説明

HIV−1のOグループ(またはサブグループ)レトロウイルス性抗原のヌクレオチド配列

【課題】ヌクレオチド配列からの発現、又は化学合成により得られるHIVー1ウイルス粒子から単離することができる配列に相当する抗原、及びその利用に関するペプチドの提供。
【解決手段】上記抗原により誘導されるモノクローナル、ポリクローナル抗体、及びHIV−1のゲノムRNAに相補的なクローン化DNAより生産されるポリペプチド。更にはAIDSの状態にある人のinvitroによる診断方法、及びレトロウイルスに対する免疫原性組成物とワクチン用組成物の産生方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヌクレオチド配列の発現、または化学合成(例えば、Applied Biosystemsブランドの合成機を使用したもの)により、得られる抗原であって、HIV-1グループ(またはサブグループ)変異体、より特にはウイルス粒子より単離することができるものに相当する抗原に関する。HIV-1ウイルスのOサブグループの例を挙げて、HIV-1(VAU)単離体、及びHIV-1(DUR)単離体に言及する。
【0002】
本発明はまた、上記抗原により誘導される、モノクローナル、またはポリクローナル抗体に関する。
【0003】
本発明はまた、上記したウイルスのゲノムRNAに対して相補的か相同である配列を有する、クローン化DNA配列に関する。本発明は更に上記のクローン化DNA配列を調製するための方法に関する。本発明は更に上記したクローン化DNA配列によりコードされるアミノ酸配列を含んだポリペプチドに関する。
【0004】
更に本発明は、上記した抗原を、ある種のAIDSの形態にある危険な状態の人における、in vitroでの検出に適用することと、前記の人の一部に対しては、このレトロウイルスに対する免疫原性組成物とワクチン用組成物の産生へ適用することに関する。同様に本発明は、同じ目的のための上記した抗体の適用に関し、また、その目的の一部のため、ヒトAIDSに対する医薬品の活性素の産生への適用にも関する。
【0005】
本発明はまた、クローン化したDNA配列と、遺伝子増幅用プライマーまたはプローブとしての上記配列に由来するポリペプチドの、診断キット中での適用に関する。
【0006】
本発明は更に、化学合成、または組み換え宿主細胞内での発現によって得られる抗原性組成物であって、これにより、HIV-1、またはHIV-2のサブタイプに関わらず、HIV型のヒトレトロウイルスによる感染の診断が可能になるものに関する。このような組成物は、HIV-1、HIV-2、HIV-1(DUR)、及びHIV-1(VAU)ウイルス、または同様の免疫原性特徴を有する抗原性ペプチドの変異体に共通する抗原性ペプチドより選択した、少なくとも一つのペプチドを具備している。
【0007】
本発明は更に、HIV-1型のヒトレトロウイルス、より特にはHIV-1、Mグループ、HIV-2、またはOグループ(またはサブグループ)のHIV-1による感染の特異的診断を可能にする組成物であって、HIV-1ウイルスに特異的な抗原性ペプチド、HIV-2ウイルスに特異的な抗原性ペプチド、HIV-1のOグループ(またはサブグループ)に特異的な抗原性ペプチド、または同様の免疫原性特徴を有するこれらの抗原性ペプチドの変異体の少なくとも一つを具備している組成物に向けられている。より特には、上記抗原性ペプチドは、HIV-1のMグループと、HIV-2と、HIV-1のOグループ(サブグループ)のウイルスのエンベロープタンパク質に由来している。
【0008】
本発明は更には、従来技術のペプチドでは必ずしも検出することができなかった抗HIV抗体の検出を可能にするペプチドに向けられていて、これは特には新規のHIV-1株であるHIV-1 DURの発見に基づいている。それに対する抗血清は、必ずしも、現在使用されているようなHIVのコンセンサスペプチドとの反応性を有しているわけではない。「HIVのコンセンサス」という用語は、単離体間で保存されている領域を意味し、この証明は診断試薬の設計にとって必須であり、またこれが変異すると抗ウイルス医薬に対する抵抗性が付与される。本願で使用する「ペプチド」という用語は、オリゴペプチドとポリペプチドの両方を意味する。
【背景技術】
【0009】
LAS及びAIDSの進展の起因である2つのタイプのヒト免疫不全症ウイルス(HIV)が単離されていて、また特徴付けられている。LAV-1、またはHIV-1として知られる第一のウイルスは、単離されていて、GB特許出願8324,800、及び特許出願EP 84401,834(1984年09月14日)に記載されている。このウイルスはまた、エフ.バーレーシノッシ(F. Barre-Sinoussi)らにより記載されている(Science, 1983, 220:868-871)。
【0010】
2型のHIVレトロウイルスは別のクラスに属し、1型のHIVレトロウイルスとの免疫原性の関係は非常に限られている。HIV-2レトロウイルスは、ヨーロッパ特許出願番号、87,400,151,4(発行番号は239,425)に記載されている。
【0011】
HIV-1レトロウイルスは最も一般的であり、世界中の複数の地域では主要な存在となっている。HIV-2レトロウイルスに関しては、西アフリカではよく見られるものであるが、グレズ(Grez)らにより、最近になってこの地域から外への伝播が報告されている(J. Virol., 68:2161-2168)。
【0012】
1型及び2型のヒト免疫不全症ウイルスはもちろん、ヒト以外の霊長類ウイルスを具備した、霊長類の免疫不全症レンチウイルス全体は、そのサイズ及び複雑さにおいて増大している。これらのウイルスで最も一般的なHIV-1は、現在、全世界的に流行しており、公衆衛生の主要な問題となっている。このウイルスの同定と分子的特徴付けのすぐ後で、このウイルスは非常に多様性があることが認識され、現在では幾つかのサブタイプを具備している(Myers, 1994, Louwagie, et al., 1993, Louwagie et al., 1992, Myers G. 1994 “HIV-1 Subtypes and phylogenetics trees:Human Retrovirus and AIDS;Myers, G., Korber, B., Wain-Hobson, S., Smith, R.F. and Pavlakis, G.N., Eds. Los Alamos National Laboratory, Los Alamos, NM. III-2 - III-9)。このサブタイプの分化は主に、gagとenv遺伝子の多様性に基づいている。少なくとも6つのサブタイプが同定されていて、AからFと命名されているが、幾つかは、HIV-1の単離体に関して進行中の世界的な集中的調査より出現する可能性がある。これらの種々のサブタイプはそれぞれ、スター系統樹と呼ばれている系統樹において等距離であることが判明していて、種々のHIV-1サブタイプは共通の祖先より同調して進化及び分化したことを示唆している。
【0013】
最近、HIV-1に関するこのグループの2つの別個のウイルスが単離されて特徴付けされた。この2つのウイルスは、西中央アフリカのカメルーン在住の患者より得られた(Gurter et al., 1994, Vanden Heasevelde et al., 1994)。これらの配列、より特にはそのenv(エンベロープ)遺伝子は、このウイルスがHIV-1関連ウイルス(HIV-1のOグループと呼ばれるもの)の別個の範疇に属することを明らかに示している(Nkengasong et la., 1993)。
【0014】
しかしながら、HIV-1関連ウイルスのこのグループ内での単離体の多様性は知られておらず、またはアフリカから外への伝播も報告されてはいない。
【0015】
HIV-1の血清学的試験における一般的な制約は、疑似陽性結果と疑似陰性結果の両方を避けることであり、また同時に、以前の試験で可能であった、陽性血清の検出における感度を保持するか、または改善することも制約である。
【0016】
「env」遺伝子に必然的に由来する、コンセンサスペプチド(群)の使用に基づく試験は、HIV-1-O変異体の発見が、疑似陰性結果の可能性を明るみに出されるまでは、最も理想的な解決であると認識されていた(Genomic cloning and complete sequence analysis of a highly divergent African human immunodeficiency virus isolate. J. Virol. 1994; 68:1586-96; a new subtype of human immunodeficiency virus type 1(MPV-5180) from Cameroon. J. Virol. 1994; 68:1581-85)。
【0017】
「env」ペプチド抗原との反応性が、ある種の試験ではないのに、患者において、AIDSの臨床的特徴やそれより前に起きるリンパ節腫脹症候群が見られるのは、現在ではHIV-1-Oグループによるとされることがしばしばある(HIV-1/HIV-2 seronegativity in HIV-1 subtype O infected patients, Lancet 1994; 343:1393-94; New HIV-1 subtype in Switzerland. Lancet 1994; 344:270-271)。
【発明の開示】
【0018】
発明の記載
本発明の目的は、診断実験室に対して、方法、特には特異的ペプチドであって、これまでは検出されにくかった抗HIV-1抗体の検出を可能にするものを提供することにある。本発明は更に、「疑似陰性結果」の可能性を避けるための、HIV-1(DUR)のペプチドと、他のHIV群からの、それに対応したペプチドとの混合物に関する。
【0019】
本発明は更には、生物学的試料中の、HIV-1-Mタイプレトロウイルスに特徴的な抗体と、HIV-1のOグループ(またはサブグループ)レトロウイルスの検出と、それらの間での区別をつけるための方法に関する。
【0020】
本発明は、在カメルーンの陽性血清の女性であって、ウェスタンブロッティング技術で確認された複数の試験中において、非定型な血清学的反応性を示した女性における観察より由来している。
【0021】
この非定形の血清学的反応性を説明するため、特には、Oタイプに対して修飾されてさえある、ある種の第三世代試験に対する反応性の欠如を説明するため、発明者らは、このHIV-1(DUR)株のゲノムのある特定の部分、より特異的にはGAGとENV遺伝子の配列を決定することに興味を抱いた。
【0022】
しかしながら、Mグループ由来のプライマーと、Oグループの既知のプライマーとを用いたPCRによる遺伝子増幅は、gp120のVP3ループをコードしている部分と、gp41の免疫優性領域に対しては、うまくいかなかった。GAG領域のみが、従来技術の既知のプライマーを使用して増幅することが可能であった(Loussert-Ajaka I, Lancet 1994; 343:1393)。本発明の別の目的は、この問題を解決するプライマーを決定することにある。
【0023】
リンパ球DNAより、糖タンパク質gp41とgp120の部分配列を、カプシドタンパク質(GAG遺伝子)とともに決定し、このHIV-1DUR株が、その一部に関してHIV-1-Oグループに属し、また、特にはgp41とgp120とに関してはMグループとはかなり異なっていることが示された。
【0024】
故に、特にHIV-1(DUR)のGAG配列に関して、Mグループの同じ領域のコンセンサス配列とは異なっている、Oグループ中のコンセンサス配列の存在を、幾つかの領域に証明することが可能であった。
【0025】
HIV-1(DUR)のGAG、gp41、gp120をコードする配列のクローニングは、PST1部位を有する、Bluescript(登録商標)を利用して行った。増幅産物は、T3及びT7ユニバーサルプライマーを使用した標準的な手法でクローニングするか、または先立つ(preceding)増幅のプライマーを利用して直接的に配列を決定した。次いで配列を、アプライド・バイオシステムズの373A自動配列決定機(EDGD Montigny le Bretonneux, France)を利用して決定した。
【0026】
ヨーロッパ以外を旅行したことがなく、1992年にAIDS で死亡したフランス人患者より得られた、Oグループ単離体であるHIV-1(VAU)のenv遺伝子を、発明者らは本発明の面において単離して、配列を決定した。そのエンベロープ配列によると、HIV-1(VAU)は、最近特徴付けられた二つのカメルーンウイルスである、HIV-1 ANT、及びHIV-1 MVP5180に関連している。env配列の系統樹的分析により、3つのウイルスが、以後本願ではHIV-1のOグループと呼ぶ、一つの独立したグループを構成していることが明らかになった。この患者からHIV-1(VAU)を単離したことはまた、アフリカ以外でHIV-1のOグループの、ある程度の広がりが起きていることを示している。
【0027】
HIV-1(VAU)ウイルスの単離
HIV-1(VAU)は、1992年に41歳のフランス人のAIDS患者より単離された。この患者は、1986年に、子宮頚部の癌に関連した重度のロイコ好中球減少症(leuconeutropenia)を発症している。しかしながらこの患者は次第に、日和見感染の症状を示し、循環しているCD4+のT細胞の数が減少して、1992年にAIDSで死亡した。抗-HIV-1抗体は、ELISA(Elavia, Sanofi Diagnositics Pasteur and Abbott test)により、1990年に最初に検出された。
【0028】
ヨーロッパ以外を旅行したことのない該患者は、静脈性の医薬を使用したことがなく、また如何なる輸血もされていなかった。アフリカ系の性交パートナーは、全く同定されていない。この患者は、1971年に健常な子供を出産しているが、1980年に出生した男子は、新生児性のAIDSを強く示唆する、症状を発症した後に、1歳で死亡した。該患者の三番目の子供は、1983年に出生しており、患者の配偶者(男)は現在も健常であって、感染していない。
【0029】
このウイルスの単離は、次のようにして行った。患者のPBMC(末梢血リンパ球)に存在するCD8+細胞をIOT8抗体(Immunotech)でコーティングされたビーズを使用して除去する。残りのPBMCをPHAで刺激し、次いで健常なドナーより得て、PHAで刺激済みのCD8枯渇済みPBMCと共培養した。共培養中のウイルス増殖を、上清中の逆転写(RT)活性をアッセイすることと、HIV-1のp24のELISA試験(Dupont de Nemoursにより販売の、診断キット)によりモニターした。初期の共培養より得られたウイルスを、CD8-枯渇済み、及びPHA刺激済みのPBMC培養で、継代を数回行った。MT4細胞(Harada, et al., 1985)、及びCEM細胞(Rey et al., 1989)はもちろん、Hela-CD4-LTRLacZ細胞株P4-2(Clavel and Charneau 1994)が含まれる形質転換細胞株の、HIV-1(VAU)による感染を幾度か試みた。
