせてポリヌクレオチドを利用する。かかる薬剤の例は、(i) 細胞透過性を改変する化学物質、例えば、ビプバカイン(例えば、WO 94/16737)、(ii) ポリヌクレオチドのカプセル化のためのリポソーム、又は (iii) ポリヌクレオチドと会合する、カチオン性脂質もしくはシリカ、金又はタングステン微粒子である。
【0127】
アニオン性及び中性リポソームは、当該分野で周知であり(例えば、リポソームの製造法の詳細な説明については、Liposomes: A Practical Approach, RPC New Ed, IRL press (1990)参照))、ポリヌクレオチドを含む広範囲の物質を送達するために有用である。
【0128】
カチオン性脂質も当該分野で知られ、遺伝子送達に一般的に使用される。かかる脂質は、DOTMA (N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド)としても知られているリポフェクチン(商標)、DOTAP (1,2-ビス(オレイルオキシ)-3-(トリメチルアンモニオ)プロパン)、DDAB (ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド)、DOGS (ジオクタデシルアミドログリシル スペルミン) 及びコレステロール誘導体、例えば、DC-Chol (3β-(N-(N',N'-ジメチルアミノメタン)-カルバモイル) コレステロール) を含む。これらのカチオン性脂質の説明は、EP 187,702、WO 90/11092、米国特許第5,283,185号明細書、WO 91/15501、WO 95/26356及び米国特許第5,527,928号明細書に見られる。遺伝子送達のためのカチオン性脂質は、好ましくは、例えばWO 90/11092に記載されているように、中性脂質、例えばDOPE (ジオレイル フォスファチジルエタノールアミン) を組み合わせて使用される。
【0129】
カチオン性リポソームを含む製剤は、場合により、他の形質移入-促進化合物を含むことがある。多数のそれらは、WO 93/18759、WO 93/19768、WO 94/25608及びWO 95/02397に記載されている。それらは、核膜を介してDNAの移送を促進するために有用であるスペルミン誘導体 (例えば、WO 93/18759参照)、及び膜-透過性化合物、例えばGALA、グラミシジンS及びカチオン性胆汁酸塩(例えば、WO 93/19768参照)を含む。
【0130】
金又はタングステン微粒子は、WO 91/00359、WO 93/17706及びTang et al. Nature (1992) 356: 152に記載のように、遺伝子送達のために使用される。微粒子-被覆ポリペプチドは、注射針のない注射用具(「遺伝子銃」)、例えば、米国特許第4,945,050号明細書、同第5,015,580号明細書及びWO 94/24263に記載されているもの、を用いて、皮内又は表皮内経路を介して注射される。
【0131】
ワクチンレシピエントで使用されるDNAの量は、例えば、DNA構築物で使用されるプロモーターの強度、発現された遺伝子産物の免疫原性、投与される哺乳動物の状態(例えば、哺乳動物の体重、年齢及び身体全体の健康)、投与様式、及び製剤の種類に依拠する。一般的に、約1 μg〜1 mg、好ましくは約10 μg〜約800 μg、より好ましくは約25 μg〜約250 μgの治療上又は予防上有効量が、ヒト成人に投与することができる。投与は、単回投与で行うか又は一定の間隔で繰り返すことができる。
【0132】
必ずしも必要とはされないが、かかる組成物はまた、アジュバントを含むことができる。もしそうである場合には、アジュバント効果を示すために同時投与を必要としない全身性アジュバント、例えば、米国特許第5,057,546号明細書に記載の、QS21が好ましい。
【0133】
当業者により容易に決定することができるが、治療は、単回投与で行うか又は必要ならば一定間隔で反復される。例えば、プライミング投与は、週又は月に3回の追加投薬を行う。好適な用量は、当業者により容易に決定することができるが、レシピエント(例えば、成人又は幼児)、特定のワクチン抗原、投与経路及び投与頻度、アジュバントの存在/不存在又は種類、及び所望の効果(例えば、保護及び/又は治療)を含む様々なパラメータによる。1つの実施態様では、ワクチンとして投与される本発明のポリペプチドは、約10 μg〜約500 mg、好ましくは約1 mg〜約200 mgの量で粘膜経路により投与される。非経口的投与経路については、用量は、一般的に、約1 mg、好ましくは約100 μgを越えない。
【0134】
ポリペプチド及びポリヌクレオチドがワクチン剤として使用されるとき、本発明のポリペプチド及びポリヌクレオチドは、多段階免疫プロセスの一部分として連続的に使用することができる。例えば、哺乳動物は、本発明のワクチンベクター、例えば、ポックスウイルスを用いて、例えば非経口経路を介して最初にプライミングし、次いで、ワクチンベクターによりコードされるポリペプチドで、例えば粘膜経路を介して2回追加免疫される。別の例では、本発明のポリペプチド又はポリペプチド誘導体と会合するリポソームは、プライミングのためにも使用され、同時に、追加免疫が、粘膜アジュバント(例えば、LT)を組み合わせて、本発明の溶解性ポリペプチド又はその誘導体を用いて、粘膜的に実行される。
【0135】
本発明のポリペプチドもしくは変異体又はその誘導体はまた、例えば血液試料中の抗-HCV抗体の存在を検出するための診断試薬として、本発明の更なる局面に従って使用される。かかるポリペプチドは、約5〜約80アミノ酸長、好ましくは約10〜約50アミノ酸長である。それらは、診断法によるが、標識されているか又は標識されていないかのいずれかである。かかる試薬を含む診断法は、以下に記載する。
【0136】
上記の任意のワクチン組成物において有用なアジュバントは以下のとおりである。
【0137】
非経口投与のためのアジュバントは、アルミニウム化合物、例えば水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、及びアルミニウムヒドロキシリン酸を含む。抗原は、標準的なプロトコールに従ってアルミニウム化合物と共に沈殿するか、又はその上に吸着される。他のアジュバント、例えばRIBI (ImmunoChem, Hamilton, MT) は、非経口的投与で使用される。
【0138】
粘膜投与用のアジュバントは、細菌毒素、例えば、コレラ毒素(CT)、E. コリ(E.coli)熱不安定毒素 (LT)、クロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium difficile) 毒素、及び百日咳毒素 (PT)、又はそれらの組み合わせ、サブユニット、トキソイド、又はそれらの突然変異体、例えば天然コレラ毒素サブユニットB(CTB)の精製調製物、を含む。これらの任意の毒素のフラグメント、ホモログ、誘導体及び融合体も、アジュバント活性を保持することを条件に、好適である。好ましくは、減少した毒性を有する突然変異体が使用される。好適な突然変異体は、例えば、WO 95/17211 (Arg-7-Lys CT突然変異体)、WO 96/06627 (Arg-192-Gly LT突然変異体)及びWO 95/34323 (Arg-9-Lys及びGlu-129-Gly PT突然変異体)に記載される。本発明の方法及び本発明の組成物で使用される追加のLT突然変異体は、例えば、Ser-63-Lys、Ala-69-Gly、Glu-110-Asp、及び Glu-112-Asp突然変異体を含む。他のアジュバントも、例えば、E.コリ(E. coli)、サルモネラ・ミネソタ(Salmonella minnesota)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)又はシゲラ・フラクスナー(Shigella flexner)の細菌性モノホスホリル脂質A(MTLA);サポニン、又はグリコリド・ポリラクチド(PLGA)マイクロスフェアは、粘膜投与に使用される。
【0139】
粘膜及び非経口的投与に有用なアジュバントは、ポリフォスファゼン(WO 95/02415)、DC-chol (3β-(N-(N',N'-ジメチル アミノメタン)-カルバモイル) コレステロール;米国特許第5,283,185号明細書及びWO 96/14831) 及びQS-21 (WO 88/09336)を含む。
【0140】
本発明のポリペプチド、ポリペプチド誘導体、ポリヌクレオチド又は抗体を含む、本発明の任意の医薬組成物は、慣用的な方法で製造される。特に、薬学的に許容される希釈剤又は担体、例えば、水又は生理食塩水溶液、例えばリン酸緩衝生理食塩水で製剤化される。一般的に、希釈剤又は担体は、投与形式及び投与経路、及び標準的な医薬的慣習に基づいて選択される。好適な薬学的担体又は希釈剤、及び医薬製剤でのその使用のための医薬的必要性が、当該分野及びUSP/NFでの標準的参照テキストである、Remington's Pharmaceutical Sciencesに記載されている。
【0141】
「治療上有効量」とは、所望の治療的結果、例えば、HCV感染症の症状の減少、次いでHCV感染症及び関連する疾患の進行の減少、及びHCV感染症及び関連する疾患の進行の改善、を達成するために必要な投薬及び時間における有効量を意味する。治療上有効量は、複数の因子、例えば、個体の疾患のステージ、年齢、性別及び体重、及び個体において所望の効果を引き出すための化合物の能力に従って、変動することがある。投薬レジメは、最適の治療的反応を提供するために調整することができる。治療上有効量はまた、治療上の有益な効果が、化合物の任意の毒性又は有毒効果より上回る量である。「予防上有効量」とは、所望の予防的結果、例えば、HCV感染症及び関連する疾患の兆候又は進行の予防又は抑制、を達成するために必要な投薬及び時間における有効量を意味する。予防上有効量は、治療上有効量について上述したように決定することができる。任意の特定の対象に関しては、特定の投薬レジメを、個々の要求、組成物の投与を行い又は指導する人の専門的な判断に従って、常時、調整することができる。
【0142】
本明細書で使用する「薬学的に許容される担体」又は「薬学的に許容される賦形剤」は、生理学的に適合できる、任意の及び全ての溶剤、分散剤、コーティング、抗菌性及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等を含む。1つの実施態様では、担体は、非経口的投与に好適である。あるいは、担体は、静脈内、腹腔内、筋肉内、舌下の又は経口的投与に好適であり得る。薬学的に許容される担体は、殺菌性水溶液又は分散液、及び殺菌性注射用液又は分散液の即時調製のための殺菌粉末を含む。かかる媒体及び薬学的に活性な物質用の薬剤の使用は、当該分野でよく知られている。任意の慣用的媒体又は薬剤が活性化合物と適合しない範囲を除いて、本発明の医薬組成物におけるその使用が考慮される。補助的な活性化合物も、組成物中に組み込むことができる。
【0143】
