説明

HCVNS3プロテアーゼ阻害剤

本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)NS3プロテアーゼの阻害剤として有用な式(I)の大環状化合物、これらの合成およびHCV感染を治療または予防するためのこれらの使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)NS3プロテアーゼの阻害剤として有用な大環状化合物、これらの合成およびHCV感染を治療または予防するためのこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染は、慢性肝疾患、例えば肝硬変および肝細胞癌をもたらす重要な健康上の問題であり、感染者は相当数に及び、世界人口の2−15%と推定される。米国疾病予防管理センターによれば、米国だけで390万人が感染していると推定され、これはヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者数のほぼ5倍である。世界保健機構によれば、全世界の感染者数は1億7000万人を上回り、毎年少なくとも300万人から400万人が感染している。感染すると、約20%の人々はウイルスを除去するが、残りはHCVを終生保有する。慢性感染者の10%から20%は、肝臓を破壊する肝硬変または癌を最終的に発症する。ウイルス性疾患は性的に伝染し、汚染した血液および血液製剤、汚染した注射針により非経口的に伝染し、感染母体またはキャリヤー母体からこれらの子孫へと垂直伝染する。
【0003】
HCV感染の現行の治療は、組換えインターフェロン−αの単独使用またはヌクレオシドアナログのリバビリンとの組合せによる免疫療法に限られており、臨床上の利点も限られている。さらに、HCVのワクチンは確立されていない。したがって、慢性HCV感染に有効に抵抗する改善された治療剤が緊急に必要とされている。HCV感染の治療技術の現状は、以下の参照文献において議論されている:B.Dymockら、「Novel approaches to the treatment of hepatitis C virus infection」、Antiviral Chemistry & Chemotherapy、11:79−96頁(2000);H.Rosenら、「Hepatitis C virus:current understanding and prospects for future therapies」、Molecular Medicine Today、5:393−399頁(1999);D.Moradpourら、「Current and evolving therapies for hepatitis C」、European J.Gastroenterol.Hepatol.、11:1189−1202頁(1999);R.Bartenschlager、「Candidate Targets for Hepatitis C Virus−Specific Antiviral Therapy」、Intervirology、40:378−393頁(1997);G.M.LauerおよびB.D.Walker、「Hepatitis C Virus Infection」、N.Engl.J.Med.、345:41−52頁(2001);B.W.Dymock、「Emerging therapies for hepatitis C virus infection」、Emerging Drugs、6:13−42頁(2001);およびC.Crabb、「Hard−Won Advances Spark Excitement about Hepatitis C」、Science:506−507頁(2001)。
【0004】
ウイルスによりコードされる数種の酵素は治療介入のための推定標的であり、これらはメタロプロテアーゼ(NS2−3)、セリンプロテアーゼ(NS3)、ヘリカーゼ(NS3)およびRNA依存性RNAポリメラーゼ(NS5B)を含む。NS3プロテアーゼはNS3タンパク質のN末端ドメイン内に位置しており、NS3/4A部位での分子内開裂ならびにNS4A/4B、NS4B/5AおよびNS5A/5B境界での下流の分子間プロセッシングを担っているので、主要な薬物標的と考えられている。NS4Aは、NS3プロテアーゼ活性のための補因子である。従来の研究により、NS3プロテアーゼを阻害する活性の程度を示すペプチドのクラス、例えば米国特許出願公開第2005/0020503号明細書、同第2004/0229818号明細書および同第2004/00229776号明細書において議論されているヘキサペプチドならびにトリペプチドが同定されている。本発明の目的は、HCVNS3プロテアーゼに対して活性を示すさらなる化合物を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0020503号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0229818号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/00229776号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】B.Dymockら、「Novel approaches to the treatment of hepatitis C virus infection」、Antiviral Chemistry & Chemotherapy、11:79−96頁(2000)
【非特許文献2】H.Rosenら、「Hepatitis C virus:current understanding and prospects for future therapies」、Molecular Medicine Today、5:393−399頁(1999)
【非特許文献3】D.Moradpourら、「Current and evolving therapies for hepatitis C」、European J.Gastroenterol.Hepatol.、11:1189−1202頁(1999)
【非特許文献4】R.Bartenschlager、「Candidate Targets for Hepatitis C Virus−Specific Antiviral Therapy」、Intervirology、40:378−393頁(1997)
【非特許文献5】G.M.LauerおよびB.D.Walker、「Hepatitis C Virus Infection」、N.Engl.J.Med.、345:41−52頁(2001)
【非特許文献6】B.W.Dymock、「Emerging therapies for hepatitis C virus infection」、Emerging Drugs、6:13−42頁(2001)
【非特許文献7】C.Crabb、「Hard−Won Advances Spark Excitement about Hepatitis C」、Science:506−507頁(2001)
【発明の概要】
【0007】
発明の要旨
本発明は、式(I)の新規大環状化合物および/または医薬として許容されるこれらの塩もしくは水和物に関する。これらの化合物は、化合物または医薬として許容されるこれらの塩もしくは水和物として(適宜)または医薬組成物成分として、他のHCV抗ウイルス剤、抗感染剤、免疫調節剤、抗生物質もしくはワクチンと組み合わせるか否かを問わず、HCV(C型肝炎ウイルス)NS3(非構造3)プロテアーゼの阻害、HCV感染の1種または複数の症状の予防または治療に有用である。さらに特定すると、本発明は、式(I)の化合物および/または医薬として許容されるこの塩、水和物もしくはプロドラッグに関する。
【0008】
【化1】

[式中、
【0009】
【化2】

は、
1)アリール、
2)C−Cシクロアルキル;および
3)複素環系(ここで、可変部YおよびXへの結合箇所は、第1の炭素環原子および第2の炭素環原子を含む第1の原子対ならびに炭素環原子および窒素環原子を含む第2の原子対から独立して選択され、この複素環系は、
a)N、OまたはSからなる群から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子環原子を有する5員または6員の飽和または不飽和単環、
b)N、OまたはSからなる群から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子環原子を有する8員、9員または10員の飽和または不飽和二環および
c)N、OまたはSからなる群から選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子環原子を有する11員から15員の飽和または不飽和三環
からなる群から選択される。)
からなる群から選択され;
ここで、前記アリール、シクロアルキル環または複素環は、非置換であり、Rで一置換されており、Rから独立して選択される基で二置換されており、Rから独立して選択される基で三置換またはRから独立して選択される基で四置換されており、ここで、安定なSまたはN複素環原子のいずれも、非置換でありまたはオキソで置換されており、前記複素環のR置換は、1個または複数の複素環の炭素または窒素原子上に存在し;
は、CO10、CONR10SO、CONR10SONR、テトラゾリル、CONHP(O)R1112またはP(O)R1112であり;
は、H、ハロ、OR10、C−Cアルキル、CN、CF、SR10、SO(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、C−Cハロアルキル、N(R、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールは、フェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、ヘテロシクリルは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アルキルまたはアルコキシは、ハロ、OR10、SR10、N(R、N(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、ハロ(C−Cアルコキシ)、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、NO、CN、CF、SO(C−Cアルキル)、NR10SO、SON(R、S(O)(C−Cアルキル)、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10、C(O)R10およびCON(R10からなる群から選択される1個から4個の置換基で場合により置換されており;ここで、前記シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの隣接する2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から3個のヘテロ原子を含有する3員から6員環を形成し;
は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキル(C−C)アルキル、アリール、アリール(C−C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C−Cアルキル)、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル(C−Cアルキル)であり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、1個から2個のW置換基で場合により置換されており;ここで、各アリールは、独立して、フェニルまたはナフチルであり、各ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、各ヘテロシクリルは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;
Zは、非置換であるまたは−C1−6アルキルから独立して選択される1個、2個もしくは3個の置換基で置換されているC3−9アルキレンであり、ここで、2個の置換基は、置換基原子および(1個または複数の)共有原子を含有するスピロまたは縮合環を場合により形成し;
Xは、
1)−C0−5アルキレン−X−、
2)−C2−5アルケニレン−X−、
3)−C2−5アルキニレン−X−、
4)−C0−3アルキレン−X−、
5)−C2−3アルケニレン−X−、
6)−C2−3アルキニレン−X
(ここで、Xは、−O−、−NH−または−CH−であり、Xは、−C(O)O−、−C(O)NR16−または−NR16C(O)O−であり、ここで、アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンは、非置換でありまたはC1−6アルキルで置換されている。)
からなる群から選択され;
Yは、
1)−C1−7アルキレン−Y−、
2)−C2−7アルケニレン−Y−、
3)−C2−7アルキニレン−Y
(ここで、Yは、−OC(O)−、−NR17C(O)−、−C(O)−または−NHSO−であり、各アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンは、非置換でありまたはC1−6アルキルで置換されており、Yの隣接する任意の2個の炭素原子は、N、OおよびSからなる群から選択される0個から3個のヘテロ原子を含有するC3−6員環を場合により形成し、各アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン鎖は、メチレン部分に代えて酸素原子を場合により含む。)
からなる群から選択され;
各Rは、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキル(C−C)アルキル、アリール、アリール(C−C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C−Cアルキル)、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル(C−Cアルキル)であり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、1個から2個のW置換基で場合により置換されており;ここで、各アリールは、独立して、フェニルまたはナフチルであり、各ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、各ヘテロシクリルは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;
各Wは、独立して、ハロ、OR10、C−Cアルキル、CN、CF、NO、SR10、CO10、CON(R10、C(O)R10、N(R10)C(O)R10、SO(C−Cアルキル)、S(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、C−Cハロアルキル、N(R10、N(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)、ハロ(C−Cアルコキシ)、NR10SO10、SON(R10、NHCOOR10、NHCONHR10、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールは、フェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、ヘテロシクリルは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;
は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキル(C−Cアルキル)、アリール、アリール(C−Cアルキル)、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール(C−Cアルキル)またはヘテロシクリル(C−Cアルキル)であり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、アリール、C−Cシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、C−Cアルキル、ハロ(C−Cアルコキシ)、ハロ、OR10、SR10、N(R10、N(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)、C−Cアルキル、C(O)R10、C−Cハロアルキル、NO、CN、CF、SO(C−Cアルキル)、S(O)(C−Cアルキル)、NR10SO、SON(R、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10およびC(O)N(R10からなる群から選択される1個から4個の置換基で場合により置換されており;ここで、各アリールは、独立して、フェニルまたはナフチルであり;各ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり;各ヘテロシクリルは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、前記シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの隣接する2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から3個のヘテロ原子を含有する3員から6員環を形成し;
は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキル(C−Cアルキル)、C−Cアルコキシ、C−Cシクロアルコキシ、アリール、アリール(C−Cアルキル)、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール(C−Cアルキル)またはヘテロシクリル(C−Cアルキル)であり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、アリール、C−Cシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、C−Cアルキル、ハロ(C−Cアルコキシ)、ハロ、OR10、SR10、N(R10、N(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)、C−Cアルキル、C(O)R10、C−Cハロアルキル、NO、CN、CF、SO(C−Cアルキル)、S(O)(C−Cアルキル)、NR10SO、SON(R、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10およびC(O)N(R10からなる群から選択される1個から4個の置換基で場合により置換されており;ここで、各アリールは、独立して、フェニルまたはナフチルであり;各ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり;各ヘテロシクリルは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、前記シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの隣接する2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から3個のヘテロ原子を含有する3員から6員環を形成し;
またはRおよびRは、これらが結合している窒素原子と場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から2個の追加のヘテロ原子を含有する4員から8員の単環を形成し;
各R10は、独立して、HまたはC−Cアルキルであり;
各R11は、独立して、OR13、N(R10)−V−CO10、O−V−CO10、S−V−CO10、N(R10)(R13)、R14またはN(R10)SOであり;
各R12は、独立して、OR13、N(R10)−V−CO10、O−V−CO10、S−V−CO10またはN(R10)(R13)であり;
またはR11およびR12は、これらが結合しているリン原子と場合により一緒になって、5員から7員の単環を形成し;
各Vは、独立して、CH(R15)またはC−Cアルキレン−CH(R15)であり;
各R13は、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり、ここで、前記アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、アリール、アリール(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキル(C−Cアルキル)、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C−Cアルキル)、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル(C−Cアルキル)、C−Cアルキル、ハロ、OC(O)OR、OC(O)R、OR10、SR10、N(R10、C(O)R10、NO、CN、CF、SO(C−Cアルキル)、S(O)(C−Cアルキル)、NR10SO、SON(R、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10およびC(O)N(R10からなる群から選択される1個から2個の置換基で場合により置換されており;ここで、各アリールは、独立して、フェニルまたはナフチルであり;各ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり;各ヘテロシクリルは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、前記シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの隣接する2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から3個のヘテロ原子を含有する3員から6員環を形成し;
14は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、アリールは、フェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、ここで、前記アリールまたはヘテロアリールは、C−Cアルキル、ハロ、OC(O)OR、OC(O)R、OR10、SR10、N(R10、C(O)R10、NO、CN、CF、SO(C−Cアルキル)、S(O)(C−Cアルキル)、NR10SO、SON(R、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10およびC(O)N(R10からなる群から選択される1個から2個の置換基で場合により置換されており;
各R15は、独立して、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり、ここで、前記アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、C−Cアルキル、ハロ、OC(O)OR、OC(O)R、OR10、SR10、N(R10、C(O)R10、NO、CN、CF、SO(C−Cアルキル)、S(O)(C−Cアルキル)、NR10SO、SON(R、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10およびC(O)N(R10からなる群から選択される1個から2個の置換基で場合により置換されており;ここで、各アリールは、独立して、フェニルまたはナフチルであり;各ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり;各ヘテロシクリルは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、前記シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの隣接する2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から3個のヘテロ原子を含有する3員から6員環を形成し;
16は、HまたはC1−4アルキルであり;
17は、Yの別の炭素原子と一緒になって、1個の窒素および2−7個の炭素原子を含有する複素環を形成するC1−6アルキルまたはC1−6アルキレン部分である。]
【0010】
第1の実施形態において、Xは、−C0−5アルキレン−O−または−C0−3アルキレン−C(O)O−である。この実施形態の好ましいグループにおいて、Xは、−O−または−C(O)O−である。
【0011】
第2の実施形態において、Yは、−C1−7アルキレン−Y−または−C2−7アルケニレン−Y−であり、ここで、Yは、−OC(O)−または−C(O)−であり、各アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンは、非置換でありまたはC1−2アルキルで置換されている。実施形態の好ましいグループにおいては、Yは、
−CH=CHCHC(CHCHOC(O)−、−CH=CHCHCH(CH)CHOC(O)−、−CH=CH(CHOC(O)−、−(CHC(CHCHOC(O)、−(CHCH(CH)CHOC(O)−、−(CH6−8OC(O)−、−CH=CH(CHC(CHCHOC(O)−、−CH=CH(CHCH(CH)CHOC(O)−、−CH=CH(CHC(O)−、−(CHC(CHCHOC(O)−、−(CHCH(CH)CHOC(O)−、−(CHC(O)−、−CH=CH(CHOC(O)−、−CH=CH(CHOC(O)−、−CH=CH(CHCH(CH)CHOC(O)−、−CH=CH(CHC(CHCHOC(O)−、−CH=CH(CHC(O)−、−(CHC(CHCHOC(O)−、および−(CHCH(CH)CHOC(O)−
からなる群から選択される。
【0012】
第3の実施形態において、Zは−(CH−である。
【0013】
第4の実施形態において、Aは、
【0014】
【化3】

[式中、pおよびqは、独立して、1または2であり、Dは、NまたはCHである。]からなる群から選択される。この実施形態の好ましいグループにおいて、Rは、H、−OC1−6アルキルおよびフェニルからなる群から選択され、pおよびqは1である。この実施形態のより好ましいグループにおいて、Aは、
【0015】
【化4】

