説明

HIV感染症を治療するためのピラゾールアミド

本発明は、式(I)で示されるピラゾール誘導体又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体[式中、R〜R、n、W、X及びYは明細書で定義した通りである]、及びそれらの調製方法、それらの調製に用いる中間体、それらを含有する組成物並びに該誘導体の使用に関する。本発明の化合物は酵素の逆転写酵素に結合し、逆転写酵素のモジュレーター、特に阻害剤である。このようなものとして、本発明の化合物は、逆転写酵素の阻害が関与するものを包含する、多様な障害の治療に有用である。該当する障害には、例えば後天性免疫不全症候群(AIDS)のような、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)及び遺伝関連レトロウイルスによって誘発されるものが包含される。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピラゾール誘導体、医薬におけるそれらの使用、それらを含有する組成物、それらの調製方法、及び該方法に用いる中間体に関する。
逆転写酵素は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染ライフサイクルに関与する。この酵素の機能を妨害する化合物は、HIV及び、例えば後天性免疫不全症候群(AIDS)のような遺伝関連レトロウイルスによって惹起される状態の治療に有用性を示している。該ウイルスは突然変異を起こして、既知モジュレーターの効果に耐性になりうるので、HIV逆転写酵素の新たな、より良好なモジュレーター、特に阻害剤を提供する必要性が常に存在する。
【0002】
抗ウイルス活性は、米国特許第3,303,200号におけるN(ヒドロキシエチル)ピラゾール誘導体類にあるとされている。多くのピラゾール類が逆転写酵素阻害剤として開示されており、これらには、N−フェニルピラゾール類(J.Med.Chem.,2000,43,1034
);C及びS結合アリールピラゾール類(WO02/04424);及びO及びS結合アリールピラゾール類(該O及びSアリール・リンクは窒素原子に隣接する)(WO02/30907)が包含される。
【0003】
本発明によると、式(I):
【0004】
【化1】

