説明

HGF遺伝子のpolyArepeat数変異多型検出用プローブおよびその用途

【課題】HGF遺伝子のpoly A repeat数変異を正確に判別することができる多型検出用プローブを提供する。
【解決手段】多型検出用プローブは、HGF遺伝子の多型を検出するためのプローブであって、(P1−1)および(P1’−1)等のいずれかの少なくとも1種の蛍光標識オリゴヌクレオチドからなる。例えば(P1−1)は、特定の塩基との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む8〜94塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、特定の塩基に対応する塩基がシトシンであるという条件で、特定の塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有し、特定の塩基番に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチドである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HGF(hypatocyte growth factor:肝細胞増殖因子)遺伝子のプロモーター領域におけるpoly A repeat数の変異の多型を検出するためのプローブ、およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
乳癌は、乳房組織に発生する癌腫である。世界中でよく見られる癌であり、西側諸国では女性のおよそ10%が一生涯の間に乳癌を罹患する機会を有する。また、乳癌女性患者のおよそ20%がこの疾患で死亡する。そのため、癌腫の早期発見方法、および効果的な治療方法を達成すべく、膨大な労力が費やされている。
【0003】
近年、乳癌の発症リスクが、HGF遺伝子のプロモーター領域における、poly A repeat数の変異に関連していることがわかった。具体的には、HGF遺伝子のプロモーター領域のpoly A repeat数が正常型の30である場合と、poly A repeat数が短縮変異しており、例えば、25またはそれ以下となっている場合とでは、乳癌の発症リスクが異なるということがわかった(非特許文献1)。
【0004】
HGF遺伝子のpoly A repeat数の変異検出方法の1例として、ダイレクトシークエンス法、および電気泳動で検出する方法がある。しかし、例えば、poly A repeat数が30と25以下の場合におけるAのリピート数の違いを判別するには、ダイレクトシークエンス法では同じ塩基の連続配列を測定すると波形が乱れてしまい、正確な塩基配列がわかりにくい。また、電気泳動を用いても、数塩基、例えば、30と25以下との違いを判別するのは難しく、正常型であるか変異型であるかを正確に判断することは困難である。
【0005】
一方、近年の遺伝子多型の検出方法では、融解曲線分析(Tm解析)を利用した検出方法が用いられている。これは、検出目的の遺伝子多型を含む検出標的配列に相補的なプローブを用いて、検出試料の標的1本鎖DNAと当該プローブとのハイブリッド(2本鎖DNA)を形成させ、このハイブリッドに加熱処理を施して温度上昇に伴うハイブリッドの解離(融解)を吸光度または蛍光強度等のシグナル測定により検出し、この検出結果に基づいてTm値(℃)を決定することによって目的多型の有無を判断する方法である。Tm値(℃)は、ハイブリッドの相同性が高い程高く、相同性が低い程低くなる。このため、目的多型を含む検出標的配列とそれに相補的なプローブとのハイブリッドについて予めTm値(℃)(評価基準値)を求めておき、検出試料の標的1本鎖DNAと当該プローブとのTm値(℃)を測定し、当該測定値が評価基準値と同じであれば、パーフェクトマッチ、すなわち標的DNAに目的多型が存在すると判断でき、当該測定値が評価基準値より低ければ、ミスマッチ、すなわち標的DNAに目的多型が存在しないと判断できる。
【0006】
なお、特許文献1には、以下に示すような、E.coli 16S rRNA−特異的補足プローブ、およびE.coli 16S rRNA−特異的検出補足プローブについて記載されている(配列番号1および配列番号2)。しかし、これらのプローブはAを14個までしか有していない。また、Aがリピートとなっている部分が必ずプローブの配列の端に位置している。そのため、poly A repeat数が15個以上の変異型の場合はもちろん、他の塩基に挟まれているHGF遺伝子のプロモーター領域におけるpoly A repeat数の変異を検出することはできない。
配列番号1
5’−GCCAGCGTTCAATCTGAGCCATGATCAAACTCTTCAAAAAAAAAAAAAA−3’
配列番号2
5’−AAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTCCCGTAGGAGT−3’
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2007−510154号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Jihong Ma, et al.、2009、Somatic mutation and functional polymorphism of a novel regulatory element in the HGF gene promoter causes its aberrant expression in human breast cancer.、The Journal of Clinical Investigation Volume 119 Number3.、478−491
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、HGF遺伝子におけるプロモーター領域のpoly A repeat数変異を正確に判別することができる多型検出用プローブ、当該多型検出用プローブを用いるHGF遺伝子の多型検出方法、当該多型検出方法を利用する薬剤の評価方法、および、当該多型検出用プローブを含むHGF遺伝子の多型検出用キットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、HGF遺伝子におけるプロモーター領域のpoly A repeat数変異を判別することができる多型検出用プローブを設計し、当該多型検出用プローブを用いるTm解析を行うことにより、当該poly A repeat数変異の多型をより正確に検出できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
本発明は以下のとおりである。
〈1〉 HGF遺伝子の多型を検出するためのプローブであって、下記(P1−1)、(P1−2)、(P1’−1)、(P1’−2)、(P2−1)、(P2−2)、(P2’−1)、(P2’−2)、(P3−1)、(P3−2)、(P3’−1)および(P3’−2)のいずれかから選択される、少なくとも1種の蛍光標識オリゴヌクレオチドからなることを特徴とする、多型検出用プローブ。
(P1−1)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号95〜100および塩基番号132と、前記塩基番号95〜100の3’末端と前記塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む8〜94塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号95に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有し、前記塩基番号95に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P1−2)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号95〜100および塩基番号132と、前記塩基番号95〜100の3’末端と前記塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む8〜94塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号95に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3の塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、前記塩基番号95に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P1’−1)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号95〜100と、前記塩基番号95〜100の3’末端と塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む7〜55塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号95に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有し、前記塩基番号95に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P1’−2)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号95〜100と、前記塩基番号95〜100の3’末端と塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む7〜55塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号95に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3の塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、前記塩基番号95に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P2−1)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号92〜100および塩基番号132と、前記塩基番号92〜100の3’末端と前記塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む11〜94塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号92に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有し、前記塩基番号92に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P2−2)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号92〜100および塩基番号132と、前記塩基番号92〜100の3’末端と前記塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む11〜94塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号92に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3の塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、前記塩基番号92に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P2’−1)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号92〜100と、前記塩基番号92〜100の3’末端と塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む10〜55塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号92に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有し、前記塩基番号92に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P2’−2)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号92〜100と、前記塩基番号92〜100の3’末端と塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む10〜55塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号92に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3の塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、前記塩基番号92に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P3−1)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号100および塩基番号132〜134と、前記塩基番号100と前記塩基番号132〜134の5’末端との間に挟まれる4〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む8〜120塩基の塩基配列であり、塩基番号134の塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3の塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有し、前記