からなる群から選択される。
【0016】
第5の実施形態は、上述の第1から第4の実施形態の2つ、3つまたは4つの組合せを提供する。
【0017】
本発明の第6の実施形態において、化合物は、実施例1−6および表A、BおよびCに列挙されている化合物からなる群から選択される。
【0018】
本発明はまた、本発明の化合物を含有する医薬組成物およびこのような医薬組成物を調製する方法を含む。本発明はさらに、HCV感染の1種または複数の症状を治療または予防する方法を含む。
【0019】
本発明の他の実施形態、態様および特徴は、さらに記載されまたは以下の詳細な説明、実施例および添付の特許請求の範囲から明らかである。
【0020】
本発明は、上述の式Iの化合物および医薬として許容されるこれらの塩および/または水和物を含む。これらの化合物ならびにこれらの医薬として許容される塩および/または水和物は、HCVプロテアーゼ阻害剤(例えば、HCVNS3プロテアーゼ阻害剤)である。
【0021】
(a)式(I)の化合物の有効量および医薬として許容される担体を含む医薬組成物。
(b)HCV抗ウイルス剤、免疫調節剤および抗感染剤からなる群から選択される第2の治療剤をさらに含む、(a)の医薬組成物。
(c)HCV抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼ阻害剤およびHCVNS5Bポリメラーゼ阻害剤からなる群から選択される抗ウイルス剤である、(b)の医薬組成物。
(d)(i)式(I)の化合物および(ii)HCV抗ウイルス剤、免疫調節剤および抗感染剤からなる群から選択される第2の治療剤(式(I)の化合物および第2の治療剤は、それぞれ、HCVNS3プロテアーゼを阻害するためにまたはHCVによる感染を治療もしくは予防するために有効な合剤量で使用される。)である医薬合剤。
(e)HCV抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼ阻害剤およびHCVNS5Bポリメラーゼ阻害剤からなる群から選択される抗ウイルス剤である、(d)の合剤。
(f)対象に式(I)の化合物の有効量を投与することを含む、HCVNS3プロテアーゼの阻害が必要とされる対象においてHCVNS3プロテアーゼを阻害する方法。
(g)対象に式(I)の化合物の有効量を投与することを含む、HCVによる感染の予防または治療が必要とされる対象においてHCVによる感染を予防または治療する方法。
(h)式(I)の化合物を、HCV抗ウイルス剤、免疫調節剤および抗感染剤からなる群から選択される少なくとも1種の第2の治療剤の有効量と組み合わせて投与する、(g)の方法。
(i)HCV抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼ阻害剤およびHCVNS5Bポリメラーゼ阻害剤からなる群から選択される抗ウイルス剤である、(h)の方法。
(j)対象に(a)、(b)もしくは(c)の医薬組成物または(d)もしくは(e)の合剤を投与することを含む、HCVNS3プロテアーゼの阻害が必要とされる対象においてHCVNS3プロテアーゼを阻害する方法。
(k)対象に(a)、(b)もしくは(c)の医薬組成物または(d)もしくは(e)の合剤を投与することを含む、HCVによる感染の予防または治療が必要とされる対象においてHCVによる感染を予防または治療する方法。
【0022】
本発明はまた、(i)(a)HCVNS3プロテアーゼの阻害においてまたは(b)HCVによる感染の予防または治療において使用するための、(ii)(a)HCVNS3プロテアーゼを阻害するまたは(b)HCVによる感染を予防または治療する医薬品として使用するためのまたは(iii)(a)HCVNS3プロテアーゼを阻害するまたは(b)HCVによる感染を予防または治療する医薬品の調製に使用するための、本発明の化合物を含む。これらの使用において、本発明の化合物は、HCV抗ウイルス剤、抗感染剤および免疫調節剤から選択される1種または複数の第2の治療剤と場合により組み合わせて使用することができる。
【0023】
本発明の追加の実施形態は、使用する本発明の化合物が、上述の化合物の実施形態、態様、クラス、下位クラスまたは特徴部の1つの化合物である、(a)−(k)に上述した医薬組成物、合剤および方法ならびに前段落に記載した使用を含む。これらのすべての実施形態において、該化合物は場合により医薬として許容される塩または水和物の形態で適宜使用することができる。
【0024】
上述の化合物の実施形態において、各実施形態と1つまたは複数の他の実施形態との組合せが安定な化合物を提供し、実施形態の説明と一致する程度に、各実施形態を1つまたは複数の他の実施形態と組み合わせることができると解されるべきである。さらに、上記(a)から(k)に提供されている組成物および方法の実施形態は、実施形態の組合せから生ずるような実施形態を含む化合物のすべての実施形態を含むと解されると解されるべきである。
【0025】
本明細書において使用するとおり、明示するまでもないが、すべての範囲は内包的であり、すべての下位範囲は、このような範囲内に含まれる。さらに、本明細書において使用する用語「または」は、適宜組み合わせることができる代替物を示す;すなわち、用語「または」は、それぞれ列記されている代替物を別々に含み、これらの組合せをも含む。
【0026】
本明細書において使用するとおり、用語「アルキル」は、規定範囲の炭素原子数を有する任意の直鎖または分枝鎖アルキル基を意味する。したがって、例えば、「C1−6アルキル」(または「C−Cアルキル」)は、すべてのヘキシルアルキルおよびペンチルアルキル異性体、ならびにn−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−プロピルおよびイソプロピル、エチルおよびメチルを意味する。別の例として、「C1−4アルキル」は、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびt−ブチル、n−プロピルおよびイソプロピル、エチルおよびメチルを意味する。
【0027】
用語「ハロアルキル」は、水素がハロゲンで置き換えられているアルキル基を意味する。用語「アルコキシ」は、「アルキル−O−」基を意味する。
【0028】
用語「アルキレン」は、規定範囲の炭素原子数を有する任意の直鎖または分枝鎖アルキレン基(または代替的に「アルカンジイル」)を意味する。したがって、例えば、「−C1−6アルキレン−」は、任意のCからCの直鎖または分枝鎖アルキレンを意味する。本発明に関して特に有利なアルキレンのクラスは、−(CH1−6−であり、特に有利な下位クラスは、−(CH1−4−、−(CH1−3−、−(CH1−2−および−CH−を含む。アルキレン−CH(CH)−も有利である。
【0029】
用語「シクロアルキル」は、規定範囲の炭素原子数を有する任意のアルカンまたはアルケンの環を意味する。したがって、例えば、「C3−8シクロアルキル」(または「C−Cシクロアルキル」)は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを意味する。用語「シクロアルコキシ」は、「−O−シクロアルキル」基を意味する。
【0030】
用語「ハロゲン」(または「ハロ」)は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素(あるいはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードとも称される)を意味する。
【0031】
用語「Het」は、N、OおよびSから選択される1個または2個のヘテロ原子を有する5員から6員の飽和環(ここで、前記環は、ハロ、OR10、SR10、N(R10、N(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、ハロ(C−Cアルコキシ)、NO、CN、CF、SO(C−Cアルキル)、S(O)(C−Cアルキル)、NR10SO、SON(R、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10、C(O)R10およびC(O)N(R10から選択される1個から3個の置換基で場合により置換されている。)を意味する。
【0032】
本明細書において使用する用語「炭素環」(およびこの変形、例えば「炭素環系」または「カルボシクリル」)は、特に記載のない限り、(i)CからCの飽和または不飽和単環または(ii)CからC12の飽和または不飽和二環系を意味する。(ii)の各環は、他方の環から独立しておりまたは他方の環に縮合しており、各環は、飽和または不飽和である。炭素環は、安定な化合物をもたらす任意の炭素原子で残りの分子に結合していることができる。縮合二環式炭素環は、炭素環の下位群である;すなわち、用語「縮合二環式炭素環」は、一般に、各環が飽和または不飽和であり、隣接する2個の炭素原子が環系のそれぞれの環に共有されているCからC10の二環系を意味する。一方の環が飽和であり、他方が飽和である縮合二環式炭素環は、飽和二環系である。一方の環がベンゼンであり、他方が飽和である縮合二環式炭素環は、不飽和二環系である。一方の環がベンゼンであり、他方が不飽和である縮合二環式炭素環は、不飽和環系である。飽和炭素環は、シクロアルキル環、例えばシクロプロピル、シクロブチルなどとも称される。特に記載のない限り、炭素環は、非置換でありまたはC1−6アルキル、C1−6アルケニル、C1−6アルキニル、アリール、ハロゲン、NHまたはOHで置換されている。縮合二環式不飽和炭素環の下位群は、一方の環がベンゼン環であり、他方の環が飽和または不飽和であり、安定な化合物をもたらすいずれかの炭素原子を介して結合している二環式炭素環である。この下位群の代表例は、
【0033】
【化5】

を含む。
【0034】
示されている環系は、特定の環原子が結合している可変部の表示を適宜含む。例えば、インドール構造
【0035】
【化6】

は、環原子2が可変部Xに直接結合しており、環原子4が可変部Zに直接結合していることを示している。可変部Rは、任意の環原子に結合することができ、但しこのような結合が安定な環を形成する流動的な可変部として示されている。
【0036】
用語「アリール」は、芳香族の炭素単環および炭素多環系を意味し、「アレーン」とも称され、ここで、多環系の個々の炭素環は、縮合しているまたは単結合を介して互いに結合している。好適なアリール基は、フェニル、ナフチルおよびビフェニレニルを含む。
【0037】
特に記載のない限り、用語「複素環」(およびこの変形、例えば「複素環式」または「ヘテロシクリル」)は、広く、(i)安定な4員から8員の飽和または不飽和単環、(ii)安定な7員から12員の二環系または(iii)安定な11員から15員の三環系を意味し、ここで、(ii)および(iii)の各環は、(1個または複数の)他の環から独立しておりまたは(1個または複数の)他の環に縮合しており、各環は飽和または不飽和であり、単環、二環系または三環系は、N、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子(例えば、1個から6個のヘテロ原子または1個から4個のヘテロ原子)と、残りの炭素原子とを含有し(単環は、一般に、少なくとも1個の炭素原子を含有し、二環系および三環系は、一般に、少なくとも2個の炭素原子を含有する。);ここで、1個または複数の任意の窒素および硫黄ヘテロ原子は、場合により酸化されており、1個または複数の任意の窒素ヘテロ原子は、場合により第4級化されている。特に規定がない限り、複素環は、任意のヘテロ原子または炭素原子において結合していることができ、但し、結合は安定な構造を生じさせる。特に記載のない限り、複素環が置換基を有する場合、この置換基は、ヘテロ原子か炭素原子かを問わず、環内のいずれかの原子に結合していてよく、但し安定な化学構造を生ずることと解される。
【0038】
飽和複素環は、複素環の下位群を形成する。別段の記載がない限り、用語「飽和複素環式」は、一般に、環系全体(単環式か多環式かを問わず)が飽和である上記定義の複素環を意味する。用語「飽和複素環」は、炭素原子と、N、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子とからなる、4員から8員の飽和単環、安定な7員から12員の二環系または安定な11員から15員の三環系を意味する。代表例は、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼパニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニルまたはテトラヒドロフリル(またはテトラヒドロフラニル)を含む。
【0039】
不飽和複素環は、複素環の別の下位群を形成する。別段の記載がない限り、用語「不飽和複素環式」は、一般に、環系全体(単環式か多環式かを問わず)が飽和ではない、すなわちこのような環が不飽和または部分的に不飽和のいずれかである上記定義の複素環を意味する。別段の記載がない限り、用語「ヘテロ芳香族環」は、炭素原子と、N、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子とからなる、5員または6員の単環式芳香族環、7員から12員の二環系または11員から15員の三環系を意味する。少なくとも1個の窒素原子を含有する置換されているヘテロ芳香族環(例えば、ピリジン)の場合において、このような置換は、N−オキシド形成をもたらす置換であり得る。ヘテロ芳香族環の代表例は、ピリジル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、チエニル(またはチオフェニル)、チアゾリル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルおよびチアジアゾリルを含む。
【0040】
二環式複素環の代表例は、ベンゾトリアゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリニル、イソインドリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、クロマニル、イソクロマニル、テトラヒドロキノリニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシニル(すなわち、
【0041】
【化7】

