説明

HIV治療用硫黄連結イミダゾール化合物

本発明は、式(I)のイソフタロニトリル誘導体またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体
【化1】


(式中、R〜Rは明細書に記載されている)、その製造方法、その製造方法に用いる中間体、それを含有する組成物および前記誘導体の使用に関する。本発明の化合物は逆転写酵素と結合し、モジュレーターであり、特にその阻害剤である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、イソフタロニトリル誘導体、医療におけるその使用、それを含む組成物、その製造方法およびその製造方法に用いる中間体に関する。
本発明の化合物は逆転写酵素に結合し、そのモジュレーターであり、とりわけその阻害剤である。逆転写酵素はHIVの感染ライフサイクルに関連しており、この酵素の機能を阻害する化合物はAIDSを含む疾患の治療に有用であることが示されている。ウイルスは突然変異して既知のモジュレーターの効果に対する抵抗性を獲得する能力を有するので、HIV逆転写酵素の、新規でより優れたモジュレーター(とりわけ阻害剤)を提供する必要性が常に存在する。
【0002】
ヨーロッパ特許出願EP0786455A1は、HIVの増殖を抑制するイミダゾール化合物のクラスを開示している。米国特許第3,303,200号において、N(ヒドロキシエチル)ピラゾール誘導体のクラスに抗ウイルス活性があると記載されている。N−フェニルピラゾールのクラス(J. Med. Chem., 2000, 43, 1034);CおよびS連結アリールピラゾール(WO02/04424)のクラス;ならびにOおよびSアリール連結が窒素原子に隣接しているOおよびS連結アリールピラゾールのクラス(WO02/30907)を含む多くのピラゾールが逆転写酵素阻害剤として開示されている。
【0003】
本発明によれば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体が提供される
【0004】
【化1】

【0005】
[式中:
はC1−4アルキルまたはC3−6シクロアルキルであり、ここで、前記アルキルはピリジルまたはピリジルN−オキシドにより置換されていてもよく;
はC1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、またはトリフルオロメチルであり;
は−(CHOR、−(CHOC(O)NH、−(CHNH、または−(CHNHC(O)NHであり;
はHまたはC1−4アルキルであり;
mは1、2、3または4である]。
【0006】
基または基の一部としての”アルキル”という用語は、直鎖および分枝鎖の基を含む。アルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチルおよびt−ブチルを含む。”C3−6シクロアルキル”という用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルを意味する。
【0007】
1つの実施態様において、Rはメチル、エチル、i−プロピル、シクロプロピル、またはピリジルメチルである。他の実施態様において、Rはメチル、エチルまたはピリジルメチルである。さらに他の実施態様において、Rはメチルまたはエチルである。さらに他の実施態様において、Rはエチルである。
【0008】
1つの実施態様において、Rはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、またはトリフルオロメチルである。他の実施態様において、Rはエチル、i−プロピルまたはシクロプロピルである。さらに他の実施態様において、Rはエチルである。さらに他の実施態様において、Rはi−プロピルまたはシクロプロピルである。
【0009】
1つの実施態様において、Rは−(CHORまたは−(CHOC(O)NHである。他の実施態様において、Rは−CHOR、−(CHOR、−CHOC(O)NHまたは−(CHOC(O)NHである。さらに他の実施態様において、Rは−CHORまたは−(CHORである。さらに他の実施態様において、Rは−(CHORである。さらに他の実施態様において、Rは−(CHOC(O)NHである。
【0010】
1つの実施態様において、RはHである。他の実施態様において、Rはメチルである。
本発明は、式(I)の化合物の定義に矛盾しない、上記の本発明の特定の実施態様の全ての組み合わせを含むことが理解されなければならない。
【0011】
本発明の化合物は、式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩、溶媒和物または誘導体(ここで、誘導体は錯体、多型体、プロドラッグおよび同位体標識化合物のみならず、その塩、溶媒和物および塩溶媒和物も含む)およびその異性体を含む。他の実施態様において、本発明の化合物は式(I)の化合物ならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物であり、特に式(I)の化合物である。前述の本発明の化合物は多型体およびその異性体を含むことが理解されなければならない。
【0012】
式(I)の化合物の薬学的に許容される塩はその酸付加塩を含む。
適切な酸付加塩は無毒の塩を形成する酸から形成される。例は、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、臭化物、カルシン酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチルスルホン酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸一水素塩/リン酸二水素塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびトリフルオロ酢酸塩を含む。
【0013】
例えばヘミ硫酸塩などの酸の半塩もまた生成させることができる。
適切な塩に関する概説については、”Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use” by Stahl and Wermuth (Wiley-VCH, Weinheim, Germany, 2002) を参照のこと。
【0014】
式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、以下の3つの方法の1以上により製造できる:
(i)式(I)の化合物と所望の酸とを反応させること;
(ii)式(I)の化合物の適切な前駆体から酸または塩基に不安定な保護基を除去するか、または所望の酸を用いて、ラクトンまたはラクタムなどの適切な環式前駆体を開環すること;または
(iii)適切な酸と反応させるかまたは適切なイオン交換カラムを用いることにより、式(I)の化合物の1つの塩から他の塩に変換すること。
【0015】
3つの反応は、全て一般的に溶液中で行われる。得られた塩は析出させて濾過により、あるいは溶媒を留去することにより回収することができる。得られた塩のイオン化率は、完全にイオン化するものからほとんどイオン化しないものまで変化することができる。
【0016】
本発明の化合物は、非溶媒和形および溶媒和形のいずれでも存在できる。本明細書においては、‘溶媒和物’という用語は、本発明の化合物および1以上の薬学的に許容される溶媒分子(例えばエタノールなど)を含んでなる分子錯体を記載するために用いる。‘水和物’という用語は、溶媒が水であるときに用いる。
【0017】
錯体は、包接体(すなわち前述の溶媒和物とは異なり、薬剤とホストが化学量論量または非化学量論量で存在する薬剤−ホスト包接錯体)を含む。化学量論量または非化学量論量で存在できる2以上の有機および/または無機成分を含有する医薬錯体もまた含む。得られた錯体は、イオン化することも、部分的にイオン化することも、またイオン化しないこともできる。このような錯体の概説に関しては、J Pharm Sci, 64 (8), 1269-1288 by Haleblian (August 1975) を参照のこと。
【0018】
本発明の化合物は、多型性として知られる特性である、2以上の形態で結晶化する能力を有し、このような多型形態(”多型体”)は全て本発明の範囲に含まれる。多型性は一般に、温度、もしくは圧力またはその両方の変化に応じて生じることができ、結晶化プロセスの変化に応じて生じることもできる。多型体は種々の物理的特性により識別でき、多型体を識別するために、一般的にX線回折パターン、溶解挙動、および化合物の融点が用いられる。
【0019】
それ自体ではほとんどあるいは全く薬理活性を有さない、式(I)の化合物の特定の誘導体は、身体内または身体上に投与されるとき、例えば加水分解などにより、所望の活性を有する式(I)の化合物に変換されることができる。このような誘導体は‘プロドラッグ’と呼ばれる。プロドラッグの使用に関するさらなる情報は、‘Pro-drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14, ACS Symposium Series (T Higuchi and W Stella) and ‘Bioreversible Carriers in Drug Design’, Pergamon Press, 1987 (ed. E B Roche, American Pharmaceutical Association) において入手できる。
【0020】
本発明に記載のプロドラッグは、例えば、式(I)の化合物に存在する適切な官能基を、”Design of Prodrugs” by H Bundgaard (Elsevier, 1985) などに記載されている、‘プロ部分’として当業者に知られる特定の部分で置換することにより製造できる。
【0021】
本発明に記載のプロドラッグの一部の例は以下を含む:
i)式(I)の化合物がアルコール官能基(−OH)を含有する場合のそのエーテル(式(I)の化合物のアルコール官能基の水素が(C−C)アルカノイルオキシメチルにより置換されている化合物);および
ii)式(I)の化合物が一級および二級アミノ官能基(−NHまたはR≠Hである−NHR)を含有する場合のそのアミド(例えば、1つまたは両方の水素が(C−C10)アルカノイルで置換された化合物)。
【0022】
前述の例に基づくさらなる置換基の例および本発明に記載の他のプロドラッグタイプの例は、前述の参照文献中に見いだすことができる。
さらに、特定の式(I)の化合物は、それ自身他の式(I)の化合物のプロドラッグとして役割を果たすことができる。
【0023】
式(I)の化合物の代謝物(すなわち薬物の投与時にin vivoで生成する化合物)もまた本発明の範囲に含まれる。本発明に記載の代謝物の一部の例は以下を含む:
(i)式(I)の化合物がメチル基を含有する場合のそのヒドロキシメチル誘導体(−CH→−CHOH);
(ii)式(I)の化合物が三級アミノ基を含有する場合のその二次的なアミノ誘導体(−NR→−NHRまたは−NHR);
(iii)式(I)の化合物がフェニル部分を含有する場合のそのフェノール誘導体(−Ph→−PhOH);および
(iv)式(I)の化合物がアミド基を含有する場合のそのカルボン酸誘導体(−CONH→COOH)。
【0024】
1以上の不斉炭素原子を含有する式(I)の化合物は、2以上の立体異性体として存在できる。式(I)の化合物がアルケニルまたはアルケニレン基を含有する場合、幾何シス/トランス(またはZ/E)異性体の存在が可能である。エネルギー障壁が低いために構造異性体が相互変換可能である場合、互変異性(‘互変異性化’)が起こりうる。これは、例えばイミノ、ケト、もしくはオキシム基または芳香族部分を有する化合物におけるいわゆる原子価互変異性を有する式(I)の化合物におけるプロトン互変異性という形をとることができる。その結果として単一の化合物が2以上のタイプの異性を示しうることが起こる。
【0025】
2以上のタイプの異性を示す化合物およびその1以上の混合物を含む式(I)の化合物の全ての光学異性体、幾何異性体および互変異性体は本発明の範囲に含まれる。対イオンが光学活性である場合(例えば、d−乳酸塩またはl−リジンなど)あるいはラセミ体である場合(例えば、dl−酒石酸塩またはdl−アルギニンなど)の酸付加塩または塩基塩もまた含まれる。
【0026】
シス/トランス異性体は、例えばクロマトグラフィーおよび分別結晶などの当業者に公知の慣用法により分離することができる。
各エナンチオマーの製造/分離のための慣用法は、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成または、例えばキラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いるラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)を用いる分割を含む。
【0027】
あるいはまた、ラセミ体(またはラセミ前駆体)は適切な光学活性化合物(例えば、アルコールなど、あるいは式(I)の化合物が酸部分または塩基部分を含有する場合、酒石酸またはl−フェニルエチルアミンなどの酸または塩基)と反応させることができる。得られたジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶により分離し、ジアステレオ異性体の1つまたは両方を当業者に公知の手段により対応する純粋なエナンチオマー(単数または複数)に変換することができる。
【0028】
0〜50%イソプロパノール(一般的に2〜20%)および0〜5%のアルキルアミン(一般的に0.1%ジエチルアミン)を含有する炭化水素(一般的にヘプタンまたはヘキサン)からなる移動層を用いる不斉樹脂によるクロマトグラフィー(一般的にHPLC)を用いて、本発明のキラル化合物(およびそのキラル誘導体)を、エナンチオマー過剰物で得ることができる。溶離液を濃縮することにより過剰混合物を得る。
【0029】
立体異性体混合物は当業者に公知の慣用法により分離することができるが、例えば、”Stereochemistry of Organic Compounds” by E L Eliel (Wiley, New York, 1994) を参照のこと。
【0030】
本発明はまた、同一の原子番号ではあるが、天然に通常見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子により1以上の原子が置換されている、全ての薬学的に許容される式(I)の同位体標識化合物を含む。本発明の化合物が含有するのに適した同位体の例は、水素(HおよびHなど)、炭素(11C、13Cおよび14Cなど)、塩素(36Clなど)、フッ素(18Fなど)、ヨウ素(123Iおよび125Iなど)、窒素(13Nおよび15Nなど)、酸素(15O、17Oおよび18Oなど)、リン(32Pなど)、ならびに硫黄(35Sなど)の同位体を含む。
【0031】
特定の式(I)の同位体標識化合物(例えば、放射性同位体を組み込んだもの)は、薬剤および/または基質組織分布研究に有用である。放射性同位体であるトリチウム(すなわちH)および炭素−14(すなわち14C)は、組み込みの容易さおよび容易な検出手段の観点から、この目的のためにとりわけ有用である。
【0032】
重水素(すなわちH)などの重い同位体での置換により、より優れた代謝的安定性から得られる特定の治療効果(例えば、in vivo半減期の増加または投与必要量の減少など)を得ることができ、従って特定の状況においては好ましい場合がある。
【0033】
ポジトロン放出核種(11C、18F、15Oおよび13Nなど)による置換は、基質の受容体占有を試験するための陽電子溶出断層撮影法(PET)研究に有用であることができる。
【0034】
式(I)の同位体標識化合物は、一般に、当業者に公知の慣用法によるか、あるいは以前に用いられた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を用いて、添付の実施例および製造方法に記載の方法と類似の方法により製造できる。
【0035】
本発明に記載の薬学的に許容される溶媒和物は、結晶化溶媒が同位体により置換された、例えばDO、d−アセトン、d−DMSOなどであるものを含む。
代表的な式(I)の化合物は、実施例1、7、8、11、13、15、16、17、29、30および31の化合物、およびその薬学的に許容される塩、溶媒和物または誘導体を含む。
【0036】
以下の一般プロセスおよびスキームにおいて、特記しない限りR〜Rは前記のものであり、XおよびYはクロロ、ブロモもしくはヨードなどのハロ、OH、またはいずれかの適切な脱離基であり、DMSOはジメチルスルホキシドであり、DMFはジメチルホルムアミドであり、0.88SGは濃水酸化アンモニウム溶液(0.88アンモニア)である。
【0037】
式(I)の化合物は、類似の構造の化合物の製造のための公知の方法のいずれによっても製造できる。
式(I)の化合物、およびそれへの中間体は、以下のスキームに従って製造できる。
【0038】
式(I)の化合物またはそれへの中間体の製造のためのスキームに記載の特定の方法は、可能な置換基の一部に適用できないことは当業者に認められるであろう。
所望の式(I)の化合物を得るために、スキームに記載の変換を記載のものとは異なる順序で、あるいは変換の1以上を修飾して実施することが必要または望ましい場合があることを当業者はさらに認めるであろう。
スキーム1
【0039】
【化2】