【0030】
HIV-1(VAU)の生物学的特徴付け
患者のCD8-枯渇済み、PHA刺激済みPBMCと、健常なドナーからの同様の細胞との共培養後2週間で、培養上清中のRT活性 のピークを示して、ウイルス産生が検出された。次いでこのウイルスをCD8-枯渇済み、PHA刺激済みPBMCを使用して、連続した継代を行うことができた。図1においてプレートAは、HIV-1(VAU)の、感染済みPBMC培養上清中での産生を表し、これはRTアッセイ(黒丸)と、HIV-1p24捕獲ELISA(中抜きの丸)とで確認した。HIV-1のp24の濃度は、ng/mlで表され、RT活性はcpm/μlで表されている。プレートBでは、同じ実験を、AIDS患者からの標準的なHIV-1初代分離体で行った。
【0031】
HIV-1(VAU)の増殖は、RTアッセイにより容易に検出できるが、HIV-1 p24 ELISAによる、培養上清中のウイルス検出は、実質的に感度がよくない。図1は、RT、またはp24でアッセイしたときの、HIV-1(VAU)、またはAIDS患者からの初代HIV-1単離体での、PBMCの増殖性感染の特徴の比較を示している。アッセイ上清中のRT活性のアッセイで決定した、等量の粒子に対しては、他のHIV-1単離体の場合に比べてHIV-1(VAU)の場合に、約25分の1のp24が検出された。この差異は、ELISAプレートのコーティングに使用される、HIV-1p24に特異的なモノクローナル抗体には、HIV-1(VAU)のgag産物に対する弱い親和性しかないという事実による可能性がある。
【0032】
HIV-1に感受性である、形質転換済みのヒトT細胞株で、HIV-1(VAU)を繁殖させる試みが幾つか行なわれたが、成功しなかった。特に、MT4細胞、またはCEM細胞の何れかと、HIV-1(VAU)感染済みPBMCとの間の共培養を行っても、ウイルスは繁殖しなかった。さらにこのウイルスは、tat遺伝子で誘導可能なlacZ遺伝子を有する、CD4+HeLa細胞(P4ー2)を感染することができないことも判明した(Clavel and Charneu 1994)。同様に、HIV-1(VAU)の複製も、複数のチンパンジーから由来の、活性化した末梢血リンパ球で検出することができなかった。
【0033】
以下に詳細に記載する、HIV-1(VAU)のエンベロープ配列の分析、及び最近記載された2つのカメルーン単離体との比較により、3つのウイルス全てはHIV-1関連ウイルスの同じグループに属することが示されている。更に、この比較により、該ウイルスの3つの変異体はそれぞれ、系統樹でほぼ等しく離れていることが示されている。結果的に、3つのウイルス変異体のそれぞれは、それ自身で、現在、Oグループと呼ばれているグループの内の、異なるサブタイプを構成している。このグループは、現在までに同定されていて、発明者らがMグループと本願で呼んでいる、そのほかのHIV-1単離体のグループとは異なっている。
【0034】
この新規のグループの出現は、その起源に関しての疑問を投げかけている:OグループはMグループウイルスより発生したのか、(またはこれとは逆か?)、あるいはそれぞれのグループは異なる歴史を有するのか?。MグループとOグループの両方に関しては、同様の内部分岐の特徴を有しており、それぞれは、ヒトの異なるポピュレーションで、分岐した異なるウイルス祖先に相当していると、発明者らは考えている。現時点で入手可能な系統学的、及びウイルス学的データによって、上記の2つのグループのそれぞれが、自然にヒトに影響したのか、それとも他の種よりヒトに導入されたのかどうかを調べることはできない。ヒト以外の霊長類に存在する、HIV-1と同様の唯一のウイルスは、明らかに自然的に感染したチンパンジーより単離した、SIVCPZGAB単離体(Huet et al., 1990)であるが、これは明らかにMグループ、及びOグループからも異なっていて、これに相当するものはヒトでは発見されていない。HIV-1(VAU)のチンパンジーリンパ球での複製が成功していない限り、Oグループのウイルスが最近になってチンパンジーのウイルスより進化したとは考えにくい。
【0035】
Mグループよりも15から20年後になって、現在のみに、Oグループの流行が現れたのであろうか?3つの可能な説明がある。第一には、Oグループウイルスの祖先の、ヒトへの導入は、Mグループのものよりもより最近であると考えられる。第二には、それぞれの起源の地域では社会的条件が異なっていたので、MグループはOグループよりも速く伝播することができた。そして第三には、Oグループウイルスは、Mグループに比べてその伝播能力が低かった。このような性質は、感染患者でのより少ないウイルス負荷が低減した伝播性と関連しているHIV-2の全世界的伝播が顕著に起きていないことを説明すると、提案されている(De Cock et al., 1993)。この点に関して、HIV-1のOグループに感染した患者でのウイルス負荷に関するデータは入手できないが、これらのウイルスの病原性は、HIV-1のものとは異なっているとはいえないようである。HIV-1(VAU)が単離された患者は、HIV-1 MVP5180Oグループ単離体が得られた患者のようにして、死亡した。
【0036】
しかしながら、HIV-1(VAU)患者の自然な感染歴はいまだ不明であるが、AIDSに似た症候群の第二子の死亡日から示唆されるように、この患者は1980以前に感染したという幾つかの兆候がある。
【0037】
本発明は、図6に記載の配列で、配列認識番号5にも記載の、「vau」とよばれる配列を具備したenv 遺伝子によりコードされる構造タンパク質と同等の免疫学的特徴を有する構造タンパク質を有する、HIV-1(VAU)ウイルスの核酸配列の如何なる変異体、またはOグループの同等の、如何なるウイルスに関する。
【0038】
本発明は更に、本発明による抗原、あるいは本発明による抗原を、一方において、一つ以上のHIV-1のOグループウイルス若しくはそのほかの変異体ウイルスと、また他方において、一つ以上の、HIV-2、及び/またはHIV-1、に由来する抽出物と組み合わした混合物の何れかを含む組成物であって、該組成物が、適宜標識されている、組成物に関する。如何なるタイプの適切な標識(酵素性、蛍光性、放射性等)も使用することが可能である。
【0039】
核酸
本発明は、DNA、またはDNA断片に関し、特にはPCRやそのほかの遺伝子増幅法に使用可能な、RNA、cDNA、またはプライマー由来の、クローン化したDNAとDNA断片で、HIV-1(VAU)レトロウイルスのRNA、またはDNA由来のものに関する。本発明は、より特異的には、等価なDNA全てに関し、特にはHIV-1(VAU)DNA、特には図6に記載され、「vau」と呼ばれている配列に相当する配列を具備したHIV-1(VAU)株のenv領域をコードする配列と、相同な配列を有するDNAに関する。HIV-1のMグループとの相同性は少なくとも50%、好ましくは70%、更に有益には90%である。概して本発明は、HIV-1のOグループのレトロウイルスのDNAまたはRNAとハイブリダイズすることができる、等価なDNA(またはRNA)に関する。
【0040】
本発明は更に上記したDNA配列に相当する、RNA配列に関する。
【0041】
本発明は更に、配列認識番号7に記載の配列か、配列認識番号7の配列にハイブリダイズする配列を具備した、HIV-1(VAU)ウイルスのインテグラーゼ遺伝子に関する。本発明はまた、上記のDNAに相当するRNAに関する。
【0042】
本発明の主題はまた、上記したDNA、またはDNA断片にコードされるペプチド、またはポリペプチドである。
【0043】
VAU配列あるいはHIV-1(VAU)ウイルスのインテグラーゼ遺伝子、特には少なくとも9つのヌクレオチドを具備したオリゴヌクレオチドに由来するオリゴヌクレオチドは、PCR技術やそのほかの遺伝子増幅技術により、生物学的試料中、培養細胞中、または細胞抽出物中の、HIV-1のOグループウイルスDNAまたはRNAの検出に使用することが可能である。これらの配列は遺伝子増幅用のプライマーとして、または遺伝子増幅産物の特異的な検出用のプローブの何れかに使用することが可能である。さらにハイブリダイゼーションプローブとして利用されることが可能なものには、増幅産物、またはそれに相当する、化学合成(Applied Biosystems)により得られる合成配列がある。
【0044】
本発明はまた、ハイブリダイゼーション反応にプローブとして使用可能で、高厳密度条件下でのHIV-1(VAU)変異体のゲノムの一部との反応を許容する、少なくとも100ヌクレオチドの、如何なる断片をも含んでいる。
【0045】
HIV-1(VAU) env遺伝子のクローニングと配列決定
HIV-1(VAU)DNAに関する、初回のPCR増幅に対しては、全DNAをHIV-1(VAU)感染PBMCより抽出し、以下の縮重したプライマーを利用して、pol遺伝子のセグメント(インテグラーゼ領域)を増幅した:
プライマー4506:5'AGTGGAT(A/T)(T/C)ATAGAAGCAGAAGT3';(配列認識番号1);
プライマー5011:5'ACTGC(C/T)CCTTC(A/C/T)CCTTTCCA3';(配列認識番号2)。
【0046】
反応液は、50mM KCl、10mM トリス-HCl(pH 8.9)、1.5mM MgCl2、0.1mMゲラチン、0.2mM dNTP、1単位のTaq ポリメラーゼ(Amersham)を含有している。PCRは、92℃10秒、50℃1分、72℃40秒、を43回の熱サイクルで実行した。
【0047】
得られた増幅産物をpBluescript ベクターにクローニングして、ph4クローンを作成し、1994年10月20日にCNCMへ、番号I-1486の下に寄託し、次いでこれをプローブとして使用して、HIV-1(VAU)感染細胞より得られ、またEcoRIで消化済みの、低分子量DNAのラムダライブラリーのスクリーニングを行った。簡潔にいうと、HIV-1(VAU)感染済みPBMCを、PHAで刺激済み且つ、CD8+枯渇済みの細胞と24時間共培養し、その後で高い細胞病変効果(CPE)が見られた。次いで低分子量DNAをハートの方法(Hirt, 1967)により抽出して、酵素EcoRIで消化した。このDNAに対して行った、以前のサザンブロット分析では実際に、HIV-1(VAU)ゲノムにはただ一つのEcoRI部位があることが示されており、全ウイルスゲノムを表す、非インテグレート型の環状DNA種のクローニングが可能である。得られる消化産物をアガロースゲル電気泳動にかけて、約8-12kbのサイズのDNAのポピュレーションを精製して、EcoRIで消化済みのラムダZapDNA(Stratagene)に連結した。カプシド形成後、プレーティングと、32Pで標識したph4DNAでのハイブリダイゼーションによるスクリーニングで、クローン、λH34が陽性として同定されて、増幅にかけられた。EcoRI挿入物を精製して、超音波処理し、「ショットガン」技術により、酵素SmaでI消化済みの、リン酸塩処理済みベクターM13mp18内でクローニングした。得られた150クローンを373A DNA配列決定機(Applied Biosystems)で配列決定し、得られた配列をウィスコンシンGCG DNA分析パッケージを使用して単一の配列に組み立てた。
【0048】
この配列を分析して、多くのナンセンスコドンを、全てのタンパク質読み取り枠内に見出したが、これは過度に変異したゲノムを強く示唆している(Vartanian, et al., 1991)。この配列は不安定であるため、結果的にはHIV-1(VAU)感染済みPBMC由来の全DNAと、λH34配列より由来した以下のオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、PCRにより、HIV-1(VAU)のenv 遺伝子を増幅させた:
プライマーTH2:5'GCTCTAGATGGGGATCTCCCATGGCAGG3'(配列認識番号3);
プライマーUH2:5'GCTCTAGATCAGGGAAGAATCCCTGAGTGT3'(配列認識番号4)。
【0049】
PCR増幅を、92℃15秒、52℃1分、60℃2分、72℃2分、を35回の熱サイクルにより行った。サイズが3.5kbの、得られた増幅産物をM13mp18ベクターへクローニングして、連続反応により、すなわちM13ユニバーサルシーケンシングプライマーを一回目に使用し、次いで上流配列より推定したプライマーを使用して、配列決定を行った。ヌクレオチドとペプチドの配列分析は、ウィスコンシンGCG DNA分析パッケージを使用して行った。HIV-1(VAU)のenv遺伝子は、シグナルペプチドを含む、全877アミノ酸をコードしている。HIV-1(VAU)のenv遺伝子のヌクレオチド配列は、配列認識番号5の配列に相当している(図3参照)。
【0050】
プローブとしての核酸の利用
本発明はまた当然のこととして、HIV-1(VAU)ウイルスのキャリアーであることが疑われている患者に由来する、血清試料、その他の生物学的液体、または組織中に、HIV-1(VAU)ウイルスが存在すること、あるいはその逆を検出するために、DNA、cDNA、若しくはその断片、または組み換えプラスミド、若しくはその断片を含んだ、他の等価なベクターのいずれかをプローブとして利用することにも関している。これらのプローブは、適宜標識されている(放射性、酵素性、または蛍光性のような標識)。HIV-1(VAU)ウイルス、またはHIV-1(VAU)の変異体を検出するための方法を実行するために極めて有益であるプローブは、HIV-1(VAU)ウイルスゲノムに相補的なDNA全体、またはその一部、あるいは特には種々のクローンに含まれる断片を具備することを特徴としていてもよい。env領域の全て、または一部を含む、HIV-1(VAU)のcDNA断片について、より特異的に言及する。
【0051】
HIV-1(VAU)ウイルスの検出のためのこの方法、または診断キットにおいて使用されるプローブは、すでに記載されているプローブのみには決して限定されない。該プローブは、HIV-1(VAU)ウイルス、HIV-1(VAU)の変異体、または構造的に同等のウイルス、の何れかのゲノム由来のヌクレオチド配列を具備しているが、ただしAIDSの可能性のある人に由来する生物学的液体を使用して、HIV-1(VAU)のDNA、またはRNAとのハイブリダイゼーションにより、HIV-1のOグループウイルス、特にはHIV-1(VAU)を検出することが可能なものでなくてはならない。
【0052】
特に有益なのは、HIV-1とハイブリダイズしたときに、Oグループに属するHIV-1と強く反応し、Mグループに属するHIV-1と弱く反応するプローブである。限定するためのものではない例を挙げると、HIV-1(VAU)ウイルスのインテグラーゼ遺伝子配列(配列認識番号7)より構築されたプローブは、特許EP 178 978等に記載されているハイブリダイゼーション条件下でHIV-1とハイブリダイズすると、OグループのHIVとは強く反応し、MグループのHIVとは弱く反応する。
【0053】
検出はすでに知られている方法自体で行えるが、特には次のようである:
