説明

HCVRNA複製抑制剤

【課題】ヒトC型肝炎ウイルスRNAの複製抑制剤又はヒトC型肝炎ウイルス感染症治療剤として有用な化合物の利用、及びその化合物のスクリーニング方法を提供すること。
【解決手段】N-アセチルグルコサミンは、ヒトC型肝炎ウイルスのRNA複製を抑制する作用を有することから、ヒトC型肝炎ウイルスのRNA複製抑制剤、ヒトC型肝炎ウイルス感染症治療剤などとして有用であり、N-アセチルグルコサミンをリード化合物としたN-アセチルグルコサミン誘導体を用いることにより、ヒトC型肝炎ウイルスRNA複製抑制剤やヒトC型肝炎ウイルス感染症治療剤のスクリーニングが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトC型肝炎ウイルスRNAの複製抑制剤又はヒトC型肝炎ウイルス感染症治療剤として有用な化合物の利用、及びその化合物のスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトC型肝炎ウイルス(以下「HCV」と称する場合もある。)の感染によって引き起こされるヒトC型肝炎の治療法としては、インターフェロンとリバビリンの併用療法が行われているが、有効性は50%程度であり、十分ではない。そのため、新たなヒトC型肝炎の治療剤の開発が望まれている。
近年においては、HCV複製抑制剤として有用なアシルスルホンアミド誘導体などが開発されている(特許文献1)。また、一方で、HCV感染症治療剤のスクリーニングに有用な、ヒト肝細胞キメラマウス(非特許文献1)、HCV感染に感受性のあるキメラ動物モデル(特許文献2〜5)、HCV感染ヒト肝臓細胞を移植したHCV感染キメラマウスモデル(特許文献6)、HCVトランスジェニックマウス(特許文献7)、ヒトCD81トランスジェニック非ヒト動物(特許文献8)などが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2006−515364号公報
【特許文献2】米国特許第6509514号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0115616号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2007/0107069号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2009/0151012号明細書
【特許文献6】国際公開第94/07685号パンフレット
【特許文献7】特開平10−84813号公報
【特許文献8】特開2001−299140号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Tateno C et al., Am J Pathol 2004;165:901-912.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ヒトC型肝炎ウイルスRNAの複製抑制剤又はヒトC型肝炎ウイルス感染症治療剤として有用な化合物の利用、及びその化合物のスクリーニング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、HCV RNA持続複製細胞であるSGR-Luc細胞のHCV RNAの複製をN-アセチルグルコサミンが抑制することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1) N-アセチルグルコサミンを有効成分として含有するヒトC型肝炎ウイルスRNA複製抑制剤;
(2) N-アセチルグルコサミンを有効成分として含有するヒトC型肝炎ウイルス感染症治療剤;
(3) N-アセチルグルコサミンをリード化合物としたN-アセチルグルコサミン誘導体のHCV RNAの複製能を測定する工程を含む、ヒトC型肝炎ウイルスRNA複製抑制剤又はヒトC型肝炎ウイルス感染症治療剤のスクリーニング方法;
(4) N-アセチルグルコサミンをリード化合物としたN-アセチルグルコサミン誘導体を、HCV感染動物に投与する工程と、N-アセチルグルコサミン誘導体の投与により、HCV感染症の発症を予防できるか、あるいは、HCV感染症を改善できるかを評価する工程と、を含む、ヒトC型肝炎ウイルス感染症治療剤のスクリーニング方法;
(5) N-アセチルグルコサミンを有効成分として含有する、細胞内におけるアミノCTH(アミノセラミドトリヘキソシド)の生合成経路の活性化剤;
(6) N-アセチルグルコサミンを有効成分として含有する、細胞内におけるGb3Cer(グロボトリオシルセラミド)の生合成経路の抑制剤;
(7) N-アセチルグルコサミンを有効成分として含有する、細胞内におけるアミノCTH(アミノセラミドトリヘキソシド)の合成促進剤;
(8) N-アセチルグルコサミンを有効成分として含有する、細胞内におけるsnLc4Cer(シアリルネオラクトテトラオシルセラミド)の合成促進剤;