【0040】
=H,COAlk
スキーム1について具体的に言えば、スキームに記載されている変換は、以下のように行うことができる:
(a)環化
がHである式(VI)の化合物は、アンモニア源(濃水酸化アンモニウム溶液、0.88SGまたは酢酸アンモニウムなど)の存在下、通常条件下で、式(VII)化合物とYが好ましくはクロロである式(VIII)の化合物とを反応させることにより製造できる。この反応は、一般に、アセトニトリルなどの適切な溶媒中、周囲温度で18〜48時間行われる。典型的な条件は、1.0当量の化合物(VII)、1.0当量の化合物(VIII)および過剰量の0.88アンモニアをアセトニトリル中、室温で18時間という条件を含む。
【0041】
がHではない式(VI)の化合物は、濃水酸化アンモニウム溶液、0.88SGまたは酢酸アンモニウムなどのアンモニア源の存在下、所望によりトリエチルアミンなどの弱塩基の存在下、メタノールまたはテトラヒドロフランなどの適切な溶媒中、周囲温度で18〜48時間、YがOHである式(VIII)の化合物または式(XI)の化合物と式(VII)の化合物とを反応させることにより製造できる。典型的な条件は、1.0当量の化合物(VII)、1.1当量の化合物(VIII)/(X)および過剰量の0.88アンモニアをメタノール中、室温で18時間という条件を含む。
(b)ヨウ素化
式(III)の化合物は、通常条件下、分子ヨウ素(例えばヨウ素)、過ヨウ素酸二水和物添加ヨウ素またはN−ヨードコハク酸イミドなどのヨウ素源を用いて、RがHである式(VI)の化合物をヨウ素化することにより製造できる。この反応は、所望により、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの適切な塩基の存在下、ジクロロメタン、メタノールまたはクロロホルムおよび酢酸などの適切な溶媒中、0℃〜60℃の温度で0.5〜4時間行われる。
【0042】
がCOアルキルである化合物(VI)のヨウ素化は、塩基性条件下でエステル官能基を加水分解し、塩基性条下で粗カルボン酸をヨウ素で処理して行われる。典型的な条件は、1.0当量の化合物(VI)および10当量の塩基(水酸化ナトリウムなど)をメタノール中3時間加熱還流するという条件を含む。減圧下で濃縮し、ついでジクロロメタンおよび水(2M HClでpHをpH12に調節)ならびに1.0〜1.3当量のヨウ素を添加し、周囲温度で18時間撹拌する。
【0043】
がハロアルキルである場合、典型的な条件は、1.0当量の化合物(VI)、1.0〜1.5当量のヨウ素および1.0当量の過ヨウ素酸二水和物をクロロホルムおよび酢酸の混合物中、60℃で4時間加熱するという条件を含む。
【0044】
がアルキルである場合、典型的な条件は、1.0当量の化合物(VI)、1〜1.5当量の塩基(水酸化ナトリウムなど)および1〜1.3当量のヨウ素をジクロロメタンおよびメタノールの混合物中、0℃で30分間という条件を含む。
(c)求核置換反応
(c)i本発明の1つの実施態様において、式(II)の化合物は、通常条件下で式(III)の化合物と式(IV)の化合物とを反応させることにより製造できる。好都合には、反応は、アルカリ金属塩基、例えばアルカリ金属水素化物(例えば、水素化ナトリウム、リチウムまたはカリウム)などの塩基を用い、極性非プロトン性溶媒(例えば、DMSO)などの溶媒の存在下、周囲温度で行うことができる。
【0045】
(c)ii他の実施態様において、式(II)の化合物は、通常条件下、式(III)の化合物と式(V)の化合物とを反応させることにより製造できる。好都合には、アルカリ金属塩基、例えば炭酸アルカリ金属塩基(例えば、炭酸カリウム、ナトリウムまたはセシウム)などの塩基を用い、所望によりヨウ化銅(I)の存在下で、極性非プロトン性溶媒(例えば、アセトニトリル)などの適切な溶媒中、周囲温度または高温(例えば周囲温度〜還流温度)で1〜24時間反応を行うことができる。典型的な条件は、所望によりヨウ化銅(I)(触媒量)の存在下で、1.0当量の化合物(III)、1.2〜1.5当量の化合物(V)、1.2〜1.5当量の炭酸セシウムをアセトニトリル中、25〜80℃で1〜24時間という条件を含む。
(d)アルキル化
式(I)の化合物は、通常のアルキル化条件で、式(II)の化合物を式(IX)の化合物でアルキル化することにより製造できる。好都合には、アルカリ金属塩基、例えば炭酸アルカリ金属(例えば、炭酸ナトリウム、カリウムまたはセシウム)などの塩基を用い、極性非プロトン性溶媒(例えば、アセトニトリルまたはDMF)などの溶媒の存在下、周囲温度または高温(例えば周囲温度〜40℃)でアルキル化を行う。典型的な条件は、1.0当量の化合物(II)、1.0〜1.2当量の化合物(IX)、1.5〜2.0当量の炭酸カリウムをDMF中25℃で1〜24時間という条件を含む。
【0046】
式(VII)および(VIII)の化合物は、既知化合物であるか、あるいは通常の化学反応により製造できる化合物である。式(IV)および(V)の化合物は、以下の製造方法のセクションに記載されているようにして製造できる(それぞれ、製造方法6および3)。
【0047】
あるいは、式(I)の化合物はスキーム2に記載されているようにして製造できる。
スキーム2
【0048】
【化3】