まずプローブを、生物学的液体(例えば髄液、唾液等)に含まれる細胞より由来した核酸、または上記の液体自体と接触させることにより行う。ただし、後者の場合には、当該核酸は、上記プローブとのハイブリダイゼーションを許容する条件下で、上記プローブとハイブリダイゼーションするようにされている。そして、産生するかもしれないハイブリダイゼーションを検出する。
【0054】
ハイブリダイゼーション反応が関わる、上記の診断はまた、それぞれHIV-1(VAU)、HIV-1、及びHIV-2より由来したプローブの混合物を使用して行うことができる。ただし、望むHIVウイルスのタイプを区別する必要は、必ずしもない。
【0055】
本発明の主題はまた、HIV-1のエンベロープタンパク質をコードした配列、またはインテグラーゼをコードした配列を含む、発現ベクターでもある。
【0056】
本発明はHIV-1(VAU)ウイルスの存在、またはその逆を、HIV-1(VAU)ウイルスのキャリアーであることが疑われている患者より由来した血清試料中、またはそのほかの生物学的液体や組織中に検出するための組成物を具備している。これらの組成物は、HIV-1(VAU)ウイルスゲノム、特にはHIV-1(VAU)ウイルス、若しくはHIV-1(VAU)の変異体のenvタンパク質をコードする領域、若しくはその一部を含んだDNA断片より得られるか、または誘導されるヌクレオチド配列に由来したプローブを、少なくとも一つ具備することを特徴とする。
【0057】
有益には、上記した組成物はまた、HIV-1、またはHIV-2に由来する配列から得られるプローブを具備している。
【0058】
そのほかの診断組成物は、Oサブグループのレトロウイルス、またはこのレトロウイルスの変異体を遺伝子増幅する際に使用することが可能な、本発明のプライマーを具備する。
【0059】
抗原、特にはタンパク質及び糖タンパク質
本発明は、HIV-1のOグループ(またはサブグループ)のレトロウイルス性タンパク質、または該タンパク質の少なくとも一部を具備した天然若しくは合成の、ペプチド、若しくはポリペプチドであって、HIV-1のOグループのVAU株、またはHIV-1のOグループのDUR株での感染後に得られる血清より単離することが可能な抗体によって認識されうるものに関する。
【0060】
本発明は、HIV-1(VAU)レトロウイルスの外部エンベロープタンパク質で、配列認識番号5に相当する配列を具備した遺伝子でコードされているものに関する。本発明の好ましい態様では、このタンパク質は更に、配列認識番号6に相当し、図3に記載され、アミノ酸残基の1から526を具備したアミノ酸配列を具備することで特徴付けられる。本発明の主題はまた、如何なるポリペプチド、または該配列より由来の変異体であって、HIV-1(VAU)ウイルスにより誘導される抗体により認識されうるエピトープを有するものでもある。
【0061】
上記のタンパク質は糖付加型、または非糖付加型の形態で得られる。
【0062】
本発明の主題はまた、配列認識番号8に相当し、図3に記載され、アミノ酸残基527から877の間のアミノ酸を具備した、エンベロープ膜貫通型タンパク質でもある。この膜貫通型タンパク質は、本発明の範囲内においては、糖付加型、または非糖付加型である。
【0063】
本発明は、HIV-1(VAU)ゲノムのコード配列の発現により得られ、HIV-1(VAU)のものと同等の免疫学的特徴を有する、全ての抗原、特にはタンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドに関する。該抗原は、本発明の範囲内においては、同等であるといわれる。ただしこれらは、同じ抗体、特にはHIV-1(VAU)に感染した患者より得られた血清より単離されうる抗体により認識されうるものであること。
【0064】
特には、本発明の主題は、化学的に合成されるペプチド、またはポリペプチドであって、そのアミノ酸配列が、図3に表示の配列であるか、または同等のペプチド若しくはポリペプチドである、HIV-1(VAU)エンベロープタンパク質のものに含まれるものである。
【0065】
前記の同等なペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または糖タンパク質の中には、由来する元の抗原との免疫学的交差反応性があるかぎり、化学的合成、または遺伝子工学的に調製される上記の抗原の断片、またはペプチドが含まれるべきである。言い換えると、本発明は、上記した抗原のエピトープに相当するか同等であるエピトープを有し、また同じ抗体により認識されうる、どのようなペプチド、またはポリペプチドにも関する。上記したポリペプチド、または抗原をコードするDNA配列に相当するDNA配列の発現産物は、前記の後者のタイプのポリペプチドの一部を形成している。
【0066】
より特には、HIV-1(VAU)ウイルスに由来するか、または遺伝子工学的、若しくは通常の化学合成により産生され、本発明の前後関係において非常に興味がもたれる上記抗原は、本発明のHIV-1(VAU)ウイルスと、HIV-1及びHIV-2のグループのウイルスとを明確に区別することを可能にする、抗原である。この点に関して、HIV-1(VAU)ウイルスのエンベロープタンパク質レベルにおいてはもちろん、PMタンパク質の外部の免疫優性エピトープのレベルにおいても、かなりの差異が見られている。gag及びpolタンパク質は、エンベロープタンパク質よりも、HIV-1とのより高い類似度を示しているようである。
【0067】
本発明は更に、HIV-1(VAU)のエンベロープの膜貫通型の糖タンパク質に免疫優性領域と同一であるペプチド、またはポリペプチドに関する。この領域は図3に表示されている。
【0068】
この領域の好ましいポリペプチドは例えば、配列CKNRLICを含むか、またはこの配列に相当したものを含むものである。これらは配列RLLALETFIQNWWLLNLWGCKNRLICに相当しているか、この配列を具備したペプチド、またはポリペプチドであってもよい。
【0069】
以下で「vau」という名前で呼ばれる、別の好ましいペプチドは以下の配列に相当するか、またはこの配列、若しくはこの配列の一部であって、HIV-1(VAU)レトロウイルスのRARLLALETFIQNQQLLNLWGCKNRLICYTSVKWNKTに対する抗体により認識されうるものを具備している。
【0070】
この配列のポリペプチド変異体は例えば、HIV-1(MVP5180)、及びHIV-1(ANT70)単離体のポリペプチドに対して図4に表示されているものである。これらのポリペプチドはまた、例えばアミノ酸残基による保存性の置換のような、挿入、及び/または欠失、及び/または置換による、先行物に由来するものであってもよい。
【0071】
本発明は、照会番号I-1542の下、1995年2月23日にCNCMに寄託されたHIV-1-O DURウイルス由来のペプチド、あるいは、アミノ酸の置換、欠失、または付加により、配列が上記のものとは異なっているペプチドであるが、上記のものの抗原性の特徴を保持しているペプチドに関する。
【0072】
本発明の範囲に含まれるその他のペプチドを、以下に定義している。
【0073】
故に、本発明の好ましいペプチドは、図8に表示のGAG配列中か、またはGAG配列と免疫学的に同等な配列でHIV-1-O DURウイルスの変異体由来のものの中に含まれる、少なくとも4つの連続したアミノ酸を有するペプチドであって、該免疫学的に同等な配列が、図8のGAG配列に含まれる配列、AHPQQA, LWTTRAGNPのうち少なくとも一つをも特異的に認識する抗体により認識されるものである、ペプチドである。
【0074】
好ましくは、このペプチドは、アミノ酸配列が以下の配列、
SPRTLNAWVKAVEEKAFNPEIIPMFMALSEGA(1)、
MLNAIGGHQGALQVLKEVIN(2)、
GPLPPGQIREPTGSDIAGTTSTQQEQI(3)、
IPVGDIYRKWIVLGLNKMVKMYSPVSILDI(4)、
QGPKEPFRDYVDRFYKTKLAE(5)、
AHPQQA(5a)、
LWTTRAGNP(5b)、
のうちの一つか、
相当する免疫学的に同等の配列
の何れかの中に含まれるペプチドであって、このペプチドは、上記配列のうちの一つの、少なくとも4つの連続したアミノ酸配列を含んでいる、ペプチドからなっている。
【0075】
また好ましくは、このペプチドは、アミノ酸配列が以下の配列、
SPRTLNAWVK(6)、
GSDIAGTTST(7)、
QGPKEPFRDYVDRF(8)、
のうち一つか、または
相当する免疫学的に同等の配列
の何れかに含まれるペプチドであって、このペプチドは、上記配列のうちの一つの、少なくとも4つの連続したアミノ酸配列を含んでいる、ペプチドからなっている。
【0076】
本発明において特に好ましいペプチドは、
アミノ酸配列NPEI(9)、または
アミノ酸配列AVEEKAFNPEIIPMFM(10)を含むペプチドであって、より特には、アミノ酸配列が、
IGGHQGALQ(23)、
REPTGSDI(24)のうちの一つ、または
相当する免疫学的に同等の配列
のなかに含まれる、ペプチドであって、このペプチドは、上記配列のうちの一つの、少なくとも4つの連続したアミノ酸配列を含んでいる、ペプチドはもちろん、アミノ酸配列が以下の配列、
INDEAADWD(25)、
または相当する免疫学的に同等の配列
の何れかの中に含まれるペプチドであって、このペプチドは、上記配列の少なくとも4つの連続するアミノ酸を含んでいる、ペプチドである
本発明は、ペプチド(23)、(24)、及び(25)はもちろん、免疫学的に同等の配列をコードする核酸配列だけでなく、これらの核酸配列の少なくとも一つを具備した組成物にも関する。
【0077】
本発明は更に、HIV-1のMグループ株とHIV-1のOグループ株とに関する検出と区別のための、少なくとも一つの上記核酸の使用に関する。
【0078】
上に定義した、HIV-1-O DURウイルス由来のペプチドはまた、本発明の範囲に含まれるが、該ペプチドは、HIV-1-O DURウイルスに由来する、図9に表示のgp120のVP3ループ、または相当する免疫学的に同等な配列の、少なくとも4つの連続するアミノ酸を含んでいるが、該免疫学的に同等な配列は、以下の配列、
KEIKI(12)、
EREGKGAN(13)、
CVRPGNNSVKEIKI(14)、
QIEREGKGANSR(15)、
のうち少なくとも一つをも特異的に認識する抗体により認識される。
【0079】
このペプチドは好ましくは、
(a)配列CVRPGNNSVKEIKIGPMAWYSMQIEREGKGANSRTAFC(11)、またはこの配列の一部であって少なくとも4つのアミノ酸を含むもの、の何れか、または、
(b)1以上のアミノ酸が1以上のアミノ酸で置換されていて、(a)の配列とは別個である、アミノ酸配列(ただし、当該ペプチドには、上記ペプチドに対する血清との反応性が保持されていること);または、
(c)1以上のアミノ酸が欠失、または付加されていて、(a)または(b)とは別個である、アミノ酸配列(ただし当該ペプチドには、(a)のペプチドに対する血清との反応性が保持されていること);または、
(d)相当する、免疫学的に同等な配列、若しくはその一部;
のうち何れかを含んでいる。
【0080】
また好ましくは、このペプチドは、
配列KEIKI(12)、または配列EREGKGAN(13)、または配列GPMAWYSM(16)の何れかを含んでいる。
【0081】
特に好ましい方法においては、上に定義されるペプチドには、アミノ酸配列CVRPGNNSVKEIKI(14)、またはQIEREGKGANSR(15)の何れか一つが含まれる。
【0082】
上に定義した、HIV-1-O DURウイルスより由来するペプチドはまた、本発明の範囲に含まれるが、該ペプチドは、その全アミノ酸配列が、HIV-1-O DURウイルスの変異体より由来する、図9に表示のgp41の免疫優性領域内の配列、または相当する免疫学的に同等の配列内に含まれる、少なくとも4つの連続するアミノ酸を含むが、該免疫学的に相同な配列は、以下の配列、
RLLALETLMQNQQL(17)、
LNLWGCRGKAICYTSVQWNETWG(18)、
CRGKAI(19)、
SVQWN(20)、
RLLALETLMONQQLLNLWGCRGKAICYTS(21)、
QNQQLLNLWGCRGKAICYTSVQWN(22)、
の少なくとも何れか一つをも特異的に認識する抗体により認識される。
【0083】
このペプチドは好ましくは、配列RLLALETLMQNQQL(17)、配列
LNLWGCRGKAICYTSVQWNETWG(18)、またはこのペプチド(18)の一部で以下を含むもの、を含んでいるペプチドである:
(a)配列CRGKAI(19)、またはQが、適切な場合には、K以外の異なるアミノ酸で置換された配列SVQWN(20)、あるいはこの二つの配列両方、
(b)1以上のアミノ酸が2つのアミノ酸で置換されていて、(a)の配列とは異なるアミノ酸配列(ただし当該ペプチドは、(a)のペプチドに対する血清との反応性を保持していること)、
(c)1以上のアミノ酸が欠失、または付加されていて、(a)または(b)とは異なるアミノ酸配列(ただし当該ペプチドは、(a)のペプチドに対する血清との反応性を保持していること)、または、
(d)相当する免疫学的に同等な配列、若しくはその一部。
【0084】
また好ましくは、このペプチドは、以下の特徴のうち一方、または他方を有している:
・少なくとも8つのアミノ酸配列を含む、そのN末端配列は、HIV-1-LAI株のgp41の免疫優性領域内に含まれるRILAVERY配列に対して形成された抗体により免疫学的に認識されない;
・HIV-1-LAI株のSGKLICペプチドに対して形成された抗体により認識されない;
・以下の二つの配列の何れかを含んでいる:
RLLALETLMONQQLLNLWGCRGKAICYTS(21)、
QNQQLLNLWGCRGKAICYTSVQWN(22)。
【0085】
VAUペプチドの合成
「連続フロー(continuous flow)」Fmoc法を利用した、通常の固相ペプチド合成技術により、VAUペプチドを調製した。このペプチドは、Milligen9050 PEP合成機と、「Millipore」PEG PALレジンとを使用して、最初のC末端アミノ酸を置換して調製した。アミノ酸側鎖は、以下の基で保護した:アルギニンに対してはPmc;アスパラギン、グルタミン、及びシステインに対してはTrt;リジンに対してはBoc;グルタミン酸に対してはtBuエステル;セリン、スレオニン、及びチロシンに対してはtBuエーテル。一過性のFmoc基は、DMF中の20%ピペリジン溶液で除去した。それぞれのアミノ酸のカップリング反応は、6等量のDIPCDI及びHOBTで行った。残基の中には、特にアルギニン(1位及び23位)、システイン(19位及び26位)、アスパラギン(11位)、グルタミン(10位、12位、及び13位)、アラニン(4位)、イソロイシン(9位)、及びロイシン(2位、3位、14位、及び15位)は、二重のカップリングが必要であった。
【0086】