治療的組成物は、典型的は、製造及び保存条件下で殺菌性かつ安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、又は高薬物濃度に好適な他の定序構造として製剤化することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液状ポリエチレングリコール等)及び好適なそれらの組み合わせを含む溶媒又は分散媒体でよい。好適な流動性は、例えば、コーティング、例えばレシチンの使用により、分散の場合には必要とされる粒径の維持により、及び界面活性剤の使用により維持することができる。多くの場合には、組成物中に、等張剤、例えば糖類、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の持続吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸塩及びゼラチンを組成物中に含みことにより達成することができる。更に、本発明のポリペプチドは、時間放出型製剤として、例えば、遅延型放出ポリマーを含む組成物として、投与することができる。活性化合物は、化合物を速放させない担体と共に調製することができる。例えば、インプラント及びマイクロカプセル化送達系を含む制御された放出製剤である。生分解性、生体適合性ポリマー、例えば、エチレン-酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸及び乳酸・グリコール酸共重合体(PLG)が使用できる。かかる製剤の多くの製造法は、特許化されているか又は一般的に当業者に知られている。
【0144】
本発明の更なる局面は、本発明のポリペプチドを認識する抗体を提供する。
【0145】
本発明の抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体のいずれかである。抗体は、組み換え体、例えばキメラ(例えば、ヒト定常領域と関連するネズミ起源の可変領域により構成される)、ヒト化(動物、例えばネズミ起源の超可変領域と組合せたヒト免疫グロブリン定常骨格)及び/又は単一鎖でよい。ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体はまた、免疫グロブリンフラグメント、例えば、F(ab)'2、Fab又はFab'フラグメントの形態でよい。本発明の抗体は、任意のアイソタイプ、例えばIgG又はIgAの内のいずれかであり、ポリクローナル抗体は、単一のアイソタイプ又はアイソタイプの混合物の内のいずれかである。
【0146】
本発明のポリペプチドに対する抗体は、ポリペプチドを含む部分的に精製された画分で哺乳動物を免疫することにより得られる。かかる抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体のいずれかよい。ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を産生する方法は、当該分野でよく知られている。参考のため、本明細書に参照として引用されているHarlow and Lane (1988) 及びYelton et al. (1981) を参照。モノクローナル抗体については、本明細書に参照として引用されているKohler and Milstein (1975) を参照。
【0147】
本発明のポリペプチドを含む部分的に精製された画分に引き出された本発明の抗体は、標準的な免疫学的アッセイ、例えば、ウェスタンブロット、ドットブロットアッセイ又はELISAを用いて産生及び特定される(例えば、本明細書に参照として引用される、Coligan et al. (1994) 参照)。抗体は、試料、例えば、組織又は体液中の、HCV Fタンパク質もしくはそのフラグメント又はHCVの存在を検出するための診断方法において使用される。抗体はまた、本発明のポリペプチドを含む精製画分を得るためのアフィニティクロマトグラフィーで使用される。
【0148】
従って、本発明の更なる局面は、(i) 組織もしくは体液中の、HCV Fタンパク質もしくはそのフラグメント及び/又はHCVの存在を検出するための試薬;並びに、(ii) 免疫複合体が形成されるように、組織又は体液を本発明の抗体と接触させることにより、及び、試料中の又は試料が由来する生物中の、HCV Fタンパク質もしくはそのフラグメント又はHCVの存在を示すためにかかる複合体を検出することにより、組織又は体液中の、HCV Fタンパク質もしくはそのフラグメント又はHCVの存在を検出するための診断法、を提供する。
【0149】
当業者は、免疫複合体が試料成分と抗体との間で形成され、そして任意の非結合材料が複合体の検出の前に除かれる、ことを容易に理解するだろう。本発明の抗体は、HCV Fタンパク質ポリペプチド又はそのフラグメント及び/又はHCVの存在について、試料、例えば、血液、血漿、リンパ球、脳脊髄液、尿、唾液、上皮及び繊維芽細胞をスクリーニングするために使用される、ことを理解されたい。
【0150】
同様に、本発明のポリペプチドは、組織もしくは体液中の、HCV Fタンパク質もしくはそのフラグメント及び/又はHCVに対する抗体の存在を検出するための試薬として使用することができる。そのため、本発明は、かかる試薬、並びに、免疫複合体が形成されるように、組織又は体液を本発明の抗体と接触させることにより、及び、試料中の又は試料が由来する生物中の、HCV Fタンパク質もしくはそのフラグメント又はHCVの存在を示すためにかかる複合体を検出することにより、HCV Fタンパク質もしくはそのフラグメント又はHCVの存在を検出するための診断法を更に提供する。
【0151】
診断的用途としては、試薬(例えば、本発明のポリペプチド又は抗体)は、遊離の状態か又は固体支持体、例えば、チューブ、ビーズ、プレートもしくはそのウェル、又は当該分野で用いられる任意の他の慣用的支持体(例えば、ペプチドマイクロアッセイ)、上に固定されるかのいずれかである。固定は、直接的又は間接的方法により行われる。直接的方法は、受動的吸着(非-共有結合)又は支持体と試薬との共有結合を含む。「間接的方法」は、試薬と相互作用する抗-試薬化合物が固体支持体に最初に結合される、ことを意味する。間接的方法はまた、リガンド-受容体系を採用することがある。例えば、そこでは、ビタミン等の分子が試薬上に移植され、対応する受容体が固体相上に固定される。このことは、ビオチン-ストレプトアビジン系により説明される。代わりに、ペプチドテイルは、試薬に、化学的に又は遺伝子組換えにより付加され、そして移植された又は融合された生物は、ペプチドテイルの受動的吸着又は共有結合により固定される。
【0152】
かかる診断試薬は、使用のための教示を含むキット中に含めることができる。試薬は、その標的に結合されるときに試薬の検出を可能にする、検出手段で標識される。検出手段は、蛍光試薬、例えば、フルオロセインイソシアネート又はフルオロセインイソチオシアネート、又は酵素、例えば、ホースラディシュ・ペルオキシダーゼ又はルシフェラーゼ又はアルカリホスファターゼ、又は放射活性元素、例えば125I又は51Crでよい。
【0153】
本発明の様々な実施態様が本明細書に開示されているが、当業者の技術常識に従って本発明の範囲内で多くの適応及び修正が可能である。かかる修正は、実質的に同一の方法で同一の結果を達成するために、公知の等価物の、本発明の任意の局面への置換を含む。数値範囲は、範囲を定義する数を含む。クレームにおいて、用語「含む(comprising)」は、オープン-エンド用語として使用され、実質的に語句「含むが、限定されない(including, but not limited to)」と等価である。以下の実施例は、本発明の様々な局面の説明であり、本明細書に開示された本発明の広い局面を限定するものではない。
【実施例】
【0154】
実施例 1: 材料及び方法
試験対象及び臨床的パラメータ
体液性免疫反応の試験では、Centre maternel et infantile sur Ie SIDA (CMIS) 母子集団 (CHU mere-enfant Sainte-Justine, Montreal, Canada) の参加者の中から、39人の女性患者を選んだ。平均年齢は、29.6+/-5.75歳(範囲 = 20.1〜41.3歳)であった。ケベック州で用いられる臨床的慣習及び診断的アルゴリズムに従って、ELISA及び組換え免疫ブロットアッセイにより、HCV感染症を確認した。平均HCV RNAレベル (COBAS(登録商標)アンプリカー(Amplicor)HCVモニターアッセイ・バーション2.0, Roche Diagnostics, Montreal, Canada) は、5.37 log IU/ml 血漿 (範囲 = 2.78〜7.09 log IU/ml 血漿)であった。HCV遺伝子型決定は、上記の5'-非-コーディング領域の配列分析により行った[18]。HIV-1による同時感染は、これらの39対象の内の25で、ELISA及び非-定量的PCRにより確認した。同時感染患者において、フローサイトメトリーを用いて測定した平均CD4細胞数は、509+/-243 細胞/mm3 (範囲 = 33〜1287 細胞/mm3)であり、平均HIV-1ウイルスロード(Versant HIV RNA バージョン3.0アッセイ, Bayer, Pittsburgh, Pennsylvania)は、2.81 log RNA コピー/ml 血漿 (範囲 = 1.70〜4.73 log RNAコピー/ml 血漿) であった。これらの25対象の内の19を、単一薬剤(n=3)、2つの組み合わせ療法(n=6)及び3つの組み合わせ療法(n=11)を含む、抗レトロウイルス療法で処置した。報告されたHIVリスク分類は、注射薬使用(n=22)、予想される異性愛者間の病気伝染(n=7)、及びHIV-固有の部位に行われた外科手術法及び/又は注入(n=3)を含んだ。細胞-介在型免疫の試験については、St-Luc静脈内薬使用者集団 (CHUM-Hospital St-Luc, Montreal, Canada) (n=7; HND、HTM、及びPSLコード) の参加者、又は CMIS集団 (n=4; TVCコード) から患者を選んだ。この第二試験集団の対象の臨床的特徴を表1に纏める。アラニントランスアミナーゼ(ALT)及びアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)レベルをSynchron LX20システム (Beckman Coulter, Palo Alto, California) でアッセイした。いずれかの群の対象は、試験期間中、抗-HCV治療を処置しなかった。
【0155】
HCV Fタンパク質遺伝子クローニング及び突然変異誘発