塩基番号134の塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P3−2)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号100および塩基番号132〜134と、前記塩基番号100と前記塩基番号132〜134の5’末端との間に挟まれる4〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む8〜120塩基の塩基配列であり、塩基番号134の塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、前記塩基番号134の塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P3’−1)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号132〜134と、塩基番号100と前記塩基番号132〜134の5’末端との間に挟まれる5〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む8〜56塩基の塩基配列であり、塩基番号134の塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3の塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有し、前記塩基番号134の塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P3’−2)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号132〜134と、塩基番号100と前記塩基番号132〜134の5’末端との間に挟まれる5〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む8〜56塩基の塩基配列であり、塩基番号134の塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、前記塩基番号134の塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド。
【0012】
〈2〉 前記(P1−1)、前記(P1−2)、前記(P1’−1)および前記(P1’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された前記塩基番号95に対応する塩基を、3’末端から数えて1〜3番目の位置に有し、
前記(P2−1)、前記(P2−2)、前記(P2’−1)および前記(P2’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された前記塩基番号92に対応する塩基を、3’末端から数えて1〜3番目の位置に有し、
前記(P3−1)、前記(P3−2)、前記(P3’−1)および前記(P3’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された前記塩基番号134の塩基を、3’末端から数えて1〜3番目の位置に有する、
ことを特徴とする、〈1〉に記載の多型検出用プローブ。
【0013】
〈3〉 前記(P1−1)、前記(P1−2)、前記(P1’−1)および前記(P1’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された前記塩基番号95に対応する塩基を3’末端に有し、
前記(P2−1)、前記(P2−2)、前記(P2’−1)および前記(P2’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された前記塩基番号92に対応する塩基を3’末端に有し、
前記(P3−1)、前記(P3−2)、前記(P3’−1)および前記(P3’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された前記塩基番号134の塩基を3’末端に有する、
ことを特徴とする、〈1〉に記載の多型検出用プローブ。
【0014】
〈4〉 前記蛍光標識オリゴヌクレオチドは、標的配列にハイブリダイズしないときに蛍光を発し、かつ、前記標的配列にハイブリダイズしたときに蛍光強度が減少するかまたは増加することを特徴とする、〈1〉ないし〈3〉のいずれか1つに記載の多型検出用プローブ。
【0015】
〈5〉 前記蛍光標識オリゴヌクレオチドは、標的配列にハイブリダイズしないときに蛍光を発し、かつ、前記標的配列にハイブリダイズしたときに蛍光強度が減少することを特徴とする、〈4〉に記載の多型検出用プローブ。
【0016】
〈6〉 前記(P1−1)または前記(P1−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は27〜57であり、
前記(P1’−1)または前記(P1’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は22〜52であり、
前記(P2−1)または前記(P2−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は32〜62であり、
前記(P2’−1)または前記(P2’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は22〜52であり、
前記(P3−1)または前記(P3−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は30〜60であり、
前記(P3’−1)または前記(P3’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は19〜49である、
ことを特徴とする、〈1〉ないし〈5〉のいずれか1つに記載の多型検出用プローブ。
【0017】
〈7〉 前記(P1−1)または前記(P1−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は32〜52であり、
前記(P1’−1)または前記(P1’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は27〜47であり、
前記(P2−1)または前記(P2−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は37〜57であり、
前記(P2’−1)または前記(P2’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は27〜47であり、
前記(P3−1)または前記(P3−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は35〜55であり、
前記(P3’−1)または前記(P3’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は24〜44である、
ことを特徴とする、〈1〉ないし〈6〉のいずれか1つに記載の多型検出用プローブ。
【0018】
〈8〉 前記(P1−1)または前記(P1−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は37〜47であり、
前記(P1’−1)または前記(P1’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は32〜42であり、
前記(P2−1)または前記(P2−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は42〜52であり、
前記(P2’−1)または前記(P2’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は32〜42であり、
前記(P3−1)または前記(P3−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は40〜50であり、
前記(P3’−1)または前記(P3’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は29〜39である、
ことを特徴とする、〈1〉ないし〈7〉のいずれか1つに記載の多型検出用プローブ。
【0019】
〈9〉 前記多型検出用プローブは、融解曲線分析用のプローブであることを特徴とする、〈1〉ないし〈8〉のいずれか1つに記載の多型検出用プローブ。
【0020】
〈10〉 〈1〉ないし〈9〉のいずれか1つに記載の多型検出用プローブを用いることを特徴とする、HGF遺伝子の多型検出方法。
【0021】
〈11〉 (I)〈1〉ないし〈9〉のいずれか1つに記載の多型検出用プローブおよび試料中の1本鎖核酸を接触させ、前記蛍光標識オリゴヌクレオチドおよび前記1本鎖核酸のハイブリッドを得る工程と、
(II)前記ハイブリッドを含む試料の温度を変化させることで、前記ハイブリッドを解離させ、前記ハイブリッドの解離に基づく蛍光シグナルの変動を測定する工程と、
(III)前記蛍光シグナルの変動に基づいて、前記ハイブリッドの解離温度であるTm値を評価する工程と、
(IV)前記Tm値に基づいて、HGF遺伝子における、多型の存在を検出する工程と、
を含むことを特徴とする、〈10〉に記載のHGF遺伝子の多型検出方法。
【0022】
〈12〉 さらに、前記(I)のハイブリッドを得る前、または、前記(I)のハイブリッドを得ることと同時に核酸を増幅する工程を含むことを特徴とする、〈11〉に記載のHGF遺伝子の多型検出方法。
【0023】
〈13〉 (I)〈10〉ないし〈12〉のいずれか1つに記載のHGF遺伝子の多型検出方法により、HGF遺伝子における多型を検出する工程と、
(II)検出された多型の有無に基づいて、薬剤に対する耐性または薬剤の薬効を評価する工程と、
を含むことを特徴とする、薬剤の評価方法。
【0024】
〈14〉 〈1〉ないし〈9〉のいずれか1つに記載の多型検出用プローブを含むことを特徴とする、HGF遺伝子の多型検出用キット。
【0025】
〈15〉 前記(P1−1)、前記(P1−2)、前記(P1’−1)、前記(P1’−2)、前記(P2−1)、前記(P2−2)、前記(P2’−1)、前記(P2’−2)、前記(P3−1)、前記(P3−2)、前記(P3’−1)および前記(P3’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドがハイブリダイズする配列を含む領域を鋳型として増幅可能なプライマーをさらに含むことを特徴とする、〈14〉に記載のHGF遺伝子の多型検出用キット。
【発明の効果】
【0026】
本発明の多型検出用プローブによれば、検出標的配列のHGF遺伝子におけるプロモーター領域のpoly A repeat数変異を数塩基単位でも正確に判別することができ、さらに、正常型と変異型とが共存している場合でもpoly A repeat数を判別することができる。また、当該多型検出用プローブを利用する本発明のHGF遺伝子の多型検出方法でも同様である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1に係る3T−HGF−WT−F1プローブでのTm解析の結果を示す図である。
【図2】実施例2に係る3T−HGF−WT−F3プローブでのTm解析の結果を示す図である。
【図3】実施例3に係る3T−HGF−WT−R1プローブでのTm解析の結果を示す図である。
【図4】比較例に係る3T−HGF−WT−F2プローブでのTm解析の結果を示す図である。
【図5】実施例4に係る3T−HGF−WT−R1プローブでのTm解析の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明において、検出する目的の多型とは、基本的に、HGF遺伝子におけるプロモーター領域のpoly A repeat数変異を意味する。本発明におけるHGF遺伝子の詳細についてはNational Center for Biotechnology Information(NCBI)アクセッションNo.NT_007933.15(Homo sapiens chromosome 7 genomic contig, GRCh37.p2 reference primary assembly)に部分配列として登録されている。本発明における「塩基番号」とは、当該部分配列である、配列番号3に示す塩基配列の、5’末端から3’末端方向に数えた当該塩基の番号、すなわち塩基番号1〜塩基番号249を意味している。なお、当該塩基番号1〜塩基番号249の塩基配列は、前述のアクセッションNo.NT_007933.15に登録されている77412220bpの全塩基配列の1943861番目の塩基〜19433101番目の塩基の部分配列に対応している。
【0029】
ヒトのHGF遺伝子におけるプロモーター領域のpoly A repeat数は、正常型であれば30(31)であるが、変異型であれば0(1)〜29(30)となっている。本発明における「poly A repeat数変異」とはこのような変異型となっている場合を意味する。本発明のpoly A repeat数において、例えば30(31)と示す場合、「30」は配列番号3の塩基配列に示す、HGF遺伝子におけるプロモーター領域のpoly A repeat数である塩基番号102〜131のT(またはTに相補的なA)の数を意味し、「(31)」は配列番号3に示す塩基配列において、前述のプロモーター領域のpoly A repeatの5’末端側に連なっているTも合わせた塩基番号101〜131のT(またはTに相補的なA)の数を意味する。
【0030】
本発明において、検出対象となる試料中の1本鎖核酸、多型検出用プローブまたはプライマーの個々の配列に対して、これらの配列の相補的な関係に基づく事項は、特に断らない限り、それぞれの配列と、当該それぞれの配列に対して相補的な配列とについても適用される。各配列に対して相補的な配列について、本発明の事項を適用する際には、当該相補的な配列が認識する配列は、対応する本明細書に記載された配列に相補的な配列に、本明細書全体を読み替えるものとする。当該適用は、当業者にとっての技術常識の範囲内で読み替えるものである。