カップリング後、レジンを真空下で乾燥した。ペプチドを、室温で4時間K試薬による処理で支持体より開裂させた。粗ペプチドを沈殿させ、エチルエーテルで洗浄した。産生物を高圧液体クロマトグラフィー(HPLC:high pressure liquid chromatography)で精製した(WATERS LC PREP 4000装置、WATERS Delta Pak C18 40 X 100mmカートリッジ、流速30ml/分、アセトニトリル/0.1%TFAのグラジエント)。該ペプチドを含む画分を合わせて、ロータリーエバポレーターで濃縮後、凍結乾燥した。
【0087】
環状化
ペプチド(0.025mM)を10mMの酢酸アンモニウム溶液に溶解した。1Mの水酸化アンモニウム溶液で、pHを8.5に調節した。pHは、3または4時間後に再び調節した。環状化は、HPLC(WATERS Delta Pak C18 5μ カラム、アセトニトリル/0.1%TFAのグラジエント)で、214nm、及び280nmでモニターした。15時間で環状化は完了した。97−100%の酢酸を使用して、pHを6にして、この溶液を凍結乾燥し、ついで粗ペプチドと同じ条件下で精製した。
【0088】
このペプチドをHPLCと、エレクトロスプレー技術(FISON VG Trio 2000分光器)を利用したマススペクトロスコピーにより検査した。
【0089】
Fmoc:9-フルオロエニルメチルオキシカルボニル;
Pmc:8-メチルペンタン-6-スルフォニルクロマン;
Trt:トリトリル;
Boc:Tertブチルオキシカルボニル;
tBu:tertブチル;
DMF:ジメチルホルムアミド;
DIPCDI:ジイソプロピルカルボジイミド;
HOBT:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;
TFA:トリフルオロ酢酸
試薬K:フェノール/水/チオアニソール/エタンジチオール/TFA;2.5ml/2.5ml/2.5ml/1.5ml/41ml。
【0090】
HIV-1(VAU)エンベロープタンパク質のアミノ酸と、その他のHIVの相当する配列との比較
HIV-1(VAU)に感染した患者由来の、一連の血清試料の、ウェスタンブロット分析を図2に示してある。HIV粒子(LAV, BLOT, SANOFI DIAGNOSITIC PASTEUR)由来のタンパク質で、電気泳動により分離されたものを有している、ニトロセルロースのストライプを、同じ血清試料でインキュベーションし、その反応性を、製造業者推奨の方法により評価した。得られた結果は以下のようであった:
ステップ1:HIV-1(VAU)患者から、1992年2月に得た血清試料と反応させた、HIV-2特異的タンパク質;
ステップ2−7:HIV-1陽性血清;
2:HIV-1(VAU)患者より、1990年11月に得た血清;
3:HIV-1(VAU)患者より、1990年12月に得た血清;
4:HIV-1(VAU)患者より、1991年2月に得た血清;
5:HIV-1(VAU)患者より、1992年2月に得た血清;
6:陰性の対照;
7:陽性の対照(HIV-1に感染した人より得た血清)。
【0091】
タンパク質の名前とサイズ(kD)を余白に示した。
【0092】
図3はHIV-1(VAU)のエンベロープのアミノ酸配列を、HIV-1-LAI参照用単離体(Wain-Hobson, et al., 1985)の相当するものと整列させたものである。シグナルペプチド、VP3ループ、及びgp41免疫優性エピトープを網掛けで示した。外部エンベロープ糖タンパク質gp120と、膜貫通型gp41との間の開裂部位を矢印で示した。アミノ酸の間の垂直な線は完全な一致を示し、コロン(:)は高い相同性を示し、また点(.)はそれぞれのアミノ酸間での限られた相同性を示す。ウィスコンシンのGCGパッケージのGAPプログラムを使用して、整列を行った。
【0093】
GAPとBESTFITプログラムの元のバージョン(1.0)は、ニードルマンとバンシュ(Needleman and Vunsch, J. Mol. biol. 48, 443-453 (1970))と、スミスとウォーターマン(Smith and Waterman, Adv. Appl. Math. 2; 482-489 (1981))の詳細な研究報告に基づき、ポール・ヒバーリ(Paul Haeberli)が記載したものである。この限定整列はポール・ヒバーリにより開発されて、バージョン3.0に組み込まれた。そしてこれはフィリプ・マルケス(Philip Marquess)による単一のプログラムに融合されて、バージョン4.0になった。整列中のギャップ欠失のペナルティーは、文献(Rechid, Vingron and Argos CABIOS 5:107-113 (1989))で示唆されているようにして修飾した。
【0094】
図3の整列は、2、3のドメインがあちらこちらで保持されている、より高い分岐度の、数多くの領域を示している。この保持領域は、通常のHIV-1単離体でも保持されている領域にほぼ対応する(Alizon et al., 1986, Benn et al., 1985)。分岐したドメインの中では、中和決定基とも呼ばれる(Javaherian et al., 1990, Javaherian et al., 1989, Matsushita et al., 1988)VP3ループが、明らかに最も分岐している(ただし、ループを限定している二つのシステインは保持されている)。HIV-1-LAIではGPGRAFである、ループのキャップ配列は、HIV-1(VAU)ではGPMAWYである。キャップのこのユニットは、カメルーンのOグループ単離体(HIV(ANT70))のものに相当しているが(Van den Heasevelde et al., 1994)、該モチーフがGPMRWRである、その他のOグループ単位体(HIV MVP5180)のものとは異なっている。
【0095】
エンベロープ全体においては、全部で29の、可能性のあるN-糖付加部位が同定され、このうちの13が、その他のHIV-1エンベロープタンパク質と比較して、保持されている。全部で19のシステインが見られ、該タンパク質の全体の折畳み構造が保持されていることを示しているが、5つの非保持システインが見られている。
【0096】
図4は種々のHIV-1単離体における、膜貫通型エンベロープ糖タンパク質の外部領域中の免疫優性ペプチドの、マルチプル整列を示している。配列は全て、HIV-1-LAI参照用配列と比較してある。ハイフンはHIV-1-LAIとの相同性を示す。整列は、ウィスコンシンGCGパッケージのPILEUPプログラムを使用して行った。
【0097】
PILEVPプログラムでは、樹状図で表示される組み立て戦略をUPGMAとよんでいて、これは代数的平均を利用した、「非偏重(unweighted)」ペアーグループ法を意味している(Smith, P.H.A. Sokal, R.R. (1973) Numerical Taxonomy (pp. 230-234), W.H. Freeman and Company, San Francisco, California, USA)。PILEVPでのそれぞれのペアーの整列には、ニードルマンとバンシュの方法を使用した(Needleman and Wunsch, Journal of Molecular Biology 48: 443-453 (1970))。
【0098】
図4に示されるように、TMタンパク質の外部領域の免疫優性エピトープのアミノ酸配列は、その他のHIV-1やHIV-2の単離体のものとは、実質的に異なっている。しかしながら、HIV-1とHIV-2ウイルスの間で保存されている多くのアミノ酸は保持されていた。
【0099】
ある特定のアミノ酸が、Oグループ間のみで保存されていることが判明したが、26アミノ酸のペプチド中の21位のリジン、7位のスレオニン、及び11位のアスパラギンがそうである。HIV-1(VAU)患者由来の血清の一つ、そしておそらくはその他のOグループウイルスに感染した患者由来の血清によっては、通常のHIV-1エンベロープ抗原の検出がされないことが、上記の差異により説明がつく。全体では、HIV-1-LAIと、HIV-1(VAU)のエンベロープ配列の比較では、50%の相同性が示された。HIV-1(VAU)のエンベロープ配列はまた、その他の代表的なHIV(報告済みで配列が決定されている、HIV-1のOグループの2つのメンバーである、HIV-1 ANT70、及びHIV-1 MVP5180)、並びに代表的なSIVとも比較した。この分析の結果を表1に示したが、これによりHIV-1(VAU)がOグループに属することが確立された。HIV-1(VAU)のエンベロープはHIV-1 ANT70のエンベロープとは70%相同で、HIV-1MVP5180とは71%相同である。
【0100】
一般的なHIV-1のサブタイプのほとんどでは、エンベロープのレベルでの相同性は、同等であり、74%から80%の範囲であった。
【表1】

【0101】
HIV-1(VAU)、HIV-1ウイルスの系統樹中のその他のメンバー、及び最近報告されたOグループ中の2つのウイルスの間の関係を、envの膜貫通領域のヌクレオチド配列を利用した、非偏重型節減(unweighted parsimony)の系統樹を構築して、分析した。この分析の結果は、図5に示してあるが、この図中の番号は、ヌクレオチドの変化の数を示してある。図5は、HIV-1(VAU)が他の2つのOグループとはほぼ等しく離れていることと、全体では上記の3つのウイルスがそれぞれほぼ等しく離れていることとを示している。実際には、HIV-1 MVP5180と、HIV-1(VAU)との間のヌクレオチドの変化は、分析したゲノムの断片中では183であり、HIV-1ANT70とHIV-1(VAU)との間では213である。この分岐の特徴は、その他のHIV-1のサブタイプ全てに存在するものと同等であり、二つの異なるサブタイプ間での単一のヌクレオチドの変化は157(サブタイプEからサブタイプF)から219(サブタイプAからサブタイプD)の範囲であった。
【0102】
表1は、HIV-1に関連した、異なるウイルスのエンベロープ配列の比較である。番号は、GAPプラグラムを利用して計算した、エンベロープ配列間でのアミノ酸相同性の割合を示す:HIV-1 ANT70の場合には、外部エンベロープタンパク質のみを比較に使用した。
【0103】
HIV-1(VAU)抗原を具備した組成物
概して本発明は、生物学的試料、特にはHIV-1(VAU)、またはHIV-1(VAU)抗原の少なくとも一つに対する抗体と接触させられた人に由来する生物学的試料中での、存在をin vitroで検出するために使用可能な、如何なる組成物にも関する。この組成物は、特許出願EP 84401,834及びEP87400,1514に記載の診断技術を使用して、HIV-1のOグループによる感染の選択的診断に適用することが可能である。本発明の背景事情の範囲内で、HIV-1(VAU)に対して産生された抗体により認識されることが可能な抗原性決定基を具備した如何なる組成物(例えば組み換え抗原、ペプチド、またはHIV-1(VAU)のエンベロープの配列で定義される、化学的に合成されたペプチド)も使用可能である。この点に関して、本発明はより特には、少なくとも一つのHIV-1(VAU)エンベロープタンパク質を有する組成物に関する。例としては、HIV-1(VAU)のgp41タンパク質の590−620の全領域に対応する、エンベロープタンパク質に由来する、タンパク質、糖タンパク質、若しくはペプチド、あるいは上記領域の一部であって、ペプチド−TFIQN−または−WGCKNR−のようなHIV-1(VAU)特異的なものがあるであろう。
【0104】
本発明は更に、
組み換え型、若しくは合成の、HIV-1(VAU)タンパク質、及び/または糖タンパク質、及び/またはペプチドと、
抽出、溶解、組み換え、または化学合成で得られる、HIV-1、及び/またはHIV-2、及び/または別の、HIV-1のOグループに由来した、タンパク質、及び/または糖タンパク質、及び/またはペプチド、及び/または
上記のタンパク質、または糖タンパク質由来であって、HIV-1、及び/またはHIV-2、及び/またはHIV-1のOグループにより誘導される抗体により認識されうるペプチド、とを組み合わせた組成物に関する。
【0105】
診断用組成物であって、HIV-1(VAU)に対して向けられた抗体により認識されうる抗原決定基を有するもの、特にはペプチド組成物は、すでに入手可能である、HIV-1及び/またはHIV-2レトロウイルスによる感染検出用のキットまたは組成物中に含めるか、あるいはこれらと組み合わせて、キットの検出範囲をHIV-1のOグループにまで伸長することが可能である。
【0106】
以下の例があるが、これらは限定するためのものではない:
コアタンパク質、特にはgag、pol、HIV-1及びHIV-2のタンパク質、若しくはそのペプチド、並びにHIV-1(VAU)のエンベロープタンパク質、若しくはそのペプチド、
HIV-1のエンベロープ糖タンパク質、HIV-2のエンベロープ糖タンパク質、及びHIV-1(VAU)のエンベロープ糖タンパク質、または
HIV-1タンパク質、及び/または糖タンパク質、HIV-2のタンパク質、及び/または糖タンパク質、並びにHIV-1(VAU)のエンベロープタンパク質、及び/または糖タンパク質、
の何れか。
【0107】
HIV-1のOグループのウイルスに感染した患者から由来の抗体は、HIV-1のMグループのウイルス由来のgag、及びpol抗原と強く反応するが、Mグループのエンベロープ抗原との反応性は全くないことに注目するのは重要である。よって、本発明の組成物は、少なくとも一つの、HIV-1エンベロープタンパク質、若しくはペプチドを具備していて、このウイルスが確信をもって検出されるようになっていることが重要である。
【0108】
このような組成物は、診断に用いると、結果的にAIDSの診断や、それに関連した症状の診断に役立ち、これはより広い病原体のスペクトラムにまで拡張される。HIV-1(VAU)エンベロープタンパク質、及び/または糖タンパク質のみを含む診断用組成物の使用は、それでもなお、該疾患を引き起こすかもしれないレトロウイルスの範疇の、より選択的な検出にとって有益であることはいうまでもない。
【0109】
特にHIV-1(VAU)ウイルスにより引き起こされる感染の診断用の方法とキット
本発明は、AIDS、及び関連した症候群の病原体であるHIV-1ウイルスにより引き起こされる感染の、in vitroでの診断用の方法であって、診断する患者由来の血清、または生物学的液体を、HIV-1(VAU)由来のタンパク質、糖タンパク質、またはペプチドを少なくとも一つ含む組成物と接触させる工程と、可能な免疫学的反応を検出する工程とを具備した、方法に関する。このような組成物の例は上に記載してある。
【0110】
好ましい方法には、例えば、免疫蛍光、またはELISA型の免疫酵素反応が関わる。検出は、直接、若しくは間接的な免疫蛍光の測定、または直接的、若しくは間接的な免疫酵素的アッセイにより影響されうる。
【0111】
このような検出には、例えば、
マイクロプレートのウェルの中に、本発明に準じて、一定量の抽出物、または所望の抗原性組成物をいれる工程;
それぞれのウェルの中に、抗体を含むことが可能であってその存在をin vitroで検出する、希釈済み、または非希釈の血清を導入する工程;
