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HDAC阻害剤の医薬製剤
説明

HDAC阻害剤の医薬製剤

【課題】特定のカルバミン酸(たとえば、HDAC(ヒストン脱アセチル化酵素)の活性を阻害する)(たとえば、PXD-101、N−ヒドロキシ−3−(3−フェニルスルファモイル)−フェニル)−アクリルアミド)の水溶液への低い溶解性という製剤化の問題に対処する改善された医薬組成物の提供。
【解決手段】シクロデキストリン、アルギニン及びメグルミンから選択される1以上の追加成分とを含む。また、HDACの阻害における、及びHDACが介在する症状、癌、増殖状態、乾癬等の治療における該組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、医薬及び薬学の分野に関するものであり、さらに具体的には、特定のカルバミン酸化合物(たとえば、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の活性を阻害する)とシクロデキストリン、アルギニン及びメグルミンから選択される1以上の追加成分とを含む医薬組成物に関する。本発明はまた、たとえば、HDACの阻害における、及びHDACが介在する症状の治療におけるそのような組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)
真核細胞内のDNAは、タンパク質(ヒストン)と緊密に複合体化してクロマチンを形成する。ヒストンは、塩基性アミノ酸に富み(生理的pHで正に荷電する)、DNAのリン酸基(生理的pHで負に荷電する)と接する小型の正に荷電したタンパク質である。ヒストンには5つの主な種類、H1、H2A、H2B、H3及びH4がある。ヒストンH2A、H2B、H3及びH4のアミノ酸配列は種間で顕著な保存が見られるが、H1は幾分変化し、場合によっては、別のヒストン、たとえば、H5によって置き換えられる。H2A、H2B、H3及びH4のそれぞれの4つの対が一緒になって円盤状の8量体のタンパク質コアを形成し、その周りにDNA(約140塩基対)が巻きついてヌクレオソームを形成する。個々のヌクレオソームは、別のヒストン分子(たとえば、H1、又は場合によってはH5)と会合している短く伸びたリンカーDNAによって繋がれてビーズの付いたヒモに似た構造を形成し、それ自体が、ソレノイドとして知られているらせん状に配置される。
【0003】
ヒストンの大半は、細胞周期のS期に合成され、新しく合成されたヒストンは直ちに核に入ってDNAと会合する。その合成から数分以内に、ヌクレオソーム構造で新しいDNAがヒストンと会合する。
【0004】
ヒストンは、さらに具体的には、そのアミノ側鎖のごく一部は、メチル基、アセチル基又はリン酸基の翻訳後付加、側鎖の正の電荷の中和、又はその負の電荷への変換によって酵素的に修飾される。たとえば、リジン基及びアルギニン基はメチル化されることがあり、リジン基はアセチル化されることがあり、セリン基はリン酸化されることがある。リジンについては、 -(CH2)4-NH2側鎖が、たとえば、アセチル転移酵素によってアセチル化され、アミド-(CH2)4-NHC(=O)CH3が得られてもよい。ヌクレオソームのコアから伸長するヒストンのアミノ末端のメチル化、アセチル化及びリン酸化は、クロマチン構造及び遺伝子の発現に影響を及ぼす(たとえば、(非特許文献1)を参照のこと)。
【0005】
ヒストンのアセチル化及び脱アセチル化は、細胞の増殖及び/又は分化をもたらす転写の事象に関連する。転写因子の機能の調節にもアセチル化が介在する。ヒストンの脱アセチル化の最近の概説としては、(非特許文献2);(非特許文献3)が挙げられる。
【0006】
ヒストンのアセチル化状態と遺伝子の転写との間の相関は30年にわたって知られている(たとえば、(非特許文献4)を参照のこと)。特定の酵素、具体的には、ヒストンのアセチル化状態を調節するアセチル化酵素(たとえば、ヒストンアセチル転移酵素、HAT)及び脱アセチル化酵素(たとえば、ヒストン脱アセチル化酵素、HDAC)が、多数の生物で同定されており、多数の遺伝子の調節に関与するとみなされていることは、アセチル化と転写との関連を裏付けている。たとえば、(非特許文献5)を参照されたい。一般に、ヒストンのアセチル化は転写の活性化に相関するが、ヒストンの脱アセチル化は遺伝子の抑制に関連する。
【0007】
HDAC1からHDAC11までを含めて、ますます多数のヒストン脱アセチル化酵素が同定されている(たとえば、(非特許文献6)を参照のこと)。酵母のヒストン脱アセチル化酵素及び植物のヒストン脱アセチル化酵素も多数同定されている。最初の脱アセチル化酵素、HDAC1は1996年に同定された(たとえば、(非特許文献7)を参照のこと)。続いて、哺乳類の核で他の脱アセチル化酵素が2つ、HDAC2及びHDAC3が見い出された。たとえば、(非特許文献8);(非特許文献9);(非特許文献10);(非特許文献11);(非特許文献12);(非特許文献13)を参照のこと。
【0008】
HDACは、大きなマルチタンパク質複合体の一部として機能し、それはプロモータにつながれ、転写を抑制する。よく性状分析された転写リプレッサー、たとえば、Mad((非特許文献14))、pRb((非特許文献15))、核受容体((非特許文献16))及びYY1((非特許文献9))は、HDAC複合体と会合してそのリプレッサー機能を発揮する。
【0009】
細胞増殖におけるHDACの役割
ヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤の研究によって、これらの酵素が細胞の増殖及び分化に重要な役割を担っていることが示されている。阻害剤、トリコスタチンA(TSA)((非特許文献17))は、G1期及びG2期の双方で細胞周期の停止を引き起こし((非特許文献18))、様々な細胞株の形質転換した表現型を復帰させ、フレンド白血病細胞などの分化を誘導する((非特許文献19))。TSA(及びSAHA)は、細胞増殖を阻害し、最終分化を誘導し、マウスにおける腫瘍形成を妨げることが報告されている((非特許文献20))。TSAによる細胞周期の停止は、悪性乳癌でダウンレギュレーションされるアクチン調節性タンパク質であるゲルソリン((非特許文献21))の発現を高めることに相関する((非特許文献22))。細胞周期及び分化における同様の効果は多数の脱アセチル化酵素の阻害剤で認められている((非特許文献23))。
【0010】
細胞の増殖及び分化の制御におけるHDACの明らかな関与は、異常なHDAC活性が癌における役割を担っているかもしれないことを示唆している。脱アセチル化酵素が癌の発生に寄与するという直接的な実証はほとんど、様々な急性前骨髄球性白血病(APL)の分析に由来する。ほとんどのAPL患者では、15番染色体と17番染色体の転座(t(15;17))によって、RARα(レチノイン酸受容体)の大半に結合したPML遺伝子産物のN末端部分を含有する融合タンパク質の発現をする。場合によっては、異なった転座(t(11;17))によって、亜鉛フィンガータンパク質PLZFとRARαとの間の融合を生じる。リガンドの非存在下では、野生型RARαは、HDACリプレッサー複合体をプロモータDNAにつなぐことによって標的遺伝子を抑制する。正常な造血の間、レチノイン酸(RA)はRARαに結合して、リプレッサー複合体を解離させ、骨髄分化に関与するとみなされる遺伝子を発現させる。APL患者で生じるRARα融合タンパク質は、生理的レベルのRAにもはや反応性ではなく、それらは、骨髄分化を促進する、RAが誘導可能な遺伝子の発現を妨害する。この結果、前骨髄細胞がクローナルに増殖し、白血病を発症させる。インビトロ実験では、TSAは融合RARαタンパク質へのRAの反応性を回復させることが可能であり、骨髄分化が可能であることが示されている。これらの結果によって、HDACと腫瘍形成との間の関連が確立され、HDACは、APL患者における医薬的介入治療に関する有力な標的であることが示唆されている(たとえば、(非特許文献24);(非特許文献25);(非特許文献26)を参照のこと)。
【0011】
さらに、異なった証拠によって、HDACが別の種類の癌での重要な治療標的であるかもしれないことが示唆されている。多数の異なった癌(前立腺癌、結腸直腸癌、乳癌、神経腫瘍、肝癌)に由来する細胞株は、HDACの阻害剤によって分化が誘導される((非特許文献27))。多数のHDAC阻害剤が、癌の動物モデルで研究されている。それらは、悪性黒色腫、白血病、結腸癌、肺癌及び胃癌等を含む様々な種類の移植腫瘍を持つマウスの腫瘍増殖を抑制し、延命させる((非特許文献28);(非特許文献23))。
【0012】
乾癬は、境界のはっきりした、赤くて硬い鱗状のプラークを特徴とする一般に慢性の外観を損なう皮膚疾患であり、それらは、限局されてもよく、広範囲であってもよい。乾癬の罹患率はおよそ2%であり、すなわち、三国(米国/欧州/日本)で1250万人の患者がいる。その疾患が命に関わることはほとんどないが、患者の生活の質のうえで深刻な悪影響が明らかにある:このことは、有効な治療を行わないことによってさらに悪化する。現在の治療は、効果が無く、美容上受入難く、又は望ましくない副作用を持つ。従って、この症状に有効で、且つ安全なHDACiに対する大きく、未だ満たされていない臨床上のニーズが存在する。
【0013】
乾癬は、複雑な病因の疾患である。明らかに遺伝的要素があるが、関与する遺伝子座は多数であり、不確定の環境的誘因も存在する。乾癬の最大の要因が何であれ、細胞レベルでは、それはT細胞介在性の局所の炎症、角化細胞の過剰増殖及び局所の血管形成を特徴とする。これらはすべて、脱アセチル化酵素が関与するとみなされる過程である(たとえば、(非特許文献29);(非特許文献30);(非特許文献31);(非特許文献32)参照のこと)。従って、HDAC阻害剤は乾癬の治療に役立つかもしれない。たとえば、T細胞及び/又は角化細胞による増殖アッセイを用いて候補HDACiをスクリーニングしてもよい。
【0014】
HDAC阻害剤
HDAC阻害剤の重要な種類の1つは、たとえば、(特許文献1)に記載されたような、スルホンアミド結合を含むカルバミン酸化合物である。特に有望な化合物は、N−ヒドロキシ−3−(3−フェニルスルファモイル−フェニル)−アクリルアミド(本明細書では、PXD-101と呼ぶ)である。
【化1】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】Watkins, C., et al.,国際公開WO02/30879
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Spencer, V.A. and Davie, J.R., 1999, Gene, Vol. 240(1), pp. 1-12
【非特許文献2】Kouzarides, T., 1999, ”Histone acetylases and deacetylases in cell proliferation,” Curr. Opin. Genet. Dev., Vol. 9, No. 1, pp. 40-48
【非特許文献3】Pazin, M.J., et al., 1997, ”What’s up and down with histone deacetylation and transcription?,” Cell, Vol. 89, No. 3, pp. 325-328
【非特許文献4】Howe, L., et al., 1999, Crit. Rev. Eukaryot. Gene Expr., Vol. 9(3-4), pp. 231-243
【非特許文献5】Davie, J.R., 1998, ”Covalent modifications of histones: expression from chromatic templates,” Curr. Opin. Genet. Dev., Vol. 8, pp. 173-178
【非特許文献6】Ng, H.H. and Bird, A., 2000, Trends Biochem. Sci., Vol. 25(3), pp. 121-126
【非特許文献7】Taunton, J., et al., 1996, Science, Vol. 272, pp. 408-411
【非特許文献8】Yang, W.M., et al., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 93, pp. 12845-12850
【非特許文献9】Yang, W.M., et al., 1997, J. Biol. Chem., Vol. 272, pp. 28001-28007
【非特許文献10】Emiliani, S., et al., 1998, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 95, p. 2795-2800
【非特許文献11】Grozinger et al., 1999, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 96, pp. 4868-4873
【非特許文献12】Kao et al., 2000, Genes & Dev., Vol. 14, p. 55-66
【非特許文献13】Van den Wyngaert et al., 2000, FEBS, Vol. 478, pp. 77-83
【非特許文献14】Laherty, C.D., et al., 1997, Cell, Vol. 89(3), pp. 349-356
【非特許文献15】Brehm, A., et al., 1998, Nature, 1998, Vol. 391, pp. 597-601
【非特許文献16】Wong, J., et al., 1998, EMBO J., Vol. 17(2), pp. 520-534
【非特許文献17】Yoshida, M., et al., 1990, J. Biol. Chem., Vol. 265(28), pp. 17174-17179
【非特許文献18】Yoshida, M., Beppu, T., 1988, Exp. Cell. Res., Vol. 177, pp. 122-131
【非特許文献19】Yoshida, M., et al., 1990, J. Antibiot. (Tokyo), Vol. 43(9), pp. 1101-1106
【非特許文献20】Finnin et al., 1999, Nature, Vol. 401, pp. 188-193
【非特許文献21】Hoshikawa, Y., et al., 1994, Exp. Cell. Res., Vol. 214(1), pp. 189-197
【非特許文献22】Mielnicki, L.M., et al., 1999, Exp. Cell. Res., Vol. 249(1), pp. 161-176
【非特許文献23】Kim et al., 1999, Oncogene, Vol. 18(15), pp. 2461-2470
【非特許文献24】Kitamura, K., et al., 2000, Br. J. Haematol., Vol. 108(4), pp. 696-702
【非特許文献25】David, G., et al., 1998, Oncogene, Vol. 16(19), pp. 2549-2556
【非特許文献26】Lin, R.J., et al., 1998, Nature, Vol. 391(6669), pp. 811-814
【非特許文献27】Yoshida, M. and Horinouchi, S., 1999, Ann. N. Y. Acad. Sci., Vol. 886, pp. 23-36
【非特許文献28】Ueda, H., et al., 1994, J. Antibiot. (Tokyo), Vol. 47(3), pp. 315-323
【非特許文献29】Saunders, N. et al, 1999, Cancer Res., Vol. 59, No. 2 pp. 399-404
【非特許文献30】Bernhard, D. et al., 1999, FASEB J., Vol. 13, No. 14, pp. 1991-2001
【非特許文献31】Takahashi et al., 1996, J. Antibiot. (Tokyo), Vol. 49, No. 5, pp. 453-457
【非特許文献32】Kim et al., 2001, Nature Medicine, Vol. 7, No. 4, pp. 437-443
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
多数の潜在的に有用なHDACiは、1以上の製剤化の問題、たとえば、水溶液への低い溶解性、HDACiを可溶化するために、好適ではない高い又は低いpHを用いる必要性、水溶液中における物理的及び/又は化学的な不安定性、後の希釈の際の物理的及び/又は化学的な不安定性などに悩まされている。PXD-101のような化合物もこれら及びそのほかの問題に悩まされている。
【0018】
従って、本発明の目的の1つは、PXD-101又は構造的に類似する化合物を含み、1以上の上記及びそのほかの問題に対処する改善された医薬組成物(たとえば、製剤及び予備製剤)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、驚くべきことに且つ予想外に、大きく改善された特性を有する医薬組成物が得られる、成分の特定の組み合わせを見い出した。
【発明の効果】
【0020】
これらの医薬組成物は、1以上の以下の利点を提供する:
(a)さらに高い濃度のHDACi;
(b)濃縮した液体形態である場合(たとえば、保存用)の高い安定性;
(c)希釈した液体形態である場合(たとえば、投与できる状態である場合)の高い安定性;
(d)たとえば、使用できる状態の溶液、即時希釈用の濃縮物、及び/又は凍結乾燥物/凍結乾燥品としての組成物を提供する能力。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HP-β-CD)に関する相溶解度の図であり、HP-β-CDの濃度(mg/mL)に対してHDACi(PXD-101)の濃度(mg/mL)をプロットしたものである。
【図2】緩衝化したpHでのシクロデキストリンの溶解度の特性を示す図であり、25%w/vのHP-β-CDについて、pHに対してHDACi(PXD-101)の濃度(mg/mL)をプロットしたものである。
【図3】インサイチュ塩形成剤であるアルギニン及びメグルミンに関する相溶解度の図であり、塩形成剤(アルギニン(菱形)又はメグルミン(四角))の濃度(mg/mL)に対してHDACi(PXD-101)の濃度(mg/mL)をプロットしたものである。
【図4】シクロデキストリンをインサイチュ塩形成剤であるアルギニン及びメグルミンと併用させた場合の相溶解度の図であり、双方が25%w/vのHP-β-CDの存在下(実線:アルギニン=三角、メグルミン=四角)及びその非存在下(破線:アルギニン=菱形、メグルミン=四角)での塩形成剤(アルギニン又はメグルミン)の濃度(mg/mL)に対してHDACi(PXD-101)の濃度(mg/mL)をプロットしたものである。
【図5】シクロデキストリンをインサイチュ塩形成剤であるアルギニン及びメグルミンと併用させた場合のpH特性の図であり、それぞれ25%w/vのHP-β-CDを伴ったリン酸緩衝液(菱形)、アルギニン(四角)又はメグルミン(三角)のpHに対してHDACi(PXD-101)の濃度(mg/mL)をプロットしたものである。
【図6】各用量レベルにて2〜4人の対象で測定された1日目におけるI.V. PXD-101の平均Cmax(±SD)を示すグラフである。
【図7】各用量レベルにて2〜4人の対象で測定された1日目におけるI.V. PXD-101の平均AUC(±SD)を示すグラフである。
【図8】各用量レベルにて2〜4人の対象で測定された1日目におけるI.V. PXD-101の平均クリアランス(±SD)を示すグラフである。
【図9】投与後、図に示した時間での末梢血単核球におけるヒストンH3及びH4のアセチル化を示すウエスタンブロットの図である。
【図10】処理された細胞株標準(A2780)におけるH4に対する、PBMC試料におけるH4のアセチル化の濃度測定として表現されるアセチル化を時間の関数としての示すグラフである。
【図11】900mg/m2でのPXD-101治療のサイクル2と4の間で対象から調製されたリンパ球に由来する、細胞周期の停止及びアポトーシスに関与するタンパク質(p19SKP1、p21CIP1WAF1、Apaf-1及びビンキュリン)の発現を示すウエスタンブロットの図である。
【図12】900及び1200mg/m2での同一の3人の対象(経口投与は、サイクル3の1日目)からのI.V.及び経口のデータを示すグラフである。血漿レベルは、用量比例性と仮定して900mg/m2の投与について標準化した。値=平均値±SE
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明及び本発明が関係する最新技術をさらに十分に記載し、開示するために多数の特許及び出版物を本明細書で引用する。これらの参考文献の全ての引用を本明細書で提供する。これら参考文献のそれぞれを、全体として参照により本明細書で本開示に組み入れる。
【0023】
発明の要約
本発明の1つの観点は、(a)HDACi(本明細書で定義されるような)と(b)1以上のシクロデキストリン、アルギニン及びメグルミンとを含む医薬組成物に関する。
【0024】
1つの実施形態において、HDACiは、以下の式の化合物、並びにその製薬上許容される塩、溶媒和物、アミド類、エステル類、エーテル類、化学的に保護された形態及びプロドラッグから選択される。
【化2】