HCV-1aで感染させた対象(TVC33)から得られた500 μlの血清からウイルスゲノムRNAを単離し、プライマーHCV 1a 1-16 (5'-GCC AGC CCC CTG ATG G-3' [配列番号1]) 及びHCV 988-970 (5'-GCC TCG TAC ACA ATA CTC G-3' [配列番号2]) (Alpha DNA, Montreal, Canada) を用いるQIAamp(商標) 法 (Qiagen, Mississauga, Ontario)により、逆転写、増幅した。RT-CTR条件は、50℃/30分、95℃/15分の変性、94℃/30秒、55℃/1分及び72℃/1分を40サイクル、続いてTGradient(商標)サーマルサイクラー (Biometra, Goettingen, Germany) での72℃/10分の伸張サイクルであった。アンプリコンを、pCRScript Amp SK+ (Stratagene Cloning Systems, La Jolla, California) (pCorela33)のSrf Iサイトにクローニングした。次いで、コア配列を突然変異誘発により、a) (+2) リーディングフレームへのフォース-シフト翻訳(force-shift translation); 及びb) スリッピィ様(slippery-like)配列 (Fmut8) に関連するフレームシフト内に3つのサイレント突然変異を導入することによるロック翻訳、に改変した。これは、pCore1a33由来のAat II-Notフラグメントを、Stu I and Not I (pSC11ssF16) により開裂された、pSC11ssワクシニア移送ベクター [19] に最初に挿入することにより行った。プライマーFmut S Sal (5'-GAC CGT CGA CCA TGA GCA CGA ATC CTA AAC CTC AGA GGA AGA CCC CAA ACG TAA-3' [配列番号3]) 及びFmut AS Kpn (5'-AAG GGT ACC CGG GCT GAG CCC AGG TCC TGC CCT CGG G-3' [配列番号4]) を用いて、pCorela33を再増幅した。RT-CTR条件は、94℃/3分、94℃/30秒、次いで60〜72℃/1分及び72℃/1分を25サイクル、続いてTGradient(商標)サーマルサイクラー (Biometra, Goettingen, Germany) での72℃/15分の伸張サイクルであった。アンプリコンをSal I及びKpn Iで切断し、pSC11ssF16にシャッフルし、pSC11ssFmut8を形成した。コア (Fmut8Δ11) を共有する、11個の最初のN-末端アミノ酸を欠くFタンパク質の切断形態は、プライマーHCV 1a Sal I (5'-TCA AGT CGA CCC AAA CGT AAC ACC AAC CG-3' [配列番号5]) 及びpCRS1 (5'-GGA AAC AGC TAT GAC CAT GAT TAC GCC AAG C-3' [配列番号6]を用いて同様に作製した。RT-CTR条件は、94℃/30秒、53℃/1分及び72℃/1分を25サイクル、続いて72℃/15分の伸張であった。最後に、Fmut8及びFmutΔ11も、各々、E.コリ(E. coli)でのN-末端のHis-タグ発現誘導用の、Sal I-Not I-消化pET-30c及びpET-30b (Novagen, Madison, Wisconsin) にサブクローニングした。全ての構築物の構造は、自動DNA配列決定法により確認した。
【0156】
組換えFタンパク質の産生
pET-30cFmut8及びpET-30bFmut8Δ11を、E.コリ(E. coli)BL21細胞で発現し、Ni-NTA His-Bind(商標) 樹脂 (Novagen) の変性条件下でFタンパク質を精製し、次いでMini Prep (商標) 細胞 (Bio-Rad Laboratories, Hercules, California) を用いてプレパラティブポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。コアタンパク質に対する非交叉-反応性を有するウサギ抗血清を産生させるために、Fmut8Δ11遺伝子産物を使用した。質量分光分析(MS)については、クマシー-染色タンパク質ゲルバンドを再水和化し、トリプシンで処理した。次いで、抽出したペプチドをナノスケールC18逆-相HPLCキャピラリーカラムから溶出し、電気スプレイイオン化に供し、LCQ DECAイオン-トラップ質量分光分析 (ThermoFinnigan, San Jose, California) を用いてMSを行った。タンパク質との配列比較、又は翻訳ヌクレオチドデータベースとSEQUESTプログラムの使用との比較により、タンパク質同一性を評価した [20]。
【0157】
Fタンパク質ELISA
抗原(2 μg/ml Ni-NTA-精製Fmut8Δ11) を、100 μlの0.1 M NaHCO3 pH 8.6で平底96-ウェルポリスチレンプレート内で、4℃でインキュベートした。このプレートを、5 mg/mlウシ胎児血清(BSA)の100 mM NaHCO3 pH 8.6溶液の200 μl/ウェルで、2時間/4℃でブロックし、10 mM トリス塩基、150 mM NaCl、0.05% Tween-20 pH 7.4 (1X TBST)で6回洗浄した。次いで、患者血清の希釈(100 μl 1X TBSTで、1/50〜1/6400)を加え、緩やかに攪拌しながら、室温で2時間インキュベートした。ウェルを1X TBSTで6回洗浄し、100 μl/ウェルのアルカリ-ホスファターゼ-結合抗-ヒトIgG抗体 (1/3000; Sigma, Saint Louis, Missouri) 又は抗-ウサギ抗体 (1/1000/ Biosys, Compiegne, France) を1X TBST + 5 mg/ml BSAにで加えた。室温で1時間、緩やかに攪拌した後、ウェルを6回洗浄し、抗体結合を50 mM NaHCO3、1 mM MgCl2及び1 mg/ml p-ニトロフェニル-リン酸塩で明らかにした。90分後、MR7000 光学分光計 (Dynatec, Chantilly, Virginia) で410 nmで光学密度を測定した。Fmut8Δ11に対して産生されるウサギ抗血清又は精製コアタンパク質を、陽性対照及び陰性対照として使用した。
【0158】
組換えワクシニアウイルスの調製
10%ウシ胎児血清 (FBS) (Invitrogen, Burlington, Canada)で補充したダルベッコ最少必須培地(DMEM)で維持したCV1細胞を、ワクシニアウイルスのウェスタンリザーブ(WR)株で感染させ、次いでCaCl2沈殿を用いてpSC11ssFmut16で形質移入した。子孫ウイルス、3回の凍結-融解、0.25 mg/mlトリプシン(Worthington, Lakewood, New Jersey)処理及び超音波処理により抽出し、2X DMEM、0.05 mg/mlニュートラルレッド、80μM ブロモデオキシウリジン (BrdU) 及び400 μM 5'-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド (X-Gal) で補充した2% w/v 低融点アガロース (Invitrogen)でインキュベートしたHuTK-143B細胞の3回のプラーク選択を行った [19]。PCR及び自動DNA配列決定法により、プラーク-精製ワクシニア組換え体の同一性及び構造を確認した。
【0159】
細胞障害性Tリンパ球アッセイ
細胞障害性アッセイにおいて標的として機能するために、1μMのシクロスポリンA (Sandoz, Vienna, Austria) の存在下でB95-8イプシュタイン-バール(Epstein-Barr)ウイルス(EBV)-感染細胞株からの上清を用いて、フィコールグラジュエント (Amersham Biosciences, Mississauga, Canada) で単離された、患者の末梢血単核球(PBMC)をインキュベートすることによって試験対象の各々から自系のB-リンパ芽球状細胞株 (BLCL) を得た [21]。限定的希釈分析(LDA)に関しては、患者のPBMCの段階的希釈(500細胞/ウェル〜7細胞/ウェル)を、200,000 照射 (3000 rads) 同種細胞性フィーダー細胞を含むウェル上にレプリカ-プレートし、10% FBS、1 μg/mlフィトヘムアグルチニン (PHA) (Sigma) 及び80単位/ml組換えインターロイキン-2 (IL-2) (Hoffman-La Roche, Nutley, New Jersey; NIH AIDS Research and Reference Reagents Programから入手)で補充したRPMI培地中で、21日間培養した。特定のワクシニア組み換え体で10のMOIで感染させた自系NLCLを、51Cr-クロム酸ナトリウム (Amersham Biosciences)で標識し、そして標準的な5時間のインキュベーション後に、培養エフェクターの細胞障害活性を試験した [22]。野生型ワクシニアWR、及びHCV-1aのワクシニアSC59 NNRd発現アミノ酸残基364〜1618 (E2、p7、NS2及びNS3) [23]をこれらの実験で対照として用いた。特異的溶解のパーセントは、100 x (試験放出-自発放出) / (総放出-自発放出)で定義し、陰性対照値を越える2.67の標準偏差で設定した有意な閾値を有する。CTL前駆体頻度及び95%信頼区間は、Walter JB, et al. (1997, Int Immunol 9: 451-459)に記載のソフトウェアを用いて計算した。
【0160】
ペプチド結合アッセイ
Fタンパク質由来の37重複ペプチド(10残基の重複を有する15アミノ酸残基)、及びコアタンパク質配列の別のN-末端フレームシフト産物に対応する5個の追加の15-マーペプチドは、HCV-1a Fタンパク質の配列(GenBank受入番号M62321)に基づいてFmoc化学(SynPep, Dublin, California)を用いて合成し [24]、そして、25% w/vジメチルスルホキシドの1 x HBSS中に再溶解した。ペプチドを、3% w/v FBSで補充したDMEMで30、100及び200 μg/mlの最終濃度に希釈し、37℃で5% CO2中で16時間、100,000 劣化血清 (24時間、3% FBS ) T2細胞 [25] でインキュベートした。フルオロセインイソシアネート(FITC)-複合化W6/32モノクローナル抗体(Sigma, Saint Louis, Missouri)を用いて、T2細胞をMHCクラスI分子について染色し(室温で30分)、前方散乱及び側方散乱に基づくライブ・ゲーティングを有するFACSCalibur(商標) フローサイトメトリー (Becton-Dickinson Immunocytometry Systems, La Jolla, California)で分析した。
【0161】
実施例 2: Fタンパク質-特異的体液性免疫反応の分析
5個の同義ヌクレオチド置換を、受動的フレームシフト-に関連するスリッピィ様(slippery-like)配列内に導入し、コア遺伝子産物の非存在下でHCV-1a Fタンパク質の発現を強制した(図1A)。この組換えタンパク質(図1B)及びコアと共有する最初の11アミノ酸残基を欠く切断形態(データ非表示)は、E.コリ(E. coli)内で発現し、ニッケルキレート・クロマトグラフィーにより精製した。複数の翻訳記録事象は、Fタンパク質が異なった発現形で産生されるときに起こると報告されているが [13,26,27]、MSを用いてFmut8及びFmut8Δ11のアミノ酸配列を確認した。87.0%及び68.2%のペプチド範囲は、各々、Fmut8及びFmut8Δ11のアミン酸数であった (図1C、及びデータ非表示)。HCV-1a (n=20)、HCV-1b (n=9)、HCV-3a (n=7)、HCV-4a (n=1)、HCV-4c (n=1) 及びHCV-5a (n=1) を含む様々なHCVサブタイプに感染した39患者から得た血清中のFタンパク質に対する反応性を測定するために、精製Fmut8Δ11をELISAに使用した。これらの患者の内で、25はまた、HIV-1に共感染した。Fmut8Δ11に対して産生されるウサギ抗血清又は精製コアタンパク質(Majeau N, et al. (2004) J. Gen. Virol. 85: 971-981に記載)を、陽性対照及び陰性対照として使用した。ALT及びASTのレベルは、HCVのみに感染した患者よりも共感染した患者において著しく高かった(スチューデントt検定で、各々、p = 0.0464及び p =0.00542)。血漿HCVロードも、共感染対象でより高かったが、この相違は、統計的に有意でなかった(スチューデントt検定で、p = 0.0778)。
【0162】