【0005】
で示される化合物、又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体を提供する、
上記式中、
W−X−Yは、0〜3個の窒素原子を含有する5員若しくは6員の部分的飽和環若しくは芳香環を定義し、この場合、XはCH又はNであり、YはCHであるか又は、XがCHであるときは、Nであることもできる;前記環は場合によっては、ハロ、オキソ、−CN、−COR、−CONR、−SONR、−NRSO、−OR、−OR11、−NR、−(C−Cアルキレン)−NR、R、R11又はCFによって置換される;
はC−Cアルキレンである;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル、フェニル、ベンジル、R又はRであり、前記C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、フェニル及びベンジルは、場合によっては、ハロ、−OR、−OR10、−CN、−CO、−OCONR、−CONR、−C(=NR)NROR、−CONRNR、−NR、−NR10、−NRCOR、−NRCOR、−NRCOR10、−NRCO、−NRCONR、−SONR、−NRSO、−NRSONR、R又はRによって置換される;
は、H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、フェニル、ベンジル、ハロ、−CN、−OR、−CO、−CONR、R又はRであり、前記C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、フェニル及びベンジルは、場合によっては、ハロ、−CN、−OR、−CO、−CONR、−OCONR、−NRCO、−NR、−NRCOR、−SONR、−NRCONR、−NRSO、R又はRによって置換される;
は、フェニル、ナフチル又はピリジルであり、これらのそれぞれは、場合によっては、R、ハロ、−CN、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、−CONR、OR11、SO、O−(C−Cアルキレン)−CONR、O−(C−Cアルキレン)−NR、又はO−(C−Cアルキレン)−ORによって置換される;
各Rは、独立的に、H、C−Cアルキル若しくはC−Cシクロアルキルのいずれかであるか、又は2つのR基が同じ窒素原子に付着している場合には、これらの2つの基は、それらが付着する窒素原子と一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル又はモルホリニルを表す、前記アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル又はモルホリニルは、場合によっては、C−Cアルキル又はC−Cシクロアルキルによって置換される;
各Rは、独立的に、H、C−Cアルキル又はC−Cシクロアルキルのいずれかである;
は、C−Cアルキル又はC−Cシクロアルキルである;
は、(i)1〜4個の窒素ヘテロ原子、又は(ii)1若しくは2個の窒素ヘテロ原子と1個の酸素若しくは1個の硫黄ヘテロ原子、又は(iii)1若しくは2個の酸素若しくは硫黄ヘテロ原子を含有する5員若しくは6員芳香族複素環基であり、前記複素環基は、場合によっては、ハロ、オキソ、−CN、−COR、−CONR、−SONR、−NRSO、−OR、−NR、−(C−Cアルキレン)−NR、C−Cアルキル、フルオロ(C−C)アルキル又はC−Cシクロアルキルによって置換される;
は、(i)1若しくは2個の窒素ヘテロ原子、又は(ii)1個の窒素ヘテロ原子と、1個の酸素若しくは1個の硫黄ヘテロ原子、又は(iii)1個の酸素若しくは硫黄ヘテロ原子を含有する4員〜7員飽和若しくは部分的不飽和複素環基であり、前記複素環基は、場合によっては、オキソ、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、−SO、−CONR、−COOR、−CO−(C−Cアルキレン)−OR又は−CORによって置換され、場合によっては、ヘテロ原子に隣接しない炭素原子上で、ハロ、−OR、−NR、−NRCOR、−NRCOOR、−NRCONR、−NRSO又は−CNによって置換される;
10は、R、R、−OR、−CONR、−NRCOR又は−NRによって置換されたC−Cアルキルである;
11は、場合によっては、ハロ、−CN、−COR、−CONR、−SONR、−NRSO、−OR、−NR、−(C−Cアルキレン)−NR、C−Cアルキル、ハロ(C−C)アルキル、又はC−Cシクロアルキルによって置換されるフェニルである;並びに
xとnは独立的に0、1又は2である。
【0006】
上記定義において、ハロはフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを意味する。他に指定しない限り、必要な炭素数を含有するアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン及びアルコキシ基は、非分枝鎖又は分枝鎖のいずれでもよい。アルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル及びt−ブチルを包含する。アルケニルの例は、エテニル、プロペン−1−イル、プロペン−2−イル、プロペン−3−イル、1−ブテン−1−イル、1−ブテン−2−イル、1−ブテン−3−イル、1−ブテン−4−イル、2−ブテン−1−イル、2−ブテン−2−イル、2−メチルプロペン−1−イル又は2−メチルプロペン−3−イルを包含する。アルキニルの例は、エチニル、プロピン−1−イル、プロピン−3−イル、1−ブチン−1−イル、1−ブチン−3−イル、1−ブチン−4−イル、2−ブチン−1−イルを包含する。アルキレンの例は、メチレン、1,1−エチレン、1,2−エチレン、1,1−プロピレン、1,2−プロピレン、2,2−プロピレン、及び1,3−プロピレンを包含する。アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、sec−ブトキシ及びt−ブトキシを包含する。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルを包含する。RとRとは一緒になって、それらが結合するピラゾール環の窒素原子及び炭素原子と共に、5員又は6員環を形成する。複素環基R又はRが酸素、硫黄又は窒素ヘテロ原子に結合する場合には、複素環基R又はRは環炭素原子を介して連結しなければならない。さらに、複素環基Rが酸素、硫黄又は窒素ヘテロ原子に結合する場合には、該複素環基Rは、環ヘテロ原子に隣接していない環炭素原子を介して連結しなければならない。
【0007】
式(I)化合物の製薬的に受容される塩は、その酸付加塩及び塩基付加塩を包含する。
適当な酸付加塩は、無毒性塩を形成する酸から形成され、例は塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、硫酸水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、酢酸塩、フマル酸塩、パモエート(pamoate)、アスパラギン酸塩、ベシル酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、カムシラート(camsylate)、D−及びL−乳酸塩、D−及びL−酒石酸塩、エシラート(esylate)、メシラート(mesylate)、マロン酸塩、オロト酸塩、グルセプテート(gluceptate)、メチル硫酸塩、ステアリン酸塩、グルクロン酸塩、2−ナプシラート(2-napsylate)、トシラート(tosylate)、ハイベンゼート(hibenzate)、ニコチン酸塩、イセチオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、サッカリン酸塩、安息香酸塩、エシラート及びパモエート塩である。
【0008】
適当な塩基塩は、無毒性塩を形成する塩基から形成され、例はナトリウム塩、カリウム塩、アルミニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、コリン塩、ジオールアミン塩、オールアミン(olamine)塩、アルギニン塩、グリシン塩、トロメタミン塩、ベンザチン塩、リシン塩、メグルミン塩及びジエチルアミン塩である。
【0009】
適当な塩の考察に関しては、Berge et al,J.Pharm.Sci.,66,1-19,1977及びBighley et al,Encyclopedia of Pharmaceutical Technology,Marcel Dekker Inc,New York,1996,Vol.13,pp453-497を参照のこと。
【0010】
式(I)化合物の製薬的に受容される溶媒和物は、その水和物を包含する。
式(I)化合物を修飾して、該化合物の官能基のいずれかにおけるその製薬的に受容される誘導体を提供することができる。このような誘導体の例は、Drugs of Today,Volume19,Number9,1983,pp499-538; Topics in Chemistry,Chapter31,pp306-316;及び“Design of Prodrugs”by H.Bundgaard,Elsevier,1985,Chapter1(これらの資料における開示は、本明細書に援用される)に記載されており、エステル、カーボネート・エステル、ヘミ−エステル、ホスフェート・エステル、ニトロエステル、スルフェート・エステル、スルホキシド、アミド、スルホンアミド、カルバメート、アゾ化合物、ホスファミド、グリコシド、エーテル、アセタール及びケタールを包含する。
【0011】
本発明は、式(I)化合物及びその製薬的に受容される塩、溶媒和物又は誘導体の全ての異性体を包含し、全ての幾何異性体、互変異性体及び光学異性体形並びにこれらの混合物(例えば、ラセミ混合物)を包含する。
【0012】
ジアステレオマーの分離は、慣用的な手法、例えば、化合物の立体異性体混合物の分別結晶、クロマトグラフィー若しくは高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって達成することができる。化合物の個々のエナンチオマーは、対応する光学的に純粋な中間体から又は例えば、適当なキラルサポート(chiral support)を用いた対応ラセメートのHPLCによるような、分割によって、又は対応ラセメートと適当な光学活性酸若しくは塩基との反応によって形成されるジアステレオマー塩の分別結晶によって、必要に応じて、調製することもできる。
【0013】
式(I)化合物と、その製薬的に受容される塩、溶媒和物又は誘導体は、2つ以上の形態で結晶化する能力、多形として知られる特徴を有する可能性があり、全てのこのような多形相(polymorphic form)(“多形(polymorphs”)は、本発明の範囲内に包含される。多形は一般に、温度又は圧力又は両方の変化に対する反応として起こることができ、結晶化工程の変化に起因することもありうる。多形は種々な物理的特徴によって識別することができ、典型的には、化合物のX線回折像、溶解挙動及び融点を用いて、多形を識別する。
【0014】
式(I)化合物、その製薬的に受容される塩、溶媒和物及び誘導体、その異性体並びにその多形を、本明細書の以下では、本発明の化合物と呼ぶことにする。
本発明の好ましい化合物は、式(I)化合物並びにその製薬的に受容される塩及び溶媒和物である。
【0015】
好ましくは、W−X−Yは、0〜2個の窒素原子を含有する、5員又は6員の部分的飽和又は芳香環を定義する、この場合XはCH若しくはNであり、YはCHであるか、若しくはXがCHであるときに、Nであることもできる;前記環は、場合によっては、ハロ、オキソ、−CN、−OR、−NR、−(C−Cアルキレン)−NR、R又はCFによって置換される。
【0016】
好ましくは、W−X−Yは、0〜2個の窒素原子を含有する、5員又は6員の部分的飽和又は芳香環を定義する、この場合XはCH若しくはNであり、YはCHであるか、若しくはXがCHであるときに、Nであることもできる;前記環は、場合によっては、オキソ、−CN、−C−Cアルコキシ、−NH、−N(C−Cアルキル)(C−Cアルキル)、C−Cアルキル又はCFによって置換される。
【0017】
好ましくは、W−X−Yは、0〜2個の窒素原子を含有する、5員又は6員の部分的飽和又は芳香環を定義する、この場合XはCH若しくはNであり、YはCHであるか、若しくはXがCHであるときに、Nであることもできる;前記環は、場合によっては、オキソ、−CN、−C−Cアルコキシ、−NH、−N(C−Cアルキル)(C−Cアルキル)、C−Cアルキル又はCFによって置換される。
【0018】
好ましくは、W−X−Yは、0〜2個の窒素原子を含有する6員芳香環を定義する、この場合XはCH若しくはNであり、YはCHであるか、若しくはXがCHであるときに、Nであることもできる;前記環は、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル又はイミダゾリル環であり、前記環は、場合によっては、−CN、メトキシ、−NH、メチル又はCFによって置換される。
【0019】
好ましくは、Rはメチレン又はエチレンである。好ましくは、Rはメチレンである。
好ましくは、RはH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、フェニル、ベンジル又はRであり、前記フェニル、ベンジル又はC−Cアルキルは、場合によっては、ハロ、−OR、−OR10、−CN、−CO、−OCONR、−CONR、−C(=NR)NROR、−CONRNR、−NR、−NR12、−NRCOR、−NRCOR、−NRCOR12、−NRCO、−NRCONR、−SONR、−NRSO、R又はRによって置換される。好ましくは、RはH、C−Cアルキル、フェニル又はベンジルであり、前記C−Cアルキルは、場合によっては、ハロ、−OR、−OR10又は−CNによって置換される。好ましくは、RはH、C−Cアルキル、フェニル又はベンジルである。好ましくは、RはHである。
【0020】
好ましくは、RはH、C−Cアルキル又はC−Cシクロアルキルであり、前記C−Cアルキルは、場合によっては、ハロ、−CN、−OR、−CO、−CONR、−OCONR、−NRCO、−NR、−NRCOR、−SONR、−NRCONR、−NRSO、R又はRによって置換される。好ましくは、RはH又はC−Cアルキルである。好ましくは、RはH又はC−Cアルキルである。好ましくは、Rはメチル又はエチルである。
【0021】
好ましくは、Rは、場合によっては、R、ハロ、−CN、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cシクロアルキル又はC−Cアルコキシによって置換されるフェニルである。好ましくは、Rは、R、ハロ、−CN、C−Cアルキル又はC−Cアルコキシによって置換されるフェニルである。好ましくは、Rは、ハロ又は−CNによって置換されるフェニルである。好ましくは、Rは、クロロ又は−CNによって置換されるフェニルである。好ましくは、Rは、3,5−ジシアノフェニル、3,5−ジクロロフェニル又は3−クロロ−5−シアノフェニルである。
【0022】
好ましくは、Rは、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラニル、チエニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル又はピラジニルであり、これらは、それぞれ、場合によっては、ハロ、−CN、−COR、−CONR、−SONR、−NRSO、−OR、−NR、−(C−Cアルキレン)−NR、C−Cアルキル、フルオロ(C−C)アルキル又はC−Cシクロアルキルによって置換される。好ましくは、Rは、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、ピリジニル、ピラジニル又はピリミジニルであり、これらは、それぞれ、場合によっては、ハロ、−CN、−COR、−CONR、−SONR、−NRSO、−OR、−NR、−(C−Cアルキレン)−NR、C−Cアルキル、フルオロ(C−C)アルキル又はC−Cシクロアルキルによって置換される。好ましくは、Rは、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、ピリジニル、ピラジニル又はピリミジニルであり、これらは、それぞれ、場合によっては、−OR、−NR又はC−Cアルキルによって置換される。好ましくは、Rは、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、ピリジニル、ピラジニル又はピリミジニルであり、これらは、それぞれ、場合によっては、−OH、−NH又はメチルによって置換される。
【0023】
好ましくは、Rは、アゼチジニル、テトラヒドロピロリル、ピペリジニル、アゼピニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、オキセピニル、モルホリニル、ピペラジニル又はジアゼピニルであり、これらは、それぞれ、場合によっては、オキソ、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、−SO、−CONR、−COOR、−CO−(C−Cアルキレン)−OR又は−CORによって置換され、場合によっては、ヘテロ原子に隣接しない炭素原子上で、ハロ、−OR、−NR、−NRCOR、−NRCOOR、−NRCONR、−NRSO又は−CNによって置換される。好ましくは、Rは、アゼチジニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペラジニル又はモルホリニルであり、これらは、それぞれ、場合によっては、オキソ、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、−SO、−CONR、−COOR、−CO−(C−Cアルキレン)−OR又は−CORによって置換され、場合によっては、ヘテロ原子に隣接しない炭素原子上で、ハロ、−OR、−NR、−NRCOR、−NRCOOR、−NRCONR、−NRSO又は−CNによって置換される。好ましくは、Rは、アゼチジニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペラジニル又はモルホリニルであり、これらは、それぞれ、場合によっては、C−Cアルキル、−SO、−CONR、−COOR、−CO−(C−Cアルキレン)−OR又は−CORによって置換され、場合によっては、ヘテロ原子に隣接しない炭素原子上で、−OR又は−NRCORによって置換される。好ましくは、Rは、アゼチジニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペラジニル又はモルホリニルであり、これらは、それぞれ、場合によっては、−CH、−SOCH、−CONH、−COOCH、−COCHOCH又は−COCHによって置換され、場合によっては、ヘテロ原子に隣接しない炭素原子上で、−OCH又は−NHCOCHによって置換される。
【0024】
好ましくは、R10は、R、R、−OR、−CONR、−NRCOR又は−NRによって置換されるC−Cアルキルである。好ましくは、R10は、R、−OR、−NRCOR又は−NRによって置換されるC−Cアルキルである。好ましくは、R10は、テトラヒドロフラニル、−OCH、−NHCOCH又は−NHによって置換されるC−Cアルキルである。
【0025】
好ましくは、R11は、ハロ、−CN、−COR、−CONR、−SONR、−NRSO、−OR、−NR、−(C−Cアルキレン)−NR、C−Cアルキル、ハロ(C−C)アルキル又はC−Cシクロアルキルによって置換されるフェニルである。好ましくは、R11は、ハロ、−CN、−CONR、−SONR又は−ORによって置換されるフェニルである。好ましくは、R11は、フルオロ、−CN、−CONH、−SONH又は−OCHによって置換されるフェニルである。
【0026】
好ましくは、nは0又は1である。好ましくは、nは1である。
本発明による化合物の好ましい基は、上記の個々の置換基の好ましい定義の全ての組み合わせを包含する。
【0027】
本発明の好ましい化合物を下記に挙げる:
2−[4−(3,5−ジクロロ−フェノキシ)−5−メチル−2H−ピラゾル−3−イル]−1−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−エタノン;実施例17の化合物;及びそれらの製薬的に受容される塩、溶媒和物又は誘導体。
【0028】
本発明の化合物は、例えば、効力、作用の持続期間、薬物動態、活性スペクトル、副作用プロフィル、溶解性、化学的安定性等のような、多くの有用な性質又はそれらの組み合わせに関して、先行技術の利点を凌駕する利点を有することができる。
【0029】
本発明の化合物は、類似構造の化合物の調製のために当該技術分野で知られた、任意の方法によって調製することができる。本発明の化合物は、以下の方法において述べる手段によって、又は実施例において述べる特定の方法によって、又はどちらかに類似の方法によって調製することができる。本発明はさらに、本発明の化合物を調製するためのこれらの方法の任意の1つ以上を、これらに用いる任意の新規な中間体と共に包含する。
【0030】
下記方法において、R、R、R及びRは、他に指定しない限り、式(I)化合物に関して上記で定義した通りである;WSCDIは1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩であり;AIBNはアゾビスイソブチロニトリルであり;DCCは1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドであり;HBTUはO−ベンゾトリアゾル−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートであり;HOATは1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールであり;HOBTは1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物であり;PyBOP(登録商標)は、ベンゾトリアゾル−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートであり;PyBrOP(登録商標)は、ブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートであり;Mukaiyama試薬は2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨージドであり;KHMDSはカリウム・ビス(トリメチルシリル)アミドであり;LHMDSはリチウム・ビス(トリメチルシリル)アミドであり;NaHMDSはナトリウム・ビス(トリメチルシリル)アミドであり;Huenig塩基はN−エチルジイソプロピルアミドであり;EtNはトリエチルアミンであり;NMMはN−メチルモルホリンであり;DMAはN,N’−ジメチルアセトアミドであり;MeOHはメタノールであり、EtOHはエタノールであり;EtOAcは酢酸エチルであり;THFはテトラヒドロフランであり;DMSOはジメチルスルホキシドであり;DCMはジクロロメタンである。
【0031】
式(I)化合物は、以下のスキーム1に従って調製することができる。
スキーム1によると、式(I)化合物は、式(III)で示される酸又はその活性化誘導体と、式(II)で示されるアミンとの、慣用的な酸/アミン・カップリング条件下での反応によって調製することができる。
【0032】
便利には、該カップリングは、HOBT若しくはHOAT;PYBOP(登録商標);PyBrOP(登録商標);HBTU;又はMukaiyama試薬のいずれかと一緒にした、例えばWSCDI又はDCCのいずれかのような活性化剤;場合によっては、例えば第3級アミン(例えば、NMM、EtN若しくはHuenig塩基)のような塩基;例えばエーテル(例えば、THF)、ハロアルカン(例えば、DCM)若しくは極性非プロトン性溶媒(例えば、EtOAc若しくはDMA)のような溶媒の存在下;及び周囲温度〜高温、例えば周囲温度において行なわれる。
【0033】
或いは、該カップリングは、例えば酸ハロゲン化物(例えば、(COCl))のような活性化剤;場合によっては、例えば第3級アミン(例えば、NMM、EtN若しくはHuenig塩基)のような塩基;場合によっては、例えば4−ジメチルピリジンのような触媒;例えばエーテル(例えば、THF)若しくはハロアルカン(例えば、DCM)のような溶媒の存在下;及び周囲温度〜高温、例えば周囲温度において行なわれる。
【0034】
式(III)で示される酸は、慣用的な条件下での、式(IV)で示される対応ニトリルの加水分解によって調製することができる。便利には、該加水分解は、例えば無機酸(例えば、HCl)のような酸;例えばエーテル(例えば、ジオキサン)のような溶媒の存在下、周囲温度〜高温、例えば高温(例えば、還流下)において行なわれる。
【0035】
スキーム1
【0036】
【化2】