)、イミダゾ(2,1−b)(1,3)チアゾール(すなわち、
【0042】
【化8】

)およびベンゾ−1,3−ジオキソリル(すなわち、
【0043】
【化9】

)を含む。本明細書において一定の文脈において、
【0044】
【化10】

は、代替的に、置換基として隣接する2個の炭素原子に結合しているメチレンジオキシを有するフェニルと称される。
【0045】
「非置換」とのみとまたは「置換」とのみと特に記載されていない限り、アルキル、シクロアルキル、アリールおよび複素環基は非置換でありまたは置換されている。本明細書において使用されるとおり、用語「置換されているアルキル」、「置換されているC3−10シクロアルキル」、「置換されているアリール」および「置換されている複素環」は、化合物の残部への結合箇所に加えて1個から3個の置換基を含有する環式基を含むものとする。好ましくは、これらの置換基は、限定されるものではないが、ハロ、C−C20アルキル、−CF、−NH、−N(C−Cアルキル)、−NO、オキソ、−CN、−N、−OH、−O(C−Cアルキル)、C−C10シクロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、(C−Cアルキル)S(O)0−2−、アリール−S(O)0−2−、(C−Cアルキル)S(O)0−2(C−Cアルキル)−、(C−Cアルキル)C(O)NH−、HN−C(NH)−、−O(C−Cアルキル)CF、(C−Cアルキル)C(O)−、(C−Cアルキル)OC(O)−、(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)−、(C−Cアルキル)C(O)1−2(C−Cアルキル)−、(C−Cアルキル)OC(O)NH−、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルアルキル、ハロ−アリール、ハロ−アラルキル、ハロ−複素環、ハロ−ヘテロシクリルアルキル、シアノ−アリール、シアノ−アラルキル、シアノ−複素環およびシアノ−ヘテロシクリルアルキルを含む群から選択される。特に記載のない限り、このような置換基自体は、置換されていない。
【0046】
別段の記載がない限り、本明細書に挙げるすべての範囲は内包的である。例えば、「1個から3個のヘテロ原子」を含有すると記載されるヘテロアリール環は、環が1個、2個または3個のヘテロ原子を含有し得ることを意味する。また、本明細書に挙げる範囲のいずれも、この範囲内のすべての下位範囲をこの範囲内で含むと解されるべきである。ヘテロ原子NおよびSの酸化形態も本発明の範囲内に含まれる。
【0047】
可変部(例えば、RおよびR10)のいずれかが、成分のいずれか中にまたは式(I)中または本発明の化合物を示しもしくは記載する他の任意の式中に、2箇所以上出現する場合、出現毎の可変部の定義は他のすべての出現時の可変部の定義から独立している。また、置換基および/または可変部の組合せは、このような組合せが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。
【0048】
別段の記載がない限り、規定の置換基による置換は、環(例えばアリール、ヘテロ芳香族環または飽和複素環)の任意の原子上で、このような環置換が化学的に許容され、安定な化合物をもたらす限り、可能である。「安定な」化合物は、調製、単離することができ、本明細書に記載する目的(例えば、対象への治療または予防投与)のための化合物の使用を許容するのに十分な時間にわたって構造および特性が実質的に不変のままであるまたは不変のままにさせることができる化合物である。
【0049】
置換基および置換基パターンの選択の結果として、ある種の本発明の化合物は不斉中心を有することがあり、立体異性体の混合物または個々のジアステレオマー、もしくはエナンチオマーとして生ずることができる。これらの化合物のすべての異性体の形態は、単離されているか混合物中におけるかを問わず、本発明の範囲内である。
【0050】
当業者に自明のとおり、ある種の本発明の化合物は互変異性体として存在することができる。本発明において、式(I)の化合物への言及は、化合物自体または任意の1種のこの互変異性体自体もしくは2種以上の互変異性体の混合物を意味する。
【0051】
本発明の化合物は、HCVプロテアーゼ(例えば、HCVNS3プロテアーゼ)の阻害ならびにHCVによる感染の予防または治療に有用である。例えば、本発明の化合物は、輸血、体液交換、咬傷、偶発的な針刺または手術中の患者血液への曝露による過去のHCV曝露が疑われた後の、HCVによる感染の治療に有用である。
【0052】
本発明の化合物は、抗ウイルス化合物のスクリーニングアッセイの調製および実施に有用である。例えば、本発明の化合物は、より強力な抗ウイルス化合物のための優れたスクリーニングツールである酵素突然変異体を単離するのに有用である。さらに、本発明の化合物は、例えば競合阻害により、他の抗ウイルス剤のHCVプロテアーゼへの結合部位を確立または決定するのに有用である。したがって、本発明の化合物はこれらの目的のために販売すべき市販品である。
【0053】
本発明の化合物は、医薬として許容される塩の形態で投与することができる。用語「医薬として許容される塩」は、親化合物の有効性を有し、生物学的または他の点で不所望ではない(例えば、このレシピエントに対して毒性でもなく、他の点で有害でもない。)塩を意味する。好適な塩は、例えば本発明の化合物の溶液と、医薬として許容される酸、例えば塩酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸または安息香酸の溶液とを混合することにより形成することができる酸付加塩を含む。本発明の化合物の多くは酸性部分を有し、この場合、好適な医薬として許容されるこの塩は、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウムまたはカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウムまたはマグネシウム塩)および好適な有機リガンドと形成される塩、例えば、第4級アンモニウム塩を含むことができる。また、酸(−COOH)またはアルコール基が存在する場合において、化合物の溶解度または加水分解特性を変化させるために医薬として許容されるエステルを使用することができる。
【0054】
本発明の化合物に関して、用語「投与」およびこの変形(例えば、化合物を「投与する」)は、化合物または化合物のプロドラッグを治療が必要とされる個体に提供することを意味する。本発明の化合物またはこのプロドラッグを、1種または複数の他の活性剤(例えば、HCV感染の治療に有用な抗ウイルス剤)と組み合わせて提供する場合、「投与」およびこの変形は、それぞれ、化合物または塩(または水和物)および他の薬剤の同時提供および逐次提供を含むと解される。
【0055】
本明細書において使用するとおり、用語「プロドラッグ」は、これが投与される個体の体内において酵素、化学薬品または代謝プロセスの作用により活性薬物形態または化合物に変換される不活性薬物形態または化合物を包含するものとする。
【0056】
本明細書において使用するとおり、用語「組成物」は、特定の成分を含む生成物および特定の成分を組み合わせることにより直接的または間接的に生ずる任意の生成物を包含するものとする。
【0057】
「医薬として許容される」は、医薬組成物の成分が互いに適合可能でなければならず、このレシピエントに有害であってはならないことを意味する。
【0058】
本明細書で使用する用語「対象」(あるいは、本明細書において「患者」と称する。)は、治療、観察または実験の目的とされている動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
【0059】
本明細書で使用する用語「有効量」は、研究者、獣医師、医師または他の臨床医学者により求められている組織、系、動物またはヒトにおいて生物学的または医学的応答を誘発する活性化合物または医薬薬剤の有効量を意味する。一実施形態において、この有効量は、治療中の疾患または病態の症状を緩和するための「治療有効量」である。別の実施形態において、この有効量は、発症可能性もしくは重症度が軽減されている疾患または病態の症状を予防するための「予防有効量」である。用語はまた、本明細書において、HCVNS3プロテアーゼを阻害し、これにより求められている応答を誘発するのに十分な活性化合物の量(すなわち、「阻害有効量」)を含む。活性化合物(すなわち、活性成分)を塩として投与する場合、活性成分の量は、化合物の遊離酸または遊離塩基の形態の量である。
【0060】
HCVNS3プロテアーゼを阻害ならびにHCV感染を予防または治療する目的のために、本発明の化合物は、場合により塩または水和物の形態で、活性剤と活性剤の作用部位とを接触させる任意の手段により投与することができる。これらは、医薬品関連で使用可能な任意の慣用の手段により個々の治療剤としてまたは治療剤と組み合わせて投与することができる。これらは単独で投与することができるが、一般に、選択される投与経路および標準的な医薬実務に基づいて選択される医薬担体とともに投与する。本発明の化合物は、例えば、この化合物の有効量ならびに医薬として許容される慣用の非毒性の担体、アジュバントおよびビヒクルを含有する単位投与量の医薬組成物の形態にて、経口投与、非経口投与(皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、胸骨内注射または輸液技術を含む。)、吸入スプレーまたは直腸投与することができる。経口投与に好適な液体製剤(例えば、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤など)は、当該分野において公知の技術により調製することができ、任意の通常の媒体、例えば水、グリコール、油、アルコールなどを使用することができる。経口投与に好適な固体製剤(例えば、散剤、ピル剤、カプセル剤および錠剤)は、当該分野において公知の技術により調製することができ、デンプン、糖、カオリン、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような固体賦形剤を使用することができる。非経口組成物は、当該分野において公知の技術により調製することができ、一般に、担体としての滅菌水と、場合により他の成分、例えば溶解助剤とを使用することができる。注射用溶液は、当該分野において公知の方法により調製することができ、ここで、担体は、食塩溶液、グルコース溶液または食塩とグルコースとの混合物を含有する溶液を含む。本発明の医薬組成物の調製に使用するのに好適な方法および前記組成物に使用するのに好適な成分に関するさらなる詳細については、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、A.R.Gennaro編、Mack Publishing Co.、1990に提供されている。
【0061】
本発明の化合物は、0.001から1000mg/kg哺乳動物(例えば、ヒト)体重/日の投与量範囲で、単回用量または分割用量で経口投与することができる。1つの好ましい投与量範囲は、経口において単回用量または分割用量で0.01から500mg/kg体重/日である。別の好ましい投与量範囲は、経口において単回または分割用量で0.1から100mg/kg体重/日である。経口投与のために、これらの組成物は、治療すべき患者への投与量を症状により調節するために1.0mgから500mgの活性成分、特に1mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、400mgおよび500mgの活性成分を含有する錠剤またはカプセル剤の形態で提供することができる。特定の患者のいずれについても具体的な用量レベルおよび投与頻度は変動することがあり、使用する規定の化合物の活性、この化合物の代謝安定性および作用時間、年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与様式および時間、排泄速度、薬物の組合せ、特定の病態の重症度ならびに治療を受ける宿主などを含む種々の因子に依存する。
【0062】
上述のとおり、本発明はまた、本発明の化合物を、1種または複数の治療剤と組み合わせることによりHCVNS3プロテアーゼを阻害する方法、HCV複製を阻害する方法またはHCV感染を予防または治療する方法、ならびに本発明の化合物およびHCV抗ウイルス剤、免疫調節剤および抗感染剤からなる群から選択される1種または複数の治療剤を含有する医薬組成物に関する。HCVに対して活性なこのような治療剤は、限定されるものではないが、リバビリン、レボビリン、ビラミジン、チモシンアルファ−1、R7025(増強インターフェロン(Roche))、インターフェロン−β、インターフェロン−α、ペグ化インターフェロン−α(ペグインターフェロン−α)、インターフェロン−αとリバビリンとの合剤、ペグインターフェロン−αとリバビリンとの合剤、インターフェロン−αとレボビリンと合剤およびペグインターフェロン−αとレボビリンとの合剤を含む。インターフェロン−αは、限定されるものではないが、組換えインターフェロン−α2a(例えば、Hoffmann−LaRoche、Nutley、NJから入手可能なROFERONインターフェロン)、ペグ化インターフェロン−α2a(PEGASYS)、インターフェロン−α2b(例えば、Schering Corp.、Kenilworth、NJから入手可能なIntron−Aインターフェロン)、ペグ化インターフェロン−α2b(PEGINTRON)、組換えコンセンサスインターフェロン(例えば、インターフェロンalphacon−1)、アルブフェロン(ヒト血清アルブミン結合型インターフェロン−α(Human Genome Sciences))および精製インターフェロン−α製品を含む。Amgenの組換えコンセンサスインターフェロンは、商品名INFERGEN(登録商標)を有する。レボビリンは、リバビリンと類似の免疫調節活性を示すリバビリンのL−エナンチオマーである。ビラミジンは、国際公開第01/60379号パンフレット(譲受人ICN Pharmaceuticals)に開示されているリバビリンのアナログを表す。本発明の方法によれば、合剤の個々の成分は治療過程の間の異なる時点で別々に投与することができまたは分割もしくは単回の合剤形態で同時に投与することができる。
【0063】
HCV感染の治療のために、本発明の化合物を、HCVNS3セリンプロテアーゼの阻害剤である薬剤と組み合わせて投与することができる。HCVNS3セリンプロテアーゼは必須ウイルス酵素であり、HCV複製の阻害のための優れた標的であると記載されている。基質および非基質ベースのHCVNS3プロテアーゼ阻害剤の両方が、国際公開第98/22496号パンフレット、同第98/46630号パンフレット、同第99/07733号パンフレット、同第99/07734号パンフレット、同第99/38888号パンフレット、同第99/50230号パンフレット、同第99/64442号パンフレット、同第00/09543号パンフレット、同第00/59929号パンフレット、英国特許第GB2337262号明細書、国際公開第02/48116号パンフレット、同第02/48172号パンフレットおよび米国特許第6,323,180号明細書に開示されている。
【0064】
リバビリン、レボビリンおよびビラミジンは、細胞内酵素のイノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ(IMPDH)の阻害を介してグアニンヌクレオチドの細胞内プールを調節することによりこれらの抗HCV効果を発揮し得る。IMPDHは、デノボグアニンヌクレオチド生合成における生合成経路についての律速酵素である。リバビリンは、容易に細胞内リン酸化され、一リン酸誘導体はIMPDHの阻害剤である。したがって、IMPDHの阻害はHCV複製の阻害剤の発見に有用な別の標的を表す。したがって、本発明の化合物を、IMPDHの阻害剤、例えば国際公開第97/41211号パンフレットおよび同第01/00622号パンフレット(譲受人Vertex)に開示されているVX−497;別のIMPDH阻害剤、同第00/25780号パンフレット(譲受人Bristol−Myers Squibb)に開示されているもの;またはミコフェノール酸モフェチルと組み合わせて投与することができる[A.C.AllisonおよびE.M.Eugui、Agents Action、44(補遺):165頁(1993)を参照のこと]。
【0065】
HCV感染の治療のために、本発明の化合物を、抗ウイルス剤のアマンタジン(1−アミノアダマンタン)と組み合わせて投与することもできる[この薬剤の包括的な説明については、J.Kirschbaum、Anal.Profiles Drug Subs.12:1−36頁(1983)を参照のこと]。
【0066】
HCV感染の治療のために、本発明の化合物を、抗ウイルス剤のポリメラーゼ阻害剤R7128(Roche)と組み合わせて投与することもできる。
【0067】
本発明の化合物は、HCV感染の治療のために、R.E.Harry−O’Kuruら、J.Org.Chem.、62:1754−1759頁(1997);M.S.Wolfeら、36:Tetrahedron Lett.、36:7611−7614頁(1995);米国特許第3,480,613号明細書(1969年11月25日);国際公開第01/90121号パンフレット(2001年11月29日);国際公開第01/92282号パンフレット(2001年12月6日);および国際公開第02/32920号パンフレット(2002年4月25日);および国際公開第04/002999号パンフレット(2004年1月8日);および国際公開第04/003000号パンフレット(2004年1月8日);および国際公開第04/002422号パンフレット(2004年1月8日)(それぞれの内容は参照により全体として組み込む。)に開示されている抗ウイルス剤の2’−C−分枝鎖リボヌクレオシドと組み合わせることもできる。このような2’−C−分枝鎖リボヌクレオシドは、限定されるものではないが、2’−C−メチル−シチジン、2’−C−メチル−ウリジン、2’−C−メチル−アデノシン、2’−C−メチル−グアノシンおよび9−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−2,6−ジアミノプリン、ならびにリボースC−2’、C−3’およびC−5’ヒドロキシルの対応するアミノ酸エステルおよび場合により置換されている5’リン酸誘導体の対応する環式1,3−プロパンジオールエステルを含む。
【0068】
本発明の化合物は、HCV感染の治療のために、抗HCV特性を有する他のヌクレオシド、例えば国際公開第02/51425号パンフレット(2002年7月4日)(譲受人Mitsubishi Pharma Corp.);同第01/79246号パンフレット、同第02/32920号パンフレット、同第02/48165号パンフレット(2002年6月20日)および同第2005003147号パンフレット(2005年1月13日)(77頁の化合物3−6として示されているR1656、(2’R)−2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルシチジンを含む。)(譲受人Pharmasset,Ltd.);同第01/68663号パンフレット(2001年9月20日)(譲受人ICN Pharmaceuticals);同第99/43691号パンフレット(1999年9月2日);同第02/18404号パンフレット(2002年3月7日)、米国特許出願公開第2005/0038240号明細書(2005年2月17日)および国際公開第2006021341号パンフレット(2006年3月2日)(4’−アジドヌクレオシド、例えばR1626、4’−アジドシチジンを含む。)(譲受人Hoffmann−LaRoche);米国特許出願公開第2002/0019363号明細書(2002年2月14日);国際公開第02/100415号パンフレット(2002年12月19日);同第03/026589号パンフレット(2003年4月3日);同第03/026675号パンフレット(2003年4月3日);同第03/093290号パンフレット(2003年11月13日);米国特許出願公開第2003/0236216号明細書(2003年12月25日);同第2004/0006007号明細書(2004年1月8日);国際公開第04/011478号パンフレット(2004年2月5日)、同第04/013300号パンフレット(2004年2月12日);米国特許出願公開第2004/0063658号明細書(2004年4月1日);および国際公開第04/028481号パンフレット(2004年4月8日)(それぞれの内容は参照により全体として本明細書に組み込む。)に開示されているものと組み合わせることもできる。
【0069】
HCV感染の治療のために、本発明の化合物を、HCVNS5Bポリメラーゼの阻害剤である薬剤と組み合わせて投与することもできる。組合せ療法として使用することができるこのようなHCVNS5Bポリメラーゼ阻害剤は、限定されるものではないが、国際公開第02/057287号パンフレット、米国特許第6,777,395号明細書、国際公開第02/057425号パンフレット、米国特許出願公開第2004/0067901号明細書、国際公開第03/068244号パンフレット、同第2004/000858号パンフレット、同第04/003138号パンフレットおよび同第2004/007512号パンフレット(それぞれの内容は参照により全体として本明細書に組み込む。)に開示されているものを含む。このような他のHCVポリメラーゼ阻害剤は、限定されるものではないが、バロピシタビン(NM−283;Idenix)および2’−F−2’−ベータ−メチルシチジン(同第2005/003147号パンフレット(譲受人Pharmasset,Ltd.)をも参照のこと。)を含む。
【0070】
一実施形態において、本発明のHCVNS3プロテアーゼ阻害剤と組み合わせて使用されるヌクレオシドHCVNS5Bポリメラーゼ阻害剤は、以下の化合物:
4−アミノ−7−(2−C−メチル−β−D−アラビノフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−メチルアミノ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−ジメチルアミノ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−シクロプロピルアミノ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(2−C−ビニル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(2−C−ヒドロキシメチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(2−C−フルオロメチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−5−メチル−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボン酸;4−アミノ−5−ブロモ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−5−クロロ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−5−フルオロ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;2,4−ジアミノ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;2−アミノ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;2−アミノ−4−シクロプロピルアミノ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;2−アミノ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オン;4−アミノ−7−(2−C−エチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(2−C,2−O−ジメチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オン;2−アミノ−5−メチル−7−(2−C,2−O−ジメチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オン;4−アミノ−7−(3−デオキシ−2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(3−デオキシ−2−C−メチル−β−D−アラビノフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−2−フルオロ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(3−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(3−C−メチル−β−D−キシロフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(2,4−ジ−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(3−デオキシ−3−フルオロ−2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;および対応する5’−トリホスフェート;または医薬として許容されるこれらの塩から選択される。
【0071】
本発明の化合物は、HCV感染の治療のために、HCVポリメラーゼの非ヌクレオシド阻害剤、例えば国際公開第01/77091号パンフレット(2001年10月18日)(譲受人Tularik,Inc.);同第01/47883号パンフレット(2001年7月5日)(譲受人Japan Tobacco,Inc.);同第02/04425号パンフレット(2002年1月17日)(譲受人Boehringer Ingelheim);同第02/06246号パンフレット(2002年1月24日)(譲受人Istituto di Ricerche di Biologia Moleculare P.Angeletti S.P.A.);同第02/20497号パンフレット(2002年3月3日);同第2005/016927号パンフレット(特に、JTK003)(譲受人Japan Tobacco,Inc.)(それぞれの内容は参照により全体として本明細書に組み込む。)に開示されているもの;およびHCV−796(Viropharma Inc.)と組み合わせることもできる。
【0072】
一実施形態において、本発明のHCVNS3プロテアーゼ阻害剤と組み合わせて使用される非ヌクレオシドHCVNS5Bポリメラーゼ阻害剤は、以下の化合物:
14−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−6−(2−モルホリン−4−イルエチル)−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−3−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−3−メトキシ−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;メチル({[(14−シクロヘキシル−3−メトキシ−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−イル)カルボニル]アミノ}スルホニル)アセテート;({[(14−シクロヘキシル−3−メトキシ−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−イル)カルボニル]アミノ}スルホニル)酢酸;14−シクロヘキシル−N−[(ジメチルアミノ)スルホニル]−3−メトキシ−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキサミド;3−クロロ−14−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン11−カルボン酸;N’−(11−カルボキシ−14−シクロヘキシル−7,8−ジヒドロ−6H−インドロ[1,2−e][1,5]ベンゾオキサゾシン−7−イル)−N,N−ジメチルエタン−1,2−ジアミニウムビス(トリフルオロアセテート);14−シクロヘキシル−7,8−ジヒドロ−6H−インドロ[1,2−e][1,5]ベンゾオキサゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−6−メチル−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−3−メトキシ−6−メチル−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−3−メトキシ−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−6−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−7−オキソ−6−(2−ピペリジン−1−イルエチル)−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−6−(2−モルホリン−4−イルエチル)−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−6−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−6−(1−メチルピペリジン−4−イル)−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−N−[(ジメチルアミノ)スルホニル]−7−オキソ−6−(2−ピペリジン−1−イルエチル)−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキサミド;14−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−[(ジメチルアミノ)スルホニル]−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキサミド;14−シクロペンチル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;6−アリル−14−シクロヘキシル−3−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロペンチル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;13−シクロヘキシル−5−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロフロ[3’,2’:6,7][1,4]ジアゾシノ[1,8−a]インドール−10−カルボン酸;15−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−7−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−インドロ[2,1−a][2,6]ベンゾジアゾニン−12−カルボン酸;15−シクロヘキシル−8−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−インドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾニン−12−カルボン酸;13−シクロヘキシル−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[1,2−d][1,4]ベンゾジアゼピン−10−カルボン酸;および医薬として許容されるこれらの塩から選択される。
【0073】
本発明のHCVNS3プロテアーゼ阻害活性は、当該分野において公知のアッセイを使用して試験することができる。このようなアッセイの1つは、以下に記載され、国際特許出願公開第2006/102087号パンフレットに記載されているHCVNS3プロテアーゼ時間分割蛍光(TRF)アッセイである。このようなアッセイの他の例は、例えば国際特許出願公開第2005/046712号パンフレットに記載されている。HCVNS3プロテアーゼ阻害剤、例えば本明細書に記載されているものは、50μM未満、例えば10μM未満、100nM未満のKiを有する。Kiは、NS3プロテアーゼアッセイにより決定する。このアッセイは、50mMのHEPES(pH7.5)、150mMのNaCl、15%のグリセロール、0.15%のTritonX−100、10mMのDTTおよび0.1%のPEG8000を含有するアッセイ緩衝液中で100μlの最終容量で実施する。NS3プロテアーゼは、種々の濃度の阻害剤とDMSO中で30分間予備温置する。反応は、TRFペプチド基質(最終濃度100nM)を添加することにより開始させる。NS3に媒介される基質の加水分解は、100μlの500mMのMES(pH5.5)により室温で1時間後にクエンチさせる。生成物の蛍光は、VICTOR V2またはFUSION蛍光光度計(Perkin Elmer Life and Analytical Sciences)のいずれかを使用して、励起340nmおよび発光615nmで、400μ秒の遅延で検出する。種々の酵素形態の試験濃度は、シグナルとバックグラウンドとの比(S/B)が10−30になるように選択する。IC50値は、標準的な4パラメータフィットをデータに使用して得る。K値は、以下の式
IC50=K(1+[S]/K) 式(1)
(式中、[S]は、反応における基質ペプチドの濃度であり、Kは、ミカエリス定数である。)を使用してIC50値から得る。P.Gallinariら、38 BIOCHEM.5620−5632頁(1999);P.Gallirariら、72 J.VIROL.6758−6769頁(1998);M.Talianiら、240 ANAL.BIOCHEM.60−67頁(1996)を参照のこと。
【0074】
本発明の化合物の調製に使用される中間体Cは、スキーム1−3に略述されているとおりに調製することができる。
【0075】
以下のスキームにおいて、すべての可変部は、特に記載のない限り、上記定義のとおりである。Rは、特に記載のない限り、C1−6アルキルである。
【0076】
適切に置換されているキノリン誘導体3を保護(PG)(例えば、Boc)シス−4−ヒドロキシプロリンメチルエステルのブロシレート2と反応させることにより、カップリングされた生成物4を得る(スキーム1)。同じ中間体は、Mitsunobuカップリング条件(Mitsunobu、Synthesis 1981、1−28頁)を利用して、適切に置換されているキノリン誘導体1をN−保護シス−4−ヒドロキシプロリンメチルエステルと直接反応させることにより調製することができる。次いで、ハロキノリン4のビニル化を、トルエン、DMF、DMSO、THFのような溶媒中でのビニルトリブチルスズおよび適切なパラジウム触媒、例えばPd(PPhとの反応:エタノールまたは他の好適な溶媒中での、アミン塩基、例えばトリエチルアミンと組み合わせるカリウムビニルトリフオロボレートおよび適切なパラジウム触媒(例えば、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタンアダクト)との反応:適切な溶媒中でのエチレンおよび好適なパラジウム触媒とのHeck反応を含む多くの種々の手段において実施することができる。このビニル化段階は、合成順序における代替箇所で実施することもできることは当業者には明らかである。BOC保護基の場合において、5のBOC基は、酸、例えば、好適な溶媒、例えばジオキサンもしくは酢酸エチル中のHClまたは無希釈であるもしくはジクロロメタンのような溶媒で希釈されているトリフルオロ酢酸による処理により除去して6を提供することができる。
【0077】
【化11】

【0078】
イソキノリン部分を有する中間体Cは、スキーム2に略述されているとおりに調製することができる。N−保護(例えば、BOC)トランス4−ヒドロキシプロリン(7)の反応は、適切な溶媒(DMSO、THFまたはこれらの混合物)中での塩基(例えば、KOtBu)によるジアニオンの形成および好適に置換されている1−クロロイソキノリン(8)によるクエンチングにより達成することができる。PG=BOCの場合において、単一段階において、好適なアルコール、例えばエタノール中のHClによる処理により生成物9のプロリン保護基を除去し、酸をエステル化してBOC保護アミンの再形成後に10を生じさせることができる。次いで、ビニル化およびBOC保護基の除去をスキーム1の中間体のために記載のとおりに実施して11を提供することができる。
【0079】
【化12】

【0080】
イソインドリン部分を含有する中間体Cは、スキーム3に略述したとおりに調製することができる。適切なハロイソインドリン13は、例えば、ボランによる、ハロ置換されている適切なフタルイミド12の還元により形成することができまたは代替的に、適切なハロ−キシレン(例えば、3−ブロモ−o−キシレン)を、N−ブロモスクシンイミドを利用して2箇所臭素化し、次いで溶媒(例えば、アセトニトリル)中での有機または無機塩基(例えば、重炭酸カリウム)の存在下でのアミン、例えばベンジルアミンによる処理により環を閉じることができる。次いで、得られたイソインドリン14のベンジル基を、例えばα−クロロエチルクロロホルメート(ACE−Cl)により処理し、次いでアルコール(例えば、メタノール)により処理することにより除去することができる。次いで、ハロイソインドリン13を、場合によりアミン塩基、例えばトリエチルアミンの存在下でN−保護(例えば、BOC)トランス−4−ヒドロキシプロリンメチル(またはエチル)エステル(15)をカルボニルジイミダゾール、ホスゲンまたはトリホスゲンにより処理し、次いでハロイソインドリンを添加することにより、N−保護(例えば、BOC)トランス−4−ヒドロキシプロリンメチル(またはエチル)エステル(15)とカップリングさせることができる。次いで、18を得るための、得られたカップリング生成物16から17へのビニル化およびプロリン保護基の除去は、スキーム1の化合物のために記載のとおりに実施することができる。
【0081】
【化13】