【0049】
スキーム2について具体的に言えば、スキームに記載されている変換は、以下のように行うことができる:
(a)環化
式(VI)の化合物は、スキーム1に記載されているようにして、式(X)または(XI)の化合物と式(VII)の化合物とを反応させることにより製造できる。
(b)ヨウ素化
式(XIII)の化合物は、スキーム1において化合物(III)に関して記載されているようにして、式(XII)の化合物をヨウ素化することにより製造できる。
(c)求核置換反応
式(I)の化合物は、スキーム1に記載されているようにして、化合物(XIII)と式(IV)または(V)の化合物とを反応させることにより製造できる。
(d)アルキル化
式(XII)の化合物は、スキーム1に記載されているようにして、化合物(VI)を化合物(IX)でアルキル化することにより製造できる。
【0050】
がシクロプロピルでありRがCOアルキルである場合、式(X)の化合物は、J. Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals 38(5), 453, 9381 に記載されているようにして製造できる。典型的な条件は、1.0当量の適切な酸塩化物(RC(O)Cl)、1.0当量の適切なイリド(PPh=CHR)、およびベンゼンスルホン酸などの適切な酸触媒をジクロロメタン中、周囲条件下で2時間という条件を含む。減圧下で濃縮し、ついでテトラヒドロフラン:水などの適切な二相系中、周囲条件下で18時間、1.5当量オキソン(登録商標)(ペルオキシ一硫酸カリウム)で酸化する。
【0051】
がCFでありRがHである場合、式(XI)の化合物は、水などの適切な溶媒中、ケトンRC(O)Z(好ましくはZ=Z=ブロモの場合)と酢酸ナトリウム三水和物とを0.5〜1時間加熱還流する反応により製造できる。典型的な条件は、1.0当量のRC(O)Zおよび2.0当量の酢酸ナトリウム三水和物を水中30分間加熱還流するという条件を含む。
【0052】
上記のスキームに示すように、望ましくない副反応を防ぐために、式(I)の化合物の合成のいずれの段階においても分子中の1以上の活性基を保護することが必要または望ましい場合があることを当業者は認めるであろう。特に、アミノまたはヒドロキシ基を保護することが必要または望ましい場合がある。式(I)の化合物の製造に用いられる保護基は、通常の方法で使用できる。例えば、'Protective Groups in Organic Synthesis' by Theodora W Green and Peter G M Wuts, 第3版, (John Wiley and Sons, 1999)、特に第2章、pp17〜245(”ヒドロキシル基の保護”)、および第7章、pp494〜653(”アミノ基の保護”)(本願に引用して援用する)に記載されているものを参照のこと(このような基の除去方法もまた記載されている)。例えば、Rがベンジルエーテルである場合、周囲条件下で、2M三塩化ホウ素ジメチルスルフィド錯体ジクロロメタン溶液によりベンジル基を切断できる。Rがフタルイミド基を含む場合、エタノールなどの適切な溶媒中、45℃で18時間、ヒドラジン一水和物と反応させることにより遊離アミンを生成させることができる。
【0053】
式(I)の化合物は、標準的な化学反応と変換を用いて、別の式(I)の化合物に変換できることもまた認められるであろう。例えば、Rがヒドロキシである場合、トリクロロアセチルイソシアネート(実施例13〜22)と反応させることにより一連のカルバミン酸が得られる。さらに、水素化ナトリウムなどの適切な塩基の存在下で、適切なハロゲン化アルキルとの反応させることにより、一連のアルコキシドもまた製造できる(実施例23および24)。さらに、Rがアミノである場合、トリクロロアセチルイソシアネートと反応させることにより一連の尿素が得られる(実施例43および44)。
【0054】
他の側面によれば、本発明は、式(II)の化合物を式(IX)の化合物でアルキル化することを含んでなる式(I)の化合物の製造方法を提供する。好都合には、スキーム1のステップ(d)に関連して上記に記載された条件下でアルキル化が行われる。
【0055】
他の側面によれば、本発明は、式(XIII)の化合物と式(IV)または(V)の化合物とを反応させることを含んでなる式(I)の化合物の製造方法を提供する。好都合には、スキーム2のステップ(c)に関連して上記に記載された条件下でこの反応が行われる。
【0056】
本発明の化合物は逆転写酵素阻害剤であり、従って、HIV、HIVに遺伝的に近縁であるレトロウイルスによる感染、およびAIDSの治療に有用である。
従って、他の側面において、本発明は、医薬としての使用のための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体を提供する。
【0057】
他の側面において、本発明は、逆転写酵素阻害剤またはモジュレーターとしての使用のための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体を提供する。
【0058】
他の側面において、本発明は、HIV、HIVに遺伝的に近縁であるレトロウイルスによる感染、またはAIDSの治療における使用のための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体を提供する。
【0059】
他の側面において、本発明は、逆転写酵素阻害活性またはモジュレーター活性を有する医薬の製造における、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体の使用を提供する。
【0060】
他の側面において、本発明は、HIV、HIVに遺伝的に近縁であるレトロウイルスによる感染、またはAIDSの治療のための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体の使用を提供する。
【0061】
他の側面において、本発明は、逆転写酵素阻害剤またはモジュレーターを用いる、ヒトを含む哺乳動物の治療方法であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体の有効量で前記哺乳動物を治療することを含んでなる該方法を提供する。
【0062】
他の側面において、本発明は、HIV、HIVに遺伝的に近縁であるレトロウイルスによる感染、またはAIDSを伴う、ヒトを含む哺乳動物の治療方法であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体の有効量で前記哺乳動物を治療することを含んでなる該方法を提供する。
【0063】
本発明の化合物は、結晶性または非晶質生成物で投与できる。これらは、例えば、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、または蒸発乾燥などの方法により、固体プラグ、粉末、またはフィルムで得ることができる。この目的のために、マイクロ波乾燥または高周波乾燥を使用することができる。
【0064】
本発明の化合物は、単独もしくは1以上の他の本発明の化合物との組み合わせ、または1以上の他の薬剤との組み合わせ(あるいはそれらの任意の組み合わせ)で投与できる。一般に、本発明の化合物は、1以上の薬学的に許容される賦形剤を加えた製剤で投与できる。本明細書においては、”賦形剤”という用語は、本発明の化合物(単数または複数)以外の任意の成分を記載するために用いる。賦形剤の選択は、特定の投与方法、溶解性および安定性に対する賦形剤の影響、および製剤の性質などの要素に大きく影響を受ける。
【0065】
本発明の化合物の送達に適した医薬組成物およびその製造方法は、当業者に直ちに明らかであろう。このような組成物およびその製造方法は、例えば、‘Remington’s Pharmaceutical Sciences’,第19版(Mack Publishing Company, 1995) において見いだす事ができる。
【0066】
本発明の化合物は経口投与できる。経口投与は、化合物が消化管に入るように嚥下を含むことができるが、口から血流に化合物が直接入るように、頬または舌下投与を用いることもできる。
【0067】
経口投与に適した製剤は、錠剤などの固形製剤、顆粒、液体、または粉末を含有するカプセル、ロゼンジ(液体充填を含む)、チューズ、複合顆粒およびナノ粒子、ゲル、固溶体、フィルム(粘膜付着性)、膣座剤、スプレーおよび液体製剤を含む。
【0068】
液剤は、サスペンジョン、溶液、シロップおよびエリキシル剤を含む。このような製剤は軟または硬カプセル中の充填剤として使用でき、一般的に、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、もしくは適切なオイルなどの担体および1以上の乳化剤および/または縣濁化剤を含む。液剤は固体(例えばサシェなど)の再構成により製造することもできる。
【0069】
本発明の化合物は、Expert Opinion in Therapeutic Patents, 11 (6), 981-986 by Liang and Chen (2001) などに記載されている、急速溶解性の急速崩壊製剤に使用することもできる。
【0070】
錠剤に関しては、投与量に応じて、薬剤は製剤の1重量%〜80重量%、さらに一般的には5重量%〜60重量%を含む。薬剤に加えて、錠剤は一般に崩壊剤を含む。崩壊剤の例は、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルシウムカルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムを含む。一般に、崩壊剤は製剤の1重量%〜25重量%、好ましくは5重量%〜20重量%を含む。
【0071】
結合剤は、一般に、錠剤に凝集性を付与する。適切な結合剤は、微結晶セルロース、ゼラチン、糖類、ポリエチレングリコール、天然および合成増粘剤、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロースならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。錠剤はまた、ラクトース(一水和物、スプレードライ一水和物、無水など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、ショ糖、ソルビトール、微結晶セルロース、デンプンおよびリン酸水素カルシウム二水和物などの希釈剤を含むこともできる。
【0072】
錠剤はまた、所望によりラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80などの表面活性剤ならびに二酸化珪素およびタルクなどの流動促進剤を含むこともできる。存在する場合、表面活性剤は錠剤の0.2重量%〜5重量%を含むことができ、流動促進剤は錠剤の0.2重量%〜1重量%を含むことができる。
【0073】
錠剤はまた、一般に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムの混合物などの滑沢剤を含む。滑沢剤は、一般に、錠剤の0.25重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜3重量%を含む。
【0074】
他の可能な成分は、抗酸化薬、着色剤、風味剤、防腐剤および味マスキング剤を含む。
典型的な錠剤は、約80%までの薬剤、約10重量%〜約90重量%の結合剤、約0重量%〜約85重量%の希釈剤、約2重量%〜約10重量%の崩壊剤、および約0.25重量%〜約10重量%の滑沢剤を含む。
【0075】
打錠用混合物は、直接またはローラーにより圧縮して錠剤を成形することができる。打錠用混合物または混合物の一部は、打錠の前に、湿式、乾式、もしくは溶融造粒化、溶融凝固、または押出しをすることもできる。最終製剤は、1以上の層を含むことができ、コーティングすることも、コーティングしないこともでき、カプセル化であってもできる。
【0076】
錠剤の製剤は、”Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Vol. 1”, by H. Lieberman and L. Lachman, Marcel Dekker, N.Y., N.Y., 1980 (ISBN 0-8247-6918-X) に詳しく説明されている。
【0077】
経口投与のための固形製剤は、即時放出および/または放出調節型で製剤化できる。放出調節製剤は、遅延放出、持続放出、パルス放出、放出制御、ターゲット放出およびプログラム放出を含む。本発明の目的のための適切な放出調節製剤は、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散剤および浸透コーティング粒子などの他の適切な放出技術の詳細は、Verma et al, Pharmaceutical Technology On-line, 25(2), 1-14 (2001) に記載されている。放出制御を達成するためのチューインガムの使用は、WO00/35298に記載されている。
【0078】
本発明の化合物は、血流、筋肉、または内部臓器中に直接に投与することもできる。非経口投与のための適切な手段は、静脈内、動脈内、腹腔内、鞘内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下を含む。非経口投与のための適切なデバイスは、針(微細針を含む)注射器、無針注射器および輸液技術を含む。
【0079】
非経口製剤は、一般的に、塩、炭水化物および緩衝化剤(好ましくはpH3〜9に調節)などの賦形剤を含有することができる水溶液であるが、適用によっては、滅菌パイロジェンフリー水などの適切なビヒクルと共に用いる滅菌非水溶液または乾燥形で製剤化することがさらに適切な場合がある。
【0080】
滅菌条件下での非経口製剤の調製(例えば、凍結乾燥による)は、当業者に公知の標準的製薬技法を用いて容易に達成できる。
非経口溶液の調整に用いられる本発明の化合物の溶解性は、溶解促進剤の混和などの適切な製剤技術の使用により増加させることができる。
【0081】
非経口投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節型で製剤化することができる。放出調節製剤は、遅延放出、持続放出、パルス放出、放出制御、ターゲット放出およびプログラム放出を含む。従って、本発明の化合物は、化合物の放出調節を提供するための埋め込み式デポーとしての投与のための、固体、半固体、またはチキソトロピックな液体として製剤化できる。このような製剤の例は、薬剤コートステントおよびPGLAマイクロスフェアを含む。
【0082】
本発明の化合物は、皮膚または粘膜へ局所投与(すなわち皮膚または経皮投与)することもできる。この目的のための典型的な製剤は、ゲル、ハイドロゲル、ローション、溶液、クリーム剤、軟膏、撒布剤、ドレッシング、フォーム、フィルム、皮膚パッチ、ウエハース、インプラント、スポンジ、繊維、包帯およびマイクロエマルジョンを含む。リポソームもまた使用できる。典型的な担体は、アルコール、水、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールを含む。透過促進剤を含むことができる(例えば、J Pharm Sci, 88 (10), 955-958 by Finnin and Morgan (October 1999) を参照のこと)。
【0083】
局所投与の他の手段は、エレクトロポレーション、イオントフォレシス、フォノフォレシス、ソノフォレシスおよび微細針または無針(例えば Powderject(登録商標)、Bioject(登録商標)など)注射による送達を含む。
【0084】
局所投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節型で製剤化できる。放出調節製剤は、遅延放出、持続放出、パルス放出、放出制御、ターゲット放出およびプログラム放出を含む。
【0085】
本発明の化合物は、一般的にドライパウダー吸入器からのドライパウダー(ラクトースとの乾式混合などによる混合物として単独、あるいは例えばホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合した混合成分粒子のいずれか)の形で、あるいは必要に応じて1,1,1,2−テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴射剤を用いる、加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器(好ましくは微細な霧を生じる電気流体力学を用いる噴霧器)、またはネブライザーからのエアゾールスプレーとして、鼻内または吸入投与することもできる。鼻内投与のためには、粉末はキトサンまたはシクロデキストリンなどの生体接着性薬剤を含むことができる。
【0086】
加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器、またはネブライザーは、例えば、化合物の分散、可溶化、または徐放性のためのエタノール(所望により、水性エタノール)または適切な代替薬剤、溶媒としての噴射剤(単数または複数)、およびトリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、またはオリゴ乳酸などの所望による界面活性剤を含んでなる、化合物の溶液またはサスペンジョンを含有する。
【0087】
ドライパウダーまたはサスペンジョン製剤に使用する前に、製剤は吸入による送達に適したサイズに微粉化される(一般的に5ミクロン未満)。これは、スパイラルジェットミル、流動層ジェットミル、ナノ粒子を形成させるための超臨界流体処理、高圧ホモジナイゼーション、または噴霧乾燥などの任意の適切な粉砕方法により達成できる。
【0088】
吸入器または吹き入れ器における使用のためのカプセル(ゼラチンまたはHPMCなどから製造)、ブリスターおよびカートリッジは、本発明の化合物、ラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤、およびl−ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウムなどのパフォーマンス修飾剤の粉末混合物を含有するように製剤化できる。ラクトースは、無水または一水和物(好ましくは後者)の形であることができる。他の適切な賦形剤は、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、ショ糖およびトレハロースを含む。
【0089】
微細な霧を生じさせるための、電気流体力学を用いる噴霧器における使用のための適切な液剤は、1回の作動あたり1μg〜20mgの本発明の化合物を含有することができ、作動容量は、1μl〜100μlに変えることができる。典型的な製剤は、本発明の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノールおよび塩化ナトリウムを含むことができる。プロピレングリコールの代わりに用いることができる代替溶媒は、グリセロールおよびポリエチレングリコールを含む。
【0090】
メントールおよびレボメントールなどの適切な風味剤、またはサッカリンもしくはサッカリンナトリウムなどの甘味料を、吸入/経鼻投与を対象とした本発明のこれらの製剤に添加することができる。
【0091】
吸入/経鼻投与のための製剤は、例えば、DL乳酸グリコール酸共重合体(PGLA)を用いて即時放出および/または放出調節型で製剤化できる。放出調節製剤は、遅延放出、持続放出、パルス放出、放出制御、ターゲット放出およびプログラム放出を含む。
【0092】
ドライパウダー吸入器およびエアゾールの場合、投与単位は所定量を送達するバルブを用いて測定できる。本発明に記載の単位は、一般的に、本発明の化合物の1μg〜10mgを含有する所定量または”一吹き”を投与するために取り決められる。1日総量は一般的に1μg〜200mgの範囲であり、これは単回投与でも投与できるが、より一般的には、1日を通して分割量で投与できる。
【0093】
本発明の化合物は、例えば、座剤、ペッサリ−、または浣腸剤の形で、直腸内または経膣投与できる。カカオバターは従来の座剤基剤であるが、種々の代替基剤もまた必要に応じて使用できる。
【0094】
直腸/経膣投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節型で製剤化できる。放出調節製剤は、遅延放出、持続放出、パルス放出、放出制御、ターゲット放出およびプログラム放出を含む。
【0095】
本発明の化合物は、眼または耳に直接に投与することもできるが、一般的に、等張pH調節滅菌生理食塩水中のマイクロサスペンジョンまたは溶液の滴剤の形で投与できる。眼内および耳内投与に適した他の製剤は、軟膏、生分解性(例えば吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(例えばシリコン)インプラント、ウエハース、レンズならびにニオソームまたはリポソームなどの微粒子または小胞系を含む。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロースポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはメチルセルロース)またはヘテロ多糖ポリマー(例えば、ジェランガム)などのポリマーを、塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤とともに含むことができる。このような製剤は、イオントフォレシスにより送達することもできる。
【0096】
眼内/耳内投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節型で製剤化できる。放出調節製剤は、遅延放出、持続放出、パルス放出、放出制御、ターゲット放出およびプログラム放出を含む。
【0097】
本発明の化合物は、前述の投与法のいずれかにおける使用に関して、その溶解性、溶出速度、味マスキング、生物学的利用率および/または安定性を改善するために、シクロデキストリンおよびその適切な誘導体またはポリエチレングリコール含有ポリマーなどの可溶性高分子物質と混合することができる。
【0098】
例えば、薬剤−シクロデキストリン複合体は、一般にたいていの製剤および投与経路に関して有用であることが認められている。包摂錯体および非包接錯体のいずれも使用できる。薬剤との直接の錯体形成の代わりとして、シクロデキストリンは補助添加剤、すなわち担体、希釈剤、または可溶化剤として使用できる。この目的のために最も一般に用いられるものにはα−、β−およびγ−シクロデキストリンがあり、これらの例は、国際特許出願番号WO91/11172、WO94/02518およびWO98/55148において見いだすことができる。
【0099】
例えば、特定の疾患または状態の治療の目的のために、本発明の化合物を他の治療剤と組み合わせて投与することが望ましい場合であっても、2以上の医薬組成物(医薬組成物の少なくとも1つが本発明の化合物を含有する)を、好都合には、組成物の同時投与に適したキットの形で組み合わせることができることは本発明の範囲内である。
【0100】
従って、本発明のキットは、2以上の個別の医薬組成物(医薬組成物の少なくとも1つが式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体を含有する)および、前記組成物を個別に保持する手段(容器、分割ボトル、または分割ホイルパケットなど)を含む。このようなキットの例には、錠剤、カプセルなどの包装に用いられる普通のブリスターパックがある。
【0101】
本発明のキットは、異なる投与間隔で個別の組成物を投与するための、あるいはお互いに対して個別の組成物を増量するための、異なる製剤(例えば、経口または非経口)を投与するのにとりわけ適している。コンプライアンスを促進するために、本キットは一般的に投与説明書を含み、いわゆる記憶補助を提供することができる。
【0102】
約65〜70kgの体重を有するヒト患者への投与のために、本発明の化合物の1日総量は、当然ながら、投与方法、患者の年齢、状態および体重によって決まり、一般的に1〜10000mgであり、例えば10〜1000mgであり、例として25〜500mgであり、いずれにせよ最終的には医師の裁量による。1日総量は、単回投与量または分割投与量で投与できる。
【0103】
従って、他の側面において、本発明は、1以上の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体とともに、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0104】
式(I)の化合物ならびにその薬学的に許容される塩、溶媒和物および誘導体は、先行技術の化合物と比較して、より選択的であるという利点を有し、より急速な作用開始を示し、より強力であり、より吸収性が良く、より安定であり、より代謝に対して抵抗性を有し、‘食事効果’の抑制を示し、改善された安全性プロフィールを示し、あるいは他のより所望される特徴(例えば溶解性または吸湿性に関して)を示す。
【0105】
特に、式(I)の化合物は代謝に対してより抵抗性を示す。同等またはそれ以上の有効性を示すと共に、代謝への抵抗性が増した式(I)の化合物を提供することにおいて、本発明は、先行技術の化合物よりも有意に低い投与量で治療的に有効なNNRTIである化合物を提供する。さらに、式(I)の化合物の溶解性の増加により、より低い投与量と投与経路における柔軟性が容易となる。これらの利点により、治療中の効力、安全性、および患者コンプライアンスの改善と治療コストの抑制が期待できる。
【0106】
式(I)の化合物ならびにその薬学的に許容される塩、溶媒和物および誘導体は、単独または組み合わせ療法の一部として投与できる。従って、本発明の化合物に加えて1以上のさらなる治療剤の同時投与、並びにそれらを含有する組成物を含んでなる実施態様は、本発明の範囲に含まれる。このような多剤レジメン(しばしば組み合わせ療法と呼ばれる)は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による感染の治療および予防に使用できる。このような組み合わせ療法の使用は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)および関連する病原性レトロウイルスの感染および増殖の治療および予防を必要とする患者またはそのリスク患者における、このような治療および予防に関して特に適切である。このようなレトロウイルス病原体が、比較的短期間内に前記患者に投与されていたいずれの単独療法に対しても耐性のある株に進化する能力を有することは文献公知である。HIVの推奨治療は、強力な抗レトロウィルス療法(HARRT:Highly Active Anti- Retroviral Therapy)と呼ばれる組み合わせ薬剤治療である。HAARTは3以上のHIV薬を組み合わせる。従って、本発明の治療方法および医薬組成物は単独療法の形で本発明の化合物を使用できるが、前記の方法および組成物はまた、1以上の本発明の化合物が、本明細書に詳細に記載されているような1以上のさらなる治療剤と組み合わせて同時投与される組み合わせ療法の形で使用することもできる。
【0107】
本発明の他の実施態様において、本発明の組み合わせは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体、および以下から選択される1以上のさらなる治療剤を用いる治療を含む:インジナビル、リトナビル、サキナビル、ネルフィナビル、ロピナビル、アンプレナビル、アタザナビル、チプラナビル、AG1859およびTMC114を含むがこれに限定されないHIVプロテアーゼインヒビター(PI);ネビラピン、デラビルジン、カプラビリン、エファビレンズ、GW−8248、GW−5634およびエタラビリンを含むがこれに限定されない非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI);ジドブジン、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、ラミブジン、アバカビル、アデフォビル・ジピボキシル、テノフォビルおよびエムトリシタビンを含むがこれに限定されないヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤;N−{(1S)−3−[3−(3−イソプロピル−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−4−イル)−エキソ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル]−1−フェニルプロピル}−4,4−ジフルオロシクロヘキサンカルボキサミドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体、1−エンド−{8−[(3S)−3−(アセチルアミノ)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}−2−メチル−1,4,6,7−テトラヒドロ−5H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボン酸メチルまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体、1−エンド−{8−[(3S)−3−(アセチルアミノ)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボン酸エチルまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体、Sch−D、ONO−4128、AMD−887、GW−873140およびCMPD−167を含むがこれに限定されないCCR5アンタゴニスト;AMD−3100、AMD−070、およびKRK−2731を含むがこれに限定されないCXCR4アンタゴニスト;L−870,810を含むがこれに限定されないインテグレース;エンフビリチドを含むがこれに限定されないエントリー(例えば融合)阻害剤;BMS806およびBMS−488043を含むがこれに限定されない、gp120およびCD4の相互作用を抑制する薬剤;およびリボヌクレアーゼH阻害剤。
【0108】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体に加えて、独立して以下からなるグループから選択される1以上のさらなる治療剤の組み合わせもまた本発明の範囲内に含まれる:増殖阻害剤(例えばヒドロキシウレア);免疫調節剤(顆粒球マクロファージコロニー刺激成長因子(例えばサルグラモスチム)、および種々の形のインターフェロンまたはインターフェロン誘導体など);CXCR4アンタゴニストなどの他のケモカイン受容体アゴニスト/アンタゴニスト(例えばAMD−3100、AMD−070またはKRK−2731);タキキニン受容体モジュレーター(例えばNK1アンタゴニスト)および種々の形のインターフェロンまたはインターフェロン誘導体;ウイルス転写およびRNA複製の阻害剤;CCR5受容体発現に影響する(特にダウンレギュレートする)薬剤;MIP−1α、MIP−1β、RANTESおよびその誘導体などのCCR5受容体の細胞内移行を誘発するケモカイン;ならびにウイルス感染を抑制するかまたは異なるメカニズムによりHIV感染患者の状態または医療の結果を改善する他の薬剤。
【0109】
CCR5受容体発現に影響する(特にダウンレギュレートする)薬剤は、カルシニューリン阻害剤などの免疫抑制剤(例えばタクロリムスおよびシクロスポリンA);ステロイド;ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤(例えば、3−{(3R,4R)−4−メチル−3−[メチル−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−アミノ]−ピペリジン−1−イル}−3−オキソ−プロピオニトリルを含むJAK−3阻害剤)およびその薬学的に許容される塩、溶媒和物または誘導体などの、サイトカイン産生またはシグナル伝達を抑制する薬剤;サイトカイン抗体(例えば、バシリキシマブおよびダクリズマブを含むインターロイキン−2(IL−2)受容体を阻害する抗体);ならびにラパマイシンなどの、細胞活性化または細胞周期を抑制する薬剤を含む。
【0110】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体と、本発明の化合物の代謝速度をさらに抑制し、それにより患者における暴露の増加をもたらす1以上のさらなる治療剤との組み合わせもまた本発明の範囲に含まれる。このような暴露の増加はブーストとして知られる。このことは、本発明の化合物の効力を増す利点を有し、あるいはブーストされない場合の投与量と同じ効力が少ない投与量で達成される利点を有する。本発明の化合物の代謝は、P450(CYP450)酵素(特にCYP3A4)により行われる酸化過程ならびにUDPグルクロノシルトランスフェラーゼおよび硫酸化酵素による抱合を含む。従って、本発明の化合物への患者の暴露を増加させるために使用できる薬剤の中には、シトクロムP450(CYP450)酵素の少なくとも1つのアイソフォームの阻害剤として作用できるものがある。好都合に阻害できるCYP450のアイソフォームは、限定するものではないが、CYP1A2、CYP2D6、CYP2C9、CYP2C19およびCYP3A4を含む。CYP3A4を阻害するために使用できる適切な薬剤は、限定するものではないが、リトナビル、サキナビルまたはケトコナゾールを含む。
【0111】
上記の組み合わせ薬剤治療が同一または異なる作用メカニズムを有する2以上の化合物を含むことができることは、当業者には理解されるであろう。従って、単なる例示ではあるが、組み合わせは、本発明の化合物ならびに:1以上の他のNNRTI;1以上のNRTIおよびPI;1以上のNRTIおよびCCR5アンタゴニスト;PI;PIおよびNNRTI;などを含むことができる。
【0112】
本発明の化合物に加えて治療剤の使用を必要とさせる治療効果の必要条件に加えて、基礎または原疾患または状態から直接または間接にもたらされる疾患または状態の治療などにおける、本発明の化合物および他の治療剤の組み合わせの使用を強要するかあるいは強く勧めるさらなる理論的根拠が存在しうる。例えば、治療を受けている患者の免疫不全状態の結果として起こる、C型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、日和見感染(微生物および真菌感染を含む)、新生物、および他の疾患の治療が必要とされるかあるいは少なくとも所望される場合がある。例えば、免疫刺激を提供するか、あるいは初期および持続HIV感染に伴う疼痛および炎症を治療するために、本発明の化合物とともに他の治療剤を使用することができる。
【0113】
従って、式(I)の化合物ならびにその薬学的に許容される塩、溶媒和物および誘導体との組み合わせにおける使用のための治療剤は、以下も含む:肝炎治療のためのインターフェロン、ペグ化インターフェロン(例えばペグインターフェロンアルファ−2aおよびペグインターフェロンアルファ−2b)、ラミブジン、リバビリン、およびエムトリシタビン;フルコナゾール、イトラコナゾール、およびボリコナゾールなどの抗真菌剤;アジスロマイシンおよびクラリスロマイシンなどの抗菌剤;AIDS関連カポジ肉腫の治療のためのインターフェロン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、およびパクリタキセル;ならびにサイトメガロウイルス(CMV)網膜炎治療のためのシドフォビル、ホミビルセン、フォスカルネット、ガンシクロビルおよびバルサイト。
【0114】
本発明の使用のためのさらなる組みあわせは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体と以下との組み合わせを含む:CCR1アンタゴニスト(BX−471など);β−アドレナリン受容体アゴニスト(サルメテロールなど);コルチコステロイドアゴニスト(プロピオン酸フルチカゾンなど);LTD4アンタゴニスト(モンテルカストなど);ムスカリンアンタゴニスト(臭化チオトロピウムなど);PDE4阻害剤(シロミラストまたはロフルミラストなど);Cox−2阻害剤(セレコキシブ、バルデコキシブまたはロフェコキシブなど);α−2−δリガンド(ガバペンチンまたはプレガバリン);β−インターフェロン(REBIFなど);TNF受容体モジュレーター(TNF−α阻害剤(例えばアダリムマブ)など);HMGCoAレダクターゼ阻害剤(スタチン(例えばアトルバスタチン)など);あるいは免疫抑制剤(シクロスポリンもしくはタクロリムスなどのマクロライド)。
【0115】
上記の組み合わせにおいて、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体および他の治療剤(単数または複数)は、製剤に関しては個別もしくは一緒に;そして投与の時間に関しては、同時もしくは順次に投与できる。従って、ひとつの成分の薬剤の投与は、他の成分の薬剤(単数または複数)の投与の前、同時、または後であることができる。
【0116】
従って、本発明のさらなる側面において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体および1以上のさらなる治療剤を含んでなる医薬組成物が提供される。
【0117】
本明細書において、治療というときは全て、治癒的、緩和的および予防的治療を含むことが認識されなければならない。
本発明は、以下の実施例および製造方法により例示されるが、例中、以下のさらなる略語を使用することができる:
h=時間
min=分
rt=室温
LRMS=低分解能マススペクトル
HLRMS=高分解能マススペクトル
APCI+=大気圧化学イオン化
ESI+=エレクトロスプレー法イオン化
LCMS=液体クロマトグラフィー/質量分析法
TLC=薄層クロマトグラフィー
Me=メチル。
液体クロマトグラフィー/質量分析法(LCMS)条件には以下を用いた:
カラム: Phenomenex Luna 3u C18 100A、50 x 2.00mm 3u Micron; 溶離液:5min 勾配溶離法,溶媒A:0.1%ギ酸+水,溶媒B:0.1%ギ酸+アセトニトリル,1ml/min。
(実施例)
実施例1:5−[3,5−ジエチル−2−(2−ヒドロキシエチル)−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル
【0118】
【化4】