【0037】
式(IV)ニトリルは、慣用的な条件下で、シアン化金属(例えば、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化銅又はシアン化亜鉛)のようなシアン化物の供給源を用いる式(V)化合物のシアン化によって調製することができる。便利には、該シアン化は、例えばエーテル(例えば、THF)、ニトリル(例えば、アセトニトリル)又は水のような溶媒の存在下;及び周囲温度から、例えば還流下のような高温までの温度において行なわれる。
【0038】
式(V)化合物は、慣用的条件下で、例えば分子状ハロゲン(例えば、臭素)又はN−ハロ−スクシンイミド(例えば、N−ブロモ−スクシンイミド)のようなハロゲン供給源を用いて、式(VI)化合物のハロゲン化によって調製することができる。便利には、該ハロゲン化は、例えばハロアルカン(例えば、四塩化炭素又は1,1,1−トリクロロエタン)のような溶媒;場合によっては、例えば紫外光線又はAIBNのような、ラジカル開始触媒の存在下;及び周囲温度から、例えば還流下のような高温までの温度において行なわれる。
【0039】
式(VI)化合物は、式(VIII)化合物と、式(VII)で示されるヒドラジン又はその塩若しくは水和物との反応によって調製することができる。便利には、該反応は、例えばプロトン性溶媒(例えば、酢酸)のような溶媒を用いて;周囲温度〜高温、例えば周囲温度において;場合によっては、酸(例えば、酢酸)又は塩基(例えば、第3級アミン(例えば、トリエチルアミン))の存在下で行なわれる。
【0040】
式(VIII)化合物は、式(X)化合物と式(IX)アルコールとの反応によって、調製することができる。便利には、該反応は、例えば極性溶媒(例えば、アセトン)のような溶媒;例えば無機塩基のような塩基、好ましくは金属炭酸塩(例えば、炭酸カリウム又は炭酸セシウム);場合によっては、例えばヨウ化ナトリウム又はヨウ化テトラブチルアンモニウムのような求核触媒の存在下;及び周囲温度〜高温、例えば高温(例えば、還流下)において行なわれる。
【0041】
式(X)で示されるクロロケトエステルは、商業的に入手可能か、文献で知られているか、又は慣用的な方法(例えば、塩化スルホニルを用いた、対応ケトエステルの塩素化)によって調製することができる。
【0042】
がハロである式(I)化合物は、式(XI):
【0043】
【化3】