(9) N-アセチルグルコサミンを有効成分として含有する、細胞内におけるsnLc6Cer(シアリルネオラクトノルヘキサオシルセラミド)の合成促進剤;
(10) N-アセチルグルコサミンを有効成分として含有する、細胞内におけるNeuAcα2-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3(GlcNAcβ1-6)Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-1’Cerの合成促進剤;
(11) N-アセチルグルコサミンを有効成分として含有する、細胞内におけるsnLc8Cer(シアリルネオラクトノルオクタオシルセラミド)の合成促進剤;
(12) N-アセチルグルコサミンを有効成分として含有する、細胞内におけるGb3Cer(グロボトリオシルセラミド)の合成抑制剤;
(13) N-アセチルグルコサミンを有効成分として含有する、細胞内におけるGb4Cer(グロボテトラオシルセラミド)の合成抑制剤;
(14) ヒトC型肝炎ウイルスRNA複製抑制剤を製造するためのN-アセチルグルコサミンの使用;
(15) ヒトC型肝炎ウイルス感染症治療剤を製造するためのN-アセチルグルコサミンの使用;
(16) 細胞内におけるアミノCTH(アミノセラミドトリヘキソシド)の生合成経路の活性化剤を製造するためのN-アセチルグルコサミンの使用;
(17) 細胞内におけるGb3Cer(グロボトリオシルセラミド)の生合成経路の抑制剤を製造するためのN-アセチルグルコサミンの使用;
(18) 細胞内におけるアミノCTH(アミノセラミドトリヘキソシド)の合成促進剤を製造するためのN-アセチルグルコサミンの使用;
(19) 細胞内におけるsnLc4Cer(シアリルネオラクトテトラオシルセラミド)の合成促進剤を製造するためのN-アセチルグルコサミンの使用;
(20) 細胞内におけるsnLc6Cer(シアリルネオラクトノルヘキサオシルセラミド)の合成促進剤を製造するためのN-アセチルグルコサミンの使用;
(21) 細胞内におけるNeuAcα2-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3(GlcNAcβ1-6)Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-1’Cerの合成促進剤を製造するためのN-アセチルグルコサミンの使用;
(22) 細胞内におけるsnLc8Cer(シアリルネオラクトノルオクタオシルセラミド)の合成促進剤を製造するためのN-アセチルグルコサミンの使用;
(23) 細胞内におけるGb3Cer(グロボトリオシルセラミド)の合成抑制剤を製造するためのN-アセチルグルコサミンの使用;
(24) 細胞内におけるGb4Cer(グロボテトラオシルセラミド)の合成抑制剤を製造するためのN-アセチルグルコサミンの使用;
(25) ヒトC型肝炎ウイルスのRNA複製を抑制するためのN-アセチルグルコサミン;
(26) ヒトC型肝炎ウイルスの感染症を治療するためのN-アセチルグルコサミン;
(27) 細胞内におけるアミノCTH(アミノセラミドトリヘキソシド)の生合成経路を活性化するためのN-アセチルグルコサミン;
(28) 細胞内におけるGb3Cer(グロボトリオシルセラミド)の生合成経路を抑制するためのN-アセチルグルコサミン;
(29) 細胞内におけるアミノCTH(アミノセラミドトリヘキソシド)の合成を促進するためのN-アセチルグルコサミン;
(30) 細胞内におけるsnLc4Cer(シアリルネオラクトテトラオシルセラミド)の合成を促進するためのN-アセチルグルコサミン;
(31) 細胞内におけるsnLc6Cer(シアリルネオラクトノルヘキサオシルセラミド)の合成を促進するためのN-アセチルグルコサミン;
(32) 細胞内におけるNeuAcα2-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3(GlcNAcβ1-6)Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-1’Cerの合成を促進するためのN-アセチルグルコサミン;
(33) 細胞内におけるsnLc8Cer(シアリルネオラクトノルオクタオシルセラミド)の合成を促進するためのN-アセチルグルコサミン;
(34) 細胞内におけるGb3Cer(グロボトリオシルセラミド)の合成を抑制するためのN-アセチルグルコサミン;
(35) 細胞内におけるGb4Cer(グロボテトラオシルセラミド)の合成を抑制するためのN-アセチルグルコサミン;
(36) N-アセチルグルコサミンをヒトC型肝炎ウイルスに感染した細胞に作用させる工程を含む、ヒトC型肝炎ウイルスのRNA複製を抑制する方法;