【0025】
本発明の1つの観点は、好適な容器(たとえば、バイアル、アンプル、静脈内(I.V.)点滴用バッグ)中の本明細書で記載されるような医薬組成物(たとえば、製剤、予備製剤)に関する。
【0026】
本発明の1つの観点は、本明細書で記載されるような医薬組成物(たとえば、製剤、予備製剤)を含有するバイアル又はアンプルに関する。
【0027】
本発明の1つの観点は、本明細書で記載されるような医薬組成物(たとえば、製剤)を含有する静脈内(I.V.)点滴用バッグに関する。
【0028】
本発明の1つの観点は、本明細書で定義されるような医薬組成物(たとえば、製剤)を含有する医薬組成物を含有する固体の投与形態(たとえば、錠剤、カプセル又はゼラチン錠剤)に関する。
【0029】
本発明の1つの観点は、(a)本明細書で定義されるようなヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDACi)と(b)1以上の以下の追加成分:シクロデキストリン、アルギニン及びメグルミン;及び任意の1以上の他の追加的な製薬上許容される成分(本明細書で記載されるような)とを配合することによって組成物(たとえば、製剤、予備製剤)(本明細書で記載されるような)を調製する方法に関する。
【0030】
本発明の1つの観点は、HDACiを1以上の以下の追加成分:シクロデキストリン、アルギニン及びメグルミン(本明細書で記載されるような);及び任意の1以上の他の追加的な製薬上許容される成分(本明細書で記載されるような)と共に配合する工程を含む前記HDACi(本明細書で記載されるような)を製剤化する方法に関する。
【0031】
本発明の1つの観点は、HDACiを1以上の以下の追加成分:シクロデキストリン、アルギニン及びメグルミン(本明細書で記載されるような);及び任意の1以上の他の追加的な製薬上許容される成分(本明細書で記載されるような)と共に製剤化する工程を含む、医薬組成物における前記HDACi(本明細書で記載されるような)の濃度を高める方法に関する。
【0032】
本発明の1つの観点は、治療によってヒト又は動物の体を処置する方法に使用するための、本明細書で記載されるような医薬組成物成分(たとえば、HDACi;1以上のシクロデキストリン、アルギニン及びメグルミンなど)に関する。
【0033】
本発明の1つの観点は、治療によってヒト又は動物の体を治療する方法に使用するための、本明細書で記載されるような医薬組成物(たとえば、予備製剤、製剤)に関する。
【0034】
本発明の1つの観点は、本明細書で記載されるような症状を治療するための薬物の製造における、本明細書で記載されるような医薬組成物成分(たとえば、HDACi;1以上のシクロデキストリン、アルギニン及びメグルミンなど)の使用に関する。
【0035】
本発明の1つの観点は、本明細書で記載されるような症状を治療するための薬剤の製造における、本明細書で記載されるような医薬組成物(たとえば、予備製剤)の使用に関する。
【0036】
本発明の1つの観点は、治療を必要とする対象に本明細書で記載されるような医薬組成物(たとえば、製剤)を投与することを含む治療の方法に関する。
【0037】
本発明の1つの観点は、細胞を本明細書で記載されるような医薬組成物(たとえば、製剤)に接触させることを含む、インビトロ又はインビボでの(a)細胞増殖を調節する(たとえば、阻害する)方法、(b)細胞周期の進行を阻害する方法、(c)アポトーシスを促進させる方法又は(d)これらの1以上の組み合わせに関する。
【0038】
本発明の1つの観点は、本明細書で記載されるような医薬組成物(たとえば、製剤)を患者に投与することを含む、前記対象に本明細書で定義されるようなHDACiを投与する方法に関する。
【0039】
本発明の1つの観点は、(a)好ましくは好適な容器の中で及び/又は好適な包装と共に提供される、本明細書で記載されるような医薬組成物(たとえば、予備製剤、製剤);と(b)使用説明書、たとえば、製剤などを投与する方法に関する文書での説明書とを含むキット(又は部品キット)に関する。
【0040】
本発明の1つの観点は、(a)好ましくは好適な容器の中で及び/又は好適な包装と共に提供される、本明細書で記載されるような医薬組成物(たとえば、予備製剤);と(b)使用説明書、たとえば、組成物(たとえば、予備製剤)から好適な医薬製剤を調製する方法及び該製剤をその後投与する方法に関する文書での説明書とを含むキット(又は部品キット)に関する。
【0041】
当業者によって十分に理解されるように、本発明の1つの観点の特徴及び好ましい実施形態は、本発明のほかの観点にも関係する。
【0042】
発明の詳細な説明
本発明の1つの観点は、対象への投与に好適である医薬組成物(以後、「製剤」と呼ぶ)、並びにそのような製剤を調製し得る医薬組成物(たとえば、凍結乾燥物/凍結乾燥品、濃縮物等)(以後、「予備製剤」と呼ぶ)に関する。
【0043】
投与
1つの実施形態において、投与は非経口投与である。
【0044】
1つの実施形態において、投与は、たとえば、皮下、皮内、筋肉内、静脈内、動脈内、心臓内、くも膜下腔内、脊髄内、嚢内、嚢下、眼窩内、腹腔内、気管内、表皮下、関節内、クモ膜下、及び胸骨内の注射を含む、注射による投与である。
【0045】
1つの実施形態において、投与は静脈内投与である。
【0046】
1つの実施形態において、投与は静脈内注射による投与である。
【0047】
1つの実施形態において、投与は点滴による投与である。
【0048】
1つの実施形態において、投与は静脈内点滴による投与である。
【0049】
たとえば、1つの好ましい実施形態において、組成物(たとえば、予備製剤)を生理食塩水又はグルコース溶液(たとえば、通常、1Lの静脈内用の生理食塩水バッグ又はグルコースバッグ)に添加し、得られた組成物(たとえば、製剤)を静脈内点滴による投与に使用する。
【0050】
用語「点滴」は重力による物質(たとえば、流体、HDACi、電解質等)の静脈又は組織への受動的な導入を表わすが、用語「注射」は、追加の力、たとえば、シリンジにおける圧力による物質の静脈又は組織への能動的な導入を表わすという点で、「点滴」は「注射」とは異なる。
【0051】
投与は、治療中の全期間にわたって、1回の用量を、連続的に又は断続的に(たとえば、適当な間隔に用量を分割する)行うことができる。最も有効な投与手段及び投与量を決定する方法は当業者に周知であり、治療に使用する特定の製剤、治療の目的、治療する標的細胞及び治療する対象によって異なる。治療する内科医、臨床医又は獣医によって選択される投与量及び投与パターンで単回投与又は複数回投与することができる。
【0052】
対象
1つの実施形態において、対象は、動物;哺乳類;胎盤性哺乳類、げっ歯類(たとえば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ類(たとえば、マウス)、ウサギ目動物(たとえば、ウサギ)、イヌ科動物(たとえば、イヌ)、ネコ科動物(たとえば、ネコ)、ウマ科動物(たとえば、ウマ)、豚のような動物(たとえば、ブタ)、羊のような動物(たとえば、ヒツジ)、ウシ亜科の動物(たとえば、ウシ)、霊長類、サル類(たとえば、サル又は類人猿)、サル(たとえば、マーモセット、バブーン)、類人猿(たとえば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル)又はヒトである。1つの実施形態において、対象は、ヒト、すなわち、生きているヒト胎児、生きているヒトの子供、生きているヒト成人を含む生きているヒトである。
【0053】
成分
本発明の医薬組成物は、少なくとも以下の構成成分:
(a)本明細書で定義するようなHDACi;と
(b)1以上の以下の追加成分:シクロデキストリン、アルギニン及びメグルミン;
とを含む。
【0054】
1つの実施形態において、(b)はシクロデキストリンである。
【0055】
1つの実施形態において、(b)はアルギニンである。
【0056】
1つの実施形態において、(b)はメグルミンである。
【0057】
1つの実施形態において、(b)はシクロデキストリン及びアルギニンである。
【0058】
1つの実施形態において、(b)はシクロデキストリン及びメグルミンである。
【0059】
1つの実施形態において、(b)はアルギニン及びメグルミンである。
【0060】
1つの実施形態において、(b)はシクロデキストリン、アルギニン及びメグルミンである。
【0061】
これらの成分のそれぞれを、以下でさらに詳細に説明する。
【0062】
1つの実施形態において、医薬組成物はさらに、1以上の他の追加成分(たとえば、製薬上許容される担体等)を含む。
【0063】
HDACi
本発明の医薬組成物は、スルホンアミド結合を含むカルバミン酸化合物であるHDACiを含む。そのようなHDACiの例は、たとえば、Watkinsらの2002年の国際公開WO 02/30879に示されている。
【0064】
1つの実施形態において、HDACiは、Watkinsらの2002年の公開国際(PCT)特許出願番号WO 02/30879で定義されるように、スルホンアミド結合を含むカルバミン酸化合物である。
【0065】
1つの実施形態において、HDACiは、以下の式の化合物、並びにその製薬上許容される塩、溶媒和物、アミド類、エステル類、エーテル類、化学的に保護された形態及びプロドラッグから選択される。
【化3】


[式中、
Aは独立してC6-20カルボアリール又はC5-20ヘテロアリールであって、非置換であるか、又は置換されており;
Q1は独立して、共有結合、C1-7アルキレン又はC2-7アルケニレンであって、非置換であるか、又は置換されており;
Jは独立して-NRN-S(=O)2-又は-S(=O)2-NRN-であり;
RNは独立して、-H、C1-7アルキル、C3-20ヘテロシクリル、C6-20カルボアリール、C5-20ヘテロアリール、C6-20カルボアリール-C1-7アルキル又はC5-20ヘテロアリール-C1-7アルキルであって、非置換であるか、又は置換されており;
Q2は独立して、C6-20カルボアリーレン、C5-20ヘテロアリーレン、C6-20カルボアリーレン−C1-7アルキレン、C5-20ヘテロアリーレン−C1-7アルキレン、C6-20カルボアリーレン−C2-7アルケニレン、C5-20ヘテロアリーレン−C2-7アルケニレン、C1-7アルキレン−C6-20カルボアリーレン、C1-7アルキレン−C5-20ヘテロアリーレン、C2-7アルケニレン−C6-20カルボアリーレン、C2-7アルケニレン−C5-20ヘテロアリーレン、C1-7アルキレン−C6-20カルボアリーレン−C1-7アルキレン、C1-7アルキレン−C5-20ヘテロアリーレン−C1-7アルキレン、C2-7アルケニレン−C6-20カルボアリーレン−C1-7アルキレン、C2-7アルケニレン−C5-20ヘテロアリーレン−C1-7アルキレン、C1-7アルキレン−C6-20カルボアリーレン−C2-7アルケニレン、C1-7アルキレン−C5-20ヘテロアリーレン−C2-7アルケニレン、C2-7アルケニレン−C6-20カルボアリーレン−C2-7アルケニレン又はC2-7アルケニレン−C5-20ヘテロアリーレン−C2-7アルケニレンであって、非置換であるか、又は置換されている]
【0066】
1つの実施形態において、HDACiはまた、HDAC阻害剤でもある。
【0067】
当業者は、候補HDACiがHDAC阻害剤であるか否かを容易に決定することができる。たとえば、HDACの阻害を評価するのに容易に使用され得るアッセイは、Watkinsらの2002年の国際(PCT)特許公開番号WO 02/30879に記載されている。
【0068】
好ましい実施形態において、カルバミン酸基-C(=O)NHOHは修飾されない(たとえば、エステルではない)。
【0069】
Q1及びQ2が互いに直接結合することは意図されない。
【0070】
Q1及びRNが互いに直接結合することは意図されない。
【0071】
Q2及びRNが互いに直接結合することは意図されない。
【0072】
A及びRNが互いに直接結合することは意図されない。
【0073】
A及びQ2が互いに直接結合することは意図されない。
【0074】
HDACi:基A
基Aは独立してC6-20カルボアリール又はC5-20ヘテロアリールであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0075】
1つの実施形態において、Aは独立してC6-10カルボアリール又はC5-10ヘテロアリールであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0076】
1つの実施形態において、Aは独立してC6カルボアリール又はC5-6ヘテロアリールであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0077】
1つの実施形態において、Aは独立して、ベンゼン、ナフタレン、カルバゾール、ピリジン、ピロール、フラン、チオフェン又はチアゾールから誘導され、非置換であるか、又は置換されている。
【0078】
これに関連して、語句「誘導される」は、元の環状基と同じ環原子を有し、且つ同じ配向性/立体配置である化合物に関し、たとえば、水素化された(たとえば、部分的に飽和、又は完全に飽和の)誘導体、カルボニル置換された誘導体及びそのほかの置換された誘導体を含む。たとえば、「ピロリドン」及び「N−メチルピロール」は双方共「ピロール」から誘導される。
【0079】
1つの実施形態において、Aは独立して、フェニル、ナフチル、カルバゾイル、ピリジニル、ピロリル、フラニル、チエニル又はチアゾリルであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0080】
1つの実施形態において、Aは独立して、フェニルであって、非置換であるか、又は置換されている(たとえば、1、2、3、4又は5の置換基を有する)。
【0081】
1つの実施形態において、Aは独立して、
【化4】