【0082】
次いで、中間体Cを、多くの代替的手順により本発明の化合物に変換することができる。これらの最初の手順(スキーム4)において、中間体Cは、標準的なペプチドカップリング試薬、例えばEDC、HATUまたはBOPを使用して2(S)−t−ブトキシカルボニルアミノ−ノン−8−エン酸(Acme Bioscience Inc.)のアルケニルカルバメート誘導体(この誘導体はプロリン誘導体19とカップリングさせる。)とカップリングさせて中間体20を生じさせる。プロリンエステルの加水分解および(1R,2S)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸(Beaulieuら、70 J.Org.Chem.5869−5879頁(2005))とのカップリングによりテトラオレフィン21を得て、テトラオレフィン21を2箇所の閉環メタセシス反応に供して22を生じさせる。次いで、ビス大環状物22を加水分解してカルボン酸生成物23を生じさせ、カルボン酸生成物23から、例えばN,N’−カルボニルジイミダゾールによるカルボン酸の活性化およびシクロプロパン(cyclopropyane)スルホンアミドとの反応を介して、対応するアシルスルホンアミド24を得る。この方法についての変法において、エステル20を加水分解し、(1R,2S)−1−アミノ−N−(シクロプロピルスルホニル)−2−ビニルシクロプロパンカルボキサミド(X.A.Wangら、国際特許出願公開第2003/099274号パンフレット)とカップリングさせ、大環状化させてアシルスルホンアミド24を直接生じさせることができる。
【0083】
【化14】

【0084】
ハロ置換されているプロリン−A中間体25(スキーム5)を使用することにより、大環状物を順次的な様式において構築することができる(スキーム5)。したがって、プロリン誘導体25を、2(S)−t−ブトキシカルボニルアミノ−ノン−8−エン酸(Acme Bioscience Inc.)とカップリングさせて26を得て、次いでプロリンエステルを加水分解し、(1R,2S)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸(Beaulieuら、70 J.Org.Chem.5869−5879頁(2005))とカップリングさせてビスオレフィン27を得る。適切なルテニウムまたは他の金属触媒による閉環メタセシスによる大環状化により、大環状物28を得る。この工程では、大環状オレフィンの水素化を場合により実施することができる。BOC基を酸により開裂させ、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ホスゲンまたはトリホスゲンにより活性化された適切な不飽和アルコールとの反応により不飽和カルバメートを形成させ、29をもたらす。次いで、30を生じさせるための29のビニル化を、トルエン、DMF、DMSO、THFのような溶媒中でのビニルトリブチルスズおよび適切なパラジウム触媒、例えばPd(PPhとの反応:エタノールまたは他の好適な溶媒中での、アミン塩基、例えばトリエチルアミンと組み合わせるカリウムビニルトリフオロボレートおよび適切なパラジウム触媒(例えば、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタンアダクト)との反応:適切な溶媒中でのエチレンおよび好適なパラジウム触媒とのHeck反応を含む多くの種々の手段において実施することができる。次いで、第2の大環状化を適切なルテニウムまたは他の金属触媒により実施して、加水分解後、ビス大環状カルボン酸31を得ることができる。次いで、これを対応するアシルスルホンアミド32に上記略述したとおりに変換させることができる。
【0085】
【化15】

【0086】
オレフィンメタセシス触媒は、以下のルテニウムベースの種類を含む:F.Millerら、118 J.AM.CHEM.SOC.9606頁(1996);G.Kingsburyら、121 J.Am.Chem.Soc.791頁(1999);H.Schollら、1 ORG.LETT.953頁(1999);米国特許出願公開第2002/0107138号明細書;K.Furstnerら、64 J.ORG.CHEM.8275頁(1999)。閉環メタセシスにおけるこれらの触媒の有用性は、文献において十分公知である(例えば、TrnkaおよびGrubbs、34 ACC.CHEM.RES.18頁(2001)。
【0087】
【化16】

【0088】
略語一覧
BOP ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
ブロシル 4−ブロモベンゼンスルホニル
塩化ブロシル 塩化4−ブロモベンゼンスルホニル
CHCN アセトニトリル
DBU 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン
DCC ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCE ジクロロエタン
DCM ジクロロメタン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン(Diisoproylethylamine)
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDC N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド
EtN トリエチルアミン
EtO ジエチルエーテル
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HBr 臭化水素酸
HCl 塩酸
HOAc 酢酸
HOAt 1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
LiOH 水酸化リチウム
MeOH メタノール
MgSO 硫酸マグネシウム
MTBE メチルt−ブチルエーテル
NaSO 硫酸ナトリウム
NaHCO 重炭酸ナトリウム
NaOH 水酸化ナトリウム
NHCl 塩化アンモニウム
NHOH 水酸化アンモニウム
Pd/C 炭素上のパラジウム
Pd(PPh テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)
PhMe トルエン
PPh トリフェニルホスフィン
PPTS ピリジウムp−トルエンスルホネート
RT 室温
TBTU O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’,−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート
THF テトラヒドロフラン
【0089】
中間体の合成:
【0090】
【表1】

【0091】
中間体B
中間体B1:(2S)−2−{[(ペント−4−エン−1−イルオキシ)カルボニル]アミノ}ノン−8−エン酸
【0092】
【化17】

【0093】
段階1:エチル(2S)−2−アミノノン−8−エノエート塩酸塩
【0094】
【化18】

【0095】
(2S)−2−[(t−ブトキシカルボニル)アミノ]ノン−8−エン酸(ACME Bioscience Inc)(1.00g、3.69mmol)のEtOH(10ml)中攪拌溶液を、HClガスにより飽和させた。混合物をRTで2時間攪拌し、次いで濃縮して表題化合物(0.85g)を生じさせた。LRMS(ESI)m/z200.4[(M+H);C1122NOについての計算値:200.2]。
【0096】
段階2:エチル(2S)−2−{[(ペント−4−エン−1−イルオキシ)カルボニル]アミノ}ノン−8−エノエート
【0097】
【化19】

【0098】
ペント−4−エン−1−オール(0.62g、7.21mmol)およびDIPEA(1.26mL、7.21mmol)の無水1,4−ジオキサン(20ml)中攪拌溶液に、10℃で窒素下で、トリホスゲン(0.75g、2.52mmol)の無水1,4−ジオキサン(20mL)中溶液をゆっくりと添加した。反応混合物をRTで1時間攪拌し、エチル(2S)−2−アミノノン−8−エノエートHCl(0.85g、3.61mmol)および1MのNaOH水溶液(7.21ml、7.21mmol)を添加し、反応混合物を50℃に15時間加熱した。RTに冷却した後、反応混合物を1MのNaOH水溶液によりpH8に塩基性化し、エーテル(3×200ml)により抽出した。合わせた有機相を水(100mL)、ブライン(50mL)により洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲル上でクロマトグラフィー(ヘキサン中5から75%のEtOAc)にかけて表題化合物(0.96g)を生じさせた。LRMS(ESI)m/z312.5[(M+H);C1730NOについての計算値:312.2]。
【0099】
段階3:(2S)−2−{[(ペント−4−エン−1−イルオキシ)カルボニル]アミノ}ノン−8−エン酸
エチル(2S)−2−{[(ペント−4−エン−1−イルオキシ)カルボニル]アミノ}ノン−8−エノエート(0.96g、3.08mmol)のTHF(20mL)、EtOH(1mL)および1MのLiOH水溶液(21.58mL、21.58mmol)中溶液を、RTで2時間攪拌した。反応混合物を1NのHCl水溶液によりpH5に酸性化し、エーテル(3×100mL)により抽出した。合わせたエーテル層を水(100mL)、ブライン(50mL)により洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して表題化合物(0.80g)を生じさせた。LRMS(ESI)m/z284.4[(M+H);C1526NOについての計算値:284.2]。
【0100】
段階2のペンテン−4−オールに代えて適切なアルコールを用いることにより、以下の中間体を調製することができる。
【0101】
【表2】


【0102】
中間体B10:N−ヘプト−6−エノイル−3−メチル−L−バリン
【0103】
【化20】

【0104】
段階1:メチルN−ヘプト−6−エノイル−3−メチル−L−バリネート
【0105】
【化21】

【0106】
L−t−ロイシンメチルエステル(1.00g、6.89mmol)、6−ヘプテン酸(1.06g、8.26mmol)、EDC(1.58g、8.26mmol)およびHOAt(1.23g、8.26mmol)のDMF(10mL)中溶液を、RTで2時間攪拌した。反応混合物を飽和NaHCO水溶液(30mL)により希釈し、EtOAc(3×50mL)により抽出した。合わせた有機層を水(3×30mL)、ブライン(20mL)により洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカ上でクロマトグラフィー(5−50%EtOAc/ヘキサン)にかけて表題化合物(1.42g)を生じさせた。LRMS(ESI)m/z256.3[(M+H);C1426NOについての計算値:256.2]。
【0107】
段階2:N−ヘプト−6−エノイル−3−メチル−L−バリン
メチルN−ヘプト−6−エノイル−3−メチル−L−バリネート(1.40g、5.48mmol)のTHF(10mL)および1NのNaOH(10mL)中溶液を、RTで2時間攪拌した。反応混合物を1NのHClによりpH3に酸性化し、EtOAc(3×150mL)により抽出した。合わせた有機相を水(50mL)、ブライン(50mL)により洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して表題化合物(1.12g)を生じさせた。LRMS(ESI)m/z242.3[(M+H);C1324NOについての計算値:242.2]。
【0108】
適切なカルボン酸をメチル(2S)−2−アミノノン−8−エノエート(Rosenquistら、国際特許出願公開第2005/073216号パンフレット)と組み合わせて代用して上述の化学物質を利用することにより、以下の中間体を調製することができる。
【0109】
【表3】

【0110】
以下の中間体Bは、適切なアルコールを使用して中間体C1(以下)のために挙げられている手順により調製した。
【0111】
【表4】

【0112】
中間体B15:(2S)−2−({[(2,2−ジメチルペント−4−エン−1−イル)(メチル)アミノ]カルボニル}アミノ)ノン−8−エン酸
【0113】
【化22】

【0114】
段階1:2,2−ジメチルペント−4−エンニトリル
【0115】
【化23】

【0116】
n−ブチルリチウム(80mL、200mmol)を、THF(250mL)およびジイソプロピルアミン(28.5mL、200mmol)の溶液に−78℃で添加した。反応混合物を1時間攪拌し、次いで0℃に加温し、1時間攪拌した。THF(30mL)中のイソブチロニトリル(17.9mL、200mmol)を滴加した。反応混合物を30分間攪拌し、内部温度を<10℃に保持しながら臭化アリル(18.2mL、210mmol)のTHF(30mL)中溶液を添加した。反応混合物を0℃で18時間熟成させ、次いで水中に注いだ。混合物をEtO(3×)により抽出し;合わせた有機物をブラインにより洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(95:5ヘキサン/EtOAc)により精製して表題化合物を生じさせた。H NMR(CDCl):δ5.90−5.83(m,1H)、5.24−5.17(m,2H)、2.27−2.27(m,2H)、1.34(s,6H)ppm。
【0117】
段階2:2,2−ジメチルペント−4−エン−1−アミン
【0118】
【化24】

【0119】
EtO(200mL)中の2,2−ジメチルペント−4−エンニトリル(14.4g、132mmol)を、水素化アルミニウムリチウムの溶液(1M、200mL、200mmol)に−10℃で添加した。反応混合物を加熱還流し、18時間攪拌した。混合物を−10℃に冷却し、水(6mL)、2MのNaOH(6mL)および水(12mL)の滴加によりクエンチさせた。混合物を濾過し、濃縮して表題化合物を生じさせた。H NMR(CDCl):δ5.86−5.78(m,1H)、5.05−5.01(m,2H)、2.46(s,2H)、1.99−1.97(m,2H)、0.86(s,6H)ppm。
【0120】
段階3:メチル(2,2−ジメチルペント−4−エン−1−イル)カルバメート
【0121】
【化25】

【0122】
窒素下の1Lの丸底フラスコに、2,2−ジメチルペント−4−エン−1−アミン(9.86g、87mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(16.73ml、96mmol)およびDCM(100mL)を入れ、0℃に冷却した。メチルクロロホルメート(7.08mL、91mmol)のDCM(50mL)中溶液を滴加した。反応混合物をRTに加温し、24時間攪拌し、水中に注いだ。混合物をEtOAc(3×)により抽出した。合わせた有機物分をブラインにより洗浄し、無水MgSOにより乾燥させ、濾過し、溶媒を回転蒸発により濾液から除去した。粗製生成物を、70ヘキサン/30EtOAcにより溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を生じさせた。H NMR(CDCl):δ5.85−5.79(m,1H)、5.06−5.02(m,2H)、4.46(s,1H)、3.67(s,3H)、3.02−3.00(m,2H)、1.98−1.96(m,2H)、0.88(s,6H)ppm。
【0123】
段階4:N−2,2−トリメチルペント−4−エン−1−アミン
【0124】
【化26】

【0125】
メチル(2,2−ジメチルペント−4−エン−1−イル)カルバメート(8.00g、46.7mmol)のEtO(100ml)中溶液を、水素化アルミニウムリチウムの溶液(1M、100ml、100mmol)に0℃で添加し、得られた溶液をRTに加温し、次いで加熱還流した。24時間後、溶液をRTに冷却し、4mLの水、8mLの2MのNaOH、8mLの水を順次添加することによりクエンチさせた。次いで、溶液を濾過し、濃縮して表題化合物を生じさせた。H NMR(CDCl):δ5.89−5.79(m,1H)、5.04−4.99(m,2H)、2.43(s,3H)、2.33(s,2H)、2.01−1.99(m,2H)、0.90(s,6H)ppm。
【0126】
段階5:エチル(2S)−2−イソシアナトノン−8−エノエート
【0127】
【化27】

【0128】
(2S)−1−エトキシ−1−オキソノナン−2−アミニウムクロリド(4.00g、16.97mmol)およびDCM(80ml)の溶液を、0℃に冷却した。飽和NaHCOの溶液(80.0ml、84mmol)を添加し、次いでトリホスゲン(1.662g、5.60mmol)を添加した。反応混合物を0℃で1時間攪拌し、次いで層を分離した。水層をDCM(3×)により抽出した。合わせた有機物分をブラインにより洗浄し、MgSOにより乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(80:20ヘキサン/EtOAc)にかけて表題化合物を生じさせた。
【0129】
段階6:エチル(2S)−2−({[(2,2−ジメチルペント−4−エン−1−イル)(メチル)アミノ]カルボニル}アミノ)ノン−8−エノエート
【0130】
【化28】

【0131】
N,2,2−トリメチルペント−4−エン−1−アミン(0.847g、6.66mmol)を、エチル(2S)−2−イソシアナトノン−8−エノエート(1.50g、6.66mmol)およびTHF(10ml)の溶液に添加し、溶液を1時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配溶出、ヘキサン中の20−30%EtOAc)により精製して表題化合物を生じさせた。LRMS(M+1)=353.4。
【0132】
段階7:(2S)−2−({[(2,2−ジメチルペント−4−エン−1−イル)(メチル)アミノ]カルボニル}アミノ)ノン−8−エン酸
LiOH(66mmol)を、エチル(2S)−2−({[(2,2−ジメチルペント−4−エン−1−イル)(メチル)アミノ]カルボニル}アミノ)ノン−8−エノエート(2.35g、6.67mmol)のMeOH(20mL)、水(10mL)およびTHF(30mL)中溶液に添加した。反応混合物をRTで3時間攪拌し、次いで濃縮した。5%重硫酸カリウム溶液を添加し、混合物をEtOAc(3×)により抽出した。合わせた有機物をブラインにより洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して表題化合物を生じさせた。LRMS(M+H)=325.3。
【0133】
中間体B16:(2S)−2−({[(3S)−3−(ペント−4−エン−1−イルオキシ)ピロリジン−1−イル]カルボニル}アミノ)ノン−8−エン酸
【0134】
【化29】

【0135】
中間体B16は、中間体B15の段階6および7のために記載されている手順により、段階6のN,2,2−トリメチルペント−4−エン−1−アミンに代えて(3S)−3−(ペント−4−エン−1−イルオキシ)ピロリジンを使用して調製した。LRMS(M+H)=353.2。
【0136】
中間体C
中間体C1:メチル(4R)−4−[(7−メトキシ−2−フェニル−6−ビニルキノリン−4−イル)オキシ]−L−プロリネート塩酸塩
【0137】
【化30】

【0138】
段階1:エチル3−(メチルアミノ)−3−フェニルアクリレート
【0139】
【化31】

【0140】
エチルベンゾイルアセテート(30g、156mmol)およびメチルアミン(THF中2M、390mL,780mmol)のEtOH(150mL)中溶液に、酢酸(44.7mL、780mmol)を添加した。反応混合物を、15時間攪拌しながら加熱還流した。反応混合物を冷却し、濃縮し、DCMおよび1MのHClに配した。相を分離し、有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して表題化合物(32g)を生じさせ、さらに精製することなく使用した。
【0141】
段階2:エチル3−[(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)アミノ]−3−フェニルアクリレート
【0142】
【化32】

【0143】
段階1からの生成物(31.3g、152mmol)および4−ブロモ−3−メトキシアニリン(28g、139mmol)のDCM(700mL)中溶液に、PPTS(38.3g、152mmol)を添加した。混合物を、20時間攪拌しながら加熱還流し、冷却し、固体を濾過により除去し、DCMにより洗浄した。濾液を濃縮し、シリカ(10%から50%のDCM/ヘキサン)上で精製して表題化合物(49g)を生じさせた。LRMS(M+H)計算値:376.0;実測値376.2。
【0144】
段階3:6−ブロモ−7−メトキシ−2−フェニルキノリン−4(1H)−オン
【0145】
【化33】

【0146】
DOWTHERM A(450mL)を加熱還流した(約300℃)。DOWTHERM A(50mL)中の段階2からの生成物(49g、130mmol)の混合物を、加熱したDowtherm Aに分けて添加し、添加完了後に混合物を30分間還流攪拌した。混合物をRTに冷却し;ヘキサン(400mL)を添加し;混合物を30分間攪拌し、濾過し、固体をヘキサンにより洗浄して表題化合物(38g)を生じさせた。LRMS(M+H)計算値:330.0;実測値330.2。
【0147】
段階4:1−t−ブチル2−メチル(2S,4S)−4−{[(4−ブロモフェニル)スルホニル]オキシ}ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート
【0148】
【化34】

【0149】
1−t−ブチル2−メチル(2S,4S)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(2.15g、8.76mmol)およびDABCO(1.57g、14.0mmol)のPhMe(10mL)中溶液に、RTで、塩化ブロシル(3.14g、12.3mmol)のPhMe(5mL)中溶液を添加した。白色沈殿物が形成し、反応混合物を20分間攪拌し、濾過した。濾液をEtOAcおよび飽和NaHCO水溶液に配し;層を分離し;有機相を1MのHCl、水およびブラインにより洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して表題化合物を油状物(4.0g)として得て、表題化合物をさらに精製することなく使用した。LRMS(M+Na)計算値:488;実測値488。
【0150】
段階5:1−t−ブチル2−メチル(2S,4R)−4−[(6−ブロモ−7−メトキシ−2−フェニルキノリン−4−イル)オキシ]ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート
【0151】
【化35】