【0031】
本発明において、「Tm値」とは、2本鎖核酸が解離する温度(解離温度:Tm)であって、一般に、260nmにおける吸光度が、吸光度全上昇分の50%に達した時の温度と定義される。例えば、2本鎖DNAを含む溶液を加熱していくと、260nmにおける吸光度が上昇する。これは、2本鎖DNAにおける両鎖間での水素結合が加熱によってほどけ、1本鎖DNAに解離すること(DNAの融解)が原因である。そして、全ての2本鎖DNAが解離して1本鎖DNAになると、その吸光度は加熱時間開始時の吸光度(2本鎖DNAのみの吸光度)の約1.5倍程度を示す。これにより、融解が完了したことが判断できる。Tm値は、この現象に基づき設定される。本発明におけるTm値は、特に断らない限り、吸光度が吸光度全上昇分の50%に達した時の温度を言う。
【0032】
本発明において、「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても本工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。また、本発明において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また、本発明において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。本発明において、オリゴヌクレオチドの配列に関して「3’末端から数えて1〜3番目」という場合は、オリゴヌクレオチド鎖の3'末端を1番目として数える。
【0033】
本発明における「標的配列」とは、多型(poly A repeat数変異)を検出するために当該プローブがハイブリダイズする核酸配列を意味する。以下に、本発明に係る多型検出用プローブについて説明する。なお、本発明における「含む」および「有する」は、「からなる」および「から構成される」との意も含むものとする。本発明における「少なくとも80%以上の同一性」とは、検出感度の観点より、85%以上の同一性、90%以上の同一性、95%以上の同一性、96%以上の同一性、97%以上の同一性、98%以上の同一性または99%以上の同一性を示してもよい。
【0034】
ハイブリダイゼーションは、公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、Molecular Cloning 3rd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 2001)に記載の方法等に従って行うことができる。この文献は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0035】
本発明における「ストリンジェントな条件下」とは、特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。典型的なストリンジェントな条件下とは、カリウム濃度が約25mM〜約50mM、およびマグネシウム濃度が約1.0mM〜約5.0mM中において、ハイブリダイゼーションを行う条件が挙げられる。詳細な1例として、Tris−HCl(pH8.6)、25mMのKCl、および1.5mMのMgCl中において行う条件が挙げられる。その他、ストリンジェントな条件としては、Molecular Cloning 3rd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 2001)に記載されている。この文献は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。当業者は、ハイブリダイゼーション反応や、ハイブリダイゼーション反応液の塩濃度等を変化させることによって、このような条件を容易に選択することができる。
【0036】
〈多型検出用プローブ〉
本発明の多型検出用プローブは、HGF遺伝子の多型を検出するためのプローブであって、下記(P1−1)、(P1−2)、(P1’−1)、(P1’−2)、(P2−1)、(P2−2)、(P2’−1)、(P2’−2)、(P3−1)、(P3−2)、(P3’−1)および(P3’−2)のいずれかから選択される、少なくとも1種の蛍光標識オリゴヌクレオチドからなることを特徴とする。
(P1−1)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号95〜100および塩基番号132と、前記塩基番号95〜100の3’末端と前記塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む8〜94塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号95に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有し、前記塩基番号95に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P1−2)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号95〜100および塩基番号132と、前記塩基番号95〜100の3’末端と前記塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む8〜94塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号95に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3の塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、前記塩基番号95に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P1’−1)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号95〜100と、前記塩基番号95〜100の3’末端と塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む7〜55塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号95に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有し、前記塩基番号95に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P1’−2)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号95〜100と、前記塩基番号95〜100の3’末端と塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む7〜55塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号95に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3の塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、前記塩基番号95に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P2−1)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号92〜100および塩基番号132と、前記塩基番号92〜100の3’末端と前記塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む11〜94塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号92に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有し、前記塩基番号92に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P2−2)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号92〜100および塩基番号132と、前記塩基番号92〜100の3’末端と前記塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む11〜94塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号92に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3の塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、前記塩基番号92に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P2’−1)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号92〜100と、前記塩基番号92〜100の3’末端と塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む10〜55塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号92に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有し、前記塩基番号92に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P2’−2)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号92〜100と、前記塩基番号92〜100の3’末端と塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む10〜55塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号92に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3の塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、前記塩基番号92に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P3−1)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号100および塩基番号132〜134と、前記塩基番号100と前記塩基番号132〜134の5’末端との間に挟まれる4〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む8〜120塩基の塩基配列であり、塩基番号134の塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3の塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有し、前記塩基番号134の塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P3−2)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号100および塩基番号132〜134と、前記塩基番号100と前記塩基番号132〜134の5’末端との間に挟まれる4〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む8〜120塩基の塩基配列であり、塩基番号134の塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、前記塩基番号134の塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P3’−1)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号132〜134と、塩基番号100と前記塩基番号132〜134の5’末端との間に挟まれる5〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む8〜56塩基の塩基配列であり、塩基番号134の塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3の塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有し、前記塩基番号134の塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P3’−2)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号132〜134と、塩基番号100と前記塩基番号132〜134の5’末端との間に挟まれる5〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む8〜56塩基の塩基配列であり、塩基番号134の塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、前記塩基番号134の塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド。
【0037】
本発明の蛍光標識オリゴヌクレオチドは、相補鎖にハイブリダイズしていないときの蛍光強度に比べて、相補鎖にハイブリダイズしているときの蛍光強度が減少(消光)するかまたは増加する蛍光標識オリゴヌクレオチドとすることができる。その中でも相補鎖にハイブリダイズしていないときの蛍光強度に比べて、相補鎖にハイブリダイズしているときの蛍光強度が減少する蛍光標識オリゴヌクレオチドとすることができる。
【0038】