該マイクロプレートをインキュベーションする工程;
適切な緩衝液でマイクロプレートを注意深く洗浄する工程;
該マイクロプレートのウェルの中に、ヒト免疫グロブリンに対する、特異的に標識した抗体を導入する工程であって、上記標識は、基質を加水分解し、後者の放射の吸収を、少なくとも決められた波長のバンドにおいて修飾することが可能なものより選択される酵素である、工程、そして、
好ましくは対照との比較において基質の加水分解の程度を測定して検出し、感染の危険性の目安、または実際の感染の事実とする、工程を具備する。
【0112】
本発明はまた、以下を特に具備した、HIV-1(VAU)感染の検出用キット、またはボックス(boxes)に関する:
抽出物、より精製された画分、または上記したタイプのウイルスから派生した合成抗原(この抽出画分、または抗原は、例えば放射性、酵素性、蛍光性、若しくはその他の、標識がされている);
ヒト免疫グロブリンに対する抗体、またはプロテインA(これは例えばアガロースビーズ、マイクロプレートなどのような、水に不溶の支持体に有益に固定される);
適宜、陰性対照の検体より得た、同じ生物学的液体、若しくは細胞;
緩衝液、及び、適切であれば標識可視化基質。
【0113】
本発明の主題はさらに、化学合成、または組み換えにより得られる抗原を認識する抗体の形成を誘導することが可能な、免疫原性組成物である。
【0114】
血清学
HIV-1(VAU)に感染した患者由来の血清抗体が、HIV-1の抗原性調製物と反応する能力を、商業的に入手可能な種々のキット(Sanofi Diagnostic Pasteur, (Genelavai Mixt) Abbott, Wllcome, およびBehring)を利用して評価した。これらの抗体の、種々のHIV-1タンパク質との反応性を、サノフィー診断パスツール・ウェスタンブロット・キットを製造業者推奨の方法で使用して調べた。
【0115】
より正確には、患者の血清を、HIV-1特異的ELISAキットを使用して数回調べた。最初に試験されて1990年に陽性であると証明されたものは、(測定したODの、バックグラウンドODに対する比で)7.33(サノフィー診断パスツールキット使用時)、3.50(アボットキット使用時)、及び2.70(ウェルカムキット使用時)であった。HIV-1とHIV-2の両方に特異的な試薬の使用中には、1.42(ベーリングキット使用時)、4.40(ウェルカムキット使用時)であった。
【0116】
患者の血清の、異なる日における、異なるHIV-1構造タンパク質との反応性を、HIV-1 LAV BLOT免疫ブロットアッセイ(サノフィー診断パスツールで販売されている)を使用して調べた。図5に示されるように、調べた血清試料全てにおいて、envタンパク質gp160およびgp120との弱い反応性のみが見られた。しかしながら、該血清はHIV-1のgagタンパク質p55(gag前駆体)、及びp24(CA)、並びにpol産物p66(RT)、及びp34(IN)とは強く反応した。HIV-2免疫ブロッティングにより、非常に弱い反応性がgag p26に関して検出された。
【0117】
これは、Oグループに特異的な抗体に関しての、商業的に入手可能な血清診断キットでの検出は、注意深く制御するべきであることを例示している。Oグループウイルスに感染した患者からの血清抗体は、Mグループのgag、及びpol抗原との強い交差性を示すが、それらはMグループのエンベロープ抗原とはほとんど反応しないか、全く反応しない。結果として、Mグループに基づくキットの中には、上記患者のかなりの割合を検出しないものがあると推定できる。実際に、Oグループに感染した患者由来の、幾つかの血清を使った最近の予備的研究により、O グループに特異的な抗体を検出する能力は、使用する検出キットにより、かなり異なっていることが明らかになった(Loussert-Ajaka, I., Ly, T.D., Chaix, M.L., Ingrand, D., Saragosti, S., Courrouce, A.M., Brun-Vezinet, F., and Simon, F., (1994) HIV-1/HIV-2seronegativity in HIV-1 subtype O infected patients)。これは、多くのOグループ血清の、市場で入手可能な診断キット全てとの反応性を、注意深く且つ徹底的に調べる必要があることを示唆している。
【0118】
HIV-1(VAU)ウイルス由来で、組み換え、若しくは合成抗原より調製した、ポリクローナル、若しくはモノクローナル抗体を具備した組成物
本発明は、HIV-1(VAU)、特にはHIV-1(VAU)の抗原性エピトープ、より特にはHIV-1(VAU)のエンベロープタンパク質の抗原性エピトープを動物に接種して、該動物内で産生されうる血清に関する。本発明はより特には、それぞれの抗原、特には該ウイルスのタンパク質、または糖タンパク質に向けられたポリクローナル抗体に関する。更には、種々の技術により産生されるモノクローナル抗体であって、それぞれ種々のHIV-1(VAU)タンパク質、特にはHIV-1(VAU)のエンベロープタンパク質に向けられている抗体、より特には該タンパク質に対する抗体に関する。
【0119】
上記のポリクローナル、またはモノクローナル抗体を、種々の適用において使用することができる。本質的には、相当するタンパク質の中和のための使用であり、またはウイルス全体の感染性の阻害のための使用でもよいであろう。例えば、生物学的調製物中の、ウイルス抗原の検出、または相当するタンパク質、及び/または糖タンパク質の精製工程(例えばアフィニティークロマトグラフィーカラムでの使用)を行うのに使用してもよい。
【0120】
例を挙げると、抗エンベロープ抗体、または抗 gag抗体は、診断に使用可能な試薬であり、特にはHIV-1のOグループを、抗原捕獲ELISAにより検出するための試薬である。
【0121】
本発明は、1以上のHIV-1(VAU)のアミノ酸配列より産生される、HIV-1(VAU)のウイルス抗原に向けられる抗体に関する。本発明のHIV-1(VAU)ウイルスの抗原性エピトープと同等の抗原性エピトープから、抗体を得る技術は、すでに記載されている。
【0122】
当業者は、アルマー(Ulmer et al., 1993)らにより報告済みの抗体調整用技術を使用して、本発明の抗体を調製することができるが、本発明の抗原に適応させることが可能な修飾は、当業者の知識の一部を形成する。
【0123】
vauペプチドの免疫反応性の調査
抗HIV抗体のスクリーニングに対して確立されている方法にそって、ELISAプレートを調製して、vauペプチドの免疫反応性が確認された。この試験は、HIV-1のOグループ(またはサブグループ)であるVAU株のエンベロープ糖タンパク質の免疫優性エピトープを模倣するペプチドで調製した固相の検出に基づいている。該試験の実行は、Genelavia(登録商標)Mixt キットで提案されている方法により、該キットでの試薬を使用してモデル化された。
【0124】
図21及び図22の二つの表で照合される実験データは以下のことを示している:
(a)HIV-1のOグループ(またはサブグループ)ウイルスで汚染されている患者からの4つの血清は、vauペプチドと強く反応する;
(b)Pasteur Institute of Yacoundeから送られてきた19の血清のうち、HIV-1のO(グループ、またはサブグループ)ウイルスで汚染されている患者からと見られる10の血清もまた、同じペプチドとの高い反応性を示す;
(c)HIV-1のBサブタイプウイルスで汚染された人(急性期)からの血清(4つの試料)は、vauペプチドとの反応性は示さない;
(d)無症候性の血液ドナーより得られた血清(48の試料を試験した)は、vauペプチドとの反応性は示さない;
これらの実験データは、(HIV-1のOグループ(またはサブグループ)の抗体陽性試料が不足(paupicity)しているが)選択したペプチドの感受性と特異性とに関する証拠となる。
【0125】
上記のテキストからは、本発明は更に、上記した抗体を、種々の段階を有する方法で使用することにより、HIV-1(VAU)ウイルス、または変異体を検出することに関していると分かるが、前記の段階は特にHIV-1(VAU)ウイルスの特徴的性質を明らかにすることを目的としている。
【0126】
本発明はまた、分子ハイブリダイゼーションによる、HIV-1(VAU)ウイルスの検出に関する。
【0127】
概して、HIV-1(VAU)ウイルスのキャリアーであると思われる患者由来の、生物学的試料、またはその他の生物学的液体若しくは組織中に、HIV-1(VAU)ウイルス、または変異体を検出するこの方法は、以下の段階を具備している:
適宜標識された少なくとも一つのプローブを製造する段階;
疑いのある患者の試料中の核酸を前記の標識プローブと接触させて、適宜該複合体を適切な固相支持体上に固定化する段階;
適切であれば、該固相支持体を適切な洗浄溶液で洗浄する段階;
該複合体を検出し、よってHIV-1(VAU)の存在、または非存在を当業者に知られる適切な検出方法により検出する段階。
【0128】
本発明のこの方法に関する、別の好ましい態様においては、上記したハイブリダイゼーションは、非厳密な条件下で行なわれ、且つ、膜はハイブリダイゼーション用に適応した条件下で洗浄される。
【0129】
血清学、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のような遺伝子増幅技術を使用して、HIV-1のOグループの流行度が正確に評価される。カメルーンの、5から10%のHIV-1感染患者は実際にOグループのウイルスに感染していることが判明した。しかしながら、本願で記載したウイルス単離体とは別に、西中央アフリカの外での、Oグループの伝播は記録に残っていない。HIV-1(VAU)が単離された前記の患者は、フランスにずっと居住していてアフリカには一度も旅行したことがない。現在までには、該患者の感染源に関する正確な証拠は全くないが、このケースはOグループウイルスのある程度の伝播がヨーロッパですでに起きていることを示す。
【0130】
本発明はまた、生物学的試料中の、HIV-1のOグループ(またはサブグループ)レトロウイルスに特徴の抗体と、HIV-1-Mタイプのレトロウイルスに特徴の抗体とを、検出、及び区別するための方法であって、該生物学的試料を、HIV-1-Mタイプのレトロウイルスに特徴的である抗体とは反応しないペプチド、特には上記した、ペプチド(1)、(2)、(3)、(4)、(5a)、(5b)、(9)及び(10)から選択した一つと、接触させることを特徴とする、方法に関する。
【0131】
更に本発明は、生物学的試料中の、HIV-1のOグループ(またはサブグループ)レトロウイルスに特徴の抗体と、HIV-1-Mタイプのレトロウイルスに特徴の抗体とを、検出、及び区別するための方法であって、図8及び9で考慮に入れたHIV-1のMウイルスの中の一つに由来し、尚且つペプチド(1)、(2)、(3)、(4)、(5a)、(5b)、(9)及び(10)から選択したペプチドと相同性であるものと、上記生物学的試料を接触させることを特徴とし、またこの相同性ペプチドの配列は、図8または9に記載される、該配列自身がHIV-1のMウイルスの対応した適切なペプチド配列中に含まれる、独自の連続したアミノ酸の垂直整列より得られるものであり、図8または9からもまた、該ペプチドの連続したアミノ酸配列が選択される、上記の方法に関する。
【0132】
本発明によると、HIV-1のOグループ(またはサブグループ)レトロウイルスによる感染と、HIV-1のMサブグループレトロウイルスによる感染とを検出、及び区別する方法はAIDSの診断試験にかけられる患者に由来する血清を、特にペプチドRILAVERYと接触させることで特徴付けられる。
【0133】
更に、HIV-1のOサブグループまたはHIV-1のMサブグループレトロウイルスによる感染の検出方法は、二つの範疇のペプチドの混合物、すなわちその一方の範疇が、ペプチド(1)、(2)、(3)、(4)、(5a)、(5b)、(9)、及び(10)に相当するものを使用することにより特徴付けられる。
【0134】
更に、HIV-1-O DURレトロウイルスによる感染と、HIV-1-Oの別のタイプのレトロウイルスによる感染とを区別する方法は、生物学的試験試料を、ペプチド(11)から(15)、またはペプチド(17)から(20)の何れかと接触させることにより特徴付けられる。
【0135】
あるいは、本発明は、HIV-1のOグループ(又はサブグループ)のレトロウイルスによる感染と、HIV-1のMサブグループレトロウイルスによる感染とを区別する方法であって、開裂作用部位がSRジペプチドであるセリンペプチダーゼを使用することと、このレトロウイルスがHIV-1のOグループ(またはサブグループ)のレトロウイルスであるか、HIV-1のMサブグループのレトロウイルスであるかに応じて、該レトロウイルスのgp120のVP3の開裂、または非開裂を検出することを具備している方法である。
【0136】
本発明は更に、生物学的試料中の、HIV-1のMサブグループレトロウイルスによる感染と、HIV-1のOグループ(サブグループ)による感染とを検出、及び区別するための組成物であって、一方が特に、(1)、92)、(3)、(4)、(5a)、(5b)、(9)、及び(10)である、二つの範疇のペプチドの混合物を具備している、組成物に関する。
【0137】
ペプチド(1)から(20)のそれぞれに特異的なモノクローナル抗体もまた、本発明の範囲に含まれる。
【0138】
本発明は更に照会番号I-1548, I-1549, I-1550の下に、1995年2月24日にCNCMに寄託されたもののなかより選択したプラスミドにも関する。
【0139】
本発明は更に、本発明で定義されるペプチド(1)から(20)のそれぞれをコードする配列を有する核酸に向けられている。
【0140】
好ましい核酸配列の中では、図10、11、または12に表示のものが選択されるであろう。
【0141】
本発明は更に、上で定義した核酸を含むベクターにも関する。
【0142】
本発明は更に、前記核酸、または前記ベクターの何れか一つを含むと考えられる細胞に向けられている。
【0143】
本発明は更に、照会番号I-1542の下に1995年2月23日にCNCMに寄託されたもののようなウイルスに関する。
【0144】
本発明の範囲にも含まれるウイルスは、上記と同じグループのウイルスであって、このウイルスのコンセンサスペプチドが、上記したペプチド、またはポリペプチドを特異的に認識する抗体により認識されることを特徴とするものである。
【0145】
このウイルスのゲノムRNAもまた、本発明の範囲に入る。
【0146】
更に本発明の範囲に入るものには、HIV-1タイプのヒトレトロウイルスに感染したと思われる患者からの血清、またはその他の生物学的試料中にある、抗体を検出するためのキット、またはボックスがあるが、これは以下を具備することを特徴としている:
配列が、特に上記した(1)から(20)の配列の一つを有する、少なくとも一つのペプチド、またはポリペプチド;