【0119】
製造方法8の化合物(110mg,0.26mmol)のジクロロメタン(4mL)溶液に塩化第二鉄(214mg,1.3mmol)を一度に加え、反応物を室温で10分間撹拌した。この時間の後、さらなる塩化第二鉄(214mg,1.3mmol)を一度に加え、得られた混合物を室温で5分間撹拌した。混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(20mL)で洗浄した。2層を分離し、水層を酢酸エチル(2x20mL)で洗浄した。合わせた有機溶液を水(10mL)、飽和ブライン(10mL)で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で留去した。残渣をジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(93:7:0.7)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。これにより黄色固体で不純な表題化合物を得、これをn−ペンタン:酢酸エチル(1:1〜1:2)の溶離勾配を用いる2回目のシリカゲルクロマトグラフィーにかけ、ついでメタノール:酢酸エチル(5:95)の溶離勾配により、表題化合物を無色フォーム(32mg)で得た。
LRMS: m/z APCI 327 [M+H]+.
実施例2および3
製造方法9および10の化合物をそれぞれ用い、上記実施例1の方法に従って、以下の化合物を製造した。
実施例2:5−[5−エチル−2−(2−ヒドロキシエチル)−3−(ピリジン−2−イルメチル)−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル
【0120】
【化5】

【0121】
LCMS: 保持時間 = 2.21 min. m/z ESI 390 [M+H]+.
実施例3:5−[5−エチル−2−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル
【0122】
【化6】

【0123】
LCMS: 保持時間 = 1.95 min. m/z ESI 313 [M+H]+.
実施例4:カルバミン酸2−[5−(3,5−ジシアノ−フェニルスルファニル)−4−エチル−1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル]−エチルエステル
【0124】
【化7】

【0125】
実施例3の化合物(200mg0.67mmol)の溶液をジクロロメタン(6mL)に溶解し、0℃で、トリクロロアセチルイソシアネート(79μL,0.67mmol)で処理した。この混合物を0℃で2時間撹拌した後、トリクロロアセチルイソシアネート(79μL,0.67mmol)を加え、反応混合物を10分間撹拌し、アルミナパッド(Brockmann I,3重量%の水を加え4日間撹拌した中性アルミナ)に注いだ。10分後、酢酸エチル(70mL)をアルミナパッドに通過させ、濾液を蒸発乾固して透明オイル(223mg)を得、これは放置後固化した。この残渣を酢酸エチル(50mL)およびNaCO(10%w/v水溶液,50mL)間で分配し、2層を分離した。水層を酢酸エチル(50mL)で抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で留去した。残渣を酢酸エチル(20mL)から再結晶し、表題化合物(89mg)を白色固体で得た。
LCMS: 保持時間 = 2.37 min. m/z ESI 356 [M+H]+.
実施例5:5−[3,5−ジエチル−2−(2−ヒドロキシエチル)−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル
【0126】
【化8】

【0127】
製造方法8の化合物(65g 156mmol)のジクロロメタン(800mL)溶液に、撹拌しながら、25分かけて、三塩化ホウ素−メチルスルフィド錯体のジクロロメタン溶液(2M溶液156ml,312mmol)を滴下した。得られた溶液を室温で3時間撹拌し、ついで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1L)中に注いだ。2層を分離し、水層をジクロロメタン(3x200mL)でさらに抽出した。合わせた有機分画を飽和ブライン(800mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で留去した。残渣をメタノール:酢酸エチル(0:1〜1:10)の溶離勾配を用いるシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、固体を得た。この固体を酢酸エチルおよびペンタンの混合物から再結晶し、表題化合物を白色固体(28g)で得た。LRMSデータは、実施例1の表題化合物のものと一致した。
実施例6:5−(3,5−ジエチル−2−ヒドロキシメチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル
【0128】
【化9】