【0044】
で示される化合物から、慣用的条件下で調製することができる。便利には、該反応は、例えば無機酸塩化物(例えば、POCl)のような無機酸ハロゲン化物によって;場合によって、例えば極性非プロトン性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)のような溶媒の存在下;及び低温〜周囲温度、例えば周囲温度において行なわれる。
【0045】
式(XI)化合物は、上記経路を用いて、必要な変更を加えて、調製することができる。
多くの場合に、式(I)化合物を、例えば下記相互転換(interconversion)を包含する官能基変換によって、他の式(I)化合物に転化することが可能であることは、当業者によって理解されるであろう。
【0046】
が場合によっては置換されるC−Cアルキルである式(I)化合物は、RがHである式(I)化合物から、アルキル化剤との反応によって調製することができる。適当なアルキル化剤は、ブロモアセトニトリル、エチル4−クロロアセトアセテート、メチルブロモアセテート、及びクロロエチルアミン塩酸塩を包含する。便利には、アルキル化は、例えばアルコール(例えば、エタノール)又は極性非プロトン性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)のような、適当な溶媒;例えば、金属水素化物(例えば、水素化ナトリウム)又は金属アルコキシド(例えば、ナトリウムエトキシド)のような塩基の存在下;及び周囲温度〜例えば還流下のような高温において行なわれる。
【0047】
又はRがヒドロキシ基を含有する式(I)化合物は、R又はRがエステル基を含有する、対応する式(I)化合物から、還元によって調製することができる。便利には、該還元は、例えば水素化アルミニウムリチウムのような金属水素化物作用剤によって、例えばエーテル(例えば、ジエチルエーテル)のような溶媒中;例えば−78℃〜0℃のような低温において行なわれる。
【0048】
又はRが式R及びRの複素環によって置換される式(I)化合物は、当業者に周知の標準複素環形成反応(例えば、Advanced Organic Chemistry,3rd Edition,by Gerry March or Comprehensive Heterocyclic Chemistry, A.R.Katritzky, C.W.Rees, E.F.V.Scriven,Volumes 1-11を参照のこと)によって調製することができる;及び
が−COHである式(I)化合物は、Rが−COである対応式(I)化合物の加水分解によって調製することができる。便利には、該反応は、例えばアルコール(例えば、水性エタノール)又はエーテル(例えば、水性1,4−ジオキサン)のような溶媒の存在下;及び例えば金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム)のような塩基の存在下で行なわれる。当業者は、このような酸がアンモニア及び例えばカルボジイミド、例えばジシクロヘキシルカルボジイミドのような、適当なカップリング剤との反応によって、第1級アミドに転化されうること、及びこのような第1級アミドが次に、例えば塩化ホスホリルのような、適当な脱水剤による脱水によってニトリルに転化しうることを理解するであろう。
【0049】
がC−Cアルキルである式(I)化合物は、適当なハロゲン化剤を用いるハロゲン化によって、Rがハロ(例えば、ブロモ)で置換されたC−Cアルキルである式(I)化合物に転化することができる。便利には、該反応は、例えばハロアルカン(例えば、ジクロロメタン)のような溶媒の存在下及び周囲温度において行なわれる。適当なハロゲン化剤は、ハロゲン(例えば、臭素)又はN−ハロスクシンイミド(例えば、N−ブロムスクシンイミド)を包含する。
【0050】
−OH、−NH−又は−NH基を含有する式(I)化合物は、それぞれ、−OP、−NP−又は−NHP基(この場合、P基は適当な保護基である)を有する対応化合物の脱保護によって調製することができる。適当な保護基の例は、当業者に明らかであろう:例えば、“Protecting groups in Organic Synthesis(Second Edition)”by Theodora W.Green and Peter G.M.Wuts,1991,John Wiley and Sonsを参照のこと。−OP、−NP−又は−NHP基を有する、このような化合物は、上記経路を用いて、必要に応じて変更を加えて調製することができる。
【0051】
式(II)、(VII)及び(IX)で示される化合物は商業的に入手可能か、文献で知られているか、又は以下の調製の項に記載する方法のような、当業者に周知の方法によって容易に調製される。
【0052】
本発明の化合物は単独で投与することができるが、一般には、予定の投与経路及び標準の製薬的方法に関して選択される、適当な製薬的賦形剤、希釈剤又はキャリヤーとの混合物として投与される。
【0053】
例えば、本発明の化合物は、即時放出投与、遅延放出投与、調節放出投与、持続放出投与、パルス化放出投与又は制御放出投与のための、フレーバー剤又は着色剤を含有しうる錠剤、カプセル剤、多粒子、ゲル、フィルム、小卵(ovule)、エリキシル剤、溶液又は懸濁液の形態で経口、頬側又は舌下に投与することができる。本発明の化合物は、迅速分散性若しくは迅速溶解性投与形として、又は高エネルギー分散体(a high energy dispersion)若しくは被覆粒子として投与することもできる。本発明の化合物の適当な製剤は、必要に応じて、被覆形又は非被覆形のいずれでもよい。
【0054】
このような固体薬剤組成物、例えば、錠剤は、例えば、微結晶セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、グリシン及び澱粉(好ましくは、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉又はタピオカ澱粉)のような賦形剤、例えば澱粉グリコール酸ナトリウム、クロスカルメロース・ナトリウム及びある一定の複合シリケートのような崩壊剤、及び例えばポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチン及びアラビアゴムのような、顆粒結合剤(granulation binder)を含有することができる。
さらに、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、グリセリルベヘネート及びタルクのような滑剤を含むこともできる。
【0055】
一般的実施例
錠剤の処方(formulation)は、典型的に、活性化合物0.01〜500mgを含有することができ、このときに錠剤充填重量は50mg〜1000mgの範囲でありうる。10mg錠剤の処方の例を以下に例示する:
成分 %w/w
本発明の化合物 10.000
ラクトース 64.125
澱粉 21.375
クロスカルメロースナトリウム 3.000
ステアリン酸マグネシウム 1.500
薬物活性に従って調節した量
錠剤は、標準方法によって、例えば、直接圧縮成形又は、湿式若しくは乾式造粒方法によって製造する。錠剤コアは、適当なオーバーコート(overcoat)によって被覆することができる。
【0056】
同様な種類の固体組成物は、ゼラチンカプセル又はHPMCカプセル中の充填剤として用いることもできる。これに関して好ましい賦形剤は、ラクトース、澱粉、セルロース、乳糖又は高分子量ポリエチレングリコールを包含する。水性懸濁液及び/又はエリキシル剤のためには、本発明の化合物を種々な甘味剤又はフレーバー剤、着色剤(colouring matter)又は染料、乳化剤及び/又は懸濁化剤、並びに例えば水、エタノール、プロピレングリコール及びグリセリンのような希釈剤、及びこれらの混合物と組み合わせることができる。
【0057】
本発明の化合物は、非経口的に、例えば、静脈内に、動脈内に、腹腔内に、クモ膜下に、脳室内に、尿道内に、胸骨内に、頭蓋内に、筋肉内に若しくは皮下に投与することもできる、又は本発明の化合物は注入若しくは無針注射方法によって投与することができる。このような非経口投与のために、本発明の化合物は、他の物質、例えば、溶液を血液と等張性にするために充分な塩又はグルコースを含有することができる無菌水溶液の形態で最も良く用いられる。該水溶液は、必要な場合には、適当に(好ましくは、3〜9のpHに)緩衝化されるべきである。無菌条件下での、適当な非経口製剤の調製は、当業者に周知の標準製薬方法によって容易に達成される。
【0058】
ヒト患者への経口及び非経口投与のために、本発明の化合物の1日投与量レベルは、通常、0.01〜30mg/kg、好ましくは0.01〜5mg/kg(1回量又は分割量で)になる。
【0059】
したがって、本発明の化合物の錠剤又はカプセル剤は、必要に応じて、1個ずつ又は一度に2個以上を投与するために活性化合物1〜500mgを含有することができる。いずれにせよ、任意の個々の患者に最も適切である実際の投与量を、医師が決定することになり、該投与量は特定の患者の年齢、体重及び反応によって変化する。上記投与量は平均的ケースの典型的な投与量である。これより高い又は低い投与量範囲が有利である個々の場合も当然ありうる、このような投与量範囲も本発明の範囲内である。当業者は、ある一定の状態の治療に、本発明の化合物を必要に応じて又は望みに応じて、1回量として服用することができることを理解するであろう。
【0060】
本発明の化合物は鼻腔内に又は吸入によって投与することもでき、便利には、適当な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、ヒドロフルオロアルカン、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134A[商標])若しくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227EA[商標])、二酸化炭素若しくは他の適当なガスを用いて又は用いずに、加圧容器、ポンプ、スプレイ、アトマイザー若しくはネブライザーから、乾燥粉末吸入器(dry powder inhaler)若しくはエアロゾル・スプレー・プレゼンテーション(aerosol spray presentation)の形態でデリバリーされる(delivered)。加圧エアロゾルの場合には、計量された量をデリバリーするようにバルブを備えることによって、投与量単位を決定することができる。加圧容器、ポンプ、スプレイ、アトマイザー又はネブライザーは、例えば、付加的に滑剤、例えば、ソルビタントリオレエートを含有することができる溶媒としての、エタノールと噴射剤との混合物を用いて、活性化合物の溶液又は懸濁液を含有することができる。吸入器又は吹き入れ器(insufflator)に用いるためのカプセル又はカートリッジ(例えば、ゼラチンから製造)は、本発明の化合物と、例えばラクトース又は澱粉のような、適当な粉末基剤との粉末混合物を含有するように処方することができる。
【0061】
或いは、本発明の化合物は座薬若しくはペッサリーの形態で投与することができる、又は本発明の化合物は、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏又は粉剤の形態で局所塗布することができる。さらに、本発明の化合物を、例えば、皮膚パッチを用いて皮膚投与又は経皮投与することもできる。さらに、本発明の化合物は、肺経路又は直腸経路によって投与することもできる。
【0062】
本発明の化合物は、眼経路で投与することもできる。眼科使用のためには、本発明の化合物を等張性の、pH調節した無菌生理食塩水中の微粉懸濁液(micronised suspensions)として、又は好ましくは、任意に、例えば塩化ベンゾイルアルコニウムのような保存剤と組み合わせた、等張性の、pH調節した無菌生理食塩水中の溶液として処方することができる。或いは、本発明の化合物は、例えばペトロラタムのような軟膏中に処方することができる。
【0063】
皮膚への局所塗布のために、本発明の化合物を、例えば、下記:鉱油、液体ペトロラタム、白色ペトロラタム、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス及び水の1つ以上の混合物中に懸濁した又は溶解した活性化合物を含有する、適当な軟膏として処方することができる。或いは、本発明の化合物を、例えば、下記:鉱油、ソルビタン・モノステアレート、ポリエチレングリコール、液体パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステル・ワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水の1つ以上の混合物中に懸濁又は溶解させて、適当なローション又はクリームとして処方することができる。
【0064】
本発明の化合物は、シクロデキストリンと組み合わせて用いることもできる。シクロデキストリンは、薬物分子と包接錯体又は非包接錯体を形成することが知られている。薬物−シクロデキストリン錯体の形成は、薬物分子の溶解度、溶解速度、バイオアベイラビリティ及び/又は安定特性を修飾することができる。薬物−シクロデキストリン錯体は、一般に、大抵の投与形及び投与経路に有用である。薬物との直接錯体形成の代替手段として、シクロデキストリンを補助添加剤として、例えばキャリヤー、希釈剤又は可溶化剤として用いることができる。α−、β−及びγ−シクロデキストリンが最も一般的に用いられ、適当な例は、WO91/11172、WO94/02518及びWO98/55148に記載されている。
【0065】
本明細書における治療への全ての言及が、治癒的、緩和的及び予防的治療を包含することを理解すべきである。
経口投与が好ましい。
【0066】
本発明の化合物と1種類以上の付加的な治療剤との同時投与、及び本発明の化合物を1種類以上の他の治療剤と共に含有する組成物を含む実施態様が、本発明の範囲内に包含される。このような複合療法は、いずれの単独療法にも耐性の菌株に迅速に発展する可能性があるHIV及び関連レトロウイルスによる感染の予防及び/又は治療に特に有用である。或いは、付加的な治療剤は、本発明の化合物によって治療される疾患に起因する又は付随する疾患及び状態を治療するために望ましい治療剤でありうる。例えば、治療される患者の免疫抑制状態(immuno-compromised state)の結果として生じる日和見感染、腫瘍(neoplasms)及び他の状態を付加的に治療することが望ましいと考えられる。
【0067】
本発明の好ましい組み合わせは、本発明の化合物と、下記の1つ以上とによる同時又は逐次治療を包含する:
(a)例えば、アバカヴィル、アデフォヴィル、ジダノシン、ラミブジン、スタブジン、ザルシタビン及びジドブジンのような、逆転写酵素阻害剤;
(b)例えばカパヴィリン、デラヴィルジン、エファヴィレンズ及びネヴィラピンのような非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤;
(c)例えばインジニヴィル、ネルフィナヴィル、リトナヴィル及びサキナヴィルのようなHIVプロテアーゼ阻害剤;
(d)例えばTAK−779又はUK−427,857のようなCCR5アンタゴニスト;
(e)例えばAMD−3100のようなCXCR4アンタゴニスト;
(f)例えばL−870,810又はS−1360のようなインテグラーゼ阻害剤;
(g)例えばT−20のようなウイルス融合(viral fusion)の阻害剤;
(h)例えばトリジヴィル、KNI−272、アンプレナヴィル、GW−33908、FTC、PMPA、MKC−442、MSC−204、MSH−372、DMP450、PNU−140690、ABT−378、KNI−764、DPC−083、TMC−120又はTMC−125のような治験薬;
(i)例えばフルコナゾール、イトラコナゾール又はボリコナゾールのような抗真菌薬;又は
(j)例えばアジスロマイシンのような抗菌剤。
【0068】
逆転写酵素阻害剤としての本発明の化合物の活性は、下記アッセイを用いて測定することができる。
【0069】
HIV−1逆転写酵素の阻害
大腸菌(Escherichia Coli)における発現によって得られる精製組換えHIV−1逆転写酵素(RT,EC,2.7.7.49)を用いて、Poly(rA)−oligo(dT)逆転写酵素[3H]−SPA酵素アッセイ系(Amersham NK9020)又は[3H]−flashplate酵素アッセイ系(NEN−SMP103)のいずれかを用いて、製造者の勧告に従って、多数のサンプルを分析するために96穴プレート・アッセイ系を確立する。化合物を100%DMSO中に溶解して、適当な緩衝液で、5%最終DMSO濃度に希釈する。阻害活性をDMSO対照を基準にした阻害%で表現する。化合物が逆転写酵素を50%阻害する濃度を、該化合物のIC50として表現する。
【0070】
実施例8及び17の化合物は、上記手段によって試験したときに、それぞれ10及び64ナノモルのIC50値を示した。
したがって、本発明は下記を提供する:
(i)式(I)化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体;
(ii)式(I)化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体の調製方法;
(iii)式(I)化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体を製薬的に受容される賦形剤、希釈剤又はキャリヤーと共に含む薬剤組成物;
(iv)薬剤として用いるための式(I)化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは組成物;
(v)逆転写酵素阻害剤又はモジュレーターとして用いるための式(I)化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは組成物;
(vi)HIV又は遺伝関連レトロウイルス感染症、或いは後天性免疫不全症候群(the resulting acquired immune deficiency syndrome)(AIDS)の治療に用いるための式(I)化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは組成物;
(vii)逆転写酵素阻害又はモジュレーティング活性を有する薬剤を製造するための式(I)化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは組成物の使用;
(viii)HIV又は遺伝関連レトロウイルス感染症、或いは後天性免疫不全症候群(AIDS)の治療用薬剤を製造するための式(I)化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは組成物の使用;
(ix)式(I)化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは組成物の有効量を投与することを含む、HIV又は遺伝関連レトロウイルス感染症、或いは後天性免疫不全症候群(AIDS)の治療方法;並びに
(xi)本明細書に開示する、ある一定の新規な中間体。
【0071】
下記実施例は、式(I)化合物の調製を説明する。これに用いる、ある一定の中間体の合成は、実施例の後に続く調製の項に記載する。
H核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、全ての場合に、提案した構造に一致した。特徴的な化学シフト(δ)は、主要なピークの名称の慣用的な略号を用いて、テトラメチルシランからダウンフィールドのppmで記載する:例えば、s、一重線(singlet);d、二重線(doublet);t、三重線(triplet);q、四重線(quartet);m、多重線(multiplet);br、ブロード。下記略号も用いられている:HRMS、高分解能質量分析法;hplc、高性能液体クロマトグラフィー;nOe、核オーバーハウザー効果;m.p.、融点;CDCl、デューテロクロロホルム;D−DMSO、デューテロジメチルスルホキシド;CDOD、デューテロメタノール。薄層クロマトグラフィー(TLC)を用いた場合には、それは、シリカゲル60F254プレートを用いるシリカゲルTLCを意味し、Rは、TLCプレート上を化合物が移動する距離を溶媒先端が移動する距離で分割したものを意味する。
【0072】
実施例1
2−[4−(3,5−ジクロロ−フェノキシ)−5−メチル−2H−ピラゾル−3−イル]−1−(7,8−ジヒドロ−5H−[1,6]ナフチリジン−6−イル)−エタノン
【0073】
【化4】