このような蛍光消光現象(Quenching phenomenon)を利用したプローブは、一般的に、グアニン消光プローブと呼ばれており、いわゆるQ Probe(登録商標)として知られている。中でも、3’末端もしくは5’末端がシトシン(C)となるように設計され、その末端のCがグアニン(G)に近づくと発光が弱くなるように蛍光色素で標識化されたオリゴヌクレオチドが挙げられる。このようなプローブを使用すれば、シグナルの変動により、ハイブリダイズと解離とを容易に確認することができる。
【0039】
なお、Q Probe(登録商標)を用いた検出方法以外にも、公知の検出様式を適用してもよい。このような検出様式としては、Taq−man Probe法、Hybridization Probe法、Moleculer Beacon法またはMGB Probe法等を挙げることができる。
【0040】
前記蛍光色素としては、特に制限されないが、例えば、フルオレセイン、リン光体、ローダミンまたはポリメチン色素誘導体等が挙げられる。これらの蛍光色素の市販品としては、例えば、Pacific Blue、BODIPY FL、FluorePrime、Fluoredite、FAM、Cy3およびCy5、TAMRA等が挙げられる。
【0041】
蛍光標識オリゴヌクレオチドの検出条件は特に制限されず、使用する蛍光色素により適宜決定できる。例えば、Pacific Blueは、検出波長445nm〜480nm、TAMRAは、検出波長585nm〜700nm、BODIPY FLは、検出波長520nm〜555nmで検出できる。このような蛍光色素を有するプローブを使用すれば、それぞれの蛍光シグナルの変動により、ハイブリダイズと解離とを容易に確認することができる。蛍光色素のオリゴヌクレオチドへの結合は、通常の方法、例えば特開2002−119291号公報等に記載の方法に従って行うことができる。なお、蛍光標識オリゴヌクレオチドに相補的な塩基配列を有するDNAとハイブリダイズした場合のTm値と、1塩基のみが非相補的な塩基配列を有するDNAとハイブリダイズした場合のTm値との差は、例えば2.0℃以上、3.0℃以上、5.0℃以上または7.0℃以上等が挙げられる。
【0042】
また、本発明の多型検出用プローブは、例えば、3’末端にリン酸基が付加されてもよい。後述するように、標的配列は、PCR(Polymerase Chain Reaction)法等の遺伝子増幅法によって調製することもできる。この際、本発明の多型検出用プローブを遺伝子増幅反応の反応液中に共存させることができる。このような場合に、多型検出用プローブの3’末端にリン酸基を付加させておけば、当該多型検出用プローブ自体が遺伝子増幅反応によって伸長することを充分に防止できる。また、3’末端に前述のような標識化物質を付加することによっても、同様の効果が得られる。以下に、本発明の多型検出用プローブから代表して、(P1−1)、(P1’−1)、(P2−1)、(P2’−1)、(P3−1)および(P3’−1)の蛍光標識オリゴヌクレオチドについて詳細に述べる。なお、(P1−2)は(P1−1)に、(P1’−2)は(P1’−1)に、(P2−2)は(P2−1)に、(P2’−2)は(P2’−1)に、(P3−2)は(P3−1)に、(P3’−2)は(P3’−1)に類似した塩基配列の蛍光標識オリゴヌクレオチドであるため、特徴は同様とし、詳細は割愛する。
【0043】
まず、前記(P1−1)および前記(P1’−1)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの「塩基番号95に対応する塩基」とは、配列番号3に示す塩基配列において塩基番号95となる塩基「G(グアニン)」に対応する相補塩基「C(シトシン)」を意味する。すなわち、(P1−1)および(P1’−1)の蛍光標識オリゴヌクレオチドは、配列番号3に示す塩基配列に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有しているが、当該同一性は、塩基番号95に対応する塩基がシトシンであるということが条件となっている。(P1−1)および(P1’−1)の蛍光標識オリゴヌクレオチドにおいて、蛍光色素で標識されるCの部位は、下記の具体的なバリエーションのように必ずしも3’末端である必要はないが、このCが3’末端から数えて1〜3番目の位置に有することが挙げられ、このCが3’末端に存在することで、例えば検出感度が高くなる等の傾向がある。当該(P1−1)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの長さは、27〜57塩基長、32〜52塩基長、37〜47塩基長としうる。また、当該(P1’−1)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの長さは、22〜52塩基長、27〜47塩基長、32〜42塩基長としうる。
【0044】
例えば、具体的な(P1−1)のバリエーションとして、以下のような蛍光標識オリゴヌクレオチドが挙げられる。(P1’−1)の場合は、以下に示すような(P1−1)とは異なり、poly A repeatとなっている部分の配列の3’末端のみに、他の種類の塩基を含む塩基配列が付属している状態となっている。
poly A repeat数30(31)、46mer、配列番号4
5’−CAGTTTGTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCC−(蛍光標識)−3’
poly A repeat数30(31)、42mer、配列番号5
5’−TTGTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCC−(蛍光標識)−3’
poly A repeat数0(1)、12mer、配列番号6
5’−TTGTGAGCTGCC−(蛍光標識)−3’
【0045】
次に、前記(P2−1)および前記(P2’−1)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの「塩基番号92に対応する塩基」とは、配列番号3に示す塩基配列において塩基番号92となる塩基「G(グアニン)」に対応する相補塩基「C(シトシン)」を意味する。すなわち、(P2−1)および(P2’−1)の蛍光標識オリゴヌクレオチドは、配列番号3に示す塩基配列に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有しているが、当該同一性は、塩基番号92に対応する塩基がシトシンであるということが条件となっている。このCは、下記の具体的なバリエーションのように、必ずしも3’末端である必要はないが、3’末端から数えて1〜3番目の位置に有することが挙げられ、このCが3’末端に存在することで、例えば検出感度が高くなる等の傾向がある。当該(P2−1)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの長さは、32〜62塩基長、37〜57塩基長、42〜52塩基長としうる。また、当該(P2’−1)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの長さは、22〜52塩基長、27〜47塩基長、32〜42塩基長としうる。
【0046】
例えば、具体的な(P2−1)のバリエーションとして、以下のような蛍光標識オリゴヌクレオチドが挙げられる。(P2’−1)の場合は、以下に示すような(P2−1)とは異なり、poly A repeatとなっている部分の配列の3’末端のみに他の種類の塩基を含む塩基配列が付属している状態となっている。
poly A repeat数30(31)、46mer、配列番号7
5’−TTTGTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGC−(蛍光標識)−3’
poly A repeat数30(31)、42mer、配列番号8
5’−TGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGC−(蛍光標識)−3’
poly A repeat数0(1)、11mer、配列番号9
5’−GAGCTGCCTGC−(蛍光標識)−3’
【0047】
最後に、前記(P3−1)および前記(P3’−1)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの「塩基番号134の塩基」とは、配列番号3に示す塩基配列において塩基番号134となる塩基「C(シトシン)」を意味する。すなわち、(P3−1)および(P3’−1)の蛍光標識オリゴヌクレオチドは、配列番号3に示す塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有しているが、当該同一性は、塩基番号134の塩基がシトシンであるということが条件となっている。このCは、下記の具体的なバリエーションのように必ずしも3’末端である必要はないが、このCが3’末端から数えて1〜3番目の位置に有することが挙げられ、このCが3’末端に存在することで、例えば検出感度が高くなる等の傾向がある。当該(P3−1)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの長さは、30〜60塩基長、35〜55塩基長、40〜50塩基長としうる。また、当該(P3’−1)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの長さは、19〜49塩基長、24〜44塩基長、29〜39塩基長としうる。
【0048】
例えば、具体的な(P3−1)のバリエーションとして、以下のような蛍光標識オリゴヌクレオチドが挙げられる。(P3’−1)の場合は、以下に示すような(P3−1)とは異なり、poly A repeatとなっている部分の配列の3’末端のみに他の種類の塩基を含む塩基配列が付属している状態となっている。
poly A repeat数30(31)、46mer、配列番号10
5’−AGAGCAGGCAGCTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCAC−(蛍光標識)−3’
poly A repeat数30(31)、36mer、配列番号11
5’−GCTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCAC−(蛍光標識)−3’
poly A repeat数2(3)、8mer、配列番号12
5’−GCTTTCAC−(蛍光標識)−3’
【0049】
このような(P1−1)、(P1’−1)、(P2−1)、(P2’−1)、(P3−1)または(P3’−1)(特徴が類似する(P1−2)、(P1’−2)、(P2−2)、(P2’−2)、(P3−2)または(P3’−2)についても含む)の蛍光標識オリゴヌクレオチドのような本発明に係る多型検出用プローブは、HGF遺伝子のpoly A repeat数変異の検出に利用することができる。検出方法は、何ら限定されず、標的配列とこれらの多型検出用プローブとのハイブリダイズを利用する方法であればよい。例えば、(P1−1)、(P1’−1)、(P2−1)、(P2’−1)、(P3−1)または(P3’−1)のpoly A repeat数30(31)の多型検出用プローブ(正常型プローブ)のみを用い、HGF遺伝子のpoly A repeat変異を検出することも可能である。また、(P1−1)、(P1’−1)、(P2−1)、(P2’−1)、(P3−1)または(P3’−1)のpoly A repeat数30(31)以外の種々のpoly A repeat数の多型検出用プローブ(変異型プローブ)を用い、HGF遺伝子のpoly A repeat数変異を検出することも可能である。また、本発明の多型検出用プローブは、融解曲線分析用のプローブであることを特徴とする。このような融解曲線分析による方法も含め、HGF遺伝子の多型検出方法の詳細について以下に述べる。
【0050】
〈HGF遺伝子の多型検出方法〉
本発明のHGF遺伝子の多型検出方法(HGF遺伝子のpoly A repeat数変異の検出方法)は、前述した多型検出用プローブを使用することを特徴とする。すなわち、本発明の多型検出方法は、前述した本発明の多型検出用プローブを使用することが特徴であって、その他の構成または条件等は、以下の記載に制限されない。
【0051】
本発明の多型検出方法は、例えば、下記工程(I)、工程(II)、工程(III)および工程(IV)を含む。
(I)前記多型検出用プローブおよび試料中の1本鎖核酸を接触させ、蛍光標識オリゴヌクレオチドおよび1本鎖核酸のハイブリッドを得る工程。
(II)前記ハイブリッドを含む試料の温度を変化させることで、前記ハイブリッドを解離させ、前記ハイブリッドの解離に基づく蛍光シグナルの変動を測定する工程。
(III)前記蛍光シグナルの変動に基づいて、前記ハイブリッドの解離温度であるTm値を評価する工程。
(IV)前記Tm値に基づいて、HGF遺伝子における、多型の存在を検出する工程。
【0052】
なお、上記工程(III)において、Tm値を評価するとは、Tm値での温度を評価する(決定する)ことだけでもよいし、Tm解析でのピークの高さ、すなわち単位時間当たりの蛍光強度の変化量のピークを評価する(決定する)ことを含んでも構わない。当該ピークの高さを評価することより、poly A repeat数変異を有する塩基配列の存在比を確認することができる。
【0053】
より具体的に説明すると、例えば、正常型プローブのみを使用してこのような多型検出法を行う場合、予め正常型1本鎖核酸を用いた場合によるTm値を測定しておく。正常型1本鎖核酸は、例えば、全血等からゲノムDNAを市販のゲノムDNA単離キットを用いて単離して使用する。その後、当該正常型のTm値と、試料のTm値とを比較することによって、試料のHGF遺伝子がpoly A repeat数変異を有しているか否かを評価することができる。すなわち、Tm値が正常型の場合と全く同じ値となった場合、試料のpoly A repeatは正常型プローブとパーフェクトマッチとなっていることが判断される。しかし、Tm値が正常型よりも小さい場合には、試料の1本鎖核酸と正常型プローブとの解離温度が低いことを意味しているため、この場合には、試料の1本鎖核酸のpoly A repeat数が正常型の30(31)よりも少なくなっているということがわかる。