である。
【0082】
1つの実施形態において、nは0、1、2、3、4又は5である。
【0083】
1つの実施形態において、nは0、1、2、3又は4である。
【0084】
1つの実施形態において、nは0、1、2又は3である。
【0085】
1つの実施形態において、nは0、1又は2である。
【0086】
1つの実施形態において、nは0又は1である。
【0087】
1つの実施形態において、nは1、2、3、4又は5である。
【0088】
1つの実施形態において、nは1、2、3又は4である。
【0089】
1つの実施形態において、nは1、2又は3である。
【0090】
1つの実施形態において、nは1又は2である。
【0091】
1つの実施形態において、nは5である。
【0092】
1つの実施形態において、nは4である。
【0093】
1つの実施形態において、nは3である。
【0094】
1つの実施形態において、nは2である。
【0095】
1つの実施形態において、nは1である。
【0096】
1つの実施形態において、nは0である。
【0097】
1つの実施形態において、各置換基RAは、存在する場合独立して、以下の見出し「HDACi:置換基」のもとで定義される通りである。
【0098】
1つの実施形態において、Aは非置換である。
【0099】
HDACi:基Q1
基Q1は独立して、共有結合、C1-7アルキレン又はC2-7アルケニレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0100】
1つの実施形態において、Q1は独立して、共有結合又はC1-7アルキレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0101】
用語「アルキレン」は、本明細書で使用される場合、脂肪族(すなわち、直鎖若しくは分枝鎖)又は脂環式(すなわち、環状であるが芳香族ではない)であり得る、(他に指定されない限り)1〜20の炭素原子を有する飽和炭化水素化合物(炭素原子と水素原子から成る化合物)の同一炭素原子から2つ、又は2つの異なった炭素原子から1つずつ、水素原子を取り除くことによって得られる二座部分に関する。
【0102】
用語「アルケニレン」は、本明細書で使用される場合、脂肪族(すなわち、直鎖若しくは分枝鎖)又は脂環式(すなわち、環状であるが芳香族ではない)であり得る、(特に指定されない限り)1〜20の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、炭化水素化合物(炭素原子と水素原子から成る化合物)の同一炭素原子から2つ、又は2つの異なった炭素原子から1つずつ、水素原子を取り除くことによって得られる二座部分に関する。
【0103】
1つの実施形態において、Q1は独立して、C1-7アルキレン又はC2-7アルケニレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0104】
1つの実施形態において、Q1は独立して、C1-4アルキレン又はC2-4アルケニレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0105】
1つの実施形態において、Q1は独立して、C1-3アルキレン又はC2-3アルケニレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0106】
1つの実施形態において、Q1は独立して、C2-7アルキレン又はC2-7アルケニレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0107】
1つの実施形態において、Q1は独立して、C2-4アルキレン又はC2-4アルケニレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0108】
1つの実施形態において、Q1は独立して、C2-3アルキレン又はC2-3アルケニレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0109】
1つの実施形態において、Q1は独立して、C2アルキレン又はC2アルケニレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0110】
1つの実施形態において、Q1は独立して、C1-7アルキレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0111】
1つの実施形態において、Q1は独立して、C1-4アルキレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0112】
1つの実施形態において、Q1は独立して、C1-3アルキレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0113】
1つの実施形態において、Q1は独立して、C2-7アルキレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0114】
1つの実施形態において、Q1は独立して、C2-4アルキレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0115】
1つの実施形態において、Q1は独立して、C2-3アルキレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0116】
1つの実施形態において、Q1は独立して、C2アルキレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0117】
1つの実施形態において、Q1は独立して脂肪族である。
【0118】
1つの実施形態において、Q1は独立して直鎖である。
【0119】
1つの実施形態において、Q1は独立して分枝鎖である。
【0120】
1つの実施形態において、Q1は独立して非置換である。
【0121】
上記実施形態の全ての有望な組み合わせは、各組み合わせが個々に、且つ明確に列記されるように本明細書で明確に開示する。
【0122】
1つの実施形態において、Q1は独立して、共有結合、-CH2-、-(CH2)2-、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-CH=CH-、-CH=CHCH2-、-CH2CH=CHCH2-、-CH=CHCH=CH-又は-CH2CH2CH=CH-である。
【0123】
1つの実施形態において、Q1は独立して、共有結合、-CH2-、-CH2CH2-又は-CH=CH-である。
【0124】
1つの実施形態において、Q1は独立して、共有結合、-CH2CH2-又は-CH=CH-である。
【0125】
1つの実施形態において、Q1は独立して共有結合である。
【0126】
1つの実施形態において、Q1は独立して、-CH2CH2-又は-CH=CH-である。
【0127】
1つの実施形態において、Q1は独立して-CH2CH2-である。
【0128】
HDACi:基J
基Jは独立して、-NRN-S(=O)2-又は-S(=O)2-NRN-である。
【0129】
1つの実施形態において、Jは独立して-NRN-S(=O)2-(「逆方向スルホンアミド」)である。
【0130】
1つの実施形態において、Jは独立して-S(=O)2-NRN-(「正方向スルホンアミド」)である。
【0131】
HDACi:基RN
基RNは独立して、-H、C1-7アルキル、C3-20へテロシクリル、C6-20カルボアリール、C5-20へテロアリール、C6-20カルボアリール−C1-7アルキル、又はC5-20へテロアリール−C1-7アルキルであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0132】
1つの実施形態において、RN基は独立して、-H、C1-7アルキル、C6-20カルボアリール、又はC6-20カルボアリール−C1-7アルキルであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0133】
1つの実施形態において、C6-20カルボアリール基又は各C6-20カルボアリール基は、C6-10カルボアリール基である。
【0134】
1つの実施形態において、C5-20へテロアリール基又は各C5-20へテロアリール基は、C5-10へテロアリール基である。
【0135】
1つの実施形態において、C6-20カルボアリール基又は各C6-20カルボアリール基は、C6カルボアリール基である。
【0136】
1つの実施形態において、C5-20へテロアリール基又は各C5-20へテロアリール基は、C5-6へテロアリール基である。
【0137】
1つの実施形態において、C3-20へテロシクリル基は、C3-10へテロシクリル基である。
【0138】
1つの実施形態において、C3-20へテロシクリル基は、C5-7へテロシクリル基である。
【0139】
1つの実施形態において、C1-7アルキル基又は各C1-7アルキル基は、C1-4アルキル基である。
【0140】
1つの実施形態において、C1-7アルキル基又は各C1-7アルキル基は、C1-3アルキル基である。
【0141】
1つの実施形態において、C1-7アルキル基又は各C1-7アルキル基は、C1-2アルキル基である。
【0142】
1つの実施形態において、アルキル基又は各アルキル基は独立して脂肪族である。
【0143】
1つの実施形態において、アルキル基又は各アルキル基は独立して直鎖である。
【0144】
1つの実施形態において、アルキル基又は各アルキル基は独立して分枝鎖である。
【0145】
1つの実施形態において、アルキル基又は各アルキル基は独立して飽和である。
【0146】
1つの実施形態において、アルキル基又は各アルキル基は独立して部分的に不飽和である。
【0147】
1つの実施形態において、RNは独立して非置換である。
【0148】
上記実施形態の全ての有望な組み合わせは、各組み合わせが個々に、且つ明確に列記されるように本明細書で明確に開示する。
【0149】
1つの実施形態において、RNは独立して、-H又はC1-7アルキルであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0150】
1つの実施形態において、RNは独立して、-H又は非置換のC1-4アルキルである。
【0151】
1つの実施形態において、RNは独立して、-H又は非置換の飽和C1-4アルキルである。
【0152】
1つの実施形態において、RNは独立して、-H又は非置換の飽和脂肪族C1-4アルキルである。
【0153】
1つの実施形態において、RNは独立して、H、-Me、-Et、-nPr、-iPr、-nBu、-sBu、-iBu、又は-tBuである。
【0154】
1つの実施形態において、RNは独立して、H、-Me又は-Etである。
【0155】
1つの実施形態において、RNは独立して、-H又は-Meである。
【0156】
HDACi:基Q2
基Q2は独立して、C6-20カルボアリーレン、C5-20ヘテロアリーレン、C6-20カルボアリーレン−C1-7アルキレン、C5-20ヘテロアリーレン−C1-7アルキレン、C6-20カルボアリーレン−C2-7アルケニレン、C5-20ヘテロアリーレン−C2-7アルケニレン、C1-7アルキレン−C6-20カルボアリーレン、C1-7アルキレン−C5-20ヘテロアリーレン、C2-7アルケニレン−C6-20カルボアリーレン、C2-7アルケニレン−C5-20ヘテロアリーレン、C1-7アルキレン−C6-20カルボアリーレン−C1-7アルキレン、C1-7アルキレン−C5-20ヘテロアリーレン−C1-7アルキレン、C2-7アルケニレン−C6-20カルボアリーレン−C1-7アルキレン、C2-7アルケニレン−C5-20ヘテロアリーレン−C1-7アルキレン、C1-7アルキレン−C6-20カルボアリーレン−C2-7アルケニレン、C1-7アルキレン−C5-20ヘテロアリーレン−C2-7アルケニレン、C2-7アルケニレン−C6-20カルボアリーレン−C2-7アルケニレン又はC2-7アルケニレン−C5-20ヘテロアリーレン−C2-7アルケニレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0157】
1つの実施形態において、Q2は独立して、C6-10カルボアリーレン、C5-10ヘテロアリーレン、C6-10カルボアリーレン−C1-7アルキレン、C5-10ヘテロアリーレン−C1-7アルキレン、C6-10カルボアリーレン−C2-7アルケニレン、C5-10ヘテロアリーレン−C2-7アルケニレン、C1-7アルキレン−C6-10カルボアリーレン、C1-7アルキレン−C5-10ヘテロアリーレン、C2-7アルケニレン−C6-10カルボアリーレン、C2-7アルケニレン−C5-10ヘテロアリーレン、C1-7アルキレン−C6-10カルボアリーレン−C1-7アルキレン、C1-7アルキレン−C5-10ヘテロアリーレン−C1-7アルキレン、C2-7アルケニレン−C6-10カルボアリーレン−C1-7アルキレン、C2-7アルケニレン−C5-10ヘテロアリーレン−C1-7アルキレン、C1-7アルキレン−C6-10カルボアリーレン−C2-7アルケニレン、C1-7アルキレン−C5-10ヘテロアリーレン−C2-7アルケニレン、C2-7アルケニレン−C6-10カルボアリーレン−C2-7アルケニレン又はC2-7アルケニレン−C5-10ヘテロアリーレン−C2-7アルケニレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0158】
1つの実施形態において、Q2は独立して、C6カルボアリーレン、C5-6ヘテロアリーレン、C6カルボアリーレン−C1-7アルキレン、C5-6ヘテロアリーレン−C1-7アルキレン、C6カルボアリーレン−C2-7アルケニレン、C5-6ヘテロアリーレン−C2-7アルケニレン、C1-7アルキレン−C6カルボアリーレン、C1-7アルキレン−C5-6ヘテロアリーレン、C2-7アルケニレン−C6カルボアリーレン、C2-7アルケニレン−C5-6ヘテロアリーレン、C1-7アルキレン−C6カルボアリーレン−C1-7アルキレン、C1-7アルキレン−C5-6ヘテロアリーレン−C1-7アルキレン、C2-7アルケニレン−C6カルボアリーレン−C1-7アルキレン、C2-7アルケニレン−C5-6ヘテロアリーレン−C1-7アルキレン、C1-7アルキレン−C6カルボアリーレン−C2-7アルケニレン、C1-7アルキレン−C5-6ヘテロアリーレン−C2-7アルケニレン、C2-7アルケニレン−C6カルボアリーレン−C2-7アルケニレン又はC2-7アルケニレン−C5-6ヘテロアリーレン−C2-7アルケニレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0159】
1つの実施形態において、Q2は独立して、フェニレン、フェニレン−C1-7アルキレン、フェニレン−C2-7アルケニレン、C1-7アルキレン−フェニレン、C2-7アルケニレン−フェニレン、C1-7アルキレン−フェニレン−C1-7アルキレン、C2-7アルケニレン−フェニレン−C1-7アルキレン、C1-7アルキレン−フェニレン−C2-7アルケニレン、又はC2-7アルケニレン−フェニレン−C2-7アルケニレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0160】
1つの実施形態において、Q2は独立して、フェニレン、フェニレン−C1-7アルキレン、フェニレン−C2-7アルケニレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0161】
1つの実施形態において、C1-7アルキレン基又は各C1-7アルキレン基は、C1-4アルキレン基である。
【0162】
1つの実施形態において、C1-7アルキレン基又は各C1-7アルキレン基は、C1-3アルキレン基である。
【0163】
1つの実施形態において、C1-7アルキレン基又は各C1-7アルキレン基は、C1-2アルキレン基である。
【0164】
1つの実施形態において、C1-7アルキレン基又は各C1-7アルキレン基は、C2アルキレン基である。
【0165】
1つの実施形態において、C1-7アルケニレン基又は各C1-7アルケニレン基は、C2-4アルケニレン基である。
【0166】
1つの実施形態において、C1-7アルケニレン基又は各C1-7アルケニレン基は、C2-3アルケニレン基である。
【0167】
1つの実施形態において、C1-7アルケニレン基又は各C1-7アルケニレン基は、C2アルケニレン基である。
【0168】
1つの実施形態において、フェニレン結合はメタ又はパラである。
【0169】
1つの実施形態において、フェニレン結合はメタである。
【0170】
1つの実施形態において、フェニレン結合はパラである。
【0171】
1つの実施形態において、Q2は独立して、オルト−、メタ−又はパラ−フェニレン−エチレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0172】
1つの実施形態において、Q2は独立して、オルト−、メタ−又はパラ−フェニレン−エテニレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0173】
1つの実施形態において、エテニレンは、シス−又はトランス−エテニレンである。
【0174】
1つの実施形態において、エテニレンは、トランス−エテニレンである。
【0175】
1つの実施形態において、Q2は独立して、メタ−フェニレン−エテニレンであって、非置換であるか、又は置換されている。
【0176】
1つの実施形態において、Q2は非置換である。
【0177】
上記実施形態の全ての有望な組み合わせは、各組み合わせが個々に、且つ明確に列記されるように本明細書で明確に開示する。
【0178】
1つの実施形態において、Q2は独立して、
【化5】