結局、39HCV-感染患者の内の23からの血清試料(59.0%)は、1:400以上の希釈でFmut8Δ11に対して陽性反応性を有した(図2)。これらは、HCV-1aに感染した20患者の内の10患者 (50.0%)、HCV-1bに感染した9患者の内の7患者 (77.6%)、HCV-3aに感染した7患者の内の4患者 (57.1%)、HCV-4a又は4cに感染した2患者の内の2患者 (100%)、及びHCV-5aに感染した1患者の内の0患者 (0.00%) を含んだ。Fタンパク質に対する体液性反応のみは、HCV感染対象で検出した(図2)。血漿HCVウイルスロード、ALT及びASTレベルは、抗-Fタンパク質反応の検出可能対象対抗-Fタンパク質反応の非検出可能対象では有意に異ならなかった(スチューデントt検定で、各々、p = 0.137、0.112及び0.105)。更に、抗-血清の力価及と、CVウイルスロード、ALT又はASTとの間の直線回帰分析では何の関連もなかった(各々、r2 = 0.124、0.134及び0.125) 。
【0163】
更に、Fタンパク質に対して検出可能な抗体反応を有するHCV及びHIV-1に共感染した患者の割合(25対象の内の13; 52.0%)は、HCVのみに感染した対象において観察される患者のの割合とは著しく異ならなかった(14対象の内の10; 71.4%)(p = 0.317、フィッシャー厳密検定)、そしてHCV-感染対象の最近の調査で報告されたものと同様であった [17]。Fタンパク質のHCVサブタイプの交差-反応性認識も共感染患者の血清で観察した(図2)。分シグナルペプチド系が検出可能な抗-F抗体反応を有する患者に限定されるときには、ELISA力価は、HCVのみに感染した対象由来の血清で測定された力価 (n=10) (p = 0.170、マン-ホイットニーU検定)と比べて、共感染患者(n=13)では著しく異ならなかった(図2)。Fタンパク質-特異的抗体反応は、33細胞/mm3〜1287細胞/mm3の範囲のCD4数を有する共感染患者で検出した(図2C)。しかしながら、200細胞/mm3未満のCD4数を有する対象が分析から除外したときには、相関係数は統計的有意差を改善し (r2=0.205)、境界をつくったが、抗-F抗体力価とCD4細胞数 (r2=0.146) との間には有意な関連がなかった(図2B)。抗-F抗体力価及びHIV-1ウイルスロードとの間には有意な相関関係がなかった (r2=0.00172)。最後に、Fタンパク質の交差-反応性HCVサブタイプ認識は、共感染患者の血清で観察された(図2)。ELISA結果は、ウェスタンブロットにより確認した。結局のところ、これらのデータは、共感染患者がHCV Fタンパク質に対して免疫グロブリン反応を高めることができ、これらの反応がHCVサブタイプ間で交差-反応性である、ことを示す。
【0164】
実施例 3: Fタンパク質-特異的CTL活性の分析
T細胞ミクロ培養物は、HCV及びHIV-1に共感染し9対象を含む、11人のHCV-感染患者から得られた末梢血単核球(PBMC)試料から得た。ワクシニア-Fmut8組み換えウイルスをつくり、Fタンパク質-特異的CTL活性を試験するために51Cr-放出LDAで使用した(表1;図3)。結局、11人のHCV-感染対象の内の9 (81.8%) では、1/177〜1/13372 T細胞の範囲の頻度で、CTL前駆体が検出された。これらは、HCV-1a (n=6)、HCV-2a (n=1) 及びHCV-3a (n=2)で感染した患者を含み、HVサブタイプ間のCTLによるFタンパク質の交差-反応性認識の指標である。我々の結果は、Fタンパク質-由来のペプチドによるT細胞のin vitro刺激後の、IFN-γ及びIL-10の産生が報告されているが [16]、HCV-感染対象におけるHCV Fタンパク質に対する細胞-介在型障害性の第一の直接的な証拠を示す。CTL前駆体も、HIV-1に共感染した9患者の内の7患者(77.8%)において検出された(平均CD4 T細胞数: 519細胞/μl; 平均HIV-1ウイルスロード: 3.46 log RNAコピー/ml(表1。他のHCVタンパク質を認識するCTL前駆体(残基364〜1618、すなわちE2、p7、NS2、NS3、コア又はFタンパク質でない)も、8対象の内6対象(75%)で観察された。これは、1/1608〜1/12188の前駆体頻度を有し、Fタンパク質で観察されたものと著しく相違しなかった(p=0.529、マン-ホィットニーU検定)。患者HTM319は、試験した標的のいずれかに対して細胞障害活性を示さなかったが、患者HTM325及びPSL19は、Fタンパク質及びp364〜1618に対して相容れない反応を示した(表1;図3)。最後に、Fタンパク質-特異的CTL前駆体頻度と、患者CD4細胞数、HIV-1又はHCVウイルスロードとの相関関係はなかった。
【0165】
実施例 4: Fタンパク質ペプチド結合の分析
抗原性ペプチドと、主要組織適合性複合体(MHC)分子のクラスIとの関係は、宿主細胞障害性Tリンパ球(CTL)によるその認識に必要条件である。そのため、外因性のペプチドが、TAPペプチドトランスポーター欠損細胞株T2におけるCMH-I分子 HLA-A2の細胞表面発現を救援する能力を評価する、T2結合アッセイを行った [25]。
【0166】
HCV-1a Fタンパク質配列に対応する42個が重複する15-マーペプチドを、T2ペプチド結合アッセイを用いてHLA-A*0201分子との相互作用について試験した [25]。具体的には、Fタンパク質由来の37個の重複するペプチド(15アミノ酸が11残基と重複する)、及びコアタンパク質配列の別のN-末端フレームシフト産物に対応する5個の追加の15-マーペプチドを、HCV-1a ARFP (GenBank受入番号M62321) の配列に基づいてFmoc化学を用いて合成し [24]、実施例1に記載のようにしてペプチド結合を評価した。HCV-1 NS3 1406-1415ペプチド (KLVALGINAV [配列番号13])、周知のHLA-A*0201制限T-細胞エピトープ [28]を陽性対照として使用した。W6/32モノクローナ抗体によるクラスIMHC染色の後の平均蛍光強度を読み出しとして用いた。閾値レベルは、ペプチド対照を用いないで設定した(図4及び5の斜線)。
【0167】
細胞表面でのHLA-A*0201の発現を促進するための個々のF-タンパク質-由来ペプチドの有効性はかなり変化するが、6個の15-マーは、最初のスクリーニング実験で高バインダーとして現れた(F29-43、F33-47、F37-51、F61-75、F65-79及びF101-115) (200 μg/ml、図4)。これらの中で、ペプチドF29-43 (VRSLVEFTCCRAGAL [配列番号14])、F37-51 (CCRAGALDWVCARRE [配列番号21]) 及びF101-115 (PVALGLAGAPQTPGV [配列番号29]) のみが、T2細胞の表面でのMHCクラスI発現の用量-依存的増加を明確に仲介した。ペプチドF29-43、F37-51及びF101-115で得られるピーク蛍光は、各々、NS3 1406-1415で得られるレベルの87.6%、79.2%及び83.2%に達した(図5A)。
【0168】
ペプチドF29-43 (VRSLVEFTCCRAGAL [配列番号14; 下線を引いた配列番号15]) 内の更なるエピトープを本実験で分析し、T2細胞の、ペプチドF31-40 (SLVEFTCCRA; 配列番号15)への曝露は、MHCクラスIの細胞表面発現において用量-依存的増加を明確に示した(図5B)。これは、F31-40が、HCV-1aに感染したHLA-A*0201対象においてCTLにより認識できたという事実の強力なサポートである。BIMASウェブツール(http: //bimas.dcrt.nih.gov/molbio/hla__bind/) [34]) を用いるこのペプチドの分析は、予測されたHLA-A*0201-制限エピトープであり、20.4秒の予測MHC−ペプチド分解を伴うことが示唆された(表2)。
【0169】
ペプチドF101-115 (PVALGLA6APQTPGV) [配列番号29; 下線を引いた配列番号30] 内の更なるエピトープの分析は、このペプチド(F103-112)がT2細胞表面でのHLA-A2発現を救援することができない、ことを示した (図5C)。このペプチドのBIMAS分析は、予測されたHLA-A*0201-制限エピトープであり、7.45秒の予測された分解を伴うことが示唆された(表2)。
【0170】
CRAGALDWV (F38-46; 配列番号22)、CCRAGALDWV (F37-46; 配列番号23)、GLAGAPQTP (F105-113; 配列番号31)、AGAPQTPGV (F107-115; 配列番号32)、及びLAGAPQTPGV (F106-115; 配列番号33) を含むF37-51及びF101-115内に位置する更なるエピトープを分析した。これらの中で、F107-115は、T2細胞表面でのA2発現を救援する用量-依存的能力を示した(有意なA2発現は、200 μg/mlのペプチド濃度で観察された)(表2;図5C)。SYFPEITHIアルゴリズム (http://www.syfpeithi.de) [35]を用いるこれらのペプチド(F38-46; F37-46; F105-113; F107-115及びF106-115)の分析は、可能性のあるHLA-A*0201-制限エピトープであることが示唆された(表2)。
【0171】
従って、本明細書に記載のデータは、各々F29-43及びF101-115内に見られるF31-40及びF107-115が、最小A2-制限CTLエピトープを表す、ことを示す。
【0172】
我々のパネル内で、SLVEFTCCRA (F31-40; 配列番号15)は、単一ペプチド(すなわち、F29-43)として表されるに過ぎない。HCVサブタイプ(表3)間で最も保存されているARFP領域内にある。これは、それらが、抗原性交差-反応性を示すことができたことを示すものである。加えて、HLA-A*0201アンカー残基(P2及びP9)は、試験した全てのHCV遺伝子型について完全に保存される(表3)。ペプチドF37-51は、同様に、全てのサブタイプにおいて完全に同一の15アミノ酸の内の9アミノ酸の位置(60%)について高度に保存される(表11)。対照的に、AGAPQTPGV (配列番号32) は、遺伝子型間で高度に可変性であるARFPの部分内にあり、この変化は、アンカー残基にも及ぶ。このことは、AGAPQTPGV (配列番号: 32) が、HCV-1サブタイプ-特異的であり、他のHCV株に感染した対象において同等に認識されなかった、ことを示唆する。
【0173】
SYFPEITHIアルゴリズムの使用はまた、ペプチドF33-47及びF37-51内にある可能性のあるHLA-A*0201-制限エピトープ(CRAGALDWV [配列番号22])を示唆した。F37-51と比べたF33-47との明確な用量-反応の欠如(図5A)は、T2細胞によってプロセシングされるデファレンシャルペプチドに起因した。
【0174】
結局のところ、HCV-1a ARFPから得られるいくつかのペプチド配列は、細胞培養物中でHLA-A*0201と結合することができた、そのため、新規なHLA-A*0201-制限CTLエピトープに対応する。これらのエピトープは、HCV-1bについて従来報告されているもの [16] とは異なり、SLVEFTCCRA (F31-40; 配列番号15)及びこの群により使用される99アミノ酸合成ペプチドに対応する配列の上流に位置するF37-51を有する [16; 36]。
【0175】
【表1】