(37) N-アセチルグルコサミンを投与する工程を含む、ヒトC型肝炎ウイルス感染症の治療方法;
(38) N-アセチルグルコサミンを細胞に作用させる工程を含む、細胞内におけるアミノCTH(アミノセラミドトリヘキソシド)の生合成経路の活性化方法;
(39) N-アセチルグルコサミンを細胞に作用させる工程を含む、細胞内におけるGb3Cer(グロボトリオシルセラミド)の生合成経路の抑制方法;
(40) N-アセチルグルコサミンを細胞に作用させる工程を含む、細胞内におけるアミノCTH(アミノセラミドトリヘキソシド)合成の促進方法;
(41) N-アセチルグルコサミンを細胞に作用させる工程を含む、細胞内におけるsnLc4Cer(シアリルネオラクトテトラオシルセラミド)合成の促進方法;
(42) N-アセチルグルコサミンを細胞に作用させる工程を含む、細胞内におけるsnLc6Cer(シアリルネオラクトノルヘキサオシルセラミド)合成の促進方法;
(43) N-アセチルグルコサミンを細胞に作用させる工程を含む、細胞内におけるNeuAcα2-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3(GlcNAcβ1-6)Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-1’Cer合成の促進方法;
(44) N-アセチルグルコサミンを細胞に作用させる工程を含む、細胞内におけるsnLc8Cer(シアリルネオラクトノルオクタオシルセラミド)合成の促進方法;
(45) N-アセチルグルコサミンを細胞に作用させる工程を含む、細胞内におけるGb3Cer(グロボトリオシルセラミド)合成の抑制方法;
(46) N-アセチルグルコサミンを細胞に作用させる工程を含む、細胞内におけるGb4Cer(グロボテトラオシルセラミド)合成の抑制方法などである。
【0008】
なお、本発明において「作用させる」とは、N-アセチルグルコサミンを、添加又は投与することにより、ヒトC型肝炎ウイルスのRNA複製を抑制する作用、細胞内におけるアミノCTH(アミノセラミドトリヘキソシド)の生合成経路の活性化、細胞内におけるGb3Cer(グロボトリオシルセラミド)の生合成経路の抑制、細胞内におけるアミノCTH(アミノセラミドトリヘキソシド)合成の促進、細胞内におけるsnLc4Cer(シアリルネオラクトテトラオシルセラミド)合成の促進、細胞内におけるsnLc6Cer(シアリルネオラクトノルヘキサオシルセラミド)合成の促進、細胞内におけるNeuAcα2-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3(GlcNAcβ1-6)Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-1’Cer合成の促進、細胞内におけるsnLc8Cer(シアリルネオラクトノルオクタオシルセラミド)合成の促進、細胞内におけるGb3Cer(グロボトリオシルセラミド)合成の抑制、あるいは細胞内におけるGb4Cer(グロボテトラオシルセラミド)合成の抑制を発揮させることをいい、培養細胞を対象としてもよいし、個体内の細胞を対象としてもよい。前記個体は、例えば、ヒトであってもよいし、それ以外の哺乳動物であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ヒトC型肝炎ウイルスRNAの複製抑制剤又はヒトC型肝炎ウイルス感染症治療剤として有用な化合物の利用、及びその化合物のスクリーニング方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例において、SGR-Luc細胞と、その親株であるHuh-7細胞において、糖鎖プライマー伸長生成物に違いがあるかどうかを調べた結果を示す図である。
【図2】本発明の一実施例において、SGR-Luc細胞のルシフェラーゼ活性を指標として、SGR-Luc細胞におけるHCV RNAの複製能が糖により減少するかどうかを調べた結果を示す図である。
【図3】本発明の一実施例において、SGR-Luc細胞におけるHCV RNAの複製が糖により減少するかどうかを調べた結果を示す図である。
【図4】本発明の一実施例において、N-アセチルグルコサミンが、SGR-Luc細胞における内在性糖脂質の発現に及ぼす影響をLC-MS/MSにより調べた結果を示す図である。
【図5】本発明の一実施例において、N-アセチルグルコサミンが、SGR-Luc細胞におけるHCV RNAの複製を抑制する仕組みを模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、上記知見に基づき完成した本発明の実施の形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。実施例において特に説明がない場合には、市販の試薬キットや測定装置はそれらに添付のプロトコールを用いる。
なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
【0012】
N-アセチルグルコサミン(α-N-アセチルグルコサミン、β-N-アセチルグルコサミン、及びそれらの混合物の総称を意味する。本願明細書において、「GlcNAc」と称する場合もある。)は、HCV RNAの複製を抑制する作用を有することから、GlcNAcは、HCV RNA複製抑制剤、あるいは、抗HCV剤などとして有用であり、それによって、HCV RNA複製抑制、HCV増殖抑制、あるいは、肝機能異常、C型肝炎、肝硬変や肝細胞がんなどの肝不全などのHCV感染症の治療に有用である。
なお、HCV無症候性持続感染は、肝炎などHCV感染症を発症する可能性が高い。従って、HCV RNAの複製抑制作用を有するGlcNAcは、HCV無症候性キャリアからのHCV感染症の発症予防にも有用である。
一方、細胞にGlcNAcを投与すると、細胞内で、アミノCTH(アミノセラミドトリヘキソシド)の生合成経路の活性化、特にアミノCTH[アミノセラミドトリヘキソシド(Lc3Cer, ラクトトリアオシルセラミドとも表記される)]、snLc4Cer(シアリルネオラクトテトラオシルセラミド)、snLc6Cer(シアリルネオラクトノルヘキサオシルセラミド)、NeuAcα2-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3(GlcNAcβ1-6)Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-1’Cer、及びsnLc8Cer(シアリルネオラクトノルオクタオシルセラミド)等のネオラクト/ラクト系列の糖脂質の合成が増強され、あるいはGb3Cer(グロボトリオシルセラミド)の生合成経路の抑制、特にGb3Cer(グロボトリオシルセラミド)及びGb4Cer(グロボテトラオシルセラミド)等のグロボ/イソグロボ系列の糖脂質の合成が抑制され、HCV RNAの複製抑制に繋がる。従って、GlcNAcは、細胞内のアミノCTH、snLc4Cer、snLc6Cer、NeuAcα2-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3(GlcNAcβ1-6)Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-1’Cer、及びsnLc8Cerの合成促進剤として有用である。また、GlcNAcは、細胞内のGb3Cer及びGb4Cerの合成抑制剤として有用である。
【0013】
==GlcNAcの利用==
GlcNAcは、HCV RNAの複製の抑制、又はHCVの治療や発症予防を目的とするものであれば、医薬、実験用試薬の他、どのようなものに用いてもよい。
GlcNAcの剤形としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、注射剤、坐剤、液剤など特に問わず、また、固形、液状、ゲル状、粉末状、ゼリー状、油状、ペースト状、泡状、クリーム状などの形状にしてもよい。例えば、本発明のHCV RNA複製抑制剤や抗HCV剤を医薬として用いる場合、その製剤化は、従来使用されている製剤添加物を用いて、常法で行うことができる。前記製剤添加物としては、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、矯味矯臭剤、溶剤、安定剤、基剤、湿潤剤、保存剤などの既存の添加物を用いることができる。
また、GlcNAcの投与方法としてはHCVに感染する又は感染したヒトやチンパンジーなどの動物に、経口投与してもよいし、腹腔内や静脈内への注射や点滴により非経口投与してもよい。また、上記HCV RNA複製抑制剤や抗HCV剤をin vivoでの実験用試薬として用いる場合は、HCVに感染する又は感染したヒト以外の動物に、経口投与してもよいし、腹腔内や静脈内への注射や点滴により非経口投与してもよい。また、HCVに感染する又は感染したヒト以外の上記動物としては、例えば、チンパンジー、ヒト肝細胞キメラマウス、HCV感染に感受性のあるキメラ動物モデル、HCVトランスジェニックマウス、ヒトCD81トランスジェニック非ヒト動物などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
==HCV RNA複製抑制剤又は抗HCV剤のスクリーニング方法==
HCV RNA複製抑制剤のスクリーニング方法は、GlcNAcの誘導体がHCV RNAの複製能を減少できるかどうかを測定する工程を含む。例えば、GlcNAcの誘導体の存在下・非存在下においてHCV RNA持続複製細胞を培養し、HCV RNAの複製能が減少されたかどうかを調べたり、上記誘導体の投与により、HCVに感染した上記動物においてHCV RNAの複製が抑制されたかどうかを調べたりすることにより、HCV RNA複製抑制剤のスクリーニングを行うことができる。