である。
【0179】
1つの実施形態において、Q2は独立して、
【化6】


である。
【0180】
HDACi:置換基
1つの実施形態において、各置換基(たとえば、A、Q1、RN、Q2上の)(たとえば、RA)は、存在する場合、独立して以下から選択される:
(1)カルボン酸基;(2)エステル基;(3)アミド又はチオアミド基;(4)アシル基;(5)ハロ基;(6)シアノ基;(7)ニトロ基;(8)ヒドロキシ基;(9)エーテル基;(10)チオール基;(11)チオエーテル基;(12)アシルオキシ基;(13)カルバメート基;(14)アミノ基;(15)アシルアミノ又はチオアシルアミノ基;(16)アミノアシルアミノ又はアミノチオアシルアミノ基;(17)スルホンアミノ基;(18)スルホニル基;(19)スルホネート基;(20)スルホンアミド基;(21)オキソ基;(22)イミノ基;(23)ヒドロキシイミノ基;(24)C5-20アリール−C1-7アルキル基;(25)C5-20アリール基;(26)C3-20へテロシクリル基;(27)C1-7アルキル基;(28)二座ジオキシ基。
【0181】
1つの実施形態において、各置換基(たとえば、A、Q1、RN、Q2上の)(たとえば、RA)は、存在する場合、独立して以下から選択される:
(1)-C(=O)OH;
(2)-C(=O)OR1(R1は独立して(24)(25)(26)又は(27)で定義される通りである);
(3)-C(=O)NR2R3又は-C(=S)NR2R3(R2及びR3はそれぞれ独立して-Hであるか;(24)(25)(26)若しくは(27)で定義される通りであるか;又はR2及びR3は、それらが結合する窒素原子と一緒になって3〜7の環原子を有する環を形成する);
(4)-C(=O)R4(R4は独立して-Hであるか;又は(24)(25)(26)若しくは(27)で定義される通りである);
(5) -F、-Cl、-Br、-I;
(6)-CN;
(7)-NO2
(8)-OH;
(9)-OR5(R5は(24)(25)(26)又は(27)で定義される通りである);
(10)-SH;
(11)-SR6(R6は(24)(25)(26)又は(27)で定義される通りである);
(12)-OC(=O)R7(R7は(24)(25)(26)又は(27)で定義される通りである);
(13)-OC(=O)NR8R9(R8及びR9はそれぞれ独立して-Hであるか;(24)(25)(26)若しくは(27)で定義される通りであるか;又はR8及びR9は、それらが結合する窒素原子と一緒になって3〜7の環原子を有する環を形成する);
(14)-NR10R11(R10及びR11はそれぞれ独立して-Hであるか;(24)(25)(26)若しくは(27)で定義される通りであるか;又はR10及びR11は、それらが結合する窒素原子と一緒になって3〜7の環原子を有する環を形成する);
(15)-NR12C(=O)R13又は-NR12C(=S)R13(R12は独立して-Hであるか;又は(24)(25)(26)若しくは(27)で定義される通りであり;R13は独立して-Hであるか;又は(24)(25)(26)若しくは(27)で定義される通りである);
(16)-NR14C(=O)NR15R16又は-NR14C(=S)NR15R16(R14は独立して-Hであるか;又は(24)(25)(26)若しくは(27)で定義される通りであり; R15及びR16はそれぞれ独立して-Hであるか;(24)(25)(26)若しくは(27)で定義される通りであるか;又はR15及びR16は、それらが結合する窒素原子と一緒になって3〜7の環原子を有する環を形成する);
(17)-NR17SO2R18(R17は独立して-Hであるか;又は(24)(25)(26)若しくは(27)で定義される通りであり; R18は独立して-Hであるか;又は(24)(25)(26)若しくは(27)で定義される通りである);
(18)-SO2R19(R19は独立して(24)(25)(26)又は(27)で定義される通りである);
(19)-OSO2R20(R20は独立して(24)(25)(26)又は(27)で定義される通りである);
(20)-SO2NR21R22、ここでR21及びR22はそれぞれ独立して-Hであるか;(24)(25)(26)若しくは(27)で定義される通りであるか;又はR21及びR22は、それらが結合する窒素原子と一緒になって3〜7の環原子を有する環を形成する;
(21)=O;
(22)=NR23(R23は独立して-Hであるか;又は(24)(25)(26)若しくは(27)で定義される通りである);
(23)=NOR24(R24は独立して-Hであるか;又は(24)(25)(26)若しくは(27)で定義される通りである);
(24)C5-20アリール−C1-7アルキル(たとえば、C5-20アリールは(25)で定義される通りであり;非置換であるか、又は、たとえば、(1)〜(28)で定義される1以上の基で置換されている);
(25)C5-20アリール(C6-20カルボアリール及びC5-20へテロアリールを含み;非置換であるか、又は、たとえば、(1)〜(28)で定義される1以上の基で置換されている);
(26)C3-20へテロシクリル(非置換であるか、又は、たとえば、(1)〜(28)で定義される1以上の基で置換されている);
(27)C1-7アルキル、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C3-7シクロアルキル、C3-7シクロアルケニル、C3-7シクロアルキニル(非置換であるか、又は、たとえば、(1)〜(26)で定義される1以上の基で置換されている);並びに
(28)-O-R25-O-(R25は独立して飽和C1-3アルキルであり、独立して非置換であるか、又は(5)で定義される1以上(たとえば、1、2、3、4)の置換基で置換されている)。
【0182】
(27)の例としては以下ものがある:
ハロ−C1-7アルキル;アミノ−C1-7アルキル(たとえば、-(CH2)w-アミノであって、wは1、2、3又は4である);アミド−C1-7アルキル(たとえば、-(CH2)w-アミドであって、wは1、2、3又は4である);アシルアミド−C1-7アルキル(たとえば、-(CH2)w-アシルアミドであって、wは1、2、3又は4である);カルボキシ−C1-7アルキル(たとえば、-(CH2)w-COOHであって、wは1、2、3又は4である);アシル−C1-7アルキル(たとえば、-(CH2)w-アシルであって、wは1、2、3又は4である);ヒドロキシ−C1-7アルキル(たとえば、-(CH2)w-OHであって、wは1、2、3又は4である);C1-7アルコキシ−C1-7アルキル(たとえば、-(CH2)w-O−C1-7アルキルであって、wは1、2、3又は4である)。
【0183】
1つの実施形態において、各置換基(たとえば、A、Q1、RN、Q2上の)(たとえば、RA)は、存在する場合、独立して以下から選択される:
(1)-C(=O)OH;
(2)-C(=O)OMe、-C(=O)OEt、-C(=O)O(iPr)、-C(=O)O(tBu);-C(=O)O(cPr);-C(=O)OCH2CH2OH、-C(=O)OCH2CH2OMe、-C(=O)OCH2CH2OEt;-C(=O)OPh, -C(=O)OCH2Ph;
(3)-(C=O)NH2、-(C=O)NMe2、-(C=O)NEt2、-(C=O)N(iPr)2、-(C=O)N(CH2CH2OH)2;-(C=O)-モルフォリノ、-(C=O)NHPh、-(C=O)NHCH2Ph;
(4)-C(=O)H、-(C=O)Me、-(C=O)Et、-(C=O)(tBu)、-(C=O)-cHex、-(C=O)Ph;-(C=O)CH2Ph;
(5)-F、-Cl、-Br、-I
(6)-CN;
(7)-NO2
(8)-OH;
(9)-OMe、-OEt、-O(iPr)、-O(tBu)、-OPh、-OCH2Ph;-OCF3, -OCH2CF3;-OCH2CH2OH、-OCH2CH2OMe、-OCH2CH2OEt;-OCH2CH2NH2、-OCH2CH2NMe2、-OCH2CH2N(iPr)2;-OPh-Me、-OPh-OH、-OPh-OMe、-OPh-F、-OPh-Cl、-OPh-Br、-OPh-I;
(10)-SH;
(11)-SMe、-SEt、-SPh、-SCH2Ph;
(12)-OC(=O)Me、-OC(=O)Et、-OC(=O)(iPr)、-OC(=O)(tBu);-OC(=O)(cPr);-OC(=O)CH2CH2OH、-OC(=O)CH2CH2OMe、-OC(=O)CH2CH2OEt;-OC(=O)Ph、-OC(=O)CH2Ph;
(13)-OC(=O)NH2、-OC(=O)NHMe、-OC(=O)NMe2、-OC(=O)NHEt、-OC(=O)NEt2、-OC(=O)NHPh、-OC(=O)NCH2Ph;
(14)-NH2、-NHMe、-NHEt、-NH(iPr)、-NMe2、-NEt2、-N(iPr)2、-N(CH2CH2OH)2;-NHPh、-NHCH2Ph;ピペリジノ、ピペラジノ、モルフォリノ;
(15)-NH(C=O)Me、-NH(C=O)Et、-NH(C=O)nPr、-NH(C=O)Ph、-NHC(=O)CH2Ph;-NMe(C=O)Me、-NMe(C=O)Et、-NMe(C=O)Ph、-NMeC(=O)CH2Ph;
(16)-NH(C=O)NH2、-NH(C=O)NHMe、-NH(C=O)NHEt、-NH(C=O)NPh、-NH(C=O)NHCH2Ph;-NH(C=S)NH2、-NH(C=S)NHMe、-NH(C=S)NHEt、-NH(C=S)NPh、-NH(C=S)NHCH2Ph;
(17)-NHSO2Me、-NHSO2Et、-NHSO2Ph、-NHSO2PhMe、-NHSO2CH2Ph;-NMeSO2Me、-NMeSO2Et、-NMeSO2Ph、-NMeSO2PhMe、-NMeSO2CH2Ph;
(18)-SO2Me、-SO2CF3、-SO2Et、-SO2Ph、-SO2PhMe、-SO2CH2Ph;
(19)-OSO2Me、-OSO2CF3、-OSO2Et、-OSO2Ph、-OSO2PhMe、-OSO2CH2Ph;
(20)-SO2NH2、-SO2NHMe、-SO2NHEt、-SO2NMe2、-SO2NEt2、-SO2-モルフォリノ、-SO2NHPh、SO2NHCH2Ph;
(21)=O;
(22)=NH、=NMe;=NEt;
(23)=NOH、=NOMe、=NOEt、=NO(nPr)、=NO(iPr)、=NO(cPr)、=NO(CH2-cPr);
(24)-CH2Ph、-CH2Ph-Me、-CH2Ph-OH、-CH2Ph-F、-CH2Ph-Cl;
(25)-Ph、-Ph-Me、-Ph-OH、-Ph-OMe、-Ph-NH2、-Ph-F、-Ph-Cl、-Ph-Br、-Ph-I;ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル;
(26)ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼピニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、モルフォリニル、アゼチジニル;
(27)-Me、-Et、-nPr、-iPr、-nBu、-iBu、-sBu、-tBu、-nPe;-cPr、-cHex;-CH=CH2、-CH2-CH=CH2;-CF3、-CHF2、-CH2F、-CCl3、-CBr3、-CH2CH2F、-CH2CHF2及び-CH2CF3;-CH2OH、-CH2OMe、-CH2OEt、-CH2NH2、-CH2NMe2;-CH2CH2OH、-CH2CH2OMe、-CH2CH2OEt、-CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2NMe2
(28)-O-CH2-O-、-O-CH2-CH2-O-、-O-CH2-CH2-CH2-O-、-O-CF2-O-及び-O-CF2-CF2-O-。
【0184】
HDACi:一部の好ましい例
上記実施形態の全ての有望な組み合わせは、各組み合わせが個々に、且つ明確に列記されるように本明細書で明確に開示する。
【0185】
1つの好ましい実施形態において、HDACiは以下の式の化合物並びにその製薬上許容される塩、溶媒和物、アミド類、エステル類、エーテル類、化学的に保護された形態及びプロドラッグから選択される:
【化7】

【0186】
[式中、
Aは独立してフェニルであって、非置換であるか、又は置換され;
Q1は独立して、共有結合、-CH2-、-CH2CH2-、-CH=CH-であり;
Jは独立して、-NRN-S(=O)2-又は-S(=O)2-NRN-であり;
RNは独立して、-H又はC1-4アルキルであって、非置換であり;
Q2は独立して、フェニレン−C1-4アルキレン、フェニレン−C1-4アルケニレンであって、非置換である。]
1つの実施形態において、HDACiは、以下の式の化合物、並びにその置換された類似化合物(たとえば、上記の見出し「HDACi:置換基」のもとで定義されたような1以上の置換基で、末端フェニル基が置換されたもの、及びスルホンアミドの窒素が置換されたもの等)、並びにその製薬上許容される塩、溶媒和物、アミド類、エステル類、エーテル類、化学的に保護された形態及びプロドラッグから選択される。
【化8】



【0187】
1つの実施形態において、HDACiは、以下の式の化合物、並びにその置換された類似化合物(たとえば、上記の見出し「HDACi:置換基」のもとで定義されたような1以上の置換基で、末端フェニル基が置換されたもの、及びスルホンアミドの窒素が置換されたもの等)、並びにその製薬上許容される塩、溶媒和物、アミド類、エステル類、エーテル類、化学的に保護された形態及びプロドラッグから選択される。
【化9】

【0188】
1つの実施形態において、HDACiは、以下の化合物、並びにその製薬上許容される塩、溶媒和物、アミド類、エステル類、エーテル類、化学的に保護された形態及びプロドラッグから選択される。
【化10】

【0189】
HDACi:そのほかの形態
特定の化合物は、これらに限定されないが、シス-及びトランス-形態;E-及びZ-形態;c-、t-及びr-形態;エンド-及びエキソ-形態;R-、S-及びメソ-形態;D-及びL-形態;d-及びl-形態;(+)及び(−)形態、ケト-、エノール-及びエノレート-形態;シン-及びアンチ-形態;シンクリナル-及びアンチクリナル-形態;α-及びβ-形態;アキシアル-及びエカトリアル-形態;舟形-、いす形-、ねじれ-、エンベロープ-及び半いす形-形態並びにこれらの組み合わせを含む、1以上の特定の幾何学形態、光学形態、エナンチオマー形態、ジアステレオマー形態、エピマー形態、アトロプ形態、立体異性体形態、互変異性体形態、立体配座形態又はアノマー形態で存在でき、以後、「異性体」(又は「異性体形態」)と総称する。
【0190】
互変異性体について以下で記述する場合を除いて、本明細書では、構造(又は構成)異性体(すなわち、単に空間における原子の位置によるのではなく原子間の結合において異なる異性体)は用語「異性体」から明確に除外することに留意されたい。たとえば、メトキシ基-OCH3は、その構造異性体であるヒドロキシメチル基-CH2OHとして解釈されない。同様に、オルト−クロロフェニルは、その構造異性体であるメタ−クロロフェニルとして解釈されない。しかしながら、構造群は、その群に含まれる構造異性体形態を含んでもよい(たとえば、C1-7アルキルには、n−プロピル及びイソ−プロピルが含まれ、ブチルにはn−、sec−及びtert−ブチルが含まれ、メトキシフェニルには、オルト−、メタ−及びパラ−メトキシフェニルが含まれる)。
【0191】
上記の除外には、たとえば、以下の互変異性体対:ケト/エノール(以下で説明される)、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エンチオール、N−ニトロソ/ヒドロキシアゾ及びニトロ/アシ−ニトロのような互変異性形態、たとえば、ケト−、エノール−及びエノレート−形態は関係しない。
【化11】

【0192】
1以上の同位体で置換された化合物が用語「異性体」に明確に含まれることに留意されたい。たとえば、Hは、1H、2H(D)及び3H(T)を含む任意の同位体であってもよく;Cは、12C、13C及び14Cを含む任意の同位体であってもよく;Oは、16O及び18Oを含む任意の同位体であってもよい。
【0193】
特に明記しない限り、特定の化合物は、(全体として又は部分的に)ラセミ体混合物及びそのほかの混合物を含むそのような異性体形態すべてを含む。そのような異性体形態の調製(たとえば、不斉合成)及び分離(たとえば、分別結晶及びクロマトグラフィー法)の方法は、当該技術で既知であるか、又は既知のやり方に既知の方法を適合させることによって容易に得られる。
【0194】
特に明記しない限り、特定の化合物は、たとえば、以下で記述するようなそのイオン、塩、溶媒和物及び保護形態、並びにそのプロドラッグも含む。
【0195】
活性化合物の対応する塩、たとえば、製薬上許容される塩を調製し、精製し、及び/又は取り扱うことが簡便であるか、又は好ましいかもしれない。製薬上許容される塩の例は、Berge et al., 1977, "Pharmaceutically Acceptable Salts," J. Pharm. Sci., Vol. 66, pp. 1-19で議論されている。
【0196】
たとえば、化合物がアニオン性である場合、又はアニオン性となり得る官能基(たとえば、-COOHは-COO-となり得る)を有する場合、塩は好適なカチオンと共に形成され得る。好適な無機カチオンの例としては、Na+及びK+のようなアルカリ金属イオン、Ca2+及びMg2+のようなアルカリ土類カチオン、並びにAl3+のようなそのほかのカチオンが挙げられるが、これらに限定されない。好適な有機カチオンの例としては、アンモニウムイオン(すなわち、NH4+)及び置換されたアンモニウムイオン(たとえば、NH3R+、NH2R2+、NHR3+、NR4+)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の好適な置換アンモニウムイオンの例は、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、及びトロメタミン、並びにリジン及びアルギニンのようなアミノ酸から誘導されるものである。一般的な四級アンモニウムイオンの例は、N(CH3)4+である。
【0197】
化合物がカチオン性である場合、又はカチオン性となり得る官能基(たとえば、-NH2は-NH3+となり得る)を有する場合、塩は好適なアニオンと共に形成され得る。好適な無機アニオンの例としては、以下の無機酸:塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸及び亜リン酸から誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0198】
好適な有機アニオンの例としては、以下の有機酸:2−アセチオキシ安息香酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、桂皮酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルセプト酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、粘液酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモン酸、パントテン酸、フェニル酢酸、フェニルスルホン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、トルエンスルホン酸及び吉草酸から誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。好適なポリマー有機アニオンの例としては、以下のポリマー酸:タンニン酸、カルボキシメチルセルロースから誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0199】
活性化合物の対応する溶媒和物を調製し、精製し、及び/又は取り扱うことが簡便であるか、又は好ましいかもしれない。用語「溶媒和物」は、溶質(たとえば、活性化合物、活性化合物の塩)及び溶媒の複合体を言う従来の意味で本明細書で使用される。溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物、たとえば、一水和物、二水和物、三水和物等と適宜称され得る。
【0200】
化学的に保護された形態での活性化合物を調製し、精製し、及び/又は取り扱うことが簡便であるか、又は好ましいかもしれない。用語「化学的に保護された形態」は、従来の化学的な意味で本明細書で使用され、1以上の反応性官能基が特定の条件下(たとえば、pH、温度、放射線、溶媒等)での望ましくない化学反応から保護される化合物に関する。実際には、周知の化学的方法を利用して、特定の条件下で(そうしなければ反応性である)官能基を可逆的に非反応性にする。化学的に保護された形態では、1以上の反応性の官能基は、保護された基又は保護する基(マスクされた基若しくはマスクする基、又は遮断された基もしくは遮断する基としても知られる)の形態である。反応性の官能基を保護することによって、保護された基に影響を及ぼすことなく、保護されていない反応性の官能基を反応させることができ;通常、それに続く工程で残りの分子に実質的に影響を及ぼすことなく、保護基を除去することができる。たとえば、Protective Groups in Organic Synthesis(T. Green and P. Wuts; 3rd Edition; John Wiley and Sons, 1999)を参照されたい。多種多様なそのような「保護する」、「遮断する」又は「マスクする」方法が広く使用され、有機合成において周知である。
【0201】
プロHDACiの形態での活性化合物を調製し、精製し、及び/又は取り扱うことが簡便であるか、又は好ましいかもしれない。用語「プロHDACi」は、本明細書で使用される場合、代謝されたときに(たとえば、インビボで)望ましい活性化合物を生成する化合物に関する。通常、プロHDACiは不活性であるか又は活性化合物よりも活性が低いが、有利な取り扱い、投与又は代謝特性を提供し得る。
【0202】
たとえば、一部のプロドラッグは活性化合物のエステル(たとえば、生理学的許容される代謝的に不安定なエステル)である。代謝の間に、エステル基(-C(=O)OR)が開裂し、活性なHDACiを生じる。そのようなエステルは、たとえば、親化合物の任意のカルボキ酸基(-C(=O)OH)をエステル化することによって形成でき、適切な場合には、親化合物に存在する任意の他の反応性基を事前に保護し、必要に応じてその後、脱保護する。
【0203】
シクロデキストリン
本明細書で(たとえば、構成成分(b)との関連で)使用される用語「シクロデキストリン」は、シクロデキストリン自体及び、たとえば、本明細書に記載されるシクロデキストリン誘導体を含むシクロデキストリン誘導体に関する。
【0204】
シクロアミロース、シクログルカン及びシャルディンガーデキストリンとしても知られるシクロデキストリンは、たとえば、バシラス・マセランスのアミラーゼ(Bacillus macerans amylase)をデンプンに作用させ、均質な環状α(1→4)結合グルコピラノース単位を形成させることにより得られる天然の包接化合物である。α−、β−及びγ−シクロデキストリンはそれぞれ6つ、7つ及び8つの単位で構成され、それぞれ、972.84、1134.98及び1297.12g/molの分子量を有する。シクロデキストリンは、疎水性の空洞を有し、固形状態又は水溶液中で有機物質、塩及びハロゲンとの包接化合物を形成する。それらは複合化剤として、酵素作用の研究に使用される。今日まで、シクロデキストリンは、限られた数の少量の非経口製剤で使用されてきたにすぎない。たとえば、Loftsson, T., 1998,”Cyclodextrins in Pharmaceutical Formulations”, Report for Nordic Industrial Fund;及びStrickley, R., 2004,”Solubilising Excipients in Oral and Injectable Formulations”, Pharm. Res., Vol. 21, No. 2, pp. 201-230を参照されたい。
【0205】
シクロデキストリン誘導体の範囲は知られており、たとえば、1以上の1級及び/又は2級のペンダントヒドロキシ(-OH)基が誘導体化されて、たとえば、エーテル基(たとえば、ジメチルエーテル、ヒドロキシエチルエーテル、2−ヒドロキシプロピルエーテル、カルボキシメチルエーテル、カルボキシエチルエーテル、グルコシルエーテル、マルトシルエーテル、スルホブチルエーテル)を形成する。たとえば、0.6、0.8及び1.0(たとえば、0.5〜1.0)のモル置換比が一般的である。
【0206】
1つの実施形態において、シクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、(C1-4アルキル)−α−シクロデキストリン、(C1-4アルキル)−β−シクロデキストリン、(C1-4アルキル)−γ−シクロデキストリン、(ヒドロキシ−C1-4アルキル)−α−シクロデキストリン、(ヒドロキシ−C1-4アルキル)−β−シクロデキストリン、(ヒドロキシ−C1-4アルキル)−γ−シクロデキストリン、(カルボキシ−C1-4アルキル)−α−シクロデキストリン、(カルボキシ−C1-4アルキル)−β−シクロデキストリン、(カルボキシ−C1-4アルキル)−γ−シクロデキストリン、α−シクロデキストリンの糖エーテル、β−シクロデキストリンの糖エーテル、γ−シクロデキストリンの糖エーテル、及びα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリンのスルホブチルエーテルから選択される。
【0207】
これに関連して、C1-4アルキル基の例としては、-Me、-Et、-nPr、-iPr及び-cPrが挙げられる。これに関連して、糖エーテルの例としては、グルコシルエーテル及びマルトシルエーテルが挙げられる。
【0208】
特に好ましいシクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンである。
【0209】
好ましくは、シクロデキストリンは、医薬等級又は同等物の純度を有する。
【0210】
以下のシクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体は、たとえば、ドイツ、ミュンヘンのワッカー・ケミー社(Wacker-Chemie GmbH)から入手できる:
α−シクロデキストリン(Cavamax(登録商標)W6 pharma);
γ−シクロデキストリン(Cavamax(登録商標)W8 pharma);
ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン(Cavasol(登録商標)W6 HP TL);
ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(Cavasol(登録商標)W7 HP pharma);
ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン(Cavasol(登録商標)W8 HP pharma)。
【0211】
特定の理論に束縛されることを望まないで、本発明者らは、PXD-101の末端フェニル基(又はPXD-101類似体の任意で置換された末端フェニル基)が、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンのようなシクロデキストリンと複合体を形成すると考えている。
【0212】
アルギニン
L−アルギニン、2−アミノ−5−グアニジノ吉草酸及び(S)−2−アミノ−5−[(アミノイミノメチル)−アミノ]ペンタン酸としても知られるアルギニンは、174.20の分子量を有する。それは水に可溶性(飽和水溶液は21℃にて15%w/wを含有する)であり、天然ではアルカリ性である(しかし、メグルミンよりアルカリ性は低い)。それは酸付加塩、たとえば、塩酸塩として提供されることが多い。たとえば、栄養添加物として与えた場合、アルギニンは30g/kgまでの用量がヒトにおいて許容される。
【化12】