【0176】
【表2】

【0177】
【表3】

【0178】
実施例 5: マウスにおけるARFP-特異的免疫反応の誘導
組換えARFP(すなわち、Escherichia coliで産生、ニッケルキレート・クロマトグラフィー及びプレパラティブ電気泳動により精製した、Fmut8Δ11形態)が、マウスにおける有意かつ特異的な免疫反応を誘導することができたか否かについて証明するために、一連の実験を行った。実験の第一セットでは、ARFP-特異的体液性(すなわち、抗体)免疫反応の誘導を以下のように試験した。
【0179】
ARFP-特異的体液性免疫反応
プロトコール 1
0、15日目に、5-週令雌性C57B1/6マウスに、50 μlフロイント不完全アジュバント (総量100 μl)で乳化した、10 μg (50 μl)精製Fmut8Δ11タンパク質で、皮下注射した(背中)。5-週令雌性C57B1/6マウスに、100 μl リン酸緩衝生理食塩水を注射し、対照として使用した。同一の免疫法を13日目に繰り返し、35日目に再度行った。200 μlの血液を各免疫の前に上顎骨出血により得た(0、13及び35日目)。マウスをCO2窒息により屠殺し、53日目に心臓穿刺により出血させた。全ての血液試料を遠心し、血清を回収し、使用するまで-80℃で凍結させた。アルカリホスファターゼ-複合化抗-マウス多価性免疫グロブリン(G、A、M) (A-0162, Sigma, St. Louis, MO)が、アルカリホスファターゼ-複合化抗-モノクローナル抗-ヒトIgG (A-2064, Sigma) の代わりに使用した点を除いて、実施例1に記載に従って、酵素-結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって、総免疫グロブリン(Ig)反応(IgA、IgM及びIgG)を試験した。抗-ARFP抗体結合は、50 mM 重炭酸ナトリウム、1 mM 塩化マグネシウム及び1 mg/ml p-ニトロフェニル-リン酸塩で明らかにした。光学密度を410 nmで測定した(表4)。ELISAコントロールは以下を含む;a) 抗原無し、マウス抗血清無し、二次抗体無し;b) 抗原無し、マウス抗血清有り、二次抗体有り;c) ARFP有り、マウス抗血清有り、二次抗体無し;d) ARFP有り、マウス抗血清無し、二次抗体有り;e) ARFP有り、抗-ARFPウサギ抗血清(Fmut8Δ11をイムノゲンとして用いて本明細書に記載の試験で調製した)、抗-ウサギ二次抗体 (陽性対照) ; 並びにf) ARFP有り、マウス抗血清有り、抗-ヒト二次抗体有り (表6)。ELISA閾値を、最高の読み出しを有する陰性対照で測定したOD410の3倍に設定した(表6で強調した)。結果は、閾値よりも高い0D410を示す最低相互血清希釈の平均±標準偏差として示した。結果は、抗-ARFP Ig力価が35日目に1400±419.5に、53日目に1547±199.6に達したことを示した(表4、図6A)。抗-ARFP力価は、全ての対照マウスで等しく陰性であった(表5、図6A)。35日目に、組換えARFPで免疫した15マウスの内の12(80%)が1600超の抗-ARFP Ig力価に達し、この割合は、53日目には、93.3% (15マウスの内の14)に達した(表4、図6C)。
【0180】
プロトコール 2
0、15日目に、5-週令雌性C57B1/6マウスに、50 μlフロイント不完全アジュバント (総量100 μl)で乳化した、10 μg (50 μl)精製Fmut8Δ11タンパク質で、皮下注射した。5-週令雌性C57B1/6マウスに、100 μl リン酸緩衝生理食塩水を注射し、対照として使用した。同一の免疫法を14日目に繰り返し、29日目に再度行った。200 μlの血液を各免疫の前に上顎骨出血により得た(0、14及び29日目)。マウスをCO2窒息により屠殺し、52日目に心臓穿刺により出血させた。血清の単離及びELISAは上記のように行った。ELISAコントロールは以下を含む;a) ARFP有り、マウス抗血清有り、二次抗体無し;b) ARFP有り、マウス抗血清無し、二次抗体有り; c) ARFP有り、抗-ARFPウサギ抗血清(Fmut8Δ11をイムノゲンとして用いて本明細書に記載の試験で調製した)、抗-ウサギ二次抗体 (陽性対照);並びにd) ARFP有り、マウス抗血清、抗-ヒト二次抗体 (表9)。ELISA閾値を、最高の読み出しを有する陰性対照で測定したOD410の3倍に設定した(表9で強調した)。検出閾値及び抗-ARFP Ig力価の測定は、上記のようにして行った。結果は、抗-ARFP Ig力価が29日目に883.3±694.7に、51日目に1493±272.0に達したことを示した(表4、図6A)。抗-ARFP力価は、全ての対照マウスで等しく陰性であった(表8、図6B)。既に述べたように、抗-ARFP力価は、全ての対照マウスで等しく陰性であった(表5、図6B)。29日目に、組換えARFPで免疫した15マウスの内の7(46.7%)が1600超の抗-ARFP Ig力価に達し、この割合は、52日目には、86.7% (15マウスの内の13)に達した(表7、図6C)。
【0181】
二次免疫の前に測定したARFP-特異的Ig力価がプロトコール1 (10.00±27.08) よりもプロトコール2 (190.0±401.7) では高かったので、プロトコール1及び2における抗体反応の反応速度は、重複なく類似していた。しかしながら、この相違は、統計的に有意ではなかった(p=0.116、スチューデントt検定)。同様に、二次免疫の前に検出可能な抗-ARFP Ig力価に達した動物の割合は、プロトコール1と2との間には有意差はなかった(p=0.215、フィッシャーの厳密検定) (表4及び7)。最後に、1600を超えるARFP-特異的Ig力価の獲得をカプラン・マイヤー分析において一次的結果として使用したとき、プロトコール1及び2は、有効性の点で有意差はなかった(p=0.892、logランク検定)。従って、プロトコール1及び2で得た結果は、互いに完全に一致した。総合すれば、これらの2つのプロトコールの結果は、ARFP (Fmut8Δ11) による免疫は、C57B1/6マウスにおいて高レベルのARFP-特異的Ig反応を生じる、ことを示す。例えば、かかる免疫は、2週間毎の、10 μgの精製ARFP(Fmut8Δ11)での3回の皮下免疫からなるレジメにより達成することができる。
【0182】
【表4】