また、抗HCV剤のスクリーニング方法は、HCV RNA複製抑制剤のスクリーニングと同様の上記工程を含んでもよいし、GlcNAcの誘導体が、HCVに感染した動物においてHCV感染症を予防できるかどうか、HCV感染症を改善できるかどうかを測定する工程を含んでもよい。例えば、上述のようにHCV RNA複製抑制剤のスクリーニングを行うことにより、抗HCV剤のスクリーニングを行ってもよいし、上記誘導体の投与により、HCVに感染した上記動物において、HCV感染症を予防できたかどうか、あるいは、HCV感染症を改善できたかどうかなどを測定することにより、抗HCV剤のスクリーニングを行ってもよい。
なお、HCV感染症の予防や改善の評価は、既存の方法により行うことができる。より具体的には、血清中のHCV RNA濃度を定量することにより行ってもよいし、HCV抗体検査、HCV抗原検査、HCV遺伝子定性検査等により行ってもよい。なお、上記評価は、必要に応じて、セロタイプ、ジェノタイプなどのHCVの型の同定;AST(GOT)値の測定;ALT(GPT)値の測定;例えば、タンパク質合成の能力低下、解毒の能力低下などの肝臓機能低下の測定;血小板数の測定;例えば、超音波検査、CTスキャン、MRI、血管造影などによる肝臓組織の生体検査などを適宜組み合わせて行ってもよい。
【0015】
GlcNAcの誘導体としては、例えば、下式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物をリード化合物として式中のいずれか1又は2以上のOH基を修飾した誘導体などを挙げることができる。なお、GlcNAcの誘導体としては、既知の化合物を用いてもよいが、公知の方法により、あるいは公知の方法を適宜組み合わせて、製造してもよい。
【化1】

【実施例】
【0016】
以下、本発明を実施例及び図を用いてより具体的に説明する。
<実施例1>
HCV RNA持続複製細胞SGR-Luc細胞と、その親株であるヒト肝がん細胞株Huh-7細胞において、糖鎖プライマー伸長生成物に違いがあるかどうかをLC-MS/MSによって調べた。
SGR-Luc細胞又はHuh-7細胞を2×106 cells/ディッシュで播種し、37 ℃、5% CO2の条件下で18時間インキュベートし、各細胞をディッシュに接着させた。なお、Huh-7細胞は、Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium (DMEM, nacalai) に非働化したウシ胎児血清Fetal Bovine Serum (FBS) を10%添加し、さらにMinimum Essential Medium Non-Essential Amino Acid (Gibco) を1%添加した培地で培養した。また、SGR-Luc細胞は、DMEMにFBSを10%添加し、さらにG418 disulfate salt, powder, cell culture tested (SIGMA) を1 mg/mLの濃度で添加した培地で培養した。
接着後、PBS(-)で洗浄し、50 μMのドデシル β-D-ガラクトピラノシル-(1→4)β-D-グルコピラノシド (Lac-C12) プライマーを含有したDMEM/F12 (Gibco, 無血清培地) を5 mL加えて、48時間インキュベートして糖鎖伸長反応を行った。
その後、各ディッシュを氷上に置いて反応を停止させ、PBS (-) 3 mLを加えた。セルスクレイパーで細胞を剥がし、懸濁液を回収した。得られた細胞懸濁液を4 ℃で1,000 rpm×5分間遠心分離し、上清を培地画分として回収した。一方、沈殿した細胞をPBS(-) 500 μLに懸濁し、Lowry法のstandard assayによりタンパク質定量を行った。
得られた培地画分中の糖鎖伸長生成物を、Sep-Pak C18カラム (Waters)を用いてメタノールにより抽出し、遠心エバポレーターによって溶媒を減圧留去した。その後、糖鎖伸長生成物を、アミノプロピルカラムDSC-NH2 (SUPELCO) を用いて中性画分と酸性画分に分離し、中性画分をメタノールにより抽出し、酸性画分をメタノール/酢酸/トリエチルアミン = 93 / 3 / 4 (v/v/v) により抽出した。各抽出溶媒を遠心エバポレーターにより減圧留去し、LC-MS/MSを用いて質量分析を行った。各生成物のHPLCのクロマトグラムのピーク面積を、1ディッシュ当りのタンパク質量で補正してSGR-Luc細胞とHuh-7細胞における各糖鎖を比較した。各生成物の構造はMS/MSフラグメントおよび各種加水分解酵素処理によって決定した。その結果を図1に示す。