【0074】
N,N−ジメチルアセトアミド中3.75%トリエチルアミン(1ml)中の5,6,7,8−テトラヒドロ−[1,6]ナフチリジン(38mg、0.25mmol)(米国特許5,037,834、実施例O参照)の溶液に、N,N−ジメチルアセトアミド中3.75%トリエチルアミン(0.83ml)中の調製例5からの酸(50mg、0.17mmol)の溶液を加え、N,N−ジメチルアセトアミド中3.75%トリエチルアミン(1ml)中のO−ベンゾトリアゾル−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(94.75mg、0.25mmol)の溶液を加えた。この混合物を窒素雰囲気下、50℃において4時間加熱し、次に、室温において18時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を10%炭酸カリウム溶液(2ml)とジクロロメタン(6ml)とに分配した。有機層をBiotageTMカートリッジ上でのクロマトグラフィーによってジクロロメタン中メタノール(methanol in dichloromethane)(0:100から20:80までの勾配)を用いて精製して、標題化合物(53mg)を得た。
【0075】
【数1】

【0076】
実施例2〜7
一般式:
【0077】
【化5】

【0078】
で示される、表1の化合物を実施例1の方法と同様な方法によって、調製例5からの酸及び適当なアミンを用いて調製した。
表1
【0079】
【化6】

【0080】
実施例2
【0081】
【数2】

【0082】
正確な質量418.0824、420.0797
実施例3
【0083】
【数3】

【0084】
実施例4
【0085】
【数4】

【0086】
実施例5
【0087】
【数5】

【0088】
実施例6
【0089】
【数6】

【0090】
実施例7
【0091】
【数7】

【0092】
実施例8
2−[4−(3,5−ジクロロ−フェノキシ)−5−メチル−2H−ピラゾル−3−イル]−1−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−エタノン
【0093】
【化7】

【0094】
ジクロロメタン(5ml)中の調製例5からの酸(100mg、0.33mmol)、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン塩酸塩(56mg、0.33mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(45mg、0.33mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(63mg、0.33mmol)及びトリエチルアミン(92μl、0.66mmol)の混合物を室温において18時間撹拌した。この反応混合物をジクロロメタン(5ml)で希釈し、水(5ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、溶離剤として酢酸エチル中メタノール(methanol in ethyl acetate)(0:100から10:90まで)を用いて精製して、標題化合物を黄色ガム(62mg)として得た。
【0095】
【数8】

【0096】
実施例9
2−[4−(3,5−ジクロロ−フェノキシ)−5−メチル−2H−ピラゾル−3−イル]−1−(1,3−ジヒドロ−イソインドル−2−イル)−エタノン
【0097】
【化8】

【0098】
ジクロロメタン(5ml)中の調製例5からの酸(120mg、0.38mmol)、2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール(51mg、0.43mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(57mg、0.43mmol)及び1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(81mg、0.43mmol)の溶液に、トリエチルアミン(59μl、0.43mmol)を加えて、混合物を室温において1時間撹拌した。この反応混合物をジクロロメタンで希釈し、1N塩酸(5ml)で洗浄した。このジクロロメタン溶液を減圧下で蒸発させ、残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、溶離剤としてジクロロメタン中メタノール(methanol in dichloromethane)(5:95)を用いて精製して、標題化合物をベージュ色泡状物(90mg)として得た。
【0099】
【数9】

【0100】
実施例10
3−クロロ−5−{3−メチル−5−[2−(2−メチル−7,8−ジヒドロ−5H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−6−イル)−2−オキソ−エチル]−1H−ピラゾル−4−イルオキシ}−ベンゾニトリル
【0101】
【化9】

【0102】
トリエチルアミン(79μl、0.57mmol)を含有するジクロロメタン(5ml)中の2−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ピリド[4,3−d]ピリミジン(29.4mg、1.9mmol)(WO98/30560実施例17b参照)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(26mg、0.19mmol)及び1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩の溶液に、調製例13からのカルボン酸(57mg、0.19mmol)を加えた。この混合物を室温で4時間撹拌してから、ジクロロメタン(3ml)で希釈し、水(5ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。残渣をBiotageTMカートリッジ上でのクロマトグラフィーによって、溶離剤としてジクロロメタン中メタノール(methanol in dichloromethane)(97.5:2.5から95:5まで)を用いて精製し、続いて、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによってジクロロメタン中メタノール(methanol in dichloromethane)(0:100から5:95まで)を用いてさらに精製して、標題化合物をガラス状物(33.2mg)として得た。
【0103】
【数10】

【0104】
実施例11〜19
一般式:
【0105】
【化10】

【0106】
で示される、表2の化合物を実施例8の方法と同様な方法によって、調製例13からの酸及び適当なアミンを用いて調製した。
表2
【0107】
【化11】

【0108】
実施例11
【0109】
【数11】

【0110】
実施例12
【0111】
【数12】

【0112】
実施例13
【0113】
【数13】

【0114】
実施例14
【0115】
【数14】

【0116】
実施例15
【0117】
【数15】

【0118】
実施例16
【0119】
【数16】

【0120】
実施例17
【0121】
【数17】

【0122】
実施例18
【0123】
【数18】

【0124】
実施例19
【0125】
【数19】

【0126】
実施例20
5−{5−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−2−オキソ−エチル]−3−メチル−1H−ピラゾル−4−イルオキシ}−イソフタロニトリル
【0127】
【化12】

【0128】
N,N−ジメチルホルムアミド(2.5ml)中の調製例21からの酸(75mg、0.27mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(40mg、0.3mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(58mg、0.3mmol)及び1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン塩酸塩(51mg、0.3mmol)の懸濁液に、トリエチルアミン(42μl、0.3mmol)を加え、混合物を窒素雰囲気下で1時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、最終痕跡量のN,N−ジメチルホルムアミドはトルエン共沸蒸留によって除去した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、ジクロロメタン中メタノール(2:98から5:95までの勾配)を用いて精製した。単離した物質をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、溶離剤として酢酸エチル中ペンタン(pentane in ethyl acetate)(25:75、次に20:80、次に0:100)を用いてさらに精製して、標題化合物(75mg)を得た。
【0129】
【数20】

【0130】
調製例1
4−(3,5−ジクロロフェノキシ)−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール
【0131】
【化13】

【0132】
3−クロロ−2,4−ペンタンジオン(5.00g、37.0mmol)、3,5−ジクロロフェノール(6.03g、37.0mmol)、炭酸セシウム(12.0g、37.0mmol)及びアセトン(40ml)の混合物を還流させながら18時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、固体を濾過によって除去し、濾液を減圧下で蒸発させた。残渣をエタノール(30ml)中に溶解し、ヒドラジン水和物(1.85g、37.0mmol)を加え、混合物を60℃で30分間加熱した。混合物を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、ペンタン中酢酸エチル(ethyl acetate in pentane)(30:70)によって溶離してさらに精製して、標題化合物を黄色固体(3.0g)として得た。
【0133】
【数21】