【0054】
また、正常型プローブでなくとも、0(1)〜29(30)のいずれかのpoly A repeat数の変異型プローブであってもこのような方法を用い、パーフェクトマッチかミスマッチかを評価し、試料のpoly A repeat数変異を正確に検出することができる。また、このような種々の多型検出用プローブは、少なくとも1種類を使用すればよく、2種類以上を併用しても構わない。2種類以上の多型検出用プローブを併用し、単位時間当たりの蛍光強度の変化量(蛍光シグナル)のピークを評価することによって、それぞれの多型検出用プローブにパーフェクトマッチするpoly A repeat数の標的配列の存在比を一度に評価することができる。反応系における本発明の多型検出用プローブの添加濃度は、特に制限されないが、例えば、1種類の多型検出用プローブにつき、10〜1000nmol/L、または20〜500nmol/Lが挙げられる。
【0055】
本発明に係るHGF遺伝子の多型検出方法では、前述した(I)のハイブリッドを得る前、または、ハイブリッドを得ることと同時に核酸を増幅する工程を含んでもよい。核酸の増幅法としては、特に制限されず、例えば、PCR法、NASBA(Nucleic Acid Sequence Based Amplification)法、TMA(Transcription−Mediated Amplification)法、または、SDA(Strand Displacement Amplification)法等が挙げられる。この中でも、PCR法がよい。
【0056】
核酸の増幅法の条件は、特に制限されず、従来公知の方法により行うことができる。鋳型とする核酸からの増幅産物の生成には、例えば、当該検出目的のpoly A repeat数変異を含む配列を増幅するためのプライマーを使用することが挙げられる。当該プライマーの増幅領域は、特に制限されず検出目的のpoly A repeat数変異に応じて適宜設定できる。例えば、前述の(P1−1)、(P1’−1)、(P2−1)、(P2’−1)、(P3−1)または(P3’−1)の蛍光標識オリゴヌクレオチドがハイブリダイズする配列を含む領域が挙げられる。また、当該プライマーの配列は、特に制限されず、例えば、検出目的のpoly A repeat数変異の配列を増幅できればよく、当該検出配列およびその周辺配列等に応じて従来公知の方法により適宜設定できる。さらに、当該プライマーの長さは、特に制限されず、一般的な長さに設定可能であり、例えば10〜50塩基長が挙げられる。
【0057】
このようなプライマーとしては、例えば、センス鎖を増幅するフォワードプライマー(Fプライマー)およびアンチセンス鎖を増幅するリバースプライマー(Rプライマー)のいずれか一方を使用できるが、両者を一対とするプライマーセットを使用することが挙げられる。当該プライマーを使用する反応系において、プライマーの添加濃度は、特に制限されないが、例えば、1種類のプライマーについて0.1〜4μmol/L、0.25〜1.5μmol/L、0.5〜1μmol/Lが挙げられる。また、FプライマーとRプライマーとを使用する場合、FプライマーとRプライマーとの添加割合は、特に制限されないが、例えば、モル比でのFプライマー:Rプライマーで、1:0.1〜1:10、または1:0.5〜1:5が挙げられる。
【0058】
本発明のHGF遺伝子の多型検出方法を適用する試料としては、特に制限されないが、生体試料があげられる。当該生体試料の具体例としては、例えば、全血、白血球細胞等の血球、骨髄、口腔粘膜等の口腔内細胞、爪もしくは毛髪等の体細胞、生殖細胞、喀痰、羊水、パラフィン包埋組織、尿、胃液、または、胃洗浄液等が挙げられる。本発明において、当該試料の採取方法、および当該試料からの被検核酸の調製方法等は制限されず、従来公知の方法を採用できる。当該生体試料が全血の場合、本発明の反応系における当該全血の濃度は、例えば、0.01〜2体積%、0.05〜1.5体積%、または0.1〜1体積%が挙げられる。また、当該生体試料が血清の場合、本発明の反応系における当該血清の濃度は、例えば、0.1〜20体積%、0.25〜15体積%、または0.5〜10体積%が挙げられる。
【0059】
〈薬剤の評価方法〉
本発明の薬剤の評価方法は、前述のHGF遺伝子の多型検出方法を利用することにより、HGF遺伝子に関連する疾患に利用できる薬剤の耐性または薬効を評価することを特徴とする。すなわち、本発明の薬剤の評価方法は、前述のHGF遺伝子の多型検出方法を用いて評価することに特徴があり、その他の構成または条件等は、以下の記載に制限されない。
【0060】
本発明の薬剤の評価方法は、例えば、下記工程(I)および工程(II)を含む。
(I)前述のHGF遺伝子の多型検出方法により、HGF遺伝子における多型を検出する工程。
(II)検出された多型の有無に基づいて、薬剤に対する耐性または薬剤の薬効を評価する工程。
【0061】
具体的な詳細は、前述のHGF遺伝子の多型検出方法と同様である。(II)における、検出された多型の有無に基づく薬剤に対する耐性または薬剤の薬効の評価とは、例えば、乳癌等の薬剤に対する耐性または薬剤の薬効を、変異型と正常型との存在比、または有無等に基づき評価を行うことを意味する。このような薬剤の評価方法は、薬剤の投与量の増減、または他の治療薬への変更等の当該poly A repeat数変異が原因となる疾患の治療方針を決定するのに有用である。
【0062】
〈HGF遺伝子の多型検出用キット〉
本発明のHGF遺伝子の多型検出用キットは、前述の多型検出用プローブを含むことを特徴とする。すなわち、本発明のHGF遺伝子の多型検出用キットは、前述の多型検出用プローブを含むことに特徴があって、その他の構成または条件等は、以下の記載に制限されない。なお、前述の多型検出用プローブの(P1−1)、(P1’−1)、(P2−1)、(P2’−1)、(P3−1)または(P3’−1)(特徴が類似する(P1−2)、(P1’−2)、(P2−2)、(P2’−2)、(P3−2)または(P3’−2)についても含む)の蛍光標識オリゴヌクレオチドがハイブリダイズする塩基配列を含む領域を鋳型として増幅可能なプライマーをさらに含まれていてもよい。
【0063】
本発明のHGF遺伝子の多型検出用キットの1例について述べる。例えば、本発明のHGF遺伝子の多型検出用キットは、HGF遺伝子のpoly A repeat数変異の検出に使用する試薬キットである。試薬キットにおいて、前述の多型検出用プローブは、1種類でもよいし2種類以上であっても構わない。後者の場合、2種類以上の多型検出用プローブは、混合された状態で含まれてもよいし、別個の試薬として含まれていてもよい。また、2種類以上の本発明の多型検出用プローブが混合された状態で、本発明のHGF遺伝子の多型検出用キットに含まれる場合、または、別個の試薬として含まれているが、例えば、使用時に同じ反応系で各多型検出用プローブと各標的配列とのTm解離分析を行う場合、各多型検出用プローブは、異なる蛍光色素で標識化されているとよい。このように蛍光色素の種類を変えることで、同じ反応系であっても、それぞれの多型検出用プローブについての検出が可能になる。前記蛍光色素としては、例えば、検出波長が異なる物質であるものが挙げられる。
【0064】
前述のように、近年、HGF遺伝子のpoly A repeat数変異は、乳癌の発症リスクと関連すると言われている。そこで、本発明の多型検出用プローブ、HGF遺伝子の多型検出方法およびHGF遺伝子の多型検出用キット等によれば、poly A repeat数の数塩基単位の変異を正確に検出することができるため、乳癌の発症リスクを予め検査することが可能となり、乳癌の早期発見等に繋げることができる可能性が高い。
【0065】
次に、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は下記の実施例により制限されない。
【実施例】
【0066】
HGF遺伝子のプロモーター領域の部分配列である19432961番目の塩基から19432991番目の塩基までのpoly A repeat数変異を、本発明の多型検出用プローブを使用し評価した実施例について、以下に述べる。
【0067】
(実施例1)
実施例1では、本発明の多型検出用プローブを利用し、HGF遺伝子のプロモーター領域におけるpoly A repeat数変異について、全自動SNPs検査装置(商品名i−densy(IS−5310)、アークレイ社製)を用いTm解析を行った。i−densy(IS−5310)に添加するプローブ等の溶液、試薬の処方は下記の表の通りである。
【表1】

【0068】
上記表1におけるプローブとは、3T−HGF−WT−F1プローブ(正常型検出用プローブ)であり、配列を下記に示す。
3T−HGF−WT−F1プローブ、配列番号5、30(31)
5’−TTGTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCC−(TAMRA)−3’
3T−HGF−WT−F1プローブは、上記配列の3’末端のCにTm解析のための蛍光色素として、TAMRAを用いた。
【0069】
上記配列の3T−HGF−WT−F1プローブとハイブリッドを形成する相補鎖を、本実施例1では2種類使用した。また、これら2種類の相補鎖を各々0.1μMずつ用いたものについても実験を行った。各々の配列は、下記に示す。
HGF−R−A30−60、配列番号13、30(31)
5’−ctcagagcaggcagctttttttttttttttttttttttttttttttcacaaactgccaaa−3’
HGF−R−A25−60、配列番号14、25(26)
5’−gggctcagagcaggcagcttttttttttttttttttttttttttcacaaactgccaaact−3’
【0070】
このような反応液を、それぞれi−densy(IS−5310)に添加し、95度で1秒間、次に40度で60秒間、さらに温度の上昇速度を3秒間に1度として40度から75度まで加熱し、当該プローブの蛍光色素に応じた検出波長(585〜700nm)における、経時的な蛍光強度の変化を測定し、Tm解析を行った。
【0071】
図1は、実施例1に係る3T−HGF−WT−F1プローブでのTm解析の結果を示す図である。横軸は温度(℃)であり、縦軸は単位時間当たりの蛍光強度の変化量である。図1において、30Aは0.2μMの相補鎖HGF−R−A30−60を用いた結果であり、25Aは0.2μMの相補鎖HGF−R−A25−60を用いた結果であり、30A/25Aは各々0.1μMの相補鎖を用いたTm解析の結果である。30Aに示す通り、poly A repeat数が30(31)である場合(正常型である場合)、ピークが65℃になっており、融解温度Tm値が高くなっている。また、25Aでは、正常型よりもpoly A repeatが数塩基程度しか少なくなっていないにもかかわらず、ピークは61℃になっており、30Aと比較するとそれぞれを区別できる程度に融解温度Tm値が下がっている。さらに、各々0.1μMを用いた30A/25Aでは、両方の融解温度Tm値において、ピークを有していることがわかる。
【0072】
(実施例2)
実施例2では、前述の実施例1で用いた本発明の多型検出用プローブとは異なる本発明の多型検出用プローブを用い、Tm解析を行った。実験プロトコルおよび試薬等の配合については、前述の実施例1と同様である。
【0073】
本実施例2では、実施例1の3T−HGF−WT−F1プローブの代わりに、3T−HGF−WT−F3プローブを用いた。3T−HGF−WT−F3プローブの配列を下記に示す。
3T−HGF−WT−F3プローブ、配列番号15、30(31)
5’−TTGTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGC−(TAMRA)−3’
このように、3T−HGF−WT−F3プローブは、実施例1と同様に、上記配列の3’末端のCにTm解析のための蛍光色素として、TAMRAを用いた。
【0074】
上記配列の3T−HGF−WT−F3プローブとハイブリッドを形成する相補鎖を、本実施例2でも2種類および各々0.1μMのものについて使用したが、これは下記の配列に示す通り、実施例1と同様である。
HGF−R−A30−60、配列番号13、30(31)
5’−ctcagagcaggcagctttttttttttttttttttttttttttttttcacaaactgccaaa−3’
HGF−R−A25−60、配列番号14、25(26)
5’−gggctcagagcaggcagcttttttttttttttttttttttttttcacaaactgccaaact−3’
【0075】
このような反応液について、実施例1と同様の方法でTm解析を行った。
【0076】
図2は、実施例2に係る3T−HGF−WT−F3プローブでのTm解析の結果を示す図である。横軸は温度(℃)であり、縦軸は単位時間当たりの蛍光強度の変化量である。図2において、30Aは0.2μMの相補鎖HGF−F−A30−60を用いた結果であり、25Aは0.2μMの相補鎖HGF−F−A25−60を用いた結果であり、30A/25Aは各々0.1μMの相補鎖を用いたTm解析の結果である。30Aに示す通り、poly A repeat数が30(31)である場合(正常型である場合)、ピークが71℃になっていた。25Aでは、実施例1の結果よりも大きく差がでることはなかったが、ピークは68℃になっており、減少していた。しかしながら、各々を0.1μMずつ用いた30A/25Aは、各々の温度のピークにあまり大きな差がなかったためか、明確な2つのピークを検出できなかった。
【0077】
(実施例3)
実施例3でも、前述の実施例1および実施例2で用いたプローブとは異なる本発明の多型検出用プローブを用い、Tm解析を行った。実験プロトコルおよび試薬等の配合については、前述の実施例1と同様である。
【0078】
本実施例3では、実施例1の3T−HGF−WT−F1プローブの代わりに、3T−HGF−WT−R1プローブを用いた。3T−HGF−WT−R1プローブの配列を下記に示す。
3T−HGF−WT−R1プローブ、配列番号16、30(31)
5’−gctttttttttttttttttttttttttttttttcac−(TAMRA)−3’