なお、図1中の「N1」はGalα1-4Lac-C12を、「N2」はGlcNAcβ1-3Lac-C12を、「N3」はGalNAcβ1-3Galα1-4Lac-C12を、「N4」はGalβ1-4GlcNAcβ1-3Lac-C12を、「A1」はHSO3 + Lac-C12を、「A2」はHSO3 +Galα1-4Lac-C12を、「A3」はHSO3 + GlcNAcβ1-3Lac-C12を、「A4」は2Ac + NeuAcα2-3Lac-C12を、「A5」はAc + NeuAcα2-3Lac-C12を、「A6」はNeuAcα2-3Lac-C12を、「A7」はNeuGcα2-3Lac-C12を、「A8」はGalNAcβ1-4(NeuAcα2-3)Lac-C12を、「A9」はGalNAcβ1-4(NeuGcα2-3)Lac-C12を、「A10a」はGalβ1-3GalNAcβ1-4(NeuAcα2-3)Lac-C12を、「A10b」はNeuAcα2-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3Lac-C12を、「A11」は HexNAc-Galβ1-3GalNAcβ1-4(NeuAcα2-3)Lac-C12を、「A12」はNeuAc-Galβ1-4GlcNAc-(Galβ1-4GlcNAc-)Lac-C12を、「A13」はNeuAc-Galβ1-4GlcNAc-(NeuAc-Galβ1-4GlcNAc-)Lac-C12を、「A14」はNeuAc-Galβ1-4GlcNAc-(NeuAc-Galβ1-4GlcNAc-)Galβ1-4GlcNAcβ1-3Lac-C12をそれぞれ意味する。
図1に示すように、N1やN3は、SGR-Luc細胞とHuh-7細胞で、生成量に有意差がないのに対し、N2やN4ではSGR-Luc細胞において発現量の減少が確認できた。この結果は、HCV RNAの複製がラクト/ネオラクト系列の糖脂質の生成に影響があることを示す一例である。
【0017】
<実施例2>
ラクト系列(ネオラクト系列)の糖脂質の糖鎖が、HCV RNAの複製を抑制することを確認するため、各種糖(単糖及びアミノ糖)により、SGR-Luc細胞におけるHCV RNAの複製能が減少するかどうかを、SGR-Luc細胞のルシフェラーゼ活性を指標として調べた。
SGR-Luc細胞を24-well plateの各ウェルに4×104 cells/ウェルで播種し、一晩培養した後、最終濃度で1, 5, 10 mMとなるように糖又はアミノ酸(D-ガラクトース:Gal、GlcNAc、N-アセチル-D-マンノサミン:ManNAc)を添加した培地 (1 mL) に交換した (n = 5)。なお、コントロールとして、糖及びアミノ酸を添加していない培地に交換したものも準備した。
24、48又は72時間インキュベートした後、ルミノメーター (TURNER DESIGNS) でルシフェラーゼ活性を測定した。その後、細胞溶解液中のタンパク量を測定し、ルシフェラーゼ活性をタンパク量で補正した。
その結果、図2に示すように、GlcNAcで72時間処理した場合においてルシフェラーゼ活性がGlcNAcの濃度依存的に減少した。一方、GalやManNAcを添加した場合では大きな変化は見られなかった。本実施例における、GlcNAcが、SGR-Luc細胞におけるHCV RNAの複製能を低下させる結果は、ラクト系列(ネオラクト系列)の糖脂質の糖鎖がHCV RNAの複製を抑制する効果を有することを示す一例である。
【0018】
<実施例3>
GlcNAcによりSGR-Luc細胞におけるHCV RNAの複製が減少することを半定量RT-PCRにより確認した。
SGR-Luc細胞(4×104 cells)を24時間培養した後、最終濃度で10 mMとなるように糖又はアミノ酸(Gal、GlcNAc、又はManNAc)を添加した培地 (10 mL) に交換した。なお、コントロールとして、糖及びアミノ酸を添加していない培地に交換したものも準備した。
3日間インキュベートした後、細胞を回収した。RNeasy Mini Kit (QIAGEN) を用いてTotal RNAを抽出し、ReverTra Ace qPCR RT kit (TOYOBO)を用いてcDNAを合成した。その後、以下のプライマーとTaKaRa Ex Taq (タカラバイオ)を用いてPCRを行い、増幅したHCV及びβ-アクチン[コントロール(Ctrl)として使用]をアガロースゲル電気泳動で分離した。ゲルをエチジウムブロマイド溶液により染色した後、Molecular Imager FX (BIO-RAD)で解析し、β-アクチンのRNA量で補正してHCV RNAの定量を行った。
その結果、図3に示すように、GlcNAcの処理によりSGR-Luc細胞におけるHCV RNAの複製は減少したが、Gal又はManNAcにおいては、その減少がみられなかった。
本実施例で、GlcNAcがHCV RNAの複製を抑制することを半定量RT-PCRでも確認できたが、この結果は、実施例2と同様に、ラクト系列(ネオラクト系列)の糖脂質の糖鎖がHCV RNAの複製を抑制する効果を有することを示すものである。