【0152】
段階4からの生成物(19.4g、41.7mmol)および6−ブロモ−7−メトキシ−2−フェニルキノリン−4(1H)−オン(段階3、13.5g、40.9mmol)のN−メチルピロリジン(200mL)中溶液に、炭酸セシウム(20.0g、61.3mmol)を添加した。次いで、反応混合物を15時間攪拌しながら45℃で加熱し、RTに冷却した。反応混合物をEtOAcおよび水中に注ぎ、白色固体を濾過により除去した。層を分離し、有機相を飽和NaHCO水溶液、水およびブラインにより洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカ(勾配溶出、ヘキサン中10%から50%のEtOAc)上で精製して表題化合物(21.0g)を淡黄色固体として生じさせた。LRMS(M+H)計算値:557.1;実測値557.3。
【0153】
段階6:1−t−ブチル2−メチル(2S,4R)−4−[(7−メトキシ−2−フェニル−6−ビニルキノリン−4−イル)オキシ]ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート
【0154】
【化36】

【0155】
段階5からの生成物(14.0g、21.5mmol)のEtOH(300mL)中溶液に、カリウムビニルトリフルオロボレート(5.05g、37.7mmol)、EtN(5.25mL、37.7mmol)およびPdCl(dppf)−DCMアダクト(1025mg、1.26mmol)を添加した。次いで、反応混合物を1.5時間加熱還流して、RTに冷却し、濃縮し、EtOAcおよび水に配した。層を分離し、有機相をNaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカ(勾配溶出、ヘキサン中10%から80%のEtOAc)上で精製して表題化合物(10.4g)を生じさせた。LRMS(M+H)計算値:505.2;実測値505.5。
【0156】
段階7:メチル(4R)−4−[(7−メトキシ−2−フェニル−6−ビニルキノリン−4−イル)オキシ]−L−プロリネート塩酸塩
段階6からの生成物(10.4g、20.6mmol)のジオキサン(300mL)中溶液を0℃に冷却し、HClを溶液に通して20分間バブリングした。反応混合物をRTに加温し、さらに2時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、EtO(150mL)を添加し、混合物を1時間攪拌した。濾過により、表題化合物(9.0g)を黄色固体として生じさせ、表題化合物をさらに精製することなく使用した。LRMS(M+H)計算値:405.2;実測値405.3。
【0157】
中間体C2:メチル(2S,4R)−4−[(7−メトキシ−2−オキソ−6−ビニル−1,2−ジヒドロキノリン−4−イル)オキシ]ピロリジン−2−カルボキシレート
【0158】
【化37】

【0159】
段階1:6−ブロモ−4−ヒドロキシ−7−メトキシキノリン−2(1H)−オン
【0160】
【化38】

【0161】
4−ブロモ−3−メトキシアニリン(10g、49.5mmol)およびマロン酸(5.15g、49.5mmol)の混合物に、POCl(5.07ml、54.4mmol)を十分に混合しながら添加し、次いでこれを105℃に加熱した。5分後、反応物は激しく泡立ち始め、最終的に硬質泡状物を形成し、加熱を1時間継続した。冷却後、水(200mL)を添加し、混合物を30分間攪拌した。固体を濾別し、水により洗浄した。固体に2NのNaOH(300mL)を添加し、攪拌を一晩継続した。残留固体を濾別し、次いでEtOH(5mL)を濾液に添加し、塩基性の層を濃縮HClによりpH2に酸性化した。次いで、得られた固体を濾別し、水により洗浄した。次いで、固体をフラスコに移し、残留水をEtOH(200mL×2)による共沸により除去した。次いで、固体を高真空下で15時間さらに乾燥させて8.75gの表題化合物をオフホワイトの固体としてもたらした。LRMS ESI(M+H)計算値:270.2;実測値272.2。
【0162】
段階2:1−t−ブチル2−メチル(2S,4R)−4−[(6−ブロモ−7−メトキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−4−イル)オキシ]ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート
【0163】
【化39】

【0164】
下の1−t−ブチル2−メチル(2S,4S)−4−{[(4−ブロモフェニル)スルホニル]オキシ}ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(4g、8.61mmol)および段階1からの生成物(3.49g、12.92mmol)のNMP(86mL)中溶液に、CsCO(8.42g、25.8mmol)を添加し、混合物を60℃に加熱した。6.5時間後、反応物をRTに冷却し、水およびEtOAcに配した。有機層を水およびブラインにより洗浄し、MgSO上で乾燥させ、溶媒を蒸発させた。粗製生成物(6.5g)をシリカ(勾配溶出、0−100%EtOAc/ヘキサン、次いで0−5%MeOH/DCM)上で精製して2.26gの表題化合物をもたらした。LRMS ESI((M−Boc)+H)計算値397.3 実測値399.3。
【0165】
段階3:1−t−ブチル2−メチル(2S,4R)−4−[(7−メトキシ−2−オキソ−6−ビニル−1,2−ジヒドロキノリン−4−イル)オキシ]ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート
【0166】
【化40】

【0167】
段階2からの生成物(2.26g、4.54mmol)のEtOH(45.4mL)中溶液に、カリウムビニルトリフルオロボレート(0.913g、6.82mmol)、EtN(0.950mL、6.82mmol)およびPdCl(dppf)−DCMアダクト(0.186g、0.227mmol)を添加した。次いで、反応混合物を1時間加熱還流し、RTに冷却し;揮発物を真空中で蒸発させ;残留物をEtOAcおよび水に配した。有機相をMgSO上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。粗製物質をシリカ(勾配溶出、0−5%MeOH/DCM)上で精製して2.0gの表題化合物をもたらした。LRMS ESI((M−Boc)+H)345.3。
【0168】
段階4:メチル(4R)−4−[(7−メトキシ−2−オキソ−6−ビニル−1,2−ジヒドロキノリン−4−イル)オキシ]−L−プロリネート塩酸塩
【0169】
【化41】

【0170】
段階3からの生成物(2.02g、4.54mmol)に、HCl(ジオキサン中4M)(22.7mL、91mmol)をRTで添加した。1.5時間後、溶媒を真空中で除去した。残留物をEtO中に取り、溶媒を真空中で除去して1.73gの表題化合物を黄褐色固体としてもたらした。LRMS ESI(M+H)345.4。
【0171】
中間体C3:エチル(4R)−4−[(7−ブロモ−6−メトキシイソキノリン−1−イル)オキシ]−L−プロリネート塩酸塩
【0172】
【化42】

【0173】
段階1:(2E)−3−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)アクリル酸
【0174】
【化43】

【0175】
1−ブロモ−4−ヨード−2−メトキシベンゼン(L.A.Hasvoldら、米国特許出願公開第2004/0254159号明細書、実施例57B)(33.45g、107mmol)のMeCN(100mL)中溶液に、アクリル酸(9.61g、133mmol)、EtN(37.2mL、267mmol)および酢酸パラジウム(719mg、3.2mmol)を添加した。反応混合物を90℃に40分間加熱し、RTに冷却し、2.4Lの1MのHCl中に注いだ。30分間攪拌した後、固体を濾過し、EtOH(230mL)中に懸濁させ、加熱還流し、一晩攪拌しながらRTに冷却させた。固体を濾過し、1:1のEtOHヘキサン(50mL)により洗浄して表題化合物を生じさせた。LRMS ESI(M+H)257.0。
【0176】
段階2:7−ブロモ−6−メトキシイソキノリン−1(2H)−オン
【0177】
【化44】

【0178】
段階1からの生成物の一部(12.5g、48.6mmol)をベンゼンにより共沸させ、ベンゼン(94mL)中に再懸濁させた。EtN(9.49mL、68.1mmol)およびジフェニルホスホリルアジド(10.48mL、48.6mmol)を添加し、反応混合物をRTで1時間攪拌した。次いで、反応混合物をシリカのパッドに通して濾過し、約1LのPhMeにより溶出させ;揮発物を蒸発させ;残留物をジフェニルメタン(94mL)中に再懸濁させ;混合物を3時間加熱還流した(内部温度250℃)。反応混合物をRTに冷却させ、一晩攪拌し、濾過し、固体をヘキサン(100mL)により洗浄して黄褐色固体(7.4g)を生じさせた。LRMS ESI(M+H)254.1。
【0179】
段階3:7−ブロモ−1−クロロ−6−メトキシイソキノリン
【0180】
【化45】

【0181】
オキシ塩化リン(30mL)中の段階2からの生成物(4.7g、18.5mmol)の混合物を2時間加熱還流し、RTに冷却し;揮発物を蒸発させ、残留物を3MのNaOHおよびDCMに配した。有機相をNaSO上で乾燥させ;溶媒を蒸発させ;固体をEtO(20mL)により粉砕し、濾過して表題化合物(3.75g)を生じさせた。LRMS ESI(M+H)274.0。
【0182】
段階4:エチル(4R)−4−[(7−ブロモ−6−メトキシイソキノリン−1−イル)オキシ]−L−プロリネート塩酸塩
【0183】
【化46】

【0184】
カリウムt−ブトキシド(618mg、5.5mmol)を、BOCトランス−4−ヒドロキシプロリン(424mg、1.83mmol)のDMSO(10mL)中攪拌溶液にRTで添加した。反応混合物を30分間攪拌し、15℃に冷却し、段階3からの生成物(500mg、1.83mmol)を添加した。反応混合物を一晩攪拌し、氷冷10%クエン酸およびEtOAcに配した。有機相を水およびブラインにより洗浄し、NaSO上で乾燥させ、溶媒を蒸発させた。粗製生成物をEtOH(100mL)中に溶解させ、0℃に冷却し、HClを飽和するまでバブリングした。反応混合物をRTに加温させ、24時間攪拌した。揮発物を蒸発させ、残留物をEtOH(4×)により共沸させて表題化合物を黄褐色固体(555mg)として生じさせた。LRMS ESI(M+H)395.0。
【0185】
中間体C4:(3R,5S)−5−(メトキシカルボニル)ピロリジン−3−イル4−ビニル−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−カルボキシレート塩酸塩
【0186】
【化47】

【0187】
段階1:1−ブロモ−2,3−ビス(ブロモメチル)ベンゼン
【0188】
【化48】

【0189】
3−ブロモ−o−キシレン(196g、1.06mol)、N−ブロモスクシンイミド(377g、2.15mol)および過酸化ベンゾイル(0.26g、1.0mmol)の四塩化炭素(1800mL)中懸濁液を、窒素下で15時間加熱還流した。反応フラスコの内容物を冷却し、濾過し、濾液を蒸発させた。粗製物質を高真空下で蒸留して88℃から152℃で蒸留した主留分を生じさせた。これらの蒸留留分から、108gの純粋物質および182gのやや低純度の物質を回収し、物質をさらに以下の反応に使用した。H NMR(CDCl)δ(ppm)7.56(d,J=8.0Hz,1H)、7.31(d,J=8.0Hz,1H)、7.26(s,1H)、7.16(t,J=8.0Hz,1H)、4.84(s,2H)、4.64(s,2H)。
【0190】
段階2:2−ベンジル−4−ブロモイソインドリン
【0191】
【化49】

【0192】
重炭酸カリウム(204g、2.04mol)をCHCN(12L)中に懸濁させ、混合物を80℃に加熱した。1−ブロモ−2,3−ビス(ブロモメチル)ベンゼン(280g、500mLのCHCN中0.82mol)およびベンジルアミン(87.5g、500mLのCHCN中0.82mol)の溶液を、添加漏斗を介して1時間にわたり同時に添加した。次いで、反応混合物を77℃で16時間攪拌した。反応フラスコの内容物を冷却し、濾過し;溶媒を蒸発により除去し;混合物を1MのKCOおよびEtOAcに配した。有機相をブラインにより洗浄し、無水NaSOにより乾燥させ、濾過し、蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、ヘプタンからヘプタン中10%EtOAc)により表題化合物を淡色油状物として生じさせた。H NMR(CDCl)δ(ppm)7.41−7.39(m,2H)、7.37−7.34(m,2H)、7.32−7.27(m,2H)、7.10−7.03(m,2H)、4.02(s,2H)、3.97(s,2H)、3.91(s,2H)。LRMS(ESI)m/z289[(M+H);C1515BrNについての計算値:289]。
【0193】
HClのMeOH中溶液を利用して、遊離塩基をHCl塩に変換した。MTBEの添加および固体の濾過により、118gの表題化合物をHCl塩として生じさせた。
【0194】
段階3:2−ベンジル−4−ビニルイソインドリン
【0195】
【化50】

【0196】
2−ベンジル−4−ブロモイソインドリン(16.7g、58.0mmol)およびトリブチル(ビニル)スズ(20.3mL、69.6mmol)のPhMe(400mL)中溶液を、窒素ガスを溶液に通して15分間バブリングすることによりガス抜きした。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.30g、1.16mmol)を添加し、得られた溶液を100℃の油浴中で窒素下で24時間加熱した。反応フラスコの内容物を冷却し、蒸発させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン/酢酸エチル95/5により溶出させて表題化合物を淡色油状物として生じさせ、表題化合物は静止中に桃色に変化した。LRMS(ESI)m/z236[(M+H);C1718Nについての計算値:236]。
【0197】
段階4:4−ビニルイソインドリン
【0198】
【化51】

【0199】
1−クロロエチルクロロホルメート(7.51mL、69.6mmol)の1,2−ジクロロエタン中溶液を、内部反応温度<5℃を維持しながら2−ベンジル−4−ビニルイソインドリン(58mmol)の1,2−ジクロロエタン(150mL)中冷却(氷浴)溶液に20分間にわたり添加した。添加を完了させた後、反応混合物をRTに加温させ、次いで45分間加熱還流した。反応混合物をRTに再冷却し、溶媒を蒸発により除去した。MeOH(200mL)を添加し、混合物を30分間加熱還流し、次いでRTに冷却した。次いで、溶媒を蒸発により除去した。水(200mL)を添加し、得られた混合物をEtOAc(2×250mL)により洗浄した。水層を2Nの水酸化ナトリウムにより塩基性にし、次いでDCM(4×250mL)により抽出した。合わせた有機抽出物をNaSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させた。粗製生成物をシリカ上でのクロマトグラフィー(DCM/MeOH/NHOH 97/3/0.3から95/5/0.5)により精製して表題化合物を褐色油状物(6.00g)として生じさせた。LRMS(ESI)m/z146[(M+H);C1012Nについての計算値:146]。
【0200】
段階5:1−t−ブチル2−メチル(2S,4R)−4−{[(4−ビニル−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)カルボニル]オキシ}ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート
【0201】
【化52】

【0202】
窒素下の1−t−ブチル2−メチル(2S,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(10.1g、41.4mmol)のDMF(90mL)中溶液を、0℃に冷却した。固体の1,1’−カルボニルジイミダゾール(6.70g、41.4mmol)を添加し、反応混合物をRTに加温した。2時間後、4−ビニルイソインドリン(6.00g、41.4mmol)のDMF(10mL)中溶液を添加した。次いで、混合物を60℃の油浴中で2時間加熱し、RTに冷却し、水および5%重硫酸カリウム中に注いだ。得られた混合物をEtOAc(4×250mL)により抽出した。合わせた有機相をブラインにより洗浄し、NaSO上で乾燥させ;溶媒を蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 70/30)により表題化合物を白色泡状物(13.9g)として生じさせた。LRMS(ESI)m/z417[(M+H);C2729についての計算値:417]。
【0203】
段階6:(3R,5S)−5−(メトキシカルボニル)ピロリジン−3−イル4−ビニル−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−カルボキシレート塩酸塩
【0204】
【化53】

【0205】
段階5からの生成物(13.9g、33.4mmol)のEtOAc(700mL)中溶液を氷浴中で冷却し、塩化水素ガスにより飽和させた。反応フラスコを封入し、RTに加温させた。3.5時間後、溶媒を蒸発により除去して表題化合物を灰色固体(11.2g)として生じさせた。H NMR(500MHz,ppm,CDOD)δ7.47−7.45(m,1H)、7.32−7.31(m,1H)、7.26−7.21(m,1H)、6.79−6.73(m,1H)、5.79−5.73(m,1H)、5.46(s,1H)、5.41−5.38(m,1H)、4.80−4.72(m,4H)、3.91(s,3H)、3.74−3.63(m,2H)、2.77−2.71(m,1H)、2.51−2.46(m,1H)。LRMS(ESI)m/z317[(M+H);C1721についての計算値:317]。
【0206】
中間体C5:メチル(4R)−4−[(2−エトキシ−7−メトキシ−6−ビニルキノリン−4−イル)オキシ]−L−プロリネート塩酸塩
【0207】
【化54】

【0208】
段階1:エチル3−エトキシ−3−イミノプロパノエート酸塩酸
【0209】
【化55】

【0210】
0℃のシアノ酢酸エチル(30mL、281mmol)およびEtOH(18.1mL、278mmol)の無水EtO(28.1mL)中攪拌溶液を、HClガスにより飽和するまでバブリングした。反応物を22℃で20時間攪拌し、次いで濃縮して表題化合物を生じさせた。H NMR(400MHz,CDCl)δ4.73(q,J=7.1Hz,2H);4.24(q,J=7.2Hz,2H);3.89(s,2H);1.51(t,J=7.0Hz,3H);1.30(t,J=7.2Hz,3H)ppm。
【0211】
段階2:エチル(3E)−3−[(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)イミノ]−3−エトキシプロパノエート
【0212】
【化56】

【0213】
EtOH(500mL)中の段階1の生成物(54.2g、277mmol)および4−ブロモ−3−メトキシアニリン(56.0g、277mmol)の混合物を、窒素下で22℃で20時間攪拌した。混合物を濾過し、濃縮し、次いでエーテル(100mL)中で攪拌し、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲル60上でクロマトグラフィー(勾配溶出、ヘキサン中0−50%のEtOAc)にかけて表題化合物を生じさせた。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.40(d,J=8.4Hz,1H);6.43(d,J=2.0Hz,1H);6.30(dd,J=8.4&2.4Hz,1H);4.28(q,J=7.1Hz,2H);4.15(q,J=7.1Hz,2H);3.85(s,2H);3.21(s,2H);1.34(t,J=7.2Hz,3H);1.26(t,J=7.0Hz,3H)ppm。LRMS(ESI)m/z344.0[(M+H);C1419BrNOについての計算値:344.0]。
【0214】
段階3:6−ブロモ−2−エトキシ−7−メトキシキノリン−4−オール
【0215】
【化57】

【0216】
250℃のDOWTHERMの攪拌溶液(300mL)に、段階2の生成物(30.0g、87mmol)のDOWTHERM(30mL)中溶液を添加した。得られた溶液を250℃で5分間攪拌し、RTに冷却し、濾過した。得られたケークをヘキサン(3×50mL)により洗浄し、次いで乾燥させて表題化合物を生じさせた。H NMR(400MHz,CDOD)δ8.25(s,1H);6.92(s,1H);5.80(s,1H);4.27(q,J=7.1Hz,2H);3.97(s,3H);1.46(t,J=7.0Hz,3H)ppm。LRMS(ESI)m/z298.0[(M+H);C1213BrNOについての計算値:298.0]。
【0217】
段階4:1−t−ブチル2−メチル(2S,4R)−4−[(6−ブロモ−2−エトキシ−7−メトキシキノリン−4−イル)オキシ]ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート
【0218】
【化58】