上記のペプチド、または上記のポリペプチドと、試験する試料中に存在するかもしれない抗体との間の免疫複合体の形成反応を許容する手段(例えば、必要であるならば1以上のインキュベーション用緩衝液);
陰性対照試料;
形成される、抗原/抗体複合体を可視化する手段。
【0147】
更に本発明によると、このキットには、
HIV-1株より由来する少なくとも一つのコンセンサスペプチド若しくはポリペプチド、あるいは、
このポリペプチド若しくはペプチドの配列とは別個であり、その中の1以上のアミノ酸がその他のアミノ酸で置換されているアミノ酸配列(ただし、当該ペプチドには、コンセンサスペプチド若しくはポリペプチドに対する血清との反応性が保持されている)、または、
1以上のアミノ酸が欠失、付加されているアミノ酸配列(ただし、当該ペプチド、またはポリペプチドには、コンセンサスペプチド若しくはポリペプチドに対する血清との反応性が保持されている)、
の何れかを具備したペプチド、若しくはポリペプチドに由来する少なくとも一つのコンセンサスペプチド若しくはポリペプチドを更に有している。
【0148】
好ましくは本発明のキットは更に、別のHIV株、好ましくはHIV-1-LAI株に由来する、少なくとも一つのペプチド、またはペプチドを有する。
【0149】
本発明は更に、本発明のレトロウイルスによる感染の、in vitroでの診断用の、ポリペプチド組成物、またはその変異体の一つに関するが、この診断は、上記の感染後に形成される抗体を含んでいると思われる生物学的試料に対して行なわれる。この組成物は、ペプチド(1)から(20)のうち、少なくとも一つを具備していることを特徴とする。
【0150】
生物学的試料は、特には血液、血漿、血清、またはその他の生物学的抽出物からなる。上記の組成物は、上記の生物学的試料のうちの一つの中の抗体を検出するのに使用することが可能である。
【0151】
よって本発明は更に、特にHIVタイプのレトロウイルスによる感染の、in vitroでの診断方法であって、以下の工程で特徴付けられるものに向けられている:
HIV-1のOグループ(またはサブグループ)レトロウイルスに対する抗体を含むと思われる生物学的試料を、上に定義したペプチド、または上に定義したペプチド組成物と、抗原/抗体型の免疫複合体の形成を許容する適切な条件下で、接触させる工程;
存在する可能性のある上記の複合体を検出する工程。
【0152】
本発明は更に、ワクチン作成に許容される薬学的媒介物(vehicle)と組み合わされた、少なくとも一つのペプチドを具備することを特徴とする、免疫学的組成物に関する。
【0153】
本発明は更に、以下の工程を具備することを特徴とする、本発明のカプシドタンパク質、gp41、gp120の調製方法に関する:
本発明のHIV-1レトロウイルスに感染した細胞を溶解して、上清と感染細胞とを分離するか、または遠心により調製したウイルス沈殿物を溶解する工程;
細胞抽出物、及び/またはウイルス抽出物を、精製済み抗体を含む免疫吸着剤(immunoadsorbant)にかける工程(該抗体は、本発明のレトロウイルスに感染した人の血清より得られ、また有益には適切な支持体に固定されていて、感染者の該血清は、本発明のウイルスのエンベロープタンパク質と強く反応する能力がある);
緩衝液の存在下で、抗原/抗体の免疫複合体の形成が起きるのに十分な時間だけ、インキュベーションする工程;
上記の免疫吸着剤を緩衝液で洗浄して、該支持体に保持されていない分子を除去する工程;
所望の抗原性タンパク質を回収する工程。
【0154】
この調製方法の第一の態様によると、HIV-1 DURのカプシドタンパク質、並びに糖タンパク質gp41、及びgp120の分離と回収は、電気泳動法と、該タンパク質の電気的還元法により行える。
【0155】
この調製方法の別の態様によると、該タンパク質は以下の工程により回収できる:
上記の免疫吸着剤に付着したタンパク質を溶出させる工程;
上記のように溶出された産物を、分離支持体に付着された抗体であって、HIV-1のOグループ(またはサブグループ) DURのカプシドタンパク質、糖タンパク質gp41及びgp120を認識するものを有する、クロマトグラフィーカラムにより精製する工程。
【0156】
本発明の範囲に更に含まれるものには、本発明のペプチド、またはポリペプチドであって、以下のようにして産生される方法が含まれる:
本発明の核酸を発現する;または、
アミノ酸を付加して、該ペプチド、または該ポリペプチドが得られるまで化学合成する。
【0157】
遺伝子工学の標準的な原理と方法を使用することが可能である(Molecular Cloning, Sambrook, Fritsch, Maniatis, CSH 1989)。
【0158】
本発明の範囲に含まれるものにはまた、上記した核酸の産生方法があるが、これは本発明のウイルスより単離するか、化学合成か、または特異的プライマーからの、核酸のin vitro増幅の技術により行なわれる。
【0159】
本発明によるオリゴヌクレオチドプライマーはまた、以下のヌクレオチド配列中の、少なくとも8つの連続するヌクレオチドを具備した配列を有する:
ATT CCA ATA CAC TAT TGT GCT CCA-3'
AAA GAA TTC TCC ATG ACT GTT AAA-3'
GGT ATA GTG CAA CAG CAG GAC AAC-3'
AGA GGC CCA TTC ATC TAA CTC-3'。
【0160】
上記のプライマーは、本発明のペプチドをコードするヌクレオチド配列に関して、例えばPCRのような遺伝子増幅や、相当する技術において使用することが可能である。上記のプライマーを使用して行った試験で、決定的な結果が得られた。
【0161】
更に、本発明はPCRや上記した相当する技術による増幅を許容するキットに関する。
【0162】
更に本発明の範囲には、本発明によるレトロウイルスを含んでいる、HIV-1のOグループ(またはサブグループ)DURレトロウイルスに特徴的である核酸の、生物学的試料中での存在を検出する方法が含まれる。この方法は、上記の生物学的試料中に含まれるRNAより形成したcDNAを、このcDNAとレトロウイルスゲノムとのハイブリダイゼーションを許容する条件下で接触させる工程と、このウイルス試料の遺伝子増幅を実行する工程とを具備している。
【0163】
本発明はまた、本発明のウイルスで感染した細胞の溶解により得られるウイルス溶解物にも関する。
【0164】
特に上記したペプチド、またはポリペプチドを含む、HIV-1(DUR)(またはHIV-1(VAU))株もまた、本発明の範囲に含まれる。
【0165】
本発明は、HIV-1のOグループ(またはサブグループ)DURの構造、またはこのレトロウイルスの変異体より得られる、特異的ペプチドであって、以下を可能にするものに関する:
状況に応じて、
地球規模でOのカテゴリーのHIV-1と、MのカテゴリーのHIV-1とを区別するか、または、
より特異的には、HIV-1のOグループ(またはサブグループ)DURと、Oサブグループのその他のウイルスとを区別するか、あるいは、
一方で、全てではないにしろほとんどのレトロウイルスで、Oグループ(またはサブグループ)及びMサブグループの両方を認識する。
【0166】
更に本発明の範囲に含まれるものには、HIV-1のOグループ(またはサブグループ)、またはHIV-1のMサブグループの、対応する構造タンパク質に由来の、相当するペプチドであって、特にはGAG、gp120、およびgp41より由来する構造タンパク質でその一部が図に示されているものがあるが、上記の相同的なペプチドは整列により得られ、更にまたHIV-1のOグループ(またはサブグループ)DUR、より特異的には本願で同定したものに由来するペプチドの図からも得られるものである。
【0167】
同様に、ある種の相同性ペプチドは上記した区別を可能にする試験で使用することが可能であり、この場合にはGAG、gp120、及びgp41の構造タンパク質由来の、対応するペプチドにかわって使用される。
【0168】
Oグループ特異的なオリゴヌクレオチドの決定
VAU配列、並びにMVP5180、及びANT70配列との相関関係を使用して、全体がVP3領域及びgp41領域に対してOサブグループ特異的であるようにしたプライマーを決めた。これらのプライマーにより、DUR株を増幅することが可能になり、結果としてぶちあたっていた増幅の問題の一つの解決となった。これらのHIVのOサブグループプライマーの配列と部位を、図13に記載してある。これらのプライマーにより、臭化エチジウム染色で可視化できる増幅バンドを、30サイクルの単一ステップのPCRで得ることが可能になる、部分配列が得られた:
GAG:513塩基対(171アミノ酸)=配列認識番号9;
gp120 VP3ループ:525塩基対(75アミノ酸)=配列認識番号10;
gp41免疫優性領域:312塩基対(104アミノ酸)=配列認識番号11。
【0169】
DUR配列に関して、ヌクレオチド(図15)、及びタンパク質(図16)の比較を、OサブグループのMVP5180、 ANT、及びVAU配列、HIV-1のコンセンサス配列、代表的な アフリカンHIV-1のMAL配列であるLAI、ガボンチンパンジーのCIVのCPZで行うと、その他の報告済みのHIV-1のOグループ(またはサブグループ)株同士が遠縁であるのと同じように、DURも、その他の報告済みのHIV-1のOグループ(またはサブグループ)株から離れている。
【0170】
差異はGAG領域でより少なく、またgp120の VP3領域で最大であり、このタンパク質の比較では差異が40%にまで達する(図16)。系統樹により、DUR株がOサブグループの一部を形成することが一方で確認され、また記載された種々のO株間での差異の受容性が他方では証明されたが、明らかなサブタイプの枝分かれは起きていなかった(図17)。
【0171】
GAG配列の比較
得られたGAG配列とその他の報告済みの2つのO株(ANT70、及びMVP5180)との比較はもちろん、Mグループの代表的な配列(図8)との比較により、Oのコンセンサス配列が複数の領域内に存在し、これが同じ領域のMのコンセンサス配列とは異なっていることが判明した。MよりもOに対しての方がより多様である、2つの超可変領域、及び一方または他方における、2、3の部位変異もまた判明した。しかしながら、SPRT・・・SEGA、MLNAI・・・KEVIN、GPLPP・・・QQEQI、及びVGD・・・SPVの領域は、Oのコンセンサス配列と、Mのコンセンサス配列との間では異なっているようである。
【0172】
QQA及びLWTTRAGNPの領域は超可変領域である。HIV-1のOグループ(またはサブグループ)DUR株は、M及びOのコンセンサス配列に対して、3つの部位で明らかに異なっていて(Iに対してL、Eに対して2回)、単離された3つの超可変部位に特異的なアミノ酸を有する(L9にV、A77にA、110にL)。
【0173】
更に、GAG領域内に、例えばSPRTLNAWVK、GSDIAGTTST、及びQGPKEPFRDYVDRFのような、Oグループと、Mグループに共通な断片を決めることは可能である。
【0174】
VP3ループ配列の比較
この比較実験では、HIV-1のMサブグループのコンセンサス配列とは、最高で56%までのタンパク質の差異が見られ、またHIV-1のOグループ(またはサブグループ)のコンセンサス配列とは、35から42%のタンパク質の差異が見られた。
【0175】
gp120中のVP3ループ領域中、及びgp41中の免疫優性領域中のペプチド配列の整列を、図9に示してある。DUR株のVP3ループの内部の配列は、HIV-1のMサブグループのコンセンサス配列のものとはかなり異なっている。VAU及びANT70株とは、GPMAWYSMモチーフを共有しているが、2つの置換(Aに対してR、及びYに対してR)があるMVP株とは共有していない。
【0176】
VP3ループの残りの左右部分は、他の既知のHIV全てとはかなり異なっていて、他の交差性を有するとは想像できないほどであった。更にDURのVP3ループは他のOコンセンサス配列よりも1アミノ酸だけ長く、これはHIV-1のMグループの配列よりも1アミノ酸だけ長い。
【0177】
gp41の免疫優性領域に関する、整列の比較
配列CRGKAICを有する、DUR株の「ミニループ」はこの株に非常に特異的であることが証明された:これはエピトープを構成するかもしれない(図9を参照)。更に、この配列は、gp41糖タンパク質のアンフォールディングの状態の修飾に関わる可能性があり、結果的には該株の感染に関わる。
【0178】
このループを挟む11アミノ酸長の長い配列は、VAU配列と同じである。DUR株の多型性は、分析したクローンでは、SまたはTの部位で見ることが可能である。
【0179】
他の既知のレトロウイルス株より得た、対応するペプチドもまた、図9に示してある。
【0180】
DUR株は更に、HIVのOサブグループの、gp41領域に関するコンセンサス配列の決定を可能にし、その中の幾つかの充分に長い相同性領域を使用することができる。これらの相同性領域は、とりわけ、RL*ALET, QNQQ, LWGL, 及びCYTV(*は可変アミノ酸を意味する)である。
【0181】
血清学的相関関係
抗DUR血清は、HIV-1-Mのコンセンサス配列、HIV-1 MAL、HIV-1 CPZ、またはHIV-1のOグループ(またサブグループ)のMVP5180、の中のVP3ループのペプチドとは反応しないが、しかし、HIV-1-O ANT70のVP3ループのペプチドとは反応する。gp41の免疫優性領域に関しては、これは「標準的な」HIV-1のMサブグループのコンセンサス配列とは反応しないが、しかしながら驚くことに弱いながらも、HIV-1のMサブグループの右に伸長しているコンセンサス配列とは反応する。
【参考文献】
【0182】




【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】RT、またはp24でアッセイしたときの、HIV-1(VAU)、またはAIDS患者からの初代HIV-1単離体での、PBMCの増殖性感染の特徴の比較を示す図。
【図2】HIV-1(VAU)に感染した患者由来の、一連の血清試料の、ウェスタンブロット分析を示す図。
【図3−1】HIV-1(VAU)のエンベロープのアミノ酸配列を、HIV-1-LAI参照用単離体の相当するものと整列させた図。
【図3−2】HIV-1(VAU)のエンベロープのアミノ酸配列を、HIV-1-LAI参照用単離体の相当するものと整列させた図。
【図4】種々のHIV-1単離体における、膜貫通型エンベロープ糖タンパク質の外部領域中の免疫優性ペプチドの、マルチプル整列を示す図。
【図5】HIV-1(VAU)、HIV-1ウイルスの系統樹中のその他のメンバー、及び最近報告されたOグループ中の2つのウイルスの間の関係を、envの膜貫通領域のヌクレオチド配列を利用した、非偏重型節減(unweighted parsimony)の系統樹を構築して、分析した結果を示す図。
【図6】「vau」とよばれる配列を具備したHIV-1(VAU)のenv遺伝子の配列(配列認識番号5)を示す図。
【図7】HIV-1(VAU)ウイルスのインテグラーゼ遺伝子の塩基配列(配列認識番号7)を示す図。
【図8】GAG領域の配列を示す図。