【0183】
【表5】

【0184】
【表6】

【0185】
【表7】

【0186】
【表8】

【0187】
【表9】

【0188】
【表10】

【0189】
【表11】

【0190】
【表12】

【0191】
【表13】

【0192】
【表14】

【0193】
【表15】

【0194】
【表16】

【0195】
【表17】

【0196】
【表18】

【0197】
【表19】

【0198】
【表20】

【0199】
【表21】

【0200】
【表22】

【0201】
【表23】

【0202】
【表24】

【0203】
【表25】

【0204】
【表26】

【0205】
【表27】

【0206】
【表28】

【0207】
【表29】

【0208】
【表30】

【0209】
【表31】

【0210】
【表32】

【0211】
【表33】

【0212】
本願では、本発明が関する技術状況をより十分に記載するために様々な参考文献について言及する。これらの参考文献の開示は、本開示に参照として引用される。
【0213】
参考文献
1. Battegay M, Fikes J, Di Bisceglie AM, Wentworth PA, Sette A, Celis E, et al. Patients with chronic hepatitis C have circulating cytotoxic T cells which recognize hepatitis C virus-encoded peptides binding to HLA-A2.1 molecules. J Virol 1995; 69: 2462-2470.
2. Rehermann B, Chang KM, McHutchison JG, Kokka R, Houghton M, Chisari FV. Quantitative analysis of the peripheral blood cytotoxic T lymphocyte response in patients with chronic hepatitis C virus infection. J Clin Invest 1996; 98: 1432-1440.
3. Cooper S, Erickson AL, Adams EJ, Kansopon J, Weiner AJ, Chien DY, et al. Analysis of a successful immune response against hepatitis C virus. Immunity 1999; 10: 439-449.
4. Lechner F, Wong DKH, Dunbar PR, Chapman R, Chung RT, Dohrenwend P, et al. J Exp Med 2000; 191: 1499-1512.
5. Ockenga J, Tillmann HL, Trautwein C, Stoll M, Manns MP, Schmidt RE. Hepatitis B and C in HIV-infected patients. Prevalence and prognostic value. J Hepatol 1997; 27: 18-24.
6. Sulkowski MS, Mast EE, Seef LB, Thomas DL. Hepatitis C virus infection as an opportunistic disease in persons infected with human immunodeficiency virus. Clin Infect Dis 2000; 30 (S1): S77-S84.
7. Cribier B, Rey D, Schmitt C, Lang JM, Kirn A, Stoll-Keller F. High hepatitis C viraemia and impaired antibody response in patients coinfected with HIV. AIDS 1995; 9: 1131-1136.
8. George SL, Gebhardt J, Klinzman D, Foster MB, Patrick KD, Schmidt WN, et al. Hepatitis C virus viremia in HIV-infected individuals with negative HCV antibody tests. J Acquir Immune Defic Syndr 2002; 31: 154-162.
9. Lauer GM, Nguyen TN, Day CL, Robbins GK, Flynn T, McGowan K, et al. Human immunodeficiency virus type 1- hepatitis C virus coinfection: intraindividual comparison of cellular immune responses against two persistent viruses. J Virol 2002; 76: 2817-2826.
10. Elliott T, Bodmer H, Townsend A. Recognition of out-of-frame major histocompatibility complex class I-restricted epitopes in vivo. Eur J Immunol 1996; 26: 1175-1179.
11. Ronsin C, Chung-Scott V, Poullion I, Aknouche N, Gaudin C, Triebel F. A non-AUG-defined alternative open reading frame of the intestinal carboxyl esterase mRNA generates an epitope recognized by renal cell carcinoma-reactive tumor-infiltrating lymphocytes in situ. J Immunol 1999; 163: 483-490.
12. Smith DB, Simmonds P. Characteristics of nucleotide substitution in the hepatitis C virus genome: constraints on sequence change in coding regions at both ends of the genome. J Mol Evol 1997; 45: 238-246.
13. Xu Z, Choi J, Yen TS, Lu W, Strohecker A, Govindarajan A, et al. Synthesis of a novel hepatitis C virus protein by ribosomal frameshift. EMBO J 2001; 20: 3840-3848.
14. Walewski JL, Keller TR, Stump DD, Branch AD. Evidence for a new hepatitis C virus antigen encoded in an overlapping reading frame. RNA 2001; 7: 710-721.
15. Lo SY, Selby M, Tong M, Ou JH. Comparative studies of the core gene products of two different hepatitis C virus isolates: two alternative forms determined by a single amino-acid substitution. Virology 1994; 199: 124-131.
16. Bain C, Parroche P, Lavergne JP, Duverger B, Vieux C, Dubois V, et al. Memory T-cell-mediated immune responses specific to an alternative core protein in hepatitis C virus infection. J Virol 2004; 78: 10460-10469.
17. Komurian-Pradel F, Rajoharison A, Berland JL, Khouri V, Perret M, van Roosmalen M, et al. Antigenic relevance of F protein in chronic hepatitis C virus infection. Hepatology 2004; 40: 900-909.
18. Murphy D, Willems B, Delage G. Use of the 5' noncoding region for genotyping hepatitis C virus. J Infect Dis 1994; 169: 473-475.
19. Chakrabarti S, Brechling K, Moss B. Vaccinia virus expression vector: coexpression of beta-galactosidase provides visual screening of recombinant virus plaques. Mol Cell Biol 1985; 5: 3403-3409.
20. Eng JK, McCormack AL, Yates JR. An approach to correlate tandem mass spectral data of peptides with amino acid sequences in a protein database. J Am Soc Mass Spectrom 1994; 5: 976-989.
21. Pantaleo G, Soudeyns H, Demarest JF, Vaccarezza M, Graziosi C, Paolucci S, efc al. Evidence for rapid disappearance of initially expanded HIV-specific CD8+ T cell clones during primary infection. Proc Natl Acad Sci USA 1997; 94: 9848-9853.
22. Brunner KT, Mauel J, Cerottini JC, Chapuis B. Quantitative assay of the lytic action of immune lymphoid cells on 51-Cr-labelled allogeneic target cells in vitro; inhibition by isoantibody and by drugs. Immunology 1968; 14: 181-196.
23. Koziel MJ, Dudley D, Afdhal N, Grakoui A, Rice CM, Choo QL, et al. HLA class I-restricted cytotoxic T lymphocytes specific for hepatitis C virus. Identification of multiple epitopes and characterization of patterns of cytokine release. J Clin Invest 1995; 96: 2311-2321.
24. Choo QL, Kuo G, Weiner AJ, Overby LR, Bradley DW, Houghton M. Isolation of a cDNA clone derived from a blood-borne non-A, non-B viral hepatitis. Science 1989; 244: 359-362.
25. Crumpacker DB, Alexander J, Cresswell P, Engelhard VH. 1992. Role of endogenous peptides in murine allogeneic cytotoxic T cell responses assessed using transfectants of the antigen-processing mutant 174xCEM.T2. J Immunol 1992; 148: 3004-3011.