【0134】
調製例2
1−アセチル−4−(3,5−ジクロロフェノキシ)−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール
【0135】
【化14】

【0136】
窒素雰囲気下、0℃において、N,N−ジメチルホルムアミド(20ml)中の塩化アセチル(1.21ml、17.1mmol)及び調製例1のピラゾール(4.0g、15.6mmol)の撹拌溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液、684mg、17.1mmol)を加えた。この反応を0℃において1時間撹拌してから、水(100ml)を加えた。この水溶液をジエチルエーテル(2x50ml)で抽出した。一緒にした有機相を水(30ml)及びブライン(30ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させ、黄色固体を残した。粗生成物を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、溶離剤としてペンタン中ジエチルエーテル(diethyl ether in pentane)(10:90)を用いて、標題化合物を白色固体(3.0g)として得た。
【0137】
【数22】

【0138】
調製例3
1−アセチル−3−(ブロモメチル)−4−(3,5−ジクロロフェノキシ)−5−メチル−1H−ピラゾール
【0139】
【化15】

【0140】
窒素雰囲気下、室温において、1,1,1−トリクロロエタン(40ml)中の調製例2のピラゾール(3.0g、10.0mmol)の撹拌溶液に、N−ブロモスクシンイミド(2.70g、15.0mmol)を加えた。この混合物を80℃において1時間加熱してから、アゾビスイソブチロニトリル(2mg)を加え、この混合物をさらに3時間撹拌した。この反応を室温に冷却し、形成された固体を濾過によって除去した。濾液を減圧下で蒸発させ、得られた黄色油状物を酢酸エチル(100ml)中に溶解した。この酢酸エチル溶液を1M炭酸ナトリウム水溶液(30ml)、水(30ml)及びブライン(30ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて、黄色固体を残した。粗生成物を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、溶離剤としてペンタン中酢酸エチル(ethyl acetate in pentane)(10:90)を用いて精製して、黄色固体を得て、これを氷冷ジエチルエーテル(20ml)によって洗浄して、標題化合物を白色固体(2.3g)として得た。
【0141】
【数23】

【0142】
調製例4
[4−(3,5−ジクロロフェノキシ)−3−メチル−1H−ピラゾル−5−イル]アセトニトリル
【0143】
【化16】

【0144】
室温において、水(10ml)中のシアン化ナトリウム(284mg、5.20mmol)の溶液に、テトラヒドロフラン(10ml)中の調製例3のブロモメチルピラゾール(1.00g、2.60mmol)を一度に加えた。この反応を80℃において14時間加熱し、室温に冷却した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をジクロロメタン(50ml)と水(50ml)とに分配した。有機層を分離し、水(50ml)、ブライン(30ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて、褐色固体を得た。この残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、溶離剤として酢酸エチル中ペンタン(50:50)を用いて精製して、標題化合物を黄色固体(500mg)として得た。
【0145】
【数24】

【0146】
調製例5
[4−(3,5−ジクロロフェノキシ)−3−メチル−1H−ピラゾル−5−イル]酢酸
【0147】
【化17】

【0148】
濃塩酸(20ml)中の調製例4のニトリル(400mg、1.41mmol)を100℃において14時間撹拌した。この混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をジクロロメタン(50ml)と1N塩酸水溶液(50ml)とに分配した。ジクロロメタン層を1N塩酸水溶液(50ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて、標題化合物を淡黄色固体(400mg)として得た。
【0149】
【数25】

【0150】
調製例6
1−ブロモ−3−クロロ−5−メトキシベンゼン
【0151】
【化18】

【0152】
窒素雰囲気下、室温において、メタノール(28ml)中の1−フルオロ−3−クロロ−5−ブロモベンゼン(1.00g、4.77mmol)の撹拌溶液に、ナトリウムメトキシド(メタノール中4.5M溶液、2.20ml、10.0mmol)を滴加した。この混合物を還流させながら3日間加熱してから、室温に冷却した。この混合物を減圧下で蒸発させ、得られた黄色油状物をジクロロメタン(30ml)中に溶解した。このジクロロメタン溶液を水(2x20ml)で洗浄して、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製し、シクロヘキサンで溶出して、標題化合物を無色油状物(302mg)として得た。
【0153】
【数26】

【0154】
微量分析:実測値:C,37.94;H,2.75;CBrClO計算値:C,37.96;H,2.73%.
【0155】
調製例7
3−クロロ−5−メトキシベンゾニトリル
【0156】
【化19】

【0157】
窒素雰囲気下、室温において、N,N−ジメチルホルムアミド(3ml)中の調製例6のブロミド(500mg、2.26mmol)及びシアン化亜鉛(140mg、1.24mmol)の撹拌溶液に、パラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)(174mg、0.15mmol)を一度に加えた。この反応を100℃において14時間加熱してから、室温に冷却した。溶媒を減圧下で蒸発させて、残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、溶離剤としてシクロヘキサン中酢酸エチル(ethyl acetate in cyclohexane)(5:95)を用いて精製して、標題化合物を黄色油状物(380mg)として得た。
【0158】
【数27】

【0159】
微量分析:実測値:C,57.50;H,3.63;N,8.16;CClNO計算値:C,57.33;H,3.61;N,8.36%.
【0160】
調製例8
3−クロロ−5−ヒドロキシベンゾニトリル
【0161】
【化20】

【0162】
−78℃においてジクロロメタン(50ml)中の調製例7のニトリル(1.80g、10.0mmol)及びヨウ化テトラブチルアンモニウム(4.36g、11.0mmol)の撹拌溶液に、三塩化ホウ素(ジクロロメタン中1.0M溶液、26.0ml、26.0mmol)を滴加した。この反応混合物を室温に加温して、14時間撹拌した。この反応混合物を0℃に冷却して、氷とジクロロメタン(100ml)とを加えた。有機相を水(3x40ml)とブライン(40ml)とで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、溶離剤としてシクロヘキサン中酢酸エチル(ethyl acetate in cyclohexane)(20:80)を用いて精製して、標題化合物を白色固体(900mg)として得た。
【0163】
【数28】

【0164】
微量分析:実測値:C,54.76;H,2.81;N,8.94;CClNO計算値:C,54.75;H,2.63;N,9.12%.
【0165】
調製例9
3−(1−アセチル−2−オキソプロポキシ)−5−クロロベンゾニトリル
【0166】
【化21】

【0167】
3−クロロ−2,4−ペンタンジオン(6.73g、50.0mmol)、調製例8のフェノール(7.67g、50.0mmol)、炭酸セシウム(18.0g、55.4mmol)及びアセトン(40ml)の混合物を還流させながら2時間加熱した。この反応を室温に冷却して、N,N−ジメチルホルムアミド(6ml)とアセトン(30ml)とを加え、この反応を70℃においてさらに12時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、濾過によって固体を取り出し、1M塩酸水溶液(150ml)中に溶解した。この水溶液をジクロロメタン(3x100ml)で抽出し、一緒にした有機相をブライン(30ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、標題化合物を褐色固体(5.5g)として得た。
【0168】
【数29】

【0169】
調製例10
3−[(1−アセチル−3,5−ジメチル−1H−ピラゾル−4−イル)オキシ]−5−クロロベンゾニトリル
【0170】
【化22】

【0171】
窒素雰囲気下、0℃において、N,N−ジメチルホルムアミド(20ml)中の塩化アセチル(1.50ml、21.0mmol)及び調製例9のピラゾール(4.80g、19.4mmol)の撹拌溶液に、水素化ナトリウム(油中60%分散液、840mg、21.0mmol)を加えた。この反応を0℃において15分間撹拌してから、水(200ml)を加えた。この水性混合物を酢酸エチル(3x120ml)で抽出した。一緒にした有機相を水(50ml)とブライン(50ml)とで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて、黄色固体を残した。粗生成物をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、溶離剤としてジクロロメタンを用いて精製して、標題化合物を白色固体(5.00g)として得た。
【0172】
【数30】

【0173】
調製例11
3−{[1−アセチル−3−(ブロモメチル)−5−メチル−1H−ピラゾル−4−イル]オキシ}−5−クロロベンゾニトリル
【0174】
【化23】

【0175】
窒素雰囲気下、室温において1,1,1−トリクロロエタン(70ml)中の調製例10のピラゾール(5.00g、17.3mmol)及びアゾビスイソブチロニトリル(20mg)の撹拌溶液に、N−ブロモスクシンイミド(4.60g、25.6mmol)を加えた。この反応を80℃において3時間加熱してから、室温に冷却した。第2回分のN−ブロモスクシンイミド(2.0g、11.2mmol)を加えて、反応混合物を80℃において4時間加熱した。この反応を室温に冷却して、減圧下で蒸発させ、得られた黄色油状物をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、溶離剤としてジクロロメタン中ペンタン(pentane in dichloromethane)(25:75)を用いて精製して、標題化合物を白色固体(2.30g)として得た。
【0176】
【数31】

【0177】
調製例12
3−クロロ−5−(3−シアノメチル−5−メチル−1H−ピラゾル−4−イルオキシ)−ベンゾニトリル
【0178】
【化24】

【0179】
0℃においてテトラヒドロフラン(30ml)中の調製例11からのブロミド(1.7g、4.6mmol)の撹拌溶液に、水(5ml)中のシアン化ナトリウム(450mg、9.2mmol)を滴加した。この混合物を室温に加温し、18時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を酢酸エチル(30ml)で希釈し、ブライン(2x15ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、溶離剤としてペンタン中酢酸エチル(ethyl acetate in pentane)(0:100から50:50まで)を用いて精製して、標題化合物を淡橙色固体(0.8g)として得た。
【0180】
【数32】