このように、3T−HGF−WT−R1プローブは、実施例1と同様に、上記配列の3’末端のcにTm解析のための蛍光色素として、TAMRAを用いた。
【0079】
上記配列の3T−HGF−WT−R1プローブとハイブリッドを形成する相補鎖を、本実施例3でも2種類使用した。また、これら2種類の相補鎖が各々0.1μMずつ用いたものについても実験を行った。各々の配列は、下記に示す。
HGF−F−A30−60、配列番号17、30(31)
5’−TTTGGCAGTTTGTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAG−3’
HGF−F−A25−60、配列番号18、25(26)
5’−AGTTTGGCAGTTTGTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCC−3’
【0080】
このような反応液について、実施例1と同様の方法でTm解析を行った。
【0081】
図3は、実施例3に係る3T−HGF−WT−R1プローブでのTm解析の結果を示す図である。横軸は温度(℃)であり、縦軸は単位時間当たりの蛍光強度の変化量である。図3において、30Aは0.2μMの相補鎖HGF−F−A30−60を用いた結果であり、25Aは0.2μMの相補鎖HGF−F−A25−60を用いた結果であり、30A/25Aは各々の相補鎖を0.1μMずつ用いたTm解析の結果である。まず、30Aに示す通り、poly A repeat数が30(31)である場合(正常型である場合)、3T−HGF−WT−R1を使用すると、ピークが62℃になった。また、25Aでは、実施例1の結果と同様に、正常型よりもpoly A repeat数が数塩基減少しているので、ピークは56℃になっており、30AのTm値と比較すると大きく差が開いていた。各々を0.1μMずつ用いた30A/25Aでも同様に、各々の温度のピークを判別することが可能であった。
【0082】
(比較例)
比較例では、本発明の多型検出用プローブとは異なるプローブを用い、Tm解析を行った。実験プロトコルおよび試薬等の配合については前述の実施例1と同様である。
【0083】
本比較例では、実施例1での本発明に係る多型検出用プローブの代わりに、3T−HGF−WT−F2プローブを用いた。3T−HGF−WT−F2プローブの配列を下記に示す。
3T−HGF−WT−F2プローブ、配列番号19、30(31)
5’−TTGTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTC−(TAMRA)−3’
このように、3T−HGF−WT−F2プローブでも、実施例1と同様に、上記配列の3’末端のCにTm解析のための蛍光色素として、TAMRAを用いた。
【0084】
上記配列の3T−HGF−WT−F2プローブとハイブリッドを形成する相補鎖を、本比較例でも2種類および各々0.1μMのものについて使用したが、これは下記の配列に示す通り実施例1および実施例2と同様である。
HGF−R−A30−60、配列番号13、30(31)
5’−ctcagagcaggcagctttttttttttttttttttttttttttttttcacaaactgccaaa−3’
HGF−R−A25−60、配列番号14、25(26)
5’−gggctcagagcaggcagcttttttttttttttttttttttttttcacaaactgccaaact−3’
【0085】
このような反応液について、実施例1と同様の方法でTm解析を行った。
【0086】
図4は、比較例に係る3T−HGF−WT−F2プローブでのTm解析の結果を示す図である。横軸は温度(℃)であり、縦軸は単位時間当たりの蛍光強度の変化量である。図4において、30Aは0.2μMの相補鎖HGF−F−A30−60を用いた結果であり、25Aは0.2μMの相補鎖HGF−F−A25−60を用いた結果であり、30A/25Aは各々の相補鎖を0.1μMずつ用いたTm解析の結果である。図4に示す通り、本比較例では30A、25Aおよび30A/25Aのいずれの場合においてもピーク、すなわちTm値を検出することができなかった。
【0087】
実施例1ないし実施例3の結果から、HGF遺伝子のプロモーター領域のpoly A repeat数の変異を正確に判別するためには、当該poly A repeatの配列の周辺の「C」の位置を基準に、蛍光標識を用いたTm解析を行い、蛍光標識のシグナルのピーク値の温度を評価することにより、変異が判別可能であることがわかった。しかし、比較例の結果から、蛍光標識の基準となるpoly A repeatの配列の周辺の「C」の位置は、限定されていることも確認された。すなわち、実施例1では配列番号3の塩基番号95のGの相補塩基の「C」、実施例2では配列番号3の塩基番号92のGの相補塩基の「C」、実施例3では配列番号3の塩基番号134の「C」に蛍光標識することによって、HGF遺伝子プロモーター領域のpoly A repeat数変異を分析することが可能であることがわかった。
【0088】
(実施例4)
実施例4では、PCRの工程を間に入れ、HGF遺伝子におけるpoly A repeat変異について、Tm解析を行った。PCRおよびTm解析を行うための装置は、前述の実施例1、実施例2および実施例3と同様の、i−densy(IS−5310)を使用した。添加するプローブ等の溶液・試薬の組成を下記の表の通りである。
【表2】

【0089】
上記表2におけるHGF−KKD−FおよびHGF−KKD−Rはプライマーであり、配列を下記に示す。
HGF−KKD−F、配列番号20、32mer、Tm=63.6℃
5’−GGGACAGGCTATGGACAATGACTGTTTCTTGG−3’
HGF−KKD−R、配列番号21、28mer、Tm=61.4℃
5’−gggtgtggtattgtggggccaaaataag−3’
【0090】
また、上記表2におけるプローブとは、前述の実施例3と同様の3T−HGF−WT−R1プローブであり、配列を下記に示す。
3T−HGF−WT−R1プローブ、配列番号16、30(31)
5’−gctttttttttttttttttttttttttttttttcac−(TAMRA)−3’
3T−HGF−WT−R1プローブは、上記配列の3’末端のcにTm解析のための蛍光色素として、前述と同様にTAMRAを用いた。
【0091】
テンプレートには、3種類のプラスミド(全て、GeneScript社製)を使用し、比較した。配列番号22に示すプラスミド(29A)と、配列番号23に示すプラスミド(25A)と、配列番号24に示すプラスミド(20A)とを、全て2500copy/μlにて使用した。このような反応液を、それぞれi−densy(IS−5310)に添加し、まずPCRを行うため、95度で60秒間熱した後、95度で1秒間から60度で15秒間を50サイクル行った。その後、前述の実施例1、実施例2および実施例3と同様に、95度で1秒間、次に40度で60秒間、さらに温度の上昇速度を3秒間に1度として40度から75度まで加熱し、当該プローブの蛍光色素に応じた検出波長(585〜700nm)における、経時的な蛍光強度の変化を測定し、Tm解析を行った。
【0092】
図5は、実施例4に係る3T−HGF−WT−R1プローブでのTm解析の結果を示す図である。横軸は温度(℃)であり、縦軸は単位時間当たりの蛍光強度の変化量である。図5において、29Aは配列番号22に示すプラスミドを使用し、25Aは配列番号23に示すプラスミドを使用し、20Aは配列番号24に示すプラスミドを使用しPCR、Tm解析を行った結果を示す。poly A repeat数においてAを29(30)塩基有する場合、図5の29Aに示すように、PCRを行うとピークが55℃になっていた。また、poly A repeat数においてAを25(26)塩基有する場合、図5の25Aに示すように、PCRを行うとピークが51℃になっていた。poly A repeat数においてAを20(21)塩基有する場合、図5の20Aに示すように、PCRを行うとピークが48℃になっており、PCRを工程に含んでも、それぞれのピークを判別することが可能であることがわかった。
【0093】
また、上述の実施例1ないし実施例3よりも、より少数単位での標的配列におけるpoly A repeatのA塩基欠失によるTm値の変化を指標とした場合、正確なA塩基の欠失個数を判別できるか否かをTm値計算ソフトウェアMeltCalcを用い、算出した。
【0094】
まず、算出に使用する正常型配列および変異型配列、すなわちA塩基欠失配列について下記に示す。
正常型、配列番号5、30(31)
5’−TTGTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCC−3’
poly A repeat 1塩基欠失、配列番号25、29(30)
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCC−3’
poly A repeat 3塩基欠失、配列番号26、27(28)
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCC−3’
poly A repeat 5塩基欠失、配列番号27、25(26)
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCC−3’
正常型、配列番号15、30(31)
5’−TTGTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGC−3’
poly A repeat 1塩基欠失、配列番号28、29(30)
5’−gcaggcagctttttttttttttttttttttttttttttt−3’
poly A repeat 3塩基欠失、配列番号29、27(28)
5’−gcaggcagctttttttttttttttttttttttttttt−3’
poly A repeat 5塩基欠失、配列番号30、25(26)
5’−gcaggcagctttttttttttttttttttttttttt−3’
正常型、配列番号16、30(31)
5’−gctttttttttttttttttttttttttttttttcac−3’
poly A repeat 1塩基欠失、配列番号31、29(30)
5’−ttttttttttttttttttttttttttttttcac−3’
poly A repeat 3塩基欠失、配列番号32、27(28)
5’−ttttttttttttttttttttttttttttcac−3’
poly A repeat 5塩基欠失、配列番号33、25(26)
5’−ttttttttttttttttttttttttttcac−3’
【0095】
以下に上記正常型配列および欠失配列での、塩基数(mer)、A(t)の数、および算出されたTm値(℃)について表に示す。
【表3】

【0096】
また、同様の効果を奏する当該蛍光標識プローブの塩基長および塩基配列について、より詳細に調査するため、実施例1ないし実施例3と同様の方法を用い、Tm値(℃)およびその変化と塩基配列との関連について調査した。
【0097】
まず、配列番号3の塩基番号95に対応する塩基を蛍光標識し調査したプローブの塩基配列について下記に示す。
配列番号34
5’−AGCTGCC−3’
配列番号35
5’−GAGCTGCC−3’
配列番号36
5’−TTGTGAGCTGCC−3’
配列番号37
5’−AAAGCTGCC−3’
配列番号38
5’−AAAAAAGCTGCC−3’
配列番号39
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCC−3’
配列番号40
5’−TTGTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCC−3’
配列番号41
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTG−3’
配列番号42
5’−CAGTTTGTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCC−3’
配列番号43
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCCA−3’
配列番号44
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCCATG−3’
配列番号45
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCCATGGGG−3’
配列番号46
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCCATGGGGC−3’
配列番号47
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCCATGGGGCA−3’
配列番号48
5’−GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCCATGGGGCAGGGGCAATTTTTTCATCTGACAATCTGCGTGCTTTT−3’
配列番号49
5’−GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCCATGGGGCAGGGGCAATTTTTTCATCTGACAATCTGCGTGCTTTTGTTTT−3’
【0098】
次に、これらのプローブの塩基配列における、mer、Aの数、Tm値(℃)(パーフェクトマッチ)、1塩基欠失のTm値(℃)、およびTm値(℃)(パーフェクトマッチ)−1塩基欠失のTm値(℃)の値(Δ)を表に示す。
【表4】

【0099】
1mer欠失するとΔ1℃以上(検出不可も含む)の差が出た場合のみ、本発明の多型検出用プローブとして検出可能とし、さらに当該プローブ自体のTm値(℃)が0℃以上であることを条件とすると、上記表4では配列番号46、配列番号47および配列番号49の蛍光標識プローブでは検出不可能であることが示唆される。
【0100】
さらに、配列番号3の塩基番号92に対応する塩基を蛍光標識し調査したプローブの塩基配列について下記に示す。
配列番号50
5’−AGCTGCCTGC−3’
配列番号51