【0213】
1つの実施形態において、アルギニンは遊離のアルギニン又はアルギニンの製薬上許容される塩である。
【0214】
好ましくは、アルギニンはL−アルギニンである。
【0215】
1つの実施形態において、アルギニンは、遊離のL−アルギニン又はL−アルギニンの製薬上許容される塩である。
【0216】
好ましくは、アルギニンは、医薬等級又は同等物の純度を有する。
【0217】
HDACi製剤のためのL−アルギニン(欧州標準及び米国標準に適合する)は、たとえば、日本、神奈川の味の素(カタログ No. 2)から入手できる。
【0218】
特定の理論に束縛されることを望まないで、本発明者らは、PXD-101(及びその類似体)のアクリルアミド基及び/又はスルホンアミド基がアルギニン(及び以下で記述するメグルミン)とインサイチュ塩を形成するので、高い溶解性を生じると考えている。
【0219】
メグルミン
N−メチルグルカミン、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトール及びN−メチル−D−グルカミンとしても知られるメグルミンは、195.21g/molの分子量及び約129〜131℃の融点を有する。それは水に可溶性(25℃にて100mL中に約100g)であり、天然ではアルカリ性(アルギニンよりもさらにアルカリ性)(1wt%の水溶液でpH約10.5)である。それは酸と共に塩を形成し、金属と共に錯体を形成し、多数の医薬製剤で使用される。
【化13】