【0129】
製造方法19の化合物(500mg,1.24mmol)のジクロロメタン(12mL)溶液に、三塩化ホウ素−メチルスルフィド錯体溶液(2Mジクロロメタン溶液,2.5mL,5mmol)を加え、混合物を室温で18時間撹拌した。ついで反応物を炭酸水素ナトリウム溶液(40mL)でクエンチし、混合物をさらに2時間撹拌した。2層を分離し、水層をジクロロメタン(2x20mL)で抽出した。合わせた有機溶液をブライン(20mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣を、ペンタン:酢酸エチル(50:50〜0:100)、ついでジクロロメタン:メタノール(95:5)を溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。該当する分画を減圧下で留去し、残渣をエタノール/水から再結晶し、減圧下、100℃で乾燥して、表題化合物を固体として収率54%(210mg)で得た。
LRMS: m/z APCI 313 [M+H]+ 融点; 141〜143℃.
実施例7:5−[5−シクロプロピル−3−エチル−2−(2−ヒドロキシ−エチル)−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル
【0130】
【化10】

【0131】
製造方法38の化合物(655mg,1.53mmol)のジクロロメタン(15mL)溶液に、三塩化ホウ素−メチルスルフィド錯体溶液(2Mジクロロメタン溶液,2.5mL,5mmol)を加え、混合物を室温で4.5時間撹拌した。ついで反応物を炭酸水素ナトリウム溶液(20mL)の添加によりクエンチし、2層を分離した。水層をジクロロメタン(15mL)で抽出し、合わせた有機溶液をブライン(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチル:ジクロロメタン:メタノール(100:0:0〜0:98:2〜0:95:5)を溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。該当する分画を減圧下で留去し、残渣をペンタン/ジエチルエーテル混合物中で粉末化し、濾過し、減圧下50℃で乾燥し、表題化合物を固体として収率80%(410mg)で得た。
LRMS: m/z APCI 339 [M+H]+. 融点; 122〜124℃.
実施例8:5−(3−エチル−2−ヒドロキシメチル−5−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル
【0132】
【化11】

【0133】
製造方法49の化合物(0.73g,1.75mmol)のジクロロメタン(15mL)溶液に、三塩化ホウ素−メチルスルフィド錯体溶液(2Mジクロロメタン溶液,1.75mL,3.5mmol)を加え、混合物を室温で2時間撹拌した。ついでさらなる三塩化ホウ素−メチルスルフィド錯体溶液(2Mジクロロメタン溶液,1mL,2mmol)を混合物に加え、撹拌をさらに4時間続けた。ついで反応物を炭酸水素ナトリウム溶液(40mL)でクエンチし、混合物を15分間撹拌した。2層を分離し、水層をジクロロメタン(50mL)で抽出した。合わせた有機溶液をブライン(20mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をペンタン:酢酸エチル(50:50:0〜0:100:0)、ジクロロメタン:メタノール(95:5)で順次溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。該当する分画を減圧下で留去し、残渣をペンタン/ジエチルエーテル混合物(75:25)で粉末化し、減圧下45℃で乾燥し、表題化合物を固体として収率42%(242mg)で得た。
LRMS: m/z APCI 327 [M+H]+.融点; 167〜169℃.
実施例9〜12
適切な出発物質および三塩化ホウ素−メチルスルフィド錯体溶液を用い、実施例6に記載の方法と同様な方法で、下記一般式の以下の化合物を製造した。反応物をTLC分析でモニターし、室温で3〜18時間撹拌した。
【0134】
【化12】

【0135】
【表1】

【0136】
実施例13:カルバミン酸4−シクロプロピル−5−(3,5−ジシアノ−フェニルスルファニル)−1−エチル−1H−イミダゾール−2−イルメチルエステル
【0137】
【化13】

【0138】
実施例46の化合物(100mg 0.31mmol)のテトラヒドロフラン(2mL)溶液を氷冷しながらトリクロロアセチルイソシアネート(44μL,0.37mmol)で処理し、混合物を3時間撹拌した。この時間の後、さらなるトリクロロアセチルイソシアネート(22μL,0.19mmol)を加え、撹拌を1時間続けた。ついで反応混合物をジクロロメタン(10mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)でクエンチした。水層を分離し、ジクロロメタン(10mL)で抽出し、合わせた有機溶液をアルミナパッド(Brockmann I,3重量%の水を加え4日間撹拌した中性アルミナ)に注いだ。10分後、酢酸エチル:メタノール(100:0〜90:10)をアルミナパッドに通過させ、合わせた濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル:ペンタン(50:50)、ジクロロメタン:メタノール(95:5)で順次溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色ガラス物質を得た。ついでガラス物質をペンタン:ジエチルエーテル(75:25,数滴のジクロロメタンを加えたもの)中で粉末化し、表題化合物を白色粉末として収率40%(45mg)で得た。
LRMS: m/z APCI 368 [M+H]+. 融点 170〜172 ℃.
実施例14:カルバミン酸4−シクロプロピル−5−(3,5−ジシアノ−フェニルスルファニル)−1−メチル−1H−イミダゾール−2−イルメチルエステル
【0139】
【化14】

【0140】
実施例13の方法と同様な方法を用い、実施例32の化合物およびトリクロロアセチルイソシアネートから、固体として収率65%で表題化合物を製造した。
LRMS: m/z APCI 354 [M+H]+
実施例15:カルバミン酸5−(3,5−ジシアノ−フェニルスルファニル)−1−エチル−4−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−イルメチルエステル
【0141】
【化15】

【0142】
実施例8の化合物(500mg,1.53mmol)のテトラヒドロフラン(15mL)溶液を−10℃に冷却し、トリクロロアセチルイソシアネート(215μL,1.84mmol)で処理した。混合物を室温まで加温し、2時間撹拌した。ついで反応物を水でクエンチし、ジクロロメタンで希釈した。水層を分離し、ジクロロメタンで抽出し、合わせた有機溶液をアルミナパッド(Brockmann I,3重量%の水を加え4日間撹拌した中性アルミナ)に注いだ。10分後、酢酸エチル:メタノール(100:0〜90:10)をアルミナパッドに通過させ、合わせた濾液を減圧下で濃縮し、白色固体を得た。ついで固体をペンタン:酢酸エチル(75:25)中で粉末化し、表題化合物を白色固体として収率80%(450mg)で得た。
LRMS: m/z APCI 370 [M+H]+.融点 174〜175 ℃.
実施例16〜22
適切なアルコールおよびトリクロロアセチルイソシアネートを用い、実施例4に記載の方法と同様な方法で、下記一般式の以下の化合物を製造した。
【0143】
【化16】

【0144】
【表2】

【0145】
実施例23:5−[3,5−ジエチル−2−(2−メトキシ−エチル)−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル
【0146】
【化17】

【0147】
実施例5の化合物(150mg,0.46mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1.5mL)氷冷溶液に、水素化ナトリウム(60%鉱油分散液,20mg,0.50mmol)およびヨウ化メチル(48μL,0.76mmol)を加え、混合物を室温で18時間撹拌した。ついで反応混合物を水(25mL)で希釈し、酢酸エチル(3x25mL)で抽出した。合わせた有機溶液を水(25mL)およびブライン(25mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(100:0:0〜95:5:0.5)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を収率58%(90mg)で無色樹脂として得た。
LRMS: m/z APCI 341 [M+H]+
実施例24:5−(3−エチル−5−イソプロピル−2−メトキシメチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル
【0148】
【化18】

【0149】
実施例23の方法と同様な方法を用い、実施例8の化合物から表題化合物を製造した。ペンタン:酢酸エチル(50:50)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで粗化合物を精製し、ついでジエチルエーテル:ペンタン(75:25)で粉末化して、所望の生成物を白色固体として収率60%で得た。
LRMS: m/z APCI 341 [M+H]+. 融点 156〜158℃.
実施例25:5−(2−アミノメチル−3,5−ジエチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル
【0150】
【化19】

【0151】
製造方法21の化合物(211mg,0.48mmol)のエタノール(4mL)懸濁液に、モレキュラーシーブ(4A,100mg)およびヒドラジン一水和物(118μL,2.4mmol)を加え、混合物を45℃で18時間加熱した。ついで反応混合物を濾過し、残渣を酢酸エチル(20mL)で洗浄した。濾液をさらなる酢酸エチル(10mL)で希釈し、水(40mL)で洗浄し、水層を酢酸エチル(20mLx2)で再抽出した。合わせた有機溶液をブライン(10mL)で洗浄し、ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(95:5:0.5〜90:10:1)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで直接精製して、表題化合物を白色固体として収率33%(50mg)で得た。
LRMS: m/z APCI 312 [M+H]+. 融点 133〜135 ℃.
実施例26:5−(5−エチル−2−ヒドロキシメチル−3−(ピリジン−2−イルメチル)−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル
【0152】
【化20】

【0153】
製造方法23の化合物(400mg,1.41mmol)および2−(クロロメチル)ピリジン塩酸塩(254mg,1.55mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(3mL)溶液に炭酸カリウム(580mg,4.2mmol)を加え、懸濁液を室温で20時間撹拌した。ついで反応混合物を水で希釈し、酢酸エチル(50mL,2x20mL)で抽出した。合わせた有機溶液を水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(95:5:0.5)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで残渣を精製し、ついでジイソプロピルエーテルおよび酢酸エチルの混合物中で粉末化して、表題化合物を収率10%(55mg)で得た。
LRMS: m/z APCI 376 [M+H]+
実施例27:カルバミン酸5−(3,5−ジシアノ−フェニルスルファニル)−4−エチル−1−(ピリジン−2−イルメチル)−1H−イミダゾール−2−イルメチルエステル
【0154】
【化21】

【0155】
実施例4の方法と同様の方法を用い、実施例26の化合物およびトリクロロアセチルイソシアネートから、固体として収率27%で表題化合物を製造した。
LRMS: m/z APCI 419 [M+H]+
実施例28〜40
適切なイミダゾールおよび適切なハロゲン化アルキルを用い、実施例26に記載の方法と同様な方法で、下記一般式の以下の化合物を製造した。
【0156】
【化22】

【0157】
【表3】

【0158】
【表4】

【0159】
(a)トルエン:酢酸エチル(100:0〜0:100)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
(b)18時間後、さらなるヨウ化メチル(0.5当量)を加え、合計36時間撹拌を続けた。
(c)18時間後、さらなる炭酸カリウム(1当量)および2−(ブロモメチル)ピリジン臭化水素酸塩(0.2当量)を加え;42時間後、さらなる2−(ブロモメチル)ピリジン臭化水素酸塩(0.2当量)を加え、合計66時間撹拌を続けた。
(d)18時間後、さらなる炭酸カリウム(1当量)および4−(クロロメチル)ピリジン塩酸塩(0.2当量)を加え、42時間後、さらなる4−(クロロメチル)ピリジン塩酸塩(0.2当量)を加え、合計66時間撹拌を続けた。
実施例41:5−(2−アミノメチル−5−シクロプロピル−3−エチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル
【0160】
【化23】

【0161】
実施例46の化合物(144mg,0.77mmol)、高分子担持トリフェニルホスフィン(260mg,0.77mmol)、(114mg,0.77mmol)およびテトラヒドロフラン(7mL)の混合物に、アゾジカルボン酸ジイソプロピルエステル(150μL,0.72mmol)のテトラヒドロフラン(1mL)溶液を加え、混合物を室温で4時間撹拌した。ついで反応混合物を濾過し、ジクロロメタン(50mL)を通過させて洗浄し、濾液を減圧下で濃縮した。ジクロロメタン:メタノール(100:0〜98:2)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで残渣を精製し、白色固体の中間体を得た。中間体のエタノール(5mL)溶液にヒドラジン一水和物(75mg,1.5mmol)を加え、混合物を45℃で1時間撹拌した。TLC分析により、出発物質の残留が示されたので、さらなるヒドラジン一水和物(75mg,1.5mmol)を加え、得られた溶液を55℃で2時間加熱した。ついで混合物を室温まで冷却し、固体残渣をエタノールで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、酢酸エチル:ジクロロメタン:メタノール(100:0:0〜0:98:2〜0:90:10)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで残渣を精製し、表題化合物を黄色フォームとして収率63%(60mg)で得た。
LRMS: m/z APCI 324 [M+H]+
実施例42:5−(2−アミノメチル−5−シクロプロピル−3−エチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル酒石酸塩
【0162】
【化24】

【0163】
実施例41の化合物(60mg,0.19mmol)のアセトン(2mL)溶液にL−酒石酸(28mg,0.19mmol)を加えた。透明な溶液になるまで懸濁液を加熱し、ついで室温まで放冷した。得られた黄色沈殿を濾過により回収し、氷冷したアセトンで洗浄し、表題化合物を固体として収率42%(36mg)で得た。
LRMS: m/z APCI 324 [M+H]+. 融点: 190〜192℃.
実施例43:[4−シクロプロピル−5−(3,5−ジシアノ−フェニルスルファニル)−1−エチル−1H−イミダゾール−2−イルメチル]−尿素
【0164】
【化25】

【0165】
実施例4の方法と同様な方法を用い、実施例41の化合物およびトリクロロアセチルイソシアネートから収率0.4%で表題化合物を製造した。
LRMS: m/z APCI 367 [M+H]+.
実施例44:[5−(3,5−ジシアノ−フェニルスルファニル)−1−エチル−4−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−イルメチル]−尿素
【0166】
【化26】

【0167】
実施例4の方法と同様な方法を用い、実施例45の化合物およびトリクロロアセチルイソシアネートから、白色固体として収率0.4%で表題化合物を製造した。
LRMS: m/z APCI 369 [M+H]+.
実施例45:5−(2−アミノメチル−3−エチル−5−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル
【0168】
【化27】

【0169】
実施例25の方法と同様の方法を用い、製造方法22の化合物から、白色固体として収率72%で表題化合物を製造した。
LRMS: m/z APCI 326 [M+H]+.
実施例46:5−(5−シクロプロピル−3−エチル−2−ヒドロキシメチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル
【0170】
【化28】