5’−GAGCTGCCTGC−3’
配列番号52
5’−AAAGCTGCCTGC−3’
配列番号53
5’−AAAAAAGCTGCCTGC−3’
配列番号54
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCC−3’
配列番号55
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGC−3’
配列番号56
5’−TGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGC−3’
配列番号57
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTC−3’
配列番号58
5’−TTTGTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGC−3’
配列番号59
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCCATGGGG−3’
配列番号60
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCCATGGGGCA−3’
配列番号61
5’−GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCCATGGGGCAGGGGCAATTTTTTCATCTGACAATCTGCGTGCTTTT−3’
配列番号62
5’−GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCCATGGGGCAGGGGCAATTTTTTCATCTGACAATCTGCGTGCTTTTGTTTT−3’
【0101】
次に、これらのプローブの塩基配列における、mer、Aの数、Tm値(℃)(パーフェクトマッチ)、1塩基欠失のTm値(℃)、およびTm値(℃)(パーフェクトマッチ)−1塩基欠失のTm値(℃)の値(Δ)を表に記す。
【表5】

【0102】
前述と同様の条件で本発明の多型検出用プローブとして検出可能とすると、上記表5では配列番号60および配列番号62の蛍光標識プローブでは検出不可能であることが示唆される。
【0103】
さらに、配列番号3の塩基番号134の塩基を蛍光標識し調査したプローブの塩基配列について下記に示す。
配列番号63
5’−CTCAC−3’
配列番号64
5’−CTTCAC−3’
配列番号65
5’−TTTCAC−3’
配列番号66
5’−CTTTCAC−3’
配列番号67
5’−TTTTCAC−3’
配列番号68
5’−CTTTTCAC−3’
配列番号69
5’−TTTTTCAC−3’
配列番号70
5’−TTTTTTTCAC−3’
配列番号71
5’−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCAC−3’
配列番号72
5’−CTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCAC−3’
配列番号73
5’−GCTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCAC−3’
配列番号74
5’−AGAGCAGGCAGCTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCAC−3’
配列番号75
5’−CTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCACAAACTGCCAAACTCACGAAATACCACACATTTACCCAAAGTATACAAAATAAACTTGTCTGATCTGACTTTTTAAGAGAAAGTCC−3’
配列番号76
5’−CTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCACAAACTGCCAAACTCACGAAATACCACACATTTACCCAAAGTATACAAAATAAACTTGTCTGATCTGACTTTTTAAGAGAAAGTCCAAGAAACAGTCATTGTCCATAGCCT−3’
配列番号77
5’−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCACAAACTGCCAAACTCACGAAATA−3’
配列番号78
5’−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCACAAACTGCCAAACTCACGAAATACCAC−3’
配列番号79
5’−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCACAAACTGCCAAACTCACGAAATACCACACATTTACCCAAAGTATACA−3’
【0104】
次に、これらのプローブの塩基配列における、mer、Aの数、Tm値(℃)(パーフェクトマッチ)、1塩基欠失のTm値(℃)、およびTm値(℃)(パーフェクトマッチ)−1塩基欠失のTm値(℃)の値(Δ)を表に記す。
【表6】

【0105】
前述と同様の条件で本発明の多型検出用プローブとして検出可能とすると、上記表6では配列番号63ないし配列番号69、配列番号76、配列番号78および配列番号79の蛍光標識プローブでは検出不可能であることが示唆される。
【0106】
このように、実施例1、実施例2および実施例3の結果、ならびにTm値計算ソフトウェアMeltCalcでのTm値推測結果から、蛍光標識プローブのpoly A repeatの配列(または相補的なT)の周辺の「C」の位置を基準に蛍光標識を用いたTm解析を行い蛍光標識のシグナルのピーク値の温度を評価することにより、標的配列のpoly A repeat数変異を数塩基単位でも正確に判別可能であることがわかった。
【0107】
さらに詳細には、表4ないし表6に示すように、蛍光色素を用いて標識化する位置、T(または相補塩基のA)の連続個数および塩基長によっては、当該多型が検出可能となる場合と不可能となる場合とで条件がある。例えば、配列番号3の塩基番号95に対応する塩基を蛍光標識する場合は、塩基番号95〜100と塩基番号132との間にTが挟まれた塩基配列に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有する配列では、元の塩基配列のTの連続個数は1〜31で塩基長は8〜94であり(P1−1)、塩基番号95〜100の塩基配列とTの連続配列からなる塩基配列(Tの連続配列が挟まれていない状態)に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有する配列では、元の塩基配列のTの連続個数は1〜31で塩基長は7〜55であることが示唆される(P1’−1)。
【0108】
配列番号3の塩基番号92に対応する塩基を蛍光標識する場合は、塩基番号92〜100と塩基番号132との間にTが挟まれた塩基配列に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有する配列では、元の塩基配列のTの連続個数は1〜31で塩基長は11〜94であり(P2−1)、塩基番号92〜100の塩基配列とTの連続配列からなる塩基配列(Tの連続配列が挟まれていない状態)に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有する配列では、元の塩基配列のTの連続個数は1〜31で塩基長は10〜55であることが示唆される(P2’−1)。配列番号3の塩基番号134の塩基を蛍光標識する場合は、塩基番号100と塩基番号132〜134との間にTが挟まれた塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有する配列では、元の塩基配列のTの連続個数は4〜31で塩基長は8〜120であり(P3−1)、塩基番号132〜134の塩基配列とTの連続配列からなる塩基配列(Tの連続配列が挟まれていない状態)に対して少なくとも80%以上の同一性を有する配列では、元の塩基配列のTの連続個数は5〜31であり塩基長は8〜56であることが示唆される(P3’−1)。
【0109】
本発明は、上記発明の実施の形態および実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【0110】
本明細書の中で明示した論文および公開特許公報等の内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明を利用することにより、HGF遺伝子におけるプロモーター領域のpoly A repeat数変異を数塩基単位でも正確に判別することができ、さらに、正常型と変異型とが共存している場合でもpoly A repeat数を判別することができる。特に、Tm解析を同時に利用した場合、融解曲線を評価することにより、1種類であっても2種類以上であっても容易にpoly A repeat数変異を判別することができる。さらに、実施例および比較例にて前述したとおり、Tm解析の融解曲線にてpoly A repeat変異数を評価可能とする蛍光色素の標識箇所は限定されているため、当該標識箇所を利用する本発明に係る多型検出用プローブおよびHGF遺伝子の多型検出方法は、大いに有用な発明であると言える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HGF遺伝子の多型を検出するためのプローブであって、下記(P1−1)、(P1−2)、(P1’−1)、(P1’−2)、(P2−1)、(P2−2)、(P2’−1)、(P2’−2)、(P3−1)、(P3−2)、(P3’−1)および(P3’−2)のいずれかから選択される、少なくとも1種の蛍光標識オリゴヌクレオチドからなることを特徴とする、多型検出用プローブ。
(P1−1)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号95〜100および塩基番号132と、前記塩基番号95〜100の3’末端と前記塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む8〜94塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号95に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有し、前記塩基番号95に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P1−2)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号95〜100および塩基番号132と、前記塩基番号95〜100の3’末端と前記塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む8〜94塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号95に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3の塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、前記塩基番号95に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P1’−1)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号95〜100と、前記塩基番号95〜100の3’末端と塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む7〜55塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号95に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有し、前記塩基番号95に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P1’−2)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号95〜100と、前記塩基番号95〜100の3’末端と塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む7〜55塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号95に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3の塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、前記塩基番号95に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P2−1)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号92〜100および塩基番号132と、前記塩基番号92〜100の3’末端と前記塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む11〜94塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号92に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有し、前記塩基番号92に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P2−2)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号92〜100および塩基番号132と、前記塩基番号92〜100の3’末端と前記塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む11〜94塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