5’-CGGGAGAGCCATAGTGG-3’(HCV forward primer:配列番号1)
5’-AGTACCACAAGGCCTTTCG-3’(HCV reverse primer:配列番号2)
5’-CAAGAGATGGCCACGGCTGCT-3’(beta-actin forward primer:配列番号3)
5’-TCCTTCTGCATCCTGTCGGCA-3’(beta-actin reverse primer:配列番号4)
【0019】
<実施例4> 細胞内の代謝系に対する、GlcNAcの効果
SGR-Luc細胞において、GlcNAcが糖鎖生合成経路に影響を及ぼすことを、LC-MS/MSによって内在性糖脂質の発現量を測定することにより確認した。
SGR-Luc細胞を各ディッシュに播種し、一晩培養した後、最終濃度で10 mMとなるようにGlcNAcを添加した培地 (10 mL) に交換した。なお、コントロールとして、糖及びアミノ酸を添加していない培地に交換したものも準備した。
72時間インキュベートした後、PBS (-) 3 mLを加えてセルスクレイパーで細胞を剥がし、細胞懸濁液を回収した。得られた細胞懸濁液を4 ℃で1,000 rpm×5分間遠心分離し、上清を除去した。一部の沈殿細胞にPBS(-) 500 μLを加えて懸濁し、一部をLowry法のstandard assayによりタンパク質定量を行った。残りの沈殿細胞にクロロホルム/メタノール = 2/1 (v/v) を1.5 mL加えて30分間超音波照射した。これを4 ℃で15,000 rpm×20分間遠心分離し、上清に含まれる糖脂質成分を回収した。続いてクロロホルム/2-プロパノール/MilliQ水 = 7/11/2 (v/v/v) を1.5 mL加えて同様に超音波処理および遠心分離を行い、上清に含まれるリン脂質成分を回収した。回収後、ヒートブロックによって溶媒を揮発させた。
得られた生成物をまずアミノプロピルカラム DSC-NH2 (52367-U, SUPELCO) によって酸性成分と中性成分に分離した。減圧留去して得られた中性成分に、アルカリ分解処理を施してリン脂質の除去を図った。分離後の中性成分にクロロホルム/メタノール = 2/1 (v/v) 1 mLを加えて溶解させた。ここに、2 M 水酸化カリウム/メタノール 200 mLを加え、37 ℃で3時間振盪させた。白い沈殿が生成されていることを確認し、4℃で1,000 rpm×15分間遠心分離した。分離後、上清を遠心エバポレーターで減圧留去した。その後Sep-Pak C18カラム (WAT023035, Waters) を用いて、酸性成分およびアルカリ分解後の中性成分から糖脂質を抽出し、LC-MS/MS解析を行った。その結果を図4に示す。なお、図4中、「GlcCer」はGlcβ1-1’Cerを、「LacCer」はGalβ1-4Glcβ1-1’Cerを、「Gb3Cer」はGalα1-4Galβ1-4Glcβ1-1’Cerを、「Gb4Cer」はGalNAcβ1-3Galα1-4Galβ1-4Glcβ1-1’Cerを、「Lc3Cer」はGlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-1’Cerを、「GM3」はNeuAcα2-3Galβ1-4Glcβ1-1’Cerを、「GM2」はGalNAcβ1-4(NeuAcα2-3)Galβ1-4Glcβ1-1’Cerを、「GM1」はGalβ1-3GalNAcβ1-4(NeuAcα2-3)Galβ1-4Glcβ1-1’Cerを、「GD1a」はNeuAcα2-3Galβ1-3GalNAcβ1-4(NeuAcα2-3)Galβ1-4Glcβ1-1’Cerを、「snLc4Cer」はNeuAcα2-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-1’Cerを、「snLc6Cer」はNeuAcα2-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-1’Cerを、「GlcNAc-snLc6Cer」はNeuAcα2-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3(GlcNAcβ1-6)Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-1’Cerを、「snLc8Cer」はNeuAcα2-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3(Galβ1-4GlcNAcβ1-6)Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-1’Cerをそれぞれ意味する。