【0171】
製造方法37の化合物(680mg,1.64mmol)のジクロロメタン(16mL)溶液に、三塩化ホウ素−メチルスルフィド錯体溶液(2Mジクロロメタン溶液,1.65mL,3.3mmol)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。ついで炭酸水素ナトリウム溶液(25mL)を加えて反応物をクエンチし、ジクロロメタン(25mL)で希釈した。2層を分離し、水層をジクロロメタン(20mL)で抽出した。合わせた有機溶液をブライン(20mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮して黄色残渣を得た。ジクロロメタン:メタノール(100:0〜98:2)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで残渣を精製した。該当する分画を減圧下で留去し、残渣を酢酸エチル/ペンタンから再結晶して、表題化合物を無色結晶として収率35%(200mg)で得た。
LRMS: m/z ES 325 [M+H]+.
実施例47:5−(5−エチル−2−ヒドロキシメチル−3−(ピリジン−4−イルメチル)−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル
【0172】
【化29】

【0173】
製造方法23の化合物(140mg,0.49mmol)および4−(クロロメチル)ピリジン塩酸塩(89mg,0.54mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1.5mL)溶液に炭酸カリウム(160mg,1.2mmol)を加え、懸濁液を室温で20時間撹拌した。ついで反応混合物を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(30mL,20mL)で抽出した。合わせた有機溶液を水(10mL)およびブライン(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。最初にジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(100:0:0〜95:5:0.5)で溶出し、ついでトルエン:酢酸エチル:ジエチルアミン(1:0:0〜0:9:1)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで残渣を2度精製した。0.1%トリフルオロ酢酸を添加したアセトニトリルを移動層とするChirapak AD−H逆相カラムを用いるHPLCで生成物をさらに精製し、表題化合物を無色樹脂として収率13%(44mg)で得た。
LRMS: m/z ESI 376 [M+H]+.
製造方法1:O−(3,5−ジシアノフェニル)ジメチルチオカルバメート
炭酸ナトリウム(48g,450mmol)の1−メチル−2−ピロリジノン(200mL)懸濁液に、0℃、窒素雰囲気下で、撹拌しながら3,5−ジシアノヒドロキシベンゼン(WO02/085860)(50g,350mmol)の1−メチル−2−ピロリジノン(200mL)溶液を加えた。室温に加温後、得られた混合物を周囲温度で30分間撹拌した。ついで塩化ジメチルチオカルバモイル(56g,450mmol)の1−メチル−2−ピロリジノン(200mL)溶液を加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌し、ついで70℃で16時間撹拌した。この時間の後、反応混合物を室温まで冷却し、水(200mL)を加えた。得られた白色沈殿物を濾過により回収し、真空オーブン中55℃で48時間乾燥して表題化合物を無色固体(53g)として得た。
製造方法2:S−(3,5−ジシアノフェニル)ジメチルチオカルバメート
製造方法1の化合物(49.9g,216mmol)のサンプルを窒素雰囲気下200℃で加熱した。サンプルは融解し、黒変し始め、1時間後に固化した。この固体の加熱をさらに2時間続け、ついで反応混合物を室温まで冷却し、同定せずに製造方法3に直接に用いた。
製造方法3:5−メルカプトイソフタロニトリル
製造方法2の化合物のテトラヒドロフラン(500mL)およびメタノール(400mL)懸濁液に、室温で撹拌しながら水酸化ナトリウム(8.6g,216mmol)のメタノール(100mL)溶液を滴下した。15時間後、反応混合物を濃縮し、残渣を水(800mL)に溶解し、ジクロロメタン(2x100mL)で洗浄し、水性成分に2M塩酸水溶液(110mL)を加えたところ、黄色溶液からクリーム色の沈殿物が生じた。沈殿物を濾過により回収し、水(100mL)で洗浄し、吸引で乾燥してベージュ色の粉末を得た。粗生成物をメタノール/水(容量でおおよそ1:1)から再結晶し、ベージュ色の針状晶(10g)として表題化合物の最初のバッチを得た。母液を水で希釈することにより、前述の再結晶に適した白色粉末として表題化合物の第2のバッチを得た。
製造方法4:2−[2−(ベンジルオキシ)エチル]−4−エチル−1H−イミダゾール
2,2−ジクロロブタナール(Synthesis, 1975, 455-456) (2.47g, 17.5mmol)のアセトニトリル(10mL)溶液に、0℃、窒素雰囲気下で撹拌しながら3−ベンジルオキシ−1−プロピオンアルデヒド(Tetrahedron, 2000, 56, 5303-5310)(2.82g,17.5mmol)を加え、ついで0.88アンモニア(20mL)を加えた。反応物を室温で16時間撹拌した。混合物を減圧下で留去し、残存液体を水(10mL)で希釈し、ジクロロメタン(3x20mL)で洗浄し、合わせた有機分画を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で留去した。ジクロロメタン:メタノール(100:0〜98:2〜97:3)の溶離勾配を用いるシリカゲルクロマトグラフィーで残渣を精製した。これにより表題化合物を黄色オイル(1.84g)として得た。
製造方法5:2−[2−(ベンジルオキシ)エチル]−4−エチル−5−ヨード−1H−イミダゾール
製造方法4の化合物(500mg,2.17mmol)をジクロロメタン(2.5mL)に加えたものに、0℃で、水酸化ナトリウム(9.6mg,2.4mmol)水(1.5mL)溶液を加えた。この溶液を激しく撹拌しながら、ヨウ素(716mg,2.82mmol)のジクロロメタンおよびメタノール(5:2,合計6mL)混合物溶液を10分かけて滴下した。得られた混合物を0℃で20分間撹拌し、ついで5%亜硫酸ナトリウム水溶液(40mL)を加えてクエンチし、混合物をジクロロメタン(3x30mL)で抽出した。合わせた有機分画を水(15mL)、ブライン溶液(20mL)で順次洗浄し、有機分画を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で留去した。ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(100:0:0〜95:5:0.5)の溶離勾配を用いるシリカゲルクロマトグラフィーで残渣を精製した。これにより、表題化合物を無色樹脂(460mg)として得た。
製造方法6:5−[(3,5−ジシアノフェニル)ジチオ]イソフタロニトリル
製造方法3の化合物(2g,12.5mmol)を水酸化カリウム(580mg,12.5mmol)水(4mL)溶液に懸濁したものに、ヨウ素(1.59g,6.25mmol)およびヨウ化カリウム(2.07g,12.5mmol)の水(4mL)溶液を滴下した。得られた混合物を室温で16時間撹拌した。これにより生成した固体を濾過により回収し、水(10mL)で洗浄した。この湿った固体を酢酸エチル(300mL)に溶解し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。ジクロロメタン:酢酸エチル(100:0〜95:5)の溶離勾配を用いるシリカゲルクロマトグラフィーで残渣を精製した。これにより、表題化合物を白色固体(800mg)として得た。
製造方法7:5−[2−(2−ベンジルオキシエチル)−5−エチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル
製造方法5または11の化合物(450mg,1.26mmol)を乾燥ジメチルスルホキシド(2mL)に加えたものに、水素化リチウム(11mg,1.35mmol)を一度に加えた。得られた混合物を窒素雰囲気下で10分間撹拌し、ついで製造方法6の化合物(403mg1.26mmol)を一度に加えた。得られた溶液を60℃で3時間加熱し、ついで室温まで冷却した。ついで混合物を0℃に冷却し、水(40mL)を加えた。この混合物を酢酸エチル:ジエチルエーテル(1:1,2x50mL)の混合物で抽出した。合わせた有機分画を水(15mL)、ブライン溶液(2x30mL)で順次洗浄し、ついで硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。ジクロロメタン:メタノール(100:0〜98:2)の溶離勾配を用いるシリカゲルクロマトグラフィーで残渣を精製した。これにより、不純な黄色オイルとして表題化合物を得、これをn−ペンタン:酢酸エチル(1:1〜1:4)の溶離勾配を用いる2回目のシリカゲルクロマトグラフィーにかけ、表題化合物を無色樹脂(300mg)として得た。
製造方法8:5−[2−(2−ベンジルオキシエチル)−3,5−ジエチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル
製造方法7または12の化合物(290mg,0.75mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)に加えたものに、炭酸カリウム(160mg,1.2mmol)、ヨウ化エチル(125mg,0.8mmol)を順次加え、得られた混合物を室温で26時間撹拌した。この時間の後、混合物を水(25mL)で希釈し、混合物を酢酸エチル(2x25mL)で抽出した。合わせた有機分画を水(5mL)、ブライン溶液(10mL)で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。トルエン:酢酸エチル(4:1〜2:1)の溶離勾配を用いるシリカゲルクロマトグラフィーで残渣を精製した。これにより、最も極性の高い異性体(カラムから2番目に溶出される)として表題化合物を無色樹脂(120mg)で得た。
製造方法9および10
適切なアルキル化剤[それぞれ2−(クロロメチル)−ピリジン塩酸塩およびヨードメタン]を用い、製造方法8から、前述の方法に従って以下の化合物を製造した。
製造方法9:5−[2−(2−ベンジルオキシエチル)−5−エチル−3−(ピリジン−2−イルメチル)−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル
製造方法10:5−[2−(2−ベンジルオキシエチル)−5−エチル−3−メチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル
製造方法11:2−(2−ベンジルオキシエチル)−4−エチル−5−ヨード−1H−イミダゾール
3−ベンジルオキシ−1−プロピオンアルデヒド(Tetrahedron, 2000, 56, 5303-5310) (135g, 957mmol)および2,2−ジクロロブタナール(Synthesis, 1975, 455-456)(154.3g,957mmol)のアセトニトリル(250mL)溶液を窒素雰囲気下で−5℃に冷却し、0.88アンモニア(650mL,50mLづつ加えた)で処理した。反応物を室温で16時間撹拌した。ジクロロメタン(500mL)を混合物に加え、2層を分離した。水層をジクロロメタン(2x200mL)でさらに抽出し、合わせた有機分画を飽和ブライン(500mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で留去して、244gの粘稠なオレンジ色オイルを得た。このオイルをジクロロメタン(400mL)に溶解し、0℃に冷却し、水酸化ナトリウム(46.61g,1.165mol)水(200mL)溶液で処理した。ついでヨウ素(295.8g,1.165mol)のメタノール:ジクロロメタン(1:1,400mL)スラリーをよく撹拌した混合物に加えた。得られた黒褐色混合物を1時間撹拌し、8℃に加温した。混合物をジクロロメタン(400mL)で希釈し、激しく撹拌しながら10%亜硫酸ナトリウム水溶液(500mL)で処理した。2層を分離し、水層をジクロロメタン(2x300mL)でさらに抽出した。合わせた有機分画を10%亜硫酸ナトリウム水溶液(500mL)および飽和ブライン(600mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で留去した。ペンタン:酢酸エチル(1:1〜0:1)の溶離勾配を用いるシリカゲルクロマトグラフィーで残渣を精製し、固体を得た。この固体をペンタン(1L)で処理し、冷却して撹拌し、得られた固体を濾過により回収し、ペンタン(500mL)で洗浄して、表題化合物を白色固体(117.44g)として得た。
製造方法12:5−[2−(2−ベンジルオキシ−エチル)−5−エチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル
製造方法5または11の化合物(18.5g,51.97mmol)をアセトニトリル(200mL)に加えたものに、製造方法3の化合物(6g,72.5mmol)、炭酸セシウム(13g,77.85mmol)を順次加えた。得られた混合物を還流条件下で72時間加熱し、ついで混合物を周囲温度に冷却し、水(150mL)を加えた。これにジクロロメタン(250mL)を加え、2層を分離した。水抽出物をジクロロメタン(150mL)で洗浄し、合わせた有機抽出物をブライン溶液(150mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で溶媒を除去した。酢酸エチル:ペンタン(1:1)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーで残渣を精製した。これにより、表題化合物をオレンジ色オイル(19.34g)として得た。
製造方法13:2−ベンジルオキシメチル−4−エチル−1H−イミダゾール
2,2−ジクロロブタナール(Synthesis, 1975, 455-456)(11.4g,80.9mmol)のアセトニトリル(40mL)溶液に、0℃、窒素雰囲気下で撹拌しながらベンジルオキシアセトアルデヒド(11.4mL,80.9mmol)を加え、ついで0.88アンモニア(80mL)を加えた。反応物を室温で48時間撹拌した。ついで混合物を減圧下で留去し、残渣をジクロロメタン(300mL,2x100mL)で抽出した。合わせた有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮して暗褐色オイルを得た。オイルをジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(100:0:0〜95:5:0.5)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、ついでジエチルエーテルで粉末化して、表題化合物を淡褐色固体として収率53%(9.2g)で得た。
製造方法14:2−ベンジルオキシメチル−4−トリフルオロメチル−1H−イミダゾール
酢酸ナトリウム三水和物(13.6g,100mmol)の水(45mL)溶液に、1,1,1−トリフルオロ−3,3−ジブロモアセトン(10.4mL,55mmol)を加え、混合物を還流条件下で30分間加熱した。ついで混合物を室温まで冷却し、ベンジルオキシアセトアルデヒド(7.0mL,50mmol)のメタノール(230mL)および0.88アンモニア(57mL)溶液に加え、混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物を減圧下で低容量(60mL)まで濃縮し、水(50mL)で希釈し粉末化した。得られた沈殿物を濾去し、減圧下60℃で乾燥して表題化合物を淡褐色固体として収率92%(13g)で得た。
製造方法15:2−ベンジルオキシメチル−4−エチル−5−ヨード−1H−イミダゾール
製造方法5の方法と同様な方法を用い、製造方法13の化合物およびヨウ素から、黄白色粘性物質として収率65%で表題化合物を製造した。
製造方法16:2−ベンジルオキシメチル−5−ヨード−4−トリフルオロメチル−1H−イミダゾール
製造方法14の化合物(11.5g,45mmol)の酢酸(135mL)溶液に、ヨウ素(12.0g,47.5mmol)、過ヨウ素酸二水和物(10.3g,45mmol)およびクロロホルム(45mL)を加え、混合物を60℃で4時間加熱した。ついで混合物を室温まで冷却し、氷冷した10%亜硫酸ナトリウム水溶液(600mL)上に注いだ。水溶液を酢酸エチル(3x400mL)で抽出し、合わせた有機溶液をブライン(400mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。酢酸エチル:ペンタン(33:66)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製し、ついでペンタンで粉末化して、表題化合物を白色粉末として収率81%(14g)を得た。
製造方法17:5−(2−ベンジルオキシメチル−5−エチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル
製造方法3の化合物(3.04g,19mmol)および製造方法15の化合物(5g,14.6mmol)のアセトニトリル(50mL)溶液に、撹拌しながら炭酸セシウム(7.15g,22mmol)を加え、反応混合物を90分間加熱還流した。ついで冷却した混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して褐色固体を得た。この固体を濾過した固体と合わせ、酢酸エチル(200mL)中に懸濁し、水(200mL)で洗浄し、水性洗浄液を酢酸エチル(2x100mL)で抽出した。ついで、合わせた有機溶液をブライン(2x100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮して褐色樹脂を得た。粘性物質をペンタン:酢酸エチル(80:20〜50:50)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を黄白色フォームとして収率81%(4.5g)で得た。
製造方法18:5−(2−ベンジルオキシメチル−5−トリフルオロメチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)イソフタロニトリル
製造方法3の化合物(1.92g,12mmol)のアセトニトリル(80mL)溶液に、撹拌しながら炭酸セシウム(4.56g,14mmol)を加え、混合物を室温で5分間撹拌した。ついで製造方法16の化合物(3.81g,10mmol)を分割して加え、ついでヨウ化銅(I)(570mg,3mmol)を加え、反応混合物を18時間加熱還流した。この時間の後、TLC分析により出発物質がなお残留していることが示されたので、混合物にさらなるヨウ化銅(I)(570mg,3mmol)を加え、加熱を6時間続けた。ついで混合物を室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチルおよび10%クエン酸酸溶液間で分配し、得られた沈殿物を濾去した。濾液の2層を分離し、水層を酢酸エチル(3x200mL)で抽出した。ついで、合わせた有機溶液をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮して黄色オイルを得た。酢酸エチル:トルエン(20:80)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりオイルを精製し、表題化合物を黄白色粘性物質として収率48%(2g)で得た。
製造方法19:5−(2−ベンジルオキシメチル−3,5−ジエチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル
製造方法8の方法と同様な方法を用い、製造方法17の化合物およびヨウ化エチルから表題化合物を製造した。トルエン:酢酸エチル(90:10)により溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより粗化合物を精製して、まず5−(2−ベンジルオキシメチル−1,5−ジエチル−1H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリルを粘性物質として収率19%で得た。ついで、さらに溶出して、所望の生成物である5−(2−ベンジルオキシメチル−3,5−ジエチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリルを粘性物質として収率31%で得た。
製造方法20:5−(2−ベンジルオキシメチル−3−エチル−5−トリフルオロメチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル
製造方法8の方法と同様な方法を用い、製造方法18の化合物およびヨウ化エチルから表題化合物を製造した。粗化合物をジエチルエーテル/ペンタンによる粉末化によりさらに精製して、所望の生成物を白色固体として収率70%で得た。
製造方法21:5−[2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イルメチル)−3,5−ジエチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル
トリフェニルホスフィン(189mg,0.72mmol)およびフタルイミド(106mg,0.72mmol)のテトラヒドロフラン(4mL)溶液に、実施例6の化合物(150mg,0.48mmol)を加えた。アゾジカルボン酸ジイソプロピルエステル(139μL,0.72mmol)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液に、氷冷しながら得られた溶液を滴下し、溶液を室温で2時間撹拌した。ついで混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、水(50mL)で洗浄した。水層をさらなる酢酸エチル(50mL)で抽出し、合わせた有機溶液をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ペンタン:酢酸エチル(75:25〜50:50)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製し、表題化合物を白色フォームとして定量的収率(235mg)で得た。
製造方法22:5−[2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イルメチル)−3−エチル−5−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル
製造方法21の方法と同様な方法を用い、実施例8の化合物およびフタルイミドから、白色結晶性固体として収率94%で表題化合物を製造した。
製造方法23〜25
適切な出発物質および三塩化ホウ素−メチルスルフィド錯体溶液を用い、実施例6に記載の方法と同様な方法で以下の化合物を製造した。反応物はTLC分析でモニターし、室温で3〜18時間撹拌した。
製造方法23:5−(5−エチル−2−ヒドロキシメチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル(製造方法17の化合物から収率59%で得た);
製造方法24:5−(2−ヒドロキシメチル−5−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル(製造方法47の化合物から収率60%で得た);
製造方法25:5−(5−シクロプロピル−2−ヒドロキシメチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル(製造方法60の化合物から収率63%で得た)。