【図9】gp120のVP3ループ領域の配列およびgp41の免疫優性領域の配列を示す図。
【図10】本発明で定義されるペプチドをコードする配列を有する核酸(配列認識番号9)を示す図。
【図11】本発明で定義されるペプチドをコードする配列を有する核酸(配列認識番号10)を示す図。
【図12】本発明で定義されるペプチドをコードする配列を有する核酸(配列認識番号11)を示す図。
【図13】HIVのOサブグループプライマーの配列と部位を示す図。
【図14】血清学的試験の結果を示す図。
【図15A】DUR配列に関してヌクレオチドの比較を示す図。
【図15B】DUR配列に関してヌクレオチドの比較を示す図。
【図16A】DUR配列に関してタンパク質の比較を示す図。
【図16B】DUR配列に関してタンパク質の比較を示す。
【図17】VP3系統樹を示す図。
【図18】クロマトグラフィーの結果を示す図。
【図19】マススペクトロスコピーの結果を示す図。
【図20】VAUペプチドを示す図。
【図21A】vauペプチドの免疫反応性の調査に関する実験データを示す図。
【図21B】vauペプチドの免疫反応性の調査に関する実験データを示す図。
【図22A】vauペプチドの免疫反応性の調査に関する実験データを示す図。
【図22B】vauペプチドの免疫反応性の調査に関する実験データを示す図。
【図22C】vauペプチドの免疫反応性の調査に関する実験データを示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともHIV-1のOグループ(またはサブグループ)レトロウイルスタンパク質の一部を具備していて、更に、HIV-1のO グループ VAU株、またはHIV-1のOグループ(またはサブグループ) DUR株での感染後に得られる血清から単離することが可能な抗体により認識されうる、HIV-1のOグループ(またはサブグループ)レトロウイルスタンパク質、または天然若しくは合成の、ペプチド若しくはポリペプチド。
【請求項2】
宿主内でのヌクレオチド配列の発現により得られ、より特異的には、
HIV-1のOグループ(またはサブグループ)レトロウイルスのRNAまたはDNAから由来の、RNA、cDNA、若しくは遺伝子増幅に使用可能なプライマーより得られる、DNA、またはcDNAの発現により得られることを特徴とし、
前記のヌクレオチド配列が、配列認識番号5に記載の配列と一致する配列はもちろん、該配列の如何なる部分、及び対応するHIV-1のOグループ(またはサブグループ)のDNA若しくはRNAとハイブリダイズすることが可能な、前記部分の変異体を具備していることを特徴とし、更に、
前記タンパク質が、配列認識番号6の残基1から526の間のアミノ酸配列はもちろん、HIV-1(VAU)ウイルスにより誘導される抗体により認識されうるエピトープを有する前記配列由来の、如何なるペプチド、如何なるポリペプチド、如何なる糖タンパク質、または如何なる変異体をも具備していることを特徴とする、
請求項1に記載の、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチド。
【請求項3】
宿主細胞内で、請求項1に記載のヌクレオチド配列の発現により得られることを特徴とし、また、配列認識番号7に記載の残基527から877の間のアミノ酸配列はもちろん、HIV-1(VAU)ウイルスにより誘導される抗体により認識されうるエピトープを有する該配列由来の、如何なるペプチド、如何なるポリペプチド、如何なる糖タンパク質、または如何なる変異体をも具備していることを特徴とする、請求項1、または2に記載のタンパク質、ポリペプチド、またはペプチド。
【請求項4】
CKNRLIC配列、または特には、RLLALETFIQNWWLLNLWGCKNRLIC配列、または、以下のような配列の変異体を具備することで特徴づけられる、請求項1乃至3に記載のペプチド、またはポリペプチド:
RLWALETLIQNQQRLNLWGCKGKLIC配列;
RLLALETLLQNQQLLSLWGCKGKLVC配列;
RARLLALETFIQNQQLLNLWGCKNRLICYTSVKWNKT配列;
CERPGNQKIMAGPMAWYS MALSNTKGDTRAAYC配列、または
GPMAWY配列。
【請求項5】
請求項1乃至4に記載のタンパク質断片であることと、配列認識番号6または7に記載の配列より得られることと、更にHIV-1(VAU)レトロウイルスに対して、またはHIV-1(VAU)レトロウイルスにより誘導される抗体により認識されうる、上記断片の変異体に対して誘導される抗体により認識されることとを特徴とする合成ペプチド。
【請求項6】
1995年2月23日にCNCMにI-1542として寄託された、HIV-1のO(DUR)グループ(またはサブグループ)のウイルスのタンパク質、または、
天然若しくは合成の、ペプチド若しくはポリペプチドであって、
該ペプチド若しくは該ポリペプチドは、前記のタンパク質若しくはペプチドであって、少なくとも前記タンパク質の一部、またはアミノ酸の置換、欠失、若しくは付加により上記のものと区別がつくペプチドを具備していることを特徴とする、請求項1に記載のタンパク質、ポリペプチド、またはペプチド。
【請求項7】
少なくとも4つの連続するアミノ酸を含み、該連続アミノ酸配列全体が、図8に記載のGAG配列内に含まれるか、またはHIV-1のOグループ(またはサブグループ)のDURウイルスの変異体由来の、免疫学的に同等なGAG配列内に含まれ、前記の免疫学的に同等な配列が、図8に記載のGAG配列に含まれる、AHPQQA, LWTTRAGNPの少なくとも一つをもまた特異的に認識する抗体により認識されることを特徴とする、請求項6に記載のペプチド。
【請求項8】
ペプチドのアミノ酸配列が、以下の配列のうちどれか一つ、またはそれぞれに対応した免疫学的に同等な配列の何れかに含まれるペプチドであり、このペプチドが上記の配列の内の一つの、少なくとも4つの連続するアミノ酸を有することを特徴とする、請求項7に記載のペプチド:
SPRTLNAWVKAVEEKAFNPEIIPMFMALSEGA(1);
MLNAIGGHQGALQVLKEVIN(2);
GPLPPGQIREPTGSDIAGTTSTQQEQI(3);
IPVGDIYRKWIVLGLNKMVKMYSPVSILDI(4);
QGPKEPFRDYVDRFYKTKLAE(5);
AHPQQA(5a);
LWTTRAGNP(5b)。
【請求項9】
ペプチドのアミノ酸配列が、以下の配列のうちどれか一つ、またはそれぞれに対応した免疫学的に同等な配列の何れかに含まれるペプチドであり、このペプチドが上記の配列の内の一つの、少なくとも4つの連続するアミノ酸を有することを特徴とする、請求項7に記載のペプチド:
SPRTLNAWVK(6);
GSDIAGTTST(7);
QGPKEPFRDYVDRF(8)。
【請求項10】
以下のアミノ酸配列を含んでいることを特徴とする、請求項8に記載のペプチド:
NPEI (9)。
【請求項11】
以下のアミノ酸配列を含んでいることを特徴とする、請求項8に記載のペプチド:
AVEEKAFNPEIIPMFM(10)。
【請求項12】
少なくとも4つの連続するアミノ酸を含み、配列全体が、図9に記載のgp120のVP3ループ領域内の配列内に含まれるか、またはHIV-1のOグループ(またはサブグループ)DURウイルスの変異体より得られる、対応した免疫学的に同等の配列内に含まれ、前記の免疫学的に同等な配列が、以下の配列のうち少なくとも一つもまた特異的に認識する抗体により認識される、請求項6に記載のペプチド:
KEIKI(12),
EREGKGAN(13),
CVRPGNNSVKEIKI(14),
QIEREGKGANSR(15)。
【請求項13】
(a)配列CVRPGNNSVKEIKIGPMAWYSMQIEREGKGANSRTAFC(11)、または少なくとも4つのアミノ酸を含んだ、該配列の一部;または、
(b)1以上のアミノ酸が2つのアミノ酸で置換されていて、(a)の配列とは別個である、アミノ酸配列(ただし、当該ペプチドには、上記ペプチドに対する血清との反応性が保持されていること);または、
(c)1以上のアミノ酸が欠失、または付加されていて、(a)または(b)とは別個である、アミノ酸配列(ただし当該ペプチドには、(a)のペプチドに対する血清との反応性が保持されていること);または、
(d)それぞれに対応した、免疫学的に同等な配列、若しくはその一部;
のうち何れかを含む、請求項12に記載のペプチド。
【請求項14】
配列KEIKI(12)を含む、請求項13に記載のペプチド。
【請求項15】
配列EREGKGAN(13)を含む、請求項13に記載の配列。
【請求項16】
アミノ酸配列CVRPGNNSVKEIKI(14)、またはQIEREGKGANSR(15)の何れか一つを含む、請求項13または14に記載のペプチド。
【請求項17】
配列GPMAWYSM(16)を具備した、請求項13に記載のペプチド。
【請求項18】
少なくとも4つの連続するアミノ酸を含み、アミノ酸配列全体が、図9に記載のgp41の免疫優性領域の配列内か、またはHIV-1 O グループ(またはサブグループ)DURウイルスの変異体由来の免疫学的に同等の配列内に含まれ、前記の免疫学的に同等の配列が、以下の配列の内少なくとも一つ、もまた特異的に認識する抗体により認識される、請求項6に記載のペプチド:
RLLALETLMQNQQL(17);
LNLWGCRGKAICYTSVQWNETWG(18);
CRGKAI(19);
SVQWN(20);
RLLALETLMONQQLLNLWGCRGKAICYTS(21);
QNQQLLNLWGCRGKAICYTSVQWN(22)。
【請求項19】
配列RLLALETLMQNQQL(17)、LNLWGCRGKAICYTSVQWNETWG(18)、または以下のものの内何れかを含む上記ペプチドの一部の何れかを含んでいる、請求項18に記載のペプチド:
(a)配列CRGKAI(19)、またはQが、適切な場合には、K以外の異なるアミノ酸で置換された配列SVQWN(20)、あるいはこの二つの配列両方;
(b)1以上のアミノ酸が2つのアミノ酸で置換されていて、(a)の配列とは異なるアミノ酸配列(ただし当該ペプチドは、(a)のペプチドに対する血清との反応性を保持していること);
(c)1以上のアミノ酸が欠失、または付加されていて、(a)または(b)とは異なるアミノ酸配列(ただし当該ペプチドは、(a)のペプチドに対する血清との反応性を保持していること);または、
(d)それぞれに対応した、免疫学的に同等な配列、若しくはその一部。
【請求項20】
少なくとも8つのアミノ酸を含むN末端配列が、HIV-1-LAI株のgp41の免疫優性領域に含まれる配列RILAVERYに対して形成された抗体により免疫学的に認識されないことを特徴とする、請求項19に記載のペプチド。
【請求項21】
HIV-1-LAI株のペプチドSGKLICに対して形成された抗体により認識されないことを特徴とする、請求項19に記載のペプチド。
【請求項22】
以下の配列のうち何れかを含むことを特徴とする、請求項19に記載のペプチド:
RLLALETLMONQQLLNLWGCRGKAICYTS(21);
QNQQLLNLWGCRGKAICYTSVQWN(22)。
【請求項23】
ヌクレオチド配列、より特異的には、HIV-1のOグループ(またはサブグループ)レトロウイルスのRNAまたはDNAから由来する、RNA、cDNA、または遺伝子増幅に使用可能なプライマーより得られる、DNA、またはクローン化したDNA断片であって、該ヌクレオチド配列が、配列認識番号5、9、10、または11の配列はもちろん、この配列の如何なる部分も具備し、特に請求項8乃至22の何れか一項に記載のタンパク質、ポリペプチド、若しくはペプチドをコードする配列、またはこの部分の変異体であって、HIV-1のOグループ(またはサブグループ)ウイルスの対応するDNA、若しくはRNAとハイブリダイズすることが可能であるものを具備することを特徴とする、ヌクレオチド配列。
【請求項24】
HIV-1(VAU)、またはHIV-1(DUR)レトロウイルスのRNAまたはDNAから由来する、RNA、cDNA、または遺伝子増幅に使用可能なプライマーより得られる、DNA、またはDNA断片であって、
当該配列が、
配列認識番号5の配列と一致した配列はもちろん、この配列の如何なる部分、若しくはHIV-1(VAU)ウイルスの対応するDNA若しくはRNAとハイブリダイズすることが可能な該部分の変異体を具備しているか、または、
配列認識番号9、10、または11と一致した配列はもちろん、該配列の如何なる部分、若しくはHIV-1(DUR)ウイルスの対応するDNA若しくはRNAとハイブリダイズすることが可能な該部分の変異体を具備している
ことを特徴とする、請求項23に記載のヌクレオチド配列。
【請求項25】
請求項23または請求項7に記載のヌクレオチド配列であって、該配列が配列認識番号1、2、3、及び4の配列と一致する配列からなる群より選択されることを特徴とする、ヌクレオチド配列。
【請求項26】
配列認識番号7の配列と一致するヌクレオチド配列を具備し、またHIV-1のOグループ(またはサブグループ)レトロウイルス、特にはHIV-1(VAU)レトロウイルスのインテグラーゼをコードするヌクレオチド配列、あるいは配列認識番号7の配列を含む配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列。
【請求項27】
請求項23乃至26の何れか一項に記載のヌクレオチド配列より得られ、HIV-1のOグループ(またはサブグループ)レトロウイルスの遺伝子増幅用のプライマーとして使用可能な、少なくとも9つのヌクレオチドを具備したオリゴヌクレオチド。
【請求項28】
以下のヌクレオチド配列中の、少なくとも9つの連続するヌクレオチドからなる配列を有する、請求項27に記載のオリゴヌクレオチド:
ATT CCA ATA CAC TAT TGT GCT CCA-3'
AAA GAA TTC TCC ATG ACT GTT AAA-3'
GGT ATA GTG CAA CAG CAG GAC AAC-3'
AGA GGC CCA TTC ATC TAA CTC-3'。
【請求項29】
請求項6乃至22の何れか一項に記載のペプチドをコードするヌクレオチド配列の遺伝子増幅工程で使用することが可能であることを特徴とする、請求項28に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項30】
請求項27乃至29の何れか一項に記載のプライマーを利用した遺伝子増幅で産生されるDNAと、高厳密度ハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを特徴とする、プローブとして利用可能なヌクレオチド配列。
【請求項31】
HIV-1のOグループ(またはサブグループ)のキャリアーであることが疑われている患者から得た、血清、その他の生物学的液体、若しくは組織の何れかの試料中において、HIV-1のOグループ(またはサブグループ)レトロウイルス、特には、HIV-1(VAU)、及び/またはHIV-1(DUR)レトロウイルスが存在するか、存在しないかを検出するための組成物であって、該組成物が、