【0181】
調製例13
[4−(3−クロロ−5−シアノ−5−フェノキシ)−5−メチル−1H−ピラゾル−3−イル]酢酸
【0182】
【化25】

【0183】
4N塩酸中の調製例12からのシアノメチル化合物(340mg、1.25mmol)を80℃において18時間加熱した。この混合物を減圧下で蒸発させた。残渣をジクロロメタン中に溶解して、シリカゲルを加えた。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、溶離剤としてジクロロメタン中メタノール(methanol in dichloromethane)(0:100から20:80まで)を用いて精製して、標題化合物(50mg)を得た。
m.p.175−178℃
【0184】
【数33】

【0185】
調製例14
1,3−ジブロモ−5−メトキシベンゼン
【0186】
【化26】

【0187】
窒素雰囲気下、0℃においてN,N−ジメチルホルムアミド(95ml)中の3,5−ジブロモフルオロベンゼン(5.00g、19.0mmol)の撹拌溶液に、ナトリウムメトキシド(メタノール中4.5M溶液、8.80ml、41.0mmol)を滴加した。この反応を室温に加温し、1時間撹拌してから、減圧下で蒸発させた。この残渣をジエチルエーテル中に溶解して、水(3x300ml)とブライン(300ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、標題化合物を白色固体(5.13g)として得た。
【0188】
【数34】

【0189】
調製例15
3,5−ジシアノメトキシベンゼン
【0190】
【化27】

【0191】
窒素雰囲気下、室温において、N,N−ジメチルホルムアミド(300ml)中の調製例1からのブロミド(38.0g、143mmol),1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(9.3g、16.8mmol)及びシアン化亜鉛(20.0g、172mmol)の撹拌溶液に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(6.53g、7.15mmol)を一度に加えた。この反応を100℃において14時間加熱して、室温に冷却した。水(1500ml)を加えて、混合物を酢酸エチル(3x500ml)で抽出した。一緒にした有機層(organics)を濾過して、濾液を水(500ml)で洗浄して、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた固体をトルエン(1000ml)と共に摩砕して、標題化合物(18.0g)を黄褐色固体として得た。
【0192】
【数35】

【0193】
調製例16
3,5−ジシアノヒドロキシベンゼン
【0194】
【化28】

【0195】
窒素雰囲気下、0℃においてジクロロメタン(250ml)中の三塩化アルミニウム(32.4g、243mmol)の撹拌懸濁液に、調製例15のエーテル(9.60g、60.7mmol)を少量ずつ加えた。この懸濁液を45℃において6日間撹拌してから、室温に冷却して、氷(450ml)上に注入した。濃塩酸(450ml)を滴加し、得られた懸濁液を室温において10分間撹拌した。形成された固体を濾過によって単離して、水で洗浄して、五酸化リン上で乾燥させて、標題化合物を黄褐色固体(7.83g)[H−NMRと微量分析(microanalysis)によると約11%の出発物質を含有する]として標題化合物を得た。
【0196】
【数36】

【0197】
調製例17
5−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾル−4−イルオキシ)−イソフタロニトリル
【0198】
【化29】

【0199】
調製例16からのフェノール(2g、13.8mmol)を3−クロロ−2,4−ペンタンジオン(2ml、16.7mmol)及び炭酸セシウム(4.51g、13.8mmol)と混合して、65℃において2時間加熱した。この混合物を室温に冷却して、濃塩酸(2ml)を加えた。この混合物を水(50ml)で希釈し、酢酸エチル(3x50ml)で抽出した。一緒にした有機溶液をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。残留黄色油状物を酢酸(30ml)中に溶解して、ヒドラジン(1ml、20.7mmol)を加えた。この混合物を室温において10分間撹拌してから、減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル(50ml)中に溶解し、10%炭酸ナトリウム溶液(30ml)、水(30ml)、ブライン(30ml)で洗浄し、次に、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をジエチルエーテルと共に摩砕して、標題化合物を淡黄色固体(1.8g)として得た。
【0200】
【数37】

【0201】
調製例18
5−[1−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−3,5−ジメチル−1H−ピラゾル−4−イルオキシ]−イソフタロニトリル
【0202】
【化30】

【0203】
調製例17からのピラゾール(10g、41.7mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(60ml)中に溶解し、0℃に冷却した。2,2−ジメチルプロピオニルクロリド(7.6ml、62.6mmol)を加え、次に水素化ナトリウム(鉱油中60%、2.5g、62.5mmol)を加えた。この混合物を0℃において30分間撹拌してから、塩化アンモニウムの飽和溶液(50ml)を加えた。反応混合物を水(200ml)と酢酸エチル(200ml)とに分配した。水相を酢酸エチル(200ml)で洗浄し、一緒にした有機層を水(200ml)、ブライン(200ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、溶離剤としてジクロロメタンを用いて精製して、標題化合物を白色固体(14g)として得た。
【0204】
【数38】

【0205】
調製例19
5−[5−ブロモメチル−1−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−3−メチル−1H−ピラゾル−4−イルオキシ]−イソフタロニトリル
【0206】
【化31】

【0207】
四塩化炭素(100ml)中の調製例18のピラゾール(5g、15.5mmol)及びN−ブロモスクシンイミド(3g、17.08mmol)の溶液を窒素で20分間パージした。2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(123mg、0.78mol)を加えて、混合物を85℃において3時間加熱した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、溶離剤としてペンタン中ジクロロメタン(50:50)を用いて精製して、標題化合物を褐色固体(5.7g)として得た。
【0208】
【数39】

【0209】
調製例20
5−(5−シアノメチル−3−メチル−1H−ピラゾル−4−イルオキシ)−イソフタロニトリル
【0210】
【化32】

【0211】
水(7ml)中のシアン化ナトリウム(400mg、8.2mmol)の溶液に、テトラヒドロフラン(45ml)中の調製例19からのブロミド(1.5g、3.7mmol)を加えて、混合物を室温において18時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して(約20mlまでに)、残渣を酢酸エチル(3x50ml)で抽出した。一緒にした酢酸エチル層をブライン(50ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、溶離剤としてペンタン中酢酸エチル(ethyl acetate in pentane)(50:50から40:60まで)を用いて精製して、標題化合物を白色固体(500mg)として得た。
【0212】
【数40】

【0213】
調製例21
[4−(3,5−ジシアノ−フェノキシ)−5−メチル−2H−ピラゾル−3−イル]酢酸
【0214】
【化33】

【0215】
1,4−ジオキサン(6ml)中の調製例20からのニトリルの懸濁液に、6N塩酸(6ml)を加えた。この混合物を80℃において4時間加熱してから、室温において18時間撹拌し、次に、80℃において3時間加熱した。反応混合物を減圧下で蒸発させ、残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、溶離剤としてジクロロメタン中メタノール(methanol in dichloromethane)(5:95から10:90までの勾配)を用いて精製して、標題化合物を黄色固体(75mg)として得た。
【0216】
【数41】

【0217】
調製例22
6−ベンジル−2−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−[1,6]ナフチリジン
【0218】
【化34】

【0219】
メタノール(70ml)に、ナトリウム(2.49g、0.11mol)を少量ずつ加えて、窒素雰囲気下、室温において30分間撹拌した。N,N−ジメチルホルムアミド(35ml)を加え、この溶液を6−ベンジル−2−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロ−[1,6]ナフチリジン(2.8g、10.9mmol)(参考文献WO98/30560実施例33bを参照のこと)に加えた。この混合物を窒素雰囲気下で還流させながら5日間加熱してから、減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、ジクロロメタン中メタノール(methanol in dichloromethane)(0:100から4:96までの勾配)を用いて精製して、得られた物質を真空下で乾燥させて、標題化合物(2.54g)を得た。
【0220】
【数42】

【0221】
調製例23
2−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−[1,6]ナフチリジン
【0222】
【化35】

【0223】
調製例22のN−ベンジル化合物(2.33g、9.16mmol)に、メタノール(60ml)及びトリエチルアミン(2ml)中の炭素付き20%パラジウム(800mg)を混合した。この混合物を50psiで2日間水素化し、次に、Arbocel(登録商標)に通して濾過した。濾液を減圧下で蒸発させ、残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、溶離剤として水酸化アンモニウム溶液を含有するジクロロメタン中メタノール(methanol in dichloromethane containing ammonium hydroxide solution)(0:100:0から10:90:1までの勾配)を用いて精製した。得られた物質を真空下で乾燥させて、標題化合物(1.14g)を得た。
【0224】
【数43】

【0225】
調製例24
2−トリフルオロメチル−イミダゾ[1,2−a]ピラジン
【0226】
【化36】

【0227】
エタノール(150ml)中の2−アミノピラジン(12.5g、0.13mol)と3−ブロモ−1,1,1−トリフルオロ−プロパン−2−オン(27.6g、0.14mol)を還流させながら24時間加熱した。追加分の3−ブロモ−1,1,1−トリフルオロ−プロパン−2−オン(2.51g、14mmol)を加えて、混合物を還流させながら18時間加熱した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を水(30ml)中に溶解した。固体の炭酸水素ナトリウムを加えて、pHを8にして、この溶液をジクロロメタン(x3)で抽出した。一緒にした有機層を水(20ml)で洗浄して、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲル上での中圧クロマトグラフィーによって、溶離剤としてジクロロメタン中メタノール(methanol in dichloromethane)(2:98から4:96までの勾配)を用いて精製した。単離された物質をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、溶離剤としてジクロロメタン中メタノール(methanol in dichloromethane)(2:98)を用いてさらに精製した。単離された物質を酢酸エチル/ヘキサンから再結晶して、標題化合物を橙褐色固体(3g)として得た。
実測値:C,44.81;H,2.04;N,22.15;C計算値:C,44.93;H,2.15;N,22.46%.
LRMS:m/z TS+188[M+H]
【0228】
調製例25
2−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−イミダゾ[1,2−a]ピラジン塩酸塩
【0229】
【化37】