【0220】
1つの実施形態において、メグルミンは遊離のメグルミン又はメグルミンの製薬上許容される塩である。
【0221】
好ましくは、メグルミンは医薬等級又は同等物の純度を有する。
【0222】
HDACi製剤のためのメグルミン(欧州及び米国双方の標準に適合する)は、たとえば、ドイツのMerck KgaAから入手できる。
【0223】
そのほかの追加成分
1つの実施形態において、医薬組成物はさらに1以上の他に追加する製薬上許容される成分(たとえば、製薬上許容される担体)を含む。
【0224】
1つの実施形態において、医薬組成物は、製薬上許容される担体、希釈剤、賦形剤、アジュバント、緩衝液、pH調整剤、保存剤、抗酸化剤、静菌剤、安定剤、懸濁剤、可溶化剤、界面活性剤(たとえば、湿潤剤)、着色剤及び等張化溶質(すなわち、製剤を対象のレシピエントの血液、又はそのほかの関連のある体液と等張にするもの)を含むが、これらに限定されない、当業者に周知の1以上のそのほかの製薬上許容される成分をさらに含む。好適な担体、希釈剤、賦形剤等は、標準的な薬学の教科書に見い出すことができる。たとえば、Handbook of Pharmaceutical Additives, 2nd Edition(eds. M. Ash and I. Ash), 2001 (Synapse Information Resources, Inc., Endicott, New York, USA);Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th edition, (Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1990);及びHandbook of Pharmaceutical Excipients, 2nd edition, 1994を参照されたい。
【0225】
用語「製薬上許容される」は、本明細書で使用される場合、正常な医学的判断の範囲内で、過剰の望ましくない毒性、刺激、アレルギー反応又はそのほかの問題又は合併症がなく、当該対象(例えば、ヒト)の組織と接触して使用するのに好適であり、妥当な利益/リスクの度合いに見合った、化合物、成分、素材、組成物、投与形態などに関する。各担体、希釈剤、賦形剤等は、組成物のほかの成分と適合性であるという意味でも「許容される」でなければならない。
【0226】
1つの実施形態において、組成物はそのほかの活性剤、たとえば、そのほかの治療剤又は予防剤をさらに含む。
【0227】
形式
本明細書で使用される場合、用語「製剤」は、投与の準備ができている形態(たとえば、液体)である物質を示すが、用語「予備製剤」は、製剤を調製し得る(たとえば、再水和、希釈等によって)物質(たとえば、凍結乾燥物/凍結乾燥品、濃縮物等)を示す。
【0228】
1つの実施形態において、組成物(たとえば、製剤、予備製剤)は、液体(たとえば、室温、すなわち25℃及び常圧、すなわち、1.01325バールにて)である。
【0229】
液体組成物(たとえば、製剤、予備製剤)は、HDACi及びそのほかの構成成分(たとえば、シクロデキストリン、アルギニン、メグルミン等)が溶解、懸濁または(たとえば、リポソーム又は他の微粒子中で)提供された溶液、懸濁液、エマルション等であり得る。
【0230】
1つの実施形態において、組成物(たとえば、製剤、予備製剤)は、水溶液(たとえば、少なくとも30%w/wの水、たとえば、少なくとも50%w/wの水、少なくとも70%w/wの水を含む)である。
【0231】
1つの実施形態において、組成物(たとえば、製剤、予備製剤)は、水性の等張液(たとえば、血液と等張)である。
【0232】
1つの実施形態において、組成物(たとえば、製剤、予備製剤)は、無菌であり、且つ発熱性物質フリーである(すなわち、発熱性物質を含まない)。
【0233】
1つの実施形態において、組成物(たとえば、予備製剤)は、たとえば、希釈によって製剤を調製できる液体濃縮物である。
【0234】
1つの実施形態において、組成物(たとえば、予備製剤)は、固体(たとえば、室温、すなわち25℃及び常圧、すなわち、1.01325バールにて)(たとえば、粉末、顆粒、錠剤、凍結乾燥物/凍結乾燥品等)であり、たとえば、水和(又は再水和)、任意で、次いでさらなる希釈によってそれから製剤を調製できる。
【0235】
希釈、水和及び/又は再水和に好適な物質としては、たとえば、注射用水、生理食塩水(たとえば、0.9%w/vのNaCl)、グルコース水溶液(たとえば、5%w/vグルコースBP)、注射/点滴用の生理食塩水、注射/点滴用のグルコース、リンゲル溶液、乳酸加リンゲル溶液等が挙げられる。
【0236】
好適な生理食塩水(「点滴用生理食塩水」0.9%w/vの塩化ナトリウムBP)は、たとえば、英国、セットフォード、ノーフォークのBaxter Healthcare Ltd(製品コードFUE1322)から入手できる。
【0237】
好適なグルコース溶液(「点滴用グルコース」5%w/vのグルコースBP)は、たとえば、英国、セットフォード、ノーフォークのBaxter Healthcare Ltd(製品コードFUE1322)から入手できる。
【0238】
医薬組成物(たとえば、製剤、予備製剤)は、単位用量又は複数回用量の密封容器、たとえば、アンプル及びバイアルで提示されてもよい。
【0239】
医薬製剤は、必要に応じて、たとえば、静脈内(I.V.)点滴バッグ内で使用直前に予備製剤から調製されてもよい。
【0240】
本発明の1つの観点は、好適な容器(たとえば、バイアル、アンプル、静脈内(I.V.)点滴バッグ)中の本明細書で記載するような医薬組成物(たとえば、製剤、予備製剤)に関する。
【0241】
本発明の1つの観点は、本明細書で記載するような医薬組成物(たとえば、製剤、予備製剤)を含有するバイアル又はアンプルに関する。
【0242】
本発明の1つの観点は、本明細書で記載するような医薬予備製剤(たとえば、液体濃縮物)を含有するバイアル又はアンプルに関する。
【0243】
本発明の1つの観点は、本明細書で記載するような医薬組成物(たとえば、製剤)を含有する静脈内(I.V.)点滴バッグに関する。
【0244】
HDACiの量
医薬製剤は、治療上有効な量のHDACiを含む。
【0245】
医薬組成物は、前記医薬組成物から医薬製剤を形成する際(たとえば、希釈、水和、再水和等による)、前記医薬製剤が治療上有効な量のHDACiを含むような量のHDACiを含む。
【0246】
HDACiの適当な量(並びに製剤及び組成物におけるHDACiの濃度)が対象によって変化しうることは当業者によって十分に理解されるであろう。最適な投与量の決定には、リスク又は有害な副作用と治療効果の度合いとのバランスが一般に関与する。選択される投与量のレベルは、これらに限定されないが、特定の化合物の活性、投与経路、投与時間、化合物の排泄速度、治療の持続時間、HDACiと併用されるそのほかのHDACi、化合物及び/又は物質、症状の重症度、並びに対象の種、性別、年齢、体重、症状、身体全体の健康状態、及び既往症を含む様々な因子に依存する。一般に、投与量は、実質的な害になる又は有害な副作用を起こさずに所望の効果を得る作用部位で局所濃度に達するように選択されるが、HDACiの量及び投与経路は最終的には内科医、獣医又は臨床医の裁量による。
【0247】
調製される投与量の例は、150μmol/kgである。分子量318g/molのHDACiについては、それは約47.7mg/kgである。70kgの対象についてはそれは約3.3gである。1.0Lの静脈内バッグで希釈する場合は、それは、約3.3g/L(約3.3mg/mL)又は約10mMの製剤濃度である。好適な液体濃縮物(たとえば、予備製剤)は、所望の製剤より10〜100倍高い濃度を有してもよいので、約33〜330g/L(約33〜330mg/mL、たとえば、約50mg/mL)又は約0.1〜1.0Mの濃度を有してもよい。
【0248】
1つの実施形態において、組成物(たとえば、製剤)は、少なくとも0.01、0.02、0.05、0.1、0.2、0.5、1.0、2.0、又は5.0mg/mLのHDACi濃度を有する。
【0249】
1つの実施形態において、組成物(たとえば、製剤)は、200、100、50、20、10、5、2、1、0.5又は0.2mg/mL以下のHDACi濃度を有する。
【0250】
1つの実施形態において、HDACi濃度は0.1〜10mg/mLである。
【0251】
1つの実施形態において、HDACi濃度は0.5〜10mg/mLである。
【0252】
1つの実施形態において、HDACi濃度は1.0〜10mg/mLである。
【0253】
1つの実施形態において、HDACi濃度は0.1〜5mg/mLである。
【0254】
1つの実施形態において、HDACi濃度は0.5〜5mg/mLである。
【0255】
1つの実施形態において、HDACi濃度は1.0〜5mg/mLである。
【0256】
1つの実施形態において、組成物(たとえば、製剤)は、少なくとも0.01、0.03、0.05、0.1、0.3、0.5、1.0、3.0、5.0、又は10mMのHDACi濃度を有する。
【0257】
1つの実施形態において、組成物(たとえば、製剤)は、300、200、100、50、30、20、15、10、5、3、1、0.5、又は0.3mM以下のHDACi濃度を有する。
【0258】
1つの実施形態において、HDACi濃度は0.3〜30mMである。
【0259】
1つの実施形態において、HDACi濃度は1.0〜30mMである。
【0260】
1つの実施形態において、HDACi濃度は2.0〜30mMである。
【0261】
1つの実施形態において、HDACi濃度は3.0〜30mMである。
【0262】
1つの実施形態において、HDACi濃度は0.3〜15mMである。
【0263】
1つの実施形態において、HDACi濃度は1.0〜15mMである。
【0264】
1つの実施形態において、HDACi濃度は2.0〜15mMである。
【0265】
1つの実施形態において、HDACi濃度は3.0〜15mMである。
【0266】
組成物(たとえば、予備製剤)は、たとえば、対応する製剤のHDACi濃度より1〜1000倍高いHDACi濃度を有してもよい。
【0267】
1つの実施形態において、組成物(たとえば、予備製剤)は、少なくとも1、2、5、10、20、50、又は100倍高いHDACi濃度を有する。
【0268】
1つの実施形態において、組成物(たとえば、予備製剤)は、1000、500、200、100、50、20、10、5、又は2倍以下のHDACi濃度を有する。
【0269】
1つの実施形態において、HDACi濃度は10〜500倍高い。
【0270】
1つの実施形態において、HDACi濃度は10〜200倍高い。
【0271】
1つの実施形態において、HDACi濃度は10〜100倍高い。
【0272】
1つの実施形態において、HDACi濃度は10〜50倍高い。
【0273】
1つの実施形態において、HDACi濃度は10〜20倍高い。
【0274】
たとえば、1つの実施形態において、組成物(たとえば、予備製剤)は、30〜600mM(3.0〜30mMの10〜20倍に相当する)のHDACi濃度を有する。
【0275】
1つの実施形態において、組成物(たとえば、予備製剤)は、少なくとも0.1、0.2、0.5、1.0、2.0、5.0、10、20、30、又は50mg/mLのHDACi濃度を有する。
【0276】
1つの実施形態において、組成物(たとえば、予備製剤)は、1000、500、300、200、100、50、20、10、5、又は2mg/mL以下のHDACi濃度を有する。
【0277】
1つの実施形態において、HDACi濃度は5〜500mg/mLである。
【0278】
1つの実施形態において、HDACi濃度は10〜500mg/mLである。
【0279】
1つの実施形態において、HDACi濃度は20〜500mg/mLである。
【0280】
1つの実施形態において、HDACi濃度は30〜500mg/mLである。
【0281】
1つの実施形態において、HDACi濃度は5〜300mg/mLである。
【0282】
1つの実施形態において、HDACi濃度は10〜300mg/mLである。
【0283】
1つの実施形態において、HDACi濃度は20〜300mg/mLである。
【0284】
1つの実施形態において、HDACi濃度は30〜300mg/mLである。
【0285】
1つの実施形態において、HDACi濃度は約50mg/mLである。
【0286】
1つの実施形態において、組成物(たとえば、予備製剤)は、少なくとも0.3、0.5、1.0、1.5、2.0、3.0、5.0、10、30、50、100mMのHDACi濃度を有する。
【0287】
1つの実施形態において、組成物(たとえば、予備製剤)は、3000、1000、500、300、100、50、30、20、15、10、5、又は3mM以下のHDACi濃度を有する。
【0288】
1つの実施形態において、HDACi濃度は10〜1000mMである。
【0289】
1つの実施形態において、HDACi濃度は30〜1000mMである。
【0290】
1つの実施形態において、HDACi濃度は50〜1000mMである。
【0291】
1つの実施形態において、HDACi濃度は100〜1000mMである。
【0292】
1つの実施形態において、HDACi濃度は10〜500mMである。
【0293】
1つの実施形態において、HDACi濃度は30〜500mMである。
【0294】
1つの実施形態において、HDACi濃度は50〜500mMである。
【0295】
1つの実施形態において、HDACi濃度は100〜500mMである。
【0296】
HDACiが塩の形態で提供される場合、その量は親化合物に基づいて算出される。従って、上記の値(たとえば、30〜300mg/mL、約50mg/mL)は、たとえば、その塩ではなく、親化合物に関係する。
【0297】
シクロデキストリンの量
1つの実施形態において、シクロデキストリンが存在する場合、HDACiに対するシクロデキストリンのモル比は、少なくとも0.5、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、又は1.5である。
【0298】
1つの実施形態において、シクロデキストリンが存在する場合、HDACiに対するシクロデキストリンのモル比は、5、4、3.5、3、2.5、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、又は1.5以下である。
【0299】
1つの実施形態において、モル比は0.5〜5である。
【0300】
1つの実施形態において、モル比は0.8〜4である。
【0301】
1つの実施形態において、モル比は1〜3である。
【0302】
1つの実施形態において、モル比は1.2〜2.5である。
【0303】
1つの実施形態において、モル比は1.4〜2である。
【0304】
1つの実施形態において、モル比は1.5〜1.9である。
【0305】
組成物(たとえば、予備製剤、製剤)の好ましいHDACi濃度の例は、約10mMである。その組成物(たとえば、予備製剤、製剤)が約1.5〜1.9のHDACiに対するシクロデキストリンのモル比を有する場合、それは約15〜19mMのシクロデキストリン濃度に相当する。
【0306】
好ましいHDACiの例は、約318g/molの分子量を有するPXD-101である。β−シクロデキストリンは約1135g/molの分子量を有する。HDACiに対するシクロデキストリンの分子量比は、約1135/318又は約3.57である。組成物(たとえば、予備製剤、製剤)が約1.5〜1.9のHDACiに対するシクロデキストリンのモル比を有する場合、それは約5.3〜6.8のHDACiに対するシクロデキストリンの重量比(すなわち、PXD-101が1gに対してβ−シクロデキストリンは5.3〜6.8g)に相当する。
【0307】
シクロデキストリンの総投与量が5000、2000、1000、500、400、300、200、100又は50mg/kg未満であることを保証することが好ましくてもよい。
【0308】
アルギニンの量
1つの実施形態において、アルギニンが存在する場合、HDACiに対するアルギニンのモル比は少なくとも0.5、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、又は1.5である。
【0309】
1つの実施形態において、アルギニンが存在する場合、HDACiに対するアルギニンのモル比は、5、4、3.5、3、2.5、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、又は1.5以下である。
【0310】
1つの実施形態において、モル比は0.5〜5である。
【0311】
1つの実施形態において、モル比は0.8〜4である。
【0312】
1つの実施形態において、モル比は1〜3である。
【0313】
1つの実施形態において、モル比は1.2〜2.5である。
【0314】
1つの実施形態において、モル比は1.4〜2である。
【0315】
1つの実施形態において、モル比は1.5〜1.9である。
【0316】
組成物(たとえば、製剤)の好ましいHDACi濃度の例は、約10mMである。その組成物(たとえば、製剤)が約1.5〜1.9のHDACiに対するアルギニンのモル比を有する場合、それは約15〜19mMのアルギニン濃度に相当する。
【0317】
好ましいHDACiの例は、約318g/molの分子量を有するPXD-101である。遊離のアルギニンは約174g/molの分子量を有する。HDACiに対するアルギニンの分子量比は約174/318又は約0.547である。組成物(たとえば、予備製剤、製剤)が約1.5〜1.9のHDACiに対するアルギニンのモル比を有する場合、それは約0.82〜1.04のHDACiに対するアルギニンの重量比(すなわち、PXD-101が1gに対してアルギニンは0.82〜1.04g)に相当する。
【0318】
アルギニンの総投与量が200、100、50、30又は20g/kg未満であることを保証することが好ましくてもよい。
【0319】
メグルミンの量
1つの実施形態において、メグルミンが存在する場合、HDACiに対するメグルミンのモル比は少なくとも0.5、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、又は1.5である。
【0320】
1つの実施形態において、メグルミンが存在する場合、HDACiに対するメグルミンのモル比は、5、4、3.5、3、2.5、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、又は1.以下である。
【0321】
1つの実施形態において、モル比は0.5〜5である。
【0322】
1つの実施形態において、モル比は0.8〜4である。
【0323】
1つの実施形態において、モル比は1〜3である。
【0324】
1つの実施形態において、モル比は1.2〜2.5である。
【0325】
1つの実施形態において、モル比は1.4〜2である。
【0326】
1つの実施形態において、モル比は1.5〜1.9である。
【0327】
組成物(たとえば、製剤)の好ましいHDACi濃度の例は、約10mMである。その組成物(たとえば、製剤)が約1.5〜1.9のHDACiに対するメグルミンのモル比を有する場合、それは約15〜19mMのメグルミン濃度に相当する。
【0328】
好ましいHDACiの例は、約318g/molの分子量を有するPXD-101である。遊離のメグルミンは約195g/molの分子量を有する。HDACiに対するメグルミンの分子量比は約195/318又は約0.613である。組成物(たとえば、予備製剤、製剤)が約1.5〜1.9のHDACiに対するメグルミンのモル比を有する場合、それは約0.92〜1.17のHDACiに対するメグルミンの重量比(すなわち、PXD-101が1gに対してメグルミンは0.92〜1.17g)に相当する。
【0329】
メグルミンの総投与量が200、100、50、30又は20g/kg未満であることを保証することが好ましくてもよい。
【0330】
組成物の調製
製薬の分野で周知である従来の方法を用いて組成物(たとえば、予備製剤、製剤)を調製してもよい。たとえば、標準的な実験室の又は薬学の処理設備を用いる方法は製薬分野の者に周知である。
【0331】
本発明の1つの観点は、(a)本明細書で定義されるHDACi、並びに(b)1以上の以下の追加成分:シクロデキストリン、アルギニン及びメグルミン;と任意で1以上の他に追加する製薬上許容される成分(本明細書で記載されるような)とを組み合わせることによって組成物(たとえば、予備製剤、製剤)(本明細書で記載されるような)を調製する方法に関する。
【0332】
たとえば、適当な量の純粋な乾燥したHDACi(たとえば、PXD-101)を、本明細書で記載されるような好適な濃度にて、前者(たとえば、アルギニン、メグルミン)の塩の溶液に、又は水中のシクロデキストリンに溶解してもよい。たとえば、熱をかけて、又はかけることなく、マグネチックスターラー、パドルスターラー、又はタービンミキサーを用いて撹拌することによって約1分から約1時間かけて可溶化してもよい。次いで、たとえば、得られた溶液を適当な等級の水で最終容量まで希釈し、溶液が均質になるまでさらなる時間撹拌する。
【0333】
必要に応じて、好適な酸(たとえば、HCl)を用いて溶液のpHを調整し、pHを約8.5以上にすることができる。しかしながら、pHを調整する場合には、HDACiが沈殿するリスクがあり得る。
【0334】
溶液を好適なフィルター(たとえば、0.2μmの滅菌グレードフィルター)に通し、好適な医薬製造環境にある適当な容器(たとえば、バイアル、アンプル等)に入れ、密封する/フタをする。
【0335】
任意で、好適な凍結乾燥用のストッパーを付けたバイアルに溶液を入れ、凍結乾燥することにより水を除いて凍結乾燥物を調製し、適切な再水和媒体(たとえば、生理食塩水、グルコース等)を用いて再構成/再水和するのに好適な粉末を提供する。凍結乾燥後、バイアルを密封し、フタをする。
【0336】
本発明の1つの観点は、予備製剤(本明細書で記載されるような)を希釈すること、再構成すること、水和すること、再水和すること等によって製剤(本明細書で記載されるような)を調製する方法に関する。
【0337】
本発明の1つの観点は、予備製剤(本明細書で記載されるような)を希釈すること、再構成すること、水和すること、再水和すること等によって得られる医薬組成物(たとえば、製剤)(本明細書で記載されるような)に関する。
【0338】
本発明の1つの観点は、予備製剤(本明細書で記載されるような)を希釈すること、再構成すること、水和すること、再水和すること等によって得ることができる医薬組成物(たとえば、製剤)(本明細書で記載されるような)に関する。
【0339】
たとえば、適当な液体、たとえば、水(たとえば、注射用水)、生理食塩水(たとえば、0.9%w/v生理食塩水)、グルコース水溶液(たとえば、5%w/vグルコース溶液)等を用いた希釈、再構成、水和、再水和等によって、たとえば必要に応じて、予備製剤から製剤を調製してもよい。
【0340】
たとえば、適当な量の液体濃縮組成物(たとえば、予備製剤)(初めにバイアル又はアンプルで提供される)を標準的な1Lの静脈内用の生理食塩水又はグルコースのバッグに入れ、得られた製剤を静脈内点滴による投与に使用してもよい。
【0341】
たとえば、好適な注射器及び針を用いて、凍結乾燥物/凍結乾燥品を含有するバイアルに好適な水性媒体(たとえば、注射用水、0.9%w/v生理食塩水、5%w/vグルコース溶液)を加えることによって、たとえば、適当な量の凍結乾燥物/凍結乾燥品組成物(たとえば、予備製剤)を再構成(又は、再水和)してもよい。次いで、バイアルの内容物を振盪させて凍結乾燥した粉末を溶解してもよい。次いで、得られた組成物を製剤として用いて対象に投与してもよいし、又は予備製剤として用いて、好適な点滴媒体、たとえば、点滴バッグへ添加して必要とされる濃度まで希釈してもよい。
【0342】
本発明の1つの観点は、HDACiを1以上の以下の追加成分:シクロデキストリン、アルギニン及びメグルミン(本明細書で記載されるような);並びに任意で1以上の他に追加する製薬上許容される成分(本明細書で記載されるような)とを組み合わせる工程を含む前記HDACi(本明細書で記載されるような)を製剤化する方法に関する。
【0343】
本発明の1つの観点は、HDACiを1以上の以下の追加成分:シクロデキストリン、アルギニン及びメグルミン(本明細書で記載されるような);並びに任意で1以上の他に追加する製薬上許容される成分(本明細書で記載されるような)と製剤化する工程を含む、医薬組成物における前記HDACi(本明細書で記載されるような)の濃度を高める方法に関する。
【0344】
固体形態
本発明の1つの観点は、固体の投与形態(たとえば、錠剤、カプセル、ゼラチン錠剤等)(たとえば、ゼラチンカプセル)にてHDAC阻害剤(たとえば、PXD-101)を含む医薬組成物に関する。
【0345】
本発明の1つの観点は、本明細書で記載されるようなHDAC阻害剤を含有する固体の投与形態(たとえば、錠剤、カプセル、ゼラチン錠剤等)(たとえば、ゼラチンカプセル)に関する。
【0346】
本発明の1つの観点は、本明細書で記載されるような医薬組成物(たとえば、製剤)を含有する固体の投与形態(たとえば、錠剤、カプセル、ゼラチン錠剤等)(たとえば、ゼラチンカプセル)に関する。
【0347】
医薬用途、治療法等
本発明の1つの観点は、治療によってヒト又は動物の体を治療する方法で使用するための、本明細書で記載されるような医薬組成物構成成分(たとえば、HDACi、1以上のシクロデキストリン、アルギニン及びメグルミン等)に関する。
【0348】
本発明の1つの観点は、治療によってヒト又は動物の体を治療する方法で使用するための、本明細書で記載されるような医薬組成物(たとえば、予備製剤、製剤)に関する。
【0349】
本発明の1つの観点は、本明細書で記載されるような症状の治療のための薬剤の製造における本明細書で記載されるような医薬組成物構成成分(たとえば、HDACi、1以上のシクロデキストリン、アルギニン及びメグルミン等)の使用に関する。
【0350】
本発明の1つの観点は、本明細書で記載されるような症状の治療のための薬剤の製造における本明細書で記載されるような医薬組成物(たとえば、予備製剤)の使用に関する。
【0351】
本発明の1つの観点は、治療を必要とする対象に本明細書で記載されるような医薬組成物(たとえば、製剤)を投与することを含む、治療の方法に関する。
【0352】
本発明の1つの観点は、細胞を本明細書で記載されるような医薬組成物(たとえば、製剤)に接触させることを含む、インビトロ又はインビボでの(a)細胞増殖を調節する(たとえば、阻害する)方法;(b)細胞周期の進行を阻害する方法;(c)アポトーシスを促進させる方法;又は(d)これらの1以上の組み合わせに関する。
【0353】
肺、消化器(たとえば、腸、結腸、結腸直腸を含む)、胸(乳腺)、卵巣、前立腺、肝(肝臓)、腎(腎臓)、膀胱、膵臓、脳及び皮膚を含むが、これらに限定されないあらゆる種類の細胞を処理してもよい。
【0354】
本発明の1つの観点は、対象に、本明細書で記載されるような医薬組成物(たとえば、製剤)を投与することを含む、前記対象に本明細書で定義されるようなHDACiを投与する方法に関する。
【0355】
治療
用語「治療」は、症状の治療との関連で本明細書で使用される場合、一般に、ヒト、動物(たとえば獣医による治療)を問わず、幾つかの所望の治療効果、たとえば、症状の進行が抑制される治療及び治療法に関係し、進行速度の低下、進行速度の停止、症状の改善及び症状の治癒が含まれる。予防対策としての治療(すなわち、予防)も含まれる。たとえば、未だ症状が現れていないが、症状が現れるリスクがある対象での使用は、用語「治療」に包含される。
【0356】
用語「治療上有効な量」は、本明細書で使用される場合、所望の治療計画に従って投与されたときに、妥当な利益/リスクの度合いに見合った、幾つかの所望の治療効果を生じるのに有効であるHDACiの量に関する。
【0357】
用語「治療」は、2以上の治療又は治療法をたとえば、順次又は同時に併用する併用治療及び併用治療法を含む。たとえば、本明細書で記載される化合物は、併用治療法、たとえば、そのほかの薬剤、たとえば、細胞傷害性薬剤等との併用で使用されてもよい。治療及び治療法の例には、化学療法(たとえば、HDACi、抗体(たとえば免疫療法において見られるもの)、プロドラッグ(たとえば、光線力学療法、GDEPT、ADEPT等において見られるもの)を含む活性剤の投与)、外科手術、放射線療法及び遺伝子治療が挙げられるが、これらに限定されない。
【0358】
症状
1つの実施形態において、治療は増殖状態の治療である。
【0359】
用語「増殖状態」、「増殖性障害」及び「増殖性疾患」は本明細書では同じ意味で使用され、新生物の増殖又は過形成性増殖のなどの、不要である過剰な細胞又は異常な細胞の無用の又は無制限の細胞増殖に関する。
【0360】
1つの実施形態において、治療は、新生物、過形成、及び腫瘍(たとえば、組織球腫、神経膠腫、星状細胞腫、骨腫)、癌(以下を参照のこと)、乾癬、骨疾患、線維増殖性障害(たとえば、結合組織の)、肺線維症、アテローム性動脈硬化症、血管における平滑筋細胞の増殖、たとえば、血管形成に続く狭窄又は再狭窄を含むが、これらに限定されない良性の、前悪性の又は悪性の細胞増殖を特徴とする増殖状態の治療である。
【0361】
1つの実施形態において、治療は、癌の治療である。
【0362】
1つの実施形態において、治療は、肺癌、小細胞肺癌、消化管癌、腸癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、肝癌、腎臓癌、膀胱癌、膵臓癌、脳腫瘍、肉腫、骨肉腫、カポジ肉腫、黒色腫、悪性黒色腫、基底細胞癌又は白血病の治療である。
【0363】
1つの実施形態において、治療は、HDACが介在する症状の治療である。
【0364】
用語「HDACが介在する症状」は、本明細書で使用される場合、たとえば、その症状の発症、進行、発現等にHDAC若しくはHDACの作用が重要であるか、あるいは必要である症状、又はHDAC阻害剤(たとえば、トリコスタチンA)によって治療されることが知られている症状に関する。当業者は、候補HDACiが、任意の特定の細胞種についてのHDACが介在する症状を治療するか否かを容易に決定することができる。たとえば、特定の化合物によってもたらされる活性を評価するのに簡便に使用され得るアッセイは、Watkinsらの2002年の国際(PCT)特許公開番号WO 02/30879に記載されている。
【0365】
そのような症状の例として以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
癌(たとえば、Vigushin et al., 2001, Clin. Cancer Res., Vol. 7, No. 4, pp. 971-976を参照のこと)。
【0366】
乾癬(たとえば、Iavarone et al., 1999, Mol. Cell Biol., Vol. 19, No. 1, pp. 916-922を参照のこと)。
【0367】
線維増殖性障害(たとえば、肝線維症)(たとえば、Niki et al., 1999, Hepatology, Vol. 29, No. 3, pp. 858-867; Corneil et al., 1998;公開日本特許出願、公開番号JP 10114681 A2を参照のこと)。
【0368】
平滑筋増殖障害(たとえば、アテローム性動脈硬化症、再狭窄)(たとえば、Kimura et al., 1994, Biol. Pharm. Bull., Vol. 17, No. 3, pp. 399-402を参照のこと)。
【0369】
神経変性疾患(たとえば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントンの舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症)(たとえば、Kuusisto et al., 2001, Biochem. Biophys. Res. Commun., Vol. 280, No. 1, pp. 223-228; Stefan, J., et al., 2002;国際(PCT)特許公開番号WO 02/090534を参照のこと)。
【0370】
炎症疾患(たとえば、変形性関節症、関節リウマチ)(たとえば、Dangond et al., 1998, Biochem. Biophys. Res. Commun., Vol. 242, No. 3, pp. 648-652; Takahashi, I., et al, 1996, J.Antibiot. (Tokyo), Vol. 49, No.5, pp.453-457を参照のこと)。
【0371】
血管形成が関与する疾患(たとえば、癌、関節リウマチ、乾癬、糖尿病性網膜症)(たとえば、Kim et al., 2001, Nature Medicine, Vol. 7, No. 4, pp. 437-443を参照のこと)。
【0372】
造血系障害(たとえば、貧血、鎌状赤血球貧血、サラセミア)(たとえば、McCaffrey et al., 1997, Blood, Vol. 90, No. 5, pp. 2075-2083を参照のこと)。
【0373】
真菌感染症(たとえば、Bernstein et al., 2000, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 97, No. 25, pp. 13708-13713; Tsuji et al., 1976, J. Antibiot. (Tokyo), Vol. 29, No. 1, pp. 1-6を参照のこと)。
【0374】
寄生虫感染症(たとえば、マラリア、トリパノソーマ症、蠕虫病、原虫感染)(たとえば、Andrews et al., 2000, Int. J. Parasitol., Vol. 30, No. 6, pp. 761-768を参照のこと)。
【0375】
細菌感染症(たとえば、Onishi et al., 1996, Science, Vol. 274, pp. 939-940を参照のこと)。
【0376】
ウイルス感染症(たとえば、Chang et al., 2000, Nucleic Acids Res., Vol. 28, No. 20, pp. 3918-3925を参照のこと)。
【0377】
免疫調節によって治療が可能な症状(たとえば、多発性硬化症、自己免疫性糖尿病、狼瘡、アトピー性皮膚炎、アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎、炎症性大腸炎;及び移植片の移植の改善のため)(たとえば、Dangond et al., 1998, Biochem. Biophys. Res. Commun., Vol. 242, No. 3, pp. 648-652; Takahashi et al., 1996, J. Antibiot. (Tokyo), Vol. 49, No. 5, pp. 453-457を参照のこと)。
【0378】
投薬
治療中の全期間にわたって、連続的に又は断続的に(たとえば、適当な間隔で用量を分割する)1回用量を投与することができる。最も効果的な投与手段及び投与量を決定する方法は当業者に周知であり、治療法に使用される特定の製剤、治療法の目的、治療する標的細胞、及び治療する対象によって異なる。治療する内科医、臨床医又は獣医によって選択される投与量及び投与パターンで単回投与又は複数回投与することができる。
【0379】
1つの実施形態において、対象は、1日当たり約3〜1500 mg/m2の間、たとえば、1日当たり、約3、30、60、90、180、300、600、900、1000、1200、or 1500 mg/m2を送達するのに十分な量で静脈内に又は皮下にHDAC阻害剤の投与を受ける。そのような量を多数の好適な方法、たとえば、1回で長期間の間、又は1日に数回、低濃度のHDAC阻害剤を大量に投与することができる。1週間(7日間)当たり、1以上の連日、隔日、断続的な日、又はそれらの組み合わせの間、その量を投与することができる。或いは、短期間の間、たとえば、1週間(7日間)当たり、1日以上の間、1日1回、連続的に、隔日に、断続的に又はその組み合わせで高濃度で少容量のHDAC阻害剤を投与することができる。たとえば、1日当たり、300 mg/m2の用量を連続5日間、治療当たり合計1500 mg/m2を投与することができる。別の投薬計画では、連続日数はやはり5日間であるが、治療は連続2又は3週間続き、合計治療で3000 mg/m2及び4500 mg/m2である。
【0380】
通常、約1.0 mg/mL〜約10 mg/mL、たとえば、1.0 mg/mL、2.0 mg/mL、3.0 mg/mL、4.0 mg/mL、5.0 mg/mL、6.0 mg/mL、7.0 mg/mL、8.0 mg/mL、9.0 mg/mL及び10 mg/mLの濃度のHDAC阻害剤を含有する静脈内投与製剤を調製することができる。1つの例では、1日の総用量が約300〜約1200 mg/m2の間であるように、十分な容量の静脈内投与製剤を対象に1日で投与することができる。
【0381】
具体的な実施形態では、900 mg/m2のPXD-101を少なくとも5日連続して24時間ごとに静脈内に投与する。別の具体的な実施形態では、少なくとも5日連続して24時間ごとに100 mg/m2のPXD-101を静脈内に投与する。
【0382】
別の実施形態では、所望の症状を治療するのに使用される場合、HDAC阻害剤の経口投与量は、1日当たり約2mg〜約2000mg、たとえば、1日当たり約20mg 〜約2000mg、たとえば、1日当たり約200mg〜約2000mgの範囲であることができる。たとえば、経口投与量は、1日あたり約2、約20、約200、約400、約800、約1200、約1600、又は約2000 mgであることができる。1日あたりの総量を単回で投与することができ、又は1日あたり2、3、若しくは4回のような複数回で投与することができることが理解される。
【0383】
たとえば、対象は、約2mg/日〜約2000mg/日、たとえば、約20mg/日〜約2000mg/日、たとえば、約200mg/日〜約2000mg/日、たとえば、約400mg/日〜約1200mg/日の投与を受けることができる。従って、1日1回投与のために好適に調製された薬物は、約2mg〜約2000mg、たとえば、約20mg〜約2000mg、たとえば、約200mg〜約1200mg、たとえば、約400mg/日〜約1200mg/日を含有することができる。HDAC阻害剤は、単回で、又は1日あたり2、3、又は4回に分割して投与することができる。従って、1日2回の投与については、好適に調製された薬剤は、必要な1日用量の半分を含有する。
【0384】
キット
本発明の1つの観点は:
(a)好ましくは好適な容器の中で及び/又は好適な包装と共に提供される、本明細書で記載されるような医薬組成物(たとえば、予備製剤、製剤);と
(b)使用説明書、たとえば、組成物を投与する方法等に関する書面による説明書、
とを含むキット(又は部品キット)に関する。
【0385】
本発明の1つの観点は、
(a)好ましくは好適な容器の中で及び/又は好適な包装と共に提供される、本明細書で記載されるような医薬組成物(たとえば、予備製剤);と
(b)使用説明書、たとえば、組成物(たとえば、予備製剤)から好適な医薬製剤を調製する方法及び次に製剤を投与する方法に関する書面による説明書、
とを含むキット(又は部品キット)に関する。
【0386】
キットは、たとえば、希釈のための適当な溶液(たとえば、生理食塩水、グルコース溶液等)、試薬(たとえば、pH調整用)、並びに(たとえば、製剤の調製及びその後の投与における)組立て及び使用のための用具(たとえば、バッグ、チューブ、注射器、針、輸送セット)を含む追加の部品を含んでもよい。
【0387】
書面による説明書は、製剤(たとえば、その中のHDACi)が好適な治療である適応リストも含んでもよい。
【0388】
製剤試験
これらの試験は、シクロデキストリン、アルギニン及びメグルミンの1以上を用いたHDACiの溶解度の実質的な向上(PXD-101についておよそ500倍程度の上昇)を明らかにする。得られた化合物は安定であり、沈殿のリスクなしで、所望の目的濃度に希釈することができる。さらに組成物は、理想よりは高いが、使用できるpHを有する。
【化14】