HIV-1(VAU)ウイルスのゲノム、特にはHIV-1(VAU)ウイルス、及び請求項23乃至27の何れか一項で定義されたHIV-1(VAU)の変異体の、env領域、またはその一部を含むDNA断片、
に由来するヌクレオチド配列から得られた、少なくとも一つのプローブ;及び/または、
HIV-1(DUR)ウイルスのゲノム、並びにenv領域、またはenv 領域の一部と、請求項23若しくは24で定義(lacuna)されているHIV-1(DUR)ウイルスのGAG領域とを含むHIV-1(DUR)DNA、から得られるプローブ、
を具備することを特徴とする、組成物。
【請求項32】
Oサブグループに属さないHIV-1、及び/またはHIV-2より得られるヌクレオチド配列より得られるプローブを更に具備することを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項33】
HIV-1のOグループ(またはサブグループ)レトロウイルス、特にはHIV-1(VAU)レトロウイルス、及び/またはHIV-1のO(DUR)グループ(またはサブグループ)レトロウイルスが、生物学的試料中に存在するか、存在しないかを検出するための組成物であって、請求項23乃至27の何れか一項に記載の、少なくとも2つのヌクレオチド配列、及び請求項23または24に記載の、少なくとも2つのヌクレオチド配列を、該組成物が具備し、これらはそれぞれHIV-1(VAU)ウイルス、及びHIV-1(DUR)ウイルスのゲノム由来であって、その配列はOサブグループのHIV-1レトロウイルス、特にはHIV-1(VAU)及びHIV-1(DUR)のDNA、及び/またはRNAの増幅、特にはPCRによる増幅用のプライマーとして使用可能であることを特徴とする、組成物。
【請求項34】
請求項23乃至31の何れか一項に記載のDNA配列に対応するRNA配列であることを特徴とする、ヌクレオチド配列。
【請求項35】
ヒトの生物学的試料中の、抗HIV-1(VAU)抗体、及び抗HIV-1(DUR)抗体の存在をin vitroで検出するための組成物であって、
請求項1乃至5の何れか一項に記載のHIV-1(VAU)レトロウイルスのエンベロープタンパク質、及び/または、
配列認識番号9、10若しくは11の配列はもちろん、この配列の如何なる部分、あるいはこの部分の変異体であってHIV-1(DUR)ウイルスの、対応するDNAかRNAとハイブリダイズすることが可能な変異体と一致する配列を具備した配列、
のタンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド、若しくはペプチドを具備した、少なくとも一つの抗原を具備する、組成物。
【請求項36】
Oサブグループに属さないHIV-1ウイルス、及び/またはHIV-2ウイルスのタンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド、またはペプチド、あるいは、
Oサブグループに属さないHIV-1ウイルス、及び/またはHIV-2ウイルス由来のペプチドであって、Oサブグループに属さないHIV-1、及び/またはHIV-2により誘導される抗体により認識されるエピトープを有するペプチド
のような抗原を更に具備することを特徴とする、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
Oサブグループに属さないHIV-1、及び/またはHIV-2のタンパク質、及び/または糖タンパク質が、gagタンパク質、またはpolタンパク質、あるいはこれらのペプチドであることを特徴とする、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
Oサブグループに属さないHIV-1、及び/またはHIV-2のタンパク質、及び/または糖タンパク質が、エンベロープ糖タンパク質であることを特徴とする、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記の組成物がHIV-1(VAU)のgp41の590-620の全領域、またはHIV-1(VAU)に特異的である、前記領域の一部に一致したペプチド配列を具備することを特徴とする、請求項35乃至38の何れか一項に記載の組成物。
【請求項40】
前記のペプチド配列が、配列-TFIQN-、CKNRLIC、またはWGCKNRであることを特徴とする、請求項20に記載の組成物。
【請求項41】
請求項1乃至20の何れか一項に記載のタンパク質から由来する、タンパク質、ペプチド、またはポリペプチドを認識することが可能な抗体。
【請求項42】
HIV-1(VAU)ウイルス、及び/またはHIV-1(DUR)ウイルスにより引き起こされる感染の、in vitroでの診断方法であって、
診断の対象となる患者より得た、血清、若しくは別の生物学的液体を、
HIV-1(VAU)、及び/またはHIV-2(DUR)のエンベロープタンパク質若しくは糖タンパク質、または、
それぞれが、請求項1乃至5の何れか一項、若しくは請求項6乃至22の何れか一項に記載されているタンパク質、若しくは糖タンパク質の一つより由来する、タンパク質、若しくは糖タンパク質、または、
請求項35乃至38の何れか一項に記載の組成物、
の少なくとも一つと接触させる工程と、
免疫学的反応を検出する工程
とを具備した、診断方法。
【請求項43】
ウェスタンブロット(免疫ブロット)、またはELISAに必要な試薬であって、
請求項1乃至5の何れか一項、及び請求項6乃至22の何れか一項に記載されているタンパク質、若しくは糖タンパク質、並びに、
請求項35乃至38の何れか一項に記載されている組成物、
の一つより由来した、HIV-1(VAU)、及び/またはHIV-1(DUR)ウイルスのエンベロープタンパク質若しくは糖タンパク質を含んでいる、試薬。
【請求項44】
請求項23、または24に記載のヌクレオチド配列がコードする抗原に対して向けられた抗体の、in vivioでの合成を誘導するための、該ヌクレオチド配列の使用。
【請求項45】
動物内で抗体を誘導することが可能である、請求項35乃至38の何れか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項46】
OサブグループのHIV-1レトロウイルス、例えばHIV-1(VAU)、及び/またはHIV-1(DUR)レトロウイルスの感染を、生物学的試料で、in vitroの検出を行うための診断キットであって、OサブグループのHIV-1レトロウイルスの遺伝子増幅用の、請求項27乃至29の何れか一項に記載のプライマーと、遺伝子増幅反応に必要な試薬とを具備することを特徴とする、キット。
【請求項47】
生物学的試料を使った、HIV-1のOサブグループのin vitro検出用キットであって、
適宜標識済みのラベルと、
請求項23乃至29の何れか一項に記載の、少なくとも一つの配列、または請求項31、32、若しくは33の一項に記載の組成物と、
適宜、請求項23乃至29の何れか一項に記載のもう一つのヌクレオチドプローブ、または請求項31、32、若しくは33の何れか一項に記載されていて、適宜、固相支持体に固定化されている組成物と
を具備することを特徴とする、キット。
【請求項48】
ハイブリダイゼーションを行うための試薬を更に具備することを特徴とする、請求項28に記載のキット。
【請求項49】
生物学的試料中にある、HIV-1のOグループ(またはサブグループ)レトロウイルスに特有の抗体と、HIV-1のMサブグループに特有の抗体との検出、及びこれらの間の区別を行うための方法であって、請求項8のペプチド(1)、(2)、(3)、(4)、(5a)、(5b)、請求項10のペプチド(9)、及び請求項11のペプチド(10)の中から選択したペプチドと、上記の生物学的試料を接触させることを特徴とする、方法。
【請求項50】
生物学的試料中にある、HIV-1のOグループ(またはサブグループ)レトロウイルスに特有の抗体と、HIV-1のMサブグループレトロウイルスに特有の抗体との検出、及びこれらの間の区別を行うための方法であって、
図8及び9で考慮に入れたHIV-1のMサブグループウイルス群の一つより得られ、尚且つ請求項49に記載のものより選択したペプチドと相同性があるペプチドと、上記の生物学的試料を接触させることを特徴とし、
この相同性ペプチドの配列が、図8または9に表示され、尚且つ対応したHIV-1のMサブグループウイルスに関連したペプチド配列内に含まれる、自身の連続するアミノ酸配列に対して行った垂直アライメント(vertical alignment)より得られ、選択した該連続アミノ酸配列がまた図8、または9より判明する、方法。
【請求項51】
HIV-1のOグループ(またはサブグループ)レトロウイルスによる感染と、HIV-1のMタイプのサブグループによる感染とを検出、及び区別するための方法であって、AIDSに対する診断テストを受ける患者より得た血清を、ペプチドRILAVERYと接触させることにより特徴付けられる、上記の方法。
【請求項52】
HIV-1のOグループ(またはサブグループ)レトロウイルスによるか、またはHIV-1のMサブグループレトロウイルスによる感染を検出するための方法であって、第一の範疇のペプチドが請求項49で同定されているものに一致している、二つの範疇のペプチドの混合物を使用することにより特徴付けられる、方法。
【請求項53】
HIV-1のOグループ(またはサブグループ)DURレトロウイルス若しくはその変異体、及び別のタイプの、HIV-1のOグループレトロウイルスによる感染を区別するための方法であって、検査する生物学的試料を、以下のペプチドのうちの何れか一つと接触させることにより特徴付けられる上記の方法:
請求項38のペプチド(11)、請求項39のペプチド(12)、若しくは請求項40のペプチド(13);
請求項41のペプチド(14)、若しくはペプチド(15);または、
請求項44のペプチド(17)、(18)、(19)、及び(20)。
【請求項54】
ヌクレオチド配列が、請求項23乃至30の何れか一項に記載のものと一致する核酸を有するベクター。
【請求項55】
プラスミドであることを特徴とする、請求項57に記載のベクター。
【請求項56】
照会番号、I-1548,I-1549,及びI-1550のもとに、1995年2月24日にCNCMに寄託されたものより選択したプラスミド。
【請求項57】
ヌクレオチド配列が、請求項54及び55に記載の配列のうち何れか一つに一致する核酸を含んだ細胞。
【請求項58】
照会番号I-1542のもと、1995年2月23日にCNCMに寄託されたウイルス。
【請求項59】
請求項58のウイルスと同じタイプ、または同じサブタイプのウイルスであって、該ウイルスのコンセンサスペプチドが、請求項6乃至22の何れか一項に記載のペプチドを特異的に認識する抗体により認識されることを特徴とする、ウイルス。
【請求項60】
HIVに対する抗体をin vitroで検出するためのキットであって、請求項6乃至22の何れか一項に記載のペプチドを少なくとも一つ含む、キット。
【請求項61】
以下のものを具備した別のHIV株由来の、少なくとも一つのコンセンサスペプチドを含む、請求項60に記載のキット:
1以上のアミノ酸がその他のアミノ酸で置換されていて、該ペプチドとは別個であるアミノ酸配列(ただしこのペプチドは該コンセンサスペプチドに対する血清との反応性を保持している)か、または、
1以上のアミノ酸が欠失、若しくは付加されているアミノ酸配列(ただしこのペプチド、またはポリペプチドは該コンセンサスペプチドを認識する血清との反応性を保持している)。
【請求項62】
他方のHIV株がHIV-LAI株であることを特徴とする、請求項60、または61に記載のキット。
【請求項63】
HIV-1のOグループ(またはサブグループ)レトロウイルスによるか、またはHIV-1のMサブグループレトロウイルスによる感染を区別するための方法であって、SRジペプチド上で開裂を起こさせるセリンプロテアーゼを使用していて、またこのレトロウイルスがHIV-1のOグループ(またはサブグループ)レトロウイルスであるか、またはHIV-1のMサブグループレトロウイルスであるかに応じて、該レトロウイルスのgp120のV3ループの開裂物、若しくは開裂中のものを検出することを具備している、方法。
【請求項64】
請求項58、若しくは59に記載のウイルス、またはHIV-1(VAU)ウイルスで感染した細胞の溶解により得られるウイルス性溶解物。
【請求項65】
請求項6乃至22の何れか一項に記載の抗原性ペプチドを特に含んでいるHIV-1 O(DUR)か、または請求項1乃至5の何れか一項に記載の抗原性ペプチドを特に含んでいるHIV-1のO(VAU)グループ(またはサブグループ)の、タンパク性抽出物。
【請求項66】
受入れ番号I-1486のもと、1994年10月20日にCNCMに寄託された細菌株。
【請求項67】
生物学的試料中の、HIV-1のMサブグループレトロウイルスと、HIV-1のOグループ(またはサブグループ)との間の検出と区別とを行うための組成物であって、第一のペプチドが請求項49で同定されているものである、二つの範疇のペプチドの混合物を具備した、組成物。
【請求項68】
自身のアミノ酸配列が、
配列:IGGHQGALQ(23),REPTGSDI(24)のうちの一つか、またはそれぞれに対応した免疫学的に同等の配列、の何れか一方に含まれるペプチドからなるものであって、このペプチドが前記の配列のうちの一つの、少なくとも4つの連続するアミノ酸を含むものであることを特徴とする、請求項8に記載のペプチド。
【請求項69】
自身のアミノ酸配列が、アミノ酸配列INDEAADWD(25)、または対応した、免疫学的に同等の配列に含まれるペプチドからなり、このペプチドが上記配列の少なくとも4つの連続するアミノ酸を含むことを特徴とする、請求項7に記載のペプチド。
【請求項70】
請求項68、及び69に記載のペプチドをコードする核酸。
【請求項71】
請求項70に記載の核酸を、少なくとも一つ具備した組成物。
【請求項72】
HIV-1のMグループ株とHIV-1のOグループ株の検出、及びその区別のための、請求項70、及び71に記載の、少なくとも一つの核酸の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22A】
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【図22B】
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【図22C】
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【公開番号】特開2008−271974(P2008−271974A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121431(P2008−121431)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【分割の表示】特願平8−513692の分割
【原出願日】平成7年10月20日(1995.10.20)
【出願人】(596009674)アンスティテュ・パストゥール (23)
【Fターム(参考)】