【0230】
無水エタノール(80ml)中の調製例24からの化合物(4.15g、22.2mmol)、氷酢酸(5.72ml、0.11mol)及びアルミナ付き5%ロジウム(900mg)を50psi及び50℃において6時間水素化した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で蒸発させた。残渣をエタノール(50ml)中に溶解して、1N塩酸(50ml)を加えた。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をトルエン共沸蒸留によって乾燥させた。得られた物質をエタノール/ヘキサンから再結晶して、標題化合物(4.26g)を得た。
MH+192.
【0231】
調製例26
2−メチル−2H−[2,6]ナフチリジン−1−オン
【0232】
【化38】

【0233】
窒素雰囲気下で、無水N,N−ジメチルホルムアミド(25ml)中の2H−[2,6]ナフチリジン−1−オン(1g、2.05mmol)(参考文献J.Het.Chem.1981,18(7),1349)の懸濁液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%、328mg、8.2mmol)を少量ずつ加えて、混合物を室温において1時間撹拌した。ヨードメタン(510μl、8.2mmol)を加えて、混合物を18時間撹拌した。反応混合物を減圧下で蒸発させて、残渣をジクロロメタン(50ml)と水(20ml)とに分配した。水相をジクロロメタン(2x30ml)によって抽出し、一緒にした有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、ジクロロメタン中メタノール(methanol in dichloromethane)(2:98から5:95までの勾配)を用いて、標題化合物(750mg)を得た。
【0234】
【数44】

【0235】
調製例27
2−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−[2,6]ナフチリジン−1−オン
【0236】
【化39】

【0237】
調製例26からの化合物(87mg、0.54mmol)を無水エタノール(30ml)中に溶解し、酸化白金(50mg)を加えて、混合物を50psiにおいて18時間水素化した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で蒸発させて、標題化合物を褐色ガム(39mg)として得た。
LCMS:m/z TS+165[M+H]
【0238】
調製例28
6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−[1,6]ナフチリジン−2−オン
【0239】
【化40】

【0240】
100℃において、氷酢酸(50ml)中に溶解した(6−ベンジル−3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1H−[1,6]ナフチリジン−2−オン)(3.37g、13.9mmol)(参考文献WO9830560)に、氷酢酸(5ml)中の臭素(750μl、14.6mmol)を5分間かけて滴加した。この混合物を100℃において2.5時間加熱してから、室温に冷却した。溶媒を減圧下で蒸発させて、残渣を10%炭酸ナトリウム溶液(50ml)によって塩基性化した。水性混合物をクロロホルム(4x50ml)で抽出して、一緒にした有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させて、減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、ジクロロメタン中メタノール(methanol in dichloromethane)(0:100から3:97までの勾配)を用いて精製して、標題化合物を黄色結晶(1.5g)として得た。
m.p.210〜212℃
実測値:C,75.04;H,6.74;N,11.88;C1516O計算値:C,74.97;H,6.71;N,11.66%.
【0241】
調製例29
5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−[1,6]ナフチリジン−2−オン
【0242】
【化41】

【0243】
氷酢酸中の調製例28からのN−ベンジル化合物(1.11g、4.63mmol)及び活性炭付き10%パラジウム(150mg)の混合物を60psi及び室温において18時間水素化した。混合物を濾過して、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を氷酢酸中に再溶解して、追加分の活性炭付き10%パラジウム(150mg)を加えた。この混合物を60psiにおいて20時間水素化してから、濾過した。濾液を減圧下で蒸発させて、残渣をジエチルエーテル(2x40ml)と共に摩砕した。得られた固体をメタノール/酢酸エチルから再結晶して、標題化合物をもみ革色(buff)結晶(550mg)として得た。
m.p.243〜246℃.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

で示される化合物、その製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体、
上記式中、
W−X−Yは、0〜3個の窒素原子を含有する5員若しくは6員の部分的飽和環若しくは芳香環を定義し、この場合、XはCH又はNであり、YはCHであるか又は、XがCHであるときは、Nであることもできる;前記環は場合によっては、ハロ、オキソ、−CN、−COR、−CONR、−SONR、−NRSO、−OR、−OR11、−NR、−(C−Cアルキレン)−NR、R、R11又はCFによって置換される;
は、存在しないか、又はC−Cアルキレンである;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル、フェニル、ベンジル、R又はRであり、前記C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、フェニル及びベンジルは、場合によっては、ハロ、−OR、−OR10、−CN、−CO、−OCONR、−CONR、−C(=NR)NROR、−CONRNR、−NR、−NR10、−NRCOR、−NRCOR、−NRCOR10、−NRCO、−NRCONR、−SONR、−NRSO、−NRSONR、R又はRによって置換される;
は、H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、フェニル、ベンジル、ハロ、−CN、−OR、−CO、−CONR、R又はRであり、前記C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、フェニル及びベンジルは、場合によっては、ハロ、−CN、−OR、−CO、−CONR、−OCONR、−NRCO、−NR、−NRCOR、−SONR、−NRCONR、−NRSO、R又はRによって置換される;
は、フェニル、ナフチル又はピリジルであり、これらのそれぞれは、場合によっては、R、ハロ、−CN、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、−CONR、OR11、SO、O−(C−Cアルキレン)−CONR、O−(C−Cアルキレン)−NR、又はO−(C−Cアルキレン)−ORによって置換される;
各Rは、独立的に、H、C−Cアルキル若しくはC−Cシクロアルキルのいずれかであるか、又は2つのR基が同じ窒素原子に付着している場合には、これらの2つの基は、それらが付着する窒素原子と一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル又はモルホリニルを表す、前記アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル又はモルホリニルは、場合によっては、C−Cアルキル又はC−Cシクロアルキルによって置換される;
各Rは、独立的に、H、C−Cアルキル又はC−Cシクロアルキルのいずれかである;
は、C−Cアルキル又はC−Cシクロアルキルである;
は、(i)1〜4個の窒素ヘテロ原子、又は(ii)1若しくは2個の窒素ヘテロ原子と1個の酸素若しくは1個の硫黄ヘテロ原子、又は(iii)1若しくは2個の酸素若しくは硫黄ヘテロ原子を含有する5員若しくは6員芳香族複素環基であり、前記複素環基は、場合によっては、ハロ、オキソ、−CN、−COR、−CONR、−SONR、−NRSO、−OR、−NR、−(C−Cアルキレン)−NR、C−Cアルキル、フルオロ(C−C)アルキル又はC−Cシクロアルキルによって置換される;
は、(i)1若しくは2個の窒素ヘテロ原子、又は(ii)1個の窒素ヘテロ原子と、1個の酸素若しくは1個の硫黄ヘテロ原子、又は(iii)1個の酸素若しくは硫黄ヘテロ原子を含有する4員〜7員飽和若しくは部分的不飽和複素環基であり、前記複素環基は、場合によっては、オキソ、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、−SO、−CONR、−COOR、−CO−(C−Cアルキレン)−OR又は−CORによって置換され、場合によっては、ヘテロ原子に隣接しない炭素原子上で、ハロ、−OR、−NR、−NRCOR、−NRCOOR、−NRCONR、−NRSO又は−CNによって置換される;
10は、R、R、−OR、−CONR、−NRCOR又は−NRによって置換されたC−Cアルキルである;
11は、場合によっては、ハロ、−CN、−COR、−CONR、−SONR、−NRSO、−OR、−NR、−(C−Cアルキレン)−NR、C−Cアルキル、ハロ(C−C)アルキル、又はC−Cシクロアルキルによって置換されるフェニルである;並びに
xとnは独立的に0、1又は2である。
【請求項2】
式(I)で示される化合物、又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体を、1種類以上の製薬的に受容される賦形剤、希釈剤又はキャリヤーと共に含む薬剤組成物。
【請求項3】
1種類以上の付加的な治療剤を含む、請求項2記載の薬剤組成物。
【請求項4】
薬剤として用いるための、式(I)で示される化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体、又は請求項2若しくは3に記載の薬剤組成物。
【請求項5】
逆転写酵素阻害剤又はモジュレーターとして用いるための、式(I)で示される化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体、又は請求項2若しくは3に記載の薬剤組成物。
【請求項6】
HIV又は遺伝関連レトロウイルス感染症、或いは後天性免疫不全症候群(AIDS)の治療に用いるための、式(I)で示される化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体、又は請求項2若しくは3に記載の薬剤組成物。
【請求項7】
逆転写酵素阻害又はモジュレイティング活性を有する薬剤の製造のための、式(I)で示される化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体、又は請求項2若しくは3に記載の薬剤組成物の使用。
【請求項8】
HIV又は遺伝関連レトロウイルス感染症、或いは後天性免疫不全症候群(AIDS)の治療用薬剤の製造のための、式(I)で示される化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体、又は請求項2若しくは3に記載の薬剤組成物の使用。
【請求項9】
HIV又は遺伝関連レトロウイルス感染症、或いは後天性免疫不全症候群(AIDS)の治療方法であって、式(I)で示される化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体、又は請求項2若しくは3に記載の薬剤組成物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項10】
式(I)で示される化合物又はその塩、溶媒和物若しくは製薬的に受容される誘導体の調製方法であって、
(A)式(III):
【化2】

で示される酸を、式(II):
【化3】

で示されるアミンと、慣用的な酸/アミン・カップリング条件下で反応させる工程;
(B)Rがハロである式(I)で示される化合物を調製するために、式(XI):
【化4】

で示される化合物を慣用的な条件下でハロゲン化する工程;
(C)式(I)で示される化合物を式(I)で示される別の化合物に相互転換させる工程;又は
(D)式(I)で示される化合物の保護された誘導体を脱保護する工程を含み、場合によっては、工程(A)〜(D)のいずれかによって調製された、式(I)で示される化合物をその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体に転化させる工程を含む方法。

【公表番号】特表2006−505625(P2006−505625A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501939(P2005−501939)
【出願日】平成15年9月15日(2003.9.15)
【国際出願番号】PCT/IB2003/004071
【国際公開番号】WO2004/029051
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】