【0389】
UVの吸収
上記物質のλmaxである269nmにて50:50のメタノール/水の中でのPXD-101の濃度の校正曲線をプロットすることによりPXD-101についての紫外線(UV)吸収E11値を決定した。この方法を用いて、E11値は、715.7と決定された。溶解度試験のためのその後の希釈媒体として原液メタノール(又はそのほかの有機溶媒)ではなくメタノール/水を選択してシクロデキストリンの沈殿のリスクを低減した。
【0390】
脱塩水における溶解度
PXD-101の溶解度は、脱塩水中では0.14mg/mLであると決定された。
【0391】
シクロデキストリンによる溶解度の向上
2種の天然のシクロデキストリン(α−CD及びγ−CD)並びにα−、β−及びγ−シクロデキストリンのヒドロキシプロピル誘導体(HP−α−CD、HP−β−CD及びHP−γ−CD)の水溶液にてPXD-101の飽和試料を調製した。実験はすべて250mg/mLのシクロデキストリン濃度で完了したが、シクロデキストリンの溶解度がこの濃度を達成するには十分ではなかったα−CDを除いた。データは、以下の表に要約した。HP−β−CDが、PXD-101について最良の溶解度の向上を提供した。
【表1】

【0392】
HP−β−CDの相溶解度の決定
50〜500mg/mL(5〜50%w/v)の間のシクロデキストリン濃度について、HP−β−CDの相溶解度の図を作成した。複合体化したHDACiの算出された飽和溶解度をシクロデキストリンの濃度に対してプロットした。図1を参照のこと。
【0393】
プロットは、約4:1のモル比にてシクロデキストリンの濃度とHDACiの濃度との間に概ね線形の関係があることを示している。シクロデキストリンに関するこの種の相溶解度の図をA型の相溶解度プロットと呼ぶ。プロットは、シクロデキストリンに対するHDACiの比でやや正の偏りを示す。この偏りは、その粘度のために、容積の代わりに質量を使用して、より高濃度のシクロデキストリンを分配することにより生じた実験誤差である可能性がある。或いは、線形のA型相溶解度の挙動からの軽い偏りがある可能性がある。
【0394】
250〜300mg/mLの間のHP−β−CDの濃度を通常用いて注射製剤のための等張溶液を作製するので、250mg/mL又は25%w/vのシクロデキストリン濃度をさらなる試験のために選択した。
【0395】
pH溶解度特性
Buffers for pH and Metal Ion Control, D. Perrin & B. Dempsey, Chapman & Hall, New York, 1983で定義されたような種々の緩衝液系を用いて、25%w/vのHP−β−CDについてpH溶解度特性を作成した。シクロデキストリンは緩衝剤と錯体を作る可能性があるので、緩衝液系を適切に選択することは重要である:pH4についてはコハク酸/NaOH緩衝液を選択し、pH範囲6〜8についてはリン酸緩衝液を選択し、pH範囲8〜9についてはグリシン/NaOH緩衝液を選択した。
【0396】
両性イオンは、自己緩衝することができ、この効果が高いpHでの緩衝液系の緩衝能に幾分不安定性を生じることが認められた。従って、必要とされるpHは1MのNaOHを添加し、系のpHを調整することでしか得られなかった。
【0397】
データを以下の表に要約する。pH溶解度特性は図2に示す。
【表2】

【0398】
pH6を超えて調製された試料ではすべて、黄色の着色が認められ、それは、pHが上昇するにつれて強くなった。pH6〜8の間で試料の濃度が大きく変化していないことが認められるので、色の変化はpHに関係すると結論付けられた。この結論は、pH調整の間に試料における色の強度が低下することによって支持された。
【0399】
インサイチュ塩形成剤による溶解度の向上
酸性及び塩基性のインサイチュ塩形成剤による最初の実験は、塩形成剤とHDACiとの間で1対1の塩が形成されるという仮定に基づいた。50mg/mL(0.157Mに相当する)のHDACi(PXD-101)の好ましい濃度に基づいて、約0.16Mの濃度で塩形成剤の溶液を調製した。
【0400】
酸性のインサイチュ塩形成剤
酸性のインサイチュ塩形成剤は、PXD-101の溶解度を改善するのに有効ではないことが判明した。データは以下の表に要約する。アスコルビン酸の算出された溶解度の低下は、化学的相互作用又は塩析効果を示唆している。
【表3】

【0401】
塩基性のインサイチュ塩形成剤
塩基性のインサイチュ塩形成剤はすべて、PXD-101の溶解度の有意な向上を示した。データは以下の表に要約する。
【表4】

【0402】
調製された試料の大半が強い黄色であることが認められた。トリエタノールアミン及びトリスは例外であるが、このことは、おそらく溶液中のHDACiの濃度が相対的に低いという事実による。最高の溶解度の向上を示した4つの塩は、エチレンジアミン、メグルミン、L−アルギニン及びL−リジンであった。
【0403】
一連の希釈実験(5%w/vのグルコース溶液及び0.9%w/vの生理食塩水を用いる)にて飽和HDACi溶液をさらに試験し、3.5mg/mLのHDACiの所望の点滴濃度まで試料を希釈できるかどうかを決定した。これらの実験はエチレンジアミンと5%w/vのグルコース溶液との間の不適合性を示唆した。しかしながら、そのほかの塩は、沈殿の形跡なしで希釈することができた。
【0404】
アルギニン及びメグルミンの相溶解度図
以下の表で設定したように、これらの塩形成剤の3種のさらなる濃度(前の試験で使用した0.16M濃度のx0.5、x2及びx3)を用いて、アルギニン及びメグルミン双方について相溶解度図を作成した。
【表5】

【0405】
データは以下の表に要約する。相溶解度図は図3に示す。プロットは、アルギニン及びメグルミン双方についてHDACiの溶解度と塩形成剤の濃度との間に線形の関係があることを示す。
【表6】

【0406】
この線形の関係を用いて、アルギニン及びメグルミン双方が、100mg/mLより高い濃度のHDACi濃度を調製するのに使用できることを予測することが可能だった。可能性がある目的のHDACi(PXD-101)の濃度に必要とされる塩基性のインサイチュ塩形成剤の最低予測濃度を以下の表に要約する。
【表7】

【0407】
従って、1部のHDACi(PXD-101)を溶解するのにおよそ1.8部のアルギニンを必要とし、1部のHDACi(PXD-101)を溶解するのにおよそ1.6部のメグルミンを必要とすることが分かった。
【0408】
塩形成剤の濃度の上昇と共に、飽和HDACi溶液のpHがやや上昇し、同一モル濃度では、アルギニン試料(pKa=9.0(アミン基))の方がメグルミン試料(pKa=9.5)よりもやや低いpHを有する。この差異は2つの塩のpKaに基づいて予想される。データを以下の表に要約する。
【表8】

【0409】
希釈実験
0.47Mアルギニンの飽和HDACi溶液及び0.47Mメグルミンの飽和HDACi溶液を5%w/vのグルコース溶液及び0.9%w/vの生理食塩水で希釈して3.5mg/mLのHDACiの目的点滴濃度を得た。これらの試料は上手く希釈され、24時間を超えても物理的に安定だった。希釈した試料の最終pHを以下の表に要約する。
【表9】

【0410】
飽和試料をpH7.4のリン酸緩衝液でも希釈したが、あまり上手く行かなかった。pH7.4のリン酸緩衝液による0.47M及び0.314Mのメグルミン試料の希釈は、即座に濁った溶液を生じた。pH7.4のリン酸緩衝液による0.47M及び0.314Mのアルギニン試料の希釈は、当初透明な溶液を生じたが、希釈試料を常温で一晩静置した後に多少の結晶が認められた。このことは、希釈されたアルギニン試料が過飽和であることが示唆し、物理的に不安定であると考えられる。試料を希釈した緩衝液のpHを測定すると、pHはpH8.5〜8.7の間で変化しており、それは50mg/mL以上の所望の濃度で溶液中にPXD-101を保持するには低すぎた。
【0411】
溶解度の向上:シクロデキストリン及びインサイチュ塩形成剤
25%w/vのHP-β-CD及び0.157M又は0.314Mのアルギニン又はメグルミンを含有する試料を調製し、その中のHDACi(PXD-101)の溶解度を検討した。驚くべきことに、シクロデキストリンと塩形成剤(アルギニン又はメグルミン)の併用は、大きく相乗することが判明し、HDACiの溶解度を顕著に上昇させた。
【0412】
データを以下の表に要約する。相溶解度図は図4に示す。
【表10】

【0413】
また、塩形成剤/シクロデキストリン系のpH及び緩衝されたpH/シクロデキストリン系(上述)のpHに対してHDACiの濃度をプロットすることによって、塩形成剤について認められる溶解度の向上は、単なるpH効果により提供されるものより大きいことが示される。データを以下の表に要約する。pH特性は図5に示す。この所見は、アルギニン及びメグルミンがインサイチュ塩形成剤として作用しているというさらなる証拠を提供する。
【表11】

【0414】
インサイチュ塩形成剤/シクロデキストリンの系を用いることによって、より少ない塩形成剤の添加でより高いHDACiの濃度を得ることができた。その結果、この系は、塩形成剤だけを使用する系よりも低いpHでHDACi濃縮物を生じる。データを以下の表に要約する。
【表12】

【0415】
3.5mg/mLのHDACiの目的点滴濃度を得るためのHDACi溶液の希釈は、0.9%w/vの生理食塩水及び5%w/vのグルコース溶液によって上手く行った。多くの場合、最初の系のpHが低ければ低いほど、希釈溶液のpHも低くなり、対象による点滴のさらに良好な認容性をもたらす。データを以下の表に要約する。
【表13】