26. Choi J, Xu Z, Ou JH. Triple decoding of hepatitis C virus RNA by programmed translational frameshifting. MoI Cell Biol 2003; 23: 1489-1497.
27. Boulant S, Becchi M, Penin F, Lavergne JP. Unusual multiple recoding events leading to alternative forms of hepatitis C virus core protein from genotype 1b. J Biol Chem 2003; 278: 45785-45792.
28. He XS, Rehermann B, Lopez-Labrador FX, Boisvert J, Cheung R, Mumm J, et al. Quantitative analysis of hepatitis C virus-specific CD8+ T cells in peripheral blood and liver using peptide-MHC tetramers. Proc Natl Acad Sci USA 1999; 96: 5692-5697.
29. Walewski JL, Gutierrez JA, Branch-Elliman W, Stump DD, Keller TR, Rodriguez A, et al. Mutation Master: profiles of substitutions in hepatitis C virus RNA of the core, alternate reading frame, and NS2 coding regions. RNA 2002; 8: 557-571.
30. Wang H, Bian T7 Merrill SJ, Eckels DD. Sequence variation in the gene encoding the nonstructural 3 protein of hepatitis C virus: evidence for immune selection. J MoI Evol 2002; 54: 465-473.
31. Weiner A, Erickson AL, Kansopon J, Crawford K, Muchmore E, Hughes AL, et al. Persistent hepatitis C virus infection in a chimpanzee is associated with emergence of a cytotoxic T lymphocyte escape variant. Proc Natl Acad Sci USA 1995; 92: 2755-2759.
32. Yewdell JW, Del Val M. Immunodominance in TCD8+ responses to viruses: cell biology, cellular immunology, and mathematical models. Immunity 2004; 21:149-153.
33. Basu A, Steele R, Ray R, Ray RB. Functional properties of a 16 kDa protein translated from an open reading frame of the core-encoding genomic region of hepatitis C virus. J Gen Virol 2004; 85: 2299-2306.
34. Parker KC, Bednarek MA, Coligan JE. 1994. Scheme for ranking potential HLA-A2 binding peptides based on independent binding of individual peptide side-chains. J Immunol 152: 163-175.
35. Rammensee HG, Bachmann J, Emmerich NN, Bachor OA, Stevanovic S. 1999. SYFPEITHI: database for MHC ligands and peptide motifs. Immunogenetics 50: 213-219.
36. Bain, C. et al (2004) PCT International Patent Application published (in French) as WO 04069864A1 on August 19, 2004.
【図面の簡単な説明】
【0214】
【図1】図1は、組換えHCV Fタンパク質の発現及び産生を示す。Aは、Fmut8 Fタンパク質発現カセットの構造である。開始サイト及び受動的A-リッチリボーソームフレームシフト配列を四角で囲んだ。翻訳リーディングフレームにスイッチを入れそしてロックをかけるために導入される部位-特異的突然変異に下線を引いた。Bは、ニッケルキレート・クロマトグラフィーによる組換えHCV Fタンパク質の精製を示す。pLys又はBL21コンピテントE.コリ(E. coli)細胞 (Novagen) を、空のpET-30c (ベクター) 又はpET-30cFmut8と形質転換した。抽出は、6 Mグアニジン塩酸塩、又は8 M尿素のいずれかで行った。Cは、質量分光分析によるFmut8の同定を示す。個々のペプチドの一致は、完全長Fmut8配列下に示される。
【図2】図2は、HCV-感染対象及びHIV-1に同時感染した患者におけるFタンパク質-特異的抗反応を示す。Ig反応は、「材料及び方法」に記載の、Fmut8Δ11 ELISAを用いて検出した。先に記載のようにしてHCV遺伝子型を決定した [18]。白三角:非感染対象;白丸:HCV-1a;黒丸:HCV-1b;白四角: HCV-3a; 黒四角: HCV-4a; 白菱形: HCV-4c; 黒菱形: HCV-5a。点線は、検出閾値である。
【図3】図3は、HCV-感染対象及びHCV及びHIV-1に同時感染した患者におけるHCV Fタンパク質特異的CTLの前駆体頻度を示す。自系Bリンパ芽球状細胞株、及びHCV-1a Fタンパク質又はHCV-1a p364-1618のいずれかを発現するワクシニア組換え体を用いて標準的な51Cr-放出アッセイにより、CTL活性を検出した [23]。「材料及び方法」で記載したように限界希釈分析を行った。実線及び白四角:Fタンパク質-特異的活性;波線及び白丸:p364-1618。
【図4】図4は、MHC-Fタンパク質ペプチド相互作用を示す。「実施例」に記載のようにT2結合アッセイを用いて、Fタンパク質配列から得られるペプチドの、HLA-A*0201への結合を試験した。Fタンパク質重複ペプチドパネルの試験(200 μg/ml)。点線は、非ペプチド対照に対応する閾値レベルを示す。
【図5】図5は、MHC-Fタンパク質ペプチド相互作用を示す。「実施例」に記載のようにT2結合アッセイを用いて、Fタンパク質配列から得られるペプチドの、HLA-A*0201への結合を試験した。選択された候補ペプチドを用いる用量-反応分析。白丸:30 μg/ml; 白四角: 100 μg/ml; 白三角: 200 μg/ml。用語「F」ペプチドは、配列番号11の指定された位置(例えば、29〜43)により定義されるペプチドを意味する。
【図6】図6は、「実施例」のとおり、マウスでのARFP免疫試験の結果を示す。ARFPで免疫されたマウスにおいてELISAによって測定された総抗-ARFP免疫グロブリン反応。Aは、プロトコール1を示す。白三角:ARFPで免疫されたマウス;白四角:リン酸-緩衝生理食塩水(PBS)で免疫されたマウス。波線は、ELISA検出閾値を示す。Bは、プロトコール2を示す。白三角:ARFPで免疫されたマウス;白四角:PBSで免疫されたマウス。波線は、ELISA検出閾値を示す。Cは、結果として1600を超えるELISA力価の取得を用いる、プロトコール1及び2のカプラン・マイヤー分析を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HCV Fタンパク質から得られる単離免疫原性ポリペプチドであって、配列番号8で示される完全長のHCV Fタンパク質ではなく、そして当該HCV Fタンパク質は、HCV-1b以外のサブタイプのHCVから得られる、前記ポリペプチド。
【請求項2】
前記HCV Fタンパク質が、HCV-1a、HCV-2a、HCV-3a、HCV-4a、HCV-5a及びHCV-6aからなる群より選ばれるサブタイプのHCVから得られる、請求項1記載の単離ポリペプチド。
【請求項3】
表16で定義されるHCV Fタンパク質内の開始位置及び終止位置により定義される、請求項1記載の単離ポリペプチド。
【請求項4】
(a) 配列番号9、11、12、14〜38、51〜103及び/又は122〜128から選ばれるアミノ酸配列を含むポリペプチド;及び/又は
(b) (a)の機能性変異体又はフラグメント、ここで当該機能性変異体又はフラグメントは免疫-関連活性を有する
から選択される、請求項1記載の単離ポリペプチド。
【請求項5】
前記免疫-関連活性が、以下:
(i) HCVに対する免疫反応の誘導;
(ii) T-細胞溶解活性の誘導;
(iii) ヒト白血球抗原(HLA)又はMHCクラスI分子への結合;
(iv) HCV-感染対象からの血清との免疫反応性;
(v) サイトカインもしくはケモカインの発現又は産生の変化;及び
(vi) (i)〜(v)の任意の組み合わせ
から選ばれる、請求項2記載の単離ポリペプチド。
【請求項6】
前記HLA分子がHLA-A分子である、請求項3記載の単離ポリペプチド。
【請求項7】
前記HLA-A分子が、HLA-A*0201分子である、請求項4記載の単離ポリペプチド。
【請求項8】
長さが50アミノ酸以下である、請求項1記載の単離ポリペプチド。
【請求項9】
配列番号9、11、12、14〜38、51〜103及び/又は122〜128から選ばれるアミノ酸配列から本質的になる、請求項1記載の単離ポリペプチド。
【請求項10】
組換え体である、請求項1〜7のいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項11】
HCV Fタンパク質以外のHCVタンパク質を実質的に含まない、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチドを含む調製物。
【請求項12】
前記のHCV Fタンパク質以外のHCVタンパク質が、HCVコアタンパク質である、請求項9記載の調製物。
【請求項13】
免疫-関連活性を有し、そして配列番号8で示される完全長HCV Fタンパク質でない、単離HCV Fタンパク質ペプチドエピトープ。
【請求項14】
前記免疫-関連活性が、以下:
(i) HCVに対する免疫反応の誘導;
(ii) T-細胞溶解活性の誘導;
(iii) ヒト白血球抗原(HLA)又はMHCクラスI分子への結合;
(iv) HCV-感染対象からの血清との免疫反応性;
(v) サイトカインもしくはケモカインの発現又は産生の変化;及び
(vi) (i)〜(v)の任意の組み合わせ
から選ばれる、請求項11記載の単離ペプチドエピトープ。
【請求項15】
配列番号9、11、12及び/又は122〜128から選ばれるアミノ酸配列の8〜約50の連続アミノ酸から本質的になる、請求項11記載の単離ペプチドエピトープ。
【請求項16】
配列番号9、11、12及び/又は122〜128から選ばれるアミノ酸配列の8〜約50の連続アミノ酸から本質的になる、請求項13記載の単離ペプチドエピトープ。
【請求項17】
配列番号9、11、12及び/又は122〜128から選ばれるアミノ酸配列の9、10又は15の連続アミノ酸から本質的になる、請求項14記載の単離ペプチドエピトープ。
【請求項18】
配列番号9、11、12、14〜38、51〜103及び/又は122〜128から選ばれるアミノ酸配列を含む、請求項11記載の単離ペプチドエピトープ。
【請求項19】
配列番号9、11、12、14〜38、51〜103及び/又は122〜128から選ばれるアミノ酸配列から本質的になる、請求項16記載の単離ペプチドエピトープ。
【請求項20】
請求項1〜8のいずれか1項記載の単離ポリペプチド、又は請求項11〜19のいずれか1項記載のペプチドエピトープ、及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項21】
アジュバントを更に含む、請求項20記載の医薬組成物。
【請求項22】
請求項1〜8のいずれか1項記載の単離ポリペプチド、又は請求項11〜19のいずれか1項記載のペプチドエピトープ、及びアジュバントを含む、医薬組成物。