【0219】
1−t−ブチル2−メチル(2S,4S)−4−{[(4−ブロモフェニル)スルホニル]オキシ}ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(25.0g、53.8mmol)、段階3の生成物(16.1g、53.8mmol)および炭酸セシウム(52.6g、162mmol)のNMP(300mL)中懸濁液を、75℃で窒素下で2時間攪拌した。22℃で、反応物を水(500mL)により希釈し、EtOAc(3×500mL)により抽出した。合わせたEtOAc層を水(3×100mL)、ブライン(100mL)により洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲル60上でクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン中0−50%EtOAcにより溶出させて表題化合物を生じさせた。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.13(s,1H);7.16(s,1H);6.02(s,1H);5.05(m,1H);4.49(m,3H);4.00(s,3H);3.91(m,2H);3.78(s,3H);2.67(m,1H);2.37(m,1H);1.47(s,3H);1.44(s,9H)ppm。LRMS(ESI)m/z525.0[(M+H);C2330BrNについての計算値:298.0]。
【0220】
段階5:メチル(4R)−4−[(2−エトキシ−7−メトキシ−6−ビニルキノリン−4−イル)オキシ]−L−プロリネート塩酸塩
メチル(4R)−4−[(2−エトキシ−7−メトキシ−6−ビニルキノリン−4−イル)オキシ]−L−プロリネート塩酸塩は、中間体C1の段階6および7のために記載されている手順により段階4に記載されている化合物から調製した。LCMS(M+H)=373.2。
【0221】
中間体C6:メチル(4R)−4−[(3−シアノ−9−メトキシ−8−ビニル−5,6−ジヒドロフェナントリジン−6−イル)オキシ]−L−プロリネート塩酸塩
【0222】
【化59】

【0223】
段階1:1−ブロモ−4−ヨード−2−メトキシベンゼン
【0224】
【化60】

【0225】
0℃に冷却した4−ブロモ−3−メトキシアニリン(25g、124mmol)の濃縮HCl(1.7L)中懸濁液に、8℃未満の温度を保持しながら水(250mL)中の亜硝酸ナトリウム(11.1g、161mmol)を30分間にわたりゆっくりと添加した。2時間攪拌した後、8℃未満の温度を保持しながら水中(250mL)中のKI(61.6g、371mmol)を得られた橙色溶液に30分間にわたりゆっくりと添加した。次いで、混合物をRTに加温し、さらに1.5時間攪拌した。次いで、混合物を焼結ガラスウール漏斗に通して濾過した。得られた固体をEtOAc(1.2L)中に溶解させ、水、0.5NのNaOH、重亜硫酸ナトリウム水溶液およびブラインにより洗浄した。次いで、有機層をNaSO上で乾燥させ、シリカのパッドに通して濾過し、次いで溶媒を真空中で除去した。粗製物質をシリカ(100%ヘキサン)上で精製して表題化合物をもたらした。
【0226】
段階2:2−アミノ−4’−ブロモ−3’−メトキシビフェニル−4−カルボニトリル
【0227】
【化61】

【0228】
段階1からの生成物、−ブロモ−4−ヨード−2−メトキシベンゼン(750mg、2.4mmol)、CsF(1.09g、7.2mmol)、(2−アミノ−4−シアノフェニル)ボロン酸塩酸塩(390mg、2.4mmol)およびPd(PPh(277mg、0.24mmol)の混合物に、DME(15mL)を窒素下で添加した。次いで、これを100℃に加熱した。36時間後、EtOAcおよび水を得られた濃赤色懸濁液に添加した。有機層をブラインにより洗浄し、NaSO上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。残留物をシリカ(勾配溶出、3−50%EtOAc/ヘキサン)上で精製して表題化合物を赤色油状物としてもたらした。LRMS(M+H)=303.1。
【0229】
段階3:8−ブロモ−9−メトキシ−6−オキソ−5,6−ジヒドロフェナントリジン−3−カルボニトリル
【0230】
【化62】

【0231】
段階2からの生成物(363mg、1.2mmol)に、ホスゲン(PhMe中20%溶液、5.9g、11.97mmol)を添加し、混合物を2時間加熱還流した。次いで、溶媒を真空中で除去して粗製4’−ブロモ−2−イソシアナト−3’−メトキシビフェニル−4−カルボニトリル(394mg、1.2mmol)を生じさせ、次いで粗製4’−ブロモ−2−イソシアナト−3’−メトキシビフェニル−4−カルボニトリルをクロロベンゼン(4mL)中に取った。この混合物に、AlCl(319mg、2.4mmol)をRTで添加した。次いで、1NのHCl(30mL)を添加し、HClにより灰色沈殿物を形成させた。これを濾過により単離し、DCMおよびMeOHにより洗浄して表題化合物を生じさせた。LRMS(M+H)=329.0。
【0232】
段階4:メチル(4R)−4−[(3−シアノ−9−メトキシ−8−ビニル−5,6−ジヒドロフェナントリジン−6−イル)オキシ]−L−プロリネート塩酸塩
表題化合物は、中間体C1の段階5−7のために記載されている手順を使用して段階3の化合物から調製した。LRMS(M+H)=406.1。
【0233】
中間体C7:メチル(4R)−4−[(9−メトキシ−8−ビニル−5,6−ジヒドロフェナントリジン−6−イル)オキシ]−L−プロリネート塩酸塩
【0234】
【化63】

【0235】
中間体C7は、中間体C6のために記載されている手順により、段階2の(2−アミノ−4−シアノフェニル)ボロン酸に代えて(2−アミノフェニル)ボロン酸を使用して調製した。LRMS(M+H)=381.2。
【0236】
中間体C8:メチル(4R)−4−[(7−メトキシ−3−ビニルキノリン−2−イル)オキシ]−L−プロリネート塩酸塩
【0237】
【化64】

【0238】
段階1:3−ブロモ−7−メトキシキノリン1−オキシド
【0239】
【化65】

【0240】
RTの3−ブロモ−7−メトキシキノリン(2.0g、8.40mmol)のDCM(42mL)中溶液に、mCPBA(2.9g、16.8mmol)を添加し、反応混合物をRTで1時間攪拌した。次いで、第2回分のmCPBA(2.9g、16.8mmol)を添加し、反応混合物をRTで18時間攪拌した。反応混合物を10%のNaSO水溶液およびDCM上に注ぎ、層を分離した。有機層をNaHCOにより洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。得られた生成物をさらに精製することなく使用した。LRMS(M+H)=254.2。
【0241】
段階2:3−ブロモ−7−メトキシキノリン−2(1H)−オン
【0242】
【化66】

【0243】
RTの3−ブロモ−7−メトキシキノリン1−オキシド(2.04g、8.03mmol)のEtOAc(50mL)および15%のKCO水溶液(15mL)中溶液に、TsCl(1.68g、8.83mmol)を添加した。反応混合物をRTで18時間激しく攪拌し、この時点で生成物を濾過により回収し、EtOAcにより洗浄した。固体を真空下で乾燥させ、さらに精製することなく使用した。LRMS(M+H)=254.1。
【0244】
段階3:1−t−ブチル2−メチル(2S,4R)−4−[(3−ブロモ−7−メトキシキノリン−2−イル)オキシ]ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート
【0245】
【化67】

【0246】
3−ブロモ−7−メトキシキノリン−2(1H)−オン(1.31g、5.17mmol)および1−tert−ブチル2−メチル(2S,4S)−4−{[(4−ブロモフェニル)スルホニル]オキシ}ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(2.0g、4.31mmol)のNMP(21.5mL)中溶液に、CsCO(2.11g、6.46mmol)を添加し、反応混合物を40℃で40時間攪拌した。追加分の1−t−ブチル2−メチル(2S,4S)−4−{[(4−ブロモフェニル)スルホニル]オキシ}ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(1.0g、2.16mmol)を添加し、反応混合物を40℃で16時間攪拌した。反応混合物を冷却し、EtOAcとHOとの混合物上に注ぎ、層を分離した。有機層をHO(2×)、NaHCO(2×)およびブラインにより洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。生成物をさらに精製することなく使用した。LRMS(M+H−Boc)=381.2。
【0247】
段階4:1−t−ブチル2−メチル(2S,4R)−4−[(7−メトキシ−3−ビニルキノリン−2−イル)オキシ]ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート
【0248】
【化68】

【0249】
1−t−ブチル2−メチル(2S,4R)−4−[(3−ブロモ−7−メトキシキノリン−2−イル)オキシ]ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(2.0g、4.2mmol)のEtOH(30mL)中溶液に、TEA(0.87mL、6.23mmol)を添加した。次いで、カリウムビニルトリフルオロボレート(0.84g、6.23mmol)およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタンアダクト(0.17g、0.21mmol)を添加し、反応混合物を100℃で2時間攪拌した。反応混合物をEtOAcおよびHOにより後処理し、層を分離した。有機層をブラインにより洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製物質をシリカ(勾配溶出、0−40%EtOAc/ヘキサン)上で精製して表題化合物を油状物として生じさせた。LRMS(M+H−tBu)=373.3。
【0250】
段階5:メチル(4R)−4−[(7−メトキシ−3−ビニルキノリン−2−イル)オキシ]−L−プロリネート塩酸塩
1−t−ブチル2−メチル(2S,4R)−4−[(7−メトキシ−3−ビニルキノリン−2−イル)オキシ]ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(0.85g、1.98mmol)のジオキサン中の4MのHCl(10mL)中溶液を、RTで2時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、生成物をさらに精製することなく使用した。LRMS(M+H−tBu)=329.3。
【0251】
中間体C9:メチル(4R)−4−[(3−ビニルキノリン−2−イル)オキシ]−L−プロリネート塩酸塩
【0252】
【化69】

【0253】
中間体C9は、中間体C8について記載した手順により、段階1の3−ブロモ−7−メトキシキノリンに代えて3−ブロモキノリンを使用して調製することができる。
【実施例】
【0254】
実施例1
(3R,6S,9R,11S,12Z,19S,26E)−N−(シクロプロピルスルホニル)−29−メトキシ−7,21,37−トリオキソ−33−フェニル−2,22−ジオキサ−5,8,20,32−テトラアザヘキサシクロ[26.6.2.13,6.15,19.09,11.031,35]オクタトリアコンタ−1(35),12,26,28,30,31,33,35−オクタエン−9−カルボキサミド
【0255】
【化70】

【0256】
段階1:メチル(4R)−4−[(7−メトキシ−2−フェニル−6−ビニルキノリン−4−イル)オキシ]−1−((2S)−2−{[(ペント−4−エン−1−イルオキシ)カルボニル]アミノ}ノン−8−エノイル)−L−プロリネート
【0257】
【化71】

【0258】
中間体C1(0.50g、1.13mmol)、中間体B1(0.32g、1.13mmol)、DIPEA(0.59mL、3.40mmol)およびDMAP(0.069g、0.57mmol)のDMF(10mL)中溶液に、HATU(0.52g、1.36mmol)を添加した。反応混合物をRTで2時間攪拌し、EtOAc(150mL)により希釈し、水(3×50mL)、ブライン(30mL)により洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカ上でクロマトグラフィー(ヘキサン中10から100%のEtOAc)にかけて表題化合物(0.68g)を生じさせた。LRMS(ESI)m/z670.6[(M+H);C3948についての計算値:670.3]。
【0259】
段階2:(4R)−4−[(7−メトキシ−2−フェニル−6−ビニルキノリン−4−イル)オキシ]−1−((2S)−2−{[(ペント−4−エン−1−イルオキシ)カルボニル]アミノ}ノン−8−エノイル)−L−プロリン
【0260】
【化72】

【0261】
THF(7mL)、MeOH(1mL)および1MのLiOH水溶液(7.15mL、7.15mmol)中の段階1からの生成物(0.68g、1.02mmol)の混合物を、RTで2時間攪拌した。反応混合物を1MのHCl水溶液によりpH5に酸性化し、EtOAc(3×70mL)により抽出した。合わせた有機相を水(50mL)、ブライン(30mL)により洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して表題化合物(0.56g)を生じさせた。LRMS(ESI)m/z656.5[(M+H);C3846についての計算値:656.3]。
【0262】
段階3:ペント−4−エン−1−イル[(1S)−1−({(2S,4R)−2−{[((1R,2S)−1−{[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−カルボニル}−2−ビニルシクロプロピル)アミノ]カルボニル}−4−[(7−メトキシ−2−フェニル−6−ビニルキノリン−4−イル)オキシ]ピロリジン−1−イル}カルボニル)オクト−7−エン−1−イル]カルバメート
【0263】
【化73】

【0264】
段階2からの生成物(0.56g、0.85mmol)、中間体A1(0.23g、0.85mmol)、DIPEA(0.44mL、2.54mmol)およびDMAP(0.052g、0.42mmol)のDMF(10mL)中溶液に、HATU(0.39g、1.02mmol)を添加した。反応混合物をRTで2時間攪拌し、EtOAc(200mL)により希釈し、水(3×50mL)、ブライン(30mL)により洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカ上でクロマトグラフィー(ヘキサン中10から100%のEtOAc)にかけて表題化合物(0.62g)を生じさせた。LRMS(ESI)m/z868.7[(M+H);C4758Sについての計算値:868.4]。
【0265】
段階4:(3R,6S,9R,11S,12Z,19S,26E)−N−(シクロプロピルスルホニル)−29−メトキシ−7,21,37−トリオキソ−33−フェニル−2,22−ジオキサ−5,8,20,32−テトラアザヘキサシクロ[26.6.2.13,6.15,19.09,11.031,35]オクタトリアコンタ−1(35),12,26,28,30,31,33,35−オクタエン−9−カルボキサミド
窒素を段階3からの生成物(0.62g、0.71mmol)の無水1,2−ジクロロエタン(150mL)中攪拌溶液に通して30分間バブリングした。Zhan触媒1B(0.052g、0.071mmol)を添加し、混合物を90℃で窒素下で3時間攪拌した。反応混合物をRTで冷却し、濃縮し、シリカ上でクロマトグラフィー(ヘキサン中10−100%EtOAc)にかけた。不純生成物を逆相HPLC[(0.15%TFA/水)中30から95%のCHCN]により再精製し、次いで12gのシリカ(ヘキサン中75−100%EtOAc)に導通させて表題化合物(35mg)を生じさせた。H NMR(CDOD)δ8.65(s,1H)、8.06(d,J=8.1Hz,2H)、7.74(m,3H)、7.58(s,1H)、7.45(s,1H)、6.79(d,J=15.6Hz,1H)、6.38(m,1H)、5.82(s,1H)、5.71(q,J=8.8Hz,1H)、5.08(t,J=9.4Hz,1H)、4.96(d,J=12.0Hz,1H)、4.53(m,1H)、4.38(m,1H)、4.29(m,1H)、4.10(m,1H)、4.07(s,3H)、3.99(m,1H)、2.89(m,1H)、2.82(m,1H)、2.73(m,1H)、2.62(m,1H)、2.34(m,1H)、2.30(m,2H)、1.84(m,4H)、1.71(m,1H)、1.65−1.55(m,5H)、1.45(m,1H)、1.35(m,2H)、1.27(m,1H)、1.07(m,2H)、1.00(m,1H)ppm。LRMS(ESI)m/z812.6[(M+H);C4350Sについての計算値:812.3]。
【0266】
実施例2
(3R,6S,9R,11R,19S)−N−(シクロプロピルスルホニル)−29−メトキシ−7,21,37−トリオキソ−33−フェニル−2,22−ジオキサ−5,8,20,32−テトラアザヘキサシクロ[26.6.2.13,6.15,19.09,11.031,35]オクタトリアコンタ−1(35),28,30,31,33,35−ヘキサエン−9−カルボキサミド
【0267】
【化74】

【0268】
MeOH(7mL)中の実施例1の生成物(15mg、0.018mmol)および10重量%Pd/C(0.01g)の混合物を、水素バルーンにより提供した水素雰囲気下で15時間激しく攪拌し、次いで濾過し、濃縮した。残留物をシリカ上でクロマトグラフィー(ヘキサン中50から100%のEtOAc)にかけて表題化合物(11mg)を生じさせた。H NMR(CDOD)δ8.03(d,J=7.1Hz,2H)、7.93(s,1H)、7.52(m,3H)、7.35(s,1H)、7.32(s,1H)、5.69(s,1H)、4.88(m,1H)、4.58(t,J=8.3Hz,1H)、4.42(m,1H)、4.35(m,1H)、4.03(d,J=10.2Hz,1H)、3.97(s,3H)、3.73(m,1H)、3.03(m,1H)、2.93(m,1H)、2.65(m,1H)、2.46(m,1H)、2.39(m,1H)、1.80−1.03(m,29H)ppm。LRMS(ESI)m/z816.5[(M+H);C4354Sについての計算値:816.4]。
【0269】
実施例3
(3R,6S,9R,11S,12Z,19S,26E)−29−メトキシ−24,24−ジメチル−7,21,37−トリオキソ−33−フェニル−2,22−ジオキサ−5,8,20,32−テトラアザヘキサシクロ[26.6.2.13,6.15,19.09,11.031,35]オクタトリアコンタ−1(35),12,26,28,30,31,33,35−オクタエン−9−カルボン酸
【0270】
【化75】

【0271】
段階1:メチル(4R)−1−[(2S)−2−({[(2,2−ジメチルペント−4−エン−1−イル)オキシ]カルボニル}アミノ)ノン−8−エノイル]−4−[(7−メトキシ−2−フェニル−6−ビニルキノリン−4−イル)オキシ]−L−プロリネート
【0272】
【化76】

【0273】
中間体C1(700mg、1.59mmol)、中間体B4(494mg、1.59mmol)、DIPEA(0.82mL、4.76mmol)およびDMAP(97mg、0.79mmol)のDMF(10mL)中溶液に、HATU(724mg、1.91mmol)を添加した。溶液をRTで2時間攪拌し、EtOAc(300mL)により希釈し、水(3×70mL)、ブライン(50mL)により洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲル上でクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン中10%から100%のEtOAcにより溶出させて表題生成物(962mg)を生じさせた。LRMS(ESI)m/z698.5[(M+H);C4152についての計算値:698.4]。
【0274】
段階2:(4R)−1−[(2S)−2−({[(2,2−ジメチルペント−4−エン−1−イル)オキシ]カルボニル}アミノ)ノン−8−エノイル]−4−[(7−メトキシ−2−フェニル−6−ビニルキノリン−4−イル)オキシ]−L−プロリン
【0275】
【化77】

【0276】
段階1からの生成物(962mg、1.38mmol)のTHF(10mL)、MeOH(1mL)および1MのLiOH水溶液(9.65mL)中溶液を、RTで2時間攪拌した。反応溶液を1MのHCl水溶液によりpH5に酸性化し、EtOAc(3×100mL)により抽出した。合わせたEtOAc層を水(50mL)、ブライン(30mL)により洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して表題生成物(844mg)を生じさせた。LRMS(ESI)m/z684.5[(M+H);C4050についての計算値:684.4]。
【0277】
段階3:エチル(1R,2S)−1−({(4R)−1−[(2S)−2−({[(2,2−ジメチルペント−4−エン−1−イル)オキシ]カルボニル}アミノ)ノン−8−エノイル]−4−[(7−メトキシ−2−フェニル−6−ビニルキノリン−4−イル)オキシ]−L−プロリル}アミノ)−2−ビニルシクロプロパンカルボキシレート
【0278】
【化78】