【0416】
さらなるpHの調整
アルギニン又はメグルミンを含有する系のpHはおよそ9である。しかしながら、HDACi(たとえば、PXD-101)は、8.5を超えるpHで化学的に不安定であることが考えられる。従って、HDACiの化学的安定性を改善するために、2NのHClを用いて飽和した系のpHを下げる試みを行った。
【0417】
飽和試料の1mLに対して20μLの2NのHClを加えた。得られた試料を一晩一定に保ち、系の新しいpHを記録した。続いて、沈殿が認められるまで、20μLの2NのHClを試料に迅速に加え、各添加工程でのpHを記録した。データを以下の表に要約する。
【表14】

【0418】
HClの添加によって試料の強い黄色の色彩の弱化が認められた。この所見は、PXD-101の着色はpH依存性であり、分解の直接的な指標ではないという初期の結論に一致する。
【0419】
結果は、塩基性の塩形成剤/シクロデキストリンの系は、塩基性の塩形成剤のみを含有する系よりも安定であることを示している。0.47Mのメグルミン試料からの所見では、導入した容量のHClと飽和HDACi溶液との界面でのみ固形物が形成し、この固形物は振盪の際溶解せず、さらなる沈殿/濁りは生じないことを示唆した。さらに弱い酸又はさらに希釈した酸を用いることによってさらに上手くpHを調整することが可能である。
【0420】
結果はまた、アルギニン/シクロデキストリンの系の方が、メグルミン/シクロデキストリンの系よりも物理的に安定であることを示唆している;しかしながら、メグルミンの系の初期濃度が5mg/mL高いことに留意すべきである。
【0421】
実施例
以下の実施例は本発明を単に説明するために提供されるのであって、本明細書で記載されるように、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0422】
PXD-101のL−アルギニン溶液の調製
およそ70mLの注射用水BPを含有する容器に10g量のL−アルギニンを加えた。アルギニンが溶解するまで混合物をマグネチックスターラーで撹拌した。5g量のPXD-101を加え、PXD-101が溶解するまで、25℃にて混合物を撹拌した。注射用水BPを用いて最終容量である100mLまで溶液を希釈した。得られた溶液は、9.2〜9.4のpH及びおよそ約430mOSmol/kgの浸透圧を有していた。
【0423】
滅菌及び充填
好適な0.2μmの滅菌膜(たとえば、PVDF)を介して溶液をろ過した。ろ過した溶液をバイアル又はアンプルに入れ、それを熱により密封、又は好適なストッパー及びフタで密封した。
【0424】
溶液の保存
常温で、又はさらに好ましくは、HDACiの分解を抑えるために冷蔵(たとえば、2〜8℃)して溶液を保存した。
【実施例2】
【0425】
PXD-101の静脈内投与
背景
PXD-101は、スルホンアミド−ヒドロキサミド構造を持つ低分子量のヒストン脱アセチル酵素(HDAC)阻害剤である。HDAC阻害剤は、腫瘍の成長と生存に重要な遺伝子の転写活性を調節する。PXD-101は、インビトロで複数の種類の癌に由来する細胞株に対して強力な抗増殖活性を有し、動物の腫瘍モデルにおいて抗腫瘍活性を示す。PXD-101は、ヒト異種移植の腫瘍容積を低減する。さらに、PXD-101は、多数の確立された抗癌療法との併用でインビトロ及びインビボにて相乗的及び相加的な抗腫瘍活性を有する。
【0426】
目的
進行した癌を持つ対象において3週間ごとに1〜5日目に30分間のI.V.点滴として投与されるPXD-101(L−アルギニンを含む溶液)の安全性、用量制限毒性(DLT)及び最大耐用量(MTD)を決定するため;種々の用量レベルでのI.V.投与後のPXD-101の血漿薬物動態パラメータを測定するため;及び種々の用量レベルでのI.V.投与後の血液単核細胞におけるPXD-101の薬力学的効果を検討するため。
【0427】
対象
標準療法に難治性の又は標準療法が存在しない18歳以上でECOGスコアが2以下の進行癌を持つ対象。本試験における対象の関連する特徴を以下の表に要約する。
【表15】

【0428】
投薬スケジュール
3週間ごとに1〜5日目に30分間の静脈内点滴として進行癌を持つ対象にPXD-101を投与した。3〜6人の対象の一連の用量コホート(150、300、600、900及び1200mg/m2)を調べ、その後、I.V.と経口試験で1000mg/m2にて拡大したコホートを調べた。治療用量及びサイクルを以下の表に示す。
【表16】

【0429】
結果
サイクル1の1日目と5日目の30分間のI.V.点滴の全用量群の対象について血漿PK解析を行った。PK解析を以下の表に要約する。
【表17】

【0430】
薬物動態解析は、用量に比例する血漿レベル及びAUCを示し、47〜86分の排出半減期を示す(図6、図7、図8を参照のこと)。反復投薬でのHDACiの蓄積はなかった。
【0431】
PXD-101は一般に1000mg/m2までの用量で良好に認容された。HDACiに関連する主な有害事象は、倦怠感、吐き気、嘔吐(点滴に関連する)及び静脈炎であった。吐き気及び嘔吐は制吐剤療法を必要とすることが多かった。そのほかの有害事象には、頭痛、下痢、便秘及び呼吸困難があった。臨床検査では具体的な異常は検出されなかった。特に、血液毒性は確認されなかった。少なくとも1人の対象に600mg/m2にてGrade3の倦怠感が生じた。自然に回復する心房細動が1200mg/m2で生じた。Grade3の下痢及び嗜眠により、1200mg/m2でのサイクルは最後まで行うことができなかった。
【0432】
薬物力学的解析
治療前、点滴直後、PXD-101の静脈内投与後2〜24時間の間に末梢血単核球を採取し、正常な宿主細胞におけるヒストンのアセチル化に対するPXD-101の効果を評価した。ヒストンを単離し、抗アセチル化ヒストン(H4及び/又はH3)抗体、次いでHRP−二次抗体によって精査した。予備的な解析では、PXD-101の静脈内投与後24時間までに検出できた末梢血単核球におけるアセチル化ヒストンの蓄積の上昇が示された。図9及び図10を参照のこと。用量に比例したH4アセチル化が認められ、高い用量ではさらに持続する効果が認められた。
【0433】
各サイクルの1、2及び8日目に、細胞周期の停止及びアポトーシスに関与するタンパク質(たとえば、p19SKP1、p21CIP1WAF1、Apaf-1及びビンキュリン)の発現を測定した。図11は、900mg/m2でのPXD-101治療のサイクル2及び4の間の対象から調製したリンパ球から得たこれらのタンパク質の発現を示すウエスタンブロットである。
【実施例3】
【0434】
PXD-101の経口投与
数人の対象は、経口製剤(たとえば、ゼラチンカプセル中のPXD-101)でPXD-101を服用した。経口投薬による予備的データは良好な認容性を示した。経口製剤の生物学的利用能はおよそ33%であった。図12は、PXD-101の経口投与及び静脈内投与の後の血漿レベルを比較するグラフである。経口で投与された場合、血漿レベルはより高いレベルを維持している。
【0435】
前述のものは、本発明の原理、好ましい実施形態及び操作の方法を記載してきた。しかしながら、本発明は、記述された特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。代わりに、上述された実施形態は、拘束的ではなく説明的であるとみなされるべきであり、本明細書に記載されるような本発明の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態において当業者が変形してもよいことが十分に理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)HDAC阻害剤;と
(b)シクロデキストリン、アルギニン及びメグルミンから選択される1以上の成分;
とを含む医薬組成物であって、前記HDAC阻害剤が以下の式の化合物、並びにその製薬上許容される塩、溶媒和物、アミド、エステル、エーテル、化学的に保護された形態及びプロドラッグから選択される、上記医薬組成物
【化1】


[式中、
Aは、置換されているか、若しくは非置換のC6-20カルボアリール又はC5-20ヘテロアリールであり;
Q1は、共有結合、又は置換されているか、若しくは非置換のC1-7アルキレン又はC2-7アルケニレンであり;
Jは、-NRN-S(=O)2-又は-S(=O)2-NRN-であり;
RNは、-H又は置換されているか、若しくは非置換のC1-7アルキル、C3-20ヘテロシクリル、C6-20カルボアリール、C5-20ヘテロアリール、C6-20カルボアリール−C1-7アルキル又はC5-20ヘテロアリール−C1-7アルキルであり;
Q2は、置換されているか、若しくは非置換のC6-20カルボアリーレン、C5-20ヘテロアリーレン、C6-20カルボアリーレン−C1-7アルキレン、C5-20ヘテロアリーレン−C1-7アルキレン、C6-20カルボアリーレン−C2-7アルケニレン、C5-20ヘテロアリーレン−C2-7アルケニレン、C1-7アルキレン−C6-20カルボアリーレン、C1-7アルキレン−C5-20ヘテロアリーレン、C2-7アルケニレン−C6-20カルボアリーレン、C2-7アルケニレン−C5-20ヘテロアリーレン、C1-7アルキレン−C6-20カルボアリーレン−C1-7アルキレン、C1-7アルキレン−C5-20ヘテロアリーレン−C1-7アルキレン、C2-7アルケニレン−C6-20カルボアリーレン−C1-7アルキレン、C2-7アルケニレン−C5-20ヘテロアリーレン−C1-7アルキレン、C1-7アルキレン−C6-20カルボアリーレン−C2-7アルケニレン、C1-7アルキレン−C5-20ヘテロアリーレン−C2-7アルケニレン、C2-7アルケニレン−C6-20カルボアリーレン−C2-7アルケニレン又はC2-7アルケニレン−C5-20ヘテロアリーレン−C2-7アルケニレンであって、非置換であるか、又は置換されている]。
【請求項2】
HDAC阻害剤が以下の化合物、並びにその製薬上許容される塩、溶媒和物、アミド類、エステル類、エーテル類、化学的に保護された形態及びプロドラッグから選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【化2】



【請求項3】
HDAC阻害剤が以下の化合物、並びにその製薬上許容される塩、溶媒和物、アミド類、エステル類、エーテル類、化学的に保護された形態及びプロドラッグから選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【化3】

【請求項4】
HDAC阻害剤が
【化4】


である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
(a)前記HDAC阻害剤;と
(b)シクロデキストリン;
とを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
(a)前記HDAC阻害剤;と
(b)アルギニン;
とを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
(a)前記HDAC阻害剤;と
(b)メグルミン;
とを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
(a)前記HDAC阻害剤;と
(b)シクロデキストリン及びアルギニン;
とを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
(a)前記HDAC阻害剤;と
(b)シクロデキストリン及びメグルミン;
とを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
(a)前記HDAC阻害剤;と
(b)アルギニン及びメグルミン;
とを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
(a)前記HDAC阻害剤;と
(b)シクロデキストリン、アルギニン及びメグルミン;
とを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記シクロデキストリンが、存在する場合、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、(C1-4アルキル)−α−シクロデキストリン、(C1-4アルキル)−β−シクロデキストリン、(C1-4アルキル)−γ−シクロデキストリン、(ヒドロキシ−C1-4アルキル)−α−シクロデキストリン、(ヒドロキシ−C1-4アルキル)−β−シクロデキストリン、(ヒドロキシ−C1-4アルキル)−γ−シクロデキストリン、(カルボキシ−C1-4アルキル)−α−シクロデキストリン、(カルボキシ−C1-4アルキル)−β−シクロデキストリン、(カルボキシ−C1-4アルキル)−γ−シクロデキストリン、α−シクロデキストリンの糖エーテル、β−シクロデキストリンの糖エーテル、γ−シクロデキストリンの糖エーテル、及びα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリンのスルホブチルエーテルから選択される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記シクロデキストリンが、存在する場合、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記アルギニンが、存在する場合、遊離のアルギニン又はアルギニンの製薬上許容される塩である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記アルギニンが、存在する場合、遊離のL−アルギニン又はL−アルギニンの製薬上許容される塩である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記メグルミンが、存在する場合、遊離のメグルミン又はメグルミンの製薬上許容される塩である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
シクロデキストリンが存在する場合、前記HDAC阻害剤に対するシクロデキストリンのモル比が少なくとも0.5である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
シクロデキストリンが存在する場合、前記HDAC阻害剤に対するシクロデキストリンのモル比が0.5〜5である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
アルギニンが存在する場合、前記HDAC阻害剤に対するアルギニンのモル比が少なくとも0.5である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
アルギニンが存在する場合、前記HDAC阻害剤に対するアルギニンのモル比が0.5〜5である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
メグルミンが存在する場合、前記HDAC阻害剤に対するアルギニンのモル比が少なくとも0.5である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
メグルミンが存在する場合、前記HDAC阻害剤に対するアルギニンのモル比が0.5〜5である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
1以上の製薬上許容される追加成分をさらに含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
無菌であり、発熱性物質を含まない、請求項1〜23のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
液体である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
水性の液体である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
注射用水、生理食塩水、グルコース水溶液、注射/点滴用の生理食塩水、注射/点滴用のグルコース、リンゲル溶液又は乳酸加リンゲル溶液をさらに含む、請求項1〜26のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
生理食塩水又はグルコース水溶液をさらに含む、請求項1〜26のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
0.1〜1000mg/mLの濃度で前記HDAC阻害剤を含む、請求項25〜28のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
100〜1000mg/mLの濃度で前記HDAC阻害剤を含む、請求項25〜28のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
0.3〜3000mMの濃度で前記HDAC阻害剤を含む、請求項25〜28のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
100〜1000mMの濃度で前記HDAC阻害剤を含む、請求項25〜28のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
0.01〜300mg/mLの濃度で前記HDAC阻害剤を含む、請求項25〜28のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項34】
1.0〜5mg/mLの濃度で前記HDAC阻害剤を含む、請求項25〜28のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
0.01〜100mMの濃度で前記HDAC阻害剤を含む、請求項25〜28のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
0.1〜5mMの濃度で前記HDAC阻害剤を含む、請求項25〜28のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記組成物が患者への非経口投与に好適である、請求項1〜36のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記組成物が注射による患者への投与に好適である、請求項1〜36のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記組成物が点滴による患者への投与に好適である、請求項1〜36のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項40】
固体である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項41】
粉末、顆粒、錠剤又は凍結乾燥物/凍結乾燥品の形態である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項42】
請求項25〜39のいずれか1項に記載の医薬組成物を含有する静脈内(IV)点滴用バッグ。
【請求項43】
請求項1〜41のいずれか1項に記載の医薬組成物を含有するバイアル又はアンプル。
【請求項44】
(a)好ましくは好適な容器の中で、及び/又は好適な包装と共に提供される請求項1〜41のいずれか1項に記載の医薬組成物;と
(b)使用説明書、たとえば、該組成物を投与する方法に関する文書による説明書;
とを含むキット。
【請求項45】
(a)好ましくは好適な容器の中で、及び/又は好適な包装と共に提供される請求項1〜41のいずれか1項に記載の医薬組成物;と
(b)使用説明書、たとえば、該組成物から好適な医薬製剤を調製する方法及び任意で次に該製剤を投与する方法に関する文書による説明書;
とを含むキット。
【請求項46】
治療によってヒト又は動物の身体を治療する方法において使用するための、請求項1〜41のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項47】
HDACが介在する症状を治療するための薬剤の製造における、請求項1〜24のいずれか1項で定義されるような、(a)HDAC阻害剤と(b)シクロデキストリン、アルギニン及びメグルミンのうちの1以上との使用。
【請求項48】
増殖状態を治療するための薬剤の製造における、請求項1〜24のいずれか1項で定義されるような、(a)HDAC阻害剤と(b)シクロデキストリン、アルギニン及びメグルミンのうちの1以上との使用。
【請求項49】
癌を治療するための薬剤の製造における、請求項1〜24のいずれか1項で定義されるような、(a)HDAC阻害剤と(b)シクロデキストリン、アルギニン及びメグルミンのうちの1以上との使用。
【請求項50】
HDACが介在する症状を治療するための薬剤の製造における、請求項1〜41のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項51】
増殖状態を治療するための薬剤の製造における、請求項1〜41のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項52】
癌を治療するための薬剤の製造における、請求項1〜41のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項53】
細胞を請求項1〜41のいずれか1項に記載の医薬組成物と接触させることを含む、インビトロ若しくはインビボで(a)細胞増殖を調節する(たとえば、阻害する)方法;(b)細胞周期の進行を阻害する方法;(c)アポトーシスを促進する方法;又は(d)これらを1以上組み合わせた方法。
【請求項54】
治療を必要とする患者に請求項1〜41のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与することを含む、HDACが介在する症状の治療方法。
【請求項55】
治療を必要とする患者に請求項1〜41のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与することを含む、増殖状態の治療方法。
【請求項56】
治療を必要とする患者に請求項1〜41のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与することを含む、癌の治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−188444(P2012−188444A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−128900(P2012−128900)
【出願日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【分割の表示】特願2008−510642(P2008−510642)の分割
【原出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(504367645)トポターゲット ユーケー リミテッド (12)
【Fターム(参考)】