図4に示すように、LacCerから伸長される糖脂質、Lc3Cer、GM2、GM1、GD1a、snLc4Cer、snLc6Cer、GlcNAc-snLc6Cer、及びsnLc8Cerの生成量は顕著に増加し、Gb3Cer、Gb4Cer、及びGM3の生成量は減少した。このうち、Lc3Cer、snLc4Cer、snLc6Cer、及びsnLc8Cerの生成量は顕著に増加し、Gb3Cer及びGb4Cerの生成量は顕著に減少した。このように、GlcNAcにより、Lc3Cerの生合成経路が活性化され、ネオラクト/ラクト系列の糖脂質(snLc4Cer、snLc6Cer、GlcNAc-snLc6Cer、及びsnLc8Cer)の生成が促進される。一方、GlcNAcによりGb3Cerの生合成経路が相対的に抑制され、グロボ/イソグロボ系列の糖脂質(Gb4Cer)の生成が抑制される。
【0020】
HCV RNAは、脂質ラフトを含む細胞内膜構造の中で複製すると推定されるため(Shi S. T. et al., J. Virol., 77: 4160-4168 (2003).、及びAizaki H. et al., Virology, 324: 450-461 (2004).)、GlcNAcによるネオラクト/ラクト系列の糖脂質の生成によるラフト構造の変化が、HCV RNAの複製抑制に関与していると考えられる(図5参照)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N-アセチルグルコサミンを有効成分として含有するヒトC型肝炎ウイルスRNA複製抑制剤。
【請求項2】
N-アセチルグルコサミンを有効成分として含有するヒトC型肝炎ウイルス感染症治療剤。
【請求項3】
ヒトC型肝炎ウイルスRNA複製抑制剤又はヒトC型肝炎ウイルス感染症治療剤のスクリーニング方法であって、
N-アセチルグルコサミンをリード化合物としたN-アセチルグルコサミン誘導体のHCV RNAの複製能を測定する工程を含むことを特徴とするスクリーニング方法。
【請求項4】
ヒトC型肝炎ウイルス感染症治療剤のスクリーニング方法であって、
N-アセチルグルコサミンをリード化合物としたN-アセチルグルコサミン誘導体を、HCV感染動物に投与する工程と、
N-アセチルグルコサミン誘導体の投与により、HCV感染症の発症を予防できるか、あるいは、HCV感染症を改善できるかを評価する工程と、
を含むことを特徴とするスクリーニング方法。
【請求項5】
細胞内におけるアミノCTH(アミノセラミドトリヘキソシド)の生合成経路の活性化剤であって、
N-アセチルグルコサミンを有効成分として含有する活性化剤。
【請求項6】
細胞内におけるGb3Cer(グロボトリオシルセラミド)の生合成経路の抑制剤であって、
N-アセチルグルコサミンを有効成分として含有する抑制剤。
【請求項7】
細胞内におけるアミノCTH(アミノセラミドトリヘキソシド)の合成促進剤であって、
N-アセチルグルコサミンを有効成分として含有する合成促進剤。
【請求項8】
細胞内におけるsnLc4Cer(シアリルネオラクトテトラオシルセラミド)の合成促進剤であって、
N-アセチルグルコサミンを有効成分として含有する合成促進剤。
【請求項9】
細胞内におけるsnLc6Cer(シアリルネオラクトノルヘキサオシルセラミド)の合成促進剤であって、
N-アセチルグルコサミンを有効成分として含有する合成促進剤。
【請求項10】
細胞内におけるNeuAcα2-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3(GlcNAcβ1-6)Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-1’Cerの合成促進剤であって、
N-アセチルグルコサミンを有効成分として含有する合成促進剤。
【請求項11】
細胞内におけるsnLc8Cer(シアリルネオラクトノルオクタオシルセラミド)の合成促進剤であって、
N-アセチルグルコサミンを有効成分として含有する合成促進剤。
【請求項12】
細胞内におけるGb3Cer(グロボトリオシルセラミド)の合成抑制剤であって、
N-アセチルグルコサミンを有効成分として含有する合成抑制剤。
【請求項13】
細胞内におけるGb4Cer(グロボテトラオシルセラミド)の合成抑制剤であって、
N-アセチルグルコサミンを有効成分として含有する合成抑制剤。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−171870(P2012−171870A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32399(P2011−32399)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(899000079)学校法人慶應義塾 (742)
【出願人】(504300181)国立大学法人浜松医科大学 (96)
【出願人】(390033145)焼津水産化学工業株式会社 (80)
【Fターム(参考)】