【0279】
段階2からの生成物(844mg、1.23mmol)、中間体A2(237mg、1.23mmol)、DIPEA(0.647mL、3.70mmol)およびDMAP(75mg、0.62mmol)のDMF(10mL)中溶液に、HATU(563mg、1.48mmol)を添加した。溶液をRTで2時間攪拌し、EtOAc(300mL)により希釈し、水(3×70mL)、ブライン(50mL)により洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲル上でクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン中10%から100%のEtOAcにより溶出させて表題生成物(817mg)を生じさせた。LRMS(ESI)m/z821.5[(M+H);C4861についての計算値:821.4]。
【0280】
段階4:エチル(3R,6S,9R,11S,12Z,19S,26E)−29−メトキシ−24,24−ジメチル−7,21,37−トリオキソ−33−フェニル−2,22−ジオキサ−5,8,20,32−テトラアザヘキサシクロ[26.6.2.13,6.15,19.09,11.031,35]オクタトリアコンタ−1(35),12,26,28,30,31,33,35−オクタエン−9−カルボキシレート
【0281】
【化79】

【0282】
段階3からの生成物(817mg、1.00mmol)のDCM(200mL)中溶液を、窒素ガスにより30分間バブリングした。Zhan触媒−1B(73mg、0.10mmol)を添加し、反応混合物を加熱還流し、7時間攪拌した。反応溶液を濃縮し、シリカゲル上でクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン中10%から100%のEtOAcにより溶出させ、表題生成物(375mg)を生じさせた。LRMS(ESI)m/z765.6[(M+H);C4453についての計算値:765.4]。
【0283】
段階5:(3R,6S,9R,11S,12Z,19S,26E)−29−メトキシ−24,24−ジメチル−7,21,37−トリオキソ−33−フェニル−2,22−ジオキサ−5,8,20,32−テトラアザヘキサシクロ[26.6.2.13,6.15,19.09,11.031,35]オクタトリアコンタ−1(35),12,26,28,30,31,33,35−オクタエン−9−カルボン酸
段階4からの生成物(375mg、0.49mmol)のTHF(5mL)、EtOH(1mL)および1MのLiOH水溶液(4.90mL)中溶液を、RTで2時間攪拌した。反応溶液を1MのHCl水溶液によりpH5に酸性化し、EtOAc(3×100mL)により抽出した。合わせたEtOAc層を水(50mL)、ブライン(30mL)により洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して実施例3(312mg)を生じさせた。H NMR(500MHz,CDOD)δ8.58(s,1H)、8.56(s,1H)、8.06(d,J=5.6Hz,2H)、7.74(m,3H)、7.67(s,1H)、7.49(s,1H)、6.79(d,J=16.4Hz,1H)、6.63(m,1H)、5.88(s,1H)、5.63(q,J=9.2Hz,1H)、5.32(t,J=9.5Hz,1H)、5.07(d,J=11.7Hz,1H)、4.55(d,J=11.0Hz,1H)、4.41(m,2H)、4.11(s,3H)、4.08(m,1H)、2.75(m,1H)、2.68(m,1H)、2.52(m,1H)、2.36(m,1H)、2.29(q,J=9.4Hz,1H)、2.04(m,1H)、1.96(m,1H)、1.86(m,1H)、1.64−1.50(m,5H)、1.40(m,1H)、1.29(m,1H)、1.14(s,3H)、0.88(s,1H)ppm;LRMS(ESI)m/z737.5[(M+H);C4249についての計算値:737.4]。
【0284】
実施例4
(3R,6S,9R,11S,12Z,19S,26E)−N−(シクロプロピルスルホニル)−29−メトキシ−24,24−ジメチル−7,21,37−トリオキソ−33−フェニル−2,22−ジオキサ−5,8,20,32−テトラアザヘキサシクロ[26.6.2.13,6.15,19.09,11.031,35]オクタトリアコンタ−1(35),12,26,28,30,31,33,35−オクタエン−9−カルボキサミド
【0285】
【化80】

【0286】
実施例3(250mg、0.133mmol)のTHF(5mL)中溶液に、CDI(68.8mg、0.424mmol)を添加した。反応混合物を40℃で5時間攪拌した。シクロプロパンスルホンアミド(61.7mg、0.51mmol)およびDBU(0.102mL、0.679mmol)を添加し、反応混合物を40℃で18時間攪拌した。溶液を濃縮し、逆相HPLC上で精製し、(水中0.15%TFA)中5%から95%のCHCNにより溶出させて実施例4(195mg)を生じさせた。H NMR(500MHz,CDOD)δ8.57(s,1H)、8.05(d,J=8.1Hz,1H)、7.71(m,3H)、7.60(s,1H)、7.46(s,1H)、6.79(d,J=16.1Hz,1H)、6.61(m,1H)、5.86(s,1H)、5.71(q,J=8.9Hz,1H)、5.07(m,2H)、4.56(d,J=11.0Hz,1H)、4.43(m,2H)、4.11(m,1H)、4.09(s,3H)、2.88(m,1H)、2.77(m,2H)、2.52(t,J=12.2Hz,1H)、2.37(m,2H)、2.01(m,2H)、1.81(m,1H)、1.69(m,1H)、1.64−1.34(m,7H)、1.25(m,1H)、1.13(s,3H)、1.06(m,2H)、0.98(m,1H)、0.88(s,1H);LRMS(ESI)m/z840.4[(M+H);C4554Sについての計算値:840.4]。
【0287】
実施例5
(3R,6S,9R,11R,19S)−N−(シクロプロピルスルホニル)−29−メトキシ−24,24−ジメチル−7,21,37−トリオキソ−33−フェニル−2,22−ジオキサ−5,8,20,32−テトラアザヘキサシクロ[26.6.2.13,6.15,19.09,11.031,35]オクタトリアコンタ−1(35),28,30,31,33,35−ヘキサエン−9−カルボキサミド
【0288】
【化81】

【0289】
実施例5は、実施例2のために記載されている手順により実施例4から調製した。H NMR(500MHz,CDOD)δ8.05(m,2H)、7.95(s,1H)、7.71(m,4H)、7.48(s,1H)、5.97(s,1H)、4.91(m,1H)、4.58(m,1H)、4.46(m,1H)、4.40(d,J=11.0Hz,1H)、4.11(m,1H)、4.08(s,3H)、3.25(m,3H)、2.97(m,1H)、2.73(q,J=7.3Hz,1H)、2.45(m,1H)、2.30(m,1H)、1.92(m,1H)、1.74(m,1H)、1.66−1.07(m,20H)、1.04(s,3H)、0.75(s,3H)ppm;LRMS(ESI)m/z844.5[(M+H);C4558Sについての計算値:844.4]。
【0290】
実施例6
(3R,6S,9R,11S,12Z,19S,26E)−N−(シクロプロピルスルホニル)−29−メトキシ−24,24−ジメチル−7,21,37−トリオキソ−2,22−ジオキサ−5,8,20,34−テトラアザヘキサシクロ[26.6.2.13,6.15,19.09,11.031,35]オクタトリアコンタ−1(35),12,26,28,30,31,33,35−オクタエン−9−カルボキサミド
【0291】
【化82】

【0292】
段階1:エチル(4R)−4−[(7−ブロモ−6−メトキシイソキノリン−1−イル)オキシ]−1−{(2S)−2−[(t−ブトキシカルボニル)アミノ]ノン−8−エノイル}−L−プロリネート
【0293】
【化83】

【0294】
中間体C3(300mg、0.695mmol)、(2S)−2−[(t−ブトキシカルボニル)アミノ]ノン−8−エン酸(189mg、0.695mmol)およびDIPEA(0.485mL、2.78mmol)のDMF(10mL)中溶液に、HATU(317mg、0.834mmol)を添加した。溶液をRTで2時間攪拌し、EtOAc(150mL)により希釈し、水(3×50mL)、ブライン(50mL)により洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲル上でクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン中5%から75%のEtOAcにより溶出させて表題生成物(402mg)を生じさせた。LRMS(ESI)m/z648.4[(M+H);C3143BrNについての計算値:648.2]。
【0295】
段階2:(4R)−4−[(7−ブロモ−6−メトキシイソキノリン−1−イル)オキシ]−1−{(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]ノン−8−エノイル}−L−プロリン
【0296】
【化84】

【0297】
段階1からの生成物(400mg、0.617mmol)のTHF(5mL)、EtOH(1mL)および1NのLiOH水溶液(4.32mL)中溶液を、RTで2時間攪拌した。反応溶液を10%KHSO(20mL)により希釈し、エーテル(3×70mL)により抽出した。合わせたエーテル層を水(50mL)、ブライン(30mL)により洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して表題生成物(368mg)を生じさせた。LRMS(ESI)m/z620.4[(M+H);C2939BrNについての計算値:620.2]。
【0298】
段階3:エチル(1R,2S)−1−[((4R)−4−[(7−ブロモ−6−メトキシイソキノリン−1−イル)オキシ]−1−{(2S)−2−[(t−ブトキシカルボニル)アミノ]ノン−8−エノイル}−L−プロリル)アミノ]−2−ビニルシクロプロパンカルボキシレート
【0299】
【化85】

【0300】
段階2からの生成物(368mg、0.593mmol)、中間体A2(136mg、0.712mmol)およびDIPEA(0.518mL、2.97mmol)のDMF(10mL)中溶液に、HATU(271mg、0.712mmol)を添加した。溶液をRTで2時間攪拌し、EtOAc(150mL)により希釈し、水(3×50mL)、ブライン(50mL)により洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲル上でクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン中5%から75%のEtOAcにより溶出させて表題生成物(411mg)を生じさせた。LRMS(ESI)m/z757.4[(M+H);C3750BrNについての計算値:757.3]。
【0301】
段階4:エチル(2R,6S,12Z,13aS,14aR,16aS)−2−[(7−ブロモ−6−メトキシイソキノリン−1−イル)オキシ]−6−[(t−ブトキシカルボニル)アミノ]−5,16−ジオキソ−1,2,3,6,7,8,9,10,11,13a,14,15,16,16a−テトラデカヒドロシクロプロパ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアザシクロペンタデシン−14a(5H)−カルボキシレート
【0302】
【化86】

【0303】
段階3からの生成物(200mg、0.264mmol)のジクロロメタン(26mL)中溶液を、窒素ガスにより30分間バブリングした。Zhan触媒1B(19.4mg、0.026mmol)を添加し、反応混合物を窒素下で2時間還流加熱した。混合物を濃縮し、シリカゲル60上でクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン中5%から75%のEtOAcにより溶出させて表題生成物(135mg)を生じさせた。LRMS(ESI)m/z729.3[(M+H);C3546BrNについての計算値:729.3]。
【0304】
段階5:エチル(2R,6S,12Z,13aS,14aR,16aS)−6−[(t−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−[(6−メトキシ−7−ビニルイソキノリン−1−イル)オキシ]−5,16−ジオキソ−1,2,3,6,7,8,9,10,11,13a,14,15,16,16a−テトラデカヒドロシクロプロパ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアザシクロペンタデシン−14a(5H)−カルボキシレート
【0305】
【化87】

【0306】
段階4からの生成物(250mg、0.343mmol)の無水PhMe(10mL)中溶液を、窒素ガスにより15分間バブリングした。トリブチル(ビニル)スズ(0.120mL、0.411mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(7.92mg、0.007mmol)を添加し、反応混合物を90℃で15時間攪拌し、次いで濃縮した。残留物をシリカゲル上でクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン中5%から75%のEtOAcにより溶出させて表題生成物(196mg)を生じさせた。LRMS(ESI)m/z677.4[(M+H);C3749についての計算値:677.4]。
【0307】
段階6:エチル(2R,6S,12Z,13aS,14aR,16aS)−6−アミノ−2−[(6−メトキシ−7−ビニルイソキノリン−1−イル)オキシ]−5,16−ジオキソ−1,2,3,6,7,8,9,10,11,13a,14,15,16,16a−テトラデカヒドロシクロプロパ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアザシクロペンタデシン−14a(5H)−カルボキシレート塩酸塩
【0308】
【化88】

【0309】
段階5からの生成物(196mg、0.290mmol)のジオキサン(4mL)中4MのHCl中溶液を、RTで2時間攪拌した。反応混合物を濃縮して表題生成物(178mg)を生じさせた。LRMS(ESI)m/z577.4[(M+H);C3241についての計算値:577.3]。
【0310】
段階7:エチル(2R,6S,12Z,13aS,14aR,16aS)−6−({[(2,2−ジメチルペント−4−エン−1−イル)オキシ]カルボニル}アミノ)−2−[(6−メトキシ−7−ビニルイソキノリン−1−イル)オキシ]−5,16−ジオキソ−1,2,3,6,7,8,9,10,11,13a,14,15,16,16a−テトラデカヒドロシクロプロパ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアザシクロペンタデシン−14a(5H)−カルボキシレート
【0311】
【化89】

【0312】
2,2−ジメチルペント−4−エン−1−オール(66.3mg、0.581mmol)およびDIPEA(0.101mL,0.581mmol)の無水1,4−ジオキサン(10mL)中攪拌溶液に、10℃で、窒素下で、トリホスゲン(60.3mg、0.203mmol)の1,4−ジオキサン(10mL)中溶液を添加した。反応混合物をRTで1時間攪拌した。次いで、段階6からの生成物(178mg、0.290mmol)および1MのNaOH(0.871mL)を添加し、反応混合物を50℃で15時間攪拌した。反応混合物をRTで冷却し、飽和NaHCO水溶液(20mL)により希釈し、EtOAc(3×30mL)により抽出した。合わせたEtOAc層を水(30mL)、ブライン(20mL)により洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲル上でクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン中5%から75%のEtOAcにより溶出させて表題生成物(125mg)を生じさせた。LRMS(ESI)m/z717.5[(M+H);C4053についての計算値:717.4]。
【0313】
段階8:エチル(3R,6S,9R,11S,12Z,19S,26E)−29−メトキシ−24,24−ジメチル−7,21,37−トリオキソ−2,22−ジオキサ−5,8,20,34−テトラアザヘキサシクロ[26.6.2.13,6.15,19.09,11.031,35]オクタトリアコンタ−1(35),12,26,28,30,31,33,35−オクタエン−9−カルボキシレート
【0314】
【化90】

【0315】
段階7からの生成物(125mg、0.174mmol)のDCM(17mL)中溶液を、窒素ガスにより30分間バブリングした。Zhan触媒1B(12.8mg、0.017mmol)を添加し、反応混合物を窒素下で5時間還流加熱した。反応混合物を濃縮し、シリカゲル上でクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン中10%から100%のEtOAcにより溶出させて上述の生成物(97mg)を生じさせた。LRMS(ESI)m/z689.5[(M+H);C3849についての計算値:689.4]。
【0316】
段階9:(3R,6S,9R,11S,12Z,19S,26E)−29−メトキシ−24,24−ジメチル−7,21,37−トリオキソ−2,22−ジオキサ−5,8,20,34−テトラアザヘキサシクロ[26.6.2.13,6.15,19.09,11.031,35]オクタトリアコンタ−1(35),12,26,28,30,31,33,35−オクタエン−9−カルボン酸
【0317】
【化91】

【0318】
段階8からの生成物(97mg、0.141mmol)のTHF(3mL)、EtOH(0.5mL)および1NのLiOH(0.986mL)中溶液を、RTで2時間攪拌した。反応混合物を1NのHClによりpH5に酸性化し、EtOAc(3×50mL)により抽出した。合わせたEtOAc層を水(30mL)、ブライン(20mL)により洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して上述の生成物(88mg)を生じさせた。LRMS(ESI)m/z661.5[(M+H);C3645についての計算値:661.3]。
【0319】
段階10:(3R,6S,9R,11S,12Z,19S,26E)−N−(シクロプロピルスルホニル)−29−メトキシ−24,24−ジメチル−7,21,37−トリオキソ−2,22−ジオキサ−5,8,20,34−テトラアザヘキサシクロ[26.6.2.13,6.15,19.09,11.031,35]オクタトリアコンタ−1(35),12,26,28,30,31,33,35−オクタエン−9−カルボキサミド
段階9からの生成物(88mg、0.133mmol)のTHF(5mL)中溶液に、CDI(27.0mg、0.166mmol)を添加した。反応混合物を40℃で5時間攪拌した。シクロプロパンスルホンアミド(24.2mg、0.20mmol)およびDBU(0.04mL、0.266mmol)を添加し、反応混合物を40℃で18時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、逆相HPLC上で精製し、(0.15%TFA/水)中30%から95%のCHCNにより溶出させた。次いで、濃縮した生成物をシリカゲルに導通させ、ヘキサン中75から100%のEtOAcにより溶出させ、上述の生成物(63mg)を生じさせた。H NMR(500MHz,CDOD)δ8.44(s,1H)、7.82(d,J=5.9Hz,1H)、7.22(d,J=5.4Hz,1H)、7.15(s,1H)、6.74(d,J=16.4Hz,1H)、6.42(m,1H)、5.73(s,1H)、5.69(q,J=8.5Hz,1H)、5.07(t,J=9.9Hz,1H)、4.90(m,2H)、4.77(s,1H)、4.53(d,J=10.5Hz,1H)、4.46(d,J=9.0Hz,1H)、4.39(t,J=8.2Hz,1H)、4.00(m,1H)、3.97(s,3H)、3.23(s,2H)、2.88(s,1H)、2.74(m,1H)、2.40−2.27(m,3H)、1.99(m,2H)、1.82(s,1H)、1.67(m,1H)、1.60−1.52(m,5H)、1.42−1.29(m,5H)、1.12(s,3H)、1.08(m,1H)、1.00(m,1H)、0.90(m,1H)、0.86(s,3H)ppm;LRMS(ESI)m/z764.4[(M+H);C3950Sについての計算値:764.3]。
【0320】
以下の実施例は、参照されている実施例における手順を介して適切なBおよびC中間体を使用して調製した。
【0321】
【表5】



【0322】
実施例17
(3R,20R,24R,28S,34Z,36S,38R,41S)−N−(シクロプロピルスルホニル)−26,40,42−トリオキソ−4,25−ジオキサ−1,13,27,39−テトラアザヘプタシクロ[26.13.1.13,41.05,14.07,12.020,24.036,38]トリテトラコンタ−5,7,9,11,13,34−ヘキサエン−38−カルボキサミド
【0323】
【化92】

【0324】
段階1:エチル(2S,6S,12Z,13aS,14aR,16aS)−6−アミノ−2−{[(4−ブロモフェニル)スルホニル]オキシ}−5,16−ジオキソ−1,2,3,6,7,8,9,10,11,13a,14,15,16,16a−テトラデカヒドロシクロプロパ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアザシクロペンタデシン−14a(5H)−カルボキシレート塩酸塩
【0325】
【化93】