号92に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3の塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、前記塩基番号92に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P2’−1)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号92〜100と、前記塩基番号92〜100の3’末端と塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む10〜55塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号92に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有し、前記塩基番号92に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P2’−2)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号92〜100と、前記塩基番号92〜100の3’末端と塩基番号132との間に挟まれる1〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む10〜55塩基の塩基配列に相補的な塩基配列であり、塩基番号92に対応する塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3の塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、前記塩基番号92に対応する塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P3−1)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号100および塩基番号132〜134と、前記塩基番号100と前記塩基番号132〜134の5’末端との間に挟まれる4〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む8〜120塩基の塩基配列であり、塩基番号134の塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3の塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有し、前記塩基番号134の塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P3−2)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号100および塩基番号132〜134と、前記塩基番号100と前記塩基番号132〜134の5’末端との間に挟まれる4〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む8〜120塩基の塩基配列であり、塩基番号134の塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、前記塩基番号134の塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P3’−1)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号132〜134と、塩基番号100と前記塩基番号132〜134の5’末端との間に挟まれる5〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む8〜56塩基の塩基配列であり、塩基番号134の塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3の塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有し、前記塩基番号134の塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド;
(P3’−2)配列番号3に示す塩基配列の塩基番号132〜134と、塩基番号100と前記塩基番号132〜134の5’末端との間に挟まれる5〜31塩基のいずれかの個数の連続するTからなる塩基配列と、を含む8〜56塩基の塩基配列であり、塩基番号134の塩基がシトシンであるという条件で、配列番号3に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、前記塩基番号134の塩基が蛍光色素で標識されている、蛍光標識オリゴヌクレオチド。
【請求項2】
前記(P1−1)、前記(P1−2)、前記(P1’−1)および前記(P1’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された前記塩基番号95に対応する塩基を、3’末端から数えて1〜3番目の位置に有し、
前記(P2−1)、前記(P2−2)、前記(P2’−1)および前記(P2’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された前記塩基番号92に対応する塩基を、3’末端から数えて1〜3番目の位置に有し、
前記(P3−1)、前記(P3−2)、前記(P3’−1)および前記(P3’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された前記塩基番号134の塩基を、3’末端から数えて1〜3番目の位置に有する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の多型検出用プローブ。
【請求項3】
前記(P1−1)、前記(P1−2)、前記(P1’−1)および前記(P1’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された前記塩基番号95に対応する塩基を3’末端に有し、
前記(P2−1)、前記(P2−2)、前記(P2’−1)および前記(P2’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された前記塩基番号92に対応する塩基を3’末端に有し、
前記(P3−1)、前記(P3−2)、前記(P3’−1)および前記(P3’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された前記塩基番号134の塩基を3’末端に有する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の多型検出用プローブ。
【請求項4】
前記蛍光標識オリゴヌクレオチドは、標的配列にハイブリダイズしないときに蛍光を発し、かつ、前記標的配列にハイブリダイズしたときに蛍光強度が減少するかまたは増加することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の多型検出用プローブ。
【請求項5】
前記蛍光標識オリゴヌクレオチドは、標的配列にハイブリダイズしないときに蛍光を発し、かつ、前記標的配列にハイブリダイズしたときに蛍光強度が減少することを特徴とする、請求項4に記載の多型検出用プローブ。
【請求項6】
前記(P1−1)または前記(P1−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は27〜57であり、
前記(P1’−1)または前記(P1’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は22〜52であり、
前記(P2−1)または前記(P2−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は32〜62であり、
前記(P2’−1)または前記(P2’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は22〜52であり、
前記(P3−1)または前記(P3−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は30〜60であり、
前記(P3’−1)または前記(P3’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は19〜49である、
ことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の多型検出用プローブ。
【請求項7】
前記(P1−1)または前記(P1−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は32〜52であり、
前記(P1’−1)または前記(P1’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は27〜47であり、
前記(P2−1)または前記(P2−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は37〜57であり、
前記(P2’−1)または前記(P2’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は27〜47であり、
前記(P3−1)または前記(P3−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は35〜55であり、
前記(P3’−1)または前記(P3’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は24〜44である、
ことを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の多型検出用プローブ。
【請求項8】
前記(P1−1)または前記(P1−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は37〜47であり、
前記(P1’−1)または前記(P1’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は32〜42であり、
前記(P2−1)または前記(P2−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は42〜52であり、
前記(P2’−1)または前記(P2’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は32〜42であり、
前記(P3−1)または前記(P3−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は40〜50であり、
前記(P3’−1)または前記(P3’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドの塩基長は29〜39である、
ことを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の多型検出用プローブ。
【請求項9】
前記多型検出用プローブは、融解曲線分析用のプローブであることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の多型検出用プローブ。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の多型検出用プローブを用いることを特徴とする、HGF遺伝子の多型検出方法。
【請求項11】
(I)請求項1ないし9のいずれか1項に記載の多型検出用プローブおよび試料中の1本鎖核酸を接触させ、前記蛍光標識オリゴヌクレオチドおよび前記1本鎖核酸のハイブリッドを得る工程と、
(II)前記ハイブリッドを含む試料の温度を変化させることで、前記ハイブリッドを解離させ、前記ハイブリッドの解離に基づく蛍光シグナルの変動を測定する工程と、
(III)前記蛍光シグナルの変動に基づいて、前記ハイブリッドの解離温度であるTm値を評価する工程と、
(IV)前記Tm値に基づいて、HGF遺伝子における、多型の存在を検出する工程と、
を含むことを特徴とする、請求項10に記載のHGF遺伝子の多型検出方法。
【請求項12】
さらに、前記(I)のハイブリッドを得る前、または、前記(I)のハイブリッドを得ることと同時に核酸を増幅する工程を含むことを特徴とする、請求項11に記載のHGF遺伝子の多型検出方法。
【請求項13】
(I)請求項10ないし12のいずれか1項に記載のHGF遺伝子の多型検出方法により、HGF遺伝子における多型を検出する工程と、
(II)検出された多型の有無に基づいて、薬剤に対する耐性または薬剤の薬効を評価する工程と、
を含むことを特徴とする、薬剤の評価方法。
【請求項14】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の多型検出用プローブを含むことを特徴とする、HGF遺伝子の多型検出用キット。
【請求項15】
前記(P1−1)、前記(P1−2)、前記(P1’−1)、前記(P1’−2)、前記(P2−1)、前記(P2−2)、前記(P2’−1)、前記(P2’−2)、前記(P3−1)、前記(P3−2)、前記(P3’−1)または前記(P3’−2)の蛍光標識オリゴヌクレオチドがハイブリダイズする配列を含む領域を鋳型として増幅可能なプライマーをさらに含むことを特徴とする、請求項14に記載のHGF遺伝子の多型検出用キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−249629(P2012−249629A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−89507(P2012−89507)
【出願日】平成24年4月10日(2012.4.10)
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)
【Fターム(参考)】