製造方法26:5−シクロプロピル−2−メチル−3H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル
3−シクロプロピル−2,2−ジヒドロキシ−3−オキソプロパン酸エチル[(3.8g,20mmol) J. labelled compounds and radiopharmaceuticals, 38(5), 453, 9381-138]のテトラヒドロフラン(100mL)溶液に、アセトアルデヒド(2.2mL,40mmol)、酢酸アンモニウム(6.2g,80mmol)、およびトリエチルアミン(11.2mL,80mmol)を加え、反応混合物を室温で18時間撹拌した。ついで混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、ブライン(150mL)でクエンチした。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(3x100mL)で抽出した。合わせた有機溶液をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮してオレンジ色残渣を得た。残渣をジエチルエーテルで粉末化して、表題化合物を淡いオレンジ色の固体として収率46%(1.8g)で得た。
製造方法27:2−ベンジルオキシメチル−5−シクロプロピル−3H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル
3−シクロプロピル−2,2−ジヒドロキシ−3−オキソプロパン酸エチル[(213mg,1.13mmol) J. labelled compounds and radiopharmaceuticals, 38(5), 453-470; 1996]のテトラヒドロフラン(5mL)溶液に、ベンジルオキシアルデヒド(192μL,1.36mmol)、酢酸アンモニウム(358mg,4.64mmol)、およびトリエチルアミン(650μL,4.64mmol)を加え、反応混合物を1時間加熱還流した。ついで混合物をジクロロメタン(50mL)で希釈し、ブライン(50mL)でクエンチした。有機層を分離し、水層をジクロロメタン(2x25mL)で抽出した。合わせた有機溶液をブライン(25mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ペンタン:酢酸エチル(67:33〜50:50)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィー残渣を精製し、表題化合物を固体として収率93%(290mg)で得た。
製造方法28:2−(2−ベンジルオキシ−エチル)−5−シクロプロピル−3H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル
製造方法26の方法と同様な方法を用い、3−シクロプロピル−2,2−ジヒドロキシ−3−オキソプロパン酸エチル(J. labelled compounds and radiopharmaceuticals, 38(5), 453-470; 1996)および4−(フェニルメトキシ)プロパナール(Tetrahedron, 56, 5303-5310; 2000)から、黄色オイルとして収率70%で表題化合物を製造した。
製造方法29:2−ベンジルオキシメチル−5−シクロプロピル−3−エチル−3H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル
製造方法27の化合物(100mg,0.33mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)に加えたものに、炭酸カリウム(69mg,0.5mmol)、ヨウ化エチル(30μL,0.37mmol)を順次加え、得られた混合物を室温で25時間撹拌した。ついで溶媒を減圧下で留去し、残渣を酢酸エチル(25mL)およびブライン(25mL)間で分配した。有機層をブライン(25mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、表題化合物を黄色オイルとして収率90%(100mg)で得た。
製造方法30:2−(2−ベンジルオキシ−エチル)−5−シクロプロピル−3−エチル−3H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル
製造方法28の化合物(1.95g,6.2mmol)および炭酸カリウム(1.28g,9.3mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)懸濁液に、ヨウ化エチル(546μL,6.82mmol)を加え、混合物を室温で18時間撹拌した。さらなるヨウ化エチル(50μL,0.62mmol)を加え、混合物を室温で3時間撹拌した。ついで溶媒を減圧下で留去し、残渣を酢酸エチル(150mL)およびブライン(150mL)間で分配した。2層を分離し、水層を酢酸エチル(2x50mL)で抽出した。合わせた有機溶液をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、表題化合物を黄色オイルとして収率85%(1.77g)で得た。
製造方法31:2−ベンジルオキシメチル−4−シクロプロピル−1−エチル−5−ヨード−1H−イミダゾール
製造方法29の化合物(1.45g,4.4mmol)のメタノール(120mL)溶液に1M水酸化ナトリウム溶液(44mL,44mmol)を加え、混合物を3時間加熱還流した。ついで反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をジクロロメタン(120mL)およびブライン(100mL)で希釈し、混合物を2M塩酸でpH12に調節した。この2相系を激しく撹拌しながら、ヨウ素(1.46g,5.74mmol)のジクロロメタン(35mL)溶液を滴下し、1M水酸化ナトリウム溶液を断続的に加えてpHを12に維持した。18時間撹拌した後、10%チオ硫酸ナトリウム溶液を加え、得られた混合物を2M塩酸を加えて中和した。有機層を分離し、水層をジクロロメタンで抽出した。ついで合わせた有機溶液をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮して黄色オイルを得た。ペンタン:酢酸エチル(83:17)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーでオイルを精製し、表題化合物を無色ガラス物質として収率55%(905mg)で得た。
製造方法32〜34
適切な出発物質およびヨウ素を用い、製造方法31の化合物に記載の方法と同様な方法で以下の化合物を製造した。
製造方法32:4−シクロプロピル−5−ヨード−2−メチル−1H−イミダゾール(製造方法26の化合物から収率58%で得た);
製造方法33:2−(2−ベンジルオキシエチル)−4−シクロプロピル−5−ヨード−1H−イミダゾール(製造方法28の化合物から収率43%で得た);
製造方法34:2−(2−ベンジルオキシエチル)−4−シクロプロピル−1−エチル−5−ヨード−1H−イミダゾール(ペンタン:酢酸エチル(83:17〜67:33)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、製造方法29の化合物から収率40%で得た)。
製造方法35および36
適切なヨード−イミダゾールおよびメルカプトイソフタロニトリル(製造方法3)を用い、製造方法17に記載の方法と同様な方法で以下の化合物を製造した。
製造方法35:5−(5−シクロプロピル−2−メチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル(製造方法32から収率67%で得た);
製造方法36:5−[2−(2−ベンジルオキシエチル)−5−シクロプロピル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル(製造方法33から収率93%で得た)。
製造方法37:5−(2−ベンジルオキシメチル−5−シクロプロピル−3−エチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル
製造方法3の化合物(378mg,2.35mmol)のアセトニトリル(15mL)溶液に炭酸セシウム(842mg,2.59mmol)を加え、混合物を10分間撹拌した。ついで製造方法31の化合物(900mg,2.35mmol)およびヨウ化銅(I)(135mg,0.7mmol)を加え、混合物を18時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、濾過し、減圧下で濃縮し、残渣を酢酸エチル(70mL)およびブライン(70mL)間で分配した。ついで2層を分離し、水層を酢酸エチル(50mL)で抽出した。合わせた有機溶液を濾過し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮してオレンジ色オイルを得た。酢酸エチル:ペンタン(25:75)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーでオイルを精製し、表題化合物を黄白色オイルとして収率75%(705mg)で得た。
製造方法38:5−[2−(2−ベンジルオキシエチル)−5−シクロプロピル−3−エチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル
製造方法18の方法と同様な方法を用い、製造方法34および製造方法3の化合物から表題化合物を製造した。ペンタン:酢酸エチル(75:25〜50:50)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで粗化合物を精製し、所望の生成物を収率75%で得た。
製造方法39:5−[5−シクロプロピル−2−(2−ヒドロキシ−エチル)−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル
実施例5の方法と同様な方法を用い、製造方法36の化合物から、固体として収率95%で表題化合物を製造した。
製造方法40:5−[5−エチル−2−(2−ヒドロキシ−エチル)−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル
実施例6の方法と同様な方法を用い、製造方法7の化合物から固体として収率74%で表題化合物を製造した。
製造方法41:2,2−ジクロロ−3−メチル−ブチルアルデヒド
塩化スルフリル(80mL,1mol)に、室温でイソバレルアルデヒド(13.4mL,0.13mol)を滴下した。混合物を30℃に加温し、15分間撹拌し、ついで室温まで再冷却した。ついでさらなるイソバレルアルデヒド(13.4mL,0.13mol)を滴下し、反応混合物を15分間放置し、穏やかに18時間加熱還流した。ついで反応混合物を蒸留し、140〜147℃の範囲で表題化合物(12.43g,収率32%)を含有する分画を回収した。
製造方法42:2−(2−ベンジルオキシ−エチル)−4−イソプロピル−1H−イミダゾール
製造方法41の化合物(12.4g0.08mol)のアセトニトリル(40mL)溶液に、氷冷しながら4−(ベンジルオキシ)プロパナール[(13.37g,0.08mol)、 Tetrahedron, 56, 5303-5310; 2000)]を加えた。ついで0.88アンモニア(80mL)を分割して加え、混合物を室温で48時間撹拌した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をジクロロメタン(400mL)および水(150mL)間で分配した。水層を分離し、ジクロロメタン(250mL)で抽出し、合わせた有機溶液をブライン(300mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ジクロロメタン:メタノール(98:2)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで残渣を精製し、表題化合物を粘性のあるオレンジ色オイルとして収率38%(7.64g)で得た。
製造方法43:2−ベンジルオキシメチル−4−イソプロピル−1H−イミダゾール
製造方法41の化合物(34g0.22mol)のアセトニトリル(150mL)溶液に、氷冷しながらベンジルオキシアセトアルデヒド(33.54g,0.22mol)を加えた。ついで0.88アンモニア(230mL)を分割して加え、混合物を室温で48時間撹拌した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をジクロロメタン(600mL)および水(200mL)間で分配した。水層を分離し、ジクロロメタン(250mL)で抽出し、合わせた有機溶液をブライン(400mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ジクロロメタン:メタノール(98:2〜95:5)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで残渣を精製し、表題化合物を粘性のあるオレンジ色オイルとして収率36%(18.56g)で得た。
製造方法44:2−(2−ベンジルオキシ−エチル)−5−ヨード−4−イソプロピル−1H−イミダゾール
製造方法42の化合物(7.64 31.1mmol)のジクロロメタン(100mL)溶液に、氷冷しながら水酸化ナトリウム溶液(30mL,36.2mmol)を分割して加えた。ジクロロメタン(25mL)およびメタノール(25mL)の混合物にヨウ素(8.74g,34.4mmol)を加えたスラリーを加え、混合物を0℃で20分間撹拌した。ついで混合物を10%チオ硫酸ナトリウム溶液(150mL)およびジクロロメタン(200mL)間で分配した。水層を分離し、ジクロロメタン(150mL)で抽出し、合わせた有機溶液をブライン(350mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ジクロロメタン:メタノール(98:2)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製し、ついでペンタンで粉末化し、表題化合物を固体として収率56%(6.45g)で得た。
製造方法45:2−ベンジルオキシメチル−5−ヨード−4−イソプロピル−1H−イミダゾール
製造方法43の化合物(8.36g,36.2mmol)のジクロロメタン(100mL)溶液に、氷冷しながら水酸化ナトリウム溶液(20mL,34.4mmol)を分割して加えた。ジクロロメタン(20mL)およびメタノール(30mL)の混合物にヨウ素(10.13g,39.9mmol)を加えたスラリーを加え、混合物を0℃で15分間撹拌し、室温で20分間撹拌した。ついで混合物を10%チオ硫酸ナトリウム溶液(150mL)およびジクロロメタン(200mL)間で分配した。水層を分離し、ジクロロメタン(200mL)で抽出し、合わせた有機溶液をブライン(350mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ついで油性残渣をペンタン中で粉末化し、表題化合物を黄白色固体と収率76%(9.88g)で得た。
製造方法46:2−(5−ヨード−4−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−イル)−エタノール
製造方法44の化合物(700mg,1.8mmol)および濃塩酸(3mL)をエタノール(1.2mL)に加えた混合物を18時間加熱還流した。ついで溶媒を減圧下で留去し、残渣を水(20mL)およびペンタン(20mL)間で分配した。2層を分離し、水溶液を炭酸水素ナトリウムで塩基性にし、酢酸エチル(2x50mL)で抽出した。合わせた有機溶液をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、表題化合物を黄色固体として収率93%(492mg)で得た。
製造方法47:5−(2−ベンジルオキシメチル−5−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル
炭酸セシウム(7.15g,22mmol)および製造方法45の化合物(5g,14mmol)のアセトニトリル(100mL)懸濁液に、撹拌しながら製造方法3の化合物(3.15g,19.6mmol)を加え、反応混合物を2時間加熱還流した。ついで混合物を室温まで冷却し、濾過し、アセトニトリルで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を酢酸エチル(150mL)および水(150mL)間で分配した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、表題化合物を褐色フォームとして収率98%(5.3g)で得た。
製造方法48:5−[2−(2−ヒドロキシ−エチル)−5−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル
製造方法47の方法と同様な方法を用い、製造方法46および製造方法3の化合物から、褐色フォームとして収率75%で表題化合物を製造した。
製造方法49:5−(2−ベンジルオキシメチル−3−エチル−5−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル
製造方法47の化合物(1.47g,3.8mmol)および炭酸カリウム(7.87mg,5.7mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)懸濁液にヨウ化エチル(335μL,4.2mmol)を加え、混合物を室温で18時間撹拌した。ついで溶媒を減圧下で留去し、残渣を酢酸エチル(50mL)および水(80mL)間で分配した。2層を分離し、水層を酢酸エチル(50mL)で抽出した。合わせた有機溶液をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮して褐色オイルを得た。ペンタン:酢酸エチル(75:25〜67:33)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーでオイルを精製し、表題化合物(カラムから2番目に溶出)を黄色オイルとして収率50%(730mg)で得た。
製造方法50:5−(2−ベンジルオキシメチル−5−イソプロピル−3−メチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル
製造方法49の方法と同様な方法を用い、製造方法47の化合物およびヨウ化メチルから白色固体として収率35%で表題化合物を製造した。
製造方法51:2−メチル−5−トリフルオロメチル−1H−イミダゾール
酢酸ナトリウム三水和物(2.7g,20mmol)および1−ジブロモ−3,3,3−トリフルオロアセトン(2.7g,10mmol)を水(18mL)に加えた混合物を30分間加熱還流した。ついで混合物を室温まで冷却し、アセトアルデヒド(0.5mL,9mmol)および0.88アンモニア(11mL)のメタノール(45mL)溶液にゆっくり加えた。混合物を室温で18時間撹拌し、ついで減圧下で濃縮した。水性残渣を水(10mL)で希釈し、3時間放置した。得られた結晶を濾取し、乾燥して表題化合物の一部〔0.85g〕を得た。ついで濾液をジクロロメタン(3x20mL)で抽出し、合わせた有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮してさらなる表題化合物(0.2g,全収率70%)を得た。
製造方法52:2−(2−ベンジルオキシ−エチル)−5−トリフルオロメチル−1H−イミダゾール
酢酸ナトリウム三水和物(2.7g,20mmol)および1−ジブロモ−3,3,3−トリフルオロアセトン(2.7g,10mmol)を水(18mL)に加えた混合物を30分間加熱還流した。ついで混合物を室温まで冷却し、4−(ベンジルオキシ)プロパナール(Tetrahedron, 56, 5303-5310; 2000)(1.48g,9mmol)および0.88アンモニア(11mL)のメタノール(45mL)溶液にゆっくり加えた。室温で18時間混合物を撹拌し、ついで減圧下で留去した。水性残渣を酢酸エチル(3x50mL)で抽出し、合わせた有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮してオイルを得た。ついで、微量のメタノールを加えた水中でオイルを粉末化して、表題化合物を結晶性固体として収率88%(2.4g)で得た。
製造方法53および54
適切なイミダゾール、過ヨウ素酸およびヨウ素を用い、製造方法16に記載の方法と同様な方法で以下の化合物を製造した。
製造方法53:4−ヨード−2−メチル−5−トリフルオロメチル−1H−イミダゾール(製造方法51の化合物から収率81%で得た);
製造方法54:2−(2−ベンジルオキシエチル)−4−ヨード−5−トリフルオロメチル−1H−イミダゾール(製造方法52の化合物から収率55%で得た)。
製造方法55および56
適切なヨード−イミダゾールおよび製造方法3の化合物を用い、製造方法18に記載の方法と同様な方法で以下の化合物を製造した。
製造方法55:5−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−1H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル(製造方法53の化合物から収率77%で得た);
製造方法56:5−[2−(2−ベンジルオキシエチル)−5−トリフルオロメチル−1H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル(製造方法54の化合物から収率51%で得た);
製造方法57および58
適切な出発物質およびハロゲン化アルキルを用い、製造方法8に記載の方法と同様な方法で以下の化合物を製造した。
製造方法57:5−[2−(2−ベンジルオキシエチル)−3−エチル−5−トリフルオロメチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル(製造方法56の化合物から収率89%で得た)。
製造方法58:5−[2−(2−ベンジルオキシエチル)−3−メチル−5−トリフルオロメチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル(製造方法56の化合物から収率98%で得た)。
製造方法59:2−ベンジルオキシメチル−5−ヨード−4−シクロプロピル−1H−イミダゾール
製造方法32の方法と同様な方法を用い、製造方法27の化合物から黄白色オイルとして収率70%で表題化合物を製造した。
製造方法60:5−(2−ベンジルオキシメチル−5−シクロプロピル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル)−イソフタロニトリル
製造方法17の方法と同様な方法を用い、製造方法3および製造方法59の化合物から、白色フォームとして収率90%で表題化合物を製造した。
生物学的データ
逆転写酵素阻害剤としての本発明の化合物の活性は、以下のアッセイを用いて測定できる。
HIV−1逆転写酵素阻害
本発明の化合物の逆転写酵素活性は、以下のようにアッセイできる。大腸菌(Escherichia Coli)中で発現させた、精製組換えHIV−1逆転写酵素(RT, EC, 2.7.7.49)を用い、製造業者による提案に従って、[3H]−フラッシュプレート酵素アッセイ系 (NEN - SMP 410A)を用いて多くのサンプルをアッセイするための384−ウェルプレートアッセイ系を確立した。化合物を100%DMSOに溶解し、適切な緩衝液で希釈して最終DMSO濃度を5%にした。DMSO対照と比較して、阻害活性を阻害%で表した。逆転写酵素を50%阻害する化合物の濃度を、化合物のIC50として表した。本発明の全ての実施例は、上記の方法によれば、以下の表に示すように1.5μM未満のIC50値を示す。
【0174】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体
【化1】