【0326】
表題化合物を、以下の手順の順序を使用して、1−t−ブチル2−メチル(2S,4S)−4−{[(4−ブロモフェニル)スルホニル]オキシ}ピロリジン−1,2−ジカルボキシレートから調製した:実施例6、段階2−3;中間体C1、段階7;および実施例6、段階1、4および6。LCMS(M+H)=612.0。
【0327】
段階2:1−[({[(1R,2R)−2−ペント−4−エン−1−イルシクロペンチル]オキシ}カルボニル)オキシ]ピロリジン−2,5−ジオン
【0328】
【化94】

【0329】
(1R,2R)−2−ペント−4−エン−1−イルシクロペンタノール(105mg、0.68mmol)のMeCN(1.4mL)中溶液に、N,N’−ジスクシンイミジルカルボネート(174mg、0.68mmol)およびEtN(0.19mL、1.36mmol)を添加し、混合物を40Cで20時間攪拌した。反応混合物を冷却し、濃縮し、シリカクロマトグラフィー(勾配溶出、ヘキサン中0から100%のEtOAc)により精製した。LCMS(M+Na)=318.1。
【0330】
段階3:エチル(2S,6S,12Z,13aS,14aR,16aS)−2−{[(4−ブロモフェニル)スルホニル]オキシ}−5,16−ジオキソ−6−[({[(1R,2R)−2−ペント−4−エン−1−イルシクロペンチル]オキシ}カルボニル)アミノ]−1,2,3,6,7,8,9,10,11,13a,14,15,16,16a−テトラデカヒドロシクロプロパ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアザシクロペンタデシン−14a(5H)−カルボキシレート
【0331】
【化95】

【0332】
段階1からの化合物(300mg、0.46mmol)のMeCN(0.5mL)中溶液に、EtN(0.19mL、1.36mmol)を添加した。段階2からの化合物(150mg、0.51mmol)のMeCN(1.5mL)中溶液を添加し、反応混合物をRTで1時間攪拌した。反応混合物をEtOAcおよび1MのHClにより後処理し、有機物をブラインにより洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製物質をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配溶出、ヘキサン中0から100%のEtOAc)により精製した。LCMS(M+H)=792.0。
【0333】
段階4:2−ビニルキノリン−3−オール
【0334】
【化96】

【0335】
2−ビニルキノリン−3−オールは、実施例6の段階5のために記載されている手順により、10:1のPhMe:DMSOを溶媒として使用して2−クロロキノリン−3−オールから調製した。LCMS(M+H)+=172.0。
【0336】
段階5:エチル(2R,6S,12Z,13aS,14aR,16aS)−5,16−ジオキソ−6−[({[(1R,2R)−2−ペント−4−エン−1−イルシクロペンチル]オキシ}カルボニル)アミノ]−2−[(2−ビニルキノリン−3−イル)オキシ]−1,2,3,6,7,8,9,10,11,13a,14,15,16,16a−テトラデカヒドロシクロプロパ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアザシクロペンタデシン−14a(5H)−カルボキシレート
【0337】
【化97】

【0338】
段階3からの化合物(75mg、0.09mmol)および2−ビニルキノリン−3−オール(16mg、0.09mmol)のNMP(0.2mL)中溶液に、CsCO(92mg、0.28mmol)を添加した。反応混合物を60℃で1時間攪拌した。反応混合物をEtOAcおよび水により後処理し、有機物をNaHCOおよびブラインにより洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製物質をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配溶出、ヘキサン中5から80%のEtOAc)により精製した。LCMS(M+H)=727.3。
【0339】
段階6:(3R,15E,20R,24R,28S,34Z,36S,38R,41S)−N−(シクロプロピルスルホニル)−26,40,42−トリオキソ−4,25−ジオキサ−1,13,27,39−テトラアザヘプタシクロ[26.13.1.13,41.05,14.07,12.020,24.036,38]トリテトラコンタ−5,7,9,11,13,15,34−ヘプタエン−38−カルボキサミド
【0340】
【化98】

【0341】
(3R,15E,20R,24R,28S,34Z,36S,38R,41S)−N−(シクロプロピルスルホニル)−26,40,42−トリオキソ−4,25−ジオキサ−1,13,27,39−テトラアザヘプタシクロ[26.13.1.13,41.05,14.07,12.020,24.036,38]トリテトラコンタ−5,7,9,11,13,15,34−ヘプタエン−38−カルボキサミドは、実施例6の段階8、9および10のために記載されている手順を介して段階5の化合物から調製した。LCMS(M+H)=774.2。
【0342】
段階7:(3R,20R,24R,28S,34Z,36S,38R,41S)−N−(シクロプロピルスルホニル)−26,40,42−トリオキソ−4,25−ジオキサ−1,13,27,39−テトラアザヘプタシクロ[26.13.1.13,41.05,14.07,12.020,24.036,38]トリテトラコンタ−5,7,9,11,13,34−ヘキサエン−38−カルボキサミド
段階6からの化合物(26mg、0.034mmol)のEtOH(20mL)中0℃溶液に、BiCl(154mg、0.487mmol)を添加し、次いでNaBH(363mg、9.61mmol)を添加した。次いで、混合物を40℃に15分間加温した。次いで、黒色固体を濾別し、EtOHにより洗浄した。次いで、1NのHClを添加して混合物を0℃でクエンチさせ;次いでEtOHを真空中で除去し;pHを約4に調節した。次いで、混合物をEtOAc(2×)により抽出し、MgSO上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去して粗製物質をもたらし、粗製物質を0−100%CHCN/0.15%トリフルオロ酢酸水溶液勾配を使用する逆相クロマトグラフィーにより精製して表題化合物をもたらした。H NMR(500MHz)(CDOD)δ8.99(s,1H)、8.56(s,1H)、8.15(d,J=8.0Hz,1H)、8.08(d,J=8.0Hz,1H)、7.92(app.t,J=7.2Hz,1H)、7.83(app.t,J=7.6Hz,1H)、5.68(q,J=10.0Hz,1H)、5.61(app.t,J=3.2Hz,1H)、5.05(app.t,J=8.8Hz,1H)、4.95−4.47(m,2H)、4.51(dd,J=10.2Hz,6.8Hz,1H)、4.30(d,J=10.4Hz,1H)、4.14(dd,J=11.8Hz,3.6Hz,1H)、3.17(m,2H)、2.85(m,1H)、2.65(m,2H)、2.53(m,1H)、2.45(q,J=8.4Hz,1H)、2.0−1.8(m,5H)、1.8−1.2(m,21H)、1.2−0.9(m,4H)。LRMS ESI(M+H)776.1、C4154Sについての計算値:776.3。
【0343】
実施例18
(3R,20R,24R,28S,34Z,36S,38R,41S)−N−(シクロプロピルスルホニル)−26,40,42−トリオキソ−4,25−ジオキサ−1,6,13,27,39−ペンタアザヘプタシクロ[26.13.1.13,41.05,14.07,12.020,24.036,38]トリテトラコンタ−5,7,9,11,13,34−ヘキサエン−38−カルボキサミド
【0344】
【化99】

【0345】
実施例18は、実施例17のために記載されている手順により、段階5の2−ビニルキノリン(2−vnylquinolin)−3−オールに代えて3−ビニルキノキサリン−2−オールを使用して調製した。LCMS(M+H)=777.2。
【0346】
上述の方法を中間体A、BおよびCの適切な選択と組み合わせて利用することにより、表Aに示されている以下の化合物を調製することができる:
【0347】
【表6】

【0348】
以下の2−メトキシキノリン誘導体は、中間体C2を利用して、最初に形成されたキノロンビス大環状物をヨウ化メチルまたはトリメチルオキソニウムテトラフルオロボレートと反応させて表Bに示されている対応するメチルエーテルを得ることにより調製することができる。
【0349】
【表7】

【0350】
表Cに示されている以下のメトキシイソキノリン誘導体は、中間体C3から、同様の様式において、適切な中間体Bとカップリングした後にビニル化段階を実施して調製することができる。
【0351】
【表8】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物または医薬として許容されるこの塩、水和物もしくはプロドラッグ。
【化100】

[式中、
【化101】

は、
1)アリール、
2)C−Cシクロアルキル;および
3)複素環系(ここで、可変部YおよびXへの結合箇所は、第1の炭素環原子および第2の炭素環原子を含む第1の原子対ならびに炭素環原子および窒素環原子を含む第2の原子対から独立して選択され、この複素環系は、
a)N、OまたはSからなる群から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子環原子を有する5員または6員の飽和または不飽和単環、
b)N、OまたはSからなる群から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子環原子を有する8員、9員または10員の飽和または不飽和二環および
c)N、OまたはSからなる群から選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子環原子を有する11員から15員の飽和または不飽和三環
からなる群から選択される。)
からなる群から選択され;
ここで、前記アリール、シクロアルキル環または複素環は、非置換であり、Rで一置換されており、Rから独立して選択される基で二置換されており、Rから独立して選択される基で三置換またはRから独立して選択される基で四置換されており、ここで、安定なSまたはN複素環原子のいずれも、非置換でありまたはオキソで置換されており、前記複素環のR置換は、1個または複数の複素環の炭素または窒素原子上に存在し;
は、CO10、CONR10SO、CONR10SONR、テトラゾリル、CONHP(O)R1112またはP(O)R1112であり;
は、H、ハロ、OR10、C−Cアルキル、CN、CF、SR10、SO(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、C−Cハロアルキル、N(R、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールは、フェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、ヘテロシクリルは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アルキルまたはアルコキシは、ハロ、OR10、SR10、N(R、N(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、ハロ(C−Cアルコキシ)、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、NO、CN、CF、SO(C−Cアルキル)、NR10SO、SON(R、S(O)(C−Cアルキル)、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10、C(O)R10およびCON(R10からなる群から選択される1個から4個の置換基で場合により置換されており;ここで、前記シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの隣接する2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から3個のヘテロ原子を含有する3員から6員環を形成し;
は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキル(C−C)アルキル、アリール、アリール(C−C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C−Cアルキル)、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル(C−Cアルキル)であり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、1個から2個のW置換基で場合により置換されており;ここで、各アリールは、独立して、フェニルまたはナフチルであり、各ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、各ヘテロシクリルは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;
Zは、非置換であるまたは−C1−6アルキルから独立して選択される1個、2個もしくは3個の置換基で置換されているC3−9アルキレンであり、ここで、2個の置換基は、置換基原子および(1個または複数の)共有原子を含有するスピロまたは縮合環を場合により形成し;
Xは、
1)−C0−5アルキレン−X−、
2)−C2−5アルケニレン−X−、
3)−C2−5アルキニレン−X−、
4)−C0−3アルキレン−X−、
5)−C2−3アルケニレン−X−、
6)−C2−3アルキニレン−X
(ここで、Xは、−O−、−NH−または−CH−であり、Xは、−C(O)O−、−C(O)NR16−または−NR16C(O)O−であり、ここで、アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンは、非置換でありまたはC1−6アルキルで置換されている。)
からなる群から選択され;
Yは、
1)−C1−7アルキレン−Y−、
2)−C2−7アルケニレン−Y−、
3)−C2−7アルキニレン−Y
(ここで、Yは、−OC(O)−、−NR17C(O)−、−C(O)−または−NHSO−であり、各アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンは、非置換でありまたはC1−6アルキルで置換されており、Yの隣接する任意の2個の炭素原子は、N、OおよびSからなる群から選択される0個から3個のヘテロ原子を含有するC3−6員環を場合により形成し、各アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン鎖は、メチレン部分に代えて酸素原子を場合により含む。)
からなる群から選択され;
各Rは、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキル(C−C)アルキル、アリール、アリール(C−C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C−Cアルキル)、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル(C−Cアルキル)であり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、1個から2個のW置換基で場合により置換されており;ここで、各アリールは、独立して、フェニルまたはナフチルであり、各ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、各ヘテロシクリルは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;
各Wは、独立して、ハロ、OR10、C−Cアルキル、CN、CF、NO、SR10、CO10、CON(R10、C(O)R10、N(R10)C(O)R10、SO(C−Cアルキル)、S(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、C−Cハロアルキル、N(R10、N(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)、ハロ(C−Cアルコキシ)、NR10SO10、SON(R10、NHCOOR10、NHCONHR10、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールは、フェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、ヘテロシクリルは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;
は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキル(C−Cアルキル)、アリール、アリール(C−Cアルキル)、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール(C−Cアルキル)またはヘテロシクリル(C−Cアルキル)であり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、アリール、C−Cシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、C−Cアルキル、ハロ(C−Cアルコキシ)、ハロ、OR10、SR10、N(R10、N(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)、C−Cアルキル、C(O)R10、C−Cハロアルキル、NO、CN、CF、SO(C−Cアルキル)、S(O)(C−Cアルキル)、NR10SO、SON(R、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10およびC(O)N(R10からなる群から選択される1個から4個の置換基で場合により置換されており;ここで、各アリールは、独立して、フェニルまたはナフチルであり;各ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり;各ヘテロシクリルは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、前記シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの隣接する2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から3個のヘテロ原子を含有する3員から6員環を形成し;
は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキル(C−Cアルキル)、C−Cアルコキシ、C−Cシクロアルコキシ、アリール、アリール(C−Cアルキル)、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール(C−Cアルキル)またはヘテロシクリル(C−Cアルキル)であり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、アリール、C−Cシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、C−Cアルキル、ハロ(C−Cアルコキシ)、ハロ、OR10、SR10、N(R10、N(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)、C−Cアルキル、C(O)R10、C−Cハロアルキル、NO、CN、CF、SO(C−Cアルキル)、S(O)(C−Cアルキル)、NR10SO、SON(R、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10およびC(O)N(R10からなる群から選択される1個から4個の置換基で場合により置換されており;ここで、各アリールは、独立して、フェニルまたはナフチルであり;各ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり;各ヘテロシクリルは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、前記シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの隣接する2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から3個のヘテロ原子を含有する3員から6員環を形成し;
またはRおよびRは、これらが結合している窒素原子と場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から2個の追加のヘテロ原子を含有する4員から8員の単環を形成し;
各R10は、独立して、HまたはC−Cアルキルであり;
各R11は、独立して、OR13、N(R10)−V−CO10、O−V−CO10、S−V−CO10、N(R10)(R13)、R14またはN(R10)SOであり;
各R12は、独立して、OR13、N(R10)−V−CO10、O−V−CO10、S−V−CO10またはN(R10)(R13)であり;
またはR11およびR12は、これらが結合しているリン原子と場合により一緒になって、5員から7員の単環を形成し;
各Vは、独立して、CH(R15)またはC−Cアルキレン−CH(R15)であり;
各R13は、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり、ここで、前記アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、アリール、アリール(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキル(C−Cアルキル)、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C−Cアルキル)、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル(C−Cアルキル)、C−Cアルキル、ハロ、OC(O)OR、OC(O)R、OR10、SR10、N(R10、C(O)R10、NO、CN、CF、SO(C−Cアルキル)、S(O)(C−Cアルキル)、NR10SO、SON(R、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10およびC(O)N(R10からなる群から選択される1個から2個の置換基で場合により置換されており;ここで、各アリールは、独立して、フェニルまたはナフチルであり;各ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり;各ヘテロシクリルは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、前記シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの隣接する2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から3個のヘテロ原子を含有する3員から6員環を形成し;
14は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、アリールは、フェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、ここで、前記アリールまたはヘテロアリールは、C−Cアルキル、ハロ、OC(O)OR、OC(O)R、OR10、SR10、N(R10、C(O)R10、NO、CN、CF、SO(C−Cアルキル)、S(O)(C−Cアルキル)、NR10SO、SON(R、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10およびC(O)N(R10からなる群から選択される1個から2個の置換基で場合により置換されており;
各R15は、独立して、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり、ここで、前記アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、C−Cアルキル、ハロ、OC(O)OR、OC(O)R、OR10、SR10、N(R10、C(O)R10、NO、CN、CF、SO(C−Cアルキル)、S(O)(C−Cアルキル)、NR10SO、SON(R、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10およびC(O)N(R10からなる群から選択される1個から2個の置換基で場合により置換されており;ここで、各アリールは、独立して、フェニルまたはナフチルであり;各ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり;各ヘテロシクリルは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、前記シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの隣接する2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から3個のヘテロ原子を含有する3員から6員環を形成し;
16は、HまたはC1−4アルキルであり;
17は、Yの別の炭素原子と一緒になって、1個の窒素および2−7個の炭素原子を含有する複素環を形成するC1−6アルキルまたはC1−6アルキレン部分である。]
【請求項2】
Xが、−C0−5アルキレン−O−または−C0−3アルキレン−C(O)O−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xが、−O−または−C(O)O−である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Yが、−C1−7アルキレン−Y−または−C2−7アルケニレン−Y−であり、ここで、Yは、−OC(O)−または−C(O)−であり、各アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンは、非置換でありまたはC1−2アルキルで置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Yが、−CH=CHCHC(CHCHOC(O)−、−CH=CHCHCH(CH)CHOC(O)−、−CH=CH(CHOC(O)−、−(CHC(CHCHOC(O)、−(CHCH(CH)CHOC(O)−、−(CH6−8OC(O)−、−CH=CH(CHC(CHCHOC(O)−、−CH−=−CH(CHCH(CH)CHOC(O)−、−CH=CH(CHC(O)−、−(CHC(CHCHOC(O)−、−(CHCH(CH)CHOC(O)−、−(CHC(O)−、−CH=CH(CHOC(O)−、−CH=CH(CHOC(O)−、−CH=CH(CHCH(CH)CHOC(O)−、−CH=CH(CHC(CHCHOC(O)−、−CH=CH(CHC(O)−、−(CHC(CHCHOC(O)−、および−(CHCH(CH)CHOC(O)−からなる群から選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Zが−(CH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Aが、
【化102】

[式中、pおよびqは、独立して、1または2であり、Dは、NまたはCHである。]からなる群から選択される、請求項1、2または4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
が、H、−OC1−6アルキルおよびフェニルからなる群から選択され、pおよびqが1である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
Aが、
【化103】

からなる群から選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
以下の
【化104】




からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物または医薬として許容されるこの塩、水和物もしくはプロドラッグ。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物の有効量および医薬として許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項12】
HCV抗ウイルス剤、免疫調節剤および抗感染剤からなる群から選択される第2の治療剤をさらに含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
HCV抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼ阻害剤およびHCVNS5Bポリメラーゼ阻害剤からなる群から選択される抗ウイルス剤である、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
HCVNS3プロテアーゼ活性の阻害が必要とされる対象においてHCVNS3プロテアーゼ活性を阻害する医薬品の調製における、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項15】
HCVによる感染の予防または治療が必要とされる対象においてHCVによる感染を予防または治療する医薬品の調製における、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項16】
前記医薬品が、HCV抗ウイルス剤、免疫調節剤および抗感染剤からなる群から選択される少なくとも1種の第2の治療剤をさらに含む、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
HCV抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼ阻害剤およびHCVNS5Bポリメラーゼ阻害剤からなる群から選択される抗ウイルス剤である、請求項16に記載の使用。

【公表番号】特表2010−507660(P2010−507660A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534617(P2009−534617)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/022452
【国際公開番号】WO2008/057208
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】