【請求項23】
請求項1〜8のいずれか1項記載の単離ポリペプチド、又は請求項11〜19のいずれか1項記載のペプチドエピトープ、及びMHC分子を含む、医薬組成物。
【請求項24】
MHC分子を更に含む、請求項20記載の医薬組成物。
【請求項25】
2以上のMHCペプチド複合体モノマーのマルチマーを含む組成物であって、当該モノマーの各々が、請求項1〜8のいずれか1項記載の単離ポリペプチド、又は請求項11〜19のいずれか1項記載のペプチドエピトープ、及びMHC分子を含む、前記組成物。
【請求項26】
前記MHC分子が、MHCクラスI重鎖又はその融合タンパク質、及びβ2ミクログロブリン又はその融合タンパク質を含む、請求項25記載の組成物。
【請求項27】
多原子価の物質によって、前記モノマーが結合して前記マルチマーになる、請求項25記載の組成物。
【請求項28】
前記モノマーが、ビオチン-アビジン相互作用、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用、二重コイルドメイン相互作用、及びリポソーム-モノマー架橋により、前記多原子価の物質と会合される、請求項27記載の組成物。
【請求項29】
前記単離ポリペプチドとは異なった第二ポリペプチドを更に含み、当該第二ポリペプチドが、HCV免疫反応を誘導することができる、請求項20記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記第二ポリペプチドが、追加のHCVポリペプチドである、請求項29記載の医薬組成物。
【請求項31】
請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチド又は請求項11〜19のいずれか1項記載のペプチドエピトープに特異的に結合することができる抗体。
【請求項32】
請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチド又は請求項11〜19のいずれか1項記載のペプチドエピトープをコードする単離核酸。
【請求項33】
前記核酸が、配列番号9、11、12及び/又は122〜128から選ばれるアミノ酸配列をコードすることができるヌクレオチド配列のフラグメントを含む、請求項32記載の単離核酸。
【請求項34】
前記核酸が、配列番号10のヌクレオチド配列を含む、請求項32記載の単離核酸。
【請求項35】
前記核酸が、配列番号9、11、12及び/又は122〜128から選ばれるアミノ酸配列をコードすることができるヌクレオチド配列を含む、請求項32記載の単離核酸。
【請求項36】
前記核酸が、配列番号9、11、12、14〜38、51〜103及び/又は122〜128から選ばれるアミノ酸配列をコードすることができるヌクレオチド配列を含む、請求項32記載の単離核酸。
【請求項37】
転写制御配列に作動可能に結合された請求項32〜36のいずれか1項記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項38】
請求項37記載のベクターで形質転換又は形質移入された宿主細胞。
【請求項39】
請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチド又は請求項11〜19のいずれか1項記載のペプチドエピトープの発現を可能にする条件下で、請求項38の宿主を培養することを含む、当該ポリペプチド又は当該ペプチドエピトープの製造法。
【請求項40】
HCV Fタンパク質以外のHCVタンパク質を産生しない又は実質的に産生しない、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記のHCV Fタンパク質以外のHCVタンパク質が、HCVコアタンパク質である、請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記の産生されたポリペプチド又はペプチドエピトープを回収することを更に含む、請求項39記載の方法。
【請求項43】
動物における、HCV感染症を予防もしくは治療するための、又はHCVに対する免疫学的もしくは保護的免疫反応を誘導するための方法であって、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項9又は10記載の調製物、請求項11〜19のいずれか1項記載のペプチドエピトープ、請求項20〜30のいずれか1項記載の医薬組成物、及び/又は請求項37記載のベクターから選択される薬剤を当該動物に投与することを含む、前記方法。
【請求項44】
前記動物が哺乳動物である、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記哺乳動物がヒトである、請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記ヒトがHIV感染症を更に有する、請求項45記載の方法。
【請求項47】
医薬の製造のための、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項9又は10記載の調製物、請求項9〜11のいずれか1項記載のペプチドエピトープ、請求項20〜30のいずれか1項記載の医薬組成物、及び/又は請求項37記載のベクターから選ばれる薬剤の使用。
【請求項48】
HCV感染症を予防もしくは治療するための、又はHCVに対する免疫学的もしくは保護的免疫反応を誘導するための、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項9又は10記載の調製物、請求項9〜11のいずれか1項記載のペプチドエピトープ、請求項20〜30のいずれか1項記載の医薬組成物、及び/又は請求項37記載のベクターから選ばれる薬剤の使用。
【請求項49】
HCV感染症を予防もしくは治療するための又はHCVに対する免疫学的もしくは保護的免疫反応を誘導するための医薬の製造のための、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項9又は10記載の調製物、請求項9〜11のいずれか1項記載のペプチドエピトープ、請求項20〜30のいずれか1項記載の医薬組成物、及び/又は請求項37記載のベクターから選ばれる薬剤の使用。
【請求項50】
HCV感染症を予防もしくは治療するための及び/又はHCVに対する免疫学的もしくは保護的免疫反応を誘導するための教示と組み合わせて、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項9又は10記載の調製物、請求項9〜11のいずれか1項記載のペプチドエピトープ、請求項20〜30のいずれか1項記載の医薬組成物、及び/又は請求項37記載のベクターから選ばれる薬剤を含む、商業的包装。
【請求項51】
動物におけるHCV感染症の検出又は診断方法であって、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項9又は10記載の調製物、請求項11〜19のいずれか1項記載のペプチドエピトープ又はそれらの任意の組み合わせを用いて、当該動物の生物試料をアッセイすることを含む、前記方法。
【請求項52】
動物の生物試料中のHCVの検出又は定量方法であって、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項9又は10記載の調製物、請求項11〜19のいずれか1項記載のペプチドエピトープ又はそれらの任意の組み合わせを用いて、当該動物の生物試料をアッセイすることを含む、前記方法。
【請求項53】
前記生物試料が、前記動物の組織又は体液である、請求項51又は52記載の方法。
【請求項54】
動物におけるHCV感染症の検出又は診断方法であって、以下のステップ:
(a) 当該動物の生物試料を、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項9又は10記載の調製物、請求項11〜19のいずれか1項記載のペプチドエピトープ又はこれらの任意の組み合わせに接触させ;及び
(b) 当該生物試料の構成成分の、当該ポリペプチド又はペプチドエピトープへの結合を測定すること
を含み、ここで、当該結合はHCV感染症の指標である、前記方法。
【請求項55】
動物の生物試料におけるHCV感染症の検出又は定量方法であって、以下のステップ:
(a) 当該生物試料を、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項9又は10記載の調製物、請求項11〜19のいずれか1項記載のペプチドエピトープ又はこれらの任意の組み合わせに接触させ;及び
(b) 当該生物試料の構成成分の、当該ポリペプチド又はペプチドエピトープへの結合を測定すること
を含み、ここで、当該結合は、当該試料中のHCVの存在又は量の指標である、前記方法。
【請求項56】
請求項31に記載の抗体を用いて動物の生物試料をアッセイすることを含む、動物におけるHCV感染症の検出又は診断方法。
【請求項57】
請求項31に記載の抗体を用いて生物試料をアッセイすることを含む、動物の生物試料におけるHCVの検出又は定量方法。
【請求項58】
請求項20に記載の抗体を用いて動物の生物試料をアッセイすることを含む、動物におけるHCV感染症の検出又は診断方法。
【請求項59】
請求項20に記載の組成物を用いて生物試料をアッセイすることを含む、動物の生物試料におけるHCVの検出又は定量方法。
【請求項60】
生物試料におけるHCVのin vitro診断、検出又は定量のための、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項9又は10記載の調製物、請求項11〜19のいずれか1項記載のペプチドエピトープ又はそれらの任意の組み合わせの使用。
【請求項61】
T-細胞を標識、検出又は単離するための、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチド又は請求項11〜19のいずれか1項記載のペプチドエピトープ及びMHC分子の使用。
【請求項62】
T-細胞エピトープ及び/又はアミノ酸配列を検出、選択、分類又は特定するための、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチド又は請求項11〜19のいずれか1項記載のペプチドエピトープ及びMHC分子の使用。
【請求項63】
免疫原性組成物又はワクチン組成物である、請求項20〜30のいずれか1項記載の組成物。
【請求項64】
基板に結合された、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項11〜19のいずれか1項記載のペプチドエピトープ又はこれらの双方を含む、ポリペプチドマイクロアレイ。
【請求項65】
前記基板に結合されたMHC分子を更に含む、請求項64記載のポリペプチドマイクロアレイ。
【請求項66】
基板に結合された請求項31に記載の抗体を含む、ポリペプチドマイクロアレイ。
【請求項67】
請求項1〜8のいずれか1項又は請求項11〜19のいずれか1項記載のペプチドエピトープ及びMHC分子を含む、基板に結合されたMHC複合体を含む、ポリペプチドマイクロアレイ。
【請求項68】
動物におけるHCV感染症の検出又は診断方法であって、以下:
(a) 当該動物の生物試料を、請求項64〜67のいずれか1項記載のポリペプチドマイクロアレイに接触させ;及び
(b) 当該生物試料の構成成分の、当該ポリペプチドマイクロアレイへの結合を測定すること
を含み、ここで、当該結合がHCV感染症の指標である、前記方法。
【請求項69】
HCV感染症を検出及び/又は診断するための教示と組み合わせて、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項11〜19のいずれか1項記載のペプチドエピトープ、請求項31記載の抗体、及び/又は請求項64〜67のいずれか1項記載のポリペプチドマイクロアレイから選ばれる成分を含む、商業的包装。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2008−520210(P2008−520210A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541605(P2007−541605)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【国際出願番号】PCT/CA2005/001756
【国際公開番号】WO2006/053439
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(507163758)バロリゼーション アッシュエスジ,ソシエテ アン コマンディト (1)
【Fターム(参考)】