[式中:
はC1−4アルキルまたはC3−6シクロアルキルであり、ここで、前記アルキルはピリジルまたはピリジルN−オキシドにより置換されていてもよく;
はC1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、またはトリフルオロメチルであり;
は−(CHOR、−(CHOC(O)NH、−(CHNH、または−(CHNHC(O)NHであり;
はHまたはC1−4アルキルであり;
mは1、2、3または4である]。
【請求項2】
以下の条件の少なくとも1つが満たされている請求項1記載の化合物:
はメチル、エチル、i−プロピル、シクロプロピル、またはピリジルメチルであり;
はメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、またはトリフルオロメチルであり;
は−(CHORまたは−(CHOC(O)NHであり;
はHである。
【請求項3】
以下からなるグループから選択される請求項1記載の化合物:
5−[3,5−ジエチル−2−(2−ヒドロキシエチル)−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル;
5−[5−シクロプロピル−3−エチル−2−(2−ヒドロキシエチル)−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル;
5−[3−エチル−2−ヒドロキシメチル−5−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル;
5−[3−エチル−2−(2−ヒドロキシエチル)−5−トリフルオロメチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル;
カルバミン酸4−シクロプロピル−5−(3,5−ジシアノ−フェニルスルファニル)−1−エチル−1H−イミダゾール−2−イルメチルエステル;
カルバミン酸5−(3,5−ジシアノ−フェニルスルファニル)−1−エチル−4−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−イルメチルエステル;
カルバミン酸5−(3,5−ジシアノ−フェニルスルファニル)−1,4−ジエチル−1H−イミダゾール−2−イルメチルエステル;
カルバミン酸5−(3,5−ジシアノ−フェニルスルファニル)−1−エチル−4−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール−2−イルメチルエステル;
5−[2−ヒドロキシメチル−5−イソプロピル−3−(ピリジン−4−イルメチル)−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル;
5−[2−(2−ヒドロキシエチル)−5−イソプロピル−3−メチル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル;
5−[3−エチル−2−(2−ヒドロキシエチル)−5−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イルスルファニル]−イソフタロニトリル;
およびその薬学的に許容される塩、溶媒和物または誘導体。
【請求項4】
1以上の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体とともに、請求項1〜3のいずれか記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体を含んでなる医薬組成物。
【請求項5】
1以上のさらなる治療剤を含む、請求項4記載の医薬組成物。
【請求項6】
医薬としての使用のための、請求項1〜3のいずれか記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体、あるいは請求項4または5記載の医薬組成物。
【請求項7】
逆転写酵素阻害剤またはモジュレーターとしての使用のための、請求項1〜3のいずれか記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体、あるいは請求項4または5記載の医薬組成物。
【請求項8】
HIV、HIVに遺伝的に近縁であるレトロウイルスによる感染、またはAIDSの治療における使用のための、請求項1〜3のいずれか記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体、あるいは請求項4または5記載の医薬組成物。
【請求項9】
逆転写酵素阻害活性またはモジュレーター活性を有する医薬の製造における、請求項1〜3のいずれか記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体、あるいは請求項4または5記載の医薬組成物の使用。
【請求項10】
HIV、HIVに遺伝的に近縁であるレトロウイルスによる感染、またはAIDSの治療用医薬の製造における、請求項1〜3のいずれか記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体、あるいは請求項4または5記載の医薬組成物の使用。
【請求項11】
逆転写酵素阻害剤またはモジュレーターを用いる、ヒトを含む哺乳動物の治療方法であって、請求項1〜3のいずれか記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体、あるいは請求項4または5記載の医薬組成物の有効量で前記哺乳動物を治療することを含んでなる該方法。
【請求項12】
HIV、HIVに遺伝的に近縁であるレトロウイルスによる感染、またはAIDSを伴うヒトを含む哺乳動物の治療方法であって、請求項1〜3のいずれか記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体、あるいは請求項4または5記載の医薬組成物の有効量で前記哺乳動物を治療することを含んでなる該方法。
【請求項13】
a)RXでの式(II)の化合物のアルキル化、あるいはb)式(XIII)の化合物と式(IV)または(V)の化合物との反応、を含んでなる式(I)の化合物の製造方法。
【請求項14】
式(II)の化合物の製造方法が、式(III)の化合物と式(IV)または(V)の化合物との反応を含む請求項13記載の方法。
【請求項15】
式(II)、(III)、(IV)または(V)の化合物。

【公表番号】特表2007−532626(P2007−532626A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507865(P2007−507865)
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000969
【国際公開番号】WO2005/100322
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】